Facebook、ストーリーにもリアクションを導入。「いいね!」競争誘発か?

ストーリーでも「いいね!」集めが始まるかもしれない。Facebookストーリーは毎日1億5000万人のユーザーが使っているが、まるでゴーストタウンのように感じられる。そこでFacebookは、このSnapchatクローンに投稿された刹那的コンテンツを見て声を上げる人を増やすことで、投稿を続けさせようとしている。今日からFacebookは、これまでストーリーで提供していた絵文字によるリプライに代えて、ニュースフィードのいいね!、うけるね、すごいね、悲しいね、ひどいね、超いいね!の「リアクション」を導入する。さらに、「インタラクティブスタンプ」2種——炎と笑った顔——が加わる。友達がタップすると揺らめいて、投稿者にも通知が行く。

同じ目的で、Facebookはストーリーにグループ返信して、Messengerのグループスレッドを開始する機能も提供する。また、自分のFacebookストーリー見た人のリストを見ると、リアクションした人とMessengerで返信した人が強調表示される。

ストーリーにフィードバックする方法が新たに4種類加わっることで、ユーザーは自分の投稿がブラックホールに吸い込まれていく気分を緩和できるかもしれない。Facebookはニュースフィードのいいね!ボタンなどのリアクションやInstagramのハートボタンで大きな成功を収めた。この種のフィードバックは、単に誰かが自分の記事を読んだことを知るよりも感情に訴え、自己満足を高めてまたシェアしようという気持ちにさせる。

私はInstagramストーリーにもいいね!ボタンが付くかどうかに注目している。Facebookの前ニュースフィード担当VP、Adam Mosseriが最近Instagramのプロダクト担当VPに任命されたので、なおさらだ。

そうそう、万が一ストーリーがうぬぼれコンテストの場になっていないことに備えて、Facebookはこんなことも計画している。Matt Navarraが伝えたMari Smithの発言によると、Facebookはストーリーカメラの自撮りモードをテスト中で、最近公開されたInstagram Focusに似たソフトフォーカス機能がつくらしい。.

Snapchatはストーリー形式を発明したとき、意図的にいいね!ボタンを付けなかった。それはユーザーが競争に走り、フィードバックを欲しがるあまり、ひたすら人気コンテンツを投稿する結果を招きかねないからだ。

実際、2016年のInstagramストーリー公開時に私がInstagram CEOのKevin Systromにインタビューしたとき、彼はこう言っていた「Instagramからいいね!をなくしたらどうなるか、もちろん検討した。何が起きるのか?…いいね!があったら… ある種の行動が起きる。そしてわれわれが求めていた行動とはユーザーがシェアしたいだけシェアすることだ。そしてこの空間にいいね!がないことで、ユーザーは警戒心を弱める」

今Facebookはストーリーの基本理念を変えようとしている。それは、本物であることよりも「いいね!」されやすさを優先する全くあたらしい数量的価値観をわれわれに与えるものなのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

与信をとらずに人を信じるーー「CASH」運営のバンク、“いま”お金がなくても旅行できる新サービス

「これは、CASHを手がける僕らだからこそやるべき事業なんです」ーー即時買い取りサービス「CASH」を手がけるバンク代表取締役の光本勇介氏は、今日発表されたばかりの新サービスについてこう説明した。その新サービスの名前は「TRAVEL Now」。あと払い専用の旅行代理店アプリだ。

TRAVEL Nowで旅行を買うとき、その時点で旅行代金が手元にある必要はない。ユーザーは海外旅行を含む3000種類の旅行プランの中から欲しいものを選び、ボタンを押すだけ。するとハガキが送られてくるから、それを持ってコンビニに行き、2ヶ月後までに支払いを済ませればいい。そのハガキを持つ手は、TRAVEL Nowで買った旅行で日焼けしていても構わない。

一番重要なのは、TRAVEL Nowを利用するにあたり面倒な審査や手続きなどは必要ないということ。バンクは、このサービス運営にあたってユーザーの与信はとらない。

人を信じる

CASHをリリースしたとき、同サービスは性善説によって成り立つビジネスだと光本氏は言い切った。その光本氏は今回の取材で、「CASHでは、人を信じてお金をばら撒いた。TRAVEL Nowでは、人を信じて旅行をばら撒く」と話す。では、なぜ旅行という領域にテーマを絞ったのかと聞くと、光本氏は一言、「勘です」と言った。

日本のオンライン旅行代理店(OTA)市場は、楽天やリクルートなどのビッグプレイヤーたちが長年にわたり覇権を握ってきた業界だ。どれだけマーケティング費用をかけられるか、という体力勝負になりがちなOTA市場にスタートアップが参入するためには、サービスに何かしらの新しさが求められる。

先日、チャット型旅行代理店の「ズボラ旅」をリリースしたHotspringは、チャットの向こう側にいる人に日程だけ伝えれば、目的地や旅先のプランをどんどんリコメンドしてくれるという“楽さ”をウリにしてOTA市場に参入した。バンクの場合、この市場に参入するための武器は、“そもそも旅行を買う時にお金を必要としないサービスを作る”というブッ飛んだ発想だった。

「旅行はモノとは違い、『彼女の誕生日があるから』だとか『急に休暇ができたから行きたい』といった、“いま”のニーズがとても重要です。でも、その時にたまたまお金がないから旅行を諦めていた人は多いはず。既存の旅行市場は、お金がある人が旅行に行くことで形成される市場だが、TRAVEL Nowは、その既存市場が取りこぼしていた人たちに旅行を提供することで市場を創る」(光本氏)

CASHのバンクだからこそできる事業

CASHが買い取った商品を並べた倉庫

与信も取らず、お金を受け取るより先に旅行を提供するーー仮に光本氏とは別の人がこのアイデアを思いついたとしても、それを実行することは難しかったはずだ。

「ノールック買い取り」と言われたCASHでさえ、ユーザーに“ばら撒いていた”のは1人あたり2万円まで。一方、比較的高額な旅行商品を扱うTRAVEL Nowでは、その数字が10万円にまで跳ね上がる。それを可能にするのは、「人を信じるために人を知る」能力だと光本氏はいう。

「CASHを1年運営してきて、ユーザーの行動をもとに悪い人を見分けるための知見がついてきました。例えば、CASHの初回利用時にグッチ、ルイヴィトン、APPLE製品の新品を売る人がデフォルトする(お金を渡しているのに、商品が送られてこない)率は94%。そして、その人が出品から5分以内に出金ボタンを押すと、デフォルト率は96%まで上がります。即時買い取りというフォーマットやUI/UXを真似ることはできるけれど、この事業は、ユーザーの行動によって悪い人を見分けるという技術がないとできないと思っています」(光本氏)

CASHの運営に関する具体的な数字は非公開であるものの、これらの行動分析により、CASH全体のデフォルト率は1年前のサービスリリース時にくらべて「10分の1以下」(光本氏)に下がったという。

CASHで培った行動分析力を駆使して、今度は旅行をユーザーにばら撒くと決めたバンク。はたして、与信をとらずに人を信じるビジネスは成立するのか。壮大な社会実験が始まった。

Googleアシスタントが音声通話で予約を取ってくれる――マンハッタンのレストランでDuplexのデモに参加してきた

I/Oでのセンセーショナルな発表からひと月後、Googleはさらに改良されたDuplexを少数のジャーナリスト向けにデモした。場所はマンハッタンのイーストサイドの大型タイ料理店。Googleが新しいプロダクトのデモをするにはいかにも不似合いな場所だ。

テーブルは片付けられ、3脚ずつ3列、あわせて9人分の椅子が明るいディスプレイに面し、サイドのデスクが即席のコントロールセンターで、Google社員4人が配置されていた。ここでGoogleはI/Oのキーノートで発表され賛否の議論を沸騰させた新しいプロダクトDuplexをデモした。

I/Oカンファレンスが行われた陽光輝くマウンテビューのショアラインアンフィシアターとは180度雰囲気が違うニューヨークの高級タイ・レストランが舞台となったのには、しかし、十分に理由があった。GoogleはいよいよAIを駆使した音声ベースの予約アプリをデモした――レストラン、Thep Thaiのオーナーは「われわれは毎日100件からの予約を受けているのでこうしたアプリが登場するのは願ってもないことだ」と称賛した(Googleによればアメリのスモールビジネスの6割はオンライン予約システムを備えていないという)。【略】

秘密主義で名高いGoogleとしては、進行中のプロジェクトのベールを一部なりと外すのは珍しい。しかしDuplexにとって情報の透明性は成功のカギとなる要素だ。自動運転車と同様、この種のシステムは現実の世界で繰り返しテストされ、可能なかぎりバグを潰しておく必要がある。

I/OのキーノートでCEOのスンダル・ピチャイは「これからGoogleアシスタントが本当のヘアサロンに電話して予約を取るところをお聞かせする」と述べた。

(Googleアシスタント)ハイ、クライアントの女性のヘアカット、1名予約をお願いします。えー、5月3日はどうでしょう?

(ヘアサロン)オーケー、ちょっと待ってください。

(Googleアシスタント)アーハー…

〔下のビデオでは1:08あたりから通話が再生される〕

ここでカンファレンスの聴衆はジョークだと思って笑った。それから本物だと気づいて喝采した。実際、意味がわかっても信じるのは難しい。電話しているのはAIベースの純然たるロボットだ。それが「えー」と口ごもったり、「アーハー」と頷いたりできるとは。

実はこうした無意味な音声は言語学では非流暢性(speech disfluencies)として知られ、現実の発言で頻繁にみられる重要な要素と考えられている。Duplexの発言が驚くほど自然に聞こえるのはこうした非流暢性を巧みに利用している点が大きい。

またDuplexが相手の返事をはっきり理解できなかった場合にも非流暢性は役立つ。受付担当者が電話の声を聞き取れなかったり聞き違えたりすることは普通にある。たとえば「4人のグループの予約をしたい」と求める場合、「えー、席を4人分です」と表現を変えて言い直すことができる。ここで「えー」は自然さを増し会話を円滑に進めるために効果がある。

こうした細部がDuplexを正しく作動させる秘密となっている。これは私の体験からそうだと言える。実は今回のデモで私はタイ・レストランの受付係の役でGoogleアシスタントの電話を受けたからだ。I/Oでアンフィシアターの巨大スクリーンに写し出された会話も本物だった。さらに興味深いのは、この電話はぶっつけ本番だっただけでなく、電話をかけているのがGoogleアシスタントだとはヘアサロンも知らなかったことだ。Googleがヘアサロンに知らせたのは電話の後だったという。【略】

ただしGoogle Duplexテクノロジーが実用化されるためには、情報の透明性が必要だ。つまり自分が人工知能であること、会話は録音されていることをまず最初に開示しておく必要がある

Googleはプロダクトを紹介したブログにこう書いている。

会話が快適に進められるよう、〔Duplex〕テクノロジーは自然に聞こえねばならない。ユーザーにとっても店舗にとってもサービスの使用体験が快適であることが重要だ。透明性はこの点でもカギとなる。われわれは、ビジネス側がコンテキストを正しく理解できるよう、電話の意図、性質をできるかぎり明確にするよう努める。具体的な手法については今後数ヶ月かけて実験していく。

Duplexの透明性に関するメディアでの議論を受けて、Googleの担当者は「Duplexは情報開示機能を組み込んだデザインとする。これにより受け手がシステムの性質を正しく認識できるようになる。われわれがI/Oで紹介したのは初期段階のテクノロジーのデモであり、今後は各方面からのフィードバックを取り入れながらプロダクトに仕上げていく」と付け加えている。

現在のDuplexの通話はこのような形式でスタートする。

ハイ、私はGoogleアシスタントです。クライアントに代わって予約の電話をしています。これは自動通話で録音されています。

Duplex自身はAIだと名乗っていないが、Googleアシスタントに馴染みがあればおそらくそう気づくだろう。ただし録音されていることは告げている。Googleでは音声、テキスト双方を記録し、品質の検証と今後の改善に役立てるとしている。

タイ・レストランでのデモでGoogleアシスタントの電話を受けたとき、最初の部分を繰り返させようとしてみた。騒々しいレストランなどで電話を取ったとき最初の情報開示部分を聞き落とすことは大いにあり得る。しかしアシスタントはかまわず予約内容に進んだ。つまり受け手が情報開示部分を聞き落とした場合、今のところ繰り返させる方法はない。ともあれ、現在の段階ではそのようだ。録音からオプトアウトしたい場合は電話を切るしかない。しかし常連客を増やすためにはあまり勧められない方法だ。

この点について、Googleのエンジニアリング担当アシスタント・バイスプレジデント、Scott Huffmanによれば「われわれは『オーケー、では録音しません』と言わせるメカニズムはもっている。ただ、具体的にどのようにすればよいか検討中だ。電話を切ればよいのか? 録音を破棄すればよいのか?」と説明した。

私も含めてデモに参加したジャーナリストはシステムをまごつかせようと全力を挙げた。アシスタントが午後6時の予約を取ろうしたので私は店が開くのは午後11時だと答えた。マンハッタンにはとんでもない営業時間の店がいくらもある。アシスタントは諦めて礼儀正しく電話を切った。

ここでDuplexの「聖杯」となるのは「予約のチューリングテスト」に合格することだ。Duplexが混乱すると Googleが用意した人間の担当者が引き継ぎ、いってみれば、飛行機を安全に着陸させる。人間の補助要員はDuplexのテストに常に付随する。Googleによれば誤解が手に負えないレベルに拡大しないよう、当分の間、Dupelxは人間が後見するという。この方式でどの程度の規模まで実験を拡大できるのか注目だ。

もっとも今回のデモではわれわれは誰もDuplexの後ろから人間の要員を引き出すことはできなかった。それでも現在のシステムの限界をいくつか知ることができた。たとえば、「最後の4桁を繰り返してください」と言うとアシスタントは電話番号を全部繰り返した。これは間違いではないが、やはり人間の会話の微妙なニュアンスを理解できていない。一方、メールアドレスを尋ねると、システムは「クライアントから〔メールアドレスを明かす〕許可を得ていません」と答えた。

GoogleによればDuplexは現在5件中4件は全自動でタスクを完了できるという。80%の成功率ならたいしたものだと思うが、Googleではさらに改良を進めている。【略】

DuplexはMacbookにオフィスの電話をつないだ間に合わせのシステムから始まって長い道を歩んできた。これはWaveNetオーディオと深層ニューラルネットワークの上で音声からテキスト、テキストから音声という変換を繰り返す複雑なプロセスだ。最初のデモはリアルタイムでこそなかったが本物だった。Duplexはさらに興味深いプロダクトに成長している。

好むと好まざるととに関わらず、Duplexは近々現実のものとなる。これを避けるには電話を使わないことしかないかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

デジタル政治運動 vs 民主主義:英国の選挙監査人、早急の法改正求める

英国の選挙委員会によるレポートでは、政治運動に使用されるデジタルツールについての不信感が民主プロセスを脅しているとして、その透明性を高めるために早急な法の見直しが必要と指摘している。

選挙運動の支出も監視するこの委員会は、1年かけて2016年に行われたEUからの離脱を問う国民投票と2017年の総選挙においてデジタル運動がどのように活用されたのかを調査すると同時に、デジタル運動についての投票者の考えを分析した。

同委員会が改善すべきと考えているのは、選挙支出に関する透明性だ。これにより、英国内での選挙運動に海外から資金が流入するのを防ぐことができ、選挙資金規制を破った場合に重大なペナルティを科すなどの経済的罰則を強化できる。

先のブレグジット(欧州連合からの英国脱退)運動ー脱退を支持する公の運動も含めーが選挙資金規制に反しているのではないかという調査はまだ続いている。BBCは先週、その運動で規制違反があったと選挙委員会が認めるだろうという内容のレポートの下書きについて報じた。

また、Leave.EU Brexit運動は先月、選挙委員会の調査の結果、国民投票の期間中にいくつかの点で選挙法を破ったとして、7万英ポンドの罰金を科せられた。

選挙に巨額の資金が注ぎ込まれるのが当たり前になっているのを考慮してもー別の欧州脱退賛成グループVote Leaveは700万ポンドをつぎ込んでいる(こちらも超過を指摘されている)ー明らかに、選挙委員会は法の実行のためにさらなる措置を必要としている。

デジタルツールは、民主参加を促すと同時に、選挙詐欺もしやすくしてしまっている。

「デジタル運動において、我々の出発点というのは選挙への参加であり、だからこそオンラインコミュニケーションのいい面を歓迎している。投票者への新たなアクセス方法があるというのは、みなとにとって益があり、我々は投票者保護を模索する過程において言論の自由を害さないよう細心の注意を払わなければならない。と同時に、現在デジタル運動について疑念がわき起こっているのも事実で、この点については早急に対応する必要がある」と委員長のJohn Holmesはレポートで書いている。

「デジタル運動の資金調達は、選挙支出や寄付に関する法律でカバーされている。しかし、誰がどれくらいの額を、どこで、どのように使ったのかをはっきりさせる必要があり、法を破った人にはより厳重な処罰を科す必要がある」

「ゆえに、このレポートでは英国政府ならびに議会に対し、オンライン運動が誰をターゲットにしているのかを投票者にわかりやすくし、またあってはならない行為を未然に防ぐために、ルールの改正を求める。このレポートとともに公開する世論調査では、投票者の混乱や懸念が浮き彫りになり、新たな策の必要性も明らかになっている」

選挙委員会の主な提案というのは以下の通りだ。

・誰が運動を行なっているのかをデジタルマテリアルに明記するよう、英国政府そして議会が法律を変更する

・政府も議会も、費用についての申告書のルールを改める。運動を行う人に、出費申告書を出費のタイプごとに細分化させる。こうしたカテゴリー分けをすることで、デジタル運動にいくら費やしたのかがわかるようになる。

・運動を行う人に、透明性を高めるためにデジタルサプライヤーからのインボイスをより詳しく、かつわかりやすい形で開示させる

・ソーシャルメディア企業は、英国における選挙と国民投票のための運動材料や広告についてポリシーを改善すべく我々とともに取り組む

・ソーシャルメディアプラットフォームにおける英国選挙や国民投票への言及はソースを明らかにすること。政治的な言及についてのオンラインデータベースは、英国の選挙や国民投票についてのルールに則る

・英国政府も議会も、許可されていない海外の団体や個人が負担する選挙や国民投票にかかる費用について明らかにすること。言論の自由を脅かしていないかも考慮すべき

・運動を行う人や政府に対し、我々はどのようにルールや費用報告の締め切りを改善すべきか提案を行う。運動後、または運動中でも我々、そして投票者に対し速やかに情報開示することを望む

・政府、そして議会は、ルールを破った運動家に科す罰金の最高額を増やし、また調査以外の部分からも情報が得られるよう選挙委員会の権限を強化する

これらの提案は、Cambridge Analyticaの件を告発したChris Wylie(この記事のトップにある写真に写っている)の暴露の影響を受けている。Wylieはジャーナリストや法的機関に対し、Facebookユーザーの個人情報が、ユーザーの知らないところで許可なく政治運動での利用を目的に、今は廃業してなくなった選挙コンサルティング会社にいかに不正に流されたのかを詳細に語った。

Cambridge Analyticaのデータ不正使用スキャンダルに加え、Facebookもまた、クレムリンの息がかかったエージェント社会的な分断を招くようー2016年の米国大統領選挙もここに含まれているーいかにターゲティング広告ツールを集中的に使用したかという暴露で批判にさらされてきた。

Facebookの創業者マーク・ザッカーバーグは、Facebookのプラットフォームがどのように運営され、民主プロセスにどのようなリスクを与えているのか、米国欧州の議員に問いただされた。

Facebookはサードパーティーがデータを入手しにくくなるよう、また政治広告に関する透明性を高めるためにいくつかの変更を発表した。たとえば、政治広告に対しその資金はどういうものなのか詳細を明らかにする、検索可能なアーカイブを提供する、といったことだ。

しかしながらFacebookの対応が十分かどうかということに対しては批判的な見方もある。たとえば、どれが政治広告でどれが政治広告ではない、ということをどうやって決定するのかといった疑念だ。

また、Facebookはプラットフォーム上の全広告の検索可能なアーカイブを提供してない。

ザッカーバーグは米国、欧州の政治家の質問に対し、あいまいにしか答えなかったとして批判されている。Facebookのプラットフォームがどのように運営されているのかについての懸念や質問に対し、ごまかし、ミスリードし、そして国際社会を混乱させたとして、ザッカーバーグは議会に呼び出された。

選挙管理委員会は直にソーシャルメディアに対し、デジタル政治広告についての透明性をより高め、“適切でない”コメントは削除するよう求めている。

加えて、「もしこれが不十分だということになれば、英国政府、そして議会は直の規制を検討すべき」と警告している。

これに対し我々はFacebookにコメントを求めていて、反応があり次第アップデートする。

内閣府の広報官は、選挙委員会のレポートに対する政府の反応を間もなく伝えるとしていて、こちらも入手次第アップデートする。

アップデート:内閣府の広報官は「政府は、公正さ、適切な民主プロセスを維持するため、デジタル運動における透明性の向上を図らなければならない。デジタル運動で氏名を明らかにするという提案は今後検討する」と発表した。

英国のデータ保護の監視人であるICOは、引き続き政治運動におけるソーシャルメディアの活用を調査している。Elizabeth Denhamコミッショナーは最近、政治広告に関するさらなるルールの開示と、ソーシャルメディア運営会社の行動規範を要求した。長く展開されてきた調査の結果は間もなく明らかになると見込まれている。

と同時に、 DCMS(デジタル・文化・メディア・スポーツ省)委員会は、フェイクニュースやオンライン上の偽情報のインパクト、また政治プロセスに対するインパクトの調査を行なっている。ザッカーバーグに証言するよう求めたものの却下されている。ザッカーバーグは、CTOのMike Schroepfer含む何人もの手下を身代わりに送っている。Schroepferは憤まん募らせた議員から5時間にわたって集中砲火を浴びたが、彼の答えはまったく議員らを満足させるものではなかった。

DCMS委員会は、大きなテクノロジーが民主プロセスに及ぼした影響について、別のレポートにまとめておそらく数カ月内に公表する見込みだ。委員長のDamian Collinsは今日、「調査は、時代遅れの選挙法が巨大なテックメディアに支配されつつあるか、といったことについても焦点をあてている」とツイートした。

間もなく発表される、ブレグジット運動支出のレポートについて、選挙委員会の広報官は我々に次のように語っている。「実施方針に従って、選挙管理委員会は2017年11月20日から始まった調査の結果をVote LeaveのDarren Grimes氏とVeterans for Britainに対しすでに通知している。最終的な判断が出る前に、抗議する猶予として28日間が与えられている。最終決定が下されれば、委員会は調査結果を公表し、また調査のレポートを公表する」。

イメージクレジット: TOLGA AKMEN/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Google Cloudが古典的ファイルシステムを必要とするアプリケーションのためのストレージオプションを用意

Google Cloud Platform(GCP)のストレージオプションが、新たにまた一つ増える。そのCloud Filestoreと名付けられたサービスは、来月ベータでローンチするが、それは要するに、クラウド上の完全な管理を伴うnetwork attached storage(NAS)だ。これにより、ストレージに対して従来的なファイルシステムのインタフェイスを必要とするアプリケーションを、GCP上で動かせるようになる。

従来のようにストレージの利用インタフェイスとしてオブジェクトストレージやデータベースしかないGCPのような環境で標準的なファイルシステムを使いたければ、それ専用に恒久的に使うハードディスクを使ってファイルサーバーを急ごしらえするしかない。Filestoreはそんな面倒を取り除き、ユーザーが必要に応じて簡単にストレージを確保できるようにする。

Filestoreは、高スループット、低レイテンシー、そして高IOPSを約束している。料金体系はプレミアムとスタンダードの2種、そしてプレミアムは、1GB/月が30セントで、ストレージの容量にかかわらず700MB/sのスループットと30000IOPSを約束する。スタンダードは1GB/月が20セントで、パフォーマンスは容量でスケールし、Filestoreに10TB以上を保存するまではピークパフォーマンスに達しない。

GoogleはFilestoreをロサンゼルスで行われたエンターテインメントとメディア関連のイベントでローンチした。その業界には、共有ファイルシステムを必要とする大量のエンタープライスアプリケーションがあり、またそのような種類のエンタープライスアプリケーションは、他のさまざまな業界にもたくさんある。

Filestoreベータは来月ローンチする。ベータ時点では、アップタイムの約束はなく、またベータを終えるETAもまだない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

空席情報配信サービスのバカンが資金調達、海外展開に向け加速

前列左から2人目がバカン代表取締役社長の河野剛進氏

レストランなどの空席情報配信サービス「VACAN」を提供するバカンが、サンフランシスコを拠点にベンチャー投資を行うスクラムベンチャーズおよびREALITY ACCELERATORから資金調達を実施した。

調達金額は非公表とされているが、これまでの累計調達額は約1億円程度だと思われる。

同社は2016年10月にトイレ空席検索サービス「Throne」、2018年1月に空席検索プラットフォームVACANのサービス提供を開始。

VACANはレストランなどの混雑状況をセンサーやカメラを使って解析し、電子看板に表示するサービスだ。すでに商業施設の相鉄ジョイナスや日比谷シャンテに提供されているほか、駅ナカ施設などへの試験導入も行われている。相鉄ジョイナスと高島屋横浜店では、スマホやパソコンでも空席情報を確認することが可能だ

河野氏はVACAN開発の理由を「世の中から混雑や行列をなくすため」だと説明。「家族で出かけた時、ランチタイムでどこの店もいっぱいで、待っているうちに子供が泣いてしまい帰宅することに。そういうことを技術で解決できないかと思い、開発をスタートした」とそのきっかけについて話している。

河野氏いわく、「Throneは有楽町マルイや企業のオフィスにも採用されているが、類似サービスが出てきてしまった」とのこと。しかし同社は他にはない技術を持つことで、サービスを評価され採用されているという。

バカンが保有するのは混雑の条件によって表示を最適化する「VDO(Vacant-driven Display Optimization)」という技術の特許だ。この技術により、混雑の状況をフックに、デジタルサイネージの表示をリアルタイムに切り替えることができる。

例えば「レストランであれば、空きがあればそのまま表示し、混雑しているのであれば持ち帰りをおすすめする」ということができるそうだ。また「広告コンテンツに切り替えたり、リアルタイムでクーポンを発行したり」といったことも可能。「これは他社には真似できない」と河野氏は言う。

同社は今後、調達した資金をもとに海外展開に向けた準備を加速させていくという。

「開発体制を整えていくというのが大きなところ。あとは海外展開を見据えて例えば海外特許を出願していくということもあるし、営業も強化していく」(河野氏)

Googleがデスクトップの新しい画像検索をテスト中、検索結果がPinterestに似てるだけ?

ビジュアル検索の結果として言葉ではなく絵が欲しい人向けの、検索結果の提示の仕方は、Pinterestがスタンダードになってる。今やGoogleも、デスクトップ上の検索でPinterestに見習いたいようだ。

今テスト中の新しい画像検索では、絵が横ではなく縦に並ぶ(上図)。で、Pinterestみたいになる。画像の一つ々々にキャプションがつき、説明のバッジがつくこともある(“プロダクト”(製品〜商品)、“ビデオ”など)。

画像をクリックすると、さらに詳しい情報が得られ、たとえばその製品/商品をGoogle Shoppingの提携店で売ってて、画像もそのお店提供なら、在庫の有無や、その下の関連製品も含めてショッピングのリンクが表示される。

Googleはテストをしていることは認めたが、結果等については、今のところ何もお話できることはない、そうだ。

上記の買い物情報のような、画像をクリックしたら出る詳細情報もPinterestの真似だが、実はすでに昨年、モバイルのアプリにはそれが加わった。またAndroidの検索アプリはほぼ1年前のアップデートで機械学習を導入し、絵の中の品物を認識して、その関連アイテムを提案するようになっている。これまたPinterestの流儀だ。

今回テスト中のデスクトップ上の検索も、上述の、関連アイテムの提案をやるようになった。同じコンピュータービジョン技術が、デスクトップにも実装されたのだ。

場合によっては、今のGoogle画像検索と同じ横並びの結果が表示されることがある。それらの画像はやや小さくて、ひとつの列の中の数が多く、クリックすると大きな画像が黒の背景の上に表示される(下図下)。さらにクリックするとサイトへ行ったり、リンクの保存共有ができたりする。それもPinterest的だが、この場合、製品情報は出ない。これはGoogleの旧来のデスクトップ画像検索の様式であり、並んでいる小さな画像をクリックすると、黒い背景の詳細情報が出るのだ。

Googleのねらいは、検索結果ののルックスのアップデートだけでなく、検索体験全体の改造にあるようだ。その方針は二つあって、ひとつはエンゲージメント(参加、ユーザーが何かやること)やクリックを増やして動的な(アクションのある)検索にすること。もうひとつは、アクションの中でもとくに買い物を重視して、Google自身のeコマースを支援することだ。

中でも買い物は、これまでのようにAmazonやeBayなどへのリンクがあるだけでなく、Google Shoppingの提携店で在庫を調べたり買ったりできるのは、相当思い切ったやり方だ。しかも、モバイルが先、デスクトップは今やっとテスト、というモバイルファーストのやり方は、消費者のショッピング行動もモバイルが多くなりつつある現代を、すなおに反映している。ただしもちろん、高額商品などでは画面の大きなデスクトップが、コマース/オンラインショッピングにおいても依然として主流だから、無視はできない。

今年の初めにGoogleがモバイルでやった画像検索のアップデートのテスト(そのデスクトップ版のテストを今やってる)では、前記のように、結果の画像にバッジ(“レシピ”、“製品”など)がついたり、下にキャプションが表示されたりした。でもモバイルのそれらがそのまま、デスクトップの画像検索に導入されると、どうだろう?

6月下旬現在、デスクトップ上でテストを見ている人たちの反応は、少なくともTwitter上では、あまり良くないようだ:

[困るわね。Googleの画像検索をしたら、次の瞬間Pinterestに連れて行かれたわ。]

[Googleの画像検索は、どうなっちゃんだい? Pinterestになる気か? ごちゃごちゃしてるし、くだらないね。それにこっちはデスクトップなのに、スマホのような縦長のカードばっかし表示するのは、やめてくれよ。]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ロボアドバイザー「THEO」を提供するお金のデザインが総額59億円を調達——東海東京フィナンシャルの関連会社へ

AIを活用した個人向け資産運用サービス「THEO(テオ)」を提供するお金のデザインは6月27日、東海東京フィナンシャル・ホールディングスを引受先とする50億円の第三者割当増資と、三井住友銀行、りそな銀行からの融資により、総額59億円の資金調達を実施することを発表した。

東海東京フィナンシャル・ホールディングスは今回の出資により、お金のデザインの株式の20%を取得。お金のデザインは同社の持分法適用関連会社となる。第三者割当増資の発行予定日は6月29日。

お金のデザインは2013年8月の創業。2015年12月より、複数のVCや銀行、銀行系VC、事業会社から資金調達を実施しており、今回の資金調達で、創業からの累計資金調達額は104.8億円となる。

これまでにお金のデザインが実施した資金調達については、以下の通り(カッコ内は出資者)。

  • 2015年12月 約15億円(東京大学エッジキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、電通デジタル・ホールディングス、伊藤忠商事など)
  • 2016年9月 約8.1億円(ちばぎんキャピタル、静岡キャピタル、ふくおかテクノロジーパートナーズ、丸井グループ、ベネフィット・ワン、東京短資など)
  • 2017年2月 15億円(Fenox Venture Capitalなど)
  • 2017年7月 5億円(新生銀行)
  • 2017年10月 7.8億円(NTTドコモ、第一生命保険、OKBキャピタル)

今回の第三者割当増資はお金のデザインにとってシリーズEラウンドのファーストクローズとなる。同社はシリーズEラウンドで追加の資金調達も進めているという。また同社は、東海東京フィナンシャル・ホールディングスと別途、業務提携契約の締結も予定している。

THEOは5つの質問に答えると、ユーザーの年齢や金融資産額、投資傾向に基づき、世界の約6000種類のETF(上場投資信託)の中から最適な組み合わせを提案、運用するというロボアドバイザーサービスだ。月々1万円という少額から始められ、運用報酬は1%(年率・税抜)。20代・30代を中心に利用が広がり、5月末現在で運用者は4万3000人を超えたという。

2017年4月からは、地方銀行と協業してロボアドバイザーサービスを提供する「THEO+(テオプラス)」を開始。2018年5月にはNTTドコモのユーザー向けに、運用額に応じてdポイントが貯まり、dカード利用の「お釣り」相当額を自動積み立てできる「THEO+ docomo」の提供もスタートした。

お金のデザインでは今回の調達資金を、開発体制の強化やマーケティング活動へ投資。THEOのサービス向上と新しい金融プラットフォームの構築に取り組むとしている。

Amazonが本社のあるシアトルで初めてピックアップロケーションを‘開店’、物理店展開多様化

Amazonがやることは何でもシアトルが最初だろう、と思いがちだが、でもどうやら、このオンラインリテーラーの本社所在都市にはまだ、顧客が自分宛の荷物をそこまで取りに行くピックアップロケーションがなかったようだ。

ロケーションはAmazonの小さな荷受センターで、お客はそこに荷物を取りに来たり、返品に来たりする。しかしそれだけではなく、当日限定の品物がいろいろあって、買い物もできる。シアトルのロケーションは14333 Aurora Ave. Nにあって、市の北部地区にサービスする。

アメリカ北西部の最初のロケーションは、シアトルの南に隣接するポートランドの“Amazon@DowntownPortland”で、昨年の9月にオープンした。ただしシアトルにはAmazonFreshの生鮮ピックアップロケーションが二つと、未来のレジ無しコンビニAmazon Goがあり、今後も未来的実験的な施設はシアトルに置かれるのかもしれない。

Amazonのピックアップロケーションは単独店でスタッフもいるから、多くの都市のコンビニなどにすでにあるAmazon Lockersとは違う。またこれらのピックアップロケーションは、Prime会員に同日〜翌日配達を提供し、人間のスタッフがおり、返品用には荷造り資材をくれる。Amazonのピックアップロケーションもコンビニ等のLockersも、どちらもPrime会員でなくても利用できるが、ピックアップロケーションではPrime会員が、事前のオーダーなしで一定の買い物ができる。

昨年Amazonは、学生を対象に“Instant Pickup”という擬似店舗を小規模に展開した。これは、コンビニ+Amazonの荷受センター+スマホ充電が主な機能で、飲み物や多少のアメニティも売っている。今それは、カ州バークリー、ロサンゼルス、アトランタ、オハイオ州コロンバス、メリーランドなどの大学キャンパスにある(計5店)。

そして今回のシアトルのような、学生ではなく一般向けの、スタッフの数も多いピックアップロケーションは、Amazonによると、今全米に30以上ある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

レッカーサービスのUber、「Honk」が1800万ドル調達

Honk Technologiesは、消費者と保険会社のためのレッカーサービスのマーケットプレイスだ。このほど新たなラウンドで1800万ドルを調達した。同社は約一年前に、保険会社のFarmersと大型契約を締結した

今回のラウンドをリードしたのAltpoint Venturesで、すでに投資しているStrukture CapitalとVenture 51も参加した。

同社はこの資金を使ってレッカー車7万5000台からなる牽引サービスネットワークを構築するとともに、保険会社、運送管理者、製造業者などに向けた新規サービスを追加すると言っている。

CEOのCorey Brundageは同社の売上や黒字化の見込み、企業価値などについてコメントを拒んだ。

Honkは基本的に、Uberなどの乗り合いサービスと同じテクノロジーをレッカービジネスに適用することで、レッカー車の応答性を高め、必要になったときの待ち時間を減らす、とBrundageは言った。

昨年も報じたとおり、牽引サービス市場は巨大かつ断片化している。市場調査会社のIBS Worldによると、年間60億ドルが牽引サービスに費やされている。

利用者はモバイルウェブまたは専用アプリを使って、HONKに牽引を依頼すると、近くの牽引業者の場所と推定到着時刻がわかる。保険会社、自動車OEM、運送会社などは同社のプラットフォームを使って待ち時間を50%減らして顧客満足度のスコアを高めるとともに、牽引サービスのデータを収集できる、と声明に書かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

このスマート「足首」は悪路にも順応する

人工装具は日々改善され、パーソナル化されているが、便利であるとはいえ本物には遠く及ばない。しかしこの新しい人工足首は、他と比べて本物に近い。ユーザーの歩き方や地面の状態に合わせて自ら動く。

人が歩くとき、足首は数多くの仕事をしている。地面に引きずらないように足先を上げ、着地の衝撃を緩和したり荷重を調節するために足の傾きを調整しながら、地上の凸凹や障害物を避ける。こうした動きを模倣しようとした義肢はほとんどなく、バネの曲がりや詰め物の圧縮など原始的な方法を用いている。

しかし、ヴァンダービルト大学機械工学教授のMichael Goldfarbが作ったこの足首のプロトタイプは、受動的な衝撃吸収のはるか先を行く。関節の中にはモーターとアクチュエーターがあり、内蔵のチップが動きを感知、分類して歩き方を制御する。

パラグアイのPoは3Dプリントされたカスタマイズ義肢を南米の貧しい人びと向けに開発

「この装置は何よりもまず周囲の状況に適応する」と、義肢を説明するビデオでGoldfarbは説明した。

「斜面の上り下り、階段の上り下りも可能で、装置が常に利用者の動きを認識し、それに合わせて機能する」と大学のニュースリリースで彼が述べた

歩き出そうとして足が地面を離れたことを感知すると、装置はつま先を上げてぶつからないようにすると同時に、足が下りるときにかかとをつけて次の一歩に備える。また、上から(人が足をどのように使っているか)と下から(斜面や地面の凹凸)の圧力を感知することで、歩き方を自然にすることができる。

数多くの義肢を使ってきたベテランのMike Sasserがこの装置を試して良い感想を述べた。「水圧式のマイクロプロセッサーをもたないタイプの足首を試したことがあるが、不格好で重く行動的な人間には制約が多かった。これは違う。」

現在の装置は、かなり実験室に縛られていて電源は有線で供給されている——外出には便利とは言えない。しかし、もしこの関節が設計通り動くのであれば、電源問題は二の次だ。課題が解決すれば数年のうちに商品化する計画だという。GolfarbのCenter for Intelligent Mechatronicsでの研究については、こちらで見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iOS上のAmazon Alexaアプリで音声コントロールが可能に

もう2年以上前にも思えるが、AmazonがAlexaのAndroidアプリに音声によるコントロールを持ち込んだのは実はやっと今年の初めだ。これによってサードパーティのモバイルデバイスにも、Amazonが進出していけるか、と思われた。そしてそのときは、同じ機能性を“もうすぐ”iPhoneにも導入する、と発表された。そして、そのもうすぐが今日(米国時間6/26)になった。

iOS上にAmazonのスマートアシスタントをダウンロードした者は今日から、そのアプリに訊いたり頼んだりできるようになる。もちろんそれはネイティブアプリではない(Appleは自分のスマートアシスタントをとても愛しているのだ)。そこで対話は、ボタンをタップしないと始まらない。

そしてそれ以降は、Alexaに質問をしたり、音楽を聴いたり、スキルにアクセスしたり、スマートデバイスをコントロールしたりなど、Alexaの‘芸’を楽しめる。天気予報やスポーツ、カレンダーなどの問い合わせに対しては、ビジュアルな表示も出る。このアップデートは“数日後から”、無料でダウンロードでき、利用できる。

スマートアシスタントの競争でAmazonには不利な一面がある。ビッグスリーの中でAmazonだけは、独自の、そしてメジャーな、モバイルOSを持っていない。MotorolaやHuaweiなどAndroidのハードウェア開発者とパートナーして、なんとか入り込んでいるが、でもGoogleとAppleは彼ら独自のスマートアシスタントのエコシステムを育てる気だ。

今後モバイル市場で何か大きな策を打ち出さないかぎり、Amazonにとってはアプリをできるだけ多くのiOSとAndroidハンドセットに載せていくことが、モバイル進出の最良の手だ。音声コントロールが加わったことによって、モバイル上のAlexaは突然、Echoデバイスをセットアップするだけのアプリではなくなったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

カシオ会長、樫尾和雄氏が89歳で死去

Casio会長兼CEOの樫尾和雄氏が2018年6月19日に死去した。死因は肺炎だった。

樫尾氏は、1957年にCasio Computer[カシオ計算機株式会社]を創立した4兄弟の三男。同社最初の製品となる全電動式14-A計算機は、1972年に電卓をメインストリームへと押し上げたCasio Miniの製品化につながった。

Casio最大の栄誉となる製品は樫尾氏自身のアイデアだった。1980年代にクォーツ腕時計を見た同氏は、繊細で壊れやすいと感じた。しかし、ちょっとした外部保護と内部の耐衝撃システムによって、過酷な環境に耐えられる腕時計を作ることに成功した。1983年に発売された最初のG-Shockは真に頑丈な腕時計への道を開き、昨年8月同社は1億台目のG-Shock販売を祝った。

Kazuo Kashio1947年、樫尾製作所はあるユニークな製品とともに設立された。タバコを根本ぎりぎりまで吸うためのホルダーだ。1970年代になると樫尾ファミリーは電子式計算機に参入して最初のポータブル・ポケット電卓を市場に送り出すとともに、超人気の液晶腕時計F-91WやPDAのCassiopeiaを発売した。同社は世界初の液晶デジタルカメラ、QV-10や人気のキーボード楽器、Casiotoneも生み出した。

遺族である息子の樫尾和宏氏は現在カシオの社長を務めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンクのロボット、PepperがニューヨークのHSBC銀行に就職

今日(米国時間6/26)からHSBC銀行のマンハッタン支店を訪れる人々は愛想のいい人型ロボットの出迎えを受けることになる。フィフス・アベニューのHSBC銀行にはカスタマーサービス要員としてPepperが配置された。 このロボットは近年拡大を続けるSoftbankのロボティクス事業のニューヨークにおける顔となる。

Pepperはもちろん数年前からあちこちで実用に使われており、空港の出迎えからショッピングモールの案内まで便利な雑用係として能力を発揮している。このロボットが日本を出てアメリカで臨時の職に就くことができたのは2016年だった。

人間のスタッフではできないような仕事をこなせるPepperだが、やはり物珍しさが先に立つだろう。HSBCではニューヨーカーに「未来の銀行」を体験してもらう助けとしてPepperを採用したようだ。

HSBC銀行のPablo Sanchezは声明で 「われわれのフラグシップ支店から1キロ以内に200万人以上の人々が住んだり勤務したりしている。フィフス・アベニューを歩く人々の数は毎日何百万にもなる。Pepperはリテール・バンキングでいまだかつてなかった経験を提供するはずだ。『未来の銀行』を開発するわれわれの努力にPepperが役立つものと信ずる。このロボットは支店の業務を効率化するだけでなく、訪れた顧客を楽しませることができる。人間の行員はさらに専門的なレベルの高いカスタマーサービスに専念できる」と述べた。

Pepperはセルフサービス・バンキングに関する情報を提供すると同時にいくつかの分野でベーシックな質問に答えることができる。おっと、それから、いっしょにセルフィーを撮ろうとするとPepperはポーズを決めてくれうそうだ。Pepperがさらに別の支店にも現れるのかどうか現時点では不明だが、声明によれば、「Pepperはここ数ヶ月かけてHSBCの支店における銀行業務を未来化させる一連の努力の一部だ」という。

言うまでもないが、PepperはSoftbankの広汎なロボット戦略の一端を担うプロダクトだ。同社は1年前にAlphabetからBoston Dynamicsを買収している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

【新任SEO担当者向け】成果を出すためのSEOの考え方とは?ナイルの先輩社員に聞いてみました

こんにちは。ナイルの2018年卒新卒社員の大西と申します。

いきなりですが、正直なところ私はまだSEOに本格的に取り掛かり始めて1年程度と、そんなに時間も経っていません。SEOの知識は研修やお客様とのコンサルティングを通じて、ある程度はついたという実感はありますが、「ビジネスに貢献するSEO」を考えるのがなかなか難しいと感じる日々です。

今回は、同じような課題感を感じている方のためにSEOを主軸としたコンサルティングを担当している平井 完(たもつ)さんに、『ビジネスに貢献するSEOを行うにはどうすればいいのか?』ということを相談してきましたので、SEO HACKSブログにその内容と学びを書かせていただきます。

※この記事を読むポイント:デジタルマーケティングの手法のひとつであり、このメディアの主題でもある「SEO」ですが、皆さんは「どうしたら成果が出たと言えるのか?」「どうやってビジネスの成果に貢献するのか?」をどこまで理解しているのか。という点に着目して読んでいただければ幸いです。

 

–平井さん、今日はお願いします。

平井:よろしくおねがいします。

プロフィール:平井 完(たもつ)

SEOコンサルタントとして、大手求人サイトから個人ECまで企業規模・業種問わず幅広いクライアントを30社以上を担当。自社メディア「SEO HACKS」の運営・SEO技術開発プロジェクト・業務効率化プロジェクトなど、コンサルティング業務だけでなく社内プロジェクトにも幅広く活動中。

–早速なんですけど、「SEOで成果が出る」ってどういう状態のことを指しますか?

平井:「売上やCVにつながる検索流入が増える」こと。それが「SEOで成果出てる」って言える状態だね。ユーザーのロイヤリティ向上も目的のひとつではあるけど、メインは売上への貢献。

 

–なるほど。お客様からは「このキーワードで1位になりたい」という要望をいただくことも多いと思うんですけど。

平井:そのキーワードがお客さんのビジネスに繋がるものなら全力を尽くすけど、的はずれなキーワードだと売上貢献にならないから、「やってもいいけど優先度は後」になるね。実際にCVしているかどうかの判断は大事。

仮に、「1位になっても売上貢献 0円」のキーワードと「1位になったら売上貢献100万円」のキーワードがあったとしたら、後者を頑張る方が絶対に良いじゃん。もちろん「営業・ブランディングのためにCVしてなくても1位を取ることが重要」というときは、施策の優先度は加味するけどね。それも「本当にそうなのか?」というところから検証する。

売上に貢献するSEOの考え方

成果を出すSEOの考え方

–ビジネスの成果につながるSEOをする上で、「まずこれをする」というアクションはありますか?

平井:まずはビジネスモデルの確認からだね。同じ業界の会社でも、ビジネスモデルは全然違うから、「このお客さんはどこで売上を作っているのか」は絶対確認する。

例えば求人業界だと、「成果課金」のサービスもあれば「掲載課金」のところもあるし、「掲載課金+成果報酬」みたいなハイブリッドのモデルもある。

 

–確かに、成果課金と掲載課金だと、求人サービスの対象になる企業のイメージは違います。

平井:そう。で、マネタイズの仕方を確認したら、「どういうユーザーが一番お客さんの売上に貢献しているのか」を考えるかな。

 

–会社に一番お金を払ってくれてるのは誰?っていうのをイメージする感じですか?

平井:お金を払ってくれない人を頑張って集めてもしょうがないじゃん。少なくとも最優先で集めたいわけではないよね。だから、1CVあたりの単価が高いユーザーとか、LTVが高いユーザー像を考える。

で、その「売上につながるユーザー」は「どんなキーワード」で検索してるかを考える。集めたいユーザーが、どんな意図でどんなキーワードで検索しているか。それを考える手間をかけないと、SEOで成果を出すことは難しいね。ユーザー理解は本当に大事。

「キーワード」ってそんなに大事なの?

SEOキーワード

–でも、「SEO=細かい技術的な施策の集合」というイメージを持っている人って多いですよね。

平井:多いねぇ。「売上につながらないなら、SEOをやる意味ないよね」とは思ってるけど、実際にSEOをやったことがないと、「こういうキーワードは売上につながる」っていう発想を持てないんだ。

例えばうちのサイトなら、メインキーワードの「SEO」で検索して入ってきた人から、「SEOで1位だから」という理由でお問い合わせをいただく(売上につながる)ことももちろん多いんだけど、

他にも、用語集やブログ記事から入ってきて問い合わせをしてくれる人もたくさんいる。

 

–「このメインキーワードで1位が取れるかどうかが全て」という単純な因果関係ではなく、いろいろな要素が絡んで売上につながる、と。そういう、間接的に売上につながるキーワードを考える技術が無いと、「売上につながる施策はできない・わからない」ということですね。

平井:うん。キーワードを理解するってことはユーザーを理解することなので、またそこにつながる。起点になるのはやっぱりユーザー。

 

–ユーザーが思い浮かばない時はどうやってキーワードを考えるのがいいんでしょうか。

平井:自分がコンサルするなら、お客さんのサイトのアクセス解析をしたり、コンセプトダイアグラム※を書いて一緒にペルソナを固めるね。で、そのユーザーが検索するキーワードを想像したりツールで出したりする。toCのビジネスモデルだったら実際に自分が使ってみるとかね。お金に余裕があるなら笑

※コンセプトダイアグラム:顧客が最終的なゴールを達成するまでの行動・体験を可視化した図式のこと。

参考:ユーザーの検索体験を「SEO成果指標」として可視化する方法(概念と準備編)

 

–そこまでしっかり時間とお金をかけてやる必要がある、と。ユーザーとキーワードを明らかにする作業って超重要ですね…

平井:間違いない!キーワード外したら終了。

 

–一般的にはそんな危機感ないかもしれませんね笑

逆に言うと、「売上にめちゃくちゃ貢献するキーワード」みたいなものが発見できて、そこで1位取れたらものすごく儲かるかもしれない、と。

平井:そうだね。それはお客さんの商品の単価やビジネスモデルにもよるけど、その1キーワードに数千円のコストをかけた結果、数万円の売上が出るなら、そのキーワードが月に10回しか検索されてなくても取りに行くべき。

 

–業界と、ビジネスモデルとユーザーと、キーワードの兼ね合いによって、どれだけお金をかけるべきかが決まると。

平井:だから、SEOの施策を考える「前」の段階がすごく大事。

 

–むしろこの「ビジネスとユーザーについて考える技術」の方が必須なんですね。

平井:どんな仕事でも大事だね。SEO云々以前にマーケティングを担当しているなら特に。

「キーワードを考える技術」の養い方

カスタマージャーニーから考えるSEOキーワードの一例

※皆さんはこの中でどのフェーズ・どういうキーワードが「おいしい」と思いますか?

参考:素人にありがちなパッチワーク的SEO施策はもうやめよう

 

–「キーワードを考える」って、具体的にどういうことを考えるんですか?

平井:こういう人はこういう言葉で検索するだろうな、とか、こういうキーワードはコンバージョンしそうとかを考える。

 

–市場の気配を察知する能力というか…消費者感覚というか。

平井:「AとB、どっちのキーワードの方がコンバージョンしそう」とか「こんなキーワードは検索されてないだろう」とか。「普通に考えればこれ(が狙うべきキーワード)だろうなー」って感じ。

 

–その感覚ってどうしたら身につくんでしょう?

平井:自分の感覚が当たり前、と思わないことが大事かな。

自分が検索するキーワードでしか考えられないと、「大学を出た20代半ばのベンチャー企業に勤務している男性」のキーワードでしかないから。

「自分じゃ検索しないけど、この商品のお客さんならこういうキーワードで検索するだろうな」っていう想像力を持つことが大事だね。「異性」の検索キーワードとか。

 

–その感覚とか想像力の養い方ってありますか?事業会社の方でも、自社の商品のターゲットが自分じゃないこともあると思いますし。

平井:自社サービスだったらお客さんと話してる営業にめっちゃ聞くのが大事だと思う。

あとは、自社のインタビュー記事とか自社事例を読んで把握するかな。

 

–自社にある情報からちゃんと理解しておこう、と笑

平井:自分のことはね笑

自社のこととか関係なしに「特定のセグメントのユーザーについて知りたい」っていう話だったら、SNSをウォッチしたり、noteでシェアされてるアプリマーケティング研究所の記事で女子大生のこと知るとか、この間Yahoo!さんが出してた「新社会人の悩み※」の記事読んだりとか、やっぱり各方面にアンテナを貼ることが重要だと思うなぁ。一見自分にとって重要じゃないことだと思っても目は通すようにしてる。

参考:新社会人もベテラン社員も必見!ビッグデータで新社会人の悩みを先に知る – ビッグデータレポート – ヤフー株式会社

 

–あれは面白かったですね。6月頃の悩みで「仕事辞めたい」キーワードが出てくるっていう…笑

平井:そうそう。やっぱこのタイミングなんだなーみたいな笑 大西も気をつけてな。心配してないけど笑

まとめ:自社のSEOで成果を出すには、ユーザーとビジネス理解が必要である

–今回はビジネスに貢献するSEOの考え方について、平井さんに「SEOで成果を出すにはどうすればいいのか?」というお話を伺いました。

今回はありがとうございました!

平井:せっかく改めていろいろ聞き出したんだから、さっそく現場で活かしてね笑

まとめ

  1. 自社事業のマネタイズポイントを把握し、一番売上に貢献しているユーザーを探す
  2. 自社のユーザーの感覚になって、キーワードを想像する
  3. ユーザーの感覚やキーワードがわからない時は社内の情報に当たってみる
  4. これらを固めてからSEOの課題出しをすること(むしろ固めないと成果が出にくい)

ということが、今回のインタビューの学びとなりました。私としても、いままで「SEO施策ありき」で考えることが多かったと感じていて、「本当にWebサイトの先にいるユーザーとビジネスのことを考えられているか?」という点が根本的に抜け落ちていたように感じます。

今後は上記の1・2・3を意識して事前調査に重点をおいたうえで、4(事前調査を入念に行った上でSEOの課題だしを行うこと)と施策を考えていきたいと思います。

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オープンソースの持続可能性

オープンソースのメンテナーたちは疲れ果てて、支払いを受けることも稀である。新世代にむけて経済を変えていこう。

オープンソースの持続可能性とは、ずっと矛盾した表現に他ならなかった。世界中のエンジニアが、その汗と心を、情熱溢れるプロジェクトへ注ぎ込み、現代のインターネット経済の中で使われるソフトウェアを支えている。その見返りとして、彼らは称賛以外の何物も求めず、そのプロジェクトが生き続け改善されていくことに向けて努力するのだ。それは、分権化されたボランティア精神たちの、信じられないような運動であり、人間性が最高の形で現れたものだ。

インターネットとコンピューティングの巨人たち(世界で最もオープンソースを使うユーザーたち)は、数兆ドルの価値を誇っているが、その富が、彼らに力を与えているオープンソースプロジェクトのメンテナーたちに滴り落ちて(トリクルダウン)行っているのかどうかについては、あまり考えられていないだろう。昼には別の仕事を行いながら、メンテナーたちは、GitHub上でのひっきりなしの無料サポート要求に晒されながら、重大なバグを修正するための時間を見つけるのに苦労しているかもしれない。メンテナーたちののバーンアウトは深刻な問題なのだ。

その悲惨な状況は、Nadia Eghbalが書きフォード財団によって公開されたオープンソースの状況についての画期的なレポートの中で、ほぼ2年前に報告されている。オープンソース基盤を「道路や橋」と比較しながら、Eghbalはオープンソースが向き合う問題の包括的な概要を示しただけでなく、より多くのオープンソース利用者たちに対して、その経済学に注意を払うこと、そして最終的にはこうした重要なプロジェクトたちが持続可能になるように力添えを行うことを呼びかけたのだ。

それから2年が経ち、新しい起業家たちの集団、オープンソースメンテナー、そして複数の組織たちが、Eghbalの呼びかけに取り組み、オープンソースの中心にあるボランティア精神を維持するためのソリューションを生み出しながら、同時にその仕事を維持可能なものにするための新しい経済モデルを発明しつつある。全てはまだ初期段階であり、それがオープンソースの成果と品質に対して、長期的にどのような影響を持つかは未知である。しかし、それぞれのソリューションは、今後のオープンソースにおけるキャリアの考え方を、根本的に変える可能性のある道を提供している。

「道路や橋」が崩れて行くことを誰も気にしない

2年前のEghbalの報告書には、オープンソースのメンテナーたちが直面している広大な問題、そしてそれ以降も本質的に変わっていない課題がまとめられている。それは、ありふれたものになることで意識されることが減ってしまう「一般化の悲劇」の典型的な例である。Eghbalが当時書いたように、「基本的に、デジタルインフラストラクチャにはフリーライダーの問題がある。リソースは無料で提供され、誰でも(個々の開発者か、大手ソフトウェア会社かに関わらず)それらを利用する。このため、そこに貢献を返そうと考えるものはおらず、誰かがそれをやってくれるのだろうと考えるのだ」。オープンソースソフトウェアがその影響の頂点に達するにつれて、これは脆弱な生態系へとつながっている。

しかし、問題はさらに深刻だ。人びとは、単にフリーライディングをしているだけでなく、しばしばその自覚さえないのだ。普通のソフトウェアエンジニアたちは、アプリケーションの最も基礎的な部分を支えているオープンソースに注がれた職人技が、どれほどのものかをつい忘れてしまいがちだ。例えばNodeエコシステムを支えるモジュールリポジトリであるnpmは、70万近くのプロジェクトを登録している。最近新しいReactアプリを始めたところ、npmは私の初期プロジェクトにわずか数秒で1105個のライブラリをインストールした。こうしたプロジェクトは何だろう?

そしてさらに重要なことだが、がその背後にいるのだろう?ライブラリの依存関係ツリーは、ライブラリを生み出し機能させている全ての人びとを抽象的な存在にしてしまう。そうしたブラックボックスによって、それぞれのオープンソースでは、想像よりもずっと少ない人数のメンテナーしか舞台裏では働いていないということや、そうしたメンテナーたちが資金不足によって、ライブラリのために働くことが難しくなっているかもしれないということが、分かりにくくされてしまう。

Eghbalは、OpenSSLを例とした挙げた。これはWeb上の暗号化された通信の大部分を担うライブラリだ。Heartbleedセキュリティバグが公表されたときに、人びとはOpenSSLプロジェクトが非常に小さな個人のチームの仕事であり、そのうちの1人だけがフルタイムで働いていることを知って驚いた(そのフルタイム作業者も、業界基準に比べれば非常に少ない給与で働いていたのだ)。

このような状況は珍しいことではない。オープンソースプロジェクトにはしばしば多くのコントリビューター(協力者、貢献者)がいるものの、特定のプロジェクトを本当に推進しているのは、一握りの個人たちに過ぎないのだ。燃え尽きや、関心の喪失などによって、そうした推進力を失ってしまえば、プロジェクトは簡単に漂流してしまう。

無償が無償でなくなるとき

オープンソースが消えることや、メンテナーが燃え尽きることを望んでいる人はいない。しかしコミュニティの中には、商業的な関心に対する、強い文化的な抵抗が存在している。金は腐敗しており、オープンソースに対するボランティア精神を損なわせるというわけだ。より現実的には、仕事に対する実際の支払いが非常に難しい、世界中に分散したボランティアチームに対する、お金の管理の課題がある。

驚くことではないが、オープンソースの持続可能性を考える最先端では、物事は違う角度から眺められている。弁護士であり、License Zeroの創始者であるKyle Mitchellは、世間には「オープンソースは天からの恵みのように降り注ぎ続け、その背後にいる人びとは抽象的な存在として捉えていても良い」という前提があるのだという。彼はこうまとめる:「それは本当に間違っています」。

その見解は、人気のあるJavaScriptコンパイラBabelのメンテナーであるHenry Zhuによっても繰り返された。「私たちはVCからの数百万ドルという資金を持つスタートアップたちを信頼していますし、『どんどん失敗せよ』という文化も奨励していますが、だとしても何年もの献身を捧げてくれたであろうボランティアたちに、何か報いようと考えることは望ましくないことでしょうか?」と彼は語る。

Open Collectiveの創業者であるXavier Dammanは次のように語る「どのようなコミュニティにも、極論に走る人物は常にいます。私は彼らの話を聞いてその言い分も理解しています。理想的な世界では、皆がベーシックインカムを得ることになるでしょう。それには私も同意します」。しかし世界はまだ、そのようなインカムモデルには移行していないのですから、オープンソースの仕事を支援することも、選択肢として与えられるべきです。「全員がオープンソースコミュニティのために資金調達を行わなければならない、ということではなくて、希望する人ならそれができるようになっているべきであり、私たちはそういう人たちと働きたいと思っているのです」と彼は言う。

Mitchellは、最も重要な課題の1つは、単にお金について話すことに抵抗がなくなることだと考えている。「そうなるまで、お金は汚いもののように感じられることでしょう」と彼は言う。「私はコミュニティの中で、お金がより大きな役割を果たすところを見たいと思っているのです」。彼が指摘したまた別の課題の1つは「素晴らしいメンテナーになることを学んだとしても、素晴らしいオープンソース請負人やコンサルタントへの成り方がわかるわけではない」というものだ。GitHubはコードリポジトリサービスとしては素晴らしいが、最終的にはメンテナーたちにその仕事の経済性を教えるものではない。

コントリビューター個々人を支援する:PatreonとLicense Zero

おそらく、オープンソースを維持する上で最大の議論は、誰もしくは何をターゲットにするかを決めることだろう:(頻繁に複数のプロジェクト間を移動する)個別のコントリビューターたちなのか、あるいは特定のライブラリそのものなのか。

Feross Aboukhadijehを例に取ろう。Aboukhadijeh(実を言うと、彼は約10年前にスタンフォードで私のルームメイトだった)は、特にNodeエコシステムにおけるオープンソースの世界で、主役となっている。彼はNode.js Foundationのボードメンバーに選任され、GitHub上で125レポジトリを公開しているが、その中にはWebTorrent(1万7000スター)や Standard(1万8300スター)などの人気プロジェクトも含まれている。

Aboukhadijehは、オープンソースにもっと時間を費やす方法を模索していたが、1つのプロジェクトに依存したり、昼の光も見られないような民間企業でコードを書いたりすることは望んではいなかった。そこで彼はサポートの手段としてPatreonに目を向けた。

(情報開示:私の直近の雇用主であったCRVは、PatreonのシリーズAに対して投資を行っている。私はこの特定の会社に対して、能動的にも受動的にも金銭的な関心を持っていない。 私の倫理宣言によれば、私は通常ならCRVのポートフォリオ企業については書かないのだが、このエッセイはオープンソースに焦点を当てているため例外とした)。

Patreonはクラウドソース型のサブスクリプションプラットフォームで、おそらくそれが支援しているクリエイターたちでよく知られている。しかし最近では、注目されるオープンソースのコントリビューターたちによる利用も増えている。ファンたちと交流し、彼らの仕事を維持するためだ。Aboukhadijehも、他の人たちがやっているのを見て、彼のページを立ち上げた。「沢山の人たちがPatreonsを始めていました。これは私のJavaScriptサークルの中のミームの一種となっていました」と彼は言う。Patreonの彼のページには、現在72人のコントリビューターが名前を連ねており、月に2874ドル(年に3万4488ドル)の資金を提供している。

それはいささか少ないようにみえるかも知れないが、彼は様々な組織からの資金でPatreonを補っていると説明してくれた。例えばBrave( ユーティリティトークンモデルに基づく広告ブロッキングブラウザー)やPopChest(分散動画共有プラットフォーム)などだ。そうしたものの合計で、彼は月に数千ドル以上を手にしている。

Aboukhadijehは、Twitterが収入源を構築していく上で、大きな役割を果たしたと語った。「Twitterは、開発者たちが何かを話し合う場所として、そして会話が始まる場所として重要なのです…」と彼は語った。「私の仲間でPatreonで成功した人たちは、みな私のように沢山ツイートを行って、とても上手くやっています」。

大いに成功した場合には、収入はとても大きくなる可能性がある。人気のJavaScriptフロントエンドライブラリであるVue.jsの作者であるEven Youは、231人のパトロンから毎月1万5206ドルに達する収入を得ている(年額18万2472ドル)。Graphtreonによれば2016年3月にPatreonに参加して以来、収入は上下しているものの、パトロンの数は一貫して増えてきている。

Aboukhadijehは、大きな利点の1つとして、彼自身の資金に対する所有権を持っていることを指摘した。「Patreonをやったことは嬉しいですね。なぜならお金が自分のものになるからです」と彼は言う。

Patreonはユーザーから収入を得るための直接的なアプローチの1つだが、また別の方法としてデュアルライセンスを提供するというやりかたもある。無料ライセンスと商用ライセンスの2つを提供するのだ。これがLicense Zeroのモデルで、昨年Kyle Mitchellによって提案された
。彼は私に「License Zeroは、シンプルな答のない本当にシンプルな問いかけに対する回答なのです、すなわち、私たちはオープンソースビジネスをどのように個人に開放することができるのか?」と語った。

Mitchellは変わった経歴の人物だ。法律学校に行くことを選んだ昔からのコーダーなのだ。成長の過程で彼は、ウェブの上で発見したソフトウェアを使いたいと思っていた。しかし「もしそれが無料でなかった場合には、子供だったのでダウンロードすることはできませんでした」と彼は言う。「それが法律への道を拓くことになった知的財産問題へと私を誘いました」。

License Zeroは、2条項BSDライセンスに基づく許可ライセンスである。ただし、商用ユーザーは90日後には商用ライセンスの支払いを行わなければならない。このことで企業は、実際の購入の前にプロジェクトで試用することができる。もしライセンスを購入することができない場合(例えば、メンテナーがもはや存在しない)には、条項は強制力を失い、ソフトウェアは完全にオープンソースとして提供される。このアイデアは、一般ユーザーはいつでもソフトウェアを無料で利用できる一方、商用ユーザーは支払いを行う必要があるというものだ。

Mitchellは、これがオープンソースでの努力を続けようとする個人にとって、適切なアプローチであると考えている。「最も重要なことは、時間予算です ―― オープンソースプロジェクトを抱える多くのオープンソース企業や個人が、お金をサービスから得ています」と彼は言う。問題は、そうしたサービスは1つの企業に集中することになり、そのプロジェクトをなるべく良くするための時間を奪い去ってしまうことだ。「もし金儲けをするための時間が、オープンソースを良くするために使われないとしたら、それはオープンソース自身の足を引っ張ってしまいます」と彼は語る。

確かにLicense Zeroは、オープンソースはすべてのユーザーに無料で提供されるべきであるという概念からは離れてしまう、文化的な飛躍だ。しかしMitchellは、「企業はいつでもソフトウェアに支払いを行っています。そしてそれを無料で手に入れることができる場合でも支払いを行うこともあるのです」と述べている。企業は適切なライセンスを気にしているため、そのことがオープンソースソフトウェアのオープン性と精神を維持しながら、収入を得るための手段となる。またそれは、販売目的のために、オープンソースのメンテナーに重要な機能(例えば管理用ダッシュボードとか、大規模対応機能とか)を取り除く作業を強いることがない。

既存のプロジェクトのライセンスを変更するのは難しいかもしれないので、このモデルはおそらく新しいプロジェクトで使われることが最善だろう。これは潜在的に、Patreonやその他のサブスクリプションプラットフォームを補足したり置き換える手段を提供し、個人のオープンソースコントリビューターたちに、生活の場を与えながら、コミュニティにフルタイムで取り組む持続的な手段を見つけさせる。

組織を支援する:TideliftとOpen Collective

個人を支援することには多くの意味があるが、しばしば企業は、自身のソフトウェアを支えている特定のプロジェクトやエコシステムを支援したいと考える。だがそうすることがほとんど不可能なこともある。企業がオープンソースに資金提供をする場合には複雑な手順が必要とされる。例えば実際に送金する先の組織を特定するなどの作業などだ(そして多くの場合、税務署に対してその組織が確かに非営利組織であることを証明しなければならない)。TideliftとOpen Collectiveは、そうしたチャンネルを開くための2つ方法だ。

Tideliftは、Donald Fischerが率いる4人のオープンソース信者たちによる独創的な計画だ。CEOであるFischerは、General CatalystとGreylockでの元ベンチャー投資家であり、長年に渡りRed Hatの役員も努めている。その最新の取り組みとして、Fischerはオープンソースエコシステムの中心の会社たちに投資を行っている。例えばAnaconda(Pythonの科学と統計コンピューティングに焦点を当てている)、Julia Computing(Juliaプログラミング言語に焦点を当てている)、Ionic(クロスプラットフォームモバイル開発フレームワーク)、そして今はLightbendという名前になったTypeSafe(Scalaプログラミング言語の背後にいる)などだ。

Fischerと彼のチームは、オープンソースエコシステムが自分自身で持続できるようにするプラットフォームを作りたいと考えている。「オープンソースがソフトウェアの大きな部分を占めているにも関わらず、オープンソースのクリエイターの多くが、生み出している価値の多くを手にすることができていないという点に、ある種欲求不満を感じていました」と彼は説明する。

Tideliftは、「ソフトウェアのセキュリティ、ライセンス、そして保守などの分野」で保証を提供するようにデザインされている、とFischerは述べた。そのアイデアの起源は、Linuxを商用化したRed Hatから得られたものだ。ここでのアイデアは、企業はクリティカルな脆弱性対応や長期間に渡るサポートなどの保証を受けることができる場合には、喜んでオープンソースにお金を払うというものだった。さらにTideliftは、ライセンス問題の取り扱い等の、オープンソースを商用化するために必要な日常的なタスクを請け負う。

Fischerは、Tideliftから購入する企業とスタートアップが取り組むプロジェクトの共生を狙っている。「私たちはオープンソースを、関係者全員とって良いものにしようと努力しています。そこにはオープンソースの開発者と利用者の両方が含まれています」と彼は言う。「私たちが焦点を当てているのは、上流のオープンソースプロジェクトで問題を解決することです」。企業は保証を購入しているものの、それは排他的なものではない。たとえば、脆弱性が検出された場合には、全ての人向けに修正が行われる。

Tideliftは当初、React、Angular、Vue.jsといったJavaScriptエコシステム向けに立ち上げられた。しかし、時間の経過とともにより多くのコミュニティに広がって行くだろう。同社はベンチャーキャピタルのGeneral CatalystとFoundry Group、そして元Red Hat会長兼CEOだったMatthew Szulikから1500万ドルの資金を調達した。

Fischerは、同社がオープンソースのコントリビューターのための経済学を変えることができると期待している。彼はコミュニティが、「必要最低限の収入」を伴った「なんとか生き延びる」というモデルを脱却して、偉大なソフトウェアのメンテナーたちが「大きな成功を収め、それによって金銭的に大いに報われる」ことを支援したいと望んでいる。

Tideliftが商品化とソフトウェアの保証に焦点を当てているのに対して、Open Collectiveはオープンソースそのものの収益プロセスを、オープンソース化したいと考えている。

Open Collectiveは、お金を受け取ることができるツールを「グループ」(collectives)に対して提供するプラットフォームである。同時にそのグループのメンバーに対して、そのお金を民主的かつ透明なやり方で支出するメカニズムも提供している。

例えば、Open Collectiveが支援しているBabelを見てみよう。Babelは現在、毎年コントリビューターたちから、年間予算11万3061ドルを受け取っている。しかしもっと興味深いのは、このグループがどのようにそのお金を費やしているかを誰でも見ることができるということだ。Babelは現在、その口座に2万8976.82ドルを所有していて、かつすべての出費が記載されている。例えば、このエッセイの最初の方で取り上げたコアメンテナーのHenry Zhuは、6月2日にサンフランシスコとシアトルでの2週間分のLyftの費用として、427.18ドルを計上している。

Open Collectiveの創業者であるXavier Dammanは、この徹底的な透明性が、その参加たちによって、どのようにオープンソースの経済を考慮されるかを変える可能性があると考えている。DammanはOpen Collectiveを(ユーザーがウェブサイトのコードを見ることができる)ウェブブラウザの「ソースを見る」機能に喩えた。「プラットホームとしての私たちの目標は、できるだけ透明にすることです」と彼は語った。

DammanはかつてStorifyを創業した人物だ。その当時彼は、助成金を受け取って、ジャーナリストたちが匿名のタレコミを受け取ることを助けるようにデザインされたオープンソースプロジェクトを開発した。問題は「助成金を得たのはいいのですが、私はそのお金をどうすれば良いか分からなかった」ことだ。彼はそれを他のオープンソースプロジェクトに与えることを考えたが、「法的に、それはただ不可能でした」。法的実体や書類がなければ、お金は使うことができないものだったのだ。

Open Collectiveはこれらの問題を解決するためにデザインされている。Open Collective自身は、デラウェア州のC-corpと501(c)6の非営利団体の両者であり、そのプラットフォームでホストされているグループに向けられたすべての資金を、財政的スポンサーとして法的に受け取る。これにより、組織は企業に対して請求書を送ることができるようになり、このことで企業は小切手を切るための書類を受け取ることになる。「請求書を手に入れることができれば、問題は解決するのです」とDammanは説明する。

一旦プロジェクトにお金が入ったら、それを使う方法を決めるのはコミュニティのメンテナー次第だ。「それぞれのコミュニティのルールを決めるのは、各コミュニティに任されます」とDammanは語る。彼は、オープンソースのコントリビューターたちは、しばしば通常行われていないあまり面白くない種類の仕事を代行して貰うためにお金を使うことが多いと指摘する。Dammanはそれを「人にお金を払って、場所を綺麗に保つ」ことになぞらえた。公園を積極的に掃除したいと思う人はいないが、もし誰も公園を掃除しなかったら、だれも公園を使わなくなってしまう。彼はまた、実際の対面ミーティングが、よく使われる収入の使い道だと説明した。

Open Collectiveは2015年後半に立ち上げられ、以来647のオープンソースプロジェクトを支えてきた。これまでのところ、人気のあるJavaScriptビルドツールであるWebpackが最も収益を上げており、現在の収益は年間31万7188ドルに達している。組織の主な目的の1つは、より多くの営利企業たちが、オープンソースに資金を投入するように促すことだ。Open Collectiveは、主要な寄付者のロゴを各グループのページに配置して、オープンソースへのコミットメントに対して目に見える称賛を与えている。

Dammanの究極の夢は、所有権そのものの概念を変えることだ。私たちは「競争を協調に変えるだけでなく、所有を共有に変えることもできます」と彼は期待を述べる。

持続可能性を持続する

残念ながら、オープンソースの持続可能性の議論はとても初期の段階である。Patreon、License Zero、Tidelift、Open Collectiveは、持続可能性のためのインフラストラクチャを提供する異なるアプローチだが、最終的にはそうしたインフラストラクチャを有効なものにするためには、誰かが支払いを行う必要がある。Patreonで昼の仕事を埋め合わせることができているエンジニアは、ほんの一握りだけだ。そして私のみたところ、1人のフルタイムメンテナーをOpen Collective上で支援できているグループは2つだけである。License ZeroとTideliftはあまりにも新しいので、まだどのようになるかは判然としない。

とはいえ最終的には、私たちは文化を持続可能性に向けて変えていく必要がある。BabelのHenry Zhuは次のようにコメントした「私たちのコミュニティの文化は、例えば雇用の提供や資金の提供といった、できることで対価を与え、コミュニティのプロジェクトを支援するようなものでなければなりません。オープンソースを単に取り込んで使い、そのコストを無視したままではなく、私たちはその持続可能性に責任を負うべきなのです」。

ある意味、私たちは単に、一般化の悲劇における、元々のフリーライダー問題に戻っているだけだ ―― だれかが、どこかで支払いをしなければならない、しかしその便益は皆で分け合うのだ。

しかし、こうした変化は、コードを扱う私たち全てに起こり得るものだ ―― すべてのソフトウェアエンジニアとプロダクトマネージャーの全てに。営利企業で働いている場合には、あなたの仕事を効率的にしてくれているコードを支援できる方法を率先して探そう。オープンソースコミュニティーの分権化とボランティア精神は、すべての財政的コントリビューターに対しても、まったく同じ種類の分権化された精神を要求する。持続可能性は私たちひとりひとりが、日々取り組むべきことだ。もし私たち皆が、自分の役割を果たせば、人類が生み出した、歴史上最も偉大な知的運動の1つを支えて、オープンソースの持続性の矛盾を永遠に葬り去ることを助けることができるのだ。

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(翻訳:sako)

画像クレジット: Massimiliano Clari / EyeEm / Getty Images

Facebook、暗号通貨広告を部分的に解禁――ICO、バイナリーオプションは引き続き禁止

Facebookは暗号通貨関連広告を全面的に禁止する方針を撤回した。広告収入の可能性は無視し続けるには大きすぎたようだ。今日(米国時間6/26)、Facebookは暗号通貨の広告を禁止した約款を改正したことを発表した。新約款は直ちに実施された。

暗号通貨広告はすべてが解禁されたわけではない。Facebookによれば、広告主は事前に承認を受けた上で暗号通貨関連の出広が可能となる。ただしバイナリーオプションとICOのプロモーションは引き続き禁止される。

Facebookは今年1月に暗号通貨広告をすべて禁止した。Facebookはこの理由を、「現在この分野では不誠実な運営を行っている会社が多過ぎる」からだと説明していた。

Facebook自身、「暗号通貨関連の広告を全面的に禁止するのは影響の大きい方針転換」だと認めたものの、新方針は「Facebookの広告の「正当な運用とセキュリティーを改善し、Facebookを利用して悪事を企み利益を得ることを困難にする」ものだとしていた。

ただしFacebookでは、悪質な広告に対する防衛機能が改善されるに従ってこの方針は随時再検討されるとも述べていた。

その後6ヶ月経って、Facebookは暗号通貨広告の津波と戦う用意ができたようだ。

新しい手続きはこうだ。 広告主はまず出広の申し込みを行い、審査を受ける必要がある。広告主は、ライセンスの状態、上場企業か否か、など企業の現状について詳しく答えねばならない。

ただしこうして広告主から得られた情報についてFacebookがどの程度のファクトチェックを行うのかは現状では不明だ。

Facebookは他の広告同様、暗号通貨関連広告に関してもガイドライン違反を指摘する「この広告を通報」機能を用意すると述べている。つまり悪質な広告が多少は紛れこむことを予期しているのだろう。

Facebookでは新約款でも依然としてある種のプロダクトの広告が禁止されている点について注意を喚起すると同時に、今回の出広規則も暫定的なものだと強調している。Facebookのプロダクトマネジメント担当ディレクター、Rob Leathernは声明で以下のように述べている。

…新約款の有効性や影響についてわれわれはフィードバックを注意深く検討していく。〔暗号通貨〕テクノロジーについても引き続き研究を続け、必要に応じて約款を見直す。

Facebookが暗号通貨広告を禁止した後、3月にはGoogleもこれに続いた。このときGoogleはこの分野の広告は公的規制下になく投機的なものが多いからだと説明している。新しい規則は6月から有効となっている。TwitterとSnapも暗号通貨広告を制限する規則を制定している。Twitterの場合は上場企業による取引所とウォレットの広告のみ許可している。SnapはICOの広告を禁止しているが、それ以外の暗号通貨広告は許可される。

暗号通貨分野ではスカム(インチキなビジネス)が横行している。FacebookやGoogleのようなメジャーなプラットフォームはどんな広告が許されるのか、ルールを制定して規制を行う必要があるだろう。月曜にCoindesk が報じたところでは、FTC〔連邦取引委員会〕の調査で、暗号通貨に関連して、2018年の最初の2月だけで5億3200万ドルの詐欺があったことが判明したという。FTCでは「年末までに詐欺被害額は30億ドルに上る可能性がある」lと警告している。

画像:ryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


「地球に持続可能な水産養殖を実装する」9.2億円調達のウミトロンが開発する養殖テクノロジー

海の持続可能な開発を、IoTなどのテクノロジーを使った水産養殖により実現を目指す——6月21日にシードラウンドで総額約9.2億円の資金調達を発表したウミトロン。水産分野のアーリーステージ投資では、世界でも過去最大級となる規模の調達となった。

「我々はアジアを起点に、はじめからグローバルを狙っている」こう話すのは、シンガポールに本社、日本に開発拠点を持つウミトロンの共同創業者でマネジングディレクターの山田雅彦氏だ。TechCrunch Japanでは山田氏に、ウミトロン創業の背景や展開するサービス、今回の調達について話を聞いた。

リアルインダストリー、水産業にデータ活用を

ウミトロンは2016年4月の創業。創業メンバーは代表取締役の藤原謙氏、マネジングディレクターの山田雅彦氏、画像処理と機械学習を専門とするエンジニアの岡本拓磨氏の3人だ。

藤原氏は、東京工業大学で宇宙工学を専攻し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で人工衛星の研究開発に従事した。その後カリフォルニア大学バークレー校へ留学し、三井物産にキャリア入社。衛星データを活用した農業ベンチャーへの投資などを担当してきた。

その中で藤原氏は、今度は新たな食料源としての水産養殖に興味を持つ。中でもアジアでは昔から魚を食べる習慣があり、全世界の魚の消費の3分の2を占める。アジアを起点にグローバルも狙える——そう考え、藤原氏はウミトロンの創業に至る。

平成28年度水産白書より

山田氏もまた、大学では宇宙工学を専攻し、衛星開発を研究していた。藤原氏と同様にデータ利用に関心があり、九州大学卒業後は三井物産へ入社。オーストラリアで気象情報を活用して電力の需給情報を予想し、電力先物取引や電力会社の収益モデル構築などに従事した。

その後山田氏は、AIベンチャーのメタップスへ転職。メタップスではデータのマネタイズ、具体的にはスマートフォンユーザーの決済や行動履歴から消費行動を予測する、といったことを行っていた。メタップスの東証マザーズ上場を機に、新しいことを始めたい、との思いから、ウミトロン創業に参画。再びリアルインダストリーを舞台にデータを活用する道を進むこととなった。

岡本氏は東京理科大学で画像解析を専攻。グリーでソーシャルゲームのフルスタックエンジニアとしてゲームのプラットフォームを開発していた。その後メタップスへ移り、アプリや動画の解析システムのネイティブアプリ・SDK・サーバーサイド開発に従事。リアルインダストリーでのデータ活用に興味を持ち、ゲームアプリ開発の世界からウミトロンへ参画した。

山田氏は「水産養殖の市場は人口増加率をはるかに上回る速度で成長を続けている、成長分野だ」と話す。「昔から人手をかけられてきた農耕・牧畜と比較して、魚だけは漁獲(漁猟による漁業)中心のまま。テクノロジーの発展にともない、漁業にも技術を適用できるのではないかということで、ウミトロンを立ち上げた」(山田氏)

成長産業の水産業を持続可能にする養殖テクノロジー

日本では少子化が進んでいるが、世界的には人口増は続いていて、国連の発表によれば2050年には97億人にもなることが予想されている。そうした中で、アジアを中心に動物性タンパク質の需要は拡大を続けている。

一方、食料を生産する耕地の面積や単位面積あたりの収穫量には限界がある。漁獲中心だった水産業でも、マグロをはじめとした水産資源の減少が危惧され、近畿大学のマグロ完全養殖の研究に注目が集まるなど、水産養殖への期待は高まっている。

実際、漁獲による水産物の生産量は1980年代後半から頭打ちの状況だ。それに比べ、養殖による生産量は拡大を続けている。

平成29年度水産白書より

「ウミトロンのミッションは地球に持続可能な水産養殖をもたらすこと」と山田氏は語る。「今までは生産者の経験やノウハウに頼っていた養殖を、コンピュータで置き換えられるのではないか」ということで、同社のファーストプロダクトとして、2017年6月に開発されたのが「UmiGarden(ウミガーデン)」だ。

上の写真はウミガーデンが養殖いけすの中央に設置(山田氏は“デプロイ”と表現していた)されている様子だ。イメージセンサーを海中に設置して魚群をストリーミングし、スマートフォンアプリから魚に餌やりができる。

水産養殖では餌やりが大きな課題となる。養殖業者にとって餌やりは毎日行うもの。しかし気象などの海洋条件によってはいけすに近づけないこともある。これが陸地で行う農耕・牧畜とは大きく異なる点だ。

また、餌代は生産コストの5割以上を占める。山田氏によると、5割というのは比較的餌代がかからないサーモンでの数字で、マダイやブリ、マグロではもっと高くなるとのこと。マダイのいけす1つあたりで年間1000万円、1事業者あたり30〜100のいけすを持つので、多いところでは年間10億円が餌代として費やされているという。

ウミガーデンのコンセプトは「家から魚を育てられる」こと。養殖業における作業は餌やり以外にもあるが、まず最初のステップとして餌の課題を解決するところからウミトロンは着手した。

「餌やりの回数は従来1日2〜3回で、人間の生活サイクルに合わせた形だった。でも野生の魚は食べたいときにはいつでも食べられる状態。そこで1時間おき、30分おきなど、高頻度で少量ずつ餌を与える試みも行っている」(山田氏)

ウミトロンでは「餌やりソリューション」としてウミガーデンを提供しつつ、バックエンドでは機械学習による遊泳解析も実施。魚がお腹がすいているかどうかを知るための分析を進めている。「解析精度が向上すれば、お腹が減っているときだけ餌をやることも可能になってくる。現在はタイマーを生産者が設定して、半自動で餌やりを行っているが、将来は技術的には自動化も可能となるだろう」と山田氏は述べている。

餌やりについては、生産者以外にも影響を及ぼす課題がほかにもある。地球規模で問題視される「過給餌」、餌のやり過ぎによる生態系の破壊だ。

2016年、南米のチリで起きた記録的な赤潮。赤潮はプランクトンが大量増殖することで起きるが、原因の一つとして、サケ養殖のため必要以上に餌を与えたことが挙げられている。チリの例では生態系全体に被害を及ぼし、養殖場だけでも2000万匹を超えるサケが窒息死、その被害額は約1000億円にも上っている。

山田氏は「魚が欲しいときにだけ餌やりをすることで、養殖を最適化することが可能になる」という。「過給餌をなくして養殖を最適化できれば、漁業は農業に比べてよりサステナブルなタンパク質の供給源となる産業だ。ただし漁獲のままでは、例えばマグロの取り過ぎでサバ・イワシが増え、餌となる小魚が減少するなどの問題は起こる。海でも農牧業と同様に、自然界から切り離して漁獲から養殖にシフトすることが持続可能性につながる」(山田氏)

山田氏は「生産者の餌やりの動向も分析・学習することで、魚の生存率を高めたり、育成を早めたりする餌のやり方も将来可能になるだろう」と話し、「魚のデータ、水産者のデータ、海洋データを利用して、養殖コンピュータを作ることをウミトロンでは目指している」と語る。IoT、衛星リモートセンシング、AIをはじめとしたテクノロジーを使い、持続可能な水産養殖のコンピュータモデルの開発を進めるという。

デザインシンキングで消費者・生産者のユーザー体験を変えたい

6月8日付けで実施されたウミトロンの資金調達では、産業革新機構D4V、藤代真一氏、松岡剛志氏ら個人投資家が出資に参加した。

出資した産業革新機構について山田氏は「成長産業である水産分野でプロフィットを目指すことに加えて、海のサステナブルな利用という面での公益性も評価してもらっている」と述べている。

また、D4Vについては「デザインファームのIDEOの共同創業者トム・ケリー氏も参画するVCで、デザインシンキングでプロダクトの価値向上を図りたい我々の意思と一致するところが大きい。水産はIT分野では珍しい産業なので、ユーザー体験を変えたい」と山田氏は話している。

「ユーザーとして想定しているのは2方面」と山田氏。ひとつは最終消費者のユーザー体験だ。

「天然水産物より養殖のほうが良い点はいくつもあるが、それが理解されていない。養殖では餌がコントロールできることで、水銀のない、妊婦さんでも食べられる魚や寄生虫のいない魚ができる。魚だけが『野生のほうがいい』というのは建設的ではない。養殖のプラスの要素をより知ってもらえるようにしたい」(山田氏)

もうひとつは生産者のユーザー体験。「ゲーム業界などと比較すると、水産業と新しいテクノロジーとの間にはギャップがある。テクノロジーを取り入れることで経済性も生産効率も上がる。これを分かってもらうため、ユーザー体験を変えていきたい」と山田氏は語る。

調達資金について山田氏は「技術をコアに成長していくための採用強化と、既存事業のデータ解析や産業のデジタル化を強化し、ハードウェアの開発、量産化も進める」と話している。また研究開発も強化していくということだ。

[ビデオ]ふつうの円形の車輪が地形や地質に応じて三角形になる未来の軍用車両

DARPAは、そのGround X-Vehicle Technologies計画の一環として、未来的でしかも実用的な新しい軍用車両を披露した。イノベーションのひとつである構成を変えられるホイール・トラックは、カーネギーメロン大学のNational Robotics Engineering CenterとDARPAの共同開発だ。しかもそのホイール・トラックは、戦闘用車両を単なる武装を超えて生存性を強化するための設計要素の、ひとつだ。

ビデオでお分かりのように、構成を変えられる(reconfigurable, リコンフィギュラブル)ホイール・トラックは、円形の車輪から三角形のトラック(キャタピラー)への変形およびその逆をなめらかに約2秒で行い、しかも走行時にスピードを落とさずにそれができる。円形の車輪は硬い地面に合い、キャタピラー方式のトレッドはやわらかい地面で武装車両が自由に動ける。

Ground X-Vehicle計画のトップ、Amber Walkerによると、この技術は“車両の戦術的な動きと、多様な地形における行動性を大きく改良する”。…そのアドバンテージは、下図のGIF画像でお分かりいただけよう。

車輪の技術なんて、一見ぱっとしないが、結果は見た目にも印象が強いし、とってもスムーズだから、あらためて見なおしてしまう。

ビデオには、ほかにも見逃せない設計機能が映っている。そのひとつが、窓なし走行技術Virtual Perspectives Augmenting Natural Experiences(V-PANE)で、これは複数のLIDARとビデオカメラの像から、まわりの状況をリアルタイムで作りだす。そしてドライバーは3Dのゴーグルをつけて、VRによる窓からの光景を見る。そのVRは奥行きの把握と再現が強化され、ドライバーの頭の動きにリアルタイムで追従する。もちろん、さまざまな地形データ等も表示する。

画像クレジット: DARPA

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

近鉄グループが20億円規模のCVC設立へ

近年、大企業とスタートアップの距離が急速に縮まってきている。本体やコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じた出資、事業間の連携・協業、アクセラレータープログラムの実施など、関連する話題に触れる機会が増えた。

TechCrunch Japanでは日本国内のスタートアップの資金調達ニュースを日々紹介しているが、出資先の顔ぶれを見ても、大企業の名前を頻繁に目にするようになってきている。

そして6月26日、また1社国内の大企業がスタートアップとの協創に力を入れていく方針を示した。その企業とは鉄道事業を中心に、複数のビジネスを手がける近鉄グループホールディングス。同社は8月にCVC「近鉄ベンチャーパートナーズ」を設立することを明らかにした。

近鉄グループが展開する運輸、旅行・レジャー、流通・飲食、ホテル、不動産、広告・情報サービスといった各事業とシナジーが見込めるスタートアップが投資の対象で、出資枠は20億円。具体的には「グループ事業とのシナジーの観点」と「新事業創出の観点」で投資先を決めていくようだ。

・グループ事業とのシナジーの観点

  • あらゆる事業分野で必要となる運営の効率化・省人化
  • グローバル&ICT社会でのマーケティング、プロモーション、コミュニケーション力強化
  • 顧客ニーズの多様化に対応するサービスの高度化、付加価値向上

・新事業創出の観点

  • 高齢化・人口減少などに対応する新事業・サービス、地域活性化策
  • 環境・エネルギー、農業、健康・医療などの社会課題の解決を目指す新事業
  • Fintechなど、テクノロジーの進化そのものが創出する新事業

近鉄グループが各事業分野において保有するデータや顧客基盤、沿線社会などのリソースをスタートアップに提供することで、事業領域の拡大や新たな事業の創出も目指していく方針だ。

なお鉄道会社ではJR東日本が2018年2月にCVCのJR東日本スタートアップを設立。駐車場シェアの「akippa」や腰痛対策アプリ「ポケットセラピスト」のバックテックに出資をしているほか、JR西日本もJR西日本イノベーションズを通じて荷物預かりシェアの「ecbo cloak」を展開するecboなど複数社に出資している。