Snapdragon 865と765が登場、Qualcommの最新SoCは何ができるのか?

Qualcomm(クアルコム)は今週、ハワイで例年の大集会を開き、Snapdragonのニュースを次々と小出しにしている。米国時間12月3日のイベントでは、Snapdragon 865と765の派手なお披露目があり、このチップは来年以降の高級品および中級品のスマートフォンなどに搭載されるだろう。

本日の主役はコンポーネントだ。最近の同社のやり方から見ると、明日もその続きになるだろう。しかし本日すでに、これらのチップの特徴がかなりはっきりとわかってきた。では、トップダウンでSnapdragon 865から説明していこう。昨年の例に倣えば、このプレミアムチップは1月のCESと2月のMWCで搭載機が発表されるだろう。重要なハイライトは、間違いなく5Gだ。なにしろ2020年は5Gが購買意欲をそそって、このところ不振のスマートフォンの売上が盛り返すと言われている。

関連記事:Qualcomm unveils Snapdragon 865 and 765 platforms(QualcommがSnapdragon 865と765を披露、未訳)

このチップの5Gの統合はまだ発表がなく、クアルコムの5GモデムX55と併用される。忘れてならないのは、来年になってもフラグシップ機の多くが5G未対応であることだ。なによりもまず、5Gにしたらお値段が高すぎて売れない。しかも多くの市場で、5Gの圏域は面というよりも点だ。でもメーカーは結局、モデムとペアで買わされることになるのだろう。

5Gの周波数レンジのサポートはかなり広い。キャリアの5G対応がかなり小口だからだ。キャリアごとに大きく異なるし、T-Mobileのように1つのキャリア内で相当違うこともある。

もうひとつの焦点がAIだ。こちらもやはり意外性はない。ここ数年のスマートフォンの進化はAIが軸だったし、今後もますますそうだろう。それらがこれからは第5世代のAIチップで動くようになり、パフォーマンスは前世代の倍になる。

Amazon AlexaやGoogleアシスタントなどの音声アシスタントの待ち受けを低電力で実現するための、ウェイクワード聞き取り機能を内包している。画像関連では200万画素の写真や8Kをサポート、スピードも大きく上がった。ディスプレイ出力やゲーム向けとして、144Hzのリフレッシュレートをサポートする。

一方Snapdragon 765は、もっと幅広い機種で5Gの採用を早めようというクアルコムの意欲の表れだ。オプションで5Gが統合されるのも、それを狙っている。コストや消費電力は低いままで。実機は2020年の早期に各社から登場するだろう。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

イーサリアムの従業員が北朝鮮の制裁逃れに協力したとして逮捕

米国時間11月29日、ニューヨーク州南部地区検事局は、イーサリアム財団の職員であるVirgil Griffithバージル・グリフィス)氏が逮捕されたことを発表した。北朝鮮に出向き「平壌ブロックチェーンおよび暗号通貨会議」でプレゼンテーションしたことで、謀議を企てたという嫌疑がかけられている。

具体的には、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対し、米国財務省の対外資産管理局からの承認を得ることなく、労務を提供したとされている。訴状によれば、グリフィス氏は事前に米国国務省に連絡を取ったものの、北朝鮮に対する経済制裁のため許可は得られなかった。それでもグリフィス氏は中国経由で北朝鮮に入国した。さらにグリフィス氏は「制裁の回避と資金洗浄のための暗号通貨技術」について議論したとされている。

FBIの特別捜査官は、2019年5月にグリフィス氏と面談した。これは任意の事情聴取であり、同氏の「ブロックチェーンと平和」というタイトルのプレゼンテーションについて捜査官と話をした。彼は訪朝時の写真を見せて、来年もまた同じ会議に参加したいと述べたという。

またグリフィス氏は、メッセージングアプリを使って、他の人ともプレゼンテーションについて話し合っている。「A氏は、要約すると、北朝鮮は暗号通貨についてどのような関心を持っているのか、と尋ねた。それに対してグリフィス氏は、要約すると『恐らくは制裁を回避するためだろうが、知ったこっちゃない』と答えた」と訴状は記している。

イーサリアムの創立者であるVitalik Buterin(ビタリック・ブテリン)氏は、グリフィス氏の逮捕についていくつかツイートしている。「私は、北朝鮮が悪事を働くのを、バージルが実質的に手助けしたとは思っていません。彼は『オープンソースソフトウェアに関して公開情報に基づいてプレゼンテーションした』だけなのです。ハッキングのための『高度な個別指導』をしたというようなことはありません」と書いている。

またブテリン氏は、イーサリアム財団は、グリフィス氏が北朝鮮に出向いたことと何の関係もないと主張している。「イーサリアム財団は金を出してもいないし、何の支援もしていません。みんなが止めたのに、バージルは個人として行ったのです」とブテリン氏は書いている。

米国時間12月3日、裁判官はこの裁判を進めるための十分な証拠がそろっていると裁定した。グリフィス氏は仮釈放される予定だ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

自動運転シャトルのMayがトヨタ自動車のリードで約54億円を調達

米国の3都市で自動運転シャトルサービスを展開しているミシガン拠点のスタートアップであるMay Mobility(メイ・モビリティ)は、トヨタ自動車がリードしたシリーズBで5000万ドル(約54億円)を調達した。

May Mobilityが前回2200万ドル(約24億円)を調達してから1年もたっていない。今回調達した資金は自動運転シャトルバスの車両、そしてエンジニアリングやオペレーションのスタッフなどを含め、同社のあらゆる面を増強するのに使われる。

May Mobilityはデトロイトとグランド・ラピッズ、ミシガン、ロードアイランド州プロビデンスの3都市で低速の自動運転シャトルバス25台を運行している。共同創業者でCOOのAlisyn Malek(アリシン・マレック)氏は、1都市あたりの展開台数を25台に増やしたいと考えている、とTechCrunchに対し語った。この規模は同社の採算性を向上させ、サービスを展開する都市の交通に有意義なインパクトをもたらす。

今回のラウンドはMay Mobilityに資金をもたらす以上の意味がある。2017年に設立された同社は顧客も確保した。同社によると、トヨタは「未来のオープンプラットフォームのための自動運転プロバイダー」としてMay Mobilityを選んだとのことだ。

トヨタとMay Mobilityはこの提携が将来的にどのようなものになるか具体的には明らかにしなかった。しかしMay Mobilityの自動運転車両技術と、毎年1月に米国ラスベガスで開催されるテック見本市のCESでトヨタが2018年に発表したプラットフォームe-Paletteを組み合わせるというのはあり得る。

e-Paletteはコンセプト車両として発表されたが、実際はトヨタのモビリティエコシステムのビジョンを支えるプラットフォームだ。そのビジョンとは、車を製造して販売するだけの会社から、人や物のあらゆる移動に対応する会社へと移行するというものだ。

e-Paletteはフレキシビリティを前提にデザインされている。理論的には自動運転車両テクノロジーとマッチするこのプラットフォームはシャトルバスとして、あるいは顧客へ荷物を配達する車両として、はたまたモバイルショップのための移動車として活用できそうだ。

「May Mobilityはトヨタと手を携えながらマーケットの機会をうかがう」とマレク氏は話した。また、「そうしたプラットフォームを実用化するための共同開発においてMay Mobilityがトヨタの主要パートナーの1社となる」とも付け加えた。「我々が今取り組んでいる、『サービスとしての交通』を彼らは本当に信じていて、我々はそれをサポートしたい」と同氏は語る。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

3行広告のCraigslistに公式アプリがついに登場

派手なウェブサイトやサービスが現れては消える中、Craingslist(クレイグズリスト)は持ちこたえている。そしてこのたび、最大の欠点のひとつが解消された。公式アプリの登場だ。現在iOS版Androidのベータ版が公開されている。アプリはCraigslistを地で行く体験を提供する。便利で飾り気がなく匿名だ。

このアプリについては、ウェブサイトを忠実に再現していること以上特に言うべきことはない。カラースキームも同じだ。すべてのカテゴリーの投稿を閲覧、検索できる。お気に入りに追加したり、検索を保存したり、結果の表示方法を変えることもできる。カテゴリーごとに適切な設定がなされているので、車を探すと走行距離や年式などが表示される。

アカウントがなくても掲示を閲覧したり売り手に連絡することが可能で、連絡方法がすべてポップアップするので、メール、ショートメッセージ、電話のいずれも簡単に利用できる。

もちろんウェブサイトもこれまでどおり利用可能で、こちらを好む人もいるだろう。しかし、ネイティブアプリがあるのはいいことだ。実用本位なサービスの人気に乗じたイミテーションCraiglistアプリを阻止するだけでも価値がある。

Craiglistアプリは12月3日に公開されたばかりだが、すでにチャートを上昇している。今すぐ入手して無料の家具を探そう!

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GitHubのリポジトリー上に機密情報や脆弱性を見つけるGitGuardianにDocker創業者らが投資

データ侵犯は、被害額が大きければ多くの企業の命取りになる。対策は、大量のリアルタイムモニタリングだ。しかし監視する要素が多いとそれは非常に複雑な仕事になる。SANS Instituteの調査では、企業のデータ侵犯の約半数は、アカウントや認証情報のハッキングだった。

GitGuardianは、あくまでもデベロッパー中心のサイバーセキュリティにより、この問題に対応しようとしている。それが今やメジャーな投資家たちの関心を招き、Balderton CapitalがリードするシリーズAで総額1200万ドル(約13億円)の資金を獲得した。GitHubの共同創業者であるScott Chacon(スコット・チャコ)氏とDockerの創業者Solomon Hykes(ソロモン・ハイクス)が、このラウンドに参加した。同社はこの資金で、現在は大多数が米国である顧客ベースの拡大を計画している。現状では顧客の75%が米国、残りがヨーロッパだが、資金は現在まで続いている成長に拍車をかけるだろう。

オンラインのリポジトリーに隠れている企業の機密情報を掘り出すGitGuardianは、リアルタイムのモニタリングによってデータリークに対抗する。現在のエンタープライズソフトウェアのデベロッパーは、複数の社内的およびサードパーティのサービスを統合しなければならない。そのことによって彼らは、ログイン情報やAPIのキー、機密システムを保護するための暗号鍵など、多くの機密情報を抱え込む。

GitGuardianのシステムは1日あたり数千の認証情報のリークを検出する。同社は当初、一般公開プラットホームであるGitHub上に立ち上げるつもりだったが、しかしGitGuardianは本来プライベートなソリューションとして、機密情報の不適切な拡散を社内システムも含めてモニターし通知しなければならない。社内システムにはプライベートなコードリポジトリーやメッセージングシステムなども含まれる。

GitGuardianに投資したDockerの創業者であるハイクス氏は 「システムのセキュリティはソフトウェア開発工程のセキュリティから始まる。GitGuardianはこのことをよく理解している。彼らは深刻なセキュリティ問題に対する実践的なソリューションを作った。彼らの認証情報モニタリングシステムは、重要企業の必須のツールだ」と語る。

競合他社について共同創業者のJérémy Thomas(ジェレミー・トーマス)氏は「直接の競合他社は、まだいない。市場がまだ存在しないか、または小さすぎるからだ。でも我々の場合は、資金調達の状況を見てもおわかりのように何か大きなものを掴んでいる。だから競合他社がいない理由は、一見して問題が難しいからだろう。デベロッパーなら誰もが、自分は公開されるソースコード中に機密情報を書いたことなどないと言う。でも人間がやることには必ずミスがあるし、いったんミスが起きれば影響は深刻だ。たった一人の認証情報が漏れただけで企業全体が危機に瀕することもある。だから、あえて言うなら、我々の本当の競合者はブラックハット(悪事を働く)のハッカーだ。ブラックハットはGitHubにもいる。これまでの2年間モニターした中には、GitHub上で見つけた機密情報を交換している組織的なハッカーグループもいた。我々は彼らと競合して、彼らが悪事を働くよりも早く脆弱性を見つける」と語る。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Instagramがようやく13歳未満の年齢確認を開始

Instagramはユーザーの年齢を見て見ぬ振りをするのをやめた。開始から9年、Instagramはついに、未成年の子供たちをソーシャルメディアの問題から守る責任を真剣に捉え始めた。 これからは新規ユーザーに生年月日を入力させ、13歳未満のユーザーは登録させない。ただし既存ユーザーには年齢を尋ねないので、Instagramは既存メンバー10億人の中にいる未成年の子供については目をつぶることになる。

今後Instagramは、年齢情報を利用して低年齢ユーザーに対して新たなプライバシー制御などの設定に関する教育を行う予定だ。さらに、自分がフォローしている相手だけがメッセージを送ったり、グループに追加したり、ストーリーに返信できるようにするオプションも追加する。

米国時間12月3日、TechCrunchはInstagramについての意見記事を書いた。これは、モバイル研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏が、Instagramの年齢確認機能のプロトタイプを発見した後、Instagramが何もコメントしなかったことを受けてのことだった。ウォン氏が見つけたコードによると、Instagramは生年月日を非公開のままにし、アカウントをリンクした場合にはFacebookプロフィールと同期する。

関連記事:Instagram still doesn’t age-check kids. That must change.

Instagramは未成年のユーザーを保護することに関して大きく遅れをとっている。同サービスはユーザーの年齢を無視することで、13歳未満の子供から個人情報を収集することを禁止する「児童オンラインプライバシー保護法」(COPPA)違反の罰金4万ドルを回避してきた。「生年月日を尋ねることで未成年がInstagramに登録することを防ぎ、低年齢ユーザーの安全を確保し、年齢に適した体験を提供できるようになる」とInstagramは説明している。

すでにFacebook、Snapchat、TikTokの各サービスは登録手続の最初に生年月日を入力させている。TikTokは、COPPAに違反してFTC(連邦取引委員会)から570万ドルの罰金を課された後、アプリに子供たちがビデオ見ることはできるが投稿もコメントもできない別セクションを作った。

ここまで長い時間がかかったことについてInstagram広報はTechCrunchに、「我々は歴史的にユーザーの年齢を尋ねてこなかった。これはInstagramを誰もが年齢を問わず自らを表現できる場にしたかったからだ」と語った。ずいぶんと薄っぺらい言い訳に聞こえる。

年齢確認の実施はInstagramにとってまずはよいスタートだと言える。しかし彼らは、ユーザーの入力した年齢を検証し、年齢に達しない少年少女がアプリを通じて見知らぬ相手と接触するのを防ぐ方法をさらに考えるべきだ。業界標準への準拠は最低限の責任を果たすことにはなる。しかし、若いユーザーにこれほどアピールし、これほど繊細なデータを扱うアプリとしては、多数派に従うのではなく、率先して安全を守るべきだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Redditの今年の月間アクティブユーザーは4億3000万人

米国時間12月4日の朝に発表された今年のまとめで、米国のニュースサイトであるReddit(レディット)はユーザーベースが30%増え、10月末時点で月間アクティブユーザー数が4億3000万人に達したことを明らかにした。1億9900万件の投稿、17億件のコメント、320億のアップボート(賛成)があった。

昨年Redditは月間アクティブユーザー数が3億3000万人だったと発表していた。この数字はTwitter(ツイッター)よりも多い。毎月のコメントや閲覧の数も年間ベースで増えていて、コメントは37%増、閲覧は54%増だった。

今年最もアップボートを集めた投稿は、中国のTencent(テンセント)がリードするRedditの資金調達だった。2月に行われたこの資金調達(シリーズD)で、Redditは3億ドル(約326億円)を調達し、バリュエーションは30億ドル(約3260億円)になった。中国の検閲によってRedditのサイトは中国では禁止されている画像であふれているが、ユーザーは当時、Tencentの投資が中国の検閲につながることを懸念した。そうした禁止されている画像の1つが「天安門広場の戦車男」で、この画像はアップボート最多の投稿となり、22万8000ものアップボートを集めた。一方、最もアップボートがついたAMA (Ask Me Anything)投稿はBill Gates(ビル・ゲイツ)氏のもので11万件を集めた。

Redditはまた、10万を超えるアクティブなコミュニティにおけるトレンドにも言及した。ここには、前年比63%増となったビューティーのコミュニティ、そして同52%増となったスタイルのコミュニティが含まれる。こうした成長はある程度ブロガーのビューティー争いによるものだ。例えば、r/beautyguruchatterコミュニティは前年比87%増となった。Redditによると、r/skincareaddictionコミュニティはこの種のコミュニティで最も人気で購読者は100万人を超える

結婚式にフォーカスしたコミュニティでも成長が見られ、r/weddingsunder10kは同109%増、r/bridezillasは同852%増となった。家族とペアレンティングのコミュニティは同87%増だった。上位50位のフードコミュニティは前年に比べ35%成長し、スピリッツにフォーカスしたいくつかのコミュニティも成長した。r/tequilaは99%増、r/whiskeyは52%増、r/vodkaは44%増、r/bourbonは27%増、r/winemakingは16%増といった具合だ。フィットネスとウェルネスの上位50位のコミュニティは30%成長した。

ニュースもまた今年フォーカスされ、上位50位のニュースコミュニティは前年に比べ17%成長した。タイムリーな記事に多くの人がアクセスできるようにするため、Redditは2018年に初めて「ニュース」タブを設けた。成長しているところをみると、Redditの狙いどおりにいったようだ。今年のトップ記事にはRobert Mueller(ロバート・モラー)氏の公聴会、現在展開されている弾劾調査、香港の抗議活動、気候変動などがあり、r/politicsも昨年に引き続き入っている。

そのほか、上位50位のエンターテイメントコミュニティは27%、上位50位のスポーツコミュニティは34%、上位50位のゲーミングコミュニティは42%それぞれ成長した。フルレポートにはより多くのデータや詳細が記載されている。

しかし、Redditが今年のまとめに盛り込まなかったことがある。それは、ページビューと売上高についての具体的な数字だ。eMarketerの予測によると、米国での広告収入は今年1億1900万ドル(約130億円)に達し、米国デジタル広告マーケットでのシェアが0.1%になるとされている。アナリストは、2021年までに広告収入が今年の2倍超の2億6170万ドル(約285億円)に、マーケットシェアが0.2%になると予想する。2019年の売上高の57%がモバイルによるものと見込まれている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

SpaceXの宇宙船「ドラゴン」が3度目のミッションでISSに向かう

【編集部注】打ち上げは上空の風の状態のために中止され、米国東部時間12月5日12時29分(日本時間12月6日2時29分)に延期された。新たな予備日時も設定されている。

米国時間12月4日、SpaceXは19回目の国際宇宙ステーション(ISS)商業補給ミッション(CRS)の打ち上げを米国東部時間12時51分(日本時間12月5日2時51分)に予定している。打ち上げはフロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地で行われ、SpaceXがすでに2回使用している商用カプセルDragonを使用する。Dragonは2014年と2017年に飛行している。上のストリーミングビデオは発射の約15分前、米国東部時間12時36分ごろに始まる。

今回の打ち上げでは、ブースターロケットFalcon 9の回収も試みる予定で、制御された状態で地球に帰還し、大西洋沖に浮かぶ回収船「Of Course I Still Love You」(もちろん今も君を愛している)への着地を目指す。

Dragonカプセルに載せられてISSへと向かう貨物約5700ポンド(2.6トン)には、現在宇宙ステーションで進行中の科学ミッションや宇宙飛行士のための実験・研究機器が含まれている。重要任務を負うロボットが使用されていないときに滞在する保護施設である新しい「ロボットホテル」もその1つだ。

CRS-19ミッションには本日の打ち上げが何らかの理由で中止された場合に備えての予備打ち上げウィンドウが米国東部時間12月5日12時29分(日本時間12月6日2時29分)に設定されている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

名刺のQRコードから自己紹介動画を再生、新たな名刺体験を実現する「名刺 THE MOVIE」

名刺とQRコードと動画を組み合わせることで、名刺体験をもっとリッチにできないか——。これから紹介するのはそんなアイデアを形にしたプロダクトだ。

たとえばイベントや交流会、もしくは商談などで短時間の間に複数の人と名刺交換をした時。後から落ち着いたタイミングで名刺を見返しても「相手のことがほとんど思い出せない」という経験をしたことがある人も少なくないはずだ。

そんなシーンにおいて、自分のプロフィールや人柄に関するストーリーを「動画として埋め込んだ名刺」があったらどうだろう。名刺交換の際にお互いのことをあまり話せなかったとしても、後から動画を見ることで相互理解を深められる。もしくは名刺交換時にアイスブレイクの一環として、その場で動画を見せ合ったりしてもいいかもしれない。

本日12月5日にリリースされた「名刺 THE MOVIE」は、その名の通り動画を用いて名刺の体験をアップデートしようという試みだ。構造はとてもシンプル。紙の名刺に印刷されているQRコードをスマホで読み取ると、その人のパーソナルな情報をまとめた縦動画を簡単に視聴できる。

開発したのはTechCrunchでも何度か紹介している動画関連スタートアップのカクテルメイクだ。同社ではクリエイターが作成した豊富なフォーマットとAIによるサポートによって、専門知識がなくても動画を作れるSaaS型のサービス「RICHKA(リチカ)」を運営している。

今回のプロジェクトは「形骸化しがちな名刺交換において、記憶に残りやすい動画との相性は非常に良い」との考えから発足。その人の人柄や、趣味などパーソナルな部分を1分以内にまとめることで営業でのアイスブレイク、採用などのコミュニケーションに活用されているという。

名刺 THE MOVIEはRICHKAの仕組みを活用した1つのパッケージという位置付けになる。通常であれば撮影や編集にそれなりの時間や手間がかかるが、RICHKAを用いた制作スキームを構築することで圧倒的な効率化を実現している。

実際にカクテルメイクでは全メンバー約40名が名刺 THE MOVIEを使用。2時間で15人分の素材動画を撮影し、編集については非クリエイターのメンバーが40人分を1日で完了させたそうだ。

まずは問い合わせベースでカクテルメイク及び同社のパートナーが撮影や編集のサポートを行っていく方針だが(RICHKAユーザーへの15社限定無料撮影支援キャンペーンも実施するそう)、ゆくゆくはユーザー自身でも簡単に動画の撮影や編集ができる仕組みをRICHKAの派生サービスのような形で提供していくことも考えているという。

無料で使えるAI搭載ドラレコアプリ「スマートくん」公開、AI事業のニューラルポケットが開発

画像や映像を解析するAI技術の研究開発と事業化に取り組むニューラルポケットは12月6日、自社開発のAIを組み込んだドライブレコーダーアプリ「スマートくん」のiOS版を公開した。

同サービスは数万円するような既存のドラレコ端末を用意せずとも、市販の一般的なスマホ用スタンドに自身のスマホを設置するだけで、簡単にドラレコ機能を使えるというもの。一般的なドラレコアプリに搭載されている常時録画や動画保存・再生といった「運転録画機能」に加えて、AIを活用した「運転レポート/サポート機能」を搭載している。

スマートくんでは急発進・急停止などの動作や周辺に映る物体(自動車や歩行者、信号機など)を走行中にリアルタイムでAIが検知。たとえば車間距離を解析して他の車両に接近しすぎた場合にアラートをする、といった形でドライバーの運転を支援する仕組みがあるのも特徴だ。

2020年を目処に音でアラートをする機能を導入するほか、取得した運転データからレポートを出力する機能やそのほかの運転サポート機能なども順次追加していく計画。これらは全てスマホ端末内で処理を行うため、アプリのインストール時を除けば基本的に通信量は発生しない。映像の録画や録画データの確認も含めてスマホが1台あればOKだ。

個人ユーザーが自家用車で活用する際はもちろん、法人についても無料で使うことが可能。利用の際に個人情報の登録も必要ないが、ニューラルポケットでは個人情報に紐付けない形で道路上のデータを取得し、このデータを用いて各企業や自治体と連携しながら事業開発を進める方針だという。

要はコンシューマー向けのアプリではあるものの、そこからマネタイズをするつもりはなく、集めたデータを使って新しい事業に繋げていきたいという考え。便利な機能を搭載したアプリを無料で提供する代わりに、ユーザーからはアプリを通じて取得できる混雑状況・道路情報といった交通データをもらう構造だ。

スマホがあれば簡単にドラレコ導入、モビリティ事業の足がかりに

ニューラルポケットは3月の資金調達時などにも紹介している通り、根幹となるAI技術の研究開発とその技術の社会実装を進めるスタートアップ。現在はファッション、スマートシティ、デジタルサイネージの3領域を軸にしていて、今回のドラレコアプリを含むモビリティ事業はスマートシティ領域の1つとなる。

同社の取締役COO周涵氏によると、2018年時点でドラレコの搭載率はだいたい3割程度なのだそう。ドラレコの利用に関心があるドライバーは一定数いるものの、価格と使い勝手がネックとなり思いの外普及していないのではないかという。

スマートくんの場合はアプリ自体が無料なので、必要な料金はスマホを設置するためのスタンドを購入する費用ぐらい。設置工事の手間などもかからないほか、映像の録画や確認が全てスマホだけで行えるスムーズさもウリだ。

近年はディー・エヌ・エーの「DRIVE CHART」や米国スタートアップのNautoが展開する「ナウト」など、AIを活用したドラレコやそれに関連する取り組みが徐々に広がりつつある。ただ車載端末ではなくスマホアプリでそのような仕組みを取り入れたものは「これまでになく、世界初になるのではないか」(周氏)とのこと。ニューラルポケットとしては導入のしやすさと機能性を兼ね備えたドラレコアプリとしてユーザーに訴求していく。

同社ではソフトバンクやトヨタらの共同出資会社であるMONET Technologiesが設立した「MONETコンソーシアム」に12月4日付けで加盟したことも本日公表済み。スマートくんで集めたビッグデータも活用しながら、道路情報の収集および街づくりへの展開、自動運転の実現に向けた環境データ整備など、関係企業や自治体・官公庁とも連携しながらモビリティ事業の開発を進めるという。

米ブラックフライデーの週にNintendo Switchが過去最高の販売台数を記録

Nintendo Switchが米国における週間販売台数の最高記録を達成したと任天堂が発表した。感謝祭からブラックフライデーを含む1週間でSwitchは83万台が売れ、米国における売上のトータルは1750万台となったという。3年前に発売されたゲームコンソールの販売数としては驚くべき数字だ。

さる10月末にSwitchの米国での販売台数は1500万の大台に乗った。NPDなどのアナリティクス専門企業が公開しているゲームコンソール部門のチャートのトップは長くSwitchが独占している。今回のセールス好調の要因にはクリスマス休暇が近づいていること、低価格で手ごろなSwitch Liteが投入されたこともあるはずだ。またブラックフライデーセールでさまざまな販売チャンネルがSwitchにマリオカート8デラックスなどのゲームをバンドルしたことも追い風となった。

Switchシステムは米国以外でも中国など大きな市場での展開が予定されている。中国では1台3万2000円前後でネット企業のTencent(テンセント)と提携して販売していく計画だ。中国における予約は12月5日にスタートした。販売開始は12月10日で、マリオカートも3タイトルがリリ-スされる。

9月下旬の時点での世界での販売は4000万台だった。Wii Uが販売全期間を通して1350万台というそこそこのヒットにとどまったことを考えれば後継システムははるかに好調だ。もっとも8年前に生まれた3DSは世界で7550万台売れているので、Switchの記録はまだこれには及ばない。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ベライゾンとAWSが5G Edgeコンピューティングで提携

Qualcomm(クアルコム)が今後数年間の5Gプランを強調し始めたのと同じくして、Verizon(ベライゾン)のCEOことHans Vestberg(ハンス・ベストバーグ)はAWS re:Inventのステージに登壇し、同社のチームがクラウドコンピューティング分野の巨人と協力することについて語った。

ベライゾンは今後、5Gエッジコンピューティングへの注力の一環として、新たに発表されたAWS Wavelengthを最初に利用することになる。同プラットフォームは、開発者が5Gデバイス向けの超低レイテンシのアプリを開発できるように、設計されている。

現在AWS Wavelengthは、FalloutとElder Scrollsの開発元であるNFLやBethesdaを含むいくつかの大手パートナーとともに、シカゴで試験運用されている。具体的なアプリケーションについての詳細はまだ不明だが(当然、リモートゲーミングやライブストリーミングが該当するだろう)、将来的にはスマートカー、IoTデバイス、AR/VRなどでも利用される可能性がある。

AWSのCEOことAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は壇上で、「AWS Wavelengthは5Gネットワークの現場で利用されているのと同じAWS環境(API、管理コンソール、ツール)を提供する」と語った。「米国内のベライゾンの5Gネットワーク拠点を皮切りに、顧客はアプリケーションのレイテンシの影響を受けやすい部分をエッジに配置し、モバイルおよび接続デバイスに1桁ミリ秒の低レイテンシを提供することができる」

ベライゾンのCEOとCNO(最高ネットワーク責任者)のNicki Palmer(ニッキー・パーマー)はハワイにてクアルコムのイベントに参加し、次世代のmmWave(ミリ波)へのアプローチについて語った。この技術は、サービスエリアに関していくつかの疑問が存在する。ベライゾンはBoingoなどのサードパーティーと提携して、この問題にある程度対処してきた。

AWSは年末までに、米国の30都市でサービスを開始する予定だ。なお、現在は18都市にて提供されている。

【Japan編集部注】TechCrunchはVerizonのメディア部門に属している。
[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

YouTubeが「閉鎖アカウント削除で登録者数減少する」とクリエーターに注意喚起

YouTubeはコンテンツのクリエーターに「チャンネル登録者の数が減少しているかもしれない」と注意喚起した。これは現在YouTubeから閉鎖アカウントを削除しているためだという。

閉鎖アカウント(Closed Account)とは、ユーザーが自発的に返上したアカウントやスパム、虐待など利用約款違反によってYouTubeが停止したアカウントなどだ。

YouTubeはこうした閉鎖アカウントの削除により登録者数が減少するかもしれないとYouTubeヘルプのコミュニティページで通告した。Twitterのニュースフィードやクリエーターツールのダッシュボードにも同様のメッセージがアップされている。

このようなアカウント削除はシステムのメンテナンスの一環として行われるもので、今後もスパムや違法、不当な動画のアップロードを防ぐために実施していくという。ただしこうしたアカウント削除は登録者を減少させ、結果としてクリエーターの収入に影響する可能性がある。

注意:本日、閉鎖アカウントを削除しているので一部のチャンネルでは登録者数が減少するかもしれない。YouTubeのスパムアカウント、閉鎖アカウントの削除の詳細についてはリンク先を参照。

チャンネルのダッシュボードのアナリティクスに「12月3日、4日」の減少として表示された場合、アカウント削除の影響を受けた可能性が高い。削除された閉鎖アカウント数を正確に知りたい場合、クリエーターはアナリティクスの「詳細」メニューから「閉鎖アカウント」(Closed Accounts) に進む。

アカウント削除はクリエーターにとってありがたくない。チャンネルメンバーシップグッズの販売といった重要なマネタイズの仕組にアクセスする資格が登録者数にかかっているからだ。またYPP(YouTube Partner Program)と呼ばれるパートナープログラムに参加するにも登録者数は要因となってくる。登録者数1000人以上というYPPの参加資格ぎりぎりのクリエーターはほんのわずかの登録者減少でも経済的に大打撃を受ける可能性がある。

こうした理由があるため、クリエーターはチャンネル登録者に対してサブスクリプションが有効であるかもう一度確認するよう呼びかけている。つまりこの種のアルゴリズムによる大規模なアカウント削除ではアカウントが削除されることがあると考えているからだ。

クリエーターのソーシャルメディアへの投稿を見ると、削除の影響はチャンネルごとに大きく違うようだ。数人が減少しただけと報告しているクリエーターもいるが、数千の登録者を失ったチャンネルもある。

YouTubeが登録者を削除するのはこれが初めてではない。昨年の12月にもYouTubeは相当数のスパムアカウントを削除中だとクリエーターに警告している。これにより登録者数の大幅ダウンに見舞われたチャンネルも多数出た。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

AWSがUltraWarmティアをAmazon Elasticsearch Service向けに発表

AWSはAmazon Elasticsearch Service向けの新ティア(プラン)を発表した。これは、コスト削減につながる可能性があり、プレビューも公開されている。現在、Amazon Elasticsearch ServiceにはhotとUltraWarmの2つのストレージティアがある。

hotはパフォーマンスを重視する場合に、最も効果的なティアだ。hotではインデックス作成や、データへの高速アクセスが必要なすべての処理に使用できる。

UltraWarmでは最大900TBのストレージが利用でき、既存のオプションと比較して最大90%のコスト削減が可能だ。UltraWarmでは、Amazon Elasticsearch Serviceがデータブロックを調べ、そのブロックが頻繁にアクセスされているかどうかを判断する。アクセス頻度の低いデータはS3に移動され、コスト削減につながる。

興味深いことに、hotとUltraWarmの両方にわたってElasticsearchデータを照会し、表示できる。UltraWarmティアにてに保存されるデータは同じAPIを使用するため、すでに使用しているツールを使用できる。またこれまでのように、保存中および実行中の暗号化、統合されたアラート、SQLクエリーを有効にもできる。

UltraWarmティアではAWS Nitro Systemを利用して、データのキャッシュとクエリを実行する。顧客はアメリカ東部(北バージニア)および西部(オレゴン)地域からプレビューにアクセスできる。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

GoogleのE-A-Tにおける、よくある10の誤解

かつてはSEO界隈のみの用語でしたが、昨今はいたるところで話されている印象のあるE-A-T。

SEOのみならず、健全なWebサイトの運用にも一役買う概念であるため、多くの人が知ることは良いことだと思います。
しかし、抽象的な概念であるが故、噂のようなものが独り歩きしてしまうのも事実。

今回の記事はSearch Engine Journalより、誤解も多いE-A-Tを解説した記事を紹介いたします。

E-A-T(Expertise、Authoritativeness、Trustworthiness:専門性、権威性、信頼性)は、Googleの品質評価ガイドラインの2014年度版に初めて登場した概念である。

このガイドラインは、Google検索の品質評価に使用される。

検索の品質評価とは、Googleに雇用された数千人の評価者が、一定のWebサイトをレビューし、それらのページの品質についてのフィードバックをGoogleに送付するといった内容だ。

評価者からのフィードバックはGoogleによってベンチマークされ、アルゴリズムの改良に活用される。E-A-TはGoogleの基準として機能し、該当のWebサイトが提供するコンテンツが、どの程度信頼に足るかを評価者が判断するために用いられる。

ガイドラインには、以下のように記されている。

有益な目的を持つ全てのページにおいて、専門性、権威性、信頼性(E-A-T)はとても重要だ。

Googleは、品質評価者が以下の項目を考慮に入れるよう、指南している。

  • 彼らが分析しているWebページのメインコンテンツのE-A-T
  • Webサイト自体
  • Webサイトのコンテンツの作成者

現行版の品質評価ガイドラインでは、167ページ中、E-A-Tという言葉が135回言及されている。

昨年、E-A-TはSEO界隈での大きな議論の的となった。特に、2018年8月1日にリリースされたGoogleのコアアルゴリズムのアップデートによる自然検索からのトラフィックの変化と結び付けて話されることが多かった。

SEO担当者は、E-A-TはGoogleのアップデートにおいて、重要な役割を担うと推測し始めた。特に、YMYL(Your Money Your Life)関連のWebサイトにとっては。
(後にGoogleもWebマスターセントラルブログで認めた)

SEO界隈で意見が交わされるに従って、E-A-T関連の議論は混乱し、誤解され、事実誤認も発生するようになった。

こうした誤解は、理論としては正しいこととGoogleのアルゴリズムの実際の仕組みの差によってもたらされている。

良いE-A-Tを持つサイトを検索結果に表示させることがGoogleの目的である。また、Googleのアルゴリズムも、そのように振る舞うと想定されるものだ。

しかし、E-A-T自体が、現在のGoogleのアルゴリズムの仕組みを説明するものではない。

この記事は、E-A-Tに関連する10個の噂や誤解を検証するために書かれている。

また、E-A-Tが実際にはどのように作用し、Googleがどのように使用しているかを明らかにしたいと思う。

1.E-A-Tはアルゴリズムではない。

E-A-T自体はアルゴリズムではない。

先日開催されたPubconでのQ&Aセッションにて、Googleのゲイリー・イリェーシュ氏は、「Googleは何百万もの小さなアルゴリズムの集合体であり、それらが一致団結して順位スコアを算出している。こうした”ベイビー・アルゴリズム”はページやコンテンツ内のシグナルを探しており、それらはE-A-Tとして概念化される」と述べている。

つまり、E-A-T自体はアルゴリズムではないが、Googleのアルゴリズムは、良いE-A-T、悪いE-A-Tと関連する、オンサイト、オフサイトの両方のシグナルを探している。

それは、権威性を理解するためにWeb上のリンクを利用する、ページランクのようなものだ。

2.E-A-Tスコアは存在しない。

上記と同様のセッションにて、ゲイリー・イリェーシュ氏は、「E-A-TスコアやYMYLスコアは存在しない」と認めている。

GoogleのアルゴリズムがE-A-Tスコアを付与していないというだけでなく、品質評価においてE-A-Tを分析している品質評価者が、個々のWebサイトのランキングには直接影響することもない。

3.E-A-Tは直接のランキング要素ではない。専門性、権威性、信頼性も、それぞれ個々のランキング要素ではない。

これは、E-A-Tがランキングとして重要な検討事項ではないということよりも、セマンティックについての議論となる。

Googleは少なくとも200を超えるランキング要素を使用している。例えば、ページスピード、HTTPS、タイトルタグ内のキーワードなどであるが、これらは特定のページの順位に直接影響しうる。

E-A-Tはこうした要素と同じように作用するものではない。ランキング決定の役割としては、もっと間接的なものだ。

E-A-Tはランキング要素か。

我々が直接測定できる、例えばスピードのような、技術的な要素を意味するのであれば、答えはNoだ。

我々は複数のシグナルをプロキシとして使用しており、該当のコンテンツがE-A-Tを満たしているか、人間と同じような判断を試みている。

この意味においては、E-A-Tはランキング要素であると言える。

E-A-Tが現在のアルゴリズムでどのように組み込まれているかと質問された際、AJ・コーン氏は次のように述べている。

「あまりに多くのSEO担当者が、専門性、権威性、信頼性をランキング要素と考えていると感じている。しかし、それらはアルゴリズムの仕組みそのものではない。

単純に、”そうあるべき”ものを推測するものだ。より有益な議論も発生している。

例えば、Googleがアルゴリズム的にこれらに影響を与えているのは何か。つまり、健康領域だ。

Googleは、最も価値のある医療系のテキストとより関連性があるかを判断するため、BioSentVec embeddingsを使用しているのか。それについての回答を私は知らない(個人的には実験しているように思えるが)。

いずれにせよ、こうした議論はより価値のあるものだと考えている。単純に、”専門性を増すために、署名欄にDrという記述を追加すべきか?”といった会話よりも。」

4.E-A-Tは全てのサイトが重点的に注視すべきものではない

Googleは品質評価ガイドラインで次のように明言している。

特定のWebサイトのE-A-Tのレベルは、Webサイトに記載されているトピックスや、どの程度YMYLの領域であるかによる。

例えば、「高いE-A-Tが求められる医療系のアドバイスは、適切な医療系の専門家や認証評価を有する個人や組織によって、作成されるべきだ」とある。

しかしながら、写真やギターの演奏方法など、趣味についてのWebサイトの場合、専門性の要求は低くなり、E-A-Tの分析という観点では、低い水準になりうる。

読者の幸福、健康、経済的な成功、福利などに直接影響を与えるYMYLのトピックを扱う会社にとっては、E-A-Tは非常に重要だ。

また、クレジットカードの情報を扱うため、ECサイトの領域もYMYLと考えられるということも重要と言える。

上記のE-A-Tメーターは、異なる領域のWebサイトにおいて、E-A-Tがどの程度重要であるかを示したものだ。

  • 左上:編み物:不要
  • 右上:有名人のゴシップ:低い
  • 左下:ペットの健康:高い
  • 右下:がん治療:非常に高い

5.E-A-Tに注力することは、技術的なSEOの監査や他のSEO施策の代替とはならない

E-A-Tに注力することが、それ単体で、SEOのパフォーマンスを向上することはない。

オンページの最適化、高品質な被リンクの獲得、技術的なSEOなど、成功するSEO戦略に組み込まれるべき通常の施策も、E-A-T獲得のために実行されるべき施策なのだ。

アルゴリズムの更新でネガティブな影響を受けたサイトにとって、E-A-Tは考慮すべき項目の1つにすぎない。

コア・アルゴリズムのアップデートからの回復は、サイト全体の品質の向上、ユーザー体験、技術的なSEO、Webサイトの構成の改善など、多くの異なる領域での改善が求められる。

さらに言えば、ページ読み込みの遅延、クローリングやレンダリングの問題など、技術的な問題を抱えるサイトは、Googleに適切にインデックスされないこともある。

Webサイトのパフォーマンスに影響しうる他の問題を抱えている場合は、そうした問題とのバランスを考え、E-A-Tへの注力を優先付けるべきだ。

6.E-A-Tは新しい概念ではない。誤情報に対するGoogleの処置でもない

「E-A-Tは、2018年8月1日にロールアウトされたコア・アルゴリズムのアップデートのタイミングでGoogleが新たに採用したものである」と主張するSEOの専門家もいる。

しかし、E-A-Tは品質評価ガイドラインの2014年度版に初めて登場している。

さらに、私はE-A-Tに注力した調査を行った結果、2018年~2019年のコア・アルゴリズムアップデートによりネガティブな影響を受けたサイトの51%が、2017年3月のフレッド・アップデートでもネガティブな影響を受けていることを発見した。

Googleによる、誤情報の削除と高品質で信頼できるコンテンツを検索結果に表示させる取り組みは、2018年8月1日にロールアウトされたコア・アルゴリズムのアップデートよりも前から行われていたのである。

検索結果の信頼性と透明性の改善やフェイクニュースの削減を目的とした取り組みへ、Googleは様々な形で投資している。例えば、下記のような取り組みだ。

7.2018年8月1日のアップデートは、「医療系」や「E-A-Tアップデート」と公式に名付けられたものではない

8月1日のアップデートはバリー・シュワルツ氏によって「医療系」アップデートと名付けられたが、一般的に、コア・アルゴリズムのアップデートはGoogleによって名前をつけられるようなものではなくなっている。

8月1日のアップデートを「E-A-Tアップデート」と呼ぶデジタルマーケターもいるが、この名前は不正確だけでなく、ミスリードさせるものだ。

このアップデートによってパフォーマンスが下降したのは、E-A-Tが無いサイトだけではない。

8.著者のバイオグラフィを記載すること自体がランキング要素ではない(Googleは全ての著者情報を認識できるわけではない)

「全てのコンテンツの著者情報を記載し、理想としては、それぞれの著者の詳細な説明ページを用意し、高品質なコンテンツを作成するための信頼があることを伝える」といったことがE-A-Tを改善するための共通のオススメ施策となっている。

品質評価ガイドラインでは、コンテンツの著者がその分野においてどの程度専門的な知識を有しているかを確認する方法として、著者のバイオグラフィを確認することを、Googleは品質評価者に繰り返し勧めている。

しかし、Webマスターハングアウトにて、ジョン・ミュラー氏は、「著者のバイオグラフィは技術的な必須要項ではなく、また、特定のタイプのSchemaも求められているものではない」と述べている。彼がくれたアドバイスは、以下のとおりだ。

著者情報と専門性、権威性、信頼性については、ユーザー調査を行うことを勧める。

いくつかのパターンを用意し、そのコンテンツを書いた人が優れた人であり、そのトピックについての信頼性や関連性があることをユーザーに一番伝わる方法を模索しよう。

パブコンのQ&Aセッションで、ゲイリー・イリェーシュ氏は次のように述べている。

Web検索において、非常に有名な著者について、例えば、ワシントン・ポスト紙のエグゼクティブといった場合、その著者のエンティティを我々は有している。

著者情報ではなく、エンティティなのだ

つまり、Googleはナレッジグラフの表示のため、定評のある著者を認識することはできるが、全ての著者を認識するのとは別のものとなるのだ。

しかし、過去数年、Googleはオーサーシップに関連した様々な取り組みを行っており、それらの経験はこの領域で活かされているかもしれない。

9.YMYL領域のサイトのみがコア・アルゴリズムのアップデートで影響を受けるわけではない。また、アルゴリズムのアップデートによってネガティブな影響を受けた場合、E-A-Tのみが原因であるわけではない

ここ最近のコア・アルゴリズムのアップデートは、YMYL領域のサイト(特に健康や医療に関連するサイト)に大きな影響を与えている。しかし、影響を受けたその他の領域のサイトもある。

例えば、2018年8月1日以降のコア・アルゴリズムのアップデートによって、レシピサイトが大きな影響を受けている。

しかし、E-A-Tに限れば、これらのサイトはほぼ似たレベルである。こうしたサイトは情熱的な料理ファンによって運営されており、オンライン上でレシピを公開するに十分な品質を保っている。

同水準のE-A-Tを有しているにもかかわらず、競合性の高い4つのレシピサイトは、コア・アルゴリズムのアップデートに大きな影響を受けている。

しかし、それぞれのレシピサイトは、E-A-T以外の、特有のSEOの問題を抱えている。例えば、サイトの構造・広告の量や大きさ・ページ読み込み速度などである。

こうした要素が、アルゴリズムのアップデートによる影響の要因と見るべきだろう。

10.E-A-Tは、効果的な特効薬ですぐに結果が出るというものではない。E-A-Tの構築には時間がかかる

SEO施策のうち、メタデータの最適化や技術的な要素の改修など、Googleが再クロールしてくれ、アップデートしたコンテンツをインデックスしてくれれば、パフォーマンスの改善がすぐに見られるといった施策もある。

直接的なランキング要素ではないこともあり、E-A-Tはこうした施策のようにはならない。

信頼性の改善のためには、非常に多くのリソースが必要とされる。完遂するにあたり、多くの時間と努力が求められるのだ。

ユーザーからの信頼を得るには時間がかかり、そうした変化を検索エンジンが認識するまでに、さらに時間を有する可能性もある。E-A-Tの問題により、アルゴリズムのアップデートの影響を受けたサイトであれば、なおさらだろう。

Googleは、サイト全体の再評価を次のコア・アルゴリズムのアップデートまで行わない場合もある。その場合、E-A-T改善のための施策の効果が認識されるまで、少なくとも数ヶ月かかることになる。

しかし、E-A-Tの改善の効果は、SEOの領域以外にも認められるだろう。ユーザーがあなたのWebサイト、著者、ブランドをより信頼するようになるため、E-A-Tの改善はユーザー体験の強化につながるのだ。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「Google’s E-A-T: Busting 10 of the Biggest Misconceptions」を翻訳した内容です。

E-A-Tのみならず、検索エンジンのランキング要素の要因として扱うには危険な項目は昔からありました。

新しい概念が広まり、それがWeb全体を健全な方向に導くのであれば非常に素晴らしいですが、悪影響を与える広まり方は避けたいと思います(特に悪意を持って広めようとする場合)。

今回の記事の肝どころは、最終行の「E-A-Tの改善はユーザー体験の強化につながる」だと思いますが、ここでも、ユーザーをまずは念頭において施策を行いたいものです。

メールマガジン購読のご案内

SEO Japanでは、SEOやCRO(コンバージョン率最適化)を中心としたメールマガジンを2週に一度、木曜日に配信予定です。

担当者のコラム(読み物)や、質の高い記事をピックアップして配信していますので、ぜひご購読ください。

SEO Japanのメールマガジンを購読する

なお、noteにてバックナンバーも公開していますので、ぜひ試し読みしていただければと思います。

SEO Japan|note

ダイバーシティ重視のVCファンドHarlem Capitalがファンド規模約44億円でデビュー

Harlem Capital(ハーレムキャピタル)は、エンジェルシンジケート(エンジェル投資家とスタートアップをつなぐ資金調達プラットフォーム)から本格的なベンチャーキャピタル(VC)ファンドにアップグレードし、初めての資金調達を応募超過の4030万ドル(約44億円)でクローズした。

2015年にニューヨークのハーレム地区でマネージングパートナーのHenri Pierre-Jacques(アンリ・ピエールジャック)氏とJarrid Tingle(ジャリッド・ティングル)氏が設立した。2人はその後、ハーバードビジネススクールを卒業し、Brandon Bryant(ブランドン・ブライアント)氏とJohn Henry(ジョン・ヘンリー)氏の2人をベンチャーパートナーに迎え、アソシエイトも2人雇い 、ポートフォリオ拡大に向け陣容を整えた。ダイバーシティを念頭に今後20年間で1000人の創業者に投資するという長期的な目標を掲げる。

「我々はインパクトファンド(社会的事業に投資するファンド)ではなく、インパクトを与えるベンチャーファンドだと思っている」とピエールジャック氏はTechCrunchに語った。「インパクトを生み出す方法は、女性とマイノリティの起業家にオーナーシップを持ってもうらうことだ」

Harlem Capital Partners Venture Fund Iは業界を問わず既に売り上げを計上している米国企業に投資するビークル。想定する投資は、1件25万〜100万ドル(約2700万円〜1億900万円)のシードやシリーズAのリードまたは共同リード、あるいはラウンドへの単なる参加だ。これまでに、B2B女性用衛生製品のAunt Flow、ギグエコノミーマーケットプレイスのJobble、ペットウェルネスプラットフォームのWagmoなど、14社を支援してきた。同ファンドからさらに22の事業に投資する予定だ。

VC業界に均衡をもたらすには、我々のようなダイバーシティファンドが必要だ

–Harlem Capitalマネージングパートナー、ジャリッド・ティングル氏

Harlem Capitalは最初のファンドの資金調達を終え、ダイバーシティを使命とする最大のVCファンドの1つとなった。VC業界の男女間、人種間格差を露呈するばつの悪いデータが次々に明らかになっているにもかかわらず、マイノリティ出身の創業者らが調達できる資金は相変わらずごくわずかだ。今年初めに発表されたRateMyInvestor and Diversity VCレポートによると、ほとんどのVCマネーは大学の学位を持つ白人男性経営の会社に投資されている。最近の別のデータによると、創業者が女性のみのスタートアップが2018年に調達した金額は、VCからの調達総額のわずか2.2%で、2019年にはわずかに増加するペースだった。2018年に黒人女性創業者が調達した金額の中央値に至ってはゼロだった。

女性起業家と男性起業家、または白人女性と黒人女性創業者の間の資金調達に関する際立った対照は、VCファンドのゼネラルパートナー(GP)とVCファンドに資本を拠出するリミテッドパートナー(LP)にまん延するダイバーシティの欠如を示している。LPのダイバーシティに関する利用可能なデータはほとんどないが、2018年時点でVC企業の81%は資金を拠出する黒人投資家が1人もいなかった。

「この問題を正当化する理由はない」とティングル氏はTechCrunchに語った。「一般的にVCファンドは互いに地理的に密接し、シリコンバレー周辺に集まっているため、そうなりがちだ。VCファンド関係者は、特定のネットワークを持つ特定の学校出身の限られた人数で構成されており、頻繁に入れ替わることはない。一部のファンドは、戦略的に何人かのパートナーを異なる地域から採用したが、組織を変えるまでには至っていない。VC業界に均衡をもたらすには、我々のようなダイバーシティファンドが必要だ」

「多くの投資家が単に機会を逃している」とティングル氏は付け加えた。

新世代のリーダー人材を見出す非営利組織「明日の経営リーダーシッププログラム」で出会ったティングル氏とピエールジャック氏は、Harlem Capitalにインターンシッププログラムを設けた。毎四半期に最大6人のインターンを受け入れ、将来の有色人種投資家を育てることが目標だ。

Harlem Capital Partners Fund IのLPには、TPG Global、State of Michigan Retirement Systems、Consumer Technology Association、Dorm Room Fundなどが名を連ねている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Amazon EKS on AWS Fargateが公開された

米国時間12月3日、ラスベガスで開催されているAWS re:Inventカンファレンスで、AWS FargateでEKS(Elastic Kubernetes Service)を利用できるようになったことが発表された。

画像:Ron Miller

EKSは、Amazonが提供するKubernetesのフレーバーだ。Fargateは2017年に公開されたサービスで、基盤インフラストラクチャを気にせずにコンテナアプリケーションを起動できる。

同社はこの新機能について発表するブログで「今日からAmazon EKSを使ってAWS FargateでKubernetesのPodを実行できる。Amazon EKSとFargateにより、Podのためのプロビジョニングやインフラストラクチャの管理は必要なくなり、AWS上でKubernetesベースのアプリケーションを簡単に実行できるようになる」と述べている。

Podは同一のKubernetesクラスタ上で起動されるコンテナの集まりだ。KubernetesではPodを自動で起動できることから、Podを自動で実行させるために必要な基盤インフラストラクチャをプロビジョニングすることにも意味がある。

同社はブログで「AWS Fargateにかかる費用は、Podを実行するのに必要なvCPUとメモリのリソースの分だけだ。これにはPodが要求するリソースと、Podとともに動作するKubernetesのコンポーネントを実行するために必要な少量のメモリが含まれる。Fargateで動作するPodは、既存の価格モデルに従う」と述べている。

つまり開発者は、オーバープロビジョニングを心配する必要はない。Fargateは、その時点でPodが動作するために必要なリソースだけを実行する仕組みになっているからだ。

この機能は同日から、米国東部(バージニア北部)、米国東部(オハイオ)、ヨーロッパ(アイルランド)、アジア太平洋(東京)で公開されている。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Amazon Redshiftのクエリを10倍速くするAQUA

米国時間12月3日、AWSのre:InventカンファレンスでCEOのAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は、同社のデータウェアハウスサービスであるAmazon Redshif向けのAQUA(Advanced Query Accelerator)を発表した。ジャシー氏が基調講演で述べたように、データを分析する際にデータウェアハウスをスケールすることは難しい。データウェアハウスやデータレイクが大きくなると、現在の高速ネットワークや高速チップをもってしても、ある時点でデータはネットワークや利用可能なコンピューティングを圧迫し始める。AQUAはこれに対処するためのもので、基本的にはハードウェアアクセラレーションキャッシュであり、クエリのパフォーマンスはクラウドベースのデータウェアハウスのコンピューティングに比べて10倍速くなるという。

同氏は「コンピューティングのためにどれほどのデータがネットワーク上で移動しなくてはならないかを考えてみてほしい。今はこのことが問題になっていない企業でも、生成されるデータの量を考えれば、すぐに問題になるだろう」と述べた。

ジャシー氏は「AQUAは求められるコンピューティングのパワーをストレージレイヤーに直接もたらす。Amazonの標準的なS3サービスの上位にキャッシュが置かれるため、必要な数のノードに必要なだけスケールできる」と説明した。

AWSは、このサービスを実現し、データ圧縮と暗号化をオンザフライで高速化するために、独自の分析プロセッサを設計した。当然、このサービスはRedshiftの現在のバージョンと100%互換性がある。

同日、AWSはさらに、Redshiftの次世代のコンピューティングインスタンス、RA3インスタンスも発表した。48個のvCPU、384ギビバイトのメモリ、最大64テラバイトのストレージを備える。これを利用して最大128インスタンスのクラスタを構築することができる。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

初めての電池駆動Echoスピーカーがインド限定で発売

Amazonはインドでこの2年間にEchoスピーカーの10種を超える機種を発売してきたが、米国時間12月4日の発表では、今度はこの国で最も要望の多かった機能を実現した機種を新発売する。その機能とは、ポータビリティと携帯性だ。

本日発表された新機種のEcho Input Portable Smart Speaker Editionは電池を内蔵する。その4800mAhの内蔵バッテリーは、音楽の再生なら最大10時間、待機モードなら11時間を持ちこたえる。

Alexaデバイス担当副社長であるMiriam Daniel(ミリアム・ダニエル)氏は「ポータビリティはインドでリクエストが最も多い機能だった。自分の家の中でも、AIアシスタントAlexaを部屋から部屋へと持ち運びたいのだ。そこで今回、そんな人たちのための製品を設計した」と語る。

同社によると、Echo Input Portable Smart Speaker Editionという超長い名前のデバイスは、ハードウェアのアーキテクチャはEcho Inputと同じとのこと。それは、昨年発売されたスピーカーのないEchoだ。

そのバッテリーで動くEchoはインド専用に設計された。お値段は5999インドルピー(約9100円)だ。今は新発売記念で4999インドルピー(約7600円)で発送は12月18日からになる。

バッテリーパックを内蔵していること以外の機能は変わらない。およそ30000種のAlexaスキルにアクセスできることも従来の室内用と同じ。Alexaの音声アシスタントをサポートすることも同じ。違うのは4つのLEDでバッテリーの充電状態が分かることだ。

Echoスピーカーがインドで何台売れたかをAmazonは公表していないが、インドが重要な市場であることは表明している。9月に行われたカンファレンスでAlexaのAIを担当している副社長で上級サイエンティストのRohit Prasad(ロヒト・プラサード)氏が、「インドにおけるAlexaの採用は驚異的」ととコメントした。

インドに50億ドルあまりを投資しているAmazonは、他の多くの国際企業と同様、その13億人の人口が世界最大の市場になることに賭けている。そして市場を勝ち取るためには製品とサービスのローカライゼーションが欠かせない。9月には、Alexaのヒンズー語サポートが発表され、訴求対象を一気に拡大した。Amazonの役員によると、しかしこのバッテリーバージョンのスピーカーは他の市場でも売りたいそうだ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

【ギフトガイド2019】ビルダーを目指す子供たちのためのSTEM玩具

TechCrunchの2019版Holiday Gift Guideへようこそ!ギフトのアイデアにヒントが必要だろうか?私たちがお手伝いしよう!これから12月末までギフトガイドを公開していく予定だ。他のガイドはこちらから見ることができる。

毎年恒例のSTEMグッズギフトガイドをアップデートして、コーディングトリックと電子的な魔法を使って、子供たちを誘惑し刺激を与える最新の製品を紹介しよう。そうご想像の通りだ!また今年も、ピカピカの一群が、子供向けのパッケージングを使って、スマートなコンピューティングについての壮大な主張を繰り広げている。

しかし、この市場に踏み込んでみると、昨年のこの時期以降、多くのSTEM玩具メーカーが消滅したり、他の企業に吸収されてしまっていることがわかる。たとばこの秋にLittleBitsがSpheroに売却されたり、6月にロボット掃除機の巨人であるiRobotがRoot Roboticsを買収したりしている。

生き残っているインディープレーヤーの中には、注目を集めるための戦術として、Kanoのディズニーキットなどビッグブランドからの知的財産権のライセンス契約に、大きく依存しているものもいる。他には学校への直接販売に力を注いでいるものたちもいる。例えば、昨年方向転換をしたSpheroは、現在littleBitsを取り込み拡張された教育ツールボックスを提供している。またOzobot は、教室に重点を置いているまた別の企業だ。だが、既にレポート済であるように、複雑なSTEM学習デバイスを学校に販売することは 必ずしも容易ではない。これからも、より多くの合併や廃業が控えているように思える。

おそらく、STEMコンピューターの代替メーカーとしては最も早いものの1つであるKanoが、テクノロジーの巨人であるMicrosoftと組んで、今年Windows搭載PCを初めて販売したというできごとは、おそらくキッドテック/エドテックの分野が難しい時期に差し掛かってることを示す兆候でもあるのだろう。

数年前にこのカテゴリーに火をつけた実験的エネルギーの一部は、売り上げや結果が伸び悩んだり、誇大広告に追いつきそこなってしまったりで、尻すぼみになっていることは明らかだ。親なら知っているように、子供は気まぐれな顧客なのだ。市場は少しばかりの動揺と共に反応した。また、提供されているものの中には、少々定型的で似通ったものになり始めているものもある。そして、まあ、ディズニーも。

それでも、すべての年齢の子供たちは、やり取りしている技術的な仕掛けでは満足できなくなってきている。とりわけ玩具メーカーたちにとって、ドラッグアンドドロップを使ったアプリ内コーディングを少し追加することで、おもちゃにSTEM要素を与えるのがかつてないほど簡単になったのでなおさらだ。LEGOのような主要メーカーでも、この動きのより大きな部分をつかもうとして、競走路に留まっている。大きな視点から眺めるならば、常にオリジナルでも野心的でもないとしても、過去数年に見たものよりも洗練された製品を見つけることができるだろう。

また子どもたちのコード革命を後押しする、という巧みなガジェットたちの約束も、繰り返し開封されて…捨てられることを繰り返したのちに、それほど大げさなもの言いではなくなって来ていると言っても良いだろう。現実は厳しい、ということだ。

手ごろな価格のスマートフォンとタブレットは、カテゴリーのトップで競争重ねている。それらは、ほとんどのSTEMガジェットよりも汎用性の高いオプションになり得るが、子供のスクリーニング時間(画面を見ている時間)に対する懸念が高まると、親たちは物理的に触れる代替手段を模索するようになる。一方、全てではないものの、ほとんどのSTEM玩具は基本的にBluetooth通信を行うため、それらを動かすにはモバイルデバイスが必要となる。

とはいえ、独創的で刺激的な部分は残っている、そして、テクノロジーやエンジニアリングだけでなく、創造的なスキルを教えることにより多くの焦点が当たっているのを見ることはうれしい。もちろん、このカテゴリーの中では、ひとそれぞれに向き不向きがある。もし子供が、アナと雪の女王のプリンセスドレスやスターウォーズ マントを着ていないものには触ろうともしない場合には、観念して通常の商品を買うことになる。あなたが検討するさいに、(技術)フォースと共にあらんことを!

Adafruit

1161 02

製品: Python for Kids
価格:35ドル(約3800円)
年齢:10歳以上

メイカー(個人もしくは小規模チームでもの作りを楽しむ人達)に的を絞ったエレクトロニクス愛好家ブランド Adafruit は、あらゆる種類のエレクトロニクス製品を販売している。また、ヤングエンジニア 向けの専用のサブセクションがあり、コンピューティングとエレクトロニクスへの関心を引き起こすことを目的として、あらゆる年齢の子供向けにさまざまな自社ブランドキットとサードパーティ製品を提供している。たとえば、この Python for Kids の本は、Pythonプログラミング言語を真剣に学習するための子供向けアプローチを採用している。そのため、退屈な灰色の教科書ではなく、漫画的イラスト、楽しい例代、パズル、そしてたくさんの色が散りばめられた教科書となっている。この本は、10歳以上の子供を対象としている。

さらに若い子供向けに、Adafruitはこの Snap Circuits Jr キットを展開している。これは8歳以上の子供向けにモジュールを組み合わせるだけで100以上のプロジェクトを作成できる工具不要のキットだ。

はんだ付けに多少慣れている年長の子供向けには、このSolar Powered SKULL Blinky LED Pendant がある。これはLumen Electronic Jewelleryによって考案されたバッテリー不要のメイカーアクセサリーだ。

Adafruitは、英国のスタートアップであるTech Will Save Us のキットも取り揃えている。たとえば、新進技術者向けのこのDIY Gamer Kitなどがある。まず最初の課題は、すべての部品を装着することだ(はんだ付けが必要となる)。部品が正しく装着できたら、子供はスネークやテトリスなどのクラシックゲームをプレイするのに最適な、マトリックス画面を備えたArduinoベースのハンドヘルドゲームコンソールを手にすることになる。

これは単なる例に過ぎない。Adafruitのマーケットプレイスサイトでは、小さなメイカー向けに、さらに多くのアイデアとキットを提供している。

訳注:邦訳が「たのしいプログラミング Pythonではじめよう!」として出版されている。

Brilliant

Brilliant product screenshot all devices

製品:
ギフトサブスクリプションコース価格:1か月25ドル(約2700円)から
年齢:13歳以上

説明:学習玩具を贈りたくない場合、Brilliant.orgが、STEMに焦点を当てたデジタルコース(選択肢は1か月または1年)のサブスクリプションギフトを提供している。そのコースの背後にある哲学は、楽しくてやりがいのあるパズルや問題解決を通じて、数学、科学、エンジニアリングのコアコンセプトを教えることだ。刺激を受け続けることができるように、超現実的な漫画的イラストレーションが添えられている。

このコースは子供専用として設計されているわけではないので、すべてのティーンに適しているとは限らない。しかし、すでに数学や科学にしっかりと取り組んでいる子供たちにとっては、論理と好奇心をさらに推し進めるための、心をくすぐるようなものがたくさん置かれている。

GoldieBlox

goldieblox cloud light

製品: DIY Floating Cloud Light
価格:30ドル(約3300円)
年齢:8歳以上

説明:派手なスライムを扱うティーンYouTuberハッカーのGoldieBloxがSTEMメイカーキットに巧妙なひねりを加えた。子供向けマルチメディア会社が、そのDIYプロジェクトビデオをオンラインでフォローするメーカーを設立した。このビデオの中で、彼らがDIY cloud lightを組み立てるところを見ることができる。そしてそれを新進ハードウェアハッカーのわが子に便利なキットの形 で贈ることができる。キットの箱には、ランプを組み立てるために必要なすべての部品と共に、STEM情報を記載したカードがいくつか含まれている。ただし、かなり軽い感じの学習内容だ。主な焦点は、明らかに楽しくて実用的な工作の方だ。接着剤とはさみを用意すること!

Kano

Kano Disney Frozen II Coding Kit

製品: Disney Frozen II Coding Kit
価格:80ドル(約8800円)
年齢:6歳以上

説明: 英国のスタートアップKanoは、現代的なSTEMデバイスビルダーの先駆けの1つである。鮮やかな色のDIY IoT新商品を提供するようになる前は、自分で組み立てるコンピューターを子供に提供し、コーディングを学ばせるというアイデアから始まった。最近では、共同ブランドの電子製品が投入されている。最初はハリーポッターコーディングキットだ。現実世界のジェスチャーと画面上のコードの間のインターフェイスとして、動きを検出する杖を提供する。そして今は、ディズニーとの関係に力を入れて、2年間のIPライセンス契約を結んでいる。ということで今年2019年は、Frozen II Coding Kitの登場だ。これは自分で組み立てるジェスチャーセンサーと、コンパニオンアプリからアクセスするディズニー風味のブロックベースのコーディングを組み合わせたものだ。子供は手を使ったジェスチャーで、画面上のお気に入りの漫画キャラクターとディズニーの風景を操作する。そのため、この製品を使うためには、互換性のあるタブレットまたはコンピューターが必要となる。

アナと雪の女王の歌うお姫様と雪だるまよりも、ディズニーのもう1つの巨大シリーズスターウォーズの方が好きな子供を持つ両親のためには、目をKanoのThe Force Coding Kitに向けるだけで良い。ほぼ同じ内容をSF仕立てで見せてくれる。##$_0A$####$_0A$##

製品: Kano PC

kano pc

価格:300ドル(約3万3000円)
年齢:K-12(4歳から19歳)

説明: Kanoは、今年コードを学ぶための機械を沢山用意した。同社の最新のDIYコンピューターであるKano PCは、本格的なWindows 10コンピューターだ。これは、シングルボードのRaspberry Piの上に構築されたオリジナルPCとは、抜本的に異なる出発点だ。いまやKanoを買うお金で1.44 GHzで動作するIntel Atom Quadコアチップセットを手にすることができる、それにはタッチスクリーンユニットとキーボードケースで構成されるプラグアンドプレイハードウェアが伴っている。もしMicrosoft Surfaceに子供バージョンがあったなら、基本的にこのようなものになっていることだろう。

ここまで聞いて、そして価格を知った時点で、なぜ普通のWindows PCを購入しないのかと疑問に思うかもしれない。Kanoは、デバイスにプリロードされた独自デザインの「専用アプリ」を強調することで、その疑問に答えようとしている。コーディングスキルや、プログラマブルグラフィクス、そしてコンピューターの内部動作に関する理解を行うためのガイド付き学習教材が提供される。コーディングの指導に対する同社のアプローチは、ブロックベースのドラッグアンドドロップインターフェイスから、Python、Javascript、およびターミナルコマンドを使って提供されるプロジェクトを使用する、コードタイピングまでの範囲をカバーしている。 したがって、Kano PCは非常に幅広い年齢層を対象としているのだ。とはいえ、それはWindows PCそのものでもあるため、子供が単にMinecraftをプレイするために使用していることに気付くことになるかもしれない…  

KinderLab

KinderLab Kibo

製品: KIBOロボットキット
価格:200ドル(約2万2000円)より
年齢:4歳〜7歳

|||UNTRANSLATED_CONTENT_START|||Description: KinderLab has been making screen-free programmable STEAM (that ‘A’ is for arts) robotics kits since 2014 but the company is now making a wider push to get individual parents on board by selling its kits on Amazon.|||UNTRANSLATED_CONTENT_END||| Kiboはどのような仕組みなのだろうか?子供たちは、さまざまな独自のセンサーや出力装置を、車輪付きロボットのポートに、接続することで遊んだり学んだりする。たとえばモーションセンサーや光センサーなどだ。会社が「アートプラットフォーム」と呼んでいる別のアドオンを使うことで、子供たちはロボットを飾り立てたりカスタマイズすることができる。新しいコンテキストやキャラクターに合わせることができるように、紙の帽子をデザインして貼り付けることができるのだ。コーディング要素は、ビルトインバーコードスキャナーを使って、物理的な木製コードブロックから命令を読み取ることができる。つまり、子供はスクリーンをまったく使用せずにロボットを「プログラム」できるのだ。

基礎的なエンジニアリングデザインコンセプトを教えるこのKinderLabのアプローチは、もともとは公的資金による研究プロジェクトとして始まった。同社は、Kiboが20年にわたる学習科学の知見(および教室での数年間のアクティブなプロトタイプテスト)を活用することで、教育価値を高めていると語っている。こうした学問的な背景は、カリキュラムに沿った豊富なコンテンツがKiboに付随していることを意味している。これは間違いなく、市場で最も充実した思慮深いSTEM製品の1つのように感じられる。子供たちが、自分のアイデアを取り込める余地を残している部分があることも素晴らしい。

Learning Resources

Learning Resources Coding Critters

製品: Coding Critters
価格:40ドル(約4300円)
年齢:4歳〜10歳

説明: Learning Resourcesは、2017年後半から、そのBotleyプログラマブルロボットを使用して、幼い子供たちがシーケンシャルコーディングの基本を学べるような活動をしてきた。2019年のSTEM玩具ラインナップに投入された新製品は、幼い未就学児を対象にした、プログラム可能な、遠隔操作できるペットのCoding Crittersだ。基本的なSTEMコンセプトを教えるための完全にスクリーンなしのアプローチは、電池式動物キャラクター上のボタンベースのコントロールと、参考にするテーマコードカード、および物語で役割を果たす親のためのストーリーブックを組み合わせることで実現されている。

LEGO

lego boost star wars

製品: Star Wars Boost Droid Commandersセット
価格:200ドル(約2万2000円)
年齢:8歳以上

スターウォーズファンのために、また別の製品だ。このレゴBoostキットは、ディズニー所有の映画シリーズの3つのクラシックドロイドを組み立てるために、子供たちに大量のレゴブロックとロボットパーツを提供する。Boostは、熟練者向けのMindstormsに比べれば、より初歩的なレゴロボットキットだ。Bluetooth制御のドロイドが組み立て終わったら、コンパニオンアプリを使って、子供たちはそれを制御したりプログラミングしたりすることができる。プログラミングではシンプルなドラッグアンドドロップコーディングインターフェイスを使用して、一連のミッションを実行させることが可能だ。

スターウォーズのサウンドエフェクトと音楽が含まれている。ただし、ソフトウェアを実行するには自分でタブレットを別途用意する必要がある。まあ、単に子供に基本的なレゴブロックの箱を買い与えて、想像力を発揮させることもできるのだが。

Makeblock

Makeblock mTiny

製品:mTiny
価格:180ドル(約2万円)
年齢:4歳以上

深圳に拠点を置くSTEMキットメーカーの Makeblockは、今年幼児向けの新しいかわいい学習ロボットを披露した。未就学児というターゲットを考慮して、mTinyには画面がない(ボットの感情的で形が変える目を画面の数のうちに入れない限りは)。その代わりに、パッケージには、センサー搭載のボットを制御し対話するためのコーディングカード、テーマに沿ったマップピース、そしてストーリーブックが含まれている。同社によれば、この製品はインタラクティブなプレイを通じて、論理的思考を育成するようにデザインされている。また、マーケティング資料は、コーディングロジックはもちろん、数学から芸術に至るさまざまなクロスカリキュラムの概念に子供たちが触れられることを、大々的に主張している。

mTinyを制御するために、子供たちは付属のタップペンを使用する。ジョイスティックとして利用することもできるし、コードカードをタップすることによって、コードベースのプログラミングを行うこともできる。これらのカードの順序によって、その動きとアクションが決まる。ボットは、テーマに沿った床タイルの模様を読み取って反応することもできる。

Mand Labs

Mand Labs

製品:KIT-1
価格:150ドル(約1万6000円)
年齢:8歳以上

このMand Labs製の電子ブレッドボードプロジェクトキットを与えられたなら、エンジニアの卵たちは実験に不足することはなくなるだろう。Kit-1には、165個の電子部品が含まれている。これは皆本物の部品で子供の遊びのために変更されたものではない。部品とともに54以上のプロジェクトと実験を行うためのツールとレファレンスブックが付属している。そこには、自動ナイトランプ、セキュリティアラーム、温度センサーなどを組み立てる、ステップ・バイ・ステップ式のプロジェクトが掲載されている。キットは電子機器への入口となるように意図されているので、子供たちはハンダ付けを行うのではなく、ブレッドボード上に回路を構築する。キットは工具箱スタイルのキャリーケースに収納されているので、友人の家に持っていくのも簡単だ。この製品には、より深い学習サポートのための、9時間分のHD学習ビデオも付属している。

Pai Technology

Botzees

製品:Botzees Robotics Kit
価格:100ドル(約1万1000円)
年齢:4歳

Pai TechnologyのSTEM玩具のラインナップには拡張現実の工夫が入っている。したがって、遊ぶための物理的なもの(この場合はブロックベースのロボット)と同様に、デジタル世界での拡張を行う「自分のコーディング」による仮想アドベンチャー要素もある。今年のラインナップの新製品は、Botzees Robotics Kitだ。箱の中には、6種類のセンサー搭載ロボットを組み立てることのできる部品が同梱されている。これらは、基本的なブロックベースのコーディングインターフェイスを備えたコンパニオンアプリを介して制御される。このアプリは、現実と仮想が融合した世界でのプレイを行うことができる30種類のインタラクティブなARパズルも提供している。同社によれば、これはシーケンス、ループ、条件ブランチなどの基礎的なコーディングコンセプトを教えるのに役立つという。とはいえ、子供のスクリーンタイム(画面に向き合う時間)を短縮したい親たちにとっては、ARへの集中はあまり歓迎すべきものではないだろう。Botzeesの可能性を引き出すためには子供がタブレット操作に没入する必要があるからだ。

Raspberry Pi

Raspberry Pi 4

製品:Raspberry Pi 4 Model B
価格:35ドル(約3800円)
年齢:状況により異る

Raspberry Piシングルボードコンピューターの最新版であるPi 4は、メモリと速度を向上させ、多くのポートを搭載し、オンボードのワイヤレスネットワークとBluetoothを誇っている。ベテランのメイカーたちにとって、可能性は本当に無限だ。しかし、子供たちにコードの学習を促したい親たちにとって、Pi Foundationの哲学は、意気込みをひるませるようなものかもしれない。これは世の中にたくさん見られるような、箱から出してすぐに使えるようなものの1つではないからだ。本当に学ぶためには厳しい挑戦が必要だというのが、そこにある哲学なのだ。つまり、Piを購入するということは、むき出しのボードと、学習サポートのための熱心なコミュニティが控えているOSが手に入るということなのだ。確かにすべての子供に適しているわけではない。しかし、すでに詳細を掘り下げて物事を把握する才能を示している有能な若者に挑戦課題を与えたい場合には、Pi 4は低予算で可能性の高い選択肢である(Piがマイクロプロセッサーシーンに登場して衝撃を与えてから、もっと基本的で(ただし高価な)すぐに使えるデバイスが山のように生み出されてきた)。

Sphero

rvr launchweb 0211

製品:RVR
価格:250ドル(約2万7000円)
年齢:5歳以上

Spheroはその球形の遠隔制御ロボットで最もよく知られているが、今年同社はクラウドソーシングで生まれたローバーロボットRVRを発表した。 従来型に近い四輪のデザインに、センサーが満載されていて、おり、様々な地形を走破できるものとして宣伝されている。RVRは(アプリを介して)箱から出してすぐに制御できるが、カスタマイズを行えるように、ポートにサードパーティのハードウェアを装着できるようにデザインされている。たとえば、Raspberry Pi、Arduino、BBC micro:bit、そしてSphero自身のlittleBitsなどだ。そのため、拡張可能で、ハードウェアのハッキングが可能で、プログラム可能なロボットプラットフォームとなっている。ソフトウェア側では、Sphero Eduアプリは、教育の可能性を拡大できるコーディングスタイルの選択肢を提供する。より詳しく言うなら、Draw&Drive、Scratch Blocks、そしてJavaScriptだ。

製品: Specdrums

Specdrums

価格:65ドル(約7000円)から
年齢:5歳以上

音楽エデュテックのスタートアップSpecdrumsはSpheroが行ったもう1つの買収相手だ。その学習製品はシンプルだ。色をタップして音を出すというものだ。これは、アプリにリンクされたウェアラブル機器、Bluetooth接続の光検出リング(またはペアリング)を使って実現される。なので、ここで行えるのは、コードを学ぶことではなく、たくさんの技術的スマートデバイスを使ってジャムセッションを学ぶことだ。SpecdrumsのMixアプリ は、音楽ループとキュレートされたサウンドパックを提供する。再生およびサウンド制作ツール、さらに独自のサンプルを記録する機能も同時に提供される。未来のミュージシャンが、音楽の遊び場として現実世界でループしながら、即興ビートをタップしてミックスするために必要なものすべてが提供されている。

標準キットには、1つのリングと1個の色付きのプレイパッドしか含まれていない。リングが2つになると、価格は100ドル(1万1000円)に上がる。キットを動作させるには、子供はスマートフォンまたはタブレットにアクセスしてアプリを実行し、音楽を再生する必要がある。

Ubtech

Ubtech

製品: JIMU Robot Mythicalシリーズ:FireBot Kit
価格:130ドル(約1万4000円)
年齢:8歳以上

深圳に拠点を置くUbtechは、長年にわたってSTEMロボットキットを作り続けている。2019年の新製品は、このモーター駆動でLED光を放つドラゴンだ。ブロックベースのJIMUシリーズの以前のキットと同様に、未来の技術者にとっての最初のステップは、指示に従い、すべての構成部品を使ってロボットを組み立てることだ。そして、コンパニオンアプリが、FireBotをプログラミングし、そのセンサーを動作させるためのドラッグアンドドロップコードブロックインターフェイスを提供する。

原文へ

(翻訳:sako)