Google Home Hub vs. Amazon Echo Show 2 vs. Facebook Portal、それぞれの特長

カウンタートップを争う戦いが始まった。Google、Amazon、Facebookの3社がみな今月、スマートディスプレイの新製品を発表した。いずれも、IoT化される未来の家庭の中心に座ることをねらい、家族のコミュニケーションを担おうとしている。

149ドルのGoogle Home Hubは、安くてプライバシーが保てるスマートホームコントローラーだ。

229ドルのAmazon Echo Show 2は、Alexaを視覚化する。

そして199ドルのFacebook Portalと349ドルのPortal+は、Smart Lensによる自動的なズームイン/アウトでチャットの話者を画面中央に捉える。

消費者の最大の検討項目は、プライバシーの安全、ビデオチャット機能、今後のスマートホーム構想との相性、そしてお値段だ。

  • プライバシーが気になる人にとっては、GoogleのHome Hubが唯一、カメラがなくて149ドルとめちゃ安い。
  • プライバシーが気にならない人なら、FacebookのPortal+が画面がきれいでビデオチャットもできる。
  • チャット大好き人間なら、Amazon Echo Show 2がAlexaによるメッセージングとビデオチャットを提供している。電話もかけられるし、Skypeもできる。

ブランドを選り好みしないなら、Lenovo Smart Displayはどうだろう。そのスタイリッシュなハードウェアは、10インチ1080pバージョンが249ドル、8インチ720pバージョンが199ドルだ。

そしてオーディオファン向けには、199ドルのJBL Link Viewがある。

これら二つはGoogleの技術を利用し、本家Googleの製品よりも早く発売された。でも私見では、今後の製品改良のピッチは、本家の方が積極的ではないだろうか。それはAmazonやFacebookの、今後のサードパーティ製品についても言える。

下の表は、Google、Amazon、Facebookの計4製品(Facebookが2製品)の特長を詳細に比較している:

more Google Event 2018 coverage

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google+を振り返る

ついにGoogle+が終わる。本日(米国時間10月8日)Googleは、利用者と開発者の不足、低い利用率と定着率を理由に、そのコンシューマー向けソーシャルネットワークを段階的に終了していくことを発表した。おっと、データ漏洩もその理由の1つだ。ソーシャルネットワークのパフォーマンスの悪さも明らかにした。Google+のユーザーの90%が一度に5秒以下のアクセスしか行っていないのだ。あらら。

しかし、ずっとそうだったわけではない。かつてのGoogle+は、Facebookによるソーシャルネットワーキング支配を打ち砕くための真剣な挑戦としてみなされていて、初期の頃は大歓迎されていたのだ。

2011年

6月:発表

Googleが新しいソーシャルネットワーキングのアイデアを発表したのは、2011年6月のことだった。とは言え、それはソーシャルに対する初の進出ではなかった。Googleは、ソーシャルネットワーキングサービスを何らかの形で提供しようと数々の試みを行っていた。例えばOrkutは2004年に開始され、2014年秋に閉鎖された。2008年にはGoogle Friend Connect(2012年に閉鎖)、 2010年にはGoogle Buzz(翌年には閉鎖)といった具合だ。

しかしGoogle+は同社が試みた最も重要な試みだったのだ、その当時彼らは「私たちは、オンライン共有は壊れていると思っています」と高らかに宣言を行っていた。

最高機密プロジェクトは、その公開に先立ち、数々のリークのターゲットとなった。このことで人びとは生まれようとしているプロジェクトに関心を抱くことになった。

Vic GundotraとBradley Horowitzに率いられたGoogleのソーシャルへの処方箋は、ユーザー自身に連絡先のグループ(”Circle”と呼ばれた)を作ることを許し、そのことでソーシャル共有に対して、より多くのコントロールが可能になるようにすることだった。つまり、家族や親しい友人と共有するのに適したものがある一方、同僚、同級生、または同様の関心(例えば、自転車や料理など)を共有する人たちと分かち合うことの方が、より意味のあることもある。

しかし、グループをユーザー自身が作ることは面倒な作業になりがちであるため、実際にそれを行うことは難しい。しかしGoogleは、その代わりに、連絡先の整理が簡単に感じる(場合によっては楽しくさえ感じる)巧妙なユーザーインターフェースをデザインした。幾つかの議論もあった。それはまた、当時のFacebookが提供していた連絡先整理システムよりも優れていた。

そして次には、皆がそれぞれのCircleを、小さなプロフィールアイコンをドラッグ&ドロップすることでセットアップして、その新しくできたマイクロネットワークに対して、投稿したり写真をアップロードしたりすることができた。

もう1つの重要な機能である”Sparks”は、ユーザーの特定の関心事に関連するニュースやコンテンツを見つけ出すのに役立った。このようにすることで、Googleは、Facebookのように、ユーザーが「いいね!」をするためのトピックページを用意することなく、人びとが気に入って追跡したいものを理解することができた。しかもそれはまた、新しいタイプの検索への道を開いた。青いリンクのリストを返すだけでなく、Google+の検索は、対象のトピックに関連するユーザーのプロフィールや、マッチングするページ、その他のコンテンツを返した。

Google+はHangoutsも導入した。これはCircleのひとつの中で、一度に最大10人のビデオチャットを行うことができる手段だ。

当時、その実装はまるで魔法であるかのように説明されていた。 これは、ソフトウェアが話す人に焦点を当てるやりかたや、全員がチャット内でコンテンツを共有できる方法などの、いくつかの革新的な機能によるものである。

初期の成長は有望に見えた

2週間のうちに、Googleは成功を手にしたように見えた、なにしろネットワークの利用者は1000万人に達したのだ。開始後わずか1ヶ月後には、その人数は2500万人に成長した。2011年10月までには、その数は4000万人に達した。そして年末までには9000万人。Googleがサインアップ人数だけを追跡していたとしても、それはFacebookに対する大いなる脅威のように見えていた。

しかし、FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグは、Google+に関する最初のコメントの中で、Facebookのいかなる競合他社も、価値を持つためにはソーシャルグラフを構築しなければならないことを、賢く指摘した。当時7億5000万人のユーザーを抱えていたFacebookは、既にこれを行っていた。Google+のサインアップ人数は増えていたものの、ユーザーたちが時間経過とともに、アクティブなままでいてくれるかどうかは、依然不透明なままだった。

また初期の段階から、Google+が非友人を取り込んでいることがいずれ問題になる兆候は見られていた。ネットワークが不必要な通知によってスパムだらけになってしまったために、開始して数カ月後にはブロックメカニズムを導入しなければならなかった。その後何年も、スパムを制御できないことが大きな問題になっていた

2017年後半になってもまだ、人びとはスパムがGoogle+を使えないものにしていると訴えていたのだ。

7月:ブランドと実名ポリシーに対する反発

Facebookと競争するために、Google+もまた「実名」のポリシーを強制した。これは、ペンネームやニックネームを使いたいと思っていた多くのユーザーたちを怒らせた。特にGoogleが規約違反を盾にそうした人のアカウントを削除し始めたときに、怒りはますます激しくなった。これは単にソーシャルネットワークへのアクセスを失う以上に大きな問題だったのだ。なにしろGoogleアカウントを失うということは、Gmail、ドキュメント、カレンダー、その他のGoogleサービスへのアクセスが失われることを意味していたからだ。

同社はまた、ブランドのページの取り扱いをしくじった、全てのビジネスプロフィールを、不用意なやりかたで禁止したのである。後にGoogle自身が、それがある意味誤った対応だったことを認めている

実際には、これらの問題は何年にもわたって修正されないままだった。エリック・シュミットは、もし本名を使用したくない場合には、別のソーシャルネットワークを見つけることを提案していたと言われている。人を見下したような物言いだ。

8月:ソーシャル検索

Google+は8月にGoogle検索に登場した。同社は、ユーザーがサインインしているときに表示される「ソーシャル検索」の結果にGoogle+への投稿が表示されるようになると発表した。Googleははこの新しい機能を「検索プラスあなたの世界」と呼んだ。しかしその「あなたの世界」の切り口は極めて限られていた。なぜなら友人やフォロワーたちとFacebookやTwitterの上で共有している投稿を見ることはできなかったからだ。

2012年

1月:Google+アカウント作成の強制

言うことを聞かないならば、強制するまでだ!Googleは、Gmailにサインアップするためには、ユーザーにGoogle+アカウント取得を要求するようになった。 それはユーザーフレンドリーな変更ではなく、あとに続く強制的な統合の始まりとなった。

3月:批判が集まる

TechCrunchのDevin ColdeweyはGoogleはソーシャルの長期的な運用に失敗したと主張し、Google+の試みはあまりにも野心的過ぎたと述べた。全てのネットワークが本当にその”+1″ボタンで始まるべきだった ―― そのクリックによってやがて検索対象とできるユーザーに結びついた大量のデータが生成される(ディフォルトはプライベートだが別の場所へとシェア可能)。

6月:イベントスパムが蔓延する

Google+ではスパムが問題のままである。このときは、Google+とカレンダーのようなミッションクリティカルな製品との「賢い」統合のおかげで、イベントスパムが登場した。

ユーザーたちは他の人たちがこちらを「招待」でき、それが自動的にカレンダーの上に現れるようになったからといって喜んではいなかった。しかも参加することを決めていないイベントに対してもそれが行われたのだ。このことはGoogle+を使うことが大きな間違いのような気分にさせた。

11月:Hangoutsが進化する

Google+の立ち上げの翌年、Hangoutの周辺では既に沢山のアクティビティが行われていた。それは興味深いことに、元のGoogle+を出て長生きすることになった製品のうち、最も大きなものの1つになった。

ビデオは正しく取り組むことが難しい分野だった ―― それがSkypeのようなビジネスがまだ繁栄している理由なのだ。そしてHangoutsは友だちや家族がGoogle+の中で使うようにデザインされていたが、Googleは既に企業たちが、このテクノロジーをミーティングに利用していることや、NBAのようなブランドが、ファンとの交流をするために使っていることを知っていた

12月:Google+がコミュニティを追加

Google+の中で、ユーザーの関心へ焦点を当てる流れは、コミュニティの立ち上げでこの年も進化を続けた。これはサイト上に人びとがトピックベースのフォーラムを作り出す手段だ。成長が減速していたために、消費者の関心をより多く引きつけられることを期待して、この動きは行われた。

2013年

それは目的地ではない。それは「ソーシャルレイヤー」だ!

Google+は「Facebookキラー」としての役割を果たしていなかった。 エンゲージメントは低く、使われ方はまちまちで、主流の利用者たちではなく、テクノロジーのアーリーアダプターだけによって使われているだけのように見えた。そこで新しい計画は、Google+をFacebookのような目的地のウェブサイトではなくGoogleのプロダクトを支えるソーシャルレイヤーにするという方向に賭けるものになった。

Googleは既に、開始直後からGoogle+をGmailと連絡先に統合していた。2013年6月には、Gmailからブランドのページに移動する方法を提供した

その後、Google Talk(別名Gchat)とGoogle+ Messengerを、Hangoutsに統合することを決めた。

そしてBlogger向けのGoogle+コメントシステムを開始した。

そしてサードパーティサイトのGoogleログインを、Google+ログインに置き換えた

いずれも少々やりすぎだった。

9月:Google+がYouTubeに侵入する

それから、最も議論を呼んでいるものだが、YouTubeのコメントを引き継いだのだ 。YouTubeにコメントしたい場合には、Google+アカウントが必要になったのだ。

言い換えるなら、もしGmailの2億人以上のユーザーがGoogle+を盛り上げることができるなら、YouTubeの何百万ものコメントにも同じことを期待できるとGoogleは考えたのだ。

少なくとも、ユーザーは幸せではなかった

これは、人びとがどれほどGoogle+を愛していなかったを示す顕著な指標となった。YouTuberたちは完全に怒っていた。1人の少女が、こうした動きに合わせて冒涜的な曲を書いているほどだ。その歌詞と言えば… 「あなたは私たちのサイトを台無しにして、それを『統合』(integration)と言うのね/私たちの欲求不満をぶちまけるためにこの曲を書いてるの/クソッタレ、Googleプラーーース!」

GoogleはまたGoogle+のことを、5億人のユーザーを抱える「アイデンティティレイヤー」としても語り始めた。

2014年

4月:Google+の父、Vic GundotraがGoogleを去る

Google+はその創始者を失った。2014年4月、Google+の父であるVic Gundotraが退社することが発表された。GoogleのCEOであるラリー・ペイジはその時に、Google+ソーシャルネットワークにはまだ投資の余地があると語ったが、これはGoogleのアプローチに変化が訪れつつある兆候だった。

元TechCrunchの編集者であるAlexia Bonatsos(néeTsotsis)と編集者Matthew Panzarinoは当時、Google+はもはやプロダクトではなくプラットフォームになるのだと聞いて、Google+は「生ける屍」であると書いている(記事の原題が”Google+ Is Walking Dead”だった)。

過去の強制的な統合は、GmailやYouTubeのように後退して、チームは再編された。

7月:Hangoutsが自由に

おそらく最も注目すべき変更の1つは、Hangoutsが自由になったことだ。Hangoutsはとても魅力的なプロダクトだった…Google+に縛り付けておくにはあまりにも重要なものだったのだ。2014年7月、HangoutsはGoogle+アカウントなしで動作し始め、ビジネスに展開されて、それ自身のSLAを発行するようになった。

7月:Google+が「実名」ルールを破棄し、謝罪した

Gundotraが辞めた後、Google+が変化していることを示すまた別の兆候は、ユーザーの怒りを招いた3年後に訪れた、「実名」ポリシーの放棄だった。

Googleは、2012年1月に旧姓やニックネームの登録を許すルールを開始することで、実名ポリシーの緩和を始めていたが、それでも依然として、選択された名前と一緒に実名も表示していた。それは人びとが望んでいたものとは違っていた。

ようやくGoogleは実名に関わる決定に対して正直に謝罪し、この変更がユーザーに戻ってきてもらう役に立つことを期待した。しかしの期待は叶わなかった。遅すぎたのだ。

2015年

5月:Googleフォトが自由に

Hangoutsに続いてGoogleは、Google+の写真共有機能も、独自のスタンドアロンプロダクトに値すると考えた。

Google I/O 2015でGoogleは、Google Photosの改訂を発表した。この新製品は、もともとGoogle+の中で生まれたAIや機械学習機能を利用していた。このことには、ユーザーが人物、場所、物事の写真を検索できるようになるだけでなく、Google +の自動写真改善機能(”auto awesome”)のアップデートも含まれており、これによってGoogle PhotosのAssistantはより強力なものとなった。

Google+ Photosが2015年8月に終了した後のその年の後半、Google Photosは月間アクティブユーザーの数が1億人へと拡大した

7月:YouTubeからGoogle+が取り除かれた

2015年7月、GoogleはGoogle+とのYouTubeの統合を逆行させた。こうしてYouTubeのコメントはGoogle+の上にではなく、YouTube上に留まることになった。

人びとはこれに満足したが、Google+に戻りたくなるほど満足したわけではなかった。

11月:全く新しいGoogle+が公開された

Google+は2015年11月に大きく改訂された

Googleのフォトストリーミング担当でプロダクトディレクターでもある副社長のBradley Horowitzは、Google自身のデータが示した有効なものの周りにGoogle+を再デザインするチームを構成した。その有効なものとはコミュニティとコレクションである。基本的に新しいGoogle+は、ユーザーとその関心に重点を置いていた。トピックの周りに人びとのネットワークを作ることはできるが、必ずしも個人的なつながりではない。

Googleでは、About.meのようなサイトの代替品として、“About Me”ページも展開した

新しいサイトには色とりどりのペイントが施されていたが、牽引力は回復しなかった。

2016年

1月:AndroidゲーミングサービスからGoogle+を取り除いた

Googleは、Google Playゲームサービスを利用するためにソーシャルネットワークにアカウントを設定するという要件を廃止することで、Google+をまた別のコア製品から切り離した。

8月:PlayストアからGoogle+を取り除いた

引き離しはさらに続いた。Google Play Storeがユーザーがレビューを書くためにGoogle+アカウントを要求することを止めたのだ

Horowitzはその当時、Googleはユーザーたちから「Google+のプロフィールを、利用する全てのGoogleプロダクトのアイデンティティにすることには意味がない」と言われ、その声に応えていくことになったと説明した。

8月:Hangouts on AirがYouTube Liveに移動

ソーシャルネットワークの最後の独自機能であったHangouts on Air(Hangoutを広く配信する手段)が2016年にYouTube Liveに移動した

2017年

Google+はかなり静かになった。サイトはまだそこにあったが、Communityはスパム一杯だった。Communityのモデレーターたちは、とても対応が間に合わないと訴えた。この問題に対するGoogleの不注意な態度は、Google+の大規模な実験が終了する可能性があることを示す兆候そのものだった。

1月:古いデザインを段階的に廃止

Google+は2015年後半に最初にプレビューされた、新しいデザインへの変更を強制した

2017年1月には、古い外観に戻すことができなくなった。またサイトが「死んでいる」という巷の風評に対抗するために、Google+の上で人気のあるグループを選び出すのにも時間がかかるようになった。(まあ実際には死んでいたのだが)。

8月:Google+が+1ボタンの共有数の表示をやめた

2012年春に開始された、どこにでもある”+1″ボタンは、改訂されていた。それはもうシェアの数を表示することはない 。Googleはこれを、ボタンの読み込みをより迅速に行うためだと言った。しかし本当の理由は、シェア数を目立たせる価値がなくなっていたせいなのだ(とはいえその後 “+1” ボタンのデザインも変わり、シェア数表示も復活しているようだ)。

2018年

2018年10月:Google+が自身のCambridge Analytica問題に出会う

Googleが3月に発見するまで、セキュリティバグにより、サードパーティの開発者がGoogle+のユーザープロフィールデータに2015年からアクセス可能な状態になっていた。だが同社はそれをユーザーに知らせないことにした。合計で49万6951人のユーザーの、フルネーム、電子メールアドレス、生年月日、性別、プロフィール写真、住んでいる場所、職業、および関係の状態が漏洩する可能性があった。Googleは、データが悪用されたという証拠はないが、このコンシューマーのためのGoogle+サイトは、利用者の少なさを考えて、閉鎖することを決定したと言う。

Cambridge Analyticaのようなデータの不正使用によるスキャンダルは、FacebookTwitter評判を傷つけたが、Google+には同じような悪影響は見られない。結局のところ、Googleはもはや、Google+をソーシャルネットワークであると主張していなかったのだ。そして、それ自体のデータが示すように、残っていたネットワークの大部分が放棄されていた。

しかし、同社には依然として多くのユーザープロフィールデータが蓄積されており、リスクにさらされていたのだ。これによって、議会による質問を受けたり、規制に関する政策立案者の議論の場に呼び出されるという意味で、Googleがより活動的な他のソーシャルネットワークと同じような命運に晒される可能性もある。

となると後知恵に過ぎないが、Googleにとっては、Google+を何年も前に閉鎖しておいた方が良かったということになるのだろう。

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(翻訳:sako)

Facebookデータ流出の対象EUユーザーは最大500万人、罰金は最大16.3億ドル

先日のFacebookのデータ流出で影響を受けた5000万人のうち、EU圏内の居住者は10%以下だったことを、同地域のプライバシーを管轄するIrish Data Protection Commission(IDPC、アイルランドデータ保護委員会)がツイートした。それでもFacebookは、最大16.3億ドルの罰金を課される可能性がある。これは前会計年度の全世界売上である407億ドルの4%に相当し、Facebookがユーザーのセキュリティーを十分に保護していなかったとEUが判断した場合に適用される。

Facebookは、IDPCのツイートへの 返信で、「当社はIrish Data Protection Commissionを含む諸機関と協力して、金曜日(米国時間9/28)に起きたセキュリティー問題の基礎データを調査している。影響を受けた可能性のあるユーザーの地域が確定でき次第、詳細情報を公表する予定である」と言った。

金曜日午前、Facebookは関係機関および一般大衆に向けて同社が火曜日の午後に発見したデータ漏洩を通知した。ここで重要なのは、アタックから通知までが72時間以内である点で、これを過ぎると全世界売上の2%の罰金が追加される。

今回の事件で、高度な技術をもつアタッカーらは、Facebookのプロフィール、プライバシー、およびビデオアップローダーに存在した3つのバグを組み合わせて5000万ユーザーのアクセストークンを盗み出した。このアクセストークンを使うとアタッカーはユーザーアカウントを乗っ取り、Facebook、Instagram、OculusのほかにもFacebookのログインシステムに依存する他のサービスでも本人になりすまして行動することができる。EUのGDPR法は不適切なセキュリティー対策行為に対して重い罰金を課すと脅しており、米国法よりも厳しいことで知られている。このため本捜査で発見される内容には重みがある。

大きな疑問は、盗まれたデータは何であり、どのように悪用された可能性があるかだ。捜査当局あるいは報道機関が、データの悪質な利用、例えばCambridge Analyticaが不正入手したデータがドナルド・トランプの選挙戦略に利用されたような証拠を見つけないかぎり、一般大衆がこれをFacebookのいつものプライバシースキャンダル以上のものとして見る可能性は低い。それでも、規制のきっかけになったり、Facebookログインシステムを使うパートナーの離脱につながるかもしれないが、世界は日常的にインターネットを蝕むサイバーセキュリティー問題に鈍感になっているようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookのデータ流出は、データが悪用されない限り忘れられる

われわれはCambridge Analyticaスキャンダルに関心を持ったが、それはトランプの当選を後押ししたかもしれなかったからだ。LocationSmartを無視したのは、たとえ携帯電話のリアルタイムGPSデータが流出したとしても、そのデータがどう悪用されたかが明確になることはなかったからだ。

プライバシー問題はほとんどの人にとって、セキュリティーや思想的問題にならない限り抽象的概念である、というこの現実は、先週起こったFacebookの大規模データ流出を理解する上で重要な発想だ。

Facebookのお粗末なエンジニアリングは、3つのバグを生み出した結果5000万人のアクセストークンを盗まれた。ローコストな効率化による急成長を追求した結果、Facebookはユーザーを守ることに失敗した。Facebookは著しく信用を失墜した。

しかし、流失したアクセストークンを使うことで、アタッカーはユーザーのアカウントを乗っ取り、なりすまして行動し、個人情報を盗み出す可能性はあるものの、ユーザーが実際にどれほど気にかけているのかは不明だ。それは、現時点でFacebookもその監督機関も、どのデータが盗まれ、悪用されたのかを正確に掴んでいないからだ。

我慢の限界

すべては明日にでも変わるかもしれない。もしFacebookが、このアタックは外国政府が選挙介入するために実行されたか、個人情報盗難のチェックをかいくぐって人々の銀行口座やソーシャルメディアのプロフィールを盗んだか、個人を特定して物理的被害を与えたりしたことを発見すれば、暴動が起きる。

流出データの十分恐ろしい使い道を踏まえると、今回の流出事件はFacebookブランドを破壊する原因になりかねない。もしユーザーがプロフィールデータを消去し、フィード閲覧を減らし、シェアをしなくなるようなことになれば、この事故は著しい金銭的被害とネガティブなネットワーク効果をFacebookにもたらす。数年来のスキャンダルのあと、これが最後の一撃になるかもしれない。

しかし、盗まれたデータが悪用された証拠が未だにでてこないことで、事件はユーザーの記憶のかなたに消えていくかもしれない。Facebookに買収されたInstagramとWhatsAppのファウンダーたちの緊張感漂う脱退に見られるように、反発の発端は一般大衆からではないのかもしれない。

このアタックによってソーシャルメディアの規制が早まる可能性がある。Warner上院議員は問題の追求を「強化」するよう議会に提案した。Warnerは欧州のGDPRに似たプライバシー法の推進者だった。法案には、ソーシャルネットワークの移行を容易にするポータビリティーとインターオペラビリティーも盛り込まれていた。ユーザーが競合サービスに移行する脅威は、Facebookにユーザーのプライバシーとセキュリティーの扱いを改善させるきっかけになるだろう。

FTCやEUは、Facebookの違反に対して相当額の罰金を科す可能性がある。しかし、四半期当たり数十億ドルを稼いでいる状況を踏まえると、Facebookにとって深刻な罰を与えるためには、罰金は歴史的金額にする必要があるだろう。

今回のアタックに関する最大の関心事は、AirbnbやSpotifyのようにFacebook Loginを使っている他のサービスへのアクセスに、トークンが使用されたかどうかだ。本件によって、Facebookを個人認証プラットフォームとして使おうと考えていたパートナーは二の足を踏むかもしれない。ただし、みなさんはパスワードを変えなくてはならない心配はする必要がない。ユーザー名とパスワードを盗まれるハッキングと異なり、Facebookの事故による継続的危険は限定的だ。パスワードが流出した場合は、盗難から長時間経過後に別アプリがハッキングを受ける可能性があるのに対して、今回盗まれたアクセストークンはすでにすべて無効化されている。

鈍感化

もし政府調査官やジャーナリストやアンチFacebook活動家たちが、Facebookに怠慢の責任を取らせたいと思うなら、具体的な脅威と結びつける必要がある。

流出データの悪質な利用の証拠がない今、このスキャンダルはFacebookの他のさまざまな問題に紛れる可能性がある。毎週、繰り返し、Facebookには見出しを飾るトラブルが起きる。時間とともに、それらが積み重なってFacebookの利用を躊躇させ、より多くのユーザーを離脱させる。しかし、容易に乗り換えられる汎用ソーシャルネットワークがないために、多くのユーザーは人とつながる利便性の引き換えに、Facebookの失態に耐えてきた。

データ漏洩が頻繁になるにつれ、大衆は鈍感になりつつある。最悪、無関心になりかねない。たとえ被害が明確でなくても、企業はプライバシー侵害の説明責任を持つべきだ。しかしEquifax、Yahoo、さらには携帯通信会社の事故が続くなか、われわれは深いため息と時には罵詈雑言を吐くだけで、日々の生活を送り続けることに慣れてしまった。記憶に残るのは、脅威がデジタル世界からオフラインの現実世界へと転移したときだけなのだ。

[画像出典:Getty]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

5000万人が影響を受けたFacebookのデータ漏洩について知っておくべきこと

Facebookは、数千万ユーザーのアカウント情報を露出した大規模セキュリティー事故の後始末に追われている。 Cambridge Analyticaスキャンダル以来すでに波乱に満ちているこの年、同社はユーザーデータを漏洩させた新たなセキュリティー問題を受け、ユーザーの信頼回復に必死だ。

現時点で知っておくべきことのすべてをお知らせしておく。

何が起きたのか?

Facebookによると、アタッカーが個人データへのアクセスを可能にする脆弱性を利用した結果、少なくとも5000万ユーザーのデータが危険に晒された。また同社は、予防措置として十分な注意を払うべく、さらに4000万アカウントを保護した。

アタッカーの狙っていたデータは何か?

Facebook CEOのMark Zuckerbergは、侵入された不正にアクセスされたアカウントはまだ発見されていないと言った——ただし、調査は初期段階であり今後変わる可能性がある。Zuckerbergによると、アタッカーは「名前、性別、居住地」などユーザーのプロフィールページからリンクしている一部の情報を取得するために、FacebookのデベロッパーAPIを使用した、と言った。

盗まれていないデータはなにか?

Facebookは、プライベートなメッセージがアクセスされた可能性は低いと言った。クレジットカード情報も漏洩していない、とFacebookは言った。もちろんこれも、調査が進むにつれて変わるかもしれない。

アクセストークンとは何か? パスワードを変更する必要はあるのか?

Facebookを含め、ほとんどのサイトやサービスにユーザー名とパスワードを入力したとき、ブラウザーやデバイスに対してアクセストークンが発行される。これによってユーザーはログイン状態のままになり、毎回ログインするたびにIDやパスワードを入力しなくすむ。ただし、トークンにパスワードは入っていない——このため、パスワードを変更する必要はない。

今回Facebookが私をログアウトさせたのはそれが理由か?

そのとおり。Facebookは、影響を受けた全ユーザーのアクセストークンをリセットしたと言っている。つまり、携帯端末、パソコンを含めて約9000万人のユーザーがログアウトされたことになる。Facebook Messengerのユーザーもこれに含まれる。

アタックはいつ起きたのか?

この脆弱性は2017年7月以来サイトに存在していたが、Facebookは今月、2018年9月16日に不自然な行動が急増したのを見つけるまで、問題に気づかなかった。Facebookはいつ攻撃が始まったのか確証がないため、アタッカーは長期にわたってユーザーデータをアクセスしていた可能性がある。、

誰がこんなことをするのか?

Facebookは攻撃したのが誰であるか知らないが、FBIが捜査中であると言った。

しかし、過去にFacebookは、ロシアがアメリカの民主主義に干渉し選挙に影響を与えようとする企ての証拠を掴んだことがある——だからといって今回の攻撃の背後にロシアがいるということではない。状況の特定は極めて困難であり多大な時間と努力を要する。最近FBIは、2016年のSonyハック事件の背後に北朝鮮がいたことの確認に2年間を要した——つまり今回も長く待たされるかもしれない。

どうやってアタッカーは侵入したのか?

1つならず3つのバグがデータ漏洩を引き起こした。

2017年7月、Facebookは不注意から同サービスのビデオアップローダーに3つの脆弱性を取り込んでしまった、とFacebookのプロダクト管理担当VP、Guy Rosenが電話会見で言った。プロフィールのプレビューで “View As” 機能を使って別人として表示したとき、ビデオアップローダーが本来表示されるべきでないときに、時々表示されることがある。表示されたとき、その成り代わっているユーザーのアクセストークンが生成された。アクセストークンを入手したアタッカーは、そのユーザーのアカウントにアクセスが可能になる。

問題は修正されたのか?

Facebookは9月27日(米国時間)に脆弱性を修正し、ユーザーの安全を確保するためにアクセストークンのリセットを開始したと言っている。

WhatsAppとInstagramのアカウントにも影響したのか?

Facebookによると、Instagramアカウントが影響を受けたかどうかはまだ確認できていないが、Facebookのアクセストークンが無効になった時点で自動的に安全が確保される。該当するInstagramユーザーがFacebookにクロスポストするためには、Facebookアカウントへのリンクを解除、再設定する必要がある。

Facebookは記者向けの電話会見で、WhatsAppユーザーへの影響は一切ないと言った。

Facebookログインを使用しているサイトも影響を受けるのか?

アタッカーがあるユーザーのアクセストークンを入手した場合、彼らはそのユーザーに成り代わってFacebookアカウントにアクセスできるだけでなく、Facebookを使ってログインしている別のサイト、例えばデートアプリやゲームやストリーミングサービスなどにもアクセスが可能になる。

Facebookは罰金などの罰を課せられるのか?

もしFacebookが欧州のデータ保護規則——最近施行された一般データ保護規則(GDPR)——に違反していることがわかれば、同社は全世界売上の最大4%に相当する罰金を課される可能性がある。

ただし、その罰金はFacebookが侵入の状況やユーザーへのリスクについて詳細を知るまで課されることはない。

この規模のデータ漏洩がまた起きたことで——しかもCambridge Analyticaスキャンダルその他のデータ漏えいの直後——議会にはFacebookを規制すべきとの声も上がっている。Mark Warner(民-バージニア州)上院議員は、今日のニュースに関してFacebookを厳しく非難するとともに、巨大データセットを保有する企業を「情報受託者」とし規制する議案を再度推し進めた。

FTCのRohit Chopra委員長も、Facebookの侵入事件について「答えが欲しい」とツイートした。何が起きたのかを解明するために、米国、欧州の両方で捜査が入ると考えるのは妥当だろう。

自分のアカウントが不正にアクセスされたかどうかを知ることはできるか?

できる。Facebookアカウントにログインしたら、「セキュリティとログイン」ページに行くと、これまでにログインした場所がわかる。アクセストークンが無効化されて再びログインしなければならなかった人は、再ログインしたデバイスしか見えないはずだ。

Facebookアカウントを削除すべきか?

それはあなた次第! しかし、もしまだであればパスワードを変える、あるいは 2段階認証をオンにするなどの予防措置をとるとよい。今回影響を受けなかった人も、この機会にFacebookと共有している個人情報を整理して、将来アタックが起きた時に漏洩するリスクを減らしておくことをお勧めする。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookがセキュリティ侵犯に関する有力紙の記事のFacebook上での共有を拒否

一部のユーザーからの報告によると、5000万のFacebookユーザーが被害者になった今日(米国時間9/28)のセキュリティ侵犯事件に関する記事(のリンク)を、投稿できなくなっている。それは、特定のソースの特定の記事だけのようで、The Guardianのある記事と、Associated Press(AP通信)のある記事、どちらも一流のニュースメディアだ。

記事を自分のニュースフィードでシェアしようとすると、このバグに遭遇した本誌TechCrunchのスタッフも含め一部のユーザーは、下図のようなエラーメッセージが出て、記事をシェアできない。

そのメッセージによるとFacebookは、記事があまりにも多量にシェアされていて、Facebookの言葉によると、“多くの人びとが同じコンテンツをポストしている”ことをシステムが感知したので、その記事はスパムと判断された。

Update: 人びとがこのことに注意するようになったあと、FacebookのTwitterアカウントによると、バグは修復されたようだ。その原因などについての、公式の発表はまだない。

これはもちろん、Facebookの社内で画面を凝視しているコンテンツモデレーターが特定のリンクを拒絶しているのでもないし、同社が、自らのイメージを損なう記事をユーザーが広めようとしていることを封じ込めているのでもない。この状況は、前にもあったように、Facebookのコンテンツ自動検査システムが、正当なコンテンツを悪質と判断したのだ。今回それらは、スパムとみなされた。でもFacebook上でヴァイラルに広まる記事はいくらでもあるのに、なぜこの特定の記事だけがやられたのか、それが不可解だ。

Facebookでは、こんなことは、これが初めてではない。同社の自動化ツールは毎日々々、過去に例がないほど膨大な量の処理をしていると思われるが、前には正当な投稿を検閲している、と疑われたことがあった。そして、ハラスメントやヘイトスピーチの検出には失敗しているくせに、無害なコンテンツを落としている、と言われた。どうしてそんなことが起きるのか、今Facebookに問い合わせているが、でも今日の同社は忙しすぎてそれどころではないようだ。

Facebookではよくある事件、とはいえ、今回は何かがおかしい。しかしそもそも、こんなおかしな事件は、Facebookの評価を下げるだけではないか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Instagramの共同ファウンダーがFacebookを去った理由――ファミリー企業運営の舵取りは難しい

 

マーク・ザッカーバーグはFacebookが世界最大のソーシャルメディアに成長した後すぐに、ユーザーは決して均一ではないし、Facebookのみによって世界一の座を永久に保持できるわけではないと気づいたようだ。そこで有力なライバイルを片っ端から買収してFacebookグループに加えるという戦略が生まれた。この「グループ戦略」はどちらにとってもメリットのあるウィン-ウィンとなるはずだった。

しかし今週、Instagramの共同ファウンダー、ケビン・シストロムとマイク・クリーガーは唐突に Facebookを離れた。これにより買収した企業を以前のまま独立に運営させるというある種の放任主義が結局は機能しないことがはっきりした。

大型買収がスムーズに進むことはめったにない。つまりInstagramを2012年に $10億ドルで買収した後、シストロムとクリーガーを6年間もグループ内に留めることができたのはFacebookの功績といわねばならない。

テクノロジー企業の買収に関していえば、6年というのは永遠に近い長い期間だが、一方で買収後もグループの枠内でスタートアップを成長させていくというFacebookのビジョンに照らせば短すぎる。

Facebookファミリー

スタートアップとエンタープライズという2つの世界の「いいとこどり」のアプローチが目指したのはこういうことだ。つまり、スタートアップがFacebookファミリーに加わっていれば自由な経営が許されると同時に、潤沢な資金に加えてエンジニアリングやマーケティングその他の経営リソースも確保されるはずだった。

WhatsAppの場合、 共同ファウンダーのJan Koum は4年、Brian Actonは3年半でFacebookを去っている。WatsAppを190億ドルで買収したのは2014年だったが、その後のVRのOculusを買収でも共同ファウンダーのPalmer Luckyを政治的紛争で、Brendan Iribe(人事刷新)でそれぞれ失っている。現在はGoogle出身で元Xiaomiのバイスプレジデント、Hugo BarraがFacebookのVR担当バイスプレジデントだ。

通常のテクノロジー買収なら6年といわず3年でも買収先スタートアップのファウンダーを引き止めておければ十分な成功だ。しかし多くのファウンダーは連続起業家であり、たとえ買収によって一生困らないほどの大金持ちになっても起業を止めることはない。何かを作ること、それを完全に自由に運営すること、急成長させることにはなんともいえないスリルがあるという。しかしこうしたことは買収後はすっかり変わってしまう。スタートアップのファウンダーは完全なボスだ。大企業の社員からファウンダーになるのも心構えの大きな変化を必要とするが、その逆となるとさらに難しい。買収されたスタートアップが親会社の成長戦略の重要な柱を担う場合はなおさらだ。

Facebookはグループ企業の自治を約束してこの衝撃を緩和しようとした。

事実2人の共同ファウンダーは大きな裁量権を維持し、シストロムはInstagramの顔の役割を果たしてきた。情報によれば、シストロムはすべての広告を自分で承認していたという。この点はFacebookの取締役に就任したKoumの場合も同様で、Koumは WhatsAppの買収を「提携」と呼んでいた。ファウンダーたちは Facebookの買収後も会社の運営権の掌握を強く求めていた。

WhatsAppのファウンダー、Jan Koumは買収後、Facebookの取締役会に加わったものの、巨大企業の管理圧力には勝てなかったと言われる

運営の独立vsFacebookの利害

しかし「経営の独立」は結局機能しなかった。

WhatsAppとInstagramの4人のファウンダーたちはやはりスタートアップを彼らのビジョンに沿って成長させようとし、その点を原因としてすべてFacebookを去ることとなった。【略】

InstagramでもWhatsApp同様、シストロムとクリーガーはFacebookの経営陣と対立することになった。TechCrunchのJosh Constine記者の詳しいリポートによれば、Facebookはスタートアップの「独立性を弱めようとした」という。これが共同ファウンダーの不満を呼び、最終的には唐突な辞職を招いた。

シストロムの辞職にあたっての短いメモはこの点をぶっきらぼうに強調したものとなっている。こうした離職声明にはザッカーバーグとシェリル・サンドバーグを始めとするFacebookのトップへの感謝の言葉が置かれるものだが見当たらない。その代わりシストロムは「クリーガーと私は好奇心と創造性を再び発揮して新しいプロダクトを作ろうと考えている」と述べている。

Facebookによる2012年の買収後もシストロムはInstagramの顔を務めてきた

全体としてみればFacebookはファミリー企業の独立性の維持に努力してきたほうだろう。しかし4人のファウンダーが去ったことでも分かるように優秀な起業家は檻に入れておくことも手なづけることもできないものだ。しかし数十億ドルの買収ともなれば支払った側はそれに見合うだけ長く人材を引き止めておきたいと考える。Facebookは少しルールを曲げてもスタートアップの独立性を尊重し、ファウンダーの引き止めを図った。しかし永久に重力に逆らっていることはできなかった。

ファウンダーを失ったといってもFacebookはInstagramの買収で空前の成功を収めている。 Instagramのユーザーは買収時点で3000万人程度だったが、今や10億人だ。WhatsAppも買収時の4億5000万人から15億人へと3倍以上に成長した。

今後の見通しにあたって重要な点はFacebookの生え抜きチームはファウンダーが去った後のファミリー企業を以前同様に成長させていけるかどうかだろう。ファウンダーが去ったことによる才能の空白もさることながら、企業文化が変化すれば大きな打撃になりかねない。買収した企業はあくまでFacebook本体とは異なる存在だとユーザーが認識させておく必要があるからだ。そもそもFacebookがこうしたスタートアップを買収したのはその点が狙いだった。ソーシャルネットワークをとFacebookがイコールになってはならない。そうなればユーザーは飽きてしまうだろう。

画像: Saul Loeb / AFP / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Twitterのバグで一部のダイレクトメッセージがサードパーティのデベロッパーへ誤送された

Twitterによると、ある“バグ”が、ユーザーのプライベートなダイレクトメッセージを、“それらを受け取る権限のない”サードパーティデベロッパーに送っていた。

このソーシャルメディア大手は金曜日(米国時間9/21)に、そのアプリ内でメッセージが露呈された可能性に関する警報を開始した。

“この問題は2017年5月から存続していたが、われわれは発見後すぐにそれを解決した”、とMashableの記者がTwitterにポストした、Twitterの警報メッセージが言っている。それによると、“この問題に対するわれわれの調査はまだ継続中であるが、現時点では、権限のないデベロッパーへ送られた何らかのデータが悪用されたと信ずべき理由はない”そうだ。

Twitterのスポークスパーソンは本誌TechCrunchに、何らかの通信が不正なデベロッパーに送られたことは“到底ありえない”、と述べたが、でも多くのユーザーに警報が送られている:

[私のDMが1年以上も送られていたのね??]

そのバグに関するTwitterの注記によれば、被害を受けたのは航空会社やデリバリーサービスなど、企業へ送られたメッセージのみだそうだ。Twitterによると、調査で判明したのは、“この問題が起き得たのは、ある特定の技術的情況においてのみ”、だという。

バグが見つかったのは9月10日だが、ユーザーへの報告はそれから2週間近く経ってからだ。

“あなたのアカウントがこのバグの影響を受けていたら、われわれはアプリ内通知とtwitter.com上で直接あなたにコンタクトする”、とも言っている。

同社によると、被害者はTwitterのユーザーの1%に満たない、という。最新の決算報告によると、同社のユーザー数は3億3500万人だ。

上の警報メッセージは、“あなたからのアクションは何も必要ない”、と言っている。

それは、今年二度目のデータ関連のバグだ。5月には、同社は誤ってその内部的ログに、ユーザーのパスワードをプレーンテキストで記録した、と述べた。Twitterはユーザーに、パスワードを変えるよう促した。

関連記事: 今すぐTwitterのパスワードを変えよう

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

プライベートなソーシャルネットワークを提供するPath、ついにサービス停止

ふたたび、ソーシャルメディア・プラットフォームにさよならを言う日がやってきた。

今年初めにはKloutがサービスを停止したが、この度はPathが舞台を去ることが明らかとなった。かつてはFacebookのライバルとなるかという話もあったが、ついに閉鎖をアナウンスすることとなった(まだあったのかと驚いた人もいるかもしれない)。

8年間にわたってサービスを提供してきたPathだが、10月18日をもってサービス停止となるとのこと。App StoreおよびGoogle Playからは10月1日をもって削除されるようだ。利用している人は、10月18日までデータのダウンロードができるようになっている(ダウンロードはこちらから)。

Pathを開発したのは、Facebookでプロダクトマネージャーを務めたこともあるDave Morinと、Napster出身のDustin MierauおよびShawn Fanningだ。2010年にモバイル向けソーシャル・ネットワークサービスとして登場した。サービスはビジュアルと本当に親しい人とのつながりを重視して、50人までしか友達登録ができないという仕様になっていた。よりプライベートなつながりを求める人に向けたサービスを実現しようとしていたのだ。ただし、友人数の制限は後に緩められ、さらに撤廃されることにもなった。

ピーク時には1500万のユーザーを抱え、5億ドルの評価にもとずく資金調達などにも成功していた。誕生1ヵ月の頃には、Googleが1億ドルでの買収を狙ったほどだった。最終的にPathはシリコンバレーの大物であるIndex、Kleiner Perking、およびRedpointなどから5500万ドルの資金を集めていた。

FacebookはPathをノックアウトしたが、Pathから頂戴したアイデアもある。

ソーシャルメディアは、15億人のアクティブユーザーを抱えるFacebookの独壇場となっている。優れていると思えば、ライバルであったPathからアイデアを借用することも厭わず、今日の繁栄につなげてきている。

Pathのサービスは打開策を見つけられず、スタッフを失い、そして利用者および収益源(ないしはユーザーデータ)を失っていった。商業施設と利用者をつなぐサービス(Path Talk)に活路を見出そうとしたこともあったが、これもうまくいかなかった。結局はPathおよびPath Talkのサービスは、2015年に価格非公開で韓国のメッセージングおよび接続サービス大手であるKakaoに売却されることとなった。世界第4位の人口を抱え、Pathが400万人の利用者を獲得していたインドネシアでのサービス拡大を狙ってのことだった。ちなみにKakao自体は、東南アジア最大のインターネット関連ビジネスマーケットとなっているインドネシアで、大きな存在感を示すことに成功している。

そのような中でもPathの活路は見出すことができず、結局はPathおよびPath Talkはサービス停止を迎えることとなった。

「多くの方に愛していただいたPathのサービスを停止するのは残念なことです。Pathは2010年に、熱意あるそして優秀なデザイナーやエンジニアが作り上げたサービスです。ここしばらくの間は、なんとかサービスを継続する道を探っていました。テクノロジーおよびデザインの力で人々を幸せにし、有意義なコミュニケーションの場を提供するというミッションをなんとか果たし続けたいと考えていたのです」と、サービス停止のアナウンスには記されている。

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(翻訳:Maeda, H

Facebookの「ロゼッタ」システムは、ミームの認識を容易にする

ミームはウェブの言語であり、Facebookはそれをもっと理解したいと思っている。

FacebookのAIチームはここ数年、コンピュータービジョンと自然言語認識の両分野で目覚ましい進歩を遂げてきた。今日(米国時間9/11)同チームは、ふたつの分野の進歩を融合する最新の成果を発表した。新しいシステムはコードネームを “Rosetta” といい、FacebookとInstagramで画像内テキストを認識して、被写体がなんであるかを理解し分類を容易にすることによって検索や不正コンテンツの識別に役立てる。

ミームばかりではない。ツールは10億以上の画像とビデオフレームを、毎日複数言語にわたってリアルタイムで解析する、と同社はブログに書いている。

Rosettaは光学文字認識(OCR)の最新技術を活用している。まず画像をスキャンしてテキストの存在を検出し、文字がバウンディングボックスの中に置かれる。つぎに畳み込みニューラルネットワークを用いた分析によって、文字を認識し何を伝えようとしているのかを判定する。

via Facebook

このテクノロジーはしばらく前から使われていたが——FacebookはOCRに2015年から取り組んでいる——同社の巨大なネットワーク全体に展開することは、狂気レベルのスケールを必要とするため、文字検出と認識に関して新しい戦略を考える動機が生まれた。

技術面に興味のある人には、チームの書いた論文がある。

Facebookには、ビデオや写真に写ったテキストに興味を持つ理由が山ほどある。同社のコンテンツモデレーション[コンテンツの監視]の必要性に関しては特にそうだ。

スパムの識別は、写真の説明テキストが”Bruh!!! ” や “1 like = 1 prayer” (いいね! 1回=祈り1回)のようなものなら比較的単純だが、Facebookの “time well spent”[有意義な時間]推進のためのアルゴリズム変更によって、タイムラインには似たような技巧を用いたビデオや写真が増えている。同じことはヘイトスピーチにも言える。あらゆるメッセージが1つの写真やビデオに埋め込まれていたらシェアは容易だ。字幕機能が便利なツールになる。

同社によると、現在このシステムは複数言語対応という新しい課題をもたらしている。現在は言語を統一したモデルによって動いていて、訓練データの大部分はラテン文字を使っている。同社の研究論文によると、現在既存データベースの最目的化によって新言語をサポートするための戦略を検討しているという。

Facebookは人間監視役の負荷を減らし、ニュースフィードアルゴリズムが分類結果に応じてコンテンツを選べるようしたいと考えている。こうしたツールは、Facebookが有害コンテンツを識別し、より興味深いコンテンツをユーザーに見せるうえで大きな可能性を持っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagram、動画投稿のタグ付けをテスト中

Instagramは、投稿したビデオに写真と同じように友達をタグ付けする機能をテストしている。TechCrunchが情報を入手し、同社もこれを認めた。タグ付けの方法は写真と似ているが、ボタンを押すとコンテンツ内に名前のリストが表示されるではなく——ビデオでは難しい——ボタンをクリックするとタグ付けされたユーザー名のリストが表示される。

このボタンを押すと “People in this Video”[このビデオに写っている人]というページが開き、そのビデオに登場したユーザーや、投稿者が伝えたいユーザーのリストが表示される。

これらのビデオは、写真と違いタグ付けされたユーザーのプロフィールページに表示されることはないようだ。ただし、将来は載るかもしれない。

また、ビデオタグ付けはInstagramのウェブ版では利用できない。モバイル版だけだ。

Instagramはこのテストについて多くを語ろうとせず、本格的展開の計画についても明らかにしなかった。この機能はテストに参加しているユーザー以外は利用できない

同社は、現在この実験を「ごく一部のユーザー」を対象に行っていることは話した。

「われわれはInstagramの体験を向上し、ユーザーを愛する人やモノと引き合せる方法を常にテストしている」と広報担当者が声明で語った。

Instagramユーザー @cablegirlsrdに表示された画面

Instagramh2013年に写真のタグ付けを導入し、後に商品のタグ付けストーリーでの友達のタグ付けも可能にした。しかし、2013年6月にビデオがやってきたあとも、Instagramはそこに友達をタグ付けする正式な方法を提供しなかった。代わりに、コメントで友達を参照して通知が届くようにすることをFAQで薦めていた

しばらくの間はそれで十分だったかもしれないが、昨今ビデオはInstagramプラットフォームに不可欠な要素となってきた。特に最近同サービスでは、ユーザーインターフェースを通じてビデオの発見を促し、ユーザーを最新製品であるIGTVに誘導したり、ビデオチャットセッションで多くのグループをつなぐ方法を探っている。

つまりビデオのタグ付けは、かなり遅くなったものの、当然の次期ステップだ——そしてタグ付けされたユーザーが通知を受けてアプリを開くことで、エンゲージメントを高めることができる。

この機能は、写真に続いてショッパブルなビデオも可能にし、Instagramのインフルエンサーが好きな商品や場所のビデオを投稿することで、それらのブランド自身のInstagramアカウントにファンを組織的に誘導できるようになる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

プリシラ・チャン、インタビュー――移民の両親の苦闘からチャン・ザッカーバーグ基金のビジョンまで

今回のTechCrunch Disrupt SFにはチャンプリシラ・チャンが登場した。チャンはFacebookのファウンダー、CEO、マーク・ザッカーバーグの妻だというだけの存在ではない。チャン自身が教師、小児科医であり、さらには世界最大の慈善家の一人だ。チャンは恵まれない人々を助けようとする断固たる決意を持っている。

Facebookがハーバード大学の寮の一室で誕生したことは広く知られているが、チャンのインパクト投資への決意は教師として経験した貧しい子どもたちの遊び場から始まっていたという。

チャンによれば、遊び場で見た歯の治療を受けていない子供がヘルスケアの問題に取り組もうと考えたきっかけだった。「どうやったらそんな悲しいことが起きないようにできるのか? 誰が悪いのか? きちんとヘルスケアを得ているのだろうか? ヘルスケアには痛みや感染の防止を含めて適切な歯の治療が含まれているだろうか? …こういう問題に取り組むためにもっと高い能力が必要だと私は思い知らされたました」とチャンは涙ぐみながら語った。

この決意がやがて慈善を目的する総額450億ドルのChan Zuckerberg Initiativeの設立へ、なかんずく疾病対策のための30億ドルの拠出へとつながる。 難民としてアメリカにやって来た中国系ベトナム人の両親が苦闘しながら娘を大学に進ませてくれたことに常に感謝しつつ、「誰かが私を難民の娘からすくい上げてハーバードに進ませてくれました。私は幸運でした。しかし助けが必要な子供たちがもっともっとたくさんいるのです」とチャンは述べた。

ここでチャンは明確な目標を持った慈善活動が重要だとしてビジョンを語った。チャンはFacebookの裏町ともいうべきボストンのベイエリア地区でヘルスケアの欠陥や家庭の問題によりスタートからハンティキャップを背負われている大勢の子どもたち見てきた。そうした子どもたちに機会の平等を保証するのがこの投資の目的だという。

CZI(Chan Zuckerberg Initiative)の非政治的アプローチについて説明し、政権の政策がどうあろうと、超党派的な協力を得ていくことが重要だと強調した。CZIは特定の政策を推進するために公職への立候補者に献金することはしないという。チャンはデジタル・ウェルビーイングの考え方についても触れ、祖父母にビデオを通話することは「スマートフォン中毒」ではないという例を上げた。チャンは幼い娘のマックス、オーガストにも正しい使い方を教えているという(今回のインタビューはマーク・ザッカーバーグの作り上げたプロダクトの是非を問うというよりプリシラ自身の生き方と動機を語ってもらうのが目的だった)。

特に重要なポイントは「誰もがその人に適切な方法で(チャリティーに)参加して欲しい」とチャンが述べたことだろう。誰もがチャリティーへの多額の出資確約をしたり、フルタイムで有意義な社会活動ができるわけではない。しかしシリコンバレーに大勢いる成功者たちに「もう少し深く」関与してもらいたいという。ある場合にはエンジニア、プロダクト・デザイナー、アーティストとしての能力を提供することが良いのかもしれない。問題を解決するための努力が長続きできることが重要だという。ときには富が少数者の手に集中することを支えている社会構造そのものと戦うという困難をもたらしかもしれない。チャンは「なんども既存のルールと戦っているうちに、そんなルールを作ったシステムのほうが壊れているのだと気づくのです」とチャンは結論した。

〔日本版〕CZIは節税可能な非営利団体ではなく、営利、政治活動も自由な有限責任会社(LLC)の体制をとっている。インパクト投資とはおおむね「利益を得つつ社会的に有意義な結果を得るような投資」を意味するとされる。

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滑川海彦@Facebook
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ロボットも人間のように偏見を持つ、防ぎ方も人間集団と同じ

カーディフ大学とMITの研究者たちによる、おもしろい研究によれば、複数のロボットが一緒に仕事をするとき、偏見が生じることがある。チームワークをシミュレーションするロボットたちが、他のチームのロボットに対する偏見を表現した。研究者たちによると、“自動機械のグループが、お互いの振る舞いを単純に認識し、コピーし、学習することによって偏見が現れる”。

その理論をテストするために、研究者たちは、シミュレーターの中で簡単なゲームをした。そのゲームでは、評判や寄付の戦略に基づいて、外部の集団や、ロボットの個人的グループに寄付を行なう。そして、内部への寄付と外部への寄付を比較して、偏見のレベルを調べる。そのシミュレーションを動かすと、徐々に、外部に対する偏見が増えていった。

研究者たちは、シミュレーターの中で偏見を成長させることが、容易であることに気づいた。だからそれは、ロボットだけによる何かの自動運転をするときは、注意しなければならない問題だ。

カーディフ大学のRoger Whitaker教授は、こう述べている: “われわれのシミュレーションは、偏見が自然の強い力であり、それは進化して、容易に、仮想ポピュレーションの中で報奨により強化される。そしてそれにより、他者との幅広い接続性が損なわれる。偏見のあるグループから守ろうとして別のグループが、意図せずして偏見的になることもある。その結果、その仮想ポピュレーションに分裂が生ずる。偏見のそのような拡散は、逆転が困難である。差別を認識して他をコピーできる自動機械が、将来的に、人間の中に見受けられるような偏見的な現象に影響されてしまうことも、ありえる”。

おもしろいことに、“ひとつのポピュレーションの中に、はっきりとした違いのあるサブポピュレーションが多ければ多いほど”、偏見は減少する。これは、人間の偏見に関しても考えるべき、重要なポイントだ。

“サブポピュレーションの数がとても多ければ、偏見のないグループが共同して、搾取もいじめもされずに協力しあえる。これはまた、マイノリティーとしてのステータスを弱め、偏見の影響を受けにくくする。しかしながらこれは、成員が、自分たちのグループの外部との対話に向かう、より高い気質を持っている情況を必要とする”、とWhitaker教授は述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

司法省のソーシャルメディアに対する脅しは間違っている

国の法律を執行する責任を負う法律家たちが、執行すべき法律そのものをこれほど明確に無視するところを見たことがない。

TwitterおよびFacebookの幹部が上院に呼ばれ、米国選挙に対する国際介入に関する会社の責任について証言し、両社のプラットフォームを使って活動家や論客が誤情報を拡散している問題を指摘したところ、司法省の法律専門家たちは、言論の自由の論争に終止した。それは前例のないことであるだけではなく、違法の可能性すらある

米司法省:ソーシャルメディアは言論の自由を「意図的に抑圧」している

何人もの州検事総長が、ソーシャルメディア会社が表現の自由を抑圧し競争を阻害しているという「深刻な懸念」を語り合うために集合した。真の問題は、民間企業には修正第一条を守る義務があり、自社のプラットフォーム上であらゆる言論を許すべきであるという言い分を述べようとする、保守的虚報と論点だ。

単純な事実を言えば、彼らにそんな義務はない。もう一度言う。企業にそんな義務はない。

政府の法律家がやろうとしているのは、そんな義務のない民間企業に対して修正第一条を守らなくてはならない、という偽りの責任を押し付けることだ。この法律家たちはいったい何にいきり立っているのか。簡単に言えば、多くのソーシャルメディアが、自社で運用しているポリシーに反する発言を封じる決定を下したことだ。

代表的な例が、Alex Jones ——この男はサンディーフック小学校乱射事件はデマであると主張し、パークランドの高校銃乱射事件の被害者は クライシスアクターであると非難した。

先月、Jonesの発言を配信したソーシャルメディアプラットフォーム数社が、ついに、もう限界であると判断した。

Here are the platforms that have banned Infowars so far

Jonesを追放した決定は民間企業としての特権だ。Jonesには言論の自由通り(あるいは裏通り)のお立ち台で(あるいは空き缶に向かって)好きなことを叫ぶ権利があるが——そして彼は何を言っても(どんなに攻撃的で不条理で常軌を逸していても)起訴されることはない——、あらゆるソーシャルメディアプラットフォームで自分の意見を自動的に増幅させる権利はない。

大手ネットワーキングプラットフォームのほぼすべてがその結論に達した。

すでにIT系ロビー団体は、司法省のまずいやり方を非難する声明を発行している。

[The] U.S. Department of Justice (DOJ) today released a statement saying that it was convening state attorneys general to discuss its concerns that these companies were “hurting competition and intentionally stifling the free exchange of ideas.” Social media platforms have the right to determine what types of legal speech they will permit on their platforms. It is inappropriate for the federal government to use the threat of law enforcement to limit companies from exercising this right. In particular, law enforcement should not threaten social media companies with unwarranted investigations for their efforts to rid their platforms of extremists who incite hate and violence.

司法省のアプローチは事態を混乱させ、ソーシャルメディアに対する正当な批判や理にかなった規制の適用が、より困難になるだけでなく、彼らには取り組むべき重要な課題がある。

実際、発言の多くはマーク・ワォーナー上院議員夏の盛りに書いた白書が出どころだった。

Or the Justice Department could focus on the issue that Senator Ron Wyden emphasized in the hours after the hearing:

司法省は、ロン・ワイデン上院議員が公聴会の後に強調した問題に集中することもできたはずだ。

[今や個人データは政治的影響力のある広告に最適な武器であり、海外広告主にこの武器を容易に渡してはならない。個人情報の保護と制御を強化することは、国家安全保障の優先事項とすべきだ。]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米司法省:ソーシャルメディアは言論の自由を「意図的に抑圧」している

米司法省は、大手ソーシャルメディア各社が「競争を阻害」し言論と表現の自由を「意図的に抑圧している」ことについて、ジェフ・セッションズ司法長官が「深刻な懸念」を抱いていることを公式に伝えた。

この発言は、Facebookの最高執行責任者、Sheryl SandbergとTwitterの最高経営責任者、Jack Dorseyが水曜日(米国時間9/5)に、両プラットフォームにおける海外からの政治介入広告を捜査中の上院情報委員会で証言した結果を受けている。

最近ソーシャルメディア企業は、ロシアおよびイラン政府と密接なつながりをもつとされる活動家らが、誤情報を拡散することで選挙結果に影響を及ぼそうとしてることが発覚して以来、大きな注目を集めている

「司法長官は今月、複数の州検事総長を招集し、これらの企業が競争を阻害し、プラットフォームでの自由な意見交換を意図的に抑圧している可能性があるとして、深刻な懸念を示した」と、司法省広報官のDevin O’Malleyがメールで伝えた。

実際に司法省が規制を求めているのか、競争——つまりは反トラスト法——問題について、各社のプラットフォームを具体的に捜査しているのかは不明だ。ソーシャルメディア企業は米国の言論の自由に関わる法——憲法修正第一項等——の適用を受けていないが、かねてからプラットフォーム全体での言論と表現の自由を支持する旨を謳ってきた。これには言論の制約を強く受けている一部の国々のユーザーも含まれている。

FacebookとTwitterの広報担当者はコメントを拒んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookとTwitter:米国情報機関はもっと選挙妨害対策の力になれたはずだ

Facebook COO、Sheryl Sandbergは、プラットフォームとして海外からの選挙妨害防止に努力すべき点があったことを認めたが、政府も情報提供の強化に努めるべきだと語った。

これは米国時間9月5日に予定されている上院情報委員会公聴会を控えての発言だ。公聴会ではSandbergとTwitter CEO Jack Dorseyがソーシャルメディアプラットフォームの海外からの選挙妨害について証言する。GoogleのLarry Pageは招聘されたが出席を拒んだ

「われわれは、気づくのが遅すぎたし、行動も遅すぎた」とSandbergは用意された文書で語った。

この公聴会は、2016年大統領選挙でのロシアによる選挙妨害の後遺症といえる。ソーシャルメディア各社は、ロシア政府と密に協力していたとみられる外国人活動家らが誤情報を拡散し、選挙結果に影響を与えようとしたことを受け、にわかに注目を浴びている。選挙妨害は今秋の中間選挙も標的にしている。

FacebookTwitterの両社は、誤情報や偽ニュースの拡散に関わっていると思われるアカウントとボットをプラットフォームから削除した。Googleは昨年、同社サイトでロシアによる妨害行為を発見したことを報告した。

「われわれは、金銭目的の荒らし組織から高度な軍事情報作戦まで、敵を発見して戦うことに徐々に慣れてきた」とSandbergは言った。

しかしFacebookのナンバー2は、ソーシャルメディア各社がロシア妨害の全体像を理解するために、米国政府にはもっとできることがあったと語った。

「われわれは今後もサービス悪用の監視を続け、警察当局や他の業界にこれらの脅威に関する情報を提供していくつもりだ」とSandbergは言った。「2016年のロシアの活動全体に関するわれわれの知識は限られていた。それは米国政府やこの委員会がもつ情報や調査ツールを利用できなかったためだ」。

その後TwitterのDorseyも声明で自らの意見を述べた:「われわれが直面している脅威との戦いには政府パートナーや同業他社の多大な協力が必要だ」と言い、「われわれは、それぞれが他社のもたない情報を持っているので、情報を組み合わせることで脅威と戦う力はいっそう強くなる」と付け加えた。

SandbergとDorseyは両者ともに、政府のもつ民間企業が見ることのできない機密情報、すなわち国家機密とされる情報について微妙に言及した。

近年IT企業は、政府機関の保有する情報をアクセスする必要性が高まっている。増え続けるサイバーセキュリティーの脅威や国家レベルハッカーからの攻撃を防ぐために不可欠だ。背景にあるのは情報の共有 によって、豊富なリソースをもつハッカーに対抗することができるという考えだ。しかし、そのための法案導入には反対もある。脅威に関する情報を政府と共有することは、個人ユーザーのデータも収集され米国政府情報機関に送られるのではないかと反対派は恐れている。

それに代えてIT企業各社は、国家安全保障省の 情報アクセスを要求し、直面する脅威の理解を深め、各社が独立に将来の攻撃に備えようとしている。

報道によると、先月IT各社は秘密裏に集合し、海外からのプラットフォーム侵入に対抗する方法について検討した。しかし、Facebook、Twitter、Google、Microsoftらの参加者は、政府からほとんど洞察を得られなかったことに「落胆して会議を後にした」と語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Skypeにやっと通話記録機能が登場、ビデオ+音声で記録され長期保存も可能

Skypeは、多くの人が日常使っている(ゆえに必要不可欠な)コミュニケーションツールだが、これまでは、その多くの人のほとんどが必要としていたと思われる、基本的な機能が欠けていた。それは、通話記録だ。そして、今やSkypeのオーナー企業であるMicrosoftの耳にやっとわれわれの要求が届き、通話記録機能がSkypeのデスクトップとモバイルアプリの両方に実装された

どのプラットホームのアプリでも、最新バージョンにはその機能があるが、なぜかWindows 10だけはない。どうやら、それは数週間後になるようだ。

画面の右下のプラス記号“+”を押し、“Start recording.”をセレクトすると、記録(録音)が始まる。

相手の画面には小さなバナーが出て、この通話が記録されていることが伝えられる。だから、相手に対して内緒で記録、ということはない。しかし‘双方の合意’に関する法律を気にするMicrosoftは、そのバナーで、あなたがその通話を記録(録音)中であることを相手に伝えるのだ。

通話が終わったら、記録されたビデオとオーディオは30日間、MP4でネット上に保存されるので、必要な人はそれをダウンロードしたり、あるいはリンクを共有できる。

音声だけを記録する方法はないみたいだから、ちょっと困るね。3人の通話を記録したビデオは、相当大きくなるだろう。次のアップデートで、‘音声のみ’というオプションを加えてほしい。

人びとは何年も前から、サードパーティのアプリを使ってSkypeの会話を記録してきた。ぼくはMP3 Skype Recorderを使っているが、とても使いやすいアプリだ。今後このアプリは消え去る運命かもしれないが、とにかくぼくは、バックアップのために持っておきたい。今このアプリの作者に、今後どうするのか問い合わせている。

それはさておき、Windows 10のユーザー以外の方は、ふつうにSkypeを起動して、何でも記録できるようになる。それはクラウド上のMicrosoftのシステムの負荷になるが、それが同社のねらいだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

TikTokが新しく統合されたアプリに、ビデオリアクション機能を追加

ショートビデオアプリのMusical.lyとTikTokの合併からわずか1ヵ月後、そのアプリが新しいソーシャル機能を導入した。ユーザーが視聴しているビデオに対して、リアクションを投稿できるようにしたのだ。

テキストコメントの代わりに加わったこれらのリアクションは、基本的に視聴しているビデオクリップの上にスーパーインポーズされる動画形式になる。リアクションビデオというアイデアは、YouTubeにある程度馴染んだ人にはお馴染みだろう、だがTikTokはこのコンセプトを、とてもシームレスなやり方で組み込んでいる。

リアクションを投稿するには、対象の動画の右下の方にある共有メニューの中の「リアクション」を選択するだけだ。するとアプリが対象クリップを再生すると共に、新しい映像と音の記録を行わせてくれる。画面上のどこにリアクション動画が現れるかを決めることもできる。

もしTikTokを聞いたことがないというなら、それはおそらくこのアプリがこの8月初めに、米国で始まったばかりだからだろう。しかしこのアプリは既に中国では数年にわたって使われている。

ティックトークの反応

2017年には、TikTokやToutiaというニュースアグリゲーターを経営する中国の会社Bytedanceが、Musical.lyを約10億ドルで買収した 。最終的に2つのアプリケーションが統合され、その視聴者と機能が組み合わされた。 Musical.lyユーザーは、既存の動画と設定と共に移動させられた。

同社によると、リアクションは、Google PlayApple App Storeを介して数日中にアップデートされるだろうということだ。

(日本版:日本のApp StoreのiOS版は、翻訳時点(9月4日22時)で既にビデオリアクションが投稿可能になっている)。

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(翻訳:sako)

Twitter、新たな会話表示機能とオンライン利用者の表示機能を実装か?

TwitterのCEOであるジャック・ドーシーが、Twitterの新機能についてツイートしていた。新機能とは、オンラインになっている利用者を識別したり、あるいはやり取りされる会話を見やすくするものだ。

ツイートでは、オンラインのユーザーを示す機能を「プレゼンス」(presence)と呼んでいる。会話はスレッド形式で表示されるようになる様子。ドーシーのツイートには、新機能がどのようなものかを示すサンプル画像も含まれていた。

新機能が実装されれば、オンラインである利用者とのやりとりが容易になるのだろう。また、現在の仕様にくらべて、会話内容をフォローするのも簡単になるようだ。

ただし、このドーシーのツイートについて、とくにオンライン利用者の識別機能については反対の声も大きい様子。

プロダクト部門のトップであるSarah Haiderは、利用者からの懸念ないし疑問の声に答えている。曰く、オンラインであるかどうかを示す機能については、利用者各自が望むように制御できるようにしたいとのこと。オンラインであることを知られるのがいやな利用者は、自分の状態(オンラインであるかオフラインであるか)を隠す機能を用意しようと考えているようではある。

会話を見やすくする方向については賛成の声が大きそうであるものの、デザイン面についてはさまざまな意見があるようだ。たとえば、かつてTechCrunchの記者であり、現在はVCとして業界に関わっているM.G. Sieglerは「フラットデザイン」が良いとは思わないと言っている。iMessage風のインタフェースにすべきという声もあるようだ。個人的には会話のフォロー機能の改善には大賛成だ。会話のやり取りをフォローするのにいちいちクリックすることが要求されたりしなくて、現在の仕様よりも簡単に会話のやりとりをフォローできるのなら、それだけで便利になると思う。

ただし、オンラインであるかどうかを明示する機能を付加するというのは、良い考えのように思えない。個人的な利用目的から考えても、Twitterにそうした機能は必要ないように思う。会話は、その会話が行われる環境に応じた速度で行われるようになるものだ。すなわち、リアルタイムで会話することもあるし、あるいはタイムラグをもちつつ会話することもあるのだ。オンラインになっている利用者をわかりやすく示すというのは、たしかに便利なこともあるのかもしれない。しかしTwitterにそのような機能は必要ないと思うし、これに同意してくれる人も多いのではないかと思う。

今回紹介した機能が、いつから一般に公開されるのか(あるいはされないのか)は不明だ。一部のテストグループでは、新機能がすでに利用可能となっているようではある。TechCrunchではTwitterに質問を投げ、現在は回答待ちだ。新機能の公開スケジュールが明らかになればお伝えしたい。ただ、「それはどうでも良いので編集機能を実装せよ」という声の方が大きいようには感じている。

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(翻訳:Maeda, H

反極右集会イベントを削除したFacebookの怪事件

ワシントンD.C.に住む活動家やオーガナイザーたちは、反対抗議集会のイベントを削除したFacebookの判断に異議を唱えている。この集会を呼びかけたのは、2017年に死傷者まで出したバージニア州シャーロッツビルの集会を計画した白人至上主義者ジェイソン・ケスラー(Jason Kessler)だ。

Facebookは、「No Unite The Right 2 – DC」(DCの右翼の結束を止めろ2)イベントを、そのなかのアカウントのひとつがFacebookが呼ぶところの「不正な行動との連携」を示しているとして削除した。同社はこの活動を「自らの正体や活動の目的を隠して他の人々を欺く目的で、人または組織がアカウントのネットワークを作るもの」と特定している。

あなたが参加しようとしている、または興味を持っているイベントは削除されました。ページは「No Unite The Right 2 – DC」という偽のアカウントで立ち上げられています。他のイベント主催者には通告されています。

 

論争の中心となっているFacebookページは「Resisters」(反政府主義者)という名称だった。このページは、ユーザーを欺くために偽のアカウントを準備する「bad actors」(大根役者)によって作られたとFacebookが特定したことを、TechCrunchは確認している。最終的にFacebookがUnite The Right 2 – DCの削除に踏み切ったのは、Resistersページとのやりとりや関与があることが判明し、そのページは最初から不正に作られていると判断したからだ。

Facebookは同社のブログ記事にこう書いている。

Resistersページも、8月10日から12日の抗議のためのFacebookイベントを立ち上げ、実在する支持者のリストを掲載している。……Registersページの偽の管理者は、このイベントを協賛している5つの不正なページとつながっている。

同社はまた、よく知られているInternet Research Agency(IRA)のアカウントも反抗議イベントに管理者として加わっていることも確認している。しかし、ここが管理者となっていたのは7分間だけだった(IRAは、ロシアの情報機関とつながりのあるプーチン支持者が立ち上げた「コンテンツ工場」であるとの疑いで、アメリカの情報当局の調査も入っている)。その上、IRAのアカウントは、2017年にResistersが主催したFacebookイベントをシェアしているとも指摘している。

ここで物事は、さらにややっこしくなる。このFacebookが削除したイベントは、いくつかの実在するワシントンD.C.の活動家グループに引き継がれた。これには、Smash Racism DC(民族主義を潰せ DC)、Black Lives Matter DC(黒人の命は大切だ DC)、Black Lives Matter Charlottesville(黒人の命は大切だ シャーロッツビル)、その他の地元グループが含まれ、「Shut It Down DC」(止めよう DC)という名のもとに連合している。彼らの行動や計画は、No Unite The Right 2 DCイベントから引き継がれたものではなく、たまたま合致しただけのことだ。それ以来、連合はFacebookイベント名を「Hate Not Welcome: No Unite The Right 2」(憎悪はお断り:右翼の結束を止めろ)と変更した。

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「BLMと数多くのグループが中心となり、ワシントンD.C.の本当の脅威に対抗するための結束を行っています。ロシアのための団体ではありません。私たちの愛する人たち、コミュニティー、地元の街を、制服を着た、または平服のファシストから守るために、この活動を行っています」

「そこで私たちは、新しいFacebookイベントを作りましたが、本当の結束は、近所の人たちと話し合うことで築かれます。そしてそれが、ワシントンD.C.での本当の抗議運動になります。それはジョージ・ソロスでも、ロシアでもありません。我々自身です」

TechCrunchは、ワシントンD.C.を拠点に活動する人たちに話を聞いたが、そのなかの一人、Shut It Down DCにも属するワシントンD.C.の活動家Andrew Batcherは、地元のオーガナイザーの連合が、ひとつのイベントとアカウントで結ばれて、Facebookから不正だと目を付けられる仕組みを明らかにしてくれた。

「それは、この問題に興味を持つ、たくさんのグループの草の根の集まりでした」とBatcherは話す。「たくさんのグループが、去年、シャーロッツビルに向かいました。シャーロッツビルは、ワシントンD.C.から南へわずか2時間の街です」

彼の説明では、それらのグループはケスラー自身が主催したイベントに惹きつけられたのであって、オーガナイザーたちが出会ったFacebookイベントではなかったとのことだ。

「組織化を始めたころ、私たちはFacebookページを作ろうと話し合ったのですが、それはすでに作られていたのです」とBatcherは言う。「大きなイベントが数多く開催されるワシントンD.C.では、よくあることです」

「私たちは、そのイベントの共同主催者に加えてもらい、私たちの情報も掲載して欲しいと要請しました」とBatcher。それには、動画による運動への参加呼びかけや、写真や、イベントの詳細など、いろいろなコンテンツがあった。「そして、却下されたのは、すべて私たちのものでした」

最初にプレースホルダーのページを作ったあと、Resistersのページは「まったく介在しなくなった」とBatcherは言う。「それによって、私たちはまるでロシアの駒であるかのように扱われました。私たちは、そうではありませんし、私たちがこれを準備してきた活動です」

彼やその他の左翼の活動家たちは、一般大衆と積み重ねてきた努力が台無しにされ、悪くすれば、ピザゲート事件のように、実際の暴力事件にまで発展しかねない陰謀説まで現れるのではないかと危惧している。

Facebookは、合法的なNo Unite The Right 2 – DCのオーガナイザーに、次のメッセージを送ったと話している。

まだ電話でのお話はできていませんが、今朝早く、あなたが共同主催者に名を連ねている「No Unite Righte 2 – DC」Facebookイベントを削除した旨をお伝えしたく存じます。理由は、そのイベントを立ち上げたページのひとつに、不正なアカウントを作り不正な活動の調整に関わっていたことでFacebookから削除されたResistersが含まれていたからです。

あなたが驚かれ、憤慨されているであろうことは理解しています。私たちは、これがあなたや、あなたのページには関係がないことを示す関連情報をお届けし、ご理解いただけるよう連絡差し上げた次第です。本日、この後より、このイベントに興味を示されたおよそ2600名のユーザーと、すでに参加をされている600名以上のユーザーに、イベントの削除に関する情報の提供を開始します。他のイベントの設定に関してご質問があれば、私たちの公的な連絡手段を用いて、喜んでご説明いたします。

Batcherによれば、Shut It Down DCのイベントのオーガナイザーをしていた人たちには、ほとんどなんの連絡もなく、一部の人が「2行」のメールを受け取っただけだという。

あなたが主催者になっているFacebookイベントについてご説明したく存じます。 より詳しい説明をお望みの場合は、( )までお電話をください。

 

Facebookが、オーガナイザーにほとんど連絡をすることなく、さっさとイベントを削除してしまったことで、グループは意気消沈してしまった。TechCrunchとのインタビューでは、彼も他のオーガナイザーたちも、Facebookに対する根深い不信感を示し、その行動を決断させた証拠となる情報をもっと多く見せて欲しいと望んでいる。ワシントンD.C.の複数のグループとつながっている一人のオーがナイザーなどは、疑わしい協調活動のためにVPN(プライベート仮想ネットワーク)が使われないよう、Facebookは、活動家の結束する意欲をくじこうとしているのではないかと疑っている。こうした心配があることを伝えると、Facebookは、同社の規定では、VPNの利用や一般的なプライバシー保護対策を行ったからといって、アカウントやページを削除する理由にはならないと説明している。

「何か悪いことをしたアカウントがあれば、そのアカウントは排除されます。それを、このすべての合法的な活動にまで押し広げて適用するべきではないと私は考えます」とBatcherは言う。「私たちが求めるのは、公的な謝罪であり、私たちは実在する人間であり、実際に活動を行っていることを世間に知らせることです」。さらに彼は、現実に協力し合ってイベントをまとめた人たちに与える損害に関して、Facebookには考慮する様子が見られないとも話している。

この不信感は、右翼左翼の双方に影響を与えた。右翼の側の、Facebookがコンテンツの検閲を行っているという心配は、アメリカ議会の公聴会でも持ち上がり、その主張を示す証拠はほとんどないまま、多くの右翼ユーザーの間に広がっている。左翼側は、Black Lives Matterの支持者からLGBTQコミュニティーに属するすべての人たちに影響を与えた不注意による検閲がときどき行われるグレーな歴史がFacebookにはあると考えている。こうした状況では、その通報ツールを悪用して、狙った相手に嫌がらせをするFacebookユーザーも現れるが、Facebookは、そうした問題に対処するポリシーの変更に消極的だ。

Facebookはまた、おおっぴらな嫌がらせや、民族主義的コンテンツの問題への対応も遅く、つい最近は、白人至上主義を禁止する一方で白人民族主義を許すという内部方針を批判されている。そして、これら2つの人為的な区別と広く知られるようになる考え方が生まれた。こうした災難は、Facebookだけの問題ではない。悪意のあるすべての人たちにとって、Facebookというプラットフォームは絶好の環境となった。

反抗議活動のオーガナイザーは、その後、新しいFacebookイベントを立ち上げ、活動を継続しようとしているが、状況はまったく落ち着かず、この世界最大のソーシャル・プラットフォームによる介入の強化に対する疑念は消えない。今回の新事実と、2017年の問題では、ソーシャルメディアによる影響合戦の新しい形、つまり偽アカウントが現実の普通の人たちの活動を悪用するという「混合型」には、まったく油断がならないことがわかった。

いわゆる「大根役者」は、合法的な動機につけいり、混乱を引き起こし、すべてを懐疑的にしてしまう。そうした活動が明るみに出たとしても、これはアメリカの政治情勢にさらなる不和と疑念を植えつけようと考えるあらゆる人間にとって、必勝方程式となる。それ以外の人たちには、勝ち目はなさそうだ。

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(翻訳:金井哲夫)