【2月10日】掲載記事アクセスランキング・トップ5

【2月10日】掲載記事アクセスランキング・トップ5

掲載記事のうち、2月10日午前6時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:採血がいらない非侵襲血糖値センサーのライトタッチテクノロジーが1億円の追加調達、量産化に向けた開発・薬事戦略を加速

赤外線レーザーを用い、採血をしなくても血糖値を測定可能な非侵襲血糖値センサーを開発するライトタッチテクノロジー(LTT)は2月4日、シリーズAファイナルラウンドとして、1億円の資金調達を実施したと発表した。調達した資金により、量産化に向けた試作器の開発を用いて、臨床試験、薬事承認に向けた展開を加速させる。

第2位:スキルシェアのココナラがVC業に参入、専門家と起業家のマッチングを提供

スキルシェアのココナラがVC業に参入、専門家と起業家のマッチングを提供

スキルマーケット「ココナラ」などを提供するココナラは2月9日、同社全額出資により新会社のココナラスキルパートナーズを設立し、ベンチャーキャピタル事業を開始すると発表した。

第3位:マッチングアプリBumbleの初買収はZ世代向けの同アプリFruitz、あらかじめ目的を明らかにしておける点が人気

Bumble, Inc.は、欧州で特に人気のあるBadooの親会社としてすでに国際的な事業展開をしているが、Fruitzを傘下に加えることで、より若いZ世代の利用者の間で勢いを増すことができると考えている。

第4位:アップル、iPhoneで非接触型決済を可能にする機能「Tap to Pay」発表

Appleは、iPhoneを非接触型決済端末にする新機能「Tap to Pay」の導入計画を発表した。同社によると、2022年後半に米国の事業者はiPhoneとパートナーが対応したiOSアプリを使ってApple Payやクレジットカード、デビットカードといったその他の非接触型決済を受け付けられるようになる。

第5位:ソフトバンクG孫社長がNVIDIAへのArm売却断念の経緯を決算会見で説明、2022年度内に再上場目指す

NVIDIAへのArm売却断念、そして2022年度中にArmの再上場を目指すと発表したソフトバンクグループの孫正義社長は決算会見で、売却断念に至った経緯などを説明しました。

画像クレジット:Brands&People on Unsplash

【ウェビナー】Google Search Console 実践セミナー ~プロが使用しているノウハウ10選~

 概要

Google Search Consoleは、Googleが無料で提供しているツールで、SEOを行う上で欠かせないものです。
しかし、

「 Google Search Consoleのどこを見て、何をしたらいいか分かりません」
「公式のヘルプページは、文字ばかりで分かりづらいです」

という声をよく耳にします。

下記はGoogleが提供している「Search Consoleスタートガイド」ですが、確かに文字ばかりで分かりづらいですよね。

そこで、図解を交えながら、私が普段どのようにGoogle Search Consoleを使用しているかをまとめたホワイトペーパー「Google Search Console 実践マニュアル ~プロが使用しているノウハウ10選~(全107ページ)」を2021年6月にリリースしました。


このホワイトペーパーはリリースから2か月間で「1,200ダウンロード」され、当社が発行した歴代のホワイトペーパーのダウンロード数を抜き1位になるほどの反響でした。

しかし、その一方で、

「ページ数が100ページと多くて、なかなか読む時間が割けないです」
「分からない部分があるので、解説するセミナーを開催してほしいです」

という声を頂きました。

そこで今回、ホワイトペーパー(全107ページ)を全て解説するセミナーを開催することになりました。

下記に当てはまる方はぜひご参加下さい。

  • Google Search Consoleのどこを見て、何をしたらいいか分からない方
  • ホワイトペーパーをダウンロードしたけれど、すべて読み切れていない方
  • ホワイトペーパーをダウンロードしたけれど、すべて理解できていない方

目次

  1. 「低品質コンテンツ」の見つけ方と対処方法
  2. 「重複コンテンツ」の見つけ方と対処方法
  3. 「被リンク」を無駄にしているページの見つけ方と対処方法
  4. 「SSL化のミス」の見つけ方と対処方法
  5. 「noindexの誤使用」の見つけ方と対処方法
  6. 「sitemap.xmlのミス」の見つけ方と対処方法
  7. 「意図しないインデックスページ」の見つけ方と対処方法
  8. 「アノテーションのミス」の見つけ方と対処方法
  9. 「ソフト404」の見つけ方と対処方法
  10. 「孤立したページ」の見つけ方と対処方法

※当日までに内容が変更になる可能性がございます。

登壇者

谷藤 剛
go tanifuji

インハウスSEO担当を経て、アイオイクスに入社。

SEO歴は11年。

SEOコンサルを行う傍ら、SEOの研究や実験を行う。

最短で上位表示をさせる実験を行った結果、たった2日間で上位表示に成功する。

 

このような実験内容や最新のSEO情報をオウンドメディア(SEO Japan社員ブログ)を通じて情報発信を行っている。

【保有資格・認定】

・中小企業診断士

・米国semrush社 テクニカルSEO試験合格

・米国CXL社 テクニカルSEO試験合格

Twitter:@go_tanifuji

セミナー詳細

日時

2022年2月24日(木)13:00~ 14:00

タイムテーブル

  • 13:00~13:40:セミナー
  • 13:40~13:45:休憩
  • 13:45~14:00:質疑応答

※ご質問がなくなり次第、終了となります。

参加人数

80名まで
(応募者多数の場合は、抽選を行います。)

対象となる方

  • SEOに取り組まれている事業会社様
  • 今後SEOへの取り組みを検討されている事業会社様

※恐れ入りますが、同業他社の方・個人の方・広告代理店の方の応募はご遠慮ください。

参加費

無料

会場

Zoomによるオンライン配信となります。
当選された方には、視聴可能なリンクをお送りいたします。

募集期間

2月22日(火)17:00まで

申し込みフォーム

お申し込みは、以下のフォームよりお願いいたします。
当選された方には、後日視聴用のURLおよびアンケートをお送りいたします。


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欧州の半導体法案、スタートアップやスケールアップ企業を対象に最大約2640億円の資金援助へ

欧州連合(EU)の欧州委員会は現地時間2月8日、半導体法案を公表した。2021年秋に予告されていたたこの計画は、半導体生産における地域主権とサプライチェーンの回復力を強化するためのもので、研究開発などの分野を含むEU域内の半導体生産に的を絞った支援パッケージや、この分野の最先端技術に取り組むスタートアップや大企業への資金提供が盛り込まれている。

関連記事:EUが半導体の自給体制の構築を目指す法律を制定へ

法案には、EUの厳しい国家補助規則の緩和も含まれており、加盟国は斬新な「この手のものは初」の半導体工場に財政支援を提供することができるようになる。

法案の包括的目標は、あらゆる種の機械や装置を動かすために現在必要とされているハイテクな半導体に、EUが継続してアクセスできるようにすることだ。

「半導体は、世界の技術競争の中心にあります。もちろん、現代経済の根幹をなすものでもあります」とEU委員長のUrsula von der Leyen(ウルスラ・フォン・デア・ライエン)氏は、法案に関する声明で述べた。EUのパンデミック後の経済回復の遅れは世界的な半導体不足と関連しており、需要が供給を上回っていることが原因だ。

欧州委員会は、世界の半導体生産に占めるEUの割合を、2030年までに現在の9%から2倍以上の20%に引き上げたいと考えている。

欧州委員会は、半導体法が「研究から生産まで」の活発な半導体分野の基礎を築くことを期待していると述べた。一方で、欧州は単独ではやっていけないことも認識しており、同法案は米国や日本など他の半導体生産国との連携を強化することによって、グローバルなサプライチェーンへのアクセスにおける回復力を高めることにも取り組む。それゆえ、フォン・デア・ライエン氏は「バランスの取れた相互依存関係」と語っている(ただし、半導体生産に対する国家支援は、貿易摩擦のリスクをともなうかもしれない)。

資金援助に関しては、EUはすでに、より広範な政策目標(デジタル化、グリーン転換、欧州の研究開発)を支援するために430億ユーロ(約5兆6710億円)超の公的および民間資金を動員しているが、欧州委員会は同法における「Chips for Europe Initiative」のもと、半導体能力支援として110億ユーロ(約1兆4510億円)を「直接提供」する予定だと述べた。これは「2030年まで研究、設計、製造能力における技術リーダーシップ」の資金調達に使われるという。

また、半導体関連のスタートアップのイノベーションのために、欧州のスタートアップの研究開発資金や投資家誘致のための費用を支援する専用の「半導体ファンド」という形で、特別な資金が確保される。

欧州委員会によると、半導体専門の株式投資機関(InvestEUプログラムのもと)も、市場拡大を目指す大企業や中小企業を支援する。

半導体分野のスタートアップや大企業に対する半導体法「支援株式」は20億ユーロ(約2640億円)に達する見込みとのことだ。

投資と生産能力の強化を促すことにより、欧州における半導体供給の安定性を確保するために計画されている枠組みは、高機能ノードやエネルギー効率の高い半導体といった分野での技術革新と投資の促進も目指している。この分野で欧州委員会はスタートアップのイノベーションを促すことも期待している。

半導体法案には、半導体の供給を監視し、需要を推定し、不足を予見するための欧州委員会と加盟国の間の調整メカニズムも含まれている。そして、EUの執行部は加盟国に対し、同法の成立を待つのではなく、調整のための取り組みを直ちに開始するよう促している。

EUの共同立法機関である欧州議会と理事会が、EU法として採択される前に詳細について意見を述べて合意する必要があるため、法案が採択される時期についてはまだ示されていない。

欧州委員会のデジタル戦略担当副委員長Margrethe Vestager(マルグレーテ・ベスタガー)氏は声明で次のようにコメントした。「半導体はグリーンかつデジタルな移行に必要なものであり、欧州の産業の競争力にもつながります。半導体の安全な供給を確保するためには、一国や一企業に依存すべきではありません。欧州がグローバル・バリュー・チェーンの主要な役者としてより強くなるために、研究、イノベーション、設計、生産設備において我々はもっと協力しなければなりません。それは、我々の国際的なパートナーにも利益をもたらすでしょう。将来の供給問題を回避するためにパートナーと協業します」。

また、EUの域内市場担当委員であるThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏は別の声明で「我々の目標は高いものです。2030年までに世界市場シェアを現在の2倍の20%に拡大し、最も洗練されエネルギー効率の高い半導体を欧州で生産するというものです。EU半導体法により、我々は卓越した研究を強化し、研究室から製造工場への移行を支援します」。

「我々は多額の公的資金を動員していて、それはすでに相当額の民間投資を引き寄せています。また、サプライチェーン全体を保護し、現在の半導体不足のように、将来的に経済が打撃を受けるのを避けるために、あらゆる手段を講じています。未来のリード市場に投資し、グローバルなサプライチェーンのバランスを整えることで、欧州の産業が競争力を維持し、質の高い雇用を創出し、増大する世界的需要に対応できるようにします」。

どのような種類の半導体工場が国家補助規則の適用除外となるかなど、法案の詳細については、欧州委員会のQ&Aを参照して欲しい。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

ブティックホテルテックプラットフォームNUMAがポストパンデミックでのノマドな労働力ニーズに応える約51.9億円調達

米国を拠点とするSonderは、テクノロジーを駆使したホスピタリティを提供する企業だ。同社は5億2960万ドル(約611億8500万円)を調達した。リモートワークにより人口の移動が圧倒的に多くなったポストパンデミックな世界で、このグローバルでノマドな労働力ニーズに応えるため、同様の事業者が資金調達を行っている。

私たちがNUMA Group(NUMAグループ、当時の社名はCosi)を取りあげたのは、2019年に同社がブティックホテルに代わる「フルスタック」のホスピタリティを提供するために500万ユーロ(約6億5800万円)を調達したときだった。その後、2000万ユーロ(約26億3400万円)を調達したときにも取り上げた。

今回、NUMA GroupはDN Capital Group(DNキャピタル・グループ)(以前はAuto1、HomeToGo、Shazamも支援していた)が主導するラウンドで成長資本として4500万ドル(約51億9800万円)を追加調達した。この投資の共同リードはHeadline(旧eventures)である。また、Cherry Ventures(チェリー・ベンチャーズ)、Soravia(ソラヴィア)、Kreos Capital(クレオス・キャピタル)、TruVenturo(トゥルーベンチュロ)、Scope Hanson(スコープ・ハンソン)が参加している。

NUMAはベルリン、ミュンヘン、ローマ、ミラノ、マドリッド、バルセロナ、ウィーンで約2500室のブティックホテルを提供。投資家、不動産所有者、デベロッパー、ホテル経営者と提携し、テクノロジーを駆使した部屋を構築している。このプラットフォームは、ビジネスプロセスの自動化、インテリジェントな価格設定、稼働率の向上を通じて、ホテル経営者の利益を増大させるように設計されている。ドイツに本拠を置くNUMAグループは、2021年にスペイン、イタリア、オーストリア、チェコ共和国に進出した。

NUMAグループのCEO、共同創業者であるChristian Gaiser(クリスチャン・ガイザー)は「私たちの明確な目標は、NUMAをヨーロッパのまったく新しいホテルの時代における、圧倒的なテクノロジーと創造的なソリューションのプロバイダーとして確立することです。NUMAは、パンデミックを利用して、ビジネスモデルの回復力を証明しました。NUMAのコンセプトと独自の技術を使って、新型コロナにもかかわらず500%の収益増と85%の予約占有率を達成したのです」と述べている。

NUMAがSonderと大きく異なる点は、宿泊客から見て、NUMAはより幅広い層を対象としていること(Sonderはより高い価格帯にフォーカス)だ。さらに「NUMA go」という「技術フランチャイズ」ソリューションを開始し、売上の一定割合を条件に、NUMAの技術スタックをサードパーティのホテル経営者に提供していることだ。

DN Capital Groupの創設者兼マネージングパートナーであるNenad Marovac(ネナド・マロヴァチ)氏は「我々はNUMAの戦略、業績そして非常に厳しい市場環境下での一貫した拡大に非常に感銘を受けています。NUMAを支えるチームは、新型コロナにもかかわらず、一貫して高い稼働率と部屋の持続的な収益性を達成しています。NUMAのビジネスモデルは、不動産パートナーやオペレーターにとって魅力的なリスクリワードプロファイルを提供し、そして最も重要なことは、現代の旅行者にまったく新しい旅行体験を提供することです」と述べている。

画像クレジット:NUMA Group

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ソフトバンクとゴールドマン、インドの小規模小売店プラットフォームElasticRunにユニコーン出資

ソフトバンクが世界第2位のインターネット市場における商業的な賭けをさらに強化する中、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)は、ElasticRun(イラスティックラン)の3億ドル(約345億2000万円)の最新ラウンドをリードした。

ElasticRunがインド時間2月7日に規制当局へ提出した書類によると、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)と既存投資家であるProsus Venturesも、プネーに本社を置く同社のシリーズEラウンドに参加した。今回のラウンドで、ElasticRunの評価額は15億ドル(約1727億円)となった。

TechCrunchは1月初め、ソフトバンクとゴールドマン・サックスがElasticRunを支援する交渉を行っていると報じていた。

ElasticRunは、インドの数百の市町村にある数十万の小規模小売店が、トップブランドの在庫や運転資金を確保できるよう支援している。ElasticRunは、eコマース企業やその他の大手ブランドとの協業をサポートすることにより、これらの近隣店舗の収益向上を支える。EC企業やブランド側は、これまで参入が難しかった巨大な市場へのアクセスを得ることができる。

今回のラウンドにより、ElasticRunの累計調達額は4億3000万ドル(約495億円)以上となり、これまでのすべての資金調達を合わせた額よりも多くの資金が同社にもたらされた。

ElasticRunはクラウドソーシングにより、近隣店舗(キラナとして知られているパパママストア)にサービスを届けるパートナーの物流ネットワークを構築してきた。ElasticRunと協力してこのネットワークを利用している大手企業には、Amazon(アマゾン)、Tata Consumer Products(タタ・コンシューマー・プロダクツ)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、PepsiCo(ペプシコ)、インド最大の小売チェーンであるReliance Retailなどがある。

このスタートアップは、ソフトバンクがインドのコマース市場で行ってきた一連の賭けの中で最も新しいものだ。ソフトバンクはこれまでにも、Flipkart(Flipkart)やソーシャルコマースのスタートアップであるMeeshoなどを支援している。

画像クレジット:Sanjit Das / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

【コラム】システム思考は世界の女性に害を与える慣習を終わらせるのに役立つ

世界の有害な慣行や問題の多くは、戦うのが難しく、終わらせるのが複雑すぎると言われている。極度の貧困、食糧不安、ジェンダーに基づく暴力、その他の人道的危機などの問題は、しばしば乗り越えられないと感じられることがある。これらの問題は、世界の貧困層に不均衡な影響を与える気候変動という存亡の危機によって悪化している。中でも子ども、女性、障がい者は最も脆弱であり、適応するのも困難だ。

これらの問題は信じられないほど複雑だ。しかし、解決不可能な問題ではない。

なぜ、わかるのか?私は、女性器切除と強制結婚の廃止に取り組むプロジェクトのグループと一緒に仕事をしたからだ。そして、私たちが協力したケニアのコミュニティでは、これらの有害な慣習は一世代のうちに、時には10年未満で終了した。

30年以上テクノロジーの世界に身を置き、Microsoft(マイクロソフト)では長年、さまざまな業界や教育機関のデジタル変革を支援する仕事に携わってきた私は、自分が学んだことを複雑なグローバル問題に適用しようと考えた。10年以上にわたって、World Vision(ワールド・ビジョン)やGlobal Give Back Circle(グローバル・ギブ・バック・サークル)、そして最近では私自身の団体であるMekuno Project(メクノ・プロジェクト)を通じて、女性器切除や児童婚など、ジェンダーに基づく暴力の問題に取り組んできた。

私がテクノロジーのキャリアで学んだことのいくつかは、公共部門や非営利団体にも応用できる。ここでは、特に人権を向上させ、有害な慣習をなくそうとする組織のために役立つ洞察と戦術を紹介する。

システム思考を応用した多面的な問題の理解と解決

テクノロジーの仕事をしている人は、システム思考に馴染みがあるかもしれない。簡単に言えば、複雑な問題をより小さな論理的な部分に分解して考える分析手法だ。システムを一連の部分としてではなく、全体として捉えながら、システムのさまざまな部分がどのように相互作用しているかを理解することが必要だ。その目的は、最終的に複雑なものを単純化することであり、Microsoftが社内文化の見直しを図った際に適用された

例えば、ケニアにおけるジェンダーに基づく暴力の問題を考える場合、システム思考では、強制結婚といった特定の問題を超えて、なぜその問題がそもそも存在するのかという大局を見据えることが求められる。

単に問題に目を向けるだけでは不十分で、その問題が存在する生態系に目を向ける必要があるのだ。例えば、女性器切除や児童婚は、孤立して存在するものではない。それらは、極度の貧困、文化的規範、非識字率の高さなどと関連しており、これらすべてが農村地域の少女たちに不当に影響を及ぼしている。これらの危険因子は、気候変動と新型コロナウイルス(COVID-19)の流行によっても悪化し、両方の有害な慣習の割合の急増につながっている。このような根本的な原因がコミュニティに影響を与え続けるため、このサイクルは次の世代へと続くことが多いのである。

有害な習慣をなくすには、パートナーの協力のもと、現場で全体的かつ拡張可能な、相互作用のあるアプローチが必要だ。これなくして、どのような介入も持続可能な変化をもたらすことはできない。

私たちは、世界的な問題や有害な慣行が存在する理由を理解することで、それらを取り除くことができる。システム思考は、大局的な見地から、これらの問題を解決することを可能にする。

人を巻き込むデザインを通してコミュニティを活性化する

ジェンダーに起因する暴力を含む問題を、地域社会の総体的なアプローチによって解消することは、1つの地域社会で機能するだけでなく、複数の組織が目標達成のために協力すれば、規模を拡大することもできる。

しかし、コミュニティへの信頼が育たないやり方もあり、常にコミュニティの条件での成功を優先させなければならない。人を巻き込むデザインは共感に根ざしている。つまり、コミュニティとの信頼関係、包括性、そして共有のビジョンを構築するために、そのコミュニティにとって何が有効かを学ぶつもりで耳を傾けなければなない。

このように共感することで、より早く変革的な変化をもたらす新しいイノベーションを生み出すことができる。私たちが支援しようとしているコミュニティの中で協力体制を築けなければ、持続可能で大規模な変化をもたらすことはできない。

地域社会を巻き込み、共感をもって耳を傾け、解決策を共同で創造し、透明性をもってコミュニケーションを図り、地域社会のニーズや懸念を尊重し優先することが、複雑な問題を解決する上で最も重要なことなのだ。

コミュニティの信仰指導者を巻き込む

これは、多くのコミュニティで根深い問題を解決するために重要であり、見落とされがちな点だ。

The Gates Foundation(ゲイツ財団)の副理事長であるBlessing Omakwu(ブレッシング・オマクウ)氏は、宗教的なパートナーの関与なくしてジェンダーの平等は実現できないし、実現することもないだろうと述べている。宗教指導者はコミュニティで最も信頼されている人物であることが多く、オーガニゼーションがコミュニティと関わるための道徳的な枠組みを作る手助けをすることができる。実際、World Economic Forum(世界経済フォーラム)は、信仰指導者はコミュニティとの協働において未開発の資源であると述べている

私たちが抱える問題は、乗り越えられない、解決不可能なものに見えるかもしれないが、決してそうではない。世界最大の問題の多くを解決する鍵は、個々に取り組むことではなく、相互に関連する考え方で取り組むことだ。なぜなら、最大の問題は他の問題から独立して存在するわけではないからだ。そして、今日の相互に関連しあっている世界で、私たちはそれらの問題の解決に向けて動き出すことができる。そして、多角的な戦略を用いることで、一世代のうちにより良い世界を作り始めることができるのだ。

編集部注:執筆者のMargo Day(マーゴ・デイ)氏は、ケニアで女性器切除と児童婚の根本原因を取り除くために活動する非営利団体Mekuno Project(メクノ・プロジェクト)のCEO兼共同設立者。

画像クレジット:Hiroshi Watanabe / Getty Images

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(文:Margo Day、翻訳:Yuta Kaminishi)

Metaの低価格通信サービスExpress Wi-Fi停止、サハラ以南の国々への影響大

サハラ以南のアフリカ諸国は、Meta(メタ)が5年前に開始した、サービスが行き届いていない地域での接続を促進するための低価格のExpress Wi-Fiインターネットの廃止計画による影響を最も大きく受けている。

Meta(旧Facebook)は、2022年後半にこのプログラムを終了する予定であることを静かに通告した。しかし、ケニアなどの国では、2020年12月中旬からサービスを停止している。

Metaが人工衛星通信事業者のEutelsat Konnect(ユーテルサットコネクト)と提携し、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、ケニア、コートジボワール、ザンビア、カメルーン、ガーナ、ジンバブエ、マダガスカル、ガーナ、南アフリカ、ウガンダの一部へと低コストのインターネットサービスを拡大してからようやく1年というところでのサービス停止だ。

その他、マラウイ、ブルキナファソ、ギニア、セネガルなど、アフリカ、アジア、南米の30カ国以上でExpress Wi-Fiは展開された。

「5年以上の運営を経て、Express Wi-Fiプログラムは終了を予定しています。パートナー企業とともに、Express Wi-Fiプラットフォームを通じて、30カ国以上で公衆Wi-Fiアクセスの拡大を支援しました。当社は、他のプロジェクトの開発に集中するために、このプログラムの作業を終了しますが、より良い接続性を提供するために、通信エコシステム全体のパートナーと協業することに引き続き尽力します」とMetaは通知で述べている。

「2022年後半にこのプログラムに関する作業を終了する際、Express Wi-Fiパートナーと密接に連携して、パートナーのビジネスと顧客の接続性への影響を最小限に抑えるようサポートします」。

ソーシャルメディアの巨人Metaは、ISPやモバイルネットワーク事業者などのパートナーと協力し、地方や都市部の市場などの公共の場や学校などの施設で、Wi-Fiホットスポットを通じて、人々がネットに接続できるようにしてきた。パートナーが小売店や代理店が販売するインターネットセット商品の価格を設定する。

このプログラムは、世界で最も接続性が低いアフリカなどの新興市場におけるインターネット格差を埋めるという構想のもとに展開された。2021年のGSMAモバイル経済レポートによると、現在サハラ以南のアフリカでモバイルインターネットに接続しているのは人口の約28%だ。これに対し、ヨーロッパなど他の地域の接続率は80%を超えている。Metaの野心的なExpress-Wifiプロジェクトは、このインターネット格差を埋めることを意図していた。Metaは、低コストインターネット戦略の一環として、4万5000キロメートルの2Africa海底ケーブルをアフリカ、ヨーロッパ、アジアに延長している。

Google(グーグル)も南アフリカ、ナミビア、ナイジェリア、セントヘレナにまたがる海底ケーブルEquianoを敷設中で、これはアフリカとヨーロッパを結ぶものだ。インターネットインフラの整備が進めば、接続性も高まることが予想される。

国際金融公社(IFC)は、アフリカのインターネット経済は、デジタル消費の拡大、都市化の進展、スマートフォンの急速な普及などにより、2025年までに1800億ドル(約20兆7200億円)に達し、アフリカ全体のGDPの5.2%を占める可能性があると推定している。

画像クレジット:Meta

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nariko Mizoguchi

地元のコンビニや商店に配達を提供するLulaのサービスが急成長

Lulaの共同創業者アディット・グプタ氏とトム・ファルザニ氏(画像クレジット:Lula)

コンビニエンスストアはクルマに給油しているときや、軽食が欲しいときに立ち寄るところだが、パンデミックで誰もお店の中に入らないようになると、店の生き残りも難しくなる。

Adit Gupta(アディット・グプタ)氏の親も、ニュージャージーのコンビニのオーナーだったため、客が来ないことに苦しんだ。そこでグプタ氏と彼のドレクセル大学時代の学友Tom Falzani(トム・ファルザニ)氏は、数週間かけて、何らかの配達アプリを使って店が存続する方法を編み出そうとしたが、グプタ氏の両親の2020年半ばの閉店を止めることはできなかった。

「お客さんが店に来れなくなりましたが、コンビニでは電話などで店にオーダーすることもできません。そこで配達アプリを作ることを考えました。オンラインなら3000、4000もの品数を揃えることができることに、改めて驚きました。親が閉店した後に考えたのは、コンビニエンスストアは全国に15万以上もあるが、その1つひとつを有能な起業家が経営する小さなフルフィルメントセンターだと考えればいいということです。そこには配達するためのテクノロジーがないだけなのです」とグプタ氏はいう。

他のコンビニが親の店のような運命にならないために彼らは2020年後半、フィラデルフィアにLulaという会社を立ち上げた。今では数百のコンビニやドラッグストアやその他の店舗が、Lunaの手数料ゼロのツールを使い、配達という第二の販売チャネルを確立し、サードパーティの業者と契約して配達を行っている。

関連記事:三菱電機がCartkenの自律走行ロボットを使った配送サービスの実証実験をイオンモールで開始

そのような店舗は店員の数も少なく、デジタルのスキルも弱いため、Lulaはすべての店のすべての商品をデータベースに登録し、すべての配達業者に配信する。そして注文が来れば、その情報は店と配達業者の両方へ同期される。

そのツールは「初めてのマルチベンダーの30分配達プラットフォーム」だとグプタ氏は自画自賛する。これまでオンラインで注文を受けても配達手段がなかったお店が、サードパーティのプラットフォームすなわちLulaで配達手段を得る。

「コンビニエンスストアやその他の商業者が搾取されるビジネスモデルにはしたくなかったため、料金は毎月のサブスクだけです。店は2、3日で元がとることができます」。

Amazonは実店舗TortoiseCartkenは配達ロボットと、リテールのこの部分に関心を向ける企業が最近は多い中で、特に配達の要望が多いのはコンビニエンスストアの食品や食材だ。消費者分析企業Edison Trendsの調査報告では、2020年の1年間でコンビニエンスストアへのオンライン支出は346%成長した。

Lulaは2021年に100万ドル(約1億2000万円)のプレシードを調達し、最初の10社ほどの顧客にサービスを提供したが、今回は550万ドル(約6億3000万円)のシードを発表し、2022年内に米国のすべての州から2000の顧客を獲得するつもりだ。

その最新のラウンドを共同でリードしたのはRipple VenturesとOutlander VCとUp Partnersだ。このラウンドに参加したの、SOSV、Simple Capital、NZVC、Stonks.com、EasyPost、Park City Angels、Alumni Ventures、Broad Street Angels、Ben Franklin Technology Partners、そしてエンジェル投資家たちのグループとなる。

同社は前月比で30%以上店舗数を伸ばしており、すでにヨーロッパとメキシコの両方で大手コンビニエンスストアチェーンと商談中で、全米の独立系店舗からオーガニックなインバウンドトラフィックを受けているとGuptaはいう。そのため、今回の資金調達は、製品開発と、営業およびカスタマーサクセスチームによるLulaの人員拡大にも充てられる予定だ。

現在、Lulaの従業員数は35名だが、グプタ氏はカスタマーサクセスチームを50名以上に増強し、最終的には年内に100名のチームを結成する予定だ。

Ripple VenturesのマネージングパートナーであるMatt Cohen(マット・コーエン)氏は、「Lulaが、地元の企業がデリバリーサービスを利用できるようにするために、事業を拡大していることに興奮しています。パンデミックは高級店や大型店を直撃し、Lulaは地元の商店が急成長する宅配需要にアクセスするためのすばらしい方法です。アディットとトムが見つけたのはとても大きなビジネスチャンスであり、Ripple Xを通じたアディットの旅を非常に誇りに思っています」という。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ローコードでサードパーティサービスを統合するプラットフォームDigibeeがシリーズAで約28.7億円調達

ローコード統合プラットフォームDigibeeは、今、すべての同類のプラットフォームが行っていると思われること、つまり資金調達を行う。米国時間2月3日、同社はSoftBank Latin America Fundが主導するシリーズAラウンドで2500万ドル(約28億7000万円)を調達したことを発表した。このラウンドには、ブラジルのKineaG2D Investmentsも参加している。

2017年に登場したDigibeeは、企業がコードを一切触ることなく、統合ワークフローを簡単に構築・展開できるようにするものだ。同じことを喜んでやってくれるプラットフォームは他にもたくさんあるが、Digibeeが他と異なるのは、統合を構築するだけでなく、その統合を再利用可能なビジネスロジックにすることにも重点を置いているサービスである点だ。1年前、同社は「Capsule(カプセル)」と呼ばれる組織全体で共有できる共通の統合機能のパックを発表した。

画像クレジット:Digibee

現在の顧客には、Accentureやブラジルの証券取引所B3、小売チェーンのCarrefourなどがいる。

「私たちは、グローバル企業のデジタル化の旅を支援しています。これにより、企業は経済的に高額な初期費用なしに成長・拡大することができ、人材はビジネスの推進に専念できるようになります。私たち自身は、米国と世界各地に拠点を設け、世界で最も革新的な企業を顧客にしていきたい」と、Digibeeの共同設立者兼CEOであるRodrigo Bernardinelli(ロドリゴ・ベルナーディネッリ)氏は語る。

同社によると、今回の資金調達は、米国での市場開拓戦略の支援に使う予定だという。

「私たちのプロダクトは、競合他社よりもはるかに優れたシステム統合の課題を解決しており、多国籍の顧客は私たちにグローバルな事業展開を求めています。そのためには、各ターゲット市場で優秀な人材を採用する必要がありました」と、ベルナーディネッリ氏はいう。

また、同社は事実上すべての機能において、従業員数を急速に増やす計画であることも明かした。

SoftBank Latin America Fundのアーリーステージ投資担当マネージングパートナーであるRodrigo Baer(ロドリゴ・ベア)氏は、次のように語る。「Digibeeへの投資に、とてもエキサイトしています。同社は、統合の費用という問題に挑戦しています。それは、ソフトウェア経費の50%以上を占めることもあります。それでも、企業は統合化によって、自他複数のシステムを接続してデジタルトランスフォーメーションを実現できます。Digibeeの営業力はワールドクラスのものなので、そのソリューションを市場化していく能力があります。これにより彼らのプロダクトは、グローバルなプレイヤーに育ちます」。

画像クレジット:Ed Peeters/EyeEm/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

京都フュージョニアリング、核融合炉技術の構築に向けシリーズBで13.3億円を獲得

より多くのスタートアップが核技術に参入する中、資金調達が活発になるのは驚くことではない。このたび、日本を拠点としながら海外での事業展開を強化している核融合エネルギーのスタートアップ、京都フュージョニアリング(Kyoto Fusioneering、KF)が、最新のラウンドで13億3000万円の資金を調達した。これにより、同社の累計調達額は16億7000万円となった。

2020年に京都フュージョニアリングは、英国政府が後援する核融合実験炉「STEP(Spherical Tokamak for Energy Production)」の開発をサポートする複数の契約を獲得している。同プロジェクトは2040年までの運転開始を目指しており、KFの将来にとって重要な鍵となりそうだ。

今回のシリーズBラウンドは、既存投資家であるCoral Capitalの支援に加え、大和企業投資、DBJキャピタル、ジャフコ グループ、JGC MIRAI Innovation Fund、JICベンチャー・グロース・インベストメンツを新たな引受先としている。

また、KFは京都銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行から総額7億円のデット調達も実施した。

この資金は、研究の加速と事業の拡大、プラズマ加熱(ジャイロトロン)と熱抽出(ブランケット)のための核融合プラントエンジニアリングの技術開発に使用される。これらの技術は、核融合炉プロジェクトの開発に必要なものだ。

現在、世界7極が参加しているグループ(欧州連合、日本、米国、ロシア、韓国、インド、英国、中国)が国際的なITERプロジェクトを支援している。これは2020年代後半までに、核融合実験炉を実現しようとする超大型国際プロジェクトだ。

米国や中国などでは、国内で独自のプログラムを進めている。日本政府もまた、核融合分野でさまざまな取り組みを行っている。

Coral Capitalの創業パートナー兼CEOのJames Riney(ジェームス・ライニー)氏はこう述べている。「気候変動は人類にとって存亡に関わる脅威ですが、核融合エネルギーの未来が実現すれば、文字通り世界を救う銀の弾丸になるかもしれません。多くのスタートアップが『世界を変えたい』と語るものですが、この会社は本当に変えつつあるのです」。

核融合は多くのことを約束してくれるが、今のところ大きな成果は得られていない。しかし、もし誰かがそれを実現できれば、世界のエネルギーと環境問題の多くを解決できる可能性がある。なぜなら、事実上無限の燃料資源を意味しており、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーを得られるからだ。

画像クレジット:Kyoto Fusioneering

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

フェイスブックとSpotifyが時間外取引で叩かれている理由

もしあなたが株を持っているなら、悪いニュースだが、おそらくあなたは今損をした。

Facebook(フェイスブック)として知られるソーシャルネットワークの巨人Meta(メタ)の株価が、時間外取引で20%以上下落している。また、音楽ストリーミングとポッドキャスティングの中堅企業であるSpotify(スポティファイ)は、米国時間2月2日の取引終了後、15%以上下落している。この2つの急落は、同じく株価を下げたPayPal(ペイパル)の迫力にかける決算と、Alphabet(アルファベット)のかなり良い決算を受けてのものだ。

Alphabetの第4四半期の好業績は、中央値というより異常値に見え始めている。

Meta、そしてShopifyについて、何が起こっているのかを解析してみよう。

Metaの高価な四半期とたるんだガイダンス

第4四半期、Facebookの売上高は336億7000万ドル(約3兆8500億円)、営業利益は125億9000万ドル(約1兆4400億円)、純利益は102億9000万ドル(約1兆1700億円)だった。また、1株当たり利益は3.67ドル(約420円)だった。

これらの数字は、アナリストの予想と比較してどうだったのだろうか?Yahoo Financeの平均値では、アナリストは、売上高334億1000万ドル(約3兆8200億円)、1株当たり利益3.84ドル(約440円)と予想していた。つまり、Facebookは、1株あたりの利益では届かなかったものの、堅実なトップラインを達成したことになる。

しかし、この利益未達は、単に一株当たり数セントという話ではなく、同社にとってより大きな問題だ。その点を明らかにするために、前年比の比較をしてみよう。2020年第4四半期のMetaの営業利益は127億6000万ドル(約1兆4600億円)で、同期間の売上高の約46%であった。後者の数字は、直近の四半期ではわずか37%に落ち込んでいる。これは、腹に効く、営業利益率の劇的な低下だ。

Metaの収益性を落とすコスト上昇の内部には、同社のVR、いわゆるメタバースへの投資がある。

Facebookが「拡張現実と仮想現実関連の消費者向けハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ」を含むとするReality Labs(リアリティ・ラボ)は、直近の四半期に8億7700万ドル(約1000億円)の収益をもたらし、2020年第4四半期の7億1700万ドル(約821億5200万円)から増加した。しかしながら、Reality Labsの2021年第4四半期の営業損失は33億ドル(約3781億円)で、損失は2020年第4四半期の21億ドル(約2400億円)を大きく上回った。

要するに、Metaのメタバース推進は現在のところ、そのコアビジネスが長年にわたって証明してきたような金鉱ではないということだ。そして、その簡単に利益が出ない事実が、会社全体の業績に悪影響を及ぼしている。メタバースは、同社が明らかに期待している「シッツ・ゴールド・ア・バース(バカみたいに儲かるメタバース)」には程遠い。

先を見れば、Metaにとって事態はさらに悪くなる。同社のCFOは「2022年第1四半期の総収入は270~290億ドル(約3兆〜約3兆3200億円)の範囲になる」と予想しており、これは3%から11%の成長に相当する。これは良くはない。アナリストはMetaの2022年第1四半期のトップラインを301億4000万ドル(約3兆4500億円)と予想していたので、同社のガイダンスはかなり惨めだ。

株価は下がった。

Spotifyのしこり

Joe Rogan(ジョー・ローガン)の件はさておき、Spotifyは今週もかなり厳しい状況にある。通常取引で5.75%下落した後、時間外取引で2桁の割合で値を下げている。

なぜか?同社は実際、利益予想を上回ることができ、1株当たりの損失は市場の予想より50%ほど少なかった。そして、26億9000万ユーロ(約3400億円)の売上は、2021年第4四半期の予想を数段上回った。

それなのに、叩き売られている。なぜか?Metaと同様、問題なのは未来についてだ。

Spotifyは2021年末の月間アクティブユーザー数4億600万人から、2022年第1四半期には4億1800万人にスケールアップすると予想している。そして、同じ3カ月間に、有料ユーザー数を1億8000万人から1億8300万人に増やすと予想している。

この数字はどれくらいずれているのだろうか。SeekingAlphaによると、投資家は2022年第1四半期の有料ユーザー数を1億8530万人、月間アクティブユーザー数を4億2200万人と予想していたそうです。つまり、Spotifyは前四半期はなんとかうまくいったが、投資家は今後の業績について興奮するには程遠いというわけだ。

ここ数週間で、私が記憶している以上に、投資家の逆鱗に触れるテック企業が増えている。より詳細なメタ分析が必要だが、テック企業に対する風向きの変化は、SaaS企業や最近のIPO企業にだけ起きていることではないようだ。多くの人がスティックを持っているのだ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Akihito Mizukoshi)

垂直農業の米KaleraがSPAC上場を検討

垂直農法(バーチカルファーミング)の企業がまた1つ、SPACを利用してNASDAQに上場する計画を明らかにした。今週、米国フロリダ州に本社を置くKalera(カレラ)が、Agrico Acquisition Corp.(アグリコ・アクイジション・コープ)との合併計画を発表したのだ。この合併により同社の評価額は3億7500万ドル(約433億1000万円)となる。現在、Euronext Growth Oslo(ユーロネクスト・グロース・オスロー)取引所に上場しているKaleraの株価はこの1年下落が目立っていたが、今回の動きは、このカテゴリーに多くの期待が寄せられていることを示している。

Google Finance(グーグル・ファイナンス)のデータによれば、同社の評価額の下落は際立っている。同社の株価はこの52週間の最高値である1株あたり5.99ドルから、直近ではわずか0.91ドルにまで下降しているのだ(ニュースリリースによれば、同社は今回の取引の一環として、現在の取引所からの上場廃止を予定している)。

すでに上場しているのに、なぜSPACを行おうとしているのか?この取引により、同社は現在の4つの農場を10に増やすための資金を得ることができる。2021年12月の投資家向けプレゼンテーションによれば、同社は「2022年の資金調達要件を満たすために、さまざまな資金調達の選択肢を積極的に追求している」と述べている。

その理由を納得することは難しくはない。同社の2021年第3四半期決算報告書によると、2021年の1~9月に営業活動で870万ドル(約10億円)の支出があったが、同時期の投資キャッシュフローはより厳しく、マイナス1億1000万ドル(約127億1000万円)となった。Kaleraは6150万ドル(約71億円)の資金調達により、これらの不足を一部相殺したが、2021年第1四半期の純現金収支は5720万ドル(約66億1000万円)の赤字となった。9月の四半期決算では、5620万ドル(約64億9000万円)相当の現金および現金同等品を保有していた。より簡単に言えば、事業の赤字が深刻で、純利益の黒字化はおろか、キャッシュフローが損益分岐点に到達するのもはるかに遠いため、同社が拡大を続けるためにはさらなる資金が必要だということだ。

Kaleraが合併を予定しているSPACのAgricoは「1億4660万ドル(約169億3000万円)の現金が信託されている」という。これにより、Kaleraは、現在のキャッシュポジションが許すものよりもはるかに長い時間をかけて、業績を改善することができるだろう。

成長する市場

今回の買収は、急成長中のカテゴリーの健全性を示す指標となるだろう。2021年、AeroFarms(エアロファームス)はSpring Valley Acquisition Corp.(スプリング・バレー・アクイジション・コープ)とのSPACを計画していたが、AeroFarmsが最終的に「株主の利益にならない」と発表したことを受けてSPAC取引は中止された

AgricoのCEOであるBrent De Jong(ブレント・デ・ジョン)氏は「Kaleraは、稼働中または建設がほぼ完了している10の施設と、環境制御に特化したシード事業である子会社のVindara(ビンダラ)により、垂直農法業界のリーダーとしての地位をすでに確立しています」と述べている。「提案されているAgricoとの合併によって、Kaleraは葉菜類の垂直農法企業としては初めて、地元に密着しながら、米国内に拠点を持ち全米規模の長期供給契約を確実に結べるようになります」と述べている。

「米国内に拠点を持ち」という表現は興味深い。確かに、AeroFarmsやBowery(バワリー)など、地域的に成功を収めている企業は少なくない。垂直農法は地域密着型の性質を持つので、米国本土に拡大するには多くの農場を建設する必要がある。結局このカテゴリーは、一般的な農場を展開できない都市部でのサービスが大きなセールスポイントとなっている。そうした都市部の中もしくは隣接地に屋内農園を建設すれば、農産物を遠隔地から輸送する際の排気物を十分に削減することができる。

Kaleraは現在、地元オーランドをはじめ、アトランタ、ヒューストンで農場を運営しており、さらにデンバー、シアトル、ホノルル、コロンバス、セントポールでも農場を建設中だ。特に最後の2つは、米国の伝統的な農場地帯である中西部に事業を立ち上げるという点で興味深い。また、Kaleraはミュンヘンとクウェートで海外農場を運営しており、シンガポールには3つ目のファームを建設中だ。

両社は、SPAC取引を2022年の第2四半期中に完了させる予定だ。現在の暫定CEOであるCurtis McWilliams(カーティス・マクウィリアムス)氏は引き続き同社を率いる予定である。

画像クレジット:JohnnyGreig / Getty Images

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(文:Brian Heater、Alex Wilhelm、翻訳:sako)

仏政府が発表したフランス最大のスタートアップ企業リスト

毎年、フランス政府と政府が支援するイニシアチブのLa French Techは「Next40」と「French Tech 120」という2つのスタートアップランキングを発表している。これらのリストに載っているスタートアップは、それぞれフランスに拠点を置く業績の良いトップ40とトップ120のスタートアップであるとされている。

フランス政府がこれらのリストを作成するのは今回で3回目である。French Tech 120に含まれる120のスタートアップのうち、84社が2022年もこのインデックスに残っている。そのうち36社は初めてリストに登場することとなった。

そのうち2社は2021年のNext40に入っていたが、2022年は株式公開のため登場しない。OVHcloud(OVHクラウド)Believe(ビリーブ)だ。

以下が2022年のFrench Tech 120となる。赤いロゴはNext40の一部だ。

画像クレジット:La French Tech

Next40に選ばれるには、2つの方法がある。

  • 過去3年間に1億ユーロ(約129億2500万円)以上の資金を調達している、または会社の評価額が10億ドル(約1146億5800万円)以上に達しているユニコーン企業であること。
  • 過去3年間の売上高が500万ユーロ(約6億4600万円)以上で、前年比成長率が30%以上であること。

French Tech 120の残りの80社のスタートアップについては以下だ。

  • うち40社は、過去3年間の資金調達ラウンドで2000万ユーロ(約25億8400万円)以上を調達している。
  • うち40社は、年間売上高と成長率に基づき選出されている。

もちろん、これらのインデックスは、イノベーション分野で活躍するフランスの民間企業に限定されている。French Tech 120については、行政区ごとに最低でも2社のスタートアップが選出されている。

2021年は、世界中で技術資金調達の超大型年となったが、それはフランスでも同様だ。「今日、Next40に入るには少なくとも5000万ユーロ(約64億5900万円)を調達しなければならない」と、フランスのデジタル担当大臣Cédric O(セドリック・オ)氏は記者会見で述べた。2017年、フランスのスタートアップは合わせて25億ユーロ(約3229億2400万円)を調達した。2021年には120億ユーロ(約1兆5500億円)近くを調達している。

資金調達ラウンドに加え、彼はフランスのテックエコシステムにおける他の面の功績も挙げた。例えば、2021年には10億ユーロ(約1291億8500万円)を超えるIPOが2件あり、これは過去25年間と同数の10億ユーロ(約1291億8500万円)を超えるIPOがあったことになる。

また、統合も行われている。ここ数週間では、Doctolib(ドクトリーブ)がTanker(タンカー)を買収し、Luko(ルコ)もドイツの競合Coya(コヤ)を買収したが、Frichti(フリッチ)はベルリンのスタートアップGorillas(ゴリラズ)に買収された

「Next40とFrench Tech 120が何であるか、みなさんに思い出していただきたかったのです。多くの人が、これはランキングだと考えています。もちろん、ランキングであり、その一員であることを誇りに思ってください」と、La French Techのディレクター、Clara Chappaz(クララ・チャパズ)氏はいう。

「しかし、ランキングの要素に加え、サポートプログラムでもあるのです。今日のフレンチテックのミッションには、スタートアップのマネージャーとして活動しているメンバーが数名います。彼らは、Back Market(バック・マーケット)のようなスタートアップや、ここにあるすべての企業をサポートし、あらゆる種類の問題に関して行政とのやり取りを円滑にしてくれます」とも述べている。

60もの行政機関にフレンチテックの担当者がいるのだ。彼らは外国人従業員のビザ取得、認証や特許の取得、行政への製品売り込みなど、スタートアップを支援してくれる。

しかし、1つだけ目立つことがある。過去の年と同様、フランス政府は、多様性と包括性(ダイバーシティ&インクルージョン)に関して、テック系スタートアップはもっと努力すべきと考えているということだ。

French Tech 120の女性創業者は7名から14名になったが「エコシステムにおける女性の登用に関しては、もっとやらなければならない」とセドリック・オ氏は述べている。

また、大統領選挙が近いこともあり、セドリック・オ氏は、過去5年間にスタートアップを手助けした政策変更をいくつか挙げている。

「富裕税(ISF)改革、フラットタックス、労働市場改革、Tibiイニシアチブ、ストックオプション(BSPCE)改革、フレンチテックビザがなければ、今日のフレンチテックはありません」と同氏は述べている。

2021年フランス政府は「Green20」というグリーンテック分野のスタートアップに特化したプログラムも発表した。グリーンテックスタートアップにとって、多くの資金を調達し、多くの収益を上げるには通常より時間がかかることが多いからだ。フランス政府は、今回の記者会見でこのプログラムについて言及しなかった。

26社のスタートアップがユニコーンの地位を獲得し、フランスのテック・エコシステムは最近特に好調だ。しかし、一歩引いて考えてみると、2021年、世界中のユニコーンの数は569から959に急増した。

この2つの指標は、テック産業が経済全体においてますます重要性を増していること、そしてそれがグローバルな競争になっていることを証明している。フランスのスタートアップの中には、それぞれの垂直方向で欧州や世界のリーダーになるための正しい道のりを歩んでいる企業もある。そして、誰がローカルな成功をグローバルな成功に変えていくのか、興味深いところだ。

画像クレジット:経済産業省・財務省・復興庁

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(文:Romain Dillet、翻訳:Akihito Mizukoshi)

カキの養殖・技術DXなどを手がけるリブルが総額1億円調達、養殖技術の強化拡大を目指す

牡蠣(カキ)の人工種苗生産・販売から養殖・販売・スマート漁業化まで牡蠣関連事業に取り組むリブルは2月1日、第三者割当増資により総額1億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は食の未来1号投資事業有限責任組合、SBプレイヤーズ、地域とトモニ1号投資事業有限責任組合、Less is design、瀬戸内Startups 1号投資事業有限責任組合、オプティマ・ベンチャーズ。

調達した資金は、水産業界においてニーズが高まっているという三倍体種苗の生産・供給能力の拡大と、養殖技術の見える化や生産作業の省力化・効率化(水産DX、スマート漁業、スマート養殖)、他地域漁場への技術展開にあてる。三倍体種苗とは、生き物が通常2組持つ染色体を3組持つ「産卵しない」牡蠣という。卵を作らないため身痩せすることがなく、通年で出荷することが可能。種なしブドウや種なしスイカが代表例とされる。

2019年よりリブルは、自社漁場においてシングルシード生産方式の実装可能性を模索し、新たな養殖技術の見える化に取り組んできた。シングルシード方式とは、ホタテの貝殻に密集した状態で付着した牡蠣を筏から吊り下げる従来型の養殖手法ではなく、牡蠣をかごに入れて1粒1粒バラバラの状態で養殖をする手法という。付着物が付きにくく、殻が綺麗に形成される。

従来の牡蠣養殖の手法では、天然採苗と養殖育成の過程で資材として使われるプラスチック部材の大量消費・流出が課題となっており、同社では、シングルシード生産方式への切り替えを通じて、経済性向上に加え、環境負荷を軽減した手法を全国に広める取り組みを展開している。これにより、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて、「海の豊かさを守る」取り組みを続けていくとしている。

また、牡蠣養殖の要となる「種苗」において、天然種苗からのマーケットシフトに備え、研究開発を繰り返し、国内トップ水準を自負できる人工種苗の技術力を築いてきたという。今後、シングルシード生産方式におけるスマート養殖技術の他地域展開、高品質な三倍体種苗の供給の強化・拡大を展開していくため、資金調達を実施した。

2018年5月設立のリブルは、牡蠣養殖から日本の水産業の改革に取り組む水産領域スタートアップ。自社漁場を所有し養殖に取り組み養殖事業者目線でのニーズを熟知しているほか、種苗生産から成品生産販売・スマート漁業化まで一気通貫で取り組んでいる。日本の水産業に今一度誇りを取り戻すとともに、「世界一おもしろい水産業へ」をコンセプトにチャレンジを続けている。

半導体産業は台湾にとって「切り札」にも「アキレス腱」にもなる

TechCrunch Global Affairs Projectは、テックセクターと世界の政治がますます関係を深めていっている様子を調査した。

2021年10月上旬の4日間にわたって、約150機の中国軍用機が台湾の領空を侵犯し、台湾と米国からの批判を招いた。このように台湾海峡で緊張が高まる中、台湾の祭英文総統は米国軍は台湾兵士と台湾国内で軍事演習を行っていると発表した。これに対し中国の外務省は、台湾の独立を支援すれば軍事衝突をもたらすだけだと警告した。10月末、米国国務長官Antony Blinken(アントニー・J・ブリンケン)氏が中国外相Wang Yi(王毅)と会見して、台湾地域での現状変更の動きを控えるよう要請したまさにその日に、さらに8機の中国軍用機(うち6機はJ-16戦闘機)が台湾の領空を侵犯した。

1979年、米国は、中華民国(台湾)が中国本土、つまり中華人民共和国の一部であることを承認した。このときから中台関係の変遷が始まり、現在の状態に至る。中国は長期にわたって台湾併合を望んでおり(中国は台湾をならずもの国家と考えている)、軍事侵攻によって強制併合する可能性を決して除外していないが、米国が台湾を軍事的に防衛するかどうかについて戦略的にあいまいな態度をとってきたため、台湾併合を阻止されてきた形になっている。そして近年、台湾が半導体産業で重要な役割を果たすようになってきたため、状況はさらに複雑化の度を増している。

世界の半導体産業における台湾の重要性

台北本拠の調査会社TrendForce(トレンドフォース)によると、台湾の半導体受託製造業者は、2020年時点で、世界のファウンドリ市場の63%のシェアを獲得しているという。詳細を見ると、世界最大の受託チップ製造業者Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)だけで世界のファウンドリ市場の54%のシェアを確保している。さらに最近のデータによると、Fab 14B P7で停電が発生し製造がストップしたにもかかわらず、TSMCは依然として、2021年の第2四半期で世界のファウンドリ市場の約53%を占めている。

台湾のファウンドリ(TSMCを含む)はほとんどのチップを製造しているが、それに加えて、携帯電話から戦闘機まで、すべてのハイテク機器に内蔵されている世界最先端のチップも製造している。実際、TSMCは世界の最先端チップの92%を製造しており、台湾の半導体業界は間違いなく世界で最も重要視されている。

そして、当然、米国と中国の両国も台湾製の半導体に依存している。日経の記事によると、TSMCは、F-35ジェット戦闘機に使用されているコンピューターチップ、Xilinx(ザイリンクス)などの米国兵器サプライヤ向けの高性能チップ、DoD(国防総省)承認の軍用チップなども製造している。米軍が台湾製のチップにどの程度依存しているのかは不明だが、米国政府がTSMCに対して米国軍用チップの製造工場を米国本土に移転するよう圧力をかけていることからも台湾製チップの重要さの程度が窺える。

米国の各種産業も台湾製半導体に依存している。iPhone 12、MacBook Air、MacBook Proといった各種製品で使用されているAppleの5ナノプロセッサチップを提供しているのはTSMC一社のみだと考えられている。iPhone 13やiPad miniなどのAppleの最新ガジェット内蔵のA15 BionicチップもTSMC製だ。TSMCの顧客はもちろんAppleだけではない。Qualcomm(クアルコム)、NVIDIA(エヌビディア)、AMD、Intel(インテル)といった米国の大手企業もTSMCの顧客だ。

中国も外国製チップに依存しており、2020年現在、約3000億ドル(約34兆円)相当を輸入している。当然、台湾は最大の輸入元だ。中国は外国製チップへの依存度を縮小すべく努力を重ねているが、その需要を国内のみで賄えるようになるのはまだまだ先の話だ。中国の最先端半導体メーカーSemiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)の製造プロセスは、TSMCより数世代遅れている。SMICは現在7ナノ製造プロセスのテスト段階に入ったところだが、TSMCはすでに3ナノ製造プロセスまで進んでいる。

このため、中国の企業は台湾製チップに頼らざるを得ない。例えば中国の先進テック企業Huawei(ファーウェイ)は、2020年現在、TSMCの2番目の大手顧客であり、5ナノと7ナノのプロセッサの大半をTSMCに依存している考えられている。具体的な数字を挙げると、ファーウェイはTSMCの2021年の総収益の12%を占めている。

軍事衝突という形をとらない戦い

2022年前半に起こったことを見るだけで、半導体業界がいかに脆弱かが分かる。比較的落ち着いていた時期でも、停電の影響もあって、TSMCは世界シェアを1.6%失い、継続中の半導体不足に拍車をかけることになった。地政学的な要因による半導体生産量の低下ははるかに大きなものになるだろう。

最悪のシナリオはいうまでもなく、台湾海峡での軍事衝突だ。軍事衝突が起これば、半導体チップのサプライチェーンは完全に分断されてしまう。だが、他にも考えられるシナリオはある。台湾はよく分かっているが、中国に大量にチップを輸出することで、台湾の経済成長は促進されるものの、中国の技術発展も支援していることになる。台湾が、例えば米国との自由貿易協定に署名するなどして、中国への輸出依存度を減らすべく具体的な対策を講じるなら、中国への半導体チップの輸出を打ち切ってしまう可能性がある。

これは中国にとっては耐えられないシナリオだ。考えてみて欲しい。TSMCがトランプ政権の厳しい対中禁輸措置に応えてファーウェイからの新規注文を拒絶して以来、ファーウェイは5ナノ製造プロセスを使用したハイエンドのKirin 9000チップセットの製造を停止せざるを得なくなった。こうしてハイエンドチップが不足すると、ファーウェイはまもなく、5G対応のスマートフォンの製造を継続できなくなるだろう、とある社員はいう

台湾製のチップがまったく入ってこなくなると、中国のテック産業全体の継続的な成長に疑問が生じることになる。そうなると、中国は激怒するだけでなく、国内の安定も脅かされるため、中国政府に台湾武力侵攻の強い動機を与えることになるだろう。

逆に、米国に台湾製チップが入ってこなくなるシナリオも考えられる。「平和的な併合」のシナリオ(武力侵攻なしで台湾が中国に統合されるシナリオ)が実現すれば、台湾のファウンドリは中国政府の支配下に入ることになり、米国にとって戦略的な問題が生じる。中国政府はファウンドリに対してチップの輸出を禁止したり、輸出量を制限するよう要請できる。そうなると、米国は、米軍の最先端の軍事機器のモバイル化に必要なチップが手に入らなくなる。

TSMCが米国企業に対するチップの輸出を停止または制限すると、米国企業は現在のファーウェイのような状況に陥る可能性が高い(中国では「使用できるチップがない」という意味の「无芯可用」という新しいフレーズが登場している)。米国が台湾に侵攻して中国と台湾を再分割する可能性は低いものの、報復として制裁措置を課すなどの対抗手段を検討するかもしれない。そうなれば米中間の緊張がさらに高まることになる。

いうまでもなく、こうしたシナリオが現実化すればグローバルなサプライチェーンは分断され、全世界に深刻な状況を招くことになる。

台湾の半導体産業は国を守る盾か、それともアキレス腱か

台湾は間違いなく、半導体業界における支配的な地位と、それが米国と中国に対する影響力を与えている現在の状況を享受しているが、米中両国は現状に大いに不満を抱いており、両国とも自国に有利な状況になるようさまざまな手段を講じている。たとえば米国は、米国内にチップ製造工場を建設するようTSMCに要請している。一方中国は、TSMCから100人以上のベテラン技術者やマネージャーを引き抜いて、最先端のチップ製造を自国で行うという目標に向けて取り組みを強化している。

これは台湾の将来にとって決して好ましいことではない。台湾が海外での半導体生産量を増やすと、台湾に対する国際的な注目は弱まるかもしれない。が、同時に米国が台湾を軍事的に保護する動機も弱まってしまう。サプライチェーンが広域に分散するほど、中国が台湾を軍事力で併合するための主要な障害が軽減されることにもなる。台湾にとってこれは、難しいが、存続に関わる問題だ。

こうした不確実な要因はあるものの、台湾の地位は少なくとも短期的には安泰のようだ。米中両国の競争相手の製造プロセスはまだ数年は遅れている状態であるし、彼らが追いついてきたとしても、工場は稼働するまでに数年の計画と投資が必要になることはよく知られている。現状に何らかの変化がない限り、米中両国とも、少なくとも短期的には、台湾製チップなしでやっていけるとは考えられない。今確実に言えることは、米中両国は、対台湾戦略において、従来にも増して台湾の半導体産業の役割を考慮する必要があるということだ。

編集部注:本稿の執筆者Ciel Qi(シエル・チー)氏は、Rhodium Groupの中国プラクティスのリサーチアシスタントで、ジョージタウン大学のセキュリティ研究プログラム(テクノロジーとセキュリティ専攻)の修士課程に在籍している。また、ハーバード大学神学部で宗教、倫理、政治学の修士号を取得している。

画像クレジット:Evgeny Gromov / Getty Image

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(文:Ciel Qi、翻訳:Dragonfly)

テクノロジーへの取り締まりが、今後の米国・中国間の競争の運命を握る

TechCrunch Global Affairs Projectは、テックセクターと世界の政治がますます関係を深めていっている様子を調査した。

今、テクノロジー大手は苦境に立たされている。野心的なテクノロジー企業はかつて、中国で比較的独立して活動できる数少ない企業の1つだった。以前、Alibaba(アリババ)のJack Ma(ジャック・マー)氏やDidi(ディディ)のJean Liu(ジーン・リュー)氏のようなテックリーダーは、ダボス会議で主役級の存在感を放つ、中国イノベーションの世界的なシンボルとなっていた。しかし今は違う。

2020年マー氏が中国の規制当局を批判する発言をした後、Alibabaの記録的なIPOは延期され、また同氏は数カ月間、事実上「行方不明」となっていた。Tencent(テンセント)は反トラスト法違反で多額の罰金を科せられている。2020年以降、両社はそれぞれの企業価値の約20%を失い、その総額は3000億ドル(約35兆円)以上に達している。Didiの株価は中国のアプリストアからの削除命令を受けた後、40%も下落している。最近では中国の規制当局がEdTechやゲーム業界に新たな規制を課し、さらには暗号資産を全面的に禁止している。

米国テクノロジー業界の重鎮らは自由を手にしているようにも見えるが、実際は彼らや彼らのビジネスも政府の監視下に置かれている。Lina Khan(リナ・カーン)氏、Tim Wu(ティム・ウー)氏、Jonathan Kanter(ジョナサン・カンター)氏といった反トラスト法を擁護する有力者たちがいずれもバイデン政権で要職に就いており、また米国議会ではプライバシーや年齢制限など、テクノロジー企業を規制する新たな法案が検討されている。

北京でもワシントンでも(そして何年もテクノロジー企業と戦ってきたブリュッセルでも)「大手テクノロジー企業はあまりにも強力になりすぎて責任を取れなくなっている」というコンセンサスがますます明確になってきている。政府はイデオロギーの違いを超えて、公共の利益の名のもとに何らかのコントロールを行わなければならないと考えている。今、創業者、経営者、投資家にとって、政治的リスクがかつてないほど高まっているわけだ。

しかし、表面的には似たような取り締まりに見えても、両国の反トラスト法戦略の意味するところはこれ以上ないほど相違している。中国では、反トラスト法の取締りは与党である共産党の指揮棒に運命が委ねられている。しかし米国の反トラスト法のムーブメントは一様ではない。

米国がまだ始めたばかりのことに対して中国は断固たる行動を取っている。しかし、データプライバシーや子どものスクリーンタイムの制限を謳う中国政府の取り組みは、その真の目的である政治的・経済的な完全支配のための布石にすぎない。事実上独立した市民社会が存在しない中国では、テクノロジー産業は共産党以外に権力を持つことができる数少ない場所の1つとなっていた。しかしこれまで以上に抑圧的な習近平政権では、このような独立した力の源が受け入れられることはない(香港を参照)。党の方針に従わなければ中国国家の強大さに直面するぞというメッセージは明確である。

さらに、中国はパワーの拡大を目指している。中国はかねてより次世代技術の支配を目指しており「China Standards 2035」プロジェクトの一環として、5GやAI、再生可能エネルギー、先進製造業など、数多くの重要な産業や分野の標準化の設定を積極的に進めている。これを実現するための主要戦略として、中国は国際的な基準設定団体を水面化に支配しようと試みていたのだが、北京はこれらのテクノロジーを開発する企業をコントロールすることも同様に重要であると気づいたのである。Huawei(ファーウェイ)、Xiaomi(シャオミ)、TikTok(ティックトック)の3社は、欧米の政治家が懸念しているような積極的なスパイ活動は行っていないかもしれないが、彼らの利用が広がれば広まるほど、中国の規格が世界のデフォルトになっていくことになる。

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ジャック・マー氏の運命と中国の5GリーダーであるHuaweiの創業者一族の運命を対比してみるといい。Huaweiは中国のテクノロジーを世界の多くの国でデフォルトの5Gキットとすることに成功。これにより中国の技術的信頼性が高まり、いくらマー氏が共産党員でもこの功績の比較にはならない。Huaweiは当然北京との親密さを売りにしており、Huaweiを選ぶことは中国への信任投票の代名詞となっているが、その分のリスク存在する。米国は、Huaweiと中国の治安機関との関係を懸念して同社に対する反対運動を実施。その結果、Huaweiが米国の対イラン制裁に違反したとして、同社創業者の娘でCFOのMeng Wanzhou(孟晩舟)氏がカナダで逮捕されるに至ったのである。

しかし、忠誠心が報われないわけではない。北京は2人のカナダ人を逮捕し、彼らの拘留を利用して晩舟氏の釈放に向けた取引を成功させた。例えHuaweiが以前は北京に忠誠を誓っていなかったとしても、今は確実に誓っているだろう。中国の他のテクノロジー大手にとっての教訓になったのではないだろうか。

中国の弾圧により投資は冷え込み、人材は浪費され、恐らく中国の強力なテクノロジー部門を築いてきた起業家精神も失われたことだろう。しかし、権力を振るってテクノロジー企業を屈服させることには間違いなく成功している。

北京が国益のためにテクノロジー大手を弾圧する一方で、米国が自国のテクノロジー大手を取り締まっている理由は一体何なのだろうか?米国の独禁法取締官はテクノロジーパワーの肥大化を懸念しているかもしれないが、より競争力のある部門がどうあるべきかという戦略的ビジョンを持っているとは信じ難い。米国の大手テクノロジー企業はその規模が米国の競争力に不可欠であるという主張をすることがあるが、彼らも政府も、自分たちが「アメリカンパワー」の作用因子であるとは考えていない。実際、米国議会がテクノロジー企業と中国のどちらをより敵視しているのか、判断に迷うほどである。

反トラスト法を支持する人々は、Google(グーグル)やApple(アップル)といった企業を解体するか、少なくとも規制することで全体的な競争力が高まり、それが政治や米国のテクノロジー分野に広く利益をもたらすと信じている。AmazonからAWSを、 Facebook(フェイスブック)からInstagram(インスタグラム)を切り離すことで、消費者にはメリットがもたらされるかもしれないが、これがテクノロジーに関する米国の優位性を維持することにどうつながるだろうか?それはまったく不明である。

これまでの米国におけるハンズオフ型の資本主義システムは、オープンでフラット、民主的であり、世界の歴史上最高のイノベーターを生み出してきた。同産業は政府が支援する研究の恩恵を受けてきたが、政府との関係の「おかげ」ではなく、むしろ政府との関係があったにもかかわらず、成功を遂げることができたのだ。米国企業が世界的に信頼されているのは(ほぼ)そのためであり、政権の動向に左右されることなく、法の支配を遵守することが知られているからなのである。

テクノロジーにおける米国と中国間の競争は、この前提を根底に検証されなければならない。政府から独立して運営されている分散型かつ非協調的な産業が、超大国によって編成された一産業に対して優位性を維持できるのか?

筆者はそれでも米国の(そして同盟国の)イノベーションは、これまで通り成功し続けると楽観視している。開放性は創意工夫を生むのである。米国の研究とスタートアップはどの国にも劣っておらず、そして競争に適切に焦点を当てることで、発展が到来するのである。

しかしだからといって、少なくとも限定的な国家戦略がまったく不必要というわけではない。米国に中国のような産業政策が必要だと言っているわけではない。結局のところ、中国のトップダウンモデルは壮大な無駄を生み出し、それが何十年にもわたって中国経済を圧迫することになる可能性があるのだ。企業を強制的に壊してしまうような露骨なやり方では、かえって害になることが多いだろう。

その代わりに米国の議員たちは、反トラスト法に関するヨーロッパの見解に賛同しつつある今、大西洋をまたいだグローバルな競争基準の賢明なフレームワークを開発すべきだ。新設されたU.S.-EU Trade and Technology Council(米欧通商技術評議会)とQuad(日米豪印戦略対話)のテクノロジーワーキンググループが協力を促進し、フェアプレーを維持する善意の民主的テクノロジーブロックを作るための基礎を築くべきなのである。

商業的なアウトカムに影響を与えることなく、政府が支援を行うというこのような中間的な方法には前例がある(冷戦時代に生まれたシリコンバレーの例など)。米国のテクノロジー産業の起業家精神を阻害することなく、ガードレールを提供するためにはこの方法が最適だ。

議会や行政がテクノロジー競争をどう扱うかを検討する際、現在の弊害を是正するだけではなく、米国のテクノロジーそのものの未来を描くことを念頭に置くべきである。なんと言っても米国経済のリーダーシップがかかっているのだから。

編集部注:本稿の執筆者Scott Bade(スコット・ベイド)はTechCrunch Global Affairs Projectの特別シリーズエディターで、外交問題についての定期的な寄稿者。Mike Bloomberg(マイク・ブルームバーグ)の元スピーチライターで、「More Human:Designing a World Where People Come First」の共著者でもある。

画像クレジット:Anson_iStock / Getty Images

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(文:Scott Bade、翻訳:Dragonfly)

ウォルマートがホームサービスの提供を拡大、Angiとの新たなパートナーシップ

Walmart(ウォルマート)はホームサービスを拡大している。同社は米国時間1月31日、Angi(アンジー、Angie’s List)との新たな提携を発表した。全米50州の約4000店舗でWalmartの顧客がサービスのプロを利用できるようにする。Walmartの顧客が店頭やオンラインで買い物をする際、床張りや塗装、フェンス設置、さらには家具の組み立てや大型テレビの取り付けといった細々とした作業など、150種の一般的なホームプロジェクトでAngiのプロを予約できるというものだ。

Walmartは2018年にHandy(ハンディ)と提携し、2000超の店舗で家庭内の設置・組み立てサービスを販売し始め、その後オンラインにも拡大してホームサービス市場への最初の一歩を踏み出した。これは、顧客が家具などのアイテム購入時に、新アイテムを自宅に設置するための設置作業の予約もすぐに入れられるというものだった。この動きは、ライバルのAmazon(アマゾン)が2015年に小売サイト上にホームサービス専用のハブを立ち上げてホームサービスに参入したことに続くものだった。

WalmartがHandyとの提携を発表した直後、同社はAngi Homeservicesに買収された。そして2021年、Handyの共同創業者であるOisin Hanrahan (オイシン・ハンラハン)氏が、統合会社のCEOに就任した。潜在的な市場を踏まえ、後に自らの契約を拡大し、どこかの時点でHandyのホームサービス全般を含めることで、Walmartはこの買収を利用することもできると予想されていた。

同社は1月31日、HandyではなくAngiがホームサービスのパートナーになると説明した。これにより、Walmartは自社の顧客と25万人を超えるAngiの専門家のネットワークとを結びつけることができるようになる。HandyのブランドがWalmartのウェブサイトで紹介されることはなくなる、とWalmartはTechCrunchに語った。代わりに、Angiのブランドだけが店舗とオンラインの両方で見られるようになる。これはまた、Angiが2021年にリブランドしたことによるものでもある。同社はその際、もはや「Angie’s List」が単なる「リスト」ではなく、顧客がサービスのプロやその他の住宅建設業者を調べて予約し、予定を組んで支払いもできるサイトとして、ブランド名が自社のサービスを正確に表現できないと判断した。

画像クレジット:Walmart

Handyとの提携と比較すると、WalmartとAngiの新しい契約では、提供するサービスの数が増えることと相関して、以前の統合よりもはるかに幅広いSKU数となる。Handyとの提携は主にテレビや家具の設置など、小規模なプロジェクトにおける家庭内での設置・組み立てサービスが中心で、テレビ設置が45ドル(約5200円)、家具の設置が79ドル(約9000円)〜だった。しかし、Angiとの提携ではさらに踏み込んでいて、塗装、床張り、フェンス設置などより複雑なサービスも新たに提供するようになった。Walmartによると、さらに複雑なサービスにも手を広げていく予定だという。

この提携の財務的な内容や収益への影響についてWalmartに尋ねたところ、同社は詳細を明らかにすることを却下した。例えば、同社のサイトを通じて予約されたAngiのサービスに対して、どれくらい仲介料を取る可能性があるかなどは明らかにしていない。ただし、WalmartはAngiのサービスを提供する最初の期間限定独占小売店となる。

画像クレジット:Walmart

顧客は、オンラインおよび店舗で対象商品と一緒にAngiのサービスを予約するか、2月中旬に公開されるWalmart.comのAngi専用ランディングページから予約できるようになる(URLはまだ最終決定されていないとのことだ)。購入後、Angiが予約の調整を行う。大規模なサービスについては、専任のプロジェクトアドバイザーが顧客にカスタムメイドの見積もりを提供し、プロフェッショナルを探し、プロジェクトが成功するよう作業を管理する。

AngiのCEO、Oisin Hanrahan(オイシン・ハンラハン)氏は、今回のサービス開始について次のように述べた。「当社初の小売との統合として、世界有数の小売企業であるWalmartと立ち上げることができ、これに勝る喜びはありません。パンデミックが始まって以来、家庭が注目され、全米の人々はこれまで以上に住まいの改良やメンテナンス、修理を行っており、そうしたプロジェクトを始めるのに必要なツールや材料を探すためにしばしばWalmartを利用しています。新しいスマートTVを設置してエンターテインメント空間を華やかにしたり、増えた家族のために子ども部屋にペンキを塗ったり、屋外スペースを改造してパティオを設けたりといったことは、今やWalmartの顧客がWalmartでのショッピング体験の一部として、Angiのプロの助けを借りてシームレスに行えるプロジェクトになっています」と述べた。

Walmartの小売サービス部門シニアディレクターであるDarryl Spinks(ダリル・スピンクス)氏は「Angiは経験豊富で高い評価を得ているプロを顧客に案内し、家庭内の作業を支援します。Angiの便利で簡単なサービスをお客様に提供することに胸躍らせています」と述べた。

画像クレジット:Nicholas Kamm/AFP / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】アジャイルなスタートアップモデルに倫理観を導入する時代がきた

アイデアを得て、チームを作り、「実用最小限の製品(MVP)」を完成させてユーザーに届ける。これは誰もが知っているスタートアップの事業の進め方である。

しかし、人工知能(AI)や機械学習(ML)がハイテク製品のいたるところに導入されるようになり、意思決定プロセスにおいてAIが人間を補強、または代替することの倫理的意味を市場がますます意識するようになった現在、スタートアップはMVPモデルの再考を迫られている。

MVPモデルとは、ターゲット市場から重要なフィードバックを収集し、製品の発売に向けて必要な最小限の開発に反映させるというもので、今日の顧客主導型ビジネスを推進する強力なフィードバックループを生み出している。過去20年間で大きな成功をもたらした、スマートでアジャイルなこのモデルは、何千社ものスタートアップを成功に導き、その中には10億ドル規模に成長した企業もある。

しかし、大多数のために機能する高性能な製品やソリューションを構築するだけでは、もはや十分ではない。有色人種に偏見を持つ顔認識技術から、女性を差別する信用貸付アルゴリズムまで、ここ数年間でAIやMLを搭載した複数の製品が、その開発とマーケティングに何百万ドル(何億円)も注ぎ込まれた後に倫理的ジレンマが原因で消滅している。アイデアを市場に出すチャンスが一度しかない世界でこのリスクはあまりにも大きく、安定した企業であっても致命的なものになりかねない。

かといってリーンなビジネスモデルを捨て、よりリスク回避的な代替案を選ばなければならない訳ではない。リーンモデルの俊敏性を犠牲にすることなく、スタートアップのメンタリティに倫理性を導入できる中間領域があるのだが、そのためにはスタートアップの最初のゴールとも言える初期段階の概念実証から始めると良い。

そして企業はMVPを開発する代わりに、AI / MLシステムの開発、展開、使用時に、倫理的、道徳的、法的、文化的、持続可能、社会経済的に考慮するアプローチであるRAI(責任ある人工知能)に基づいた倫理的実行可能製品(EVP)を開発して展開すべきなのである。

これはスタートアップにとってだけでなく、AI / ML製品を構築している大手テクノロジー企業にとっても優れた常套手段である。

ここでは、特に製品に多くのAI/ML技術を取り入れているスタートアップがEVPを展開する際に利用できる、3つのステップをご紹介したい。

率先して行動する倫理担当者を見つける

スタートアップには、最高戦略責任者、最高投資責任者、さらには最高ファン責任者などが存在するが、最高倫理責任者はそれと同じくらい、またはそれ以上に重要な存在だ。さまざまなステークホルダーと連携し、自社、市場、一般の人々が設定している道徳的基準に適合する製品を開発しているかどうかを確認するのがこの人物である。

創業者、経営幹部、投資家、取締役会と開発チームとの間の連絡役として、全員が思慮深く、リスクを回避しながら、正しく倫理的な質問をするよう、とりはからうのもまたこの人物の仕事である。

機械は過去のデータに基づいて学習する。現在のビジネスプロセスにシステム的な偏りが存在する場合(人種や性別による不平等な融資など)、AIはそれを拾い上げ、今後も同じように行動するだろう。後に製品が市場の倫理基準を満たさないことが判明した場合、データを削除して新しいデータを見つけるだけでは解決しない。

これらのアルゴリズムはすでに訓練されているのである。40歳の男性が、両親や兄妹から受けてきた影響を元に戻せないのと同様に、AIが受けた影響も消すことはできない。良くも悪くも結果から逃れることはできないのだ。最高倫理責任者はAI搭載製品にそのバイアスが染み込む前に、組織全体に内在するそのバイアスを嗅ぎ分ける必要がある。

開発プロセス全体へ倫理観を統合する

責任あるAIは一度きりのものではなく、組織のAIとの関わり合いにおけるリスクとコントロールに焦点を当てた、エンド・ツー・エンドのガバナンスフレームワークである。つまり倫理とは、戦略や計画から始まり、開発、展開、運用に至るまで、開発プロセス全体を通じて統合されるべきものなのだ。

スコーピングの際、開発チームは最高倫理責任者と協力して、文化的、地理的に正当な行動原則を表す倫理的なAI原則を常に意識するべきである。特定の利用分野において道徳的な決定やジレンマに直面したとき、これらの原則はAIソリューションがどのように振る舞うべきかを示唆し、アイデアを与えてくれるだろう。

何より、リスクと被害に対する評価を実施し、身体的、精神的、経済的に誰も被害に遭っていないことを確かめる必要がある。持続可能性にも目を向け、AIソリューションが環境に与える可能性のある害を評価するべきだ。

開発段階では、AIの利用が企業の価値観と一致しているか、モデルが異なる人々を公平に扱っているか、人々のプライバシーの権利を尊重しているかなどを常に問い続ける必要がある。また、自社のAI技術が安全、安心、堅牢であるかどうか、そして説明責任と品質を確保するための運用モデルがどれだけ効果的であるかも検討する必要がある。

機械学習モデルの要素として重要なのが、モデルの学習に使用するデータである。MVPや初期にモデルがどう証明されるかだけでなく、モデルの最終的な文脈や地理的な到達範囲についても配慮しなければならない。こうすることで、将来的なデータの偏りを避け、適切なデータセットを選択することができるようになる。

継続的なAIガバナンスと規制遵守を忘れずに

社会的影響を考えると、EUや米国などの立法機関がAI/MLの利用を規制する消費者保護法を成立させるのは時間の問題だろう。一度法律が成立すれば、世界中の他の地域や市場にも広がる可能性は高い。

これには前例がある。EUで一般データ保護規則(GDPR)が成立したことをきっかけに、個人情報収集の同意を証明することを企業に求める消費者保護政策が世界各地で相次いだ。そして今、政界、財界を問わずAIに関する倫理的なガイドラインを求める声が上がっており、またここでも2021年にAIの法的枠組みに関する提案をEUが発表し、先陣を切っている。

AI/MLを搭載した製品やサービスを展開するスタートアップは、継続的なガバナンスと規制の遵守を実証する準備を整える必要がある。後から規制が課される前に、今からこれらのプロセスを構築しておくよう注意したい。製品を構築する前に、提案されている法律、ガイダンス文書、その他の関連ガイドラインを確認しておくというのは、EVPには欠かせないステップである。

さらに、ローンチ前に規制や政策の状況を再確認しておくと良いだろう。現在世界的に行われている活発な審議に精通している人物に取締役会や諮問委員会に参加してもらうことができれば、今後何が起こりそうかを把握するのに役立つだろう。規制はいつか必ず執行されるため、準備しておくに越したことはない。

AI/MLが人類に莫大な利益をもたらすというのは間違いない事実である。手作業を自動化し、ビジネスプロセスを合理化し、顧客体験を向上させる能力はあまりにも大きく、これを見過ごすわけにはいかない。しかしスタートアップは、AI/MLが顧客、市場、社会全体に与える影響を強く認識しておく必要がある。

スタートアップには通常、成功するためのチャンスが一度しかないため、市場に出てから倫理的な懸念が発覚したために、せっかくの高性能な製品が台無しになってしまうようではあまりにももったいない。スタートアップは初期段階から倫理を開発プロセスに組み込み、RAIに基づくEVPを展開し、発売後もAIガバナンスを確保し続ける必要がある。

ビジネスの未来とも言えるAIだが、イノベーションには思いやりや人間的要素が必要不可欠であるということを、我々は決して忘れてはならないのである。

編集部注:執筆者のAnand Rao(アナンド・ラオ)氏はPwCのAIグローバル責任者。

画像クレジット:I Like That One / Getty Images

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(文:Anand Rao、翻訳:Dragonfly)

Uberの無謀な勃興を描くドラマ「Super Pumped」予告編第1弾、ユマ・サーマンもハフポスト創設者役で出演

Uber(ウーバー)の台頭は、時とともに程度を増して問題視されてきた行き過ぎ行為が事あるごとに報告されていなければ、フィクションとしても信じがたいものだったかもしれない。準法的タクシービジネス(今でも膨大な数のドライバーを誤って分類している可能性が高い)である同社は、警察を積極的に欺くことを含め、成功するためにはあらゆる手段を講じることが当たり前であるという、攻撃的な男尊女卑の職場カルチャーを隠そうとしてきた。このような状況は、今では変わったと我々は信じさせられている。

初代CEOのTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏が率いていた会社について何か言えるとすれば、悪行のエピソードには事欠かないということだろう。序でに、そうした話はおもしろいドラマになりやすい。

「Super Pumped(ウーバー戦記:いかにして台頭し席巻し社会から憎まれたか)」は、ニューヨーク・タイムズの記者、Mike Isaac(マイク・アイザック)氏の同名の著書を基に、Joseph Gordon-Levitt(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)がカラニック元CEOを演じ、配車アプリが大成功を収め(これはネタバレではないだろう)、世間からの激しい反発を受け、最終的に解任されるまでの軌跡を描いている。Kyle Chandler(カイル・チャンドラー)がベンチャーキャピタリストのBill Gurley(ビル・ガーリー)役を演じるようだが、このトレイラーでは、Arianna Huffington(アリアナ・ハフィントン)役のUma Thurman(ユマ・サーマン)の異例の登場もチラ出し予告されている(彼女のテレビ出演は例が少ない)。

このアンソロジーシリーズはシーズンごとに異なるビジネスリーダーを取り上げることになっており、今年2月27日に米Showtimeで初放送が予定されている。今のところ、今回のUberのドラマ化の後にどの企業が登場するかは明らかになっていないが、世の中には残忍で冷酷非情なCEOが後を絶たないことは確かだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Bryan Menegus(ブライアン・メネガス)氏は、Engadgetのシニア・ニュースエディター。

画像クレジット:Showtime

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(文:Bryan Menegus、翻訳:Aya Nakazato)

グーグル、インドの通信大手Airtelに最大約1152億円出資へ

Googleがインドの通信事業者Airtelに、最大10億ドル(約1152億円)の投資を行なう。それはこの国への100億ドル(約1兆1522億円)の積極関与の約束の一環として、世界で2番目に大きいインターネット市場にGoogleが張ってきた一連の賭けの、最新のものだ。

関連記事:グーグルが世界最後の成長マーケットであるインドに1兆円超を投資

Googleによると、同社は7億ドル(約807億円)を投資してAirnetの株の1.28%を取得する。Airtelはインドで2番目に大きい通信事業者で、契約者は3億人を超える。Googleは同社にさらに3億ドル(約346億円)を投じて、複数年の商業的合意の可能性を探る。

両社は「革新的なアフォーダビリティプログラム」を通じて、消費者に幅広いAndroid対応デバイスを提供するために、Airtelのサービスを拡大することに取り組むと述べている。また、GoogleとAirtelは、より手頃な価格のスマートフォンを作るために、スマートフォンメーカーとの提携を模索する予定だという。

GoogleとAlphabetのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は「Airtelはインドのデジタルの未来を形作る主要なパイオニアであり、接続性を拡大し、より多くのインド人にインターネットへの公平なアクセスを確保するという共通のビジョンで提携できることを誇りに思います」と声明で述べています。

「Airtelへの商業投資および株式投資は、スマートフォンへのアクセスを拡大し、新しいビジネスモデルをサポートする接続性を強化し、企業のデジタル変革の旅を支援するGoogle for India Digitization Fundの取り組みを継続するものです」。

インドのコルカタのAirtelストア、2021年11月24日(画像クレジット:Debarchan Chatterjee/NurPhoto via Getty Images)

現地時間1月28日の発表は、AirtelとVodafoneがインド政府への数十億ドル(数千億円)の借款の返済で腐心しているときに行われた。Vodafoneは2021年1月の初めに所有権の35%ほどをニューデリーに渡し、インド政府が同社の最大の株主になった。

VodafoneとAirtelは、アジア最大のお金持ちであるMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が経営するJio Platformsと競合している。Jio Platformsは、その音声とデータの低料金により契約者数が4億を超えている。Googleは2020年にJio Platformsに45億ドル(約5185億円)を投資した。Facebookをはじめ10以上の企業がアンバニ氏のその他の企業を支援している。

GoogleとJio Platformsはコラボレーションにより、彼らが初め大衆向けと呼んでいたAndroidスマートフォンを作った。しかしそのハンドセットは一度遅れ価格も相当高いので多くは売れないとアナリストたちは考えていた。2017年のインドで行われたイベントでピチャイ氏は、インドのような市場は世界に多いが、そんな市場では、スマートフォンの大衆化のためには価格が30ドル(約3460円)以下でないとだめだ、と述べた。JioPhoneのいわゆる大衆機は87ドル(約1万20円)だった。

Airtelは1月28日に、Googleとは「大型の戦略的目標」を検討し、共同でインド固有のネットワークドメインによる5Gのユースケースやその他のスタンダードを作っていくという。

両社はまた、インドにおけるクラウドエコシステムの形成と成長でも協働していくという。Airtelはすでに同社のエンタープライズ接続性サービスを100万以上の中小企業に提供しており、クラウドによるデジタル化の採用が加速される、と金曜日に発表している。

Bharti Airtelの会長Sunil Bharti Mittal(スニル・バーティ・ミタル)氏は声明で「AirtelとGoogleは革新的なプロダクトでインドのデジタルの恩恵を育てていくビジョンを共有している。私達の未来指向のネットワークとデジタルのプラットフォーム、ラストマイルの配信、および決済のエコシステムにより、Googleとの密接な協力でインドのデジタルエコシステムの深さと幅を増大していきたい」と述べている。

6億のインターネットユーザーがいて、まだその他のもっと多くがオンラインでないインドは、米国のテクノロジーグループにとって最後で最大の成長市場だ。GoogleとFacebookはともに10年前から、数千万のインド人にインターネットへの接続を提供するためのさまざまな事業を展開してきた。

画像クレジット:Samir Jana/Hindustan Times/Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)