サーバーレスは新しいマルチテナンシーだ…高度なコンピューティングの低価格化を実現

Dataplace, Alblasserdam

[筆者: Anshu Sharma](Storm Venturesのパートナー)

マルチテナンシーは、SaaSにおける最大の技術的突破口だった。こんな状況を考えてみよう: 顧客が10万あまりいると、Salesforceのような企業は、彼らのニーズに奉仕するために、10万あまりのサーバーとデータベースを必要とし、利益は消えてしまう。

マルチテナンシーは、高い粗利率を可能にするだけでなく、高度なソフトウェアを中小企業に低料金でサーブしても利益を上げられるようになる。それは単に新しいアーキテクチャであっただけでなく、エンタープライズソフトウェアの費用に関するわれわれの考え方を変えた。CPUやサーバーの数ではなく、ソフトウェアのユーザーと使い方が費用計算のベースになる。同様にサーバーレスコンピュートも、アプリケーションの作り方と、その消費と支払い方法の、両方における新しいやり方だ。

サーバーレスは、マルチテナンシーのメリットを、より高いレベルに上げる。サーバーレスコンピュートは、プラットホームが起動しそして停止するとき、専用のサーバーやVMが動いていなくてもよい、という計算モデルで、スケーリングが必要に応じて自動的に行われる。課金は、必要とした処理時間に対して行われる〔下図: AWS Lambdaのケース〕。

unnamed (1)

マルチテナンシーの一人勝ち — 他は全員敗者

SaaSの最初の10年は、SalesforceNetSuiteのような企業が熱心なマルチテナンシー賛成派で、レガシーのベンダーたちはそれを弱体化と呼び、複数の顧客データの混在は危険だ、とけなした。

エンタープライズアプリケーションソフトのトップ企業だったSAPは独自のアーキテクチャを発明してそれをメガテナンシーと呼び、データベースベンダーのトップOracleは、マルチテナンシーに代わるものとして仮想化プライベートデータベースなどのイノベーションを売り込もうとした。今日では、これらの企業もAribaConcur、NetSuiteなどの企業を数百億ドルを投じて買収し、勝者のアーキテクチャ、マルチテナンシーにコミットしている。

サーバーレスアーキテクチャ

サーバーレスアーキテクチャにより、まったく新しい種類のアプリケーションが生まれようとしている。とりわけこのアーキテクチャは、IoTやモバイルアプリ、リアルタイムビッグデータなどに大きなアドバンテージをもたらすだろう。

Amazon Lambdaは、この分野の明確なリーダーと見られる。またPubNub BlocksやAzure Functionsなども、同じアイデアがベースだ。数年後にはすべてのクラウドプラットホームが、何らかの形でサーバーレスアーキテクチャをサポートすることになるだろう。

マルチテナンシーへの移行の場合と同じく、既存のコードを簡単にサーバーレスにすることはできない。アプリケーションを根底から考えなおし、新しいフレームワークを使うためにリライトする必要がある。

不可能を可能にし、そして安価にする

マルチテナンシーにより中小企業が、CRMや会計経理、マーケティング、人事雇用などの分野で、エンタープライズ級のアプリケーションを、手頃な料金で利用できるようになる。それらのアプリケーションは今ならたとえば、Salesforce(CRM)、NetSuite(会計経理)、Marketo(マーケティング)、SmartRecruiters(人事雇用)などだ。

大量のデータを継続的にリアルタイムで処理して経営に生かすユースケースは、コストが膨大だから、とても手を出せない企業が多い。しかしサーバーレスのコンピューティングならファンクションを動かすわずかな時間に課金されるだけだから、それがずっと安上がりになる。

この新しいアーキテクチャとビジネスモデルによる新しいアプリケーションが、これからの10年でどんどん台頭してくるのが、私は待ち遠しい。SalesforceやNetSuiteぐらいのサイズの企業がこの新しいアーキテクチャを採用したら、一体どんなことが可能になるだろうか?

お断り: Anshu SharmaはPubNubの投資家で、元Salesforceの役員、そしてパブリッククラウドに対する絶対的な楽観主義者だ。彼の意見には、これらの立場による偏りがある。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AppFormixの総合クラウド監視最適化サービスが監視対象として仮想化ネットワークをサポート

gettyimages-476365440

AppFormixは、Rackspaceなどのクラウドプラットホームを利用する企業の、OpenStackおよびコンテナベースのクラウド上のシステム監視し最適化する。その同社が今日、そのサービスにvirtualized network functions(VNF, 仮想化ネットワーク機能)*のサポートを加えた、と発表した。〔*: 日本では言葉として、NFV(Network Function Virtualization, ネットワーク機能の仮想化)の方がよく使われるようだ。〕

これまでのネットワーキングは、高度な専用ハードウェアを駆使するシステムだったが、しかし最近では徐々に、ありふれた日用品のようなコンピューターの上でソフトウェアを動かしてネットワークを実現するようになった。ハードウェアに要する費用は激落した。ただしネットワーキングという機能は、とくに通信業界などではレイテンシー(遅延)に敏感だ。しかもこの業界はVNFの主要ユーザーのひとつであり、またOpenStackのユーザー企業がとても多い。しかし、厳しくチューニングされた専用ハードウェアではなく、安価な日用品的コンピューターを使うと(そのままでは)、遅れやジターといった問題に悩まされがちだ。

AppFormixの協同ファウンダーでCEOのSumeet Singhによると、同社のサービスを利用するとジターを最大70%減らせる。彼は述べる: “VNFはまだ新しい技術だが、通信企業はこれによりネットワーキングをハードウェアからソフトウェアへ移行させようとしている。そして問題にぶつかる。弊社のサービスは一種のリアルタイムシステムで、これら仮想化ネットワークの状態…あらゆる性能要素…を常時監視し、分析し、その結果に基づいて最適化する”。

VNFの場合、最適化とは、ワークロードの構成やリソースの割り当てを変えることだ。AppFormix自身の調査によると、CPUの割り当てはジターにあまり影響しない。むしろ、問題の原因は多くの場合、キャッシュやメモリの使い方にある。たとえばAppformixのサービスがキャッシュの割り当てを適正化すると、ジターは減少する。

Singhが強調するのは、仮想化ネットワーキングの常時監視と最適化が重要なのは通信企業だけでなく、ユーザーを満足させる迅速なネットワーキングサービスをコンスタントに提供しなければならないeコマースなどでも重要、という点だ。

AppFormixの総合的なクラウド最適化サービスにVNFのサポートが加わったことにより、OpenStack(によるクラウド)とKubernetes(によるコンテナ管理)をベースとするクラウドシステムのユーザー企業はより安心して、ネットワーキングのソフトウェア化に取り組めるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleのクラウドデータベースサービスのすべてがベータを終了、SLA完備、関連ストレージサービスも高速化

cbf_009

Googleが今日、同社のCloud Platformに関するいくつかの発表を行った。その多くは各種のクラウドデータベースに関するものだが、同時に、コールドデータのための安価なクラウドストレージサービスNearlineのアップデートや、ディスクボリュームの高速化、Cloud Storageでユーザー自身の暗号鍵が使えること、などに関する発表も行われた。

全体としてGoogleが訴えたいのは、同社のクラウドコンピューティングサービスが、プロダクション用途に十分使えるほど成熟している、ということだ。

データベースに関するビッグニュースは、Googleのクラウドデータベースサービスのすべてが今やベータを終えたことだ。たとえばクラウド上で容易に利用でき管理もできるMySQLデータベースCloud SQL第二世代バージョンも、9か月のベータを終了して一般公開される。

NoSQLデータベースのCloud Bigtableは、非常に大規模なデータ分析と実動負荷を誇っているが、これもやはり、今日から一般供用される。

datacenter_google

またWebアプリケーションやモバイルアプリから便利に使えるNoSQLデータベースGoogle Cloud DatastoreのAPIも、ベータを終えた。データベース本体はかなり前から一般供用されていたが、デベロッパーはそれを、Google App Engineの一部としてしか使えなかった。でもAPIが使えるようになると、App Engineの外のアプリケーションでもこのデータベースを使える。同社によると、今ではSnapchatなども使っているCloud Datastoreは、毎月1兆リクエストを処理している。

Googleによれば、これらのデータベースサービスにはベータの期間中にいろんな機能を加えてきたが、今現在でユーザーにとって一番重要なのはSLAが提供されたことだろう。たとえばCloud Datastoreは、SLAにより99.95%の月間アップタイムを保証している。

Microsoftの旗艦的データベースサーバーをGoogle Cloudで使いたい人のために、同社はライセンス込みのSQL Serverイメージを提供している(今ベータ中)。既存のライセンスを、そのまま使うこともできる。ただしSQL Serverのイメージを動かすとGoogleの通常のインスタンス使用以上の費用が発生する。それはSQL Server Standardでは1コア1時間あたり$0.1645、SQL Server Webでは$0.011だが、SQL Server Expressは無料だ。

SQL Serverをクラウドで使うならMicrosoftのクラウドを使うのがベスト、という話になりそうだが、しかしGoogleとしては、エンタープライズユーザーを既存のアプリケーションとワークロード込みで同陣営に鞍替えさせるために、このオプションが欠かせないのだ。しかも今や、エンタープライズ顧客のあいだでは、GoogleのクラウドよりもMicrosoftのクラウドサービスの方が人気がある。

なお、ストレージに関する今日の発表では、コールドデータ用の安価なストレージサービスNearlineが速くなった。NearlineはAmazonのGlacier〔氷河!〕ストレージなどと競合するが、低価格と引き換えに可利用性の保証が低い。これまでのNearlineユーザーは、データアクセスにおいて3〜5秒のレイテンシー(遅れ)を我慢しなければならなかったが、これからは、(Googleのスポークスパーソンによると)“ほとんどリアルタイムだ”そうだ。

GoogleのPersistent Diskボリュームも速くなり、最大リード/ライト(IOPS
)が15000から25000にアップした。データベースアプリケーションだけでなく、そのほかのデータの保存にも便利である。

Googleの今日の発表声明文によると、“Google Cloud Platformをみなさまのエンタープライズデータベースワークロードのための最良のパブリッククラウドにしていくための、従来からの弊社の一貫して多大なる献身の継続において、本日は特別に大きな里程標が刻まれたことになります”、だそうだ。Googleが同社のCloud Platformに関してきわめて真剣であることの、証拠はすでに出揃っていると思うが、それでもまだ不満な人は、今日の発表の内容を見るべきかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWSの新サービスKinesis AnalyticsはリアルタイムストリーミングデータをSQLで分析できる

aws_logo

AmazonのクラウドコンピューティングプラットホームAWSが今日(米国時間8/11)、リアルタイムのストリーミングデータをSQLのクェリで容易に分析できるツール、Kinesis Analyticsを立ち上げた。Kinesis Analyticsは、AWSのリアルタイムストリーミングデータプラットホームKinesisを利用するユーザー向けだ。デベロッパーは、Kinesisを使ってストリーミングデータを取り込み、それを自分たちのアプリケーションで使用する。

Kinesis Analyticsを使えば、入ってくるデータを継続的なSQLクェリでフィルタしたり操作することによって、データをアプリケーションがすぐにでも使える形にできる。

AWSのチーフエヴァンジェリストJeff Barrが今日書いているところによると、通常のデータベースクェリは基本的に静的なデータを見る。しかしストリーミングデータに対してKinesis Analyticsでクェリするようになると、このモデルは二義的になる。“クェリは長期にわたって行われ、その間にデータは、新しいレコードや観察結果、ログのエントリーなどとして毎秒何度も々々々変わる。データをそんな動的なものとしてとらえるようになると、クェリによるそれらの処理がとても理解しやすいことが、分かるだろう。パーシステントな(持続的な)クェリを作って、次々と到着するレコードを処理するのだ”、と彼は語る。

2016-08-11_0907

Kinesis Analyticsの主な対象はリアルタイムデータだが、ときには、ちょっとした遅れを挿入したり、到着したデータを集めてバッチ処理した方が、その集まったデータに見られるトレンドを見つけやすくなる。そんなユースケースのためにKinesis Analyticsでは、“ウィンドウ(窓)”をセットできる。窓には三種類あり、周期的なレポート用にはタンブリングウィンドウ、モニタしてトレンドを見つける用途にはスライディングウィンドウ、この二つでだめなときには、時間間隔を任意に設定できるカスタムウィンドウを作れる(何らかの対話性に基づく間隔でもよい)。

Kinesis Analyticsは、AWS Lambdaのように、サーバーレスで処理を行うAWSのプロジェクトの一環だ。このサービスの標準的なユースケースはIoTのアプリケーションだと思われるが、そのほかに、オーディエンス追跡システムや、広告の取り替え処理、リアルタイムのログ分析などにも好適だ。しかもSQLがそのまま使えるので、特殊なSDKをインストールしたり、新しい言語を勉強する必要はない。

このサービスは現在、AmazonのEU(アイルランド)、US East(ノース・ヴァージニア)、US West(オレゴン)の各リージョンで使える。料金は処理量に応じての従量制だ。処理量の単位は、仮想コア一つ、メモリ4GBの仮想マシン一台相当とする。それは、アメリカのリージョンでは1時間あたり11セント、アイルランドのデータセンターでは12セントだ。ただし料金は可変であり、たとえば追加のデータをバーストで処理するような場合には変わる。デフォルトの料金は、毎秒1000レコードというデータ取り込み量を想定している。サービスのスケールアップ/ダウンは、必要に応じて自動的に行われる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleのクラウドプラットホームはプリエンプティブルVMの料金を最大33%値下げ

google-servers-datacenter

これまでGoogle, AmazonそしてMicrosoftの三社は、クラウドコンピューティングの値下げ競争に邁進してきたが、このところようやく、沈静化したようだ。しかし今日(米国時間8/9)は、Googleがまた新たな爆弾を投げ込み、同社のプリエンプティブル仮想マシン(preemptible virtual machines)の料金を最大で33%値下げした。

プリエンプティブルVMは、AWSのスポットインスタンスのGoogle版で(Microsoft Azureにはまだ相当タイプがない)、Googleに先買権のあるリソース、言い換えるとGoogleにとってそれが遊休リソースである間はユーザーに安く使わせてあげるよ、というVMだ。GoogleやAmazonは、このやり方でリソースの利用率を常時高めたいのだが、彼らのシステムサイドの需要が混み合ってくるとユーザーは、通常のプールのユーザーへと自動的に‘格上げ’され、料金も上がる。

Screen Shot 2016-08-09 at 8.24.26 AM

Amazonはこれらの遊休VMをオークション方式でユーザーに提供するが、Googleの方式では定価制だ。それでも、同社の通常のVM提供物に比べると最大で80%ぐらい安くなる。

Googleのプラットホーム上では、これらのVMは最大で24時間しか使えないから、どんなワークロードにも使えるわけではない(AWSではスポットの入札価格が上がるまで使える)。でも柔軟性のあるワークロードなら、このタイプのVMを使ってかなりの節約ができる。

GoogleのプロダクトマネージャーMichael Basilyanが、今日の発表声明で書いている: “顧客はプリエンプティブルVMを使って、データの分析やムービーのレンダリング、衛星画像の処理、遺伝子データの分析、金融市場の理解、メディアのコード変換、さまざまなビジネスやエンジニアリングタスクの完遂、などを行っている。プリエンプティブルVMの値下げによって、コンピューティングの機会がさらに広がり、科学やビジネスの分野における興味深い問題への挑戦が可能になる、と信じている”。

運が良ければ、Googleの今日の値下げに刺激されて、Amazonも値下げを行うかもしれない。

ところで、プリエンプティブルマシンに向かないワークロードを抱えている方は、Googleが新しく設けた“VM Rightsizing Recommendations”(VM適正サイズ推奨)を検討してみてはいかがだろうか。このツールはユーザーのVM利用状況を分析して、ニーズに合った最適のスケールアップやダウンを推奨する。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

OpenStackがもうすぐKubernetesを利用してコンテナ内で動くようになる…Google, Intelなど主要プレーヤーが尽力

Aerial view of container terminal

企業等がAWS的なクラウドコンピューティングサービスを自分のデータセンターで動かせるためのオープンソースのプロジェクトOpenStackが、最近の数回のアップデートを経てコンテナのサポートを加えてきた。しかし、OpenStackそのものをコンテナで動かす、となると、別の話だ。CoreOSはStackanetesという奇妙な名前のプロジェクトで、OpenStackをコンテナに入れて動かすための環境を作ったが、それはOpenStackのコミュニティやOpenStackの中核的なデプロイおよび管理のためのツールの、外部で起きたことだ。

しかしもうすぐ、Mirantis, GoogleおよびIntelなどの尽力で、デプロイメントツールOpenStack Fuelが、CoreOSの〜〜netesの場合と同じく、KubernetesをOpenStackのオーケストレーションエンジンとして使えるようになる。理想としては、これにより、OpenStackの大規模なデプロイメントの管理が容易になるだろう。

MirantisのCMO Boris Renskiはこう語る: “コンテナのイメージフォーマットとしてはDockerが、そしてコンテナのオーケストレーションではKubernetesが今やスタンダードだから、分散アプリケーションのオペレーションにやっと継続性が見えてきた。KubernetesとFuelの組み合わせでOpenStackの新しいデリバリモデルが開かれ、それによりアップデートをより迅速にこなして、顧客に結果を早く届けられる”。

これは、もうすぐOpenStackをGoogleのクラウド上のコンテナで動かせるようになる、という意味でもある。というか、Kubernetesをサポートしているクラウドサービスならどこでも…。

Googleの上級プロダクトマネージャーでKubernetesプロジェクトのファウンダーの一人でもあったCraig McLuckieは今日の発表声明で、こう述べる: “FuelでKubernetesを利用すればOpenStackが本格的なマイクロサービスアプリケーションになり、レガシーのインフラストラクチャソフトウェアと次世代のアプリケーション開発とのあいだのギャップを橋渡しする。コンテナと高度なクラスタ管理を、障害に強くスケーラビリティの高いインフラストラクチャの基盤として利用すれば、多くの企業が大きな利得を得るだろう”。

Mirantisのチームは以前、IntelやCoreOSとともにStackanetesを手がけたことがあり、そのときの経験や見聞が今回の新しいプロジェクトにとって実質的に概念実証になっている。“今日(米国時間7/25)発表したGoogleやIntelとのイニシアチブでもCoreOSとのコラボレーションを継続し、Stackanetesに見られるものの一部を取り入れたい”、とMirantisのスポークスパーソンは語った。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWS上のサーバーのセットアップと管理が超簡単になるCloud With Meのらくちんサービス

shutterstock_268614635

AWSについて、使いやすいという声を聞いたことは、過去に一度もない。Amazonのクラウドコンピューティングプラットホームはとても強力で、毎日のように機能がアップデートされているが、そのパワーとともに大量の複雑性を抱え込んでいる。一台のマシンにWordPressをインストールしベーシックなセットアップをする、という一番単純な使い方でも、AWSの管理コンソールは初心者を十分にびびらせる。

Cloud With Meはこのプロセスを、わずか数クリックで済ませてくれる。自己資金だけでスタートした5人のチームは、仮想マシンによるホスティングサービスという古い世界とクラウドを、橋渡しする。Cloud With MeのファウンダーでCEOのGilad Somjenは、こう説明する: “古いホスティング企業とAWSのあいだにはギャップがある。みんなクラウドへ移行したがっているのだが、それが彼らには難しすぎるのだ”。

Cloud With Meのインタフェイスからユーザーはまず、自分のサーバーを置くリージョンと、サーバーのインスタンスタイプ、一緒にインストールしたい関連ソフト(アドオンソフト)を指定する(WordPress, Drupal, Magento, メールサーバー, データベース, FTPサーバー, などなど)。AWS上のドメイン取得という面倒な作業も、ドメインネームを指定するだけで、あとはCloud With Meがやってくれる。そしてそのほかのAWS関連の情報を入力してやれば、サーバーの起動準備は完成する。いったん動き出したサーバーの管理も、お望みならCloud With Meに任せてもよい。

2016-07-11_2210

Cloud With Meのダッシュボードは11の言語で提供されていて、AWSの管理コンソールよりも多い。

2016-07-11_2230

AWSの課金は、AWSからユーザーへ直接来る。Cloud With Meは、いっさい関与しない。同社自身の収益は、WordPressなどアドオンソフトのインストールサービスへの課金だ。その単価が、月額3ドル99セント。本誌の読者が’tc30’というコードで7月31日までにサインアップすると、その料金が30%引きになる。

しかしもちろん、アドオンソフトのインストールはあとで自分でやってもよい。アドオンをまったく使わないアプリケーションも、ありえる。Cloud With Meの無料プランでは、サーバーのみを最大5台まで管理できる。

Cloud With Meのアドオンライブラリはまだかなり限られているが、Somjenは、今後どんどん増やす、と言っている。

Somjenによると、AWS自身は大規模なエンタープライズユーザーがメインの顧客だから、自分ではCloud With Me的なサービスを提供する気がない。“AWSにとっては、WordPressのサイトをひとつだけ動かしているようなクライアントは、眼中にないんだね”、と彼は言う。

数か月前にひそかにローンチしたCloud With Meだが、それでもここで新たにAWSのアカウントを作ったユーザーが3000名/社近くいる。AWSも同社を無視できなくなり、今ではCloud With MeはAmazonの公式パートナーだ。

Cloud With Meは、サーバーのセットアップを肩代わりしてくれるけど、ぼくの個人的感想としては、毎月の課金に大きな影響を与えるリージョンやサーバータイプの選択も手引してくれるとありがたい。こういう指定にすると、これぐらいの課金額になるよ、という試算もやってくれると、嬉しいけどね。

セットアッププロセスの第二段階、AWS情報の入力とか、Cloud With Meに自分のAWSサービスへのアクセス権を与える段になると、初心者にはちょっと難しくなってくる。Somjenは、この部分ももっと簡単にしたい、と言っているが、今のところは、第一段階の超簡単さに比べて、AWSのアクセスキーを見つけるとか、Cloud With Meのためのパーミッションを作るなんてあたりは、AWSについて何も知らなかった人ならびっくりするかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWSのElastic File Systemが正式運用に(一部地域のみ)

aws_logo

一年以上前、AmazonのAWSクラウドコンピューティング部門は、Amazon Elastic File System (EFS)をベータ公開すると発表した

既にAWSは、様々なクラウドストレージサービスを、S3、Glacier、Elastic Block Store等の製品として提供しているが、EFSの背景にある考え方は、AWSユーザーに多くの企業が使用している企業内ストレージサーバーと同等の機能を持つ、シンプルなストレージシステムをAmazonクラウドのEC2インスタンス向けに提供することだ。

「多くのAWSユーザーから、スケーラブルで管理しやすいファイルストレージの要望を受けている」とAWSのチーフエバンジャリスト、Jeff Barrが今日の発表で言った。「顧客の中には、数多くのウェブサーバーやコンテンツ管理システムを使って、共通ネームスペースや企業の部門別ファイル構造を活用しているところもある。あるいは、HPCビッグデータアプリケーションを使って、巨大ファイルを数多く作成、処理、削除しているために、ストレージの容量やスループットの要件が時と共に大きく変化する企業もある」。

2016-06-29_0923

EFSは、ファイルに必要にストレージに応じて自動的に規模を拡大縮小する。標準のNFSv4プロトコルを使用しているため、殆どの既存アプリが利用できるはずだ。Amazonによると、ストレージ量に上限はなく、標準あるいは “max I/O” の2種類の性能モードがある。後者は高速スループットに最適化されている代わりに、ファイル操作の遅延が大きくなることがある。

現在同サービスは、AWSの米国東および西地区、ならびにEU(アイルランド)地区で利用できる。料金は、データ1ギガバイト当たり、米国地区で月額0.30ドル、アイルランドで0.33ドルだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

DockerがコンテナのオーケストレーションをDocker Engineに統合、単独サービスを不要に

img_20160619_175158

Dockerが今週シアトルで行ったデベロッパーカンファレンスは、事前にチケットが売り切れてしまう盛況だったが、そこでは同社のメインの製品であるDocker Engineに新しい大きな要素が加わった。これまで同社は、コンテナの構築、それらのデプロイ、オーケストレーションなど、主な工程を分割して提供していたが、今回はDocker Engineの中にコンテナのオーケストレーション機能を組み込んだ。

同社はまた、そのツールをMicrosoftのAzureやAmazonのAWSの上で、より容易にデプロイできるようにした。

DockerのCOO Scott John Johnstonによると、これらはすべて、コンテナをもっと使いやすくし、またCEOのBen Golubが今日(米国時間6/20)のキーノートで強調したように、コンテナのオーケストレーションを民主化するための努力の一環だ。コンテナのオーケストレーションは、KubernetesやMesosなど、そのためのフレームワークがすでにいろいろあるにも関わらず、依然としてデベロッパーにとって大きな痛点だ。

docker_engine_swarm_mode

今回Dockerがやったことは、昨年11月にベータを終えたクラスタリングサービスDocker Swarmと、オーケストレーションサービスComposeの、Engine本体中への統合だ。これからは、デベロッパーが”Swarmモード”をonにすると、Dockerエンジンの自己治癒型でお互い同士を発見できるクラスターが作られる。Swarmモードにはオーバレイネットワークのサポートが含まれ、それにより自動的サービス発見とロードバランシングのツールが利用できる。また新たに提供されるService Deployment APIにより、デベロッパーはこれから使うサービスや画像、ポートなどを宣言できる。

Johnstonによると、Dockerの既存のSwarmとComposeツールには何も変更がない。それはユーザーの既存のデプロイを壊したくないからであり、また、サードパーティのツールと併用できるという約束に、違反したくないからだ。同社によると今回の統合化によって“Dockerプラットホームを軸とする構築の機会がさらに拡大され”、またそのプラグイン方式のアーキテクチャにより、今後はネットワーキング、ストレージ、ログ取り、パートナーのモニタリングなど、これらのネイティブなオーケストレーション機能を利用する多方面の進化が期待できる。

docker_swarm-commands

しかしそれと同時に、彼によれば、これらの新しい機能を使いたいと思っているデベロッパーとシスアドミンの両方が、すでに使い慣れている同じDockerコマンドラインを使えるし、アプリケーションをテストしデプロイするために必要なインフラストラクチャをより容易に構成稼働できる。“分散コンピューティングは難しいが、シスアドミンは分散アプリケーションを管理するために学校へ戻るわけにもいかない”、とJohnstonは語る。“これを構築することによって、ノードが複数ある場合にも、必要なことをすべてオーケストレーションツールがやってくれる”。

またDockerの主張によれば、そのシステムは、外部のインフラストラクチャに依存する特定のエラー発生箇所を持つことがない。セキュリティ機能をSwarmモードにも拡張したため、すべてのノードがTLSとDockerのCryptographic Node Identityを使って通信し、アドミンがやることは、ワークロードを信頼できるノードへディスパッチするだけだ。

これらの新しい機能をすべて揃えたDocker 1.12は今、リリース候補(リリースキャンディデート)を利用できる。一般公開は、7月を予定している。その後さらに徹底的なテストを重ねて、Swarmモードなどの新しい機能が商用製品として提供されるのは、今年の後半だ。

IMG_20160620_092304

DockerをAWSやAzureで使う

これらの新しい機能と並行してDockerは今日、Docker for AWSとDocker for Azureを発表した。これにより、Docker Engineをこれら両プラットホームで容易にデプロイできるようになる。Johnstoneは語る、“最近の弊社の拡大した市場には、これまで自分たちが選んで使ってきたインフラストラクチャの上でそのまま、Dockerを使いたい、というユーザーが少なからずおられる”。そこでたとえばDocker for AWSは、AWS自身のインフラサービス(AWS Autoscaling, Elastic Load Balancer, Elastic Block Storeなど)とタイトに統合され、Azureエディションは同様に、Microsoftのクラウドサービスと統合化されている。

ここにGoogleのCloud Platformが抜けていることについてJohnstonは、まず市場の圧倒的多数派に対応した、という。Google Cloudのユーザーは、まだ少数派だ。しかし、複数のクラウドを使いたいというエンタープライズも少なくないので、今後のDocker製品のスケーリングと拡張においては、GoogleやRackspaceなどもサポートしていきたい、と彼は述べる。

IMG_20160620_100449

さらにまた、Docker for OS X(近未来のDocker for macOS?)とDocke for Windowsが非公開ベータを終えて今では公開ベータが提供されている。いずれもDocker体験としては同じだが、AWSやAzureの場合と同様、これらのプラットホーム向けに特別にチューニングされているバージョンだ。

ただしDocker for AWSとDocker for Azureの方は、当面、非公開ベータでのみ提供される。

 

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ChefのHabitatは多様なインフラストラクチャへの対応雑務からアプリケーションデベロッパーを解放する

Chefが今日(米国時間6/14)、Habitatをローンチした。それはアプリケーションを、いろんなインフラストラクチャの上でそのまま動けるようにパッケージする、オープンソースのプロジェクトだ。

Habitatは基本的に、アプリケーションを独自の軽量ランタイム環境で包み、それらをどんな環境でも動けるようにする。ベアメタルのサーバー、仮想マシン、Dockerコンテナ(+そのコンテナ管理サービス)、Cloud FoundryのようなPaaSシステム、などなど。

2016-06-14_1038

“アプリケーションをインフラストラクチャへの依存性から解放して、DevOpsが本来の仕事をできるようにすべきである”、とChefの協同ファウンダーでCTOのAdam Jacobが今日の声明で述べている。“オープンソースソフトウェアは世界中でこれからもどんどん作られていく。そんな中へHabitatを送り出すことは、たいへんすばらしい。アプリケーション中心の自動化が、現代の開発チームに彼らが本当に望むものを与える。それは、新しいアプリケーションを作ったら、ややこしいインフラの工事をいっさいしなくても、それをすぐに動かせることだ”。

Chefのチームによると、最近のソリューションはどれも、あまりにもエンタープライズへ視野狭窄していて、どの企業の環境も独自に深くサイロ化しているので、“われわれはソフトウェアを個々のサイロに合わせていちいち再設計しなければならない”、という。一方GoogleやFacebookのようなWebスケールの企業は独自のプラットホームをスクラッチから作り、それを作ることが彼らのビジネスになっているが、それはどんな企業にもできるやり方ではない。

そこでHabitatは、アプリケーションの見地から見て、アプリケーションを作り、デプロイし、管理するためのベストの方法は何か?、という問に答えようとする。それは、インフラストラクチャを定義するのではなく、アプリケーションが動くために何を必要とするか、を定義し、そこから出発する。そして、一種の“スーパーバイザー”であるHabitatがデプロイを担当し、またあなたがそこにデプロイしたいと考えている環境の、アップグレードやセキュリティポリシーの面倒も見る。

Chefのチームによると、レガシーのアプリケーションをHabitatに移植するのは、かなり簡単だそうだ。

Habitatのそんな約束は、そもそも、かねてからコンテナについて言われていたことと似ている。でもChefによると、Habitatはコンテナ体験を改良し、コンテナ管理の複雑性を大幅に減らした。そこで、ある意味ではこのプロジェクトは、コンテナに対するChefの反応のようでもある。コンテナは、少なくとも部分的には、同社のコアビジネスを脅(おびや)かしているのだ。そして当然ながらHabitatは、Chefの既存のDevOpsツールと問題なく併用できる。

Habitatを試してみたい人のために、Chefはチュートリアル集対話的なデモを提供している。

2016-06-14_0844_001

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマートフォンを充電するたびにバックアップを自動的に行うMeemのUSB充電ケーブル

meem_ks_img_cover

スマートフォンをバックアップするのまた忘れただろ? Meemの新製品は、まさにそんな悩みのソリューションかもしれない。同社が作ったiOSとAndroid用の電源ケーブル(上図)は、スマートフォンに差し込むたびにそのデバイスをバックアップする。Kickstarterのキャンペーンで成功したこのケーブルは、今週初めに一般発売された。

スマートフォンの使い方は大きく変わり、それをコンピューターに挿入することはめったになくなった。でも、スマートフォン上のデータは重要だし、クラウド上のストレージサービスは安全性をいまいち信用できない。では、バックアップを毎日の日課にするためにはどうしたらいいか。

Gotta love some cable porn. Phwoar.

爆発したケーブルは最高にセクシー!ワーォ!

Meemによると、ケーブルは物理デバイスだから(クラウドサービスでもコンピューター上のファイルでもないから)、より安全である。それも一理あるが、あなたはどうかな。ぼくなんかこれまでに、忘れたクラウドのパスワードよりも、なくした充電ケーブルの方が多い。

Meemの良い点は、ユーザーがいちいち意識しないことだ。デバイスのバックアップは忘れても、充電を忘れることはまずない。Meemのケーブルをつないで4桁のPIN(暗証番号)をタイプすると、ユーザーの個人データがたちまちバックアップされる。スマートフォンを充電するたびに。

この充電ケーブルはiPhone用もAndroid用も16GBと32GBの2タイプある。電話機上の全データはもっと多いが、どうしてもバックアップすべき個人データはそれほどでもない。オペレーティングシステムやアプリは、個人的にバックアップする必要がない。同社によると今後は、USB-Cバージョンを出すそうだ。

Meemのプロダクトは1月にKickstarterのプロジェクトとしてスタートし、かろうじて目標額は達成したが、同社のトップは経歴がすごい。CEOのKelly SumnerはGrand Theft Autoで有名なTake-Two InteractiveのCEO、Guitar HeroのRedOctaneのCEO、そしてKickstarterキャンペーンの前にはイギリスのクラウドファンディングプラットホームCrowdCubeで71万ポンド(100万ドル】を282名の個人投資家から集め、会社の時価総額を1100万ポンド(1630万ドル)にふくらませた。

ケーブルはMeemのWebサイトとAmazonで入手できる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

HTML5はこれからのWindowsか?、普遍的なアプリケーションの普遍的な開発/利用ベースとして

html5-e1465389799109

[筆者: Paul Stannard](SmartDrawのCEO)

1990年代の初めには、MS-DOSからWindowsへという重要な移行が起きた。MS-DOS上の人気アプリケーション、Lotus 123やWordPerfectなどは、この地殻変動に対応できず、市場から姿を消した。Microsoft WordとExcel for WindowsがLotusやWordPerfectの座を奪い、ワードプロセッサーと表計算ソフトの分野でトップになった。ソフトウェアのそのほかの分野でも、同様の移行が生じた。

1990年5月にWindows 3.0がリリースされたとき、その革命が始まった。それは、5年という短い期間に、世界中の企業の、何百万台ものコンピューターで、DOSのプロンプトをアイコンやマウスで置換した。

Windows 1.0がリリースされたのは1985年だったが、アプリケーションメモリの640Kという制約と、とても遅いプロセッサーのため、本格的なアプリケーションをその上で使うのは無理だった。Windows 3.0がメモリ640Kの壁を破り、Intelの80386プロセッサーがスピードの限界を上げてから、ついにゲームが始まった。

WindowsのUIと、640Kという拘束衣が破られたことにより、オペレーティングシステムやユーザーインタフェイスだけでなく、日常的に使われるアプリケーションにも新しいスタンダードが生まれ、そして広まった。

Webブラウザーの中で動き、データをクラウドに保存するクラウドベースのアプリケーションは、今多くの人が使っているデスクトップ環境を大きく上回る利点を持ち、同様の移行を起こすだろうか? 実は、クラウドベースのアプリケーションの到来と、30年前のWindowsの到来は、互いに似ている点が少なくない。

クラウドベースのアプリケーションのアドバンテージ

私はごく最近、クラウドベースのアプリケーションを使い始めたばかりだが、たちまちファンになった! この川を渡ってしまったら、もう戻る気にはならない。どうしてか? 自分のアプリケーションとそのデータを、どんなコンピューターやどんなデバイスからでも、そしていつ何時(なんどき)でも使える。それは、ものすごく便利だ。これまでは、自分のメールを見るためには会社へ行って自分のコンピューターの前に座り、そのコンピューターの上にあるメールソフトを起動する必要があった。私も15年前までは、そんなサラリーマン生活をしていた。クラウドベースのアプリケーションがなければ、ドキュメントの操作に関しても同じだ。

HTML5が強力なアプリケーションをブラウザーに持ち込む

クラウドベースのアプリケーションのアドバンテージがそこまで強力なのに、なぜ私は、始めるのが遅かったのか? 同じ理由で、Windows 3.0の前には誰もWindowsアプリケーションを使わなかったのだ。それらは、ごみだった! 初期のWebアプリケーションは、それらがリプレースしようとしているデスクトップアプリケーションのコピーのようなものだった。Google DocstとGoogle Sheetsが最初無料だったのは、WordやExcelにはかなわないからだ。

HTML5はスタンダードを提供する … それにより高度なアプリケーションの構築が可能になり投資の対象にもなる。

しかし、昨年あたりから状況が変わってきた。1990年にWindows 3.0がWindowsへの移行の契機になったように、HTML5スタンダードの採用が広まり2014年には公的な規格がリリースされたことにより、それと同じような革命が始まっている。今では、デスクトップアプリケーション並に強力なWebアプリケーションを、書くことが可能だ。Microsoft Wordのブラウザーベースのバージョンは、ルックスも動作もWindowsバージョンと酷似している。

HTML5はHTMLとCSSとJavaScriptにスタンダードを提供する … それにより高度なアプリケーションの構築が可能になり、十分に投資の対象にもなる。

それはファイルへの普遍的なアクセスだけではない

ドキュメントにどんなデバイスからでもアクセスできるだけなら、アプリケーションの出番はない。Dropboxは、ファイルを複数のデスクトップPCでシンクする(同期化する)ソリューションを提供し、その後ほかのデバイスでもそれができるようになった。Dropboxは、アプリケーションを特定しない。ファイルを読むアプリケーションが、ユーザーのデバイスにあるだけでよい。たとえば職場でWordのファイルを保存し、家の自分のコンピューターの上のWordでそのファイルを開けばよい。

Microsoftの、Officeのアップデートも、これと似たやり方だ。そのOneDriveと呼ばれるプロダクトはDropboxに似ていて、Office 365の有料会員になるとOfficeのネイティブアプリケーションを複数のコンピューターにインストールできる。基本機能だけのOfficeアプリケーションなら、今ではWindows, Mac, iPad, それにAndroidにもある。Office自体にもクラウドベースのバージョンがあって、それはブラウザーの中で動く。無料だけど、ネイティブアプリケーションの機能の一部がない。

クラウドベースのアプリケーションのアドバンテージがそこまで強力なのに、なぜ私は、始めるのが遅かったのか?

どのデバイスからでもファイルにアクセスできることは、アプリケーションがブラウザーで動かずに各機の上にあることを擁護する理由になるだろうか? それとも、それはまだ道半ばか? 私の個人的な考えとしては、それは道半ばだ。アプリケーションがどのマシンの上にもインストールされていなければならないことは、“どんなデバイスからでも”というクラウドのアドバンテージを大きく制約している。自分のコンピューターにそのアプリケーションがない人と、そのドキュメントを共有しなければならない場合、困ったことになる。だから今の、データはクラウド、アプリケーションはネイティブ、というハイブリッドな形は、いずれ、データもアプリケーションもクラウド、という形に変わり、ますます多くの人がそのメリットを享受するだろう。

クラウドベースのアプリケーションの採用で世界が一変するか?

WindowsやMacのデスクトップからクラウドベースのファイルシステムへの移行は、25年前のWindowsの採用と同じぐらい、急速に進むだろう。機能が完全に揃ったアプリケーションをブラウザベースのアプリケーションとして提供しないソフトウェアベンダ、ブラウザーバージョンはごく一部の機能しかない、というベンダは、市場を失うおそれがある。

MicrosoftのWord, Excel, PowerPoint, それにOutlookを、OneDrive+Office 365という形で提供するやり方は、まさに上記のやり方だが、その、ネイティブプラットホームにこだわるやり方は、そのうち限界にぶつかるはずだ。

でも、そのほかのアプリケーションが、その隙(すき)に乗ずるかもしれない。人気の高いんグラフィクスアプリケーションのVisionやPhotoshopも、完全な移行を成し遂げていない。Accessなど単純なファイルマネージャーも、やはりそうだ。

デスクトップからクラウドベースのアプリケーションへの移行はしたがって、デベロッパーにすばらしい機会を提供し、マーケットシェアをこれまでのマーケットリーダーたちから奪っていくだろう。それは、落ちこぼれになりたくないと願っている今現在の勝者にとって、深刻な脅威にもなる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

デベロッパーが自分のアプリ/アプリケーションのメッセージングの暗号化を数時間で実装できるTwilio/Virgil Securityのパートナーシップ

virgil-twilio

[筆者: Kate Conger]
通信の暗号化を自分でセットアップするのは、かなり難しい。これまで、メール用にPGPをセットアップしたり、オフレコのチャットをPidginで実装したことのある人なら、それが面倒で苦労の多いプロセスであることをご存知だろう。しかし幸いなことに、暗号技術者たちはそれをもっと容易にしようと努力している。そして彼らとのパートナーシップにより、アプリケーション/アプリのデベロッパーは自分のプラットホームに暗号化を、より簡単に組み込めるようになるだろう。今日(米国時間5/3)は、クラウドベースの通信プラットホーム〔通信APIのプロバイダー〕Twilioが、デベロッパーが強力な暗号化を自分のメッセージングサービスに組み込めるために、Virgil Securityとパートナーする、と発表した。

TwilioのAPIを利用すればデベロッパーは自分のアプリケーションにテキストメッセージングや音声通話、音声チャットなどの機能を容易に加えることができるが、それと同じようにVirgil Securityはデベロッパーが、自分のプロダクトにエンドツーエンドの暗号化と暗号鍵の管理機能を加えられるようにする。両社のパートナーシップによってデベロッパーは、自分のチャット機能に暗号化を、ほんの数時間で統合できるようになる。

Virgil SecurityのファウンダーDimtry Dainは曰く、“あらゆるデベロッパーを暗号技術者にしたいんだよ。Twilioはこれまでの努力によって、あらゆるデベロッパーを通信の専門技術者にしてしまった。Virgilはそれと同じことを、セキュリティに関してやってきた”。

悪い人たちや政府機関などによる、セキュリティとプライバシーの侵犯が日常化している今日では、強力に暗号化されたメッセージングアプリへの需要が高まっている。Facebookがオーナーである人気のメッセージングサービスWhatsAppは、エンドツーエンドの暗号化を4月に開始した。同じ月に、Viberもその後を追った。どちらも、暗号化システムの自社開発に数年を要した、と言われている。Twilio-Virgilのパートナーシップにより、スタートアップはほんの数時間で、自分たちのアプリケーション/アプリに暗号化メッセージングの機能を加えられるだろう。

もちろん、Virgil Securityの暗号化プラットホームを数百もの企業が利用するようになれば、同社の主張するセキュリティがますます重要になる。エンドツーエンドの暗号化は、正しく実装されれば、ユーザーのメッセージのコンテンツは、二つの‘エンド’(送信者と受信者)以外の者には解読できなくなる。メッセージングサービスのプロバイダにすら、それは解読できない。そしてこの、セキュリティの重要性があるからこそ、DainはVirgilの暗号化プラットホームをオープンソースにして、誰でもいつでも監査できるようにしているのだ。

Twilioは、同社のクライアントの多くが、同社のIPメッセージングサービスの中で暗号化を実装するものと期待している。Twilioの役員たちによると、とくに最近では医療と金融業界で強力なセキュリティへの需要が増加している、という。どちらも、データのセキュリティを確保することが法的にも要請されている業界だ。

しかしもちろん、Twilioのそのほかの顧客たちも、これからは自分のメッセージングシステムにエンドツーエンドの暗号化を加えることができる。“そのためには、(自分のアプリケーションの)ちょっとした再実装が必要になる”、とTwilioのCarl Olivierは語る。“でもこれは、事後実装できるものの典型だね”。

TwilioはIPメッセージングへの暗号化の導入を重視しているが、今後はIoTデバイスの真正証明という大きな用途があり得る。また今のUberは、運転者から利用客へのテキストメッセージングを暗号化していない。AppleのSMSメッセージングアプリは、デベロッパーが手を加えることができないのだ。

Twilioは、Virgil Securityの暗号化技術をデベロッパーが自分のアプリケーション/アプリに統合するためのチュートリアルを、GitHubから提供している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

IoTに投資(あるいは起業)するのは今がチャンス?!

iotgraph

編集部注:本稿はTim Chouによる。元Oracle On Demandのプレジデントであり、スタンフォードでコンピューターサイエンスのレクチャーを行い、またIoT Track of the Alchemist Acceleratorの議長も務める。

2004年に、私は最初の著書となる『The End of Software』を上梓した。当時はOracle On Demandのプレジデントであった。当時生まれたこのビジネスは数年をかけて10億ドルを稼ぎだすクラウドビジネスに発展した。そのような時代にあった私は『The End of Software』の中で、ソフトウェアは「サービス」として提供されるべきである経済面から期待される必然的な動きについて論じたのだった。

例として私は、サービスとしてのソフトウェアを提供する4社を検討した。VMwareSalesforceNetSuite、そしてOpenHarborだ。この時代にあって、Salesforceは未だ売り上げが8600万ドルという状況だった。ただ、この4つをとりあげた私も、時代を正しく予見していたというわけではない。4つのうち3つは押しも押されぬ大企業となり、エンタープライズソフトウェアの新世代を担うこととなったのだった。

そしてそこからさらに12年が過ぎ、第二世代エンタープライズソフトウェアは最盛期を迎えた。CRMやERPは当然のものとなり、ソフトウェアを購入すればほとんどがクラウドサービスとして提供されるようになっている。第二世代で、エンタープライズソフトウェアはその「完成形」となったのだろうか。

そういうわけでもないと思う。第二世代ソフトウェアの登場により、コストは下がり効率はあがった企業も多い。しかし私たちの住む世界の様子を変えるにはいたっていないと思うのだ。エネルギー、水、農業、交通、建築業界や健康問題について、当時生まれた第二世代エンタープライズソフトウェアは大した成果を示さなかった。ようやくそれが変わりつつあるように思うのだ。

工業機械やその他さまざまなモノたちは、センサーを搭載されてそれぞれが繋がるようになってきている。前CiscoのCEOであるJohn Chambersは2025年までに5000億のデバイスがインターネットに繋がるようになると語っている。風力タービンについてみれば、10万台がすでに400個のセンサーを搭載して5秒毎にデータを取得するようになっている。この数は今後ますます増えていくことは間違いない。

人のためのモノではなく、モノのためのモノを作るつもりなら、すぐに取り掛かった方がいい。

これまでも、デバイスを繋いでデータを収集したり、それを分析したり何らかの知見を得たりするミドルウェアやアプリケーションは存在した。しかしこれまでは、そうしたすべてを活用するのが「人間である」という前提になっていたのだ。人のインターネット(Internet of People)の時代だったのだ。しかしようやくモノに注目が集まってきた。モノは人のいないところにも存在する。モノの方にこそよりたくさんの「伝えたいこと」があるはずで、しかも人間よりもはるかに雄弁に語ることができる。Joy Globalの振動センサーを搭載した採掘マシンは、1秒間に1万回もデータを取得するのだ。エンタープライズアプリケーションやミドルウェア、分析ツール、などがモノを繋ぐことにより、より正確な採掘ツールを構築することができるのだ。きっと交通、健康管理、建築、発電、水や農業を巡る問題についても新たなソリューションを産んでいってくれることだろう。

すでにこの分野で走り出している企業もある。GE Softwareは2011年に10億ドルの資金を集めて設立さた。CEOのJeff Immeltは、産業用の機械がより一般的なものになっていく中、GEはソフトウェアおよびアナリティクス企業として成長していくと語っていた。Immeltは2020年までにソフトウェア関連ビジネスで150億ドルを稼ぎだすと言っていた。GEはそのためにGE DigitalのCEOであるBill Ruhを中心的な担い手としてPredix という新しいソフトウェアプラットフォームを構築した。

またPTCに関していえば、4億ドル以上を投じてM&Aのみちを突き進んでいる。ThingWorxを1億1200万ドルを投じ、ColdLightを1億500万ドルで買収した。Axedaは1億7000万ドルで買収している。ベンチャーについてみれば、おそらくご存じないかもしれないが、シカゴに拠点をおくIoT系スタートアップのUptakeがSlackやUberを上回ってForbesにおける2015年のHottest Startupに選出されている。4500万ドルを集め、資金調達が後の評価額も10億ドルとなっている。

IoTに投資すべきタイミングというのは、それぞれがはかるものなのだろう。しかしアーリーステージの、あるいはレイトステージでも良いかもしれないが、いずれにしても投資家であるのなら、エンタープライズソフトウェアの第二世代に革命をもたらすこの分野に注目しておいて良いはずだ。また、自身がスタートアップを運営する起業家であり、かつモノのためのプロダクトを生み出そうとしているのなら、ただちにスタートするのが良いだろう。12年もすれば、誕生したスタートアップはVMwareやNetSuite、あるいはSalesforceのような成長を遂げる可能性があるだろう。

原文へ]

(翻訳:Maeda, H

CoreOSのStackanetesを使えばOpenStackのコンテナをKubernetesで管理運用できる

Container

オースチンで行われているOpenStack Summitで今日(米国時間4/26)CoreOSが、OpenStackと、Googleのコンテナ管理サービスKubernetesを共用できるシステムStackanetesを発表した。OpenStackとKubernetesはともにオープンソースのソフトウェアで、前者OpenStackは、企業がそれを使ってAWS的なクラウドコンピューティングサービスを自己のプライベートな、あるいはパブリックなクラウドで運用できる。Stackanetes(そう、あまり良い名前ではないかもしれない*)を利用すると、Kubernetesで管理されるOpenStackソリューションを、Kubernetes単独、またはCoreOSのTectonicプラットホーム上で動かせる。〔*: Stackanetesの’netes’はたぶん、Kubernetesの’netes’。〕

OpenStackプロジェクトは、Dockerの成功でコンテナの人気が盛り上がるよりも以前にスタートした。最初、OpenStackとコンテナという二つの技術は同じ市場を争う、と思われていたが、しかし実際には両者は相補的な関係にあることが分かってきた。CoreOSは最初、コンテナを作って動かすことを主眼とする同社の軽量Linuxディストリビューション(CoreOS)に力を入れてきたが、その後、同社独自のコンテナ管理プラットホームTectonicを立ち上げた。

DSC05973

そしてこれからは、Tectonicの上でOpenStackのクラウドを運用し管理することができる。CoreOSの仕事はすべてGitHubのレポジトリにあるので、CoreOSのユーザーであれば誰でもTectonicを使える。特別の会員登録などは、要らない。Tectonicを介さずに直接Kubernetes + OpenStackを使うこともできるが、その場合は、今日のデモで示されたように、コマンドラインからの操作になる。

Kubernetes自身がいわゆる自然治癒(self-healing)のためのツールセットを提供しているから、そこからOpenStackのHorizonダッシュボードを自動的にリスタートしたり、そのほかのダウンしたOpenStackコンポーネントを再起動したりできる。またもちろん、デプロイメントのスケールアップ/ダウンもできる。

CoreOSの協同ファウンダーでCEOのAlex Polviによると、重要なのはOpenStackが単なるソフトウェアである、という認識だ。同社のチームは3週間でこのサービスを構築し、今日それをGitHub上でリリースする。このやり方でOpenStackをデプロイすれば、OpenStackのサービスのライフサイクル管理が容易になり、OpenStackとコンテナの両者をデプロイするための単一のプラットホームが提供される、とCoreOSは主張する。そして、この構造の中でいつでも、OpenStackの上にKubernetesをデプロイできる。

Polviによると、結局のところ今回の仕事(Stackanetes)も、CoreOSの全体的なミッションの一環だ。すなわち、インターネットの安全を確保し、そしてGoogleのインフラストラクチャ(Polviの造語ではGIFEE)を誰もが利用できるようにすることだ。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierはこう語る: “Kubernetesの実力は、OpenStackコミュニティの一員として体験的によく知っている。最近行ったユーザー調査でも、KubernetesはOpenStackのクラウド上でアプリケーションを管理する方法として人気がある。今回CoreOSがKubernetesとOpenStackの両コミュニティを結びつけ、同社の広範なコンテナ専門技術/知識を寄与貢献してくれることは、非常に喜ばしい”。

IMG_20160426_094832 (1)

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クラウド管理者の需給ギャップを解消するためにOpenStack Foundationが公式の技能検定試験とそのための準備の機会を提供開始

os_austin

今や誰もが知っているように、優秀な技術者を見つけるのは相変わらず難しい。OpenStackクラウドの管理のような、複雑で高度に専門的な技能となると、なおさらだ。そこでOpenStack Foundationは今日(米国時間4/25)、人材の社会的在庫を増やし、またITのアドミンたちが自分のOpenStackスキルを実証できるためのプログラム、OpenStackアドミニストレーターの技能検定事業を、オースチンで行われているデベロッパーサミットで初めて立ち上げた。

OpenStack Foundationの理事長Jonathan Bryceが、今日の発表声明でこう述べている: “テクノロジーの大きな変化が起きるときはいつもそうだが、クラウドコンピューティングも企業に、技術者の技能再習得と、企業文化および業務過程の再定義を要請している”。検定試験に合格した、有資格のOpenStackアドミニストレーターが多数輩出するようになれば、OpenStackを採用した企業や団体におけるクラウドアドミニストレーターの需要が満たされ、順調に成長していけるだろう。

最初の試験は、今週のOpenStackカンファレンスで行われる。OpenStack Foundationが言ってるように、LinkedInは最近、”Cloud Computing”を”hottest global skill of 2015(2015年において需要がトップだったスキル)に掲げた。またIndeedのデータによると、OpenStackの求人数は2015年に前年比で倍増した。

OpenStack Foundationは、試験のための準備と試験の開催の両方を提供していくために、Canonical, Hewlett Packard Enterprise, Linux Academy, Linux Foundation, Midokura, Mirantis, PLUMgrid, Rackspace, およびSUSEなどとパートナーした。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Rackspaceが同社のプライベートクラウドの顧客のためのモニタリングツールとしてAppFormixを選ぶ

appformix_grid

Rackspaceが今日(米国時間4/25)、AppFormixとのパートナーシップを発表し、同社のOpenStackによるプライベートクラウドの顧客に、AppFormixのクラウドモニタリングとパフォーマンス最適化ツールを提供していくことになった。

このパートナーシップによりRackspaceはAppFormixのツールをライセンスし、Rackspaceを利用して自分たちのクラウドを管理しているプライベートクラウドの顧客全員に提供する。それによりR社の顧客はA社のリアルタイムモニタリング、アナリティクス、および最適化ツールにアクセスでき、またR社の技術者も、これらのツールを利用して顧客のクラウドを管理する。

Rackspaceにとって、これはやや異例な動きである。従来、同社のクラウド事業の技術的側面を管理するツールは、同社自身が作るのが通例だった…なんといってもRackspaceは、NASAと共に、OpenStackプロジェクトの創始者だ。Rackspaceのプロダクト管理担当シニアディレクターBryan Thompsonに、なぜ同社のOpenStack Private Cloudビジネスのために、ツールの内製でなくAppFormixを選んだのか、尋ねてみた。

彼は、最初は内製するつもりだったが、“AppFormixにはクラウドツール専門のチームがいた。チームと面談した結果、彼らがたいへん有能であることを知った。われわれがこれまでやろうとしていたことと、相性がとても良い。ツール作りに関しては、彼らにまかせた方が早い、と感じた”、と答えた。

それは、大企業がスタートアップを買収するときのよくある理由付けであり、Thompsonによると、内製よりも買収を選んだことで機嫌を損ねた社員も一部にはいるそうだ。

AppFormixのCEOでファウンダーのSumeet Singhによると、同社は必ずしもOpenStackオンリーの企業ではない。Googleが育てたコンテナ管理ツールKubernetesも、もちろんサポートしている。そして今では、KubernetesとOpenStackの併用は円滑にできるし、とくに問題はない、と。

AppFormixは昨年、August Capital率いるシリーズAのラウンドで700万ドルを調達し、すでにIntelなどとのパートナーシップにより、多くの顧客に同社のサービスを提供している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftのAzure Container Serviceが一般供用へ…オーケストレーションは主要二社の製品から選べる

shutterstock_145340113

MicrosoftのクラウドコンピューティングサービスAzure用のコンテナスケジューリングおよびオーケストレーションサービスAzure Container Serviceが、一般的に可利用になった。

このサービスではユーザーが、自分たちのコンテナをデプロイおよびオーケストレートするためにMesosphereのData Center Operating System(DC/OS)、またはDockerのSwarmとComposeを選ぶ。サービスが発表されたのは2015年9月で、公開プレビューは今年の2月に行われた。

MicrosoftのAzure担当CTO(でときどき小説家の)Mark Russinovichによると、DockerのSwarm/Composeと、DC/OSのオープンソース部位…どちらもオープンソースプロジェクトがベース…の両方を使えることが、Azure Container Serviceの、コンペティターにはない利点だそうだ。

acs-cluster

Russinovichによると、同社は顧客に、二つのうちのどっちを使え、ということは言わない。“うちのクラウド上で顧客に、どちらか、または両方を使って、グレートな体験をしていただくことが、われわれの仕事”、だそうだ。

MicrosoftとMesosphereの関係は、もうかなり長い。最初同社は、AzureのユーザーがAzure上でMesosphereのDC/OSを使えるという方式を選び、Mesosphereとのパートナーシップにより、WindowsとHyper-VコンテナでもDC/OSを使えるようにした。さらにMicrosoftはMesosphereに戦略的投資を行い、昨年はMicrosoftがMesosphereをその年に買収するという噂もあった。Russinovichはもちろん、買収についてはコメントしないが。

Inbox_–_frederic_techcrunch_com

Microsoftの考えでは、オープンソースのソリューションを使うことによってユーザーは、自分たちのワークロードを、必要に応じてオンプレミスに移すことも容易にできる。また、既存のオンプレミスのソリューションをAzureに移すこともできる。

しかしMicrosoftのこの陣容には、GoogleのKubernetesの姿がない。こちらもやはり、オープンソースのプロジェクトだが。この点についてRussinovichは、あくまでも顧客の要望の多いオープンソース技術を選んだのだ、と言う。Kubernetesはこれまでの要望になかった、ということだが、彼は、Azureが今後それをサポートする可能性がないわけではない、と言った。

Russinovich曰く、今Microsoftは、多くの企業がそのワークロードをコンテナに移しつつある状況を目撃している。“数年前にはdevの連中がテストしているだけだったが、今では全社的にそのプロダクションに採用している”、と。

しかしユーザーは、自分のデプロイに対するサポートを、直接、MesosphereやDockerから得なければならない。今MicrosoftがRed Hatとの契約でやってるような、‘Azureからのサポート’という形には、当面ならないようだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

OpenStackの第13リリースMitakaは大企業のプロダクションユースの増加に対応して管理性とユーザー体験に注力

dsc09941-1

OpenStack Foundationが今日(米国時間4/7)、そのオープンソースのエンタープライズクラウドプラットホームの13回目のリリース、Mitakaをローンチした。

多くの点でこの新しいリリースは、2010年にRackspaceとNASAから孵化したこのプロジェクトの、さらなる成長ぶりを見せている。重要な機能を新たにたくさん加えることよりも(今回も多いことは多いが)、焦点はこのプラットホームをクラウドの運用者にとって管理しやすくすることと、全体的なユーザー体験の改良に置かれている。

“焦点の置きどころを変えたのは、ほぼ2年前ぐらいから、大企業や大きな組織がOpenStackを彼らのITの最前線で使い始めているからだ”、とOpenStack FoundationのCOO Mark Collierは語る。

そういう大型ユーザー、AT&TやComcast、SAP、Time Warnerなどは、デプロイが容易であることを強く求める。どう転んでもOpenStackが相当複雑なプロジェクトであることに変わりはないから、ユーザーはまず、デプロイに関してさまざまな意思決定を迫られる。そう強調するCollierによると、そのため今では、このプラットホームのコアなコンポーネントはなるべくデフォルトの設定で行けるようにして、ユーザー元におけるセットアップや構成の努力を省力化している。それらのデフォルトは、OpenStackの大型ユーザーの多くが開発してきたベストプラクティスに基づいている。そのひとつの例であるOpenStackの”Keystone“アイデンティティサービスは、アドミニストレーターがActive Directoryなどのアイデンティティサービスを統合でき、またセットアップのプロセスを単純化している。

さらにCollierによると、この新しいリリースはユーザー体験の改良にも力を入れ、デベロッパーがOpenStack用のより良質なアプリケーションを書けるようにしている。たとえばデベロッパーは、これからはOpenStackの統一化クライアントを利用できるので、ワンセットの呼び出しでプラットホーム上にさまざまなリソースを作ることができる。今回のMitakaリリースはSDKもアップデートし、デベロッパーがOpenStackの”Neutron”ネットワーキングスタックをずっと容易に使えるようにしている(その一部はまだ開発途上ではあるが)。

ここ数年の動きの中でCollierにとってとくに意外だったのは、多くの通信企業が今では、ネットワーク機能のソフトウェアによる仮想化を採用するためのデファクトの方法としてOpenStackを利用し、これまでのようにプロプライエタリで高度に専用機化されているハードウェアを使わずに、情報のルーティングを行っていることだ。とくに彼が注目したのは、たとえば今のAT&Tの顧客は、電話をかけるたびに、なんらかの形でOpenStackに触(さわ)っている可能性が高いことだ。AT&T以外にも、Deutsche Telekom, Telefonica, (AOLとTechCrunchの親会社)Verizonなどの著名企業が、今やOpenStackのユーザーだ。

Collierがもうひとつ強調するのは、OpenStackに対する関心の多くが、これまでは、それをプライベートクラウドの構築に利用している企業に由来していたが、しかし今では、とくにアジアとヨーロッパで、OpenStackをパブリッククラウドのデプロイに使用している企業もたくさんあることだ。ただし合衆国は、まだそこまで行っていない。DreamHostやRackspaceなど、OpenStackによるパブリッククラウドに力を入れているところも少なくはないが、ユーザー数で言えばAWSが圧倒的に大きいのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ハードウェアからソフトウェアまで、企業のOpenStackプライベートクラウド導入と管理のすべてを支える「おまかせ」サービスをRackspaceがローンチ

9369064047_ebceb31155_o

RackspaceはNASAと共に、オープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームプロジェクトOpenStackの創始者であり、また同社は長年、OpenStackのプライベートなデプロイメントを管理するサービスを企業に提供してきた。しかしそのためには企業ユーザーは、ハードウェアのインフラストラクチャを自前で構築する必要があり、かなりの初期コストを要した。

しかし今日(米国時間4/7)からは、OpenStackでプライベートクラウドを構築したいと考えているエンタープライズ(大企業)や中小企業はRackspaceに、ハードウェアからソフトウェアスタックまで完全なワンセットのOpenStackクラウドを作らせて、そのモニタリングや管理も任せることができる。

これまでRackspaceは材料表を提供するだけで、企業がそれをRackspaceのリファレンスアーキテクチャに従ってデプロイしていた。これからの新しいサービスでは、Rackspaceが自分のデータセンターの構築に使用した仕様に基づいて、必要なハードウェアをセットアップする(それには少なくともネットワーキング、ストレージ、コンピュートなど用のキャビネットが含まれる)。デプロイのすべての側面もやはりR社の社員が管理し、顧客を彼らの新しいクラウドに慣れさせていく。R社はアップタイム99.99%のSLAを顧客に提供しするが、もちろんそれには、同社がコントロールできないデータセンターの停電などは含まれない。

RackspaceのOpenStack Private Cloud担当GM兼VP Darrin Hansonによると、その基本的な考え方は、OpenStackを管理付きサービスの集合の完全なスイートから成るサービスとして提供することにより、それを単純化することだ。現状は、多くの企業がOpenStackを使いたいと思っているが、それができる人材がいない。いたとしても、OpenStackのデプロイは複雑なタスクだ。しかし今回立ち上げたサービスなら人材問題をバイパスできるから、OpenStackの敷居がきわめて低くなる、とHansonは主張している。

Rackspaceはこの方式による新しいプライベートクラウドを、ほとんど世界中のどこのデータセンターにもインストールできるが、同社はEquinixともパートナーしているので、同社のデータセンターでのデプロイならさらに迅速容易になる。

この新しいサービスは当面はOpenStackが中心だが、Hansonによれば、長期的にはほかのサービスやプラットホームにも対応していきたい、という。たとえば、完全な管理を伴うHadoopのインストール、なんかだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))