アップルがM1シリーズ最上位版「M1 Ultra」を発表

Apple(アップル)は米国時間3月8日、同社の「Peek Performance」イベントにおいて、新しいM1チップ「M1 Ultra」の発売を発表した。このチップは、これまでM1、M1 Pro、M1 MaxがあったM1ファミリーの最終バージョンであるとAppleは述べている。

Ultraは2つのM1 Maxダイをベースに、既存のM1 Maxチップに存在する、しかし休止状態だったらしい接続を使用する。この相互接続により、2つのチップ間で2.5TB/sの帯域幅が実現されている。Appleはこれを(同社らしいネーミングで)「Ultra Fusion」と呼んでいる。

M1 Maxを2つ組み合わせたチップなのだから、Ultra版ではCPUとGPUのコアが2倍になっているのは当然のことだ。つまり、高性能コア16個と高効率コア4個の計20CPUコアと64GPUコアを搭載している。このチップは最大で128GBのユニファイドメモリに対応する。また、機械学習(ML)ワークロードのための32コアのNeural Engine(ニューラルエンジン)も搭載している。これらすべてを合わせると、1140億個のトランジスタになる。

Appleによれば、これらすべてによってUltraはM1の8倍速くなり、一方でこのチップは、CPUとGPUの両方において、ワットあたりのCPU性能で10コアのデスクトップチップをも凌駕しているとのこと。ただしAppleは、M1 Ultraをどのデスクトップチップと比較しているのかは明言しなかった。

Appleは2020年11月に初代M1チップを発売し、同社の製品ポートフォリオ全体でIntelのチップから脱却する第一歩を踏み出した。

2020年の発売当時、8コアのM1はMac mini、Macbook Air、MacBook Proに搭載されてデビューした。その後Appleは、最大10コアのCPU、32コアのGPU、(16GBが上限だった初代M1と異なり)64GBのユニファイドメモリをサポートする、大幅にパワフルなM1 ProおよびM1 Maxチップを発表した。これらのチップは、14インチと16インチのMacBook Proでデビューした。

M1 Ultraは、新しいMac Studioでデビューする予定だ。

もしAppleが今後もこの命名スキームを踏襲するなら、私たちは後のイベントでM2 ProsとMaxチップを紹介するのを見ることができるかもしれない。

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画像クレジット:Apple

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Den Nakano)

Lenovo、新ThinkPadにQualcommのSnapdragonプラットフォームを採用

長い間ハイエンドモバイルプロセッサの世界をリードしてきたQualcomm(クアルコム)が、あなたに売りたいノートPCを手に入れた。2021年末に毎年恒例のSnapdragonサミットで発表したSnapdragon 8cx Gen 3シリーズで、同社はノートPCの部品の世界へ進出する。

名前からわかるように、Snapdragon 8cx Gen 3はノートPCに使用されるQualcomm製品としては第3世代だ。現在、Apple(アップル)はARMベースのチップを自社開発し、かなりのパフォーマンスを実現している。QualcommもモバイルのパフォーマンスをWindows 11 ProベースのノートPCに活かして、同じことを実現したいと考えている。

画像クレジット:Lenovo

QualcommのプラットフォームでMicrosoft(マイクロソフト)のSurfaceデバイスが開発されるという噂がある中、Lenovo(レノボ)はMWCでThinkPad X13sを発表した。このプラットフォームの利点はぱっと見ただけで明らかだ。ノートPCのフォームファクタでARMアーキテクチャに移行するという長年の約束が守られている。つまり、超軽量薄型で5G内蔵、バッテリー駆動時間が長く、Qualcommの数世代にわたるセキュリティの進歩をベースにしている。

Lenovoは最初のパートナーとしては理想的だ。まず、ThinkPadブランドは仕事用のノートPCとして多くの人に浸透している。また、Lenovoは新しい道を探ることにおいては最も熱心なノートPCメーカーかもしれない。

仕様を見てみよう。13インチで重量は2.35ポンド(約1.06kg)と、MacBook Airの2020年モデルよりも200gほど軽い。厚さは0.53インチ(約1.3cm)で、MacBook Airの0.41~1.61cmの範囲に収まっている。バッテリー持続時間は驚異的で、動画再生時に28時間とされている。ある経営幹部はイベントに先立って実施されたブリーフィングで、1泊の出張でニューヨークに持っていってまったく充電しなかったと述べた。これは確かに信憑性があるようだ。

Qualcommのメリットとして、コンピュータビジョンのプロセッサによりログイン認証が向上した点も挙げられる。筐体は90%リサイクルのマグネシウムで、これまでと同様にポインティングスティックもある。

ThinkPad X13sは5月出荷開始予定で、価格は1099ドル(約12万7000円)から。

画像クレジット:Lenovo

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

チップ不足対策でBoschが約340億円を追加投資、半導体の生産拡大へ

Bosch(ボッシュ)は、現在進行中のチップ不足に対応するため、以前から表明していた半導体生産への投資を拡大する。同社は2021年、2022年に4億7300万ドル(約545億円)を投資すると発表したが、さらに2億9600万ドル(約340億円)を新たな製造設備に投資する。

2021年の資本のほとんどは、ドレスデンにある同社の新しい300ミリウェハー製造施設に充てられ、12月に生産を開始したシュトゥットガルト近郊のロイトリンゲンには約5700万ドル(約65億円)が振り向けられた。今回の新たな資金はほぼロイトリンゲンに充てられ、2025年までに新しい生産スペースと計4万4000平方メートルの近代的なクリーンルームを建設する予定だ。この動きは、自動車市場と家電市場の両方で半導体とMEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)センサーの需要が拡大していることに対応するものだ。

Boschの取締役会メンバーでMobility Solutions事業部門会長のMarkus Heyn(マルクス・ハイン)氏は「Boschはすでに自動車用チップのトップメーカーです。そして、この地位をさらに強固なものにしていくつもりです」と述べた。

(クリーンルームは、空気中に浮遊する粒子、温度、照明、騒音、気圧などの環境要因を厳密に制御できるよう特別に建設される密閉された場所だ。Boschの半導体は、他の多くの半導体と同様、炭化ケイ素でできているため、製造プロセスには絶対的な清澄性が求められる。シリコンは砂の中に含まれており、製造に使用する前に精製する必要がある。この工程は非常に精密で、ほんのわずかな塵でもまずいタイミングでチップに付着すると、完全にダメになってしまう)

Boschの取締役会会長Stefan Hartung(シュテファン・ハートゥング)博士は「当社はロイトリンゲンにおける半導体の製造能力を計画的に拡大しています」と声明で述べた。「新たな投資は、当社の競争力を強化するだけでなく、顧客にも利益をもたらし、半導体のサプライチェーンにおける危機を克服する一助となるでしょう」。

ロイトリンゲンのウエハー工場では、6インチと8インチのウエハーを生産する予定だ。6インチウエハーは現在、8インチや12インチほど使われていないが、このプロセスにより、LEDやセンサーなどの半導体製品の生産コストを削減することができる。2019年から特に8インチのウエハーが不足しており、これらは主にセンサーやMCU、無線通信チップといったものに使われている。ロイトリンゲンの拡張は、自動車や消費者部門でのMEMs(微小電子機械システム)や、炭化ケイ素のパワー半導体の需要増に応えるものだとBoschは話す。

同社のドレスデン工場では、CPU、ロジックIC、メモリーなどの高性能製品の製造に使用される12インチシリコンチップをより多く生産する予定だ。

「コネクティビティと組み合わせたAI手法により、製造における継続的なデータ駆動型の改善を実現し、それによってより良いチップを生産しています」とハイン氏は述べた。「これには、欠陥の自動分類を可能にするソフトウェアの開発が含まれます。また、BoschはAIを利用してマテリアルフローを強化しています。高度な自動化により、ロイトリンゲンのこの最先端の製造環境は、工場の未来とそこで働く人々の雇用を守ることになるでしょう」。

Boschはまた、既存の電力供給施設を拡張し、追加のメディア供給システム用の建物を建設する計画だ。新しい生産エリアは2025年の操業開始が見込まれている。

画像クレジット:Robert Bosch GmbH

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

欧州の半導体法案、スタートアップやスケールアップ企業を対象に最大約2640億円の資金援助へ

欧州連合(EU)の欧州委員会は現地時間2月8日、半導体法案を公表した。2021年秋に予告されていたたこの計画は、半導体生産における地域主権とサプライチェーンの回復力を強化するためのもので、研究開発などの分野を含むEU域内の半導体生産に的を絞った支援パッケージや、この分野の最先端技術に取り組むスタートアップや大企業への資金提供が盛り込まれている。

関連記事:EUが半導体の自給体制の構築を目指す法律を制定へ

法案には、EUの厳しい国家補助規則の緩和も含まれており、加盟国は斬新な「この手のものは初」の半導体工場に財政支援を提供することができるようになる。

法案の包括的目標は、あらゆる種の機械や装置を動かすために現在必要とされているハイテクな半導体に、EUが継続してアクセスできるようにすることだ。

「半導体は、世界の技術競争の中心にあります。もちろん、現代経済の根幹をなすものでもあります」とEU委員長のUrsula von der Leyen(ウルスラ・フォン・デア・ライエン)氏は、法案に関する声明で述べた。EUのパンデミック後の経済回復の遅れは世界的な半導体不足と関連しており、需要が供給を上回っていることが原因だ。

欧州委員会は、世界の半導体生産に占めるEUの割合を、2030年までに現在の9%から2倍以上の20%に引き上げたいと考えている。

欧州委員会は、半導体法が「研究から生産まで」の活発な半導体分野の基礎を築くことを期待していると述べた。一方で、欧州は単独ではやっていけないことも認識しており、同法案は米国や日本など他の半導体生産国との連携を強化することによって、グローバルなサプライチェーンへのアクセスにおける回復力を高めることにも取り組む。それゆえ、フォン・デア・ライエン氏は「バランスの取れた相互依存関係」と語っている(ただし、半導体生産に対する国家支援は、貿易摩擦のリスクをともなうかもしれない)。

資金援助に関しては、EUはすでに、より広範な政策目標(デジタル化、グリーン転換、欧州の研究開発)を支援するために430億ユーロ(約5兆6710億円)超の公的および民間資金を動員しているが、欧州委員会は同法における「Chips for Europe Initiative」のもと、半導体能力支援として110億ユーロ(約1兆4510億円)を「直接提供」する予定だと述べた。これは「2030年まで研究、設計、製造能力における技術リーダーシップ」の資金調達に使われるという。

また、半導体関連のスタートアップのイノベーションのために、欧州のスタートアップの研究開発資金や投資家誘致のための費用を支援する専用の「半導体ファンド」という形で、特別な資金が確保される。

欧州委員会によると、半導体専門の株式投資機関(InvestEUプログラムのもと)も、市場拡大を目指す大企業や中小企業を支援する。

半導体分野のスタートアップや大企業に対する半導体法「支援株式」は20億ユーロ(約2640億円)に達する見込みとのことだ。

投資と生産能力の強化を促すことにより、欧州における半導体供給の安定性を確保するために計画されている枠組みは、高機能ノードやエネルギー効率の高い半導体といった分野での技術革新と投資の促進も目指している。この分野で欧州委員会はスタートアップのイノベーションを促すことも期待している。

半導体法案には、半導体の供給を監視し、需要を推定し、不足を予見するための欧州委員会と加盟国の間の調整メカニズムも含まれている。そして、EUの執行部は加盟国に対し、同法の成立を待つのではなく、調整のための取り組みを直ちに開始するよう促している。

EUの共同立法機関である欧州議会と理事会が、EU法として採択される前に詳細について意見を述べて合意する必要があるため、法案が採択される時期についてはまだ示されていない。

欧州委員会のデジタル戦略担当副委員長Margrethe Vestager(マルグレーテ・ベスタガー)氏は声明で次のようにコメントした。「半導体はグリーンかつデジタルな移行に必要なものであり、欧州の産業の競争力にもつながります。半導体の安全な供給を確保するためには、一国や一企業に依存すべきではありません。欧州がグローバル・バリュー・チェーンの主要な役者としてより強くなるために、研究、イノベーション、設計、生産設備において我々はもっと協力しなければなりません。それは、我々の国際的なパートナーにも利益をもたらすでしょう。将来の供給問題を回避するためにパートナーと協業します」。

また、EUの域内市場担当委員であるThierry Breton(ティエリー・ブルトン)氏は別の声明で「我々の目標は高いものです。2030年までに世界市場シェアを現在の2倍の20%に拡大し、最も洗練されエネルギー効率の高い半導体を欧州で生産するというものです。EU半導体法により、我々は卓越した研究を強化し、研究室から製造工場への移行を支援します」。

「我々は多額の公的資金を動員していて、それはすでに相当額の民間投資を引き寄せています。また、サプライチェーン全体を保護し、現在の半導体不足のように、将来的に経済が打撃を受けるのを避けるために、あらゆる手段を講じています。未来のリード市場に投資し、グローバルなサプライチェーンのバランスを整えることで、欧州の産業が競争力を維持し、質の高い雇用を創出し、増大する世界的需要に対応できるようにします」。

どのような種類の半導体工場が国家補助規則の適用除外となるかなど、法案の詳細については、欧州委員会のQ&Aを参照して欲しい。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

半導体産業は台湾にとって「切り札」にも「アキレス腱」にもなる

TechCrunch Global Affairs Projectは、テックセクターと世界の政治がますます関係を深めていっている様子を調査した。

2021年10月上旬の4日間にわたって、約150機の中国軍用機が台湾の領空を侵犯し、台湾と米国からの批判を招いた。このように台湾海峡で緊張が高まる中、台湾の祭英文総統は米国軍は台湾兵士と台湾国内で軍事演習を行っていると発表した。これに対し中国の外務省は、台湾の独立を支援すれば軍事衝突をもたらすだけだと警告した。10月末、米国国務長官Antony Blinken(アントニー・J・ブリンケン)氏が中国外相Wang Yi(王毅)と会見して、台湾地域での現状変更の動きを控えるよう要請したまさにその日に、さらに8機の中国軍用機(うち6機はJ-16戦闘機)が台湾の領空を侵犯した。

1979年、米国は、中華民国(台湾)が中国本土、つまり中華人民共和国の一部であることを承認した。このときから中台関係の変遷が始まり、現在の状態に至る。中国は長期にわたって台湾併合を望んでおり(中国は台湾をならずもの国家と考えている)、軍事侵攻によって強制併合する可能性を決して除外していないが、米国が台湾を軍事的に防衛するかどうかについて戦略的にあいまいな態度をとってきたため、台湾併合を阻止されてきた形になっている。そして近年、台湾が半導体産業で重要な役割を果たすようになってきたため、状況はさらに複雑化の度を増している。

世界の半導体産業における台湾の重要性

台北本拠の調査会社TrendForce(トレンドフォース)によると、台湾の半導体受託製造業者は、2020年時点で、世界のファウンドリ市場の63%のシェアを獲得しているという。詳細を見ると、世界最大の受託チップ製造業者Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)だけで世界のファウンドリ市場の54%のシェアを確保している。さらに最近のデータによると、Fab 14B P7で停電が発生し製造がストップしたにもかかわらず、TSMCは依然として、2021年の第2四半期で世界のファウンドリ市場の約53%を占めている。

台湾のファウンドリ(TSMCを含む)はほとんどのチップを製造しているが、それに加えて、携帯電話から戦闘機まで、すべてのハイテク機器に内蔵されている世界最先端のチップも製造している。実際、TSMCは世界の最先端チップの92%を製造しており、台湾の半導体業界は間違いなく世界で最も重要視されている。

そして、当然、米国と中国の両国も台湾製の半導体に依存している。日経の記事によると、TSMCは、F-35ジェット戦闘機に使用されているコンピューターチップ、Xilinx(ザイリンクス)などの米国兵器サプライヤ向けの高性能チップ、DoD(国防総省)承認の軍用チップなども製造している。米軍が台湾製のチップにどの程度依存しているのかは不明だが、米国政府がTSMCに対して米国軍用チップの製造工場を米国本土に移転するよう圧力をかけていることからも台湾製チップの重要さの程度が窺える。

米国の各種産業も台湾製半導体に依存している。iPhone 12、MacBook Air、MacBook Proといった各種製品で使用されているAppleの5ナノプロセッサチップを提供しているのはTSMC一社のみだと考えられている。iPhone 13やiPad miniなどのAppleの最新ガジェット内蔵のA15 BionicチップもTSMC製だ。TSMCの顧客はもちろんAppleだけではない。Qualcomm(クアルコム)、NVIDIA(エヌビディア)、AMD、Intel(インテル)といった米国の大手企業もTSMCの顧客だ。

中国も外国製チップに依存しており、2020年現在、約3000億ドル(約34兆円)相当を輸入している。当然、台湾は最大の輸入元だ。中国は外国製チップへの依存度を縮小すべく努力を重ねているが、その需要を国内のみで賄えるようになるのはまだまだ先の話だ。中国の最先端半導体メーカーSemiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)の製造プロセスは、TSMCより数世代遅れている。SMICは現在7ナノ製造プロセスのテスト段階に入ったところだが、TSMCはすでに3ナノ製造プロセスまで進んでいる。

このため、中国の企業は台湾製チップに頼らざるを得ない。例えば中国の先進テック企業Huawei(ファーウェイ)は、2020年現在、TSMCの2番目の大手顧客であり、5ナノと7ナノのプロセッサの大半をTSMCに依存している考えられている。具体的な数字を挙げると、ファーウェイはTSMCの2021年の総収益の12%を占めている。

軍事衝突という形をとらない戦い

2022年前半に起こったことを見るだけで、半導体業界がいかに脆弱かが分かる。比較的落ち着いていた時期でも、停電の影響もあって、TSMCは世界シェアを1.6%失い、継続中の半導体不足に拍車をかけることになった。地政学的な要因による半導体生産量の低下ははるかに大きなものになるだろう。

最悪のシナリオはいうまでもなく、台湾海峡での軍事衝突だ。軍事衝突が起これば、半導体チップのサプライチェーンは完全に分断されてしまう。だが、他にも考えられるシナリオはある。台湾はよく分かっているが、中国に大量にチップを輸出することで、台湾の経済成長は促進されるものの、中国の技術発展も支援していることになる。台湾が、例えば米国との自由貿易協定に署名するなどして、中国への輸出依存度を減らすべく具体的な対策を講じるなら、中国への半導体チップの輸出を打ち切ってしまう可能性がある。

これは中国にとっては耐えられないシナリオだ。考えてみて欲しい。TSMCがトランプ政権の厳しい対中禁輸措置に応えてファーウェイからの新規注文を拒絶して以来、ファーウェイは5ナノ製造プロセスを使用したハイエンドのKirin 9000チップセットの製造を停止せざるを得なくなった。こうしてハイエンドチップが不足すると、ファーウェイはまもなく、5G対応のスマートフォンの製造を継続できなくなるだろう、とある社員はいう

台湾製のチップがまったく入ってこなくなると、中国のテック産業全体の継続的な成長に疑問が生じることになる。そうなると、中国は激怒するだけでなく、国内の安定も脅かされるため、中国政府に台湾武力侵攻の強い動機を与えることになるだろう。

逆に、米国に台湾製チップが入ってこなくなるシナリオも考えられる。「平和的な併合」のシナリオ(武力侵攻なしで台湾が中国に統合されるシナリオ)が実現すれば、台湾のファウンドリは中国政府の支配下に入ることになり、米国にとって戦略的な問題が生じる。中国政府はファウンドリに対してチップの輸出を禁止したり、輸出量を制限するよう要請できる。そうなると、米国は、米軍の最先端の軍事機器のモバイル化に必要なチップが手に入らなくなる。

TSMCが米国企業に対するチップの輸出を停止または制限すると、米国企業は現在のファーウェイのような状況に陥る可能性が高い(中国では「使用できるチップがない」という意味の「无芯可用」という新しいフレーズが登場している)。米国が台湾に侵攻して中国と台湾を再分割する可能性は低いものの、報復として制裁措置を課すなどの対抗手段を検討するかもしれない。そうなれば米中間の緊張がさらに高まることになる。

いうまでもなく、こうしたシナリオが現実化すればグローバルなサプライチェーンは分断され、全世界に深刻な状況を招くことになる。

台湾の半導体産業は国を守る盾か、それともアキレス腱か

台湾は間違いなく、半導体業界における支配的な地位と、それが米国と中国に対する影響力を与えている現在の状況を享受しているが、米中両国は現状に大いに不満を抱いており、両国とも自国に有利な状況になるようさまざまな手段を講じている。たとえば米国は、米国内にチップ製造工場を建設するようTSMCに要請している。一方中国は、TSMCから100人以上のベテラン技術者やマネージャーを引き抜いて、最先端のチップ製造を自国で行うという目標に向けて取り組みを強化している。

これは台湾の将来にとって決して好ましいことではない。台湾が海外での半導体生産量を増やすと、台湾に対する国際的な注目は弱まるかもしれない。が、同時に米国が台湾を軍事的に保護する動機も弱まってしまう。サプライチェーンが広域に分散するほど、中国が台湾を軍事力で併合するための主要な障害が軽減されることにもなる。台湾にとってこれは、難しいが、存続に関わる問題だ。

こうした不確実な要因はあるものの、台湾の地位は少なくとも短期的には安泰のようだ。米中両国の競争相手の製造プロセスはまだ数年は遅れている状態であるし、彼らが追いついてきたとしても、工場は稼働するまでに数年の計画と投資が必要になることはよく知られている。現状に何らかの変化がない限り、米中両国とも、少なくとも短期的には、台湾製チップなしでやっていけるとは考えられない。今確実に言えることは、米中両国は、対台湾戦略において、従来にも増して台湾の半導体産業の役割を考慮する必要があるということだ。

編集部注:本稿の執筆者Ciel Qi(シエル・チー)氏は、Rhodium Groupの中国プラクティスのリサーチアシスタントで、ジョージタウン大学のセキュリティ研究プログラム(テクノロジーとセキュリティ専攻)の修士課程に在籍している。また、ハーバード大学神学部で宗教、倫理、政治学の修士号を取得している。

画像クレジット:Evgeny Gromov / Getty Image

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(文:Ciel Qi、翻訳:Dragonfly)

米国は半導体不足の解消からほど遠いとライモンド米商務省長官が警告

米商務省は米国時間1月25日、半導体市場の供給不足がどの程度広がっているかを把握するために150社を対象に行った調査の結果を発表した。自動車産業と医療産業は、この供給不足の影響を大きく受けている。

この調査結果を受けて行われた記者会見においてGina Raimondo(ジーナ・ライモンド)商務長官は、問題を厳しい言葉で表現し「半導体の供給問題に関しては、まだ脱却したとは言えない」と指摘。さらに「この問題は2022年後半まで、いや、もっと長く続きそうだ」と述べた。

ライモンド氏は、現在下院が起草しているU.S. Innovation and Competition Act(USICA)に、米国内での半導体生産増強のための520億ドル(約5兆9236億円)の資金が含まれていることを挙げ、議会の通過を強く要請した。

調査では、2019年から2021年にかけて需要が17%増加したことを指摘しており、この数字は今後さらに増加することが予想される。さらに、予期せぬ事態に直面した場合、破滅的な結果をもたらす可能性がある薄利多売についても述べている。

チップの在庫の中央値は、2019年の40日から5日未満に減少している。この在庫は、主要産業ではさらに少なくなってしまう。つまり、新型コロナウイルスの流行や自然災害、政情不安によって海外の半導体施設がわずか数週間でも混乱すれば、米国内の製造施設が閉鎖される可能性があり、米国の労働者とその家族が危険にさらされることになる。

ほとんどの製造施設は現在90%以上の生産能力で稼働しており、上工場を増やさなければこれ以上生産量を増やすことは不可能だという。特にIntelは、オハイオ州の2工場への大規模な投資を発表しているが、最初の工場が稼働するのは2025年だ。おそらく、現在行われている措置の多くは、将来の供給不足を回避することを目的としているのだろう。

「2021年初頭からの進展にもかかわらず、半導体不足は続いている。「半導体のサプライチェーンが複雑であることが一因だ。生産者は常に需要を明確に把握しているわけではなく、チップ消費者は必要なチップがどこで生産されているのかを常に把握しているわけではない。こうした障壁が、ソリューションの開発を難しくしている」と商務省の調査報告では述べられている。

画像クレジット:Joshua Roberts/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

世界的チップ不足の中、インテルは2.3兆円でオハイオ州に2つの半導体工場を建設

Intel(インテル)は米国時間1月21日、オハイオ州コロンバス郊外に2つのチップ製造施設を建設する計画を明らかにした。この計画はまだ初期段階だが、現在も続く世界的なチップ不足に対処するため、あるいは少なくとも将来起こりうる問題に対処するために、最終的に200億ドル(約2兆2750億円)を投じて工場を建設する。

同社は、最初の工場について、すぐさま計画に着手し、年内に建設を開始するという大まかなスケジュールを描いている。工場は2025年に稼働し、40年ぶりの新製造拠点となる予定だ。計画通りに進めば、このプロジェクトの敷地は1000エーカー(約4平方キロメートル)となる見込みで、最大で8つのチップ工場を建設できるほどの広さだ。

CEOのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏はニュースリリースで「本日の投資は、米国が半導体製造のリーダーシップを回復するための取り組みをIntelが主導する、もう1つの重要な方法となります。Intelの取り組みは、より強靭なサプライチェーンの構築に役立ち、今後何年にもわたって高度な半導体への確実なアクセスを保証するものです。Intelは、世界の半導体産業を強化するために、最先端の機能と能力を米国に戻そうとしているのです」と述べた。

同社の発表によると、建設段階では7000人の雇用を創出し、稼働後は3000人を常時雇用する。バイデン政権下のホワイトハウスは、1月20日に発表した声明の中で、今回のニュースを「アメリカ経済の強さを示すもう1つのサイン」として宣伝している

オハイオ州リッキング郡に建設される2つの最先端Intelプロセッサー工場の初期計画を示す予想図。2022年1月21日に発表されたこの200億ドルのプロジェクトは、広さ約1000エーカーで、単一の民間投資としてはオハイオ州史上最大となる。2022年後半に着工し、2025年末に製造を開始する予定(画像クレジット:Intel)

ホワイトハウスはまた、機会に乗じて、新型コロナウイルス感染症によって世界的にサプライチェーンが逼迫する中で、国内の研究開発と製造の加速を目指す政策をアピールした。サプライチェーン逼迫は一部の人には政権の敗北として映っている。

「この進展を加速させるため、大統領は議会に対し、半導体を含む重要なサプライチェーンのための米国のR&Dおよび製造を強化する法案を可決するよう促しています」と政権は書いている。「上院は6月に米国イノベーション・競争法(USICA)を可決し、政権は上下両院と協力してこの法案を完成させているところです。この法案にはCHIPS for America Actへの全資金拠出が含まれており、民間部門の投資をさらに促進し、米国の技術面でのリーダーシップを継続させるために520億ドル(約5兆9110億円)を拠出します」。

両党はまた、米国でチップを製造することのセキュリティ上の利点を宣伝した。これは間違いなく、前政権の主要ターゲットとなったHuawei(ファーウェイ)などのメーカーに対する監視の強化にちなんだものだ。Intelは「オハイオ州の拠点はまた、米政府特有のセキュリティとインフラのニーズに対応する最先端のプロセス技術も提供します」と述べている。

今回のニュースは、IntelがSamsung(サムスン)などの企業との競争激化に対処する一方で、Apple(アップル)などの企業がファーストパーティーの設計を優先してIntel製チップの採用を取りやめることを選択した中でのものでもある。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国のAIチップデザイン企業Moffett AIがシリーズAラウンドで「数十億円」を調達

中国では半導体技術の独立性を高めることが求められており、それにともない投資家たちはさまざまな種類のチップスタートアップを追い求めている。深圳のファブレスチップデザイン企業であるMoffett AIは、新たにシリーズAの出資を受けた。同社は正確な金額を公表せず「数千万ドル(数十億円)」とだけ述べている。

このラウンドは、CoStone CapitalGreater Bay Area Homeland Development Fundが主導した。後者のファンドは、中国が香港、マカオ、深圳、および広東省南部のいくつかの都市を統合する壮大なプロジェクトであるGBA(大湾区)経済圏のスタートアップを支援するために設立された金融ビークルだ。

シリーズAラウンドに参加した他の投資家には、Co-PowerGrand China Capital、深圳市政府が「次のHuawei(ファーウェイ)、Tencent(テンセント)、DJIを探し出す」ために設立した戦略的ファンドであるShenzhen Angel Fund of Funds(FOF)が含まれる。2020年3月に実施されたMoffettの前回のラウンドは、1億元(約1600万ドル、約18億円)でクローズされた。

自律走行車からビデオストリーミングのレコメンデーションまで、人工知能は私たちのデジタルライフに欠かせないものとなっている。AI機能の需要が急増しているため、コンピューティングパフォーマンスに負担がかかり、MoffettやFoxconnが出資するKneron(クネロン)のようなAIアクセラレーションを提供する企業が切望されるようになっている。

Moffettは、ニューラルネットワークモデルから冗長情報を取り除き、最終的に処理の高速化につなげるプロセスである「スパース化」と呼ばれる技術を用いて、同社のAIチップを差別化することを約束している。同スタートアップは新たな資金を、同社のスパース技術を利用するパートナーやクライアントの「エコシステム」の拡大と、TSMCが製造する最初のチップ「Antoum」の量産に充てる予定だ。

同社は、このチップのスパース率は32倍で、その処理能力は「国際的なフラグシップ製品」の5~10倍になると主張している。

Moffettは深圳に本社を置き、北京、上海、そして2018年に設立されたシリコンバレーのオフィスにも研究開発チームを置いている。このスタートアップは、カーネギーメロン大学のAI研究者や、Intel(インテル)、Qualcomm(クアルコム)、Marvel(マーベル)、Oracle(オラクル)などに所属していた半導体のベテランたちによって運営されている。

関連記事:AIチップメーカーのKneronが自動運転の推進に向けて約28.4億円調達

画像クレジット:Moffett AI

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

韓国SK HynixがインテルのNAND事業買収で中国の認可を取得

韓国のチップメーカーSK Hynix(SKハイニックス)は米国時間12月22日、Intel(インテル)のNANDとSSD(ソリッドステートドライブ)事業を90億ドル(約1兆円)で買収することについて、中国の反トラスト当局から合併許可を得たと発表し、8つの管轄区域での規制認可確保完了への最終ハードルをクリアした。

2020年10月、この米チップ大手とSK Hynixは買収契約に合意した。その後、SK Hynixは韓国、米国、EU、台湾、ブラジル、英国、シンガポールの監督官庁から認可を得た。

SK Hynixは声明で次のように述べている。「SK Hynixは、国家市場監督管理総局による本取引の合併認可を心から歓迎し、感謝します。SK Hynixは、残された合併後の統合プロセスを継続することにより、NANDフラッシュメモリとSSD事業の競争力を高めていきたいと思っています」。と述べている。

SK Hynixの最大の買収案件である今回の買収は、SK HynixがNAND SSD事業を拡大し、市場リーダーのSamsung(サムスン電子)との差を縮めるのに役立つと思われる。一方、IntelはOptaneメモリ事業を継続して保持し、より高度な技術に投資していくと2020年発表した。同社はNAND部門を売却し、5Gネットワークインフラ、人工知能、エッジコンピューティングなどの技術開発を倍増させる計画だ。

SK Hynixの広報担当者は、2021年末までに最初の70億ドル(約7990億円)を支払い、2025年3月までに残りの20億ドル(約2200億円)を支払うと確認した。この取引が完了すると、この韓国のチップメーカーはIntelのNAND SSD、NANDのコンポーネント、ウエハー事業(NAND関連の知的財産と従業員を含む)、および大連のNANDメモリ製造施設を引き継ぐことになる。

米中間の緊張の中で、SK Hynixがこの取引について中国の許可を得られないのではないかという懸念があった。SK Hynixは、この取引が3カ国すべてにとって「相互に有益と考えられる」ため、大幅な遅延なしに適切なタイミングで承認されたと述べている。

中国の国家市場監督管理総局は、同日に発表した声明の中で、承認はしたが、5年間続くいくつかの条件付きでもあると述べた。

その条件とは、SK HynixがPCIeとSATAのエンタープライズクラスのソリッドステートハードディスク製品の生産量を拡大し、製品を公正、合理的、無差別的な価格で供給することであると発表している。また、SK Hynixは中国の顧客にSK HynixまたはSK Hynixが支配する会社から製品を独占的に購入するよう強制してはならないとしている。

画像クレジット:Igor Golovniov/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Akihito Mizukoshi)

AIチップメーカーのKneronが自動運転の推進に向けて約28.4億円調達

AIチップは機械学習を加速する半導体であり、多くのアプリケーションがある。Albert Liu(アルベルト・リュー)氏によると、将来性のあるユースケースの1つが自動運転車への利用だという。

リュー氏のAIチップ生産スタートアップKneronは、秘かに投資を集めて、スマート交通分野に進出しようとしている。同社はこのほど2500万ドル(約28億4000万円)の新たな投資ラウンドを完了したが、それは主に、台湾の光電子工学のパイオニアであるLite-On Technologyを戦略的投資家として迎え、その他の投資家にはAlltekやPalPilot、Sand Hill Angels、Gaingelsなどとなる。

2015年の創業以降、Kneronの総調達額は1億2500万ドル(約142億1000万円)を超えた。サンディエゴと台北を拠点とする同社は、香港の大物Li Ka-Shing(李嘉誠)氏のHorizon VenturesやAlibaba、Qualcomm、Sequoia、Foxconnなど多くの著名投資家たちを集めている。中でもFoxconnは世界最大のエレクトロニクスメーカーであり、Appleのサプライヤーだ。

関連記事:クアルコム出資のチップメーカーKneronがフォックスコンからも資金を調達

先にリュー氏が語ったところによると、同社は2023年に黒字化するため、上場の「好機」だという。最近、彼はIPOについてあまり語らなくなったが、上場は米国で行なうという。

Qualcommでコンピュータービジョンを手がけていたリュー氏は、インタビューで「自動運転のL4とL5はクルマだけの問題ではなく、路側のAIも重要です」と述べている。

Kneronへの最新の投資は、同社が先進運転支援システム(ADAS)と自動運転車向けの最初の自動車グレード半導体をリリースした直後にやってきた。

近くの車両と通信できる路側ユニットがあれば、例えば救急車は交差点で停止する必要がない。このようなインフラは、米国よりも交通事情が複雑なアジア諸国では特に有効であると、リュー氏はいう。

この戦略的投資を通じて、KneronとLite-Onは、KneronのエッジAIチップを搭載したロードサイドAIボックスを共同開発する。

このスタートアップのチップは「再構成可能」であり、ソフトウェアの柔軟性とハードウェアの高速性を兼ね備えている。自動車の場合、同社のシリコンは、車内の大型AIエンジンにも、クルマの外装に重ねた小型センサーの電源にも使えると、リュー氏は説明し、以下のデモ動画でも紹介している。

 

Kneronは、現在30社の企業顧客から毎月300万〜400万ドル(約3億4000万〜4億5000万円)の収益を得ており、収益の30〜40%は米国からのものだ。

同社は、業界のパートナーとの深い提携関係を築いている。5月には、Delta Electronicsの子会社であるVivotekから画像信号処理装置のVaticsを買収することに合意している。KneronはFoxconnを戦略的投資家としてカウントしており、電気自動車向け製造プラットフォーム「MIH」は同社のチップが採用されている。

画像クレジット: KneronAdventr

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

OPPO初の自社開発チップは画像・映像処理に特化したNPU

中国の大手スマートフォン企業であるOppo(オッポ)は、現地時間12月14日に深圳で開催された年次イノベーションイベントで、初の自社製チップセットを発表した。マリアナ海溝にちなんで名付けられたというこの「MariSilicon X(マリシリコンX)」チップは、機械学習によって写真や動画の処理性能を高めることに特化したニューラルプロセッシングユニット(NPU)だ。

この動きによりOppoは、Apple(アップル)をはじめとする独自のチップを設計しているスマートフォンメーカーのリストに加わることになる。Qualcomm(クアルコム)での豊富な経験を持つJiang Bo(ジャン・ボウ)氏が率いるMariSiliconプロジェクトは、2019年に始まったばかりだった。

このシリコンは、Taiwan Semiconductor Manufacturing Co(TSMC、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)の6ナノメートルプロセス技術によって製造され、2022年の第1四半期に発売されるOppoの次期フラッグシップ機種に搭載される予定だ。現在進行中の世界的なチップ不足は、MariSilicon Xの生産には影響しないと、ジャン氏はこのイベントで報道陣に語った。

Oppoは今回のイベントで、自社開発のスマートグラスの第3世代も発表した。同社ではこれを、Augmented Reality(拡張現実)ではなく「assisted reality(補助現実)」デバイスと呼んでいる。

この表現は適切だ。この重さわずか30gのヘッドピースは「Google Glass(グーグル・グラス)」を彷彿とさせる。スマートウォッチで使用されている「Snapdragon 4100(スナップドラゴン4100)」チップを搭載しており、確かに一般的にはスマートウォッチで見られるような、ナビゲーションや翻訳などの2D情報を、厚さ1.3mmのメガネに投影することに限定されている。周囲の環境を認識するARデバイスのようなものではなく、スマートフォンの延長線上、あるいは目の前にスクリーンがあるスマートウォッチのようなものだ。発売は2022年春に予定されている。

Oppoの新しい「補助現実」メガネ(画像クレジット:Oppo)

そして3つ目の製品は、Oppo初の折りたたみ式スマートフォンだ。同社が巻き取り式スマートフォンのコンセプトを発表してから1年後に登場するこの折りたたみ式スマートフォンの詳細は、15日に発表される予定なので、また後ほど記事を更新してお伝えすることにしたい。

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これまでにわかっているのは、この新型携帯電話の開発を指揮した人物が、OnePlus(ワンプラス)の共同設立者であり、2021年OnePlusがOppoのサブブランドになった後、Oppoのチーフプロダクトオフィサーに就任したPete Lau(ピート・ラウ)氏であるということ。

OnePlusとOppoは、ともにBKK Electronics(BBKエレクトロニクス、歩歩高)の傘下にあり、合併前はサプライチェーンを共有しながらも、独立して事業を行っていた。今回の合併により、2つの携帯電話メーカーは、それぞれのブランドは別のまま、運営とOSを含めた研究開発の力を統合することになった。

OnePlusのもう1人の共同創業者であるCarl Pei(カール・ペイ)氏は、新たに設立したイヤフォンのベンチャー企業Nothing(ナッシング)で話題を集めており、投資家や初期フォロワーの大群を獲得している。

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画像クレジット:Oppo

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

【コラム】開発者と設計者が企業の半導体不足解消のためにできること

米半導体メーカーMarvell Technology(マーベル・テクノロジー)のCEOであるMatt Murphy(マット・マーフィー)氏は2021年10月、半導体不足は2022年さらにはそれ以降にも及ぶだろうとの見解を示した。供給不足はすでに世界中で甚大な影響をもたらしており、ドイツの自動車メーカーOpel(オペル)は一部ラインの稼動を2022年初めまで停止すると発表している。

Society of Motor Manufacturers and Traders(英国自動車製造販売協会)が最近発表したところによると、2021年9月の英国の新車登録台数は1998年以降で最低を記録した。世界的に自動車メーカーは半導体不足に苦しんでおり、需要を満たすだけの車を製造・販売できていない。

しその余波はさらに広がっている。新型コロナウイルスのパンデミックを受けて需要が急増したコンシューマーエレクトロニクスも半導体不足の影響を受け始めており、調査結果からは、スマートフォンの生産に当初の予想以上の打撃が生じる可能性が示唆されている。Microsoft(マイクロソフト)のゲーミング担当エグゼクティブバイスプレジデントであるPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏は、Xbox(エックスボックス)とPlayStation(プレイステーション)のゲームコンソールは2022年も供給不足が続くだろうとの見通しを表明した。

このことは、当社The Qt Company(ザ・キュート・カンパニー)がForrester(フォレスター)と最近行った、世界の製造業が直面している課題に関する調査でさらに実証された。驚くべきことに、私たちが話をした組織の80%が現在、デジタルプロダクトやサービスの産出に苦慮しており、62%がその原因として半導体供給の遅れを挙げている。

迅速な解決策はない

2020年を通じて、デジタルプロダクトとサービスに対する需要は前例のないペースで増加し、この需要はまだ揺らいでいない。2021年上半期に実施した本調査では、さらに82%の組織が、市場での地位を維持または成長させるためには新しいスマートプロダクトやコネクテッドプロダクト、サービスを迅速に導入する必要があると回答した。10組織のうち8組織近く(79%)にとって、これはソフトウェアの研究開発ライフサイクルの加速に意識を向けることを意味している。

スピードは依然として企業の最重要事項であり、半導体の供給やソフトウェア開発サイクルの遅れは深刻な問題を引き起こしている。多くの場合、このような遅延は数カ月間続く。そして、ファームウェアの課題にしっかりと向き合うことは、開発者スキルの不足という絶えず存在する懸念とも関係していることを忘れてはならない。

人材不足や半導体不足をすぐに解決することはできないが、企業が即座に有益なインパクトを生み出せる変革は存在する。そしてその中心には、半導体や組み込みデバイスに依拠するプロダクトやサービスを創造し、送り出す設計者と開発者が位置している。

開発プロセスへの挑戦

企業は危機に陥らないために、迅速かつ効果的な改善を行うための働き方に今すぐ目を向けなければならない。プロダクトのライフサイクルを見ると、ほとんどの企業は設計と開発に対して非常にサイロ化されたアプローチをとっている。そうした状況は、プロジェクトの着手時からのインタラクションの方法(あるいは多くの場合なされていない)に関してだけではなく、チームが使用するソフトウェアやツールを検討する際にも当てはまる。

これは、迅速で効率的なモバイルアプリ開発における中核的な課題の1つである、過度に複雑な開発者 / 設計フィードバックループに直接つながっている。デジタルプロダクトの制作を任されている開発者と、ユーザーエクスペリエンスやユーザーインターフェイスのような要素をより考慮している設計者との間には、しばしば断絶がある。

連携して作業を行うべきときに、両者は異なるサイロで活動している。開発者と設計者のコラボレーションを有効にすることは、このプロセスを促進し、チップ不足により失われた部分を補うために極めて重要である。

プロセスの一元化

開発と設計のツールとプラクティスを一元化することで、設計イテレーションを、中断ではなく開発プロセスへの貢献に転換することができる。骨の折れるフィードバックループのサイクルを断ち切り、ブランドはより早くプロダクトを市場に投入できるようになる。

DevOpsによるソフトウェア開発と同じような考え方で、設計と開発を「DevDes」として統合することは、サイロ化を解消し、ワークロードを軽減し、デリバリーをシンプルにすることを意味する。

クロスプラットフォームのフレームワークとツールは、これらの市場の課題の影響を緩和するために不可欠である。デジタルプロダクトの意思決定者は、柔軟性を維持し、調達可能なものを調達できる限り利用する必要があるだろう。例えば、多種多様なシリコンをサポートする柔軟なソフトウェアツールやプラットフォームに投資することで、サプライチェーンの不足による負荷を低減できる。

しかし、利点はそれだけではない。半導体不足を超えて考えると、プロダクトチームは多くの場合、複数のデバイスで使用可能でありながら、なおかつシームレスでネイティブなエクスペリエンスをエンドユーザーに提供できるプロダクトを、迅速に開発して展開することが求められる。繰り返しになるが、サイロを取り除き、DevDesアプローチをクロスプラットフォームフレームワークで採用することで、チームがネイティブ環境で作業できるようになり、プロセスの迅速化が可能になる。

将来にわたって機能するプロセス

私たちすべてがパンデミックの視点を離れ、より持続可能な未来を見据えつつあることに喜びを感じる一方で、過去20カ月間に得た教訓を決して忘れることはできないし、忘れてはならないと思う。

これほど急激に需要が高まることはないと思うが、再びピークを迎える可能性は高い。そして、消費者と企業の両方から期待されている、より良い品質のプロダクトの迅速な提供と、増え続けるデバイス間でのシームレスなエクスペリエンスは、今後も確実に続いていくトレンドである。

開発者のバーンアウトは広く語られており、必要なサポートを受けずにより多くのものをより速く提供するというプレッシャーは、持続可能なものではない。開発者スキルの不足に対応するために、より多くの開発者を育成していく上で、開発者がプロダクトチームの他の部分と真に統合された方法で作業できるようにすることは、極めて重要な意味を持つ。

今後しばらくの間、半導体不足が混乱を引き起こすことは避けられないだろう。それゆえ、現在のプロセスで実現可能なステップに目を向けることが、企業に委ねられている。その取り組みは、この困難な時期を乗り切るのに役立つだけではなく、将来にわたって存続できる企業を確立することにもつながるはずだ。それは開発ライフサイクルの中核をなす人とプロセスから始まるものである。

編集部注:本稿の執筆者Asa Forsell(アサ・フォーセル)氏は、The Qt Companyのオートモーティブ担当シニアプロダクトマネージャー。

画像クレジット:Mykyta Dolmatov / Getty Images

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(文:Asa Forsell、翻訳:Dragonfly)

【コラム】開発者と設計者が企業の半導体不足解消のためにできること

米半導体メーカーMarvell Technology(マーベル・テクノロジー)のCEOであるMatt Murphy(マット・マーフィー)氏は2021年10月、半導体不足は2022年さらにはそれ以降にも及ぶだろうとの見解を示した。供給不足はすでに世界中で甚大な影響をもたらしており、ドイツの自動車メーカーOpel(オペル)は一部ラインの稼動を2022年初めまで停止すると発表している。

Society of Motor Manufacturers and Traders(英国自動車製造販売協会)が最近発表したところによると、2021年9月の英国の新車登録台数は1998年以降で最低を記録した。世界的に自動車メーカーは半導体不足に苦しんでおり、需要を満たすだけの車を製造・販売できていない。

しその余波はさらに広がっている。新型コロナウイルスのパンデミックを受けて需要が急増したコンシューマーエレクトロニクスも半導体不足の影響を受け始めており、調査結果からは、スマートフォンの生産に当初の予想以上の打撃が生じる可能性が示唆されている。Microsoft(マイクロソフト)のゲーミング担当エグゼクティブバイスプレジデントであるPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏は、Xbox(エックスボックス)とPlayStation(プレイステーション)のゲームコンソールは2022年も供給不足が続くだろうとの見通しを表明した。

このことは、当社The Qt Company(ザ・キュート・カンパニー)がForrester(フォレスター)と最近行った、世界の製造業が直面している課題に関する調査でさらに実証された。驚くべきことに、私たちが話をした組織の80%が現在、デジタルプロダクトやサービスの産出に苦慮しており、62%がその原因として半導体供給の遅れを挙げている。

迅速な解決策はない

2020年を通じて、デジタルプロダクトとサービスに対する需要は前例のないペースで増加し、この需要はまだ揺らいでいない。2021年上半期に実施した本調査では、さらに82%の組織が、市場での地位を維持または成長させるためには新しいスマートプロダクトやコネクテッドプロダクト、サービスを迅速に導入する必要があると回答した。10組織のうち8組織近く(79%)にとって、これはソフトウェアの研究開発ライフサイクルの加速に意識を向けることを意味している。

スピードは依然として企業の最重要事項であり、半導体の供給やソフトウェア開発サイクルの遅れは深刻な問題を引き起こしている。多くの場合、このような遅延は数カ月間続く。そして、ファームウェアの課題にしっかりと向き合うことは、開発者スキルの不足という絶えず存在する懸念とも関係していることを忘れてはならない。

人材不足や半導体不足をすぐに解決することはできないが、企業が即座に有益なインパクトを生み出せる変革は存在する。そしてその中心には、半導体や組み込みデバイスに依拠するプロダクトやサービスを創造し、送り出す設計者と開発者が位置している。

開発プロセスへの挑戦

企業は危機に陥らないために、迅速かつ効果的な改善を行うための働き方に今すぐ目を向けなければならない。プロダクトのライフサイクルを見ると、ほとんどの企業は設計と開発に対して非常にサイロ化されたアプローチをとっている。そうした状況は、プロジェクトの着手時からのインタラクションの方法(あるいは多くの場合なされていない)に関してだけではなく、チームが使用するソフトウェアやツールを検討する際にも当てはまる。

これは、迅速で効率的なモバイルアプリ開発における中核的な課題の1つである、過度に複雑な開発者 / 設計フィードバックループに直接つながっている。デジタルプロダクトの制作を任されている開発者と、ユーザーエクスペリエンスやユーザーインターフェイスのような要素をより考慮している設計者との間には、しばしば断絶がある。

連携して作業を行うべきときに、両者は異なるサイロで活動している。開発者と設計者のコラボレーションを有効にすることは、このプロセスを促進し、チップ不足により失われた部分を補うために極めて重要である。

プロセスの一元化

開発と設計のツールとプラクティスを一元化することで、設計イテレーションを、中断ではなく開発プロセスへの貢献に転換することができる。骨の折れるフィードバックループのサイクルを断ち切り、ブランドはより早くプロダクトを市場に投入できるようになる。

DevOpsによるソフトウェア開発と同じような考え方で、設計と開発を「DevDes」として統合することは、サイロ化を解消し、ワークロードを軽減し、デリバリーをシンプルにすることを意味する。

クロスプラットフォームのフレームワークとツールは、これらの市場の課題の影響を緩和するために不可欠である。デジタルプロダクトの意思決定者は、柔軟性を維持し、調達可能なものを調達できる限り利用する必要があるだろう。例えば、多種多様なシリコンをサポートする柔軟なソフトウェアツールやプラットフォームに投資することで、サプライチェーンの不足による負荷を低減できる。

しかし、利点はそれだけではない。半導体不足を超えて考えると、プロダクトチームは多くの場合、複数のデバイスで使用可能でありながら、なおかつシームレスでネイティブなエクスペリエンスをエンドユーザーに提供できるプロダクトを、迅速に開発して展開することが求められる。繰り返しになるが、サイロを取り除き、DevDesアプローチをクロスプラットフォームフレームワークで採用することで、チームがネイティブ環境で作業できるようになり、プロセスの迅速化が可能になる。

将来にわたって機能するプロセス

私たちすべてがパンデミックの視点を離れ、より持続可能な未来を見据えつつあることに喜びを感じる一方で、過去20カ月間に得た教訓を決して忘れることはできないし、忘れてはならないと思う。

これほど急激に需要が高まることはないと思うが、再びピークを迎える可能性は高い。そして、消費者と企業の両方から期待されている、より良い品質のプロダクトの迅速な提供と、増え続けるデバイス間でのシームレスなエクスペリエンスは、今後も確実に続いていくトレンドである。

開発者のバーンアウトは広く語られており、必要なサポートを受けずにより多くのものをより速く提供するというプレッシャーは、持続可能なものではない。開発者スキルの不足に対応するために、より多くの開発者を育成していく上で、開発者がプロダクトチームの他の部分と真に統合された方法で作業できるようにすることは、極めて重要な意味を持つ。

今後しばらくの間、半導体不足が混乱を引き起こすことは避けられないだろう。それゆえ、現在のプロセスで実現可能なステップに目を向けることが、企業に委ねられている。その取り組みは、この困難な時期を乗り切るのに役立つだけではなく、将来にわたって存続できる企業を確立することにもつながるはずだ。それは開発ライフサイクルの中核をなす人とプロセスから始まるものである。

編集部注:本稿の執筆者Asa Forsell(アサ・フォーセル)氏は、The Qt Companyのオートモーティブ担当シニアプロダクトマネージャー。

画像クレジット:Mykyta Dolmatov / Getty Images

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(文:Asa Forsell、翻訳:Dragonfly)

AWSが新インスタンス用「Graviton 3」プロセッサーを発表、高速化と低電力消費を両立

米国時間11月30日、re:InventカンファレンスでAWSが、ArmベースのGravitonプロセッサーの新世代モデル、Graviton 3を発表した。この新しいチップは前世代機より25%速く、浮動小数点演算は2倍速く、機械学習のワークロードが3倍速いと約束されている。AWSはさらに、この新しいチップの電力消費量は前世代機より60%少ないと保証している。

この新しいチップは、AWSクラウドののEC2 C7gインスタンスを動かす。この新しいインスタンスはDDR5メモリーを初めて使うインスタンスでもあるため、これもこのインスタンスの電力消費量が少ない理由の1つだ。このメモリーは、前世代のGravitonチップが使っていたDDR4メモリーよりも50%高い帯域を提供する。

AWSのJeff Barr(ジェフ・バー)氏は発表で述べているように、新しいチップとインスタンスは「コンピュート集約的なHPC(high-performance computing)」「バッチ処理」「電子機器設計自動化(electronic design automation、EDA)」「メディアエンコーディング」「広告サービング」「分散アナリティクス」「CPUベースの機械学習の推論」といったさまざまなワークロードに適しているという。

現在のところ、この新チップはプレビューのみで提供される。


画像クレジット:Ron Miller

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AWS第3のカスタムチップ「Trn1」は機械学習モデルのトレーニングを高速化

顧客のワークロードのパフォーマンスを上げるためにカスタムチップに頼る企業が増えているが、Amazonもその例外ではない。同社は2019年に、機械学習の推論学習を高速化するためにInferentiaチップを導入した。その後、同社は2020年に機械学習のモデルの学習専用である第2のTrainiumチップをローンチした。そして本日、AWSはこれまでの流れの続きとして、最新の機械学習チップ「Trn1」を発表した。

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初めてAWS re:Inventのキーノートを担当するAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏は米国時間11月30日、最新のチップに関する発表を行った。

「Trainiumからパワーをもらっている新しいチップ、Trm1を発表できることに、私はワクワクしています。Trm1はクラウドでディープラーニングモデルをトレーニングするための最高のコストパフォーマンスと、EC2での最速のパフォーマンスを提供してくれるでしょう」とセリプスキー氏は語った。

続けて「Trn1はEC2のインスタンスとしては初めて、最大で毎秒800ギガバイトの帯域を提供します。そのため、大規模なマルチノード分散型トレーニングのユースケースには絶対に最適です」という。これは画像認識、自然言語処理、不正検知、予測などのユースケースに有効なはずだとのことだ。

さらに、これらのチップをネットワーク化して「ウルトラクラスター」とすることで、より強力なパフォーマンスを発揮することができる。

「これらを一緒にネットワーク化して、何万もの訓練アクセラレーターがペタバイト規模のネットワーキングへ相互接続した状態を、私たちは『ウルトラクラスター』と呼んでいます。そうしたウルトラクラスターの訓練を、強力な機械学習スーパーコンピューターが行い、パラメータが何兆個もあるような複雑な深層学習のモデルでも快速で訓練できます」とセリプスキー氏はいう。

セリプスキー氏によると、同社はSAPなどと協力して、この新しい処理能力の利用を追究していく計画だとのことだ。

画像クレジット:Ron Miller

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

米商務省への半導体データ提供、韓国サムスン・SKが11月8日の期限までに提出

韓国のSamsung Electronics(サムスン電子)SK Hynix(SKハイニックス)が、一部の半導体データを米国政府に開示すると、韓国企画財政部(財務省に相当)が発表した。

企画財政部が米国時間7日に発表した声明によると、韓国に拠点を置くチップメーカー各社は、内部データを米国に引き渡す「任意提出」を準備しているという。

しかしロイターの報道によると、SamsungとSK Hynixは、ワシントンにデータを提出するにあたり、企業秘密を守るために機密情報は提供しないとのこと。地元メディアも、世界の2大メモリーチップメーカーである両社は米当局に「部分的に従う」と報じている

米商務省は9月23日、世界の半導体メーカーおよび自動車メーカーに対し、チップの在庫、販売、注文、顧客情報などのサプライチェーンに関するアンケート調査を「任意で」実施した。提出期限は11月8日だ。

Gina Raimondo(ジーナ・ライモンド)商務長官は、9月にロイターとのインタビューでこう述べていた。「我々は、彼らがデータを提供することを要求する他のツールを持っています。そのようなことにならないことを願っています」。しかし、企業が自主的な要請に応じなかった場合、「必要であれば、要求します」とも。

ライモンド氏は、自主的な情報提供の目的は、世界的な半導体不足の中で、グローバルサプライチェーンのボトルネックを特定し、課題を予測するための透明性を高めることにあると述べている。

世界的なチップ不足は、自動車、コンピューター、携帯電話、家電などの複数の分野に被害を及ぼしている。4月には、チップ不足の解決策を議論するために、グローバルなハイテク企業や自動車メーカーの幹部がホワイトハウスで会議を行った。

匿名の業界情報筋によると、半導体メーカーにとっては、この要求に従う以外の選択肢はないようだ。

経済財務省の声明によれば、韓国のチップメーカー各社は、データ提出問題について韓国政府と協議したという。

韓国企画財政部は、同国政府は米国との半導体サプライチェーンのパートナーシップを強化し、11月8日の期限後も米国側との緊密なコミュニケーションを継続するとしている。

10月には、世界最大の半導体製造ファウンドリであるTaiwan Semiconductor Manufacturing(台湾積体電路製造、TSMC)が、顧客の詳細情報を含まない回答をすでに米国に提出したと発表した。

SamsungとSK Hynixにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

画像クレジット:Torsak Thammachote / Shutterstock

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

Tencentのチップ開発進出はまったく驚くべきことではない

Tencentは今週初めて、チップ開発の進捗を公開し、その結果、同社の株価はわずかながら上昇している。ゲームやソーシャルネットワークで稼ぐ大企業であるTencentの主要分野からシリコンは遠い存在のように思えるが、観測筋によると、Tencentのこの動きは、半導体を自主開発するという中国の長期的目標に同社も一枚噛んでいることを示すものだ。しかもちょうど現在、ゲーム部門は規制当局から一連の攻撃を受けている。AlibabaやBaidu、Huaweiなどのテクノロジー大手も北京のシリコン推進に自社製チップで応えている。

その一方で、Tencentのようにデータの処理量が極めて多い企業は、もっと早く半導体の自社生産に取り組んでいてもおかしくなかった。

米国時間11月5日にTencentが発表した3つのチップはすべて自社製で、1つはAIの推論用、1つはビデオのコード変換用、そしてもう1つはネットワークインターフェース用だ。

巨大インターネット企業が自らの事業を強化するために専用のハードウェアを開発し始める例は、数え切れないほどある。2018年に、FacebookはAIチップの設計者を雇って、その途方もない量のユーザーデータを処理し、偽情報の問題を解決しようとしていた。

Tencentも、稼ぎ頭のアプリであるWeChatメッセンジャーの毎月のユーザー数は10億を超えており、処理すべきデジタルの足跡は大量だ。

しかしWeChatの管理者であるAllen Zhang(アレン・チャン)氏は、個人データを企業の私的目標に資することに消極的なことで有名だ。これまで、WeChatのユーザーフィードはただ時間順に並んでいるだけで、たまに自社広告が出るぐらいのものだ。

2020年のWeChatの年次大会でチャン氏は「ユーザーのチャットの履歴を分析すれば、巨額の広告収入が得られるだろう。しかし私たちはそれを行わず、WeChatはユーザーのプライバシーを非常に重視している」と述べている。彼が望んでいるのはWeChatが便利な使い捨てのツールであることであり、ユーザーの時間をアルゴリズムが生成する中毒性のあるリコメンデーション漬けにすることではない。

しかしチャン氏は、譲歩したようにも見える。最近のWeChatには、TikTokの最小限の機能を搭載したような短編動画もある。TikTokと同じくWeChatのビデオ機能も、ユーザーの好みを予測してコンテンツを提供している。

Tencentには、機械学習の高性能化が有利に働き、収益が増えそうな事業もたくさんある。たとえばニュースアグリゲーターのTencent Newsや、Netflixに似たTencent Videoなどだ。中国は検閲が厳しいため、コンテンツプロバイダーは、引っかかりそうなテキストやオーディオやビデオを事前に排除するためにより強力なコンピューターの力を必要としているだろう。

Tencentの上級副社長であるDowson Tong(ダウソン・トン)氏によると、同社のAI推論チップは主に、画像と動画の処理、自然言語処理、検索などに使われる。動画のコード変換用チップは、その名のとおりの仕事をしてTencentの膨大な量の動画処理に滑らかさと低レイテンシーを確保する。そしてスマートネットワークのインターフェースカード(SmartNIC)は、CPUサーバーのオフロードに利用される。

Tencentは、チップの開発だけに取り組んでいるのではない。トン氏によると、同社は今後、国内と海外のチップ企業が「深い戦略的なコラボレーション」を維持できるようなエコシステムを作っていく。たとえばTencentは4回の投資ラウンドで上海のEnflameを支援したが、同社はAIの訓練用チップを開発しており、Tencentもすでにそれを自らの事業に利用している

画像クレジット: Visual China Group / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

第3四半期のクラウドインフラ市場は年20兆円規模に、チップ不足でも減速せず

Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のクラウドインフラベンダーのビッグ3が決算を発表した。お察しのとおり、業績は好調で、成長する市場は全世界で450億ドル(約5兆1300億円)を突破した。年換算で1800億ドル(約20兆5200億円)と、気が遠くなるような金額だ。過去12カ月の売上高は1640億ドル(約18兆6960億円)に達した。Synergy Researchによれば、当四半期の売上高は全体で37%増加した。

問題は、これらのベンダーが、スマートフォンからコンピュータまで、テクノロジーのサプライチェーン全体に影響を及ぼしているチップ不足に先手を打てるかどうかだ。

まずは、今期の市場シェアの70%を占めるトップ3のベンダーから見てみよう。Amazonは今回も市場をリードした。シェアは33%とここ数年安定しており、売上高成長率は39%と前四半期比では2%増加、前年同期比では10%増加し、目覚ましい成長を遂げた。

Amazonの売上高は161億ドル(約1兆8354億円)で、前年同期の116億ドル(約1兆3224億円)から増加した。少し計算してみれば、この数字が450億ドル(約5兆1300億円)の3分の1ではないことはわかるだろう。Synergy Researchは、インフラ、プラットフォームサービス、ホステッドプライベートクラウドの金額を集計しており、コンサルティングやハードウェアなど、純粋にクラウドインフラのカテゴリに属さない売上高を除いているためだ。

Microsoftがクラウドインフラ市場全体の把握をさらに難しくする。Synergy Researchのデータに基づいて計算すると、Azureインフラからの売上高は90億ドル(約1兆260億円)となり、前四半期の84億ドル(約9576億円)から増加した。同社によると、Azureおよびその他のクラウドサービスは50%成長した。前四半期の51%成長からわずかに減速した。前年同期比では2%増加した。

最後にGoogleだが、シェアは10%と安定しており、売上高は45億ドル(約5130億円)で前四半期の42億ドル(約4788億円)、前年同期の29億ドル(約3306億円)のいずれからも増加となった。Googleはクラウドインフラ市場で着実な進歩を続けている。

Canalysは、全体の売上高を494億ドル(約5兆6316億円)とさらに大きく見積もっており、年換算で2000億ドル(約22兆4000億円)近くになるとしている。成長率は少し低い35%を見込む。また、ビッグ3の市場シェアも若干異なり、Amazonが32%、Microsoftが21%、Googleが8%と見積もる。

どの数字を使うにせよ、いまだ高成長を続ける重要な市場だが、チップ不足により来年の成長が鈍化する可能性があるとCanalysは警告する。「全体的なコンピュート需要はチップ製造能力を上回っており、クラウドサービスプロバイダーによるインフラの拡張は制限される可能性があります」とCanalysのBlake Murray(ブレイク・マレー)氏は声明で述べた。

サプライチェーンの制約は、企業自身やアナリストらが決算説明会で気にしていたことでもある。MicrosoftのCFOであるAmy Hood(アミー・フッド)氏は、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)のアナリストであるKash Rangan(カッシュ・ランガン)氏から、サプライチェーンの問題がデータセンターの拡張に与える影響について具体的に質問され、次のように答えた

「第二に、サプライチェーンの影響、特にデータセンターに関する良い質問をいただきました。今期の支出を踏まえると、次へのガイダンスも似たようなものになると思います。カッシュ氏がいうことの多くは、リードタイムの長いものであると考えています。私たちは、観測したキャパシティのシグナルを満たすために必要なリードタイムをよく理解しています。複数のサプライヤーを利用することは、こうした状況に対応するために重要です。チームは非常に良い仕事をしたと感じています」とフッド氏は決算説明で語った。

Synergy ResearchのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏は、これらの大手ベンダーが、チップ市場全体を覆う問題を横目に、その影響力により必要なものを入手できる可能性が高いと述べた。「これらの企業は、サプライチェーンの管理に長けており、巨大な顧客でもあるため、サプライヤーから優遇措置を受けられると考えるのが妥当だと思います」と同氏は話した。

「また、彼らが調整できる点がいくつかあります。建設とリースの意思決定、サーバーの寿命の若干の延長、ワークロードの異なる地域への切り替えなどです。今では、巨大で地理的に分散したデータセンターネットワークを持っているため、必要なものを手に入れる余裕が多くあります」と同氏は語る。

チップ市場の動向を注視しているMoor Insights and Strategiesの主席アナリストであるPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏も、コストが上昇したとしてもハイパースケーラーはおそらく供給を受けることになると話す。

「今はまだその段階ではないと思います。不足がさらにひどくなればそうなるでしょうが、近々そうなるとは考えていません。チップメーカーは利益率の高いデータセンターを優先するため、コンシューマー向けのPCやスマートフォンよりも優先されるのです」とムーアヘッド氏は話した。

供給の問題がデータセンターの成長に短期的な影響を与えたとしても、長期的にはこの市場を減速させることはないようだ。企業はより多くのワークロードをクラウドに移行しようと準備しているため、成長は確実と思われるが、サプライチェーンの影響の有無については次の四半期にわかるだろう。

画像クレジット:Chris Clor / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

Pixel 6のAI機能向けに設計されたTensor SoCで、グーグルは独自チップに賭ける

Google(グーグル)のPixel 6とPixel 6 Proほど、正式発表前に詳しい情報が得られたスマホは今までなかったのではないだろうか。しかし、同じようなAndroid携帯電話が多い中で、Googleは、特にそのすべてを動かすチップに関して、興味深い選択をした。Googleは今回、自社設計のSoCを搭載したスマートフォンを初めて提供する。

「Tensor」と名付けられたこのチップについて、Googleは2021年夏のはじめに初めて言及した。これはスマートフォンのすべてのオンデバイスAIを動かす。基本的には、Google独自のAI / MLアクセラレータに、比較的既製のArmのCPUコアとGPUコア、そしてGoogleの新しいセキュリティコアであるTitan 2を組み合わせたものだ。

画像クレジット:Google

Googleは、TensorがPixel 5に搭載されていたチップよりも最大80%高速なパフォーマンスを提供することを約束している。率直に言って、Pixel 5はよりミッドレンジのスマートフォンだったが、日常的な使用では完全にスムーズに感じられる。米国時間10月19日の発表に先立ってリークされたベンチマークでは、Qualcommの最新のSnapdragonモバイルチップと同等とされているが、これらのベンチマークにはGoogle独自のAI / MLコアは含まれておらず、Pixel 6のカメラとその複雑なコンピュテーショナルフォトグラフィーのキレを良くするためにこれらの専用コアが果たす役割は、標準的なベンチマークでは実際には捉えられない。

しかし、これらの初期のリーク情報からわかったことは、Tensorは、Armのパフォーマンス重視のモバイル設計のフラッグシップであるArm Cortex-X1チップを2つ搭載しているということだ。比較すると、Snapdragon 888は1つしか搭載していない。最近のSoCではほとんどがそうであるように、低パフォーマンスでバッテリーを節約するコアもある。噂によると、古いA76ベースのコアと最近の超高効率のA55コアが混在しているとのことだ(これらはすべて、Pixel 6が約束された24時間のバッテリー寿命を達成するのに役立っている)。Google自体は、これらの詳細については完全に沈黙を守っているが、これは、同社がこのシステムのAI機能に全面的に注力しようとしていることを考えると、理に適っている。

また、このチップには、低消費電力のAI「Context Hub」が搭載されており、デバイス上で常時稼働する機械学習機能の一部を支えている。

Googleのハードウエア部門責任者であるRick Osterloh(リック・オスターロー)氏は、19日の発表の中で、ライブ翻訳から携帯電話の写真・動画機能まで、これらのAI体験を強調した。

Google SiliconのシニアディレクターであるMonika Gupta(モニカ・グプタ)氏は、発表の中で次のように述べた。「Google Tensorによって、Motion Mode(モーションモード)、Face Unblur(フェイス アンブラー)、動画の音声強調モード、動画へのHDRnetの適用など、最先端のMLを必要とする驚くべき新しい体験を実現しています。Google Tensorは、スマートフォンの利便性の限界を押し広げ、画一的なハードウェアから、私たちが携帯電話を使用するさまざまな方法を尊重し、それに対応するのに十分な知能を持つデバイスにしてくれます」。

19日のイベントで同氏は、このチップがここ数年の間に開発されたものであることにも言及した。チームが行った設計上の選択はすべて、それらのAI機能を最大限に生かすことに基づいていたという。


画像クレジット:Google

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがフラッグシッププロセッサ「M1 Pro」を発表

Apple(アップル)は、新しい「M1 Pro」と「M1 Max」チップで、PCに全面戦争を挑み、パフォーマンスを大幅に向上させると同時に、バッテリー消費量を大幅に削減した。M1 Maxは、グラフィックスのプロをターゲットにしていることは明らかだが、Macにさらなるゲーム機能をもたらすことになるかもしれない。

関連記事:アップルが新チップ「M1 Pro」発表、M1と比べ最大70%高速に

M1 Maxは、M1 Proのアーキテクチャをベースに、さらに強力な機能を追加している。このアーキテクチャでは、メモリ帯域幅を最大400GB/sへと大幅に向上させている。これは、すでに非常に高速なM1チップの約6倍、発表されたばかりのM1 Proチップの2倍に相当する。

新チップは570億個のトランジスタを搭載し、64GBのユニファイドメモリー(GPUとCPUの共有メモリー)をサポートしている。M1 Proと同じ10コアのCPUアーキテクチャを採用し、GPUを32コアに増強した他、ハードウェアアクセラレーションによるH.264やHEVCの映像処理のための新しいメディアエンジンを搭載している。また、2つの並列ビデオエンコーディングエンジンを搭載しており、ビデオエディターなどの重いグラフィックス処理を行うユーザーを喜ばせることだろう。

最も印象的な主張は、M1 Maxが1Wあたりの消費電力カーブを同じに保つとしていることだ。言い換えれば、数分でバッテリーを使い切ることなく、より重いグラフィックスを扱えるということだ。

Appleはイベントの中で「では、我々が見つけた最速のPCノートパソコンに搭載されているチップと比較してみましょう」とジョークを飛ばし、ライバルたちと比較しながら、そのパフォーマンス対消費電力スーパーパワーを見せつけた。

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Aya Nakazato)