Apple、議会宛レターで「スパイチップ」記事を強硬に否定

Appleは、同社のシステムが中国のスパイに侵入されていたとする先週のBloomberg報道に対して、これを否定する意思を改めて強調した。

その特ダネ記事は中国がSupermicro製マザーボードに小さなチップを埋め込んだとする10以上の情報源を挙げている。SupermicroのボードはAmazon、Appleを始めとする数多くの米国IT企業がデータセンターのサーバーに利用している。Bloombergの記事は、このチップがサーバーのデータを盗み出し、中国が世界有数のIT企業をスパイすることを可能にしているとも主張している。

Appleの情報セキュリティー担当副社長のGeorge Stathakopoulosは、議会宛のレターで、同社にとってこれまでで最も力強い否定の意を表明した。

「Appleは、悪意のあるチップも「ハードウェア改竄」や意図的に仕込まれた脆弱性も、これまでにどのサーバーでも見つけたことはない」と彼は言った。「記事に書かれているようなセキュリティーの懸念についてFBIに報告したこともなければ、FBIがそのような捜査に関してわれわれに接触してきたこともない」

このニュースに先立ち、英国サイバーセキュリティーセンターと米国国家安全保障局の両組織は、Apple、Amazon、およびSupermicroが記事を否定する主張を「疑う理由はない」という趣旨の声明を発信している。

さらにStathakopoulosは、Appleは「Bloombergが間違いなく存在するとしている悪意のチップなるものの詳細を具体的に説明するよう、同誌に繰り返し要求しているが、曖昧な二次的情報以上のものを提供しようとしなかった、あるいは提供することができなかった」

Appleの声明は、以前のコメントよりもはるかに激しい。Bloombergの記事の重要な欠陥は、数多くの情報源が、たとえ匿名であれ、スパイチップなるものを直接目撃した体験談を提供していないことだ。

チップが存在するという直接証拠がないかぎり、Bloombergの記事は根拠が曖昧だと言わざるを得ない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米政府、AppleとAmazonに同調、Bloombergの「スパイチップ」報道を事実上否定

米国国土安全保障省は、Apple、Amazon、およびSupermicroの声明を「否定する理由はない」と発言し、先週Bloombergが報道した主張を否定した。

これは米国政府が記事に言及し内容に疑いをかけた最初の声明だ。 国土安全保障省の声明は、英国サイバーセキュリティーセンターが発信したほぼ同内容の声明に同調するものだ。

Bloombergは、10以上の情報源を挙げて、中国はSupermicroが製造したマザーボードに 超小型チップを埋め込んだと報じた。Supermicroの基板は米国IT業界——Amazon、Appleを含む——がデータセンターのサーバーに広く利用している。このチップはサーバー上のデータを盗み出し、中国が世界有数の富と力をもつ企業に対するスパイ行為を行うことを可能にすると言われている。

その後Apple、Amazon、Supermicroの各社はウェブサイトで声明を発表した。Bloombergは自社の主張を貫いている。しかし、記事が最初に公表されてから数日が過ぎた今、この最新の展開も人々の困惑を緩和するとは思えない。

国土安全保障省は国のサイバーセキュリティーを国内、国外両面の脅威から守っている。Bloombergによるとこの件は連邦政府が3年間調査を続けている機密情報であり、政府が脅威の可能性について声明を発表することは異例であるとしている。

現実はといえば、このニュースが報じられてから数日たったあとも、最も優秀でIT技術に長けたサイバーセキュリティー専門家の多くが、未だに誰を信じていいのかわかっていない——Bloombergなのかそれ以外なのか。

そして、誰かが問題のチップを手にするまでは、この状況がすぐに変わることは期待できない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

出足の早いiOS 12、すでに最高の採用率を達成…パフォーマンス重視が成功か

市場分析サービスのMixpanelは今、iOS 12のインストールベースを調べている。それによると、iOSの最新バージョンはかなり人気が高くて、すべてのiOSデバイスのほぼ47.6%にすでにインストールされている。45.6%がまだiOS 11、そしてiOSユーザーの6.9%がもっと古いバージョンを使っている。

採用率は、とくにアプリのデベロッパーにとって重要だ。AppleはiOSのメジャーリリースと共に、新しいフレームワークをリリースしている。しかしデベロッパーは、その後もしばらくiOSの旧バージョンをサポートしてからでないと、新しいフレームワークへの全面移行、そして旧バージョンのサポート停止には踏み切れない。

でもおもしろいのは、iOS 10のサポートを停止しても、デベロッパーはそれほど多くの顧客を失っていない。たぶん、iOSをニューバージョンにアップデートしないようなユーザーは、アプリのアップデートにも関心がないのだろう。古いアプリを、そのまま使っているのだ。

iOS 11は、これほど急速に採用率が上がらなかった。昨年Appleは11月6日に、iOS 11が10を上回った、と発表した。もちろんMixpanelとAppleの数字を単純に横並びで比較するのは間違っているが、今年のトレンドの違いは誰もが実感しているだろう。

iOS 12はパフォーマンスにフォーカスしている。今回のメジャーリリースは、iPhone 6のような古い機種にも対応している。iOS 11が動く機種ならiOS 12も動く、アップデートできる。要するに今持ってるiPhoneを速くしたければ、iOS 12にアップデートすべきだ。

多くの人は、それを知らないかもしれない。なぜなら、これまでは、iOSのニューバージョンで古い機種が相当遅くなっていたからだ。でも採用率が示すように、Appleの新しい意図を早くから理解したユーザーも少なくない。

[関連記事: iOS 12であなたのスマホが前より速くなる(未訳)]

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Bloombergの中国スパイチップのスクープはどこまで信頼できるか――ハイテク・エスピオナージュの闇を探る

昨日(米国時間10/4)、Bloombergが報じたスクープはインターネットに鋭い亀裂をもたらした。一方の陣営はこの記事は正確であり、Bloombergの記者はかつてない規模の外国のハイテク・スパイがアメリカのハイテク産業に浸透し、途方もない損害をもたらしていることを暴露したというものだ。他の陣営は、そうではない、多くの人々がデタラメの騙されているのだという。

中国のスパイがアメリカのデータセンターで用いられているサプライチェーンに浸透し、Supermicroのマザーボードに鉛筆の芯の先端ほどの微小なチップを仕込んで情報を盗み出しているというのがBloombergの記事だ。SupermicroのボードはAppleからAmazonまでアメリカ中のデータセンターで用いられているという。

Apple、Amazon、Supermicro、それに中国政府はそろってこの報道を強く否定した。AppleとSupermicroはその後独自の否定声明を出している。これはめったにないことで、各社とも「なにも隠していない」と強調したいのだろう。声明は公開されており、一読することをお勧めする。

では国家機密の報道という闇の世界へようこそ。

私は過去5年間(最近はCBSで)主にサイバーセキュリティーに関する報道を担当してきた。CBSではサイバーセキュリティー関していくつかのスクープを発表している。これにはアメリカ政府が監視活動に役立てるため脆弱性を調査できるようプロダクトのソースコードを明かすようテクノロジー企業に秘密に圧力をかけていた件も含まれる。昨年私はNSAが5年間に5回もデータ漏えいを起こしていたことを突き止めた。発見した秘密情報は政府のアメリカ市民に対する情報収集活動は当初予想されたよりはるかに広汎であることを示していた。

私はBloombergのスクープに対して態度を決めかねている。

どんな分野であろうと事実を求めようとするジャーナリストが諜報コミュニティーから確実な情報を得るのは不可能に近い。スパイや外交官にとって機密情報を資格のない相手に明かすのは刑務所で長い時間を過ごすリスクを冒すことになる。事実、あるものは今も服役している

セキュリティー担当記者がスクープできるのはトップクラスの情報源を握っているか、途方もないツキに恵まれているかどちらかだ――たいていの場合は後者だが。

当然読者は「スパイからのリーク」には用心深くなる。しかし一方、Bloombergは1990年以来、報道機関として高い評価を得てきた。調査は綿密で、重大なスクープなら10以上のソースから情報を得るのが普通だ。情報源は政府の内外にあり、証拠によって十分に裏付けのある記事を発表してきた。

