TencentがLinux Foundationのプラチナ会員になる、Huawei、Alibabaに次ぎ中国勢活発

時価総額5000億ドルの、中国のインターネット巨人Tencentが、Linux Foundation(LF)のプラチナ会員になり、オープンソースへのフォーカスを一層強化しようとしている。

同社はかなり前からLFやLinuxそのものと縁が深く、今年の初めにローンチしたLFのディープラーニング事業の創設メンバーでもある。このたび最高ランクのプラチナ会員になったことにより、同社はLFの理事会にも加わり、同団体とより密接に協力していくことになる。すなわちTencentはLFのプロジェクトやコミュニティに“さらなるサポートとリソース”を提供していくとともに、LFが持つ専門的能力や経験を利用していく。

その一環として同社は、オープンソースのマイクロサービスプロジェクトTARSと、オープンソースのネームサービスプロジェクトTseerをLinux Foundationに寄贈する。同団体のディープラーニングファウンデーションには、オープンソースのAIプロジェクトAngelを提供する。

Tencent Mobile Internet GroupのゼネラルマネージャーLiu Xinが、声明で述べている: “The Linux Foundationのプラチナ会員になれたことは光栄である。オープンソースは、Tencentの技術戦略の中核である”。

そのほかのプラチナ会員は、Cisco, Huawei, Microsoft, AT&T, Samsung, IBMらだ。

今年初めにTencentは、ハードウェア方面のオープンソースを推進する取り組みの一環として、もうひとつのオープンソース団体Open Compute Project(OCP)に加盟した。

Tencentの主要なライバルであるAlibabaも、オープンソースのコミュニティに大きなプレゼンスを維持している。

Alibabaは昨年来、Linux Foundationのゴールド会員だが、その貢献度は大きくて、クラウドコンピューティングサービスAlicloudなどを提供している。また、初の中国の外のクラウド投資として、MariaDBに2700万ドルを投資した。中国国内ではクラウドストレージのQiniuやビッグデータのDt Dreamなどに投資している。

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images

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Google Classroomの小テスト機能がChromebookのロック機能(よそ見禁止)を借用

今週はシカゴでInternational Society for Technology in Education〔仮訳: 国際教育技術協会〕のカンファレンスが行われていて、テクノロジーの大物たちの製品も紹介されている。Googleはそこで、Classroomの重要なアップデートを発表した。この、ブラウザー上で利用する教育ソフトは、同社によると、今では世界中で“3000万以上の”児童生徒が使っている。

今回のアップデートの中でいちばん目立つのは、小テストのコントロールだ。このGoogle Forms Quizと呼ばれる機能に、“ロックモード”が加わった。このモードを指定すると児童生徒は、答を出すまではWebをサーフィンしたり、アプリを開いたりできない。テストをしているとき、よそ見ができないようにするためだ。

実はChromebookには教室だけで使う管理機能つきの機種(managed Chromebooks)があり、Classroomのロックモードはそれからの初めての借り物だ。だからこれからは、Chromebookだけでなく、Webを見れるどんな機種の上でもロックを利用できる。このロックモードのようなことを、教室の管理者(担任教師など)が自力で設定しようとするとたいへんな作業になるが、これからはClassroomの標準機能として簡単に利用できる。

教師と児童生徒が勉強〜授業のために共有するベース・ページとして、Classworkページというものがある。このページの上で、児童生徒が質問したり、先生が宿題を出したりする。これまではその上で、いろんな話題が日付順に並んでいるだけだったが、これからは話題別や教科別にまとめることができる。また、新たにできたPeopleページでは、教師が仲間の教師や新たな児童生徒、小使さんなどをそこに加えられる。これらのほかに、Streams機能やシステム設定のページも、新しい機能が加わった。

このカンファレンスでMicrosoftは、BBCや、Minecraft: Education EditionのAquatic DLCなどのパートナーの、新しいレッスンプランを発表した

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番組で中国に言及したジョン・オリバー、中国インターネットから抹消される

HBOのニュース風刺番組、Last Week Tonightが中国の過激な施策を呼んだ。6月17日の放映後、中国政府はジョン・オリバーのあらゆる痕跡をインターネットから抹消しようとしている。

番組には習近平主席と中国政府を扱う20分間の部分があった。具体的に、オリバーは習氏の任期撤廃に言及し、毛沢東との比較までした。

さらにオリバーは、政敵に対する拷問やWeChatデータを使って良い市民であるかどうかを決める悪名高き実験や天安門事件、ノーベル平和賞受賞者劉暁波氏の最近の死亡、そしてもちろん、オンライン検閲の話題も取り上げた。

皮肉なことに、この放映の結果オリバーのショウ自体が中国で検閲され視聴不可になっている。このことは、中国の人権と報道の自由への道ははるかに遠い、というオリバーの指摘を証明している。

またオリバーは、習氏がくまのプーさんと似ていると言われたがらないことにも忘れずに触れた。昨年中国当局は、くまのプーさんに対するあらゆる言及を禁止した

New York Timesによると、放映後ソーシャルネットワーク、Weiboで多くの投稿がジョン・オリバーに言及した——ホストに注目した。しかし今、「ジョン・オリバー」と書かれた記事を投稿しようとするとエラーメッセージが出る。

GreatFire.orgも、HBOのウェブサイトが土曜日か日曜日以降ブロックされていることを報じている。VPNやプロキシーを使った手段を持っていない限り、中国インターネットでオリバーを見つけることはできない。

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時間や場所の制約越えるオンラインのライブヨガ教室「SOELU」が8000万円を調達

前列中央がワクテク代表取締役CEOの蒋詩豪氏

近年エンタメやコマースをはじめ様々な領域で「ライブ動画」というフォーマットが広がってきているが、これからはフィットネスのレッスンもライブ動画化される時代になっていくのかもしれない。

女性限定のオンラインヨガサービス「SOELU(ソエル)」を展開するワクテクは6月26日、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により8000万円を調達したことを明らかにした。

同社では今回調達した資金をもとにプロダクトの開発体制を強化するとともに、SOELUブランドの構築や会員の最大化を目指すほか、インストラクターやトレーナーの人材育成にも力を入れる方針。

なお今回のラウンドに参加した投資家は以下の通りだ。

  • KLab Venture Partners
  • iSGSインベストメントワークス
  • ANRI
  • THIRDPARTY
  • 赤坂優氏
  • takejune氏
  • 大湯俊介氏
  • 花房弘也氏
  • 安田直矢氏
  • 水谷寿美氏
  • 飯田くにこ氏

ビデオチャットを活用、いつでもどこでもヨガレッスン

オンライン英会話サービスがマンツーマンの英会話レッスンをWeb上で手軽に受講できるようにしたように、SOELUはジムやスタジオで開かれる少人数のヨガ教室をオンライン化したサービスだ。

レッスンはビデオチャットシステムのZoomを使ってリアルタイムに実施。インスタラクターが画面越しに受講者の様子を見てフィードバックをくれるため、オンラインではあるものの孤独を感じづらく、臨場感も味わえる。

初級〜上級までレベルに応じたヨガレッスンの他にも、マタニティヨガや産後ケアヨガ、ママ&ベビーヨガ、ピラティス、骨盤トレーニング、全身引き締めトレーニングなど約30種類のプログラムを用意。オンラインの利点を活かし、これらのレッスンを朝5時から深夜24時台まで開催している。

レッスン時間は1回あたり30分〜60分ほど。多くても10名程度の少人数レッスンとなっていて、月に8回受講できる月額3980円(税抜)のプラン、1日2回を上限にレッスンが受け放題となる月額7980円(税抜)のプランがある。

長く継続できるフィットネスサービスを作る

「自分たちが作りたい健康サービスは、ライフステージが変わっても長く続けられるもの。一過性ではなく、継続できる仕組みこそ価値があると考えている」——そう話すのは、ワクテク代表取締役CEOの蒋詩豪氏だ。

ワクテクは2014年4月の設立。当初運営していたオタクコンテンツを扱うキュレーションメディア事業を2017年に譲渡し、同年9月頃から現在手がけるオンラインヨガサービスを検証してきた。その中で体験レッスンを受講した女性約100名にヒアリングしたところ、既存の手段における課題が見えてきたのだという。

「できればジムやスタジオに行きたいけど、時間などの制約があって継続して通うのが難しいという声が多い。その一方でyoutubeの動画やDVD教材ではよほどストイックな人でなければ、孤独で飽きてしまう。特に仕事や家事、育児をしながら美容や健康にも気を配りたい女性には、同じような悩みを抱えている人が多いにもかかわらず、しっかり解決できるソリューションがなかった」(蒋氏)

何もオンラインでヨガのレッスンを受ける仕組み自体は真新しいものではない。試しに「ヨガ オンライン レッスン」などのキーワードで検索すると、いくつか該当するものがでてくる。

ただそれらの多くは録画したレッスンを配信するオンデマンド型のものか、パーソナルトレーニングに近いマンツーマン型のもの。何よりも「楽しく、続けられること」を重視した結果、蒋氏は少人数のライブレッスンという方式が最適だという結論に行き着いた。

「もちろんマンツーマンのレッスンもニーズはあると思うが、レッスンフィーが変わらなければ必然的に生徒が支払う単価は高くなり、負担も大きい。自分たちがやりたいのは一部の人をターゲットにしたものではないので、コスト面も含めて続けにくくなる要因をとにかく取り除いていきたい」(蒋氏)

複数人制をとることで価格を抑え、ライブレッスンにすることで安心感だけでなく多少の強制力を持たせる。

他にも子どもを寝かしつけてから参加できるように予約なしで途中入室できる仕組みや、赤ちゃんが泣いてしまってレッスンが続けられなくなったら無償でチケットを補填する制度を導入。使い切れなかったチケットは繰り越せるなど、忙しくても続けやすい環境を整えている。

レッスンの時間帯も大きく影響するポイントのひとつ。SOELUに多くの受講者が集まるのは、子どもが起きていない早朝や深夜のレッスンなのだそうだ。

この時間帯でも受けられるプログラムはリアルな場だとなかなかないだろうし、仮にあっても自宅を抜け出して通うのは困難。実はインストラクター側にもこの時間帯で講師業をしたいというニーズがあるため、双方にとっていい仕組みだ。

今後は自作のライブレッスンシステムも

SOELUは誰でもインストラクターとしてヨガを教えられるC2Cのプラットフォームではなく、B2C型。仮に予約が0名でもSOELU側で賃金を保証するため、インストラクターは安定的な収入が見込める。集客面でも自分ひとりでやるよりかなり楽だ。

現在SOELUには研修中も含めて約30人のインストラクターが在籍。プログラムのラインナップも30種類ほどで、1日平均15〜20のレッスンが開催されている。

今回調達した資金も活用しながら今後はプログラムを100種類くらいまで増やし、ユーザーが好きな時間に好きなレッスンを受講できるような体制を目指す。また現在はZoomを活用しているが、今後は自社で独自システムを構築する計画だ。

ちなみにSOELUは女性限定のサービスだが、ライブ×フィットネスという軸で他のターゲット層向けのサービスも展開できそうな気もする。その点について蒋氏に聞いてみたところ、直近はSOELUに集中しながらも「ゆくゆくは男性向けのフィットネスサービスなども検討していく予定」(蒋氏)とのことだった。

iPhoneが軽くなる iOS 12パブリックベータ配信開始。ミー文字やAR定規、Siriショートカットなど新機能多数

eng-logo-2015アップルが iOS 12 のパブリックベータテストを開始しました。正式版に先立ち問題を見つけるためのベータ版ですが、開発者でなくても誰でもインストールして試せます(※)。

この秋に正式提供予定の iOS 12は、iPhone / iPad の最新システムアップデート。

旧機種でも動作が軽くなるパフォーマンス改善や、32人までのグループFaceTime通話、自分や誰かに似せたカスタム絵文字を作って表情認識で動かせるミー文字、複数人で同じARシーンを同時体験など強化されたARKit 2、複数アプリの操作を Siri にひと言で実行できる Siri ショートカットといった多数の新機能と使い勝手改善が含まれます。

※ パブリックベータは正式版の前に残る問題を洗い出すことが目的のテスト版。日常使っているアプリで不具合が出る可能性もあります。安定運用できないと困るメイン端末に入れるのはおすすめできません。必ずバックアップしてから導入しましょう。

旧機種含むパフォーマンスの改善

新アプリや操作方法から小ネタ改良まで盛りだくさんの iOS 12 ですが、筆頭に挙げられるのはパフォーマンスの改善。特にマルチタスク時など iPhone / iPad が高負荷で重い状況で、これまでよりも動作が機敏に快適になるとされています。

OSアップデートといえば、新機能が加わるかわりに旧機種では重くなることがよくありますが、iOS 12 では、少なくとも特定の改善ポイントでは、iPhone 5s や iPad Airなど、むしろ対応していることが意外な古い機種でも改善がうたわれています。

iPhone 6sでの例は、ロック画面からスワイプでカメラ起動が最大70%早く、キーボードの表示が最大50%早く、重い負荷時のアプリ起動が最大2倍など。

ARKit 2で拡張現実が本格化。標準アプリでもAR

アップルが力を入れるAR、拡張現実もさらに本格化。要はポケモンGOのAR+モードや「はらぺこあおむしAR」のように、iPhone や iPad をかざして画面ごしに見ると、床や地面に仮想のキャラクターが置いてあるように見えるあれです。

iOS 12 の ARKit 2 では、同じARシーンを複数人が共有して、それぞれの視点から見たり、コラボ編集したり対戦ゲームができるようになります。

ARシーンをまるごと保存して、紐付いた場所に「置いておく」 ことができるようになったため(Persistence)、前回散らかした仮想物体が次回も正確にその場所にあったり、時間を超えてARを体験でいます。

ARを使った新アプリMeasure (計測)が追加。カメラごしに見た平面上の距離を測ったり、四角形を計測できます。模様替えや引っ越しに便利そうです。

またOS標準のQuick LookでARオブジェクトを扱えるようになったため、ウェブにそのまま埋め込んだりメールに添付すれば、各アプリから直接開いてARで眺められます。

開発者APIのARKit 2 ではこのほか、3D物体の認識(おもちゃを映すと透視図が、周囲に仮想キャラがetc)、新しいAR向け3DファイルフォーマットUSDZなどが加わっています。

ミー文字やFaceTimeなどコミュニケーションの強化

絵文字が自分の表情を不気味なほどリアルに反映して動くアニ文字には、お化け、コアラ、虎、ティラノサウルスが追加。ウィンクや舌出しも検出してさらにリアルになりました。

新規追加のミー文字は、このアニ文字の顔を自分好みにカスタマイズして作れる機能。ダイバーシティ(多様性)重視を掲げるアップルだけあってか、カスタマイズオプションは多数用意されています。

アバターを作れるアプリなど洪積世から数多ありますが、ミー文字は見慣れたアップル絵文字テイストで自由に作れること、カメラ顔認識で表情をつけられること、FaceTimeで自分の顔のかわりに表示といった使い方ができます。画像や動画として保存すれば、ほかのメッセージアプリに貼って使うことも一応可能です。

FaceTime では、最大32人までのグループビデオまたは音声通話ができるようになります。iPhone / iPad のほか Mac でも、音声のみながら Apple Watch でも参加可能です。

パワーユーザーに便利な新アプリ「ショートカット」、Siri一発実行や提案も

新規アプリのショートカットは、複数のアプリの操作や本体機能を組み合わせて、簡単に呼び出して実行できる機能。例えば外出先から帰宅するときには、経路と交通状況を調べる、何時くらいに帰れそうとメッセージで伝える、スマートホーム家電があれば着いたときに
ちょうど良いようにオンにするなどなど。

こうして作ったショートカットは、Siri にひとこと言うだけで実行できます。

ヘビーユーザーには便利そう、でもそこまで作り込むのが面倒そうな気もしますが、ショートカットアプリにはテンプレートやすぐに使えるアクションが用意されていて、自分用にアレンジから始められます。

またいつも同じような時間帯や曜日に同じような操作を繰り返している場合など、Siri が察して定形動作を肩代わりしてワンタップやひとことにしてくれるなど、自動化アプリと Siri の両方があって使いやすくなる機能です。

たとえば通勤途中のコーヒーショップにアプリ経由で同じメニューを同じカスタマイズで毎朝注文していたら、Siri がルーチン化して、ひとこと指示するだけで操作をしてくれるなど。

アプリ側の対応も必要ですが、複数のアプリを開いたり閉じたり、操作を覚えたり、結果を覚えて別のアプリに貼り付けたり……といったことは、いずれ Siri がかわりにやってくれる未来になりそうです。

スクリーンタイム

スクリーンタイムは、自分のスマホ使用状況を確認して、必要に応じて制限もできる機能。ペアレンタルコントロールの一部として、こどもがどのアプリやウェブサイトをどれくらい使っているか把握したり、時間帯や使用時間で制限するといったこともできます。

そのほか

通知の改良。メッセージなどひと言ごとに並んで埋めてしまう通知はグループ化したり、うるさい通知をアプリ側設定やシステムの設定に潜ることなくその場で止める・管理するなど。通知への対応を Siri が観察して設定を提案してくれます。通知オフでも重要な通知のみ残すオプション設定。

