カスタマーサービスの電話応対をAlexaを使うようにするRedRouteが約7.5億円調達

RedRouteの創業者。左からCROのサム・クルット氏、CEOのブライアン・シフ氏、CTOのジェイコブ・クーパー氏(画像クレジット:RedRoute)

音声によるカスタマーサービス体験と会話型人工知能のスタートアップであるRedRoute(レッドルート)は、訪れる3500億ドル(約40兆円)規模のカスタマーサービス自動化分野を狙っている。

Brian Schiff(ブライアン・シフ)氏、Sam Krut(サム・クルット)氏、Jacob Cooper(ジェイコブ・クーパー)氏が2015年に同社を設立したとき、彼らはまだコーネル大学の学部生で、当初は大手交通会社が営業していない大学キャンパス内での乗り物を探すための、Uberのようなソーシャルな交通用アプリであったという。

シフ氏はTechCrunchに、多くのタクシー会社と仕事をする中で、ビジネスの多くが電話でタクシーサービスに入ってきており、リクエストが多すぎて電話担当者が足りなくなっていることに気づいたと語っている。そこで、カスタマーサービスやコンタクトセンターのバックエンドチャネルを改善する機会があることに気づいたのだ。

多くの人がAmazon(アマゾン)のAlexaやGoogle Home、音声操作のテレビを家に備え付けるようになり、音声技術の現代の世界を見て、3人は2017年に事業を変更し、カスタマーサービスの世界でも同様の体験を実現することにしたのだ。

画像クレジット:RedRoute

その仕組みはこうだ。カスタマーサービスに電話をかけると、音声操作の「Alexaのような体験」で挨拶をしてくれるのを想像してみて欲しい。そこで電話をかけてきた人とやり取りをし、簡単な要望を解決する手助けをしてくれる、とシフ氏は説明してくれた。

シフ氏によると、RedRouteのセットアップは30分程度で完了し、顧客は初期費用ゼロでソフトウェアを試すことができる。リスクフリーでパフォーマンスベースの価格設定は業界初だという。同氏は、RedRouteのAIは、平均して50%のリクエストを完全にこの製品で処理できると見積もっている。残りの50%の複雑な電話については、RedRouteが情報を取得し、それらの電話対に費やせる時間が増えたエージェントに繋いでくれる。

彼らは1年間製品に取り組み、2018年初めに市場に参入し、運送業の顧客と連携している。2020年にパンデミックが発生すると、RedRouteはコンタクトセンターの領域にさらに進出し、現在ではBrooklinen(ブルックリネン)、UNTUCKit(アンタックイット)、Pair Eyewear(ペアアイウェア)、GNCなどの顧客と連携している。

「eコマースに進出するタイミングでした。パイロットで成功した最初の顧客と一緒に入り、規模を拡大し始めました。そして、その努力を倍加させるために、資金調達に踏み切ったのです」とシフ氏は語った。

彼のいう資金調達ラウンドとは、Scoop Venture Capital(スクープ・ベンチャー・キャピタル)とBullpen Capital(ブルペン・キャピタル)が主導し、エンジェル投資家のグループも参加した650万ドル(約7億5300万円)のシード資金調達のことだ。RedRouteは以前、200万ドル(約2億3100万円)のプレシードラウンドを調達している。

シフ氏は、この新しい資金を、全面的な事業の成長、製品開発、主要なリーダーシップに使う予定だ。

RedRouteの競合他社と比較すると、初期費用ゼロなのと、顧客とインテリジェントに関わり、会話をし、自身で要求を完了するコールオートメーション技術を提供することによって、自社が差別化されると彼は見ている。また、同社は小規模なコンタクトセンターもターゲットにしており、そこではコールオートメーション技術の採用がまったくと言っていいほど進んでいないとシフ氏はいう。

「これらの企業は、既存の技術スタックにあらかじめ統合され、エンジニアリングや大規模な先行投資を必要としない既製品を購入しようとしています。私たちは、初期費用なしで、30日間無料で、30分ほどで起動し、初日から結果を見ることができるようなソリューションを提供しています」と彼は付け加えた。

一方、RedRouteは現在100社の顧客を抱え、第4四半期には売上が10倍となり、3倍の成長を遂げている。第4四半期には売上が10倍になり、3倍になった。eコマースの方は「すごい勢いで伸びている」といい、運送の方も「回復している」と付け加えた。

シフ氏は「我々は、製品と市場の適合性が確立された位置にいると感じています。我々は大きな月に強力な牽引力を発揮し、その成長のさせ方を理解しており、今がその規模を拡大するチャンスです。これが、私たちが毎日考え、取り組んでいることなのです」と語った。

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アップル、AirTagを悪用したストーカー問題に次期アップデートで対応

Apple(アップル)は米国2月10日、AirTagアクセサリが個人または人の所有物を密かに、あるいは同意なしにストーキングするために使用されているという問題に対処すべく、AirTagおよびFind Myネットワークに関する一連の今後のアップデートを発表した。2021年春のAirTagリリース後、多くのメディア報道や地元警察からの最新情報で、AirTagが人や貴重品(例えば泥棒が盗むつもりのクルマ)などの不要な追跡に使用されている事例が警告された。その結果、消費者のプライバシーを重視する企業として自らを位置づけていたAppleにとって、PR上の悪夢が広がることになった。

Appleは米国時間2月10日、AirTagの仕組みを変更する計画で消費者、安全の専門家、法執行機関からのフィードバックに応えた。

同社は、AirTagsとFind My(探す)ネットワークの両方で、一連のアップデートを間もなく実施すると発表した。まず、新しいプライバシー警告、アラート、文書の提示から始める。また、新しい精密な発見ツールやAirTagのアラートと音の調整など、他の機能の導入についても今後のリリースに向けて「調査中」だ。

まず、Appleのデバイスは、今後のソフトウェアアップデートにより、AirTagの設定プロセスにおいて、新しいプライバシーに関する警告を表示するようになる。この警告は、本来の目的である持ち物の追跡以外の用途でのAirTag使用を抑止することを目的としている。この警告は、同意なしに人を追跡することは犯罪であり、警察当局はAirTagの所有者の識別情報を要求できることをユーザーに知らせる。

画像クレジット:Apple

Appleはまた、受け取ったすべてのAirTag関連の要請について法執行機関と積極的に協業していると述べ、召喚状やその他の有効な法執行機関の要請に応えて、アカウントの詳細を提供することができると指摘した。これが可能なのは、すべてのAirTagがApple IDに関連付けられた固有のシリアル番号を持っているためだ。同社は、この情報を提供することで、多くの場合、警察当局はAirTagの所有者を突き止めることができ、そうした所有者は捕まり、起訴されている、と述べた。しかしAppleは何件のケースに関与したのかについては言及を避けた。

さらにAppleは、ストーカー被害に遭っているのではないかという人々の不安を和らげるために、紛らわしい警告の1つを変更する予定だ。同社はユーザーから、見知らぬAirTagが自分を追跡していると思わせた「持ち主不明のアクセサリが検出された」というアラートをどのように受け取ったか、話を聞いた。しかし、Appleはこのアラートが近くにある持ち主不明のAirTagには表示されず、AirPods(第3世代)、AirPods Pro、AirPods Maxまたはサードパーティ製のFind Myネットワークアクセサリのみであることを確認した。Appleは今後、このアラートを更新し「持ち主不明のアクセサリ」ではなく「AirPods」がユーザーと一緒に移動していることを示すようにする。

画像クレジット:Apple

Appleはまた、不要な追跡に関するサポートドキュメントを更新し、Find Myアクセサリとその追跡アラートに関するより詳しい情報を掲載する予定だ。アラートの具体例を示す画像が提供され、ドキュメントでは、ストーカー行為の被害者になった場合にどうすればよいか、さらなる説明が示される。

しかし、AirTagとFind Myの大きな変更はまだ取り組んでいる最中だ。

その中には、アラートを受信した後、近くにいる持ち主不明のAirTagの位置を特定することができる新しい精密検索機能が含まれている。AirTagを使ったストーカー被害では、AirTagが一緒に移動しているという警告を受けたとき、検索しても見つからないという苦情が多く寄せられた。そのため、被害者はAirTagがまだ近くにあるのかどうかわからず、無防備な状態だと感じた。

画像クレジット:Apple

iPhone 11、iPhone 12、iPhone 13のユーザーは、精密検索機能を活用することで、自分のAirTagデバイスと同じように、持ち主不明のAirTagが範囲内にあるときに、方向と距離の両方を確認することができるようになる。この機能は、カメラ、ARKit、加速度計、ジャイロスコープからのインプットを使って、音、触覚、視覚フィードバックとともにAirTagに誘導する。

AirTagストーカー事例から出てきた別の不満は、ストーキング目的で持ち主不明のAirTagが仕組まれてから、被害者のデバイスが実際に警告を出すまでにどれだけの遅延があるかということだ。ソフトウェアによって警告される前に、AirTagは何時間も街中を一緒に移動していたと指摘した人もいた。

Appleは、持ち主不明のAirTagやFind Myネットワークアクセサリ(ChipoloなどのAirTag代替品を含む)が一緒に移動している可能性があることを「より早くユーザーに通知する」ように警告ロジックを更新する予定だと述べた。しかし、同社は、ユーザーがこれらの警告をどの程度早く受け取れるかについては示さなかった。

Appleはまた、警告の仕組みを後で調整する予定だ。持ち主不明のAirTagが検出された場合、iPhone、iPad、iPod touchにビジュアルアラートを表示し、同時にサウンドを出すようにする。このアラートは、精密検索ツールを使ってAirTagの位置を特定するためのさらなる支援にユーザーを誘導するか、または、AirTagから音が出るようにする予定だ。この機能は、アラートが聞き取りにくいところにAirTagがある場合に役立つ。また、ストーカー事例で問題となっている、AirTagのスピーカーに細工が施された場合にも、発見ツールが役立つ。実際、スピーカーが無効化されたAirTagがeBayやEtsyで売られているのがここ数週間で発見されてもいる

Appleは、持ち主不明のAirTagをより簡単に見つけられるよう、トーンシーケンスを調整してより大きなトーンを使用すると述べた。

このニュースを発表するにあたり、Appleはテクノロジーを使ってストーカー行為をすることは社会問題であり、そしてAirTagsは良い方向にも使われている、という主張を展開した。この件は、他のデバイスメーカーもAppleに続いて自社の製品にこのような積極的な機能を追加するよう働きかけた。例えば、AirTagのライバルであるTileは、安全機能に取り組んでいると述べたが、まだ提供していない。同社は最近、家族追跡・コミュニケーションアプリのLife360に買収された

National Network to End Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス撲滅全国ネットワーク)やNational Center for Victims of Crime(全米犯罪被害者センター)など安全問題に取り組む団体は、Appleの取り組みを称賛した。National Network to End Domestic Violenceは、ディレクターのErica Olsen(エリカ・オルセン)氏を通じて「Appleが被害者の安全についての会話に関与している」ことを喜び、同社が「セーフガードの改善を続けている」と述べた。National Center for Victims of Crimeは、エグゼクティブディレクターのRenee Williams(レニー・ウィリアムズ)氏を通じて、もう少し冷静な声明を発表した。

「これらの不要な追跡の警告が私たちに示していることは、Appleのシステムが動作しているということです。同時に、この問題を啓発しています」とウィリアムズ氏は述べた。「テクノロジーによる虐待、ストーカー行為、または嫌がらせを経験している場合、我々は、法執行機関に加えて、被害者のためのリソースになることができます」と同氏は付け加えた。

望まない追跡の問題に対処するために、Appleがこの分野の他の企業よりもはるかに多くのことを行っているというのは正しいかもしれないが、より高い基準が要求されるのも事実だ。同社はより徹底した製品開発に投資する資金とリソースを持っているだけでなく、アプリのアンチトラッキング機能のような最近の発表も含め、消費者のプライバシーに配慮する企業として自社を位置づけてきた。

AirTagがどのように悪用されるかを考慮する先見性をAppleがなぜ持たなかったのかは不明だ。そして、多くの女性を雇用することにテック業界が苦戦していることが、ここで問題になった可能性があるのではという疑問が生じる。ストーカー被害者の大半を占める女性は、AirTagの機能に関する問題を容易に認識できたかもしれない。

Appleにコメントを求めたところ、アップデートがいつ実施されるのか、どのソフトウェアのバージョンにこの変更が含まれるのか、同社は言及を避けたが、これは新機能で保護されるかどうか、いつ保護されるのかを知りたい消費者にとっては有益な情報だろう。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Tinderも写真やプロフィールを見る前に会話をするバーチャルのブラインドデートを導入

米国時間2月10日、Tinderは新たなアプリ内機能で「ブラインドデート」を復活する。ただし今回は、2人の会員を一緒にブラインドデートに送り出すのではなく、お互いをソーシャルなチャットで紹介しあい、相手のプロフィールを見る前に対話とチャットができる。この機能は、写真ではなくお互いの人柄や会話に基づいて第一印象を得ることを狙っている。

Tinderの親会社であるMatch Groupは先に行われた決算報告でこの機能を追加する計画をちらつかせ、まだ新しい「Explore」セクションで新しい体験を試すことができ、ユーザーのエンゲージを継続できるようになったと述べた。2021年9月に導入したExploreは今では、Tinderのさまざまな対話的機能のホームであり、ビデオシリーズの「スワイプナイト」の他、互いの関心事項でマッチを見つけたり、マッチングの前に気軽なチャットを始めるなどの機能もある。後者をTinderは「ファストチャット」と呼んでおり、それがブラインドデート機能のベースでもある。

ブラインドデートを利用するためには、会員はまず、少々の肩慣らしの質問に答えてから、共通性に基づいて誰かとペアになる。2人は時間制限があるチャットを開始するが、相手の詳細はわからず、選択式の質問に答えるだけだ。軽い質問ばかりで、中には馬鹿らしいのもある。

・シャツを洗わずに__回着られます。
・ケチャップは___にもかけます。

時間が来たら、互いのプロフィールを見ることができる。そして気に入ったら、もっと相手のことを知ることができる。

Tinderによると、この新たな体験は、本物性を重視するZ世代のデート文化を反映している。同社によると、ブラインドデートのテストは大成功で、同じファストチャットを使った機能でも、最初からプロフィールを見られるものと比べてマッチの成立率が40%高かった。そこでTinderは今回、展開に踏み切ったのだ。

もちろん、Tinderのようなデートアプリの最大手が、写真に頼らない紹介方法を導入したのはちょっと皮肉だ。Tinderをはじめ、今のデートアプリはデートを表層的な環境に変えてしまったと批判されている。そこでは人間に関する決定が、写真の魅力だけに基づいて1秒にも満たない時間で行われてしまう。そのため近年は新種のデートアプリが勃興し「反表層的」で真実性があると謳っている。そんなアプリは、ルックスよりも人柄を重視して、写真を隠したり、音声チャットで互いを結びつけたりしている。S’MoreSwoonMeJigsawなどが、そのようなアプリの例だ。

しかしTinderは、本物的で人間的な出会いのためにわざわざまったく新しいアプリを作らなくても、自分たちが提供するブラインドデートで十分だと信じているのだ。

Tinderのプロダクトイノベーション担当副社長Kyle Miller(カイル・ミラー)氏は、Fast Chat:Blind Date(ファストチャット:ブラインドデート)の立ち上げの発表で次のように述べている。「写真で先入観を作らずに、会話で人柄を紹介することには、何か本当に特別の感覚があります。Tinderのブラインドデートは、意外なほど楽しくて、冗談なども言い合えるような、対話と結びつきを作れるTinderにとってもまったく新しい機能だ」。

英語圏では、今日からExploreの中でブラインドデートが展開される。グローバルな展開は数週間後だ。

画像クレジット:Tinder

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国生まれの音声ネットワーキングアプリ「Tiya」、国際的な事業展開を進めるべくシンガポールに本社を設立

TikTok(ティックトック)は、おそらく中国から生まれた最も成功したアプリであり、国際市場への印象的な進出を果たしている。しかし、中国で開発されたより小規模なエンターテインメントアプリにも、海外で事業を展開しているものが数多くある。

Tiya(ティヤ)もその1つだ。中国のポッドキャスティングプラットフォームであるLizhi(リーチ)から生まれたこのアプリは、音声ベースのリアルタイムなネットワーク体験を提供する。その名前に聞き覚えがあるかもしれない。そう、TiyaはよくClubhouse(クラブハウス)と比較されているのだ。そして、そのClubhouseが2021年流行したおかげで、2021年春にLizhiの株価は急上昇した。

しかし、Tiyaの背後にあるアイデアは、Clubhouseの隆盛(と没落)よりも先行していた。2019年にローンチしたこのアプリは、Clubhouseとはかなり違った人々を魅了しており、その多くは一緒にゲームをしながらチャットをするために利用している。2013年に設立された親会社のLizhiは、早くから音声コンテンツにインタラクティブな機能を取り入れ、リスナーがクリエイターにメッセージを送ったり、バーチャルギフトを購入したりできるようにした。バーチャルアイテムを販売するというビジネスモデルは、すぐに収益の柱となった

Tiyaはこの3年間、デビューした米国で着実に人気を博してきたが、さらに海外展開を進めようとしている。同社は現地時間2月7日、シンガポールの中央ビジネス地区に、Yahoo(ヤフー)やGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)などの大手企業と並び、1万平方フィート(約930平方メートル)の本社を設立したことを発表した。

このオフィスの開設にともない、早ければ2022年の第1四半期にはシンガポールで同アプリのダウンロードが可能になる予定だ。Tiyaは全世界で約2000万件のダウンロードを記録しているものの、そのうちアクティブユーザーがどれほどいるかは明らかにされていない。

中国のテック企業が、国際的な事業展開を進める中で、海外に拠点を置くことは自然な流れだ。例えば、TikTokは世界的に普及が進むにつれて、中国国外での運営体制を大幅に強化し始めた。TikTokは、ユーザーのデータをシンガポールに保存しているというが、これは西側の規制当局がデータセキュリティへの懸念を強めているためだ。中国の新しいデータセキュリティ法では、企業が海外にデータを移動する方法についても規制を厳しくしているため、企業にとっては国内外のデータを分離することが得策となる。

関連記事:長きにわたるマイクロソフトの中国ローカライズの結果

Tiyaのシンガポール本社には、ビッグデータ、人事、ユーザーリサーチ、管理、運営などの機能を担当する部署が置かれ「技術プラットフォームと製品開発計画」を支援するチームになると、同社は今回の発表で述べている。同社は、2022年末までにこの都市国家で「完全に運用可能なチーム」を持つことを目指しており「最新バージョンのアプリを世界各地で順次展開する」計画を立てているという。採用活動の一環としては、南洋理工大学とパートナーシップを結び、新卒者を募集する。

Tiyaの会長であり、Lizhiの創業者でもあるMarco Laii(マルコ・ライ)氏は「Tiyaをシンガポールに導入し、世界に通用する才能を持った現地のチームと協力することで、我々はこの地域でより大きな成功を収めることができると確信しています」と語っている。

画像クレジット:The Tiya app. Photo:App Store

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

製品主導の成長機運が高まる中、製品の使用状況と販売機会を結びつけるEndgameが再び資金注入を受ける

「製品主導の販売と成長」は2021年の大きなバズワードであり、スタートアップ企業はそのアプローチを発展させるために新たな資本を調達し続けている。

例えばEndgame(エンドゲーム)は、米国時間2月8日にシリーズBで3000万ドル(約34億6200万円)の資金調達を完了したと発表した。同社は自らを「世界初の製品主導型セールスプラットフォーム」と称し、ソフトウェア会社が顧客観察を市場参入戦略に転換することを可能にしている。

Endgameの製品は、基本的に製品の使用状況と販売機会を結びつけるもので、ソフトウェアを経営陣に売り込み、それを使用しない従業員に流していくのではなく、従業員自身が運転席に座り、最初は無料でソフトウェアを試し、気に入ったものを購入できるようにする。収益チームは、このようなコンバージョン行動を利用して、より適切な販売ターゲットを設定することができるのだ。

CEOのAlex Bilmes(アレックス・ビルメス)氏は「製品主導型の成長の推進力は、資本を追うビジネスの間で強く、当社にとっては、LaunchDarkly(ローンチダークリー)、Airbyte(エアバイト)、Retool(リトール)、Algolia(アルゴリア)、Grain(グレイン)、Shortcut(ショートカット)など、初期の強力な顧客獲得につながっています。もう1つは、製品主導の販売カテゴリーをより明確にしたことで、これが非常にうまくいったので、どうすればうまくいくのかと聞かれるようになりました」。と述べている。

今回の新ラウンドは、2021年7月に行われた同社の1700万ドル(約19億6100万円)のラウンドからの早い転換で、Endgameは、1年前にビルメス氏によって設立されて以来、4750万ドル(約54億8000万円)の総資金調達となった。EQT Ventures(EQTベンチャーズ)がこのラウンドを主導し、Lachy Groom(レイチー・グルーム)と既存の投資家であるMenlo Ventures(メンロ・ベンチャーズ)、Upfront Ventures(アップフロント・ベンチャーズ)、Unusual Ventures(アンユージュアル・ベンチャーズ)が参加した。

ビルメス氏はTechCrunchに、同社は資金調達を計画していなかったが、初期のデザインパートナーが顧客に転換し、その結果、予想よりも早く製品の支払いを申し出る勢いを見て、Endgameの資金を追加する決断をしたと語った。

ビルメス氏は成長率や評価額を明かさなかったが、2021年には数人だった会社が15人になり、今回の資金調達でチーム規模が3倍になると述べた。同氏によると、Endgameはデータセットを活用した「野心的な製品ロードマップ」を持っており、研究開発、データサイエンティスト、エンジニアリング、製品管理、市場参入の分野でチームの規模を拡大する必要があるとのことだ。

顧客関係管理市場は年率11%で成長しており、2027年には960億ドル(約11兆円)に達すると予想されている。製品主導の成長市場がどのように推移しているかを見るのは、興味深かったとビルメス氏はいう。

「Figma(フィグマ)、Notion(ノーション)、Airtable(エアーテーブル)など、資金調達を行う企業には魅力的なダイナミクスがあります。そのような企業が、成長という点で期待される向上をもって資金を調達すれば、その数字は我々にとって大きなものとなります」と述べる。

シリーズBラウンドのリードインベスターで、EQT VenturesのパートナーであるLaura Yao(ローラ・ヤオ)氏は、製品主導のビジネスに魅力を感じているという。このモデルは、10年前のDropbox(ドロップボックス)のように、しばらく前から存在していたが、彼女は、特にベンチャーキャピタルのエコシステムにおいて、そのモデルが再び人気を博しているのを見ている。

最近、彼女が特に注目しているのは、製品主導のセールスが増えていることだ。多くの人が多くのソフトウェアを持っているが、営業チームはその人が特定のソフトウェアを何回使ったか言えないことが多い。より効率的なセールスを行うには、企業がすでに持っているユーザーからリードを獲得するための別のツールが必要だ。そこで、Endgameの出番となるわけだ。

ヤオ氏は「私たちが期待するところでは、企業はそのような機会に対して非常に積極的でなければなりません」と付け加えた。「Endgameは、製品主導のセールスのためのツールスタックを提供しています。同社は、これはSalesforce(セールスフォース)など他の企業では解決できないようなデータの問題だということを理解しています。Endgameは、SaaSアプリケーションの顧客利用や課金に関するこれらの煩雑なデータを整理し、意味のあるものに変えているのです」と述べている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

サムスンとグーグル、GoogleアシスタントとPlayアプリの到来でWear OS提携を拡大

Google(グーグル)とSamsung(サムスン)が、圧倒的なシェアを誇るApple(アップル)に対抗するため、共同でウェアラブル製品を開発すると発表してから1年弱が経った。このような取り組みが一朝一夕に達成されるものではないことは、当初から明らかだった。2021年8月には、Galaxy Watch 4の発表の一環として「Wear OS Powered by Samsung(Samsungの新しいWear OS)」を初めて見ることができた。

関連記事:サムスンは「Galaxy Watch 4」でWear OSに回帰、ヘルスケアにもフォーカス

米国時間2月9日に開催されたUnpackedイベントでは、Samsungのウェアラブル製品はあまりハイライトされなかったが、同社はモビリティ分野で十分な話題を提供した。しかし、Samsungが現在開発しているTizen / Wear OSハイブリッドのウェアラブル製品については、今後の展開がもう少し見えてきた。

9日、Googleは、Samsungの最新のウェアラブルにGoogleアシスタントが「数カ月後」に搭載されることを発表した。これはおそらく、同社の「Bixby」の野望がゆっくりと悲しい終わりを迎えることを示す最新のデータポイントと言えるだろう(ただし、このアシスタントはデバイスの中で生き続けている)。しかし、率直に言って、はるかに強力でユビキタスなGoogleアシスタントを採用することは、ハードウェアメーカーであるSamsungのプラットフォーム全体で非常に理に適っている。

画像クレジット:Google

Galaxy Watch 4では「Hey Google(日本では『OK Google』)」と声をかけて音楽を再生したり、タイマーを設定したりすることができる。このアプリは、Galaxy Watch 4ではGoogle Playストア経由でアクセスできる。統合の一環として、接続されたAndroid端末にダウンロードされたPlayアプリは、Galaxy Watchにも表示されるようになる。そこからユーザーは、アプリをタップしてスマートウォッチにインストールできる。

現在、Galaxy Watch 4はオンラインでのYouTube Music Premiumに対応しているが、今回のアップデートでは、Wi-Fiおよびセルラーでの楽曲配信が可能になるため、ユーザーは携帯電話を家に置いたままでも新しい曲を聴くことができるようになる。この機能は、Galaxy Watch 4およびその他のWear OSデバイスにも搭載される予定だ(時期は未定)。

今回の統合はまだ小さな一歩であり、このカテゴリーにおけるAppleの優位性をすぐに打ち破ることはできない。しかし、GoogleとSamsungの提携、前者によるFitbit(フィットビット)の買収とWear OSのさらなる拡大計画など、ウェアラブル分野にとっておもしろい1年になりそうだ。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

カレンダーアプリ「Fantastical」がプライバシーファーストのミーティングスケジュールのリンク共有を可能に

人気のカレンダーアプリ、Fantastical(ファンタスティカル)の開発元であるFlexibits(フレクシビッツ)は、スケジューリングを便利にする新機能をいくつか追加した。この分野は、Calendly(カレンドリー)が支配しているようだが、Flaxbitsはアプリの「Opening(オープニング)」機能を、プライバシーファーストのスケジューリング機能だと強調している。そして、もちろん新機能はFantasticalに直接組み込まれ、別のツールやサービス、サブスクリプションなどは不要だ。

Fantasticalアプリをバージョン3.6にアップデートすると、設定パネルにいくつか新しいオプションが追加されている。これらの新機能はmacOS、iOS、およびiPadOSで利用できる。標準設定では、Openingは有効になっていない。使用するためには自分で設定する必要がある。

「オプトインするのはあなた自身であるべきです、データはあなたがコントロールします」とFlexbitsの共同ファウンダーであるMichael Simmons(マイケル・シモンズ)氏が私に話した。

Opening機能を有効にすると、Fantasticalに設定済みのカレンダーアカウントに直接つながる。自分の予定が空いているかいないかを決める真の情報源として使うカレンダーを選ぶことができる。

「アプリはあなたのFantasticalデータベースを調べて、日付と時刻だけを取ってきます」とシモンズ氏は言った。Flexibitsはイベントの名前や招待客のリストには触れない、なぜなら機能を果たすために必要のない情報だからだ。

その後、ユーザーはさまざまなイベントのタイプを設定する。例えば、月曜日と水曜日の午前に営業電話の予定を入れたければ、その日の午前9時から午前11時までの間に営業電話をかけるイベントテンプレートを作る。

イベントタイプには、タイトル、説明、所要時間、リンクなどいくつかのオプションがある。また、Fantasticalのミーティングリクエストを自動的に承認するか手動で承認するかも設定できる。

ご想像のどおり、イベントのリンクを取得してメールやWhatsAppメッセージ、ウェブサイトでもシェアすることができる。そのリンクをクリックした人は、いつあなたの予定が空いているかを見て、時刻を選んでミーティングをリクエストできる。

画像クレジット:Flexibits

自動承認を有効にしておくと、ミーティングをリクエストした人のカレンダーに招待状が届く。ミーティングをリクエストするためにFantasticalを使う必要はなく、アカウントを作る必要もない。

スケジュール調整はウェブではなくアプリ内で行われる。誰かがあなたとのミーティングをリクエストすると、Fantasticalアプリがミーティング(のイベント)を作成し、他の出席者を招待する。

もし、あなたがCalndlyなどの類似ツールをすでに使っていたら、今まで通りのワークフローを続けたいに違いない。しかし、もしあなたがFantasticalユーザーで、Calendlyライクなリンクを使いたいなら、FantasticalのOpeningを使うほうがずっと簡単だろう。

その他の改善点

Fantasticalは「Proposals(プロポーザル、提案)」と呼ばれるスケジューリング機能も提供している。アプリ内で複数回数、複数日時のイベントを作れる機能だ。会社はこの機能を密かに改善し、Doodle(ドゥードゥル)の対抗品へと作り変えた。

これからはイベントプロポーザルを複数の招待者に送ることができる。招待者はウェブページで投票できる。あなたはアプリを使って最適な日付と時刻を確認し、コメントを読んでプロポーザルをカレンダー・イベントに転換できる。スクリーンショットを見てもらうほうがずっと簡単だろう。

画像クレジット:Flexibits

スケジューリング機能に加え、Fantastical 3.6には新たに四半期ビューができた。四半期ビューは、好みによって四半期の最初の日から始めることも、現在の週から始めることもできる。

数年前、Flexibitsはフリーミアムモデルに切り替え、全機能のロックを解除する有料サブスクリプションを提供した。OpeningsやProposalsなど高度な機能のほとんどは、利用にサブスクリプションが必要だ。現行の料金は年額39.99ドル(約4600円)、月額4.99ドル(約576円)。

Flexibitsは、App Storeで多くのネガティブコメントをつけられたことがあるが、プロダクトとビジネスの転換はうまく行っているようだ。

チームは6人から18人へと3倍に増えた。これまでに同社は、かなりの数のアップデートを発行しており、サブスクリプションにはCardhop(カードホップ)アプリが加わった。

マイケル・シモンズ氏は売上数値を明らかにしなかったが「数百万の人たち」がFlexibitsアカウントを作って無料トライアルを始めたと語った。もちろん、この中でサブスクリプションのアクティブ利用者はこのユーザーベースのごく一部だけだ。

Flexibitsは、さまざまなタイプのマーケットに対応する方法についても考えている。たとえば同社はチーム向けのFlexibitsを開発している。第一に、多人数のグループや従業員向けにライセンスを購入できるチーム・アカウントが導入される。アプリにはチーム向け機能のための場所も用意されているが、まだ完成していない。

関連記事:悪夢のようなビデオ会議の日程調整を評価額約3165億円のスタートアップCalendlyに変えた方法

画像クレジット:Flexibits

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook

SaaS企業向け使用ベース価格設定技術のm3terが約20億円調達、定額制サブスクリプションからの移行需要に対応

SaaS製品の多くは定額制のサブスクリプションで販売されている。しかし、特に価格に敏感な顧客の間では、よりきめ細かい価格設定を求める傾向が強まっており、現在はデータサイエンス、予測分析、クラウドコンピューティングを組み合わせることで実現可能な世の中になっている。こうした需要に応えるツールを開発している企業の1つ、m3terというスタートアップが現地時間2月8日、ステルス状態から登場した。市場の状況を示すように、同社はすでに顧客を持ち、まとまった額の資金を調達している。

ロンドンを拠点とするm3terは、製品の開発を続け、さらに顧客を増やしていくための資金として、Kindred Capital、Union Square Ventures、Insight Partnersから1750万ドル(約20億円)を調達した。顧客にはSiftStediRedcentric、そしてm3terと提携して自社の顧客にこの技術を効果的に販売している話題の課金スタートアップPaddleといった企業が含まれている。

m3terは2月8日にステルス状態から登場したが、いきなり出てきたわけではない。同社の創業者であるGriffin Parry(グリフィン・パリー)氏とJohn Griffin(ジョン・グリフィン)氏は、以前GameSparksという、利用ベースの料金設定に基づいたバックエンドゲーム・アズ・ア・サービスのエンジンを設立したが、AmazonのAWSに静かに売却し、ゲームの世界のためのツールを構築するという、クラウド界の巨人の野心的な戦略に組み込まれた(補足:この買収を筆者はスクープした。当時は、この2人よりもエリザベス女王1世に話しかけるのを試みる方が簡単だったかもしれず、今やっと追いつくことができて良かった)。

AWSにとってこのゲーム戦略は、おそらく最も慈善的な、非常に長期的な遊びだった(Gamesparksベースの製品を出す計画があったようだが、5年後の現在もまだ実現していない)。しかし、その場に居合わせたことで、利用ベースのサービスのコンセプトを他の場所に適用する方法についてインスピレーションを得た、とパリー氏とグリフィン氏は話す。

「心強いことに、利用ベースの料金設定については、Amazonも我々と同じような問題意識を持っていました」。しかし、Amazonがすでにこのコンセプトに基づいて提供しているものは非常に多く、例えばクラウドインスタンスの販売方法の中核をなしている。「彼らが構築しているカスタムツールを見る機会がありました。我々は、良いものがどのように見えるかを目にしました」と2人は続けた。

2人の結論はこうだ。SaaSサービスは活況を呈しており、これらのビジネスには、Amazonが自社のために構築しているものと同等のツールを提供する価値がある。

m3terの初期の牽引役は企業だった。急速に成長するSaaSビジネスが、今度は企業顧客に利用量に応じた料金設定を提供するようになった。パリー氏は、この市場自体がサービスの多様性に富んだ巨大な市場であり、この市場にのみ注力する価値は十分にあると確信している。しかし、通信事業者や公益事業者など、使用量に応じた料金体系を採用してきたレガシーな分野では、システムのアップグレードが進んでおり、請求方法もアップグレードする予定であるため、明らかにチャンスがある。同様に、消費者は今日、ストリーミング、ブロードバンド、クラウドストレージ、eコマースのポイントクラブ(Primeなど)、その他多くのものに定額料金を支払うことに満足しているようだ。しかし、破壊者が現れ、人々が欲しいものを消費し、実際に使用するものだけに金を支払う、より安価で公平な別の方法を提供するのは時間の問題だ。消費者もまた、m3terの潜在的な顧客となる可能性がある。

あるいは、そうでない人も顧客となる可能性がある。先週、利用ベース料金設定を導入したMetronomeが資金調達ラウンドを発表したばかりだ。パリー氏は、Metronomeが市場に出てきたことをこの上なく喜んでいる、と述べた。

「彼らは我々の正当性を証明しているし、競争は良いことです」とパリー氏は述べ、世の中には多くのユースケースに対応する複数のプレイヤーが存在する余地があると指摘した。「当社は、高いレベルの複雑性とスケールをサポートできるよう注力しています。スタックには隙間があり、多くの優れた既存ツールは使用ベース価格設定では機能しません。つまり、我々には大きな可能性があるのです」。

「m3terの共同創業者は、使用ベースの料金設定に関する苦労を深く、直接的に理解している起業家たちです」と、Kindred Capitalからの投資を主導したChrysanthos Chrysanthou(クリサントス・クリサントス)氏は声明で述べた。「彼らの技術力と商業実績により、SaaSビジネスが価格に関する悩みの解決策を模索する中で急速に形成されつつある市場において、リーダーとしての地位を確立するためのユニークな位置につけています」。

「m3terは、より多くのソフトウェア企業が摩擦のない利用ベースの価格設定によってその真価を発揮し、SaaS業界を活性化させる可能性を持っています」とUnion Square VenturesのパートナーであるRebecca Kaden(レベッカ・ケーデン)氏は付け加えた。「グリフィンとジョンはすばらしいチームを作り上げ、世界中のSaaS企業の価格設定を再定義していくために協業することを楽しみにしています」。

画像クレジット:Bet_Noire / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

Artiphonのビデオ編集アプリ「Orbacam」、同社製インターフェースなしで音楽制作もできる機能を追加

TechCrunchはここ何年もArtiphon(アーティフォン)を密着的に追ってきた。2020年後半、筆者はこの音楽スタートアップの最新のスマート楽器Orbaを気に入った。決して複雑な楽器ではないが、楽しい小さな携帯型サンプル / MIDIインターフェースとして、世界的なパンデミック時にクリエイティブに時間をつぶすには最適な方法だ。

関連記事:専門的な知識なしで音楽が作れる1万円のガジェットが楽しい

2021年10月には、ハードウェアインターフェースを利用してクリエイティブなビデオ編集ができるアプリOrbacamを追加し、Orbaの芸の幅を広げた。

「音楽は常に多感な体験であると信じています。誰でもすぐに遊べるよう、聴覚、視覚、触覚に訴えるようOrbacamをデザインしました」と、同社の創業者でCEOのMike Butera(マイク・ブテーラ)氏は当時述べた。「音楽をソーシャルコンテンツと同期させることの威力を目の当たりにしてきましたが、そのほとんどは他人の曲を動画に貼り付けているだけです。今、人々は完全に自分自身のものである音楽ビデオを作成することができます」。

同社は米国時間2月8日、アプリの2.0バージョンをリリースした。数多くの新たなアップグレードがあり、 特に画面上の演奏機能の追加が目を引く。これは小さな機能だが、Orbaのハードウェアデバイスに類似したアプリ内機能を提供するもので、このサービスを試すための障壁となる99ドル(約1万1000円)を取り除く。画面上のレイアウトは、Orbaの円形8キーレイアウトを模倣している。

「音楽制作も、他のメディアと同じように、すぐにアクセスできるようにしたいのです。私たちはためらうことなく1日中、写真やビデオを撮影しています。そして今、Orbacamでどこにいてもすぐに音楽制作ができるようになりました。表現力豊かで美しいものを作るのに必要なのは携帯電話と少しの時間だけです」とブテーラ氏は話す。

画面上のインターフェースにより、ユーザーはiOSデバイスでソーシャルメディア用の楽譜をリアルタイムにすばやく作成することができる。また、80年代のVHSにインスパイアされたGlitchフィルターなど、ビデオ用の新しいエフェクトも多数用意されている。Artiphonは、この新しいインターフェースが、同社のハードウェアへの入り口となることを期待しているに違いない。そして、もしあなたがすぐに使ってもいい99ドルを持っているのなら、それは楽しいものだ。

画像クレジット:Artiphon

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

データワーカーのためのスーパーアプリを構築するAcho、シード資金調達を実施

Vincent Jiang(ヴィンセント・ジャン)氏がソフトウェア開発者として働いていた頃、同氏の毎日の仕事は、金融アナリストが取引戦略における財務報告諸表を作成するためのテーブルを構築することだった。

同氏はしかし、この作業をエンジニアに頼るのではなく、アナリスト自身が行うことも可能ではないかと考えた。それには、きちんと機能する適切なツールが必要だ。

それが、データワーカーのためのスーパーアプリ「Acho(アチョ)」のアイデアの始まりだった。

ジャン氏は、共同創業者のSamuel Liu(サミュエル・リュウ)氏と協力して、2020年5月に会社を設立。Y Combinator(Yコンビネーター)の2020年夏のバッチを通過し、今回220万ドル(約2億5000万円)のシード資金を調達した。このラウンドはGoat Capital(ゴート・キャピタル)が主導し、Liquid2 Ventures(リキッド2ベンチャーズ)とCapital X(キャピタルX)が参加した。

Achoは、既存のデータインフラやITリソースの助けを借りずに、企業のデータ資産をパフォーマンスダッシュボード、プロジェクト管理、ウェブアプリなどのビジネスアプリケーションに変える。

「データチームが現在直面している最大の問題は、リテラシーです」と、ジャン氏はTechCrunchに語った。「何年もSQLを書いていない人は、SQLを使いこなせないでしょう。だからこそ、Achoを使えば、チームのために共同データベースを構築でき、深い技術的知識がなくてもデータを利用できるようにしようと、我々は考えたのです。リアルタイムデータベースのためのGoogle Sheet(グーグル・スプレッドシート)のようなものです」。

Achoのダッシュボードの一例(画像クレジット:Acho)

現在、Achoの顧客として50以上のチームが、データ、チームメイト、アプリケーションを1つにまとめるために、このアプリを使用している。ジャン氏によれば、3人だった同社のチームは、この3カ月で11人に増えたという。

2020年にYCを卒業した後も、製品ができてからまだ1カ月しか経っていなかったため、ジャン氏とリュウ氏は資金調達を少し延期し、顧客からより多くの支持が得られるのを待つことにした。結果的には、かなり早い段階で資金調達を完了させることができ、これには彼らも驚いたという。

「私たちの手がけている分野が、これほど強い関心を呼ぶとは思いませんでした」と、ジャン氏はいう。「私たちと同期のバッチだった企業の中には、1~2年のうちにデータ領域でユニコーンになった会社もあり、投資家からの需要が非常に大きいことを理解しました。しかし、希薄化を避けるために最初は少だけ資金を調達して、顧客にもっと集中したいと考えています」。

そのため、ジャン氏は今回調達した資金を、顧客が求めている機能やサービス、インフラを構築するために使用するつもりだ。また、毎月50%ずつ増加する顧客に対応するため、チームの規模を拡大したいとも考えている。

Goat Capitalの創業者であるRobin Chan(ロビン・チャン)氏は、Justin Kan(ジャスティン・カン)氏とともに、ジャン氏とリュウ氏が「本物のビジネスを構築する」ことに集中していると思い、彼らの迅速な牽引力に感銘を受けたと述べている。

「ヴィンセントは、強力なコアチームを構築した、非常に気骨のある起業家です」と、チャン氏は付け加えた。「それこそが、エンタープライズビジネスのこのカテゴリーで我々が惹かれる点です。世の中では、SaaS製品に資金が殺到していますが、そのために企業やベンダーの領域で多くの断片化が生じています。私たちが求めている人材は、データの組織や循環システムを構築し、会社の運営を、特にリモートというパラダイムの中で、よりスムーズにできる人たちです。このような断片的な製品を使って共同作業をするのは、人々にとってますます困難になっています。データに関する共通の基盤が必要です。それこそがヴィンセントが構築しているものであり、それは非常に強力です」。

画像クレジット:Acho / Acho co-founder Vincent Jiang

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

禁酒スタートアップの序盤戦

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

みなさんこんにちは!今日は、シンプルな料理にこだわった。私たちの持ち場の、肉とポテト、豆のプロテインとグルテンフリーのデンプン。すなわちスタートアップの活動だ。ということで今回は、私たちがとてもすばらしいと思うスタートアップのニュースをご紹介する。

個人的な話で恐縮だが、私はお酒とは複雑な事情を抱えていた。最終的には飲酒を完全に止めた。なので、先々週Reframe(リフレーム)が私の視界に入ってきたとき、私は興味を持った。

このスタートアップは、まだアルコール依存症ではないがアルコール摂取量を減らしたい、あるいは完全にやめたいと考えている人に焦点を当て、アルコール摂取量を減らすためのアプリを提供している。飲酒に限らず、あらゆる薬物中毒や依存症、その問題を解決するための市場は巨大だ。私がこのことを知っているのは、酒の量を減らしたり、完全にやめたりしようとしている多くの人たちと、話をできる機会があるからだ。パンデミックの中で状況が悪化していることも付け加えておこう。

なので、Reframeが最近急速に成長していることを知っても驚きはなかった。同社はAtlanta Venturesから140万ドル(約1億6000万円)を調達した後、Y Combinatorに参加している(2021年夏のクラスで、私はお気に入りの企業の1つとして挙げている)。アクセラレータープログラム終了後に340万ドル(約3億9000万円)を調達し、つい最近1250万ドル(約14億4000万円)のラウンドをクローズした。最後の資金調達ラウンドは、2021年末に行われ、資金調達後の評価額は1億ドル(約115億2000万円)となった。

このスタートアップは明らかに何かをつかんでいる。そして、ありがたいことに、同社はその結果を詳細に話してくれた。

同社のCEOであるVedant Pradeep(べダント・プリディープ)氏に話を聞いたところ、Reframeはこの6カ月間でARRが約79%の複利で拡大したという。また、プリディープ氏は、同社では過去12カ月間に毎週10.3%の成長が見られたという。その結果、1月28日までに計950万ドル(約10億9000万円)のARRが発生したが、先週初めにプリディープ氏がメッセージを使ってその数字を1000万ドル(約11億5000万円)に修正してきた。

さらに良いことに、認知行動療法や日記などのツールを組み合わせることで、人々の飲酒量を実際に変化させることができている。プリディープ氏によると、約88.63%のユーザーが2カ月で「飲酒目標を達成した」と報告しているという。さらにCEOは、自社のデータに基づいて、このデータは「彼らの飲酒量が50%(以上)減少したことを意味します」と付け加えた。

大したものだ。

さて、私は薬物関連の営利目的のケアには少々うるさい。そこで私は、プリディープ氏に会社の価格モデルや、Reframeに支払うだけのお金がない人たちに対する方針について話を聞いた。少なくとも私の基準では、この会社は公正なバランスをとっている。

テクノロジー界のリーダー、著名人、悪党が皆、大金を得ようと暗号資産の世界に頭から突っ込んでいるように見える今、Reframeは現実の問題を解決することもお金を稼ぐ方法の1つだということを思い出させてくれる。最近のスタートアップの価格傾向を考えると、なぜこの会社の最新の評価額にもう1つゼロが加わっていないのかが不思議だ。

そして、お酒といえば

今日のテーマであるお酒を続けよう。次はワインだ。それはすべてだ。

ワインについて学ぶ時間は決して無駄なものではない。Reframeの顧客でないのなら、ワイン通でいるのは楽しい過ごし方だ。友人と椅子を並べて、ゆっくりと頭の中に酔いを回すことが好きな人をを酔わせるのが好きな人は、カリフォルニアのしっかりしたカベルネとともにシャブリを楽しむ方法を知ることで食卓が華やぐだろう。

しかし、すべてのワインが飲むためのものではない。その中には、実際に投資に適したものがある。それこそがVinovest(ビノベスト)が、ワインの価格上昇に賭けることができるプラットフォームを開発している理由だ。最近同社は、顧客が個々のワインに投資できるサービスをリリースした。以前のVinovestは、ワイン投資のカテゴリーで、ロボアドバイザーによるサービスに力を入れていた。簡単に言えば同社は、これまで手の届かなかった高級ワインのような、代替投資の選択肢を求める人々が増えていることに賭けているのだ。

このVinovestのニュースを取り上げたのは、2021年に運用資産残高(AUM)が500%成長したことをはじめとして、何かが起きようとしているからだ。同社の勇猛果敢な広報担当者であるWilliam Ruben(ウィリアム・ルーベン)氏によれば、Vinovestは25万本以上のボトルをユーザーの名のもとに管理しており、それらは「世界各地にある特注の倉庫」に保管されているという。

暗号資産の急増や、デジタルコレクション購入の動きなどの中で、おそらくワイン投資は、ありふれた401(k)により多く組み込まれるようになるだろう。もしそれがうまく行けば、Vinovestの市場への賭けは、楽しみの多い果実を実らせることができるだろう。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

スマートアイデアが約3500万円の追加調達、AGキャピタルグループ会社ライフカードに開発支援サービス提供

家計簿アプリ「2秒家計簿おカネレコ」を運営するスマートアイデアが約3500万円の追加調達

家計簿アプリ「2秒家計簿おカネレコ」(Android版iOS版)を中心にPFM(個人財務管理)事業を展開するスマートアイデアは2月4日、第三者割当増資による約3500万円の追加資金調達を実施したと発表した。引受先はAGキャピタル。

今後、AGキャピタルのグループ会社ライフカードが、スマートアイデアの開発支援サービス「サブスク開発」を採用。ライフカードがシステム開発・アプリ開発の支援を行う。

スマートアイデアは、ある一定期間開発チームの時間を確保し、プロジェクトを担当する開発サービス「サブスク開発」を展開。確保した時間を上限とし、システム開発・アプリ開発を進行させるものという。継続してプロダクト運営ができるよう、開発後のアフターサポートを行うメンテナンスプランも用意している。

同サービスでは、プロダクトマネージャーおよびITディレクター・開発ディレクター・デザイナー・エンジニアのチーム体制で、毎月上限時間までプロダクト開発をトータルサポート。日本国内での企画と、ベトナムのエンジニアによる開発により、「高品質」「低価格」なプロダクト開発を実現できるとしている。

また、プロフェッショナル人材によるPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)業務を行い、部署間コミュニケーションの最適化やマルチベンダーマネージメント、プロジェクトコストの最適化などを実施する。PMOでは、企業におけるプロジェクト支援について、部署の枠を超えて、開発ベンダーとの調整なども含めてマネージメントを行う。

スマートアイデアが約3500万円の追加調達、AGキャピタルグループ会社ライフカードに開発支援サービス提供

家計簿アプリ「2秒家計簿おカネレコ」を運営するスマートアイデアが約3500万円の追加調達

家計簿アプリ「2秒家計簿おカネレコ」(Android版iOS版)を中心にPFM(個人財務管理)事業を展開するスマートアイデアは2月4日、第三者割当増資による約3500万円の追加資金調達を実施したと発表した。引受先はAGキャピタル。

今後、AGキャピタルのグループ会社ライフカードが、スマートアイデアの開発支援サービス「サブスク開発」を採用。ライフカードがシステム開発・アプリ開発の支援を行う。

スマートアイデアは、ある一定期間開発チームの時間を確保し、プロジェクトを担当する開発サービス「サブスク開発」を展開。確保した時間を上限とし、システム開発・アプリ開発を進行させるものという。継続してプロダクト運営ができるよう、開発後のアフターサポートを行うメンテナンスプランも用意している。

同サービスでは、プロダクトマネージャーおよびITディレクター・開発ディレクター・デザイナー・エンジニアのチーム体制で、毎月上限時間までプロダクト開発をトータルサポート。日本国内での企画と、ベトナムのエンジニアによる開発により、「高品質」「低価格」なプロダクト開発を実現できるとしている。

また、プロフェッショナル人材によるPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)業務を行い、部署間コミュニケーションの最適化やマルチベンダーマネージメント、プロジェクトコストの最適化などを実施する。PMOでは、企業におけるプロジェクト支援について、部署の枠を超えて、開発ベンダーとの調整なども含めてマネージメントを行う。

ドルビーが超低遅延ストリーミングプラットフォームのMillicastを買収

Dolby Laboratories(ドルビーラボラトリーズ)は米国時間2月3日、超低遅延のビデオストリーミング体験を構築するWebRTCベースの開発者プラットフォームMillicast(ミリキャスト)を買収したと発表した。

2018年に設立されたMillicastは、世界中のコンテンツを放送品質で、1秒以下の遅延で配信できることを約束する。同社の顧客は、放送局、会議主催者、コンサート会場、オンラインギャンブル会社、オークションハウスなど多岐にわたり、いずれも高品質で低遅延のストリームを必要としているという。ユーザーは、ウェブベースのダッシュボードや人気の高いOBS Studio(OBSスタジオ)デスクトップアプリ、あるいはZoomを含むRTMP対応サービスでストリーミングを受信できる。

つまり、これはかなり企業向けの製品であるということに注目しておく価値はあるだろう。月額料金は495ドル(約5万7000円)からで、500GBのCDN帯域幅が含まれる。

ドルビーは一般にオーディオコーデックでよく知られているが、開発者向けエコシステムの構築にも力を入れており、他社のオーディオとビデオの専門知識が自社製品に統合できるように取り組んでいる。

2020年に、ドルビーはDolby.ioをいくつかのオーディオAPIとともに立ち上げた。現在では、オーディオマスタリングソリューションからトランスコーディングサービスやライブストリーミングツールまで、さまざまなものを構築するための幅広いAPIを開発者に提供している。当然のことながら、ドルビーはMillicastの買収を利用して、同社の低遅延放送機能を備えたライブストリーミング用製品の強化を計画している。

「ドルビーにとってこの買収は、開発者や企業の機会を拡大するためのものです。Millicastの超低遅延ストリーミングによって、Dolby.ioのすでに豊富な機能を補完することができます」と、ドルビーの広報担当者は筆者に語った。

画像クレジット:Millicast(スクリーンショット)

Millicastの現在の顧客は、ドルビーのプラットフォームで慣れ親しんだ同じ機能に引き続きアクセスすることができる。両社の顧客層はすでにかなり重なっているとのことだ。

「ドルビーとMillicastは、光のように速く、水晶のように澄んだコンテンツを、何千人もの参加者に向けてストリーミングできる未来を実現したいという情熱を共有しています」と、MillicastのAlexandrine Platonoff(アレクサンドリーヌ・プラトノフ)CEOは述べている。「私たちが協力することで、世界中のお客様に超低遅延を提供し、あたかもその場にいるかのような仮想化された大規模な視聴体験を実現することが可能になります。私たちはドルビーの一員になれたことに興奮し、一緒にどんなものが作れるかを楽しみにしています」。

両社は買収額を明らかにしていない。近年のMillicastの業績は非常に好調らしく、起業家で投資家のKeith Teare(キース・ティア)氏は先日、同社が2021年に収益を300%以上伸ばしたことを紹介していた

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

顧客データパイプラインを企業戦略向けに拡大するRudderStackが約64.4億円調達

企業が経営分析やマーケティングを改善するための独自データプラットフォームの開発を支援するRudderStackが米国時間2月2日、Insight PartnersがリードするシリーズBのラウンドで5600万ドル(約64億4000万円)調達したことを発表した。これまでの投資家であるKleiner PerkinsやS28 Capitalも、このラウンドに参加し、2019年に創業した同社の総調達額は8200万ドル(約94億3000万円)になった。

データウェアハウスの急激な増大と機械学習の進歩により、企業はデータを有効活用するますます複雑なアプリケーションを作ろうとしている。しかしRudderStackのCEO、Soumyadeb Mitra(スーマイヤデブ・ミトラ)氏から以前聞いた主張によると、顧客データパイプラインの既存のソリューションの多くがマーケティングのチームに売り込むために作られており、企業が今求めている先進的なアプリケーションを作るのが困難なアーキテクチャを使用している。それに対してRudderStackのアーキテクチャは最新のデータスタックの上に置かれ、データウェアハウスをアーキテクチャの核にしている。

画像クレジット:RudderStack

また同社は、市場に別の角度からアプローチしている。ミトラ氏によると「従来的な顧客データプラットフォームはマーケティングの費目になるので、マーケティングに合った形をしている。しかしAmazonのような最先端の企業を見ると、顧客データのインフラストラクチャを作っているのはマーケティングチームではなくて、ほとんどエンジニアリングのチームと、データのチーム、ときにはグロウスのチーです。グロウスチームの中にもデータチームがいて、彼らがインフラストラクチャを作っている場合もある。私たちは、そのやり方を採用しています」という。

過去数年間でRudderStackは、Mitraが「配管工事層」と呼ぶものを整備した。すなわちすべての要素および統合がデータをデータウェアハウスから出し入れする。さらに今後については、チームは今、データのトランスフォーメーションや、ユーザーデータをセグメントに分けてオーディエンスを作るなど、その上に来る機能の構築に専念している。

多くの点でそれはまた、今ではTwilio傘下であるSegmentの最初のビジョンだが、しかしMitraの主張では、彼らのフォーカスは今ではもっぱらマーケティングにある。「私たちでもセグメント化は競合で優位に立つための機能だが、しかしバイヤーがマーケターではなくデベロッパーの場合は、他社との競合でつねに高い勝率を得ている」とミトラ氏はいう。

画像クレジット:RudderStack

ミトラ氏によると、2020年から2021年にかけては、同社の売り上げがおよそ4倍半に伸び、顧客ベースは3倍増した。今の顧客の中には、AllbirdsやWealthfront、Crate & Barrelなどがいる。チームの人員は3倍増して115名になったが、2022年はさらに増やすつもりだ。

新たに得た資金は主に、プロダクトの機能の増強と、市場開拓努力に投じられる。

Insight PartnersのマネージングディレクターPraveen Akkiraju(プラビーン・アキラジュ)氏は、これから彼が取締役会に加わるRudderStackについて次のように述べている。「RudderStackがユニークなのは、顧客データのエンド・ツー・エンドのデータパイプラインが、データウェアハウス向けに最適化されていることです。クラスで最良のアーキテクチャにより、データエンジニアは、複数のチームによるデータサイロの形成を防ぎ、データパイプラインを構築する能力を加速して先進的なアナリティクスと機械学習のユースケースを開拓できます。そのためのラウンドをリードして、Souymadeb(ソウイマデブ)氏と彼のチームがすばらしい顧客データプラットフォームと企業を構築していく仕事に参加できることは、ゾクゾクするような体験です」。

画像クレジット:Mint Images/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

MozillaがVRウェブブラウザ「Firefox Reality」の公開終了を発表

人気のVRウェブブラウザが終了する。米国時間2月3日、MozillaはVR環境で使用するために開発し、4年にわたって公開していたFirefox Realityブラウザを終了すると発表した。このブラウザを利用するとVRヘッドセットでウェブにアクセスし、マウスではなくVR用ハンドコントローラを操作して、URLへのジャンプ、検索、2Dと3Dのインターネットのブラウズなどができる。

関連記事:MozillaのVR用ブラウザーFirefox Realityが完成、VRがWebのふつうのコンテンツになる日も近い?

Firefox Realityは2018年秋に初めて公開され、Viveport、Oculus、Pico、Hololensのプラットフォームでアプリストアから入手することができた。2Dのウェブを閲覧できる一方、この新しいテクノロジーを使ってウェブの3Dコンテンツ、例えば360度パノラマ画像やビデオ、3Dモデル、WebVRゲームなどのブラウズや操作ができると期待された。しかし米国時間2月3日の発表で、Mozillaはこれまでダウンロード可能だったアプリストアから「数週間」以内にブラウザが削除されると述べた。

Mozillaはその代わりとして、今後もVRでウェブブラウザを利用したいユーザーは、Firefox Realityのソースコードに基づいてIgaliaが公開するオープンソースのブラウザ「Wolvic」を使うように案内している。Wolvicは2月7日の週にダウンロードできるようになるので、ユーザーにとってはブラウザがなくなってしまうわけではないが、乗り換えが必要となる。

IgaliaはXR分野への取り組みを全面に押し出している。XRとは、VRやAR、そしてこれに類するテクノロジーの総称として使われる言葉だ。Igaliaは同社の発表の中で、この分野に対するMozillaの取り組みが行き詰まっていると感じていたことを示唆し、実験を引き継いで「この取り組みを継続してプロジェクトを完成させる」ことに意欲を示している。

Igaliaのウェブサイトに掲載された発表には、以下のように書かれている。「Igaliaは、XR分野にとってウェブは多くの点で重要であると確信しています。没入型OSを提供するXRシステムには、その一部としてウェブブラウザが必要です。ウェブ上にすでに存在するものに一切アクセスせずに『リアリティ』に入っていくことは、かなり難しいでしょう。そしてWebXRはブラウザ自体から得られる情報をたどり、共有し、体験するための新しい手段となります。没入型OS向けブラウザの再考は新しい領域であり、なぜ新しいかといえばブラウザの選択が現在は限られているからです」。

公開時点では、WolvicブラウザはOculus、HTC Vive Focus、Pico Interactive、Daydream、HuaweiのARメガネ、オープンソースのLynxデバイスで動作する。ただし2月7日の週に公開されるブラウザはMozillaがこれまでのブラウザで提供していた機能の一部を移行中であるため、まだベータ版だ。

Igaliaは今後2年間ブラウザのプロジェクトに取り組む資金の一部を確保したが、健全なエコシステムを構築するにはさらにパートナーを見つける必要があると述べ、関心のある人はメールで連絡して欲しいと呼びかけている。

Firefox Realityの終了を決めた理由について、MozillaはWebVRやWebARといった新しいテクノロジーの開発は支援するが、そうしたテクノロジーのホストやインキュベートを長期にわたって継続するとは限らないと説明している。WebAssembly、Rust、Servoのように、プロジェクトを継続できる他の組織を見つける場合もある。もちろん、かつてたいへんな人気を誇ったウェブブラウザのFirefoxで一般ユーザーに今でもよく知られている組織として、最新のブラウザ技術の将来は別の組織に引き継いでいる。

画像クレジット:Mozilla

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

企業内で増大し複雑化するSaaSの管理を簡単にしてくれるTorii

Toriiの創業者たち。左からウリ・ハラマティ氏、Uri Nativ(ウリ・ナティフ)氏、Tal Bereznitskey(タル・ビリニシツキ)氏)。(画像クレジット:Torii)

ソフトウェアの爆発的な普及によって、多くの企業が少なくとも100種類以上のSaaSアプリケーションを使用しているが、そうしたソフトウェアを管理する世界は、以前に比べてより分散化され、より複雑になっている。

SaaS管理ツールのTorii(トリー)は、企業全体が使用しているクラウドアプリをまとめて管理することが可能で、すべてのアプリを探せるだけでなく、投資収益率を最適化するための対策を自動的にとってくれる。

TechCrunchが同社を取り上げたのは、2021年2月にWing Venture Capitalが主導するシリーズAで1000万ドルの調達を発表したときだった。Toriiの創業者でCEOのUri Haramati(ウリ・ハラマティ)氏は、年間経常収益が300%以上増加したこの1年を「私たちにとって非常にすばらしい年」と振り返る。

「行ったすべてのことにおいて、大きな成長が見られました」と彼は付け加えた。「それは、このラウンドに導いたパンデミックの動きと、誰もがクラウドに移行し、より多くのツール、より多くの科学的アプローチ、より良いコントロールを採用したという事実から始まったのです」。

収益の向上に加えてToriiは、Instacart(インスタカート)、Carrier Corporation(キヤリア・コーポレーション)、Bumble(バンブル)、Athletic Greens(アスレチック・グリーンズ)、Palo Alto Networks(パロアルト・ネットワークス)といった顧客と協力ながら、シリーズA直後には15人だったチームを70人にした。その内容は基本的に、市場開拓、マーケティング、カスタマーサクセスの各チームの強化とともに、セールスおよびマーケティング担当のバイスプレジデントを加えるといったリーダーシップチームの強化だった。

今回Toriiは、Tiger Global Managementが主導するシリーズBで5000万ドル(約57億2000万円)の資金調達を行い、資金調達の総額は6500万ドル(約74億4000万円)となった。Wing、Global Founders Capital、Uncork Capital、Entree Capital、Scopus Venturesなどの既存投資家も参加している。

ハラマティ氏は、今回のシリーズBをもう少し行う予定だったが、ソフトウェアの進化のスピードに会社がついていく必要があった。顧客が抱える主な問題の中には、コストと無駄の問題がある。複雑さが原因で無駄の割合が増加しており、ツールの追加が進むにつれて、ソフトウェアにかかるコストも増大している。

さらにセキュリティも加わり、あらゆるものが接続され、データが以前よりもはるかに簡単に流れるようになった今、別の問題や苦痛の種が生まれている、と彼は付け加えた。

実際、Toriiの顧客データによれば、企業は毎月平均19個の新しいクラウドアプリケーションを追加してる。そのうちの75%は、未承認、未審査、または会社のセキュリティポリシーに準拠していない可能性がある。それだけでなく、アプリのライセンスの平均35%が未使用または無駄になっている

ハラマティ氏は「2年前、3年前と比べても、問題の本質は変わらず、ただ規模が大きくなっています」という。「みんなの邪魔をしているとは言われたくないでしょう。大多数の従業員はテクノロジーを利用していますが、そのテクノロジーが標準以下の場合、40%の従業員が離職することがわかっています」。

シリーズBの資金を得たハラマティ氏は、資金の大半を製品エンジニアリング、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスを中心としたチームの強化に充てる予定だ。2022年末には200人に成長することを目指している。また、顧客のエコシステム全体をつなぐことができるように、現時点で130以上を数えるツールとの統合をさらに進めていきたいと考えている。

一方、Wing Venture CapitalのパートナーであるJake Flomenberg(ジェイク・フローメンバーグ)氏は、SaaS管理の分野は彼がずっと以前から考えていた分野だという。フローメンバーグ氏は企業が「パズルの小さなピースをやりくりしている」のを眺めていたが、彼はハラマティ氏と彼のチームに出会って初めて、熟慮されたデータの収集と分析がどのようなものなのか、また熟慮された自動化とオーケストレーションがどのようなものなのかを目の当たりにした。

フローメンバーグ氏は「もし本当に重要なビジネス上の意思決定を行い、物事の自動化やオーケストレーションを始めようとするならば、4分の3程度の正確さのデータでは始めたくありません」という。「SaaSの崩壊は現実的なものになっていて、現時点ではカオスと呼ぶにふさわしいものになっています。利用者は自宅で好きなように振る舞うだけなので、管理するのは不可能です。IT担当者が容易に現状を把握できて、さらに大きな影響を与えることができる仕事に向かうことができるなら、それこそがToriiが向かっている方向であり、私に喜んで投資させたきっかけなのです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

NetlifyがQuirrelを買収、サーバーレスファンクションの管理をプラットフォームのメニューに

Netlifyは多くの点で資金状態も良好で、以前はJamstack運動を始めた企業でもあるが、米国時間2月1日はQuirrelを買収したことを発表した。ここはサーバーレスのファンクションを管理し実行するオープンソースのサービスだ。

Quirrelの創業者であるSimon Knott(サイモン・ノット)氏は、広く使われているReactフレームワークBlitz.jsのメンテナーでもあるが、この買収の前にQuirrelは一度も外部資金を調達していない。Netlifyの投資家の1人がQuirrelを紹介し、そのあと、2021年の半ばに秘かに買収が行われた、とNetlifyのCEOであるMatt Biilmann(マット・ビルマン)氏がいう。

かなりの額を調達しているNetlifyが、買収によって成長を加速しプロダクトを拡張することは、目下のところ当然だろう。数年前にはNetlifyはまだJamstackのコンセプトをいちいち説明しなければならなかったが、現在ではいろいろな競合他社が存在し、中でもVercelは11月に1億5000万ドル(約171億5000万円)のシリーズDを発表、その前の6月には1億200万ドル(約116億6000万円)のシリーズCを発表している。

これはNetlifyにとって3度目の買収だ。最初は同社はY Combinatorが支援する、デベロッパーコラボレーションサービスFeaturePeekを5月に買収した。11月には、これまたY Combinator卒のGraphQLスペシャリストOneGraphを買収。その少し前にNetlifyは、1億500万ドル(約120億1000万円)のシリーズDを発表している。

画像クレジット:Netlify

「私たちがどこにいたいのか、どこへ行きたいのかは非常にはっきりしている。だからもちろんその、ウェブはこうあるべきだという私たちの目的意識に合致したとてもクールで小さなスタートアップを見つけたときには、うれしい。それらの一部は、提携して一緒に仕事をするほうがいいだろう。あるいは今回のように、一緒になってしまう方が良いケースもある」とビルマン氏はいう。

買収後もオープンソースプロジェクトはQuirrelという名称のままだが、Netlifyはすでに、その背後にあるアイデアの多くを自分のプラットフォームに統合する作業を開始している。同社がそのサーバーレスのプラットフォームをローンチしたのは2018年だ。その後、同社のサービスの中核的な機能になったが、しかしファンクションとバックグラウンドのタスクを一定のスケジュールで実行するためのスケジューリングは、Netlifyのデベロッパーたちにとってやや難題だった。

画像クレジット:Netlify

「デベロッパーが実現したい目的にとって、そうした種類のジョブはとても重要です。Quirrelのサイモンはそれを、大量の構成や古めかしいcronジョブのリストにしないやり方を見つけた。彼にはそれが、普通にコードを書くような感覚でできるのです」とビルマン氏は説明する。

しかしNetlifyとQuirrelとではスケールが違うため、デベロッパー体験をQuirrelの本来のビジョンに合わせるために、インフラストラクチャの多くを再構築しなければならない。ビルマン氏はそれを、第一原理から行うと説明する。同社のスケールが違うからではなく、Netlifyの哲学として、そのサービスの中核的な抽象化は特定のプラットフォームに依存していてはならないからだ。Quirrelの場合は、Blitz.jsが特定のプラットフォームだろう。

Quirrelのユーザー体験に基づくNetlifyの新しいスケジューリング機能は、Netlify Labsから無料で利用できる。Labsは、同社が新しい機能のベータテストをする場所だ。ということは、機能の一部が今後変わるかもしれないし、課金の方針も決まるだろう。でも今のところは、デベロッパーたちがこのサービスをどのように使うかを見て、プロダクトを調整していきたいのだ。

画像クレジット:Yuichiro Chino/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

リストラから2年経ったDockerが4倍増の年間経常収益を達成してコンテナ化市場にカムバック

2013年に創業したオープンソースのコンテナ企業Dockerにとって、至近の2年は確かに波乱の年だったが、それでもやっと正常な財務基盤を再び見つけたようだ。米国時間2月1日、同社は、最前の年間経常収益(ARR)が前年比で4倍増し、5000万ドル(約57億4000万円)を超えたと発表した。

2019年以降、混迷していた同社にとってそれは見事なカムバックだ。同年、CEOのSteve Singh(スティーブ・シン)氏はその座を去り、短い期間、Rob Bearden(ロブ・ビアーデン)氏に代わった。そのすぐ後に同社は、主な収益源だったエンタープライズ事業を手放し、長い間、役員だったScott Johnston(スコット・ジョンストン)氏はCEOに昇格した。

当時、同社は新たに資金を調達して、出直しすることになっていた。実際のところ同社は、シリーズAの企業としてその投資を受け取った。同時に同社は、開発者を主軸とする新しい戦略を実装し、400名いた社員をわずか60名に減らした。その数カ月後に、パンデミックの第一波が襲った。不安定な時期を乗り切らなければならなかったジョンストン氏にとってそれは、容易な時間ではなかった。

ジョンストン氏は「2019年11月はリスクと不確実の時期だったが、私たちは市場の追い風を信じ、また弊社プロダクトへの開発者の愛を信じて、チーム一丸となってデベロッパーにフォーカスし、優れたプロダクトをお届けするとともに、まっとうなビジネスを築いていった」と述べている。

Dockerはその不確実な中にあって、いくつかの利点を抱えていた。1つは、開発者間における広範なブランド認知であり、アプリケーションのコンテナ化といえばDockerという定評があった。それはソフトウェアを、1つの一枚岩的なアプリケーションではなく、クラウド上の個々のサービスの集まりとしてパッケージし配布する方式だ。

さらに同社には大量のオープンソースのコードがあり、それは営業の糸口にもなりうるものだった。そのため同社の無料のプロダクトのユーザーを有料の顧客に変えていく可能性もあった。ARRの急増から見ると、2021年はまさにその変化が増加傾向で起きたようだ。

初期の構造改革の目標は、ブランドに対するデベロッパーの愛着や信頼を軸として、彼らに無料のオープンソースのプロダクトを提供し、彼らの何割かを時間をかけて有料のプロダクトのユーザーに変えていくというものだった。それは、Docker Enterpriseを主に企業のITに売っていた頃に比べるとまったく違うアプローチであり、デベロッパーとその管理者を顧客の中心に据えるものだった。

この、プロダクトが引っ張る形の成長は商業的にも成功し、管理者たちが関連の商用ツールを買い始めた。「デベロッパーが無料のプロダクトで良い経験をし、チーム全体としてもツールを使うようになると、そこには管理者の機能もあるから、彼らは金を払ってでも使おうという気になる」とジョンストン氏は述べる。

彼はさらに「ブログにも書いている私たちのパフォーマンスの向上は、大きな企業がそんな生産性上の利点を理解しているからこそのものだ。彼らは管理レベルのセキュリティツールを有料で利用し、その全社的な採用を可能にしています」という。

Dockerは2013年に創業し2019年にリストラしたが、そのとき、そのエンタープライズ事業をMirantisに売り、Benchmark CapitalとInsight PartnersがリードするシリーズAで3500万ドル(約40億2000万円)を調達した。そして2021年3月には、2300万ドル(約26億4000万円)のシリーズBを手中に収めた

リストラのとき、私は次のように書いた。「このやり方が有効かまだわからないが、ジョンストン氏はこれを前に進むための道だと見ている。この戦略の有効性は、時間が教えてくれるだろう」。

ARRは5000万ドルを超えたが、陪審員たちはまだ審議中かもしれない。でも確実にいえるのは、同社が正しい方向に向かっているということであり、多くの投資家たちも満足だろう。この勢いを、失わないようにして欲しい。

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

元Symantec・McAfee幹部によるIsland、セキュリティ重視のエンタープライズ向けブラウザで脱ステルス

ダラスを拠点とし、Chromium(クロミウム)ベースのエンタープライズ向けブラウザを開発しているスタートアップ「Island(アイランド)」が、約1億ドル(約114億7000万円)の資金を得てステルス状態から脱却した。

Islandによると、同社が約2年前から開発を進めてきた、わかりやすい名前の「Enterprise Browser」は、既存のコンシューマー向けブラウザと、ますます複雑化するエンタープライズのIT・セキュリティ要件との間にあるギャップを解消することを目的としているという。

Symantec(シマンテック)で社長兼COO、McAfee(マカフィー)でGM兼CTOを歴任したIslandのMike Fey(マイク・フェイ)CEOは、TechCrunchの取材に対しこう語った。「企業内で最も広く導入されているアプリケーションはブラウザですが、それはコンシューマー向けに設計されたものです。一般の消費者は、無限の自由を求めています。好きなものをインストールし、好きな場所に行き、問題なくブラウザを使って何でもできることを望んでいます。ですがエンタープライズの場合は、顧客データが安全であること、重要な情報が保護されていること、そして顧客が良い体験をしていることを確かめる必要があります」。

Islandのブラウザは、Google ChromeやMicrosoft Edge、BraveやVivaldiなど、多くの主要なブラウザを支えているオープンソースプロジェクトであるChromiumをベースにしている。これにより、企業のアプリケーションやデータに対する重要なセキュリティコントロールとガバナンスを組み込むことが可能になり、ブラウザを親しみやすいものにできるという。

このブラウザは、重要なSaaSや社内ウェブアプリケーションをデータ漏洩から守り、契約社員やBYODワーカーに安全なアクセスを提供し、セキュリティチームがコピー、ペースト、ダウンロード、アップロード、スクリーンショットなど、重要なデータを漏洩させる可能性のあるラストマイル操作を制御することを可能にする。また、セーフブラウジング、Webフィルタリング、Webアイソレーション、エクスプロイト防止、スマートネットワークルーティング、ゼロトラストアクセスなどのセキュリティ機能を内蔵している。

フェイ氏はこう語る。「この製品は、エンタープライズ向けの無限のラストマイル・コントロールを備えたブラウザと考えてください。私たちは、環境を強化し、アイテムを暗号化し、より多くのコントロールを提供しています。必ずしもハッカーを排除するわけではありませんが、(彼らの)勝利を排除しているのです。実際には、ハッカーがアクセスしたいデータが、彼らが盗めるようなエンドポイントに置かれていないということです」。

100人以上の従業員を擁するIslandは、Insight Partners、Sequoia Capital、Cyberstarts、Stripesなど、アーリーステージの有力投資家から1億ドル(約114億7000万円)近い資金を獲得した。同社はTechCrunchに対し、今回の投資をスタッフの増強と市場投入戦略の拡大に活用すると述べている。

「才能の点で妥協することなく、できるだけ早く200人のエンジニアを確保したいと考えています」とフェイ氏はいう。「それだけの素晴らしいエンジニアを見つけるのに可能な限りのスピードで、増員していきます」。

同社は、すでに次の資金調達も視野に入れているという。「シリーズAやシリーズBは当然あるでしょうし、私たちの夢や希望を実現するためには、近く資金を調達しなければなりません」とフェイ氏は語った。

画像クレジット:Island / YouTube(video)

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(文:Carly Page、翻訳:Aya Nakazato)