メルカリが社員の博士課程進学の支援制度開始、週休4日など柔軟な働き方のもと学費を全額支給し研究活動・学び直し支援

メルカリが社員の博士課程進学の支援制度開始、週休3日・4日など柔軟な働き方のもと学費を全額支給し研究活動・学び直し支援

メルカリの研究開発組織「mercari R4D」(R4D。アールフォーディー)は1月28日、将来的に事業の発展や社会的課題の解決に貢献しうる専門領域において博士課程への進学を希望するメルカリ社員を対象に、学費や研究時間の確保を支援する新制度「mercari R4D PhD Support Program」を導入すると発表した。2022年2月より実施する。

同制度は当面の間メルカリの社内制度として運用するが、今後募集対象を社外に拡大することも検討するという。募集対象の拡大により、将来的には研究機関とのネットワークの拡大や研究能力が高い学生の就職機会の創出、新たな研究テーマ・研究領域の開拓、イノベーションの活性化につなげていきたいと考えているとしている。

社会人博士支援制度「mercari R4D PhD Support Program」概要

  • 対象
    ・応募条件:メルカリグループに2年以上在籍する社員で、直近の評価が一定の基準を満たすもの
    ・研究分野:メルカリグループのミッション達成に向けて有益であり、今後の経済発展や社会的課題の解決につながる研究テーマであれば不問。進学先は国内の大学院に限る
  • 支援内容
    ・博士課程進学時の学費支援:学費の全額支給(入学金等含む、最大年間200万円程度を想定)。原則3年間(研究内容によっては延長あり)
    ・研究と両立可能な業務時間の選択:時短なし(週5日間) / 80%稼働(週4日間程度勤務) / 60%稼働(週3日間程度勤務) / 休業(勤務なし)
    ・研究開発機関「mercari R4D」によるサポート:メルカリアプリデータなど、機密情報の研究利用手続きのフォロー。研究相談
  • 選考スケジュール:初回は2022年秋季の大学院入学を想定し、2月に社内募集開始、6月頃までに内定を予定

昨今、いったん学校を離れたあとも、生涯を通じ自身のキャリアに必要な新たな知識を学び続けていくリカレント教育への関心が高まっている。またこれら高度な専門知識の習得により、個人にとってはキャリアの新しい可能性が拓くとともに、企業にとってはイノベーションの促進や長期的な競争力がもたらされるものと期待されている。

一方、日本では他の先進国と比べて社会人による大学院での学び直しの機会は少なく、特に博士課程への進学については、学費などの金銭的な負担や、働きながら研究時間を確保することが困難であることから、高いハードルがある。

こうした現状を背景に、メルカリおよびR4Dは、既存の枠にとらわれず、メルカリグループのミッション達成に貢献し、広く経済発展と社会的課題の解決に資する研究テーマを持つ人材を育成・支援するために、社会人博士支援制度「mercari R4D PhD Support Program」を導入し、2022年2月より社内募集を開始する。

同制度では、メルカリの事業・経営に関する専門領域において博士課程への進学を希望するメルカリ社員を対象に、在学中の学費の全額支給をはじめ、研究と仕事を両立し、個々人が最適な形で研究活動を設計できるよう、週0日から週5日の間で業務時間を選べるようになる。また、R4Dが機密情報の研究利用手続きのフォローなど、研究に必要な支援も行う。

同制度を通じた学び直しの機会を提供することで、社員にとっては、メルカリに在籍しながらキャリアの再設計や新たな活躍機会の獲得が可能になる。またメルカリおよびR4Dは、これまでR4Dが扱ってきた量子情報技術、AI、ブロックチェーン、モビリティなどの研究開発領域にとらわれることのない分野に人材を派遣でき、高度な専門知識を備え、イノベーションを起こしうる多様な人材の育成を強化する。

mercari R4Dは、2017年12月に設立した、社会実装を目的とした研究開発組織。R4Dは、研究(Research)と4つのD、設計(Design)・開発(Development)・実装(Deployment)・破壊(Disruption)を意味する。「テクノロジーの力で価値交換のあり方を変えていく」をコアコンセプトに、メルカリグループのサービスや事業における将来的なイノベーション創出を目指し、AI、ブロックチェーン、HCI(ヒューマン・コンピューター・インタラクション)、量子コンピューティング、モビリティなどの研究開発を行っている。

フェイスブックが「Diem」資産売却でステーブルコインの野望を断念

WSJの報道によると、ブロックチェーンベースの決済システムに取り組む企業のコンソーシアムであるDiem Association(ディエム協会)が、技術資産をSilvergate Capital(シルバーゲート・キャピタル)に2億ドル(約230億7000万円)で売却することになったという。かつてFacebook(フェイスブック)として知られていたMeta(メタ)は、同協会の創設メンバーの1つだ。Diem(ディエム)は、Facebookが暗号資産に対して行った最も野心的な賭けの象徴だった。

Bloombergも米国時間1月25日、Metaがプロジェクトの背後にいる投資家らに資本を還元する方法として、Diemの資産を売却することに取り組んでいると報じていた。

Facebookは2019年に、もともとLibra(リブラ)と呼ばれていたこの暗号プロジェクトを発表した。それ以来、Diem AssociationとFacebookはともに何度も目標を縮小してきた。当初Libraは、フィアット通貨や証券の通貨バスケットと結びついたまったく新しい通貨になるはずだった。

Libra Association(リブラ協会)は当初から、規制当局や中央銀行からの強い反対にあった。多くの人は、Libraがソブリン通貨と競合し、マクロ経済に深刻な影響を与えると考えていた。シャドーバンキングやインフレを引き起こし、金融政策から逃れる手段になると考えられていたのである。

そこでLibra Associationは、より現実的なステーブルコインのあり方に方向転換することにした。新しい通貨を一から作るのではなく、単一通貨のステーブルコインを複数発行することにしたのである。例えば、1 LibraUSDは、常に1米ドルの価値を持つことになっていた。同じことがLibraGBPやLibraEURなどにも当てはまる。

しかし、その計画は再び変更された。Libra AssociationはDiem Associationとなり、Facebookは暗号資産ウォレット「Novi(ノビ)」のパイロット版を発表した。Noviは、協会のブロックチェーン(Diemネットワーク)上の協会のステーブルコイン(Diem)を使用する代わりに、通貨としてUSDP(Pax Dollar)を使用している。このステーブルコインはPaxos(パクソス)が発行し、Coinbase(コインベース)がカストディを担当している。

関連記事:Facebookの暗号通貨プロジェクトLibraがDiemに名称変更

数カ月前には、Metaの暗号資産に関するあらゆるプロジェクトを主導していたDavid Marcus(デビッド・マーカス)氏も同社を去っている。WSJによると、Diemの暗号資産はまだローンチされていないが、Silvergate Capitalは同社の口座にある現金を担保にステーブルコインの一部を発行する予定だったという。

Diem Associationの資産の売却が成立すれば、Metaと同協会のパートナーたちはいくらかの資金を取り戻し、Silvergate CapitalはDiemプロジェクトをつかさどる唯一の企業となる。

現在Diem Associationに関わっている企業には、Anchorage、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)、Checkout.com、Coinbase、Iliad、Spotify(スポティファイ)、Uber(ウーバー)、Union Square Venturesなどがある。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

Reddit、Twitterのように任意のNFTをプロフィール画像に設定できる機能をテスト中

Reddit(レディット)は、2021年に数量限定でリリースしたCryptoSnoos」と呼ばれる自社のイーサリアムベースのNFT(非代替性トークン)だけでなく、ユーザーが所有するあらゆるNFTをプロフィール画像に設定できる機能をテストしている。NFTをプロフィール写真に設定できる同様の機能は、最近Twitter(ツイッター)でも始まり、写真をクリックするとNFTに関する情報が表示され、Twitterの標準的なプロフィール写真と区別するために六角形の画像として表示される。しかし、RedditがNFTをどのようにサポートするか、詳細はまだ決まっていない。

関連記事:Twitter Blue利用者はNFTをプロフィール写真として使用可能に

TechCrunchに提供された声明の中でRedditは、このNFTテストは非常に初期の段階にあり、サイト上の一般ユーザーが利用できるようにはなっていない、と説明している。

「我々は常にRedditのユーザーとコミュニティに価値を提供する方法を模索しています。現時点では、NFTをプロフィール写真(アバター)として使用し、所有権を証明する機能をテストしています」と、Redditの広報担当者Tim Rathschmidt(ティム・ラスシュミット)氏は述べた。「小規模な内部テストであり、機能の拡張や展開については決定していません」。

Redditは以前からNFTに関するさまざまな取り組みを試みており、nft.reddit.comにNFT関連の専用ページまで開設している。当面の間、このページは主にReddit独自のデジタルコレクティブルであるCryptoSnoosにフォーカスしている。

知らない人のために説明すると「Snoo」の部分はRedditのエイリアンのマスコット、別名「Snoo」を指しており、コレクティブル自体はSnooのイメージに基づいたバリエーションとなっている。例えばあるものはブロック状のイメージ、またあるものはヘリウム風船のイメージといった感じだ。CryptoSnoosは全部で4つしかリリースされていない。

Redditの既存のCryptoSnoos

CryptoSnoosに対する反応は、明らかにまちまちだった。多くのRedditユーザーは発表投稿のコメント欄で、RedditのNFTへの進出について「バカバカしい」「ギミック」、あるいはもっとひどい表現で怒っていた。また、NFTの価格が高く、多くの人がこのエコシステムに参加できないことを懸念する声もあった。しかし、中にはより中立的な好奇心や、Redditの取り組みへの支持を示す人もいた。

これらの反応は、NFTが業界を越えて賛否両論を呼んでいることを反映している。例えば、NFTのプロフィール写真を使用したTwitterアカウントをブロックするツールをすでに構築した人がいる。Discord(ディスコード)とMozilla(モジラ)は、ユーザーの大きな反発を受け、暗号資産プロジェクトを一時停止した。ゲームコミュニティでは、従来のゲームパブリッシャーが暗号資産に移行しようとしたため、混乱が生じた

CryptoSnoosは初期テストにすぎないため、さらにCryptoSnoosを立ち上げる明確な計画はない、とRedditは話す。

画像クレジット: Nima Owji

新しいNFTのテストは、開発者のNima Owji(ニマ・オウジ)氏が最初に発見した。同氏は、Redditのウェブアプリでこのプロジェクトに言及したバナーを見つけたと語った。それはRedditのコミュニティのメインページの上部に表示されていたが、Redditのユーザーには表示されていなかった。同氏は、RedditのエイリアンをテーマにしたCryptoSnoosだけでなく、NFTを表すさまざまな種類の画像が含まれていたことから、この画像はCryptoSnoos外への拡張を表しているのではないかと推測している。

また、バナーはスコープの拡張を明確に説明している。「あなたのNFT、今度はあなたのアバターです!」。続いて「デジタルコレクティブルをRedditのアバターとして使えるようになりました」という短い説明もある。

発見した時、バナーの「Get Started」ボタンは機能していなかったという。

しかしオウジ氏はその後、Redditのコードの中に、OpenSea上のNFTのテストコレクションと思われるものへの参照を見つけ、それはRedditエイリアンのさらなるバリエーションだった(いずれも販売されていない)。これらはRinkebyという、メインのイーサリアムネットワークに公開する前にブロックチェーンの実験を行う場所として設計されたイーサリアムのテストネットワーク上にあった。

OpenSeaでのRedditのNFT実験

NFTアバターを立ち上げる場合、どのようなブロックチェーンに対応するのか、そして対応ブロックチェーンの詳細についてもRedditはコメントしなかった。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

YouTubeがNFT導入を検討中、CEOが書簡で示唆

YouTubeのCEOであるSusan Wojcicki(スーザン・ウォジスキ)氏は米国時間1月25日に公開した文書で、同プラットフォームにNFTを含むWeb3テクノロジーを導入する可能性があることを示唆した。NFT(非代替性トークン)はブロックチェーンに保管されたデジタルアセットを証明するもので、YouTubeクリエイターの収益化につながる手段となる。具体的な計画やYouTube上でNFTのテストが開始される時期は明らかにしなかったが、同氏はWeb3の世界で起きているイノベーションについて「YouTubeの継続的なイノベーションに向けたインスピレーション」と表現した。

ウォジスキ氏は文書の中で次のように書いている。「2021年は、暗号資産、非代替性トークン(NFT)、さらには自律分散型組織(DAO)までも含めた世界が、クリエイターとファンのつながりを深める機会として、かつて想像もつかなかった注目を集めました。NFTのような先進技術を利用してクリエイターの収益化を支援するようにするなど、私たちはYouTubeのエコシステムを発展させることを常に重視しています。同時に、クリエイターとファンによるYouTubeの利用体験を強化し、継続的に向上させることにも努めています」。

YouTubeにコメントを求めたが、NFT対応に関してYouTubeがどんな準備をしているのか、広報から詳しい説明はなかった。

とはいえ、YouTubeはNFTを見せたい人がそれを実現できそうな方法をすでに多数提供している。例えば、現在同社は、クリエイターのビデオの下に表示される「グッズ紹介」機能を提供している。これはクリエイターがアパレル、コレクターズアイテム、ぬいぐるみ、レコード盤などのプロダクトを紹介するもので、これに対応する販売パートナーは増加している。このことから、デジタルクリエイターが自分のNFTアートを紹介できるようにするために、YouTubeがNFTプラットフォームと提携して暗号資産ウォレット技術を統合できそうだと考えられる。あるいは、YouTubeは他の方法でクリエイターのプロフィールとNFT対応をさらに深く統合するかもしれないし、NFTを扱うクリエイター向けのツールを開発してお互いにネットワークを構築し作品を共有できるようにするかもしれない。

YouTubeがNFTの分野に進出しようと検討するのは当然と考えられる。他のソーシャルメディアプラットフォームも同様の動きを見せているからだ。Twitterは数日前に初のNFT対応として、NFTプロフィール写真を利用できるようにした。クリエイターは自分が所有するNFTを六角形のプロフィール写真として設定し、誰かがそのプロフィール写真をクリックするとアートに関する詳しい情報が表示される。InstagramもNFTを検討していることを公に認めたThe Financial Timesの最近の報道によると、FacebookはNFTマーケットプレイスを構築しているようだ。

将来的なWeb3対応に加え、ウォジスキ氏は2021年のYouTube全般を振り返りながら注目すべきアップデートをいくつか提示した。

ウォジスキ氏は、TikTokの競合であるYouTubeショート上での「リミックス」機能を拡大すると述べた。YouTubeショートでは現在、他のYouTube動画からオーディオコンテンツのみをリミックスする機能が提供されている。YouTubeは詳細を共有していないが、Instagramがすでに対応しているのと同様に、動画のリミックスに対応することを検討しているようだ。同氏は、YouTubeショートはこれまでに5兆回再生されたと述べた。再生回数よりもYouTubeショートを利用しているクリエイターの人数の方が興味深いが、その人数は共有されなかった。YouTubeショートファンドからの支払いを受けたクリエイターの4割以上は、同社のYouTubeパートナープログラムに参加していなかった人たちだったとも書かれている。これは、YouTubeショートが新しいタイプのクリエイターがYouTubeで収益化する手段になっていることを示唆している。

文書ではその他の取り組みや投資にも触れている。ゲーム、クリエイターの収益化、音楽、ショッピング、教育の他、さまざまな規制の問題に対する立場についても取り上げられた。ウォジスキ氏は、年間1万ドル(約114万円)を超える収益を上げている全世界のチャンネル数は対前年比で40%増加し、YouTubeチャンネルメンバーシップと有料デジタルアイテムは1億1000万回以上購入または更新されたと述べている。ゲーム関連では、再生数は8000億回、ライブ配信は9000万時間、アップロード数は2億5000万本をそれぞれ超えている。2020年には米国、日本、韓国、カナダ、ブラジル、オーストラリア、EUの合計でYouTubeのエコシステムにより80万人以上の雇用が支えられているという。

クリエイターに向けて、すでに発表されていたShopifyとの提携の計画メンバーシップギフト贈呈機能の提供開始、教育コンテンツを利用するユーザー数の倍増、ボーダーラインにあるコンテンツのおすすめの停止、YouTube Kidsの改善なども取り上げられている。ウォジスキ氏は「低評価」ボタンを削除する決定に対して反発があることも認めたが、削除が必要である理由を再び主張した。

画像クレジット:Olly Curtis/Future / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

二要素認証の危殆化でハッキングされた暗号資産取引所Crypto.com、被害は約38.7億円以上に

Crypto.com(クリプト・ドットコム)は、先週末に同社のプラットフォームで発生した最近のハッキングについて、米国時間1月20日ウェブサイト上の声明で新しい詳細を共有し、483人のユーザーが影響を受け、1500万ドル(約17億円)相当以上のETH(イーサリアム)、1900万ドル(約21億6400万円)相当のBTC(ビットコイン)「その他の通貨」6万6200ドル(約750万円)相当の不正な引き出しが発生したと発表した。現在の暗号資産価値で3400万ドル(約38億7300万円)以上の価値がある総損失は、Crypto.comが声明を発表する前にアナリストが予測したものよりもさらに高いものだ。

同社の事後報告は、CEOのKris Marszalek(クリス・マルザレック)氏がBloomberg TVとのインタビューで侵害を認めたわずか1日後に行われた。彼の確認は、資金を盗まれたと訴える複数のCrypto.comユーザーから苦情が寄せられた後に行われた。それまで同社は「インシデント」としか言及せず、曖昧な対応に終始していたのだ。マルザレック氏はインタビューの中で、侵害がどのように発生したかについての詳細を共有していなかったが、彼はCrypto.comが影響を受けたすべてのアカウントに払い戻したことを認めていた。

本日の声明によると、Crypto.comは米国時間1月17日に「2FA(二要素)認証操作がユーザーによって入力されることなく取引が承認されていた」という疑わしい活動を検出したとのことだ。サイトは問題を調査するために14時間すべての引き出しを停止した。

Crypto.comは、攻撃者がすべてのユーザーに義務づけられている二要素認証を呼び起こさずに取引を承認することができた方法については述べていない。TechCrunchが詳細を問い合わせたところ、同社は今日発表された声明以外には、この侵害についてコメントすることを拒否した。

同社は「すべての顧客の2FAトークンを失効させ、追加のセキュリティ強化策を追加した」後、顧客にプラットフォームにログインして2FAトークンを再度設定するよう求めたと述べている。追加措置には、新しい引き出し用住所の登録と最初の引き出しの間に24時間の遅延が義務づけられているため、ユーザーは通知を受け、引き出しが不正と思われる場合はCrypto.comチームに連絡して「反応し、対処する十分な時間」を確保することになる。

同社は侵入後、内部監査を実施し、第三者のセキュリティ会社と契約してプラットフォームのチェックを行ったという。セキュリティ強化のため、2FAから「真の多要素認証」に移行する計画を発表したが、この変更の予定スケジュールは示していない。

Crypto.comはまた、2月1日から「一部の市場でWorldwide Account Protection Program(WAPP)」を導入すると発表した。これは、不正引き出しが発生した場合「認定ユーザー」に対して最大25万ドル(約2800万円)まで資金を回復するプログラムである。このプログラムの適用を受けるには、ユーザーは、多要素認証が利用可能なすべての取引タイプで多要素認証を有効にしなければならない。また、報告された不正取引の少なくとも21日前にアンチフィッシングコードを設定し、警察に被害届を提出し、それをCrypto.comにも提供し、鑑識調査に協力するための質問事項に答えなければならない。さらに、ジェイルブレイク(脱獄)デバイスを使用していないことが必要だと同社は述べている。

Crypto.comは世界第4位の暗号取引所だが、ここ数カ月は米国市場に強くアプローチしており、俳優のMatt Damon(マット・デイモン)を起用したバイラル広告や、ロサンゼルス・レイカーズとクリッパーズアリーナの命名権7億ドル(約797億円)の購入などのスタントを行っている。自社のことを「最も急成長している」暗号取引所と呼び、今週初めにはこの分野のアーリーステージのスタートアップを支援するために、ベンチャーキャピタル部門を5億ドル(約569億円)に拡大しました。今週の侵害事件と同社の対応の遅れによって、米国内での成長が停滞する恐れがある。

関連記事:Crypto.comのCEOが数百の顧客アカウントがハッキングされたことを認める

画像クレジット:Seb Daly / RISE via Sportsfile Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Crypto.comのCEOが数百の顧客アカウントがハッキングされたことを認める

Crypto.com(クリプト・ドットコム)のCEOであるKris Marszalek(クリス・マルザレック)氏は、米国時間1月19日に行われたBloomberg TVのインタビューで、約400の顧客口座がハッキングによって侵害されたと述べた。複数のCrypto.comユーザーが資金を盗まれたと主張してきたものの、これまで会社からの回答が曖昧だったへの苦情を受けて、侵害を認めるかたちとなった。

マルザレック氏は、ハッキングがどのように発生したかについての詳細は明らかにしなかったが、事件後「約13~14時間」で取引所がオンラインに戻り、影響を受けたアカウントはすべて払い戻されたとBloomberg TVに語った。

マルザレック氏の声明は、Crypto.comがハッキングが実際に発生したことを初めて公式に認めたことを意味する。同社は、米国時間1月16日にTwitterで「少数のユーザーが自分のアカウントで疑わしい行動を報告している」と指摘した後、同プラットフォームでの引き出しをまず一時停止した。また「用心のために」2要素認証を再設定するよう顧客に求めた。

同社はその後、顧客の資金が安全であるというやりとりの中で、発生した顧客の損失は同社がカバーするとの憶測を引き出し、何度もユーザーを安心させた。

損失額は1500万ドル(約17億1600万円)相当のETH(イーサリアム)に達する可能性があると、ブロックチェーンセキュリティプロバイダーのPeckShield(ペックシールド)は1月16日にツイートしている。PeckShieldはこのツイートで、資金の約半分がTornado Cash(トルネード・キャッシュ)に送られて「洗浄」されていると主張している。Tornado Cashは、イーサリアムのブロックチェーン上で「非保護の匿名取引」を提供しているとのこと。つまり、暗号がどこに送られたかを隠すことができるということだ。ブロックチェーンデータ会社OXT Research(OXTリサーチ)の別のアナリストは、このハッキングによって実際に取引所に3300万ドル(約37億7600万円)の損害が発生したのではないかと推測している。

損失の範囲について尋ねられたとき、マルザレック氏はBloomberg TVに、Crypto.comはまだ事件の事後分析に取り組んでおり、それは同社のブログに「数日中に」掲載されるだろうと述べた。

Crypto.comは世界第4位の暗号資産取引所だが、俳優のMatt Damon(マット・デイモン)を起用したバイラル広告や、ロサンゼルス・レイカーズとクリプト・ドットコム・アリーナの命名権7億ドル(約801億円)の購入などのスタントで、ここ数カ月、米国市場に強くその名を押し出してきた。自らを「最も急成長している」暗号取引所と呼び、今週初めには、この分野の初期段階のスタートアップを支援するためにベンチャーキャピタル部門を5億ドル(約572億円)に拡大した。今週のハッキングに関する影響は、米国での成長を一部停滞させる恐れがあるだろう。

画像クレジット:Crypto.com

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Web3のパワープレイヤー「アニモカブランズ」大解剖

ここ1年間程度でAnimoca Brands(アニモカブランズ)という名を耳にしたことがないという読者は勉強不足だ。デジタルエンターテインメント、ブロックチェーン、ゲームなどさまざまなコンテンツを提供し、香港に拠点を置く創業8年目、従業員600人の同社は、ますます多くの関係者が次世代のウェブと考える世界で最も活動的な1社となっている。

LAを拠点とするFan Controlled Football League(ファン・コントロールド・フットボール・リーグ)は、ファンがチームに関する決定をリアルタイムで投票するスポーツリーグで、米国時間1月13日、Animocaが共同リードするシリーズAの資金調達で4000万ドル(約45億9000万円)を調達したと発表した。スマートフォンやタブレット向けのゲーム開発からスタートしたAnimocaは、2017年頃にブロックチェーンゲームに進出して以来、150社以上の企業に投資を行っている。

それはまるで運命の出会いのようなもので、Animocaの創業者であるYat Siu(蕭逸)氏にとっては一目惚れともいえるものだった。当時Animocaは、ベンチャースタジオのAxiom Zen(アクシオム・ゼン)とオフィスを共有していたFuel Powered(フュエル・パワード)という会社を買収しようとしていたのだが、その際Axiomが取り組んでいた CryptoKitties (クリプトキティーズ)というブロックチェーンゲームに蕭氏は強く惹かれたのである。Axiomの創業者であるRoham Gharegozlou(ローハム・ガレゴズロウ)に助言をしていたFuel Poweredの共同創業者、Mikhael Naayem(ミカエル・ナイエム)を通してその存在を知ったという。

その直後の2018年初頭、AnimocaはAxiom Zenと1年更新の独占ライセンスおよび販売契約を結び、CryptoKittiesの出版契約を結ぶことになる。これが大反響を呼んだため、ナイエム氏とガレゴズロウ氏はチームを組んでDapper Labs(ダッパー・ラブズ)を設立し、Animocaが初期バッカーとなったのだ。現在Dapper LabsはNBA Top Shot(NBAトップショット)マーケットプレイスでさらに有名になっている。

それ以来、Animocaはすばらしい業績を上げている。パブリッシャーとして、また最近ではブロックチェーン資産やトークンの買い手としても活動しており、その膨らみ続けるポートフォリオには、10月に30億ドル(約3436億8000万円)の評価額で約1億5000万ドル(約171億9000万円)の資金調達を完了した世界的大ヒット作Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)の開発元Sky Mavis(スカイメイビス)や、プレイヤーがゲーム内資産を作成して収益化できるゲームで、11月にSoftBank(ソフトバンク)が主導して9300万ドル(約106億6000万円)でシリーズBの資金調達を完了した人気メタバーススタートアップThe Sandbox(ザサンドボックス)などが含まれている(2022年1月初旬時点で、ユーザーがSandboxで購入できる最も小さな土地の価格は1万1000ドル[約126万円]以上だった)。

またAnimocaは、現在133億ドル(約1兆5218億円)もの評価を受けているNFTマーケットプレイスOpenSea(オープンシー)に早くから出資し、2021年ブレイクしたプロジェクトの1つであるBored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ)と協力してBored Apeをテーマにしたゲームを制作するなど、常に活動的な姿勢をアピールしている。

こういったことすべてが積み上げられ、1月初旬に蕭氏と話したところによると、2021年11月下旬の時点ではAnimocaの保有資産は約160億ドル(約1兆8297億円)になっていたという。これはAnimocaがSequoia Capital China(セコイア・キャピタル・チャイナ)も参加した6500万ドル(約74億3000万円)の資金調達ラウンドで22億ドル(約2516億円)と評価されてから間もなくのことである。

興味深いのは、Sequoiaと残りのシンジケートが上場株式を買い上げたことだ。蕭氏の説明によると、Animocaは以前オーストラリア証券取引所で取引されていたのだが「Animocaが暗号を扱っていることが気に入らなかった」ため、2020年3月に上場廃止にされたという。現在同社は非上場公開会社として運営されているため、自社サイトやメーリングリストを通じて株主とコミュニケーションをとることができ、約2500人の株主が他の個人に株式を個人的に売却することができるのだ(誰がそれを所有しているかを知ってさえいれば買うことができる)。

一方、OpenSeaとDapper Labsの株式は同社の資産の一部とみなされており、その価値は今のところ理論上のものとなっている。「貸借対照表科目と同じで、基本的にAnimoca Brandsの資本価値に回っていきます」と蕭氏は話している。

Animocaの道のりに障害がなかったわけではない。米国時間1月10日、スポーツNFTを鋳造するAnimocaの子会社にセキュリティ違反があり、ユーザーは1870万ドル(約21億3700万円)相当のトークンを失い、子会社のトークン価格は92%も暴落してしまった(この華麗な新世界には独自のリスクがついてまわるのだ)。

それでも、現在Animocaのグループ執行会長兼マネージングディレクターである蕭氏は明らかにWeb3の信奉者であり、完全な分散型ビジネスを実現するための実用性を含め、最近よくささやかれている批判をあまり信用していない。

例えばBox(ボックス)のCEOであるAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏は最近Twitter(ツイッター)で、コミュニティの意見に依存する分散型組織が常に合意形成の試みに追われていては、どう競争できるのかと疑問を呈している。

このことについて問われると、蕭氏は「全ユーザーが先見の明があるわけではありません。比較するものがあれば、何がベストなのかわかるようになるでしょう」と答えている。

蕭氏によると、現在Animocaは2022年に実行する可能性のある投資やパートナーシップに重点を置いており「ゲームスタジオをブロックチェーン上に移行させ、エンドユーザーに本質的にデジタル財産権を提供する」ためにゲームスタジオの買収を続けていると話している。また投資面では、NFTのようなデジタルプロパティのネットワーク効果を発展させ、成長させることができるインフラに惹かれているとも伝えている。

それがどういうことかというと「融資、DeFi、細分化、プロトコル、そしてレイヤー1(ブロックチェーン)、レイヤー2(ブロックチェーン)」なのである。実際Animocaは、急成長中の企業が成長を続けるために必要な「クロスチェーン」を重要視しているのだ。

「企業がゲーム資産やNFTを立ち上げる際、例えばEthereum(イーサリアム)でも立ち上げて欲しいのですが、同時に(Dapper Labsによって設計されたブロックチェーンの)Flow(フロー)も検討するべきなのです。またSolana(ソラナ)でも開始して欲しいですし、HBAR(ヘデラハッシュグラフ)も検討して欲しいのです。つまり、できるだけ多くのプラットフォームかつできるだけ多くのプロトコルで、資産を展開することを推奨しているのです。それはこの独立性が非常に重要であると私たちは考えているからで、チェーンを国と同じように考えています。もし、ある国でしか製品を発売できないのであれば、その国の文化や可能性に制限されることになるからです」。

オーストリアで中国系として育ち、若干10代でドイツのAtari(アタリ)に就職し、その後同氏が初めて立ち上げたスタートアップを魚油会社に売却した蕭氏との対談は、ここから聞いていただける。Facebook(フェイスブック)のメタバース計画、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏のWeb3に関する考え、中国が境界線を引き直す中で香港のビジネス界がどのように変化しているかなど、さまざまなことを話し合った。

関連記事:イーサリアムよりはるかに高速だと主張するトップ暗号資産投資家たちに人気のブロックチェーンプラットフォーム「Solana」

画像クレジット:South China Morning Post / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

Operaが暗号資産ウォレットやdAppsサポートを搭載したWeb3「クリプトブラウザ」ベータ版で提供開始

Opera(オペラ)は、ビルトイン暗号資産ウォレット、暗号資産 / NFT取引所への容易なアクセス、分散型アプリ(dApps)サポートなどの機能を搭載したWeb3「Crypto Browser」ベータ版の提供を開始した。OperaのEVPであるJorgen Arnensen(ヨルゲン・アーネンセン)氏は「メインストリームユーザーが戸惑うことの多いWeb3のユーザー体験をシンプルにする」ことを目指していると声明で述べている。

主な特徴は、イーサリアム、ビットコイン、セロ、ネルボスなどのブロックチェーンに対応するノンカストディアル(自己管理型)ウォレットを最初から内蔵していることだ。また同社は、Polygon(ポリゴン)などとのパートナーシップも発表した。これは、拡張機能を必要とせずにユーザーが自分の暗号資産にアクセスできるようにするという考えによるもので、サードパーティのウォレットも使用できるようになっている。フィアットからクリプトへの交換により暗号資産を購入したり、直接ウォレット内で暗号資産を交換したり、それらを送受信したり、ウォレットの残高を確認したりすることが可能だ。また、コピー / ペーストの際に他のアプリがデータを取得できないようにするセキュアクリップボードも搭載している。

もう1つの主な機能はWeb3、つまりブロックチェーンベースの分散型インターネットへの対応だ。これは、暗号愛好家(および懐疑派)の間でバズワードとなっている。ブロックチェーン暗号化によるセキュリティ強化に加え、ユーザーはGameFiなどにアクセスすることで「あらゆる種類のメタバースをプレイして収入を得られる」とOperaは述べている。また、最新のブロックチェーンニュースを掲載した「Crypto Corner」も用意されており「Web3のスキルを向上させることができる」としている。

OperaのライバルであるMozilla(モジラ)は最近、暗号資産による寄付を受け付けることを発表したが、ブロックチェーンの環境への影響をめぐり、共同創業者のJamie Zawinski(ジェイミー・ザウィンスキー)氏を含むユーザーから強い反発を受けた。同様の反応を予想してか、Operaは、よりエネルギー効率の高いEthereumレイヤー2規格を「可能な限り早く」実装することを目指していると述べている。

Ubisoft(ユービーアイソフト)のようにNFTなどでブロックチェーンの時流に飛び乗った企業も、同様の批判にさらされている。しかし、Operaは少なくとも、通常のOperaブラウザゲーマー専用のブラウザも提供しており、複数のブラウザオプションでユーザーに選択肢を与えている。Crypto Browserは現在、AndroidWindowsMacに対応しており、iOS版も近日中にリリースされる予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Opera

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

共通の思い出をNFTとして鋳造する「そこにいた証明」Web3スタートアップが約11.4億円を調達

ブロックチェーンがデジタル史の不変の記録であるならば、我々はそこにどのような歴史を刻みたいのだろうか。予想どおり、これまでの記録のほとんどはトランザクションデータだったが、起業家たちがNFTへの野心を膨らませるにつれ、スタートアップはこうした資産トランザクションを現実世界のイベントや交流と結びつけることを目指している。

POAPは「Proof Of Attendance Protocol(出席証明プロトコル)」の略で、NFTを使ってインターネット上のコミュニティを構築するというアイデアをより深く掘り下げ、よりアクティブなコミュニティを作り、イベントへの出席というような個人の参加に対して見返りを与えるプロトコルだ。POAPは、そのプロトコルを視覚的に表現するために、バッジを中心に構成されている。現実世界の例では、ユーザーがQRコードをスキャンしてNFTの記念品を受け取ると、それによってオンラインコミュニティへの参加が可能になり、将来的にドロップを獲得することができる、といったシナリオが可能だ。

このような機能は、イーサリアムのプロジェクトにも数多く存在している。ブロックチェーンの基本的な機能の一部により、開発者は特定の時点でプロジェクトにリンクしているアクティブなウォレットの「スナップショット」を作成することができる。POAPのエコシステムには、イーサリアムを利用した投票、ラッフルコンテストの仕組み、プライベートチャットの検証技術など、他にも多くのツールが含まれている。

同スタートアップは今週、ArchetypeとSapphire Sportが主導するシードラウンドで1000万ドル(約11億4000万円)の資金を調達したことを発表した。Sound Ventures、The Chernin Group、Advancit Capitalが出資した他、Collab Currency、1KX、Libertus Capital、Red Beard Ventures、6th Man Ventures、Delphi Digital、A Capitalなど、多くのクリプトネイティブファンドがこのラウンドに参加した。

POAPは2021年に、NFTコミュニティの成長が加速し、同社のプラットフォームを利用しようとする人々の数が増えたことで、圧倒的な数のスパムが流入し、プラットフォームが停止してしまうという課題に直面した。同社はブログ記事の中で、新たな資金をアプリケーションとプラットフォームレイヤーへの投資に充てる予定だと述べている。

画像クレジット:POAP

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

Block(旧Square)のCash AppがLightning Networkを統合、手数料無料でビットコイン支払い可能に

2021年11月、Twitter(ツイッター)CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が辞任した。同氏が所有する別の会社Square(スクエア、現在はBlock)に全力を注ぐためだ。同社は近年ブロックチェーンと暗号資産に多大な投資を行っており、それはドーシー氏自身も同じだ。そして今、Blockの暗号資産への取り組みの結果が見え始めてきた。米国時間1月17日午前、Blockのモバイル決済サービスCash App(キャッシュ・アップ)はLightning Network(ライトニング・ネットワーク)との統合を発表し、米国ユーザーが世界中の誰にでもBitcoin(ビットコイン)を手数料なしで送れるようにした。

この機能は以前からCash Appユーザーに向けて徐々に公開されていたが、正式な発表はなかった。「今後数週間」のうちに米国の全Cash App利用者に行き渡る予定だと同社はいう。

新機能が有効になると、Cash AppユーザーはBitcoinを全世界の対応するウォレットに送れるようになる。家族や友達への送金の他Chivo Wallet(チボ・ウォレット)やBlueWallet(ブルーウォレット)、Muun Wallet(ムーン・ウォレット)などの自己管理ウォレットも対象だ。さらに、ユーザーはLightning Network決済に対応している商店にも手数料なしでBitcoinを送金できる。まだ主流にはなっていないが、一部の売り手がLightning決済を受け入れ始めているので、ユーザーはLightning Network経由でピザを注文したりギフトカードを買ったりできる。

Lightning NetworkがCash Appに統合されたことは、現在成長中のクリエイター経済にも力を与えるだろう。クリエイターやCause(大義)がLightning 決済に対応していれば、ファンはBitcoinを送って支援の気持ちを表すことができる。

画像クレジット:Lightning Network

Cash Appはこのシステムの優位性について、一般的なBitcoinネットワーク取引はLighning Networkと比べて、時間がかかり手数料も高いことを挙げ、Lightningという名前はその高速性を伝えるためだと説明した。同システム上での取引はブロックチェーンとは独立に(オフ・チェーンで)実行される。これは通常関わってくる手数料、時間、エネルギーを減らす効果がある。それでもLightning Networkがブロックチェーンのテクノロジーと分散化の恩恵を受けることができるのは、そこで行われた取引は、後にメインのBitcoinブロックチェーンに集約、記録されるからだ。

ドーシー氏は以前からLightning Networkに関心を示しており、2019年にツイートで、これは #BitcoinTwitterユーザーの間で行われている実験の「クールな事例」だという。最近では、BlockのBitcoinに特化した子会社、Spiral(スパイラル)がLightning開発キット(LDK)を提供して、どんなアプリにも簡単にBitcoin支払いを統合できるようにした。今回のCash AppへのLightning統合にもSpiralのLDKが使用されている。Cash Appは、LDKを組み込こんだ最初の、現時点で最大の決済アプリケーションだと同社はいう。

LDKの提供は、一部門の作ったツールが他のBlock傘下企業で使われるという点で、Blockの戦略的ビジョンが具現化された新たな事例でもある。

画像クレジット:ThaiMyNguyen / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Gaudiyと大日本印刷、ブロックチェーンを活用したコンテンツビジネス・次世代のファンサービス構築を目指し業務提携

Gaudiyと大日本印刷、ブロックチェーンを活用したコンテンツビジネス・次世代のファンサービス構築を目指し業務提携

ブロックチェーン技術を活用したファンエコノミー事業を展開するGaudiy(ガウディ)は1月18日、アニメ、マンガ、ゲームなどの新しい知的財産を活かしたビジネス創出を目指して、大日本印刷(DNP)と業務提携することを発表した。ファンエコノミーの構築を進めるGaudiyと、リアルとバーチャルの「ハイブリッドな強み」を持つDNPの提携で、新しいコンテンツサービス創出のための共同研究を推進するとのことだ。

Gaudiyは、インターネットやメタバースなどの仮想空間にファンエコノミー(ファンによる応援や創作で生まれる価値を適正に評価し還元する経済圏)の構築を推進するスタートアップ。非代替性トークン(NFT)はじめブロックチェーン関連技術を活用したデジタルコンテンツの適正な取り引き環境を整備し、日本製コンテンツによる世界規模のビジネスを展開することを目指している。

エンターテイメント産業の課題解決に向けて、大手コンテンツホルダーとも協業し、漫画・アニメ・ゲーム・スポーツ・音楽などの領域で、コンテンツとファンを直接つなぐコミュニティサービスを展開している。

一方DNPは、「多彩な表現技術や、高度なセキュリティー環境」で膨大な情報を安全に処理するノウハウを持ち、多様なパートナーとの連携による「リアルとバーチャルの融合」の一環として、新しい体験価値を創出するXR(Extended Reality)コミュニケーション事業を展開。アニメ、マンガ、ゲームなどのコンテンツと、ファンや企業とをつなぐ新しいコミュニケーションモデルの創出に取り組んでいる。

両社は、今回の業務提携を通じてそれぞれの技術やノウハウを掛け合わせ、メタバースをはじめとする新たな領域での価値創出および「未来のファンサービス」を創出するという。

この業務提携による取り組みの第1段として両社は、2022年1月21日から「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」で開催される「約束のネバーランド POP UP SHOP in 東京アニメセンター」と連動し、ファンコミュニティー向けデジタルコンテンツを提供する実証実験を行う。

【コラム】ソーシャルメディアの人々をWeb3へと誘う5つのNFTトレンド

Twitter(ツイッター)に対する批判が高まる中、大半のテック創業者とVCたちは、Web 2.0かWeb3のどちらかを支持している。

Web3の支持者は、Web3がインターネットの未来であり、今後数年でブロックチェーンベースの製品がWeb 2.0に完全に取って代わると信じている。

Web 2.0の断固たる支持者は、Web3は利益を出すことを目論むさまざまな暗号技術によって祭り上げられた誇大広告に過ぎず、ブロックチェーン技術の応用範囲は基本的に限られていると主張している。

筆者は、Web 2.0アプリを10年以上に渡って構築し、やはり10年以上に渡って暗号技術に投資してきた創業者として、最もおもしろいビジネスチャンスは、Web 2.0とWeb3の交差部分に存在すると思っている。

ブロックチェーンの消費者市場における真の潜在性は、Web 2.0とWeb3の併合によって解き放たれる。

エネルギー、人材、リソースがWeb3に注入され、インターネット初期が思い起こされるのはワクワクする。インターネット初期の状況を思い出すくらいシリコンバレーに長くいる人たちにとって、現在の状況と当時の状況の類似性は否定できない。

しかし今回は、成長率が非常に高い。Web3の専門家はこの事実をWeb3がインターネットの未来であり、Web 2.0はまもなく消滅するという議論を支える事実として指摘している。

しかし、インターネットの初期と現在とでは、1つ重要な違いがある。Web 1.0より前は、インターネットは存在していなかった。我々はみんなアナログの生活を送っていた。普及当初のインターネットは比較的退屈な存在と戦っていた。フリーポルノ、チャットルーム、ゲーム、音楽、eメール、動画などだ。指先を動かすだけで世界の情報が手に入るようになった。土曜日にわざわざ大ヒット映画を観に行くこともなくなった。決してフェアな戦いではなかった。

自分では絶対に履かないとわかっているスニーカーを2000ドル(約23万円)で買ってしまった。このスニーカーはNFTとしてのみ存在するため、履けないのだ。狂気の沙汰かもしれないが、昔親指が痛くなるヒールにお金を使っていたのと大差ないような気がする。

Web3は新しい段階に入ってきている。現代人は強く惹き付けられるデジタル製品に夢中になっている。平均的な消費者がTikTok(ティックトック)をスクロールするのを止めないのは、分散化の時代の先触れとなりたいからでも、クリエーターエコノミーを支援したいからでも、インフレーションを抑制したいと考えているからでもない。彼らはそんなことはどうでもよいのだ。それに彼らは、BAYC(Bored Ape Yacht Club)CryptoPunksを買うお金もない。

平均的なインターネットユーザーが気にしているのは、ソーシャルメディアで自分がどのように見えているかである。これが橋渡し役となる。そして、この橋渡し役の鍵となるのがNFTである。

ソーシャルメディアのオーディエンスをまとめてWeb3に移行させる5つのNFTトレンドを以下に示す。

NFTの検証

懐疑的な人は、NFTは右クリックするだけで基盤となるファイルを保存できるため、間抜けだという。しかし、これは一時的な問題だ。近い将来、すべての大手ソーシャルプラットフォームはNFT検証を実装するだろう。これにより、ウォレットを接続して、自分のプロファイルの検証済NFTを表示できるようになる。と同時に、指紋テクノロジーによって、各プラットフォームは、盗まれたファイルを容易に検出し、削除できるようになる。

TikTokユーザーが自分の投稿で一意の検証済NFTを表示して使用できるようになると、ゲームは完全に様変わりすることになる。というのは、NFTを購入して配信することのソーシャル的な価値が急激に向上するからだ。

サイドチェーン

Polygon(ポリゴン)などのサイドチェーンが普及してくると、NFTの価格は下がってくる。輸送費がかからないため、開発者はNFTにより高い対話性と構成可能性を組み込むことができ、その結果、本質的にNFTのソーシャル性を高めることができる。

ポケモンGOをブロックチェーン上で運用して、各ポケモンが交換したり売ったりできるNFTになっている状況を想像してみて欲しい。獲得した各ポケモンは独自の特徴を備えており、さまざまな場所で課題をクリアすることでポケモンを独自に進化させることができる。ポケモンのレベルが向上すると、そのパワーがオンチェーンでアップデートされる。ゲームを進めていくと、暗号化トークンを獲得できる。このトークンはゲームの外の世界でも価値を持っている。

音楽

2021年のNFTブームでは主に視覚的なアートが中心だったが、次の段階では、音楽が対象になる。音楽NFTは最終的にはアートよりもずっと大規模なものになると思われる。収集するものが物理的なアートであれNFTであれ、コレクターの行為を促す強い欲求は同じだ。つまり、自身の芸術的センスを相手に表現したいという欲求、個人グループを問わず自身のアイデンティティを表現したいという欲求、そして場合によっては利益を上げたいという欲求だ。

初期のNFTブームには少なからず投機的な動機があったものの、自己表現とアイデンティティを取り巻く衝動こそがアート収集を促すより基本的な原動力であると思う。そして、人が自身の特徴やアイデンティティを表現する方法として最も普及している方法の1つとして音楽がある。

TikTokミュージック動画を始めて以来、ミュージックトラックはTikTok上で共有される動画の主要コンポーネントになっている。だが、現在使用できるミュージックはごく一般的なものだ。みんな同じ曲を使うことしかできない。

お気に入りのアーティストが60秒の音楽トラックをNFTとして数量限定でリリースするようになったらどうだろう。あなたはその1つを購入して、クールなTikTokを作る。これが口コミでまたたく間に広がる。数百万人の人たちが突如としてその曲を使って独自のTikTokを作りたいと考えるようになる。しかし、使える数は100コピーだけ。あなたには毎日、その曲を購入したいというオファーがくる。販売するか手元に置いておくかはあなた次第。

ファッション

Web 2.0時代幕開けの頃、筆者は20代だったが、自分の収入をすべてファッションに使っていたものだ。おしゃれなジーンズ、かかとの高いヒール、サングラス、ハンドバッグ。良いものを身に付けたいという欲求は飽くことを知らなかった。

しかし、この10年でソーシャルな活動の大半がオンラインにシフトし、筆者のファッション支出も減少した。最近本当に欲しいものといえば、エクセサイズ関連商品を除けば、カラフルなZoomのトップくらいだ。おしゃれな洋服を購入する楽しみはすっかり薄れてしまった。

ところが先日、筆者は自分でも驚くようなことをしてしまった。自分では絶対に履かないとわかっているスニーカーを2000ドルで買ってしまったのだ。このスニーカーはNFTとしてのみ存在するため、履けないのだ。暗号資産の泥沼にはまり込んだことない人に、このような買い物をする理由を説明するのは難しいが、ほとんど狂気の沙汰であることは自分でもわかっている。だけど、昔親指が痛くなるヒールにお金を使っていたのと大差ないとは思うのだが。

ソーシャルメディアのオーディエンスがデジタル版の自己を着飾るために使うデジタル製品に大金を使う時代がやってきたようだ。既存の代表的なNFTといえば大半がゲームやアバター関連だが、大量のオーディエンスに変革をもたらす魅力的な使用例としてARフィルターがある。

Kim Kardashian(キム・カーダシアン)がカスタムのARフィルターをリリースしたらどうだろう。フェイスリフト、リップフィルター、メークアップ、ヘアスタイル、衣服、宝石などだ。どれもキム独自のものだ。これらを購入すれば、あなただけがそのフィルターで自分のTikTok動画を飾ることができる。飽きたら転売すればよい。キム、あなたのホワイトリストに私を追加してくれる?

ダイナミックなアバター

はいはい、わかってますよ。プロフィール画像を気味の悪い類人猿に変えるなんて何を考えているのかわからない、ですよね。実は私もBored Ape(ボアード・エイプ)のデジタルアートを持っている。ただし、自分のプロフィール画像に使う気にはならならず、代わりにWorld of Women(ワールドオブウーマン)の画像を使っている。どうして仕事用の顔写真の代わりに自分になんとなく似ているアルゴリズムで生成された漫画の画像を使うのかって?楽しいからだ。それに写真ではなかなか表現できない私の性格の一面を表すことができる。

ただ、私のプロフィール画像はちょっと古くさい感じになってしまった。少し動く画像だったらよかったのに。

ダイナミックさ、パーソナライゼーション、動きがNFTアバターにも取り入れられるようになってきた。セルフィーを撮ると、AIが理想のあなたに近いユニークなカスタムの3Dアバターを生成してくれる。Bitmojiに似ているが、もっと良い。人物の表情やポーズ、衣服、アクセサリーを更新することもできるし、人物を踊らせることもできる。キーボードを打つだけで自分の声でしゃべらせることもできる。これを使えば、自分の印象をうまく伝えているという実感が持てる魅力的なTikTokの投稿を簡単に作れるだろう。演技力や撮影のスキルを磨くための時間は最小限で済み、その分、自分の伝えたいメッセージの作成に時間を費やすことができる。

ダイナミックなアバターはソーシャルメディア上での自己表現を民主化する機会になるだろう。その結果、より多くのクリエーターたちが自身を表現できるようになるだろう。

Facebook(フェイスブック)が登場した当初は、ばかげていると思ったが、楽しかった。数日おきにログオンすると、親友の誕生日を知らせてくれたりするし、友人の派手なプロフィール画像につっこみを入れたりしていたものだ。その後、フィード、モバイル写真とアルゴリズム、インタグラムモデル、ラテ、完全にフィルターされた生活がやってくる。その過程で、楽しさは薄れソーシャル奴隷のようになってしまう。ほとんど知らない人たちの気分の悪くなる記事をスクロールして読んでは、お返しとばかりに醜悪な投稿をする。こんなはずじゃなかったのに。

Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏がMeta(メタ)についてのビジョンを語ったとき、みんな軽蔑の目で見ている感じだった。「ソーシャルメディアで私達の生活を台無しにした上に、今度は残された最後の物理的なつながりまで消滅させて、Matrix(マトリックス)に出てくる植物人間のようにしてしまうつもりか」と誰もが叫びたい気持ちだった。

とはいえ、賛否両論はあると思うが、私達はすでにメタバースの世界へと歩みを進めており、それは止められない。生活のバーチャル化は進む一方だ。Web3では、バーチャル世界での豊かな経験が実現される。これが空虚感の少ない、少しは人間らしいものであってくれることを願うばかりだ。

NFTおよびWeb3がもたらすあらゆるものによって、人との交流が昔のように楽しいものになるような仮想現実が創造されることを楽しみにしたいと思う。

編集部注:本稿の執筆者Prerna Gupta(プレーナ・グプタ)氏は、HookedやSmuleといったモバイルエンターテイメントアプリを立ち上げ、10億人以上の人々にリーチしてきた。現在、NFT領域でステルスプロジェクトに取り組んでいる。

画像クレジット:Iryna+ mago / Getty Images

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(文:Prerna Gupta、翻訳:Dragonfly)

【コラム】ソーシャルメディアの人々をWeb3へと誘う5つのNFTトレンド

Twitter(ツイッター)に対する批判が高まる中、大半のテック創業者とVCたちは、Web 2.0かWeb3のどちらかを支持している。

Web3の支持者は、Web3がインターネットの未来であり、今後数年でブロックチェーンベースの製品がWeb 2.0に完全に取って代わると信じている。

Web 2.0の断固たる支持者は、Web3は利益を出すことを目論むさまざまな暗号技術によって祭り上げられた誇大広告に過ぎず、ブロックチェーン技術の応用範囲は基本的に限られていると主張している。

筆者は、Web 2.0アプリを10年以上に渡って構築し、やはり10年以上に渡って暗号技術に投資してきた創業者として、最もおもしろいビジネスチャンスは、Web 2.0とWeb3の交差部分に存在すると思っている。

ブロックチェーンの消費者市場における真の潜在性は、Web 2.0とWeb3の併合によって解き放たれる。

エネルギー、人材、リソースがWeb3に注入され、インターネット初期が思い起こされるのはワクワクする。インターネット初期の状況を思い出すくらいシリコンバレーに長くいる人たちにとって、現在の状況と当時の状況の類似性は否定できない。

しかし今回は、成長率が非常に高い。Web3の専門家はこの事実をWeb3がインターネットの未来であり、Web 2.0はまもなく消滅するという議論を支える事実として指摘している。

しかし、インターネットの初期と現在とでは、1つ重要な違いがある。Web 1.0より前は、インターネットは存在していなかった。我々はみんなアナログの生活を送っていた。普及当初のインターネットは比較的退屈な存在と戦っていた。フリーポルノ、チャットルーム、ゲーム、音楽、eメール、動画などだ。指先を動かすだけで世界の情報が手に入るようになった。土曜日にわざわざ大ヒット映画を観に行くこともなくなった。決してフェアな戦いではなかった。

自分では絶対に履かないとわかっているスニーカーを2000ドル(約23万円)で買ってしまった。このスニーカーはNFTとしてのみ存在するため、履けないのだ。狂気の沙汰かもしれないが、昔親指が痛くなるヒールにお金を使っていたのと大差ないような気がする。

Web3は新しい段階に入ってきている。現代人は強く惹き付けられるデジタル製品に夢中になっている。平均的な消費者がTikTok(ティックトック)をスクロールするのを止めないのは、分散化の時代の先触れとなりたいからでも、クリエーターエコノミーを支援したいからでも、インフレーションを抑制したいと考えているからでもない。彼らはそんなことはどうでもよいのだ。それに彼らは、BAYC(Bored Ape Yacht Club)CryptoPunksを買うお金もない。

平均的なインターネットユーザーが気にしているのは、ソーシャルメディアで自分がどのように見えているかである。これが橋渡し役となる。そして、この橋渡し役の鍵となるのがNFTである。

ソーシャルメディアのオーディエンスをまとめてWeb3に移行させる5つのNFTトレンドを以下に示す。

NFTの検証

懐疑的な人は、NFTは右クリックするだけで基盤となるファイルを保存できるため、間抜けだという。しかし、これは一時的な問題だ。近い将来、すべての大手ソーシャルプラットフォームはNFT検証を実装するだろう。これにより、ウォレットを接続して、自分のプロファイルの検証済NFTを表示できるようになる。と同時に、指紋テクノロジーによって、各プラットフォームは、盗まれたファイルを容易に検出し、削除できるようになる。

TikTokユーザーが自分の投稿で一意の検証済NFTを表示して使用できるようになると、ゲームは完全に様変わりすることになる。というのは、NFTを購入して配信することのソーシャル的な価値が急激に向上するからだ。

サイドチェーン

Polygon(ポリゴン)などのサイドチェーンが普及してくると、NFTの価格は下がってくる。輸送費がかからないため、開発者はNFTにより高い対話性と構成可能性を組み込むことができ、その結果、本質的にNFTのソーシャル性を高めることができる。

ポケモンGOをブロックチェーン上で運用して、各ポケモンが交換したり売ったりできるNFTになっている状況を想像してみて欲しい。獲得した各ポケモンは独自の特徴を備えており、さまざまな場所で課題をクリアすることでポケモンを独自に進化させることができる。ポケモンのレベルが向上すると、そのパワーがオンチェーンでアップデートされる。ゲームを進めていくと、暗号化トークンを獲得できる。このトークンはゲームの外の世界でも価値を持っている。

音楽

2021年のNFTブームでは主に視覚的なアートが中心だったが、次の段階では、音楽が対象になる。音楽NFTは最終的にはアートよりもずっと大規模なものになると思われる。収集するものが物理的なアートであれNFTであれ、コレクターの行為を促す強い欲求は同じだ。つまり、自身の芸術的センスを相手に表現したいという欲求、個人グループを問わず自身のアイデンティティを表現したいという欲求、そして場合によっては利益を上げたいという欲求だ。

初期のNFTブームには少なからず投機的な動機があったものの、自己表現とアイデンティティを取り巻く衝動こそがアート収集を促すより基本的な原動力であると思う。そして、人が自身の特徴やアイデンティティを表現する方法として最も普及している方法の1つとして音楽がある。

TikTokミュージック動画を始めて以来、ミュージックトラックはTikTok上で共有される動画の主要コンポーネントになっている。だが、現在使用できるミュージックはごく一般的なものだ。みんな同じ曲を使うことしかできない。

お気に入りのアーティストが60秒の音楽トラックをNFTとして数量限定でリリースするようになったらどうだろう。あなたはその1つを購入して、クールなTikTokを作る。これが口コミでまたたく間に広がる。数百万人の人たちが突如としてその曲を使って独自のTikTokを作りたいと考えるようになる。しかし、使える数は100コピーだけ。あなたには毎日、その曲を購入したいというオファーがくる。販売するか手元に置いておくかはあなた次第。

ファッション

Web 2.0時代幕開けの頃、筆者は20代だったが、自分の収入をすべてファッションに使っていたものだ。おしゃれなジーンズ、かかとの高いヒール、サングラス、ハンドバッグ。良いものを身に付けたいという欲求は飽くことを知らなかった。

しかし、この10年でソーシャルな活動の大半がオンラインにシフトし、筆者のファッション支出も減少した。最近本当に欲しいものといえば、エクセサイズ関連商品を除けば、カラフルなZoomのトップくらいだ。おしゃれな洋服を購入する楽しみはすっかり薄れてしまった。

ところが先日、筆者は自分でも驚くようなことをしてしまった。自分では絶対に履かないとわかっているスニーカーを2000ドルで買ってしまったのだ。このスニーカーはNFTとしてのみ存在するため、履けないのだ。暗号資産の泥沼にはまり込んだことない人に、このような買い物をする理由を説明するのは難しいが、ほとんど狂気の沙汰であることは自分でもわかっている。だけど、昔親指が痛くなるヒールにお金を使っていたのと大差ないとは思うのだが。

ソーシャルメディアのオーディエンスがデジタル版の自己を着飾るために使うデジタル製品に大金を使う時代がやってきたようだ。既存の代表的なNFTといえば大半がゲームやアバター関連だが、大量のオーディエンスに変革をもたらす魅力的な使用例としてARフィルターがある。

Kim Kardashian(キム・カーダシアン)がカスタムのARフィルターをリリースしたらどうだろう。フェイスリフト、リップフィルター、メークアップ、ヘアスタイル、衣服、宝石などだ。どれもキム独自のものだ。これらを購入すれば、あなただけがそのフィルターで自分のTikTok動画を飾ることができる。飽きたら転売すればよい。キム、あなたのホワイトリストに私を追加してくれる?

ダイナミックなアバター

はいはい、わかってますよ。プロフィール画像を気味の悪い類人猿に変えるなんて何を考えているのかわからない、ですよね。実は私もBored Ape(ボアード・エイプ)のデジタルアートを持っている。ただし、自分のプロフィール画像に使う気にはならならず、代わりにWorld of Women(ワールドオブウーマン)の画像を使っている。どうして仕事用の顔写真の代わりに自分になんとなく似ているアルゴリズムで生成された漫画の画像を使うのかって?楽しいからだ。それに写真ではなかなか表現できない私の性格の一面を表すことができる。

ただ、私のプロフィール画像はちょっと古くさい感じになってしまった。少し動く画像だったらよかったのに。

ダイナミックさ、パーソナライゼーション、動きがNFTアバターにも取り入れられるようになってきた。セルフィーを撮ると、AIが理想のあなたに近いユニークなカスタムの3Dアバターを生成してくれる。Bitmojiに似ているが、もっと良い。人物の表情やポーズ、衣服、アクセサリーを更新することもできるし、人物を踊らせることもできる。キーボードを打つだけで自分の声でしゃべらせることもできる。これを使えば、自分の印象をうまく伝えているという実感が持てる魅力的なTikTokの投稿を簡単に作れるだろう。演技力や撮影のスキルを磨くための時間は最小限で済み、その分、自分の伝えたいメッセージの作成に時間を費やすことができる。

ダイナミックなアバターはソーシャルメディア上での自己表現を民主化する機会になるだろう。その結果、より多くのクリエーターたちが自身を表現できるようになるだろう。

Facebook(フェイスブック)が登場した当初は、ばかげていると思ったが、楽しかった。数日おきにログオンすると、親友の誕生日を知らせてくれたりするし、友人の派手なプロフィール画像につっこみを入れたりしていたものだ。その後、フィード、モバイル写真とアルゴリズム、インタグラムモデル、ラテ、完全にフィルターされた生活がやってくる。その過程で、楽しさは薄れソーシャル奴隷のようになってしまう。ほとんど知らない人たちの気分の悪くなる記事をスクロールして読んでは、お返しとばかりに醜悪な投稿をする。こんなはずじゃなかったのに。

Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏がMeta(メタ)についてのビジョンを語ったとき、みんな軽蔑の目で見ている感じだった。「ソーシャルメディアで私達の生活を台無しにした上に、今度は残された最後の物理的なつながりまで消滅させて、Matrix(マトリックス)に出てくる植物人間のようにしてしまうつもりか」と誰もが叫びたい気持ちだった。

とはいえ、賛否両論はあると思うが、私達はすでにメタバースの世界へと歩みを進めており、それは止められない。生活のバーチャル化は進む一方だ。Web3では、バーチャル世界での豊かな経験が実現される。これが空虚感の少ない、少しは人間らしいものであってくれることを願うばかりだ。

NFTおよびWeb3がもたらすあらゆるものによって、人との交流が昔のように楽しいものになるような仮想現実が創造されることを楽しみにしたいと思う。

編集部注:本稿の執筆者Prerna Gupta(プレーナ・グプタ)氏は、HookedやSmuleといったモバイルエンターテイメントアプリを立ち上げ、10億人以上の人々にリーチしてきた。現在、NFT領域でステルスプロジェクトに取り組んでいる。

画像クレジット:Iryna+ mago / Getty Images

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(文:Prerna Gupta、翻訳:Dragonfly)

「暗号資産の未来」への投資競争には確実に金がかかる

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ!

先週もなんとか乗り切れた。電話やTwitter(ツイッター)ではみんな疲れた姿を見せていたが、なんとかなったようだ。なんとか平日を乗り切って、週末にしばし休息は得られたろうか。そう、今日は暗号資産の話だ。楽しもう。

私は、Coinbase(コインベース)がより大きなブロックチェーン市場の他の企業に資本を投入するペースに感銘を受けている。米国の上場企業は比較的少額(売上と比べての場合だが)を支払うことで、スタートアップの所有権と情報アクセス権の両方を買うことができ、何が起きているかの早期警告データを得ることができるので、これは賢明な動きだ。Coinbaseが、暗号資産市場における明らかな既存大手であり、ある意味門番のようなものであることを考えると、その投資は理に適っている。

しかし、他にもあちらでも投資、こちらでも投資が続いている。今回発表されたFTXファンドは、かなり速いペースで取引されているにも関わらず、これまでCoinbaseが行ってきた取引よりもさらに積極的なものになっているようだ。

FTXの暗号資産ファンドの総額は約20億ドル(約2276億8000万円)で、インタビューによると2022年中に投資されるだろうという。これは、ワイルドな投資ペースだが、おそらくa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)が最近22億ドル(約2504億5000万円)の暗号資産ファンドを立ち上げたことを思い出す人もいるだろう。

いくつか疑問がある。

  1. インターネットに比べてはるかにユーザー数が少ない暗号資産市場に、なぜこれほどまでの資金が必要なのか?
  2. なぜ私たちは、暗号資産に資金を供給するために、これほど多くの決断を下してしているのだろうか?

これらは相互に関連した疑問だ。結局これらは、なぜ暗号資産市場で有用なものを作るのは難しいのか、という私の素朴な疑問に対応している。CoinbaseとFTXは、暗号資産の世界の端に存在し、従来の経済とその未来になりうるものとの間でお金を行き来させている。彼らが投資するのは賢明なことだが、彼らが投資しようとしている金額と、従来のベンチャーキャピタルがブロックチェーンスタートアップに投じている金額とを比較すると、私はやや混乱する。一体資産は何に使われているのか?

2つの主要なブロックチェーンは確立されており、もはや新しいものではない(Ethereum[イーサリアム]は2013年に案出され2015年にローンチされたし、Bitcoin[ビットコイン]のホワイトペーパーは2008年に発表された)。多くのステーブルコインが存在し、多くの安定したプレイヤーがいて、膨大な資金がNFT(非代替性トークン)マーケットプレイスやいくつかの暗号資産ゲームへ流れ込んでいる。その中には、そこそこの利用者ベースを築いているものもある。しかし、スペースに流れ込むお金の量と、利用可能な結果として見えてくるものを比較すると、やや凝縮されすぎているような気がする。

Institutional Investor(インスティテューショナルインベスター)のレポートによると、2021年は総額328億ドル(約3兆7340億円)が「暗号資産やブロックチェーン技術事業」に投資されたという。おそらく、そのお金で作られた多くのものが今にも出てきて、私たちをびっくりさせるのかもしれないが、Bitcoinが誕生して10年以上経った今でも、私はブロックチェーンで動くアプリやサービスを日々使ってはいない。もちろん、研究目的で暗号資産の世界の一部をあれこれこねくりまわしているのなら別だが。

すでに私は認めたくないほど多くの時間をオンラインで過ごしているのだ!おそらく新しいFTXファンドは、単なる投機の手段ではない、大衆向けのブロックチェーン製品を市場にもたらすだろう。何が登場するか待ってみようと思う。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

【コラム】米国で増えている暗号資産市長

Bitcoin(ビットコイン)をはじめとする暗号資産の価格は、2021年に急騰した。パンデミックの時代、この分野では暗号資産で大富豪になったという話もよく聞く。

暗号資産といえば、元々は民間セクターの話である。ビットコインやその他の暗号資産プロジェクトは、非中央集権的で政府の金融政策の影響を受けない変更不能なデジタル通貨を作ることを意図して始まったものだ。

しかし、この市場の価値が2兆ドル(約230兆円)を超えた近年、公的機関も暗号資産に注目するようになった。初期の規制を導入した国、全面的に禁止した国、大規模な導入を行った国など、対応も国によってさまざまである。

自国の不換紙幣を印刷する国家政府と地方自治体とでは、暗号資産に対する見方は大きく異なり、最近では、暗号資産をこの新しい産業が持つ技術的、財政的、経済的発展の可能性を活用する機会と見る都市も増えている。

確かに、市役所でビットコイン、ブロックチェーン、NFT(非代替性トークン)といった言葉を聞くことはあまりない。しかし、マイアミ、タンパ、ニューヨーク、ジャクソン(テネシー州)などの4都市ではこれらの言葉を耳にすることも増えてきた。というのも、市長が自身の給与の一部をビットコインで受け取ることに合意するなど、暗号資産の分野に参入するためのきっかけを示したからだ。

都市のイノベーションに関する多くのストーリーがそうであるように、このストーリーも1人の市長が話題を先導し、他の市長たちに挑戦状を叩きつけることから始まる。今回のケースでは、マイアミ市長のFrancis Suarez(フランシス・スアレス)氏が、次の給料をビットコインで受け取るとツイートしたことに対抗して、次期ニューヨーク市長のEric Adams(エリック・アダムス)氏が複数回の給料をビットコインで受け取ると発言している。

スアレス氏は次のように話す。「教育は、暗号資産にまつわる恐怖や誤解を払拭するための最良の方法であり、アダムス市長と私の発言の根本は教育を狙ったものです。私たちが真っ先に水に飛び込む姿を見れば、おそらく他の人々も自信を持って水に足をつけることができるでしょう」。

1人目の市長は注目すべきで、2人目の市長はその模倣だろう。しかし、3人以上の市長がビットコインの勢いに乗るのであれば、これは明らかにトレンドといえる。

ジャクソンは人口約7万人。Scott Conger(スコット・コンガー)市長は、同市が選出した市長の中では最も若い部類に入るが、この友好的な挑戦に参加し、給与をビットコインで受け取ると発言した。コンガー氏とスアレス氏は、これについてツイッターでやりとりをしている。コンガー氏はジャクソンという小さな都市で、暗号資産分野のイノベーションを起こしてきた。

これに負けじとフロリダ州の別の市長も参入してきた。タンパの Jane Castor(ジェーン・キャスター)市長は、コンガー氏のツイートからわずか数日後、タンパで開催された暗号資産カンファレンスで、給料をビットコインで受け取ることを発表したのだ。最近、新興技術都市のトップに選ばれたタンパは、フロリダ州内の技術系雇用の25%を占め、暗号資産という新興分野と親和性が高い。

コンガー氏は、スアレス氏の行動は大都市だけに当てはまるものではなく、あらゆる規模のコミュニティで通用すると指摘する。彼は、大都市で起きているテクノロジーや暗号資産に関する興味深い出来事を観察し、それがジャクソンのような(小さな)都市にはどのように反映されるかを考え、(優れた市長なら当然だが)ジャクソンの経済発展の可能性に目を向けた。

彼は次のように話す。「マイアミや大都市に限定される必要はありません」「ジャクソンにはそのチャンスがあります。ジャクソンは、テネシー州で家庭にギガビットの光ファイバーを導入した最初の都市です。新しい技術をいち早く取り入れるのは当然でしょう?」。

ジャクソンでは超高速のインターネットサービスが普及しており、ハイテク企業の獲得競争に大きく貢献している。コンガー氏は、この結果としてジャクソンに暗号資産や分散型金融(DeFi)の企業が増えるはずだ、と考える。

「場所は存分にあります」とコンガー氏。小売業界が縮小し、既存の企業が使用する物理的な空間が減る中、彼はチャンスを見出している。「DeFi、暗号、技術系の企業が生まれれば、彼らには事業を行う場所が必要になります」。

この小さなコミュニティの利点を強調し、コンガー氏は次のように付け加える。「人口7万人の都市で十分なのに、なぜ数百万人の都市に行く必要があるのでしょうか」。

経済発展を重視する姿勢は、4人の市長だけでなく、暗号資産の世界を知ることとなった他の地域のリーダーたちも共通していて、彼らはそれぞれの都市で雇用の未来について考えている。マイアミでは、暗号資産分野における市長の取り組みの中核にそれが見て取れる。

スアレス氏は次のように話す。「マイアミは共通のテーマの上に成り立っています。マイアミに来る人たちは、自国の政府に取り残されたり、さらにひどいケースでは迫害されたりすることに嫌気がさし、より良い生活を求めてここに来ています。そしてお返しにとこの街をもっと良いものにしてくれます」「マイアミムーブメントは、質の良い、高収入の仕事をこの街にもたらしています。私は、マイアミの将来を見据え、次世代のリーダーたちをこの街から輩出したいと考えています」。

人材の誘致と定着に力を入れているのは、国内の多くの都市でも同じである。マイアミは、テクノロジー、金融、(そしてこの記事で紹介するようにその両方が融合した)暗号資産といったあらゆる分野を成長させることを目指している。

「マイアミムーブメントは、パンデミックなどの数々の要因で人々がマイアミに集まったことに起因するものですが、成長中の金融やテック部門への支援は何十年も前から行っています 」とスアレス氏。「多くの人が思っているほど『突発的』なものではありません。この街にイノベーションと成長を呼び込むことは、すべてのマイアミの住人にとって大きな利益となります」。

金融の分野で長年の優位性を持ち、テック部門も引き続き強化されているニューヨークのような都市が、暗号資産の分野で何ができるかは想像することしかできない。同様に、何年も前から成長を続けるタンパも、テック系の人材を惹きつける力と経済的なポテンシャルがますます高まっている。暗号資産分野が成熟するにつれて、興味深い違いが見えてくるかもしれない。

メタバースで重要なポジションを取る最初の都市は?最初に自治体のNFTを導入する都市は?このデジタル分野の成長に取り組む市長たちのリーダーシップが現場レベルで発揮されれば、その答えはすぐに出るはずだ。

編集部注:本稿の執筆者Brooks Rainwater(ブルックス・レインウォーター)氏は、Center for City Solutions and Applied Research at the National League of Citiesのディレクター。

画像クレジット:Alexander Spatari / Getty Images

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(文:Brooks Rainwater、翻訳:Dragonfly)

【コラム】Web3こそが関心や大きな注目が価値を生むアテンションエコノミーの欠陥を修復できる

不均衡なクリエイターエコノミーや貧弱なセキュリティ、一元的な管理や不満を持つコミュニティなど、Web 2.0の欠陥はここ数カ月間で明らかになった。

まず、Facebookの元プロダクトマネージャーであるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)は2021年10月に、当ソーシャルメディアの巨人は「安全性よりも利益を優先している」と議会で証言した。そしてそれを合図にしたかのように、Facebookの中央集権的なサービスが世界中でダウンした。この障害は非常に広範囲におよび、Facebook自身がサーバーにアクセスすることさえできなかった。

そんな中、不満を抱いた匿名のハッカーが、Amazonが運営する人気ストリーミングサービス「Twitch」の膨大な内部データを公開した。このハッカーは、ソースコードやトップクリエイターの報酬情報とともに、Twitchコミュニティを「オンライン動画ストリーミングの分野におけるさらなる破壊と競争の促進」を企てる「嫌な毒の巣窟」と呼び、改善を呼びかけた。

これらのプラットフォームが成長し、普及し、収益を上げているにもかかわらず、旧態依然とした人々が多くのことを取り違えたことは明らかだ。ネットワーク効果、大規模なスケール、勝者総取りの経済性を重視した中央集権型のWeb 2.0は、もはや社会のためにはならない。

今こそ変化を起こす時だろう。Web3の起業家として、より協調的・創造的でユーザー中心のインターネットを育むオープンなインフラを構築するにあたって、前世代のテクノロジーの根本的な欠陥を解決するのは私たちの役目だ。

Web3がどのように現在のデジタルエコノミーの最も顕著な問題点を解決できるのかを説明しよう。

セキュリティやデータ管理の不備

Twitchは、背景をAmazonの創業者である億万長者Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)の写真に置き換えるなどのいたずらに悩まされ続けている。これらのセキュリティ問題は元従業員からの報告にもあったように、常在していたようだ。

中央集権的な組織と共有しているデータはすべて危険にさらされていることがわかってきた。銀行、小売業者、SNSプラットフォームからの個人情報の流出が何年も続いていることからも、インターネット上のものは何であれ、真の意味でのプライバシーを保てるとは考えられない。

Web3は暗号プリミティブに基づいて構築されており、多くの場合オープンソースコードを採用しているため、誰でもコードをレビューすることでプロジェクトに貢献することができる。これによりユーザーのセキュリティが向上し、透明性が競争力につながる。これは、単にプライバシーに基づいているだけではなく、実際にユーザーの価値を守ることにつながる。セキュリティ研究者の@samczsunは、0x、Livepeer、Kyber、Nexus Mutual、Aragon、Curveなどのプロトコルに潜在するエクスプロイトを特定し、失われた可能性のあった価値を数十億ドル(数千億円)分救済した。

相互運用可能な規格の意味するところは、ERC-721ベースのNFTは多数の異なるフロントエンドアプリケーションで取引や閲覧ができ、ERC-20トークンは注目と価値を得るために競い合う金融商品のエコシステム全体にアクセスできるということだ。これにより、プラットフォームにとってはリスクが上がり、セキュリティ侵害があった場合にユーザーの流出につながる可能性がある。

有害性とプラットフォームの説明責任

Twitchのハッカーたちは、違法で不道徳な行為を行ったが、ある点では正しかったと言える。ストリーミングプラットフォームの有害性は増しており、大規模なハイテク企業は問題の大きさに見合った対応をするのに苦労している。だがWeb 2.0の世界では、ストリーマーには実行可能な代替手段がない。YouTubeやFacebook Liveに移行することはできても、それはまた別の有害なアテンション・エコノミーのプラットフォームに置き換えるだけのことになる。

これらの現実は、クリエイターがこれまで以上に力を持つ環境を受けた結果だ。ファンは好きなクリエイターを好きなプラットフォームでフォローし、それがクリエイターに大きな影響力を与える。有害性から逃れるためには、クリエーターはクローズド・プラットフォームから出て、コミュニティとの直接的な関係を通じて自分の運命をコントロールするためのWeb3ツールが必要だ。

またWeb3は、ユーザーとプラットフォーム間の力関係を再調整し、ユーザーは自分のデータをコントロールできるようになる。Spruceのようなデータ管理プラットフォームが提供する相互運用性とポータビリティのおかげで、Web3プラットフォームによってユーザーは簡単に「退場による意思表示」を行い、別のプラットフォームに移行できるようになる。

ConfluxやMoralisのような企業によって、ブロックチェーンや規格を超えた規模拡大が容易になったため、競合他社は機会があればいつでも迅速に行動を起こすことができる。例えば、NFTの取引プラットフォームであるOpenSeaが、どのNFTが取り上げられるかを知った上でインサイダー取引を行っていた可能性があることがユーザーに発覚した際には、Artionのような代替プラットフォームが登場し、NFT市場で認識されている不満の一部を解消した。このような市場の動きに対する迅速な反応は、規模の大きさと閉鎖的なアクセスに依存して新規参入を阻む従来のWeb2.0のエコシステムには存在しないものだ。

しかし、Web3.0はユーザーとの直接的な関係をはるかに超えている。これらのプラットフォームはユーザーが所有し、コミュニティが主体となっているため、コミュニティが自ら節度ある行動をとるような動機付けがなされている。動画配信のケースでは、大切なメンバーを他所に追いやるようなヘイト・レイドを望むコミュニティはないだろう。

Web2.0の世界では、ユーザーはプラットフォームが行動を起こすのを待たなくてはならない。Web3では、ユーザーは内蔵されたガバナンスとモデレーションのメカニズムを通じて行動することができる。Mirrorのブログプラットフォームでは、毎週誰が記事を書いて公開するかをユーザーが投票で決めている。Web3 indexでは、掲載されているプロジェクトが後続のプロジェクトの追加や削除を管理し、エコシステムの健全な成長を確実にしている。

Facebookの内部告発者は、Facebookには2層構造の司法制度があり、有名人は一般ユーザーとは異なる扱いを受けていることも明らかにした。一般のアカウントが利用規約に違反するとペナルティを受けることがあるが、多くのフォロワーを持つアカウントは同じ行為をしても逃げられる可能性がある。

Web3ではこの点も修正され、ブロックチェーンの不変性のおかげで透明性が高まり、検閲にも耐えられるようになった。意思決定はSnapshotのようなツールを使ってオープンに行われ、より広範なコミュニティによって推進される。ガバナンスはブロックチェーン上で行われ、誰もが見ることができる。裏取引や二層構造の司法制度はない(もちろん、投票でそう決められた場合は別だが)。すべてコミュニティ主導で行われるため、方向性や透明性のレベルに納得がいかない場合は、参加者は簡単に去ることができる。

不均衡なクリエイターエコノミー

Twitchのリークにより、トップパフォーマーと一般のクリエイターの支払い額に大きな格差があることが明らかになった。このようなダイナミクスは、プラットフォームと一部のクリエイターのみの間でインセンティブの合意を形成する。少数のクリエイターが収益の大半を占めるようになると、プラットフォームは最も重要なインフルエンサーに注目を集めるようになる。

Web3のパラダイムは、アクセスを民主化し、クリエイターとファンの間のサイロを解消することで、このようなインセンティブのズレを解消する。NFT、デジタルペイメント、トークン、クラウドファンディングといったWeb3のクリエイター向けマネタイズメカニズムは、クリエイターに優しいやり方で条件を平等にする。glass.xyzのようなプラットフォームを利用しているアーティストたちは、魅力的なライブストリームとともにNFTによって、Web 2.0モデルで販売するよりもはるかに優れた方法でコンテンツを収益化できることを発見した。

Web3では、ユーザーは自分のプラットフォームを所有することができ、多くの場合トークンによって調整される。ユーザーはプラットフォームの成長によって直接利益を得られるため、例えばモデレーションのような重要なサービスを提供する動機にもなる。

また、ユーザーはファントークンを購入することで、お気に入りのクリエイターにさらにコミットし、情熱を共有することで、健全なファンコミュニティを育むポジティブなフィードバックループを構築することができる。Rally、Socios(Chiliz上に構築)、Rollなどのプラットフォームは、クリエイターが自分の評判、権威、創造性を仲介者なしで直接収益化できるツールを提供する。これによりクリエーターがプラットフォームとなることで、インセンティブがさらに合致に近づく。クリエイターは関与のルールを定義することができ、利害関係のない第三者に干渉されずに、健全なコミュニティの維持に必要なことを行うことができる。

インターネットのアップグレードは、社会にとって良いこと

社会構造や経済構造の多くが民間企業数社が管理するインフラに依存していることは、間違いなく有害である。また、そのような企業が説明責任を果たさず、変革を約束しても注目が集まらなければ道半ばで終わってしまうようでは、ダメージはさらに大きくなる。

しかしWeb 2.0を完全に排除することはそれほど重要ではなく、社会が切実に必要としているインターネットのアップグレードを行うことが重要なのだ。Web 2.0のツール自体は非常に大きなポジティブなインパクトを持っているが、そこにはトレードオフもある。Web 2.0の構造的な誘引により、責任を負わない柔軟性に欠けるビッグテックによる独占が起こった。Web3は、先行するWeb 2.0の良い点を取り入れ、すべてのユーザーの間でエコノミーとインセンティブを調整することで、インターネットを進化させ、広告モデルの悪影響を回避できる。

文化とコントロールという点では、中央集権的なクローズド・プラットフォームよりも分散型サービスの方が圧倒的に有利だ。Web3は、データのポータビリティと相互運用性によってユーザーに力を与え、自己管理型のコミュニティをサポートするような動機を中心に置き直すことで、コミュニティを育成するためのまったく新しい方法を提案している。

ハウゲンは正しい。「Facebookを解体することが重要なのではありません。進むべき道は、透明性とガバナンスです」。私たちは皆、より良いものを得られるべきだ。そして、透明性とコミュニティのガバナンスを優先するサービス、プラットフォーム、製品こそが、次のデジタル経済の時代に繁栄するだろう。

画像クレジット:Peter Dazeley / Getty Images

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(文:Doug Petkanics、翻訳:Dragonfly)

【コラム】Web3の根拠なき熱狂

2021年最もホットな新規テクノロジーの用語は間違いなく「Web3」と「メタバース」であろう。前者はブロックチェーンをベースにした分散型のウェブを指し、後者はインターネットと拡張現実および仮想現実を組み合わせたものである。ある時点で、これらの概念が融合する可能性がある。もちろん、その概念が何かに変わることがあればの話だが。

関連記事:【コラム】NFT、メタバース、ゲームの親和性が持つ魅力と高まる関心における間違い

突如として、2021年内のどこかからか、私たちはこれらの用語を所与のものであるかのように使い始め、そして私たちは誰もがその変化を内々に知っていた。ソーシャルテレフォンの巨大ゲームのように、ブロックチェーンは「Web3」になり、ARとVRは「メタバース」へと姿を変えたのである。

だが、ブロックチェーンのアイデアは何年も前から概念として存在していた。Bitcoin(ビットコイン)が2008年にデジタル通貨のアイデアのための台帳として利用することを決めたずっと前のことだ。

筆者がエンタープライズ分野でブロックチェーンの概念を取り上げ始めたのは2017年のことである。ある同僚が、ブロックチェーンは次の大きな要点になる、反論の余地のない記録を通じて信頼を確立する手段になる可能性があると指摘したのだ。最初は興味深かったが、問題を探す解決策として言及されることが多く、結局興味を失った。

筆者がエンタープライズにおけるブロックチェーンについて書いた2018年の記事には、以下のように記してある。

関連記事:エンタープライズ市場に臨むブロックチェーン――仮想通貨以外の可能性

現在、ブロックチェーンには過度な期待が寄せられている(ハイプサイクルの「過度な期待」のピーク)ため、同テクノロジーを真剣に取り合えないでいる人は多い。しかしそのコアとなるデジタル台帳テクノロジー自体には、ビジネスにおける信頼性の考え方を大きく変える力が秘められている。とは言え、まだブロックチェーンは黎明期にあり、エンタープライズ市場で受け入れられるにはまだ欠けているものがたくさんある。

当時、筆者はいくつかの有望なスタートアップについて書いた。IBMやSAPなどの大企業でブロックチェーンを担当している人たちと、ブロックチェーンベースのソリューションをエンタープライズに導入するアイデアについて話をした。実際、筆者自身もかなり興奮していたが、現実よりもハイプであることに気づき、先に進んだ。それが3年後に戻ってきたのである。そして再び、次の大きな要点となり、それに合わせて新しい名前が付けられた。

英国のエンジニアでブロガーのStephen Diehl(スティーヴン・ディール)氏は、Web3という名称は同じ問題を抱えた同じテクノロジーを再パッケージ化したものだと考えている。「Web3は本質的に、暗号資産に対する一般の人々の否定的な連想を、旧来のテック企業の覇権の崩壊に関する虚偽の物語に組み込もうとする、気の抜けたマーケティングキャンペーンである」と、ディール氏は2021年12月4日のブログ投稿に書いている

つまり同氏が言っているのは、Web3の提唱者たちは、分散化によってAmazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)、Facebook(フェイスブック)などの大手インターネット企業の力が弱まり、ユーザーに還元される可能性があると主張している、ということである。しかしその可能性はあるのだろうか?

ペンシルバニア大学ウォートンスクールの教授で「The Blockchain and the New Architecture of Trust(ブロックチェーンの技術と革新~ブロックチェーンが変える信頼の世界)」の著者でもあるKevin Werbach(ケビン・ワーバック)氏は、このテクノロジーはハイプの域を出ていない可能性があり、現在のデジタル資産の人気は、まだビッグテックの脅威にはなっていないと述べている。

「Web3はある意味、さまざまなブロックチェーンや暗号資産関連のミームまたはマーケティングブランドであり、すでに存在していたものです。数年前のエンタープライズ向けブロックチェーンの波のように、Web3は普及という点では実際よりもはるかにハイプのレベルが高くなっています。多くの人々が暗号資産を取引してNFTを購入していますが、それは必ずしも、彼らが主要なテクノロジープラットフォームに代わる分散型の代替を採用していることを意味するものではありません」と同氏は語っている。

しかし、Linux Foundation(リナックス・ファウンデーション)の研究担当VPで、トロントにあるThe Blockchain Research Instituteに3年間在籍したHilary Carter(ヒラリー・カーター)氏は、Web3のハイプを受け入れるためのスケールの準備ができている、有望な一連のテクノロジーを見出している。

「Web3は、ブロックチェーンというイノベーションなしには存在することすらできなかったでしょう。初期の失敗によりこのテクノロジーが却下されることがあまりにも多かったため、その道のりは容易ではありませんでした。それでもこうした失敗が、イノベーションを推し進め、スケールのような問題に対処したのです」とカーター氏は筆者に語った。

数年前にブロックチェーンの報道で目にしたスケールと持続可能性に関する問題は、その後の数年間で解決されたと同氏は述べている。「これらの問題が解決されたことで、今日ではブロックチェーンのエコシステムが成熟し、国家は『中央銀行のデジタル通貨』の構築を進めています。これはおそらく、最大のスループットを必要とするユースケースでしょう」と同氏は話す。

確かに、金融機関はこのテクノロジーを受け入れている。Deloitte(デロイト)の年次ブロックチェーンサーベイによると、回答者の80%近くが、今後2年以内にデジタル資産が業界にとって重要になる、あるいはある程度重要になると考えている。また、パンデミックの中でデジタル変革が加速しており、それに対応してデジタル通貨の普及が進んでいるとの見方も根強い。

デジタル化が進む世界でのデジタル通貨というアイデアは、確かに理に適っているが、支持者らが示唆しているように、ブロックチェーンが現在のインターネットインフラを置き換えることを含め、幅広いユースケースをサポートできるというのは、飛躍が過ぎるかもしれない。

ディール氏はそうは思っていない。「計算ベースでは、ブロックチェーンネットワークは、置き換えるために設計されたと言われている極めて金権的で中央集権的なシステムと同じものになることでしか、拡張できない」と同氏は記している。

しかしカーター氏は、デジタル通貨とその他の用途の両方に余地があると考えている。「そうです。私はデジタル通貨とブロックチェーンの両方の実装が大幅に進歩すると見ています」と同氏は述べている。

ワーバック氏は、有望な例がいくつかあるが、全体的な概念としてはWeb3に懐疑的になる理由があると付け加えた。

DeFi(分散金融)のようなスクラッチから構築された新しいシステムは、レガシーファームの問題は抱えていないものの、スケーリングとマスアダプションの課題に直面しています。いわゆる『Web3』ソリューションの多くは、見かけほど分散化されていません。一方で他のソリューションも、マスマーケットに十分なスケーラビリティ、安全性、アクセス性をまだ示していません。それは変わるかもしれませんが、こうした制限がすべて克服されるとは言い切れません」と同氏は語っている。

そこが問題のところなのだ。Web3がマーケティングのスローガンであろうと、真のテクノロジートレンドであろうと、その背後には確かに多くの資金とテクノロジーが存在する。しかし、まだかなりの障害や課題が残っていることは明らかであり、Web3がそれらを克服し、最新のハイプサイクルに対応できるかどうかは、時が経つことで明らかになるだろう。

画像クレジット:Tolga_TEZCAN / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

社会問題・難病支援を「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

社会問題・難病支援やチャリティを「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

ガイアックスは12月23日、NFTを通じたチャリティ・支援のサービス「Ribbo」(リボ)を2022年1月下旬より提供開始すると発表した。決済方法はクレジットカード。ブロックチェーンを用いたチャリティ・支援のプラットフォームは日本初となる取り組みという。

またRibboは、2022年1月下旬のサービスリリースまでにリボン販売者登録数「100」を目指しており、リボン販売者登録ページにおいて登録受付を開始している。記事掲載時点では、Ribbo導入予定団体は、ハートリボン協会HON.jp学習圏開発機構LeSDAこちねことなっている。社会問題・難病支援やチャリティを「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

社会問題や難病などに対し支持・支援を表明するシンボルとして身に着ける様々な色のリボンは、アウェアネス・リボン(Awareness ribbon。リボン)と呼ばれる。その代表例としては、乳がん撲滅の啓発を行う「ピンクリボン」が挙げられる。

ただ、これら活動においてグッズ販売など物販の売上から活動資金を得る場合、グッズ制作の初期投資や在庫リスクなど、活動資金を得るまでのハードルが高いという課題がある。例えば約2000円の価格で販売しているグッズでは原価だけで約1000円かかり、その他の費用も含めると得られる資金はほとんど残らないという事例が実際に発生しているそうだ。

その課題の解決策としてガイアックスは、ブロックチェーン技術を活用し、デジタルデータとして販売することで制作コストをほぼゼロに抑えられる、NFT体裁のリボンとしてRibboを実現した。

Ribboは、誰でも簡単にNFTリボンを作成・販売でき、支援を募ることができるサービス。「最短10秒でオリジナルのNFTリボンを作成」「リスク0で始められて売上の90%を受け取れる」「購入したNFTリボンで支援者の世界観を表現できる」という3つの特徴を備えているという。

初期費用はゼロで、販売手数料は金額の10%。NFTリボンを作成しストアに掲載するところまでは無料で行える。また集まったお金は、毎月1度1カ月分の売上をまとめて指定の口座に振り込む。社会問題・難病支援やチャリティを「NFTリボン」でサポート、ガイアックスがチャリティ・支援サービスRibboを2022年1月開始

  • 最短10秒でオリジナルのNFTリボンを作成可能:Ribboでは画像と文字を選択することで簡単にオリジナルのNFTリボンを作成可能。発行したNFTリボンをその場ですぐに販売できる
  • リスク0で始められて売上の90%を受け取れる:初期費用はゼロで、NFTリボンを作成しストアに掲載するところまでは無料で行える。また、販売手数料は金額の10%。NFTリボンの制作に初期投資を必要とせず、売り上げた際の90%を受け取れる
  • 購入したリボンで支援者の世界観を表現できる:過去購入したNFTリボンは、購入者自身だけでなくRibbo上で誰もが閲覧できる。同じNFTリボンを購入した人同士、同じ世界観を応援している仲間との新しい出会いが生まれるきっかけになるという

なお今回の取り組みは、ブロックチェーンを学びたい人のコミュニティ「Blockchain Biz Community」の企画から生まれたものという。スタートアップでブロックチェーンを使いたい、ブロックチェーンの技術を学びプロダクト開発を行えるようになりたい方を対象とするコミュニティとなっているそうだ。

「誰かWeb3を見た人はいるか?」テスラ/SpaceXのイーロン・マスクと元Twitter CEOのジャック・ドーシーがWeb3を語る

「誰かWeb3を見た人はいるか?」イーロン・マスクとジャック・ドーシーがWeb3について語る

Handout . / reuters

元Twitter CEOのジャック・ドーシー氏と、テスラ/SpaceXのイーロン・マスク氏はともにBitcoinの信奉者ですが、月曜日にこの2人は「Web3」というキーワードで互いに意見を述べ合いました。

まず、Web3とは一体何なのかというところからですが、ざっくりいえば、次世代のインターネットの姿を漠然と現すために使われている単語ということです。2000年代中頃にはWeb 2.0という言葉がよく使われていましたが、Web3もそれと同じように、今の時点から見た将来のインターネットを指しています。

もう少し具体的に説明を付け加えると、Web3を考える人は現在のインターネットがGoogle(Alphabet)、Amazon、Facebook(Meta)、Appleによって大半のデータやコンテンツを握られ、支配されすぎていると考えています。実際われわれはインターネット上に共有した膨大な量のデータやコンテンツをこれら企業に蓄積、利用させています。またその弊害として行きすぎたターゲティング広告の氾濫などといった問題も表れています。

そして、未来のインターネットとなるWeb3では、こうした集中、集約型のネットワークとは違う、分散型のネットワークを基本にブロックチェーン技術に基づくインターネットが利用されるようになるとよく言われ、企業や起業家らがWeb3となるような技術やその他仕組みを設計、構築しようとしています。

現在のところ、Web3はまだ漠然としたものであり、流行のNFTや暗号資産を支えるブロックチェーン技術によってそれが実現されれば将来のインターネットはイケてる感じになるだろうと人々は夢想している、と言う段階の話です。

イーロン・マスク氏は、月曜日に1995年に当時マイクロソフトCEOだったビル・ゲイツ氏が人気司会者デイヴィッド・レターマン氏とインターネットに関して話している場面を使ったTikTok動画をツイートし「当時ほとんど想像できなかったような現在の状況を考えると、未来はどうなっているんだろう?」と述べました。

そして「今のところ、Web3が本物、現実のものというよりはマーケティングのためのバズワードのようだが、10年後、20年後または30年後の未来はどうなっているんだろう。 2051年なんてクレイジーなほど未来にじゃないか!」と続けました。さらに翌日、マスク氏は「誰かWeb3を見た人はいるか?私は見つけられないのだが」ツイートしました。

これを見たジャック・ドーシー氏は「それはきっとa~zの間のどこかにあるよ」と返答しました。これはWeb3の理想を追う人たちに向けたちょっとした皮肉で、Web3はすでに早くからFacebookを支援していたベンチャーキャピタル企業のAndreessen Horowitz(a16z。aで始まりzで終わる)が管理下に置いているとの意味を暗に示しました。ドーシー氏の考えは最終的にWeb3がどんな形になるのであれ、それを所有するのはベンチャーキャピタル(VC)とそのリミテッド・パートナーシップ企業(LP)であり「彼らの支配から逃れることはできないだろう」とツイート、結局は呼び方を変えただけの中央集権方式なのだと主張しています。

このドーシー氏のツイートには、大量のいいねやリツイートが付きましたが、一方で「大間違いだ」「まったくもって同意できない」といった否定的なコメントもあります。まあ、まだマスク氏ですら見つけられていないものがどんな風になるのか、いったい誰にわかろうかという話ではありますが、今のインターネットと、皆が思う理想のインターネットの形が違うのは間違いなさそうです。

(Source:Elon Musk(Twitter)Jack Dorsey(Twitter)Engadget日本版より転載)

NFT活用のブロックチェーンゲームMy Crypto HeroesがDAO型外部コミュニティを提供するForNとパートナーシップ締結

NFT活用のブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」がDAO型外部コミュニティを提供するForNとパートナーシップ締結

イーサリアム(Ethereum)ベースのブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」(マイクリ)の運営・開発を行うMCHは12月21日、国内でブロックチェーンゲームのDAO(自立分散型組織)型外部コミュニティの提供を行うForN(フォーン)とパートナーシップを締結したと発表した。2022年1月早期リリース予定としているマイクリの新たなエコシステム「My Crypto Heroes -Rays Mining-」の展開に際し、相互のマーケティング支援を含め連携する。

同パートナーシップにおいては、「ForNが組成するコミュニティにおけるMy Crypto Heroes -Rays Mining-の普及、スカラーシップモデルの拡大」「グローバル展開を見据えた相互サポート」を中心に、幅広く今後の連携を行うことに合意したという。

マイクリは2018年11月のローンチ以降、「ヒーロー」「エクステンション」「ランド」と呼ぶ3種のNFTを軸としてゲーム内のエコシステムを形成。また、2020年10月にはガバナンストークンとして「MCH Coin」(ERC-20)をリリースし、ユーザー主体のDAO型ブロックチェーンゲームの創出に向けて開発を進めてきた。

またローンチ当初より「ヒーローNFTは最大でも200種までしか販売しない」としており、公約通り2022年1月11日のセールをもってヒーローNFTはすべての販売を終了する。現在に至るまで価値を高め続けてきたヒーローは、今後ユーザー需要の拡大に対して供給量は一定を保ち続けるため、より一層貴重なNFTとなるとしている。

ただ一方で、マイクリのプレイに必須となるヒーローNFTの価値が高まることは、同時に新規ユーザーの初期投資額が上がり、ひいては参入障壁が上がることを意味するという。

このため、My Crypto Heroes -Rays Mining-では、供給量を無制限とするNFT「Soul」とFT「RAYS」を軸とし、高額な初期投資を必要としないマイクリのエントリーレベルのコンテンツとしてリリースする。

バトルシステム、UIなどは現在のマイクリのものを踏襲しており、エントリーレベルとしてMy Crypto Heroes -Rays Mining-をプレイしながら、本流のマイクリエコシステムへの接続もスムーズになる設計を採用しているという。

またMy Crypto Heroes -Rays Mining-では、「Free to Play」のスカラーシップモデルを前提としたエコシステム設計となっており、NFT保有者は全世界のユーザーに対してNFTを貸し出し、収益をシェアすることが可能となっている。スカラーシップモデルとは、NFT保有者がゲームプレイを請け負うユーザー「スカラー」に投資を行い、スカラー側はこれにより獲得した収益の一部をNFT保有者に還元するというものだ。