WWWの父ティム・バーナーズ=リー氏のスタートアップ「Inrupt」が約34.2億円以上の資金調達に向け交渉中

Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズ=リー)氏は「world wide web」すなわち今日のウェブのスタンダードを30年前に作り、その後、数え切れないほど多数の企業が人間の想像力を超えたスケールで栄えるための道を敷いた。彼の新しいベンチャーはInruptといい、それらの企業の多くが作り出した混乱を収拾することを目指している。そしてその資金は、個人やエンジェルではなくマーケットから得ている。

2人の詳しい筋と私が手に入れた投資家向けプレゼンコンテンツによると、Inruptはひと握りの投資家たちとの協議により、投資前評価額1億4000万ドル(約159億5000万円)で3000万ドル(約34億2000万円)から5000万ドル(約57億円)の資金を調達した。そのシリーズAのラウンドはまだ完了していないため条件が変わることもありえる、と周辺の人たちは未了の投資ラウンドについて、匿名を条件に語ってくれた。

Inruptの広報担当者は無言だ。

Akamai TechnologiesやGlasswing Venturesなどを投資家とする同社は、ユーザーに自分のデータのコントロールを与えるプラットフォームを作ることによって「インターネットを一から作り直す」ことを試みる。Inruptが作ったプラットフォームでは、ユーザーが自分の個人データをPOD(Personal Online Datastores)と呼ばれるものに保存する。同社の顧客には、政府機関や大企業がいる。

「政府とエンタープライズはユーザーデータの管理を支えたいと願っているが、そのためのプラットフォームがない。企業は消費者データに、必ずしもそれをどこかに保存せずにアクセスしたいと思っているが、これに関しても、そのためのグローバルでオープンなプロトコルがない」と投資家向けプレゼン資料にはある。

続けて「私たちが現在作っている新しいプラットフォームは、世界の全人口に自分のデータに対するコントロールを与え、政府にはデータを安全に保存するためのプログラム与え、そして企業には危険や悪用のおそれなく容易にデータにアクセスできる能力を与える」とある。そしてそのプロダクトは、Solidと呼ばれる。

同じく投資家への売り込みでInruptは、その対象市場は「データマーケットの全体」である、という。そのために同社は、クレジットカードの処理ならVisa、DNSのスタンダードを商用化したVerisignなどの、企業の中核的インフラストラクチャをエミュレートすることを試みている。

同社はすでに、スウェーデンやアルゼンチン、バスクなどの政府と契約を交わしている。これらのパートナーシップは、まだ報道されていない。同社の2020年の売上は22万5000ドル(約2560万円)、2021年9月の売上は20万ドル(約2280万円)となっている。これまた出典は投資家向け売り込み資料だ。

また「Inruptの経営チームと取締役会は、企業が究極の完全無欠性と、透明性と、最高度の倫理とプライバシースタンダードを確保できるためのガバナンスシステムにコミットしている」という。

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画像クレジット:Pedro Fiúza/NurPhoto/Getty Images

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アート管理サブスク「美術倉庫」運営のbetween the artsが1.89億円のプレシリーズA調達

アートコレクター向けのアート管理サブスクリプションサービス「美術倉庫」を運営するbetween the artsは10月28日、プレシリーズAにおいて、第三者割当増資による1億8900万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、Shinwa Wise Holdings、Gazelle Capital、複数のエンジェル投資家など。同時に、Shinwa Wise Holdingsとの資本業務提携を締結したことも明らかにした。

資本業務提携については、between the artsの持つアート作品管理ノウハウとShinwa Wise Holdingsの持つ日本の近代美術を中心とした近代陶芸やワイン、ブランド時計、宝飾品などの豊富なオークション運営実績を結集し、オークションのDX化を推進していくためとのこと。

これにより、美術倉庫で管理するアート作品に対しての落札見積価格(エスティメート)の自動表示、ワンクリック出品といった機能など、美術倉庫を利用するコレクターがオークション参加する際のハードルを下げる新機能・サービスを提供予定という。

美術倉庫は、アートコレクションを撮影するだけでオンライン上で購入時期や参考市場価格といった様々な情報を一覧化できるというもの。セキュリティと湿度・温度管理がなされた環境で1作品あたり月額100円から預けることが可能。同サービスは、2020年7月の提供開始から約1年で、現在様々なアート作品約7000点(オンラインも含む)を管理しているという。

2021年7月には、Shinwa Auction主催のオークションにアート作品を出品代行するサービスも開始。10月28日からは落札した作品を直接美術倉庫に預けられるアート管理サービス「SHINWA ART STOREGE powered by 美術倉庫」の提供も行っている。

日程を決めずに宿泊チケットを買えるECサイトStay by Tripi運営のトリピが3800万円のシード調達

宿泊日を決めずに宿泊チケットを購入できるECサイト「Stay by Tripi」を運営するトリピ(旧アリアン)は10月28日、J-KISS型新株予約権の発行および融資による総額3800万円の資金調達を発表した。引受先・融資元はSkyland Venturesとみずほ銀行。調達した資金は、プロダクト開発と改善、長期運転資金にあてられる。

Stay by Tripiは、ECにおける最重要要素のひとつとされる「欲しいと思ったときに即買える」を宿泊チケットにおいて実現したサービス。「いつでも泊まれる宿泊チケット」を販売することで、ユーザーの泊まりたいという気持ちを即時に購買行動へと変化させられるとしている。

また、購入後に宿泊日を決めるという特徴により、宿泊チケットをギフトとして活用することも可能。登録は無料で、チケット購入における支払いはクレジットカードのみ対応。

トリピは、2019年7月に設立された旅行系スタートアップ。Stay by Tripiの運用・開発のほか、SNSを中心としたマーケティング戦略立案・アカウントの運用サポートを行なうSNSマーケティング事業なども行なっている。

TikTok、クリエイターがフォロワーから直接チップをもらえる方法をテスト中

TikTok LIVEはこれまで、クリエイターがファンからギフトをもらうことはOKだったが、これからはチップとしてお金をもらうこともできる。TikTokは現在、このチップ機能をテスト中であり、そのテストはしばらくは小規模で、広範囲で利用はできないという。

この機能を見つけたクリエイターのJera Bean(ジェラ・ビーン)氏は紹介動画を投稿し、ビデオをポストし、れをさらにソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏がTwitterで拡散した。

TikTokが一部のクリエイターへのチップ機能を展開している。ありがとうjera.bean。

彼女の動画では、自分のTikTokアカウントの設定にある新機能と、TikTokが詳細に要件を書いている表示が披露されている。

限定的なテストに参加したクリエイターは、10万人以上のフォロワーを持ち、ステータスがよければ、この機能を申請することができると画面では説明されている。クリエイターがこの機能を利用するための申請を行うと、アカウントが承認されたときに通知される。承認されたクリエイターには、プロフィール上に「Tips(チップ)」ボタンが表示され、フォロワーがそのボタンを使って直接支払いを行うことができるようになりる。

チップのページには、クリエイターが受け取った金銭は直接クリエイターに渡され、TikTokが手数料を取ることはないと書かれている。今後、TikTokがクリエイターのTipsをテスト段階にとどめた場合、TikTokがクリエイターの「チップから利益を得ることを計画しているかどうかはわからないが、その可能性はありそうだ。

TikTokの広報は「コミュニティを価値あるものにし、TikTok体験を充実させえる方法を、常に考えている」という。

TikTokはこのところ、このプラットフォームでクリエイターの生活が成り立つために、いろいろな収益化方法を考えてきた。2020年同社は2億ドル(約227億円)のファンドを導入して、米国のクリエイターの収入を補うことにした。またクリエイターとブランドのパートナーシップやスポンサー契約を仲介して、ライブストリームの収益化を助けている。このようにTikTokは収益化努力に熱心であるため、クリエイターがフォロワーから直接金銭を受け取ることができる方法を実験しても不思議ではない。

TikTokのチップ機能は2021年前半にTwitterが導入した「Tip Jar」機能によく似ており、TikTokだけがクリエイターの収益化方法の開拓に熱心なわけではない。TikTokと同じくTip Jarも、非営利団体やジャーナリスト、エキスパート、クリエイターなどの、選ばれたユーザーグループが利用できる。

TikTokとTwitterのような直接チップを渡す方式は、もっとお金になりやすい方法でクリエイターに金銭を提供するYouTubeやInstagramといったプラットフォームに対抗する手段のようだ。

画像クレジット:Lionel Bonaventure/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ツイッターが「スペース」の録音機能をiOSで限定提供、近々世界展開へ

Twitter(ツイッター)は2021年9月、Twitterスペースのホストがライブオーディオセッションを録音し、再生できるようにする機能を近く導入すると発表した。当時同社は、この機能を「数カ月」以内にリリースするといっていたが、最近の開発の加速ぶりを踏まえると、米国時間10月28日から最初のバージョンが公開されたのも驚きではない。

当初、Spaces Recording(スペース・レコーディング)オプションは、iOSのTwitterスペースホストの一部に提供される。再生はiOS、Androidの全世界リスナーが利用できる。最初に利用できるのは初期のSpaces Betaに参加していた人たちだとTwitteはいう。その後、数週間をかけて残る全Twitterユーザーに展開されるとのことだ。

新機能を使うために、ホストは自分のスペースにタイトルをつけ、内容を表すタグを最大3つ付けていつものようにライブオーディオルームを作成する。次に、新しい設定項目の「Record Space」をオンにしてから、「Start a Space」ボタンをタップしてライブオーディオセッションを開始する。

スペースが録音されていると、参加者は画面のトップに「Rec」ボタンが赤いドットとともに表示されて録音中であることが示される。

画像クレジット:Twitter

ホストはスペースを終了する準備できたら右上の「End」ボタンをいつものようにタップすると、ポップアップが現れて、スペースの中止と録音の停止の両方を確認する。

終了すると録音されたスペースはTwitter上でシェアすることが可能になり、リスナーは好きな時に再生したりシェアしたりできる。オーディオをエクスポートするオプションはまだないとTechCrunchは聞いている。代わりに、ユーザーが録音を直接アクセスするためには自分のデータのダウンロードを要求しなければならない。

ライブオーディオは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミックが起こる中、自宅に閉じ込められたユーザーのために何かを提供してくれることで人気を博した。しかし、新型コロナによる制限が解除され、人々が思い切って行動するようになるにつれ、そのアピールはやや停滞した。例えば人気ライブ・オーディオ・アプリのClubhouse(クラブハウス)は2021年6月にインストール数が減少したが、Android版の公開とともに再浮上した。しかしClubhouseはインドのような一部の新興国市場で、クリエイタープログラムが苦戦している。

画像クレジット:Twitter

最近Clubhouseは機能拡張を行い、非同期リスニング、クリップ、再生、オーディエクスポートなどのオプションを提供して、アプリを単なるライブオーディオネットワークではなく、ポッドキャストのクリエイティングプラットフォームに近いツールにした(実際、なぜAppleがSpotifyのポッドキャスト配信プラットフォーム、Anchorのライバル品をさっさと出さないのか不思議だ)。

Twitterスペースの他のライバルでは、FacebookのライブオーディオルームFireside(ファイアサイド)、Callin(コーリン)などの新しいスタートアップがオーディオ録音をサポートしている。

数多くのライブオーディオプラットフォームが録音機能を有する中、Twitterは追いつく必要があった。

このリリースの前にTwitter Spaceはいくつかのアップデート受けており、先のSpacesのテストでAndroidユーザーは専用スペースタブを手に入れた他、DMの招待を簡単にするアップデートもあった。さらにTwitterは、iOS版のExplore(もっと探す) / Trending(トレンド)タブに人気の高いスペースを表示して見つけやすくした。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ザッカーバーグ氏がアップルのプラットフォームポリシーと手数料は「イノベーションを阻害する」と非難

Facebook(a.k.a Meta)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、米国時間10月28日の自社イベント、Facebook Connect 2021の基調講演でメタバースの計画について述べた際、Apple(アップル)およびアプリのエコシステム全体に対する明らかな批判を口にした。具体的には、アプリプラットフォームとそれにともなう手数料は「イノベーションを阻害」していると非難し、同時にFacebook自身が手数料を高く維持することについては、成長を続けるVRエコシステムと自社のOculus Questストアへのさらなる投資が必要であることを理由に正当化した。


同氏の発言は、Facebookの広告ビジネスに打撃を与えた、Appleによる最近のアプリ・プライバシー変更を受けたものだ。App Tracking Transparency(アプリのトラッキングの透明性[ATT])の導入によって、Appleはアプリが他のアプリやウェブサイトを横断して消費者を追跡することを消費者が拒否できるようにした。そしてこの変更によってFacebookの収益が落ち込んでいることを会社は認めている。

関連記事:ついにアップルが導入開始した「アプリのトラッキングの透明性」について知っておくべきこと

現在Facebookは、Oculus向けに独自のアプリプラットフォームを構築することで新たな収入の流れを作る可能性に期待してる。デベロッパーが手数料を払う代わりに、収益を得るプラットフォーム。そして、別の会社の気まぐれな戦略変更によってビジネスが破壊されることのないプラッフォームだ。

ザッカーバーグ氏は、今こそこの変化を起こす時であることを強調し、最近彼が「プロダクトを作るだけでは十分ではない」ことを学んだと語った。

「私たちは、将来何百万もの人たちが恩恵に預かることのできる、人々の仕事が報われ、波が高まるにつれ利益をあげられるようなエコシステムを構築する必要があります。消費者だけでなく、クリエイターやデベロッパーにとっても」と彼は言った。「この時期私たちは謙虚でもあります。なぜなら私たちのような大きな会社でも、他のプラットフォームのためにものを作ることがどういうことかを学んだからです。そして彼らのルールの下で生きることは、テック業界に対する私の見方に大きな影響を与えました」とザッカーバーグ氏は続けた。

「何よりも、選択肢の欠如と高い手数料はイノベーションを妨げ、人々に新しいものを作るのをやめさせ、インターネット経済全体を抑制します」とザッカーバーグ氏は付け加えた。

一連のコメントは、AppleとGoogle(グーグル)に直接向けられたものであり、Facebookのプロダクトのほとんどは両社のプラットフォーム上にある。Facebookはアプリ内購入の手数料をApp Storeに払わなくてはならず、例えばユーザーがクリエイターをサブスクライブしたり、バッジを買ったり、ストリーミング提供者に直接チップを渡す場合も含まれる。Apple、Googleともに、小さな会社やメディア・プロバイダーやサブスクリプション・アプリに対しては手数料を値下げしたが、標準の取り分は今も変わらず70 / 30(プラッフォーム / デベロッパー)だ。

App Storeのルールは、Facebookが高い収益を得る可能性のある他のプロダクトを開発することも妨げている。最新のゲーミングサービスが一例だ。

たとえば2020年、iOSでFacebook Gaming(フェイスブック・ゲーミング)を公開した際、同社はAppleのポリシーを激しく非難した。Appleは他のアプリやゲームを中に含むようなアプリを許していおらず、それはサードパーティー・デベロッパーから収益を得る機会を失うからだ。このため、Android(アンドロイド)版ではミニゲームをプレイできるのに、iOSユーザーはFacebook Gamingでストリームを見ることしかできない。

しかし、Facebookの将来にとって本当の懸念は、手を出せないプラットフォームのポリシー変更によって、広告収益が脅かされていることだ。

広告収益は、過去何年にもわたってFacebookが他分野に投資し、アプリを無料にすることを可能にしてきた、とザッカーバーグ氏は指摘した。

「私たちはできるだけ多くの創作と商取引が生まれるように、クリエイターや販売者向けのツールを原価あるいはわずかな料金で提供しています。そして成功しています。何十億人もの人たちが私たちのプロダクトを愛しています」と同氏は強く語った。「私たちのプラットフォームには何億ものビジネスがあるのです」。

現在会社は、メタバースのエコシステム構築にも同じアプローチを取ろうとしている。デバイスを助成したり原価で販売することによって、消費者が手に入れやすくなる、とザッカーバーグ氏は言った。そしてAppleのApp Storeと異なり、Facdbookはサイドローディング(ストア外からのダウンロード)やパソコンへのリンクを可能にすることで、囲い込むのではなく消費者とデベロッパーに選択肢をあたえる計画だとFacebookは言っている(もちろん、多くのデベロッパーは発見してもらうためにQuest Store(クエスト・ストア)で公開することを選ぶだろう。Facebookにこの約束ができる理由はそこにある)。

さらに同氏は、Facebookはデベロッパーとクリエイターのサービス費用を極力低く抑えるつもりだとも言った。しかしザッカーバーグ氏は、会社の次のビジネスモデルへの思いを馳せながら、そうではないケースもあると警告した。新エコシスコムへの投資規模を踏まえると、一部の手数料は高くなるだろうと彼は話した。

「将来への投資を続けるために、一部の手数料を一定期間高く据え置いて、このプログラム全体であまり大きな損がでないようにする必要があります」とザッカーバーグ氏は説明した。「なんといっても、すでに利益をあげているデベロッパーが増える一方で、私たちは将来メタバースの規模が大きくなるまでの何年間、数十億ドル(数千億円)を投資する見込みなのです。しかし私たちは、次の10年間全員で努力を続ければ、メタバースは10億人に達し、何千億ドル(何十兆円)ものデジタルコマースをホストし、何百万人ものクリエイターとデベロッパーの職を支えられるようになると期待しています」。

言い換えると、Facebookの計画は今まで以上にデベロッパーの収益を活用し、独自のルールを決めることで、むしろAppleに似てくるだろうということだ。

画像クレジット:Facebook(ライブストリームより)

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンの株価が下落、第3四半期の売上減少、マクロ経済の状況によるコスト増で

1兆7500億ドル(約198兆7685億円)の価値がある企業を悪くいうのは極めて難しいことなので、今回それはしないが、Amazonの株主たちは米国時間10月28日午後の時間外にやや弱気になっている。取引終了後に発表されたAmazonの2021 第3四半期決算報告で、同社は売上と利益のさまざまなミスを含む最新の業績について詳しく述べている。


2021年9月30日で終わる3カ月において、eコマースとクラウドコンピューティングの巨人は1108億ドル(約12兆5859億円)、前年比15%増の売上を報告した。同期間の純利益は32億ドル(約3634億円)、1株あたり6ドル12セントだ。

アナリストたちが予想した売上は1116億ドル(約12兆6758億円)で、1株あたり利益は8ドル92セントだった。同社の純利益は前年比で49%落ち込んだ。記事を書いている米国時間10月28日午後で、Amazonの株価は5%強下落している。

しかし、Amazonの第3四半期の業績は、AWS部門の売上高が前年同期比で加速的に増加し、同社ファンが喜ぶような結果となっているが、第4四半期の業績は、これまでの結果を覆す可能性がある。同社の新CEOであるAndrew Jassy(アンディ・ジャシー)氏は、同社の業績ダイジェストで以下のように述べている。

第4四半期には、コンシューマープロダクツ事業において労働力不足、賃金コストの増加、グローバルなサプライチェーンの問題、貨物輸送コストの増加などに対処するため、数十億ドル(数千億円)の追加コストが発生すると見込んでいます。またその一方で、このホリデーシーズンに顧客や販売パートナーに与える影響を最小限に抑えるために、あらゆる手段を講じています。

経営陣は、差し迫ったコストを「顧客志向(カスタマーフォワード)」と位置づけ、長期的な成果のために短期的な打撃を受けることは妥当なことだと主張している。投資家は、将来のキャッシュフローを約束されても十分に満足できず、同社の時価総額を数百億ドル(数兆円)減らすことは避けられなかった。

しかし、私たちが指摘したように、第3四半期にAmazonが毎月10億ドル(約1136億円)を超える純利益を計上していることを考えると、同社に対してそれほど悪い印象を持つことはできない。

クラウドでの収入は、Amazonの業績において、TechCrunchが最も注目する要素であるため、そのデータを覗いてみよう。まず、同社のAWS部門の売上高と営業利益ベースでの業績は次のとおりだ。

画像クレジット:Amazon

 

つまり、前年同期比で約45億ドル(約5111億円)の新たな収益と、約15億ドル(約1704億円)の新たな営業利益が発生したことになる。興味のある方は、AWSの収益と営業費用の両方が、前年同期比で約39%増加していることを確認してほしい。では、純粋な成長指標を詳しく見てみよう。

画像クレジット:Amazon

このデータに注目すべき理由は、AWSがAmazonで最も急速に成長している分野だからだ。Amazonはeコマース事業で注目を集めているが、現在、静かで目立たないクラウドグループが成長を牽引している。投資家が、価値を引き出すために会社を2つに分割するよう要求する日は遠くないかもしれない。

画像クレジット:Jason Alden/Bloomberg/Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hiroshi Iwatani)

LinkedInがフリーランスのためのサービスマーケットプレイスをグローバルに展開

Microsoft(マイクロソフト)傘下のLinkedIn(リンクトイン)は、仕事に就いている人や仕事を探している人が、同じ分野の人とつながるためのプラットフォームだ。採用の観点では、正社員の候補者探しや求人広告で知られる。そのLinkedInが、フリーランスのためのジョブマーケットを開拓している。

この新機能では、短期間の仕事向けに誰かを雇いたい人は広告を出すことができる。熟練知識労働者を探せるFiverrやUpworkなどと競合することになる。

今回のフリーランス向けプラットフォームの立ち上げは、他の求職ツールに関するいくつかの重要なアップデートと同時に行われた。雇用市場や働き方の新しい流れに、LinkedInがいかに適応しようとしているかを示している。

新しく検索フィルターが設けられ、リモート、ハイブリッド、オンサイト(つまり正社員)のいずれで働けるのかが表示される。採用担当者からの連絡を受けられるよう「オープン・トゥ・ワーク」をオンにしている場合、そこに上記の情報が表示される。また、求人情報を検討する際、企業の予防接種要件を確認することができるようになった(企業がその詳細を表示している場合)。

Service Marketplace(サービスマーケットプレイス)は2021年2月、小規模なテストの段階で初めてリークされた。それ以来、米国でこのサービスのベータ版を静かに稼働させ、LinkedInが全世界で抱える約8億人のユーザー(米国時間10月26日の決算発表時点)の中から、すでに200万人のユーザーを獲得した。

10月27日からService Marketplaceは全世界で提供される。フリーランスのプロフィールを設定するには、自分のプロフィールページにアクセスし、上の方にあるボタンを押し、指示に従って設定を行い、自分が興味を持って取り組める仕事にフラグを立てる。

この新機能は、Microsoftの傘下に入ったLinkedInにとって興味深い転換点となる。LinkedInは前四半期に約2500万人の新規ユーザーを獲得した。

長い間LinkedInが構築してきたのは、同社が「エコノミックグラフ」と表現するものだ。人々が仕事上の関係でどのようにつながっているかをマッピングすることで、世界経済をより深く理解することができるという構想だ。

その意図はもちろん、同社のビジネスの商業的な側面、すなわち人材紹介ビジネスをより強固なものにすることにある。同社のプラットフォームは、リクルーターにプレミアム会員権を販売して潜在的な候補者に関する詳細なデータを入手できるようにしたり、求人広告を出したり、求職者が仕事を見つけられるようになっている。

このビジネスは着実に成長している。LinkedInは10月27日の決算説明会で、プラットフォーム上で確認された採用数が前年同期比で160%以上増加し、広告収入全体も61%増加したと発表した。また、採用担当者に幅広いトレーニングコンテンツをアップセルしているLinkedIn Learningは現在、1万5000社以上の法人顧客を抱えている。

だが、その過程で、LinkedInは市場の大きな部分を切り離してしまった。この10年間で、フルタイムの長期雇用から短期のフリーランスへと移行する人が急増したからだ。

彼らがLinkedInを利用して、ネットワークを広げたり、同じ分野の人々と連絡を取ったり、仕事を見つけたりすることを妨げるものは何もなかったが、これまでLinkedInには短期のフリーランスに関わる正式な方法がなく、特にそれを収益化できていなかった。

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Service Marketplaceは、他の人材紹介製品と同様、現在は料金を請求していないが、LinkedInが将来提供し得るサービスの基礎となる。

Service Marketplaceは、250の職種カテゴリーでスタートし、500種まで拡大する計画だと、プロダクトマネージャーのMatt Faustman(マット・ファウストマン)氏はインタビューで語った。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」と同氏はいう。これまでのところ、マーケットプレイスで引き合いが強いカテゴリーの1つとして、マーケティングが挙げられると付け加えた。

注:ファウストマン氏がLinkedInに入社したのは、前職のリーガルテック専門会社のスタートアップであるUpCounselがLinkedInに買収された時だった。前職での最初のプロジェクトは、短期的な仕事に必要な弁護士を探すマーケットプレイスを構築することだったが、それは自然に、より広範なService Marketplaceに取り組むことへと発展した。

「私たちはまだ取りかかり始めたばかりです」という言葉はピッタリかもしれない。

今のところ、仕事の料金を交渉したり、請求書を発行したりするツールは用意されていない。また、人材を探す側は、候補者との会話が深まるまで、料金について具体的な説明をする必要はない。

レビューに関していえば、クライアントは契約相手をレビューすることができるが、個人側はクライアントのレビューを残すことができない。

また、マーケットプレイスに自身を掲載している人は、自分から仕事を探すことはできない。誰かに見つけ出してもらうのを待つために存在するのであって、自らの仕事を探すためではない。

仕事を探しているクライアントは、LinkedInの大きなドロップダウン検索メニューを使って人材を探す。例えば、ブランドマーケティングのスペシャリストを探している場合、検索ウィンドウにそのフレーズを入力し始めると、LinkedInがオートコンプリートで「in Service Marketplace」と表示し、そのカテゴリーの候補者一覧を出す。

候補者の抽出には、クライアントであるあなたが、仕事や個人的なつながりで、各個人とどれだけ密接につながっているかが考慮される。

しかし繰り返しになるが、一例として、ブランドマーケティングの専門家の人は、包括的な案件リストに目を通すことはできない。これは意図的なものだとファウストマン氏はいう。この機能は今のところ、クライアントの体験のために開発されたものであり、クライアントにターゲットを絞った依頼をさせ、専門家に応募が殺到して選別に時間を取られることがないようにしようという考えだ。

ゆくゆくは、上記の点や、決済など現在用意されていない機能も再検討すると同氏は語る。

LinkedInが労働者を開拓し、彼らの信頼を得たいなら、その点が重要になる。フリーランスは、料金の透明性の低さに悩まされることが多く、結果的に低価格で搾取される危険性がある。ファウストマン氏は、この点が問題であることを認め、LinkedInのプロダクトチーム内でも議論になっていたと話す。

「価格設定については、今後対応していきますが、今のところは見合わせることにしました」と同氏は述べた。

もう1つの興味深い点は、LinkedInが他の種類の労働者をどのように市場に呼び込むのかということだ。つまり、第一線で働く人やその他のサービス業に従事する幅広い人々をどうカバーするのか。Service Marketplaceにそうした層を含める計画は手元にない、とファウストマン氏は語る。しかし「長期的には、LinkedInに存在するあらゆるカテゴリーに拡張する可能性があります」。

画像クレジット:Nan Palmero / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

特定業務特化SaaSを提供する国内スタートアップをまとめた「ホリゾンタルSaaS カオスマップ 2021」公開

  1. 特定業務特化SaaSを提供する国内スタートアップをまとめた「ホリゾンタルSaaS カオスマップ 2021」公開

SaaS特化のファンドを運用する独立系ベンチャーキャピタル(VC)One Capitalは10月29日、特定業務に特化したホリゾンタルSaaSを提供する国内スタートアップをまとめた「ホリゾンタルSaaS カオスマップ 2021」を公開した。

今回は、以下条件に当てはまる企業を掲載しており、2021年版の掲載数は322になった。
・業界問わず、特定業務における課題を解決するSaaSを提供している
・未上場のスタートアップ企業(上場企業やその子会社は対象外)
・本社を日本に置いている(海外企業の日本法人は対象外)

特定業務特化SaaSを提供する国内スタートアップをまとめた「ホリゾンタルSaaS カオスマップ 2021」公開

カテゴリー別企業数。出典:One Capital

日本のSaaS市場は、2022年に約1兆円になる(富士キメラ総研調べ)とされており、今後も拡大の余地が見込まれるという。しかし、どのようなスタートアップが存在しているのかなど、海外に比べると情報がオープンになっていない。そこでOne Capitalは、2020年の「ホリゾンタルSaaS カオスマップ 2020」に引き続き、2021年版を公開した。

One Capitalは、SaaS企業へ投資するVCファンドを運用するとともに、LPのDX支援を行うユニークなVC。さらに、自社でプロダクト(SaaS)開発をすることで、起業家の視点も持ち合わせている。スタートアップと大企業の両側面から「新たな日本へ、もっと加速させる」というビジョンを実現したいとしている。

Twitter Blueがその新機能にいち早くアクセスできる新機能「Labs」を導入

Twitter(ツイッター)は、プレミアムサブスクリプションサービスであるTwitter Blue(ツイッターブルー)向けに「Labs(ラボ)」と呼ばれる新機能を展開する。Labsは、Twitter Blueの加入者に、Twitterがそのバンドルの一部としてテストしている機能への早期アクセスを提供するもので、現在はカナダとオーストラリアでのみ提供されている。


現在、Labs加入者は、デスクトップから10分以内の動画をアップロードすることができるようになった。スタンダードユーザーの方は、現在、2分20秒までの動画しかアップロードできない。また、iOSユーザーは、お気に入りの会話をスワイプしてダイレクトメッセージの受信トレイの一番上に固定できるようになった。

Twitterによると、Labsで公開された機能は、最終的に残りのTwitterに展開されたり、Twitter Blueの固定機能になったり、利用者からのフィードバックに基づいて完全に廃止される可能性があるとのことだ。

「また、Labsは、他の社内製品チームが機能を提供し、初期の量的・質的データを得て、その後、より多くの人に公開する機会を提供します。Labsで紹介される内容は、新機能の開発に合わせて変更されます」と同社は声明で述べた。

Twitterは、新製品をリリースする際には、より実験的になることを計画していると2021年9月に述べ、最近のFleets(フリート)のように、途中で進捗状況を公開し、うまくいかなかったアイデアは破棄するとしていた。

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Twitterのコンシューマープロダクト部門の責任者であるKayvon Beykpour(カイヴォン・ベイクプール)氏は「もし、私たちが全然失敗をしないとすれば、それは、私たちが十分に大きな賭けをしていないということだと考えています」と述べている。

カナダとオーストラリアでは、Twitter Blueのサブスクリプション料金は、それぞれ3.49カナダドル(約320円)、4.49オーストラリアドル(約380円)となっている。このサブスクリプションに加入すると、ブックマークを整理するツールや、長年要望されてきた「編集」ボタンに最も近いものと思われる「Undo Tweet」機能などのプレミアム機能を利用することができる。また、Twitter Blueにはリーダーモード機能が搭載されている。

画像クレジット:Nina Riggio / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

フェイスブックが「Meta」に社名変更、メタバースを中核事業に

正式発表だ。Facebook、Instagram、WhatsApp、Oculusを擁するソーシャルネットワーキングの親会社は、17年間にわたって「Facebook」と呼ばれてきたが、社名を新しくした。

Facebookの社名は「Meta」になった。

Facebookの生みの親であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、AR / VRに特化したイベント「Connect」でこの変更を発表し、新しい社名はメタバースを構築するという会社の中核的な野心を表していると語った。

「我々が何者であるか、何を構築したいかを反映するために、当社がMetaになったことを発表できることを誇りに思います。我々の使命は変わりません。人々を結びつけることです。我々のアプリケーションやブランドも変わりません」とザッカーバーグ氏は述べた。「これからは、Facebookファーストではなく、メタバースファーストでいきます」。

この名称変更は、Facebookにとって都合の良い時期に行われた。絶えず自社に対する反発に直面しており、特にここ数週間は元従業員がメディアや政府機関に大量の文書をリークし、Facebookが責任を持ってプラットフォームを構築する上で長年にわたって犯してきた過ちを詳述していた。同社は、数カ月前から社名変更のための準備を進めてきた。これは、同社の最も人気のある製品にまつわる絶え間ないネガティブな見出しから、同社の中核的なブランドを引き離すための努力であり、怒っている消費者を回避するためのもののようだ。

CEOのザッカーバーグ氏は7月、Vergeの記事の中で、Facebookがメタバースにすべてを賭けていることを発表した。これは、1兆ドル(約113兆円)規模の企業にとっては驚きの発表だった。その理由は主に、同社がバーチャルリアリティのハードウェアに多大な資金と労力を費やしてきた一方で、ソーシャルVR製品はほとんど短命という失敗に終わっており、ベータ版のソーシャルプラットフォーム「Horizons」については、1年半以上前に発表して以来、ほとんど何も語っていなかったからだ。

Facebookは8月に、VRで会議ができるように設計されたVRアプリについて、異例の大々的な発表を行った。ザッカーバーグ氏は朝のテレビ番組に出演し、小さなVRアプリの紹介に驚くほどの力を注いだ。

そして同社は9月「責任を持ってメタバースを構築する」というブログ記事の中で「これらの製品が責任を持って開発されることを保証する」ための研究に投資する5000万ドル(約56億円)の基金を発表した。同社は今月、設立間もない「Horizon Worlds」プラットフォームの開発者向けに、1000万ドル(約11億円)の小規模なクリエイターファンドを発表するとともに、メタバースプラットフォームを構築するために、EU域内で1万人もの従業員を雇用する計画であることを明らかにした。

先週のThe Vergeの記事には、Facebookは社名変更を検討しているようだ、とあった。

究極的には、主力事業を最も問題のあるプロダクトから切り離すことは、驚くべき行動ではない。しかしMetaに社名を変更することで、Facebookは自社のコアブランドを何年も先に進んだプロダクトと合わせる必要があり、メインストリームで成功するまでに多くの失敗を経験する可能性がある。Facebookはまだユーザー25億人を抱えるが、メタバース製品のユーザー数はせいぜい数千人程度だ。

テクノロジー業界の最大手企業が名前を大きく変えるのは、前例がないわけではない。Google(グーグル)は2015年に新しい会社組織を導入し、Alphabet(アルファベット)と呼ばれる親会社を設立した。Googleは現在もAlphabetの子会社だが、良くも悪くも、同社やその子会社に関係するものを「Google」と口語的に呼ぶ人が多いようだ。20年近くにわたってブランドを構築し、月間ユーザー30億人近くの製品に育ててきたFacebookも、おそらく同じような扱いを受ける。

Googleは自社の名前との間に距離を置こうとしていたわけではなく、Facebookはブランド変更の理由がまったく異なる。同社のビジネスは急成長を続けているが、2016年のロシアの選挙偽情報から、Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルのような重大なプライバシー侵害、そして現在はFacebookのシビック・インテグリティ・チームの元メンバーで、Facebookの内部告発者となったFrances Haugen(フランシス・ハウゲン)氏による進行中の暴露の数々と、そのブランドはここ数年で打撃を受けている。

また、Facebookは現在、テック業界のどの企業よりも規制当局の監視下に置かれていると言っても過言ではない。議員の意見が一致することはめったにない議会で、共和党と民主党はFacebookの拘束を受けない成長、非合理的なビジネス手法、そしてInstagramがティーンエイジャーの精神衛生に悪影響を及ぼすことへの懸念を共有し、嫌悪感を抱いている。

先週行われた上院の公聴会では、TikTok(ティクトック)、Snap(スナップ)、YouTube(ユーチューブ)の各ソーシャルメディア企業が、自社のビジネス手法をFacebookと明確に対比させようと躍起になっていた。YouTubeは「安全よりも利益を優先することはない」と断定した。Snapは自社が一定時間後に消えるな会話にフォーカスしていると指摘し、TikTokはティーンエイジャーのユーザーの健康状態を慎重に考慮していると主張した。しかし、Facebookの同業者たちの努力は無駄に終わったようだ。

Richard Blumenthal(リチャード・ブルーメンソール)上院議員は「Facebookと違うということは防御にはなりません」と述べた。「障壁は、溝の中にあります」。

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(文:Lucas Matney、Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokが開発者向けVideo Kitをデスクトップ、ウェブ、コンソールでも使えるように拡張

米国時間10月27日、TikTok(ティックトック)はこれまでモバイルプラットフォームに対応していた開発者向けのVideo Kitを、ウェブ、デスクトップ、コンソール用アプリの開発にも使えるように拡張すると発表した。また合わせてClipchamp、Combo、Grabyo、Kapwing、Mobcrush、LG U+など多くの他社製アプリが新たにTikTokと連携することも明らかにした。


Video KitはTikTokのソリューションで、他社製のツールやアプリを連携させる「TikTokに共有」が含まれる。これにより他社製アプリの編集プラットフォームからビデオファイルをTikTokに直接アップロードできる。2019年に公開された「TikTokに共有」は、TikTokの開発者向けプログラムで初めて提供された機能だった。このプログラムではその後、Login KitやSound Kitなどの新しいツールも提供されている。

現在「TikTokに共有」はAdobe Premiere Rush、Picsart、Enlight Videoleap、Momento GIF Makerなど多くのツールから利用できる。このようなアプリは、TikTokアプリより高度な編集をしたいプロのクリエイターに多く使われている。

関連記事:TikTokが開発者向け新ツールの提供開始、サードパーティーアプリの統合を拡大

デスクトップやウェブのツールにも拡大することで、TikTokはプロのクリエイターや、さらにはブランドや企業にもリーチを広げようとしている。例えばMicrosoft(マイクロソフト)は最近Clipchamp買収し、Microsoftの生産性ソフトウェアのラインナップにビデオの制作・編集ソフトウェアが加わった。Microsoftはビデオについて、企業がアイデアのピッチやプロセスの説明、チームメンバーとのやりとりに使う新しいタイプの「ドキュメント」と呼んでいる。

Comboのプラットフォームはクリエイターが時間をかけずにコンテンツを再利用できるように作られていて、ストリーミングサービスのハイライトやクリップをTikTok用のビデオにできる。クラウドビデオ制作プラットフォームのGrabyoは、放送局やメディアパブリッシャーが放送、デジタル、ソーシャルプラットフォームのすべてに向けてライブでリアルタイムのビデオコンテンツを制作、編集、配信するツールを提供している。

他には、Super League Gaming傘下のMobcrushはゲーマーやライブストリーマー向けのツールを提供し、Kapwingのビデオエディタにはクリエイティブチームが共同作業をするためのツールが含まれている。LG U+が提供するコラボレーションプラットフォームのU2には、2021年中にクリエイターがビデオのストーリーボードをチームとともに扱える機能が搭載される予定だ。

TikTokは、新しいツールに関心のある開発者はdevelopers.tiktok.comにアクセスして利用を開始できると述べている。

画像クレジット:Lionel Bonaventure / AFP / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

インドのSnapchatユーザーが1億人突破、eコマース大手FlipkartやAndroidスマホベンダーなどと提携へ

Snap(スナップ)は、現地時間10月27日、インドにおける月間アクティブユーザー数が1億人に達したことを発表した。これは、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)が5億人以上の人々にサービスを提供している重要な海外市場での快挙だ。同社は世界第2位のインターネット市場へのさらなる進出に向けて、Androidスマートフォンのベンダー、エンターテインメントTVチャンネルのSony(ソニー)およびZee TV(ズィーTV)、eコマース大手のFlipkart(フリップカート)など、さまざまな企業との契約を進めている。


Snapの共同創業者兼CEOのEvan Spiegel (エヴァン・シュピーゲル)氏は、同日に開催されたバーチャルイベントで、インド進出に貢献した同社のローカライゼーションの取り組みを紹介しながら、この節目を語った。この節目と今日の数多くのパートナーシップは、2~3年前までは存在感や関連性が限定的だったインド市場に対するSnapの戦略における大きな転換を示している(Snapは全世界で5億人以上の月間アクティブユーザーを抱えている)。

同社は近年、Androidアプリを改良したことでインドに進出した。インドでは、スマートフォンの98%以上がAndroidだ。Snapは、Durgesh Kaushik(ドゥルゲシュ・カウシク)氏をインド事業の責任者に任命したことで、現地のクリエイターや企業との関係を発展・改善させることにも大きく貢献したと、多くの人たちが最近の四半期にTechCrunchに語っている。

「私たちは、インドのコミュニティ向けにSnapchatをローカライズするために、多大な投資を行ってきました。文化的に関連のあるコンテンツを追加し、非常に活発でクリエイティブな現地のクリエイターコミュニティを開発し、現地の製品、マーケティング施策、言語サポートに投資してきました」と、イベントでシュピーゲル氏は述べている。

「インドのスナップチャッターにローカライズされた体験を提供するためのこうした取り組みの結果、現在、インドのスナップチャッターは毎月1億人に達しています。今後も、インドの文化や能力を称えることに重点を置きながら、インドのクリエイターのコミュニティを強化し、成長させ、リソースを提供していきます」と述べている。

Snapは、インド向けの2回目の年次イベントで、インドでの成長を加速させるために締結した数々のパートナーシップを発表した。同社は、AR体験を開発するために、インドのeコマース大手Flipkartと「戦略的パートナーシップ」を結んだ。同社によると、eコマース企業とこの種のパートナーシップを結ぶのは初めてのことだという。

「このパートナーシップにより、買い物客はSnapchat ARを通じてショッピングやeコマースを利用する体験を始められ、自宅にいながら簡単にショッピングを進めることができるようになります!」と同社は述べている。

Snapは、インドのSugar Cosmetics(シュガー・コスメティックス)およびMyGlamm(マイグラム)とも提携しており、両社は今後、SnapのARショッピングベータプログラムを採用して、バーチャルな美容・化粧品の試着体験を顧客に提供する予定だ。

「拡張現実は、インドにおけるSnapchatのサービスの中核をなすものです。文化的な関連性を保ち続け、ユニークなAR体験を提供するための当社の取り組みは、1億人のインドのスナップチャッターの共感を得ています。私たちは、ワークショップやレンズソン(ARレンズを用いたインドのクリエイター向けハッカソン)を通じて、学生や若者に必要なARスキルを身につけてもらうことを目指しています。私たちは、インドでより多くのローカルクリエイターと提携し、スナップチャッターが利用できるすばらしい体験の数を増やすことを目指しています。Snapでの私たちの狙いは、ARをこれまで以上に身近で便利で実用的なものにすることです」。とSnapの共同創業者であり、最高技術責任者であるBobby Murphy(ボビー・マーフィー)氏は、イベントで述べている。

もう1つのインド初の取り組みとして、Snapは、インド国内で1億台以上のデバイスをインストールしているAndroidの主要なOEMメーカー(Androidベンダー)と提携したとのことだ。これらの企業は、自社のデバイスにSnapchatアプリをプリインストールする。また、Samsung(サムスン)との提携により、SnapのAR機能付きレンズの一部をSamsungのインド向けスマートフォン「Mシリーズ」に搭載する「ファン・モード」を提供する。

また、Anushka Sen(アヌシュカ・セン)氏とVir Das(ヴィル・ダス)氏が出演する「What’s On My Plate」や「The Most Epic Max Show」など、多数のクリエイターショーを公開し、来年はインド全体で120エピソードの新コンテンツを委託すると述べている。

同社は「ディスカバリー」セクションがインドで非常に人気があると述べている。このセクションでは、ニュース、ファッション、エンターテインメント、コメディーなど、インドのローカルチャンネル70社のコンテンツを紹介している。現在、Sony Entertainment TelevisionやZee TVなどの大手エンターテインメントチャンネルとの提携を発表し、さらに多くの厳選されたコンテンツをアプリに掲載する予定だという。

また、インド事業では、あらゆる規模の企業に対応できるよう、収益化機能を急速に拡大している。2020年の新規広告主数は70%増加し、Spotify(スポティファイ)、Swiggy(スウィッギー)、LG、OnePlus(ワンプラス)、ITC Yippee Noodles(ITCイッペイ・ヌードル)などの企業と提携している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Snap、TikTok、YouTubeの公聴会で、米議員がオンラインで子どもたちを守る新ルールを声高にアピール

Instagramでの10代のメンタルヘルスに関する情報暴露の影響は、Facebookだけではなく、今も続く。米国時間10月26日、YouTubeとSnap、TikTokのポリシー担当者が、子どもたちとオンラインの安全性について議会で議論した。SnapとTikTokが主要な技術系の公聴会に登場したのは初めてのことだ。

関連記事:FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

上院の国消費者製品安全委員会が開催したこの公聴会では、この話題に触れるのは時間の半分程度にとどまった。委員会の共和党メンバーは、TikTokの幹部との貴重な時間を、同社と中国政府との関係をめぐるプライバシーの懸念についての質問に絡めようと必死だった。


このような逸脱はあったが、公聴会では、3人のポリシー担当者が、議会で審議されている具体的な政策案について、イエス / ノーで答えるよう求められるなど、有益な場面もいくつか見られた。公聴会では、Snapのグローバルパブリックポリシー担当副社長のJennifer Stout(ジェニファー・スタウト)、TikTokのパブリックポリシー担当副社長兼責任者のMichael Beckerman (マイケル・ベッカーマン)、YouTubeで政府関係およびパブリックポリシーを担当するLeslie Miller(レスリー・ミラー)が証言を行った。

YouTubeとTikTokの両社は、米国においてオンラインプライバシーに関する包括的な法律を制定することを求め、ベッカーマン氏は、国家的なプライバシー法の法的枠組みを「遅きに失した」と評価した。また、3社とも、親は子どもや10代の若者のオンラインデータをすべて消去できるようにすべきだという意見で一致しており、スタウト氏は、Snapchatのデータは仕様上消去されるようになっていると指摘している。しかし、Snapchatのプライバシーページには、同社が位置情報データを「どのくらいの精度で、どのサービスを利用しているかによって異なる期間 」保持することができる旨記載されている。

Ed Markey(エド・マーキー)上院議員(マサチューセッツ州)は、自身もTikTokで人気を博しているが、公聴会では、彼が「21世紀のプライバシー権利章典」と呼ぶ、子どもたちのための権利を主張した。マーキー氏は、自身が提案した児童オンライン保護法(COPPA)の改正案について、若いソーシャルメディアユーザーの保護を強化すると述べた。この法律は、テック企業が13歳から15歳までのユーザーのデータを明示的な同意なしに収集することを禁止し、未成年者の個人データを簡単に削除できる「削除ボタン」を導入するとともに、ソーシャルメディアのプラットフォームが収集できる情報の種類をより広範囲に制限するものだ。

マーキー氏は、COPPAの変更を支持するかどうかについて、各企業の担当者に質問した。TikTokを代表してベッカーマン氏は、同社はこの提案を支持するが、プラットフォームがユーザーの年齢を確認するための標準的な方法も、それ以上ではないにしても、同様に重要であると考えていると述べた。

SnapはCOPPAの提案にコミットしなかった。そして、マーキー氏はスタウト氏がテック企業が具体的な内容にコミットすることを拒否する「古いゲーム」をしていると揶揄した。YouTubeは、過去にCOPPA違反でFTC(連邦取引委員会)から1億7000万ドル(約193億円)という歴史に残る罰金を科せられたが、明確な約束はせず、マーキー氏のスタッフと「建設的な」話し合いを行ったことを強調した。

公聴会では、マーキー氏とブルメンタール氏は、2021年9月に再提出した「KIDS(キッズ・インターネットデザイン安全法」も強調した。この法案は、16歳未満のオンラインユーザーを、オートプレイ、プッシュアラート「いいね!」ボタンなどのエンゲージメントを高める機能から保護するものだ。また、16歳未満の子どもを対象としたインフルエンサーマーケティングを禁止し、プラットフォームに対し、有害なコンテンツを若いユーザーに提供した場合の報告システムの構築を義務付けるものだ。

画像クレジット:Jakub Porzycki/NurPhoto / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Akihito Mizukoshi)

グーグルで18歳未満やその親が検索結果からの写真データ削除を申請可能に

Google(グーグル)は、18歳未満のユーザーとその親が、同社の画像検索結果から写真を削除することを申請できる機能を導入する。

この新しいプライバシーオプションは、Googleが2021年8月に発表した多くの変更点の1つで、18歳未満のユーザーをより厚く保護するために先行導入される。この他にも、アップロードされた動画をデフォルトで非公開にしたり、開封動画などの「過度に商業的な」YouTubeキッズコンテンツを無効にしたり、排除したりすることが計画されている。

関連記事:グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化


18歳未満のユーザーまたはその親や保護者は、このリクエストフォームに必要事項を記入して、検索結果に表示される画像の削除をGoogleに依頼できる。その際「現在18歳未満の個人が写っている画像」を削除して欲しいと明示し、個人情報、画像のURL、検索結果に表示される検索クエリを示す必要がある。

Googleは、すべてのリクエストをレビューし、フォローアップのために必要に応じて確認のために追加で質問するという。問題のある画像が削除されたら、同社から通知が来るため、待たされたままになることはない。

米国をはじめとする多くの国では、オンライン上の「忘れられる権利」を扱う国内の法的枠組みが存在しない。強力なプライバシー規制の金字塔として広く知られているEUの包括的ルール「GDPR」では、写真を含むある種のオンライン識別情報の削除を要求する手段が用意されている。

Googleの新しいリクエストツールは便利で、世界中で利用可能だが、GDPRが定める要件には及ばない。Googleの場合、写真の削除を要求するには、対象となる人物が18歳未満でなければならない。GDPRはさらに進んでおり、画像がアップロードされた時点で本人が未成年であった場合、本人の要求に応じて画像を削除することをインターネット企業に義務付けている。

Googleが発表した上記の画像削除オプションをはじめとする一連の変更は、米国で同社や他のテック企業に対する規制当局の監視が厳しくなっていることを反映したものだ。10月26日には、YouTubeは上院商務委員会で同社の動画プラットフォームを利用する若くて脆弱なユーザーを保護する取り組みについて証言し、最近発表した変更点をアピールした。

画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

Deepworkが改正電子帳簿保存法に対応し電子取引情報をデータで保存できる「invox電子帳簿保存」リリース

送金アプリ「pring」の法人向けサービスが請求書自動化サービス「invox」とAPI連携し24時間振り込み可能に

Deepworkは10月27日、改正電子帳簿保存法に対応し、国税関係書類を電子保存できるサービス「invox電子帳簿保存」の提供開始を発表した。

2019年2月設立のDeepworkは、「時間の密度を高め、価値ある時間を増やす」をテーマに、事業を通じて関わるすべての人の時間の価値の最大化に取り組んでいるという。同社のinvox電子帳簿保存は、改正電子帳簿保存法に対応しており、国税関係書類について、検索要件に必要な「取引年月日・金額・取引先」を正確にデータ化した上で、訂正削除の履歴や申請・承認の記録を残して電子保存する。見積書や注文書、納品書、検収書、請求書など一連の取引はグルーピングして検索や管理が行える。Deepworkが改正電子帳簿保存法に対応し電子取引情報をデータで保存できる「invox電子帳簿保存」リリース

また、書類のPDFファイルをアップロードするだけでなく、メールやGoogleドライブ、Dropbox、Slackなどと連携して自動取り込みが行える。コスト抑えて対応したい場合はセルフ入力、 生産性・精度を優先したい場合は精度保証のオペレーターによる入力の選択可能。Deepworkが改正電子帳簿保存法に対応し電子取引情報をデータで保存できる「invox電子帳簿保存」リリース

アドビが「ウェブ版」アプリに力を入れる理由とは?Creative Cloud製品群・最高製品責任者ベルスキー氏インタビュー

アドビが「ウェブ版」アプリに力を入れる理由とは?Creative Cloud製品群・最高製品責任者ベルスキー氏インタビュー

Webブラウザ版Photoshop

アドビは10月27日から28日にかけて、クリエイティブの祭典「Adobe Max 2021」を開催する。本稿では、同社Creative Cloud製品群の最高製品責任者であるスコット ベルスキー(Scott Belsky)へのグループインタビューを元に、質疑応答の内容を抜粋してお届けする。

アドビ、Creative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)のScott Belsky(スコット ベルスキー)氏

アドビ、Creative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)のScott Belsky(スコット ベルスキー)氏


── 2021年におけるクリエイター市場でのトレンドをどのように把握していますか?

いくつか興味深いトレンドがありました。例えば、写真でしたら、当然普段なら実際にその場所へ行ったりとか、もしくはスタジオで撮影したりするわけです。こういった部分での成長は大きくありませんでした。一方で、ビデオや、3D、「イマーシブクリエーション」と呼ばれる没入型のコンテンツ制作の分野に関しては、かなり大きな成長が見られました。

特に企業やブランドがお客様に対し、エンゲージするためのコンテンツを作りの重要性を認識したことで、さまざまなソーシャルプラットフォーム上でビデオが使われるようになりました。また、3D&イマーシブというセクターにおいては、以前でしたら多くの企業がスタジオで物や人を撮影していましたが、最近は3Dでレンダリングすることが増えてきています。

──トレンドとして挙げられた3D&イマーシブジャンルについて、アドビとしては3Dモデリング制作ツールなどの展開をどうお考えですか?

3D&イマーシブにおけるクリエイティブの世界は、まだ早期の段階にあると思います。これまでにコンシューマーの多くが3Dを経験したのかと考えても、そうではないはずです。一方で、将来的には私たちは、ARを駆使した世界で生活し、エンターテインメントの多くもVRになっていくことでしょう。こういった世界においては、全てのクリエイティビティに関するプロフェッショナルが3Dや没入型、あるいはインタラクティブなコンテンツものを作らなくてはならなくなります。

私たち自身がよりバーチャルな世界で生活することを「メタバース」と言ったりもします。そんな世界では、ファッションや、アクセサリー、そして3Dの空間といったものが、一層必要とされてくるのだと思います。そのため、私たちにとっても、「Adobe Substance 3D Collection」を充実させるのが非常に重要だと思っています。これはクリエーターの方々が、新しいバーチャルな世界において、制作活動を続けていくために欠かせません。そのためには、 やはり3Dの能力や機能をPhotoshopやIllustratorといったプロダクトに含めていくことが重要であると考えています。

──今回、Creative CloudスペースやCreative Cloudカンバスなど、Web上でのコラボレーションを想定した新サービスが登場しました。その背景についてお聞かせください。

クラウドドキュメントの開発は、私たちにとっても長い旅路になると思っています。元々、最終的には全てのプロダクトをクラウドに持っていきたいという意図はありました。また、お客様からも私たちの製品をあらゆるところで使いたい、例えば「どんな場所にいてもiPadでPhotoshopを使いたい」とか、「Webでのコラボレーションをより簡単にしたい」といった、要望がありました。

こうした背景もあって、私たちはクラウドドキュメントに対して方向性を定めなければいけないと考えてきました。アドビという企業はかつて、ローカルでのファイル格納や、デスクトップ製品に慣れていました。そういう意味において、Web上でのサービス提供は大きなトランスフォーメーションになると思います。こうした変化は、コロナ危機によって加速したと言える側面もあります。

私たちとしては、クラウド上にプロダクトを持ってくることによって、より多くの可能性を開放できると考えています。皆さんがより共同作業を行いやすくなりますし、異なるデバイスを使うこともできる。クラウドでしか実現できないようなAIのパワーをワークフローに取り入れることも可能です。さらに、その他のWebアプリケーションやクラウドサービスとの相互接続性も担保されていきます。

──10月に買収完了した「Frame.io」についてお伺いします。同社由来の機能をCreative Cloud製品群へのネイティブに実装することで、どのような進化が期待できるでしょうか?

Creative Cloudの全てのセグメントでどのようなコラボレーションをしたいか、を表しているのがこの「Frame.io」です。まず、このFrame.ioには、深いオプションがありまして、権限管理や、ビデオのウォーターマーク(透かし)付与、エディターのフィードバックの管理などが行えるのが特徴です。Frame.ioを使うようになったお客様は、よく「Frame.ioを使っていなかったころ、どうやっていたのか覚えていない」と仰られることが多いですね。

我々は、Adobeのプロダクトを利用する全てのお客様に対して、こういった魔法のようなコラボレーション機能を同じレベルで提供したいと考えています。

──Adobe MAXの完全オンライン開催は今回で2年目になります。昨年の経験が活かせた部分などはありますか?

「どういうふうになるのか」が何となく想像がついている点で、昨年よりも今年の方がよりリラックスして臨めましたね。例えば、私は基調講演の収録をしますので、自分が語りたいストーリーを考える際に、新しい人たちだったり新しい製品だったり、新しい声だったりを十分にカバーできたと思います。

ただ、そうは言っても、実際にお客様とお会いするということがなかなかできないのは少し残念には感じます。通常でしたらカリフォルニアや東京で行うイベントですので、現場でコミュニティやお客様との繋がりが生まれることになります。それができないのは大変残念です。

将来的には、オフラインとオンラインのハイブリッドでできればな、と思います。オンラインのセッションで何百万人もの人たちに、色々と語る機会があって、同時にコミュニティの繋がりを生むイベントなどもできればいいなと思っています。

──ありがとうございました。

なお、昨年開催されたAdobe MAX 2020における動画視聴回数は2100万回以上を記録したという。400以上のセッション、キーノート、MAX Sneaks、ワークショップが実施され、Adobe.comのイベントサイトへの訪問は220万回以上、ソーシャルインタラクションは5000万回以上を記録した。

2021年のAdobe MAX 2021は、日本時間10月27日~28日の2日間に渡って開催され、基調講演や400以上のブレイクアウトセッションが公開される予定だ。日本向けのオリジナルセッションも50以上用意され、すべて無料で視聴できる。アーカイブ視聴も用意されるので、ぜひチェックしてみて欲しい。

(井上晃(AKIRA INOUE)。Engadget日本版より転載)

オンラインM&Aマッチング「M&Aクラウド」が約10億円調達、プラットフォームの開発加速と組織拡大に投資

M&Aクラウド

オンラインM&Aマッチングプラットフォームの「M&Aクラウド」を運営するM&Aクラウドは10月27日、総額約10億円の資金調達を完了したことを発表した。引受先は、リードインベスターのSTRIVE、既存投資家のSkyland Ventures、インキュベイトファンド、SMBCベンチャーキャピタル、新規投資家のSTRIVE、日本郵政キャピタル、博報堂DYベンチャーズ、MS-Japan(ハヤテインベストメント)、NORTH AND SOUTH。創業からの累計調達額は約12億4000万円となった。

調達した資金はM&Aプラットフォームの開発を加速させるほか、人材採用・組織拡大にあてる。

M&Aクラウドは、売り手企業が無料かつオンラインで買い手企業の情報を閲覧し直接打診が可能なM&Aおよび資金調達のマッチングプラットフォーム。昨今のM&A市場ではデジタル化促進を目的としたIT・ソフトウェア業界へのニーズが高まっており、買い手・売り手ともにさらなる需要の増加が予想されている。また、買い手側はいきなりM&Aを実施するのではなく出資を通じてより効果・効率的なM&A実施を希望する企業が増える傾向にある。M&Aクラウドではそれらのニーズにも対応できる機能を新たに実装し、マッチング件数を伸ばしている。

M&Aクラウドのサービススタートは2018年5月で、そこから3カ月で9億2000万円のディールが成立したという。直近では売り手の登録社数が約6000社、買い手の掲載社数が約400社となっている。売り手ユーザーが希望の買い手企業に出会えている率は84%にのぼるそうだ。

今後はソーシングからPMIまで総合的にM&Aをサポートできるプラットフォームの開発を加速するとともに、買い手が興味を持った各社それぞれに熱量を持ったアプローチと情報発信ができるシステムを構築していく。また、買い手側に向けたテクノロジーとファイナンシャルアドバイザーを融合したサポート体制を充実させて負担を軽減し、より円滑なM&Aの実現を目指す予定。

M&Aクラウドは、「テクノロジーの力でM&Aに流通革命を」をミッションに掲げ2015年12月に設立。従来の仲介するモデルから発想を転換し、求人型M&Aプラットフォームというビジネスモデルを構築した。

Apple Oneのプレミアプランが11月3日から新たに17カ国で提供開始、ただし日本は含まれず

Apple(アップル)がオールインワンのApple One Premierサブスクリプションを11月3日から新たに17カ国で提供する。オーストリア、ブラジル、コロンビア、フランス、ドイツ、インドネシア、アイルランド、イタリア、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ポルトガル、ロシア、サウジアラビア、スペイン、スイス、アラブ首長国連邦でこのプランを利用できるようになる。


これらの国で提供されるApple One Premierには、Apple Music、Apple TV+、Apple Arcade、Apple Fitness+、 2TBのiCloudストレージが含まれる。サービスは最大6人の家族で共有できる。ただし、すでにプランが提供されている米国、カナダ、オーストラリア、英国ではApple News+が含まれているが、新たに対象となる国では現時点でNewsとNews+がまだ提供されていないためApple One Premierに含まれない。今回の拡大によりApple One Premierは合計17カ国で利用できるようになる。

Appleはユーザーのソフトウェアとサービスのニーズをすべて満たすワンステップショップを目指して、Apple One Premierを2020年10月に開始した。Apple Oneの個人プランとファミリープランは、現在100の国と地域で利用できる。

今回のApple One Premierの拡大は、AppleがFitness+のサブスクリプションサービスを11月3日に前述の国で公開することにともなうものだ。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Kaori Koyama)

Apple News、さらに米国の3都市でローカルニュース提供開始

Apple Newsは、ローカルニュースの対象地域をシャーロットとマイアミとワシントンD.C.に広げた。ローカルニュースのこの拡大によってユーザーは「Axios Charlotte」「Charlotte Observer」「Eater Miami」「Miami Herald」「DCist」「Washingtonian」「Washington Post」などのメディアにアクセスできるようになる。


ローカルニュースはApple Newsの編集者たちが整理・選択し、レストランの開店や不動産価格の動向、重要な政策決定など、多様な話題を扱う。

Apple Newsが選択整理されたローカルニュースを最初に立ち上げたのは、2020年のベイエリアとヒューストン、ロサンゼルス、ニューヨークそしてサンフランシスコだった。そして2021年前半には、サクラメントやサンアントニオ、サンディエゴなどが追加された。

Appleによると、今後もローカルニュースの対象都市は増えていく。明らかにこの巨大テクノロジー企業は、FlipboardSmartNewsといったすでに何千もの米国の都市をカバーする他のニューズアグリゲーターとさらに競合していくつもりだ。

関連記事:スマートニュースのローカルニュース機能が米国6000以上の都市で利用可能に

Apple Newsのローカルへの拡張は、AppleがFitness+と同社のApple One Premierのサブスクリプションのバンドルを11月3日にさらに17カ国(オーストリア、ブラジル、コロンビア、フランス、ドイツ、インドネシア、イタリア、マレーシア、メキシコ、ポルトガル、ロシア、サウジアラビア、スペイン、スイス、アラブ首長国連邦)に拡張していくタイミングで行われた。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)