Discord、一部のサーバーでフォーラム、新MODツール、ホットな話題を表示するホームページをテスト中

Discord(ディスコード)は先週、最大規模のコミュニティでいくつかの新機能のテストを開始した。この音声ソーシャル / チャットのプラットフォームは、ゲーマー同士をオンラインプレイ上で結びつけることから始まったが、現在はカスタム絵文字、ライブイベント、トピックチャンネル、その他あらゆることが可能になる多数のサードパーティ製プラグインなどを備え、活況あるオンラインコミュニティを構築するための主要な手段の1つに成長している。

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サーバーが成長すると物事が扱いにくくなることを、同社は認識している。Discordで最も人気のあるコミュニティの中には、常に数十万人が同時に接続しているものもある(大ヒットした中国のRPG「原神」の公式サーバーは、記事執筆時点で30万人以上が利用しているが、これはほんの一例だ)。

Discordサーバーは、リアルタイムの掲示板フォーラムのようなものだが、人々が会話に参加したり離れたりするのではなく、大量の人々が一度にライブでチャットしている。小規模なコミュニティでは、これは非常にうまく機能しており、容易に会話を把握していられるが、サーバーの規模が大きくなると(時には非常に大きくなり過ぎる)、多くが混乱の中に失われてしまう。

大規模なDiscordサーバーに初めて参加する場合や、会話から一度離れてしまった場合、どのようにして追いつけばいいのかと考えて途方に暮れることがある。ほとんどの大規模サーバーでは、新たに参加するメンバーのための入門チャンネルや、関連する各々の会話に人々を導くためのトピック別チャンネルを用意しているが、大規模で完璧なソリューションはない。そこで、Discordはすべてをスムーズに進めるために、先週から一部の大規模サーバーで、3つの実験的な機能を試している

1つ目の新機能は「より整理された会話」のためのハブとして、サーバーにフォーラムのようなチャンネルを提供する。これは、Reddit(レディット)と同じように、この特別なチャンネルに非同期的に出入りして、会話の内容を見逃さないようにできるというものだ。また、古いコンテンツであっても、今でも関連性のあるものは表面化させ、進行中のスレッドに人々をループさせることで、時間の経過とともに会話のトピックを発展させることができる。

Discordがテストしているフォーラムのような新機能(画像クレジット:Discord)

フォーラムとは別に、Discordでは新しいホームページスタイルの機能もテストされている。この2つ目の新機能は、ホットなトピックを集めて、その時々のサーバーに関連するタイムリーなコンテンツを、TL;DR型の要約として提供する。今でも、多くのサーバーでは専用のニュースチャンネルを使用して似たような機能を達成しているが、それらのスペースはあまり活動的ではなく、重大な発表を強調する以上のことを提供していない場合が多い。

そして3つ目。Discordはモデレーションの面において、新しい自動化ツールをテストしている。これは、コミュニティがサードパーティのモデレーションツールで得ている機能の一部を、自社で提供するというものになる。具体的な内容はまだ明らかにされていないが、Discordで最も人気の高いモデレーションボットには、新しいユーザーを歓迎するプロセスを自動化したり、不品行をスキャンしたり、さらにはルールを破った人を追い出したりするものもある。ちなみに、プレミアムサードパーティ製Discordボットの中でも最も人気のあるMee6(ミーシックス)は、11月にDiscordが足を踏み入れたNFT(非代替性トークン)に対する反発を、現在自ら味わっているところだ。

Discordは2021年7月、オンライン上における暴言や嫌がらせを検知するAIソフトウェアを作っているSentropy(セントロフィ)という会社を買収した。この買収は、自社の自動モデレーション機能を強化すると思われていたが、今回テストされる新機能がこの買収から生まれたものかどうかは、確認されていない。

これらの実験的な機能は、今のところクローズドベータでしか利用できず、Discordはいくつかの大規模なサーバーを使ってテストを行っている。テストに参加したコミュニティは、必ずしも即座にすべての実験的な機能が有効になるわけではない。Discordは、新しいツールがさまざまなサーバーで、どのようにニーズを満たすことができるかを見ているからだ。

今回の実験的な機能の導入は、今後の展開のほんの一例に過ぎないかもしれない。とはいえ、Discordは他に何をしようとしているのか、ヒントを見せていない。同社は最大級のアクティブなオンラインコミュニティを擁しており、それらのサーバーの成長に合わせて、より便利な機能を提供するように、賢明に進化している。

Discordのグループ・プロダクト・マネージャーを務めるRick Ling(リック・リン)氏は、TechCrunchに次のように語っている。「私たちはDiscordを成長する地域のように考えています。小さな友人グループから、数千から数十万人のメンバーがいる音楽、ゲーム、教育のコミュニティまで、Discordをホームとするコミュニティのすべての形と規模に合わせて、設計しなければなりません」。

「私たちは、管理者やモデレーター、そしてコミュニティのメンバーたちが、自分たちのスペースを自分たちだけのものにできるようにすることを、非常に大事に思っています。彼らが集まり、居場所を見つけられるようなツールや機能への投資を続けていきます」。

画像クレジット:Tiffany Hagler-Geard/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

銀行口座のマイクロサービス化を目指すフランスのフィンテックNumeral

企業の銀行口座のアップグレードを目指すフランスのスタートアップ、Numeral(ニューメラル)を紹介する。クライアントが最新のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使ってNumeralとデータをやり取りする一方で、このスタートアップは銀行のサーバーに直接接続して決済ファイルをアップロードし、時代遅れの情報システムとデータをやり取りする。その複雑なレイヤーを抽象化することで、銀行口座をアーキテクチャの中の別のマイクロサービスのように扱うことができる。

Numeralは1月にBalderton Capitalがリードする1300万ユーロ(約17億円)の資金調達ラウンドを発表した。Alexandre Prot(アレクサンドル・プロット)氏、Tom Blomfield(トム・ブロムフィールド)氏、Guillaume Princenn(ギヨーム・プリンセン)氏、Kima Venturesも参加した。Numeralのチームはもともと、eFoundersが創設したスタートアップスタジオ「Logic Founders」内でプロジェクトに取り組み始めた。

Numeralを説明する最も良い方法は、同社が何でないかを説明することだ。Numeralは、消費者向けアプリのためのオープン・バンキング・アグリゲーターではない。TinkTrueLayerYapilyとは競合しない。

また「banking-as-a-service(バンキング・アズ・ア・サービス)のプロバイダーでもない。同社は銀行口座を提供せず、IBAN(国際銀行口座番号)を生成せず、カードも発行しない。

「我々は、テック企業のための決済自動化プラットフォームです」と共同創業者でCEOのÉdouard Mandon(エドゥアール・マンドン)氏は話す。「テック企業が銀行口座に接続し、決済業務を自動化できるようにします」。

リテールバンクはAPIを提供し始めたばかりだが、コーポレートバンクは何年も前から銀行プラットフォームをオープンにしている。しかし、ドキュメント・ページがあるREST APIだと思わないで欲しい。多くの銀行は、ユーザーがSFTPサーバーにテキストファイルをアップロードすることを想定している。そのファイルは、非常に特殊な方法でフォーマットされることになっている。

Numeralは、銀行送金に大きく依存しているフィンテック、インシュアテック、不動産会社などに製品を販売している。例えば、同社の最初の顧客はSpendeskSwileだ。Numeralは、同社の最初の顧客となったSpendeskとSwileのために統合機能を作成し、2社がAPIを使って銀行口座とデータをやり取りできるようにした。

2022年末までに、Numeralは12の銀行に対しサービスを提供する予定だ。「今のところ、私たちの顧客の半分は、フランスの銀行を通じて私たちのサービスを発見しています。その銀行はNumeralのことを、彼らが提供していないAPIだと説明しています」とマンドン氏は話す。

統合が完了すると、Numeralの顧客は決済機能やアプリの機能を統合できる。同社は、技術者でないスタッフ向けにウェブアプリも提供している。この方法では、銀行が提供するレガシーなウェブアプリを使わずに、決済と口座を照合できる。

Numeralでは、APIの上にいくつかの機能を追加できる。例えば、承認ワークフローや通知システムなどの設定を想像して欲しい。

このスタートアップは、オーケストレーション機能についても考えている。顧客が複数の銀行口座を持っている場合、いくつかのルールに従って、適切な口座に決済を回すことができる。また、Numeralは、複数の口座の現金残高を積極的に管理する目的でも利用可能だ。

複数の国に口座を持つグローバルな顧客には、特に有効だろう。マンドン氏は、Numeralを立ち上げる前にiBanFirstに勤務していたため、複数の国にまたがる複数の提携銀行を持つことについては、よく理解している。

今回の資金調達で、Numeralは30〜40人のチームに成長する予定だ。フランスの銀行との新たな提携に加え、ドイツ、英国、スペイン、イタリアなど、他のヨーロッパ諸国にもサービスと顧客基盤を拡大する。

画像クレジット:Luke Shaffer / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

暗号資産をめぐるツイッターでのVCたちのビンタ合戦でおかしな状況に……

Twitter(ツイッター)でよくつぶやく一部のベンチャーキャピタリスト(VC)は最近やや敵意に満ちており、業界で最もパワフルな人々が前例のない方法で暴言を吐いている。  筆者が思い浮かべるのはChris Dixon(クリス・ディクソン) 氏とMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏の2人で、彼らは最近、暗号資産、ブロックチェーンを使ったコレクティブル、あるいは分散化の有望性が誇張されているのではと疑う影響力のある人々に対して我慢できない様子を見せている。

最も有名な争いは、12月下旬に億万長者の起業家でTwitterの共同創設者であるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が、フォロワー600万人に対して「『Web3』を所有しているのは君じゃない。VCやLPが所有している。彼らのインセンティブから逃れることはできないだろう。結局はラベルの違う中央集権的な存在なんだ」とつぶやいたことから始まった。

確かに、ドーシー氏はVCを嘲笑していたが、この見方には真実がある。Andreessen(アンドリーセン)や、Paradigm(パラダイム)やPantera(パンテラ)のような暗号資産に前向きな企業は、そこらにある最大のプラットフォームのいくつかと財政的な利害関係がある。それは構わない。そうした企業のサポートがなければ、これらのプラットフォームは存在しないかもしれないし、時間が経過するにつれ、プラットフォームはより分散化されていく可能性も大いにある。

とはいえ、ドーシー氏のツイートは戦争を勃発させた。ディクソン氏は、約80万人のフォロワーに向けて「あなたはまず無視され、次に笑われ、そして挑まれ、そうしてあなたが勝つ」とサブツイートし、最初の手榴弾を投げつけた。

ディクソン氏がほくそ笑むのには、それなりの理由があった。Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は何年も前から、暗号資産プロジェクトに資金とリソースを注ぎ込んでいて、嘲られることになると思われていた。今となっては、同じような取り組みにもっと多くの時間とお金を捧げなかったすべての人に嘲が向けられている。ちなみに、Andreessen HorowitzのCoinbase(コインベース)への投資額は、2021年に暗号資産取引所が公開取引を開始した日に110億ドル(約1兆2675億円)と評価された。

しかし、戦争はそこで終わらなかった。ドーシー氏はディクソン氏に返信し、アンドリーセン氏自身も会話に割って入ってドーシー氏を何度も侮辱し、事態は悪化の一途をたどり続けた。

その毒々しい雰囲気は最近、さらに広まった。元Facebook社員でエンジェル投資家に転身し、さらにはベンチャーキャピタリストとなったBobby Goodlatte(ボビー・グッドラット)氏が米国時間2月4日「私は暗号資産の熱烈な支持者で、アートNFTは馬鹿らしいと思う」と特定の人に向けることなくツイートした。グッドラット氏のツイートは表面上は比較的無害に見えたが、突然、グッドラット氏の7万人の10倍のフォロワーを抱えるディクソン氏が、グッドラット氏のコメントをリツイートし、その上に「ボビー・グッドラットをショートカットできる?」と書き込んだ。

愕然とするグッドラット氏が反応する前に、ディクソン氏はグッドラット氏のアカウントをブロックした。

ディクソン氏はその後、そのコメントと、父親が元下院議員であるグッドラット氏に向けられた「私の両親は億万長者で、私は運良く暗号資産を手に入れたが、今度は自分の道を歩んだ勤勉な創業者たちをゴミ扱いしたい」という侮辱を削除したようだ。

この件に純粋に傷ついた様子のグッドラット氏は、その後ディクソン氏をピエロと呼んだ。

多くの業界関係者は、Andreessen Horowitzで何が起こっているのか、静かに問いかけている。あるベンチャーキャピタリストは2月5日に内々にこう言った。パートナーたちは、単に儲かりすぎて「問題ある投稿」をするようになってしまったのでは?

シードステージファンドのHustle FundのゼネラルパートナーEric Bahn(エリック・バーン)氏は別の説を唱えている。「これまで共有されてきたFacebookのコンテンツを見れば、そのアルゴリズムがネガティブなストーリーや攻撃的なストーリーを好んできたことがわかります。そうしたものは非常に共有しやすい材料です。Twitterでも同じことが言えます。意地悪な書き込みをすれば、それが注目されることに気づいている人もいます」。

明らかに、Andreessen Horowitzの投資家は何もいうつもりはない。同社は自社に関わるすべての人のために稼いできた。そうした投資家、そして資本市場にいる一部の創業者の中には、Andreessen Horowitzの強硬な戦術に説得力を感じる人もいるかもしれない。

一方、ライバル企業の中には、その強気な行動(最近、Andreessen Horowitzが持つ欠点の1つ)を利用しているところもあるようだ。

TNT Venturesのベンチャーキャピタリスト、Parker Thompson(パーカー・トンプソン)氏は、ディクソン氏とグッドラット氏の騒動の後、多くの人がささやく言葉を要約してツイートした。「あそこの水の中には、人々の正気を失わせる何かがあるようです。ポートフォリオにとって、強気な兆候ではありません」。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

バーチャル「最高情報セキュリティ責任者」を提供するCynomiが約4億円調達、中小企業のセキュリティ自動化を支援

イスラエルのサイバーセキュリティ企業Cynomiは、中小企業や各種のサービスプロバイダーにバーチャルのCISO(Chief Information Security Officer、最高情報セキュリティ責任者)を提供する。同社はこのほど、Flint Capitalがリードするシードラウンドで350万ドル(約4億円)を調達した。

バーチャルCISOすなわち「vCISO」は通常、専門サービスへのアウトソーシングや、リモートでパートタイムのセキュリティ実践家をオンデマンドで起用するかたちをとり、彼らが、サイバーセキュリティの専門的技能やガイダンスを企業に提供する。しかしCynomiのプラットフォームはそこから人間の部分を取り去り、人工知能を利用して人間のCISOをエミュレートし、手作業的だったオペレーションを自動化する。

Cynomiが他のvCISOと異なるのは、これまでセキュリティをマネージドサービスやセキュリティプロバイダーに依存していた中小企業に同社がフォーカスしていることだ。Cynomiの共同創業者でCEOのDavid Primor(デビッド・プリマー)氏によると、外部のエキスパートに頼む方法では社内にサイバーの専門家がいないため、悪質なハッカーの安易なターゲットになりやすい。

「中小企業や中堅の企業は状況が悪い。今では企業の経営者になっている何人かの友だちのセキュリティを手伝って痛感したのは、プロフェッショナルのCISOがいる企業と、ツールだけの中小企業の落差が大きいことです。会社を完全に守るツールはないし、犯人たちはそのことをよく知っています」とプリマー氏は語る

Cynomiは、同社のサイバーセキュリティプラットフォームを小さな企業に提供してこの落差を埋めようとする。セキュリティのスキルは一般的に不足しているだけでなく、パンデミックの間は不足が一層悪化した。Cynomiの共同創業者でCOOのRoy Azoulay(ロイ・アズーレイ)氏は「要するに中小企業や中堅企業はこの人材争奪戦に勝てない」という。

同社のvCISOプラットフォームは企業に、ランサムウェアやデータの遺漏など具体的な脅威別に、NIST(米国国立標準技術研究所)の評価点を与え、外部に露出しているアセットの脆弱性やエクスプロイトの、技術的に極めて高度な評価を与える。

Cynomiによると、すでにイスラエルと米国と英国には数社の有料顧客がいて、350万ドルのシード資金によりさらに市場開拓努力に力を入れたいという。このラウンドを支えたのは、SeedILとLytical Ventures、およびCyberXの共同創業者であるNir Giller(ニル・ギラー)氏などのビジネスエンジェルたちだ。

同社によると、数百社をランサムウェアにさらした7月のKaseyaの例のように、過去2年近くは中小企業や中堅企業がサイバー攻撃のターゲットになってきたが、同社のソリューションが市場の現状に対して遅すぎることはない。

「2021年は誰もが新しいサイバーセキュリティ・ツールの導入を急いでいましたが、再発が見られます。中小企業が保護され、すべてがうまくいくのであれば、私たちの使命は終わったと言えるでしょう。しかし、私は純粋にこのサイクルの始まりに過ぎないと考えています」とアズーレイ氏はいう。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Circular、約3万円のスマートリングで人気のOuraに挑戦

Ouraは、最初に市場に出たスマートリングではないが。その製品寿命が尽きるまで、驚くほどライバルは少なかった。これは、一般に消費者向けハードウェア企業が手首以外の場所にその足場を築くことは難しいという証明だ。しかし、同ブランドが比較的成功したことで、フィットネスバンドやスマートウォッチが必ずしもこのカテゴリーのすべてではないという希望が生まれたのは間違いないだろう。

CESはこれまでウェアラブルデバイスの展示会ではなかったが、初めてスマートリングを見ることができたこのイベントでは、2022年、さらに2つのスマートリングが発表された。2021年末に紹介したMovanoは、下半期に発売予定だという。また、Circularも注目すべき製品だ。しかしこのフランスのスタートアップは、展示会でスニークプレビューを行ったがそれ以上のことは行わなかった。

関連記事:CES 2022大注目カテゴリーのフィットネスリング、医療機器Movanoが女性向けを発表

米国時間2月4日、そんなCircularは、社名と同じ名前のリングを2月27日から259ドル(約2万9800円)で予約販売すると発表した。それは最新のOura Ring(第3世代)と比べて50ドル(約5800円)も安く、Circularは「単なる生のデータだけでなく、個人的なインサイト」を約束する月間サブスクリプションプランについてはまだ何も述べていないが、率直にいって最近はどの企業もその方向性にあるようだ。

実際の発売日は、4月から6月にかけてと相当な幅がある。しかしそれは、若くて小さな企業ではようくあることだし、しかも現在は半導体のサプライチェーンに問題がある。

このリングには、心拍数や呼吸数、体温など、さまざまなセンサーが搭載されている。この点では、少なくとも一般的なOuraのテリトリーで動作しており、マーケティング資料によると、「パーソナルヘルスの民主化」を目指して、多くのバイタルに基づいた実用的なインサイトを生み出している。また、アプリには「パーソナルアシスタント」がある。バッテリーは最大4日間持ち、充電は45分程度で完了する。

聞くところによると、まだ小さなハードウェアのスタートアップにとって、「消費者向け」は最初のステップだ保険やヘルスケアの企業と組んでB2Cへの進出を視野に入れている。このような製品でお金を稼ぐには、その方が良いと思うが、しかし規制も厳しくなるだろう。

このリングはヨーロッパ(フランス、ドイツ、イタリア、英国)と米国、香港、シンガポール、オーストラリアで販売される予定だ。。

画像クレジット:Circular/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

愛犬とのライフスタイルに寄り添うブランドを構築するFable

近年の消費者の犬に対する接し方はこれまでの消費者とは大きく異なっており、その違いはこのようにミーム化されるほどになっている。

Bond Vet(ボンドベット)Small Door(スモールドア)など、新たなペット用医療サービスが次々と登場し、Farmer’s Dog(ファーマーズ・ドッグ)Spot & Tango(スポット・アンド・タンゴ)などのペットフード企業も本格的な参入を果たしている。

一方で首輪、リード、クレート、おもちゃなど、ペットの飼い主が都市環境で心穏やかに保つために必要な小物類を販売しているのがFable(フェーブル)である。14Wがリードし、Female Founders Fund(フィーメール・ファウンダーズ・ファンド)とSlow Ventures(スロー・ベンチャーズ)が参加したシリーズAで900万ドル(約10億円)を調達したばかりの同社だが、エコシステムの一環として犬用アクセサリーを作るという計画がいかに賢いものであるかということを、この新資金が証明している。

ニューヨークを拠点とする同スタートアップ。パンデミックに後押しされたペット購買意欲と、ミレニアル世代ならではのペットの扱い方法(息をする生き物に対する真っ当な扱い)に追い風を受けている。

しかしFableでは、ペットだけに焦点を当てるのではなく、ペットを飼う人のことも配慮している。

Fablesの製品はペットの世話をより簡単に、より見た目にも美しくするためにデザインされたものばかりである。

当初は首輪とリーシュから開始し、その後Magic Linkという新タイプのハンズフリーリーシュへと進化した。コーヒーを飲みながら犬の散歩をするというマルチタスクに挑戦したことがある人なら、ハンズフリーリーシュの価値をすぐに理解できるだろう。

画像クレジット:Fable Pets

その後Fableは、犬の世話にまつわるあらゆるユースケースを展開していった。ベッドサイドサイドテーブルにもなるクレート、犬用ボウル、ウンチ袋用ディスペンサー(数カ月間交換不要)、そして重要なのがおもちゃである。

実際、その名も「The Game」と呼ばれるおもちゃが同社のベストセラー商品となっている。私も自分の愛犬のために1つ持っているが、これはまさに神の贈り物である。

底面に重りがついたシリコン製容器には、カップ1杯分のドッグフードやおやつを入れることができる。内部のスライド構造を調整し、おやつの出方の難易度を変更することができるため、愛犬は遊びと狩猟本能の両方を活性化させて長時間夢中になることができる。

パズルやボール類など、おやつを出すおもちゃはこれまでにもあったものの、私の愛犬には簡単すぎたり(5分で終了)安っぽかったり、音がうるさかったりなどで使い物にならなかったのだが、The Gameがこの問題を解決してくれた。

Falconというおもちゃも同社から発売されているが、これは小さな溝からおやつが出るようになっていて、ペットがそれを押さないと開かないようになっている。Falconは単体でも楽しめるが、複数のファルコンを連結してより難しいゲームを作ることも可能だ。

相性の良いアースカラーとジュエルトーンのカラーを揃え、いずれも小さな空間でも映えるデザインになっている。

これがFableの真骨頂なのである。

1つの製品が次の製品につながるのだ。首輪とリードという必需品を購入したら、おそろいのデザインのおもちゃやウンチ袋ディスペンサーを信頼できるブランドから購入するという考えは理にかなう。愛犬がThe Gameを気に入っているからFalconも買ってみてはどうだろう、どうせなら2つ買ってみよう。Falconはクレートの内側に吊り下げることができるから、クレート内で愛犬を刺激して楽しませることもできるし、ついでにおそろいのボウルも買ってみてはどうだろう。

さらにFableはそこで止まらない。ポートフォリオに追加する新たなユースケースだけでなく、既存の製品を強化するさまざまな方法も考えており、兄妹創業者のJeremy Canade(ジェレミー・カネード)氏とソフィー・バカラー(Sophie Bakalar)氏によると、同社は「Crate」のアドオンの販売を計画しているという(現在Crateには飼い主の持ち物を収納する引き出しやコンパートメントがついていない)。

画像クレジット:Fable Pets

また、The Gameの難易度を変えられる、新たな挿入物を検討しているとカネード氏はほのめかしている。

計画的陳腐化は戦略に含まれておらず、むしろ新製品をリリースしながら既存製品を強化するために何を提供できるかという点に同社は注力している。

この戦略はかなり効果的なようだ。

2021年にはCrateのキャンセル待ちが2万人を超え、ホリデーシーズンには5分から10分に1台の頻度でThe Gameを販売した。

全体として前年比約3倍の成長を遂げたという。

また、愛犬にまつわるコンテンツは多くの人が好んで共有してくれるため、それも追い風となっている。Magic LinkやThe Gameのような製品の有機的マーケティングは、宣伝効果として抜群だったと創業者らは話している。

Fableの価格帯は比較的高価で、特にCrateは395ドル(約45000円)。Amazon(アマゾン)やPetCo(ペトコ)では40ドル(約4600円)で手に入るのだが、この価格設定は製品そのものをどう評価するかによって変わってくるとバカラー氏は説明している。例えば、Crateはベッドサイドテーブルでもあるため、West Elm(ウエストエルム)やRestoration Hardware(レストレーション・ハードウェア)の価格と比較すると妥当な価格なのである。

ちなみに、The Gameは55ドル(約6300円)、Magic Linkは65ドル(約7500円)、Waste Bag Holderは35ドル(約4000円)である。

「(競合)製品は、短期間で捨てられるように設計されています」とカネード氏。「私たちは実際に製品をゼロから考え直し、動物と人間の両方のためになるものを作ろうとしています。ペット用品とは、動物と人間両方の世界で同時に存在するものなのですが、誰もそんなものは作っていません。人間のためだけに、犬の消耗に耐えられないような品質グレードで設計しているか、人間のことを考えず、犬のためだけに設計しているかのどちらかなのです」。

画像クレジット:Fable Pets

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(文:Jordan Crook、翻訳:Dragonfly)

AIを使ってオンライン上の有害なやりとりを検出するSpectrum Labsが約37億円調達

パンデミックから2年経った今も、多くの人にとってはオンライン上での会話が日々の主要な交流手段となっている。そのためオンライン上で交わされる会話の数は計り知れない量となっているが、ご存じの通りそれらすべてがクリーンでポジティブなものではない。米国現地時間1月24日、プラットフォームプロバイダーに人工知能技術を提供し、有害なやり取りをリアルタイム(20ミリ秒以下)で検出してシャットダウンするというSpectrum Labs(スペクトラム・ラブス)と呼ばれるスタートアップが3200万ドル(約37億円)の資金を調達したと発表した。この資金は、成長中の消費者向けビジネスをさらに強化するための技術に投入される他、社内および顧客との会話のための企業向けサービスを提供するという新たな分野への進出に向けて使用され、会話中の有害性を検知するだけでなく、監査トレイルを提供することでより高い信頼性と安全性を届ける計画である。

「思いやりを重んじる言語界のリーダーになることを目指しています」とCEOのJustin Davis(ジャスティン・デイビス)氏はインタビュー中で話している。

今回のラウンドはIntel Capital(インテルキャピタル)がリードし、Munich Re Ventures(ミューニック・リー・ベンチャーズ)、Gaingels(ガインゲル)、OurCrowd(アワクラウド)、Harris Barton(ハリス・バートン)の他、前回からの支援者であるWing Venture Capital(ウィング・ベンチャー・キャピタル)、Greycroft(グレークロフト)、Ridge Ventures(リッジ・ベンチャーズ)、Super{set}(スーパーセット)、Global Founders Capital(グローバル・ファンダーズ・キャピタル)も参加している。Greycroftは2020年9月にSpectrumの前回ラウンドの1000万ドル(約11億5400万円)を主導しており、Spectrumはこれで現在合計4600万ドル(約53億円)を調達したことになる。

関連記事:有害コンテンツと戦うAIプラットフォーム開発のSpectrum Labsが1000億円超を調達

CTOのJosh Newman(ジョシュ・ニューマン)氏と共同で同社を設立したデイビス氏によると、Spectrum Labsは評価額を公開していないというが、同社の事業規模がその様子を物語っている。

現在Spectrum Labsは、ソーシャルネットワーキング企業のPinterest(ピンタレスト)やThe Meet Group(ザ・ミート・グループ)、出会い系サイトのGrindr(グリンダー)、Jimmy Wales(ジミー・ウェールズ)氏が運営するエンターテインメントWikiのFandom(ファンダム)、Riot Games(ライアットゲームズ)、eラーニングプラットフォームのUdemy(ユーデミー)など20以上の大手プラットフォームと提携しており、これらのプラットフォームでは、何百万人もの顧客が毎日オープンなチャットルームやよりプライベートな会話の中で、何十億ものメッセージを送り合っている。

同社のテクノロジーは自然言語に基づいており、テキストベースの会話と音声の会話の両方をリアルタイムで検出するというものだ。

Spectrumでは音声がテキストに書き起こされるのではなく、音声として「読まれる」のだとデイビス氏は説明する。これによりSpectrumの顧客は有害なやり取りへの対応を大幅に早めることができ、デイビス氏が「ワイルドウェスト特有の言語」と呼ぶ有害な言葉を妨げることが可能になる。Spectrumの技術を使用していない一般的な企業の対応では、ユーザーが問題のあるコンテンツを通報した後、書き起こされた音声の中からその音声を見つけなければならなず、対応にかなりの時間を要してしまう。

ポッドキャスティングだけでなく、Clubhouse(クラブハウス)やTwitter(ツイッター)のSpaces(スペース)のような音声ベースのサービスが人気を博していることから、このテクノロジーはよりいっそう重要なものとなるだろう。

テキストであれオーディオであれ、Spectrumはこれらのやり取りをスキャンし、40以上の行動プロファイルにまたがるあらゆる有害コンテンツを検出するのである。この技術は世界中の研究者や学者と相談しながら構築されたもので、増え続けるウェブ上のデータを取り込みながらさらに改良が重ねられている。プロファイルにはハラスメント、ヘイトスピーチ、暴力的過激主義、詐欺、グルーミング、違法な勧誘、ドキシングなどが含まれており、また現在約40の言語でのスキャンに対応しているという。言語の制限はなく、どんな言語でも機能するとデイビス氏は話している。

「技術的にはどんな言語でも数週間で対応することができます」と同氏。

オンライン上で最も有害性の高い領域はやはり消費者分野である。オープンフォーラムやよりプライベートな空間でのいじめやヘイトスピーチ、その他の違法行為が日々繰り広げられている。Spectrum Labsでは、これまで以上に複雑になった悪質な行為者の手法を検出するための技術への投資をこれからも継続していく予定だ。同社ではプラットフォームの信頼性・安全性チーム向けの管理機能やツールに加えて、ユーザー自身が晒されても良いもの、絶対に晒されたくないものを決定できるようにする方法を改善するため注力していく予定だという。しかしこれはとても微妙な領域である。プラットフォームは一般的に、言論の自由に配慮してユーザー同士の会話に干渉しないことを望んできたため、それが原因で有害性が暴走したとも言えるのだが、プラットフォームの善意が検閲していると見なされ非難される可能性もあるため、この議論は現在も未解決である。

「ポリシーの実施と、ユーザーが望んで受け入れられるかどうかという問題の間には、緊張関係が存在します」とデイビス氏は説明する。プラットフォームの仕事は「最悪の事態を回避しつつ、消費者が見たいものを選択できるようなコントロールを提供することである」と同社は考えている。

また同社は企業向けサービスへの進出も計画している。

企業向けサービスとは興味深い。企業内の人々が互いに会話する方法(Spectrum Labsがすでに提供している消費者向けサービスと同様の形態をとるのだろう)だけでなく、営業、カスタマーサービス、マーケティングなどのエリアで企業が外部の世界とどのように接しているかを見ることができ、そしてSpectrum Labsが収集した情報を分析に活用して、これらの分野でのその後の運営方法を検討することができるのである。

ただし、これは何も新しいサービスではない。例えばSpectrumの競合他社には会話モニタリング分野のスタートアップであるAware(アウェア)がいる。同社は企業向けに特化したサービスである(L1ghtは消費者分野での競合だ)。

まだ他にもある。前回、Spectrum Labsについて書いた際、創業者と創業チームがSalesforce(セールスフォース)に買収されたマーケティングテクノロジー企業Krux(クラックス)の出身であることを指摘した(Spectrum Labsを設立する前に働いていた)。SalesforceはCRMに限らず、企業がより効率的にビジネスを行うための幅広いツールセットを構築しており、また、かつて別のソーシャルネットワークを設立し、FacebookのCTOを務めたこともあるBret Taylor(ブレット・テイラー)氏が現在トップに立っていることもあり、今後Salesforceがこの分野にもっと関心を持って取り組んでもまったく不思議ではない。コミュニケーションフォーラムがどのように利用され、悪用されるかについて詳しい情報を得ることができるのである。

消費者と企業の両方の課題に対処するために、今回のラウンドではIntelが戦略的投資家として参加することになったとデイビス氏は話している。Spectrum Labの技術をIntelのチップ設計とより密接に連携させることで動作速度をさらに向上させる計画で、またIntelにとって、これは信頼性と安全性の問題を重視する同社のハードウェア顧客に対するユニークなセールスポイントにもなる。

「Spectrum Labsの自然言語理解技術は、信頼性の課題に取り組む世界中の企業を強化する、コアプラットフォームとなる可能性を秘めていると確信しています」とIntel Capitalの副社長兼シニアMDであるMark Rostick(マーク・ロスティック)氏は声明の中で伝えている。「デジタルトラストと道徳的な運用が、組織の差別化を図るための重要な要素として考えられている今、トラスト&セーフティー技術を企業運営に構築するということに、大きなチャンスがあると考えています」。

画像クレジット:David Woodfall / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

2021年のクラウドインフラ市場は前年比36%増の約20.5兆円に急拡大

今さらだが、クラウドインフラ市場は驚異的な成長を続けている。Synergy Research(シナジー・リサーチ)のデータによると、2021年1年間で500億ドル(約5兆7500億円)近いビジネスが追加され、2020年の1290億ドル(約14兆8600億円)から2021年は1780億ドル(約20兆5000億円)に成長した。Canalys(カナリス)も同様の数字を報告している。

四半期に関しては、Synergy Researchの報告によると、市場は500億ドル(約5兆7500億円)に達し、前年比36%増となった。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグ3は、市場が成熟しても、市場での強みを活かして目覚ましい成長を続けている。

MicrosoftとGoogleは同程度の成長率で、四半期で45%前後、Amazonは40%弱の成長率になっている。四半期の売上高は、Amazonが約170億ドル(約1兆9500億円)、Microsoftが約100億ドル(約1兆1500億円)、Googleが約50億ドル(約5700億円)となり、いずれも健全な成長事業となった。

市場の割合による内訳は、2021年から大きく変わっておらず、Amazonが33%でトップ、次いでMicrosoftが21%、Googleが10%となっている。注目すべきは、Amazonのシェアがここ数年頑固に続いているのに対し、GoogleやMicrosoftは時間をかけて着実に成長を続けていることだが、もちろん、市場は拡大を続けており、Amazonの収益もそれなりの伸びを続けている。

実際、Synergy Researchによれば、4年半前にはわずか11%のシェアだったMicrosoftが、18四半期で2倍となり、見事な上昇ぶりを見せているという。Synergy Researchの主席アナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、Amazonのポジションがしばらく変わっていないことについては、あまり心配していない、と述べている。彼はそれをいい問題だと言っている。

「巨大で急速に成長する市場の3分の1を支配することは、はまるのにとてもいい『わだち』です」と、ディンズデール氏は述べた。そして、将来を予測するつもりはないが、急速な成長を一貫して続けることは難しいと指摘した。

「原則として、将来の市場シェアについては、予測もコメントもしません。それは私たちのようなアナリストが超えてはいけない境界線なのです。しかし、数学は強力な力であり、規模が大きくなればなるほど、積極的な成長を維持することは難しくなるとは言えます。それは(企業の)人生の事実なのです」。

画像クレジット:Synergy Research

CanalysのデータはSynergy Researchのデータにかなり近く、四半期で530億ドル(約6兆1000億円)強、34%増と報告されている。Canalysは、年間では、2020年の1420億ドル(約16兆3600億円)から前年比35%増の1917億ドル(約22兆900億円)としている。

四半期の内訳は、Amazonが33%、Microsoftが22%、Googleが9%となっている。繰り返しになるが、この数字はSynergy Researchのものと引き分けと呼べるほど近いものだ。どちらも市場を同じように定義しているので、大きな驚きにはならない。

Canalysは、ホスティングされた専用プライベートインフラストラクチャまたは共有インフラストラクチャのいずれかのサービスと、サービスとしてのプラットフォームを対象としている。Synergy Researchでは、インフラとプラットフォームサービスを対象としています。両社ともSaaSは除外しており、別カテゴリーとしてカウントしている。

事実、市場は急速な成長を続けており、アナリストや予言者が正しければ、クラウドの成長余地はまだ山ほどあると思われる。特に最大手の企業は、派手な収益を上げてこの成長の恩恵を享受しており、ここ数年、四半期ごとに私たちはそれを目の当たりにしている。

市場の底辺であっても、まだまだ儲けはある。MicrosoftやAmazon、Googleのレベルには及ばないかもしれないが、それでも数十億ドル(数千億円)規模のビジネスの積み重ねは可能だ。今後数年間、私たちは急速な成長を見続ける可能性がある。そうでなくなったとき、それは「人が犬を噛む」ような珍しいニュースになるだろう。

画像クレジット:Kwarkot / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Yuta Kaminishi)

2021年のクラウドインフラ市場は前年比36%増の約20.5兆円に急拡大

今さらだが、クラウドインフラ市場は驚異的な成長を続けている。Synergy Research(シナジー・リサーチ)のデータによると、2021年1年間で500億ドル(約5兆7500億円)近いビジネスが追加され、2020年の1290億ドル(約14兆8600億円)から2021年は1780億ドル(約20兆5000億円)に成長した。Canalys(カナリス)も同様の数字を報告している。

四半期に関しては、Synergy Researchの報告によると、市場は500億ドル(約5兆7500億円)に達し、前年比36%増となった。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグ3は、市場が成熟しても、市場での強みを活かして目覚ましい成長を続けている。

MicrosoftとGoogleは同程度の成長率で、四半期で45%前後、Amazonは40%弱の成長率になっている。四半期の売上高は、Amazonが約170億ドル(約1兆9500億円)、Microsoftが約100億ドル(約1兆1500億円)、Googleが約50億ドル(約5700億円)となり、いずれも健全な成長事業となった。

市場の割合による内訳は、2021年から大きく変わっておらず、Amazonが33%でトップ、次いでMicrosoftが21%、Googleが10%となっている。注目すべきは、Amazonのシェアがここ数年頑固に続いているのに対し、GoogleやMicrosoftは時間をかけて着実に成長を続けていることだが、もちろん、市場は拡大を続けており、Amazonの収益もそれなりの伸びを続けている。

実際、Synergy Researchによれば、4年半前にはわずか11%のシェアだったMicrosoftが、18四半期で2倍となり、見事な上昇ぶりを見せているという。Synergy Researchの主席アナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、Amazonのポジションがしばらく変わっていないことについては、あまり心配していない、と述べている。彼はそれをいい問題だと言っている。

「巨大で急速に成長する市場の3分の1を支配することは、はまるのにとてもいい『わだち』です」と、ディンズデール氏は述べた。そして、将来を予測するつもりはないが、急速な成長を一貫して続けることは難しいと指摘した。

「原則として、将来の市場シェアについては、予測もコメントもしません。それは私たちのようなアナリストが超えてはいけない境界線なのです。しかし、数学は強力な力であり、規模が大きくなればなるほど、積極的な成長を維持することは難しくなるとは言えます。それは(企業の)人生の事実なのです」。

画像クレジット:Synergy Research

CanalysのデータはSynergy Researchのデータにかなり近く、四半期で530億ドル(約6兆1000億円)強、34%増と報告されている。Canalysは、年間では、2020年の1420億ドル(約16兆3600億円)から前年比35%増の1917億ドル(約22兆900億円)としている。

四半期の内訳は、Amazonが33%、Microsoftが22%、Googleが9%となっている。繰り返しになるが、この数字はSynergy Researchのものと引き分けと呼べるほど近いものだ。どちらも市場を同じように定義しているので、大きな驚きにはならない。

Canalysは、ホスティングされた専用プライベートインフラストラクチャまたは共有インフラストラクチャのいずれかのサービスと、サービスとしてのプラットフォームを対象としている。Synergy Researchでは、インフラとプラットフォームサービスを対象としています。両社ともSaaSは除外しており、別カテゴリーとしてカウントしている。

事実、市場は急速な成長を続けており、アナリストや予言者が正しければ、クラウドの成長余地はまだ山ほどあると思われる。特に最大手の企業は、派手な収益を上げてこの成長の恩恵を享受しており、ここ数年、四半期ごとに私たちはそれを目の当たりにしている。

市場の底辺であっても、まだまだ儲けはある。MicrosoftやAmazon、Googleのレベルには及ばないかもしれないが、それでも数十億ドル(数千億円)規模のビジネスの積み重ねは可能だ。今後数年間、私たちは急速な成長を見続ける可能性がある。そうでなくなったとき、それは「人が犬を噛む」ような珍しいニュースになるだろう。

画像クレジット:Kwarkot / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Yuta Kaminishi)

スポティファイ、Hi-Fiサブスク提供の遅れがライセンス問題に関係していることを示唆

Spotify(スポティファイ)のCEOであるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏は、ストリーミングサービスのHi-Fiサブスクの開始延期が、ライセンス問題に関連していることをほのめかした。2月2日に行われたSpotifyの四半期および年間収益発表会で、エク氏はアナリストや投資家に対して、Hi-Fiサービスの計画についてあまり話すことはないとしながらも、議論は進行中であると述べた。

Spotifyが約束どおりHi-Fiサービスを一般に提供できなかったことに関する直接的な質問に対して、エク氏は曖昧な答えだけを述べ、次に進んだ。

「私たちが話している機能の多くは、特に音楽に関連するものでライセンスに行き着きます」と、エク氏は投資家に語った。「だから、これを市場に出すためにパートナーと常に対話をしているということ以外、これに関して具体的に発表することはできません」。

2021年2月、Spotifyは新しいハイエンドサブスクサービスを展開する計画を発表した。同社は、Spotify HiFiが2021年中に開始され、Spotify Premiumの加入者に「CD品質のロスレスオーディオ形式」で音楽を聴くオプションを提供すると発表していた。Spotifyはまた、Hi-FiサービスはSpotify Connect対応スピーカーを含む、デバイス間で動作すると述べていた。同社は、価格やどの市場がこの新しいサブスクをサポートするかなど、詳細な情報は提供しなかった。しかし、このサービスはPremiumの「add-on(アドオン)」として提供される予定だった。つまり、通常のPremiumサブスクよりも高い費用がかかるということだ。この計画は、競争環境の変化によって複雑になる可能性があった。

この延期された機能に関するエク氏のコメントは、2021年12月、この機能に関するスレッドが数百ページにもおよぶ怒りの書き込みに爆発した後、Spotifyの担当者が同社のコミュニティフォーラムに残したものに続くものだ。

「私たちは、Hi-Fi品質のオーディオがあなたにとって重要であることを知っています」と、コメントはいう。「私たちも同じように感じており、将来的にSpotifyのHi-Fi体験をPremiumユーザーに提供できることを楽しみにしています。しかし、まだ共有できるタイミングの詳細はありません。もちろん、可能な限りここでアップデートします」。

なお、Spotifyのロスレスサブスクの噂は、ストリーミングサービスがSpotify HiFiという新しい有料オプションの導入を考えていることが明らかにされていた2017年に遡る。当時、この機能は月々5〜10ドル(約570〜1150円)の追加料金がかかると噂されていた。

SpotifyのHi-Fi層の導入が遅れているのは、Apple Music(アップルミュージック)とAmazon Music(アマゾンミュージック)の両社がその顧客向けにハイファイストリーミング機能をリリースしているためだ。2021年6月、Apple(アップル)は追加料金なしでApple Musicのサブスクに、ロスレスオーディオストリーミングとDolby Atmos(ドルビーアトモス)をサポートするSpatial Audio(スペイシャルオーディオ)の提供を開始した。Apple Musicの7500万曲以上の全カタログがロスレスオーディオに対応している。ロスレスオーディオは、CDクオリティの16ビット/44.1 kHzから始まり、24ビット/48 kHzまで対応する。オーディオマニアは、24ビット/192kHzまでのハイレゾロスレスも選択できる。

一方、Amazonは2019年にロスレスオーディオストリーミングを備えたサブスクAmazon Music HDを月額5ドル(約570円)の追加料金で開始した。2021年5月には、対象となるAmazon Music Unlimitedの加入者全員に、Amazon Music HDを追加料金なしで提供するようにした。Amazon HDは、ビット深度16ビット、サンプルレート44.1kHz(CD品質程度)で楽曲をストリーミングする。一部の楽曲はUltra HD、つまり24ビット、最大192kHzのサンプルレート(CD品質以上)でストリーミング配信される。

ハイファイストリーミングの開始は、オーディオファン向けにより高品質なストリームでを提供してきた音楽ストリーミングサービスTidal(タイダル)の脅威に対抗する方法と考えられている。Tidalは、加入者数では業界トップの音楽ストリーミングサービスに及ばないが、その存在は、より質の高い音楽を求める需要があることを示している。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

白熱化する衛星リモートセンシング市場、合成開口レーダーを活用する衛星画像のICEYEが約157億円調達

合成開口レーダー(SAR)を用いた衛星画像を提供するスタートアップ企業のICEYE(アイスアイ)は、新たなシリーズD投資ラウンドで1億3600万ドル(約157億円)を調達、これまでの資金調達総額は3億400万ドル(約350億円)となり、SpaceX(スペースX)を除く宇宙関連スタートアップ企業の中では最も資本力のある企業の1つとなった。ICEYEは、宇宙から地球の画像を撮影するリモートセンシングに注力する企業で、そのために同社が用いる技術は、従来の画像ベースの観測では難しかった雲やその他の障害物で覆われた場所も容易に覗き込むことができるため、利益率の高い国防産業を含む、幅広い顧客を惹き付けている。

防衛産業といえば、ICEYEは米国時間1月20日に米国家偵察局(NRO)と契約を結び、同局によるSARの商業リモートセンシングの評価に参加することになった。ICEYEはまた、すでに軌道に乗せた16基の衛星に加え、2022年にはさらに10基の新しい衛星の打ち上げも計画している。

ICEYEは当初、フィンランドのヘルシンキで設立されたが、その後は米国にも子会社を設立するなど事業の足場を拡げ、2021年からは独自の製造施設も稼働させている。米国内で衛星を製造・運用できるということは、ICEYEが米国の国防に関わる重要な案件を請け負うことができるという意味だ。

その一方で、同社は、保険、海運、海上監視、災害対応、さらには金融など、さまざまな業界の顧客にサービスを提供し続けている。夜間や悪天候など、従来の障害に邪魔されずに地表を頻繁に撮影できることに価値を見出す顧客は後を絶たない。

今回の1億3600万ドルの資金調達は、既存投資家であるSeraphim Space(セラフィム・スペース)が主導し、新たな戦略的投資家や、既存の顧客であるBAE Systems(BAEシステムズ)、Kajima Ventures(カジマ・ベンチャーズ)も参加した。

画像クレジット:ICEYE

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動車ソフトウェア制御のTTTech AutoにAptivが出資、先進運転支援システムを促進へ

自動車メーカーは、より多くの売上を生み出すために機能やソフトウェアサービスを満載した自動車を販売したがっているが、情報過多という課題を抱えている

これらの、ソフトウェアによって制御された自動車には、電動パワートレインから運転支援機能、インフォテインメントまで、あらゆるものを動かす無数のシステムオンチップ(SoC)が搭載されている。最も重要なのは、それらがすべて協調して動作しなければならないということだ。

カメラやレーダーなどの車両センサーがデータを取得し、それを変換してパワートレインに送り、急ブレーキなどの機能を可能にする。そのすべてがミリ秒単位のリアルタイムで行われ、同時にドライバーが車内でストリーミングしているSpotifyを妨げないようにしなければならない。

こうした重要な情報の流れを管理するために、ここ数年、スタートアップが次々と誕生している。ウィーンを拠点とする自動車安全ソフトウェアプロバイダー、TTTech Auto(TTテックオート)もそのうちの1社だ。同社の主力製品であるMotionWiseは、自動車のさまざまな制御システム間でデータの流れを可能にするソフトウェア安全プラットフォームだ。TTTech AutoのCEOで共同創業者のGeorg Kopetz(ゲオルグ・コーペッツ)氏によれば、互いに干渉することなく安全かつ確実に、そしてリアルタイムに機能するようにするものだという。

TTTech Autoはこのほど、大手自動車技術サプライヤーであるAptiv(アプティブ)の出資を獲得した。これはAptivが先進運転支援システム(ADAS)を促進する技術への関心を深めていることをうかがわせる。TTTech Autoは、自動車、航空宇宙、モバイル機器、オートメーション産業にわたる安全なネットワークコンピューティングプラットフォームを提供するTTTech Groupから生まれた会社で、米国時間2月3日にAptivがリードした2億8500万ドル(約328億円)のシリーズCラウンドを発表した。同ラウンドには既存投資家のAudi(アウディ)も参加した(シリーズCは今後2カ月以内の完了が見込まれている)。

Aptivは、高性能ハードウェア、クラウド接続、オープンかつスケーラブルでコンテナ化されたソフトウェアアーキテクチャを含む完全なスタックを自動車メーカーに提供し、ソフトウェアによって制御されたクルマへの移行を加速させることに取り組んでいる時期に、戦略的投資家としてTTTech Autoを支援する。

Aptivは1月、不可欠なインテリジェントシステムの開発、運用、管理を行うエッジ・ツー・クラウド技術を統合すべく、Wind River(ウインドリバー)を43億ドル(約4950億円)で買収した。TTTech Autoは売りに出ている会社ではない。コーペッツ氏は、業界の複数のプレイヤーと協力できるように独立して事業を継続したいと考えているが、MotionWiseがソフトウェア制御の分野で主要プレイヤーになるための道筋において、スマート車両アーキテクチャを提供するというAptivの戦略を補完できることは喜ばしいことだと話す。

Aptivの社長でCEOのKevin Clark(ケビン・クラーク)氏は、2月3日に行われた同社の2021年第4四半期および通年の決算説明会で「AptivとWind Riverの専門知識と補完的技術の組み合わせ、さらにアクティブセーフティソフトウェアアプリケーションを強化するTTTechの確定的フレームワークは、OEMがソフトウェア制御車両の開発と展開をコスト効率よく加速するのを支援するのにユニークな立場にあります」と述べた。

TTTechとAptivは、過去にAudiの自動運転向け中央運転支援コントローラーで協業しており、Aptivがハードウェア側のシステムサプライヤーとして協力し、TTTechはADAS全体の運用を確保するためのアーキテクチャ設計と安全ソフトウェアプラットフォームを支援した。

MotionWiseはこれまで主にADASやその他の自動運転機能に使われてきたが、レベル4およびレベル5の自律性に向けて、ソフトウェアをサポートすることを目標としている。レベル4とレベル5に関しては、SAE(自動車技術者協会)はそれぞれ限定された運転設計領域またはすべての条件下で自律システムがすべての運転を管理することと定義している

このことを考えると、Aptivには自律走行車のボンネットの下で機能するスケーラブルなシステムアーキテクチャに戦略的に投資する、より長期的な理由があるのかもしれない。Aptiv(旧Delphi)は2017年、自律走行車技術企業のnuTonomy(ニュートノミー)を買収し、その後、Motional(モーショナル)というHyundai(現代自動車)との合弁会社としてスピンオフした。Motionalは現在、Lyft(リフト)と提携して自動運転のHyundai Ioniqを使ったラスベガスでのロボットタクシー商業展開の2023年開始や、2022年サンタモニカでのUberとの自律配達の試験実施などに向けて準備を進めているところだ。

Aptivもコーペッツ氏も、MotionWiseが将来的にMotionalの車両に使用されるかどうかについては言及しなかった。もともと2017年に発売されたこの技術は、Hyundai車を含め、世界で200万台を超える乗用車にすでに搭載されている。MotionWiseは、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Porsche(ポルシェ)、Audi(アウディ)、Kia(起亜自動車)、SAIC Motor Corporation(SAICモーターコーポレーション)の車両のソフトウェアスタックにも統合されていると、コーペッツ氏は話す。

TTTechは今回の資金をアジアに重点を置いた国際的なチームの育成に使う予定だ。同社はすでに、SAIC Motor Corporationとともに合弁会社(Technomous)を運営している。ソフトウェアと安全工学、戦略的製品管理、事業開発の分野で、アジア、欧州、北米で人材を採用する予定だとも述べた。

加えて、TTTechは買収・合併の可能性にも目を向けている。同社は、エコシステム内のさまざまなパートナーと協働できるよう、独立企業であり続けたいと考えているが、自動車メーカーの継続的な安全ニーズに対応し続けるために、補完的な製品、技術、サービスの獲得に関心を持っている。

「この分野では協力の余地が大きいと考えており、今回の資金調達は、独立路線で成長しつつ、共同融資や共同イノベーションを必要とし、単独では実現できない企業とも協力する機会を与えてくれます」とコーペッツ氏は述べた。

画像クレジット:TTTech Auto

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

サステナビリティに配慮するファッションブランドのためのB2Bマーケットプレイスを構築するNovi

これは、昔からある話だ。あなたはかっこいいパンツのブランドを経営していて、心温まる製品を作りたいと考えている。その製品の素材はフェアトレードにより調達され、持続可能な方法で栽培された原料や素材を使っている。ただ、あなたは、どこに頼ればよいのかわからない。そんなとき、Novi(ノビ)が、あなたの悩みに対する絞りたての解決策を入れたピッチャーを持って、壁を突き破ってやってくるのだ。同社はTigerDefyGreylockから新たに4000万ドル(約46億円)の小切手を受け取った。

Noviは、持続可能で革新的な原料とパッケージのB2Bマーケットプレイスだ。同社は、何千という顧客が、より持続可能な素材を使った製品を市場に送り出す手助けをしている。基本的にNoviは、サプライヤー、メーカー、小売業者、ブランドで形成されるデータ豊富なネットワークを活用し、新製品を開発する際に、持続可能で革新的な素材やパッケージを考案、発見、試供、購入することを容易にする。アイデアはシンプルだ。ブランドにとって持続可能な製品を作ることが簡単になれば、そうしないことに対する言い訳はできない。うまく運べば、私たちの行き過ぎた消費主義がもたらす負荷によって地球が燃える際の輝きを少し減らすことができる。

「キャリアの初めの頃、私は空軍に入隊し、難しい問題に取り組みたいと思うようになりました。空軍では、データサイエンティストとしてすばらしいキャリアを積んできました。そして、Eventbriteなどのテック企業でデータチームを作ることになりました」とCEOで創業者のKimberly Shenk(キンバリー・シェンク)氏は説明する。「私は2017年に妊娠し、自分が使う製品や含まれる成分を強く意識するようになりました。人間の健康や環境に対する毒性について夢中で学びました。2017年、私はこのことに取り組むために、ブランド「NakedPoppy(ネイキッドポピー)」を立ち上げました。私が持っているデータサイエンスへの情熱をすべて活かして、健康や環境に良いパーソナルケア製品を作ろうと思ったのです。実際に真に持続可能な製品を市場に出すことの難しさをすべて身をもって体験しました」。

シェンク氏は、信頼できる素材を見つけるのが難しいこと、そして、巨大で洗練されたサプライチェーン分析オペレーションを持たない小さな会社にとって、素材を評価するのは難しいことに気づいた。NakedPoppyは、その過程で発見したことを記録するためのデータベースの構築を始め、その過程で、これが新会社の始まりにつながることを発見した。そして、他のブランドも興味を示し始めた。創業者のデータへの関心と、持続可能なブランドを作ろうとした個人的な経験が交差して、Noviが誕生した。

B2BマーケットプレイスとしてのNoviの存在は、この分野での最近の大きなトレンドを踏まえると、特に興味深い。

「最も基本的なことですが、私たちはブランドが持続可能な素材を見つけ、持続可能な製品を作る手助けをしています。私たちはそれをB2Bマーケットプレイスとして行っています。また、サプライヤーが素材、例えば原料、香料、パッケージなどをリストアップしてくれるため、豊富なデータが手に入ります」とシェンク氏は説明する。「信頼できる第三者として、私たちはサプライヤーが気にかけているであろうさまざまな基準について素材を評価するため、ブランドは持続可能性への影響の観点から信頼できる素材を見つけ、より良い製品を作ることができるのです」。

同社は、いくつかの異なる方法でデータを収集している。化学製品のサプライヤーなど、ビジネスの供給側には、データを収集するのが得意なサイエンティストが豊富に存在するが、データを保存したり、関係者に配布したりする体系的な手段がない。そこでNoviの出番となる。同社が情報をデジタル化し、分類する。また、認証機関と連携し、生分解性、ビーガン、フェアトレードなどの認証を取得しているものを把握することもできる。さらに、持続可能かどうかを測定・利用するためのデータソースもあり、それも同社の巨大なデータベースに蓄積されている。

NoviのCEOで創業者のキンバリー・シェンク氏(画像クレジット:Novi)

「Novi以前は、ブランドは何週間もかけて素材を探し出し、複雑な業界基準を満たしているかどうかを判断するために、さまざまな素材に関する資料を読み解いていました」とシェンク氏はいう。「Noviは、こうしたデータをすべて収集、消化、デジタル化し、刻々と変化する基準や主張に対してリアルタイム性と正確さを保証します。これにより、ユーザーは持続可能性に関する調達の意思決定をより効率的に、自信を持って行うことができるのです」。

もちろん、データを扱うどんな分野でもそうだが、これはGIGO(garbage in, garbage out、ゴミを入れたらゴミが出てくる)というゲームだ。木材のパレットに「持続可能な方法で栽培された」と書かれたステッカーを貼って終わりにするのは簡単だが、これまでのところ、ブランドがそれ以上に深く調べるような動機付けはあまりない。Noviは、この状況を変えたいと考えている。

「当社は評価の正確さを保証しますが、もしサプライヤーがデータを改ざんしたら」とシェンク氏は言いつつ、認証に関わる情報量の多さから、実はデータを改ざんするのはかなり難しいことだと主張する。「それは、当社が単独で解決できることではありません。もちろん、責任を持って調達されたパーム油を認証している認証機関はあります。しかし、実際に良いことをしているサプライヤーを評価し、より良い素材を求めているブランドの目に留まるようにすることで、業界を変えることができるのです」。

Noviは正確な数字は開示したくないものの、Croda、Grove Collaborative、Sephora、Targetなど多くのブランドと取引しており「数千」の顧客がいると主張している。

同社は、新しい資本を投入し、進化する持続可能性の主張に対応する新しい技術を市場の両側で開発し、原料、香料、パッケージの品揃えを充実させ、ホームケアや食品などNoviから見てすでに成長が始まっている分野への新規参入を図る予定だ。

画像クレジット:Novi

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルの次期ハードウェアイベントは3月上旬か、新iPhone SE、iPad Air、27インチiMac Pro登場のウワサ

Bloombergによると、Appleは3月8日前後に次のハードウェアイベントを開催する予定だ。このイベントでは、第3世代のiPhone SE2020年のiPad Airの後継モデル、Apple Siliconチップを搭載した新しいMacが発表されるという。BloombergのMark Gurman(マーク・ガーマン)氏は、この日程は以前AppleがSEのデビューのために設定した3月から4月のタイムフレームと一致するが、潜在的な生産の遅れにより、同社が計画を変更せざるを得なくなる可能性があると警告している。

これまでどおり、記事ではiPhone SEシリーズとしては初となる5Gに対応すると報じられている。また、より高速なプロセッサやより優れたカメラも搭載されると予想されているが、現行モデルのiPhone 8時代のデザインは維持されるという。新型iPad Airにはプロセッサが刷新され、5G接続が追加される。Bloombergは、Appleが同イベントで発表するかもしれない新型Macについて多くを語らなかったが、最近のほとんどの報道では、同社が27インチのiMac Proの新モデルを発表すると指摘している。

新しいiPhone SEの話がいまいち盛り上がらなかった人への朗報は、AppleがiOS 15.4も2022年3月前半にリリースするとBloombergが報じていることだ。このアップデートでは、マスクを着用していてもFace IDでiPhoneのロック解除できる機能が追加される予定だ。

関連記事:ついにマスク姿でもiPhoneのロック解除可能に!アップルの最新ベータ版OSはマスク着用に対応したFace IDや待望のユニバーサルコントロールを提供

編集者注:本記事の初出はEngadget。執筆者のIgor BonifacicはEngadgetの寄稿ライター。

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Hiroshi Iwatani)

地元のコンビニや商店に配達を提供するLulaのサービスが急成長

Lulaの共同創業者アディット・グプタ氏とトム・ファルザニ氏(画像クレジット:Lula)

コンビニエンスストアはクルマに給油しているときや、軽食が欲しいときに立ち寄るところだが、パンデミックで誰もお店の中に入らないようになると、店の生き残りも難しくなる。

Adit Gupta(アディット・グプタ)氏の親も、ニュージャージーのコンビニのオーナーだったため、客が来ないことに苦しんだ。そこでグプタ氏と彼のドレクセル大学時代の学友Tom Falzani(トム・ファルザニ)氏は、数週間かけて、何らかの配達アプリを使って店が存続する方法を編み出そうとしたが、グプタ氏の両親の2020年半ばの閉店を止めることはできなかった。

「お客さんが店に来れなくなりましたが、コンビニでは電話などで店にオーダーすることもできません。そこで配達アプリを作ることを考えました。オンラインなら3000、4000もの品数を揃えることができることに、改めて驚きました。親が閉店した後に考えたのは、コンビニエンスストアは全国に15万以上もあるが、その1つひとつを有能な起業家が経営する小さなフルフィルメントセンターだと考えればいいということです。そこには配達するためのテクノロジーがないだけなのです」とグプタ氏はいう。

他のコンビニが親の店のような運命にならないために彼らは2020年後半、フィラデルフィアにLulaという会社を立ち上げた。今では数百のコンビニやドラッグストアやその他の店舗が、Lunaの手数料ゼロのツールを使い、配達という第二の販売チャネルを確立し、サードパーティの業者と契約して配達を行っている。

関連記事:三菱電機がCartkenの自律走行ロボットを使った配送サービスの実証実験をイオンモールで開始

そのような店舗は店員の数も少なく、デジタルのスキルも弱いため、Lulaはすべての店のすべての商品をデータベースに登録し、すべての配達業者に配信する。そして注文が来れば、その情報は店と配達業者の両方へ同期される。

そのツールは「初めてのマルチベンダーの30分配達プラットフォーム」だとグプタ氏は自画自賛する。これまでオンラインで注文を受けても配達手段がなかったお店が、サードパーティのプラットフォームすなわちLulaで配達手段を得る。

「コンビニエンスストアやその他の商業者が搾取されるビジネスモデルにはしたくなかったため、料金は毎月のサブスクだけです。店は2、3日で元がとることができます」。

Amazonは実店舗TortoiseCartkenは配達ロボットと、リテールのこの部分に関心を向ける企業が最近は多い中で、特に配達の要望が多いのはコンビニエンスストアの食品や食材だ。消費者分析企業Edison Trendsの調査報告では、2020年の1年間でコンビニエンスストアへのオンライン支出は346%成長した。

Lulaは2021年に100万ドル(約1億2000万円)のプレシードを調達し、最初の10社ほどの顧客にサービスを提供したが、今回は550万ドル(約6億3000万円)のシードを発表し、2022年内に米国のすべての州から2000の顧客を獲得するつもりだ。

その最新のラウンドを共同でリードしたのはRipple VenturesとOutlander VCとUp Partnersだ。このラウンドに参加したの、SOSV、Simple Capital、NZVC、Stonks.com、EasyPost、Park City Angels、Alumni Ventures、Broad Street Angels、Ben Franklin Technology Partners、そしてエンジェル投資家たちのグループとなる。

同社は前月比で30%以上店舗数を伸ばしており、すでにヨーロッパとメキシコの両方で大手コンビニエンスストアチェーンと商談中で、全米の独立系店舗からオーガニックなインバウンドトラフィックを受けているとGuptaはいう。そのため、今回の資金調達は、製品開発と、営業およびカスタマーサクセスチームによるLulaの人員拡大にも充てられる予定だ。

現在、Lulaの従業員数は35名だが、グプタ氏はカスタマーサクセスチームを50名以上に増強し、最終的には年内に100名のチームを結成する予定だ。

Ripple VenturesのマネージングパートナーであるMatt Cohen(マット・コーエン)氏は、「Lulaが、地元の企業がデリバリーサービスを利用できるようにするために、事業を拡大していることに興奮しています。パンデミックは高級店や大型店を直撃し、Lulaは地元の商店が急成長する宅配需要にアクセスするためのすばらしい方法です。アディットとトムが見つけたのはとても大きなビジネスチャンスであり、Ripple Xを通じたアディットの旅を非常に誇りに思っています」という。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

分散型「マーベル」のようなNFTメディア帝国を目指すPixel Vault、約115億円の資金を調達

NFT(非代替性トークン)の世界は、奇妙で、混乱していて、爽快だ。否定派は、大衆文化から永続的な価値をすべて奪おうとする資本に執着した詐欺師であふれていると見ているが、一方で肯定派は、オンラインメディアから実際に価値がどのように創造され、獲得されるかを一変させる新たな技術革命であると見ている。

この1年の間に、機関投資家は2021年まではほとんど検討されなかったNFTへ投資する機会に夢中になり、Dapper Labs(ダッパーラボ)、OpenSea(オープンシー)、Sky Mavis(スカイ・メイヴィス)といったスタートアップ企業の株式投資に数十億ドル(数千億円)を投じている。

投資家による最新のNFT投資では、Pixel Vault(ピクセル・ヴォールト)と呼ばれるスタートアップが注目を浴びている。Pixel Vaultはスーパーヒーローの巨大なNFTコレクションで「分散型Marvel(マーベル)」のような帝国に成長することを目標としている。このNFTスタートアップは、Adam Bain(アダム・ベイン)氏とDick Costolo(ディック・コンストロ)氏の01 Advisors(ゼロワン・アドバイザーズ)とVelvet Sea Ventures(ベルベット・シー・ベンチャーズ)から1億ドル(約115億円)の資金を調達したと、TechCrunchに語った。

Pixel Vaultは、NFTプロジェクトが何千枚ものJPG画像を超えたもっと大きな何かになるのかという実験の最前線にいる。

「Pixel Vaultのプロジェクトは、コミュニティエンパワーメント、分散型ガバナンス、真のデジタルオーナーシップという、Web3の重要な理念を中心に構築されています」と、Pixel VaultのCEOであるSean Gearin(シーン・ギアリン)氏(暗号資産業界ではGFunkという名前で知られている)は、声明の中で述べている。「私たちは、ファンを顧客として見ていません。我々のファンはオーナーであり、ビルダーなのです」。

2021年5月(実際に会社として設立される前)に行われた同社の最初の製品発表では、CryptoPunks(クリプトパンク)の世界のキャラクターが登場するリアルおよびデジタルのコミックブック数千冊が発行された。ユーザーは、短期間でこのコミックのNFTと交換して、Pixel Vault創設者が運営するDAO(分散型自律組織)の一員になることができた。これによりユーザーは、多数のNFTアートワークのコレクションの所有権を得ることができた。その中には、Pixel Vaultコミックのメインキャラクターである、現在の価格で数百万ドルの価値があるCryptoPunksのNFTも多く含まれている

このPunksのほとんどを提供したのは、@beaniemaxiという偽名の暗号投資家で、彼はこのプロジェクトに最初から資金を援助し、数百万ドル(数億円)のPunksコレクションを提供して、このプロジェクトの可能性について声高に語っていた。彼はここ数週間、自分のフォロワーにプロジェクトを押し付けておきながら、彼の個人的な関与の範囲については透明性が欠けているため、非難を浴びていた。このマイナーな暗号スキャンダルにより、彼はPixel Vaultプロジェクトから離脱することで、同スタートアップへのさらなる反感を避けた。

私は開示していないことは、何1つしていません。私は投資家として、NFTの販売収益の一部を受け取ることがあります。私は成功する可能性が高いと思われるチームのみを支援しています。私の実績がすばらしいから、私に続こうとする人がいるのでしょう。完璧を求めることは現実的ではありません。プロジェクトやファウンダーの中には失敗するものもあります。

Beanie

Pixel Vaultチームは「Punks Comic(パンクス・コミック)」のリリース以来、コミックの世界観を大切にし、同コミックのベテランアーティストを起用して、スーパーヒーローのNFTを大量に作成してきたが、これをより広いメディア世界に展開したいと考えている。チームは、知的財産権の維持と、コミュニティによる「MetaHero(メタヒーロー)」アートの使用と促進を奨励することのバランスを取ることを考えている。また、146の「Core(コア)」キャラクターのNFTに対する知的財産権を維持しつつ、何千ものジェネレーティブなキャラクターの幅広い再利用を可能にしようとしている。

「(彼らには)分散型Disney(ディズニー)を構築するという使命があります。これは、私の考えでは、経済的には参加しないが、この世界に存在するキャラクターを評価してくれる熱心なファンとの共同創造と共同所有を意味します」と、Velvet Sea VenturesのMichael Lazerow(マイケル・ラゼロフ)氏は、TechCrunchに語った。

MetaHero Universe:Core Identities collection(スクリーンショット)

CryptoPunksは、ハリウッドをはじめとするさまざまな分野でパートナーシップを展開するために、すでにWMEと代理店契約を結んでいる。

数千もの「MetaHero Generative Identity(メタヒーロー・ジェネレーティブ・アイデンティティ)」の1つの最低落札価格は、現在の価格で1万8000ドル(約200万円)強のETHとなっており、146のCoreキャラクターの中で最も安いものでも30万ドル弱(約3500万円)となっている。

分散型マーベルの構築は、確かにお金以上のものだ。とはいえ、Pixel Vaultはそのコミュニティにおそろしく多くのお金を持っている。このプロジェクトは、生涯取引量が10万ETH近く、現在の価格で約3000億円にも達しているのだ。

画像クレジット:Punks Comic / Pixel Vault

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

分散型「マーベル」のようなNFTメディア帝国を目指すPixel Vault、約115億円の資金を調達

NFT(非代替性トークン)の世界は、奇妙で、混乱していて、爽快だ。否定派は、大衆文化から永続的な価値をすべて奪おうとする資本に執着した詐欺師であふれていると見ているが、一方で肯定派は、オンラインメディアから実際に価値がどのように創造され、獲得されるかを一変させる新たな技術革命であると見ている。

この1年の間に、機関投資家は2021年まではほとんど検討されなかったNFTへ投資する機会に夢中になり、Dapper Labs(ダッパーラボ)、OpenSea(オープンシー)、Sky Mavis(スカイ・メイヴィス)といったスタートアップ企業の株式投資に数十億ドル(数千億円)を投じている。

投資家による最新のNFT投資では、Pixel Vault(ピクセル・ヴォールト)と呼ばれるスタートアップが注目を浴びている。Pixel Vaultはスーパーヒーローの巨大なNFTコレクションで「分散型Marvel(マーベル)」のような帝国に成長することを目標としている。このNFTスタートアップは、Adam Bain(アダム・ベイン)氏とDick Costolo(ディック・コンストロ)氏の01 Advisors(ゼロワン・アドバイザーズ)とVelvet Sea Ventures(ベルベット・シー・ベンチャーズ)から1億ドル(約115億円)の資金を調達したと、TechCrunchに語った。

Pixel Vaultは、NFTプロジェクトが何千枚ものJPG画像を超えたもっと大きな何かになるのかという実験の最前線にいる。

「Pixel Vaultのプロジェクトは、コミュニティエンパワーメント、分散型ガバナンス、真のデジタルオーナーシップという、Web3の重要な理念を中心に構築されています」と、Pixel VaultのCEOであるSean Gearin(シーン・ギアリン)氏(暗号資産業界ではGFunkという名前で知られている)は、声明の中で述べている。「私たちは、ファンを顧客として見ていません。我々のファンはオーナーであり、ビルダーなのです」。

2021年5月(実際に会社として設立される前)に行われた同社の最初の製品発表では、CryptoPunks(クリプトパンク)の世界のキャラクターが登場するリアルおよびデジタルのコミックブック数千冊が発行された。ユーザーは、短期間でこのコミックのNFTと交換して、Pixel Vault創設者が運営するDAO(分散型自律組織)の一員になることができた。これによりユーザーは、多数のNFTアートワークのコレクションの所有権を得ることができた。その中には、Pixel Vaultコミックのメインキャラクターである、現在の価格で数百万ドルの価値があるCryptoPunksのNFTも多く含まれている

このPunksのほとんどを提供したのは、@beaniemaxiという偽名の暗号投資家で、彼はこのプロジェクトに最初から資金を援助し、数百万ドル(数億円)のPunksコレクションを提供して、このプロジェクトの可能性について声高に語っていた。彼はここ数週間、自分のフォロワーにプロジェクトを押し付けておきながら、彼の個人的な関与の範囲については透明性が欠けているため、非難を浴びていた。このマイナーな暗号スキャンダルにより、彼はPixel Vaultプロジェクトから離脱することで、同スタートアップへのさらなる反感を避けた。

私は開示していないことは、何1つしていません。私は投資家として、NFTの販売収益の一部を受け取ることがあります。私は成功する可能性が高いと思われるチームのみを支援しています。私の実績がすばらしいから、私に続こうとする人がいるのでしょう。完璧を求めることは現実的ではありません。プロジェクトやファウンダーの中には失敗するものもあります。

Beanie

Pixel Vaultチームは「Punks Comic(パンクス・コミック)」のリリース以来、コミックの世界観を大切にし、同コミックのベテランアーティストを起用して、スーパーヒーローのNFTを大量に作成してきたが、これをより広いメディア世界に展開したいと考えている。チームは、知的財産権の維持と、コミュニティによる「MetaHero(メタヒーロー)」アートの使用と促進を奨励することのバランスを取ることを考えている。また、146の「Core(コア)」キャラクターのNFTに対する知的財産権を維持しつつ、何千ものジェネレーティブなキャラクターの幅広い再利用を可能にしようとしている。

「(彼らには)分散型Disney(ディズニー)を構築するという使命があります。これは、私の考えでは、経済的には参加しないが、この世界に存在するキャラクターを評価してくれる熱心なファンとの共同創造と共同所有を意味します」と、Velvet Sea VenturesのMichael Lazerow(マイケル・ラゼロフ)氏は、TechCrunchに語った。

MetaHero Universe:Core Identities collection(スクリーンショット)

CryptoPunksは、ハリウッドをはじめとするさまざまな分野でパートナーシップを展開するために、すでにWMEと代理店契約を結んでいる。

数千もの「MetaHero Generative Identity(メタヒーロー・ジェネレーティブ・アイデンティティ)」の1つの最低落札価格は、現在の価格で1万8000ドル(約200万円)強のETHとなっており、146のCoreキャラクターの中で最も安いものでも30万ドル弱(約3500万円)となっている。

分散型マーベルの構築は、確かにお金以上のものだ。とはいえ、Pixel Vaultはそのコミュニティにおそろしく多くのお金を持っている。このプロジェクトは、生涯取引量が10万ETH近く、現在の価格で約3000億円にも達しているのだ。

画像クレジット:Punks Comic / Pixel Vault

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

裁判所の命令により、マッチングアプリの開発者はオランダでApple(アップル)のアプリ内課金システムを使用する必要はなくなった。また、これらの課金決済はAppleによって処理されないため、Appleはデジタル購入の際に通常の30%の手数料を取ることはない。しかし、サードパーティの決済システムを利用する開発者は、依然として手数料を支払わなければならない。Appleは27%の手数料を請求する予定だ。

オランダの反トラスト法問題を把握していない人のために説明すると、オランダ消費者市場庁はもともと、Appleが非常に特殊なケース、つまりマッチングアプリ開発者が販売する「superlike」や「boost」といったデジタルコンテンツでオランダの競争規則に違反していると指摘していた。

これは、Appleのアプリ内課金システムにとって、別の新たな脅威となる。韓国では、デジタル決済に関する新法に基づき、Appleはサードパーティーの決済システムを認めることに同意した。また、米国と欧州では、いくつかの訴訟が進行中だ。

オランダに関しては、Appleは外部決済を認めることはユーザーの利益にならないと主張し、反トラスト法に基づく決定について上訴している。

「これらの命令がユーザーの最善の利益になるとは思えません。当社はACM(消費者市場庁)の決定を受け、高等裁判所に上訴しました。これらの変更がユーザーの体験を損ない、プライバシーとデータセキュリティに新たな脅威をもたらすことを懸念しています。一方、当社は本日開始する、義務付けられた変更を行う義務があり、近日中にさらなる情報を提供する予定です」と同社は1月に述べた。

オランダの競争当局は、Appleが裁判所命令に従う最初の期限を過ぎていることからすでに500万ユーロ(約6億5000万円)の罰金を科しており、同社に選択の余地はあまりない。

Appleは現地時間2月4日、マッチングアプリの開発者がオランダで代替決済システムを利用する方法を説明するドキュメントページを更新した。これはかなり技術的なものに関する文書で、開発者がどのように代替支払いオプションを提供できるかを説明している。

しかし、Appleがアプリ開発者に手数料を請求する予定であることも書かれている。基本的に、Appleが取引を扱わないため、開発者はApp Storeの手数料を3%カットされる。しかし同社は、提供するさまざまなサービスに対して27%の手数料を請求することは、まだ正当だと考えている。

ACMの命令に従い、サードパーティのアプリ内決済プロバイダをリンクアウト、または使用する権利を付与されたマッチングアプリは、取引にかかる手数料をAppleに支払うことになります。Appleは、付加価値税控除後のユーザが支払う価格に対して27%の手数料を請求します。これは、決済処理および関連する活動に関連する価値を除いた率です。開発者は、サードパーティの決済プロバイダーによって処理された売上について、オランダの付加価値税(VAT)など、適用される税金の徴収と送金に責任を負います。

アプリ開発者は毎月、App Storeでホストされているアプリに関連するデジタル売上を報告する必要がある。その後、Appleは27%の手数料の請求書を送付する。

つまり、開発者はAppleの決済システムを回避することで、追加でかなりの収益を得ることはない。しかし、それだけではない。サードパーティの決済システムには技術的な費用もいくらか発生する。

マッチングアプリではよくあることだが、複数の国にユーザーを持つアプリ開発者の場合、同じアプリのバイナリを提出することはできない。開発チームは、オランダ語のアプリとオランダ語ではないアプリの2種類のバイナリをまとめて提出しなければならない。

Appleは、サードパーティの決済システムを使用することを可能な限り難しく、高価にしたいと考えている。ほとんどの開発者は、Appleのアプリ内課金APIを使い続ける可能性がある。

「Appleのアプリ内課金システムを使い続けたいマッチングアプリの開発者は、そうすることができ、追加で何かを行う必要ありません」とAppleは書いている。

しかし、それは同社がただ時間を稼いでいるように感じられる。App Storeは依然として、さまざまな管轄区域で独占禁止法の厳しい監視下に置かれている。Appleは、最初の裁判所命令や競争促進的な改革を回避する方法を見つけるだろう。しかし、規制当局が本当にAppleのアプリ開発者向け手数料を下げたいのであれば、もっと賢くなるはずだ。

 画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

元任天堂デザイナー率いる前田デザイン室がPNG素材「粗ドット」をDOTOWNで公開、個人・法人・商用問わず無料利用可

元任天堂デザイナー前田高志氏率いる前田デザイン室がPNG素材「粗ドット」をDOTOWNで公開、個人・法人・商用・非商用問わず無料利用可

NASU代表の元任天堂デザイナー前田高志氏が運営するオンラインサロン「前田デザイン室」は2月2日、粗いドット絵(粗ドット。あらドットと読む)素材をPNG形式でダウンロードできるサイト「DOTOWN」(ドッタウン)を公開した。食べ物・乗り物・人物・動物・建物・植物・季節イベント系など、約700点(サイトオープン時点)を用意。粗ドット素材は、誰でも無料でダウンロードでき、商用としても利用可能。元任天堂デザイナー前田高志氏率いる前田デザイン室がPNG素材「粗ドット」をDOTOWNで公開、個人・法人・商用・非商用問わず無料利用可

前田デザイン室は、元・任天堂デザイナーの前田氏とともにクリエイティブを楽しむ集団。前田デザイン室は「おもろ!(アイデア)たのし!(積極性)いいな!(クオリティ)」を行動指針として掲げており、「デザインでみんなが楽しく笑顔に平和に!」を願って、世の中に新しいクリエイティブを大量投下するとしている。

  • 全素材無料ダウンロード(データ形式:PNG)
  • 個人・法人・商用・非商用問わず利用可(再配布は禁止)
  • 基本的に連絡(クレジット表記)の必要なし。クレジットを掲載すると、前田デザイン室のメンバー全員が大喜びする
  • 公開時素材数約700点
  • 広告なし(前田デザイン室は「仕事では味わえないクリエイティブ」を行うコミュニティ。営利目的ではないため、広告は入っていない)
  • 詳細な規約は「ご利用について」を参照

またDOTOWNでは、粗ドットを使った使用例のページも用意している。素材を利用する・探すだけの単なる素材配布サイトではなく、訪問するのが楽しくなる「おもろ!たのし!いいな!」なサイトを目指しているそうだ。DOTOWNがきっかけで、魅力的な制作物を作るきっかけにひいてはデザインを身近に感じられるとうれしいとしている。元任天堂デザイナー前田高志氏率いる前田デザイン室がPNG素材「粗ドット」をDOTOWNで公開、個人・法人・商用・非商用問わず無料利用可

なお2月6日13時から、DOTOWNリリース記念オンラインイベントがオンライン開催される。ドット絵に興味がある方、前田デザイン室に関心がある方への参加を呼びかけており、閲覧申込は、「粗ドット素材ダウンロードサイト DOTOWN(ドッタウン) 完成お披露目会」から行える。参加費は無料。元任天堂デザイナー前田高志氏率いる前田デザイン室がPNG素材「粗ドット」をDOTOWNで公開、個人・法人・商用・非商用問わず無料利用可

粗ドット(あらドット)

粗ドットとは、可能な限り低い解像度で、究極に抽象的な表現をしたドット絵を指すという。粗ドットは、前田デザイン室発足時に「らしさ」を表現できる共通言語ならぬ共通絵として誕生。前田氏が「粗ドット」と命名し、コミュニティ内で親しまれ続けてきた。

ゲーム機などで用いられている通常のドット絵は、縁取りや影のドットを用いて素材の形をわかりやすく構成しているが、粗ドットはドットの数が少ないため、縁取り・影はないそうだ。1つ1つのドットの色と配置のみで何であるかが一目でわかるように作っている。これは、ゲームグラフィックにおける「逆進化(=究極の抽象化)」と位置付けているという。元任天堂デザイナー前田高志氏率いる前田デザイン室がPNG素材「粗ドット」をDOTOWNで公開、個人・法人・商用・非商用問わず無料利用可元任天堂デザイナー前田高志氏率いる前田デザイン室がPNG素材「粗ドット」をDOTOWNで公開、個人・法人・商用・非商用問わず無料利用可

また粗ドットは、規則性さえ理解すれば、あらゆるツールであらゆる人が作ることができて、クオリティの差が出にくいとう。大人数でものづくりをするオンラインサロンにふさわしいとしている。元任天堂デザイナー前田高志氏率いる前田デザイン室がPNG素材「粗ドット」をDOTOWNで公開、個人・法人・商用・非商用問わず無料利用可

フロントラインワーカーのためのチャット&人事アプリFlipがユーザー数100万人突破で約34.5億円を調達

共同創業者兼製品責任者のGiacomo Kenner(ジャコモ・ケナー)氏、CMOのAnn Kathrin Stärkel(アン・カトリン・スターケル)氏、創業者兼CEOのBenedikt Ilg(ベネディクトイ・ルグ)氏、CFOのGeorg Renz氏(画像クレジット:Flip)

世界の労働人口の8割以上約27億人はコンピューターの前で日々を過ごしていないため、テクノロジーに関しても格差が激しく、彼らをユーザーとして対象としたIT投資は1%程度と言われている。それが、スマートフォンやアプリの台頭で急速に変化しており、米国時間2月2日、その流れを受けてビジネスが好調なスタートアップの1社が、このチャンスに飛びつくべく、資金調達を発表している。

フロントラインで働く人々が互いにチャットしたり、マネジメントチームから連絡を受けたり、シフトの入れ替えなどの人事活動を行うためのコミュニケーションアプリを作っているFlip(フリップ)は、3000万ドル(約34億5200万円)を調達したそうだ。ドイツのシュトゥットガルトに拠点を置き、主にドイツ語圏のDACH地域(ドイツ・オーストリア・スイス)で利用されているこのスタートアップは、この資金を利用して、まずは英国をはじめとする新しい市場に進出する予定だと、CEO兼創業者のBenedikt Ilg(ベネディクト・イルグ)氏は述べている。

Notion Ventures(ノーション・ベンチャーズ)とベルリンのファンドHV Capital(HVキャピタル)が共同でこのラウンドをリードし、これまでの出資者であるCavalry Ventures(キャバルリー・ベンチャーズ)とLEA Partners(LEAパートナーズ)、そしてVolkswagen(フォルクスワーゲン)会長Matthias Müller(マティアス・ミューラー)氏をはじめとする多くの個人出資者が参加している。

Meta(メタ)のWorkplace、Microsoft(マイクロソフト)のTeamsCrew(現在はSquareが所有)、Blink(ブリンク)Yoobic(ヨービック)When I Work(ウェン・アイ・ワーク)Workstream(ワークストリーム)など、世界の労働者の同じ分野、そしてコミュニケーションに関する同じユースケースを対象としたアプリが市場に多数存在している。実際、2月2日、Snapshift(スナップシフト)という、主に人事側に焦点を当てたフロントラインの仕事アプリも資金調達を発表したばかりだ。

しかし、混戦のように見えるこの分野には、3つのことがいえる。第一に、この市場は十分に大きく、断片的であるため、長期的にいくつかの強力なプレイヤーが混在する可能性があるということ。第二に、この市場はまだかなり新しいので、各プレイヤーが進化や革新を遂げる可能性はまだたくさんあるということ(イルグ氏は、FlipのアプリがGDPRの規則に厳格に準拠していることが、他の企業がGDPRに準拠していると主張するも、実際には準拠していない際に、同社がビジネスを獲得するのに役立っていると述べている)。また、かなり基本的な部分でも、同社はユーザーインターフェースや操作性だけでなく、アプリのサイズ、携帯電話上で占有する容量、使用するために必要な帯域幅など、アプリを使いやすくしている。

「私はFlipを始める前にPorsche(ポルシェ)で製造の仕事をしていたので、マネジメントとのコミュニケーション不足など、その気持ちはよくわかります」とイルグ氏はいう。「私たちは、画面数も少なく、ダウンロードして使用することに関して、この分野で最もシンプルなアプリケーションです。これが、エンドユーザーのために私たちが作って提供したい製品の精神です」。と語る。

そして三つ目は、成功のためにはクリティカルマスが重要だとすれば、Flipは実際に前面に躍り出ているということだ。

McDonald’s(マクドナルド)、Rossmann(ロスマン)、Edeka(エデカ)、Magna(マグナ)、Mahle(マーレ)など、現在までに200社、約100万人のユーザーを獲得している。パンデミックにより、最前線で働く人たちが突然、人々の意識の中心に現れた瞬間、Flipの収益は急上昇し、2021年は6倍になったとイルグ氏は語った(このスタートアップは、実際の収益や評価額を公表していない)。

この分野を追っている人は、先々週、WorkplaceがMcDonald’sを顧客として発表することを望んでいたものの、それを控えていたという話を書いたことに気づいたかもしれない。FlipのMcDonald’sとの契約人数は、現在約6万人。McDonald’sはすでにFlipと公の場で協働していることを考えると、Workplaceとの契約がどうなるかは興味深いところだ。いずれにせよ、この案件がいかに大きな意味を持つかは明白である。

今日のアプリは、主に雇用主が、日中動き回っている、通常は1つの場所で働くことのない、より広範囲の従業員とコミュニケーションをとるために使用されている。また、従業員同士も、主に生産性向上のために、シフト交換や給与明細の確認など、コミュニケーションをとるためにアプリを使うが、仕事に直接関連する機能を実行するために使うわけではない。この分野は、Yoobicのようなライバルが機能を構築している分野であり、イルグ氏は、Flipもその可能性を検討し始めていると述べた。

Notion VenturesのJos White(ヨス・ホワイト)氏は「Flipは、デスクを持たない社員1人ひとりが、自社のコミュニケーションプロセスに真に参加する機会を提供します。このような社員を積極的に取り込むことには、大きな可能性があります。Flipが英語圏の市場で拡大する際に、我々の専門知識と経験でサポートできることを楽しみにしています」と声明で述べている。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Akihito Mizukoshi)