“PriceTech”の空にグロービスが出資、ラウンド全体で3億円を調達

写真左:グロービス・キャピタル・パートナーズ 渡邉佑規氏、右:空代表取締役 松村大貴氏

ホテルの料金設定サービス「MagicPrice」を提供するは9月4日、グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)からの資金調達実施を発表した。今年5月に発表されたUB Venturesからの調達と今回の調達を合わせ、ラウンド全体では約3億円の調達となる。

顧客コミュニティ醸成で改善進むMagicPrice

TechCrunch Tokyo 2017の「スタートアップバトル」で最優秀賞を獲得した空。「世界中の価格を最適化する」というミッションを掲げる同社は、ホテル向けプライシングサービス「MagicPrice」を提供している。客室料金を検討する際に必要な予約状況などのデータを自動収集・分析し、AIが適切な販売料金を提案するMagicPriceは、ホテルの担当者が簡単な操作で客室料金設定ができ、旅行予約サイトへの料金反映も自動で行える。

2018年12月に、同社が提供していた市場分析サービス「ホテル番付」と名称を統合し、デザインやAIを改善するリニューアルを実施したMagicPrice。7月に東急ホテルズ所属の那覇東急REIホテルへの導入が決まるなど、各社・各地のホテルで順調に導入が進んでおり、顧客数は直近1年間で約5倍に伸びているという。

「顧客増に加え、カスタマーサクセスチームが中心になって、コミュニティを形成しながらホテル収益をどう高めていくかを学び合うなど、MagicPriceの使い方だけでなく、ホテル業界としていかに前に進んでいくかを語り合うような関係性になっている」(空代表取締役の松村大貴氏)

コミュニティの醸成により「より多くの顧客の声を集めることができるようになった」と松村氏は述べ、「開発チームもそれを聞いてプロダクトを改良する、というよい循環が生まれている」と話している。

他業界へのプライシングサービス展開もにらみ組織強化へ

GCPからの資金調達を得ることになったきっかけは、5月に出資発表があったUB Venturesの紹介によるものだと松村氏は明かす。GCPはユーザベースへ出資していた経緯もあり、ユーザベースからの高評価が、空へのGCPの出資を後押しした形となる。

「ユーザベースにならいながら、空がSaaS事業を伸ばしていくという点は、グロービスにとって魅力に感じてもらえたのではないか。ユーザベースにはSaaS事業の先生として、事業面や組織づくりなど、さまざまな面で教わることも多い」(松村氏)

今回の調達ラウンドではGCPがリードインベスターとなる。出資はGCP過去最大の400億円規模となる6号ファンドからのものだ。ユニコーン創出を目指す同ファンドから投資を受けたことについて、松村氏は「空がホテル向けのプライシングにとどまらず、“PriceTech”という新しいテーマの事業を創造していることと、価格戦略というどの企業にも共通のテーマを軸に大きな広がりを見せそうだというところに『大きく化けるかもしれない』可能性を感じていただけたのではないか」と語っている。

調達資金については、MagicPrice事業強化のための人材採用とマーケティングに充てるという空。既存プロダクトの強化とともに、プライシング支援サービスを他業界にも展開すべく、「データサイエンティスト、エンジニアや、各業界でクライアントのビジネスパートナーとなれる人材も集めていく」と松村氏は述べている。

今回、資金調達の発表と同時に、社外取締役としてグロービス・キャピタル・パートナーズの渡邉佑規氏を、監査役に空の財務・コーポレートアドバイザーを務めていた堅田航平氏を迎えることも明らかにしており、IPOを見据えた財務面の強化を図る構えだ。グロービスには「経営マネジメントを担うハイレイヤー人材の採用と、今後のファイナンス面でも協力を仰ぐ」と松村氏は話している。

FacebookのMessenger用ビジネスツールが登場

米国時間8月29日、FacebookはMessengerを活用している4000万社のための新しいツールを正式に公開した。今年4月30日〜5月1日に開催されたデベロッパーカンファレンスのF8で発表されたとおり、アポイントメントの予約やリードジェネレーションなどのツールがある。この変更に関連して、同社はMessengerの「発見」タブの削除も開始した。この「発見」タブは昨年秋のデザイン変更でゲームと企業の両方のホームとして使われてきた。

Facebookは今後数カ月かけてMessengerアプリから「発見」タブを削除していくという。その代わりにユーザーがMessengerで企業とやり取りできるようにしていく。

Facebookは「発見」機能を削除する決定について「ユーザーがつながりを持ちたいとすでに考えている企業に対して、Messengerでもっとシームレスに連絡できるようにしたい。m.meのリンクウェブのプラグイン、Facebook関連のアプリ全般にわたるさまざまなエントリーポイント、そして広告プロダクトなど、ユーザーと企業がつながりMessengerに誘導するためのツールにさらに投資していく」と説明している。

新しいビジネスツールについては、リードジェネレーションのためのプロダクトをMessengerのテンプレートとしてFacebook Ads Manager内で公開する。このテンプレートでエクスペリエンスを自動化してMessengerで見込み客を判断し、アプリ内で会話を続けたり、既存のCRMツールと統合して見込み客を追跡したりすることができる。この機能はF8以降ベータ版として公開されていたが、今後は正式版になる。

アポイントメントの予約もF8で発表されたが、現時点では一部の開発者と企業に対してベータ版が公開されている状態だ。企業はMessengerを使ってこの機能でアポイントメントのリクエストを受け付け、リアルタイムで予約できる。既存のカレンダー予約ソフトと統合したり、Messengerでの会話を来店のトラフィックに誘導したり、オンラインや電話のアポイントメントに使ったりすることもできる。こちらは年内に世界中の全開発者に公開される予定だ。

今回発表された新しい情報としてもうひとつ、年内にMessengerのイベントレポートを改善する計画がある。この機能を使って企業はMessengerの会話のレポートや追跡をすることができる。

さらにFacebookは企業向けの標準メッセージングの対応時間(顧客からの問い合わせに対応しなければならない時間)を24時間にする。これはWhatsAppの対応時間と同様だ。

24時間後も、企業はスポンサー付きメッセージで顧客とメッセージタグを再度エンゲージすることができる。たとえば購入に関する最新情報、イベントのリマインダー、アカウントの変更などに利用できる。また現在はクローズドベータの「ヒューマンエージェント」もある。これは標準のメッセージングの対応時間が終わった後にエージェントが問題に対応するものだ。

一方、Messengerのサブスクリプションメッセージングのベータプログラムも変更される。

こちらは「確認済みのニュース媒体」に限定される。これは一部の企業がこの機能をFacebookのガイドラインに違反して使用しているためだと、同社は明らかにした。この機能は購読者に対して定期的に最新ニュースを送るために設計された。このタイミングで変更されることは興味深い。Facebookがトップニュースのストーリーを再開しようとしているからだ。今回はジャーナリストが吟味し、Facebookが費用を負担してコンテンツを掲載する。ニュースプロダクトとサブスクリプション/アップデートが両立する余地はあるが、今後どうなるかは明らかになっていない。

F8で発表されたMessenger関連の最大のニュースはMacとPC用のデスクトップアプリだったが、これはまだ登場していない。年内には登場すると見られる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

自撮りビデオをスターの顔に変えてしまうZaoをWeChatが制限

中国で先週末クチコミで広まったZaoは、ビデオの顔を他人の顔にリアルに変えてしまうアプリだが、そのポリシーをめぐる騒動のあとWeChatは、同社のメッセージングプラットホームの上でそのアプリの使用を禁じてしまった

中国で人気最高のデートアプリであるMomoの開発元が作ったZaoは、ユーザーがアップロードするセルフィービデオ(自撮りビデオ)の顔を、人気映画や音楽ビデオなどの中のセレブの顔に変えてしまう。

今は中国でしか利用できないアプリだが、ユーザーがWeChatやそのほかのソーシャルメディアでビデオをシェアすることによってどんどん広まり、同時にディープフェイク技術の悪用に関する懸念から論争も広まった。現在は削除されているZaoの最初の利用規約では「アップロードされたビデオの所有権やその他の権利がすべて永久にZaoにある」とされていたので論争にいっそう火がついた。

急速に広まったのと、セルフィーが1つだけあれば使える気安さから、ディープフェイク技術に対する関心が高まり、また、誤った情報やいじめなどの拡散も懸念された。なお、この顔変えアプリは元のセルフィーが複数あったほうが結果がいいそうだ。

今現在、Zaoで作ったビデオはWeChatにアップロードできるが、アプリをダウンロードしたり、リンクをほかのWeChatユーザーに送ろうとすると、「このウェブページは何度も報告されており、セキュリティリスクを含んでいる。安全なオンライン環境を維持するためにこのページへのアクセスをブロックした」というメッセージが表示される。

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App Annieによると、Zaoは先週金曜日の8月30日にリリースされたあと、急速に中国の無料iOSアプリのトップになった。9月1日にZaoのWeiboアカウントにポストされた声明によると、「プライバシーに関する皆さまのご心配を十分理解している。この問題は私たちも認識しており、解決方法を考えている。あと少し、お時間をいただきたい」とある。そして今の利用規約では、ユーザーが作ったコンテンツはアプリを改良するためにのみ使用し、削除されたコンテンツはサーバーからも削除される、となっている。

今TechCrunchはZaoにコメントを求めている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

営業活動をクラウドで効率化する「Sales Tech」カオスマップ2019版をインターパークが公開

インターパークは9月3日、「Sales Tech」(セールステック)のカオスマップ2019版を公開した。Sales Techとは、営業活動をクラウドやスマートフォンなどを使って効率化するSaaS系サービスのこと。

同社は、Sales Tech系サービスである「サスケ」を開発・運営。顧客管理システムを基盤としたクラウドサービスで、主にリードデータと呼ばれる見込み顧客や潜在顧客の管理を得意とし、マーケティングや営業の部門で活用されているとのこと。

インターパークによると2019年になり、見込みのある会社へ訪問をして商品を紹介する従来の営業活動から、移動時間を削減でき、遠方の会社へも効率よくアプローチできるオンライン商談を導入する企業が増えているという。同社は、来年に開催される東京オリンピックを機にペーパーレス化がさらに進むとし、文書や名刺をクラウドで管理サービスなどのさらなる成長も予想している。なお、今年4月にNasdaqに上場したユニコーン企業であるZoomは、カオスマップの「オンライン商談」に分類されている。Zoomは7月11日に日本法人「ZVC JAPAN」も設立済みだ。

関連記事:ビデオ会議のZoomが2019年Q1で予測上回る決算、売上は132億円超

Facebookが近い将来「いいね!」カウントを廃止する可能性

Facebookは近くニュースフィードから「いいね!」数のカウンターを削除するかもしれない。これは投稿者が「いいね!」数に影響されて他のユーザーとの競争や自己検閲などに陥ることを防ぐのが狙いだ。

Instagramはすでに日本、カナダ、ブラジルなど7カ国でこれをテスト中だ。「いいね!」の総数ではなく、投稿者と友達関係にあるユーザーが「いいね!」したことだけを表示する。期待したほど「いいね!」が集まらないときに誤った競争心から意見を変えたり投稿を削除したりするようなバイアスからメンバーを守ろうとする試みだ。

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「いいね!」非表示のFacebookニュースフィードのプロトタイプ(Jane Manchun Wong)

リバースエンジニアリングの達人、Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチン・ワン)氏はFacebookが「いいね!」カウンターを削除したAndroidアプリをテストしていることを発見した。TechCrunchが取材したところ、Facebookは「いいね!」カウントの表示廃止を検討していることを認めた。ただし「いいね!」数非表示のUIはまだ一般に公開されていないという。FacebookはInstagramにおける「いいね!」数非表示のテストの背景や結果などについて明かすことを拒んだ。またテストから本番実施に移る可能性やその時期についてもコメントを避けた。テストに対する反応が不評で広告収入にダメージを与えるようであれば「いいね!」数の非表示は取りやめになる可能性は残っている。

しかしInstagramにおける「いいね!」表示廃止はポジティブな結果を生じているかもしれない。Instagramがテストを計画していることに我々が気づいたのはこの4月にワン氏が発見したときだった。その後カナダで実地テストが開始され、7月までにブラジル、オーストラリア、ニュージーランド、イタリー、アイルランド、日本が続いた。

これらの地域では投稿者本人は「いいね!」数を見ることができるが、他のメンバーには表示されない。 Facebookは本体で「いいね!」数非表示を実験する前に、まず傘下のInstagramで投稿や広告、ユーザーの精神衛生などに対する影響をテストすることにしたのだろう。

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Instagramはすでに「いいね!」数非表示をテスト中。Facebookも近々続く可能性がある

最近Facebookは結婚や転職など人生の節目になるような大きなイベントの告知に使われ、日々の投稿はInstagramやSnapchat へという傾向が強まっている。Facebookで共有されるのがユーザーにとってビッグイベントである場合、期待したほど「いいね!」がクリックされないとユーザーは自己嫌悪に陥いるなどの悪影響が懸念されることになる。これは結果的にFacebookの広告収入に対しても悪影響となる。ユーザーが「「誰も『いいね!』してくれない。私の人生は無価値だ」と落ち込んでFacebookを使うのを止めてしまうようなシナリオは避けたいだろう。

ちなみに私は2017年に「『いいね!』数カウントを非表示にしたほうがプレッシャーを軽減し、結果的に投稿を増やすはずだ」と書いている

10月2日から4日にかけて開催されるTechCrunch Disrupt SF 2019(チケット申し込み)で私(Constine)はSnapchat CEOのEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏にインタビュー する予定だ。ソーシャルメディアの成長戦略一般に加えてSNSのメンタルな影響についても詳しく尋ねるつもりなので興味のある読者はぜひチェックしていただきたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

葬儀サービスのよりそうが20億円調達、終活プラットフォームの構築目指す

よりそうは9月2日、総額20億円の資金調達を発表した。調達方法は、SBIインベストメント、ジャパン・コインベスト(三井住友トラスト・インベストメント)、新生企業投資、ナントCVC2号ファンド(南都銀行とベンチャーラボインベストメントの共同設立ファンド)、山口キャピタル、AGキャピタルを引受先とする第三者割当増資。累積調達額は32.6億円となる。

同社は、葬儀関連サービスを手がける2009年3月設立の企業。2013年に「よりそうのお葬式」(旧・シンプルなお葬式)、「お坊さん便」の提供を開始。同社によると、いずれも問い合わせ件数を伸ばしているとのこと。

よりそうのお葬式は、税込み12.8万円からの低価格な葬式から、葬式を省略して火葬のみとするプラン、通夜を開催せずに葬式のみとするプラン、家族葬プラン、知人や友人を招いた一般的な葬式まで、さまざまな形式を選べるのが特徴だ。

お坊さん便は、初回3万5000円から法事の僧侶を手配できるサービス。葬式はもちろん、四十九日法要や初盆・新盆、一周忌法要、3回忌法要などの依頼も可能だ。戒名・法名については2万円から受け付けており、天台宗、真言宗、浄土宗、曹洞宗、臨済宗、浄土真宗、日蓮宗、宗派不問から選べる。もちろん戒名は、高位になるほど料金が上がる。

加えて同社は、2018年3月に、終活、葬儀、相続などのサービスをワンストップで提供するブランド「よりそう」を発表。2019年8月現在、加入することで葬儀・供養の特典が受けられる「よりそうメンバー制度」の会員は数万人規模に成長しているとのこと。将来的には、介護など老後に関わるそのほかの領域への事業拡大を目指す。

今回調達した資金は、人材採用と提供サービスの認知向上、新しい葬儀プランの提案、ライフエンディングプラットフォーム確立に向けた新規事業開発などに投下される。人材については、ライフエンディングプラットフォーム構築のために、エンジニアやマーケティング、カスタマーサポートなどの職種を中心に、社員数を2020年度末までに現在の2倍にあたる約200名に増員する計画だ。サービスの認知向上については、シニア層への訴求を公開するため紙媒体やマスプロモーションをはじめとするオフラインマーケティングに注力するという。

昔ながらの檀家制度が続いている実家などでは葬儀の手配や僧侶の招聘は難しいことではない。しかし、実家から離れた場所に住居を構えている場合、突然訪れる肉親の死と向き合いながら葬儀や僧侶を手配するのは精神的にかなりの負荷がかかる。よりそうは、葬儀にさまざまな選択肢を用意しつつ価格を明瞭にすることで、遺族に対してまさによりそうサービスを提供する。

また今後、日本は超高齢化社会を迎え、独り暮らしのシニアが増加することは明らか。同社は、終活、葬儀、相続などのサービスをワンストップで提供する「よりそう」ブランドを通じて、葬式や供養の生前予約などサービスを提供して老後の不安を解消していく。

GVA TECHの次の一手は「エンタープライズ向け」、大手の“法務格差解消”目指し「AI-CON Pro」α版リリース

AI契約書レビュー「AI-CON」や法人登記支援サービスの「AI-CON 登記」を提供するGVA TECH。2017年1月設立のLegalTech(リーガルテック)スタートアップである同社の次の一手は「エンタープライズ向け」。GVA TECHは9月2日、エンタープライズ向け“⾃社専⽤”のAI契約法務サービス 「AI-CON Pro」のα版をリリースした。

開発の背景に関して、GVA TECH代表取締役の山本俊氏は「AI-CONはスタートアップ、中小企業向けに提供を想定していたものの、エンタープライズからの問い合わせも非常に多かった」と話す。GVA TECHの理念は「法務格差を解消すること」。今後はスタートアップや中小だけでなく、エンタープライズにおける「法律業務の民主化」もGVA TECHのミッションとなった。

「エンタープライズにおいても法務部と事業部間での法務格差はもちろんのこと、法務部内でも知識や経験の差があるため、法務格差が生じていることがわかった。そこで、大手企業の中でのノウハウや方針を生かしてエンタープライズ企業内での法務格差の解消を行うことにより、法務を企業の中に浸透させることができればと考えている」(山本氏)

山本氏いわく、大手企業からの問い合わせでは「自社の基準を反映させたいという要望が非常に多かった」という。そのため、従来のAI-CONでは「GVA TECHの設定による法務基準」でリスク判定をしていたが、AI-CON Proでは「自社の法務基準で契約書レビューがしたい」という大手企業からの要望に応えた。「顧客企業が使用している契約書の雛形や法務知識をGVA TECHのAIにセットアップすることで、導入企業の法務基準に則した契約書レビューを実現した」そうだ。

「スタートアップや中小企業と違い、内部にノウハウがあるエンタープライズ企業は内部に法務知見があるため、知見を集約して法務部間の法務格差を解消することを当初の目標とし、その後は経営や事業部に一部法務機能を移管することを目指している。また、法務部の時間も効率化や移管によって増加するため、アメリカのように経営や事業に密着した創造的な法務を生み出すことができるようにしたい」(山本氏)

GVA TECHいわく、AI-CON Proでは以下の付加価値を提供することが可能になるという。

  1. 法務担当者の業務効率化および契約書レビュー期間を短縮することができる
  2. 法務担当者の知識をAIにセットアップして自社の法務部門へ共有することで、契約書レビューの精度を標準化し、属人化を防止することができる
  3. 法務部門だけではなく、法務知識が浅い各部門も「AI-CON Pro」を使用することで、契約書をレビューする際の観点がわかる

GVA TECHは年内にはAI-CON Proの正式版をリリースする予定だ。山本氏はこれまでにリリースしてきたプロダクトに関し、次のようにコメントしている。「AI-CONについては多様な企業の利用が増えている。今後はよりスタートアップや中小企業のニーズにマッチするような機能や価格帯により特化していく予定。 AI-CON登記は評判が非常に良く、毎月利用が伸びている。本日も商号変更対応機能が追加されたが、今後も登記事項を随時増加していく予定だ」(山本氏)

関連記事:

Twitterのジャック・ドーシーCEOのTwitterアカウントが乗っ取られる

ハッカーがTwitterの共同創業者で現在のCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏のアカウントを乗っ取った。

人種差別なども含む一連の悪質なツイートが、8月31日東部時間午後3時30分(9月1日日本時間午前4時30分)よりTwitterのCEOのTwitterアカウントへ彼からのツイートとしてポストされた。それらのツイートのひとつには、アカウント乗っ取り犯と称する者のTwitterハンドルがあった。そのアカウントは、即座に停止された。

ドーシー氏にはフォロワーが421万人いる。

TwitterのスポークスパーソンEbony Turner(エボニー・チューナー)氏によると、同社は目下調査中である同社は事件に関して、こんなツイートをポストした。

アカウントがどうやって乗っ取られたのか、まだわかっていない。しかし悪質なツイートはCloudhopperから送られた。Twitterが2010年に同社のSMSサービスを改良するために買収したこのサービスが使われたということは、誰かがドーシー氏のアカウントのパスワードを入手したのではなく、認証されているサードパーティのアプリが彼のアカウントを乗っ取った可能性を示唆している。

著名なアカウントをハックされてTwitterの大掃除が必要になったことは、これが初めてではない。FacebookのボスであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏も、二段階認証を使わなかったためにTwitterのアカウントをハックされたことがある。また、そのときの彼のパスワードは、知らない人が当てやすい笑えるほどシンプルなものだった。

その後Twitterは、ドーシー氏のアカウントを保護したと公表した。

Twitterのその後「アカウントに結びついている電話番号が、モバイルプロバイダーのセキュリティの欠陥により乗っ取られた。これによって、権限のない者がその電話番号からテキストメッセージでツイートを作って送ることができた」とコメントした。

つまり、ドーシー氏はSIMスワッピング(SIM交換を悪用する詐欺)の被害者になったようだ。Twitterは、そのモバイルプロバイダーの名を挙げていない。

Twitterからの声明でこの記事をアップデートした。

関連記事:マーク・ザッカーバーグのTwitter、Pinterest、LinkedInがハックされる、Facebookアカウントは無事

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Skypeが下書きなどメッセージング機能を拡充

Skypeはビデオ電話のアプリとして最もよく知られているが、対照的にメッセージングの機能はやや未熟だ。米国時間8月30日、同社はそんな企業イメージを一掃すべく、チャット機能に一連の改善を導入し、ライバルとの差別化を強化しようとしている。

それらの中でもっとも便利なのは、メッセージのドラフト(下書き)だろう。

メールの場合と同様にSkypeでも、書いたけどまだ送ってないメッセージを「draft」(下書き)タグを付けて保存できる。あとでそのメッセージを仕上げてから送ればいい。Skype new features 1b

今のビジネスとパーソナルのコミュニケーションはどちらも、メール以外がとても増えているから、ほかのメッセージングアプリも絶対に下書き機能を導入すべきだ。

iMessageでも人々は長年、下書きと送信スケジューリング機能を求めている。一部の頭のいいデベロッパーは、消費者のニーズに答えてアプリごとの工夫を編み出している。その中にはなんと、メッセージのテキストをNotpadに書いておいて、送るべき時に送るという素朴なやり方もある。

これまたメールの真似のようだが、今度のSkypeには重要なメッセージのブックマークがある。モバイルではメッセージを長押しし、デスクトップでは右クリックして、それから「Add Bookmark」(ブックマークを加える)をタップまたはクリックする。そうするとメッセージはBookmarksの画面に加えられ、容易に取り出せる。Skype new features 2

写真やビデオ、ファイルなどは、メッセージで送る前にプレビューできる。有意義な改良だが、革新的というよりほかのコミュニケーションアプリへの追随だろう。Skype new features 4

大量の写真やビデオを一度に送るときは、それらをソーシャルメディアで行われているようにグループ化できる。実際に表示されるのはごくわずかで、プラスボタン「+」をクリックすると残りを次々と見られる。Skype new features 3b

Windows 10ではすでにサポートされていたが、これからはすべてのバージョンのWindowsとMacそしてLinuxで分割ウィンドウがサポートされる。

今でもまだ使われているメッセージングアプリの古顔だが、Skypeはもはや最大でも人気最高でもない。例えば公表している月間アクティブユーザー3億人は、WhatsAppの15億人に遠くおよばない。

でも今なお、こうやってきめ細かい親切な消費者対応を図っているのは偉い。昔やったSnapchatのモノマネはあっさり引っ込めて本当によかった。今でもSkypeを使っている人は、その使いやすさと仕事に便利であることを買っている。今回のアップデートも、その方向を意識している。

Skypeによると、上述の分割ウィンドウの拡張サポート以外では、すべての新しい機能がSkypeのあるすべてのプラットホームに一斉に展開される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpotifyからFacebookのストーリーに音楽を共有できる

Spotifyは米国時間8月30日、友達と、あるいはアーティストがファンに対して、音楽を共有する新しい方法を発表した。Facebookのストーリーと統合し、15秒間の試聴を共有できる。これを見た人はストーリーにある「Spotifyで再生」ボタンをタップしてSpotifyアプリに移動し、曲をもっと聴くこともできる。

この機能は主にアーティストとそのチームがFacebookのソーシャルネットワークで新曲をプロモーションする新しい方法として設計された。ミュージシャンやマネージャーは、Spotifyアプリの共有機能を使って、コンテンツをInstagram、Twitter、WhatsAppなどのソーシャルメディアに投稿していることが多い。

2018年にSpotifyは、アルバム、曲、プレイリストをInstagramのストーリーに共有する方法を導入した。これは、Facebookが他社のアプリからFacebookやInstagramのストーリーに共有する機能を公開すると発表したことを受けたものだった。

その時点でSpotifyは、Facebookのストーリーとの統合もまもなく開始すると発表していた。

Instagramとの統合を開始して以来、共有機能はSpotifyとInstagramの双方にとって有効なものとなった。音楽を見つけようとしてSpotifyアプリに戻ってくるトラフィックが増え、ユーザーのストーリーもより魅力的なものになるからだ。

しかしFacebookのストーリーへの共有は、それほど需要がないかもしれない。

15秒間のクリップをFacebookのストーリーに共有するには、Spotifyアプリで共有ボタンをタップし、共有先としてFacebookを選択する。

補足しておくと、現時点ではSpotifyが公表し上のツイートの動画にもあるニュースフィードへの共有は表示されない。「Facebook」をタップするとすぐにストーリーのインターフェイスが表示される。

この後はふだんと同じようにストーリーを編集して投稿する。これを見た人は15秒間のクリップを試聴でき、タップしてSpotifyに移動してもっと聴くこともできる。

Spotifyは過去にもFacebookのストーリーへの共有機能を提供していたが、その後、利用できなくなっていた。

曲の試聴は、1曲だけをストーリーに共有した場合に限られる。Spotifyによれば、アルバムやプレイリスト、アーティストのプロフィールページといったコンテンツを共有した場合、それを見た人はコンテンツをタップすることはできるが、試聴はできない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

休んでいる人にメールしようとしたらGmailは送信の前にそれを教えてくれる

休んでいることを知らずに同僚にメールしてダルい思いをすることは誰にもある。「不在」の自動応答が来たときに、同僚がハワイに行くと言ってたことを思い出し、自分の馬鹿さ加減にあきれる。それから「これちょっと手伝ってくれない?」「いいよ、旅を楽しんでね」のスレッドが大量に発生するのだ。

Google(グーグル)は今度の新しい機能で、G Suiteのユーザーにはこれが頻繁に起きないようにしようとしている。G Suiteとは、有料の企業ユーザーとしてGmail、Docs、Hangouts、Calendarなどなどを使うことだ。その中のCalendar(カレンダー)に、しばらくいないことをマークしておくと、同僚たちのところには、彼らがメールをする前に通知が行く。

その注意書きは、黄色のバナーで「送信」ボタンの右上に出る。そこには、その人が今いないことと、いつ帰るかが書かれている。

Hangouts(ハングアウト)でも、メッセージを送ろうとすると注意書きが出る。

この機能は、Googleがカレンダーに昨年導入した不在通知を利用している。これまでは、カレンダーに不在通知をマークしておくと、自動的に会議への出席を断ることができた。

ほとんどの人が、赤の他人に自分の休暇プランを教えたくないだろうから、メールとハングアウトのこの注意書き機能は、あなたのカレンダーへのアクセスを認められているG Suiteのユーザーに限定される。つまりそれは、各人がすでに持ってる情報だけど、何もしなければ知らないままというタイプの情報だ。

黄色いバナーが仕事の邪魔だ、という人は、カレンダーの「アクセス許可」のところで「他人のカレンダー情報を見る」を無効にすればいい。

この機能がG Suiteの全ユーザーに行き渡るのは9月16日だそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ウェブ版YouTube Kidsが公開された

子供向けのYouTubeコンテンツ専用のウェブサイト、youtubekids.comが誕生した。このウェブサイトは、既存のYouTube Kidsモバイルアプリと同様の体験を提供する。このアプリを使うと、親が年齢にふさわしい動画に子供を誘導したり、子供の視聴履歴を追跡したり、YouTubeのフィルターが見逃したコンテンツを報告したりすることができる。ローンチ時には、サイトでのサインインオプションは提供されないが、後日公開されることが発表されている。

ウェブサイトがもうすぐ公開されることは、今週YouTubeによって控え目に発表された。またこれは、米国の子供のプライバシー法(COPPA)に対する違反に対して、Googleが所有するビデオプラットフォームに課された数億円に達する罰金を含むと言われているFTCとの和解の公式発表に先立って行われたものだ。

こうしたFTCの裁定には、先例がないわけではない。

規制当局は今年初め、Musical.ly(現在のTikTok)に過去最高の570万ドル(約6億円)の罰金を科し、アプリに年齢制限を設けさせた。

FTCのYouTube裁定も、同様の年齢制限が要求されるだろう。それは13歳未満の子供を、親の同意なしに子供の個人情報が収集されることはない、子供にとって安全なCOPPA準拠のYouTubeウェブサイトにリダイレクトするようにデザインされたものになるのだ。

今回の新しいウェブサイトは、FTCの発表に先立ち、YouTubeが最近行ったいくつかの変更の1つに過ぎない。

同社また、YouTube Kidsに、これまでの5歳から7歳向けの「小学校1〜2年生向け」、そして8歳から12歳向けの「小学校3〜6年生向け」に加えて、4歳以下の「未就学児向け」の新しい年齢グループを追加する変更を今週行った

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YouTube Kids(8〜12歳向けグループ)

そして先週、同社は子供の安全に関するポリシーを拡張し、以前のようにただ制限するだけでなく、「子供たちとその家族を対象とした動画の中で、誤解を招くおそれのあるファミリーコンテンツ、例えば性的なテーマ、暴力、猥褻、または若い視聴者にふさわしくない成熟したテーマなどを含んだもの」はすべて削除する、とした。

YouTubeはキーワードとYouTubeアルゴリズムを使用して子供をターゲットにした多くの奇妙で不穏なビデオをホストした件で、2017年に激しく非難された

例えば、子供たちが人気漫画キャラクターのペッパピッグ(Peppa Pig)の動画を探すと、ペッパピッグが漂白剤を飲んだり、歯を乱暴に引き抜かれたりする動画が見つかったりしていた。実際、この種の問題は何年もの間続いていたが、YouTubeがやっと腰を上げて、ビデオに年齢制限をかけ状況に対処したのは、報道によって大きな注目が集まってからだった。また同社は一部の動画の収益化も遮断した

しかし、消費者保護団体が主張しているように、YouTubeのより大きな問題は、YouTubeが子供にとって不適切な可能性があるだけではなく、実際に法律に違反しているということなのだ。

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YouTube Kids(4歳以下向けグループ)

Campaign for a Commercial-Free Childhood(CCFC、商業主義に無縁な子供時代を実現する運動)や、Center for Digital Democracy (CDD、デジタル民主主義センター)といった組織は、FTCにYouTubeの調査を依頼している。同社が長年にわたって2500万人近くの米国の子供たちから個人情報を収集しており、また「非常に洗練されたマーケティング手法」の中で同社がそのデータを使っていると主張しているのだ。

グループは、YouTubeはその利用規約を盾に逃げていると主張している。利用規約はサイトが13歳以上向けのものであると述べているのにもかかわらず、若いユーザーがアクセスしないようにするための策をなにも講じていないからだ(そして、より若いユーザーがYouTubeにいることは明らかだ。結局それこそがYouTubeがコンテンツのサブセットを、まず自身のYouTube Kidsアプリへと分離できた理由なのだ)。

YouTube Kidsのウェブサイトの準備は整った。あとはFTCの公式裁定を待つだけだ。

ワシントン・ポストは、その裁定の詳細が確定し、数百万ドルの罰金が含まれていると指摘している。本日のPoliticoのレポートによれば、罰金は最大2億ドル(約210億円)になる可能性があると言われている。また、ブルームバーグによれば、YouTubeは子供向け動画のターゲット広告を終了するという。

しかし、新しいウェブサイトからリンクされているYouTubeの既存のYouTube Kidsプライバシーポリシーをみる限り、それはまだ実現されていない。

また、子供向けの安全なコンテンツが実際にYouTube.comから引き出されてYouTube Kidsだけに掲載されるかどうかも、まだわからない。

なぜYouTubeが、公式YouTubeブログではなく、YouTubeのヘルプフォーラム上で、メディアに警告することなく、子供向けコンテンツポリシーの変更、Kidsウェブサイトの事前発表、年齢フィルタへの変更、そしてウェブサイトのローンチのニュースなどを発表したのかは不明だ。

とはいえ、確かにYouTubeはそのユーザーにKidsプロダクトの存在を周知しようとしている。大きなポップアップバナーがYouTube.comを開くたびに表示され、それは子供を持たないユーザーをイライラさせている(なお訳者の使っている日本語版の環境ではこのポップアップバナーは現在表示されないようだ)。

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新しいKids Webサイト自体に関しては、報告することはそれほど多くない。コンテンツはアプリ同様に、「アニメ・ドラマ」「おんがく」「はっけん」「ゲーム」などのカテゴリに整理されている。親は、自分のパスコードを設定して、子供が設定に入ることができないようにできる。ただし、プロファイル、ホワイトリスト、タイマーといった、アプリにあるより高度な機能の一部がまだ欠落している。それらはおそらく時間をかけて展開されるだろう。

「私たちは子供たちが興味と好奇心を探求できるより安全な環境を作るために、YouTube Kidsを構築しました。同時に保護者の方には子供たちの体験をカスタマイズするためのツールをご用意しています。保護者の方々や専門家の皆さまからのフィードバックに基づいて、アプリの改善を続けています」とYouTubeは述べている

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(翻訳:sako)

「天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する」が9月20日からNetflixで配信開始

9月にNetflixは「天才の頭の中:ビルゲイツを解読する」と題された3部構成のドキュメンタリーを放映する。

監督は「不都合な真実」や「わたしはマララ」で高い評価を得ているデイビス・グッゲンハイムで、テクノロジーの天才、かつ世界第2位の資産家である人間の思考に入り込む。Netflixがこのドキュメンタリーを配信することを発表したのは先週だったが、いよいよ最初の予告編が公開された。

Microsoft(マイクロソフト)を創立し、30年にわたって君臨して、激しい賛否の議論を引き起こした時代から、ビジネスの第一線から退き、マラリアの撲滅やエネルギー問題などのチャリティー活動に専念するようになった現在まで、63年の半生が資料映像とゲイツ自身へのインタビューで詳しく解明される。我々が生きる現在の社会、生活の大きな部分を作ってきた人間の中をわずかでも覗くことができるなら貴重な視聴体験となるだろう。

予告編は「好きな動物は?」「イヌ」、「好きな食べ物は?」「ハンバーガー」といった会話から始まる。「今、いちばん怖いのは?」という質問にゲイツは「頭が動かなくなることかな」と答える。まあこれはゲイツならずともそう考えるだろう。

Netflixによればこのミニ・シリーズは9月20日から配信されるという。

【Japan編集部追記】ゲイツは若い頃を振り返って「Microsoftの優勢を保つために昼も夜も働いた。ときには激しい主張もした。しかし(当時の)ものの見方は間違っていた」と述べている。Netflixによれば日本での配信開始も9月20日が予定されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ひと口サイズで読ませるクラウドソーシング小説の出版社Inkittが17億円を調達

伝統的な出版の世界は、デジタル革命の猛襲に見舞われてきた。タブレットやスマートフォンが急増し、そこで視たり遊んだりできるコンテンツが充実したこともあり、娯楽としての読書は大幅に数を減らしてしまった。その一方で、アマゾンは出版の経済学を変革しようと先陣を切った。その結果、本の売り上げによる利益も、出版社と作家への報酬も、電子書籍の宇宙では利ざや縮小に追い込まれた。

ベルリンを拠点とするスタートアップであるInkitt(インキット)は、この流れに対抗しようとクラウドソーシングによる出版プラットフォームを構築した。同社は、今の世にでも、適切なかたち(下で詳しく解説するが)で提供すれば、読書が楽しめる余地があると信じている。そして米国時間8月28日、今日までの成功を裏付けるように1600万ドル(約17億円)の資金調達を発表した。現在インキットは、160万人の読者、11万人の作家を有し、35万本以上の小説がアップロードされたコミュニティーを形成している。今年の初めにローンチしたGalatea(ガラテイア)という新しいひと口サイズの没入感あふれる読書アプリによるランレートは600万ドル(約6億3600万円)とされている。彼らの野心はこれに留まらない。

その野心とはどれほどのものなのか?インキットの創設者でCEOのAli Albazaz(アリ・アルバザズ)氏は、目標は21世紀のディズニーを作ることだと話している。デジタル小説はいまだ黎明期だ。彼の視野には、オーディオ、テレビ、ゲーム、映画への進出、「それにもしかしてテーマパーク」も入っている。

しかし、「The Millennium Wolves」、このプラットフォームでのベストセラーのひとつで、リリースから最初の6カ月間に100ドル(約1億600万円)を売り上げ、24歳の作者Sapir Englard(スピア・エングラード)氏は、その印税でマサチューセッツ州ボストンのバークリー音楽大学に入学しジャズを学んでいる、が作り上げたジェットコースターが走り出すまでインキットは小さな企業だった。

ガラテイアをうまく育ててくれる作家を探し続けながら、英語の他に10カ国語を新たに追加し、さらに読者層の拡大と、読者とその人が最も共感しやすい物語を結びつけるためのデータ科学を採り入れた。同社は、インドやイスラエルなどでよく売れた作品から資金を得ている。そのため、それらの国々の英語を読まない読者たちにもアピールする時期に来たと考えている。

「これは長期計画です。私たちは一歩一歩進めています」とアルバザズ氏は今週のインタビューに応えて話していた。「私たちは最高の才能と最高の物語を、あらゆる場所で探しています。彼らを探し出し、発掘し、世界で成功するシリーズ物にしたいのです」。

今回のシリーズAの投資はKleiner Perkins(クライナー・パーキンス)氏の主導により、HV Holtzbrinck Ventures(HVホルツブリンク・ベンチャーズ)、エンジェル投資家のItai Tsiddon(イタイ・ツィドン)氏、Xploration Capital(エクスプロレイション・キャピタル)、Redalpine Capitalレダルパイン・キャピタル)、Speedinvest(スピードインベスト)、Earlybird(アーリーバード)が参加している。インキットは評価額を公表していないが、500万ドル(約5億3000万円)を調達している(レダルパイン率いる今回のシードラウンドを含む)。

みんなのためのフィクション

インキットは数年前、実に単純なアイデアからスタートした。人々(特に未契約の作家)が執筆中の話の抜粋を、またはフィクションの完成原稿(特に小説)をアップロードすると、それが読者に結びつけられ感想がもらえるアプリだ。インキットは読者からのデータを集計して、彼らが読みたがっている内容を詳しく洞察し、それをアルゴリズムに入力し、作家にフィードバックする。

これは、作家が未発表の作品を公開できる数ある場所(キンドルなど)に対抗できるシンプルなコンセプトだ。

しかし、その6カ月後、データベース化された作家と読者のクラウドソーシングというコンセプトは、ガラテイアの投入で面白い変化を迎える。

インキットは、この最初のアプリで最も高い効果を上げた、例えば、最も多くの読者を獲得し、もっとも多く読了され、もっとも多くフィードバックがあり、もっとも多く推薦を集めた作品を選び、内部の編集者と開発者のチームがそれをガラテイアに合ったフォーマットに作り変える。短く、ひと口サイズのミニエピソードに分け、1ページ読むごとにその内容に即した特殊効果を追加して没入感を高めるという仕掛けだ。

この効果にはサウンドの他に、衝突の場面ではスマートフォンが振動したり、鼓動が伝わったり、燃え上がる場面では画面いっぱいに炎が広がったりする。そのあとに、対のページに進むためのスワイプが指示される(このアプリにはうまい名称を与えたものだ。ガラテイアはピグマリオーンが作った象牙の彫像で、後に生きた人間に変身する)。

これはエロチックな話です。エピソード1はエロチックな音声から始まります。ヘッドホンを使用するか、プライベートな場所でお楽しみください。

アルバザズ氏が説明するように、ガラテイアは通知によって常に注意が移る世代の消費者に対応するように作られている。そうした人たちは、瞬間的に情報を得ることに長けている。

「現在、人々はスナップチャットやインスタグラムやいろいろなものを使っていて、それらすべてが通知を送ってきます。しかし、読書には強い集中力が必要です」と彼は言う。

そこで、ページサイズを縮小し、一度に一段落だけを表示するという方法をとった。

「通常の電子書籍アプリではページをめくりますが、こちらは段落をめくるようになっています」。こうすることで、画面の占有率は20%ト以下になると彼は話す。

読者は、ひとつの「エピソード」(およそ15分で読める数ページぶん)を1日に1回無料で読める。理論的にはガラテイアで本1冊が一切お金を使わずに読めるわけだが、多くの読者は、1日にもう少し読めるようにクレジットを購入している。その結果、本1冊につき平均でおよそ12ドルの利益が出る。現在、インキットの2つのアプリのユーザー数(インストール数)は、1日あたり数千単位で伸びている。

彼らは単に、今日の消費者が最も好む端末画面の使い方に合わせて読書アプリを作っただけではない。これは、そもそも作品を普及させるためのモデルを再構築するものでもある。

「小説はみんな大好きですが、その作られ方、読まれ方は、常に変化しています」とクライナー・パーキンスのIlya Fushman(イリヤ・ファッシュマン)氏は言う。「インキットの豊かでダイナミックな物語のフォーマットは、新世代の読者の想像力を即座に掴みます。彼らのコンテンツ・マーケットプレイスは、世界中の読者と作家を結びつけ出版の娯楽化と民主化を進めます」。

現在は、インキット自身が発掘したオリジナルの作品に大きく重点が置かれている。しかし、このモデルは基本的にもっといろいろな作品に対応できる。例えばそのひとつとして、すでに世界で出版されているが、読者の心にまだ響いていないもの、古典作品、人気はあるがガラテイアが手を加えることでもっと面白くなるものなどが考えられないだろうか?

だが一方、ガラテイアのモデルは、本質的に非常にわかりやすいヒット作品に偏っているようにも見える。最初から人気があるとわかっているものや、人気が出ることが証明されているテーマなどだ。すぐに読者を引きつけることはできなくても、読む価値のある作品や、いつか大傑作として認められるかも知れない作品にまで幅を広げることはないのだろうか。「ハリー・ポッター」シリーズも好きだが「フィネガンズ・ウェイク」や「ミルクマン」を読みたい人もいる。

この両方に対するアルバザズ氏の答えはこうだ。インキットはすでにたくさんの出版社から、彼らの独自作品をガラテイアを使って出版したいという申し出を受けている。そのため、ご想像のとおり、いずれはその方向へ進むだろう。ガラテイアでの今の大ヒット要因を把握してはいるものの、さらに成長して利用者が増えれば、より幅広い嗜好に応えられる作品を探さなければならなくなる。

彼らの事業は、ゴリアテであるアマゾンに立ち向かうダビデそのものだ。しかし、インキットにはひとつの強みがある。このプラットフォームでチャンスを掴もうとする人たちに、相応の報酬を約束している点だ。

ガラテイアでの作家の平均的な報酬は「出版社としては最悪のパートナー」とアルバザズ氏が批判するアマゾンで出版した場合と比較して30倍から50倍だという。彼は、インキットでの印税の分割に関しては明言していない。その高額な印税は、読者数が多いためか、取り分が多いためか、その両方なのかも明らかにされていない。ただ、作品に対して「読者が多い」ために「収入が増える」からだとのみ彼は話している。

これはとても柔軟なプラットフォームでもある。他の場所で同時に作品を発表することも許される。「誰も拘束しません」と彼は言う。「最も公平でもっとも客観的な出版社になることを、社内共通の使命として宣言しています。隠れた才能を発掘するには、その方法しかないのです」。

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(翻訳:金井哲夫)

SpotifyがCreate podcastをテスト、ポッドキャストのファンをクリエーターに

EngadgetのJane Manchung Wong(ジェーン・マンチャン・ウォン)が最初に発見したように、Spotify(スポティファイ)はアプリ上でユーザーが購読しているポッドキャストのリストの一番上に表示される、新しい機能「Create podcast」をテストしている。このボタンは、Spotifyが2月に買収したポッドキャスト作成アプリ 「Anchor」 をダウンロードするように、ユーザーを誘導するプロモーションを提供する。

これはSpotifyがポッドキャストに投資しているひとつの例で、消費と制作という両面の意味がある。同社はまた、ポッドキャスト向けの新しいアナリティクス・ダッシュボードを今年発表し、8月にすべてのクリエーターに向けにリリースした。これには、ポッドキャストクリエーターに彼らのリスナーがなにに関心を寄せているかを示すことが含まれている。

Spotifyはまた、2019年だけでも音楽とPodcastをミックスしたパーソナライズ・プレイリストをローンチし、Podcast配信ツールをすべてのクリエーターに公開し、アプリのナビゲーションを再設計してPodcastを音楽と対等な立場においた。同社は、コンテンツと制作の両面で数々の買収を行い、プラットフォーム全体の重要な要素としてポッドキャストに力を入れている。

現在の音楽レーベルとのライセンス契約では、楽曲ストリームにもとづいて加入者からSpotifyに支払われる金額はごくわずかでしかないため、Podcastは同社が収益を多様化し、より多くの利益を得るための新しい事業分野を生み出す手段となっている。特に、クリエイターや広告主に広告を販売することで、Spotifyはリスナーの利用を増加させ続けられればポッドキャストからより多くの利益を得られる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Yelpのウェブサイトと検索結果がパーソナライズ化

米国時間8月27日、Yelpはユーザーの個人設定に基づいて検索結果とウェブページをパーソナライズできるようにすると発表した。

ベジタリアンのユーザーや子連れで行きやすいレストランを見つけたいユーザーは、検索のたびにその情報を入力する必要がなくなる。いったん設定しておけば、その後はその条件を優先した結果が表示される。

同社コンシューマープロダクト責任者のAkhil Ramesh(アキール・ラメシュ)氏は「2人のユーザーが同じコンテクストで同じ検索をしても結果は異なる。これはYelp史上初めてのことだ」と言う。

この機能を使うには「Personalize your experience」(体験をパーソナライズ)からオプションを選択する。オプションには、食事の条件(ベジタリアン、ビーガン、グルテンフリーなど)、ライフスタイル(子供がいる、車を持っている、ペットがいる)、アクセシビリティのニーズ(車椅子、ジェンダーニュートラルの化粧室)、好きな料理、その他の好み(書店が好き、夜のデート向けなど)がある。

この設定を済ませると、検索結果に反映するようになる。結果には「ベジタリアン料理多数」「中華好きのあなたにおすすめ」などと表示されるので、パーソナライズされていることがわかる。ウェブページではユーザーが気に入りそうな店がハイライトされる。

この機能の登場は遅すぎるようにも思える。人気アプリやウェブサイトの多くは、すでにすっかりパーソナライズされているからだ。なぜYelpは今、この手法を取り入れることにしたのか。

その理由のひとつとしてラメシュ氏は、食に対する関心の多様化を挙げる。また「我々には長年にわたって蓄積してきた、構造化されてはいないものの有意義で質の高いコンテンツがある。このコンテンツはリアルな体験を表しているものだ。ここ数年、我々の機械学習とAIは飛躍的に発展した。そのため、我々が持つ高品質なコンテンツをベースに本当に役に立つ機能を作ることができた」とも語る。

ラメシュ氏は、すべての行動をアルゴリズムに反映させるのではなく、明示的にYelpと共有した設定から結果を示すと強調する。とはいえ「どの機械学習のアルゴリズムにも偏りはたくさんあるだろう」とも述べた。

同氏は、このアプローチを「人間的な方法」と説明する。つまり、誰かと会話をするときに「その人が週末に何をしたかを想定しようとはしないでしょう。その人にただ質問し、会話をするだけです」。

同時にラメシュ氏は、アプリ内での行動全般が検索結果に影響を与えることが有用であることも多々あるため「この2つのバランスを探っているところだ」とも語った。

好みはタイミングや状況によって変わることもある。あるものを食べたくないとか、子供抜きで食事に行くこともあるだろう。そこで設定はいつでも変えられる。また、ウェブページからいずれかを選択し、詳しく見ていくこともできる。

このことがYelpの広告ビジネスにどう影響するかをラメシュ氏に尋ねたところ、最初に目に入る広告には影響が現れないが、設定と関連づけて「XXX料理好きのあなたに」というメッセージの広告は表示されるようになるとの説明だった。

同氏は「最終的にユーザーの設定に基づいて広告が表示されるだろうが、ETA(拡張テキスト広告)は表示されない」と付け加えた。

画像:Yelp

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(翻訳:Kaori Koyama)

APIの良質な文書を作るReadMeがログ利用でサービスを高度化

ソフトウェアにAPIがあると、さまざまなツールがお互いにコミュニケーションでき、デベロッパーは自分でコードを書かなくても便利なサービスにアクセスでき、そのソフトウェアをプラットホームとしても運用できるようになる。でも、APIを上手に使うためにはしっかりとしたドキュメンテーション(文書)が必要だ。APIのドキュメンテーションの制作を助けるその名もReadMeが、AccelがリードしY Combinatorが賛助するシリーズAのラウンドで900万ドル(約9530億円)を調達した。同社は、2015年冬季にY Combinatorを受講している。

今日の投資の発表前には、同社は2014年に120万ドルのシード資金を獲得しただけだ。それが今では3000社の有料顧客がいて過去7年黒字という、珍しいほどの好成績を収めている。しかし成功に酔うことのないCEOのGregory Koberger(グレゴリー・コーベルガー)氏は、今後は大型顧客の獲得に努め、より高度な要求にも応じるために今回のラウンドに至った、と控えめに言う。

しかも同社は近年、企業のAPIのログを分析して各種の情況に応じたドキュメンテーションを制作でき、またAPIの使い方がわかると、ユーザーが抱えるいろんな情況のカスタマーサポートにも応じられるようになった。でも、よその会社のAPIログを見るのだからデータのセキュリティが重要だ。今回の資金は主に、その方面に投資される。

コーベルガー氏は「当たり前のように、技術者を増やしサポートやデザイナーも増やす必要がある。しかしそれは何のためかというと、もっと大きな企業を相手にし、そのためにデータのセキュリティを強化するためだ。それを正しくやるためには、お金がたくさん必要だ」と語る。

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画像提供: ReadMe

彼によると、各企業のAPIログを利用できるようになってから、いろんな可能性が一挙に開けた。なぜなら、データが人びとのAPIの使い方を知るための貴重な窓になるからだ。彼は「サーバーのログからいろんなことがわかるから、すごい。誰かがAPIで問題を抱えていたら、ログを見て問題の様相がわかるのでデバッグができる。サポートチームにも、ログから顧客のAPIの使い方に関するいろんなことが分かる」と語る。

今回の投資をリードしたAccelのDan Levine(ダン・レーヴィン)氏によると、APIの成否の鍵を握るのは、良質なドキュメンテーションがあるかないかだ。「APIは技術的な統合を作り出すためにあるだけでなく、そのサービスを軸とするエコシステムを作り、企業間のパートナーシップの強力な糊にもなって、数十億ドルの価値を生み出す。だからReadMeは企業にとって、サービスである以上に戦略だ。クリーンで対話的でデータドリブンなAPIのドキュメンテーションがあれば、デベロッパーはそれで仕事をすることが好きになり、それは100社や1000社のパートナーシップにも値する」とレーヴィン氏。

ReadMeは2014年に創業された。今サンフランシスコのオフィスには社員が22名いるが、今回の投資で当然増えるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

PriceTech業界カオスマップが登場、空とネットプロテクションズが共同制作

は8月29日、ネットプロテクションズと共同で制作した「PriceTech業界カオスマップ」を公開した。

空は、ホテル向けに需要と供給、季節変動、周辺イベントの有無などさまざまな条件を解析して毎日の客室料金の適正料金を算出し、予約サイトに自動反映できるサービス「MagicPrice」を提供している2015年4月設立のスタートアップ。ネットプロテクションズは、リスク保証型の消費者向けあと払いサービス「NP後払い」、法人向けの「NP掛け払い」などのサービスを提供している2000年 1月設立のフィンテック企業。

PriceTechは、空が「Price」(価格)と「Technology」(技術)を組み合わせて作った造語で、ダイナミックプライシングをはじめとした、テクノロジーを使って価格を決める手法やサービス全般を指す。PriceTech業界カオスマップは、これらのサービスを開発している企業をまとめたものだ。

このカオスマップでは、需要や供給、競合価格を基に動的に価格を適正化する「ダイナミックプライシング」、定価がなく、購入前に価格が決定する「プレプライシング」、購入/利用後に価格が確定する「ポストプライシング」に大別されており、空のMagicPriceは「ダイナミックプライシング」→「アウトソース」→「ワンストップ」に分類されている。「ダイナミックプライシング」→「自社運用」には、ANAやAmazon、Airbnb、DiDiなどのサービスがある。

メルカリやラクマなどのフリマアプリは「プレプライシング」→「プラットフォーム」→「交渉式」に、UberやSHOWROOMは「ポストプライシング」→「プラットフォーム」→「チップ式」に分類されている。

施工管理アプリ「&ANDPAD」提供のオクトが地銀系ファンドから資金調達

オクトは8月29日、地方銀行系ファンド4社および既存株主を引受先とする第三者割当増資により、シリーズBラウンドの資金調達を発表した。今回の調達額は非公開だが、累計資金調達額は総額約24億円となる。既存株主は、グロービス・キャピタル・パートナーズ、DNX Ventures、SALESFORCE VENTURES、BEENEXT2の3社。

同社は、クラウド型建設プロジェクト管理サービス「&ANDPAD」(アンドパッド)を開発・販売している2014年4月設立のスタートアップ。今回の資金調達によって、各銀行との連携を強化し、各銀行の営業地域でのサービスの展開や拡張を進める。

&ANDPADを使うことで、新築・リフォーム、商業建築などの建設現場で、建設職人がスマートフォンアプリで建設現場の写真や資料などの各種情報を取得・参照できる。顧客や見積もりなどこれまで別々に管理されていることが多かった各種データとクラウドで一元管理できるのも特徴だ。チャット機能もあるので、煩雑になりがちな電話やFAXなどの連絡を低減できる。ガントチャートを使った工程管理も可能だ。2019年8月現在で1600社を超える企業が導入している。

Microsof Azureのクラウドリージョンがスイスでビジネス向けにオープン

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間8月28日、スイスにおけるクラウドリージョンのローンチを発表した。同社は2018年に、チューリッヒとジュネーブに近いスイスの2つの地域に「Switzerland North and West」を開設する計画を初めて発表した。今年に入ってMicrosoftは、これらの地域、特にデータ常駐の規制に対処する必要がある業界の企業から、多くの関心が寄せられていると表明している。

新しいリージョンでは、コアとなるクラウドコンピューティングサービスのAzureのほか、Office365 、Dynamics 365、Power Platformがサポートされる。今回のローンチにより、Microsoftはクラウドサービスを世界56地域で提供することになり、これは同社のAzure戦略の大部分を占めている。

「スイスの新しいリージョンなど、特定の地域で提供されるMicrosoftのクラウドサービスは、スケーラブルで利用しやすく、耐障害性に優れたクラウドサービスを提供すると同時に、企業や組織がデータ常駐、セキュリティ、およびコンプライアンスのニーズを満たすのを支援する」と、MicrosoftのAzure Global担当コーポレートバイスプレジデントであるTom Keane(トム・キーン)氏は、今日の発表で述べている。「我々は、業界で最も広範なコンプライアンス認定・証明書を提供することにより、世界中の顧客が広範なセキュリティプライバシー要件に対応できるよう、データ保護に関する高度な専門知識を備えている」。

現在の顧客にはUBS Group、Swiss Re Group、Swisscom、BKW、City of Zug、die Mobiliar、Exploris Health、Skyguideなどの企業が含まれている。

一方、AWSは現在スイスではサービスを提供していないが、Google Cloudはチューリッヒ近郊に3つのアベイラビリティゾーンによるリージョンを運営している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter