中国で4位に転落のXiaomi、アメリカ市場参入を諦めず

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新興スマートフォン・メーカーとして注目されたXiaomi〔小米〕だが、このところ本国市場は苦難の道だ。先週IDCのレポートによれば、中国のスマートフォン市場の出荷台数でXiaomiは大きくシェアを落とした。首位から一気に4位に転落し、トップは同じく中国のHuaweiに奪われた。

それでもXiaomiは国際市場、特にアメリカに進出する夢を捨てていない。しかしAppleとSamsungが圧倒的なシェアを占めるアメリカは新規参入が格別に難しい市場だ。

Bloombergのインタビューに答えて、副社長のHugo Barraは困難を認めつつもアメリカ進出の計画を再確認した。Barraは「この市場は非常に重要だ」と述べる一方、同社はインドとインドネシアへの進出、それにもちろん中国にも資源を割かねばならず、完璧なタイミングの選定が求められるとした。

関係者の間ではXiaomiの米国進出は近いと見られているが、Barraは「慎重にアプローチしている」と述べた。 Barraは具体的なスペックは明らかにしなかったが、以前この10月にローンチすると報じられていた製品も含めてXiaomiは数種類のプロダクトをアメリカで発表するとしている。

アメリカで発売される製品がそもそもスマートフォンであるかどうかもまだはっきりしない。Xiaomiの製品ポートフォリオはモバイルの枠を超えており、テレビのセットトップボックスのMi BoxやノートパソコンのMi Notebook Airも開発ずみだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleがAndroid、Nougatを正式公開―画面分割、通知、履歴ボタンでアプリ呼び出しなど改良点多数

Various types of nougat strawberry and pistachio,Typical dessert of Italian cuisine, handmade and for sale in the days of celebration (Christmas, New Year, Carnival, Easter, etc.) in markets and shops of all cities. Here is Venice

GoogleがAndroid 7.0の公開ベータ版今年3月に公開したのは驚きだった。Androidは毎年アップデートを行っていたが、このベータ版(Nougat〔ヌガー〕と命名)の公開は時期が非常に早かったし、無線を利用した over-the-airのアップデートが可能だった。

さて半年後の今日(米国時間8/22)、Nougatからベータ版が外れ、 Googleの独自のNexusデバイス(Nexus 6、Nexus 5X、Nexus 6P、Nexus 9、Nexus Player)、Pixel Cタブレット、General Mobile 4Gで正式に利用できるようになった。

もし上記デバイスのいずれかを持っているなら(Nougatベータ版をすでにインストールしている場合でも)、アップデートのプロンプトが近々表示されるはずだ。Android Nougatをプレインストールした最初のスマートフォンはLG V2にはるはずで、9月上旬にも発表される。

ただし今回のNougatのアップデートにはある程度の時間が必要らしい。Googleの広報担当者に取材したところでは上記のサポートされたデバイスのすべてにアップデートが行き渡るのに数週間かかるだろうということだった。

私はここ数ヶ月Nexus 6PとPixel Cの両方でNougatのベータ版を使ってきた。Googleによれば新OSのメジャー・アップデートは250箇所に及ぶということだが、デバイスをアップデートしたときにユーザーが気づくのはそのうち数カ所だろうと思う。

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いちばん目立つのは通知システムの変更だ。見た目としてGoogleのマテリアル・デザインのガイドラインに忠実なものになっているし、さらに重要な点として機能が大幅にアップデートされている。ユーザーはメールを通知内からアーカイブしたり、メッセージに直接返信したりできる。Nougatは同一デバイスの通知のバンドル機能も利用できる。

またクイック設定(Quick Settings) パネルの動作も大幅に変わった。デベロッパーモードを使わずにアイテムの表示順を変えることができる。画面の上部からスワイプでパネルを少し引き下ろすと5個の機能が利用できるクイック設定が表示される。さらにいっぱいに引き下ろすとすべてのオプションが表示される。

もうひとつの非常に便利な(ただしユーザーが予備知識なしに発見するのは難しい)アップデートは最後に使った2つのアプリを切り替えられる機能だ。画面下部右側に表示される四角いボタン(現在は過去に使用したアプリが一覧表示される)をダブルタップすればよい。これまでのところ四角いボタンをダブルタップして直前のアプリを呼び出すという操作は私が一番頻繁に使うNougatの新機能だ。

Nougatでは画面を分割して2つのアプリを並べて表示することができる。Samsungその他のメーカーはすでに画面分割機能を取り入れているが、今回はメーカーのスキンではなく、Android OSそのものの機能となった。

正直なところ、スマートフォンの狭い画面ではこれはさほど有効な機能には思えない。しかしPixel Cタブレットでは別世界になる。 高精細度の画面と使いやすいキーボードを備えたタブレットでは画面分割機能はGoogleドキュメントやMicrosoft Officeのようなツールの生産性を飛躍的にアップする。画面分割のサポートがないとPixel Cは単に大きなスマートフォンで、Androidが常に作業の足を引っ張っていると感じられた。しかしNougatでこの問題は解決されている。Pixel Cでの作業は楽しいというのに近くなった。なにより良いのはほとんどあらゆるアプリが手を加えることなく画面分割に対応することだ。デベロッパーがアプリを書き換える必要はまったくない。

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Android Nougatには多数の改良点があるが、多くはユーザーが普段は直接操作しないような部分にだ。しかしユーザー体験を全体としてアップするのに役立っている。

Nougatでは消費電力についても改良が行われている。Marshmallowではスリープ中の電力消費を押さえるDozeモードが実装された。Nougatでは外出時にデバイスをしばらく使わないでいるとユーザーが何も設定しなくてもDozeモードがオンになる。私自身はNexus 6Pでは画期的なバッテリー駆動時間の延長は感じていないが、これはいつもスマートフォンを使っているせいかもしれない。

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データ契約などの関係で通信量に注意を払っているユーザーには朗報だ。Nougatのデータセーバー(Data Saver)モードはバックグラウンドでのアプリのデータ通信を抑制する。通知領域へのプッシュ表示は可能だが、バックグラウンドで大きなファイルをダウンロードすることは禁止される(ユーザーはホワイトリストにアプリを登録してこの制限を外すことが可能)。

Googleはブートや暗号化の速度も改良されたとしている。またOSのアップデートも速くなる。従来はアップデート・ファイルをダウンロード、インストールしてから個々のアプリを新しいOSに適合するよう最適化していた。これにはだいたい15分前後かかる。Android Nougatではインストールをバックグラウンドで実行してしまうので、ユーザーは都合のよいタイミングでデバイスを再起動するだけでよい。再起動されたときにはOS、アプリともアップデート後の状態となっている。

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ゲーマーであれば、Googleが新しいVulkan規格を採用したことにより、新しいゲームの体験が改善されたことに気づくかもしれない。

NougatはまたDaydreamと呼ばれる拡張現実〔VR〕モードをサポートしている。この機能はVRアプリの表示をスムースにするということだが、Daydream対応のスマートフォンやヘッドセットが登場するのは年末近くになるようだ。

いつものことだが、Nexusのスマートフォン、タブレット、General Mobile 4Gを持っていない場合、手持ちのデバイスがNougatにアップデートされるのはかなり先になる可能性が高い。現在Android 6.0 MarshmallowがインストールされているのはAndroidの15%に過ぎない。いちばんシェアが大きいのはAndroid 4.4 KitKatで、30%弱の普及率だが、すでに3世代前のOSだ。Nougatが発表されてもAndroidのフラグメント化が一掃されるわけではないが、手に入るなら大いに価値のあるアップデートだ。

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画像: PaoloBis/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ラップトップPCにも使えるポケットサイズのバッテリー

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これまで私は沢山のリアルタイムブログを書いてきた。多くの場合際どいギリギリまで、バッテリが刻一刻と減っていくのを睨みながら、最後の1行に間に合うことを願いながら。

もちろん、私の2台の仕事用パーソナルコンピューターが時折最後の力を振り絞ってくれているように感じるという事実は、あまり助けにはならない、しかし別の事実は残る:最も必要とする時に目の前でハードウェアが使い物にならなくなるのを見つめているほど、不安をかきたてるものは多くないという事実だ。過去にも外部バッテリーを使ってみたりしたものの、ラップトップを動かし続ける用途としてみた場合には、とても巨大で重たいものと、スマートフォンを少々長時間生かしておく程度の小さすぎるものの間にある、程よいサイズのものの選択肢は多くはなかった。

Omnichargeはこうした用途への程よいサイズを約束するものだ – そしてこの記事の執筆時点で2401パーセントという冗談のような資金調達を果たしている同社のIndiegogoキャンペーンから判断すると、インターネットコミュニティはプロダクトの実現可能性の高さに関しては、まるでお構いなしのように見える。そして私に関して言えば、デモユニットが郵便で到着した時は「ああ君に逢うことを、こんなにも待ち焦がれていたんだよ」の瞬間だった。

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このレンガは、片手で持ったりバックパックに気軽に放り込める程度の小ささだ。まあ、00年代半ばのインディーロックバンドのメンバーやAmerican Apparelの従業員のような格好をしていない限りは、おそらくこいつをズボンのポケットに突っ込むことだってできるだろう。2種類あるうちの小さい方は0.83ポンド(376.5グラム)で、大きい方は1.3ポンド(589.7グラム)だ – とてもポータブルだが、おそらく毎日終日持ち歩きたいような代物じゃない。

会社が私に送ってきたのは小さな方を2個だったということを書いておかなければならない。こいつの容量は13600mAh(対して大きな方は20400mAh)だ。比較のために書いておくと、iPhone 6s Plusのバッテリーは2750mAhだ。明らかに、それよりもはるかに大きな容量だ。Omnichargeには3つの出力が備わっている – 2つのUSBと1つの三叉AC/DCコンセントだ。

前面には小さなOLEDディスプレイが備わっていて、重要な情報を表示する、例えば:

  • 入力と出力の状態/ワット率
  • バッテリーの残存率と残り時間
  • ユニットの温度

システムの使用中には全ての便利な情報表示のオンオフを行うことができる。システムの状態が残り時間に与える影響を観ることができることも良い点だ;私のコンピューターがスリープに入った瞬間に、残り時間表示が何時間も増えた。ディスプレイの右側には、USBとAC/DCコンセントのオンとオフを個別に行うボタンがついている。

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(上記の表の赤字部分:「Ominicharge13600は65Wまでの出力しかサポートしないので、Ominicharge20400の購入を推奨」)

ケースの下では様々なことが行なわれているのだが、あなたが本当に知っておくべき主たるものは、このユニットはちゃんと使えるということだ。各種の推奨値(動作時間、充電時間)をいくつか上に示した。私は(医者の指示を無視して)15インチのMacBook Proでシステムを使用し、フル充電時の状態で2、3時間動作時間を延ばすことができた。私は2、3週間にわたるIFAへの出張の際に、13インチの仕事用MacBook Airを持参するつもりだ、Omnichargeは間違いなく私と一緒に来ることになるだろう。

本製品は同社のIndiegogoページで99ドルから注文を受け付けている。

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(翻訳:Sako)

Product Huntで人気のプロダクトだけを集めたAmazonの専用ショップがオープン

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Amazonは、最新の注目アプリ、ウェブサイト、ガジェット、テクノロジー作品などを取り上げ、キュレートするサンフランシスコが拠点のスタートアップProduct Huntと組み、Product Huntのウェブサイトで過去にトレンド入りした商品を購入できる場を提供する。このコレクションは「 Features on Product Hunt」とい名称で、オンラインストアAmazon Launchpadの一環として開設された。

Amazonが最近新設したLaunchpadはスマートホーム用端末、ウエアラブル・テクノロジー、子供のおもちゃ、健康や美容製品などを含むスタートアップのプロダクトを特集している。このプラットフォームは昨年デビューし、若い会社の新しいハードウェアや物理的なプロダクトの購入に関心のあるコンシューマーに訴求する。

オンラインのコレクションを拡充するため、AmazonはVC、アクセラレーター、インキュベーターの協力を得てプロダクトを集めている。

Product HuntはAmazonとの接点がある。この小売大手は、Launchpadでテクノロジーコミュニティーと広く関係性を築いてきた。AmazonはProduct Huntに投資しているAndreessen Horowitz、さらにはProduct Huntが在籍していたY Combinatorとも協力している。

先日、AmazonはKickstarterとパートナーシップを結び、同じように選りすぐりの商品のコレクションを構築した。そこでは電化製品、書籍、自宅やキッチン用品、映画、テレビなどのカテゴリーでクラウドファウンディングを達成し、人気のある商品を特集している。

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Product Huntコレクションの商品には「Featured」バッジがつき、Product Huntのサイトで得た票数を表示する。

例えば、Star Wars BB-8 Spheroは114人が支持票を投じ、BellabeatのLEAFウエアラブルは302人の支持票を得たことが分かる。だが、この投票数は必ずしもプロダクトの全体的な人気と相関するものではない。LEAFの女性向けウエアラブルガジェットが「Star Wars」の最新映画に出てくるおもちゃより2倍人気があるということではないだろう。

このバッジはあくまでテック分野の流行に敏感な人たちによってアイテムが認められたことを示すものだ。

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AmazonとProduct Huntは、双方向で協力関係にある。Product Huntのユーザーは、Launchpadセクションに掲載された商品であれば、Product Huntの商品ページでAmazonから購入するという選択肢をドロップダウンで選ぶことができるようになる。また、Product Huntのユーザーは、The Launchpad listをフォローすることで最新コレクションを閲覧することができ、そこからもAmazonから商品を直接購入することができる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

レビュー:Koboがビッグになった―Aura One は7.8インチ画面の防水電子書籍リーダー

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Koboは電子書籍という比較的地味なビジネスにあってリスクを恐れない戦略で知られてきた。それだけでもこのカナダの企業の存在価値は十分にある。Koboがスクリーンサイズやデバイスの品質、機能の革新を推し進めなかったらAmazonが独占する市場にはまったくイノベーションが起きていなかっただろう。

Aura OneでKoboはAura HDにつづいて再び大胆なイノベーションを行った。7.8インチのディスプレイはAura HDの影を薄くするほど巨大だ。ただし230ドルという価格もこのサイズにふさわしい。サイズに加えていくつか歓迎すべき機能を備えているものの、電子書籍リーダー専用機としては相当の高価格だ。AmazonのKindle Voyageは30ドル安い(すくなくとも特別価格の場合)。

しかし Koboの前回の賭けは成功した。Kobo自身、Aura Oneは「万人向けの製品ではない」ことをいち早く認めている。この種のデバイス、つまり市場で最高のeリーダーに200ドル以上を支払ってもいいという消費者がターゲットだ。

スペック

  • 7.8インチ、1872 x 1404 E Inkディスプレイ
  • 8GBメモリ、 1Ghz CPU

メリット

  • 大画面
  • 夜間用淡青色照明
  • 防水

デメリット

  • 高価
    • バッテリー駆動時間がやや減少

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あらゆるeリーダーの画面は6インチへとなびいてきた。KoboとAmazonはともに各種の画面サイズを試してきたものの、結局は6インチが最適という結論に戻っている。このサイズは書籍の1ページを表示するのに十分大きく、読み終わった後はパンツのポケットに入れられる。

Koboは2013年に発表された6.8インチのAura HDで大画面化のパイオニアとなった。この製品はいまだにeリーダーで最大の画面だ。表示面積が広がったことでページめくりの回数は減った。また大きなフォントでの表示やPDFファイルの表示にも適するようになった。画面の小さいeリーダーでPDFを表示させようとするとピンチとスクリールでひどい苦労をすることになる。

7.8というサイズは巨大だが、使ってみると決して大き過ぎはしない。もちろんこのサイズではポケットに入れて持ち歩くのは論外だ。バスや地下鉄の中で片手で読むことはまだ可能かもしれない(これはユーザーの手の大きさにもよる)。Aura
Oneの重さは230gで6.9mmというのははKoboファミリー中でいちばん薄い。長時間の読書も苦にならない。

eリーダーのキャデラック

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Aura Oneがこれほど薄い仕上がりになったのは、側面バックライト、一枚ガラスの新しいディスプレイの貢献が大きい。周囲のベゼルはかなりのサイズで下部にKoboのロゴがあり、トップには目立たないが環境光のセンサーがある。裏側は電子書籍リーダーとしては大胆なデザインだ。側面にはテーパーがつき、わずかに凸面になっており、手のあたりが柔らかい素材で覆われている。

トップにはたいへん目立つ電源ボタンがある。物理的なボタンはこれが唯一のものだ。最近AmazonのKindle Voyageで復活したページめくりボタンは残念ながら装備されていない。下部にはmicroUSBポートがある。USB-Cが欲しかったところだが、スマートフォンでも採用しているメーカーはまだ少ないのでこれは無理なのぞみだったかもしれない。

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外部ポートがありながらAura Oneは依然として IPX8規格の防塵防水だ。これは水深2mの水中で1時間耐えられることを意味する。これは読書の可能性を大きく広げるものだ。ともあれれ読書中にデバイスを風呂の中に取り落としても壊れる心配をせずにすむ。

目にやさしい

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E Inkのディスプレイの解像度は1872 x 1404、300 ppiで、Kindle Voyageと最新のKobo Glo HDと同じだ。多くの印刷物と同程度の解像度なので文字や画像を十分鮮明に表示できる。E Inkの特性はすでによく知られるようになっているが、電力消費が最小で直射日光下でも読みやすい代わりに動作は驚くほど遅い。

通常の電子ディスプレイに比べて、このデバイスでウェブサイトを表示させると大きく見劣りする。しかし大半の消費者はeリーダーとしての機能だけを求めるはずなので欠点とはいえないだろう。

Aura OneはComfortLight Proテクノロジーを搭載しており、ベッドではバックライトの明るさをコントロールできる。電子書籍リーダーにバックライト照明が加わったのはそもそもベッドでの読書を快適にするためだったから、画面の明るさが調節できるようになったのは大きな進歩だ。

ハードウェア

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eリーダーのキャデラックのプロセッサーは1GhzのSolo Lite iMx6だ。パフォーマンスはAura HD、Kindle Voyageと同等だ。これに512MBのRAM.が組み合わされ、ページめくりのスピードをアップさせている。ただしE Inkの画面に慣れていないユーザーにはかなり遅く感じられるかもしれない。残念ながら電子書籍リーダーの表示テクノロジーはここ数世代hではさほど劇的な進歩を遂げているとは言いがたい。

逆にAura Oneのストレージに関しては問題はない。Aura HDのストレージ容量の2倍にあたる8GBとした。 この容量は拡張できないが、eブックを6000冊格納できるというのであればおそらくほとんどのユーザーにとって十分だろう。またユーザーはドラグ&ドロップでパソコンからEPUB、MOBI、PDF、CBZ、CBR(コミック用)などのファイルを直接保存することができる。このオープンさがKoboの特長のひとつだ。なお大画面化にともなってバッテリーのもちはやや減少した。

ただし価格は229ドル

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電子書籍リーダー専用機としてはやはり高価だ。KoboにはAmazonのようなアグレッシブなマーケティング能力はない。 (もっとも日本のeコマースの巨人、楽天の傘下に入ったことは助けになっているだろう)。Koboにできることは電子書籍を読むことだけなので、すでにニッチ的である電子書籍リーダーの中でもさらにニッチな製品ということになりそうだ。

しかしKoboが電子書籍リーダーという狭い世界を離れてAura Oneをデザインしたことは大いに歓迎されるべきだ。この価格ではAura Oneはeリーダーの入門機ではないかもしれないが、巨大な画面、調節できる淡青色の照明、大容量のメモリなどの特長で相当数の熱心なユーザーを見つけることができるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

インテル、オールインワンのワイヤレスVRヘッドセット「Project Alloy」を発表

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インテルがいよいよVRに本格的に参入することになる。Intel Developers Forumにて、「マージドリアリティ」(Merged Reality)プラットフォームのアナウンスと同時に、オールインワンのVRヘッドセットを発表したのだ。発表は「一切の制限を排除して自由に動き回れるのなら、あなたはいったい何をしますか」というアナウンスで始まった。

VRヘッドセットの名前は「Project Alloy」という。Oculus RiftやHTC Viveのようなデバイスだが、完全にワイヤレスである点が新しい。さらに、このデバイスは完全にオールインワンのものであり、必要なカメラ、センサー、入力システムなどがすべて一体になっている。

インテルのCEOであるBrian KrzanichはVRを評して「私たちの仕事、エンターテインメント、コミュニケーションの一切を新しい次元に導くもの」としている。

新しい技術により、コントローラーなどを用いずに自分の動きと外界のオブジェクトをVR化でき、これもまた従来型ヘッドセットとは大きく異なる点だ。Krzanichによれば、このデバイスは6DoFなもので、すなわち仮想空間の中で何の制限もなく自由に動けるようになるものだとのことだ。

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Project Alloyに搭載されたセンサーは、手の動きをリアルタイム仮想世界での入力デバイスとして認識できる。このヘッドセットの心臓部のひとつは、もちろんRealSenseカメラだ。1080p HDカメラ、赤外線カメラ、赤外線レーザープロジェクターが一体となったもので、これを使ってVR世界に入ってくるモノや人を認識するようになっている。

これまでの高性能VRヘッドセットは、主にパフォーマンスの側面からワイアレスにはできなかった。高いフレームレートと精細な解像度を実現するには、ヘッドセット単体では対処できず、外部の高性能PCなどと連結する必要があったのだ。このあたりにどのように対処しているのかについて、詳細な情報については触れられなかった。

なおKrzanichは、Windowsとの連携によりWindows HolographicプラットフォームをProject Alloyにも移植し、開発者が簡単にアプリケーションを作成できるようにするとも話している。Alloyについては2017年半ばにもオープンソース化する予定だそうで、Krzanichによれば「誰でもWindows HolographicプラットフォームとProject Alloyのハードウェアを融合して利用することができるようになります」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

レビュー:Galaxy Note 7はベストのファブレット―スタイラスに加えて虹彩スキャン、大型バッテリーを追加

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Samsung Noteは当初ギャンブルだった。むやみサイズが大きい奇妙なガジェットという印象で、特にスタイラスはハードウェアキーボードといっしょに過去のものと考えられていた。しかしこの賭けは即座に大成功を収めた。Samsung Noteは最初の2年で5000万台が売れ、モバイルを代表する生産性ツールの一つなった。

NoteはSamsungのフラグシップモデルではない(それはGalaxy Sだろう)が、大型スマートフォンを代表するデバイスの一つであることは疑いない。5.3インチの画面をスマートフォンの世界に導入した立役者でもある。大画面スマートフォンが「ファブレット」と呼ばれるようになったのはSamsung Noteの成功が大きい。

その後の数世代のアップデートで画面サイズは(予想どおり)少しずつ大きくなった。最初は5.3インチ、次は5.5、そして今回 5.7インチだ。Noteはほぼ毎年かなり大がかりなハードウェアのアップデートを繰り返してきた。先月、世界の大きなイベントでお披露目された最新のNoteは、Galxy
Note 6を飛ばしていきなりNote 7となった。これはメインストリームのモデルGalaxy S7、S7 Edgeと画面サイズが異るだけで基本的に同一の7シリーズとして統一化しようというSamsungの努力を表すものだろう。

使用感は非常に良い。Noteのサイズ、Galaxy Sのデザイン言語、トップクラスのハードウェアが高いレベルで融合している。これにいくつかの新しい機能がセールスポイントとして追加された。Note 7は真に「誰にでもどんな目的にでも対応する」デバイスになったと思う。自画撮りをソーシャルメディアに投稿するカジュアル・ユーザーからシリアスなビジネス・ユースまであらゆる使い方が自信をもってカバーされている。

前世代と同じスクリーンのサイズにもかかわらず、筐体ははっきり分かるほど小さくなっている。

とはいえ、Note 7はやはり大画面でスタイラスが使えるGalaxyファミリーというのが本質だろう。今回の新製品にはテクノロジーとしてまったく新しい要素が導入されたわけではない。しかし実際の製品が発表される前の情報でも虹彩スキャンによるセキュリティーや大型バッテリー搭載の情報はわれわれを驚かすものだった。

あらゆる面で優れたNote 7だが、高機能は高コストを招くのはやむを得ない。800ドル以上とされる価格はおそらく万人向きとはいえないだろう。

まとめ

  • モニター:5.7インチ、2560 x 1440
  • メモリー:64GB(microSDで拡張可能)、4GB RAM
  • CPU:2.15GHz, 1.6GHz、クオドコア
  • 価格:キャリヤによって異る

メリット

  • カーブしたエッジ・ツー・エッジの画面は美しくデザインされている
  • バッテリーは大容量化された
  • 虹彩アンロッキングなどセキュリティーも強化

デメリット

  • 高価

美しいデザイン

Samsung Galaxy Note 7

Note 7の外観はシンプルで洗練されている。簡素な命名どおり、ファブレットのフォームファクターとGalaxyファミリーのデザインが融合している。今回のハードウェアのアップデートで目立つのはGalaxy Edge由来の側面まで回りこむカーブした画面の採用だ。これにともないサイドのベゼルは事実上姿を消した。これにより筐体をダウンサイジングしながら5.7インチの画面を搭載することに成功している。【略】

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デバイスの裏面は表面と同様にカーブしており、同様の素材、CorningのGorilla Glass 5が使われている。Samsungはこの1.6mの高さから落下させた場合80%の確率で耐えるとしているが、正直言って私自身そのテストをする勇気はなかった。小さな点だが裏面は指紋を磁石のように引き付ける。幸い私はセーム皮をいつも携帯しているので大きな問題にはならなかった。

筐体全体がカーブしているので側面はかなり狭いが、左側にボリューム、。右側に電源ボタンが配置されている。【略】

Samsung Galaxy Note 7

ただのスタイラスではない

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Note 7のセールスポイントは大画面に加えてSamsungがS Penと呼ぶスタイラスが装備されていることだ。 実際、Note発表の当初からSamsungは「これはスタイラスではない」と主張してきた。実際タッチ画面に反応させることしかできないプラスチック製のスタイラスと周辺機器であるS Penの機能は大きく異る。

S Penの新しい機能のひとつはデバイスを起動しなくても画面に書き込めることだ。 スタイラスを内蔵スロットから引き出してそのまま画面に文字やスケッチを書き始めることができる。黒バックに白い線がなので見やすい。バッテリーには負担となるが、この機能を利用するには設定からディスプレイのAlways On機能を有効にしておく必要がある。

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ソーシャルメディアへの投稿に熱心なユーザーははクイックGIF作成機能はキラーアプリかもしれない。使い方は簡単だ。ビデオを表示させ、望みの箇所まで早送りする。そこでS Penを取り出してボタンをクリックすると自動的に6秒のGIFファイルが作成され、標準の方法で共有できる。【略】

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S Penは本体と同様、防塵防滴仕様だ。

A/V club

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【略】

Guts and glory

Galaxy Note 7

【略】

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【略】

セキュリティー

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もちろん当初からSamsungのセキュリティーは昔のBlackBerryほど強固ではなかった。しかしモバイルをターゲットにするハッカーやマルウェアの横行が激しくなるにつれてSamsugも対処の必要を感じてきたようだ。ファイルのセキュリティーには従来どおりKnoxが使えるが、プライバシーの強化策として虹彩スキャナーが加わったのは特筆されるべきだろう。虹彩スキャナーは指紋スキャナー、パスワード、PINと並んでデバイスのアンロックに用いることができる。

大半のユーザーにとって虹彩スキャンは目新しい経験だろう。ロックスクリーンをタップするとデバイスはユーザーの両目を撮影する。データの照合に成功すると即座にスクリーンのロックが解除される。虹彩スキャナーの作動は非常に速いため、ビデオに撮影しようとしてわれわれはかなり苦労した。【略】

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問題は価格

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Note 7のレビューを締めくくるにあたって一つの重要な問題が残っている。発表イベントでもSamsungはこの問題に触れるのを嫌がる様子だった。実際の値段は国によって、またキャリヤによって変わる。しかしどこで買うにせよNote 7は高価なデバイスだ。

AT&Tの最安モデルは879ドル、契約は月額29.34ドルからだ。T-Mobileでは849ドルで頭金69ドル、月額32.50ドル/月だ。どのキャリヤを選ぶにせよ、高機能を得るにはそれなりのコストを負担しなければならない。

しかし高価ではあっても機能はそれに見合う。Note 7はNoteシリーズとGalaxy Sシリーズの最良の部分を合体させ、さらにいくつかの魅力的な機能が追加されている。虹彩スキャナーなどはいささか「やり過ぎ」の感もあるが、全体としてNote 7がすばらしい製品であることは間違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

物体の動きを「スローモーション」にするSlow Dance、Kickstarterキャンペーンを展開中

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精密に制御されたストロボLEDライトと、細かく振動する動きを組みわせ、Slow Danceはリビングルームで「科学」を味わえるようにする。ハイテクと、身近な素材、そして人間の視覚的な特徴を組み合わせ、リアルタイムに「スローモーション」の動きを見ることのできるのだ。本プロダクトは現在Kickstarterキャンペーン中だ。

仕掛けとして用いているストロボスコープ(一瞬だけ点灯する光源を繰り返し発光させる仕組み)は、科学博物館やアートギャラリーなどでよく目にするものだ。見ていて面白く、個人的にはこれがより広く、家庭用に普及しないのを不思議に思っていた。それを変えようとするのがSlow Danceだ。

科学、アート、テクノロジーを組み合わせて、そして不思議な世界を実現している。美しく、見ていて飽きないプロダクトだ。

光と科学の組み合わせ

「人間の知覚の限界を超えたところで何が起こっているのか、というようなことに興味を持っていました」とMITで4つの学位を得た、Slow Dance開発者のひとりであるJeff Liebermanは言っている。Liebermanはこれまでにもストロボスコープとスプリングを組み合わせて異次元世界のような視覚効果を映しだしたSlink(2005)や空中に浮かんでついたり消えたりする不思議な電球を映すLightbulb(2007)などの映像作品をYouTubeに公開している。ディスカバリーチャンネルでも「タイムワープ 瞬間の世界」をホストしていたのをご記憶の方も多いだろう。番組ではハイスピード撮影の世界に見える不思議を紹介していた。

By exposing the coils causing the vibrations, Slow Dance gets a steampunk feel to it.

電磁石を利用して振動を与える。

プロダクトとしては、額縁の内側に素早く点滅するLEDを組み込んでいる。LEDは1秒に80回の点滅を行い、これは人間には知覚できないほどの速さだ。ライトが点滅していることに気づきもしないことだろう。

その光の中で高速に振動する物体を配置することにより、まるで物体がスローモーションで動いているように見えるのだ。

テレビ画面でなら見慣れたものだが、それを目の前で見ることができるというわけだ。これはかなり面白い。

これは、映画がまるでふつうに動いているかのように見えるのと同じ原理だ。映画はフレームを高速に流していくことで、動きが連続しているかのように錯覚させるものだ。

Slow Danceでは額縁内で高速にLEDを点滅させ、そして物体を細かく振動させることにより、まるでスローモーションを見ているように、脳に錯覚させるのだ。

光と動きのマリアージュ

「友人のダンサー2人が結婚することになったときに、何かダンスに関わるようなものをプレゼントしたいと考えたのです。それから試行錯誤を繰り返し、そしてSlow Danceが生まれたのです」とLiebermanは言っている。最初は金属でできた物体を振動させていたが、2人を表現するのに、もう少しオーガニックなものの方が良いと考えなおしたのだそうだ。「研究室の行き来のときにもいろいろと考え続けました。そして身近にある自然をスローモーションで眺める魅力を発見したのです」。

スローモーション風に動かす物体は、Slow Danceに装着されたゴムバンドで固定するようになっている。つまり、額縁サイズに収まるなら、使う物体はひとつでなくても良いのだ。もちろん振動するものであることが必要で、たとえば羽や植物などが使いやすい。

Ooh. Purdy.

Slow Danceは開始されたばかりのKickstarterプロジェクトだが、既にゴールの7万ドルは突破している。技術的にはシンプルなものだが、精度を必要とするプロダクトだといえるだろう。Liebermanは量産化も問題なく行えるとしている。実はLiebermanは以前にもKickstarterキャンペーンを立ち上げていて、その際も目標額を達成して、無事プロダクトの出荷を行なっている。今回はMakey Makeyの出荷を担当したEtonnetとも協力して迅速な対応を心がけているそうだ。

「これが初めてではないんです」とLievermanは述べる。「予定通りにことが進めば、1月には出荷できるようになると考えています。遅くとも3月にはお手元に届くでしょう。以前のKickstarterプロジェクトの経験から、起こりうるトラブルもある程度は織り込み済みです。前回の経験に学びつつ、新たに出てくるかもしれない問題にも迅速に対応していきたいと思っています」。

ちなみに、このプロジェクトで一番難しかったのは、プロダクトを組み立てることではなかったとのこと。ストロボスコープによる映像をビデオで見せるのが最も大変だったとのことだ。

「誰でもスローモーションの映像は見たことがあります」とLiebermanは笑いながら話してくれた。「ビデオ化すると、ひとびとはふつうのものをスローモーションで映しているだけだと考えてしまうでしょう。ビデオをスローにしているのではなく、目の前の物体がスローモーションに見えているのだと説明するやり方に、いろいろと試行錯誤しました」。

Slow DanceのKickstarterプロジェクトはこちらで行われている。早割価格はすべて終了してしまっているが、229ドルのものが若干残っている。配送地域は「Anywhere in the world」となっている。

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(翻訳:Maeda, H

ポケモンGOに「クソロボットの女王」が参戦―24時間プレイできるヘルメットはいかが?

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たいへんな時間とエネルギーを費やしてポケモンGoをプレイしている人々向けにDIYのポケモンGOプレイ用ヘルメットが登場した。

念のため断っておくが、このビデオはあくまでネタで製品が本当に発売されるわけではない―実際、感激して発売日を尋ねてくるプレイヤーが少なからずいそうなので先回りしておく。

YouTubeのセレブ(で 「クソロボットの女王」と自称している)スウェーデンの発明家、Simone Giertzが思わず笑いを誘われるビデオを作った。ビデオを見つけたのはKotakuだ。

このビデオが週明けの憂鬱を少しでも軽減してくれるとよいと思う。

ちなみに、ポケモンGOブームから大きな恩恵を受けているのはこのビデオの美女だけではない。ゲームを作ったNianticはこの夏のポケモンGOのローンチ以來すでに2億5000万ドルの収入を得ている。

[via Kotaku]

〔日本版〕 シモーネ・ジャーツ〔英語の発音はシモーン・ジャッツに近い〕はストックホルム在住のYouTubeセレブ、発明家。このブログにこれまでに発明したロボット(とハウスボートのトイレが故障すると悲惨だという)ビデオがアップされている。エレクトロニクス企業のエリクソンのファウンダー、ラース・マグナス・エリクソンの子孫だという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オープンハードウェアのQubieで選挙の待ち時間をモニタリング

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アメリカでの極めて重要な国政選挙を控え、有権者全員が投票すること、さらには彼らが投票できる環境を整えることが今までにないほど大事になっている。そこで、選挙関連テック企業のFree and Fairは、自動で待ち時間をモニタリングし、有権者と選挙スタッフに情報を提供するシンプルなオープンソースデバイスを使って、混雑が予想される投票場の運営をサポートしようとしている。

Free and Fairは投票場で利用できるオープンソースソフトを開発しており、同社のソフトには有権者のチェックイン機能や実際に投票・集計が出来る機能が備えられている。しかしQubieは同社初のオリジナルハードウェアで、Hackaday Prizeにむけて開発された。Free and Fair設立者のDaniel Zimmermanは、同社が時代遅れだと感じる投票プロセスの別の側面をQubieで解決しようとしていると説明した。

「ここ最近の選挙では、長い待ち時間に耐えかね、投票を諦めて家に帰ってしまう人に関する報告がなされていました」と彼はTechCrunchの取材に応えた。「選挙関連のテクノロジーはとても悲惨な状況にあります。私たちは、待ち時間のような選挙に関する逸話よりもデータの収集を行う方が有益だと考えていました」

トラッキングについては既にいくつかの試みがなされているが、往々にして場当たり的なものだった。大きな選挙では管理委員会とボランティアスタッフが忙しすぎて、毎時間何人かのために(カウンターや紙に書かれた番号を利用して)待ち時間の計算をするということの優先度が単純に低いのだ。

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Qubieのつくりはシンプルで、小さなWi-Fiアダプターを備えた、電池かUSB経由の電源で動くRaspberry Piで構成されている。QubieはWi-Fiシグナルを使って携帯電話を認識し、各携帯電話がQubieのモニタリング範囲内にどのくらい滞在しているかというのを記録することができるため、その場所で投票するのにどのくらいの時間がかかるかという平均値を割り出すことができる。

もちろん、携帯電話を使ったトラッキングというアイディアに眉をひそめる人もいるだろう。そのため、Free and Fairでは個人情報の収集や保存を行っていない。

「私たちがまず行うのは投票者の匿名化です。Wi-Fiシグナルを読み込んだ後に暗号化し、個人が特定できるような情報は記録しません」とZimmermanは語った。

具体的には、QubieはデバイスのMACアドレスを探知し、起動時に生成された一定時間有効なキーのハッシュ値をデバイスに割り当てる。このハッシュIDを、Wi-Fiチャンネルや電波の強さと共にソフトがトラックするのだ。

考えてみれば、選挙スタッフは投票場を訪れる有権者の名前を書きとめ、そもそも投票自体が公的な行為であることから、Qubieが必要とする情報というのは大それたものではない。それでもやはりFree and Fairは、Qubieが何をするデバイスで、詳しい情報はどこで手に入るのかなどが記載された紙をQubieと共に準備した。

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現時点でQubieは未だ開発途中の段階にあるため、データは全てローカル上に保存し、後で回収できるようになっている。しかし、もちろんこれではリアルタイムの情報が分からないため、Free and Fairは、情報の扱いに気を使いつつリアルタイムで待ち時間を知らせるための方法を現在模索している。Qubie上で情報を処理してその結果をスタッフに伝えることもできるし、クラウド上に一旦データを送ることでアプリやウェブサイトを介したライブ情報発信を行うこともできる。まだ大統領選までは時間があり、場所によって好みもあるため、この点については今後固まっていくだろう。

10台のQubieを使った実装テストは問題なく進み、実態に合ったデータを生成することができた。Free and Fairは現在、できれば11月のアメリカ大統領選に間に合うよう、Qubieをもっと普及させたいと考えている。

さらに同社は、Qubieが爆発装置と誤解されないよう、専用の筐体も製作する予定だ。

「Qubieが公共の場にポンと置いてあったら心配になる人もいると思います」とZimmermanは冗談抜きで話していた。多くの人が選挙日には神経質になるものだ。

Qubieはソフト・ハード共にオープンソースのため自分で作ることができるが、ゲリラ的に設置するのはオススメできない。それでもQubieのようなガジェットで、投票プロセスが少しでも簡単になったり、投票場で何が起きているかが分かりやすくなるのであれば、追求する価値がある。是非近くの選挙スタッフにこのようなデバイスが役に立つか聞いてみて欲しい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

この秋、MacBook Proが一新される―Touch ID装備 、ファンクションキーはミニOLEDスクリーンに

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近くMacBook Proが大幅にアップデートされる。Appleが準備しているノート・パソコンはretinaディスプレイを装備したMacBook Proの13インチ、15インチモデルだ。BloombergのMark Gurmanによれば、Macbook ProはTouch IDセンサー、ファンクションキーを代替する OLEDミニ・スクリーンを始めとしてすべての面で新しくなるという。

MacBook Proに関する噂に関心がある読者には必ずしも驚くような内容ではないかもしれないが、KGI Securitiesの情報通のアナリストのMing-Chi Kuoと9to5macが報じていた内容をBloombergのGurmanが確認した。一言でいえば、MacBook Proのアップデートは非常に大幅なものになる。

まず外観から検討してみよう。新MacBook Proは現行モデルより薄く、軽くなる。しかしMacBook Airや12インチのretinaモニターのMacBookと違ってくさび形ではない。モニター周辺のベゼルは細くなり、デバイスの筐体も小型化される。

MacBook Proの筐体デザインがMacBook Airのようなくさび形ではないというのはグッド・ニュースだ。現行MacBook Proに装備されているポートに多様な機器を接続しているユーザーは多い。新モデルにも1つ以上のポートが装備されるはずだ。現行のUSB、MagSafeはType-C USBに置き換えられる。USB-CはThunderboltプロトコルをサポートするのでThunderboltポートも廃止されるかもしれない。Appleは内部のスペースを稼ぐためにHDMIポートとSDカード・スロットを廃止するかもしれないが、今のところはっきりしたことは言えない。

チップに関しては AppleがIntel Skylakeプロセッサーを採用しているのはほぼ確実だ。これによりパフォーマンスと省エネが一段と進む。Wi-FiとBluetoothのチップも新型に置き換えられるだろう。

しかし新MacBook Proで最大の改良点は本体のキーボードの上部に設けられた細長いOLED画面だ。これは現行のファンクション・キーや物理的なボタンを置き換えるタッチスクリーンだ。この新機能は誰も予想しておらず、Appleがこのタッチスクリーンにどんなタスクを割り振っているのか正確なところはまだ不明だ。いずれにせAppleはこのタッチスクリーンにアプリ別のショートカットや各種情報を表示させることができる。

またAppleはTouch IDセンサーを組み込み、MacBook Proを起動するためにキーボードからパスワード打ち込む必要をなくす。さらに重要な点だが、Touch IDセンセーには指紋データをデバイス内に安全に保管するsecure enclaveという仕組みが組み込まれている。セキュリティーが非常に高いため、デベロッパーはTouch IDによる認証を他の目的、たとえばパスワード管理ソフトの起動などに使うことができる。またmacOS SierraでApple Payを安全に利用することできるようになった。

最近各方面からMacBook Proはどうしようもなく時代遅れだという批判が聞かれるようにあった。実際、前回のメジャー・アップデートは2012年の7月で、retinaと新しいデザインの筐体が導入されている。

もう忘れているユーザーも多いが、MacBook Proに1枚のアルミ板から成形されたユニボディー筐体が採用されたのは、retinaアップデートからさらに4年をさかのぼる2008年だった。つまりAppleはノートパソコンのメジャー・アップデートを頻繁には行わないということだ。もちろんその間にも内部の各種コンポネントのアップグレードは何度も行われている。

もっとも、そうであるならSkylakeプロセッサーの採用はもっと早くてもよかったはずだ。Gurmanの観測によれば、9月7日になる可能性が高いiPhoneのアップデート・イベンドで新しいMacBook Proが同時に発表されることはないだろうという。AppleがMacBook Proの新モデルを発表するのは10月になるらしい。このスケジュールは納得できる。

〔日本版〕 iOS 9以降を導入したデバイスでTouch IDをサードパーティー製に交換するとデバイスは無効化され、復活させる方法はない。これはユーザーの指紋データがApple純正センサー内にのみ保管されるため。secure enclaveの記事内リンク先に詳しい情報あり。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Wilson、パスの距離や回転数などを自動で計測するスマートフットボールのプレオーダーを開始

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キャッチボールをするのにゲーミフィケーションの要素などいらないだろうと、最初は思ったりもした。しかしビデオゲームが面白いのも間違いない。最新の技術を導入すれば、キャッチボールはより面白くて、そして役立つものになるかもしれない。

きっとそうした考えを持つ人がいたのだろう。スポーツ用品界の巨人たるWilsonからは、今年初めにインテリジェントなフットボールの見本品が発表されていた。昨年のバスケットボールに続いて発表されたこのWilson X Connected Footballは、通常のボールの中にセンサーを内蔵したものだ。キャッチボールをするだけで、さまざまなデータを自動で取得してくれるのだ。

収集するデータは、パスの長さ、速さ、スピンレート、スパイラルなどのデータで、これらのデータからプレイヤーのレベルを数値化してくれる。データはBluetooth経由でモバイルデバイスに送られるようになっている。ボール内部に内蔵されているバッテリーは500時間もつようになっている。これはパス20万回分に相当するのだとのこと。

データを使って友達との間で成績を比較して、リーダーボード上に公開することもできる。このフットボールがいよいよプレオーダー可能となったようだ。価格は200ドルとなっている。1ヵ月以内には店頭に並ぶ予定であるそうだ。もちろんこれは、2016年のNFLシーズン開幕にあわせたものだろう。

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(翻訳:Maeda, H

スター・ウォーズのスピーダーバイク(を真似た)バイク)がやってきた

バイクにはあまり興味がない。反射神経に自信もなく、不器用なほうでもある。エンジンをスタートさせて2分もすれば転ぶかぶつかるかするのがおちだ。しかし、このバイクには心を動かされた。

モノは「ジェダイの帰還」に登場したスピーダーバイクだ。80年代に少年時代を過ごした人たちがみな憧れる乗り物ながら、実現など無理と思われていたものだ。かなりよくできていて本物のようだ。ただし、地球上の物理法則には従わざるを得ないものなのでお間違いなく。

なお、そっくりなのは見かけばかりではない。産み出すサウンドにも気を配っている。下のビデオでぜひ確認して欲しい。もちろん実際にこのような音を出して走行するわけではなく、バイク本体にスピーカーを埋め込んで、映画の中で流れたサウンドを再現しているのだ。

ちなみに、これは(少なくとも今のところ)1台のみ生産されたものだ。すなわち欲しければ、なんとか彼らを説得して金を積まなければならないということだ。

[via io9]

どれほどのできなのか、比較のためにオリジナルの映像も掲載しておこう。

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(翻訳:Maeda, H

Fove、視線追跡VRヘッドセットの最新デザインを発表

Foveは、企業ブログのお知らせで、視線追跡VRヘッドセットの最新設計を公開した。Disrupt SF Battlefield 2014出身の同社は、2016年秋にこのヘッドセットをKickstarterの出資者宛に発送予定だとしている。

今回のヘッドセットは、Kickstarter用の弱々しげなプロトタイプから大幅に変化しているが、これはヘッドセットの重量を削減しながら丈夫さを改善しようとする努力によって成し遂げられたものである。同社はさらに、デザインを控えめにすることで生産効率が高まるとしている。

OculusやHTCと競合する高品質なHMDを製造しようとする小規模なスタートアップにとって、生産過程というのは難しい部分である。部品調達段階での遅れにより、同社は予定配達時期を2016年春から2016年秋へと延期せざるを得なかった。おそらく、より重大なのは、 Foveが独自システムを採用するために、HTC Viveの位置追跡機能をサポートするValveのLighthouseシステムとの統合を行わないと発表したことだろう。

FOVEのヘッドセットの旧デザイン

FOVEのヘッドセットの旧デザイン

このヘッドセットがほかのフェイスコンピュータと異なるのは、これがユーザーの視線をモニタリングする視線追跡センサを機体に直接統合した初のVRヘッドセットであるということだ。この技術により、ユーザーがインターフェイスを操作する方法を改善できるほか、ゲームのプレイ感やヘッドセットによるコミュニケーションをも変化させる可能性がある。

将来的には、ディスプレイが被写界深度のシミュレーションを行い、ユーザーの視線の中央部分にのみ最高解像度の画像を表示し続ける技術である中心窩適応レンダリングという方法によって、視線追跡によって信じられないほど高解像度のヘッドセットの性能が向上することになるだろう。

視線追跡は、多くの業界人によって次世代のハイエンドヘッドセットの主要な機能になると考えられている。したがって、Foveがこの特別な機能を持った唯一のVRプレイヤーである期間はそれほど長くはないかもしれない。視線追跡技術の老舗であるSMIは、すでにHTC Vive向けの視線追跡開発キットを公開しているし、ほかにもTobiiやEyefluenceなどの視線追跡関連企業が次世代デバイスの開発に関してVRヘッドセットメーカーとの提携を発表している。

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(翻訳:Nakabayashi)

FacebookがIKEAスタイルの説明書と共にSurround 360をオープンソース化

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Facebookは、自社のNews FeedやOculus Rift、そしてGear VR向けに360度コンテンツを充実させたいと考えている。そして本日(米国時間7月26日)、4月に発表が行われた通り、Surround 360カメラシステムのハードウェアとソフトウェアの情報全てをGithub上で公開した。IKEAにインスパイアされた気の利いた説明書のおかげで、誰でもパーツの購入やカメラの組み立て、画像をつなぎ合わせるソフトの実装の仕方が分かり、360度コンテンツを撮影することができる。

基本的に、17台のカメラが搭載されたUFOのようなものとポールで構成されているSurround 360は、約3万ドル(パーツ代)で作ることができる。4メガピクセルのレンズで、4K、6K、8Kの360度動画を撮影することができ、さらには上下についた魚眼レンズで死角がない。Facebookはランダムに選ばれたエンジニアに、公開した説明書をもとにSurround 360を組み立てさせたところ、約4時間で完成させることができた。

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「私たちは、Surround 360をオープンソース化することで、エコシステムや360度動画撮影の発展を加速させようとしています。Surround 360が、恐らく初めて完全にオープンソース化されたカメラだと思います」とFacebookのエンジニアリングディレクターで本プロジェクトに関わっているBrian Cabralは語った。「ユーザーが自分で組み立て、改造し、違うバージョンを作るというのが私たちの目指すゴールです。私たちは、世界の人々と新しくて豊かなメディアを結びつけたいと考えており、今回のプロジェクトがそこに早くたどり着くための方法です」

こちらのビデオでSurround 360の組み立ての様子を見ることができる。

360FlyRicoh Thetaといった400ドル以下の市販のものに比べると、Surround 360は、値段や組み立てにかかる労力から、一般的な消費者には間違いなく手がとどかない存在だ。

しかし、柔軟で持ち運びができ、耐久性もあり、商業用にも使える360度カメラを必要とするプロは、Surround 360の他には、NokiaのOzo(6万ドル)や、Googleの支援を受けて誕生した数量限定のGopro Odyssey(1万5000ドル)を選ぶか、Lytro Immergeの発売を待つしかない。Surround 360は、一般的に販売されているパーツですぐに組み立てることができ、作る人の好みに合わせて微調整することもできる。

Open Computeサーバーや、インターフェースデザイン用のReact JavaScriptライブラリーといった、Facebookのその他の主要なオープンソースイニシアティブと同様、Facebookは、Surround 360でも開発者や製作者が自分たちの好みに合わせたカスタマイズを行うだけでなく、彼らが改善点や機能向上の提案を行い、コミュニティ内で共有することを期待している。「彼らに私たちが作った青写真をより良いものにしてもらいたい」とCabralは言う。

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Surround 360で撮影された360度映像は、Facebookが開発した画像をつなぎ合わせるソフトのおかげでほとんど後処理が要らず、さらに撮影者は低画質のライブプレビューでカメラがどんな映像を撮っているのか確認することができる。そのため、処理済みの映像をチェックするために1日以上待つことなく、完璧な映像をとても素早く撮影することができるのだ。また、特別な長いケーブルを使うことで、ユーザーは自分が映像に映り込むことなくカメラの操作を行うことができる。

Surround 360で撮影されたコンテンツを見ると感動する。特に8Kで撮影されたコンテンツは驚くほどシャープだ。しかし、Gear VRのようなヘッドセットでは、そこまで高い画質のビデオを十分なスピードでストリーミング再生したり処理したりすることが出来ないため、Surround 360はダイナミックストリーミングにも対応している。

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Surround 360の底に付いた2つの魚眼レンズで撮影された画像を組み合わせることで、カメラが取り付けられているポールを画像から取り除くことができる。

これにより、ユーザーがヘッドセットで見ている映像は8Kの高画質になるが、頭を動かすと、そのアングルの映像が読み込まれるまでの少しの間、低画質の映像が表示される。ラグは気にはなるが、視野を狭めつつも極めて高画質な映像の再生を可能にするという賢いトレードオフだといえる。

VRや360度コンテンツの大きな問題は制作の難しさにある。このボトルネックのせいで、VRヘッドセットの熱心なユーザーは、一級品のコンテンツを視聴しきってしまい、ヘッドセットを使わなくなってしまう可能性がある。そこでFacebookは、コンテンツ制作を促進することで、VRコンテンツの流通網を広げようとしているのだ。Surround 360は、特にNews Feed向けの素晴らしい映像や写真の撮影を行うのに優れている。SnapchatやTwitterなどの他のソーシャルメディアが360度コンテンツに対応していないことから、これによってFacebookはユーザーをひきつけることができるだろう。

しかしそれ以前に、Surround 360はDIYプロジェクトとしてはこれ以上ないくらいとっつきにくい。そこで、組立説明書はIKEAの白黒印刷の説明書から直接影響をうけているのかと尋ねられたCabralは、「説明書をとっつきやすくするため、私たちは馴染みがあって分かりやすいものを作ろうとしていました。IKEAの真似をするつもりはありませんでしたが、結果的にその方向に進んでいきました」と言いながら声を立てて笑っていた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

デバイス自体の重要性が低下するスマートな未来

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【編集部注】執筆者のTom Goodwinは、Havas Mediaにおける戦略・イノベーション部門のシニアバイスプレジデント。

スマートフォンがポケットの中に入っている今では、Thomas Watsonの「全世界でコンピューターは5台ほどしか売れない」という有名な発言を笑うのは簡単なことだ。しかし、彼の予測のズレが40億台ではなく、たった4台だったとしたらどうだろう?

2000年代初頭、私たちは高価なストレージ機器や遅い通信速度が普通の時代に生きていた。そんな中未来を予測しなければならない人は、将来的に全てのデバイスがこれまでに作られたものを全て記録できるくらい情報処理機器やストレージが安くなるのか、もしくは、全ての情報を遠隔地に保存できるほど、将来通信速度が高速化し情報を遠くまで届けられるようになるのか、というジレンマに陥っていた。

当時から見た「将来」では、どちらもほんの一部が現実となっており、ローカルとクラウドベースのストレージという妥協案に私たちは落ち着いた。

後述の通り、未だに両者の戦いは続いているものの、あえて言えば、デバイスよりもクラウドに軍配が上がりつつある。スマートフォンは明らかに今後も洗練されて行くだろうが、そのペースは加速しているとは全く言えないし、むしろスマートさは段々と、そのデバイス用に作られたソフトウェアや、実装されているプラットフォーム、もしくはGoogle NowやCortana、SiriといったAIへのインテリジェンスの全面的なアウトソース自体に依存するようになっている。

事実、私たちは驚くほどシンプルな機器が蔓延していることに気付かされる。Amazon EchoやGoogle Homeのようなデバイスは、実質的にマイクとスピーカー、低音を生み出す大きなチューブ、そしてクラウドへの接続性だけで構成されている。クラウド上に全てのスマートさが詰まっていて、そこで情報が処理されているのだ。自動運転車は、道路状況や最短経路などの情報にアクセスしながら、全ての判断をローカルで行うようになるだろうか?それとも、単にデータをどこか別の場所にある情報処理拠点に送信し、指示内容を受け取るだけになるのだろうか?ヒューマノイドロボットが登場しても同じ問題が浮上してくる。

実際のところ、恐らく私たちは電子機器の役目について考え直し、電子機器とうまく機能しあうシステムの観点から考えるはじめる必要があるだろう。携帯電話やソフトウェア、ハードウェアの最小単位で考えるよりも、複数のデバイスや、プログラム、パートナーシップを含めたシステムという観点で考える必要があるということだ。

この考え方の変遷についてよく理解するためには、それぞれ7、8年毎に起きた4段階の変化(アナログ機器の普及、デジタルへの収束、デジタルオプティマイゼーション、システム統合)に沿って、電子機器発展の歴史を振り返る必要がある。

アナログ機器の普及

20世紀末頃におきたメディアのデジタル化以前の電子機器は、今日のそれとは全く異なる姿をしていた。メディアは全てモノとして存在し、今とは何もかも違っていただけでなく、各メディアは記録されている物理的なデバイスに基づいた名前がつけられていたのだ。

私のiPodは、3つの音楽デバイスに取って代わったが、最終的にはスマートフォンの登場で捨てられてしまうこととなった。

1995年頃、私はテレビ、VHSビデオプレイヤー、ウォークマン、ディスクマン、コードレス電話、デスクトップPC、CDプレイヤー、オーディオ機器のほか、それ以外にもたくさんのデバイスを所有しており、毎年何か新しいテクノロジーや、新しいエンターテイメントの手段が生み出されていた。1997年にはMDプレイヤーが登場し、1998年にはレーザーディスク、2000年にはDVDプレイヤーが誕生した。この時代は、「デバイスの絶頂期」にあたる言える。一例として、レコード店ではそれぞれの物理的な形式に合わせて、同じアルバムを同時に数種類販売しなければならないことがよくあった。

デジタルへの収束

デジタル化がその全てを変え、物理的なメディアがシンプルになっていく一方の時代に入った。私のiPodは、3つの音楽デバイスに取って代わったが、最終的にはスマートフォンの登場で、膨大な音楽コレクションやその他の多数のアイテムと共に捨てられてしまうこととなった。

年配の人は、何でも捨ててしまう世代や、1000ドルもするスマートフォンの行き過ぎに愚痴をこぼすかもしれないが、無駄なものがない人生は、私たち自身にとっても環境にとってもよっぽど高い価値を持つ。今では、ゲームをするのにも、テレビを見るのにも、世界中を移動するのにも、何も「持つ」必要がないのはもちろん、所有する必要さえない。実家にある私のロンリープラネットのコレクションは、高価で場所をとるデジタル時代以前の遺物を垣間見ることができる数少ない存在だ。

スマートオプティマイゼーション

2000年代後半に、スマートフォンが、時計からゲームコンソールや懐中電灯まで全ての機能を果たすことができる、決定的な汎用パーソナルデバイスとしての地位を確立した途端、スマートフォン以外のデバイスは、消費者から見て説得力のある存在意義を求められるようになってしまった。その結果、それまでは機能向上がもう出来ないと思われていた、たくさんのデバイスの最適化が進められた。テレビの機能を向上させたGoogle ChromeCastのようなデバイスが誕生したのだ。他にも体重を測るとともに天気予報を教えてくれる体重計や、PhilipsのIoT照明Hue、SonosのサウンドバーPlaybarなどが登場した。全てのアイテムが、今日のわがままな消費者のニーズを満たすために作られた素晴らしい例だと言える。

しかし、未だに上手く機能していないシステムや、使用例が重複しているものが存在する。私は、家電製品の次の時代が、人々の考え方の変化から始まると考えている。これからは、私たちの住む世界に存在するデバイスが、あるシステムの中のノード(点)として機能していると考えなければならないのだ。

パーソナルデジタルシステム

TeslaやEchoの最も素晴らしい点のひとつが、これまで長い間当然と思われていた、物理的なものは時間と共に劣化するという原則を覆そうとしている点だ。ソフトウェアのおかげで、前日に置きっぱなしにしていたデバイスの機能が、翌日目覚めると、比べものにならないほど進化しているのだ。これは新しい考え方で、このような製品は、ソフトウェア、ハードウェアそしてパートナシップの全てを勘案してデザインされている。いくつかの企業は、ユーザーエクスペリエンスが、製品単体の快適さよりもシステムへのアクセスに依存していると遂に気づいたのだ。

私たちは、大手テック企業がつくりだすことのできる、商業的パートナシップの視点から物事を考える必要がある。

電子マネーの便利さは、それを受け入れる小売店にかかっている。ドアを開くことができるスマートウォッチから、モバイル搭乗券を受付けている航空会社まで、私たちは、大手テック企業がつくりだすことのできる、商業的パートナシップの視点から物事を考える必要がある。つまり、各デバイスを、独立した形ある存在としてではなく、あるクラブのメンバーになるための物理的な入会トークンや、アクセス権の所有証明として捉えなければならないのだ。

一方、デバイスを製造する企業も、デバイスそのものではなく、ユーザーが所属するクラブを生み出す企業として考え方を一新する必要がある。将来的にデバイスメーカーは、そのデバイスが何をできるかだけではなく、そのデバイスを所有することで何ができるか、所有者のクラブに属することでどのような気持ちになれるか?また、どんなユニークな機能を開発したかではなく、どんなユニークな経験をユーザーに提供しているか?という質問に答えなければならないのだ。

自動車メーカーでいえば、自動車の性能よりも所有者の経験を重視し、自社が自動車製造業界ではなくモビリティ業界にいるといった考え方に変えていく必要がある。デバイスの所有者は、どのように自分が持っているデバイス群が機能し合っているかや、各デバイスがどんなユニークな経験を提供しているか、現実世界とデバイスがどのように交流しているかなどの観点から、自分たちが利用しているシステムにとってプラスとなる情報を生み出していかなければならない。

携帯電話やスマートウォッチ、タブレットは、段々と現実世界と仮想世界をつなぐ、クラウド上にある私たちの生活のハブへのアクセスポイントとして機能しはじめている。つまり、デバイスが両方の世界における、私たちの移動、購入、決断といった行動を形作っているのだ。今こそこの業界にいる全ての人にとって、それぞれのデバイスがどうすれば素晴らしい製品になるかだけではなく、どうすればより簡単で、早くて、良い生活への素晴らしい入り口となるかということを考えるチャンスだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)

任天堂の次世代ゲーム機、NXに新たな情報―分離式コントローラー、TVドックを装備し本体はポータブル

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任天堂の次世代ハードウェア、NXを覆う秘密のベールは依然として厚い。しかし今までよりすっと詳しいスペックが報じられた。この記事によると、次世代ゲーム機の本体はポータブルのようだ。しかも他のゲーム機には見られない多様な機能を追加するモジュールも付属する。

Eurogamerの新しい記事によれば、NXシステムのコアは「ディスプレイを装備するハイパワーなポータブル・デバイス」だという。付属の2個のコントローラーは必要に応じてディスプレイの両側に取り付け可能だ。しかしコントローラーを外した状態ではゲーム機というよりスマートフォンに近い。携帯網を利用した通話機能があるかどうかは不明。Eurogamerは「初期の噂とは異なり、NXはAndroidに依存せず、任天堂が独自に開発したOSを搭載する」としている。

これまでの報道によれば、NXはプロセッサーとしてNvidiaのTegra X1モバイル・チップの後継モデルを利用する。そうであれば他のモバイル・デバイスとくらべても十分なコンピューティング・パワーを得られるだろう。しかし最新の据え置き型ゲーム機ほどのパワーはなさそうだ。しかしNXは家庭内で使えるようデザインされており、テレビに接続するためのドックも付属する。これによりNXは居間でも外出先でも利用できるようになる。

任天堂はこれまで最新のグラフィックス能力を追求したことはない。任天堂のゲーム機が画期的であるのは単なるハードウェアのパワーによるものではない。ゲーム体験そのものの改良に集中するのが理にかなう方向だろう。NXは現在のWii
Uに期待されながら実際には欠けている能力を提供するものになるようだ。つまりユーザーが居間のテレビに接続して大画面でゲームを楽しんだ後、ゲーム機をポケットに入れて外出し、地下鉄に乗ったところでゲームの続きをシームレスに再開できる能力だ。

またEurogamerはNXのゲームはダウンロードと同時にカートリッジでも提供されると報じている。

報じられた内容が事実であれば、NXはスタグネーション気味のゲーム機の世界に魅力的なオプションを投入して再活性化されるものとなりそうだ。「ゼルダの伝説 Breath of the Wind」が完全にハンドヘルドでプレイできるだけでなく、同時に通信機能を利用した屋外ゲームにも対応するというのは魅力的だ。しかし実物が登場するまでは任天堂がバッテリー駆動時間の問題をどう解決できたか不明だ。また居間でのプレイ時にテレビと接続するドック・モードの能力や使い勝手も重要なポイントになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Withings社の「洗練された」スマート体温計が発売

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この度、フランス企業のWithingsは、CESにおいてWithings Thermoの発表を行った。Withingsはすでにノキアにより1億9000万ドルで買収されている。Withings Thermoは体温の変化を追える、100ドルのスマート体温計だ。本日(訳注、7月19日)より、アップルストア、アップルとWithingsのウェブサイトで発売される。

Withings Thermoは側頭部動脈の温度を測定する装置で、今日手に入る最高の体温計だろう。側頭部の動脈の温度を使い体温を測る。操作は、装置をこめかみに置き、ボタンを押し2秒ほど待つ、たったそれだけだ。

実際の装置内部では、この体温計は16の赤外センサーを備えており、2秒間に4000回もの測定を行っている。これこそが、この装置が昔懐かし体温計よりずっと正確な理由だ。また、この体温計は小さなディスプレーに体温を表示するが、実際のところその機能は単なる体温計の域を超える。
この体温計はBluetooth経由でWi-Fiネットワークや電話に接続可能なので、熱が長引いている場合は、体温の時間的推移をモニターすることが容易だ。

また、子供がいる場合は、複数のプロファイルを作成し、例えばイブプロフェンをいつ服用したかなどを記録しておくことができる。また、赤ちゃん成人を問わず、使用可能だ。FDAの認可を受けているおかげで、ボストン小児病院の開発した、発熱診断ツールであるThermiaを使って子供の発熱の処方にも取り組んでいる。

たとえこの体温計をスマホに接続しない場合でも、それ自体がなかなか良い装置だ。小さなディスプレーが備わっているので、スマホがなくてもちゃんと使える。

AAA規格の電池2個で、2年ほど作動するため、使うたびに電池交換する必要はない。

Withings Thermoは現在アメリカのみで販売されているが、すぐに世界中で手に入るようになるはずだ。同様に、Withings Thermoは他の店舗からも入手できるようになるだろう。同社とアップルは製品発売に際した一過的な独占販売の契約を交わしているからだ。

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(翻訳:Tsubouchi)

Facebookの「空からインターネット中継」プロジェクトが前進―ソーラー発電ドローンAquilaが飛行に成功

2016-07-22-aquila-drone

Facebookが2年がかりで開発してきたソーラー・パワー・ドローンのAquilaは滞空時間90日、幅が60マイル〔約100km〕の地域にインターネット接続を提供できるようにするのが目標だ。FacebookはAquillaの最初の公式テスト飛行を実施し、無事に成功させた。

Aquilaはインターネットが使えないでいる16億人もの人々にインターネット接続を提供することになるはずだ。無人飛行機の主翼幅は113フィート〔34m〕あり、ボーイング737より広い。しかし消費電力はヘアドライヤー3個以下だという。この効率の高さが途上国の辺鄙な地域での長時間の滞空を可能にする秘密だ。Aquillは地上との間でインターネット接続を確立し、地元の人々がインターネットに参加できるようにする。

以下のビデオでAquilaの離陸と飛行のようすを見ることができる。

〔日本版〕Googleも遠隔地にインターネット接続を拡大することを目標にProject Loonを推進している。気球利用の他にAquilaタイプのドローンを開発するTitan Aerospaceを買収している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

開発中の任天堂NXをUbisoftのCEOがテスト―「ゲーム機にカジュアル・プレイヤーを引き戻す魅力がある」

2016-07-21-nintendo-nx

任天堂が開発中のNXは私が記憶している限り、もっとも長く登場が待たれているゲーム機だ。すくなくとも開発中であることが公式に確認されているゲーム機としてはそうだと思う。昨日の四半期決算の電話記者会見( IGNによれば)、UbisoftのCEO、Yves GuillemotはNXを実地に試したといううらやましい経験を語った。「これは本当にすごいゲーム機だ。ゲーム業界をさらに成長させるのを助けるだろう。特に、カジュアルなプレイヤーを大勢ゲーム専用機に引き戻す力があると思う」ということだ。

なるほど具体性には乏しかったが、逆にこれまで流されてきた真偽定かならぬ混乱したハードウェアのスペックについての情報よりも本質を明らかにする発言だった。任天堂がこれまで公式に確認した内容といえば「2017年3月のリリースを目指してNXを開発している」ということと、「NXはまったく新しいコンセプトだ」という2点だけだ。モバイルでもリビングでも使えるハイブリッド・マシンであり、Wii Uとは違って完全にモバイル対応であること、したがって居間のテレビへの接続からモバイル・デバイスへシームレスに移行できること、などが噂として流れている特長だ。

GuillemotのコメントからはNXの外観に関しては何も知るこができなかったが、ターゲットについてははっきりと分かった。熱狂的なゲーム・マニアではないカジュアル・プレイヤーだ。任天堂のゲーム専用機として最大の成功を収めたのはオリジナルのWiiだが、その原因はシンプルで分かりやすいゲーム、ユニークな動作を取り入れたコントロール、家族や友人同士で楽しめることなどにより従来のゲーム専用機のマニア以外の層に強く訴えかけることができたからだ。

Wii UもWiiの成功を引き継ぐことができる出来栄えだったが、Wiiの栄光の日々が過ぎ去るのとゲームがモバイルへとシフトするのが重なったのが不運だった。噂では任天堂の次世代ゲーム機はモバイル・デバイスの可搬性と大型テレビを利用したリビングでの快適性を兼ね備えたものになるということだ。Guillemotの一般論のコメントをあまりに深読みするのは危険だが、カジュアル・プレイヤーを主たるターゲットとするというのが任天堂の戦略ならば、発言はそれを裏付けるものと考えてもいいかもしれない。

画像: Guian Bolisay/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+