Uberに続きLyftも乗客とドライバーのマスク着用義務化

米国時間5月6日、Lyftはドライバーと乗客に走行中マスクの着用を義務付ける新たな健康への取組みを発表した。Lyftはドライバーに消毒用品とマスクを供給することを明らかにした。

乗客とドライバーは必ず顔面を覆わなくてはならず、新型コロナウイルス(COVID-19)あるいは何らかの症状を示す場合は運転も乗車もしてはならない。ドライバーは自分の車と手を清潔に保ち、窓はできる限り開けておくことに同意しなければならない。また乗客は前部座席に乗らないことにも同意しなければならない。

乗客にもドライバーにも、乗車あるいは運転の前にLyftの新しい個人健康要件に従うことを確認するプロンプトが表示される。もし乗客やドライバーがこの指示に繰り返し違反すると、アカウント停止の対象になる。

「Lyftコミュニティーの一員であるためには共同責任が伴うと私たちは考えています」とLyftのグローバルオペレーション担当VPのAngie Westbrock(アンジー・ウェストブロック)氏が本日の電話会見で語った。「マスクを着用することで、相手を気遣っていることを示すことができる。これは、乗客とドライバー両方のためであり、こんな時期に心の平安を与えるものだ」。

Lyftはこれまでに250万ドル(2億6500万円)を費やして、何千本もの手指消毒薬とマスクを購入してドライバーに配布している。これらの用品をドライバー確実に入手できるように、いつどこで受け取れるかを正確に通知するとLyftは言っている。これまでにLyftは再利用可能なマスクを1枚ずつドライバーに配布済みで、ドライバーと乗客を仕切るパーティションの導入も検討していると言っている。同様に、Uberも今週始めに乗客とドライバーのマスク着用義務化の計画を発表している。

Lyftによる乗客の安全を守るこの取組みのわずか前、同社は世界的健康危機のために従業員982名を解雇し、288名を一時帰休させた。その一方で、LyftとUberはカリフォルニア州のXavier Becerra(ザビエル・ベセラ)検事総長から、ドライバーの就業区分相違の疑いで新たな訴訟を起こされている。この訴訟は、UberとLyftが労働者から、最低賃金、超過勤務手当、有給病気休暇、身体障害保険、失業保険などの権利を奪っていると主張している。サンフランシスコ最高裁判所に提出されたこの訴訟は、違反1件(あるいはドライバー1名)につき罰金2500ドル(26万5700円)をカリフォルニア州不正競争法に基づいて要求しており、高齢者および身体障害者に対する違反にはさらに2500ドルを要求している。

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アップルが新型コロナ検査検体回収キットを開発する企業に約10億円提供

Apple(アップル)は同社の高度製造支援基金であるAdvanced Manufacturing FundからCOPAN Diagnostics(コパン・ダイアグノスティック)に1000万ドル(約10億円)を提供した。同社は、米国の病院向けに新型コロナウイルス(COVID-19 )診断のための検体回収キットを製造している。今回の資金は、米国拠点の製造業の開発と成長をサポートするためにアップルが設けた基金から拠出される。これは注目に値する。というのも、同基金はこれまでアップルのサプライチェーンに直接つながっている企業の支援に使われてきたからだ。

今回の支援ではアップルは、COPAN Diagnosticsの設備や材料の確保も手伝っている。例えば、新たな高度設備のデザインをアップルがサポートした。支援金は、COPANがキットの供給をもっと増やせるよう、南カリフォルニアにある生産施設を拡大するのにも使われる。アップルによると、同施設の現在のランレートは週7000キットほどだが、7月までに週100万キット超に増やす。こうした取り組みにより米国内で新たに50人ほどを雇用することにもなるとアップルは述べている。

COPANは診断業界ではパイオニアで、2003年にはフロックドスワブ(DNAサンプル採取に特化して設計された綿棒)を開発した。現在は、世界で広く使われているウイルスを含む臨床検体の輸送媒体を生産している。アップルからの投資は、COPANの専門を生かしつつ主に生産拡大に使われる。米国における広範な新型コロナウイルス診断のボトルネックになるのを防ぐべく急増する診断キット需要に対応しようと、アップルが達成し得る驚異的な生産量に近づけられるような生産体制にする。

アップルはグローバルの新型コロナ危機との戦いに多くのリソースを向けている。ここには寄付、保護具の提供、症状チェックアプリとGoogle(グーグル)との提携のもとに今後リリースされる濃厚接触の通知ソフトウェアのためのソフトウェア開発リソースが含まれる。今回の高度製造支援基金からの資金提供は、Appleがさまざまな方法でパンデミックに取り組めるということを示す新たな例となる。

画像クレジット: Apple

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デートアプリのTinderが新型コロナ禍で成長鈍化、次四半期にビデオデート機能を追加へ

Tinder(ティンダー)は今年の第2四半期にビデオデート機能を追加する予定だ。これは米国時間5月4日に発表された2020年第1四半期の収益 レポートの一部として親会社のMatch(マッチ)が明らか似した。同社はまた、対人距離確保要請と政府によるロックダウンが発効したために、四半期のTinderユーザー数の成長の鈍化につながった、新型コロナウイルスの影響についても詳しく説明している。

Matchはビデオデート計画の詳細には触れなかったが、同社のPlenty of Fishアプリの中でビデオを使ったテストをしていると述べた。同社は今四半期、期待が予想をはるかに超えて寄せられた1対多のライブストリーミング機能のロールアウトを加速させたと説明している。

「デートする人たちからの、ビデオデートへの強い希望を受けたことから、世界中の製品とエンジニアリングのチームを迅速に動員し、多くのプラットフォーム上に1対1のビデオチャット機能を展開しました」と、Match GroupのCEOであるShar Dubey(シャー・デュベイ)氏は株主宛ての書簡で述べている。

Matchが所有するHinge(ヒンジ)もまた今月、Date from Home(デート・フロム・ホーム)という ビデオ通話機能を導入した。しかし、同社の主力出会い系サービスであるTinderは、まだビデオを採用していなかった。直接のライバルであるBumble(バンブル)が1年前からビデオ機能を提供しており、そしてFacebook(フェイスブック)はFacebook Dating(フェイスブック・デーティング)ユーザーのために、Messenger(メッセンジャー)を介した仮想デートを立ち上げようとしている。

Matchは、投資家に対する決算報告の中で、ビデオに対して踏み込んでいない理由を、ビデオ機能は何年も試みられて来たが、これまでは決して広くは受け入れられて来なかったからだと説明した。だが同社は今、「ユーザーの皆さまが、それ(ビデオ)を使用することを余儀なくされている」ために、状況は変わると信じているのだ。同社は、パンデミックが終わってもユーザーはメリットを理解し、ビデオを使い続ける可能性が高いと語っている。

全体として、Matchの第1四半期は堅調で、収益は前年同期比17%増の5億4500万ドル(約580億円)となり、1株当たりの収益は31%増の55セントとなった。どちらもウォールストリートの予想だった5億4490万ドル(約579億円)と、1株あたり34セントをそれぞれ上回っている。だが発表前には、コロナウイルスがオンラインデートに被害を与えるかもしれない、多くの兆候が示されていた。

Matchによれば、(オンラインデートの最終的なゴールである)対面デートへの意欲の減少が、Tinderにとっては初の連続した有料登録者の減少につながったという。この傾向は4月になって落ち着きを見せ始めた。またMatchのTinder以外のブランドの大部分でも、この3月に初めてサブスクライバーが連続して減少した、と同社は付け加えた。

Tinderは、2019年12月の590万人から、600万人へと有料登録者を増やしてこの四半期を終えた、つまりこの四半期に新規加入した有料登録者は、わずか10万人しかいなかったということになる。前年同期には、38万4000人の有料ユーザーが加わっていたのだ。Tinderの1ユーザーあたりの平均収益(ARPU)は、主にオプション機能の購入によってわずか2%増加しただけだ。

