いよいよTechCrunch Tokyo 2018のチケット販売開始、今ならお得な「超早割チケット」が買えるぞ!

先日発表した通り、今年もスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」を11月15日(木)と16日(金)に渋谷ヒカリエで開催する。そして今日、今の時点でTC Tokyoに参加したいと思っているコアな読者のみなさんのために、「超早割チケット」を販売開始したのでお知らせしたい。

TechCrunch Tokyoは僕たちTechCrunch Japanが毎年開催している、日本最大級のスタートアップ・テクノロジーのイベントだ。今年で8回目の開催となり、昨年は約2500名が来場した。

ピッチバトルや展示ブースを通じて国内スタートアップのトレンドを知ることができるほか、国内外からの著名ゲストたちによる貴重な公演を見れる。多くの海外スピーカーによる登壇は、シリコンバレー発祥メディアの日本版が運営するTechCrunch Tokyoならではの特徴だ。

一般チケットの値段は4万円(税込)だが、本日発売の超早割チケットは半額以下の1万8000円(税込)だ。販売期間は9月18日までなので、このチャンスを逃さないでほしい。

TechCrunch Tokyoの最大の目玉は、何と言っても創業3年未満の新進気鋭のスタートアップがステージ上でピッチバトルを繰り広げる「スタートアップバトル」だ。例年100〜150社から応募が寄せられ、VCやTechCrunch編集部を中心としたメンバーが書類審査を行う。その書類審査をくぐり抜けたスタートアップだけが当日の本戦に進むことができ、11月の寒さを忘れるほどの熱いバトルをステージで繰り広げる。

また、TechCrunch Tokyoでは毎年、国内外のスタートアップ業界のコアにいるキーパーソンたちをお招きしている。昨年は海外からSlack共同創業者のCal Henderson氏やWeWorkのChris Hill氏、国内ではマネーフォーワードの辻庸介氏ソラコムの玉川憲氏らに登壇していただいた。かつてはUber共同創業者のTravis Kalanick氏メルカリ代表取締役会長兼CEO山田進太郎氏もお招きしている。

今年の登壇者も続々と決まっており、随時発表していくので期待して待っていてほしい。近日中に大きな発表がある、と一言だけ付け加えておこう。

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ビジネスチャットのSlack、 さらに4億ドルを調達中――ポストマネーは70億ドル以上か

Slackはビジネスパーソンが社内、社外で共同作業をすることを助けるプラットフォームだ。手軽にチャットし何百というフォーマットのデータを簡単に共同利用できる。こここ数年の急成長は目をみはらせるものがあった。最近ではアクティブ・ユーザー800万人、うち有料ユーザー300万人というマイルストーンを達成している。このSlackが現在さらなる大型資金調達に動いている。

TechCrunchがつかんだところでは、Slackは新たなラウンドで4億ドルかそれ以上の資金調達を狙っている。ポストマネーの会社評価額は少なくとも70億ドルになるはずだ。この2資金を上乗せできれば、会社評価額は2017年の20億ドル以上ジャンプするだろう。Slackの前回のラウンドはSoftBankがリードし、51億ドルの会社評価額で2億5000万ドルを調達していた。

われわれは複数の情報源から新しい投資家であるGeneral Atlanticがラウンドをリードすると聞いている。新規投資家にはDragoneerも加わる可能性がある。他の投資家についてはまだ不明なところもあるが、PitchBookによればSlackの資本政策表にはすでに41社の株主が掲載されているという(Slackのブログのタイトルをもじって言えば「何人かが投資中…」というところだ)。またこのラウンドが実施中なのかすでにクローズされたのかについてもまだ情報がない。【略】

ビジネスチャット分野には強力なライバルも参入している。MicrosoftはTeamsを、FacebookはWorkplaceをそれぞれスタートさせている。Microsoftは今年に入ってすでに20万社の有料ユーザーを獲得しており、FacebookもWalmartのような巨大ユーザーを引き入れている。.

しかしSlackのボトムアップによるユーザー拡大戦略は、こうした巨大企業の攻勢に対しても有効なようだ。Slackはシンプルで使いやすいが、ライバルのプロダクトは多機能なだけに複雑だ。Slackはメッセージング機能を優先しあくまでライトなシステムを目指している。Slackが多くの企業にいつのまにか入り込むことに成功しているのはこうした特長によるところが大きい。【略】

テキサス州オースティン、2016年3月15日:SXSWのステージに登壇したファウンダー、CEOのスチュワート・バタフィールド。Flickrの共同ファウンダーとしても知られる。(撮影:Mindy Best/Getty Images)

Slackはまだ社員1000人程度で、そのプレゼンスからすれば比較的小規模な会社だ。同社は今年IPOはしないと発表している。今回のラウンドはライバルとの競争とさらなる成長を助けることになるだろう。

われわれはSlackに取材を試みたが、同社は「噂や推測についてはコメントしない方針だ」とのことだった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SlackがMissionsを買収してルーチン的なタスクの統合を支援

Slackは有料の企業ユーザーが増えているので、彼らの仕事に役に立つような他サービスの統合が、容易にできるための方法を模索している。

今日(米国時間7/17)同社は、Robots and PencilsのMissionsを買収したことを発表した。これによりSlackのユーザーは、コードを書かなくても、毎日の仕事の単純なルーチンを自動化できるようになる。買収の条件は、公表されていない。

有料ユーザーは、Slackにいろんなものを統合することが好きだ。Slackのアプリケーションディレクトリを見ると、今すでに1500あまりのアプリ/アプリケーションをSlackの中から使える。同社によると、企業ユーザーの94%がほかのアプリとそれらの統合を利用し、64%は独自のアプリを作っている。しかし、非技術系の部署にとって、統合は簡単な仕事ではない。そこでMissionsは、ビジュアルな流れによってその過程を単純化する。

これまでユーザーの多くは、Slackのチャットの中で「××を使って○○しよう」という会話をし、Slackをいったん終了してから××を立ち上げていた。Missionsを使うと、何度も同じことをやるプロセスをSlackの中からできるための、ワークフローを作れる。

よくやるタスクといえば、たとえば新人のオリエンテーションだ。新入社員に記入すべきフォームを教え、彼らが会うべき人を教え、彼らがその日その週内に完了すべき仕事を教える。また人事などでは、人の採否決定〜通知のプロセスを頻繁に繰り返すことが多い。頻繁に繰り返すといえば、社内的なチケット発行なんかもそうだ。

Missionsの現在のユーザーは向こう数か月は無料で利用できる。その後SlackはMissionsを本格的に統合する。では、Slackの中でMissionsを使えるようになるのはいつか? 同社によると、詳細がはっきりするのは“今年の終わりごろ”、という。

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Slackのプライベート共有チャンネルを使うと複数の会社が非公開会員制で会話できる

数か月前にSlackがベータで立ち上げたShared Channelsという機能は、複数の組織(会社や団体)が共有できるチャンネルだった。たとえばあなたのスタートアップは、PR会社や法律事務所とチャンネルを共有できるだろう。

しかし二つの会社の会話が互いに全社に見られては困ることもあるので、今日(米国時間1/17)同社はPrivate Shared Channelsというものを、やはりベータで立ち上げた。これは、共有チャンネルだけれど招待制で文字通りプライベート、非公開だ。

この機能は、二つの企業が、合併とか買収とか投資とか、まわりに知られたくないことを議論するのに適しているだろう。

招待されてない社員は、そんなチャンネルがあることすら知らないし、その内容は検索に拾われない。しかもこのプライベートチャンネルは、会話のどちらか一方だけをプライベートにすることもできる。たとえば合併の話は両者でプライベートにし、法律事務所との話は会社側では全社公開、法律事務所側ではプライベートにできる。

プライベート(非公開)とパブリック(一般公開)の分け方は、下図でお分かりいただけるだろう。

そしてアドミンのチャンネル管理機能には、これらの共有チャンネルの状況を見る能力が加わった。たとえば、我が社のどの部課の連中がどこの会社のどの部課と共有チャンネルで会話しているか、なんてことが分かる。

