ツイッターがSlack対抗のメッセージングサービスQuillを買収、チームはDM機能開発に取り組む

Twitter(ツイッター)は新CEOの下、広告ベースのオープンエンドな消費者によるメッセージ投稿からさらに事業を多様化するために、今後の展開を示唆するような買収を行った。Twitterは、ビジネスに特化したメッセージングサービスQuill(クイル)を買収した。Slack(スラック)などへの対抗と、人々のTwitter利用維持を目的としている。

買収条件は開示されていない。Quillは、Sam AltmanやIndex Venturesなどの出資者から約1600万ドル(約18億円)を調達し、2021年2月にステルス状態から登場した。Slackの欠点を指摘し、Salesforce(セールスフォース)に買収されたことで勢いを増したSlackに対抗する製品を開発しようとした勇敢さはさておき、Quillの最大のセールスポイントは、スタートアップコミュニティの多くの人々が賞賛する、Stripe(ストライプ)の元クリエイティブディレクターであるLudwig Pettersson(ルードウィヒ・ペターソン)氏が設立したことだ。

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Twitterの広報担当によると、Quillは今回の買収の対象にはならず、アプリとしての活動は終了するとのことだ。しかし、Quillのチームは、TwitterのExperience部門に加わり、メッセージングツール、特にTwitterのダイレクトメッセージ(DM)の開発に取り組むことになっている。またTwitterによると、ペターソン氏はプロダクトマネージャーの役割を担い、Oji Udezue(オジ・ウデツエ)氏が率いるConversationsチームに所属する。

DMは、Twitterウォッチャーにとって長い間関心の的だった。多くの人はTwitterがいつ、どのようにしてDMをより独立した製品、そして可能なビジネスラインに発展させようとするのか関心を寄せてきた。特に、近年はメッセージングアプリの大ブームがあり、他の多くのオープンエンドのソーシャルメディア・プラットフォームがダイレクトメッセージのビジネスを強化する動きがあったためだ。

今、Twitterはビジネスラインを多様化する動きを活発化させているが、もしかしたらこの買収はその機会になるかもしれない。

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Quillにとってはほろ苦いエンディングだ。前述したように、Quillは社会人にはコラボレーションとコミュニケーションが必要だが、気晴らしを犠牲にしてはいけないという主張をし、それを解決するためにまったく新しい製品を構築して規模を拡大しようとする大胆さを持っていた。しかし、この分野への新規参入を成功させることは、他の多くの大金持ちやプラットフォームを独占する企業が積極的に展開していなかったとしても、困難なことだった。Quillは才能と野心に満ちたチームを結成した。それゆえに、彼らのIPと人材が次に何に活用されるか、見る価値がある。

ペターソン氏も仲間に加わるかどうかTechCrunchは問い合わせており、情報が入り次第、この記事を更新する。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

SPAC上場をめぐりEVメーカーLucid Groupを米証券取引委員会が調査

Lucid Group(ルシード・グループ)は、同社の合併による上場を調査している証券当局から召喚された。

Lucidは米国時間12月6日朝に当局に提出した書類の中で、米証券取引委員会(SEC)から調査に関連する特定の文書を要求されたと述べた。

「この問題の範囲や結果について確たるものはありませんが、調査は当社(旧Churchill Capital Corp. IV)とAtievaとの合併、および特定の見通しと声明に関するものと思われます」と規制当局への提出書類には書かれている。

Lucidは、SECの審査に全面的に協力していると述べている。

このニュースを受けて、Lucidの株価は9.5%以上下落した。

Lucid Motorsは2021年2月に、特別買収目的会社Churchill Capital IV Corpとの合併を通じて上場企業になることで合意したと発表した。当時、特別買収目的会社(SPAC)と電気自動車スタートアップとの間で行われる取引としては最大級のものと考えられていた。

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株主らは7月下旬、Lucid MotorsとChurchill Capital IVの合併を承認したが、個人投資家の投票数が少なかったため、両社は期限を1日延長した。合併会社は現在、Lucid Groupという社名だ。

Lucid Groupはその後、同社初の高級電気自動車Lucid Airの納入を開始し、アリゾナ州カサグランデにある工場を270万平方フィート(約25万平方メートル)拡張する計画を発表した。その拡張の一部は、2023年に生産開始を予定している高級電気自動車SUV「Project Gravity」に使用される。

SPACは2年前から流行した金融商品で、企業がより早く株式を公開するためのいい手段として位置づけられている。また、多くのベンチャーキャピタリストがSPACに参入し、取引のペースを上げている。しかし、それが原因で規制当局がこれらの合併の一部を詳しく調査することになった。少なくとも3件のモビリティ関連のSPAC合併がSECの精査を受けている。Nikola Motors(ニコラ・モーターズ)に対する規制当局の調査では、創業者が辞任し、3件の詐欺容疑で起訴された。Lordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)はSECと司法省の調査を受けている

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画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ソフトバンクにさらなる悪いニュースが、クラウレ最高執行責任者と給与をめぐる争いの報道

