MOVIDA JAPANがデモデイを開催して13社が登壇‒‒個人的にはEigooo!に期待

MOVIDA JAPANは6月3日、同社のシードアクセラレーションプログラムの成果を発表する「MOVIDA JAPAN DemoDay 5th」を開催した。今回登壇したスタートアップは13社。まずは登壇したスタートアップとそのサービス概要を紹介していく。

Eigooo「Eigooo!

チャットを利用した英語学習サービス。2月にiOSアプリをリリースしている。講師とテキストメッセージで英会話をすることができる。分からない単語はアプリ内の辞書機能を使って検索しつつメッセージを刷ることが可能。サービスは基本無料で利用できるが、月額4000円のプランに加入すれば、時間帯やメッセージ数の制限がなくなる。

現在のCVR(コンバージョンレート)は1.85%。3月〜4月の1カ月で42%増加しているという。粗利率は70%と高い。これはテキストチャットのため、講師1人が生徒10人程度を担当できるためだという。

トランスリミット「BrainWars

対戦型の脳トレアプリケーション。ソーシャルメディア上のフレンドと同期してのリアルタイム対戦や、時間差があっても非同期で対戦ができる。

ゲームは13種類。言語に依存しないサービスを目指しており、現在15カ国で利用されている。1日1000ダウンロードを実現しており、まもなく2万ダウンロード突破見込み。これまで累計20万バトルが繰り広げられており、ヘビーユーザーは1日100対戦をしているという。課金は体力回復(ゲームプレイ回数)での課金。年内500ダウンロードを目指す。

Ikkyo Trchnology「Categorific

コンピュータービジョン技術をクラウド上で提供することで、類似した画像を抽出してくれるビジネス向けサービス。これまで半年間事業を展開し、6社1000万枚の画像データの処理をしている。

このサービスを利用すると、例えば写真加工アプリで赤ちゃんの写真を撮影した際、写真の内容を「赤ちゃん」だと自動的に認識。これまでに赤ちゃんと認識された写真で多用されているスタンプをレコメンデーションして表示するといったことができるようになる。サービスは成果報酬で、レコメンドされた内容がクリックされることで課金される仕組み。

coco「Graph

世の中にある統計情報を検索し、利用できるサービス。統計情報の検索は難しく、それを整理して、図にして貼り付けるという手間に消費される時間は少なくない。それを容易にするのがこのサービス。

統計データを検索し、グラフを生成できる。そのグラフはタグを使ってサイトに貼り付けることができる。現在260万ページ分のグラフが生成されている。まずはウェブメディアやブロガーをターゲットにしてサービスを拡大。年間10万ページビューを目指す

サウンド・フォージ「Pedal Forge

通常ネットでは音の確認ができないギターのエフェクター(音色を変化させる機器)をネット上で聴き比べることができるサービス。

エフェクターのパラメーターもサイト上で調整して比較できる。ベータ版は6月公開、英語、フランス語、日本語で提供。現在国内大手楽器メーカーが無償で機材提供しているという。

Sttir「Sttir(ステア)」

リミックスのための素材となるオープンソース音源を共有、コラボレーションできるサービス。

ストレージの利用でマネタイズを検討する。利用シーンとして想定するのは音楽スクールやプロミュージシャンのリミックスなど。今後は作曲ソフトとの事業提携やリミックスコンテストなども検討する。6月末にクローズドベータ版を提供する予定。

3.0「LIVE3

「今夜何するか」を解決するモバイル向けのサービス。キュレーションメディアで1日10件程度の厳選されたイベントを紹介する。また、売れ残っている当日のチケットなどをディスカウント販売していく予定だ。またモバイルでサービスを提供する。

決済手数料は10%(現在は無料)。音楽イベントは年率10%で成長している市場だが、実は98%のチケットが売れ残っているそうだ。同社ではその領域でのビジネスチャンスを狙う。現在外国人ユーザーが全体の3分の1を占めているという。7月にはアプリをリリースしており、2014年内50万人、DAU10%を目指す。動画インタビューはこちら

Oden「ムビロビ」

同じ映画を見に行きたい人同士でイベントを立ち上げて、みんなで映画の情報を共有したり、実際に映画を見に行ったりするサービス。一般ユーザーのほか、ディストリビューター(映画館や興行主)もイベントを立てて、ユーザーを集めることができる。5月下旬からクローズドテストを開始しており、7月にも正式公開を予定している。

Combinator「Combinator

プロジェクト単位でスタートアップの仲間集めを実現するサービス。登録するユーザーは、自分のプロジェクトや興味分野、スキルをタグで登録可能。気になったプロジェクトはお気に入り登録が可能で、お気に入りにすると、逐次プロジェクトの情報が送られてくる。

すでにプロジェクト単位での仲間集めが実現しており、Wizpra、cocoなど2カ月で11件のスタートアップやプロジェクトで人材採用に繋がったそうだ。現在登録されているのは72プロジェクト、2000ユーザー。今後の戦略は3つ。オウンドメディア(現在10万PV)運営、インフルエンサーによるユーザー拡大、THE BRIDGEなどとのイベント開催などでユーザー拡大を目指す。

Rising Asia「たびのたつじん」

海外旅行に行く日本人と、その渡航先の海外在住日本人をマッチングするCtoCのプラットフォーム。海外在住日本人を「たつじん」として登録し、そのたつじんがアクティビティを登録できる。代理店を介さないため、通常より30〜40%安価にアクティビティなどを提供できるという。一方でたつじんへの登録にはID認証を必須とし、Skype面接を実施することで安全性を担保した。すでにフィリピンやタイをはじめとして、東南アジアで複数件のツアーを開催している。

現在12都市150人のたつじんが登録するが、1年後には180都市1500人の登録を目指す。

ロケットベンチャー「4meee!

10代から20代の女性をターゲットにしたまとめサイト。4コマ(4つの写真と4つのテキスト)で情報を投稿できるため、投稿、閲覧ともに容易なコンテンツが生成できるとしている。複数人のモデルとも協力関係にあるとのことで、これまで1000記事が投稿され、100万PVを達成。リピート率は40%以上で、平均閲覧数は1人6ビュー程度だという。

ファッションアイテムのアフィリエイトや、おすすめ記事でタイアップ広告などでマネタイズを図る。

マスカチ「aorb
写真を使って、不特定多数のユーザーに対して2択のアンケートを実施できるサービス。1枚の写真に対する「いい」「悪い」、もしくは2枚の写真を投稿してどちらがいいかを選択するような質問を投稿したり、またほかのユーザーの投稿への回答をしたりできる。回答は100 %、平均回答数は70件となっている。登録翌日の継続率は60%。ユーザーの版数が女性で、高校生も多い。現在世界20カ国で利用されているそうだ。

今後は年内100万ユーザー達成に向け、テレビ局とのコラボレーションやプライベートモードの提供、英語版の提供(6月末)などを予定する。

ALTR THINK「暇スイッチ

暇になった際にアプリ上のスイッチをオンにするだけで、同じくスイッチをオンにしているほかのユーザーと匿名で交流できるサービス。

最大10文字というとても短い文字数のチャットでリアルタイムにやりとりできるほか、今週末にも新機能として対戦型のミニゲームを提供する予定だという。現在6万ダウンロードで、やりとりされたメッセージ数は300万通。アクティブユーザーの半数が1日10回以上アプリを起動しており、10文字とは言え1日100通のメッセージを送信しているという。今後はゲーミフィケーション要素の導入や、会話のフックとなるコンテンツを逐次提供していく。

個人的には「Eigooo!」に期待

実は今回、僕はほとんどのサービスを事前に取材したり、ショートプレゼンを見たりする機会があった。例えばトランスリミットなどはサービス公開前から期待していたし、LIVE3は動画コンテンツにも登場頂いている。

それぞれ方向性は違うが、正直甲乙つけがたいサービスも多いのでそこには触れないが、初見だったEigooo!が非常によくできていると思った。

確かにSkype英会話では1対1でのレッスンとなるため、講師側のコストを削減するには限界がある。これをテキストにすることで、講師の時間や場所を問わない(時には非同期の)講義を実現できるわけだ。受講する側にとっても、発声を伴わずにレッスンできるため、公共交通での移動中といった短時間でも学習が可能だ。何より講師と顔を合わさなくていいのはシャイな日本人にはもってこいだろう。どういった形でカリキュラムを提供しているかといった話は聞けなかったが、もう少し詳しくサービスを知りたいと思った。

あと、僕が暇な時間を持て余す学生だったのであれば、暇スイッチは是非とも使ってみたいところだ。しかしながらこの記事を書きながらも次の予定が待ち構えている状態。しばらくボタンを押すことはできなさそうだ。


動画制作「Viibar」に撮り下ろし映像を使わない低料金プラン、「PIXTA」の素材活用

今年は「動画元年」と言われているが、調査会社のシード・プランニングによれば、2013年の国内ネット動画広告市場は、前年比329%の132億円に成長しているそうだ。動画広告以外にも、最近は自社サイトでプロモーション動画を載せるのは珍しくないし、実はTechCrunch Japanも起業家を編集部に呼んで動画インタビューを行っていたりする。我々の話はさておき、動画ニーズをさらに掘り起こすべく、映像制作に特化したクラウドソーシング「Viibar(ビーバー)」が2日、エントリー層向けの低料金プランを発表した。

Viibarはシナリオライターやカメラマン、編集者、サウンドクリエイターといった各分野のクリエイターを集め、発注者とマッチングするサービス。従来の動画制作の流れは、広告主が代理店に依頼し、そこから制作プロダクションに発注し、さらにクリエイターに仕事が振られるという、多重な下請け構造。Viibarはこれらの中間業者を抜くことで市場価格の半分程度のコストでの動画制作を実現するとともに、クリエイターの利益も最大化しようとしている。(価格は30万円〜、60万円〜、100万円〜の3プラン)。2月にはグロービス・キャピタル・パートナーズとグリーベンチャーズから3億円を調達した

そんなViibarが2日に発表した新プランは、写真・動画素材の販売サイト「PIXTA(ピクスタ)」が扱う770万点以上の素材を使って映像制作を依頼できるようにするもの。自前で撮影する「撮り下ろし」の映像を使うのに比べて、従来よりも低コストに抑えられるのが特徴だ。HD画質の料金は15秒で14万8000円、30秒で22万8000円、60秒で29万8000円。ナレーションを入れる場合はプラス4万円〜となっている。

気になる動画素材はCG作品や風景、人物など多岐にわたるが、PIXTAで最も売れているのは、日本から世界各国に向けて光線が発信されるCG(企業がグローバル展開していることをアピールするために使ったりする)なのだという。そのほかにも、渋谷のスクランブル交差点で行き交う人々をスローモーションで撮影した映像などが人気なのだとか。

撮り下ろし映像を使った作品と比べると表現力に制限はありそうだが、「動画は高くて手が出ない」と考えている企業にとっては打ってつけといえるかもしれない。Viibar代表取締役の上坂優太は「新プランを試してもらい、その後、撮り下ろしプランを始めていただけたら理想」と話していて、ユーザーの裾野を広げる狙いのようだ。一方、PIXTAとしては素材活用の幅を広げ、動画制作でストック素材を使う文化を広げていきたいのだという。

ところで、写真・動画素材の販売サイトはゲッティイメージズやアマナイメージズ、シャッターストックといった大手があるが、なぜスタートアップのPIXTAと新プランを共同開発したのか。この点について上坂は「何よりスピードが速いから」と話す。「やりっぱなしでなくPDCAを高速で回すためにはスピード感を持った会社とやりたかった。スピードが遅いと取り組み自体の鮮度が落ちてしまう。(PIXTA社長の)古俣さんと仲良くさせていただいていて、何かやりましょうと話していたのもありますが(笑)」。ちなみに今回の新プランは、交渉開始からわずか1カ月で実現にこぎつけたのだという。


動画学習サービスの「schoo」が刷新、起業や英語など4分野をカリキュラム化

スクーは6月2日、オンライン学習サービス「schoo」をリニューアルし、「学部」制度を導入した。

schooは、オンラインで生放送の授業をストリーミングするリアルタイム動画学習サービス。現在ユーザー数は8万人ほどで、外部の「公認団体」によるコンテンツも含めて、毎月150本程度の授業が提供されている。平日夜にも関わらず、4000人が視聴する授業もこれまでにあったという。schooを運営するスクー代表取締役の森健志郎氏は、「月次に提供できる授業数が増えれば、ユーザー数が増えるという形ができあがっている」と現状について説明する。法人向けのニーズも高まっているとのことで、オフラインで開催されるセミナーのリプレイスをしたいとった相談もあるそうだ。

また3月に東京⼤学 知の構造化センターが主宰する全学教育プログラム「東京⼤学 i.school」の学習コンテンツを無料公開し、5月には法政大学キャリアデザイン学部の2科目13授業を無料公開するなど、コンテンツプラットフォームとしての役割も広げつつある。

今回導入する学部は、カリキュラム化された生放送やこれまでの録画授業を1つの分野でまとめることで、その分野に関する知識をひと通り学べるようになるというものだ。schooでは、これまでにも起業をテーマにした授業が多く存在しているが、このカリキュラムをこなすことで、「法律や規約」「資金調達」「メンバーの採用」「ビジネスモデルの構築」といった「起業を検討し始めたときから、シリーズ A の資金調達を完了できる起業家になるまで」に必要なスキルが身につく、というところを目指すという。6月上旬には同じ学部所属者とコミュニケーションをとることができる「グループ機能」の試験運用を開始するほか、一定の学部所属者が集まった時点で、リアルイベントも開催する予定だ。

すべての生放送と一部の録画は無料だが、月 2 コマ以上の録画を受講する場合には、月額 525 円のプレミアム会員登録が必要となる。僕は創業時からスクーの取材をさせてもらっているが、実はこれまで、同社はマネタイズについてあまり明言してこなかった(現状3%程度のユーザーがプレミアム会員だったとは聞いている)。しかし今回の学部導入について話を聞いた際、「ここまで来たらマネタイズが見えてきた。現在の学部よりさらに高度なスキルを学べる学部を新設して有料サービスにしたり、広告を導入したりできるのではないか」と、初めて森氏から話を聞くことができた。ただしまずは冒頭で紹介した法人対応を優先するとのことで、有料の学部設置などはそのあと検討していくそうだ。

設置する学部は「スタートアップ」、「WEB デザイナー」「グローバルビジネスパーソン」「キレイ女子」の4つ。これまでも授業のテーマとしてきた起業やウェブデザインといった分野以外に、ビジネス英会話や女性向けメイクといった分野のコンテンツを集めていく予定だ。1つの学部の学習時間は30〜50時間程度になる予定だという。


Google連携のスケジュール調整サービス「Cu-hacker」がiPhoneアプリを公開

外回りをして人に会うような仕事をしている場合、毎日の課題となるのがスケジュール調整ではないだろうか。まだ予定の入っていない時間に、いかに効率的に予定を入れていくかに悩む人々に最適なサービスが、”スケジュール調整を10倍速くする”とうたうジェネストリームの「Cu-hacker(クウハッカー)」だ。このサービスはGoogleカレンダーと同期できるスケジュール調整機能を提供している。利用は無料。

スケジュールを調整する際には、まずカレンダー上で、スケジュールを入れる候補となる日時をクリックして指定する。指定した日時は、画面左側に「6/1(日) 15:30-18:30」といったようにテキストで表示されると同時に、調整用のURLが発行される。これをコピーしてメールやメッセージングサービスで送付すれば、スムーズなスケジュール調整が可能となる。

もちろん候補は複数選択可能。選択した順番に関わらず、テキストは日付順にソートされる。また調整中のスケジュールをCu-Hacker上で「仮登録」すると、Googleカレンダーには、「候補日時」が自動で登録される。正直なところ、使ってみるまでは情報量も多くてとっつきにくいUIだと思ったのだが、ちょっとしたタイピングなどを省略して予定を調整できるので非常に便利だ。

そんなジェネストリームが5月30日、Cu-HackerのiPhoneアプリを公開した。アプリも無料で利用できる。

ジェネストリーム代表取締役社長の秋貞雄大氏が「スマートフォンでスケジュールを調整する場合、メールとカレンダー、さらにはブラウザを行き来しないといけないことが多いがそれは非常に面倒。それをシンプルでスピーディーな操作で実現する」と語るように、アプリはウェブ版と比べてシンプルなインターフェースを備える。候補日時をタップ操作で選択すれば、候補日時のテキストをクリップボードにコピーしたり、直接メールしたり、FacebookやLINEで共有できる。

今後はAndroidアプリの提供も予定する。現状サービスは無料だが、将来的には法人向けサービスでの有料化を狙っているとのこと。また近いうちにウェブ版を英語対応させるほか、時差の自動計算機能などを導入する予定だという。


テルアビブやロンドンに続いて東京で拠点設置の可能性は? Microsoft Venturesに聞いた

Microsoft Venturesは現在、世界6拠点でアクセラレータープログラムを走らせている。ロンドン、パリ、北京、バンガロール、テルアビブ、ベルリンの各都市だ。元々「BizSpark」という名称でスタートアップ向け支援をしてきたし、2年前からはテルアビブにはMicrosoft Acceleratorを開始していたMicrosoftが、技術やビジネス面でスタートアップ向けの支援をするために2013年に新たなブランディングで開始したのがMicrosoft Venturesだ。

アクセラレータープログラムは3カ月から4カ月、3人のMicrosoftの社員を入れて運営する。1度に10社から20社を一気に顧客開発やマーケ面で支援する。Microsoft Ventures自体は、対象とするスタートアップの幅は広くて、シード期から始まってシリーズA、Bと成長するスタートアップのライフサイクル全体を支援する。その範囲は技術支援のほか、資金提供やユーザー獲得、大企業とのパイプ作りまで幅広い。申請するには、最低限チームに技術者と戦略面の人がいること、しっかりしたビジョンがあること。Microsoftの技術を使っている必要はないそうだ。

このプログラムの発表時には上に上げた6拠点のうち、5拠点の名前があり、そのほかに拡大予定の都市として、ベルリン、モスクワ、リオデジャネイロの名前があがっていた。

では、東京でアクセラレータープログラムを開始する可能性はないのだろうか?

自社イベントのために来日中だったMicrosoft Venturesプリンシパルのアヤ・ズーク氏(Aya Zook)に聞いたのだが、「その地域のスタートアップがどういう状況かを見極めて決める」ということだ。実はズーク氏は、直前に札幌で行われていたInfinity Ventures Summit 2014 Spring(IVS)にも参加しており、日本のスタートアップシーンの成熟度を視察に来たという。「国境なきイノベーションと呼んでいるんですが、シリコンバレーに来ないと成功できないよという時代じゃないですよね」。

「その地域のスタートアップシーンが、ライフサイクルの辺りなのかというのを見ています。これから伸びるのではないかというところに入るのが、いちばんわれわれのバリューを出せる。たとえばインドなんかだと、2年前に始めた頃は、今のように、まだ外部から人が入っていませんでした」

「日本にはエンジニアのタレントが豊富。人材も資金も技術もあって、非常に成熟しています。札幌のイベントに行ってビックリしました。メンターもいる、VCもいる、後進を育てる姿勢の経営者もいる。じゃあ何が足りないのか? ポテンシャルが高すぎて、よく分かりません。ほかの都市と、あまりにも違うのですね。たとえばバンガロールだと、2年でこのぐらい行けるというのが分かりましたが、東京が今どういう段階にあって、何年でどうなるというのは分からない。アメリカだとシアトルがそうですが、リソースが豊富だと起業したりしないのかもしれませんね。そうやって成熟している一方、カルチャー面が追いついてないように思います。スタートアップ企業というのはコケてもいいんだ、というカルチャーが浸透していません」

シアトルはMicrosoftのお膝元。アマゾン本社や、大きなグーグルの拠点もあり、IT企業に勤める人の数は多いが、シリコンバレーのように起業家密度が高くない。

Microsoft Venturesでは、各都市で支援するにあたって地域のカラーを引き出すということを意識しているそうだ。「たとえばベルリンだと、金融やファッション、デザインが強い。そういう会社が集まってくる」

では、東京は?

「ロボティクスとAIが進んでいるような印象を受けている。人間が、この先コンピューターとどうかかわっていくのか、ということを日本人はすごく良く考えていると思う」

アヤ・ズーク氏は、実は父親がアメリカ人、母親が日本人で、日本語はほぼネイティブ。日本とアメリカの両方を見ているズーク氏にとって、日本はどう見えているのだろうか?

「日本はグローバルに何かを発信する実績がありますよね。技術面でも文化面でも、この規模の民族が与えた影響って、ほかにいないのでは。スタートアップという手段を使って、また世界をあっと言わせるようなものが出てくると信じています。リスクを恐れず頑張ってほしいと思います」


活発な動きを見せる国内家族向けSNS–「KiDDY」運営のCompath Meが5000万円調達

最近では「Snapchat」や「Secret」「Wisper」といった匿名やクローズドなコミュニケーションサービスの話題を聞くことが多いが、日本では今、「家族」に限定したコミュニケーションサービスの動きが活発だ。TechCrunch Japanでも、ここ3カ月の間にTIMERSの「famm」やウェルスタイルの「wellnote」などを紹介している。

実はこの領域、国内の事業者に聞いてみると、海外の競合サービスとして名前が挙がるのは「23Snaps」くらい。国内では、デファクトスタンダードたる立ち位置となっているサービスはまだないようだが、各社ともに着実にユーザーを集めているという。

そんな国内のプレーヤーの1つで、家族向けSNS「KiDDY」を展開するCompath Meが5月29日、ベンチャーユナイテッドの運営するファンド「DACベンチャーユナイテッド・ファンド1号投資事業有限責任組合」を割当先とした約5000万円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。今回の増資をもとに開発体制の強化と海外対応の強化を図るとしている。同社はこれまでにOpen Network Lab、DGインキュベーション、アーキタイプ、BEENOS(旧ネットプライスドットコム)などから出資を受けている。

KiDDYは、夫婦や親戚で育児の記録や子どもの写真を共有できるサービス。写真はクラウド上に保管されており、安全にデータを管理できるという。毎月最大5枚までの写真を指定して、1枚のポストカードにして自動で郵送してくれる有料オプションや、最大30枚の写真を指定してアルバムを作る有料サービスなども展開している。このリアルなポストカードやアルバムの提供が現在のマネタイズポイントとなっている。

2012年12月にクローズドベータ版サービスを公開。現在は5万の家族が利用しているという。実は国外のユーザーも多いそうで、現在日本語と英語にのみ対応しているが、欧州の言語への対応ニーズなどは比較的高いという。実はポストカードの販売も海外対応しており、アルバムについても今夏には海外対応する予定だそうだ。

WAU(週間アクセスユーザー)は30%ほどで、1家族あたり1日5枚までの投稿に制限されているが、これまでに300万枚の写真がアップされている。「KiDDYはデータのストレージのハブになる。よくほかのサービスでも代用できると言われるが、実は家族に特化して、かつ簡単な操作のサービスはそうはない。KiDDYのユーザーの3割以上がFacebookもLINEも使っていないユーザーだ」(Compath Me代表取締役社長の安藤拓道氏)

海外も含めてサービスの好調ぶりを語ってくれた安藤氏だが、正直なところポストカードとアルバムの販売だけでビジネスでの大きな成長は難しいのではないだろうか。そう尋ねたところ同氏は、「ポストカードを一度でも利用してもらえば、アルバムの購入や(期間限定で展開していた)年賀状の印刷ニーズも高まる傾向にあり、ARPUで言えば数字は伸びている」と説明してくれた。
今後はポストカード以外にもオプション機能が利用できる有料プランの提供も予定しているほか、ユーザー数の拡大に合わせて広告やECなどの展開も視野に入れるとしている。


Peatixが3周年で流通総額15億円突破、イベント版AdSenseをベータテスト中

テクノに合わせて踊って足でうどんを踏んでこねるという「テクノうどん」という謎のクラブイベントや、字面だけ見るとちょっとエロい図を想像してしまう「ローションズモウ」、ビニール製の巨大ボールに上半身を包まれて安全な体当たりが可能な「バブルサッカー」、あるいは最近各地で流行の兆しを見せている「大人の運動会」――、2011年12月創業のイベント管理・決済サービスの「Peatix」には最近、そんなイベントも増えているという。

3周年を迎えてチケット流通総額は15億円を突破。延べイベント参加者数は50万人以上、開催イベントは2万件を超えた、とPeatixは今日発表した。全体の75%が有料イベント。

Peatixは決済手数料2.9%に加えて決済ごとに70円を徴収している。ざっくり言って1枚チケットが売れるたびに、その4%が売上となるといい、チケットの中央値が2500円だそうだから、「50万人 x 75% x 2500円 x 4%」として勝手に荒っぽく計算すると累計3000〜5000万円の売上。まだ事業としては厳しそうだが、チケット代が3000円とか5000円するような興行イベントではなく、より草の根に近いイベントのロングテールを開拓するという方向性で、2013年2月に決済手数料を2.9%に下げて以来、Peatixのイベント開催実績の推移に勢いがついているようだ。Peatix代表取締役の岩井直文氏は「手数料を下げて効果が出るのに時間がかかった。イベント開催は、年に1度など頻度が低いので、浸透に時間がかかったと見ている」と話す。

イベントジャンルはセミナー・トークショー(26.1%)、ワークショップ(14%)、音楽ライブ・フェス(12.8%)が上位3位で50%以上を占める。その一方、冒頭にあげたような、Peatix運営側が驚くような種類のイベントや、歓送迎会、結婚式二次会といった「幹事」の個人利用も増えているのだという。「大規模イベントのフリンジイベント(付随して開催される小規模イベント)でも良く使われている」(岩井氏)

新規ユーザーの3分の2は口コミで、「最近ようやく1日100イベントという数字になってきた。手応えを感じている」(岩井氏)。スタートアップらしく、当初はPeatix営業チームが訪問して獲得するイベントが多かったものの、今では口コミなどでオーガニックに増えるイベントが全体の6割程度となっているそうだ。

ロングテールをつかむ、という意味でも手応えを感じているそうで、たとえばPeatix上で「スポーツイベント」に分類されるのは、スポーツ観戦のような興行チケットというよりも、ヨガ教室やスポーツのセミナー、あるいは自転車メーカーの企業イベント、大人の運動会、バブルサッカーといったといった幅広いイベントが出てくるという。

Peatixは大規模イベントではなく、こうしたロングテールのイベント市場をつかむことで、新しい市場を開拓しようとしている。

こうした小さなイベントの主催者に対してPeatixは、イベントページを作ったり、決済サービスを利用するハードルを下げているわけだが、それに加えて営業リソースがないケースでも、イベントスポンサーをマッチする仕組み「Peatixイベントアド」を提供予定という。現在ベータ版だが、目指すのは「イベント版のAdSense」。

スポーツ系のイベントにリーチしたい飲料系メーカーのマーケターは、個別イベントを探して協賛するのではなく、Peatix上の小さなイベント群に対してまとめて協賛するといったことができるようになる。現在は単純なキーワードによる検索のインターフェースを内部的に試している段階だが、「興味を持っているスポンサーにダッシュボードの解放を考えている。イベント種類や場所を選べるようにする」という。このPeatixのイベントアドでは、1つのイベントに協賛すると、協賛企業は5つの接点でエンドユーザーにブランドや商品を訴求できるという。イベント告知ページへのロゴ掲載(イベント参加者の5倍程度のユーザーが閲覧する)、開催前の2度の通知メールでのバナー掲載、デジタルクーポンの配布(開封率はベータ版で5、6割程度)、開催後のメール。これまでの事例には以下がある。

Babyと一緒に!代官山おでかけツアー 10月開催
「リスカン!~Listen&Respect!!! 春の菅野よう子祭り~ 」

両イベントはだいぶ性質が違い、協賛企業も散歩イベントでは地元自転車会社が入っていたりする。このほかの事例でデジタルクーポンの配布例だと、Uberのチケットなどの事例があるという。

広告効果の精度を高めるのがイベントアドの課題だ。参加規模やチケット代、あるいはイベントページの閲覧数だけでは見えてこない「良いイベントなのかどうか」というのを判定していく部分は「カンに頼ってる面もある。ちゃんと人が動くイベントの価値が高いことは分かっている」(岩井氏)という。この部分を、いずれはアルゴリズム的に自動化していく必要があるというのも、AdSenseに似ているのかもしれない。

Peatixは2012年7月に500 Startups、DGインキュベーション、伊藤忠テクノロジー・ベンチャーズ、個人投資家から100万ドルのシード資金を調達。その1年後の2013年7月にはフィデリティ・ジャパンなどからシリーズAラウンドとして300万ドルを調達してアメリカとシンガポールに進出している。すでに国外でのチケット流通量は15%なっていて、特にシンガポールでは広く受け入れられているという。英語圏から来ていて、競合のEventbriteなどに親和性が高い人も多いはず。「そのシンガポールでイケるとなると、残りのアジア圏も期待が持てる。TEDxなど特定コミュニティが使ってくれて、そこからその国のコミュニティに広がるパターンが多い」そうだ。

2014年は開催者向けに集客の手伝いをする機能を多く出していく予定という。


5月29日開催 KAIZEN、freee、みんなのウェディングに起業の理由を聞く

以前に告知したとおり、いよいよTechCrunch School第4回が5月29日午後6時から東京・秋葉原(末広町)にて開催される。参加申し込みの受け付けは間もなく終了となるので、興味のある読者は是非とも遊びに来て頂きたい。

1月から開催中のイベントTechCrunch Schoolでは、これまで起業やグロースハック、PRをテーマにしたイベントを開催してきた。今回は「大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」をテーマに、これまで勤めていた企業から飛び出してスタートアップした起業家たちにその思いや、チームの作り方、働き方について聞く。勤めている企業から飛び出してスタートアップを立ち上げたい人、スタートアップに参加したい人、またそんな人たちと出会いたいスタートアップの人事担当者などに是非とも参加してほしいと思っている。

ゲストスピーカーとして登壇頂くのは、KAIZEN Platformの共同創業者でCEOの須藤憲司氏、freee代表取締役の佐々木大輔氏、みんなのウェディング代表取締役社長の飯尾慶介氏の3人。

それぞれ、リクルート、Google、ディー・エヌ・エー出身の3人に、大企業とスタートアップの違いや、過去の経験の生かし方、信頼できる仲間の集め方などを聞いていきたい。須藤氏は起業から1年もたたずに大型調達を実現。海外進出を進めている。佐々木氏もサービス開始から約1年で7万字業者が利用するまでに成長した。飯尾氏は、DeNAのスピンオフから3年半でマザーズ上場を達成した。それぞれの成長の理由も聞いていきたい。

パネルディスカッションに関しては、会場でのみ聞ける「オフレコタイム」を設ける予定だ。プレゼンテーションの模様は記事や動画でも紹介する予定だが、会場に来て頂いた人たちに限定して、登壇頂く起業家の生の声を届けたい。

今回は1人3000円の有料イベントとなる。要望のあった当日券の販売も用意しているが、こちらは3500円となっている。19時半以降の交流会では食事とドリンクも用意するので、是非お申し込み頂ければと思う。

TechCrunch School #4
起業志望者注目!
「大企業から飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」
【開催日時】 5月29日(木) 17時半開場、18時開始
【会場】 東京・末広町 3331 Arts Chiyoda 3331 Arts Chiyoda地図
【定員】 100名程度
【参加費】 3000円
【参加資格】 起業を志す、もしくはスタートアップに興味のある大〜中小企業の社員および、学生の方。スタートアップへの参画を希望する人材と出会いたいスタートアップの起業家、CxO、人事担当者
【ハッシュタグ】#tcschool
【主催】 AOLオンラインジャパン
【内容】
18:00〜18:05 TechCrunch Japan挨拶
18:05〜18:50 講演セッション
須藤憲司氏(KAIZEN Platform共同創業者・CEO)
佐々木大輔氏(freee 代表取締役)
飯尾慶介氏(みんなのウェディング 代表取締役社長)
18:50〜19:30 パネルセッション「僕らが大企業を飛び出してスタートアップの世界に飛び込んだ理由」
パネラー:
須藤憲司氏(KAIZEN Platform共同創業者・CEO)
佐々木大輔氏(freee 代表取締役)
飯尾慶介氏(みんなのウェディング 代表取締役社長)
西村賢(TechCrunch Japan編集長)
19:40〜21:00 懇親会(アルコール、軽食も出ます)
【申し込み】イベントページから事前登録必須
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

実名制グルメサービス「Retty」は月間ユーザー300万人に 検索機能も刷新

グルメサービスには「ぐるなび」「食べログ」といった巨人が存在するが、一方でRettyが運営する実名型グルメサービス「Retty」がユーザーを拡大させている。これまでの口コミ投稿は90万件を超え、月間利用者数は2013年10月に100万人を突破。2014年2月には200万人となり、4月には300万人まで拡大しているという。この数字は、前年同月比で927%増となる。ユーザーは30〜40代の男女を中心が中心となる。


Retty代表取締役の武田和也氏によると、すでにスマートフォン(ウェブ、アプリの合計)へのアクセスが9割を占めており、ウェブに関しては検索流入も増加している。「Googleが検索のアルゴリズムをアップデートしているが、SEOではなくコンテンツの内容を意識してきたRettyにとってはプラスになると考えている」(武田氏)。スマートフォンにおけるウェブとアプリのアクセス数の比率は非公開とのこと。

そんなRettyは5月26日、スマートフォンアプリの店舗検索機能をリニューアルを実施した。今回のリニューアルでは、店舗情報の下部にユーザーの口コミが表示され、より「人」にフォーカスした検索が可能になるという。たとえば「広告代理店の人がお勧めする会食のお店」「女性がススメルデートのお店」といった、口コミ投稿者の属性や嗜好をもとにした店舗検索ができる。

またRettyでは、一部店舗に限定して試験的に店舗情報の管理機能などを提供をし始めている。こちらは今夏にも正式に公開される予定だ。


機械式時計にハイテクを搭載したKairosスマートウォッチがプレオーダーの受付けを開始

腕時計好きは世界中にたくさん存在する。FossilやRolexやOmegaなど、本当に素晴らしいものがたくさんある。そんな中に割り込もうとするKairosをご紹介しよう。エンジニア、デザイナー、そしてアントレプレナーが集結して、機械式の自動巻き時計でありながら、表面のガラス上にはインターネットからの通知を表示することのできるものを創りだしたのだ。

スイス製のSoprod A10BV-2を搭載したモデルと、シチズンファインテックミヨタの82S7を搭載したものがある。これで時計を組み立てれば、できあがるのは普通の機械式時計だ。Kairosはガラス部分に半透明のTOLED QVGAを搭載して、アイコンやアプリケーションから通知される情報を表示するようにしたのだ。尚、ドットマトリクス方式のディスプレイを搭載するモデルもある。こちらは文字と、電池残量を示すアイコンを表示するようになっている。

「機能面でいえば、SamsungのスマートウォッチやPebbleと同様です」と、ファウンダーのひとりであるSam Yangは述べる。「通知機能、リモートコントロール機能、フィットネス管理機能などを搭載しているわけです。これまでのものと異なるのは、機械式時計と半透明の電子ディスプレイを組み合わせた点です」。

韓国にてYangは、17歳のときにリモートエンジンスターター関連の会社を設立し、その後、ファッションブランドのマネジメントビジネスを立ち上げた。今回のスマートウォッチも、テックとファッションを融合させたものと見ることができるだろう。

「腕時計が大好きなのです。スマートウォッチでありながら、従来の時計好きの人にも興味を持って貰えるようなものを作りたかったのです」とのこと。ファウンダーは他に3人いて、Ken Yoonはルノー出身、Kyo Young JinはSamsungおよびLGで働いていた。そしてGabriel Gonzalesはファームウェアのプログラマーだ。時計の機械部分は、Patek Philippeでウォッチメーカーとして修行して、スイス製時計のマーケターをしているFrederic Weberの手になるものだ。

ムーブメントを機械式にしたことで、アナログタイプのスマートウォッチに感じていた不満を解決してくれた。すなわち秒針の動きがスムーズになったのだ。

機械式ムーブメントとスマートウォッチを組み合わせたことに大きな意味はあるのだろうか。それは、強いこだわりによるものというわけでもないようだ。

「スタート地点は素敵な機械式時計です。格好良い機械式時計に、スマートウォッチ風機能を付けることはできないかと考えたわけです」とYangは述べている。

時計ビジネスの規模にも魅力を感じたのだとのこと。

「昨年1年間で、190万台のスマートウォッチが売れています。また、普通の腕時計は12億台が販売されたようです。そのうちの77%が機械式ムーブメントのもので、2900万台がスイス製であったとのことです」と述べる。こうした数字を背景に、新旧を組み合わせることで、ウェアラブルの世界に新しい動きを持ち込みたいと考えているわけだ。

Kairosは金融関連企業からのシード投資と、シンガポールおよび香港の企業からのシリーズAを完了している。500台を試験販売し、そしてこの度、プレオーダーの受付も開始した。最も安価なモデルは499ドルからとなっている。

こうしたものというのは、往々にしてあっという間に消え去っていくことも多い。しかしメンバーは経験豊かで、機械式時計の人気を背景としたデザインは魅力的だろう。成功する可能性も大きいと考えている。機械時計のメーカーの多くはスマートウォッチには距離を置いたスタンスをとっている。しかしそこにテックを組み合わせることにより生み出されたハイブリッドモデルには、やはり大きな魅力があるように思うのだ。

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(翻訳:Maeda, H


ZOZOTOWNとの連携も進むSTORES.jp–今夏に「予想できない」新機能

10万店舗が出店するまでに成長したオンラインストア構築サービス「STORES.jp」。北海道・札幌で5月22日から23日にかけて開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring(IVS)」のCtoCビジネスに関するセッションで現状を語ってくれたブラケット 代表取締役の光本勇介氏が、セッション終了後により詳しい近況を教えてくれた。

ZOZOTOWN出店企業向けの新機能

驚いたのは、ZOZOTOWNとの連携だ。2013年7月にスタートトゥデイの子会社となったブラケットだが、2014年1月には個人・法人を問わず出店できるマーケットサイト「ZOZOMARKET」を公開している。しかしこのほかにも、ひっそりとサービスの連携を進めていたそうだ。

その1つがZOZOTOWNの出店企業向けの「STORES.jp PRO」というものだ。これはZOZOTOWNの管理画面上にあるスイッチをオンにすると、その企業のオリジナルECサイトをSTORES.jpをベースにして構築できるというものだ。ドメインの指定なども可能で、商品もいちいち登録する必要はなく、ZOZOTOWNに登録する写真や価格といったデータをそのまま利用できる。

スタートトゥディではこれまでも企業向けにオリジナルのECサイトを構築する事業を展開してきた。しかし大規模なECサイトをスクラッチから構築した場合、イニシャルコストだけでも数千万円になる。「ZOZOTOWNに出店する企業はそれなりの規模があるが、実はオリジナルのECサイトを持っていないところがほとんど。フルカスタマイズしてサイトを構築したいのであれば数千万円かけてもいいが、まずはイニシャルコストをゼロにしてやってみたいという企業も少なくないと思う」(光本氏)

まずは「ものを売る」という体験を提供してもらう

STORES.jpやBASEといった新しいネットショップ構築サービスの台頭、Yahoo!ショッピングの無料化など、2013年はECを取り巻く環境に大きな変化が起きた。STORES.jpでも数多くの新機能を提供してきたが、現在はグロースハックや、マーケティング関連の施策に注力しているという。

マーケティング施策についてはセッションでも触れていたが、光本氏は「ECはつまるところ売れてなんぼ。ECで『ものを売る』という体験を提供しないと結局ユーザーはハッピーにならない」と主張する。これを実現するために、STORES.jp上には「プロモーションスイッチ」という機能を用意する。このスイッチをオンにすると、ZOZOMARKETや提携する各種ECサイト上に、STORES.jpで販売する商品を掲載できるというものだ。実際、このスイッチをオンにすることで、売上が2.7倍になるという実績があるという(スイッチをオンにした場合、販売価格の10%の手数料がかかる)。

今後ねらうのは「予想できないジャンプ」

楽天でも約4万店舗。STORES.jpの「10万店舗の出店」と聞くと順調な数字も思えるが、光本氏は「今だと12月の時点だと予想がつく程度。実際にはすごいことかもしれないが、予想ができる道をそのまま歩いてもつまらない」と語る。具体的な施策については明らかにされなかったが、今夏にも「いかに予想ができないジャンプをするか」という視点で機能を提供していくそうだ。


印刷版の読者にeブック版を無料ないし割引で提供するサービス、BitLitが登場

TechCrunchの読者の多くは、印刷版の本もたくさん持っているだろうが、新たに読む本は大部分eブックに移っていることと思う。それなら、かさばる印刷版の蔵書のeブック版が安く手に入ったら便利だろう。それがBitLitが提供するサービスだ。

カナダのバンクーバーに本拠を置くこのスタートアップは出版社と協力して、すでに印刷版を所有している読者に無料または割引価格で電子版を提供する。またBitLitは出版社が印刷版に電子版をバンドルして販売するのを助ける。

現在のサービス提供地域はアメリカ、カナダ、イギリスの3カ国だ。

今日(米国時間5/22)、BitlitはKoboのファウンダーで前CEOのMichael Serbinisが新しく立ち上げたThree Angels Capital、BDC Venture Capital、WUTIFのMike Voker、バンクーバーの著名エンゼル投資家、Jim Fletcherからエンゼル投資を受けたことを発表した。投資金額は明らかにされていない。

BitLitが読者にとってありがたいサービスなのは自明だが、出版社にとってのメリットは何だろうか? BitLitはまずeブック自体の売上が得られ、さらに印刷版と電子版のバンドルの双方を購入できるようになれば、現実の書店の効用が増すとしている。

今週私は、BitLitの CEO、共同ファウンダーのPeter Hudsonにインタビューした。Hudsonによれば「現在、現実の書店が直面しているショールーム化という問題を逆に優位性に変えることができるので、出版社はこのソリューションに非常に興味を持っている」と語った。

現実の書店を訪れる消費者は、オンラインストアのユーザーに比べて、それまでまったく知らなかった本をその場で発見して購入する傾向が高いことが分かっている。そうした発見を助けるために、出版社は現実書店に広く配本することを怠るわけにはいかない。同時に、印刷版の購入者は、販売されてさえいればその場で電子版も購入する可能性が非常に高い。

BitLitは現在、O’Reilly、Other Press、ECW Press、Osprey Group、Greystone Books、Berrett-Koehleを始め出版社80社と契約を結んでいる。提供しているeブックのタイトルは約1万で、そのうち30%は、印刷版と同時に購入するか、すでに所有していれば無料だ。

Hudsonは「読者が読みたいような人気のあるタイトルを揃えていかなければわれわれのサービスには価値がない。それはNetflixがハリウッドの映画スタジオと契約できなければただのビデオ・コーデックに過ぎないというのと同じだ」と語った。Bitlitは近くさらに多くの出版社との契約を発表できるという。

ユーザーが実際に印刷版の所有者であることを確認して不正を防ぐため、BitlitではiOSAndroid版の専用アプリを開発した。ユーザーはこのアプリで本の表紙を写真に撮り 、さらに著作権情報ページに自分の名前を大文字ではっきり記入し、その写真も撮ってBitLitに送る。

私は「ずる賢い学生がこのシステムを出し抜いて無料や割引のeブックを手に入れる不正な方法を考えだすのではないか?」と尋ねてみたが、Hudsonは「この程度でもタダ乗りを防ぐには十分役立っている」と答えた。

本を所有していることが立証されると、BitLitはユーザーに対しメールでeブックへのリンクを送信する。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


CtoCサービスが成長する”カギ”は何か? Baixing、メルカリ、Stores、ジモティーが語る

冒頭の画像を見てほしい。この写真は何か?これは米国のクラシファイドサービス(「売ります」「買います」をはじめとした個人広告を掲載するサービス)「craigslist」の1ページである。craigslistでは様々な分野の個人広告が掲載されているが、その1つ1つが、実は今、スタータップが提供する特化型のCtoCサービスに置き換えられつつある、ということを示している。

北海道・札幌で5月22日から23日にかけて開催中の招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2014 Spring(IVS)」の第3セッションAでは、そんなCtoCサービスの事業者4社——Baixing.com CEOのJianshuo Wang氏、ジモティー 代表取締役社長の加藤貴博氏、メルカリ 代表取締役社長の山田 進太郎氏、ブラケット 代表取締役の光本勇介氏が登壇。インフィニティ・ベンチャーズLLP 共同代表パートナーの田中章雄氏がモデレーターを務める中で、それぞれのビジネスについて語った。セッションの前半は各社のサービスが紹介されたが、ここではセッションの後半のディスカッションについて紹介していきたい。

CtoCサービスはどうやって集客するのか

メルカリが手がけるのは、スマートフォン向けフリマサービス「メルカリ」だ。先日14.5億円の資金を調達し、現在テレビCMも開始している。山田氏は、CMでユーザーが増加したこと自体は否定しないが(CM効果について他社の事例を挙げると、先日調達を終えたアカツキなどは、2週間のテレビCMで70万ユーザーが増加したという話だった)、「プロダクトこそが非常に重要」と断言した。当然と言えば当然かもしれないが、やはりプロダクトが命となる。メルカリではスマートフォンに特化し、素早く手軽な操作で出品、購入できるフリマサービスを目指しているという。誰もが迷わず操作できるプロダクトを作ることこそが重要だと語る。

オンラインショップ構築サービス「STORES.jp」を提供するブラケットの光本氏は、「まだ自分たちでも答えが見つけられていない」と語る。STORES.jpの出展数は10万店舗。単純に店舗数だけを比較すれば4万店舗超の楽天を超えている数字だ。しかし店舗の性質も違うし、SEOやリスティング広告などを含めて、コストをかけたマーケティングを展開している。なので同じことをしてもどこまで成果が出るかというと難しい。そのためStores.jpでは、店頭販売できるパッケージ商品を作るということから、さまざまな集客の施策を作っているそうだ。

craigslistのようなクラシファイドサービス「ジモティー」を展開するジモティーの加藤氏は、そもそも「クラシファイド」という言葉自体が日本で一般的ではないため、言葉としては「(売ります買いますを投稿できる)掲示板」としてアピールしていった方がユーザーとの親和性が高いと判断したという(ちなみにジモティーのユーザーは40代以上が62%となっており、ITリテラシーも比較的低いそうだ)。サービス開始当初は,「社員の友人に声をかけてサービスを紹介する」といった人海戦術で集客を始めた時もティーだが、結局重要なのは「リピーターをどれだけ作るか」ということだと思い、ユーザーがどうやって成功体験を得られるかに注力しているそうだ。

中国でクラシファイドサービス「Baixing.com」を展開するWang氏も、口コミの重要性を語る。広告経由のサイト流入は実は全体の5%程度で、ほとんどはオーガニックなサイト流入なのだという。ちなみにBaixing.comで最も人気のある商品は中古車で、実に中国で流通する中古車の30%が同サービスを通じてやりとりされているそうだが、中国の中古車市場では安価な部類に入る1万ドル以下のものを取り扱っているそうだ。こういった商品は安価すぎて中古車ディーラーだと扱いたがらないそうだ。

リリース時期、ユーザーヒアリング、機能——カギになる施策は?

セッション後半、会場から「どういった施策が成功のカギになったのか」という質問が4社に投げられた。

アプリを4月に提供したメルカリ。先行するサービスとしては、女性に特化したFabricのフリマアプリ「Fril」などもあったが、「競合も出てきたが、タイミング的にも早く動けたことがよかった」(山田氏)と語る。

ユーザーインタビューの重要性を語るのは加藤氏だ。「社内の意見とユーザーの声は実は合っていなかったりする。例えばサービスのリッチ化は、実はユーザーのニーズと乖離していることもある」(加藤氏)。この話はなにもCtoC領域に限ったことではないだろう。

光本氏は、1つに絞れないとしながら、これまでの常識を超えるようなサービスの付加がポイントだったと語る。Stores.jpでは、ユーザーが複数店舗で商品を購入する場合でも、一括での決済ができるようにしたし、商品撮影や倉庫利用も基本無料で提供を開始した。こういった施策も、集客のフックになっているそうだ。

「シンプル」こそが大事だとするはWang氏だ。加藤氏の話にも近いが、サービスが複雑になりそうなとこには、まず原点に戻ってシンプルにするのだという。Baixing.com自体も、ユーザーに4つのテンプレートを作るだけで個人広告を出せる仕組みを導入しているのだという。


ブレスト不要、1人で悶々と考えろ!LINE流「面白いプロダクト」の作り方


今日から札幌で開かれている「Infinity Ventures Summit 2014 Spring」に来ている。初日には、LINE執行役員の舛田淳氏とヤフー執行役員の小澤隆生氏が登壇し、「次世代プラットフォーム革命」をテーマにしたセッションが開かれた。テーマとは若干離れるが、セッション内で両者が「面白いプロダクトの作り方」について語った内容が興味深かったので紹介しよう。

ブレストするな。1人で悶々と考えろ――。舛田氏によれば、LINEで新しいプロダクトを作る際には、社内で無駄に情報共有をしないように呼びかけているという。「プロジェクト間で連携しようとすると、『向こうではこれをやってるから』と身動きがとれなくなる。(木を見て)森を見ないと動くべきではないというが、全体の合意を取ろうとするとつまらなくなる」

1人で悶々と極限までプロダクトを考えたあとは、「早く、小さく始めて、ダメならばすぐに閉じることが大事」と舛田氏は語る。「すぐに閉じればダメージは小さい。ちょっと恥ずかしいけど。言ったことでも、ダメならすぐに撤退するのがイノベーションに必要なこと」

これに対して小澤氏は、面白いことや新しいことのほとんどは失敗するとの持論を展開。2012年4月に宮坂学氏が代表取締役CEOに就任し、社内で「10倍失敗しろ」というメッセージを発信してからは、「挑戦しないとダメだ」という空気が醸成されたのだという。

「9割は失敗するので、それを許す企業文化をいかに作るか」。小澤氏の言葉の通り、軽井沢の高級別荘を予約できる「Yahoo!トラベル 軽井沢の別荘特集」が4月16日のローンチから1カ月余りで閉鎖したことも明かした。「昨日閉じたんですよ。僕が華々しく始めたんですが、社内大騒然ですよ」。

さらに、ヤフーがイー・アクセスの株式取得を中止したことについて暗に触れ、「今週も大きな失敗があったんですが、よくないですよ、あれは!」と語り、会場をわかせる一幕も。ちなみに小澤氏はセッションで開口一番、「今週冒頭に大きなニュースがありましたが、広報からは『くれぐれもふざけるな』と言われている」と話していた。


経営体制を一新するCerevo 人員を4倍に拡大してウェアラブルデバイスも開発へ

家電ベンチャーのCerevoが、6月より資本関係および経営体制を変更する。これまでCerevoに出資をしているイノーヴァ1 号投資事業有限責任組合、ネオステラ1 号投資事業有限責任組合、VOYAGE VENTURES、ならびに一部の個人株主が有する全ての弊社株式と、インスパイア・テクノロジー・イノベーション・ファンド投資事業有限責任組合の保有する優先株式をnomad代表取締役の小笠原治氏個人に譲渡する。

取得額や株式比率は不明だが、株式の3分の2以上を獲得することになるという。「岩佐さん(Cerevo代表取締役のの岩佐琢磨氏)と僕で会社の意思決定をできるようにする。既存株主としてはエグジットと言える額だと思う」と小笠原氏は説明している。またこれにあわせて取締役だった鈴木智也が辞任し、6月2日の株主総会の決議をもって小笠原氏が取締役に就任する予定だ。

Cerevoは今回の組織体制を機に開発体制を大幅に強化する。フロントエンドエンジニア、サーバサイドバックエンドエンジニア、電気回路設計エンジニア、組み込みソフトウェアエンジニア、デザイナーを中心に数十名を募集。Cerevoの社員は現在13人だが、2014年度内に50人体制にまで拡大する予定。さらに、今夏にも小笠原氏が設立する予定の20億円規模のハードウェアベンチャー向けファンドから資金を調達することを検討しているという。

小笠原氏はさくらインターネットの共同創業者であり、現在ではコワーキングスペースや飲食店運営、エンジェル投資家としても活躍する。2013年からは、ハードウェアスタートアップ向けの投資プログラム「ABBALab」なども展開している。

「今攻めないんだったらどこで攻めるんですか? という時期にきたと思う」Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏はこう語る。メイカーズムーブメントが起こり、ハードウェアスタートアップも徐々に増えてきた。また特に海外では、Kickstarterをはじめとしたクラウドファンディングでもハードウェア開発の資金が集まるようになってきている。これまで非常にニッチではあるが、世界的にニーズがあるという「グローバル・ニッチ」な家電を手がけてきたCerevoとしても、ここで組織強化をし、アクセルを踏んで事業のスピードを上げていきたいと語る。年内にはウェアラブルデバイスの開発にも取り組む予定だ。「みんなが欲しい物ではないが、ニッチな層ではものすごく欲しい製品になると思う」(岩佐氏)

今後Cerevoでは、自社製品の開発を進める一方で、これまで同社が得てきたハードウェア製造のノウハウを生かして、ハードウェアスタートアップ各社の開発支援なども手がける予定だという。


カネもコネもないハードウェアスタートアップのためにスタート台(設備機器など)を提供するサービスFactorli

【抄訳】

Appleのような巨大企業や、スタートアップであるMakerのRow氏などの努力により、これまで何年にもわたって徐々にかつ大規模に海外に流出していた製造業がアメリカで再興しつつある。そのような努力の最新版のひとつが、ラスベガスの砂漠に作られたFactorliだ。

ただしFactorli自身は製造業スタートアップではない。同社は、合衆国のハードウェアスタートアップに、プロトタイプと初期の小規模なロットを生産できるための場所と建物と設備機器と人的援助を提供する。

自分自身もスタートアップであるFactorliは、今では再開発予定地としてさら地になっているラスベガスの旧市街地にある(上図)。同社は今日(米国時間5/21)、Vegas Tech FundとZapposのTony Hsiehから、実際にFactorliの工場を作るための資金として1000万ドルを調達した。

FactorliのファウンダでCEOのJen McCabeによると、彼女はVegas Tech Fundの社員として、いろいろなハードウェアスタートアップのお世話をしているときに、Factorliのアイデアがひらめいた。“去年1年だけでも、うちは21社のハードウェアスタートアップに投資をしたわ”、と彼女は語る。

その過程で彼女は、ある一つの問題に、何度も何度も遭遇した。

“GoProでもiRobotでもない、単なるお金のない個人にすぎない人が、どうやって物を作ればよいのか?”、と彼女は問う。“そんな、スタート台みたいな基盤は、今の製造業の業界の中にはないのよ”。

McCabeによると、ハードウェアスタートアップがスタートできるためには、5つのものが必要だ:

1)すばらしいプロダクト(プロトタイプの効率生産が可能)
2)良質な生産設備(少量生産への対応が容易)
3)販売と流通のチャネル
4)ロジスティクス
5)カスタマサービス

とくに、2)については、自分自身に技術や経験がなくてもアイデアを形にできる、という人的物的環境が必要だ。

そして彼女にとって最大の課題は、上の5つの要件をスタートアップのために出来合いで提供してくれるような既存のサービス、環境、行政の事業等々が現状ではまったくないことだった。

そしてそのことが、Factorliのコンセプトの基盤だ。

【中略】

Factorliの理想とアイデアはすばらしいが、まだ道半ばだ。上の5つの環境や条件を整備するための実装過程の多くが、現状では“進捗中”である。“今は全体のシステムの構想段階”、と彼女は言う。

類似の先駆者には、PCHFlextronics、サンディエゴのHardTech Labsなどがあり、新しいタイプの生産方式として、バースト生産セルラー生産などがある。勉強すべきことは、多い。

McCabeは、Factorliの最初のユーザの製品が来年1月のCESに間に合うようにしたい、と期待しているが、“でもスケジュールの詳細などはまだいっさい、発表していない”、という。

最初のユーザの候補は、Vegas Tech Fundのポートフォリオに載っている連中だろう。彼らのためにはすでに、Stirのキネティックデスクを注文したそうだ。“Stirがここに来てくれると嬉しいわ”、とMcCabeは言う。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


普通の紙に描いたものをリアルタイムでデジタイズするiSketchnote

iSketchnoteというデバイスを提供するフランスのISKNが、プレオーダーの受け付けを開始した。Livescribeのように、ペン側をスマート化するわけではなく、どちらかと言えば、従来のグラフィックタブレットのような仕組みに近い。価格は安く、ふつうの紙の上に、一般的なペンを用いて記述するようになっている。ペンに磁気リングがついているのが大事なところだ。

実はこのプロダクト、新しいものではない。Kickstarterで大成功をおさめたプロダクトだ。3万5000ドルを目標とするキャンペーンだったが、十倍近い金額を集めることとなった。しかしKickstarterキャンペーンを見逃して悔しく思った人も多いことだろう。そこでサイトでのプレオーダーが開始されたのを機に、再度紹介しようと考えたわけだ。

見かけは表面を薄くゴム状のものでコーティングした板のようなもので、ここに紙(どんな紙でも良い)を乗せて使う。さほど大きなものではなく、たいていのバッグにおさめることができるだろう。また、iPadと一緒に持ち運ぶためのケースも用意されている。実際に手にとって見てみたが、シンプルにまとまっているように感じた。

デバイスはBluetooth LE経由でiPadに繋がり、USBを利用すればPCなどと繋ぐこともできる。単体で利用して、後にデータの同期を行うということもできる。使い方はといえば、デバイスの上に紙をのせて、普通に描くだけだ。iPadと繋いで使っていれば、紙の上に何かを書くと同時に、iPadのスクリーンにも同じ内容が現れる。

ペンの側にこれといった仕組みがないのも面白い。付属のペンを分解してみても、バッテリーやカメラなどといったものは搭載されていない。デバイス側がセンサーをマトリックスセンサーとして動作し、ペン側に装着された磁石の動きをリアルタイムで検知するという仕組みだ。

いろいろな分野で利用することが出来るだろう。応用範囲の広さに、プロダクトの魅力があるように感じる。ドローイングアプリケーションと連携するときにも、手に馴染んだペンを使いながら行うこともできそうだ。ペンの色や太さを変えて、同一画面上にいくつかバリエーションを描くようなこともできる。エントリーレベルのWacomタブレットよりも、かなり正確にトレースしてくれるようだ。

またAPIも公開する予定にしているとのこと。PCやタブレット上のアプリケーションで、ISKNを入力デバイスとしてサポートできるようになる。書いた文字や絵などを保存して、それをシェアするようなアプリケーションなどはISKNから提供される。出荷時期は8月が予定されている。

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(翻訳:Maeda, H


来日中のDuolingo CEO、安価で手軽な語学検定アプリ提供でTOEICもディスラプトする予定と明かす

2週間前に日本語版をローンチして話題の語学学習サービス「Duolingo」(デュオリンゴ)の創業者でCEOのルイス・フォン・アン氏が来日中で、東京・六本木で話を聞く機会があった。ルイスは1979年、ガテマラ生まれの連続起業家。カーネギーメロン大学のコンピューターサイエンス学部の准教授でもあり、人間とコンピューターが協力することで大規模な課題を解くシステムについての実装や論文で、数々の受賞歴がある。

TechCrunch Japan読者なら彼の名前をreCAPTCHAの発案者として覚えているかもしれない。ユーザー登録画面などでランダムに歪曲された文字列が表示されることがあるが、CAPTCHAと呼ばれるこの仕組みを、古文書のデジタル化というOCRだけで処理できない問題に結び付けるというのがreCAPTCHAだ。古文書の3割ぐらいはかすれや日焼けによる変色などで機械的に読み取りができないが、人間ならかなり読み取れる。CAPTCHAによって無駄に浪費される人間の脳時間(コンピュテーション)を有効活用するというのがreCAPTCHAのアイデアだ。ルイスが創業したreCAPTCHAはグーグルに2009年に買収され、今や10億人以上が解読作業に参加したことになるという。

そのルイスが、2011年に新たに起業して取り組んでいるのがDuolingoだ。Duolingoは一見単なる言語学習アプリ(サービス)だが、実際にはreCAPTCHA同様に大規模に分散した人間の労力を集約することで、アルゴリズム的なアプローチがうまくいかない課題を解決するというアイデアがベースにある。外国語学習産業という大きな市場を、翻訳という別の市場と結び付けるのがDuolingoのミソで、学習者は無償で外国語学習ができる一方、Duolingoは学習者の訳文作りという学習を活かして安価な翻訳サービスを提供できる。先日のシリーズCも含めて、すでに3800万ドルほどの資金を調達している注目株だ。

CNNのスペイン語版はDuolingo 100%

もうDuolingoに登録して試した人も多いかもしれないけど、ぼく自身は半年ほど前に英語版サービスでフランス語を学習するというコースを試してみた。ただ、どうして大学でフランス語の成績が「可」だったぼくが一所懸命に翻訳するろくでもない英文の訳文が、対価を生むような翻訳市場と結び付くのか良く分かからなかった。これは「reCAPTCHAと同モデル」と想定したことから来る誤解だったようだ。

ルイスによれば、Duolingoには学習コンテンツと翻訳コンテンツという2種類の明確に別々のコンテンツがあるそうだ。reCAPTCHAの印象から「言語学習の課題を解くと、知らず知らずのうちに翻訳作業に協力していた」というモデルかと想像していたけど、実は参加者は明示的に翻訳作業を参加することになるという意味で、だいぶreCAPTCHAとは違うモデルなのだそうだ。

2013年10月にはCNNやBuzzFeedと提携。CNNが提供しているスペイン語コンテンツは100%、Duolingoによる翻訳だそうだ。BuzzFeedについては、スペイン語、ポルトガル語、フランス語が全部Duolingoによる翻訳で、すでに毎日かなりの量の有償翻訳を行っているという。翻訳すべきコンテンツを持っているパブリッシャーからの収益が得られるので、Duolingoは学習者に対しては無償でサービスを提供でき、2、3年で黒字化できるだろうとルイスは言う。

翻訳すべきドキュメントはWikiのように参加者が書き換えられる。徐々に翻訳していき、一定の人が個別の訳文にOKを出したら、そのセンテンスの翻訳は完了となる。翻訳すべきコンテンツはユーザーの嗜好や実績などを考慮したアルゴリズムによって、各ユーザーにリコメンドされる。CNNのニュースのように速報性が必要なものは優先順位が高いとか、コンテンツ自体の評価が高いものが優先されるという風になっているそうだ。残り1行で翻訳が完了するコンテンツも優先されるなど、リコメンドのアルゴリズムは随時改善しているという。

「良いコンテンツ、短いコンテンツほど早く翻訳されます。CNNの例だと、平均800語のコンテンツは6時間で翻訳されます。翻訳料金はボリューム次第ですが、一般の翻訳料金の相場が1語あたり7〜8セントのところ、Duolingoは2〜4セント程度と半額程度です」

すでに収益を上げるモデルがあるものの、現在のDuolingoのフォーカスはパブリッシャー集めではなく、語学学習サービスとしての、より大きな成功という。

「現在、Duolingoのユーザー数は約2500万人。うち85%がモバイルで、Android、iPhoneが半分ずつ。いずれのプラットホームでも、多くの国で教育分野ナンバーワンアプリとなっています。ユーザーの30%が北米、30%が南米、30%がヨーロッパで、残りがその他の地域という分布です。まだアジアはこれから。中国語で英語を学ぶ、日本語で英語を学ぶという教材が登場したところです。日本語版のローンチは2週間前で、日本では2万7000ユーザーとなっています」

「ちょっとおもしろい数字があります。北米では公立学校で外国語学習している人の数より、すでにDuolingoで学習している人の数のほうがすでに多いんですね。すでに教育アプリでは2位に圧倒的な差を付けていて、オンライン語学学習サービスでは1位に成長しています。ですが、オンラインで語学を学習するといったとき、誰もがDuolingoの名前をすぐに思い浮かべるかと言えば、そんなことはありません。まだ誰もが認知するブランドにはなっていない。そうなるのが今いちばんの目標ですね」

進化する教材とコミュニティ

現在、Duolingoの教材にあるのは18言語。必ずしも2言語について両方向の教材が存在するわけではなく、「日本語→英語」のように一方向しかない言語の組み合わせもある。今のところDuolingo上で英語話者が日本語を学ぶことはできない。

年内には75コース、言語数にして30程度になる見込みという。入力メソッドが必要なアジアの言語を入力方法と合わせて教える教材の開発というのは、まだこれからのチャレンジだとルイスは話してくれた。

ちなみに、いま日本語で英語を学習すると、英文の直訳のような和文が課題に出てきて面食らう。「私の父は私の母を愛しています」というようなものだ。そもそも日本語がヘンだ。文法的にはあり得なくはなくても、こんなこと言うやつはいない。これには次のような事情があるようだ。

Duolingoには、まず全ての教材の元となる英語で書かれた例文集がある。新教材は、まずこれの翻訳をするところから作る。次にユーザーのアクティビティのメトリックスを取って、どこで躓いてるのか、どこで多くの学習者が間違えるのかといったデータやリアクションから、問題の追加、削除、順序の入れ替えなどを随時行っていくのだという。利用者は不自然な訳文について、コメントしたり議論したりといったこともできる。

単に間違った問題を排除するという以上のこともやるという。たとえば複数形よりも先に形容詞を学んだグループのほうが、成績が良いか? といったA/Bテストを1000人規模で行うなど、データドリブンなアプローチを採用しているのだとか。

「どういう方法が成功しているのかを大規模に検証もできますし、すでにDuolingoは学習効率が高いというデータもあります。Duolingoでの34時間の学習が、大学の1学期相当という報告があります」

コース教材はボランティアが作成しているが、バイリンガルのボランティアからの申し出は、これまで4万件に及ぶという。ボランティアは、なぜ自分がその言語教材作成に適格なのかを説明する必要があり、こうした申請の中から、特定言語の組みあせについて4、5人を選出して、彼らに教材のメンテを任せるのだそうだ。

TOEFLなど語学検定ビジネスをディスラプトしたい

翻訳市場でのマネタイズに加えて、もう1つ、収益モデルという意味で興味深いのが、今後1カ月程度で「Duolingo Test」と呼ぶ標準テストをローンチ予定という話だ。

「Duolingoでは毎日感謝のメールをたくさん受け取っています。その中でも多いのが、次のようなメールです。“これまで英語学習は高価だったけど、Duolingoのおかげで英語ができるようになった。とても感謝しています。でも今は別の問題があるんです。英語ができるようになったことを証明したいんですよ”。そこでわれわれは半年ほど前から標準テストについて検討を始めました」

特に需要の高い第二言語としての英語についていえば、TOEFLのように標準化された検定試験というものは存在しているが、ルイスは、この市場はディスラプトされる潮時だという。

「Duolingoとスマートフォンによって言語学習ができるようになった人は途上国にも多い。こうした国だと、TOEFLの200ドルとか300ドルといった検定料は月給に相当する額。原価はそんなにかかるわけがないので非常に高い。しかも、大都市に住んでなければ試験会場に行くのに数時間かかることもあります。いま、Duolingo Testという名前でベータテストをしているアプリがあります。これは受験料が20ドル、時間も20分あればスマートフォンだけで受験できる語学検定です」

現在、一般的な英語の検定が2時間とか4時間と長時間に及ぶのに対して、Duolingo Testが20分と時間が短いのは受験者のレベルに応じてリアルタイムに出題の難易度を変えるアダプティブなテストだからだそうだ。第1問目は中位のレベルの問題を出し、正解を続ける限りレベルを上げていき、逆に受験者のレベルが出題より低いと判定されれば難易度の低い問題群から出題するという方式だ。ちなみに同じくアダプティブテストで受験者の特定ジャンルの知識レベルを計るスタートアップに米東海岸のSmartererというのがあるけれど、彼らは最短10問、120秒程度で人事採用に必要な検定試験が可能だと言ってたりする。

短時間でテスト可能というと、逆に精度が気になるところ。Duolingoが内部的に行ったテストではDuolingo Testの結果とTOEFLのスコアの間には高い相関があることが分かっていて、「普及には数年かかると思うが、これは普及すると思う」とルイスは話している。日本ではTOEFLよりTOEICがメジャーだという話をしたら、モチロンそれは知っているし、TOEFL同様にディスラプト対象だねという答だった。まあ、20世紀前半に生まれたマークシート方式という古い技術を受験生に押し付けてるようじゃディスラプトされて当然だね。

一方、スマフォだとチートが簡単にできそうだが、「チート対策はカメラをオンにして動画と音声を撮ることを考えています」という。

「テスト結果だけではなく、録画データも人間が見るという方式です。実は今のオフラインの検定には受験コストの問題だけではなく、チートの横行という問題もあります。替え玉や賄賂がまかり通ってる国もあるんです。途上国には賄賂が日常の光景というところがあって、すでに検定に300ドルも払ってるのだし、もう100ドル試験官に払っちゃえよ、ということになりがちなんですね。Duolingo Testでは録画した動画をオンラインで発行する検定証につけておくことで、たとえば企業の採用担当者が見られるようにするということも考えています」

Duolingoは1カ月以内にAndroid版を出し、その後にiPhone版もリリース予定という。

スピーキング対応は、非同期型で?

Duolingoの一部の教材にはスピーキングも含まれているが、会話練習のコンテンツへのニーズが強いそうだ。こうした声に応えてDuolingoでは1年ほど前から会話練習モジュールを計画しているという。

「たとえば、学習者同士をペアにマッチングして動画チャットするというのが自明のアイデアです。ただ、この市場を少し調べてみて、すぐに赤信号がともりました。動画チャットによるモデルは全然上手く行っていないんですね、みんなやったほうがいいというんですけど」

「このジャンルだとVerblingが最大規模ですが、トラフィックで言えばわれわれの50分の1程度。結局、話すことがないのが問題なのです。ほとんど話せない外国語で、見ず知らずのヒトと話すというのはハードルが高い。初心者だと、挨拶をして名前を名乗ると終わり。もう話すことがなくなるんです」

「だから単なる動画チャットをやろうと思いません。何か違うことをやろうと思っています。リアルタイム性がダメなんじゃないかと思うんです。タイプするのかしゃべるのかは別にして、リアルタイムに応答しなくてもいいチャットやメッセージングのようなものがいいのでは、と考えています。非同期の会話です。ほかにも、2、3の単語から完成形のセンテンスを作って提案するような機能を付けるといったことを検討しています」

語学である必然性はないので、ほかの教育分野への進出も

Duolingoのように学習者と課題を結び付ける学習プラットホームというのは、なにも外国語学習にだけ適用できる問題でもない。ルイスは「今後、ほかの教育分野に進出するかもしれない」と話す。

「(reCaptchaのときと違って)Duolingoを(Googleなどに)売る気はないですね。理想的には成長を続けて、言語に関わることは全部やりたいのです。翻訳や検定もそうですし、マイナー言語の保存ということもやりたいです。それから、ほかの教育分野に参入するかもしれません」

「もちろん全てではないでしょうけど、今後、スマフォ経由で非常に幅広い教育というのがなされるようになると思います。それはたぶんMOOCsのようなものではありません。1時間の動画を見て学習する、というモデルではなく、Duolingoのようにゲームのようなものでしょう。5分とか10分、列に並んでるときにちょっとやるというようなもの。それがスマフォネイティブなモデルでしょうね。言語以外だとプログラミングはいいですね。Codeacademyなどは、すごくいいサービスで好きですが、アプリじゃないですよね。プログラミングをスマフォネイティブで学習するということは、まだ誰もやっていません」

確かに、MOOCsは結局のところ放っておいても教科書で学習をする高学歴で勉強熱心な先進国の人々がコースを受ける主体で、しかもコースの終了率が極めて低いという話がある。

「語学である必然性はなく、ほかのジャンルにも参入する可能性はありますが、言語学習にもプログラミング学習にも共通する特徴があります。それは、この2つが学校外でも学習するものという点で、これは重要です。教育というのは、もう100年以上も変わってなくて、これからディスラプトが必要な分野でしょう。教師の役割というのは、学生の前であれこれしゃべるということから、質問に答えるというように変わっていくと思います。ただ、われわれは早い時期に学校向けのソリューションはやらないと意識的に決断したのです。なぜなら、学校のことを考慮にいれると、カリキュラムとの齟齬が大きいと使われないし、いろいろ問題が出てきます。その点、外国語もプログラミングも学校でも学校外でも学習するものです。われわれは学校が何をやってるかなんて気にしません。学校よりもはるかに速いペースでイノベーションを起こすためにも、意図的に外国語学習を選んだのです」


スマホゲームのアカツキが14億円を調達して台湾にも拠点設立


先日のSansanの発表以降も大型調達のニュースが続いている。スマートフォンゲームの開発を手がけるアカツキが、グロービスやリンクアンドモチベーションを引受先とした総額14億円の第三者割当増資を実施した。出資比率は非公開。この調達を契機に、開発体制の強化、テレビCMを含めた広告宣伝の強化、海外進出を進める。現在スタッフは約70人だが、来年をめどに倍近い130人まで拡大する。

アカツキは2010年6月の設立。共同創業者で代表取締役 CEOの塩田元規氏は、ディー・エヌ・エーの出身。同じく共同創業者で取締役 COOの香田哲朗氏は、アクセンチュアの出身。創業当初はGREE、Mobageのプラットフォーム向けにソーシャルゲームを提供してきたが、2012年後半には開発リソースをスマートフォン向けのネイティブゲームにシフト。現在テレビCMも展開している「サウザンドメモリーズ」は現在200万ダウンロード(CM効果もあり、2週間で70万ユーザーが増加。この時期の新規ユーザーは実数こそ聞けなかったが、アクティブ率も高いそうだ)。そのほかにもバンダイナムコゲームスとの共同タイトル「テイルズオブリンク」などが好調だという。売上高は非開示だが、4期連続での成長を実現しているとのこと。

海外展開については、6月をめどに台湾に子会社「「暁数碼股份有限公司(Akatsuki Taiwan Inc.)」を設立。香田氏が代表に就任する。子会社は日本法人の外部開発リソースという扱いではなく、企画から開発までゲームスタジオとしての機能を一通り持たせて、中国語圏へのゲーム展開の拠点とすることを狙う。

また今回の発表にあわせて、元IBM Venture Capital Groupパートナー日本代表で、勝屋久事務所代表の勝屋久氏が社外取締役に、元ミクシィ取締役CFOの小泉文明氏が非常勤監査役に就任する。小泉氏はメルカリ取締役を務めるなど、スタートアップ複数社の資本施策を支援しているという。先日メルカリが発表した14.5億円の調達にも関わった。

リンクアンドモチベーションが出資する理由は?

僕としては増資の引受先としてリンクアンドモチベーションの名前が挙がったのが意外だったが、これにはアカツキの理念が関係してくるのだという。

香田氏が「業績がよくても、『働いても幸せではない』なんてことがあるじゃないですか。そういうことにはならない会社にしたい」と語るとおり、アカツキでは幸せに働くためのオフィス環境整備、制度作りには相当力を入れているそうだ。夜になると、自社が契約する八百屋からサラダが届けられる「OFFICE DE YASAI」のような仕組みもあるそうだ。

そういった風土作りのために、同社はリンクアンドモチベーションから人材に関するコンサルティングを受けており、その中でリンクアンドモチベーションが2013年秋よりインキュベーションを手がけていることを知ったそうだ。香田氏は「人材についての考え方がシンクしたことが大きい。同社の執行役員がアドバイザーに入ることになるが、経営者の課題はやはり『人』なので、そこを一緒に考えてもらえることは大きい」と語った。


ハングアウト利用でマンツーマンのプログラミング学習を実現する「CodeCamp」、運営会社が4000万円調達

Google ハングアウトを利用したプログラミング学習サービス「CodeCamp」を提供するトライブユニブがサイバーエージェント・ベンチャーズから約4000万円の資金調達を実施した。今回調達した資金をもとに、人材確保、営業拡大、広告展開を進める。

CodeCampは、エンジニアからプログラムに関するマンツーマンの講座を受けられるサービス。コースはプログラミング初心者向けの「ベーシックコース」(習得スキル:HTML5、CSS3、レッスン15回、4万8000円)、非エンジニアがプログラムを理解するための「スタンダードコース」(習得スキル:HTML5、CSS3、JavaScript、jQuery、レッスン45回、12万8000円)、本格的なプログラミング習得に向けた「マスターコース」(習得スキル:HTML5、CSS3、JavaScript、jQuery、PHP、MySQL、レッスン105回、29万8000円)の3つのコースを用意する。

カリキュラムは、サイバードなどで新人エンジニアの研修を担当したというトライユニブのスタッフが作成。講師となるエンジニアは、書類や面接を実施した上で、模擬レッスンを実施して認定された約40人。今後は講師の数も増やしていく予定だ。

CodeCampのレッスンは1回40分。そのため、1から講師と話しながらカリキュラムをこなしていく、というよりは、予習して分からなかった点などを講師にマンツーマンで教えてもらう、というかたちになりそうだ。

当初はエンジニア向けにレッスンを特化していたが、前述のベーシック、スタンダードコースなど非エンジニア向けにサービスを強化した。「非エンジニアがプログラミングを理解することで、エンジニアとの共通言語を持つことができ、連携が強まる」(トライブユニブ代表取締役の池田洋宣氏)。ノンプロモーションながら累計で400人がサービスに登録しているが、うち8割は非エンジニアだという。IT企業のディレクターなど非エンジニア職や起業家、学生が多いという。

トライブユニブは、2013年5月にインキュベイトファンドが主催するプログラム「インキュベイトキャンプ 5th」に参加。10月にCodeCampを開始した。

同社の強みは、IT企業の研修と同等のカリキュラム、そしてレッスンを10時から23時40分までの間で、時間を指定して自由に受けられるという点だ。「写経(既存のプログラムをなぞることを指している)するのではなく、しっかりした仕様のコードに落とし込んでもらうので、動画や集合型のスクールと比べても、受講者の最終的なレベルは高くなる」(池田氏)。

また、現在はブラウザ上で教材を読んだり、プログラミングをしたりできるオンラインエディタの開発を進めている。このエディタには、最終的には「appear.in」のようなWebRTCを使ったチャットも組み込む予定だという。「これまでコードを書くときに必要だったものを一式ブラウザで提供する」(池田氏)。現状では言ってみれば「Skype英会話」のプログラミング版でしかないと見ることもできるが、今後は文字通りに環境を選ばず、「PCさえネットワークにつながっていれば、いつでもプログラミングを学べる」というサービスを目指すという。