Disrupt SF 2019のStartup BattlefieldはRenderが優勝

選抜された20社のスタートアップが2日間の熾烈な戦いを繰り広げ、今年の勝者が決まった。

Startup Battlefieldは競争の激しいピッチコンテストなので、参加を申し込んだ時点ですでにふるいにかけられる。そして選ばれた20社が複数のVCグループとテクノロジー業界のリーダーたちの前でプレゼンテーションを行い、10万ドルの賞金と優勝カップを争った。

審査員たちは何時間も評議し、その後TechCrunchが彼らのメモを集めて検討し、5社に絞り込んだ。決勝に進んだのは、OmniVisOrbit FabRenderStrattyX、そしてTrapticだ。

これら5社のスタートアップが、新しい審査員団の前で決勝のデモを披露した。審査員は、Kleiner PerkinsのMamoon Hamid(マムーン・ハミッド)氏、Sound VenturesのAshton Kutcher(アシュトン・クッチャー)氏、SequoiaのAlfred Lin(アルフレッド・リン)氏、Lumi LabsのMarissa Mayer(マリッサ・メイヤー)氏、Floodgate VenturesのAnn Miura-Ko(アン・ミウラ-コー)氏、そしてTechCrunch編集長のMatthew Panzarino(マシュー・パンツァリーノ)だ。

優勝:Render

Renderは、マネージドクラウドのプラットホームを開発。同社は、AWSやAzure、GCPなど従来のクラウドプロバイダーとは異なるサービスを目指し、特にデプロイの自動化やHerokuを思わせるアプリケーション管理の抽象化などによる、より管理の容易なインフラストラクチャを提供している。

Renderの詳しい記事

準優勝:OmniVis

OmniVisは、コレラなどの病原体の検出を妊娠検査のように迅速かつ簡単、そして安価にチェックできる。スマートフォン上での検査なので、大量の人命を救えると期待されている。

OmniVisの詳しい記事

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Factory Berlinは欧州最大のスタートアップ向けクラブ

Factory Berlinのスタートアップによると、ここは単なるコワーキングスペースではない。ニューヨーク市にあるAndy Warholの著名なスタジオ「Factory」から名前をとったこの会社は、「ヨーロッパ最大のスタートアップのためのクラブ」だと自称している。

昨年末、我々はGörlitzer Parkにある、Factory Berlinの5階建て/1万4000平方mの拠点を訪れた。この建物は、スタートアップがワークスペースを借りることができるが、ツアーの最中に複数の起業家と話す機会を得て、彼らはここが本当のコミュニティだと説明した。

「コミュニティの一員であることは、外の世界から孤立しないことを意味します」Code University設立者のTom Bachem氏は語る。「あるいは特にベルリンにおいて、素晴らしいスタートアップのエコシステムがコミュニティに統合されているのです」。

DonutのNeel Popat氏は、Factoryのブロックチェーンイベントやショーケースが大いなるメリットだとし、またNew SchoolのKip Carter氏は彼のチームが子供と共に働くエキスパートを見つけるために、Factoryのメッセージアプリを使っていると語った。

|Pipe|設立者でCEOのSimon Hossell氏は、Factoryがベルリン出身でない起業家にとって素晴らしい拠点だったとしている。「初めてきた場所や外国人にとって、お互いに助け合い、励ましあうスマートで知的な同士のグループが、常に存在することは事実です」。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

なぜMagic Leapに大金を投ずるのか?

もしもMagic Leapがコケても、同社を疑っていた人たちは少なくとも、その巨額の資本を調達する目ざとい能力だけは賞賛せざるをえないだろう。

同社は米国時間4月26日、日本最大のモバイル事業者NTTドコモと新たに2億8000万ドル(約312億円)の契約を締結したことを発表した。これにより、同社の絶えず増え続けている総調達額は26億ドルに達する。この契約は昨年のAT&Tからの、同じくクラウド指向の投資に続くものだ。

ドコモの吉澤和弘社長は、プレスリリースでこう述べている。「ドコモは高度なMRサービスの共同開発とオープンなイノベーションによるXRマーケットの拡張を志向しており、そのために、Magic Leapが提供するSpatial Computingのような革新的な技術と、5Gネットワークや7000万人の会員ベースといったドコモの強みを結びつけていきたい」。

この新しいお金がやってきたタイミングは、同社がMagicverseにさらに注力していこうとしている時期と一致する。それは空間にマップされるデジタルインフラストラクチャの層で、クラウドから提供されるAR体験の基礎となるものだ。最近の市場の動向を見てMagic Leapは、ハードウェアよりもクラウドプラットホームに傾注する気になったらしいが、でもクラウドはMicrosoftやAmazon、Googleなど多くの先輩たちがやはりAR/VRにフォーカスしているから、その中でのMagic Leapのアドバンテージはまだよくわからない。

確かに、5Gがあるからこそ世界の通信大手とのパートナーシップもあるわけだけど、でもそのハードウェアへの期待(とその大きな市場)が5Gに比べてはるかに実現性が危ういとしたら、これら有名大企業との結びつきは今後どうなるのか。

同社はこれまでハードウェアに大金を投じているが、そのビジネスは、同社が消費者企業としての意欲を継続するかぎり、FacebookのOculus(すなわち歩みののろい金食い虫)と大差ないのかもしれない。同社の唯一の製品Magic Leap Oneは、小売定価が2295ドルだ。

関連記事: Magic Leap and other AR startups have a rough 2019 ahead of them(2019年はARスタートアップにとって厳しい、未訳)

最初のころは、Magic Leapが追究していたハードウェアは前例のないものだったが、やがて現実が追いついてきた。今では、同社が作ったものとMicrosoftなどのコンペティターが作ったものとの違いはとても小さい。ただしHoloLensはMicrosoftのAzureクラウドサービスを利用する先進的な企業のためのツールという位置づけであり、一方Magic LeapはVRゲームのデベロッパーに忠誠を誓っている。彼らが時間とお金を投じて作る芸術的なミニゲームのプラットホームは、それ自身すでにニッチである仮想現実の市場よりもさらに、ユーザー数が乏しい。

Magic Leapは4億8000万ドルの軍用ARの契約に入札したが、それはMicrosoftに行った

Facebookはゲームの開発に数億ドルを投じている。たしかにMagic Leapには、投資家のお金を注ぎ込む場所として、コンテンツの開発に直接ではなく、もっといい場所がある。でも全面的な消費者向けリリースを大規模展開するためには、そのためのインフラストラクチャがまずないと近道はあまりない。

ところで、そのツケはどこが払うのだろうか?ドコモだろう、今回は。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

週4時間働けばよいという考え方に反論する

[著者:Daniel Tawfik]

VonjourおよびZen Patientの創設者

カンファレンスやネットワーク・イベントなどに参加すると、この技術業界の周囲で働いている人の多さに驚かされることがある。ソーシャル・メディアの教祖的な人たち、サーチエンジン最適化の忍者、ブロガーなどなど。まさに、技術業界の「クラブ・プロモーター」の同人会だ。業界の煽り屋だ。

「成功するには自分の人生をハックせよ(近道せよ)」「適切な人に会え」「ビジネスのスーパースターになれ」。彼らは自分の特効薬を持っている。世界を旅しながら、ウェブ・ビジネスからの受動的所得で稼いでいることを自慢して歩いている。その間、私たち庶民は、9時から5時の仕事でこき使われている。

私たちが特効薬を探しまわっている世界では、こうした人たちが武器を蓄えているように思える。さらに、彼らにはその特効薬を売りつける大勢の客がいる。

もっともわかりやすい例として挙げられるのが、Tim Ferrissの「4-Hour Workweek」(1週間に4時間だけ働く)という教えの信者たちだ。この本自体は、それほど問題ではない。仕事で最高の投資利益率を得るための、資産管理の面白いコツを説明する内容だからだ。しかし気になるのは、成功への道をハックせよという考え方だ。これが起業家仲間に広まっている。

この考え方は、起業家精神について私が知っていたあらゆることに反している。素晴らしいアイデアを思いついたら、そのコーディングができる若者を大学から釣り上げたり、安価な開発業者に開発をアウトソーシングするという考え方だ。起業家精神とは、ネットワーク・イベントの連続であり、資金集めの会合であり、彼らの特効薬を使ってコネクションを持つことだと思っている。実際の流通戦略とは反対だ。大変に難しい仕事には消極的なアプローチだ。

ここに欠落しているのは、職人精神だ。専門的な技能であり、自分が作るものに気持ちを集中させることだ。実際にそれが、成功への第一の力となる。近道をつなげてバクチを重ねるのとは訳が違う。

この業界の周辺ではどうだろう。技術業界のセレブたちがTwitterでタオルを振り回したり、TechCrunchにゴシップを流したり、そんなことはビジネスや職業の基礎を築くにあたって、なんの意味もない。どんなにたくさん会議の予定を詰め込んでも、ネットワーク会議に参加しても同じことだ。重要度はせいぜい三番目。下手をすれば、単なる気晴らしだ。

スタートアップの墓場は
その夢を実現させる専門知識も
適切なスキルも持たない
夢想家で埋め尽くされている

仕事で成功するためには、専門知識の獲得と集積が欠かせない。どんな仕事であれ、専門知識を活用するか、傍観者でいるかのどちらかしかない。物事を動かすのは専門知識を持つ者だ。好奇心から得られた専門知識と、自分が作りたいものに真剣に立ち向かう姿勢だ。

スタートアップは、その性質上、開発のための専門知識の短期集中コースだ。リソースが完全に乏しいことが、スタートアップをユニークな存在にしている。リソースがないからこそ、創設者は早くスキルを身につけ、プロジェクトに要求される技能の獲得を強いられる。

「◯◯のやり方がわからない。だから勉強しなければ」というのは、成功した創設者からよく聞く言葉だ。「◯◯のやり方がわからなかった。だから諦めるかどうかを考えなければ」というのは、失敗した創設者からよく言う言葉だ。

ひとつ上のものにチャレンジすれば、スタートアップは教師そのものであると気がつくはずだ。スタートアップが生き残るために急いで知識を積み上げなければならないという要求に勝る有り難い教師は、他にない。

技術系の創設者は、大きな会社だったなら、その経験によって専門家の役割を押しつけられるだろうが、隣接する技術分野に順応し、より多くの専門知識を身につけることは大切だ。そうした仕事を他の専門家に委任できるだけの人財はないからだ。

セールスであれ、経理であれ、マーケティングであれ、管理であれデザインであれ、別の分野の仕事を行うことも同じだ。若い企業では、その役割を担える人財がないのだから、自分が興味を持ってそれに取り組むしかないのだ。

そうした未知の分野で苦労し、逆風に立ち向かうことで、スタートアップとは、職業と人格形成のための触媒なのだということがハッキリと見えてくる。外的な力の気まぐれで成功したベンチャー・プロジェクトも実際にはあるが、こうした成長は、金には換えられない報酬であり、値段の付けられない経験をもたらしてくれる。

だから、受動的な「4時間の考え方」は自滅的なのだ。ビーチでくつろいだり、世界を旅することばかりで、自分の専門知識という武器を積極的に磨こうとしないのは、職業過誤と言える。

それは現実的ですらない。真面目にやっている企業は、受動的に成長しているわけではない。受動的な考え方は、「すごいアイデアを思いついたから、人を雇って作らせよう」とか「売り上げを伸ばしてくれる素晴らしいコネがある」という言動に人を走らせてしまう。アームチェアに座った夢想家は、私が動いている間も働かない。スタートアップの墓場は、その夢を実現させる専門知識も適切なスキルも持たない夢想家で埋め尽くされている。理由はひとつ。アイデアは自動的に物になることはないのだ。高いスキルを駆使した真剣な努力によってのみ実現される。

とくに大切なのは、ビジネスを、近道と取り引き関係の連続だと思っている限り、自分自身とビジネスの未来を成功に導く経験を積み重ねることはできないということだ。もちろん、創設者に専門知識があっても失敗するスタートアップはある。それは単に、専門知識が不足していたためだ。しかし専門知識は、経験を重ねてゆく間に、ビジネスを生み出す苦労を乗り越えることもある。目の前のアイデアに取り組んでいる間に、次のプロジェクトのための知識も蓄えられているのだ。

これは、イーロン・マスクのような人間が、最高レベルの問題を解決するための知識を持って、プロジェクトからプロジェクトへ、セクターからセクターへと飛び回る、そんな職人的な専門性と考え方だ。面白いアイデアを思いつくのは、単にその人に能力があるからだけではない。それは、ビジネスの分野で、自分のやり方で仕事ができる技量があるからだ。彼は自分のビジネスの学際的な学生の典型だ。

あらゆるものに最適化すれば、長期的に最適化が可能になる。今からビジネスのチャレンジを利用して、作りたいものに必要な技術を積み上げるのだ。あらゆるベンチャーが成功するという保証はないが、専門知識と技術を高めれば、長く仕事を続けてゆくうちに、幸運は自分の望む方向へ近づいてきてくれる。

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(翻訳:金井哲夫)

社長がやらないことは全部やる——スタートアップ企業の“右腕”たちの想い

左からグロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパルの東明宏氏、メルカリ取締役の小泉文明氏、CAリワード取締役の児玉悠佑氏、エウレカ共同創業者で取締役副社長COO兼CFOの西川順氏、サイバーエージェント・クラウドファンディング取締役の坊垣佳奈氏

左からグロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパルの東明宏氏、メルカリ取締役の小泉文明氏、CAリワード取締役の児玉悠佑氏、エウレカ共同創業者で取締役副社長COO兼CFOの西川順氏、サイバーエージェント・クラウドファンディング取締役の坊垣佳奈氏(Photographed by 小林俊仁)

TechCrunchにしても他のメディアにしても、スタートアップがサービスをローンチしたり、資金調達の発表をしたりする際、いつもフォーカスされるのは起業家、すなわち「No.1」であることがほとんどだ。

しかし組織はトップがいるだけでは成り立たない。トップを支える「No.2」の存在あってこそ。だがそんなNo.2について語られることは極めて少ない。2015年12月にエウレカが主催した「ベンチャーNo.2サミット」では、そんな“縁の下の力持ち”たちが集合。トップとの接し方、組織の中での役割などを語った。

登壇したのはフリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリ取締役の小泉文明氏、マッチングサービス「paris」などを運営するエウレカ共同創業者で取締役副社長COO兼CFOの西川順氏、リワード広告を手がけるCAリワード取締役の児玉悠佑氏、クラウドファンディング「Makuake」を運営するサイバーエージェント・クラウドファンディング取締役の坊垣佳奈氏の4人。グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパルの東明宏氏がモデレーターを務める中、3時間半にわたるセッションが繰り広げられた。

イベントは2部構成になっており、1部では登壇者4人が現在の会社に参画することになったきっかけや、各社の社長の性格、自社の特徴、現在に至るまでの苦労話などが赤裸々に語られた。そして第2部では、東氏が質問を投げかけ、4人が回答するかたちでセッションが進めらられた。

東氏はまず、それぞれの会社のNo.1とNo.2の関係性についてひと言で表すとどうなるか?と尋ねる。4人の回答はそれぞれ次のとおり。

メルカリ(山田進太郎氏×小泉文明氏)
「無茶」と「無理」(無茶を言うNo.1とその無茶な話を「無理そう…」くらいにして現場に落とし込むNo.2ということ)

エウレカ(赤坂優氏×西川順氏)
「子供」と「大人」

CAリワード(堂前紀郎氏×児玉悠佑氏)
「マイペース」と「規律」

サイバーエージェント・クラウドファンディング(中山亮太郎氏x坊垣佳奈氏)
「ざっくり」と「細かい」

表現は4人で異なるものの、共通していたのは、「No.1にはビジョンを描いていて欲しい」ということだ。むちゃくちゃなことを要求したり、漠然としたビジョンを語ったりして、トップには「心」で組織を引っ張っていって欲しいとメルカリの小泉氏は話す。

「No.2」は意識しないし、独自の仕事があるわけではない

「自分はもともとNo.2気質だったか?」という質問に対しては、小泉氏以外の3人が「はい」と回答した。だが仕事をする上では、役職としてNo.2のタイトルを持っているだけで、“No.2だから”やる仕事はない、と全員が答えていた。

「(立ち上げ期に)実際社長と(自分の)2人しかいないくて。それで会社が伸びていったら…気付いたら『役員やってよ』と(言われるような)感じだった」とCAリワードの児玉氏。一方でエウレカの西川氏は「赤坂より会社のこと考えてるっていつも思っている。創業当時は……No.2かどうかと定義されればNo.2だが、2人ともフルマックスで働いていたので社長とかNo.2とかは関係なかった。今は赤坂に社長業に専念してもらって、私の役割は赤坂のやりたくないことを全部やるっていうことかな、と思っている。赤坂はやりたくないことが多すぎるから(笑)」

バランスの悪さが社長の良さ、だからこそNo.2が計画を遂行する

東氏からの質問の中で、表現の仕方は違えど、回答が全員一致したものがある。それは「No.1とNo.2の役割の違いを一言で表すと?」というもの。これには全員が、「No.1は理想や夢を語る人、ビジョンを描く人」と答え、一方でNo.2は、「現実を見る人、理想を実現化する人、アクションを起こす人」と答えた。

「社長は大体オペレーション能力がない。だから社長をやっている。そこをどう上手くハンドリングさせるのかがNo.2の腕の見せ所だと思う」(小泉氏)

「(No.2は)通訳。(No.1は)ふわっとしたことを言うんですよ。『なんかヤバい!』とか。そういうことを具体的に言葉に落としていって、ちゃんとプロジェクトにするのが仕事」(西川氏)

理想のNo.2像とは

「(No.1は)自由にやっていたい。そして(No.2は)これをやっておきました、と(No.1に報告してくれる)。そういうのをやってくれる人は(No.2として)すごく欲しいです。」(児玉)

「No.1はざっくりでいい。No.2の私たちは細くないといけない。逆に(No.1に)細かいところ言われるとちょっとイラッとしますね(笑)」(坊垣)

イベントを通じて感じた「No.2のあり方」とは、トップ、あるいはファウンダーと同じくらいにサービスやプロダクトのことを考えると同時に、社長との組み合わせを考え、組織の構成の中で自分のできることを120%やりぬく気概を持っている、ということだった。

個性が強く、理想を語るトップの考えをいかに実行に移していくか、社員とのコミュニケーションをどのようにつないでいくか。時に柔軟に、時に強く、仕事を遂行している気鋭企業のNo.2たちの姿を垣間見ることができた。

結果がすべてを癒やす——イグジットした起業家がエンジェル投資をする意義とは

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昨日僕は、イグジットした起業家の投資に関わる記事を書いた。そして記事の公開後、あらためて起業家兼エンジェルを中心に、多くのスタートアップ業界関係者とその内容の是非について話をすることになり、起業家の本業とエンジェル投資のあり方についてもさまざま意見を聞くことができた。元記事で説明しきれなかった話ともあわせて、ここで整理して紹介したい。

やはり「本業ありき」ではないか

特定の企業を指しての話ではないという前提で、あらためて言うと、一度イグジットした起業家が(代表を続ける、M&Aであればロックアップが外れるまで事業を担当するという意味で)責任を持つ限りは、まず本業に注力することが重要だと思っている。M&AであろうがIPOであろうがKPIや業績を伸ばさないといけないし、IPOしたなら株価の維持・向上を目指さないといけない。

もちろん例外的な話を挙げればキリはないだろう。例えばM&Aの場合、売却先と求めているゴールが——内的要因であれ、自分たちでコントロールできないような外的要因であれ——ズレてしまうというケースもあると聞く。そういった話はあっても、基本的には本業ありきだ。買収先も、市場の投資家も、スタートアップの現状だけでなく未来を期待して彼らを買うのが市場の原理ではないだろうか。

本業で最終的な結果を出してから投資をしないと…なんて厳密なことを言うつもりはない。でも本業が厳しい状況で起業家がエンジェル投資に注力しているなんて話を聞けば、買い手がどう見るか、どう考えるかを意識する必要があるのは当然ではないか、ということだ(あとは、取締役会などを通じた社内との合意形成なんかも大事かもしれない)。

成功者がリスクマネーを出す意味は大きい

その話とは別に、成功者が挑戦者に対してリスクマネーや知恵を提供することは本当に価値があると思っている。いくらVCや投資を受けた事業会社の担当者が相談に乗ったところで、起業家同士でないと共有できない悩みやトラブルだってある。エンジェル投資をする側の起業家は「投資することが自分の知見になる」と語っていた。投資する側にとっても情報収集や思考の整理、業界のリサーチなど、自身の学びになるということは大きい。

また成功者、すなわちイグジットした起業家というのは、自分たちがリスクマネーを得て成功しているわけだ。ある起業家は「そんな(リスクマネーを得て成功した)人間が自分の興味がある分野にリスクマネーを提供しないでどうするのか」と語った。玉石混交のエンジェル投資は、リターンを求めると決して効率がいい投資とは言えない。だけれども成功者は、若きスタートアップのチャレンジに興味があるから、エコシステムを回そうとするから、率先してリスクマネーを出すのだという。「もちろん本業もあるが、投資にはタイミングがある。エコシステムのことを考えれば、投資によってノウハウが回るだけでも価値になる」(ある起業家)

余談めいた話になるのだが、本業の状況に関わらずスタートアップに出資するべきという話をする中で、「キャバクラや旅行で100万円払うなら、若いスタートアップに100万円出資した方が、世の中はよくなる」と語る起業家がいた。その例え話に笑ってしまったが、内容としてはごもっともな話だ。本業ありきとは書いたが、その話とは別で、豪遊するくらいならば、是非とも若い起業家の成長を応援してほしい。ただ勘違いしないで欲しいのだけれど、別に起業家に極度の禁欲を求めている訳でもない。

シリコンバレーのスタートアップを支えるエンジェル

それこそシリコンバレーのスタートアップなら、同じようなステージのスタートアップや界隈の「ちょっとしたお金持ち」が出資することだって日本よりもはるかに多いと指摘する起業家がいた。日本のエンジェルは100〜200人、対してシリコンバレーのエンジェルは20万人とも言われている。彼らを源泉としたリスクマネー、そしてその知恵の積み重ねは、シリコンバレーのスタートアップの土台を支える1つの要素になっている。

シリコンバレーつながりで話をすれば、PayPalの成功後にTesla MotorsやSpaceXを立ち上げ、さらに投資を行うElon Musk氏、TwitterとSquareの代表を兼ねたこともあり、また投資家としても活躍するJack Dorsey氏なんていうずば抜けた存在がある。イグジット経験があるが今は本業のグロース中。そんな希代の起業家も、本業を複数持ちつつ、シリコンバレーのスタートアップエコシステムを回す存在になっている。こういった背景を踏まえれば、本業の結果というのはあくまでも原則論で、リスクマネーが流れること自体が重要だという考え方もできるだろう。

スタートアップが「内輪ごと」で終わらないために

起業家によるエンジェル投資について、数人の関係者から「(投資の事実を公開せず、)黙ってやるのが一番いい」というコメントも得た。買収先や株主の目線を意識すれば、僕はそれに堂々と賛成だとは言えない。だが、本業の苦しさで対外的に指摘を受けるくらいなら、黙ってこっそりエンジェル投資をしたほうがいいという意見には反論しにくい。

ちなみに元記事で名前を挙げた起業家兼エンジェルは、あくまで個人投資をしていることを公言している人物というだけだ。各社の本業の状況をひとくくりにして是非を問うような意図はない。名前こそ出していないが、彼らよりも積極的に投資を行っている起業家は数多くいる。

そんなことを言いながら、なぜ「本業ありき、市場の目線を意識するべき」と書いたのか。それは、この数年で成熟してきたスタートアップのエコシステムが、「ムラ」とでも呼ぶような、内輪ごとになりがちなことに、危機感とまで言わないが不安を持っているからだ。

上場企業を取材対象にする全国紙やビジネス誌の記者や証券会社をはじめとした金融業界関係者、そのほか「市場」に近い人たちと話したとき、スタートアップ界隈の「未成熟さ」についてツッコミが入ることは少なくない。元記事にもあるが、例えばIPOまわりの話で言うと、去年一昨年で上場直後の下方修正が何度あったのか? 上場承認後の取り消しがなぜ続いたのか? となる。

日本でスタートアップが時価総額数千億円、数兆円規模の会社を作るとなれば、株式市場を無視することなんてできないはずだ。なのに彼らのロジックにスタートアップの状況を当てはめると、たとえスタートアップコミュニティで評価されている会社ですら、ツッコミに反論ができないことがある。

本当に世界を変える挑戦をしている起業家がそんなことで批判されるのは、僕はもうなんというか、ものすごく悔しい。僕がスタートアップ(当時はそんな言葉はなかったけど)に初めて関わったのはちょうど10年前。10年前の1月といえばライブドアショックが起こったタイミングだ。そこからやっとここまでスタートアップのエコシステムもコミュニティもできてきたのだ。だからこそ、スタートアップ関係者には市場や世の中と、きっちり対話できるようになって欲しいと思っている。

成長が、結果がすべてを癒やす

こんな話をずっと続けていたのだけれど、最後にある起業家が語った言葉を紹介したい。たまたまなのかこの話こそが起業家の本質だからか、このあと数人の業界関係者から同じようなメッセージをもらうことになった。

「GoogleがYouTubeを買収したときも、FacebookがInstagramを買収したときも非難ごうごうだった。どこか一点(のタイミング)で切って(本業の是非について)判断をするのも難しい。ならば結局は、結果を出すしかない」

成長が、結果が、スタートアップのすべてを癒やすのだという。事業を続けていれば時には苦しい時期だってある。いや、苦しい時期ばかりかもしれない。起業家についてまわるのは、つまるところ結果に対する責任だ。苦しい時期があっても、最後にどうなったか、その結果がすべてなのだという。それならば苦しい局面において外から何を言われようが、結果に突き進むしかない。

ではそんな起業家を追いかける僕らはどうするべきか? 挑戦し続ける彼らについて、苦しいときも、結果を出したときも、そしてその先のさらなる挑戦についても、ずっと取材し、紹介していくだけだ。これからも起業家と対話し、その成長を公平な目線で追いかけて行きたい。

優勝は経沢香保子氏のベビーシッターアプリ「キッズライン」――IVSのプレゼンバトル

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6月11日、12日と宮崎で開催中の招待制イベント「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット 2015 Spring Miyazaki」(IVS)で、スタートアップ起業のピッチコンテスト「Launch Pad」が行われた。今回は13社がサービスやアプリでプレゼンしたので、13社のサービス・アプリについて紹介しよう。優勝したのはベビーシッターと利用者をマッチするモバイルアプリ「キッズライン」だった。

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・株式会社カラーズ 日本にベビーシッターの文化を「KIDSLINE(キッズライン)」

今回優勝したのは女性起業家の経沢香保子氏が取り組む、ベビーシッターと利用者のマッチングアプリ「キッズライン」。入会金5万円、1年の年会費、1時間辺り2000円といった、従来の高額なベビーシッターサービスに対して、モバイルで徹底的に合理化し、初期費用なしの1時間1000円から利用できるサービス。クレジットカード登録で24時間利用できる。ベビーシッターへの支払いや、カラーズの20%の取り分を含めても、まだ従来型サービスの1/3の価格を実現できたという。価格が安くなったことから、潜在利用層にリーチできているといい、現在は毎月150%で利用が増えている状況という。多くのシェアリング系サービス同様に、利用者、サービス提供者側のプロフィールや相互評価の透明化や、ソーシャルグラフ上の友人らのコメントなども表示。これまで密室で行われていたものを可視化しているのもポイントという。経沢氏は3人の子の母という立場から、子育てが女性の社会参画への大きな障害になっていることを指摘し、ベビーシッターという文化を日本にも広めたいと語った。

・CART!VATOR 世界最小の空飛ぶクルマ「SkyDrive

CART!VATORは「SkyDrive」と名づけた空飛ぶクルマを作っているスタートアップだ。というと、ぶっ飛んでるようにも思えるが、実はすでにスロバキアやアメリカなどに空飛ぶ自動車を作っているスタートアップ自体はあるそうだ。ただ問題は2つあり、1つは滑走路が必要なこと、もう1つは操縦が飛行機なみに難しいこと。そこでSkyDriveはマルチコプター方式を採用してセグウェイのような体重移動による容易な操縦を可能にするという。パイロットライセンスは不要。接地面は3輪で、時速100km/h、量産価格500万円以下を目指す。1人乗りの小型ビークルという感じで、災害時の土砂崩れを飛び越えるとか川面を飛行するといったこともできるだろうという。現在は160kgの小型試作機で浮上実験が成功している。チームは「愛知県にある自動車会社」に勤務するエンジニア仲間が中心となって取り組んでいる。2020年までに量産体制を作るために10億円の資金調達を目指すという。

・セーフィー株式会社 カメラとスマホのホームセキュリティ「Safie

Safieはネットワークカメラ。外出先や遠隔地からカメラ映像を見ることができる。従来のホームセキュリティーカメラが高額の割に画素数が低く、回線がISDNであるなど旧態依然としていることから起業。ソフトウェアにのみ特化して、現在はカメラメーカーと協業を始めていて、QBIC社のELMOはすでに1000台以上が売れてるという。本体価格は1万9800円で録画・アラート機能利用は月額980円。これは従来製品の価格に比べると1/6程度で、画角や画質も従来製品よりも良いという。業務利用での引き合いも多いといい、オリックスと一緒に1台あたり月額3000円のリースモデルも準備中だとか。

・Orange株式会社 あなたの旅の専属ガイドアプリ「TRIPAN(トリパン)

TRIPANは専属の海外旅行ガイドとスマホ上でチャットができるサービス。旅先を設定してリストされる一覧から現地ガイドを選び、レストラン情報やアクティビティ、治安情報などの質問ができる。ガイドとは旅行前からでも可能。返答は原則10分以内。利用価格は1日1500円で現在は2日目以降は1000円になるキャンペーン中。10カ国に対応している。ガイド候補は海外添乗員や長期滞在者などで120万人以上いる。2015年12月までに3000名のガイド登録数を目指している。当初はアドバイスのみだが、アクティビティ、交通手段、レストランなどをガイドが代行予約するようなサービスも検討しているほか、1つだけ質問したいというニーズに応える機能のリリースも予定しているという。

・株式会社セフリ 登山・アウトドアアプリ「YAMAP & YAMAP Gears

ケータイの電波が届かない登山ルートなどでもGPSと事前ダウンロードした地図により自分の位置が分かるアプリ。登山やスキー、釣りなどアウトドア愛好家向け。YAMAPはもともと山での遭難や道迷いを解決するために作られたアプリだが、今回はYAMAP Gearsという「価格コムのアウトドア版」というアプリをリリース。YAMAPはすでに30万ダウンロード、写真投稿数が100万となっているなど登山愛好家の間で利用が広まっている。YAMAPでは登山後にルートや写真、感想などをシェアできる仕組みのほか自分の道具を登録する機能がある。本当のアウトドアグッズの利用者が持つ信頼性と、バーチカルのECを結びつけるというのが狙い。今後はC2Cやアウトドア保険の販売などにも事業の幅を広げて行くという。

・株式会社3.0 今夜なにする?を解決するアプリ「LIVE3

LIVE3は今日、明日、明後日など直近の売れ残りチケットが買えるサービス。音楽、スポーツ、お笑い、クラブ、フェス、アートなど多様なイベントを取り扱う。「今夜なにしよう」を解決するアプリといい、コアなファンが特定イベントのチケットを探すというよりも、潜在的なファン層を掘り起こすサービスという。イベント市場は近年成長していて、全国で毎日12万人、関東だけでも5万人がイベントに参加している。一方、チケット売り切れイベントは全体の2%。これは時間軸で見つける手段がないからという。LIVE3ではキュレーションやディスカウントチケット販売も行っている。今後はイベント後に近隣店舗へ誘導するクーポンなど周辺事業との提携も勧めるという。

・株式会社スマイループス 転職相談アプリ「ジョブクル

ジョブクルはチャットで転職相談ができるアプリ。経歴や勤務地、希望条件、会社の好みなどを入れると、転職エージェントを最大10人までマッチしてくれる。モバイルに最適化したUXで条件入力が容易なことと、漠然とした質問から転職活動が開始できるのが特徴。エージェント側から候補者の一覧から候補者を絞り込んでメッセージを送ることができる。転職成功時にジョブクルが25%の手数料を得る。ジョブクルによれば、過去1年間で転職を希望しながら転職していないのは519万人、全体の2/3にのぼるといい、初動アクションのハードルを下げることで潜在転職希望層の流動化を狙う。

・株式会社ZUU 世界一シンプルな資産運用ツール「ZUU Signals

資産運用ツール「ZUU Signals」は、独自のアルゴリズムで株の「買い・売り」の判断を補助する情報を信号機のように「赤、黄、青」で示す。最近、NISAブームなどで証券口座開設は増えているものの、30代、40代の70%は投資未経験。投資を始めても離脱率も高く、ネットリテラシーが高い層でも入ってきていないそう。日本の個人資産1700兆円のうち資産運用されているのは16%。アメリカの50%まで引き上げることができれば伸びしろは580兆円とZUUは試算する。そこでモバイルで分かりやすく情報を整理するのがZUU Signals。重要なニュースのキュレーションもしていて、特定銘柄をクリックすると株価チャートと、赤黄青のシグナル、ニュース、ユーザーコメントが一覧できる。ZUUは250万MAU、1000万PVの金融メディア「ZUU online」も持っている。現在は分かりやすさを優先して国内株式のみでZUU Signalsをスタートしたが、信託などほかの金融商品へも拡大する。

ウェルスナビ株式会社 世界標準の資産運用とリスク管理をあなたの手に

ウェルネスナビは世界の機関投資家と同じレベルの資産運用を個人にも、というコンセプトで創業。世界の機関投資家は全世界の全資産を比較検討してリスク管理徹底することでリターンを最大化している。同様に、個人ユーザーであっても年齢や年収、資産額を入力すると、35カ国9000銘柄への分散投資のポートフォリオを作ってくれる。リスクとリターンのシミュレーションを可視化して、分かりやすく表示する。欧米のプライベートバンク並みの資産1%という低い手数料設定とする。従来、金融理論を背景にした分散投資は巨額の資金を運用する機関投資家のみが可能だったが、それを個人にも解放する金融インフラの構築がウェルネスナビのミッションで、これは、かつて安全な旅行や手紙が王族や貴族、大商人の特権だったが、現代では誰もできるものになったのに似ているのだという。

・株式会社UNCOVERTRUTH ネイティブアプリUI解析ツール「USERDIVE for Apps

USERDIVE for Appsは、これまで提供してきたWebサイト向け解析ツールのネイティブアプリ版という位置付け。20KBのSDKをダウンロードして組み込むと、アプリ上の動線をどうユーザーが遷移したかを視覚化したり、ヒートマップ、「読了率」に相当する画面ごとの滞在時間を見ることもできる。実際にユーザーがアプリをどう使っているかを動画で見る機能もある。フィルター設定で「100万円以上買っているユーザー」といった絞り込みもでき、ターゲットユーザー向けのUI改変に利用できるという。さらに今回、新機能として「ロケーション・ヒートマップ」を発表。地図上にユーザーのアプリ上でのアクティブ率をヒートマップのように示す機能で、例えば地域店舗のクーポンをユーザーが使った場所などを知ることができるようになるという。USERDIVEではいま、バルセロナやマレーシアに拠点を開設して、世界展開に力を入れているそうだ。

・株式会社wacul 人工知能を使ったWeb分析サービス「AIアナリスト

waculの「AIアナリスト」はGoogle Analyticsのデータから、Webサイト改善のアドバイスを提示するサービス。これまで同社はWeb改善のコンサルティングをやってきていたが、案件数に対してコンサルが足りないことから、ノウハウやナレッジを人工知能で実装。例えば、ある商品ページに対して検索流入の比率が高すぎる場合、サイト上の導線の弱さが背後にあることが想定される。そうした場合、AIアナリストだと「xyzのページをもっと見せましょう。15.7CVの増加が見込めます」といったアドバイスになる。改善点は網羅的、伸びしろがあるポイントを指摘する。人間のコンサルで30万円から100万円でやっていたことを人工知能で3万円で提供する。より広いユーザー層に使ってもらうことで人工知能の学習データを集めたい、という。waculでは2年間で人間のコンサルが担当したのは100サイトで指摘したのが600課題であるのに対して、AIアナリストはリリース1カ月で400サイト、3000課題という。

・株式会社COMPASS 人工知能型適正教材「TreasureBox」

コンパスの「TresureBox」は人工知能型適応教材。タブレットを使った算数の4000問を超える問題を子どもたちが手書き入力で解く。生徒が間違えた時に、何がわかっていないかを人工知能が把握し、もっとも適切な問題を出し続けることができるのだという。COMPASSはもともと塾を経営していたが、現在では塾の先生の役割が変化して、ダッシュボードで生徒たちの進捗や集中度をモニターし、問題があったときに対応するファシリレーターとなっているという。集中度が下がった生徒がいると「休ませてあげてください」というプッシュ通知で先生に出す。これまで塾のフランチャイズとしては、くもんなど大手があるが、初期費用は開設まで費用がかかるという問題があった。TreasureBoxのような仕組みがあれば、塾開設のハードルが下がる。COMPASSでは2019年までにくもんを超えるとしている。

・株式会社キッズカラー 保育や遊びを楽しく記録するみんなの図鑑アプリ「ほいくずかん!

「ほいくずかん!」は、保育士のための子どもの作品カタログサービス。もともとキッズカラーは、遊び版クックパッドともいえる「ほいくる」を運営している。子ども向けの遊びを保育士同士が教えあうサイトで、遊びの引き出しの共有している。すでに全国の保育士の3分の1が使っているという。ほいくずかん!は、遊びでできた子どもの作品を登録できる新アプリ。子どもの年齢や材料を登録し、時系列やカテゴリごとに写真を表示できる。これまでこうした写真は保存や管理がバラバラで、各保育園で埋もれていたのだという。

ムーアの法則が、スタートアップの成功あるいは死を意味する理由

50th

【編集部注:

Diane BryantはIntelデータセンターグループのSVP・ゼネラルマネージャー。】

ムーアの法則50周年が語られる中、こう言いたがる人がいるかもしれない:それで?Intelを共同設立する3年前、ゴードン・ムーアはトランジスタの価格低下と性能向上が指数的に進行すると主張した。

ムーアはその主張を今や存在しない業界紙で1965年4月に発表し、ほとんど話題にならなかった。ほとんどの人々が ー ムーアを含め ー 何の反響も覚えていない。50年後、トランジスターの数や「FinFET」や「III-V」族半導体のことを気にかけるのは筋金入りのチップや材料科学のマニアだけだ。ムーアの法則の話題は、博物館やテクノロジーおたくの小さな集まりに似合っている。それは歴史だ。いや、本当にそうなのか?

静かに、密かに、ムーアの法則は革命的勢力であり続けている。これを無視する人はそれなりの覚悟が必要だ。その真の意味合いを知り魔法を活用する者には、成功さらには革命を起こすチャンスがある。

Googleはその一例かもしれない。ベテランジャーナリストのSteven Levyは最近、いかにムーアの法則がGoogleを可能にしたかの理論を展開した。Larry Pageが後にGoogle検索になるもののアイデアを開発した時、彼はムーアの法則の力を念頭においていた。

Levyはこう書く:「(Pageの)卒論指導教授が、そんな作業はウェブ全体をスタンフォードのローカルサーバーに取り込むことを意味していると指摘した時、Pageは臆さなかった。明日のテクノロジーがどれほど強力で安価になるかを確信していた彼は、そんな離れ技がいずれは比較的些細なことになることに気づいていた」。

もちろんムーアの法則は、テクノロジーや関連する分野で成功する唯一の秘密ではない。しかし、そのしばしば基本的となる役割を避けて通ることはできない。ムーアが彼の主張を発表した1960年代、トランジスタはデジタル経済の基本的構成要素であり、1つ約150ドルで売られていた。今日、トランジスターの価格は0.00014セントだ。言い換えれば、1セント硬貨1枚で、7万個のトランジスタを買うことができる。

その指数的威力、およびそれがもたらす驚くべき価格低下と劇的性能向上とエネルギー効率の改善は、スマートフォン、ドローン、ゲノム解析、そしてウェアラブルコンピューティングなどの革新を支えている。ムーアの法則は、スマートフォンというアイデアそのものを可能にしただけでなく、それが1990年中期の最高速スーパーコンピューター並みのコンピューティング能力を備えている事を意味している。

起業家たちにとって、ムーアの法則はデータ集中型ビジネス ー かつてはサーバー、ネットワーク、およびネットワーク機器に何百万ドルも費やす必要があった ー を始めるために必要なのは、今や素晴らしいアイデアとコンピューティング能力をレンタルする能力だけであることを意味している。

Levyはこう言っている:「事実上あらゆる分野の企業が、ムーアの法則を適用した若い会社の挑戦を受け、ときには廃業に追い込まれている(これをあらゆる物のユーバー化と呼ぼう)。たった今誰かの構想の中に、我々の生活を変え、数十億ドルを稼ぐアイデアが浮かんでいることは十分考えられる ー しかし資金調達には苦労している、なぜならその売り込みが狂気に感じるから」。

起業家は、いったい何をすればいいのか?

ムーアの法則の指数的威力を理解し活用するのが悪くないアイデアであることは明らかだ。人間にとって指数的に考えることは困難だが ー クレイジーだと思われる ー しばしばそれは、大きな見返りを生む。

おそらく、締めの言葉はムーア自身に語ってもらうのがよいだろう。

「私の考えは、ます製品や何かをしたい領域を決め、それが理にかなっているなら、新たな事業を始める。つまり、今日の多くの起業家はものごとに逆のアプローチをしているように思える。彼らは新しい会社を起こすことを決め、それから利用できるアイデアを探し始める。それが大成功することもある、例えばGoogleのように。多くの場合、線香花火のように、短期間成功したあと他の何かに取って代わられる。もし私が現在および未来の起業家にアドバイスを贈るとすれば、今やろうとしていることを元に長期的事業を作る方法を探しだすことだ ー 短期的成功だけでなく。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イギリス王室もスタートアップを支援―アンドルー王子、「宮殿でピッチ」の人気投票呼びかけ

本物の高位の王室メンバーがテクノロジー・スタートアップに関与するというのは珍しい。しかしこの数年ヨーク公爵(そう、チャールズ皇太子の弟、アンドルー王子だ)はテクノロジー系起業家の応援と青少年に対するSTEM (サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マセマティクス)能力の育成に力を入れている。

ヨーク公が主催するPitch@Palaceイベントは、スタートアップが文字通り宮殿―セント・ジェームズ宮や時にはバッキンガム宮そのものでイギリス産業界に向けたピッチを行えるというものだ。ヨーク公はテクノロジー・イノベーションと起業環境の整備を図るために多数の有力な投資家、起業家を組織している。ロイヤル・ファミリーのメンバーが自ら動いてこれほど積極的に起業家を支援するというのは他国ではまず見られないだろう。

ヨーク公はこのイベントに人気投票による賞 “People’s Choice Award”を設け、一般公衆の参加を促している。Pitch@Palace 3.0(3回目のイベント)に参加した42のスタートアップからお気に入りのチームを選んで誰でも投票できる。 サイトはこちら。投票締め切りは3月23日の午後5時(イギリス標準時)。次回のPitch@Palaceイベントで結果が発表される。

結果が判明しだいTechCrunchでも報じる予定だ。

ヨーク公自身による投票の呼びかけ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


テクノロジー・ブログのパイオニア、GigaOm、資金繰りに行き詰まって閉鎖

ジャーナリストからベンチャーキャピタリストに転じたOm Malikが創立したテクノロジー・ブログ、GigaOmは資金繰りに行き詰まり、閉鎖されるもようだ。2006年6月に創立されたGigaOmはテクノロジー・ブログのパイオニアの一つで、ちょうどその1年前に創立されたTechCrunchの良きライバルであり続けた。

まずTwitterにこのブログの死亡を告げるツイートが投稿された。「Gigaom、サイトを閉鎖へ。会社も運営停止。Omは素晴らしいブログを作り、私の人生を変えた。私はOmと同僚を愛している」と上級ライターのStacey Higginbothamがツイートした。その直後にGigaOmとOm Malikの個人サイトの双方にこれを確認する記事がアップされた。

太平洋時間午後5:57にGigaOmに次の記事が掲載された。

GigaOmブログと運営会社に関する告知。最近われわれは債権者に対して全額を返済することが不可能となった。その結果、わが社の全資産は担保として債権者の管理下に入った。すべての運営は中止された。現時点では債権者がこの資産に対してどのような処分を行うかわれわれには分からない。この資産を用いて将来運営が再開されるかどうかも不明。ただしわが社は現在、破産の申し立てを行うつもりはない。この場を借りて読者とわれわれを支えてくれたコミュニティーの全員に感謝する。 ―GigaOm経営チーム

MalikもGigaOmも取材に対してまだコメントを返して来ない。

GigaOmはテクノロジー・ニュースとテクノロジー・イベントを結びつけ、数多くの分野で活発な活動を行ってきた。現在までサイトは生きており、今日のAppleイベントの記事が掲載されている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


対戦型脳トレアプリのBrainWarsが1000万ダウンロード達成――Supercell、Kingを目指す

トランスリミットの対戦型脳トレアプリ「BrainWars」が、全世界1000万ダウンロードを達成した。同社の設立は2014年1月14日。ちょうど創業1周年での達成となった。

日本はたった4.3%――高い海外ユーザー比率

BrainWarsはトランスリミットが2014年5月にリリースしたスマートフォンアプリだ。穴あきの計算式に、正しい式になるよう計算記号を入れる「四則演算」、指示された方向に画面をフリックしていく「フリックマスター」など、直感的な操作で楽しめる約20種類の脳トレゲームで世界各国のユーザーと対戦できる。対戦はリアルタイムだが、相手のユーザーが応じられない場合、そのユーザーの過去の実績をもとに非同期での対戦が行われる。

僕はリリースの1カ月ほど前にアプリのデモを見せてもらったのだが、その頃からトランスリミット代表取締役社長の高場大樹氏は「ノンバーバル、言語に依存しないサービス設計をしている」と語っていた。実際のところ、ユーザーが最も多いのは米国(25.4%)で、日本は4.3%と少ない。

2014年5月にiOS版をリリースしたBrainWarsだが、ノンプロモーションながらサービス開始から2カ月で2万ダウンロードを達成。そこから国内のIT系のメディアやブログなどで取り上げられ、さらに7月にApp Storeの「注目アプリ」として日米で紹介されるようになってから急激にダウンロード数を増やしたそうだ。9月にAndroid版をリリースするとダウンロードは更に増加。10月に300万、11月に700万を達成し、今回の1000万ダウンロードに至った。

高場氏は海外でのダウンロードについて、「特に米国ではApp Storeでの紹介がきっかけだが、それと同時に(対戦結果をシェアした)Twitter経由でのダウンロードが多い。ユーザーインターフェースもフラットデザインを意識したし、ノンバーバルでシンプルなゲーム性を追求している。そのあたりが海外でも受けたのではないか」と分析する。ダウンロード数だけでなくアクティブユーザーも気になるところだが、具体的な数字は非公開だという。ただし「一般のソーシャルゲームのアクティブ率は7日間で20%程度だと考えている。それよりかは大きい数字だ」(高場氏)とのこと。

ユーザーの「真剣さ」ゆえに読み違えたマネタイズ

BrainWarsは1プレイごとにハートを1つ消費していき、そのハートは時間経過によって回復するというソーシャルゲームなどでよくある仕組みを導入している。時間経過を待たずにプレイする場合は課金、もしくは成績上位で得られるコインを使ってハートを購入する必要がある。またコインは、対戦時に自分の得意なゲームを選択する際や過去の成績を閲覧する際にも使用できる。このコインの課金と広告によって、「すごく小さい額ではあるが黒字で運営している」(高場氏)というBrainWars。だが課金に関しては誤算もあったのだそうだ。

BrainWarsは「ガチャでレアキャラを引き当てればゲームを有利に進められる」というものではなく、地道にミニゲームに慣れていかなければいい結果を出せない。そんなこともあってか、前述の「得意なゲームを選択する」という機能を使わずにランダムに選ばれるゲームで正々堂々と戦いたいというユーザーが多いのだそうだ。高場氏もこれについては「鍛錬を積んで勝負をするという競技的な側面があり、ユーザーは(課金して自分に有利なゲームを選ぶことなく)真剣に勝負する。ここが課金のポイントだと思っていただけに誤算だった」と振り返る。また、具体的な数字は教えてもらえなかったが、課金率の低さも今後の課題なのだそうだ。そういった背景もあって、2月にも予定するメジャーアップデートでは、1人向けの新たなゲームモードを用意。ここでコイン消費を促すという。

LINEとの協業、2015年中にゲームを提供

トランスリミットは創業期にMOVIDA JAPANやSkyland Venturesなどから資金を調達。その後2014年10月にLINE傘下のベンチャー投資ファンドであるLINE Game Global Gatewayのほか、ユナイテッド、East Ventures、Skyland Ventures、Genuine Startupsから総額3億円の資金調達を実施している。同社はこの調達と合わせてLINEとの業務提携を発表。LINEのユーザー基盤を活用した新たなゲームコンテンツを開発するとしていた。

このLINE向けゲームの進捗については、「今はBrainWarsに注力しているところ。だが年内にはLINE向けの新規タイトルを1本リリースする予定だ」(高場氏)とした。またそのテーマについては、「『LINEに乗せて成果の出るもの』を考えているが、BrainWarsがベースになるか、まったくの新規タイトルになるか未定」(高場氏)なのだそうだ。

高場氏はこのほか、現状10人(インターン含む)の組織を年内に30人程度まで拡大する予定だとした。年内にはBrainWars、LINE向けタイトルに加えて、自社の新作タイトルも提供するという。「BrainWarsは1年で1000万ダウンロードを達成したので、2015年内に3000万を目指したい。また同時に年内に3ラインまで拡大して、1つ1つのアプリで売上を作って自走しつつ勝負をする。目標は世界で名前が通るデベロッパー。SupercellやKingと肩を並べたい」(高場氏)

トランスリミットのスタッフら。前列中央が代表取締役の高場大樹氏

 


Infinity Ventures Summitのプレゼンバトル、登壇13社を紹介

京都にて12月3日から4日にかけて開催中の招待制イベント「インフィニティ・ベンチャーズ・サミット 2014 Fall Kyoto(IVS)。同イベント2日目の朝8時45分からは、毎回恒例となっているプレゼンバトル「Launch Pad」が開催中だ。

これまでクラウドワークス、スマートエデュケーション、freee、WHILLなどが優勝してきたLaunch Padだが、今回登壇するのは以下の13社。なお、Ustreamおよびスクーでもその様子は生中継される予定だ。

baton「マッチ

「高校生向け対戦型問題集」をうたうこのサービスは、大学入試問題集に出てくるような問題を対戦型のクイズとして楽しむことができる。

ザワット「スマオク

スマホアプリで利用できるオークションサービス。これまで24時間以内の入札に対応していたが、アプリをアップデートし、入札時間5分限定の「フラッシュオークション」にリニューアルしている。

ギャラクシーエージェンシー「akippa(あきっぱ)

駐車場などの空きスペース、空き時間がある人と駐車したい人をマッチングするパーキングシェアサービス。プレゼンでは、人に車を貸して、空きスペースを探してもらう「akippa+」も発表された。

落し物ドットコム「MAMORIO

Bluetooth LEを使った追跡用タグ。スマホと一定の距離が開くとアラートが鳴って置き忘れを未然に防ぐ。バッテリー交換なしで1年利用が可能。自転車が盗難にあった場合などに利用できる機能として、ユーザーが相互にタグをトラッキングする「クラウドトラッキング」を備える。

ビズグラウンド「Bizer(バイザー)

弁護士や会計士などさまざまな士業への相談サービスを提供していたBizer。今後はバックオフィス業務をサポートするクラウドサービスを提供していく。

Socket「flipdesk

スマートフォンECサイト向けの販促・接客ツール。ユーザー属性をリアルタイムに解析して、ダイレクトメッセージの送信やクーポンの発行ができる。年商100億円規模の起業でCVR5.6bai ,客単価15%アップという実績がある。

プレイド「KARTE

こちらもECサイト向け(flipdeskとは異なりPCにも対応する)の販促・接客ツールだ。ECサイトへの来客をリアルタイムに解析。ユーザーに合わせて商品のレコメンドやクーポン発行などができる。現在はクローズドベータ版として25社に限定して提供中。

オープンロジ「オープンロジ

CtoCコマースや小中規模ECサイトなどをターゲットにした物流アウトソーシングサービス。通常大規模ECサイトでないと利用しにくい物流サービスだが、同社があらかじめ物流業者と契約することで、少ない商品でも定額(サイズによる)、かつすぐに利用できるようになる。

フクロウラボ「Circuit(サーキット)

スマートフォンウェブからアプリにスムーズに遷移するための「ディープリンク」。その設定を容易できるグロースツール。シームレスなアプリ間移動を実現する。

ミニマル・テクノロジーズ「WOVN.io(ウォーブン・ドット・アイオー)

ウェブサイトに1行のスクリプトを足すだけで、ウェブサイトの多言語化を実現するサービス。翻訳は機械翻訳、人力翻訳に対応。リリース4ヶ月で登録ドメイン数は3000件、6万ページ。海外ユーザーが6割となっている。

セカイラボ・ピーティイー・リミテッド「セカイラボ

世界中のエンジニアチームに仕事を発注できるサービス。中国やベトナムなどのエンジニアチームに対して、日本語で大規模な開発を依頼できる。

YOYO Holdings Pte. Ltd.「PopSlide

新興国向けモバイルインターネット無料化サービス。スマホのロック画面に広告を表示し、それにスライドしてアクセスしたり、動画を閲覧したりすることでポイントを提供する。ポイントはロード(プリペイドの通信料金)と交換できる。

ファームノート「Farmnote(ファームノート)

酪農・肉牛向けのスマートフォンアプリ。タブレットやスマホを使って、リアルタイムに個体管理が可能。

以上が登壇する13社となる。11月に開催したTechCrunch Tokyo 2014の「スタートアップバトル」でも登壇してくれた企業がいくつかあるが、Launch Padは来場者、審査員とも経営者が中心のイベント。またプレゼンの内容も変わってくるかもしれない。個人的に応援しているスタートアップもあるのだけれど、ひとまずは各社のプレゼンを楽しみにしたい。


TechCrunch Tokyo 2014、スタートアップバトルでプレゼンを競うのはこの12社だ

いよいよ明日11月18日から11月19日にかけて東京・渋谷ヒカリエで開催する「TechCrunch Tokyo 2014」。これまで各セッションの内容や見どころのまとめという形で紹介してきているが、1つ大事なことをお伝えし忘れていた。そう、メインイベントの1つ「スタートアップバトル」の登壇者だ。

スタートアップバトルは創業3年以内のスタートアップに限定したプレゼンバトルだ。今年は昨年より30社ほど多い113社が応募してくれたが、その中から事前審査で選ばれた12社が自慢のプロダクトについて5分間のプレゼンを行う。ちなみに2012年は電動パーソナルモビリティを手がけるWHILLが、2013年は「Ring」を手がけるログバーがそれぞれ優勝を果たしている。今回本戦に勝ち進んだスタートアップをざっと紹介していこう。

mikan

mikanが提供するのは「圧倒的に一番速く覚えられる」を標榜する英単語アプリ。TinderライクなUIで英単語を知っている、知らないに分け、知らない単語に何度も接触することで、ベータテストでは1日1000単語という記憶スピードを実現したという。

AgiC

AgICは家庭用プリンタと伝導性のインクを組み合わせることで、電子回路の高速な試作を実現するプロダクト。IoT、メイカーズムーブメントなんて言われているが、実は電子回路に関しては、革新的な試作というものはなかったそうだ。AgiICでは、自社プロダクトを利用することで、通常1週間ほどかかっていた電子回路の試作を2〜3分に短縮するという。

STANDING OVATION

同社が提供するソーシャルクローゼットアプリ「XZ」は、自分の手持ちのファッションアイテムを登録し、自分が登録したアイテムやほかのユーザーが登録したアイテムを組み合わせて、コーディネートを作成できるアプリだ。将来的にはこのアイテムをもとにCtoCやBtoCのコマースにつなげていく予定。

フォトシンス

フォトシンスが手がけるのはスマートロック「akerun」。ドアの内側にこのakerunを取り付ければスマートフォンを使ってドアの開閉が可能になる。購入者以外のスマートフォンにも開錠権限を与えられるため、ハウスキーピングやしスペースの入場管理などでの活用が見込まれる。

ミニマル・テクノロジーズ

ウェブサイトに1行のスクリプトを埋めるだけで他言語化を実現できるサービス「WOVN.io」を提供。テキストの機械翻訳のような手軽さを感じてしまいがちだが、サイトの他言語化というのは実は翻訳にとどまらない大変な作業。WOVN.ioはそれを非常に手軽にしてくれる。

baton

batonが提供するのは、対戦型の学習アプリ「クイズマッチ」。入試に出るような問題をクイズ化し、全国のユーザーがクイズ形式で対戦できるというもの。現在は日本史に限定して約2000問を配信中。利用は無料となっている。

ビズグラウンド

同社のサービス「Bizer」はもともとスモールビジネス向けの士業や専門家への相談サービスだった。だがそれはあくまでサービスの一部。実はバックオフィスの業務支援サービスを開発していた。例えば新たに社員が入った時に何をするべきかというタスク管理や文書の作成などをサポート。専任者なしでのバックオフィス業務を実現してくれる。

FiNC

FiNCはスマホアプリを活用したダイエット家庭教師サービス。クラウドソーシングで集めた管理栄養士がユーザーのアップした食事に対する評価をしてくれるほか、専門家によるトレーニングの指導、遺伝子検査やアンケートをもとにしたオリジナルのサプリメントなどを提供する。

スペースマーケット

スペースマーケットは、あらゆるスペースをネット上で貸し借りできる、いわばビジネス版の「Airbnb」だ。ベンチャー企業の会議室から、お寺や野球場、帆船、はてはお化け屋敷まで、あらゆるスペースを借りることができる。

ベントー・ドット・ジェーピー

bento.jpは、スマホアプリを2タップするだけでお弁当を注文できるファストデリバリーサービス。メニューは日替わり、価格はデリバリー費用込みで500円。もちろんエリアは限定されるが、最短1分、平均10分でオフィスまでお弁当を届けてくれる。

yTuber.tv

「yTuber.tv」はYouTubeの様々なコンテンツをキュレーションして、テレビのチャンネルのようにカテゴリ分けした、いわばYouTubeの「ラテ欄」を作っている。そして同じコンテンツを視聴しているユーザー同士でメッセージのやりとりが出来るサービスだ。

オープンロジ

「物流をもっと簡単・シンプルに」をコンセプトにした中小事業者・個人向けの物流アウトソーシングサービス。物流会社と連携することで、本来手続きがかかり複雑な料金体系を持つサービスを簡素化した。代表の伊藤秀嗣氏は富士山マガジンサービスの物流システムの構築から約10年間事業に携わった後に起業した。

以上が今年登壇する12社となる。昨年僕は観客席から見ていたわけだけれども、今年は事前のプレゼンから見させてもらっている。どこもプレゼンのレベルが高く、またジャンルもC向け、B向けのウェブサービスからIoTまで幅広いので、正直優勝の予測がつかない。栄光を勝ち取るのははたしてどのスタートアップになるのか。

なお、このセッション様子は当日Ustreamでも公開する予定だ。さらにバトルの直前には、昨年優勝したログバーの吉田卓郎氏も登壇の予定。一般販売までの経緯を語ってもらうほか、デモも披露してくれるという。


2日で約3000語を暗記、スマフォ世代の英単語学習アプリ「mikan」はTinderライク

「2日で3800単語」とか、「2週間で8000単語」とか、いままでちょっと聞いたことがないスピード感で英単語が学習できるとするアプリ「mikan」は、これまでの単語学習アプリと毛色がだいぶ違う。6月に株式会社mikanを創業した宇佐美峻さんは、「圧倒的にいちばん速く覚えられるアプリ」を目指していて、すでに実績も出始めているという。

mikanでは左右にスワイプすることで次々とカードをめくっていくようなUIを採用している。これは、去年あたりからアメリカの若者の間で流行している出会いアプリの「Tinder」が生み出し、多くのアプリが採用しているスマフォ・ネイティブといっていいUIだ。デート候補として表示される相手を「いやー、ないわー」「会ってみたい!」に直感的に分けていくTinderに対して、「これは色がイマイチ」「このパンツいいね!」というようにファッションアイテムの好き嫌いをユーザーごとに学習するファッションアイテムのキュレーションのようなサービスでの応用がある

mikanの場合、次々に表示されるカード上の単語について、「意味が分かる」(右)、「分からない」(左)とスワイプしていくのだが、Tinder同様に、片手で手軽に、そして高速にカードがめくれるのが特徴だ。

mikanでは10単語を1セットにして、次々とスワイプする。右へスワイプした既知の英単語は消え、左へスワイプした未知の英単語は残って再び画面に現れる。10単語で1周したときに、未知語が6つあれば、2周目には6単語が表示される。2周目に覚えた単語は3周目に出てこない。というように、ただ「知ってる、知らない、知らない、知ってる。あ、さっき覚えた。さっき見たけど、やっぱりまた意味が分からない……」などと左右にスワイプしているだけで、10→6→3→1→0というように、覚えていない単語だけを高速に繰り返して復習していける。10単語1セットとして、慣れると1セットを1分程度で消化できるという。以下がデモ動画だ。

10単語が1分だとすると、3800単語なら、どのぐらいか? 答えは2日だそうだ。試験的に3800単語を2日間で覚えるというこを7人にやってもらい、2日目の最後に400単語のテストをしたところ、平均定着率は82.4%だったという。記憶というのは時間とともに薄れるので、集中的に暗記をした直後のテストの定着率をもって3000語を「マスターした」ということはできないだろうが、従来の学習法から考えると驚くようなパフォーマンスだ。単調な暗記作業とは異なる、ちょっとしたゲーム感覚で細切れ時間が活用できるのは面白い。

英語学習合宿が話題になったことがキッカケ

mikanを創業した宇佐美さんは東京大学で機械情報工学を専攻する4年生。そろそろ周囲が就職活動を始めていたとき、「このまま行くとオレも就職しちゃうという危機感」から休学を決意。いまはmikanの実証データを集めるために47都道府県を回る全国行脚の準備中だ。各都道府県で、英語学習に取り組む学生を中心に、テスト利用者を20人ほど集めて合宿形式で「1日で1000単語を覚える」というのにユーザビリティーテストを兼ねて取り組む。もし成果がでれば、この初期ユーザーがmikanのエバンジェリストになってくれるという読みもある。

宇佐美さんは、別に英語アプリで起業しようなどと思っていたのではなく、「英語を教えていたら、お金になり始めた」ことが起業のキッカケだったと話す。

もともと起業には強い関心があり、クラウドソーシングの「クラウドワークス」やアクセラレーターの「MOVIDA」でインターンを経験していて、最初からシリコンバレーを目指していたという。「スタンフォードの大学院に行きたい」ということから、まずはTOEFLに申し込んだ。ところが、試験日当日まで一切勉強せず、「申し込んだら勉強すると思ったんですけどね、4万円が無駄になりました」と笑う。そこでまず、英語の勉強をするしかない時間と場所を決めてやろうと、今年3月に2週間の合宿を実施した。友人らに声をかけると、結構みんなが来てくれた。

その合宿の様子をブログやFacebookでシェアしているうちに、学生以外の社会人からも「行きたい」と連絡が来るなど、問い合わせが10件、20件と増え、話題になりはじめたという。5月に実施したTOEFL合宿には約60人が参加するまでになった。

合宿ビジネスでは労働集約型のマンパワーがモノを言う世界になる。そうではなく「アプリとかWebサービスとか、スケールするもので実施できないか」と考えて、5月にMacを買い、iPhoneアプリを作り始めたという。

アプリのアイデアは、自身が行ったExcelを使った英単語学習法が元になっている。まず日本語と英語が対になったものをExcelに1万語分、打ち込んだリストを作る。学習済みの単語については、このExcelの表の右側に「1」を付けていって、これを並べ替え。覚えていない単語だけをプリントアウトして覚える。次に「2」を付けてプリントアウト……、というのを繰り返した。

宇佐美さんは「数が少なくなっていく喜びを感じたんですよ。それで、これをアプリにしたらいいんじゃないかと思いつきました」という。この話を聞いたぼくは、正直それは意識の高い東大生ならではなのじゃないかと問い返してしまった。1万語を用意するのも、自分で進捗管理するのも、ちょっと並じゃない。

ただ、宇佐美さんは、これまでにmikanアプリを試していて面白いパラドックスに気付いたという。自分で工夫する人は、かえって成績が悪かったのだという。愚直に右へ左へとスワイプしまくった人のほうが成績が良く、逆に自分で工夫してプラスアルファの学習をしようとした人は成績が伸びなかったのだという。つまり、愚直にやるだけで誰でもできるという可能性はある。

mikanはまだ一般公開しておらず、MVPとして宇佐美さんが実装したiOSアプリが存在するだけだ。mikanは自己資金で設立していて、チームは3人。現在は資金調達のために個人投資家を回っているが、資金目的ではなく、「内部の支援者として入って頂きたい」という。アプリの一般公開は年内を予定している。

英語学習で似た状況にある中国や韓国にも「いま直ぐにでも行きたい」(宇佐美さん)が、当初は日本に集中する。また一部、フランス語や中国語などを学習している受講者に単語帳を実験的に作ってもらうなど、多言語展開も視野には入れているという。マネタイズはフリーミアムを検討しているそうだ。


JavaScript 1行でサイトを多言語化、ボタン一発翻訳の「WOVN.io」が良さそう

先日とあるWebサイトの新規制作のために見積もりを取ったら、日本語・英語の「多言語化対応」のためだけに18万円が計上されていて、卒倒しそうになった。翻訳料じゃなくて、単にCMSを多言語設定にするのに18万円ってナンノコッチャと思ったのだけど、Webサイトの文章やコンテンツを多言語化するのは手間もコストもかかる頭の痛い問題であることは間違いない。言語切り替えメニューは、どこに配置するのか、それは国旗アイコンなのか文字列なのか、言語ごとにURLパスはどう切り分けるのか、サブドメインで対応するのか、コンテンツ更新の同期はどうするのか、翻訳はどこに外注するのかなど、考えなきゃいけないことは多い。そして実は何より、コンテンツの更新となると、HTMLやCMS上で対応箇所を確認しながら訳文をコピペするという面倒な作業も発生する。

大手グローバル企業のWebマスターなら、ありあまる予算をクラウドソーシングにぶち込むなり、Web制作会社に翻訳ごとまるっと投げてしまえばいいのかもしれないけど、それにしたって、結構なグローバル企業のWebサイトで、英語と日本語で異なるコンテンツが表示されているなんていうケースに出くわした経験は誰にでもあるんじゃないだろうか。要するに大変なんである。

この問題を「なるほど!」という感じで、あっけなく解決するのが、創業間もないミニマル・テクノロジーズが提供する「WOVN.io」(ウォーブン)だ。独立系VCのIncubate Fundから450万円のシード投資を受け、ここ数カ月ほとんど1人でWOVNを実装してきたミニマル・テクノロジーズ創業者でCEOの林鷹治氏は、起業した理由を「ふとアイデアを思い付いたから」と語る。

元サイトには手を加えずに多言語化できる

もともと林氏は、Stores.jpを運営するブラケットでグロースハッカーとして活躍していた。グロースハッカーとして、ブラウザ上でA/Bテストが簡単にできるOptimizelyのサービスを使っていて、「あれ? これを多言語化に使えばいいんじゃない?」と同僚との会話の中で気付いたのだという。Optimizelyはブラウザ上で、ボタンやテキストといった要素を移動したり編集したりして、バージョンAとバージョンB……と同一ページで複数の異なるバージョンのページをユーザーに見せることができるツールだ。「A案」「B案」と出し分けることで、どちらがより良い反応が得られるかを見た上でデザインを決めるのがA/Bテストだ。

ポイントは、異なるバージョンを見せるために、元サイトにJavaScriptのスニペットを入れるだけで良いというところ。実際のコンテンツはOptimizelyのサーバから各サイト訪問者に提供される。これと同様の仕組みを多言語化サービスに使ったのがWOVNだ。

JavaScriptを1行、書き足すだけ

使い方は簡単で、WOVNでアカウントを取って、多言語化したいURLを入力。WOVNがHTMLをフェッチして解析した上でボタン類やコンテンツのテキスト要素を一覧して並べてくれる。ここで翻訳ボタンを押すと、マイクロソフトの機械翻訳サービス(Bingのもの)を使って主要10言語の訳文を生成することができる。訳文は手で編集することも可能だ。

次に、元サイトでJavaScriptのスニペットをHTMLに埋め込む。スニペットといえば、1行から5行程度ものが多いけど、WOVNでは実際に1行にすることにこだわったそうだ。

すると、Webサイトの右下に(モバイルでは下部に帯状に)、以下の画面のようなドロップダウンメニューが表示されて、訪問者は言語切替ができるようになる。技術的にいえば、各言語はハッシュタグの付いた個別のURLが割り当てられることになるが、ユーザー体験としても管理側としても、同一ページで複数言語が切り替えられるといって良く、非常にシンプルだ。WOVNのダッシュボードから多言語のリソース(テキスト)を管理、更新することができるという意味で、WOVNは一種のCMSとして機能する。オリジナルのHTMLやサイト構成、サーバ設定などに変更を加える必要がないのがポイントだ。

ちなみに、ちょっと技術的なことを書くと、WOVNではWebページにおけるテキスト要素をXPathで管理していて、これを動的に差し替えているそうだ。動的差し替えといっても、多言語のテキストは最初にまとめてクライアント側に持ってくるので、UIの応答性は極めて良い。

人間による翻訳も提供

「なるほど便利そうだ、でも機械翻訳じゃ翻訳精度が……」と思う人もいると思う。まず1点は、翻訳後の訳文は自由に編集ができるので、あくまで機械翻訳をスタート地点とすることができるというのがWOVNの良さと思う。もう1点、WOVNでは人間による翻訳の「リクエストボタン」も用意するそうだ。WOVNはMVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト)としてローンチしたばかり。今後、たとえばAPI経由でクラウド翻訳が可能なGengoなどのサービスへつなぎ込みを行うとか、背後にプロの翻訳者や、あるいはボランティア翻訳者をプールしておいて、翻訳の納品日数によって料金プランを変えるようなことも考えているという。

まだ、訳文のバージョン管理機能などはなく、たとえば人間が翻訳した高品質の訳文があるページにコンテンツを追加して、誤って全翻訳ボタンを押すと、せっかくの訳文が機械翻訳で上書きされて吹っ飛ぶという「その辺は運用でカバーしてね」という仕様や、「本文」「段落」などと認識してほしいテキストブロックが、全てP要素でバラバラに表示されてしまうといった荒削りなところはある。翻訳についてもURL単位なので、ドメイントップを指定して3階層まで翻訳するなどといったオプションもない。

とはいえ、元サイトに変更をほとんど加えることなくサイトを多言語化できて、何よりもオリジナル言語のコンテンツの更新に合わせて多言語をまとめて管理できるサービスとしてみると、ぼくは潜在市場は大きいと思うし、デモを見る限り、すでに十分な利用価値があるように思う。読者の中には、「Google Chromeの翻訳でいいんじゃね?」と思う人もいるかもしれないけど、提供者側が用意できることとか、肝心のところは人間の翻訳を入れられるというのがポイントだと思う。もっとも、まだ翻訳テキストのGoogleクローラー対策などは、これから考慮に入れないといけないという話なので、検索流入に効果があるのかなど未知数なところもあるけどね。

林氏は「スモールビジネスのオーナーの需要があるのではないかと見ている」という。たとえば、外国人向けサービスを提供する行政書士の事務所が、中国語、韓国語、ロシア語などのページを用意するといったケースがある。あるいは自治体のWebサイトなどでは、現在冒頭に書いたようなWeb制作会社や翻訳事務所への外注コスト、メンテナンスコストがかさんでいるといった状況はありそうだ。WOVNでは、オリジナルのHTMLに変更を加えると、ダッシュボード上で該当URLがピンクになるので、それを確認して翻訳ボタンを押し直すだけで良く、メンテンスコストを大幅に下げられるだろう。

ほかにもWebコンテンツの翻訳ということでは、KickstarterとかAirbnbのようなサービス系のサイトだとか、ブログプラットフォームでの利用ということも想定しているそうだ。ブログだと、Tumblrまで含めて、JavaScriptのスニペットを埋め込めるサービスであれば、ほとんどどんなブログサービスでも利用可能という。個人ブログに入れるのもありだ。

なんで今までWOVNみたいなサービスがなかったのか? というと、実はこれまでにも類似サービスは存在していたそうだ。たとえば、TolqというサービスがWOVNに近いそう。ただ、こうしたサービスは少数派で、多くの「多言語化サービス」はDakwakのようなタイプ。Dakwakでは翻訳コンテンツをDakwak側でホストして翻訳コンテンツについてはページ全体を提供するというモデル。だから、利用者はDNS設定を変更してサブドメインがDakwakのIPアドレスに振り向けられるようにしておく必要がある。つまり、サーバ管理ができるドメイン保持者ではないと利用が難しいということ。

まだWOVNにどの程度市場性があるのか良く分からないけど、ぼくは今すぐTechCrunch Japan主催のイベントページの多言語化に利用してみたいと思ったね。


地デジ・ストリーミングのAereoがChromecastに対応

今日(米国時間6/5)、テレビ放送のストリーミング・サービスのAereoがGoogleのChromecastのサポートを開始し、 Androidアプリを公開した。

AndroidデバイスへのAereoのストリーミングは昨年から可能となっていたが、今回のバージョンアップでAereoユーザーはタブレットとスマートフォンだけでなく、Chromecastさえあれば居間のテレビでも番組を楽しめるようになった。

Aereoは各都市に置かれた拠点内でユーザー1人ずつに小型のアンテナを割り振ってレンタルし、さまざまなデバイスに対してほぼライブでテレビ番組をストリーミングするサービスだ。Aereoには録画オプションもある。ユーザーはAereoに月額12ドル払うだけで100ドルのケーブルテレビとほとんど同じサービスを受けることができる。

もちろんAereoがストリーミングできるのは無料の地デジ放送だけだからBravoやESPNは見られない。

テレビネットワークはAereoに対して著作権侵害の訴訟を起こしており、ついに4月には最高裁に持ち込まれた。そのためAereoの将来は最高裁が判断を下すまで不透明な状態だ。

しかしそれとは別にAereoは着実にサービスを拡大している。今回のバージョンアップでAereoのサービス地域の住民にとってChromecastの価値が大きくアップしたことは間違いない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


建設現場の空撮ドローンのSkycatchが1320万ドルを調達―クライアントにはベクテルも

ドローンは遊びにも配達にも軍用にも使える。ではその他に何に使えるだろう? それがChristian Sanzという起業家が数年前に取り組んだ疑問だった。さまざまな可能性を試した後、Sanzはある分野でドローンの需要が間違いなく高いことを発見した。建設現場のデータ収集だ。Sanzのスタートアップ、Skycatchはこのほど新たに1320万ドルの資金調達に成功した。

私の取材に答えてSanzは、「この分野の可能性に気づいたのは、私がドローンのプロトタイプを大勢の聴衆にデモしたとき、ある建設関係者が現場の空撮をしてくれないかと言ったときだ」と語った。

この建設業者はSanzにいろいろな空撮業務を依頼し、料金を支払うと申し出たが、Sanzは開発のために無料で撮影した。建設や土木の工事現場では通例、設計段階での1回の空撮写真しか得られない。運が良ければ数ヶ月ごとに追加の空撮が行われる。

Sanzが提供するサービスでは、ドローンの編隊を駆使して、工事の進捗状況を頻繁に空中から撮影する。なんらかの異常があれば早期に発見でき、莫大なコスト削減につながる。

それにミスを発見するだけではない。工事現場に関してこれまでは得られなかった膨大な情報が蓄積できる。 センサーとカメラを搭載したドローンは工事に関するあらゆる情報を正確に記録できる。

SkycatchはすでにBechtel、Bouygues、Rio Tintoなどの世界的エンジニアリング企業を始めとして数多くのクライアントを獲得している。契約上、社名を明かせないクライアントも多いという。Skycatchのドローンは現場上空から2Dと3Dの写真を撮影するが、この飛行は予めプログラミングされた経路に沿って自律的に操縦され、自動的に発進場所に帰ってくる。風の状態にもよるが、1回、最長30分の飛行が可能で15GBのデータが取得できる。

今回の資金調達でSkycatchは既存ビジネスの強化と同時に、高高度に長期間滞空できる新しい無人機の開発も計画している。こうした長期滞空タイプのドローンはGoogleとFacebookのドローンによるインターネット・アクセス・ポイント提供計画で用いられるものと類似している。私は「この分野には手強いライバルが多いのではないか?」と尋ねたが、Sanzは「まだ現実にはそこまで行っていないし、将来は商業航空機の飛行高度以上からの情報収集ドローンに関しては多くの企業が共通の通信チャンネルを確立するなどして協力していくものと思う。単なる競争関係にはならないはずだ」と答えた。

Skycatchはビッグデータの収集、解析とドローンという2つの未来的な要素を結びつけたところにビジネスを成長させようとしている。 これまでの建設プロジェクトでは、ビルや橋が崩落して始めて重大なミスがあったことに気づいていたが、Skycatchのようなサービスを利用すれば問題の発生と同時に直ちに正確な情報が取得できる。言い古された表現だが、Skycatchの成長の可能性は「青天井」だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


TechCrunch School第4回は5月29日開催–テーマは「大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」

1月から開催しているイベント「TechCrunch School」。3月に開催した第3回「スタートアップ企業のマーケティング戦略」は、天候にこそ恵まれなかったが100人超に参加頂くことができた。

そして5月29日木曜日の夕方6時から、これまでと同じく東京・秋葉原(末広町)で第4回となるイベントを開催する。今日から参加申し込みの受け付けを開始したのでお知らせしたい。

今回のテーマは「大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」。前回はスタートアップ企業のマーケティング担当者やCMO、起業家などを対象にしたが、今回は大企業から中小企業までに勤めつつ、スタートアップを立ち上げたい、スタートアップに参画したいと考えている人。大企業からの内定を得ているが、スタートアップに参加することを考えている学生、さらにはそういったスタートアップにに挑戦したい人たちと出会いたい、一緒に働きたいと考えているスタートアップの起業家や人事担当者らを対象にしたい。

今回はゲストスピーカーとして、KAIZEN Platformの共同創業者でCEOの須藤憲司氏、freee代表取締役の佐々木大輔氏、みんなのウェディング代表取締役社長の飯尾慶介氏の3人をお呼びしている。

須藤氏は、新卒でリクルートに入社。マーケティングや新規事業開発部門を経て、アドオプティマイゼーション推進室を立上げ。リクルートマーケティングパートナーズで最年少の執行役員として活躍したのちに退職し、KAIZEN platformを創業した

リクルート時代から広告の最適化に取り組んできた同氏だが、KAIZEN platformでは、A/Bテストの実行と、テスト向けのクリエイティブ制作のクラウドソーシングを組み合わせた「planBCD」を展開している。また最近では元グーグルで、広告営業部門の立ち上げ、業界営業部門の立ち上げと責任者、広告代理店事業の責任者を歴任した小川淳氏や、グリーおよびGREE Internationalで、ゲームやアドテクノロジー分野のプロダクトマネジメントを手がけた瀧野諭吾氏などの参画を発表。さらに500万ドルの大型調達を実施して米国を中心に展開を本格化するとのこと。イベントでは、大企業とスタートアップの違いから、優秀な人材の“口説き方”までを聞いていきたいと思う。

またfreee佐々木氏は、大学在学時よりインタースコープ(経営統合を経て、現:マクロミル)にてリサーチ集計システムや新しいマーケティングリサーチ手法を開発。卒業後は博報堂、CLSA キャピタルパートナーズを経て、ALBERTの執行役員に就任。その後2008年にGoogleに参画し、国内のマーケティング戦略立案やGoogle マップのパートナーシップ開発、日本およびアジア・パシフィック地域における中小企業向けのマーケティングの統括を担当したのちに退職。2012年7月にfreeeを創業した。

2013年3月にサービスを開始したfreeeだが、現在のユーザーはすでに7万事業者以上。Windows XPのサポート期間終了や消費税率の変更なども追い風となりその数はさらに増加中だという。また直近には8億円の資金調達も発表し、機能強化やアジア進出についても準備しているという。以前、佐々木氏に起業の経緯を聞いた際、前職で中小企業との接点があったことからその課題を知ったのがきっかけだと語っていたが、イベントでは、Googleを飛び出して起業した理由や、過去の経験がスタートアップにどう生きているかについて聞いていきたい。

飯尾氏は、1999年にトーハンに入社。子会社直営店舗の店長、スーパーバイザー職などを経て、2006年にディー・エヌ・エーに入社。ECアドバイザー職を経て、社長室の新規事業としてウェディング情報の口コミサイト「みんなのウェディング」の立ち上げに携わる。その後、Mobageのオープンプラットフォーム立ち上げなども経験したのち、2010年10月にスピンオフ。みんなのウェディングを設立。同社は2014年3月に東証マザーズ市場に上場した。

「大企業の新規事業を持ってスピンオフして、上場を目指す」というIT系スタートアップはそう多くない。例えばこれが社内の事業として展開していたのであれば、このスピードでの上場を実現できていなかったのかもしれない。飯尾氏には、大企業から出て自らのサービスに注力した意味やその成果、さらにはスピンオフで得た経験や知識について聞いていきたい。

前回に引き続き、今回のパネルディスカッションでは、会場でのみ聞ける「オフレコタイム」を設ける予定だ。プレゼンテーションの模様は記事や動画でも紹介する予定だが、会場に来て頂いた人たちに限定して、登壇頂く起業家の生の声を届けたい。

今回は1人3000円の有料イベントとなる。19時半以降の交流会では食事とドリンクも用意するので、是非早めにお申し込みをいただければと思う。

TechCrunch School #4
起業志望者注目!
「大企業から飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」
【開催日時】 5月29日(木) 17時半開場、18時開始
【会場】 東京・末広町 3331 Arts Chiyoda 3331 Arts Chiyoda地図
【定員】 100名程度
【参加費】 3000円
【参加資格】 起業を志す、もしくはスタートアップに興味のある大〜中小企業の社員および、学生の方。スタートアップへの参画を希望する人材と出会いたいスタートアップの起業家、CxO、人事担当者
【ハッシュタグ】#tcschool
【主催】 AOLオンラインジャパン
【内容】
18:00〜18:05 TechCrunch Japan挨拶
18:05〜18:50 講演セッション
須藤憲司氏(KAIZEN Platform共同創業者・CEO)
佐々木大輔氏(freee 代表取締役)
飯尾慶介氏(みんなのウェディング 代表取締役社長)
18:50〜19:30 パネルセッション「僕らが大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」
パネラー:
須藤憲司氏(KAIZEN Platform共同創業者・CEO)
佐々木大輔氏(freee 代表取締役)
飯尾慶介氏(みんなのウェディング 代表取締役社長)
西村賢(TechCrunch Japan編集長)
19:40〜21:00 懇親会(アルコール、軽食も出ます)
【申し込み】イベントページから事前登録必須
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

資金調達・事業提携イベント「RISING EXPO 2014」、アジア4地域で開催

スタートアップが資金を調達する手段はいくつかあるが、イベントで自分たちのプロダクトをアピールすることもその手段の1つではないだろうか。サイバーエージェントグループで投資育成事業を手がけるサイバーエージェント・ベンチャーズが、IT・インターネット関連のスタートアップを対象とした資金調達・事業提携イベント「RISING EXPO 2014」を開催する。

これまで2年連続で開催され、僕も事前審査員をさせていただいた同イベント。当日は国内外の有力ベンチャーキャピタルや大手事業会社などが一堂に集結。事前選考を通過したスタートアップがプレゼンテーションを実施、さらにネットワーキングの場を提供する。2013年9月に東京で開催された「RISING EXPO 2013」では、ベンチャー企業15社、有力ベンチャーキャピタル50社、大手事業会社20社が参加した。

2014年度は、日本に加えて東南アジア、韓国、中国のアジア4地域で順次イベントを開催する。第1弾として、3月17日よりインドネシアのジャカルタで開催予定の「RISING EXPO 2014 in SEA」への企業の応募受付を開始する。

対象となるのは、東南アジアですでにIT・インターネット関連事業を開始しており、事業拡大やグローバル展開のために1億円以上の資金調達や事業提携を検討しているスタートアップ。本店所在地は日本、海外を問わない。開催日に関しては、決定次第順次特設サイトにて紹介するとしている。

昨年参加させて頂いた際には、「来場者はユーザーではなく投資家。その視点を持ってプレゼンをするべきだ」と強く語っていたキャピタリストがいたのが印象的だった。僕も日本でのイベントには参加させて頂く予定。すばらしいプロダクト、そして起業家と出会えるのが楽しみだ。


スタートアップが陥るIKEA効果の罠―MVPセオリーに固執するのは危険だ

イラスト: Marius Ursache

〔編集部〕 Bill AuletはMITのMartin Trust起業家センターの責任者であり、MIT Sloan ビジネス・スクールの上級講師。最近の著書はDisciplined Entrepreneurship: 24 Steps to a Successful Startup〔規律ある起業家精神:スタートアップの成功への24のステップ〕。Twitterはこちら

何かを闇雲に作るだけではスタートアップは成功できない。「でも素早く作ることが肝心なんでしょう?」と私はよく質問される。

それはそのとおりだ。昔、大企業が古臭いウォーターフォール型開発に固執していた頃、起業家はできるだけ速く実際に動くプロダクトを作ってしまうという「実用最小限のプロダクト」(MVP=Minimum Viable Product)手法を編み出し、開発のスピードを画期的に加速した。プロダクトの機能を本当に必要な範囲だけに絞り込み、いち早く製品をリリースしてユーザーからのフィードバックを得て、すばやく改良を加えていくというモデルだ。

しかし今や振り子は反対側に振れ過ぎている。ユーザーが何を求めているかを調べる時間を取らずにひたすらプロダクトを素早く作ることだけを考える傾向が見られる。そうした闇雲な開発の結果、プロダクトは方向性を失い、スタートアップは「IKEA効果」として知られる陥穽に落ち込むことになる。

IKEA効果は「人は自分で作ったものに本来以上の価値を与えてしまう」現象でMichael Norton、Daniel Mochon、Dan Arielyによって発見された。この3人は折り紙の愛好家を対象に実験を行った。愛好家に専門家が作った作品と自分たちの作品を評価させたところ、客観的に見て専門家の作品n方がはるかに質が高いにもかかわらず、愛好家は自分の作品の方を高く評価する傾向が見られた。IKEA効果という名前はもちろん誰でも知っているスウェーデンの組み立て式家具のメーカーにちなんでいいる。つまりわれわれは何かを自分で作るや否や、評価モードから擁護者モードに入ってしい、客観的な基準に基づく判断ができなくなる傾向がある。

われわれは何かを自分で作るや否や、評価モードから擁護者モードに入ってしい、客観的な基準に基づく判断ができなくなる傾向がある。

最近の私の教え子のチーム(次に述べるような事情から特に名を秘す)は、自分で開発したテクノロジーに心底夢中になってしまった。彼らはコンピュータ・インタフェースの改良に重要な貢献をなし得る画期的テクノロジーを開発した。デモを行うたびに強い関心が寄せられた。彼らは有頂天になり、デモの際に寄せられた要望にもとづいて新機能を追加していった。印象的なデモにより、このチームはビジネスプランのコンペと投資家から資金を得た。ところが結果的にこれが最悪の結果を招く原因になった。

カンファレンスでデモを見る人々、ビジネスプラン・コンペの審査員、ベンチャーキャピタリストは誰一人プロダクトに自分で金を払うユーザーではない。開発チームがMVP〔最小限実用的なプロダクト〕と称したものは、単に見栄えのするコンセプト・モデルだった。彼らは「仮説を実証している」と称したが、テクノロジー上のあるコンセプトが実現可能であることを示しているに過ぎなかった。そのうちに彼らは「ピボットした」。つまり有効なビジネス・プランを生み出せないままに金が尽き始めたのだ。結局彼らは現実的な成果を何も生み出すことができなかった。

なぜ彼らは貴重な時間と資源を無駄遣いする羽目に陥ったのか? それは自分たちで開発したためにそのテクノロジーに強過ぎる愛着を持ってしまったからだ。「きみたちはそのテクノロジーに金を払うユーザーを見つけるのに失敗している。ユーザーと会話して本当のニーズを調べなおすべきだ」と忠告しても聞く耳もたなかっただろう。彼らはまさにIKEA効果の犠牲者になっていた。

別の教え子チーム、FINsixはこれと別の道を行った。同社は従来のサイズの4分の1の超小型ノートパソコン用電源アダプターを開発し、先月CESで各種の賞を獲得し各方面から注目の的になっている

しかし彼らが私のクラスに入ってきたときに持っていたのは実験室で有望そうなテクノロジー・コンセプトに過ぎなかった。なるほどハードウェア・ギークには興味深いテクノロジーだった。従来のAC/DCコンバータより1000倍高速なVHF帯スイッチングを利用することによってサイズを10分の1にできる。また磁芯のような重い部品を使わずにすむ。物理的な衝撃、振動にも強い。

しかしながら、こういうテクノロジー上の特長は、一般消費者が金を払う動機にはならない。FINsixは賢明にもこの点を認識していた。そこでプロダクトの開発に突進する前に消費者のニーズを慎重に調査した。

「われわれは電子パンフレットを作って(VHFスイッチング)コンセプトに対する反応をさまざまな市場から収集した。広汎な調査の結果、われわれの新しい電源がもっとも受け入れられやすいのはノートパソコンの分野だと判明した」と共同ファウンダー、CEOのVanessa Greenは言う。パンフレット、というところに注目していただきたい。

実際に開発されたMVPに比べて電子パンフレットはIKEA効果を起こす危険性が格段に少ない。FINsixチームはスマートフォンからLED照明までさまざまな市場の可能性を探り、最終的にノートパソコンの電源がもっとも売れそうだと結論した。最初のプロダクトが売上をもたらせば会社を持続させ、さらに新しいプロダクトを開発することが可能になる。

自分が開発したプロトタイプに惚れ込んでしまって、それを誰も欲しがっていないことに気づかなければ、本当にユーザーが必要としている正しいプロダクトを開発するのは不可能だ。

優れたプロダクトを作るにはそれに見合った適切なユーザーグループの存在が不可欠だ。ところが自分が開発したプロトタイプに惚れ込んでしまって、それを誰も欲しがっていないことに気づかなければ、本当にユーザーが必要としている正しいプロダクトを開発するのは不可能だ。

「資金が尽きる前にテクノロジーに惚れ込んだ大企業に買収される」というのがスタートアップ設立の目的なら別だが、そうでなければテクノロジーに執着してプロダクトを作るのをひとまず措いて、ユーザーと虚心坦懐に会話して本当のニーズを探らなければならない。それはギークにとって開発に没頭するより面白くない経験かもしれないが、買収されるという運任せのルーレットに一喜一憂するよりずっと健全な方向だ。優れたテクノロジーと優れたマーケティングを基礎としなければ優れたプロダクトを作ることはできない。われわれはこれを「規律ある起業」と呼んでいる。テクノロジーとマーケティングを二律背反的に考えるのは近視眼的な誤りだ。

私の考えは東海岸の保守的な起業家精神を代表しているのだというように考える読者もいるかもしれない。しかし先週サンフランシスコを訪問して、T3 AdvisorsDavid BergeronRapt StudioのCory Sistrunk、Ed Hallらと話したところ、ぴったり意見が一致した。「行き過ぎたMVPメンタリティは、プロダクト・デザインにおいてもっとも重要jなユーザー中心主義を忘れさせる危険性がある。起業家は『どのように』開発する、『何を』開発するかを考える前に「なぜ」開発するかをを考えることが大切だ」と彼らは語った。

さらに言えば、起業家はMVPに執着するのを止めて、まず第一に「誰のために」開発するのかをを明確にさせることが大切だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+