IPの価値を最大化する–任天堂がDeNAと組んでスマートデバイス市場に参入

ゲーム業界に大きな衝撃の起きる発表があった。任天堂とディー・エヌ・エー(DeNA)は3月17日、資本業務提携を実施すると発表した。

既報のとおりだが、両社はグローバル市場を対象にしたスマートデバイス向けゲームの共同開発・運営および、多様なデバイスに対応した会員制サービスの共同開発を行うという。

また両社の株式を持ち合うかたちで、第三者割当によりDeNAが保有する自己株式1508万1000株(発行株式数の10%、約220億円)を任天堂が取得。同時に任天堂が保有する自己株式175万9400株(同1.24%、約220億円)をDeNAが取得する。

同日開催された会見には、任天堂代表取締役社長の岩田聡氏、DeNA代表取締役社長兼CEOの守安功氏が登壇。提携の経緯について語った。

任天堂のIPの価値を最大化する

両社の出会いは2010年6月。DeNAが任天堂に対して、「Mobage向けにIPを供給してもらえないか」というオファーをしたところからスタート。以後交流を続けてきたという。

これまで1983年のファミリーコンピューター発売以降、ケータイ、スマートフォン向けゲームには目を向けずにゲーム専用機ビジネスを手がけてきた任天堂。プラットフォーム移行期が円高と重なり収支バランスを崩したこと、プラットフォーム移行自体がスムーズに進まなかったといったこともあったため、岩田氏は「スマートデバイスの普及により、ゲーム専用機ビジネスで様々なご意見、それもどちらかと言えば悲観的なご意見を頂戴することが増えてきた」と語る。

また音楽プレーヤーやカメラなどがスマートデバイスに飲み込まれてきたように、「ゲーム専用機もスマートデバイスに飲み込まれるのでは?」と言われる状況だとした上で、それらのデバイスと違って、「任天堂のゲーム専門機上で動くソフトの最大の供給者が任天堂自身である」と、ゲーム、コンテンツメーカーとしての強みを持っていると語った。

岩田氏はゲーム専用機ビジネスについて「未来を悲観していない」とした上で、自社の強みであるゲームソフトやキャラクターといったIPの価値最大化に向けてスマートデバイス向けのIP活用を決めたのだそうだ(2014年1月の経営方針説明会でもスマートデバイス活用に触れている、その延長ということだった)。

「テレビの存在しなかった125年前に創業した任天堂が、テレビを積極的に活用したのと構造的に同じ。様々な手段を柔軟に活用していく」(岩田氏)

だが、「かたくなに」と言って過言ではないほどスマートデバイス向けゲームからは距離を置いていた任天堂だ。岩田氏もそういった意見があることに触れた上で、「デジタルの世界ではコンテンツ価値が容易にデフレ化し消耗しがち。コンテンツの新陳代謝も激しく、寿命が短くなりがち。どうすればIPの価値を維持発展させながら、ビジネスができるか考え続けてきた」とその理由を振り返った。

黒子になっても構わない—DeNAをパートナーに選んだ理由

もちろん任天堂にスマートデバイス戦略で提携を持ちかける事業者は多かったのだそうだ。そんな中で2010年からコミュニケーションを続けてきたDeNAと組んだ理由は、「トップレベルのサービス構築、運営ノウハウにある」(岩田氏)という。

さらに、Q&Aセッションでは、繰り返し提案をしてきたDeNAの情熱、さらには「言葉は極端だが『黒子になって構わない』と言ってくれた。サービス開発に協力をいとわない。エース級人材を当てて頂けるというコミットメントがあった」(岩田氏)とその理由を付け加えた。

今回の発表では、任天堂がこれまで提供してきた会員向けサービス「クラブニンテンドー」に変わるデバイス間をまたぐ会員サービスを共同で開発するほか、共同でのタイトル開発について触れられたが、ゲームタイトルなど具体的な内容については、それこそ任天堂の人気IPの名前1つ出ない状況だった。ただしスケジュールについては、「少なくとも今年アウトプットがないスピードでは意味がない」(岩田氏)とだけ語っていた。

両社の役割については、IPごとに変わるものの、「多くの場合はフロントサイドが任天堂、DeNAがサーバサイドやバックエンドを担当する」(守安氏)ことになることが多そうだ。レベニューシェアなどもその工数により分配するということだった。

また岩田氏はスマートデバイスと並行して、任天堂がゲーム専用機ビジネスを継続することを強くアピール。そのため、ゲーム専用機とスマートデバイスで同一タイトルを提供しないこと、また新ハード「NX」について来年にも詳細を発表する予定であると説明した。同時にDeNAも、任天堂との提携だけでなく、オリジナルIPの提供を続ける。「これまでもDeNAは様々な会社とIPタイトルを作ってきた。そこは力を入れてやっていく。一方で自社IPへの思いも持っているので並行して進める」(守安氏)

射幸心をあおる課金、しない

会見の最後にはQ&Aセッションがあったのだが、そこで記者やアナリストから言葉を変えつつ2度質問があったのが、ソーシャルゲームなどにつきものだった射幸心の話題だ。2人の質問はざっくり言えば「子どもにも信頼されてきた任天堂が、射幸心をあおるような課金ビジネスをやっていくのか」ということだ。

これに対して岩田氏は「任天堂の納得しないままサービスを提供することはあり得ない。(DeNAと)両社が納得して提供するし、お客様が納得して頂けるようにする」と説明。アイテム課金については一律に否定する気はないとしつつ、「世の中で『ビジネスとして行き過ぎ』『子どもに提案していいのか』ということを任天堂IPで使うことは望まない」(岩田氏)とした。さらには、今回の提携を通じて「新しいビジネスモデルの発明ができたら最高」と語った。


スタートアップの人たちがMarissa Mayer(Yahoo CEO)から学ぶべきこと


 

今日のテクノロジ業界の中でいちばん、人びとやメディアの関心をそそる人物の一人が、Marissa Mayerだろう。だから彼女が、Business Insiderの主席ライターNicholas Carlsonが書いた新刊、Marissa Mayer and the Fight to Save Yahooの中で、強力なキャラクターとして描かれているのも当然だ。本誌は、先日彼をお招きして、同書についていろいろお話をうかがった。

話の内容は上のビデオでお分かりいただけるが、ここでは二つほど引用しよう。同書が注目されているのは、Marissa Mayerと彼女の職責に関する詳細で情け容赦のない記述が多いためだが、しかし著者のCarlson自身は、これまでの多くの調査や執筆活動から得た経験や情報を通じて、彼女に対し、敬意以外のなにものをも抱いていない、というのだ。

“Marissa Mayerは完璧なロックスターだと思うね。彼女は激務をこなし、クリエイティブで、どんなことにも対応できる力量を持っている。彼女には、超能力がある。

…[もしも今Yahooを下りたとしても]、彼女はまだ39だ。これから、どんなすごいことでもできる。来週、別の企業のCEOになっていても、おかしくないね。”

同書は主に、大企業のトップとしてのMarissa Mayerの仕事ぶりに焦点をあてているが、Carlsonによると、彼女にはスタートアップの人たちが参考にすべき点がたくさんある、という。

“Mayerが22−3のころ、スタンフォードを出たばかりのころの、話をしよう。彼女はトップクラスの優等生だったから、とびきりの選択肢がたくさんあった。コンサルタントにもなれた。研究者としての一生を送ることもできた。しかしそれでも彼女は、まだどこの馬の骨とも分からない、おかしな名前(Google)の会社に行った。

…彼女はプログラマとしてGoogleに入った。彼女はGoogle本体のプロジェクトに関わった。Googleの最初の広告システムを作り始めたのも、彼女だ。彼女は数か月、それに取り組んでいた。そこへ、あのJeff Deanがやってきた。彼はプログラマのスーパースターだから、多くの読者が彼を知っているだろう。彼はそのシステムを、約3週間で完成させた。

そのときのMayerの態度が、上出来だった。彼女はこう言った: “いいわ。私はGoogleでプログラマのスーパースターにはならないわ。もっとほかのことで、会社の役に立ちたい”。そして彼女は、どんな問題にも全身でぶつかっていった。彼女は多くのことを達成し、ついにLarry Pageの右腕と呼ばれるようになった。それ以降は、Googleのすべてのプロダクトが、彼女を通ってから世に出るようになった。

彼女から学ぶべきは、何ごとにも全身でぶつかれ、ということだ。”

ビデオ撮影: John MurilloYashad Kulkarni, 編集: Yashad Kulkarni, 製作: Felicia Williams

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))