全ユーザーの3割が投稿、なぜ10代はMixChannelに熱狂するのか?

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スマートフォンで撮影した10秒の動画を共有できる「MixChannel」は、10代に人気のコミュニティだ。月間アクティブユーザー数(MAU)は380万人、月間再生回数は5億回。こうした数字以上に驚くのは、動画を投稿したことのあるユーザーが全体の3割を占めることだ。なぜ、10代はMixChannelに熱狂するのか。

福岡で開催中のイベント「B Dash Camp 2015」で、サービスを運営するDonutsの福山誠氏が、その秘訣を明かした。

MixChannelで人気のコンテンツのひとつはカップル動画だ。どんな内容かというと、中高生の男女がカメラの前でイチャイチャと抱き合ったり、キスしたりというもの。ただそれだけの内容を何組ものカップルがマネをして、相次いで投稿しているのだという。

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MixChannelプロデューサーの福山誠氏

「MixChannelでは、他のユーザーが投稿した動画をマネる行為が多いんです。やってることはみんな一緒で、数千人が目をつぶってチューする動画を上げている。マネをしたり、されたりするのが、MixChannelのコミュニケーションなんです。」

ユーザーがコンテンツを投稿するCGMは、Instagramのように利用者のほとんどが閲覧も投稿もするサービスを除けば、投稿率は全体の1割以下というのが相場。福山氏の言葉を借りれば、MixChannelの投稿率の高さは、「お題に乗っかるコミュニティの楽しみ方がある」ということらしい。

グリー田中氏が10年を振り返る——社会からの批判、「未熟」の一言につきる

福岡で4月9日〜10日に開催中の招待制イベント「B Dash Camp 2015 Spring in Fukuoka」。午後には「グリー10年の軌跡とこれから」と題したセッションが開かれた。登壇したのはグリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏。B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏がモデレーターを務める中、グリーのこれまで——特に苦労を中心に——を語った。

人が誰も入ってこなかった

2人で起業してから従業員約1800人まで成長したグリー。渡辺氏はまず、一番大変だった時期について尋ねる。

「この10年悩んでいるが、グリーはすごくうまくいっているのか、そうではないのか分からなくなる」(田中氏)と答える田中氏だが、まず最初に大変だったのは人材採用だったそうだ。

「1番目の社員は山岸さん(創業期メンバーであり、現・取締役副会長の山岸広太郎氏)の友達。エンジニアだと聞いていたが『経理しかできない』と言われた。でも人がいなかったので採用した。2、3番目は学生で、4番目は営業に来たサイボウズの社員。手当たり次第採用しないと誰も入ってこなかった」(田中氏)。

上場時の社員は約100人だが、田中氏の友達の友達、社員の友達の友達といった人材が7割程度を占めていた。「(友達が多いのは)自慢ではなくて、ただ誰も入ってこなかった」(田中氏)

田中氏は、そんな状況でも事業を続けられた理由について、楽天での経験を挙げる。「創業期に遊びに行ったとき、楽天は雑居ビルの一室。三木谷さんはハーバードを出ているのにカローラに乗っていて『こういう人に関わっちゃいけない』と思った。だがその後会社は大きくなり、『会社ってそうやって作るモノだ』と思った。だから(グリーの創業期も)乗り越えられた」

PCからフィーチャーフォンへのシフト

苦労話はまだ続く。いざ人材が入っても、その人材に支払うお金がないのだ。「僕も(年収)400万円くらいで働いていた。辛いのは誘って入社してくれる人。前職から大幅に給料を下げてもらうしかないのが現実。心苦しいと思っていた」(田中氏)

そんなときは、自身でキャッシングしてお金を捻出していたそう。給料遅延こそなかったそうだが、「このあと破産するか、うまくいくか、どっちかしかないと思っていた」(田中氏)のだそう。

苦境はまだまだ続く。上場が見え始めた頃(2005〜2006年頃、KDDIからの調達前)に、PCでのビジネスの限界点が見えたという。そのタイミングでフィーチャーフォンで定額制がスタート。思いきってモバイルにシフトをしたのだという。

渡辺氏はその際に出た社内の不満をどう調整していったのかと田中氏に尋ねる。「社長として問われるのは、その話(モバイルシフト)をして納得しない、辞めちゃったとしてもしょうがない。『それしかないんだ』と自分でどれだけ確信できるかだ」(田中氏)

社会からの批判、「未熟」の一言につきる

そんな苦労も超えて、ゲームプラットフォームとして成功の道を歩き始めたグリー。だが2010年頃からは、競合とのケンカ(渡辺氏の表現。当時グリーとDeNAはプラットフォーム同士でのいざこざがいろいろあった。当時の状況を知りたければこんな記事もある)に始まり、コンプガチャの問題が起こる。

田中氏は当時の心境について、「何が起きているのか咀嚼するのに時間がかかった。メディアの報道を見て、何を問われているのかと」と振り返る。

「僕らはいいサービス、使ってもらうサービスを作っているという、ある意味純粋な気持ちだった。『誰も使わない』と言われていた釣りゲームを作った結果、国内累計1500万人に使われるようになり、そして社会問題になった」(田中氏)

「だが今思うと『未熟』の一言に尽きる。0から数千万人が使うようなサービスをやったことがなかったので、言い訳にならないが、その重要性や社会への責任、説明の仕方が分かってなかった。ビジネスマンとして世の中を変えるのであればその資格がない。未熟だった」(田中氏)

渡辺氏はこれを受けて、暗にgumiの業績下方修正を発端にした騒動に触れ、「社会的認知がされて、未公開から公開企業になって、社長の行動を考えないと(いけない)」と語る。

田中氏もこれに同意し、「ほとんどの人が悪意を持っているのではなく、どうしていいのか分からないということだと思う。でもそれは『分からない』では済ませられない。だらかが分かりやすく何度も説明する必要があると思う」とした。

グリーで一生頑張る

社会とも向き合い、海外にも進出(そして一度撤退して最適化)したグリー。PCからフィーチャーフォンへのシフトに次ぐスマートフォンのウェブからネイティブアプリへの、2回目の「シフト」を進めている。

その状況については「人員的なシフトは完了して、『消滅都市』はランキングも売上も上がり続けている。手応え、勝ちパターンはやっと見えてきた。重要なのは続けること。ボラティリティはあるが、強い精神力で作り続けていくべき」(田中氏)

さらに、渡辺氏から「また新しいことで起業しないのか」と尋ねられると、「人生で二度とやりたくないランキング一位が『起業』(笑)」としたあと、「僕もみんなもスティーブ・ジョブズにあこがれている。でもジョブズもゲイツも30年やって今に至る。それであれば30年やらないといけない」とコメント。「グリーで一生頑張る」とした。

もはや国境は意識しない、日本発IoTスタートアップの強みと課題

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新経済連盟が開催するカンファレンス「新経済サミット2015」が4月7日から8日にかけて東京で開催された。初日となる4月7日には「世界を担う日本発のIoT 〜グローバルマーケットで日本企業はどのように闘うのか〜」と題するセッションが開催された。IoT(モノのインターネット)の時代、世界で勝つ為に求められるものは何か。官民それぞれの立場から意見が交わされた。

登壇したのは総務省 情報通信国際戦略局 通信規格課  標準化推進官の山野哲也氏、経済産業省 商務情報政策局 情報経済課長の佐野究一郎氏、WiL 共同創業者ジェネラルパートナーの西條晋一氏、イクシー代表取締役社長の近藤玄大氏、Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏の5人。モデレーターはABBALab代表取締役の小笠原治氏が務めた。

国はIoTをどう見ているか

総務省や経産省は、IoTをどう捉えているのだろうか? 経産省の佐野氏は、ドイツの国策である「インダストリー4.0」やアメリカGE社のIoTプラットフォーム「Predix」といった、生産工程の自動化・デジタル化、センサー・人工知能(AI)を使った開発パフォーマンス向上施策を例に挙げ、海外でのIoTの急速な広がりを説く。

では日本はどうなっているのかというと、産業競争力会議においてビッグデータやIoT、AIの推進に取り組む事が決まった段階であり、具体的な政策のあり方は検討中とのこと。今後は「ベンチャー企業の力をいかに増やすかが重点事項」と課題を語る。

山野氏は総務省の観点から標準化について解説。IoTには4つの要素があるという。

・センサーで情報を集める技術
・収集した膨大なデータをネットワークに送る技術
・膨大なデータを解析し、意味あるデータを発掘する技術
・得られた意味をデバイスにフィードバックする技術

それぞれの要素別に見ると国際標準化は進みつつあるとし、M2Mの標準化団体oneM2Mを例として挙げた。ただ国内における標準化作業は出遅れている感が否めないとのこと。

IoTビジネスはに国境はない

「世界と戦う」という意味について、実際にIoTでビジネスを立ち上げているスタートアップはどう考えているのだろうか。

Cerevoの岩佐氏は、日本、海外という意識は全くしていないと言う。インターネットという世界共通プロトコル上で動作する「モノ」を販売しているため、発表すればおのずと世界中から注文が来るとのこと。むしろわざわざ「グローバル」と意識をすることなく、それで世界で成功できるのがハードウェアの良い点だと持論を述べた。

筋電義手「handiii」を手がけるイクシーの近藤氏は、「モノは分かりやすいので、コンテンツが良ければどこでも売れる」と説明。handiiiをSouth by Southwest(SXSW)でデモした時の反響の大きさを例に挙げた。handiiiは医療分野のプロダクトであり、国によって法律が異なるためローカライズは困難を極めるプロダクトだ。だがイクシーでは極力データも公開し、各国の研究機関と共同で開発を進めていきたいとした。

ベンチャー投資を手がける傍らでソニーと合弁会社「Qrio」を立ち上げ、スマートロックの開発しているWiLの西條氏も、「モノ(ハードウェア)は非言語なのでイメージされやすく、世界展開はしやすい」と語る。

日本でビジネスを行う3つメリット

スタートアップ側の登壇者3人が「国境はあまり意識していない」と語るが、モデレーターの小笠原氏は、日本でビジネスをすることの利点を尋ねた。

「そもそも僕ら(日本でビジネスをするスタートアップ)は有利」——岩佐氏はそう語る。その理由の1つめは「Japanブランド」。先代の方々(これまでの日本のメーカー)が築き上げてきた信頼のおかげで、全く同じ製品だったとしても日本製が選ばれるのは大きいとした。2つめは「家電設計者の多さ」。これだけ家電開発者が多い国は世界を見渡してもほかにない。これがIoT時代の武器になると話す。3つめは「時差」。家電やハードウェアのほとんどの工場は現在アジアに集中しており、時差も少なくいざとなれば3〜4時間で行ける距離にある日本は欧米と比較して地理的にも有利だとした。

また近藤氏は、「長期的に日本に留まるかは分からない」とは言うものの、「日本人のこだわり、職人気質はプロトタイプを開発する上でメリットになった」と言う。

IoTスタートアップ、挑戦するには「いい時期」

セッション終了後の囲み取材で、西條氏、岩佐氏、近藤氏から、ハードウェア、IoTスタートアップに挑戦する人に向けたメッセージを貰ったので、以下にご紹介する。

WiL 西條氏

起業するにもいろんな方法がある。イクシーやCerevoのように自力でやる方法もあれば、WiLのように大企業とコラボレーションする方法もある。「メンバーが不足しているからできない」と諦めて欲しくない。自分は文系人間でものづくりの経験も無かったが、今は非常に良いチームができている。いろんな山の登り方がある。やりたいという気持ちを大事にしてほしい。

Cerevo 岩佐氏

基本は「やりたいと思った時がやり時」だが、ここ1〜2年急激にハードウェアスタートアップがやりやすくなった。2007年当時はハードウェアスタートアップとか言うと笑われる時代だったが、今はDMM.make AKIBAの様なシェアオフィスもあり、興味を持ってくれる投資家も増えた。始めるにはいい時期。あと、ITでの起業というとエンジニアが起業するイメージが強いが、自分の周りでは文系、調整型の人間が立ち上げた企業が成功している。ぜひ文系の人にも挑戦してほしい。

イクシー 近藤氏

むしろ今の学生はすでに起業している。大学の研究室の成果をクラウドファンディングに乗せて製品化を目指すような流れが普通になってきている。逆に、定年退職したベテラン職人が起業するようになると面白いと思う。

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左から小笠原氏、山野氏、佐野氏、西條氏、岩佐氏、近藤氏

 

「泥んこ発電」で子供たちの科学力を育てるMudWatt

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またひとつ、子供たちに科学技術的な知識と興味を与えようとするプロダクトが誕生した。MudWattというもので、泥を使って電気を起こすものだ。この非常に楽しそうな(汚い、という人もいるだろうけれど)プロダクトは現在Kickstarterキャンペーンを展開中だ。泥の中でバクテリアを繁殖させ、そして時計、温度計、ブザーなど単純な電子機器を動作させる仕組みになっている。

Kickstarterでのキャンペーンということを聞いて、開発途上のプロダクトなのではないかと考える人もいるだろう。しかし実のところ、このMudWattは何年も前から開発を行なってきたものなのだ。また最近ではスタンフォードのStartXインキュベータープログラムにも参加して、子供向けプロダクトについての知見も深めている。

共同ファウンダーのKeegan Cooke曰く、MudWattのアイデアは、2010年に買収されたTrophos Energyという小さなスタートアップにてリサーチサイエンティストとして働くうちに得られたものなのだそうだ。Cookeはそこで海底堆積物を利用したバクテリア燃料電池のプロトタイプを研究していた。また同時にさまざまな学童向けイベントにて研究成果を案内し、子供たちが科学的なデモンストレーションに大いに興味を持つようであることを認識したそうだ。

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そうして友人であり共同ファウンダーでもあるKevin Randとともに、仕事や大学院における研究の空き時間を使いながらMudWattのアイデアを数年間かけて温めていった。初期モデルを配ってみたところでは大きな反響があり、このプロダクトには楽しみのためのサイドプロジェクトとして以上の可能性があると感じるようになっていったのだとのこと。

これまでのところで、キットの販売台数も6000台となり、さらに月間200セットの割合で売れ続けているのだそうだ。

「販売に力を入れるということはありませんでした。その中での数字ですから、正直いって驚いています」とCokeは言う。「このプロダクトには大きな可能性があり、ビジネスとして成立するほどの需要があると認識するにいたったのです」。

Kickstarterに投入したのはMudWattキットの最新版だ。コンポストとして利用できるケースも用意し、他にもさまざまなアップデートが加えられている。いろいろな組み合わせのキットが用意されているが、電極やLED、説明書などが同梱されていて、またiOS版およびAndroid版が用意されているMudWatt Explorerというモバイルアプリケーションも利用できるようになる。

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MudWattで利用する泥は、自宅の庭から掘り起こしても良いし、園芸店で購入してきても良い。また電力を強めるために「燃料」を入れても良い。冷蔵庫の中にあるものがよい「燃料」となる。但し、ゲータレードがふさわしいのか、それともケチャップか、もっと別のものが良いのかを考えるのは、子供たち自身に委ねられている。

数日するとLEDが点滅をはじめる。これはキット内のバクテリアコロニーが電気を生み出し始めたことを示すサインだ。電気を生み出し始めれば、いよいよ次のステップに進むこととなる。

バクテリアのコロニーが拡大すれば、LEDの点滅頻度が高まる。そうなればブザーや時計、温度計、あるいは液晶電卓などのデバイスを繋いで観察することができるようになるのだ。

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モバイルアプリケーションでも、LEDが点滅する様子を検知してバクテリアの成長具合を測ることができるようになっている。これにより成長具合や、どれくらいの電気を生み出しているのかを知ることができる。またアプリケーションから、泥の中で活躍して電気を産み出すバクテリアを主人公とするコミックを読むこともできる。

Cookeは、子供たちが泥発電に興味を持つだけでなく、身の回りのさまざまな不思議に興味を持ってもらいたいと考えているそうだ。

「子供たちが自分でいろいろ調べてみて、試して見ることのできる環境を提供したいと考えているのです。MudWattもそうした方向で活用して貰えればと希望しています」。

そうした方針に則って、MudWatt以外のキットの可能性についてもいろいろと考えているところなのだそうだ。たとえば沼にある藻などを使った発電キットなどを考えて見ているのだとのこと。

ビデオで紹介されているキットをすべて含むMudWatt DeepDig Kitの価格は59ドルとなっている。但し容器などを自分で用意するのなら、電極などの基本キットは29ドルで手に入る。また教育機関向けのClassroom Packというものもあり、こちらは350ドルになっている。

調達目標額は3万ドルで、本稿執筆時点では2万6000ドル程度が集まっている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

資金調達・事業提携イベント「RISING EXPO 2015」、東南アジアから応募開始

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サイバーエージェント・ベンチャーズが主催するスタートアップ向けの資金調達・事業提携支援イベント「RISING EXPO」が今年も開催される。

このイベントは、1億円以上の資金調達を検討するスタートアップと、国内外の有力ベンチャーキャピタルや大手事業会社とのマッチングイベント。事前選考を通過したスタートアップのプレゼンテーションとネットワーキングの場を提供する。

昨年は日本のほか、東南アジア(インドネシアで開催)、韓国、中国のアジア4地域で開催したが、今回は日本、東南アジア、韓国の3地域で開催する予定。日本で開催された「RISING EXPO 2014 in Japan」では、スタートアップ15社、ベンチャーキャピタル60社、事業会社60社が参加した。

このイベントがきっかけになったもの、そうでないものを含めての数字にはなるのでどこまで参考になるかは分からないが、登壇企業の累計資金調達額は40億円以上、1社当たり平均資金調達額は3億円を超えているのだそう。今年は資金調達に加えて、事業会社とのマッチングについても力をいれるのだとか。

2015年の開催スケジュールは以下の通り。なお本日4月9日より、インドネシアで開催するRISING EXPO 2015 in South East Asiaの応募を開始する。その他の地域は決定次第随時特設サイトの情報をアップデートしていくとのこと。

・RISING EXPO 2015 in South East Asia:2015年6月25日
・RISING EXPO 2015 in Korea:2014年6月予定
・RISING EXPO 2015 in Japan:2014年8月7日

応募条件は次のとおり。なお本店所在地は国内外を問わない。
・IT・インターネット関連ベンチャー企業であること
・原則、サービスローンチをしており、一定のユーザー数もしくは一定の売上を獲得できていること
・1億円以上の資金調達を検討していること

ちなみに昨年、一昨年に引き続き、僕も事前審査員として参加させてもらう予定だ。伸び盛りのプロダクト、そして起業家と出会えるのを楽しみにしている。

ツイキャスが1000万ユーザー突破、動画サービスからプラットフォームへ

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モイが提供する動画ストリーミングサービス「TwitCasting(ツイキャス)」が1000万ユーザーを突破した。4月8日に同社が明らかにした。

2010年2月のサービス開始から5年弱での達成となる。以下がユーザー数を示すグラフだが、サービス開始から順調にユーザー数を増やしていたが、2013年後半からはユーザーが急増。女子高生を中心にしてサービスを拡大してきた。

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また、当初はノンプロモーションながら、海外ではブラジルを中心に局地的にユーザーが増加。現在海外ユーザーの割合は全体の2割ほどだが、その半数(つまり全体の1割程度)はブラジルのユーザーなんだそうだ。そんなこともあって、現在は米国・ブラジルでもユーザーサポートを行っている。

2013年頃まではアクティブユーザー(ユーザー数400万人でMAU200万人程度だったと聞いている)を公開していたが、現在は非公開。ただし、関係者から聞く限り、いい数字を出しているようだ。

おしゃべりツールからプラットフォームに

もう10代だけのサービスではなくなってきた——モイの丸吉宏和氏は語る。海外での利用はさておき(ブラジルでは初期からアーティストが音楽ライブの配信などをしていた)、日本では「女子高生のおしゃべりツール」からスタートしたツイキャス。高画質配信にも対応してからは、政党やスポーツチーム、アーティストなど、さまざまな組織の公式配信ツールとしての役割も担いつつあるのだそう。その結果、ユーザーの属性も(詳細は非公開だったが)30、40代まで広がったという。

特に2014年10月、法人利用を前提として高画質配信に対応してからはその動きが顕著になっている。アーティストが新譜を発売する際などは、ミニライブなどをツイキャスで配信することも増えたそうだ。

すでにPC版の広告やギフト用のアイテムなどで課金をしているツイキャスだが、1000万ユーザーを迎えていよいよ本格的なマネタイズを始める。具体的な話は今後発表していくということだったが、「ライブ配信はPRには使えても、それだけでは(配信でPRする商品の)売上にはそんなに影響はない、と言われるのは苦しかった」(丸吉氏)と語っていることから、マーケティングやコマース関連の機能を実装していくことが予想される。

実際、ツイキャスで女性誌のモデルがおすすめした化粧品が翌日にはAmazonで売り切れになるといった現象も起きているらしいし、法人のキャス主(配信者)を中心に、コマース機能の連携ニーズは高いらしい。このあたりは今春中にもまた発表すると聞いている。

TwitterのPeriscope買収の影響は?

3月にはTwitterがツイキャスの競合サービスであるPeriscope買収し、さらに別の競合サービスであるMeerkatに対して、ソーシャルグラフの使用を禁止するといったことが起きている。ツイキャスには影響はないのだろうか? 丸吉氏は「(ソーシャルグラフの使用制限など)何もないとは言えないが、ツイキャスではすでに独自IDを用意しており、その数も増えている。またAPIの利用なども適切に行っている」と説明した。

メタップスが今度はロボット領域に進出、ユカイ工学と組んで開発者のマネタイズ支援

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決済、人工知能と新しい領域に次々と進出しているメタップスだが、今度はロボット開発者向けのマネタイズ支援プラットフォーム「Metaps Robotics」を提供するという。これに先駆けて4月7日、ユカイ工学との業務提携を発表した。

国内でもハードウェアやIoT関連のスタートアップが徐々に立ち上がっているが、メタップスでは開発者のマネタイズには課題があると説明。そのマネタイズを支援する開発社向けのプラットフォームを今夏以降提供していくという。

提携するユカイ工学は、ソーシャルロボットの「ココナッチ」、家庭向けコミュニケーションロボット「BOCCO(ボッコ)」などの自社プロダクトとして展開。BOCCOは現在Kickstarterにて2万ドル以上を集めて、プロジェクトを達成させている。また同時に、IoT関連の受託開発も幅広く手がけている。最近では電通ブルーが発表したスマートロック「246(ニーヨンロック)」なんかも同社が手がけている。

今後は両者の知見とノウハウを融合させて、クラウド、センサー、ハード、アプリを連動させた新しいビジネスモデルの確立とロボット産業の発展に寄与する——としているのだけれども、正直それだけでは何をするのか分からない。そもそもこのタイミングでなぜメタップスがロボット開発者支援をするだろうか。

メタップス代表取締役の佐藤航陽氏にその詳細を聞いたところ、「現在のスマートフォン向けのアプリ収益化プラットフォームを、時計やテレビや車などあらゆるスマートデバイスに広げていきたいと考えている。自社でAIに関しても投資をしてきたので、今後はIoTとAIの融合によるロボット市場の拡大も期待した上で、これまでのノウハウを有効活用できると考えている」という回答を得た。

さらに実際のマネタイズについては「ECと広告を予定している。SPIKEの決済でEC支援を手がけてきたのでこれを活用していく。広告に関しては、メタップスで提供してきた広告エンジンを横展開。より適切なマッチングを行って開発者に収益を分配したい」としている。なお、ロボットの製造支援といった部分にはタッチせず、あくまで開発者のマネタイズ支援を手がけるとのこと。

これまでスマホアプリやウェブサイトで手がけてきたマネタイズをロボットやIoT領域にも生かすということのようだが、その詳細は現時点ではまだはっきりとは分からない。実際サービスが始まるタイミングで改めて聞いてみたい。

ディープリンクの運用をカンタンにするフクロウラボ、B Dashなどから資金調達しサービスを正式版に

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昨年10月に紹介したフクロウラボ。同社は4月6日、スマートフォンアプリ向けディープリンクソリューション「Circuit(サーキット)」正式版の提供を開始した。同時にB Dash Venturesなどから資金調達を実施したことも明らかにしている。調達額や出資比率は非公開だが、億単位と見られており、同社では事業拡大に向けて人材採用やサービス開発、マーケティング強化を進めるとしている。

以前の記事でも紹介したが、ディープリンクとはもともとはウェブサイトのトップページ以外のリンクのことを指していた言葉。今ではウェブサイトに限らず、スマートフォンアプリ内の特定ページに遷移するリンクを指すことが多い。最近スマートフォンのブラウザでサイトを閲覧していて、Amazonだとか特定のサイトにアクセスした際、アプリが起動して(アプリトップではなく)アクセスした商品ページの内容を直接表示するなんてことを経験した人もいるんじゃないだろうか。あれがディープリンクによるアプリの遷移だ。

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ディープリンクを利用するシーンは何もブラウザ(ウェブ)からアプリに限ったことではない。プッシュ通知でアプリのトップページを表示するのではなく、最適なページを表示する際もディープリンクの設定は必要だし、ソーシャルメディア系のアプリから別のアプリ、メールアプリから別のアプリといった「アプリからアプリ」の遷移だってディープリンクが求められている。

フクロウラボ代表取締役の清水翔氏いわく、例えばEC系のアプリではトップページではなく商品ページを直接表示することで、その商品を強く訴求できるので、米国ではマーケティングの観点でディープリンクを利用することが増えているそう。例えばアパレルECの「JackThreads」では、ディープリンクを付けた広告メールを配信したところ、売上が21%向上したという事例もあるようだ。

ただしこのディープリンク、対応には手間と時間がかかるという問題があったのだそう。例えばある大手メディアで見積もりをしたところ、約3カ月かかるという結果が出た。また対応した後も、OSごとに運用管理を継続しなければならないという課題があった。

Circuitは、そんなディープリンク対応を最短10分で実現するという製品だ。ウェブの管理画面上でディープリンクによる遷移情報を入力し、アプリにSDKを導入。さらに数行のコードを追加すればディープリンクへの対応が可能だ。導入後は、アプリのアップデートをすることなく、ディープリンクの追加や削除が可能となる。料金はフリーミアムで提供。アプリのユーザー数にもよるが、「エンタープライズ版でも月額10万円程度で利用できる」(清水氏)とのこと。

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昨年10月のベータ版ローンチ後、すでに複数の導入実績があるそう。だが認知も含めてこれからというところで、「蛇口をひねれば水が出るように、情報の流れを簡単にするために、気付いたら使っている製品になるのではないか。課題自体がまだ認識されていないので、まずは使ってもらうのが重要」(清水氏)とのこと。

Meeboファウンダーで元Google幹部が在宅介助ネットワークHonorを開発―a16zを中心に2000万ドル調達


Seth Sternberg Honor

〔この記事の執筆はMather Lynley〕

Seth Sternbergはメッセージ・サービスのMeeboの共同ファウンダーで、Googleに 1億ドルで買収された後、同社でGoogle+プラットフォームの責任者を務めた。Sternbergは昨年Googleを離れた後、Honorという高齢者の在宅介助の情報システムの構築に取り組んでいたが、このほど潤沢な資金の調達に成功した。

介助職員と高齢者、その家族を結びつけるネットワークのHonorは、シリコンバレーの一流ベンチャーキャピタルから2000万ドルを調達した。このうち1500万ドルはAndreessen-Horowitzが出資した。Marc AndreessenはNingを経営していた時期にMeeboに投資したことがある。他の投資家にはYelpのファウンダー、CEOのJeremy Stoppelman、PayPalマフィアの一人でSlideのファウンダー、Max Levchinなどがいる。ちなみにLevchinもSlideをGoogleに売却している。

Honorは高齢者にHonor Frameという情報を提供する。これには介助職員の名前や自宅訪問予定が表示される。担当する介助職員は専門的技能によって選ばれ、家族も担当者、提供されるサービスの内容、提供されたサービスの実績など介助の内容について詳しく知ることができる。

われわれはベイエリアのContra Costa郡でおよそ100人の介助職員とベータテストを準備中のSternbergに電話インタビューを行った。Sternbergによれば、このサービスのアイディアを思いついたのはコネティカット州に住む母親を訪問したときだったという。

「実はうちのママは運転が下手だ。そこで私は『これは困った。ママがだんだん歳をとって本当に運転できなくなったららどうしたものだろう?』と考えた。私はカリフォルニアに住んでいるし、ママはコネティカットだ。しかしどうしても必要というのでない限り、ママに住み慣れた家を出てカリフォルニアに引っ越すようには言いたくなかった」

