Hondaの新しいロボットは、災害救助に活躍が期待される

Hondaの新しい二足歩行ロボットは、Asimoほどのカリスマ性はなくても、実用性はずっと高いかもしれない。このロボットは災害救助モデルで名前をE2-DRという(実にスターウォーズ的)。柔軟な関節を備え防水デザインで歩行速度は時速2km。はしごを登り、がれきの上を這いまわり、極端な温度でも動作し、様々なセンサーを装備してほぼどんな照明条件でも視界を確保できる。手には 深度検知カメラを内蔵している。

E2-DRは、ワイヤレスアクセサリーと協調して働くことも念頭に作られていて、状況に応じて様々な機能を付加できる ―― ものをつかんだり、制御装置を操作するための精密な手など。身長は165 cm、体重は84 kgと、このサイズのロボットとしては比較的軽量だ。さらに一番厚い部分の厚さが25 cmなので、狭い場所にも這っていける。


ロボットは1000 Whのバッテリーを搭載しており、最長約1時間半動作できるので複雑な現場でも威力を発揮するだろう。また膝と腰が曲がるので、しゃがんだ姿勢をとれるほか、特殊な地形に対応するための4足歩行も可能だ。

まだまったくのプロトタイプなので、誰かを助けられるようになるにはまだ時間がかかる。しかしこれはスタートであり、将来の商用利用の可能性をもつ実用プロトタイプと言えるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MITの‘生きているジュエリー’は、衣類にしがみつく小さなロボットのアシスタント

Project Kinoは、“生きているジュエリー”からヒントを得た。それは、世界各地で装飾品として着用されている、極彩色の大型甲虫やそのほかの昆虫類だ。MIT Media Labのバージョンは、それらに比べるとずっと人間的で、手のひらサイズのロボットを磁石で衣類にくっつける。チームがデモをしたのは約1年前だが、今回は車輪のついた小さなロボットにさまざまな機能を持たせた。

とは言え、今のところこのロボットのメインのお仕事は衣類の装飾だ。プロジェクトの名前は“kinetic”(運動的)という言葉に由来していて、動きのパターンをいろいろ変えられることを指している。いわばその衣類のデザインが、刻々変化するのだ。一方そのロボットの下面は、動きながら衣類の柄、色、形などを読み取る。

デザインとは関係ない機能も探究中で、最終バージョンではモジュール構造になり、ユーザーがいろんなセンサーを付け替えてさまざまな機能を楽しむ。たとえばレインコートなら、温度センサーとフードの紐の上げ下げを連動するだろう。

電話機モジュールを装着したロボットは、電話がかかってくると着用者の口元へ這い上がってくる。通知を受信すると、ユーザーの手首をタップして知らせるかもしれない。

チームのCindy Hsin-Liu Kaoはこう述べる: “ウェアラブルがパーソナルアシスタントであってもいいわよね。将来的には、ユーザーの習慣や職業を認識して、それらに合った動作をさせられる。着るものとアシスタントが一体化するのよ”。

実用化するためには、ロボットのサイズが当面の問題だ。もっともっと小さくしなければならない。また、今デモで使っている大きなやつでも、バッテリーの寿命が制約になる…充電後45分しか動かせない。今、ワイヤレス充電などの方法を検討中だ、そのシナリオでは、ロボットが自分で充電器のそばまで歩いて行き、充電が終わったらご主人の服へ戻ってくる。

昨年は、初期のバージョンを詳説したペーパーを公開した。その後は開発にデザイナーも参加し、一部のアプリケーションを強調できるようにした。Hsin-Liu Kaoによると、“気味が悪い!って言う人がとっても多かったからよ”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

高齢者のお友だちロボットを作るIntuition RoboticsがToyota Research Instituteから$14Mを調達、早くもメリットあり

高齢者ケアのためのアシスタントロボットElliQを作っているIntuition Roboticsが、サンフランシスコにオフィスを開いた。スタッフの増員と製品テストの充実を図りたい同社は、新たに1400万ドルを調達した。今回は、Toyota Research Institute(TRI)からだ。

ElliQを同社は“活動的な老後のためのお友だち(active aging companion)”と呼び、それはタブレットと併用する対話的ロボットで、高齢者が簡単にすぐ使えることを目指している。このロボットは高齢者が自分以外のものに積極的に関心を持ち、日常生活が活動的で、外部世界とのつながりを維持できることを目指している。そのために家族や親戚や介護者とビデオチャットができ、コンパニオンとして活動の提案ができ、また薬の服用を思い出させたりする。

最近ベイエリアのユーザーによるテストを始めたばかりだが、チームの増員も目指している。そのためには資金がもっと必要だし、またハードウェアのエキスパートも見つけたい。なんといっても、ハードウェアは難しいからね。

Toyota Research Instituteが投資をすれば、その二つが手に入る。Intuition RoboticsのCEO Dor Skulerによれば、同社にアプローチしてきたToyotaは、すぐにそれらしさの片鱗を見せた。ElliQのプロトタイプを見て、モーターの交換を提案したのだ。さすが、ハードウェアのエキスパートである。

“製品開発の現段階では、ヘルプが必要だから、その道に詳しくて専門家もいる投資家にアプローチされたことは、とっても嬉しかった”、とSkulerは語る。

同社のこの前の資金調達は600万ドルで、iRobotのRoombaやTerra Venture Partners, Bloomberg Beta, Maniv Mobilityなどが投資家だった。クラウドファンディングのプラットホームOurCrowdからも、資金を調達している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

このFlyTrexのドローンはビールを運ぶ

商品がドローンで届けられる未来はそう遠くない。

Amazonを始めとする巨人たちがドローン配達に取り組む中、規制のハードルを越えることができれば、ライバルたちも市場に参入するだろう。

そこでFlyTrexの登場だ。

本誌はテルアビブにある同社を訪問した。企業が自社製品をドローンで配達するために必要なハードウェアからソフトウェアまで提供するオールインワンの会社だ。

FlyTrex Muleは、小型冷蔵庫くらいの大きさのオクトコプター(8軸ドローン)で、最大2.7 kgの荷物を積載できる。これはChipotleのブリトー4本分に相当する。時速約72 kmで約22 kmを飛ぶことができる。

つまり、SeamlessやPostmatesに食料品を配達してもらうやり方は今後数年で全く違う体験になる。食料品だけではない。CEO・共同ファウンダーのYariv Bashは、Amazonが配達する荷物の大部分(80%以上)は2.7 kg以下だと言っている。

できるだけ効率を高めるために、FlyTrexはドローンを着陸させず、ケーブルに結び付けたバッグに入れて商品を届ける。目的地 ―― FlyTrexの配達先は個人の住宅 ―― に着くと、ドローンはケーブルを使って荷物を降ろす。荷物は自動的にケーブルから外れる。

ドローンが去った後にはビールの4本パックが残される(私の場合)。

FlyTrexは離陸と距離ベースで企業から料金を取る。企業はFlyTrex APIを通じてドローンによる配達を管理できる。

FlyTrexはプロジェクトの詳細を公表していないが、来年のうちに未発表の「都市環境」で荷物の配達を始めるべく、郵便事業者と交渉を進めている。

私たちは、未来を生きている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロボットの皮膚に触覚能力があり柔らかいフルーツでもつぶさない…CMUのFingervisionシステム

Fingervisionは、見ておもしろいものではない。最初ちょっと見るとそれは、誰かが食べ物のラップとわずかなプラスチックから取り出したアクションカメラGoProのケースをマクガイバーして、その作品を25000ドルもする産業用ロボットに取り付けたものに見える。しかも実は、それは真実からそれほど遠くない。そのシステムは安っぽいデザインで、だからかえって、それにできることがすごいと思える。ありあわせの一般市販のパーツを組み合わせてカーネギーメロン大学(CMU)で作られたその装置は、ロボットに触覚らしきものを与えるのだ。

ロボット工学で博士課程を終了したAkihiko Yamaguchiが投稿した一連のビデオには、産業ロボットBaxterが、二本の腕の先端にこのFingervisionシステムを装着して、さまざまな仕事を上手にこなす様子が映っている。その産業用ロボットは、(ちょっとぎごちないが)バナナの皮を剥き、ピンク色の羽毛で触られるたびに反応する

CMUの研究室でYamaguchiは、Baxterの手が慎重に花に接近して、それをCoronaビールの瓶から持ち上げる様子や、折り紙で作った脆(もろ)い箱を持ち上げるところを見せてくれた。いずれもこのシステムの、ソフトタッチ能力のデモだ。(ふむ、彼は大学の研究室でビールを飲んでいるのか)。

このシステムは昨年発行されたペーパーに概要が書かれている。3Dプリントで作られたロボットの握り部分に透明なシリコンのラップをかぶせて、黒い斑点で装飾している。その中に50ドルで買った小さなカメラがある。Yamaguchiによると、スマートフォンのカメラが一般化したおかげで、ここ数年、小型カメラは超安いパーツになったのだそうだ。そして黒い斑点は実は装飾ではなくて、そのカメラを使った視覚系が、点の動きを見て、ロボットの安物の透明な皮膚が物に触ったときの“歪(ゆが)み”を検出する。

ロボット工学の相当な難問なのに、その解は超簡単だ。Fingervisionを使うと、重さ300ポンド(140キログラム)のロボットが、バナナや折り紙のような脆弱な物を扱えるようになり、手の中で何かが滑ったらそのことが分かり、物をしっかり握り直すこともできる。今後はこのような皮膚的能力を、ロボットの手以外のものに応用したい、とチームは考えている。

Yamaguchiは説明する: “本当は全身をこのようなセンサーで覆いたいんだけど、もうちょっとパーツが安くならないとね”。彼によると、全身を触覚能力のある皮膚でおおわれたロボットは、もっと安全に人間との共同作業ができるだろう、と。

  1. o92a0971_1.jpg

  2. o92a0982.jpg

  3. o92a0987.jpg

  4. o92a0989.jpg

  5. o92a0998_1.jpg

  6. o92a10041.jpg

  7. o92a1015.jpg

CMUはいずれこのFingervisionをオープンソースにするつもりだ。だから、あなたが自宅の地下室で自作するロボットも、皮膚感覚を持てるようになるね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleの無人ドローンによる自動配達プロジェクトProject Wingが第一段階のテストを完了

Googleの実験的部門Google Xの、ドローンを使った無人配達のプロジェクトProject Wingが今日(米国時間6/7)、その取り組みの重要なアップデートを一般に共有した。同社は、無人航空機システム(Unmanned Aircraft Systems, UAS)の航行管理に関する、FAAとNASAが制定した一連のテストを完了した。それは、人間操縦者のいない機がある地点まで到達して、荷物やそのほかの品物を、大規模に自動化されているネットワークの一部として配達できるために、欠かせない要件だ。

Project Wingは、未来のための準備だ。その未来には、同社やそのほかの企業が、数千機から成るドローンの編隊を運用し、荷物の配達などの機能を実行している。そしてその飛行は、建物や悪天候やそのほかのUASに遭遇する環境で安全にインテリジェントに行われる。さまざまな要素が楽器のように加わるその交響曲は、有能な指揮者を要するが、バージニア工科大学のテストサイトで火曜日(米国時間6/6)にWingが行ったテストは、まさにその存在を示した。一人の地上操縦士が3台のWingドローンを同時にコントロールし、それぞれに、別々の集荷と配達ミッションをやらせた。そしてそのとき、同じ空域に、Intelのドローン2機とDJI Inspire 1機を飛ばせて、全員が同時に航行した。

そのデモでは、Wingの航行管理プラットホームが実際の野外環境で、それら全機の航路を自動的に計算把握し、それらを避ける自分の航路を飛行中にリアルタイムで見つけていった。このプラットホームを作るときとくに力を入れたのが、同じ空域を複数のドローンが飛んでいるときの航路計画、リモートの操縦者やその空域の各種警報によって予期せぬ変化が起きたときの通知と対応、そして山火事などの事変に対応する自動的な航路修正だった。

次は、もっと多い台数による同時飛行と、もっと複雑な環境に挑戦する。今回のテストは、あたりにほとんど何もない、都市部の複雑過密な空域とは大違いの環境で行われた。まだまだ初期的なテストだが、自動化ドローンによる自動配達の実現のためには絶対に必要な過程だ。規制当局を満足させ、都市の住民の安全を確保するためには。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

このAIロボットアームは、初めて見た物でも上手につかむ

ロボットはやり方を教えられたことをするのは得意だが、新しい問題に直面すると固まってしまうことが多い。たとえば見たことのない形状のものをつかむ時など。Dex-Netというシステムでは、AIがディープラーニングを使い、それまで見たことのない形の物体を効果的につかむ方法をロボットアームに教える。

システムの基本的な考え方は、われわれがものをつかむときの方法と似ている。物体を見て、その形を理解し、過去に持ち上げたことのある物体と比較して、その情報を使って最善のつかみ方を選択する。

Dex-Netは、生きている人間のような目と記憶を持たないため、制作者たちはさまざまな物体の人工的3D情報を600万件以上与えて、それぞれの対象物体を持ち上げる理論的に最善の方法を見付けさせるようにした。実際に動作する時には、システムは物体を見て、記憶の中にあるものと比較してもっともよく一致したものを選ぶ。

研究者らがDex-Netにそれまで見せたことのない物体を数十種類つかませたところ、失敗したのは1度だけだった。これは、人工的データを使って訓練されたシステムでもかなり安定した結果を出せることを示唆している。また、持ち方の候補を見つけるまでの時間は平均1秒以下だった。

Dex-Netを作ったのはUCバークレーのロボット研究者たちで、7月のカンファレンスでシステムの最新バージョンを発表する予定だ。また、物体のデータセットや収集した3Dデータも公開する計画だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

3Dプリントで作ったソフトな脚でロボットが凸凹道を安定的に歩ける、ヒントは蛸などの生物から

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の工学部の連中が、生物からヒントを得たソフトロボットの原理により、石ころや砂などの凸凹道をふつうに歩けるロボットを開発した

柔らかい積層材で作ったロボットの四本の脚は、環境に適応できる。だからセンサーで地表の正確な像を把握する必要がない。平滑でないところに来たら、歩き方をそれに適応させるだけだ。

そのロボットの四つの脚は、3Dプリントした硬い材と柔らかい材から成り、ゴム製の空気袋の伸縮が前進運動を支える。ハーバード大学のGeorge Whitesidesのロボット工学研究室をはじめとして、同様のソフトロボットプロジェクトは過去にもあった。それらにも助けられて、蛸や烏賊のような海の生物にヒントを得たロボットが試作されてきた。

実はこの研究を率いたUCSDの助教授Mike Tolleyは、ハーバードの研究室出身だ。そこで彼は昔、著名なプロジェクトのひとつ、ほぼ全体的にソフトな身体を縮めて狭いところへ入り込める、完全ワイヤレスのX型ロボットを作った。

Tolleyはこう語る: “歩く、と言いたいところだけど、終始すり足だから、歩くと言えば誇大宣伝になる。しかも、起動したら一つの方向へ進むだけだ。でもそれが、おもしろい足並みを作り出す。まるで虫のように、くねくねと波うつ足並みなんだ”。

この研究から、すでに実用製品も作られている。たとえばSoft Roboticsが設計した工業用のグリッパーだ。蛸をヒントにした手だから、ロボット工学に基づく精密な視力がなくても、いろんな形やサイズの物を持ち上げることができる。そしてその脚は、四本ではなく二本で、くねくねした歩みではなく、実際に脚を上げたり下ろしたりしながら動きまわる。

ハーバートのロボットと同じく、圧力を利用する空気袋を使っているが、細かいところはもっと繊細になっている。

Tolleyは話を続ける: “以前は、膨らますと脚がどっちかへ曲がる、という方式だった。でもちゃんとコントロールできるためには、いろんな方向へ曲がれる脚が必要だ。でもそれは、積層材だけでは無理だった。複雑な空気袋を3Dプリントできるようになって、やっと、同じ動きを素早く繰り返すことのできる方法が見つかった”。

最新のシステムでは3Dプリントした空気袋が複数並んでいて、どれとどれを膨らますかで動きのコントロールができる。Tolley曰く、“一つだけ膨らますと、どっちかへ曲がるんだ。さらにもうひとつ膨らますと、360度の曲がり方もできる”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SoftBankのPepperロボットがあいさつや返事の言葉をWebアプリケーションから設定できるようになった

これまで、SoftBankのロボットPepperは、コントロールするためにプログラミングの知識を必要としたため、大衆的な普及が困難だった(しかもアメリカでは小売チャネルが限られていた)。しかし今朝(米国時間5/1)同社が発表したPromoterというブラウザー上のツールを使えば、ロボットの動きを誰もがカスタマイズできる。残念ながら、まだごく一部の動きだけだけど。

WebアプリケーションPromoterについて同社は、今後続々と発表していくいろんなツールの最初のものだ、と言っている。Promoterを使ってユーザーは、いろんな返事の中からどれかを選んだり、あるいは応答の言葉を文章を書いて指定できる。また店頭で自分の前に人が立ったら注意を向けるとか、住所氏名などマーケティングに必要な情報を書いてもらうなどの、対話的アクションもできる。

同社によると、このアプリケーションを使うにはユーザーに、“Facebookを利用するときぐらいのスキルが要る”。デモを体験して、ぼくもそう思った。ユーザーにできることといえば、ロボットの返事や応答を指定するだけだから、それは、いろんな入力に対する応答/返事を選ぶ作業だ。でも、ロボットのシステムにユーザーの年齢層・性別・感情などを推察させて、それに合わせた返事をさせるなど、おもしろい仕掛けもいくつかある。

これを既成品のロボットに対するプログラミングと呼ぶなら、ちょっと簡単すぎるかもしれない。SoftBankは、今後もっといろんなツールを出していく、と約束しているが、この最初のソリューションを見たかぎりでは、同社がこのロボットに何を期待しているかが明らかだ。それは、物珍しさやおもしろさでお店などに来たお客を惹きつけ、彼らから今後のマーケティングに役立ちそうな情報を得ることだ。

でもPepperに込められているはずの高度な技術が、“店頭の呼び込み”にしか役に立っていないのは、少々残念だ。それに25000円というお値段では、相当大量に売れないと開発費を回収できないのではないだろうか。

Pepperの前のNaoは、高度な研究用ロボットとしてデモされた。さらに高度なRomeoも、そうだった。それから何年も経って発売されたPepperは、明らかに、大衆向けの用途をねらっていた。研究室やロボット同士の対戦ではなくて、この人型ロボットはショッピングモールや空港で人びとにあいさつすることが仕事だった。

同社は、今後のこのようなアプリケーションでPepperの使い勝手を拡大する、と約束している。SoftBankは、初期にはこのロボットのいろんな用途を宣伝していたが、でも今のところは、関節のある高度なモバイルのキオスク、的な用途に限定されている。7月にアメリカでローンチするまでには、もっといろんなものが見られると良いのだが。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アメリカの海軍研究所が開発した“群れで飛ぶ自動飛行小型ドローン”CICADAがいよいよ実用化フェーズへ向かう

航空機から落とされたパッケージから、手のひらサイズのドローンの大群がわき出て飛んでいく。それを研究しているのが、アメリカ海軍研究所のCICADAプロジェクトだ。実際の大群飛行テストを、近いうちに行う、という。

CICADAはClose-In Covert Autonomous Disposable Aircraftの頭字語で、その意味は、潜伏接近用使い捨て自動飛行航空機、だ。気圧と気温と湿度のセンサーを搭載し、小さな翼に自動飛行のための回路基板がある。公式仕様によると、重量は65グラム、毎秒1000フィートの速度で落下する。32機をローンチチューブに収め、それを海軍機P-3 Orionから投下する。空中に放たれたCICADAは目標に向かって飛行し、約5メートルの精度で着陸できる。

プロジェクトの最終テストはもうすぐ始まり、その後は産業目的や研究目的のためのカスタム化に着手する。

CICADAプロジェクトはかなり前から始まっており、開発が始まったのは2006年、最初のテスト飛行は2011年に行われた。今回のテストが、この手のひらサイズのお忍び監視用デバイスの、卒業式(社会への巣立ち)になる。いろんな用途に使えそうだし、スピードもあり、音も静かだから、卒業後の彼らにはいろんなアプリケーションが待っていることだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

安全ゾーンと安全でないゾーンのあいだに‘お友達ゾーン’を設けるロボット安全技術

言うまでもなく、ロボットや大型機械を使う仕事には、つねにかなりの危険性が伴う。正しい使用技術の徹底教育や、労働者に配慮した倫理性の高い企業は、どこにでもあるとは限らない(たとえばBloomberg Businessweekに、こんな優れた記事がある)。いわゆる‘スマートな’ロボットも、この点は同じだ。そこでドイツのFraunhofer研究所は、工場などで人とロボットがコラボレーションする場合の、直感的なモデルを提案する。

ロボットを使っている現場には、基本的に二つのゾーンがある。安全なゾーンと、安全でないゾーンだ。ロボットは動きが速くて力も強いから、そのリーチ内は基本的に安全でない。ここから先はリーチではない、と指定されたゾーンは、公式に安全だ。しかし安全ゾーンに入ったら、ロボットを操作できないことが多い。

人間とロボットが頻繁に関わりあう仕事…部品を検査する、物を渡す、そばを通る、などなど…では、ロボットと仲良く楽しく仕事できるための第三のゾーンがあった方が良い。Fraunhoferの人たちは、それをKooperation Zonen(協力ゾーン)と呼んでいる。

彼らのモデルは、カメラを使ってロボットのある場所の人間の位置を調べる。人間がグリーンのゾーンにいたら、ロボットは全速で仕事をしてベストの結果を出す。人間がもっとロボットに近い協力ゾーンに入ったら、ロボットは停止をせずに仕事を続けるが、それをゆっくりやったり、人間のいる側ではアームを指定位置まで下げたりする。

人間がさらに近づいてレッドゾーンに入ったら、ロボットは完全に停止する。絶対にロボットが動いてはいけない、そんな至近の距離に人間は、ロボットのシャットダウンや、内部を調べるときに、入ることがありえる。

この安全技術の研究開発のトップMathias Putzは曰く: “すでに研究開発段階でのテストは好成績で終了しているから、今年は業界の組合などに働きかけて、実地試験をやりたい”。

今は多くの産業でロボットが活躍しているが、その運転やメンテナンスはもっぱら人間の仕事だ。人間とロボットの健全な対話的関係を築くこのような技術は、すごくいいな、とぼくは思う。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ロボットの皮膚の3Dプリントを研究しているMITのチームが自己防衛のために色を変える甲虫から重要なヒントを得た

Subramanian Sundaramのチームは、3Dプリントによるロボットの制作で行き詰まったとき、ロボット屋さんがよくやることだが、自然へと目を向けた。そしてこのMITの研究者たちのチームはごく最近、golden tortoise beetle(ゴールデンカメノコハムシ)から、ヒントをいただいた。それは、ユニークなカモフラージュを習性とする、北米原産の甲虫類だ。

脅威に直面すると、この甲虫の甲の金色が消えて、半透明の赤茶色になる。MITの科学者たちは、未来のロボットの皮膚…本体表面のセンサーなどを保護する…になることを目指して、柔軟性のある薄膜を3Dプリントで作ることを目指していたが、甲虫のこの振る舞いを見てアイデアがひらめいた。

このバイオミミクリー(biomimicry)について、長期的な研究のごく一部で自然からヒントを得たことを、Sundaramは謙虚に語る: “人間の能力はまだとても後れているから、どうしても自然に頼ろうとする”。とは言っても、人間が生物の種を作り出すことはまだまだできない、と彼は述べる。

彼はこう語る: “月を目指していたけど、やっと木のてっぺんに到達したようなものだ。ヒントを得るために甲虫を研究したが、このようなものを人間が作れるようになるのは、まだまだ遠い先の話だ。生物の能力は桁外れにすごい。われわれはそのごく一部を借りようとしているだけだが、それでも、その機能の実装はとても難しい”。

今回チームは、甲虫の単純な自己防衛能力を借りて、3Dプリントで作った柔軟な基質に、光学的な変化を作り出そうとした。“センサーが何かをセンスしたら、皮膚の色が変わるようにしたかった”、とSundaramは語る。“反応とそれに対する動作の起動(アクチュエーション)は、3Dプリントの最大の問題のひとつだが、光学的な変化なら比較的容易だ”。

彼らの3Dプリントプロセスは、6種類の素材を3DプリンターMultiFab 3Dに通すことによって行われる。そしてそのプリント物に銅とセラミック製のヒーターを使い、半導体性のプラスチックを挿入する。その一回の3Dプリントプロセスで、チームは、自然の機能を模倣する回路基板を作ることができた。

大量のセンサーを搭載したロボットを3Dプリントするためには、この技術がそのための重要な一歩だ、とチームは信じている。同じくMITの別のチームが、加熱すると形を変えるロボットの3Dプリントを研究しているが、自然の模倣は、彼らにとっても参考になるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

NASAが考えたエウロパの着陸船は三流SF誌の表紙絵のようにケバいぞ

pia21048_figb

別の惑星へのミッションが実際に始まるずっと前から、NASAなどの宇宙関連部局は、なぜどうやってそれに取りかかるか、に関する報告書を作らせていた。今週出た、その種の報告書の最新版は、木星の第二衛星エウロパを扱っているが、これは全太陽系の中でももっとも興味深くて神秘的な天体のひとつだ。そしてまた、生命の痕跡がありそうな天体、にも属している。

europa_layers

エウロパの凍った地殻の下にあると思われる金属が滲出した液状の水は、地球外生物がいちばん見つかりそうな環境、とされている。

報告書はとても長くて技術的だが、関連の文書や研究はここでダウンロードできる。でもこの記事では、エウロパの着陸船を想像で描いた、アーチストの作品を鑑賞しよう。大きな画像を、ここで入手できる。でも、画像の上にタイトルがほしいよね。

報告書はエウロパへのミッションの目標を三つ挙げている。生命の証拠を探すこと、この衛星の可住性を評価すること(温暖ではないが液状の水はプラスだ)、そして、今後の参考のために地表と地表直下の性状を調べること。

これらの目標を達成するために必要な、機器も挙げている。まだ、今の技術では存在しないものもあるが、いずれも、今あるものや、近く実現するものに類似している。上図の着陸船は、それらの物の組み合わせの一例だ。あまり丈夫そうに見えないのも、意図的なのだ。われわれはついつい、長期滞在による探査活動を連想してしまうが、実際にはほんの数週間で、木星からの大量の放射能で、鶏の唐揚のように揚げられてしまうだろう。

報告書は、熱心な宇宙ファンの人にとっては、ざっと見るだけでもおもしろいだろう。でもぼくはここで、表紙のすばらしいアートをみんなに見せたかった。すごいね、Michael Carrollさん。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

300ドルでクラウドファンディングできるロボットアームSwiftはプログラマブルで動きを記憶再現する

laser-1

子どものころは、Armatronのロボットアームが欲しくてたまらなかった。すごい!これがあれば、何でも作れる!ミニカーもこいつで組み立てられる!離れたところから妹のお尻をつねれる!害虫をゆっくり死刑にできる!でもでもArmatronは高すぎて一つも買ってもらえなかった。

歳とって萎(しお)れてきた今やっと、買えるようになった。いや、ちょっと似たやつをね。

UFactoryのSwiftはクラウドファンディングで作られるロボットアームで、早めの出資者は約300ドルで入手できる。プログラマブルだから、いろんなおもしろいことを、やらせられる。標準モデルはうるさいDCモーターだが、Proバージョンはより正確なステッピングモーターを使っている。用途は、レーザーエッチング、ライトペインティング、簡単な組み立て工程など、さまざまだ。プログラミング言語はScratchふうで、アームを手で動かすと、その動きを記憶して再現する。

発売予定は5月だが、チームはすでに下図のように、ポテトチップの袋を開けたり、(意味不明だが)ウンチの絵文字をくすぐるアームを発売している。

1-10%e7%94%a8%e6%88%b7%e8%af%81%e8%a8%80

emojicenter-gif-poo-tickle

フルセットのキットは499ドルで、グリッパーやレーザー、3Dプリンターのヘッドなどが含まれている。うそじゃないか、と思うぐらいよく出来ているが、ときどきあるクラウドファンディング詐欺(気をつけよう!)でなければ、ぼくの子ども時代からの夢がやっと叶うことになる。Armatronくん、もうきみの時代じゃないね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ロボットのワニとオオトカゲがBBCの番組で本物そっくりに動きまわる、睨まれたら怖いぞ

robot_head

ワニの群れの中を歩きたかったら、まず自分がワニになれ、とことわざは言う。しかしAce Venturaでないあなたが野生動物の生態ビデオを撮るためなら、ロボットを使うべきだろう。スイスの大学のロボット研究所が、今日(米国時間1/26)放送されるBBCの番組でそれをやっている。

その“Spy in the Wild”という番組は、ぜひ見ることをおすすめしたい。“野生に対するスパイ(Spy in the Wild)行為”は、義足をつけたカメラを虎のいる森に置くなど、素朴な方法で始まり、そして今年は、プロデューサーがやる気満々、あらゆる動物のレプリカを使うことになった。

そのSpy Pup(幼獣), Spy Bushbaby(ガラゴ)などのロボットは、目の前にいても動物たちがまったく違和感を示さないぐらい、良くできている。それどころか猿たちは、赤ちゃん猿ロボットの‘死’を哀悼した。Spy Baby Monkeyちゃん、天国でお幸せに。

今日の番組に登場するのはワニとオオトカゲだ。番組のプロデューサーは国立ローザンヌ工科大学(EPFL)のBiorob lab(バイオロボット研究所)へ行って、模造動物たちを作った。

  1. kamilo_robot.jpg

  2. robot_head.jpg

  3. robot3.jpg

  4. robot2.jpg

彼らは以前、この研究所でトカゲロボットを作って成功している。彼らのPleurobot(胸膜ロボット)は、両性動物特有の、左右に回転するような動きで、歩いたり泳いだりできた。それはワニにも応用できるだろう。

“ここでやろうとしているのは、生物情報科学だ”、とKamilo MeloがEPFLのビデオで言っている。“基本的には、生物学の情報を、ロボットの設計に反映させることだ。ありとあらゆる情報を集め、実験を行い、生物学に測度を与え、そしてそれらのデータをロボットの設計に持ち込む。その過程で、本物の動物の動きも研究できる”。

動物の精妙な動きを細かく理解すればするほど、生物情報科学と生体模倣技術に基づくロボットの動きは本物に近くなる。最近ではそんなロボットを見る機会が、増えているね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

介護に新風、「パワード衣服」のSuperflexにグローバル・ブレインらが約10億円投資

superflex-fig

人間の筋力を拡張する外骨格ロボット(パワードスーツ)としてはサイバーダインの「HAL」が有名だ。身体にくっつく小型モビルスーツのような装置を着けると、筋肉を流れる電流を体表面から読み取って、その動きを補強する。介護や災害の現場で大きな力を発揮できる「サイボーグ」のようなハードウェアだ。

これに対してSRI Internationalからスピンオフした米スタートアップ企業のSuperflexが開発しているのは「パワードクロージング」(powered clothing)。SuperflexのCEOで、元SRIのロボティクス部門長であるRich Mahoney氏がTechCrunch Japanの取材に語ったところによれば、これは伸縮する人工筋繊維のような布を使って、人間の動き(筋力)を拡張することができるもの。着衣ができる「パワード衣服」というべきものだそうだ。

従来の外骨格ロボットに比べて格段に軽いのが特徴だ。布状なので関節部分の突起や構造物もなくシンプルに作れる。2018年の日米市場での一般向けリリースに向けてプロダクトは開発中というが、全体の重量は2kg前後となる見込み。

もともとSRI(スタンフォード研究所)のロボティクス部門で7年にわたって共同開発していたものを2016年春に部門ごとスピンオフしたのがSuperflexだ。アメリカ陸軍と一緒に開発していた「疲れない兵士」を生むためのウェラブルロボット技術を民間転用する、ということになる。

障害者やアスリートも対象だし、衣類に近いことからデザイナーやファッションブランドとの協業を考えているというが、大きなターゲット市場は介護だ。これまでのパワードスーツが被介護者を抱きかかえるときに健常者である介護者の力を増幅する利用形態が多かったのに対して、Superflexは自律して歩行や生活の基本動作ができなくなった高齢者が直接着衣して使うことを想定している。Mahoney氏によれば、どちらかといえば電動アシスト自転車に近いという。

日本のVCがリードを取った理由

このSuperflexがシリーズAラウンドとして9600百万ドル(約11.3億円)の資金調達を今日発表した。本ラウンドをリードしたのは先日200億円の第6号ファンド設立を発表したばかりの日本の独立系VC、グローバル・ブレイン。ほかにHorizons VenturesRoot VenturesSinovation Venturesによる協調投資となっている。米国発スタートアップに対するグローバルな協調投資で日本のVCがリードを取るのは「日本のVC業界としても画期的」(グローバル・ブレイン代表の百合本安彦氏)で「SRIとコネクションができたことも大きい」(同)という。SRIは1946年にスタンフォード大学によって設立された研究開発機関で、古くはマウスの発明や最近だとiPhoneに搭載されるSiriを産んだ機関として知られている(現在のSRIのプロジェクト一覧)。

Horizons VenturesはSkype、Siri、Facebook、Spotifyなどへの投資でも知られる香港の有力VCだ。Sinovation Venturesは中国のVC。 もともとインターネットやGPSを産んだDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)の支援の受けたプロジェクトとしてスタートしたことを考えると、米国軍需から民間転用の応用で、高齢化先進国の日本やアジア市場への足がかりを早くも付けた、ということになる。「もともとグローバル・ブレインは介護市場に強く、日本と東南アジアの市場を熟知している」(グローバル・ブレイン百合本氏)

今回の投資決定は「(市場に出ているパワードスーツなど)全部を試着した上での総合評価した結果」(百合本氏)という。従来のパワードスーツより大幅なコストダウンが可能であるほか、介護者ではなく、お年寄りが直接身につけることから重量的に考えてSuperflex以外に比べるべきものはなかった、という。軽量のため装着したまま電源を切ることができ、長時間動作も期待できるそうだ。

まだ1着あたりの価格がどの程度になるか、あるいは月額利用モデルとするかなどは未定だが、「コンシューマー市場で売る価格。これは従来とは全く異なるジャンルの家庭向け電化製品でもある」(Mahoney CEO)という。少なくとも産業用ロボット製品のような価格になることはなさそうだ。

ところで自力でなく、補助付きで高齢者が活動をするようになると、かえって筋力退化を早めるのではないかと思ったのだけど、Mahoney氏によれば逆の調査データも。健康維持は筋肉だけの話ではなく、心肺機能を維持するための物理的アクティビティも重要で「たくさん動けば、より健康」だそうだ。

photo01

グローバル・ブレイン代表の百合本安彦氏(左)と、Superflex CEOのRich Mahoney氏(右)

AnkiのCozmoロボットが12月初旬で売り切れ、子どもが欲しがるロボット玩具の好例だ

img_0382

Ankiの今年のホリデー商戦は、完勝かもしれない。同社はハードウェアのスタートアップだが、初めて世に知られたのは数年前のAppleのキーノートのステージで、そのDriveカーがデモされたときだ。その同社は今、今年の秋に発売した最新製品Cozmoに全精力を注いでいる。

この元気で小さなロボットは、同社がPixarやDreamworksなどのスタジオから人材を集めた成果で、ウォーリー(Wall-E)のそっくりさんを目指し、そして音楽は完全なオリジナルを制作した。

cozmo_6_360-gif-png

そしてどうやら、このギャンブルは同社にとって吉と出たようだ。Cozmoは今年のホリデイシーズンでついに、全米の子どもたちの、‘あれ買ってよ’の“あれ”になってしまい、最初のロットは月初に売り切れた。売上台数などは公表していないが、Amazonでは今月初め、一時的に“在庫なし”になってしまった。

でも同社によると、クリスマスまでには需要に対応できるよう、増産に励む。このロボットが店頭に登場したのは10月だが、これまでは約束通り同社は、定期的なアップデートにより、Cozmoの知識と技能の増強拡張に努めている。〔その例

Cozmo関連記事集(未訳)〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

トランプは製造職を取り戻すと約束したが、ロボットはそれを許さない

A vector illustration of a robot ironing clothes

賃金の停滞や失業、不完全雇用に苦しむアメリカ人にとって、ドナルド・トランプの最も魅力的な選挙公約は製造業の雇用をアメリカに取り戻すことだった。

政策や関税、地政学といった複雑なことがらの舵とりだけでも、次期大統領にとっては十分大変だ。しかし、テクノロジーはこの公約をほぼ履行不能にするだろう。

なぜか?製造業の仕事は、人間ではなくロボットがすることがますます増えているからだ。

既に海外の自動車、電気、電子産業のメーカーでは、労働力への依存を減らすのにロボット工学が一役買っていると、国連貿易開発会議が最近発行した政策報告書は書いている。

そして、オートメーションによってこれまで東南アジア等で行われていた製造業を米国内で操業することが可能になる。

Rethink Robotics' Baxter.

Rethink RoboticのBaxter.

しかし製造業がこの国に帰ってきても、多くの職がついてくるわけではない。途上国ではオートメーションによって労働者が仕事を失ったことを報告書が指摘しているが、米国も同じ状況に直面するだろう。

興味深いロボット技術を生み出し、国内でも海外でも人々から職を「奪う」側に立つスタートアップたちが、シード資金やベンチャー資金を呼び込んでいる。

例えばハンバーガーを引っくり返すロボットやピザを作るロボットが、Momentum Machines Zumeでそれぞれ作られているし、Rational Roboticsはペンキ塗りロボットを作っている。ModbotBaxterのように、製造業その他の様々な目的にカスタマイズできるロボットを作るメーカーもある。

スタートアップだけではない。NikeAdidasといった有名ブランドが、ロボットと3Dプリンターを導入して靴を作り、下請業者を減らしている。大規模な農場はかなり前からロボットを導入しており、AmazonUPSのような大企業も、物流や倉庫でロボットに大幅に依存している。

Zume's pizza-making robots.

Zumeのピザ作りロボット

国連会議の報告書は「先進国のロボット利用が増えることで、途上国の低い労働コストの優位性が失われる」と説明しており、すでに世界に影響を及ぼしている。

ロボットは生産性を高めるだけではない。海外に工場を設置するためのあらゆる頭痛の種を取り除いてくれる。

国境を越えてメーカーに外注したり従業員を雇ったりするためには、人員、設計、品質、安全、習慣、輸送、規制順守、知的財産権等を遠方から管理するためのコストが発生する。

ロボット技術が進歩するにつれ、「リショアリング」[製造拠点を自国に戻す]の魅力がいっそう高まる。労働力だけでなく管理や法務の諸経費も削減できるからだ。

そしてロボットは当然賢くなっていく。コンピュータービジョンと人工知能の進歩がロボットの実現を約束し、その中にあるソフトウェア頭脳は益々人間に近づいていく。製造現場ではもちろんのこと、身の安全を守ることや接客でさえも。

そう、ロボットのレジ係アシスタント警備員さらには客室乗務員も。

それでも「手作り」の品や、人間が提供するサービスの市場がずっと残ることを願いたい。そしておそらく、元従業員たちに新しい仕事のスキルを教えるためのロボットが必要だろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

直径24ミリのPiccolissimoは動力内蔵・操縦可能ドローンとしては世界最小

6h0a3703_1

Spotのような巨大ロボットは、物を運んだり、見世物としてはすごいかも知れないが、それらと同じ高度な技術が、小さなロボットにも使われている。ペンシルベニア大学のこの超ミニドローンは、中でも世界最小のひとつだ。

そのPiccolissimoという名前は、イタリア語で最小を意味し、また作者Matt Piccoliの名前にも由来している。空を飛ぶロボットとして必ずしも世界最小ではないが、動力内蔵でコントロールできる空飛ぶロボットとしては世界最小そうだ。ほかのもっと小さいのは、操縦ができなかったり(例: Robobee)、電力を外部から供給したりする。

6h0a3694

幅は25セント硬貨ぐら(直径24.26ミリ)で、可動部品は二つしかない。それでも、今月初めに見たballbotよりは一つ多い。ひとつはプロペラ、もうひとつは3Dプリントで作られた本体だ。両者が、異なる速度で回転する。プロペラはわずかに中心を外れていて、本体は毎秒40回回転し、それにより垂直方向の推力を均等化するが、その回転速度をちょっと変えることによって、方向を変える。制御信号はすべて、単一の赤外線ビームで送られる。

今できることは、ホバリングのみだが、新たな機能を加えるのは容易だ。

大学のニューズリリースでPiccoliは説明している: “本体が回転する乗り物は人間にとっては恐怖でも、センサーを搭載するにはとても適している。空港のレーダーに見られるように、センサーを回転させて利用することは、よく行われている。われわれの場合は、わざわざセンサーだけを回転させなくても、本体と一緒に回転する。だからバーコードリーダーのようなラインスキャンカメラへの応用もありうるし、また車に載せたら360度の写真やビデオが撮れる”。

追加する装置は、重量1グラム未満ならOKだ。それが、この超ミニ機の最大積載量だ。

超小型で超単純なデバイスを作る理由は、たくさんある。単純は往々にして効率と安価を意味し、ときには使い捨て可をも意味する。消費者製品だけでなく、産業用の可能性もある。たとえば放射能漏れや建物の被害調査に、いきなり、1台100万ドルもする人型ロボットを使うのは意思決定だけでもたいへんだが、それは高価なだけでなく、本物の人間と同じく、放射能や粉塵やそのほかの障害物に弱い。

でも、100基のPiccolissimosを編隊としてコントロールしながら飛ばせば、そのカメラや放射能探知器や加速度計が、一定範囲を素早く安価に偵察するだろう。そして、もしも彼らが生還しなかったら、また100基プリントすればよい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

この柔軟なロボット筋肉は、理学療法を支援する

1920x1080

軍事や産業分野ではロボット外骨格が注目を集めているが、スイスの研究者らが作ったこの柔軟なロボット筋肉は、もっと繊細な動作にも利用できる。

ローザンヌ工科大学のReconfigurable Robotics Labでは、この多用途技術を開発中で、伸縮材料で作られたチューブ状の筋肉は、動きを精密に制御することができる。空気ポンプで作動させることによって、伸ばしたり曲げたりできる ― 今はまだ体に着用できるほど小さくないが、実現は近い。

単独では小さくて不気味なイモムシのように見える。しかし、まとめて束にすることで人間の筋肉のように振舞うシンプルなロボットになる。

これを使えば、超強力な労働者やパンチングマシンを作ることだってできるが、スイスの人々はわれわれとは違う。もっと人道的な使い方を考えている。

「私たちはローザンヌ大学病院で脳梗塞患者を治療している理学療法士と協同研究している」と同大学のMatthew Robertsonがニュースリリースで語った。ロボット筋肉のいくつかは、ベルト状にして腰部を伸ばすために使われている。「このベルトで患者の体幹を支えることによって、運動機能が回復した人もいる」。

これは、堅牢なエレクトロニクスと圧迫帯のようにソフトな受動的支援器具それぞれの利点を組み合わせている。助けるのに十分なパワーを持ちながら、怪我をさせる心配はしなくてよい。他にもこの技術を応用できる分野はいくらでもある。

研究チームはこの実績をNature Scientific Reportsに発表しており、ハードウェアの設計図とソフトウェアツールは、誰でもダウンロードして利用できるように公開されている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook