アマゾンが同社初の衣料品実店舗をLAにオープン

Amazon(アマゾン)は、2021年からの噂を裏づけるように、ハイテクを駆使したショッピング体験を約束する初の衣料品実店舗「Amazon Style(アマゾン・スタイル)」をオープンする。同社によると消費者が「知っていて好きな」ブランドを提供し、アプリでアイテム、サイズ、色を選び、試着室や受け取りカウンターに直接送ることができる。最初の店舗は、ロサンゼルスのThe Americana at Brandに「2022年後半」のどこかでオープンする予定だという。

Amazonはファッションクリエイターが選んだ「数百のブランド」と「Amazon.comで買い物をする数百万人の顧客から提供されたフィードバック」を提供すると述べている。具体的な言及はなかったが、同社のオンラインストアでは現在、Oscar de la Renta(オスカー・デ・ラ・レンタ)、Altuzarra and La Perla(アルチュザラ、ラ・ペルラ)といったデザイナーの商品を扱っている。しかし、多くの高級品やハイエンドブランドは、Amazonに商品をオンライン掲載することに抵抗してきた

店舗では、従来の店舗の2倍のスタイルが提供される一方、正しいサイズや色を顧客に手作業で探させないようにしている。気に入った服があれば、Amazon Shopping Appを使ってそのQRコードをスキャンし、サイズや色、顧客評価などの詳細を確認することができる。そして気になる服を試着室に送ったり、試着不要の場合は受け取りカウンターに直接送ったりすることができる。また、想像がつくかと思うが、顧客がすでに選んだ商品をもとにさらに多くの商品を推薦するAI搭載のアルゴリズムを使っている。

アプリを使って試着室のドアを開けると、中には選んだアイテムがすべてそろっている。それぞれの試着室にはタッチスクリーンがあり、その場を離れることなく買い物を続けたり、新しいアイテムの試着を依頼したりすることができる。Amazonがフルフィルメントセンターでも使っている技術により、商品は「数分」で到着する。

店舗で見つけた商品をオンラインで購入することも可能で、価格はどちらも同じだ。商品は店頭で返品でき、スキャンした商品はショッピングアプリに保存されるので、後でもう一度見ることができる。

Amazonはすでに、書店美容室などとともに、多数のFresh食料品店を出店している。FreshやWhole Foodsに見られるレジなし技術「Just Walk Out」を使うかどうかは明言しなかったが、レジには手のひら認証サービス「Amazon One」を利用する予定だという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Amazon

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

センサーを使わないスポーツコーチングMustardが野球以外のゴルフやサッカーなども対象に

ロサンゼルスのスポーツ訓練プラットフォームMustardが今週、375万ドル(約4億3000万円)の資金調達ラウンドを発表した。Lake Nona Sports & Health Tech Fundがリードしたこの最新の調達は、2020年後期の170万ドル(約1億9000万円)のラウンドに続くもので、同社の調達総額はこれで600万ドル(約6億9000万円)になった。

新たな投資家はMark Cuban(マーク・キューバン)氏、OneTeam Partners、Ronnie Lott(ロニー・ロット)氏、Justin Rose(ジャスティン・ローズ)氏、Major League Soccer Players Association、そしてUnited States Women’s National(Soccer)Team Players Associationで、彼らが、同社の既存の投資家たちのリストに加わることになる。すでにクォーターバックのDrew Brees(ドリュー・ブリーズ)氏や伝説のピッチャーNolan Ryan(ノーラン・ライアン)などの大物もいる。

ブリーズ氏は、特別にTechCrunchに対して次のように方ってくれた。「未来のオリンピック選手やMLBのピッチャー、あるいは、自分が情熱を注いでいるさまざまなスポーツで州の高校チャンピオンになれる若いアスリートはたくさんいる。私の場合、それはフットボールだった。しかしながら残念なことに、若いアスリートは私が受けてきたようなタイプの指導を受ける機会がない人がとても多い。Mustardなら現在のような不均衡状態を解消して、エリートのトレーニングを若くて向上心に富む意欲的なアスリートに提供できるはずです。同社のミッションをサポートできることを誇りに思っています」。

画像クレジット:Mustard

今回、投資家の顔ぶれが多様化したのは、指導を野球以外にも広げたいためだ。「Mustard」という奇妙な名前も、同社のルーツすなわち野球を示している(「put a little mustard」豪速球を投げる)。今後、ゴルフ、サッカー、フットボールといったスポーツを追加していく。野球と同じく、ゴルフは比較的静止した状態から動き始めるので、野球からのジャンプもやさしいだろう。同社によると、資金の一部は、対象スポーツを増やすための指導者の増員に充てたいという。

CEOのRocky Collis(ロッキー・コリス)氏はプレスリリースで次のように語っている。「新しい投資家は、米国の主要スポーツ界における経験と人脈を、大きくさせるものです。我々は野球以外のメジャースポーツに手を広げることで、アスリートはどこでも、そのリソースに関係なく、上達のための個人的なレシピで学ぶことができるようになります」。

Mustardは、センサーを使わずにデータを取得するアプローチをとっているため、他の製品との差別化を図ることができている。この技術は比較的参入障壁が低く、元Major League Baseball Advanced Media(MLBAM)の社員を含むチームを通じて、スマートフォンのカメラを使って与えられた動作の力学的な情報を収集する。そこから、アプリが「レポートカード」という形でフィードバックを行う。

画像クレジット:Mustard

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

LAオートショー2021の高揚感としらけムード

LAオートショーは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下で初めて戻ってきた室内自動車ショーだ。ニュースに乏しく、いつも以上にベーパーウェアが多い中、それでも、いくつかのクルマやテクノロジーや企業が、イベントに先立って行われた2日間のプレスデーで目立っていた。

以下に、2021年のロサンゼルスで良くも悪くもTechCrunchの目に止まったクルマとテーマを紹介する。

グリーン&クリーンへと変わるストーリー

画像クレジット:Kirsten Korosec

米国時間11月17日正午前に行われた少数の主要なニュースカンファレンスでは、持続可能性と気候変動が中心テーマだった。そこには企業の偽善的環境配慮と実際の行動が入り混じっていた。

Hyundai(ヒョンデ)とKia(キア)は、環境の認識がいかに大切かを訴える短編動画を流したあと、全電動コンセプトカーとプラグインハイブリッド車を披露した。Fisker(フィスカー)は海洋保護について話した。長年グリーン化に取り組み、国立公園から動物保護まであらゆる活動の支援に多額の資金を投入してきたSubaru(スバル)も、環境保護の支援を継続していくことを強調した。

これは過去においても珍しくなかったことだが、自動車業界全体が二酸化炭素排出量低下に重い腰を上げ、持続可能な生産と調達に革新を起こし、有効な寿命を終えた部品や車両リサイクルと再利用の方法を探求していることは銘記しておくべきだろう。人類の気候変動への影響を減せる時間はあと10年しかないという恐怖の警告は、ショーで行われた複数のプレス会見で言及されていた。

ハリウッドモード

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年特に目立った発表の1つが、Fisker Ocean(フィスカー・オーシャン)の量産間近なバージョンだ。全電動SUVが備える17.1インチ巨大スクリーンは、180度回転可能で、同社が「ハリウッドモード」と呼ぶ横位置のランドスケープモードから縦位置のポートレートモードへ回転できる。

横位置モードでは、Oceanが駐車あるいは充電中に、ゲームをプレイしたりビデオを見たりできる。Fiskerは、このスクリーン回転技術の特許を取得していると述べた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

電化、電化、電化

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショー全体のテーマは、(驚くに当たらないが)あらゆるものの電化だ。展示場にはICE(内燃エンジン)駆動の車両が数多く見られたものの、バッテリー電力の世界にいくつもビッグニュースがやってきた。

Nissan(日産)の全電動SUV、Ariya(アリヤ)、Toyota(トヨタ)bz4xと双子車Subaru Solterra(ソルテラ)から、TechCrunchのお気に入りである全電動Porsche(ポルシェ)Sport Turismo(スポーツ・ツーリズモ)セダンの最新モデルとマジックルーフ付きワゴンまで話題は尽きない。

健康被害からあなたを守るテクノロジー

画像クレジット:Kirsten Korosec

現行パンデミックが3年目を迎える中、自動車メーカーは利用者を病気から守る方法を考え始めている。HyundaiがLAオートショーで披露した SUVコンセプトカーSEVEN は、垂直空気循環、抗菌性の銅、紫外線殺菌装置などの機能を提供している。

電動化レストモッドがやってくる

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショーで目についたトレンドの1つが、何台かの古い車体に電動パワートレインを積んだレストモッド(レジストレーション&モディフィケーション)モデルだ。内燃エンジンのような直感的体験を与えることはないかもしれないが、クラシックカーの新しい楽しみ方を提供するものだ。

自動車製造のスタートアップ、Cobera(コベラ)が展示していたC300は、懐かしいShelby Cobraとよく似た外観だ。しかし、ボンネットの中にはV8エンジンに代わってC300を時速0〜62マイル(0〜約99.8km)まで2.7秒で加速すると同社がいう全電動パワートレインが入っている。Cobera C300は、ハンガリーの乗用車とキャンピングカーの製造に特化した会社Composite-Projects(コンポジット・プロジェクト)が設計・製造した。車両のスイッチを入れると、合成されたサウンドが出て、昔のV8に少しだけ似た音が聞こえる。

Electra Meccanica(エレクトラ・メカニカ)は、LAオートショーで三輪自動車Solo(ソロ)(詳しくは下で解説)も発表している会社だが、もう1台、Porsche 356 Speedsterに似た電動車、eRoadsterを披露した。エアコンディショニング、パワーウィンドウ&ロック、最新インフォテイメントシステムなどを備える。

画像クレジット:Kirsten Korosec

新たなパワートレインを搭載したレストモッドを披露したのは比較的無名で小さなメーカーだけではない。Ford(フォード)は11月初旬のSEMAショーに登場した電動化したF-100を持ちこんだ。1978 F-100 Ford Eluminator(フォード・エルミネーター)はFordの電動モーター、E-crate(イークレート)を備えたレストモッド機能で、ユーザーはこれを購入して自分の車両に取りつけられる。

F-100は前輪と後輪に1台ずつモーターを備え、最高出力480馬力、最大トルク634lb-ft(860Nm)を誇る。室内には新型インフォテイメントシステムのスクリーンとデジタル・ダッシュボードがある。

画像クレジット:Kirsten Korosec

三輪車

画像クレジット:Kirsten Korosec

例年、会場には少なくとも数台の三輪自動車が登場するが、2021年はいつもより多かった。Biliti Electric(ビリティ・エレクトリック)が持ってきた電動&ソーラー駆動トゥクトゥクは、Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)が世界の人口密集都市のラストワンマイル配達に使える、と同社は言っている。

同社のGMW Taskmanは、すでにヨーロッパ、アジアの各所で使われていて、これまでに1200万個の荷物を配達し、延べ2000万マイル(3200万km)を走ったとファンダーが言っていた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

Electra Meccanica のもう1台、Soloは同社が2016年のこのショーでも披露したsharyou

で、プレスデーにテスト乗車を提供していた。同社によるとSoloは1回の充電で最長100マイル(約161 km)走行可能で、最大出力82馬力、最大トルク140lb-ft(約190N-m)、最高速度は80mph(約128 km/h)。定員1名で荷物スペースを備え、近距離の移動や都市圏での通勤のために作られている。Soloの価格は1万8500ドル(約211万円)で、アリゾナ州メサで製造されている。

Sondors(ソンダーズ)の三輪電気自動車は、3人乗りで航行可能距離は約100マイル(約160km)と同社はいう。このクルマは、100万ドル(約1億1400万円)以上を集めて成功したクラウドファンディングの後に開発されたもので、33 kWhのバッテリーパックを備え、最大出力170馬力、最大トルク323 lb-ft(約438N-m)を発揮する。

Imperium (インペリウム)も三輪電気自動車、Sagitta(サギッタ)を披露した。ショーに登場した三輪乗用車の中では最大で、4人まで乗ることができるスペースをもつ。Sagittaは車両のスペックを発表していないが、2022年中頃から予約を開始すると同社は述べた。

バービー

画像クレジット:Abigail Bassett

ことしのLAオートはには、バービーまで登場した。Mattel(マテル)はBarbie Exra(バービー・エクストラ)カーの実物大バージョンを公開した。2021年式Fiat(フィアット)500のシャシーに載せたファイバーグラスのボディーはキラキラの白い塗装で飾られ、ウィング式ドアと後部にはペット用プールもある。

ソーラーパワー

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のショーには、興味深いソーラー充電オプションを備えたクルマがいくつかあった。中国のエネルギー会社、SPI参加のPhoenix Motor Inc.(フェニックス・モーター)が発表したピックアップトラック、EF1-Tの収納可能なソーラーピックアップベッカバーは、最大25〜35マイル(約40〜56km)の走行距離を追加できると同社はいう。EF1-TおよびバンバージョンのEF1-Vは、いずれも巨大な車両で、明らかにまだプロトタイプであり、機能や利用形態について顧客の意見を聞いているところだと会社は述べた。

大きな虫のような外観のEF1-Tは、1回の充電で380〜450マイル(約612〜724 km)走行可能で、2025年の発売に向けて予約を受け付けているという。ずいぶんと遠い話だ。

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Nob Takahashi / facebook

今後100年愛されるブランドを目指す、クイックサービスレストラン「Salted」

ロサンゼルスでデジタルネイティブなクイックサービスレストラン(QSR)のブランドを展開するSaltedが、シリーズAで1600万ドル(約18億2000万円)を獲得し、全国展開を続けていくことになった。

同社は7年前にCEOのJeff Appelbaum(ジェフ・アペルバウム)氏が創業し、約3年前には、健康的なQSRブランドを提供して総年商3250億ドル(約37兆313億円)のフードデリバリー業界の仲間入りをすることになった。アペルバウム氏がTechCrunchに語ったところによると「デジタル時代のYum! Brands(ヤム・ブランズ)」になりたいという。

Saltedはこれまでに、moonbowls、Califlower Pizza、lulubowlsなど6つのブランドを作った。それらは中華のテイクアウトやピザ、サラダなどのブランドだ。

「私たちの技術とSalted Analyticsプロダクトにより、希望どおりの成長率を達成しています。良質な顧客体験も維持されています。自分たちのことをゴーストキッチンとは呼びたくはありません。今後100年間、栄える新興ブランドの創造者です。優れた価値はドミノ・ピザやPanda Expressなどと同様にブランド自体にあり、彼らはブランドを多くの人が愛するスケールにまで育てました」とアペルバウム氏は語る。

このシリーズAはCreadevがリードし、Proof VenturesとB. Riley Financialが参加した。その前には5月に、400万ドル(約4億6000万円)のシードラウンドを調達した。そのときアペルバウム氏は資金を成長資金として使い、今度の資金でもその戦略を継続して「次のチポトレ」を目指すという。

今社員はキッチンのスタッフを含めて200名おり、最近19番目の場所をオープンした。同社がフードを提供している州は、カリフォルニアやイリノイ、オハイオなど計7つの州となる。1つの場所が4つから6つのブランドを提供している。アペルバウム氏の予想では、2022年には50カ所を超えるだろう。

これらの立地は全体としては黒字であり、年商は100万ドル(約1億1000万円)から250万ドル(約2億8000万円)の間だという。

Creadevの投資ディレクターであるAdrien Lejal(エイドリアン・レハル)氏によると、Saltedに惹かれた理由は「より健康的な食品の選択肢に近道をせず、そしてミッションに忠実であることだ。そのことがチームの価値になっている」、という。

彼は同社をおよそ18カ月追ってみて、Aラウンドの調達を始めたとき乗ることに決めた。QSRはCreadev通常の投資分野ではなかったが、食品チェーンには投資しており、また「今後の成長性が大きい」企業にも投資している。Saltedはその興味深い例だ、とレハル氏はいう。

さらにレハル氏は「現在の同社は2018年に創られたものだが、すでに7つの州で営業しており、スケーラビリティと実行能力とクオリティとスピードを備えている。私たちはもっぱら人に投資しますが、ジェフのリーダーシップと経営スタイルは、短期間でマイルストーンに達したやり方を見てもすばらしいと思います」という。

画像クレジット:Salted

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

エアタクシー離陸に向けたロサンゼルスの取り組み

配車サービスやeスクーターなどの製品を提供している企業は、発生する問題の数を超えるペースでさまざまな問題を解決していくと約束してはいるものの、米国中の都市の交通は混乱状態だ。ロサンゼルスは、CO2排出量ゼロの交通機関を導入しようと躍起になっており、エアタクシーの導入では過去の過ちを繰り返さないようにしたいと考えている。


ロサンゼルスでのエアータクシー導入の準備を進めるため、ロサンゼルス市長Eric Garcetti(エリック・ガーセッティ)氏の肝いりで設立された非営利組織が、2020年代後半に予定されている商業運転の開始に先立ち、エアタクシーの開発元および地元住民と協力して、ポリシーツールキットの開発に取り組んでいる。

しかし、その前に多くの問題を解決する必要がある。第一に、エアタクシーは、連邦航空局の認可を受ける必要がある。これ自体、大変な仕事だ。しかも認可を受ける前に、サービス提供企業はインフラの構築計画を立てる必要がある。つまり、エアタクシーのバーティポート(垂直離着陸機用の離発着ターミナル)の建設だ。ところが、これには騒音、都市計画法などの現実の問題がともなう。これらは、市民だけでなく交通網にも影響を及ぼす可能性のある問題だ。

Urban Movement Labs(UML)は、2020年に市長の経済開発局からスピンアウトして設立され、市のモビリティの未来を形成するという目的で、501c(3)非営利独立組織となった。2021年、同組織は市長室およびロサンゼルス運輸局と都市航空モビリティ(UAM)の推進で提携し、UAMを市の既存のインフラおよび交通網に統合し、なおかつ公平性とアクセス性が最大化されるようにするための具体的な取り組みを進めている。

このパートナーシップに資金を供給したのは、Archer AviationとHyundaiの都市エアモビリティ部門だ。

「HyundaiとArcher Aviationからは、このポリシーツールキットの開発支援を重視するという確約をいただいています」とUMLのエグセクティブディレクターSam Morrissey(サム・モリシー)氏は、最近行われたインタビューに答えて語った。「このポリシーには、エアタクシーの飛行区域、飛行経路、民間機専用空港以外で着陸が許可される場所についてのポリシー、その他バーティポートの計画に関連するポリシーが含まれます」。

Joby Aviationは設立当初からUMLと協力を続けている。また、ドイツのUAM開発企業Volocopterが2021年10月初め、最新のパートナーとして新たにUMLに参加した。

「私たちの役割は、ロサンゼルスへの新しいテクノロジーの導入を促進することです」とモリシー氏はいい、Uber、Lyft などの輸送企業およびスクーターレンタルサービス登場後の状況のように、新しい輸送テクノロジーが導入されてから慌てて規制を整備するようなことは避けたいと考えていると付け加えた。

「2016年にUber Elevateが米国の各都市でエアタクシーを巡航させるという話を始めたとき、ロサンゼルス市は「この問題に注力できる別の組織が必要だ」と述べている。

インフラストラクチャの課題

UMLは、自身を、ロサンゼルス市、民間企業、そして何より、ロサンゼルス市民の三者間の橋渡し役と考えている。この三者の展望は必ずしも一致していない。特に、電気エアタクシーの導入には、火災の危険性、飛行区域、騒音、利害関係者間で意見の食い違いが生じるさまざまな問題など、解決すべき特殊な課題がある。

バーティポートについて考えてみよう。航空機の認可は完全にFAAの管轄だが「新しいインフラをゼロから構築する必要がある場合は、地方自治体と市の問題であることは明らかです」とJoby Aviationの政府業務関連担当主任GregBowles(グレッグ・ボウルズ)氏は説明する。「(エアタクシーの)利用方法、アクセス、許可はすべて自治体の問題です」。

モリシー氏によると、各企業は飛行経路の策定を、例えばUberのプレミアムサービスであるUber Blackが現在主にどこで利用されているかを見るという具合に、マーケットの観点から考えているが、UMLは、これを地域計画のアプローチに重ね合わせることで、UAMが既存の交通網を長期的にどのような形で支えるようになるのかを説明したいと考えている。

敷地と都市区画法の問題もある。かつてバーティポートの敷地候補となった場所が突如として浮上してくるニンビー主義についてはすぐに想像できるが、その他にも、航行速度や1時間あたりのフライト数なども、特定の敷地を利用できるエアタクシー業者の数に影響を与える可能性がある。

Archer AviationとJoby AviationはどちらもREEF Technologyとの民間提携を宣言して、立体駐車場などの資産をバーティポートとして再利用することを考えているが(UMLも立体駐車場はいろいろな意味で極めて合理的だという認識を示している)、エアタクシーが実際に顧客を乗せて飛行するには、市自体の規制も考慮に入れる必要がある。

「立体駐車場の屋上階を歳利用するのは良いアイデアですが、最終的にはビルの安全性部門が、こうした立体駐車場はエアタクシーを支えるだけの強度があるのかとか、消化設備は十分に備わっているのかといった問題を調査する必要があります」とモリシー氏はいう。

バーティポートを専用利用にするのか企業間で共有するのか、また専用と共有の割合をどくらいにするのかというのも大きな問題だ。エアタクシーの離着陸サイトとしては、空港ゲート型(均一的ですべての航空会社によって共有される)、ガソリンスタンド型(ブランド化されており、競争が激しく、施設も異なる)などが想像できる。この点も、市、住民、エアタクシー企業の間で対立が生じる可能性がある。

とはいえ、少なくとも最初は、大半の企業が、(例えば騒音や料金などについて標準を設定するなどして)連携するほうが、各企業で個別に取り組むよりも全体的な商業化と採用への近道になると考えるだろう。

「私たちはバーティポートを競合スペースとしては見ていません」とJoby Aviationのバーティポート標準化作業についてボウルズ氏はいう。「バーティポートは絶対に必要ですから、他の多くのOEM業者や将来のエアタクシー事業者と協力して取り組んでいます」。

画像クレジット:Joby Aviation

最後の質問はもちろん、誰が費用を支払うのかという永続的な問題だ。

「将来のバーティポートについて考える場合は、さまざまな課題について検討する必要があります。建設費用と運営費用の負担、バーティポートを利用できる人についての市との話し合い、自由にアクセス可能にするかどうかについてのコミュニティ側から見た賛否両論などです」とArcher Aviationの事業開発担当主任Andrew Cummins(アンドリュー・カミンズ)を氏はTechCrunchによる最近のインタビューで語った。

UMLの都市エアーモビリティ担当フェローClint Harper(クリント・ハーパー)氏もカミンズ氏と同意見だ。ロサンゼルス市は「OEMあいまい性」を好んでいることを明言してきたものの、最終的な交通網の大半は、バーティポートが完全に民間によって建設されるのか、官民連携で建設されるのかによって大きく異なってくる。「完全な民間と官民連携とでは、インフラを現実化するための財源モデルも異なります」と同氏はいう。「どのような財源モデルを採用するかによって、複数事業者の共有施設になるのか、単一事業者の専用施設になるのかが決まります」。

Volocopterの最高商務責任者Christian Bauer(クリスチャン・バウアー)氏は、すべてのOEMにとって「オープンなシステムが必要」だというのが同社の考えであると語った。「私たちは不動産には投資したくありません」と同氏は付け加えた。

市との協力体制と今後

以上の問題の多くは大きな問題であり、妥協案が成立するまでに数年を要するだろう。というのは、各都市はまだ連邦規制のガイダンス待ちの状態だからだ。ハーパー氏は、FAA、National Fire Protection Association(全国防火協会)、International Code Council(国際基準評議会)の建築基準法の推奨事項の変化に柔軟に対応していくと語った。

エアタクシーOEM業者も自分たちの意向を反映してもらうために連邦レベルでポリシーの策定作業を進めている。Archer Aviation、Joby Aviation、およびVolocopterはすべて連邦の規制担当機関および都市と協力して作業を行っている。

UMLは、2021年の残りと来年を見据え、交通支援グループ(歩行者や自転車の安全支援組織など)およびホームレス問題などを注視している社会問題グループにも接触して、都市航空モビリティ計画の策定方法を把握するつもりだという。過去の過ちを繰り返さないためには、交通計画には公平性がとりわけ重要となる。例えばUnion of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟)によると、有色および低所得のカリフォルニアの住民は排ガスにさらされる度合いが異常に高いという。

市側の作業の大部分は、市の関連部門がバーティポートの建設に関する最新の動向を常に把握している状態にすることだ。具体的には、建設、安全、火災関連部門などが、バーティポートおよび新しいインフラの建設準備のためにフルタイムの職員を割り当てられるようにすることなどがある。

結局のところ、UMLは、順序立てて事を進めていくつもりだ、とモリシー氏は述べた。

「エアタクシーはおそらく現実のものとなるでしょう。私たちはそのためにあらゆる準備を怠らず、ハイプ・サイクルに陥らないようにしたいと考えています」。

画像クレジット:Patrick T. Fallon/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

Appleマップが3Dビューを展開、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコで

Apple(アップル)は、「マップ」アプリ内で、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなど、多くの都市に3Dマップを導入する。iOS 15で提供されるこの体験は、市場をリードするGoogleマップとの競争力を高めるためにAppleのマッピングプラットフォームに数年にわたって行われた投資の結果だ。このアップデートには、現在主要な市場に導入されているような3Dマップの追加だけでなく、全体的により詳細な地図、改善された交通機関の機能、AR表示モードなども含まれている。

関連記事:AppleマップがiOS 15アップグレードでより詳細な地図、交通機関ナビ、ARビューなど追加

これらの機能の多くは、充実した機能を得るためまず米国および世界の主要都市で導入され、時間をかけて展開してきた。例えばARビューイングは、2021年に入ってから一部の都市で開始された

画像クレジット:Apple

Appleによると、3Dマップでは、ユーザーは近隣地域、商業地区、マリーナ、ビルなどの詳細を見ることができ、標高の詳細、新しい道路ラベル、さらにはカスタムデザインされたランドマークも表示されるという。

例えば、サンフランシスコのコイトタワー、ロサンゼルスのドジャー・スタジアム、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールなど、有名なスポットのレンダリング画像がマップに表示され、今後さらに多くのランドマークが追加される予定だ。

画像クレジット:Apple

2021年後半には、フィラデルフィア、サンディエゴ、ワシントンD.C.でこの種の3Dマップが利用できるようになるとAppleは述べている。そして2022年には、モントリオール、トロント、バンクーバーでも利用できるようになる。

Appleは、より明確に表示されるターンレーン、中央分離帯、バス・タクシー用レーン、横断歩道などによって、道路レベルでのナビゲーションも強化している。これらは3D表示モードで表示されるため、交通状況に応じて最適な車線を選択したり、より良いルート計画を立てたりすることが容易になる。また、Googleマップと同様に、現在の道路状況に基づいた到着予定時刻も表示される。Appleは、これまで2021年のリリースが発表されていたこの新しいナビゲーションが、具体的な期限はなしに2021年後半にCarPlayに搭載される予定であると述べた。

画像クレジット:Apple

同様に、2021年初めに発表されていた他の地図のメジャーアップデートも現在展開中だ。これには、Citymapperのような、交通機関を利用する人たちに好まれるサードパーティのアプリケーションに対して、Appleマップがより競争力を持つように設計された機能が含まれている。近くの交通機関の駅が画面上部に大きく表示され、ユーザーはお気に入りの路線をマップにピン留めして簡単にアクセスできるようになった。また、Apple Watchでもできるように、路線を選択すると、降りる時間になるとマップが自動的に通知する。

Appleマップは、拡張現実(AR)を利用したステップ・バイ・ステップの案内で、より臨場感のある徒歩ルート案内を提供する。これは、ユーザーが携帯電話をかざして周辺の建物をスキャンすると、マップがより正確な位置を生成し、より詳細な案内を提供するというものだ。この機能は、2021年に入ってから一部の市場で提供されている。

iOS 15のユーザーは、新しい3D地球儀を見ることができる。また、マップの「ガイドを詳しく見る」ボタンをタップすると、Time Out、The Washington Post、The National Park Foundation、Complex、The Infatuationなどが提供する厳選されたガイドにアクセスすることがでる。これらのガイドは世界中の都市での観光ガイドを提案する。また、ユーザー自身がガイドを作成し、友人や家族と共有することもできる。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

2人乗りコンパクトEVのEli ZEROが生産開始、欧州で販売へ

コンパクトEV車のアーリーステージスタートアップ、Eli Electric Vehicles(エリ・エレクトリック・ビークルズ)は、同社の主力製品で市街地通勤向けにつくられた「neighborhood electric vehicle(ご近所電気自動車)」の生産を開始したことを発表した。同社はこの2人乗りEVを小規模ロットで生産し、欧州13か国で今後数カ月かけて販売する計画で、価格は1万1999ドル(約131万円)から。

マイクロ電気自動車市場は上昇中で、他にもRenault Twizy(ルノー・ツイッジー)、Citroën Ami(シトロエン・アミ)、チルト式Triggo(トリゴ)EVソーラーアシスト車のSquad Mobility(スカッド・モビリティ)などさまざまなコンパクト四輪車が市場に参入している。価格面では、Eliは1万6000ドル(約175万円)からのTwizyとともにスペクトラムのハイエンド側に位置する。対してAmiは約6000ドル(約66万円)、Squadは6790ドル(約74万円)だ。

Eliの拠点はロサンゼルスだが、生産パートナーは中国にあり、現在進行中の地政学的緊張は同社がまずヨーロッパ戦略を追求している理由の1つだ。州ごとに異なる法律も、公道走行可能な車両を最初に米国で販売することを難しくしている理由だとEliのCEOでファウンダーであるMarcus Li(マーカス・リー)氏はいう。ヨーロッパでは、Zeroは公道走行可能で、スピードの出過ぎない小さなコンパクトカーの文化がすでに作られている。

「ヨーロッパの多くの都市では、たとえばパリのように時速30kmという非常に厳しい法定速度が施行されていて、ウィーンやアムステルダムなどでもそのトレンドが起きると予想しています」とリー氏はTechCrunchに語った。

Zeroは、リサイクル可能ポリプロピレンと高強度アルミニウムで作られており最高速度は時速25マイル(40 km)。長さ約7フィート(2.1 m)、幅4.5フィート(1.35 m)、高さ5フィート(1.5 m)で積載容量は160リットルだ。バッテリー容量は5.8 kWhで航行可能距離は50マイル(80 km)、0から100%まで220ボルト、2時間30分で充電できる。

このマイクロビークルは、電動アシスト付きブレーキ、リアカメラ、パーキングセンサーの他、車室内には充電用USBポート、カップホルダー、冷暖房、チルト可能サンルーフ、7インチダッシュボードディスプレイも備えている。基本カラーはパールホワイトとシルバーで、プレミアムカラーとしてグラファイトとベービーブルーが用意されている。

またEliは最近、StartEngineというプラットフォームで資金調達クラウドファンディングキャンペーンを行うことを発表した。本稿公開時点で、キャンペーンでは今後の生産を進めるための資金22万4705ドル(約2461万円)が集まっている。リー氏によると、現在同社は保有する車両台数以上の予約を受けており、うれしい悲鳴をあげている。

Eliは前回StartEngineのプラットフォームで約140万ドルを集め、これまでに650万ドル(約7億1190億円)以上を調達した。リー氏によると、会社は2020年VC資金調達を試みたが、ベンチャーキャピタルらはEliが車をカーシェアリングに使用するなら投資してもよいと言った。

「正直をいうと、カーシェアリングにピボットしようと考えたこともありました、なぜならそれがほとんどの機関投資家のフィードバックだったからです」とリー氏は言った。「VCたちのビジネスモデルは、投資利益率に関して一般のハードウェア会社とは少々異なり、当社がカーシェアリングと高価値モデルに力を入れて3年以内のリターンを見込めるよにすることを望んでいました」。

ある投資グループは、Eliがカーシェアリング・プラットフォームを自社運用するなら投資してもよいと言ったが、時期はパンデミック直前だったので、最終的にはその方向にピボットしなかったことを喜んでいる、とリー氏は語った。

「販売方法は非常に伝統的なアプローチをとっています」とリー氏はいう。「B2Cはやっていません。販売はKSR Groupという既存の販売網を経由していて、彼らはオーストリア、ドイツ、スイスから始めて、その後ヨーロッパ諸国に展開するという販売戦略をもっています。

販売店を利用することで、アーリーステージ・スタートアップのEliがサービス、配車、試乗などを外部委託することが可能になったとリー氏は語った。

「目標は都市内移動に革命を起こし、都市とコミュニティを新しい形でつなぐことによって渋滞と大気汚染を減らすことです」とリー氏は声明でいう。「急速に変化する気候とともに都市圏が成長を続ける中、Eli ZEROのようにエネルギー効率が高く環境的に持続可能なマイクロEVの可能性は広がります」。

画像クレジット:Eli Electric Vehicles

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロボット配達スタートアップCocoが年内に従業員数と事業展開地域の拡大を計画

ロサンゼルスを拠点とする配達ロボットのスタートアップ企業であるCoco(ココ)は、3600万ドル(約40億円)の資金調達を発表した。このシリーズA投資ラウンドは、Sam Altman(サム・アルトマン)氏、Silicon Valley Bank(シリコンバレー・バンク)、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)が主導し、Sam Nazarian(サム・ナザリアン)氏、Ellen Chen(エレン・チェン)氏、Mario Del Pero(マリオ・デル・ペロ)氏が参加した。これにより、同社が調達した資金の総額は約4300万ドル(約47億円)となった。

「現状のデリバリーサービス業界は、加盟店へのサービスが大幅に不足していると、私は強く感じています」と、共同創業者でCEOのZach Rash(ザック・ラッシュ)氏はリリースの中で述べている。「これは、将来的にいつか製品化されそうな技術を実験する研究プログラムではありません」。

画像クレジット:Coco

UCLAからスピンアウトし、かつてCyan Robotics(シアン・ロボティクス)と呼ばれていたこの会社が事業を展開している分野には、Starship(スターシップ)、Nuro(ニューロ)、UCバークレー校アクセラレーター・プログラム卒業生のKiwibot(キウイボット)など、多くの企業がひしめき合っている。Cocoのソリューションは、完全な自律運転を追求するのではなく、遠隔操作を活用するというものだ(これは多くの企業が認めるよりも一般的なソリューションである)。

Cocoは2020年2月に創業したばかりのまだ若い会社である。現在の従業員数は120名だが、新型コロナウイルス流行の影響でロボットによる配送への関心がますます高まっていることから、年末までに「1000名以上に成長する」計画だという。今回の資金調達は、ハードウェアの開発や事業展開する都市を増やすためにも充てられる予定だ。

Cocoによると、同社は97%のオンタイム率で運営できており、顧客の配達時間を約30%短縮できるという。同社には、NuroにとってのDomino’s(ドミノ・ピザ)のような大規模なパートナーはいないが、カリフォルニアを拠点とするUmami Burger(ウマミ・バーガー)は、Cocoのサイトに現在掲載されている18のレストランパートナーの中で、おそらく最も大規模な企業だ。

「当社は現在、サンタモニカとロサンゼルス近郊の5つの地域で事業を展開しています」と、CocoはTechCrunchに語っている。「2021年後半には、いくつか米国の他の主要都市にも進出する予定です。SBE(Umami Burger)のような全米規模のレストランブランドと提携し、多くの地域で積極的に展開を拡大する他、サンタモニカのBangkok West Thai(バンコック・ウエスト・タイ)やロサンゼルスのSan Pedro Brewing Company(サン・ペドロ・ブルーイング・カンパニー)のような家族経営のレストランにも広くサービスを提供しています。当社はパイロット段階を終え、毎日数十件の新たな店舗とサービスを起ち上げています」。

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画像クレジット:Coco

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米医療系スタートアップがウェブサイト閉鎖、脆弱性で約6万件のコロナ検査結果が漏えいリスクに

カリフォルニア州を拠点とし、ロサンゼルス全域で新型コロナウイルス検査を提供している医療系スタートアップが、顧客が検査結果にアクセスするために使用していたウェブサイトに他人の個人情報にアクセスできる脆弱性が見つかったため、ウェブサイトを閉鎖した。

Total Testing Solutions(TTS)は、ロサンゼルス市内に10カ所の新型コロナウイルス検査施設を持ち、毎週、職場やスポーツ会場、学校などで「数千件」の新型コロナ(COVID-19)検査を処理している。検査結果通知の準備が整うと、顧客は結果を受け取るためのウェブサイトへのリンクが記載されたメールを受け取るようになっている。

しかし、同社のある顧客によると、ウェブサイトのアドレスに含まれる数字を一桁増減させることで、他の顧客の情報にアクセスできる脆弱性を発見したとのこと。それにより、その顧客は他の顧客の名前やテストの日付を見ることができた。また、新型コロナウイルスの検査結果にアクセスするためには生年月日が必要だが、この脆弱性を発見した顧客は、推測もしくはブルートフォース攻撃を行うのに「時間はかからない」と語った(30歳以下の人であれば、最大で誕生日を約1万1000回推測するだけだ)。

検査結果のウェブサイトは、顧客に電子メールアドレスとパスワードの入力を促すログインページで保護されているが、ウェブアドレスの変更や他の顧客の情報へのアクセスを可能にする脆弱な部分は、ログインプロンプトを完全に回避してウェブから直接アクセスすることができた。

その顧客は、誰かが発見したり悪用する前に(すでに悪用されていた可能性もあるが)Total Testing Solutionsが脆弱性を修正できるよう、脆弱性の詳細をTechCrunchに伝えた。

TechCrunchは顧客の調査結果を検証し、各結果コードを列挙することはしなかったものの、限定的なテストにより、この脆弱性によって約6万件の検査結果が危険にさらされている可能性があることがわかった。TechCrunchは、TTSのチーフメディカルオフィサーであるGeoffrey Trenkle(ジェフリー・トレンクル)氏にこの脆弱性を報告した。同氏は、発見された検査の数には異議を唱えなかったが、脆弱性は、検査結果を提供するために以前使用されていたオンプレミスのレガシーサーバーに限定されており、そのサーバーはその後シャットダウンされ、新しいクラウドベースのシステムに置き換えられたと述べた。

トレンクル氏は声明で次のように述べた。「当社は最近、以前のオンプレミスサーバーに潜在的なセキュリティ脆弱性があり、URL操作と生年月日のプログラミングコードを組み合わせて、特定の患者の名前と検査結果にアクセスできる可能性があることを認識しました。この脆弱性は、クラウドベースのサーバーが構築される前に公共の検査施設で得られた患者情報に限られていました。この潜在的な脅威に対応するため、当社は直ちにオンプレミスのソフトウェアを停止し、そのデータを安全なクラウドベースのシステムに移行する作業を開始して、将来のデータ漏洩のリスクを防ぎました。また、サーバーのアクセスログを確認し、認識されていないネットワーク活動や異常な認証失敗を検出するなど、脆弱性の評価を開始しました」。

同氏は、クラウドサーバーがいつから利用可能になったのか、また、レガシーとされるサーバーに2021年7月の時点でテスト結果が存在した理由については言及を避けた。

「現在TTSでは、以前のサーバーの問題により、保護されていない医療情報が漏洩した事実を認識していません。当社の知る限り、実際に患者の医療情報が漏洩したことはなく、今後のリスクはすべて抑制されています」とトレンクル氏は述べている。

トレンクル氏は、同社は州法に基づく法的義務を遵守すると述べたが、脆弱性について顧客に通知する予定があるかどうかについては明確にしなかった。企業は州の司法長官や顧客に脆弱性を報告する義務はないが、不正アクセスがあったかどうか判断しにくい場合もあることから、多くの企業が念のため報告している。

TTSのLauren Trenkle(ローレン・トレンクル)CEOは、一連の電子メールでコピーされていたが、コメントしなかった。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:ロサンゼルスバグ / 脆弱性新型コロナウイルスデータ漏洩

画像クレジット:Allen J. Schaben / Los Angeles Times / Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Aya Nakazato)

LAの築100年近い歴史的建造物「Tower Theatre」に新Apple Storeが6月24日オープン

米国時間6月24日、Apple(アップル)はロサンゼルスのダウンタウンに新しい店舗をオープンする。この店舗は、DTLA(Downtown L.A.の略)のブロードウェイ・シアター・ディストリクトに1927年にオープンしたTower Theatre(タワーシアター)を新たに改装したもの。この劇場は、ロサンゼルスで初めてトーキー映画用の配線が施された900席の劇場であり、同年には米国初の発声映画「The Jazz Singer(ジャズ・シンガー)」のプレミア上映が行われた場所だ。また、市内で初めてエアコンが設置された劇場でもあった。

「Apple Tower Theatre」は、同社にとってロサンゼルス市内で26番目の店舗となる。しかしもちろん、94年前に建てられた劇場への移転は、ショッピングモールなどに比べてかなりの労力を要する。この店舗は数年来の取り組みで、ランドマークに指定されたスペースを市と協力して修復する必要があったことも理由の1つだ。

画像クレジット:Apple

興味深いことに、2018年にLA Times紙に掲載された記事ではこのスペースについて「アップルがハリウッドの主要コンテンツクリエーターとして競争する気であるという宣言になるかもしれない」と指摘している。今にして思えば、妥当な話だ。Apple TV+はその翌年、2019年末にローンチされた。

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    画像クレジット:Apple

この劇場は1988年以降、ほとんど使用されていなかった。そのため、古い劇場の壁をピカピカにして現代的な店舗の雰囲気を出すために、さらに多くの作業が必要だった。もちろん、耐震性を高めるためのアップグレードも施された。

また、同社はこの劇場の象徴的な要素を維持することにも注意を払ったという。

画像クレジット:Apple

アップルはこう書いている。「Apple Tower Theatreは8番街とブロードウェイの角に位置しており、来場する方たちは、完全に復元された時計塔、ブロードウェイの再現された看板、きれいなテラコッタの外壁、改装された歴史的なブレードサインにすぐに気づかれることでしょう。ブロードウェイ側のドアをくぐると、シャルル・ガルニエによるパリのオペラ座にインスパイアされた堂々としたロビーに入り、大理石のコリント式コラムの間に、ブロンズの手すりが付いた豪華なアーチ型の階段があります」。

この店舗のオープニングは、アップルの新しいイニシアティブである「Creative Studios」のローンチも記念している。LAと北京の店舗が、このプログラムの最初の実施店舗となる。当初は8週間から12週間の予定で、クリエイティブアート分野のメンターグループを提供する。

画像クレジット:Apple

SVPのDeirdre O’Brien(ディアドラ・オブライエン)氏は、プレスリリースでこう述べている。「創造性と教育へのアクセスは、アップルのコアバリューです。ですから今日(6月22日)、ロサンゼルスと北京の『Apple Creative Studios』でキックオフし、2021年はさらにいくつかの都市でこの有意義なプログラムを実施できることを、とてもうれしく思っています。当社は長年、店舗を地元アーティストを迎えて教育とインスピレーションを与える場として活用してきましたが、『Creative Studios』は、もっとも芸術教育を必要としている人々に無料でそれを提供するもう1つの方法です」。

先週6月17日、Google(グーグル)はマンハッタンのチェルシー地区に初の小売店をオープンした。Apple Tower Theatre店は、現地時間6月24日(木)午前10時にオープンする。同社によると、同店舗を運営するために100人近くを雇用することになるという。

関連記事:グーグル初の常設店舗がニューヨークに現地時間6月17日オープン

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleApple Storeロサンゼルス

画像クレジット:Apple

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

ロサンゼルスが気候変動対策でカーボンアカウンティングを導入

ロサンゼルス市は2021年3月初め、同市のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)を把握する新たなソフトウェアとモニタリングのテクノロジーを展開するために、実行可能性調査の準備をさまざまな部門に課した最新の都市となった。

議員Paul Koretz(ポール・コレッツ)氏が主導したロサンゼルスの市議会イニシアチブは、カリフォルニア州の動きに続くものだ。同州は州内で事業展開する年間売上高が10億ドル(約1089億円)を超える全事業所に温室効果ガスの排出量を公開し、排出を減らすための科学ベースの目標を設定することを義務付けた。

カリフォルニア州はグローバル気候変動の破壊的な影響を実感している唯一の州ではないが、原因に取り組もうという試みにおいては最も積極的だ。その試みが電力供給から化石燃料を排除するかなりの努力なのか、気候変動への影響に対して事業所に責任を持たせる提案なのかはさておき、カリフォルニア州は気候変動の影響を和らげ、温室効果ガスの生産を反転させることができる新たなテクノロジーやサービスの受け入れを促進しているという点でリーダーだ。

ロサンゼルスは今回の取り組みで、そうした勢いに乗りたいと考えており、積極的にカーボンアカウンティング(事業活動における二酸化炭素の排出量や削減量を計算すること)でサポートを得られるテック企業を探している。

これは、CarbonChainPersefoniClimateViewSINAI Technologiesといった企業にとってはいい取り組みだ。これらの企業はカーボンアカウンティングとマネジメントをサポートするプロダクトを展開している。

これは、10億ドル規模の予算を持つ一部の大都市が、市民を脅かす気候変動にどれくらい関与しているかをこれまで以上にコントロールするのに必要なツールにその対価を支払うことを示している。

ロサンゼルスでは市議会が、同市のカーボンフットプリントの正確な把握を提供するテクノロジーの開発または購入の実行可能性を報告するよう、ロサンゼルス衛生局と主任立法分析官にタスクを課した。

「ロサンゼルス市は照明から市庁舎、施設、街灯の維持、道路の舗装、輸送車両の展開、送水、再生処理施設の運営に至るまで数多くのサービスを提供しています。これらはすべて環境負荷をともないます」と議員のコレッツ氏は2021年3月初めの声明で述べている。「もし我々が二酸化炭素削減の目標に真剣に取り組み、ロサンゼルス国際空港やロサンゼルス港の周辺の問題に直面しているコミュニティの暮らしに真の違いをもたらしたいのなら、より良い、そしてより一貫性があり、さらに透明性のある二酸化炭素排出のアカウンティングが必要です」。

ロサンゼルスは気候変動と気候に優しい政策を政治的な議論の中心に持ってこようと着実に取り組んできた。約2年前の2019年7月にロサンゼルスは気候非常事態の部署を設け、Eric Garcetti(エリック・ガーセッティ)市長は市民団体の指導者と市長室、市議会の活動を調整するために気候非常事態動員事務所を立ち上げた

説明責任の計画に予算は配分されなかったが、市議会の計画に詳しい人は2021〜2022年の予算から配分が始まると予想している。

ロサンゼルスは過去にカーボンフットプリントの解決を試みたが、それは成功しなかった。過去の排出量データを使って調査が行われ「スコープ3」排出量は含まなかった。スコープ3は市の事業向けのサービスプロバイダーが出している温室効果ガスに関連している。

ロサンゼルス市は気候変動への助長についての説明責任とメトリクスを提供する能力の改善に目を向けていて、ニューヨーク市が設定した基準を参考にするのも悪くない。ブルームバーグ政権下では、カーボンアカウンティングと復元性のある対策が最優先事項になった。ニューヨーク市が気候や天候関連の災害にかなりさらされていることをハリケーン「サンディ」が明白にした前のことだ。

2012年のハリケーン「サンディ」ではカリブ諸国からカナダにいたるまでの8カ国で700億ドル(約7兆6248億円)の被害をもたらし、233人が亡くなった。

この大災害によってニューヨーク市は気候変動対策に一段と積極的に取り組むと固く決心した。同市は市の事業から出る排出量のしっかりとしたアカウンティングプログラムを持っており、既存の環境、輸送、産業から排出される温室効果ガスを削減するために市全域に政策を適用して前に進めている。

「データは決定の原動力となり、データなしではゼロエミッションの未来に向けた道を描くことはできません」と議員のJoe Buscaino(ジョー・ブスカイノ)氏は述べた。「今日の世代のリーダーたちは引き続き緊急性を持って気候変動に取り組み、ロサンゼルスのために設定した目標に対して責任を持たなければなりません。そしてこの動きはそうした取り組みへと導きます」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:ロサンゼルス気候変動カーボンフットプリント

画像クレジット:Getty Images under a license.

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

缶入り飲料水がLAベンチャー最大のイグジットとなるのか

ロサンゼルスに本社を置く創業10年のインキュベーター兼ベンチャー企業Science Incは2021年1月最終週の初めに3億1050万ドル(約378億円)を調達し、NASDAQにブランクチェックカンパニー(SPAC)を立ち上げた。創業者のPeter Pham(ピーター・ファム)氏とMike Jones(マイク・ジョーンズ)氏は、この資金をモバイル、エンターテインメント、消費者直接取引(D2C)サービスの分野で会社を上場させるために使用するとしている。

株式公開を考えている投資先企業があるとしても、先日の対談では語らなかっただろう。しかし、もしそうであれば、興味深い候補がいくつか存在するはずだ。ファム氏は、South by SouthwestフェスティバルのダンスフロアでアマチュアのeスポーツプラットフォームであるPlayVSの創業者であるDelane Parnell(デレイン・パーネル)氏に会ったことをきっかけに、同プラットフォームの育成に貢献した。同氏はまた、Credit Suisse(クレディ・スイス)との連携を報じられているマイクロモバイル企業Birdの出資者でもある。そして山の水をアルミ缶で売る、冗談混じりのマーケティング戦略を持つLiquid Deathの創設と成長にも貢献している。しかもファム氏によると、これはかなりの売り上げを出したようだ。

関連記事:「渇きを殺せ」などヘヴィメタルっぽいミネラルウォーターなどを販売するLiquid Deathが24.3億円調達

ただしこれはあながち冗談でもない。実際に飲料水は2016年以来米国で最も売れているパッケージ飲料なのだ。

両氏は長時間におよんだTechCrunchとの対談の中で、2021年に強力な消費者ブランドを構築する方法について分野を問わず語ってくれた。その対談の全容はこちらで聞くことができる。また長さとわかりやすさを考慮して軽く編集した大筋を以下に記載するので、参照いただけたらと思う。

TechCrunch(以下、TC):新しいSPACを設立しましたね。潜在的なターゲットについてお伺いします。ご自身がこれまでに関わった企業、あるいはScienceで資金を調達した企業を検討していますか?

マイク・ジョーンズ氏(以下、MJ):いいえ、SPACは独立した組織です。私たちは100社をはるかに超える企業群が、スタック内で私たちが求めている資質に適合すると考えています。これらの企業は私たちが(彼らに対する)投資エクスポージャーを持っているかもしれませんし、持っていないかもしれませんが、分析のプロセスはScienceのポートフォリオに依存していません。

TC:そうなるとその可能性は否定できないのですね。

MJ:独立した取締役を置いていますので、ポートフォリオ内の企業を検討する場合には異なるプロセスが実行されます。しかし現時点はターゲット候補となる適切な範囲を集積しているところです。その後正式なプロセスに進みます。

TC:どのような指標に注目していますか?あなたはD2Cをはじめとする企業に携わる専門家です。ターゲットとしている企業は収益性の高い企業である必要がありますか?

MJ:私たちが関心を寄せている多様な見込み企業は、特定のレベルの収益性や売上が必要条件となっているわけではありません【略】セクター内で成功する企業を生み出すと私たちが考える重要な指標や収益要因については公開していません。しかし、私たちはデータに特化したチームです。次世代を担うジェネレーションZとミレニアル指向のマーケティングの最前線にいます。大ブレイクするブランドになり得るための要素とは極めて特定的なもので、それを我々は求めているのです。

TC:お2人はソーシャルメディア分野に精通されています。Clubhouseのように多くの注目を集めている新しいソーシャルメディア事業が出現していますね。Scienceの中核事業に話を移しますが、この分野での投資は検討していますか?

ピーター・ファム氏(以下、PP):YouTubeがマーケティングのプラットフォームになったのは10年前です。そして6年か7年程前にInstagramが(マーケティングのプラットフォームになりました)。Snapchatに続いてInstagram Stories(が登場し)、次にTikTok、そしてさらに新たなプラットフォーム、それがClubhouseです。常に新しいものが現れています。

Facebook、Instagram、Snapchatから目を離すことはできませんが、Clubhouseはまるで別物です。ほとんどラジオのようなものですが、参加型です。South by Southwestに行くとまるで24時間SWSXパネルのようです。聴衆の中にいながら、手を上げて、ステージ上に引き上げてもらえば、あなたはパネルの一員になれる、という実に興味深い動的な体験ができます。それが多くの人々を魅了する理由であり、自分を知ってもらい、より多くの聴衆に自分の声を届ける機会が得られる場となります。

TC:その成長が持続可能だと思われる理由をお聞かせください。

PP:マーケターがプラットフォームに参入する瞬間です。本物のマーケター、つまりお金の稼ぎ方についての方法や不動産の手に入れ方、不動産を売って収入を得る方法などを販売するタイプのマーケターが現れたとき、それはアービトラージ(裁定取引) になります。基本的には非常にスマートな人たちで、費す時間ごとに多くのお金を稼ぐことができます。ROI、顧客獲得コスト、収益の面で他人がやっている他のことに時間を費やすよりも価値があることを認識しています。

TC:2021年、Scienceのポートフォリオ企業はこういったプラットフォームをどのように利用していくでしょうか?あなたはLiquid Deathの投資家です。2020年末に4000万ドル(約42億2200万円)を調達したサブスクリプション下着企業MeUndiesの成長を支援しました。また初期のDollar Shave Clubに関わっていました。水や下着、カミソリなどでどのようにして切り拓いていくのでしょうか。

PP:プラットフォームは、常に単なる踏み台に過ぎません。ゲームのルールやフィードは変化するので、長期的にこれらの場所を当てにすることはできません。10年前、Dollar Shave Clubをローンチしたとき、私たちのホームページにはYouTubeの動画が自動再生されていました。その当時は、誰かに何かを買ってもらうためにYouTube動画を投稿することについて考えた人はいませんでした。MeUndiesはInstagramを使っていました。サブスクリプション方式の下着を想像した人はいたでしょうか。けれどクリスマス、新年、バレンタインデー、セント・パトリック・デーなどの祝日が毎月のようにやってきます。そのときに合わせて着ることができる何かおもしろくて楽しいものがあったらいかがでしょうか?

Liquid Deathに関しては、まだInstagramとTikTokにフォーカスしています。しかし、どのようなケースにおいてもブランドは、誰かがそのブランドについて好意的に話し、支持してくれるような存在にならなければなりません。

マイクは私たちのデータ面を控えめに表現していますが、私たちは絶え間なく、それぞれのビジネスに関して起きているすべてのことを測定しています。それには、彼らのソーシャルリーチ、彼らのエンゲージメント、ビジネスの維持、顧客が戻ってくる頻度、私たちがそれぞれの個人からどれだけの収益を生み出しているかそしてそれぞれのマーケティングの価値が何に値するかなどが含まれます。これらはすべて(私たちが決定する)この複雑なエンジンにつながります。背後にビジネスは存在するのか。Facebookに頼らずに自力で成長できるのか。ほとんどの企業では、自分自身のコミュニティやブランド、オーディエンスを構築する方法を理解していなければ、最終的にはGoogleかFacebookが勝者となってしまいます。

TC:今はどのようにコミュニティを構築しているのですか?

私は個人的に4000缶を配りました。Liquid Deathの初期の頃は10代の若者たちに手渡していて、10人中6人が写真を撮って友達にスナップを配信しました。その瞬間を何度も目にして、これはうまくいくと確信しました。3月、4月、5月にInstagramのフィードがいかに退屈だったか気づいたと思いますが、それはみんなが家にいて何もすることがなかったからです。しかし私たちはコンテンツの一部を提供することができました。

TC:Liquid Deathは現在、セブン-イレブンを含むいくつかの店舗で販売されています。人々はオンラインで購入していますか?何パーセントの人がサブスクリプションを利用していますか?

PP:1 / 3の顧客がオンライン(サイト)で商品を購入しています。24ドル(約2500円)の帽子と45ドル(約4700円)のパーカーも扱っており、コンスタントに製品を提供しています。ブランドであり、ライフスタイルとも言えます。CEOのMike Cessario(マイク・セサリオ)は、お気に入りのバンドのようなものを作っていると表現しています。海に捨てられてしまう(ペットボトルのような)プラスチックではなく、砂糖も入っていません。また飲酒運転につながるお酒でもないため、この製品のファンになることができるのです。

絶妙なセンスがあり、誰かに伝えたくなる理由となります。アイスブレーカーにもなり得るし、楽しく、どうしようもなく、呆れてしまうけどおもしろい。それでこそみんあにとって話す価値があり、見る価値があります。

こういった軌道は測定するのが難しいかもしれませんが、実際に見てよく観察し、繰り返し見られるようなら結果は明らかだと言えます。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Science Inc資金調達ロサンゼルスSPAC

画像クレジット:Liquid Death

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

アマゾンがRivian製電動バンを使った荷物配達テストをLAで開始

Amazon(アマゾン)はRivian(リビアン)が設計・製造した電動バンを使って顧客への配達をロサンゼルスで開始した。

Amazonの米国時間2月3日のアップデートによると、2040年までに二酸化炭素排出量をゼロにするという同社のClimate Pledge(気候公約)の一環である電動バンの量産は2021年末まで始まらないという。何台の電動バンでテストが行われているのか、同社は明らかにしなかった。

顧客への配達は、バンの性能やさまざまな気象や地域での安全耐久性を調べるためにAmazonとRivianが行っているテストの一環だ。路上テストは4カ月以上前に始まった。現在使用している車両はミシガン州プリマスにあるRivianの本部で製造され、1回のフル充電で150マイル(約240km)走行できる。Rivianのエンジニアはイリノイ州ノーマルにある工場での生産開始に向けて引き続き車両の改良を行う。

一方で、こうした電動車両は2021年にさらに15都市の配達ルートに登場する予定だ。最終的にAmazonは電動バン10万台を展開する。この数字は今後数年間でRivianに発注する台数だ。

AmazonとRivianは、顧客への荷物配達を開始する4カ月前にテスト・開発プロセスの一環として車両のテストを開始した。Amazonはまた新車両に対応できるよう建物の改修も始めており、何千ものEV充電ステーションを北米と欧州の配達ステーションに設置した、と述べた。

「オンライン上で目にする写真から、車両を直接見ようと当社のドライバーを止めるクルマファンまで、これまでのところ顧客から熱い反応が寄せられています」とAmazonのグローバル車両・プロダクト担当ディレクターRoss Rachey(ロス・レイチー)氏は声明文で述べた。「この取り組みは最速のモダン商業電動化プログラムの1つであり、当社は大変誇りに思っています」。

Rivian製の電動バンの外観は、今日ガソリンで走行しているバージョンと同じデザイン特徴を備えている。角が若干丸く、全体的に滑らかな見た目だ。

実際の違いはバンに搭載された電動アーキテクチャとカスタム機能にあり、ここには高速道路運転・交通アシスト機能、ドライバーがデジタルディスプレイで車の周り360度をチェックできる外部カメラ、ドライバーが乗降りしやすいよう従来よりも広いキャビン内部床面積、ブレーキ視認性向上のためのサラウンドテールランプ、3段棚とドアで仕切られた貨物スペースなどが含まれる。またAmazonのAlexa音声アシスタントも搭載されている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:AmazonRivian電気自動車ロサンゼルス

画像クレジット:Amazon

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Healthvanaの新型ワクチン接種デジタル証明書は免疫のパスポートではなくコミュニケーションツール

新型コロナウイルス(COVID-19)への反撃の準備が(多難のスタートながら)進む中、数多くの企業がワクチンの効果を高めようと、いろいろな支援を計画している。HIV患者のための患者情報をデジタルで提供する専門企業としてスタートしたヘルステックのスタートアップHealthvana(ヘルスバーナ)は、Apple(アップル)のウォレット技術を利用して新型コロナウイルスのワクチン接種証明書をモバイル機器に提供するというロサンゼルス郡の取り組みに協力している。この技術をざっと見た限りでは、それを導入することで、個人のワクチンの効果を手軽に証明できるようになると思われるかもしれないが、これは免疫を請け合うものではなく、技術自身もHealthvanaも、むしろ人々に個々の医療プログラムへの参加を促すことに重点を置いている。

「医療のほとんどが、見た目も使い勝手も、総じてWindows 95のようなものだと私は思っています」とHealthvanaのCEOで創設者のRamin Bastani(ラミン・バスタニ)氏はいう。「私たちのルック・アンド・フィールはInstagram(インスタグラム)です。どうしてそこにこだわるのかって?なぜなら患者は、自分が理解できるものに頼るからです。最も楽なのは、普段からコミュニケーションに利用している方法によるコミュニケーションです。つまるところそれが、より健康な結果をもたらすのです」。

バスタニ氏は、そのアプローチでHIVに関する患者教育とコミュニケーションに特化した会社を立ち上げ、そのソフトウェアを利用した場合、従来の方法で今後の治療に関する情報や次回の診察予約日のお知らせ受け取った人に比べ、7.4倍もの人が次の予約日に受診するようになることが証明できたと話す。同社は、単により良い医療を個々人にもたらすというだけでなく、誤解の払拭や、受診を続けるよう患者を追跡して説得するといった、労働時間を大幅に消費する大変な作業から医療や介護のスタッフを解放し、医療提供者のコストを削減することも視野に入れて、ツールやアプローチを構築している。

「実際に私たちは、医療提供者のコスト削減も実現しています。結果はどうだったか、理解できない、ログインできない、SARS陰性とはどういう意味かわからないといった1000件もの問い合わせにスタッフが対応する必要はなく、すべて私たちがシンプルに対処するからです」とバスタニ氏。「これで大きな違いが出ます。結局、患者の関心を惹き、彼ら自身が自分の健康問題に対して行動を起こせるようにすることが、あらゆる医療において重要な鍵になるだろうと、私は考えます」。

それはまた、新型コロナウイルス予防接種証明書で同社がロサンゼルス郡と協力して行っている取り組みの目標でもある。彼らは、同郡のワクチン接種証明書を確実に成功に導く極めて重要な役割を担っている。現在認可されている新型コロナウイルス用ワクチンは、どれもが2回接種を行うことになっている。1回目の予防接種に続き、少し間を開けて2回目で効果を高める。ロサンゼルスの住民への新型コロナウイルス予防接種、および2回目の接種が必要な人にはその旨の告知を徹底することが、この取り組みの第1の目標だ。そこに、患者の治療継続率を高めてきたHealthvanaの経験が活かされる。しかもこのアプリでは、新型コロナウイルスの治療に関する情報や、とりわけ便利な機能として、感染拡大の予防と感染を鈍化させる方法が提示される。

突き詰めれば、Healthvanaはメッセージ伝達の「最後の1マイル」だとバスタニ氏はいうものの、また適切な治療と予防のための正しい行動の判断にはそれ以外にも数多くのレイヤーが関わっているものの、彼らの実用価値のある情報を送り届ける方法は、すでにひとつの重要な手段である「接触者追跡」において大きな恩恵をもたらしている。一部の自治体では、Healthvanaは、検査で陽性になった人に、濃厚接触者のデバイスに匿名で直接知らせるよう促す取り組みを開始する。通知相手には、無料で受けられる検査の情報と、関連情報のリストも提供される。

「この広いロサンゼルス地区で2カ月以内にこれを成し遂げたのは、私たちだけです。すでに1万2000人以上の人たちにウイルスに曝露したことを通知しています」とバスタニ氏。「それぞれの人が、他の人や家族と同居している可能性が高いため、これが感染拡大を鈍らせる方法になります」。

Google(グーグル)とApple(アップル)は、珍しく協力して、最近のアップデートでiOSとAndroidのデバイスに曝露通知ツールを組み込んだが、その導入は比較的ゆっくりだった。その基礎となっている技術は確かなものであり、ユーザーのプライバシーにも特別な配慮を払っているにも関わらず、利用者数は世間の関心を惹くにはほど遠い。たとえばバージニア州の曝露通知フレームワークを使ったアプリでは、ローンチ以来この3カ月間に曝露を通知した人の数はわずか388人止まりだ。

Healthvanaは、その時々に即して個々人の必要性に応じた情報を、その人が一番よく理解している最も使い慣れた方法を通じて届けることに専念している。それはすでに、新型コロナウイルスとその地域感染の対策に大きな力を発揮できる潜在力を示した。同スタートアップは現在、米国国内の別の地域でも同様の取り組みを実施するための協議に入っている。これが米国国内のワクチンの効果を高め、ワクチンを手にした後の人々の新型コロナの対処法に大きな影響を与えることになるだろう。

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画像クレジット:Healthvana

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(翻訳:金井哲夫)