同社はまた、Tinderではオプションの購入が少なく低価格のサブスクリプションへの移行が見られたため「ARPUへの逆風が見られた」ことを認めた。

これらの課題にもかかわらず、Tinderの直接収益は前年比で31%増加し、有料登録者数は前年比で28%増加した。これに比べると、非Tinderブランドでの直接収益の伸びはわずか2%にとどまり、サブスクライバーの伸びは横ばいだった。

「Tinderは、明らかに新しい人と出会うための頼りになるアプリのままですし、多くの人が家に閉じこもっている中で、より重要なサービスとなっています」とデュベイ氏は楽観的に指摘している。

他の多くの企業と同様に、Matchはパンデミックに関しては未知数が多すぎると述べ、通期の財務見通しを提示することは拒否した。

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Boxがファイル管理や注釈、共有など新コラボ機能を急遽追加、新型コロナ禍で

新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延によって6週間前に都市封鎖が始まったとき、Boxの幹部は状況を議論するために会議の席についた。もちろんそれぞれの部屋で。彼らは他の人たちと同じように、ウイルスに隔てられてはいたが、これは会社としてのBoxにとって重要な瞬間であると認識していた。

彼らは、デジタルトランスフォーメーションについて何年も語り続け、彼らのクラウドコンテンツ管理プラットフォームを顧客が利用できるよう支援を続けてきた。そして、何百万人もの働き手たちが自宅で働くとという極めて重要な瞬間に立ち会うことになったのだ。

BoxのCEOであるAaron Levie(アーロン・リービー)氏は、同社の幹部はいま目の前に見えているものが一時的な出来事なのか、それとも永遠に仕事を変えてしまうものなのかを判断しなければならなかったと述べている。

議論を重ねた結果、これは長期的に物事を変えていくのだという結論に達し、製品ロードマップを加速させることになった。「私たちは6週間前の時点で、これはビジネスの仕組みに関する長期的な変化になるだろうという結論に賭けることを決定しました。そして、もしその先各社のオフィスが再開されても、企業はこの種の出来事に対する回復力を持ちたい筈だ、と考えたのです」とリービー氏は説明した。

Boxの観点からは、それは重要な3つの方向として捉えられた。第一に従業員はファイルを安全に共有できる必要がある(Boxのスイートスポットそのもの)。次に、彼らは組織内外の人々と協力する必要がある。そして最後に、他のクラウドアプリケーションの内部で作業しているときに、Boxに保存されているファイルを操作するための最良の方法はどのようなものか?

これらはすべて、リービー氏が長年話し続けてきたシナリオであり、ある程度はBoxがすでに提供していたものだ。しかし、彼らはいくつかの新機能を追加しながら、すべてを強化したいと考えたのだ。まず第一に、ユーザーがファイルのやり取りやを共有やすくするために、すっきりとしたインターフェースを提供する。

また、Collection(コレクション)と呼ばれる新機能を使用して、ユーザーがそれらのファイルを整理できるようにする。これにより、ユーザーはファイルとフォルダーを意味のある方法でグループ化することができる。これは個人ベースで整理されるものだが、組織内でコレクションを公開できるようにして欲しいという要求がすでに聞こえ始めており、将来的には何らかの対応が行われるとリービー氏は述べている。

次に、注釈機能を追加して、ファイルに対して単一の編集者として、またはグループディスカッションの形でコメントを簡単に追加できるようにする。Google Docsのコラボレーションツールのようなものだが、どのようなドキュメントでも、個人やグループがリアルタイムでリモートでファイルにコメントすることができる。これは多くの人が今現在必要としているものだ。

画像クレジット:Box

そして最後に、外部のパートナーや顧客と、特別なランディングページからBox内のファイルを共有できるようになる。リービー氏によれば、これはBox Shieldと連携して機能する。先月発表された このマルウェア検出 機能によって、そうしたファイルが安全に共有されるようになっている。

「企業は、この秋だろうが、来年だろうが、あるいは今から10年後だろうが、そのとき何が起ころうとも、手作業が介在せず、従業員が自宅から瞬時にアクセスできる、物理的なやり取りができないイベントに、柔軟に対応できるように準備しなければなりません。そしてそのことによって、テクノロジーの観点から会社の優先順位を調整する方法は劇的に変化することでしょう」とリービー氏は述べている。

上に挙げた新機能は、そうした巨大な戦略的課題のすべてに応えるものではないかもしれないが、これはBoxにとって、人々がより直接的に働く方法へ向かう入口となる場所なのだ。そして彼らはそれを掴み取るためにロードマップを加速したのである。

これらの新機能は、本日から数週間かけて展開される。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:sako)

自宅でフィットネスが増えてPelotonのQ3の決算報告は売り上げも会員も大幅増

コネクテッドフィットネス(インターネットに接続するフィットネス)のPelotonが、ウォール街の高い期待をさらに上回った。水曜日(米国時間5/6)に発表されたでっかい四半期決算は、66%増の売上を記録していた。そして時間外取引では、同社の株価は乱高下し、これまでの最高値よりも下に落ち着いた。

同社の四半期売上は5億2460万ドルで、予想の4億8850万ドルを上回った。同社の一株あたりの損失は0.20ドルになった。会員数はQ2の200万からQ3は260万になり、前期比で30%の増加となった。3月に同社は、エクササイズバイクやトレッドミルなど同社のハードウェアと結びつかないデジタル会員の無料試用期間を30日から90日に増やした。

同社のコネクテッドバイクは2245ドル、トレッドミルは4295ドルだ。

Pelotonは、COVID-19が商機となった数少ない上場企業の一つだ。ジムが閉鎖し、屋内避難が行政の命令だから、自宅の室内でフィットネスに励む人が増えたのだ。Pelotonは売上が増えただけでなく、営業マーケティング経費も53%増えて、Q3では1億5480万ドルになった。

同社にもネガティブな影響はある。ショウルームの閉鎖を余儀なくされたし、専用スタジオでのライブのクラスも中断した。最近同社は、インストラクターの自宅からのエクササイズクラスを、ユーザーのコンピューターやスマホの画面にライブでストリーミングしている。

しかし投資家にとっての疑問は、パンデミックの収束後にどうなるかだ。同社のハードウェアを買って使っているユーザーは逃げ出さないだろうが、ウォール街が気にするのは、無料試用のユーザーの何割が今後実買ユーザーになるかだ。

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全身が鱗に覆われた絶滅危惧種の哺乳類・センザンコウの部位がFacebookで違法売買されている

国際法で保護されているにも関わらず、センザンコウ(鱗甲目センザンコウ科センザンコウ属)はいまも世界で最も違法売買の多い動物のひとつだ。そして、少なくともその取引きの一部は、Facebook上で堂々と行われている。

テック監視グループであるTech Transparency Projectの最新レポートに、複数のFacebookユーザーが違法取引されたセンザンコウ部位の売買に手を染めていることが詳細に書かれている。この行為は違法でありFacebook自身によっても禁止されている。

例えば「Pangolin Scales for Sale in Vietnam」(ベトナムでセンザンコウの鱗を販売中)と呼ばれるFacebookページでは、禁止されている動物製品の販売広告が掲載され、購入希望者に対してWhatsAppまたはメールで売り手にメッセージを送るよう伝えている。

別のFacebookの公開ページ「Rhino Horns And Pangolin scales For sale In China」(中国でサイの角とセンザンコウの鱗を販売中)は3月に作成され、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けて「これまで以上のご愛顧を」と顧客に促している。センザンコウの油を売るページもあった。ほとんどのサイトは表面上隠蔽されているが、センザンコウを表すベトナム語で検索したり、中には「panglins for sale」という英語のフレーズでも見つかることがある。

Facebookは自身の利用規約で、生きた動物の売買および「絶滅危惧種やその一部の取引を宣伝、推奨、斡旋する」行為すべてを禁止している。同社は2018年3月に野生生物取引反対連合に加盟したが、その後もサイチョウ(鶏冠がサイの角ような鳥)の部位から虎の歯までさまざまな違法売買が、Facebook上で広告や直販を通じて行われていると報告書に詳しく書かれている。

ここへ来てセンザンコウはパンデミックの起源を探す世界の科学者の間で再び注目を集めている。新型コロナウイルスを保有する野生動物がこの死に至る病を人間に感染させる可能性をもつことは、中国のコウモリ種と2002年のSARS流行の関係から信じられている。

ある最新の研究によると、一部のセンザンコウは新型コロナウイルスの原因に関連するウイルスを保有しているという。大部分の科学者は、新型コロナウイルスがコウモリに由来すると考えているが、どうやってウイルスがコウモリから人間に感染したかは、研究者が今も追究している謎の1つだ。

画像クレジット:Photo by ISAAC KASAMANI/AFP via Getty Images / Getty Images

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Uberが新型コロナ禍による業績悪化で3700人を解雇、コスロシャヒCEOは1年間基本給なしに同意

配車サービス大手Uber(ウーバー)が先週米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書の中で、同社は3700人を解雇する計画を明らかにした。この数字は、同社の全従業員の14%に相当する。

人員削減は「『新型コロナウイルス(COVID-19)による経済的な試練と不確実性、そして事業への影響の対応として』運営コストの計画的な抑制の一環だ」と同社は報告書で述べている。

Uberはオペレーション全てを停止しているわけではないが、州政府がエッセンシャル・ワーカー以外の人に対し外出禁止を命じたこともあり、収支が大打撃を受けることを同社は確信している。

従業員へのレターの中で、CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はコミュニティ・オペレーションとリクルーティングの部門で人員削減が行われると書いている。同社はまた、直接ドライバーをサポートする拠点Greenlightの40%近くを閉鎖する。

「顧客の乗車が大幅に減っているという現実があり、CommOps(コミュニケーション・オペレーション)や直接サポートの需要がかなり落ち込んでいる」と書いている。「採用も凍結していて、ゆえにリクルーターの仕事も十分にない」。

コスロシャヒ氏はまた、年内いっぱい基本給を受け取らないことにも同意した。「上記のことに関連して、CEOのダラ・コスロシャヒは役員会との話し合いの結果、2020年12月31日まで基本給を受け取らないことに同意した」とSECへの報告書には書かれている。「この決定について、コスロシャヒ氏とUberは2020年5月2日付の書面で契約を交わした」。

コスロシャヒ氏の2019年の給与は100万ドル(約1億円)ほどだった。

我々はUberにコメントを求めている。

画像クレジット: Getty Images

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サンフランシスコのギグワーカーの大半が有色人種で移民、そして医療サービスが必要との調査結果

新型コロナウイルス(COVID-19)による世界的な危機の最中にあって、ギグワーカーは我々の社会にとって必要不可欠な存在になった。しかしパンデミックの前から、UberやLyft、Instacart、DoorDash、Postmatesといったサービスを使う多くの人の暮らしの中でギグワーカーは重要な存在だった。ギグワーカーのプレゼンスが高まっているにもかかわらず、彼らについては、多くが収入が不安定で福利厚生はほとんどない独立請負業者だということ以外あまり知られていない。しかしサンフランシスコのギグワーカーについての新たな調査のおかげで、それは変わろうとしている。

例えば、サンフランシスコのLocal Agency Formation Commission(LAFCO)が実施し、 カリフォルニア大学サンタクルーズ校の教授Chris Benner(クリス・ベナー)氏が主導した研究で、多くのギグワーカーは有色人種であることが明らかになった。

DoorDash、Instacart、Shiptといったプラットフォームのギグワーカー643人を対象に行った研究ではまた、多くが経済的に不安定でやりくりに苦慮していることもわかった。

調査対象のギグワーカーの構成は以下のとおりだ。

  • ギグワーカーの78%が有色人種
  • アジア人が29%
  • ラテンアメリカ人が23%
  • 白人が22%
  • 黒人が12%
  • 混血が13%
  • ギグワーカーの56%が移民
  • ギグワーカーの21%が健康保険に加入していない
  • ギグワーカーの15%がフードスタンプや住宅バウチャーのような公的補助が必要
  • ギグワーカーの71%が週30時間以上働いている
  • ライドシェアのドライバーの1週間の収入は経費計算前で平均900ドル(約9万5000円)
  • 食品やグローサリーの配達員の1週間の収入は平均500ドル(約5万3000円)
  • 配達員収入の30%がチップ

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによって、ギグワーカーという必要不可欠な労働力と、彼らが基礎的な保護を受けられていないことにスポットライトが当てられているが、時期を同じくしてこの調査結果は明らかになった。

「さまざまな理由でこの調査は重要だ」と以前TechCtunchにベナー氏は語っていた。「ギグワーカーはかなり脆弱で影響を受けやすい。特に新型コロナウイルス感染拡大の初期においては、空港で客を乗せたり拾ったりするドライバーがそうだった。しかしいまはグローサリーや食品の配達のオンライン注文が激増していて、配達を行っているギグワーカーは外出禁止のこの時期に必要不可欠なサービスを提供し、リスクに接している。そしてもし彼らが食品やグローサリーを注意深く扱わなければ感染を拡大させてしまうこともあり得る」。

調査結果は市当局がギグワーカーに関するポリシーを練り上げるのに役立つ。ギグワーカーが経済的安定と失業給付、しっかりした医療サービスへのアクセスを必要としていることが調査で明らかになった。

この分野ではいくらかの改善が進んでいるが動きは遅い。また、進展はテック企業の抵抗にあいがちだ。例えば、カリフォルニアのギグワーカー保護法案AB 5が成立しようとしていたとき、Uber、Instacart、そしてLyftはギグワーカーを独立請負業者として引き続き分類することができるよう働きかける動きに数百万ドルを注ぎ込んだ。またギグワーカーは失業給付を受けられるにもかかわらず、多くが給付待ちの状態だ。

ギグワーカーをサポートするためには大きな改革が必要だ、とNancy Pelosi(ナンシー・ペロシ)氏の議席を狙う活動家で弁護士のShahid Buttar(シャヒッド・バッター)氏はTechCrunchに述べた。

「私が考える抜本的な改革は、ギグワーカーや労働階級の米国人が求めているものに対応する。それは、国民健康プランである全国民のための医療体制をつくるというもので、保険料の支払いや控除、民間保険の自己負担金などに左右されずに健康診断などを受けられる権利を確立する」とバッター氏は話した。「それはギグワーカーが診断を受けられることを確かなものにするだけでなく、パンデミック状況下のギグワーカーは診断を受けないままウイルスをうつす可能性があるという視点で考えた時に、彼らはケアを要している人々であり、マスクやフェイスシールドなども必要としている。ゆえにギグワーカーのための個人用マスクなどは、彼らの権利や労働環境の安全のためだけでなく、公衆衛生にとっても重要であり不可欠なものだ」。

調査の実施要領調査結果は公開されている。

画像クレジット: Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images / Getty Images

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オバマ前大統領やレディー・ガガがYouTubeのバーチャル卒業式で来賓スピーチ

YouTubeは、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで卒業式を中止や延期された世界中の2020年卒業生を慰めるオンラインプラットホームの仲間入りをしようとしている。このストリーミングプラットホームは米国時間5月5日に来賓のリストを発表したが、それは確かにスター性という点において他のサイトを羨ましがらせるものだ。

