GoogleがAIスタートアップ育成専門のVCを立ち上げたらしい

Axiosの記事によると、Googleは人工知能にフォーカスした新しいベンチャーキャピタル事業を立ち上げたようだ。

Googleがコメントを拒否したその記事は、新しいVCの立ち上げは長年Googleのエンジニアリング担当VPだったAnna Pattersonが指揮し、Alphabet Inc.のVC部門GVで仕事をしているベンチャー投資家ではなく、エンジニアたちの輪番制で起業にあたった、という。

GoogleのCEO Sundar Pichaiが先日のI/Oカンファレンスで“モバイルファースト”から“AIファーストへ”、と宣言したぐらいだから、同社がAI専門の投資部門を立ち上げても不思議ではない。

今年のI/Oでは、発表されるもののほとんどすべてが、AI絡みだった。Tensor Processing Unit(TPU)のアップデートがあり、研究用にも企業用にもAIのモデルの教育訓練と実行が速くなったと謳われた。Google HomeやPixelスマートフォンから提供されるパーソナルアシスタントGoogle Assistantは、新しいAI技術のおかげで会話の能力が一層充実すると約束された。

データサイエンスと機械学習のコンペを主催するKaggleを買収したことも、今回のAI投資部門の新設と無縁ではないだろう。

Axiosによると、PattersonとGoogleは、必要ならGVからの共同投資も行う、という。投資案件のサイズは、当初100万ドルから1000万ドルまで程度、ということだが、全体で年間どれぐらいの投資規模になるのか、その話はまだない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Bill Gates, Reid Hoffman, Sam Altmanらがグローバルな署名運動サイトChange.orgに$30Mを投資

LinkedInの協同ファウンダーReid Hoffmanが今日(米国時間5/26)、社会的正義を実現するための署名運動サイトChange.orgに大きく賭けることを発表した。彼は3000万ドルの投資ラウンドをリードし、それにBill GatesやY Combinatorの社長Sam Altmanらのビッグネームが参加する。

HoffmanはLinkedInにこう書いている: “Change.orgは集団的アクションのためのグローバルなハブであり、市民参加が大きくなりつつある今の時代における重要な民主化勢力である。それは、重要な問題や政策に関して、ロビイストを雇わなくても本物のインパクトを及ぼすことのできる世界を実現する”。

この組織は2007年に今のCEO Ben Rattrayが創った。その後、世界中の2億人近い人びとがこのサイトを使って、人権、環境、教育、健康などの問題に関する気づき(awareness)を喚起してきた。

Rattrayは、そのグローバルなミッションについて書いている: “私たちは今、より参加性の高い新しい形の民主主義の、初期的な発展途上段階にいる。そして、市民の参加性を変革することのできるテクノロジーの力を実際に実現するためには、私たちの声がより広く到達し、より深い関わりを可能にするためのツールを作る必要がある”。

シリコンバレーで、もはやマンネリの常套句が、「“世界を変える(change the world)”ものを作る」、だ。

でもChange.orgは、NPOではなく利益を追うビジネスだ。同社は企業や非営利団体などに陳情や署名活動のスポンサーとして寄付を求め、それが同社の年間2000万ドルの収益になっている。しかしそれでも、社員の30%をレイオフすることを避けられなかった(2016年)。その後彼らはクラウドファンディングを導入し、今ではそれがChange.orgに“数百万ドルの収入”をもたらしている。

HoffmanがChange.orgのチームに賭けるのは、これが初めてではない。2014年には、Richard Branson, Ashton Kutcher, Twitterの協同ファウンダーEv Williamsらと並んで、名士らによる大きな投資に参加した。

また2012年には、Change.orgは4200万ドルあまりを調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SoftBankのNvidia株は時価40億ドルと報道――Vision Fundのプレスリリースから推定

先週末、日本のソフトバンクはVision Fundの最初の資金調達をクローズしたことを発表した。今回の出資コミットメントの総額は930億ドル〔約1兆円〕で、出資者にはApple、Qualcomm、Foxconnらが並んでいる。同時にソフトバンクがすでにNvidiaの株式を所有していることも何気なく発表されていた。

今日(米国時間5/24)のBloombergの記事はソフトバンクが所有するNvidia株式は時価40億ドル相当と推測している。これは持ち分が4.9%とした場合の価格で、Nvidiaの第4位の株主となる。

土曜日に発表されたVision Fundのラウンドのクロージングに関するプレスリリースには、同ファンドが「SoftBank Groupが買収した(あるいは買収が承認された)投資対象を買収する権利がある」旨書かれている。

この一節には投資対象としてNvidiaに並んでARMの24.99%の株式(昨年ソフトバンクが310億ドルで買収している)、 OneWeb、SoFiなども記載されていた。

われわれの取材に対し、ソフトバンクの広報担当者はNvidiaへの投資あるいはBloombergの記事についてコメントすることを避けた。

TechCrunchが最近報じたとおり、NvidiaのGPUは機械学習の爆発的な発達を支えるハードウェアの重要な柱となっている。AIはソフトバンクのVision Fundがもっとも力を入れている分野の一つで、孫正義CEOは、今年初めに、「次の30年はスーパー・インテリジェントなAIの時代になる」という見解を明らかにしている。孫CEOによれば、このことが1000億ドルのファンドをこれほど大急ぎで組成する理由なのだという。そうであれば、Nvidiaに大口投資を行ったのもこのビジョンの一環なのだろう。

そうであるにせよ、ソフトバンクが近年、巨額の投資を行っていることは事実だ。インドのフィンテックのユニコーン企業、Paytmに14億ドルを投資したことが発表されている。ロンドンのVRスタートアップ、Improbableが5億200万ドルを調達したラウンドではリーダーを務めた。、また50億ドルを中国におけるUberである配車サービスのDidi Chuxingに、17億ドルをOneWeb,に追加投資している(ソフトバンクは衛星コミュニケーションのOneWebに10億ドルを昨年出資した)。

NvidiaやARMの持ち分を含めてソフトバンクの投資のかなりの部分は直ちにVision Fundに移管されるだろう。ファンドはまたWeWorkにも投資する可能性がある。

Vision Fundは巨大だが、孫CEOは「普通のファンドだ」と語っている。なるほど規模も前代未聞のサイズだが、ビジネスモデルも詳しく検討する価値があるだろう。孫氏は今年初め、Bloombergのインタビューに答えて 「これらの会社のに対するわれわれの投資の大部分は20%から40%の利益をもたらすと同時に、筆頭株主、取締役会メンバーとして会社のファウンダーたちと将来戦略について話合うチャンスを与えてくれる」と語っている。

どうやら孫氏は金で買える最上のスーパー・インテリジェントAIの能力を最初に試せる少数の人間の1人になりそうだ。

画像: David Becker/Getty Images/Getty Images

〔日本版〕上場企業の株式取得にあたって情報公開義務が生じるのは5%であるところ、ソフトバンクのプレスリリースにはNvidiaの株式を所有していると記載されていたものの、これまで詳細が公開されていなかったことからBloombergは4.9%と推定したもの。なおVison Fundに対する出資者はソフトバンク・グループ他、以下のとおり。 SoftBank Group Corp (“SBG”) 、Public Investment Fund of the Kingdom of Saudi Arabia (“PIF”)…Mubadala Investment Company of the United Arab Emirates (“Mubadala”)、Apple Inc. (“Apple”)、Foxconn Technology Group (“Foxconn”)、Qualcomm Incorporated (“Qualcomm”)、Sharp Corporation ("Sharp")。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

9割の企業がアーリーステージでエグジット――スタートアップはどの段階で買収されやすいのか

【編集部注】執筆者のJason Rowleyは、Crunchbase Newsのベンチャーキャピタル・テクノロジー記者。

アメリカ国内のシードステージにあるスタートアップから、ランダムに1000社選ぶとしよう。この中から何社がシリーズAまでたどり着くだろうか? そして、シリーズAでの資金調達に成功した企業のうち、何社がシリーズBに到達できるのか? このように企業の段階を追って見ていくと、最後には数社だけが残ることになる。

しかし、各ラウンドまで生き残った企業の割合を求めるだけでは何も見えてこない。もっと重要なのは、途中で資金調達をやめてしまった企業に何が起きたのかということだ。もちろん、廃業も避けては通れない道だろう。しかし、事業売却やIPOのように、喜ばしい理由で次の資金調達ラウンドへ進まなかったスタートアップも存在する。それでは、どのくらいの企業がエグジットを果たしているのだろうか?

この記事では、2003〜2013年の間に設立された、1万5600社のテック企業の資金調達に関するデータをもとに、上記の問いに対する答えを探っていきたい。まずは全体的な生存率について見てみよう。テック業界でスタートアップが生き残っていくことの難しさがわかるはずだ。

急勾配を描くスタートアップの生存率

下図は、プレシリーズAで資金調達を行ったスタートアップのうち、どれだけ多くの(もしくはどれだけ少ない)企業が次なるラウンドへと駒を進めていったかを示したグラフだ。

仮に1000社が見事プレシリーズA(シード/エンジェルラウンド、コンバーチブルノート、エクイティクラウドファンディング等)をクローズしたとすると、そのうち400社ちょっとだけがシリーズAに進むことになる。つまり、私たちのデータによれば、プレシリーズAでの資金調達に成功したスタートアップの約60%はシリーズA以降には進むことができないとわかる。

均等目盛のグラフで見ると、企業数の減少度合いがかなり激しいことはわかるが、シリーズE以降の詳細がわかりづらくなってしまっている。そこで、対数目盛を使ってグラフを以下のように変換してみた。

(使われているデータは最初のグラフと同じだが、このグラフではラウンドを経るごとに企業数が指数関数的に減っていく様子がよくわかる)

上のグラフを見ると、2003〜2013年に誕生したスタートアップのうち、約1%しかシリーズFをクローズできなかったということがわかる。そして調査対象となった1万5600社のうち、シリーズHをクローズできたのは、Pivot3、Smule、Glassdoor、Aquantiaの4社だけだ。

エグジットという選択

先述の通り、企業が資金調達をやめる理由はさまざまだ。

事業をたたまなければいけない場合や、ビジネスが順調に進んで資金調達のニーズがなくなった場合を除くと、スタートアップが次のラウンドへ進まない理由は、買収かIPOのいずれかになる。それでは、企業はどの段階でエグジットする可能性が高いのかを考えてみよう。なお、買収された企業の数はIPOを果たした企業の16倍だったため、グラフでは買収された企業のデータを利用している。

用意したグラフは2つ。1つめでは、実際に買収されたスタートアップのみに焦点をあて、どの段階にある企業が1番買収されやすいのかということを分析している。そして2つめのグラフは、全ての段階を通じて、スタートアップはどのくらいの確率で買収されるのかということを示している。それでは最初のグラフから見てみよう。

どの段階にある企業が買収されやすいのか

どの段階にある企業が買収されやすいのだろうか? 恐らく直感的にもわかるように、株価が1番安いときが買い時なため、買収は比較的早い段階で起きやすい。しかし”早い段階”とはどのあたりを指しているのだろう? 驚くかもしれないが、買収された企業の90%近くが、プレシリーズAから数ラウンドの範囲にいたことがわかった。

プレシリーズA以降に進めなかった企業からシリーズHをクローズした企業を含め、買収された企業のラウンドごとの分布(累計)を示しているのが以下のグラフだ。

段階が上がるにつれて(急激に)企業数が減るため、各ラウンドでエグジットを果たした企業の数を、そのラウンドまでに買収された企業の総数で割っている。これにより、各ラウンドを終えたあとに買収された企業の割合を導き出すことができ、それぞれの段階での相対的なエグジットの起きやすさがわかるようになっているのだ。

念のため繰り返すと、上のグラフはシリーズCをクローズした企業全体の約92%が買収されると示しているわけではなく、資金調達を経てから買収された企業のうち約92%がシリーズCまでの範囲にいたことを表している。つまり、将来買収されることを目標に会社を立ち上げた場合、シリーズCかそれ以降で実際にその会社が買収される確率は10%程度ということになる。

ラウンド別の被買収企業の割合

上のグラフは、既に買収されている企業がいつ頃買収されたのかということを示しているが、さらに気になる問題が残っている。その問題に答えるため、下のグラフでは調査対象となった全てのスタートアップのうち、買収された企業の分布(累計)をまとめている。

買収された企業の割合はシリーズEの段階で約16%の最高値に達し、それ以降はあまり数字に変化がない。結果として、対象企業のうち6社に1社がどこかのタイミングで買収されたということになる。

生存率の低さの理由

繰り返しになるが、企業が資金調達をやめる理由はいくつかある。金銭的に持続可能なレベルに到達した企業や事業をたたんだ企業もいれば、買収やIPOを通じてエグジットを果たした企業も存在する。エグジットの中でも私たちは買収に注目してデータの分析を行った。というのも、実際にほとんどの企業がIPOではなく買収の道を選んでいるとともに、結論を導き出す上では買収された企業の方がデータ量が多かったのだ。

アーリーステージで姿を消す企業が多いことには複雑な背景があるが、ひとつだけ言えるとすれば、早い段階でエグジットのチャンスが訪れる可能性が高いということだ。スタートアップが失敗する要因に関しても同じことが言える。仲間割れやプロダクトマーケットフィット前の資金不足、業績の伸び悩み、単なる不運など、スタートアップの生死を分けるような問題は設立から間もない段階で起きやすい。

その他にも、レーターステージのラウンドは、参加する投資家の種類の違いから「プライベートエクイティ」と呼ばれることもあるなど、この記事で私たちが勘案していないような要素にも留意しなければならない。そのため、実際の状況は上のグラフよりも良いのかもしれないが、そこまで大きくは変わらないだろう。いずれにせよ、資金調達は厳しい戦いなのだ。

ビジネスの成長を妨げる要因の中でも、各ラウンドでの生存率の低さはもっとも大きな影響を持っているかもしれない。そのため、まだレーターステージに達していないものの、次のラウンドに進むのは難しいと感じた場合、可能なうちにエグジットを画策した方が良いだろう。そうしている企業はたくさんいるので、心配する必要はない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

DellのVC部門Dell Technologies Capitalは市場に独自の視点で臨み27のエグジットを経験

エグジットを27も抱えたVCがステルスであることは、めったにない。それどころか、今日のVCの多くは、そんなにたくさんのエグジットを経験していない。しかし、今日(米国時間5/8)までステルスだったDell Ventures(正式名: Dell Technologies Capital)は、各年1億ドルという着実なペースで投資を続けてきた。同グループは、マーケットが何を買いたがっているのかを、よく知っている。これまで同社では、70あまりの投資案件のうち、その37%近くがエグジットした。もちろん、その結果はさまざまだが。

今日まで、Dellの投資のうち、エンタープライズ方面で話題になり名前が知れたのは、ごくわずかだ。中でもいちばん目立ったのは、NutanixとJoyentだろう。前者はクラウドコンピューティング企業で、昨年40億ドルでIPOしたが、最近は出血気味で、その価値はほぼ半減した(ロックアップ期間が終わった途端)。Joyentはクラウドサービス企業で、1億3100万ドルを調達したが、その後1億7000万ドルでSamsung Electronicsへ売られた。

とはいえ、Dellのエグジットだけで計13億ドルに達している。同グループはそのスタートアップのポートフォリオに、企業のVC部門が従来から持つ利点を、うまく持ち込んでいる。それらは、データへのアクセス、戦略的営業チャネル、そしてエンジニアリングとリサーチ方面のさまざまなコネだ。

さらにDell Technologies Capitalは、マーケットに対して中立的(偏らない)である点でも他のVCとは差別化される。とくにクラウドが支配するエンタープライズでは、マーケットリーダーであるGoogleやMicrosoftからお金を取るやり方は、自分の活動を制限することに近い。

Dell Technologies CapitalのトップScott Darlingは、ほかの企業のVC部門と同社が重要な点で違うのは、そのフラットな構造だ、と言う。DarlingはCEOのMichael Dellとたえず連絡を取り合うし、投資についても率直に差し向かいで議論する。

なぜ今日、ステルスを脱けるのか、と問うと、Darlingは、現在の規模では、身を隠すための費用や活動がたいへんすぎるし、その意味も価値もない、と答えた。同社の現在のポートフォリオの中では、とくに大きく賭けているのがMongoDBとRichRelevanceであり、今後の大きなリターンで報われ、同グループにスポットライトが当たり続けることを期待している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple、米国の先進的製造業の職の拡大に10億ドルのファンドを組成

昨日(米国時間5/3)、CNBCのJim Cramerとの対談でAppleのCEO、ティム・クックはアメリカにおける先進的製造業における職を拡大するために10億ドルのファンドを組成したことを明らかにした。

この決定にはトランプ大統領も大賛成だろうが、Appleがこのプロジェクトを準備し始めたのは大統領選よりはるか前だった。以前からAppleはアメリカにおけるハードウェア製造に投資している。テキサスのMac工場についてはTechCrunchが去年レポートしている。また2013年にAppleは “メイド・イン・USA”として Mac Proを紹介した。これはアメリカ上院のキャンペーンより前のことだ。.

