Facebookの写真移行ツールが欧州、中南米、アフリカ諸国で公開

Facebook(フェイスブック)は昨年12月にアイルランドで公開したデータ移行ツールの提供範囲を広げている。このツールを使うと、Facebookサーバーに保存してある画像やビデオを別の写真ストレージサービス、たとえばGoogle Photos(Googleフォト)などに暗号化転送を通じて直接移行できる。

Facebook広報は「移行ツールは米国時間3月10日に英国、EU諸国、および中南米、アフリカの一部の国々で公開される」とTechCrunchに伝えた。広報担当者によると、先月末にFacebookは、APACおよび中南米の複数の地域でもツールを公開している。Facebookは以前、このツールを2020年上半期中に全世界で公開すると言っていた。

「transfer a copy of your photos and videos」(写真とビデオの転送)機能は、設定ページのFacebook Information(あなたのFacebook情報)タブから設定できる

このツールは、FacebookがData Transfer Project(DTP)に参加して開発したコードが基になっている。DTPは2018年に始まった協同プロジェクトで、Apple(アップル)、Facebook、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、およびTwitter(ツイッター)が参加しており、オープンソースコードを使って任意のオンラインサービス間をつなぎ「2プラットフォーム間でシームレスに直接ユーザー主導のデータ移行を行う」ための共通フレームワークを構築することを目的としている。

ここ数年、テック界の巨人たちによる寡占に対する不満が高まっており、議会や規制当局の注目を集め始めている。例えばEUでは、競争規制当局がテック巨人のデータ運用を巡ってAmazonFacebookGoogleなどに目をつけている。一方米国では、GoogleFacebookAmazon、 Apple、Microsoftらが反トラスト法の監視にさらされている。そして反トラストに関する疑問が増えるにつれ、巨大テック企業は対応にせまられる。こうしてポータビリティーに関する集合的圧力がかかっている。

昨年9月、Facebookは白書を公開してデータポータビリティーに関する同社の見解を示し、ポータビリティーをプライバシー問題への挑戦であると主張しようとした。それは同社が集めたユーザーの個人情報の移行に規制当局が制限をつけることを求めるロビー活動のようにも見えた。

同時に、ポータビリティーツールの公開は、規制当局の手が入った際の点数稼ぎにもなるかもしれない。もっともこのツールはFacebookが保持している個人データのごくわずかな部分を移行できるだけであり、こうしたツールを望むのはごく一部の技術に詳しいユーザーだけかもしれない。

さらにFacebookの移行ツールは、現在Googleのクラウドストレージへの直接転送にしか対応していない。これは、ユーザーの顔生体情報をある巨人から別の巨人にコピーするパイプを太くしているだけだ。

本誌、おらびEU在住の記者を通じて確認したところ、Facebookのドロップダウンメニューにある転送先は今の所Google Photosだけだった。

しかし広報担当者は、より広範囲な利用形態を示唆しており、DTPプロジェクトがSmugMug(スマグマグ、Flickrの親会社)の写真API用アダプターを更新したことや、音楽ストリーミングのDeezer(ディーザー)、分散型ソーシャルネットワークのMastodon(マストドン)、Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ・リー)の分散型プロジェクトSolid(ソリッド)などとの統合についても語った。

担当者によるとアダプターはデータタイプごとに用意され、オープンソースの協力者がさまざまなデータタイプ(写真、プレイリスト、連絡先など)のアダプターを開発している。GitHubには開発中のプロジェクト一覧もある。

上記サービスへの直接転送オプションがなぜFacebookのメニューにないのかはまだわからない。直接データ転送を実装するためにサードパーティー側の作業が必要なのかもしれない。この点について質問したところ、今はGoogle Photosが唯一の転送先であることを認め、これは「第一ステップ」で「関係者に評価できる実物のツールを見せることが目的であり、その間にもっと多くの会社がDTPプロジェクトに参加すれば、我々はもっと多くのサービスやデータタイプの移行準備を進める」と答えた。

DTPプロジェクトの目的は、「ポータビリティーツールをつくるたびに車輪を作り直す」ことがないよう、誰でも簡単に使える標準バージョンをつくることだと広報担当者は語り、「このツールは現在のDTPパートナーと協力してつくったものであり、将来さらに多くのパートナー企業が参加することを願っている」と付け加えた。

彼はコードがオープンソースであることも強調し、自社のサービスをフレームワークにプラグインしようとする会社は、公開APIさえもっていれば「スムーズに統合」できると言っていた。「公開API向けにDTPアダプターを書くだけでいい」とのこと。

「ツールが公開された今、我々はもっと多くの専門家や企業と協力して働けることを楽しみにしている。この種のサービスとつながることを目指しているスタートアップや新しいプラットフォームは特に歓迎だ」と広報担当者は語った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

配達用ドローンのランディングステーションはSF映画のセットみたいだ

配達用ドローンはもちろんハイパーローカルなテクノロジーのホットな話題だが、その未来の飛行物体はそもそもどこに着陸するのか?芝生?そこでMatternet(マターネット)は、同社の輸送ドローン用のランディングステーションを作った。しかし、それは配達のためのインフラというよりも、60年代のSF映画の殺人光線兵器に似ている。

離着陸の場所を特定しないPrime Airなどと違ってMatternetのドローンは、特定の場所を結びつける配達ネットワークを使う。そのやり方は確実ではあるが、病院など時間を争う配達には向いていないかもしれない。

関連記事:大学病院が血液サンプルの配送にドローンを利用

同社はスイスとノースカロライナでパイロット事業を行い、最近サンディエゴでも始めた。医療機関が交通渋滞などの問題に悩まされずに血液などの検体や医療品やワクチンなどの発送や受け取りが目的だ。

問題は、ドローンがどこに着陸してそのあとどうするか。誰かが電池交換をするのか?そのドローンに接近しても安全だと誰が言うのか?積荷をどうやって取り外すのか?どんな方法にせよ、なるべく容易でできるだけ自動化してほしい。それを実現するのが、ステーションの役目のはずだ。

テクノオーガニックな曲線と、花のような上部のハッチを見ると、高さ10フィート(3m)のそのステーションは「Star Trek: The Original Series」(スタートレック宇宙大作戦)とか「Lost in Space」(宇宙家族ロビンソン)なんかを彷彿とさせ、機能的であると同時に、明らかに目立つことも狙っている。

ドローンが到着すると上部が開き、ドローンはその中央に着陸する。ステーションの機構部がドローンをしっかりと固定し、積荷を下ろすとともに電池も換える。積荷は塔の部分に収容され、認証された人物が来るのを待つ。その人はドングルをスキャンしてドアを開き、パッケージを受け取る。

ドローンが1台だけなら、再び必要とされるまで上部のバルブのような部分に収まるだけだが、配達に複数の機を使用するときは中の機がすぐ離陸して約60フィート(18m)上空を「ドーナツ状に」旋回する。

このステーションは今年の第2四半期に、Matternetの既存の顧客である病院のひとつに設置される。そして安定稼働が実証されたら、もっと広く展開されるだろう。下のデモビデオは、俳優たちが演じるドラマになっている。

画像クレジット: Matternet

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

地図サービスのTomTomとTRI-AD、デンソーの3社が自動運転向け高精度地図作成で協業

オランダを拠点とする地図サービスなどを運営するTomTom(トムトム)は3月11日、トヨタ自動車のグループ会社で自動運転などを研究するトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)とデンソーとの協業を発表した。併せて、自動運転技術に不可欠な地図データを高速かつ高精度に生成するための実証実験に成功したことを明らかした。

TomTomは、アップルの「マップ」アプリに地図データが採用されていた企業で、最近では中国ファーウェイが同社とナビゲーションとマッピング、交通情報へのアクセスの提供について契約合意している。

関連記事:ファーウェイは失ったGoogleマップの代わりを求めTomTomを頼る

3社が合同で実施した実証実験は、デンソーの車両センサーを搭載したTRI-ADの試験車を利用し、TRI-ADの自動地図生成プラットフォーム「Automated Mapping Platform」(AMP)とTomTomのクラウドベースのトランザクション・マップ・プラットフォームを併用。車両センサーが道路上で観測した情報を収集し、それらの情報をAMPがデータ形式の変換・補正を実行、TomTomのトランザクション・マップ・プラットフォームに反映されるという流れだ。このシステムが実用化されれば、地図上とは異なる現在の道路や周辺環境を随時クラウド上で管理・更新可能になる。既存の地図データと組み合わせることで、最新かつ詳細な地図が手に入る。

Uber Eatsが四国上陸、愛媛・松山、香川・高松で9時〜24時までデリバリー可能に

Uber Japanは3月11日、同社が手掛ける飲食のデリバリーサービス「Uber Eats」を四国に展開することを明らかにした。3月18日午前9時より愛媛県松山市の一部地域で、3月25日から高松市の一部地域でサービスが始まる。Uber Eatsはこれまで、首都圏では東京や横浜、川崎、さいたま、千葉、関西では大阪、京都、神戸、東海地方では名古屋、九州では福岡のそれぞれ一部地域でサービスを展開。2月には中国地方に進出し、岡山、広島、福山で利用可能になったが、四国は今回が初進出となる。

同サービスは、専用のスマーフォンアプリを使うことで利用者の現在地を特定し、その周辺の配達可能な飲食店に配達を依頼できるのが特徴。配達を担当するのはUber Eatsの専用ドライバーで、飲食代金のほかに配達料が別途かかる。従来の宅配は、飲食店側が配達要員を確保する必要があり人員確保の難しさやコストの問題があったが、専用のドライバーを擁するUber Eatsなどの普及によって飲食店は配達を新たな収益源として利用できるようになる。利用者にとっては、これまでは出前注文を受け付けていなかった飲食店の料理を自宅などで手軽に食べられるメリットが生まれる。なお、配達に要する時間は最長でも30分程度になるという。
松山市では、市中心部西エリア、中心部東エリアおよび城北、城西、城南各エリアの一部で朝9時から深夜24時までサービスを受け付ける。高松市では市中心部の北部エリアのみとなる。いずれも配送料は350円。宅配を依頼できる飲食店(レストランパートナー)は、松山市、高松市ともそれぞれ40社超。

契約書レビュー支援のLegalForceが株主総会議事録やファクタリング契約書などを含む書式・ひな形120点を追加

LegalForceは3月11日、法律事務所ZeLo・外国法共同事業と協働し、株主総会・取締役会の議事録書式100点、「ファクタリング契約書」などの専門性の高い契約書ひな形20点の計120点を提供開始したことを明らかにした。法律事務所ZeLo・外国法共同事業は、LegalForceの共同創業者の小笠原匡隆氏が代表弁護士、同社代表取締役CEOの角田 望氏が副代表弁護士を務める弁護士・弁理士事務所。

同社はAIを活用した契約書レビュー支援サービス「LegalForce」を展開している2017年4月設立のスタートアップ。LegalForceでは、これまで約150点のひな形を利用可能だったが、今回の新規追加によって270点超を利用できるようになる。LegalForceのAIが契約内容をチェックすることで、契約書制作の煩雑な作業を軽減できる。なお、今回追加された株主総会、取締役会議事録の書式は2021年6月までに施行が予定されている改正会社法の内容も踏まえたもので、施行後もそのまま使える。

LegalForceは、AIによる契約書の自動レビュー機能のほか、社内の契約書データの有効活用を支援するナレッジマネジメント機能なども備えており、現在250社の企業、法律事務所に導入されている。

建設職人マッチングの「助太刀」がパーソルや西武信金と提携、各地域の優秀な職人を発掘可能に

建設職人を建設現場のマッチングサービス「助太刀」を運営する助太刀は、パーソルホールディングス西武信用金庫との業務提携を発表した。パーソルホールディングスは総合人材サービスを運営しており、同社のCVCであるPERSOL INNOVATION FUNDは助太刀の株主でもある。西武信用金庫は、東京や埼玉、神奈川の一部を営業地域とする金融機関。

具体的な提携内容は、パーソルホールディングスと取引のある地方銀行や信用金庫、西武信用金庫の顧客である建設会社(建設職人)と施工会社のマッチングを支援する。助太刀が提供している、工事会社、工務店向けプランである「助太刀ビジネス」「助太刀エンタープライズ」では助太刀サービス内にウェブサイトを開設できるほか、全76職種のすべての職人を募集できる機能、キーワードや資格、返信率など18項目の絞り込み検索で相手を探せる検索機能などを備える。同社はパーソルホールディングスや西武信用金庫を通じて、それぞれの工事会社、工務店にこれらのプランの利用を促進し、ビジネス機会創出の手助けをする。

地方銀行や信用金庫は、顧客である工事会社や工務店について借入額や返済実績などを通じて各社の財務状況を把握しており、問題なく融資を受けられている工事会社や工務店は一般的には信頼できる会社と言える。

建設業界では、施工主から発注された建設会社は過去に取引実績がある工事会社や工務店に下請けを出すことが多い。さらに下請けの受注会社も、一部の作業をやはり過去に取引実績がある工事会社や工務店に下請け(孫請け)を出す。このコミュニティに新規の会社が参入するのはなかなか難しいという問題がある。

発注側にしてみれば、新規の会社が所持している資格や受注可能な工事、工事単価などの詳細、経営状態がわかりにくい。そして受注側も、発注側の経営状態などについて同様の不安がある。

今回の提携により、助太刀ビジネスや助太刀エンタープライズのサービスを通じて、融資などで地方銀行や信用金庫などの後ろ盾がある工事会社や工務店を助太刀のサービス上で探し出せる。近所はもちろん近隣地域の優秀な職人や実績のある工務店の発掘が容易になり、ある地域では人手不足、別の地域では仕事が少ないといった建設業界のミスマッチを解消を目指す。

RobinhoodアプリがNY市場大暴落中に再びダウン 

Robinhoodのトレーディングアプリを利用していた投資家は、同アプリがウォール街の株価暴落のためダウンした後、再び取引から締め出されることになった。

約1時間のダウンタイムを経て、アプリの機能は部分的に復旧している。

今回のサービス停止は、1年で最も忙しい取引日のうちの1つだった日にサービスが停止した1週間後に発生した。

停止の余波を受けてRobinhoodの創業者らは、サービス停止の影響を受けた投資家にはケースバイケースで補償を行うと述べている。

以前、我々が報じたように、Robinhoodは3月2日の太平洋時間午前6時30分から午後11時までオフラインだったが、今回は3月9日の午前6時30分から午前9時直前まで再び停止した。

Robinhoodは以前のサービス停止の際に、ユーザーに対して以下の補償を提示している。

9億1200万ドル(約950億円)の資金を調達した金融技術大手のRobinhoodは、Robinhood Goldのプレミアム会員のすべての顧客に、補償のために資金を借りたことに加えて、Morningstarによる調査報告書、Nasdaqのデータ、より大きな即時預金へのアクセスを提供することを明らかにした。サービスの提供期間は3カ月だ。

Robinhood Goldの1カ月の利用料は5ドル(約520円)で、それにくわえて1000ドル(約10万4000円)以上の借り主には年間5%の利子が1日ごとにつく。価格変更前であれば、月額定額料金は最大200ドル(約2万800円)になる可能性があるが、補償では月額5ドル(約520円)、合計で15ドル(約1560円)しか割引を受けられない。月曜日に9%以上値上がりしたApple(アップル)のような株式をRobinhoodのユーザーが買い戻しできなかったとしたら、この金額はとても不十分なものに思うかもしれない。なお、Robinhoodはこれを「第一歩」と呼んでいる。

Impacted Robinhoodのユーザーは、Robinhoodに連絡して補償を求めることができる。以下は、Robinhoodが昨夜遅くに顧客に送ったメールだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

他のハッカーとその侵入先を狙いツールにトロイの木馬を忍ばせるハッカー

最近発見されたマルウェアは、ハッカーが別のハッカーを攻撃するのに使われ、ターゲットがよく使っているハッキングツールに感染して、それらを改造しているらしい。

CybereasonのAmit Serper(アミット・サーパー)氏の発見によると、ここ数年におよぶマルウェアの攻撃において、犯人は既存のハッキングツールを乗っ取り、強力なリモートアクセス用トロイの木馬を注入しているという。それらのツールを開くと、ハッカーはターゲットとコンピューターのどこにでも自由にアクセスできるようになる。被害に遭うハッキングツールの一部は、データベースからデータを抜き取ってクラックしたり、プロダクトキー生成ツールで、試用段階のソフトウェアのフルバージョンをアンロックしたりする。

サーパー氏によると、犯人たちはマルウェアで改造したツールをハッキングのフォーラムにポストし、他のハッカーを釣ろうとしているという。

しかしサーパー氏がTechCrunchに語ったところによると、それはハッカーが他のハッカーをターゲットするという単純な話ではない。彼らが明らかに犯意を抱いて改造したツールは、ハッカーのシステムにだけバックドアを開いているのではなく、そのハッカーがすでに侵入したすべてのシステムにも侵入している。

「ハッカーが、あなたやあなたの会社をターゲットにしてこれらのトロイの木馬使っているのであれば、そのハッカーをハックしているハッカーがあなたの資産にも今後アクセスできることを意味している」とサーパー氏はいう。

それには、レッドチームへの参加を狙っている悪意あるセキュリティ研究者も含まれる。

サーパー氏の所見では、これら未知の犯人たちは、ハッキングツールに強力なトロイの木馬であるnjRatを注入して改造する。すると、ターゲットのデスクトップやファイル、パスワード、ウェブカメラ、マイクロフォンにまでアクセスできるようになる。そのトロイの木馬は少なくとも2013年までさかのぼることができ、当時は中東のターゲットに対して頻繁に用いられた。njRatはフィッシングを行うメールで拡散することが多く、フラッシュドライブに感染する。しかし最近では、ハッカーたちはマルウェアを休眠サイトや安全でないサイトに潜ませて、発見を逃れようとしている。2017年にはハッカーたちが同様の作戦を使って、いわゆるイスラム国のプロパガンダ部隊のためにウェブサイトでマルウェアをホストしていた。

サーパー氏は、同じウェブサイトハッキングテクニックを使って最近もnjRatをホストしていることを発見している。

彼の発見によると、犯人たちがそうやって乗っ取ったウェブサイトはいくつかあり、いずれもオーナーにはばれていない。そこでは何百ものnjRatマルウェアのサンプルがホストされ、犯人たちが使っているインフラがそのマルウェアをコマンドしコントロールしている。サーパー氏によると、ハッキングツールへのnjRatトロイの木馬の注入は毎日のように起こっており、自動化されていると思われる。つまりこの犯行は、ほとんど人間が介入せずに行われているようだ。

なぜこんなことが行われているのかという理由や、背後の人物や組織についてはわかっていない。

関連記事: Hackers are stealing years of call records from hacked cell networks…ハッカーたちが数年分の通話記録を盗んでセルネットワークをハック(未訳)

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookの新しい取締役は2名の女性、男6女4の構成に

米国時間3月9日に、Facebookは新しくNancy Killefer(ナンシー・キルファー)氏とTracey T. Travis(トレーシー・T・トラビス)氏の2名を取締役会に迎えることを発表した。

キルファー氏は、オバマ政権時代に米国財務省で勤務していたため、Facebookに貴重な政府の知見をもたらすことが期待される。かつてクリントン政権の首席補佐官を務めていたErskine Bowles(アースキン・ボウルズ)氏が、2019年にFacebookを去ったために、同社の取締役会は深い政府経験がある人物の1人を失っていた。

財務省での勤務の傍ら、キルファー氏は30年以上にわたってグローバルコンサルティング会社のMcKinsey & Companyでさまざまなリーダーシップを発揮し、現在はCardinal Healthの取締役も務めている。また以前、Avonの取締役だったこともある。

「テクノロジーと社会に関する最大の議論の中心にある、Facebookの取締役会に参加できることを、大変うれしく思っています」とキルファー氏は投資家向けプレスリリースの中で述べている。「今後数年間は、次世代のためにインターネットを形成していくことになると思います。私はその中で、Facebookが世界の善のための責任を果たそうとする努力に貢献したいと考えています」

もう1人の新しい取締役候補であるトラビス氏は、現在上級副社長ならびにCFOを務めている化粧品会社Estée Lauderからの参加となる。キルファー氏が持ち込むのは公共部門での経験だが、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の言葉によればトラビス氏が持ち込むのは「強力な財務および企業リーダーシップのバックグラウンド」であり、Ralph Lauren、Limited Brands, Inc.、Pepsi、そしてGeneral Motorsにおける消費者および小売金融の豊富な経験が提供されることになる。プレスリリースの中でトラビス氏は、Facebookならびに「世界をより良く変える技術と革新の力」に対して楽観的であると述べている。

Facebookは2019年に3人のボードメンバーを失った。まずボウルズ氏とNetflixのCEOであるReed Hastings(リード・ヘイスティングス)氏が、ザッカーバーグ氏と公の場所で衝突したことが知られており、その後ビル&メリンダ・ゲイツ財団の元CEOだったSusan Desmond-Hellmann(スーザン・デズモンド=ヘルマン)博士も辞任した。Facebookは2020年2月にザッカーバーグ氏の親しい友人であるDropbox CEOのDrew Houston(ドリュー・ヒューストン)氏を取締役会に加えている。3月のメンバー追加は、残されていた空席を埋めるものとなる。

これでFacebookの取締役は、ザッカーバーグ氏、PayPalのPeggy Alford(ペギー・アルフォード)氏、Andreessen HorowitzのMarc L. Andreessen(マーク・L・アンドリーセン)氏、、General CatalystのKenneth I. Chenault(ケネス・I・シェノルト)氏、Dropboxのヒューストン氏、Founders FundのPeter Thiel(ピーター・ティール)氏、Cranamere GroupのJeff Zients(ジェフ・ジエンツ)氏、Facebook COOのSheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏、そして今回の新しい2名となった。キルファー氏とトラビス氏が加わったことで、ボードの男女バランスはこれまでで最も良くなり、4人の女性と6人の男性によって構成されることになっている。

近年Facebookは、ザッカーバーグ氏を会長職から解任せよという複数の株主からの外部提案に直面しているが、彼の取締役会はこれまで彼をしっかりと守り続けてきた。会社がことさらに波風を立てたがる人物を連れてきたということはないだろうが、最新の取締役会が落ち着くいていく中で、同社の新しい動きには注目していきたい。

画像クレジット: Alexander Koerner/Getty Images / Getty Images

原文へ
(翻訳:sako)

チャットでのやり取りを自然言語処理で可視化するLaboratikが2.1億円を調達

Laboratik(ラボラティック)は3月10日、プレシリーズAラウンドで2.1億円の資金調達を明らかにした。第三者割当増資による調達で、引受先はArchetype Ventures、DEEPCORE、みずほキャピタル、エルテスキャピタル、​​PARTY、オーストラリア拠点のArtesian。

同社は、自然言語処理を活用してチャット中のやり取りを解析するサービス「We.」を開発しており、同サービスを利用することで会話量や関与度といったチームのエンゲージメントや問題点を可視化できる。現在ベータ版を提供中で、有料課金含めると約40社、数千人規模のユーザーが利用しているという。

チームのエンゲージメントをリアルタイム解析するプロダクト・サービス開発を手掛ける。今回調達した資金は、海外展開も含めた開発・営業体制の強化を図るとのこと。さらに一部の投資家とは国内市場で協業していく計画だ。

宇宙のペイロード輸送サービスMomentusがSpace Xのミッションで6スロットを購入

宇宙におけるペイロード輸送サービスのMomentusが、SpaceXのSmallSat Rideshare Programミッションで6個のスペースを購入した。

ミッションには太陽同期軌道への5回の打ち上げと、中高度低軌道への1回の打ち上げが含まれ、Momentusの小型輸送機は打ち上げ後に、顧客のペイロードを指定された投入高度の軌道へと運搬する。

Momentusによると、同社の軌道間輸送機VigorideはすでにSteamjetやNuSpace、Aurora Space Technologiesなどの顧客を獲得している。

Momentusは、増え続ける宇宙でのラストワンマイルシャトルサービスの1つだ。現在、地球を周回する衛星の数は増えているが、それにつれて衛星運用会社にとってはカスタマイズされた、あまり混雑していない軌道の選択肢が増えることになる。

Momentusの最高経営責任者ことMikhail Kokorich(ミハイル・ココリッチ)氏は声明で、「我々は、Falcon 9のライドシェアがより画期的なものになることを示したいと考えている。1回の打ち上げで複数の軌道にペイロードを運ぶことで、宇宙へのアクセスに革命をもたらし、システムの能力が倍増する」と述べた。

Momentusによると、Vigorideはさまざまな高度、軌道に最大300kgの貨物を投入できるという。またSpace Xのライドシェアの顧客は、シャトルサービスを利用することで中間傾斜軌道や太陽同期軌道の場合、高度300kmから1200kmまでの範囲で軌道を指定できるという。

顧客にとってこの機能は、監視を同期化、つまり衛星が特定の場所の画像を同じ時刻に取得できることを意味し、その分析やデータの管理を容易にする可能性がある。

MomentusはこれまでにMountain Nazca、Quiet Capital、Y Combinatorなどから5000万ドル(約52億円)のベンチャー資金を調達している。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹Twitter

瞑想アプリでは不十分だった不安症に苦しむ人のためのCalmer You

瞑想とマインドフルネスのアプリがブームを呼んでいる。2019年にはトップ10までの瞑想アプリが1億9500万ドル(約204億円)を稼ぎ出した。これは前年比52パーセントの増加だ。そして今、売り上げトップの瞑想アプリHeadspaceの元研究主任Nick Begley(ニック・ベグリー)氏が、マインドフルネスを超えて、不安症で苦しむ人たちに焦点を当てた新しいアプリを立ち上げた。Calmer You(カーマー・ユー)という名のアプリは、瞑想の指導だけでなく、日記、認知行動療法のコースワーク、その他の身体と心の健康のためのコンテンツを組み合わせたアクティビティを提供する。

身体と心の健康のためのコンテンツには、フィットネス動画、眠れる話、有名人や心を揺さぶる人たちへの不安体験に関するインタビューなど、いろいろなものがある。

ベグリー氏はHeadspaceに2年間在籍していたが、そこで瞑想アプリが自己啓発を導きだす力の大きさを学んだと話している。

「それをマインドフルネスだけに限定する手はないと気づきました」とベグリー氏は、Calmer Youを始めた経緯に関連して語った。「世の中には優れた助言がたくさんありますが、自分を改革したいと望む人のほとんどが、動画を見たり本を読んだりと、単に受け身で消化しているだけです。それでは、そこで謳われている変化は起きません」とベグリー氏。

問題は、助言が悪いのではない。大抵の助言は優れている。そうではなく、その助言を行動に移すのが難しいのだとベグリー氏は言う。そこを手助けしてくれるのがCalmer Youだ。

アプリは、いくつかのパートで構成されており、段階的なガイドによって不安に対する理解を深め、不安の対処法を学べる28のセッションからなるコースもある。それには認知行動療法、マインドフルネス、自己への思いやりを強める療法(CFT)、分析手法など数多くのコンテンツが含まれている。また、今の気分や、自分が置かれるであろう状況をもとに推奨されるすぐに実践できる対処法を50種類以上収めたツールキットもある。さらに、日々の気分を記録するための日記もある。

1カ月の利用料は7.99ドル(約840円)、年間利用料は47.99ドル(約5020円)。

「Headspaceの穴を埋めるというのは、私たちが特別に意図していたことではありません。ユーザーがそう言い出したのです」とベグリー氏。「定期的に瞑想を行うのが難しいと感じている人が大勢いるため、私たちは不安を抱える人たちのためのツールと実践的対処法を、マインドフルネスに加えて提供したいと考えました。不安と不安から現れるさまざまな問題への対処を専門に助ける総合的なアプローチを提供する、最高品質のアプリ使用体験を届けたいのです」と彼は話した。

Calmer Youは、不安症の専門家であり作家のChloe Brotheridge(クロエ・ブラザリッジ)氏との協力で開発された。アプリの名前は、ブラザリッジ氏の著書「The Anxiety Solution: A Quieter Mind, a Calmer You(不安解消:より静かな心、より穏やかなあなた)」に由来する。開発チームはブラザリッジ氏の本をよく読んでいて、その実用的なアドバイスをもとにアプリを共同開発する気はないかと彼女に持ちかけた。

Calmer Youの親会社PSYTが掲げる目標には、こんなものがある。「自己啓発本をアプリにする

PSYT傘下のCalmer Youチームには、心理学者も加わっている。だが、アプリ自体はまだ、例えば無作為対照下試験などによる有効性の検証がされていない。ゆくゆくは行いたいという考えを彼らは示している。

Calmer Youは、ブラザリッジ氏の著書が特に若い女性を対象にしていることもあり、女性利用者にシフトしている。

「振り返ればずっと、私は不安に苦しみ、自分に最も効果のある運動を続けていました」とブラザリッジ氏。「そのためセラピストである私は、マインドフルネスだけでなく、その人にいちばん合った方法を自分で探せるように、いろいろな技術を教えています。アプリにいくつものアプローチを組み込むのは大変な作業でしたが、これがその人とその状況に最も有効な対策を見つけられるよう人々を後押しする上で、大変に重要なのだと私は考えています」と彼女は言う。

このアプリは2019年11月にベータテストを開始したが、それ以来、利用者の要望に応じてツールを追加してきた。「リバランス」ツールが2つ(1つは社会的不安を和らげるもの、もう1つは自信を持ってコミュニケーションできるようにするもの)と、夜に使用する不安日記を新しく加わえ、瞑想の指導コースと眠れる話の数も増やした。

重い不安症を抱える人の場合、このアプリは医師の治療代わりにはならないが、すでにHeadspaceなどの瞑想アプリを使っていて、常に不安を感じている人なら、普段から使うツールに加えておいてもいいだろう。

Calmer YouはiOS版が無料でダウンロードできるが、有料コースもある。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

BMWが電動iX3 SUVの米国投入計画を白紙に

BMWは、同社初の電動クロスオーバーであるiX3を米国に投入しない。EV戦略を修正して、ヨーロッパと中国に注力することにした自動車メーカーが、また1つ増えた。

画像クレジット:BMW

BMWがAutomotive Newsに今回の変更について語り、同メディアが最初にレポートした。それによると、今のところBMWはiX3を米国市場に持ち込む予定はないという。この方針転換は意外なことと受け止められている。というのも、iX3がベースとなったX3は米国で最も人気の高いBMW車だからだ。

BMW iX3は、中国で製造されることになっており、2021年の前半には市場に投入される予定だ。

BMWは、北京で開催されたAuto China 2018でiX3のコンセプトを発表した。同社は広範なEV戦略として米国、欧州、中国をターゲットにしている。しかし、テスラ以外の自動車メーカーが、EVに対する煮え切らない反応に直面している米国市場の現実は、ヨーロッパで厳しさを増す排ガス規制と相まって、今やBMWにとっても痛手となっている。

BMWは、今後米国に電気自動車を導入する計画を見直した唯一の自動車メーカーというわけではない。メルセデスベンツも、電動のEQC SUVの米国での発売を1年遅らせた。今のところEQCは、2021年に米国に導入される予定となっている。

またフォルクスワーゲンも、これから登場するIDシリーズの電動車の販売戦略を修正した。同社はコンパクトなハッチバックのID.3は、米国に導入しないことにした。その代わり米国には、I.D. CROZZとしても知られるID.4を持ち込むことを計画している。ただし、それも先に欧州で発売した後のこととなる。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

SaaS株も8%安で弱気領域に近づいたが、まだパニックには及ばない

株式市場は内外ともさんざんだったという記事を先ほど書いたところだ。新型コロナウイルス、COVID-19の脅威が続く中で原油安というダブルパンチを受けて米国の主要経済指標はすべてダウンした。しかしテクノロジー系企業に強いNasdaqの下げ幅は最小で、7.29%下げの7950.68ドルにとどまった。

ただ留意すべきポイントがある。テクノロジー業界は全体としては他の米国の株式指標ほど下落しなかったが、肝心の部分、つまりSaaSおよびクラウド企業の株価の下げ率はダウ平均やS&P 500を上回った(Bessemer-Nasdaq指数)。

実際、クラウド企業をバスケットにしたBVP Nasdaq Emerging Cloud指数は8.28%下げの1134.51ドルで引けた。これは2019年10月の水準に戻ったことを意味する。 バスケットの揺れを考えても、この指数は過去52週の安値をわずか7%上回るに過ぎず高値から21%も下げている(Financial Timesによる過去52週のデータ)。

伝統的基準でいうと、弱気相場と分類するためには最近の高値から20%下落していなければならない。SaaSとクラウドの株はまだここまで達していないが「調整(correction)」の局面には入っている(最近の高値からの10%の下げを「調整」という)。他の主要な指数は弱気相場をわずかに上回っているが、明日、3月10日にはほぼ間違いなく弱気相場になっているだろう。残念ながらここに落ち込んだのはSaaSが最初だ。

ただし(まだ)慌てる必要はない

SaaS株の値動きが警戒すべき領域に近づいたのはわずか3日前だ。私の記事(Extra Crunch)にはTwitterでかなりの反発があった。SaaSの成功に賭けている投資家には私がこのカテゴリー自体をディスっているように感じられたようだ。実際はその反対で、SaaS企業の株価は依然として十分に高い。投資家が他業種の株以上にSaaS株を売るということも考えられない。

このカテゴリーの企業が史上最高値をつけたのは2月中旬頃、わずか数週間前だが、今はSaaS株の見通しに対して、(少なくとも)短期的な楽観主義は減じた。しかし、今日の暴落は広範囲に及んだものの、株価売上高倍率(PS Ratio)を見ると、さほど悪くなってはいない。たとえば、

  • Atlassianは7.87%下げたが、株価売上高倍率は23倍もある(YChartsによる)。
  • Slackは6.13%下げたが、株価売上高倍率は21.24倍だ(これもYCharts)。

だからといって、SaaS企業が今日受けた打撃がなくなるわけではない。多くのSaaSスタートアップは、このカテゴリーのリーダー企業の株価が下がったことを見て深刻な痛みを感じたに違いない。しかしSaaSのトップ企業の運営は順調であり、その地位がゆらぐ気配はない。カテゴリー全体を見渡しても株価は十分高い水準にある。なるほど調整が入ったことは確かだが、今のところそれだけだ。もちろん今日のような下げが何度も続くようなことになれば心配し始めねばならない。

画像:Getty Images

【Japan編集部追記】YChartのPS比では、IBMは1.381、Oracleは3.986、Microsoftは8.634となっている。

[原文へ]
滑川海彦@Facebook

Cobalt.ioの「侵入テスト」は問題発見とデベロッパー対応を直結させる

Cobalt.ioは企業がもっと正しいやり方で「侵入テスト」を行ってもらいたい、と願っている。侵入テストとは、アプリケーションを実際に稼働させる前にその脆弱性をテストする工程だ。侵入テストを提供しているCobalt.ioが、このたびプラットフォームをさらに強化した。

Cobalt.ioのCEOであるJacob Hansen(ジェイコブ・ハンセン)氏によると、従来の侵入テストは時間も費用もかかる作業で、最後にテスターが見つけた問題点をリストアップしたPDFを納めて終わる。彼と共同創業者たちが2013年に同社を立ち上げたときは、その工程全体をデジタル化したいと考えた。

「そう考えて作ったものは2つだ。まず、有能で実績のあるテスターのマーケットプレイス。そのマーケットプレイスにいるフリーランスのセキュリティテスターはすべて我々の試験に合格しており、彼らを弊社の被雇用者のようなかたちで顧客企業に派遣する。そしてテストのスケジュールと管理をするソフトウェアも制作した」とハンセン氏は語る。

彼によると、この侵入テストという工程におけるボトルネックの1つは、テストの基本的なパラメータの理解など、最初の段階が難しいことだ。これはたくさんのメールや電話で行われる。そこでCobaltはスタートアップウィザードを構築して、最初の段階を楽にした。

ハンセン氏は「それは、侵入テストの計画のためのTurbo Taxみたいなものだ。テストのための要件収集とセットアップを高速化、合理化するところが似ている。テスターと顧客の両方にとって便利だ」と説明する 。

テストがスタートすると、問題点のリストを顧客に渡すのではなく、問題点をデベロッパーに直送して彼らの開発環境に統合する。例えばテスターが問題を発見すると、自動的にフラグが付き、Jiraに送られてデベロッパーはほぼリアルタイムで必要な修正などを行う。

「この点が、従来の侵入テストサービスとの重要な違いだ。我々はサービスのプラットフォームとしてモダンな侵入テストを構築した。それはリアルタイムで統合可能であり、優れたワークフローでもある」と彼は語る。

また料金も、従来のように個々のテストに課金するのではなく、顧客は一定の前金をCobaltに払っておき、対応が必要な問題が起きればそこから適宜料金を支払うする。顧客には、コストの確実性と可用性を事前に認識させることができる。もちろんCobaltは、サービスが実際に利用される前に支払いを受けることができる。

Cobalt.ioは2013年に創業され、本社はサンフランシスコ、オフィスはボストンとベルリンにある。顧客は500社、2019年はテストを1000回行い、レポートを提供した。2020年はその3倍にしたい、と彼らは願っている。Crunchbaseのデータによると、同社はこれまで800万ドル(約8億4000万円)を調達している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

キャデラックが新型コロナ感染拡大で初EVの発表を中止

Cadillac(キャデラック)は新型コロナウイルス感染拡大の懸念から、ブランド初の電気自動車(EV)となる中型SUV「Lyriq」の発表を中止した。

GMのラグジュアリーブランドであるキャデラックは、4月2日にロサンゼルスで開催するイベントでLyriqを披露する予定だった。

過去に流行を引き起こしたSARSやMERSウイルスの仲間で、コロナウイルスの一種である新しいウイルスが原因の病気COVID-19をめぐっては、政府や企業が世界中でテックやビジネス、自動車関連のイベントの中止を余儀なくされている。ジュネーブ国際モーターショーやバルセロナのMWC、テキサス州オースティンのSXSWフェスティバルなどが中止となった。

「十分に注意を払うために」イベントは中止される、とキャデラックは声明文で述べている。

声明文は以下の通りだ。

ご存知のとおり、米国でのCOVID-19(新型コロナウイルス)をめぐる状況は悪化し続けている。いくつかの州は緊急事態宣言を出し、感染者の数は増え続けている。

十分に注意を払うために、4月2日のカリフォルニア州ロサンゼルスでのキャデラックLYRIQ披露を中止するという難しい判断を下した。我々は現在、今後の計画について検討中で近くアップデートする。最優先事項はメディアの招待客や従業員の安全だ。GMのメディカルセキュリティと連携を取りながら状況を注視しており、米疾病予防管理センターや世界保健機関(WHO)の勧告に従っている。

Lyriqは、GMが今後2年以内のマーケット投入を計画しているEVの1つだ。GMは新しい電動アーキテクチャを使って製造・販売するEVの包括的な計画を3月4日に発表している。新アーキテクチャは Buick(ビュイック)、Cadillac、Chevrolet(シボレー)、GMCを含む同社の全ブランドのあらゆるプロダクトに使用される。一連のEVには、コンパクトカーから産業用トラック、大型のプレミアムなSUV、高スペックな車両まで含まれる見込みだ。

この「Ultium」と呼ばれるモジュール式のアーキテクチャは19種のバッテリーとドライブユニット構成、容量50kWh〜200kWhの400Vと800Vの電池パック、フロント・リア・全輪ドライブ構成に対応する。

1月に発表された電動自動運転車でシェアリング用のCruise Originは、今後発表される新しいEV戦略における初の製品だった。その次にキャデラックのLyriqが公開され、5月20日にGMCのHummer EVが続く予定だった。現在のところHummerのイベントは中止になっていない。

画像クレジット: GM

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

新型コロナ対策にもなるImmutouchは手が顔に触れようとすると振動するリストバンド

新型コロナウイルスの時代、我々は顔に手を触れる誘惑に耐えなければならない。ウイルスはそうやってドアノブやその他の場所から、人の粘膜に移り感染させるからだ。幸運にもSlightly Robot(スライトリー・ロボット)というスタートアップが、別のタイプの有害な接触を防止するリストバンドをすでに開発していた。「抜毛症」と呼ばれる体毛を引き抜く衝動に耐えられない病気のためのリストバンドだ。

そこで先週、Slighly Robotはそのウェアラブルデバイスを改造し、Immutouch(イミュタッチ)という顔に手を触れると振動するリストバンドを開発した。加速度センサーが1秒に10回手の動きを検知する。初期設定で行ったキャリブレーションに基づき、Immutouchは指が目や鼻や口に近づくと振動して知らせる。専用アプリを使えば汚れた手を下ろす努力の進捗を追跡することができる。

最終目標は、振動を避けるために顔に触りそうになった手を下ろすパブロフ反応を養成することだ。脳が振動という負のフィードバックを学習し、顔に手を触れたいという欲求を無視するように嫌悪条件を訓練する。

「COVID-19のような大きな問題に対しては、全員が大小を問わずそれぞれの役割を果たす必要がある」とSlightly Robotの共同ファウンダー、Matthew Toles(マシュー・トールズ)氏は言う。「我々3人は、たまたまこの問題への取り組みに適した資質があったので、最低でも挑戦してみることが義務だと感じた」

Immutouchリストバンドは今日から50ドル(約5200円)で売り出され、すぐに出荷する準備ができている。顔に触れる可能性が高い方の手首につけるか、抑止効果を最大にするために両手につけてもよい。

「これで儲けるつもりはありません。商品は材料や組み立て出荷作業など、ほぼ原価で販売しています」と共同ファウンダーのJustin Ith(ジャスティン・イス)氏は言う。投資家へのリターンを生むことを義務付けられているベンチャー支援企業と異なり、Slightly Robotは2016年にワシントン大学から受けた少額の助成金で設立されそれ以来自己資金で賄われている。

Slightly Robotの共同ファウンダーたち。左からJoseph Toles(ジョセフ・トーレス)氏、 ジャスティン・イス氏、マシュー・トールズ氏

Immutouchを創業したのは、我々ならすばやく開発できるとわかっていたので、やる義務があると思ったからです。3人ともシアトルに住んでいるのでこの大流行に対するみんなの反応を、深い懸念と恐怖をもって見てきました。父は自己免疫疾患のために免疫抑制剤を服用しなければなりません。60代後半で免疫不全を抱える父のためにも、父と我々家族周辺のコミュニティを清潔で安全にすることに全力を尽くすつもりです」とイス氏は話してくれた。

Immutouchリストバンドの校正方法

ウェアラブル警告デバイスを使って抜毛症の症状を軽減する研究によると、Immutouchの使用は効果が期待できるという。ミシガン大学の研究者らは、振動によって長期的および短期的な抜毛行為が減少したと報告している。イス氏は、利用者が実際に警告を聞き入れて我慢することで自らに正しい習慣を植えつける必要があること、また横になっているときには有効ではないことを認めている。ImmutouchはかつてのPavlokのような喫煙やFacebook中毒をやめさせるために電気ショックを与えるデバイスほど過激なことはしない。

いずれAppleなどのメーカーが、すでに持っているウェアラブルデバイスを使って自身を訓練する安価あるいは無料のアプリを開発するかもしれない。しかしそれまでの間、イス氏はImmutouchが少しでも注目されることで「大量生産することで価格を下げ、もっと手に入りやすくする」ことを願っている。

Twitterなどの迅速に情報を共有する近代テクノロジーであれば、20秒間の手洗いといった適切な注意喚起を出すことで新型コロナウイルス蔓延を遅らせられる。しかし、トイレに行く前、最中、行った後に触り続けているスマートフォンを顔に押し付けるような行為は、過去の世紀のパンデミックにはなかった感染経路を作り出しかねない。だからこそ、流行の原因を取り除くために誰もが自分の役割を果たすことで、我々の医療システムの崩壊を防ぐ必要がある。

最後にイス氏は「このような大流行は、各個人がどのように地域社会に影響を与えるのか、また自分が感染者にならないことの責任を改めて認識させるものだ」と言っている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

大学の講義のスケジュールを合理化して学生と大学経営を助けるCoursedog

2年前に、コロンビア大学の寮で同じ部屋にいたJustin Wenig(ジャスティン・ヴェニグ)氏とNicholas Diao(ニコラス・ディアオ)氏は、学生たちに人気のあるコンピューター科学のクラスを受講しようと苦労していた。結局、2人は受講に成功したが、クラスのスケジューリングをめぐるそのときのフラストレーションから「こんな問題はコンピューターが解決すべきだ」と決意した。

ヴェニグ氏とディアオ氏が創業したCoursedogは、クラスや教授や演習などのスケジュールを、それらに対する需要や関心に基づいて作るソフトウェアを提供している。「クラスのスケジューリングシステムのためのSuperhumanみたいなソフトだ」とヴェニグ氏は説明する。

米国時間3月9日、CoursedogはFirst RoundのJosh Kopelman(ジョシュ・コペルマン)氏など多くの投資家から420万ドル(約4億3400万円)を調達したことを発表した。その他の投資家や、投資に伴って同社の取締役会に入ることになった者について、同社は公表していない。Y Combinatorを卒業した同社のこれまでの調達総額は570万ドル(約5億9000万円)になる。同社の投資家はFoundersX VentureやEFund、そして学校の入学事務をコンピューター化するSchoolMintのCEOであるJinal Jhaveri(ジナル・ジャベリ)氏などだ。

資金は同社の新製品開発、特にコースの需要を予測し、そのコースで学生たちが効果的に勉強できるための席数を求めるプロダクトの開発に充当される。

ヴェニグ氏はTechCrunchのインタビューに対して「現在の高等教育は遅い、と考えている人が多いけど、勉強をしっかり身につけるためには遅いことも必要だ」と述べている。ただし、現在の大学はテクノロジーを採用することよりも、データの保護に関心があると彼は言う。

競合についてヴェニグ氏は、学習管理サービスのBlackboardは今でも大学に強いが、Coursedogは大学の管理者がスケジューリングのために利用する学生情報システムであるため方向性が違う、競合関係にはないと言う。

ヴェニグ氏とディアオ氏が何百もの大学に電話セールスとしたとき、最初に契約できたのがColumbia Law School(コロンビア大学のロースクール)だった。その後同社は、大小さまざまの60校のカレッジや大学を顧客にできている。

Coursedogの顧客は本当に大小さまざまで、最小は学生数約600人のLaguna School of Art and Designだ。顧客には公立校と私立校が入り混じっているが、ヴェニグ氏によると、公立校のほうがイノベーションに熱心だとのこと。

ヴェニグ氏によると「多くの州が州立大学を補助金で支えているが、ユタ州などでは大学の大きさで補助金の額がわかる」そうだ。Coursedogのソフトを利用してひとりひとりの学生に合ったクラスを受講させれば、無事に卒業できる学生が増えるという。

「今、我々は大学の学生情報システムを利用してスケジューリングやカリキュラムの計画、要覧の発行などを助けている。これによって徐々に、彼らがスプレッドシートを使ってやっていたような古いやり方を駆逐しつつある」という。

Coursedogの目標は、顧客である大学の数を年内に100まで増やし、製品開発チームをもっと大きくすることだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonがキャッシャーレス店舗技術を他の小売業者に販売開始

Amazonは3月9日、「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」と呼ばれるキャッシャーレス店舗技術を販売すると発表した。この技術はカメラ、センサー、コンピュータービジョン、深層学習を使い、買い物客が支払いの列に並ぶことなく、そのまま店を出られるようにするものだ。現在、キャッシャーレスコンビニのAmazon Goと、シアトルに新しくオープンしたAmazon Go Grocery(食品)ストアでも、同じ技術が使われている。

Amazonの公式発表に先駆けて最初に報道したロイターは、さらにAmazonはJust Walk Outを導入したい最初の顧客と「複数の」契約を交わしたと話していることも伝えている。だが、その顧客が誰なのかは同社は明かしていない。

Amazonはまた、Just Walk Outの仕組みを解説するWebサイトもオープンし、この新事業に関する質問に答えている。

Webサイトでは、この技術には何年も前から他店舗が興味を示していたため、Just Walk Outの販売に踏み切ったと書かれている。Amazonが提供するシステムには「会計不要な買い物を可能にするために必要なあらゆる技術」が含まれるとサイトでは説明されている。つまり、同社はソフトウェア技術の他にも、カメラのハードウェアやセンサー技術も提供するということだ。価格は示されていないが、このシステムには電話と電子メールによる年中無休24時間体制のサポートが付く。

Amazonによると、システムの設置はAmazonが店舗を視察してからわずか数週間以内に完了するという。新店舗の場合は、建設段階からAmazonが参加し、店舗側と協力してJust Walk Outの設置を進めることができる。店舗改装の際にも、同じように対応できる。既存の店舗に設置する場合でも、営業への影響を最小限に抑えつつ、この技術を設置するという。

間違いのないように言っておくが、これはあくまで、客がレジに並ばずに買い物ができるようにするために店舗にその技術を販売するというものだ。その店舗をAmazon Goコンビニエンスストアのフランチャイズにすることは意図していない。

客の側からすれば、キャッシャーレスの店ではレジに並ぶ必要がないため、時間の節約になる。買い物の時間も惜しむ客が利用するコンビニや、カートに商品を山積みにした客が長い列を作る食料品店においてこのシステムは理に適ったものだ。しかし棚に商品を陳列していない、または売り場面積が非常に広い大型のデパートには向かない。

AmazonのJust Walk Outでは、客はクレジットカードを使って入店すると、Amazonのウェブサイトでは説明されている。客はアプリをインストールする必要も、Amazonのアカウントを作る必要もない。店内の客の動きをカメラが追跡し、商品が棚から取られたとき、または棚に戻されたとき、棚のセンサーがリストに記録する。客が商品を手に取ると、それが仮想カートに入れられる。店を出ると、買った品物の代金がその人のクレジットカードに請求される。紙のレシートが欲しい場合は、店内のキオスクで印刷できるとAmazonは話しているが、いずれにせよレシートは自動的にメールで送られてくる。

ただし、このシステムが結果的に店舗側の増収につながるか否かは定かではない。これによって必要経費が削減できたとしても、設置費用と管理費はかかる。当然のことながら、Amazonも店の従業員を減らすための技術として売り込みをかけているわけではない。従業員は、別の仕事に専念できるようにできるとAmazonでは話している。例えば、客をもてなしたり、質問に答えたり、商品を補充したりなどだ。こうした仕事には、通常の店舗ならすでに人が割り当てられているものだが、そうでないケースもある。とりわけ、オンライン販売のハブに移行しつつある店舗がそうだ。

こうしたシステムへの客の反応も、まだ未知数だ。Amazonの店舗はいまだに目新しい存在であり、こんな人を監視するような技術が一般化されるとしたら、または実際にそうなったとき、客は敬遠するかもしれない。

キャッシャーレスシステムを売り出している企業はAmazonだけではない。Amazonはいち早く自社店舗にこの技術を導入した先駆者ではあるが、それ以来、いくつもの技術系スタートアップが同様のシステムの販売を始めている。AiFi、Grabango、Standard Cognition、Zippinなどがそうだ。米セブンイレブンやWalmartのSam’s Clubなど、独自の自動支払い技術やキャッシャーレス技術のテストを開始する小売り店も現れている。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

新型コロナ感染拡大が中国における企業向けテックの持続的成長を後押し

こんにちは。TechCrunch中国まとめニュースにようこそ。本記事では中国のテクノロジー情勢を巡る最新情報とそれが世界に与える影響について、ダイジェストでお届けする。今週、新型コロナウイルスのビジネスへの影響について警鐘を鳴らすSequoia Capital(セコイアキャピタル)のメッセージが中国を含む世界中のテクノロジーコミュニティの隅々まで届いた。

Sequoiaの「最も順応性の高い企業が生き残る可能性が高い」という見解に共感する向きは多い。しかし「困難な状況を永続的な成功へのチャンスに変える」という希望を持つ人もいる。

筆者は2週間前、中国の民間企業と政府がいかに協力して感染拡大を封じ込めたか、それがテック業界を一時的に後押しする力になったことについて書いた。筆者は今週、多くの投資家や創業者に対して、これまでに起きた変化のうち持続するものはどれか、その理由は何かを取材した。

B2Bの台頭

ビジネスツービジネス(B2B)の分野は、最近になってオンライン消費者ビジネスが飽和に近づくまで、中国ではほとんど話題にならなかった。だが今COVID-19の感染拡大が、かつて退屈だった分野に予期せぬ活気を与えている。投資会社Yunqi Partnersの分析によると、その分野にはバーチャル会議、オンライン教育、デジタルヘルスケア、サイバーセキュリティ、電気通信、ロジスティクス、スマートシティなどが含まれている。

1つ挙げるとすれば、在宅勤務にリモートコラボレーションツールを使用する機会が明らかに増えた。Dingtalk(ディントーク)、WeChat Work(ウィーチャットワーク)、TikTok(ティクトク)の姉妹にあたるLark(ラーク)、米国のZoom(ズーム)など、この分野をリードする仕事用アプリのダウンロードが公衆衛生上の危機の中で指数関数的に増えている。企業活動が通常モードに戻り、ブームが吹き飛べばすぐに消え去ると主張する人もいるが、行動の変化が持続すると言う人もいる。

他の作業コラボレーションサービスと同様に、Zoomの利用は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い中国で急上昇し、アプリインストール全体で1月下旬の180番から2月下旬の28番へと急上昇した。データ:App Annie

「人はいったん身につけた新しい習慣を変えることに消極的だ」と、香港のMindworks Ventures(マインドワークスベンチャーズ)のパートナーであるJoe Chan(ジョー・チャン)氏は指摘する。ウイルスの発生は中国の大衆にリモートワークを教える効果があったと同氏は信じている。

「対面の会議とZoomを使った会議の両方にメリットがあるが、社会規範に依存する。関係構築にはフェイストゥフェイスで会う必要があると考える人もいるが、そのような見方をしない人は会議を持つ機会がより少なくなる。感染拡大はパラダイムシフトの機会となる」

だが変化はゆっくり

企業向けビジネスの成長は、SARS流行の際に中国で活性化したeコマースなどの消費者向けネットビジネスに比べれば目立たないかもしれない。サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、クラウドコンピューティング、ヘルステック、物流などの企業向けサービスなどは消費者から見えづらいからだ。

「消費者行動の変化に比べると、企業による新技術採用はゆっくりと進むため、新型コロナウイルスがもたらす新世代のB2BイノベーションへのインパクトはSARSの時ほど迅速かつ広範ではない」とChina Growth Capitalの投資担当副社長であるJake Xie(ジェイク・シエ)氏は語った。

同氏はまた「感染拡大による新たな機会はこの分野に地道に投資してきた企業にのみ開かれている。企業向けサービスのライフサイクルは長く、資本集約的なインフラが必要とされるからだ。日和見主義者はチャンスをつかめない」と述べた。

消費者行動の変化に関しては、屋内に閉じ込められた高齢者への食料品配達の増加など、影響は短期的かもしれない。「感染拡大がアプリにもたらす唯一の利点は、より多くの人々にサービスを試してもらえることだ。だが、そのうちのどの程度が以降もアプリを使い続けるだろうか。オフラインで病気にかかる心配があるから人々はそうしたアプリを使い続けるはずだ、という主張は実証されていない。ビジネスの強みは、ユーザーが何かを安く手に入れたり便利になったりする機会を提供するなどして、長期にわたってユーザーの問題を解決することだ」と、NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場予定の中国のシェアハウススタートアップであるDanke Apartmentの会長のDerek Shen(デレク・シェン)氏は語った。

政府の要請

企業向けサービスの隣接分野である政府機能活性化のための大規模テクノロジーも、感染拡大の過程で牽引力を見せている。中国の民間企業は、地方当局と協力して、人々の動きの追跡、マスクを着用する人を対象とした顔認識能力の強化、非接触型の消費者体験の開発などに取り組んでいる。

政府にサービスを売り込むハイテク企業は、ユーザーデータの扱いに関して透明性を欠くという批判があることを認識している。しかし民間企業にとってとても魅力だ。国との契約が長期的に安定した収益を生むだけでなく、特定の公共向けプロジェクトへの関与が、企業の社会的責任として要求される可能性があるからだ。ウイルスの感染拡大に伴い、あらゆる規模の中国のハイテク企業が、金銭による寄付から一般の人々への情報提供ツールの開発に至る努力まで、さまざまな取り組みを急いで行っている。

一方、政府も緊急事態管理において民間部門の助けを必要としている。中国の著名な歴史家Luo Xin(ルオ・シン)氏がポッドキャスト「SurplusValue」の最近エピソードで痛烈に指摘したように、公衆衛生危機に最も効率的かつ効果的に対応した例のいくつかは、政府ではなく民間のオンライン小売業者によるものだった。JD.comや物流会社SF Expressは、感染拡大の中心地に救援物資を届けている。

とはいえルオ氏は、一部の地方自治体による中央集権化傾向が民間の取り組みを妨げている兆候にあると主張している。たとえば一部の政府機関は、国の大手ハイテク企業が開発した、容易に入手可能な実証済みの技術インフラを使わず、危機管理システムをゼロから開発しようと試みて失敗している。

画像クレジット:Tencent Conferences

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi