MozillaがVRウェブブラウザ「Firefox Reality」の公開終了を発表

人気のVRウェブブラウザが終了する。米国時間2月3日、MozillaはVR環境で使用するために開発し、4年にわたって公開していたFirefox Realityブラウザを終了すると発表した。このブラウザを利用するとVRヘッドセットでウェブにアクセスし、マウスではなくVR用ハンドコントローラを操作して、URLへのジャンプ、検索、2Dと3Dのインターネットのブラウズなどができる。

関連記事:MozillaのVR用ブラウザーFirefox Realityが完成、VRがWebのふつうのコンテンツになる日も近い?

Firefox Realityは2018年秋に初めて公開され、Viveport、Oculus、Pico、Hololensのプラットフォームでアプリストアから入手することができた。2Dのウェブを閲覧できる一方、この新しいテクノロジーを使ってウェブの3Dコンテンツ、例えば360度パノラマ画像やビデオ、3Dモデル、WebVRゲームなどのブラウズや操作ができると期待された。しかし米国時間2月3日の発表で、Mozillaはこれまでダウンロード可能だったアプリストアから「数週間」以内にブラウザが削除されると述べた。

Mozillaはその代わりとして、今後もVRでウェブブラウザを利用したいユーザーは、Firefox Realityのソースコードに基づいてIgaliaが公開するオープンソースのブラウザ「Wolvic」を使うように案内している。Wolvicは2月7日の週にダウンロードできるようになるので、ユーザーにとってはブラウザがなくなってしまうわけではないが、乗り換えが必要となる。

IgaliaはXR分野への取り組みを全面に押し出している。XRとは、VRやAR、そしてこれに類するテクノロジーの総称として使われる言葉だ。Igaliaは同社の発表の中で、この分野に対するMozillaの取り組みが行き詰まっていると感じていたことを示唆し、実験を引き継いで「この取り組みを継続してプロジェクトを完成させる」ことに意欲を示している。

Igaliaのウェブサイトに掲載された発表には、以下のように書かれている。「Igaliaは、XR分野にとってウェブは多くの点で重要であると確信しています。没入型OSを提供するXRシステムには、その一部としてウェブブラウザが必要です。ウェブ上にすでに存在するものに一切アクセスせずに『リアリティ』に入っていくことは、かなり難しいでしょう。そしてWebXRはブラウザ自体から得られる情報をたどり、共有し、体験するための新しい手段となります。没入型OS向けブラウザの再考は新しい領域であり、なぜ新しいかといえばブラウザの選択が現在は限られているからです」。

公開時点では、WolvicブラウザはOculus、HTC Vive Focus、Pico Interactive、Daydream、HuaweiのARメガネ、オープンソースのLynxデバイスで動作する。ただし2月7日の週に公開されるブラウザはMozillaがこれまでのブラウザで提供していた機能の一部を移行中であるため、まだベータ版だ。

Igaliaは今後2年間ブラウザのプロジェクトに取り組む資金の一部を確保したが、健全なエコシステムを構築するにはさらにパートナーを見つける必要があると述べ、関心のある人はメールで連絡して欲しいと呼びかけている。

Firefox Realityの終了を決めた理由について、MozillaはWebVRやWebARといった新しいテクノロジーの開発は支援するが、そうしたテクノロジーのホストやインキュベートを長期にわたって継続するとは限らないと説明している。WebAssembly、Rust、Servoのように、プロジェクトを継続できる他の組織を見つける場合もある。もちろん、かつてたいへんな人気を誇ったウェブブラウザのFirefoxで一般ユーザーに今でもよく知られている組織として、最新のブラウザ技術の将来は別の組織に引き継いでいる。

画像クレジット:Mozilla

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

フェイスブックとSpotifyが時間外取引で叩かれている理由

もしあなたが株を持っているなら、悪いニュースだが、おそらくあなたは今損をした。

Facebook(フェイスブック)として知られるソーシャルネットワークの巨人Meta(メタ)の株価が、時間外取引で20%以上下落している。また、音楽ストリーミングとポッドキャスティングの中堅企業であるSpotify(スポティファイ)は、米国時間2月2日の取引終了後、15%以上下落している。この2つの急落は、同じく株価を下げたPayPal(ペイパル)の迫力にかける決算と、Alphabet(アルファベット)のかなり良い決算を受けてのものだ。

Alphabetの第4四半期の好業績は、中央値というより異常値に見え始めている。

Meta、そしてShopifyについて、何が起こっているのかを解析してみよう。

Metaの高価な四半期とたるんだガイダンス

第4四半期、Facebookの売上高は336億7000万ドル(約3兆8500億円)、営業利益は125億9000万ドル(約1兆4400億円)、純利益は102億9000万ドル(約1兆1700億円)だった。また、1株当たり利益は3.67ドル(約420円)だった。

これらの数字は、アナリストの予想と比較してどうだったのだろうか?Yahoo Financeの平均値では、アナリストは、売上高334億1000万ドル(約3兆8200億円)、1株当たり利益3.84ドル(約440円)と予想していた。つまり、Facebookは、1株あたりの利益では届かなかったものの、堅実なトップラインを達成したことになる。

しかし、この利益未達は、単に一株当たり数セントという話ではなく、同社にとってより大きな問題だ。その点を明らかにするために、前年比の比較をしてみよう。2020年第4四半期のMetaの営業利益は127億6000万ドル(約1兆4600億円)で、同期間の売上高の約46%であった。後者の数字は、直近の四半期ではわずか37%に落ち込んでいる。これは、腹に効く、営業利益率の劇的な低下だ。

Metaの収益性を落とすコスト上昇の内部には、同社のVR、いわゆるメタバースへの投資がある。

Facebookが「拡張現実と仮想現実関連の消費者向けハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ」を含むとするReality Labs(リアリティ・ラボ)は、直近の四半期に8億7700万ドル(約1000億円)の収益をもたらし、2020年第4四半期の7億1700万ドル(約821億5200万円)から増加した。しかしながら、Reality Labsの2021年第4四半期の営業損失は33億ドル(約3781億円)で、損失は2020年第4四半期の21億ドル(約2400億円)を大きく上回った。

要するに、Metaのメタバース推進は現在のところ、そのコアビジネスが長年にわたって証明してきたような金鉱ではないということだ。そして、その簡単に利益が出ない事実が、会社全体の業績に悪影響を及ぼしている。メタバースは、同社が明らかに期待している「シッツ・ゴールド・ア・バース(バカみたいに儲かるメタバース)」には程遠い。

先を見れば、Metaにとって事態はさらに悪くなる。同社のCFOは「2022年第1四半期の総収入は270~290億ドル(約3兆〜約3兆3200億円)の範囲になる」と予想しており、これは3%から11%の成長に相当する。これは良くはない。アナリストはMetaの2022年第1四半期のトップラインを301億4000万ドル(約3兆4500億円)と予想していたので、同社のガイダンスはかなり惨めだ。

株価は下がった。

Spotifyのしこり

Joe Rogan(ジョー・ローガン)の件はさておき、Spotifyは今週もかなり厳しい状況にある。通常取引で5.75%下落した後、時間外取引で2桁の割合で値を下げている。

なぜか?同社は実際、利益予想を上回ることができ、1株当たりの損失は市場の予想より50%ほど少なかった。そして、26億9000万ユーロ(約3400億円)の売上は、2021年第4四半期の予想を数段上回った。

それなのに、叩き売られている。なぜか?Metaと同様、問題なのは未来についてだ。

Spotifyは2021年末の月間アクティブユーザー数4億600万人から、2022年第1四半期には4億1800万人にスケールアップすると予想している。そして、同じ3カ月間に、有料ユーザー数を1億8000万人から1億8300万人に増やすと予想している。

この数字はどれくらいずれているのだろうか。SeekingAlphaによると、投資家は2022年第1四半期の有料ユーザー数を1億8530万人、月間アクティブユーザー数を4億2200万人と予想していたそうです。つまり、Spotifyは前四半期はなんとかうまくいったが、投資家は今後の業績について興奮するには程遠いというわけだ。

ここ数週間で、私が記憶している以上に、投資家の逆鱗に触れるテック企業が増えている。より詳細なメタ分析が必要だが、テック企業に対する風向きの変化は、SaaS企業や最近のIPO企業にだけ起きていることではないようだ。多くの人がスティックを持っているのだ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Akihito Mizukoshi)

イマクリエイトと東京大学が医学生用VRシステム共同開発、実際に体を動かしながらの実習をバーチャルトレーニングで支援

皮下注射の様子。手本となる医師の動きに重なるように手を動かして手技を習得できる

皮下注射の様子。手本となる医師の動きに重なるように手を動かして手技を習得できる

XRシステムの研究・開発を行うイマクリエイトは2月1日、東京大学医学部附属病院クリニカルシミュレーションセンターと共同で、「現実のように実際に自らの身体を使いながら行う実習」を目指した医学生向けのバーチャルトレーニング・システムを開発した。

これは、皮下注射、静脈採血、末梢静脈カテーテル挿入の3つの穿刺(針を刺すこと)手技をトレーニングできるというもの。消毒、患者への声かけ、穿刺、片付けなどを、実際に自分の体を動かして学習する。正しい位置での消毒や穿刺、正しい注射針の角度など、適切な手段を踏まなければ先に進めない仕組みだ。手本となる医師の動きに重なるように手を動かして手技を習得できる。また手技だけでなく、どのタイミングで患者に声をかけるかなどのコミュニケーションも学べる。

患者の体に針を刺す穿刺手技など患者への侵襲性が高い学習には、当然のことながら十分な訓練が必要となる。だが模擬腕を使ったトレーニングでは、同時に学習できる学生の数が限られ、機器の消耗品の補充が必要になるなどの手間がかかる。それをXRにすることで、いつでも何度でもトレーニングできる環境を整えようというのが、このシステムの目的だ。

静脈採血の様子。手本を非表示にして手技を習得できたかを確認

末梢静脈カテーテル挿入の様子。手本の手が見えている

イマクリエイトは、2021年4月にも、新型コロナワクチン接種のためのトレーニングシステム「VR注射シミュレーター」を開発している。「見る」ではなく「する」XR、いわゆる「Doable XR」の研究を重ね、「世界唯一のXR物理トレーニング技術」を有しているという。

MetaがInstagramに3Dアバターを導入、FacebookとMessengerにも新オプションを展開

Meta(メタ)は、同社の3DアバターをInstagram(インスタグラム)に導入し、さらにFacebook(フェイスブック)とMessengerアプリにもアップデートされたアバターを展開することを発表した。これにより米国、カナダ、メキシコのユーザーは、ステッカー、フィード投稿、Facebookのプロフィール画像などにバーチャルな自分を表示できるようになった。

米国時間1月31日のアップデートでは、VRを含むすべてのプラットフォームで、数種類のカラーの人工内耳と耳かけ型補聴器が追加された。また、今回のアップデートではFacebookのステッカー、Messengerチャット、InstagramストーリーズやDMに表示される車いすが追加された。Metaは、アバターがより本人らしく見えるように特定の顔の形を調整することで、アバターの見た目も改善している。同社は、今後もアバターエディターにアイテムを追加していく予定だという。

MetaのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、同氏のFacebookプロフィールに掲載された声明の中でこう述べている。「Metaのアバターは、表情や顔、肌のトーンを増やし、車いすや補聴器なども追加してアップデートされました。デジタル衣類の実験も始めています。アバターは、Quest、Facebook、Instagram、Messengerのすべてで使用できます。いつの日か、表情豊かなものからフォトリアリスティックなものまで、複数のアバターを持てるようになるでしょう。近いうちにもっとシェアできることを楽しみにしています」。

今回のアップデートにより、ユーザーはVRを含むすべてのMetaプラットフォームで同じアバターを使えるようになった。ユーザーがFacebookやMessengerでアバターに加えた変更は、自動的にInstagramにも反映され、その逆も同様だ。ユーザーは、異なるプラットフォーム用に異なるアバターを作成するオプションもある。Metaは、時間をかけて、ユーザーがアバターを場所から場所へと簡単に移動できるようにすることを目標としており、将来的にはこれに関する最新情報を共有する予定だと述べている。

画像クレジット:Meta

また、MetaはNFLと提携し、スーパーボウルに向けてファンがお気に入りチームを応援する方法を提供する。2月28日までの期間中、ユーザーは自分のアバターが着る洋服を通してCincinnati Bengals(シンシナティ・ベンガルズ )またはLos Angeles Rams(ロサンゼルス・ラムズ)を応援することができる。どちらかのチームを選びたくないユーザーのために、ニュートラルな「Super Bowl LVI」シャツも用意されている。

Metaのアバター&アイデンティティ担当ジェネラルマネージャーであるAigerim Shorman(アイゲリム・ショーマン)氏は、今回のローンチについてブログで次のように述べている。「VRとQuestは当社のメタバースビジョンの重要な部分ですが、私たちはメタバースを相互に接続されたデジタルワールドとして捉えており、スマホやパソコンなどのより身近なプラットフォームに加えて、VRとARを橋渡しするものだと考えています。アバターを当社のプラットフォームに展開することは、この実現に向けた初期の一歩です。あなたの新しいバーチャルな自分が、オンライン上であなたの望むように表現されるよう願っています」。

同社は、Snap(スナップ)のBitmojiに対抗する手段として、2020年に初めてアバターを発表し、その後も継続的にアップデートを行ってきた。例えば、Metaは2021年、アバターをよりカスタマイズ可能で多様性のあるものにすることを目的として、目、鼻、ひげ、ヘアスタイルの新しいオプションを発表したが、今回の新しい変更はその一環だといえる。しかし、Metaはこれまでのアバター採用に関する数字を公表していない。

今回のアップデートは、Metaが2月2日に第4四半期および通期の業績を発表する予定であるタイミングで行われた。同社はその際、AR・VRハードウェア部門の業績を初めて公表する予定だ。

画像クレジット:Meta

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

バーチャル空間プラットフォームXR CLOUDを手がけるmonoAIが7.5億円調達、メタバース市場拡大見据え開発・事業強化

バーチャル空間プラットフォームXR CLOUDを手がけるmonoAIが7.5億円調達、メタバース市場拡大見据え開発・事業強化

monoAI technology(monoAI)は1月31日、総額7億5000万円の資金調達が完了したと発表した。引受先は、Sony Innovation Fund、GMCM VENTURES PTE. LTD.、きらぼしキャピタル夢・はばたき1号投資事業有限責任組合、アドウェイズ、イグニス、個人投資家。累計調達額は15億2500万円となった。メタバース市場のさらなる拡大を見据え、monoAI独自技術によるバーチャル空間プラットフォーム「XR CLOUD」(エックスアールクラウド。Android版iOS版)の開発と事業強化を推進する。

monoAIのXR CLOUDは、標準時には1000人の同時多接続サービスを提供、企業ニーズに応じて順次同時接続10万人規模まで拡大提供可能というプラットフォーム。iOS・Android・Windows・MacOSに対応し、マルチデバイス環境でバーチャルイベントが展開できる。

2013年1月設立のmonoAIは、「先進技術で、エンタメと社会の未来を創造する。」を理念とし、ゲームの技術をベースにエンターテインメントから仮想オフィス、バーチャル展示会といったソリューションまで、幅広いコンテンツを提供。通信・AI・ゲームエンジンを駆使したサービスで、バーチャルとリアルのパフォーマンスを最適化し、社会に貢献するとしている。

また、独自開発のXR開発プラットフォームとテンプレートを活用することで、顧客の依頼から最短1週間で個別の企業ニーズにカスタマイズしたメタバース上で展開するイベントを企画・制作・開発および運営サービスを提供可能。顧客は、XRやITに関する技術的な知識を特に必要としないとせず、就職セミナー、新商品発表会、自社開催の会議・カンファレンスなどの用途で活用されているという。

なお同社は、阪急阪神ホールディングスが3月12~13日に開催する「JM梅田ミュージックフェス(β)」において、XR CLOUDを提供。大阪・梅田の街をバーチャル3D空間に忠実に再現したJM梅田(Japan Multiverse 梅田)で実施されるオンライン音楽祭というもので、XR CLOUDおよびメタバース領域のノウハウで協力している。

韓国NAVER Zがメタバースクリエイター向けの約115億円ファンドを設立

韓国のインターネット複合企業NAVER Group(ネイバーグループ)は、若いユーザーをターゲットにした最もホットなインターネットトレンドに乗り続けている。メッセージサービス大手のLINE人気の自撮りアプリSnowを手がけたのも同社だ。そして今、RobloxやEpic Gamesなどの大手ゲーム会社で話題になっているメタバースという最新のコンセプトに向かっている。

3DアバターアプリZepetoを運営するNAVERの子会社であるNAVER Zは、クリエイターがスマートフォン、PC、VR機器向けに2Dおよび3Dコンテンツを開発できるプラットフォームUnityを搭載した新開発のプラグインを宣伝するため、今後数カ月内に1億ドル(約115億円)のファンドを設立する。

リリースから4年となるZepetoは、エンターテインメント、ゲーム、ソーシャルネットワーキングを融合させた体験を提供している。ユーザーは、自撮りした写真を3Dアバターに変換したり、デジタル空間をデザインしたり、他のユーザーと交流したりすることができる。NAVER Zの最高戦略責任者であるRudy Lee(ルディ・リー)氏はTechCrunchに、Zepetoの月間アクティブユーザー数は2020年5月の1000万人から1月時点で2000万人に増加したと語った。

同アプリの登録ユーザーは1年半前からほぼ倍増して2億9000万人となり「ワールド」という、Robloxの「エクスペリエンス」に相当するユーザー生成型の仮想空間での平均セッション時間は30分だという。

Zepetoは世界中にユーザーを抱えているが、特に韓国と中国の10代から20代前半の女性に人気がある。ターゲット層を考えれば、GucciRalph Laurenなどのデザイナーブランドや、BlackpinkやSelena Gomezといったセレブが、Zepetoを使って自社ブランドのデジタル体験を構築しているのは当然だろう。現実の世界ではほとんどの人にとって法外に高価なデザイナーズアクセサリーが、Zepetoの仮想世界では突然手ごろな値段になる。

1億ドルのクリエイターファンドは、Zepetoがサポートする「メタバース」体験を多様にすることを可能にする。NAVER Zは、Zepeto上で3D体験を生成するUnityプラグインを使用する有望なスタジオに出資する予定だ。また、プラグインを使用するZepetoの非常に有望なクリエイターには、再生、訪問、アクティブユーザーなどのパフォーマンス指標に基づいて、現金報酬を提供する。

この取り組みは、ソフトバンクビジョンファンド IIが主導し、Mirae Asset、大手のKポップタレント事務所、およびその他の投資会社が参加した、Naver Zの2021年の1億9000万ドル(約219億円)という大型のシリーズBラウンドのおかげだ。

多くのバーチャルエンターテインメントプラットフォームと同様、Zepetoは収益化をアイテム販売に頼っている。2018年の立ち上げ以来、20億個のアイテムを販売し、2020年半ばの販売数は6億個だった。売上最多のクリエイターの2021年の粗利益は50万ドル(約5800万円)だった。

画像クレジット:Zepeto

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

HoloeyesとDental Prediction、5GネットワークとVR空間を利用した国際間遠隔医療カンファレンスの実証実験

Holoeyes、5GネットワークとVR空間を利用した国際間遠隔医療カンファレンスの実証実験を実施

医療用画像処理ソフトウェアなどを提供するHoloeyes(ホロアイズ)と歯科医療スタートアップDental Prediction(デンタル・プレディクション)は1月17日、Holoeyesが提供する医療用画像表示サービス(非医療機器)「Holoeyes XR」とオンライン遠隔共有カンファレンスサービス「Holoeyes VS」を活用し、日本とシンガポールの医師が参加する国際間遠隔カンファレンスの実証実験を実施した。5Gネットワークを活用したVR空間での国際間遠隔医療カンファレンスは、世界初の試みとなる。

この実証実験では、シンガポールの大手通信会社Singtel(シングテル)の実験施設「5G Garage」とNTTドコモの「ドコモ5GオープンラボYotsuya」を利用し、NTT DOCOMO ASIAの現地サポートを受けて、日本とシンガポールを5Gでつなぎ、遠隔カンファレンスを2回行った。

1回目は、HoloeyesのCOO兼CMOである帝京大学冲永総合研究所教授の杉本真樹氏による、シンガポールの消化器外科医2名に対する肝臓の腫瘍切除の模擬カンファレンス。もう1回は、Dental Predictionの歯科医、宇野澤元春氏とニューヨーク大学歯学部准教授の岡崎勝至氏が、シンガポールの日本人歯科医師に対するインプラント治療や歯内療法、歯科器具に関する説明を、歯列の3DモデルをVR空間で操作しながら行うというものだった。HoloeyesとDental Prediction、5GネットワークとVR空間を利用した国際間遠隔医療カンファレンスの実証実験

この実験について、シンガポールの消化器外科医の1人によると、ストレスなくカンファレンスの体験ができたという。「患者への説明、若い外科医の教育、手術計画など意志決定のためのツールとして使用できる」と話している。

【コラム】快適なメタバースの実現に欠かせないバーチャルライフの基本的構成要素

Meta(メタ)のミッションは、仕事、ソーシャルメディア、ゲームなどの異なる環境をシームレスに接続し、人々が仮想空間で実質的に生活して働くことができるようにすることだ。

これは明らかに、私たちのネットワークに重大かつ持続的な影響を与えるだろう。単に不具合なく絶えず接続されている必要があるというだけではなく、完全に没入型のコンテンツを4Kや8Kでシームレスに、低遅延かつ最小のラグでストリーミングすることが求められているのだ。

再起動、OSやアプリケーションのロード時間、ネットワークの混雑など、我々がシームレスな仮想環境にいると感じられなくなるような、あらゆる要素に気を散らされることなく、ある体験から別の体験へと移ることができなければならない。

これらを実現することを考えると、バーチャルライフとは火星に移住するのと同じくらい難しいことのように思える。

しかし、新しいバーチャルワールドへの旅を、摩擦のないものにすることは可能だ。そのためには、バーチャルライフに必要な基本的な構成要素を、確実に積み上げる必要がある。

今の私たちには、メタバースを快適に住める場所にして、バーチャルな自分たちが単に生存できるだけでなく繁栄できる場所にするチャンスがあるのだ。

帯域幅が重要

メタバースを大規模に展開するには、多くの帯域幅が必要だ。水が生命体の構成要素であるように、帯域幅なしに我々がメタバースで機能することはできない。メタバースでは、膨大な帯域幅をむさぼるアプリケーションのさまざまな要求に応えることができる高性能な接続性が必要だ。

そのような帯域幅が広く普及し、かつ手頃な価格で利用できなければならない。今のところ十分なサービスを受けていない、あるいは接続されていないコミュニティをサポートするためには、そのことが必要だ。仮想世界のビジョンは、誰もが平等に創造と探求の機会を得られることが中核として語られることが多い。しかし、メタバースでそれを実現するためには、まず現実の世界での接続性を確保する必要がある。

低遅延は空気のように必須

帯域幅は1つの重要な要件だが、相手のアバターが反応するまで数秒、あるいはそれ以上の時間がかかるようでは、メタライフは一気に苛立たしい不快な場所になってしまう。我々はすでに、スポーツのライブストリーミングやオンラインゲームで遅延にイライラすることがあるが、仮想世界に完全に没入しようとすると、この問題はさらに悪化する。

リアルタイムな反応が求められるネットワークでは、通信の遅延を減らし、信頼性を向上させるエッジコンピューティングのような技術がますます重要になってくるだろう。

仮想ハードウェア:メタバースのインフラストラクチャ

誰もが経験したことがあるはずだ。ハードウェアが壊れ、それを修理しなければならない。その間、我々はそのハードウェアによる機能がなくても、生き延びられるようになる必要がある。しかし、メタバースではこのようなことは起こり得ない。あるいは少なくとも、起こるべきではない。なぜなら、メタバースで必要とされる機能の多くは、仮想化された機能を利用するようになるべきだからだ。

インフラストラクチャ機能は、仮想マシンやコンテナコンセプトで展開し、アプリと同様、ネットワーク上で大規模かつリアルタイムに展開できるようにすることが鍵となるだろう。ルーティングやスイッチングといった従来のネットワーク機能は、完全に仮想化する必要がある。これらの機能は、簡単にアップデート、アップグレード、パッチ適用、デプロイできることが求められる。

ソフトウェア・インテリジェンス:メタバースの首長

私たちがメタバースで迅速かつシームレスに活動できるようにするためには、メタバースがソフトウェアで定義されていなければならない。それは、地方の自治体や議会が、道路の補修やゴミの撤去、交通の流れの制御をリアルタイムで行えるようにすることと同じだ。これらは一般的に、我々が知らないうちに現実の生活の中で行われていることで、それが機能しなくなってはじめて、何が起こったのかと思うような事々だ。

プログラム可能なソフトウェアの能力によって機能する自動化とAIは、ネットワークの展開を高速化し、よりアクセスしやすく、適応性の高いものにするための鍵を握る。

適応性の高い仮想プログラマブルネットワークは、物理的なトラックロールを必要とせず、障害を特定して自己回復することができる。また、計算能力、ストレージ、帯域幅などのリソースを、メタバース内の十分に活用されていないエリアから引き出して、一時的に他の部分の活動を活発化させたり、必要に応じて自動的に元に戻すこともできる。

今後数年間、私たちはメタバースについての話をたくさん耳にすることになるだろう。しかし、いかなるユースケースの革新も、必要なネットワークの革新なしには実現しない。ソフトウェアで制御された、大容量かつ低遅延の接続性を提供する適応型ネットワークは、将来のメタバースにとって、現在のクラウドアプリケーション以上に重要な基盤となるだろう。

かつてFacebookとして知られていたアーティストが、人を温かく迎えるメタバースを構築するための構成要素はすでに存在している。そして、メタバースの出現を利用しようとする技術開発者たちの中で期待される技術革新の高まりにより、このようなテクノロジーが進化し続けることで、Metaはますます多くの世界構築ツールを手に入れることになる。

つまり、 バーチャルユニバースを構築することは簡単ではないが、適切なネットワークインフラへの投資と技術革新によって、現実に近づけることは確かに可能なのだ。

編集部注:本稿を執筆者Steve Alexander(スティーブ・アレクサンダー)は、ネットワークシステムとソフトウェアを提供するCiena(シエナ)のSVP兼CTO。同社は世界中のオペレーターやコンテンツプロバイダーと提携している。

画像クレジット:NJankovic / Getty Images

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(文:Steve Alexander、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

FTCがMetaのVR事業を独占禁止法違反で調査中との報道

Metaに対するFTC(米連邦取引委員会)の反トラスト訴訟が、今週初めに重要なハードルをクリアしたことに続き、この同委員会はさらに、MetaのVR事業に対しても強い関心を寄せているようだ。

Bloombergの記事によると、FTCと複数の州の司法長官は、Metaのバーチャルリアリティ部門を「反競争的行為の可能性」で調査しているという。ニューヨークが州レベルの調査を主導しているとされ、MetaのVR体験のためのアプリを開発する外部のソフトウェア開発者とチャットしているとのこと。

記事によると、州と連邦の職員たちは、同社がどのようにして、反競争的な行いに関わり、VR市場における競争を妨害したかを調べている。職員たちはまた、同社がVRヘッドセット「Quest 2」の価格をどのようにして下げ、それを消費者にプッシュして競争をブロックしたかについても、関心を持っている。

FTCがMetaのアプリストアとハードウェア、ソフトウェアを調べている事実は、同社の買収案件が、次の時代のインターネットビジネスを定義する道標になるかもしれないこの反トラス訴訟における、唯一の視点ではないことを示唆している。

2021年12月、The InformationはFTCがMetaが申請しているVRフィットネスアプリ「Supernatural」の買収、その4億ドル(約456億9000万円)を超える取引を調べていると報じている。

今週初め、ある判事は、FTCがMetaの子会社であるFacebookに対して行っていた大規模な反トラスト法違反訴訟を継続できると判断し、これを阻止しようとする同社の取り組みを拒否した。2021年12月、Facebookは裁判所に訴えの却下を求め、ビッグテック解体推進派のLina Khan(リナ・カーン)FTC委員長に退陣を迫っていた。

FTCはその訴訟で、Facebookがソーシャルメディア分野のライバルを押さえ込むために市場力を乱用していると非難し、親会社のMetaにInstagramとWhatsAppを売却させるよう裁判官に求めるところまで踏み込んでいる。

「しかし、これらの理論を補強するために今回主張された事実は、特に被告が主張する独占の輪郭に関して、以前よりもはるかに強固で詳細である」とJames Boasberg(ジェームズ・ボースバーグ)連邦地裁判事は記している。

「……FTCは、その主張を証明するために、この先、困難な課題に直面する可能性がありますが、裁判所は、現在、弁論の要件をクリアし、証拠開示に進む可能性があると考えている」と述べている。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

セカンドライフの生みの親が元祖メタバース企業Linden Labの顧問として戻る

最も初期の、そして最も永続的な象徴である仮想世界の生みの親が、自らのルーツに戻ろうとしている。「Second Life(セカンドライフ)」の創始者Philip Rosedale(フィリップ・ローズデール)氏は、2013年に同氏が共同設立した空間オーディオ企業High Fidelity(ハイ・フィデリティ)がSecond Lifeの開発会社Linden Lab(リンデン・ラボ)に投資した後、1999年に設立した同社に戦略顧問として再参加する予定だ。この取引には、不特定の現金投資、関連特許、開発チームの一部メンバーが含まれている。

ローズデール氏はプレスリリースで「Second Lifeのような仮想世界の構築には、誰も近づいていない」と述べている。「大企業がVRヘッドセットを配り、広告主導の行動変容型プラットフォームでメタバースを構築しても、魔法のような、誰もが楽しめる単一のデジタルユートピアは生まれないでしょう。Second Lifeは、住人にポジティブで豊かな体験を提供し、さらに数百万人が参加する余地があり、同時にサブスクリプションベースのビジネスの構築を成功させたのです。仮想世界はディストピアである必要はないのです」。

Meta(メタ)のような企業がメタバースに対する独自のビジョンを打ち出すなか、ローズデール氏は、広告ベースのソーシャルネットワークからビットコインの採掘作業で発生するエネルギーが環境に与える影響まで、現在のオンライン生活を支えるいくつかの力学を声高に批判し続けている。

年代的に、Roblox(ロブロックス)のユーザーで、Second Lifeを詳しく知っているという人は少ないかもしれないが、ローズデール氏の仮想社会プラットフォームは、ごく最近になって「メタバース」という括りで注目されるようになった概念の多くを先駆けて生み出した。Second Lifeは、Facebookがエリート大学の学生をつなぐためだけに存在していた2000年代初頭に、デジタルアイデンティティ、仮想不動産、デジタル経済、オンライン・マルチプレイヤーエコシステムといった概念を探求していたのだ。

同社によると、ローズデール氏はすでにLinden LabのBrad Oberwager(ブラッド・オバーワガー)会長と定期的に連絡を取り合っているが、新しい顧問としての役割で、このプラットフォームの製品計画への関与を大幅に深めることになるとのことだ。また、High Fidelityの現在の仕事は、セカンドライフの第二の人生と極めて密接な関係を保っている。最近、多くのソーシャルプラットフォームが、より没入感のある体験を生み出すために空間オーディオを追加したが、そのうちのいくつかは、クラブハウスのように、それを実現するためにHigh Fidelityのコードをライセンス供与しているのだ。

「フィリップが1999年にセカンドライフを始めて以来、その先見性のあるアプローチは時の試練に耐えただけでなく、未来に向けた位置づけを確率してきました」と、オバーワガー氏は述べている。「彼とHigh Fidelityのチームは比類のない経験を持っており、私は目の前の大きなチャンスを生かすのが待ちきれません」。

ローズデール氏が復帰したことで、Linden Labは、その早期参入マジックに足を踏み入れる興味を持ったようだ。しかし、Second Lifeが再び注目を浴びるには、まだまだ長い道のりがある。FortniteのメーカーであるEpic(エピック)、Roblox、Meta、その他無数の大手企業が、際限なく儲かる仮想商品を提供し、デジタルアイデンティティが住む仮想世界の近い将来(人によっては間違いなく現在と捉えることも)に大きく賭けている。ローズデール氏独自の視点は、現在いくつかのプラットフォームが提供しているメタバースの片鱗を真似するようなことはしないだろう。そのため、20年間この問題について考えてきた人物が、多くの企業が突然私たち全員が移行することを強く望んでいるこの仮想世界というものをどう描いていくのか、興味深いところである。

画像クレジット:PATRICK KOVARIK / Staff / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

息を呑むような没入型バーチャルコンサートの未来を切り開くAmazeVRが約17億円調達

コンテンツ生成ツールでお気に入りのアーティストのVRコンサートを体験できるバーチャルリアリティコンサートプラットフォームAmazeVR(アメイズVR)は、1500万ドル(約17億円)を調達した発表した。このラウンドでは、3週間で募集枠を超える申し込みがあった。

Partners InvestmentMurex Partnersがこの資金調達ラウンドを共同でリードし、Smilegate Investment、Quantum Ventures KoreaABC Partners、Everrich Group、GS Groupのコーポレートベンチャーキャピタル部門のGS Futures、We Ventures、Base Investment、Dunamu&Partners、そして既存投資家のMirae Asset Venture Investment、Mirae Asset Capital、Partners Investment、Timewise Investmentが参加した。

AmazeVRは2015年の創業以来、合計3080万ドル(約35億円)を調達しており、急成長を推進するために2022年初めにシリーズBを調達する計画だという。同社の共同CEOであるErnest Lee(アーネスト・リー)氏はTechCrunchに対し、新たな資金をさらなる従業員の採用に充てる予定だと語った。リー氏によると、AmazeVRは2021年を12人の従業員でスタートしたが、現在はハリウッドとソウルに3倍の41人を抱えている。

「当社は、関わっている(音楽、エンターテインメント、テック、ゲーム)業界から、優秀な人材を集めることができました」と同氏は話した。「これにより、VRとメタバースの人気の高まりを最大限に活用し、主要アーティストの息を呑むようなVRコンサートを、まず映画館に、そして世界中の家庭に届けるのに理想的な位置につけています」 。

ソーシャルメディアの登場で、ファンはお気に入りのアーティストにかつてないほどアクセスできるようになったが、それでもスクリーンで隔てられているのが現状だ。AmazeVRによるVRコンサートは、ファンをスクリーンの向こう側に連れて行き、お気に入りのアーティストと対面させることで人間的なつながりを生み出す、とリー氏は語る。ユーザーはアバターとして参加し、他のユーザーとぶらついたり、一緒にVRコンサートを体験したりする。

「ファンの記憶に残るのは、すばらしいVR体験ではなく、幻想的な没入感の中で好きなアーティストと実際に対面し、現実との境界線を曖昧にする、目に見えないような優れた技術を構築することが当社のゴールです」とリー氏はTechCrunchのインタビューで述べた。

ロサンゼルスに本社を置き、ソウルにオフィスを構えるAmazeVRは、JB Lee(JB・リー)氏、Steve Lee(スティーブ・リー)氏、Jeremy Nam(ジェレミー・ナム)氏、Steven Koo(スティーブン・クー)氏という、韓国のメッセージングアプリKakao(カカオ)の元幹部が設立した会社だ。Kakaoの株式市場デビュー後、グローバルなインパクトを持つ企業の設立に再挑戦しようと考えた共同創業者4人は、ソウルを離れ、VRで未来を切り開くためにシリコンバレーに移住した。

リー氏によると、AmazeVRは2015年からVR技術を開発していて、2019年末にVRコンサートに完全に方向転換したという。

同社はパンデミック以前から、VRコンサートを通じたより没入感のある音楽体験の必要性を信じていた。しかし、音楽業界は少し距離を感じ、懐疑的だった。その主な理由は、最も収益性の高い収入源であるライブコンサートのカニバリゼーション(共食い現象)に対する懸念だったとリー氏はいう。

最近では、新型コロナウイルスの大流行によって市場での採用が加速し、AmazeVRは製品とマーケットの適合性を迅速に見つけられるようになっている。音楽業界も新しい技術に対して考え方が柔軟になり、そしてVRコンサートがライブコンサートではなく、新しいカテゴリーのエンターテインメントであることに人々が気づき始めたと、リー氏は続けた。

「音楽業界はパラダイムシフトを迎え、多くの企業が次の大きなものを取り入れようとしています。ライブストリームからバーチャルコンサート、Fortnite(フォートナイト)のショーまで多くの試みを目にしました。パンデミックはこのシフトを加速させただけです」とリー氏は語った。「これらの他のすべてのソリューションは、すでに存在するものから増分価値を提供するだけであり、他のソリューションはファンにとってカバーする価値、すなわち人間的なつながりを真に捉えていません」

AmazeVRは2022年春、グラミー賞を3回受賞しているMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオ)氏とともに、米国内の一部のAMCシアターを巡演する初の商業VRコンサートを展開する。AmazeVRはすでに2人目のアーティストとして世界的な一流アーティストを確保し、3人目のアーティストを最終決定しているとリー氏は語った。同社初のVRコンサートツアーは、長年の研究開発の結果、独自の9Kカメラと、複雑なUnreal EngineベースのVRコンサート視覚効果(VFX)モジュールを自動化し、一度に100台以上のヘッドセットを駆動できるソフトウェアによるものだ。同社は、コンテンツ制作の規模を拡大し、2024年までに新しいVRコンサートをシアター内と自宅の視聴者の両方に毎週リリースする予定だ。

「VRコンサートがいかにインパクトがあるかは、実際に体験してみないとわかりません。VRはついに2Dの体験をすべて吹き飛ばすことができるのです。当社の技術のおかげで、スクリーンからは得られないリアルな臨場感、お気に入りのアーティストがすぐそばにいて、あなたと向かい合っているような感覚を呼び起こすことができます」とリー氏は話した。「これは音楽の新しい次元を切り開くもので、録音が登場して以来、アーティストとファンがつながる初の新しい方法の1つです。投資家がこのことを理解し、当社の革新と成長を支援してくれることに感激しています」。

画像クレジット:AmazeVR

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

VRとARはCES 2022でも「ブレイクの寸前」

最初のOculus RiftがKickstarterで登場してから、信じ難いことにほぼ10年が経った。

10年間の進歩を経て、VRヘッドセットはずいぶん改善された。しかし現時点では、VRの普及は段階的と言っていい。誰もがヘッドセット(VRかAR、あるいはその2つを組み合わせたもの)を顔に装着するようになるとしたら、それは1つの大きな出来事(※)というよりはたくさんの小さなステップの結果だろう。OculusのVRリズムゲーム「Beat Saber」もあれば、Oculus Questで使えるVRフィットネスの「Supernatural」もある。ヘッドセットは徐々により良く、より軽く、より処理速度が速くなっている。職場でのトレーニングでヘッドセットを使うことに慣れている人もいるだろう。ある日突然、誰もがメタバースのあり方に同意するかもしれない。

この少しずつの進歩は2022年のCESでも変わらなかった。VRやARに関するニュースはたくさんあったが、どれも世間を揺るがすようなものではなかった。しかし1つ1つのステップは進歩している。

※もしAppleが積極的にこれから参入し、製品を投下してこのカテゴリーをひっくり返すようなことがあれば、衝撃的な出来事になる可能性がある。これは、ここ最近噂になっていることだ。

2022年CESのVRとARの大きな話題を、ここでまとめよう。

ソニーのPSVR2

画像クレジット:Sony

Sony(ソニー)は2016年にPS VRヘッドセットをリリースし、その後PlayStation 5用の次世代ヘッドセットを開発していることは以前から知られていた。しかし2021年前半に「開発中」であることをちらっと発表し、数カ月後にコントローラの詳細を若干公表したが、詳しい仕様は発表していなかった。

全容はまだ明らかにされていないが、PSVR2という正式な名称と以下の内容が発表された。

  • 解像度は片方の目につき2000×2040
  • 初代ヘッドセットの視野角が96度であったのに対し、110度に拡張
  • リフレッシュレートは90/120Hz
  • 目の動きをトラッキングし、インターフェイスの項目を見るだけで選択されるといったことができるようになる模様
  • 視界の中央にあるものを優先的にレンダリングして処理の効率を上げるフォービエイテッドレンダリングに対応
  • 指を検知し、PS5の臨場感にあふれるアダプティブトリガーを搭載する専用の新コントローラ(下図)を開発中

画像クレジット:Sony

ヘッドセットがどのような外観になるかは、まだわからない。いつ出荷されるかもわからない。しかしPS VRヘッドセットが使いやすさの点でOculus改めMeta Questの数少ないライバルの1つであることを考えると、ソニーが開発を続けているのは好ましい。

HTCのリストトラッカー「Vive」

画像クレジット:HTC Vive

VRの入力に最も適した方法は何だろう。一般的なヘッドセットのほとんどは、両手にそれぞれ何らかのコントローラを持って使う。その代わりに、手そのものをコントローラにするというのはどうだろうか。

もちろん、ハンドトラッキングのアイデア自体は新しいものではない。さまざまな企業がハンドトラッキングに重点的に取り組んでは消えていった

しかしHTCのアプローチはちょっと違う。カメラに完全に頼るのではなく、センサー内蔵のバンドを両手首に巻いて、カメラでは捉えられないものをトラッキングしようとしている。例えば一方の手がもう一方の手を覆い隠しているとか、ゴルフのスイングをしたときに腕が背中側に回るといったケースだ。同社は卓球のラケットやNERFというおもちゃのシューティングガンなどの物体に取り付けたセンサーが動作している様子も披露した。

HTCはこのセンサーを2022年後半に129ドル(約1万5000円)で出荷する予定としている。対象者は誰? 少なくとも現時点では、このセンサーはHTCのVive Focus 3ヘッドセットとの組み合わせのみで動作する。

ShiftallのMeganeX

画像クレジット:Shiftall

近年、VRヘッドセットはかなりすっきりしてきたが、それでもまだゴツい。実際のところ、どれほど小さくできるのだろうか。

Panasonic(パナソニック)の子会社であるShiftallは「超軽量、超高解像度」のヘッドセット「Meganex」を開発している。フレームにスピーカーが内蔵され、ディスプレイは片方の目につき1.3インチ(2560×2560)で、ヘッドセットというよりはスチームパンクの大きいサングラスのように見える。軽量で折りたたみ可能とはいえ、それほど動き回れるわけではないようだ。重いグラフィックスを処理するにはUSB-Cでコンピュータに接続する必要がある。

Shiftallはこのヘッドセットを2022年に「900ドル(約10万4000円)以下」で出荷するとしている。

MicrosoftがARチップに関してQualcommと協業

画像クレジット:Qualcomm

Microsoftは同社のHoloLensヘッドセットにQualcommのチップをすでに採用しているが、この両社がCES会期中にさらに正式な取り組みを明らかにした。Qualcommの基調講演で、両社がARヘッドセット専用チップの開発で協力することが発表された。このチップは両社のAR開発プラットフォーム(Microsoft MeshとSnapdragon Spaces)に対応する。

NVIDIAのOmniverse

画像クレジット:Nvida

派手なハードウェアではないが、ソフトウェア関連としては重要である可能性が高い。NVIDIAは、3Dコンテンツのクリエイターがリアルタイムで共同作業をするのに役立つプラットフォーム「Omniverse」を公開した。

これを報じる記事の中でFrederic Lardinois(フレデリック・ラーディノイス)は次のように述べている。

Omniverseはクリエイターやデザイナー、エンジニアが共同作業でバーチャルワールドを作るためのNVIDIAのプラットフォームだ。NVIDIAや他社アプリのデザインツールやアセットを、ハードウェアとソフトウェアの1つのエコシステムにまとめる。これまでOmniverseとこれに対応するNVIDIAのさまざまなツールはベータ版だったが、米国時間1月4日のCESで同社はベータのラベルを外し、Omniverseはクリエイターに広く公開された。

TCLのARメガネ

これは今のところほとんどコンセプトなので、好きになるにはまだ早すぎる。テレビやスマートフォン、エアコンのメーカーであるTCLがARメガネの分野に参入し、ほぼ普通に見えるメガネにGoogle Glassに似た機能を搭載した製品を紹介している。「ホログラフィック光導波路テクノロジー」により画像をレンズと視界に映し出すもので、上に示したコンセプトビデオではメガネのフレームにタッチ式のコントロールが内蔵されている。

画像クレジット:wacomka / Getty Images

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Kaori Koyama)

MetaのOculus VRコンパニオンアプリ、クリスマス以降にダウンロード200万回

サードパーティのアプリ分析会社、Apptopia(アップトピア)とSensor Tower(センサータワー)の新しいデータによると、Quest 2を含むOculus VRデバイスのモバイルコンパニオンであるMeta(メタ)のOculusアプリは、クリスマス以降、世界中でおよそ200万回ダウンロードされた。クリスマスの日にOculusアプリがAppleのApp Storeで初めて首位を獲得し、米国のGoogle Playでも最も人気のある無料アプリとなったことから、Quest 2が人気のホリデーギフトだったことがすでに示唆されていた。

米国でのクリスマスの1週間(2021年12月23日~29日)、Oculusアプリのダウンロードは前週比517%増となり、インストール150万回に達したことがSensor Towerのデータで明らかになった。

その後の12月30日から1月5日までの1週間で、これらのインストール数は77%減の34万5000回となったが、それでもこの数字は2021年のクリスマス前の週よりも42%も多い。また、こうした直近のダウンロードには、最近ホリデーギフトとして新しいOculusデバイスを受け取っていたが、まだセットアップしていなかった人が含まれているようだ。

クリスマス後のインストールは米国が大半を占めているが、ApptopiaとSensor Towerは、クリスマスの日から現在までにApp StoreとGoogle Playを合わせて全世界で約200万回のインストールがあったと推定している。

Sensor Towerはやや保守的な分析をしており、2021年12月31日から2022年1月5日までに全世界で約180万回インストールされたと推定している。一方、Apptopiaは、クリスマスから現在までにOculusアプリが全世界で218万9000回ダウンロードされたとしている。この200万回超のインストールのうち、約79%(172万7000回)が米国の消費者によるものだったと指摘した。

Apptopiaのデータでは、2021年のクリスマスに急増している

この数字をより広い視野で見ると、2021年ホリデー期間中のアプリインストール数は、アプリの初期に見られた年間総ダウンロード数に近い。

2018年4月にリリースされたOculusアプリは、初年に120万回ダウンロードされ、その後2019年には240万回を記録している。2020年にはさらに勢いを増し、Apptopiaのデータによると、世界の消費者440万人がこのアプリをインストールした。その後、Quest 2の2020年秋発売の恩恵を受け、Oculusアプリのインストールは2021年に1062万回に跳ね上がった。そのうち7218万回、つまり68%を米国が占めた。

Sensor Towerのデータはここでも少し保守的で、2021年のアプリのダウンロード数は、App StoreとGoogle Playを合わせて1060万ではなく800万回を少し上回るというものだった。

しかし、どちらの数字がより正確かはともかく、クリスマスからわずか数日の間に、Oculusアプリが200万回ほどのダウンロードを獲得したことは共通する。

Metaは、サードパーティ推定値に関するコメントのリクエストにまだ答えていないが、直近のQuest 2の浸透は、Qualcomm(クアルコム)のチップセットが新しいVRデバイスに搭載されていることが貢献している。Qualcommは2021年11月に、Metaがこれまでに1000万台のQuest 2を出荷したと明らかにした。

Oculusアプリは同社のレガシー製品(RiftとRift S)でも動作するが、これらの新しいダウンロードは生産が終了した製品のためではなく、Quest 2のためのものだろう。MetaがQuest 2を初めて出荷したのは2020年10月で、同社の旗艦デバイスとして丸1年以上、299ドル(約3万5000円)というエントリーレベルの価格帯でVR導入をより手頃にするためのデバイスが出荷されていることを意味する。また、Facebookが2021年にMetaへの大きなブランド変更を発表し「メタバース」の計画を詳述したことで、初めてVRに興味を持った消費者が増え、最近のインストール数の増加につながっている可能性がある。

アプリのダウンロードは概して実世界での普及を示すものではないが、Oculusの場合、最近新しいOculus VRデバイスを購入した、または贈られた消費者が何人いるかを把握するのに役立つ。このアプリは、消費者が新しいVRアプリやゲームをダウンロードしたり、VRでつながる友人を見つけたりすることを可能にするため、Quest 2の所有者のほとんどがインストールを選択する。

米国時間1月5日現在、Oculusアプリはインストール数と勢いなどを考慮した米国のApp Storeランキングで順位を下げている。現在は総合で111位だが、振り分けられているエンターテインメント部門では10位と健闘している。

また、Apptopiaによると、このアプリは新規ユーザーの一定のエンゲージメントを得ているようだ。同社によると、Oculusアプリのデイリーアクティブユーザーは241万人で、以前のレベルを上回っている。この数字は、ユーザーが一度アプリをセットアップしてから放棄するのではなく、今も積極的にVRの世界を探求していることを示している。

画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Robloxが中国でのサービスを一時停止、「重要な一時的措置」を実施

Roblox China’s developer day(画像クレジット:Roblox China)

2021年12月8日、Tencent(テンセント)が公開・運営しているRobloxの中国版「罗布乐思(Luobulesi)」が、iOSとAndroidでサービスを開始してから5カ月で突然サーバーを閉鎖した。

驚きを隠せない多くのユーザーは、中国のソーシャルメディアで、この急な告知に不満を漏らしている。ユーザーがプレイしていたのは、実は「アーカイブ削除テスト版」だったと、罗布乐思は告知で述べている。中には「自分のアカウントに課金できるテストゲームなんてあるだろうか」とキレたユーザーもいる。

Robloxの広報担当者はTechCrunchへの声明で「2021年、私たちは罗布乐思としても知られているRoblox Chinaをローンチし、中国で3D体験の没入型仮想世界を構築するというビジョンを掲げ、それをテストし、繰り返してきました」と述べている。「私たちは、中国で魅力的なプラットフォームを構築することは反復的なプロセスであると常に認識しており、罗布乐思ユーザーとグローバルな開発者コミュニティのサポートに感謝しています」。

Tencentは、TechCrunchからのコメント要求に応じていない。

2019年5月、RobloxとTencentは、前者が51%、Tencentが49%の株式を保有するジョイントベンチャーを発表したが、これは中国のジョイントベンチャーで外国企業が過半数の株式を保有する珍しいケースだ。2020年7月、罗布乐思はAndroidテスト版を公開し、期間終了時にユーザーアーカイブをクリアすることを明言している。

データインフラ

Robloxのユニークなサービスは、規制当局の認可を得るのに時間がかかったかもしれない。罗布乐思は、当初、教育志向であることを謳っていた。しかし、2021年、中国は民間教育セクターに対する徹底的な取り締まりを開始した。また、中国では子どものゲーム時間を厳しく制限しているため、罗布乐思に若いプレイヤーが触れる機会への制限も予想されていた。

また、中国の新しいデータ規制が、同国にある外国のインターネットサービス事業者にどのような影響を及ぼしているのかも気になるところだ。中国の国境を越えたデータ転送規制の強化を受けて、YahooLinkedInは、この巨大市場からサービスを撤退する最後の外国企業ではないはずだ。

関連記事:長きにわたるマイクロソフトの中国ローカライズの結果

Robloxの声明には、ちょっとしたヒントある。

「罗布乐思の長期的なビジョンを実現するためには、データアーキテクチャへの投資を含む、必要な投資を今、行うことが重要です。次のバージョンの罗布乐思のを構築するために、いくつかの重要な一時的なアクションが必要だと判断しました」。

海外のゲームは、中国で公開するに通常、マーケティング、流通、そしておそらく最も重要な規制遵守とゲーミングライセンスの申請を支援してもらうための、現地パートナーを求めている。

Tencentのような味方がいれば、罗布乐思のユーザー生成型プレーが中国当局の方針に反することはないだろう。罗布乐思はRobloxのグローバルプラットフォームから切り離されており、同じゲームやプレイヤーのプールを保有しているわけではない。そのため、多くの中国人ユーザーはVPN経由でグローバル版に移行しており、世界的に人気のあるタイトルの中国語版が検閲の対象となるのという現象が起こっている。

それでも罗布乐思は、国内外の多くのデベロッパーにとって、中国のカジュアルゲーム市場を開拓するための登竜門的な存在となっている。「公式」ローンチの時期が未定であることも、多くのクリエイターをいらいらさせているのは間違いない。アプリ分析会社のSensor Towerによると、同プラットフォームは12月8日に削除されるまでに、中国のApp Storeで170万回インストールされたという。

Robloxの広報担当者は「2021年、私たちが罗布乐思をローンチしたとき、私たちは中国で、魅力的なメタバース体験を提供するプラットフォームを構築したいと長期的な視野を持っていました。その目標は変わっていない」と述べた。

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(文:Rita Liao、翻訳:Katsuyuki Yasui)

コネクテッドフィットネス企業にとってパンデミックが続く2022年もビッグイヤー

毎年、CESの週は、筆者にとって健康的ではなかった。意図的でない断続的な断食はともかく、TechCrunchは展示会でのチームディナーで本当にそうする習慣がある。そしていうまでもなく、同僚のMatt(マット)はメキシコ料理レストランの「Tacos & Beer」に宗教じみた情熱を捧げている。

断っておくが、筆者は毎年、展示会の期間中は毎日必ず、何度も歩数をカウントしていた。ラスベガス・コンベンション・センターのホールを歩き回るテックジャーナリストならそうするはずだ。2022年は、TechCrunchがオミクロン関連の懸念からバーチャルでの参加にしたため、もちろん歩数は減った。

正直にいえば、筆者も同じ懸念のために、ジムに戻るべきか迷っている。そう思っているのは筆者だけではないだろう。2021年末、ジムなどの営業が再開したために、Peloton(ペロトン)のような企業の業績が後退したのは事実だ。しかし、パンデミックはまだ終わっていない。現在、全国の多くの地域で寒すぎて屋外で運動ができないとはいえ、狭い室内で息の荒い人たちと一緒に過ごすというのは、あまり理想的とはいえない。

この種のトレンドが長く続くかどうかを予測するのは常に難しいが、ここ数年でホームフィットネスの世界が大きく変化したことは間違いない。筆者は個人的に、こういったことがすべて終わった後(まあ、本当に終わると仮定しての話だが)、ジムに戻るつもりはないという多くの人と話をした。もちろん、すべてがパンデミックの結果というわけではない。PelotonやMirror(ミラー)といった企業は、私たちの多くが新型コロナウイルスというものを知る前から、多くの支持を得ていた。

もちろん、この手のことは、必ず度が過ぎる。この2年ほど、筆者の受信箱には、家庭用フィットネスサービスのメールが大量に送られてくる。できるだけ多くの企業がこのチャンスに便乗しようとしていることは明らかだ。Pelotonの収益やLululemon(ルルレモン)によるMirrorの買収などを前にしては、彼らを責めることはできないだろう。2021年の「オールバーチャル」CESでは、確かに盛り上がりを見せた。2022年も間違いなくそうなるだろう。

他の超ホットなテック分野と同様、生き残るのはごく一部だ。Pelotonは、CEOのJohn Foley(ジョン・フォーレー)氏による基調講演など、さまざまな形でこのイベントに大きく関与する予定だったが、今週初め、参加を見合わせる企業の長いリストに加わった。それにも関わらず、それを穴埋めする製品がたくさん登場した。

画像クレジット:LG

LGがこのカテゴリーで提示したのは、実用性よりもコンセプト性の方がはるかに高いものだった。どちらかといえば、同社のフィットネスバイクは、ホームフィットネスに同社の曲面モニター技術をどう取り込めるかを示すためにデザインされたものだった。自宅に運動器具を備えようとする多くの人にとってスペースと価格が割高であることと、この製品の大きさを考えると、選ばれることを自ら拒否しているように思えた。

2022年のホームフィットネス製品に「メタバース」という言葉があまり出てこなかったのが率直にいって驚きだった。VRフィットネスアプリのLiteboxer(ライトボクサー)は、そこで得点を稼いだ。「メタバースの夜明けは、より深いつながりの感覚への需要を示しています」と共同創業者でCEOのJeff Morin(ジェフ・モリン)氏はプレスリリースで述べた。「バーチャルリアリティでのワークアウトは、タブレット、電話、コンピュータといった二次元の画面よりも意味のある方法で人々をつなぎます。VRヘッドセットとあなたの勝利への意志さえあれば、誰でも最高のトレーナー、音楽、フィットネス技術とともに、世界のどこにいてもワークアウトができます」。

前述のプレスリリースでは「メタ」という言葉が4回出てくる。プレスリリースでは、ほぼ「VR」という言葉に置き換えて使われたようだ。Quest 2ヘッドセットの商品名だからだ。Liteboxer VRは3月3日にQuest Storeに登場し、月額19ドル(約2200円)のサブスクリプション制となる。

Echelon(エシュロン)は、Peloton(ペロトン)の高価格帯バイク「Bike+」に対抗するために設計した「EX-8s Connect Bike」を展示した。価格はBike+をわずかに下回る2399ドル(約27万8000円)だ。Walmart(ウォルマート)向けの超お手頃な製品も作っている会社としては、高い価格設定だ。この価格で、24インチの曲面1080pディスプレイが手に入る他、車輪部分のライトをカスタマイズできる。1月末に発売される予定だ。

画像クレジット:Wondercise

一方、Wondercise(ワンダーサイズ)はソフトウェアファーストのソリューションだ。同社は、離れた場所にいるエクササイズ愛好家同士を結びつけ、ジムから自宅への移動で生じる孤立感を解消するためのプラットフォームを提供することを目指している。以下は、同社のプレスリリースの資料から。

ライブリーダーボードでは、個人の技量に応じてスコアが表示され、セッションを楽しい雰囲気に演出します。画面上のカラフルなパワーバーやプロフィールは、ゲーム感覚で楽しめるよう意図的にデザインされており、ワークアウトに競争的な側面を加えています。Wonderciseは、いつでも誰でも必要とするパフォーマンス解析とデータが得られるよう、フィットネス業界にIoTを導入することに注力しています。

家庭用機器のカテゴリと同様に競争は激しくなっているが、ソフトウェアファーストのソリューションに比べれば、たいしたことはない。WonderciseはApple(アップル)やSamsung(サムスン)などのビッグネームと直接競合することになる。

一方、Hydrow(ハイドロウ)は家庭用ローイングマシンを代表する重要な企業の1つ。トレッドミルやバイクの先にある、これから本格的な成長が期待されるカテゴリーだ。自転車と比べると、漕ぎ手はより全身を鍛えることができるが、一般に消費カロリーは少ない。Pelotonが手漕ぎボートゲームに参入すると噂されているが、今のところHydrowがこの分野でのビッグネームとして存在感を示している。

画像クレジット:Echelon

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

現代自動車、メタバースにボストンダイナミクスのロボット「Spot」を送り込む

現代自動車(Hyundai)がロボット開発に壮大な野心を抱いていることは確かだ。これまで現代自動車は積極的に資金を投入していて、特にロボットのパイオニアであるBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)の買収には10億ドル(約1160億円)以上を費やした。

今週開催される同社のCESにおけるプレゼンテーションでは、予想どおり、ロボットが中心的な役割を果たしている。2021年12月、現代自動車は、4輪モジュラーモビリティプラットフォームのスニークプレビューをMobile Eccentric Droid(モバイル・エキセントリック・ドロイド)という形で公開した。そして米国時間1月4日は、新しい「メタモビリティ」コンセプトに基づいて、将来に向けたより幅広い計画を発表した。

現代自動車は今後、その戦略についてより多くの情報を公開する予定であり、私たちは実際にどのようなものになるのかを知るために、何人かの幹部に話を聞くことを予定している。とりあえず、今回は「Expanding Human Reach」(人間の手の届く範囲を拡大する)という表題のもとに、バーチャルリアリティのメタバースにおけるモビリティとロボティクスの役割を模索するという大枠のアイデアが提示された。この早期の段階では、宣伝用コンセプトと実用性を切り離すのは難しいが、主な要素は、VRインタラクションの世界でハードウェアに現実世界へのプロキシのような役割を果たさせることようだ。

画像クレジット:現代自動車

現段階では、ずっとVRアプリケーションの根本的な問題となっていた、タンジビリティー(可触知性、実際に触った感覚を得ること)の欠如に関係する大きな成果がありそうだと言っておこう。現代自動車グループのChang Song(チャン・ソン)社長はこう語る。

「メタモビリティ」の考え方は、空間、時間、距離がすべて無意味なものになるというものです。ロボットをメタバースに接続することで、私たちは現実世界と仮想現実の間を自由に行き来できるようになります。メタバースが提供する「そこにいる」ような没入型の体験からさらに一歩進んで、ロボットが人間の身体感覚の延長となりメタモビリティによって日常生活を再構築し、豊かにすることができるようになります。

近い将来には、このような技術を利用して遠隔操作で製造ロボットを制御することが十分考えられる。これは、トヨタが以前から取り組んでいる「T-HR3」というシステム探求しているものだ。現代自動車によると、Microsoft Cloud for Manufacturing(マイクロソフト・クラウド・フォー・マニュファクチャリング)は、このような遠隔操作のためのゲートウェイとして利用することが可能で、このような実用的な機能を果たすシステムを想像するのは難しくないという。

画像クレジット:現代自動車

他のアプリケーションは、まだ先のことになる。現代自動車のプレスリリースによると「例えばユーザーが外出先からメタバース上の自宅のデジタルツインにアクセスすることで、アバターロボットを使って韓国にいるペットに餌をあげたり、抱きしめたりすることができるようになります。これにより、ユーザーはVRを通じて現実世界の体験を楽しむことができます」とのことだ。

このような考えは現時点ではほとんど概念的なもののようだが、現代自動車は今週開催されるCESで、最終的にはどのように見えるかのデモを提供している。新型コロナウイルスが急増する中で、TechCrunchだけでなく多くの人たちがバーチャルで展示会に参加していることを考えると、少なくとも将来的にリモートオペレーションがどのように役立つかを想像するのは簡単だ。

無生物や移動にロボットを導入する

現代自動車は、CESですべての時間をメタバースに費やしたわけではない。また「New Mobility of Things」(ニューモビリティオブシングス、モノの新しい移動方式)と題して、ロボットを使って大小の無生物を自律的に移動させるコンセプトを紹介した。

この「New Mobility of Things」のコンセプトのもとに発表されたのが「Plug & Drive」(プラグアンドドライブ、PnD)という製品だ。この一輪ユニットには、インテリジェントなステアリング、ブレーキ、インホイール電気駆動機構、サスペンションのハードウェアに加えて、物体を検知して周囲を移動するためのLiDARとカメラのセンサーが搭載されている。

このPnDモジュールは、例えばオフィスのテーブルのようなものに取り付けられるようになっている。ユーザーは、こうしたテーブルに対して自分の近くに移動するように命令したり、オフィスでより多くのスペースを必要とする特定の時間にそのテーブルを移動するようにスケジュールすることができる。

現代自動車の副社長でロボット研究所長のDong Jin Hyun(ドン・ジン・ヒョン)氏は「PnDモジュールは、人間のニーズに合わせて適応・拡張が可能です。というのも、これからの世界では、あなたがモノを動かすのではなく、モノがあなたの周りを動き回るようになるからです」と語る。「PnDは、通常は動かない無生物をモバイル化します。この能力があるからこそ、実質的にあらゆる空間を変えることができるのです。必要に応じて空間を構成することができます」。

現代自動車は、待っているバスへ人を運ぶためのパーソナルトランスポートシステムなど、PnDのさまざまな応用例を紹介した。4つの5.5インチ(約14センチ)PnDモジュールを搭載したこのポッドは、そのままこの「マザーシャトル」に合体する。

画像クレジット:現代自動車

理論的には、バスが止まると、(中に座っている人間を乗せた)ポッドが目的地までの最後の移動を行うことになる。

現代自動車がビデオで紹介したアイデアは、高齢の女性がポッドに乗り込んで待っているバスに移動する前に、1台のPnDが杖を彼女に届けるというもので、高齢者を直接ターゲットにしている。しかし、もしこれが仮に実現したとすれば、車道に1人乗りの大きな車を大量に増やすことなく、ファーストマイルとラストマイルの公共交通機関を提供するために使用することができる。

また現代自動車は「Drive & Lift」(ドライブアンドリフト、DnL)と呼ばれる、モノを持ち上げるためのモジュールも披露した。現代自動車は、DnLをそのMobED(Mobile Eccentric Droid)というロボットと組み合わせた。DnLはModEDの各ホイールに取り付けられており、上下に持ち上げることができ、ロボットが段差やスピードバンプなどの低い障害物上を移動しても水平を保つことができる。

画像クレジット:Hyundai

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

ソニーがPS5向け次世代ヘッドセットPSVR2の情報を初公開

Sony(ソニー)は、待望のPS5向け次世代VRハードウェアPSVR2(この名前は予想どおり)の基本情報を発表した。デバイスに関して公開された情報はほとんどなかったが、ゲーマーにとって気になるいくつかの機能が確認できた。

初代PSVRは、性能が高く、比較的手頃な価格で使いやすいデバイスだったが、解像度や視野角など、ハードウェアの面ではかなり制限されていた。だからこそ、ソニーが「新型はかなり進化している」と発表したことは大歓迎されるだろう。

ソニーはPSVR2が4K HDRを搭載していることは認めているが、それが全体のものなのか、それぞれの目に対するものなのか、あるいはその他の指標なのかは不明だ。また、オリジナルのハードウェアよりも視野角が広くなる。実際の仕様が明らかになれば、このヘッドセットがユーザーの目にどのように映るのかがより明確になると思うが、ディスプレイの種類やリフレッシュレートなどについては、イベントでは言及されなかった(ちなみに噂では有機EL搭載、総解像度4K、視野角は110度といわれていた)。

ただし、最近では必須となっているアイトラッキングとフォービエイテッド・レンダリングは搭載されている。アイトラッキングがゲームプレーやその他で役立つのは明らかだし、フォービエイテッド・レンダリングはリソースを消費することで知られるVRのレンダリング処理の中で、プレイヤーが見ている部分にサイクルを集中させるために用いられる。

最後に、意外な機能として、ヘッドセットのフォースフィードバックが搭載されている。ユーザーが本当に頭を振動させたいと思っているかどうかは疑問だが、やってみなければわからない。

画像クレジット:Sony

このセットには新しいコントローラーも付属している。PSVRにも付属していた2つのコントローラーは、発表当時はまったく問題なかったものの、その後、競合他社の性能に追い越されてしまったために、独自の改良が加えられている。これについては、少し前にソニー自身が秘密を漏らしていた

ソニーは、そのファーストパーティースタジオによる同プラットフォーム向けの数多くの独占ゲームの中に「Horizon(ホライゾン)」シリーズ(「Zero Dawn」で始まり「Forbidden West」がまもなく登場予定)のVR専用ゲームが含まれることを発表していたのだ。

さらなる情報が出てくることは間違いないが、米国時間1月4日のイベントではこれがすべてだと思われる。もし続報があればお知らせする。

画像クレジット:Sony

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

自動車内のVRエンタHolorideが車内メタバースで使える暗号資産「Ride」をリリース

Audi(アウディ)が支援するスタートアップHoloride(ホロライド)は、クルマのドライバー向けに設計された車載バーチャルリアリティエンタテインメントシステムを開発しており、このほど自社の暗号資産トークン「Ride(ライド)」の販売を開始した。

暗号資産のローンチは、Holorideが開発者のコミュニティによって作られたゲームとエクスペリエンスのXR(Extended Reality、仮想世界と現実世界を融合して新たな体験をつくり出す技術の総称)エコシステムを構築する最新の動きだ。自分が乗っているクルマの動きに連動する仮想世界やゲームの体験を求めるユーザーは、Rideのユーティリティトークンを使って購入を行うことになる。

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Holorideは2022年にXRシステムを自家用車に搭載することを目指しているが、どのブランドがいつローンチするかの詳細は不明だ。同社は以前、2022年夏のローンチを予定していたが、それ以降は具体的な時期について明言を避けている。

「ここ数年で、自動車メーカーやコンテンツクリエイターとユーザーをつなぐプロプライエタリな技術スタックを作り上げました」と、HolorideのCEOで共同創業者のNils Wolln(ニルス・ウォルニー)氏はTechCrunchに語った。「ブロックチェーン技術でプラットフォームを強化し、独自のRideトークンをローンチすることは、私たちのエコシステムを活性化し、公正で透明性のある参加を可能にするための論理的な次のステップです」。

Holorideは2021年5月に、Elrond(エルロンド)のブロックチェーンを自社の技術スタックに統合し、NFT(非代替性トークン)を使用して開発者にプラットフォーム上でより多くのコンテンツを作成するよう奨励すると発表した。NFTとRideはともにElrond上に構築されており、Holorideのエコシステムでの取引に利用できる。NFTは一意で複製できないのに対し、Rideの通貨は他の通貨と同様に交換可能となっている。

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「RIDEトークンと引き換えに、ユーザーやコンテンツクリエイターが彼らのエクスペリエンスに基づいて独自のNFTを作り出すことが可能になります」とウォルニー氏は語る。「できあがったNFTはRideを使って売買できます」。

ブロックチェーン、NFT、暗号資産をHolorideプラットフォームに組み込むことは、漠然としたバズワードで注目を集める方法以上のものだ。Holorideは、自動車の座席から、デジタル世界と仮想世界が物理的および拡張された現実と絡み合うメタバースへと、現実を広げる能力に賭けている。

RideがHoloride内のゲームやエンターテインメントの購入にしか使えないとしても、この賭けは報われるかもしれない。2021年12月にRideが正式に上場されれば、最初にElrondの暗号資産EGLDと交換可能になる。EGLDはUSDC(USDコイン)などの他の暗号資産またはフィアット通貨と交換することができ、成長を加速させる可能性がある。

多くのビッグネームがメタバースプロジェクトを発表し始めており、その中には親会社の名前をMeta(メタ)に変更したFacebook(フェイスブック)、Pokémon Go(ポケモンGO)のメーカーであるNiantic(ナイアンティック) 、Amazon(アマゾン)、Roblox(ロブロックス)、Unity Software(ユニティ・ソフトウェア)、Microsoft(マイクロソフト)なども含まれる。一方、このメタバースのビルディングブロックが成熟の兆しを見せ始めるにつれ、Waymo(ウェイモ)、Cruise(クルーズ)、Motional(モーショナル) やLyft(リフト)、WeRide(ウィーライド)といった企業が商用化への道を歩み始めている自動運転配車業界も同様の様相を呈しつつある。

ウォルニー氏はTechCrunchに対し、Holorideを「メタバースのための輸送機関会社」にしたいと語った。Holorideは当初、自家用車をターゲットにしていたが、最終的には自動運転車に統合され、搭乗者に十分なダウンタイムを与えて楽しませることを目指している。

Holorideは2021年11月初め、スウェーデンの電気自動車メーカーNEVS(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン)と提携して、同社のPONSモビリティシステムに自社の技術を統合することを発表した。PONSは特定用途向けに開発された自動運転車Sango(サンゴ)をフィーチャーした自動運転共有モビリティコンセプトである。Holorideの技術は、ソフトウェア開発会社Terranet(テラネット)のVoxelFlow(ボクセルフロー)技術によって引き続き強化される。VoxelFlowは車両のセンサーを組み合わせて物体の距離、方向、速度を計算し、Holorideのプラットフォームにリアルタイムで通知する。これにより、ゲーム内のユーザーエクスペリエンスは車両の実際の動きにマッチするようになる。

RideはElrondのMaiar Launchpad(マイアール・ローンチパッド)で販売されている(暗号資産ローンチパッドは、新しいプロジェクトのために資金を調達する方法を提供し、投資家に早期に割引価格でトークンを販売する時間を与え、プロジェクトを中心としたコミュニティの構築を助ける)。Holorideは最初に1億3000万個のトークンを循環させ、最大10億個のトークンを供給する。2億個のトークンがすでに0.02ドル(約2.26円)で個人販売されて終了済みで、さらに5000万個が暗号資産のローンチ前に一般に販売されていた。これで同社は総額600万ドル(約6億6800万円)を手にしたことになる。

Holorideのチームは、主にRideトークンの収益をコンテンツ制作に使う計画だが、開発、マーケティング、法務、セキュリティの監査にも資金を配分する。Rideのトークン割り当ては、Holorideが作っているXRのエコシステム全体で25%がフィルターされる。これにはエコシステムのサポーター、重要なパートナーシップ、成長のオポチュニティが含まれている。

「特に、開発者、コンテンツクリエイター、自動車メーカー、モビリティプロバイダー、オペレーショナルサポーター、アドバイザー、アンバサダーなどです」とウォルニー氏は述べている。

トークンの20%は「コミュニティ」に割り当てられる予定で、ベータユーザー、技術監査、コードレビューなど暗号資産コミュニティの初期のコントリビューターのために確保されているとウォルニー氏は話す。Holorideのファン、サポーター、信奉者たちを意味する「一般販売」に充てられるのは5%に留まり、残りは選ばれた金融・戦略投資家、株式投資家、Holorideの財務、およびHolorideチームに分配される。

ウォルニー氏によると、トークン所有者は初期段階で、購入エクスペリエンスやそれに関連する他の仮想アイテムに加えて、エコシステムのガバナンスや、サブスクリプション、アップグレード、特別イベントなどのコミュニティ特典にもトークンを利用できるようになるという。このトークンはまた、ユーザーが電気自動車へのサステナブルな乗車や特定のデータ共有などの特典を得ることができる「乗って遊んで利益を得る」サイクルへのインセンティブとしても使われる。さらに、コンテンツクリエイターや自動車メーカーはパートナーのロイヤリティとしてRideを受け取る可能性があるとウォルニー氏は説明する。

Holorideはローンチからまだ1年ほどしか経っていないが、このようなエコシステムが理にかなったものになるためには、相当なスケールが必要になるだろう。少なくとも、透明性、セキュリティ、相互運用性、参加といったブロックチェーン技術の基本的な原理に、メタバースがどのように依存していくかということの縮図となるかもしれない。ウォルニー氏は、どのようにしてメタバースを構築し、ユーザーが自分たちのアイデンティティを管理したり、価値を創造・獲得したりするのかというムーブメントの中心にHolorideが位置する可能性がある、と楽観的だ。

「今や誰もがメタバース、暗号資産、そしてNFTの世界にいますので、パズルのピースはよりフィットするかもしれません」とウォルニー氏。「ですが、まだ多くのことが未解決であり、最高のものがこれから出てくるでしょう」。

画像クレジット:Holoride

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

MetaのVRマルチプレイヤーワールド「Horizon Worlds」が米国・カナダで18歳以上向けに一般配信開始

かつてFacebook(フェイスブック)と呼ばれた企業が、我々をメタバースへと導くという同社の目標に向けて一歩を踏み出した。Second Life(セカンドライフ)またはMinecraft(マインクラフト)のMeta(メタ)VRアプリ版のようなものであるHorizon Worlds(ホライズン・ワールド)が、招待制ベータから拡大し、米国とカナダの18歳以上のすべてのユーザーに開放された。これは、2019年に最初に発表された同アプリにとって大きなマイルストーンだ。

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この無料アプリは、ソーシャル要素のある仮想世界を構築するプレイグラウンドだ。アプリに入ると(初めての場合は短いチュートリアルの後)、プレイ(ゲーム)、アテンド(イベント)、ハングアウトの3つの選択肢が表示される。Meta自身が作ったエクスペリエンスに加えて、誰でも作れるコミュニティ生成スペースを探索することもできる。2021年10月に同社は、これらのVR体験を構築するクリエイターに1000万ドル(約11億3500万円)の資金提供を発表し、ユーザーが新しいゲームやハングアウトを作るインセンティブを与えた。

画像クレジット:Meta

これらの仮想空間に入る前に、同プラットフォームは、あなたが交流する相手は誰もが実在の人物であることを忘れないようにしてください、と通知する。

左手首を見てアクセスするプライマリーメニューには、セーフティボタンがあり、これを押すとすぐに「セーフゾーン」と呼ばれるプライベートルームに移動し、そこで休憩したり、ユーザーをブロックしたり、ミュートしたり、問題人物を報告することなどができる。

ユーザーが最初に遭遇するであろうハングアウト空間のひとつが、Metaが作ったPlaza(プラザ)というスペースだ。我々の足のないアバターは、知らない人と一緒に紙飛行機を投げたり、コミュニティのモデレーターと話したりした。モデレーターは、初めての人とおしゃべりしたり、操作方法を説明したりしてくれる(直感的に操作はできるが、慣れるまでには数分かかる)。近未来的な風景を眺めながら、周りの人たちがアバターの服装についてメタバース的な世間話をしているのを聞くのは、奇妙で楽しい体験だった。

しかし、ユーザー生成スペースでは、何か問題が起きたときに介入できる人間のモデレーターが常に存在するわけではない。Horizon WorldsのすべてのスペースにMetaの担当者がいることを期待するのは現実的ではないし、もし実際にいたら少し不気味に感じるかもしれない。だがメタバースは、人々のオンラインでの安全を守るための新たな課題を引き起こすことになりそうだ。

画像クレジット:Meta

Metaは、Facebookからヘイトスピーチや暴力的な画像を削除するのに苦労しており、同社のアプリであるInstagram(インスタグラム)が、10代の若者にとって精神衛生上危険であることを示す内部文書が流出した影響で動揺している。さらに米国時間12月8日には、Instagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏が、子どもと10代の若者のオンラインの安全性について議会で証言したばかりだ。しかし、メタバースの世界では、より没入感のあるオーディオビジュアル体験ができるため、さらなる課題がある。Clubhouse(クラブハウス)はライブオーディオルームのモデレートに苦労しており、Twitter(ツイッター)でも最近はSpaces上の有害なコンテンツが問題になっている。Twitchストリーマーも「ヘイトレイド」と呼ばれる荒らし行為に悩まされている。

ユーザーエクスペリエンスの面では、Horizon Worldsは、Metaの没入型イベントプラットフォームであるHorizon Venuesよりも大幅にステップアップしている(Worldsがベータ版からグローバルにアクセスできるようになれば、Venuesは廃止されるかもしれない)。

現在、Venuesを使用すると、映画館の廊下のようなブロック状の入口エリアにドロップされる。いくつかの部屋が用意されていて、ピクセル化されたBillie Eilis(ビリー・アイリッシュ)の録画コンサートをループで見られるなどの機能がある。Worldsはすでに、Venuesよりも魅力的で期待できそうに感じる。しかし、これから何百万人ものユーザーがHorizon Worldsに参加していくにつれ、Metaは、ソーシャルプラットフォームを安全に維持する能力があることを証明する必要がある。

Horizon Worldsを実行するには、Quest 2デバイスに無料アプリをダウンロードする必要がある。2022年1月13日以降、Quest 1ではサポートされなくなる。

画像クレジット:Meta

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

アップルの複合現実ヘッドセットはスタンドアローン型とのウワサ

著名なアナリストであるMing-Chi Kuo(ミンチークオ)氏によると、Apple(アップル)の長い間噂になっている複合現実ヘッドセットには、2つのプロセッサーが搭載される。MacRumors9to5Macが入手した最新リサーチレポートでクオ氏は、このデバイスには、M1チップと同等の演算能力を持つメインプロセッサーと、すべてのセンサー関連の演算を処理するセカンダリプロセッサーが搭載されるという。2つのプロセッサーを搭載することで、ヘッドセットはiPhoneやMacに接続する必要がなくなる。

また、ソニーの4Kマイクロ有機ELディスプレイを搭載することで、拡張現実だけでなく、仮想現実の体験も可能になると、クオ氏は述べている。これが可能になるのは、M1チップがディスプレイのサポートに必要なパワーを持っているからだ。センサー用の別のプロセッサーについては「センサーの演算能力がiPhoneよりもはるかに高い」ため、それが必要になるそうだ。クオ氏は、このデバイスが2022年後半に登場すると予想し、Appleは10年後にiPhoneにとって代わることを最終の目標として「包括的な範囲のアプリケーション」をサポートできるようにするだろうと述べている。

このヘッドセットが独立したデバイスになるというクオ氏の予測は、9月にThe Informationが発表した、ヘッドセットがほとんどの処理を行うためには、iPhone、iPad、またはコンピュータとのワイヤレス通信が必要になるとするレポートに反している。また、このレポートは、ヘッドセットは開発者やクリエイター向けで、価格は3000ドル(約33万9000円)程度になるだろうと述べている。

編集部注:本稿の初出はEngadget

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(文:Mariella Moon、翻訳:Yuta Kaminishi)