AI活用の水泳コーチングシステム「スマートスイミングレッスンシステム」を全国約100カ所のコナミスポーツクラブが導入へ

AI活用の水泳コーチングシステム「スマートスイミングレッスンシステム」を全国約100カ所のコナミスポーツクラブが導入へソニーネットワークコミュニケーションズは3月29日、映像とAIを活用したスイミングスクール向けコーチングシステム「スマートスイミングレッスンシステム」について、コナミスポーツが導入を決定したと発表した。4月1日より「運動塾デジタルノート」の名称で、コナミスポーツクラブの「運動塾スイミングスクール」で使われる。まずは東京の本店に導入し、2023年3月末までに全国約100店舗に順次導入してゆく。

スマートスイミングレッスンシステムは、撮影と動画編集、クラウドによる配信、コーチ用アプリケーションという技術で構成されている。撮影は、プールの水上と水中に設置した複数台のカメラで行われる。通常は、水面の揺れ、光の反射、屈折などにより難しいとされる泳ぐ人の画像認識と追従を独自開発のAIアルゴリズムで実現した。さらにAIは、複数の水面・水中映像から最適なものを選び出して自動編集を行い、動画コンテンツにまとめる。この映像は、プールサイドに設置したタブレットで自動再生されるため、プールから上がった生徒は、タブレットを操作することなく、すぐに見ることができる。コーチ用のアプリケーションは、レッスン中にも使いやすい画面デザインとなっていて、進級テストでは、動画とともに結果とコメントをまとめて個人用ページに配信できるようになっている。これは保護者の端末にも配信され、親子で共有できる。

ソニーのセンシング技術・AI活用の「スマートスイミングレッスンシステム」を全国約100カ所のコナミスポーツクラブが導入へこのシステムでは、レッスン前に個人ページに配信されるお手本動画での予習が可能であり、レッスン中はコーチがお手本動画を示しながら説明が行えるという特徴がある。自分の泳ぎの映像と合わせることで、生徒は自分の課題を視覚的に理解しやすく、自発的な行動が促されるという。また、上達を実感できるためモチベーションが向上し、積極的な学びにつながるとのことだ。

カメラは、防水対応を施したソニーの小型リモートカメラ(SRG-XP1)が使われている。水中カメラは約4kgという軽量の4Kカメラで、持ち運ぶことも可能。これまで特別な施設でなければ水中撮影は難しかったが、このシステムなら、どのスイミングスクールでも4Kの水中映像の撮影が可能になる。

スマートスイミングレッスンシステムは、2021年5月からルネサンスが運営するジュニアスイミングレッスンに導入され、現在約80店舗に展開されている。そこでは、生徒の意欲向上が見られるほか、コロナ禍で見学ができない保護者からはレッスンの様子が見られることが評価されている。スクール運営者やコーチにも支持されているそうだ。ソニーネットワークコミュニケーションズでは、指導ノウハウのデジタルコンテンツ化やレッスンの品質管理にも役に立つこのシステムを、スイミングスクールのDXを支援するソリューションとして広く展開してゆくと話している。

ソニー、定額サービス「PlayStation Plus」を3つのプランでリニューアル

Sony(ソニー)は、リニューアルしたゲームサブスクリプションサービス「PlayStation Plus」を導入することを正式に発表した。この新しいサービスはPlayStation Plusと呼ばれ、ソニーが現在提供している2つのサブスクサービス、PlayStation PlusとPlayStation Nowを1つにまとめたものだ。PlayStation Plusは、Microsoft(マイクロソフト)の人気サブスクサービス「Xbox Game Pass」への対抗と見られている。

PlayStation Plusは6月に提供が始まり、アジアのいくつかの国でデビューした後、北米、欧州、その他の地域に拡大される。具体的なサービス開始時期については、今後数週間のうちに発表される見込みだ。

新しいサブスクサービスは3種のプランで構成される。最も低額のものは「PlayStation Plus Essential」と呼ばれ、ダウンロードできる月2つのゲーム、加入者限定割引、保存したゲームのクラウドストレージ、オンラインマルチプレイの利用など、現在のPlayStation Plus会員と同じ特典が付いてくる。PlayStation Plus Essentialの価格は、現在のPlayStation Plusの価格と変わらず、月9.99ドル(日本では税込850円)、3カ月24.99ドル(同2150円)、年59.99ドル(同5143円)だ。欧州では月8.99ユーロ、3カ月24.99ユーロ、年59.99ユーロとなる。

次に「PlayStation Plus Extra」と呼ばれる中間のプランは、Essentialと同じ特典が付いてくるが、最大400のPS4およびPS5のゲームセレクションが含まれる。Extraのゲームはオンラインプレイのためにダウンロードすることが可能。Extraの料金は月14.99ドル(同1300円)、3カ月39.99ドル(同3600円)、年99.99ドル(同8600円)だ。欧州では月13.99ユーロ、3カ月39.99ユーロ、年99.99ユーロとなる。

そして最上位プランは「PlayStation Plus Premium」と呼ばれ、EssentialおよびExtraに含まれるすべてのサービスに加え、クラウド経由でストリーミングできるPS3のタイトルを含む340のゲームにアクセスできる。また、初代PlayStation、PS2、PSPのゲームを含むクラシックゲームもストリーミングとダウンロードの両方で利用できる。また、プレイ時間制限付きのゲームトライアルも提供されるため、顧客は購入前に一部のゲームを試すことができるとのことだ。Premiumサービスの料金は、月17.99ドル(同1550円)、3カ月49.99ドル(同4300円)、年119.99ドル(同1万250円)だ。欧州では、月16.99ユーロ、3カ月49.99ユーロ、年119.99ユーロとなる。

ソニーはサービス開始時に「DEATH STRANDING」「ゴッド・オブ・ウォー」「Marvel’s Spider-Man」「Marvel’s Spider-Man: Miles Morales」「Returnal」などのゲームを提供する予定だ。なお、今後発売されるすべてのPlayStation専用ゲームをサービス開始日に提供する予定はない。

「PlayStation Plusの新しいExtraおよびPremiumは、PlayStation Plusの大きな進化を象徴しています」。とPlayStationのCEOであるJim Ryan(ジム・ライアン)氏は声明で述べた。「これらのサービスで、当社が提供する数百のゲームに、当社を際立たせている最高品質のコンテンツが含まれることを保証することが重要な焦点となります。PlayStation Studioおよびサードパーティのパートナーの想像力溢れるデベロッパーと緊密に協力し、定期的に更新されるライブラリを通じて最高のゲーム体験をお届けします。新しいPlayStation Plusサービスで提供されるゲームの詳細については、後日改めて案内します」。

今日のニュースの前には、ソニーがMicrosoftの人気サービスXbox Game Passに対抗して、ゲームサブスクサービスを刷新しようとしているという憶測が数カ月にわたって流れていた。MicrosoftはActivision BlizzardBethesdaといった大きなゲームパブリッシャーをそれぞれ687億ドル(約8兆4300億円)、74億ドル(約9080億円)で買収するなど、Game Passに巨額を投じてきた。

ソニーによると、PlayStation Plusの新サービスが開始されると、PlayStation NowはPlayStation Plusの新サービスに移行し、単体のサービスとしては提供されなくなる。PlayStation Nowを利用している人は、新サービス開始時に現在の利用料金から値上げされることなくPlayStation Plusプレミアムに移行する。

画像クレジット:Sony

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

タカラトミーとJAXAなどが共同開発した変形型月面ロボSORA-Qが月着陸実証機SLIMに搭載決定

タカラトミーとJAXAなどが共同開発した変形型月面ロボSORA-Qが月着陸実証機SLIMに搭載決定

変形型月面ロボット「SORA-Q」。画像中央部分左側が変形前、右側が変形後

タカラトミーは3月15日、JAXAなどと共同開発した超小型変形型月面ロボットが、JAXAの小型月着陸実証機「SLIM」に搭載され、月面でのデータ取得を行うことになったと発表した。これでこのロボットは、ispace(アイスペース)の月着陸船「HAKUTO-R」による月面探査と合わせて、計2回の月面ミッションを実施することになる。またこれまでのLEV-2という名称に代えて、「SORA-Q」(ソラキュー)という愛称が与えられた。

SORA-Qは、運搬時(変形前)は直径約8cm、重量約250gの球体だが、月面の放出されるとすぐに、走行可能な形態に変形する。球体が左右に開いて車輪となり、中央には前方撮影用カメラがせり上がり、後方には後方撮影用カメラと尻尾のようなスタビライザーが展開される。車軸を偏心させることで、レゴリス(月面の細かい砂)に覆われた傾斜地も乗り越えることができ、転倒しても起き上がれるようになっている。撮影した画像はSORA-Q自身が選別して、ペアで行動するもう1つの小型ロボット「LEV-1」にBluetoothで送られ、着陸船を介さず、そこから直接地球に送信される。

ミッションは、レゴリス上を移動して走行ログを取得して保存すること、着陸機周辺を撮影して画像を保存すること、画像データ、走行ログ、ステータスを「LEV-1」経由で地球に送ることなどとなっている。将来の月面有人自動運転技術や走行技術の検討に必要な月面データを集めることが狙いだ。ミッション実行時間は、1〜2時間が予定されている。

タカラトミーとJAXAなどが共同開発した変形型月面ロボSORA-Qが月着陸実証機SLIMに搭載決定SORA-Qという名前には、宇宙を意味する「宙」(そら)に、Question(問い)、Quest(探求)を表す「Q」をつなげているが、「Q」には「球」の意味もある。運搬時の体積を最小限にでき、着陸の衝撃に耐え、どの角度に放出されても展開できることから、球体が選ばれた。そこから月面活動ができる形態に変形させる技術には、変身ロボットやメカニズムの小型化といったオモチャの開発で蓄積されてきたタカラトミーの知見が活かされている。JAXAと共同で20回以上もの試作を重ねた末、ようやく完成させた。そもそもこのプロジェクトは、JAXAの「宇宙探査イノベーションハブ」共同研究提案公募の枠組みで2016年に開始したものだが、2021年にはソニーグループ同志社大学も参加している。

画像クレジット:
JAXA
タカラトミー
ソニー
同志社大学

プレステ版Robloxが登場しそう、PlayStationコンソールのソフトウェアエンジニアを募集中

Roblox(ロブロックス)の新しい求人情報は、Sony(ソニー)のゲーム機に進出するという同社の緩やかな計画が、かなり現実に近づいていることを示唆している。この求人では、PlayStation用のRobloxアプリを開発するPlayStationコンソールのシニアソフトウェアエンジニアを募集している。

この求人には、このポジションが「ターゲットプラットフォームとの統合、ユーザーインターフェースの適合、パフォーマンスの最適化など、アプリケーションのすべての部分」を含む「世界中の何百万人ものユーザーに使用されているゲームエンジンをSony PlayStationプラットフォーム向けに構築しサポートする」と記載されている。

RobloxのCEOを務めるDavid Baszucki(デイビット・バシュッキ)氏は、Nintendo Switchとソニーの PlayStation、Oculus Questがいずれも長期的に「Robloxにとって完全に理に適っている」と述べ、2021年の追加プラットフォームに関する同社の拡張ビジョンを示唆していた。

「今、みなさんが見ているのは、私たちが信じられないほどスマートフォンに焦点を当てていることです。これは、信じられないほど難しいフォームファクターであり、その没入感を得るには最も難しいフォームファクターだと考えています」とバシュッキ氏は決算説明会で述べている。「しかし、これらはすべて合理的なプラットフォームであり、同時に、我々がそれらのリリース日を共有することはないでしょう」と述べた。

PlayStationで発売されることは、Robloxのコンソールデビューを意味するものではない。PCでよく知られているかもしれないが、Robloxは2016年初頭にXbox Oneで発売され、Microsoft(マイクロソフト)の最もプレイされたゲームトップ50のリストに今でもランクインしている。また、Robloxはモバイルでも人気があり、iPad向けゲームの最高売上高チャートでは、「原神」を抑えて定期的に上位にランクインしている(これは並大抵のことではない)。

この求人情報は、採用動向データ会社のRevealEra(リビールイーラ)によって最初に発見されたもので、週5回の無料ケータリングランチと「無制限のスナック」が付いてくるという、給料が下がるインフレの時代には計り知れない恩恵があることに注目したい。

RobloxはPlayStationの展開時期についてコメントを避け、同社が「熱心に採用中」であることだけを強調した。

画像クレジット:Simon Dawson/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ソニーがロシアでPlayStation Storeとゲーム機販売を停止

Sony(ソニー)もロシアのウクライナ侵攻を受けてロシアでの事業を停止する。

ソニーのゲーム部門であるソニー・インタラクティブエンタテインメントは米国時間3月9日、ロシア政府の侵攻激化を受けてロシア国内のハードウェア出荷とソフトウェア販売を停止すると発表した。

同社はさらにロシアでの対応について、オンラインのゲームストアであるPlayStation Storeの運営を停止し、シリーズ累計売上40億ドル(約4640億円)を超える人気レーシングゲーム「グランツーリスモ7」の発売を見合わせるとしている。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)はグローバルコミュニティの一員としてウクライナの平和を求めます。当社はロシアにおけるすべてのソフトウェアとハードウェアの出荷「グランツーリスモ7」の発売、PlayStation Storeの運営を停止します。

ソニーグループは人道支援として200万米ドル(約2億3200万円)を国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と国際NGOのSave the Childrenに寄付し、この悲劇の被害者を支援することを発表しました。

多くのテック、ゲーム企業各社に続いてソニーもロシアでの事業を停止した形だ。競合のMicrosoft(マイクロソフト)は米国時間3月4日にロシア国内での販売停止を発表していた。

ロシアが侵攻を始めた直後にウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フョードロフ)副首相はゲーム業界に対し、特にMicrosoft(マイクロソフト)とソニーを名指ししてロシアでの事業を停止するよう求めていた。フョードロフ副首相はeスポーツ界に対してもロシア選手の参加を停止し、ロシアで開催されるイベントを中止するよう求めていた。同副首相は「2022年においては、戦車や多連装ロケット砲、ミサイルに対する最も有効な答えはおそらく最新テクノロジーです」と述べている。

@Xbox @PlayStation
ウクライナで今何が起きているか、あなた方はもちろんご存じでしょう。ロシアはウクライナに対してではなく、すべての文明社会にして宣戦布告をしたのです。あなた方が人間の価値を支援するのなら、ロシア市場で示すべきです!

画像クレジット:BEHROUZ MEHRI/AFP / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Kaori Koyama)

ソニーとHondaがEVを共同開発・販売する計画発表、2025年に初期モデル発売へ

Sony(ソニー)はここしばらく、自動車メーカーになることに興味があるそぶりをして憶測を呼んでいたが、3月4日、実際の自動車メーカーであるHondaと、そのアイデアをさらに議論し発展させるための覚書(MOU)を締結したと発表した。

両社は共同で、新型EVの開発と販売、および新型自動車で使用する新しい「モビリティサービス・プラットフォーム」の開発と立ち上げを柱とする合弁会社を2022年中に設立する意向を検討すると明らかにした。

現在の計画では、ソニーは「イメージング、センシング、テレコミュニケーション、ネットワーク、エンターテインメント技術」を、Hondaは……クルマ技術を提供することになっている。

両社が設立する「新会社」は、出来上がった新型EVの設計・開発から販売まですべてを手がけるが、車の製造はHondaが代行することになる。ソニーは、新会社が使用するモビリティサービス製品を供給する。

すべてが計画通りに進めば(協議の初期段階であるため、ほぼ間違いなく変更の可能性がある)、この合弁会社は2025年から初期モデルの販売を開始することを目指す。

ソニーはこれまで、毎年恒例のCES技術展示会で、少なくとも3回、自動車メーカーとしての意気込みを示す派手な瞬間があった。2020年には「Vision-S」と名付けたコンセプトカーを出展して周囲を驚かせ、2021年にはサーキットと公道の両方で走行するプロトタイプの動画など、さらなる詳細を公開した。最近では2022年1月、オリジナルのセダンに加えてSUVコンセプトのVision-Sを発表し、独自のEVの商業化を「模索」することに焦点を当てた新会社「Sony Mobility Inc.(ソニーモビリティ株式会社)」を立ち上げると発表していた。

このうち「モビリティサービス」という部分は、ソニーが自社のEVコンセプトに注力するコンテキストの中で、おそらく最も興味深いものだろう。ソニーは、この分野では明らかに成功しているが、ユーザーやソフトウェアのインターフェースに定評があるとはいえないので(ソニーのカメラや携帯電話のユーザーならおわかりだろう)、どうなるかは大きな疑問符がつくところだ。

CESで3回はでやかなコンセプトを発表しても、自動車メーカーにはなれない。特にCESは、本質的に史上最大のベーパーウェアの展示会として知られているのだから。同様に、MOUは、2つの大企業が本格的に共同で創意工夫を凝らすための正式な合意書に過ぎないことが多い。しかし、ここには非常に多くの煙が立ちこめており、少なくともこのMOUには、より具体的になる時期を見極めるための明確なタイムラインがある。

画像クレジット:Sony

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Den Nakano)

これがオーブ型の新ヘッドセット「PlayStation VR2」だ

Sony(ソニー)はCESで、近日発売予定のバーチャルリアリティヘッドセットについて簡単に言及した。これは、Sonyが例年この展示会で行っていることで、詳細についてはあまり説明せず、今後の製品についての耳よりな情報を提供する。そして、もし何かエキサイティングなものを隠し持っているのなら、それを少し見せればいいのだ。

米国時間2月22日、PlayStationの公式ブログは次のステップに進み、この製品についてもう少し明らかにした。それは、丸みを帯びた角の通気口や、どのようにしてこのようなデザイン上の決断を下すことになったのかについて企業が語るハードウェアの公開の一種だ。しかし、肝心なのは、私たちがついにそのモノを目の当たりにしたことだ。

Sonyは、そのデザイン言語を、ひと言で「オーブ型」と表現している。これは、VR2 Senseのコントローラーのオーブ型とマッチするためにデザインされたオーブだ。そう、ずっとオーブ型だ。理に適っている。人間の手や頭の形は丸いものが落ち着く。Sonyはこう付け加えた。「円形のオーブの形は、プレイヤーがバーチャルリアリティの世界に入ったときに感じる360度の視界を表現しています」。

長時間装着するものだからこそ、快適な装着感が重要だ。そのため、新たに通気孔を設け、調整ダイヤルに手を加え、焦点距離の選択肢を増やした。また、触覚フィードバック用の新しいモーターを搭載し、全体的にスリムになった。重量バランスと調整可能なヘッドバンドは、PSVR第1世代のユーザーには馴染み深いものだ。ヘッドホンジャックの配置も同様だ。

画像クレジット:Sony

「PlayStation VR2のヘッドセットのデザインに取り組み始めたとき、まず注力したかったのが、PS5本体にある通気口のように、ヘッドセットに空気を逃がす通気口を作るというアイデアでした」と、Sonyデザイナーの​​森澤有人氏は話す。「VRゲームに没頭している間にレンズが曇ってしまうことを防ぎ、通気性を確保するための良い方法として、当社のエンジニアがこのアイデアを思いつきました。いろいろなデザインコンセプトに取り組みましたが、最終的には、スコープの上面と前面の間に小さな空間を設け、そこに換気口が内蔵されています。このような形になったこと、そしてこれまでに得られたポジティブなフィードバックに、私は本当に誇りを感じています。プレイステーションのファンの方々にもそう思っていただけると思いますし、早く試していただきたいですね」。

Sonyは、白と黒のデザイン言語について、次のように述べている。

私たちの目標は、リビングルームの魅力的なインテリアの一部になるだけでなく、ヘッドセットやコントローラーを使っていることを忘れてしまうほど、ゲームの世界に没頭できるヘッドセットを作ることです。そのため、ヘッドセットの人間工学に細心の注意を払い、さまざまな頭のサイズに対応した快適な使用感を実現するために、徹底したテストを行いました。

この製品は、(デス・スターに住んでいない限り)家の家具に溶け込むことはないだろうが、お客さんが来るたびにそれを隠しておく必要を感じなくなるかもしれない。

最初のPSVRシステムは、2016年にPlayStation 4向けに登場した。2019年末には、このヘッドセットの販売台数が全世界で500万台に達したと発表した。後続機は、VR/メタバース全般への注目が高まっていた時期にPS5向けに登場し、必然性を感じさせた。

画像クレジット:Sony

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(文:Brian Heater、翻訳:Yuta Kaminishi)

ソニーのファンド子会社ソニーベンチャーズが始動、運用総額は600億円超へ

ソニーグループは2月17日、100%子会社としてファンド事業を行う「ソニーベンチャーズ」を2021年7月に設立し、2022年2月より新ファンド「Sony Innovation Fund 3 L.P.」の運営を開始したと発表した。同ファンドにはSMBCグループ、みずほグループ、大和証券グループ、三井住友信託銀行、横浜銀行、滋賀銀行、コーエーテクモグループ、川崎重工業、三菱地所、その他学校法人に加えソニーグループが本ファンドの第一次募集のリミテッドパートナーとして参画する。同社はこのファンドを最終的に250億円超の規模へ拡大することを目標とする。これにより、2016年に開始したSony Innovation Fundの運用総額は600億円を超える見込みだ。

同ファンドでは、注力投資分野としてヘルステック、フィンテック、エンターテイメント、ディープテックへの投資を行うほか、ESGをより重視して投資を行うとしていた。また、ソニー本社が昨今注力しているEVの分野については、「EV関連のさまざまなスタートアップのポートフォリオはすでにあり、それらの企業との協力は今後も模索していく」とソニー常務の御供俊元氏は記者会見で語った。

「これまでのコーポレートベンチャーキャピタル活動及びInnovation Growth Fundの運営、ESG取り組み支援プログラムの推進などを通じて、次世代を担う技術やスタートアップを育成し、オープンイノベーションを推進するとともに地球環境・社会発展への貢献に取り組んできました。ソニーベンチャーズ株式会社では、高成長分野・高成長企業に投資するにとどまらず、ESGへの取り組みもより一層強化し、CVCから発展した新たな形のベンチャーキャピタルとしてスタートアップの支援に取り組んでいきます」(ソニーベンチャーズ代表の土川元氏、プレスリリースより)

周囲の音を取り込む大きな穴があるソニーの新型イヤフォン「LinkBuds」、Nianticと協業しARゲームも盛り上げる

Sony(ソニー)は最高のヘッドフォンを作っている。WF-1000XM5もWH-1000XM4もすばらしい。特に後者は、ノイズキャンセリング機能が優れている。アップデートは遅いが、すでにFCCのリストに載ってるという噂もある。どんなに遅くても今だにすばらしいし、すでに1年半もの間、毎日、私の生活を破壊する建設工事の騒音から身を守っている。

同社の最新モデルは、ある意味でそれと正反対のものとなる。Sonyにしては珍しく覚えやすい名前のLinkBudsには、多くの音を通すための大きな穴がある。その中央にあるダイヤフラムに穴が開いており、周囲の音を取り込むことができる。それは、環境を意識して設計された初期のヘッドフォンに通じるものだ。

