GoogleがChromeブラウザーに広告ブロック機能を実装中とか

今朝のWall Street Journal紙の記事によると、GoogleはChromeブラウザーにアドブロッカー(ad blocker, 広告ブロック機能)を、デフォルトでは全ユーザーの標準機能として搭載するらしい。Googleは収益の大半が広告収入だから、ちょっと首を傾(かし)げたくなる決定だが、むしろこれは、そのほかのアドブロッカーをブロックするための手段かもしれない。

Chromeに最初からアドブロッカーがあって、ポップオーバー(pop-over, 閲覧中のコンテンツをいきなり隠すやつ)とかオーディオやビデオの自動再生などをブロックしてくれるなら、ユーザーはサードパーティ製のアドブロッカーを探さなくてもよい…というGoogleの魂胆だ。WSJの記事によると、GoogleはAdblock Plusなどのサードパーティ製ブロッカーと交わす契約が、本当は嫌である。なぜなら、ブロックされた良質な広告にはGoogle自身が金を払ってブロッカーのフィルタを迂回しなければならないからだ。

今のChromeはWebブラウザーの半分近いマーケットシェアを握っているから、そこにアドブロッカーが標準であることになれば、サードパーティ製の命は絶たれる。ユーザーとしては、自分でわざわざアドブロッカーを探す必要がなくなるからだ。

それはまるで、Amazonがeコマースの覇者になった過程に似ている。長年の薄利多売…この場合は薄利どころか、アドブロッカーの無料提供による、市場支配だ。Googleは広告の全面排除を狙ってはいないが、消費者はユーザーフレンドリーで、受け入れてもよい広告だけを見られる、という利益を得る。アドブロッカーを1秒間offにしただけで、今の状況のひどさを実感できるからね。

ただしこの計画には、落とし穴がたくさんある。Google自身もアドバタイザーだから、広告を強力にコントロールすれば業界の批判を招き、公取などのお役所も介入してくるかもしれない。WSJの記事は、計画はまだ未確定と言っているが、数週間以内で、たとえば5月のI/Oカンファレンスあたりで発表されるかもしれない。そうなれば、これがインターネット上の広告産業全体に与える影響を、われわれはすぐに、目にすることができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Chromeがモバイルでの不快なページジャンプを追放―スクロール・アンカリングを追加

Google Chromeブラウザの最新のアップデートでは、モバイルでサイトを開いたときに経験する非常に苛立たしい問題の一つが解決されている。

この苛立たしい問題というのは、スマートフォンでサイトを読み始めたときに、いきなりページがジャンプしてしまうことがあるという点だ。この現象が起きる理由ははっきりしている。デベロッパーはサイトのテキストが最初にデバイスにロードされ、続いて広告や画像がロードされるようにプログラミングする。

そこでユーザーがすでにサイトをスクロールダウンしていた場合、見えない場所で追加のコンテンツのロードが行われると同時に表示はリセットされ、全く関係ないページが表示されることになる(90%の確率で何かリンクをタップしようとした瞬間にこれが起きる。その結果われわれは目的のリンクの代りに広告をタップしてしまう…)。

最新版(メジャーバージョン56以降)のChromeではスクロール・アンカリングというテクノロジーを用いて不愉快なジャンプの防止に努めている。Googleでは昨年からベータ版でこのテクノロジーをテストしていたが、いよいよ安定版でも標準機能に追加された。

Googleによれば、現在でもこのテクノロジーはページビュー1回についき平均3回弱のジャンプを防止しているという。防止の精度は今後さらに高まるはずだ。

スクロール・アンカリングは主としてモバイル・デバイスを対象とした機能だ。モバイルではスクリーンの面積が小さく、スクリーン外でロードされるコンテンツの量は多くなりがちだからだ。しかしこのテクノロジーは最新のChrome for Mac、Windows、Linux、 Chrome OSにデフォールトで搭載されている。

画像: Stephen Shankland/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

〔日本版〕説明ビデオでは左側がスクロール・アンカリングなし、右側があり。左側の例ではスクロールダウンしてテキストを読み始めようとしたとたんにトップに戻って(写真が表示されtた状態)しまう。Googleの説明によれば、スクロール・アンカリングはユーザーがスクロールした位置に表示を固定し、追加コンテンツのロードによる表示リセットを無効化するテクノロジーだという。なおChromeのバージョン57.xは3月上旬から中旬にかけてリリースされている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleドキュメントからWordPress.comに記事を投稿できるようになった

WordPress.comはGoogleドキュメントと競争するのではなく連携する道を選んだようだ。ChromeブラウザのGoogleドキュメントで記事を書き、人気のウェブ・エディター、WordPress.comで保存、公開できるようになった。WordPressでGoogleドキュメントが使えるのはたいへん便利だ。他の人々と共同で記事を編集するのが非常に簡単になった。

ウェブの4分の1はWordPressだ。つまりWordPressのadminインターフェイスには何百万人ものユーザーがいて、毎日ブログを書いている。そもそもTechCrunch自体がWordPress.com VIPのユーザーだ。われわれの同僚は仕事中、長時間にわたって下のような画面をにらんでいる。

もちろんこのadminインターフェイスはシンプルかつカスタマイズ可能だが、ドラフトを別のアプリやサービスで書くユーザーも多い。われわれの同僚にはMicrosoft
Wordを使うものも Googleドキュメントを使うものもいる。私はUlyssesを愛用している。

重要な点はWordPress.comではリアルタイムで共有ができないことだ。つまりチームでの共同編集はできない。 もし記事の公開前に誰かがレビューする場合は、オリジナルのライターはいったんWordPressを閉じる必要がある。 Googleドキュメントは共有に関してはるかに強力で、複数のユーザーが同一のドキュメントを開き、同時に編集することが可能だ。

しかし毎日記事を書いている場合には、Googleドキュメントで書いた原稿をコピー&ペーストでWordPressに移すのは余計な手間に感じられる。また画像を利用するには、改めてWordPressアップロードしてフォーマットを変換する必要がある。WordPress.comは強力なREST APIを公開しているのでサードパーティーのサービスをWordPress.comに統合するのが簡単になった。

今日(米国時間3/7)発表された新機能を利用すれば、Googleドキュメントで記事の原稿を書き、WordPress.comに送ることができる。レイアウトや画像は原稿に正しく適用される。Googleドキュメントから記事のアップデートもできる。

この機能を利用するにはまずGoogle Docsのアドオンをインストールする必要がある(これ自身もちろんオープンソースだ)。Googleドキュメントのメニューから「アドオン」を開くとWordPress.com for Google Docsというオプションが表示される。このアドオンは最初に開いたときに自分が投稿しようとするWordPress.comサイトに関連付ける手続きが必要だ。これが終われば、あとは普通にGoogleドキュメントで文書を作成すればよい。リンクや画像を追加するのも普段どおりだ。原稿を書き終わったら右サイドバーのSave DraftアイコンをクリックすれWordPress.comに下書きとして送信される。

このアドオンはユーザーのGoogleドライブのすべてのファイルにアクセスできるわけではない。ユーザーがWordPress.comに連携させた文書だけを閲覧、編集できる。アドオンはすべてのWordPress.comサイトまたはWordPress site with Jetpackに連携できる。

非常に便利なのは、いったん投稿した記事を再び開いたとき、WordPressエディター側で編集されていた場合は、そのことを警告してくれる点だ。またGoogleドキュメント内から何回でも繰り返し記事のアップデートができる。TechCrunchの同僚はここ数週間テストを続けてきたが、これまでのところ信頼性は極めて高い。

WordPressのバックエンドにはなんら変更はない。これはあくまでWordPress.comで公開する記事の下書きを作成する新たなオプションだ。WordPressを提供しているAutomatticは数年前にSimplenoteを買収し、Simperiumを提供している。こうしたことからして私は将来WordPress自体でリアルタイムの共同作業ができるようになるのではないかと期待している。

画像Shutterstock

〔日本版〕「アドオン」は原文ではextension。Chrome自体の拡張期機能と混同するおそれがあるのでGoogleドキュメントの表示どおり「アドオン」とした。なおWordPressアドオンはGoogleドキュメントの「アドオン」メニューから「アドオンを取得」を選んでも取得できる。Chromeブラウザの「拡張機能」ではないので注意。なおこのアドオンはChromeだけでなくOperaブラウザでも作動、表示されるが他ブラウザでの信頼性等は確かめていない。
このアドオンを実際に使ってみたが、利用法は簡単で日本語も特に問題なく表示された。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Operaがデスクトップブラウザをリデザイン中

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Operaがデスクトップブラウザの新しいビルドを開発者向けにリリースした。そして、新プロジェクトReborn(再誕生)を発表した同社にとって、これは興味深いビルドだ。このプロジェクトは全てのプラットホーム上でユーザーインターフェイスを完全にリデザインしようとするものだ。

私はこれまで数年の間、Operaをメインのブラウザとして使用してきた。ちょうど今新しいバージョンを試みたばかりだが、何よりもまずビジュアルのアップデートであるように見える。見かけは異なっているものの、中で実行される機能は同じものだ。

ボタンやタブには、新しいデザインが採用されている。それらはすべてのプラットフォーム上で同様の見え方になる。私がこの変更を気にいるかどうかはわからない、何故ならこれらの新しいタブは、macOSの上でさえWindows10のものの様に見えるからだ。ネイティブ感はない。

スピードダイアルは、目立つ影と微妙なアニメーションでリデザインされている。これは良くなった点だ。また、スピードダイアル用の新しいディフォルトの壁紙もいくつか用意されている。

あなたが私と同様にmacOS上で暗いテーマを使っている場合には、ユーザーインターフェイスのための新しい暗いテーマがあることを知って嬉しくなるだろう。それによって全てのボタンとアドレスバーが黒と濃い灰色となる。

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そして、最も興味深い変更はサイドバーだ。どういうわけか、Operaはサイドバーが好きだ。常にすべてのOperaのバージョンに、ある種のサイドバーがあった。今回は、Opera自身の実験的ブラウザであるOpera Neonから機能を借用している。

サイドバーをアクティブにして、それを常時表示しておくことができる。ブックマーク、履歴、スピードダイアルなどの通常のショートカットがそこにはあるが、簡易バージョンのMessenger.comを開くこともできる。

これは一例に過ぎず、更に多くの拡張機能があると思うが、このやり方は、ちょっとだけメッセージをチェックしたり、書き込んだりしてすぐにブラウジングに戻るためのエレガントな方法だ。長いメッセージを書く必要がある場合は、ブラウザとの間でスクリーンを分割する形でMessengerパネルを開くことができる。

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現在のOperaにもサイドバー拡張機能は入っているが、それが多くの人に使われているかどうかを私は知らない。このデザインにより、サイドバーはより目立ち役立つようになるだろう。

Operaは新機能をまず、開発者向けストリームにリリースする。このことが意味するのは、まだ不安定でベータ状態のままだということだ。しかし数ヶ月のうちに、そうした変更は一般向けOperaとして姿を表す。よってあと数ヶ月で完全なリデザインを見ることができるようになるだろう。

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(翻訳:Sako)

Chromeのページリロード時間が前より28%速くなった、そのためのアルゴリズムは単純だ

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Googleが今日(米国時間1/26)、FacebookおよびMozilla(Firefoxブラウザーを作っている団体)との協働の結果、デスクトップとモバイルの両方で、Chromeブラウザーのページリロードが大幅に速くなった、と発表した。Googleのデータによると、Chromeの最新バージョンによるWebサイトのリロードは、約28%速くなった。

ページのリロードは最初期のブラウザーにもあった機能だが、最初のロードでキャッシュにたくわえた画像などのリソースが今でもあるとは限らないので、リロードに際してブラウザーは、Webサーバーに何百回ものリクエストをして、そのことを確認しなければならない。

GoogleのエンジニアTakashi Toyoshimaが今日の発表声明で述べているところによると、ユーザーがページをリロードする動機の多くが、そのページが画面上で壊れていたり、あるいはコンテンツがアップデートされてるかも、と思うからだ。とくに昔のライブブログはアップデートが激しかった。彼の主張では、初期のブラウザーのデベロッパーがこの機能を加えたのは、当時は壊れたページが日常茶飯事だったからだ。しかし今のユーザーは、サイトのコンテンツが新しくなってるからリロードする場合が多い。

そこでChromeのチームは、リロードの処理を単純化して、アップデートされる可能性の高い主なリソースだけを確認するようにした。Facebookのページは、ほかのサイトと大きな違いはないが、それによりリロードが28%速くなった。だから今度からは、そろそろ友だちが可愛いコーギー犬の新しい写真をFacebookにポストしたかな?という確認が、前よりも速くできる。ただしモバイルではFacebookのアプリではなくて、ブラウザーで見るWebアプリケーションのことだけど。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Mozillaがレンダリングエンジンとロゴを一新

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Mozillaは、今年を大きな節目の年にするつもりだ。たとえば、この団体のメインのプロダクトであるFirefoxブラウザーは、レンダリングエンジンを一新する。ここ数年、Firefox OSやHelloの例が示すように、何もかもちぐはぐに見えたMozillaだが、同団体がオープンWebエコシステムの柱であることに変わりはない。しかし2017年が始まるにあたってMozillaは、そのルックスも一新しようとしている。その取り組みは、これまでのブランドイメージからの、思い切った決別だ。あの、元祖Mosaicブラウザーと、世界的な人気キャラ、ゴジラとの合体であるネーミング‘Mozilla’を表す恐竜のロゴも、永遠にさよならだろう。

Mozillaの新しいロゴ’moz://a’は、URLの形をしている。“まるでURLのような新しいロゴは、インターネットがMozillaの中核であることをあらためて強調している。われわれはリンクというものの当初の意図に、あくまでもこだわる。それは、インターネットの豊富なコンテンツへの、途中の選別や加工などのない、自由なアクセスを意味している”、とMozillaは説明している。

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この新しいロゴに使われている“Zilla”フォントは、いかにもMozillaらしく、オープンソースのライセンスで無料で入手できる。これをデザインしたTypothequeは、かつてのWebの暗黒時代に、Webのためのフォントというものを初めてリリースした活字工房だ。

ぼくはマーケターではないので、今のMozillaに本当に新しいブランドイメージが必要なのか、それはわからないけど、でも、Webそのものをストレートに強調し、それが同団体の中核的ミッションであることを表す新しいロゴは、それまでのゴジラの頭よりは良いと思う。ここ数年Mozillaは、モバイルOSやIoTにまで色気を示したりして、自分を見失っているのではないかと危惧された。しかしMozillaは、非営利団体として、Webの同業者たちに、誠実でオープンという姿勢の見本を示している。昔ほど大きなマーケットシェアを持っていないFirefoxも、依然としてオープンWebエコシステムの心臓部であり続けている。今年もその点だけは、変わらないでほしい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Vivaldiブラウザーがv.1.5にアップデート、IoTとの統合を目指してまずスマート電球の色とWebを同期

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言い過ぎかもしれないが、いまどき、一般大衆に新しいブラウザーの登場に気づいてもらうのは、おそらくすごく難しい。今ではインターネットユーザーの多くが、自分のやり方というものを持っている。ほかに良いものがいろいろあっても、自分好みのやり方にはまっている人たちにとっては、いまさら別のものに変えるのはしんどい。

昨年、元OperaのCEOだった人が立ち上げたVivaldiは、今あるブラウザーよりもっと強力なコントロールとカスタム化ができるブラウザーを求めているパワーユーザーが、ターゲットだ。たしかに、この生まれたての赤ちゃんのようなブラウザーには、楽しい技(わざ)がいろいろある。訪ねたサイトに関するノート(注記)を書いて保存できること、検索欄をカスタマイズできること、タブの閲覧をいろいろコントロールできること、などなど。

しかし、何がどうであれ、これまで無関心だった一般大衆ユーザーにとって気になるのは、今度の新しい機能ではないだろうか、どこかの店内で、横目でちらっと見ただけも。そう、バージョン1.5のVivaldiは、ホームオートメーションとの連携を望んでいる。Philips Hueの明かりを、ブラウザーと同期できるのだ。

今回新たにPhilips Hue Theme Integration機能(Philips Hueのテーマを統合)により、Philipsのスマートライトの色とユーザーが訪れたサイトの色を同じにする。しかもこれは、同社が今後導入する機能の実験でもあるらしい。現時点では、ちょっと風変わりな機能に過ぎないようだが、今後はもっと有意義な機能に変身するらしい。たぶん、ね。

上述の、元Opera CEO、Jon von Tetzchnerはこう言ってる:

これはまだ第一歩にすぎないが、たとえばメールやWebの通知が明かりの変化で来ることを想像してみてほしい。Vivaldiはあらゆるもののカスタム化と柔軟性(自由性)を目指す。Philips HueのようなIoTデバイスの統合で、Vivaldiがあなたとあなたの毎日の生活に適応していけるのだ。

そう、まさに、想像、イマジンです。ボスが近くにやってきたら、ストロボやサイレンで通知するように、できるのかな?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

デフォルトでプライベート・モードで動作するモバイルブラウザー、MozillaのFirefox FocusがまずiPhone用に登場

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Firefoxを作っているMozillaが今日(米国時間11/17)、プライベートなWeb閲覧をメインとするiOS用のブラウザーFirefox Focus発表した。このブラウザーは、デフォルトでは広告のための個人追跡(ad trackers)をブロックし、ユーザーの閲覧履歴を削除する。パスワードやクッキーも含めて。

そのため、Webページのロードが速くなる、と同社は主張する。広告などの個人追跡機能は、ページのロードを遅くし、ブラウザーの性能を劣化させるからだ。

このアプリは1年前にApp Storeに登場したが、当時はiPhoneのSafariブラウザーのためのユーティリティで、広告やその追跡機能をブロックした。そのアプリはアップデートされて今でも健在だが、今度はもろに、Safariと競合することになった。

でもこのブラウザーは、ライバルに比べると簡素だ。タブがないし、お気に入りリストやそのほかの構成オプションもない。しかしSettingsのところでは、広告の追跡、アナリティクスの追跡、ソーシャルの追跡などなどのブロックをon/offできる。Webフォントの使用も。

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しかしFirefox Focusでは、デフォルトの検索エンジンがYahoo Searchだ。Yahooは最近、大規模なデータ侵犯をやられたばかりだから、これはおかしい。Mozillaによると、今後のリリースではデフォルトの検索エンジンをユーザーが変えられるようにするし、アメリカ以外の市場ではYahoo以外のエンジンを使う、ということだ。

YahooでなくGoogleなら良いか、というとGoogleも個人データの保護に関しては、そんなにお行儀よくはない。でも現状のFirefox Focusで、ユーザーがデフォルトの設定を変えられないのは、絶対にまずいね。

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検索が終わったら、”erase”ボタンを押せば検索履歴も削除される。自動削除でも良かったかもしれないが、でも手作業で削除するとカタルシスがあるのだ。

アメリカでは、先日までの政治的大動乱〔問題含みの大統領選〕以降、プライバシーへの関心が再燃しているが、Firefoxの今度の参戦は遅すぎたのではないか。主なモバイルブラウザーには以前からプライベートモードがあるし、長年プライベートなWeb閲覧を専門的に提供しているTorのようなサービスもある。またApp Storeにも、Ghostery, Dolphin, Braveなど、プライベートWeb閲覧のユーティリティがいろいろある。

デスクトップではかつてトップだったFirefoxも、モバイルへの移行ではやや躓いている。iPhoneといういちばん優勢なモバイルプラットホームのために、モバイルフレンドリーなブラウザーを作ることをせず、App Storeの制約を批判して長年、iOSバージョンの提供を拒否してきた。そしてその姿勢が1年前にがらりと変わって、Firefox for iOSがやっとローンチした。でも、それじゃあ、あまりにも遅すぎた。

今度のFirefox Focusは、無料でダウンロードできる。Androidバージョンが出る、という話はまだない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Chromeブラウザーのアクティブなインストール数は20億とGoogleが発表

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Google主催のChrome Dev Summitが今日(米国時間11/10)行われている。このイベントからはニュースがそれほどないが、今日のキーノートでChromeのエンジニアリング担当VP Darin Fisherが挙げた数字はすごい。今、デスクトップとモバイルを合わせて、Chromeのアクティブなインストール数は20億に達している。

Googleがこの数字を共有するのは、これが初めてだ。しかし今日も、最新のユーザー数の発表はなかった。4月の時点で共有されていたアクティブユーザー数は10億で、この数字はまだアップデートされていない。6か月前に比べると多いのは当然だが、Googleは今回、ユーザー数よりも、ブラウザーのインストール数を発表したのだ。

Fisherは曰く、“今日は、Chromeブラウザーが世界中にたくさんあることを強調したかった。みなさん〔デベロッパー〕にとって重要なのは、Webの最新スタンダード、その最新のすばらしい機能を実装したブラウザーが、世界中にすでにたくさん存在していることだ”。

Googleが好んで言うように、今ではユーザー数10億以上のプロダクトが7つある…Gmail, Android, Chrome, Maps, 検索, Youtube, そしてGoogle Playストアだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Mozillaが基盤的部位の並列処理化をベースとする新しいブラウザーエンジンQuantumでFirefoxの実行効率を大幅アップへ

Red fox (Vulpes vulpes) jumping over river in winter. (Photo by: Arterra/UIG via Getty Images)

Webの主役は今や静的なWebページではなくて複雑なWebアプリケーションだが、そのためにブラウザーには、対話的なコンテンツを遅れやコマ落ち等なく表示できる高い性能が求められる。今日(米国時間10/27)のブログ記事でMozillaは、Quantumと名付けた新しいプロジェクトの概要を述べている。それは、このような変化にもっとも基本的なレベルで対応しようとするブラウザーエンジンだ。このプロジェクトが完成するとFirefoxユーザーのWeb閲覧体験は、今よりもずっとスムーズなものになる、と述べられている。

Quantumは、複雑なWebサイトでスムーズな閲覧体験を提供しようとする過去のプロジェクト、ServoRustがベースだ。プログラミング言語Rustは、Mozillaの職員が個人的に開発した。それは、並列処理プログラムの高速化と、スレッドおよびメモリの安全性を目的としている。

このパズルのもうひとつのピースServoは、Mozillaがスポンサーしているコミュニティベースの並列処理型Webエンジンだ。これで、Rustが登場する理由も分かる。Quantumの主要部位の多くをServoが提供することになり、それによりWebページのレンダリングを改善していく。

この取り組みとは別に、Mozillaにはかねてから、Firefoxをマルチプロセス化するElectrolysisというプロジェクトがある。Mozillaは大量のリソースをElectrolysisの開発につぎ込んでいるが、しかしそれでも前から一貫して、ほかの取り組みもある、と示唆し続けてきた。

そして今では、Electrolysisは、Quantum開発のための基礎工事の最初の部分、という位置づけになっている。そして次の段階としては、これまでのGeckoエンジンの主要部位を捨てて、並列処理とGPUの併用をベースとするより効率的な部位に置き換えていく。

Mozillaのプラットホーム技術部長David Bryantはこう説明する: “いちばん基盤的な部分の構造部位(building blocks)を作り変えようとしている。たとえば(ブラウザーレベルでの)CSSの実装、DOMの操作、グラフィクスのレンダリングなどだ”。

新しいエンジンではコンピューターの処理能力をより効果的に利用するために、重要なWebコンテンツの優先順ランクを決める。QuantumはElectrolysisと共に、Firefoxのデスクトップユーザーには数か月後に展開される。それにより、ブラウザーの安定性とセキュリティ、およびWeb閲覧体験の全体的なクォリティが改善されるだろう。

Mozillaの予定では、QuantumをエンジンとするFirefoxの最初のリリースは2017年末(Android, Windows, Mac)だ。iOSはやや遅れるようだが、Firefox for iOSがQuantumの仲間はずれになることはない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleがChromeの空タブページに“おすすめ記事”を満載、でも以前の履歴やブックマークに戻すことは可能

The original new tab page.

空のタブページの元の姿

あなたには、人が何を好きかなんて、分かるかな? Googleにも、それが分かるはずはない。自分が使い慣れてて便利なものを、“あなたのため”と称する、望んでもいないコンテンツに変えてしまうなんて、余計なお節介だよな。Chrome for Androidの最新バージョンが、そのお節介をやっている。これまでのようにブックマークと最近訪れたページ(上図)ではなくて、新たに空のタブを開いたときは“suggested articles”(おすすめ記事)が表示されるのだ。

The 'suggested articles' feature.

The ‘suggested articles’ feature.

あなたはどうかな?、ぼくの場合は毎日大量の空タブを開くから、最近の履歴を表示してくれる前の空ページの方がありがたい。Googleのお節介な“おすすめ記事”は、迷惑だよね。このオプションがオプトイン方式なら許せるけど、スポンサー付きだからGoogleとしては、それはできない。

これが気に入った人は、よろしい! でも、嫌いな人も悩む必要はない。無効にするのは、比較的簡単なのだ。Android Policeの読者Mattが、やり方を教えてくれる

それは、隠れている二つの設定を変えるだけだ。下の二つのリンクをコピーして、それらを新しい空タブページに貼り付ける。これらはマルウェアではない、ぼくを信じろ。それぞれ、ややこしそうな設定ページが出て、上に一つのアイテムが高輝度になっている。小さなドロップダウンメニューをタップすると、“default”と“disabled”があるはずだ(下図)。もちろん、“disabled”は、おすすめページ機能を無効にする設定だ。

そのほかのものは、それが何であるか分かっている人以外は、触ってはいけない。中には、重要なものもある。さて、設定を変えたらChromeをリスタートするプロンプトが出る。言われたとおりリスタートしたら、空のタブページは昔のデザインに戻っている。

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まだおすすめ記事が出ない人も、前もって無効にしておいた方が便利だろう。おすすめ記事に戻したい人は、”default”に再設定すればよい。

この機能は今後、もっと良い形に変わる可能性はあるけど、今のところは、こんなやり方なのだ。でも上記のように、嫌なら無効にできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftのEdgeにブラウザーに強力な企業向けセキュリティ機能を導入、Office 365にも

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MicrosoftのIgniteカンファレンスで今日(米国時間9/26)、同社のEdgeブラウザーが企業環境でもっと安全になる、と発表された。

Microsoftは今日のイベントに先立つ記者会見で、いわゆるWindows Defender Application GuardがWindows 10を不審なブラウザーセッションから隔離する、ブラウザーはハードウェアと直接結びついたコンテナの中で動く、と説明した。Microsoftによると、ほかのブラウザーが利用しているコンテナはハードウェアベースの保護ではないので、よくあるタイプの攻撃の90%に対して弱い、という。

Microsoftのこの新しいツールでは、マルウェアがマシンやネットワークのそのほかの部分にタッチできない。コードはコンテナの中だけで動くので、いわばそれは“最高に警備の厳しい刑務所”のようなものだ、という。

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このサービスはWindows 10とEdgeだけだから、企業にとってもわかりやすく扱いやすいだろう。まだ一般的にダウンロードはできないが、企業ユーザーは2017年の前半には試用できる。2017年の後半に、一般展開だそうだ。

このApplication Guardに加えてMicrosoftは今日、Office 365のセキュリティ機能をいろいろ発表した。たとえばOffice 365のAdvanced Threat Protectionは、ユーザーが悪質なURLをクリックするのを防ぐ。そしてそれは、SharePoint, OneDrive for Business, Word, Excel, PowerPointに対応している。

また、近くセキュリティ担当アドミンに提供されるツールでは、Microsoftが何百万ものマシンから集めたWindowsやAzureのデータを利用して、先取り的にユーザーのマシンを保護する。この新しいサービスは金融業界のアドミンなどを対象とし、類似のネットワークからMicrosoftが集めたデータに基づいて、ユーザー企業のネットワークを保護する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoftが行ったブラウザーテストではEdgeがエネルギー効率最良、ラップトップを長時間使える

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かつては、ブラウザーの性能は速度で評価され、各製品がJavaScriptのベンチマークの成績を競った。しかし、スピードは今でも重視されるが、デベロッパーの関心はエネルギー効率の方が上位になっている。今は、ラップトップでWebを閲覧する人が多いからだ。でもMicrosoftが以前、同社のEdgeブラウザーは競合製品のChromeやFirefoxやOperaよりもエネルギー効率が良い、と発表したときには、おもしろい議論が湧き起こった。

そのMicrosoftが今日(米国時間9/15)は、Windows Anniversaryリリースにおける最新版のEdgeの数字を引っさげて、再びリングに戻ってきた。今回もやはり勝者はEdgeで、独自の省エネモードをonにしたOperaよりも成績が良い。Microsoftによれば、Edgeのニューバージョンは、同社のWeb閲覧シミュレーションで行ったブラウザーのテストではページのレンダリングが旧バージョンより12%効率が良い。そのほかのブラウザーも今回のテストでは性能がアップしており、やはり、ブラウザーのテストはときどきやるべきだな、と思わせる。

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今回のMicrosoftの結果では、Edgeはラップトップ上で他のブラウザーよりも23%から69%、電池寿命が長い。最近大量の、エネルギー効率関連のアップデートを行ったChromeも、FirefoxやOperaに比べると相当良い(上図)。ビデオをストリーミングした場合のテストでは、ラップトップの電池の保(も)ちがFirefoxを62%上回った。

Microsoftのテストスイートのソースコードは、GitHubで入手できる。テストはもっぱらWindows 10の上だけだから、Safariのデータはない。でもAppleは、OS X上のブラウザーの中ではエネルギー効率はSafariが最高、と主張したいだろう。

この記事が出たらOperaやMozilla、それにGoogleからきっと反論が来るだろう。そのときは、この記事をアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

多重処理を導入したFirefoxは応答性が400〜700%向上、バージョン52/53にかけて順次展開

Cuddly Asian Red Panda or Lesser panda (Ailurus fulgens) chewing on leaves.

この夏の初めごろ、MozillaがElectrolysisというコードネームで、Firefoxブラウザーの多重処理アーキテクチャに取り組んでいることを本誌は報じた。それから数か月後にMozillaは、ユーザー人口の1%を対象とする初期テストを終え、MozillaのFirfox担当ディレクターAsa Dotzlerによると、初期としては良い結果を得たそうだ。

同社の報告によると、応答性は400%改善し、大きなWebページのロード時間は700%改善された。これらの数字は、ユーザーがブラウザーのフリーズや休止、遅れ、クラッシュなどを、もうめったに体験しないことを意味している。Dotzler自身は、これまでのバージョンを“janky”(駄作、二流品)と呼んでいる。

来週はFirefoxユーザーの10%に多重処理が行き渡る。当面、アドオンを使っているユーザーには、この新しいアーキテクチャが配布されない。このような段階的な展開は、配送のバグを避けるために、この業界ではよく行われる。Mozillaは同じテストをニューバージョンのユーザーグループと、従来バージョンのユーザーグループの両方に対して行い、結果を比較している。

今のところ、多重処理は単一コンテンツや単一ブラウジングのプロセスに限定されている。今後のバージョンでは、複数コンテンツのプロセスやサンドボックス化にも適用される。

数週間後にMozillaは、テスト対象として選んだユーザーの全員に多重処理を手渡す。それは、全ユーザーの40-50%に相当する。そして半年後には、ほとんとどのユーザーにこの機能が行き渡る。これらの過程をFirefoxのバージョンで表すと、下記のようになる:

  • Firefox 49: 一部のアドオンを多重処理対応にする
  • Firefox 50または51: サンドボックスとその他のアドオンを多重処理化
  • Firefox 52または53: 複数のコンテンツプロセスに対応

これから数か月かけてMozillaの技術者チームは、力点をセキュリティの改善とWebデベロッパー向けの新しい機能へ移す。

チームはこれまで、長い時間をかけて、新しいブラウザーがなるべく多くのユーザーからアクセスできるよう、努めてきた。意外と手こずったのが、二方向エディティングで、アラビア語のように“右から左へ”のサポートはFirefox 49-51ぐらいになる。

初めのころユーザーが心配したのは、多重処理によってRAMの使用量が増えること、それにより〔RAMの少ないシステム上では〕ブラウザー全体が遅くなることだった。

DotzlerによるとMozillaは過去5年間、MemShrinkと呼ばれるメモリ節約プロジェクトに取り組んできた。それにより、低メモリ消費が実現したからこそ、多重処理も可能になった。プロセスが一つ増えると、オーバヘッドは約20%増える。今の計画では、Webページ一つにプロセスを一つ与える、というやり方はしない。今チームは、今後の展開では最大プロセス数をどれぐらいに限定すべきかを、研究している。複数のページに一定数のプロセスを割り当てる場合、ページの集合をランダムに決めるべきか、ドメインでまとめるべきか、という検討課題もある。

Dotzlerは語る: “競合製品を見ることも、勉強になる。それらは多重処理をRAMの多用で実装しているから、行き詰まることもありえる。それらを反面教師としてMozillaでは、ユーザーのRAMを食い尽くさないアーキテクチャを構築している”。

忘れた人も多いかと思うが、ElectrolisisはMozillaにとって初めての、多重処理アーキテクチャの試みではない。6年前のProject Candleは、モバイルのFirefoxに多重処理を持ち込んだ。でもDotzlerによると、当時のモバイルのシステムでは無理だと分かり、そのプロジェクトは廃案にされた。

Firefoxの今のモバイルブラウザーは単一プロセスで動いているが、スマートフォンの処理能力の向上に助けられている。今および将来の高性能なスマートフォンなら、複数のコンテンツプロセスを動かすことも、可能だろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google CastがChromeブラウザーに直接統合された…今やインターネットはテレビのチャンネルのひとつだ!?

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Googleが、われわれ一般ユーザーのコンピューティング環境に自分をくくりつけるための、大きな一歩を踏み出した。Google Cast(の能力)を、Chromeブラウザーの中へ直接、 統合したのだ。これは過去2年間のCastエクステンションからの格上げで、これによりユーザーは、Chromeブラウザーで閲覧しているコンテンツを、ChromecastのようなCast対応デバイスにブロードキャストできる。これからは、そのためのソフトウェアをダウンロードしなくても、CastをサポートしているコンテンツサイトではCastアイコンが表示され、またChromeのメニューから何でもCastできる。

Castはこの2年間でかなり普及し、Google自身のChromecastやChromecast Audioドングルだけでなく、最初からCastをサポート(内蔵)しているサードパーティ製のスピーカーやテレビもある。また、 Google HangoutsやCast for EducationなどのアプリケーションにもCastできるから、学校のクラスや仮想ミーティングなどで集団でCastを視聴できる。

Googleによると、今回の統合以前にも、Chromeからの“キャスティング”は人気のアクティビティだった。先月だけでも、3800万以上のキャストがChromeから送られた、と同社のブログは言っている。そののべ視聴時間は、5000万時間以上だそうだ。Chromeブラウザーにその機能が組み込まれたこれからは、もっと増えるだろう。とりわけGoogle Play MusicやNetflixではアイコンがアドレスバーの右に表示されるから、メニューを操作する必要もない。

Chromeへの直接統合は確実に、Castのリーチと利用率を拡大し、ユーザーのデジタル生活における、ひまつぶしチャンネルが一つ増えることになる。しかもネットワークの帯域が拡大した未来においては、テレビでもスマート家電でも何でも、単一の脳(あなたのポケットのスマートフォン?)から情報を受け取れるようになる。しかし今のところは、パーティーでみんなに、大きなテレビであなたの曲を見せる/聞かせることに、もっぱら利用されるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Operaのブラウザーデータをシンクするサービスからユーザーデータが漏洩、詳細を調査中

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Operaは最近、そのブラウザー事業を中国のコンソーシアムに売ることに合意したが、今週はそのサービスの一つが、サーバーをハッカーに侵入されたため、ユーザーのパスワードをリセットした。

同社によると、犯人はOpera Syncへのアクセスを獲得した。これはユーザーがブラウザーのデータや設定を複数のプラットホーム間でシンク(同期化)できるためのサービスだ。現在まだ調査中だが、初期的な結論としては、犯行によりパスワードとログイン名などのユーザーデータが漏洩したようだ。

Operaはその幅広いプロダクト全体で3億5000万のユーザーを抱えているが、その中でSyncサービスのユーザーはごく少数だ。先月の時点でアクティブユーザーが170万だったが、もっと多くのノンアクティブの登録ユーザーも、Operaにパスワード等のデータを提供している。同社はすべてのパスワードをリセットし、Syncの全登録ユーザーにメールで詳細を伝えた。

またブログ記事では次のように説明している: “パスワードはすべて(同期化のためには)暗号化され、(認証のためには)ソルトされハッシュされて保存されていたが、それでもわれわれはOpera Syncのすべてのアカウントのパスワードを、念のためリセットした”。

Dropboxが、パスワードを2012年以降変えていないアカウントのパスワードをリセットすると発表したその翌日に、Operaがやられたというニュースが飛び込んできた。Dropboxの決定は、2012年に起きたLinkedInに対する大規模なハックへの懸念が契機だ。そのときは、1億1700万のアカウントの認証情報がネット上にポストされた。

Operaの事件はそれとは無関係なようだし、ハック攻撃の対象はたった一つのサービスに限定されているようだ。しかし調査がすべて終われば、詳しい実態がさらに明らかになるだろう。

攻撃の噂は1か月前からあった。そのころはOperaが、そのブラウザー事業とプライバシーアプリと中国の合弁事業を、中国のコンソーシアムに6億ドルで売る、と発表した直後だった。そのコンソーシアムのトップQihoo 360は、ウィルス対策の企業だ。最初の合意ではOpera全体を12億ドルで売るとなっていたが、株主たちの承認が期日内に得られなかったため、新たな合意案が作られた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

広告をブロックするブラウザのBraveが450万ドルを調達 創業者は前Mozilla CEOのBrenden Eich

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ウェブブラウザBrave Softwareがシードラウンドで450万ドルを調達した。共同創業者は前Mozilla CEOのBrendan Eichだ。今回調達した資金は同社のオンライン広告やトラッカーをブロックするブラウザの開発費用にあてられる。通常のブラウザではサードパーティによるアドオンや拡張機能によってオンライン広告をブロックするのがほとんどだが、Braveのブラウザではその機能が標準搭載されている。これによってユーザーのプライバシーを保護できるだけでなく、動作スピードとパフォーマンスの向上にもつながるという。特にモバイルでウェブサイトを閲覧するときには顕著な効果があらわれる。

今回のラウンドにはFounders Fund系列のFF Angel、Propel Venture Partners、Pantera Capital、Foundation Capital、Digital Currency Groupが参加した。今回の資金調達により、同社はこれまでに合計700万ドルの調達を完了したことになる。

Braveから提供されたメトリクスによれば、デスクトップ版のブラウザでは従来の1.4倍から1.6倍、モバイル版では2倍から4倍のスピードを実現しており、自動的に広告やスクリプトをブロックすることでバッテリー消費量やデータ使用量を抑えることにも成功したという。

Braveのブラウザはセキュリティやセーフティに関する機能も数多く備えている。HTTPS Everywhereを利用した暗号化通信や、指紋認証機能、フィッシング防止機能、マルウェアのフィルタリング機能、そしてすでに述べたスクリプトのブロッキング機能などがその例だ。

さらに、Braveにはブラウザ上でビットコインによる少額決済ができるマイクロペイメント機能も備えられている。”Brave Ledger”と呼ばれるこの機能は、同社とBitGoおよびCoinbaseとのパートナーシップによって実現した。この機能を使ってお気に入りのウェブサイトに匿名で少額の寄付をすることも可能だ。

「この機能に利用されているテクノロジーはビットコインだけです。ユーザーが望まない限り、ビットコインのことを知る必要も学ぶ必要もありません」とBrave Software CEOのBrendan Eichは語る。「Braveを使用するユーザーは、ビットコインという存在を意識することなしにスムーズな決済機能を利用することができるのです」。

今年1月のアナウンスメントによれば、同社の収益源はブラウザに表示される独自の広告からの広告収入だ。その広告によってパフォーマンスが悪化することはなく、クラウド・ロボットによって検出された「標準的なサイズのスペース」に少数の広告が表示される。また、同社のターゲット広告ではユーザーを簡単に特定できるようなクッキーを利用しないため、ユーザーのプライバシーを保護することもできる(言い換えれば、匿名のターゲット広告だ)。このターゲット広告はデータに保存されたキーワードとマッチする広告を表示するというものだが、そのプロセスはすべてデバイス上で行われるのだ。

広告収入の55%以上はその発行元に支払われ、残りがBraveの取り分となる。そしてブラウザのユーザー数が伸びれば、その割合は7対3までスケールアップされる予定だ。また、長期的な目標としてコンシューマーにも収益が分配されるモデルが計画されている。それにより、分配された収益を使ってお気に入りのウェブサイトに寄付することなども可能になる。

もちろん、マイクロペイメントがどれだけ普及するのかは分からない。しかし、同社はその実験に前向きなようだ。

一方で、Braveの広告戦略に対する批判の声もある。今年4月には十数社の新聞社がBaveの広告戦略は「ずうずうしい違法行為である」との共同声明を発表した。声明を発表したグループにはGannett Co.,とthe New York Times、そしてWall Street Journalの発行元であるDow Jonesなどが参加している。Eichによれば、それ以降Braveとニューヨークの大手新聞社の間では話し合いの場が持たれており、Braveのブラウザ広告のコンセプトを示すために今年後半にはトレーラーを発表する予定だという。

「広告の役割というものが存在するとすれば、それは少ない数でも効果的なものであるべきです」とEichは語る。

Braveのバージョン1.0のリリースは9月に予定されており、現在はiOS、Android、Mac、Windows(32-bitおよび64-bit)、Linux(Debian、Ubuntu、Fedora、OpenSUSE)対応の開発版が提供されている。

Khan AcademyとMozilla出身のBrian BondyとEichによって共同創業されたBraveは、調達した資金を活用して同社のプラットフォームをさらに成長させることを目指す。サンフランシスコを拠点とし、現在14人の従業員を抱える同社は今回の資金をもとに人材を募集中だ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

Firefoxが目に見えないFlashコンテンツを完全ブロック、Flash自動再生も廃止へ

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8月からMozillaのFirefoxブラウザーは“ユーザー体験にとって重要でない”Flashコンテンツをブロックする、と今日(米国時間7/21)同社が発表した。

Googleは昨年同様の決定を行い、今年はChromeブラウザーからFlashコンテンツをほぼ完全に排除するつもりだから、Mozillaはその動きに追随していることになる。

それまでのWebの標準技術(HTTP, HTML)では動画などのリッチなメディアを作れなかったから、どうしてもFlashに頼らざるを得なかった。でも今は、HTML5などWebの標準技術だけで、Flashと同じことができるから、現代的なブラウザーの上ではFlashは足かせ、あるいは邪魔物になってきた。Flashはセキュリティの欠陥も多く、電池を大食いし、ページのロードを遅くした。

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Mozillaは、当面はFlashのサポートを継続するけど、重要でないFlashコンテンツとはユーザーには見えないコンテンツだ。同社(同団体)は今、Flashのコンテンツと、それらをHTML(HTML5)で表現する場合のやり方を対照したリストを作っている。

2017年には、FirefoxはすべてのFlashコンテンツに対して”click-to-play”(クリックして再生)方式を導入するから、ユーザーが意志的にクリックしないかぎりFlashコンテンツが動き出すことはないし、またブラウザーの設定でFlashプラグインを有効にしていなければ、Flashコンテンツは無視される。

Mozillaの品質担当技術マネージャーBenjamin Smedbergは、今日の発表声明の中でこう述べている: “これらの変更は、ユーザーが愛するWeb体験を犠牲にすることなく、より安全でより高速な閲覧を可能にしようとする、われわれのかねてからの取り組みの、一環である”。

今回なぜか、Flashを使った広告については何も言ってないが、でもGoogleのAdWordsや広告ネットワークDoubleClickなどがすでに、広告からFlashを締め出そうとしているので、そういう広告はますますレアになりつつある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Firefoxの実験的機能を使えば複数の人格(アイデンティティ)でWebを閲覧できる

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MozillaのFirefoxブラウザーに今日(米国時間6/1)、実験的に導入される機能により、ユーザーは複数のアイデンティティを持ち、メールやソーシャルメディアなどの複数のアカウントを一つのマシン上の一つのブラウザーの上で持つことができる。

この”コンテナタブ(container tab)”と呼ばれる機能は今、Firefox 50の安定版ではないNightly Firefoxチャネルで入手でき、ユーザーにはデフォルトで4つのアイデンティティが提供される((personal, work, shopping, そしてbanking…下図)。クッキーはそれぞれ別個に保存され、IndexedDBのデータ保存やローカルストレージ、それにキャッシュも個別化される。これによりたとえば、従来のアカウントに対しAmazonなどでしつこく出ていた広告を、別人格になりすましてなくすことができる。

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Firefoxのチームによると、このような機能のアイデアは前からあるが、良好な実装方法を誰も考えつかなかった、という。

“ユーザーは、自分が今操作しているコンテキストを、どうやって知るべきか?”、とチームは問う。“ユーザーがミスを犯して正しくないコンテキストを使ったとき、そのユーザーは回復できるのか? ブラウザーがWebサイトを自動的にコンテナ*に入れることによって、ユーザーをアシストし、ユーザーが自分のアイデンティティを自分で管理しなくてもよいようにできないか? そのような、コンテナへの割り振りをブラウザーが行うためには、どんなヒューリスティックを用いるべきか?” 〔*: コンテナ、ここでは単純に、“隔離容器”というような意味。〕

Mozillaは、まだ答は見つかっていないけれども、この機能をNightlyのリリースに実装したことによって、研究とフィードバック収集をより活性化できる、と期待している。

今の実装では、ユーザーが別の人格に切り替えるとURL表示やタブの色が変わり、現在使っている人格は高輝度で表示される(下図)。

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アイデンティティが複数あっても、閲覧履歴やブックマーク、保存されているパスワード、検索やフォームのデータなどは共通だ。しかし同一のマシン上であっても、今人格Aで行っているWeb閲覧と、同じく今人格Bで行っている閲覧行為を、容易に結びつける方法はない。Mozillaによればそれは、“ユーザーの履歴にサイトがアクセすることはもともとできない”からだ。“今回の機能でも、サイトがアクセスするデータは隔離するが、ユーザーがアクセスするデータには手を出さない。このコンテナ機能は、操作のコンテキストの違いに応じて違う自分を使う必要のある、単一のユーザーのために設計されている”。

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Mozillaによれば、それでもなお広告のトラッカー(ユーザー追跡機能)は、ユーザーのIPアドレスや、ブラウザーの属性、オペレーティングシステムなどからユーザー本人とそのデバイスを特定することができる。それらのデータは、訪れるサイトが変わっても、使う人格が変わっても、変わらないからだ。“このコンテナは複数のアイデンティティを分離し、クッキーがやるような素朴なトラッキングを減らすことはできる”、とチームは言い、この機能をTor Browserのように使うことはできない、と認める。

今のところこの機能は一種の隠れ機能になっていて、ユーザーは今自分がどの人格か簡単に忘れてしまうし、別の人格に関連しているブックマークをうっかりクリックしてしまうこともありえる。ブックマークも、人格別にした方がよいかもしれない。そうすれば、銀行利用やショッピングをして、そのままニュースサイトをクリックすることも、なくなるだろう。

でも、同時に二つのTwitterアカウントにログインできたり、匿名モードを使わなくても広告に付きまとわれずにショッピングできたりする機能は、すこし苦労してでも使う価値はある。Firefoxのプロフィール(プロファイル)今の実装はかなり面倒だから、そんな機能があることすら知らないユーザーがほとんどだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

macOS上のSafariがFlashにとどめを刺す…インストールされていてもデフォルトで無効

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Adobe Flashは死ぬ必要がある。そしてどうやら2016年は、Flashの最後の年のようだ。macOS Sierra以降Appleは、ユーザーがたまたまインストールしていた場合でも、Flashプラグインをデフォルトでは無効にする。それには多くのアドバンテージがある。

まず、Flashには数えきれないほど多くの悪用の履歴がある。つい昨日(きのう)も、誰かがまた悪用を見つけ、Adobeは大慌てでそれに対応した。

第二に、Flashは電池を殺す。どうやらそのプラグインは、今日のコンピューター向けに最適化されていないのではないか。Flashを動かすたびに、電池寿命が失われる。

第三に、Flashはもう誰も要らない。多くのWebサイトがビデオをHTML5や現代的な技術で再生する。YouTubeは? HTML5だ。Soundcloudは? HTML5だ。本誌TechCrunchのビデオは? HTML5だ。

目立つ例外もある。たとえば、FacebookのライブストリームとPeriscopeのビデオはまだFlashを必要とする。でも、彼らがFlashを捨てるのは時間の問題だろうな。

そして最後に、今ではみんながFlashを嫌いだ。SafariはmacOS SierraでFlashを無効にする。どうしてもFlash(やQuicktime, Silverlightなど陳腐化しているプラグイン)が必要なWebサイトをあなたが開いたら、Safariは、このプラグインを本当に動かしてよいのか、確認する。ChromeもQ4 2016に同じことをする。Microsoft Edgeは、重要でないFlashコンテンツをポーズする。Adobe自身も、たぶんFlashを捨てたがっている。

もう、定めの日が壁に貼りだされている。人より一歩進んでいるあなたは、とっくにFlashをアンインストールしただろう。ChromeにFlashがあるのは、悪用対策を素早く展開するためだ。メインのブラウザーとしてSafariやOperaを使い、Flashが必要なときだけChromeを使う手もある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))