高齢者の在宅介助は一大産業だ。Honorが専門とするのは医療介護ではなく、身の回りの世話や食事の介助など高齢者が自宅で暮らすのを手助けするサービスの組織化だ。しかしSternbergによると、こうした非医療介護に携わる労働者の平均賃金は時給9.50ドル程度だという。しかしHonorは契約介助員に15ドルの最低賃金を保証する。もちろんこの種のサービスはCareZappなどすでにいくつか存在する。

「私が体験したところでは、介助職員はルーズリーフのノートに引き継ぎ事項を書き込んで、次の担当者のためにキッチンのテーブルの上に置いておく、というやり方だった。スケジュール管理を紙とペンでやっていたのでは事業をスケールできないことは明らかだ。こんな方法では200人の介助職員を管理することなど無理だろう。しかし200人以上の介助のプロをネットワークしない限り、たとえば中国語が話せるなど高齢者の特定のニーズに応じた技能を持った職員を派遣することはむずかしい」とSternbergは説明する。

SternbergはGoogleで膨大な数のユーザーを対象にスケールするプロダクトの開発、運営の指揮を取り、多くのことを学んだ。Sternbergは将来Honorが200万人の介助員のネットワークとなることを期待している。Honorは当面、高齢者介助を中心にサービスを展開するが、将来は同様のメカニズムが有効な他の分野への拡張も考えている。

Sternbergは朝食を取りながらAndreessenにアイディアを説明したところ、Andreessenはすぐに魅了されたという。Andreessenは深夜2時にメールを送ってきて新しいアイディアを提案するなど熱心に応援した。そして最後には巨額の小切手を送ってきた。

Honorは今月中にContra Costa郡でベータテストを開始する。その後テスト範囲をサンフランシスコにも拡大する予定だという。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook <A href=

LinkedIn、Refresh.ioを買収―ユーザーの行動を事前に推測する予測コンピューティングをサービスに組み込む

3億5000万人のユーザーを擁するプロフェッショナルのためのソーシャル・ネットワーク、LinkedIn予測コンピューティングの世界に本格的に進出しようとしている。予測コンピューティングとはユーザーが次にどのような情報を必要としているかを予測して事前に準備するテクノロジーだ。今日(米国時間4/2)、LinkedInはこのテクノロジーの有力スタートアップ、Refresh.ioを買収することで合意したことを発表した。

Refreshはユーザーがこれからミーティングを行う相手の情報を事前に収集、表示してくれるiOSアプリだ。

買収の金額などの条件は明らかにされていないが、この買収は主としてテクノロジーと人材の獲得が目的だと思われる。Refresh.ioはこれまでに1000万ドルの資金をCRV、Redpoint、Foundation Capital、Haystackから調達している。われわれの取材に対してLinkedInはこのニュースを確認した。また共同ファウンダーのBhavin Shahがブログ記事を発表した。

Refreshアプリはすでに新規ユーザーの受け入れを中止しており、4月15日で運用を停止する。15人の社員(正社員14人、契約社員1人)は全員がマウンテンビューのLinkedInに移り、予測コンピューティングを同社のプロダクトに応用する開発に携わる。

このアプリはFacebookかLinkedInを用いてサイン・インすると、最近会ったり連絡を取った相手についての情報をソーシャルネットワークやウェブから収集する。ユーザーは時折しかコンタクトがない相手についても必要なときにはいつでも詳しい動静を知ることができる。

われわれの取材に対し、LinkedInの広報担当者は「予測コンピューティングのテクノロジーを現在のRefreshアプリとは異なるさまざまな方法でLinkedInのプロダクトに生かしていきたい。それによってLinkedInの価値を大きく上げることができると期待している」と述べた。

まず最初に応用が考えれるのはLinkedIn Connectedアプリだ。これはLinkedInの知り合いの最新情報を随時ユーザーに通知するアプリで、すでに一部、予測コンピューティングが用いられている。たとえばユーザーの近所にLinkedInの知り合いが存在する場合、アプリがそのことを知らせてくれる。

買収前にRefreshが行ったサードパーティーとの連携をLinkedInが今後も維持するかどうかも興味が持たれる。たとえばSalesforceとの連携だ。SalesforceのApp Exchangeの一部として、Refresh.ioとSaleforce双方を利用しているユーザーは、他のユーザーがSalesforceのデータベースに新しいメールアドレスを入力するたびに通知を受け取る。この目的は、Refresh.ioを通じてセールスリードの情報を収集し、必要な場合にすぐにその相手にすぐに連絡が取れるようにすることにある。

LinkedInが自身のソーシャルグラフを利用して新たなサービスを増やしていくのを見ると、LinkedInのCEO、Jeff WeinerはSalesforceはパートナーだと語っているものの、将来はライバルとして激突することになる可能性も指摘されている。

いずれにせよ、Refresh.ioの買収はこれからミーティングする相手に関してLinkedInから得られる情報の質、量を改善するだろう。この種のサービスにはHuminCharlieなどがある。後者はSalesforce、Box.com、Twitter、Yelpなどで利用されている。 CharlieのCEO、Aaron FrazinはのLinkedInの買収について、「われわれはRefresh.ioの最大のライバルと考えられている」とコメントした。

一方でLinkedInがコネクトすることを勧める相手が不気味なほど的確だと感じるユーザーもいる。これにRefreshのテクノロジーが加わればユーザー・ターゲティングの精度は一層向上するだろうが、同時にLinkedInがユーザーについて知る内容も精密化することになる。

この方向への努力として、LinkedInは2012年に Rapportiveを買収している。これはGmailのプラグインで、メールを受け取ると送信者に関するLinkedInとFacebookのコネクション情報を右サイドバーに表示する。

われわれはさらに取材中。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FrilやWHILLを生んだインキュベーションプログラムのOpen Network Lab、11期から支援内容を拡充

2010年4月からインキュベーションプログラムを運営しているデジタルガレージグループの老舗インキュベーター、Open Network Lab(Onlab)。

彼らの手がける「Seed Accelerator Program」はこれまで10期までを開催。フリマアプリブームの火付け役でもある「Fril」を手がけるFablicや電動モビリティを手がけるWHILL、米国で福利厚生サービスを提供するAnyPerkなど、58のスタートアップが参加してきた。もちろんクローズしたサービスだってあるのだけれど、卒業企業の時価総額は合計で325億円程度に上るのだそうだ。

プログラムの担当者が変わった背景があるのかは分からないが(前任の前田紘典氏は現在BEENOSでインキュベーションを手がけている)、最近ではデモデイを除いてプログラム参加企業すらほとんど公開しないで活動していたOnlab。本日募集を開始した第11期からはプログラムの内容拡充を図っていくという。

まず、これまで一律で200万円(持ち分5%)で提供してきたシードマネーを1000万円まで拡大。金額やバリュエーションについてはスタートアップの状況によって柔軟に検討するという。このあたりはインキュベーターも増えてきたし、200万円という少額のシードマネーを求めるスタートアップが減ったことなども背景にあるのだろう。

また、不定期に開催していたデジタルガレージグループの投資先など、国内外の識者によるメンタリングを隔週ペースでは開催。さらにデジタルガレージグループで展開するマーケティングやペイメントといった事業の具体的な支援を進めていく。さらに投資先やグループ会社のツール——プロトタイピングツールの「Prott」や情報共有ツールの「Qiita Team」——のほか、アプリ解析の「Mixpanel」など6つのツールを無償もしくは特別価格で提供するうそうだ。

プログラムへの応募には、創業年数などの条件は特に定めない。Onlab代表取締役社長の佐々木智也氏は、「プログラムを立ち上げた頃から変わっていないのは、『ネットを活用して課題を解決したいという人たちを支援したい』ということ。プロダクトありきではなく、課題解決の意志があるかどうか」と語っている。

「検索と商品だけ並べたモールはやらない」BASEがEC連動のブログポータル「BASE Mag.」を公開

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誰でも手軽にネットショップを開設できるサービス「BASE」を提供するBASE。同社は3月にリリースしたショップ向けのブログサービスをEC連動ブログポータル(BASEでは「ネットショップモール」と銘打っている)「BASE Mag.」を公開した。

BASEでは、「ショップロゴ作成機能」「商品撮影サービス」「納品書ダウンロード機能」など約30種類の拡張機能を「BASE Apps」という名称で提供している。3月にはショップ向けのブログを開設できる「ブログApps」も追加した。BASEのユーザー(店舗数)は現在約15万店舗。このうち数千店舗がすでにブログで商品の紹介などのエントリーを書いており、「3、4分に1回は投稿がある状態(BASE代表取締役の鶴岡裕太氏)なのだそう。

今回提供するBASE Mag.は、これらのブログからBASEが選んだエントリーを紹介していくブログポータルだ。エントリーには商品ページへの導線も設けるほか、カテゴリでの検索も可能だという。

僕は創業当時からBASEを取材しているのだが、代表取締役の鶴岡裕太氏にほぼ毎回する質問が「BASEはネットショップのモールを作らないのか」というものだった。毎回「作らない」と答えていた鶴岡氏だが、BASE Mag.について「2年考えて……やっぱり、検索と商品だけ並べたこれまでのようなモールは、BASEのように小さなショップにとっては正解じゃないなと思った。 基本的にBASEは『販売者=生産者』。ブランディングとか情報の発信から支援しないといけない」と語った。

DeployGateが法人向け事業を本格化——ミクシィを飛び出してでもサービスを続ける理由

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スマホゲーム「モンスターストライク」が絶好調のミクシィ。同社は1月、スマホアプリ向けのテスト配信サービス「DeployGate」の事業譲渡について発表した。事業譲渡といっても、これまでDeployGateの事業担当者らがミクシィを飛び出して新会社デプロイゲートを設立、その新会社に事業を譲渡するというものだった。

ミクシィからスピンアウトして約3カ月、AppBroadCastとの共同サービスなども発表していた同社がいよいよ本格的に法人向けビジネスを展開する。サービスの詳細、そして起業に至る経緯や想いについて、共同創業者でCEOの藤崎友樹氏と共同創業者でCOOの安田一斗氏に話を聞いた。

法人向けサービスを正式にローンチ

まずはDeployGateそのものと、3月30日に正式リリースした法人向けの「DeployGate Enterprise」について紹介したい。

DeployGateはiOSおよびAndroidアプリ向けのテスト配信サービスだ。スマートフォンアプリは通常、App StoreやGoogle Playといったアプリストアを経由しないとダウンロードできない(しかもiOSの場合、アップルの審査が入るため数週間かかる)。だがアプリをぶっつけ本番でリリースしても、問題があったり、操作感に不満があればすぐにストアで低評価をつけられてしまうし、そこからアップデートしようにも時間がかかってしまう。これでは開発者も利用者も幸せにはならない。

だがDeployGateを利用すれば、アプリのファイルをアップロードし、生成されるリンクにアクセスするだけでアプリを配布できるようになる。インストール数や利用状況のモニタリングやログの取得も可能。これによって複数人で開発中のアプリを確認したり、クローズドベータ版を配布するといった施策が非常に便利になるのだ。

今回のDeployGate Enterpriseでは、これまでにも提供していた組織・チーム向けプランの機能を大幅に強化。開発グループや開発アプリ数の制限を取り払ったほか、詳細な権限設定も用意。開発会社と外部での共同開発などでも利用できるようにしている。価格は20アカウントで月額5万円から。すでにクックパッドやはてな、リクルート、ミクシィ(もちろんモンストでもバリバリに利用されているそうだ)などがクローズドベータの段階からサービスを利用している。

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事業は黒字化するも、成長は予想を達成せず

新卒でミクシィに入社した藤﨑氏だが、2009年頃からAndroidに触れるようになり、当初は電話帳アプリなどをテスト的に開発していたそうだ。それが最終的に2010年に同社が発表した「ソーシャルフォン」として世に発表され、その後藤崎氏はAndroidの開発担当となる。そしてAndroidの開発環境の不便さを痛感し、社内向けにDeployGateの前身となるツールを開発した。

当時ミクシィでは、新規事業創出プロジェクトの「イノベーションセンター」を発足するタイミング。藤崎氏のツールが第1号案件として採択され、DeployGateのプロジェクトが始まることになった。

藤﨑友樹氏

デプロイゲートCEOの藤崎友樹氏

サービスインから約2年。個人開発者からプリインストールアプリの検証をしたい端末メーカーまで、国内外2万アカウントが利用(海外も2014年時点で90カ国以上で利用されている。先方の許可を取っていないので公開できないとのことだが、本当に著名な米国のアプリなどでも利用されているとのことだった)。実はすでに黒字化し、「ごはんは食べられるくらいには」(藤崎氏)成長していたDeployGate。しかし1月のミクシィの発表のとおり、ビジネスとしての成長スピードでは当初の予定から下振れしていたのだそうだ。

周囲を見てみると、競合サービスの「TestFlight」はアップルに買収され、2014年3月にAndroidのサポートを終了。だがDeployGateはもともとAndroidのみに対応していたものの、iOSのサポートを開始したばかり。「ミクシィという会社を考えれば(サービスを終了するという)ロジックは理解できる話。だが、開発者向けツールは浸透に時間がかかるし、(周辺環境も変わり)スタートラインに立ったところだった」(藤崎氏)「開発ツールなので『使っている』という話があまり外に出ないが、名だたるスタートアップが使ってくれていた。だから僕らとしては可能性が見えていたし、プランが徐々に見えてきていた」(安田氏)という思いから、スピンアウトを決意したのだという。

事業譲渡で「サラリーマンとして覚悟を決めた」

ミクシィは買収こそすれど、手がけてきた事業を社外に譲渡するようなことは少なくともここ数年ではなかったと記憶している。イケてないサービスは閉じて、人材を再分配していたはずだ。だからDeployGateのスピンアウトには正直驚いていた。藤崎氏には「サクッと話がまとまったのか?」と尋ねたのだけれども、同氏は「全然サクッといかなかった」と即答した。

デプロイゲートCOOの安田一斗氏

デプロイゲートCOOの安田一斗氏

ミクシィからは、DeployGateのチームに対して、サービスをピボットする、サービスを終了して別の事業にチャレンジするなど、さまざまな提案があったそうだ。そんな中で2人はスピンアウトすることを選択したという。だけどもミクシィからすれば、「社外に自社のサービスを出すのであれば、すぐに潰れてしまっても困る」と思うわけだし、簡単には譲れないだろう。

だが社内でも彼らを応援する役員・スタッフも多く、「譲歩できるモノは譲歩して、自ら持ち出しもしたが、それだけやる気を認めてもらった」(藤崎氏)のだそうだ。事業譲渡の金額についても聞いたのだけれども、具体的な額は非公開。2人は「サラリーマンとして考えるならば、覚悟を決めないといけない額だった」と語った。

DeployGateで社会問題を解決したい

そんな“覚悟”を持ってスタートしたデプロイゲート。彼らのイグジット戦略はどういうモノなのだろうか。藤崎氏に「TestFlightや(Microsoftに買収された競合サービス)HockeyAppのように、買収がゴールか」と尋ねたのだけれども、同氏はそれを否定する。

「本当にいいモノが開発者に広がっていくのが重要。そして、そのモノがどこかのプラットフォームに属していないことも重要だと思っている。グーグルやアップル、いずれかのプラットフォームでないと動かないというのでは意味がない。そんな縛りがないところで、作る人と使う人を繋ぎたい。今は売り抜けるという目標はない。僕たちの顧客が抱えるのは社会問題であり、それをどんどん解決していきたい」(藤崎氏)

安田氏もこう続ける。

「スマートウォッチやスマートテレビが出てきているが、iOSとAndroidだけを考えても、デバイスはスマートフォンにとどまらない。そうするとさまざまなデバイスで(不具合など)不幸なことは起こってくる。そんなことが起こらないように、DeployGateのようなツールが当たり前に使われて好循環が生まれればいい」(安田氏)

コメントは読むな ― Diffbotに分析させろ

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Diffbotの使命は、CEO Mike Tungによると、「ロボットにウェブページを読んで理解する方法を教えること」だ。今日(米国時間3/31)同サービスは、理解の対象をフォーラム、コメント、レビュー、その他のオンライン議論へと拡大した。

Tungがウェブページを理解すると言うとき、それはコンテンツを構造化データに変換することを意味している ― 例えば、記事を見てタイトル、著者、テキスト、画像、トピック等を識別する。その情報は、企業が自分たちに関連の深いコンテンツを見つけて追跡するのに役立つ(Diffbotの顧客には、Microsoft/Bing、Cisco、eBay等がいる)。

しかし今日までは、Diffbotが分析するのは記事または商品ページだけで、記事へのコメントや商品説明の下にあるレビューは対象外だった。

Tungは、この種の議論の分析には特有の課題がいくつかあると言った。例えば、コメントはJavaScriptウィジェットを使って表示されるものが多くテキストを抜き出すのが一筋縄ではいかない ― そのためには「大量のビジュアル分析」が必要だと彼は言った。他にも、議論にはくだけた、会話調の、絵文字を多用した英語が使われるため、Diffbotは「特化した言語モデル」を開発する必要があった。

Diffbotのテストドライブページに行けば、好きなページでDiffbotの分析が見られるので自分で試すすことができる。私は、先週書いて普段より多くコメントのついた自分の記事で試したところ、それぞれのコメントの基本属性 ― 著者、時刻、テキスト、言語、および著者のリンク ― が表示された。

会話の大きな流れを見つけられるようになると、さらに面白くなってくる ― Tungは、ソーシャルメディアの監視ツールはいくつもあるが、ウェブ横断で会話を追跡するのは難しい。しかし「詳細でよく考えられた議論」はそこにある、と指摘した。例えば靴メーカーは、顧客がいちばん履き心地が良いと思う靴はどれかを知ることがてきる、と彼は言った。

Diffbotによると、新しいDiscussions APIは、Facebookコメント、Disqus、Livefyre、WordPress、Blogger、AutomatticのIntense Debate、Kinja、Hacker News、Reddit、等々をサポートしている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スマートニュースが12億円を追加で資金調達、米国での人材採用を積極化

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すでに本家TechCrunchでも報道されているが、ニュースアプリ「SmartNews」を手がけるスマートニュースが1000万ドル(約12億円)の資金調達を実施したことが明らかになった。評価額はプレ(調達前)で3億2000万ドル(約384億円)、出資したのは既存投資家のグリー、グロービス・キャピタル・パートナーズ、Atomico、ミクシィ、Social Venture Partnersとなっている。

スマートニュース ヴァイス・プレジデント 財務担当の堅田航平氏曰く、今回の調達はいわゆるブリッジファイナンス(独立した資金調達ラウンドではなく、次のラウンドまでのつなぎの資金調達)で、2014年10月にリリースしたSmartNews米国版や2015年2月にリリースしたインターナショナル版の順調な成長を受けたもの。この資金をもとに米国拠点の人材を強化。米国サンフランシスコの拠点において、マシンラーニングや自然言語処理に長けたエンジニアを積極採用していく。日本のスタッフや役員も出張ベースで積極的に米国とコミュニケーションを取るとしている。

スマートニュース代表取締役の鈴木健氏によると、SmartNewsのMAU(月間アクティブユーザー)は日本で400万人、米国では100万人。提携メディア数も当初の10社から75社まで拡大。日米ともに「数字は順調に伸びている」(鈴木氏)のだそうだ。米国でニュースアグリケーションアプリと言えば、Flipboardが圧倒的なダウンロード数を誇っているようだが(直近の数字は公開していないが、Google Playでは世界で1〜5億ダウンロードとなっている)、スマートニュース代表取締役の浜本階生氏曰く、「ランキングに基づいて言えば、あまり突き抜けている(競合)アプリはない」とのこと。

また米国のアプリストアについて、「CNNやBuzzFeedなど1媒体を閲覧するアプリがランキングの上位を占めている。日本でも3年ほど前はそんな状況だったが、今ではアグリゲーターが上位を占めている。今後はそういった傾向が出てくるのではないか」と語った。

2014年12月に国内で本格的に広告ビジネスをスタートしたスマートニュースだが、米国でのマネタイズはまだまだこれからのようだ。「国内でもMAUが400万人を超えてやっと広告を始めた。米国でも同じように成長していく必要がある」(浜本氏)

日本を見てみれば、競合サービス「Gunosy」を手がけるGunosyに上場承認が下りたばかり。鈴木氏にイグジット戦略について聞いたところ「今のところ時期などは考えていない。まずは米国を頑張るというところ」ということだった。

動画を使ったサービスマネジメントツール「ClipLine」開発元がインキュベイトファンドから1億3000万円の資金調達

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ジェネックスソリューションズは3月31日、インキュベイトファンドが手がけるベンチャー投資ファンド「インキュベイトファンド3号投資事業有限責任組合」を引受先とした総額1億3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。調達した資金をもとに組織体制を強化。自社で開発するサービスマネジメントツール「ClipLine」の開発・機能強化や営業・マーケティングの拡大を進める。

ジェネックスソリューションズは2013年7月の設立。代表取締役の高橋勇人氏は、これまでコンサルタントとしてスシローやダイヤモンドダイニングなど飲食店の経営改善を支援してきた経験のある人物。そのノウハウをもとに開発したのが、動画やスマートフォンアプリを使って多店舗・多ブランド展開型企業のサービスマネジメントを支援するClipLineだ。

これまで高橋氏らが手がけてきた店舗向けの経営コンサルティング事業では、本社から店長、現場スタッフへと、手作業や動作が生じる業務を詳細に指導することが難しかった。たとえ紙でマニュアルを用意しても、誰もがそのとおりに作業を行えないわけだ。

だが現場では対面で作業を指導してスタッフを育成しなければならず、一方では店長や経験豊富なスタッフが若手スタッフの育成にかけられる時間も限られている。そうなると、「仕事を教えてもらえない」となって早期にスタッフが辞めてしまい、また新しいスタッフを探す必要が出てきてしまう(高橋氏いわく、スタッフが早期退職する大きな理由は「仕事を教えてもらえない」「既存環境に入れない」の2点だそうだ)。ClipLineでは、こういった人依存になりがちなスタッフ育成を動画やアプリ上でのコミュニケーションで解決するサービスだ。概要についてはこちらの動画も参照頂きたい。

ClipLineではまず、作業のノウハウを30秒から1分程度の動画にして撮影。こちらはジェネックスソリューションズが対応する。2日で150カット程度を撮影するそうだ。

スタッフ向けのアプリでは、常時その動画を視聴可能。さらに動画を見たあとにスマートフォン・タブレットのカメラを使って自分を撮影し、動画と自分の作業を比較するといったことができる。

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同時に店長向けの管理アプリも用意しており、スタッフの学習進捗を確認したり、アップロードした動画へのコメントをしたり「いいね!」をしたりできる。日々変化するオペレーションに対応すべく、動画のアップデートも可能。本社向けにレポートを確認できるウェブの管理画面も用意している。価格はは条件にもよるが、撮影などを含めた初期費用が100万円程度、月額費用は店舗あたり数千円から1万円程度になるという。

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サービスは現在、ダイヤモンドダイニングをはじめとして10社300店舗に導入されている。現在は飲食店を中心にしているが、今後は美容やアパレル、アミューズメントなど、各種業界への導入も積極的に進めるとしている。

「5円チョコが売れないECを変えたい」BASEとWebPayの創業者が語る”決済の未来”

スタートアップ業界を取り巻く旬のキーワードを読み解くイベント「TechCrunch School」。3月24日には、オンラインでの売買に欠かせない「決済」をテーマに、先日LINEの傘下に入った、クレジットカード決済機能を組み込める開発者向けサービス「WebPay」創業者の久保渓氏と、近日中に新たな決済サービス「PAY.JP」の提供を表明している、BASE創業者の鶴岡裕太氏が登場した。

2人をリクルートホールディングスが東京・渋谷に開設した会員制スペース「TECH LAB PAAK」に招き、TechCrunch Japanの増田覚が司会を務め、オンラインにおける決済という処理が抱える課題について語ってもらった。

LINEの買収で何が変わる?

久保氏は、API形式でクレジットカード決済機能を提供し、開発者がサイトやアプリなどに簡単に決済機能を組み込めるようにするサービス、WebPayを2013年5月に立ち上げ、提供してきた。

同社は2015年2月、モバイル送金・決済サービスを提供する「LINE Pay」を通じてLINEに買収されることを発表した。スマートフォンでの購入の広がりという大きなうねりにチャンスを見出していることが、買収に同意した大きな理由だったという。

現に、久保氏が会場で「スマホでものを買ったことのない人は?」と尋ねたところ、ほぼゼロという結果だった。「僕自身もそうだけれど、机に座っていて目の前にPCがあるのに、なぜかスマホでものを買ったりする。これって大きな習慣の変化だと思う」(久保氏)。検索などに時間のかかるPCに比べ、スマホは導線が短く、楽で、リアルタイムな購買体験を提供できる可能性がある。そこに、LINEと組む意味があると考えているそうだ。

「WebPayとLINE Payが組んで何が変わるの?」という率直な質問に対し、久保氏は「世界が変わります」と答えた。

「これまで、ものを買う行為って、土日など時間のあるときにやっていた。それが、スマホの決済が変わることで、空き時間、ほんの30秒あれば買うといったことが可能になる。決済という行為が、ストレスなく、リアルタイムで一瞬で終わるような世界を目指しています。安全で、ユーザー自身が意識して渡すと同意したとき以外は個人情報を渡さないという、エンドユーザーにとって理想的な世界の中で、モノやサービスを享受する体験ができる世界というのが、LINE PAYの提供する価値」(久保氏)。

これまで通り、開発者向けのWebPayも継続していく。ただ、WebPayがどちらかというとものやサービスを提供するマーチャント、サービス事業者向けのサービスだったのに対し、LINE Payではコンシューマーの視点に重点を置くことになる。

「決済がインフラだけで満足してもらう時代って、2014年で終わったと思っています。使いやすさや便利さも含め、使ってくれているサービス事業者の売り上げにどれだけ貢献できるかが決済事業者にも求められる時代です。マーチャントを向いて商売するだけでなく、一般のコンシューマーも見てサービスを提供していかなくてはならない。購買行動を全て設計するのが決済事業者」と久保氏。LINEが抱えるユーザーベースを基に、その人たちが買いたいものを最も買いやすく、心地よい導線を設計して、欲しいときにすぐ買える決済サービスを提供して、売り上げに貢献していきたいという。

ちなみにLINEによる買収の別の効果が、「門前払いがなくなりました」(久保氏)ということ。ある会社と新たにパートナーとなりたい、話をしたい、という時に、相手側も積極的に高いモチベーションで関わってくれるようになったそうだ。

「決済はうまみのないビジネス」

一方、「PAY.JP」の名称で決済ビジネスへの参入を表明した鶴岡氏だが、意外にも「決済って、あまりうまみのないビジネス。ビジネス的なうまみという観点なら、もっと他にいいビジネスがある」と述べる。

この点には久保氏も賛同する。しっかり、堅牢にやらなければいけないビジネスの性質上、導入までのリードタイムが3カ月程度かかることもざらにあり、「全部、3〜4カ月遅れで数字が出てくる」(同氏)。従って、いわゆるWebのスタートアップの感覚からすれば、決済ビジネスのスピード感は非常にゆっくりなのだそうだ。

「でも、決済業界に対する明確な課題意識があって、その課題を解決するために必要なことをやりたいんだ、という形であれば、カード会社も協力してくれるし、耐えられると思う」(鶴岡氏)。久保氏も、「N年コミットするつもりでやるのかどうかがすごく重要。僕はWebPayをやっていて、資本主義社会の根幹を自分が担えるかもしれない、というくらい、社会に触れ合っている感覚がある。自分たちが資本主義社会のインフラ、プラットフォームとして、社会を一歩前進させるところにコミットしているんだという信念があって、N年がんばろう、というのがあれば、すごくやりがいがある」と述べる。

5円チョコが売れないECサイト

鶴岡氏が抱いているその課題というのは、「今の決済が、過去のオフラインでの決済のプロセス、形式の影響をあまりに受け過ぎていること」だ。

例えば、インターネット上で1つの決済を処理しようとすると、間に非常に多くのプレイヤーが挟まることになる。「僕、これってすっごい無駄だなと思うんですよ。既に、Bitcoinのように二者間で直接お金をやり取りできる手段もあるし、自分の与信枠を与えるというやり取りだってできるのに、そうなっていない。そうした効率の良くない部分をPAY.JPで変えていきたいと思っています」(鶴岡氏)。

究極的には、オフラインの世界と同じような価値の交換スキームをオンラインでも実現するのが同社のミッションだという。

「オフラインだと、モノを売る人と買う人の2者だけで価値の交換が完結するわけですよ。でもひとたびインターネットが間に入るとそうはいかない。今、ECサイトで5円チョコって売れないんですよね。手数料がそれ以上にかかるので。だから、負担なく5円チョコを売れるECサイトができるように……つまり、手数料を誰か事業者が代わりに負担して『無料』にするのではなく、本質的に手数料のないスキームというのを構築できないかと考えています」(鶴岡氏)。

久保氏も、「決済のシステムでは、1980年代の仕組み、下手をすると1970年代後半の仕組みが動いている。そこでは、1つのトランザクションを処理するために原価として5円、10円という手数料がかかってしまい、それ以下にはできないんですよね。『オフラインを引きずっている』ってそういう意味です」と述べた。

「左手にクレカ、右手にスマホなEC体験は20年後に爆笑される」

1990年代、インターネットが広がりECサイトが生まれ始めた時期に、そうした過去のシステムとWebとを無理矢理つなげた仕組みによって、今の決済の仕組みは何とか保っている。とはいえそろそろひずみが来ており、トランザクションの仕組みを2010年代の今の技術に置き換えていくことができれば、原価を引き下げ、コストのかからない決済ができるのではないかと期待しているという。

鶴岡氏は、「今は、左手にクレジットカードを持ち、右手にスマホ持って番号を打ち込んで決済をしていますけど、20年後の人がこの姿を見たら爆笑すると思うんです。いろいろな方法で個人を特定できるこの時代において、オンラインにおいてもクレジットカードというものを使うのがなんかすごく効率が良くないなと思っていて、そういうところで『与信枠』というテーマを追求したいと思っています」と述べた。

これからの決済手段、「一回は多様化」?

決済をめぐるプレイヤーは多様化している。方やApplePayがあり、日本ではSuicaという存在がある他、ID決済の可能性もあるなど混沌とした状況だ。今後、決済手段はますます多様化するのだろうか?

この問いに対し久保氏は「一回は多様化すると思います。WebでさまざまなAPI標準がうわーっと出てきてREST APIに収束したのと同じで、一回は決済も多様化して、どこかでマジョリティが使っている良いものに集約される流れになるのではないか」と述べた。

一方鶴岡氏は、「決済という仕組みの中で、最強の立場にあるのがビザとマスターで、そこが変わらなければ言うほど大きく変わらないと思います。その意味で、これからの10年、20年で、あの立場に立つもの、入れ替わるものが出てくるかどうかが面白いポイントだと思っています」と言う。

取り残された領域にテクノロジの力を、「Airレジ」の取り組み

セッションの後半には、リクルートライフスタイルの執行役員、大宮英紀氏が登場し、POSレジの機能を提供する無料アプリ「Airレジ」について紹介した。2013年11月にリリースされてから、Airレジの導入件数は当初の予定を上回るペースで伸び、今や10万アカウントを突破。クラウド関連サービスとも連携を広げている。

Airレジというアプリをリリースした目的について、大宮氏は「テクノロジや環境が変わっていく中で、取り残されている領域がある、それを変えたいと思って数人で始めた」と振り返る。Airレジというプロダクトを通じて、それと意識することなく、テクノロジをうまく活用できるようにしたかったのだそうだ。

飲食店や小売店鋪、サービス業などの場合、店舗を開くには相応のイニシャルコストが必要になる。同じ金額をPOSレジに投じる代わりに、Airレジでまかない、マーケティングなどほかの部分に力を入れることで、中小企業の成長を後押ししたいという。


金融からバイオまで、Yコン2015年冬期クラスの注目スタートアップ10社


昨日、Y Combinatorは今までにない印象的なスタートアップの数々を発表した。医薬品、金融、マーケットプレイスを大きく変えるようなアイディアをそれぞれが持っている。私たちは、各企業のデモを精査し、ファウンダーたちに話を聞いて回った。著名な投資家にもそれぞれのお気に入りを聞いた結果をまとめ、 YC Demo Day2に登場した2015年冬期クラス47社から、TechCrunch が注目する10社のスタートアップのリストを作成した。

これが、そのリストだ。順番は特に関係ない。

Campus Job大学生のパートタイムの仕事やインターンシップ探しを助ける。

学生はプロフィールを入力し、企業の応募条件を確認したら、すぐに応募ができるプラットフォームだ。Campus Jobには既に、登録している2200の大学と10万人の学生にリーチしたい1300社の企業が有料で利用している。

注目理由:大学生は、もう公式プロフィールサイトを必要としていない。彼らは成果がほしいのだ。この場合は「仕事」だ。Campus Jobsは、単純明快なニーズを埋めることができるので、多くの人を惹き付けた。LinkedInのようにプロフィールを入力して、仕事のオファーがあるのを祈るだけではないのだ。

Seed 中小企業向けのオンライン銀行。
Seedは、ユーザーの情報を持って、ローンを受けられるかの事前審査を行う。ユーザーは、わざわざ自分で承認されるローンを探さなくても良くなる。Seedには、今まで通りの銀行業務を担うパートナーがいる。このパートナーとはレベニューシェアでの提携をしている。彼らは、バンキングAPIを公開し、クライアントソフトウェアを近々ローンチする予定だ。

注目理由:ローン選びは人生でも大きな決断にも関わらずどれを選んで良いのかは分かりづらい。Seedがユーザーの味方となってガイドすることで、多くの人が適切なローンを選んでお金を節約し、それを貯蓄に回すことができる。

Atomwise新しい医薬品を開発するソフトウェア。
Atomiseは、スーパーコンピューター、人工知能と特殊なアルゴリズムを使用して、何万通りにも及ぶ分子構造の配列から、今後医薬品として使用できる可能性のあるものを予測する。新しい医薬品を開発するコストと時間を削減することを目指している。医薬品の開発には、何ヶ月、あるいは何年にも及ぶ期間と何百ドルもの資金が必要だ。Atomwiseは、人工知能と機械学習を駆使し、何千ドルもかかっていた調査を一日で行うことができる。

4ヶ月前には、エボラ出血熱に対抗する医薬品の研究に乗り出した。Atomwiseによって導きだされた2つの医薬品は、エボラ出血熱の治療薬として使用されることになるかもしれない。これを見つけ出すのにかかった費用は1000ドル以下で、期間も1週間程度であったとこのスタートアップは報告している。

注目理由:製薬会社は、何万ドルもかけて新薬の開発を行っている。Atomiseはこの技術の特許を持つか、発見した医薬品を直接マネタイズするかは分からないが、いずれにしろ彼らは私たちの健康を守りながら、莫大な利益を手にすることができるだろう。

Meadow :医療大麻の宅配。

簡単に言うと、クリック一つで医療大麻が届く。Meadowの事業は週に20%のグロースが見られ、月のリテンション率は56%だ。他のオンデマンド医療大麻の宅配アプリとは違い、Meadowは医療大麻を保有しなければ、触りもしない。彼らは薬局に、配送手段、商品の販売場所、そして在庫管理のソフトウェアを提供している。これは27億ドルの市場で、2019年には110億ドル規模に成長すると見込まれている。「医療大麻がこんなに利益が出るなんて、誰も知らなかっただろう」と共同ファウンダーのDavid Huaは、YC Demo Dayに来ていた聴衆に話した。

注目理由:Meadowは他のどの医療大麻の宅配サービスとも一線を画している。私たちの中で彼らが高評価なのは、彼らは医療大麻を扱う薬局に特化したバックエンドの管理ツールと商品の販売場所を提供しているからだ。そして、市場への卓越した正攻法でのアプローチは、Meadowを医療大麻市場で確固たる地位へと押し上げることになるだろう。

Notable Labsがん治療をパーソナライズする。
病と対抗するのに、医薬品の調合は有効な手段だ。しかし、一人の患者に最適な医薬品を探すにも、医薬品の調合のバリエーションが多すぎるのだ。Notable Labsは、患者のがん細胞を研究室へと持ち帰り、どの医薬品の配合が効果的かを実験して探すことができる。そこで得られた結果は、患者の担当医師へと伝えられる。これにより、米国食品医薬品局からの指摘リスクを軽減し、さらに大手製薬企業の特許薬を使用しなくても良くなる。

注目理由:寿命が延びるほど、がんによる死亡率が高まるだろう。しかし患者に新しい医薬品を投与するのは危険でもあるし、高額でもある。がん治療の一環にテクノロジーを取り込むことで生存率があがるかもしれない。家族の健康を守るのに、お金を出さないという人もいないだろう。

Akido Labs ヘルスケア用の統一API。
Cleverが教育関連のデータを開放したように、Akido Labsはヘルスケアの情報を開放しようとしている。彼らは、病院のベンダーにプロダクトを販売する。ベンダーは、病院のバックエンドシステムを開発するのにその病院ごとのカスタマイズを施さなければならない。Akidoは、そのベンダーと病院の間に立ち、病院から提供されるデータの規格を決めることで、ベンダーが簡単にシステムを構築することを助ける。Akidoのテクノロジーは医療用のシステムを簡単に安く構築することができ、患者に良い治療を施すためのプラットフォームを作るのに役立つだろう。

注目理由:非効率的なシステムにコストがかかっているのは理不尽だ。患者は通院する病院の古いデータ設計のために余分に料金を支払っていることになる。Akidoは、病院とベンダーの問題を解決して利益を得るだけでなく、医療の分野で幅広く使用できるソフトウェア開発のプラットフォームにもなりうる。

DroneBaseオンデマンドドローンサービス。
ユーザーがボタンをクリックすると、DroneBaseは近くにいるドローン操縦者とドローンをユーザーの元へと送り届ける。例えば、建築やインフラ建設のようなプロジェクトで、画像、動画、地図を撮影したい場合にドローンは適している。このサービスは、民間企業がドローンを購入し、操縦者を雇うことや、あるいはサプライヤーに代金を支払うことがなくなる。DronBase は、衛星、飛行機、ヘリコプターの代わりになることでコストを削減しながら、利用する企業に彼らが求めるデータをすぐに届けることができる。

注目理由:ドローンは、一般的に危険で、コストも時間もかかる工事現場での仕事ができる。問題は、ドローンを扱うのは手間がかかるということだ。DronBaseには、ドローンを民間企業が簡単に利用できるようにし、彼らがコストを掛けずに、手間なく使えるメリットがある。

MashGin機械が商品を認識するセルフレジ。
MashGinの小売り店鋪用のセルフレジは、カメラと画像認識を活用して、商品をスキャンして判別し、レジに代金を登録する。リンゴや缶ジュースといった商品を、MakerBotの3Dプリンターのような機械に置くだけでいい。店員が情報を入力したり、バーコードを読み取ったりする必要はなく、機械が自動で商品を認識し、ユーザーはクレジットカードを機械に通すだけで支払いが完了する。MashGinは、FacebookとBell Labsにいた2人組みのチームだ。MashGinは、人の目による確認に依存していた多くのビジネスで取り入れられるかもしれない。彼らは、大手小売店から月々5000万ドルでサービスを使いたいという内容の連絡を受けたばかりだ。

注目理由:MashGinは、様々な小売店のレジを置き換える可能性を秘めているが、これは小売店だけに留まらないだろう。人の目で行われていた品質管理のような仕事も、この機械が取って代わることになるかもしれない。

Bonfire :提案依頼書による提案内容の管理。
提案依頼書を受けたベンダーから提出される各提案を吟味し採択する方法(RFP システム)で、年間3兆ドルもの金額が動いている。企業が5万ドル以上する物を購入する際は提案依頼書を作成し、潜在的なサプライヤーからの提案を待つ。その中から最適な提案を採用するのだが、この提案から採択までのプロセスには何ヶ月もかかる。Bonfireは、企業の提案依頼を管理し、どの提案が最も良いかバイヤーに伝えるのだ。Bonfireは、大企業や政府に年間5000ドルでサービスを提供しているが、集めたデータを基に、どのバイヤーにはどのサプライヤーが適しているかなどの解析を行うことで、さらに大きなビジネスになることを計画している。

注目理由:RFPを経験した者なら分かると思うが、これはうんざりする方法なのだ。ただ、この方法で驚くほど莫大な金額が動いていることも事実だ。提案の標準形式を設定し、Bonfireに情報が集約するほどBonfireは優秀な意思決定を下すことができるようになる。最終的に、サプライヤーが提案を出す前から、どこのサプライヤーと組むべきかが分かるようになるかもしれない。

EquipmentShare重機専用のAirbnb。

何兆ドル分の重機が使用されるのを待っている。常時、全重機の75%が待機しているのだ。EquipmentShareでは、土建業者が使用していない重機を貸し出すことができる。このスタートアップは料金の20%を手にするが、これは貸し出し業者から重機を借りる場合に比べると30%も安い値段であり、土建業者は年間で平均90万ドルを重機を借りるのに費やしている。EquipmentSharedは小さい土建業者でも彼らが必要とする重機をお手頃な値段で購入したり借りたりすることができるようになる。また、使用していない移動クレーンやコンクリートミキサーを貸し出すことで、継続的な副収入を得られるようにもなる。

注目理由:仲間内で物の貸し借りを行うようなシェアリングビジネスは、家や交通手段の分野ではとても利益が上がるビジネスであるということが証明されている。次は建築業界で、同業者が保有する資産を効率的に循環させることにより、古くからある業界から利益を出すことにつながるかもしれない。

他にも気になったスタートアップ

Transitmix効率的な交通網のためのソフトウェア。
街を走るバスの路線や時刻表を作成するのに、まだ紙を使用している主要都市はいくつもある。Transitmixは、都市計画において交通システムをどのようにすべきかを考えるのを助けるソフトウェアだ。Transitmixはアメリカとカナダの20の主要都市において、既に契約を交わしている。人口統計データとコスト分析を行うこのソフトウェアは、世界中のどの都市でも使用することができ、都市計画を楽にする。彼らの販売サイクルは60日で、ランレートは100万ドルとなった。このスタートアップの街の運用を良くするために開発したソフトウェアは、40億ドルの市場を狙うことができると彼らは話した。

注目理由:都市部での交通渋滞は年々酷くなっているにも関わらず、自治体が交通システムを変えるのは難しい作業である上に時間もかかる。Transitmixを導入するには費用がかかるが、交通渋滞を緩和するために必要な技術を活用することで、結果的に納税者の負担を減らすことになるだろう。

20^n遺伝子組み換え生命体で有用な化学薬品を生成する。

製薬会社は特殊な化学薬品を生成するのに、莫大な費用をかけている。20^nが開発したソフトウェアでは、どの遺伝子を使用すれば、有用な化学薬品を生成できる遺伝子組み換え生命体を生み出せるかを予測する。彼らは、医薬品タイレノールの有効成分であるアセトアミノフェンを生み出す方法を発明することができた。また別の化学薬品を200万倍安く生成する方法も見つけた。20^nは、米国防総省高等研究計画局や大手化粧品会社から、1700万ドル以上の契約を結んでいる。彼らは幅広い化学薬品を生成できるようになること目標としている。

注目理由:20^nの登場は、Y Combinatorが科学的な根拠に基づいたアイディアで、ニッチなコンシューマー向けのプロダクトにも注目していることの表れとも言える。このような化学薬品を生成する生命体が、実際に有用な化学薬品を生成できるのかは時間が経ってみないと分からない。ただ、このような大きな野望を持つスタートアップも、次にバズリそうな写真共有アプリと同じくらい注目を浴びるべきだと思う。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook


コロプラが学生特化の投資事業を開始–新会社コロプラネクストを設立


コロプラが学生起業に特化した投資活動を開始する。同社は3月26日付けで100%子会社のコロプラネクストを設立したことを発表。学生起業家支援に特化したベンチャー投資ファンド「コロプラネクスト1号投資事業有限責任組合」を立ち上げ、投資活動を開始した。

コロプラネクストの設立日は2月10日、資本金は1億円で100%コロプラが出資。代表取締役社長には山上愼太郎氏が就任する。

コロプラの説明によると、コロプラネクストは「世界でも通用する日本発のベンチャー企業の輩出」を目的にしている。コロプラ1号ファンドの投資の条件は代表者が学生であること、インターネットを使った事業を展開していることなど。コロプラ創業メンバーであり、代表取締役社長を務める馬場功淳氏がメンター、取締役副社長の千葉功太郎がエバンジェリストとして起業を支援する。


KDDI ∞ Labo第8期メンバーお披露目、IoT関連スタートアップは2チーム

KDDIが2011年から続けているインキュベーションプログラム「KDDI ∞ labo」。その第8期プログラムの採択チームが発表された。

通信キャリア発のインキュベーションプログラムとして、これまでも多くのスタートアップを輩出してきたこのプログラム(直近にあった第7期のデモデイの様子はこちら)だが、KDDI新規ビジネス推進本部 KDDI ∞ Labo長の江幡智広氏によると、今回は応募数で前期比2倍、しかもIoT応募は全体の約1割に拡大(以前は1〜2%だったそう)。平均年齢は30.4歳、女性代表の応募は全体の5%(前期と同率)だという。

また、これまでの応募傾向を振り返ると、3期ころまでは特化型SNSなどのソーシャル要素の強いサービスやツール系のサービスが中心だったが、その後4〜6期はジャンルが多様化。BtoBのサービスも増えてきた。そして最近ではIoT領域が増加している。

今回選ばれたチームは以下の5つ。

シンデレラシューズ
「バーチャルなシューフィッター」を目指すサービス。ウェブサイトで足のサイズ、形といった情報をアップロード。足と靴の情報を解析して、サイズだけにとどまらない「ぴったりの靴」を選び出す。欲しい靴は各ECサイトから直接購入できる。三井不動産がサポートを担当。

LYNCUE(リンキュー)
「照明」を世界中どこにいても同じ体験や空間を共有するためのプロダクトとして定義。ペアリングした端末(カメラとプロジェクタを備えた照明機器)を使って、遠隔地とのコミュニケーションを行う。日立製作所がサポートを担当。

Oshareca(オシャレカ)
美容室の予約サービスを開発する。こう聞くとありきたりに聞こえるが、実は現在のネット予約は、新規顧客の集客に特化しているものがほとんどなのだそう。Osharecaでは、既存客に特化した予約サービスを提供する。クレディセゾンがサポートを担当。

Bee Sensing
代表の松原秀樹氏はIBMで営業を経験したのち、養蜂業で起業した人物。蜂の巣箱にIoTを導入して巣箱を管理。養蜂業の効率化を進める。凸版印刷がサポートを担当。

PICK UP!
DIYにまつわるハウツー動画を企画・制作する動画メディア。テレビ朝日がサポートを担当。

∞ Laboでは第7期から「パートナー連合プログラム」と称して、企業が採択チームの支援を行う取り組みを進めている。今日江幡氏に聞いたところだと、パートナー企業は採択チームの選考からコミットしているそうだ。ただ前回の第7期のメンバーにしても、小さい規模での連携は進んでいるが、大規模な事例についてはこれからとのこと。