おやすみモード(DND)。 予定表から「この予定が終わるまで」通知オフや、この場所を立ち去るまで、翌朝ロック解除するまでなど。カレンダー上で予め設定が可能。

カメラの改良。ポートレートライティングが強化。サードパーティー向けに写真をレイヤ分けするAPIを提供することで、今後のアプリで活用が期待できます。iPad Pro で RAW写真編集。

写真アプリの検索が大幅強化。イベント名で検索、「日本料理店」などカテゴリーで検索して複数の日時から検索、複数検索ワードでの絞り込み、イベントや参加者を認識して共有提案など。

プライバシー・セキュリティ。 Safari で、ソーシャルボタンなどによる合意のないトラッキングを防止、パスワード使い回しの監視警告、SMSで届くワンタイムセキュリティコードの入力候補サジェスト(覚えて打ち直す必要なし)、iOS や macOS / tvOS とのパスワード共有、強力なパスワードの自動生成と保存など。

iPad にボイスメモアプリ追加

iPadで iPhone X 風のジェスチャ対応(上スワイプだけでホームまで戻る、右上隅からスワイプインでコントロールセンターなど)

iOS 12 パブリックベータは、アップルのペータテストプログラムのページから。Apple ID と端末を登録して、プロファイルをインストールすると、システムのソフトウェア更新に現れるようになります。しつこいようですが、あくまでテスト版なのでアプリが動かなかったり困る可能性があります。問題が出るからこその洗い出しテスト版です。

Engadget 日本版からの転載。

連続起業家の家入一真氏らが50億円ファンド設立へ、「僕たちはエンジェル投資家のスタンスを貫く」

写真左より、NOW共同代表の梶谷亮介氏と家入一真氏

CAMPFIRE代表取締役で連続起業家の家入一真氏と、VCや証券会社においてスタートアップ投資やIPO支援を行ってきた梶谷亮介氏は6月26日、最大50億円規模のベンチャー投資ファンド「NOW」を設立した。

同ファンドのアドバイザリーボードには、グリー代表取締役の田中良和氏やフリークアウト・ホールディングス取締役の佐藤祐介氏など業界の第一線で活躍する起業家らが名を連ねる。

「これまで行ってきたエンジェル投資を、もっとシステマティックにできないかと考えていた」と話す家入氏。これまで個人で起業家を応援するつもりでエンジェル投資を行ってきたが、それには限界があると感じ、家入氏が2004年に立ち上げたpaperboy&coが上場する際の主幹事証券会社でIPO支援を行っていた梶谷氏とタッグを組むことにした。

そんな彼らが重要視するのは、“VCだけれどVCではない”という姿勢を貫くことだ。「大抵のエンジェル投資家は、みずからも起業家であるからこそ、投資先の気持ちが分かる。VCがお金を投資してアドバイスを行うということは役割であり、それを口実に起業家の時間を奪ってはいけないと思う。僕の特技は人生相談。起業家の悩みにのってあげたり、迷ったときには背中を押してあげる存在になりたい」(家入氏)

投資領域も特に制限をかけていない。家入氏にはC向けサービスの相談が来ることが多く、必然的に投資先もC向けサービスが多いというが、同ファンドでは基本的にインターネットで“居場所”を作る企業に投資をするという。

「僕自身、中学生のときにいじめられて学校に行けなくなったという経験がある。それ以降、自分の居場所になったのがインターネットです。SNSやシェアエコノミーなど、(誰かの心の拠り所になる)居場所をつくる企業を軸に投資をしていく」と家入氏は語る。

「日本経済全体が縮小していくなか、これまでの大きな経済からこぼれ落ちてしまう人たちがいる。そうした人を救うためには、彼らの救命ボートとなるような小さな経済をたくさん作っていく必要がある。少子高齢化などの課題がある日本で、なぜ自分が起業するのか、という課題感をしっかりと持つ起業家に投資をしたい。PLやBSで判断できないスタートアップ投資では、“人”を見るしか方法がないんです」(家入氏)

NOWはすでにファーストクローズを実施しており、LINE、グリー、セプテーニ・ホールディングスなどの企業がLPとして同ファンドに参加している。NOWは年内〜来年春をめどに目標金額である50億円を集め、ファイナルクローズを実施する予定だ。

Google Earthに距離と面積の計算機能が加わった、面積計算はMapsにほしいな

数年前までは、Googleの衛星3D画像を見る唯一の方法がGoogle Earthだった。今ではGoogle Mapsで実用上十分に、その地図と対応する機能を利用できるが、しかしそれでもGoogleはEarthの開発を密かに続けていて、今日(米国時間6/25)同社は、面積の計算機能を加えた、と発表した。その機能を使えるのは、Webでは今日から、Androidは今週後半、そしてiOSは“もうすぐ”だ。

それほどすごい機能でもないし、距離はGoogle Mapsの地図に表示されるルーラーでも分かる。でも面積計算は、学生などにとってとくに便利だろう。

また、今回の発表は、Googleは複数の製品にまたがって機能の重複が多いことを、改めて思い出させる。それは、チャットだけではない。今回は、Google Earthに関するとても久しぶりの発表だし、ツアーのようにまだMaps上では利用できないEarthの機能が多少あることも事実だが、でも最近ではEarthのWebやモバイルバージョンが必要なことは、めったにない。今回の面積計算機能も、EarthだけではなくMapsにも加えた方が、実用的だったのでは?

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Oculus Go、専用TVアプリを発表

Oculusは、ヘッドセットOculus Goの大きなバーチャルスクリーンでストリーミングビデオを見るためのTVアプリを公開する。

同社はFacebookのF8デベロッパーカンファレンスで、低価格ヘッドセットの能力を最大限に引き出す専用アプリ4種のうちの1つとしてOculus TVを披露した。アプリは5月末に公開されるはずだったが、ようやく目にすることができた。

Facebookは199ドルのOculus Goの大きなセールスポイントを、最も安いホームシアターにしたいと思っている。Oculus TVは、伝統的ビデオ視聴に関わるあらゆる機能を揃えるための大きな一歩だ。アプリは既存のヘッドセットユーザーに無料で配布されるほか、今後はデバイスにプレインストールされる予定。

アプリは巨大2Dスクリーンのあるバーチャルリビングルームを中心に展開され、ユーザーはそこで好きなビデオを見られる。このアプリが専用ビデオ視聴スペースを持つソーシャルアプリのOculus Roomsと別に存在する理由は明確ではないが、会社としてはこのデバイスのビデオ視聴能力を特別に強調したかっただけなのかもしれない。

公開時点で対応するのはFacebook Watch(当然)の他、Red Bull TVとPluto TV。また、スポーツネットワークのESPNとの提携についても先行紹介した。

Oculus Goはストリーミングネットワークの関心を引くことに期待をかけており、その多くはすでに独自のバーチャルリアリティープラットフォームを作っている。HuluやNetflix、ShowtimeなどでダウンロードしたネイティブアプリをOculus TVアプリ経由で動かすこともできるが、それは組織的な改善にすぎない。

2Dビデオ専用の本拠地を持つことはOculusにとってよい選択だが、ユーザーにとっては自分が興味をもつコンテンツを所有するパートナーをFacebookが確保してくれれば一層嬉しいだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Chris Dixonインタビュー:Andreessen Horowitz、3億ドルの暗号通貨ファンド結成――元連邦検事が女性初の共同責任者に

シリコンバレーを代表するベンチャーキャピタルの一つ、Andreessen Horowitzがビッグニュースを2つ発表した。今日(米国時間6/25)、同社は総額3億ドルの暗号通貨専門ファンドの設立を完了した。Cryptoファンドは先週、Andreessen Horowitzのリミッテッド・パートナーから出資契約を得ていた。

Cryptoファンドは最近シリコンバレーのベンチャー業界最大の話題となっていた。というのも他のベンチャーキャピタルも暗号通貨テクノロジーに対する戦略を決めようとしており、この5年間、暗号通貨への投資を着実に増やしていたAndreessen Horowitzの動向を注視していたからだ。

もうひとつのビッグニュースは、創業9年になるAndreessen Horowitzに初めて(ついに)、女性のジェネラル・パートナーが誕生したことだ。Katie(Kathryn) Haunは以前からジェネラル・マネージャーを務めるChris Dixon(筋金入りの暗号通貨支持者)と共にAndreessen Horowitzの暗号通貨ファンド担当のジェネラル・パートナーに就任した。Haunの株はこの数年シリコンバレーで上昇を続けていたので同社がジェネラル・パートナーに選んだことは意外ではない。

Haunは司法省の連邦検事を10年以上務め、証券取引委員会、FBI、財務省などと協力して詐欺、サイバー犯罪、企業のコンプライアンス違反の捜査と訴追に当ってきた。Haunの略歴には司法省初のデジタル資産担当調整官という職務もみえる。中でも注目すべきなのは、暗号通貨取引所の歴史で最大の経済事件となった、Mt. Goxの不正を捜査し、オンラインの麻薬や違法物質の取引所となっていたSilk Roadを捜査するチームに加わっていた点だろう。Haunはまたスタンフォード大学ビジネススクールの講師、暗号通貨取引ネットワーク、Coinbaseの取締役を務めている。 Andreessen HorowitzはCoinbaseの最初期からの出資者で、Dixonが取締役だったためHaunと知り合ったという(2人は現在も取締役)。

今日、TechCrunchはChris Dixonにインタビューすることができた。われわれはファンドの詳細、特にDixonとHaunが投資先の暗号通貨スタートアップのエグジット(現金化)についてどう考えているかを尋ねた。これまでのところクリプト企業がエグジットに成功した例は少ない。なお、読みやすさと文章量を考慮して以下のテキストには若干の編集が行われている。

Chris Dixonインタビュー

TC: 3億ドルの出資者の大部分はもともとAndreessen Horowitzの本体のファンドの出資者だと思うが、暗号通貨ファンドの結成は今後の本体ファンドの結成に何らかの影響を与えるだろうか? つまりAndreessen Horowitzは暗号通貨分野にこれまで以上に力を入れ、反面、他の分野への投資は減少することになるのだろうか?

CD: 答えはノーだ。われわれはこれまで投資してきた分野への投資をフルスピードで続ける。Cryptoファンドの結成はこの分野への努力を倍加するということであり、コンシューマー向け、エンタープライズ向けのプロダクトだろうと、バイオ・テクノロジーだろうと、これまでのコミットメントを減少させることはまったくない。

TC: 新しいファンドが他の暗号通貨ファンドに投資することはあり得る? Union Squareはこれを積極的に推し進めているが?

CD: あり得る。しかし当面そのつもりはない。われわれは暗号通貨ビジネスについて学ぼうと考え、Polychainその他何社かに1年半前から投資を始めている。今回暗号通貨を専門とする本格的ファンドが作られ、初期段階、後期段階両方の暗号通貨プロジェクトに出資できる体制が整えられた。われわれの使命はあくまでそうしたスタートアップへの直接投資だ。もっとも何ごとであれ「絶対ない」と言うつもりはない。

TC: Andreessen Horowitzはこれまでに何件ほど暗号通貨プロジェクトに投資してきたのか? そのうちの何件かは新しいファンドに移管されるのか?

CD: われわれはこの5年で20件程度の暗号通貨投資を行っている。. [Bitcoinのライバル] Ripple は私の最初の暗号通貨投資で、2013年1月のことだった。その後、同年中にCoinbase、21.coに投資した(同社はEarnになり、今年Coinbaseが買収している)。 その他、OpenBazaar、Mediachainにも投資した。やがてEthereumがスタートして暗号通貨分野の動きが激しくなってきた。才能ある起業家や優秀な企業が参入し始めた。われわれの[既存の暗号通貨プロジェクトへの]投資は当初の枠組みのまま本体ファンドに残る。

TC: 新ファンドですでに投資を決めた案件は?

CD: いくつか検討中のプロジェクトがある。ただし決定したものはない。

TC: このファンドの投資はどのような形態になるのか?

CD: エクイティー〔株式〕投資の一部はトークンによる投資 [つまりスタートアップがトークンを発行し、投資家が購入できる場合]が行われるだろう。われわれは〔適格投資家のみを対象とする〕SAFTによる投資も実施している。 われわれはまたストレートなBitcoinやEthereumの購入という形式でも投資してきた。しかし〔Andreessen Horowitzの〕本体ファンドでは投資方法に限界に突き当たった。そこで優秀な起業家がビッグかつ重要なアイディアを実行に移そうとしており、それに経済的将来性があるなら、あらゆる方法で投資したい。そこで条件を整えた専門ファンドを結成したわけだ。

TC: そうした投資のエグジットはどうなるのか?

CD: いい質問だ。これまでわれわれは暗号通貨資産を売却したことはない。この業界のプレイヤーの多くはデイトレーダーだ。しかしわれわれは投機筋ではなく、投資家だ。われわれはどんな投資も5年から10年にわたってポジションを維持していく考えだ。こうしたスタートアップの一部が発行するトークンは自由に流通するようになるだろうから、そういう形でのエグジットも可能だろう。いちばん可能性が高いシナリオは、アーリー・ステージの暗号通貨プロジェクトに投資し、引き換えにデジタルコインあるいはトークンを受け取ることだろう。その後プロジェクトが成功すればこうしたデジタル資産はそれに応じた評価を受ける。しかし何億という人々に利用されるようになることを目標とするプロジェクトの場合、われわれはそうした目標が実現するまでエグジットを考えることはない。

TC: ファンドの出資者に対してトークンで払い戻しを行うことはないと考えていいだろうか?

CD: そのとおり。われわのリミッテッド・パートナーは通常のキャッシュを好んでいる。

TC: 投資先企業における持ち分比率についてどのように考えているか?

CD: 伝統的なベンチャーキャピタルのビジネスモデルでは10%から20%の持ち株比率を目標とする。しかし暗号通貨スタートアップの場合は固定的な持ち株比率を考えるのは現実的でない。ごく初期のプロジェクトでは持ち株比率が会社評価額と連動するからそれを目安とするかもしれない。しかし一般的に言って、われわれは率ではなく額を問題にする。この投資は元が取れるほど成功しそうか、といったことだ。次のビッグウェーブに登場する企業はわれわれがこれまで経験したのに比べて10倍も大きくなるだろう。

TC: ICOについてどう考えるか? 将来適格投資家以外にもトークンを広く販売する予定の会社にも投資する予定か?

CD:適切に実施されるならICOは暗号通貨へのアクセスを拡大し、デモクラタイズする。これは正しい考えだと思う。参加者を増やすために役立つアイディアはなんであれ歓迎だ。しかし現在実施されている多くのICOは規則を忠実に守って実施されているとは考えられていない。われわれはこうしたICOには一切関与して来なかった。われわれはFilecoinに投資しているが、このICOの対象は厳密に適格投資家に限られていた。

TC: 投資における利益相反についてどう思うか? この分野はスタートしたばかりなので同種の企業に投資する制限についてもこれまでの例とは異なる点が多いのではないかと思う。伝統的分野におけるベンチャー投資では、当然ながら、複数のライバル企業に投資するのはタブーだが。

CD: クリプト企業への投資では伝統的なベンチャー企業への投資とは行動基準が違ってくる。基本的にベンチャーキャピタルは直接の競合関係になる会社の双方に投資してはならない。しかし暗号通貨では倫理が異なる。企業同士はライバルというより協力関係にあることが多い。この分野の参加者はパイ一切れの大きさを巡って戦うのでなしに、まず協力してパイ全体を大きくしたいと考えている。われわれは競合するプロジェクトへの投資が行われないようチェックしてきた。しかし暗号通貨のような動きの速い新興マーケットでは固定的なカテゴリーで考えることは難しい。この分野での投資基準はまだ確立していないが、たとえば、暗号通貨を複数の種類支援することはあり得る。

TC: Basisの投資家の1人としてステーブルコインについてどう考えているか? 価値が不規則に変動せず安定したプロダクトを作り出そうとしているスタートアップだが、暗号通貨が広く利用されるためには価格安定性が必須だろう。ステーブルコインでは複数のプレイヤーが存在する余地があると考えるか?

TC: われわれはBasisだけでなくMakerにも投資している。両者の仕組みは大きく異なるが、われわれは相互補完的だと考えている。投資を決定する際に両者に詳しく話を聞いた。ステーブルコインというアイディアは重要だ。暗号通貨がメインストリームになるためには、現在のような価値がボラタイルな通貨でなく、アメリカ・ドルのような安定した外部の価値によって担保される仕組みが必須だ。そうした重要性を持つインフラだけに、勝者は複数存在することになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

中小企業の若手後継者の支援を目的とする一般社団法人、ベンチャー型事業承継が発足

中小企業庁によると、今後10年の間に、平均引退年齢である70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、そのうち約半数の127万人(日本企業全体の1/3)が後継者未定という。

中小企業庁長官の安藤久佳氏は2018年1月の年頭所感で、「現状を放置すると、中小企業・小規模事業者廃業の急増により、2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性がある」と述べていた。

このように後継者不在による廃業が深刻化する中、中小企業の若手後継者の支援を目的とする一般社団法人、ベンチャー型事業承継が本日6月25日、発足した。

同団体は、官民さまざまな組織と連携し、家業の経営資源を活かして新たな事業を起こす若手後継者の挑戦を後押しするプラットフォームを構築することを目標にしているという。

発起人で代表理事を務める千年治商店の代表取締役、山野千枝氏は都内で開催された記者会見で「家業というフィールドで新しい挑戦をする全国各地の後継の方々を応援したい」と意気込んだ。

ベンチャー型事業承継とは「若手後継者が、先代から受け継ぐ有形・無形の経営資源をベースに、リスクや障壁に果敢に立ち向かいながら、新規事業、業態転換、新市場参入など、新たな領域に挑戦することで、永続的な経営をめざし、社会に新たな価値を生み出すこと」だと山野氏は説明する。

同氏いわく、若い世代は家業を継ぐことを「なんとなく後ろめたい」「かっこ悪い」と感じていることが多いそうだ。そこで「中小企業の新規事業として片付けられていたことをあえてベンチャーと呼んでいく」ことで「起業家もかっこいいけど、後継社長もかっこいいと若い世代が思えるカルチャーをつくる」のが同団体のねらいだ。

「若手後継者の人たちの取り組みをベンチャーと呼んでいきましょうというような考え方。家業の有形・無形の経営資源に自身が持ち込むノウハウとか経験とかをかけ算し、新しいビジネスを起こしていく」(山野氏)

一般社団法人ベンチャー型事業承継の代表理事、山野千枝氏

会見に出席した経済産業省 新規事業調整官の石井芳明氏は「日本の中小企業の技術力であったり、商流であったり、商人のこころ。そういったところからベンチャーが出てきてほしい」と語った。

ベンチャー型事業承継の主な事業内容は以下のとおりだ。

  • 若手後継者対象の研修事業
  • 若手後継者対象の新規事業開発支援
  • 若手後継者対象の事業化サポート
  • ベンチャー型事業承継事例の収集・蓄積・発信
  • ベンチャー型事業承継政策への提言

初年度は、協賛企業を開拓するとともに、金融機関や自治体に向けて、若手後継者を対象としたベンチャー型事業承継支援サービスの導入を働きかけていくという。

また、アイデアソンやピッチイベントなどのイベント支援なども行っていくようだ。

ペイパル、クレカ不要に。銀行口座から決済できる新サービス

eng-logo-2015ペイパル(PayPal)は6月25日、クレジットカード不要・銀行口座との連携で決済できる新サービスを発表しました。

この新サービスでは、従来のクレジットカード(デビットカードも含む)支払いに加え、銀行の口座振替による支払いにも対応。対応口座をペイパル口座と連携させることで、クレジットカードを持たないユーザーでも、ショッピングや決済でペイパルを利用できるようになります。

現時点での対応口座は「みずほ銀行」「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「りそな銀行」「埼玉りそな銀行」「ゆうちょ銀行」の計6行。銀行口座からペイパル口座へのチャージはできません。

●個人も「支払いの受け取り」が可能に

また、支払いを受け取る「ペイアウト機能」を7月以降に拡充。企業から個人へ簡単に支払えるようになります。

シェアリングエコノミーやEコマースの拡大で、企業から個人へ支払う機会が増えていることが背景にあるといい、個人ユーザーはペイパル口座で1回あたり10万円までの受け取りが可能に。また、対応銀行口座とオンライン連携で本人確認することで、1回あたり100万円までの受け取りや、銀行口座への引き出しが可能になります。

企業側のメリットとしては、個人ユーザーのペイパル口座(メールアドレス)と金額を指定するだけで、簡単に支払うことが可能。また、国内外にリアルタイムに支払えることに加え、API連携による手続きの自動化で、コスト削減効果も見込めるとアピールします。

カード情報を店側に伝えずにクレジットカード決済できる「安心」「安全」なサービスとして注目を集めていたペイパル。単にショッピングにとどまらない、トータルの決済手段として存在感を高めていけるか期待したいところです。

Engadget 日本版からの転載。

4年越しの夢の実現へーー電力小売向け基幹システムのパネイルが約19億円調達

電力小売事業者向けの基幹システム「Panair Cloud(パネイルクラウド)」を展開するパネイルは6月25日、Ad Hack Ventures、インキュベイトファンドなどから総額19億3000万円を調達したと発表した。これにより、同社の累計資金調達額は31億1000万円となる。

今回のラウンドに参加した投資家は以下の通り:

  • Ad Hack Ventures
  • インキュベイトファンド
  • SMBCベンチャーキャピタル
  • NCBキャピタル
  • 七十七キャピタル
  • 千葉功太郎氏
  • DG Daiwa Ventures
  • 山口キャピタル
  • 横浜キャピタル
  • りそなキャピタル
  • YJキャピタル

パネイルは、2016年4月に実施された電力小売全面自由化によって急増した電力小売業者向けに基幹システムを提供するスタートアップ。同社はこの基幹システムの開発のほか、北は札幌から南は福岡まで、全国7ヶ所に電力小売会社をグループ子会社として抱え、みずから電力を供給するプレイヤーとしても活動している。

パネイルが提供するPanair Cloudは、これまで人力で行なっていた作業をコンピューターや人工知能が行うことで大幅な業務効率化を実現したクラウドベースの基幹システム。顧客管理や需給管理など、電力小売事業に関わる一連の業務を一気通貫して行うことができる。Panair Cloudについては以前もTechCrunch Japanで紹介しているので、こちらの記事も参考にして頂きたい(当時のサービス名は「Odin」)。

でも、パネイルはこれまで長い間そのPanair Cloudを外部に提供してこなかった。いや、できなかったという方が正しいだろう。

「これがずっとやりたかった」

パネイルは2012年12月の創業で、当時は太陽光発電を始めたい一般消費者と施工業者をつなげるマッチングサービスを提供していた。しかし、その事業は結局上手くいかずピボットせざるを得なくなった。2014年頃のことだ。そして、代表取締役の名越達彦氏が次に目をつけたのが、自由化を控え注目の真っ只中にあった電力小売事業だった。

電力という生活インフラを扱う電力小売事業では、そのビジネスの根幹を支える基幹システムの導入は必須だ。しかし、大手ITベンダーが提供する基幹システムは導入費用だけでも数億円かかる代物。これでは、せっかく電力小売自由化が実施されて新規参入が促進されたとしても、資本を持たない企業にとっては参入障壁が大きすぎる。それに、それらの基幹システムは自動化された部分が少なく、多くの人の手を必要とするものだった。

そこで、パネイルはRPA(ロボットによる自動化)技術を駆使したクラウドベースの基幹システムを自社でゼロから開発し、それを小売業者に販売することを目指す。開発費も他社と比べて「数十分の1」(名越氏)に抑え、より安価なソリューションを提供できるはずだった。

しかし、この基幹システムの販売事業も上手くいかなかった。電力小売事業者にとっては、生活インフラを扱うからこそ、実績もないスタートアップの基幹システムを導入する気にはならなかったのだ。実績を作らなければ売れない。でも売れないから実績も作れなかった。

そこで名越氏は、みずからが電力会社となり運用実績を作ることを決心する。そうして立ち上げられたのが前述した全国7ヶ所にある電力子会社だ。「自分の祖母にでも受け入れられやすい名前を」(名越氏)ということで、各電力会社の名前は「札幌電力」や「東海電力」など、あたかも創業100年級の企業のような名前にして、地道に電力の小売を続けてきた。

この地道な努力は2018年4月に実を結ぶ。同社は東京電力エナジーパートナーと共同でジョイントベンチャーのPinTを設立。この新会社は、パネイルの基幹システムを導入して電力やガスの供給を行う企業。ジョイントベンチャーではあるが、パネイルにとってこれが自社システムを外部に提供する初めての事例となった。同年5月にはPanair Cloudの外部向けソリューションである「Panair Energy Automation」も発表している。

「僕たちはこれがずっとやりたかった」と名越氏は話す。パネイルが今回大型調達を実施したのも、外部へのソリューション提供をさらに加速するためだ。同社は今後も電力小売業者とともにPinTのようなジョイントベンチャーを立ち上げ、レベニューシェアすることによって収益基盤を拡大する方針。PinTの場合、資本金8億円のうち3億2000万円(40%)はパネイルが出資しており、これを続けていくにはお金がかかる。だからこそ、同社はここでアクセルを踏んで大型調達に踏み切ったというわけだ。

名越氏は取材のなかで、「僕たちは当初、お金がなくて人が雇えなかった。人が雇えなければ技術でなんとかしよう、ということで進化を続けていったのがPanair Cloudだ」と話した。驚くべきことに、全国7ヶ所の電力会社を含むパネイルグループの総従業員数はわずかに50名ほど。この人数でも全国的な電力小売を行えるほど、Panir Cloudによる業務効率化の効果は大きい。ピボットから約4年。Panair Cloudは苦労の末にやっと実った果実だ。

米最高裁、携帯電話記録の犯罪捜査への利用を令状必須に

今日(米国時間6/24)午前、米国最高裁判所は、警察が携帯電話記録から個人を追跡する際、裁判官の許可を必要とする決定を下した。5対4で決定した裁定は米国のプライバシー擁護派の勝利とされている。

この決定は、2011年にFBI捜査員がRadio ShackとT-Mobileの店舗に押し入ったミシガン州在住の容疑者を捕らえるために、3ヶ月分の通話記録を使用したことに端を発する。容疑者の弁護人は依頼人が敗訴した後、令状がないので証拠は却下されるべきだと主張した。

判決文を書いた裁判長のJohn Robertsは、この場を利用して裁定の限定性を強調した。「政府は大多数の捜査において召喚状を用いて記録を入手できる。令状が必要なのは第三者の保有する記録について容疑者が正当なプライバシー権利を有する稀な場合に限定される」

Roberts裁判長は、他の4人のよりリベラルな裁判官とともに、生死に関わる状況においてはそのような記録を令状なしで利用する可能性については検討が必要だと言った。

「すなわち、警察当局が緊急事態に直面した際、そのような事実に基づく脅威は令状を伴わない位置情報の利用を正当化する可能性が高い」と彼は書いた。「たとえば、下級裁判所は、爆弾脅迫、銃撃事件、児童誘拐などに関わる無令状捜査を承認している。本日の裁定はそのような状況での位置情報の無令状使用に疑念を挟むものではない。警察は日常的犯罪捜査のために位置情報を利用する場合には令状を取得すべきだが、この裁定が、緊急事態に対応する能力を限定するものではない」

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookのMessenger Kids、米国外にも展開。「思いやり」機能を追加

Facebookの子供に優しいメッセージングアプリ、Messenger Kidsが初めて米国外に進出する。今日(米国時間6/24)からカナダとペルーで使えるようになる。同時に、アプリのフランス語とスペイン語バージョンも公開し、”Messenger Kids Pledge” や”Kindness Stickers”(思いやりスタンプ) など、ネット上のコミュニケーションでポジティブな感情を引き出すための機能が追加され、敬意と共感の推進に力を入れている。

スタンプは “MY BFF”(永遠の大親友)や”Well Done”、”Best Artist”などのことばが、シェアする写真に貼るようにデザインされている。

“Messenger Kids Pledge” も役に立つ。親子で一緒に読むように作られていて、オンラインで振る舞うための基本的ガイドラインなどが書かれている。たとえば、「人とのやりとりには思いやりを」「つねに敬意を持って」などの気持ちを思い出させ、誰かがすぐに返信しないときは忙しいだけかもしれない、と説明する。「安全に」「楽しく」もガイドラインに含まれている。

小さな追加に思えるがもしれないが、これは新しいテクノロジーを使わせるとき親から子供に言っておくべきことだった——多くの人はやっていない。子供がどんなアプリを使っているを知らない親もいる。その結果安全性の低いアプリが犯罪者の温床になっている。

Messenger Kidsは、使うためには親の介入が必要という新しいタイプのアプリだ。子供は親の承認がないと友達を追加することができず、アプリは親のFacebookから直接管理できる。

昨今Facebookを信じにくい人が増えていることは理解できるが、子供が管理された環境で人と交流し、社会生活を行う「練習」ができる場として、ほかに有効な代替手段は見当たらない。子供たちは大人や年長ティーンエージャーに向けられたSnapchatやInstagram、Muical.lyなどのアプリを使いたがるが、個人的には “tween”[8~12歳]には使わせたくないアプリだ。

Messenger Kidsはを使う子供は、少なくとも承認された人たち(親が知っていて信頼する人およびFacebook上の家族メンバー)とプライベートに交流する手段を与えられている。まだ親の監視が必要な年齢にあり、よくない行動があれば正す必要がある。

Messenger Kidsを使う代わり多くの親がしていることは何か——子供が一定の年齢に達するまで一切ソーシャルアプリを使わせず、インターネットの狼たちの中に子供を放り出す。それは本当によいことなのか?

囲われた砂場のような環境でありながらも、子供たちはMessenger Kidsが好きだ。そこには、彼らの欲しがる大人向けアプリ(写真フィルターやスタンプ)の機能があるからだ(できればFacebookの新しいリップシンク機能を加えてくれれば、Musical.lyが欲しいという要求を毎日聞かずにすむので、ありがたい)。

思いやりと敬意の追求と関連して、Messenger Kidsは近々アプリ内のインタラクティブガイドとして “Appreciation Mission” を公開予定だ。これは子供が友達や家族に対する感謝の気持ちを発見し表現することを推進する機能だ。子供がビデオ通話や写真を送るやり方を知るための”Mission” セクションに置かれる。

Facebookによると、同社はYale Center for Emotional Intelligenceおよび、世界中のアドバイザーグループの協力を得て、これらのソーシャルや情緒的な学習に着目した機能の開発を行っている(Yale Centerは有償のアドバイザー)。

考えてみれば、多くの大人もこの種の機能の恩恵に預かれるはずだ。FacebookとTwitterも、アプリに思いやりリマインダー機能をつけるべきなのかもしれない。

Messenger Kidsは、ユーザーのフィードバックに基づいて、親2人が子供のアカウントを管理できる機能を、追加した。

アプリはiOSおよびAndroidで無料ダウンロードできる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookがファクトチェックを強化。新技術を導入してフェイクニュースと戦う

今日(米国時間6/21)午前、Facebookは同社のファクトチェック(事実検証)プログラムを始めとするフェイクニュース対策の拡大について発表した。2016年の大統領選挙の際にロシアの誤情報キャンペーンに侵入され、1億5000万人のアメリカ人に偽ニュースを配信して以来、人間とアルゴリズムの両面からファクトチェックを強化してきた。

同社は昨年の春にサイト内のニュースのファクトチェックを、超党派国際ファクトチェックネットワークの認証を受けた独立第三者ファクトチェック業者の協力を得て開始した。

ファクトチェックで記事の正確さを評価することによって、Facebookは偽情報とされた記事のニュースフィードのランクを下げて配信を減らすことができる。

本日Facebookは、このプログラムを世界14カ国に拡大し、今年中にさらに多くの国々で展開すると発表した。さらに同社は、ファクトチェックの効果でフェイクニュースの配信が平均80%減少したことも報告した。

同社は写真とビデオのファクトチェックのプログラムを4カ国に拡大したことも発表した。

今年の春以来、Facebookは改ざんされたビデオや写真のファクトチェックも行っている。政治路線に合わせて文脈から外れた画像の使い方を防ぐものだ。これは極めて大きな問題であり、さまざまな場面や場所、時間の画像を組み合わせて使うことで事実を曲げたニュースを拡散するやり方は非常に多く見られる。

一例として、Druge Reportが米国・メキシコ国境に関する記事で使用した少年らが銃を持っている写真がある。その写真は実際には国境とかけはなれたシリアで2012年に撮影されたもので、写真家によって次のキャプションがつけられていた。「シリアのアザーズで4人の若きシリアの少年が、おもちゃの銃を抱えて私のカメラの前でポーズをとっている。私が会った人の殆どがピースサインをしていた。この小さな町は2012年にアザーズの戦いで自由シリア軍に制圧された」。

偽画像や誤解を招く画像で人々の恐怖や嫌悪感や他の集団に対する憎悪を煽ったりする行為は、オンラインで写真やビデオを悪用する典型的方法であり、ファクトチェックすべき対象だ。

Facebookによると、同社は機械学習技術を活用して、すでに暴露された記事の再利用を発見するのに役立てている。そして同社は、ファクトチェックのパートナーと共に、Schema.orgのClaim Reviewを利用する。これはオープンソースのフレームワークで、複数のファクトチェッカーがレーティングをFacebookと共有することで、特に非常時におけるソーシャルネットワークの行動を迅速化する。
同社は、フェイクニュース対策拡大の一環として、機械学習を利用して、金銭目当てのデマを拡散する海外Facebookページのランクを下げる取り組みも行っている。

近く、Facebookと共同で誤情報の量と影響を測定している選挙調査委員会がウェブサイトを立ち上げ、初の提案依頼を発表する予定だ。

Facebookは、選挙と民主主義におけるソーシャルメディアの役割をさらに追求する計画をすでに発表している。この委員会は、プライバシー保護されたデータセットやユーザーがFacebookに貼ったリンクのサンプルをアクセスできるので、どんなコンテンツがシェアされているかを理解するのに役立つとFacebookは説明した。この調査は「当社が説明責任を果たし進捗状況を把握するのに役立つ」と同社は言っている。

今後に注目したい。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberとは違う、日本らしいやり方でタクシーを変えるーー楽天子会社の元CEOが手がける相乗りアプリ

写真左よりNearMe代表取締役の高原幸一郎氏、同CTOの細田謙二氏

郊外の地域では、終電後のタクシー乗り場に長蛇の列ができることが多い。なんとか終電で最寄り駅まで辿り着いたのはよいものの、もうすでに最終バスもない。そんな人は自分だけじゃないから、タクシーを求めて長い列ができるのだ。

海外にはUberがあり、自分がどこにいてもUberドライバーを気軽に呼ぶことができる。向かう方角が同じ他のユーザーとライドシェアして、運賃を浮かすこともできる。でも、日本ではいわゆる「白タク」は違法行為であり、海外でUberを経験したTechCrunch Japan読者のみなさんは「日本はまだまだ」と悔しい思いをしたこともあるだろう。

そんななか、白タクとは違うやり方でこの課題を解決しようとするスタートアップがいる。ニッセイ・キャピタルのアクセラレーションプログラム「50M」の“特待生”として5000万円の資金調達を実施し、本日6月25日にタクシー相乗りアプリ「 nearMe.(ニアミー)」を東京エリアで先行リリースしたNearMeだ。

同じ方角に向かうユーザーをマッチング

先ほどUberの名前を挙げたばかりの僕が言うのもなんだけれど、Uberの仕組みを理解している人は、まず頭をまっさらにしてほしい。nearMeはUberとはまったくの別物だからだ。nearMeは自社でタクシードライバーを抱えていないし、指定されたポイントにタクシーを配車することもない。彼らがやるのは、同じ方角に向かうユーザー同士をマッチングすることだけだ。

ユーザーはまず、nearMeのアプリを開いて目的地を入力する。すると、自分の近くにいて、かつ同じ方角に向かう“相乗り候補”と、その人と相乗りする場合のルート、相乗り運賃がアプリに表示される。その条件にユーザーが納得した場合、アプリ内のチャット/音声通話機能でマッチングした相手とコミュニケーションをとり、相乗りするための待ち合わせをするという流れだ。待ち合わせと言っても、そこにタクシーが配車されるわけではなく、ユーザーは自分でタクシーをつかまえる必要がある。

ユーザー間の清算は以下のようになる。まず、タクシーを最後に降りる人(ライドリーダー)は通常通りタクシーの運転手に運賃を支払う。その一方、途中で降りる人(ライドメンバー)はアプリに登録したクレジットカードを通してマッチング時に表示された“相乗り運賃”をライドリーダーに支払う。その後、ライドリーダーの銀行口座に相乗り運賃が入金される仕組みだ。もちろん、相乗りなのでユーザーは1人で乗車したときよりもお得にタクシーを利用できる。

ただ、注意すべきなのは、この時にライドメンバーがライドリーダーに支払う金額は、実費ベースで計算したものではなく、相乗りする前に表示された想定運賃だということ。つまり、タクシーが実際に走ったルートによっては事前に想定した相乗り運賃と実際の運賃のあいだに多少のズレが生じてしまう。

Uberとは違う、日本らしいやり方

今お伝えしたように、ユーザーが自分自身でタクシーをつかまえなければならなかったり、想定金額と実際の運賃とのあいだに多少のズレが生じる可能性があるなど、nearMeにはスマートじゃない部分もたくさんある。でも、それは日本の規制をクリアして、かつスケーラブルにビジネスを拡大するために彼らがあえて採用した戦略でもある。

まず、日本では白タク行為は禁止されているから、Uberのように自社でドライバーを抱え込んでタクシーサービスを提供することはできない。では、既存のタクシー業界と組んで相乗りサービスを展開するのはどうか。そうすれば、ユーザーの位置情報をもとにタクシーを配車することもできるし、支払いシステムも現状よりスマートになるだろう。

しかし、それも将来的なスケーラビリティを考えると微妙な選択肢となってしまう。国土交通省の調べによれば、全国のタクシー車両台数の合計は約23万台(平成28年時点)。その一方、タクシー大手の第一産業交通が抱える車両台数は約8400台であることからも分かるように、日本では1つのタクシー会社が持つ市場シェアは極めて小さい。

このような背景もあり、ある特定のタクシー会社と手を組んでサービスを提供しようとすれば、マッチしても利用できるタクシーが限られるなど、ユーザーの利便性を損ねてしまう。かといって、スタートアップであるNearMeが群雄割拠のタクシー業界を1つに束ねるプラットフォームを構築するのは至難の業だ。だからこそ同社は、タクシー業界との正式なパートナーシップを必要とせず、最初からどんなタクシー会社にも対応する現在のビジネスモデルを選択したのだ。

楽天グループのケンコーコム執行役員、同じくグループ会社の仏Aquafadas CEOなどを歴任したNearMe代表取締役の高原幸一郎氏は、nearMeが既存のタクシーサービスを補完する存在になり得ると主張する。「相乗りという選択肢なければ、タクシーを利用することを諦めていた人がいるはず。タクシーの実車率(全体の走行距離のうち、乗客をのせて走行した距離)は40%代と言われるなか、そのようなユーザーをタクシー会社に送客できるという意味で、nearMeとタクシー会社は協力する関係になれるはずだ」(高原氏)

タクシーという日本の既存資産を利用し、ライドシェアとは異なる方法で新しい移動方法を実現することを目指すNearMeはまず、終電と終バスの時間に開きがあり、タクシー乗り場に列ができやすい地域などに的を絞って局地的にPR活動を展開。その後は随時利用地域を拡大していく構えだ。

製造業の街にスタートアップエコシステムは生まれるかーーMisoca代表らが地元名古屋でインキュベーション開始

写真左より、Misoca代表取締役の豊吉隆一郎氏、同執行役員の奥村健太氏、IDENTITY共同代表の碇和生氏

スタートアップ業界が成長するためには、人と人との繋がりが欠かせない。世の中を変えるアイデアを具現化し、みずからリスクをとって成功した起業家たちが、その過程で手に入れた知見や資金を次の世代に渡していく。知恵やお金が何世代にも渡って循環することで、エコシステムが徐々に大きくなっていくのだ。

これまで、自動車産業を中心とした従来型製造業のイメージが強い名古屋が“スタートアップ”という文脈で語られることは少なかったように思う。でも、その名古屋でもやっと知恵とお金の循環の芽が生まれようとしているみたいだ。

2018年6月、名古屋を拠点とするインキュベーターのMidland Incubatorsは、名古屋駅からほど近い名古屋市亀島にインキュベーション施設の「Midland Incubators House」を設立した。

Midland Incubators Houseは無料のコワーキングスペースとして開放するほか、東京のVCや起業家との交流会など各種イベントを開催していく。また、大きな金額ではないものの、Midland Incubatorsとして名古屋のスタートアップへの投資も行うという。

Midland Incubatorsを運営するのは、クラウド請求管理サービスのMisocaの代表取締役である豊吉隆一郎氏と執行役員の奥村健太氏。2011年のTechCrunch Tokyoの卒業生でもあるMisocaは、2016年2月に会計ソフトの弥生が買収した名古屋発のスタートアップ。広報戦略パートナーとして同施設のPRを行うのは、地方企業を対象にしたデジタルエージェンシーのIDENTITYだ。

Midland Incubatorsの運営資金は、おもに豊吉氏の個人資産によって賄われる。まさに冒頭に述べた循環システムの典型例だ。Midland Incubators設立の経緯について豊吉氏はこう語る。

「2011年にMisocaを創業する前、私はフリーランスのWeb開発者として活動していました。ただ、当時は24歳で仕事もないし、家もないし、パソコンもないっていう状態。そこで手を差し伸べてくれたのが、今では上場企業となったスタートアップの経営者でした。会社の寮に住んでもいいし、机もパソコンも使っていいと言ってくれたんです。そこでスタートアップの経営に触れたことで、起業に興味をもちました」(豊吉氏)

豊吉氏はエコシステムからの恩恵を受け、みずから起業する道を選んだ。その恩返しのつもりで、自己資金でインキュベーション施設を立ち上げることを思いついたのだそうだ。

でも、名古屋のスタートアップ業界の規模はまだまだ小さい。奥村氏は「私がMisocaに入社したのは約4年前。名古屋のスタートアップで働きたいと思っても、当時は片手で数えられるほどしか選択肢がなかった」と語る。そんな状態からインキュベーションを始めるのだから、結果が出るのは時間がかかるだろう。

それでも、誰かが始めなければならない。Midland Incubatorsの取り組みが、文字通り名古屋スタートアップエコシステムの孵化装置(Incubator)となるのだろうか。数年後が楽しみだ。

製造業の街にスタートアップエコシステムは生まれるかーーMisoca代表らが地元名古屋でインキュベーション開始

写真左より、Misoca代表取締役の豊吉隆一郎氏、同執行役員の奥村健太氏、IDENTITY共同代表の碇和生氏

スタートアップ業界が成長するためには、人と人との繋がりが欠かせない。世の中を変えるアイデアを具現化し、みずからリスクをとって成功した起業家たちが、その過程で手に入れた知見や資金を次の世代に渡していく。知恵やお金が何世代にも渡って循環することで、エコシステムが徐々に大きくなっていくのだ。

これまで、自動車産業を中心とした従来型製造業のイメージが強い名古屋が“スタートアップ”という文脈で語られることは少なかったように思う。でも、その名古屋でもやっと知恵とお金の循環の芽が生まれようとしているみたいだ。

2018年6月、名古屋を拠点とするインキュベーターのMidland Incubatorsは、名古屋駅からほど近い名古屋市亀島にインキュベーション施設の「Midland Incubators House」を設立した。

Midland Incubators Houseは無料のコワーキングスペースとして開放するほか、東京のVCや起業家との交流会など各種イベントを開催していく。また、大きな金額ではないものの、Midland Incubatorsとして名古屋のスタートアップへの投資も行うという。

Midland Incubatorsを運営するのは、クラウド請求管理サービスのMisocaの代表取締役である豊吉隆一郎氏と執行役員の奥村健太氏。2011年のTechCrunch Tokyoの卒業生でもあるMisocaは、2016年2月に会計ソフトの弥生が買収した名古屋発のスタートアップ。広報戦略パートナーとして同施設のPRを行うのは、地方企業を対象にしたデジタルエージェンシーのIDENTITYだ。

Midland Incubatorsの運営資金は、おもに豊吉氏の個人資産によって賄われる。まさに冒頭に述べた循環システムの典型例だ。Midland Incubators設立の経緯について豊吉氏はこう語る。

「2011年にMisocaを創業する前、私はフリーランスのWeb開発者として活動していました。ただ、当時は24歳で仕事もないし、家もないし、パソコンもないっていう状態。そこで手を差し伸べてくれたのが、今では上場企業となったスタートアップの経営者でした。会社の寮に住んでもいいし、机もパソコンも使っていいと言ってくれたんです。そこでスタートアップの経営に触れたことで、起業に興味をもちました」(豊吉氏)

豊吉氏はエコシステムからの恩恵を受け、みずから起業する道を選んだ。その恩返しのつもりで、自己資金でインキュベーション施設を立ち上げることを思いついたのだそうだ。

でも、名古屋のスタートアップ業界の規模はまだまだ小さい。奥村氏は「私がMisocaに入社したのは約4年前。名古屋のスタートアップで働きたいと思っても、当時は片手で数えられるほどしか選択肢がなかった」と語る。そんな状態からインキュベーションを始めるのだから、結果が出るのは時間がかかるだろう。

それでも、誰かが始めなければならない。Midland Incubatorsの取り組みが、文字通り名古屋スタートアップエコシステムの孵化装置(Incubator)となるのだろうか。数年後が楽しみだ。

Spheroが音楽教育スタートアップを買収

Spheroの教育分野への方向展開が、初期段階の今どのように進んでいるのかを正確に述べるのは難しいが、同社は最近資金調達を行い、既に新しいスタートアップたちを買収している。このBB-8の玩具で有名になったメーカーは、本日(米国時間6月22日)の朝、Specdrumsを買収したことを発表した。Specdrumsはコロラド州ボルダーのスタートアップで、指輪に接続したアプリを用いて音楽を作成できるプロジェクトでKickstarterを成功させた

一見したところ、それは奇妙な組み合わせだが、Spheroは明らかにSpecdrumsが持つウェアラブル技術を、新しいSTEAM(科学/技術/工学/芸術/数学)教育への注力に向けての力強い援軍だと考えている。

「私たちは音楽演奏が素晴らしい教師だと確信しています。Specdrumsの追加によって、私たちは製品ロードマップの中のSTEAMの”A”を強化しています」とSpheroのCEO、Paul Berberianはニュースに関連したプレスリリースで述べている。「Spheroの持つ基盤と、Specdrumsの創業者たちがすでに完成させた基礎によって、教室やそれ以外の場所で、好奇心を大いに触発し続ける大きなチャンスを手にできたと考えています」。

Specdrumsが、より大きな会社にどのように適応していくかはまだ見守る必要がある、しかし現時点ではSpheroは、今年の終わりから来年の始まりにかけて、最初の音楽製品を再発売することを約束している。Spedrumsの最初の製品は、同社が2017年に行ったクラウドファンディングキャンペーンの終了後に完売していた。

一方Spheroは、同社から沢山出されたディズニーブランドのロボット玩具が、以前のStar Warsのときのような成功を続けることができなかったことから、数十人の従業員を解雇し、今年はあまり調子のよくないスタートを切っていた。当時、同社は教育への注力を倍増することを約束し、最近行った資金調達ラウンドの1200万ドルを使って、その目標を達成しようとしている。

今回の買収に関する条件は開示されていない。

[原文へ]
(翻訳:sako)

住宅診断の効率化を目指すNon Brokersが診断結果のクラウド管理システムをリリース

写真右がNonbrokers代表取締役の東峯一真氏、左がCTOの寺田洋輔氏

建物の信頼性を調査する住宅診断をアプリで完結できる「Rインスペクターズ」を提供するNon Brokersは6月25日、新たにSaaS型「インスペクション管理システム」を正式にリリースした。

また、同社はサービスリリースの発表とともに、既存投資家のジェネシア・ベンチャーズ、および新規投資家のみずほキャピタルを引受先とした総額6,000万円の第三者割当増資を実施したと併せて発表した。同社は今後、調達した資金を活用して開発、運営体制の強化に取り組む。

2018年1月リリースの「Rインスペクターズ」は住宅のインスペクション(診断)作業を大幅に効率化するためのアプリ。そして、本日新たにリリースした「インスペクション管理システム」では、更にその調査結果をクラウド経由で管理会社に送信することでデータの一元管理、編集、報告書出力などをスムーズに行うことを可能にした。

インスペクションは基礎や壁にひびや雨漏りなどの劣化がないかどうか調べる作業だ。専門知識が不可欠な上、国土交通省が用意する紙のチェックリストは難透難解で、目を通すとまるで運転免許の試験でも受けているかのような気持ちになってしまう。一方、「Rインスペクターズ」を使えば、アプリに従って必要な情報をタッチ操作で入力し写真を撮影するだけで診断作業が完了する。作業にかかる負担を大幅に軽減することが可能だ。

 

診断を行うインスペクターは、現場調査の後にも写真整理や報告書作成を行う必要があったが、「Rインスペクターズ」はその無駄で不毛なプロセスをも排除した。現場調査が終わった段階で調査結果の書類作成は完了しており、「インスペクション管理システム」により管理会社に自動送信される。Non Brokers代表取締役の東峯一真氏によると、これによりインスペクターの作業時間はおよそ半分に短縮され、紙からエクセルへデータ入力する手間が省かれた事で報告ミスも削減されるという。

東峯氏は「不利になる情報は調べないというのが業界の慣習」だと説明するが、2018年4月に施行された改正宅地建物取引業法により仲介業者が売買主に対するインスペクションのあっせんを義務付けられたことで、同社サービスのニーズが「どんどん伸びていく」ことを期待している。

また、同氏は雨漏り跡が見つかるなどの問題が住宅売買の契約後に多発していると述べた上で、インスペクションの重要性・必要性を強く訴えた。10軒のリノベ物件にインスペクションを行ったところ、4軒で雨漏りが確認されたそうだ。

「車検をしていない車を買う日本人はいないが、中古住宅に関しては現状引き渡し。インスペクションをやったほうが良いのかやらなくても良いのかというと、必ずやったほうが良いに決まっている」「検査好きの日本人からすると、インスペクション済みの物件が並んでいる状態で安心して選べる時代に倒れるのではと考えている」(東峯氏)

僕の周りにも入居直後に床下浸水を見つけ激高していた友人がいる。確かに、起こり得るトラブルの根源を事前に潰しておく事は仲介業者にとってもメリットとなるだろう。

日本ではまだまだ新築物件の購入が一般的だが、総務省によると2013年度の空き家の総戸数は820万にもおよび、国交省は中古物件の流通を後押しする方針を掲げている。