とはいえ、こうしたスクープのソースは匿名であるのが普通だ。そもそも知る資格がなかったり、公開が禁じられている秘密情報であるなどの理由で情報源が法律的責任を追求される可能性があるからだ。しかしこれはアカウンタビリティーを難しいものにする。「事情に詳しい筋によれば」といった表現を好む記者はいない。記事が弱くなるからだ。記事に情報提供者の氏名が明記するのは記事が事実であるとことに責任を持つためだ。

一方で記事の対象となった企業からの否定声明は(これ自体Bloombergが正確に全文報道している)記事の内容が事実でないという証明にはならない。こうした声明は法務部を通して発表され、法律や諸規則に従っていることを主張している。証拠に基づいた報道を「言った、言わない」の水掛け論に持ち込もうという意図の場合もある。

そこでBloombergの記事に対して判断を下すのは読者に委ねられる。ジャーナリストはいかほどでも事実を報じることができるが、それを信じるか否かは結局読者だ。

Bloombergの記事に対するAppleの異議は、「指摘の内容があいまいだ」という点にある。しかし公平に言って、これほど重大なニュースであれば、最初から手の内をすべて見せることはあり得ない。しかしソースが他のニュースメディアに情報を流すのを防ぎながらさらに詳しい情報を得ようとする。情報源がライバルのメディアにも情報を流すというのは、スクープの価値を下げて報道の過熱を防ごうという意図で政府機関もときおり使うテクニックだ。

しかし記事で名指しされた企業、Apple、Amazon等も事情を知らず、闇の中にいる可能性がある。 外国政府による企業に対するスパイ行為に対するカウンターインテリジェンス活動が進行している場合、企業内でその事実をかすかにでも知ることになるのは一握りの人間だけなのは間違いない。アメリカの監視活動および対敵情報を所管する法律はこのような活動について「知る資格がある」人間を厳しく制限している。これは通常、企業の最高法務責任者に限られる。CEOや社長などその上司にはこの情報は知らされない。これは会社の経営陣が株主や市場に対して虚をつくことになるのを防止するためだ。

この点については2013年にエドワード・スノーデンが秘密文書多数を公開したときのことを考えてみるのがよい。

Apple他(この際はAmazonは含まれていなかった)のテクノロジー企業が関連したNSAのデータ収集プロジェクト、PRISMの存在が暴露された後、名指しされた企業はいっせいに強い言葉で関与を否定した。トップは知らなかったのだろうか? 半分は, イェスだ。しかしこうした場合、企業はチェリーピッキング、つまり自分たちに都合のいい部分だけに議論を限定することで、嘘をつかずに記事に反論することができる。 たとえば「アメリカ政府はPRISMでテクノロジー企業のサーバーから直接情報を入手している」という部分について、対象企業は「事実ではない」と否定した。しかし間接的アクセスまで否定したわけではなかった。そう主張すれば嘘になっただろう。

Bloombergの記事の批判者はチップのデザイン、スペック、機能などの技術的詳細を始めもっと情報が必要だと要求しいるがこれは正しい。元NSAの専門家、でRendition Infosecのファウンダーに転じたJake Williamsは、私の取材に答えて、問題の記事は「信頼できると思う。しかしもし事実でないと判明しても、(サプライチェーンを通じてサーバーに侵入する)能力は存在している。ネットワークが侵入されていないかどうかチェックできるようにする体制が必要なことは変わりない」と述べた。

私は当初この問題をカバーするのをためらった。問題があまりに複雑であり、、記事が衝撃的な事実を主張しているのに私には実否を確認できる手段がなかったからだ。Bloombergのチームがこの1年近くかけて探り出した問題について数時間で判断を下すのは難しい。Bloombergが記事発表の常道を踏んでいたすれば、こうしたカバーストーリーの場合、公表以前に数しれないほどの編集、推敲、ファクトチェックを受けていたはずだ。記者はいわば壁に頭をぶつけ、もうこれ以上何も報告するものがない状態になる。それから出版される。

もちろんBloombergももっとうまくやることはできただろう。たとえばNew York Timesが最近トランプ大統領のビジネスの税金問題でその取材過程をオープンにしたのがよい例だ。 Bloombergは結論を導き出すにあたって取材プロセスの透明性をさらに高めるべきだろう。ジャーナリズムは独占であってはならない。誰もが検証可能なオープンなものでなければならない。取材過程のオープンさを欠けばそれだけ読者の信用を失うことになる。

そこがこのような問題の報道で困難な部分だ。Bloombergの記事は、公平に言って、きわめて綿密に取材されており情報源も質が高いと思われる。しかし私が(他の読者もそうだと思うが)記事の内容を信用するかどうかはBloombergと取材チームを信用するかどうかにかかってくる。

フェイクニュースが溢れている現在、ジャーナリズムの未来のためにも、Bloombergの記事が決定的に間違っていたといった結果に終わらないよう私は望んでいる。

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滑川海彦@Facebook Google+

Appleの新本社キャンパスを85000ピースのLEGOブロックで作った人がいる、しかも立派なアートだ

2018年は、ばかばかしいぐらい巨大なLEGO作品の年だった。数週間前には、実物大で運転可能なLEGO製Bugattiまで登場した。

そして今度は誰かが、Appleがクパチーノに建てた宇宙船型キャンパス、またの名Apple Park(アップル・パーク)の巨大模型を作った。約2メートル×140センチだから、そこらのキッチンテーブルより大きい。

85000ピースを要したこの作品は、デザイナーのSpencer_Rを2年余り拘束した。その時間の大半は、建設中のキャンパスのドローン映像を繰り返し々々々々見ることに費やされた。Spencerによると、重さは35キログラムだ。

メインは巨大な円形の建物だが、ありとあらゆる細部に凝っているのでこのブロック製絵画はメリハリがしっかりある。ガラス張りのSteve Jobs劇場(スティーブ・ジョブズ・シアター)があり、元々この地に建っていた築100年の納屋、Glendenning Barnもある(いったん解体してここに再び建てた)。社員が駐車するためのガレージ、ビジターセンター、そしておまけに、社員用の小さなバスケ/テニスコートもある。

そして、すごいのは木だ。大量の木がある。Spencer本人が数えたら、1646本あるそうだ。

Spencerが巨大な建物をLEGOで作るのは、これが初めてではない。彼独自のアイデアに基づいて、エッフェル塔ロックフェラー・センターなどなど、何でも作った。しかしそれでも、今度のアップル・パークは、これまで彼がLEGOで作った高層建物を全部合わせたぐらい大きいそうだ。

  1. LEGO-Apple-Park-SpencerR-8

  2. LEGO-Apple-Park-SpencerR-6

  3. LEGO-Apple-Park-SpencerR-3

  4. LEGO-Apple-Park-SpencerR-7

  5. LEGO-Apple-Park-SpencerR-2

  6. LEGO-Apple-Park-SpencerR-4

制作の詳細を知りたい人のためには、Spencer_Rのギャラリーと制作ノートがある。この記事用に自分の写真を使わせてくれたFabrizio Costantiniに、感謝しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

中国がサーバーのマザーボードにスパイチップを載せてAppleなどアメリカ企業に侵入か

これは、これまでで最大の、国民国家による企業スパイ事件ではないだろうか。Bloombergの今日(米国時間10/4)のびっくり仰天記事によると、中国政府が、Appleを含む30以上のアメリカ企業のサーバーへのアクセスを取得した。

Bloombergによると、アメリカで使われているサーバーのマザーボードを提供しているSupermicroが被害に遭い、中国政府と関係のあるグループが同社のサプライチェーンに侵入して、鉛筆の先ぐらいの大きさの小さなチップをマザーボードに取り付けた。そしてそのマザーボードは、アメリカで使われ始めた。

その目的は、Bloombergの説では、企業のシステムへの入り口を取得してIP(知財)やそのほかの機密情報を盗むことだ。サーバーそのものの能力は限られているが、それが“秘密の入り口”になることにより、中国にいるスパイたちがリモートでデバイスの動作を変え、情報にアクセスする。

そのことを知ったアメリカ政府は、チップの背後にいるスパイたちをスパイしたが、Bloombergの記事によると、現在分かっているかぎりでは、この攻撃によって既知の消費者データはまったく盗まれていない。しかしそれでもこれは、中国政府によるこれまででもっとも衝撃的なスパイ活動のひとつだ、と言える。

記事によると、そのチップはAmazonが見つけてFBIに報告した。それは、同社が2015年にElemental Systemsを買収したときの事前調査でたまたま発見された。Elemental社はアメリカ政府との広範な契約があり、またAppleは、ピーク時には最大7000台のSupermicro製サーバーを動かしていた、とされる。Bloombergによると、Amazonは1か月以内にそれらのサーバーをすべて排除した。Appleは2016年にSupermicroとの関係を絶ったが、その原因がセキュリティ問題だ、とするThe Informationの主張を否定した。

一方AmazonはElemental Systemsの…一説では5億ドルの…買収を完了し、その直前には同社のソフトウェアをAWSのクラウドへ切り替えた。他方Supermicroは今年の8月に、四半期決算報告書の提出を怠ったため、Nasdaqで売買を保留扱いにされた。今後は、改善の期限切れによる上場停止の可能性もある。

[中国のチップスパイ記事は究極の弱点がサプライチェーンであることを示している(未訳)]

Amazon, Apple, Supermicro, そして中国外務省は、Bloombergの記事を、激しくて長い声明で否定している。彼らの反論のリストが、ここにある。同紙は、ニュースソースは現場知識のある17名以上の個人情報筋だ、と主張している。それらには、6名のアメリカの政府職員と、Appleの4名の“インサイダー”が含まれる。

Bloombergの元記事を、ぜひ読むべきだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AppleはWalletに大学の学生証を統合し利便性を拡大

教育市場は、長い間、Appleのハードウエア事業の成長に不可欠なものだったが、今では教育市場、とくに大学生の間での人気を新たな取り組みに利用し始めた。10月2日より、Appleは、大学施設への出入り、食事や本の購入、その他の学内のサービスが利用できるように、学生証と、Apple WatchとiPhoneのコンタクトレス決済システムWalletの統合を開始した。これを最初に導入する学校は、デューク大学、アラバマ大学、オクラホマ大学となっている。

Appleは、このサービスを6月のWWDCで発表していた。そのときに予告されていた3つの大学は、ようやくこれが使えるようになったわけだ。Appleによると、今年の年末までに、ジョンズ・ホプキンズ大学、サンタクララ大学、テンプル大学も導入を開始するという。

この機能拡張は、Appleのモバイルウォレットが成長の波に乗っている時期に行われた。iPhoneとApple Watchのユーザーは、支払いにこれらの機器を使うのが大好きな人たちであると見なされる(Androidユーザーの3倍は熱心だ)。その背中に乗ったApple Pay(現在24の市場で利用されている)は、今もっとも人気のあるモバイル・コンタクトレス決済システムだとAppleは主張している。前四半期だけで10億回の取り引きが行われたという。これは前年の3倍だ。

この取り引きのほとんどは、とくに、昔ながらのアメリカン・エキスプレスやビザのクレジットカードを使ったApple Payに結び付いており、昔ながらの小売店で使用されている。Appleは、今年の年末までにはアメリカの60パーセントの小売店がApple Payに対応すると見ている。これには、上から100位までの小売チェーンのうちの70社が含まれる。

しかしAppleは、ポイントカードや都市交通機関の乗車カードなど、さまざまなサービスのカードをアップロードして利用するようユーザーに働きかけ、第二の成長の波によってWalletを便利にしようと努力してきた。すでにアメリカの12の大都市圏ではApple Payが導入されているが、その範囲はイギリス、中国、日本など海外にも広がっている。

学生証の統合も、その圏内にあるとAppleは話している。

「iPhoneとApple Watchは、日常の行動に変化をもたらし、モビリティーの新しい時代へと私たちを導いてくれました」とAppleのインターネットサービス副社長Jennifer Baileyは声明の中で話している。「Apple Payを開始したとき、物理的な財布に取って代わるというゴールを目指して乗り出したのです。交通、ポイントカード、コンタクトレス・チケットを追加することで、Walletには、単に支払いを行う以上の能力が備わりました。今、大学のコンタクトレス学生証によって、お客様に、さらなる簡便性、利便性、安全性をお届けできることを嬉しく思っています」

Apple Payは、Appleに莫大な利益を直接的にもたらすものではないかも知れないが(第三者指摘では、支払いのパーセンテージは非常に低いとのこと)、間接的にそれは、人々と電話機や腕時計との新しい関係を生み出し、それらの機器を、ユーザーにとってより価値の高いものにする。そしてユーザーは、Appleのエコシステムとのつながりをさらに強めることになる。

大学では(その他の学校でも)、学生証は身分を示すものとしてだけではなく、サービスや施設の利用や支払いなどにも使われるようになってきている。コンタクトレス版の学生証の利用も増えてきた

その理由のひとつに安全性がある。すべてが1枚のカードに収まれば、学生はいくつもの貴重品を持ち歩かずに済む。紛失したり盗まれたりしても、カードならすぐに再発行が可能だ。同時に、腕時計や携帯電話は、つねに持ち歩くものなので、それらを統合すれば、Appleのデバイスロック機能によってカードの安全性が向上する。これは理にかなったことだ。

不明なのは、その学生証を使って学生が支払いを行ったとき、Appleは(ほんのわずかでも)手数料を取るのかどうかだ。その件についてはAppleに問い合わせているので、わかり次第報告する。

Walletがこれから参入する学校は、単に「大きな取り引きが行われない小売りの場」というわけではない。AppleはWalletで、スポーツ観戦のチケットを持ち運べるようにした。それを使って会場に入ってから、人々は売店での支払いにWalletを使う(Appleが手数料なしの取り引きで利用を促すための手段になるかも知れない)。

今日、Appleは、アメリカではK-12(幼稚園児から高校生まで)の教育市場を占める割合は14パーセントから17パーセントの間と見られている。K-12市場と、さらに上の学年の市場を獲得しようと必死になっているGoogleやMicrosoftとの競争の中で、こうしたサービスの追加がAppleにどれだけ大きなシェアをもたらしたかがわかるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

Tim Cook、プライバシーや中国におけるユーザーデータ、Alex Jones追放の件について語る

一方では秘密主義と悪名を響かせたが、Appleはこれまで自社の主義について語ることをためらうことはなかった。最近動きの激しい社会にあって、この1兆ドル企業は以前にも増して発言すべきことを抱えている。

HBOのVICE News Tonightでのインタビューで、AppleのCEO、Tim Cookは多くのトピックについて語ったープライバシー、いかにAppleが法律面で困難を抱えながらもユーザーのデータを安全に保管しているか、なぜ陰謀論者Alex JonesをAppleのプラットフォームから追放することにしたのかなどを含む。

ViceがそのインタビューのやりとりをTechCrunchと共有した。Tim Cookの発言は以下の通りだ。

プライバシーに関し、Cookは“ある程度”の規制を求めている

テック産業はプライバシー問題に関して、もう戻れない地点を過ぎたのだろうか。

「プライバシーは21世紀において最も重要な問題の一つだと考えている」。CookはインタビュアーのElle Reeveにこう語った。「あなたについての情報は、あなたの家よりオンラインや携帯電話の方にたくさんある。我々は今、そんな状況にいる。あなたが何をブラウズしていたのか、あなたの友達、交友関係、写真などがあなたの携帯電話の中にある。

「こうしたこと、そして情報の重要性を考えてほしい。我々はそれを真剣にとらえている」とCookは語った。

Appleはこれまで長い間、プライバシーについて独特のアプローチをとってきた。Appleはあなたのデータを欲しがっていないーFacebook、Googleのような広告を扱う大企業と違って、Appleはあなたのデータをどうかしようなんてことはしていない。しかしデータを蓄積している会社は、ユーザーデータの誤使用や暴露で非難を浴びている。議会の助けを借りて、そうした企業を巻き戻し、パワーを人々に戻すにはもう手遅れなのだろうか。

「私は法規専門の人間ではない」と断った上で「そうするには、ある程度の行政による規制は重要だと考えている」とした。しかし、それがどういったことなのかCookは具体的に示さなかった。

Cookはライバル企業の名前は出さなかったが、Appleはプロダクトデザインにおいて“可能な限り最小限の情報収集にする”アプローチをとっていると語った。これは目新しいものではないーAppleは何年もこうしたアプローチを続けている。

「我々は詳細なプロフィールを作ってはおらず、他企業がターゲット広告を送るためにその情報を買う、ということも許していない。そうしたビジネス手法は我々がとるものではない」とCookは語る。

結果としてAppleは競合他社に遅れをとっているのだろうかーたとえばAlexaに対抗するSiriとか。Cookは「ノー」と言う。彼らのサービスをより良いものにするためにユーザーが自分たちのデータを諦めなければならないのは、“かなりの攻撃”だと語る。

大部分において、Appleはユーザーデータを端末上で処理するので、Appleはそのデータを見ることはない。

プライバシーは“人権”だー中国においても

デバイスメーカーとして、Appleはこれ以上大きくなり得ないほどグローバルだー中国においてもそうだ。デバイス製造ライバルのGoogleや、他のテック大企業Facebookは中国で足場をほとんど築いていない。しかしそれは、Appleのプライバシー理念と中国の監視体制における衝突があるからだ。

人権としてのプライバシーを中国での事業にも適用するのかと尋ねたら、Cookは「当然適用する」と答えた。

「我々にとって暗号化というのは世界どの国でも同じだ」とCookは言う。「たとえば、我々は米国のために暗号化をデザインしたり、国によって違う適用の仕方をするということはしない。どこでやろうとも同じだ。なので、中国でメッセージを送るには、暗号化される。私がコンテンツを作るということはできない。もちろん、米国においてもできない」。

今年初めAppleは、中国で新しく導入された曖昧かつ混乱や衝突も起こすようなサイバーセキュリティルールに従うために、中国人ユーザーのためのiCloud暗号キーを中国本土に移した。これは懸念を巻き起こした。というのも、この動きは中国政府が、中国拠点のAppleのクラウドパートナーに中国人顧客のデータを引き渡すよう要請することができることを意味するからだーFBIが米国においてAppleにデータ引き渡しを強制したように。Appleは事業を続けるために協力しなければならなかったーそして中国はAppleのグローバル全体の年間売上の20%近くを占めている。

Cookは、中国人ユーザーのデータを中国に保存することが、中国政府当局にとってデータへのアクセスが容易になるというのは“容認しない”と語り、暗号キー移管の正当性を主張した。

「我々は世界中いろんな国にサーバーを設置している」とCookは話す。「その方が、一つの国に置くよりもデータへのアクセスが難しくなる。大事なのは、暗号化プロセスがいかに働くかと、誰がその鍵を持つのかということだ。我々のほとんどのケースにおいては、あなたと受取手がその鍵を持つ」。

Alex Jonesを追放するという決断は“自主的”に行なった

Alex Jonesは言論の自由の最後の砦だったと言う人もいる。またサンデイフック小学校銃乱射事件はでっち上げだったと考えているAlex Jonesを危険な陰謀論者だと呼ぶ人もいる。

今年、FacebookはAlex Jonesを追放し、その後にTwitterが、そしてYouTubeも続いたーまた MailChimpSpotifyそして PayPalといったテック大企業も続いた。Appleは沈黙を続けた。JonesのポッドキャストはまだiTunesにあり、彼のアプリはAppストアにあった。その沈黙はJonesのコンテンツを排除するまで続いた。

「我々は政治的な立場はとらない」とCookは語る。「どちらかに偏ることはしない」。Appleのさまざまなプラットフォーム全般で、「ユーザーは、かなり保守的なものから、かなりリベラルなものまで全てを見る」。そしてCookは「それが、私がそうであるべき、と考えるものだ」と加えた。

Cookは、決断を誘発した何かがあったとは言わなかったが、他のテック企業とJonesのことで会話をしたことは“決して”ないと話した。

「会話してもよかったのでは」とReeveが尋ねると、Cookは「しかし、なぜ」と切り返した。「だって、大きな事でしょう」と言うReevにCookは「Appleが“自主的に”決断するということが大事なのだ」と答えた。

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(翻訳:Mizoguchi)

iOS 12.1に新しい絵文字がやって来る

 

Appleは間もなくiOS 12.1の公開ベータ版をリリースする。同社によれば、新しい絵文字が追加されるという。これはすばらしいアップデートだ。

簡単に言うと、AppleはUnicode 11.0 emojisに独自のグラフィックスを実装した。他のプラットフォームも近くこれらのコードをサポートするが、そのデザインはそれぞれ異なったものになる。

Appleは7月のエモジ・デーでプレビューを発表していた。以下はそのときに公開されたもので、これが次のアップデートでiOSで使えるようになる。

Cカーリーヘア、白髪、赤毛など…

いつものとおり、肌色は各種、性別も男女がペアで追加される。Unicode 11.0の仕様書はベンダーが「カーリーヘアを実装」するよう指定しているがAppleはついでの口ヒゲを追加したようだ。

「その他いろいろ」にはスーツケースやシューズなどアウトドアグッズが追加された。食べ物ではベーグル、塩、カップケーキ、葉物、マンゴー、月餅など。

動物ではとうとう蚊が登場した。あとラマ、ハクチョウ、アライグマ、カンガルー、ロブスター、オウム、クジャクなど。

動物

食べ物

いろいろ

エモジについて記事を書くと、一番多いコメントは「赤毛を入れて欲しい」だった。時間はかかったがUnicodeコンソーシアムもとうとう希望を聞き入れることにしたようだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

Opera TouchブラウザーがiPhoneに来た; ホームボタンのない大画面の片手操作に最適

ブラウザーの専門企業であるOperaが、その得意技で戻ってきた。その美しいデザインのブラウザーで、GoogleやAppleなどのありふれたブラウザーからシェアを奪う気だ。今週同社はその‘Opera Touch’ブラウザーをiOSに持ち込み、iPhoneのオーナーたちに標準装備のSafariブラウザーに代わるものを提供しようとしている。

このアプリは最初4月にAndroidに登場し、モバイルの上、とくにホームボタンのない大型画面のためにすでに確立されていたパラダイムの多くを踏襲していた。それらは今日の市場では、高級機の標準になりつつある。

iPhone用のOpera Touch(ここでダウンロードできる)は、片手操作用に最適化されているから、iPhone Xや最新のiPhone XS, iPhone XS Max, (今後の)iPhone XRのオーナーはとくに関心を持てるだろう。ユーザーインタフェイスはAndroidアプリと変らず便利で、タブの開閉や検索への切り替え、画面下のメニューバーからの前進後退などができる。ブックマークのもっと全体的な管理ができるといいのだが。

Opera独自の‘Flow’機能も実装されていて、これによりリンクや画像やメモなどを、“安全かつプライベートな”接続でスマートフォンからコンピューター上のOperaに渡せる。

前と同じくOperaブラウザーは広告ブロック内蔵で、暗号通貨採掘の阻止機能もある。あなたのCPUが誰かによって暗号通貨の採掘に使われてしまうのを、防ぐのだ。

全体としてこのブラウザーは、Appleの最新のホームボタンのないデバイスを持っていて、最初からあるSafariブラウザーに代わるものを探していた人なら、試す価値がある。Safariに代わるものと言えばGoogle Chromeもあるが、こいつは最近10周年でデザインを変えた。そのほかに、Mozilla, UC Web, Dolphin, Braveなどのブラウザーもある。

[関連記事: Operaが新しいモバイルブラウザーをローンチ(未訳)]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アメリカ政府はFacebook Messengerの通信傍受要請で敗訴

アメリカ政府の捜査官たちは、FacebookのMessengerアプリ上の通信の傍受を要求して、裁判所に拒絶された。

大規模なギャング団MS-13を捜査している国と州の合同法執行チームは、音声通話のリアルタイム聴取を拒否したこのSNS大手を、法廷侮辱罪で地裁に告訴していた。

ロイターが得たその筋の情報によると、裁判所はその告訴を退けたが、その理由はまだ明らかでない。

カリフォルニア州フレスノの地裁に持ち込まれたその告訴は、当のギャング団のメンバーに対する殺人罪などでの捜査に関わっている。政府は16名の容疑者を追っていたが、証拠の入手はもっぱらFacebookに依存していた、とされる。

ロイターによると、FBIが提出した宣誓供述書は、Facebook Messengerを指して、“法執行機関がモニターする方法はほかにない”、と言っている。Facebookが所有するWhatsAppは、エンドツーエンドの暗号化により、Facebook自身すら通信内容を傍受できないが、前から法執行機関は、それを捜査妨害と主張してきた。

しかしFacebook Messengerの音声通話はエンドツーエンドの暗号化をしていないので、通話のリアルタイム傍受が可能だ。

電話の場合、裁判所の認可があっても、法律では、通話の傍受は通信会社の許可を要する。しかしFacebookのようなインターネット企業は、この法の対象にならない。

プライバシー擁護団体は、今回の告訴を、インターネット企業に対するこの例外を取り除くことがねらい、と見なしている。彼らは前から、政府が暗号化アプリにバックドアを設けようとしている、と避難している。わずか2年前にはFBIが、サンバーナーディーノの銃撃犯Syed Farookの暗号化されたiPhoneの解読をめぐる、同様の要求で、Appleを告訴したばかりだ。

FBIはコメントを拒否した。Facebookはコメントの要求に応答しなかった。

[関連記事: 5000万のFacebookユーザーがセキュリティ侵犯で被害(未訳)]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

β版を4カ月使ってわかったmacOS 10.14 Mojaveの本当に便利な新機能

自分の良識と、事情に詳しい人たちからの再三の警告に逆らって、私は最初にリリースされたときに、自分の仕事用コンピューターにMojaveをインストールした。当然、ベータ版にありがちなバグや不具合が発生し、その都度、自分の判断を後悔したのだが、こうした製品をじっくりテストするには、毎日使ってみるしかない。

私は、すべての機能を毎日しっかり使い込んだとは言わない。だがそれは、オペレーティング・システムのアップグレードというものの性質なので仕方がない。できるだけ多くのユーザーにアップグレードの恩恵が行き渡るようにするには、たくさんの領域をカバーする必要がある。各国に対応するための機能や、Appleの機械学習による提案などもあるが、私の場合、そうしたものは使用に際してあまり影響がなかった。

機能の更新は広範にわたっているものの、10.14は、私の近年の記憶の中では、間違いなく、焦点が定まったアップグレードだ。High Sierraは、いろいろな意味で(その名前からしても)、さらにその前のOSの微調整版だったが、それとは異なり、Mojaveからは、Appleの特別な使命感が伝わってくる。

この数年間、Appleは、デスクトップ・マシンの長年にわたる精神的支持者とされてきたクリエイティブ業界のプロたちから、「ボールから目を離している」という猛烈な批判を受けてきた。映像作家が頼りにしてきたFinal Cutの高度なカスタマイズ機能を、シンプル化とか洗練化という理由で廃止してしまったことでも、Appleは反感を買った。

だがその一方で、Appleは、Mac Proシリーズの幾多の苦難に関して、珍しく素直な見解を暴露している。「アップグレードや更新が滞っているとすれば、申し訳なく思っています。Mac Proのことですが、もっと良いものに置き換える予定です」と、Appleの国際マーケティング上級副社長Phil Schillerは、報道関係者との会合で述べた。

Microsoftなどの企業は、Appleが一般ユーザーに迎合してゆく姿勢をチャンスと捉え、成長が続くSurfaceシリーズをクリエイティブ業界のプロに売り込もうと考えている。クリエイティブ業界は、そもそもがそれほど大きな市場ではないのだが、映像作家、アーティスト、ミュージシャンなどが製品を使えば、それが一般ユーザーの購入時の判断に与える影響は大きい。

しかしAppleは、こうした心配への対応を開始している。Mac Proは来年までモデルチェンジはないが、ハードウエアの世界で大きな前進をもたらした。たとえば、iMac Proは、画面と本体を分離したモジュラー・デスクトップ型に代わるものとして、一体型を提示している。最新のMacBook Proは、ハイエンドのとんでもない性能を誇っている。

そこで中心的な役割を果たすのがMojaveだ。ここに込められた目玉機能の多くは、まさにそうしたパワーユーザーに向けたものだ。ダークモード、ギャラリー表示、ファイルのメタデータ、スタックは、新機能の中でも際立つものであり、クリエイティブ業界のプロたちが熱望していたものだ。

ひとつお断りしておくが、私を「クリエイティブ業界のプロ」に含めるためには、みなさんが抱いているその定義をうんと広げていただく必要がある。Appleが近年のイベントで、写真家やプロデューサーやインタラクティブ・アーティストを持ち出すとき、正直言って、私もその一員だと思い込んでいるからだ。

ともかく、私は毎日の仕事の中で、前述の機能の多くを便利に利用させてもらっている。この4カ月ほどの間、ほとんどの時間をこれらの機能と過ごしてきたその経験を活かして、ここに、私がもっとも便利だと感じたMojaveの新機能を紹介しよう。

スタック

新しいmacOSのバージョンが登場し、新機能が加わるごとに、見た目にわかりやすいものは、すぐに日常の操作で活躍するようになる。その新機能により、作業が速くなり、生産性が上がり、整理もつくと思えば、わくわくする。しかし、それらが体に染み込むには時間がかかり、慣れようとする努力が次第に失われ、最後にはそんな機能があったことすら忘れてしまうのがお決まりのパターンだ。

その原因が、私の無秩序で特異な整理方法にあることはわかっている。そこは、どんなに責められても仕方がない。しかし、そうした機能は善意で作られているものの、操作が厄介なのだ。スポーツジムの入会金を払っただけで、新年の抱負が守られるわけではない。それと同じだ。

ところがスタックは、率直に便利だ。Appleがデスクトップ・ベースのフォルダ・システムを廃止してから、私のデスクトップは散らかるばかりだった。コンピューター内の適当な場所に汚れた洗濯物を放り出すような感じで、だらしないし、自分でも嫌だった。でも、どうしたらいい?

ひとつの解決策は、Mojaveにアップグレードすることだ。Appleはダークモードを旗艦機能として力を入れているようだが、地味ながらスタックが最高に便利な新機能だ。デスクトップが散らかっていたら、壁紙をControl+クリックするか、メニューバーの「スタックを使用」を選択すれば、ファイルを自動的に重ねて(スタックして)くれる。

デフォルトでは、ファイルはタイプごとに分類されるようになっているが、ドロップダウン・メニューで、これを「最後に開いた日」、「追加日」、「作成日」または「タグ」に切り替えることが可能だ。パイル(重ねたアイコン)をクリックすれば、重ねられたアイコンが展開し、一瞬にしてすべてを見ることができる。

そうそう、「スタックを使用」をもう一度クリックすると、すべてが元の場所に戻り、無秩序なデスクトップを取り戻すことができる。

ダークモード

AppleがWWDCでMojaveを発表したとき、「ダークモード」は観客の絶大なる関心を引いた。それは、会場が開発者で埋め尽くされていたからだ。この機能を使いたくてうずうずしているのは、開発者ばかりではない。暗室で画面を見る時間が多いビデオカメラマンやカメラマンにとっても、この機能はありがたいはずだ。

これを有効にすると、対応するアプリも、みなデフォルトでダークモードに切り替わる。境界線と背景は暗くなり、暗い背景では文字が白くハイライトされる。数カ月前、私がMojaveを使い始めたころは、対応するアプリケーションが少なくて悲しい思いをした。その当時、対応していたのは、メール、連絡帳、カレンダー、Safariリーダーなどの付属アプリがほとんどだった。

それは無理もない。あれは、お手本を示していたのだろう。それから状況は少し改善された。Dark Mode Listのサイトによれば、macOSとiOSの両方で、現在少なくとも78のアプリがダークモードに対応しているという。

まだ始まったばかりだ。道のりは遠い。これに対応したアプリと非対応のアプリを切り替えながら使うと、その効果は薄れてしまう。現在、Safariは対応しているが、FirefoxやChromeは対応していない。Apple製品でも、Pagesなど、あらかじめインストールされていないアプリは対応しない。対応リストが開発者向けツールに大きく偏っているのは、仕方のないことだ。

Mojaveは今日(9月24日)正式リリースされたが、私は、多くのアプリメーカーがいち早くダークモードに対応することを期待している。それまでは、それを必要とする人にとって便利な機能であり、その他の人には、ちょっと素敵なオプションということになる。

ダイナミックデスクトップも面白い新機能だ。ただし、今のところ選べる壁紙は、標準のモハベ砂漠の画像と、Solar Gradientの2種類しかない。どちらも、1日のうちに変化し、太陽が沈むとだんだん暗くなる。これはダークモードと組み合わせると面白い。登場して久しいブルーライトを軽減する機能Night Shiftに、新しい楽しさを加えるものだとも言える。壁紙の種類がもっと増えれば嬉しい。

スクリーンショット

一般のみなさんよりも、私がいちばんこの恩恵を受ける人間であることは、認めよう。私は、日々の仕事でこれを使っているからだ。スクリーンショットを撮影すると、画面の右下にサムネールが現れる。iOSのときと似ている。

それは数秒経つと画面から消える。撮影結果を素早く確認できる、便利な機能だ。サムネールをクリックすると、画面いっぱに拡大されて、必要ならば編集もできる。また、スクリーンショットのデータは、プレビュー、メッセージ、メール、書類、クリップボードなど、好きな場所に保存できるようになったので、デスクトップが散らかる心配がない。

Shift+Command+5を押すと、小さなコントロールパネルが現れる。そこで、画面全体、ウィドウ、画面の一部の撮影かが選べるようになっている。さらに、画面全体または画面の一部の動画撮影もできる。動画は少しだけ使ってみた程度だが、静止画のスクリーンショットは、この記事の画像を準備するときも大いに役立った。

連係カメラも、ここで紹介しておくべき便利な機能だ。これは、Appleのデバイス間の連係機能を柔軟にする新しい道筋を示すものだ。名前が堅苦しいが、Pages、Keynote、Numbers、メモ、メール、メッセージ、テキストエディットといったMac付属のアプリに組み込まれている。

アプリを開いたら、「写真を撮る」をクリックする。すると、Macは接続されたiPhoneまたはiPadを使ってメディアをキャプチャーできるようになる。写真を撮影し「写真を使う」をクリックすると、それだけで写真がアプリに挿入される。魔法のような、よくできた機能だ。正直言って、これまでこうした機能を使う機会は、そう多くはなかった。ノートパソコンで原稿を書いているとき、近くにあるものを撮影して記事に反映できたら面白くなるのにと残念に思ったことが、何度かある程度だ。

しかし、書類をスキャンしてPDFに読み込ませるのは便利かも知れない。数カ月前、中国のビザを申請するときに、その機能を使えばよかった。新しい機能が山ほどあるわけだが、重要なのは、それを日常の仕事の流れに組み入れる機会を逃さないことだろう。

Finder

「ギャラリー表示」は、以前のCover Flowを改良したものだ。ファイルの大きなサムネールが表示され、その下に小さなサムネールが並び、スクロールできる。画像は完全な形で表示されるので、とくに大量の画像をスクロールさせて確認したいときに便利だ。

完全なメタデータを追加できる機能は、明らかにプロを意識したものだ。写真をクリックすると、サイドペインに大量の情報が示される。ほとんどのユーザーは、その情報の意味すらわからないだろう。標準的なファイルサイズや画角に加えて、カメラのモデル、絞り値、EXIFデータなども表示される。

クイックアクションでは、iPhone式の編集ツールがサイドペインの下部から使えるようになる。これで画像の回転もできる。私の仕事では、この機能が大変にありがたい。Adobe PDF風に、いろいろな方法でマークアップできたり、ハイライトやサインの記入なども可能になる。これによって、「プレビュー」がちょっと無駄な感じになってしまった。その目玉機能がデスクトップから直接使えるようになってしまったからだ。

iOSアプリをデスクトップで使う

これは、戦略的な視点からすると、もっとも興味深い新機能だ。Appleは、開発者に対しても、一般ユーザーに対しても、長年の噂になっていたmacOSとiOSの統合は「ない」と断言した。そこで私たちは、みんなで安堵のため息をもらしたのだが、Appleはその境界線をさらにぼかす新しい方法を示した。

Appleは、モバイル用アプリを簡単にデスクトップ版に変換できるようにしたのだ。なぜか? ひとつには、Appleが、MacのApp Storeでもっとデスクトップ用のアプリを売りたいからだ。それには、経済的、エコシステム的、セキュリティー的な理由が数々あるが、その中でもっとも大切な理由は明白だ。またAppleは、人気のソフトメーカーに、Appleのすべてのプラットフォームにコンテンツを作ってもらうことを、とても重要に考えている。

それを実現するために、Appleは、自社製アプリのボイスメモ、株式、ホーム、Newsのうち3つをデスクトップでも使えるようにした。なかでもNewsは、私が大いに利用するアプリのひとつとなった。ウェブブラウザーでいくらでもニュースが見られるのに、独立したニュースアプリを使うなんて馬鹿げてると思われるかも知れない。しかし、それをインストールして、キュレーションの設定を行うと、私は、最新ニュースの通知をとてもありがたく感じるようになった。

ニュースを見る方法は無数にあるが、Newsは手軽に見られるところが便利だ。とは言え、私が直接そのアプリを開くことは、あまりない。画面に現れる通知から、面白そうな話題をみつけるということがほとんどだ。幸いなことに、それほど頻繁に通知が出るわけではない。もしそうだったら、頭がおかしくなっていただろう(訳注:日本語モードではNewsは使えません)。

ボイスメモも面白い新機能だ。iOSとのクラウドを使ったシェアリングでは、これがキラーアプリになる。iPhoneで何かを録音すれば、それをデスクトップで聞いたり編集したりできる。デスクトップでは、あまり鮮明に音声を録音することができないので、iPhoneを取り出して録音するのが理にかなっている。

この動作は、録音中であることをほかの人に気づかせる役割も果たす。音源にマイクを近づけるのも簡単だし、録音中にキーボードを叩く音を気にしなくても済む。

iOSアプリのデスクトップ版は、ユーザーエクスペリエンスの観点からも面白い。サイズは変わっても、内容はほとんど変わっていない。そこがポイントだ。一から作り直すより、すでにあるものを移植するほうが、よっぽど簡単だ。もちろん、Macにはタッチスクリーンがないので、ポインターで操作しなければならないのだが。Macの画面を指でタップしそうになったところを見られたら、ちょっと恥ずかしい。

私は、Appleのスマートホーム・アプリのデスクトップ版ホームを使っているときに、それをやらかしそうになる。iOS版と同じ、四角いタイルが並んでいるからだ。しかし、オリジナル版と同じ画面デザインであることには、ユーザーにしてみれば意味がある。家のすべてのホームアクセサリに、仕事場でも移動中でも、同じインターフェイスで操作できるのは便利だ。

その他いろいろ

あとは、箇条書きでさくっと行こう。

  • 32人対応のFaceTimeのチャット機能は、秋の終わりごろにmacOSに追加される予定だ。面白そうなので、ぜひ試してみたい。大きな画面じゃないと、管理が難しそうだ。
  • MacのApp StoreとiTunesも作り変えられた。この更新は、ユーザーとの結びつきを強めるための、人による情報の提供を推進するというAppleの方針に従ったものだ。音楽のようなものは、人間が紹介文を書くのがよいと私も考える。
  • Macも、iPhoneと同じように、アプリがカメラやマイクにアクセスするときにユーザーの同意を求めるようになった。だからって、急いでカメラのマスキングテープを剥がすべきだとは思わないが、これは良いことに間違いない。
  • Appleによると、Safariのセキュリティー機能が強化され、去年追加されたインテリジェント追跡防止機能も強化された。

ウェブページを閲覧すると、そのデバイスの特性を利用して、広告主がユーザーを追跡できるようにする「指紋」が作られる恐れがある。Safariでは、単純化したシステム・プロファイルを共有することで、これを阻止できるようになった。強化されたIntelligent Tracking Prevention(インテリジェント追跡阻止)機能が、ソーシャルメディアの「いいね」ボタンや「シェア」ボタンやコメント欄などの埋め込みコンテンツが、ユーザーの同意なしにユーザーを追跡することを防いでくれる。

アップグレードしよう

Mojaveはアップグレードする価値があるか? たぶん、ある。無料だし、面白い新機能がたくさん入っている。これを、TechCrunchのMac Proのレビュー記事のタイトルのように「開発者へのラブレター」と呼んでよいのかどうかわからないが、その新しいハードウエアとともにAppleは、クリエイティブな業界の人々に、Macの未来に彼らの居場所があることを明確に訴えている。

どこまで役に立つかは、人によって違って当然だ。しかし、私の場合は、たくさんの新機能が私の仕事のやり方をいい感じに効率化してくれたことを感じている。株式、ダークモード、そして改良されたスクリーンショットは、職場と自宅のマシンでベータ版を使ってきたこの数カ月の間に、とても便利であることがわかった。今日、すべての人たちに最新版が公開された。あなたも、確実にそのすべての試すことができるのだ。

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(翻訳:金井哲夫)

iPhone XS MaxはXSより劇的に売れている(MacRumors報道)

異彩のAppleアナリスト、Ming-Chi KuoによるAppleの初期データによると、iPhone XS Maxは、小さな兄弟分を圧倒する売れ行きを見せている。MacRumorsに載った記事でKuoは、この6.5インチ端末が発売直後の週末に、XSの3~4倍を売ったと報告している。

「われわれはXS Maxの需要が予想以上だった(XSの3~4倍)という確証を得た」とKuoは言った。「ゴールドとスペースグレーはシルバーより圧倒的に人気が高い。256GBが一番人気で、512GBは深刻な品薄状態であり、これは現在NAND Flashを安定供給できるのがSamsungのみだからだ。XS Maxの出荷台数は、アジア市場とギフトシーズンのおかげで2018年4Q中は安定成長を続けるだろう」

需要の大きさは決して驚きではない。何しろXSは、先行機種と比べて驚天動地の新製品ではない。一方Maxは、消費者は大きい電話など欲しがっていない、と言っていた会社としては、かなりの画面サイズ変更だ。

しかも、2つのモデルはスペック的にほぼ変わらず、大画面の価格差はわずか100ドルだ。すでに1000ドルの世界にいる人たちにとって、100ドルの違いなどどうでもよい。

記事はApple Watch Series 4の需要が予想以上であること、iPhone XRが売れ筋だろうとも書いている。後者
は何ら驚きではない。XRは、去年と変わらない端末に1000ドル払うつもりがない/払えない人たちにとって到達可能なアップグレードなのだから。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPhone XRはiPhone SEになれるだろうか

アップルのスペシャルイベントでの新iPhoneの発表を受けて、さまざまなメディアから数多くの記事が上がった。いつものように、礼賛する記事、購入を勧める記事、買ってはいけない記事までバラエティーに富んだ内容で、アップルとしては想定内だっただろう。一方、発売前に解禁された実機レビュー記事については、撮影機能の向上を絶賛する記事が多数を占めた。

一般コンシューマーから見ると「進化はカメラだけなの?」と思ってしまう内容ともいえ、アップルとしては少し想定外だったかもしれない。もちろん個人的にiPhoneは大好きなので、Apple A12 Bionicチップの恩恵による撮影機能の向上やiOS 12によって使い勝手がどれほど向上するのかを、iPhone XS Maxをきちんと購入して早く確かめたいところだ。

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しかしながら、発表会や数々のレビュー記事を読んで頭をよぎったのは「スマートフォンとして機能的な進化はそろそろ頭打ちかな」という懸念。もちろん撮影の機能の向上は素晴らしい。夜景や逆光での撮影で見た目どおりに絵作りしてくれるのは大変ありがたいが、ポートレートモードを普段使いするコンシューマーがどれだけいるかは少し疑問だ。日常のスナップショットを撮るのであればiPhone 7シリーズでも十分に美しく、SNSで公開したり、友人や家族に送ったりするぶんには不満はない。

iPhone XSシリーズは10万円超えの高価格なので、旧モデルからの買い替え需要をどれだけ喚起できるのだろうか。特にiPhoneやAndroidのデュアルレンズ搭載機をすで持っている人にとっては、分割払いでいますぐ購入するほど食指は動かないのではないか。自腹でiPhone XS Maxは購入するものの「お買い得はどれ?」と聞かれるとすごく悩む。強いて言えば、一般の感覚からすると安くはないが、背面のカメラがシングルレンズで液晶パネル搭載のiPhone XRだ。

昨年はiPhone 8とiPhone 8 Plus、iPhone Xの3モデルがリリースされたが、実際に売れ筋になったのは3モデルの中で最も安価かつ最もコンパクトなiPhone 8だった。今回発表された新iPhoneの中でiPhone 8の系譜を受け継ぐモデルは、(3モデルの中で)低価格、シングルレンズ、液晶パネルという3要素を備えたiPhone XRだろう。

だが、iPhone XRはiPhone 8より、さらにiPhone XSよりも大きく50gほど重い。iPhone SEの終焉を嘆くコンシューマーがいるように、スマートフォンの大型化を必ずしも望んでいない層にXRが受け入れられるのだろうか。先行販売されるiPhone XSの予約状況が芳しくないという一部報道もあり、XR待ちなのか、大幅値下げされた旧モデルに流れているのか、XS Maxを予約したのか、実際のところは10月19日のiPhone XRの予約開始までわからない。それでも個人的にはiPhone XRが3モデルの中で群を抜く人気を集めると予想している。

例年なら話はこれで終わりだ。しかし、今年はアップル自体が市場予想をややこしくしている。アップルはここ数年、1世代前のモデルを製品ラインアップに残して値下げ。そして、それよりも前のモデルをUQ mobileやY!mobileといった、au、ソフトバンクのサブブランドが販売してきた。今年に入り、月々の料金が1500円割引されるNTTドコモの長期割引プラン「docomo with」のラインアップにもiPhone 6sが加わっている。さらに一部のMVMO業者は自社調達したSIMフリーの海外版や整備品を販売したりと、iPhoneの型落ちモデルの販売合戦はいまだ熾烈を極めている。日本国内では廉価なiPhoneの需要が無視できない存在であることがわかる。

そういった状況で、アップルは1年前に登場したiPhone 8シリーズだけでなく、2年前のモデルとなるiPhone 7シリーズも製品ラインアップに残したまま大幅値下げ。結果的には、5万円台で手に入る廉価版のiPhone 7から16万円超のプレミアム版となるiPhone XS Maxまでの豊富な製品群をそろえてしまった。しかもいずれの機種もアップルのオンラインストアや直営店では金利なしの12回払いでSIMフリー版を購入できる。

新3モデルの中でのiPhone XRの一番人気は揺るがないと思われるが、家電量販店や調査会社各社の年末ごろの売り上げランキングにぜひ注目してほしい。アップルはモデル別の販売台数を明かしていないので、このランキングによって、コンシューマーが欲しているのがコンパクトな端末なのか、安い端末なのかハッキリするからだ。ランキング上位をiPhoneシリーズが独占することは想像に難くないが、iPhoneのあとに続く文字がローマ数字なのかアラビア数字なのかで意味合いは相当変わってくる。

iPhoneのあとに7や8が並んでしまうようならコンシューマーは価格重視であることがわかる。加えて、新モデルの価格が高すぎたことの証左となり、アップルは日本での戦略を練り直す必要があるだろう。

iPhone XのあとにSが並べば、コンシューマーは高くてもコンパクトな端末を求めている。そして、次世代のiPhoneとして登場したXの系譜がコンシューマーに完全に受け入れられたことになる。その一方で、廉価版として投入したiPhone XRは失敗作として消えるかもしれない。

アップルにとって最も望ましいのは、iPhone XのあとにRが並ぶことではないか。新3モデルの中で廉価版という位置付けのiPhone XRが一番人気となり来年以降も長く販売されることになれば、当然価格も下がるだろう。そうなれば、アップルが提供するFaceIDやアニ文字、ミー文字といったTrueDepthカメラを使った新たなユーザー体験をより多くのコンシューマーが体験できることになる。iPhone XRがiPhone SEに継ぐ名機といれわれる日がくるかもしれない。

最悪のシナリオは、ナンバーワンの座をファーウェイに奪われることだ。

iPhone XS発売開始!Apple表参道には雨の中250人超が行列

9月21日午前8時、全国各地でiPhone XS、iPhone XS Maxの発売が始まった。旗艦店のApple表参道では雨天にもかかわらずオープン前に250人超の行列ができていた。

8時になるとストアのスタッフがハイタッチで店内に迎え入れていた。

オープン後、iPhoneを求めるユーザーで店内はすぐにあふれかえった。

行列の先頭に並んでいた男性に話を聞いたところ、始発電車でApple表参道に向かったとのこと。Apple京都のオープンニングで配布された白Tシャツを着ていることからかなりのアップル好きと思われる。実際にiPhoneは新製品が出るたびに購入しているそうで、今回もiPhone XS MaxとステンレススチールのApple Watch Series 4を購入していた。


今年は新モデルの中では廉価版となるiPhone XRの発売が10月に控えていることもあり、当面はiPhoneフィーバーが続きそうだ。

新Apple Watchの「炎」文字盤は実際の炎を撮影したもの

Apple Watch Series 4では、これまでよりも大きなディスプレイが採用された。角は丸くなりベゼルも薄くなった。そして新しくなったディスプレイをより魅力的なものとするため、新たに炎と水、、液体金属、および煙などをイメージした文字盤が導入されている。そしてこの新文字盤はCGによるものではなく、スタジオでの実写によるものなのだということだ。

こうしたイメージを小さなディスプレイに表現する場合、CGが用いられるのが一般的だ。しかしAppleは実際に撮影したものを利用することを選んだ。

Cool Huntingで、撮影の様子が公開されていた。ちょっとこれは一見に値する。

映像にあるように、火炎放射器を使ったり、大量に貯めた水の上で風船を破裂させたり、カラーパウダーを用いて爆発の様子を再現したり、液体金属を撹拌してその様子を撮影したりもしている。

これがつまり、Appleの文化ということなのだろう。楽な方法を選ばず、存分に予算を投入するという文化だ。

ついでといってはなんだが、新しいApple Watchを紹介するビデオも掲載しておこう。

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(翻訳:Maeda, H

iOS 12.1ベータに、新iPad Proのヒントを発見

iOS 12はまだ出たばかりだが、Appleはすでにデベロッパー向けにiOS 12.1のベータ版をテストしている。 Steve Troughton-SmithGuilherme Ramboは、新しいiPadがFace IDに対応することを示すコードを発見した。

まず、Face IDそのものに変更がある。iOS 12.1betaには、横位置画面への言及がある。iPhoneのFace IDは縦位置に限定されている。もっともこの制限に気づいていてない人も多いだろう。なぜなら、ロック画面とホーム画面は縦位置のみだからだ。

しかしiPadでは話が違う。多くの人が横位置で使っている。さらに、横位置で使う場合でもホームボタンを左に置く人も右に置く人もいる。

つまり、Face IDをiPadに持ってくるためには、複数の画面方向に対応する必要がある。このベータ版は、次のiPadに同梱されるバージョンのiOSかもしれない。

これでも足りないなら、設定の参照ファイルには 新しいデバイスのコードネームがある。このデバイスはiPad2018Fallと呼ばれていて、すぐそこにきている新しいiPadを意味していることは明らかだ。

以前アナリストのMing-Chi Kuoは、iPad ProがLightningからUSB-Cに変わる可能性を示唆していた。これは、アクセサリーに山ほどの可能性をもたらす。たとえば、外部モニターをドングルを使わずにつないで、ビデオを送りこむことができる。

iPhoneユーザーにとって、iOS 12.1では、バグ修正のほかに、グループFaceTimeが復活する。iOS 12の公開直前に削除された機能だ。まだバグが多いようなら、Appleは再度この機能を外す可能性がある。Memojiがデバイス間のiCloud同期に対応するかもしれない。Face ID付きiPad Proで便利だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビデオレビュー: Apple Watch Series 4


IDCが今年発表した数字によれば、 Apple Watchは2017年に出荷されたスマートウォッチの半分以上を占めていたという。ではこの市場リーダーの今年のモデルはどういうことになったのだろう? まず目に付くのはディスプレイの大型化だ。ただし筐体のサイズは現行製品とほとんど変わらない。

Appleは製品の大きさをほとんど変えないままで表示面積を拡大し、いっそう多くの情報を表示できるようにした。クラウン(リューズ)にハプティック・テクノロジーが採用され、回したときにメカニカルな腕時計に近いクリック感が得られるのも大きなアップデートだ。

なければ困る必須の機能というわけではないが、ウォーキートーキー・モードはなかなか面白い。Apple Watch所有者にWiFiと携帯網を通じてボイス・メッセージが送れる機能だ。クラウンを押すとウォーキートーキーのように送信できる。

Appleが力を入れているヘルス関連では心臓の状態を詳しく知ることができる心電計が追加された。実際に利用できるようになるまでまだしばらくかかる〔心電計機能は医療機器に関する規制で日本では当面提供されない〕。さまざまなワークアウトの種類を認識してトラッキングしてくれるのは非常に便利だ。時間や運動強度が自動的に記録される。

外観は現行モデルの全面的アップデートというわけではないが、スマートウォッチのあるべき姿を示すモデルに仕上がっている。

〔日本版〕Brian Heater記者による詳しいレビューはこちら

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滑川海彦@Facebook Google+

本年Q2、もっとも売れたスマートスピーカーはGoogle Home Mini

Amazonのプライムデーで一番売れたのはEcho Dotだったかもしれない。しかしStrategy Analyticsの最新レポートによれば、2018年の第2四半期にもっとも売れたスマートスピーカーは、GoogleのHome Miniであるようだ。全世界での出荷台数を見ると、Echo Dotの220万台に対してHome miniは230万台となっている。

いずれもエントリーレベルのスマートスピーカーだが、この2台を合わせると、全出荷台数の38%を占めることとなるようだ。

本年の第2四半期には、1170万台のスマートスピーカーが出荷されたとのこと。その中で5台中4台がAmazonないしGoogleのデバイスであった。

Echo Dotに続くのは、フラッグシップモデルとなるEchoで、140万台だった。そしてAlibabaのTmail GenieおよびGoogle Homeが80万台で続く。

AppleのHomePodはトップ5に入っていない。しかしQ2における出荷台数シェアでは6%を占めているようだ。

高額ながら高機能を目指したHomePodだが、まずまずの成績をあげているということがいえるのかもしれない。

売上額に占める割合についてみれば、Home MiniとEcho Dotをあわせて17%である中、AppleのHomePodは単独で16%を占めている。200ドル以上のものに限定すれば、HomePodが70%のシェアを占める。

なお、Strategy Analyticsのレポートによれば、今のところはまだシェアは流動的で、登場してくる新製品により大きく変動するだろうとのことだ。

「市場の成長率に着目したメーカーの積極策により、この12ヵ月でスマートスピーカー製品は大幅にその数を増やしました」とStrategy Analyticsのバイスプレジデントを務めるDavid Mercerは言う。「SumsungやBoseなどといった巨人たちも、スマートスピーカー市場への参入タイミングをはかっているところです。ブランドの拡大を目指して動き始めるとともに、消費者にとっては高級モデルを中心に選択肢が増えることが考えられます」とのことだった。

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(翻訳:Maeda, H

Apple、EUの追徴税150億ドルの支払いを完了

Appleは、不法な税優遇で得た100億ユーロを超える資金をアイルランド政府に返還した、とReutersが伝えた。Appleは、追徴金153億ドル(131億ユーロ)に加えて14億ドル(12億ユーロ)の利息を払った。

2016年8月、欧州委員会はAppleが2003年から2014にかけて不当な税優遇を受けていたという裁定を下した。特に同社はアイルランドにもっと多く納税すべきだった——はるかに多く。EUの競争担当委員、Margrethe Vestagerは、[アイルランドでの]Appleの実質的法人税率は予想よりもよりもずっと低かったと語った。

当時多くのグローバル企業がダブルアイリッシュと呼ばれる方法を利用して、利益のごくわずかな割合に対して法人税を支払っていた。Appleはすべて合法であると主張し、アイルランド政府もAppleを擁護した——おそらく、巨額の罰金がビジネスに悪影響をもたらす恐れがあるため。

欧州の各国政府の陳情によってダブルアイリッシュは2014年に終了した。Appleは同じ時期に国外利益の一部をジャージー島に移転した。

現在巨額の現金はエスクロー口座に置かれている。Appleは2016年にEUの決定に意義を申し立てた。この手続には最大5年を要するため、アイルランド政府は当分Appleの資金を手にすることがないだろう。

欧州の税制改革を追いかけている人なら、フランス、ドイツ、スペイン、およびイタリアが、巨大IT企業に対して、欧州の各国で実際に得た利益に基づいて課税する税制改革を協議 していることを知っているだろう。そうすることで、IT企業は法人税率の低い一国だけで利益を計上することができなくなる。

しかし、どうやらこの改革は一部の国々の反対によって停滞しているようだ。この種の改革法案を通過させるためには全会一致が必要だ。このため、改革が実施されるかどうかは不透明だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook