アカツキがアクティビティ予約のそとあそびを14億円で買収へ、ゲームからリアルに進出

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3月に上場したばかりのアカツキ。スマートフォン向けゲームを開発する同社がレジャー・アクティビティ予約サイトの「そとあそび」を運営するそとあそびを買収する。アカツキは6月13日開催の取締役会で株式取得を決議したと発表した。アカツキは今後2018年6月まで、4回に分けて株式を取得する。取得価格の合計は14億1004万7000円となる予定。

そとあそびは2004年にスタートした老舗のアクティビティ予約サイト。アウトドア経験豊富な「キュレーター」が体験取材したアクティビティを掲載している。

このサービス、もともとは現在そとあそびのキュレーターとして活躍する山本貴義氏が個人で立ち上げたものだった。2014年には現在代表取締役社長を務める、ガイアックス元代表取締役副社長COOの中島裕氏が株式を取得。株式会社化してサービスを拡大してきた。2015年6月にはB Dash Venturesなどから総額3億円の資金調達を実施している。開示された資料によると、2016年2月期は売上高が3097万6000円(前期比80%増)、営業利益が9254万1000円の赤字(前期は3789万7000円の赤字)、経常利益が9343万1000円の赤字(同3906万1000円の赤字)、純利益が9372万1000円の赤字(同3950万7000円の赤字)。

ところでアカツキと言えばソーシャルゲームの会社。そんな同社がなぜいわゆるアウトドアのサービスを買収するのだろうか? その答えとして、アカツキでは今回の買収発表に合わせて、新たに「ライブエクスペリエンス事業」を開始すると発表している。

ライブエクスペリエンス事業では、生の体験——つまりアクティビティや旅行、インバウンドなどに関わる領域のサービスを展開していく。アカツキでは今日の発表の中で、(1)世界観やストーリーを生かした企画力・プロデュース力、(2)スマホ向けサービス開発の技術力とスピード、(3)データを元にしたマーケティングやPDCAサイクルの実施などを続けてきた運用力、(3)台湾子会社を通じた海外オペレーション力——という自社ゲーム事業での強みが、ライブエクスペリエンス事業でも活用できると説明している。

LINE、東証とNYSEの同時上場へ——時価総額は約5880億円

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かねてから噂のあったLINEがついに上場することが決まった。東京証券取引所は6月10日、同社の上場を承認した。

上場予定日は7月15日で、市場区分は未定(東証1部または2部)。ニューヨーク証券取引所にも同時上場する(現地時間の7月14日)。証券コードは3938。上場にともない3500万株(国内1300万株、海外2200万株)を公募。オーバーアロットメントでの売り出しは525万株。発行想定価格の2800円で算出した場合、公募で約980億円を調達することになる(時価総額では約5880億円)。なお、共同主幹事会社は、野村證券株、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券、JPモルガン証券。

LINEのルーツは1999年に設立された韓国ネイバーコム(NAVER Corporation)にある。同社は日本進出に向けて2000年にゲーム事業を展開するハンゲームジャパン(2003年にNHN Japanに商号変更)を設立。また2007年には検索サービスの「NAVER」やキュレーションプラットフォームの「NAVERまとめ」などを展開するネイバージャパンを設立(厳密には同社グループでは2001〜2005年にも日本で検索サービスを展開していた)。2010年にはライブドアを子会社化し、2012年には3社を経営統合。2013年4月には「LINE株式会社」に商号を変更している。商号変更にあわせてゲーム事業をNHN Japan(こちらは新設会社。2013年8月にNHN PlayArtに商号変更)に承継している。なおLINE株式の87%はNAVER Corporationが保有している。

LINE社の事業基盤となるコミュニケーションアプリ「LINE」は2011年6月のローンチ。世界230以上の国と地域で利用されており、サービスの全世界での累計登録ユーザー数は10億人超。3月末時点の月間アクティブユーザー数(MAU)はグローバルで約2億1840万人(前年同期比7%増)、シェア率が高い日本、タイ、台湾、インドネシアでは約1億5160万人(同23%増)。これまでに提供されたスタンプの総数は全世界で25万8000セット以上(2016年2月末時点)、1日あたりの最大送受信回数は24億回以上。2015年度の年間スタンプ売上総額は253億円となっている。

現在はそのLINEのプラットフォーム上でスタンプに加えてゲームや漫画などのコンテンツや販売するほか、広告事業や決済事業を展開。2015年通期の売上額は1207億円(前年通期比40%増)で、サービス別での割合は、コンテンツ41%、コミュニケーション24%、広告30%、その他5%となっている。また直近では、MVNO事業への参入も発表。NTTドコモの回線を使用し、月額500円からの料金設定で、LINEをはじめとしたSNSの通信料無料のプランを提供する予定だとしている。

独調査会社のStatistaによると、2016年4月時点での世界のメッセージアプリのユーザー数はWhatsAppが10億人、Facebook Messangerが9億人、QQ Mobileが8億5300万人、WeChatが6億9700万人、Skypeが3億人、Viberが2億4900万人、それにLINEが続くかたち(Statistaの発表では2億1500万人)となっている。

分散型動画メディア「DELISH KITCHEN」などを運営するエブリー、6.6億円の資金調達——ネイティブ広告も好調

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分散型動画メディアを運営するエブリーは6月9日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、DBJキャピタル、グローバルブレイン、エウレカ代表取締役CEOの赤坂優氏など個人投資家複数人を引受先とした合計6億6000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。エブリーでは調達した資金をもとに本格的な人材採用を開始。年内にも20〜30人規模まで組織を拡大し、動画コンテンツの制作体制を強化していく。

エブリーは2015年9月の創業。代表取締役の吉田大成氏は、グリーで「釣り★スタ」「探検ドリランド」などをはじめとしたヒットタイトルを手がけた人物で、2015年8月に同社を退社してすぐエブリーを立ち上げ。これまで自己資金でサービスを運営してきた。

エブリー代表取締役の吉田大成氏

エブリー代表取締役の吉田大成氏

同社が手がけるのは、以前にもTechCrunchで紹介した料理動画メディアの「DELISH KITCHEN」やライフスタイル動画メディアの「KALOS」のほか、2月にスタートしたママ向け動画メディアの「MAMA DAYS」、3月にスタートしたニュース動画メディアの「Timeline」の4つ。いずれもコンテンツはオリジナルで制作するものの(Timelineでは自前に動画に加えて、通信社などから編集可能な動画をライセンス契約した上で利用している)、自前のサイトを持たずにFacebookやInstagramなどのプラットフォームを通じて動画を配信する、いわゆる「分散型」の動画メディアとなっている。

特にDELISH KITCHENの成長が著しいとのことだが、各メディアのファン(いいね)数(2016年6月7日時点)はDELISH KITCHENが95万人、KALOSが8万8000人、MAMA DAYSが13万人、Timelineが7万人。ソーシャル上でのシェアを含めた月間でリーチ数は延べ2500万人以上になるという。

吉田氏によると、クライアントとコラボレーションした動画を配信するネイティブ広告が好調だという。すでにアスクル、江崎グリコ、エスビー食品、オイシックス、コーセー、サッポロビール、小学館、ブルボン、ミクシィ、明治、リクルートライフスタイル、ローソンフレッシュなど大手のクライアントもついている。

「テレビCMの置き換え需要が高い。いまや10〜20代の若者だけでなく、30〜40代もテレビから離れてきている。これまで、日々スーパーで買っていたようなモノはテレビや雑誌で認知していたが、テレビの接触時間が減ってきたので、その需要がデジタルにシフトしている。今までのウェブ広告は『検索してモノを買う』という意思決定のための広告が中心だったが、今ではテレビCMと合わせてウェブでもコンテンツを出すなど、リーチ数獲得とブランディングのための広告が求められている」(吉田氏)

再生回数ベースで見れば、ネイティブ広告も自前のコンテンツも大差なく、広告であってもコンテンツとして面白ければユーザーに受け入れられているそうだ。たとえばYouTubeなどは、本編動画の前に強制的に動画広告を表示しているが、吉田氏はこういった方式と比較した上で、「(強制的に表示する広告は)出せば出すほどスキップされる。違う文脈の動画を見せることで良くないイメージを持たれかねない。メディアとコラボしたコンテンツ(ネイティブ広告)のほうがソーシャルな世代に対してリーチできる」と語る。なおネイティブ広告の動画にはいずれも広告表記を入れているという。

料理動画の分散型メディアとしては、Buzzfeedが提供する「Tasty」などが大きい。最近では日本での配信を強化しているし、また国内でもDelyが「KURASHIRU」のブランド名で複数の動画メディアを運営しているが、料理動画の「KURASHIRU FOOD」などは月間で数千万人のリーチを集めているという。

こういった競合環境について吉田氏は、「テレビと違ってネットは番組数の上限がない。(競合が)増えてくること自体は想定通り」とした上で、「だからこそ、いかにして多くのユーザーから支持を受けるかが大事。セグメントを細かく、コンセプトをぶらさずに動画を提供していく。例えばDELISH KITCHENであれば、『翌日作れる』『失敗なく作れる』という料理の紹介を丁寧にやっている。そのため、(競合と比較して)早送りで(調理の)ステップを紹介するようなことはあまりしない。こういったところが差になってくると思う」としている。

富士通、Boxのクラウドストレージを企業向けソフトウェアに統合

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Boxは、海外での成長に焦点を絞る中、アジアで最大の契約を完了した。日本の大手ITサービスプロバイダー、Fujitsuは今日(米国時間6/7)、クラウドストレージ会社のBoxと戦略的提携を行い、同社の企業向けソフトウェアにBoxを統合することを発表した。

Fujitsuはまず、全世界16万人の従業員が使うコミュニケーションツールで送受信されるファイルの保存と管理にBoxを使用する。同社は、Boxのサービスを社内利用することによって、2017年3月までにリリースしアジア全体での販売を計画している、顧客関係および企業コンテンツ管理ソリューションをはじめとする、同社の新しい企業向けソフトウェアの開発に役立てると言っている。

Fujitsuは同社の新しいクラウドプラットフォーム、MetaArcにも来年Boxを統合する。MetaArcはサードパーティーサービス(Boxのストレージのような)の他、インフラストラクチャーとホスティングサービスも備えている。Boxにアップロードされた顧客データは、日本のFujitsuデータセンターに保存される。これは、自社データを海外に保存したくない企業にBoxをアピールするのを後押しすると共に、同社のBox Zonesと呼ばれるクラウドデータセンターをアイルランド、ドイツ、シンガポール、および日本に提供する新しい計画とも一致する。

Boxのファウンダー・CEO、Aaron Levieは、ヨーロッパとアジアでの拡大は同社の優先課題であると言っている。Boxは2015年1月に上場したが、好調な収益にもかかわらず、それ以来IPO価格以下で取り引きされている。

Boxは他にも海外への拡大を目指して提携を結んでおり、IBMとの契約では、BoxがIBMの16ヵ国にわたるクラウドデータセンターにデータを保存できるようになった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「顔と名前が一致しない」を解決、人材管理ツールのカオナビが3億円調達

「顔と名前が一致しない……」

急成長中のスタートアップにありがちな悩みを解決しているのが、顔写真を切り口にした人材管理ツールの「カオナビ」だ。

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最大の特徴は、社員の顔写真がずらりと並ぶインターフェイス。顔写真をクリックすると、その社員のプロフィールに加えて、異動履歴、取得資格、評価といった項目が見られる。これらの項目は導入企業の環境に応じて自由に追加できる。

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顔と名前が一致するメリットは?

いたってシンプルなプロダクトだが、利用シーンはこんな感じ。

人事異動の会議。社員の名前がうろ覚えでも、「彼はこっちだ、あ、いや彼女はこっち」と組織全体の評価バランスを見つつ、最適な組織配置をドラッグ&ドロップ検討できるわけだ。

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カオナビを最初に導入したサイバーエージェントでは、入社年度を横軸、社員のグレードを縦軸に並べた上で、新規事業の責任者やチームを決めるような使い方をしている。

アパレルメーカーのトゥモローランドは、全店舗1200人のスタッフ情報に「身長」という項目を追加。スタッフを店舗異動させる際、身長をばらけさせている。身長の異なるスタッフが自社の洋服を着ることで、来店者が自分に似合うかイメージしやすくするためだ。

日本全国に店舗を構えるトゥモローランドは、エリアマネージャーが1日に数店舗を周ることも少なくない。そんな時は移動中にスマホアプリでスタッフの情報を把握し、一人ひとりに名前で声がけしているそうだ。

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「顔と名前が一致する」メリットは一見わかりにくいかもしれないが、「名前で呼ばれると、自分が認識されているという気持ちになる。その結果、やる気が出るだけでなく、ミスや不正も減る」とカオナビの柳橋仁機社長は語る。

メルカリから日清まで、前年2倍の200社超が導入

カオナビは2012年4月にサービスを開始。2016年5月末時点の導入企業は、前年同月比2倍の224社。社員数が数十人規模のスタートアップから、1万人以上の大企業までが導入する。

TechCrunch Japan読者にお馴染みの企業ではメルカリやgumi、Sansan、ピクスタなど、大企業では学研や日清食品など、意外なところでは、20歳以下のラグビー日本代表が選手選考のために活用している。

初期費用は無料、月額料金は3万9800円〜。IT・ウェブだけでなく、外食業やアパレル・流通業、スポーツ業界など、企業規模や業種を問わずターゲットが広がっていて、今後の成長が予想されそうだ。

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カオナビの柳橋仁機社長

国内の人事システムとしては、中小ベンチャー向けには「人事奉行i10」、大企業向けには数百万円の「OBIC7」、大企業向けには「SAP」などがあり、クラウド上でタレントマネジメントサービスを提供するスタートアップには「CYDAS」もある。

これらの人事システムについて柳橋氏は、顔と名前を一致させることに特化したツールはカオナビ以外になく、競合にはならないと見ている。既存の人事システムとの連携機能も用意していて、「顔と名前並べるだけで事業を伸ばす」と意気込む。

6月8日には、大和企業投資と日本ベンチャーキャピタル(NVCC)の2社から、総額3億円の資金調達を実施。調達した資金は新機能開発やマーケティング活動に当て、2019年3月までに1000社導入を目指す。

社内SNSのTalknoteを中学・高等学校が導入、SNS利用のトラブル防止を評価

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「『いい会社』をつくる」がコンセプトの社内SNS「Talknote」。ビジネスでの利用が中心のこのサービスが「『いい学校』をつくる」ための試みを開始した。

Talknoteをテスト導入するのは、東京都・武蔵野市の聖徳学園中学・高等学校だ。ICT教育を積極的に推進している同校は、2015年12月よりTalknoteのテスト導入を開始。一定の成果が得られたことから本格導入に乗り出すことをあきらかにした。これまでも教育現場での導入実績はあったが、全面導入は初の事例となる。

教育現場へTalknote導入するのは、「ICT教育の推進」といった目的に限らない。今回の事例に関して言えば、「SNSを利用したいじめや犯罪などのトラブルを未然に防ぎたいという学校側の意図もあった」とトークノートの関係者は語る。そして、そのための機能こそがTalknoteの強みであり、「Slack」や「ChatWork」といった競合他社のツールとの違いであると、トークノート代表の小池温男氏はTechCrunch Japanの取材に対して語った。

「Talknoteは、社員満足度を高めることを最大の目的としている。たとえば、気持よく仕事ができているか、体調を崩していないかなど、『具合が悪い社員』を出さないような努力を企業はすべきだと考えている。そのための仕組みがTalknoteにはある。具体的には、『毎朝9:00にログインしているのに今朝は10:00にログインした』『普段は頻繁に投稿するのに今週は投稿数が極端に減った』といった社員のアクションの変化を、Talknoteは管理者にアラートで教えてくれる」(小池氏)

こういった「アクションの変化」を見逃すことなく、具合が悪い社員を出さない仕組みが、今回の学校側の「SNSを利用したいじめや犯罪などのトラブルを未然に防ぎたい」というニーズと合致した形だ。

Talknoteの導入企業数は右肩上がりで成長している。2015年12月時点では2万1515社。導入企業の業界・規模は飲食から通信・情報サービス、不動産、広告・Webマーケティング、小売、Web・映像制作、人材、コンサルティング、セールスプロモーション、製造業、学習塾、通販など幅広い。企業ごとのアカウント数は数人~1000人以上と幅広い。

「Talknote」導入企業数の推移

「Talknote」導入企業数の推移

Talknoteに限らず、コミュニケーションツールは利用人数が多いほどその恩恵を受けやすい。「塚田農場」や「四十八漁場」などの飲食店を運営するエー・ピーカンパニーでは、1000名を超える全社員がTalknoteを活用している。課題のひとつに、「食材(魚種)が多過ぎて特徴が覚えきれない」ことがあった。しかし、現地の漁師から店舗スタッフまですべての人で情報を共有する「産地共有ノート」というグループを作成。商品知識向上の目的を達成したという。

また、2016年3月にはいわゆる「スタンプ機能」を追加した。

「リリースした3月以降、Talknote上のメッセージ総数は増加傾向にある。今までの新規機能利用率と比べても、初動活性化が早かった印象だ。また、オリジナルスタンプを作りたいというニーズも増えており、実際に導入も進んでいる」(Talknote広報)

同社では、今後も必要に応じてTalknoteに機能を追加していくという。最後に、中・長期的な目標を小池氏に語ってもらった。

「将来的には、あらゆる企業・団体でTalknoteが導入されているというのが理想。社内SNSを含め、コミュニケーションツールはひとつの勝者に収れんしていくというのが一般的な見方だが、それは間違い。B2C向けコミュニケーションツールに目を向ければそれは明らかだ。Facebookを使う人もいればLINEやSkypeを使う人もいる。目的が異なれば使うべきツールも違ってくる。事実、弊社のクライアントの中にもツールを併用している企業がある」(小池氏)

SlackやChatWorkといったB2B向けコミュニケーションツールとのすみ分けを図りながら共存していくというTalknoteの戦略が、小池氏の言葉から浮かび上がってくる。

VR制作ソフト「SYMMETRY」開発のディヴァース、103.9万ドルの資金調達を実施

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VR制作ソフトウェアを開発するDVERSE(ディヴァース)は6月2日、500 Starups Japan、Colopl VR Fund、KLab Venture Partners、アドウェイズ、ウィルグループ(傘下のウィルグループインキュベートファンド)、スローガン、エンジェル投資家の川田尚吾氏ほかからConvertible Noteにて103万9000ドル(約1億1000万円)の資金調達を実施したことを明らかにした。

DVERSE(ディヴァース)は2014年10月の設立。海外展開を想定して米国デラウェア州に登記している。CEOの沼倉正吾氏はCAD/CAMシステムなどを開発するゼネテックの出身で、Oculus Riftに出会い、VR領域での起業を決めた。2015年7月には、韓国のBonAngels Venture Partnersおよび日本のViling Venture Partnersからも資金調達を実施している。

同社が開発するのは、VR制作ソフトウェア「SYMMETRY(シンメトリー)」だ。簡単、リアルタイム、高品質を特徴に掲げる制作ソフトで、3DCADデータや3Dモデルファイルを入力し、直感的な操作で編集、出力までが可能だという。

「VRのUI/UXは、広さの制限がある従来の2Dモニタと違って、非常に広大な空間が使用できる。そのため、ピクトグラム的なアイコンのみのメニューでを用意して、それぞれのアイコンの機能については、3Dのアニメーションでチュートリアル的に表示することもできる。DVERSEでは、このような形で『非言語UI』を用いて、グローバル展開可能なソフトウェアの開発を進めている。SNSでもゲームでも、デファクトになるプロダクトやサービスは言語圏ごとに分かれていたが、VRではPCでもスマホでもできなかったグローバルでデファクトなプロダクト・サービスが可能になる。その第1弾がSYMMETRYだ」(沼倉氏)

VRコンテンツの制作ニーズが大きいのは現在北米やヨーロッパが中心だという。沼倉氏によると、VRコンテンツの制作にも使われる3DCADソフトの「SketchUp」は日本のユーザー数が1万人なのに対して、グローバルだと3000万人と、規模に大きな差がある状況だ。ただし、日本では国交省が発表した「i Construction」で2020年までに全ての設計図やデータを3D化するとしている。そのためSYMMETRYは、この対応に追われる施工業者から大きな反響とフィードバックを得ているという。

そういった状況から、当初は「設計、デザイナー」「マンション/戸建てを販売するデベロッパー」「実際に工事を行う施工業者」など建築・土木分野をターゲットにしていく。将来的には「インダストリアルデザインやエンタメにも進みたい」(沼倉氏)という。

新しいチャレンジはいまだに「ヒリヒリする」——挑戦を続ける経営者の覚悟と苦悩

左からプロノバ代表取締役社長の岡島悦子氏、エウレカ代表取締役CEOの赤坂優氏、SSTJ INVESTMENT CEOの木村新司氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏

左からプロノバ代表取締役社長の岡島悦子氏、エウレカ代表取締役CEOの赤坂優氏、SSTJ INVESTMENT CEOの木村新司氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏

スタートアップの起業家が事業を育て、大きな組織を動かす経営者となったとき、果たしてどんなことが求められるのか? 5月26日〜27日にかけて宮崎県で開催された招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2016 Spring Miyazaki」の2日目のセッション「プロの経営者に求められるもの」には、エウレカ代表取締役CEOの赤坂優氏、SSTJ INVESTMENT CEOの木村新司氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏が登壇。プロノバ代表取締役社長の岡島悦子氏がモデレーターを務める中、それぞれの経営論、そしてチャレンジを続けることの苦悩を語った。

サービスへの「愛」だけではなく、「組織」として成り立つことが重要

エウレカと言えば、ちょうど1年前の2015年5月に米IACグループのThe Match Groupが買収したことで話題になった。岡島氏は赤坂氏にエウレカの歩みと、どこでIACグループ入りをしたのかと改めて尋ねた。

「通常の会社は一発大きいサービスを開発して、外部から資金を調達するもの。僕らは受託などをやって底力を付けてから、(インキュベーションプログラムの)KDDI ∞ laboに参加して自社サービスを作った」——同社は外部から資金調達をせず(厳密には経営共創基盤がごく一部の株式を取得していた)、自社サービス開発するための土壌を作ってきたのだという。

そんな同社が買収を受け入れる際に重視したのは、“会社のカルチャーを変えない”ということだった。「これまでに4つほどのサービスやってきたが、『サービス愛』で成立しているのではなく、『組織』として成立している」(赤坂氏)。つまりエウレカは、1つのサービスを愛しているメンバーが集まった訳ではなく、さまざまなサービスを作ってきた経験のある組織自体が強みなのだということだ。買収の際にはその組織、カルチャーを変えないということが受け入れられたことで、買収の話は進んでいった。

だが当然ながら親会社から数字に対するコミットメントは強く求められる。「何やってもいいけど結果を達成せい、ということ」(赤坂氏)。しかし必要なM&Aは進める、KPIを達成できる見込みがあればマーケティング予算を捻出するといった投資には積極的だという。また本社とのコミュニケーション頻度は非常に多い。週1回の電話会議に加え、3カ月に1回のペースでアジア担当のCOOやCFOが来日。密なコミュニケーションを取っている。「買収からちょうど1年。まだ信頼されていないので、短期業績へのコミットの色が強いと思っている」(赤坂氏)

岡島氏は赤坂氏に買収後の「経営者としての役割」が変化したかと尋ねる。「(IACグループによる)M&Aが終わったからといって変わるわけではない」と答える赤坂氏。だが会社が100人を超える規模に成長したことを契機にして、組織化されたマネジメントが求められるようになってきたという。権限委譲も進めているところだ。

“大学院のお兄ちゃん”はIPOを通じて経営者として成長

シリウステクノロジーズ取締役を経てアトランティスを創業。その後グリーに同社を売却し、エンジェル投資家としてニュースアプリ「グノシー」を開発するGunosyに投資(2013年11月には代表取締役となるも2014年8月には退任)した木村氏。岡島氏は同氏にGunosyとの出会いについて尋ねる。

「グノシーがリリースされた日、Facebook上にその情報が流れてきた。『これは(他のサービスと)ちょっと違う』と思ったので知人に紹介してもらい、(メンバーと)会いましょうとなった」(木村氏)。当時大学院生3人で開発していたグノシーだが、法人設立時点でユーザー数が2万人、デイリーのアクティブレートが50%という状況。この数字を見て、事業化する価値があると判断したという。

その後木村氏は同社の経営に参画することになるが、その理由について次のように語る。「ニュースだと競合はヤフー。そうすると、戦うためにサービスを変えないといけないし、会社としての体裁を整えていかないと、お金でも文化でも負けてしまう可能性がある。それならば自分が入っていかないといけないと思った」(木村氏)。また木村氏は、グリーの急拡大を“中の人”として見ていた経験がある。そこで学んだマネジメントや仕組み作りに、自らチャレンジしたいという思いもあったという。

「やっぱり(創業メンバーは)大学院の3人。ニュースという大きなポテンシャルのあるサービスに、学生も、CFOも、営業できる人も呼び込まないといけなかったので、エンジニアサイドは福島(創業者であり、代表取締役の福島良典氏)らに任せて、それ以外は僕が連れてくるという話で折り合った」(木村氏)

その後木村氏はグノシーの代表を退く。その発表は当時さまざまな憶測を呼んだが、木村氏は「事業の解像度が深掘りできて、行動規範もできたことで、(自身が)抜けても伸びつつある状況だった」と振り返る。岡島氏が再び経営メンバーに戻る気持ちがないのかを尋ねると、「以前は戻る気持ちが少しあった」とした上で、「経営陣と話して、自分たちで持っている(目標の)数字が僕と同じだったので、戻る必要はないと思っている」とした。木村氏は福島氏について「最初は大学院のお兄ちゃんだったが、IPOを経験して、一番成長した」と評価する。

「自動的に伸びていく組織」こそ美しい経営

創業間もなく、サブ・アンド・リミナルという社名でダイレクトメールの発送代行などを手がけていたのがセプテーニ。そこに社員として入社し、ネット広告事業を立ち上げて現在の同社の基盤を作ったのが佐藤氏。同氏はIPOを通じて経営者としての意識が大きく変化したと語る。

「数えてみたら四半期決算をもう60数回発表していて、それで学んだことはたくさんある。当時は現コロプラの長谷部さん(コロプラ取締役CSOの長谷部潤氏。以前は大和証券のアナリストだった)にアナリストとして詰められ、逆に市場のことを教わったりもした。『経営』とは何か? となっていたことが鮮明になってきた」(佐藤氏)

佐藤氏は、売上高100億円程度の頃まで組織を階層化せず、「力で引っ張る」という経営手法が成果に繋がっていたと振り返る。だがある時期を境に、「オートマティカル(自動的に)に伸びていく組織」を作ることこそが正しい経営ではないかと考えようになったという。「『ハイパフォーマーがめちゃくちゃ働いてすごい成果を出す』というのを『普通の人を普通以上にして成果を出す』に。そうなるよう、自分のリソースを作る方が会社にとっての価値になるのではないか」(佐藤氏)

そうやって組織の仕組み化を進めていった佐藤氏だが、現在、自身のリソースの半分を新規ビジネスであるモバイルマンガ事業「GANMA!」に費やしているという。

「権限委譲で生まれた成長のカーブはとても連続的。良くも悪くも成長しやすく、売上や利益が見える。だが非連続な成長のためには物足りなさが出てきた。非連続な成長のためには、行動を変えないといけないのではないかと思った」

「マネジメントの仕事は経営陣の成熟を感じていたので他(の経営メンバー)でもできる。逆に自分は1つのプロダクトにこだわり抜いて、サービスのエコチェーンを作る。自分の中にあるイメージは、別の人には作れない」(佐藤氏)

新しいチャレンジは「ヒリヒリしている」

他部署の事業担当社と横並びで、自ら新規事業に取り組む佐藤氏。その挑戦について、「結構ヒリヒリしている」と心境を吐露する。

「なまじトラクションがあると、2回目を外すのが格好悪いじゃないですか。それでも自分がしたことがないことに挑戦する。キツい状況に身を置いた方が成長率が上がるので、過去の実績をアンラーン(脱学習)して、一度ゼロに戻した」(佐藤氏)

佐藤氏の発言をうなずきながら聞いていた木村氏も、続けて自身の思いを語る。「やはりすごく怖い。Gunosyもそうだ。アトランティスがうまくいって、(次のチャレンジに)失敗したら恥ずかしいな、と思うんです。だから寝ないんですよ。寝てる間も考えているだけ。とにかく成功に持っていく」

「それだけ怖いのだから、価値あるものだけをやる。また企業として大きくなるためには市場もあるが、会社のバリュー(になるか?)、社会の役に立つモノであるか? ということがある。恐怖よりリターンがあるかというのが自分の中の(チャレンジするかどうかの)物差し。だからあえて外に『やります』と言っている。でないと逃げてしまうので。でもやっぱり怖いですよ」(木村氏)。

これに対して赤坂氏は「自分にプレッシャーかけられるのは才能だ」と語った。通常であれば逃げてしまいたいものにチャレンジするからこそ、その先に進めるのだと。

起業家から経営者へ、非連続な成長を生み出すには

木村氏はエンジェル投資家としての現在20社ほどのスタートアップに出資しているという。投資先の若き起業家に対してはどのようなコミュニケーションを取るのか。

「基本的に戦略には口に出さない。口を出すと投資先は『何でこんなことを言うのか』と思うし、現場のことは現場の方が知っているからだ」(木村氏)。だがその一方で、どのレベルで事業理解が必要なのか、ビジョンや行動規範はどうやって定めるか、会議の進め方に予算作り、評価制度の設計まで、組織をどう「仕組み」にしていくかについては徹底して伝えているのだという。

組織が100人を超えたばかりのエウレカ。冒頭で権限委譲を行うフェーズだと語っていた赤坂氏も、「細かい施策は現場の方がプロフェッショナル」だと同意。会議などでも可能な限り発言を控えるなどしているのだという。「意思決定をさせることの訓練。ケツを持たないと人は成長しない。僕も事業を作ってる中で、10個のうち1個が当たったようなもの」(赤坂氏)

また、自身が新しいチャレンジを行う必要性については、次のように語った。「そうやって(権限委譲で)できる組織は、連続的な成長しかない。非連続な成長のためには圧倒的なチャレンジをしないと。あと0を1個増やす(売り上げの桁を1つ上げる)には何をするか。以前に木村さんは、それを『たがを外す』と言っていた」(赤坂氏)

また、木村氏とは以前から親交があるという赤坂氏は、木村氏から教わったこととして、「事業」「経営」「投資」という3つのステージを経験することがプロの経営者に求められると語った。木村氏もこう続ける。「非連続な成長というのは、事業もあるし、投資もできないといけない。さらに投資先のバリューアップもしないといけない。そういうことを突き詰めていかないと」(木村氏)

佐藤氏はさらに、新しいチャレンジのためには経験を武器にしつつも、初心を忘れないようにと続けた。「僕は41歳で、会社経営としては(登山に例えて)やっと一合目。それは一緒に登る強い仲間ができて、装備についても何が必要か分かって、複数のルートが見えている状態。それを登っているのが今。デイワン(1日目の気持ち)で居続けることが一番大変で、価値が高い。フレッシュで居続けたい」(佐藤氏)

Slackでスケジュール管理やリマインドを丸投げできるボット「Subot」——チーム作業の効率化目指す

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Subotは5月30日、コミュニケーションサービス「Slack」上で、リマインドやGoogleカレンダー連携のスケジュール管理が行えるボット「Subot(スーボット)」をローンチした。当初は無料で公開するが、将来的には月額課金制の導入を視野に入れる。

Subotの第1の特徴は、決まった日付・時刻にSlack上でリマインドをかけられる点だ。例えば、特定のチャンネル(Slack上のグループ)に対して毎月25日の午前10時に「経費精算をお願いします」というメッセージを流すといったことができる。

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また他のボットと連携するのもウリだ。SlackにGoogle アナリティクスのデータを投稿すStatsbot」というボットをご存じだろうか。このボットでは、特定のキーワードで話しかけたり、あらかじめ設定しておいたスケジュールに合わせてGoogle アナリティクスの各種統計データを投稿してくれる。StatsbotとSubotのリマインダと組み合わせることで、Statbot単体ではできない、細かなスケジュール設定で統計データを表示することが可能になる。このように他のBotとの組み合わせにより、さまざまな業務を自動化できるとしている。

第2の特徴は、Googleカレンダーと連携したスケジュールアシスタント機能だ。Slack上で簡単なコマンドを入力するだけで、カレンダーに予定を作成できる。また、チームメンバーの予定を一覧表示したり、チームメンバーの空き時間を自動認識し、全員が参加できる最適なスケジュールを提案することもできる。

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Subotを立ち上げた衣川氏は、これまでヤフーで各種ウェブサービス、IoT製品を連携するプラットフォームである「MyThings」のプロダクトマネージャーを務めていた人物。それ以前はミクシィでiPhoneアプリを開発していた。エンジニアの戸高氏は前職がフリーランスのエンジニアで、以前は衣川氏と同じミクシィにいた。2人が在席していた当時のミクシィは大ヒットゲームアプリの「モンスターストライク」が登場する前。頻繁に新規事業創出プログラムが行われており、2人は事業を提案し落選を繰り返すなかで知り合った。その後いったんは別々の道を歩き始めたものの、衣川氏はヤフーに移ってからも新サービスを作りたいという思いが続いたという。そこでミクシィ時代の知り合いである戸高氏に声をかけたところから、Subotの設立に至った。

2人は2015年の春頃から仕事の合間を縫ってアイデア出しをするようになり、プロダクトのローンチと初期のマーケットヒットを目標に2015年秋にシードラウンドで資金調達を完了。2人ともエンジニア出身ということもあり、ファイナンスの知識がなく苦労したという。10月にSubotを設立。2016年2月にSubotの開発を始め、5月にベータ版の提供を開始。そして今回いよいよローンチを迎えた。

Subotの利点について衣川氏は「チーム作業の効率化」を掲げる。スケジューリングやリマインダといった面倒な作業をSubotに任せ、人間はより人間らしい仕事にフォーカスするというコンセプトだ。開発のきっかけには自身の結婚があった。「家庭を持つと家で仕事をしなければならない場面が増えた。業務へのチャットアプリの普及で家での仕事も容易になり、その中にある非効率な部分を減らしたい」(衣川氏)

すでにSubotの競合となるGoogleカレンダー連携のチャットボットは複数あるし、リマインダ機能自体はSlack本体にも組み込まれている。それらと比較した強みについて衣川氏は、Subotのリマインダを使って他のボットにコマンドを送れる点を挙げる。SubotをSlackボットのハブとして活用できるというわけだ。

なお最近はLINEやFacebookがボット向けフレームワークを提供するなど、チャットサービスで使えるボットが増えてきた。衣川氏はそういった動きについて「とりあえず作ってみた的なボットが多い」と語る。「ボットは利用者に近しい存在。そこで体験の悪いものを出すとユーザーは一瞬で消えてしまう。その中で受け入れられ、ビジネスとして生き残っていけるボットを作りたい」(衣川氏)

Subotの対応言語は日本語と英語。海外展開については「海外の展示会に出展するお金はない」(衣川氏)とする一方、Slack App Directoryのボットカテゴリに現在申請中。これはSlackにおけるApp StoreやGoogle Playのようなもので、登録されれば海外にも認知されるチャンスがあるという。

左からSubotを立ち上げた衣川憲治氏、エンジニアの戸高慎一郎氏

左からSubotを立ち上げた衣川憲治氏、エンジニアの戸高慎一郎氏

クラウド労務管理サービス「SmartHR」が優勝——IVSのピッチコンテストLaunch Pad

5月26日〜27日にかけて宮崎県で開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2016 Spring Miyazaki」。2日目の朝には恒例のピッチコンテストの「Launch Pad」が開催された。14社のスタートアップが6分間のプレゼンテーションに挑んだ。その中で見事優勝を果たしたのはクラウド労務サービス「SmartHR」を開発するKUFUだった。僕らが手がけるイベント「TechCrunch Tokyo 2015」のスタートアップアトル、招待制イベントB Dash Campのピッチアリーナに続きスタートアップ向けのピッチコンテストで優勝したことになる。

2位は触感型ゲームコントローラーを開発するH2L、3位はスマートフォン向けの情報配信用プレートを開発するアクアビットスパイラルズ。4位はナレッジシェアアプリを開発するTANREN、チャット型の弁護士相談アプリを開発する弁護士トーク、運転支援システムを開発するPyreneeの3社。各社のサービス概要は以下の通り。

ハックフォープレイ:あそべるプログラミング「HackforPlay

ゲームを遊ぶことを通してプログラミングを学習できるサービス。ゲームをプレイしたり、そのゲームのプログラムを改造してプレイ・再投稿できるゲーム投稿サイト。他のユーザーのコードも見れるので、それを見つつ、技術を学ぶことを促す。現在700以上のゲームが投稿されている。その中心は小学生だという。また同社は金沢市でリアルなスクールを開講。子ども達のプログラミング学習の機会を提供している。

TANREN:ナレッジシェアアプリ「TANREN

TechCrunch Tokyoのスタートアップバトルにも登壇してくれたTANRENは店舗販売員向けのナレッジシェアのサービス。接客業の営業ロールプレイングを動画で撮影・指導できる。マネージャーが課題を設定し、該当する店舗にメールで通達。その後は実際のロールプレイングを携帯電話で撮影してアップロードすることで、マネージャーが指導を行える。携帯電話販売業を中心にサービスを展開。最近ではRIZAPなどでも全店舗導入を実現した。

弁護士トーク:チャットでする新しい法律相談「弁護士トーク

アプリを通じて無料で弁護士と相談できるサービス。テーマや弁護士名をもとに弁護士を検索。チャット型のUIで情報を入力していくことで弁護士に相談を行うことができる。写真などもアップロードして共有可能。より詳しい相談をする場合はアプリから弁護士に正式に依頼する。アプリリース6カ月で5万1000件の相談が寄せられている。特徴は一括見積もりでの弁護士の比較機能。プレゼンでは「弁護士ドットコム」を引き合いに出し、同サービスとの強みについて、弁護士スキルを比較できることこそが強みだと語った。

selfree:5分で電話窓口を開設できるクラウド電話システム「CallConnect

ブラウザベースのクラウド型電話サポートシステム。取得したい番号や会社情報などを入力すれば、すぐにも導入可能なのが特徴。音声ガイダンスの録音や音声ファイルのアップロード、転送機能など各種機能を導入。Salesforceなど各種サービスとの連携を実現。顧客情報の繋ぎ込みなどが可能だ。すでに個人事業主からコールセンターまで150以上の企業が利用している。

KUFU:クラウド労務ソフト「SmartHR

TechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトル優勝企業であるKUFUが提供するクラウド労務サービス。社会保険や雇用保険など労務手続き自動化をしてくれる。最近では開発者向けに「SmartHR for Developers」を公開。SmartHRのユーザー企業の社内システムや他社製クラウドサービスとのデータ連係を実現した。 すでに1000社がサービスを導入している。

RENO:ソーシャルヘッドハンティング「SCOUTER

審査を通過したユーザーが友人・知人を企業に推薦することで報酬を得られるサービス。ただし人材紹介の業務委託は違法になる。そこでユーザーとRENOが契約社員(スカウター)になる(弁護士ドットコムの契約サービスを利用)ことで実現する。スカウターには時給および転職後の年収5%をフィーとして提供する。企業のニーズに対して、スカウターが人物を紹介。現在登録は200人。求人700件。すでに実績も出ているという。

Labit:10秒で出品できる、本のCtoCフリマサービス「ブクマ!

本に特化したCtoCのフリマサービス。書籍・雑誌につくISBNバーコードを撮影すると、書籍の情報やAmazon.co.jpでの最安価格などを自動で取得できる。あとは希望価格と本の状態を設定すればすぐに出品できる。現在サービスを開発中。6月下旬にもサービスをリリースする予定だ。 Labitではこのサービスとは別にクラウドファンディングサービスのCAMPFIREでリアルな書店立ち上げのプロジェクトを立ち上げている。

ウリドキネット:買取比較サイト「ウリドキ

スマートフォンやブランド商品の ネット買い取りの価格比較サイト。これまでは価格比較の機能のみを提供していたが、最新版では価格の比較から直接買取申し込み(対応する店舗のみ)までをサイト上で実現した。買取業者はサイト上で商品の買取価格を設定可能。競合比較や買取依頼管理のステータス管理などの機能を提供する。この機能によって1日3時間の管理業務が1時間に短縮した事例もあるという。

Bizcast:YouTuberと企業のマッチングプラットフォーム「BitStar

YouTuberを起用したマーケティングなどを行うためのマッチングプラットフォーム。一部を除き、YouTuberの多くは収益化に悩んでいるのが実情。また一方で企業は最適なYouTuberと出会うことが難しい。これをオンラインでマッチングするほか、実際に動き出した案件についてはデータ解析機能を提供する。延べファン数2500万人のYouTuberが登録する。またInstagramなど各種のソーシャルメディア向けにもサービスを展開する。

CANDLIFY VR:Technologies すばやく、簡単に、結果を出すVR制作プラットフォーム「InstaVR

通常制作には数週間から数カ月が掛かるVRコンテンツを手軽に制作できるツールがInstaVRだ。360度写真や動画があれば、簡単にブラウザ上でVRコンテンツを制作できる。コンテンツ内に動画を埋め込んだり、電話発信やサイトへのリンクを付けることも可能。視線情報を取得しているため、ヒートマップの機能も提供する。サービスは2015年末にローンチ。これまで100カ国1000社が採用。スミソニアン博物館をはじめとして北米でも採用実績がある。

WHITE:世界初の触れるVRゴーグル「MilboxTouch

Google Cardboardやハコスコ同様の段ボール製VR筐体。競合との差別化ポイントは1枚のシール。導電性インクで描かれたこの回路シールを触ることで、スクロールやスワイプ、タップの入力が可能になる。この技術はすでに特許を取得しており、今後は各種VR筐体メーカーに対してOEM提供を進めていく予定だ。今後はSDKをオープンソース提供していく予定(Unityは提供済み)。プレゼンではVR版パックマンのプレイ動画なども紹介された。

H2L:世界初の触感型ゲームコントローラ「Unlimited Hand

Unlimited Handは腕に電気刺激を与えることで触感を実現したVR向けのコントローラーだ。インプット、アウトプットの両方を実現しており、指ごとの操作が可能。ハードウェア、ソフトウェアともにオープンプラットフォームを採用、あらゆるVR端末、コンテンツに利用可能だという。2015年にKickstarterにプロジェクトを掲出。7万2000ドルを集めた。今後は反響の大きかった順に北米、ヨーロッパ、中国に出荷していく予定だが、本日から日米amazonで319.99ドル(3万5000円)で販売を開始している。

Pyrenee:いまある車に付けられる運転支援システム「Pyrenee Drive

人類が負傷する最大の原因である「交通事故」。そんな交通事故の約8割はドライバーの不注意で起こっているという。そんな交通事故を防ぐための後付け運転支援デバイスがPyrenee Driveだ。立体物を認識し、ぶつかるものがないかを確認。ぶつかりそうになった際はアラートを出す。最近の車には自動ブレーキも搭載されているが、それでも事故が起こる可能性はある。スマートフォンとBluetoothで連携し、プロダクトの透過スクリーン上で操作することができる。2017年3月には日本、米国、欧州、アジアで販売する予定。

アクアビットスパイラルズ:瞬間コミュニケーションで世界をつなぐ「スマートプレート

「ググらせない」をテーマにしたプロダクト。スマートフォンにタッチすることで、特別なアプリを導入することなく各種のアプリを立ち上げたり、情報をプッシュする小型のプレート。プレゼンでは技術解説はなかったが、AmazonのDash Buttonに近いイメージだ。例えばタッチすることでタクシーの配車を行ったり、商品のECサイトを立ち上げる、といったことを実現する。専用アプリ・クラウドでリアルタイムなデータ解析も可能。設置については特許技術を持っているという。

問い合わせ対応からクリーニングまで、民泊提供者向けサービスを展開するSQUEEZEが総額約4.2億円を調達

Airbnbなどの民泊マッチングサービスの普及、そして2016年4月から旅館業法が一部緩和されたことにより民泊運営が始めやすくなった。それに伴い、空室や空き家を有効活用する方法として民泊運営に関心が集まっているが、民泊運営に民泊予約サービスへの物件登録、ゲストの問い合わせ対応、チェックアウト後のクリーニングなど運用するには手間も多くかかる。海外からのゲストに英語で対応しなければならないのもオーナーにとっては負担になる。SQUEEZEはその問題を解決するために「Mister Suite(ミスタースイート)」という民泊事業者向けに一連の運用代行サービスを提供している。SQUEEZEはサービスを拡充するためにジャフコ、インキュベイトファンド、その他事業会社、個人投資家らから総額約4.2億円の資金調達を行なったことを本日発表した。今回ファウンダーで代表取締役を務める舘林真一氏にサービスの内容、そして今後の展望について話を聞いた。

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ミスタースイートは民泊事業者向けに2つのプランを提供している。「スタートアッププラン」では、初めて民泊運営を始める物件オーナーの代わりに物件の写真を撮影し、物件プロフィールをAirbnbなどの民泊マッチングサービスに掲載する。さらにはゲスト向けに空港からのアクセスや地域の観光情報、禁煙などの宿泊ルールをまとめたウェルカムガイドも作成する。どちらも英語で作成するため、海外からのゲストに物件を訴求することができる。このプランの料金は3万円からだ。「スタンダードプラン」では、物件のリスティングと価格の最適化、問い合わせ対応、鍵の受け渡しなどのチェックインサポート、チェックアウト後のクリーニング手配まで一貫した運用サポートを行う。利用価格は予約料金の20%からだ。

「ミスタースイートは民泊の業務代行に留まらない、クラウド型の運用サポートシステムです」と舘林氏は言う。ミスタースイートは全ての情報を一元管理していて、民泊運営に関わる物件掲載、問い合わせ対応、クリーニングなどの業務を細分化し、それぞれの担当者に割り当てるシステムだと舘林氏は説明する。例えば、問い合わせ対応は海外に住んでいる主婦に委託しているという。また、クリーニング作業は契約している個人のクリーナーに委託し、リネンの交換なども専門の業者と提携している。システム内に全ての情報があり、各担当が随時そこから物件のステータスをアップデートしたり、詳細を確認したりできるということだ。それによりオペレーションを効率化していることがミスタースイートの強みだという。例えば、オペレーターがゲストの問い合わせに対応する時、その物件が担当者にとって初めて関わる物件だったとしても、システム内に蓄積した物件情報や過去にあったゲストからの質問と回答などを参照してすぐに回答することができる。クリーナーもクリーニングの依頼をスマホで受け取り、その物件で清掃を行なった後、作業が完了したことをオンラインで報告して作業を終えることができるそうだ。

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オペレーション管理画面

舘林氏は、自分でも民泊を運営した経験が創業のきっかけになったと話す。舘林氏はゴールドマン・サックスを経て、トリップアドバイザーのシンガポール支社に勤めていたという。その時、旭川に住む両親から所有物件の空室に悩んでいるという相談があり、Airbnbに物件を掲載しようと考えたそうだ。両親に物件の写真や詳細情報をもらってAirbnbに掲載したところ、旭川には他の民泊物件が少なかったこともあり、すぐに予約が埋まって民泊による収入が家賃の3倍になったという。舘林氏は物件掲載から問い合わせ対応、クリーニング業者の手配までシンガポールにいながらにしてオンラインから完結できたことがミスタースイートの構想につながったという。

2014年9月に創業したSQUEEZEは同年10月に1億円を資金調達した。現在SQUEEZEのチームは20名ほどで、その3分の1は開発人員だそうだ。今回の資金調達では開発力をさらに強化すること、そしてより多くの民泊事業者にミスタースイートを提供できる体制を整えていくことを計画していると話す。まずはクリーナーが簡単に清掃の依頼と報告ができるスマホアプリを製作する予定という。現在、東京、大阪、京都の3都市でミスタースイートを展開し、270件ほどの民泊の運用代行を行っているが、来年にはその数を2000件に増やす考えだという。その一環として、これまで個人の物件オーナー向けにサービスを提供してきたが、複数物件を所有している不動産会社などにもアプローチしていく計画だと話す。

Sonyは熊本地震で画像センサー工場が被害を受け、収益予測を下方修正、ゲーム部門は好調

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Sonyが、先月日本の南部を襲った地震からの復旧努力により、次の会計年度の収益が予想より低くなる、と発表した。同社は前にも、2017会計年度の予測の発表が、地震被害の評価により遅れる、としていた。

地震は、熊本県を襲った。そこには、デジタルカメラやスマートフォンに使用する画像センサーを作っているSonyのメインの工場がある。Sonyの画像センサーは、Appleをはじめ多くのスマートフォンメーカーが使っており、同社の主要な利益源のひとつだ。その部門は昨年、別会社として分離した

また同社によると、同社のミッドレンジデバイスの売上が世界の主要市場で鈍化しているため、スマートフォンの売れ行きも伸び悩む、と予測している。

2017会計年度のSonyの営業利益の予測は3000億円(約27億5000万ドル)で、前年比2%の増加だ。これは、約1150億円(10億4000万ドル)の地震被害を折り込んだ額である。

同社のスマートフォン部門は、前述のミッドレンジデバイスの落ち込みにより、利益はわずか50億円と予測している。それはSonyが、需要の減少に対応して、中国インドなどの市場を縮小したためでもある。

しかしSonyのゲーム部門は、PlayStation 4とそのゲーム作品の需要増が貢献して好成績が予測される。その利益予想額は1350億円だそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Supership、SSP事業「Ad Generation」でスマホネイティブ広告を強化

Facebookオーディエンスネットワークを含むAd Generationのイメージ図

Facebookオーディエンスネットワークを含むAd Generationのイメージ図

2014年10月にKDDIが中心となって立ち上げたモバイルインターネットの新ポータル構想「Syn.」。このSyn.のプロジェクトに参画するKDDI傘下のスケールアウト、nanapi、ビットセラーが合併して立ち上がったのがSupershipだ。

同社ではこれまで3社で展開してきた事業に加えて、新事業の立ち上げを進めている。Syn.のアライアンス拡大も着々と進めているが、サイト上にあるプレスリリースを見ると広告ビジネスの会社の印象が強い。中でも旧・スケールアウトが展開するSSP「Ad Generation」が好調なのだそう。月間広告リクエスト数は160億インプレッション。2015年11月にはFacebookとのパートナー提携も発表。Facebookのオーディエンスネットワークによる広告配信も可能になった。

「サービスの開始は年半前。すでに競合がおり、最後発のサービスだった。だがまだアプリに強いSSPはウェブに比較すると少ない状況。SSPとして自由に使え、透明性の高いモノを無料で提供できるように考えた」—Ad Generationの事業を統括するSupership ジ・アドジェネの池田寛氏はこう語る。

あまりTechCrunchは広告の話題を取り扱ってきていないので改めて説明すると、SSPとはSupply-Side Platformの略称。複数のDSP(Demand-Side Platform:広告在庫の買い付けから配信までを管理する広告主側のツール)やアドネットワークから、メディア(アプリなどの「面」を持つサービスを含めてのメディアという意味だ)にとって最も収益性の高くなる広告を自動で選択・配信するツールを指す。

中の人が「最後発のサービス」と語るとおりで、配信規模で同社を上回る国内SSPはあるが(例えばジーニーの「Geniee SSP」で月間500億インプレッション、VOYAGE GROUPの「Fluct」は月間250億インプレッションをうたっている)、Ad Generationはスマートフォンアプリで導入が盛んだという。時期の詳細は明かされたなかったが、App Storeのランキング上位100アプリの40%がAd Generationを導入しているというケースもあるそうだ。

そんなAd Generationだが、今後はネイティブ広告の配信を強化したいと語る。

「comScoreが発表したレポートによると、84%のユーザーは1カ月に一度もバナーをクリックしないという話があった。またGoogleの発表では、モバイル広告の半数は意図しないクリックだという話もある。スマートフォンユーザーにとって、結局バナー広告は無駄で邪魔なモノでしかない」(池田氏)

とは言え、まだまだすべてのネイティブ広告が洗練されているかというとまた別の話。「記事だと思って読んだら広告だった」ということで媒体価値を落とす可能性もある。そのため、「文字の色を変え、通常の記事とは数ピクセル空けるなど、広告だと一目で分かるレイアウトを用意する。間違えて広告を押してくれるほうが儲かるかも知れないが、真面目にやっていく。広告でも有益な情報であればユーザーは広告を押すし、クライアントの商材価値も上がる。『バナー広告を捨てる』は言い過ぎだが、それくらいの気持ち」(池田氏)

池田氏はこういった取り組みの結果がFacebookとのパートナーシップにも結びついたと語る(なおSupership代表取締役社長の森岡康一氏はFacebook Japanの元副代表だ)。Facebook広告の売り上げは2015年通期で前年比44%増の179億ドル。これは2015年通期で674億ドルのGoogleに次ぐ世界第2位の数字で、急速に売り上げを拡大している。

実際オーディエンスネットワークによる広告は、CTR(クリック率)で国内のアドネットワークと比較して約1.2〜2倍、eCPM(1000ページビューあたりの収益)で約1.5倍程度になるのだという。「オーディエンスターゲティングによってユーザーに最適な広告が配信されているほか、世界約300万社の広告主が配信するため、国内のアドネットワークと比較して広告への興味が摩耗しにくい。またネイティブデザインのため、ユーザーの抵抗が少ない。またオーディエンスターゲティングに基づいた配信のため、広告効果も高い」(Supership)

労務管理クラウドの「SmartHR」がAPI公開、社内システムなどと連携可能に

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社会保険や雇用保険など労務手続き自動化をするクラウドサービス「SmartHR」。サービスを提供するKUFUは5月25日、開発者向けに「SmartHR for Developers」を公開した。

SmartHR for Developersでは、他社製クラウドサービスとのデータ連携を実現するためのAPIやWebhookを提供しており、すでにマネーフォワード、キメラなどクラウドサービスを提供する4社と連携、もしくは連携に向けて協議を進めている。概要は以下の通り。

マネーフォワード:クラウド給与計算ソフト「MFクラウド給与
従来は給与計算ソフトには社会保険関係の情報を含む膨大な従業員データの入力が必用だったが、本連携により、入社手続きを行った従業員情報を1クリックでMFクラウド給与に取り込むことが可能になる。※すでに実装済み

キメラ:クラウド型採用管理サービス「Talentio

Talentioはキメラが提供する採用管理クラウドサービス。SmartHRとの連携により、入社が決定した内定者のデータを1クリックで同期し、そのまま入社手続を行えるような仕組みを提供する予定。将来的には在籍期間まで含めた採用KPIの分析機能の追加も視野に入れる

ソネット:クラウド型勤怠管理システム「AKASHI
本日公開のクラウド型勤怠管理システム。SmartHRとの連携では、勤怠データを1クリックで取り込み、勤務実績に応じて必用な手続きの有無を自動判別、そのまま手続を作成、役所へウェブ申請まで行えるような仕組みを提供する予定

ヴェルク:受託ビジネスに特化したクラウド型業務サービス「board
受託ビジネスに特化したクラウド型業務システム。連携では、SmartHRが持つ人事情報を活用し、人件費まで考慮された案件単位の損益管理機能を予定する

またSmartHR導入企業であれば、内製の社内システムとSmartHRの自社アカウントをシステム連携できるようになる。すでにSmartHRを利用するメルカリ、VASILYなどが社内システムとの連携を進めている。

各種クラウドサービスとSmartHRのシステムを連携することで、例えば従業員の入退社をトリガーにして各種クラウドサービスへ従業員情報を登録するなど、登録されている従業員データを様々な活用が可能になる。将来的には、外部サービスからデータを取り込んで必要手続きを自動作成したり、シングルサインオンを活用した各種クラウドサービスのアカウント管理をしたりと昨日を拡張させていく予定だ。

「クライアント企業からも『社内システムとSmartHRで従業員データのマスタを二重に持つことは面倒だ』という声があったことからAPI提供に至った」(KUFU代表取締役の宮田昇始氏)。もともと中小規模向けにサービスを提供してきたが、現在では1000〜4000名規模の企業もSmartHRの導入検討を進めているのだという。そういった背景もあり、API提供によるシステム連携に加えて、IP制限や二段階認証など、大企業のニーズにも応えられる機能開発を進めていくとしている。

Uberとトヨタ、配車サービスとリースで戦略提携を発表

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配車サービス戦争が一段と激しさを増すようだ。Uberトヨタとの間で配車と自動車リースに関連した戦略的投資協定を結んだことを明らかにした。

UberはTechCrunchへのメールで「トヨタは世界の自動車産業のリーダーの1社であり、トヨタ車はUberのプラットフォームで世界的にもっとも多数利用されている車種のひとつだ。Uberはトヨタとさまざまなパートナー関係にあり、今回は自動車購入の資金調達プログラムへも協力関係を拡大した」と述べた。

Uberはこの資金計画の詳細を明らかにすることは避けた。公表された事実は多くないが、トヨタ自動車のプレスリリースによれば、同社はUberと提携して将来の交通機関のあり方を探る計画に興味があり、この点に関連してUberと覚書(MOU=memorandum of understanding)を交わしたという。これにはUberの自動車共有ビジネスが拡大中の諸国において、当局の規制、ビジネス環境、顧客ニーズなど多くの要因を検討しつつ、実地にテストを行うことが含まれている。

トヨタがリースを支援するという契約はドライバーの自動車取得を援助するUberのプログラムの拡大を助けるだろう。同時にUberが自動車走行車を利用しようとする計画も大きく前進させるとみられる。

今回の発表では自走走行車については特に言及されていない。しかし、さまざまな自動車メーカーと有力テクノロジー企業が配車サービスに投資を始めており、自動走行車の開発においてもトヨタの存在はひときわ大きい

トヨタは昨年11月に10億ドルを投じてTRI(Toyota Research Institute)をパロアルトに新設し、自動走行車の実現に向けてAIとロボディクスの研究を行っている。

なおGMは今年に入って 5億ドルをUberのライバル、Lyftに投資している。こちらもLyftの事業拡張と同時に自動走行車の採用の実現を目標の一つとしている。

今朝フォルクスワーゲンはニューヨークを本拠とする配車サービスのGettに 3億ドルを投資することを発表した。Appleも自動走行車の開発を行っていると噂されている。Appleは5月上旬に中国最大の配車サービス、滴滴出行(Didi Chuxing)(以前の滴滴快的、Didi Kuaidi)に10億ドルを投資している。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

物流アウトソーシングのオープンロジが2.1億円の資金調達、海外展開も視野に

左からオープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏、取締役CTOの五十嵐正人氏

左からオープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏、取締役CTOの五十嵐正人氏

ロジスティクスのアウトソーシングサービス「オープンロジ」を運営するオープンロジ。同社は5月24日、IMJ Investment Partners(IMJIP)、SMBCベンチャーキャピタル、インフィニティ・ベンチャーズLLPなどから総額2億1000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。また今回の資金調達に伴い、IMJIPの岡洋氏が同社の社外取締役に就任する。オープンロジでは調達した資金をもとに人材採用や経営基盤の強化を進める。また東南アジアを中心とした海外事業展開も視野に入れる。

オープンロジは2014年10月にサービスを開始した。一般的な物流倉庫では、見積もりを行い、そのあとで業種業態ごとに「坪単価いくら」という価格設定をしている。スペースを借り上げる設定のため大規模事業者でないと利用が難しい。そこでオープンロジでは物流倉庫会社と提携。「アイテム1つ単位いくら」というシンプルな価格設定と、オンラインでの管理機能を提供することで、中小規模のEC事業者や個人が倉庫を手軽に利用できるサービスを展開してきた。

直近の状況についてオープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏に聞いたところ、中小規模のEC事業者やフリマアプリやオークション利用の個人などが多く利用するだけでなく、大規模EC事業者の利用、商品サンプルの発送、イベント用資材の搬入搬出、店舗の棚・什器の保管など幅広いニーズがあるという。

「評価されているポイントは3つ。費用が分かりやすく安い、またオンラインで倉庫内のアイテムを管理できる使い勝手、小ロットでも対応する柔軟性だ。ユーザーの継続率は90%に上る。また、想定以上に大規模なユーザーからの問い合わせを頂いている。そのニーズは単に倉庫スペースが欲しいと言うことだけでなく、現状利用している受注管理の業務システムの課題を解決をしたいというものもある。今後はそういった企業に向けたエンタープライズ向けプランも用意する」(伊藤氏)

パートナーとなる物流倉庫会社も拡大しているそうだ。倉庫側の業務システムも提供し、さらに送客も行う点が評価された。現在毎月1社のペースでパートナーが増えているのだという。

同社は今後、東南アジアを中心に海外展開も視野に入れる。

「海外の事業者が日本でビジネスをしたいときにもロジが必要。日本の事業者が海外でビジネスをしたい場合も同じだ。オープンロジであれば、在庫確認をオンラインでリアルタイムに行い、自国にいながら海外の物流オペレーションが実現できるようにもなる。来年以降は積極的に進出していきたい」(伊藤氏)

シェアリングエコノミーに欠かせない本人確認情報をブロックチェーンで共有、ガイアックスが実証実験

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スタートアップ企業がシェアリングエコノミーのアイデアを事業化しようとするとき、乗り越えないといけない壁がある。利用者の本人確認だ。利用者は「運転免許証のコピー」のような重要な個人情報を含む書類を事業者に預けることになる。手間もかかるし、信頼性も求められる。社会的な信頼を獲得する途上段階にあるスタートアップ企業にとっては大きなハードルとなる。ここで、利用者側から見ても信頼できる透明な個人情報共有の枠組みを低コストで作れるとしたら、そのメリットは計り知れない。

ガイアックスが発表したブロックチェーンの実証実験(プレスリリース、同社のブロックチェーン技術サイト)の狙いは、シェアリングエコノミーのスタートアップ企業が参加しやすいような、非集権化(decentralized)された個人情報管理の枠組みを低コストで作ることだ。「強大な1社が個人情報を管理する枠組みではうまくいかない。もっといい形で共同所有できるようにしたい」とガイアックスは説明する。

同社は「シェアリングエコノミー協会」の理事として立ち上げに参加しており(関連記事)、その参加企業の一部に呼びかけて、今回の実証実験を行う。今回の実証実験に協力あるいは賛同する企業およびサービス名は以下のようになる。

  • コギコギ スマートロック型シェアサイクルサービス『COGICOGI
  • MOSOMafia 美容のプロフェッショナルを出張でオンデマンド予約『careL(ケアエル)』
  • BUZZPORT 仲間を集めて海外旅行プランに参加『TRAVEL PLANET
  • DogHuggy 外出する飼い主と近くの犬好きホストをマッチングする『DogHuggy
  • Huber 訪日外国人旅行者と国際交流を望む人たちをガイドとしてマッチングする『TOMODACHI GUIDE
  • ココナラ 知識・スキル・経験をマッチングする個人間マーケットプレイス『ココナラ
  • notteco 長距離ライドシェアサービス『notteco
  • Tadaku 外国人宅での食のシェア(家庭料理教室マッチング)『Tadaku

本人証明をP2Pデータベースとパブリックブロックチェーンで

ガイアックスが現在考えている枠組みは、本人確認をある1社が行えば、複数の会社で「本人確認済み」であるとの情報を共有できるようにするものだ。構想では、本人確認書類(例えばパスポートや運転免許証など)そのもののデータは、最終的には特定の企業ではなく非集権化されたP2Pのデータベース(候補はIPFS)により管理する。本人確認を行った後、本人確認に利用したデータのハッシュ値を改ざんが事実上不可能なパブリックブロックチェーンに刻み込み、証明書を発行する。証明書のデジタル署名、ブロックチェーン、タイムスタンプを照合することで、本人確認データおよび証明書が改ざんされていないことを確認する。このような非集権化された枠組みを作り上げる構想である。

利用するブロックチェーン技術の候補だが、今のところ最も利用者数が多く実績があるビットコインのブロックチェーンが有力だ。「現段階の要件、つまりIDと本人確認ドキュメントを確認して証明書を発行するには、ビットコインの仕様で十分ではないかと思う」とガイアックスでは話している。ただ、最終的にどの技術を活用することになるかどうかは未定だ。「もし求められる要件にスマートコントラクトの要素が含まれるようなら、Ethereumを検討することもありえる」(同社)。

個人情報管理の「重たさ」(コスト、手間、リスク)は増す一方だ。しかも、複数の事業主体による個人情報の利用(第三者への提供)に対して世間の目は厳しくなる方向にある。

ブロックチェーン技術で本人確認の情報を共有する仕組みがうまく構築できれば、システム構築コストを押さえつつ、セキュアで透明な枠組みを作れるはずだ。この仕組みがうまく回れば、スタートアップ企業の側にとっても、個人情報を預ける利用者の側にとってもメリットは大きい。希望としては、個人情報を預ける利用者の側から見ても「大事な情報は自分でも管理できる」ような透明性を担保した仕組みにして欲しいと願っている。

スマホVRのハコスコがKDDIとアイ・マーキュリーから資金調達、業務提携も拡大

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現地時間の5月18日に開催されたGoogle I/OでGoogleがスマートフォンVRのプロジェクト「Daydream」を発表したばかりだが、日本でもスマートフォンVRに関する動きがあったようだ。段ボール製の筐体を組み立ててスマートフォンを差し込めば、簡単にVRコンテンツを体験できる「ハコスコ」。このハコスコとVR動画共有プラットフォームの「ハコスコストア」を提供するスタートアップのハコスコが5月19日、KDDIの運営するファンド「KDDI Open Innovation Fund」およびミクシィ傘下のマーキュリーキャピタルから合計約5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

ハコスコの創業は2014年7月。代表取締役を務める藤井直敬氏は、MITの研究員を経て、独立行政法人理化学研究所(理研)の脳科学総合研究センター適応知性研究チームのリーダーとして「SR(Substitutional Reality:代替現実技術)システム」の開発に携わってきた。現在は、VRコンソーシアムの代表理事も務めている。2014年にはANRIがシードマネーとして3000万円の出資を行っている。

以前の取材でも聞いたのだが、ハコスコは初月から単月黒字を達成している。ビジネスはハコスコの販売や、アプリを通じたVRコンテンツ配信チャンネルの販売、VRコンテンツの製作など。企業のプロモーションなどで利用されるケースが多く、これまでに約50件の導入事例があるという。その内容は音楽アーティストの映像特典やアート、博物館の企画展と連動したコンテンツなど。筐体の荷台数は17万個。ハコスコストアのアプリダウンロード数はiOS、Android合わせて7万件。特定ユーザーへの限定公開も含めて、約5000本のVR動画がクライアント企業やユーザーからアップされた。

「ハコスコ本体も販売しているが、それだけでは価値を出せない。プラットフォームからコンテンツの提供までワンストップで実現できるのが強み」(藤井氏)。3D表示機能(左右の目それぞれに視差のある映像を表示することでe映像を立体的に見せること)についてはGoogleよりも早く対応している。

今回の資金調達はいずれもCVCからだが、これは事業提携の意味合いも強いためだそう。KDDIは今後VRプラットフォームの営業および集客⽀支援、同社のAR事業「SATCH」との連携を進める。またミクシィとは、先日発表されたばかりの「きみだけ360°チャンネル」を始めとしたVR エンタメコンテンツの開発で提携する。その他にも、エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ、グリー、アマナ凸版印刷、ポニーキャニオン、博報堂/博報堂プロダクツとの業務提携を進める。また、不動産、旅行、冠婚葬祭といった領域での提携も拡大。筐体はこれまでEC限定で販売していたが、今後は大手家電量販店でも販売していく。

ハコスコでは今後、段ボール筐体にこだわらず、スマートフォンだけでVR、ARなどを楽しめるプロダクトも開発していくという。「過去・現在、CG・リアルという4象限で言えば、今までは過去、CGの組み合わせのコンテンツが中心だった。それを現在、リアルなものであっても、(過去、CGと)あまり変わりのない体験にしたい」(ハコスコCOOの太田良恵子氏)。KDDIとの連携でARエンジンを組み込むほか、位置情報などをもとに「ある地点である方向を向いた際にだけ特定の体験をさせる」という、位置ゲー(位置情報ゲーム)のような体験を提供していくとしている。

「シリコンバレーと日本をつなぐ」ルース元駐日大使や三菱商事が3億3500万ドルのファンドを立ち上げ

前駐日米国大使であり、Geodesic Capitalゼネラルパートナーのジョン・ルース氏

前駐日米国大使であり、Geodesic Capitalゼネラルパートナーのジョン・ルース氏

米カリフォルニア州に拠点を置くGeodesic Capital(ジオデシック・キャピタル)は5月17日、第1号ファンドの「Geodesic Capital Fund I」を組成したことを発表した。ファンドの総額は3億3500万ドル。三菱商事のほか、三井住友銀行、三菱重工業、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、損害保険ジャパン日本興亜、ニコン、日本政策投資銀行、東邦銀行などが出資する。

ジオデシック・キャピタルは、前駐日米国大使のジョン・ルース氏と、アンドリーセン・ホロウィッツ元パートナーのアシュヴィン・バチレディ氏、三菱商事で立ち上げた投資ファンド。

ルース氏は第1期オバマ政権下、2009年から2013年まで駐日大使を務めたが、それ以前はスタートアップのサポートにも積極的なウィルソン・ソンシーニ・グッドリッチ&ロサーティ法律事務所のCEOを務めていた。TechCrunchの過去記事にもあるが、Salesforce.comをはじめとしたIT企業の取締役も務めている。またアシュヴィン・バチレディ氏は米VCのアンドリーセン・ホロウィッツでFacebookをはじめ、Twitter、Box、Airbnb、Githubへの投資に関わってきた。

日本やアジアのマーケットを狙う米スタートアップに出資

Geodesic Capitalでは、グロースステージのシリコンバレーのスタートアップに対して、500万〜3000万ドルの範囲で投資を実行する。バチレディ氏いわく、投資の際に重要視するのは(1)Strong Leader、長期的なビジョンを持ち舵取りをするCEOがいること、(2)イノベーションを起こすプロダクトを持っている個と、(3)潜在市場、ポテンシャルがあること、(4)強い実行力と急速な拡大を実現できること——の4点。

投資の対象とするのは、日本やアジア進出を狙うシリコンバレーのスタートアップだ。ルース氏は大使としての日本赴任から米国・シリコンバレーに戻ってきて、あらゆる業種でITによる破壊的なイノベーションが起こっていること、また同時にシリコンバレー企業が日本の市場への関心が高まっていることなどを背景にこのファンドを立ち上げたと語る。現在公開されているポートフォリオは、セキュリティのTanium、メッセージングサービスのSnapchat、アプリケーション配信ネットワークのInstart Logic、ビットコインマイニングに特化したコンピュータを手がける21の4社。

こう聞くと——あまりにも使い古された表現だが——「黒船襲来」という印象を持つ人がいるかも知れない。だがルース氏らは、海外からのイノベーション、イノベーティブな企業が日本の市場に参入することこそが、日本経済に価値をもたらすと語る。「一方通行でなく、両方が通行できる『架け橋』を作る」(ルース氏)。シリコンバレーのスタートアップに対しては日本を玄関口にして、アジア進出を支援。一方、ファンドへ出資する日本企業に対してはシリコンバレーの拠点も用意しているという。

三菱商事もファンド組成の趣旨について「当然だが金融投資のリターンは大いに期待している」(三菱商事常務執行役員新産業金融事業グループCEOの吉田真也氏)とした上で、「狙いは中期経営戦略2018にうたっているとおりで、ビジネスにおける先端技術の利用や新規ビジネスの開発、既存ビジネスの変革。そのためにもシリコンバレーとのアクセスを深めていきたい」(吉田氏)と語る。

新しい市場へのチャレンジ、「One size fits all」になるな

ところで、米国で人気を博したサービスであっても、いざ日本市場に参入した際にはパッとしないなんて話は時々聞くものだ。そうならないためにも重要なのは、ローカルパートナーと組むなどして、カルチャライズすることだろう。例えば、今では日本人が数多く利用するTwitterも、デジタルガレージと組んで日本に参入している。

リース氏もこの点については意識しており、「米国企業に限らず、世界の多くの企業が日本やアジアの国々に進出する際に犯す過ちが『One size fits all』。つまりそのまま持ってくれば成功すると信じているところだ」と指摘する。これに対してGeodesic Capitalでは、投資先の日本参入支援を行う日本法人「ジオデシック・ジャパン」を設立しており、カントリーマネージャーには元オムニチュア・ジャパン カントリーマネージャーの尾辻マーカス氏、シニアアドバイザーに元ツイッター日本法人代表取締役会長の近藤正晃ジェームス氏を招聘。日本でも成功したそのノウハウを生かして投資先の支援を行うとしている。

不動産スタートアップのiettyが東大とチャットAIの共同研究、人材会社との資本業務提携も

ietty代表取締役の小川泰平氏

ietty代表取締役の小川泰平氏

「最近チャットボットやチャットUIに関する話題が多いが、チャットを用いたサービスでもっとも実績のあるスタートアップは我々ではないだろうか」——そう語るのは不動産スタートアップのiettyだ。同社は5月13日、東京大学大学院 情報理工学系研究科電子情報学専攻・山崎研究室(山崎研究室)と共同での研究・サービス開発と、総合人材サービスを手がけるプロスとの資本業務提携を発表した。

iettyが提供するのは、オンライン接客型不動産仲介サービスの「ietty」だ。会員登録をし、希望の部屋の条件を登録すると、チャットを介してiettyから条件にマッチする物件の情報が送られてくる。ユーザーはその物件情報に興味を持ったかどうかを評価し、別の物件情報の提供を求めたり、内見の予約をしたりできる。

2015年10月に資金調達を発表した際、ietty代表取締役の小川泰平氏は「AIを使った物件紹介を試験的に開始している」と話していた。現状ではユーザーが希望する賃料や間取り、最寄り駅などの条件をフックにして物件を提案するようなものだそうだが、これを今回の山崎研究室との取り組みで本格化させる。「年内にも何かしらの結果を発表したい」(小川氏)

iettyでは提供された物件情報を評価できる

iettyでは提供された物件情報を評価できる

iettyでは現在、1日約5万件の物件情報をユーザーに配信しており、その半数にユーザーからの評価が付けられているのだという。ユーザー属性、物件情報、物件の評価情報、これらのデータを掛け合わせて分析することで、ビッグデータからユーザーに最適な物件を提案する仕組みを作れないか、という話だ。「今までの不動産仲介業は、ユーザーの希望条件に合わせて営業マンが『プロの勘』で物件情報を提供してきたが、データをもとにより最適な物件情報を提供できるようにしたい」(小川氏)

この施策の背景には、最近のチャットUI、チャットボットというトレンドへの警戒心があるようだ。もちろん店舗型の不動産仲介業者がいきなりチャット形式でオンライン仲介に参入、という話ではないかも知れないが、FacebookやLINEがプラットフォームを開放すれば、仲介業者は極論誰でもオンライン接客を行うことができるようになる。それに対して先行者としてサービスを展開するiettyでは、AIを使って業務を自動化しつつ、少ないリソースで多くの顧客に対応できる仕組みを作ろうとしている。

またこれに加えて、今回資本業務提携(資金調達については金額非公開だが、業務提携の意味合いが強く、少額だとしている)したプロスから内見対応を行う営業マンを派遣することで、リアルなオペレーション部分のリソースを確保する。不動産業界は繁忙期と閑散期の差が大きい。営業リソースを固定費にするのではなく、人材派遣で変動費化することにより、閑散期のコストを削減する狙いだ。

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同社は繁忙期である3月に単月黒字化を達成。ユーザー登録も月間6000〜7000人ペースで増えているという。「2年後にもネットでの不動産仲介が解禁される動きがあるが、まずはそこでナンバーワンになりたい。ただし賃貸不動産は入り口に過ぎない。管理や売買の市場を見ると60兆円の世界。不動産デベロッパー出身なので、その領域でビジネスを描いていきたい」(小川氏)

今後はLINEやFacebookなど各種メッセンジャープラットフォームにもサービスを対応させるほか(LINEについてはLINE@でサービスを試験運用しているが、実はアクセスの4分の1がLINE経由だそう)、大阪や神奈川でのサービスも開始する予定。