6月6日に開催されるイベントでは、前大統領のBarack Obama(バラク・オバマ)氏と前ファーストレディーのMichelle Obama(ミシェル・オバマ)氏が参加する。また祝賀を述べる人たちのリストには、ミュージシャンのLady Gaga(レディー・ガガ)氏とBTS、活動家でノーベル賞受賞者のMalala Yousafzai(マララ・ユスフザイ)氏、YouTubeの親会社であるAlphabetのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏、元米国務長官のCondoleezza Rice(コンドリーザ・ライス)氏、元CIA長官のRobert Gates(ロバート・ゲイツ)氏らが並んでいる。

関連記事: Facebook will stream a virtual graduation ceremony featuring Oprah and Miley Cyrus…Facebookのバーチャル卒業式はオプラ・ウィンフリーとマイリー・サイラスが来賓(未訳)

「特別出演」の中には超人気YouTuberやAlicia Keys(アリシア・キーズ)氏やKerry Washington(ケリー・ワシントン)氏らがいる。とにかく、めちゃくちゃ多様なスピーカーという点だけが売りだが、5月15日に開催されるFacebookのイベントよりも多くの人が集まるだろう。後者はOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)やMiley Cyrus(マイリー・サイラス)をフィーチャーしている。

ライブのストリーミングは6月6日の太平洋時間正午(東部時間午後3時)に始まる

画像クレジット: MANDEL NGAN/AFP

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接触者追跡アプリのセキュリティー欠陥を指摘されたインド政府が「設計通り」と回答

インド政府は、国が作った接触者追跡アプリ、Aargya Setuが9000万ユーザーの位置データを取得し、地域内の新型コロナウイルス検査陽性者の密度を見られるようにしているのは「意図的」であると語った。

同国政府はフランス在住のセキュリティー研究者、Baptiste Robert氏がデザイン欠陥およびプライバシー問題であると指摘したことを受けて声明を発表した。

ユーザーの位置情報を取得していることは常に公表していると政府は言っているが、AppleとGoogleの共同プロジェクトなど、同様のテクノロジーと比べてセキュリティー保護が不十分であると専門家は指摘している。

Aarogya Setuのプライバシー・ポリシーによると、アプリはユーザーが登録した時に位置情報データを取得するだけでなく、「連続的に位置データを取得し、ユーザーがいた場所のデータを15分毎に端末に記録している。新型コロナウイルス検査が陽性だった場合、あるいは感染している可能性を示す兆候があると自己申告した場合、アプリはこのデータをユーザーのデジタルIDとともにサーバーにアップロードする。

位置データの収集は、たとえデベロッパーや運用者の善意であっても複雑な問題である。月曜日(米国時間5/4)にGoogle(グーグル)とApple(アップル)は、両者が共同開発した新型コロナウイルス追跡アプリの位置追跡機能の利用を禁止した。

デベロッパーの中には、感染爆発の動きや多発地域の確認のために位置データのアクセスが必要であると主張する向きもあるが、プライバシー擁護団体は、もしこのデータが暴露されると感染した人たちが排斥される恐れがあると警告している。

Robert氏がもうひとつ懸念しているのは、先月始めに公開されたAarogya Setuのユーザーは誰でも、半径500メートルから10 km以内にいる新型コロナ感染の疑いがあるか感染が確認された人たちの分布を見られることだ。同氏はTechCrunchに、自分が書いたスクリプトで、世界で2番目に人口の多いこの国のありとあらゆる場所について同様のデータを見ることができた、と語った。

3月後半に国全体の都市封鎖を行った同国政府は、せめて可視半径を500メートル以内にすべきだったとRobert氏は話した。

これに対してインド政府は、システムはデータを大量取得するスクリプトを防ぐよう設計されていると発表し、「この方法で複数の緯度経度データを取得することは、何人かの人たちにそれぞれが住む場所の新型コロナ統計データを尋ねるのと変わらない」と語った。

「この情報はすべて全地域について公開されており、いかなる個人情報や秘密情報にも抵触しない」と開発チームは語っている。

一部の人たちは、このような何千人もの死者がでる危機の中では、こうした「不具合」は取るに足らない問題であり、アプリははるかに大きな目的を果たしていると主張する。しかし、わずか35日間に9000万人のアクティブユーザーを集めたAarogya Setuは、その間にさまざまな反発を買ってきた。今月始めにインド政府は、政府および民間企業の従業員は全員、スマートフォンにこのアプリをインストールしなければならない、と発表した。

火曜日(米国時間5/5)に、デリー郊外で64万人以上が住むノイダ市では、当局がスマートフォンにAarogya Setuアプリをインストールしていない者は罰金あるいは懲役刑に処すると発表した。
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ニューヨーク市にあるAmazonの配送センターの従業員1名が新型コロナで死亡

今週初めにAmazon(アマゾン)は、同社のスタテンアイランドのフルフィルメントセンターのスタッフたちに、1人の従業員が新型コロナウイルス(COVID-19)で亡くなったことを告げた。このニュースは最初にThe Vergeが報じた。その従業員は4月初めに症状が現れ、4月11日に隔離された。彼は職場に戻ってこなかった。

スポークスパーソンはTechCrunchに対して「ニューヨークのスタテンアイランドの職場で1人の同僚を失ったことを、私たちは深く悲しんでいる。彼の家族と愛する人びとも今私たちの思いの中にいる。そして私たちは、彼の仲間の同僚たちも支援している」と語っている。

アマゾンによると、同社はスタテンアイランドの施設の個々の問題が直接関連しているとは考えていない。同社によると、その従業員は倉庫で働く他の従業員と接触していなかったという。

必須のサービスに分類されているアマゾンは、当地における在宅命令中でも操業停止していない。CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が保有するWashington Post紙は4月半ばに、アマゾンの少なくとも74の倉庫とフルフィルメントセンターでウイルス陽性の検査結果が出たと報じている。3月の終わりごろにはカリフォルニア州ホーソーンの同社施設で1人の従業員が、症状が出てから数日後にウイルスで死亡した

関連記事: ニューヨークの倉庫で働くAmazon従業員が新型コロナ陽性

同社は、従業員たちが自宅にいる消費者のために商品をパッケージして発送する際、ウイルスの拡散を防ぐための正しい保護対策を採っていないと批判されている。アマゾンは同社の声明とジェフ・ベゾス氏の株主宛書簡の両方で非難をきっぱりと否定し、同社は安全措置を講じておりアマゾンの従業員専用の検査施設を建設する計画だ、と述べている。

同社は3月半ばにスタテンアイランドのワーカーが検査で陽性になった後、ガイドラインの提供を開始した。しかし何人の従業員が検査で陽性になり、何人がウイルスで亡くなったのかは明らかでない。

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同社は金曜日のメーデー抗議集会で標的になった著名なリテイラー数社のひとつだ。そして先日には、副社長のTim Bray(ティム・ブレイ)氏が、同社が複数の内部告発者を解雇したことに抗議して退社した

スタテンアイランドの大型施設JFK8は、ニューヨーク市にサービスを提供するアマゾンのハブだ。同施設はパンデミックの間に、アマゾンの複数の抗議活動の焦点になっていた。

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Airbnbは新型コロナで売上大幅減を予想する中、従業員1900人の解雇を発表

旅行者と宿泊先をマッチングする企業として知られるAirbnbは2020年5月5日午後、従業員の4分の1を解雇すると発表した。TechCrunchが確認したメモの中で、同社は売上の減少とコスト削減の必要性を挙げた。

AirbnbのCEOで共同創業者のBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏が書いたメモには、同社の全従業員7500人の25.3%にあたる1900人が解雇される、とある。解雇は交通やAirbnb Studiosといった多くの内部プロダクトグループ、今後のための取り組みそして今後「縮小」するであろうHotelsとLuxに影響する。

TechCrunchとの電話の中でAirbnbは国ごとの解雇者数を明らかにはしなかったが、従業員解雇は「企業向け部門に多い」とメモには書かれている。同社は取り組みを縮小しつつ基幹のオペレーションにフォーカスし、実験的で費用のかかる試みを減らすようだ。

