日本のHayabusa 2ミッション、遙かなる小惑星の地表に到達

これまで聞いたことのない最高にクールなミッションが大きな節目を迎えた。日本の小惑星探査機Hayabusa 2が目的地のRyuguに到達し、小惑星表面に探査ロボット2台を送り込んだ。近いうちにHayabusa 2自身も着陸し、Ryuguのサンプルを地球に持ち帰る! うそだろ? これは驚きだ!

Hayabusa 2は、ご想像の通り、同じく小惑星のサンプル採取ミッションを務めた初代Hayabusaの後継だ。つまり、一連のプロセスには前例がないわけではないが、小惑星採掘がすでに実現間近なことに驚かれた向きもあるかもしれない。

しかし、これも想像できるだろうが、この2回目のミッションは初回よりも高度だ。第1回目の余勢と教訓を得たHayabusa 2は、さらに多くの機器を備え、目的地での滞在期間もずっと長くなる予定だ。

その目的地は地球と火星の間に軌道を持つ小惑星、Ryuguだ。Ryuguは「C型小惑星」に指定されており、これは水および有機物質が相当量存在すると考えられていることを意味している。すなわち、地球外生命の可能性やこの(あるいはそれ以外の)太陽系の歴史を学ぶうえで大いに期待されているターゲットだ。

Hayabusa 2は2014年後半に打ち上げられ、その後数年をかけて慎重にこの小惑星の安定軌道に乗せられた。この夏ついに、到達した。そして今週には地表55メートル(!)まで近接し、持参した4基の着陸機のうち2基を着地させた。下の動画は着陸機が小惑星に向かって降下していく様子だ:

着陸機 “MINERVA”(トップ写真にレンダリング画像がある) は地表面をホップ(飛び跳ねる)ように作られており、重力が小さいため一回の跳躍は15分程度持続する。地表の写真を撮影し、温度を測定し、(どこであれ)着地した場所の全般的調査を行う。

アップデート:本稿執筆時点で、ローバー2基は無事着陸していたが、小惑星の裏側にいたため母船との連絡が取れなかった。現在は通信が可能になり、素晴らしい画像も送られてきた。

[この躍動感あふれる写真はRover-1Aによって9月22日の11:44 JSTに、Ryugu表面を跳躍中に撮影された。左半分がRyuguの表面で、右側の白い部分は太陽光による。]

送り込まれるのを待っているのは、もう1基のMINERVAと、新開発のMASCOTだ。MASCOTは多くの科学機器を搭載しているが移動能力は小さい。小惑星の磁気的性質をより詳細に分析し、表面上の鉱物を非侵襲的に検査する。

ビッグニュースは来年やってくる。Hayabusa 2自身が「小型のインパクタ(衝突装置)」とともに小惑星表面に着陸する。インパクタは「人工クレーターを作る」ために使用され、Ryuguの地下物質を採取する。こいつがすごい。要するにこれは巨大な弾丸であり、2キログラムの銅製円盤が爆発物の前面に装着されていて、爆発時には秒速2km、時速約7200kmで目標に向かって発射される。

試験中のHayabusa 2のインパクタ。標的を打ち抜き、試験場の反対側のがれきに衝突した。

探査機は衝撃による表面の変化を観察し、他のクレーターの起源に光を当てて表面の性質の分析に役立てるだけでなく、自身が着陸し、露出された「新鮮な」物質を採取する。

全体的にみて、これはとてつもなく興味深いミッションであり、日本のNASAにあたるJAXAが独自に築き上げた業績だ。小惑星採掘会社の連中はHayabusa 2を固唾をのんで見守っているに違いない。数年後には、彼ら自身の探査機を打ち上げるかもしれないからだ。

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Tesla Model 3はこうしてNHTSA安全レーティング5つ星を獲得した(ビデオあり)

Tesla Model 3は、CEO Elon Muskよく知られた生産地獄発言から最近顧客への配車を遅らせたロジスティクスの「悪夢」まで、さまざまな苦難に遭ってきた。

Teslaには輝いている部門がひとつある。幹線道路交通安全局(NHTSA)が実施した衝突安全テストだ。Model 3も例外ではない。下のビデオで衝突テストの様子を見てほしい。

後輪駆動バージョンのTesla Model 3は、NHTSAの総合安全レーティングの5つ星を獲得した。同局で発行する最高の評価だ。このテストでは、前面衝突、側面衝突、およびロールオーバー(横転)の3つの試験を行う。Model 3は各カテゴリーで5つ星を取得し、サイドバリア、ポール衝突などのサブカテゴリーでもすべて満点だった。

Teslaの衝突試験の成績は、内燃エンジンの不在に支えられている。たとえば、ボンネットにエンジンがないことで、前面衝撃吸収ゾーンを広くとれる。Tesla車は横転に耐性が強い傾向があり、これはバッテリーパックが床下に置かれ重心が低いためだ。Tesla Model 3の横転リスクは6.6%たどNHTSAは報告している。

最高レーティングを受けたのはTesla Model 3だけではない。2018年モデル車でNHTSAの5つ星評価を得たのは、ほかにSubaru LegacyとToyota Camry4ドア・ハイブリッドの2車種がある。さらに、Muskが木曜日(米国時間9/20)に指摘していたように、5つ星評価は車が一定基準を満たしていることを意味しているだけだ。近く発表される傷害発生確率が、安全の程度を示す。

道路安全保険協会(IIHS)も安全レーティングを決めるために衝突試験を行っている。自動車保険会社を代表するIIHSはModel 3の評価をまだ公表していない。

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Amazonの60ドルのAlexaレンジを近くで見てみた

Amazonは今日のイベントで、21世紀の電子レンジはほとんど変わっていない、とひとこと指摘した。おそらくそれは、遍在するこの家電製品に対する正当な批判だろうが、Amazonbasics Microwaveは、スペースエイジテクノロジーというよりは、Alexaをさらにキッチンに呼び込むための製品といえるだろう。

昨年のEcho Buttonsと同じく、この製品も社内のリファレンスデザインとして出発した、と同社は言う。言い換えれば、Amazonは単なる消費者向け電子レンジを作ろうとしたわけではない。むしろ同社は、Amazonbasicsの低価格製品群にこれを加えたことを喜んでいるように見えた。

最後の部分には説明が必要だろう。これは、なんといっても60ドルの製品だ。多くのハイエンド高級レンジにある便利な機能はついていない安物の電子レンジなので、もしリフォームしたての新しいキッチンに置くための素敵な新商品を探しているのなら、残念だがマリオ、きみの電子レンジは別のお城にある。

新商品の狙いは何よりもまず利便性であることは、同社がポップコーンのDashボタンをレンジそのものに組み込んだことから明らかだ。「笑ってもらって結構」と壇上の担当者がこの純然たるばかばかしさを認めた。そうは言っても、電子レンジ本体にEコマースを統合するなら、ポップコーンは何よりも適した出発点に違いない。

この製品を作るためにはAmazonの裏方が大きな仕事をする必要があった。実は、Wi-Fi信号と共存する電子レンジの設計は極めて困難だ。意味はあるものの、おそらくGeneral Electricに勤めていない限り本気で考えることはないだろう。どうしてもWi-Fiが必要なのは、”Ask Alexa” ボタンがついているにもかかわらず、このレンジがアシスタントを呼ぶためには、Echoなどの外部ハードウェアが必要だからだ。

つまるところ、この電子レンジは…ただの電子レンジだ。そして、低価格製品を目玉商品やリファレンスデザインとして市場に送り出すことで、サードパーティーが独自ハードウェアを開発するよう仕向ける同社の方針に沿っている。

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Amazon、Alexa電子レンジを発表。ポップコーン用Dashボタンも内蔵

今日のAmazonイベントに先立って流れていた奇妙な噂が事実になった。家電製品分野への進出を強力に推し進めている同社は、自社製電子レンジで先陣を切った。

Amazon Basics Microwaveは、サードパーティーが独自のAlexa対応デバイスを開発するためのレファレンス製品として生まれたものと思われる。電子レンジは「70年代末から何も変わっていない」と同社がイベントで言った。だから新しく作った。

何よりもまず解決しなければならなかったのは、電子レンジをWi-Fi信号と共存させることだった——これは解決が困難な問題であることがわかっていた。当初の噂とは異なり、Alexaは組み込まれていない。代わりに、近くに置かれたEchoと連携して、音声経由で調理ができる。

しかし、真のキラーアプリは、内蔵されたDashボタンで、いつでもポップコーンを直接注文できる。真面目な話だ。もう一つの大きな大きな売りは価格——新型電子レンジは60ドルで年内に販売される。

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Fitbit、新サービス “Care” は雇用者と健康保険会社がターゲット

今年3月にVersaを発表したとき、Fitbitは会社のピボット計画もあわせて発表した。同社は今後も消費者向けハードウェアを販売するが、重点をヘルスケアに移していく。その1ヶ月前、同社はTwineを買収した。Twineは、Fitbitの新しいヘルスコーチングサービスであるCareの基盤の一部となるプラットフォームだ。

本日発表されたシステムは、新製品のFitbit Plusと同社の市販ハードウェアを組み合わせることで、ヘルスインサイト、1対1のヘルスコーチング、および同社が呼ぶところの『パーソナライズド・デジタル治療介入」機能を提供する。

このプログラムは、フィットネストラッキングに少しばかりのパーソナライゼーションと人間味を加えるものだ。ソーシャルグループや人間のヘルスケアコーチとアプリや電話経由で話せるようにすることで、アルゴリズムによるデータの一歩先へ行くことを約束している。アドバイザーは減量や禁煙から糖尿病や高血圧のような重い疾患まであらゆる面でユーザーに助言を与えられるように訓練されている。

新しいFitbit Plusアプリが重要な役割を果たし、サードパーティー製デバイスと接続して追跡データを統合する。つまり、ユーザーは血圧や血糖値などのデータを追加することができる。
これは、Fitbitがエンタープライズとヘルスケアにシフトするための最初の重要な一歩だ。もしこれで企業や医療事業者から、医療機器メーカーとして認識されることができれば、消費者向けビジネスより割の良い市場に参入できる。もちろん、それを狙っているのはFitbitだけではない。Appleは新しいApple Watchに心電計などの機能を追加して、その方向にまた一歩進んでいる。

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iOS 12.1ベータに、新iPad Proのヒントを発見

iOS 12はまだ出たばかりだが、Appleはすでにデベロッパー向けにiOS 12.1のベータ版をテストしている。 Steve Troughton-SmithGuilherme Ramboは、新しいiPadがFace IDに対応することを示すコードを発見した。

まず、Face IDそのものに変更がある。iOS 12.1betaには、横位置画面への言及がある。iPhoneのFace IDは縦位置に限定されている。もっともこの制限に気づいていてない人も多いだろう。なぜなら、ロック画面とホーム画面は縦位置のみだからだ。

しかしiPadでは話が違う。多くの人が横位置で使っている。さらに、横位置で使う場合でもホームボタンを左に置く人も右に置く人もいる。

つまり、Face IDをiPadに持ってくるためには、複数の画面方向に対応する必要がある。このベータ版は、次のiPadに同梱されるバージョンのiOSかもしれない。

これでも足りないなら、設定の参照ファイルには 新しいデバイスのコードネームがある。このデバイスはiPad2018Fallと呼ばれていて、すぐそこにきている新しいiPadを意味していることは明らかだ。

以前アナリストのMing-Chi Kuoは、iPad ProがLightningからUSB-Cに変わる可能性を示唆していた。これは、アクセサリーに山ほどの可能性をもたらす。たとえば、外部モニターをドングルを使わずにつないで、ビデオを送りこむことができる。

iPhoneユーザーにとって、iOS 12.1では、バグ修正のほかに、グループFaceTimeが復活する。iOS 12の公開直前に削除された機能だ。まだバグが多いようなら、Appleは再度この機能を外す可能性がある。Memojiがデバイス間のiCloud同期に対応するかもしれない。Face ID付きiPad Proで便利だろう。

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Western Digitalのパーソナルクラウドにパスワード回避の欠陥

人気のクラウドストレージドライブに脆弱性が見つかったことをセキュリティー研究者が公表した。メーカーは一年以上セキュリティーパッチを発行していない。

Remco Vermeulenは、Western DigitalのMy Cloudデバイスに権限昇格バグがあることを発見した。アタッカーはドライブの管理者パスワードを回避してユーザーデータの「完全制御」を得ることができる。

この欠陥は、ドライブのウェブベースのダッシュボードがユーザー認証を適切に行わず、本来高いレベルの権限が必要なツールへのアクセスをアタッカーに与えるために発生する。

バグは「容易に」利用できる、とVermerlenはメールでTechCrunchに語った。My Cloudデバイスがインターネット経由のリモートアクセスを許可していれば、遠隔地からも侵入可能になる——数万台のデバイスが許可している。彼はこの脆弱性利用の概念実証ビデオをTwitterで公開した。

バグの詳細は、別のセキュリティーチームも別途発見しており、独自の侵入コードを公開している。

Vermerlenはこのバグを1年以上前の2017年4月に報告したが、会社は応答を中止したという。一般に、セキュリティー研究者は90日間の回答猶予期間を企業に与えており、これは業界で受け入れられている「責任ある公開ガイドライン」に沿っている。

彼は、WDがその後My Cloudのファームウェアをアップデートした際、彼の見つけた脆弱性が修正されていないことを知り、問題の公開に踏み切った。

一年後も、WDはまだパッチを発行していない。

同社はこの脆弱性を認識していることを認めたが、なぜ修正に一年以上かかったかについては語っていない。「現在、報告された問題を解決するファームウェアアップデートの日程調整を行っている」と広報担当者は言った。時期は「数週間以内」になるという。

WDは、同社のMy Cloud製品のうち、EX2、EX4、およびMirrorには脆弱性があるが、My Cloud Homeにはないと言っている。

現時点で修正方法は存在せず、ユーザーがデータの安全を確保したければ「ネットワークから切り離す」以外に方法はない。

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これがGoogleの149ドルのスマートディスプレイ、Home Hubだ

Googleは10月9日のハードウェアイベントで新しいハードウェア製品をいくつか発表すると言われている。本誌は発表が期待される新製品の詳細情報を得た。

Googleは独自のスマートディスプレイを開発していると噂されていたが、このほどAndroidAuthorityの記事によって、Google Home Hubの画像と価格の詳細がわかった。

via Android Authority

デバイスはいかにもGoogle Home製品らしい外観であり、必要なものをすべて備えた上に多くの機能が追加されている。

7インチの画面を有し、価格はわずか149ドルで、これは現在最安値のLenovo Smart Display 8インチの199ドルよりもかなり安い。ちなみにLenovoの10インチ版は249ドル、ステレオスピーカー付きのJBL Link Viewも同価格だ。

Lonovoの製品をいじってみて、Googleはスマートディスプレイ向けに気の利いたソフトウェアを提供していると思うが、いくつか奇妙なことも体験した。デザイン上、画面は基本的に付け足しなので、システムが答えを言っているときにユーザーが画面を見ていることを前提にできない。Googleにとっては難題だろうが、一切話さなくてもアクションを実行できるタッチ操作をある程度導入してもよいと思う。そうでないと、画面はYouTubeビデオやスライドショーを見るとき以外、常に居場所がないように感じる。

楽しみなのは、もしいるのならどんなソフトウェアウィザードが隠されているかだ。記事によるとこのデバイスには他のスマートディスプレイのようなカメラはついてこない。これは同社のビデオ通話サービスであるDuoを推進する目的から考えると奇異に感じる、Googleは安いカメラ部品の価値もないことに気づいたか、あるいはプライバシーの懸念からからもしれない。

もし、噂されていた149ドルという価格が正確で、Googleがパートナー会社のSmart Displayにある機能を大方取り込むとすれば、これは非常にクールだがあまり使われないデバイスになりそうだ。この製品の狙いがどこにあるのかどうにもわからない。

記事はかなり正確のようなので、これ以上は数週間後にGoogleが出すもの待つしかない。Techcrunchは10月9日に行われるGoogleのPixel 3ハードウェアイベントに注目し続ける。

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米司法省、イーロン・マスクの「非上場化」ツイートの捜査を開始

本日(米国時間9/18)午前、Teslaの株価は5%下がった。CEO Elon Muskが同社の非上場化について発信した8月7日のツイートに関して、米国司法省が犯罪捜査を開始したというニュースが報じられた後のことだ。本捜査は先日本誌が報じた証券取引委員会による同社の捜査に続くものだ。

「先月Elonが同社の非公開化を考えていると発表した後、Teslaは司法省から文書の任意提出の要求を受け、以来当社は協力的に応じている」とTeslaの広報担当者がTechCrunchに提供した声明で語った。「まだ召喚状や参考人招致その他の公式手続き依頼は受けていない。当社は本件に関する情報を入手したいという司法省の意思を尊重しており、同省が受け取った情報を精査することで早期に問題は解決すると確信している」

Bloombergによると、司法省による犯罪捜査は現在「初期段階」にある。

「一般に司法省は、捜査の存在の有無について、確認も否定もその他のコメントもしない」と司法省広報官がTechCrunchに伝えた。

その後Muskは株主と話しあい、会社の非上場化プロセスについて調べたあと、Teslaにとって最善の道は公開企業のままでいることであると確信し、一連の発言(ツイート)を撤回した。当時のTeslaブログの記事から抜粋する:

「私に届いたフィードバックを見たところ、Tesla株主の大半が上場企業であり続けるべきだと信じていることがわかった。また、何人かの機関投資家は、彼らには非上場企業に投資できる金額が制限されるという内部コンプライアンスの問題があることを説明した。そしてほとんどの個人投資家にとって当社が非上場になった場合に株を保有する明確な道筋がない。私が話した株主の大部分は、Teslaが非上場企業になっても株を持ち続けると言っていたが、素直な気持ちは「お願いだからやめて」だった。

TeslaとSpaceXの億万長者リーダーは当時、会社を820億ドル(1株あたり420ドル、借金を含む)で買い戻すつもりであり、そのための資金調達は手配済みだと書いた。後に彼は、資金の提供元がサウジアラビア政府系ファンドであることを明かした。

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Apple、EUの追徴税150億ドルの支払いを完了

Appleは、不法な税優遇で得た100億ユーロを超える資金をアイルランド政府に返還した、とReutersが伝えた。Appleは、追徴金153億ドル(131億ユーロ)に加えて14億ドル(12億ユーロ)の利息を払った。

2016年8月、欧州委員会はAppleが2003年から2014にかけて不当な税優遇を受けていたという裁定を下した。特に同社はアイルランドにもっと多く納税すべきだった——はるかに多く。EUの競争担当委員、Margrethe Vestagerは、[アイルランドでの]Appleの実質的法人税率は予想よりもよりもずっと低かったと語った。

当時多くのグローバル企業がダブルアイリッシュと呼ばれる方法を利用して、利益のごくわずかな割合に対して法人税を支払っていた。Appleはすべて合法であると主張し、アイルランド政府もAppleを擁護した——おそらく、巨額の罰金がビジネスに悪影響をもたらす恐れがあるため。

欧州の各国政府の陳情によってダブルアイリッシュは2014年に終了した。Appleは同じ時期に国外利益の一部をジャージー島に移転した。

現在巨額の現金はエスクロー口座に置かれている。Appleは2016年にEUの決定に意義を申し立てた。この手続には最大5年を要するため、アイルランド政府は当分Appleの資金を手にすることがないだろう。

欧州の税制改革を追いかけている人なら、フランス、ドイツ、スペイン、およびイタリアが、巨大IT企業に対して、欧州の各国で実際に得た利益に基づいて課税する税制改革を協議 していることを知っているだろう。そうすることで、IT企業は法人税率の低い一国だけで利益を計上することができなくなる。

しかし、どうやらこの改革は一部の国々の反対によって停滞しているようだ。この種の改革法案を通過させるためには全会一致が必要だ。このため、改革が実施されるかどうかは不透明だ。

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PayPal、ローカライズ可能なワンタッチ支払いボタンを海外展開

アメリカでEコマースといえば、クレジットカードなどのカード支払いに決っているが、海外は大きく違う。実にさまざまな選択肢——着払い、銀行振り込み、携帯アカウント、等々——がさまざまな組み合わせで使われている。本日(米国時間9/17)PayPal——世界で2億5000万のアクティブユーザーアカウントを持つ支払い会社——がその問題を解決すべく、”Checkout with Smart Payment Button” を全世界に提供開始する。各国の売り主が支払い方法をカスタマイズして、OneTouchチェックアウトができる購入ボタンを簡単に作ることができる。さまざまな支払いサービスを統合する必要もない。

今や支払いソリューションでは当たり前になっているが、この機能は数行のコードを書くだけでチェックアウトプロセスに追加できる。大がかりな統合は必要ない。

PayPalはすでにこの機能を3ヶ月前から提供してきた——皮肉なことに(カードが支配している米国で)——。この期間に、大規模な展開に備えて基盤づくりをしてきた。

現在提供されているオプションには、PayPal自身のさまざまなサービス——PayPal、Venmo(米国のみ)、PayPal Credit(英国および米国のみ、承認が必要)——に加えてオランダのユーザーのためのiDEAL、ベルギーのBancontact、イタリアのMyBank、ドイツのGiropay、オーストリアのEPSなどがある(ドイツのSEPA Direct Debitはすでに対応済み)。

同社は今後も各国独自の支払いシステムを追加していく予定。今年7月、PayPalは海外支払いに特化したスタートアップ、PPROの5000万ドルの投資ラウンドをリードし、この戦略的投資は実を結びつつある。Smart PaymenのテクノロジーはPayPalが開発したが、「われわれは複数の支払いサービスと協力して、さまざまな地域に特化した支払い方式を可能にした」とPayPalのEVP・COO、Bill Readyが言った。

すでにこの高速チェックアウトを利用している売り手には、Boston ProperのBeyond Proper、Guess?, Inc.、Zumiezがある。MagentoとWooCommerceも新しいチェックアウト方式を顧客に提供している。

「Smart Payment Buttonsは、発表以来スモールビジネスから世界的小売業者まで多くの企業が採用している」とReadyは言う。「さまざまな支払い方式を動的に有効化できるしくみが高い評価を得ている。大型小売店を含む多くの企業がSmart Payment Buttonsを使ってチェックアウトオプションにVenmoを追加している」

Eコマースの抱える重要な問題のひとつに、ウィンドウショッピングのユーザーが非常に多いという事実がある。見るだけで他のサイトに移動する人や、購入プロセスになると興味を失う人たちだ。理由の一つは、購入までの障壁が多すぎること。PayPalは、その問題を回避できると顧客である売り主たちに売り込んでいる数多くの「ウォレット」の一つだ。PayPalは、ユーザーの主要な支払い方法を記録していて、使うためにはログインが必要だ。PayPal Checkoutを使っている売り主は88.7%のコンバージョン(購入)率を誇り、PayPalを使っていない店より82%も高いとPayPalは言っている。

新たな地域別支払いオプションとともに、PayPalは同社のマーケティングソリューションを世界に向けて徐々に拡大し、エンドツーエンドのサービスを提供している。2017年に会計サービスのSwift Financialを買収したこともその一つだ。そして今日、売上分析や販売インセンティブなど、ウィンドウショッピング中の潜在顧客の獲得に役立つマーケティング・ソリューションを新たに追加した。

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洞窟救出の英国人ダイバー、自分を小児性愛者呼ばわりしたElon Muskを訴訟

TeslaとSpaceX CEOのElon MuskにTwitterで「小児性愛者」呼ばわりされた英国の潜水エキスパートが、反撃に出た。

Vernon Unsworthは月曜日(米国時間9/17)、カリフォルニア州中央地方裁判所にMuskを名誉毀損で訴えた。同訴訟は、7月15日から8月30日の期間、MuskがTwitterとメディア宛のメールを使って、小児性愛と児童虐待の告発を含め、Unsworthを中傷する虚偽の発言を繰り返し発信したとしている。

訴訟は7万5000ドル以上の損害賠償、および「Muskを罰し、こうした行為を繰り返さないために妥当な金額」の懲罰的損害賠償を要求している。

Unsworthは、タイ北部タムルアン洞窟からサッカーチームの少年12名とコーチを救出した作業に直接関わった多くの人々の中のひとりだ。救出作戦は世界中でメディアの注目を浴び、中傷発言をしたMusk自身も、ロケット部品から作ったミニ潜水艦を救出に役立つ考えて現地に送った。

最初の「小児性愛者」攻撃は、UnsworthがメディアのインタビューでMuskのミニ潜水艦について「役に立つ可能性はまったくなかった」と発言した後のことだった。Unsworthはインタビューの終わりに、「Muskは潜水艦を自分の痛い部分に入れるべきだ」と語った。

MuskはTwitterでUnsworthは小児性愛者であることをほのめかす言葉で攻撃した。後にMuskは攻撃的ツイートを削除し、発言を撤回しようと試みた—— さらには謝罪ともとれるツイートも発信した。そこで終わるはずだった。しかしMuskは、元TechCrunch記者のDrew Olanoffとのディベートでこの件を蒸し返した——またもTwitterで。Olanoffは「ロリコン男」攻撃をMuskの嘘発言の例として持ち出した。

その後Muskは,Unsworthに関してBuzzFeedともメール交換を繰り返した。

Tesla広報からコメント要求への返信はまだない。Muskにはメールでコメントを求めている。返信があり次第続報の予定。

Unsworth v Musk by TechCrunch on Scribd

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Appleは、iPhone XRで3D Touchが失敗であることを認めた

3D Touchを覚えているだろうか? iOSのパワーユーザーでなければ、おそらく知らないだろう。あるいは、知らないほうがいいかもしれない。Appleが2015年に次世代のマルチタッチとして発表したこのテクノロジーが、そうではなかったとわかってからしばらく時間がたった。ほとんどのiPhoneユーザーにとって、それは実際やりたいことを邪魔する厄介者である。

Appleが3D Touchで実現したものは、マルチタッチ世界のショートカットキーだった。またの名をマニア専用の秘密兵器

プロのギークたちはその隠された深みを知ることを無限に楽しみ、高度に精緻化された彼らのワークフローから貴重なマイクロ秒を削った。しかし、それ以外の全員は無視した。

いや、少なくとも無視〈しようと〉した——何か重要なことをしようとしてうっかり3D Touchを起動し、自分のiPhoneが何をしようとしているのかわからず混乱、困惑するまでは。

IT界の長老たちは、Blackberry(覚えてますか?!)が10年前に似たようなことを試みて失敗したことを思い出すかもしれない——可愛くない(かつ、可愛がられなかった)クリッカブルスクリーン付きの、一代限りの変わり者、BlackBerry Storm開封の儀はこちら。

Stormには、BlackBerryの象徴である(クリック可能な)物理的キーボードはなかったが、タッチスクリーン上のQWERTYキーはやはりクリック可能だった。要するに、狂気の沙汰だ。

もちろんAppleの場合、そこまでのつまずきではない。しかし、3D Touchの公開から3年が過ぎ、Appleは自らの失敗を告白した——最新のiPhoneラインアップで、トリオの最安値機種iPhone XRから、この圧力感知テクノロジーを全面的に削除したのだ。

3D Touchをなくすことで、XRの製造コストを削り、おそらくわずかに厚さを減らすことができただろう。しかし、これはAppleが多大な技術的努力を注いだものを、ほとんどのユーザーが使わず、使いたくないことを認識した証と見るべきだろう——本誌のBrian Heaterが言うように、iPhone XRが「一般人のためのiPhone」であることを踏まえれば。

しかし、XRは安物の端末ではない。XRにはAppleの次世代バイオメトリック技術、Face IDなどが採用され、トップの切り欠きの裏には高度なセンサー機器が密集している。

これは、Appleが手を抜いているのではないことを示している。むしろ、iPhoneユーザーが求め、必要としているものに機能を絞ろうとしている。つまり、ほとんどのiPhoneユーザーは3D Touchを必要としていない、というのがクパチーノの明白な計算結果だ。

一方で同社幹部は、今週のイベントでFace IDを絶賛し、このテクノロジーがユーザーの間で絶大の人気であると語った。しかし、同時にiPhoneラインの末端で3D Touchが消えたことは、一言の説明もなく葬り去られた。

2つのテクノロジーを比べてみれば理由は明白だ。

Face IDの人気は驚くに当たらない。見つめることでロック解除するより簡単な方法は思いつかない。

厄介な3D Touchはちょっと違う——タップより強くプレスする必要があり、それは押し込むという感じだ。押し方が足りないとタップとみなされて思っていたのと違うことが起きる。しかし、強く押しすぎるとタッチスクリーンは働いてくれることもあれば無駄におわることもある。

そもそも、機能の有効性自体が疑問だ——たとえば、コンテンツのプレビューは恐ろしく遅いので、単にタップしてメールを見るほうがよい。

3D Touchを巡る困惑とイライラは、ユーザーインターフェース界の「三匹のくま」物語のようだ。うまくいくまで続けられる驚異の忍耐力がない限り、フラストレーションは保証されている。パワーユーザー以外に誰が喜ぶだろうか?

「みんなの」iPhone XRのために、Appleは3D Touchを触覚フィードバック(Haptic Touch)へと代えた——おそらくこれは、iPhone機種間の隙間をスムーズに埋めるためだろう。つまり、デベロッパーが3D Touchを活用して、ユーザーが実際に使いたいアプリ内ショートカットを作っていた、というレアなケースのために。

もし、本誌が予想しているように、iPhone XRが大量に出荷されることになれば、3D TouchのないiOSユーザーがたちまち数百数千万人になる。すなわちAppleは、一時はマルチタッチの未来とまで呼んだテクノロジーを、パワーユーザーのためのアドオン機能へと格下げしようとしている。

プロユーザーはiPhoneへの最大の出費をいとわない人々でもある——つまりiPhone XSまたはXS Mac(3D Touchが搭載ささている、少なくとも今のところ)を喜んで買うだろう。

というわけで、3D Touchは一部の超プレミアムiPhoneを最高峰へとシフトする役にはたっているかもしれないが、パラダイムをシフトすることはありそうにない。

その意味では、マルチタッチを余裕のあるスクリーン領域と組み合わせれば十分だ。

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このCSSベースのWeb攻撃は、iPhoneをクラッシュ&リスタートさせる

一人のセキュリティー研究者が、あらゆるiPhoneをクラッシュしてリスタートさせる方法を発見した——必要なのはわずかなコードだけだ。

Sabri Haddoucheがツイートしたわずか15行のコードからなる概念実証ウェブページは、そこを訪れたiPhoneまたはiPadをクラッシュして再起動させる。macOSの利用者も、このリンクを開くとSafariがフリーズする。

このコードは、iOSのWebレンダリングエンジンであるWebKitの脆弱性を利用したもので、Apple はこのWebKitをあらゆるアプリやブラウザーで使うことを義務付けている、とHaddoucheはTechCrunchに言った。同氏によると、CSSのbackdrop-filterプロパティーに<div>のようなタグを大量にネスティングすることで、端末のリソースを食い尽くしてカーネルパニックを引き起こすことが可能で、システムはダメージを防ぐために自らシャットダウンして再起動する。

「iOSでHTMLをレンダリングするものは何であれ影響を受ける」と彼は言う。つまり、誰かがFacebookやTwitterにリンクを送ったり、訪れたページにこのコードが入っていたり、誰かがリンクをメールで送ってくれば、被害に遭う可能性があると彼は警告する。

TechCrunchは、最新のiOS 11.4.1でこのコードを試し、iPhoneがクラッシュして再起動することを確認した。セキュリティー会社、MalwarebytesのMacおよびモバイル担当ディレクター、Thomas Reedは、最新のiOS 12ベータでも同じ現象が起きることを確認した。

運がよければ、クラッシュせずにホーム画面がリスタート(リフレッシュ)されるだけのこともある。

興味のある人は、実際にクラッシュを起こすコードを実行することなく、ここでしくみを理解できる。

幸いなことに、このアタックは厄介ではあるものの、悪意あるコードを実行するために利用することはできない。つまり、このアタックを利用してマルウェアが動いたりデータが盗まれることはない。しかし、このアタックを防ぐ簡単な方法は存在しない。罠の仕掛けられたリンクをクリックしたり、そのコードをレンダリングするHTMLメールを開いただけで、あなたのデバイスは即座にクラッシュするかもしれない。

Haddoucheは金曜日(米国時間9/14)にAppleと接触し、現在同社が調査中であると言われた。本誌は広報担当者にコメントを求めたが、すぐに回答はなかった。

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Nintendo、Switch用NESコントローラーでレトロゲーマーのノスタルジーと懐を刺激

Nintendoが有料オンラインサービスの一貫としてSwitchにNESゲームを追加するというニュースは賛否両論を呼んだが、同社はこの議論を呼ぶ決断を断固として実行し、それらのゲームをプレイするためのワイヤレスNESコントローラーを発売した。60ドルは少々高いかもしれないが、いいじゃないか。どうせ買うことになるのだから。たぶん来週には。

コントローラーはNintendo Directのビデオニュース最新号で、その他新しいAnimal Crossing[どうぶつの森]や山ほどのFinal Fantasyなどのノスタルジックなゲームと共に発表された。しかし、まずはこの愛しい愛しいコントローラーを詳しく見てみよう。

これはボタンを含めて完全にNESスタイルだ。つまり、今あるSwitchのジョイコンを置き換えるものではない。だったら、なぜこんなに高いのか? それはNintendoだから。少なくともワイレスだし、ジョイコンと同じようにSwitchのサイドに差し込むと充電される。さらに、何らかの理由でショルダーボタンもついてくる。

価格は2台セットで60ドル。予約は9月18日からで、この日はNintendo Switch Onlineの開始日でもある。そう、Nintendoが長年無料で提供してきたオンラインプレイにお金を払うときがきたのだ。

幸いなことに、 以前の発表にあったように料金はかなり安い。年間20ドルでオンラインゲームをプレイできるだけでなく、増え続けるNESのクラシックゲームを利用できる。10タイトルはすでに確認されていたが、今日新たに10タイトルが追加された。

というわけで、開始日にプレイできるゲームは以下の通り:

  • Balloon Fight
  • Dr Mario
  • Mario Bros.
  • Super Mario Bros.
  • Super Mario Bros. 3
  • Donkey Kong
  • Ice Climber
  • The Legend of Zelda
  • Tennis
  • Soccer
  • Baseball
  • Double Dragon
  • Excitebike
  • Ghosts ‘n Goblins
  • Gradius
  • Ice Hockey
  • Pro Wrestling
  • River City Ransom
  • Tecmo Bowl
  • Yoshi

このサービスを使うとクラウドのバックアップとセーブが可能になり、スペシャル特典も提供される予定だ。多くの人々は自分たちのバーチャルコンソールゲームを取り上げられたと怒っているが、これは基本的に必携だろう。少なくとも、NESとSNES Classic Editionsが手に入るのだから。

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iPhone XRは「買い」

iPhone XRは反省の産物のごとくやってきた。実際、驚きはなかった。Appleは常に全力で突き進んできた——最新、最高、文字通りの最大。最前線で命を張ることは、同社にとってイメージと市場シェアと株価の拠り所だ。

iPhone XRはそうではない。昨日の イベントを見る限り、この端末は等外馬だ。シングルレンズカメラと低解像度画面はネット上のディスプレイマニアの間で批判の的になった。これは、この会社が作る必要のあった製品そのものでもある——結局Appleは山ほど売ることになるだろう。実際このエントリーレベル機がプレミアムの兄たちより多く売れてもさほど驚かない。

過去24時間、かなりの人たちが、どのiPhoneを買うべきか私に聞いてきた。答えは相手によってまちまちなのは当然だが、多くの場合にXRがもっともしっくりくる。昨日のハンズオン記事にも書いたように、これは一般人のためのiPhone Xだ。

昨年の10周年記念端末は、テクノロジー、価格、予算、あらゆる面でiPhoneの限界を押し広げた。それは2008年のApple Store導入以来最大の飛躍であり、1000ドルスマートフォンの誕生でもあった。

ものごとがその方向に進んでいくことは誰もが知っていたし、、Samsungを始めとする各社はAppleに戦いを挑んできたが、iPhone Xは消費者がスマートフォンにいくら払うつもりがあるかの限界をテストする結果になった。当初の売上はこの製品にとって理想的ではなかったが、はるかに高いその価格は、同じ利益をあげるためにAppleは少なく売るだけでよいことを意味していた。

しかしAppleはsの100万円携帯のVertuではない。製品を実際に消費者の手に届けることは、新しい端末を売るのと同じく重要な側面だ。初期の報道では、Appleはより広い消費者層にアピールするために、LCDに戻してコストを下げることを考えていると言われていた。

Wall Street Journalは6月に、需要は「Appleが最初のOLEDスマートフォンを準備していた一年前に多くの業界人が予想していたよりも伸び悩んでいる」と書いた。AppleにとってLCDに戻ることは、最も先進的なスマートフォンを出したあとに一歩後退するように感じたのだろう。

しかし、それを気にする人たちがいる一方で、テクノロジーの刷新は、消費者の要求よりもライバルの先を行きたいという欲求に動かされることがよくある。そして、最高解像度の画面はすばらしいものの、必ずしも1000ドルに値するすばらしさではない。

iPhone XRはAppleにとって、よりバランス志向のアプローチだ。しかしこの端末は、iPhone Xをベースに比較的求めやすい価格を維持しつつ、Xと一緒に発表されたときのiPhone 8のような遺物感をもたせないことに成功している。

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XRは大衆向きiPhone。人々のためのiPhoneだ。私はこれをiPhoneのiPod Miniと呼んでおり、Matt Burns記者はこれをiBookと呼んでいるが、言いたいことは同じだ。より安く、よりカラフルな選択肢だ。すくなくとも同僚の一人は、どの色にするかで少々強迫観念を感じている。

749ドル(8万4800円)は決して安くないが、XSとXS Max(それぞれ999ドル/11万2800円と1099ドル/12万4800円)と比べるとお買い得に感じるし、欠けている機能の殆どは平均的ユーザーの日々の利用に影響しそうにない。そうそう、シングルレンズカメラがポートレイトモードを模倣することで、いっそう違いを和らげている。

もし私が今新しいiPhoneを買うなら、まず間違いなくXRで行く。わかってほしいのだが、私はニューヨークシティーに住むITブロガーだ。金のなる木をもっているわけではない。

あなたが今iPhoneの潜在顧客なら、おそらく同じ気持ちだろう。XRは断然買いだ。Appleは山ほど売ることになるだろう。

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「ほぼすべて」のPCとMacに、暗号化データを盗まれるセキュリティー欠陥がある

現代のコンピューターの殆どが、たとえディスクが暗号化されていても、数分のうちに機密データを盗む新たな攻撃に対する脆弱性があることが、最新の研究によって明らかになった。

F-Secureが水曜日(米国時間9/12)に公表した新たな発見によると、同社がテストしたあらゆるノートパソコンで、ファームウェアのセキュリティー対策がデータ盗難を防ぐのに十分な働きをしたものは皆無だった。

F-Secureの主任セキュリティー・コンサルタント、Olle SegerdahlはTechCrunchに、この脆弱性は「ほぼすべての」ノートパソコンとデスクトップ——WindowsもMacも——のユーザーを危険に晒すと語った。

新たな攻撃は、長年ハッカーらがシャットダウンされたパソコンからデータを盗むために使っていたコールドブートアタックと呼ばれる伝統的手口に基づいている。現代のコンピューターは、電源が切断されるとき、データが読み出されないようにメモリーをランダムに上書きする。しかし、Segerdahlと同僚のPasi Saarinenはこの上書きプロセスを無効にして再びコールドブートアタックを可能にする方法を見つけだした。

「いくつか余分な手順が必要だが、この欠陥は容易に利用できる」」とSegerdahlは言う。あまりに簡単なので、もしこの技法がどこかのハッカーグループにまだ知られていなかったとすれば「大きな驚きだ」と彼は言った。

「パソコンのデータを盗む任務を課せられた者なら誰でも,すでに同じ結論に到達しているとわれわれは確信している」

パソコンを物理的にアクセスすることが可能なら、データを盗み出せる可能性が高くなることは誰もが知っている。だからこそ、こんなに多くの人たちがディスク暗号化を使って——WindowsならBitLocker、MacならFileVaultなど——デバイスの電源が切れているときのデータを守っている。

しかし研究者らは、ほぼすべてのケースで、BitLockerやFileVaultが保護していたにもからわらず、彼らはデータを盗むことができたと言っている。

研究者らは上書きプロセスのしくみを理解したあと、ファームウェアがメモリーから秘密を消し去るのを防ぐ方法の概念実証を行った。そこからはディスクの暗号化キーを探し、見つかれば保護されたボリュームをマウントするために使用する。

危険にさらされるのは暗号化ディスクだけではない、とSegerdahlは言う。成功したアタッカーは、「メモリー上で起きるあらゆるものごと」を盗むことができる。パスワードや企業のネットワークIDなど、盗まれればさらに深刻な被害につながりかねない。

彼らの発見は、公表される前にMicrosoftとAppleとIntelに伝えられた。研究者らによると、攻撃に耐えられれたのはごく僅かなデバイスだけだった。MicrosoftはBitLocker対策に関する最近更新された記事で、スタートアップPINコードを使うことでコールドブートアタックを緩和できると書いたが、Windows “Home” のユーザーは残念ながらそれができない。なお、T2チップを内蔵したApple Macは影響を受けないが、それでもファームウェアにパスワードをかけることで保護は強化される。

MicrosoftとAppleは両社ともこの問題を軽視していた。

アタッカーはデバイスを物理的にアクセスする必要があることを認め、Microsoftはユーザーに対して「デバイスへの物理的な不正アクセスを防ぐことも含め、適切なセキュリティー習慣を実践すく」ようユーザーに勧めると言っている。Appleは、T2チップをもたないMacを保護する手段を検討していると語った。

Inte にも問い合わせたが、公表できるコメントはないと言った。

いずれにせよ、研究者らによると、該当するコンピューターメーカーが既存デバイスを修正できる見込みはあまりない。

「残念ながらMicrosoftにできることは何もない。なぜならわれわれはPCハードウェアメーカーのファームウェアの欠陥を利用しているからだ。」とSegerdahlは言う。「Intelのできることにも限度がある。エコシステムにおける彼らの立場は、メーカーが新しいモデルを作るためのリファレンスプラットフォームを提供することにある」

企業もユーザーも「各自で」行動する必要がある、とSegerdahlは言った。

「こういう出来事に備えておくことは、デバイスがハッカーによって物理的に損なわれることなどないと仮定するよりも、好ましい行動だ。そんな仮定が成り立たないことは明らかなのだから」

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Apple Watchは最初の心電計ではないが、消費者に与える影響は膨大だ

Apple’s COOのJeff Williamsは、Apple Watchが一般販売用心電計としてのFDA認可を受けたと、Apple本社で行われたスペシャルイベントで高らかに宣言した。Appleはものごとの最初になるのが大好きだが、この陳述は虚偽である。

AliveCorはKardiaMobileという製品で昨年11月以来「初」の称号を保持している。KardiaMobileは100ドルのスティック型デバイスで、スマートフォンの背面に取り付けて使用する。しかも皮肉なことに、同じくFDA認可を受けているKardiabandは、Apple Watchと共に使うブレスレット型心電計でAppleストアで販売されており、今週FDAがAliveCorのテクノロジーを使って血液検査をすることなく血液疾患のスクリーニングを行うことにゴーサインを出したばかりだ。

しかし、Apple Watchは幅広い消費者に影響をあたえる最初の製品になる可能性をもっている。まず、Appleは世界ウェアラブル市場の17%という確固たるシェアを持っており、2018年だけで推定2800万台を売っている。AliveCorのKardiabandとKardiaMobileの販売台数はわからないが、これに近い数字であるとは考えられない。

もう一つ、多くの人は、たとえ自分の心臓の状態に不安をもっていたとしても、それを調べるためだけの装置を買うことには抵抗があるだろう。自動的な統合によって、関心のある人たちが別製品を買わずに測定を始めやすくなる。さらに、心臓疾患は米国で最大の死亡原因であり世界人口の大きな部分に影響を与えているにもかかわらず、おそらくほとんどの人は自分の心拍リズムを日々考えることがない。心電計を腕時計自身に組み込むことで、モニタリングすることへの障壁が減り、一部の人がもつであろう心臓の状態を知ることへの恐怖を取り除くことができるかもしれない。

そして、Appleブランド自体の存在がある。今や多くの病院がAppleと提携してiPadを使っていることから、Apple Watchでも協業体制をとると考えることは理にかなっている。

「医者や病院も健康保険会社も自家保険の雇用者も、Apple、XiaomiFitbit、Huawei、Garmin、Polar、Samsung、Fossilその他のウェアブルメーカーと個別の提携を結びたいとは思っていない。必要なのは、どの患者にも適用できるクロスプラットフォーム製品だ」、とCardiogramのファウンダーで、心電計研究者のBrandon BallingerがTechCrunchに語った。「だから、もしAppleが医療のAppleになるのなら、CardiogramかAliveCorはこの分野のMicrosoftになればいい」

Appleの発表は、AliveCorにどう影響するのか? CEOのVic Gundotraは一笑に付した。彼はTechCrunchに、AliveCorのビジネスは大部分がKardiaMobileによるものでApple Watchに統合する心電計ではない、と話した。「Appleは以前からこの手のしくみをWatchに組み込むことを匂わせてきた」とGundotraは言った、「だから予測はできていた」

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iPhone XS、XS Max、XRの価格はこれだ(旧機種は値下げ)

Appleはついに最新のiPhoneを発表した。iPhone XS と XS Maxの2機種が新しいフラグシップモデルとしてiPhone Xに取って代わる。iPhone XRはiPhone 8とiPhone 8 Plusを置き換え、Face IDとエンジツーエッジ(縁なし)デザインが採用された。

おそらくこの発表イベントを待って新しいスマートフォンを買おうという人もいたことだろう。そこで、この新しい端末にいくら払うことになるか、取り急ぎ調べてみよう。

iPhone XSのストレージは64GB、256GB、512GBの3種類で価格はそれぞれ999ドル、1149ドル、1349ドル(11万2800円、12万9800円、15万2800円)。大画面のiPhone XS Maxを手に入れるためにはあと100ドル(1万2000円)ずつ上乗せする必要がある(1099ドル、1249ドル、1449ドル/12万4800円、14万1800円、16万4800円)。カラーはシルバー、ゴールド、スペースグレイの3種類。

iPhone XRはiPhone 8とiPhone 8 Plusの後継となる。価格は64GBの749ドル(8万4800円)からで、128GBと256GBモデルはそれぞれ799ドル(9万0800円)と899ドル(10万1800円)。カラーのオプションは豊富——ホワイト、ブラック、ブルー、イエロー、コーラル、レッドがある。

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旧機種(これまでの価格。現在は値下げされている)と比較すると、iPhone Xは64GBモデルが999ドル(11万2800円)、256GBが1149ドル(12万9800円)だった。iPhone 8は64GBが699ドル(7万8800円)、256GBが849ドル(9万5800円)。そしiPhone 8 Plusはそれより100ドル(1100円)ずつ高かった(799ドル/8万9800円と949ドル/10万6800円)。

わかりやすく言うと、iPhone XRは今年のiPhoneラインアップのエントリーレベル機だ。iPhone XSとXS Maxは画面サイズが異なる以外はまったく同じデバイスだ。これはラインアップの高級モデルで、ディスプレイ、カメラ、材質(ステンレス製)のいずれもよくなっている。
iPhone XSは9月14日金曜日(日本時間16:01)から、出荷は9月21日から。iPhone XRの予約は10月19日金曜日(日本時間16:01)から。

もっと安いものをお探しなら、iPhone 7は32GBモデルが499ドル(5万0800円)、128GBが549ドル(6万1800円)、iPhone 8は64GBが599ドル(6万7800円)256GBが749ドル(8万4800円)だ。

まとめると:

  • iPhone 7: $449(5万0800円)/32GB, $549(6万1800円)/128GB
  • iPhone 7 Plus: $569(6万4800円)/32GB, $669(7万5800円)/128GB
  • iPhone 8: $599(6万7800円)/64GB, $749(8万4800円)/256GB
  • iPhone 8 Plus: $699(7万8800円)/64GB, $849(9万5800円)/256GB
  • iPhone XR: $749(8万4800円)/64GB, $799(9万0800円)/128GB, $899(10万1800円)/256GB
  • iPhone XS: $999(11万2800円)/64GB, $1,149(12万9800円)/256GB, $1,349(15万2800円)/512GB
  • iPhone XS Max: $1,099(12万4800円)/64GB, $1,249(14万1800円)/256GB, $1,449(16万4800円)/512GB

ずいぶんと長いラインアップだ。

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Apple Watchシリーズ4とiPhone XS, XRのプロモーションビデオはこちら

Apple Watchシリーズ4とiPhone XS, XRのプロモーションビデオはこちら
Appleはつい先ほど、iPhoneApple Watchの最新機種を発表した。各機種のプロモーションビデオを下に貼ってある。例によってAppleの最高デザイン責任者、Jony Iveがナレーションを担当し、ビデオは新製品のさまざまな機能を映し出していく。

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