目下、共有チャンネルは有料ユーザーがベータを利用できるだけだが、すでに有料ユーザーの1/3はベータに参加しているそうだ。また有料ユーザーの2/3は、ゲストアカウントを利用して、他の会社のユーザーが一時的に自分の会社にアクセスできるようにしている。つまり、複数の会社間でSlackを使いたい、という複数企業のコラボレーションニーズは、とても強いのだ。

Slackはベータ終了時期をまだ明らかにしていないが、有料ユーザーなら今でも全員が利用できる。

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Slackの日本語版が本日ローンチ、日本語サポートにも対応

TechCrunch Japanの読者の中には、すでに活用しているという人も多いであろうチャットツール「Slack」。少し意外かもしれないが、本日より日本語版の提供を開始した。

Slackはチームの共有作業をサポートするためのビジネスコラボレーションツール。世界600万人以上のユーザーが日常的に活用しており、5万以上のチームが有料プランを導入している。9月にはソフトバンクの孫氏が率いるビジョン・ファンドをリードVCとして、2億5000万ドルを調達したことも注目を集めた。

Slackには日本のユーザーも多く、ARR(年間経常収益)はアジア太平洋地域で第1位、世界でも第3位となっている。これまでも日本語で利用することはできたが、今回より日本語でのサポートを導入。加えてUIの内容を日本語に翻訳するほか、日本人ユーザーの特性を踏まえてローカライズしたという。

周りでは日本語サポートがなかったり、メニューやヘルプページが英語だったりするために敷居を感じて別のツールを使っているという声も実際に聞いたことがあった。日本語への対応は新たな層のユーザーを獲得するチャンスになるかもしれない。

日本語版の提供にあたってSlackのCEO兼共同創設者であるスチュワート・バターフィールド氏は「2014年の創立以来、Slackは日本市場で驚くべき有機的成長を遂げてきました。事実として日本はSlackにとって世界第3位の市場規模となっています。日本語版Slackをリリースすることで、より多くの人にSlackを利用してもらえることを大変うれしく思います。また、今後も革新的な日本企業と提携していけることを楽しみにしています。」とコメントしている。

なお同じく共同創業者でCTOのカル・ヘンダーソン氏は本日開催中のTechCrunch Tokyo 2017に登壇していて、こちらのセッションの様子も後日レポートする予定だ。

SoftBank、評価額51億ドルでSlackに巨額投資 

Slackが新たなラウンドで大型の資金調達を実施した。評価額が50億ドル以上と伝えられる今回のラウンドをリードしたのは日本のSoftbankで、同社はこのところありとあらゆるテクノロジー企業に投資している。今回の投資も総額1000億ドルと伝えられるSoftBankの巨大なビジョン・ファンドからのようだ。

SoftBankは最近のシリコンバレーの大型投資案件の多くに参加しているが、今回はビジネス向けコミュニケーション・ツール、Slackの2億5000万ドルの資金調達ラウンドをリードした。このラウンドで、Slackは「人気があるといってもしょせんシリコンバレー周辺の現象」という通念を打ち破り、世界的なビジネス・アプリへの道を歩む可能性を示した。Slackはスタート当初は誰でも使えるシンプルさを売り物にしたチャット・サービスだったが、今や大企業のユーザーも多くなり、これに伴ってMicrosoftやAtlassianといったビジネス・ソフトの有力プレイヤーがひしめく競争の激しい市場に参入しつつある。

Slackが大型資金調達を実施するらしいという噂は以前から流れていた。われわれも今年の7月に同社は5億ドルのラウンドを計画しているという記事を掲載し、Amazonが90億ドルでSlackを買収する可能性も報じた。そうした背景からすると今回のラウンドはだいぶ規模が縮小されたことになる。

Slackは昨年アップデートを頻繁に繰り返しながらプロダクトを拡充させていった。この「コツコツやる」方式の改良は実を結びつつある。たしかにSlackの人気はシリコンバレーで非常に高いが、同社はニッチ・プロダクトという地位から脱却して成長を続け、ビジネスにおける共同作業の標準的なプラットフォームとなるべく努力をしている。今月、Slackは1日当たりユーザーが600万人、1年単位の課金額(annual recurring revenue)が2億ドルを超えたと発表した。当初のロケットスタートほどのスピードではないにしても、Slackの成長の勢いは相当のものだといえる。

昨年、MicrosoftはSlackの買収をかなり検討したもようだ。情報源によればこのときの会社評価額は80億ドルだったという。しかしMicrosoftは結局、傘下のSkypeを改善する方を選んだ。今月、MicrosoftはSkypeをアップデートして他組織のゲストも共有チャンネルに参加できるようにした。

Slackは買収ではなく資金調達ラウンドの実施を選び、Thrive Capitalから38億ドルの評価額で投資を得た。 つまりSlackにとって大型の資金調達ラウンドはこれが最初ではない。上で触れた噂のようにこのところSlackは熱い注目の的だったが、結局、噂よりは着実な評価額でのラウンドの実施となった。Slackに予想される次年度売上高と評価額の比は25倍程度だ。もちろん評価額には健全な成長が続くという前提とのれん代も含まれているはずだ。

Slackは今月に入って複数の組織のメンバーが参加できるチャンネルを開設した。開発に1年以上かかったものの、これは機能の自然な拡張であり、かつある種の口コミによっ企業ユーザーを拡大するという狙いも込められている。Slackは今後もさらに大企業の注目を集める機能を開発していくものと思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Slackが評価額50億ドルで$250Mを調達中、ラウンドのリーダーはSoftBankほか

本誌TechCrunchが確認したところによると、エンタープライズメッセージングサービスのSlackが、50億ドルの評価額で2億5000万ドルの資金調達ラウンドを行っている。SoftBankおよびAccel Partnersのほか、既存の投資家たちも参加しているらしい。

2億5000万ドルという額を報じたのはBloombergで、ラウンドの協同リーダー(SoftBank, Accel Partners)の名を最初に挙げたのはAxiosだ。Recodeは先月、5億ドルのラウンドを報じていたが、その額が2億5000万ドルに落ち着いたのが、今回のラウンドのようだ。

これまで、買収の話いろいろあり、しかし某直接の情報筋は、どこでもその話は前進していない、と言っている。

でも投資家たちは確実に、Slackには強力なエグジットのポテンシャルがある、と信じている。これまでの、公表されている資金調達額は5億ドルを超えており、50億ドルの評価額は、一部の投資家たちが同社がそれを大きく上回る額で買収ないし上場される、と考えていることを意味している。

本誌TechCrunchでも、社内のコミュニケーションの多くにSlackを使っている。とくにその現代的なインタフェイスが、多くの人に好まれている。(それにGIF!!、Giphyの統合をすごく気に入っている人たちもいる。)

Slackはシリコンバレーで、ほとんどスーパーアイドルなみのファンを獲得している。でも今後の課題は、世界中の大企業が進んで採用する気になることだ。Slackは、メールよりも便利という売り込みで成功したが、しかし会社の外の人たちとのコミュニケーションのためのプラットホーム、とは言えない。

Yammerもかつて、同様の人気を獲得したが、Microsoftに買われてからは生彩をなくした。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Silent Echoを使えば、Slackの中からAlexaとチャットすることができる

Slack経由でAlexaとチャットしてみたいだろうか?Silent Echoという新しいボットを使えばこれが可能だ。ここでの着想は、AmazonのバーチャルアシスタントAlexaと対話する際に、音声を使いたくない場合があるだろうということだ。たとえば、部屋の中がとても騒々しくて、Alexaが適切に聴き取りを行えない場合や、とても静かに物事を進める必要がある場合などだ。

このサービスは、Alexaがほかのプラットフォーム(例えばEchoスピーカー)で提供している全ての機能にアクセスできるものではない。例えば、Silent Echoからは、Spotifyやその他の音楽サービスをコントロールすることはできないし、セッションタイムが短いため複数のやり取りが必要なAlexaスキルを使うこともできない。

しかし、スマートホームデバイスを制御したり、開発者が行う必要のあるテストの目的でAlexaのスキルと対話したりといったことは、Silent Echoから行なうことができる。

実際、Silent Echoのアイデアは、音声アプリケーションを開発するためのツールを提供するBespokenからやってきたものだ。Bespokenは、昨年インタラクティブ音声広告会社XappMediaを設立し、それ以降多数の多数のオープンソースのコマンドラインツールをリリースしている。それらのツールはおよそ700人の音声アプリ開発者に採用されてきた。これらのツールは、Bespokenが、同社のSaaS製品である、AlexaやGoogle Home向け音声アプリケーション用のロギング/監視ソフトウェアソリューションを周知させる手助けになる。

現在そのソフトウェアは約150顧客に採用されている。主に音声アプリケーションの大きなブランドを扱う代理店によってだ。

Bespokenの創業者兼CEOであるJohn Kelvieによれば、当初チームは車内の企業音声アプリケーションソリューションをサポートするために、Silent EchoのWebクライアントバージョンを構築していた。しかし、多くの人びとがSlackのバージョンを入手できるかどうか尋ねてきたため、それが動機となって新しいSlackボットの開発へとつながった。

Slackにインストールすると、Silent Echoボットに直接メッセージを送信したり、グループチャット内で@silentechoを指定して呼び出したりすることができる。

ボットはSlackでタイプされた内容をテキスト音声変換を使って音声に変換してから、AmazonのAPIを通してAlexaを呼び出している。そしてAlexaが返答した音声を今度は音声テキスト変換を施してテキストに変換しているのだ。

これはAlexaを使用するための非公式な手段だ。要するに技術的には、これはハッキングの一種だ。しかし、これらはすべて「オープンに利用可能なルーチン」だけを使用して行われている、とKelvieは語った。「イカサマをしたり、非公開のAPIや抜け道に頼ったりもしていません」と彼は説明している。

本質的には、Silent Echoは仮想Alexaデバイスのように動作するので、それはユーザーのAlexaアカウントに関連付けられている。すなわち、このボットは、ユーザーのAmazonアカウントと、ユーザーが追加した他のスキルにアクセスすることが可能なのだ。

しかし、セキュリティ上の理由から、グループチャットの内でのSilent Echoとのやりとりは、限られた特権を持つAmazonアカウントにリンクされた汎用Silent Echoインスタンスが使用される。スキルをこのバージョンに追加することはできるが、個人アカウントにリンクする必要があるスキルは追加できない。たとえば、ピザを自宅に届けるよう注文するスキルなどは追加することができない。

リクエストとレスポンスはBespokenのデータベースに保存されている。このデータが共有されることはないが、政府や法執行機関の開示要請の対象になる可能性があることには注意が必要だ。Alexaの音声を文字起こししたものを保存しておくべきか否かは、最近の議論のトピックの1つだ。Amazonはより良い音声アプリの開発助けるために、開発者たちへ文字起こしされた非公開データを提供することを検討しているという報告も挙がっている

しかし、Bespokenのケースに於いては、Echoスピーカーが拾ってしまうようなバックグラウンドノイズが書き起こされることはない。Kelvieによれば、入力された要求と文字化された応答のみを、ユーザーインターフェイスに表示する目的で保存するということだ。

Slackボットに加えて、Silent EchoはWebクライアント、あるいはSDKを介しても利用することができるが、明らかにSlackボットに人気が集まっている。

「私たちは既に35のSlackコミュニティに参加しています。そして1000以上のユーザーを獲得済です」とKelvieは7月中旬にベータ版に関するブログ記事を公開したばかりのSlackボットについて語った。

「使用例は急速に拡大しています」と彼は付け加えた。彼はもともと、このボットが一握り以上のSlackグループで使われるようになるとは思っていなかったのだ。

「このことはTwitter版でのユーザー獲得に向けて、気を少し楽にしてくれる結果です」とKelvieは語る。それはいつ登場するのか、と尋ねたところ、できれば来週にはという答を得ることができた。乞うご期待。

当面Silent Echo Slackボットは、ここから無償で利用できる。

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(翻訳:Sako)

Slack、再度5億ドル調達へ――エンタープライズ・チャットサービスの確立を目指す

Slackは再度資金調達ラウンドを進めている。 Recodeによれば50億ドルの会社評価額で5億ドルの資金調達を試みているという。この資金は大企業を顧客に加えて新たなビジネスモデルを確立するために必須だ。

昨夜のBloombergの記事によれば、AmazonはSlackの買収に90億ドルを提示したという。Slackはこの買収に興味を示していないようだが、評価額は50億ドルからさらに上昇する可能性がある。

Slackが大口顧客獲得や新たな大型資金調達ラウンドを進める上で、こうしたトレンドは追い風となるだろう。大企業の多くは(たとえ機能が劣っていても)既存のシステムにロックインされている可能性が高い。大口顧客の獲得と同時にSlackの優れたデザインを発展させていくには多額の資金を必要とする。

Slackはシリコンバレーの寵児だ。単にシリコンバレーだけでなく世界のスタートアップ・コミュニティーの心をしっかりつかんでいる。同社のチャット・インターフェイスはきわめてシンプルなデザインで、誰であれ訓練の必要なしにすぐに使える。Slackではこのサービスを大きなチームがプロジェクトを進める上でのツールにしようと努力している。Slackの機能はこれまでもメジャー・アップデートを重ねて進化してきた。たとえばこの1月の メッセージのスレッド化だ(Slackはスレッドの開発に1年以上かけたという)。

Slackのメリットであるシンプルなインターフェイスを維持しようとするあまり、大企業が要求するような機能の導入に消極的であると、結果として成長の頭打ちを招きかねない。
昨年10月の発表によれば、1日当りアクティブ・ユーザーは500万、有料ユーザーは150万だった。Recodeの記事によれば、年間10億ドルの売上があるもののまだ黒字化を達成していないという。

今年5月のアップデートでは特定の質問に対して詳しい情報を持っているメンバーにすぐ回答してもらえる仕組みが導入された。Slackを利用するチームのサイズが大きくなればなるほど情報は混雑してくる。既存のビジネス・コミュニケーション・ツールと競争するには、Slackは使いやすいシンプルなインターフェイスを維持しつつ、情報の混雑をかきわける方法を編み出する必要がある。もちろんライバルはいつでもSlackの機能をコピーできる。SlackはFacebookが容赦なくSnapの機能をコピーして成長を続けた例を教訓とすることができるだろう。

今年に入ってSlackははっきりと大企業に狙いを定め、エンタープライズ・グリッドをスタートさせた(これも1年以上前から準備されていた)。5月には画面共有がサポートされた。こうした段階的なアップデートはすべてライバルの先を越して大企業ユーザーを取り込もうとする努力だ。

昨年4月、Slackは38億ドルの会社評価額で2億ドルの資金を調達している。SaaS企業、成長企業を探している強気の資金マーケット(先週はやや陰りがみえたが)はSlackを利するだろう。新たな資金調達は成長をさらに加速し、単にSlackの機能を強化するだけでなく、企業イメージも改善するに違いない。これは大企業に対しライバルのプロダクト、たとえばMicrosoftなどの既存のツールからの乗り換えを説得するにあたって大きな武器となる。

新たな資金調達ラウンドについてSlackの広報担当者に問い合わせたがまだ回答はない。

F画像: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Slackがビデオ通話で画面共有サポート――Screenhero買収後2年目にやっと実現

スクリーンショットを送るだけでは十分でないことがある。Slackの有料ユーザーはビデオ通話機能を利用してライブで画面共有できるようになった。この機能が追加されたのはSlackがScreenheroを買収して2年後となった。当時Screenheroはエンタープライズ向けに画面共有を提供する社員6人のスタートアップで、Slackはキャッシュと株式によって同社を買収した。今後数日のうちに実施されるMacとWindowsアプリのアップデートに画面共有機能が含まれる予定だ。

Slackの画面共有を利用するのは簡単だ。まずビデオ通話を開始し、画面共有ボタンをクリックすればよい。複数のモニタを使っている場合、どの画面を共有するか選択することができる。画面共有中に個人情報が漏れないようウェブカメラは無効になりSlackの通知も表示されなくなる。共有される画面にはカーソルも表示されるので注目すべき場所を示すのは簡単だ。

Slackがアプリ中でネーティブに画面共有をサポートすることはサードパーティーの画面共有機能とライバル関係になる。これにはSkype、BlueJeans,、Appear.in、Google Hangouts、Zoomなどが含まれる。ただしサードパーティーとの協力関係に変化はなく、ユーザーは従来どおり画面共有にこれらのアプリを利用できる。

Slackはサードパーティーを含めたエコシステムの構築に力を入れているが、必要とあればコア機能を自らのネーティブ内で拡張するのをためらわないことが今回の画面共有機能のサポートで判明した。Slackにスマートな機能を追加することを考えているデベロッパーはこの点をもう一度よく考えてみる必要があるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft Teamsの開発者たちが、自分たちのアプリを公開できるようになった

Microsoftは、本日(米国時間5月10日)Build 2017カンファレンスにおいて、すべての開発者がOffice Storeを通じてMicrosoft Teamsアプリケーションを公開できるようになったことを発表した。公開されたアプリは、新しいアプリ発見機能によって、Teamsの中で紹介されるようになる予定だ、と同社は言っている。

今回のイベントでは、MicrosoftはTeamsの機能の一部に関するデモを行ったが、その中にはボットや他のコネクターを利用できることだけでなく、タブ、モバイルアプリ、Cortanaとの統合なども含まれていた。

Teamsで同社が目指すのは、Microsoft独自のSlack対抗製品を提供することでもあるが、それ以外にもExcel、Word、PowerPoint、OneNote、SharePoint、Power BIなどのMicrosoftの他のアプリケーションとの連携はもちろん、Asana、Hootsuite、Zendeskなどの企業環境で頻繁に使用されている約150のサードパーティサービスとの統合も実現できるようにデザインすることも目標だ。

Buildにおけるデモでは、これらのアプリケーションたち同士とCortanaがどのように連携して動作するかを示すことに、Microsoftの力点は置かれていた。たとえば、あるミーティングデモの後、モバイルユーザーが彼女自身のラップトップに戻って、Cortanaを通してアクションアイテムを見つけたりするデモだ。CortanaはOutlookに送られてきた彼女宛のミーティングサマリーからその情報を見つけている。ミーティングサマリーには、出席者リスト、ビデオリンク、使用されたタブ、Teamsからのボットインタラクション、などと一緒にユーザーのアクションアイテムが含まれている。このアクションアイテムは、電子メールそのものの中で完了マークを付けられるようになっている。

Teamsのデモに加えて、同社はDeveloper Previewに2つの新機能が追加されたことを発表した。これは来月すべてのユーザーに提供されるものだが、統合拡張機能と、アクティビティフィード内でのサードパーティ通知機能である。

統合拡張機能によって、ユーザーたちは他の画面を切り替えることなく、他のアプリやサービスからの情報を、Teamチャットに持ち込むためのコマンドを発行することができるようになる。

一方、開発者たちは、新しい通知のサポートによって、アクティビティフィード内で自分たちのサービスから重要なお知らせや更新に関する情報を流すことができるようになる。これを可能にするために、開発者には新しいTeams APIが提供される。またチームとチャネルの情報にアクセスするためのAPIもプレビュー中だ。

これらの追加によって、開発者たちは、タブ、ボット、コネクター、統合拡張機能、そしてアクティビティフィード通知などを、1つのTeamsアプリの中にパッケージできるようになる。

MicrosoftはBuildにおいて、Wrike、Sapho、Adobeなどのパートナーからのものを含む、いくつかのアプリの実演を行ってみせた。

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(翻訳:Sako)

Facebook Messengerがリアクションをテスト中。「イヤだね」ボタンも!?

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ついにFacebookがイヤだねボタンを作った。ただしみんなの思っていた場所にではない。

みなさんはマシンガンのような高速チャットの中で、どうやって個々のメッセージに返信しているだろうか? Facebookは、友達のメッセージにもニュースフィードの投稿と同じように絵文字を付けて欲しいと思っている。

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メッセージの上に指を置き絵文字をタップしてリアクションを送る

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リアクション・カウンター

TechCrunch読者のHoan Doのタレコミによると、一部のユーザーのFacebook Messengerにはリアクション・オプションが表示されている。友達が送ったメッセージに指を置くと吹き出しが表れて絵文字を選べる。小さなサムアップ(↑)のいいね!とサムダウン(↓)のイヤだねの他、目がハートや、うけるね、すごいね、悲しいね、ひどいねがある。スレッドに参加している全員が各メッセージの下のリアクション数を見ることができる。タップすれば誰がどのリアクションをしたかがわかる全リストも表示される。

Facebookはこの新機能について「われわれはMessengerをもっと楽しくしてずっと使い続けてもらうためにテストを続けている。これはメッセージに対する思いをいちばんよく表している絵文字を付けられるようにするちょっとしたテストだ」と本誌に伝えた。つまり今は全員が使えるわけではないが、もし評判がよければ全ユーザーにMessengerリアクションが公開されるかもしれない。

ちなみに、Messengerのリアクションがニュースフィードとは少々異なっていることに注目されたい。再三要望されては常に却下されてきた「イヤだね」ボタンが加わっている。これはFacebookでもっとも望まれてきた機能として知られているが、会社はニュースフィードにネガティブな感情が入りすぎることを嫌い導入しなかった。代わりに様々なリアクションによってユーザーはすばやく気持ちを表現できるようになり、イヤだねはコメント欄に任された。

Facebookはこれを、むしろ「ノー」ボタンだと考えていると本誌に告げた。Messengerをスケジュール調整等に使う人は多く、すぐに反応を見たり決を取るためにリアクションが使えるかどうかを実験しているという。Yes/Noボタンがあるのはそのためだが、当然のことながらイヤだねボタンにも見えてしまう。

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Messengerのリアクションは、最近iMessegeに追加されたTapback絵文字にも似ている。これはSlackが最初に導入した方式で、特に返信する間もなく次々とメッセージが送られてくる高速グループチャットで有効であることが証明されている。

例えばこんなスレッドを想像してみてほしい。

ボス – みんなランチはピザでいいかな?

同僚 1 – 移動屋台の方がいいという人はいる?

同僚 2 – 一緒に行く人がいれば寿司がいいんだけど。

あなた – はい。

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Slack offers a similar Emoji Reactions menu and emoji counter on messages

これではどのメッセージに反応したのか全くわからないが、「はい、屋台の方がいいです」と言うのも面倒だ。Slackは最終的にスレッド機能を導入する前、絵文字リアクションでこの問題に対応しようとした。Messengerのように気軽なソーシャルチャット・アプリに会話スレッドは必要ないかもしれないが、ニュースフィードのリアクションを転用するのは十分に理にかなったやり方だ。

Facebookがリアクションを導入したのはちょうど1年前で、それ以来3000億回以上使われ確実に人気を博している。もっともよく使われているのが「超いいね」で、リアクションの半分以上を占めている。メキシコ、チリ、スリナムはユーザー当たりのリアクション数が特に多い国々だ。そして今Facebookは、どの投稿が面白いか、どれをニュースフィードで目立たせるかの判定に、通常のいいね!よりもリアクションにやや重きを置くようになっている。

Slackの絵文字リアクションが成功していることを踏まえると、Facebookの企業向けコラボレーション・スイートであるWorkplaceのメッセージングシステム、Work Chatの強力な付加機能になるだろう。またこれはチャットボットとの会話にも有効だ。Facebookは今週、チャットボットにどう返信していいかわからない人のために常駐メニューを追加している。

FacebookはMessengerを便利にすればするほど、SnapchatやLineやGoogleの雑多なメッセージングアプリとの競争で優位に立てる。簡単に返信する方法を提供することで、たとえソーシャルメディアでのシェア習慣が他のアプリに流れたとしても、ユーザーをFacebookエコシステムに囲っておくことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Statsbotは、Slackにビジネスデータを取り込む際に役立つチャットボットだ

Statsbotは、企業にデータを見るための新しい方法を提供する。それもSlackのチャットルームの中で。

共同創業兼CEOのArtyom Keydunovによれば、この製品は彼がリモートエンジニアリングチームのリーダーをやっていた際に着想を得たということだ。そのとき「Google AnalyticsやMixpanelのデータを、共同作業の場所、つまりSlackへ引き込めれば役立つだろう」と思いついたのだ(StatsbotはSalesforceのデータも引き込むことができる)。

Statbotは昨年、500 StartupsとBetaworks Botcampに参加しており、既に2万社にインストールされていると言っている。また最近、シードラウンドで160万ドルを調達している。このラウンドを主導したのはEniac Venturesで、他にはBetaworks, Innovation Endeavors、そしてSlack Fundが参加した。

Keydunovは、Statsbotの中で最も人気のある利用法の1つは、会議中の利用だと言っている。「データをその場で見ることができることは、本当に素晴らしく、不可欠で、そして本当に重要なこと」になり得るからだ。例えば、利用者のサインアップの傾向についての議論を始めたならば、Statsbotを使ってデータを即座に取り込んで、あなたの論拠を検証したり補強したりすることが可能だ。

Statbotを使って通知を受け取ることもできる。例えば、ボットにユーザーのサインアップをモニターするように命じれば、急激な増加や減少があったときに通知を送ってくる。

将来に向けて、現在KeydunovのチームはStatsボットの通知機能をよりスマートかつアクション可能なものにしようとしていると語った。単にマーケティングキャンペーンが費用を無駄にしていると告げる代わりに、Slackから直接そのキャンペーンを中止したりリスケジューリングしたりできるようになる。彼はまた、Statsbotは企業データの理解に対してもっとスマートにならなければならないと語った。そうして「なぜ上手く行かないものがあるのかとか、なぜセールスのトレンドが変化したのかとか … そしてトレンドの変化の直接の原因は何か?」といったことを説明できるようにするのだ。

「私たちがここでやりたいことは、複数のデータソースを横断して動作するStatsbotを作ることです。異なるソースをマージして、その交わる所に更に価値のある洞察を与えるのです」と彼は語った。

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(翻訳:Sako)

PayPal初の支払いボットがSlackに登場

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今日(米国時間2/7)午前PayPalは、Slackユーザーがチャット画面を離れることなく簡単に支払いができるボットを公開した。PayPalがボットを提供するのはこれが初めてだが、同社によると大手コミュニケーションサービスと統合するのは初めてではない。

例えば昨年の秋PayPalはfacebook Messengerとの連携を強化し、ユーザーがチャットアプリ内で取引を追跡できるようにした。またMessenger内で自前のチャットボットを使って取引きする店舗の支援も行っている。

PayPal自身も、AppleのSiri、MicrosoftのOutolook.com等の大型プラットフォームと統合している。

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SiriやOutlookのケースと同じく、PalPalのSlackボットはエンドユーザーを直接ターゲットにしている。PayPalボットはSlackのApp Directoryからダウンロード可能で、インストール後は、”/PayPal send $5 to @Dave.” 等とタイプするだけで送金できる。

このボットは、例えば同僚同士でランチを割り勘にしたり、コーヒーを注文したり、タクシー代を払ったり、グループでプレゼントを贈る等、簡単なピアツーピア支払いのための利用を想定している。

使用する前には、ボットを自分のPayPalアカウントにリンクして、取引きの確認や承認をいつ行うか等を設定する必要があるとPayPalは言っている。

PayPalの狙いは、毎日Slackを使っている500万人のユーザーで、ボットのデビューにこのプラットフォームを選んだ理由でもある。規模だけでなく、早期にSlackユーザーのお気に入りの支払いサービスとしての地位を確保することで将来の成長と拡大に勢いがつく。今Slackはエンタープライズ分野に野心を見せており、つい最近大企業をターゲットにEnterprise Gridを発表した。

ピアツーピア支払いはPalPalで最も多く利用されている機能で、2015年の総取扱い高は傘下のVenmoとXoomを合わせて410億ドルに上る。

PayPalボットは、オーストラリア、カナダ、米国および英国のSlackユーザーに公開されている。

【日本語版注:日本からはアプリのインストールはできるがアカウントのリンクでエラーになり使用できない】

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2017年Crunchie賞ベストスタートアップ賞はSlack、なんと3年連続受賞

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Slackは、チームのためのコミュニケーションプラットホームだ。つまり、おしゃれで出来栄えの良いチャットルーム、今やテクノロジーの世界ではたくさんの(ほとんどの?)チームが使っている。あなたが使っていなくても、あなたのお気に入りのアプリやサービスを作っている人たちはきっと使っているだろう。

もちろんSlackがCrunchie賞〔既存のスタートアップに対する部門別年間賞〕をもらうのは、これが初めてではない。2016年には最速成長賞を獲得し、協同ファウンダーたち(Stewart Butterfield, Eric Costello, Cal Henderson, Serguei Mourachov)は2015年の今年のファウンダー賞を共有した。

Slack以外に今年のベストスタートアップ賞にノミネートされたのは、中国のライドシェアサービスDidi、GIFを検索するGiphy、誰もが簡単に支払い決済を実装できるStripe、そしてElon MuskのロケットメーカーSpaceXだ。この中で、準優勝はStripeだった。

勝者を投票で決めたCrunchies Boardは、投資家や業界のリーダー、ファウンダー、そして本誌の編集スタッフから成る120名のグループだ。

今年の各賞一覧(未訳)〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Slack、Enterprise Gridで大企業向けコミュニケーションのトップを狙う―SAPと提携、ボットも導入へ

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企業向けチャット、ファイル共有サービスのSlackはわずか3年前にスタートしたにもかかわらず目覚ましい勢いで成長し、今や1日当たりアクティブ・ユーザー500万人、うち有料ユーザー150万人となっている。今日(米国時間1/31)、Slackは最大50万人までの企業を対象とする新しいサービスをリリースした。同社は巨大企業においてもコミュニケーションのデファクト標準の地位を占めるべく、さらに一歩を踏み出したようだ。

SlackがスタートさせたEnterprise Gridは非常に巨大な企業、組織をターゲットにした新しいサービスだ。

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Enterprise Gridは約1年前から開発が行われており、Slackのもっとも野心的なプロジェクトだ。単に利用可能なユーザー数が事実上無制限なエンタープライズ版のSlackというだけでなく、既存のサービスにない機能も追加されている。

今日現在はまだローンチされていないが、Enterprise Gridに追加される機能には、強化された検索、ビジネス・インテリジェス、アナリティクス・ツールが含まれる。これらは今年、順次公開される予定だ。Enterprise GridのユーザーはSlackに関連付けられた全情報を横断的に検索できる。また探している対象に関連するコンテンツや人物を提示してくれる。こうした能力によってSlackは企業横断的な対話的知識ベースのプラットフォームとなることを目指している。

Enterprise Gridは今日から利用できる。Slackの発表によれば当初のユーザーには金融大手のCapital One、オンライン支払サービスのPaypal、それにIBMなどが含まれるという。

IBM自身が独自の大企業向け共同作業プラットフォーム、 IBM Connectionsを販売していることを考えると、同社が ローンチ・ユーザーに加わっていることが特に興味深い。またIBMはAIビジネスでもパイオニアの一社であり、企業向け知識ベースとしてWatson Workspaceを持っている。企業知識ベースのライバルとなる可能性があるのはFacebookのWorkplace、MicrosoftのTeams、Jive、CiscoのSparkなどだろう。

Enterprise Gridに追加が予定されている諸機能は、一言でいえば、最新のエンタープライズ向けコミュニケーション・ソフトウェアに必須とされるサービスのセットだ。

企業のIT管理者は複数の大型チームにコミュニケーションやコンピューティング能力を供給し、適正に管理しなければならない。Slackはすでに暗号化機能を提供しているが、これも含めてエンタープライズ・プラットフォームには多階層のセキュリティー、認証システムが求められる。。ユーザー管理と認証については、Okta、OneLogin、Ping Identity/ Federate、MSFT Azure、Bitium、LastPass、Centrify、Clearlogin、Auth0などを利用できるレイヤーが必要だ。各種のコンプライアンスが必要とされるが、特に医療データのHIPAA、金融データのFINRAに対するコンプライアンスが重要だ。データ整合性のチェックとデータ漏洩の防止レイヤーはPaloAlto Networks、Bloomberg Vault、Skyhigh、Netskope、KCurのRelativity、Smarshなどをサポートできなければならない。

こうした諸機能に加えてSlackはSAPとも提携し、SAPはユーザー企業向けに開発するボットを利用する。Concurという出張および経費に関するボット、パフォーマンス管理のSuccessFactorsボット、HANAクラウド・プラットフォームの利用に関するボットが最初の3件となる見込みだ。SAPボットは新しいEnterprise Gridだけでなく、Slackの全サービスで利用可能になるらしい。

Slackが新サービスをGrid〔格子〕と名付けた理由だが、 そのコンセプトはこういうもののようだ。つまり大企業にはいくつもグループが存在し、それぞれのグループは必要があれば相互にコミュニケーションできなければならないが、通常は各個に独立の組織のように振る舞うのが普通だ。つまり何千人ものユーザーが存在するプラットフォームの場合、すべてのコミュニケーションを1か所に集めるのは不適切だ。それでは情報が過多でノイズが耐え難いものになってしまう。

Slackのプロダクト担当副社長、April Underwoodは「Slackはチームとして緊密で多様なコミュニケーション・プラットフォームである必要があるが、同時に他のチームとのコミュニケーションではメールを利用してもよい」とGridの発表イベントで述べた。

現在通常のSlackではチャンネルを新設した場合、チームのメンバーは誰でもチャンネルにメンバーを招待できる。Enterprise Gridではそれぞれのチームに管理者がおり、管理者のみが新たなメンバーを追加できる。チームの管理者の上位に全社的なIT管理者が存在し、下位の管理者の権限やチーム間のコミュニケーション方法の設定を含め、全システムを管理することになる。

現在何十万もの企業がSlackを利用しているが、そのうちどれほどがEnterprise Gridに移行を希望するかがSlackにとって重要な問題だ。私の取材に対してUnderwoodは「SlackはGridをユーザー企業に直接販売し、既存ITシステムとのインテグレーションもSlack自身が行う予定だ」と語った。エンタープライズ・ソフトの場合、販売やサポートはシステム・インテグレーターを介するのが普通だが、まだそうした販売チャンネルは設定されていないという。

Constellation Researchのアナリスト、Alan Lepofskyは「Slacが現在必要としているのは特定のビジネス分野に特化したアプローチだろう。対象とするセグメントにおけるブランド、信頼性を確立する必要がある」と語った。

「Slackはビジネス分野ごとに垂直統合を進める必要がある。〔現在は〕万人向けの汎用的なアプローチだが、Gridは製薬、金融、製造業などそれぞれの分野の特徴を理解し、特有のニーズを認識しなければならないだろう。業務のサイクル、サポートなど垂直分野ごとに大きく異なる」とLepofskyは言う。

Enterprise Gridの料金は明らかされていない。通常のSlackは1ユーザーあたり月8ドルと15ドルの2バージョンがある。新サービスの料金について興味がある場合はSlackに直接問い合わせることとなっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Slackが会話にスレッド化を導入―エンタープライズ・チャットが大きく進化

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今日(米国時間1/18)、Slackはついに会話のスレッド化という大きなアップデートを行った。ユーザーはスレッドを用いるとメッセージのカオスから離脱して、特定の投稿に対する受け答えを着実に続行することができる。スレッドの利用は簡単で、既存のチャンネルやダイレクト・メッセージと同様、スレッドの開始も参加も簡単にできる。新しいコメントをメインのストリームでも共有したい場合、メッセージの下部に表示される小さいチェックボックスをクリックしておけばよい。

Slackは誕生以來ずっとこの上なくシンプルな企業向けコミュニケーション・ツールとして人気を集めてきた。あちこち改良が行われたが、全体として変化は少なかった。こうした「シンプルで使いやすい」ことがセールスポイントのサービスが大きなアップデートを行うときには―たとえ多くのユーザーが望んでいる方向への変化であっても―慎重にならざるを得なかったのだろう。

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スレッドが表示されるのはSlackがFlexpaneと名付けた右側の多機能サイドバーだ。從來この部分にはメンバーのディレクトリ、最新のアクティビティーなどを表示させることができた。スレッドを開始するのはごく簡単だ。投稿されたメッセージの上にマウスを乗せると、投稿右上部に「リアクションを追加」などのアイコンが表示される。今回ここに「スレッドを開始」のアイコンが追加されたので、クリックすればよい。右側にサイドバーが開き、ここでスレッドによる会話を続行することができる。【略】

スレッドは多くのユーザーが長いあいだSlackに要求していた機能だった。Convoなどライバルの企業向け共同作業ツールにはスレッドをサポートしているプロダクトも多い。スレッド化はSlackの競争力を高め、Slackを少し試しただけで離れてしまったユーザーを引き戻す上でも重要だと考えられていた。スレッド機能の開発には1年以上かかったものの、Slackはこれで単に使いやすいチャット・ツールというだけでなく、企業向けのフル機能の共同作業プラットフォームとなった。

Slackはスタート以來、ユーザー体験を変えるような大きな変更を行ってこなかった。シリコンバレーのスタートアップとしては希なことで、Skackが高い人気を得ている理由のひとつにもなっている。昨年4月に2億ドルを調達したときの.Slackの企業評価額は38億ドルにも上った。最近の大きなアップデートといえば、サードパーティーのデベロッパーがボットを開発することができるプラットフォームが提供されたことぐらいだった。

騒がしいメインストリームの会話から離れて個別の話題をスレッド化できる機能の提供は、Slackの規模が拡大するにつれて必要性を増していた数多くの新たなユースケースを提供するだろう。Slackにスレッド機能がないことは小人数のチームが利用するだけならあまり気にならなかったかもしれない。しかし大企業が全社的に採用するようになるとユーザーのメイン・パネルは会話の奔流となり、理解が難しくなっていた。Slackではチャンネルの追加やプライベートな会話も可能だが、これも開いてみるとどこかで拾ってきたつまらないGIFしかアップされていないことがある。スレッド化は使い方をシンプルに保ったままメイン・パネルのノイズを脇に追いやることができる機能として歓迎されるだろう。

スレッドはモバイル・アプリからも利用可能だ。Slackは企業内のわれわれの現実のコミュニケーションの行動をオンラインで再現する試みだ。それだけにSlackのプロダクト責任者、Paul Rosaniaは「スレッド機能はSlackのメイン・パネルの機能をすっかり代替するものではない」と注意する。

「われわれはスレッドをメッセージの中心にしようとしているわけではない。もしそうならスレッドを〔必要に応じて表示される右サイドバーではなく〕もっと目立つ位置に実装しただろう。スレッドは從來の機能では対処が難しいユースケースに対処するためのものだ。メインのパネルに流れる情報量が多すぎる場合、会話が困難になることがある。メイン・パネルの情報量には適正な上限があるのだろう」とRosaniaは述べた。

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スレッド機能はまだ全ユーザーに公開されているわけではない。【略】 「ユーザーがこの機能を実際にどのくらい利用してくれるかまだわれわれには判断できない。しかしこういう機能をユーザーが必要としていたことは確かだ」とSlackの副社長、April Underwoodは語った。

〔日本版〕Slackのヘルプセンターのスレッド機能の説明によれば、「スレッドはここ数日かけて徐々に全ユーザーに公開される予定。 Slackをアップデートしてもスレッド化機能が表示されない場合はもう少しお待ちください」とのこと。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SlackとGoogleが戦略的連携を発表―SlackとGoogleドライブが緊密化する

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今朝(米国時間12/7)、ビジネス向けチャットのSlackはGoogleと戦略的な提携を結んだことを発表した。これによりGoogleクラウドにはいくつもの新機能が加わる。Googleの各種サービスはチームでの利用に一層適切に対応できるようになると期待される。

Slackとの提携で追加される機能には、ユーザーに随時通知を送るボットや最近発表されたビジネス向けのチーム利用におけるドキュメントのプレビューやきめ細い管理権限の設定などが含まれる。

この提携はSlackに MicrosoftFacebookという手強いライバルが出現した時期に行われた。Microsoft Teamsは簡単にいえばMicrosoftのSlackクローンだが、広く普及しているSkypeと Office 365を始め各種生産性ツールと連携していることがセールスポイントだ。

独立の企業であるSlackには残念ながら生産性ツールのような連携するプロダクトはない。多くの企業が魅力に感じるような既存の生産性ツールを独自にもたないため、Slackはサードパーティーとの連携に活路を見出すことにしたようだ。GoogleとSlackはすでにこの方向で共同作業を始めていたが、正式な提携の発表はこれが最初だ。

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GoogleドライブはSlackと連携する最初のサービスだが、Slackによればドライブとの関係はすでに非常に密接なものとなっている。Googleドライブのファイルは週末を除いて1日当たり平均6万回もSlackで共有されているという。これは1.4秒ごとに1回の共有だ。

今後ユーザーの利便性を向上させるためにSlackはGoogleのデベロッパーと協力していく。両者のユーザー・ベースには重なる部分が多い。提携の成果はとりあえず今日発表された新機能だが、将来に向けてさらに拡張されていくという。

Slackとの提携によって生まれたGoogleドライブのボットはSlackに通知、コメント、ファイルを開く要請などを送る。ユーザーはSlackからコメントに答えたり、ファイル開いたり(拒絶したり)できる。また必要に応じてGoogleドライブのファイル上での共同作業に移ることも可能だ。

SlackのユーザーはGoogleドキュメントのファイルをSlack内からプレビューできる。またドキュメントのファイルが共有された場合、Slackはファイルの共有プロパティをチェックする。もしファイルを共有しようとしている相手に共有権限がない場合、Slackは共有設定を更新しなければならないことを告げてくれる。

SlackはGoogleのビジネス向け共同作業プラットフォームのTeam Drivesとも連携する。企業がTeam Drivesの最新版を利用している場合、Slackで共有されたファイルは自動的にTeam Driveにアップロードされる。逆にTeam Drive上での編集はSlack上でも共有される。

またIT管理者はG Suite(以前のGoogle Apps for Work)のダッシュボードを通じてSlackの設定や資源管理を行うことができる。これは新チームだけでなく既存のチームに対して遡及的に実施することも可能だ。

Google CloudのGlobal Technology Partnersの責任者、Nan Bodenは公式ブログでこう書いている。「GoogleとSlackは 将来の企業内コミュニケーションに関して同じビジョンを共有している。スマートなソフトウェアがチームを効率化し、すべての会話と作業が一つのプラットフォームから行えるようになるだろう。その結果、チームの作業はスピードアップされ、はるかに効果的に動けるようになる」。
BodenはまたGoogleはSlackのビジネスの規模拡大にもそのテクノロジーを役立てていくと述べている。

今日発表されたSlackとGoogleの提携は、GoogleとSlackのユーザーにとって魅力的なキャッチフレーズを多く含んでいるが、機能自体を一般のユーザーが利用できるようになるのは2017年の前半になるもようだ。

〔日本版〕Slackはサードパーティー・アプリのSlack内プレビュー機能をすでに持っており、Slack内からGoogleドライブのファイルもデフォールトでプレビューできる(「今後Googleドキュメントをプレビューしない」などのオプションの選択も可能)。またSlackではチームを作るとデフォールトでSlack Botというボットがメンバーとして参加する。ユーザーがSlack BotにダイレクトメッセージでHow do I add a new team? などと質問すると即座に手順の説明が返信される。現在のところボットは英語のみ対応。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookのエンタープライズ向けSNS「Workplace」が正式リリース

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Facebook at Workという仮の名がつけられたクローズド・ベータ版の公開から20カ月がたった今日、(先週の記事で予測した通り)Facebookがエンタープライズ向けソーシャルネットワーキング・サービスのWorkplaceをついに正式リリースした。

Workplaceに与えられたのは新しい名前だけではない。Workplaceは新しいタイプの料金モデルをもつ。月間アクティブユーザー数をベースにしたFacebookスタイルの料金設定だ。また、無料で提供される試作品段階だったにも関わらず、1000社以上の顧客を獲得したWorkplaceには大きな野心も込められている(1年前の顧客数は100社だった)。

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デスクトップ版とモバイル版のアプリが提供され、ニュースフィードやFacebookグループなどの機能も備えたWorkplaceを利用することで、社員同士はもちろん、社外の人々ともつながることが可能だ。Chatと呼ばれるダイレクトメッセ―ジ機能、ライブ配信機能、リアクションボタン、翻訳機能、ビデオ・音声通話機能を備えたWorkplaceが正式にローンチしたことで、これから誰でもこのサービスを利用できるようになった。「誰でも」という言葉こそ、この文のなかで最も重要な言葉だ。

Workplaceの狙いは、大衆を取り込むこと、そして他社が提供している同様のサービスとの違いをつくることである。企業向けメッセージング・ソフトウェアの典型的なユーザー、つまり「知識労働者」と呼ばれるようなホワイトカラーやデスクワーカー以外の人々を取り込もうとしているのだ。

これまでの典型的なユーザー層に加えて、Workplaceは店頭の販売員、機械のメンテナンス担当者、外回りの営業員なども取り込もうとしている。プライベートではFacebookを利用してはいるが、これまで企業内のデジタルなコミュニケーションに参加する機会のなかった人々だ。

「Facebook流のエンタープライズ向けソフトウェアをつくりたい」

Workplaceが誕生するはるか以前から、マーケットには数多くの企業向けソフトウェアが存在し、顧客の心をつかんで素晴らしい実績を残してきた。企業向けのコミュニケーション・ツールという分野では、SlackYammer、SalesforceのChatterHipchatJiveなどが主な競合サービスとなるだろう。

上記のサービスほど有名ではないものの、デスクワーカー以外の人々に特化したメッセージング・アプリもすでに多く存在する。Zinc(以前はCotapと呼ばれていた)、Beekeeperなどがその例だ。

なぜこのタイミングなのだろうか?その点について、WorkplaceのディレクターであるJulien Codorniouは「WorkplaceはFacebookとはまったく別に開発する必要がありました。さらに、SaaSのベンダーとなるためにはテストを重ね、さまざまな認可を得なければなりませんでした」と、Workplaceの開発拠点であるロンドンで行われたインタビューのなかで語っている。製品開発は現在も進行中だ。WorkplaceがUS/EU Privacy Shiledに加入したのはつい先週のことだと彼は言う。

Workplaceが従来のSaaSユーザーとは違った種類の企業をターゲットとしていることも理由の1つだ。「とても保守的な業界や政府機関などでも利用されることを確かめたいと考えていました」と彼は語る。「考えうるすべての地理的条件や業種でのテストを行いました。もっとも保守的な業種に関しては特にです。それにより今では、彼らから利用されるための準備は整ったと感じています。」

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Workplaceは史上初のサービスというわけではないが、その独自の特徴でユーザーを惹きつけようとしている。

その一つが料金モデルだ。エンタープライズ向けソフトウェアを展開する企業は、何種類かある標準的な料金モデルを採用している例がほとんどだ。その標準的な料金モデルには、ソフトウェアを利用する社員の数で利用料金が決まるモデル、ソフトウェアで利用できる機能数を基にした料金モデル、そして基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金するというフリーミアム・モデルなどがある。

Facebookはこれらの従来モデルをすべて窓から放り投げ、彼ら自身のやり方で料金モデルを構築した。

すべてのユーザーに同じ機能を提供する一方で、アクティブ・ユーザー数によって料金が変わる仕組みだ。ここでいうアクティブ・ユーザーとは、少なくとも月に1度はWorkplaceを利用しているユーザーのことだ。アクティブ・ユーザーが1000人以下の企業では、ユーザー1人につき3ドルの料金が発生する。同じように、1001人以上かつ1万人以下の場合では2ドル、それ以上は1ドルとなる。

(比較のため、Slackの料金モデルを例に挙げよう。Slackのスタンダード・プランではアクティブ・ユーザー1人につき月額8ドルの料金が発生し、上位プランのSlack Plusでは15ドルとなる。年間契約すると料金は安くなる。大企業向けのエンタープライズ・プランの詳細はまだ明らかになっていない)

低価格で、かつ月間ユーザー数に基づいた料金モデルを採用した理由はいくつかある。なによりもまず、この料金モデルを採用することで料金の透明性を高めることができた。

しかし理由はそれだけではなく、この料金モデルを採用することでサービスの信頼性を高めることにもつながる。料金は実際に使った分だけしかかからない。また、Facebookでの広告と同じように、魅力のあるサービスを提供してはじめてFacebookに収益がもたらされる仕組みなのだ。

「Facebook流のエンタープライズ向けソフトウェアをつくりたかったのです」とCodorniouは語る。

この料金モデルに関するもう一つの興味深い特徴は、公開されている数字が限定されていることだ。Facebookが現時点での総アクティブ・ユーザー数を公開することはないだろう。しかし、同社がより規模の大きな企業や組織体に狙いを定めていることは明らかだ。

初期段階からWorkplaceのユーザーとなった企業として、3万6000人の従業員を抱えるTelenor、10万人のRoyal Bank of Scotlandなどがある。そして今日、Danone(従業員10万人)、Starbucks(23万8000人)、そしてBooking.com(1万3000人)などの企業がユーザーに加わったことを新たに発表した。

これらの企業に加え、Royal National Institute for the Blind、Oxfam、Goverment Technology Agency of Singaporeなどの組織や政府機関などもWorkplaceのユーザーだ。

Workplaceは有料のサービスだ。しかし、このサービスから大量の収益を得ることが彼らの目標ではないようだ。少なくとも初めのうちは。Codorniouによれば、Workplaceの目標はサービスの普及率を高めることであるという。

「InstagramやMessengerのようにWorkplaceを成長させていきます」と彼は言う。「マネタイズについて考える前に、まず最初の1年は成長させることを考えていきたいと思います。成長ついて考えるだけで頭がいっぱいなのです」。

Facebookと同じ要領で使えるというWorkplaceの特徴によって、他のサービスからユーザーを完全に乗り換えさせるとまではいかなくとも、試しに使ってみようという気にさせることはできるかもしれない。

Facebookというメインサービスの月間アクティブ・ユーザー数が17億人を超えた今、企業で働く人々の大半がFacebookをすでに使っているか、またはFacebookを知っていると言うだろう。

これが意味するのは、大半のユーザーがWorkplaceの見た目や使い方にすぐに慣れることができるということだ。それがクローズド・ベータ版で高いエンゲージメント率を達成した要因でもある。クローズド・ベータには1000社もの企業が参加し、すでに10万ものユーザー・グループが存在しているのだ。

「Workdayとのサービス統合よりも、使い勝手を向上させることの方がより重要」

過去にFacebook at Workを取り上げた記事でも述べたように、Workplaceはすでに浸透しているFacebookのデザインと同じような見た目をもっている。

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Workplaceにもニュースフィードがある。同僚や、頻繁にやりとりする他社の従業員を誘ってFacebookグループをつくることもできる。「Chat」と呼ばれるMessengerと同じようなメッセージング機能も備わっている。

ライブ配信や、グループでビデオ・音声通話をすることもできる。リアクションボタンを使ってさまざまな感情を表現することもできるし、自動でポストを翻訳してくれる機能もある。

それに加え、すでに他社のサービスを利用している大企業を取り込むための策として、正式リリース時点ですでに数社のサービスとの統合が完了している。ログイン機能や本人認証機能のOkta, OneLogin、Pingや、ストレージのBox、インテグレーターのDeloitteやSada Systemsなどの企業だ。

しかし、Workplaceで利用できる統合サービスの数は決して多いとは言えない。何百ものアプリがショートカットキーやコマンドで利用できるSlack流のやり方とは大きく異なっている。

Codorniouによれば、これは意図して狙ったものだという。

「サービスの使いやすさや、受け入れられやすい料金体系について顧客と話しあってきました」と彼は話す。「従業員が10万人いるなかで、その多くがコンピュータやデスクを持っていないというDanoneのCEOとの会話で分かったのは、WorkdayやQuipと統合されているということではなく、使い勝手の良さやエンゲージメントの方がより重要だということです」。

(この事について、興味深い補足情報:今のところ、他社がWorkplaceの販売会社として契約を結んだり、Workpalceとサービスの統合をする際、Facebookはそれらの企業に対し、事前にWorkplaceに登録して実際にサービスを使うことを求めているとCordorniouが教えてくれた。「使ってもない商品を売ることができるとは思いません」と彼は言う)

私が思うに、Slack流のサードパーティとの統合や、Messengerにも搭載されたチャットボットなどの要素が、今後すぐにWorkplaceにも取り入れられる可能性は高い。それは来年の春に開催されるFacebook F8コンフェレンスで明らかとなるだろう。

ひとまず今言えるのは、Workplaceがマーケットに与えた影響はとても大きいということだ。十数億の人々によるデジタル・コミュニケーションのデファクトスタンダードとなったのがFacebookである。そして今、彼らはエンタープライズの世界でも同じことを成し遂げようとしているのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Built.ioがビジネスユーザーのためのIFTTT、その名もFlow Expressをローンチ

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Built.ioFlowは、ドラッグ&ドロップの簡単なインタフェイスで、複数のステップから成る複雑なタスクを、まるで一つのシェルスクリプトのように統合できる便利なツールだ。そのBuilt.ioがこのほど、技術系ではないふつうの社員でも使える、いわば簡易バージョンのFlowをローンチした。これを使うとユーザーは、Cisco Spark, Slack, Gmail, Marketo, SalesforceなどのアプリケーションをIFTTT的に統合できる。名前を区別するために従来のFlowはFlow Enterpriseになり、この新しいFlowはFlow Expressと呼ばれる。

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Built.ioのCOO Matthew Baierはこう説明する: “統合化と自動化は、ビジネス系と技術系、どちらのユーザーにとっても有益だ。しかし両者のあいだには、ニーズとスキルの違いがある。これまでうちは、ITアドミンなど技術系のユーザーに奉仕してきたが、非技術系の労働者にも仕事を統合化するニーズがあることに気づいた。ただしその場合、プログラミング不要でなければならない。Built.ioのFlow Expressを使えば、コーディングのスキルのない人でも、毎日使うアプリケーションやサービス、デバイスなどを結びつけて、自動化されたワークフローを作れる”。

彼の話を聞くと、Flow ExpressはIFTTTZapierMicrosoft Flow(同じ名前!)とよく似ているようにも思えてくるが、しかしBuilt.ioは、ビジネスプロセスは単純なif〜then〜の論理だけで表せるものではない、と主張する。

Baierによると、Built.ioの企業ユーザーは、同社の競合製品に飽きたらなくて乗り換えた人たちが多い。“そしてFlwo Expressは、うちに長らく欠けていた初等的入門的な製品だ。Flow ExpressとFlow Enterpriseがあることによって、本当のエンドツーエンドの統合化が提供される。IFTTTでできる単純なものから、もっと複雑高度なものまでどんなものでも統合化でき、ユーザー自身のかぎりない成長に伴走できる”、と彼は語る。

Flow Expressのインタフェイスは、〜Enterpriseのドラッグ&ドロップ方式ではなく、ステップバイステップのウィザードを使ってマルチステップのフローを作る。そしてExpressで物足らなくなったユーザーは、そのフローをFlow Enterpriseにエキスポートできる。Flow Expressでは42のサービスを結びつけることができるが、他社製品はもっと多い。でも現状でSlack, Microsoft Dynamics, Salesforce, Trello, Box, Dropbox,などなどをサポートしているから、とりあえず十分だろう。

Flow Expressには、試用バージョンがある。有料プランでは、ワークフローが9つから、月額料金は9ドルからだ。最高は25ワークフローの月額29ドルだが、10月24日までなら25ではなく27のワークフローを作れる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))