英国で制裁を受けたチェルシーFCのロシア人オーナー、Truphoneの株式に影響を与える「関連利益」なし

サッカー・プレミアリーグで大成功を収めているチェルシーのオーナーでロシアのオリガルヒ(新興財閥)のRoman Abramovich(ローマン・アブラモビッチ)氏は今週、ロシアのウクライナへの正当な理由なき侵攻を理由に、英国政府が自身などに科したロシア制裁の一環としてクラブの資産を差し押さえられた。しかし、現在のところ、アブラモビッチ氏のテクノロジーとの結びつきには触れられていない。同氏を主要な資金提供者とする2つのファンドから2億ドル(約233億円)超を調達し、事実上その2つのファンドを主要オーナーとしていることを明らかにしているTruphone(トゥルーフォン)は、アブラモビッチ氏と同社の関係は「間接的」であるため、現在、制裁は同社のビジネスや持ち株に影響を与えていないと述べている。

Truphone Limitedの顧問弁護士Rachel Chapman(レイチェル・チャップマン)氏は「3月10日に英国政府によって、Truphoneと間接的な関係を持つローマン・アブラモビッチ氏に制裁が科されたことを承知しています」とTechCrunchに提供した声明の中で述べている。「しかしアブラモビッチ氏は、英国の制裁法の目的に照らしてTruphoneとの『利害関係』はありません。これは、Truphoneの事業が通常通り続くことを意味します。Truphone がいかなる制裁措置の対象にもなっていないことは強調する必要があります。法的なアドバイスを受けながら、常に状況を監視しています」。

このスタートアップの2大株主が事実上アブラモビッチ氏の投資ビークルでありながら、アブラモビッチ氏自身から手の届かない距離にいるという事実は、テック業界で資金調達を追跡することがいかに難しいかを浮き彫りにしている。特に「直接」投資と「間接」投資、つまり公式にも非公式にも制裁の影響を受けるものを紐解くことの難しさがある。

アブラモビッチ氏は、従来のネットワークを迂回したグローバルな音声・データ接続を可能にするeSIMやその他の技術を開発する通信技術企業であるTruphoneに、自身が出資する投資ビークルを通じて、数年にわたって一連の投資を行ってきた。

2013年に同氏の会社Minden(ミンデン)は7500万ポンド(約115億円)のラウンドをリードし、うち7000万ポンド(約107億円)を出資した。2018年には、今度はMindenとVollin Holdings(ヴォリン・ホールディングス)の2つのアブラモビッチ氏所有の会社を通じて、Truphoneはさらに5400万ポンド(約82億円)を受け取っている(1800万ポンド[約27億円]を前払い、残りを「条件付き」で後払い)。そして2020年には、さらに3000万ポンド(約46億円)をやはりVollinとMindenから受け取っている。

PitchBookによると、VollinはTruphoneの72.45%、Mindenは22.77%を所有しており、両社には他にアクティブな投資先はない。Truphoneの評価額は2020年に5億1600万ドル(約603億円)とされている。

(補足:これらの投資をTechCrunchが取り上げた際、Truphoneは投資会社周辺の詳細を控えめにしようとした。広報担当者から「記事で名前を出さないでくれ」と少し慌てた様子の電話が筆者にかかってきて、自身の関与を軽くしようとしたのを覚えている。まったく怪しくない)

アブラモビッチ氏は先週、状況を踏まえてチェルシーFCを売りに出し、ウクライナの救済に寄付をすると発表していた。しかしその手続きは、アブラモビッチ氏がそれまでに持ち株からいかなる利益も得られないようにするため、3月10日政府によって保留にされた。今後チェルシーFCは、新規のチケット販売(すでに代金を支払ったシーズンチケット保持者のみ入場可能)、グッズ販売、選手の移籍・放出が認められないなど、制限付きライセンスのもとで運営される。

アブラモビッチ氏のテック分野への関わりに何が起こるか、また、政府が間接投資と言われるものをどのように、そして実際に追求するのかを見守る価値はありそうだ。

アブラモビッチ氏は、英国国外にも投資ビークルを持っている。PitchBookでTruphoneを唯一の投資先としているMindenとVollinに加えて、同氏は英領ヴァージン諸島に拠点を置くNormaと、Impulse VCという2つのVCにつながっている。Impulseはモスクワに拠点を置き、合計61件の投資を行っている(同じスタートアップに対して複数回のラウンドを行ったものもあり、また撤退したものもある)。Normaは、バッテリーのスタートアップStoreDot、OpenWeb(旧Spot.IM)、BrainQ Technologiesなど13件に投資している。

アブラモビッチ氏は、数年前のTelegram(テレグラム)の不運なICO(新規暗号資産公開)で、複数のロシア人投資家の1人として名を連ねている。しかし筆者はTelegramのPavel Durov(パーヴェル・ドゥーロフ)氏に連絡を取り、アブラモビッチ氏が現在投資家であるかどうかを尋ね、そうではないことを確認した。

「いいえ、幸いにも彼らは誰も当社の投資家ではありません 」とドゥーロフ氏はTelegramのメッセージで筆者に話した。

ある人がいうには、欧州のベンチャーマネーの45%はロシアに由来するという。鉄のカーテン崩壊後、自由になったソ連のインフラで富を築いた人々による、いわゆる「オリガルヒ」資金や、(ある人が主張するように)再建のためにロシアに流れ込んだ資金が別の場所に流れただけではない。そのような資産の裏側で、その間に何十億もの利益を得てきた。その後の他の事業からの配当、そしてもちろんロシアの事業家が長年にわたって通常の手段で稼いできた金もある。

Index VenturesEQTなど、いくつかの投資家はここ数日、ロシアやロシアマネーとの関係について声明を発表している。これらの声明は、ロシアやロシア出身のLPからの資金が「直接」ではないことを注意深く指摘している。そのため「間接的」というのがどのような役割を果たすかという疑問が生じる。一方、彼らはロシアのスタートアップへの投資から撤退し、ロシアで事業を展開する投資先企業にもその事業を縮小するよう促している。

画像クレジット:Alexander Hassenstein – UEFA / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

PG&Eとフォード、家庭用バックアップ発電機としての電動トラックの可能性を開拓へ

Pacific Gas and Electric Company(パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック・カンパニー、PG&E)とFord Motor Company(フォードモーターカンパニー)は、Fordの新しい電動ピックアップトラックF-150 Lightningが、カリフォルニア州の電力会社サービスエリア内の顧客宅にバックアップ電源を供給できるかを共同で調査する。

今週初め、PG&EはGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)と共同で似たような試験を行うと発表した。停電時に送電網からEVのバッテリーに電気を送ったり戻したりする双方向充電機能のテストが含まれる。電力会社は2021年、危険性の高い気象条件下で送電線が山火事を引き起こすのを防ぐために、何百、何千もの家庭や企業への送電を停止しなければならなかった。そこで、電力会社は自動車メーカーと協力して送電網に過度の負担をかけない方法を模索している。

PG&EのCEO、Patti Poppe(パティ・ポッぺ)氏は「私たちは今日、エネルギー産業と輸送産業が交差するところで、画期的な機会を目にしています。より多くの電気自動車と新しい充電技術が利用できるようになるにつれ、電気自動車と電力網の相互作用について理解を深め、どのように顧客をサポートするのが最善かを考えることが重要です」と声明で述べた。

Fordは、2021年5月に双方向充電機能を備えたLightningを製造する計画を発表した。Lightningでデビューするピックアップの9.6kWの車載発電機「インテリジェント・バックアップ・パワー」は、家庭の電力使用状況にもよるが停電時に最大10日分の電力を供給できるとPG&Eは話している。Fordはこれまで、フル充電で最大3日間、家庭の電力を供給できると発表していた。

Fordのインテリジェント・バックアップ・パワーは、停電時にLightningが接続されていれば自動的に家庭への電力供給を開始し、電力が復旧すれば再び充電に切り替えるというもので、2022年春に最初の設置が行われる予定だ。太陽光、バッテリー、エネルギーサービスを提供するSunrun(サンラン)がサポートする。同社はFordと提携しており、80アンペアのFord充電ステーションProとホームインテグレーションシステムを設置する。

少数の顧客宅への初期導入を通じて、PG&EはFordの技術を研究し、電力網への接続方法と、送電停止時の顧客の回復力を支援する方法を学ぶことを目指している。両社はその後、双方向充電技術のさらなる使用例を検討する予定だ。

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

新たな画像誘導手術システムを開発するZeta Surgicalがステルス状態から脱して約6億円調達

ボストンを拠点とするZeta Surgical(ゼータ・サージカル)は先日、ステルス状態から脱して520万ドル(約6億800万円)のシード資金調達を発表した。Innospark Ventures(イノスパーク・ベンチャーズ)が主導したこのラウンドは、Y Combinator(Yコンビネーター)とPlug and Play Ventures(プラグ・アンド・プレイ・ベンチャーズ)による25万ドル(約2900万円)のプレシードに続くものだ。

同社はハーバード大学の卒業生であるJose Maria Amich(ホセ・マリア・アミチ)氏とRaahil Sha(ラーヒル・シャ)氏によって設立された。2人は現在、それぞれCEOとCTOを務めており、ハーバード大学医学部脳神経外科のWilliam Gormley(ウィリアム・ゴームリー)准教授が、同社の最高医学責任者を務めている。同チームのミッションは、手術室の外で行われる非侵襲的な手術のために、正確な医用画像ガイダンスを提供することだ。

脳室開窓術や神経調節療法のような手術を手始めに、Zetaは同社の技術で精度を上げ、参入障壁が低くなることによって、このような手術の民主化に貢献できると信じている。

「現在、我々が行う手術には、一方では精度が高くても、もう一方に属する手術では技術や精度がまったく欠如しているという、大きな断絶があるのです」とゴームリー氏は語る。「その理由は、これらの手術の多くが緊急手術であり、そのような患者を治療するための技術が開発されていないためです。アミチ氏とシャ氏がもたらすものは、そんな技術です。この技術は、覚醒していて実際に動き回る患者に対し、外科医チームをほとんど必要とせず、非常に迅速に適用することができます。私たちがやっていることとどれだけ違うか、言葉で言い表すのは難しいですが、このような患者にとっては、すべてがまったく変わるということです」。

画像クレジット:Zeta Surgical

Zetaシステムには、外科医が低侵襲な脳外科手術をピンポイントで行えるように支援するために開発された複合現実(MR)オーバーレイが含まれている。これに組み合わて使用できるオプションのロボットシステムは、市販のDoosan(ドゥサン)製ロボットアームを独自のツールと組み合わせて活用している。同チームは、医用画像の表示にヘッドセットも検討したが、このような手術にはまだ十分な精度がないと判断したという。

「ARとVRの両方のシステムを検討しましたが、現時点では標準的な画面ベースのナビゲーションを採用することにしました」と、シャ氏は語る。「その理由のいくつかは技術的なものです。ARシステムには、外科手術に必要な精度が足りません。ARのオーバーレイは可能ですが、脳外科手術に必要なほどの精度は得られません」。

このスタートアップ企業は、北米とアジア市場を視野に入れ、ボストンとシンガポールで非臨床試験を完了させている。2022年前半にはFDA(米国食品医薬品局)への承認申請を予定しており、承認が計画通りに進めば、夏の終わりから秋の初めには製品版を発売する予定だ。

「今回のラウンドでは、2つの主要な成果物に焦点を合わせています。1つは、装置の初期臨床試験を完了させることです」と、アミチ氏は説明する。「そしてもう1つは、FDAの認可を受け、認可後に最初の臨床パートナーたちとともに実用を開始することです。それには何よりもまず、システムの完全な開発を完了させなくてはなりません。そのためにはチームを拡大し、新しいエンジニアを雇用することが必要になります」。

画像クレジット:Zeta Surgical

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイッター、被害者の妊婦を「とてもリアルなメイクをした役者」と主張するロシア大使館のツイートを削除

隣国ウクライナへのおそろしい侵攻が拡大するのにともない、ロシア大使館に関する一連のTwitterアカウントは誤情報をばらまいているが、長くは続かないだろう。

というのも米国時間3月10日、Twitterはマリウポリの病院爆撃の現場から避難しようとする被害者の妊婦を「とてもリアルなメイクをした役者」だと主張する、特にひどいツイートに対して行動を起こしたからだ。そのアカウントはロンドンにあるロシア大使館のもので、現在行われているウクライナでのロシアに侵略行為に関する嘘の情報を熱心に撒き散らしていた。

爆撃の後の妊婦の写真へのレスとして@RussianEmbassyは次のようにツイートした。

彼女のメイクはとてもリアルだ。美容に関する彼女のブログも良くできている。しかも彼女は爆撃のとき、その産院にいたはずがない。あそこはかなり前からネオナチのアゾフ連隊が占拠し、スタッフ全員がそこを退去するよういわれていた。

このデマは、ロシア語のTelegramチャンネルから発信されたようで、病院にいたウクライナ人ブロガーが、爆破現場で2人の異なる妊婦の役を演じていたと非難している。

ロシアはウクライナへの軍事侵攻を否定し、歪曲し続けている。それらには、簡単にばれる嘘がくっついていることが多い。しかし、その情報は現在でも誤報のエコシステムの中で跳ね回っている。そしてますます活発になり、次のもっと奇怪な主張を煽っている。

Twitterはこの24時間で、ロンドンのロシア大使館による少なくとも3件のツイートをルール違反で削除している。それでも、大使館のフィードのトップに固定されたツイートは、ウクライナが、地元の指導者がロシア政権に支援されている同国東部の2地域の人々を「絶滅」させようとしていると非難している。

「絶滅」という言葉は、ウクライナへの宣戦布告を正当しようとするロシアの大統領ウラジミール・プーチンの、誤解を招く表現に呼応している。プーチンは2022年2月、「本日、ドンバスで起きていることはジェノサイドだ」と宣言し、侵攻のための偽りの基礎を築いた。侵攻に関するロシアの偽情報に対して、Twitterはどのような線引きをしているのかに関しては問い合わせをしている。

ロシアが「バーチャル」な大使館の存在を利用して自分たちだけの説をばらまくのは、これが初めてではない。Atlantic CouncilのDigital Forensic Research Lab(デジタル犯罪捜査研究所)は、ロシア政府が公式と非公式のアカウントのありとあらゆるかたちで組み合わせて、その歪曲されたメッセージをオンラインで増幅している方法を調査研究している。

上級研究員のBen Nimmo(ベン・ニモ)氏は「使用するチャネルの一部は明白かつ公式で、その他は内密で独立と称しています。すべてが協働して複数の声と視点を装い、組織化されていることを隠蔽します」と述べている。

米国時間3月10日、Twitterは、少なくとも1つの、顕著な偽情報ソースsuspending @asbmilitaryに対するより決定的アクションを行った。このアカウントは、ウクライナに米国の生物兵器研究所があるという、偽りの陰謀理論の拡散で活動的な役割を演じた。バイデン政権は、生物兵器関連の誤報の殺到が、ロシアの化学兵器攻撃の前触れなのかもしれないと懸念している

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

新興電気自動車メーカーRivianが第4四半期の決算を発表、株価は最安値を更新

2021年末に上場した米国の電気自動車メーカー、Rivian(リビアン)が、第4四半期の決算と2021年暦年の業績を発表した。この結果は、2022年の生産予測とともに、ウォール街を失望させ、同社の株価は最安値を更新した。

Rivianが米国時間3月10日に発表した決算報告資料によると、2021年第4四半期の収益は5400万ドル(約63億3000万円)で、通年の総収益である5500万ドル(約64億4000万円)のほとんどを占めている。同社は2021年度に合計920台の車両を納車したが、そのうち909台は最後の3カ月間に納車したものだ。

同社は2021年第4四半期に大規模な納車に移行したものの、予想通り損益分岐点に近づくためには、単純に十分ではなかった。調整後ベースでは、Rivianは1株当たり2.43ドル(約285円)の損失を出した。

事前にYahoo Finance(ヤフー・ファイナンス)は、同期の総収益が6399万ドル(約75億円)に対し、調整後ベースで1株当たり2.05ドル(約240円)の損失となる見込みと報じていた。簡単にいえば、Rivianは人々の予想より少ない収益を計上し、より多くの損失を出したということだ。

通常取引では、Rivianの株価は6.35%急落して41.16ドル(約4800円)となり、52週間ぶりの安値となった他、ナスダック総合株価指数も1%近く下落した。決算発表後の時間外取引では、リビアンの株価は13%以上も下落した。

当然ながら、我々は調整後の数字には常に懐疑的なので、GAAP(米国会計基準)の結果にも目を通しておこう。2021年第4四半期、Rivianの収益は5400万ドルで、粗利益は3億8300万ドル(約449億円)の赤字、すべての費用を含む純損失は24億6000万ドル(約2900億円)、1株当たり4.84ドル(約567円)となる。2021年通期では、同社の収益は5500万ドルで、粗利益は4億6500万ドル(約545億円)の赤字、純損失は46億9000万ドル(約5500億円)、1株当たり-22.98ドル(約2690円)だった。

我々は単に得意げに粗利益の結果を載せているわけではない。これは決算報告で「2022年を通じてマイナスの粗利益を認識している」と述べた同社の問題だ。だから、同社が2022年、営業的に損益分岐点に近づくことは期待できない。代わりに粗利益の中立に向けて必死にもがくことになるだろう。

しかし、それはあくまで数字の話である。また、生産増強に忙しいEVメーカーにとって、赤字は当たり前のことだ。というわけで、ここからは、納車、価格設定、混乱するサプライチェーン、そして同社にとって今後の数4半期がどうなるかについて話そう。

今後の展望は?

Yahoo Financeは、Rivianが2022年に4万台の納車を目指すというアナリストの予想を事前に報じていた。しかし、同社が決算報告で「当社のR1およびRCVプラットフォーム全体で2万5000台を生産するのに十分な部品や材料がある」と述べたことで、この数字は大幅に縮小されることになった。

この生産台数は、Rivianの予想する47億5000万ドル(約5570億円)の調整後EBITDA損失と調和せず、同社はより厳密な利益指標を示していない。

Rivianの2022年は、サプライチェーンが逼迫する中、GMやFord(フォード)など、自社でEVピックアップトラックやSUVを発売する他の自動車メーカーとの競争にさらされる、厳しい年になりそうだ。

同社のRJ Scaringe(RJ・スカリンジ)CEOは、生産規模の拡大とサプライチェーンの管理を支援する新しい最高執行責任者を来週発表する予定だと述べている。

「現在、我々が直面している最大の制約は、まさにサプライチェーンにあります」と、スカリンジ氏は電話会議で投資家に語った。「本当に少数の部品しか供給されず、当社の生産ラインの増強と同じ速度でサプライヤーが部品の生産を増強しているわけではありません」。

「サプライヤーの制約がなければ、2022年中に5万台以上の生産を達成できると確信しています」と同氏は続けた。

つまり、もし世界が違えばリビアンの収益拡大も、まあ、違って見えるということだろう。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Alex Wilhelm、Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ポーランドで逮捕されたランサムウェア犯罪グループ「REvil」のメンバー1人が米国に引き渡される

ランサムウェアグループ「REvil(レヴィル)」の主要メンバーの1人とされる人物が逮捕され、米国で裁きを受けるためにテキサス州に引き渡された。この人物は、IT管理ソフトウェアを提供するKaseya(カセヤ)にサイバー攻撃を仕かけ、同社の数千もの顧客のネットワークを暗号化した犯罪の実行犯である疑いがあると、連邦当局は述べている。

この22歳のウクライナ人、Yaroslav Vasinskyi(ヤロスラフ・ヴァシンスキー)容疑者は、現地時間10月8日にポーランドで逮捕された。8月に提出された起訴状によると、同容疑者はコンピュータハッキングと詐欺の疑いで告発されており、今週ダラスの連邦裁判所に喚問され引き渡されるまで拘束されていた。

一時期、別名Sodinokibi(ソディノキビ)とも呼ばれるサイバーギャング組織のREvilは、最も活発で多くの犯罪を行っているランサムウェアグループの1つだった。同グループは、しばしば被害者のコンピューターを暗号化し、高額な身代金を要求することがある。このロシア語を話すランサムウェア・アズ・ア・サービスの手口は、身代金として企業の利益の一部を受け取る代わりに、暗号化を解除するためのインフラへのアクセスを貸し出すというものだ。

このグループは出現以来、食肉加工工場のJBSに攻撃を仕掛けて食糧生産に遅れを生じさせたり、パソコンメーカーのAcer(エイサー)やエネルギー大手のInvenergy(インベナジー)などの企業のデータベースに侵入して個人情報を流出させた。

しかし、最も注目を集めたのは、ITおよびネットワーク管理ソフトウェア会社のKaseyaに対する攻撃だ。REvilのランサムウェアは、同社のソフトウェアを使用する顧客のネットワークで下流に向けて拡散し、数千の企業が影響を受けたとされる。そこで米国政府は、このハッカーを裁くための情報を求めて、1000万ドル(約11億7000万円)の懸賞金を打ち出すことになった。

Kaseyaの攻撃から数週間後、同社は世界共通の復号キーを入手し、顧客が数百万ドル(数億円)相当の身代金を支払わずともシステムのロックを解除できるようにした。The Washington Post(ワシントン・ポスト紙)によると、FBIは密かにキーを入手し、Kaseyaの攻撃で非難された後、しばらくしてインターネットから姿を消したハッカーの取り押さえを計画していたが、それは実現しなかったという。

10月までに米国政府は、この犯罪グループをオフラインに追い込む多国籍の取り組みを行っていたことを明らかにした。その後、ルーマニアとロシアの法執行機関がメンバーを逮捕し、グループはほぼ解体され、数百万ドルの現金と暗号資産が押収された。

「海外からKaseyaへのランサムウェア攻撃を行ったとみられる時からわずか8カ月後、この被告人は裁きを受けるためにダラスの法廷に到着しました」と、米国司法長官代理のLisa Monaco(リサ・モナコ)氏は声明で述べている。「私たちは攻撃されたら、国内外のパートナーと協力し、サイバー犯罪者がどこにいようと追い求めます」。

ヴァシンスキー容疑者は、Kaseyaの攻撃に関連して米国検察当局によって起訴されたREvilのメンバーとされる2人のうちの1人で、もう1人は28歳のロシア人、Yevgeniy Polyanin(エフゲニー・ポリアニン)である。

ヴァシンスキー容疑者は、有罪判決を受けた場合、100年以上の懲役刑が科せられる。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

決済大手Stripe、暗号資産決済のサポートを再開

決済大手のStripe(ストライプ)は、すでにウェブの金融インフラの大部分を動かしているが、今度は暗号資産(仮想通貨)決済のサポートを開始する。顧客がウェブ3ユーザーを取り込み、暗号資産とのやり取りを容易にする方法を提供する。

Stripeは3月10日、暗号資産トークンの購入や保管、売却、NFTの取引、本人確認手続き(KYC)などのコンプライアンスワークフローの処理を容易にするツールやAPIに顧客がアクセスできるようにする一連の製品を発表した。同社のサポートページには、ユーザーが180カ国の法定通貨で135以上の暗号資産を購入するのをサポートできるようになると記されている。

Stripeの共同創業者John Collison(ジョン・コリソン)氏は3月10日にTwitterで新機能を発表した。

Stripeは長年にわたり暗号資産と複雑な関係を持っており、2014年に暗号資産のサポートを開始した後、支払い手段として暗号資産は「あまり有用ではない」として2018年にBitcoin(ビットコイン)のサポートを終了した。そして昨年10月に同社は暗号資産チームを構築するための求人情報を掲載し始め、数週間後に暗号資産VCのMatt Huang(マット・ホアン)氏を取締役として迎えた。Stripeのこの分野への再参入は、同社の広大なリーチを欠く既存の暗号資産決済事業者にとって大きな脅威となる。

このニュースと並行して、暗号資産取引所FTXは、ユーザー向けのIDコンプライアンス機能と法定通貨オンボーディングワークフローを改善すべくStripeと提携すると発表した。

[原文へ]

(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

ダイヤモンドの「NV中心」による温度計測に成功、高空間分解能で高感度な温度センサーに応用できる可能性を発見

ダイヤモンドの「NV中心」による温度計測に成功、高空間分解能で高感度な温度センサーに応用できる可能性を発見

研究に用いた実験装置の概略。左下図は、ダイヤモンド結晶中の窒素-空孔(NV)中心の原子構造を示す

筑波大学(長谷宗明教授)と北陸先端科学技術大学院大学(安東秀准教授)からなる研究グループは3月9日、ダイヤモンドの結晶に作られる格子欠陥を用い、非線形光学効果に基づいた、高空間分解能かつ高感度な温度センサーが実現可能であることを発見したと発表した。ナノメートルの超高速時間領域での量子センシングの実現につながるという。

非接触型の温度センサーには、おもに量子センサーが使われている。なかでもダイヤモンドの中に不純物として含まれる窒素(N)と、その隣にできる炭素原子の抜け穴(V)が対になった「NV中心」の、周辺の温度や磁場を敏感に検知して量子状態が変化する特性を活かした非接触型量子センサーは、高い空間分解能と感度が求められる細胞内計測やデバイス評価装置のセンサーなどへの応用が期待されている。

研究グループは、NV中心を人工的に作りダイヤモンド結晶の対称性を壊すことで、2次の非線形効果であり、入射光に対して2倍の周波数の光を放出する第二高調波発生(SHG)が発現することを以前に突き止めていた。今回の研究では、それを踏まえ、NV中心を含むダイヤモンドに赤外域の超短パルスレーザーを照射し、SHGおよび、3倍の周波数の光を放出する第三高調波発生(THG)の発光強度の温度依存性を調べ、非線形光学効果に基づく温度センサーの可能性を探った。

その結果、NV中心を含むダイヤモンドのSHGから得られる温度センサーとしての感度は、高純度ダイヤモンドのTHGから得られるものの3倍以上も大きいことがわかり、新しい温度センシング技術開発の可能性が示された。

今後は、ここで得られた技術を深め、ナノスケールで超高速時間領域(時空間極限領域)での量子センシングの研究を進めるという。研究グループは、ダイヤモンドのNV中心から引き出される非線形光学効果が、電場や温度のセンシングに幅広く応用できることを示してゆくと話している。

海外旅行予約アプリ「NEWT」を運営する令和トラベル、旅行販売を行う「NEWTメタバース支店」を期間限定オープン

海外旅行予約アプリ「NEWT」(ニュート)を提供する海外旅行代理店の令和トラベルは3月10日、海外旅行をより身近に感じてもらうため同社初となる店舗「NEWTメタバース支店」をメタバース上に期間限定でオープンすることを発表した。会場は、バーチャルSNS「cluster」のクラスターが開催するゲームクリエイターフェス「ClusterGAMEJAM 2022 in SPRING」。

NEWTメタバース支店は、バーチャル空間でリアルの海外旅行を販売する「完全バーチャル旅行代理店」。店舗まで物理的な距離を移動することなく、全国どこからでも気軽に参加できる。

販売商品例としては、20万円から(大人/1名/諸税込)の「ホノルル5泊7日」、12万円から(大人/1名/諸税込)の「バンコク3泊5日」ほか、ユーザーの要望を受け店舗スタッフが最適なプランを作成するなどの対応も行う。

「NEWTメタバース支店」店舗情報

  • 店舗名:NEWT(ニュート)メタバース支店
  • 接客期間:
    3月11日20時~22時(最終受付21時30分)
    3月17日20時~22時(最終受付21時30分)
    店舗自体は、プレイベント期間を含め3月11日から27日まで設置される
  • 会場:ClusterGAMEJAM 2022 in SPRING

アクセスするには、まずclusterのアプリをダウンロード。インストールおよびアカウント作成後、ClusterGAMEJAM 2022 in SPRINGの会場となるワールドに移動する。

2021年4月設立の令和トラベルは、「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに掲げ、海外旅行における新しい体験・社会価値の提供を目指すデジタルトラベルエージェンシー。旅行業界における予約や管理業務のDXを最大化し、これまでになかった「かんたん・おトク・えらべる・あんしん」な海外旅行ツアーやアプリを提供する。

メタバース・現実世界で企業・個人を問わず収入を得られるプラットフォームを開発するSuper Massive Globalが1.1億円調達

メタバース・現実世界で企業・個人を問わず収入を得られるプラットフォームを開発するSuper Massive Globalが1.1億円調達

メタバース空間・現実世界でNFTを誰もが活用し価値を発揮できるプラットフォーム開発を目指すSuper Massive Global(スーパー マッシブ グローバル)は3月10日、シードラウンドとして、第三者割当増資による1億1000万円の資金調達を2月18日に行ったことを発表した。引受先はCBCなど合計8社。2021年にZero-Tenなどから2回にわたる資金調達を受けており、累計調達額は2億5000万円となった。今回調達した資金は、プラットフォーム開発とパートナー企業との業務環境の整備にあてる。

2020年9月設立のSuper Massive Globalは、「バーチャルと現実の境界線を無くす」ことをビジョンに掲げるスタートアップ企業。同社は、国境や人種・性別・文化、そして空間を超えて企業とユーザーといった誰もが楽しく生活をしながら収入や権利を持つことができる「Play to Earn」という世界観の実現を目指しているという。

そのために、メタバース空間内でNFTを発行し、現実世界また誰でも活用可能とすることで、企業・個人どちらも収入を得られる新たなプラットフォームの開発を進めている。

視覚障がい者向けの触覚ディスプレイ「Dot Pad」

点字は視覚障がい者に広く利用されているが、ウェブやスマートデバイスのアクセシビリティが幅広く向上しているにもかかわらず、点字読書器のハードウェアの技術革新は基本的に滞っている。今回Dot(ドット)が開発したスマート点字デバイスは、文字を表示するだけでなく、画像を触覚で表現することができる。このことは教育や利用できるコンテンツにまったく新しい層を開く可能性がある。

同社のDot Pad(ドットパッド)2400本のピンが画素のように並んでおり、それらをすばやく上下させることで、点字文字や識別しやすい図形をかたち作ることができる。300文字分の点字表示領域を持ち、下部には20文字が表示できる従来のような直線領域がある。重要なことは、このデバイスがApple(アップル)の画面読み上げ機能VoiceOver(ボイスオーバー)に直接統合されていることで、この結果テキストやアイコンラベル、さらにはグラフや単純な画像をタップするだけで読み上げられるようになっていることだ。

韓国を拠点とする同社は、共同創業者のKi Kwang Sung(キ・クワン・ソン)氏とEric Ju Yoon Kim(エリック・ジュー・ユン・キム)氏によって創業された。彼らはコンピューターやインターフェースがこれだけ進化しているにもかかわらず、学習や読書のための選択肢がないことにうんざりしていたのだ。

デジタル点字ディスプレイはこれが初めてではない。このようなデバイスは何十年も前から存在していたが、その台数も機能も明らかに限られていた。デジタル文字を読むための点字ディスプレイが一般的だが、これは長年変わっていない古くさく不格好な1行表示機械で、他のやはり古くさいソフトウェアやハードウェアに依存したものであることが多い。

また、一般にこれらの機器は、子どもや学習を意識して作られていない。視覚障がいのある子どもたちは、教科書がなかったり、視覚障がいを考慮した活動が行われていないなどの、多くの社会的ハンディキャップに晒されている。そのため、ある子どもの両親は、幼児レベルで点字を教えることができる玩具BecDot(ベックドット)を開発した

ソン氏は「21世紀にもなって、視覚障がい者がグラフィカルな情報にデジタルな手段でアクセスできないのはおかしなことです」という。「教育、仕事、ソーシャルネットワークサービスなど、あらゆる業界でさまざまなイノベーションが起こり、グラフィック情報の要求が高くなっています。しかしそれが意味していることは視覚障がい者の切り捨てです。パンデミックの状況でも、障がい者のためのリモートワークや教育手段は必須だったのですが……そのためのソリューションがなかったのです」。

そこで2人は、一般人が当たり前のように使っているピクセルベースの画像や表現に、視覚障がい者がアクセスし、操作できるようなモニターを作ろうと考えたのだ。

画像クレジット:Dot

点字リーダーは一般に、ピンを必要に応じて上下させるために何百もの小さなヒンジとギアに依存しているので、非常に複雑な機械だ。また、継続的に触れることによる圧力に耐えられるような頑丈さも必要だ。これまでにも、権威ある研究機関からさまざまなイノベーションが生まれていたものの、実際に市場に出たものはなかった。Dotは、より優れた高性能のハードウェアを提供するだけでなく、スマートフォンやタブレット端末とのより深い連携によって、すべてを変革しようとしている。

Dot Padの革新性の核となるのは、やはり「ドット」そのものだ。この小さなピン(点字1文字につき6本)を何十本、何百本と、いかに確実に、すばやく(大きな音を立てずに)伸縮させるかにに対して、さまざまな解決策が生み出されてきたが、Dotのものはまったく新しい解だ。

画像クレジット:Dot

ソン氏は「スピーカーのメカニズムから発想しました」と説明する。彼らは、スマートフォンのスピーカーを振動させている小さな電磁アクチュエーターを、ピンの上下に利用することした。上下の位置で簡単にロックでき、すばやくロックを解除して引っ込めることができる磁気ボールローターを採用している。全体の大きさは、これまでの機構の数分の一で「既存の圧電点字アクチュエーターに比べて、10分の1ほどです」とソン氏はいう(Dotは、その仕組みを示す概略図やピンの断面図を私には見せてくれたが、それらを一般に公開することは拒否した)。

つまり、文字として読める大きさでありながら、画像を表すパターンを形成するのに十分な密度を持つピンを、わずかな間隔で何千本も並べたグリッドを作ることができたのだ。ドットパッドの下部には、伝統的な点字のための専用セクションがあるものの、メインのグリッド側は何よりも「触覚ディスプレイ」と表現した方がよいだろう。

私は量産前の試作機で遊ぶことができたが、それは非常にうまく機能し、画面全体を上から下へと約1秒でリフレッシュし(これも現在改善されていて、アニメーションも可能になりつつある)、ユーザーの手で容易にスキャンできるように思えた。どちらのディスプレイも、ピンの保護スクリーンを採用していて、簡単に交換することができる。ピンユニットそのものも簡単に交換できる。

Dotのもう1つの大きなアドバンテージは、Appleとの協力だ。Dot Padは、ジェスチャーで起動することが可能で、ハイライトされたものを瞬時にディスプレイ上に表示することができる。以下の動画で、その様子を見ることができる。

そして、iOS 15.2には開発者向けの新しい「触覚グラフィックスAPI」が用意されていて、アプリはこの機能を取り入れたり微調整したりできるようになっている(私はこのAPIについてAppleにコメントを求めたので、もし返信があればこの記事を更新する)。

キム氏は「世界中の多くの視覚障がい者がiPhoneやiPadを利用していますが、これは業界をリードする画面読み上げソフトVoiceOverのおかげです」という。「Dotの触覚技術がVoiceOverに最適化されたことで、デジタルアクセシビリティが拡大することを大変うれしく思っています。音声や文字として点字を超えて、ユーザーのみなさんが映像を感じ、理解を高めることができるようになりました」。

もちろん忠実度という意味では制約されているものの、アイコンや線画、グラフなどをうまく表示することができる。例えば、株の記事の中のグラフを想像して欲しい。目の見える人なら一目で理解できるが、そうでない人は、VoiceOverに組み込まれた、グラフを上昇と下降の音で表現するような、別の方法を見つけなければならない。ないよりはましだが、理想的でないことは確かだ。Dot Padは、VoiceOverと独自の画像解析アルゴリズムにより、ディスプレイ上の任意の画面領域や要素を表現しようとする。

文字も、1ページ分の点字(通常のように間隔をあけて並べる)か、文字そのものの形で表現することができる。これにより、ロゴの書体などをよりよく理解することができる(点字には当然セリフ[文字の端にある小さな飾り]はない)。実際、大型の活字を触感を使って体験するというのは、なかなか面白そうだ。

画像クレジット:Dot

さらに大切なのは、子どもたちにとってすばらしい材料となることだ。視覚障がいのある子どもは多くのことを見落としているが、Dot Padを使えば他の人たちが当たり前と思っている家や猫などの文字や形、単純なイメージなどを簡単に描くことができるようになる……視覚障がい者のコミュニティにおけるK-12教育(幼稚園から高校までの教育過程)に新たな変革が加わる可能性があるのだ。

これはもちろん、一般的なデバイスと密接に連携できるおかげだ。つまり特殊な状況だけで使えるリソースというわけではない。iPhoneやiPadは、現代のデジタル機器としてユビキタス(普遍的)なだけでなく、Dotが活用できる強固なアクセシビリティ機能群を備えている。

もちろん、音声を使ったインターフェースが大幅に改善されたことは、グラフィカルなインターフェースを使えない人々にとって非常に大きな力となったことは事実だが、特に読書や学習の場面ではいまでも点字が重要な選択肢であることに変わりはない。技術によって機会が阻害されることがないように、こうした手法はさらに 改善されなければならない。

コミュニティからのフィードバックは好意的であるという。ソン氏は「みなさん限界よりも可能性を中心に考えていらっしゃいます」という。彼らは早い段階から、画像のレンダリングを改善するために「ピクセル」数を増やしており、Dot Padに適したカスタムグラフィックスのライブラリに取り組んでいる。このため、たとえばTwitterのロゴがソフトウェアに認識された際に、毎回輪郭をスキャンするのではなく、代わりに独自のバージョンを使うことができる。

Dotは、2023年にローンチ予定のAmerican Printing House for the Blind(盲人のための米国印刷協会)とHumanWare(ヒューマンウェア)が率いるDynamic Tactile Device(動的触覚デバイス)プロジェクトで、その中核技術を利用できるようにする予定だ。開発者コミュニティにはAPIの経験に対する議論に加わる機会がある。

画像クレジット:Dot

将来の機能計画には、写真の触覚表現が含まれている。必ずしも画像そのものではなく、レイアウト、人物の位置と説明、その他の情報がディスプレイに表示される可能性がある。また、ピンを中間の高さで固定し、手触りのグラデーションなどに利用する方法も研究している。また、パッドは表示だけでなく、入力としても使える可能性がある。ピンを押して、画面の適切な部分にタッチ信号を送ることができれば、また別の便利な機能となるだろう。

もちろん、これまでの点字ディスプレイと同様、Dot Padも安くはないし、シンプルでもない。しかし、他の類似製品よりは安くてシンプルとなる可能性はある。製造や組み立ては簡単なことではないし、特に今はチップやその他の部品の価格が高騰しているため、トータルコストは口にしにくい(主に自動車の窓のコントロールスイッチに使われていた小さなICを数千個使っており、今その価格は高騰している最中だ)。

幸いなことに、これこそ誰もお金を払う必要のない機器であり、補助金などの制度も数多く用意されている。子どもたちは学校で使う机のような、どうしても必要なものにお金を払う必要はない。そして、障がい者が良い教育を受けられるようにすることは、すべての人の利益につながる。アクセシビリティの向上は、それ自体ももちろん歓迎すべきことだが、これまで学べなかった人、参加できなかった人が、ようやく仕事に参加できるようになるという大きな連鎖反応があるのだ。

Dotの創業者たちは、韓国政府や米国政府、盲人社会、支援団体と協力し、Dot Padをカリキュラムに組み入れ、既存の資金や方法を使って費用を賄っているという。触覚グラフィックスAPIの詳細については、こちらおよびAppleの開発者向けサイトで確認できる。

画像クレジット:Dot

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

任天堂がロシアへのSwitchほか製品の出荷を停止、理由は「物流が不安定なため」

任天堂がロシアへのSwitchほか製品の出荷を停止、理由は「物流が不安定なため」

Engadget

マイクロソフト、ソニーがウクライナ情勢を鑑みてゲーム機本体やソフトウェアその他のロシアでの販売を停止する一方、オンラインショップのみの販売停止だった任天堂が、昨日ようやくロシアへのSwitchその他製品の出荷を停止することを明らかにしました。

Eurogamerが報じたところでは、任天堂は出荷停止の理由は「物理的な商品の出荷と配布の物流を取り巻くかなりのボラティリティ」のせいだと説明。わかりやすくいえば「物流状況が不安定」になっているためだとしました。さらに先日から行われているロシア国内でのNintendo eShopでの販売停止についても「決済プロバイダーによるロシア・ルーブルでの取引停止に伴うメンテナンス」だと述べ、いまの状況が終結した先の商売を考えて言葉を選んだかのような説明を貫いています。

任天堂は10日、4月8日に海外での発売を予定していたSwitch用シミュレーションゲーム『Advance Wars 1+2: Re-Boot Camp』の発売を延期すると発表しましたが、その説明文にも「最近の世界情勢により」と理由を述べるにとどめており、やはり”Russia”や”Ukraine”の文字はひとつも出てこないよう徹底しています。ただこのゲームに関してはロシアに限らず発売予定だったすべての国も対象とする延期で、さすがに「世界情勢」とゲーム内容をみれば妥当な対応ではあります。

すでにロシアでの製品販売やサービス提供を停止すると発表した企業を列挙するほうが大変と思えるようになっていますが、昨日10日にその拡がる輪に加わったのは、ゲーム『Destiny』シリーズを製作するBangieでした。ロシア国内ではまだ『Destiny 2』をプレイすることはできるものの、ゲーム内通貨やDLCなどをの追加購入はできなくなっています。

兎にも角にも、一刻も早く世界が平和になることを願ってやみません。

(Source:EurogamerEngadget日本版より転載)

TikTokが音楽配信プラットフォームのSoundOnを公開

TikTok(ティックトック)は現在の音楽業界にすでに多大な影響与えており、アプリ内で人気の曲はチャートの上位にランクインする。今度は自分の音楽をもっと聴いてもらいたいアーティストを支援するために独自の音楽マーケティング・配信プラットフォーム「SoundOn」を開始する。この新しいプラットフォームでは、アーティストは自分の音楽をTikTokと、TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)の音楽ストリーミングサービスのRessoに直接アップロードでき、さらにApple Music、Spotify、Pandora、Deezer、Tencent(テンセント)のJooxといったグローバルなストリーミングプラットフォームにもアップロードできる。

配信に対する課金はなく、プラットフォームは手数料を請求しない。TikTokは、ByteDance傘下のプラットフォームに関しては無期限で使用料の100%をSoundOnから音楽クリエイターに支払うとしている。これにはTikTokでの配信の他、ブラジル、インドネシア、インドのRessoと、ByteDanceの動画編集アプリのCapCutの分が含まれる。

グローバルのストリーミングサービスに関しては、そのアーティストの1年目は100%が支払われるが、2年目以降は90%に下がる。比較のために挙げると、競合のDistroKidはサブスクリプションベースでアーティストとレーベルに対して課金し、アーティストは売上の100%を受け取れる。一方、TuneCoreは曲またはアルバム単位で配信に対して課金するが、こちらもアーティストはストリーミング売上の100%を受け取れる。

SoundOnのFAQによれば、アーティストはすべての権利と使用料を保持する。つまりマスターを所持しつつ、さらに使用料の100%(または一定期間後に90%)を受け取れるということだ。

画像クレジット:TikTok

SoundOnは音楽配信の仕組みだけでなくプロモーションのためのツールやサポートも提供する。具体的にはオーディエンスのインサイトと開拓、SoundOnマーケティングチームからのアドバイス、TikTokのミュージックタブの利用(自分のプロフィールページから曲へリンクできる)、TikTokによる認証、RessoとCapCutでの紹介、TikTokプラットフォームのクリエイターマーケティングを活用したプロモーションの支援などだ。

SoundOnのウェブサイトには、このプラットフォームでリリースするとTikTokクリエイターの目に触れると書かれている。

ウェブサイトでは以下のように説明されている。「TikTokクリエイターはこのプラットフォームの活力源であり、サウンドがヒットする理由です。あなたがこのプラットフォームでリリースすると、我々は多様なクリエイターがあなたの曲を使って動画を制作するように働きかけます。これによりあなたのファンは広がり、クリエイターたちの新しいコミュニティにリーチできます」。

SoundOnのバリュープロポジションに対するTikTokのマーケティング面としては、このサービスはキャリアの浅いアーティストに特にアピールするかもしれない。TikTokにはバイラルのトレンドがあり、特別にプッシュされれば自分がブレイクして多くの人へのリーチとにつながると理解されているからだ。その後、ファンは音楽ストリーミングサービスでそのアーティストをフォローし、その売上が自身の収入になる。

TikTokの音楽担当グローバル責任者のOle Obermann(オーレ・オルバーマン)氏はSoundOnの提供開始に関する発表の中で「TikTokには新人のアーティストや音楽クリエイターたちの活気に満ちあふれたコミュニティがあり、SoundOnはこうした人々がキャリアの最初の一歩を踏み出せるようにと開発されました。SoundOnチームはクリエイターが大きなステージへと成長するジャーニーをガイドし、TikTokの専門性とパワーをアーティストのために活かします。我々は新しい才能が表に出てきて前進し、SoundOnがますます多様化し成長するグローバルな音楽業界に貢献することをたいへん楽しみにしています」と述べた。

SoundOnプラットフォームでは2021年秋からベータテストを実施し、今後は米国、英国、ブラジル、インドネシアで一般に広く使えるようになる。すでにこのサービスを利用しているアーティストとクリエイターの人数は明らかにされていないが、Muni Long(マニー・ロング)、Games We Play(ゲームス・ウィ・プレイ)、Abby Roberts(アビー・ロバーツ)、Chloe Adams(クロエ・アダムズ)らが利用している。

TikTokが音楽配信分野に参入するのはSoundOnが初めてではない。同社は2020年にUnitedMastersとの提携を発表し、これがTikTokと音楽配信企業との初の統合になった。

ByteDanceが音楽配信を拡大するのはストリーミングサービス事業者としてはよくある流れだ。例えばAppleは2021年に、NBAやESPN、そしてTikTokとも大型契約を交わしているUnitedMastersに投資した。SpotifyはDistroKidに小規模な出資をしているが、2021年秋に出資分の3分の2を1億6700万ドル(約193億7200万円)で売却した。

TikTokによれば、SoundOnに関心のあるアーティストはus.soundon.globalまたはsoundon.globalで登録できる。

画像クレジット:TOLGA AKMEN / Contributor / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ツイッター、最新アップデートでレコメンデーションアルゴリズムの回避が容易に

米国時間3月10日、Twitterがアプリをアップデートして、アルゴリズムが集めた「ホーム」のタイムラインと「最新ツイート」を表示するフィードを容易に切り替えられるようにした。これまでは、タイムラインの切り替えは画面右上部にある「火花アイコン(星印の)」をタップし、元に戻るにもそうしていた。しかし、本日からiOSアプリではそのアイコンをタップすると、TwitterのHome(ホーム)ページ上で「ホーム」と「最新」の両方のタイムラインをピン止めして、スワイプするだけで行ったり来たりできる。

 

「ホーム」と「最新」のタイムラインがiOS上ではスワイプで移動できます。もうすぐAndroidとウェブでもそうなります。✨アイコンをタップして、最新ののタイムラインをホームタブにピン止め(または外す)すると、簡単にアクセスができます。

Twitterの説明によると、このアップデートで増えたオプションにより、最近のポストを「もっと目立ち、見やすく」した。また、現在、どっちを見ているのかわからなくなる混乱を少なくしている。

この変更は、一般的にテクノロジー企業によるアルゴリズムによるレコメンデーションシステムと、その内部的仕組みに関する透明性の欠如に対する規制圧力が増している時期に行われた。たとえば米国国会議員の超党派グループは、テクノロジー企業がユーザーデータを利用したレコメンデーションをしないバージョンを提供することを要求した「フィルターバブル透明性法案」を提出している。つまりこの法案は、ユーザーにテクノロジー企業のレコメンデーションアルゴリズムを無効にできる選択肢を与えることを求めている。

それ以降、Instagramは、時系列フィードの選択肢を再導入すると約束した。最新の投稿がトップに表示されるため、逆時系列と呼ぶべきかもしれない。

しかしTwitterにはすでにそのような選択肢があり、それを知らない人がいるだけで、最新の変更により機能がもっと目立つようになるかもしれない。火花アイコンは以前と同じ場所にあるが、それがTwitter自身にとっても使いやすくなった。

「最新ツイート」のフィードは、ユーザーの選択をサポートするだけでなく、ニュース速報のような状況で、情報の即時性が重要で、見逃したかもしれない「最高」のコンテンツをアルゴリズムが提案するよりも人々が注目するツールでもある。ロシアとウクライナの戦争が勃発し、現地で起きていることを知るためにソーシャルメディアのアプリを利用する人が増えている現在、特に有効な手段だろう。

Twitterは2021年10月にこの機能の公開テストを開始、フィードバックが良好だったので一般公開に踏み切った。

ローンチの時点ではiOSのみだが「近く」Androidとウェブにも展開される。その具体的な日付を確認しようとしたが、Twitterは「数週間後」とだけ述べている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

米国で自動運転車のための国家安全基準がついに決定

無人運転車や自動運転機能を備えた自動車に、独自の安全基準が定められることを米国連邦機関が米国時間3月10日に決定した。規則はまず、運転席やハンドルのない車で乗客の安全をどう定義するかを明確化している。

米国運輸省の幹線道路交通安全局(NHTSA)は、この種のものとして初めての最終規則を制定し、人間ドライバーが関与する手動制御装置をもたない車両の乗客のために安全要件を改訂した。

今回の決定は、いくつかの修正に加えて、連邦自動車安全基準(FMVSS)の用語を変更して、自動運転車の空間レイアウトを反映したもので、同局の自動運転の普及にともなう公共の安全確保の取り組みに基づいて作られている。2021年NHTSAは、自動運転車(AV)の運用会社およびメーカーに事故報告書の提出を義務付ける命令を発令し、2020年には、州や企業がAV試験に関する情報を提出し、市民が閲覧できる仕組みを立ち上げた。

「自動運転システム装備車両で運転者が人間から機械に変わっても、人間の安全を維持する必要性は変わることがなく、当初から組み込まれている必要があります」とNHTSAのDr. Steven Cliff(スティーブン・クリフ博士)局長代行が声明で語った。「この規則によって、NHTSAはメーカーが安全を最優先することを求めます」。

さまざまな意味で、この規則はすでに本格化している業界に対応しようとしている。しかし、専用に作られた自動運転車が公道に解放されたことはまだなく、今新しいタイプの車両のための規則の基盤を形成することは、正しい方向への一歩であることは間違いない。

規則ではまず、従来型自動車向けに決められた用語を変更し、曖昧さと不要な用語を排除している。「driver’s seat(運転席)」「steering wheel(ハンドル)」「passenger seat(助手席)」といった用語は、該当する機能をもたない専用自動運転車の空間的参照に用いる意味がない。たとえばCruise(クルーズ)およびZoox(ズークス)の両社が作っているカーシェアリング目的の自動運転車には、伝統的な意味の車内空間がない。

一方、 Waymo(ウェイモ)、Motional(モーショナル)、およびArgo AI(アルゴAI)が路上に送り出しているのは、自動運転システムまたは操舵制御によって操作が可能であるため区別が必要である、とNHTSAはいう。

Nuro(ニューロ)などの自動運転車は、商品の配達に用いられており、人間は乗せないため、NHTSAの基準は、これらの車両を除外するように変更され、保護すべき乗客がいない場合は元の安全要件がなくなることを規定している。

NHTSAの最終規則は、用語を改訂した結果発生するメーカー要件の変更についても言及している。例えば自動運転システム装備車両における先進的エアバッグおよび先進的エアバッグ抑制テルテール(警告表示)、ロック可能義務の扱い、中型バスと大型スクールバスのシートベルト義務の変更などが、「driver」 という用語の削除に続いて記載されている。

自動運転車メーカーは、すでに乗客の安全を考慮して新型車を設計している。たとえばZooxは、まったく新しい形のエアバッグを作りし、センサー、スイッチ、カメラなどを利用したシステムを開発して、乗客の適切なシートベルト利用を確認しているという。しかし、NHTSAの決定は、今後のガイドラインとメーカーが進化する業界の責任をもつための方法を提供するものだ。

「2020年代を通じて、米国運輸省における安全政策の重要部分は、安全基準を自動運転および運転支援システムの進歩に確実に追随させることです」と、Pete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)米国運輸長官が声明で語った。「この新しいルールは、自動運転システム装備車のための堅牢な安全基準を確立するための重要な一歩です」。

画像クレジット:Zoox

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【米国】Google Payによる駐車料金支払いを音声でできるようになった

筆者: Jaclyn Trop

米国のAndroidユーザーはこれで、これまでのように駐車違反切符を切られることがなくなるかもしれない。少なくともそれが、最新のアップデートでGoogleがユーザーに約束していることだ。

Googleは木曜日(米国時間03/10)に、その最新のソフトウェアアップデート新しい機能をたくさん発表したが、その中には、ParkMobileとのパートナーシップにより、音声で駐車料金を払える機能がある。これによって、寒すぎたり、会議が予定より長引いたり、カップ・ホールダーの小銭が少ないときにメーターで払う苦痛とおさらばできる。

このパートナーシップは、最近のGoogleが交通に力を入れていることの最新の例だ。これまでは、Googleマップに自転車やライドシェアを加えたり、デジタルキーを開発したり、自動車メーカーと共同でAndroidオペレーティングシステムを車に統合したり、などがあった。

消費者の日常生活を便利にしようとGoogleが志したとき、中でも駐車は同社にとって易しい問題だ。Parkmobileとのパートナーシップにはやや制限があるが、でも過去の例を見るかぎり、パートナーシップの拡大はすぐだろう。

音声による駐車機能は、読んで字のごとしの機能だ。どこかに駐車して「Hey Google, pay for parking」(ヘイ、グーグル、駐車料金を払って)と言うと、あとはGoogle Assistantのプロンプトに従うだけだ。その決済は、Google Payが処理する。

Googleのキャッチフレーズは、「硬貨と混乱にさようなら(No more coins, no more confusion)」だ。

混乱の原因は、ダウンロードして使える駐車アプリの不出来にもある。今回の駐車料金支払い機能は、使いづらいアプリを無視してデフォルトでParkMobileを使う。これは、米国の400以上の都市の駐車場に対応している、最上位のアプリだ。

そのアプリのAndroid用のアップグレードでは、残り時間をチェックしたり、時間を増やしたりが音声コマンドでできる。「Hey Google, parking status」とか、「Hey Google, extend parking」と言うだけだ。

これが重要なのは、Googleが車からユーザーの個人情報を知るためにも使えるからだ。たとえば、車の現在位置が分かる。そしてデータ収集に関しては、GoogleがAppleに勝ちとなる。

AppleやGoogleやAmazonにとって、ユーザーの車から得られるデータは、サブスクリプションサービスを売ったり、あるいはそのデータをサードパーティに売って広告の個人化に使わせたりすることに利用できる。そんなデータが多くなれば、テクノロジー大手の売り上げも増える。

昨年GoogleとParkMobileは路上駐車の支払いをGoogle Mapsからできるようにしたが、でも今回の音声による支払いはAndroidユーザーとGoogleとParkMobileにとって大きな進歩であり、さらに、ターゲティング用のデータに飢えているサードパーティの顧客にとっても、すごくありがたい。

(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Getty Images

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心臓リハビリ治療用アプリなどを開発するCaTeが1億円のシード調達、プロダクト開発と臨床研究を加速

心臓リハビリ治療用アプリなどを開発するCaTeが1億円のシード調達、プロダクト開発と臨床研究を加速

心臓リハビリ治療用アプリなどの開発を行うCaTeは3月10日は、シードラウンドとして、J-KISS型新株予約権の発行による1億円の資金調達を2021年12月に実施したと発表した。引受先はCoral Capital。調達した資金は、プロダクトの開発と臨床研究にあてる。また2022年3月、東京都より第二種医療機器製造販売業の許可を取得したと明らかにした。

心疾患患者は超高齢化社会において年々増加する中、再入院・死亡率の減少のためには、心臓リハビリテーション(心臓リハビリ)が有効であることが知られている。実際に心臓リハビリを行うことで、例えば心不全患者における再入院率が約30%低下すると報告されているという。

しかし日本では、心臓リハビリを実施可能な医療機関が限られていることや患者の通院負担などから、外来心臓リハビリへの参加率は約7%と低い。結果として心不全患者の多くが再入院を繰り返し、医療費負担が発生しているという。この課題を解決するため、遠隔心臓リハビリシステムの早期社会実装が望まれている。

CaTeは、2020年3月の設立時から教育事業におけるiOS・Andoridアプリを含めたシステムを開発。その知見を活かし、外来心臓リハビリを自宅で行える心臓リハビリ治療用アプリの開発に取り組んでいる。同社アプリには、運動療法に加えて、日々のバイタルデータ共有、生活食事管理、AIによる通知・チャット機能などの行動変容を促す機能も採用しており、包括的心臓リハビリテーションを提供できるという。

第3世代iPhone SE、ついに5G対応もミリ波がない理由―iPhone 14シリーズ、日本でミリ波対応はありえるのか

第3世代iPhone SE、ついに5G対応もミリ波がない理由―iPhone 14シリーズ、日本でミリ波対応はありえるのか5G対応のiPhone SE(第3世代)が、3月18日に発売となる。日本ではNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルが取り扱うが、今回はUQモバイルやワイモバイルといったサブブランドも同時に発売する。

速報:新 iPhone SE (第三世代)発表。初の5G対応・A15で高速化・バッテリー駆動時間延長

各キャリアとって、5G対応のiPhone SE(第3世代)は待望といえるだろう。5Gにおいては日本は世界から普及が遅れていると指摘されている。

2020年3月に3キャリアで5Gが始まったものの、これまで特に盛り上がることなく2年が経過してしまった。5Gエリアは、4G周波数帯を転用することで、広がりを見せている。しかし、5G対応スマートフォンが爆発的に売れることもなく、地味に普及している状態に過ぎない。

菅政権の圧力により、料金値下げが注目され、オンライン専用プランなど小・中容量プランが世間の注目を浴びた。キャリアとしては5Gスマートフォンに乗り換えてもらい、データをバカスカ使ってもらうことで、ARPUをあげ、さらに使い放題プランへの乗り換えを促したいというのが本音だ。

KDDI高橋誠社長は「5Gスマートフォンユーザーは4Gスマートフォンユーザーより2.5倍もデータトラフィックが多い」と語る。

iPhone SE(第3世代)が普及すれば、それだけデータ通信を多く使うユーザーが増え、結果として、キャリアの通信料収入の回復が見込まれるのだ。

今回のiPhone SE(第3世代)、5G対応と言ってもSub-6のみの対応となる。アメリカではiPhone 12シリーズ、さらにはiPhone 13シリーズはミリ波に対応していた。ベライゾンなどがミリ波の展開に積極的であったため、アップルとしてもiPhoneでミリ波の対応を余儀なくされたようだ。一方で日本で売られているiPhone 12シリーズやiPhone 13シリーズはSub-6のみの対応だ。

アメリカで売られるiPhone SE(第3世代)もSub-6のみであり、ミリ波には非対応だ。

第3世代iPhone SE、ついに5G対応もミリ波がない理由―iPhone 14シリーズ、日本でミリ波対応はありえるのか
画面サイズが4.7インチと筐体がコンパクトなiPhone SE(第3世代)であるため、ミリ波のアンテナなどが入れずらかったのかも知れない。また、本体が小さく手で全体を覆いやすくなりがちのため、ミリ波は受信しづらくなる可能性もある。

「なぜ、アップルはiPhone 12と13ではミリ波に対応したのにiPhone SE(第3世代)ではミリ波対応を見送ったのか」が気になって、取材を進めたところ、どうやら「アメリカでも4G周波数の転用が進んでいたり、Cバンド(3.7G~4.2GHz帯)の導入が見えてきたから」というのが理由にあるようだ。

ベライゾンは5Gスタート時には、ミリ波を中心にエリア展開を行っていた。しかし、その場合、5Gに期待される通信速度は出るものの、エリア展開の広がりは期待できない。そこで、ベライゾンではDSS(Dynamic Spectrum Sharing)という技術を投入し、4G周波数帯に5Gを混ぜるかたちでサービスを提供し、エリアを広げた。ミリ波の5Gほど通信速度は出なく、むしろ4Gよりも遅くなる傾向があるのだが、それでもエリアを広げたいという狙いがあった。

さらに昨年末から今年頭にかけて、一部報道で、アメリカのCバンド(3.7G~4.2GHz帯)が話題となった。

ベライゾンとAT&Tが共同でCバンド周波数の競売に共同で809億米ドルを出資。Cバンドによるサービスを開始しようとしたら、米国連邦航空局に警告を受けて、サービス開始時期の延期をせざるを得なくなったというものだ。Cバンドが民間航空会社の用いる高度計と干渉し、航空機運航に影響を及ぼす可能性を指摘されたのだ。

今後、Cバンドが本格運用できれば、そこそこ高速でありながら広いエリアで5Gサービスの提供が可能となる。

こうした背景からアップルとしてはiPhone SE(第3世代)で無理してミリ波に対応しなくてもいいという判断が下ったようだ。

ただ、先日、スペイン・バルセロナで行われたMWC22では、クアルコムのプレスカンファフェンスで「5G mmWave Accelerator Initiative」が紹介され、そこにはNTTドコモやVerizonの名前があった。世界的にミリ波の活用を盛り上げていこうというわけだ。

NTTドコモでは4Gユーザーが多く、4G周波数を5Gに転用するのが難しい。そのため、4G周波数帯の転用には消極的で、5G用に割り当てられた周波数帯でのサービス提供を重視している。また、楽天モバイルの三木谷浩史会長は「ミリ波は(日本で)うちだけががんばっているが、海外でミリ波を使っている人は本当にデータの使用量が多い」と語る。楽天モバイルのように従量制の料金プランを提供しているところは、一刻も早く5G、しかもミリ波で提供することでARPUをあげて収益を確保したいというのが本心だったりする。

メーカーとしてはミリ波対応といった面倒くさいことはせず、Sub-6だけで5G対応をしておきたい。一方で、キャリアとしてはミリ波対応であれば(ミリ波の基地局を設置しなくてはいけないが)ARPUの上昇が期待できる。

今秋、発表されるであろうiPhone 14シリーズは、日本でもミリ波対応はあり得るのか。アップルとキャリアの間で駆け引きが行われているかも知れない。

(石川温。Engadget日本版より転載)

ポケモンGOのNianticがWebAR開発プラットフォーム「8th Wall」を買収

ポケモンGOを運営する拡張現実(AR)プラットフォームのNiantic(ナイアンティック)は、WebAR開発プラットフォームの8th Wall(エイス・ウォール)を買収したことを、米国時間3月10日に発表した。Nianticにとって過去最大の買収だという。この買収は同社の開発プラットフォームを強化し、デベロッパーがARのビジョンを作るのに役立つとのことだ。

2016年に設立された8th Wallは、iOS、Androidのスマートフォン50億台、パソコン、AR / VRヘッドセットなど現在世界で数十億台のデバイスに対応しているとNianticは話した。8th Wallのプラットフォームは、Netflix(ネットフリックス)、Microsoft(マイクロソフト)、Universal Pictures(ユニバーサル・ピクチャーズ)をはじめとする数多くの企業でAR開発に使用にされている。

「Nianticは設立当初から、現実の世界で人々が繋がり、探索して新しいものと出会い、いっしょに楽しむ機会をもたらす AR 技術の提供を目指してきました」とNianticは買収を発表したブログで語った。「これを実現するため、世界で最も精密な地球の3Dマップを作成し、現実とデジタルの世界を融合しています。2021年11月にご案内した Lightshipプラットフォームとともに、すべての開発者の方々に向け、没入感のある世界最大のキャンバスを提供することで開発者の方々の創作活動をサポートしています。Niantic にとってはこれまでで最大の合併となる 8th Wall は Niantic の Lightship のビジョンを補完し、その実績のある Web AR 技術によって Lightship プラットフォームを拡充していきます」。

8th WallのファウンダーでCEOのErik Murphy-Chutorian(エリック・マーフィー=チュートリアン)氏は買収に関する自社ブログで、Nianticといっしょになることで、8th Wallはさらにツールを開発し、人々が新しい場所を発見するための魅力あるAR体験を作れるようになると語った。

「私たちが8th Wallを設立したのは、どこででもシームレスに動くことのできるARアプリケーションをデベロッパーが作るための、強力なコンピュータービジョン技術を開発するためでした」とマーフィー=チュートリアン氏は語る。「私たちはWebARを作るための完全なツール群でこれを実現しました。ウェブベースの拡張現実の可能性は非常に大きいので、これからもNianticの現実AR世界のレンズを通じて拡充を続けていきます。Nianticとともに最高の惑星規模テクノロジーを作り、今以上に魅惑的な共有体験を育てていくことを楽しみにしています」。

この買収の数カ月前、Nianticは3億ドル(約344億円)の資金調達をCoatue(コートゥー)のリードで実施し、会社価値は90億ドル(約1兆328億円)に達した。同社はこの資金を元に「現実世界のメタバース」と呼ぶものを作る計画だ。

ポケモンGOは、間違いなくNianticで最大人気のプロジェクトであり、今も成功を続け、アプリ調査会社のSensor Tower(センサータワー)によると、2020年の売上は10億ドル(約1160億円)を超えている。ただしNianticのゲームがすべて成功しているわけではない。同社は最近、「Harry Potter:Wizards Unite(ハリー・ポッター:魔法同盟)」のサービス終了を発表した。同アプリの全世界でのアプリ内購入と新規新規インストールはいずれも前年比57%減だった。

画像クレジット:Niantic

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリース

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリース

レイ・フロンティアは3月11日、インストールしておくだけで歩数と道のりを自動で記録するライフログアプリ「SilentLog」(サイレントログ。Android版iOS版)において、防災機能をリリースした。「災害に備えて、水や食料などと同様に、日々の行動データを備蓄しましょう」をコンセプトとした防災機能で、SilentLogの標準機能として無料で提供する。

また同機能では、ニーズに合わせて「SilentLogユーザー向け防災情報プッシュ配信」「自治体など防災情報発信者向け」「新規防災アプリを構築したい企業向け」の3つのサービスを提供している。

SilentLogユーザー向け防災情報プッシュ配信

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリースLアラートから防災情報を受信し、SilentLogアプリにプッシュ配信する。平時からアプリに保存された日々の行動情報を分析し、アプリユーザーごとの「よく行く地域」を集計。防災情報が発令された有事の際には、個別にそれら地域の防災情報を即座に自動配信する。平時の集計結果により防災情報を配信するため、あらかじめ防災情報の受信地域の設定が必要がないという。

また、防災情報が発令された後の行動情報も集計して効果測定を行い、防災情報の配信方法を改善していく。配信は2022年4月1日からとし、2022年3月22日から3月25日にかけてテスト配信を実施。

自治体など防災情報発信者向け

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリースレイ・フロンティアでは、同社環境内のSilentLog以外のアプリユーザーに対しても、防災情報受信後のユーザー行動を集計しているという。SiletLog SDKを使用して同社環境でアプリを構築すると、防災情報受信後のユーザー行動を集計。この集計結果により、防災情報発信の効果測定ができるようになる。構築するアプリは、防災系に限らず健康系など特にジャンルに制限はない。アプリ導入事例については同社に事例集がある。

新規防災アプリを構築したい企業向け

ライフログアプリSilentLogを提供するレイ・フロンティアが個人ユーザー・自治体・企業に向け防災機能をリリース今回SilentLog用に構築した環境を利用することにより、企業向けにも防災アプリの構築が可能。Lアラートへの利用申請と審査が必要となる。お問合せはこちら