テスラの「フル セルフドライビング」のベータ版ソフトは運転成績が良い者だけが使える

Tesla(テスラ)のCEO、Elon Musk(イーロン・マスク)氏によると、同社は今後、個人の運転データを利用して、議論を呼んでいる同社の「フル セルフドライビング」(FSD)ソフトを購入したオーナーが、より多くの自動運転機能を約束する最新のベータ版にアクセスできるかどうかを判断するために、個人の運転データを使用するという。

米国時間9月16日夜のマスク氏のツイートによると、FSD Beta v10.0.1のソフトウェアアップデートはすでに一部の選ばれたオーナーに公開されているが、9月24日からより広く利用可能になるという。

現在1万ドル(約110万円)のFSDにお金を払っているオーナーは「ベータリクエストボタン」によりベータソフトウェアにアクセスできる。マスク氏のツイートによると、ベータソフトウェアをセレクトしたドライバーは、Teslaの保険計算アプリにより自分の運転行為にアクセスする許可を求められる。

「運転が7日間良好であれば、ベータ版へのアクセスが認められる」とツイートでは述べられている。

Teslaの車両には、「Autopilot(オートパイロット)」と運転支援システムが標準で装備されている。さらに1万ドルを払うと、オーナーは「フル・セルフドライビング」すなわちFSDを購入できる。FSDは、いつか完全な自律走行を実現するとマスク氏が繰り返し約束しているソフトウェア

絶えず値上げが行われているFSDは、その度に機能が増えている。これまで何年間もオプションとして提供されていたが、Teslaの車両は自動運転車ではない。FSDには駐車機能の「Smart Summon」と、オートパイロットにもある「Navigate」がある。これはハイウェイのオンランプやオフランプに導く常時動いているガイダンスシステムで、インターチェンジや車線変更のガイドもする。

最新のFSDベータ版は、高速道路や市街地での運転を自動化するという。しかし、これはレベル2の運転支援システムであり、ドライバーは常に注意を払い、ハンドルから手を離さず、コントロールする必要がある。このベータ版ソフトを使用したオーナーの体験談が投稿されているが、その能力についてはさまざまな意見がある。ある動画では、車両は市街地走行をこなしているが、多くの動画では、曲がり損ねたり、縁石に近づきすぎたり、前に進まなかったり、あるケースでは歩行者に向かって急に逸脱したりして、ドライバーがコントロールしている様子が見られる。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テスラが規制当局の監視下にある中国でイーロン・マスク氏は同国自動車メーカーを称賛

中国で開催されたWorld New Energy Vehicle Congress(WNEVC)に事前収録で参加したElon Musk(イーロン・マスク)氏は、珍しく原稿どおりのスピーチの中で、中国の自動車メーカーに対して融和的かつ賛辞的なコメントを述べ、米国での発言スタイルとは一線を画した態度を取った。

「中国の多くの自動車メーカーがこのような(EVやAV)技術を牽引していることに大きな敬意を表します」と、後ろの窓にリングライトが映り込んでいる部屋から同氏は語った。もしかしたらクライシスコミュニケーションの専門家がフレームの外にいて、彼に準備した発言を続けるように促しているのではないかと疑ってしまいそうな光景だった。

しかし、おそらくマスク氏に外からの働きかけは必要ないだろう。中国は電気自動車においては世界で最も収益性の高い市場の1つであり、2020年のTesla(テスラ)の売上高全体の約5分の1(66億6000万ドル、約7321億円)を占めている(規制当局への提出書類による)。

米国は引き続きTeslaの最大の市場のひとつだが、同社は2019年に上海ギガファクトリーを開設して「Model 3(モデル3)」と「Model Y(モデルY)」を製造するなど、中国での事業拡大を積極的に進めている。Teslaは、EVスタートアップ企業であるXpengXpeng(シャオペン、小鵬汽車)や、検索大手企業のBaidu(バイドゥ、百度)など、中国の自動車メーカーとの競争に直面している。

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「私の率直な見解は、中国の自動車メーカーは世界で最も競争力があるということです。ソフトウェアを得意とする企業が揃っており、設計から製造、そして特に自律走行まで、自動車産業の未来を最も形作るのはソフトウェアです」とマスク氏はメッセージの中で述べた。

世界で最も人口の多い国のEV市場への参入は最初は波乱含みだったが、Teslaはそれを好転させることに成功した。2020年、Tesla Model 3は中国で最も売れたEVとなった。また、Teslaは中国以外の自動車メーカーで唯一、現地法人の完全所有を認められており、同国では前例のない自治権を得ている。それは、マスク氏が過去に公の場で指摘した事実だ。

2020年のBattery Dayイベントで、マスク氏はこう述べていた。「中国に100%自社工場を持つ唯一の外資系メーカーであることは、非常に注目に値すると思います。このことはあまりよく理解されず、評価もされないことが多いのですが、中国に唯一の100%出資の外資系工場を持つことは本当に大きな意味があり、それが多大な利益をもたらしているのです」。

そうは言っても、すべてがバラ色というわけではない。2021年に入ってからは、消費者と規制当局の両方から否定的な報道が相次ぎ、2月には中国政府当局が車両の安全性に関する懸念から同社の幹部を召喚して会議を開いたこともあった(これに対してテスラは「政府部門の指導を真摯に受け止め、事業運営上の欠点を深く反省している」と述べた)。

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その後、4月に開催された上海モーターショーで、Tesla車のオーナーだという女性が同社に抗議する事件が起きた。Bloombergはその数ヵ月後、Teslaがさまざまな悪いPRと闘うために、中国のソーシャルメディアのインフルエンサーや自動車業界の出版物と関係を築こうとしていると報じた。

また、マスク氏はこの事前に録画された挨拶の中で、自動運転車とデータセキュリティに関する質問に答え、それは「一企業の責任だけでなく、業界全体の発展の礎となるもの」だと述べた。この問題は、中国軍がその施設にTesla車を駐車することをドライバーに禁止したというニュースが出た後、特にセンシティブな話題となっている。Tech Wire Asiaが報じたところによると、中国は8月、コネクテッドカーにおけるデータセキュリティの強化を目的とした新しい規制を発表した。Teslaをはじめ、Ford(フォード)やBMWなどの自動車メーカーは、中国国内に現地データストレージセンターを設立する動きを見せた。

「Teslaは、インテリジェントなコネクテッドカーのデータセキュリティを確保するために、すべての国の国家当局と協力していきます」と同氏は付け加えた。

画像クレジット:JayInShanghai

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

ウォルマートがフォード、Argo AIと共同で自律走行車の配送サービスを開始

米国時間9月16日、Walmart(ウォルマート)、Argo AI(アルゴAI)、Ford(フォード)は自律走行車による配送サービスをテキサス州オースティン、フロリダ州マイアミ、ワシントンD.C.で開始すると発表した。

顧客はWalmartの注文プラットフォームから食料品などをオンラインで注文する。ArgoのクラウドベースのインフラストラクチャがWalmartのオンラインプラットフォームと統合されて、注文が転送され顧客の自宅へ配送するスケジュールを決める。開始当初は商用サービスの提供は各都市の一部のエリアのみで、その後広げていく。テストは2021年中に開始する。

WalmartとFordは2018年秋に配送サービスのPostmatesとともに限定的なテストを実施した。このテストはマイアミでで実施され、自動運転車を想定した車を使って食品配送に関するユーザーエクスペリエンスを研究するものだった。Argo AIはこのテストには関わっていなかった。

今回の連携ではArgo AIの自動運転テクノロジーを統合したFordの車両が使われる。Argo AIの共同創業者でCEOのBryan Salesky(ブライアン・サレスキー)氏によれば、今回の目的は自律走行車による配送サービスの可能性を広く示すことだという。

今回の発表には、自律走行車を使って人や場合によっては荷物を運ぶ商用サービスを開始するための、Fordの研究と開発の方針が現れている。同社は専用の自律走行車を現実にどう運用するかについてビジネス面のテストをしてきた。2016年にはArgo AIを支援し、Argo AIとともに自動運転システムの開発とテストをしていた。

今回の発表から、オースティンとマイアミが初期の商用化計画の中心地となることもわかる。

2021年夏にArgo AIとFordは、マイアミとオースティンを皮切りに今後5年間で多くの都市でLyftの配車サービスネットワークに1000台以上の自動運転車を展開する計画を発表した。Argoの自律走行テクノロジーが搭載された初のFordの自動運転車は、2021年中にはマイアミでLyftのアプリから利用できるようになると予想される。

画像クレジット:Photo by Jared Wickerham/Argo AI

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Kaori Koyama)

中国の検索エンジン大手Baiduが上海でApollo Goロボタクシーのテストを開始

中国の検索エンジン大手Baidu(バイドゥ、百度)は、上海でApollo Go(アポロ・ゴー)ロボタクシーモバイルプラットフォームの公的なテストを開始し、中国における勢力の継続的な拡大を続ける。

Baiduは、そのロボタクシーがレベル4の能力を達成したと述べているが、地域の規制に準拠するために、現地時間9月12日の時点で一般公開されたすべての運行に人間の安全オペレーターが同乗する。米国自動車技術者協会(SAE)は、レベル4の自動運転車の定義を、ほとんどの場合人間の相互作用を必要とせず、限られた地域だけで運用することができるものとしている。Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル)、Pony.AI(ポニーAI)、Yandex(ヤンデックス)などの企業はすべて、レベル4の自律性を備えた車両の頭脳を構築するために、LiDAR(ライダー)、レーダー、カメラ、GPSの同様の組み合わせを使用している。

上海で展開する車両群は、中国第一汽车(FAW)によって生産されるBaiduの第4世代自動運転車「紅旗EV」で編成される。同社は最初に稼働する車両の数を明らかにしなかったが、Baiduの広報担当者はTechCrunchに対して、目標は上海で約200台の車両を展開することだと語った。Baiduによれば、30の都市で約500台の自動運転車をテストまたは公に運用しているという。

Baiduはカリフォルニアで無人運転技術をテストする認可を得ているが、まだカリフォルニアでは何のサービスも展開しておらず、代わりにそのリソースのほとんどを中国でのスケールアップに振り向けている。同社の広報担当者によれば、中国でのロボタクシーサービスの需要が大幅に増大しているために、Baiduはテクノロジーの改善、多数の車両の製造、優れたユーザーエクスペリエンスの確保に注力しているのだ。上海は長沙、滄州、北京、広州にならび、Apollo Go ロボットタクシーサービスが一般に公開される5番目の都市だ。

ほんの数週間前に、Baiduは北京の通州区にApollo Goサービスを拡大した。通州区は、北京の東の玄関口と見なされており、31マイル(約49.9km)以上にわたって22の新しい駅が追加されている。2021年4月には、同社は北京の首鋼公園で10台の完全自動運転ロボタクシーを運行した。首鋼公園は1.2平方マイル(3.11平方km)のエリアであり、今回中国で最初の商業化されたロボタクシー運用の試験場となった。これらのクルマのハンドルの後ろには人間の安全オペレーターは座っておらず、乗客に安心感を与えるために同乗しているのは助手席の安全スタッフだけだ。1回の乗車料金は30元(約512.5円)で、18〜60歳の乗客が利用できる。サービスはまだ試験段階にあるため、上海を含む他のすべての場所では、乗車は無料だ。

上海の乗客は、Apollo Goアプリを使用して、午前9時30分から午後11時までの間にロボタクシーを呼んで、上海大学、上海インターナショナルサーキットや多くの観光アトラクションが集まる江京地区の150の駅の1つで乗降することができる。

上海はまた、自動運転車のための運用、テスト、研究開発施設が置かれたBaiduのApollo Park(アポロパーク)のある場所だ。1万平方メートルのスペースは、Baiduが市内に持ち込むことを計画する200台の自動運転車が収容される、中国東部で最大の自動運転車両群のサイトとなる。

Baiduの長期的計画は、中国の30の都市に今後2〜3年で3000台の自動運転車を展開することだ。同社は2013年から自動運転技術の研究開発に投資しており、2017年からApolloプロジェクトを推進していることを考えると、Baiduはまさにそれを実行する準備ができているのだろう。6月、BaiduとBAIC Group(北汽集団)は、Apollo Moon(アポロ・ムーン)の計画を発表した。Apollo Moonは、1台あたりの製造価格が48万元(約819万円)で大量生産される設定になっている。さまざまなことを考慮するとこれは本当に安いといえるだろう。Baiduは、成長する車両群に追加を行うために、今後2、3年のうちに1000台のApollo Moobと、まだ発表されていないさまざまなモデルも生産すると述べている。

インフラストラクチャは、ApolloGoを拡張するというBaiduの目標の中の、大きな部分を占めている。Baiduの広報担当者は、同社は中国の主要都市のたくさんの交差点での、5Gを利用したV2X(車対何か)インフラストラクチャの構築にも投資していると語った。Baiduは、交通渋滞を軽減するために道路情報を自動運転システム転送できるエッジコンピューティングシステムを、カメラやLiDARなどのセンサーと組み合わせてすでにインストールしている。同社によれば、長期的には、スマートインフラストラクチャは、自動運転車のパフォーマンスを向上させ、車載センサーとコンピューティングパワーに必要な莫大なコストの一部を相殺するのに役立つという。

Baiduは、現在ロボタクシーはレベル4の自律性を実現するために車載機能に依存しているものの、大規模な展開を行うためにはV2Xが鍵だと考えている。

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画像クレジット:Baidu

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

自動運転用にレーダーの性能をソフトウェアで向上させるOculiiにGMが数億円規模の出資

レーダーセンサーの空間分解能を最大100倍に向上させることを目標としているソフトウェア開発スタートアップ企業のOculii(オキュライ)は、General Motors(ゼネラル・モーターズ)から新たに投資を獲得した。両社によるとその額は数百万ドル(数億円)に上るという。数カ月前にOculiiは、5500万ドル(約60億5000万円)のシリーズB資金調達を完了させたばかりだ。

関連記事:長い歴史を持つ自律走行車用レーダーの機能向上を目指すOculiiが60億円調達

OculiiとGMは「しばらく前から」協力関係にあったと、CEOのSteven Hong(スティーヴン・ホン)氏はTechCrunchによる最近のインタビューで語っている。GMがOculiiのソフトウェアをどのように使用するつもりなのかということについて、同氏は具体的に明かそうとしなかったものの、GMのハンズフリー先進運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」の機能を強化するために使用される可能性が高い。Oculiiは他にもいくつかの自動車メーカーと協力しており、その中の一社からも出資を受けていると、同氏は付け加えた。

「GMのような企業が、これはすばらしい技術だ、これは将来的に使いたいと言ってくれれば、サプライチェーン全体が注目し、そのソリューションや技術を採用するために、より密接に協力してくれるようになります。それが自動車メーカーに販売されるというわけです」と、ホン氏は語る。

Oculiiは顧客の自動車メーカーのためにハードウェアを製造するつもりはない(ただし、協業しているロボット企業のためにはセンサーを製造していると、同社の広報担当者は述べている)。その代わり、Oculiiはレーダーを製造している企業に、ソフトウェアのライセンスを提供したいと考えている。ホン氏によれば、低価格で市販されているレーダーセンサー(自動運転用に設計されたものではなく、緊急ブレーキや駐車支援などの限定されたシナリオ用に設計されたセンサー)に、同社のAIソフトウェアを使えば、より自動運転的な機能を実現させることができるというのが、Oculiiの主張だという。

「拡張性の高いものを提供する方法はソフトウェアによるものだと、私たちは強く確信しています。なぜなら、ソフトウェアはデータによって根本的に改善できるからです」と、ホン氏はいう。「ハードウェアの世代が新しくなれば、性能がより向上したハードウェアに合わせてソフトウェアは根本的に改善されます。また、ソフトウェアは基本的に、時間が経てばハードウェアよりもずっと早く、安価になっていきます」。

今回のニュースは、レーダーにとって間違いなく好材料になるだろう。レーダーは画像処理に限界があるため、一般的に補助的に使用されるセンサーだ。しかし、LiDARよりもはるかに安価に売られているレーダーの性能を、Oculiiが実際に向上させることができれば、自動車メーカーにとっては大幅なコスト削減につながる可能性がある。

世界で最も多くの電気自動車を販売しているTesla(テスラ)は最近、その先進運転支援システムからレーダーセンサーを外し、カメラと強力な車載コンピュータによるニューラルネットワークを使った「ピュアビジョン」と呼ばれるアプローチを採用することにした。しかしホン氏は、テスラが廃止したレーダーは非常に解像度が低く「既存のパイプラインに何も追加するものではない」と述べている。

しかし、技術が進歩すれば、テスラも必ずしもレーダーを排除しようとはしないだろうと、ホン氏は考えている。「基本的に、これらのセンサーはそれぞれがセーフティケースを改善し、それによって99.99999%の信頼性に近づくことができます。結局のところ、それが最も重要なことなのです。信頼性を、できるだけ多くの9が並ぶ確率まで近づけることです」。

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画像クレジット:Oculii

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

太陽光発電で「飛び続ける無人飛行機」を開発するSkydweller Aeroが分析プラットフォームのPalantirと提携

現在の飛行機やドローンは、その大きさや燃料の種類にかかわらず、いずれも「最終的には着陸しなければならない」という同じ制約を抱えている。

米国とスペインのベンチャー企業であるSkydweller Aero(スカイドゥエラー・エアロ)は、この制約から自由になりたいと考え、最終的には永久に飛行が可能となる太陽光発電による自動操縦型航空機を開発している。

シリーズAラウンドで3200万ドル(約35億2000万円)の資金調達に成功した同社は、Leonardo S.p.A.(レオナルド株式会社)、Marlinspike Capital(マーリンスパイク・キャピタル)、Advection Growth Capital(アドベクション・グロース・キャピタル)の3社から800万ドル(約8億8000万円)の募集枠を超えた追加資金調達を行った。また、同社はPalantir Technologies(パランティア・テクノロジーズ)とのパートナーシップも発表。Palantirの分析プラットフォーム「Foundry(ファウンドリー)」を使用して、通信、政府機関、緊急サービス用に設計されたSkydwellerの航空機に搭載し、大規模な情報処理を行う。

Skydwellerの共同設立者であるJohn Parkes(ジョン・パークス)氏は、TechCrunchのインタビューに答えて次のように述べている。「(Palantirは)データから価値を生み出すことに最も長けています。それは、我々の航空機をどのように飛行させるかという運用上の洞察を得るために、データを同社のシステムに入力する場合と、我々の航空機のセンシングシステムから出力されるデータや、航空機のネットワークを通じて得られるデータを、同社のシステムに入力してそこから得られるものについて解析する場合の両方においてです」。

そしてSkydwellerは、大量のデータを生成することになる。同社は現在、通信、地理空間情報、行政調査という、膨大なデータが関わる3つの市場に注力している。SkydwellerはFoundryのプラットフォームを利用することで、政府を含む同社の顧客が監視している地域を、より詳しく理解できるようにすることを計画している。

また、Foundryのプラットフォームは、飛行ルートやミッションの計画にも役立つ。Skydwellerは、天気や大気の情報を活用し、同社の航空機が太陽の光を効率的に利用して空を飛ぶことができるようにしたいと考えている。

「要するに、私たちが目指していることは、持続的な空中写真あるいは擬似的な衛星を作るということです」と、パークス氏はいう。「私たちは、永続的に飛行できる航空機を作ることに集中しています。我々の目標は、太陽が昇る限り、永遠に飛び続ける飛行機を作ることです」。

そのためには天候や大気のデータは特に重要で、航空機の飛行高度を決定する重要な要素となる。同社の飛行機は高高度を飛べるようになる予定だが、パークス氏によれば「より困難で、より実用的な問題」は、気象計画を利用して、十分なエネルギーを取り込み、低高度に留まり続けることだという。低高度飛行ではインターネットの通信品質や地理空間データが向上し、ペイロードのための電力もより多く確保できると、パークス氏は述べている。

画像クレジット:Skydweller Aero

Skydwellerの技術は、Bertrand Piccard(ベルトラン・ピカール)氏とAndré Borschberg(アンドレ・ボルシュベルグ)が指揮を執ったスイスのソーラー航空機プロジェクト「Solar Impulse(ソーラー・インパルス)」から生まれたものだ。このプロジェクトは14年間運営され、1億9000万ドル(約209億円)をソーラー航空機に投資してきたが、その背後にある財団が2019年に知的財産をSkydwellerに売却した。しかし、Solar Impulseは操縦するように作られていたため、それ以降の作業の多くはプラットフォームを無人で飛行できるようにし、機体に超長期耐久性を持たせることだったと、パークス氏は語る。

この航空機は、2200平方フィート(約204平方メートル)の太陽電池パネルを搭載した翼、600キログラムのバッテリー、水素燃料電池のバックアップ電源システムを備え、電気のみで駆動する。ソーラーパネルは飛行を維持するためだけではなく、地理空間カメラシステムや通信会社のペイロードなど、顧客のシステムにも電力を供給する。

同社は標準的な民間航空部品を使用しているが、そのほとんどは一定の使用時間以上にテストされているわけではなく、それはSkydwellerが計画している航空機の使用時間よりもはるかに短い。さらに、他の新技術を用いた航空機と同様、完全な認証の枠組みも確立されていない。

「時間のパラダイムを打ち破ろうとすれば、未知の領域に踏み込むことになります」と、パークス氏はいう。

2020年に飛行試験を開始したSkydwellerは、それ以来、自律システム技術の搭載とテストに注力してきた。今後は「非常に短期間で」この自律型航空機の離陸、フルフライト、着陸を含むテスト飛行を行い、将来的には長時間の飛行を実現することを目指している。顧客は1年から1年半以内にこの航空機のライセンス取得を開始できるだろうと、パークス氏は推測している。

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画像クレジット:Skydweller Aero

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップルがウェアラブルのチーフ、ケヴィン・リンチ氏を自動車部門のリーダーに任命との報道

Apple(アップル)は、秘密裏に進めている自動運転車部門の開発を指揮するために、新たな幹部を任命したと報じられている。Bloombergによると同社は、今週初めにiPhoneメーカーからFordに移った役員Doug Field(ダグ・フィールド)氏が後任として、Project Titanの統括にKevin Lynch(ケヴィン・リンチ)氏を起用したという。

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初めて見る名前かもしれないが、ここ数年のAppleイベントを見ていた人は、ステージ上でリンチ氏を見たことがあるはずだ。リンチ氏は2013年にAdobeからAppleへ移籍して、同社のウェアラブル&ヘルス部門を統括し、watchOSの新しい機能が発表されるときには、紹介役を務めることが多かった。

Bloombergによるとリンチ氏は、2021年の早い時期に同事業部に参加したが、現在、その全体を統括している。同報道によると、リンチ氏の任命はAppleが、リリースすれば誰の目にも明らかな自動車そのものではなく、その走行を支えるソフトウェアに力を入れていることの表れだという。

編集部注:本稿の初出はEngadget

画像クレジット:BRITTANY HOSEA-SMALL/AFP/Getty Images

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国WeRideが同社初の自動走行の電動貨物バンを発表、運送会社と提携も

中国の自動運転会社WeRide(ウィーライド)が同社初の貨物バンを発表した。この車両は都市ロジスティクス業界に自動運転を持ち込むものだ。同社は、初の自動運転バンを大規模に商業展開するために中国の自動車メーカーJiangling Motors (江鈴汽車、JMC)、速配会社ZTO Express(ZTOエキスプレス)と協業する。

9月8日に開かれた「The Next」というWeRideのオンライン記者会見で、WeRideの創業者でCEOのTony Han(トニー・ハン)氏、JMCの代表取締役副社長Wenhui Jin(ウェンフイ・ジン)氏、ZTOの副社長Renqun Jin(レンクン・ジン)氏が業務提携に署名した。取引の一環として、WeRideとJMCは、JMCの組立ラインで大量生産するRobovan専用モデルを共同でデザインする。そしてZTOの声明文によると、同社はRobovanを自社の都市ロジスティクスサービスで活用する。WeRideの広報担当は、Robovanが非常に充実している車両プラットフォームを備えるJMCのバッテリー電動車両モデルをベースにし、WeRideのフルスタックソフトウェア、ハードウェア自動運転ソリューションと組み合わせる、とTechCrunchに語った。

WeRideは2020年に商業展開に向けて現金をかき集めた。5カ月の間隔を空けてシリーズBとシリーズCラウンドで6億ドル(約658億円)を調達し、現在のバリュエーションは33億ドル(約3618億円)だ。6月に同社は広州拠点の自動運転トラック会社であるMoonX.AIを買収したが、同分野における商業プロダクトの開発にはまだ取り組んでいない。いずれにしても、配車サービスや自動運転バス、都市ロジスティクスの展開、そして自動運転トラックのほんの少しの準備は、WeRideの自動運転ポートフォリオを多様化する動きが競争で優位性を確保していることを意味する。

関連記事:中国のロボットタクシーユニコーンのWeRideが5カ月で660億円を超える資金を調達

中国の検索エンジンBaiduの自動運転部門は2021年4月時点では主にロボタクシーとバスに注力している。Pony.AI はロボタクシーに加え、少なくともラストマイルロジスティクスを試験し、このほど中国でトラックのテストも許可されたばかりだが、これまでのところバスは対象としていない。Waymo Viaはラストマイルとトラックは対象としておらず自動運転タクシーが同社の看板だが、自動運転バスについては何も情報を出していない。GMが出資するCruiseは小型車両に注力しているようで、同社が展開している車両サービスにはライドシェア配達がある。

関連記事:Waymo Viaがテキサス、アリゾナ、カリフォルニア州で自動運転トラックのオペレーションを拡大中

WeRideのバンはすでにレベル4の自動運転能力を持つ、と同社はいう。レベル4車両はハンドル操作ができ、大半の場合において人間の介入を必要としてないが、人間がマニュアルで操作する選択肢を持っている車、と米自動車技術者協会は定義している。レベル4車両は限定的な環境で走行でき、だからこそ直近ではライドシェアで使われている。しかし配達車両もおそらく同様にジオフェンス内で自動走行できる。

WeRideはすでに一般向けのRobotaxiサービスのテストを2年展開しており、Robovanが都心からトンネル、高速に至るまでZTOのネットワーク内のさまざまな交通状況に対応することができると確信している、と話す。ZTOによると、同社のネットワークは中国の都市・郡の99%超をカバーしている。

WeRideの広報担当は、Robovanがすでに生産され、人知れず中国内でしばらくの間テストされてきた、と話す。いつWeRideとJMCが大量生産を始めるのか、詳細なタイムラインを発表するのは時期尚早だが、WeRideの次のステップは車両とシステムの安定性を立証するパイロット試験を行う場所を1〜3カ所選ぶことになる、と広報担当は語った。

「そのすぐ後に当社はいくつかのエリアで真のドライバーレスを目指し、都市ロジスティクスへの応用でRobovans運用のノウハウを構築します」とTechCrunchに述べた。「RobovanとRobotaxiがどちらも都市部で展開されていることを考えると、RobovanにはRobotaxiと同じような規制が適用されます。中国の規制は、自動運転テクノロジーの開発に追いつくために一歩ずつ進化しています。3〜5年以内に真のドライバーレスRobovanの応用を目にするでしょう」。

画像クレジット:WeRide

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

子供が乗れるロボユニコーンは中国のEVスタートアップXpeng製

子どものためにロボット犬を買うのではなく、神話上の生き物を買ってあげるといいかもしれない。中国の電気自動車メーカーXpengは、子どもたちが乗れるロボットユニコーンを発表した。SCMPによると、この四足歩行ロボットは、Xpengの自律走行やその他のAIタスクの経験を活かして複数の地形タイプをナビゲートし、物体を認識し「感情的なインタラクション」を行うという。

その他の詳細については明らかにされていないが、デザインはBoston RoboticsのSpotをよりかわいく、より子ども向けにしたようなものだ。サイズは子どもと同じくらい。ただ申し訳ないが、あなたが仕事に向かうときに踊ることはない。

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このユニコーンロボットは、本物のユニコーンと同じくらい神話的な存在でもある。Xpengは、価格や入手方法はおろか「角付きロボット馬」の販売予定時期も明らかにしていない。7万5000ドル(約826億円)のSpotほどではないかもしれないが、洗練されていることもあり2019年に発売された2900ドル(日本では21万7800円)のaiboよりも高いと予想される。

ある程度までは、利益は問題ではない。XpengのチーフであるHe Xiaopeng(ホー・シャオペン)氏は、今回のユニコーンは同社の既存技術を活用してロボット分野に進出する広範な動きの一環であるという。これは第一歩だと思って欲しい。Xpengがユニコーンから学んだことは、より洗練された(そしてできれば大人向けの)ロボットの開発につながるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget

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画像クレジット:Xpeng

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(文:Jon Fingas、翻訳:Katsuyuki Yasui)

インテル子会社モービルアイとレンタカー大手Sixtが2022年にドイツで自動運転タクシーサービスを開始

Intel(インテル)の子会社で先進運転支援システムの開発で知られるMobileye(モービルアイ)と、レンタカー / カーシェアリング大手のSixt SE(シクストSE)は、2022年よりミュンヘンでロボタクシー(自動運転タクシー)サービスの開始を計画している。両社のCEOが、9月7日にドイツで開幕したIAA MOBILITY 2021(IAAモビリティ2021)ショーで発表した。

このロボタクシーサービスは、近年開発または買収してきたIntelの(そして特にMobileyeの)資産をすべて活用したものになる。それらの中には、2020年に9億ドル(約990億円)を投じて買収したMoovit(ムーヴィット)の技術も含まれる。このイスラエルのスタートアップ企業は、都市の交通パターンを分析し、公共交通機関を中心とした交通手段の提案を行うアプリを提供している。

このパートナーシップにより、乗客はMoovitのアプリを使ってロボタクシーのサービスを利用できるようになる。また、このサービスはSixtの「ONE(ワン)」アプリを介しても提供される。これはユーザーが配車やレンタカー、カーシェアリング、サブスクリプションなど、Sixtのモビリティサービスを利用するためのアプリだ。

当初は大規模な商用サービスとして展開されるわけではない。Mobileyeのロボタクシーは、2022年にミュンヘンの街中で、アーリーライダー(先行乗客)によるテストプログラムを開始する予定だ。他のアーリーライダープログラムと同様、まずは小規模なグループの乗客を募って試験運用を行い、それからサービスを拡大していくことになるだろう。その後、規制当局の承認が得られれば、試験運用から商業運用に移行する予定だと、両社は述べている。

IntelとMobileyeは、このサービスをドイツ全土に拡大し、10年後には他の欧州諸国でも展開を計画している。両社がドイツを選んだ理由は、同国では最近、運転者なしの車両の公道走行を許可する法律が制定され、Mobileyeがすでに自動運転技術のテストを行っているからだ。

「ドイツは、重要な自動運転法を促進することで、自動運転モビリティの未来に向けて国際的なリーダーシップを発揮しました」と、IntelのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)CEOはIAAで語った。「私たちが来年、ミュンヘンでロボタクシーの運行を開始することができるのは、この新しい法律のおかげです」。

IAAの基調講演で、MobileyeはMoovitAVとSixtのブランドが施された車両も公開した。Mobileyeの自動運転システムを搭載したこれらの車両は量産され、ドイツでロボタクシーサービスに使用される予定だと両社は述べている。

2020年の売上高が約9億6700万ドル(約1066億円)だったMobileyeは、高度な運転支援システムを実現するコンピュータビジョン技術を自動車メーカーに提供していることでよく知られるが、自動運転車技術の開発にも取り組んでいる。

現在は「Mobileye Drive(モービルアイ・ドライブ)」と名付けられている同社の自動運転システムは、システムオンチップベースのコンピューター、カメラやレーダー、LiDAR技術をベースとする冗長性を持たせたセンシングサブシステム、REMマッピングシステム、論理規則ベースのResponsibility-Sensitive Safety(RSS、責任感知型安全論)運転ポリシーで構成されている。MobileyeのREMマッピングシステムは、100万台以上の車両に搭載されているREM技術を活用することで、基本的にデータをクラウドソーシングし、先進運転支援システムや自動運転システムのサポートに利用できる高精細な地図を作成する。

そのデータは、動画や画像ではなく、1キロメーターあたり約10キロビットで収集される圧縮テキストだ。MobileyeはBMW、日産、Volkswagen(フォルクスワーゲン)など6つのメーカーと契約し、先進運転支援システム用の画像処理チップ「EyeQ4」を搭載した車両でそのデータを収集している。フリート車両では、Mobileyeが商用事業者に販売しているアフターマーケット製品からデータを収集している。

Mobileyeの社長兼CEOであるAmnon Shashua(アムノン・シャシュア)氏が、過去にTechCrunchに語ったように、同社はこの戦略のおかげで、商用ロボタクシーサービスを効率的に立ち上げて運営することが可能であり、また、2025年までには一般向け乗用車にもこの技術を導入することができるという。

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画像クレジット:Intel

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フォルクスワーゲンとArgo AIが初のID Buzz自動運転テスト車両を公開

小型商用車の開発と販売を手がける独立したVWブランド、Volkswagen Commercial Vehicles(フォルクスワーゲン・コマーシャル・ビークルズ)と、自動運転テクノロジー会社のArgo AI(アルゴAI)は米国時間9月5日、ID Buzz AD(自動運転)の初バージョンを公開した。

ミュンヘンで開かれるイベント、IAA MOBILITY 2021に先駆けて開催されたVWナイトイベントで、2社は共同開発した全電動自動運転のバンを今後4年間でテスト・商業展開する計画を明らかにした。計画している最初のテスト車両5台の1台であるプロトタイプの試験はすでに始まっていて、ミュンヘン近くのノイファーンにあるArgoの開発センターならびにミュンヘン空港近くにある同社の9ヘクタール(9万平方メートル)あるクローズドコースで続けられる。試験は、欧州の運転コンディション特有のさまざまな交通状況と、米国にあるArgoのテストトラックを想定して行われる。

「当社の5年にわたる開発と、大きく、複雑な米国の都市でのオペレーションから学んだことに基づいて作り上げており、MOIAとの自動運転商業ライドプールサービスの立ち上げ準備のためにミュンヘンの路上で間もなくテストを開始することを楽しみにしています」とArgo AIの創業者でCEOのBryan Salesky(ブライアン・セールスキー)氏は声明文で述べた。

モビリティソリューションで地方自治体や地域の公共交通事業者と協業しているVW Groupの子会社であるMOIAは、2025年に自動運転ライドプールシステムの一環としてハンブルグでID Buzzを商業展開する。ライドプールサービスは都心部の混雑を和らげるために自律システムのパワーを活用する。

自動運転専門の部門を別に設け、Argo AIの株式を獲得したVolkswagen Commercial Vehiclesはイベントで、自動運転システム経由のライドシェア(相乗り)が交通の流れの管理でいかに役立つかデモンストレーションしてみせた。

「LiDAR6台、レーダー11台、カメラ14台を車両のあちこちに備える環境認識システムは人間のドライバーが運転席からとらえることができる以上のものを把握できます」とVolkswagen Commercial Vehiclesの自動運転責任者、Christian Senger(クリスチャン・センガー)氏はイベントで述べた。

VWは2017年に、ファミリーキャンパーバンとして懐かしさを呼び起こすクラシックなマイクロバスに未来的な要素を加えたID Buzzをコンセプトカーとして発表した。Buzzのルーフの上に設置されているArgo独自のセンサーであるArgo LiDARなど、自動走行に必要なすべてのものを含んでいる最終プロダクトの外観は、アイコン的キャンパーとは少し異なる。Argo AIによると、同社のLiDARは1300フィート(400メートル)以上離れたところにある物体を検知できる。Argoは4年前にLiDAR企業のPrinceton Lightwaveを買収した。これによりArgoは、黒い車両など低反射率の物体をとらえて感知し、そして正確に認識することができるよう、最小の軽粒子である単一光子を感知できる特許取得済みのGeigerモードテクノロジーを備えた新しい高精度センサーを製造できるようになった。

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VWの声明文によると、Argo AIのシステム全体は、コンピューターが車両の周囲360度を見ることができるようにするセンサーとソフトウェアで構成され「歩行者や自転車、車両の動きを予測し、経験を積んだドライバーが運転するように車両が安全かつ自然に走行することができるよう、エンジン、ブレーキ、ハンドル操作システムに指令を送る」。

Argoの技術が人間輸送に今後使用される例は今回が初ではない。ArgoとFord(フォード)は2021年7月、今後5年間で少なくとも1000台の自動運転車両を配車サービスLyft(リフト)のネットワークを使ってマイアミやオースティンといった都市で展開する計画を発表した。また同月、カリフォルニア州公共事業委員会はArgoにドライバー付きAVパイロット許可証を発行し、Argoはカリフォルニア州の公道でテストできるようになった。VW GroupがArgo AIへの26億ドル(約2860万円)の投資を最終決定してからほぼ2年、Argo AIの直近のバリュエーションは75億ドル(約8240億円)となった。

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画像クレジット:Volkswagen Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

レーザーを使って雑草を刈る自律型除草機開発のCarbon Roboticsが約29.7億円を獲得

農業用ロボットを開発する企業のCarbon Robotics(カーボン・ロボティクス、バトルフィールドの元出場者と混同してはいけない)は今週、2700万ドル(約29億7000万円)の資金を確保したと発表した。Anthos Capital(アントス・キャピタル)、Ignition Capital(イグニション・キャピタル)、Fuse Venture Partners(フューズ・ベンチャー・パートナーズ)、Voyager Capital(ボイジャー・キャピタル)が参加した今回のラウンドは、2019年に調達した840万ドル(約9億2400万円)のシリーズAに続くものだ。同社の資金調達総額は約3600万ドル(約39億6000万円)となった。

「除草は農家が直面する最大の課題の1つであり、特に除草剤耐性のある雑草の増加や、オーガニックや再生法への関心の高まりを受けて、除草の重要性が高まっています。今回のラウンドの投資により、この技術に対する需要の高まりに対応して事業を拡大することができるようになります。さらに、この資金で、当社のチームは新製品の開発を続け、テクノロジーを農業に応用する革新的な方法を見出すことができるようになります」と創業者兼CEOのPaul Mikesell(ポール・マイクスル)氏はリリースで述べている。

シアトルを拠点とするこのスタートアップ企業の主要製品は、レーザーを使って雑草を刈る自律型ロボットだ。今回のラウンドは、Carbonが2021年4月に発表した最新型のAutonomous Weederに続くもので、1時間あたり約10万本の雑草を除去することができるという。世界的なパンデミックは、労働力の不足が続く中、多くの農業用ロボット企業への人々の関心を高め続けている。

Carbonは、世界的にさまざまな農薬が使用禁止になっていることを受け、多くの農家が代替手段を模索していることを指摘している。有害な化学物質を使用せずに動作し、人手不足に悩まされることの多い業界において、人手を減らすことができるシステムは、明らかに魅力的だ。

同社によると、2021年と2022年の在庫はすでに完売しており、今回のラウンドでは、生産量と人員数の拡大が重要な投資対象になると考えられる。

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

​​現代自とAptivの自律運転合弁会社Motionalが「Hyundai IONIQ 5」電動ロボタクシーを公開

Motional(モーショナル)は米国時間8月31日、同社が計画しているロボタクシーの最初の画像を公開した。Hyundai(現代自動車、ヒョンデ)の電気自動車「IONIQ 5 SUV(アイオニック・5)」をベースにした車両は、MotionalがLyft(リフト)アプリを通じて、2023年から顧客に利用してもらいたいと考えているドライバーレス配車サービスの目玉となるものだ。

現代自動車により組み立てられるこの専用車両には、Motionalの自律走行技術が搭載されており、LiDAR、レーダー、カメラなど30以上のセンサーが車室内外のいたるところに見られる。そのセンシングシステムは360度の視界を確保し、300メートル先まで見通すことができるとMotionalは説明している。

自動運転車の商業化を目的とするAptiv(アプティブ)と現代自動車の40億ドル(約4400億円)規模の合弁事業として生まれた同社は、意図的に数多くのセンサーを入れて披露していると、会長兼CEOのKarl Iagnemma(カール・イアグンマ)氏は最近のインタビューで語っている。

「多くの競合他社は、このセンサー群を隠そうとして、大きなプラスチックケーシングの中に隠そうとしています」とイアグンマ氏はTechCrunchに語った。「ですが実際のところ、センサーを隠すことはできません。センサーはクルマの重要な部分であり、テクノロジーの重要な部分でもあります。ですから当社の戦略は、センサーを好ましいものととらえ、車両のデザイン言語を適応させて、統合されたセンサー群のデザインに反映させることでした」。

Motionalは、最初のドライバーレスロボタクシーサービスをどこで立ち上げるか発表していない。ボストン、ラスベガス、ロサンゼルス、ピッツバーグなど、同社が現在テストを行っている都市のいずれかでサービスを開始すると思われる。

関連記事:2023年から米国主要都市でロボタクシー展開へ、MotionalとLyftが提携

画像クレジット:Motional

Motionalのロボタクシーのベースとなるのは、2021年2月に発表されたEV「Hyundai IONIQ 5」で、2021年後半には市販モデルの発売が予定されている。一般消費者向けバージョンには、Motionalの自律走行技術は搭載されない。Motionalは、他のAV開発企業とは異なり、最初のロボタクシーにシャトルバスデザインや大型バンを選択しなかった。

同社が調査したところ、タクシーや配車サービスの利用者の大半は2人以下の乗客であるとわかったという。IONIQ 5は、Motionalのユースケースに適したサイズの車両だとイアグンマ氏は付け加えた。

IONIQ 5は、Electric Global Modular Platform(E-GMP)と呼ばれる同社の電気自動車専用プラットフォームを初採用したモデルだ。市販仕様とロボタクシー用の両方に、800ボルトの電気システムを搭載している。この高電圧システムは、一般的な400ボルトと同等の電力をより少ない電流で供給することが可能だ。800ボルトシステムは、ポルシェ初の量産電気自動車であるTaycan(タイカン)でデビューしたが、より軽く、より効率的で、充電時間を短縮できる。

この高速充電は、Motionalのロボタクシーサービスにとって重要なメリットとなるだろう。

画像クレジット:Motional

IONIQ 5のロボタクシーバージョンは現代自動車で組み立てられるが、これは注目すべきディテールだとイアグンマ氏はいう。

「この車両は、写真でご覧になったとおりの外観で組立ラインから出荷されます」と同氏はいう。「これは、ベース車両を別のラインに移動させ、部品を外して再統合したり、(センサーなどを)後付けするというようなシナリオではありません」。

ロボタクシーの内部にはディスプレイが設置されており、それを使い乗客は乗車中にロボタクシーに追加の停車を指示するなど、車両との対話が可能だという。

このロボタクシーには、人間が運転する従来の車両と同様に、ステアリングホイールなどの機能が備わっている。なお、乗客が運転席に座ることは許されない。

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画像クレジット:Motional

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

マスク氏の地下交通システム「Loop」は約束した無人ではなく運転手必須のテスラ「オートパイロット」を採用

正式公開から2週間足らず、The Boring Company(ザ・ボアリング・カンパニー)がラスベガスで運営するLoop(ループ)システムに初のセキュリティ侵害が発生した。

6月21日、Internationl Beauty Show(インターナショナル・ビューティー・ショウ)最終日の午前、地下を走行する同システムのTesla(テスラ)車団に「無許可車両」が侵入したことが、Loopの運営管理者とクラーク郡当局で交わされたメールでわかった。当該メールはTechCrunchが情報開示法に基づいて入手した。

一連のメールには、侵入事件以外にもLoopの運用に関する新たな詳細が記されていた。システムの非Teslaの電気自動車への驚くべき依存、Tesla車両に運転支援システムであるAutopilot(オートパイロット)の使用を許可する計画、および社内でテクノロジーが自律システムではないと位置づけられていることなど。

The Boring Company(TBC)はラスベガス市警察に侵入事件の捜査を依頼した。「無許可車両のドライバーは協力的で最終的にシステム外へと誘導された」とあるメールに書かれていた。

セキュリティ侵害による負傷や死亡はなかったが、TBCにとってなんとも不名誉な事件であることは間違いない。同社は5300万ドル(約58億2000万円)をかけた同システムのセキュリティと安全性をLVCC(ラスベガス・コンベンション・センター)に売り込んでいた。

TBCとLVCCの間で結ばれた経営合意によると、システムは「偶発的、悪意による、あるいはその他の無許可車両のトンネル内侵入を防ぐための物理的障壁」を備えることになっていた。システム進入路の防犯ゲート、地上駅を囲う数十基のコンクリート製車止めポールなどだ。

TBCもLVCCも、本事象に関する問い合わせに答えていない。TechCrunchはいずれかの回答が得られ次第本稿を更新する予定だ。

オートパイロットにチャンス到来

TechCrunchが入手したメール群は、スリルを求めた侵入者以上の情報を提供している。

そこにはTBCがLVCC Loopを走るTesla車の台数を62から70に増やし、Teslaのオートパイロットテクノロジーの使用を許可する計画の詳細が書かれている。これまでTBCは、全車両の運転支援テクノロジーを無効化し、人間ドライバーに操作させている。

新たな運用計画では、7つのアクティブセーフティ技術として、自動緊急ブレーキ、前方・側方衝突警報、障害物対応加速、死角監視、車線逸脱抑制、緊急車線逸脱警報、および2つの「フル・オートパイロット」技術である、車線中央維持と交通量感知型クルーズコントロールの仕様を要求している。

TBCがオートパイロット利用の必要性を説明するためにネバダ州クラーク郡の建築物・防火局に送ったレターをTechCrunchが他のメールとともに入手した。

TBCのプレジデントであるSteve Davis(スティーブ・デービス)氏は、当該機能を無効化することは「実績ある公道仕様技術」から「積極的に安全レイヤーを取り除く」ものであると書いた。デービス氏は「Tesla車でオートパイロットを作動させていたドライバーは、オートパイロットあるいは能動的安全機能を使用していなかったドライバーと比べて走行1マイルあたりの衝突が1/4以下だった」というTeslaの2021年第1四半期安全レポートの記述を引用した。「ここで明らかにされているように、Tesla車のこれらの機能を無効化することは事故の可能性を高めるものです」とデービス氏は書いた。

しかし、幹線道路交通安全局(NHTSA)は先週、いくつかの衝突事故を受けて同テクノロジーの正式な安全調査を開始した。

クラーク郡建築物・防火局責任者のJerry Stueve(ジェリー・スチューブ)氏はメールで次のように返信した。「我々はこの件を検討する予定ですが、『autodrive』(自動運転)という用語の定義とそれに何がともなうかをより明確にしていただければ、当部におけるこの要望の評価に役立つと思われます」。

「『オートパイロット』という用語がしはしば曖昧であり、車両とシナリオによって多くの異なる意味をなしうることに同意します」とデービス氏は返信した。(ここでデービス氏は上司であるElon Musk[イーロン・マスク]氏と意見を異にしているようで、マスク氏はオートパイロットの名前に対する批判に対して、誤解を与え「ばかげている」と反論している)。

「これらは『自律走行車』(autonomous)でも『自動運転車』(self-driving)でもありません」とデービス氏は続けた。「Teslaのオートパイロットと能動的安全機能を利用することで運転中の安全性に新たなレベルを加えることができますが、この機能を利用するためにはいつでもハンドルを取り戻せる十分注意深いドライバーが常に必要です」。

オートパイロットvs自律走行運転

TBCがLVCCに初めてLoopシステムを売り込んだ時の約束と矛盾することもあり、この区別は非常に重要だ。2019年、工事契約署名前に提出した地上利用申請書でTBCは次のように書いた。「Tesla Autonomous Electric Vehicles(AEVs、テスラ自律走行電動自動車)は高速、地下トンネルの乗客を3か所の地下駅まで運びます」。

2019年7月の計画書には「自律走行電動自動車の地下トンネルにおける活用は、既存の建造物や輸送システムに関わる妨害や対立を最小限にする独自の輸送ソリューションです」と書かれている。以来、同社は他の申請書類に同じような文言を使用しており、ラスベガス地域に数十の駅を設置する提案書も同様だ。

2021年1月、TechCrunchはLVCCとTBCの間で交わされた経営合意文書を入手し、そこにはこう書かれていた。「LVCCがPeople Mover Systemを購入した理由の1つはPeople Mover System車両の自律走行する能力にある【略】本契約書は、システムが有人運転を自律走行に切り替え、2021年12月31日までに、価格交渉を前提に、この変更を運用に織り込む意志があることを認識している」。

その期日はほぼ間違いなく守られない。2021年6月、スチューブ氏はデービス氏に次のように話した。「プロジェクトのはじめに話したように、自律走行運用の承認には、大がかりな監視、試験、検証が必要です。このプロセスには非常に多くの時間がかかります」。

それに答えてデービス氏は「私たちが自律走行あるいは自動運転の機能、運用を要求していないことを明らかにさせていただきたい」と述べている。

Loopの中の人間たち

問題は2つある。第1はTeslaのオートパイロットシステムが当面、ドライバーなしでは完全な動作ができないこと。第2は、おそらくもっと深刻で、Loopは国の標準が定める地下輸送システムの安全要求を満たすために、強くドライバーに依存していることだ。その種のシステムの乗客は、モノレールであれ電動車を使う地下的であれ、停電、火災、洪水などの非常時の安全が保証されなくてはならない。

TechCrunchがメールとともに入手したLVCC Loopの設計文書にはこう書かれている。「(我々の)訓練されたドライバーはシステムの安全面で重要な役割を果たします。緊急時にドライバーが乗客を適切に安全な場所に誘導する行動は、主要なリスク軽減措置です」。

TechCrunchが入手したいくつかの文書がこれを裏づけている。火災の際、ドライバーは「乗客の降車を補助し、歩ける乗客を最も近い出口に誘導する。ドライバーは口頭で指示を与える他乗客を身体的に補助すること場合もある」。ドライバーが乗客を率いて歩く場合「頻繁に振り返って全員がすぐ後に続いていることを確認する」。

ドライバーは、手に負えない問題がある乗客の判定と対応に責任を持ち、オートパイロット自体の動作状況の監視も行うとTBCはいう。「Loopにはドライバーが同乗し、能動的安全機能の使用を監督して必要に応じてブレーキや操舵を取って代わる人間が常に存在することを保証します」とデービス氏が6月に述べている。

TechCrunchが入手した数十件の文書と数百通のメールの中に、LVCC Loopの将来拡張の詳細や、TBCが完全自律走行に移行する方法や日程について書かれたものは1つもない。

Loopが米国土木学会の定める自律走行システムの安全原則に合致しているかについての質問に対して、TBCは次のように回答した。「自律走行運用に特有の基準はLVCC Loopには当てはまりません、なぜなら当システムは車両を操作するドライバーを有するからです」。

果たしてTBCがクラーク郡に伝えていることが、あるいはLVCCに伝えていることが、将来のLoopの運行にどれほど近いものなのかを知るには、時を待つしかない。

ちなみに、もしLoopの車両がまだドライバーレスではないのなら、LVCCはせめて全車両がTesla最新のモデルになると期待できるのか?おそらく違うだろう。

Loopのもう1つの要件は、米国障害者法(ADA)を遵守していることだ。クラーク郡担当者への7月のメールで、TBC幹部は、LVCC LoopのためにTesla以外のADA準拠電動車を購入する予定であることを明かした。

メールに具体的モデル名は書かれていなかったが、短距離用鉛酸蓄電池を備え、Tropos Motors(トロポス・モーターズ)の電動多目的車、Able(エーブル)と同じ仕様だ。この件に関してTroposもTBCも質問への回答はない。

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画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

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(文:Mark Harris、翻訳:Nob Takahashi / facebook

トヨタの自動運転車「e-Palette」が横断歩道を横断しようとしたパラリンピック選手と接触事故、選手は負傷で欠場に

トヨタの自動運転車「e-Palette」が横断歩道を横断しようとしたパラリンピック選手と接触事故、選手は負傷で欠場に

Reuters

トヨタは、東京オリンピック / パラリンピック選手村で運行している自動運転車 e-Palette(イーパレット)が26日に起こした、パラリンピック選手との接触事故を受けて、選手村でのe-Palette運行をいったん取りやめました。豊田章男社長は運行再開について問われ「絶対に安全だといえる立場ではない」と、慎重な姿勢を示しています。

事故はe-Palletteが選手村内のT字交差点を右折しようとした際に発生しました。朝日新聞によれば、e-Palletteは横断歩道の前で一旦停止したあと「オペレーターが手動で発進した」直後に、車内のオペレーターから死角の位置にいたパラリンピック柔道代表の北薗新光選手に接触したとみられるのこと。視覚障害をもつ北薗選手は接触によって転倒し、頭などに全治2週間のけが。28日の試合も欠場することになってしまいました。

豊田社長は「パラリンピックの会場で、目が見えないことや耳が聞こえないことへの想像力を働かせられなかった」と事故原因について説明したとのこと。説明どおりなら事故の発生はオペレーターの判断ミスが原因で、責任もオペレーターにあるということになります。

またレベル4の自動運転と宣伝されていたはずの自動運転車が、交差点で一旦停止したあと手動で発進する必要があるというのは釈然としないところで、どういう運行状況、手順だったのかも非常に気になります(レベル4は、決められた条件下で全ての運転操作を自動化と定義されています)。

トヨタは、e-PaletteはEVでエンジン音がないため、接近を知らせるスピーカー音量を2倍に大きくするなどの対策を検討するとしています。なお、パラリンピック開催期間は9月5日までありますが、選手らはe-Paletteがなくても他の手段で選手村を移動できるため、特に困ることはない模様です。

トヨタの自動運転車「e-Palette」が横断歩道を横断しようとしたパラリンピック選手と接触事故、選手は負傷で欠場に

高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議「官民ITS構想・ロードマップ2020」より。JSAE(自動車技術会)によるJASO(日本自動車技術会規格)テクニカルペーパー「自動車用運転自動化システムのレベル分類及び定義」(2018年2月1日発行)を基にしたもの

(Source:朝日新聞DigitalReutersEngadget日本版より転載)

Cruiseがカリフォルニアの農家から購入する太陽光発電を電気自動車や自動運転車の動力源に

General Motors(ゼネラルモーターズ)傘下で自動運転車を開発するCruise(クルーズ)は、カリフォルニア州セントラルバレーの農場から太陽光発電電力を調達する「Farm to Fleet」という新たな取り組みを始めた。San Francisco Chronicle紙が最初に報じたところによると、Cruiseは、Sundale Vineyards(サンデール・ヴィンヤーズ)とMoonlight Companies(ムーンライト・カンパニーズ)から再生可能エネルギー・クレジットを直接購入し、サンフランシスコで運行するすべての電気自動車の電力供給に活用しようとしている。

Cruiseは先日、サンフランシスコで人間のセーフティーオペレーターがいない試験車両で乗客を運ぶ認可を取得した。また、GM Financial(GMフィナンシャル)から50億ドル(約5500億円)の融資枠を受け、電気自動車や自動運転車など数百台のCruise Originを購入し、商用化に向けた動きを加速させている。今回のカリフォルニア州の農家との提携は、再生可能エネルギーの導入を進めるカリフォルニア州にとって有益であることは間違いないが、Cruiseは慈善事業を行っているわけではない。

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California Independent System Operator(カリフォルニア独立系統運用機関)はこの夏、電力需要が高まり、停電を起こす可能性のある熱波を想定し、米国西部の電力会社にメガワット単位での販売を呼びかけた。電力供給は、干ばつや停電、新しいエネルギー源の導入の遅れ、水力発電の減少などにより、すでに予想を下回っている。Cruiseが計画している大幅な台数の増加にカリフォルニア州の送電網が対応するには、送電網を強化するしかないようだ。しかし、Cruiseは、エネルギー源を確保するだけではなく、より高い目標を持っていることを明言している。

Cruiseの広報担当Ray Wert(レイ・ワート)氏はTechCrunchの取材に対し「私たちが都市やコミュニティのために正しいことをし、交通手段を根本的に変えていくことが目的です」と述べた。

環境保護団体「Nature Conservancy」の報告書によると、カリフォルニア州の農家は干ばつに悩まされており、農地を太陽光発電所に変えることにより気候変動の目標を達成できる可能性がある。だからこそCruiseは、セントラルバレーの農家に今アプローチすることに意味があると考えたのだ。

「Farm to Fleetは、都市部の交通機関の二酸化炭素排出量を急速に削減すると同時に、再生可能エネルギーに取り組むカリフォルニアの農家に新たな収入をもたらす手段です」とソーシャル・アフェアーズ&グローバル・インパクト担当副社長のRob Grant(ロブ・グラント)氏はブログで述べた。

Cruiseは、クリーンエネルギーのパートナーであるBTR Energy(BTRエナジー)を通じて、農家に対し合意した契約料金を支払っている。同社はコストを公表していないが、他の形態の再生可能エネルギー・クレジット(REC)を使用した場合と比べて、支払う金額は大きくも小さくもないとしている。RECは、再生可能エネルギー源が1メガワット時の電力を発電し、それを送電網に渡すと生成される。Cruiseによると、Sundaleは20万平方フィート(約1万9000平方メートル)の冷蔵倉庫に電力を供給するために、2メガワットの太陽電池容量を設置し、Moonlightは選別・保管施設に合計3.9メガワットの太陽電池アレイと2つのバッテリー貯蔵システムを設置しているという。これらの農場からクレジットを購入することで、Cruiseは電力使用量のうち特定の量が再生可能エネルギーで賄われていることを証明できる。RECは一意であり追跡できるため、どこから来たのか、どのようなエネルギーを使ったのか、どこに行ったのかが明確になる。Cruiseは、農場から購入するRECの数量について明らかにしていないが、同社のサンフランシスコの車を動かすのに十分な量だと述べている。

「太陽光発電の電力は同じ送電網を通っています。Cruiseは農場のソーラーパネルで発電された再生可能エネルギー・クレジットを購入しますが、最終的にそれはなくなります」とワート氏は話す。「カリフォルニア州大気資源局に四半期ごとに提出するデータにより、車両の充電に使用した電力量に相当する数のRECを償却しています」。

また、CruiseはBTRエナジーと協力し、アリゾナ州での事業に必要なRECの供給を確保している。同州での事業には、Walmart(ウォルマート)との配送試験も含まれる。

カリフォルニア州では低炭素燃料基準が定められており、輸送用燃料の炭素強度を低減し、より多くの低炭素代替燃料を提供することを目的としているため、完全に再生可能な電力を使用することはCruiseにとって有益だとワート氏はいう。同社はすべてのEV充電ポートを自社で所有・運営しているため、電力の炭素強度スコアとエネルギー供給量に応じてクレジットを生成することができる。Cruiseはこのクレジットを、二酸化炭素排出量の削減や法規制の遵守を求める他の企業に販売することができる。

Cruiseは、実用性だけでなく、業界の標準を確立し、再生可能エネルギーの需要を創出することで、より多くの人々や企業に再生可能エネルギーの創出を促すことを目指している。

グリッド分析を行うスタートアップであるKevala(ケバラ)のCEOのAram Shumavon(アラム・シュマボン)氏は、今回の提携について、Cruiseを賞賛すべきだと述べている。

「Cruiseが認めようとしているのは、同社が消費する電力に関する炭素強度であり、それを何らかの形で相殺しているということです」とシュマボン氏はTechCrunchに語った。「炭素会計にはスコープ3と呼ばれるカテゴリーがあり、サービス提供に必要なサプライチェーンが実際にどれだけの炭素を含んでいるのかを把握しようとするものです」。

シュマボン氏は、商業活動の炭素強度を定量化することで、企業はその説明責任を果たすことができ、供給者には自然エネルギーからの供給を求めることで、変化を促すことができると述べている。例えば、ある自動車メーカーは、アルミニウムを供給する会社に、石炭発電ではなく水力発電のある地域からのみ調達するよう依頼することができる。これにより、自動車メーカーの炭素強度を下げることができる。

「輸送部門は温室効果ガス排出量の40%以上を占めています。そのため、我々は2月に『クリーンマイル・チャレンジ』を発表し、自動運転業界の他の企業に、毎年何マイルを再生可能エネルギーで走行しているかを報告するよう呼びかけました」とワート氏は話す。「他の企業が我々に追随することを期待しています」。

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画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Waymoが自動運転用センサーLiDARの他社への販売を停止

CEOの交代からわずか1カ月、Waymo(ウェイモ)は正式にカスタムセンサーのサードパーティへの販売を停止する。これにより、Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転企業Waymoは販売事業をわずか2年で終了することになる。Waymoはこの決定をロイターに認め、Waymo One配車サービスとWaymo Viaトラック配送部門でWaymo Driverテックを展開することに専念する、と付け加えた。

今回の動きは、長らくCEOを務めたJohn Krafcik(ジョン・クラフシック)氏の退社に続くものだ。クラフシック氏に代わって同社の役員、Tekedra Mawakana(テケドラ・マワカナ)氏とDmitri Dolgov(ディミトリ・ドルゴフ)氏が共同で舵取りを担うことになった。一部の人はクラフシック氏の意図的なアプローチは商業化を妨げていると考えていた。2021年8月初め、Waymo はシミュレーションで200億マイル(約322億キロメートル)、公道で2000万マイル(約3220万キロメートル)の走行というマイルストーンを達成した。数日前にはサンフランシスコで選ばれた客にロボタクシーの提供を開始した。

同社は2019年に、レーザー光のパルスで距離を測定する技術であるLiDARを自動運転車両ライバルを排除する企業への販売を開始した。当初は短距離センサー(Laser Bear Honeycombとして知られる)をロボティクス、セキュリティ、農業テクノロジー部門の企業に販売する計画だった。同社のウェブサイトにあるフォームにはドローンやマッピング、エンターテインメントといった産業も対象と記載されている。

Waymoの第5世代Driverテクノロジーは、車が日中問わず、そして雨や霧といった悪天候の中でも周囲360度を「見ることができる」よう、レーダー、ライダー、カメラなどのセンサーアレイを使っている。シミュレーションと実世界での運転テストは機械学習ベースのソフトウェアを使って分析される膨大なデータセットを集めるのに役立った。ロイターが引用した匿名の情報筋によると、Waymoは次世代LiDARで自社開発のテクノロジーと外部サプライヤーを使う意向だ。

編集部注:本記事の初出はEngadgetに。著者Saqib ShahはEngadgetの寄稿ライター。

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画像クレジット:Waymo

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(文:Saqib Shah、翻訳:Nariko Mizoguchi

Xiaomiは4〜6月期過去最高64%の収益増加、自動運転技術会社Deepmotionを買収

Xiaomi(シャオミ、小米科技)は第2四半期、売上高が135億6000万ドル(約1兆4916億円)となり、12億8000万ドル(約1408億円)の純利益を計上した。これは、中国のテック巨人である同社が、世界的にスマートフォンの市場シェアを大きく伸ばしたことを受けたものだ。

2021年6月に終了した同四半期において、Xiaomiは前年同期比で64%の増収を達成し、純利益は80%以上の増加となった。

香港に上場している同社は、スマートフォンの出荷台数が5290万台に増加したことにより、同カテゴリの売上高が91億ドル(約1兆10億円)に増加したと発表した。市場調査会社のCanalysによると、それによりこの四半期、同社はApple(アップル)を抜いて世界第2位のスマートフォンメーカーになった。

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Xiaomiの国内最大のライバルであるHuawei(ファーウェイ)に対する米国政府の制裁措置に助けられ、Xiaomiは他のいくつかのメーカーとともに、国内だけでなく世界的にも市場シェアを拡大している。

また、IoTとライフスタイル製品カテゴリーからのXiaomiの収益も伸びを見せ、36%増の32億ドル(約3520億円)となった。

同社は決算報告の直後に、設立4年の自律走行技術スタートアップDeepmotion(深動科技)を約7730万ドル(約85億円)で買収すると発表した。この投資は、EV分野に今後10年間で100億ドル(約1兆1000億円)を投資するという同社の大胆な計画に沿ったものだ。

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Xiaomiは、EV業界に参入した最新の中国テック企業だ。中国の検索エンジン大手Baidu(バイドゥ、百度)は2021年初め、自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利汽車)の協力を得てEVを製造すると発表した。2020年11月には、Alibaba(アリババ)と中国の国有自動車メーカーであるSAIC Motor(上海汽車集団)が手を組んで電気自動車を生産すると発表した。ライドシェア大手のDidi(ディディ、滴滴出行)とEVメーカーのBYD(比亜迪)も、配車サービス用のモデルを共同設計している。

筆者の同僚であるRita Liao(リタ・リャオ)は以前こう報じていた。

インターネットの巨人たちは、Xpeng(シャオペン、小鵬)やNio(ニオ、上海蔚来汽車)、Li Auto(リ・オート、理想汽車)など、すでに複数のモデルを発表し、しばしばTesla(テスラ)と比較される、より専門的なEVスタートアップの数々と競合している。これらEVメーカーは車内エンターテインメントから自律走行まで、様々な機能に投資して差別化を図ろうとしている。

Xiaomiにとって自動車メーカーとしての明らかな強みは、広大な小売ネットワークと国際的なブランド認知度だろう。また、スマートスピーカーや空気清浄機など、同社のスマートデバイスの一部は、セールスポイントとして車に簡単に組み込める。もちろん、真のチャレンジは製造にある。携帯電話の製造に比べ、自動車産業は資本集約的で、長く複雑なサプライチェーンを必要とする。Xiaomiがそれを成し遂げることができるかどうか、見守っていきたい。

Xiaomiは中国時間8月25日、Deepmotionへの投資は、同社製品の市場投入までの時間を短縮するのに役立つと述べた。

画像クレジット:Roman BalandinTASS / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

自動運転のWaymoがサンフランシスコでロボタクシーサービスを開始

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転スタートアップWaymo(ウェイモ)は、サンフランシスコで限定利用者向けにロボタクシーサービスを開始した。

米国時間8月23日、同社はWaymo One Trusted Tester(ウェイモ・ワン・トラステッド・テスター)プログラムを同市で正式に開始した。Waymoの第5世代自動運転システムを搭載した全電動車、Jaguar I-PACEの車団を使用する。この自動運転システムWaymo Driver(ウェイモ・ドライバー)というブランドが付けられており、公道での自動運転2000万マイル、シミュレーションで100億マイル以上の走行実績から情報を得ている。

Waymo One Trusted Testerと呼ばれるこのプログラムは、数年前に同社がアリゾナ州フェニックスで開始した最初の商用ライドシェアリングサービスの戦略を踏襲している。Trusted Testerプログラムは、Waymoが2017年4月にフェニックス都市圏でスタートした「Early Rider」プログラムの再ブランド版だ。4年以上の時を経てその乗客(Rider)たちはもはや「Early」ではないことから名称変更に至った、とWaymoの広報担当者は言っていた。

フェニックスでは、WaymoはEarly Rider参加者の一部をWaymo Oneサービスに移行するよう招待した。ユーザーはサービスの印象を公に発表することが可能で、以前のプログラムに参加していない友人や家族を招待することもできた。その後Waymoはサービスを全員に向けて公開した。

サンフランシスコ市民はWaymo Oneアプリをダウンロードして、プログラムへの参加の意志を表明できる。同サービスでは開始時のグループを、車椅子の利用など輸送におけるさまざまなニーズをもつ多様な背景の人々で構成する、とWaymoは言っている。最初のグループに何人参加するのか、何台のJaguarが街を走りまわるのかは公表していないが、利用者には利用に関する詳細なフィードバックを数多く返すこと、および守秘義務契約に署名することを求めている。

Waymoはテスト参加者に対し、自動運転サービスを日々の移動ニーズに利用するよう推奨している。現時点で利用は無料で、サンフランシスコのサンセット、リッチモンド、パシフィック・ハイツ、ノイバレー、カストロ、ヘイト・アシュベリーなどの地区を対象地域として開始される。サービスは週7日、1日24時間利用可能だと広報担当者がTechCrunchに語った。

同社はいわゆる “autonomous specialists”(自律運転スペシャリスト、セーフティドライバーの新たな名称)を運転席に同乗させ、運行状況の監視と安全な体験の確保を行う。このセーフティドライバーは契約労働者でフランス企業のTransdev(トランスデヴ)に雇用されている。Waymoは運行スタッフの派遣を長年Transdevに依頼している。

Waymoの乗客サポートチームとは、乗車中に質問があった時、車載画面のボタンをタップするか、アプリを経由していつでも連絡がとれる、と広報担当者は言った。

Waymo初のライドシェアリング・サービスはフェニックスで開始されたが、そのルーツはカリフォルニア州、それもマウンテンビューのシリコンバレー飛び地にある。大サンフランシスコ湾岸地域では10年以上テストを続けている。

2021年初めに同社は、従業員向けに自律運転乗車を提供してロボタクシーサービスのテストを開始した。

Trusted Testerプログラム開始のニュースの1週間前、Waymoはテキサス、アリゾナ、カリフォルニア3州の自律運転トラック事業を拡大すること、およびテキサス州ダラス郊外にトラック・ハブを建設していることを発表した。同社はクラス8トラック向けの第5世代Driverのテストをテキサス州で開始しており、J.B. Huntなどの運送会社の貨物を運んでいることから、このDriverシステム最新の応用は、Waymoが完全無人運転の推進に成功していることの証か、あるいは最近調達した25億ドル(約2746億円)を有効活用していることを示す兆候のどちらかだ。

関連記事:Waymo Viaがテキサス、アリゾナ、カリフォルニア州で自動運転トラックのオペレーションを拡大中
画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転のWaymoがサンフランシスコでロボタクシーサービスを開始

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転スタートアップWaymo(ウェイモ)は、サンフランシスコで限定利用者向けにロボタクシーサービスを開始した。

米国時間8月23日、同社はWaymo One Trusted Tester(ウェイモ・ワン・トラステッド・テスター)プログラムを同市で正式に開始した。Waymoの第5世代自動運転システムを搭載した全電動車、Jaguar I-PACEの車団を使用する。この自動運転システムWaymo Driver(ウェイモ・ドライバー)というブランドが付けられており、公道での自動運転2000万マイル、シミュレーションで100億マイル以上の走行実績から情報を得ている。

Waymo One Trusted Testerと呼ばれるこのプログラムは、数年前に同社がアリゾナ州フェニックスで開始した最初の商用ライドシェアリングサービスの戦略を踏襲している。Trusted Testerプログラムは、Waymoが2017年4月にフェニックス都市圏でスタートした「Early Rider」プログラムの再ブランド版だ。4年以上の時を経てその乗客(Rider)たちはもはや「Early」ではないことから名称変更に至った、とWaymoの広報担当者は言っていた。

フェニックスでは、WaymoはEarly Rider参加者の一部をWaymo Oneサービスに移行するよう招待した。ユーザーはサービスの印象を公に発表することが可能で、以前のプログラムに参加していない友人や家族を招待することもできた。その後Waymoはサービスを全員に向けて公開した。

サンフランシスコ市民はWaymo Oneアプリをダウンロードして、プログラムへの参加の意志を表明できる。同サービスでは開始時のグループを、車椅子の利用など輸送におけるさまざまなニーズをもつ多様な背景の人々で構成する、とWaymoは言っている。最初のグループに何人参加するのか、何台のJaguarが街を走りまわるのかは公表していないが、利用者には利用に関する詳細なフィードバックを数多く返すこと、および守秘義務契約に署名することを求めている。

Waymoはテスト参加者に対し、自動運転サービスを日々の移動ニーズに利用するよう推奨している。現時点で利用は無料で、サンフランシスコのサンセット、リッチモンド、パシフィック・ハイツ、ノイバレー、カストロ、ヘイト・アシュベリーなどの地区を対象地域として開始される。サービスは週7日、1日24時間利用可能だと広報担当者がTechCrunchに語った。

同社はいわゆる “autonomous specialists”(自律運転スペシャリスト、セーフティドライバーの新たな名称)を運転席に同乗させ、運行状況の監視と安全な体験の確保を行う。このセーフティドライバーは契約労働者でフランス企業のTransdev(トランスデヴ)に雇用されている。Waymoは運行スタッフの派遣を長年Transdevに依頼している。

Waymoの乗客サポートチームとは、乗車中に質問があった時、車載画面のボタンをタップするか、アプリを経由していつでも連絡がとれる、と広報担当者は言った。

Waymo初のライドシェアリング・サービスはフェニックスで開始されたが、そのルーツはカリフォルニア州、それもマウンテンビューのシリコンバレー飛び地にある。大サンフランシスコ湾岸地域では10年以上テストを続けている。

2021年初めに同社は、従業員向けに自律運転乗車を提供してロボタクシーサービスのテストを開始した。

Trusted Testerプログラム開始のニュースの1週間前、Waymoはテキサス、アリゾナ、カリフォルニア3州の自律運転トラック事業を拡大すること、およびテキサス州ダラス郊外にトラック・ハブを建設していることを発表した。同社はクラス8トラック向けの第5世代Driverのテストをテキサス州で開始しており、J.B. Huntなどの運送会社の貨物を運んでいることから、このDriverシステム最新の応用は、Waymoが完全無人運転の推進に成功していることの証か、あるいは最近調達した25億ドル(約2746億円)を有効活用していることを示す兆候のどちらかだ。

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画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook