オタクのみなさんご乗車ください、メタバースへ向かいます

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

こんにちは、みなさん。元気で暖かく健康で幸せで良好な状態でいらっしゃるだろうか。全部でなくても、一部だけでもそうであればと願う。まあ、すべてが当てはまらないとしたら、アイスクリームが発明された理由を正当化できるだろう。

今回は、メタバースの話、創生期から見守ってきたベンチャーキャピタルの話、そして先週うっかり取り上げていなかった、とてもクールなスタートアップの資金調達の話をしよう。準備はOK?では楽しもう。

先週最も楽しかったのは、仮想環境Decentraland(ディセントラランド)への訪問だった。手短にいうと、編集の仕事をしていた私はその途中、編集チームの邪魔にならないように気を紛らわそうとしていたのだ。そこで、私はソーシャル暗号資産環境──つまりメタバースを始動してツアーに出かけたのだ。モヒカン姿でかっこいいパンツを履いて、道に迷ったり、NFTのギャラリーに行ったり、アリーナに入ることに失敗したりしていた。

現在のメタバースは、MMORPGの「Runescape」によく似ている。これは、オンラインRPGが築いてきた歴史的な足跡を考えれば、それほど馬鹿にした表現ではない。しかし、私がゲームで好む水準よりも半端に多くの経済的な側面を含んだ、あまり特徴のないMMORPGは、私にとって最も不要なものだ。

私は今のところ中立的な立場だし、メタバースが毎日ログインしたくなるほどクールになる日を待ちたいと思う。しかし現在、コミュニティの形成やソーシャルな交流を含むWeb 2.0の特性の中には、暗号チームがこれまで見てきたものよりも優れているものがあるようだ。

Amplifyの新しいジェネラルパートナー

数年前、私はMattermark(マターマーク)というスタートアップに雇われて、彼らの会社のために独立したニュース部門を作ることになった。率直に言って、それはすばらしい学習経験であり、さらに何人かの生涯の友人とも出会うことができた。例えばTechStars(テックスターズ)のKevin Liu(ケビン・リュウ)氏だ。

Sarah Catanzaro(サラ・カタンザロ)氏もまた、Mattermarkチームの中では傑出した存在だった。同社における彼女のデータチームでの仕事は、後に就職したVCのCanvas Ventures(キャンバス・ベンチャーズ)、そしてAmplify Partners(アンプリファイ・パートナーズ)で生かされた。参考までに、Amplifyが2020年後半に発表した最新のファンドは、2億7500万ドル(約312億6000万円)相当のものだった。前回からの時間を考えると、そろそろ同グループが新たなファンド組成を発表するのではないかと考えている。

そのAmplifyでカタンザロ氏は、プリンシパルからパートナー、そしてつい最近ゼネラルパートナー(GP)へと昇格した。彼女がVCの世界で最下層から最上層に至るまでの道のりは、眺めていて楽しいものだった。そして、先々週のTechCrunchとの電話では、Amplifyで彼女のレベルに達した女性は彼女が最初だと語っていた。私が強調したいのは、ベンチャーキャピタルというまだ家内産業規模の世界での昇進は、スタートアップのペースでの成長とは異なるということだ。

ともあれ、カタンザロ氏が話してくれたことは、後で振り返ることができるように、ここに書き留めておきたい。私たちは、彼女の会社の投資アプローチ、チェックサイズのターゲット、シードレベルやシリーズAレベルの企業への参入の頻度などについて話をした。新任GPのカタンザロ氏によれば、シリーズAのラウンドははるかに大きくなっているが、リクスはそれに釣り合って小さくなってはいないという。これは、私が以前から直感的に感じていたことだが、これまで誰かが口に出していうのを聞いたことはなかった。

つまり、VCから見たシリーズAのリスクは、スタートアップの段階でより多くの資本が投入されることで上昇しているということだ。今後数年間で十分なメガイグジットを行うことができるなら、最終的には計算が合うのかもしれない。しかし、市場が急落し「懸念」が「奔放な熱意」よりも多くの紙面を占めている今、私は多少疑問に思っている。

ロードアイランド州の誇り

私が住んでいるオーシャン・ステイト(ロードアイランド州の別称)は、米国で最も有名なテクノロジー・ハブからは少しだけ離れている。しかし、だからといって、魅力的なハイテク企業がこの小さな州に生まれないわけではない。TechCrunchは、大学生のためのフリーランス労働市場を構築しているプロビデンスで設立されたスタートアップ、Pangea(パンゲア)を例として紹介している

リトルローディ(これもロードアイランド州の愛称)のもう1つのスタートアップが、マリーナやボートに乗る人のためのソフトウェアプラットフォームDockwa(ドクワ)を開発する、The Wanderlust Group(ザ・ワンダーラスト・グループ)だ。要するに、ペンと紙の世界に留まっていたボートの船着場の予約管理の世界を、Wanderlustはソフトウェアを使って近代化することにしたのだ。

前回、同社について触れたのは、同社が2020年に1420万ドル(約16億1000万円)を調達したときだった。当時、CEOのMike Melillo(マイク・メリロ)氏はTechCrunchの取材に対し、同社は単に700万ドル(約8億円)を求めていたに過ぎなかったが、数字が倍になったと語った。

だから最近同社から「また調達しました」と聞いても驚かなかった。今回、Wanderlustは1億5000万ドル(約172億5000万円)のプレマネー評価額のもと、シリーズCで3000万ドル(約34億1000万円)を調達した。この資金調達は、Thursday Venturesが主導した。

幸いなことに、Wanderlustは2021年のARR(年間経常収益)成長率を喜んで開示してくれたが、それは71%だった。さらにおもしろいことに、週休3日制に移行した後、同社のARRは2020年6月から2021年6月にかけて100%拡大した。これは、私がスタートアップ界隈で追跡している、より興味深い労働実験の1つの実際のデータだ。

しかし、この会社の最も興味深い点は、自身でファンドを組成していることだ。ただし普通の企業向けベンチャーキャピタルファンドではなく、何か別のものだ。Wanderfund(ワンダーファンド)と名付けられたこのファンドに対して、同社は「国や地域レベルでの環境保護活動」のために2022年30万ドル(約3400万円)の資金を投じた。その一環として、まずは子どもたちが家から出て自然の中で過ごせるように、地元のBoys & Girls Club(ボーイズ&ガールズクラブ)に資金を提供することを始めている。

同社はキャンプ用に使えるDockwaのような製品を開発しているので「外に出よう」というテーマは、Wanderlust(放浪願望)Groupという名前にふさわしいコアとなる。

その他雑多なもの

ということで今日はここまで。また来週!

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

【コラム】いずれメタバースは、あなたをモニターし行動を操作する世話役AI「ELF」で埋め尽くされる

メタバースはマーケティング上の誇大広告に過ぎないという人もいれば、社会を一変させると主張する人もいる。私は後者に属するが、多くの人が提唱しているようなアバターで埋め尽くされたアニメの世界について言っているのではない。

むしろ、社会を変えるような真のメタバースは、現実世界上の拡張レイヤーであり、10年以内にショッピングや社交からビジネスや教育まで、あらゆるものに影響を与え、私たちの生活の基盤になると考えている。

関連記事:【コラム】Web3の根拠なき熱狂

また、企業が管理するメタバースは社会にとって危険であり、積極的な規制が必要だと考えている。なぜなら、プラットフォームのプロバイダーは、SNSが古いと感じるようなやり方で消費者の操作が可能になるからだ。多くの人は、データ収集やプライバシーに関する懸念に共感しているが、メタバースで最も危険なテクノロジーであろう人工知能を見落としているのではないか。

実際、メタバースのコアテクノロジーを挙げろといわれれば、たいてい人はアイウェアを中心に、グラフィックエンジンや5G、あるいはブロックチェーンなどを挙げるだろう。しかし、それらは私たちの没入型未来の仕組みに過ぎない。メタバースにおいて糸を操り、私たちの体験を創造(操作)するテクノロジーはAIなのだ。

人工知能は、私たちのバーチャルな未来にとって、注目を集めるヘッドセットと同じくらい重要な存在になるだろう。そしてメタバースの最も危険な部分は、他のユーザーと同じような見た目で、他のユーザーと同じように行動するが、実はAIによって制御された模擬人格である課題志向の人工主体だ。彼らは私たちに「会話的操作」を行い、人工主体が本物の人間でないことに気づかないうちに、広告主に代わって私たちをターゲットにするだろう。

特に、AIアルゴリズムが表情や声の抑揚を読み取って私たちの感情状態を監視しながら、私たちの個人的な興味や信念、習慣や気質に関するデータにアクセスするようになると危険だ。

SNSにおけるターゲット広告が操作的だと思うかもしれないが、これはメタバースで私たちに関わる会話型エージェントの比ではない。彼らは人間のどんな販売員よりも巧みに私たちに売り込み、単にガジェットを売るだけでなく、最も資金を支払った人のために政治的プロパガンダやターゲットとなる誤報を押し付けてくるだろう。

そして、これらのAIエージェントは、メタバースにおける他の人と同じように見え、同じように話すので、広告に対する私たちの自然な懐疑心は働いてくれない。これらの理由から、私たちはAIによる会話エージェントを規制する必要がある。特に、AIが私たちの顔や声の情緒にアクセスでき、私たちの感情をリアルタイムで私たちに対して利用することが可能になる場合だ。

これを規制しないと、AIドリブンのアバターの形をした広告は、あなたが疑っているのを察知して、文章の途中で戦術を変え、あなた個人にインパクトを与える言葉や画像にすばやく照準を合わせてくるだろう。2016年に書いたように、AIが学習して世界最高のチェスプレイヤーや囲碁の棋士に勝てるなら、消費者を揺さぶることを学習して私たちの利益にならないものを買わせる(そして信じさせる)のは朝飯前だ。

しかし、私たちに向かってくるすべてのテクノロジーの中で、メタバースにおいて最も強力かつ精緻な強制力を持つことになるのは、私が「エルフ」と呼ぶものだ。この「デジタル生活促進者(electronic life facilitators、ELF)」は、SiriやAlexaのようなデジタルアシスタントの自然な進化形だが、メタバースでは姿なき声にはならない。消費者ごとにカスタマイズされた擬人化された人格になるだろう。

プラットフォームのプロバイダーは、これらのAIエージェントを仮想ライフのコーチとして販売し、あなたがメタバースを探索している間、1日中しつこく付きまとう。そして、メタバースは最終的に現実世界の拡張レイヤーとなるので、デジタルエルフは、あなたが買い物をしていても、仕事をしていても、ただぶらぶらしているだけでも、どこにいてもあなたと一緒にいることになる。

そして上記のマーケティングエージェントのように、これらのエルフたちは、あなたの顔の表情や声の抑揚、そしてあなたの生活の詳細なデータ履歴にアクセスし、あなたに行動や活動、製品やサービス、さらには政治的見解に至るまでをそっと促すようになる。

そして彼らは、今日のような粗雑なチャットボットではなく、身近な友人、親切なアドバイザー、気遣いのできるセラピストのような、人生において信頼できる人物として認識されるようになるキャラクターとして具現化される。しかも、友人にはできないような方法で自分のことを知り、血圧や呼吸速度に至るまで、自分の生活のあらゆる面を(信頼できるスマートウォッチを通じて)モニタリングする。

そう、これは不気味だ。だからこそプラットフォームのプロバイダーは、付きまとってくる人間サイズのアシスタントというよりも、あなた自身の「人生の冒険」の魔法のキャラクターのように見える、無邪気な特徴と物腰を持つ、かわいくて脅威を感じさせないエルフを作るのだろう。これが私が「エルフ」という言葉を使って表現した理由だ。エルフは、あなたの肩越しにいる妖精、あるいはグレムリンやエイリアンのような見た目かもしれないからだ。こうした小さな擬人化したキャラクターは、耳にささやいてきたり、私たちの前に飛び出して、こちらに注目して欲しい拡張世界のものに注意を引かせたりすることができる。

これが特に危険な点だ。規制がなければ、こうした「人生のお世話役」はお金を払った広告主に乗っ取られ、現在のSNSのどんなものよりも優れた技術と精度であなたをターゲットにすることになるだろう。そして、今日の広告とは異なり、これらの頭の良いエージェントは、かわいい笑顔やくすくすした笑いとともにあなたの周りを付きまとい、一日をガイドすることになるのだ。

このようなことが実際にどのように起こるのか、ポジティブな面もネガティブな面も伝えるために、2030年以降にAIが私たちの没入型ライフをどのように導いていくのかを描いた短いストーリー、「Metaverse 2030」を書いた。

最終的に、VR、AR、AIの技術は、私たちの生活を豊かにし、向上させる可能性がある。しかしこれらが組み合わさると、イノベーションは特に危険なものになる。これはこのような技術に共通する強力な特性、つまりコンピュータで作られたコンテンツがたとえ意図的に作られた捏造であっても、本物であると信じさせることができるという特性が理由だ。この強力なデジタル欺瞞能力こそが私たちがAIを活用したメタバースを恐れるべき理由であり、それが宣伝目的でユーザーにサードパーティアクセスを販売する強力な企業によって管理されている場合には特にそうなのだ。

メタバースの技術に問題が根付いてしまって元に戻せなくなる前に、消費者や産業のリーダーが意義のある規制を推進してくれることを期待して、私はこれらの懸念を提起したいと思う。

編集部注:本稿の執筆者Louis Rosenberg(ルイス・ローゼンバーグ)氏は、仮想現実と拡張現実のパイオニアであり、Unanimous AIのCEO。

画像クレジット:TechCrunch/Bryce Durbin

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(文:Louis Rosenberg、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックとInstagramがNFTの作成・販売をサポートするかもしれない

NFTの波に乗る次の企業はMetaかもしれない。Financial Timesの情報筋によると、MetaはFacebookやInstagramでNFTを作成、表示、販売する方法を開発しているという。同社Noviのウォレット技術は「サポート機能」の大部分を担うことになると、ある情報提供者は述べている。Instagramは、NFTを展示する方法をテストしているとされ、Metaはこれらのデジタルコレクションの売買を支援するマーケットプレイスについて議論しているという。

同社はすでにコメントを控えており、情報筋は、この取り組みはまだ初期段階にあり、変更される可能性があるという。しかし、InstagramのリーダーであるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は2021年12月に、彼のソーシャルネットワークは「積極的にNFTを模索している」と述べている。少なくとも、この技術は同社の頭の中にある。

NFTへの参入は理に適っている。NFTとメタバース(ただNFTを提供するだけではメタバースをつくっているとはいえない)のつながりを悪用する企業もあるが、Metaは、仮想世界の住人がユニークなデジタル商品を販売できるように、そのためのフレームワークを求めているのかもしれない。NFTが一時的なトレンド以上のものであると証明された場合、このMetaの動きはOpenSeaのようなサードパーティープラットフォームが強すぎる支配力を得るのを防ぐのに役立つかもしれない。

編集部注:初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:SOPA Images / Contributor

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(文:Jon Fingas、翻訳:Katsuyuki Yasui)

レコチョクがWeb3時代を見据えブロックチェーン活用ビジネスに参入、NFT発行・販売や音楽業界にDAO提案

レコチョクがWeb3時代を見据えブロックチェーン活用ビジネスに参入、NFT発行・販売や音楽業界にDAO提案

有料音楽配信サイトなどを手がけるレコチョクは1月18日、Web3時代を見据え、NFTの発行から販売、またチケット・ERC-20トークンや音楽業界へのDAOの提案など様々なブロックチェーンを活用したソリューション事業に本格参入すると発表した。

取り組みの第1弾として、音楽業界向けワンストップECソリューション「murket」(ミューケット)にNFTアイテムの販売機能を追加。同機能を使い、1月19日17時よりソロシンガー「CAIKI」(カイキ)が100個限定でNFTを期間限定で販売する(「CAIKI ONLINE STORE」参照)。

レコチョクは、Web3時代を見据え、エンタテインメント分野における次代に向けたサービスの企画・開発を推進すべく、国内外の情報収集や研究開発を展開してきたという。

特にNFTは、その特性から音楽やアートなどエンタテインメント分野での新たなサービスの提供が実現できると考え、2021年7月より「Web3.0プロジェクト」を開始。ブロックチェーン技術を活用したNFT、ERC-20トークンなどを用いた新たな音楽体験サービスの提案、DAO、仮想空間(メタバース)でのサービス提供へ向けた開発に取り組んできた。

また、特別なツールや技術知識がなくても手軽にNFTが販売できるようにサービスを設計。ウォレット作成不要、暗号資産購入も不要で、法定通貨のみで決済を可能とした(イーサリアムのサイドチェーンにあたるPolygonを採用)。今春にはNFTの2次流通対応も予定している。

レコチョクは、今後もアーティストやファンの多様な需要に対して、あらゆるデジタルコンテンツ配信への対応や著作権管理を活かしたシステムを提供するとともに、NFTをはじめ新たなファンエンゲージメント向上に向けたビジネスを展開することで、音楽市場におけるさらなる成長を多面的に支援するとしている。

Gaudiyと大日本印刷、ブロックチェーンを活用したコンテンツビジネス・次世代のファンサービス構築を目指し業務提携

Gaudiyと大日本印刷、ブロックチェーンを活用したコンテンツビジネス・次世代のファンサービス構築を目指し業務提携

ブロックチェーン技術を活用したファンエコノミー事業を展開するGaudiy(ガウディ)は1月18日、アニメ、マンガ、ゲームなどの新しい知的財産を活かしたビジネス創出を目指して、大日本印刷(DNP)と業務提携することを発表した。ファンエコノミーの構築を進めるGaudiyと、リアルとバーチャルの「ハイブリッドな強み」を持つDNPの提携で、新しいコンテンツサービス創出のための共同研究を推進するとのことだ。

Gaudiyは、インターネットやメタバースなどの仮想空間にファンエコノミー(ファンによる応援や創作で生まれる価値を適正に評価し還元する経済圏)の構築を推進するスタートアップ。非代替性トークン(NFT)はじめブロックチェーン関連技術を活用したデジタルコンテンツの適正な取り引き環境を整備し、日本製コンテンツによる世界規模のビジネスを展開することを目指している。

エンターテイメント産業の課題解決に向けて、大手コンテンツホルダーとも協業し、漫画・アニメ・ゲーム・スポーツ・音楽などの領域で、コンテンツとファンを直接つなぐコミュニティサービスを展開している。

一方DNPは、「多彩な表現技術や、高度なセキュリティー環境」で膨大な情報を安全に処理するノウハウを持ち、多様なパートナーとの連携による「リアルとバーチャルの融合」の一環として、新しい体験価値を創出するXR(Extended Reality)コミュニケーション事業を展開。アニメ、マンガ、ゲームなどのコンテンツと、ファンや企業とをつなぐ新しいコミュニケーションモデルの創出に取り組んでいる。

両社は、今回の業務提携を通じてそれぞれの技術やノウハウを掛け合わせ、メタバースをはじめとする新たな領域での価値創出および「未来のファンサービス」を創出するという。

この業務提携による取り組みの第1段として両社は、2022年1月21日から「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」で開催される「約束のネバーランド POP UP SHOP in 東京アニメセンター」と連動し、ファンコミュニティー向けデジタルコンテンツを提供する実証実験を行う。

Animoca、Galaxy Interactive、Polygonが印ゲーム企業nCoreのWeb3推進を支援

nCore GamesはWeb3サービスの開始に向け、新たな資金調達ラウンドで1000万ドル(約11億5000万円)を調達したと同社のトップがインド時間1月17日に発表した。

暗号資産分野で著名な投資家であるAnimoca BrandsとGalaxy Interactiveの2社が、今回の資金調達を主導した。また、イーサリアムL2スケーリングソリューションで有名なPolygon(ポリゴン)とHyperedge Capitalもこのラウンドに参加した。

他にも、Google(グーグル)の元上級副社長であるAmitabh Singhal(アミターブ・シンガル)氏 、Polygonの共同創業者であるSandeep Nailwal(サンディープ・ネイルワル)氏、Dell(デル)のプログラム管理ディレクターKanwaljit Bombra(カンワルジット・ボンブラ)氏、Sohil Chand(ソヒル・チャンド)氏、Ashish Chand(アシシュ・チャンド)氏、映画監督のRam Madhvani(ラム・マドヴァニ)氏、Rakesh Kaul(ラケッシュ・コール)氏、Mannan Adenwala(マンナン・アデンワラ)氏、Sanjay Narang(サンジェイ・ナラン)氏、Taj Haslani(タジ・ハスラニ)氏、Playfishの共同創業者Kristian Segerstrale(クリスティアン・セガーストラーレ)氏、Sanjay Gondal(サンジェイ・ゴンダル)氏、Vedant Baali(ヴェーダン・バーリ)氏、Kartik Prabhakara(カーティク・プラバカラ)氏、Peter Leung(ピーター・レオン)氏、Yashraj Akashi(ヤシュラージ・アカシ)氏、Akshay Chaturvedi(アクシャイ・チャトルベディ)氏など、多くのエンジェル投資家がラウンドに参加した。

nCore Gamesは、Studio nCore、Dot9 Games、IceSpiceなど、複数のゲームスタジオを擁している。同社のポートフォリオには、数千万のダウンロードを記録したマルチプレイアクションゲーム「Fau-G」や「Pro Cricket Mobile」などがある。

nCore Gamesの共同創業者であるVishal Gondal(ヴィシャール・ゴンダル)氏は、TechCrunchのインタビューで同社は2021年中にさらに多くのゲームを立ち上げ、投資することを計画していると語った。

しかし今回の資金調達では、メタバースへの展開がより大きな焦点になるとのこと。nCore Gamesは独自のNFTやトークンの発行を検討しており、それらは今後数カ月以内に立ち上げる可能性があるという。

インドは、ダウンロード数で世界最大のモバイルゲーム市場の1つとして浮上している。ニューデリーで禁止される前の「PUBG Mobile」は、インドで5千万人以上の月間アクティブユーザー(MAU)を獲得していた。だがゲーム会社は、アプリ内課金の普及率の低さや広告収入の少なさから、このユーザー層を効率的に収益化するのに苦労している。

Galaxy InteractiveのゼネラルパートナーであるSam Englebardt(サム・エングルバルド)氏は「インドにおけるゲーミングの成長はすでに否定できないものであり、市場はさらに大きな飛躍を遂げようとしています」と述べている。

ゲーム業界のベテランで、前身のベンチャー企業をディズニーに売却した経験を持つゴンダル氏は、特に企業が収益を得るために広告に頼ることが多かった発展途上国の市場では、ゲーム経済に変化が起きているという。同氏は、アプリ内課金の収益が高くないインドと似た市場であるフィリピンでのAxie Infinityの人気を例に挙げた。

ゴンダル氏は、インド、インドネシア、フィリピンの類似点を挙げ、多くの市場でいくつかのカテゴリーに進出しているWeb3の製品が、インドのゲーミングでも人気を博すだろうと楽観視している。同氏は、Web3はすべてのステークホルダーに適切なインセンティブ構造を提供できる位置にあると考えている。

「現在、ゲームをプレイしているときには、コミュニティの一員になることが最大のメリットでした。これからはゲームをプレイしている間に、ゲームの価値を自分のものとして所有するチャンスがあるのです」。

IceSpiceの最高経営責任者であるTejraj Parab(テジラジ・パラブ)氏によると、nCore Gamesは、同社のすべてのタイトルとパートナー企業のゲームがコミュニティに提供するユニバーサルトークンを作ることを検討しているという。また、同社の技術を他のゲームデベロッパーが活用できるようにしたいと考えているとのこと。

Studio nCoreのDayanidhi MG(ダヤニディ・MG)CEOはこう述べている。 「当社は、グローバルリーダーや大きな成功を収めているファンド、企業、業界ベテランの方々と一緒に、新しいトレンドやテクノロジーを取り入れ、飛躍的な成長を遂げてnCoreを次のレベルに引き上げることに興奮しています」。

Web3は、インドでも普及し始めている。Tiger GlobalとSequoia Capital Indiaが支援するインドのスタートアップFaze(フェイズ)は、2021年、クリケットの世界的な統括団体であるICCと提携し、クリケットファン向けのNFTを立ち上げた。この件に詳しい2人の関係筋によると、同スタートアップは現在、Insight Partnersから新たな資金調達を行うための交渉を行っているという。ボリウッドの有名人も、企業と提携して独自のNFTを立ち上げている。

Animoca Brandsで共同創業者及び代表取締役会長を務めるYat Siu(ヤット・シウ)氏は、声明でこう述べている。「nCORE Gamesは、経験豊富なゲーム業界の専門家によって設立された会社であり、大規模な成長が見込まれるゲーム市場を有するインドにおいて、最も有望な投資先の1つです。nCORE Gamesは、ゲームにブロックチェーンとNFTを活用して、プレイヤーにデジタル財産権を提供するための適切なチームを持っており、グローバルなオープンメタバースに向けて、多くの製品を成功させることを期待しています」。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】ソーシャルメディアの人々をWeb3へと誘う5つのNFTトレンド

Twitter(ツイッター)に対する批判が高まる中、大半のテック創業者とVCたちは、Web 2.0かWeb3のどちらかを支持している。

Web3の支持者は、Web3がインターネットの未来であり、今後数年でブロックチェーンベースの製品がWeb 2.0に完全に取って代わると信じている。

Web 2.0の断固たる支持者は、Web3は利益を出すことを目論むさまざまな暗号技術によって祭り上げられた誇大広告に過ぎず、ブロックチェーン技術の応用範囲は基本的に限られていると主張している。

筆者は、Web 2.0アプリを10年以上に渡って構築し、やはり10年以上に渡って暗号技術に投資してきた創業者として、最もおもしろいビジネスチャンスは、Web 2.0とWeb3の交差部分に存在すると思っている。

ブロックチェーンの消費者市場における真の潜在性は、Web 2.0とWeb3の併合によって解き放たれる。

エネルギー、人材、リソースがWeb3に注入され、インターネット初期が思い起こされるのはワクワクする。インターネット初期の状況を思い出すくらいシリコンバレーに長くいる人たちにとって、現在の状況と当時の状況の類似性は否定できない。

しかし今回は、成長率が非常に高い。Web3の専門家はこの事実をWeb3がインターネットの未来であり、Web 2.0はまもなく消滅するという議論を支える事実として指摘している。

しかし、インターネットの初期と現在とでは、1つ重要な違いがある。Web 1.0より前は、インターネットは存在していなかった。我々はみんなアナログの生活を送っていた。普及当初のインターネットは比較的退屈な存在と戦っていた。フリーポルノ、チャットルーム、ゲーム、音楽、eメール、動画などだ。指先を動かすだけで世界の情報が手に入るようになった。土曜日にわざわざ大ヒット映画を観に行くこともなくなった。決してフェアな戦いではなかった。

自分では絶対に履かないとわかっているスニーカーを2000ドル(約23万円)で買ってしまった。このスニーカーはNFTとしてのみ存在するため、履けないのだ。狂気の沙汰かもしれないが、昔親指が痛くなるヒールにお金を使っていたのと大差ないような気がする。

Web3は新しい段階に入ってきている。現代人は強く惹き付けられるデジタル製品に夢中になっている。平均的な消費者がTikTok(ティックトック)をスクロールするのを止めないのは、分散化の時代の先触れとなりたいからでも、クリエーターエコノミーを支援したいからでも、インフレーションを抑制したいと考えているからでもない。彼らはそんなことはどうでもよいのだ。それに彼らは、BAYC(Bored Ape Yacht Club)CryptoPunksを買うお金もない。

平均的なインターネットユーザーが気にしているのは、ソーシャルメディアで自分がどのように見えているかである。これが橋渡し役となる。そして、この橋渡し役の鍵となるのがNFTである。

ソーシャルメディアのオーディエンスをまとめてWeb3に移行させる5つのNFTトレンドを以下に示す。

NFTの検証

懐疑的な人は、NFTは右クリックするだけで基盤となるファイルを保存できるため、間抜けだという。しかし、これは一時的な問題だ。近い将来、すべての大手ソーシャルプラットフォームはNFT検証を実装するだろう。これにより、ウォレットを接続して、自分のプロファイルの検証済NFTを表示できるようになる。と同時に、指紋テクノロジーによって、各プラットフォームは、盗まれたファイルを容易に検出し、削除できるようになる。

TikTokユーザーが自分の投稿で一意の検証済NFTを表示して使用できるようになると、ゲームは完全に様変わりすることになる。というのは、NFTを購入して配信することのソーシャル的な価値が急激に向上するからだ。

サイドチェーン

Polygon(ポリゴン)などのサイドチェーンが普及してくると、NFTの価格は下がってくる。輸送費がかからないため、開発者はNFTにより高い対話性と構成可能性を組み込むことができ、その結果、本質的にNFTのソーシャル性を高めることができる。

ポケモンGOをブロックチェーン上で運用して、各ポケモンが交換したり売ったりできるNFTになっている状況を想像してみて欲しい。獲得した各ポケモンは独自の特徴を備えており、さまざまな場所で課題をクリアすることでポケモンを独自に進化させることができる。ポケモンのレベルが向上すると、そのパワーがオンチェーンでアップデートされる。ゲームを進めていくと、暗号化トークンを獲得できる。このトークンはゲームの外の世界でも価値を持っている。

音楽

2021年のNFTブームでは主に視覚的なアートが中心だったが、次の段階では、音楽が対象になる。音楽NFTは最終的にはアートよりもずっと大規模なものになると思われる。収集するものが物理的なアートであれNFTであれ、コレクターの行為を促す強い欲求は同じだ。つまり、自身の芸術的センスを相手に表現したいという欲求、個人グループを問わず自身のアイデンティティを表現したいという欲求、そして場合によっては利益を上げたいという欲求だ。

初期のNFTブームには少なからず投機的な動機があったものの、自己表現とアイデンティティを取り巻く衝動こそがアート収集を促すより基本的な原動力であると思う。そして、人が自身の特徴やアイデンティティを表現する方法として最も普及している方法の1つとして音楽がある。

TikTokミュージック動画を始めて以来、ミュージックトラックはTikTok上で共有される動画の主要コンポーネントになっている。だが、現在使用できるミュージックはごく一般的なものだ。みんな同じ曲を使うことしかできない。

お気に入りのアーティストが60秒の音楽トラックをNFTとして数量限定でリリースするようになったらどうだろう。あなたはその1つを購入して、クールなTikTokを作る。これが口コミでまたたく間に広がる。数百万人の人たちが突如としてその曲を使って独自のTikTokを作りたいと考えるようになる。しかし、使える数は100コピーだけ。あなたには毎日、その曲を購入したいというオファーがくる。販売するか手元に置いておくかはあなた次第。

ファッション

Web 2.0時代幕開けの頃、筆者は20代だったが、自分の収入をすべてファッションに使っていたものだ。おしゃれなジーンズ、かかとの高いヒール、サングラス、ハンドバッグ。良いものを身に付けたいという欲求は飽くことを知らなかった。

しかし、この10年でソーシャルな活動の大半がオンラインにシフトし、筆者のファッション支出も減少した。最近本当に欲しいものといえば、エクセサイズ関連商品を除けば、カラフルなZoomのトップくらいだ。おしゃれな洋服を購入する楽しみはすっかり薄れてしまった。

ところが先日、筆者は自分でも驚くようなことをしてしまった。自分では絶対に履かないとわかっているスニーカーを2000ドルで買ってしまったのだ。このスニーカーはNFTとしてのみ存在するため、履けないのだ。暗号資産の泥沼にはまり込んだことない人に、このような買い物をする理由を説明するのは難しいが、ほとんど狂気の沙汰であることは自分でもわかっている。だけど、昔親指が痛くなるヒールにお金を使っていたのと大差ないとは思うのだが。

ソーシャルメディアのオーディエンスがデジタル版の自己を着飾るために使うデジタル製品に大金を使う時代がやってきたようだ。既存の代表的なNFTといえば大半がゲームやアバター関連だが、大量のオーディエンスに変革をもたらす魅力的な使用例としてARフィルターがある。

Kim Kardashian(キム・カーダシアン)がカスタムのARフィルターをリリースしたらどうだろう。フェイスリフト、リップフィルター、メークアップ、ヘアスタイル、衣服、宝石などだ。どれもキム独自のものだ。これらを購入すれば、あなただけがそのフィルターで自分のTikTok動画を飾ることができる。飽きたら転売すればよい。キム、あなたのホワイトリストに私を追加してくれる?

ダイナミックなアバター

はいはい、わかってますよ。プロフィール画像を気味の悪い類人猿に変えるなんて何を考えているのかわからない、ですよね。実は私もBored Ape(ボアード・エイプ)のデジタルアートを持っている。ただし、自分のプロフィール画像に使う気にはならならず、代わりにWorld of Women(ワールドオブウーマン)の画像を使っている。どうして仕事用の顔写真の代わりに自分になんとなく似ているアルゴリズムで生成された漫画の画像を使うのかって?楽しいからだ。それに写真ではなかなか表現できない私の性格の一面を表すことができる。

ただ、私のプロフィール画像はちょっと古くさい感じになってしまった。少し動く画像だったらよかったのに。

ダイナミックさ、パーソナライゼーション、動きがNFTアバターにも取り入れられるようになってきた。セルフィーを撮ると、AIが理想のあなたに近いユニークなカスタムの3Dアバターを生成してくれる。Bitmojiに似ているが、もっと良い。人物の表情やポーズ、衣服、アクセサリーを更新することもできるし、人物を踊らせることもできる。キーボードを打つだけで自分の声でしゃべらせることもできる。これを使えば、自分の印象をうまく伝えているという実感が持てる魅力的なTikTokの投稿を簡単に作れるだろう。演技力や撮影のスキルを磨くための時間は最小限で済み、その分、自分の伝えたいメッセージの作成に時間を費やすことができる。

ダイナミックなアバターはソーシャルメディア上での自己表現を民主化する機会になるだろう。その結果、より多くのクリエーターたちが自身を表現できるようになるだろう。

Facebook(フェイスブック)が登場した当初は、ばかげていると思ったが、楽しかった。数日おきにログオンすると、親友の誕生日を知らせてくれたりするし、友人の派手なプロフィール画像につっこみを入れたりしていたものだ。その後、フィード、モバイル写真とアルゴリズム、インタグラムモデル、ラテ、完全にフィルターされた生活がやってくる。その過程で、楽しさは薄れソーシャル奴隷のようになってしまう。ほとんど知らない人たちの気分の悪くなる記事をスクロールして読んでは、お返しとばかりに醜悪な投稿をする。こんなはずじゃなかったのに。

Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏がMeta(メタ)についてのビジョンを語ったとき、みんな軽蔑の目で見ている感じだった。「ソーシャルメディアで私達の生活を台無しにした上に、今度は残された最後の物理的なつながりまで消滅させて、Matrix(マトリックス)に出てくる植物人間のようにしてしまうつもりか」と誰もが叫びたい気持ちだった。

とはいえ、賛否両論はあると思うが、私達はすでにメタバースの世界へと歩みを進めており、それは止められない。生活のバーチャル化は進む一方だ。Web3では、バーチャル世界での豊かな経験が実現される。これが空虚感の少ない、少しは人間らしいものであってくれることを願うばかりだ。

NFTおよびWeb3がもたらすあらゆるものによって、人との交流が昔のように楽しいものになるような仮想現実が創造されることを楽しみにしたいと思う。

編集部注:本稿の執筆者Prerna Gupta(プレーナ・グプタ)氏は、HookedやSmuleといったモバイルエンターテイメントアプリを立ち上げ、10億人以上の人々にリーチしてきた。現在、NFT領域でステルスプロジェクトに取り組んでいる。

画像クレジット:Iryna+ mago / Getty Images

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(文:Prerna Gupta、翻訳:Dragonfly)

【コラム】ソーシャルメディアの人々をWeb3へと誘う5つのNFTトレンド

Twitter(ツイッター)に対する批判が高まる中、大半のテック創業者とVCたちは、Web 2.0かWeb3のどちらかを支持している。

Web3の支持者は、Web3がインターネットの未来であり、今後数年でブロックチェーンベースの製品がWeb 2.0に完全に取って代わると信じている。

Web 2.0の断固たる支持者は、Web3は利益を出すことを目論むさまざまな暗号技術によって祭り上げられた誇大広告に過ぎず、ブロックチェーン技術の応用範囲は基本的に限られていると主張している。

筆者は、Web 2.0アプリを10年以上に渡って構築し、やはり10年以上に渡って暗号技術に投資してきた創業者として、最もおもしろいビジネスチャンスは、Web 2.0とWeb3の交差部分に存在すると思っている。

ブロックチェーンの消費者市場における真の潜在性は、Web 2.0とWeb3の併合によって解き放たれる。

エネルギー、人材、リソースがWeb3に注入され、インターネット初期が思い起こされるのはワクワクする。インターネット初期の状況を思い出すくらいシリコンバレーに長くいる人たちにとって、現在の状況と当時の状況の類似性は否定できない。

しかし今回は、成長率が非常に高い。Web3の専門家はこの事実をWeb3がインターネットの未来であり、Web 2.0はまもなく消滅するという議論を支える事実として指摘している。

しかし、インターネットの初期と現在とでは、1つ重要な違いがある。Web 1.0より前は、インターネットは存在していなかった。我々はみんなアナログの生活を送っていた。普及当初のインターネットは比較的退屈な存在と戦っていた。フリーポルノ、チャットルーム、ゲーム、音楽、eメール、動画などだ。指先を動かすだけで世界の情報が手に入るようになった。土曜日にわざわざ大ヒット映画を観に行くこともなくなった。決してフェアな戦いではなかった。

自分では絶対に履かないとわかっているスニーカーを2000ドル(約23万円)で買ってしまった。このスニーカーはNFTとしてのみ存在するため、履けないのだ。狂気の沙汰かもしれないが、昔親指が痛くなるヒールにお金を使っていたのと大差ないような気がする。

Web3は新しい段階に入ってきている。現代人は強く惹き付けられるデジタル製品に夢中になっている。平均的な消費者がTikTok(ティックトック)をスクロールするのを止めないのは、分散化の時代の先触れとなりたいからでも、クリエーターエコノミーを支援したいからでも、インフレーションを抑制したいと考えているからでもない。彼らはそんなことはどうでもよいのだ。それに彼らは、BAYC(Bored Ape Yacht Club)CryptoPunksを買うお金もない。

平均的なインターネットユーザーが気にしているのは、ソーシャルメディアで自分がどのように見えているかである。これが橋渡し役となる。そして、この橋渡し役の鍵となるのがNFTである。

ソーシャルメディアのオーディエンスをまとめてWeb3に移行させる5つのNFTトレンドを以下に示す。

NFTの検証

懐疑的な人は、NFTは右クリックするだけで基盤となるファイルを保存できるため、間抜けだという。しかし、これは一時的な問題だ。近い将来、すべての大手ソーシャルプラットフォームはNFT検証を実装するだろう。これにより、ウォレットを接続して、自分のプロファイルの検証済NFTを表示できるようになる。と同時に、指紋テクノロジーによって、各プラットフォームは、盗まれたファイルを容易に検出し、削除できるようになる。

TikTokユーザーが自分の投稿で一意の検証済NFTを表示して使用できるようになると、ゲームは完全に様変わりすることになる。というのは、NFTを購入して配信することのソーシャル的な価値が急激に向上するからだ。

サイドチェーン

Polygon(ポリゴン)などのサイドチェーンが普及してくると、NFTの価格は下がってくる。輸送費がかからないため、開発者はNFTにより高い対話性と構成可能性を組み込むことができ、その結果、本質的にNFTのソーシャル性を高めることができる。

ポケモンGOをブロックチェーン上で運用して、各ポケモンが交換したり売ったりできるNFTになっている状況を想像してみて欲しい。獲得した各ポケモンは独自の特徴を備えており、さまざまな場所で課題をクリアすることでポケモンを独自に進化させることができる。ポケモンのレベルが向上すると、そのパワーがオンチェーンでアップデートされる。ゲームを進めていくと、暗号化トークンを獲得できる。このトークンはゲームの外の世界でも価値を持っている。

音楽

2021年のNFTブームでは主に視覚的なアートが中心だったが、次の段階では、音楽が対象になる。音楽NFTは最終的にはアートよりもずっと大規模なものになると思われる。収集するものが物理的なアートであれNFTであれ、コレクターの行為を促す強い欲求は同じだ。つまり、自身の芸術的センスを相手に表現したいという欲求、個人グループを問わず自身のアイデンティティを表現したいという欲求、そして場合によっては利益を上げたいという欲求だ。

初期のNFTブームには少なからず投機的な動機があったものの、自己表現とアイデンティティを取り巻く衝動こそがアート収集を促すより基本的な原動力であると思う。そして、人が自身の特徴やアイデンティティを表現する方法として最も普及している方法の1つとして音楽がある。

TikTokミュージック動画を始めて以来、ミュージックトラックはTikTok上で共有される動画の主要コンポーネントになっている。だが、現在使用できるミュージックはごく一般的なものだ。みんな同じ曲を使うことしかできない。

お気に入りのアーティストが60秒の音楽トラックをNFTとして数量限定でリリースするようになったらどうだろう。あなたはその1つを購入して、クールなTikTokを作る。これが口コミでまたたく間に広がる。数百万人の人たちが突如としてその曲を使って独自のTikTokを作りたいと考えるようになる。しかし、使える数は100コピーだけ。あなたには毎日、その曲を購入したいというオファーがくる。販売するか手元に置いておくかはあなた次第。

ファッション

Web 2.0時代幕開けの頃、筆者は20代だったが、自分の収入をすべてファッションに使っていたものだ。おしゃれなジーンズ、かかとの高いヒール、サングラス、ハンドバッグ。良いものを身に付けたいという欲求は飽くことを知らなかった。

しかし、この10年でソーシャルな活動の大半がオンラインにシフトし、筆者のファッション支出も減少した。最近本当に欲しいものといえば、エクセサイズ関連商品を除けば、カラフルなZoomのトップくらいだ。おしゃれな洋服を購入する楽しみはすっかり薄れてしまった。

ところが先日、筆者は自分でも驚くようなことをしてしまった。自分では絶対に履かないとわかっているスニーカーを2000ドルで買ってしまったのだ。このスニーカーはNFTとしてのみ存在するため、履けないのだ。暗号資産の泥沼にはまり込んだことない人に、このような買い物をする理由を説明するのは難しいが、ほとんど狂気の沙汰であることは自分でもわかっている。だけど、昔親指が痛くなるヒールにお金を使っていたのと大差ないとは思うのだが。

ソーシャルメディアのオーディエンスがデジタル版の自己を着飾るために使うデジタル製品に大金を使う時代がやってきたようだ。既存の代表的なNFTといえば大半がゲームやアバター関連だが、大量のオーディエンスに変革をもたらす魅力的な使用例としてARフィルターがある。

Kim Kardashian(キム・カーダシアン)がカスタムのARフィルターをリリースしたらどうだろう。フェイスリフト、リップフィルター、メークアップ、ヘアスタイル、衣服、宝石などだ。どれもキム独自のものだ。これらを購入すれば、あなただけがそのフィルターで自分のTikTok動画を飾ることができる。飽きたら転売すればよい。キム、あなたのホワイトリストに私を追加してくれる?

ダイナミックなアバター

はいはい、わかってますよ。プロフィール画像を気味の悪い類人猿に変えるなんて何を考えているのかわからない、ですよね。実は私もBored Ape(ボアード・エイプ)のデジタルアートを持っている。ただし、自分のプロフィール画像に使う気にはならならず、代わりにWorld of Women(ワールドオブウーマン)の画像を使っている。どうして仕事用の顔写真の代わりに自分になんとなく似ているアルゴリズムで生成された漫画の画像を使うのかって?楽しいからだ。それに写真ではなかなか表現できない私の性格の一面を表すことができる。

ただ、私のプロフィール画像はちょっと古くさい感じになってしまった。少し動く画像だったらよかったのに。

ダイナミックさ、パーソナライゼーション、動きがNFTアバターにも取り入れられるようになってきた。セルフィーを撮ると、AIが理想のあなたに近いユニークなカスタムの3Dアバターを生成してくれる。Bitmojiに似ているが、もっと良い。人物の表情やポーズ、衣服、アクセサリーを更新することもできるし、人物を踊らせることもできる。キーボードを打つだけで自分の声でしゃべらせることもできる。これを使えば、自分の印象をうまく伝えているという実感が持てる魅力的なTikTokの投稿を簡単に作れるだろう。演技力や撮影のスキルを磨くための時間は最小限で済み、その分、自分の伝えたいメッセージの作成に時間を費やすことができる。

ダイナミックなアバターはソーシャルメディア上での自己表現を民主化する機会になるだろう。その結果、より多くのクリエーターたちが自身を表現できるようになるだろう。

Facebook(フェイスブック)が登場した当初は、ばかげていると思ったが、楽しかった。数日おきにログオンすると、親友の誕生日を知らせてくれたりするし、友人の派手なプロフィール画像につっこみを入れたりしていたものだ。その後、フィード、モバイル写真とアルゴリズム、インタグラムモデル、ラテ、完全にフィルターされた生活がやってくる。その過程で、楽しさは薄れソーシャル奴隷のようになってしまう。ほとんど知らない人たちの気分の悪くなる記事をスクロールして読んでは、お返しとばかりに醜悪な投稿をする。こんなはずじゃなかったのに。

Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏がMeta(メタ)についてのビジョンを語ったとき、みんな軽蔑の目で見ている感じだった。「ソーシャルメディアで私達の生活を台無しにした上に、今度は残された最後の物理的なつながりまで消滅させて、Matrix(マトリックス)に出てくる植物人間のようにしてしまうつもりか」と誰もが叫びたい気持ちだった。

とはいえ、賛否両論はあると思うが、私達はすでにメタバースの世界へと歩みを進めており、それは止められない。生活のバーチャル化は進む一方だ。Web3では、バーチャル世界での豊かな経験が実現される。これが空虚感の少ない、少しは人間らしいものであってくれることを願うばかりだ。

NFTおよびWeb3がもたらすあらゆるものによって、人との交流が昔のように楽しいものになるような仮想現実が創造されることを楽しみにしたいと思う。

編集部注:本稿の執筆者Prerna Gupta(プレーナ・グプタ)氏は、HookedやSmuleといったモバイルエンターテイメントアプリを立ち上げ、10億人以上の人々にリーチしてきた。現在、NFT領域でステルスプロジェクトに取り組んでいる。

画像クレジット:Iryna+ mago / Getty Images

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(文:Prerna Gupta、翻訳:Dragonfly)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】快適なメタバースの実現に欠かせないバーチャルライフの基本的構成要素

Meta(メタ)のミッションは、仕事、ソーシャルメディア、ゲームなどの異なる環境をシームレスに接続し、人々が仮想空間で実質的に生活して働くことができるようにすることだ。

これは明らかに、私たちのネットワークに重大かつ持続的な影響を与えるだろう。単に不具合なく絶えず接続されている必要があるというだけではなく、完全に没入型のコンテンツを4Kや8Kでシームレスに、低遅延かつ最小のラグでストリーミングすることが求められているのだ。

再起動、OSやアプリケーションのロード時間、ネットワークの混雑など、我々がシームレスな仮想環境にいると感じられなくなるような、あらゆる要素に気を散らされることなく、ある体験から別の体験へと移ることができなければならない。

これらを実現することを考えると、バーチャルライフとは火星に移住するのと同じくらい難しいことのように思える。

しかし、新しいバーチャルワールドへの旅を、摩擦のないものにすることは可能だ。そのためには、バーチャルライフに必要な基本的な構成要素を、確実に積み上げる必要がある。

今の私たちには、メタバースを快適に住める場所にして、バーチャルな自分たちが単に生存できるだけでなく繁栄できる場所にするチャンスがあるのだ。

帯域幅が重要

メタバースを大規模に展開するには、多くの帯域幅が必要だ。水が生命体の構成要素であるように、帯域幅なしに我々がメタバースで機能することはできない。メタバースでは、膨大な帯域幅をむさぼるアプリケーションのさまざまな要求に応えることができる高性能な接続性が必要だ。

そのような帯域幅が広く普及し、かつ手頃な価格で利用できなければならない。今のところ十分なサービスを受けていない、あるいは接続されていないコミュニティをサポートするためには、そのことが必要だ。仮想世界のビジョンは、誰もが平等に創造と探求の機会を得られることが中核として語られることが多い。しかし、メタバースでそれを実現するためには、まず現実の世界での接続性を確保する必要がある。

低遅延は空気のように必須

帯域幅は1つの重要な要件だが、相手のアバターが反応するまで数秒、あるいはそれ以上の時間がかかるようでは、メタライフは一気に苛立たしい不快な場所になってしまう。我々はすでに、スポーツのライブストリーミングやオンラインゲームで遅延にイライラすることがあるが、仮想世界に完全に没入しようとすると、この問題はさらに悪化する。

リアルタイムな反応が求められるネットワークでは、通信の遅延を減らし、信頼性を向上させるエッジコンピューティングのような技術がますます重要になってくるだろう。

仮想ハードウェア:メタバースのインフラストラクチャ

誰もが経験したことがあるはずだ。ハードウェアが壊れ、それを修理しなければならない。その間、我々はそのハードウェアによる機能がなくても、生き延びられるようになる必要がある。しかし、メタバースではこのようなことは起こり得ない。あるいは少なくとも、起こるべきではない。なぜなら、メタバースで必要とされる機能の多くは、仮想化された機能を利用するようになるべきだからだ。

インフラストラクチャ機能は、仮想マシンやコンテナコンセプトで展開し、アプリと同様、ネットワーク上で大規模かつリアルタイムに展開できるようにすることが鍵となるだろう。ルーティングやスイッチングといった従来のネットワーク機能は、完全に仮想化する必要がある。これらの機能は、簡単にアップデート、アップグレード、パッチ適用、デプロイできることが求められる。

ソフトウェア・インテリジェンス:メタバースの首長

私たちがメタバースで迅速かつシームレスに活動できるようにするためには、メタバースがソフトウェアで定義されていなければならない。それは、地方の自治体や議会が、道路の補修やゴミの撤去、交通の流れの制御をリアルタイムで行えるようにすることと同じだ。これらは一般的に、我々が知らないうちに現実の生活の中で行われていることで、それが機能しなくなってはじめて、何が起こったのかと思うような事々だ。

プログラム可能なソフトウェアの能力によって機能する自動化とAIは、ネットワークの展開を高速化し、よりアクセスしやすく、適応性の高いものにするための鍵を握る。

適応性の高い仮想プログラマブルネットワークは、物理的なトラックロールを必要とせず、障害を特定して自己回復することができる。また、計算能力、ストレージ、帯域幅などのリソースを、メタバース内の十分に活用されていないエリアから引き出して、一時的に他の部分の活動を活発化させたり、必要に応じて自動的に元に戻すこともできる。

今後数年間、私たちはメタバースについての話をたくさん耳にすることになるだろう。しかし、いかなるユースケースの革新も、必要なネットワークの革新なしには実現しない。ソフトウェアで制御された、大容量かつ低遅延の接続性を提供する適応型ネットワークは、将来のメタバースにとって、現在のクラウドアプリケーション以上に重要な基盤となるだろう。

かつてFacebookとして知られていたアーティストが、人を温かく迎えるメタバースを構築するための構成要素はすでに存在している。そして、メタバースの出現を利用しようとする技術開発者たちの中で期待される技術革新の高まりにより、このようなテクノロジーが進化し続けることで、Metaはますます多くの世界構築ツールを手に入れることになる。

つまり、 バーチャルユニバースを構築することは簡単ではないが、適切なネットワークインフラへの投資と技術革新によって、現実に近づけることは確かに可能なのだ。

編集部注:本稿を執筆者Steve Alexander(スティーブ・アレクサンダー)は、ネットワークシステムとソフトウェアを提供するCiena(シエナ)のSVP兼CTO。同社は世界中のオペレーターやコンテンツプロバイダーと提携している。

画像クレジット:NJankovic / Getty Images

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(文:Steve Alexander、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

FTCがMetaのVR事業を独占禁止法違反で調査中との報道

Metaに対するFTC(米連邦取引委員会)の反トラスト訴訟が、今週初めに重要なハードルをクリアしたことに続き、この同委員会はさらに、MetaのVR事業に対しても強い関心を寄せているようだ。

Bloombergの記事によると、FTCと複数の州の司法長官は、Metaのバーチャルリアリティ部門を「反競争的行為の可能性」で調査しているという。ニューヨークが州レベルの調査を主導しているとされ、MetaのVR体験のためのアプリを開発する外部のソフトウェア開発者とチャットしているとのこと。

記事によると、州と連邦の職員たちは、同社がどのようにして、反競争的な行いに関わり、VR市場における競争を妨害したかを調べている。職員たちはまた、同社がVRヘッドセット「Quest 2」の価格をどのようにして下げ、それを消費者にプッシュして競争をブロックしたかについても、関心を持っている。

FTCがMetaのアプリストアとハードウェア、ソフトウェアを調べている事実は、同社の買収案件が、次の時代のインターネットビジネスを定義する道標になるかもしれないこの反トラス訴訟における、唯一の視点ではないことを示唆している。

2021年12月、The InformationはFTCがMetaが申請しているVRフィットネスアプリ「Supernatural」の買収、その4億ドル(約456億9000万円)を超える取引を調べていると報じている。

今週初め、ある判事は、FTCがMetaの子会社であるFacebookに対して行っていた大規模な反トラスト法違反訴訟を継続できると判断し、これを阻止しようとする同社の取り組みを拒否した。2021年12月、Facebookは裁判所に訴えの却下を求め、ビッグテック解体推進派のLina Khan(リナ・カーン)FTC委員長に退陣を迫っていた。

FTCはその訴訟で、Facebookがソーシャルメディア分野のライバルを押さえ込むために市場力を乱用していると非難し、親会社のMetaにInstagramとWhatsAppを売却させるよう裁判官に求めるところまで踏み込んでいる。

「しかし、これらの理論を補強するために今回主張された事実は、特に被告が主張する独占の輪郭に関して、以前よりもはるかに強固で詳細である」とJames Boasberg(ジェームズ・ボースバーグ)連邦地裁判事は記している。

「……FTCは、その主張を証明するために、この先、困難な課題に直面する可能性がありますが、裁判所は、現在、弁論の要件をクリアし、証拠開示に進む可能性があると考えている」と述べている。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

セカンドライフの生みの親が元祖メタバース企業Linden Labの顧問として戻る

最も初期の、そして最も永続的な象徴である仮想世界の生みの親が、自らのルーツに戻ろうとしている。「Second Life(セカンドライフ)」の創始者Philip Rosedale(フィリップ・ローズデール)氏は、2013年に同氏が共同設立した空間オーディオ企業High Fidelity(ハイ・フィデリティ)がSecond Lifeの開発会社Linden Lab(リンデン・ラボ)に投資した後、1999年に設立した同社に戦略顧問として再参加する予定だ。この取引には、不特定の現金投資、関連特許、開発チームの一部メンバーが含まれている。

ローズデール氏はプレスリリースで「Second Lifeのような仮想世界の構築には、誰も近づいていない」と述べている。「大企業がVRヘッドセットを配り、広告主導の行動変容型プラットフォームでメタバースを構築しても、魔法のような、誰もが楽しめる単一のデジタルユートピアは生まれないでしょう。Second Lifeは、住人にポジティブで豊かな体験を提供し、さらに数百万人が参加する余地があり、同時にサブスクリプションベースのビジネスの構築を成功させたのです。仮想世界はディストピアである必要はないのです」。

Meta(メタ)のような企業がメタバースに対する独自のビジョンを打ち出すなか、ローズデール氏は、広告ベースのソーシャルネットワークからビットコインの採掘作業で発生するエネルギーが環境に与える影響まで、現在のオンライン生活を支えるいくつかの力学を声高に批判し続けている。

年代的に、Roblox(ロブロックス)のユーザーで、Second Lifeを詳しく知っているという人は少ないかもしれないが、ローズデール氏の仮想社会プラットフォームは、ごく最近になって「メタバース」という括りで注目されるようになった概念の多くを先駆けて生み出した。Second Lifeは、Facebookがエリート大学の学生をつなぐためだけに存在していた2000年代初頭に、デジタルアイデンティティ、仮想不動産、デジタル経済、オンライン・マルチプレイヤーエコシステムといった概念を探求していたのだ。

同社によると、ローズデール氏はすでにLinden LabのBrad Oberwager(ブラッド・オバーワガー)会長と定期的に連絡を取り合っているが、新しい顧問としての役割で、このプラットフォームの製品計画への関与を大幅に深めることになるとのことだ。また、High Fidelityの現在の仕事は、セカンドライフの第二の人生と極めて密接な関係を保っている。最近、多くのソーシャルプラットフォームが、より没入感のある体験を生み出すために空間オーディオを追加したが、そのうちのいくつかは、クラブハウスのように、それを実現するためにHigh Fidelityのコードをライセンス供与しているのだ。

「フィリップが1999年にセカンドライフを始めて以来、その先見性のあるアプローチは時の試練に耐えただけでなく、未来に向けた位置づけを確率してきました」と、オバーワガー氏は述べている。「彼とHigh Fidelityのチームは比類のない経験を持っており、私は目の前の大きなチャンスを生かすのが待ちきれません」。

ローズデール氏が復帰したことで、Linden Labは、その早期参入マジックに足を踏み入れる興味を持ったようだ。しかし、Second Lifeが再び注目を浴びるには、まだまだ長い道のりがある。FortniteのメーカーであるEpic(エピック)、Roblox、Meta、その他無数の大手企業が、際限なく儲かる仮想商品を提供し、デジタルアイデンティティが住む仮想世界の近い将来(人によっては間違いなく現在と捉えることも)に大きく賭けている。ローズデール氏独自の視点は、現在いくつかのプラットフォームが提供しているメタバースの片鱗を真似するようなことはしないだろう。そのため、20年間この問題について考えてきた人物が、多くの企業が突然私たち全員が移行することを強く望んでいるこの仮想世界というものをどう描いていくのか、興味深いところである。

画像クレジット:PATRICK KOVARIK / Staff / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フードデリバリーDoorDashの共同創業者・CEOがMetaの取締役に就任

Doordash(ドアダッシュ)の共同創業者・CEOであるTony Xu(トニー・シュー)氏がFacebook(フェイスブック)の親会社Meta(メタ)の取締役に就任したことを米国時間1月11日に同社が発表した。シュー氏は2013年以来DoordashのCEOを務め、2020年11月には取締役会長に任命された。Metaは、シュー氏の就任は即時に発効されるという。シュー氏の就任によりMetaの取締役会は総勢10名となった。

「何百万もの地域商店がMetaのツールを使って成長し、日々の業務を遂行しています。会社が次のステージへと進む時に取締役として仕事ができることを楽しみにしています」と発表を伝えるプレスリリースでシュー氏が語った。

この日の発表は、ここ数年Metaが商取引に大きく力を入れ、Facebook、Instagram(インスタグラム)、WhatsApp(ワッツアップ)など同社の傘下アプリ全体でさまざまなショッピング機能を導入していることを受けたものだ。同社は、ショッピングやeコマース機能を自社プラットフォーム内で直接提供することによって、ユーザーがアプリを離れないようにすることに焦点を当てている。

声明の中でMetaのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、シュー氏が商取引における複雑な問題を解決した経験を持っていることを説明し、同社がメタバースを構築する上でシュー氏の体験を活用するつもりであることを話した。商取引はメタバースで重要な役割を演じることから、シュー氏はその方面で取締役会に助言する可能性が強い。

「トニー(シュー氏)は、何百万もの人たちに、何十万というレストランや商店の食品その他の商品を届けるすばらしいサービスを作り上げました」とザッカーバーグ氏が声明で語った。「私は優れたテック・リーダーを取締役会に迎えることが重要であると常々考えていましたが、トニーにはテック企業経営と商取引の複雑な問題解決の両方での直接体験があります。当社がメタバース構築へ向かう中で、彼の見識から学んでいくことを楽しみにしています」。

Metaの取締役には、ザッカーバーグ氏の他、PayPal(ペイパル)のグローバルセールス担当執行副社長Peggy Alford(ペギー・アルフォード)氏、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同ファウンダーMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏、Dropbox(ドロップボックス)の共同ファウンダー・CEOであるDrew Houston(ドリュー・ハウストン)氏、McKinsey and Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)の元シニアパートナーNancy Killefer(ナンシー・キレファー)氏、MetaのリードインディペンデントディレクターでWilmerHale LLP(ウィルマーヘイルLLP)のシニア国際法務顧問Robert Kimmitt(ロバート・キミット)氏、Metaの最高執行責任者Sheryl K. Sandberg(シェリル・K・サンドバーグ)氏、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)のマネージングディレクターPeter Thiel(ピーター・ティール)氏、およびThe Estée Lauder Companies(エスティ・ローダー・カンパニーズ)の執行副社長兼CFOであるTracey T. Travis(トレーシー・T・トラビス)氏がいる。

画像クレジット:Meta

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

【コラム】CES 2022で、メタバースはメタバースをメタバースした

CESを前にして、CES 2012のトップテックを振り返る記事を書いた。10年前のバズワードを思い出すなど、その執筆はさまざまな理由から興味深いものとなった。

その年は、LTEとUltrabookが上位だった。一方は広く長く普及しているが、もう一方はそれほどでもなかった。つまり、その年のCESでの話題の大きさは、その寿命を表すものではない。2012年半ばには、Ultrabookの死が本格的に語られ始めていた。

2022年のCESでは、会場に人の気配はなかったが、見たところ数メートルも歩けばメタバースに行き当たりそうな雰囲気だった。FacebookがMetaにブランド名を変えてから2カ月ほど、CESのような展示会では、企業は良い製品と同じくらい良いフックに投資している。それは理解できる。例えば、Samsung(サムスン)やHyundai(ヒュンダイ)といった企業でなければ、目立つことは難しい。

中小企業の具体的な話は割愛する。Twitterのスレッドでは前述のメタにかなり精通したものだった。正直なところ、私は、スタートアップがその輝きを少しでも得ることを期待しており、それを台無しにしたくない(「Goart Metaverse」という言葉は、私が地球上で最後の瞬間を迎え、脳内にDMTが出るまで、私の精神に入り込んでいくものだ)。

CESが始まる前に、メタバースとは何であるかを知らなかった人にとって、今回のショーはあまり良いものではなかったが、メタバースには間抜けな顔のミー文字とVR機器がおそらく含まれているという事実だけは確かだ。そして、このワードをタイプしている今、おそらくメタバースの説明としてはこれ以上ないほど適切だということもわかった。

画像クレジット:Hyundai

Hyundai(現代自動車)は、CES 2022で、ロボティクスとメタバースを通じて「『人間の可能性を広げる』新たなメタモビリティコンセプトのビジョンを共有する」という同社のプレスリリースを受け取ったことが、私を突き動かしたのかもしれない。あるいは、Boston DynamicsのSpotが火星で奇妙なメタバース人形たちと一緒に過ごしている映像が添付されていたせいかもしれない。実際の火星に実際のロボットを送り込むという、SFの枠を超えた映像が、メタバースを軸に展開されているのはシュールだった。

Hyundaiのコンセプトは、メタバース的な交流のためにBoston Dynamicsのような先進的なロボットを、現実世界のアバターとして機能させるという、何とも興味深いものではないが、自動車会社である同社でさえ、このコンセプトを将来性を託しているかを物語っている。一方、Samsungは、本物が登場するまでのその場しのぎのメタバース(betaverse?)を提供した。そこは同社プロダクトの「バーチャルショーケース」となっていて、少なくともラスベガスに出向いてメタバースを実際に見せてもらうという皮肉を回避できた。

Samsungは次のように述べている

念願のライフスタイルテレビ、生活を豊かにする家電製品、スタイリッシュな最新スマートフォンが手に入りました。では、それらの革新的な製品を使って、自宅を飾ることができるとしたらどうでしょう?

これは興味深いシナリオであり、メタバースが稼働し始めれば現実のものとなる。Samsungは、メタバースでさまざまなイノベーションを起こしており、CES 2022に興味を持った人たちがオンラインでこのイベントを体験できるオプションを用意しました。

メタバースに対して強気な人たちの間では、混乱が起こっているのだろう。美容ブランドからウェアラブルまで、あらゆるところで。「メタバース」というコンセプトにまつわるこれほどの興奮を目の当たりにすると、希望に満ちた気持ちになると同時に、ダメなメタバースも現れ始めていることもいらだたしい。メタバースが確立する前に、メタバースがすべての意味を失ってしまわないだろうか。あなたのメタバースは、私のメタバースと同じくらい良いものだ。

画像クレジット:Samsung

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

実物大の3D製品イメージで消費者のショッピング体験を向上させるAvataarが52億円調達

eコマースの顧客の大多数は、購入前に商品を見ておきたいと思っている。かつてAmazon(アマゾン)のような企業が、ファッションや家庭用品のオンライン化に苦労してきたのはそのためだ。サンフランシスコとベンガルールを拠点とするスタートアップがこの問題を解決しようとしており、事業規模拡大のため、このほど新たに資金を調達した。

AIとコンピュータービジョンのスタートアップであるAvataar(アバター)は、現地時間1月7日にシリーズBで4500万ドル(約52億円)を調達したと発表した。このラウンドはTiger Globalがリードし、既存の投資家からSequoia Capital Indiaが参加した。6年の歴史を持つこのスタートアップは、創業者兼最高経営責任者から初期に調達した金額も含め、これまでの資金調達ラウンドで約5550万ドル(約64億円)を調達した。

Avataarは、消費者直販ブランドやeコマースマーケットプレイスが製品を3D表示し、コンシューマージャーニーを形成する支援を行う。企業はAvataarのプラグアンドプレイ技術を自社システムに組み込むことができる。顧客は携帯電話のカメラを使い、リビングルームにいながら、製品の実際の大きさと雰囲気を視覚化することができる。

Avataarの創業者で最高経営責任者のSravanth Aluru(スラバント・アルル)氏はTechCrunchのインタビューで、家具や大型家電などのカテゴリーで上位2社のeコマース・マーケットプレイスを含む数多くの企業と現在提携していると述べた。同氏は、守秘義務契約を理由に、顧客企業名の公表を断った(Samsungや Pepperfryなど、Avataarとの提携を公に認めている企業もある)。

アルル氏はデモで、提携するeコマースマーケットプレイスのアプリから、ソファや机などいくつかの製品を、自分のリビングルームにドラッグ&ドロップし、家の中でバーチャルアイテムの位置を変えずに色やアイテムを変更してみせた。アイテムをインタラクティブにすることもできる。例えば、冷蔵庫をバーチャルで再現すると、ユーザーはドアを開けたり閉めたりすることができる。

ブランドは、Avataarのサービスを利用するために何か大きな変更を加える必要はない。商品画像の解像度が1080p以上であれば、Avataarがバーチャル3D版を作り上げることができるとアルル氏は話す。消費者側でも、近年発売されたiPhoneやAndroidスマートフォンなら、バーチャルオブジェクトの表示やインタラクションをサポートする計算能力とグラフィックパワーを備えている可能性が高いという。

「カメラがホームスクリーンであることを考えると、エンゲージメントの時間を著しく長くとることができます。ブランドの売り上げへのコンバージョンは3.5倍以上になっています」と同氏は語る。同社は、エンゲージメント情報を提携ブランドに提供する。提携ブランドは、顧客によりよいサービスを提供するため、さらにパーソナライズする。

アルル氏は、この技術がもたらす利点を認識し、採用する企業がますます増えてきているという。この傾向は、今後ますます強まることが予想される。

ブランド名は明かさなかったが、いくつかのスマートフォン企業はAvataarの技術を利用してバーチャルローンチを行ったという。「当社は現在、ほとんどのプラットフォームに統合されています。もし、大容量のサービスで3Dを見ているなら、それは我々が提供したものである可能性が高いと思います」と述べた。

Avataarの創業チーム。左からMayank Tiwari(マヤンク・ティワリ)CBO、Sravanth Aluru(スラバント・アルル)CEO、Prashanth Aluru(プラシャント・アルル)取締役、Gaurav Baid(ガウラブ・バイド)CPO(画像クレジット:Avataar)

2025年までに、世界人口の75%近くと、ソーシャルアプリやコミュニケーションアプリを利用するほぼすべての人が、頻繁にARを利用するようになると、Snap(スナップ)はDeloitte(デロイト)と協力した最近のレポートで述べている。同レポートによると、ARを使って買い物をする顧客はすでに1億人を超えているという。

アルル氏は、メタバースが浸透していくなかで、同社は最前線に立つための準備をしており、この分野のいくつかの主要なプレイヤーと関係を持っていると述べた。

「メタバースはすでに存在しています。Avataar.meは、最大手のブランドに規模を創造する能力をもたらし、商売を実現する道を切り開いています。ARやVR環境において非常に有望なアプリケーションです」と、Sequoia IndiaのマネージングディレクターShailesh Lakhani(シャイレーシュ・ラカーニ)氏は声明で述べた。

「スラバント、ガウラブ、マヤンクと一緒に仕事をするのは楽しく、Sequoia Capital Indiaは、彼らのシリーズBラウンドに再びコミットすることをうれしく思います」。

業界の推計によると、デジタルおよびデジタルに影響される市場は、2025年までに18兆ドル(約2090兆円)に拡大し、2Dから3Dへのコマースシフトを推進する基盤としてのプラットフォームに対し、今後10年間で500億ドル(約5兆8000億円)を超える収益化の機会を提供すると予測されている。

「史上初めて、ライブカメラ映像により、消費者の物理的な現実を検知、理解、拡張、操作することができるようになりました。当社の特許取得済みのAI・CV機能はメタバース全体の進化に適用可能ですが、先行して消費者のショッピング体験の再定義に着手しました」とアルル氏は話す。

「このプラットフォームは、自宅のモバイルデバイスやARメガネ・ウェアラブルを通して、あるいは実店舗であっても、デジタル化されたカタログという無限の通路を見て回る消費者のショッピング体験を変革します」。

Tiger GlobalのパートナーであるEvan Feinberg(エバン・ファインバーグ)氏は声明で次のように述べた。「消費者はより良いeコマース体験を求め続けています。Avataarが生み出した革新的な技術は、この需要に応えるための強力なプラグアンドプレイ・ソリューションを顧客に提供しています。デジタル世界が2Dから3Dに移行する中、Avataarとその有能な経営陣は、この急成長市場において好位置につけています」。

画像クレジット:Avataar

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

現代自動車、メタバースにボストンダイナミクスのロボット「Spot」を送り込む

現代自動車(Hyundai)がロボット開発に壮大な野心を抱いていることは確かだ。これまで現代自動車は積極的に資金を投入していて、特にロボットのパイオニアであるBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)の買収には10億ドル(約1160億円)以上を費やした。

今週開催される同社のCESにおけるプレゼンテーションでは、予想どおり、ロボットが中心的な役割を果たしている。2021年12月、現代自動車は、4輪モジュラーモビリティプラットフォームのスニークプレビューをMobile Eccentric Droid(モバイル・エキセントリック・ドロイド)という形で公開した。そして米国時間1月4日は、新しい「メタモビリティ」コンセプトに基づいて、将来に向けたより幅広い計画を発表した。

現代自動車は今後、その戦略についてより多くの情報を公開する予定であり、私たちは実際にどのようなものになるのかを知るために、何人かの幹部に話を聞くことを予定している。とりあえず、今回は「Expanding Human Reach」(人間の手の届く範囲を拡大する)という表題のもとに、バーチャルリアリティのメタバースにおけるモビリティとロボティクスの役割を模索するという大枠のアイデアが提示された。この早期の段階では、宣伝用コンセプトと実用性を切り離すのは難しいが、主な要素は、VRインタラクションの世界でハードウェアに現実世界へのプロキシのような役割を果たさせることようだ。

画像クレジット:現代自動車

現段階では、ずっとVRアプリケーションの根本的な問題となっていた、タンジビリティー(可触知性、実際に触った感覚を得ること)の欠如に関係する大きな成果がありそうだと言っておこう。現代自動車グループのChang Song(チャン・ソン)社長はこう語る。

「メタモビリティ」の考え方は、空間、時間、距離がすべて無意味なものになるというものです。ロボットをメタバースに接続することで、私たちは現実世界と仮想現実の間を自由に行き来できるようになります。メタバースが提供する「そこにいる」ような没入型の体験からさらに一歩進んで、ロボットが人間の身体感覚の延長となりメタモビリティによって日常生活を再構築し、豊かにすることができるようになります。

近い将来には、このような技術を利用して遠隔操作で製造ロボットを制御することが十分考えられる。これは、トヨタが以前から取り組んでいる「T-HR3」というシステム探求しているものだ。現代自動車によると、Microsoft Cloud for Manufacturing(マイクロソフト・クラウド・フォー・マニュファクチャリング)は、このような遠隔操作のためのゲートウェイとして利用することが可能で、このような実用的な機能を果たすシステムを想像するのは難しくないという。

画像クレジット:現代自動車

他のアプリケーションは、まだ先のことになる。現代自動車のプレスリリースによると「例えばユーザーが外出先からメタバース上の自宅のデジタルツインにアクセスすることで、アバターロボットを使って韓国にいるペットに餌をあげたり、抱きしめたりすることができるようになります。これにより、ユーザーはVRを通じて現実世界の体験を楽しむことができます」とのことだ。

このような考えは現時点ではほとんど概念的なもののようだが、現代自動車は今週開催されるCESで、最終的にはどのように見えるかのデモを提供している。新型コロナウイルスが急増する中で、TechCrunchだけでなく多くの人たちがバーチャルで展示会に参加していることを考えると、少なくとも将来的にリモートオペレーションがどのように役立つかを想像するのは簡単だ。

無生物や移動にロボットを導入する

現代自動車は、CESですべての時間をメタバースに費やしたわけではない。また「New Mobility of Things」(ニューモビリティオブシングス、モノの新しい移動方式)と題して、ロボットを使って大小の無生物を自律的に移動させるコンセプトを紹介した。

この「New Mobility of Things」のコンセプトのもとに発表されたのが「Plug & Drive」(プラグアンドドライブ、PnD)という製品だ。この一輪ユニットには、インテリジェントなステアリング、ブレーキ、インホイール電気駆動機構、サスペンションのハードウェアに加えて、物体を検知して周囲を移動するためのLiDARとカメラのセンサーが搭載されている。

このPnDモジュールは、例えばオフィスのテーブルのようなものに取り付けられるようになっている。ユーザーは、こうしたテーブルに対して自分の近くに移動するように命令したり、オフィスでより多くのスペースを必要とする特定の時間にそのテーブルを移動するようにスケジュールすることができる。

現代自動車の副社長でロボット研究所長のDong Jin Hyun(ドン・ジン・ヒョン)氏は「PnDモジュールは、人間のニーズに合わせて適応・拡張が可能です。というのも、これからの世界では、あなたがモノを動かすのではなく、モノがあなたの周りを動き回るようになるからです」と語る。「PnDは、通常は動かない無生物をモバイル化します。この能力があるからこそ、実質的にあらゆる空間を変えることができるのです。必要に応じて空間を構成することができます」。

現代自動車は、待っているバスへ人を運ぶためのパーソナルトランスポートシステムなど、PnDのさまざまな応用例を紹介した。4つの5.5インチ(約14センチ)PnDモジュールを搭載したこのポッドは、そのままこの「マザーシャトル」に合体する。

画像クレジット:現代自動車

理論的には、バスが止まると、(中に座っている人間を乗せた)ポッドが目的地までの最後の移動を行うことになる。

現代自動車がビデオで紹介したアイデアは、高齢の女性がポッドに乗り込んで待っているバスに移動する前に、1台のPnDが杖を彼女に届けるというもので、高齢者を直接ターゲットにしている。しかし、もしこれが仮に実現したとすれば、車道に1人乗りの大きな車を大量に増やすことなく、ファーストマイルとラストマイルの公共交通機関を提供するために使用することができる。

また現代自動車は「Drive & Lift」(ドライブアンドリフト、DnL)と呼ばれる、モノを持ち上げるためのモジュールも披露した。現代自動車は、DnLをそのMobED(Mobile Eccentric Droid)というロボットと組み合わせた。DnLはModEDの各ホイールに取り付けられており、上下に持ち上げることができ、ロボットが段差やスピードバンプなどの低い障害物上を移動しても水平を保つことができる。

画像クレジット:Hyundai

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

ヘビーなメタバースを楽しむ人向け、軽量メガネ型VRヘッドセットや冷温デバイスなどをShiftallが発表

昨年、注目を集めたメタバース。2022年はさらに多くの関心が寄せられ、新たなサービスなど登場すると思われる。テック業界におけるこれからの動向を占うCES。リアルでの参加を見送る企業も増えているが、それでも各社から最新製品が登場するだろう。

日本のShiftallは1月4日、VRヘッドセット「MeganeX(メガーヌエックス)」、ウェアラブル冷温デバイス「Pebble Feel(ぺブルフィール)」、メタバース対応音漏れ防止機能付きマイク「mutalk(ミュートーク)」の3製品を発表した。

MeganeX

「MeganeX」はSteamVRに対応した超高解像度・超軽量のVRヘッドセットだ。メタバースで多くの時間を過ごすヘビーなVRユーザーが、今、求めている「軽さ」を追求した本製品は、ゴーグルタイプではなくメガネ型で重量は約250g(Oculus Quest 2は503gなので半分以下)。スピーカー内蔵の折りたたみフレームになっており、長時間装着しても疲れづらく、収納、携帯も楽になっている。

リフレッシュレート120Hzの5.2K/10bit/HDRのディスプレイを採用。6DoFに対応し、SteamVR対応するVRアプリケーションを楽しめるとのこと。

ウェアラブルデバイス「Pebble Feel」は最低9℃から最大42℃まで人体を冷やしたり、温めたりできるパーソナルエアコンだ。

Pebble Feel

専用シャツに装着することで接触する首元を霊薬、加熱し厳しい季節を快適に過ごせるのはもちろん、専用のSteamVR用アドオンを利用することで、VRChatといったメタバース空間で熱さや寒さを体験することもできるようになる。

mutalk

「mutalk」はメタバース対応の音漏れ防止機能付きBluetoothマイク。メタバースはオンラインゲームでのボイスチャットに最適だ。専用バンドで顔に固定することもできるためハンズフリーで会話も可能となっている。

MeganeXは販売予定価格税込10万円未満、Pebble Feelは2万円前後、mutalkは2万円前後となっている。MeganeXとPebble Feelは2022年春、mutalkのみ2022年夏の発売予定とのこと。いずれの製品もパナソニックと協業開発し、Shiftall製品として発売される。

まだ3製品は米国時間1月5日に開催されるCES 2022で出展される。

画像クレジット:Shiftall

テクノロジーの最も「ダサかった」瞬間を振り返る

2021年、テクノロジーは大きく進歩した。mRNAワクチンの普及! 小惑星軌道変更ミッション!物議を醸すノッチ付きの非常にパワフルなノートパソコン!しかし室内農業ロボットに驚嘆したことを思い出すよりも、最も困惑するような出来事を思い出す方が残念ながら簡単だ。

さあ、チューチューチューギートレインに跳び乗ろう。なお、お断りしておくが以下話題にするのは、イーロン・マスク氏が2021年にツイートした内容をまとめたものではない。

(訳注:「チューギー/Cheugy」とはネットスラングだが、基本的には「ダサい」「時代遅れ」「単純」といったニュアンスがある、この記事ではもっぱら「ダサい」に近いニュアンスで使っている。しかし日本語の「ヤバい」が肯定的な意味も否定的な意味も持つように「チューギー」も文脈によって肯定的もしくは否定的な意味を持っている)。


FacebookはMetaへ

関連記事:フェイスブックが「Meta」に社名変更、メタバースを中核事業に

2021年、最大かつ最も愚かなリブランディングは争う余地なくFacebook(フェイスブック)のリブランディングだ。最も知名度の高い企業の1つが無数の人びとに与えた取り返しのつかない決定や損害から目をそらす「メタバース」に焦点を合わせるためにMeta(メタ)に社名を変更した。このようなことは誰も頼んでいないし、誰もFacebookに主導権を握らせたいとも思っていない。

これをBlockしよう

関連記事:元Twitter CEOドーシー氏のSquareが「Block」に社名変更

2021年、歯ぎしりしたくなるようなリブランディングを行ったのは、Metaだけではない。さて、次にご紹介するのは……Block(ブロック)だ。もともとはSquare(スクエア)という会社だったスモールビジネスの王者だが、同社の四角い(スクエアな)カード読み取り装置は有名だった。現在、Blockは、新しい名前とアイデンティティのためにブロックチェーンを利用しているが、どうやらBlockの狙いはそれだけではないようだ。同社によると、それはブロックパーティ(コミュニティ作り)、コード開発、克服すべき障害物、そして「もちろん、タングステンキューブ 」(詳しくはこちら) にも関係しているという。おいおいジャック(BlockのCEOであるジャック・ドーシー氏のこと)ちょっと待ってくれ!H&R Block(H&Rブロック)はすでにBlockを商標権侵害で訴えている。名前はもちろんロゴのブロック、グリーンの配色などが、どれもちょっと似すぎている気がするからだ。そしてなにより税務申告準備で有名なH&R Blockは、中小企業向けの会計サービスや消費者向けのモバイルバンキングなど、Squareの…もといBlockのようなフィンテックサービスも販売しているからだ。どちらが先に手を引くか、落ち着くことができるのかは想像がつかない。

サタデーナイトマスク

「みなさんは腰をおろした方が良いかもしれません、私のいうことで少し腰を抜かすかもしれませんので」このセリフは、マスク氏がサタデーナイトライブ(SNL)内のコント「Gen Z Hospital」で医師役を演じたときのものだが、彼にしてみれば精一杯頑張ったものだろう。イーロン・マスク氏は、彼の後を追って一攫千金を狙っている世界中のファンたちの大部分をうまく騙してきたかも知れないが、結局のところ、このやり方はサタデーナイトライブでは通用しなかった。彼は俳優ではないし、さほどおもしろいわけでもない。世界有数の大金持ちであり、ソーシャルメディア上の主要なセレブであるという大きな力を持ってしても、彼のSNLのホスト役は…独りよがりで、でくのぼうで、退屈で、気まずい不発弾だった。そもそも、なぜ/どのように彼が注目を集めることになったのかには、疑問が残る(とはいえ、私はいつでも彼についてはそう思っているのだが)。

NFTオーナーのみなさん、ご機嫌はいかが?

関連記事:始まる前から終わっていた6人のベストセラー作家によるNFTの世界「廃墟の王国」の顛末

NFTのゴールドラッシュは、普段なら頭のいい人たちに残念なやり方でNFTを導入させようとした。数多くの企業がNFTに関連したプロジェクトを発表した。例えば、ファン作成のストーリー、ゲーム内アイテム、Discord絡みの何か(?)などをトークン化するなどだ。だがこの興味深い、しかし現時点では非常に疑わしい技術に対する、インターネット上での一般的な懐疑的意見を読み取ることができていなかったため、各社は大慌てで、場合によっては発表や噂のわずか数時間後に後退した。文字通り、誰もがダメなアイデアだと言ったはずだ。次の機会があったら質問してみると良いだろう。

ベゾス氏は、宇宙に向けて発射したお金を払ってくれた全員に感謝している

画像クレジット:Joe Raedle / Getty Images

Blue Origin(ブルー・オリジン)とVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)による、初の「本物」の宇宙旅行をめぐる執拗な自己満足の騒動は、非常に疲れさせるものだった。ブランソン氏の会社が不透明な運用をしていたことで評判を落としたことや、ベゾス氏が巨大な帽子で不評を買ったことには多少溜飲も下がったが、ベゾス氏にとって最高の見せ場は、倫理的に破綻した彼の巨大企業で世界中の人に買い物をしてもらったことで、彼の自尊心を満たす旅の資金が得られたことを、トンチンカンな感謝の言葉として述べた瞬間だった。「Amazonの従業員のみなさん、そしてAmazonのお客様に感謝したいと思います。なにしろみなさんが、この費用を支払ってくれたのですからね」。彼はきっと一言一句を本気で言っているのだろうが、だからこそ最悪なのだ(また、ベゾス氏にイメージを台無しにされたカウボーイハットも哀れだ)。

Blue Originのイチャモンが次の月面着陸を遅らせることに

Blue Originは、ライバルのSpaceX(スペースX)にHuman Landing System(有人着陸システム)契約で大敗した後、不適切な行為があったとしてNASAを訴えた。同社の主張は非常に恥ずかしい形で却下されたが(NASAは業界全体を前にして同社を徹底的に非難した)、長大な手続きを経る必要に迫られたことで、2024年に予定されていた有人月面着陸は2025年に延期された。公平を期すために言っておくなら、皆がそうだと思ってはいたが、Blue Originは自身を完璧なスケープゴートに仕立てたのだ。この失態により、NASAとの関係は永久に悪化したかもしれない。これはBlue Originの唯一の資金源がNASAであることを考えると良い知らせではない(もちろん「Amazonの従業員のみなさん、そしてAmazonのお客様」は別勘定だが)。

OnlyFansの自粛

私たちはOnlyFansが何のためにあるのかを知っているが、とりわけセックスワーカーたちが自分自身で収益を上げることができるプラットフォームを手に入れることができたのはすばらしいことだ。しかし、プラットフォームをにぎやかな場所にしてくれた人たちが、今後は禁止されることが突然発表された。さようなら、お元気で!ということだ。だがその反発はすさまじく、上品ぶった銀行を理由としていたその決定は、納得が得られないまま1週間で覆された。教訓。自分を養ってくれている手を噛んではいけない(健全なファンタジーの一環としてその手が同意している場合は別だが)。

ドナルド・J・トランプ氏のデスクより

トランプ氏のソーシャルメディアとの激しい関係は、ここで扱うにはあまりにも重すぎる問題だが、その中でも知っておくことに価値がある一面がある。それは、短命に終わった「ソーシャル」プラットフォーム「From The Desk of Donald J. Trump」(ドナルド・トランプの机から)だ。この素朴なマイクロブログは、彼があらゆる主要なソーシャルメディア・ネットワークから排斥されたあと登場したが、最小限の機能しか持たず、アクセス数も少なかったために、1カ月も保たずに閉鎖されてしまった。それは明らかに、彼のメディアチームが、今度はMastodonのコードを借りて、次作のTruth Social(トゥルースソーシャル)を作ることに集中するためだった。しかしそれすらも、2021年の後半に私たちが見ることになった必死のピッチデッキやSPACの前段階に過ぎなかった。よく言われるように、最初に大失敗したら、あきらめず失敗して、また失敗せよだ。(訳注:英語には「最初に失敗しても、あきらめず挑戦して、また挑戦せよ」という諺があるのだがここではそれをもじって皮肉っている)。

上院議員が、Facebookの担当者に「フィンスタ(裏アカウント)をなくすと約束して欲しい」と要請

現在、Facebookの内部告発者として知られるFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏は、雇用主だったFacebookから膨大な内部文書を流出させた。その中には、Instagram(インスタグラム)が10代の少女たちに悪影響を与えていることを認識していることを示す文書も含まれていた。その直後、Facebookのセキュリティ部門のグローバル責任者であるAntigone Davis(アンティゴーン・デイビス)氏が上院に召喚され、子どもたちのインターネットの安全性について証言を行った。

75歳のRichard Blumenthal (リチャード・ブルーメンタール)上院議員(民主党/コネチカット州)は、若者が親に隠した秘密のアカウントを使うことを心配していた。

上院議員は「フィンスタ(finsta、裏Instagramアカウントのこと)をなくすと約束できますか?」と問いかけた。

デイビス氏は辛抱強く「上院議員どの、説明させて下さい。私たちが実際にフィンスタというものを提供しているわけではありません。フィンスタとは、若い人たちがより強いプライバシーを確保したいと思って設定したアカウントのことなのです」と答えた。

Facebookの流出した福利厚生登録動画

2021年1月6日の暴動を止めるために十分なことをしなかったという大量の非難を受ける中で、Facebook(現在の呼び名はMetaだが)で働くのは大変だろう。しかし、福利厚生に加入しなければならない場合でも、Facebookで働くのは大変かもしれない。

ハウゲン氏がリークしたファイルには、かなりひどい内容が記されているが、メタバースの支配者に対する信じられない気持ちを少しでも味わってみたいひとは、このビデオを観て欲しい。Facebookには充実した福利厚生があるに違いない。なにしろ1兆ドル(約115兆円)の巨大テクノロジー企業なのだから。だがこんな振り付けダンスが関わっているとしたら、補助金を受けるだけの価値があるのだろうか?

NFTはゲートキーピングにも向いていない

Bored Apes Yacht Club(退屈している猿のヨットクラブ)とは、Coinbase(コインベース)を愛する人たちの友愛会(フラタニティ)のようなものだ。排他的なギリシャ式友愛会に参加するために会費を払う代わりに、52イーサリアム(出版時には約21万ドル[約2416万円])の「猿のNFT」を購入すれば、クールなクラブの一員になることができる。そう、タレントのJimmy Fallon(ジミー・ファロン)氏、プロバスケットボール選手のSteph Curry(ステフ・カリー)氏、ラッパーのPost Malone(ポスト・マローン)氏もYacht Club(ヨットクラブ)のメンバーだ。ちょうど、あなたが生まれる20年前にBリスト俳優(一瞬売れっ子になったが今ではそうでもない俳優)があなたの大学の友愛会に入っていたようなものだ。しかしそれは単なる猿ではない。派手なイベントや物品などにアクセスできるのがこのNFTの価値なのだ。そこで、ナイトライフ・ジャーナリストのAdlan Jackson(アドラン・ジャクソン)氏は、Bored Apesのパーティーに忍び込むために、巧妙な計画を立てた

結局、ある友人の上司が猿NFTを所有していて、ジャクソン氏にパーティーに参加できるQRコードのスクリーンショットを送ってくれた。しかし門番が、実際のNFTではなく、以前のイベントで使用したリストバンドの有無をチェックしていたため、彼は猿NFT(のQRコード)を持っていたにもかかわらず追い返されてしまった。夜遅くなって、ジャクソン氏は再び入場しようとして…今度はそのまま入場できた。リストバンドも、NFTも、何も必要なかった。排他性といってもそんなものだ!幸運なことに、ジャクソン氏は The Strokes(ザ・ストロークス)のフロントマン、Julian Casablancas(ジュリアン・カサブランカス)氏がステージ上でこんな発言をしているのを目にした「これはアートのようなものだよね?NFTだって?へえ、それって何かな。わかるのは…今夜はたくさんの男どもが集まっているということだけだね」。

こんなことはやめさせよう

もしいまNFTが、金融ソーシャルメディア(これにどうして短い名前がないのか。たとえばFiSoとか?)という投機バブルで吹き上がっているとしたら、その多くは、Gamestop(ゲームストップ)のおかげだ。ミーム銘柄と呼ぶこともできるだろう。テクノロジーの革新、消費者の習慣、エンターテインメントの嗜好の変化に押されて潰された他の多くの凡庸な小売業者と同じように、同社も忘却の彼方に向かっていたかもしれない。しかし、そうなる代わりに、同社はネットの過大な噂の波にさらわれて価格が成層圏まで押し上げられた。その結果、誰が取引の世界の門番になり、誰が金を稼ぎ、誰が最大の敗者になるのかという多くの疑問が生じたのだ。人が煽られるのを見るのは嫌だろうが、煽られて買った人たちが力のない貧乏人のように扱われるのを嫌がる理由も理解できるだろう。これでは誰も勝者にはなれない。しかし、驚くべきことに、この物語はまだ終わらないのだ。株価は2021年1月の成層圏ピークに比べて低いものの、現在でもそれほどかけ離れているわけではない

Spotifyまとめは「ダサい」

はい、はい、Spotifyまとめ(Spotify Wrapped)のシェアを行うことは基本的にSpotifyの無料PRになることはわかっている。しかし「Spotifyまとめ」のコピー文言は、40歳のコミュニケーションスタッフが姪っ子にZ世代(現在20〜30歳位の世代)が好きなフレーズを尋ねたように思える。Spotifyは、Mystic Michaela(ミスティック・ミカエラ)氏というオーラ鑑定士を雇うことまでしていて、音のオーラを生み出すための協力をしてもらっている。その結果は?チューギーだ。

「この1年、あなたの頭の中に住んでいるポッドキャストがありました」とそれはいう。

「あなたはいつも使命を理解していました」。

「他の人たちがみんなNFTとは何かを考えている間、あなたはある1曲を繰り返し聴いていましたね」。

「あなたにふさわしいのはスキンケアと同じくらいの時間のプレイリストです」。

Elizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)には熱狂的なファンがいる

Theranos(セラノス)の元創業者でCEOだったElizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)は、2021年に4カ月以上にわたり、刑事詐欺の容疑で裁判にかけられていた。しかし、裁判の初日、何人かのファン(間違いではない)が、エリザベス・ホームズに扮して登場したのだ。金髪ならば簡単だ。黒のタートルネックに赤の口紅をつけて、髪を低い位置でポニーテールにすればそれで一丁上がりだ!これでハロウィンパーティーの準備は万端!

しかしこのコスプレイヤーたちは、話を聞いた記者たちが見た限り、みな本気だった。虚偽の血液検査結果を出すことで、人びとの健康を積極的に脅かした会社を経営するという深刻な詐欺罪で起訴されたエリザベス・ホームズを、有罪かどうかはまだわからないものの彼らは心から称賛していた。だが、ひとそれぞれだ。

LinkedIn(リンクトイン)でさえTikTok(ティクトック)のようになりたいと思っている

基本的に、すべてのソーシャル / エンターテインメント・プラットフォームは、縦長のショートフォームビデオを組み込む方法を編み出している。TikTokの直接のライバルであるInstagramやSnapchat(スナップチャット)がこのようなことをするのは、非常に無機的で派生的な感じがするものの、理には適っている。しかし、2021年末になるころには、Netflix(ネットフリックス)、Spotify、Reddit(レディット)、Twitter(ツイッター)、Pinterest(ピンタレスト)といった企業までもが試行を始めていた。2022年にはLinkedInも加わる予定だ

プロフェッショナルネットワーキングプラットフォームのLinkedInは2021年、ストーリーを試みたが、Snapchatの丸パクリ機能を統合したInstagramほどの成功は収められなかった。

フリートよさらば

また、Twitterはフリートでもあまり良い結果を出せなかった。この件については、不吉な予感を感じることはできたのではないかと思う。まさにTwitterは、その名の通りフリートな運命を決定付けたのだ(英語のFleetは「束の間の」とか「はかない」という意味を持つ)。短くてすぐに消える動画に参入しようとした同社の試みは、Twitterユーザーの間で大きな反響を呼ぶことはなかった。Twitterユーザーたちは他のソーシャルメディアとは異なる機能を持つ従来のフォーマットを特に気に入っているからだ。すなわちユーザーのフォロー数に関係なく、鋭いユーモア、辛らつな批判、完璧なタイミングのフェイク、時折すばらしいものを垣間見させることができるテンポの速い単語や画像の応酬が好きなのだ。いまさらSnapchatやInstagramのストーリーのようなものを、一体誰がさらに必要としているというのだろうか?特にこの期に及んで、大した工夫もなく、簡単に利用できるものでもない機能を投入しているところは何をしたいのだろうか。

Instagramはウェブ上でティーン向けの安全機能をオンにし忘れていた

2021年7月にInstagramは、ユーザーの安全性を確保するために、これまでの欠点を覆うためのいくつかの新機能を導入した。そのうちの1つの機能は、16歳未満のユーザーが新規にアカウントを作成すると、デフォルトで非公開になるようにするというものだ。しかし、Marsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)上院議員(共和党/テネシー州)は、何カ月も前から目の前にあったスクープを発掘してテックジャーナリストたちに恥をかかせた。10代の若者がウェブ上でInstagramのアカウントを作った場合、デフォルトでは公開になっていたのだ。

まあ公平な立場からみれば、Instagramをウェブで使う人はほぼいないだろう。しかし、これはかなり大きな見落としであると感じられたのだ。インスタグラムの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、自分のチームが失敗したことを認めなければならなかった。それ自身かなり困惑させるものだったが、同時に2021年の秋に上院で、10代の安全へのコミットメントを繰り返し主張してきた同社にとっては、憂慮すべき痛恨の間違いだった。

この記事の見出について

もとはDevin(デビン)のアイデアだったが、Amanda(アマンダ)に喜んで賛成してもらえた。まだまだチューギーだ。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Devin Coldewey、Amanda Silberling、Ingrid Lunden、翻訳:sako)

自動車内のVRエンタHolorideが車内メタバースで使える暗号資産「Ride」をリリース

Audi(アウディ)が支援するスタートアップHoloride(ホロライド)は、クルマのドライバー向けに設計された車載バーチャルリアリティエンタテインメントシステムを開発しており、このほど自社の暗号資産トークン「Ride(ライド)」の販売を開始した。

暗号資産のローンチは、Holorideが開発者のコミュニティによって作られたゲームとエクスペリエンスのXR(Extended Reality、仮想世界と現実世界を融合して新たな体験をつくり出す技術の総称)エコシステムを構築する最新の動きだ。自分が乗っているクルマの動きに連動する仮想世界やゲームの体験を求めるユーザーは、Rideのユーティリティトークンを使って購入を行うことになる。

関連記事:2019年CES最優秀賞を車載VRのHolorideにあげたい…楽しいデモだったから

Holorideは2022年にXRシステムを自家用車に搭載することを目指しているが、どのブランドがいつローンチするかの詳細は不明だ。同社は以前、2022年夏のローンチを予定していたが、それ以降は具体的な時期について明言を避けている。

「ここ数年で、自動車メーカーやコンテンツクリエイターとユーザーをつなぐプロプライエタリな技術スタックを作り上げました」と、HolorideのCEOで共同創業者のNils Wolln(ニルス・ウォルニー)氏はTechCrunchに語った。「ブロックチェーン技術でプラットフォームを強化し、独自のRideトークンをローンチすることは、私たちのエコシステムを活性化し、公正で透明性のある参加を可能にするための論理的な次のステップです」。

Holorideは2021年5月に、Elrond(エルロンド)のブロックチェーンを自社の技術スタックに統合し、NFT(非代替性トークン)を使用して開発者にプラットフォーム上でより多くのコンテンツを作成するよう奨励すると発表した。NFTとRideはともにElrond上に構築されており、Holorideのエコシステムでの取引に利用できる。NFTは一意で複製できないのに対し、Rideの通貨は他の通貨と同様に交換可能となっている。

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「RIDEトークンと引き換えに、ユーザーやコンテンツクリエイターが彼らのエクスペリエンスに基づいて独自のNFTを作り出すことが可能になります」とウォルニー氏は語る。「できあがったNFTはRideを使って売買できます」。

ブロックチェーン、NFT、暗号資産をHolorideプラットフォームに組み込むことは、漠然としたバズワードで注目を集める方法以上のものだ。Holorideは、自動車の座席から、デジタル世界と仮想世界が物理的および拡張された現実と絡み合うメタバースへと、現実を広げる能力に賭けている。

RideがHoloride内のゲームやエンターテインメントの購入にしか使えないとしても、この賭けは報われるかもしれない。2021年12月にRideが正式に上場されれば、最初にElrondの暗号資産EGLDと交換可能になる。EGLDはUSDC(USDコイン)などの他の暗号資産またはフィアット通貨と交換することができ、成長を加速させる可能性がある。

多くのビッグネームがメタバースプロジェクトを発表し始めており、その中には親会社の名前をMeta(メタ)に変更したFacebook(フェイスブック)、Pokémon Go(ポケモンGO)のメーカーであるNiantic(ナイアンティック) 、Amazon(アマゾン)、Roblox(ロブロックス)、Unity Software(ユニティ・ソフトウェア)、Microsoft(マイクロソフト)なども含まれる。一方、このメタバースのビルディングブロックが成熟の兆しを見せ始めるにつれ、Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル) やLyft(リフト)、WeRide(ウィーライド)といった企業が商用化への道を歩み始めている自動運転配車業界も同様の様相を呈しつつある。

ウォルニー氏はTechCrunchに対し、Holorideを「メタバースのための輸送機関会社」にしたいと語った。Holorideは当初、自家用車をターゲットにしていたが、最終的には自動運転車に統合され、搭乗者に十分なダウンタイムを与えて楽しませることを目指している。

Holorideは2021年11月初め、スウェーデンの電気自動車メーカーNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン)と提携して、同社のPONSモビリティシステムに自社の技術を統合することを発表した。PONSは特定用途向けに開発された自動運転車Sango(サンゴ)をフィーチャーした自動運転共有モビリティコンセプトである。Holorideの技術は、ソフトウェア開発会社Terranet(テラネット)のVoxelFlow(ボクセルフロー)技術によって引き続き強化される。VoxelFlowは車両のセンサーを組み合わせて物体の距離、方向、速度を計算し、Holorideのプラットフォームにリアルタイムで通知する。これにより、ゲーム内のユーザーエクスペリエンスは車両の実際の動きにマッチするようになる。

RideはElrondのMaiar Launchpad(マイアール・ローンチパッド)で販売されている(暗号資産ローンチパッドは、新しいプロジェクトのために資金を調達する方法を提供し、投資家に早期に割引価格でトークンを販売する時間を与え、プロジェクトを中心としたコミュニティの構築を助ける)。Holorideは最初に1億3000万個のトークンを循環させ、最大10億個のトークンを供給する。2億個のトークンがすでに0.02ドル(約2.26円)で個人販売されて終了済みで、さらに5000万個が暗号資産のローンチ前に一般に販売されていた。これで同社は総額600万ドル(約6億6800万円)を手にしたことになる。

Holorideのチームは、主にRideトークンの収益をコンテンツ制作に使う計画だが、開発、マーケティング、法務、セキュリティの監査にも資金を配分する。Rideのトークン割り当ては、Holorideが作っているXRのエコシステム全体で25%がフィルターされる。これにはエコシステムのサポーター、重要なパートナーシップ、成長のオポチュニティが含まれている。

「特に、開発者、コンテンツクリエイター、自動車メーカー、モビリティプロバイダー、オペレーショナルサポーター、アドバイザー、アンバサダーなどです」とウォルニー氏は述べている。

トークンの20%は「コミュニティ」に割り当てられる予定で、ベータユーザー、技術監査、コードレビューなど暗号資産コミュニティの初期のコントリビューターのために確保されているとウォルニー氏は話す。Holorideのファン、サポーター、信奉者たちを意味する「一般販売」に充てられるのは5%に留まり、残りは選ばれた金融・戦略投資家、株式投資家、Holorideの財務、およびHolorideチームに分配される。

ウォルニー氏によると、トークン所有者は初期段階で、購入エクスペリエンスやそれに関連する他の仮想アイテムに加えて、エコシステムのガバナンスや、サブスクリプション、アップグレード、特別イベントなどのコミュニティ特典にもトークンを利用できるようになるという。このトークンはまた、ユーザーが電気自動車へのサステナブルな乗車や特定のデータ共有などの特典を得ることができる「乗って遊んで利益を得る」サイクルへのインセンティブとしても使われる。さらに、コンテンツクリエイターや自動車メーカーはパートナーのロイヤリティとしてRideを受け取る可能性があるとウォルニー氏は説明する。

Holorideはローンチからまだ1年ほどしか経っていないが、このようなエコシステムが理にかなったものになるためには、相当なスケールが必要になるだろう。少なくとも、透明性、セキュリティ、相互運用性、参加といったブロックチェーン技術の基本的な原理に、メタバースがどのように依存していくかということの縮図となるかもしれない。ウォルニー氏は、どのようにしてメタバースを構築し、ユーザーが自分たちのアイデンティティを管理したり、価値を創造・獲得したりするのかというムーブメントの中心にHolorideが位置する可能性がある、と楽観的だ。

「今や誰もがメタバース、暗号資産、そしてNFTの世界にいますので、パズルのピースはよりフィットするかもしれません」とウォルニー氏。「ですが、まだ多くのことが未解決であり、最高のものがこれから出てくるでしょう」。

画像クレジット:Holoride

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)