スタンフォード大学のロボット‘Jackrabbot’は歩行者が無意識に守っている説明の難しい複雑なルールを学習中

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人間の大人でも、人混みの中を歩くのが難しいことがある。ましてや、不器用で素朴な脳のロボットはどうだろう? 人にぶつかることを避けるために、“右へ行くべきか左か?”を一瞬々々ぎごちなく考えながら歩く、…スタンフォード大学の研究者たちは、彼らのロボット”Jackrabbot”が、そんな路上のルールを学習できる、と期待している。

同大のComputational Vision and Geometry Lab(コンピューターによる視界とジオメトリ研究所)はこれまですでに、歩行者の動きを追跡して予測するコンピュータービジョンのアルゴリズムを作ってきた。しかしそのルールはきわめて複雑で、群衆や歩道の幅、一日の中の時間帯、自転車やベビーカーの有無、等々大量の変数を含むため、まさしく、そのほかの機械学習のタスクと同じく、有益な結果を得るためには膨大な量のデータを必要とする。

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しかも、彼らが開発しているアルゴリズムは、完全に観察データだけを使用し、それをニューラルネットワークが解釈することを意図している。研究者たちが、ヒント(“この状況では人は必ず左へ行く”など)を与えてはいけない。

彼らのこれまでの努力は小論文に記され、今月の終わりごろ出るCVPRに掲載される。彼らが作った動き予測アルゴリズムは、多くの同種アルゴリズムよりも優れており、そのモデルは、人が集団の中で相互作用/反応する場合の複雑微妙ぶりをある程度学習できた。

現在、楽しげにめかしこんだJackrabbot(上図)は、人間が手動でコントロールしながら、研究のモデルをロボットの知覚に実装する方法を模索している。その本体は実はSegway RMP210の改造バージョンで、ステレオカメラとレーザースキャナーとGPSを搭載している。訓練用データは鳥瞰ビューを使用したが、ロボット本人には鳥瞰的視界を持たせずに、さまざまな歩行者の互いの距離と歩行速度から、空間中の各個人の座標を求め、彼らの動きを高い精度で予測させる。

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研究者のAlexandre Alahiは本誌へのメールで、“この夏には、私たちの社会的知覚を持つ予測モデルをロボットに実装したい。リアルタイムのデモは、年末までには行いたい”、と言っている。

人間の空間を無事にナビゲートできるロボットが、まだ万人の目の前ではないけれども、どこかSFにほとんど近いような場所に、出現しようとしている。しかし、われわれが日々、思考を必要とせずに行っていること…回りをスキャンしその場の障害物と運動物を判断し、それに応じて自分の動きを適切に計画すること…は、コンピューターにとってものすごく難しいことなのだ。

このようなプロジェクトの多様な蓄積の中から、最終的には、家の中や都市の中を人間と同じようにはやく安全に、他人に配慮しながら歩けるロボットが生まれるだろう。自動運転車がたぶん都市の道路の様相をすっかり変えてしまうように、自律性のある歩行者ロボットは、それがヒューマノイドであろうとなかろうと、歩道の状況を変えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleのAIが初期のCasioのシンセに匹敵する音とメロディーを作り出す

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それは1989年だった。親たちはベルリンの壁が取り壊されるのを見ていたが、あなたは二階の自分の部屋でCasio SA-1の電池を交換し、コンサートに備えていた。それが叩き出すビートは熱い。あなたはデモ曲“Wake me up before you go-go”聴き、自分もやる気むんむんとなる。100種類ある音色の02番、”HONKY-TONK PIANO”を選ぶ。そのプラスチック製の象牙(鍵盤)をまさぐり、気分は絶好調。さあ、行くぜ!

しかし、ここまで^

悪くないね、そう思わない? でもこいつは、当時7歳の練習熱心な子の迷演ではなくて、人工知能が作ったオリジナル曲だ。そのAIを作ったのはGoogle ResearchというかGoogle Brainの連中。すでに記事のタイトルにあるから、驚かなかったと思うが、タイトルを飛ばしていきなり本文を読んだ人は、どうだったかな? ( )。

これは、“マシンインテリジェンスに音楽やアートの高度な生成能力を持たせるための研究プロジェクト”Magentaの、最初の公開出力だ。プロジェクトのサイエンティストの一人Douglas Eckによると、機械学習は発話認識(speech recognition)のような比較的単純明快なタスクではかなり進歩してきたが、でもそれは、たとえば、音の並びが音楽と呼べるためには何がどうあるべきか、を学習できるだろうか? あるいは、アートとして鑑賞できる色や言葉の並びを? へんてこな詩(PDF)を作ったことは、あったけど。

“発話認識や、翻訳、画像アノテーション〔タグ付けなど〕などでうまくいったやり方を基盤として、アートや音楽を創造できるすばらしいツールを作れる、と信じている”、とEckは書いている。

クリエイティブなワークは何でもそうだが、Magentaもまず必要なのは練習、そしてフィードバックだ。そのためGoogleは、クリエイティブとプログラミングの両方の分野に、コミュニティへの参加を呼びかけている。コードのチェックや、データの供給などのためだ。このプロジェクトはGitHubに置かれ、Google自身のオープンソースの機械学習プラットホームTensorFlowも利用できる。あなた自身の、フォークを作ってみよう。

研究者たちが初めて、コンピューターに作曲をさせてみたのは、もうかなり昔の話だ(数十年前)。でもGoogle Researchの潤沢なリソースと頭脳があれば、Magentaはもう一歩二歩進んだ結果を見せてくれるかもしれない。

このプロジェクトの今後の進捗は、Magentaのブログでチェックできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

地図上の地形的特徴でクェリすると各都市のマッチ結果(野球場、テニス場、etc.)を返してくれる画像検索エンジンTerrapattern

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Terrapatternは画像検索エンジンだが、誰もがそれを初めて使ったとき、“何でGoogleがこれを10年前からやってないの?”、と不思議に思うだろう。地図上の特徴(施設など)…野球場、マリーナ、ロータリー、などなど…をクリックすると、アルゴリズムが複数の都市の「それはここだ!」と信じたものの写真を見せてくれる。速いし、使い方は簡単、そして可能性としてはとっても役に立つ。

実際に試してみると、その検索がとても自然であることが分かるだろう。どんな原理なのか? ひとにぎりのデジタルアーチストとデベロッパーが、35000ドル足らずでどうやって作ったのか?

最近のおもしろいヴィジュアルコンピューティングプロジェクトの多くがそうであるように、このプロジェクトも畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network)を使っている。基本的にはそれはAIのようなプログラムで、画像からあらゆるデテール(細部情報)を取り出し、さまざまな構造体の中に、そのパターンを探す。それは、人間の目が相似のパターンを探すやり方と同じだが、その精妙さと柔軟性は、人間の脳が上だ。

Terrapatternの場合は、小さな矩形の地形図を見て、それをOpenStreetMapが提供している地図上の特徴のタグ付き画像の、巨大なデータベースと比較するよう、ニューラルネットワークを訓練する。それは、地形図上の情報を何らかのコンセプトに結びつけることを学習する。

たとえばカメラが人間の顔を認識して、その顔が瞬(まばた)きしてるか微笑んでいるかを判断するとき、何をどうやっているのか。それは顔や微笑みや目などを“知っている”のではなくて、それらを画素の何らかのパターンに結びつけ、相似性の高いものを拾い上げているだけだ。

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Terrapatternを訓練して、船や貯水塔など、ありとあらゆる地理的特徴を認識しカテゴライズできるようになると、それに、ニューヨークやピッツバーグ、デトロイト、サンフランシスコなどの大きな詳細地図を見せる。するとTerrapatternはそれらの地形図を舐めるように見て、特徴と類似性の巨大なデータベースを作る。そしてそれに対して、小さな矩形の地形図でクェリすると、相似物が直ちに返される。ユーザーが地形図(施設など)をクリックしたときニューラルネットワークは“考える”のではなくて、データベースのデータ集合を照合するだけだ。

そうやってユーザーはたとえば、“オークラウンドのテニス場”を見つけたり、いろんな視覚的検索が完全にできるが、Terrapatternが探すのはあくまでもパターンの相似だから、原っぱの真ん中の家、とか、行き止まりの袋小路、とか、枯れた芝生、円形の駐車場などなども、そんなパターンが見つかれば検索結果として返す。Terrapatternにとってそれは、空港やフェリーのターミナルを探すことと、なんら変わらない。それらはすべて、ニューラルネットワークにとっては、特徴の集まり〜組み合わせにすぎない。

TerrapatternはGolan Levin, David Newbury, Kyle McDonaldの三名がKnight FoundationのPrototype Fundから得たお金で作った。彼らの資金と時間では、4つの都市の特徴マップデータベースを作るのが精一杯だったが、今後はほかの都市もやっていくつもりだ。そしてうまくいけば、もっと高いレベルと低いレベルの特徴を検出したい。野球場を見つけるのはふつうのレベルだが、小さな交差点(低レベル)や刑務所(高レベル)を見つけるのは難しい。

この作品はCreative Commons 4.0のライセンスにより、無料で利用できる。彼らのコードは、GitHubにある

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ノーベル賞を獲得した困難な実験をAIが各種パラメータを自力で最適化しつつ自分でやれるようになった

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【抄訳】
オーストラリアの物理学者たちが、たぶん連日の徹夜仕事から解放されたいためだと思うが、物理の実験をほとんど監視不要で自動的に行い、ときには人力よりも上手に行うAIを作った。このようなシステムによって今後、人間研究者は面倒な手作業等から解放され、より高度な問題や研究の設計に集中できるようになるかもしれない。

このAIが行った実験は、超低温のガスBose-Einstein condensate(ボース=アインシュタイン凝縮)を作ることで、そのプロセスで2001年に三人の物理学者がノーベル賞を授与された。この実験は、一定方向のレーザー照射により原子の集団を静止に近い状態にし、さまざまな興味深い効果を作り出す。

オーストラリア国立大学(Australian National University, ANU)のチームは、少量のガスを1マイクロケルビンにまで冷却した。これは、絶対零度よりも100万分の1度高い温度である。そしてそれを、AIのコントロール下に置く。AIはレーザーの当て方を自分で考え、そのほかのパラメータも、原子をもっとも低温に冷却できるためにコントロールし、その温度を数百ナノケルビンまで下げる(1ナノケルビンは10億分の1度)。それを数十回繰り返すことによって、もっとも効率的なやり方を見つけ出す。

“レーザーのパワーの上げ下げやそのほかの操作など、人間が従来、試行錯誤でやっていたことを、このロボットがやってくれる”、とANUの共同指導研究員Paul Wigleyがニューズリリースで言っている。“マシンは実験のやり方を1時間足らずで覚えたが、それはわれわれの想定外だった。今後は、人間が考えもしなかったような複雑なやり方を編み出して、さらに低温下での実験を行い、測定の精度を上げてくれるだろう”。

Co-lead researchers Paul Wigley (left) and Michael Hush.

共同指導研究員Paul Wigley(左)とMichael Hush

ボース=アインシュタイン凝縮には、奇妙ですばらしい特性があり、エネルギーの変動に対する極端な感受性が、そのほかの実験や測定の役に立っている。しかしその極端な感受性のため、作成と維持もきわめて困難である。AIは多くのパラメータを一度にモニタし、プロセスを素早く調節する。そのやり方は人間に理解できないかもしれないが、いずれにしても効果的なのだ。

その結果、凝縮をより早く、より多様な条件下で、より大量に作り出せる。しかもAIは、食べないし寝ないし休暇も取らない。言い換えると、人間物理学者よりコスパが大幅に高い。彼らの研究論文は、今日(米国時間5/16)発行のScientific Reportsに載っている。

【後略】

参考記事。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

CTやレントゲン画像からの症状検出を人間医師/技術者より正確に行う機械学習ソフトウェアBehold.ai

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Jeet Rautのお母さんは、乳がんの完治を告げられた。でも、それは誤診で、再び治療が必要になった。

今では良くなっているけど、その誤診で彼女の命が奪われたこともありえる。そこでRaut は、体の中の、医療を要する異状を見つけるための、もっと良い方法を作ろう、と思い立った。

彼と、協同ファウンダーのPeter Wakahiu Njengaが作ったBehold.aiは、がんの早期発見を助け、診断における人的エラーを最小化する。

“Behold.aiの基本的なねらいは、効率を高めること”、とRautは、TechCrunch Disrupt NY 2016のStartup Battlefieldで述べた。

イギリスのオンライン医学誌BMJ(British Medical Journal)によると、合衆国では人間の死因の第三位が医療過誤だ。しかもX線による体のスキャンは、年々より多く行われるようになっている。その回数は2012年以降三倍に増え、 患者1000人あたり149回のCTスキャンが行われている。画像の中の、小さな異状が見過ごされる危険性も、当然増えている。

“今の医師は多くのデータを利用できるようになっているが、そのためにレントゲン技師が読むべき画像の量も膨大だ”、とRautは問題を指摘する。

そこでRautとNjengaは高度な機械学習の技術を利用して、同じことをプログラムがもっと上手に速くできるようにした。

二人ともコロンビア大学卒だが、Njengaはその後UC Berkeleyで学び、Facebookで機械学習のソフトウェアエンジニアとして働いた。Rautはイリノイ大、スタンフォード大と進み、後者のComputers and Cognition Labで長寿について研究した。

Behold.aiを支えているのは、二人のこれまでの研究歴だ。たとえば数百人もの健康な肺と健康でない肺のレントゲン写真を、機械学習のソフトウェアに読ませる。そうやって問題を見つけられるよう訓練し、さらに時間をかけて改良していく。

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それは、人間の医師やレントゲン技師に比べて、どれぐらい優秀か? Rautは、彼らのアルゴリズムが100%正確ではない、と認める。感触としては、精度は85%ぐらいだそうだ。

“最初は現状の精度を維持しながら医師の効率をアップすることをねらっていたが、でも徐々に、医師の診断の精度をアップする方が重要、と思うようになった”、と彼は語る。

信頼、という問題もある。病院には官僚主義の塊のようなところがあり、なかなか新しい技術を採用してくれない。しかし今Rautは、いくつかの大きな病院に、今後のパートナーシップを働きかけている。

Behold.aiにとっては、IBMのWatsonやそのほかの、医療への進出をねらっているAIプロダクトがコンペティターだ。またもちろん、FDAの認可を得ることも課題だ(IBMは議会にもWatsonの医療利用とその認可を働きかけている)。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

この超キュートな昆虫ロボットたちは、協力して階段を登る

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みんなで力を合わせれば、なんでもできる ― そして誰も落ちこぼれない。それがこの “VelociRaACH” という小さなロボットたちが与えてくれた教訓だ。

名前は、Velocity Robotic Automous Crawling Hexapod[高速自立這いまわり6脚類ロボット]の略で、これがすべてを説明している。作ったのはカリフォルニア大バークレー校のBiomimetics Millisystems Labのロボティック研究者たちで、ここでは他にも数多くの自然に触発された機械や材料が作られている。

小さな昆虫ロボットたちは特に新しいものではないが、その協調行動は新しい。研究者のCarlos Casarezは、オーストラリアのジャンピングアントというアリの行動に興味をかき立てられた。そのアリは2匹以上が協力して困難な地形を進んでいた。アリにできるなら、小さな6脚ロボットにだって!

ロボットは、2匹でペアを組ませて自分たちより大きい障害物を乗り越えさせることにした。障害物は1匹だけでは越えられない。VelociRoACHたちには、決められた作業や一連の「プリミティブ」がプログラムされている。

まず、先頭ボットが障害物によじ登り、前足を上に置く。後発ボットは磁石で先頭ボットに近付き、押し上げる。次に先頭ボットは前進し、後発ボットも大暴れしながら追いかける。そして磁石を切り離し、2匹は再び進み始める。

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動きはビデオで全部見ることができ、全体のプロセスはこれまで見たロボットの中で一番キュートだ。

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この実験は学術目的だけではない。このような小さくて安価なロボットは、例えば災害地に何十、何百体も配備することが可能なので、このテクニックが(あるいは3体以上の協調も)、がれき等の障害物の中を進むのに役立つかもしれない。適切なセンサーを使えば、建物や地点を協力して識別することもできるだろう。そして、ターミネーター風の恐ろしい応用を考えるのも難しくない。

現時点で、彼らの協調行動はまだ少々危っかしい ― ビデオに映っているのは何度も試みた中の成功例だけだ。それぞれの「プリミティブ」はほぼ半分が失敗に終るが、それはロボットがごく基本的なものだからだ。

「将来は、ロボット間の位置確認を含めたクローズドループ・フィードバック制御や、接続接触センサー、各ロボットのIMU、モータートルク情報等を加えて、協調ステップクライミングの信頼性を改善するつもりだ」と、CasarezがIEEE Spectrumに話した。彼は、10台以上のロボットチェーンや、地上ボットと空中ボットの協調の可能性にも触れた ― これはETH Zurichが既に検討している

マルチボット・クライミング技術の詳細に関する論文は、今月ストックホルムで行われるICRA 2016で発表される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

興味深い事がシンギュラリティへ向かう過程で起きている

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編集部注:本稿を執筆したJohn Hauerは、Get3DSmart.comのCEOである。

 

私がよく聞かれるのは、労働の現場での3Dプリントが与える影響についてのことだ。テクノロジーは雇用を創り出すものなのか、それとも、それを破壊するものなのか。それに対する短い回答はこうだ。テクノロジーが創り出す雇用よりも、それが私たちから奪う雇用の方が多い。そして、そのようなテクノロジーは3Dプリントだけではない

やがてテクノロジーは人による労働を無用の産物にする。私たちが抱える大きな課題は、その時代の変化に生き残るすべを考えだし、そして労働をしないことによって空いた時間で何をするべきか考えることだ。

シンギュラリティ

約10年前、現在はGoogleにDirector of Engineeringとして勤務し、発明家であり、フューチャリストでもあるRay Kurzweilが、「シンギュラリティ」というコンセプトを世に唱えた。シンギュラリティとは、機械の知能が私たち人間の知能を超えることだ。Kruzweilによる予測では、シンギュラリティは2045年までに起こり、その時、人間と機械の違いは無くなるとされる。

大多数の人々とスマートフォンとの関係を考えてみれば、それはもう既に起こりつつあると言えるかもしれない。

 

「シンギュラリティ」と聞くと、大抵の人は次の内どちらかの世界を思い浮かべる。機械が人間を支配する、ターミネーターのような世界。もしくは、ロボットが働くあいだ人間は自分の趣味など、よりリラックスできることを追求するというユートピアだ。

このどちらも起こりうる世界だが、どちらのシナリオになるのかは私たち次第だ。

透明性

皆がより透明性がある世界になって欲しいと思うだろう。政府や宗教、企業、その他の団体がもっと正直になりさえすれば、世界はもっと住みやすくなるだろう。もし米国政府のNational Archivesが、もしくはVatican Libraryが一般に広く開放されたとしたらと想像してみてほしい。私たちは今よりもっと多くの物事を知ることができる。それには疑いの余地もない。

しかし、秘密が存在するのには理由がある。秘密は国にとって、そして様々なセクターや団体にとってアドバンテージとなり、彼らを守ってくれる。個人にとって秘密はもっと重要である。秘密によって、私たちは自分本来の姿とは違う姿を映し出すことができるのだ。

シンギュラリティの時代には、これに意義があるだろうか?

コンピューターの処理能力は伸び続ける。ムーアの法則では、コンピューターの処理能力は18カ月ごとに2倍になるとしている。その影響も計り知れない

この力を使って、今私たちは何を成し遂げているのか。かつて、DNAの解析には何年もの歳月がかかり、その費用は目が回るほど高かった。それがここ15年でどう変わったのか見てほしい。

 

量子技術の発達は、処理速度の進歩のペースを今よりもっと加速させるだろう。しかし、これの何が透明性に関係するのだろうか?

コンピューター・テクノロジーが発達することで秘密を守ることがとても困難になる。より多くのデータが、より多くの場所に集められるということもそうだが、それらを探し、インデックスをつけ、処理するアルゴリズムも進化し続ける。

私たちはさまざまな興味深い方法でこのデータを利用している。警察はそれを使って、犯罪や、その他のハイリスクな事件の可能性を特定する。それだけでなく、それらの犯罪がいつ、どこで、どのように起こるかを予測する助けとなるかもしれない。

しかし、出来事を予知するテクノロジーと、人を罠にかけるテクノロジーとの境目どこか。もしくは、自己達成的な予知との境目はどこなのか。

どこで線引きをするのか

Bill GatesやElon Muskを含む、世界の偉大な人物たちは、人工知能は人類に悪影響を及ぼす可能性があると考える。

Stephen Hawkingが未来はターミネーターのシナリオに向かっていると考えているのは明白だ。最近の手紙の中で彼はこう語っている。

人工知能の知能が自律的な兵器を配備して、「人を暗殺し、国を不安定化させ、人口を抑制し、特定の民族を選択して殺害する」のは「時間の問題だ」。

これは巷でよく聞くような終焉の日の予言ではない。あのStephen Hawkingの予言なのだ!

より良いデータが、より良い診断結果を生む

知能というものは、それが人工のものであろうが、人間のものであろうが、まずはデータにアクセスするところから始まる。例えば、あるグループをターゲティングすることが目的の場合、まずはそのグループを特定する必要があるだろう。悲しいかな、そのデータがインターネット上で入手可能であれば、それは割と簡単だろう。それらデータは皮肉にも、そのほとんどがSNSを通した自己報告性のデータだ。

私たちより機械の方が、数学や科学、エンジニアリングに秀でた存在となる。

しかし、もう一つのシナリオを考えてみてほしい。仮にあなたが重い病気にかかり、緊急治療室に向かっているとしよう。その病院では、診断に人工知能を利用している。リアルタイムで機械がDNAを解析し、あなたの診断履歴を参照し、バイタルサインを分析する。

AIは人間よりもはやく、そしてより正確に病気を診断することができる。それに医師たちは、とてつもなく長い時間はたらき、平均して週に80人もの患者を診察している。機械は決して疲れることはない。

もしそれが自分自身の生命にかかわる問題であれば、あなたは機械が個人情報にアクセスすることを許すだろうか?上記のどちらのシナリオをとってみても、それはもう手遅れかもしれない。

プライバシーは重要だ

プライバシーと透明性についての論争が繰り広げられている。これに関連した、暗号化やネットワーク中立性といった話題は毎日ニュースとなっている。しかし、もしこれが戦争であれば私たちは二重スパイのようなものだ。時によっては一方の陣営に、そして時には反対側の陣営側についたりする。

モノのインターネット(Internet of Things)は次なるフロンティアだ。携帯電話から、クルマやテレビ、冷蔵庫に至るまで、スマートデバイスの製造は増え続け、消費者のもとに届けられている。ピッチは利便性だ。

Nestのサーモスタットを考えてみよう。消費者は、それを購入すれば自宅の温度を正確にコントロールすることができる。アプリを通してリモートでの温度調節も可能だ。しかしサーモスタット自体はセンサーであり、それがインターネットと接続されてデータを共有している。

この例だけをとってみれば、私たちはオートメーションという利便性のために、ある程度プライバシーを犠牲にしている。しかし透明性は本当に利益なのだろうか?

私たちのエネルギー使用量が完全に透明化された社会を想像してほしい。全体の消費量に良い影響を与える可能性もあるが、その一方で、それは気味の悪いシナリオを生み出すかもしれない。こんな光景を想像してみよう。あなたが友人とゴルフをしている最中に、その友人がこう言った。「昨日、君がサーモスタットを65に設定しているのを見たよ。あのね、もし君がかわりに70や72に設定していたら….」。あなたがその友人の頭を5番アイアンで殴ろうとしたのは、その時だった。

オートメーションの損益分岐点

「労働によって仕事をこなすか、テクノロジーでこなすかだ」。これは私のキャリアで何度も口にしてきた言葉だ。名刺の裏にでも書いておくべきかもしれない。

だが、多くの人々が理解していないのは、常にテクノロジーの利用が意味をなす分岐点が存在するということだ。そして、それはキッチリと数字で表すことができる。

何年も前、私は印刷会社に勤めていたことがあった。彼らは売り上げを伸ばしていたが、ある一般的なボトルネックに直面していた。注文管理である。彼らの解決方法はこうだった。彼らはカスタマーサービス部門とのミーティングを開き、その部門が1日にいくつの注文を処理できるかと尋ねた。カスタマーサービスのマネージャーは、その注文を工場におろす前に、それぞれの注文を見直さなければならないと話した。セールスマネージャーは彼女に、1日にいくつの注文を見直すことができるのかと尋ねた。彼女は「30件ほどです」と言った。セールスマネージャーはCEOの方を向き、「よろしい。それでは、営業員に一日30件以上の注文をとらないようにと伝えます」と言った。

30という数字が分岐点だった。それからすぐに、彼らはオートメーションに踏み切った。

ソフトウェアだけではない。ハードウェアについての決定も同様である。デジタル印刷機を導入する以前の印刷工程は平均して30以上のステップに分けられ、20の異なる仕事をする人が必要だった。非効率だったのだ。

労働によって雇用を消失させるのか、テクノロジーによって消失するかだ

人々がオンデマンドで印刷をし始めると、注文量は減少していった。デジタル印刷機を導入するかどうかの決定を下すためには、結局のところ数字をはじき出さなければならなかった。平均注文価格がある数字を下回れば、彼らは非効率な印刷を続けるわけには行かず、行動を余儀なくされる。

その数字は500ドルだった。注文サイズの平均がこの数字を下回ったとき、彼らはオートメーション化に踏み切った。

そのために彼らはより優れたテクノロジーを導入し、少ない人手で足りるようにプロセスを合理化した。あるケースでは、デジタルなハードウェアとソフトウェアの導入によって印刷工程は4ステップまで減り、工程を完了させるのに必要なのはたった1人分の労働だけとなった。

印刷業界だけではない。ファストフード店の従業員たちは、より高い賃金を要求した。それを受けて、ファストフード店はセルフサービス型のキオスク端末を試験的に導入した。

 

YONGE STREET, TORONTO, ONTARIO, CANADA - 2015/05/27: The technology invading business to save jobs: Macdonald's self ordering kiosk installed in a building. (Photo by Roberto Machado Noa/LightRocket via Getty Images)

YONGE STREET, TORONTO, ONTARIO, CANADA – 2015/05/27: 雇用を減らすために、テクノロジーがビジネスに進出してきている。 マクドナルドのセルフサービスのキオスク端末 (Photo by Roberto Machado Noa/LightRocket via Getty Images)

 

彼らにとっては、損益分岐点の数字は時給15ドルであるかもしれない。それ以上であれば、彼らはオートメーション化に踏み切る。

テクノロジーによって雇用が消失する

抽象的なレベルでは皆が理解している。だが、実際に解雇通知が出まわるようになると、それは個人的な物事になる。

印刷業界が「労働による消失」から「テクノロジーによる消失」へと移行するにつれて、何千もの雇用が失われた。その流れに逆らった企業は滅びた。業界内で合併繰り返され、現在は結果的に印刷会社の数が激減した。

生き残るためには、生産性の向上が余儀なくされた。

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より少ない店舗と従業員で、より高い生産性を実現する。さらに賢い者たちは、その経過を計算することを始めた。

あなたが1000万ドルの売り上げと従業員50人をもつ店舗を経営しているとしよう。従業員1人あたりの平均生産性は20万ドルだ。どうすれば、この数字をより高めることができるか?より有能な従業員を雇う、より優れた研修を提供する、ビジネス・プロセスを見直し、できる限りテクノロジーを活用するなどの方法がある。結果として、従業員1人あたりの生産性は30万ドルに上がるかもしれない。

これに成功すれば、追加で従業員を雇うことなしに売り上げを1200万ドルに伸ばすことができるのだ!または12人の従業員を解雇して、今の売り上げの規模に満足することもできる。

我われは皆、オートメーション化されつつある

トラック業界を考えてみよう。すぐに自動運転車がこの業界にとてつもない影響をもたらすだろう。約60万マイルのトラックの寿命の間にかかるコストは、人間によって運転する場合に比べて約半分になるだろう。

自動化の後でも人間を運転室においておくとしても、テクノロジーが与える影響は巨大だ。事故や違反料などのコストの削減だけでも何十億ドルにもなる。

繰り返すが、機械は決して疲れない。

ペースは加速している

イノーベションのペースだけでなく、適応のペースも加速している。iPhoneがこの世に生まれてから10年と経過していないが、現在では全世界で20億人近くの人々がスマートフォンを保有している。パソコンがそこまで普及するには25年かかった。

明日あなたがクルマに乗り込んだとき、「新しい機能がインストールされました」と画面に表示されている光景を想像してほしい。ソフトウェアをダウンロードすることによって、メーカーがあなたの車を一夜にしてアップグレードし、いくらか自律的な運転が可能になる。どう思うだろうか。

実は、これはすでに実現したことだ。昨年の10月、テスラはソフトウェアのアップデートを配布し、クルマの所有者に「オートパイロット」の機能を提供した。それから程なくして、テスラの車がクロスカントリーを60時間足らずで走破した。その行程の96%が自動運転だった。ドライバーがハンドルに触れることなく約40分間ものあいだ運転していた時もある。

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ソース:Tesla

未来のためにデザインする

私が所有する2015年モデルのFord Fusionにもそのようなアップデートが提供されると期待すべきだろうか?答えはNoだ。この車は機械的すぎる。たとえ私の車に搭載されたコンピューターが処理するプログラムの量が、50年前に存在したすべてのコンピューターが処理していた量を超えていたとしても、完全な自動運転どころかセミ自動運転を可能にするセンサーや制御装置を私のクルマは備えていない。

しかしテスラはその分野に闘いを挑み、他のメーカーはテスラに追いつくために何十億ドルもの資金を投入している。

機械は法律を破るべきか?

機械がより自律的になるにつれて、この問いを考えることが重要になる。私たちはこれに対して本能的に「No」と答えるだろう。機械は法律を破るべきではない。しかし、この例ではどうだろうか。あなたが自動運転車に乗っている時、高速道路にさしかかろうとしている。制限速度が時速55マイルである道路において、人によって運転されている全ての車は時速75マイルで走っている。本線に合流するために自動運転車はスピードを速め、法律を破るのか。それとも、制限速度を守りながら本線に合流しようとするのか。もしそれが後者であれば、人間のドライバーはとても腹を立てるだろう。

私はこれまでに、自動運転車の専用レーンを設けてはどうかと考える人や、どうにかしてジオフェンスで走行を制限させようと考える多くの人々と話をしてきた。これらの提案は長期的には上手くいくかもしれないが、実現には多大な時間が必要だ。平均的なクルマの寿命は11年間。自動運転車の数が人間によって運転されるクルマの数を超えるには、少なくとも20年もの期間が必要になるだろう。

時代の変化に生き残る

人間と機械との闘いが勃発するのだろうか。それとも、人間が労働から解放されるというユートピアにたどり着くのだろうか。それは私たちが時代の変化にどう対処するのかにかかっている。

最低賃金を例にしてみよう。そう、15ドルという数字が鍵となるかもしれない。だが、仮に連邦法により定められている7.25ドルという水準のままで変わらないとしても、すべてではないにしろ、一部の仕事は徐々に自動化されていくだろう。

しばらく前、Hardee’sとCarl’s Jr.のCEOであるAndy Puzderは、同社がセルフサービスのキオスク端末の導入を試みた理由を主張した。彼は、「自動化の波が空港や食料品だけでなく、レストランにも訪れる様子を皆さんは目にするでしょう」と話した。彼はまた、機械は「常に親切で、常にアップセルすることを心がけ、休暇を取らず、遅刻することがなく、滑らせて物を落とすこともなく、年齢差別、性別差別、人種差別などをすることもありません」と加えた。

私は機械がファーストフードを食べることもないことを述べておきたい。誰がそんなことをするのだろうか。皮肉だが、Hardee’s and Carl’s Jr.が抱える2万人以上の従業員のほとんどはファーストフードを食べる人たちだ。

さらには驚くべきことに、ファストフード店を利用するのは、下位ミドルクラスやミドルクラスに属する人達である。所得額が6万ドル以上になるとファーストフードを食べる頻度は徐々に下がっていく。しかし、少し前のTimeによる記事によると、「貧しい地域では”食べ物の砂漠”という状態が定着している」という。「新鮮な食べ物が不足しており、手に入る食べ物のほとんどが、コンビニエンスストアで売っている脂質や糖分が高い食べ物ばかりである」。

オートメーションによって最も恩恵を受ける業界にとっては、それによって低所得者の雇用を減らすことは、同時に彼らのお得意様を減らすことを意味する。それでは持続性があるとは言えない。

最適な計画と準備によって、最悪な結果を避けることができる。

何百年、何千年という街づくりの末に、文明のリーダーたちは都市計画の必要性に気づいた。ローマ人は都市計画の達人だった。米国における初期の例として、Grand Model for the Province of Carolinaが挙げられる。

これは元々John Lockeによって起草され、Charleston、South Carolinaなどの地域の発展に多大な影響を及ぼすことになった。彼の都市計画には、レンガのサイズ、ロット規模、道の幅、水際と建物までの距離などに関する詳細な基準が設けられていた。これによって米国における現代の都市計画や、土地利用条例の方向性が定まったと言っても過言ではない。

シンギュラリティに備えるための計画

その時代から、ロック氏にはひどい品質の計画がひどい品質のパフォーマンスを生み出すということが分かっていた。毎日のように、人間と機械が速いペースで同化しつつある。テクノロジーに内在する透明性は、やがてプライバシーを破壊する。やがてオートメーションは人間による労働を消し去るだろう。それにかかる時間は長くはない。私たちには、それと伴って起こる混乱に対処するためのマスタープランが必要だ。

テクノロジーはやがて、労働を無用の産物にする。

私たちは、この先に何が待ち受けているのか、何を準備すべきなのか理解しなければならない。これには新しいスキルが必要だ。新しい財政モデルも必要だろう。統一されたベーシックインカムの導入を提案する者もいる。彼らは、オートメーションによる生産性の向上は、それによる雇用の消失を埋め合わせるだけの富を生むと考える。彼らはまた、このような経済的保護システムの下では、私たち全員がアーティストや、詩人、脚本家になるだろうと主張している。

そうかもしれない。だが現時点では、私たちはそれとは反対の教育を子ども達に施している。科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学に重きを置く教育だ。これらのスキルはシンギュラリティに到達するためには必要なものかもしれないが、一旦そこに到達してしまえば無用の産物となる。私たちよりも、機械の方が数学、科学、エンジニアリングに秀でた存在となるからだ。

もし、Kurzweil氏が予測するようにシンギュラリティが2045年までに本当に実現するとすれば、今日に生まれた子ども達はその頃30歳になっており、彼らが不死の技術を獲得している可能性もある。そうなると重要なのは、その時彼らは果たして空いた時間に何をするのだろうかという問いなのかもしれない。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter

Magic Ponyは既存データからニューラルネットワークで全く新しい画像をリアルタイムで生成する

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The source image on the left was used to generate the one on the right.

(左側がオリジナルのしっくいが剥がれてかけたレンガ壁の画像。右側はニューラルネットワークを用いて新たに生成された画像)

イギリスのスタートアップは畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network=CNN)を利用したユニークなソフトウェアを開発した。機能はAdobeの画像ソフトのコピースタンプや修復ブラシに似ているが、画像の隙間を単純に既存画像で埋めるのではなく、まったく新しい画像データを生成する点が異なる。

新しい画像は既存画像よりサイズが大きくなり、描写も詳細になる。そう聞いただけではにわかに信じがたい。まるで魔法のような機能だ。おそらくそれがこのスタートアップがMagic Ponyと名乗る理由なのだろう。

このスタートアップは半ステルス状態からわずかに脱したところだ。 Magic Ponyの開発者はシステムに同一の画像やビデオを異なる精細度で供給し、両者の差異を学習させたという。MIT Tech ReviewにMagic Ponyのテクノロジーの最初の成果が掲載されている。

われわれは人間の顔がどのようなものであるかよく知っている。そこで荒い画像からでも顔の細部を補うことができる。Magic Ponyの人工知能はこれと同様本来はどのような情報が含まれていたはずであるかをピクセルごとに推測する。この外挿法によって画像の細部が補われる。

たとえば、ひどくブレたビデオ画像を、元画像を推測することによって見やすい画像に置き換える。システムは画像が「本来どのようなものであったか」を判断できるので、どんなにひどくノイズが混入していても、それらを取り除いて文字なら文字を正確に復元できる。ピクセルのパターンが人間の顔を示していればシステムは人間の顔のあるべき状態に基いてシャープネスを高め、見やすくする。

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クリックすると拡大されるので画像を比較しやすくなる。

当面きわめて有望な応用は、クライアント側で標準的なGPUだけを使って低品質なストリーミング・ビデオをリアルタイムで高品質に改善するようなアプリだろう。各種の高機能なビデオ・フィルターは市場に出回っているものの人工知能を高度に利用したMagic Ponyのテクノロジーはそれらを大きく上回る可能性がある。

画質の改良に加えて、Magic Ponyのシステムはそれまで存在しなかった新しい画像を生成することもできる。システムは輪郭線の検出といった低レベルの機能だけでなく、画像の全体的構造や何を意味しているかといった高レベルの認識も可能だ。人工知能はこれに基いて、既存の画像に統計的に類似した画像やオリジナル画像を拡大した画像を創りだすことができる。

記事のトップのしっくいとレンガ壁の画像をもう一度見ていただきたい。右側の画像は高い精度で同じ壁の異なった箇所を描写しているように見える。しっくいやレンガの色彩、質感はきわめて自然だ。システムは左側のオリジナル画像からしっくいやレンガが描写される規則を発見し、それらを用いてより大きい画像を創り出している。

ゲームや対話的CGビデオで、少数のテクスチャー・データからユーザーのコマンドや登場キャラクターの動きに応じてダイナミックにリアルな画像が生成されるところが想像できる。角を曲がった先の建物の蔦がはった壁面や鞘から抜かれた剣のきらめきといったディテールは現在の技術ではオンデマンドでは描写できない。もちろんMagic Ponyのテクノロジーを用いても依然として目視によるチェックとアルゴリズムの調整は必要だろう。 しかしアーティストや技術者がここ長年追求しきたリアルな描写のレベルが長足の進歩を遂げる可能性が十分にある。(画像:John Carmackと Mark Johnson)

Magic Ponyは金額は不明だが、Chris Mairs、Tom Wright、Xen Mateganなど数多くのエンジェル投資家からシート資金を調達している。また2015年のEntrepreneur Firstプログラムの参加メンバーでもある。テクノロジーに早期にアクセス可能となるパートナー契約について共同ファウンダーのRob Bishopは「申し込みを多数受けている」と確認した。ただしパートナー名は明かされていない。

6月にラスベガスで開催が予定されているコンピューター・ビジョンのカンファレンス、CVPRでMagic Ponyのニューラルネットワーク・テクノロジーとその応用についてさらに詳しく知る機会があるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

このニューラルネットワークは、白黒写真に正しい色の「幻覚」を起こさせる

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機械が支配する未来は、歴史から白黒写真を排除してしまうかもしれない。必要なのは、バークレーのコンピュータ科学者、Richard Zhangの作ったこのシステムだけだ。魂のないシリコンの感性があらゆるモノクロ写真に色の「幻覚」を起こさせる

このシステムは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と呼ばれる、画像認識の一種を利用して、人間の脳の下位レベルの視覚システムを模倣することによってパターンを認識し対象を分類する。おそらくGoogleのDeepDreamが、最もよく知られた例の一つだ。数百万枚の ― ありとあらゆる種類の ― 画像を観察することによって訓練されたZhangのCNNシステムは、白黒写真に写った物体を認識し、そうあるべきと考えられる色をつける。

例えは、草地には様々な特徴がある ― 質感、画像間に共通する場所、近くによく見られる特定の物、等。そして、草地は一般に緑色、だろう?そこでシステムはそこが草地であると見なすと、その部分を緑色に塗る。同じことが、ある種の蝶や建築資材、特定の犬種の鼻、等についても行われる。

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Zhangの着色プロセスを、他のシステムおよび元のカラー写真のいくつか(右)と比較している

システムを説明した論文でZhangは、この認識および色割り当てのプロセスを「幻覚化」と呼んでおり、実際その名の通りだ。本当はそこにないものを見ているのだから。実は人間が何かに色をつけるのと非常によく似たことを行っている。われわれは、見た物の形や模様を以前見た物と比較して、最も適したクレヨン(あるいは16進数)を選び出す。

当然結果はまちまち(AIシステムの結果はそれが多い)であり、アンゼル・アダムスの写真をカラー化するアイデアを私は受けつけないが(トーマス・キンケードやアンリ・カルティエ=ブレッソンも同様にいただけない)、実際、これは成功していると言わざるを得ない。Zhangらはシステムの有効性を検証するために、モノクロ写真のカラー版を2種類見せて選ばせた。元のカラー写真と、ニューラルネットワークの成果だ。20%の人々が後者を選び、それは大きな数字に思えないかもしれないが、これまでのカラー化の取り組みよりも、良い結果だった。

論文には技術情報が満載されているが、システムがいつどうやって失敗したか、最も納得いくもの、いかなかったものは何か、等の興味深い事例が数多く載っている。読んでみて(他の参照文献も)週末にコンピュータービジョン専門家の友達と話す新ネタを仕込むのもいいだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MicrosoftのCaptionbotは画像のキャプションを作り出す未来的AI、デベロッパーにオブジェクト認識APIを提供

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クラウドの力は私たちの多くにとってそれほど明瞭ではないが、しかしMicrosoftは、デベロッパーに一連のAPIツールを与えることによって、この事態を変えようとしている。そのスイートはCognitive Services〔複数形〕と呼ばれ、デベロッパーに彼らのソフトウェアを大幅にスマートにする能力を与える。たとえばその中には、ユーザーが訓練できる音声テキスト変換処理や、高品質でまるでマジックのようなオブジェクト認識がある。

Drizzle a bit of API-enabled artificial intelligence on your applications with Microsoft's new Cognitive Services.

MicrosoftのCognitive Servicesを使ってAPIによる人工知能機能をあなたのアプリケーションにちょいと加えよう。

Cognitive Servicesのスローガンは、“あなたのアプリケーションに人間性を(give your apps a human side)”だ。つまりそれは、デベロッパーが自分のアプリケーションに利用するAPIの集合だ。今年のBuildカンファレンスで紹介された二つのデモのひとつが、新作のオブジェクト認識エンジンで、たぶんそれはProject Oxfordをリプレースするのだろう。このAPIのデモとしてMicrosoftは、Captionbot.aiというものを作った。これは、やり始めるとやめられなくなるかっぱえびせん的アプリケーションで、しかもSF的なすごさもある。〔自分の手元にある写真をいろいろアップロードしてこのAIと遊ぶ—猫を“猫”と認識するから、けっこうすごい。〕

もうひとつのデモは、スピーチなどの音声からテキストを書き起こす音声認識ツールの、APIの用例だ。低品質のオーディオでも認識できるが、このAPIのキモはユーザーが訓練して自分の目的に合った“書き起こし屋”さんを作れることだ。たとえば、アクセントに癖のある某氏用とか、子ども用、特定のノイズに邪魔されているスピーチ用、などだ。最後のは、たとえば高速道路のドライブスルーなど、騒音の多い環境で使えるだろう。

今年のBuildで見たあらゆるデモの中で、Cognitive Servicesのそれらは、いちばん未来的と言っても大げさではない。今後デベロッパーたちがこれを使って何を作るか、非常に楽しみだ。

〔参考記事: Googleの画像認識API。ほかにも、AlpacaDBなど。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftのAIボットTayがTwitterに復帰、再びスパムの大洪水、そしてまた眠らされる

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MicrosoftのAIボット”Tay”は、インターネットによって人種差別主義者にさせられたために黙らされてしまったが、今日(米国時間3/29)Twitterに短時間戻り、スパムの熱弁を続行したが、すぐにまた沈黙した。

TayはMicrosoft Technology and ResearchとBingのチームが、会話による理解を研究するために作り、人間との対話から学ぶ能力がある、とされていた。しかしインターネットはご存知のとおりの現状だから、Tayはそこから大量の不適切な言葉を学び、そしてMicrosoftは、“調整”のためにしばらく眠らせておこう、と判断した。

ところが、すでにロボトミーを受けてしまったTayは、問題を自分の性質の一部にしてしまったようだ。Twitterのアカウントは彼女の21万5000人のフォロワーのタイムラインで満たされ、それはその呪わしい10分間に、毎秒7つのツイートがあったことに相当する。そのためいくつかのメッセージにより、”You are too fast, please take a rest…”(速すぎるよ、休んでください)というTwitterギャグが生まれた。

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Microsoftもこの暴発を見たらしくて、すぐにTayを再び黙らせ、そのAIのTwitterアカウントを非公開にした。今後は、承認がないかぎり誰もフォロワーになれない。そうなるとツイートの埋め込みもできないから、この記事ではスクリーンショットで我慢していただこう。

AIの黙示録(終末的破局)は、このように始まるのかな…

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google曰く:囲碁チャンピオンを破ることで、人工知能が「人間に見えない答を見つけられる」ことを示した

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Googleが開発した人工知能(AI)が最強の囲碁プレーヤーを破った歴史的瞬間については数多く語られている。

囲碁はその膨大な打ち手の可能性から、AIにとって究極のテストの一つと見られている。「一回のゲームには、1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000 種類の可能な打ち手がある ― これは宇宙の原子の数よりも多く、チェスのグーゴル(10の100乗)倍以上である」と、Googleは今年1月に言った

対局のシリーズ ― AlphaGoが4勝1敗で制した ― を見逃がした人や、何がそんなにすごいのかがわからない人たちのために、その一般的重要性についてGoogleがブログで説明している

もはや単なるゲームとはかけ離れている。AlphaGoを開発したGoogle傘下の会社、DeepMindのCEO・共同ファウンダー、Demis HassabisはこのAIの進歩について、人間に馴じみのない、あるいは不可能な方法で問題を解くためにAIを利用できることの証明であると語った。

この体験から2つの重要なことを学んだ。まず、このテストはAIが他の問題を解く可能性を示す良い前兆である。AlphaGoはあらゆることを「グローバル」に見る能力を持っている ― そして人間が行わないよう訓練を受けてきた、あるいは考慮すらしなかった答を見つける能力を。これは、AlphaGoのような技術を使えば、他の分野でも、人間が必ずしも見出せない答を見つけられるという大きな可能性だ。

さらにHassabisは、人間対機械と称されているこの対決が、実際には人間対人間のテストであることを指摘した。なぜなら、AlphaGo自身が生き物だからだという。

AlphaGoは実際には人間の業績だ。[囲碁世界チャンピンでAlphaGoの対戦相手の]イ・セドルとAlphaGoチームは、互いに相手が新しいアイデアやチャンスや解決方法を生みだすことを強いた ― それは長い目で見れば全員の利益になるものだ。

DeepMindのCEOは、自らの1勝を重要な出来事だと言うイ棋士の才気に敬意を表すとともに、成し逐げた進歩にかかわらず、人工知能の未来について地に足をつけて考えている。

「人間にできる幅広い知的作業をこなす柔軟性を学習できる機械 ―真の人工汎用知能の証明 ― までにはほど遠い」とHassabisは言った。

祝福が終った今、DeepMindはいつものつらい勉強に戻らなくてはならないようだ。先週の出来事は、DeepMindに何が出来るかに光を当て広く認知させるものであり、囲碁というゲームに限らず、今後DeepMindの将来のプロジェクトへの関心を高めることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

世界トップ棋士のイ・セドルにGoogle AIが挑んだ五番勝負、4勝1敗でAIが勝利

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Googleが囲碁の世界チャンピオンでもあったイ・セドル(Lee Sedol)に挑んだ五番勝負が終わりを迎えた。結果はGoogle側からみて4勝1敗となった。

対局したAlphaGoは、ロンドンのDeepMindが開発したものが元となっているプログラムだ。このDeepMindは2014年、5億ドルにてGoogleに買収されている。対局はいずれもソウルで行われた。DeepMindのCEOであるDemis Hassabisのツイートによれば、最終の5局目では序盤でAlphaGo側がやや形成を悪くしていたようだ。しかしそこからうまく打ちまわし逆転に結びつけたのだとのこと。

AlphaGo側に大きなミスがあった(手筋に対応できなかった)。しかしなんとか局面を持ち直し、勝敗不明の形成となっています。

ついに第五局もAlphaGoの勝利となりました。これまでで一番エキサイティングなゲームになったように思います。イ・セドルを相手に劣勢を盛り返すことができるとは、まさに驚きの強さではないでしょうか。

ツイートにもあるように、地球上で最も優れた碁打ちのひとりであるイ・セドルに対しながら、ミスを挽回し得たことがAlphaGoの強さを示すものといえるだろう。AIが真の進化を遂げていることが証明されたともいえるかもしれない。五番勝負はAlphaGo側からみて4勝1敗となったわけだが、これは人工知能にとってまさに歴史的な出来事として記録に残ることとなる。碁は主に東アジアで行われているボードゲームだが、非常に複雑で、戦略や手順の選択肢が多いことで知られている。Hassabisを含むAI研究者にとって、プロ棋士に勝ち得る囲碁プログラムを作ることが、AIの飛躍的進化を示すものと考えられていた。

今回の対局について、AlphaGoが勝てるのかどうかについて懐疑的な人も多かった。昨年の段階でヨーロッパの囲碁チャンピオンに勝利していたとはいえ、囲碁界のレジェンドたるイ・セドルが相手ではまた話が別だと考える人も多かったのだ。

これまでにもAIは、画期的と言われる成果を残してきてはいる。たとえばDeep Blueは、1997年にチェスのグランドマスターであるガルリ・カスパロフ(Garry Kasparov)をやぶっている。またIBMのWatsonは、2011年にジェパディ!(Jeopardy!)で素晴らしい結果を残している。ただし今回のAlphaGoはそれらと異なり、自ら学ぶことができるのが大きな特徴だ。すなわちプログラムされた手順や、予め設定されたパターン以外の手を打つこともできるわけだ。イ・セドル側も1勝し、AIも無敵ではなく、人間側の仕掛けに対してミスすらしてしまう可能性があることを明らかにした。ただし、それも今回素晴らしい結果(4勝1敗)をさらに超えて、はるかに進化し得る可能性を示すものと捉えることもできよう。

イ・セドル氏が第四局を制しました。おめでとうございます。今日のセドル氏はあまりに強すぎました。AlphaGoにプレッシャーをかけ、取り返しのつかないミスをおかさせたのです。

AlphabetのチェアマンであるEric Schmidtは第一局を前に「どのような結果がでようとも、それが人類に役立つものとなることは間違いありません」と述べている。AlphaGo側のものとなった勝利賞金100万ドルもチャリティに寄付されたことも含め、確かに「人類に役立つもの」となったと言えるかもしれない。

対局の様子はYouTubeのDeepMindチャンネルで見ることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

GoogleのDeepMindがAIの大きな画期を記す: 囲碁の世界チャンピオンLee Sedolに第一戦で勝利

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GoogleがオーナーであるロンドンのDeepMindの囲碁ソフトが、世界チャンピオンのLee Sedolに勝ち、人工知能(AI)の開発史に特筆すべき新たな画期が刻まれた。

韓国のソウルで行われた五番勝負の第一戦で今日、そのソフトウェアAlphaGoは、Leeが持ち時間29分弱を残す時点で負けを認めたため、早期の勝利を手にした。最後の第五戦は来週火曜日(米国時間3/15)に行われ、YouTubeはそれまでの全試合をライブで放送する。勝者の賞金は、100万ドルだ。

AIの進歩は、戦略ゲームのトッププレーヤーに対する勝利で歴史に刻まれる。チェスのグランド・マスターGarry KasparovがDeep Blueに負けたのは1997年、IBMのWatsonがJeopardyで勝ったのは2011年だが、東アジアで数世紀の伝統を持つ囲碁の戦略と知的な深さは、AIの作者に最強のチャレンジを提供し、そのことはGoogle自身も認めていた

DeepMindをGoogleは2年前に5億ドルあまりで買収したが、同社は囲碁専用のソフトウェアAlphaGoを制作した。そして昨年10月にはヨーロッパチャンピオンFan Huiに勝利し、AIが囲碁で人間に勝ったのはそれが初めてとなった。しかし33歳のLeeは、囲碁のレジェンドと呼ばれる9段のプロで、世界最強の囲碁プレーヤーと言われる。

昨年Fan Huiに勝ったとき、DeepMindの協同ファウンダーDemis Hassabisは、AlphaGoの開発は今でも進行中であり、ゲームのテクニックを自力で磨いている、と説明した:

AlphaGoは、自分自身を超えていく。できれば最終的には、この分野の最強の人間が自己を限りなく磨き続けるように。新しいことを自分で発明していく様子は、見ていて本当にすごいと思う。もちろんそれは、囲碁という特定のゲームの枠内のことではあるが、われわれは今では、自分たちた作ったシステムに、厚い親近感すら抱(いだ)いている。とくに、それが作られていくやり方に対する親近感だ。そのやり方とは、自分で学習し、われわれがある程度は教育訓練し、そして、まるで人間のようなスタイルでゲームをプレイしていく。それは、すべての状況や条件等が分かっている状態で人間が手作りしていく従来のプログラムとは違う。それは物事を自分で拾い上げる。だからこそ、それが自力で習得していく能力が、すばらしく思えるのだ。

今度は、第一戦からLeeが何を学んだかが見ものだ。それが木曜日(米国時間3/10)の第二戦で分かる。試合の実況ストリーミングは、YouTube上のDeepMindのチャネルで見られる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ザッカーバーグの「新年の決意」はアイアンマン流のパーソナル・アシスタント制作

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マーク・ザッカーバーグは新年を迎えるごとに、新たな困難な課題を「今年の挑戦」に選ぶことで知られている。 結婚を機に中国語の普通話を習う平等性を増進する、世界の隅々までインターネット接続を普及させる(これには手強い障害も現れている)などだ。今年Facebookのファウンダーはこれまでとはまったく違う分野に挑戦することを明らかにした。

2016年のザッカーバーグの個人プロジェクトは『ジャーヴィス』だ。これはご存知のように、映画『アイアンマン』に出てくるたいへん便利で忠実なデジタル・アシスタントだ。

もちろんザックはジャーヴィスそのものではなく、自分のニーズに合わせた独自のAI(人工知能)を開発しようとしている。特に家庭の生活の効率化を図りたいようだ。しかしジャーヴィスの名前を出したことはザッカーバーグの野望が大きいことをよく物語っている。

マーク・ザッカーバーグ自身はこう書いている

2016年の個人的なチャレンジは私の家庭を効率化し、仕事を助けてくれるようなシンプルなAIの制作だ。『アイアンマン』に出て出てくる『ジャーヴィス』のようなものといえば分かりやすいかもしれない。

まず第一にこの分野におけるテクノロジーの現状を調べるつもりだ。次にシステムに私の声を覚え込ませ、音楽、照明、エアコンなど家で必要な操作をすべて理解できるようにさせる。友達の顔を覚えさせ、友達が家を訪ねてきたら玄関のドアのロックを外して招き入れる。私が外にいる間、娘のマックスの部屋を見張っていて、何か変わったことがあればすぐに私に知らせる。仕事の分野では各種のデータをヘッドセットに仮想現実として表示し、Facebookを効率的に運営する手助けをさせる。

これらはどう考えても「ちょっとしたサイドプロジェクト」などではない。ザッカーバーグがこのプロジェクトにどれほどの時間と資源をつぎ込むつもりなのか非常に興味をひかれる。どんな成果が上がるか楽しみだ。これが成功したら2017年にはザッカーバーグはアイアンマン・スーツを作るつもりかもしれない。

さて、読者の皆さんは新年を迎えてどんな「今年の決意」をされただろうか?

画像: Roy So/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

将棋で磨いたAI技術をFintechへ応用、HEROZが1億円を追加調達

将棋AIをビジネス化して実績を伸ばしているHEROZが今日、創業6年目にして追加で1億円の資金調達を行ったと発表した。これまで取り組んきたでボードゲームAIによるビジネスの国際展開に加えて、金融やヘルスケア領域にもAIを適用していくという。第三者割当の引受先は一二三(ひふみ)インキュベートファンド。

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HEROZの「将棋ウォーズ」については以前TechCrunch Japanでも取り上げた。将棋なら羽生名人ということになるが、人間のチャンピオンを凌駕する実力を持つに至ったAI技術を活かし、HEROZは人間同士のオンライン対戦のコミュニティーを作ってきた。一般プレイヤーからすると、AIはすでにあまりにも強いので、AIが「コーチ役」を果たしていて、これにユーザーは課金するという仕組みが回り始めている。月商は非公開だが原価率が低く済む割にユーザーの熱量が高いのが特徴といい、強力なAIを呼び出して自分に代わってAIに指してもらうのが5手で100円。それから1日3局という対局数制限が解除できる月額500円の有料課金ユーザーが全体の1割程度。提供開始から3年、現在1日20万局以上の対戦が行われているという。

将棋ウォーズで培ったマネタイズモデルを国際展開しようというのが「バックギャモンエース」、「チェスヒーローズ」だ。将棋人口は約1270万人。これに対してバックギャモンは約3億人、チェス約7億人と、市場はより大きい。チェスやバックギャモンは、欧米では高級指向の文化として受け入れられていてプレイヤーの贅沢品の購買傾向が高いことから、HEROZではメディアとしての価値もあると見ているという。例えば、世帯収入が12万ドル以上ある人のうち21%が日常的なチェスプレイヤーなのだそうだ。

金融やヘルスケアでも応用が効く

将棋AIで培った機械学習やディープラーニングのノウハウは、「そのままではないものの並列化や機械学習のテクニックなど応用が効く」(HEROZ共同創業者で代表取締役の高橋知裕氏)ことから、まずは金融分野に進出する。具体的には市場のアービトラージを取るようなもので、過去データから将来を予測するようなもの。これはすでに証券会社に提供してて、「証券会社が持っている分析よりも良い結果を出している」(高橋氏)という。また、まだ実証段階の取り組みであるもののヘルスケア領域でもAIの適用を試みる。こちらの分野では、医療系ベンチャーの日本医療機器開発機構と協業に向けて模索を開始した段階という。

HEROZは2009年4月創業で、創業時にビッグローブキャピタルなどから1億円の資金調達をしたあと、モバイルゲーム関連で収益を上げてビジネスを回してきた。会社として「AI x モバイル」を掲げていて、将棋AIで最高峰の強さであるPonanzaの開発者の山本一成氏など過去3人の将棋電脳戦出場者がいるなどトップエンジニアを抱えているのが強み。社員数は現在約70名。

未来の高度な人工知能技術の私蔵化を防ぐ非営利団体OpenAIがそうそうたる創立メンバーでスタート

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今日(米国時間12/11)、非営利の人工知能研究団体OpenAIの創立が発表された。そのトップは、Googleの研究員Ilya Sutskeverだ。前日には、Facebookが同社のAIハードウェアをオープンソース化した。

その存在理由は、こう説明されている:

目標はデジタルインテリジェンスの高度化をできるかぎり人類全体の利益に資する形で推進すること。それが、経済的(financial)な利益目的に制約されないことだ。

グローバルな支払い決済サービスStripeのCTOだったGreg Brockmanが、OpenAIのCTOになる。このほか多くの著名人が名を連ねており、中でもY CombinatorのSam Altmanと
Tesla/SpaceXのElon Muskが共同で理事長になる:

この団体の創立メンバーは、世界のトップクラスのリサーチエンジニアとサイエンティストである: Trevor Blackwell, Vicki Cheung, Andrej Karpathy, Durk Kingma, John Schulman, Pamela Vagata, そしてWojciech Zaremba。Pieter Abbeel, Yoshua Bengio, Alan Kay, Sergey Levine, およびVishal Sikkaはアドバイザーとなる。OpenAIの共同理事長は、Sam AltmanとElon Muskだ。

資金提供者は、Altman, Brockman, Musk, Jessica Livingston, Peter Theil, Amazon Web Services, Infosysおよび YC Researchで、寄付額の合計は10億ドルだ。Muskが公共的なAI研究に出資するのは、AIがSkynetになってしまうのを防ぐため、といわれる。OpenAIへの出資や理事長就任も、そのねらいの延長だろう。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

AIは仕事を奪うのか? 人間を助けるのか? TechCrunch Tokyoで専門家が議論

AI(人工知能)は人間の仕事を奪うのか、それとも人間をより楽にしてくれるのか──そんな問題意識を語り合うパネル・ディスカッション「AIは人間の仕事を奪うのか、ラクにしてくれるのか?」が、TechCrunch Tokyo 2015の1日目、2015年11月17日に開催された。

パネリストは機械学習スタートアップである米DataRobot社のRazi Raziuddin氏(VP Marketing and Business Development)、リクルートのAI研究所 Recruit Institute of Technology(RIT)の創設者である石山洸氏(RIT推進室室長)、そして現役プロ棋士に勝った将棋AI「Ponanza」開発者の山本一成氏(HEROZ)の3氏。司会はTechCrunch Japan編集長の西村賢である。
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機械学習プラットフォームのDataRobotがリクルートと組む

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米DataRobot社のRazi Raziuddin氏

Raziuddin氏は、米DataRobot社についてプレゼンテーションを行った。同社は米ボストンに本社があり、100人以上の従業員が働いている。同社のビジネスは「高度な教育を受けたデータサイエンティストが不足している」という課題を機械学習プラットフォームにより解決するというものだ。DataRobotのプラットフォームには、約4000万種類の予測モデル/アルゴリズムがすでに搭載済みとのこと。データサイエンティストだけでなく、ビジネスアナリストも同社のプラットフォームを駆使してデータから価値を引き出すことが可能としている。もともとDataRobotはデータサイエンスの競技プラットフォームであるKaggleのトップランカーが作った会社で、Kaggleで作られた多くのアルゴリズムがDataRobotに取り入れられている。

石山氏は、米国でリクルートのAI研究所であるRITの立ち上げを担当し一時は責任者を務めた。その後、RITのトップとしてGoogle Research出身のAlon Halevyが就任したことから、石山氏は同研究所の推進室室長として活動している。

石山氏は研究メンバーを増員するため、この4月から100人以上を面接してきたが、「採用できたのはトップのAlonさんを含めて4人だけ」だと明かす。TOEIC900点以上の英語力、機械学習の博士号(Ph.D.)を持っていること、企業でのデータサイエンス経験があること、コードが書けること、アントレプレナーシップを持っていること、といったように非常に高い基準を設定しているからだ。

こうしたデータサイエンス分野、AI分野の人材難の解決策として「オープンイノベーションが重要」だと石山氏は言う。その施策の一環として、ちょうどこのパネルが開催された11月17日にリクルートがDataRobotに出資してRITと事業提携するとの発表があった。リクルートはDataRobotの機械学習プラットフォームを活用し、データサイエンティストの業務効率改善や、非データサイエンティストによるデータ活用を支援する。リクルートグループへの導入や国内での普及も視野に入れている。

将棋AIの実力はトップ棋士に「けっこう勝っちゃう」レベル

将棋AI「Ponanza」開発者の山本氏に、西村編集長は「将棋AIは日本のチャンピオン、つまり世界チャンピオンだと思いますが、羽生(善治)さんに勝てるところまで来ているんですか?」と質問を投げかけた。Ponanzaは11月21日〜23日に行われた第3回将棋電王戦トーナメントでも優勝するなど、コンピューター将棋の中では文句なく最強クラスだ。

山本氏は「けっこう勝っちゃうんじゃないかと思ってます」と答える。ただし、そのような対戦が設定されるかどうかは分からないそうだ。

「強さの性質で人間とAIに違いはありますか?」との質問には「ものすごくありますね。真っ向勝負の『殴り合い』してしまうと人間は勝てない。でもちょっとズルい『寝技』みたいな戦い方だとコンピュータは混乱する」。チェスの世界チャンピオンだったガルリ・カスパロフは、コンピュータDeep Blueとの対戦で寝技を仕掛けたという話があるとのことだ。

コンピュータが「混乱する」とはどういうことか? 人間が仕掛けた罠にはまると、強いコンピュータなのに「目的を失ってどうしたらよいか分からないような」挙動をする。それが人間から見て「混乱している」ように見えるそうだ。

人間はコンピュータにはない創造性、クリエイティビティを持っている、といった言い方を聞くことがある。だが山本氏はこう話す。「将棋に限っては、クリエイティビティはコンピュータの方が優れていると思う。人間は今までの形から類推して指すが、コンピュータはフラット。今までになかった手を指すこともある」。

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将棋AI「Ponanza」開発者でHEROZエンジニアの山本一成氏

コンピュータはすべての手をブルートフォース(総当たり)で探索する。そこで人間の感覚では無意識のうちに避けてしまうような手を提案することもある。将棋の最前線では、コンピュータが発見した手を人間が指す例も出ているらしい、と山本氏は明かしてくれた。

人工知能と人間の共進化に期待

AIが人間の仕事を奪うのか、という問いかけについては、山本氏は次の話を紹介した。「Advanced Chessという競技があって、『強いコンピュータ』対『人間+ちょっと弱いコンピュータ』のチームで対戦する。するとけっこう、人間が勝つんですよ」。

「駒の取り合い」のような細かい戦術レベルでは計算力に優れるコンピュータに人間は勝てないが、より上の戦略的なレベルでは人間がフォローできる部分がまだまだあるそうだ。「人間って、コンピュータが間違えそうな手が分かるんですよ。それに最初の方針を決めてあげるとか」。このように、人間がコンピュータを助けることで、人間と弱いコンピュータの連合チームが、強いコンピュータに対して勝てるようになる。もっとも、これは一時的な現象で、長期的には人間が協力するよりもコンピュータだけで考えた方が強くなるだろうと山本氏は考えている。

RITの石山氏は、コンピュータと対戦することで人間も将棋が強くなっている、と指摘し、データサイエンスのアルゴリズムを搭載したDataRobotを活用することで、人間の側もデータサイエンスの能力が上がっていくだろうと語った。石山氏はこのような「人工知能(AI)と人間の共進化」を期待しているという。

AIは仕事を奪うのか、楽にするのか

パネルの最後に、司会から「AIは人間の仕事を奪うのか、それとも楽にするのか」との問いが投げかけられた。

Ponanza開発者の山本氏は、「AIが強くなって人間の仕事がなくなっていくことは間違いない」と話す。だが「やることがなくなるだけで、食えなくなることはないんじゃないか」とも言う。技術の進化で職業の定義が変わることにネガティブな考え方を持つ人もいるかもしれないが、病気や障害を技術の力で克服できて幸せになる人もいる。そのようなポジティブな面を考えていきたい、と山本氏は話す。

「仕事はアイデンティティと結びついている。仕事がなくなっても、やるべきことを見つけるのが、今世紀の課題。例えば『将棋をやっていれば楽しい』というのは一つの答」と山本氏は話す。

RITの石山氏は「ムーアの法則に引き寄せられるように、職業はどんどん“創発”されている」と主張する。ビジネス領域でITの適用範囲が広がるにつれてエンジニアが必要になり、デザイナが必要になり、グロースハッカーが必要になり、データサイエンティストが必要になる。そしてDataRobotのようなプラットフォームができることで、データサイエンティストの定義も変わる。技術が進化するほど、人間がするべき仕事も増えるという主張だ。

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リクルートAI研究所 Recruit Institute of Technology(RIT)の創設者でRIT推進室室長の石山洸氏

機械学習は既存の専門家を使うデータ分析という仕事に対して「破壊的(ディスラプティブ)な作用を及ぼす」とDataRobot社のRaziuddin氏は言う。データサイエンティストでもプログラマでもない、異なるタイプの人々が機械学習プラットフォームを活用したデータ解析に取り組めるようになり、破壊と民主化が起こる──TechCrunch Tokyoという場を意識してか、Raziuddin氏はこのように話を締めくくった。

チェスの分野では人間とコンピュータの連合チームは強い。機械学習プラットフォームのDataRobotがデータサイエンティストの仕事を支援したり、非データサイエンティストでもデータ分析を可能にしつつあるように、AI関連技術の進化は古い仕事を破壊して再定義し、新しい職業、新しいビジネスを作り出す。その破壊と民主化の波に飲み込まれるのか、それとも波に乗って前に進むのか──そんな問いかけを参加者に投げかけるようなパネル・ディスカッションだった。

人工知能がユーザー好みのファッションアイテムを紹介する「SENSY」、開発会社が1.4億円の資金調達

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最近人工知能関連のニュースが増えているが、今度はファッション領域に人工知能を利用するスタートアップの資金調達が発表された。カラフル・ボードは5月14日、ACAが運営するアジアグロース2号投資事業有限責任組合などを引受先とした第三者割当増資を実施。総額1億4000万円の資金調達を実施したと発表した。

カラフル・ボードが手がけるのは、ファッションセンス学習人工知能AIロボットアプリ「SENSY」。2014年11月にリリースされたこのアプリでは、ユーザーが画面に表示される提携ブランドの服を、気に入れば右に、気に入らなければ左に、とTinderライクにフリックして選択していくことで人工知能が感性を学習し、そのユーザーの感性に合ったファッションアイテムを提案してくれるというもの。気になるアイテムは提携ブランドのECサイトで購入できる。提携ブランドは2015年4月時点で2465ブランドとなっている。

アプリに搭載される人工知能「SENSY」(アプリ名と同じ)は、同社と慶應義塾大学、千葉大学で共同開発している。カラフル・ボードでは今後、ユーザーと同じ感性を持った、いわば「クローン」のAIロボットネットワークを構築。ユーザーに代わって情報収集したり、人と人がAIロボットを介して知識、経験、感性などを共有し合う世界観を目指すとしている。

また、Amazon.com傘下のShopbop.comのほか、イタリアのYOOX Groupと提携。今後は韓国、台湾など東南アジアへの展開を進めるとしている。

人工知能でサイトを分析して改善案を出す「AIアナリスト」、4月20日に公開

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テクノロジー業界で今一番ホットなキーワードの1つがAI、人工知能だ。IBMやGoogle、Facebookからドワンゴ、メタップスなど、国内外の大手企業からスタートアップまで、AIを使った様々なビジネスが起こりつつある。

2010年設立のWACUL(ワカル)もAIを使ったビジネスを展開する1社だ。彼らはAIを使ってウェブサイトを分析し、改善の提案をする「AIアナリスト」を4月20日から提供する。現在登録すれば、お試し版として1カ月無料で利用できる。

WACUL代表取締役の大津裕史氏はビービットでユーザビリティコンサルタントとして活躍した後に起業。成果コミット型のウェブコンサルティング(ウェブサイトの課題を分析し、その解決策を提示。成果が出なければ返金もしくは成果が出るまでコンサルを続ける)を展開してきた。

これまでに、ブックオフオンラインやデジタルハリウッドをはじめとして、約100件のコンサルティングを実施。例えばディップの看護師向け求人サイト「ナースではたらこ」などでは、コンバージョン率を以前の4.4倍にまで高めているのだそう。

成果コミット型なんてうたう会社はあまり聞かないけれども、ここまでの話だけであれば「前職のノウハウをもとに独立したウェブコンサル会社」だ。しかしWACULではこれまでのコンサルティングのノウハウをもとに、人工知能のアルゴリズムを開発。AIアナリストというネットのサービスとして展開するに至ったそう。

「サイトを改善するには、まずサイトの分析をしないといけない。これまではその分析を人力でやっていたが、そうすると作業には4〜5日はかかるし、ミスも起こる。そこで、ウェブ課題発見ツール社内ツールとして1年ほど前にサービスの原型を開発した」(大津氏)

AIアナリストではまずGoogle Analyticsとデータ連携を行い、デバイスや流入元、入口ページ、経由ページなどの組み合わせを1つずつ分析。最も優秀(コンバージョン率が高い)な経路での流入を増やすような施策の提案までを自動で行ってくれる。前述の通り、この作業はこれまでは手動で5日ほどかけて行っていたのだそうだが、AIを使ってわずか10分程度で実現しているのだそう。

サービスの価格は月額3万円。継続利用する場合、サービスを利用した月のみ課金する。

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