ファンドの組成の発表はやや微妙な四半期決算の発表の直後に行われた。この決算発表では iPhoneとiPadのセールスは予測に届かなかったが、サービスからの収入はアップしており、中国における売上も好調だった。中国市場はこれまでも長くアメリカ企業にとって試練が待ち受ける市場だった。

CNBCのインタビューで、クックはAppleこのファンドからの最初の投資について今月中にも明らかにすると述べた。こうした投資の詳細はまだ不明だ。投資先やこの投資によりファンド、最終的にAppleがどのような利益を得る仕組みなのかについても判明していない。

コンピューターとエレクトロニクスの製造分野にける失業率は平均に較べて低く、2016年12月の労働統計局の数字では 2.2%だった。しかしアメリカでこの分野に従事する労働者数は2007年以来、減少傾向だ。製造業全体ではアメリカの労働力の約9%が従事している。

DeloitteとManufacturing Instituteによる労働者のスキル・ギャップに関する調査では、技能ないし高度な技能を必要とする製造業の職に関する応募者に関して、アメリカのメーカー各社の80%で「中程度の不足」ない「し深刻な不足」を経験しているという。

画像:Justin Sullivan/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Nvidiaがそのベンチャー投資ポートフォリオに6社のAIスタートアップを追加した

NvidiaがAIスタートアップに投資したときには、背筋を伸ばしてメモをとることをお勧めする。このGPUメーカーが現在のAIを様々なやり方で実質的に可能にしているのだ、なのでおそらくこのメーカーは何年にも渡って、テクノロジーの潜在的な適用可能性を幅広く見て来ている筈で、何がうまく行きそうで何かそうではないのかという点に関して他よりも良く知っている筈なのだ。6つの新会社は注目を集めているだけでなく、NvidiaのGPU Ventures部門を通して資金提供を受けている。

これらには、小売業分析、データマイニング、自動運転車開発、音声駆動インターフェース、天気予報、医療画像などの、さまざまなビジネスおよび産業に焦点を当てた、世界中の企業が含まれている。異なる用途へ向けた多様性は、少なくとも部分的には戦略的なものだろう。なぜなら、こうすることで、この成長分野での潜在的なアプリケーションに対する、Nvidiaのすばらしい応用範囲を披露する役に立つからだ。

Nvidiaはまた、GPU Venturesに特化した新しいウェブサイトも用意している。ここには、現在のポートフォリオと、成功裏にエグジットを遂げた過去の投資の記録が掲載されている。

以下に示したのが、GPU Venturesのリストに加わる新しい企業の一覧である。Optimus Rideは、程なくその製品についての公開が行われる筈の素晴らしい技術的才能を持つ会社であり、そしてSoundHoundのAIピボットは、そのスタートアップの比較的名高い歴史の中でも特に興味深いものだ。

  • ABEJA – 東京を拠点にする、AIを用いた小売分析システムに焦点を当てたスタートアップ
  • Datalogue – コーネル大学で開発されたニューヨークAIデータマイニングプラットフォーム
  • Optimus Ride – 完全自動運転車を開発するMITスピンオフ
  • SoundHound – シリコンバレーのスタートアップで音声対応のAIソリューションを構築
  • TempoQuest – コロラド州ボウルダーを拠点とするスタートアップで、GPUを用いた気象予測を行なう
  • Zebra Medical – AIを使って医療画像の解釈を行なうイスラエル拠点のスタートアップ

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(翻訳:Sako)

クリス・サッカがベンチャー投資から引退へ――元Googleの弁護士、Twitterの初期投資で大成功

元Googleの弁護士で、ベンチャーキャピタリストに転じてTwitterとUberに巨額を投資したことで知られるクリス・サッカ(Chris Sacca)は「そろそろ拍車をかけるのを止める時期だ」と述べた。つまりベンチャー投資から引退するという。

新しいブログ記事でサッカは「2009年にベンチャーキャピタル、Lowercase Capital,を創立したときに考えていた目的を達したからだ」と説明している。このベンチャーキャピタルは当初、Googleでの元ボス、エリック・シュミットや同僚だったYahoo CEOのマリッサ・メイヤー、またIndustry Venturesなどからの出資を受けたことが役立った。

サッカはInstagramの初期投資家としても有名だ。Lowercaseについては2015年のForbesの記事に詳しく報じられた。サッカはTwitterへの投資にあたっては4つの異なるファンドを組成して手に入る限りの株式を買い集めた。この中にはTwitter社員の持ち株も含まれていた。

サッカはForbesのインタビューに答えて「Twitter〔がスタートしたとき〕は『これは本当のビジネスになる、おもちゃなんかではない』と回りを説得しようとして何ヶ月も時間を無駄にした。そこで全部で自分でやることに決めた。私は自分自身でTwitterの株を買っていくことにした」と述べている。2015年に記事が掲載された時点でTwitterへの投資は50億ドルの利益を生んだという。

サッカは後年、このやり方を繰り返そうとしてUber株を買い進んだ。この強引な戦法はやがてサッカとUberのCEO、トラビス・カラニックの間を緊張させることになった。報道によれば、カラニックはサッカがUberの社員から持ち株を買い集めることを不快に感じたということだ。

ある時点でサッカはUberの4%を所有していたと報じられた(現在でも所有しているかもしれない)。しかし「Uberの運営に関して発言権がゼロなのは腹立たしい」とサッカは2月にツイートした

最近サッカはTwitterからは距離を置いている。3月にTwitterの公式アカウントにこう投稿している。「Twitter株式は2年近く前から持っていない。イヴ〔共同ファウンダーのEvan Williams)を経営陣に復帰させることがなくなって以後、私は希望を失った。このサービスは好きだが、株式は嫌いだ」。【略】

サッカは引退を表明したブログ記事で、「私には6歳以下の子供が3人いる。モンタナやカリフォルニアに家も3軒持っている」と書いている。また「パートタイムでベンチャー投資を試みたがうまくいかないとわかった。岸に腰掛けてつま先だけを水に浸すようなやり方ではダメだった」という。そこでLowercase Capitalのために自分で資金を集めるのは止めることにした(ただしパートナーの投資家、Matt Mazzeoが独自にファンドを組成するかもしれないと示唆している)。

ではサッカはこの後どうするのだろう? ブログ記事はこの質問に自分で答えている。「政治? ノー。(ABCのリアリティー・テレビ番組)Shark Tankにもっと出る? ノーだ」。

サッカは「別のテレビ番組なら出るかもしれない。もっとポッドキャストもする。これまでになかったようなもので、テーマは無限だ。役に立つと同時に物議をかもすような内容になるかもしれない」という。

Lowercaseのパートナー、Matt Mazzeoexecは大手のタレント・スポーツ選手エージェンシーのCAAで事業開発の責任者を務めた後、2012年にサッカのベンチャーキャピタルに加わった。Mattは数年前、Forbesのインタビューに答えて「クリスは金を稼ぐだけが目的の人間ではない。仲間が好きだからやっているのだ。彼が〔Lowercaseを〕辞めることはないと思う」と述べている。

しかし時は移り変わる。サッカにとってはこのビジネスを辞めるときが来たようだ。

〔日本版〕記事中のShark Tankはかつて日本テレビで放映された『マネーの虎』をベースにしたABCのリアリティー番組。起業家志望者がプレゼンし、投資家が審査員となり投資の可否を判断する。クリス・サッカはゲスト審査員として繰り返し出演した。マーク・キューバンがレギュラー審査員の1人。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ベストセラー‘Hillbilly Elegy’で白人貧困層の実態をリベラル層にも知らしめたJ.D. VanceがRevolution LLCでシリコンバレー以外のスタートアップを育成

出版から2か月でThe New York TimesのベストセラーリストのトップになったHillbilly Elegy〔仮訳: 「白人極貧層の悲歌」〕の、その強烈な著者J.D. Vanceは今、ややためらいがちにスポットライトを浴びている。同書の出版は、そのタイミングが絶妙だった。Vanceの成長回想録は民主党寄りのアメリカ人に、ドナルド・トランプの上昇を支えた側のアメリカ人たちの実態への、もっと早くから必要だったリアルな理解を与える。

本の出版から9か月後となる今日まで、Vanceは左右両勢力にとって、真っ先に引き合いに出される人物になっていた。そして彼は、そんな有名人としての立場を有効に利用すべく、AOLの協同ファウンダーSteve CaseがワシントンD.C.で創業した投資企業Revolution LLCに加わった。そこで彼が任されるのは、同社のRise of the Restイニシアチブの普及活動だ。「その他大勢の上昇」、その他大勢とは、シリコンバレーやニューヨークのテクノロジーバブルの外にいるスタートアップ、そしてこのイニシアチブは、彼らへの投資を振興しようとする。

Vanceはこう語る: “自分がメディアが望むスポークスパーソンであるか、自信はないけど、誰もが問題について話すことはできるし、また、この問題を理解し、解決のために何かをすることはできると思う。ここでのぼくの目標は、理解の喚起と何らかの行動、その両方だ。今そのための機会とプラットホームが与えられたのも、あの本のおかげだ”。

昨年の4月以来Vanceは、Peter ThielのVC企業Mithril Capital Management LLCでプリンシパルを務めた。Revolutionのパートナーになりサンフランシスコから故郷のオハイオに戻った今も、同じ役職だ。

Caseは語る: “J.D.とは、本が出た直後の6か月前に知り合った。彼はオハイオで育ち、その後各地を転々として最近はシリコンバレーに落ち着き、それからコロンバスに戻った。そこの地域社会を助ける仕事をしたい、と思ったからだ。彼はうちのイニシアチブにぴったりの人物だし、だから仲間になってもらった”。

Vanceの最初の仕事はRise of the Restの認知度を高めることだ。そしてその後徐々に投資の仕事も手掛ける。そのためにはまず、現在VC資金の80%近くの行き先であるカリフォルニアやニューヨーク、マサチューセツ以外の、スタートアップへの認知と関心を高めることが必要だ。

“シリコンバレーの投資家の多くは、自分の車を運転して来る者以外は投資に値しない、と見なしている”、とCaseは述べる。

でもこの前の選挙の打撃と衝撃のトラウマが、一部の投資家たちに新しい自覚を促しているようだ。彼らも西海岸の青の州〔民主党寄り〕の多くと同様に、Vanceの本などから、11月の選挙で決定的な役を果たした中部の、民主党政権に失望している人びとについて、理解を持つようになった。Washington PostはVanceを“ラストベルトの声”と呼び、New Republicはもっと地味に、 “リベラルメディアお気に入りの貧乏白人解説者”、とタイトルしている。

急に著名人になったVanceだが、まだワシントンからのお呼びはないそうだ。“政府の人からのアプローチはない。問題解決にはもちろん政策も必要だが、でも本当に重要なのはプライベートセクター(民間部門)の要素だ”、と彼は言う。

両方の掛け持ちは困難だ。Vanceが全国的に有名になった時期は、Thielが投資家から激しい政治マニアに変身した時期と一致している。6月の共和党全国大会におけるスピーチがその変化を決定づけ、そして最後に彼は、トランプの政権移行チームに加わった。

Vanceは、Mithrilの協同ファウンダー〔Thiel〕について語るときも、政治には深入りしない。“Peterは友だちだし、ぼくは彼の大ファンだ。でも彼とトランプ政権との関係の部分は、ぼくにとって遠い世界だ。本当はどんな仲なのか、よく分からないけど、彼自身が宣伝している部分は、良いと思うね”、とVanceは語る。

Vanceによると、今現在はRise of the Restにかかりっきりだ。数週間後に同社は、DCでサミットを開催し、彼がキーノートを担当する。“目的は、Rise of the Restを本格的に離陸させることだ”、と彼は述べる。“すでにSteveたちとトロッコを押し始めているけど、本格的に走りだすためにはメディアの協力も必要だ。今やろうとしていることが、全国的に知れ渡るようにすることが、ぼくの重責のひとつだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

上場株式の議決権を考える―保有期間に基づく方式を再導入すべきだ

議決権制限株式の善悪についていまさら興奮して議論を始める気にはなれない。株式市場の投資家側は「議決権制限株式はファウンダー側に不当に強い支配権を与えるものだ」と憤る一方、ファウンダー側は「短期の株式保有者の近視眼的行動から会社を守るために必須の制度だ」と反論する。しかし現実に議決権制限株式を発行しているのは比較的少数の会社にとどまる。こうした仕組を採用している有名なテクノロジー企業はGoogle、Facebook、Zynga、Groupon、Snapぐらいだろう。ほとんどのスタートアップは自社に対してはるかに弱い支配権しか持たない。

もっとも議決権制限株式の活用は漸増の傾向だ。Dealogicによれば、2015年にはアメリカにおける174社の新規上場中 27社が議決権制限株式を発行している。2014年には292社中36社だった。

これがなぜ議論を呼ぶのか? 昨年、Institutional Shareholder Servicesが発表したレポートは、「1年、5年、10年、いずれの期間でも議決権制限株式を発行している企業の成績はそうでない会社の成績を下回った」と主張している。最近上場したSnapは無議決権株式の仕組を全面的に採用している。新規上場申請書の中でSnapは「われわれの知る限り、アメリカの株式市場において無議決権株式で上場を試みた会社は他にない」と認めている。

Snapの株価が長期的にどういう値動きとなるかは今後の問題だが、上場の初日には売り出し価格から44%値上がりし、その後16%ダウンするという展開となっている。アナリストは次第に悲観的な見方を強めているようだ。議決権制限株式に懸念を示す者の中にはSEC〔証券取引委員会〕の民主党系委員、カラ・スタイン(Kara Stein)が含まれる。Stein委員は3月9日(米国時間)に「投資家の権利が損なわれている疑いがある」と公に発言した。スタイン委員は「SECは一部の新しい仕組が投資家にとって有害であることを証明すべきだ」と述べた。

SECが代替策を考慮すべきであるなら、保有期間に基づく議決権(tenured voting)だろう。この仕組は以前は多少利用されていたものの、1980年代に事実上禁止されたままになっている。シリコンバレーの一部ではこの仕組の復活を望む声が強まっている。

この仕組ではその名前のとおり、「保有期間(tenure)」がカギとなる。投資家が長期間株式を保有していれば議決権が増える。「もの言う株主」の行動からファウンダーを守ると同時に公開市場の株式保有者にも一定の発言権が確保される。

利点は明らかだろう。AutodeskのCEOを長年務めたCarl Bassは昨年「もの言う株主」と衝突した。当然ながらBassはわれわれのインタビューに対して、「株式の保有期間に応じて議決権が増加する仕組を使えるようにすべきだ」と述べた。「100万株を1年保有している株主よりも100万株を2年保有している株主の方が大きな議決権を持つようにすべきだ」というのがBassの考えだ。

ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitzのゼネラル・パートナー、スコット・クーパーもこのアイディアを支持している。彼は「広汎な株式市場改革の一環として良い考えだ。保有期間に基づく議決権は株主の長期的利益と経営陣の利益を調整するために非常に役立つ。議決権制限株式という力づくの解決策よりずっと受け入れやすいはずだ」という。

カリフォルニア大学バークレー校ロースクールの教授Davidoff Solomonはこの仕組が実現されるには「時間がかかるだろう。また誰か率先するものが必要だという。

保有期間に基づく議決権は「〔一般に保有期間が長い〕機関投資家に有利だ。一方でテクノロジー企業の行動はレミング的だ」とSolomonは言う。つまりGoogleが議決権なしの株式を売り出したことがドアを開く結果となり、他のシリコンバレー企業もその後に続いた。保有期間に基づく議決権の仕組も同様で、誰からが先鞭を付ければそれがトレンドになるだろうという。

実現を困難にしているハードルの一つは、上場を取り仕切る証券会社にそのメリットを飲み込ませることだという。Jackson Square VenturessのGreg Gretschは「〔各地で投資家に上場意図を説明する〕ロードショーのプレゼンは30分だ。投資銀行家は貴重な時間を保有期間ベースの議決権などの説明に使いたがらない」と述べた。Gretchによれば、一般的に「投資銀行家は普通と違って見えるものを嫌う。なんであれ―ひも付きだ株式とかとひも付き融資とか―条件付きの仕組は市場ではウケが悪い」という。

有力法律事務所のWilson Sonsiniの弁護士、David Bergerによれば、もう一つのハードルはアメリカの証券取引所に保有期間に基づく議決権の仕組を認めさせることだ。証券取引所は80年代に「保有期間に基づく議決権は不必要に複雑であり、条件が守られていることを正しく確認するのが困難」だとして、すでに定款に明記して実行していた企業を除き、新たにこうした株式を発行することを禁じて現在に至っている。

Bergerによれば、「証券取引所は保有期間に基づく議決権に対して柔軟な考え方だ(Bergerは実際に話を聞いたという)。しかし投資家側の熱意が不足しているのが問題だ」だという。つまり機関投資家のような有力組織は無議決権株式に対して異議を申し立てつつ、一方でそうした株式を大量に購入して利益を上げている。

「 [一部の]企業が [議決権制限株式を]発行していられるのは、そうした企業が例外的に高いパフォーマンスを発揮しており、誰もが少しでも株式を買いたいからだ。機関投資家は議決権制限株式は企業統治の観点から問題があるという―実際にあるだろう。しかし一方で機関投資家は運用成績をアップするためにこうした会社の株式を大量に買い込んでいる」とBergerは言う。

実際、機関投資家のコンセンサスは「ボートを揺らすな」、つまり現状擁護に傾いている。 カリフォルニア州教員年金基金のポートフォリオ・マネージャーの一人は、保有期間に基づく議決権に反対して、昨年の夏、NPRで「株主の株主もまた株主だ. . .こういう状況で 株主間に区分を設けるのは非常に危険な試みだ」と述べている。

SolomonやBergerが保有期間に基づく議決権がトレンドになるためにはSnapくらいの大型で魅力的な上場が必要だと考えるのも無理はない。Snapような上場が毎日あるわけではないことを考えれば、保有期間に基づく議決権が実現するにはやはりある程度の時間が必要かもしれない。

「上場の際にファウンダーが投資銀行に対して〔自分はGoogleのように〕議決権を握っていたいと主張することはよくあるだろう。しかし十に九まで投資銀行は『そんな話をされてもお門違いだ』と答えていると思う」とGretschは言う

画像: OnBlast/iStock/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Airbnb、シリーズFで10億ドル調達―会社評価額310億ドル、昨年下半期から黒字、上場予定なし

SEC〔証券取引委員会〕への提出書類によれば、 昨年、宿泊サービスのAirbnbはシリーズFラウンドの最初の調達を実施し、5億5550万ドルの資金を得た。同社は今日(米国時間3/9)、新たなフォームDを提出し、4億4780万ドルの調達をしてシリーズFラウンドを完了したことを明らかにした。

これによりAirbnbのシリーズFでの資金調達額は10億ドルとなった。正確には10億331万2065ドルだ。またTechCrunchは同社に近い情報源を取材し、会社評価額が310億ドルだと確認した。

この310億ドルという評価額は、シリーズFラウンドの最初の調達実施の際にAirbnbが発表した300億ドルを10億ドル上回っている

また情報源によれば、Airbnbは2016年下半期に黒字となっていた。 2017年にもEBITDAベースで黒字となる見込みだという。

Airbnbはテクノロジー系スタートアップとして異例に巨大な会社であり、今年は上場するという噂が絶えなかった。しかし今回のラウンドの成功で非公開企業のままで運営できる資金的余裕は大きくなった。われわれが取材した情報源によれば、「Airbnbには近い将来上場する計画はない」という。

われわれはまだ全投資家のリストをつかんでいない。SECへの提出書類にはSequoiaのAlfred Lin、Andreessen HorowitzのJeff Jordanの名前があった。 シリーズFの最初の調達実施時にはGoogle CapitalとTCVがリードしていた。

Airbnbは予備のベッドがあるユーザーと宿泊できる安価なベッドを探している旅行者を結びつけるマーケットプレイスとして出発した。同社は異例なスピードで拡大し瞬く間に全世界に巨大なネットワークを作り上げた。今や提供するのは予備のベッドには限られず、あらゆるタイプの予算に対応し、豪邸をまるごと借りることもできる。同社によれば、「新しい体験を提供している」という。

昨年11月にスタートした「体験の提供」というカテゴリーには単に宿泊場所のマーケットプレイスというそれまでの性格を超えて、「地元の人のように街を体験」するための各種のサービスが含まれる。
またAirbnbはこのプラットフォームを利用してユーザーが旅行に関連するすべてを予約できる事業にも参入した。また事業の拡大のためにいくつかの重要な企業買収を実施している。これにはソーシャル支払サービスのTiltや豪華な休暇を楽しめるLuxury Retreatsの買収が含まれる。

一方でAirbnbが巨大になるのと比例して、法的規制の逆風も強まっている。アメリカだけでなく、世界の規制当局がAirbnbが各種の宿泊や都市計画関連の規制に違反しているのではないかと疑っている。また不動産ビジネスは「Airbnbは不法にアマチュア・ホテル業者を作り出している」として激しく反発している。アパート管理サービスの巨人、AimcoがAirbnbを訴えたのがその例だ。AimcoはAirbnbが同社の管理するアパートの区画の賃貸者が契約に違反して部屋を又貸しするのに手を貸していると主張している。

政治的な立場で言えば、Airbnbは既存の宿泊関連規制だけでなく、トランプ政権の移民規制にも強く反対している。

さらに取材中。

画像: Thomas Trutschel/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

プログラミング能力のない人でも株式市場で独創的なアルゴリズム取引ができるAlgoriz

Computer screen displays laptop graph  of financial trends.

株取引の儲かるアルゴリズムを思いついたら、それを自分で実装するか、または優秀なデベロッパーに実装を頼めばよい。でも、そんなことをしてたら機会を逃す、とお思いのあなたは、一体どうしたらよいか?

そんなとき助けてくれるのが、Y Combinatorの2017年冬季で勉強中のAlgorizだ。ファウンダーでCEOのSoraya TaghaviはGoldman Sachsで実際に株の売買をやってた人、そのとき彼女は、アイデアのあるトレーダーと、そのアルゴリズムを実際にプログラミングできる人を結びつける必要性を痛感した。そこで彼女は、アルゴリズムをふつうの英語で書けばそれがアプリケーションとして動く、というプラットホームを作った。

まず、アルゴリズムの書き方はこうだ: “If SNAP is up 3% from yesterday, and the S&P is down, sell 100 shares of SNAP”(SNAPが昨日より3%上げてS&Pが下げたら、SNAPの株を100株売る)。そのプラットホームは、S&Pのほかにも、さまざまな指標をサポートしている: ボリンジャーバンド、指数的変動平均、変動平均の収束と発散、などなど。

利食いをするタイミングや、最大許容損失なども指定できる。Algorizはふつうの文章による入力をアルゴリズムに変換し、そのプラットホーム上で24/7動かす。

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自分が考えたアルゴリズムを、過去のデータを使ってテストできるし、もちろん時価で動かすこともできる。

Algorizにはまだ、実際の売買の機能はないが、市場が、そのアルゴリズムに該当する状態になってきたら、メールで通知をくれる。実際に売り買いをせよ、という合図だ。今後実際に証券会社の機能を実装したら、その利用(株の売買)に関してはもちろん手数料を取るが、Algorizの利用料は無料になる。実際の売買に他の証券会社を使う人は、Algorizの使用が有料になる。

Algorizは今後、そのプラットホーム上で優れたアルゴリズムを作ったトレーダーと、資金力のある人を結びつける、マーケットプレースにもなりたい、と言っている。またアルゴリズムの扱い商材も、普通株だけでなく、通貨や先物取引にも広げたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Snap、上場初日の株価40%急騰―時価総額300億ドルに

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新規上場初日のSnapの株価は売り出し予定価格を40%以上上回って取引が開始された。 ニューヨーク証券取引所(NYSE)の初値は1株当たり24ドルだった。

ここしばらく投資家の期待と焦燥を一身に集めたSnapだったが、今朝の値動きは投資家がいかにSnapの将来に期待しているかを明らかにしただけでなく、ウォールストリートにとっても新規上場の理想的な前例となった。今年はテクノロジー企業の上場の動きが加速しそうだ。Snapにとっては、新規上場で株価が急騰したことはそれ自体で良いことであるだけなく、投資家全員を満足させる結果となった。

昨日、Snapの売り出し価格は17ドル、時価総額240億ドルが予想されていた。17ドルという株価自体、2月にSnap(とウォールストリートの証券会社)が設定した売出し予定価格の上限を上回っていた。Snapは上場によって34億ドルの資金を調達することに成功した。Snapの急成長は同時にコストのアップをもたらしているいるが、この収入は十分にそれをまかなえるだろう。

24ドルをつけた後、株価は一時25ドル以上に上げたが、その後はほぼ安定している。現在の株価による時価総額は300億ドル以上となっている。ちなみにTwitterの時価総額は110億ドルだ。

ここまでのSnapの上場が成功だったことは疑いないが、今後に向かっては複雑な問題を抱えている。複数のレポートはSnapの上場に予定価格を上回る大量の市場資金が流れこんでいることを指摘している。Snapは今後もさらに株式発行によって資金を調達できるだろうが、そのつど今朝のような取引価格のアップを必要とする。上場が成功しているイメージを維持すると同時に投資家にも利益を確保できなければならない。

もちろん24ドルという初値はSnapがかなりの金額を取り逃がしたということでもある。2億株の売り出し価格と取引価格の差は10億ドル以上にもなる。そうであってもSnapの上場は大成功という印象を与えたことは確かだ。

しかしSnapの上場はいろいろな面でかなり異例だ。投資家が購入した株式には議決権が付属していない。つまり投資家はSnapが今後さらに巨大な企業に成長するだろうという期待を買ったことになる。CEOのEvan SpiegelとSnapのチームが長期的にもSnapの運営に成功するだろうという期待だ。共同ファウンダーのSpiegelとBobby Murphyはほぼ完全にSnapの議決権を握っている。つまり2人はSnapの経営にあたってウォールストリートの顔色をうかがう必要はない。しかし株価が好調であれば社員の士気にも新たな人材の獲得にも有利に働くことは言うまでもない。

新規上場による資金調達は資金繰りの健全化と同時に企業買収その他の大型の経営イベントに対する手当でもある。Snapは運営に数億ドルを必要としている。今後5年間で総額でAmazonには10億ドル、Googleに20億ドルを支払う必要がある。Snapは企業買収にも非常に積極的だ。こうしたことからも資金需要はきわめて高い。

将来に向けて残る疑問は、SnapはFacebookがこれまで実現してきたような健全な成長を続けられるだろうかというものだ。Twitterの株価は頭打ちで先行きは不透明だ。Snapのユーザー数の成長は失速し始めている。逆に広告ビジネスは急成長中だ。Facebookのライバルの地位をウォールストリートに認めさせるためには今後いくつかのハードルを越える必要があるだろう。

Snapは上場企業となった。つまりこれまでよりはるかに透明性の高い環境でライバルと広告ビジネスの競争をしなければならいということでもある。Snapは有望なスタートアップとして企業の広告予算のうち「先物買い」の部分を集めることに成功した。しかし今後は広告予算のメインの部分を安定して占めるようになる必要がある。それにはFacebookが提供できないような機能がこれであるとはっきりさせねばならない。ともあれウォールストリートはユーザー数の頭打ちや経営権の偏りといった懸念には目をつぶり将来性に賭けたようだ。

〔日本版〕Snapの値動きはこちらでリアルタイムで表示されている。高値は26ドル、日本時間で午前6時は25ドルちょうど。The Wall Street Journalの記事によればエヴァン・スピーゲルの婚約者でスーパーモデルのミランダ・カーがNYSEでセルフィーを撮影している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

政情不安の中にもチャンス―、私がトルコに戻ってシード投資をする理由

The Republic of Turkey flag hangs on the side of a building as show of solidarity following a July 15 Coup. (DoD Photo by Navy Petty Officer 2nd Class Dominique A. Pineiro)

【編集部注】執筆者のRina Onurは、500 Startups Istanbulのファウンディングパートナー。

トルコでビジネスを拡大したり、スタートアップを立ち上げて資金調達をしようとしているときに、「トルコは今一体どうなってるの?」と国外に住む友人や家族に尋ねられると、げんなりしてしまう。

さらに、ベンチャーファンドを組成しようとしているときに、この地域の複雑さ(さらには自分たちが提供できる価値)を説明するというのもなかなか骨が折れる。

テロ事件に悩まされ、国内や周辺地域の内政問題で不透明感が高まっているトルコが、最近世間を騒がせている。かつては、中東にある世俗的かつ民主的なイスラム国家として、希望の光のように考えられていた国が、今はこのような状態にあるのだ。

また、最近トルコで起きた政権交代によって、この国の「普通」の状態は人に不安感を抱かせるまでになった。クーデーターが発生してから数日後に、私は500 StartupsのDaveからメッセを受け取ったのを覚えている。彼はまず最初に私の安否を尋ね、その次に私たちがその数ヶ月前にローンチした、1500万ドルのアーリーステージ企業向けマイクロVCファンド500 Istanbulをどうするのかを聞いてきた。

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私は、当初の予定から変更はなく、前進あるのみだと答え、それから1週間後の7月22日に、500 Istanbulは最初のクロージングをむかえた。色んな人が私の家族の安否を尋ねるメールを送ってくれる中、私はキャピタルコールのメールを送っていた。国外からトルコを見て何かしらの結論にたどり着くのは簡単だが、トルコに拠点を置く投資家として、私はこの巨大で若く、VCの資本やインフラを貪欲に求める国には、まだ望みがあると思いたい。

未来が見えづらい国であるがゆえに、トルコのスタートアップには十分に投資が行き渡っておらず、結果として大きな成長可能性がまだ秘められているのだ。そもそも私には、この市場で社会的な活動を行う気はない。

500 Istanbulの資金やサービスは、今までにないくらい必要とされているが、それと同時に競合する投資家があまり見当たらないことから、チャンスもこれ以上ないくらいに広がっている。トルコで活動している数少ない既存の大手VCが、レーターステージの企業にばかり投資していることから、アーリーステージの企業は未だ手付かずの状態なのだ。

この背景には、オペレーション上のリスクを抑えようとする、新興国で活動中のVCの戦略もあるだろう。この地域の不確実性から、既にかなりのリスクにさらされていると感じているかもしれない彼らが、実績のあるレーターステージへの投資に専念するというのも理解できる。そこで500 Istanbulがそのギャップを(一部ではあるが)埋めようとしているのだ。

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イスタンブル

上記のような状態にあるトルコのアーリーステージの投資環境で、私は以下の2つのカテゴリーにチャンスがあると考えている。

現地に特化したビジネス

過去10年にわたって、トルコは既に確立された欧米のビジネスモデルを現地市場で上手くコピーしてきた。7500万人に及ぶ人口の平均年齢は26歳で、彼らは驚くくらいインターネットをよく利用しており、支払のための手段も持っている(クレジットカードの保有率はヨーロッパでは第2位)。「クローン」ビジネスを興すというのはあまり魅力的でないというのはわかるが、これは上手くやればかなり儲かる。

さらに、サービスのローカライズや現地社員の採用、サプライヤー探しや規制団体との交渉などのせいで、外資系企業は現地企業に比べて、新興市場でスケールするのが難しい。Gittigidiyor(2011年にeBayが2億1500万ドルで買収)やMarkafoni(2011年にNaspersが2億ドル以上で買収)、Pozitron(2014年にMonitiseが1億ドルで買収)、Yemeksepeti(2015年にDelivery Heroが5億8900万ドルで買収)、Mars(2016年にCJ-CGVが8億ドルで買収)といった例を見ると、グローバル企業が現地のプレイヤーからトルコ市場を奪うことができなかったというのがすぐにわかる。

これはトルコに限った話ではなく、東南アジアでも同じようなパターンが見られた。市場の拡大とともに優秀な企業が巨大化していくという、この地域のマクロ経済的な性質がその背景にある。

世界を相手にしたビジネス

ユニコーン企業のUdemy(500 Startupsが投資)を例として、500 Startupsが過去にトルコで行った、国外に目を向けたスタートアップへの投資は、幸いなことにかなり上手くいっている。このカテゴリーに含まれる企業は、全てトルコ人起業家によって設立され、資金調達やグローバルな成長を求めてアメリカに渡った。UdemyとMobile Actionに関しては、未だにかなりの数のディベロッパーがアンカラで仕事を続けており、彼らはトルコとサンフランシスコを行き来している。

このような企業にとってトルコ市場は、海外市場への進出前に、プロダクトのコンセプト化、テスト、改良を行うテストの場として大きな意味を持っている。結果的に次世代のトルコのディベロッパーは、トルコとシリコンバレー両方で技術を身に付け、将来自分たちが革新的な企業を立ち上げるときのための肥やしにすることができるのだ。

世界に目を向けているアーリーステージ企業への投資の利点は、企業のパフォーマンスとトルコ周辺地域の不確実性の間に関連性があまりないということだ。

移民ファウンダーや、海外のユーザーへプロダクトを届けようとしているファウンダーに投資するということは、トルコ発のテクノロジーの拡散や、未来のトルコのスタートアップエコシステムに寄与しているのと同じことなのだ。

世界に目を向けているアーリーステージ企業への投資の利点は、企業のパフォーマンスとトルコ周辺地域の不確実性の間に関連性があまりないということだ。

WixFiverrWazePlaytikaSimilar Webなど、数々のグローバルプレイヤーを輩出してきたイスラエルがその証拠だ。イスラエルは素晴らしい人材やスタートアップの故郷であり、私はトルコにも同じくらいのポテンシャルがあると信じている。

不確実性によって、今後トルコ周辺地域のイノベーションや投資チャンスが全て消え去ってしまう、とは私は考えていない。長きにわたる激動の時代を生き抜いてきたためか、大多数の欧米人と比較して、私達には粘り強さがあると感じることがある。悪いことが起きたとしても世界は動き続け、人々は何かをつくり、そして消費していくのだ。

これこそ、8年前に私がトルコに戻ってきた理由であり、500 Istanbulが(5年以内に85社へ投資するという目標を掲げ)過去半年の間に15社へ投資を行った理由だ。私は向こう10年の間に、トルコ人起業家の手によって、多くのトルコ発ケンタウルス企業(評価額1億ドル以上の非上場企業)が誕生すると自信を持っており、さらにはいくつかのユニコーン企業も生まれるのではないかと考えている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

小さな目標に向けて1万円から投資できる、ロボアドバイザー「クロエ」がローンチ

投資で資産形成と聞くと、なんとなく難しい印象がして、自分には必要ないと思う人もいるだろう。けれど海外旅行のために貯金しているお金を運用すれば、普通に貯めるよりちょっと早く旅行に必要な金額に近づけるかもしれない(もちろんリスクもあるが)。そう考えると資産運用はぐっと身近に感じることができそうだ。本日、エイト証券がローンチしたロボアドバイザー「クロエ」は、ユーザーの目標達成をサポートする資産運用アプリだ。

ロボアドバイザーとは、グローバル分散投資を自動化した資産運用サービスのことだ。日本にあるロボアドバイザーのサービスにはウェルスナビお金のデザインが提供する「THEO」などいくつかあるが、クロエの特徴は、目的を持って資産形成する点だ。

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左から目標設定画面、資産運用の目標設定画面、ポートフォリオ画面

クロエのアプリを立ち上げると、まず目標を選ぶ画面がある。マイホームや旅行など目的をタップすると、次に設定画面で資産運用の目標を設定する。ここでは運用期間、初期投資金額と毎月の投資金額を設定することができる。クロエは1万円から投資できるため、目標額は数十万円規模でもいい。ポートフォリオの運用スタイルは自分のリスク許容度に応じて保守型、安定型、積極型から選べる。全て選ぶとポートフォリオ画面で、クロエが提案する資産別構成比率などを確認できる。

クロエは東京証券取引所に上場するETFを取り扱い、円建てで投資するため、為替変動による影響は受けない。クロエのアプリでは目的別のポートフォリオを複数作成することができ、口座開設から取引、運用報告の確認まですべてアプリ内で完結する。

「若い人や投資をしたことがない人でも投資を簡単に始められるサービスを目指しています」とエイト証券の広報担当者は説明する。数ヶ月先や来年までに貯めたい小さな額の目標から投資を始められるよう設計したという。

確かにこれまで投資というとまとまったお金が必要だという印象があり、特に始めるきっかけもなかったように思う。新しいパソコンを買うために、数万円から貯金感覚で投資できるとなれば、投資を始めるハードルは下がりそうだ。

エイト証券は2001年12月に設立し、2012年11月に香港の8グループに参画している。クロエはもともと8グループの8 Limitedが2016年12月に香港でローンチしたサービスで、今回日本市場向けにもローンチした形だ。

クロエの手数料は、年間ポートフォリオの評価額の0.88%(税抜・年率)だ。本日よりiOSAndroidアプリで利用できる。

ロボットが自動で資産管理 ― フランスのYomoniが540万ドルを調達

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フランスのスタートアップ、Yomoniロボアドバイザーを開発する有望なスタートアップだ。貯蓄の一部を預けると、あとはロボットが自動的に株式や債券を売買してあなたのポートフォリオを管理してくれる。Yomoniは現地時間1日、既存投資家のCrédit Mutuel ArkéaとIéna Ventureから540万ドルを調達したと発表した。

同時に、Yomoniのマネジメントチームは自社株を買い戻して保有比率を引き上げている。

ロボアドバイザーという言葉に馴染みがないのであれば、Yomoniのことをフランス版のWealthfrontやBettermentと考えれば分かりやすいかもしれない。これらの米国企業は成長しつつあるが、フランスではロボアドバイザーは比較的新しい概念だ。

Yomoniは今回調達した資金を利用して人員の強化を図るとともに、サービスに新機能を追加する予定だ。その例としてYomoniが挙げたのは、子どもの将来のために資産を築いておきたい親に向けた新しいプロダクトだ。また、モバイルアプリの開発についても言及があった。

Yomoniを利用して資産運用を始める場合、自分が安全志向の投資をしたいのか、または逆にリスキーな投資をしたいのかを選ぶことができる。この選択によってポートフォリオの運用成果が変わることになる ― そしてもちろん、損失を出す可能性もある。しかし、これまでのところYomoniのポートフォリオは良い成績をあげている。2016年、Yomoniが管理するポートフォリオの資産価値は2.3〜7.1%上昇しているのだ。

Yomoniは今後、手数料によるマネタイズ方法を採用する予定だ ― 手数料率は、年間1.6%程度になるとのこと。先ほど述べたパフォーマンスは手数料を差し引いた後の成績だ。

Yomoniはこれまでに2000人のユーザーを獲得している。管理するポートフォリオの総額は1290万ドルだ(ユーザー1人あたり約6500ドル)。しかし、このトレンドは加速しており、Yomoniは2020年までに運用額を10億8000万ドルまでに引き上げたいとしている。同社はこの目標達成のためにヨーロッパ各国へビジネスを拡大することも考えているようだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

テーマを選んで投資する「FOLIO」が新たに18億円調達、今春ベータ版を公開予定

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テーマ投資型のプラットフォームを開発する「FOLIO」は本日、シリーズAラウンドで18億円の第三者割当増資を実施したことを発表した。引受先はジャフコ、マネックスベンチャーズ、三井住友海上キャピタル、Rakuten FinTech Fundに加え、既存投資家のDCM Ventures、Draper Nexusが参加した。2015年12月に創業してからの累計調達額は21億円となった。FOLIOは、今春のサービスリリースに向け、人材強化とサービス開発を進める。

資産運用サービスと言えば、お金のデザインウェルスナビなどのロボアドバイザーの登場が記憶に新しい。FOLIOの違いは資産運用サービスに運用を全て任せるのではなく、ユーザーが楽しみながら、金融リテラシーを高められる投資プラットフォームを目指している点だ。FOLIOにも資金を自動で運用するロボアドバイザー機能があるが、テーマ別に分けられた株式にアクティブに投資できる機能も用意している。テーマには「ドローン」や「人工知能」などがあり、ユーザーはそれを見て興味関心があるテーマを購入することができる仕組みだ。FOLIOでは、ユーザーに売り時を知らせるといった運用サポート機能も合わせて提供していくことで、投資を始める敷居を下げたい考えだ。

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FOLIO代表取締役CEO、甲斐真一郎氏

ショッピング感覚で投資を楽しみ、個人の生活圏に近い投資プラットフォームを目指しているとFOLIOの代表取締役CEO、甲斐真一郎氏は説明する。難しいと思われがちの投資を身近に感じてもらうには、簡単で楽しい要素のあるサービスであることが重要と考えている。サービスリリースに向け、現在はサービスのUIとUXを磨きあげるのに注力しているという。

今回の資金調達は、人材強化とサービス正式ローンチ後のプロモーションに充てる予定と甲斐氏は話す。現在FOLIOは、第一種金融商品取引業(個別株取引、証券業)と投資運用業(ロボ・アドバイザー、運用業)の登録申請を行い、登録の完了を待っている段階だという。今春にはベータ版をリリース予定だ。

中国・アメリカを股にかける投資家のトランプ政権に対する思い

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ドナルド・トランプ大統領は、中国に対して何度も貿易戦争をはじめると脅しをかけており、中国も段々それを真剣にとりはじめた

シリコンバレーに拠点を置きながら15年以上も中国企業へ積極的に投資を行ってきたGGV Capitalでは、マネージング・ディレクターのHans Tungが、その攻防を戸惑いながらもじっと見つめている。

Tungは、GGVがオフィスを置く上海や北京を含む、彼のネットワークから情報を集めているという。「中国は(まだトランプ大統領のことを)そこまで心配していません。トランプ大統領は今日右を向いていても、支持を勝ち取るためであれば、明日は左を向くような人物だと思われています。とりあえず実際に何か動きがあるまで静観しよう、というのが大方の考えのようです。私は(中国政府が)いかなるときも過剰反応したくないと考えているのだと思います」

Tungの世界の状況に関する考えは、初期にGGVから投資を受けていたEC大手Alibaba(GGVはAlibabaが2014年に上場する前に株式を売却した)のファウンダー兼CEOであるJack Maの考えと同じだ。先週ダボスで行われた世界経済フォーラムでMaは、「貿易戦争は世界全体に破滅的な結果をもたらすだろう」と述べ、中国はトランプが落ち着くまで少し待った方がよいと話していた。

さらにMaは、もしもAlibabaを存続させるか貿易戦争に突入するか選ぶならば「Alibabaをたたむ」とさえ考えるほど、この問題を真剣に考えていると語った。彼の発言に芝居がかった様子はない。Maは8月にもCNNで貿易戦争に関する不安を述べていた。「私たちはグローバリゼーションの道を進み続けるべきだと思います。グローバリゼーションは良いことですしね……貿易がストップすれば、戦争が起きるでしょう

昨日Tungは、トランプが中国をスケープゴートのように扱っているか、少なくともそうしようとしているように見えると示唆した。中国政府は「これまでアメリカ政府が、雇用の創出やラストベルトの復興の代わりに、イラク戦争やその他のことにどのくらいお金をつぎ込んでいるかを確認しています。中国はこれまで一度もアメリカ人から仕事を奪おうとしたことはありません。もしもアメリカ政府がうまく再投資を行い、多国籍企業が利益を母国に返還していれば、もっとアメリカは良い状態にあったはずです」

中国とアメリカの間にある、何十万マイルもの距離を毎年行き来しているTungにとって最も重要な問題は、トランプ政権と中国の冷え切った関係が、どのくらい急に彼の仕事に影響を及ぼす可能性があるのかということだ。

今の時点では彼は本当に心配していないようで、GGVは概ね「待ちの状態」にあると話す。さらにTungは、特にGGVが投資しているいくつかのEC企業については、地政学的にどのような状況の変化があっても「そのままにする」と語った。

彼の言うEC企業には、モバイルECアプリのWishも含まれている可能性が高い。Wishは主に中国から雑貨を底値で販売しており、投資家のJoe Lonsdaleによれば、年間「約50億」ドルのランレートを記録している。

さらにTungが早くから評価していたGGVの投資先企業には、英語でRed、中国語でXiaohongshu(小红书:小さな赤い本)と呼ばれるスタートアップがある。同社はソーシャルECプラットフォームを運営しており、中国のユーザーをターゲットに、海外からブランド品を割引価格で購入できるようなサービスを提供している。

Tungは、中国の現状は簡単に言えば「通常営業」だと話し、GGVはそれよりも、トランプ政権からのビジネスフレンドリーな話にフォーカスしようとしているようだ。

アメリカ国内からは、中国とアメリカの関係がどう動いているのかよくわからないが、「今後は規制が緩和され、業界統合が進んでいくと思います」とTungは語る。「M&Aはこれからやりやすくなるでしょうね」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

コロプロが30歳以下の起業家に特化した新ファンド——1号案件はチャットボット作成ツール

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これまで学生起業家特化ファンドVR特化ファンドなど、特定の領域に特化したファンドを設立し、積極的にベンチャー投資を行ってきたコロプラと、同社の100%子会社であるコロプラネクスト。その両社が1月25日、新たに30歳以下の起業家を支援する「コロプラネクスト3号ファンド投資事業組合(『コロプラネクスト次世代起業家ファンド』)」を設立した。

2015年3月に設立され、現在も運用中の学生起業家支援に特化した「コロプラネクスト1号投資事業有限責任組合」ではこれまでに15社に投資しており、そのうち複数社はすでに追加の資金調達を実施済みだという。投資対象を拡大するため、新たに30歳以下の起業家を支援するファンドの設立に至った。(2015年のファンド設立時に行ったコロプラネクストへのインタビューはこちら

1号ファンドでは1社あたり数百万円から多くても1000万円程度の出資という話であったが、今回の次世代起業家ファンドでも対象はシード・アーリーステージにあるスタートアップと、既存の出資先が主になるとのことで、ファンド名の通りこれから活躍していく次世代起業家の育成支援を行っていく。

また今回、第1号案件としてチャットボット活用支援ツールを運営するhachidoriへ出資したことも合わせて発表されている。hachidoriはFacebook MessengerやLINEに対応したチャットボットをプログラミング不要で作成できるサービスだ。なお、出資額は非公開となっている。

イスラエルのサイバーセキュリティ企業への投資に関するトレンド

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【編集部注】本記事はYL Venturesに勤めるYoav Leitersdorf(パートナー)、Ofer Schreiber(パートナー)、Iren Reznikov(アナリスト)によって共同執筆された。

世界全体で見ると、サイバーセキュリティ業界のスタートアップに対する投資は2016年に一段落したように感じる。しかし同分野でアメリカに続く市場規模を誇るイスラエルでは、投資額が急増した上、イノベーションの勢いも落ちておらず、2016年も素晴らしい結果に終わった。

伸び続けるイスラエル企業への投資

CB Insightsは、2016年のサイバーセキュリティ業界における投資案件数や投資金額が、2015年のピーク時に比べて減ったという調査結果を発表した。その背景には、同業界に対する投資が過剰なのではないかという投資家の考えがあったとされているが、私たちが調査したところ、イスラエルの特にスタートアップ投資については、喜ばしいことに逆の結果が出ている。

2016年には83社のサイバーセキュリティスタートアップが新たに設立された。これは2015年の81社から微増しているともに、起業活動やイノベーションが減退していないということを表している。

さらに新設されたスタートアップの多くは、大手企業の社員やスタートアップの幹部として数年間だけ経験を積んだ、若い実業家によって立ち上げられた企業だった。一方昨年以前は、経験豊富な人たちがサイバーセキュリティ界のスタートアップを率いていることがほとんどだった。

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成功の種まき

驚くことに、2016年に設立されたスタートアップの36%が、既にシードラウンドで資金を調達している。ちなみに昨年の数字はたった15%だった。

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そして平均調達額も、昨年の250万ドルから285万ドルへと増加した。

一方で経験の重要さも目立ち、シード投資を受けたスタートアップの67%は経験豊富な経営陣によって運営されている。

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そしてシード投資を受けたスタートアップの中には、2016年以前に設立された企業ももちろん存在する。設立年に関わらず、シード資金の調達を行った企業の平均調達額を算出すると、2015年の230万ドルに対し、2016年は270万ドルだった。

調達資金額の大幅な増加

サイバーセキュリティ業界全体の投資案件数も、2015年の62件から2016年は72件へと増加した。

そして企業の段階に関わらず、全てのサイバーセキュリティ企業への投資額を足し合わせると、2015年の5億6000万ドルから、2016年は6億8900万ドルと23%増加した。これは各企業がイノベーションを生み出し続け、成長のために巨額の資金を調達しているということを表している。

また2015年と2016年の、企業の段階に応じた調達額を比較してみると面白いことがわかる。いわゆるアーリーステージにある企業への2016年に行われたシードラウンド、シリーズAラウンドでの投資額は、それぞれ2015年から24%、91%増加した。一方シリーズBの調達額は52%も急落したのだ。

シリーズBの金額が大きく減少した背景には、スタートアップがそれよりも前のラウンドで十分な資金を調達し、うまくやりくりができているためだと私たちは考えている。シリーズAで巨額の資金を調達した企業の例としては、ClarotyFireGlassSafebreachTwistlockなどが挙げられる。

グロースステージにある企業への投資を見てみると、調達資金総額は2015年から2016年にかけて212%に急増しており、各スタートアップが将来的に大企業になるための資金をうまく調達できていることがわかる。ForeScoutSkybox Securityも2016年に数千万ドルを調達し、IPOが視野に入ってきた。

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アツい分野

企業の段階に関係なく、去年はニッチもしくは何かに特化したサービスに加えて、プラットフォーム型のソリューションが、サイバーセキュリティ業界では投資家に人気だった。具体的にはモバイルセキュリティ、脆弱性・リスクマネジメント、ネットワークセキュリティ、SCADAシステム、インシデントレスポンスなど従来からあるITの分野だ。

しかし一般的にスタートアップは、新しいタイプのリスクに対応するための新しいサービスの開発に力を入れていることが多い。例えば2016年に新設されたスタートアップに人気の分野は、IoTセキュリティ、ドローンセキュリティ、サイバー保険で、その他には前述のような脆弱性・リスクマネジメントやモバイルセキュリティなどを扱う企業も誕生した。IoTデバイスやドローンに搭載されているような新しいテクノロジーが誕生すると、いつも一緒にセキュリティ上の問題が生まれる。それをチャンスと感じた企業が、革新的なソリューションで問題解決にあたっているのだ。ドローンセキュリティのApolloshieldがその典型だ。

また、サイバー保険や脆弱性・リスクマネジメントへの投資額が増えていることから、企業はセキュリティブリーチのリスクをコントロールしたり、低減させたりするるのに役立つ管理ツールを求めているということがわかる。どこに脆弱性があるのかを理解(して対策をとる)ことで、サイバー保険の料金を下げることができ、これがサイバーアタックを受けたときにかかる大きなコストを打ち消している。この分野は2017年に投資家から特に注目されるようになると私たちは考えている。

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イグジットに関するトレンド

被買収企業の数は2016年よりも2015年の方が多かったが、イグジットに関しては興味深いトレンドが誕生した。ひとつめのトレンドには、CASB(Cloud Access Security Broker)という重要なカテゴリーに含まれるふたつの企業が関わっている。そのふたつの企業とは、昨年Ciscoに買収されたCloudlockと、Proofpointに買収されたFireLayersを指し、両社の買収は2015年のMicrosoftによるAdallomの買収とつながるところがある。Gartnerが発表した、2016年の情報セキュリティテクノロジートップ10にも含まれているCASBは、統合期を迎えつつあり、大手企業が実績のあるスタートアップを買収しようとしているのだ。

ふたつめのトレンドは、自動車セキュリティテクノロジー市場におけるものだ。自動運転車やコネクテッドカーの登場とともに、自動車を守るソリューションの必要性が高まってきた。というのも人間の命が関わってくる自動車に間違いは許されないからだ。2015年後半から2016年にかけて、イスラエルでは無数の自動車セキュリティスタートアップが立ち上げられ資金を調達していた。例えばKaramba Securityは2016年に投資を受け、Towersecはこの分野で初めて他の企業に買収された。私たちはまだこのトレンドがはじまったばかりだと考えている。

2016年中にイグジットを果たした企業の数は多くなかったが、これは必ずしも悪いわけではない。むしろ多くの企業(特にグロースステージにある企業)が十分な資金を調達できているため、評価額が低いまま急いでイグジットするよりも、スケールアップを目指そうとしているのだ。

最後のトレンドとして、2015年は若い起業家が率いるスタートアップのイグジットが多く見られた一方、昨年イグジットを果たしたサイバーセキュリティー企業のほとんどでベテランが経営層を占めていた。このトレンドについて、2016年は若い起業家がレーターステージでの資金調達に努め、イグジットを急ぐよりも、会社のスケールに注力していたのだと私たちは考えている。

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成熟しつつあるイスラエルのサイバーセキュリティ業界

世界的にはサイバーセキュリティ業界への投資が減速する一方、イスラエルの同業界は成長を続け、企業はこの厳しい時期にも巨額の資金調達に成功している。イスラエル企業が生み出すイノベーションは、新たなセキュリティの分野が次々と生まれる中での唯一の光だといえる。より多くの企業が追加の資金調達を行い、イグジットまで会社を成長させ続けている様子は、まさにサイバーセキュリティー業界の成熟を象徴している。

2017年もきっと好調が続いていくことだろう。私たちはイスラエルのサイバーセキュリティスタートアップが、海外に進出した後もイノベーションを生み出し続けることができると楽観視している。というのもデータ・プライバシー保護、年々レベルの上がるサイバー攻撃への対策に関する政府の厳しい規制に対応するために、効率的なソリューションを求める企業の数は増え続けている。そして私たちの統計から、今後何年にもわたって世界のサイバーセキュリティ市場を変える力をもった企業が、今後も活気あふれるイスラエル市場から誕生し続けるということがわかっているのだ。

記事の中で触れた新進気鋭の起業家やスタートアップの多くは、サイバーセキュリティ業界では(アメリカを除く)世界最大規模の展示会Cybertech Israelで紹介される予定だ。

編集部注:共同執筆者の3人が勤めるYL Venturesは、Karamba Security、Twistlock、FireLayersに投資している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter