LEGOがAR対応セット8種を発売へ

LEGOは伝統的玩具会社の中でも、モバイルアプリからロボティクスまで最新技術の取り込みに関して常に業界をリードしてきた。同社は、数年前からWWDCで拡張現実(AR)の活用計画について話してきたが、このたびついにAR向けセット8種の発売にこぎつけた。

いずれもHidden Sideと呼ばれる現実とバーチャルの境界をなくそうとする新シリーズの一部で、悪魔にとりつかれた建物を子どもたちがゴーストハンティングアプリを使ってさまよいながら、自分たちの街で起きている奇妙なできごとの謎を探る。

セットの価格は20~130ドルでストーリーの公開とともに体験できるものが増えていく。デジタル部品を採用したことでメーカーは今後の商品開発がやりやすくなるかもしれない。セットを購入していない人もアプリを使ってゴーストの視点からスタンドアロンゲームを楽しむことができる。ただし、もちろん実物のLEGOを持っていた方が楽しみは倍増する。

どのセットも完全な新作で、以前WWDCで見せたものと異なり、ARに対応するために一から作られている。また同社はこの体験を開発するためにARKitやARCoreを使わず、実績のあるVuforia SDKのモデル認識を利用していることも興味深い。

発売は「夏の終わり」の予定で、同時期にアプリもApp StoreとGoogle Playの両方で公開される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPhoneの将来を勝手に心配した記事がダントツ(2018年10月ランキング)

2018年にアクセス数の多かった記事を月別に紹介していく年末企画。10月は、iPhoneの今後がどうなるかを書いたコラムがダントツのアクセスを集めた。

具体的には、アップルの共同創業者で前CEOの故・スティーブ・ジョブズ氏の命日に合わせて公開した記事だ。あくまでも個人の見解として、iPhoneをはじめとするスマートフォンのイノベーションはそろそろ限界で、新しいプロダクトが必要だという内容。その可能性を秘めるデバイスはAirPodsの進化形かもしれないと紹介している。AirPodsの進化形には、長らくウワサされているアップル製アイウェア「Apple Glass」などがあるとし、今後はARやVRを進化させたデバイスの登場が期待される。それにはARやVRに最適化したOS、UI/UXの開発も急務だとも述べている。

アップルに限って言えば、スマートフォンの次のイノベーションになるかも(なっているかも)しれないスマートスピーカーで、グーグルやアマゾンに大幅に出遅れているという事実もある。Siriは便利な音声アシスタントだが、同機能を搭載したアップル製スマートスピーカーの「HomePod」は一部地域での販売に留まるのみで売上も伸び悩んでいる。スマートフォン市場はあと数年iPhoneが牽引していくと思われるが、そろそろ次のワクワク、ドキドキを体験したいところだ。

2位に入ったカオスマップ記事もTechCrunchでは鉄板。スタートアップ業界を中心に、さまざまな分野に参入している企業の関係性や立ち位置などがよくわかる内容だ。2018年はこの副業系のほかに、RPA、ライブコマース、インバウンド、AIなどのカオスマップを紹介した。

1位 iPhoneはもうすぐ日本で売れなくなる、アップルはどうするのか?
2位 副業系サービスをまとめたカオスマップの2018年度版が公開
3位 任天堂Switchのベストゲームはスーパー マリオパーティだ!
4位 カシオのオールメタルG-SHOCKが設定やアラームをBluetooth化
5位 ポケモンGOにシンオウ地方のモンスターが登場する

Boseのサングラス型新製品は‘オーディオAR’を提供する(ディスプレイはない)

オーディオ(スピーカー、ヘッドフォン)の名門Boseが新しいウェアラブルSDKを立ち上げて、拡張現実(augmented reality, AR)に手を染めたのは3月だった。そして近ごろやっと製品市場化のめどが立ち、最初のヘッドセットを来月発売することになった。

でも、ARという言葉に釣られるのは禁物。そのFramesと呼ばれる製品は、いかにもBoseらしく、あくまでも“オーディオによる”拡張現実だ。つまりそれはサングラスのような形はしているけど、ヘッドアップディスプレイはない。むしろそのねらいは、すごく没入的なオーディエンス体験をユーザーに提供することだ。

このハードウェアは、頭の動きを捉える9軸モーションセンサーとAndroidまたはiOSデバイス上のGPSにより、ユーザーがどこにいてどっちを向いてるかを検出する。そして位置や方向の変化に応じてオーディオを内蔵ヘッドフォンへ注ぎ込む。

このグラスには、イヤーバッドや骨伝導ではなく、小さなスピーカーグリルがある。だからユーザーには環境音も聞こえる。そのことは、良くもあり、悪くもある。耳を完全に覆うヘッドフォーンのように完璧なオーディオは楽しめないが、まわりによく注意することはできる。

さて肝心のコンテンツだが、その発表はまだない。それは来年からだ。でも同社によると、ゲームや学習、旅行情報などが提供されるらしい。ツアーガイドなんかも、あるのだろう。でももちろん、あなたはそのコンテンツが対応している場所にいなければならない。

お値段は199ドルで、まだ未知数の製品にしては高いが、もともとBoseの製品は高いから、誰も違和感を感じないかもしれない。電池は一回の充電で3.5時間、スタンバイタイムは12時間だ。

上図のようにFramesは二つのスタイルがある。アメリカでは1月に発売。そのほかの市場には春だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

General Catalystが期待する「善い行いで成功する」機会は企業向けARにある

TechCrunch Disrupt Berlin 2018にて、拡張現実(AR)技術パネルディスカッションが行われた。登壇したAR企業の創設者とその投資家は、VR分野での消費者のハイプサイクルがまたしても定石どおりの「幻滅の谷」に落ち込んだ後、企業ごとの使用事例をもとに業界を再編して成長を期するよう提言した。

モバイルARのスタートアップ6d.aiのCEO、Matt Miesnieksは、業界全体が再び落ち込んでいることを認めたが、3度目のハイプサイクルを抜けようとしている今、水平線に新しいb2bのチャンスが見えてきたと話している。

6d.aiに投資しているGeneral CatalystのNiko Bonatsosも登壇し、ARスタートアップの課題は、b2b市場が複合現実の松明を手にして前に進めるよう、企業向けの製品をいかにして作るかを考えることにあると、Miesnieksとともに提言した。

「私が思うに、Apple、Google、Microsoftがこの分野に強く関与してきたことは、長期的に大きな安心につながっています」とMiesnieksは話す。「10年前のスマートフォン業界のように、私たちも、いろいろなピースが集まってきていることを感じています。そのピースが今後数年で成熟して、iPhoneのように合体するのです」

「私は今でも前向きに考えています」と彼は続ける。「消費者に大受けする製品を目指すべきではありません。本当に大きなチャンスは、企業の垂直方向に、コア技術を実現する場所に、ツールの世界にあります」

投資家たちは消費者向けVRとARに関わるターゲットに矢を放ったが、それはコンテンツ制作の難しさを甘く見ていたからだとBonatsosは指摘する。

「私たちの誤算は、もっとたくさんのインディー系開発者がこの分野に参入して、今ごろはポケモン型の大ヒット・コンテンツが10個ほど現れていると思いこんでいたことでしょう。でも、それはまだ実現していません」と彼は言う。

「いくつかゲームがあればと思っていました。ゲームはいつでも、新技術のプラットフォームへの入り口になってくれたからです。しかし、本当にエキサイティングなものは企業の中にありました」

「確かに言えることは、iPhone現象を引き起こすためには、ずっと高性能なハードウエアが必要だということです」と彼は言い、未来を引っ張るAppleのような企業が現れることをみんなが期待していることを示唆した。嬉しいことに、今の気持ちは「1年前よりもずっとずっとずっといい」とのことだ。

(TCビデオ)

AR技術のb2bへの応用の可能性を話し合う中で、Miesnieksは、移動プラットフォームのアイデアを持ち出した。オンデマンドまたは自律走行車両の位置と利用者とを結ぶというものだ。

この他に、ハードウエア企業と共同で開発できるアイデアとして、スマートフォンやドローンの空間認識力を高めて、その機能を拡大するというものもあった。

より一般的で、大きな可能性のある分野として、技術職のトレーニング、外交販売、共同作業の使用事例も挙げている。

「医療、石油、ガスの分野への応用も楽しみです。この技術を使えば、これまで細かすぎて不可能だった、あらゆる作業が可能になります。画面ですべてのものを見ることができて、必要なすべての作業を自分の手で行えるのです」とBonatsos。「だから、ものすごくエキサイティングです」

「これらは私が目にしてきた応用例の一部です。でも、まだ初期段階です。この分野の製品はまだ数が少なく、ひとつの開発会社が、少しでも早くデモを作りたいと、ものすごく前向きな企業の最高イノベーション責任者と仕事をしているといった、そんな感じです」

「今、いくつものアーリーステージの技術系スタートアップが、この問題に取り組もうとしています。そんな彼らに多額の投資が行われているのは、良い兆候だと思います。大企業から資金を引き出せる人間は、本当の事業家精神の持ち主であり、それが望ましい形です。だから、私は大いに期待しています」

これと同時に、混合現実を現実のビジネスに組み込もうとしたとき、技術者を悩ませる複雑さと社会的課題にも話が及んだ。

スマートフォンが動くものを感知し追跡できるようになると、ドラマ『ブラック・ミラー』のようなディストピアが現実になるのではないかと不安になる。6d.aiの技術は、それを予言している。

Miesnieksは、短編のデモ動画を上映した。スマートフォンに備わった3D技術によって、動く車や人をリアルタイムで特定するというものだ。

「私たちは、この課題に取り組んでいる世界のどの企業よりも、1年早く、実現できました。素晴らしいことです。3Dをよく知る人にこれを見せると、文字どおり、椅子から飛び上がります。しかし、これには意図しない結果を招く恐れもあります」と彼は言う。

「私たちは、この使い道で葛藤しています。ポケモンがさらに楽しくなるのは確かです。目の不自由な人が、車や人にぶつからずに街を歩けるようにもなります。杖もいらなくなるかも知れない」

「しかし、反対に人にぶつかるようになるかも知れません。視界から見たくない人を排除して、見たい人だけを見られるようにすることが可能だからです。それは恐ろしい未来です」

彼は、他の技術業界も含めて広く直面している問題も指摘している。社会的な影響やプライバシーの問題だ。「これが間違った方向に進めば、社会的な問題が起こります。善意で使っているつもりでもです」

「こうした技術革新が普及すれば、これまで考えも付かなかった用途が登場し、それについて、もう少し深く考えるという責任を、私たちは負うことになります」

Bonatsosは、投資家の視点からすれば、企業向けARも、技術を取り巻く世界に対して同様に敏感であるべきだと話す。

「それは、善い行いで成功しようと考えているMattのような専門家を探し出すことより、重要です。この分野には、考えなければならない要素が山ほどあり、それを実現させるには市場の信頼を得なければなりません」と彼は言う。「むしろ、昔風の企業投資に近い」

「今は、善い行いで成功するために、この新技術を役立てる絶好の機会です」とBonatsosは話す。「プライバシーと、これが作り上げてしまいかねないフェイクなものと、私たちが目指すものと、制限すべきことに対して、最初から責任を持って行動しなければなりません。さらに、私たちは巨大な拡張現実と、世界の3D版を創造しているわけですが、それは誰が所有するのか、この富をどう分配するか、このまったく新しいエコシステムの恩恵がすべての人に行き渡るようにするにはどうしたらよいか。考え甲斐のある課題です」

プライバシーにまつわるリスクを低減させるために行った、スマートフォンからのデータの匿名化や曖昧化といったローカルな処理など、6d.aiがとった段階ごとの対策を説明した後で、Miesnieksはこう話をつなげた。
「正しいと思ったことを、そのとおりにやれたとしても、また自分は善意に基づいて行動していると確信していたとしても、あちらこちらにグレーゾーンがあり、たくさんのミスを犯すことになります」

「もしもの話ではなく、(ミスが)起きたときは、私たちが頼れるものは、企業としての価値と、これが私たちの価値であり、そのために私たちは生きていると公言してコミュニティーと共に築き上げてきた信頼だけです。その価値のために生きている私たちのことを人々は信頼し、この分野のすべてのスタートアップは私たちの価値を理解し、価値を伝え合い、この繊細で抽象的な心構えを重視するようになります。単なる製造業として起業したスタートアップは、ここで失敗しています。

「大手の企業であっても、自分たちの価値を明確に言えるところは少ないでしょう。しかし、ARとこの新興の技術分野では、人々の信頼こそが、まさに中核となるのです」

Bonatsosはまた、社会的影響力が強すぎるとして中国政府がゲーム市場の規制を決定したことを挙げ、この分野のスタートアップにとって最大の逆風となる政治的リスクについても指摘している。

「信じられないことです。そこは私たちが今まさに技術の世界を引き連れて乗り込もうとしている場所です。私たちは、本当の意味でそれを完成させました。主流になったのです。私たちには責務があります。私たちが作るものには、大きな大きな意図した結果と、意図しない結果が伴います」と彼は話す。

「ゲームの制作本数と販売本数を政府が決めるなんて、冗談じゃありません。そんなことをリスクとして予測していた企業など、ひとつもないでしょう。しかし、大勢の人が、日常的に技術製品を長時間使い、多額のお金をつぎ込むようになれば、それは(避けようのない)次の段階となります」

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(翻訳:金井哲夫)

Google、デジタルアート・ギャラリーにARを導入

Googleは、アートの世界をもっと間近で見て欲しいと思っている。

同社のアプリ、Arts & Cultureは長きにわたりGoogleでもっともクールなニッチアプリのひとつで、私はこれを再発見するたびに見過ごしていたことに罪悪感を感じることがしょっちゅうある。本日(米国時間12/3)同社は、オランダの巨匠ヨハネス・フェルメールの作品に焦点を当て、収集品を一箇所にまとめた 体験を新たに加えた

同社の多くの作品集と同じく、展示には深く掘り下げられた研究や、事実情報のリスト、専門家のインタビューや論説などが備えられている。この表現方法でいちばんの特徴は、ミニチュアの3Dアートギャラリーを実際に構築したことで、見学者はスマートフォンのAR機能を使って眼の前の物理的空間でギャラリーを見ることができる。

ユーザーはARCoreまたはARKitを使ってこの「ポケットギャラリー」の中を動き回り、高解像度で取り込まれた絵画を間近で見られるとともに、作品に関する情報も得られる。

しかしちょっと試してみた限りでは、正直なところこれはスマホのARを使う意味をあまり感じないもののひとつだ。フルレンダリングされたギャラリーがリビングの目の前に広がるしくみは興味深いが、ARは移動可能なフルレンダリング3D環境に使うか、あるいは没入的体験はVRにまかせてスマートフォンでは2D体験にとどめておくほうがよかったかもしれない。

とはいえ、これが興味深い実験であることに間違いはなく、Googleがデジタルアートの没入的体験をさまざまな方法で試しているのはすばらしいことだ。GoogleのArts & CultureアプリはiOSおよびAndroid版が提供されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

あらゆるアプリとデバイスに顔認識能力を与えるBanubaが700万ドルを調達

ロンドン中心部の公園を見下ろすViktor Prokopenya(ヴィクトル・プロコペニア)のオフィスに足を踏み入れると、その質素さのあまり、そこがロンドンのビクトリア駅のすぐ南という最上の立地であることをつい忘れてしまう。巨大企業が拡張現実(AR)を「現実の産業」にするために世界で戦っている中、ベラルーシ出身のこの温和なビジネスマンは、その業界に革新的な新技術を投げ込む準備をここでしている。それは、世界最大の企業が今すぐにでも飛びつきたい技術ではあるが、キッチンに立って私にコーヒーを入れてくれたこの人は、そうした大企業の上に立ってもおかしくない人物だ。

目前の将来像が明確であるか否かは別として、十分な投資がなされれば、ARの未来は確かだ。

2016年、ARとVRの業界は、23億ドル(約2億6100億円)相当の投資を引き寄せた(2015年に比べて3倍の伸びだ)。2021年までには1080億ドル(約12兆2500億円)に達すると期待されている。その25パーセントはAR分野に向けたものとなる。しかし、数々の予測によれば、ARは5〜10年後にVRを追い抜くという。

Appleは、明らかにAR開発の先陣を切っている。先日、ARレンズの企業Akonia Holographicsを買収し、今月公開されるiOS 12からは、開発者はARKit 2を完全に使えるようになる。カメラを中心としたアプリの新しい波を起こそうという狙いがあることは、明らかだ。今年、Sequoia Capital Chinaとソフトバンクは、ARアプリ「Snow」に5000万ドル(約56億7600万円)を投資した。Samsungは、独自バージョンのARクラウドを発表し、ワコムとの提携により、Samsung製のSペンをARの魔法の杖に変えた。

IBMとUnityとの提携では、UnityのアプリケーションにWatsonのクラウドサービスを統合することで、開発者は、視覚認識、音声の文字化など、数多くの機能が使えるようになった。

こうした多額の投資やM&Aを見るに、ARの重要性が増していることは疑いようがない。

この戦場に参戦するのが、ProkopenyaのBanuba(バヌーバ)プロジェクトだ。もうすでに、App Storeから「Banuba」というSnapchatに似たアプリをダウンロードできるが、そのベースには、Prokopenyaが資金提供をしているツール一式がある。彼は、AIとARの専門家を擁する投資チームと密接に行動し、ものすごく大きなビジョンを実現しようと努力している。

Banubaの売り文句の中心にあるのは、アプリだけでなく、ハードウエアにも「視覚」を与える技術のアイデアだ。これはAIとARの完璧なマリアージュだ。たとえば、AmazonのAlexaが声を聞くだけでなく、ユーザーの表情や気分を読み取ることができたとしたらどうだろう? それが、この成長途中の企業の、人々の心を掴む強力な戦略になっている。

一般消費者向けのアプリとして名前を売ったBanubaは、去年1年をかけて、彼らのコンセプトを実際の市場で効率的に試すことができたわけだが、これからいよいよ、新しいBanuba 3.0 mobile SDKで、開発ツールの世界に本格参入する(SDKはiOS用がApp Storeで、Android用がGoogle Play Storeでダウンロードできる)。また同社は、Larnabel Ventures、ロシアの起業家Said Gutseriev、そしてProkopenyaのVP Capitalから700万ドル(約7億9500万円)の追加投資を受けた。

これにより、投資総額は1200万ドル(約13億6200万円)となる。ARの世界は、ロミュランのウォーバード戦闘艦がスタートレックの場面に登場したときのような雰囲気になっている。

Banubaは、そのSDKを使うことで、ブランドやアプリメーカーは、そのアプリに3D顔認識ARを埋め込み、ユーザーは最先端の顔の動作追跡、表情の解析、さらに肌を滑らかにしたり顔色を整えたりといった機能が利用できるようになると期待している。BanubaのSDKには、背景を除去する機能もある。映画やテレビ番組でよく使われている「グリーンスクリーン」のようなものだ。これにより、ユーザーが作り出せるARのシナリオの幅が広がる。オフィスの背景を取り除いて、代わりにバハマの海岸の風景を入れるといった魔法のような画像処理が可能になるのだ。

Banubaの技術はデバイスに「視覚」を与えるものであるため、デバイスは人間の顔を3Dで「見て」、たとえば年齢や性別といった、ニューラルネットワークに基づく有用な主題分析結果を抽出できるようになる。他のアプリでは不可能だったことを可能にするのだ。さらに、心拍数をモニターしたり、スペクトル分析で時間ごとの顔色の変化を知ることもできる。

この技術はすでに、「Facemetrix」というアプリに採用されている。これは、子どもの目の動きを追跡して、スマートフォンやタブレットに表示された文章を呼んでいるかを確かめるというものだ。この技術を使えば、人の目の動きを「追跡」するだけでなく、人の目の動きでスマートフォンの機能を操作することも可能になる。それを実現させるために、このSDKは、人の目の微細な動きをサブピクセルのレベルで、リアルタイムに感知できるようになっている。目の特定の位置を検出することもできる。Facemetrixが目指すのは「教育のゲーム化」だ。子どもが電子ブックを本当に読んだかどうかをアプリが正確に検知し、その結果を両親に報告し、子どもにはご褒美のゲームや娯楽アプリを提供する。

この話からドラマ『ブラック・ミラー』のエピソードを思い出した人もいるだろう。脳のインプラントによって特定のものを見えなくされた少女の物語だ。その心配は、そう外れてはいない。ただし、こちらは安全なバージョンだ。

BanubaのSDKには「アバターAR」も含まれている。すべてのiOSとAndroidデバイスで、アバターと会話したりカスタマイズできる機能を提供し、クリエイティブなデジタル・コミュニケーション方法を、アプリ開発者に生み出してもらおうという考えだ。

「私たちは今、既存のスマートフォンから、進化したメガネやレンズといった未来のARデバイスへと切り替わる微妙なところにいます。そのため、カメラを中心としたアプリの重要性は、これまでになく高まっています」とProkopenyaは話す。彼によれば、ARKitやARCoreでは最上位機種のスマートフォンを対象にした機能が作れるが、BanubaのSDKなら、下位機種でも使える機能を開発できるという。

このSDKには、楽しいアバターと会話したり、自分だけのアバターを作ったりできるアバターAR機能があるが、これはすべてのiOSデバイスとAndroidデバイスに対応する。アニ文字が楽しめるのはiPhone Xだけだなんて、面白くないではないか。

Facebookは、Messengerでの企業向けの商品紹介機能に続き、ニュースフィードでのAR広告のテストを開始した。この知らせも、Banubaにとっては有利なものだ。

Banubaの技術は、娯楽アプリ専用ではない。2年足らずの間に、同社は25件の特許申請をアメリカの特許商標庁に出願している。そのうち6件は、平均よりも短い期間に記録的な早さで手続きされた。ミンスクにある同社の研究開発センターには、50名のスタッフが技術ポートフォリオの作成に力を入れている。

面白いことに、ベラルーシはAIと顔認識技術で知られるようになった。

たとえば、2016年を思い出してみると、当時、App Storeで大人気だった動画フィルターアプリ「MSQRD」を開発したミンスクの企業MasqueradeをFacebookが買収している。2017年には、別のベラルーシの企業AIMatterがGoogleに買収されている。200万ドル(約2億2700万円)の資金調達をした数カ月後だ。AIMatterも、モバイル上で写真や動画のリアルタイム編集を行うプラットフォーム「Fabby」を公開し、SDK戦略をとっていた。これは、ニューラルネットワークをベースにしたAIプラットフォームの上に構築されたものだが、ProkopenyaがBanubaに抱いている計画は、もっと大胆だ。

2017年の初めに、彼とBanubaは「Technology-for-Equity」(平等のための技術)プログラムを立ち上げ、世界中のアプリ開発者やパブリッシャーに参加を呼びかけた。これには、また別のベラルーシのスタートアップが加わり、ARベースのモバイルゲームを開発することになった。

AR関連の技術は「実質的にあらゆる種類のアプリを発展させます。どのアプリも、カメラを通して、男性か女性か、年齢、人種、ストレスの度合いといったユーザーの様子を知ることができます」とProkopenyaは話す。そしてそうしたアプリは、さまざまな方法でユーザーに関わってくるという。文字通り、アプリは私たちを見張ることになるのだ。

たとえば、フィットネス・アプリなら、BanubaのSDKを使ってユーザーの顔を見るだけで、どれだけ体重が減ったかがわかるようになる。ゲームも、ユーザーの表情から手がかりを読み取り、そこから得られた情報に基づいて内容を変えるといったことが可能になる。

ロンドンのオフィスに戻り小さな公園を見下ろすと、Prokopenyaは「多様性とエネルギーとチャンスが信じられないほど集中した」ロンドンに、叙情的な気分を抱く。「でも、ひとつだけ気になるのは、イギリスのUK離脱にまつわる不透明さと、今後、イギリスでビジネスをしていく上で、それがどういう意味を持つかです」と彼は懸念する。

ロンドンは偉大な都市かも知れない(これからもそうあるだろう)、しかし彼の机の上に置かれたノートパソコンは、ミンスクに直結している。そこは、今まさに、未来の顔認識技術が生まれようとしている場所だ。

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(翻訳:金井哲夫)

wiARframeはAR体験の開発を容易にすることを狙う

AR(拡張現実)は何年にもわたってバズワードであり続けてきたが、そのほとんどは、ただ物珍しいものというだけに留まっている。本日Disrupt BerlinにおけるStartup Battlefieldに参加したwiARframeは、私たちがまだARゲームの入り口に立っているに過ぎないと考えている。そして市場がさらに進歩するためには、ツールがもっと使いやすくなること、そしてデザイナーたちがAR体験に対してよりよい刺激を得る手段が得られる必要があると考えているのだ。

WiARframeは、こうした問題に、ARデザイナーに対して使いやすいウェブベースを提供してAR体験の構築を行わせ、さらに同社のiOSまたはAndroidアプリをダウンロードした者同士でコミュニティ機能を使ってノウハウを共有できるようにすることで取り組もうとしている。

同社の創業者であるJeremiah Alexanderは、実際のシーンエディターは、他の3Dモデリングツールに似たものになっていると語った。その中では、シーンをレイアウトすることができるだけでなく、それを対話的なものにすることができる。通常開発者たちは、この作業を複雑で多機能なUnityのようなツールの中で行う。しかしAlexanderは、そうしたものを使い始めるためのハードルは、多くの非開発者たちにとってはまだとても高いと主張する。それに対してwiARframeは、AR体験を開発することに特化したツールを提供することで、多くの複雑さを取り除くのだという。「Unityはデザイナー向けではないのです」と彼は私に語った。

3Dモデルを取り込むことができることに加えて、ツールはまたデザイナーたちに、設定や他のアプリ内体験として利用することのできるメニューをシーンに付け加えることを可能にする。

だがAlexanderが強調するように、サービスのコミュニティ面が劣らず重要なのだ。ここでのアイデアは、デザイナーたちに既存のシーンを使って、リミックスすることを可能にするということである。それはMicrosoftがPaint 3DやRemix 3Dで行っていることと似通ってはいるものの、AlexanderはそれをGitHubに喩えることを好んでいる。

GitHubはまた、長期的にはwiARframeのビジネスモデルにインスピレーションを与えるものである。GitHubのように、wiARframeのユーザーはサービスを無料で利用できるが、その場合作品はパブリックなものになる。それらをプライベートなものにするためには、ユーザーは利用料金を支払う必要がある。長期的には、同社はおそらく、さらに機能を追加した企業向けプランを提供することになるだろう。

wiARframeはAlexanderがひとりで創業した会社だが、現在は3人のフルタイム従業員を抱えている。チームは今年の初めにComcast NBCUniversal Techstarsプログラムに参加した。そしてAlexanderはゲームのデザインやその他のデジタル製品に対する広範な経験を持っている。実際に、そのキャリアの初期には、彼はAtariで開発者のためのツールを開発していた。

AlexanderはARの現状を、始めるためには高い技術力が必要とされたウェブの初期の頃になぞらえた。wiARframeの背後にある動機は、ARコンテンツを作成する能力を大衆化することだ。この先消費者のARへの需要が具体化するかどうかが鍵である。もしそうなるならば、もちろんwiARframeのようなツールは、誰にとっても、新しい体験に飛び込みそれを生み出すことを容易にするだろう。

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(翻訳:sako)

Microsoft、軍用ARテック搭載ホロレンズで4.8億ドルの受注

Microsoftは戦闘用のホロレンズARテックの準備をしている。同社は、米軍の兵士が使う一連の武器にARヘッドセット技術を持ってくることを目的とした4億8000万ドルの契約を米政府から獲得した。

契約は2年だが、入札プロセスの書類によると、その後10万台超のヘッドセット注文があるかもしれない。契約の中にあるARに関する文言の一つが、“初の戦闘の前に25の無血戦闘”を可能にする能力を持つこと、だったようだ。これは実戦のトレーニングがARヘッドセットで行われることを意味している。

「AR技術は判断するために多くの高度な情報を軍隊に供給するだろう。今回の契約は我が社と国防省との長期的な信頼関係を未知の分野に広げるものだ」とMicrosoftの広報はTechCrunchあての声明でこう述べた。

Bloombergの報道によると、Magic Leapもこの契約受注に動いていた。軍事契約の入札はおそらくMagic Leapにとって少し荷が重かっただろう。というのもMagic Leapはこれまでコンシューマー向けのものに注力していたからだ。このスタートアップは初のデベロッパー向けキットをリリースしたばかりで、かたやMicrosoftの技術は2年以上にわたってデベロッパーに提供されてきた。

今回の入札に関するいくつかの書類(PDFダウンロード)は極めて興味深く、AR技術がいかに兵士のトレーニングと戦闘環境を変えうるかについて軍がかなり広範に研究していることを如実に示している。

明らかに、Microsoftは工場労働者向けに販売してきたものを戦闘向けに持ってくるはずがなく、すでに契約で示されているシステムの要件は、最新のホロレンズ光学の性能をしのぐもののようだ。たとえばデバイスの必須FoV(視野角)は55〜100度とされている。

そのほかの条件としては、デバイスの重量は1.5ポンドより重くなってはいけない、軍のヘルメットに適合するもの、というものが含まれる。頭につけるこのデバイスでは、完全な模擬環境でジャベリン(対戦車ミサイル)システムのような武器を使ったトレーニングができ、兵器を追跡したりき、兵士が実際の武器からシミュレーションの炎が出るのを目にしたりすることができる。

まだ初期の枠組みの段階ではあるが、Microsoftは米軍をAR最先端に置く技術を開発することになる。これは企業向けソリューションにも同様に恩恵をもたらすことになりそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

VR/AR用触覚デバイス「EXOS Wrist DK2」の無償レンタルプログラムが開始

VR/AR用触覚デバイス「EXOS」シリーズを開発・販売するexiiiは11月13日、手首装着型の「EXOS Wrist DK2」の無償レンタルプログラム「EXOS for Hackers」を開始した。

exiiiはEXOS Wrist DK2の販売を2018年10月に開始したが、販売先が“一定以上の規模の企業”に限定されてしまったという。原因は何といってもその値段で、通常販売では片手60万円(税別)、サブスクでは月額で片手5万円と確かに高額かもしれない。なので、今回のプロジェクトは予算が限られている個人開発者やスタートアップを対象としている。ユースケースの拡大やデベロッパーコミュニティの形成がその狙いだ。

応募の条件は以下のとおり。

対象:個人もしくはスタートアップのVR/ARコンテンツデベロッパー

地域:日本もしくは米国での使用を前提

期間:原則1ヶ月とし、希望の場合はexiiiと相談の上で最大6ヶ月まで延長

EXOS Wrist DK2はVR/AR内でバーチャルオブジェクトに触れることを可能とする、触覚ウェアラブルデバイス。手首の前後方向と左右方向の二方向へ力を加えることで、さまざまな触覚を提示する。Vive ControllerやOculus Touch等のコントローラと組み合わせて使用することもでき、これにより既存のVRコンテンツに触覚を付与するような拡張にも対応可能だ。

exiiiに関しては2018年4月に8000万円を資金調達した際にも記事を出しているのでそちらも参考にしていただきたい。あと、僕は今月中にも同社を取材する予定なので記事化を楽しみに待っていてほしい。

WalmartのiOSアプリにARスキャナーを搭載して棚の上の商品の価格や評判を比較できる

Walmartが、拡張現実を試そうとしている。今日(米国時間11/1)同社は、そのiPhoneアプリの中に、顧客の製品比較を助けるARスキャナーをローンチしたことを発表した。それはふつうのバーコードスキャナーのように品物の価格をひとつずつ比較するのではなくて、WalmartのARスキャナーはお店の商品棚をパンして、製品の下に価格と顧客の格付けに関する詳細を表示する。

この技術は最初、Walmartの社内ハッカソンで、あるチームが、AppleのARKitを使って開発した。当時のねらいは、スキャンが速くてお客が速いと感じることだった。価格以外の情報を提供することも、目的とされた。

この機能のローンチを発表する記事でWalmart LabsのシニアエンジニアリングマネージャーTim Searsはこう言っている: “Walmartのお店で買い物する人たちは、モバイルアプリのバーコードスキャナーを使って価格をチェックすることが好きだ。でも将来に向けての可能性は、今回のプロダクトの方が大きいと思う。顧客がこのスキャナーを立ち上げると、デジタルの世界(情報)とフィジカルな世界(棚の商品)が直接結びついて、画面とカメラがその結びつきを映し出す”。

そのチームはハッカソンで優勝し、アプリはその後の設計変更などを経て、今日のWalmartのアプリへとたどり着いた。

そのスキャナーを使うにはWalmartのアプリの中でスキャナー機能を立ち上げ、棚の上の比較したい製品を指す。スマホを次の品物へと移動すると、画面下の情報も更新される(製品名、価格、星の数など)。関連製品のリンクもある。

このARスキャナーはすでにスキャンした物にはドットを付けるが、小さなドットなので、狭い場所で複数の品物を一緒にスキャンしても大丈夫だ。

ARによるスキャンは単純なバーコードスキャンより便利なはずだが、消費者がどれぐらい利用してくれるか、それを今後見守らなければならない。

ARを使おうとしているリテイラーはWalmartだけではない。Amazon, Target, Wayfairなどなど多くの企業が、いろんな使い方でARを採用している。家に帰ってからでも製品を見られる、という使い方もあるし、TargetのARシステム“studio”は、自分の顔の上でいろんなメイクを試せる。

それらに比べると、WalmartのARスキャナーはARのもっと実用的な使い方だ。

このAR Scanner機能は、iOS上のWalmartアプリの18.20以降にある。iOSは、11.3以上であること。後者の条件は、ARKit 1.5を使ってるためだが、ユーザーを新しいiPhoneのオーナーに限定してしまう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Walmartの新技術テスト店舗Sam’s Club Nowが、来週ダラスでオープン

Walmartが経営する会員制大型ディスカウントストアのSam’s Clubが、最新の小売テクノロジーのテストベッドとして利用する新しい店舗を、ダラスにオープンする準備を進めている。具体的に言えば、同社が特にテストしようとしているのは、モバイルチェックアウト、在庫管理を行うAmazon Go式のカメラシステム、電子的な棚ラベル、店内案内テクノロジー、拡張現実、そして人工知能を活用したショッピングなどの、新しいコンセプトたちだ。

同社は6月の時点で、まずダラスにコンセプトストアを開店する計画を発表した、そしてそれが実世界における、技術ドリブンのショッピング体験の実験室であることを表明した。

米国時間10月25日、同社はそのプロジェクトのベールを上げて、新規店舗での計画の詳細について語った。店舗の名前は“Sam’s Club Now”である。

他のSam’s Clubの店舗と同様に、買い物をするためには顧客はSam’s Club Nowの会員になる必要がある。しかし、実際に買い物をする方法は、著しく異なることになる。

精算レジ担当者が置かれる代わりに、店舗にはコンシェルジュのように行動する「メンバーホスト」が配置されていると同社は語る。

またPOSレジでアイテムをスキャンする代わりに、顧客は特別に用意されたSam’s Club Nowモバイルアプリを利用する。

このアプリは、Sam’s Clubの既存の“Scan & Go”テクノロジーを利用している。この技術は現在他店舗で既に、精算をスピードアップするために使われている。既存のScan&Goモバイルアプリは、買い物客が商品をカートに入れる際に、自分でスキャンするオプションを選ぶことができ、そのまま電話を使って支払いを済ませることが可能だ。しかし、Sam’s Club Nowの場合には、これはオプションではなく、必ずスキャンして支払いを行うことが求められる。

Sam’s Club Nowアプリにはそれ以外の機能も満載である。いずれも同社がテストを行いたいと思っているものばかりだ。たとえば統合された店内案内/誘導システム、拡張現実機能、AI支援ショッピングリストなどだ。

最初の段階では、アプリは指定された商品がある通路へのビルトインマップを提供する、しかしやがてこのマップシステムはビーコンを使うようにアップグレードされて、消費者のショッピングリストに紐付けられ店内の最適ルートを表示するようになる。

ショッピングリストはAIによる支援も受ける。機械学習と顧客の購買履歴を用いて、ショッピングリストには、頻繁に購買するものが事前に入力されるようになる。もし不要な場合には、リストから項目を取り除くこともできる。

こうすることで、顧客は普段買う品物を買い忘れることがなくなる、と同社は語る。

また一方で、このアプリは、売られている商品の「物語」と機能を、店側から強調させるための拡張現実をテストすることが可能だ。同時に商品がどのような経路で得られたかの情報にアクセスするための手段も提供する。しかし、こうした機能は一種のギミックである。顧客たちが単に買い物をしようとするときには、こうした「インフォテイメント」に興味を抱くことはほとんどないからだ。

しかし、少なくとも、このテスト店舗は、そうした想定を実世界のデータで確認するチャンスを与えてくれる。

このアプリではまた、1時間以内に店頭受け取りが可能になる注文を行ったり、同日配送を指定して注文を行ったりすることができる。

このSam’s Club Nowと他の店舗の違いは、精算レジの有無だけではない。同店舗は、平均的なSam’s Clubの規模の四分の一の大きさで、3万2000平方フィート(約2973平方メートル)に過ぎない。それが意味することは、場合によっては、他の店舗のものよりも、小さいパッケージサイズのものを扱う可能性があるということだ(Sam’s Clubの他店舗は、大きな倉庫のような形態で、売られている商品の多くがまとめ買い用に大きなパッケージになっている)。

店舗のサイズが小さいため、店員の数も通常の四分の一である44名である。しかし、スタッフを排除し、技術で置き換えることが目標ではないと、同社は明言している。

「不便さを取り除くことは、素晴らしい会員サービスをデジタル体験で置き換えるということを意味しているわけではありません」と語るのは、Sam’s Clubの社長兼CEOのJohn Furnerだ。「会員の皆さまは、両方をお望みです」。

同社は、肉、生鮮食品、冷凍食品、ビールとワイン、弁当や惣菜類などの幅広い製品を取り揃える予定だと語る。

さらに重要なことは、新しい在庫管理と追跡技術も含まれているということだ。この先、700台を超すカメラを使ったシステムが、在庫管理とストアレイアウトの最適化のために使われることになる。

棚では、電子的な棚ラベルのテストも行われており、簡単に価格を変更することが可能だ。これによって紙のラベルや値札を印刷する必要がなくなる。

これらはみなサードパーティ製のシステムではないと同社は語っている。

「ここで構築に使っている技術の大部分は、私たち自身が社内で開発した技術に基づくものです。モジュールの一部にはサードパーティから入手したものがあるかも知れません。しかし、大部分は私たちが社内で開発した技術の上に構築されたシステムなのです」と話すのは、SamsClub.comのCEO兼Membership & Technologyの上級VPであるJamie Iannoneだ。「そうすることで、非常に迅速な繰り返しと改善が行えるのです」と彼は指摘した。

同社が「迅速」という言葉で意味するのは、わずか数週間で様々な変更を行えるということだ。この店舗では、コンピュータビジョン、AI、AR、機械学習、そしてロボットにまたがる、新しい様々な体験に対する実験を、素早く繰り返して行く計画だ。

そこで有効性を証明できた機能は、全米のSam’s Clubへと展開されて行くことになる。

同社によれば、ダラスがテストマーケットとして選ばれた理由は、アーカンソー州ベントンビルのWalmart本社から行きやすいということと、ダラスが擁するテクノロジー人材とリクルートの可能性からだと言うことだ。現在、同社はダラスに100人以上のエンジニアを抱えており、機械学習、AI、コンピュータビジョンの分野での雇用をさらに進める予定だ。

Sam’s Club Nowの企画が立ち上がり、開発が行われ、開店準備が整うまでにわずか5ヶ月しかかからなかったことも注目に値する。

店舗は、来週すぐに、テストのために地元の会員たちに招待制でオープンされる。一般に対する正式オープンは、とりあえず数週間以内に行われる予定だ。

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(翻訳:sako)

TC Sessions: AR/VR 変貌する業界内部の様子を聞く

先週、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の伝統あるロイスホールにて、TechCrunch主催の1日限りのイベント『TC Sessions: AR/VR』が開催された。急激に変化し熱気に溢れる業界と、それを支える人たちの現状を知ろうと、業界のベテランから学生までが一同に介した。Disney、Snap、Oculusを始めとする企業が登壇し、座談会に参加し、最新技術を披露した。参加できなかった方は、これを読んで、私たちが学んだことを知って欲しい。登壇者の話は、リンクを開くと動画で聞くことができる。

口火を切ったのはWalt Disney ImagineeringのJon Snoddy。ご想像のとおり、この会社は「エクスペリエンス」のために大きな投資をしている。だが彼は、VR(仮想現実)もAR(拡張現実)も、まだゴールデンタイムに進出する準備が整っていないと警告している。「まだそこまで到達していないと感じています。素晴らしいものだとはわかっています。とても面白いものだとも思っています。しかし、今後どうなってゆくのか、それが響いてこないのです」

次に登場したのはSnapのEitan Pilipskiだ。Snapchatでは、自分たちが何を作るべきかを決めるよりも、ARの創造性はクリエイターに任せたいと考えている。人々が日常的に装着してもよいと思えるARヘッドセットの完成には、まだあと数年かかる。それでもSnapは、AIを使った新しいフェイスフィルターとVRエクスペリエンスの試作を行っていると話した。

次に、私がスタートアップの一団を引き連れて登壇した。それぞれ方向性は異なるが、ホログラムや投影など、ビジネスとして成立する新しいディスプレイの形を追求しているという点で共通している。VNTANAのAshley CrowderとLooking GlassのShawn Frayneは、彼らが需要を見込んだ技術の開発方法を説明した。それは、簡単にリアルに3D映像を映し出すホログラム・ディスプレイだ。LightformのBrett Jonesは、現実世界を取り込んで拡張し、孤立した形ではなく共有できるエクスペリエンスについて語った。

ちなみに、Frayneのホログラム・デスクトップ・ディスプレイはロビーに展示されていた。とても素晴らしいものだった。大きなアクリルの箱の中に、キャラクターや風景が映し出される仕組みを覗こうと、三重四重に人垣ができていた。

BaoBab StudiosのMaureen Fanは、娯楽に焦点を絞ったVR企業の経費節約の重要性について語っていた。彼女の新作フィルム『Crow』のプレビューを見せながら、Fanは、物語を新しい方式で見せるためには、ゲームと映画の要素を創造的に融合させるなど、メディアを模索する必要があると話した。

次は投資家によるパネルディスカッションだ。登壇したのはNiko Bonatsos(General Catalyst)、Jacob Mullins(Shasta Ventures)、Catherine Ulrich(FirstMark Capital)、そしてStephanie Zhan(Sequoia)という面々。活発な討論の中で、彼らに共通していた意見は、Fanが言ったとおり、今はスタートアップが節約をする時代だというものだった。ベンチャー投資家の金を湯水のように使う企業によって競争が薄められてしまった。自力で効率的に運営されている企業が、頭角を現すという。

Oculusは、VRに関してはゲーム以外のエクスペリエンスには興味がないようだ。Oculusのエグゼクティブ・プロデューサーYelena Rachitskyは、座談会の中で詳しく説明してくれたた、彼らは、VRでユーザーがより深く世界と関われるようにするハードウエアに大変に注目しているという。Oculus Questのような新しいハードウエアは、360度VRビデオを遥かに超える能力をユーザーに与えるとのことだ。

Oculusが出てくれば、その親会社も黙ってはいられない。FacebookのFicus Kirkpatrickは、叩き台として利用できる使用事例に独立系の開発者を導くための、ARエクスペリエンスの典型となる「灯台」を作るべきだと考えている。創造的なエクスペリエンスとは別に、ARの発達は遅い。それは、スマートフォンを、長時間、手で持っているのが辛いからだ。Facebookはそこも考えていて、独自のARヘッドセットの開発に、すでに投資を行っている。

6d.aiのMatt Miesnieksは、同社のAR開発プラットフォームを一般公開したことを伝え、共同開発と大勢の人たちのためのオープンなARマッピング・プラットフォームとツールキットを作るという事例を示した。

Magic LeapやHoloLensなどのARヘッドセットがスポットライトを浴びることが多いが、ほとんどの人がARを最初に体験するのはスマートフォンだ。Parham Aarabi(ModiFace)、Kirin Sinha(Illumix)、Allison Wood(Camera IQ)はみな、ヘッドセットが進化したスタンドアローンの機器が普及して、この技術が主流になるのは3年から5年先だと考えている。彼らはまた、数々の技術や革新的なアイデアは数多くあっても、ARのためのキラーアプリがないという点でも同意している。

Derek Belch(STRIVR)、Clorama Dorvilias(DebiasVR)、Morgan Mercer(Vantage Point)は、VRの商業と工業での応用の可能性に着目している。一般消費者向けの技術を業務用グレードに引き上げるには、業務でのVR利用という大きな決断が必要になると彼らは結論付けた(StarVRなどの企業は業務用専門に的を絞っているが、それが成功するかどうかは未確定だ)。

FacebookがVR番組を提供する中、小さなVRスタートアップは、どうしたらソーシャルメディアに食い込むことができるのだろう。TheWaveVR、Mindshow、SVRFのCEOたちは、ユーザー同士が関わり合うことができ、いろいろな方法で人々をひとつにまとめるエクスペリエンスを作ることが鍵になると、口を揃えて言っていた。

休憩のあと、VRボクシングゲーム『Creed: Rise to Glory』のデモが披露された。これを開発したSurviosの共同創設者Alex SilkinとJames Iliffによる対決だ。その後、彼らは私と、ソーシャルおよびマルチプレイヤーVRの難しさと可能性について話し合った。 どれほど親近感のあるエクスペリエンスを作れるか、開発者は、プレイヤーの孤立や不正使用が起きないように、どう予防措置を取るべきかといった内容だ。

誕生したばかりの業界では、アーリーステージの投資が成功の鍵となる。だがその点では、VRは減速気味だ。BetaworksのPeter RojasとAnorakのGreg Castleは、彼らの投資戦略について詳しく話してくれた。また彼らは、技術業界の最大手企業がそこへ資金を投入し続けていることから、ARの分野に成功が期待できると教えてくれた。

UCLAは、AndersonのJay Tuckerと共に司会を務め、Mariana Acuna(Opaque Studios)とGuy Primus(Virtual Reality Company)を交えて、VRでの物語の表現はまだまだ初期段階にあるが、この模索と実験の時期は大いに励みになり、経験を積むことができると話し合った。映画はNetflixやMarvelで始まったわけではない。映画館や短編無声映画から始まったのだ。VRも同じ道を辿ることになる。

しかし、史上もっとも高い人気を獲得したARゲームの開発者のいないAR/VRカンファレンスというのは、どうなんだろう。Nianticはすでに『Pokémon GO』を超える成功を目指す大きな計画を立てている。『Harry Potter: Wizards Unite』の開発に深く関わった同社は、独自の最新AR技術を使った開発プラットフォームを作っている。今回の座談会で、AR開発責任者のRoss Finmanは、将来のAR世代のプライバシーと、この分野ではAppleが挑戦者側になっていることなどを話していた。

それが今回のイベントの締めくくりとなった。TechCrunchのFlickrページに、もっと別の写真がある(あなたも写っているかもしれない)。スポンサー、UCLAの寛大なるホストのみなさん、やる気に満ちて面白い話を聞かせてくれた登壇者のみなさん、そしてなにより観客のみなさんに感謝する。また会いましょう。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebook、ARメガネ開発中をあっさり認める

「そうだよ、もちろん取り組んでるよ」。LAで開かれたTechCrunchのAR/VRイベントで、私がARメガネを開発中か尋ねた時、FacebookのARのヘッドFicus Kirkpatrickはこう答えた。「ハードウェアのプロダクトを開発中で、前に進めるつもりだ…そうしたメガネを現実のものにしたいし、実現に一役買いたいと思っている」。

ARメガネの計画についてFacebookから返ってきた答えの中で今回が今までで最もクリアなものだ。そのプロダクトはFacebookにとってメーンストリームのコンピューターデバイスを所有するチャンスとなるかもしれない。

今月、FacebookはPortalスマートディスプレイという、同社のR&D特別組織Building 8のラボで生まれた初の自社ブランドガジェットをローンチした。ハードウェア開発はいま回転中だ。ARについて、Kirkpatrickは「いま発表できるプロダクトはない。しかし、ヘッドセットの将来で役割を担ってほしい、本当に注目せずにはいられない最先端の研究をしている多くの優秀な人材を抱えている」と話した。

戦いは始まっている。Magic LeapThalmic LabsのようなARスタートアップは独自開発した初のヘッドセットやメガネを発売し始めている。Microsoftは初期のHoloLensプロダクトのおかげでリーダーとみなされていて、その一方でGoogle Glassはまだ企業向けに開発が進んでいる。そしてAppleは自前のヘッドセット開発を加速させるためにAkonia HolographicsVrvanaといったARハードウェアデベロッパーを買収した。

テクノロジー面での進歩と競争はどうやらFacebookのタイムテーブルを早めたようだ。2017年4月にさかのぼるが、CEOのMark Zuckerbergは「我々は、最終的にメガネが欲しくなるということを知っている」と言い、しかし「我々はいま、欲しいと思うARメガネをつくるサイエンスやテクノロジーを持ち合わせていない。おそらく5年、あるいは7年以内だ」と説明した。彼はまた「我々は、今欲しいと思うARプロダクトをつくることはできない。だからVR構築がそうしたARメガネにつながる道となる」とも語った。FacebookのOculus部門はARメガネのポテンシャルについて広範に語ったが、同様に先のことという扱いだった。

しかし数カ月後にARメガネに関する同社の特許申請Business Insiderが見つけた。レンズにメディアを反映させるのに“二次元スキャナーがついたウェーブガイドディスプレー”を使っていると詳細が報道されている。CheddarのAlex Heath記者は、テーブルの上に置かれたチェスボードのような物体の表面にARを映しだしたり、あるいは遠隔会議のために何かに人物を映しだしたりするためのプロジェクターを使ったプロジェクトSequoiaにFacebookが取り組んでいる、とレポートしている。これらは、Facebookの中でARリサーチの段階が過ぎたことを物語っている。

先週The Informationは、FacebookのReality Lab(以前のOculusリサーチ)でカスタムARコンピューターチップをつくる、経験あるエンジニアを求める4つの求人情報を見つけた。その1週間後、OculusのチーフサイエンティストMichael AbrashはFacebookのVR会議での30分におよぶテクニカル要旨発表の最中に「いつでも買えるわけでないディスプレーテクノロジーがARには必要だ。だから我々は新たなディスプレーシステムを開発する他ない。そのシステムというのはVRを異なるレベルへともっていく可能性を有している」と手短に言及した。

しかしKirkpatrickは、FacebookのARの取り組みは単にVRヘッドセットの複合現実機能だけではないとの見方を明らかにした。「我々がたった一つのデバイスに向かっているとは思わない。また、誰もが四六時中VRに浸るReady Player 1のような将来になるとも思わない」と語った。「思うに、家で逃避的で没頭感のある体験をしたり、どこかに自分自身をトランスポートするのにVRを使ったりといった、今日のような暮らしを続けるのではないだろうか。しかし、あなたがつながっているような人々や、あなたがしていること、アプリの状態など全てが一緒に持ち運べて、外出先でも使えるようポータブルでなければならないと考えている。それが、我々がARについて考えていることだ」。

OculusのVRヘッドセットとFacebookのARメガネはソフトウェアを共有できるかもしれない。それはユーザーが馴染みやすいインターフェースをつくる一方でエンジニアリングをスピードアップするする可能性がある。「そうした全てのことが、何らかの方法でソフトウェアレベルで一点に集中するだろうと私は考えている」とKirkpatrickは語った。

FacebookのARの問題はというと、家の中にPortalのカメラを設置することについて人々が持つのと同じ、プライバシーの懸念に直面するかもしれない、ということだ。VRヘッドセットがフィクションの世界をつくる一方で、ARはユーザーの現実世界の環境についてデータを集めなければならない。これは、Facebookが家の中だけでなく我々がすること全てを監視下に置き、そのデータをターゲット広告やコンテンツレコメンデーションに使うかもしれないという懸念を引き起こすかもしれない。こうしたFacebookに特有の懸念はFacebookの一挙一動に向けられる。Magic Leapのような曇りのないクリーンなスタートアップや、Appleのようにプライバシーをしっかり管理している大企業の方が、ユーザーに使用してもらいやすいかもしれない。おそらくFacebookは、同社がARをやるに値すると人々に思わせるために、他ではできないようなことがこなせる最高クラスのガジェットを必要とするだろう。

TechCrunchセッション、AR/VRイベントin LAでのFicus Kirkpatrickのフルインタビューは以下で閲覧できる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Magic LeapがメッシュコンピューティングのComputesを買収、そのココロは?

Magic Leapが、分散メッシュコンピューティングのComputesの買収を発表した。契約の条件は公表されていない。

Magic Leapのブログ記事より:

Chris MatthieuとJade Meskillは最初から、次世代のコンピューティングをもたらす原理に基づいてComputes, Inc.を創業した。Magic Leapはこのビジョンを実現するための完璧な拠点だ、とわれわれは信じている。

なぜMagic Leapは、この企業を手にしたいのか? そう、言うまでもなく、現実の世界の上に“デジタルの層”を築くことは、単純に計算集約的という言葉で片付けられるゴールではない。メッシュコンピューティングは、複数のシステムの集まりがリソースを、それをもっとも必要とするデバイスに割り当てていくという、魅力的な未来を提供する。

同社のWebサイトにある説明は、あまり分かりやすいとは言えないが、ここでは同社のホワイトペーパーから引用してみよう:

Latticeプロトコルにより、有資格のコンピューターの群が自己をメッシュコンピューターへと編成する。メッシュの数はメンバーの数で決まり、その能力はコンピューター群のパワーで決まる。Latticeはワークを、そのタスクの要求に基づいて、メッシュのベストメンバーにインテリジェントに割り当てる。。

これは、ARヘッドセットのシステムにとって興味深いシステムだ。そこでは究極的に、それらの多くが平均的なスタンバイモードに居て、そのコンピューティングパワーを他のシステムに使わせるだろう。おそらくいちばんあり得るのは、強力なPCのグループがヘッドセットたちを駆動する、という構図だ。もっと地味な側面としては、スタートアップのシステムがバックエンドサービスの階層をドリルダウンしていく、というタスクも考えられる。

彼らがやってることに関心がある人や、その、控えめに言っても分かりにくい説明に関心を持たれた方は、このビデオで、ComputesのCEOのお話を聴くべきだ。ただしそれもまた、Dharma Initiativeのビデオに似ているけどね。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AR謎解きゲーム「サラと謎のハッカークラブ」運営のプレティアが資金調達ーー続編提供に向け加速

プレティア代表取締役CEO 牛尾湧氏

渋谷で開催中の新感覚AR謎解きゲーム「サラと謎のハッカークラブ」を提供するARスタートアップのプレティアは10月4日、インキュベイトファンド、Tokyo XR Startups、NHN CAPITALのほか、國光宏尚氏、佐藤裕介氏、塩田元規氏、吉田浩一郎氏ほか複数の個人投資家から資金調達したことを発表した。調達した額は非公開となっているが、資金をもとに同社は更なる高い顧客満足度を達成するため技術開発及びサービス改善に注力するという。

8月4日より開催されているサラと謎のハッカークラブはオリジナルアプリ「HACK PAD」を使って遊ぶAR謎解きゲームだ。プレイヤーたちは渋谷駅前の岡崎ビルに集合し、そこで注意事項などの説明を受けてから街へと繰り出し、90分間の制限時間内に数々の謎解きを攻略しクリアを目指す。

僕も一部体験させてもらったが、街中を歩くのは良い運動にもなるし、ヒントを使うことで初心者を含め誰でも気兼ねなくそのSFテーマの世界観を堪能することができる仕様となっている。1人で参加するも良し、友達や恋人と一緒にコミュニケーションを取りながら遊ぶのもきっと楽しいだろう。

ARゲームの開発に関してプレティア代表取締役CEOの牛尾湧氏は「なぜ僕たちがこの事業をやっているのか。ARの良いところは何もないところでも素敵なコンテンツを提供し人を集め、楽しんでもらうことができるからだ」と話した。「地方にはエンターテインメントが少なく、楽しめることがあまりない」が、ARゲームを使えば「今まで置けなかったところにも面白いコンテンツを置くことができる」(牛尾氏)

また、同氏は「1、2時間くらいの隙間時間で楽しむエンターテインメントとなると、映画、カフェ、飲み、などはあるが、あまりオルタナティブがない」とも説明。隙間時間で楽しむ娯楽は圧倒的に選択肢が少いため、同社のサラと謎のハッカークラブのようなARゲームは良いオルタナティブになり得るだろう。

「こういった隙間時間エンターテインメントを全国または世界中で開催することで、人と人との本質的に幸福なコミュニケーションを世界中に広げたい」(牛尾氏)

プレティアはARゲームと同時に独自のARバックエンド技術を「世界中のAR開発者に向けて開放」するため「ARクラウド」というプロダクトも開発している。これを使うことで「今までよりも更にAR、言い換えると面白い体験へのアクセスを多くの人に広めることができる」という。「コンテンツの民主化がしたいというのが僕たちの想いだ」(牛尾氏)

開催から約2ヵ月が経過したサラと謎のハッカークラブ。これまでにはNON STYLE井上裕介氏ら著名人もプライベートで参加するなど盛り上がりを見せている。開催は11月4日までと残りあと1ヵ月くらい。予約は公式サイトから可能で、料金は平日1290円、土日祝は1990円(それぞれ税込)。

調達した資金をゲーム・ARクラウドの開発とマーケティングチャンネルの開拓に使うという同社だが、「共に達成する喜びを世界中に届ける」というミッションのもと、今後、AR技術を更に進化させた謎解きゲーム第二弾(続編)の制作にも取り組んでいくという。牛尾氏は遠くない未来に海外進出することも既に視野にあると話していた。

「メルカリはアメリカで勝てないと世界では勝てないと言っている。僕も同じ思いだ」(牛尾氏)

WayRayのホログラフィックAR HUDにポルシェなど自動車メーカーが800万ドルを投資

巨大にして古い体質を引きずる自動車産業は、次世代の自動車技術を開発してもらおうと、革新的なスタートアップに望みと夢を託してきた。そのいちばん新しい物語のページが、先日(9月18日)、開かれた。チューリッヒに本社を置くホログラフィーを使った拡張現実技術(AR)とハードウエア(運転者の視界に映像を投影するヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)に使われる)を開発する企業WayRayが、ポルシェが主導するシリーズC投資として800万ドル(約9億円)の資金を調達した。これには、現代自動車、以前から同社に投資を行っているアリババ・グループ、招商局集団、JVCケンウッド、さらに政府系ファンドも加わっている。

WayRayは、この資金の使い道として、来年を目処に自動車メーカーにディスプレイ技術をOEM供給すること、長期的には、建築用の窓のような自動車用以外のディスプレイを開発する計画を示している。

WayRayは設立から約5年になる。製品は広く紹介されているものの、まだプロトタイプの段階に留まっている。しかし、その評価額は非常に高い。WayRayに近い情報筋によると、現在の評価額は5億ドル(約560億円)にのぼる。だが、WayRayの創設者でCEOのVitaly Ponomarevは、来年に予定されている製品の出荷が始まれば、その額は2倍になるだろうとインタビューで話している。

「私たちの製品の寿命はとても長いものです」とPonomarevは言う。「私たちは今、自動車業界への部品の認定供給業者になろうとしてるところですが、それには時間がかかります。来年にはティアツーサプライヤーになることを目指しています。年が開けるとすぐに契約が結ばれ、私たちの評価額に影響してくるはずです」。さらに彼は、すでに「すべての大手自動車メーカー」と接触していると話していた。

(資金に関して付け加えるならば、同社は公式には1億1000万ドル(約124億円)を調達していることになっているが、我々の情報筋によると、非公式に1億4000万ドル(約157億円)を、今は支援していることを伏せておきたい投資家から受け取っているという)

自動車用のHUDの市場価値は、昨年の時点で5億6000万ドル(約630億円)と見積もられていたが、2023年までには10億ドル(約1120億円)を超える見通しだ。WayRayのような企業は、コンチネンタルやパナソニックといった企業と頭を付き合わせて、彼らの要求に応えるシステムを作ることになる。これには2つの役割がある。ひとつは、運転者のアシスト。もうひとつは、乗客(または自動運転車の運転席に座る人)に情報や娯楽を提供することだ。

Ponomarevは、2週間以内に、それらのケースに対応するアプリ開発用のSDKを発表すると話している。

企業としてのWayRayは、AIに強く、とくにコンピュータービジョンと車内の安全システムの技術に優れた2つの国にまたがっている。WayRayの研究開発の大部分を占め、最初の(プロトタイプ用の)工場が置かれたのはロシアのモスクワだ。もうひとつの拠点が、現在はスイスのチューリッヒにある。最近までローザンヌにあったのだが、ドイツの国境に近く、複数の自動車メーカーが拠点を置いているチューリッヒに移転した。WayRayは、製品を製造する最初の工場をドイツに構える予定もある。2番目の工場は上海に作られる。現在、上海には営業所があるだけだ。

TecCrunchでは、今年のCES会場でWayRayを見つけて、その技術について簡単な記事を紹介したが、その画像の鮮明さや広さは、HUDの可能性を信じる私たちを勇気付けるものだった。すでにいくつものHUDメーカーが製品を販売しているが、言わせてもらえば、NavdyiScoutなど残念なものが多い。 しかしWayRayは、そうした多くのメーカーとはアプローチの角度が違う。反射式画面や埋め込み型ディスプレイではなく、ホログラフィックAR技術に特化している。

それにより、同社の専門はソフトウエアのみならず、最新のレーザー技術や材料科学(新しいポリマーを開発している)にまで広がったとPonomarevは話す。ホログラフィックHUDを研究している企業はWayRayだけではないが、WayRayがもっとも進んでいると彼は信じている。「特許の面から言えば、私たちが世界でナンバーワンです」と彼は言う。このシステムは、現在作られているものに比べて、20分の1のサイズにまで小さくできる可能性がある。

WayRayは、現在、埋め込み型のHUDシステム、つまり車両に組み込むための技術とハードウエアにフォーカスしているが、それは最近になってからのことだ。今年の初めまで、ユーザーが自分で買って好きな車両に取り付けられる、後付け型のハードウエアも同時に開発していた。

後付け型ハードウエアの問題点は、基本の技術がかならずしも同じでなくても、過激な競争になることだ。「中国など、世界中の何十社もの企業が参入して、後付けHUDビジネスを破壊してしまいます」とPonomarevは言う。「理由は単純です。中身に(独自の)技術がないからです」

後付けハードウエアのもうひとつの問題点は、販売チャンネルを作らなければならないことだ。

「小売りチェーンを通ることで、大きなマージンが取られてしまいます」と彼は言う。「しかし、OEMチャンネルに競争相手がひとつもなかったなら」……これはWayRayが主張する現在の状況だが……「それは金の鉱脈です。顧客は、一緒に仕事ができる時間が作れるまで、私たちのことを列を作って待っていてくれます。敷居が高い(一から始めて新しい技術分野を切り開き自動車産業に参入する)のが難しいところですが、良い面がとても大きく広がっているので、私たちは後付け型から埋め込み型に切り替えました。私たちは、それに相応しい技術を持っています」

それでも、WayRayが成功を実感できるようになるまでには、乗り越えなければならないハードルがある。自動車の内装には物理的にさまざまな違いがあり、それによってホログラフィック・ディスプレイの挙動は変わる。それに、本体はできるだけ小さく、映像はできるだけ大きく映し出すというハードウエアの開発には、つねにその2つの駆け引きによる緊張が付きまとう。

もうひとつ、その車種に、これを受け入れる準備ができているかどうかを考慮する必要がある。高度なドライブシステムや複数のセンサーなどを備えた車種なら、WayRayのシステムから出力される映像のレンダリングが高速に処理されるだろうが、そうではない車種では、WayRayのシステム自身が必要なデータを収集する方法から考えなければならない。それには、より複雑で高価な技術が必要になる。

しかし、そうした困難な問題に取り組んだとしても、見返りは大きい。

ポルシェは、WayRayの技術を、単に運転車のアシストに使ったり、すでに高い性能を有する車のオマケにするだけでなく、いずれはもっと多くのサービスを提供したいと考えている。たとえば、アリババを使った電子商取引だ。

「私たちが手を組むことで、お客様がポルシェに期待している基準での顧客ソリューションを提供できるようになると確信しています」と広報担当者は話している。

「WayRayは、宇宙工学、ハードウエアとソフトウエア開発といったしっかりとした経歴を持つユニークな専門家集団です」と、ポルシェの取締役会副会長であり財務IT担当取締役員のLutz Meschkeは、声明の中で述べている。「彼らの革新的なアイデアと製品には、非常に大きな可能性があります。これを基に、私たちはカスタマイズされたポルシェのソリューションをお客様に提示できるようになります。だからこそ、私たちはこの戦略的な投資を決断したのです」

また、長期的にその技術の応用に対する投資も拡大している。

「WayRayは、ホログラフィックARディスプレイ・システムのハードウエア開発、ソフトウエア開発の両方において、卓越した専門性を有しています」と現代自動車グループの最高イノベーション責任者であり執行副社長の池永朝(ヨンチョウ・チ)博士は声明の中で話している。「現代とWayRayの協力により、私たちはAR技術を利用した、まったく新しいエコシステムを確立し、ナビゲーション・システムの強化だけでなく、スマートシティーやスマートビルディングのためのARプラットフォームも構築することになります。それは、現代自動車グループは新事業でもあり、将来的に、私たちの車を運転されるお客様に、革新的な顧客エクスペリエンスを提供します」

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(翻訳:金井哲夫)

AppleがARグラス用の導波路レンズを作っているAkonia Holographicsを買収

【抄訳】
Appleが、Akonia Holographicsを買収した。拡張現実用の導波路レンズを作っているデンバーのスタートアップだ。このニュースを最初に報じたReutersに対して、Appleが買収を確認した。

Appleからの詳細説明は例によってないが、同社が拡張現実用の軽量ヘッドセットの開発を支える技術に投資していることの、これは明らかな確認だ。Appleが数年以内に消費者向けARグラスを発売する、という噂や報道は数年前からいろいろとあった。

関連記事: Apple、ARヘッドセットを2020年出荷を目標に研究中

2017年に本誌TechCrunchは、Appleが混成現実のヘッドセットを作っているVrvanaを買収したことを報じた。同社のデバイスは、ふつうの不透明なディスプレイの上で透視型の拡張現実を提供した。しかし今回の買収は、Appleの消費者向けARデバイスが、頭にかける、ないし、かぶるタイプのものであることを、示しているようだ。

導波管(ないし導光板)ディスプレイは、拡張現実ヘッドセットの光学技術のデファクトスタンダードになっている。種類はいくつかあるが、基本的に共通しているのは、画像がガラスの横へ投光され、エッチングなどレンズの中の不規則性によって反射し、最終的にはその画像をユーザーの目に投光することだ。Magic LeapやMicrosoftなどが売っているARヘッドセットも、導波路レンズを使っている。

反射型導波管ディスプレイ, Lumus製.

人気があるのは、薄くておおむね透明なデザインが可能だからで、ただし色の再現性と、ディスプレイが大きくなると像が歪む、という問題がある。Akoniaのマーケティング素材は、同社の“HoloMirror”が、“生き生きとしたフルカラーでワイドな視界の画像を表示する”、と言っている。

Crunchbaseによると、同社はこれまで1160万ドルを調達している。

Appleの大手コンペティターたちは、その多くが、ARヘッドセットの実験をすでに行っているが、Appleはあくまでも、スマートフォン上の消費者向けARにこだわってきた。それは、目の前の空間に合わせて、それらの面の上に解説情報などのデジタルオブジェクトを“投射する”技術だった〔例: 観光・名所案内など〕。

AppleのARKit

AppleのARでまだはっきりしないのは、それがMagic Leapのようなヘビー級のハイエンド路線で行くのか、それともユーザーに通知を表示したり、軽い対話を可能にする、いわば“頭に着る”Apple Watchのような、おとなしい製品になるのか、だ。

しかし導波路レンズの技術は視野角が大きくなくて、ウィンドウも小さくなるので、今後画期的な新技術や超長期の開発プロジェクトが出現しないかぎり、AppleのARは後者の路線で行く、と予想できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Oculusの共同創設者が競合他社製Magic Leapヘッドセットを「悲劇の誇大広告」と痛烈批判

企業の創業者が、競合他社の新製品をこき下ろすレビュー記事を書くというのは尋常なことではないが、Oculusの共同創設者Palmer Luckeyは、ずっと尋常ではない起業家で通ってきた。

昨日(アメリカ時間8月27日)、Luckeyは、自身の個人ブログに『Magic Leapは悲劇の誇大広告』と題したMagic Leapの開発者向けキットのレビュー記事を掲載した。その中で彼は、いくつかお世辞を述べてはいるものの、大部分は、その新製品の欠点の列挙と、同社の重役たちがAR技術のたわごとを並べていながら、結局は、彼が言うところの3年前のHoloLensに毛が生えたようなものに収まってしまった理由の説明に割いている。

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「Magic Leap ML 1に関する私のレビュー。メディアでは大きく取り上げられておらず、分析もされていない、いくつかの点に焦点を当てている」
「Magic Leapは悲劇的な誇大広告:このレビューのタイトルはよく考えて付けた。軽率な言葉ではない。私はVRにとって最高のものを、そして現実-仮想連続体のための最高の技術を求めているのだ」

 

彼は、いくつもの問題点をレビューの中で掘り下げている。おそらく、もっとも深い洞察が行われているのは、ヘッドセットとコントローラーに使われているトラッキング技術に関するものだろう。それがユーザーエクスペリエンスを後退させているという。Magic Leap Oneのコントローラーには、磁気トラッキング・システムが使われている。Oculusを含むほとんどのVRメーカーが採用している光学トラッキング・システムとは大幅に違うものであり、概して複雑な仕組みになっている。クリック式のトラックパッドがないことを批判している段落を読めば、それがLuckeyの単なる個人的な好みの問題ではないことがわかる。

Magic Leap One Lightwear

 

現在、LuckeyはVRの日々を卒業して、(ほぼ)転職を果している。彼の新しい会社Anduril Industriesは、国境警備のための技術開発に特化した企業だ。しかし、彼はまだハードコアなVR愛好家としての評判が高く、VR世界では大きな発言力を持ち続けている。

彼の不満の原因は明らかだ。Magic LeapのCEO、Rony Abovitzは、この数年間、多額の資金を調達して、秘密裏に技術開発を行い、公には既存の技術をこき下ろしていた。Luckeyは、それがARやVRの分野への投資意欲を削いでしまうと心配していた。目の前に非現実的な期待をぶら下げられた投資家は、比較的保守的なアプローチで売り込みをかける既存の企業への興味を失ってしまうからだ。

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Palmer Luckey「驚き!」
Fernando Serrano「悪いけど、こうするしかなかった」

 

もっとも辛辣な言葉は、Magic Leap Oneのディスプレイ技術のために残されていた。Luckeyは、他のメーカーの視野にあるものと、まったく変わらないと指摘している。Magic Leapの開発チームは、彼らが作っているものを説明するときに、独自の専門用語を作り出すほどだったのに、自分たちで言い出した技術を完成できなかったとLuckeyは言っている。

彼らはそれを「Lightware」と呼んでいる。長年にわたり、彼らの宣伝文句の中心的な存在だった。また彼らは、「フォトニック・ライトフィールド・チップ」、「ファイバースキャンイング・レーザーディスプレイ」、「デジタル・ライトフィールドをユーザーの目の中に投影する」技術、さらには、数十年間にわたってヘッドアップディスプレイの世界を悩ませ続けている「輻輳(ふくそう)調整不調和を解決」する方法、つまり、両方の目の焦点と「ふくそう」を常に一致させるための、「恒久的神経疾患」や脳障害を予防するために必須であるとMagic Leapも訴えてきた、この世界では聖杯とも言うべき技術について、繰り返し語ってきた。ふくそう調整不調和の解消技術は、VRよりも、デジタル要素と現実の要素との整合性を保たなければならないARにおいて重要になる。

要約:「フォトニック・ライトフィールド・チップ」は、反射型シーケンシャルカラーLCOSディスプレイとLED照明とを組み合わせた、単なる導波管に過ぎない。同じ技術は、もう何年も前から広く使われている。Microsoftの最終世代のHoloLensもそうだ。Magic Leap Oneは、「ライトフィールド・プロジェクター」ではない。または、広く認知された定義によるディスプレイでもない。「2焦点ディスプレイ」なので、ひとつかふたつの焦点面にすべてのUIと環境要素を配置した怪しいデモで、ふくそう調整不調和を解決したように見せかけている。それ以外の距離では、不調和が起きる。止まった時計でも、1日かならず2回は正確な時刻を示すというのと同じだ。

彼はまた、ヘッドセットの視野の狭さも指摘している。ただ正直なところ、彼は、もっと単純な光学システムを使った他社製のARヘッドセットと比較しているので、ちょっと不公平に思える。Magic Leapのディスプレイの視野範囲は、HoloLensのものよりも40パーセント大きいと見積もられているが、それでも人によっては狭いと感じるのかも知れない。

もしこれが、鳴り物入りで登場した製品に対する誰かさんの辛口批評に聞こえたなら、そのとおりかも知れない。Luckeyは、同社の注文番号のシステムから、売り上げを試算している。

Magic Leapの注文状況は、発売から数日の間は、じつに簡単に把握できた。私は友人から注文番号を見せてもらい、注文した時間と比べてみた。そこから、私は最初の1週間の売り上げを予測できると確信した。残念ながら、彼らは私がこのことをツイートした直後に、システムを変更してしまった。私が集めた情報を元に計算すると、最初の週で2000台が売れている。しかし、それは最初の48時間に大きく集中している。そこから推測するに、現時点での販売台数は、3000台を下回る。これは残念なことだが、確かな理由がある。私はMagic Leap Oneを持っている人を100人以上知っているが、彼らの中にAR開発者はわずかしかいない。ほとんどが、技術系企業の重役か、「インフルエンサー」か、初期のころに業界にいたが、ARアプリを開発しようという気がもうない人たちだ。黎明期のVR業界にとって、これは大問題だ。何千何万という開発者がいて、何千何万という開発キットが売れているにも関わらずだ。この問題の桁数が大きくなれば、Magic Leapにはとても厳しいことになる。

Luckeyは、このレビューの続編を書くつもりはないようだが、レビュー用にしばらく遊んだ後、彼は個人で買ったMagic Leap OneをiFixitに渡して分解を依頼している。

このレビュー記事が公開されると、Magic LeapのCEO、Rony Abovitzは、アニメ『アバター 伝説の少年アン』のキャラクターとLuckeyとを比較した、じつに奇妙なツイートをしている。それに続いてもうひとつ、さらに奇妙なツイートを出している。

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「この社会は不和に満ちてる。人々を団結させよう。私たちのデジタルとフィジカルの世界を統合しよう。創造しよう。そして、アーティストとなって作って遊ぼう」

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「Magic Leapの旅もパーティーも、これから面白くてクリエイティブで物凄いものになる。目標ははっきり見えている。誰でも歓迎する。ただし、どうかお行儀よく」

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(翻訳:金井哲夫)

AmazonのPart Finder機能はネジなどの正しいパーツを画像認識で見つけてくれる

ねじやナット、ボルト、ワッシャー、割りピンなどをネットで買いたいけど、自分が欲しいものをどうやって見つけるべきか? Amazonはそんなネットショッパーたちのために“Part Finder”(パーツ・ファインダー)というサービスを用意した。モバイルのカメラで目的のネジを撮(うつ)すと、Amazonはそれをスキャンして寸法を測り、まさにその品物のページへあなたを連れて行く。

Amazonはこの機能のローンチをまだ発表していないが、実は数週間前に全ユーザー向けに可利用になったらしい。

この機能は、iPhoneのカメラの被写体の寸法を測る機能を利用している。Amazonアプリを立ち上げたら検索ボックスの横にあるCameraボタンを押すと、“Part Finder”が動き出す。

Amazonは今このような、顧客がテキストを入力しなくても目的のアイテムを見つけられる機能をいろいろ作っている。たとえばバーコードスキャナーがあるし、画像認識による製品探しや、パッケージのX線投射SmileCodeスキャナー(Amazon独自のQRコード)、ARの利用(AR==拡張現実)、などなど。

Part Finderを使うときは、Amazonのソフトがより正しい仕事をできるために、アイテムを白い紙や布の上に置き、その横に1セント硬貨を置く。Amazonの説明には、そう書いてある。

またスマートフォンの傾け方にもコツがある(これもAmazonの説明を読もう)。カメラのファインダーに十字(’+’)と円が表示されるから、円の中に十字が収まるよう、カメラを(iPhoneを)正しく傾ける。

そうやった正しい画像を送ったら、Amazonがアイテムをスキャンして結果を返す。カメラの傾きのほかに、ピントが合ってることも重要だ。

さらに、次の画面ではアイテムの詳しい情報をAmazonに教える。たとえばネジだったら、ヘッドやねじ山のタイプを教える。こんなのは画像のスキャンで分かりそうなものだが、なにしろAmazonはUI入力による情報も欲しがるのだ。

ネジは、Amazonにとっても易しい方だが、この機能はユーザーにとって、それがなんだか分からないような特殊なパーツを見つけるのに役に立つ。ただしそのレパートリーは、現状ではそれほど網羅的ではない。今後の充実を待ちたい。

ところでPart FinderのAndroidバージョンは、いつだろう? まだAmazonからの情報は何もない。

Part Finderは、拡張現実ではなくコンピュータービジョンの技術を利用しているそうだ。私のこの記事の最初のバージョンでは、間違ってARと言っていた。

現在この機能が認識できるネジ/ボルト/ピン類のタイプは、100種類あまり。寸法の違いも含めると数千種を認識できる。この技術を開発したPartpicを、Amazonは2016年に買収した

〔日本の「モノタロウ」は、巨大なカタログをユーザーに送ってくる。そこから、正確な型番等を指定する。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ピカチュウが現実の物体の影に隠れるようになる――Niantic、新テクノロジーと開発中のゲームをデモ

AR〔拡張現実〕空間になんらかのオブジェクト(たとえばピカチュウ)を描写することを考えてみよう。このとき現実の空間で人間や自動車が手前を通り過ぎたとする。するとAR空間のオブジェクトは現実のオブジェクトの後ろ側になる。ここで非常に厄介な問題が生じる。

仮想オブジェクトを現実のオブジェクトによって「隠す」作業は極めて複雑だ。システムは描写中のピクセルが別のピクセルの「手前」にあるのか、「向こう側」にあるのか、中間にあるのかを判断できなければならない。自動運転車のように複数のカメラやレーザーレンジファインダーを使うのは非常に役立つがスマートフォンが通常備えるようなRGB感光素子の単一カメラで、しかもリアルタイムでこうした識別を行うのは至難の技だ。ほとんどのARアプリでオブジェクトがごく近くの空中に浮かんでいるような描写になるのはこうした理由からだ。

ピカチュウが活躍するポケモンGOのテクノロジーを支えるNianticは、まさにこの問題に取り組んできたスタートアップ、Matrix Millを買収した。

2017年にロンドンのユニバーシティー・カレッジのプロジェクトからスピンアウトして企業となったMatrix MillはMonodepthと呼ばれるテクノロジーを提供する。このツールは単一のRGBカメラから得たデータをニューラルネットで処理し、リアルタイムのゲームに利用可能な速度で距離情報を出力する。

同社は昨日(米国時間6/27)、少数のジャーナリストを招いてMonodepthのデモを行った。下にエンベッドしたサンプルではNianticの現行のARエンジンで描写したピカチュウとMatrix MillのMonodepthテクノロジーで処理したピカチュウを比較している。

2番目のバージョン(0:33から始まる)では通行人がピカチュウを隠している。またピカチュウはプランターを通り抜けるのではなくて、きちんと後ろに回り込む。レンダリングはまだ完全ではなく、ときおり不整合やノイズが出ている。しかし開発段階のこのデモでもリアルさが大きく向上していることが見てとれる。残念ながら、ポケモンGOにこのテクノロジーが導入される時期についてはまだ情報がない。買収の金額など詳細についても不明だ。

Nianticはこれ以外にもきわめて短いレイテンシーでAR体験を共有できるテクノロジーを利用したゲームのデモをいくつか行った。いずれもまだ実際のゲームには導入されていない。

たとえばNeonというコードネームで呼ばれる実験的ゲームではプレイヤーは広い場所を走り回って「弾薬」を拾い、他のプレイヤーに向けて射つ(下のビデオ)。:

このゲームではシステムが他のプレイヤーを認識して、それぞれにマーカーを付与してトラッキングしていることが注目される。ゲーム内を飛び交うARの「ロケット」はプレイヤーだけでなく、アプリを通すかぎり室内の観戦者もリアルタイムで見ることができる。プレイヤーが持つ複数のデバイスからの情報を共有することでシステムはリアルタイムでゲームマップを更新し、各プレイヤーの相互の位置関係を把握する。Niantic/Portkeyが準備中のハリー・ポッター・ゲームにおける魔法使いのバトルにこのテクノロジーが応用されることは十分予想できる。

共有ARというコンセプトは実験的な3次元ARパズルゲームのTonehengeにも使われている。Nianticはこのゲームを数日で開発したという。

これもハリー・ポッターに出てくる「魔法のチェス」を思わせる雰囲気があった。

最後にNianticはReal World Platformを紹介した。これはiOSとAndroidにまたがるクロスプラットフォームのツールとAPIのセットで、サードパーティーのデベロッパーがARゲームを開発するためのベースとなる。ポケモンGOと同様のメカニズムを備えた独自のゲームが開発できる。ユニークなコンセプトを用意すれば、マップ、スプーフィング対策ツール、世界のゲーム可能地点の巨大なデータベースなどをNianticが提供する。

Nianticでは今年中に「少数の選ばれたサードパーティー」に対してこのツールの提供を開始するという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+