フランスの法人用クレジットカードスタートアップMooncardがエールフランスのマイルを付与、アメックス以外では初

フランスのスタートアップのMooncardは、エールフランス-KLMのロイヤルティプログラムであるフライング・ブルーとの提携によりエールフランスのマイルを顧客に付与する。フランスの決済カードでマイルを獲得できるのは、アメリカン・エキスプレスカード以外では初めてだ。

Mooncardは、法人用の決済カードを提供して経費処理を効率化している。フランスでは法人カードを使用する企業は少ない。しかしMooncardは経費処理を効率化する法人カードに取り組んでいる。

MooncardはVISAカードとして使えることに加え、領収書の写真を撮って詳細を追加し経理に経費を申告できる。さまざまな制限や検証プロセスの設定もある。

アメリカン・エキスプレスは長年にわたってフライング・ブルーとの提携に関して独占的な立場にあったため、このニュースは興味深い。フランスでは、特典としてマイルを貯めたい企業の選択肢はアメリカン・エキスプレスしかなかった。

Mooncardの価格設定は、以下の図のようにアメリカン・エキスプレスと似ている。

大きな違いが1つある。MooncardはVISAのネットワークを利用していることだ。アメリカン・エキスプレスを使えないレストランや店舗は多いため、アメリカン・エキスプレスの顧客を乗り換えさせる効果があるかもしれない。利用企業の従業員は獲得したマイルを個人の旅行に使用できる。

Mooncardを利用している企業は3000社で、多くの公共機関でも利用されている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Mooncardフランス

画像クレジット:Mooncard

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(翻訳:Kaori Koyama)

Pindropとの連携でデジタルレコーダーのTiVoに音声認識機能が帰ってくる

TiVoのデバイスに新しい音声認識機能が搭載される。これはアトランタを拠点とするスタートアップで、コンシューマデバイス用の音声認識とパーソナライズ技術を提供するようになったPindropとの連携によるものだ。

TiVoは以前にAlexaの音声認識サービスを使用していたが、2020年にひっそりと廃止されていた。新しい音声認識機能がAlexaに代わって搭載されることになる。

TiVoは2年ほど前にはAlexaの統合に相当な力を入れていた。Pindropのサービスへの切り替えは、音声対応サービスには堅調な市場があり、Amazon(アマゾン)とGoogle(グーグル)の本拠地で戦うためにさまざまな市場からプロバイダーが参入していることを示している。

Pindropのサービスが統合されることで、TiVoの所有者は音声で番組の検索やデバイスのコントロールができるようになる。しかしPindropの技術はもともと金融サービス企業や大企業向けに不正防止技術として開発されたもので、基本的な音声認識にはとどまらない。

Pindropの技術で話者の違いを判別できるので、シンプルな音声コマンドで各ユーザーのNetflixやAmazonなどのアカウントを呼び出し、それぞれが観る番組をパーソナライズすることができる。

TiVoで製品&会話サービス担当シニアディレクターを務めるJon Heim(ジョン・ハイム)氏は「話した内容を理解するだけでなく、状況を理解しその場に応じてインテリジェントに動作するようにしたいと考えています。音声によって家族それぞれを識別する機能はこの状況認識の一例で、一人ひとりに合わせたエクスペリエンスによってこれまでになかったレベルのパーソナライズを実現します」と述べた。

これはクールだ。

誰かが「おすすめの番組は?」と言ったときに、TiVoのデバイスはその人が観たくなりそうなコンテンツを紹介できるようになる。別の家族が同じコマンドをいうと、デバイスには別の結果が表示される。

この技術の利用にはユーザーの許可が必要で、Pindropの技術は話者の違いは認識するが話者の身元は匿名化される。

Pindropの共同創業者でCEOのVijay Balasubramanian(ビジェイ・バラスブラマニアン)氏によると、同社はすでに米国の銀行の上位10行のうち8行にサービスを提供しているという。そしてTiVoとの連携によりコンシューマデバイスに乗り出したところだ。

Pindropは、AndroidデバイスのホワイトラベルメーカーであるSEI Roboticsのデバイスとも統合されている。

Pindropはコンシューマデバイスの世界へ進出するための資金として十分な現金を銀行に保有している。同社の収益性は高く、バラスブラマニアン氏によれば年間ランレートは1億ドル(約104億円)ほどだという。

同社は今後、音声サービスを自動車やネットワークに接続されたコンシューマデバイスに展開していく意向だとバラスブラマニアン氏は述べている。

「(我々は)自動車向けのOEMに取り組んでいます。現在は概念実証の段階です」と同氏は語った。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:TiVoPindrop音声認識

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(翻訳:Kaori Koyama)

アニメーションフォーマットのプラットフォーム「LottieFiles」がマイクロソフトのVFなどから約9.4億円を調達

JSONベースのLottieアニメーションプラットフォームを提供するLottieFilesが、シリーズAで900万ドル(約9億3500万円)を調達した。このラウンドを主導したのはMicrosoft(マイクロソフト)のベンチャーキャピタル部門であるM12で、以前に投資していた500 Startupsが参加した。

サンフランシスコとクアラルンプールを拠点とするLottieFilesは、2018年に設立された。プラットフォームにはLottieの作成、編集、テストをするツールと、アニメーションのマーケットプレイスがある。同社によれば、ユーザー数はAirbnbやGoogle、TikTok、Disney、Netflixなどおよそ6万5000社、100万人で、前年比で300%成長しているという。今回の調達で、これまでの調達金額の合計は約1000万ドル(約10億4000万円)となった。

LottieアニメーションはGIFやPNGより容量が小さく、スケーラブルでインタラクティブという利点もある。Airbnbのエンジニアが6年前にオープンソースのライブラリとして公開し、アプリ開発者の間ですぐに人気となった。Lottieファイルは公開後に追加でコーディングや編集をしなくてもさまざまなプラットフォームで利用できるからだ。

アニメーションスタートアップのLottieFilesが公開しているイラスト

LottieFilesの共同創業者でCEOのKshitij Minglani(シティジ・ミングラニ)氏はTechCrunchに対し、同社はもともとデザイナーと開発者のコミュニティとしてスタートし、その後ツールやインテグレーションなどのリソースを追加したと説明した。新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による外出禁止期間にマーケットプレイスを開設し、収益の70%をクリエイターに直接支払っている。仕事を受けることができるアニメーターのリストもある。

LottieFilesのコアとなるプラットフォームとツールはまだ収益を上げていないが、2021年後半には収益化する計画だ。ミングラニ氏は「デザインと開発にかかる貴重な時間を大幅に削減できるような革命的なフォーマットが出現して業界全体を破壊することは滅多にありません。早い段階で収益化したためにLottieが採用されないという事態を避けようと考えていました」と述べた。

新たに調達した資金は、同社のインフラストラクチャを拡大し、ユーザーベースを世界的に増やすプロダクトロードマップのために使われる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:LottieFilesm資金調達アニメーション

画像クレジット:LottieFiles

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(翻訳:Kaori Koyama)

Twitterが学術研究者向けの新しいAPIプラットフォームを公開

米国時間1月26日、TwitterはAPIプラットフォームの新たなプロダクトトラックを公開した。これは同社がTwitter APIを根底から再構築している取り組みの1つだ。このトラックは学術研究者のニーズに応えようとするもので、Twitterのアーカイブに広範にアクセスできツイートの検索に関する制限が緩和される。これにより研究者はTwitterプラットフォーム上で公開された会話の履歴すべてにアクセスできるようになる。

研究者はこれまでにリリースされアクセスできるようになっているTwitter API v2のすべてのエンドポイントに加え、詳細なフィルタリング機能も利用できるようになる。

具体的には、アーカイブ全体の検索エンドポイントを利用してTwitter上のすべての発言にアクセスできる。開始時刻と終了時刻のパラメータを使って時系列で絞り込むこともできる。

画像クレジット:Twitter

研究者に対しては、Twitter API v2で取り出せるツイート数の月間の上限も大幅に引き上げられる。APIアクセスのベーシックレベルでは上限は50万ツイートに設定されているが、アカデミックリサーチトラックのベーシックレベルでは当初の上限が1000万ツイートとなる。この上限は最近の検索、フィルタリングされたストリーム、アーカイブ全体の検索、ユーザーのツイートおよびメンションのタイムラインのエンドポイントに適用されるとTwitterは説明している。

アカデミックリサーチトラックではユーザーのデータを正確に取得できるよう、他では利用できない演算子も利用できる。現時点では$ (キャッシュタグ)、bio、bio_name、bio_location、place、place_country、point_radius、bounding_box, -is:nullcast、has:cashtags、has:geoの演算子がある。

研究者はフィルタリングされたストリームのエンドポイントを利用する際に、スタンダードトラックでは上限25のところ、最大1000のコンカレントルールを追加することもできる。最近の検索のエンドポイントに関するクエリは、スタンダードトラックでは最大512文字のところ1024文字となる。

アクセスレベルが引き上げられるため、アカデミックリサーチのプロダクトトラックを利用したい人は最初に申請する必要だ

申請できるのは修士課程の学生、博士号取得希望者、ポスドク、学術研究機関か大学で学部または研究の職に就いている人。明確な研究目的があり、調査によって得られたTwitterデータの利用、分析、共有に関する具体的な計画を示す必要がある

さらに、アカデミックリサーチのプロダクトトラックで使用したデータは商用目的では一切使用してはならないとTwitterは注記している。

画像クレジット:Twitter

学術研究者はTwitterのAPIが2006年に公開されたときからこれを活用し、さまざまなテーマの研究にデータを利用してきた。例えば、公衆の会話を混乱させようとする国や政府の動き洪水と気候変動新型コロナウイルス(COVID-19)に関する姿勢と認識オンラインでの健全な会話を促進する取り組みなどの研究に利用されてきたとTwitterは説明する。

しかしTwitter APIの初期バージョンでは研究者にとってデータを利用しやすくすることにはならず、TwitterはAPI v2でこの問題に対応しようとしてきた。

これまでTwitterは研究者に対して、学術研究専用のウェブサイト、他者の研究の再現と検証をしやすくする開発者ポリシーの更新、2020年4月に公開されたCOVID-19ストリームエンドポイントのような特化したエンドポイントなどを提供してきた。しかしAPI v2以前は、研究者がTwitterの制限を回避する方法を見つけ出すのではなく研究に本当に役に立つツールを作れるようにする配慮は不十分だった。

アカデミックリサーチのプロダクトトラックは2020年10月にプライベートベータのテストが開始されていた。現在は幅広く公開され、無料で利用できる。

Twitterによれば、今回のアカデミックトラックも含めプロダクトトラック全般に関してさらに高いレベルのアクセスを将来的に追加する計画だという。今回公開されたものよりもさらに多くのデータを必要とする研究者にとっては、高レベルのアクセスが可能になれば研究の役に立つだろう。またTwitterは、年間を通じて開発者が消費するデータ量に対応できるようアクセスを柔軟にすることも検討しているという。

関連記事:TwitterがオランダのニュースレタープラットフォームRevueを買収、作家が報酬を得る方法を提供

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterAPI学術研究

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Kaori Koyama)

スプレッドシートからノーコードでアプリを作れるようにするStackerが約1.8億円を調達

開発者でない人がスプレッドシートからソフトウェアを作れるようにするStackerが、シードラウンドで170万ドル(約1億8000万円)を調達したと発表した。

StackerはTechCrunchが2020年にずっと追いかけてきたノーコード、ローコードの成長市場に属する企業だ。しかしノーコードに対する同社のアプローチも新たな資金の調達も、検討に値する。

StackerのCEOであるMichael Skelly(マイケル・スケリー)氏は、Stackerのアイデアを資産運用の会社にいたときに思いついたという。その会社で同氏はSalesforceのプラットフォームを利用して社内アプリを構築していた。やがて支援サービスなしではプロセスが困難になり、チームがエンジニアリングを必要とするときに、それが動作のちょっとした変更であっても開発者が対応してくれるまで長く待たされることに気づいた。

Salesforceのプラットフォームでツールを作っていた経験を振り返って、スケリー氏は企業内の技術者でないエンドユーザーがオリジナルのアプリを作るのに役立つものを開発することにした。何が必要かを一番よく知っているのはエンドユーザーだからだ。

この考え方は、ノーコードの分野に関わったことのある人にはすでにおなじみだろう。技術系でないチームがオリジナルのアプリを作れるようにするのは、当たり前の取り組みといえる。しかしStackerは、スプレッドシートにデータを入力する方法は知っていて、ゼロからアプリを作りたいわけではない人々を対象にしようとしている。

Googleスプレッドシートや人気のAirtableのユーザーは、Stackerを使ってスプレッドシートからアプリを作ることができる。スケリー氏は、スプレッドシートをある種のソフトウェアを作るために使っている人は多いと見ている。同氏の考えでは、スプレッドシートは開発者でない人がオリジナルのソリューションを作るためのとりあえずの解決方法だ。そこでスプレッドシートを本物のアプリにしてエンドユーザーが手を加えられるようにすれば、技術系でないチームが自分たちで解決できる。

Stackerの手法は、ユーザーがゼロからのスタートで何もない画面にボタンを追加することから始めなくてはならないという問題も解決する。このサービスでは、ユーザーが選択したGoogleスプレッドシートまたはAirtableからアプリを作り始めることができるからだ。

ユースケースとしては少ないように思えるかもしれないが、そんなことはない。スケリー氏はTechCrunchのインタビューで、開発者でない人が大規模なプロジェクトを構築できるようにしようとしているのではなく、気の利いた社内アプリを作れるようにすることを目指していると明言した。こうした市場があることは明らかで、Stackerにはすでに500社の顧客がいる。TechCrunchでは2020年8月、同社がY Combinatorのデモデイに参加したときに同社の顧客数が250社とお伝えした。現在では、同社は年間経常収益が100万ドル(約1億400万円)に達したと説明している。この3つの数字から、同社の成長率を推測することができる。

Initialized Capitalが今回のラウンドを主導し、Y Combinator、Pioneer Fund、Makerpadが参加した。資金調達は2020年9月に完了していたが、年末年始を避けるために米国時間1月26日に発表された。シードラウンドはたいていこれぐらいのタイムラグがあるが、Stackerも結果的にそうなった。

分散して働く12人から成るStackerのチームは、これからどうするのだろうか。スケリー氏はTechCrunchに対し、Stackerは単なるポータルやシンプルな用途だけでなく、日常的に使われるアプリの作成にも利用されていると述べた。そこで同社はこうした用途をさらに強化し、SaaSアプリのように多くのデータソースをリンクして、リッチなアプリのユースケースに対応できるように投資をしていく意向だ。

最後になるが、Stackerは誰に向けて販売されているのか。顧客の大半は中小企業だと同社は説明している。大企業の社内には開発リソースがあるのだから、これは当然だ。しかしStackerは誰に向けて販売されるのだろうか。インタビューの最後でTechCrunchは冗談まじりに、早期にAirtableにイグジットしないようにと言った。スケリー氏は、5年後には自分の会社がAirtableを買収するとあちこちで話しているそうだ。これはいい答えだ。

関連記事:社内ツールを作るためのノーコードプラットホーム「Snapboard」

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Stacker資金調達ノーコード

画像クレジット: Markus Spiske / Unsplash(画像は調整しています)

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(翻訳:Kaori Koyama)

作品づくりのためのデジタルリソースを提供するプラットフォームCreative Fabricaが約7億円調達

Creative Fabrica共同創業者のルーミー・イレナー氏とアンカ・ステファン氏(画像クレジット:Creative Fabrica)

アムステルダムを拠点とするスタートアップのCreative Fabricaは、作品を作る人のためにフォントやグラフィックス、ミシン刺繍用デザインなどのデジタルファイルを販売、配布するマーケットプレイスとして知られている。同社は編み物や織物、子供向け作品などの分野に拡張することを計画中で、Felix Capitalが主導するシリーズAで700万ドル(約7億2500万円)を調達した。このラウンドにはFJ Labsと、以前に投資していたPeak Capitalも参加した。

Creative Fabricaがこれまでに調達した金額の合計は、2019年のシードラウンドを含めて約760万ドル(約7億9000万円)になった。

Anca Stefan(アンカ・ステファン)氏とRoemie Hillenaar(ルーミー・イレナー)氏は、2016年にCreative Fabricaを創業する前はデジタル広告代理店を運営していた。Creative Fabricaはクリエイティブな作品を簡単に作るためのデジタルファイルを簡単に見つけられるようにと始めたサービスだ。マーケットプレイスとして開始したが、現在では完成した作品のショーケース、フォントやワードアートをつくるツール、Craft Clubというサブスクリプションサービスもある。同社によれば現在のユーザー数は全世界で100万人を超え、そのうち60%は米国、20%は英国とカナダ、オーストラリアだという。

Creative Fabricaで販売するクリエイターが収益を得る方法はいくつかある。販売しているデジタルアセットが個別に売れると、価格の50%を得られる。サブスクリプションサービスでダウンロードされるファイルにはポイントが割り当てられていて、クリエイターは貯まったポイント数に応じてサブスクリプション期間終了時に収益を受け取る。

同社CEOのイレナー氏はTechCrunchに対し、ユーザーが同社のプラットフォーム上で何を共有しているかに基づいて新しい分野に広げていくと述べた。例を挙げると、デザインはダイカット用として用いられていることが多い。最近ではユーザーの関心に基づいてPOD(プリント・オン・デマンド)のファイルやデジタル刺繍に幅を広げた。

Creative Fabricaで販売されているファイルには商用ライセンスが含まれているものが多く、ファイルを使うユーザーの35%は完成した作品を積極的に販売している。クラフト制作者やデザイナー向けにデジタルダウンロードを提供しているマーケットプレイスは、EtsyやCreative Marketなど他にもある。イレナー氏は、Creative Fabricaでは自動でキュレーションをしているのでEtsyよりも著作権違反をコントロールしやすく、ユーザーは著作権の問題に触れることなく同社プラットフォームのファイルを元に作った作品を販売できる保証を得やすいと説明する。Creative Marketでもフォントやベクターグラフィックスなどのファイルを販売しているが、対象は主にパブリッシャーやウェブサイトのデザイナーだ。Creative Fabricaはクラフト制作者を対象にしているため、ダイカットマシンのSilhouetteのような家庭用機材で作れるようにデザインされたファイルが販売されている。

さらにイレナー氏は、Creative Fabricaはクラフト制作者の制作プロセス全体、つまり「フルファネル」にも注目していると補足した。たとえばバースデーパーティーの飾りを作りたいと思っている人は、このプラットフォームから着想を得て、デジタルマテリアルをダウンロードし、Creative Fabricaのチュートリアルを見て作り始めることができる。Creative Fabricaでは卓上ダイカットマシンや刺繍ミシンなどの機材を使うクラフトが多いため、制作者が作り始める際の助けになるように幅広いチュートリアルを提供している。

Creative Fabricaは編み物や織物、子供向け作品に範囲を広げているため(すでに編み物やかぎ針編みのパターンは提供を開始している)、今後は編み物をする人がパターンを探すのによく使っているRavelryなどのサイトや、子供向けに素材と作り方を提供しているKiwi Crateのようなサービスと直接競合していくことになる。イレナー氏は、さまざまな種類のクラフトを作りたい多くの人を対象としていることがCreative Fabricaのバリュープロポジションだと語る。

Association for Creative Industriesのレポートによれば、米国の63%の世帯が何らかのクラフトに関わっているという。その多くが、複数の種類の作品を作っている。

イレナー氏は「編み物をしている人はダイカットや木工など異なる種類のクラフトもする傾向があります。我々は1つの狭い分野に特化するのではなく、この市場を広く見てクリエイティブなクラフト全般について提供できると考えています」と述べた。

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タグ:Creative Fabrica資金調達

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(翻訳:Kaori Koyama)

金融予測スタートアップのSpringbox AIがアプリ公開、これまでに約2.1億円調達

AIを利用した金融予測アプリのSpringbox AIは、金融市場の投資サービスに代わるものとして設計され、金融市場の平均的なトレーダーを対象としたものになっている。このアプリのiOS版Android版が公開された。

アプリを作ったのは、ドイツ銀行、クレディ・スイス、UBS、BNPパリバで働いていた創業者チームだ。これまでにヨーロッパの個人投資家から200万ドル(約2億800万円)の資金を調達している。

アプリの利用にかかるサブスクリプション価格は1カ月49ドル(日本では5400円)で、市場予測のほか、株価・為替・先物市場のライブマーケットスクリーニング、取引関連ニュースなどさまざまなツールが含まれている。

Springbox AIの共同創業者であるKassem Lahham(カセム・ラハム)氏は「ブローカーの多くは簡単に儲かるという夢や神話を投資家に売り込むばかりで、結果としてセルフトレーダーの96%は資金を失って去っていきます。Springbox AIを利用すればトレーダーはデータを重視して成功を支援するアプリにアクセスできます」と述べている。

SpringboxはeToroのようなトレーディングアプリと競合するが、eToroはソーシャルトレーディングが中心でコミュニティ内の有能な投資家をフォローする仕組みになっている。Springboxはもう少し熟練したトレーダーを対象に設計されていると創業者チームは述べている。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Springbox AIAI

画像クレジット:Springbox AI

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(翻訳:Kaori Koyama)

「ノーコード」チャットボットビルダーのLandbotがシリーズAで約8.3億円調達

「ノーコード」チャットボットビルダーを提供するバルセロナのLandbotが、スペイン・イスラエル系VCファームのSwanlaabが主導するシリーズAで800万ドル(約8億3000万円)を調達した。イノベーションを対象とするスペインの公的機関であるCDTIからも支援を受けた。以前に投資していたNauta Capital、Encomenda、Bankinterもこのラウンドに参加した。

Landbotは2018年にシードラウンドで220万ドル(約2億3000万円)を調達し、顧客数が900社を超えた。そのときにTechCrunchは同社に話を聞いている。それ以降、有料で利用している顧客が2200社、同社のツールを使っている人数は5万人となった(無料と有料のアカウントの合計)。

シードラウンド以降に経常収益も10倍になり、新たな資金を得てさらに成長が続くと期待されている。

Landbotによれば、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により会話型ランディングページの需要は急増したという。あらゆる業種の企業がインハウスのIT部門に多額の投資をせずに、増加しているデジタルの来訪者とのコミュニケーションを自動化しようとしているためだ。

中小企業から大企業内のチームや製品まで、さまざまな企業がLandbotを利用している。Landbotの顧客にはNestlé、MediaMarkt、CocaCola、Cepsa、PcComponentes、Prudentialなどが名を連ねる。

LandbotのCEOで共同創業者のJiaqi Pan(ヒアキ・パン)氏はTechCrunchに対し「eコマース、金融サービス、マーケティング代理店などの業界から強力な引きがあります。eコマースは新型コロナウイルス感染拡大以降、我々にとって最も成長が大きく、この業界の顧客は2倍になりました」と語る。

今回調達した資金でセールス、マーケティング、エンジニアリングの人材を雇用して、社員数を2倍にする計画だ(現在の社員数は40名)。

Landbotは2017年にチャットボットビルダーの「ノーコード」版をリリースした。本社は以前、バレンシアにあったが、人材確保のためにバルセロナに移転した。

Landbotの登場以降、急成長している「ノーコード / ローコード」の動きは本格的なトレンドになっている。これは生産性を上げ見込み客を増やすデジタルサービスが求められ、インハウスの技術者が構築できる分量を超えてしまっていることによる。

このような背景で、技術系ではないスタッフが技術的な機能をカスタマイズできるサービス構築ツールが台頭している。

新型コロナウイルス感染拡大がこうした傾向に拍車をかけ、Landbotのような抵抗の少ないツールは明らかに恩恵を受けている。

サンフランシスコを拠点とするManyChatなどの会話型チャットボットビルダーの競合企業と同様に、Landbotもウェブのフォームをもっとエンゲージメントの高いチャットインターフェイスに置き換えようとしている顧客からの引き合いがあると述べている。この点は興味深い。

Landbotのチャットボットビルダーはドラッグ&ドロップで操作でき、Landbotのいう「GIFやビジュアル要素が多くエンドユーザーの注目を集めるような、没入できるウェブページエクスペリエンス」をインフォメーションワーカーが作成できるようにするものだ。古くて退屈な動きのないフォームを、スマートフォンユーザーにはWhatsAppなどのメッセージングアプリでおなじみのエクスペリエンスに置き換えられるとなれば、中小企業にとって魅力があることはおわかりいただけるだろう。

パン氏は「ノーコード分野の主な競合についていうと、チャットボットの直接的な競合としてManyChatと重なる部分があります。一方、フォームを置き換えるために我々のプロダクトを利用している顧客が多数いるので、Typeformなどのフォームビルダーとも競合しています」と語る。Typeformもバルセロナを拠点とするスタートアップで、Landbotと同様に「会話型」で「インタラクティブ」にデータを収集するプラットフォームを謳っている。

Landbotは最近、インドを拠点とするチャットベースのマーケティングオートメーションツールのMorph.AIを買収した。Morph.AIはソーシャル、ウェブサイト、広告のトラフィックを見込み客に変換するツールだ。アジア市場でのプレゼンス拡大という狙いもある。

これまでのところLandbotの顧客の90%はスペイン以外で、60%を米国、英国、ドイツが占めている。

シリーズAの発表の中でSwanlaabのゼネラルパートナーであるJuan Revuelta(ホワン・レべルタ)氏は次のようにコメントしている。「Landbotの利点はドラッグ&ドロップのソリューションです。このプロダクトをさまざまな企業の誰もが使えるようにするにはシンプルさが不可欠です。中小企業にはカスタマーサービスの問題を解決したり豪華なマーケティングキャンペーンを実施するために贅沢に使える時間や資金はありません。Landbotはあらゆる企業が抵抗なく顧客と会話し必要なデータをやりとりして、スマートな決定を下し成長できるようにします。Landbotは2020年に素晴らしい成果を上げました。我々は、2021年にはさらに多くの企業に役立ててもらうためにこのチームを支援できることを楽しみにしています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Landbot資金調達ノーコードスペインチャットボット

画像クレジット:Landbot

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(翻訳:Kaori Koyama)

出演者や評価などをまとめた広範なポッドキャストデータベースを構築するPodchaserが4.2億円調達

いわゆる「ポッドキャストのIMDb(インターネット・ムービー・データベース)」を構築しているスタートアップのPodchaserが、Greycroftが主導するラウンドで400万ドル(約4億1500万円)を調達したと発表した。

Podchaserは、Amazon(アマゾン)傘下のIMDb同じように、誰がどのポッドキャストに出演しているかを調べ、ポッドキャストの評価やレビューをして、リストに追加できるサイトだ。PodchaserのCEOであるBradley Davis(ブラッドリー・デイビス)氏は筆者に対し「ポッドキャスト愛好家の活発でエキサイティングなコミュニティ」はこれまでにポッドキャストのクレジットを850万件、データベースに追加したと述べた。

デイビス氏は、このようなサイトが存在してほしいし、きっとすでに存在するだろうと思っていたという。ところが実は存在しないと知って、誰か一緒に会社を作らないかとRedditに投稿した。ここで出会ったのが、後に共同創業者でCTOになるオーストラリアのBen Slinger(ベン・スリンガー)氏だ。Podchaserは完全に分散して運営されている企業で、デイビス氏は現在、米国オクラホマシティにいる。

誤解のないように書いておくと、デイビス氏はポッドキャスト愛好家だけがリストを活用しているわけではないと考えている。同氏は、ポッドキャストについて詳しく知りたい人や新しいポッドキャストを見つけたい人なら誰にとってもPodchaserのリストは便利だという。Podchaserの月間アクティブユーザー数はこの1年間で5倍になった。

例としてデイビス氏が説明したのは、政治家のPete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)氏のプロフィールページが人気を集めているということだ。このページを見る人は、ブティジェッジ氏自身のポッドキャストについて詳しく知りたいというだけでなく、同氏が出演している他のポッドキャストも調べている(TechCrunchのEquityMixtapeOriginal ContentのポッドキャストもPodchaserで調べられるが、プロフィールをもう少し詳しく記入する必要がありそうだ)。

どうすればポッドキャストがもっと見つけやすくなるかについての議論は尽きない。デイビス氏は、Podchaserがこの問題をすっかり解決するとは主張していないが、Podchaser自体のデータベースに加えて同社がオーガナイザーとして参加している広範なPodcast Taxonomy(ポッドキャストの分類)プロジェクトが解決の一助にはなるだろうと考えている。

デイビス氏は「多くの用語を標準化し、あらゆるポッドキャストとその人気を分析できれば、(多くのリスナーが)好きなポッドキャストを選んで見つけられるようになるでしょう」という。

Podchaserは、ゲーミフィケーションやディスカッションのシステムなどユーザーがもっと積極的に関わる新機能を追加する計画だ。

コンシューマ向けサイトは無料だが、同社は最近Podchaser Proという有料プロダクトの提供を開始した。Podchaser Proでは180万件のポッドキャストに関してリーチやデモグラフィックのデータを利用できる。また、ポッドキャストプレイヤーがAPI経由でPodchaserのクレジットにアクセスできるようにすることでも収益化している。

デイビス氏は、特定のポッドキャストプレイヤーに「依存しない」データベースを構築することにしたのはPodchaserにとって「ラッキー」だったと語る。

「だから我々はさまざまなプラットフォームと自由に連携し、統合することができました。(ポッドキャストプレイヤーに)Podchaserのクレジットがたくさん表示されるようになるでしょう」と同氏はいう。

Greycroftに加えて、Advancit Capital、LightShed Ventures、Powerhouse Capital、High Alpha、Hyde Park Venture Partners、Poplar Venturesもこのラウンドに参加した。さらにTrendKite創業者のA.J. Bruno(A.J.ブルーノ)氏、Ad Results MediaのCEOであるMarshall Williams(マーシャル・ウィリアム)氏、Shamrock CapitalパートナーのMike LaSalle(マイク・ラサール)氏も参加した。

Greycroftの共同創業者でチェアマンのAlan Patricof(アラン・パトリコフ)氏は発表の中で「パンデミックに直面している中でも、ポッドキャスト市場は猛烈な勢いで成長を続けています。利用者とブランドの需要は止まるところを知りません。Podchaserのデータと発見ツールは、ポッドキャストを新たな高みに引き上げるために極めて重要です」と述べている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Podchaserポッドキャスト資金調達

画像クレジット:Podchaser

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(翻訳:Kaori Koyama)

TikTokの中国国内版「Douyin」が電子ウォレットサービスを開始

中国ではTencentのWeChat PayとAlibaba系列のAlipayが長くデジタルペイメントを支配しているが、両社は常に新しいチャレンジャーの挑戦を受けている。オンラインペイメントに新たに参入したのは、TikTokの中国国内版であるDouyin(抖音)だ。

DouyinではこれまでAlipayとWeChat Payで支払いができたが、ここにDouyin Payが加わった。

Douyinの広報は「Douyin Pay(抖音支付)は既存の主要な支払い方法をに追加されるものであり、最終的にはDouyinのユーザーエクスペリエンスを高めるものです」と述べている。

ペイメントはeコマース事業の成長が見られるDouyinにとっては自然なステップだ。たとえばリップスティックをインフルエンサーが紹介している動画を見ながら、ユーザーは商品のリンク先に行くことができる。インセンティブが大きければ、おなじみのWeChat PayやAlipayではなく、いずれDouyin Payで支払うようになるかもしれない。

eコマース大手のJD.comやフードデリバリーサービスのMeituan(美団)など、他のインターネット大手も自社のペイメント手段をユーザーに使ってもらおうとしているが、市場の寡占状態を打ち破るのは難しい。全体で見ると、中国の電子ペイメントの約90%をWeChat PayとAlipayが扱っている。

他のインターネット関連企業にも見られることだが、Douyinの親会社であるByteDanceはペイメント企業を買収することで待望のペイメントのライセンスを取得した。2020年9月に、ByteDanceの創業者であるZhang Yiming(張一鳴)氏の指揮する企業がペイメントソリューション企業のWuhan Hezhong Yibao Technology Co(武漢合衆易宝科技)を買収した。結果として、DouyinやToutiao(今日頭条)などのByteDanceのサービスがペイメント機能を提供できるようになった。

たとえばユーザーはDouyinのキャンペーンで現金がチャージされた電子レッドパケットを受け取り、その現金を自分の銀行口座に預けることができる。

Douyin Pay

Douyin Payは2月の旧正月を前にして良いタイミングで登場したように思える。旧正月に家族や友人は互いにレッドパケット(赤い封筒)を贈り合う。過去10年間でWeChatはお金が入った縁起の良い封筒の電子版を身近なものにし、これが初期のWeChat Payの飛躍につながった。

中国ビジネスニュースメディアのLatePostによると、DouyinはCCTV(中国中央テレビジョン)と契約し、同局の毎年恒例の大型広告イベントであるカウントダウン番組、Spring Festival Gala(春節聯歓晩会)の赤い封筒テクノロジープロバイダーになるという。創業からほどなくしてAlibabaのライバルとなったPinduoduo(拼多多)は2020年にこの契約をして、自社のペイメント利用者を増やそうと試みた。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:DouyinByteDance中国電子ウォレット

画像クレジット:Costfoto / Barcroft Media / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

GM傘下の自動運転車Cruiseが約2000億円を調達したラウンドにマイクロソフトも参加

Cruiseは新たなエクイティラウンドで20億ドル(約2080億円)を調達し、評価額は300億ドル(約3兆1200億円)に上昇した。また、投資家およびパートナーとしてMicrosoft(マイクロソフト)が加わった。

GMやホンダなどの機関投資家も、Cruiseの自動運転技術が商用化に近づいているとして追加で投資した。

Microsoftの資本も重要だが、少なくとも両社の見方によればこのパートナーシップはCruiseにとって対等で長期的な価値がある。長期にわたる戦略的パートナーシップの下で、CruiseはMicrosoftのクラウドおよびエッジコンピューティングプラットフォームであるAzureを利用して自動運転ソリューションを大規模に商用化する予定だ。

自動運転車を手がける企業が商用化、つまり自社の技術を広く提供することを目指すとなると、堅牢なクラウドコンピューティングプラットフォームが必要だ。人や荷物を運ぶ多くの自動運転車を運用すると膨大な量のデータが生成され、自動運転車企業にとってはクラウドサービスにかかるコストが増大する。

CruiseとMicrosoftのパートナーシップは、両社にメリットをもたらすことを狙っている。Cruiseはクラウドサービスを低コストで利用でき、Microsoftは(まさに自動運転車のような)機械学習とロボティクスを実用化し大規模に展開するために必要なワークロードを扱うエッジシステムのテストを実施できる。

MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は発表の中で「デジタルテクノロジーの進化は私たちの仕事や生活のあらゆる面を再定義しています。人やモノの動きについても同様です。CruiseとGMが選んだクラウドとして、私たちはAzureのパワーを活かして両社が成長し自律輸送の主流となるよう支援していきます」と述べている。

米国時間1月19日の発表によれば、パートナーシップはGMにもおよぶ。Microsoftは今後GMのパブリッククラウドプロバイダーとして、GMがデジタル化の取り組みを加速しデジタルサプライチェーン全般にわたって業務を効率化するよう支援する。

パートナーシップによってCruiseは電動自動運転車の商用化を加速できる。また、GMの会長兼CEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は「GMは2025年までに全世界で30車種の電気自動車を投入し、新たなビジネスやサービスを創造して成長するにあたって、クラウドコンピューティングの果たす役割はますます大きくなると認識しています」と述べた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:CruiseGM資金調達MicrosoftAzure

画像クレジット:Cruise

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(翻訳:Kaori Koyama)

Geminiがビットコインリワード付きのクレジットカードを発表

仮想通貨交換のGeminiBlockrizeを買収し、米国時間1月14日にBlockrizeの事業をもとにした新しいプロダクトを発表した。Geminiは2021年後半に、通常のクレジットカードと同様に使え、購入金額に応じてBitcoin(ビットコイン)のリワードがもらえるカードの提供を開始する。

Geminiの新しいクレジットカードは他のクレジットカードと同様に使え、米国の顧客は最大3%(念のため書くが「最大」3%だ)のビットコインリワードを獲得できる。他の仮想通貨を獲得することもできる。リワードはGeminiのアカウントにデポジットされる。

ビットコインリワード付きのクレジットカードを発表するのはGeminiが初めてではない。2020年12月にBlockFiが発表していた。BlockFiもGeminiもカードの提供はまだ開始していない。

BlockFiの方は、不換通貨での購入に対して1.5%のリワードを約束している。年会費が200ドル(約2万700円)かかるが、カードを使い始めてから3カ月で3000ドル(約31万円)以上使えば250ドル(約2万6000円)がバックされる。

このような新しいカテゴリーのクレジットカードは、交換をしないでゆっくり仮想通貨を獲得したい人にとっては興味深いかもしれない。また仮想通貨に熱心な人は、それを減らしたくないので仮想通貨のウォレットに紐づけられたデビットカードを使いたがらない。このような人たちは「HODL(使わずにそのまま保有しておく)」と考えている。

キャッシュバックがもらえるクレジットカードの代わりとしてこのようなカードを検討する余地はあるかもしれない。確かに、特典と交換できるポイントは獲得できない。しかし特に考えなくても仮想通貨を獲得できる。

Geminiの利用者は予約申し込みができる。Blockrizeはクレジットカードに取り組んできた。現在はGeminiに買収され、以前にBlockrizeに申し込んだ予約はそのまま有効となる。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Geminiビットコインクレジットカード暗号資産 / 仮想通貨

画像クレジット:Gemini

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(翻訳:Kaori Koyama)

アマゾンが車やアプリ、ゲーム向けAlexaアシスタントを企業が独自開発するためのプロダクトを新たに提供

Amazon(アマゾン)は、企業がAlexaの基盤となっているテクノロジースタックを利用して独自の音声、スキル、ウェイクワードを持つインテリジェントアシスタントを開発できるようにする。これを最初に利用するのはFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)だ。

米国時間1月15日に発表されたAlexa Custom Assistantという新しいプロダクトは、Alexaアシスタントと共存し、協調して動作する。理論的に自動車メーカーは、ドライバーがクルマと関連する特定の製品やサービスを使うときには自社製のアシスタントで操作し、他の用途ではAlexaの音声アシスタントと統合するように構築できる。Amazonは例として、ドライバーがAlexaに車の窓を開けるように頼むとそのリクエストは自動車メーカーのアシスタントに転送され、自動車メーカーのアシスタントにオーディオブックを読み上げるように頼むとそのリクエストはAlexaに転送されると説明している。

そう、つまり、あなたの次のクルマにはAlexaが2つあるかもしれない。

動作の様子を示す動画が公開されている。

Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー)はAlexa Custom Assistantを利用する初の企業だ。Amazonによれば、フィアット・クライスラーブランドのインテリジェントアシスタントは一部のモデルの車に統合されるという。

ただしAmazonが売り込もうとしている相手は自動車メーカーだけではない。Amazonは、モバイルアプリやスマートホーム、ゲーム、家電にインテリジェントアシスタントを組み込めると説明している。Alexa Custom AssistantはAlexaのテクノロジースタックをベースにしている。カスタムのウェイクワードは、Alexaのウェイクワードを開発するのと同じプロセスで作る。Amazonは、企業がAlexaの音声科学の専門家に相談しながら録音のプロセスや高度な機械学習アルゴリズムを使う音声の開発を進められるよう支援する。開発者はAlexaにあらかじめ組み込まれたコミュニケーション、ローカル検索、交通情報、ナビゲーションなどの機能を利用して商用化までの時間を短縮することもできる。

Amazonは、企業がインテリジェントアシスタントを自社の顧客に効率よく低コストで提供できるようにすることがこの新しいプロダクトの狙いだと述べている。インテリジェントなAIアシスタントの開発は複雑で、通常は開発サイクルが長く、ゼロからの開発にもその後のメンテナンスにもリソースが必要だとAmazonは説明する。

もちろんこれは、たとえAlexa以外の名前で呼びかけられるものだとしても、Alexa搭載デバイスを増やす方策の1つでもある。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:AmazonAlexa

画像クレジット:Emmanuele Contini / NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

現場で働く人たちのためのスマートトランシーバーOrigami Labsの「OFLO」

Origami LabsのOFLOは従来のトランシーバーに代わるものとして開発された音声通信システムだ。ハードウェアは小型軽量で骨伝導ヘッドセットを備え、通信距離は無制限で複数チャンネルに対応している。OFLOは、業務中に画面を操作できない利用者のために自動ログと生産性向上ツールを備えたソフトウェアとも接続される。

不動産管理会社のJLLやラグジュアリーホテルチェーンのペニンシュラなどがOrigami Labsを利用している。Origami LabsはCESの台湾テックアリーナパビリオンでOFLOを紹介している

OFLOはヘルスケア、接客、警備、製造など、コンピュータの前に座ったりモバイルデバイスの画面を頻繁に見たりしながら仕事をするのではない多くの現場ワーカーのために作られている。現在使われているトランシーバーの多くは通信距離が限られ、1つのチャンネルを複数の利用者が共有する。OFLOは、ユーザーが特定の相手をコールできる点で優れている。またクロスプラットフォームなのでスマートフォンからOFLOの利用者に話しかけることもできる。OFLOのソフトウェアにはライブチャット、文字起こし、タスク管理、GPS位置情報の機能がある。

OFLOトランシーバー

OFLOは1ユーザー、1カ月6ドル(約620円)のサブスクリプションで利用できる。Origami Labの共同創業者でCEOのKevin Johan Wong(ケビン・ヨハン・ウォン)氏は、同社の月間経常収益は現在1カ月で20%増加しており、2021年第3四半期までに月間10万ドル(約1040万円)を目指していると述べた。

OFLOはOrigami Labの音声型リング製品であるOriiなどの技術をもとに作られている。ウォン氏はTechCrunchに対し、OFLOを「画面のないスマートフォンのようなもの」と考えていると語った。同氏が音声テクノロジーに興味を持った理由の1つは、父親のPeter Wong(ピーター・ウォン)氏が視覚に障がいのあるプログラマーでマイクロソフトのアクセシビリティツールの開発に関わっていたことだという。

ウォン氏は「我が社は画面がないような感じのコンピュータを操作できるデバイスを開発して、機会の平等を目指すよう常に心がけています」と述べた。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Origami LabsトランシーバーCES 2021

画像クレジット:OFLO

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(翻訳:Kaori Koyama)

写真の完全性を確保するNumbers Protocolのブロックチェーンカメラアプリ「Capture」

オンラインでの誤情報やフェイクニュースの拡散は、公共の福祉に危険な影響を及ぼす。誤情報との闘いは困難で、大統領選挙前にPew Researchが実施した調査によると、米国人の73%は主要テック企業がプラットフォームの悪用を防ぐ能力についてほとんど、あるいはまったく信用していないという。ブロックチェーン技術を使ってオンラインコンテンツの信憑性を守るオープンソースのStarling Framework for Data Integrityが公開され、写真やビデオの「出生証明書」を作成して変更をすべて追跡できるようになっている。Startling Frameworkの共同作成者が台北を拠点に創業したスタートアップのNumbers Protocolは、この技術を商品化して幅広く普及するよう取り組んでいる。

Numbersは現在、CESの台湾テックアリーナパビリオンでブロックチェーンカメラアプリ「Capture」を紹介している。このアプリはApp StoreGoogle Playストアからダウンロードできる(訳注:本稿日本語記事公開時点で、日本のApp Storeでは未公開)。

ジャーナリズム、特に市民ジャーナリズムがCaptureアプリのユースケースであることは明らかだが、オンラインで共有されている画像は自分が作ったものだと証明したい人にとっても有効だ。Numbersはこのアプリにビデオカメラ機能などを追加していく予定だ。

台湾のスタートアップ、Numbers Protocolが開発しているブロックチェーンカメラアプリ「Capture」のスクリーンショット

Captureアプリケーションで撮影した写真には、ブロックチェーンで証明されシールされたメタデータが付加される(ユーザーが正確な位置情報を共有したくないときなどにはプライバシーの設定を変更できる)。その後は、誰かが編集ソフトで編集するなど写真に変更が加えられると追跡され記録される。

共同創業者のTammy Yang(タミー・ヤン)氏はTechCrunchに対し、Numbersはアプリにビデオ機能を追加し、また証明済みコンテンツを公開できるチャンネルを開設する計画で、情報産業を変えることを目指していると語った。

Numbersを始める前、ヤン氏はスタンフォード大学と南カリフォルニア大学ショア財団の取り組みであるStarling Frameworkに携わっていた。ショア財団は大量虐殺や大規模な暴力から生き延びた人々の証言を保存しており、Starling Frameworkのテクノロジーは写真とビデオの保護のために開発された。Starling Frameworkは2020年3月の米国大統領予備選挙の際に、ロイターのジャーナリストが写真の撮影、検証、保管をするのにも使われた(Starling FrameworkにはFilechain、Hala Systems、Protocol Labsも協力している)。

デジタル一眼レフカメラやAdobe Photoshopなどのソフトを利用しているフォトジャーナリストが多いため、Starling Frameworkはショア財団およびロイターと協力してそのテクノロジーを両者のワークフローに統合した。Captureアプリはこのテクノロジーを幅広く使えるようにするために開発された。

ヤン氏は、フェイクニュースや誤情報によって写真の完全性を確保する必要性が一般に認識されるようになったと語る。ブロックチェーン技術を使ってデータやコンテンツを保護する企業は他にもあるが、Numbersは撮影された時点で写真を証明しその後のすべての変更を記録し続けることに的を絞っている。

「我々はカメラそのものに着目しているので、写真を撮影した時点ですでに完全性が確保されています。カメラアプリで写真を撮影し、その写真がコンテンツプラットフォームにコピーされたら、出所を証明するのは極めて難しくなります。Facebookから写真を持ってきてブロックチェーンに登録しても意味がありません。Captureアプリで撮影すれば即座にブロックチェーンに登録される点がまったく異なります」とヤン氏は述べている。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Numbers Protocol写真CES 2021

画像クレジット:d3sign/Moment / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

めん類、丼もの、点心を作ってくれるYo-Kai Expressの家庭用スマート自動調理器「Takumi」

Yo-Kai Expressはオフィス、ショッピングモール、ホテルなどで利用されるレストランの自律テクノロジーで知られる。新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により人々が外出しなくなる中、同社は複数の機能を持つスマートホームクッキング機器のTakumiを発表した。Takumiにはコーヒーメーカー、IH調理器、調理器具や哺乳瓶を消毒するためのスチーマーが備わっている。あらかじめプログラムされたレシピが入っているアプリとTakumiをRFIDで接続したり、水の容器の残量が少なくなったらアラートを送ったりすることもできる。

Yo-Kai Expressは現在、CESの台湾テックアリーナでTakumiを紹介している

Yo-Kai Expressのスマートホームクッキング機器、Takumi

米国西海岸のベイエリアではYo-Kai ExpressのOcto-Chefを見かけることがある。温かい麺類(ラーメン、うどん、フォー)を出す自動販売機だ。サンフランシスコ国際空港、サンフランシスコのMetreonショッピングモール、企業内などに設置されている。しかしYo-Kai Expressは人々が家にとどまっている状況に対応しようとしている。2020年4月には家庭用のミールキット配送サービスを始め、現在では米国全州で利用できる。

家で料理をしたいけれど時間(とスペース)がない人のために、あらかじめプログラムされたTakumiのレシピはわずか2〜8分で作れるようになっている。Yo-Kai Expressはめん類で有名だが、Takumiのメニューには丼もの、点心、餃子、パスタもある。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Yo-Kai Express料理CES 2021

画像クレジット:Yo-Kai Express

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(翻訳:Kaori Koyama)

トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

ここ数年間、テック業界はDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領を穏やかになだめてきた。しかし2021年米国時間1月6日に発生したワシントンD.C.の連邦議会議事堂襲撃の後、業界は一斉に大統領に対抗する姿勢を打ち出した。TwitterからPayPalまで多くの企業がトランプ氏に対して、また場合によっては関係者や支持者に対しても、サービスの利用に関して前例のない制限や徹底的な排除を課した。

ここ数日間、これに関するニュースが絶え間なく大量に報じられている。そこで本記事では、どの企業がいつ対抗策を講じたか、今後どのような展開が予想されるかをまとめる。

Twitter:永久追放し、代替となり得るアカウントも停止

Twitterはトランプ氏の発言が節度を失わないようにするにはどうするかという議論において重要な役割を担ってきた。同氏はTwitterを好んで使う傾向があり、@realDonaldTrumpアカウントには9000万人近くのフォロワーがいるからだ。Twitterはこれまでに同氏に繰り返し警告を発し、選挙の正当性に関する発言や誤情報にラベルを付け、不規則発言のツイートは完全にブロックしてきた。

しかし1月第2週、ツイッターの我慢は限界に達したようだ。1月6日に議事堂が襲撃された直後、Twitterは襲撃に関するトランプ氏のツイートに関してユーザーに警告を発する大きなバナーを表示し、リツイートできないようにした。数時間後、Twitterはトランプ氏の個人アカウントを12時間停止した

当初は、通常の状況に戻るだろうと思われた。Twitterが米国時間1月7日午前中、暴力の扇動に関する同社のポリシーに違反すると考えられるいくつかのツイートを削除すればトランプ氏のアカウントを復旧することにしたからだ。同日、トランプ氏は最近の激しい勢いよりはややおとなしく感じられる動画を添付してツイートした。ビデオの中で同氏は大統領選挙の結果を受け入れることを初めて表明した。

しかしTwitterに対する外部からの、そして社員からの大きなプレッシャーによって、すぐに方針が変わった。米国時間1月8日の夜遅く、Twitterはトランプ氏を同社のプラットフォームから永久に追放することを決定したと発表し、@realDonaldTrumpのアカウントを凍結した。これに続き、同氏の選挙活動公式アカウントである@TeamTrumpや大統領の公式アカウントである@POTUSなどの関連アカウントをトランプ氏が利用できないようブロックし、同氏の個々のツイートを削除するなど、モグラ叩きのように対策を講じた。Twitterのポリシーには、ブロックされたユーザーは利用禁止を回避する目的で別のアカウントの使用を試みてはいけないと記載されている。

Twitterはトランプ氏の関係者や幅広いオーディエンスに対しても措置を講じ、Micheal Flynn(マイケル・フリン)氏、多くのトランプ氏支持者、QAnon(キューアノン)のさまざまな人物をブロックした

まもなく新しい大統領が誕生し、公式の@POTUSアカウントはJoe Biden(ジョー・バイデン)氏の新政権に引き継がれるが、2016年のBarack Obama(バラク・オバマ)氏からトランプ氏への移行の時とは異なり、Twitterはこのアカウントのフォロワー数をゼロにリセットする意向のようだ

トランプ氏自身に関していうと、同氏がメインで使ってきたプラットフォームからの永久追放には別の疑問が湧いてくる。同氏はこれから大言壮語や悪口雑言をどこで繰り広げるのだろうか?これまでのところ、同氏が別のソーシャルネットワークに活動の場を移した様子は見られない。しかしここ数年(Twitter上ではこの10年間)のことを考えると、同氏がゴルフコースにただ戻って静かにやり過ごすとは思えない。

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Snap:約半年前にオーディエンスの勢いをそぎ、今回は迅速にアカウントをロック

Snapは米国時間1月6日の議事堂襲撃の後、同日中にトランプ氏のアカウントをロックした。襲撃に対して迅速に対応できたテック企業の1つといえるだろう。Snapがアカウントをロックしたことにより、同氏はこのプラットフォーム上で約200万人のフォロワーに向けて新たな投稿をすることができなくなった。TechCrunchが把握している限りでは、ロックの措置はまだ続いているが同氏の公式プロフィールは現在も見ることができる。

ミネアポリスでのGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死をきっかけに起きたBlack Lives Matterの抗議行動の後、Snapは2020年6月、同社が内容を選んで掲載する「Discover」タブからトランプ氏のアカウントを削除することで同氏のアカウントの拡散や発見を制限すると発表していた

トランプ氏はSnapのプラットフォームを効果的に利用していたわけではなく、また無期限でアカウントが停止されているため、同氏が今後Snapを本拠地にすることはなさそうだ。

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FacebookとInstagram:「期限未定」で短・中期的な利用停止か

FacebookはTwitterと並んでトランプ氏の支持者に人気があり、右派有名人の多くが利用する(Twitterの「Facebook’s Top 10」アカウント)プラットフォームでもある。ここ数年、報道機関はFacebookの穏健な対応を厳しく追及してきたが、Facebookはトランプ氏に対して直接的な行動に出ることをほとんど避けてきた。1月第2週までは。

米国時間1月6日に暴徒が議事堂から退場すると、Facebookは暴力を助長していると考えらえるトランプ氏の動画を削除した。1月6日の夜遅くになって、同社はついにポリシーの適用を拡大し、3300万の「いいね!」やフォロワーがついている同氏のアカウントを24時間停止した。同社は、トランプ氏が複数回にわたってポリシーに違反したため24時間の停止が自動的に発動したとしている。同時にFacebook(とInstagram)は議事堂襲撃に関連するトレンドのハッシュタグをブロックする措置を講じた。

米国時間1月7日朝、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はFacebook上での個人としての投稿で、トランプ氏の利用を最低でも2週間、「期限未定」で停止すると発表した。2021年1月20日正午に実施されるバイデン次期大統領の就任式あたりまでは停止の措置が延長されることになる。

就任式の後はどうなるだろうか。それは現時点ではわからない。トランプ氏のアカウントは停止されてはいるが無効になってはいない。従って同氏が自分のページに新しい内容を投稿することはできないが、現在もFacebookユーザーは同氏のページを見られる状態だ。Facebookは、政権移行が完了したら停止措置を解除するかもしれないし、措置を長く続けるかもしれない。Facebook上でのトランプ氏の存在は大きく、同氏の支持者にも非常に人気のプラットフォームであることから、Facebookは攻撃的なコンテンツの禁止と、収益にとって重要なユーザー維持との間でこれまで以上に難しい板挟みになっている。

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ShopifyとPayPal:eコマースのプラットフォームはトランプ氏の公式商品を当面販売しない

トランプ氏のオーディエンスをブロックしたのはソーシャルネットワークだけではない。eコマース大手も同氏に対しプラットフォームの節度を守る行動をとっている。米国時間1月7日、Shopifyは同氏の選挙活動グッズと個人ブランドの両方についてストアを削除したと発表した

Shopifyは数年前にプラットフォームの節度を守るための対処はしないとしていたが、最近では2018年に右派系のストアをいくつか削除するなど、問題があると考えられるストアを削除している。今回の対応はこうした方針が進展したものだ。

PayPalは1月第2週に、議事堂襲撃を支援する資金の支払いをPayPalで調整していたトランプ氏支持者グループのアカウントをいくつか無効にした。PayPalが政治的なアカウントを停止する動きは増えている。2019年には極右の活動家を、2017年にもバージニア州シャーロッツビルでの暴力的な抗議行動をきっかけに多数の極右団体のアカウントを停止した。TechCrunchが調査できる限りでは、アカウントの停止は今のところトランプ氏自身には及んでいない。

トランプ氏の著名な個人ブランドや同氏が大統領になる前の商品タイアップ好きを考えると、ShopifyとPayPal、そして他のeコマースプラットフォームが2週間後に大統領の座を退いた後のトランプ氏にどのように対応するかが大きな問題だ。同氏は再びステーキや水やオーデコロンの販売をするのだろうか。同氏は商品をオンラインで販売するeコマースの場を必要とするのだろうか。それは、同氏が次にどこを目指すのか、今後も政治に取り組むのか商売の追求に戻っていくのかによる。

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GoogleとAppleがParlerアプリをストアから削除

トランプ氏の支持者や、Facebookなどのプラットフォームが節度ある行動を示すことを懸念する人々にとって、Parlerは代替ソーシャルネットワークの筆頭だった。本稿の原文記事公開時点でこのアプリは米国App Storeの第1位だった。セキュアな暗号化メッセージアプリで1月第2週にElon Musk(イーロン・マスク)氏が強く推奨した第4位のSignalよりも上位だった。

しかし議事堂襲撃をめぐって、成長のためのParlerのご都合主義はきわめて現実的な障壁にぶつかった。米国でモバイルアプリのストアをそれぞれ運営する2つのテック企業だ。

Googleは1月8日の夜に、Parlerアプリはソーシャルネットワークとしての節度とフィルタリング機能が欠けているとして同社のストアからこのアプリを削除すると発表した。本記事公開時点でアプリのページは表示されない。したがって、新たにGoogle Playストアからアプリをインストールすることはできないが、すでにParlerをインストールして使っているユーザーは使い続けることができる。

一方Buzzfeedは、AppleがParlerの開発者に対し、安全を脅かすコンテンツをフィルタリングする機能を即座に搭載しない限りはGoogleと同じ対応を取るとして24時間の猶予を与えたと報じている。本稿の原文記事公開時点ではAppleのApp StoreでParlerアプリがまだ公開されていたが、現在は削除されている。

コンテンツのモデレーターを大量に雇用する必要があるなどコンテンツの節度は複雑な問題であるため、Parlerが短期間で要請に応えられるとは到底考えにくい。長期的に見てアプリやトランプ氏の支持者が今後どうなるかは、現時点では誰にもわからない。

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Discord、Twitch、YouTube、Reddit、TikTok:ソーシャル関連企業はトランプ氏のソーシャル活動を望まない

最後に、その他のソーシャルネットワーキングに目を向けてみよう。トランプ氏はFacebookやTwitter本社では不人気だが、最近は他社でも同様に不人気だ。ソーシャル関連各社は自社サイトへのトランプ氏のアクセスをブロックし、同氏の関係者にも対策を講じている。

Google傘下のYouTubeは米国時間1月7日に、トランプ氏自身のチャンネルも含めて選挙に関する誤情報を発信したチャンネルへの「処罰」を開始すると発表した。これまでは選挙の誤情報を含むビデオには警告のラベルが付けられたが、チャンネルそのものにはなんら影響はなかった。2020年12月にYouTubeはこのポリシーを変更し、選挙の誤情報を伝えた動画を完全に削除することにした。

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Twitchがトランプ大統領のチャンネルを任期終了まで停止、政権移行への「危害を最小限」に

1月第2週に変更された最新のポリシーは以前のアプローチをさらに拡大したもので、チャンネルが違反をするたびに停止期間が長くなる。一定の期間内に違反が所定の回数に達すると、最終的にYouTubeチャンネルが永久に削除される。これがSteve Bannon(スティーブ・バノン)氏のチャンネルにきっちり適用され、YouTubeのポリシーを繰り返し違反したとして1月8日午後遅くに永久に削除された。一方、300万人弱のフォロワーがいるトランプ氏のYouTube公式チャンネルはまだ見ることができる。

YouTube以外では、TwitchがFacebookと同様のポリシーによりトランプ氏の使用を「無期限」に、少なくとも米国時間1月20日の就任式までは停止したと米国時間1月7日朝に発表した。Twitchでの同氏のフォロワー数はおよそ15万1000人と限定的で、同氏のソーシャルメディアアカウントの中では重要度が最も低い。

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暴徒が米国議事堂を襲う中、Redditがサイト規約違反に対処

トランプ氏の支持者も人気のテックプラットフォームから削除されている。米国時間1月8日にRedditは「r/donaldtrump」のサブレディットを停止したと発表した。このサブレディットはReddit上に多数ある非公式コミュニティのひとつで、トランプ氏の熱烈な支持者が集まっていた。Redditは2020年6月には批判の多かった「r/The_Donald」のサブレディットを削除していた。Discordは米国時間1月8日に停止されたサブレディットに関連するサーバーをシャットダウンし、その理由を「暴力を扇動するオンラインフォーラムとのつながりが明らかであるため」と説明した。

TikTokは米国時間1月7日に、議事堂襲撃に関する情報の拡散を制限すると発表した。具体的にはハッシュタグのリダイレクトのほか、暴力的なコンテンツやトランプ氏自身から支持者に向けたビデオメッセージの削除などだ。トランプ氏はTikTokのアカウントを持っていないため、TikTokの対応の大半は同氏の支持者と議事堂襲撃の状況に関する幅広いコンテンツを対象としたものだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ドナルド・トランプソーシャルメディアSNSアメリカ米国大統領選挙

画像クレジット:Jose A. Bernat Bacete / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

時間が経つほど開封されなくなるテキストマーケティングツールを改善するVoxieが約7億円を調達

多くのスタートアップは創業者自身が直面した問題を解決するために始まる。アトランタを拠点とするVoxieもそうだ。

Voxieの創業者でCEOのBogdan Constantin(ボグダン・コンスタンティン)氏の場合は、以前に同氏が創業したタキシードレンタルスタートアップのMenguinがそのきっかけだった(Menguinは最終的にGeneration Tuxに買収された)。Menguinでは6〜9カ月のサイクルで商品を売り込まなくてはならなかった。顧客は通常、結婚式のためにタキシードを検討するからだ。

コンスタンティン氏は、メールマーケティングは時間が経つほど開封されなくなっていくという。そこである日、登録した人全員に「Menguinであなたを担当するパーソナルスタイリスト」と自己紹介するテキストメッセージを送ってみた。すると当然のことながら、多くの反応があった。

多くの顧客とこのようなテキストメッセージのやり取りをするのはもちろん難しい。これが、このプロセスを自動化し管理するツールをVoxieが提供する理由だ。同社はシリーズAで670万ドル(約7億円)を調達した。

コンスタンティン氏は、他のテキストマーケティングツールと比べるとVoxieから送信したメッセージはリアルで相手に合わせた会話のように感じられるという。Voxieのメッセージは80〜90%が自動化されたもので、残りを人間が書いているにもかかわらずだ。また、Voxieを使う企業は通常の10桁の電話番号からメッセージを送信できる(マーケティングに多く使われているのは5桁の番号だ)。

画像クレジット:Voxie

Voxieはもともと大企業向けに作られたが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により低価格版を構築したとコンスタンティン氏は説明する。低価格版は「まさに今、苦境と闘っている小売業、レストランのフランチャイズブランド、メインストリートブランド」に利用されている。

同氏はさらに「全国に数百の店舗があり顧客にもっとエンゲージしたいブランドと連携し、顧客の名前や子供の数を尋ねてその情報を個人プロフィールとして保存できるようにしています」とも述べる。

現在、LG、Danone、Massage Heights、Buff City SoapなどがVoxieを利用している。

資金調達はNoro-Moseley Partnersが主導し、Circadian VenturesとEngage Venturesのほか、アトランタのアントレプレナーのWain Kellum(ウェイン・ケラム)氏、Andy Powell(アンディ・パウエル)氏、David Cummings(デビッド・カミングス)氏、Fred Castellucci(フレッド・カステルッチ)氏が参加した。

Noro-MoseleyのJohn Ale(ジョン・エール)氏は発表の中で「Voxieはブランドが顧客とパーソナライズされた会話を大規模に交わせる唯一のプラットフォームとしてマーケットをリードしています。このことはポストコロナの世界で同社の顧客企業が成功するためのキーになると我々は見ています。企業はVoxieを気に入っています。重要な収益を短期間で向上でき、コンテンツをパーソナライズすることでメッセージの有用性や自社のニーズとの高い関連性を見いだせるからです」と述べた。

コンスタンティン氏は、今後テキストメッセージの会話から直接注文できる「返信して購入」機能を提供すると述べた。また、同社は現在はSMSに的を絞っているが、さらに大きなビジョンがあるという。「我々は適切なメッセージを、適切なタイミングで、適切な手段で届けられるようにしたいと考えています」とコンスタンティン氏はいう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Voxie資金調達マーケティング

画像クレジット:d3sign

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(翻訳:Kaori Koyama)

サッカーなどのチームスポーツを記録し編集、配信できるAIカメラのVeoが約25.5億円を調達

スポーツの放送や配信は世界中で人気があって収益性が高く、放送局や広告主、視聴者にとって魅力があるため、お気に入りのチームやアスリートを見る(そしてスポンサードする)機会を確保するために巨額の金銭が動いている。

そして当然のことながらスポーツのコンテンツには一般に多額の費用がかかるため、制作と配信はさらに難しい。しかし米国時間1月6日、自律的なAIベースのカメラでチームが試合を録画、編集、配信できるようにして従来のモデルを打破しようとするスタートアップが、スポーツチームや試合のロングテールをターゲットにしたビジネスを構築するための資金調達について発表した。

Veoはコペンハーゲンのスタートアップで、ビデオカメラとクラウドベースのサブスクリプションサービスを開発している。このカメラとサービスを使って、録画した後に自動で試合のハイライトを選び出し、プラットフォーム上でそのビデオコンテンツを公開できる。このVeoがシリーズBで2000万ユーロ(約25億5000万円)を調達した。

このラウンドはデンマークのChr. Augustinus Fabrikkerが主導し、米国のCourtside VC、フランスのVentech、デンマークのSEED Capitalが参加した。VeoのCEOで共同創業者のHenrik Teisbæk(ヘンリック・タイスベック)氏はインタビューで同社の評価額を公表していないと語ったが、資金調達に近い情報筋によれば評価額は1億ドル(約104億円)を超えているという。

タイスベック氏は、調達した資金で事業を2つのレベルで引き続き拡張する計画だと述べた。その1つ目として、Veoはマイアミにオフィスを構え米国の事業を拡大していく。

もう1つの計画は、テクノロジーのさらなる充実だ。Veoは世界中で最も人気のあるチームスポーツであるサッカーの試合の録画と解析に合わせたコンピュータビジョンソフトウェアの最適化を始めており、同社のカメラ(販売価格800ドル、約8万3000円)と付随する必須のサブスクリプション(年間1200ドル、約12万5000円)を購入する顧客が、視聴者向けとトレーニングや選手の選考といった実用目的の両方で映像を使えるようにする。ポイントは、カメラをチーム自身がセットアップして使える点だ。いったん設置すれば、広角でサッカーのフィールドの大部分(あるいはプレイしている場所ならどこでも)を録画し、これをもとに後からズームや編集をすることができる。

画像クレジット:Veo Technologies

現在、Veoはコンピュータビジョンのアルゴリズムを構築して、ラグビーやバスケットボール、ホッケーなど多くのチームスポーツに提案の幅を広げようとしている。生成されるビデオクリップや試合に関する分析の種類も増やしている。

2021年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響でスポーツに関する多くの活動が停滞するだろう。たとえば英国はまたロックダウンされ、プロリーグのチームスポーツは障がい者チームを除いて停止している。このような状況にも関わらず、Veoは成長を見せている。

同社のサービスは現在、プロのスポーツチームからアマチュアの子供のクラブまで世界中のおよそ5000チームに利用されている。2018年の事業開始以来、20万試合を録画し解析した。この20万試合の多くは2020年に米国で実施されたものだ。

参考までに紹介すると、TechCrunchは2019年にVeoが600万ドル(約6億2000万円)を調達したと報じたが、この時点では1000チームに利用され2万5000試合を録画したと発表されていたので、顧客数は5倍に増えたことになる。

2020年、新型コロナウイルス感染拡大はまさにスポーツのフィールドを変えた。文字通りの意味でも、比喩的な意味でも。観客、アスリート、サポートするスタッフも例外なく感染拡大に注意を払わなくてはならない。

試合数だけでなく観戦にも変化があった。2020年にNBAはシーズンの試合を最後まで実施するために大変な苦労をしてフロリダ州オーランドにバブルと呼ばれる大規模な隔離施設を用意した。ファンは観客席にはいなかったが、試合とファンはバーチャルのイベントに移行した。

NBAのこうした取り組みにはいうまでもなく大変な費用がかかり、規模の小さいリーグでは到底できない。この困難な状況が、Veoにとっては興味深いユースケースにつながっている。

感染拡大前のVeoは、順調なときでさえカメラを買ったり試合を撮影するビデオグラファーを雇ったりする費用を捻出するのが難しいスポーツ組織のロングテールにサービスを提供しようと、ひっそりとビジネスを構築していた。同社のサービスはスポーツイベントを楽しむのに重要な部分であるだけでなく、チームの育成にも役立つ。

タイスベック氏は「サッカーは録画して放送されるものという認識がありますが、(たとえば)英国で録画して放送されるのはプレミアリーグだけです。そこから1つか2つ下のリーグでは何も録画されていません」と語る。Veoが登場する前のサッカーの試合について「足場に上って撮影する人や、ハイライトを切り出す時間とお金が必要でした。これはあまりにも困難です。しかしビデオは才能を伸ばすための絶好のツールです。子供たちは見て学びます。そしてスカウトされることを目指して大学にビデオを送ることもできます」とも述べる。

こうしたユースケースが感染拡大とともに増えたと同氏はいう。「コロナ禍のルールで保護者は外出して子供の試合を見ることができないため、ビデオが試合を見るツールになっています」。

「我々はShopifyでありAmazonではない」

Veoのこれまでのビジネスモデルはタイスベック氏のいう「ロングテールのセオリー」によるものだった。スポーツに関して同氏は「1試合の視聴者は多くなくても、何百万もの試合が実施されています」と語る。しかし多くの高校生スポーツが在校生の枠を超え、卒業生のサポーターやファン、そして企業や近隣の人々といった地元のファンを魅了していることを考えれば、ロングテールのオーディエンスは想像より多いかもしれない。

Veoはロングテールを狙っているので、ターゲットユーザーは必然的に幅広いアマチュアやセミプロのクラブ、そしてそれに関連する人々ということになるが、実はビッグネームにも浸透している。

Veoのカメラはプレミアリーグ、スペインのラ・リーガ、イタリアのセリエA、フランスのリーグ・アンのほか、米国MLSのインテル・マイアミ、オースティンFC、アトランタ・ユナイテッドFC、FCシンシナティといったサッカークラブでも使われている。タイスベック氏は、メインの配信に使われるのではなくてもトレーニングを支援したり各組織に付随するアカデミーでも利用されていると述べた。

同氏は、長期的な計画として蓄積されたコンテンツでメディア帝国を築きたいわけではなく、顧客が望み通りに使えるコンテンツを作れるようにしたいのだという。同氏はこれを「ShopifyでありAmazon(アマゾン)ではない」と表現した。

「次のESPNを作ろうとしているのではなく、我々のテクノロジーを通じてクラブがこれまでのしがらみから解放されるようにサポートしているのです。クラブが試合やプレイを今ここにいるオーディエンスのために録画して配信できるようにしたいと思っています」(タイスベック氏)。

同氏は勝機をこのように見ているのかもしれないが、すでにもっと大きな成功を思い描いている投資家もいる。

Courtside VCのパートナーであるVasu Kulkarni(バス・クルカルニ)氏は、コスト効率の良い方法でスポーツを記録し解析するスマートなテクノロジーを開発するVeoのような企業を支援したいと述べている。Courtside VCは(その名が示すように)さまざまなスポーツ関連企業の支援に力を入れており、スポーツ情報サイトのThe Athletic、Microsoft(マイクロソフト)に買収されたゲームストリーミングサービスのBeamなど多くの企業に投資している。

クルカルニ氏は、そのような会社を見つけるのに4年近くを費やしたという。

「ロングテールで記録されるスポーツコンテンツの価値をずっと信じてきました」と同氏は語る。たまたま同氏自身が学生時代にスポーツのトレーニングを追跡して記録するKrossoverという企業を立ち上げていた。Krossoverは最終的に、Veoの競合であるHudlに買収された(Hudlリリース)。

「NBAファイナルがVeoで録画されることはないでしょう。それはリスクが大きすぎます。しかしマスメディアが人を雇って制作しライブ配信するほどではない分野では、コンピュータビジョンとAIが低コストで録画や配信をすることになるでしょう」(クルカルニ氏)。

経済性が重要であるとクルカルニ氏はいう。カメラは1000ドル(約10万4000円)未満で、「保護者がBest Buyで100ドル(約1万400円)で買ったビデオカメラ」よりも明らかに良いものが制作できなくてはならない。

クルカルニ氏は、長期的にはクラブがコンテンツをもっと幅広いオーディエンスに届けるにはどうすればいいかを検討するタイミングが間違いなくあるだろうと考えている。特にハイライトの活用やアマチュアのベストゲームのコンテンツで、そこに映っているプレイヤーの誰かが世界中に知られる一流アスリートになる前のものだ。学生時代のMichael Jordan(マイケル・ジョーダン)のプレイを見られたらどれほど興奮するか考えてみよう。同氏は「AIによってベストプレイを10〜15個を選んでつなぎ合わせ、ハイライト動画を作ることをができるだろう」という。そのようなハイライト動画は、選手の保護者にとどまらずもっと幅広いスポーツファンの市場を発見することにつながるかもしれない。

スポーツをもっと見たいと感じる人々の市場が大きくなって、このようなコンテンツが市場に提供されるようになるだろう。家で過ごしながらビデオを見る時間が増えて、オーディエンスは増える傾向にある。タイスベック氏は「スポーツを記録したビデオが増えれば、スポーツはプレイヤーにとってもファンにとってもより良いものになる」と述べた。

関連記事:サッカーの試合をAIカメラで全場面録画するVeoが米進出を狙う

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Veo資金調達スポーツコンピュータビジョン

画像クレジット:Veo Technologies

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(翻訳:Kaori Koyama)

カリフォルニアの植物性卵スタートアップ「Eat Just」が中国のファストフードチェーンに製品を供給

サンフランシスコの食品スタートアップで鶏に由来しない卵を製造しているEat Justは、中国市場を開拓しようとしている。中国では植物性食品の需要が高まりつつあり、ここ数四半期でBeyondなど欧米のビーガン代替ブランド製品が販売されるようになっている

Eat Justは2021年1月第2週に、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンのライバルである中国ファストフードチェーンのDicosに今後製品を供給すると発表した。この合意により500店舗以上のDicosの朝食メニューにEat Justの植物由来卵が加わる。この卵は緑豆から作られており、緑豆は中国ではスープや麺、デザートの材料として長く親しまれている。

中国の大都市にあるDicosでEat Justの代替卵を使った朝食のバーガー、ベーグルサンド、洋風朝食プレートが食べられるようになる。Dicosの植物ベースのメニューには中国スタートアップのStarfieldが供給するビーガンチキンバーガー(Sixth Tone記事)がすでにあり、この代替卵によって選択肢が増える。Dicosは、すでに拠点があり中国大都市部の富裕層以外の人々に植物由来タンパク質が広まると見込まれる一線都市以外の都市にも販路を広げる。Dicosは中国国内で2600店舗を経営し、年間6億人に食事を提供している。

Eat Justのグローバルコミュニケーション担当責任者であるAndrew Noyes(アンドリュー・ノイエス)氏はTechCrunchに対し、Eat Justは2019年に中国市場に参入したばかりで現時点では中国での売上は同社の売上の5%に満たないと述べた。しかし将来的には中国での売上が半分以上になると予測している。同社の160人の従業員のうち10人が中国を拠点としている。

Eat Justのビーガン卵レシピ(画像クレジット:Eat Just)

ノイエス氏は「我々は意図的に小さく始めてゆっくり進み、市場を知っていて持続可能なビジネスをどう構築するかを理解している人材を雇ってきました。我々は下流の製造工程、販売、供給にともに取り組む最適なパートナーを見つけることにも力を注ぎ、これを継続しています」と述べた。

Eat Justはアジア子会社の設立を発表していたが、Dicosとの提携はこれに続くものだ。Eat JustはかつてはHampton Creekという社名で、創業から9年が経つ。同社はLi Ka-Shing(レイ・カーセン)氏、Peter Thiel(ピーター・ティール)氏、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏、Khosla Venturesなどの著名投資家から3億ドル(約310億円)以上を調達した。最新の評価額は12億ドル(約1240億円)だった。

Eat JustはDicosと提携する前に、アリババやJD.comなどの小売チャネルを通じてすでに中国でオンライン販売を始めていた。Eat Justの中国事業は現在、前年比で70%成長している。

中国における植物由来食品の競争は熾烈だが、Eat Justは卵に集中することで独自の立場を取っていると主張する。

ノイエス氏は主力製品のブランド名について「植物由来肉の企業はJust Eggとの組み合わせで美味しく食べられる製品を提供しています」と説明する。

「中国の消費者の間で植物由来食品の人気が高まり、持続可能な食事は中国の将来的な食品供給に関する国民的な話題の1つになっています。中国では年間およそ4350億個の卵が生産され、タンパク質の需要は増えています」とノイエス氏。

実際、Euromonitorは世界最大の肉消費国である中国の「動物肉フリー」市場について、2018年に100億ドル(約1兆300億円)であったのに対し2023年までに120億ドル(約1兆2500億円)に成長すると予測している

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カテゴリー:フードテック
タグ:Eat JustDicos食品代替卵中国

画像クレジット:Eat Just

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(翻訳:Kaori Koyama)