チェスキー氏の手紙によると、Airbnbは2020年の売上高が2019年の半分以下になると予想している。同社の2019年の売上高はおおよそ48億ドル(約5100億円)だった。

Airbnbはこれより前に、旅行業界に影響を及ぼしている新型コロナウイルス(COVID-19)のためにレイオフはあり得ると認めていた。同社は2つの10億ドル(約1070億円)の債券発行を含め、ここ数週間で資金を確保した。世界の身動きが取れなくなり、旅行者は足を止め、グローバルで旅行支出が激減する中、資金調達でいくらかの流動性を保てる。

この冬眠期間を生き延びられるようマーケットプレイスの需要と供給を健全に維持するために、Airbnbはユーザーがペナルティなしで予約をキャンセルできるようにし、ホスト側には経済援助を提供した。おそらく調達した資金の一部はこうした取り組みにあてられ、また同社が2021年まで健全運営できるだけの資金となる。

同社は以前、2021年のIPOを約束していた。2020年までに十分強固な経済基盤を持っていたため、多くの人が資金潤沢で時折黒字となっていたAirbnbは従来のIPOの代わりに直接上場を選ぶだろうと予想していた。それは今となっては昔のことだが、同社はメモの中で事業はすぐに「完全復活する」と予想している、と明記した。

そして疑問となるのが、その復活がいつになるのかということだ。同社は長い間、バリュエーションが大きく、資金豊富な典型的なシリコンバレーのユニコーンとされてきた。そして収益をあげ、好きなように上場できるだろうともいわれた。ここにはパンデミックなどは盛り込まれていなかった。

解雇される従業員は14週間分の給与を受け取り、さらに勤続1年につき1週間分の給与が加算される。同社はまた、保有期間12カ月未満の株式を持つ従業員がベスティングオプションを実行できるよう1年の縛りをなくす。加えて、米国ではCOBRAを通じた12カ月間の健康保険を、米国外では年内のヘルスケアを提供する。

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(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ接触者追跡アプリの拡大流用に警鐘、「中央集中型」支持の英国でも

英国政府による新型コロナウイルス接触者追跡アプリの開発計画について、その透明性と拡大流用に関する懸念を表明する公開書簡に、英国のコンピュータセキュリティ専門家とプライバシー専門家が多数署名した。

2020年4月初めに世界中の300名近くの学者が署名した同様の公開書簡に続き、177名の学者の署名を集めたこの書簡は、接触者追跡テクノロジーの使用に対する慎重な姿勢を促し、接触者追跡アプリを導入する政府には、プライバシーを保護する技術やシステムを使用するよう呼びかけた。

英国の学者らはこの書簡の中で、3月初旬からデジタル接触者追跡アプリの開発を行ってきたNHSX(英国国民保険サービスのデジタル戦略を担当する組織)に言及して「公衆衛生におけるデジタルソリューションの有効性は、関係する全分野の専門家による深い分析を経て判断するべきであり、関係するリスクが妥当であると言うだけの価値があることを証明する十分な根拠が必要だ」と述べた。

また「報道によると、NHSXは感染者とその接触者全員の非匿名IDを中央集中型データベースに記録するアプローチを検討している。このようなシステムはいずれ(本来の目的から逸脱した拡大流用により)監視システムとして利用される可能性がある」とも述べている。

NHSXのCEOであるMatthew Gould(マシュー・グールド)氏は米国時間4月28日、英国議会の科学技術委員会に出席して証拠を提出していた。グールド氏は、間もなく導入されるアプリに採用される「中央集中型手法」は限定的なものであり、プライバシー保護にとって分散型は安全、中央集中型は危険という「二分思考は誤っている」と主張して、NHSXのアプローチを弁護した。

データの中央集中型管理が必要であるとNHSXが考える理由を説明するために、いくつかのシナリオを紹介した。しかし英国の学者らによる今回の書簡は「公衆衛生当局がどの程度のデータを必要とするかという点については、グループ間で意見が真っ向から対立するのを見てきた」として、中央集中型管理が必要であるという主張に疑問を投げかけた。

「使用目的の達成に必要な最小限のデータのみを収集する、という通常のデータ保護原則を適用するべきだと考える。このテクノロジーにはプライバシー侵害につながる特性や関係するリスクがあることを考えると、アプリを信頼してもらうには、このアプローチが単に手っ取り早い方法だとか『あれば便利だ』とかいうのではなく、本当に必要な手段であることを示す証拠を、公衆衛生当局が公式に提示しなければならない」とこの書簡は続いている。

欧州ではここ数週間、政府主導の新型コロナウイルス接触者追跡アプリのアーキテクチャ選択をめぐって激しい議論が行われている。分散型アプローチを支持する国もあれば、中央集中型アプローチを支持する国もある。一部の国ではAppleに対して、ライバル企業のAndroidメーカーであるGoogleと政府が共同で開発している新型コロナウイルス接触者追跡アプリとの互換性を持つクロスプラットフォームAPIを採用するよう圧力をかけている

欧州で開発が進められている政府主導の接触者追跡アプリのほとんどは、Bluetooth近接通信を使用して感染リスクを計算するように設計されている。スマートフォンのユーザーがお互いに接近すると、仮名化されたIDがデバイス間で交換される。しかし、そのIDが中央管理サーバーに保存されると、サーバーを管理する当局がIDから個人を再特定できるようになるため、国家による監視システムが構築されるリスクがある、とプライバシー専門家は懸念している。

中央集中型のシステムに代わるものとして、デバイスに保存されるIDを使ったピアツーピア通信による分散型システムが提案されている。感染リスクもデバイス上で計算され、プッシュ通知を他のデバイスに送信する時だけリレーサーバーが使用されるため、ソーシャルグラフを示すデータが組織的に公開されることはない。

しかし、このような分散型構造でも、感染が確認された人のIDを他の人のデバイスに通知する必要があるため、デバイスレベルでデータが傍受され、個人が再特定される可能性は存在する。

欧州では今のところ、政府主導の接触者追跡アプリに分散型アプローチを採用することが主流になっているといっていいだろう。注目すべきことに、初めは中央集中型アプローチを支持していたドイツ政府も後になって、エストニア、スペイン、スイスなどと同じように分散型アプローチへと方向転換した。その結果、現時点で中央集中型システムを支持している主要国はフランスと英国だけになった。

フランスでもこの問題について、専門家による議論が続いている。フランスでは4月末、中央集中型と分散型それぞれのアーキテクチャについて懸念を表明する書簡に数名の学者が署名した。学者らは、どのような追跡ツールを使用するにしても、「生じうるリスクが妥当であることを示す重要な証拠を示す必要がある」と主張している。

英国の場合、NHSXが開発する追跡アプリに関する重大な懸念は、政府によるソーシャルグラフデータの中央集中型収集と個人の再特定だけではない。その仕様や機能の拡大流用も重大な懸念となっている。

グールド氏は先日、追跡アプリは今後も流用されるだろうと述べ、その際に使用されるバージョンでは位置情報などの追加データを任意で提供するようユーザーに依頼する可能性があると付け加えた。さらに、NHSXは追跡アプリの使用は任意だとしているが、複数の機能がアプリに実装されると、同意の意味合いが薄まり、拡大流用がアプリ使用の強制につながるのではないか、という疑問が生じる可能性がある。

別の懸念は、英国スパイ機関の表向きの顔であるGCHQ(政府通信本部)も、追跡アプリのアーキテクチャ選定に関わってきたという点だ。さらに、グールド氏は昨日の科学技術委員会で、中央集中型アーキテクチャ採用の決定にNCSC(英国国家サイバーセキュリティセンター)が関与してきたかと問われた際に、答えをはぐらかした。

この面でもさらに別の懸念が予想される。HSJ誌は米国時間4月29日、Matt Hancock(マット・ハンコック)保健相が最近、英国諜報機関に新たな権限を与えたと報じた。これにより諜報機関は、新型コロナウイルスのパンデミック中に、医療サービスのネットワークや情報システムの「セキュリティ」に関するものであればどんな情報でも、その開示をNHSに要請できるようになる。

データベース好きのスパイ機関がそのような権限を手にしている状況で、プライバシー侵害への不安感が和らぐわけがない。

英国のデータ規制当局が追跡アプリの設計プロセスにどの程度深く関与してきたのか、という点も気になる。先にICO(英国情報コミッショナー事務局)の執行役員であるSimon McDougall(シモン・マクドガル)氏が、自分は追跡アプリの計画書を見たことがない、と公の討論会の場で発言したことが報じられたが、実はICOは4月24日に「高い透明性とガバナンスを確保できるようNHSXを支援している」との声明を出していた。

また、グールド氏は先日の科学技術委員会で、追跡アプリが流用される際にはその都度、NHSXがデータ保護影響評価(DPIA)を公開すると述べた。しかし、DPIAが公開されたことはまだない。

グールド氏はさらに、追跡アプリは「技術的には」今後数週間のうちに使用できるようになると述べたが、アプリのコードを公表して外部レビューを行う時期については明言できなかった。

英国の学者らは今回の書簡の中で、DPIAを追跡アプリの導入直前に公開するのではなく「今すぐ」公開するようNHSXに要請した。そうすることで、追跡アプリの使用が及ぼす影響について公に議論できるようにし、政府が実装したと主張する安全対策とプライバシー保護対策を国民が自ら精査できるようにするためだ。

英国の学者らは、システムのユーザー(感染を自ら報告する人を除く)を非匿名化してユーザーのソーシャルグラフを特定可能にするいかなるデータベースも作成しないことを公式に誓言するよう、NHSXに要請した。

学者らはまた、新型コロナウイルスのパンデミックの収束後に、NHXSが「拡大流用を回避する」べく追跡アプリをどのように段階的に停止するつもりなのか、詳しい説明をNHSXに求めた。

データベースの件についてTechCrunchがNHSXの広報担当者に尋ねると、それは英国保健省やNCSCが決めるべき問題だという回答が返ってきた。これでは、政府がアプリユーザーのデータを拡大流用してプライバシーが侵害されるのでは、という不安感が和らぐことはない。

TechCrunchはNHSXに対して、追跡アプリのDPIAの公開時期についても問い合わせたが、この記事の執筆時点でまだ回答は得られていない。

アップデート:NHSXのスポークスパーソンから以下のような返答を得ている。

我々はデータ保護に関する取り決めを追って公開します。また、このパンデミックの驚異が去った後には、この接触者追跡アプリはただちに停止される予定です。その際、ユーザーから共有されたデータは削除しますが、法と倫理を鑑みつつ、将来のウイルス研究に役立つデータは保存されます。

また、これに続いてスポークスパーソンは以下のコメントを追加した。

ユーザーからの許可を得た場合を除き、ユーザーデータは常に匿名化された状態で保存されます。また、匿名化解除のためにデータを照合できる他のデータベースは存在しません。

関連記事:新型コロナの接触者追跡とはどのようなものか?

Category:セキュリティ

Tags:新型コロナウイルス 接触者追跡

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Dragonfly)

Lyftが仮想インターンシップの期間を短縮し給与削減

TechCrunchが入手した情報によると、Lyft(リフト)はインターンシッププログラムを12週間から8週間に短縮し、一部のインターンの給与を半分に減らし、さらに住宅手当を廃止した。また同社もインターンシップの期間短縮と、インターンの給与の一部削減を認めている。なお具体的にどの役割や部署が影響を受けるのかは明かされていない。

今回のインターンシップの変更は、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響で、Lyftが約1000人の従業員を先週削減したものに続く。Uber(ウーバー)もレイオフを行っていると報じられているが、新卒者の募集が取り消されたかどうかについてはコメントを避けた。

テック業界の羨望の的となり、またしばしば華やかなインターンシップは、パンデミックの影響を大きく受けており、米国全土の企業はプログラムを完全にキャンセルしている。このような状況でも大企業の場合は、プログラムをある程度仮想化する余裕があるという独自の特権がある。3月にLyftは、Twitter(ツイッター)やGoogle(グーグル)のような他の大手テック企業と同様に、インターンシッププログラムを完全リモート化するとTechCrunchに伝えた。Lyftが苦戦を強いられている中、さらに保守的なアプローチが取られている。今は特典があるかどうかよりも、仕事のオファーがあるかどうかが問題だ。

インターンシップが重要なのは、新しい多様な人材が集まるからだ。そしてそのキャンセルは、将来の従業員の構成に対するリスクであり、また厳しい就職市場に参入する卒業生にとってはさらなる打撃でもある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

AWSの上級役員技術者が社員の解雇に抗議してAmazonを退社

Amazon(アマゾン)では、メーデーのストライキに参加するために病欠をした労働者が多かったが、その中でTim Bray氏は、彼の同社での最後の日を過ごしていた。Amazon Web Servicesの副社長で「勲功技術者」(Distinguished Engineer)の称号を持つ」彼は今日(米国時間4/29)、5月1日はこのリテール大手における彼の最後の日であると発表し、批判的な発言をする社員をAmazonが解雇したことに言及した。

XMLの共同作者としていちばんよく知られていると思われるBray氏は、Amazonで5年あまりを過ごし、その前はGoogleとSunに在籍した。自分の記事の中で彼はAmazonを「これまでで最良の職場」と呼び、そのあとで、労働運動を組織したEmily Cunningham氏とMaren Costaly氏が解雇されたことを忍耐の限界と指摘している。

関連記事: アマゾンが従業員2人を追加解雇、パンデミック発生時の労働条件を批判

Costa氏とCunningham氏は、解雇がAmazonの環境に関する履歴やCOVID-19の危機の間における従業員の取り扱いを批判したことと直接関連していると述べているが、当然ながら同社はその関連を否定して、「われわれはこれらの社員を内規違反を繰り返したために解雇した」と言っている。

[Tim Bray: 金曜日はAmazonにおける私の最後の日だった。[サーバーがちょっとオーバーヒートしてるが、放っておこう。すぐ終わるから。]]

Bray氏はどうだったかというと、彼は公式のチャネルを通じて自分の懸念を述べたが、結局は辞めることになった、と言っている。

Bray氏はこう説明している: 「そうなった以上、Amazonの副社長として残ることは、自分が忌み嫌う行為を黙認することになる。だから、辞めた。被害者は抽象的な実体ではなく本物の人間だ。名前もある。Courtney Bowden、Gerald Bryson、Maren Costa、Emily Cunningham、Bashir Mohammed、Chris Smallsなどなど。全員が非白人または女性またはその両方なのは、確実に偶然だ。そう思いたいね」。

関連記事: Workers prepare to strike May 1, amid strained pandemic working conditions…パンデミックの不当な労働条件で5月1日に労働者たちがストを計画(未訳)

Bray氏の記事は、彼が役員として仕える企業の公正でない権力構造の告発だ。その記事は主に、全世界のAmazonの倉庫における措置にフォーカスしており、COVID-19への対応と、同社が間違いなく一つの役を演じてきた後期資本主義に関する広義の不平や苦情の両方に関わっている。彼はその措置を、彼自身がそれまでいた事業部であるAWSと比較している:

私が働いたAmazon Web Services(同社の「クラウドコンピューティング」部門)は、それとは全然違う。そこは労働者を人間的に扱うし、ワーク/ライフバランスにも努め、ダイバーシティの針を動かそうと苦労している(ほとんど失敗だがでもどこでもそうだ)。そして、大体のところ、倫理的な組織だ。私はそのリーダーシップを心から賞賛している。もちろん、ワーカーたちには力がある。平均給与はきわめて高く、気に入らない者はその日のうちに別の会社で、同額かまたはそれより高い給与の仕事を得られる。

Amazonは、コメントを拒否した。

画像クレジット: ANGELA WEISS/AFP / Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

新型コロナウイルスに関するデマを暴くWhatsApp用チャットボット

WhatsApp(ワッツアップ)に何文字か書き込むだけで、新型コロナウイルス関連のデマを暴くことができるようになった。

ジャーナリズムを支援する非営利団体Poynter Institute(ポインター・インスティテュート)が、Facebook(フェイスブック)傘下のサービスであるWhatsAppで新しいチャットボットを公開した。これを使えば、世界中の人たちが、例えばこの感染症は中国・武漢の研究所から発せられたといったパンデミックに関する4000件を超えるデマの正体を暴けるようになる(武漢発祥の話は各方面で好まれている説だが、その主張を裏付ける証拠はまだ一般公開されていないため、今のところは虚偽とされる。念のためにいっておくが、ファクトチェック機関の言葉を引用したこのチャットボットは、そう示している)。

このチャットボットは、70以上の国々の100を超える独立系ファクトチェック機関が提供する情報に立脚している。Poyinter Instituteはそれを新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するデマの暴露情報に関する最大のデータベースだといっている。このサービスは英語でのみ提供されているが、現在、ヒンディー語、スペイン語、ポルトガル語への対応に取り組んでいるところだとWhatsAppはいう。

チャットボットは次の方法でテストできる。連絡先に「+1 (727) 2912606」を登録して、「hi」と送信する。または、チャットボットの電話番号を連絡先に登録したくない場合は、http://poy.nu/ifcnbotをクリックする。

チャットボットに「hi」と送信し、「1」を送ると、チャットボットから新しいメッセージが届き、気になるキーワードまたは短い文章を入力するよう求められる。そして「origin(出所)」 や「garlic」(新型コロナウイルスにニンニクが効くという話は本当かを確かめたいとき)、その他の思いつく言葉を書いて送る(言葉を送ってから2、3秒待つと答えが返ってくるので、次の言葉を送るまで少し待とう)。

チャットボットはユーザーの国を特定し(モバイル機器の国番号を参照する)、その国に最も近いファクトチェック機関が審査した結果が示される。同時に、新型コロナウイルスに対処するための一般的なヒントも与えてくれる。

利用規約には、無料で24時間使えるとある。また、質問や調査機関やプログラムのパートナーからの回答とその他の対話を匿名化して集計し、共有する旨も書かれている。しかし「個人情報は絶対に共有しません」とのことだ。

IFCN(国際ファクトチェッキングネットワーク)のBaybars Orsek(バイバース・オーセック)氏は、声明の中で「毎月、友だちや家族とつながっていたい数十億人のユーザーがWhatsAppを頼りにしています。現在のような困難な時期には、すべてのプラットフォームで偽情報を広めて人々を惑わそうとする悪い人間が現れるため、ファクトチェック機関の仕事はこれまで以上に重要になります」と述べている。

この新しいチャットボットは、20億人以上のユーザーを擁するWhatsAppが、そのプラットフォーム上で偽情報が蔓延するのを防ごうと努力した最新の結果だ。この数カ月間、WhatsAppはWHOと協力して情報サービスを立ち上げたが、利用者は1日に100万人以上に達している。フェイスブックが所有するこのサービスはまた、各国の連邦政府や州政府とともに、感染症に関する信頼できる情報の提供も手伝っている。

WhatsAppは先日、メッセージの転送に新たな制限を加え、そのプラットフォーム上での転送量を大幅に削減し、さらに3月にはPoyinter InstituteのIFCNに100万ドル(約1億700万円)を寄付した。

画像クレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

3Dプリントで睡眠時無呼吸治療器具を新型コロナ用人工呼吸器に換えるアダプターを生産

米食品医薬品局(FDA)が、Formlabsの3Dプリント部品に緊急時使用認可(emergency use authorization、EUA)を認めた。この部品は、睡眠時無呼吸の治療に使われていた二相性陽圧呼吸(BiPAPマシン)を現在、強く求められている人工呼吸器に換えることができる。今週末にかけて、数十件もの人工呼吸器やそのアクセサリーに認可が下りた。

Formlabsはマサチューセッツ州サマービルの工場にある150台の3Dプリンターを動員してこの部品を製造し、全米の病院と地方自治体に配布することを計画している。

NorthwellHealth設計のニ相陽圧呼吸器用アダプターの3DプリントにFDAの緊急時使用認可が下りた。このアダプターを使って、睡眠時無呼吸症候群の患者が使用するBiPAPマシンを機能的な侵襲的人工呼吸器に換えることができる。

FormlabsのCEOであるMax Lobovsky(マックス・ロボフスキー)氏は、プレスリリースで「これまでの30年間、FDAの緊急時使用認可は片手で数えるほどしか下りてない。全国の病院がFormlabsの3Dプリンターを使って自分でアダプターを作ることができるし、感染がひどい地域では量産も可能だ」と述べている。

関連記事:3DプリンティングのFormlabsが米食品医薬品局の認可をもらって綿棒の量産へ

Formlabsだけでなく、数多くの3Dプリント企業が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに対応してアクションを起こしている。この前例のない状況が、3Dプリントならではのさまざまな技術的課題を作り出している。Formlabsは既にウイルス検査キットで使う綿棒を3Dプリントで製造することで貢献している。この他にもFormlabsはマスクシールドや、シュノーケルマスクを防護服に換えるアダプターも作っている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国証券取引委員会が中小企業のクラウドファンディングによる資金調達の規制を一時緩和

米国の労働者たちが自らの命を守る医療の支払いにクラウドファンディングを使い始めたのと同じように、証券取引委員会(SEC)は中小企業に対して、米国政府の代わりに一般市民が彼らの命をつないでくれるかもしれないと語りかけている。

2度にわたる数十億ドル(数千億円)規模の経済刺激策が、表向きは支援の対象だったはずの中小企業にほとんど渡っていないことを受け、SECは報告義務に関する制限を撤廃し、クラウドファンディング登録の承認を加速すると発表した。これで大企業にも中小企業にも、キャッシュを手持ちにしている投機的投資家から資金を集める機会が生まれる。

クラウドファンディングを行うために、企業は投資家に対して、集まった資金を自社の存続と新型コロナウイルス(COVID-19)関連の支払いに使うことを明確に告知する義務があるとSECの発表文に書かれている。

「現在の環境下で、多くの歴史ある中小企業が必要な資金を必要な時に効率よく入手できない困難に直面している」とSECのJay Clayton(ジェイ・クレイトン)委員長が声明で語った。「今日の決定は、当委員会の中小企業資本形成諮問委員会などから受けたフィードバックに答えるものであり、差し迫った必要資金を時間内に提供しつつ、投資家にも適切な保護を与えることができる」。

声明によると、この暫定規則によって資金調達希望者は、クウラドァンディングを実施して10万7000ドル(約1140万円)から25万ドル(約2670万円)の資金を調達する際、財務諸表の監査が免除されるなどの特典を受けることができる。規約の一時緩和措置は2020年8月末に終了する。

画像クレジット:BRENDAN SMIALOWSKI / Staff / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AppleとGoogleが新型コロナ暴露通知アプリのサンプルコード、UI、詳細なポリシーを公開

Apple(アップル)とGoogle(グーグル)は、最初のバージョンのExposure Notification(暴露通知)APIの開発者向けに、さらなるリソースの提供を開始した。このAPIは、両社が制作した開発ツールだ。アップルとグーグルは、公的保健機関が新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が診断された患者との接触の可能性を個人に知らせる、クロスプラットフォームの通知手段の開発に取り組んでいる。

第1バージョンのExposure Notification APIは、Contact Tracing(接触者追跡)APIと呼ばれていたものを、その実際の用途と目的を正確に表現しようとAppleとGoogleが名称を変更したものだが、iOSとXcodeのベータ版アップデートとともに先週公開された。そして米国時間5月4日、開発例となるUIアセット、iOSとAndroidのサンプルコードなどを含む開発者向けの新しいサンプルリソースがアップルとグーグルから公開された。これらは、公的保健機関がアプリ開発をすぐに始められるよう、開発の出発点としてデザインされている。

同時にアップルとグーグルは、新しいポリシーも発表した。これには、このAPIを使ったアプリの使用が承認されるように開発者が留意すべき、以下のような要件が含まれている。

  • これは公式な政府の保健当局によって作成され、または同局が使用するためものであり、その使用は新型コロナウイルス感染症対応に限定される。
    実際に使用する前に、当APIの実際の使用についてユーザーの同意を求めなければならない。
  • テストの陽性結果などの情報を、アプリを運営をする公的保健当局が公表する以前に、本人の同意を求めなければならない。
  • 暴露通知に必要な最低限の情報のみを収集し、新型コロナウイルス感染症対応のためのみにそれを利用すること。すなわちこれらのアプリが広告やその他の目的にその情報を利用することを明示的に禁ずるものである。
  • アプリは、特定の地理位置情報データを提供するデバイスの位置情報へのアクセス、およびアクセスの許可を求めることができない。公的保健当局から既に公開されている位置情報を利用するアプリについては今後も提供を続けるが、それらの情報を利用するいかなるアプリも、新しいExposure Notification APIへのアクセスをグーグルとアップルは認めない。
  • 効率性を高めるために細分化を避けるようデザインされているため、1つの国にアプリは1つと定めるが、国が地域や州などに分割されている場合、アップルとグーグルは当該保健当局と積極的に話し合い、最善の方法を探ることとする。これは基本的に国が州ごとに異なるアプリを使用したいとアップルに申し出た場合、アップルは複数アプリを許可し、その国のストアに掲載されるようにすることを意味する。また、これらは州ごとの暴露通知メカニズムが他州にまたがり連携できるか否かという点において、柔軟に対応する。

両社は、2020年5月末の一般消費者に向けた公開バージョンのAPIのリリースに先立ち、ソフトウェアおよびソフトウェア開発キットのアップデートのペースを今のまま保持するとも話している。アップルとグーグルは、APIの消費者向けリリースの時期を「5月中旬」に予定している。最終的な予定として、2020年末までには、システムレベルの機能として暴露通知をリリースするという。

以下の写真で、両社のサンプルUIリソースを見ることができる。これらは、アプリが完成した場合の通告方法、設定画面、その他の外観の案を示すものだ。もちろん、公衆衛生当局(または開発を請け負った者)が作るアプリごとに多少の違いは生じるだろう。

  1. 04-COVID-19-Exposure-Notifications-Settings-Android

    暴露通告の設定
  2. 02-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Positive-Result-Android

    公的保健機関サンプルアプリの陽性報告の流れ
  3. 02-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Positive-Result-iOS

    公的保健機関サンプルアプリの陽性報告の流れ
  4. 03-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Exposure-Notifications-Android

    公的保健機関サンプルアプリの暴露通告の流れ
  5. 03-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Exposure-Notifications-iOS

    公的保健機関サンプルアプリの暴露通告の流れ
  6. 04-COVID-19-Exposure-Notifications-Settings-iOS

    暴露通告の設定
  7. 01-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Onboarding-Android

    公的保健機関サンプルアプリの登録画面
  8. 01-COVID-19-Exposure-Notifications-Sample-Public-Health-Authority-App-Onboarding-iOS

    公的保健機関サンプルアプリの登録画面

アップルとグーグルは、独自に接触者追跡アプリの開発に取り組み、それを機能させるためにiOSとAndroidの特定の部分にアクセスしたいという数多くの公的保健当局からの要請に応えて、この前例のない共同事業に乗り出した。両社は、ユーザーの身元がわからないように、また地理的位置情報衛星のサービスが受けられない屋内を含むあらゆる環境でもシステムが確実に機能するように、地理的位置情報データではなく、Bluetooth識別子を使うという基準のもとで協力し合うことを決めている。

保健当局は、自分が受けたテストの結果に紐付けられた一意のコードの入力をユーザーに求めるようにもできる。それによりユーザーは、陽性の診断が、自己判断や保健当局が新型コロナウイルス感染症診断用として認可していないテストに基づくものではなく、公式なテストで認められたものであることが確認できる。

グーグルとアップルが提示したサンプルの参照アプリケーションは、一般ユーザー向けに公開されることはない。あくまでも開発者限定だ。だが両社とも、新型コロナウイルス感染症に適時に対応するアプリの開発者の努力を支援するために、完全なソースコードを含んだ参照アプリケーション全体を開発者に提供している。

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(翻訳:金井哲夫)

販売や顧客担当が新型コロナの影響で最も解雇されている

新型コロナウイルス(COVID-19)により、さまざまな業界にレイオフの波が押し寄せている。先週だけでもTripAdvisor(トリップアドバイザー)、Lyft(リフト)、Juul(ジュール)、そしてUber(ウーバー)での大量解雇のニュースがあった。

しかしデータ追跡の Layoffs.fyiによると、解雇は特定の職に集中している。

クラウドソースのデータでは、新型コロナ後のスタートアップ解雇で販売やカスタマーサクセスの職が最も影響を受けると示されている。その他の職としては、エンジニアリングとオペレーション職が挙げられる。

5月初め、レストランテックスタートアップのToast(トースト)は新型コロナウイルスの影響で従業員50人を解雇した。対象となった人の70%が販売とカスタマーサクセスの職だった。レストランレビュープラットフォームYelp(イェルプ)の解雇では、67%を同様の職の人が占めた。

エクイティ管理スタートアップのCarta(カルタ)もレイオフし、対象となった人の47%が同様の職だった。

販売やマーケティングの職が最も影響を受けるのは無理もない。これらの職は健全なマーケットと結びついているからだ。

新型コロナパンデミックでは、多くの企業の販売や新契約が停滞したり、停止したりした。これはソーシャルディスタンシング(物理的距離の維持)の影響によるもので、全体的な経済疲労で人々はこれまでのようには金を使わなくなっている。

販売とマーケティングは往々にしてサテライトオフィスを拠点としているため、一部のスタートアップエコシステムにとっては人員削減は不釣り合いなものになっている。

しかしレイオフは販売だけを直撃しているわけではない。多くの場合、一部門のレイオフは全部門に影響を及ぼす。例えばCartaのCEOであるHenry Ward(ヘンリー・ワード)氏は、販売、マーケティング、オンボーディング、サポート部門の解雇は他の部門にもじわじわと影響を及ぼすと指摘した。

「そうした部門が小さくなるにつれ、採用や人事、オペレーション、R&Dの一部などの部門をサポートするチームの縮小が避けられない」とワード氏はMediumへの投稿に書いている。「分析は顧客の部門からだが、組織の全部門にすぐに影響し始める。顧客がいるところに我々は存在し、サービスを提供することができる。そして顧客が苦しんでいるときは我々も苦しむ」。

下のグラフは、新型コロナウイルスに関連する解雇で影響を受けた職の構成割合だ。

エンジニアも影響を受けている。レポートによると、エンジニア職は従来影響を受けにくく、販売の人の給料が依頼ベースなのに対し、エンジニアの給料は競争力がある。一部のケースでは、コストを削減しようとする企業は高給取りの人に狙いを定めて削減する必要があることを意味する。

Layoffs.fyiによると、Groupon(グルーポン)が解雇したポジションの大半がエンジニアリングだった。Ritual(リチュアル)やTuro(ツーロ)のような企業ではオペレーション職もまた最も解雇されたポジションだった。

解雇トラッカーツールはここでチェックして欲しい。

画像クレジット:xefstock

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(翻訳:Mizoguchi