近づきたがる人々とVR

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バーチャルリアリティーに関する数多くの話題は、もはや誰にとっても驚きではないだろう。長年に渡って、われわれはあらゆるタイプのコンテンツに近づこう近づこうとしてきた。

たとえば、映画を見るようになる前、人々は劇場に出かけて生の舞台を見ていた。すすんで後ろの席に座る人はほとんどいない。おそらくそこに座る理由は、来るのが遅かったかお金が足りなかったかだ。映画館ができると、人々はスクリーンすぐ近くの中央の席へと殺到するようになった。そして、スポーツの試合へ行けば、選手たちに近い席ほど料金が高い。そして、3Dがわれわれをさらに近づけた。もちろん、料金は通常のチケットよりも高い。

人は、自分の見るもの、することの近くに行きたがる。

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携帯電話は時として気をそらすものとみられる。われわれは自分を孤立させているのだろうか?無関心なのだろうか。友達何人かとバーにいて、全員がそれぞれの小さな世界をチェックしていると、笑われることがある。全く「ソーシャル」ではないと。しかし、実際にはソーシャルなのだ。驚くほど。われわれは近づこうとしている。気にかけている人やものすべてに。レストランで友達の隣に座ったまま、自分たちの写真を大陸の反対側にいるママたちとシェアできるのはすごいことだ。

近さに対するこの欲求と要望が、バーチャルリアリティーやオーグメンテッドリアリティー(拡張現実)という、より没頭的な体験へとわれわれを誘う。これは何かから逃避しようとしているのではなく、興味を引くなにかにもっと近づこうとしているのだ。ニューヨーク市の美術館に行けない?ヘッドセットを着けてそこへ行ったように感じられるのなら、美術品の平坦な写真を見ることはない。

悩む必要すらない。これは必然だ。

バーチャルリアリティーは、われわれが生きている現実の代替品ではない。単なる拡張だ。

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2016年を迎えるにあたり、多くの人々が「VRの年」と呼んでいる。しかし実際のところ、それは空間と時間の進化にすぎない。数々のすぐれたテクノロジーとそれを作る人々のおかけで、われわれはどこへでも好きな場所へ、好きな時間に行くことができ、ただ見るだけでなく、いじったり遊んだりできるようになった。

われわれは映画館の座席や裏側にガムの張り付いたバーの椅子から自分たちを解き放ち、全く新しい世界へと旅立っている。そして、アリゾナ州で宇宙を遊泳したり、あのワシントンDCの戦没者慰霊碑を訪れたりしているその時にも、あなたの座っているバーの椅子には、知らない誰かが会いにくる。実際に人と出会うことを願って。

今の自分を大切に。今持っているものを大切に。しかし、あえてもっと多くを望もう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Samsungは来月のCESで‘スマートベルト’など奇抜な新製品3種を披露

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CESは、昔のモーターショーにやや似ている。当時の自動車メーカーは、実際に売るための製品というより、技術力を誇示するための新奇な製品ばかりを、自慢気に展示していた。それと似てSamsungは、来週から行われるCES 2016で、三つの新(珍)製品を披露するようだ。

中でももっとも奇抜なのは、WELTと呼ばれる‘ヘルスケアのためのスマートベルト’(smart wearable healthcare belt)WELTだ。

WELTだって*。〔*: weltには別の意味がある。〕

(長い沈黙)

ベルトとしてはふつうのベルトに見えるけど、(きっと)ユーザのウェストサイズを測ったり、食生活をチェックしたり、一日にやるべきエクササイズなどを指示したり、椅子に座っていた時間を計ったりするのだ。そしてそれらのデータがアプリへ行き、健康改善のためのアドバイスが作られる。

次の製品はVRヘッドセット用のハンドモーションコントローラ(hand-motion controller, 手の動きでVRをコントロールする)だ。VRのゲームで、Wiiのような対話をする。たとえば手の動きだけで、実際にテニスをプレイしている仮想現実(VR)を体験できる(下図)。

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最後の三つ目の製品は、スマートフォンやスマートウォッチに付ける不思議なストラップ(ひも)だ。これをデバイスに接続しておくと、下図のように、自分の指を耳に当てるだけで、スマホ(など)からの音が聞こえる。シークレットサービスが盗聴用に使うとよいね。

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いずれの製品も好奇心をそそることはそそるから、CESで実際に体験したら結果をご報告しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Oculusのファウンダー曰く:Riftの出荷は「目標通り」2016年Q1

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Oculus Riftについて最も多い質問は、「いつ手に入るのか?」であり、同社のファウンダーは、辛抱強く待っている人々に最新状況を伝え続けている。

ファウンダー、Palmer Luckeyが発信した一連のツイートによると、Riftは来年Q1の出荷目標に向かって進んでいるようだ。

[嬉しいニュース:製造は順調に進んでいて、すごいRiftのQ1出荷は予定通り]
[予約分は新年早々にやってくる。ストレスのない休日を楽しんでくれ。予告なしに出荷することはない]

この前にデベロッパーには、ハードウェアの早期製品が送付される旨のメールが届いている。いよいよVR時代の始まりだ。

この最新情報は重要だ。なぜなら、市場、会社(Facebook!)、ファン、そしてバーチャルリアリティー全般に興味のある人たちにとって、将来のプランはOculus初の消費者向け製品の発売にかかっているからだ。同社は独自タイトルも発表し、それは楽しみではあるのだが、VRコミュニティーは、Oculusが勝手に行動して自分たちが開発するオープンプラットフォームがなくなることを恐れた。それは起きそうにない。

最近 LuckeyはOculusの計画についてGameinformerのインタビューに答え、ゲーム業界が多大な努力でVRの発展を支えてくれていると言った。

ゲーム業界は、VRでやっていることの発祥の地ともいえるため、VRに必要な基盤をすべて作ってきた。われわれは高いフレームレートで動くゲームエンジンを使える。山ほどの3Dオブジェクトをレンダリングできるゲームエンジンもあり、その描写は非常に高速で写真のようにリアルだ。もしそれらがなければ、そしてもしゲーム業界がなければ、今のVRはあり得なかった。

その大変な努力は、まだまだ多くの物がやって来ることを意味している。そしてどうやらOculusは、消費者市場でHTCのViveをあっさり打ち負かしそうだ。それは、FacebookとOculusにとって実に大きい勝利となるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、360度没入型ムービーの「スポットライトストーリー」をYouTubeアプリケーションで閲覧可能に

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GoogleがYouTubeで「スポットライトストーリー」を閲覧可能にした。「スポットライトストーリー」とは、360度を見渡せる没入型インタラクティブムービーのことだ。米国時間の22日朝にアナウンスされた。まず投入されたのは「Special Delivery」と題されたクリスマスムービーだ。「ウォレスとグルミット」を製作したアードマン・スタジオが制作したものだ。多くのAndroidデバイスで、YouTubeアプリケーションを使うことで閲覧することができる。スマートフォンの向きを変えたりすることで、ムービー内のシーンをさまざまな角度から楽しむことができるようになっている。

この「スポットライトストーリー」のフォーマットは当初、Motorola MobilityのAdvanced Technology And Products(ATAP)部門が開発していた。Googleは同社を2011年に買収して以来、自社内での開発を続けていたというわけだ。もともとはMotorolaのMoto Xなどのデバイス用に開発されていたため、直ちにAndroidに移植することはできなかった。現在でも完全な互換性を有するわけではなく、動作しないAndroidデバイスもある。

Googleは今年、YouTubeのAndroidアプリケーションに従来型ビデオを閲覧させるだけでなくVR機能を投入したり、360度見渡すことのできるビデオフォーマットなどを導入してきた。今回の「スポットライトストーリー」も「機能拡張」の一貫と見ることはできるが、ただしこれまでのものとは異なると言えよう。すなわちスマートフォンに内蔵されたセンサーを活用した新しいインタラクティブ・エクスペリエンスを提供することができるからだ。

「スポットライトストーリー」の形式でビデオを制作する場合、ジャイロスコープや加速度センサーなどからのデータを使って、2Dないし3Dで、360度を見渡すことのできる没入型エクスペリエンスを提供できるのだ。専用のアプリケーションを使えば、2013年からこうしたエクスペリエンスを体感することはできた。今年にはiPhone用のスポットライトストーリーズ・アプリケーションも投入していた。

Googleの発表によれば、「Special Delivery」はさまざまな角度から閲覧することができ、またスマートフォンを動かしていくことで、隠れたストーリーをアンロックすることもできるのだとのこと。10種類のサブプロットが隠れているのだそうだ。ストーリーの分岐点は60シーンに隠されているらしい。見るたびに何度も違うはストーリーを楽しむことができると言っても良いかもしれない。

「スポットライトストーリー」は今のところ限られたAndroidスマートフォンでしか動作しない。Googleは対象ユーザー以外にも楽しんでもらうためにYouTube 360版を用意して、今回非対応となったAndroidデバイスやiOSデバイスでも閲覧できるようにしている。またGoogle Cardboardでも楽しむことができるようになっている。

来年にはより多くの「スポットライトストーリー」を公開し、またiOS版のYouTubeアプリケーションでも閲覧することができるようになる予定なのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

Samsung Gear VRの最新コマーシャルはVRを一般消費者レベルの感性で訴求、これで来年のVRレースに勝てるかな?

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Samsung Gear VRの発売がいつになるかは、まだ分からないが、でも予告広告はコンスタントに登場している。そしてその、“とても良い仕事をしている”コマーシャルは、VRの未来に関する重要な問題を追おうとしている。今回のは、ゲームがテーマだ。

前の記事にも書いたように、現状でVRに対する質問は、“○○○はできるか?”、“☓☓☓はできるのか?”、というものが多い。そしてSamsungのコマーシャルは、一貫してそれを話題にしている。まず、見てみよう:

最後のメッセージは、Gear VR体験をうまく言い表している…”Your world just got bigger”(世界がとっても大きくなります)。通常の、スマホの画面を見ている状態からVRへの移行が、とても簡単にできる。Gear VRにスマホをぱちんとセットするだけだ。前にも体験談を記事にしたが、ユーザ自身がやるVRのセットアップは、これだけだ。

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ユーザの想像力に期待するVRのコマーシャルではなく、テレビ画面からVRの迫力の一端を見せ、その没入感をナレーションで煽る: “実際にゲームの中に入れます”、“空の星を見るだけではありません、星たちの中を飛行します”。

今のスマホは圧倒的に、何かを見るために使われているから、それを延長してさらに没入的にしたのがVRだ、と消費者を教育する。では、何でそれを体験するのか? Samsungの製品で、ですよ、もちろん。

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これらのコマーシャルにあふれている消費者親切精神は、完全にAppleだ。Samsungというブランドの表示がなければ、Appleの広告と思うだろう。使いやすさの訴求と、よくあるFAQに実際のユーザ体験の画面で答える。根っからのゲーマーでないふつうの人でもFOMO感に苛(さいな)まれる。そう思わせるほど、説得力のある物語になっている。来年、Oculus Rift、HTC Vive、Sonyと出揃ってきたときに、一般消費者のマインドシェアで優位に立っていたいのだ。

Samsungの、これほどまでのテコ入れは、ペイするだろうか? 馬を水辺に連れてきたが、水を飲んでくれるか? もちろん、各社がそれを望んでいるのだが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

コロプラがVR領域に最大5000万ドルの出資、専門ファンド「Colopl VR Fund」を設立

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米国ではVC・Rothenberg VenturesのVR特化型インキュベーションプログラム「River」なんかも活発に活動しているようだが、日本でもVR領域のスタートアップを支援する動きが活発化している。

11月にはgumiが子会社「Tokyo VR Startups」を設立すると発表。VR領域のスタートアップに対して、資金を提供するほか、ワーキングスペースの貸与やバックオフィスサポートといった支援を行うプログラムを開始している。

そして今日12月16日には、コロプラと同社の投資子会社であるコロプラネクストが共同でVR特化のファンド「Colopl VR Fund」を設立すると発表した。

Colopl VR Fundは、コロプラとコロプラネクストが最大で5000万ドルを出資する、同社いわく「世界最大級のVR専門ファンド」になるという。コロプラネクストが運用を担当するほか、すでにVRコンテンツを開発するコロプラ、同社子会社で360度動画関連事業を行う360Channelが技術面での支援を担当する。

VR向けHMDの代表格である「Oculus Rift」やプレイステーション4向けのHMD「PlayStation VR」などが2016年にも発売される予定で、業界関係者からは「2016年はいよいよVR元年」といった声も聞こえてくる。コロプラによると、同社は2年前からVRの研究を進めていたという。

Giropticは仮想現実コンテンツの撮影に最適な360度カメラを開発

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フランスのスタートアップGiropticは、全く新しいアクションカメラのために450万ドルを調達した。GiropticはGoProと似ているが、近くで見ると3つのカメラが付いていることが分かる。このたまご型の360camは、撮影者の周りの風景を全て捉えることができ、仮想現実ヘッドセットで見るための映像を撮影するのに最適なカメラだ。

多くの企業はヘッドセットを開発することに注力しているが、仮想現実コンテンツの制作もVR市場で重要となる要素の一つだ。CCP Gamesといった企業はヘッドセット用のゲームを制作しているし、VideoStitchのような企業は360動画をリアリタイム、あるいはポストプロダクションで制作できるソフトウェアツールを開発している。

Giropticが興味深いプレーヤーなのは、彼らは独自のカメラと共に自社で映像を張り合わせる編集ソリューションも開発していることだ。ついでに言うと、GiropticはKickstarterのキャンペーンで140万ドルを集めることに成功した。Kickstarterで支援した人は、12月か1月にカメラを受け取ることができる。

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また、同社のウェブサイトから499ドルでカメラを事前予約することができる。GiropticはGoProの道筋を辿り、高価なカメラを興味がある人なら誰でも購入できるようにする計画のようだ。それは重要なポイントだ。360camは専門家のためだけのものではない。仮想現実動画を試してみたいと思う全ての人向けのものだ。

最終的に仮想現実動画が主流になるのなら、Giropticは何百万人の潜在的なカスタマーに自社のカメラを販売することができる立場にいることができるだろう。

他の似たカメラに比べると、Giropticはカメラ内でリアルタイムに映像を貼りあわせる編集ができる。Giropticのチームは、不動産や科学捜査に用いるための360度画像開発に何年もの期間を費やした経験がある。GroProのプロとコンシューマーの中間を狙う戦略は、そう考えると最近のことだ。

Partech Ventures360 Capital PartnersSOSVFinorpa、ビジネスのエンジェル投資家であるOleg Tscheltzoff、Pascal Cagni、Aloe Blaccが今回の資金調達ラウンドに参加した。Giropticは、コンシューマー行きつけの家電製品屋に最初の仮想現実のヘッドセットが陳列されるのと同時期に店頭で販売を開始する予定だ。

訳注:動画は原文をご参照ください。
画像: Tech Cocktail/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

YouTube Gaming for Androidに“Cardboard Mode”が加わり、劇場の大画面感覚を楽しめる

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GoogleバージョンのTwitch、YouTube Gamingは、新しい機能を素早く取り入れることで競争の先頭に立とうとしている。今回のは残念ながらAndroidオンリーの機能だが、”Cardboard Mode”(カードボードモード)と呼ばれ、ビデオを映画館の大画面のような状態で見ることができる。

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Google Cardboardをまだ持ってない人は、そのスターウォーズバージョンを無料でもらおう(合衆国のみ)。

劇場の椅子に座って、大画面を見ているような気分になる。ゲームプレイの録画はまだ2Dのみだが、360度の立体VR画像で可能になるのも、そう遠くはないだろう。

要するにGoogleとYouTubeは、よそで実現し進歩したVR技術を自分たちも利用する、という姿勢ではない。自分でフェンスをぶち壊して、前進したいのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

未来の拡張現実(AR)を今日見せてくれるMagic LeapがシリーズCで$827Mの巨額を調達

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Forbesの記事によると、ほとんどステルス(お忍び)状態なのに、回りが激しく騒いでいるスタートアップMagic Leapが、シリーズC*で8億2700万ドルを調達中だ。〔*: シリーズBでは5億4200万ドル。〕

Magic Leapのプロダクトは、MicrosoftのHoloLensとOculus Riftの交配種みたいで、10月のデモではこうなっている:

でも、世間をあっ!!と言わせたのは、こちらの、3月のデモだ:

これでMagic Leapの資金調達総額は約14億ドルになる。これまでの投資家は、Google, Qualcomm Ventures, KKR, Vulcan Capital, KPCB, Andreesen Horowtiz, Obvious Venturesなどなどだ。GoogleのCEO Sundar Pichaiは同社の取締役だ。誰もが毎日、現実というものの姿を、こんなものだと思っているかもしれないが、未来にはそれがまったく違った姿になる。しかも、あなたが求めたとおりの姿に。…そう思わせてくれる企業だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Oculus Riftの発売日に提供されるコンテンツはVRゲームRock Band VR、すでに予告編あり

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Oculusからの重大な発表が、何であるか分かった。それは、今夜(米国時間12/3)ロサンゼルスで行われたThe Game Awardsのステージで共有された。

その発表は、同社のVRヘッドセットRiftの発売スケジュールやお値段ではなかった。それは、“2016年のQ1”になるしかないようだ。

しかし、23歳のOculusファウンダでRiftを発明したPalmer Luckeyが発表したのは、 HarmonixとのパートナーシップによるVRゲームRock Band VRだ。そのときの彼の短いステージには、まさにロックバンドDragonForceがいたんだけど。なお、ゲームの発売は2016年の早め、だそうだ(ということはRiftも?)。

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これがThe Game Awardsにおける、その発表だ:

そして予告編:

Rock Bandを前から知ってる人は、どんなのか想像できるだろう。プレーヤーは、バンドの奏者になりきってプレイする。予告編でちらっと見たかぎりでは、よくできてるし、まさにVRならではの没入的(immersive, イマーシブ)だ。

“実際に満員の聴衆がいて、自分が本当のロックスターになった気になれるのは、とってもすばらしい体験です”、とLuckeyは述べた。

ステージ上でLuckeyは、両社のチームはかなり前から協働している、Riftのローンチ(いつのことやら)では、ほかのゲームも発表される、と言った。今のところは、Rock Band VR はVRゲームとして完成度がとても高そうだから、ぼくも絶対に買いたい。ギターをプレイしているぼくが、だせぇアホに見えても、かまわないよ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

直近12ヶ月におけるAR/VR市場への投資の内訳

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編集部記Tim Merelは、Crunch Networkのコントリビューターだ。Tim MerelはEyetouch RealityDigi-CapitalのファウンダーでCEOだ。

拡張現実と仮想現実は注目の分野で、投資家や企業は行動を起こし始めている。去年の初め、Facebookは数十億ドルでOculusを買収し、関心を集めた。しかし、この分野への投資が加速したのはここ12ヶ月のことだ。

拡張現実と仮想現実テクノロジーへの本格的な投資

2006年から2014年の終盤の間もAR/VRへの投資は少しづつ行われていた。そしてMagic LeapがGoogleらから5億4200万ドルを調達したことを皮切りに、この分野への投資は加速した。この12ヶ月で10億ドル近い資金がAR/VR市場に流れ込んだ。

前の四半期だけでも、2014年Q2の6倍の投資額となった。投資家や企業家のコミュニティーにおけるこの市場への関心はこれまで以上に高くなり、知識を蓄えながら市場の動向を注視している。

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Magic Leapへの投資額は、この12ヶ月内における投資額の半分以上を占める。彼らはさらに数十億ドルを調達する予定だとの報道もあるようだ。投資家や企業は、このフロリダの企業以外にも期待している。まだ本格的にローンチしていないAR/VR市場の目を見張るほど多様な企業に投資しているのだ。

AR/VR用の顔に付けるディスプレイ、動画、ソリューション/サービス、広告/マーケティング、ゲーム、アプリなどに多くの投資が行われた。エコシステムが形を成し始めるほど、投資側のコミュニティーはAR/VRの上昇を支えるために燃料を供給している。

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M&Aより投資

FacebookによるOculusの買収も投資家や企業にとって大きなきっかけとなるものだったが、現時点では、M&Aより投資の影響の方が大きい。

この12ヶ月におけるAR/VR市場でのM&Aの規模は2億5000万ドルだった。 IntelによるReconの買収が合計の4分の3の額を占めている。この状況は次の一年で劇的に変わるかもしれない。大手企業が競争で一歩先に抜きん出るために注目のスタートアップを買収することが考えられる。

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さらなら成長

AR/VR市場がローンチし始めている現在、投資コミュニティーはIntel、Google、Facebook、MicrosoftといったAR/VRの台頭を確実と見ている企業と、もう少し待って様子を窺う企業に分かれている。

来年の市場の動向は平坦なものではないだろうが、富はアーリーステージの投資市場における勇者に味方する。市場が回り始め、他にもいくつか大型のエグジットが起きるようになれば、傍観者で留まることは難しくなるかもしれない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

2016年はVR元年となるか——普及のカギは「コンテンツ」にあり

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「2016年はVR元年になる」——業界関係者が期待する声は大きい。すでに発表されているOculus RiftPlayStation VRといったコンシューマー用のVR機器が発売されることもその後押しになると考えられている。11月17〜18日に東京・渋谷で開催された「TechCrunch Tokyo 2015」でも、そんなVRに関するセッション「VR最戦前:360度動画が開く新しい世界とビジネス」が開催された。

セッションに登壇したのは1000円のダンボール製VRデバイスとコンテンツプラットフォームを提供するハコスコ代表取締役の藤井直敬氏と、VR向けの「360度動画」を制作しているHOME360代表取締役の中谷孔明氏。いずれも国内VR業界のキーパーソンだ。VR専門メディア「PANORA」編集長の広田稔氏がモデレーターを務めた。

VRはまだアーリーアダプターも食いつくせていない

ハコスコ代表取締役の藤井直敬氏

ハコスコ代表取締役の藤井直敬氏

「VRはもう体験した? あれはすごいよね」—そんな声が新しいモノ好きの間で聞こえはじめてから2年ほど経った。しかし、実際にデバイスを持ち、日常的にVRを体験している人はごくわずかだ。

ハコスコの藤井氏も「未だにアーリーアダプターさえ食いつくせていない」と現状を語る。エベレット・M・ロジャーズが掲げた「イノベーター理論」でいうところのイノベーター(全体の2.5%)には波及しているが、アーリーアダプターと呼ばれる比較的流行に敏感な層(全体の13.5%)までは届いていないという。

ゲームやエンタメから始まり、さまざまな領域で利用できると考えればVRのマーケットは巨大だと言える。しかし果たして本当にVR浸透していくのか? 今回のセッションではその一般化に向けた「キー」はVRの「コンテンツ」だという話が強調されていた。

「10カ月視聴され続けるコンテンツ」に普及の可能性

ハコスコで1月にリリースされたコンテンツで、未だに人気を博している動画がある。男性3人組アイドルグループ「Lead」のプロモーションビデオだ。動画を撮影したのはありきたりな普通のスタジオ。演出も凝っているわけではなく、ただひたすら3人が360度から自分に歌いかけているように見えるという動画だ。藤井氏は、この動画にVRが普及する可能性があると語った。

HOME360代表取締役の中谷孔明氏

HOME360代表取締役の中谷孔明氏

「普通、アーティストのプロモーションビデオは続けて見られることは少ない。それが実際に今でも見られ、視聴者からは『出勤前に見て元気を貰ったと』いうコメントがきている。この動画のヒットには、一般化に向けた可能性があると感じ、深堀していきたいと考えている」(藤井氏)

また、アーリーアダプターやイノベーターではなく、Leadのファンというセグメントにリーチすることができたこと。そしてVRの最大の魅力である没入感のみで感情を動かすができたことは、一般の人々にどのようにコンテンツをしかけていくべきかのヒントになるだろう。

4分の動画で1TBに……高品質化に課題

VRコンテンツでは、実写動画の場合360度動画が必要となる。この360度動画は実際にヘッドマウントディスプレイを通すと、中心以外は解像度が下がって見えてしまうという特徴がある。没入感や臨場感を高めるためには、より高い解像度の動画が求められるわけだが、高品質化には大きな課題があるとHOME360の中谷氏は指摘する。

VRコンテンツの、あくまで「現状」最適なフォーマット

セッション中に提示された、VRコンテンツの(あくまで“現状”)最適なフォーマット

 

「普段4Kや8Kで撮影、編集をするが、これらを再生するにはハイスペックなPCが必要となる。また、8Kの360度動画の場合、1分の動画でデータ容量が250GB程度あるため、編集作業に時間がかかる。そもそもまだAdobeの編集ソフトが対応していなかったりする」(中谷氏)

1分で250GB、つまり4分動画で1TBということだ。このデータ容量の大きさは、編集だけでなく配信するときにも大きな障壁となることは間違いない。ただ中谷氏もVR普及のために重要なのはコンテンツの解像度より内容のほうが重要であると語った。

「一番大事なのはコンテンツの内容だ。いくら8Kでも単に撮りっぱなしのコンテンツはつまらないですから」(中谷氏)

TechCrunch Tokyo 2015内でデモを行ったH2Lの「UnlimitedHand」は、筋肉への電気刺激でユーザーに触覚を与える、VRとの連携を想定したデバイスであった。そんな周辺機器の開発も進むなど、VRの波はそこまで来ている。2016年のVR元年からはじまる産業が数年で廃れてしまうことのないようにまずはコンテンツの発展に期待したい。

サムスン製Gear VRのCMビデオは驚きの完成度

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Samsung Gear VRの発売が始まったのを機に、サムスンは新しいテレビCMを投入している。たとえば49ers vs. Seahawksの試合中にも流れていた。

見てすっかり感心した。
かなり興味深いものに仕上がっているのだ。

TechCrunchでもこのSamsung Gear VRの記事をいくつか公開しているが、VRの魅力をふつうの映像で伝えることの難しさを感じていたのだった。しかしサムスンのCMでは、見事にVRの魅力が表現されているのだ。

Gear VRが出てからの評判を聞いてみると、どうやらVR関連業界でもサムスンのプロダクト戦略はなかなかうまくいっているのではないかということだ。キャンペーンのキャッチコピーは「It’s Not a Phone, It’s a Galaxy.」というものだ。

CMビデオを見てみよう。

広く一般の人に魅力を訴えようとする努力が読み取れるのではないだろうか。もちろん、この99ドルのデバイスを楽しむために、新たにサムスン製スマートフォンを買おうと考える人はそう多くはないだろう。しかし、クリスマスプレゼントにねだってみようと考えた新しいもの好きの人々(子供たち)はいるはずだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Samsung Gear VR、AmazonとBest Buyでは売り切れ

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Samsung Gear VRの最新消費者向けモデルを予約していなかった人は、お気に入りのオンラインショップで買うのがちょっと大変かもしれない。

AmazonBest Buyは、いずれもバーチャルリアリティー用品の豊富な在庫を謳っているが、現在それぞれ「一時的に在庫切れ」および「オンラインでは売り切れ」と表示している。

Amazon:

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Best Buy:

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一番確実なのは、直接Samsungのサイトから買うことだろう。忍耐強くない人は(私のように)、翌日配達を指定できる。

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SamsungとOculusにコメントを求めているので、回答があり次第続報する予定。両社とも、昨日の発売時点で何台デバイスが用意されているかを明らかにしていないので、私としてはまだ「僅少」とは言えない。

アップデート:Samsungの広報から以下の声明が届いた:

Gear VRがレビュワーや熱心な購入者から圧倒的な支持を得ていることを大いに喜んでいる。注文に応じられるよう最大限努力している。

あなたも買うべきか? 本誌のレビューをチェックされたい。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

なつかしいDungeons & DragonsをAltspaceVRが仮想現実(VR)で再現

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Dungeons & Dragonsのファンで、仮想現実(virtual reality, VR)のデバイスを持ってる人は、今ただちに、仕事も食事も何もかも中断した方がよい。ソーシャルVR企業を自称するAltspaceVRが、あの愛すべきテーブルトップロールプレイング・ゲームの没入型(イマーシブ, immersive)バージョンを発売したのだ。

AltspaceVRはD&DのパブリッシャーWizards of the Coastとの共同制作で、このプレー体験を作り出した。

同社によると、この作品により初めて、このゲームを、ゲームの世界の中を動き回りながらプレイできるようになった。VRだから当然だが、RPGとVRは最高に相性が良いね。

複数のプレーヤーやビューワー(見物人)が“部屋”に集まって、チャットしたり、ジェスチャしたり、他のプレーヤーのリアクションを見たりできる。

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Dungeons & Dragonsのブランドディレクター Nathan Stewartが、こんなことを言っている:

これまでのDungeons & Dragonsの、友だちはテーブルの回りにただ座って見てるだけ、というつまらなさをAltspaceVRは解消した。これからはみんながAltspaceVRの酒場に集まって、友だちのゴブリンのものまねを笑ったり、20面ダイス(さいころ)が転がるのを見たり、ついに20(最高値)を出して、敵を打ち負かしたりできる。

キャラクタシートやフィギュア、地形などは原作そのままだが、マップとアドベンチャーの内容はプレーヤーが自作もできる。

AltSpaceVRは最近1000万ドルあまりを調達したカリフォルニア州Redwood Cityの企業だが、出身はモスクワだ。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

gumiがVR特化のインキュベーションを開始へ——子会社「Tokyo VR Startups」を設立

国内ゲーム会社のVR(バーチャルリアリティ)領域への進出が積極的だ。

2014年に初めてVR対応ゲームをリリースしたコロプラは、VRの中でも非ゲーム領域、360度動画に特化事業を展開する「360Channel」を11月2日に設立。また9月に開催された「東京ゲームショウ」でもVRコンテンツを出展していたグリーは11月6日、新スタジオ「GREE VR Studio」を設立したことを発表した。すでにiOSおよびAndroid向けに第1弾タイトル「シドニーとあやつり王の墓」を発表している。

そんなVRの領域への進出にgumiも名乗りを上げた。同社は11月16日、子会社「Tokyo VR Startups」を設立すると発表した。設立は12月1日。資本金は1750万円、代表取締役にはgumi代表の国光宏尚氏が就任する。同社ではVR領域のスタートアップに対し、資金提供やワーキングスペースの貸与、バックオフィスサポート等で支援を行う。VR特化のインキュベーションというのは国内では僕が知る限りこれが初。米国では、Rothenberg VenturesがVR特化のインキュベーションプログラム「River」を展開している。

なお、11月17-18日開催のTechCrunch Tokyo 2015には、国光氏も登壇する予定。セッションではTokyo VR Startupsの詳細についても同氏に直接尋ねる予定だ。

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Facebook、iOSでもVRの360°ビデオCMをサポート―全プラットフォームでいち早く収益化を狙う

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マーク・ザッカーバーグは「 拡張現実(VR)こそFacebookの未来だ」と語ったが、その言葉どおり、ザックはニュースフィードのVR化に力を入れているだけでなく、早くも収益化を図ってきた。

広告へのVRフォーマットの採用に当たって、 Facebookは消費者の関心を盛り上げるため、通常では人が行けないような場所の記録を提供しようとしている。こうすることでVRビデオへの自発的なアクセスが高まり、各方面に共有される。こうなればFacebookとしてはフィードに自社のVmaRketingのCMを忍ばせておく効果が出る。

Facebookはこの9月にウェブとAndroidアプリで360度ビデオのサポートを開始していたが、今回ユーザーはiOSでもVRビデオを体験することができるようになった。

Facebookは「没入的ストーリー」となるVRフォーマットのCMをAT&TCoronaNescafeRitz CrackersSamsungWalt Disney Worldのような有力スポンサーからまず受付を開始する。

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こうしたビデオは通常のモニター上でもタップしてドラグすることで周囲360度を見回すことができるが、Samsung Gear VRのような立体視できるVRデバイスを使えば本当の臨場感を得られる。一方でFacebookはニュースフィードに360度ビデオのコンテンツを増やすため、日本のリコー(Theta)を始めGiropticや IC Real Techなどのカメラメーカーに呼びかけて、カメラアプリに「Facebookで共有」ボタンを設置させようとしている。このボタンが普及すれば、ユーザーは録画した360度ビデオをニュースフィードにアップロードできるようローカルで面倒な処理をする必要がなくなる。

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またFacebookはフィルメーカーが高品位な360度コンテンツを制作するためのノウハウを掲載するミニ・サイトを開設し、ガイドラインやFAQなども載せ始めた。世界的なVRビデオ・プロデューサーのChris MilkやAaron Koplin(Vrse)がクリエーター向けに没入的ビデオの効果的な制作方法をプレゼンしているので関心がある読者は訪問してみるとよい。

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全体としてみるとVR普及戦略はFacebookが過去に写真、のちにビデオの投稿を増やそうとして採用した戦略とほぼ同様であることがわかる。Facebookはそのフォーマットでもっともダイナミックで魅力的に見え、ユーザーの関心を集めそうなコンテンツの制作、投稿を積極的に応援している。そこで一般ユーザーブランドが制作する非商業的コンテンツが十分集まった段階で、ユーザー体験を害しない範囲で徐々に広告を挿入していくわけだ。

現在この戦略がVRビデオに対して用いられている。FacebookのニュースフィードにはFelix & PaulBuzzFeedのような有名な有名なビデオ製作者がトップ・メーカーの360度カメラを用いた作品が続々と登場している。

この段階でブランドの果たす役割は大きい。360度ビデオ、VRビデオは制作に金がかかる。インディーの映像作家は、通常のビデオ制作に比べてはるかに多額の資金を調達するために苦労しなければならない。ここでブランドには比較的少額の投資で優秀なビデオに作品を制作させることができるチャンスが生まれる。ただしこの場合でも、作品のCM化はできるだけ控え目にすることが重要だ。

FacebookはYouTubeを始めとする有力ビデオ・プラットフォームと競争していかねばならない。新しいビデオ・サイトは皆「VR時代のYouTube」になろうとして必死だ。Facebookとしては他のプラットフォームで制作されたビデオを再共有するデスティネーション・サイトとなることは本意ではないだろう。しかしセレンディピティ〔偶然の発見〕の魅力に関するセオリーからしても、VRビデオ、360度ビデオに必要なのは、ユーザー体験を阻害するブランドの身勝手な広告化の抑制しつつ、誰も見たことのないシーン(合成された架空の景色でもよい)をできるかぎり広汎に採録してユーザーに推薦することだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ビッグデータによる大規模3D動画シミュレーションの開発システムImprobableのSpatial OSにAndreessen Horowitzが$20Mを投資

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シミュレーションとデータ技術の未来を作る、と称するロンドンのスタートアップImprobableは、3月にAndreessen Horowitzから2000万ドルを調達していた。今日(米国時間11/11)はそのプロダクトSpatial OSが発表されたことによって、その、簡単に定義することの難しい技術の一端が、すこし分かってきたようだ。

ImprobableのCEO Herman Narulaによるその発表の舞台は、ヘルシンキで行われたSlushのイベントだった。Spatial OSは要するに、高度かつ大規模なデータシミュレーションを開発し動かすためのオペレーティングシステムだ。…と言ってもまだ全然分からないだろうから、これから徐々に説明しよう。

いずれにしても、この、‘OS、オペレーティングシステム’を自称するプロダクトの視野はとても大きい。Narulaの説明では、このシステムを使ってゲームのWorlds Adriftのような仮想世界を作ることができ、その環境は地球上の本物の国と同じぐらいの人口と土地面積を擁することができる。そしてそのデータ処理システムが、交通、人口動態、住宅、経済など、その‘国’のあらゆる要素をマップしモデリングできる。

“都市行政、国防、経済、エンタテイメントなど、複雑で大規模なシステムの見方・見せ方を変えて、未来の新しい種類のアプリケーションとビジネスを可能にする”、とImprobableのWebサイトは説明している。

〔要するに大規模データの動態シミュレーションをリアルタイム3D動画で視覚化する、というシステムの開発と稼働を支えるバックエンドプリミティブ集合。OSというより、API/SDK集。〕

Spatial OSには、主要モジュールがいくつかある。たとえば、ゲームエンジンUnityや、すでに広く使われている既存の交通シミュレータなどだ。しかし仮想現実のような消費者製品の場合は、何百万ものユーザにサーブできるほどにスケール可能だ。エンドユーザのシステムは、モバイルやVRのハードウェアでもよい。デベロッパが何を目的デバイスにするか、に応じて適切なSDKと、ブラウザ上のアプリケーション管理システムを利用できる。

いちばん分かりやすい例が仮想現実(VR)なので、SlushのイベントではデモとしてWorlds Adriftが使われた。

Narulaによると、Spatial OSを使えば世界そのものを、そのままの規模で作ることもできるが、もっとすごいのはそれが、本物の世界のように永続することだ。たとえばどこかに一本の木を植えたら、それは老いて枯れ死するまで成長し生き続けるし、どこかの部屋にテーブルを置いたら、誰かがそれを一生使い続けることができる。

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しかし仮想現実は、Spatial OSにできることの氷山の一角だ。デベロッパがもっとさまざまな複雑系に目をつけて、企業や社会の新しい意思決定に資していくことを、Narulaは期待している。

今開発中のプロジェクトの中には、ロンドン市そのものを完全にモデリングする、というものがある。交通や人口動態などを、行政目的等のためにシミュレーションできる。そのほか、熱帯雨林のモデリングや、住宅供給計画のための土地利用シミュレーション、経済動向、細胞生物学、などのプロジェクトが提案されている。

NarulaはSpatial OSの紹介を始める前にこう述べた: “これまでのシミュレーションはとても幼稚で素朴だ。それは1970年代ごろのデータ科学をベースにしている。しかしシミュレーションを現代的にスケールすることは、対象をひとつの巨大なサーカスから、奇怪な演物(だしもの)ばかりある何千ものサーカスの集合に切り替えることに似ている”。

ImprobableのSpatial OSは、ビッグデータによるシミュレーションのためのベースシステムだ。すでに数社のパートナーが使用しているが、試してみたいデベロッパはここで申し込むとよい。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

サムスン発の新しいGear VR、99.99ドルの価格でプレオーダーを開始

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サムスンのVR実現ツールであるGear VRの第二世代版が、99.99ドルの価格でプレオーダーを開始した(Best Buy)。このデバイスにより、バーチャルリアリティというものが一気に広がることになるかもしれない。

以前のGear VRと同様に、Gear VRの前面に装着するGalaxy製のスマートフォンやノートなどによりバーチャルリアリティを実現する仕組みだ。そのおかげでGear VR自体の仕組みは簡単なものとなっているが、ただしOculus RiftやHTC Viveなどと比べると、バーチャルリアリティを楽しむ機能は制限されてはいる。Gear VRではNetflixを見たり、Googleのストリートビューを使った移動体験をしてみたり、数が増えつつあるVRゲームを楽しむことなども行える。

Gear VRには加速度センサー、近接センサーなどの各種センサーを搭載していて、VR体験を十分楽しむことができるようになっている。より多くの人がVRの世界を楽しむようになることだろう。

先にも記したが、Oculusの方がよりリアルなグラフィック能力を備え、動作も自然に感じられるようになっていて、一層本格的なVRを提供してくれる。またコントロールもより本格的に行うことができる。しかし利用にあたってはPCと接続することが必要で、また費用もかなり高額になっている。Oculusのようなものがより低価格で利用できるようになるまで、Gear VRは十分にVR世界の魅力を伝えてくれるものとなってくれるだろう。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Googleの“VRを学校の教材に”運動が合衆国でさらに広域展開へ、近くシンガポールなどでも

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この前Googleは、Expeditions Pioneer Program(未来の探検を率先する挑戦)、という企画を発表した。それはGoogleのボール紙製VRビューワを使って、学校の児童生徒たちに仮想現実を体験してもらうための、キットだ。

9月に一部の学校で展開したこのプログラムが、今回は合衆国のもっと多くの学校で始まり、さらにその後はほかの国も予定されている。

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このキットを使って児童生徒たちは、南極や熱帯雨林など120箇所あまりを探検できる。これまで教室で使ったことのある児童生徒は、Googleの発表では10万を超えている。そしてこれからは、以下の都市の学校でも利用されることになる: Alexandria, Baltimore, Cincinnati, Detroit, Indianapolis, Las Vegas, New Orleans, Orlando, Phoenix, Portland, Salt Lake City, Washington DC。

次は、カナダとデンマークとシンガポールを予定している。パイロット事業はすでに、オーストラリアやイギリス、ブラジルなど合衆国以外でも行われている。

このVR体験学習キットには、ASUSのスマートフォンと教師用のタブレット、それにインターネットに接続するためのルータが含まれている(オフラインでの利用も可能)。VRビューワはGoogleのボール紙製(Google Cardboard)または玩具大手Mattel社のView-Masterが提供される。

自分のクラスでこのキットを使ってみたい先生は、ここで登録するとよい。

 
 

〔余計な訳注: たしかにこれまでの視聴覚教材より、ずっと良いかもしれない。ただし、コンテンツの出来ばえ次第。〕

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。