アストンマーティン、Britishvoltと電池セル技術を共同開発

英国の高級車メーカー、アストンマーティンが、リチウムイオン電池技術会社であるBritishvolt(ブリティッシュボルト)と覚書を締結した。両社は、高性能車向けのバッテリーセル技術の開発に向けて協力する。

アストンマーティンは、2025年に同社初のバッテリー式電気自動車を発売する計画で、現行のスポーツカーの1つを直接置き換えることになると見られている。また、2026年までにはすべての新商品ラインに電動パワートレイン(動力伝達装置)の選択肢を提供し、2030年までには中心ラインナップを完全電動化することを目標としている、と同社はいう。

完全電動化へのロードマップはまだ公表されていない。

アストンマーティンとBritishvoltの共同研究開発チームは、特注モジュールとバッテリー管理システムを含むバッテリーパックの設計、開発、量産化を共同で行う。この共同研究開発がどこで行われるのかについての問合せに、両社はまだ回答していないが、現在Britishvoltは、ノーサンバーランド州カンボワにある45GWhのギガプラントに取り組んでいる。同プラントは2027年にフル稼働する予定で、年間45万台の電気自動車用の電池パックを生産できるようになる予定だ。

2022年の1月、Britishvoltはこのプロジェクトのために英国政府から23億ドル(約2642億円)の資金を確保した。この資金を使って、Britishvoltは大量生産を後押しするために、ニッケル含有量の高いバッテリーとエネルギー密度の高い材料の開発に注力することになる。さらに先月には、Britishvoltはコバルト採掘の巨人Glencore(グレンコア)から5400万ドル(約62億円)の投資を受けてシリーズCを開始した。このラウンドでは合計2億6400万ドル(約303億3000万円)の調達が目指されており、その一部は計画中のバッテリー工場と研究開発センターに向けられる予定だ。

Britishvoltは先月、4つの自動車メーカーと契約を結んだことも発表しているが、そのうちの1つは英国の自動車メーカー・ロータスだ。アストンマーチンもその4社のうちの1社である可能性があるが、Britishvoltはそのことについて回答していない。

アストンマーティンは電動化ロードマップの一環として、同社初のプラグインハイブリッドカー「Valhalla(ヴァルハラ)」の納車を2024年初頭までに開始する予定だ。Valhallaに、Britishvoltのバッテリーが搭載されるかどうかについては明言されていない。

画像クレジット:Aston Martin

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

2024年のエアタクシーサービス開始に向けVolocopterが195億円調達

南ドイツ(ブルッフザール)で創業したスタートアップVolocopter(ボロコプター)は、電動の垂直離着陸機(VTOL)の開発と、この機体を都市部でタクシー形式で運用するビジネスモデルを推し進めてきた。商業展開に近づく中、同社はまたしても大型の資金調達を行った。1億7000万ドル(約195億5000万円)を調達し、この資金で同社初のエアタクシーサービスを開始し、おそらくシンガポール、ローマ、パリなどの都市での提供となると発表した。

広報担当者によると、サービス開始時期は、取得する認証の種類と認証をいつ取得できるか次第だ。2023年後半から暮れの間にすべてが完了すれば、最初の都市での商業開始は2024年になる可能性が高い。VolocopterのCEO、Florian Reuter(フロリアン・ロイター)氏は2021年3月に「サービス開始は2年後(つまり2023年)」と話していた。

「当社の目標は、2024年のパリオリンピックまでに商業運航を開始することです」と広報担当者は述べた。

調達した資金はシリーズEの一部で、Volocopterはこれが最初のクロージングだと表現している。プレマネーのバリュエーションは17億ドル(約1955億円)、ポストマネーでは18億7000万ドル(約2150億円5000万円)になるという。同社は筆者に、シリーズEの最終的な調達目標は3億〜5億ユーロ(381億〜635億円)だと認めた。「デューデリジェンス段階にある他の投資家もいますが、次のサイニングラウンドの時期も額もまだわかりません」と広報担当者は述べた。

今回の最初のトランシェは韓国からの新たな投資家であるWP Investmentがリードし、戦略的投資家のHoneywell(こちらも新規投資家)、既存投資家からはAtlantia、Whysol、btov Partnersなどが参加した。現在までにVolocopterは総額5億7900万ドル(約666億円)を調達していて、他の投資家にはGeely、Mercedes-Benz Group、Intel Capital、BlackRockが含まれる。

Volocopterは2017年、Intel(インテル)などの大企業の支援を受け、ドバイで初の自律型の空飛ぶ車のテストを実施し、自動運転車の分野で大きな注目を集めた(IntelもVolopterの自律飛行機能を導入し、自社の大げさなイベントで披露した)。

注目すべきは、現地時間3月4日の資金調達の発表では、自律性や自動運転機能については一言も触れられていないことだ。これは、Volocopterのサービスが開始に近づいていく中で、より現実的なフレームワークがあることを裏付けている。

同社は筆者に、最初の商業サービスが試験的に実施されることを認めた。「VoloCityは、商用サービス開始時に、クルーが乗り込んでの飛行、遠隔操縦、および自律飛行の技術的能力を備えていることになります」と広報担当者は話した。「しかし、パイロットによる飛行の方が、一般に受け入れられやすいと思います。アーバンエアモビリティ(UAM)が浸透し、都市がクルーなしの飛行形態を認める規制を設ければ、徐々に遠隔操縦や自律飛行に移行していくでしょう」。これも、各都市の規制次第だろう。

「今回の資金調達は、非常に魅力的な新興市場において、Volocopterが主導的な立場にあることを証明するものです。我々は、世界中の都市で大規模なUAMを実現するために、技術的にも商業的にも大きな前進を続けています」とロイター氏は声明で述べた。

Volocopterは現在、同社のエアタクシーに使われる3種の機体、VoloCity、VoloConnect、VoloDroneに注力している。欧州連合航空安全局(EASA)から設計組織承認(DOA)を取得した「最初で唯一の」電動垂直離着陸(eVTOL)企業だという。つまり、この分野での成功を狙うLiliumKitty HawkJoby Aviationなどの競合他社が参入する前に、うまくすれば単独ブランドの商業プロバイダーとして、あるいは他の都市交通企業のパートナーとして、市場参入できる可能性があるということだ。

今回のシリーズEはすべて株式による調達だが、Volocopterはより大きな航空機の建造のために多くを負債によっても調達している。2022年初めには、Aviation Capital Group(ACG)と10億ドル(約1150億円)の契約を結び、Volocopterの航空機の販売とリース運用のための資金調達を行った(時機が来れば最大10億ドル=約1150億円を借りられることを意味する)。これは、同社が航空機の完全な認証を取得した後に開始する。

これまでに同社は約1000回の公的および私的な試験飛行を終えている。

また、同社は今回の発表の中で、調達した資金調達で商業運転開始だけでなく、最終的には株式公開を目指す計画だと述べた。

「Volocopterには世界中からすばらしい投資家が集まっており、上場への道を歩み出す前に、いち早く認証を受け、いち早く市場に出るという戦略に集中できるすばらしい立場にあります」とVolocopterのCCO、Christian Bauer(クリスチャン・バウアー)氏は声明で述べた。

この先行者としての優位性と、過去10年間にわたる「空飛ぶ車」の開発努力が、まだ製品の市場性を証明していないにもかかわらず、投資家から今、多くの信用を得ている2つの要因のようだ。

「Volocopterは2021年、ソウルでUAMを飛ばし、世界の都市にいち早くUAMを導入することができると確信しています。ESG投資のリーダーとして、Volocopterを通じて都市の持続可能性を高められることをうれしく思います」と、WP Investmentの会長Lei Wang(レイ・ワン)博士は声明で述べた。また、同社の共同会長であるTiffany Park(ティファニー・パク)氏は、韓国も商業運転開始の一翼を担うことになると付け加えた。

画像クレジット:Volocopter

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

ボルボがEVタクシーを使ってワイヤレス充電のテストを開始

Volvo Cars(ボルボ)は、代替充電オプションをテストするプログラムの一環として、ワイヤレスEV充電システムを都市環境の中に導入して試験を行うと発表した。そのために、ボルボの電気自動車「XC40 Recharge(XC40リチャージ)」数台が、スウェーデンのヨーテボリで3年間、タクシーとして実験運用される予定だ。

これらの車両には、Momentum Dynamics(モメンタム・ダイナミクス)社製のワイヤレス充電システムが搭載される。充電パッドは、2台分のタクシー待機場所の地面に埋め込まれる。ドライバーが360度カメラを使って車両を正しい位置に駐めると、タクシーのバッテリーが自動的に充電されるという仕組みだ。Momentum Dynamicsが公開した画像には、出力41kWで充電中の車両が写っている。

これらのEVタクシーは、1日に12時間以上稼働し、年間10万km以上の距離を走行することが想定されている。ボルボによると、これは同社初の商用環境における電気自動車の耐久性試験になるという。Momentum DynamicsはJaguar(ジャガー)とも提携し、ノルウェーでEVタクシーを使ったワイヤレス充電のテストを行っている。

道路に充電システムを埋め込むというコンセプトは決して新しいものではないが、まだ本格的に普及してはいない。だが、今も研究者やエンジニアは、走行中にEVを充電するさまざまな方法に取り組んでいるので、いつか将来、ドライバーは典型的な充電ステーションまで出向く必要がなくなるかもしれない。

編集部注:この記事はEngadgetに掲載されている。本稿を執筆したKris Holtは、Engadgetの寄稿ライター。

は、代替充電オプションをテストするプログラムの一環として、ワイヤレスEV充電システムを都市環境の中に導入して試験を行うと発表した。そのために、ボルボの電気自動車「XC40 Recharge(XC40リチャージ)」数台が、スウェーデンのヨーテボリで3年間、タクシーとして実験運用される予定だ。

これらの車両には、Momentum Dynamics(モメンタム・ダイナミクス)社製のワイヤレス充電システムが搭載される。充電パッドは、2台分のタクシー待機場所の地面に埋め込まれる。ドライバーが360度カメラを使って車両を正しい位置に駐めると、タクシーのバッテリーが自動的に充電されるという仕組みだ。Momentum Dynamicsが公開した画像には、出力41kWで充電中の車両が写っている。

これらのEVタクシーは、1日に12時間以上稼働し、年間10万km以上の距離を走行することが想定されている。ボルボによると、これは同社初の商用環境における電気自動車の耐久性試験になるという。Momentum DynamicsはJaguar(ジャガー)とも提携し、ノルウェーでEVタクシーを使ったワイヤレス充電のテストを行っている。

道路に充電システムを埋め込むというコンセプトは決して新しいものではないが、まだ本格的に普及してはいない。だが、今も研究者やエンジニアは、走行中にEVを充電するさまざまな方法に取り組んでいるので、いつか将来、ドライバーは典型的な充電ステーションまで出向く必要がなくなるかもしれない。

画像クレジット:Momentum Dynamics Corporation

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Momentum Dynamics Corporation

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ソニーとHondaがEVを共同開発・販売する計画発表、2025年に初期モデル発売へ

Sony(ソニー)はここしばらく、自動車メーカーになることに興味があるそぶりをして憶測を呼んでいたが、3月4日、実際の自動車メーカーであるHondaと、そのアイデアをさらに議論し発展させるための覚書(MOU)を締結したと発表した。

両社は共同で、新型EVの開発と販売、および新型自動車で使用する新しい「モビリティサービス・プラットフォーム」の開発と立ち上げを柱とする合弁会社を2022年中に設立する意向を検討すると明らかにした。

現在の計画では、ソニーは「イメージング、センシング、テレコミュニケーション、ネットワーク、エンターテインメント技術」を、Hondaは……クルマ技術を提供することになっている。

両社が設立する「新会社」は、出来上がった新型EVの設計・開発から販売まですべてを手がけるが、車の製造はHondaが代行することになる。ソニーは、新会社が使用するモビリティサービス製品を供給する。

すべてが計画通りに進めば(協議の初期段階であるため、ほぼ間違いなく変更の可能性がある)、この合弁会社は2025年から初期モデルの販売を開始することを目指す。

ソニーはこれまで、毎年恒例のCES技術展示会で、少なくとも3回、自動車メーカーとしての意気込みを示す派手な瞬間があった。2020年には「Vision-S」と名付けたコンセプトカーを出展して周囲を驚かせ、2021年にはサーキットと公道の両方で走行するプロトタイプの動画など、さらなる詳細を公開した。最近では2022年1月、オリジナルのセダンに加えてSUVコンセプトのVision-Sを発表し、独自のEVの商業化を「模索」することに焦点を当てた新会社「Sony Mobility Inc.(ソニーモビリティ株式会社)」を立ち上げると発表していた。

このうち「モビリティサービス」という部分は、ソニーが自社のEVコンセプトに注力するコンテキストの中で、おそらく最も興味深いものだろう。ソニーは、この分野では明らかに成功しているが、ユーザーやソフトウェアのインターフェースに定評があるとはいえないので(ソニーのカメラや携帯電話のユーザーならおわかりだろう)、どうなるかは大きな疑問符がつくところだ。

CESで3回はでやかなコンセプトを発表しても、自動車メーカーにはなれない。特にCESは、本質的に史上最大のベーパーウェアの展示会として知られているのだから。同様に、MOUは、2つの大企業が本格的に共同で創意工夫を凝らすための正式な合意書に過ぎないことが多い。しかし、ここには非常に多くの煙が立ちこめており、少なくともこのMOUには、より具体的になる時期を見極めるための明確なタイムラインがある。

画像クレジット:Sony

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Den Nakano)

次世代いす型モビリティを手がけるLIFEHUBが1億円調達、進行方向を向いたままエスカレーターを利用可能など目指す

次世代いす型モビリティを開発するLIFEHUBが1億円調達、進行方向を向いたままエスカレーターを利用可能など「少し未来」目指す

二輪起立構造を実装した次世代型電動車いすを開発するLIFEHUBは3月1日、シードラウンドとして、第三者割当増資による約1億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、新規投資家のサイバーエージェント・キャピタル、既存株主のインキュベイトファンド。調達した資金は、「次世代のいす型モビリティ」の製品開発、経営基盤強化に向けた人材採用にあてる予定。また、2023年7月にイニシャルモデルの一般販売をスタートし、その後2024年中にも量産型の市販モデルを投入する予定。

2021年1月設立のLIFEHUBは、ロボティクスなど最先端テクノロジーを駆使し、すべての人が自由で豊かな生活を送ることをためらわない世界を作る「人類の身体的な制約からの解放」というミッション・経営理念を掲げるスタートアップ。

代表取締役CEOの中野裕士氏は、「日本市場および世界市場の車いすユーザーの方々に向けて、モビリティに搭乗したまま立ち上がって屋内や屋外を移動することができ、さらに進行方向を向いたまま健常者が利用するのと同じようにエスカレータを利用できる、電動車いすの少し未来の姿を提示したいと考えています。これは、人体の脚の機能をモビリティで再現するという、技術的にもビジネス的にも大きなチャレンジとなります」と述べている。

次世代いす型モビリティを開発するLIFEHUBが1億円調達、進行方向を向いたままエスカレーターを利用可能など「少し未来」目指す

同社が、次世代いす型モビリティの第1弾プロダクトとしてリリースを目指しているのは、二輪起立構造を実装した次世代型電動車いす「TRANSELLA」(トランセラ。仮称)。一般的な電動車いすに用意されているレバーやボタン、リモコンによる基本的な操作機能を備えるほか、重心移動による操作にも対応するよう研究を進めているという。

また、既存の車いすでは不可能な「歩く、立ち上がる、乗り越える」という動作の実現を目指しているそうだ。例えば起立機能では、車いすユーザーが店舗内の陳列された商品を眺める時や、レジやカウンターで用事を済ませたい時に、座ったままの状態で約60~80cm立ち上がれるようにする。この立ち上がりの実装については、周囲の人や物とぶつからないようレーザーによる接触防止機能や、転倒時にユーザーの身を守るエアバック機能、転倒を検知してスマートフォンに緊急アラートを通知する機能など、もしもの時に備えた安全装備についても実現できるよう準備を進めているという。

次世代いす型モビリティを開発するLIFEHUBが1億円調達、進行方向を向いたままエスカレーターを利用可能など「少し未来」目指す

さらに、テーブルや机の間といった狭いスペースで移動する際に、約1mの道幅でも360度自由に方向転換できる移動性能を持たせるとしている。

次世代いす型モビリティを開発するLIFEHUBが1億円調達、進行方向を向いたままエスカレーターを利用可能など「少し未来」目指す

フォード、前を走るテスラに追いつこうとEV投資を約5兆7730億円に増額

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、EV事業向けの投資額を従来の2025年までに300億ドル(約3兆4645億円)という目標から、2026年まで500億ドル(約5兆7730億円)に引き上げる。このニュースは米国時間3月2日、Fordが2月上旬に行った2021年第4四半期決算説明会で触れたように、EV事業をガソリン車事業から分離し、独立採算制にすることを確認した後、Jim Farley(ジム・ファーリー)CEOが発表した。

Fordが電動化投資額を引き上げるのは、この1年足らずで3回目となる。Fordは2021年5月にEV事業に220億ドル(約2兆5378億円)を投資することを発表しており、業界のリーダーであるテスラに追いつくために、財務的な強化を続けていることを示している。

Fordは「Ford Model e(フォード・モデルe)」と名付けた新しいEV事業を通じて、2026年には世界年間生産台数の3分の1に相当する200万台以上のEVを製造し、2030年までに総台数の50%を電動化する計画だとファーリー氏は述べている。ただし、John Lawler(ジョン・ローラー)CFOによると、次世代モデルの生産が始まる2025年までは利益を上げられない見込みだという。Ford Model eと、同社のより伝統的なICE部門であるFord Blue(フォード・ブルー)は、2023年までに別々の決算を報告する予定だ。

Fordは2022年、EVに50億ドル(約5768億円)を費やすと見込んでおり、これは2021年の倍である。

多くの業界アナリストは、FordがEV事業をスピンアウトすると予想しているが、ファーリー氏は、それが近いうちに実現することを示唆しなかった。しかし、それは将来的にその可能性がないということではない。

「ICE事業はキャッシュを生み出すために、EV事業はイノベーションにフォーカスするために必要なのです」とファーリー氏は語った。

Fordは2月に7万2000台の車両を受注し、前年同月の5万4000台を上回った。その大半はトラックとSUVだが、同社のEV販売台数は2月までに55.3%増加し、セグメント全体よりも速いペースで伸びているという。

画像クレジット:Ford

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Den Nakano)

フォード、前を走るテスラに追いつこうとEV投資を約5兆7730億円に増額

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、EV事業向けの投資額を従来の2025年までに300億ドル(約3兆4645億円)という目標から、2026年まで500億ドル(約5兆7730億円)に引き上げる。このニュースは米国時間3月2日、Fordが2月上旬に行った2021年第4四半期決算説明会で触れたように、EV事業をガソリン車事業から分離し、独立採算制にすることを確認した後、Jim Farley(ジム・ファーリー)CEOが発表した。

Fordが電動化投資額を引き上げるのは、この1年足らずで3回目となる。Fordは2021年5月にEV事業に220億ドル(約2兆5378億円)を投資することを発表しており、業界のリーダーであるテスラに追いつくために、財務的な強化を続けていることを示している。

Fordは「Ford Model e(フォード・モデルe)」と名付けた新しいEV事業を通じて、2026年には世界年間生産台数の3分の1に相当する200万台以上のEVを製造し、2030年までに総台数の50%を電動化する計画だとファーリー氏は述べている。ただし、John Lawler(ジョン・ローラー)CFOによると、次世代モデルの生産が始まる2025年までは利益を上げられない見込みだという。Ford Model eと、同社のより伝統的なICE部門であるFord Blue(フォード・ブルー)は、2023年までに別々の決算を報告する予定だ。

Fordは2022年、EVに50億ドル(約5768億円)を費やすと見込んでおり、これは2021年の倍である。

多くの業界アナリストは、FordがEV事業をスピンアウトすると予想しているが、ファーリー氏は、それが近いうちに実現することを示唆しなかった。しかし、それは将来的にその可能性がないということではない。

「ICE事業はキャッシュを生み出すために、EV事業はイノベーションにフォーカスするために必要なのです」とファーリー氏は語った。

Fordは2月に7万2000台の車両を受注し、前年同月の5万4000台を上回った。その大半はトラックとSUVだが、同社のEV販売台数は2月までに55.3%増加し、セグメント全体よりも速いペースで伸びているという。

画像クレジット:Ford

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Den Nakano)

Polestarのコンセプトカー第2弾はドローンを搭載したオープンカー

スウェーデンの高性能電動車ブランドであるPolestar(ポールスター)は、すでに生産が開始されている「Polestar 2」、発表を控えた「Polestar 3」と「Polestar 4」、そしてコンセプトカー「Precept(プリセプト)」の市販モデルとして2024年に登場予定の「Polestar 5」に続く、最新の電気自動車のアイデアを発表した。

画像クレジット:Polestar

「Polestar O2は、スポーツカーの新時代に向けた私たちのビジョンです」と、Polestarのデザイン責任者を務めるMaximilian Missoni(マキシミリアン・ミッソーニ)氏は、現地時間3月2日に発行されたプレスステートメントで述べている。「オープントップドライビングの喜びと、電気モビリティの純粋さをミックスすることによって、1台のクルマで新たな入り混じった感情を解き放ちます」。

このPolestar O2は、Polestar 5と同じ「特注」の接着アルミニウム製ユニボディプラットフォームを採用しており、そのベースとなったPreceptのコンセプトデザインと全体的な類似したスタイルを持つ。Polestarの広報によれば、これは「Polestarの進化するデザイン言語が、強い同族類似性を保ちながら、異なるボディスタイルにどのように適応できるかを示す」ものであるという。つまり、Polestar 5が4ドアの高性能グランドツーリングカーであるのに対し、Polestar O2は同じ基本骨格をベースに作られていながらも、よりコンパクトな2+2シーターのスポーツカーとしてのフィールを提供するということだ。

画像クレジット:Polestar

従来のオープンカーは、ルーフを切り取ることで失われる構造強度を補強するためにフレームが厚く重くなり、やはりルーフがないことで空力的なバランスも崩れてしまうという、どちらかといえば非効率的なクルマであることを考えると、オープンカーのEVとは一体どうなるのだろうと思う人もいるかもしれない。これはすばらしい疑問だ。Polestarはこのクルマの空気抵抗係数を公開していないものの「ホイールとボディサイド上の層流を改善する埋込み型ダクトや、車体後方の乱流を低減するエアブレードとして機能するテールライトなどの隠れたデザイン機能」が、航続距離を最大化するために研究されたものであると断言している。

ホイールベースが短く、補助的なリアシートのみを備えたPolestar O2は、Polestar 2よりもスポーティでアグレッシブなスタンスだ。そしてこのホイール!エクステリアはシャープなラインの習作で、角張ったフェンダーフレアと、広いトランクに格納される鋭角的なガラストップルーフの間に、低く構えたキャビンが収まっている。まるでFord GT40(フォードGT40)とPorsche 718 Spyder(ポルシェ718スパイダー)を合体させ、すべてのカーブをフラットにしたようなルックスだ。ゲーム「Grand Theft Auto」に登場するLos Santos(ロスサントス)の街角で見かけるロードスターのようで、私はファンになった。

画像クレジット:Polestar

インテリアも同様にしなやかで、ハードな部分には熱可塑性モノマテリアルを、ソフトな部分にはリサイクルポリエステルのみを使用しているのが特徴だという。ポリエステルとプラスチックの上に低く座り、屋根を下ろして太陽の光をいっぱいに浴びるという体験は、何ものにも代え難いものだろう。

画像クレジット:Polestar

ドライバーは、Polestar O2に搭載された撮影用ドローンを使って、開放的な冒険を撮影することもできる。Hoco Flow(ホコ・フロー)と共同で開発されたこの自律型カメラ付きドローンは、後部座席の後方に設置されたエアフォイルから発生する負圧領域のお陰で、走行中でも離陸が可能だ。ドローンは最高時速90kmで自動的に追従し、撮影した映像は、車両を駐車した後、中央のインフォテインメントシステムから編集し、ネットに上げて共有することもできる。個人的には、自動車メーカーが二次的な輸送手段を自動車に搭載するなら、電動バギー電動スケートボードが良いと思うのだが、確かに、カメラ付きドローンは最初に何度か飛行した後も、クールで斬新で便利な存在であり続けるだろう。それは同じようにドローンを搭載したRenault KWID(ルノー・クイド)やLexus LF-30 Electric Concept(レクサスLF-30エレクトリック・コンセプト)の成功を見てもわかるというものだ。

画像クレジット:Polestar

Preceptのように、公道を走れるO2が登場することは、おそらくないだろう。代わりにPolestarは、今後3年間で3台のニューモデルの発表を計画しており「それぞれのクルマには、これらのコンセプトカーが提示したアイデアのいくつかを徐々に現実化していく可能性があります」と言っているから、ひょっとしたらいつの日にか、電気自動車の後ろで低空飛行するドローンを見かけることがあるかもしれない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者Andrew TarantolaはEngadgetの編集主任。

画像クレジット:Polestar

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ウクライナ侵攻を受けた自動車メーカーの動きまとめ

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、世界各国がロシアに対する制裁を強化している。その結果、多くの自動車メーカーを含め、企業はロシアでの事業活動を制限、停止、あるいは完全に撤退している。

本稿では、ロシアからの撤退決定など自動車メーカーの対応を紹介する。

ロシアでの生産を停止している自動車メーカー

MSCやMaersk(マースク)など多くの海運大手や物流会社がロシア発着のコンテナ輸送を停止したため、自動車メーカーはサプライチェーンの混乱により生産停止を余儀なくされている。

直近ではトヨタ自動車が3月3日、ロシアの工場での生産を4日から停止すると発表した。同社はサンクトペテルブルクに工場を1つ持ち、主にロシア市場向けのRAV4とCamryのモデルを生産している。

Daimler Truck(ダイムラートラック)は現地時間2月28に、ロシアのトラックメーカーKamaz(カマーズ)との合弁事業を含め、ロシアでのすべての事業活動を停止すると発表した。これまでロシア市場向けに3万5000台のトラックを生産してきた同JVは、2009年にMercedes-Benz Trucks Vostok(メルセデス・ベンツ・トラックス・ボストーク)とFuso Kamaz Trucks Vostok(ふそうカマーズ・トラックス・ボストーク)の2つの独立したJVとしてスタートしたが、2017年にこの2社が合併した。そして今後はKamazとの提携によるトラックは生産されず、Daimlerもこのトラックメーカーに部品を供給しない、とロイターは伝えている

また、Daimlerがスピンオフする前の親会社Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)も、Kamazの株式15%を売却すると発表した。

スウェーデンのトラックメーカーAB Volvo(ABボルボ)はロシアでの生産をすべて停止し、Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)も現地時間3月1日、追って通知するまでロシアでの事業を停止すると発表した。Fordはロシアの自動車会社Sollers(ソラーズ)との合弁事業を除けば、ウクライナで重要な事業を展開していないが、Fordは2019年にSollersに支配権を譲渡した

フランスの自動車メーカーRenault(ルノー)は現地時間2月25日、物流圧迫により部品不足が生じたため、ロシアにある自動車組み立て工場の一部の操業を停止すると発表した。調査会社IHS Markitによると、Renaultはロシアの自動車生産の40%近くを占めている。

Renaultは減産の具体的な内容を明らかにしていないが、ロシアには3つの自動車組み立て工場がある。モスクワ工場で生産されているロシア人向けの主なモデルは、Kaptur、Duster、Nouveau Duster、Arkana、Nissan Terranoだ。Renaultは、日産および三菱と戦略的提携を結んでいる。また、ロシアの自動車メーカーAvtoVAZの支配的株式を持っている。

韓国のHyundai Group(現代グループ)はサンクトペテルブルクの工場で年間約23万台を生産しており、ロシアの自動車生産の27.2%を占めている。ウォールストリート・ジャーナルによると、同社はサプライチェーンの混乱により、3月1日から5日にかけてサンクトペテルブルクの自動車組立工場を休止するが、来週には操業を再開する予定だ。同紙は、今回の閉鎖は、ロシアのウクライナ侵攻や経済制裁とは関係がないものだと報じた。現代自動車にとってロシアは大きな市場であるため、できることなら操業停止しないよう試みる可能性もある。

Volkswagen(フォルクスワーゲン)傘下のチェコの自動車メーカーSkoda Auto(シュコダ・オート)は、供給不足のため国内工場の生産を一部制限すると発表したが、ロシアでの事業は継続されている。ロシアは2021年、Skodaにとって2番目に大きな市場だった。

「ロシアとウクライナでの販売戦略については、現在、集中的に議論しているところです。最近の情勢から、ウクライナとロシアの両方における販売台数は減少することが予想されます」とSkodaは述べ、ロシアまたはウクライナ市場から撤退するかどうかは、最終的にVWが決定することになると指摘した。

日本の三菱自動車は3月1日、ロシアでの生産を停止する可能性があると発表した。三菱はPSA Peugeot Citroën(PSAプジョー・シトロエン)と合弁事業契約を結んでいて、ロシア・カルーガの組立工場でプジョー、シトロエン、三菱の車両を生産している。

販売・輸出停止

欧米の対ロ制裁の一環として、ロシアの多くの銀行が、国境を越えた迅速な決済を可能にする安全なメッセージシステムSWIFT(国際銀行間通信協会)から締め出された。その結果、ロシア国内の自動車ディーラーやバイヤーが外国車を買えなくなり、外国企業は外国車を売れなくなった。

三菱自動車は、ロシアでの生産を停止する可能性に加え、同国での自動車販売も停止する可能性があると述べた。トヨタは、ロシアへの輸出を停止すると発表した。

米国の自動車メーカーGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ)とスウェーデンの自動車メーカーVolvo Cars(ボルボ・カーズ)は現地時間2月28日、追って通知するまでロシアへの自動車輸出をすべて停止すると明らかにした。Volvo Group(ボルボ・グループ)は、売上の約3%をロシアの購買者から得ており、同国に1つの工場を持っている。

国際的な自動車メーカーで初めてロシアへの自動車出荷を停止したVolvoは声明の中で「EUと米国による制裁を含め、ロシアとの材料取引にともなう潜在的なリスク」があるため、出荷を停止したと述べている。

GMはロシアで年間約3000台を販売し、現地に工場は持っていない。

Volkswagenのロシア部門は、追って通知するまで、あるいは欧州連合と米国が科した制裁が明確になるまで、ディーラーへの納車を一時停止する。

同じくドイツの自動車会社BMWは、3月1日時点でロシアへの輸出を停止しており、供給面での制約が予想されるため、同地での生産を停止すると明らかにしている。

Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)は同日、ロシアでの事業と、同国へのオートバイ出荷を停止したと発表した。このブランドは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が乗っているところを写真に撮られたことがある。ロシアは米国のバイク会社にとってあまり重要な市場ではなく、ロシアには10店舗ほどしかディーラーがない。

英国の高級車メーカー、Jaguar Land Rover (JLR、ジャガー・ランドローバー)とAston Martin(アストン・マーティン)も、取引問題を理由にロシアへの車両出荷を一時停止した。JLRは2021年にロシアで6900台を販売したが、これは世界販売の2%未満だ。Aston Martinは、世界販売台数におけるロシアとウクライナの割合は合わせたても1%だと述べた。

地政学的な状況や自動車メーカーの対応は常に変化している。最新情報については再びチェックして欲しい。

画像クレジット:Anton Vaganov / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

不振のEVスタートアップLordstown MotorsからGMが撤退

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)は、電気自動車のスタートアップ、Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)の持ち株を売却した。同社は初の製品となる電動ピックアップトラック、Endurance(エンデュランス)の生産に向けて苦闘を続けている。Detroit Free Press(デトロイト・フリー・プレス)が伝えた。

GMが所有していた750万株の普通株式は、総株数の5%以下であり、当初の価値は7500万ドル(約87億円)だった。同社はこの持ち株を2021年第4四半期に、期間非公開の売却禁止期間経過後に売却した。

このニュースは、Lordstownが第4四半期決算で、損失が8120万ドル(約93億円)、1株当り0.42ドル(約49円)に拡大したことを公表した後にやってきた。米国時間2月28日の決算会見で同スタートアップは、Enduranceトラックの2023年までの生産、販売計画がわずか3000台で、うち500台を2022年中に販売する予定であることを発表した。それも、同社が追加資金を調達できた場合の話だ。同日Lordstownは、トラックを500台作るためにはさらに2億5000万ドル(約288億円)必要であることを投資家に伝えた。

追加の金の無心はそれだけでもよい兆候ではないが、さらに問題なのは更新されたガイダンスが、2020年10月のLordstownのSPACによる上場に向けて前経営陣が投資家に約束した3万2000台という数字よりはるかに少ないことだ。

LotdstownのGMとの関係は2018年にさかのぼり、当時GMは、同社のローズタウン工場を閉鎖するつもりであると言い、ドナルド・トランプ前大統領はそれに反対していた。その後GMは、工場を不振だったEV企業、Workhorse(ワークホース)に売却した(ちなみにこの会社も現在不調に悩まされており、Q4決算では1株当り1.13ドルの損失だった)。

Workhorseのファウンダーで前CEOのSteve Burns(スティーブ・バーンズ)氏は、この旧GM工場で電動トラックを作るべく、Lordstown Motorsを立ち上げ、GMは750万ドルを投資した。Lordstownはこの工場に約2億4000万ドル(約277億円)を投じたが、離陸させることはできなかった。

生産問題の最中に経営陣の重要人物を失うなど幾多のドラマを経た後、Lordstownは2023年を迎えるための現金が足りないことを打ち明け、2021年9月に同工場をiPhone製造のFoxconn(フォックスコン)に2億3000万ドル(約265億円)で売却した。しかしその契約はまだ完了しておらず、Lordstown経営陣は28日、売買契約が予定どおりには進捗していことを発表し、これまた間違いなく投資家を不快にさせる発表となった。

画像クレジット:MEGAN JELINGER / AFP / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォードが大規模な構造改革でEVと内燃機関のユニットを分割

Ford(フォード)は米国時間3月2日、電気自動車と内燃機関(ICE)自動車の異なる課題と機会により集中するため、大幅な組織再編を行うと発表した。この2つのユニットは、Fordの既存の企業傘下で運営され、現時点では、以前から噂されていたようなユニットのスピンアウトは行われない。2つの部門はFord Blue(フォード・ブルー)とFord Model e(フォード・モデルe)と呼ばれている。Ford Blueは、Mustang(マスタング)、F-150、Bronco(ブロンコ)などの既存および将来のICE車両を統括し、Ford Model eは、コネクティビティと電気自動車に焦点を当てる。

FordのチーフEVデジタルシステムオフィサー、Ford Model eのDoug Field(ダグ・フィールド)氏は「これは我々のビジネスのやり方の近代化における本当に大きな変化となります」と、述べた。

この変化のもと、同社は収益性の予測と営業利益率を引き上げた。Fordは、この構造改革もあり、2030年までに世界販売に占めるEVの割合が、従来のガイダンスの40%から50%になると見込んでいる。また、営業利益率は8%から2026年には10%に上昇する見込みだ。

Fordによると、この新体制は、118年の歴史を持つミシガン州の自動車メーカーに、スタートアップのスピードと、大量生産企業の深い専門性を持たせることを目的としている。

モデルeビジネスユニットは、フォードの膨大なエンジニアリングおよび製造資源を利用しながら、より迅速に電気自動車を開発・生産することを目的としている。また、Ford Pro(フォード・プロ)、Ford Blue(フォード・ブルー)、Lincin(リンカーン)を含むFordファミリーのすべての部位を対象としたコネクテッド・サービスを開発することも任務の1つだ。

Fordは、Ford Model eが発展していく間、Ford Blueが会社を支えるとみている。

「Ford Blueは、Fordの未来に資金を提供するFordの収益エンジンになります」と、チーフ・トランスフォーメーション&クオリティ・オフィサーのStuart Rowley(スチュアート・ロゥリー)氏は述べている。

Ford Blueは、2つの新しいユニットのうち、おそらくより興味深いものだろう。その存在は、Fordが化石燃料部門からできるだけ多くの収益性を引き出そうとしていることを示している。それには、それなりの理由がある。現在、Fordはどの自動車メーカーよりもダイナミックで人気のあるラインナップを揃えている。Ford Broncoは大ヒット商品であり、超低価格のFord Marverick(フォード・マーベリック)ピックアップは売り切れが続出するほどのヒット商品である。同様に、アメリカで最も歴史のある2つの車名、MustangとF-150は、市場セグメントのリーダーであり、競合他社にその座を明け渡す気配はない。

FordのCEOであるJim Farley(ジム・ファーレイ)氏は、Fordが内燃機関を諦めていないことを明らかにした。「そのことを強調したいです」と、ファーレイ氏は語った。「我々は内燃機関に投資するつもりです」。

このニュースにより、Fordの株価は下落し、プレマーケットの動きで5%近くも下落した。同社の株価は、1月に記録的な高値を付けて以来、下落していたが、それでも過去52週間で33%上昇している。

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(文:Matt Burns、翻訳:Yuta Kaminishi)

イーロン・マスク氏とテスラにはティム・クック氏が必要だ

同じ物語が何十年も演じられている。

スタートアップは偉大な個性のリーダーの下で開花し繁栄する。すぐに停滞が訪れる。会社の焦点は、無限に続く新製品を販売することから、顧客の要求を満たすものを作っていることの確認へと移り変わっていく。幸福な期間は終わり、新しい時代は、一貫して高品質な製品を大規模に出荷するために必要な退屈な日々から始まる。

ある時点で、あらゆる会社にTim Cook(ティム・クック)が必要になる。今、その会社はTesla(テスラ)だ。

たった今、Teslaの階層に明確な後継者はいない。もし、CEO(兼テクノキング)のElon Musk(イーロン・マスク)氏が潮時と判断して彼の別の会社か音楽活動に焦点を移すと決めたら、引き継ぐ人間は誰もいない。Teslaはマスク。すべては彼の手に導かれている。

マスク氏は広報部門を解体し、会社のニュースとTwitter経由で発信している。ファルコン・ウイングドアをModel Xに採用したのは彼の土壇場のアイデアだった。彼はほぼ完全自動化された自動車工場を作れることを頑なに貫いた。Teslaの車とサービスの購入を暗号資産で支払うしくみも実装し、後に取りやめ、また再び導入した。

マスク氏は、会社のほとんどの新規事業を自身が推し進めているのは、「そうしたいからではなく、しなければならないから」だと公に認めている。こうした深いレベルの関わりは、会社の創成期には有効だ。しかし、会社の未来が良質な製品をつくることにかかっているのであれば、1人の人物がすべてを支配していることは破滅的と言える。

[デーブ、君がファンなのは知っている、でもそれは愚問だ。私がプログラムを進めているのは、そうしたいからではなく、しなければならないからだ]

たとえば、マシンを作るマシンを作るという決断は、Model 3の生産を何ヶ月も遅らせ、CEO言うところの「生産地獄(production hell)」をもたらした。マスク氏は、完全自動に近い工場を作るのは間違いだったことを最終的に認めた。Model 3の生産はあの決断のために遅延した。

今のTeslaが好調であり、四半期黒字を達成し、出荷台数の新記録を打ち立てていることは事実だ。吉報にはそれ相応の問題がついてくる。1人の人間が成長する組織をこと細かく管理していると、生産の拡大とともに発生する問題に対処しきれなくなる。ある時点で、信頼された人たちに自分たちが仕事を成し遂げ、かつ問題を制御し、報復を恐れることなくCEOの思い付きのアイデアを阻止できる機会が与えられる必要がある。

たった今、Teslaは過去数ヶ月に発行した複数のリコールの対応に追われており、製造問題に見舞われている車のレポートに今も悩まされている。加えて、新型車(サイバートラックを含む)の出荷は少なくとも来年まで延期された。これらは、CEOが、個々に動くことのできるチームの力を借りて取り組むべき問題だ。

そして、あの一連のツイート。あまりにも多くのツイートがある。

マスク氏のTwitterでの存在に対する評価は二分されている。ブランドに害をもたらしている恐れも大きい。Teslaに広報部門というものはない。あらゆる情報が、Tesla公式アカウントまたはマスク氏から流れ出す。それは悪くはない、もしCEOの個人アカウントが標的となってTeslaを所有していることによる多くの利益を引き出すのであれば。実際にはそうではなく、それはミームと悪い冗談と侮辱とおべっかへの返信と政治色の強い見解と、それにときたまTeslaのニュースが入り混じったものだ。

CEOとして、Twitterで誰かをヒトラーと比較し、それが会社に悪影響を与えないと考えることはありえない。

会社のために、TeslaはCEOの次の気まぐれより先の未来を見据える必要がある。マスク氏が舵をとっていない時期のことを。最良の状態が、Appleで起きたことだろう。

長年、AppleのビジネスはCEO、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏と深く撚り合わされていた。彼は会社を倒産の瀬戸際から引き上げ、率いるチームと共に、スマートフォン革命の一端を担った長続きする会社を作り上げた。ジョブズ氏なくしてAppleはなかった、と言って間違いない。しかし、企業は永久に1人の人物ではありえない。

ティム・クック氏は、1998年にワールドワイド・オペレーションズ担当上級副社長としてAppleに入った。具体的には、会社全体の日常業務を取り仕切る役割だ。2011年、かれはスティーブ・ジョブズが亡くなる前にCEOに指名された。クック氏の指揮の下、会社は売上と利益を2倍以上に伸ばした。クック氏に、ジョブズ氏のような虚勢やビジョンはない。代わりにクック氏は、自分の仕事を全うする賢い人々を雇い、Appleが利益を上げ良質の製品を届け続けることに専念した。

Teslaにはティム・クックが必要だ。この自動車メーカーには、おならの音やビデオゲームなどの楽しい機能を作り続けながら、自動車を予定通り問題なく顧客に出荷できるリーダー(あるいは訓練中のリーダー)が必要だ。Teslaは、この先ずっと、顧客がサービスセンターをいつでも呼び出し、タイムリーに車を交換できるしくみを確実に維持していく必要がある。否が応でも、追いかけてくる他の自動車メーカーがよろこんでModel 3オーナーに求愛して自社のEVを売り込むだろう。

会社の売上は好調だが、適切な育成がなければ、Tesla EVの優位性はいつでもライバルに取って代わられる。マスク氏は実際、育てるタイプではない。彼のルールの下、新車出荷台数は史上最高を記録しているが、今も製造品質に関わる問題の報告を受け続けている。これは数年前に解決すべきだった問題だ。

最近の報告によると、Teslaは冗長なステアリング・コントローラーを付けずに車を出荷しており、そのことを顧客に伝えていない。このコントローラーは、車がFSD(フルセルフ・ドライビング)対応になった際に必要になる。この種の判断は顧客の忠誠心を損ない、購入を考えている人たちを遠ざける。

現在の顧客がTesla車の問題に遭遇した時、未だにサービスを受けるためには不十分な伝達や長い待ち時間とイライラがともなう。修理を終えた顧客は、自分たちの経験をTwitterでシェアしようとするが、マスク氏にへつらうフォロワーたちから攻撃を受けて終わる。マスク氏自身でさえ扱いきれていない連中だ。

そしてリコールがある。過去数年、Teslaは米国幹線道路交通安全局の強い要請を受けて、FSDのソフトウェア問題に関する数々のリコールを発行した。Model 3とModel Yの予告なくブレーキが作動する問題、シートベルト警告音の不具合サスペンション問題、Model SおよびModel Xのパワーステアリング・ボルト腐食等々だ。最近では、Teslaが追加した機能が後に削除された例もある。このリコールがいちばん厄介だ。

どの自動車メーカーにもリコールはつきものだが、安全ではないとされたために元に戻さなければならなかったメーカーはあまり聞かない。マスク氏の下でTeslaは、路上走行中、ドライバーが望んだ音を外部スピーカーで鳴らてる機能を推奨した。歩行者への警告音を邪魔する可能性のある機能だ。さらに同社は、自動運転中に一時停止標識を通過(停止ではない!)させるアップデートを配信した。そして、運転中にメイン情報スクリーンでビデオゲームをプレイできる機能を削除するよう言い渡されなくてはならなかった。

一連のリコールについてマスク氏は、NHTSAは「たのしみ警察」だとツイートした。もちろん実際には同機関は安全警察であり、Tesla、および市民の一番の関心事は、自動車メーカーがNHTSAと協力して、道路を全員にとって安全に保つことであり、近隣を走りながらハンプティ・ダンスを流したいTeslaドライバーを喜ばすことではない。

マスク氏、Tesla、そして顧客にとって最善のシナリオは、誰かがCEOと何年か一緒に働き、社内と取締役会の信頼、そして何よりも大切なのは顧客の信頼を築き上げていくことだ。マスク氏を取り巻く個人崇拝は、マスク氏がこの人物をリーダーとして心から受け入れることを必要としている。そうすればマスク氏が会社を去るかCEOを辞任した時も、崇拝者の気持ちも和らぐだろう。

マスク氏が、所有する会社を完全支配するのをやめた前例はある。彼はSpaceX(スペースエックス)のCEOではあるが、経営責任はプレジデント兼COOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏と分け合っている。SpaceXについてツイートするのはマスク氏でも、ショウを演出しているのはショットウェル氏だ。彼女は、カンファレンスやイベントでSpaceXを代表することの最も多い幹部でありStarlink(スターリンク)計画のビジョンと戦略を明確に述べる最適の人材であるが、会社の外向きの顔であるだけではない。プレジデント兼COOとして、ショットウェル氏は日々の実務をこなしている。もしマスク氏がCEOを降りると決めたなら、ショットウェル氏には後を引き継ぐ用意がある。

SpaceX、取締役会、米国政府、および提携企業にとって、それは救いの源だ。宇宙旅行を1人の人間に賭けるのは、恐ろしい博打だ、なぜならいずれその人はいなくなるのだから。

残念ながら、Teslaとマスク氏はひとつである。一般に知られている限り、現時点でプランBはなく、何かあった時、駆動装置とエネルギー工学担当上級副社長のAndrew Baglino(アンドリュー・バグリノ)氏がCEOを引き継ぐかもしれないことくらいだ。後継者育成計画が進められている可能性はある。しかし、透明性なくしてその計画を遂行することは混乱を呼ぶだけであり、株価に壊滅的打撃を与えかねない。

マスク氏は現在Teslaを動かしており、われわれの知る限り、今後も末永く続くだろう。しかし、彼は永遠には存在しない。仮に存在したとしても、蓄積された彼の不幸がついには会社に到達しない保証はない。社員のため、株主のため、そして顧客のためには何か計画が必要であり、即座に行動する必要がある。

画像クレジット:Britta Pedersen-Pool/Getty Images / Getty Images

[原文へ]

(文:Roberto Baldwin、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Waymoがサンフランシスコでロボットタクシー乗車料金の徴収を開始

Alphabet(アルファベット)の自動運転部門であるWaymo(ウェイモ)は、カリフォルニア州公益事業委員会から、サンフランシスコで自律走行車によるライドヘイリングに乗車した人に料金を課すことを認める許可を得た。ただし、許可の規定に従い、人間のセーフティオペレーターが立ち会う必要がある。

このカリフォルニア州公益事業委員会(CPC)からの許可取得は、同社がサンフランシスコで自律走行車を商用化するための最終ステップの1つだ。2021年9月、カリフォルニア州自動車局はWaymoに同市での運転者同席許可証を与え、それにより同社は自社の自律走行車が提供するサービスの対価を受け取ることができるようになった。

この許可は、Waymoが特別にロボットタクシーサービスに料金を課すことを許可するものではなかったが、同社は自律配送から収益を得ることができた。11月、同社はスーパーマーケットチェーンのAlbertsons(アルバートソン)と提携し、サンフランシスコで一部の顧客に食料品を配達している。

Waymoは2021年8月から、サンフランシスコで十分に精査された個人のグループである「Trusted Tester」プログラムのメンバーに無賃乗車を提供している。これは、乗車体験に関する詳細なフィードバックを提供してもらい、同社のサービスに関する学びを手助けするものだ。同社によると、テスターは秘密保持契約書にサインしてプログラムに参加し、ウェイティングリストは数万人に上るという。

今後数週間のうちに、WaymoのSFサービスエリア内であれば24時間365日どこでも有償で乗車できるよう、同社はこのプログラムを発展させる予定だ。

Waymoの広報担当者であるNick Smith(ニック・スミス)氏はTechCrunchに「我々は完全自律走行体験を一般に展開するための道筋を、段階的なアプローチで進めています」と語っている。「それは、私たちがアリゾナで取ったアプローチで、これは 私たちの安全への焦点に深く基づいています。そしてそれは、私たちが今後運営するどの都市でも取るであろうアプローチです。まず、自律走行モードで自律走行スペシャリストがハンドル操作を管理する状態で開始し、選ばれたテスターに、料金を徴収開始する前に無料で乗車を公開します。最終的には、ライダーのみのモード(他に誰も乗っていない状態)での運行に移行します。アリゾナでは、何千人ものライダーがライダーのみのモードで何万回もの移動をこなした実績があり、この方法はサービス運営に関する学びを得るのに役立っています」と語る。

同社は、同社の自律走行型Jaguar I-PACEを何台保有しているのかは共有していないが、最新のCPUC四半期報告書では、Waymoは報告期間中のある時点でライダーによる移動に利用できる車両を約100台保有していたことが判明した。

同社のライドヘイリングサービスであるWaymo Oneは、アリゾナ州フェニックスですでにドライバーレスサービスとして提供されており、このサービスがどの程度のコストになるかの指標となるはずだ。最近のCNBCのレポートによると、5mil(約8km)を14分かけて走った場合、結局1分あたり約1ドル(約115円)のコストがかかったという。Uberの平均的な乗車時間は1分あたり約0.40ドル(約46円)である。

「価格設定は合理的で、サンフランシスコの他のサービスと競争力のあるものになる予定ですが、現時点で共有できる具体的な内容はありません」とスミス氏は語る。

Waymoが有料乗車に完全移行したら、サンフランシスコのTrusted Testerの無料乗車を停止すると、スミス氏は述べた。

同市におけるWaymoの最大の競合であるCruise(クルーズ)は、Waymoがドライブレスの許可を得たのと同じ日にカリフォルニア州陸運局からドライブレスの展開許可を得ており、2月初旬から一般市民に対して人間のセーフティ・オペレーターを介さない無料乗車を提供している。Cruiseは、それらの乗り物を有料化するためのCPUCの許可をまだ待っているところだ。Waymoは、DMVにドライバーレス許可証を申請したかどうかについてコメントするのを避けた。

関連記事:Cruise、サンフランシスコの公道で自動運転タクシーの一般乗車開始へ

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Akihito Mizukoshi)

パナソニック、テスラのEV向け大容量電池を2024年3月までに和歌山で量産開始

Panasonic(パナソニック)は、2024年3月までにTesla(テスラ)の電気自動車向けとなる大容量バッテリーの量産開始を目指している。同社は和歌山工場に同バッテリーの生産設備を建設中で、そこに2つの生産ラインを増設し、構造的な改良を施す計画だ。

この現在も開発が続いている「4680」と呼ばれる新型リチウムイオン電池は、現行の電池の約2倍の大きさで、エネルギー容量は5倍になる見込みだ。1台の車両に必要な電池の本数が減る(これはコスト削減につながり、EVの価格を下げる可能性がある)一方で、一度の充電で走行可能な航続距離を15%以上伸ばすことができるという。

今回のパナソニックの発表は、来年にもこの電池の製造が始まる可能性を示唆した以前の報道と一致する。同社はその生産設備に約800億円を投資すると言われていた。テスラからの要請を受けて、この電池の開発に着手したものの、他の自動車メーカーに4680電池を販売する可能性もある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Kris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Getty Images under a Sjoerd van der Wal license.

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

英Taurはeスクーターの「所有」をクールなものにできるか?

eスクーターの話題の多くは、シェアードスクーターや、それを展開する企業、展開されている都市の話題で占められている。しかし、ロンドンを拠点とする電子スクーターブランドTaur Technologies(トア・テクノロジーズ)の共同創業者でリードデザイナーのCarson Brown(カーソン・ブラウン)氏は、スクーターシェアリングと乗り物としてのスクーターとを分ける時期に来ているという。

Taurは2019年に、走行中にライダー(乗り手)が正面を向くことができるフットデッキと、大きなタイヤを2つ搭載した、高級で洗練された白いeスクーターの事前予約キャンペーンを開始して、世間に認知された。ロンドンでの発売を予定していたが、栄子0苦ではまだ個人所有のeスクーターが合法化されていない。

そこでTaurは、未来の交通システムを専門とする、サンフランシスコのVCであるTrucks VCから、175万ドル(約2億円)を調達し、ロサンゼルスで始動することとなった。電動スクーターの市場は成熟しているとまでは言えない。新会社の参入は大注目とまではいかないまでも、それなりに注目されるに足る市場であることは確かだ。

ブラウン氏はTechCrunchに「始めたころは、シェアリングが本当に一般的だったと思います。そんな中で自信満々に勇敢で愚かな決断をして、次は所有スタイルが来るよ!と言い切ったのです」と語った。なので、このスクーターを受け入れてくれる市場でチャンスを掴もうとしていますが、LAは製品の観点からだけでなく、大きな部分を占めるブランドという観点でもすばらしい場所だと考えています。普通の人にとってのスクーターのイメージを変えていきます。それができたなら、目的を達したことになります」。

言い換えれば、スクーターをニッチなものとか「二流市民の移動手段」としてとらえるのではなく、憧れの交通手段としてとらえることのできる文化的な転換を図りたいというのが、Taurの考えなのだ。スクーター会社の多くは、あまり個性がなく、文化的にもあまり貢献できていないのは確かだ、とブラウン氏はいう。

「できるだけ安く作って、できるだけたくさん売るというのが普通でした」と彼はいう。「私たちは、本当に最先端で、最前線で、実際に人々が話題にする製品となるものを提供できるチャンスに惹かれたのです」。

Unagi (ウナギ)のスクーターは、スクーター界のiPhone(アイフォン)と呼ばれてきた。同ブランドが最近発表した次世代のModel Eleven(モデル・イレブン)は、物体検知や警告などの高度なライダー支援機能を備え、スピーカーなども内蔵したスマートスクーターだ。そのスクーターは約2860ドル(約33万円)だが、標準的なModel One(モデル・ワン)は約990ドル(約11万4000円)だ。

Unagiは、Iggy Pop(イギー・ポップ)氏のようなセレブのインフルエンサーたちをスクーターのクールなイメージとして採用してきたが、ブラウン氏はUnagiがその形状の可能性を究極まで追求できているとは考えていない。彼は、デザインの観点から考え抜かれ、セクシーに見え、プレミアム価格(1495ドル[約17万3000円])を持つTaurの戦略が、所有欲をかきたてるための文化の転換を促すのに役立つと期待している。

画像クレジット:Taur Technologies

その最たるものが正面を向く形のデッキで、両足を折りたたみ式のフットプラットフォームに乗せることで「スキー」のような搭乗姿勢を取ることになる。これは、他のスクーターのように体を斜めにして乗るのとは違い、ライダーが道路を真っ直ぐ見ることができるようにするためだとブラウン氏はいう。また、安定性にも貢献すると付け加えた。

プラウン氏はさらに「スキーをするときのことを考えれば、両足にかける体重を調整することで、ハンドルに加えて車体の進行方向を操ることができるのです」という。「ちょっと違う感じがします。これまでかたくなに 『いや、いままでのやり方がいいよ』と言った人たちに試してもらい、その結果『OK、どうしてこれがいいのかわかったよ!』と言ってもらったことが何度もあります」。

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Taurのスクーターは、他のeスクーターよりも50%ほど大きいコンチネンタル製の非常に大きなタイヤを装着している。また、3つのライトを装備している。照射角の広いフロントライトは、ライダーの視界を良くするだけでなく、他の通行者がライダーの側面や後方からライトを視認することができる。また、専用のブレーキライトの他、後方には上方を照らしてライダーを見えるようにするプロジェクションライトも装備されている。また、移動中の利便性と収納性を考えて、スクーターはきれいに折りたたむことができる。

今のところホワイトしかないが、それは美的な選択でもあり、機能的な選択でもあるとブラウン氏はいう。白いスクーターは市場に多く出回っている黒いスクーターや銀のスクーターに比べて個性的であるだけでなく、他の道路利用者にとっても目につきやすいと付け加えた。

市場に出ているスクーターの多くは、普通の自転車店では修理できず、顧客サービスのチャンネルも貧弱だとブラウン氏は指摘する。Taurのスクーターはモジュール式で設計されている。5つのモジュールで構成されていて、交換可能にすることでメンテナンスが容易になっている。

「『所有に適したデザイン』という前提があったのです」とブラウン氏はいう。「タイヤ交換は5分以内でできますし、もしタイヤレバーがなければスプーンを使うこともできます。このような車両のユーザーになって、自分でデザインしてみようと考えたなら、そのハードルの高さは分かるはずですし、他の誰もそこに到達できていないことに気がつくはずです」。

Taurは、夏にスクーターの予約分の出荷を開始する予定で、8月以降はLAで消費者への直接販売を行う予定だ。スクーターには30日間の返金保証と、保証書が同梱される。米国内のLA以外の居住者は、100ドル(約1万2000円)の保証金を支払うことで、Taurのウェイティングリストに登録することができる。

画像クレジット:Taur Technologies

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

Nikola、EVトラック量産に向けた進捗と厳しい損失を報告して激動の2021年を締めくくる

SPAC経由で上場した電気トラックのスタートアップNikola Corp(ニコラコーポレーション)は、過大な約束、納期の遅れ、投資家への虚偽説明での創業者取り調べといった過去を経て、商業活動に近づいている。

米国2月24日に発表された第4四半期決算で、Nikolaは最近のマイルストーンの数々と、さらに重要なことに電動大型トラックの量産を開始する計画を強調した。

投資家にとっては、2020年半ばの最高値以来、株式市場でNikolaの価値の多くが失われたため、この進展は冷ややかな慰めにすぎないかもしれない。それでも、同社CEOのMark Russell(マーク・ラッセル)氏が第4四半期決算のダイジェストで書いているように、この上場企業は「車両を納入し、収益を上げる」ことに向けて非常に熱心に取り組んでいる。

サプライチェーンの制約による遅延と証券規制当局の調査に悩まされてきたNikolaは、3月に電気トラックの量産を開始すると発表した。同社によると、生産準備が完了したバッテリー電気トラック「Tre」300〜500台を2022年第2四半期に顧客に届ける予定だ。

この見通しは、若干の進展を示している。強調しておくが、若干だ。重要なのは、Nikolaが、2件の証券詐欺と1件の通信詐欺で米連邦検事局に起訴され物議を醸した同社の創業者で前CEO兼会長のTrevor Milton(トレバー・ミルトン)との間にようやく一定の距離を置くことができたことだ。同社は2021年12月、米国証券取引委員会との和解の一環として、1億2500万ドル(約145億円)の罰金を支払うことに同意した。同社は分割で支払っており、ミルトン前会長に弁済を求めると投資家向けのアップデートで述べている。

ロシアのウクライナ侵攻、中国と台湾の緊張、新型コロナウイルス感染症の大流行などを受け、世界中で株式市場が苦戦した日にNikolaは注目すべき決算を発表し、同社の株価は7%超上昇している。

同社のバラ色の見通しは、電気トラックNikola Treのプロトタイプから量産への移行だけではない。2022年中にアリゾナで同社初の水素製造ハブの建設を開始し、カリフォルニアでの2つ以上のディスペンサー・ステーションのパートナーを年内に発表する予定だと明らかにした。

Nikolaはまた、Anheuser-Busch(アンハイザー・ブッシュ)やTotal Transportation Services Inc.(トタル・トランスポーテーション・サービス)といった顧客とのパイロットテスト、Proterra(プロテラ)とのバッテリー契約の確保、トラックの資金調達を支援するCorcentric Fleet Funding Solutions(コーセントリック・フリート・ファンディング・ソリューションズ)との協力など、商業化に向けたより注目すべき進展も報告した。

Nikolaは、3カ月にわたるパイロットプログラムの一環として、カリフォルニアのTTSIに最初のTre BEV(バッテリー式電気自動車)2台を納車したという。これらのトラックは、1日に複数の荷物を運搬し、合計4500マイル(約7240キロメートル)超を走行し、1回の充電で204マイル(約330キロメートル)走行した。これは、TTSIがテストしたどのBEVよりも長い航続距離だと同社は述べている(読者のみなさんへ: あなたが好きな非GAAPベースの結果は何だろう。ソーシャルメディア企業のMAU/DAU比率か、EVに関する走行距離か)。

Nikolaはまた、Anheuser-Buschと燃料電池電気トラックTre FCEVの試験運用を開始した。Nikolaによると、2台のNikola Tre FCEVアルファが、Anheuser-Buschの南カリフォルニアの流通網で3カ月間の日常的な試験運転を行っている。

しかし、上記のポジティブな取り組みには共通点がある。それは、いずれも2021年には利益を生んでいないということだ。そのため、Nikolaの2021年第4四半期および通年の決算は大赤字だ。

決算内容

Nikolaは2021年第4四半期中、あるいは2021年のどの時点でも収益はゼロだった。つまり、売上高ゼロ、営業費は1億6270万ドル(約188億円)で2021年を締めくくった。したがって、同社の通年の営業損失はまさに1億6270万ドルだ。

この結果は、1億4680万ドル(約170億円)とやや控えめだった2020年の営業損失よりも大きく、したがって悪化した。しかし、この指標には約1440万ドル(約16億円)の減損費用が含まれていて、同社の経費増加ペースは営業損失の額面から見えるよりも大きく、経費増加ベースは収益性(またはその欠如)に重大な影響を及ぼしている。

はっきりさせておくと、これはTechCrunchも市場も予想していたことだ。Nikolaは、前述のように成長に向けた加速モードのままだ。つまり、経費は増加し、収益は将来期待されていて、潜在的な利益ははるか未来にあるということだ。これらの損失は2022年に拡大し続けるかもしれないが、最初の生産用トラックの納車が始まり、これは実際の資本、つまり収益が同社に流入し始めることも意味するはずだ。

それでも、同社の決算報告には、2021年第4四半期の損失が予想より少なかったという良いニュースもあった。Nikolaは同四半期にすべてのコストを考慮に入れると(GAAP)1株当たり0.39ドル(約45円)の赤字だったが、調整後の1株当たり純損失はわずか0.23ドル(約26円)で、これは主に株式による報酬費用と規制費用の財務的影響をコスト構成から除外した結果だ。市場は、調整後ベースで1株当たり0.32ドル(約37円)の赤字になると予想していた。これは、同社の商業的な進展と相まって、励みになると解釈されるかもしれない。

良いニュースかどうかは別として、同社は米証券取引委員会との和解に関連する支払いを前倒ししており、収益はゼロで、経費は増加している。トラックを大量に、しかもポジティブなユニットエコノミーで販売できるかどうかは、依然として不透明だ。それでも、投資家は本稿執筆時点でNikolaを30億ドル(約3470億円)と評価している。これは、同社のトラックが今後走り出し、そして走り出したときに利益が発生する、というかなり大きな賭けだ。

画像クレジット:Nikola Corp.

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(文:Kirsten Korosec、Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

MotionalとViaが自動運転車による無料の配車サービスをラスベガスで開始

Aptiv(アプティブ)と現代自動車(ヒョンデ)の合弁事業として、自動運転車技術の商用化を目指すMotional(モーショナル)は、オンデマンド交通サービスを手がけるテック企業のViaと共同で、ラスベガスで新たなロボットタクシーサービスを開始した。

2020年10月に初めて提携を発表した両社は、ラスベガスのダウンタウンで一般市民に自動運転車の無料乗車を提供する。この自動運転車には、安全のために人間のオペレーターも同乗することになっている。

このサービスは2021年前半に開始される予定だったが、新型コロナウイルス感染流行による不安から、両社は開始時期を延期していた。MotionalとViaは当初、オンデマンドの相乗りロボタクシーという青写真を開発し、これらの車両が公共交通機関にどのように統合できるかを学ぶ計画だった。両社はその後、相乗りサービスの計画を破棄し、代わりに個人向けの乗車サービスの提供のみを行う予定であることを、Motionalは認めた。

この新サービスは、MotionalがLyft(リフト)との既存の提携関係を延長し、2023年までにラスベガスで商用ドライバーレス配車プログラムを開始する計画を発表してから、わずか数カ月で実現したものだ。MotionalとLyftは、2022年の後半までに運転手なしの無料乗車サービスを開始することを目指しており、一般市民はLyftのアプリを通じて、電気自動車「Hyundai IONIQ 5(ヒョンデ・アイオニック5)」をベースにしたMotionalのロボタクシーを予約できるようになる。

MotionalとViaは、当初は無料で自動運転車の乗車サービスを提供するという、Cruise(クルーズ)やWaymo(ウェイモ)と似たアプローチを取っている。ただし、Motionalは、少なくとも法的には、ネバダ州で乗車に課金することを妨げられているわけではない。

ネバダ州は、現在CruiseとWaymoが商用化を目指しているカリフォルニア州に比べて、自動運転車の公道走行に関する規制がはるかに少ない。例えば、ネバダ州では自動運転車のテストや運行において、人間の安全オペレーターが乗車するか否かということを区別していない。また同州の法律は、自動運転車を配達や配車サービスとして提供することについては何も言及していない。ネバダ州自動車局の広報担当者によれば、このことは「できない」とする規制がない以上、法的には企業が商用自動運転車サービスに課金することが可能であることを意味するという。しかし、この広報担当者は、現在新しい法律が起草されていることにも言及した。

Motionalによると、同社はラスベガスで既存のLyftの運転手付きサービスで行っているように、運賃を請求できる許可を得ていると言っているが、その許可が自動運転車に関連したものなのか、それとも市内でタクシーサービスを運営するために同社に与えられたものなのかについては、詳しく述べていない。

現段階では、MotionalとViaはサービスの宣伝と自社の学習目的のために無料の乗車サービスを提供することで、乗客からフィードバックを収集し、両社の技術を組み合わせてどのように機能するかを研究することができると、Motionalの広報担当者であるAbby O’Malley(アビー・オマリー)氏は語っている。この広報担当者は、両社が商用サービスの運営を目指しているかどうかや、またその時期については明言せず「Motionalは、この試験運用から学び、将来的にViaとのパートナーシップを拡大することを楽しみにしています」とだけ述べた。

画像クレジット:Motional/Via

米国時間2月24日より、乗客はViaアプリを使って、Motionalの自動運転技術を搭載した「BMW 5シリーズ」のロボットタクシー1台を予約できるようになる。これは、Motionalが現在のLyftのサービスで使用している車両と同じものだが、オマリー氏によると、両サービスで使用する車両群は区別されており、Chrysler Pacificas(クライスラー・パシフィカ)もまだテストに使っているとのこと。

Viaのサービス提供時間は、月曜日から金曜日の午前9時から午後5時まで。乗客は、Viaアプリで強調表示されるRTCボンネビルトランジットセンター、ラスベガス市役所、コンテナパーク、ラスベガス芸術地区、クラーク郡政府センターなど、ダウンタウンの特定のポイントで乗車および降車できると、Motionalは述べている。

Motionalによると、このロボットタクシーサービスでは、Viaのインテリジェントな予約、ルーティング、ソフトウェアアプリケーション技術を活用することで、Motionalの自動運転ロボットタクシーとその車両管理、そして車内での乗客体験に役立てているという。

「車両は、乗客からの送迎の要求に基づき、(運用設計領域の中で)その時点で最も効率的なルートを採択します」と、オマリー氏はTechCrunchに語った。「バスが取るような固定ルートではありません」。

Motionalは、Viaと一緒にラスベガスで運行している車両フリートの規模を明らかにしなかったが、オマリー氏によれば、両社は需要を綿密に観察し、将来的にサービスを拡大するための基盤を持つようになる予定だという。

画像クレジット:Motional

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーロン・マスク氏のインサイダー取引の可能性について米SECが調査開始

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が待ち焦がれている、SECから解放される瞬間はまだ遠いようだ。The Wall Street Journalの情報筋によると、SECはマスク氏と弟のKimbal Musk(キンバル・マスク)氏が、最近の株式売却でインサイダー取引の規制に違反したか否かを捜査しているという。

Tesla株の売却についてイーロン氏はキンバル氏に対して、Twitterのフォロワーに尋ねるつもりだと話した可能性があり、その結果、キンバル氏は11月6日のツイートの前日に8万8500株を売却するよう仕向けたのではないかという点についてSECは調査している。もしそうなら、CEOハ従業員が非公開情報を取引することを禁止する規則を破ったかもしれない。

キンバル氏は、計画的にTesla株を一定期間ごとに頻繁に売買してきた。SECの提出書類によると、彼は11月5日にそうしなかった。

TechCrunchはSECにコメントを求めた。Teslaは、2020年の一時期に広報のチームを解体していたためコメントは得られなかった。マスク氏は当然、SECに対して友好的ではないが、彼によるとSECが始めた彼が思う戦いはそのうち終わるだろう、という。

しかし、この記事が正しければ、長年の確執にさらなる緊張が加わる。それは、2018年にSECが、同社を非上場にするとツイートしたマスク氏に対して動いたときに始まる。マスク氏はそのときの和解に合意して、ソーシャルメディア上の財務関連のポストには承認を要するという要求を飲んだが、それで両者の戦いが終わったわけではなかった。SECは過去数年間、生産関連のツイートが承認されていない懸念からマスク氏のツイートをチェックし、そしてほんの数日前には、2018年の和解の遵守過程に関する情報を求めてTeslaを召喚した

マスク氏はこれらと同時に、SECと大っぴらにやりあってきた。2022年彼はこの規制当局を、その「嫌がらせ作戦」が彼を不公平に特定し、モニタリングから法廷を除外したと非難した。SECは、その非難を否定した。これらの主張の背後にある真実が何であれ、マスク氏がいかなる新しい捜査を歓迎しないことは確実だ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto/Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

テトラ・アビエーションの空飛ぶクルマ(eVTOL)実機が東日本大震災・原子力災害伝承館で常設展示

テトラ・アビエーションの空飛ぶクルマ(eVTOL)実機が東日本大震災・原子力災害伝承館で常設展示

福島ロボットテストフィールドで試験飛行中のMk-3

テトラ・アビエーションは2月23日、垂直離着陸航空機(eVTOL)の「Mk-3」(マークスリー)が「東日本大震災・原子力災害伝承館」(福島県双葉郡双葉町大字中野字高田39)において、常設展示されると発表した。同施設の「復興への挑戦」コーナー改修にともなうもので、展示期間は2022年2月23日から2年間の予定。展示機体は写真撮影可能。

Mk-3は、テトラ・アビエーションが2018年から開発し、2020年2月開催の国際個人用航空機開発コンペ「GoFly Final Fly Off」において受賞した機体。同コンペで飛行した実機を展示する。また同社は、福島ロボットテストフィールド開所時から入居しており、このMk-3を使った飛行試験を行ってきたという。

同社は現在、次期機体「Mk-5」を開発し、福島ロボットテストフィールドにおいて飛行試験を行っている。引き続き、福島県をはじめ日本における航空産業の発展のため、航空機メーカーとしてより良い製品の開発に尽力するとしている。

2018年設立のテトラ・アビエーションは、空飛ぶクルマと呼ばれる垂直離着陸航空機(eVTOL)を開発するスタートアップ。今後、まずは個人利用としてのeVTOLを開発・販売し、購入者からのフィードバックを基に量産型eVTOLの開発を行い、2025年に開催される大阪万博での飛行など2拠点間移動サービスを行うための機体をリリースしたいとしている。

米国郵便公社が次世代配送車にガソリン車を選択、EV派のバイデン大統領はがっかり

米国郵便公社(U.S. Postal Service、USPS)は最初の計画どおり、同公社の郵便配達車隊の車両の90%を更新し、Oshkosh Corp.のガソリン車を採用する。

この決定は、バイデン政権の希望を打ち砕く。政権はこの独立機関を説得して、ほとんどが電気自動車で構成される車隊に変えるよう望んできた。また少なくとも短期的には、推計で合計60億ドル(約6933億円)となる契約の一部を、いかなるEVメーカーといえども手にする機会はない。郵便公社は環境保護庁のコメントを検討して、同公社の次世代配達車両事業が環境に及ぼす影響を評価し、その決定の最終決裁をした。その概要は384ページの文書で発表された。

その承認された事業では、USPSはウィスコンシンのOshkoshから5万台から16万5000台の郵便トラックを購入する。そして10%は電気自動車になるが、圧倒的多数の最大90%まではガソリン車になる。

USPSの総裁でCEOのLouis DeJoy(ルイス・デジョイ)氏は、声明で次のように述べている。「この問題の検討に際して、現状の古い車隊および私どもの脆弱な財務状況と、車両と安全性の緊急の必要性を考慮して、電気自動車の車隊を採用することは高望みだと判断された。私たちの財務的位置づけが、現在進んでいる10年計画、Delivering for America(米国のための配達)の進捗により改善されていけば、内部的または議会筋よりの新たな資金調達により、電気自動車のさらなる追求を継続できるだろう。

しかしながら車隊の更新は、待ったなしのプロセスであり、米国郵便公社の社員は男女を問わず、安全できれいな車両により私どもの普遍的なサービス義務を満たし、1週間に6日、すべての天候と地域の1億6100万の住所への配達を行えることを、もう待ちきれないほど待っていた」。

USPSによると同公社が選んだOshkoshの代替車両は、最も実用性が高いと判断された。なぜなら、バッテリー駆動の電気自動車は総保有コストがガソリン車よりも高いからである。USPSによると、同公社が新たな車隊の電気自動車の比率を10%に抑えたのは、そのためだ。

この決定は、バイデン政権とElectrification CoalitionなどのEV推進団体から非難された。

Electrification CoalitionのBen Prochazka(ベン・プロチャズカ)理事長は「USPSがその不透明で欠陥のある環境影響分析に対する正当な批判を無視し、ほとんどがガソリン車の新たな車隊を選んだことは、失望を通り越している」と述べている。

USPSは、2015年に新車両の探索を開始した。この次世代車両は人間工学的な改良が為され、エアコンと暖房を備え、360度カメラや最新のブレーキ、トラクションコントロール、エアバッグ、フロントとリアの衝突回避システムでビジュアルと音声の警告があるもの、そして自動ブレーキなどの安全技術を装備している必要がある。また、積載量も前より大きくなければならない。

2021年、USPSはOshkosh Defenseと契約したことを発表した。EVスタートアップでトラブルがあった上場企業Lordstown Motorsは契約を失った

画像クレジット:USPS

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)