画像クレジット:Sony

ヘッドフォンもまた誰にでも合う製品はないし、本製品についてもそういえる。ノイズの除去が最優先の人には向いていない。しかし、デバイス上の音とリアルな世界の環境音を結びつけるアプリケーションである拡張現実(AR)にはうってつけのモデルだ。

これはハードウェア企業がここ数年追究しているテーマでもある。たとえばApple(アップル)には、空間オーディオ機能がある。もちろんSonyには何年も前から360 Reality Audioがあり、それを新しい設計のハードウェアと組み合わせて、ARへの関心の高まりに乗じた魅力的な何かを提供できるという夢がある。そのためにSonyは、Microsoft(マイクロソフト)やゲームを開発しているNianticと協業している。

NianticのArchit Bhargava(アーキット・バルガヴァ)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「IngressやポケモンGO、ピクミン ブルームといった私たちのプロダクトは、拡張現実とリアルの世界のゲームプレイを利用して、楽しさと驚きを喚起するものです。音は、どんなエンターテインメントでも、特にユーザーが外の世界を探検するタイプのゲームでは重要なものです。そのため私たちは、LinkBudsの発売を機にSonyとの協業で、私たちのコミュニティにリアルな世界の没入的なオーディオを提供できることにとてもエキサイトしています」。

画像クレジット:Sony

ARの普及カーブはまだ初期の位置にあり、専用ヘッドフォンがそんなにたくさん売れるとは思えないが、今なら(外部音による)位置認識がメインのセールスポイントになるだろう。しかも、開放的なデザインは耳に装着しやすく、重さはわずか4gだ。それはWF-1000XM5の7.3gよりもかなり軽量で、AirPods Proより1.5gも軽い。

もう1つ興味深いのは、イヤフォン本体ではなく、耳をタップする「Wide Area Tap」というシンプルな機能だ。巨大な穴が開いているイヤフォンにはうれしい機能です。私もこのところSamsungのGalaxy Budsを使っているが、表面積の小さいイヤフォンでは、直接製品をタップするのは難しい。ただ、ランニング時や誤って耳をぶつけたときなどの振動が、こちらの操作にどう影響するかは気になるところだ。

本製品は日本では2月25日発売で価格は税込2万3100円となっている。個人的には、WH-1000XM5を待ちたい。

画像クレジット:Sony

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Sony AI、AIレースゲーマー「グランツーリスモ・ソフィー」の進歩発表、人間の世界トップランカーをしのぐスキルを学習

Sony AI、AIレースゲーマー「グランツーリスモ・ソフィー」の進歩発表、人間の世界トップランカーをしのぐスキルを学習Sony AIが、AIレースゲーマー『Gran Turismo Sophy』(グランツーリスモ・ソフィー、GT Sophy)が人間のグランツーリスモトップランカーとの対戦において勝利するまでにドライビングが上達したと発表しました。

GT SophyはSony AIが開発した最先端の深層強化学習アルゴリズムと学習シナリオを用い、PlayStation 4用レーシングシミュレーター『グランツーリスモ Sport』の環境でマシンコントロール、レーシングテクニック、そしてレースの競技におけるエチケットといった生身のドライバーが練習によって身につけるスキルを学習しています。

Sony AIの北野宏明CEOはGT Sophyが「AIの大きな発展の形であり、単に人間のプレイヤーより優れたシステムを作るのでなく、プレイヤーのテクニックや創造性を加速させて次のレベルへと引き上げられる刺激的な対戦相手になることを目的としている」と述べています。

またSony AI COOのMichael Spranger氏は、AIにグランツーリスモSportで競争力を発揮させるには、物理的な限界でマシンをコントロールし、ブレーキと加速のポイントを最適化し、コース上で最後の1/10秒を絞り出す正しいラインを見つけることを学ぶ必要がありました。そして、コース上を走る他車の動きや高速走行時に互いに影響し合う空力的な作用などを考慮しつつ他者を追い抜く走り方ができるようにする必要があったとしています。

Sony AI、AIレースゲーマー「グランツーリスモ・ソフィー」の進歩発表、人間の世界トップランカーをしのぐスキルを学習

Spny AI / Gran Turismo Sophy

そして、こうした人間でもなかなかできない処理をAIにさせるために、深層強化学習が用いられたとのこと。

GT Sophyは車の走行速度や加速度、コース内外の境界線や周囲を走る他車との相対的な位置関係、コース上のマシンの進行状況といったパラメーターをシステムから受け取り、ステアリング確度やアクセルおよびブレーキ踏力といった操作を学習してゆきました。そして、上手く走行できているときにはそれを肯定するシグナル、つまり報酬(リワード)をAIに与え、逆に拙い走りを見せたときにはネガティブなシグナルを与えるようにしました。

このようにして鍛えあげたAIは、2021年3月からは元グランツーリスモトッププレイヤーを含む人間のドライバーが操作する車両との混走でテストレースを始め、7月と10月には世界トップのグランツーリスモ使いたちを相手に互角といって差し支えないレースを展開するに至りました。

特に、10月の対戦では3レースすべてでGT Sophyが1~2位を独占したほか、7月の時には人間に敗れた総合得点でも勝利を収めています。

ただし、同じアルゴリズムであるにもかかわらず、すべてのGT Sophyが好調だったわけではありません。あるAIは前走車の追い抜きのタイミングを計り損ねてアンダーステアを出し、そのままカーブを曲がりきれずにウォールに激突する不様な形でリタイアしていました。

つまり、AIは最速で走れるよう、あらかじめプログラムされていたわけではなかったことも合わせて証明されたといえるでしょう。

ソニーグループの吉田憲一郎CEOは、この技術開発は「ゲームプレイヤーに新しい経験を提供しようとするゲームデベロッパーのもとにAIをもたらすということ」だと述べています。

GT Sophyは『グランツーリスモSport』上で開発されたAIですが、約3週間後に発売となる『グランツーリスモ7』にもアップデートで追加搭載予定とのこと。

これまで、我々一般のプレイヤーが上達するには、とにかくオンラインレースへの出走を繰り返して、他のドライバーの間合いの取り方や詰め方、コースのライン取りなどを盗みつつ自分なりに速い走法を探っていく必要がありましたが、もしかしたら今後はAIの走りを逆に人間のドライバーが学ぶような時代に変わっていくのかもしれません。

(Source:Gran Turismo SophyNatureEngadget日本版より転載)

ソニー2021年度第3四半期業績報告、半導体不足で年間のPS5販売台数予測を下方修正

ソニー2021年度第3四半期業績報告、半導体不足で年間のPS5販売台数予測を下方修正

Engadget

ソニーが2021年度第3四半期の業績報告において、今期は330万台のPS5を出荷し、発売以来の累計出荷数が1730万台に達したことを明らかにしました。しかしこの数はPS4の同じ時期における出荷数2020万台をかなり下回り、年間の販売台数も1480万台の計画値に対し1150万台に留まる見通しだとしています。

生産台数が思うように延びないことから、ソニーのゲーム部門の売上高は前年同期の8832億円から8133億円へと目減りしています。しかし営業利益は12.1%増となっています。これはPS5が売れるたびに損失になる逆ザヤ状態が続いているから。

ソニーは、PS5の需要は依然として旺盛ながら、終わりの見えない半導体不足のせいでサプライヤーが十分な数の部品を供給できないと説明しています。またこの状態は少なくとも向こう1年間は続くと予想しており、特に今年前半のPS5の入手性はいま以上に改善されることはないとしています。

そのため、今年度のPS5の出荷台数見込みは、これまでの1480万台から1150万台に引き下げられました。これにともない、ゲームおよびネットワークサービス部門の通期の売上げ予想も1億7000万円ほど引き下げています。一方で利益は逆ザヤの影響が減少するため6%増加する見通しになっています。ただ、ソニーグループ副社長兼CFOの十時裕樹氏は「PS5への強い需要に応えられるよう、引き続き最大限の努力を続け、1台でも多く出荷したい」としています。

なお、PS5向けゲームでは2021年度第4四半期に『Horizon Forbidden West』(2月18日)や『グランツーリスモ7』(3月4日)といったビッグタイトルを発売予定であり、ユーザーエンゲージメントが高まることが期待されます。さらに1月31日にはSIEによる独立系ゲーム制作会社Bungieの買収が発表されています。Bungieは『Halo』や『Destiny』といったヒット作を手がけてきた実績があります。そして今後もPS5だけでなく他プラットフォーム向けのゲームソフト開発も継続するとしており、SIE傘下入りしてさらなる成長が期待されるところです。

ソニーにとっていまやゲーム事業は最も重要な収益の柱であり、この四半期だけを見ても全体の利益のうち約1/4を占めるようになっています。ただ、スマートフォン向けのカメラ(イメージセンサー)も好調で、前年同期比22%増の好調さを記録しました。また映画部門も『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』などがヒットしたことで売上高が40億2000万ドル(約4596億円)と大きく伸びています。

(Source:Sony(PDF)ソニーグループ 決算短信・業績説明会資料Engadget日本版より転載)

ソニー、ゲーム「Halo」「Destiny」の開発Bungieを約4140億円で買収

ゲーム界の2大シリーズである「Halo」と「Destiny」の制作を手がけたスタジオBungie(バンジー)がソニーに買収される。これは、次世代ゲーム(とメタバース、それが何であれ)が盛り上がりを見せる中で繰り広げられている統合と縄張り争いの1つだ。

このニュースは米国時間1月31日朝に両社から発表され(業界関係者のJason Schreier[ジェイソン・シュライアー]氏がいち早く報じている)、買収額は36億ドル(約4140億円)だ。Microsoft(マイクロソフト)が最近行った600億ドル(約6兆9035億円)でのActivision Blizzard(アクティビジョン・ブリザード)買収に比べればわずかな額かもしれないが、Bungieはゲーム界における伝説に勝るとも劣らない存在だ。

忘れられた旧作であるFPSゲーム「Pathways Into Darkness」や影響力のある「Marathon」でMacに特化したスタジオとして90年にスタートしたBungieは「Halo」でゲーム界の勢力図を変えようとした。Apple(アップル)がゲームに真剣に取り組むのに役立つことを目的としており、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏もこの波に乗った。

しかし、MicrosoftがBungieを買収し「Halo」を新しいXboxコンソールの独占タイトルにすると発表した。これにApple(アップル)はかなり失望し、App Storeで成功を収めるまで、ゲームを完全にあきらめていたようだ。

HaloはXboxの主力シリーズの1つに成長したが、いくつかの続編の後、MicrosoftがHaloブランドを保持する一方で、BungieはオリジナルIPを追求するために独立企業としてスピンアウトした。2013年、独立したBungieが公開した「Destiny」は大ヒットとなり、2017年にはその続編がデビューし、現在も展開されている。

Bungieは2019年から長年のパブリッシャーであるActivision(アクティビジョン)との関係を継続し、さらに自社を自由にすることで……買収されることになった。いずれにせよ、このような事態は避けられなかったと思われ、自分の好きなようにやって良かったのかもしれない。

今回の買収は、ライバルのコンソールゲーム会社が次の戦いに向けて準備を進めている中で、ソニーによる明らかな領地収奪だ。ゲーム・アズ・ア・サービス(GaaS)、いわゆるライブサービスゲームは、業界にとって儲けの多い新モデルの1つとなっており「Destiny 2」はその最も成功した例の1つだ。ゲームを販売し、コンテンツの定期的な「シーズン」、新たな美的アップデート、その他のアイテムでさらに収益をあげるGaaSモデルは、MMO(多人数のプレイヤーが同時にアクセスできるオンラインゲーム)に倣っている。

おそらく「Destiny 2」の人気が下火になり「Destiny 3」の発売も間近に迫っていることから、今回の買収は非常にタイムリーなものだ。最大のGaaSシリーズの 1 つを所有し、関連するマルチメディアにも投資する(Netflix番組はいまや避けられないようだ)ことで、ソニーは次世代ゲームの収益に向けて態勢を整えている。「Destiny 3」が前作同様クロスプラットフォームになる可能性は高いと思われるが、MicrosoftのGame Passに対抗して大幅リニューアルされると噂されているソニーの定額制サービス加入者向けの特典を阻止するものは何もない。

「今日、Bungieは世界的なマルチメディアエンターテインメント企業になるための旅を開始します」とCEOのPete Parsons(ピート・パーソンズ)氏は買収発表のブログ投稿に述べている。「我々の運命は我々が握っています。これからも独自にゲームを発表し、クリエイティブな開発を続けていきます。SIE(ソニー・インタラクティブエンターテインメント)の支援を受け、我々の野心的なビジョンを支えるために、スタジオ全体で人材の採用を加速させることが即座に目にする変化となるでしょう」。

同社は、期待される続編だけでなく、新規IPの開発にも取り組んでいると報じられている。もしかしたら、独立と新たなリソースによって、カルトヒットとなった「Marathon」が復活するかもしれない。同社に「Marathon」を覚えている人が残っていればの話だが。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

VRとARはCES 2022でも「ブレイクの寸前」

最初のOculus RiftがKickstarterで登場してから、信じ難いことにほぼ10年が経った。

10年間の進歩を経て、VRヘッドセットはずいぶん改善された。しかし現時点では、VRの普及は段階的と言っていい。誰もがヘッドセット(VRかAR、あるいはその2つを組み合わせたもの)を顔に装着するようになるとしたら、それは1つの大きな出来事(※)というよりはたくさんの小さなステップの結果だろう。OculusのVRリズムゲーム「Beat Saber」もあれば、Oculus Questで使えるVRフィットネスの「Supernatural」もある。ヘッドセットは徐々により良く、より軽く、より処理速度が速くなっている。職場でのトレーニングでヘッドセットを使うことに慣れている人もいるだろう。ある日突然、誰もがメタバースのあり方に同意するかもしれない。

この少しずつの進歩は2022年のCESでも変わらなかった。VRやARに関するニュースはたくさんあったが、どれも世間を揺るがすようなものではなかった。しかし1つ1つのステップは進歩している。

※もしAppleが積極的にこれから参入し、製品を投下してこのカテゴリーをひっくり返すようなことがあれば、衝撃的な出来事になる可能性がある。これは、ここ最近噂になっていることだ。

2022年CESのVRとARの大きな話題を、ここでまとめよう。

ソニーのPSVR2

画像クレジット:Sony

Sony(ソニー)は2016年にPS VRヘッドセットをリリースし、その後PlayStation 5用の次世代ヘッドセットを開発していることは以前から知られていた。しかし2021年前半に「開発中」であることをちらっと発表し、数カ月後にコントローラの詳細を若干公表したが、詳しい仕様は発表していなかった。

全容はまだ明らかにされていないが、PSVR2という正式な名称と以下の内容が発表された。

  • 解像度は片方の目につき2000×2040
  • 初代ヘッドセットの視野角が96度であったのに対し、110度に拡張
  • リフレッシュレートは90/120Hz
  • 目の動きをトラッキングし、インターフェイスの項目を見るだけで選択されるといったことができるようになる模様
  • 視界の中央にあるものを優先的にレンダリングして処理の効率を上げるフォービエイテッドレンダリングに対応
  • 指を検知し、PS5の臨場感にあふれるアダプティブトリガーを搭載する専用の新コントローラ(下図)を開発中

画像クレジット:Sony

ヘッドセットがどのような外観になるかは、まだわからない。いつ出荷されるかもわからない。しかしPS VRヘッドセットが使いやすさの点でOculus改めMeta Questの数少ないライバルの1つであることを考えると、ソニーが開発を続けているのは好ましい。

HTCのリストトラッカー「Vive」

画像クレジット:HTC Vive

VRの入力に最も適した方法は何だろう。一般的なヘッドセットのほとんどは、両手にそれぞれ何らかのコントローラを持って使う。その代わりに、手そのものをコントローラにするというのはどうだろうか。

もちろん、ハンドトラッキングのアイデア自体は新しいものではない。さまざまな企業がハンドトラッキングに重点的に取り組んでは消えていった

しかしHTCのアプローチはちょっと違う。カメラに完全に頼るのではなく、センサー内蔵のバンドを両手首に巻いて、カメラでは捉えられないものをトラッキングしようとしている。例えば一方の手がもう一方の手を覆い隠しているとか、ゴルフのスイングをしたときに腕が背中側に回るといったケースだ。同社は卓球のラケットやNERFというおもちゃのシューティングガンなどの物体に取り付けたセンサーが動作している様子も披露した。

HTCはこのセンサーを2022年後半に129ドル(約1万5000円)で出荷する予定としている。対象者は誰? 少なくとも現時点では、このセンサーはHTCのVive Focus 3ヘッドセットとの組み合わせのみで動作する。

ShiftallのMeganeX

画像クレジット:Shiftall

近年、VRヘッドセットはかなりすっきりしてきたが、それでもまだゴツい。実際のところ、どれほど小さくできるのだろうか。

Panasonic(パナソニック)の子会社であるShiftallは「超軽量、超高解像度」のヘッドセット「Meganex」を開発している。フレームにスピーカーが内蔵され、ディスプレイは片方の目につき1.3インチ(2560×2560)で、ヘッドセットというよりはスチームパンクの大きいサングラスのように見える。軽量で折りたたみ可能とはいえ、それほど動き回れるわけではないようだ。重いグラフィックスを処理するにはUSB-Cでコンピュータに接続する必要がある。

Shiftallはこのヘッドセットを2022年に「900ドル(約10万4000円)以下」で出荷するとしている。

MicrosoftがARチップに関してQualcommと協業

画像クレジット:Qualcomm

Microsoftは同社のHoloLensヘッドセットにQualcommのチップをすでに採用しているが、この両社がCES会期中にさらに正式な取り組みを明らかにした。Qualcommの基調講演で、両社がARヘッドセット専用チップの開発で協力することが発表された。このチップは両社のAR開発プラットフォーム(Microsoft MeshとSnapdragon Spaces)に対応する。

NVIDIAのOmniverse

画像クレジット:Nvida

派手なハードウェアではないが、ソフトウェア関連としては重要である可能性が高い。NVIDIAは、3Dコンテンツのクリエイターがリアルタイムで共同作業をするのに役立つプラットフォーム「Omniverse」を公開した。

これを報じる記事の中でFrederic Lardinois(フレデリック・ラーディノイス)は次のように述べている。

Omniverseはクリエイターやデザイナー、エンジニアが共同作業でバーチャルワールドを作るためのNVIDIAのプラットフォームだ。NVIDIAや他社アプリのデザインツールやアセットを、ハードウェアとソフトウェアの1つのエコシステムにまとめる。これまでOmniverseとこれに対応するNVIDIAのさまざまなツールはベータ版だったが、米国時間1月4日のCESで同社はベータのラベルを外し、Omniverseはクリエイターに広く公開された。

TCLのARメガネ

これは今のところほとんどコンセプトなので、好きになるにはまだ早すぎる。テレビやスマートフォン、エアコンのメーカーであるTCLがARメガネの分野に参入し、ほぼ普通に見えるメガネにGoogle Glassに似た機能を搭載した製品を紹介している。「ホログラフィック光導波路テクノロジー」により画像をレンズと視界に映し出すもので、上に示したコンセプトビデオではメガネのフレームにタッチ式のコントロールが内蔵されている。

画像クレジット:wacomka / Getty Images

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Kaori Koyama)

ソニーがPS5向け次世代ヘッドセットPSVR2の情報を初公開

Sony(ソニー)は、待望のPS5向け次世代VRハードウェアPSVR2(この名前は予想どおり)の基本情報を発表した。デバイスに関して公開された情報はほとんどなかったが、ゲーマーにとって気になるいくつかの機能が確認できた。

初代PSVRは、性能が高く、比較的手頃な価格で使いやすいデバイスだったが、解像度や視野角など、ハードウェアの面ではかなり制限されていた。だからこそ、ソニーが「新型はかなり進化している」と発表したことは大歓迎されるだろう。

ソニーはPSVR2が4K HDRを搭載していることは認めているが、それが全体のものなのか、それぞれの目に対するものなのか、あるいはその他の指標なのかは不明だ。また、オリジナルのハードウェアよりも視野角が広くなる。実際の仕様が明らかになれば、このヘッドセットがユーザーの目にどのように映るのかがより明確になると思うが、ディスプレイの種類やリフレッシュレートなどについては、イベントでは言及されなかった(ちなみに噂では有機EL搭載、総解像度4K、視野角は110度といわれていた)。

ただし、最近では必須となっているアイトラッキングとフォービエイテッド・レンダリングは搭載されている。アイトラッキングがゲームプレーやその他で役立つのは明らかだし、フォービエイテッド・レンダリングはリソースを消費することで知られるVRのレンダリング処理の中で、プレイヤーが見ている部分にサイクルを集中させるために用いられる。

最後に、意外な機能として、ヘッドセットのフォースフィードバックが搭載されている。ユーザーが本当に頭を振動させたいと思っているかどうかは疑問だが、やってみなければわからない。

画像クレジット:Sony

このセットには新しいコントローラーも付属している。PSVRにも付属していた2つのコントローラーは、発表当時はまったく問題なかったものの、その後、競合他社の性能に追い越されてしまったために、独自の改良が加えられている。これについては、少し前にソニー自身が秘密を漏らしていた

ソニーは、そのファーストパーティースタジオによる同プラットフォーム向けの数多くの独占ゲームの中に「Horizon(ホライゾン)」シリーズ(「Zero Dawn」で始まり「Forbidden West」がまもなく登場予定)のVR専用ゲームが含まれることを発表していたのだ。

さらなる情報が出てくることは間違いないが、米国時間1月4日のイベントではこれがすべてだと思われる。もし続報があればお知らせする。

画像クレジット:Sony

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

ソニーがSUVの新型「VISION-S 02」披露、電気自動車会社「ソニーモビリティ」設立を発表

Sony(ソニー)の代表執行役会長兼社長CEOは、米国時間1月5日、ラスベガスで開催されたCESにおいて、電気自動車「VISION-S」の新しいプロトタイプを公開し、ソニーグループが新しい部門「ソニーモビリティ」を立ち上げ、電気自動車の商業化を開始すると発表した。

ソニーはCESの記者会見で、2021年のCESで公開されたセダン「VISION-S」セダンを披露。さらに2022年は、新型SUV「VISION-S 02」の試作車も発表した。

関連記事:ソニーがプロトタイプEVセダン「VISION-S」の技術紹介や走行シーン動画を公開

吉田氏は「VISION-Sを公開した後にいただいた感動は、移動の体験を変えるために、どのように創造性と技術を提供できるかをさらに考えるきっかけになりました」と述べ、新しいVISION-S SUVのプロトタイプを公開した。「これが新型SUV『VISION-S』です。VISION-Sは安全性、適応性、エンターテインメント性を基盤に開発されました。快適なモビリティを実現するために、安全性を第一に考えてきました。このSUVの開発でも、それは変わりません。車内外に合計40のセンサーを設置し、安全性を監視しています」。

「適応性という点では、継続的に進化するクルマを作るためのコネクティビティを備えています。また、ユーザーごとに車内をパーソナライズすることもできます。さらに5G通信は、車載システムとクラウド間の高速・大容量・低遅延の接続を可能にします。VISION-Sは、エンターテインメント空間としてのモビリティも進化させます。VISION-Sは、ゲーム体験やオーディオなど、エンターテインメント空間としてのモビリティも進化させています。VISION-Sの探求、またこの取り組みを支えていただいているパートナーのみなさんをとおして、モビリティについてより深く知ることができました」と吉田氏は語る。

ソニーは「ソニー製EVの実用化検討」の取り組みを加速させるため、新会社Sony Mobility Inc.(ソニーモビリティ)を設立すると発表し、そう遠くない未来、あなたの近にソニーカーがやってくるかもしれないことを暗示している。

画像クレジット:Sony

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

ソニーが整地・不整地を安全かつ効率的に移動できる6輪ロボを開発、清水建設と建設現場で共同実証実験

ソニーが整地・不整地を安全かつ効率的に移動できる6輪ロボを開発、清水建設と建設現場で共同実証実験

ソニーは、アクチュエーターを備えた6本の脚それぞれに車輪を配した、6輪ロボットを発表した。平地では車輪で走行し、階段などの段差では脚移動と車輪移動を併用する。そのため、整地と不整地が混在する場所でも、安全かつ効率的に移動が可能となる。ソニーグループの研究開発組織であるR&Dセンターが開発した。

このロボットには、ソニーがロボット関連の国際学会「IROS 2021」で発表した4脚歩行ロボットの設計思想が継承されている。作動中・停止中の脚部にかかる負荷を分散することで、最大20kgの重量物を、高いエネルギー効率で運搬できるほか、静止時は自重を支えるために必要なエネルギー消費量も削減できるという。ソニーが整地・不整地を安全かつ効率的に移動できる6輪ロボを開発、清水建設と建設現場で共同実証実験

脚の間接部にかかる力は、ソニー独自の全身協調制御システムにより柔軟に制御され、不安定な路面でも動作を安定させられる。また外部から力を受けたときは、衝撃を最小限に抑えるための自律的な回避行動がとれる。さらに、移動時に瞬間的な大電流が必要になった場合に、電気二重層キャパシタ(EDLC)がピーク電流に対応するため、バッテリーを小さく抑えることができ、機体が小型化できた。ソニーでは、さらなる小型化を進めると話している。このロボットは、清水建設と共同で、工事現場での実証実験が行われる。期間は2021年11月から2022年6月(予定)。

同実証実験は、清水建設が施工中の虎ノ門・麻布台プロジェクト(虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業) A街区のタワービルにおいて、ソニーの移動ロボットの検証機を動作させるというもの。従来は管理者が行っていた施工現場の巡回・監視業務、工事の出来高確認検査業務などの代替を想定し、歩行性能、監視(撮影)性能、操作性能を検証する。

仕様

  • サイズ:
    全高720〜1220mm(500mmの可変ストローク)
    全長912mm
    全幅672mm
    総重量(バッテリーを含む):89kg
  • 可搬重量:最大20kg
  • 移動速度:最大1.7m/s
  • 移動可能段差:最大30cm
  • 連続稼動時間:約4時間(動作パターンにより変動)
  • 自由度:
    駆動軸16軸(直動6軸、Hip回転6軸、駆動輪4軸)
    受動軸2軸(独自開発シングルオムニホイール)

ソニーが約102万円のプロ用ドローン「Airpeak S1」をクリスマスイブに発売

AirPeak S1って何だったけ?と思い出せなくても、今回は許される。Sony(ソニー)が、初めてのプロ用ドローンをちらっと披露してから、長くておかしな13カ月が経つ。同社は2020年11月の発表後、プロフェッショナルなUAVに関するわずかな追加情報を2021年1月のすべてがバーチャルで行われたCESで発表し、6月に公式「ローンチ」した。その後、沈黙が続いてきた。

関連記事:ソニーがフルサイズミラーレス一眼αを搭載するドローン「AirPeak」発表

米国時間12月1日、ソニーはAirPeakが2021年に発売されると発表した。この製品の予約は12月1日から始まり、出荷予定日は12月24日となっている。すでに何でも持っている撮影監督であるあなたへの、少し遅れたクリスマスプレゼントとなるだろう。

予想どおり、ソニーのドローン進出は安いものではなく、希望小売価格は9000ドル(約101万7000円)だ。ソニーの非常に優秀なミラーレスカメラを飛ばすために設計されたクアッドコプターとプロペラ2組、バッテリー2個、充電器、リモコンがセットになっている。

前述のカメラ、レンズ、そしてそのカメラ用のジンバルはいずれも別売りだ。ジンバルはさらに2200ドル(約24万9000円)となっている。さらにクラウド保存やジオフェンシングなどができる「Airpeak Plus」を1年間利用するのであれば、300ドル(約3万4000円)を追加することになる。

現在、世界のドローン市場の70%を占めるというDJIに、ソニーが真っ向勝負を挑むのはまだ早いだろう。しかし、イメージング製品の成功を利用して、カメラ専用のカスタムリグを設計しようとしているため、その狙いは明らかだ。

Airpeak S1は、α1、α7S、α7R s、α9、FX3といったのカメラに対応している。

画像クレジット:Sony

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Amazon Music Unlimited会員はヘッドフォンを問わず空間オーディオをストリーミングできるように

Amazon(アマゾン)は、米国時間10月19日からAmazon Music Unlimited会員はAndroidおよびiOSアプリで、現在使用しているヘッドフォンを使って空間オーディオをストリーミングできると発表した。同社は現在、2種類の空間オーディオをサポートしている。ソニーの「Reality Audio」と「Dolby Atmos」だ。

Amazonは2019年に初めて空間オーディオを導入したが、少数のデバイスに限定されていた。今回の拡張により、ユーザーが所有するあらゆるヘッドホンで空間オーディオを楽しめるようになる。

「我々は常に、可能な限り最高品質のオーディオが音楽ストリーミングの標準であるべきだと考えてきました。だからこそ今日、特別な機器を必要とせず、またアップグレードの必要もない空間オーディオを顧客に提供します」と、Amazon Music副社長のSteve Boom(スティーブ・ブーム)氏は声明の中で述べた。

ユーザーは、Echo Studioを含む一部のデバイスで、Alexa Castを使って空間オーディオをストリーミングすることもできる。また、Alexa Castによる360 Reality Audioに対応した機器としては、ソニーのワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」や「SRS-RA3000」、ホームシアターシステム「HT-A9」「HT-A7000」「HT-A5000」などが追加された。

加えて「Amazon Music Unlimited」の個人プラン、ファミリープラン、学生プランに加入しているユーザーは、追加料金なしで自動的にHDおよびUltra HDの音楽にアクセスできるようになる。

Amazon Music Unlimited個人プランの料金は、プライム会員が月額7.99ドル(日本では月額税込780円)、Amazonカスタマーが月額9.99ドル(月額税込980円)となっている。ファミリープランでは、月額14.99ドル(月額税込1480円)で最大6台のデバイスにAmazon Music Unlimitedをストリーミングできる。

Apple Musicが6月にiOS向け、7月にAndroid向けに空間オーディオを開始したように、空間オーディオを活用している音楽ストリーミングサービスはAmazon Musicだけではない。Apple MusicやAmazon Musicに対抗するため、Spotify(スポティファイ)は2021年初め、ロスレスオーディオを可能にするハイエンドのサブスクリプションサービス「Spotify HiFi」を展開すると発表した。

空間オーディオを活用しようとしているプラットフォームは、音楽ストリーミングサービスだけではないことも注目に値する。Clubhouse(クラブハウス)は9月、Android向けに空間オーディオを導入した。そしてNetflix(ネットフリックス)はこのほど、iPhoneとiPadのアプリで空間オーディオを提供すると発表した。

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Apple Musicが空間オーディオとロスレスオーディオの提供を開始
Apple Musicの空間オーディオとロスレスストリーミングがAndroidでも利用可能に
Spotifyが要望の多かった高品質サブスクプラン「Spotify HiFi」を提供へ
Clubhouseが後からも聞けるようになってシェアしやすく、録音、共有など4つの新機能追加
NetflixがiPhoneとiPadで空間オーディオ導入へ、同業他社に対抗

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

インドの新しい決済ルール発効による影響に備えるテックジャイアントたち

世界第2位のインターネット市場であるインドで、中央銀行が定期的支払いを処理するための新たな指令を施行したことにともない、Apple(アップル)、Sony(ソニー)、Google(グーグル)、Zoom(ズーム)、PayPal(ペイパル)などのハイテク企業や多くの銀行が、インドの顧客やパートナーに対して、取引の拒否が急増することを予想して注意を促している。

インド時間10月1日に発効したインド準備銀行(RBI、インドの中央銀行)の指令は、銀行、金融機関、ペイメントゲートウェイが5000インドルピー(約7490円)以上の自動更新される取引に対して、通知、電子マンデート、AFA(Additional Factors of Authentication、要素追加認証)を介して、ユーザーから追加の承認を得ることを求めている。この指令は、クレジットカードだけでなく、デビットカードのすべての取引にも影響する。

2019年に初めて発表されたこの指令は、2021年4月に発効する予定だったが、銀行などの影響を受ける業者が、遵守するための準備が十分ではないと主張したため、9月30日まで延長された。

中央銀行は、業界の対応に不満があったようで、3月には「延長された期限を超えてフレームワークの完全な遵守を確保するのが遅れれば、厳しい監督措置を取ることになる」と述べていた。

インド準備銀行は、2019年に行われた当初の案内時点で、このフレームワークは「リスク軽減と顧客の簡便化のための措置」として機能するようにデザインされていると述べ、こうした取引を処理する業者は「実際の請求の少なくとも24時間前に、顧客の指定に応じてSMSまたは電子メールで取引前通知を顧客に送信しなければならない」としていた。

複数の企業が、顧客や、場合によっては他のビジネスパートナーに対して、新しい指令についての注意を促している。

水曜日(インド時間9月29日)には、Appleは開発者に対して、この新しい指令によって「要件を満たさない一部の取引は、銀行またはカード発行会社によって拒否されるでしょう」と注意を促した。

インド最大の民間銀行であるHDFCは、ウェブサイトに以下のメッセージを掲載した。「ご注意:2021年10月1日より、HDFC銀行のクレジットカードやデビットカードを使って、加盟店のウェブサイトやアプリで行われた自動引落(定期的な支払いを処理するための電子指示)は、RBI(インド準備銀行)が定めたプロセスに準拠していない限り、承認されません」。HDFC、Axis、Kotakを含む複数の銀行が、今週、新ルールを遵守することを発表している。

2021年5月には、GoogleはPlay Storeでの定期的な支払いを行う新規顧客の登録を停止している。同社は開発者に対して「このエコシステムの課題が解決されるまで」、無料トライアルや導入価格をアプリから削除するよう求めた。YouTubeは、プレミアムサービスに対して、プリペイド方式の、使った分だけ支払い(pay as you go)方法のみをサポートするようになった

また同じ月にAmazonは、追って通知があるまで、Amazonプライムの無料体験への新規会員登録を「一時的に」中止すると発表した。その後、新たな通知は行われていない。

この指令は、リテールバンクの連合体が構築した決済インフラであるUPIを通じた定期的な支払いには影響しない。そのため、Netflix(ネットフリックス)をはじめとするいくつかの企業は、インド国内のUPIを使った自動支払いをサポートしている。

しかし、影響は広範囲に及ぶと思われる。あるフィンテック企業の創業者がTechCrunchに語ったところによると、彼らがFacebookやGoogleで広告を出すために利用している決済サービス会社が、中央銀行のルールを理由に、今週後半から自動決済は処理されないと通知してきたそうだ。この創業者は、デリケートだと思う内容を話すために匿名を希望した。

この新ルールは、インド中央銀行が近年提案または施行してきた一連のガイドラインの中で最新のものだ。Pratik Bhakta(プラティック・バクタ)氏がThe CapTable(キャップ・テーブル)に投稿した概要によると、今回の動きは、規制当局がユーザーのために革新を行うフィンテックスタートアップの普及を奨励している一方で、消費者を傷つけようとしている傾向がないかをRBIが注意深く見守っていることを示しているものだという。

RBIの副総裁であるT Rabi Sankar(T・ラヴィ・サンカー)氏は、今週初めに開催された会議で「法律が追いつくまでは、破壊的ではない方法で金融システムがデジタル・イノベーションを吸収できるよう、規制を適応させなければなりません」と述べ「すべての利害関係者が短期的な利益よりも長期的な改善を重視し、インフォームド・コンセントやデータ利用の透明性といった、成熟した慣行を浸透させてこそ、繁栄し成熟した決済システムに到達することができるでしょう」と語っている。

ソニーは、インド時間9月30日にPlayStation Plus(プレイステーション・プラス)の加入者に宛てた電子メールで「2021年9月30日以降、PlayStation Store(プレイステーション・ストア)でPlayStation Plusのためのサブスクリプション料を支払おうとする際に、クレジットカードおよび / またはデビットカードの支払いが失敗することがあります」と伝えている。

「これは、新規にサブスクリプションを始める場合と、定期的な支払いの両者に適用されます。このため、今後自動的に課金されるように設定されたPlayStation Plusの利用料の支払いが失敗する可能性があります。もしそうなった場合、お客様のPlayStation Plusのサブスクリプションはその時点で終了となります」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

ソニーがPS5版「デモンズソウル」を手がけたリメイク&リマスタースタジオBluepoint Gameを買収

ソニーがPS5版「Demon’s Souls(デモンズソウル)」やPS4版「Shadow of the Colossus(ワンダと巨像)」のリメイクで知られる、オースティンを拠点とするスタジオBluepoint Gamesを買収した。この買収の財務的な条件は明らかにされていない。ソニーがBluepointを買収するという噂は、ソニーが6月下旬に「Returnal(リターナル)」の開発元であるHousemarqueを買収した頃からネット上で広まり始めていた。ソニーは、Bluepointが今後も過去の作品のリマスターに注力するのか、それともPlayStation Studiosファミリーの一員となったことで全く新しいIPに取り組むのかについては言及していない。

Bluepoint GamesのMarco Thrush(マルコ・スラッシュ)社長はこう述べている。「PlayStationにはゲーム業界を代表する作品がたくさんあり、当社にとって、名作ゲームを新たなプレイヤーにお届けできることは何よりの喜びです。 PlayStation Studiosの一員になることで、私たちのチームはクオリティーの水準をさらに高め、今まで以上にインパクトのある作品をPlayStationコミュニティーにお届けします」。

本日の発表をもって、ソニーは過去1年間に3つのスタジオを買収した。この数字は、2019年に行ったSpider-Man(スパイダーマン)の開発会社Insomniac Gamesの買収を含めると、2年ほどの間に4社に増える。以前はファーストパーティのラインナップを強化するために外部の開発者を買収することにはあまり積極的でなかった同社にとって、これは大きな変化といえる。しかし、この1年で多くのことが変わった。Microsoft(マイクロソフト)が75億ドル(当時約7900億円)を投じてBethesda(ベセスダ)の親会社ZeniMax Mediaを買収したことで、ファンの要望が多い「Starfield(スターフィールド)」のようなゲームの多くがPlayStationでリリースされなくなった。ソニーは後れをとらないために、Bluepointにいるような人材を必要としている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Sony

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)