今に始まったことではないが、今週のソフトバンクはひどく、最悪で、良くもない、非常に悪い週を送っている。実際、同社は、大胆な賭け、社内のいざこざ、険悪なビジネス関係、あるいは瀬戸際から何度も立ち直る能力など、極端なことで知られているが、いくつかの新しい動きは、克服することが不可能ではないにしても、特に難しいと思われる。

その最たるものが、米連邦取引委員会(FTC)が米国時間12月2日に起こした、チップメーカーNVIDIA(エヌビディア)による、チップ技術のライセンス供与を行う英国企業Arm(アーム)の買収を阻止するための訴訟だ。FTCはこの買収によってNVIDIAがコンピュータ技術を過度に支配することを懸念している。

FTC競争局の局長Holly Vedova(ホリー・ベドバ)氏は、訴訟に関する声明の中で「明日の技術は、今日の競争的で最先端のチップ市場を維持することにかかっています」と述べている。「この提案された取引は、チップ市場におけるArmのインセンティブを歪め、合併会社がNVIDIAのライバルを不当に弱体化させることになります」と説明している。

ソフトバンクにとっての問題は何か。この取引が頓挫すれば、ソフトバンクにとっては数百億ドルの損失となるかもしれない。同社は、2016年7月に現在創業21年のArmを320億ドル(約3兆6200億円)で買収した後、400億ドル(約4兆5120億円)の現金と株式の取引でNVIDIAに売却した。これは思うほど良い取引ではない。NVIDIAの株価は急速に上昇し続けており、Bloombergが12月3日に指摘したように、その400億ドルの取引はその後、740億ドル(約8兆3475億円)の取引に膨れ上がっている。

ソフトバンクにとってはまったくの災難ではないかもしれない。この取引は、発表されたときから規制当局の精査を受けることが予想されていたので、ソフトバンクはすでにこの非常にありそうな可能性を織り込んでいたかもしれない。また、NVIDIAはFTCの訴訟に異議を唱えるとしている(ただし、FTCに勝てる見込みはなさそうだ)。それに、チップ関連のものはいま、すべて需要がある。

しかし、Armが他の買い手にとってどのような価値を持つかははっきりしない。一方、ソフトバンクがこの会社の株式を公開することを決めた場合、その価値はNVIDIAが支払った金額の半分近くになる可能性があるとBloombergは推定している。これは、フィラデルフィア証券取引所半導体インデックスのメンバーが現在享受している平均的な時価総額対売上高比率の9.9倍に基づいている。

その一方で、ソフトバンクは報酬をめぐって重要な幹部を失う危機に直面している。12月3日午後に掲載されたニューヨーク・タイムズの記事によると、ソフトバンク創業者兼CEOである孫正義氏の右腕だと広く信じられているソフトバンクの最高執行責任者Marcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏は、報酬をめぐって会社との長期戦に巻き込まれているという。

実際、タイムズ紙の取材に応じた4人の関係者によると、クラウレ氏は今後数年間で報酬20億ドル(約2256億円)という要求が通らなければ、ソフトバンクを辞める覚悟だ。ソフトバンクは、その代わりにせいぜい数千万ドル(数十億円)程度の報酬を考えているようだ。

さらなる詳細を求められたソフトバンクの広報担当者は、次のような声明を送ってきた。「ソフトバンクとマルセロ・クラウレ氏は、当社でのクラウレ氏の役割と報酬について積極的に話し合っています。マルセロはソフトバンクの重要な幹部であり、2017年の入社以来、多くの重要な取り組みをサポートしてきました。ソフトバンクはこの件についてこれ以上コメントするつもりはありません」。

ソフトバンクにとっては大きな損失となりそうだ。クラウレ氏は同社のために多くの役割を担っている。例えばAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏を追い出した後のWeWorkの暫定CEOを務め、現CEOのSandeep Mathrani(サンディープ・マトラニ)氏の採用にも貢献した。クラウレ氏はまた、多様性に焦点を当てたSoftBank Opportunity FundとSoftBank Latin America Fundという2つの組織のトップでもある。これらの組織は、最近のソフトバンクの大型投資のほとんどを担っている(TechCrunchは9月のDisruptでクラウレ氏にソフトバンクの積極的な中南米戦略について話を聞いた)。

同氏はまた、ソフトバンクから離脱する多くの人の中で最も注目される人物の1人だ。今月初め、Bloombergは、ソフトバンクの報酬に対する「風変わりな」アプローチ(同規模のライバル企業よりもはるかに少ない報酬)が、2020年3月以降の7人のマネージングパートナーの辞任につながったと指摘し、唯一のシニアマネージングパートナーであるDeep Nishar(ディープ・二シャール)氏は先週、General Catalystにマネージングディレクターとして入社することを発表した。

ソフトバンクは悪化の事態から立ち直ってきたが、現在は特に脆弱なようだ。先週、孫氏はソフトバンクグループが中国政府のハイテク産業の取り締まりで500億ドル(約5兆6400億円)超の損失を出したことを明らかにし、同社の株価は大幅に下落している。この2つの新たな、そして非常に公然とした動きによって、同社に対する投資家の信頼を高めることはより困難になりそうだ。

画像クレジット:Riccardo Savi / Stringer

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

リンク管理のBitlyがQRコード業界リーダーの独Egoditorを買収

リンク管理企業のBitlyが米国時間12月1日、ドイツに拠点を置くQRコード企業でフラッグシップ製品のQR Code Generatorで知られるEgoditor GmbHを買収すると発表した。

買収の条件は公表されていないが、BitlyのCEOであるToby Gabriner(トビー・ガブリナー)氏は現金と株式の取引であることを明かし、買収が完了すると有料版顧客は32万5000社、アクティブユーザーは500万人以上、従業員は180人、年間経常収益は7500万ドル(約84億6000万円)を超える企業になると述べた。

これはBitlyにとって初の買収で、組織が顧客や人々と関わりデジタル体験でつながりを持つことに貢献するグローバルなSaaS企業を目指すという同社の目標に沿うものだ。

Bitlyは買収と同時に、リンク管理、QRコード、リンクインバイオのリソースをオールインワンで提供するCustomer Connectionsプラットフォームも発表した。Bitlyはここ数年、短縮リンクからさまざまなツールへの進化に関心を移してきた。

Bitlyのトビー・ガブリナーCEO(画像クレジット:Bitly)

BitlyがQRコードのソフトウェアを自前で開発するか買収するかをじっくり検討する中で、Egoditorが第一候補にあがった。Egoditorは10年以上にわたってQRコードの世界をリードしてきたことに加え、Bitlyとの間に顧客や機能性の共通点が多く、この両社が1つになるのは自然な成り行きだったとガブリナー氏は補足した。

同氏は「市場の発展にともない、Bitlyの自然な進化としてこのような道をたどり始めました。当社がQRコード機能の提供を始めたところ相当数のお客様に利用され、お客様が望む機能であると確信を深めました」と説明する。

ドイツのビーレフェルトに本社を置くEgoditorは、QRコードのデザイン、利用、管理、分析をするエンド・ツー・エンドのツールを提供している。2009年にNils Engelking(ニルス・エンゲルキン)氏とNils Drescher(ニルス・ドレッシャー)氏が創業し、190カ国以上の1000万人を超えるユーザーに活用されている。同社の顧客にはスターバックス、Zalando、救世軍などがある。

QRコード自体は新しいものではなく1990年代ごろから存在する。人々はQRコード読み取りアプリをダウンロードしなくなったが、Snapなどは最近、QRコードをクールにしようと試みている。ガブリナー氏は、GoogleとAppleがスマートフォンのカメラでQRコードを読み取れるようにしてから改めて使われるようになったという。そしてコロナ禍の時代となった。

ガブリナー氏はTechCrunchに対し次のように述べた。「利用者が企業と非接触でやり取りする手段が注目され、行動が変容しました。レストランでメニューを見ることから不動産業や小売業、NPO、歯科医に至るまで、あらゆるところにユースケースが爆発的に広がりました。ユースケースの広がりは始まったばかりで、毎週のように新しいことが出てきます」。

ガブリナー氏によれば、Bitlyは現在Egoditorのチームを統合している途中で、全員が合流するという。また新規採用も進めているとのことだ。ドイツと米国のオフィスで、50のポジションに人材を求めている。

同氏は、これは単なる買収ではなく2社が「急速に成長する」ストーリーで、両社の組み合わせはその成長を後押しすると考えている。この1年半でBitlyのカスタマーベースは170%以上成長し、リンクインバイオ機能は数週間前に発表したばかりで現在はプライベートベータだ。

「当社を次のレベルに引き上げる買収として、とても喜んでいます。新しいプロダクトやソリューションを今後提供する基盤を得て、当社は1つのプロダクトから複数のプロダクトへと移行します。エンジンを全開にして成長のストーリーをこれから加速していきます」とガブリナー氏は語る。

画像クレジット:Nutthaseth Vanchaichana / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)

ソフトバンク出資のユニコーンPicsArtがR&D企業DeepCraftを買収、AI・動画編集機能の強化狙って

ソフトバンクが出資しているデジタルクリエイションプラットフォームで、2021年8月にユニコーン企業の仲間入りを果たしたPicsArt(ピクスアート)は、米国時間12月2日、R&D企業であるDeepCraftを買収することを発表した。今回の買収は、現金と株式の組み合わせで、7桁(数百万ドル、数億円)規模の金額とのことだが、正確な条件は公表されていない。

PicsArtは現在、コンシューマーとプロ両方に向けて、写真やビデオ編集をより楽しく、親しみやすいものにするためのさまざまなデジタル制作・編集ツールを提供している。PicsArtは、DeepCraftが持つAI技術分野の人材と、同社のコンピュータービジョンおよび機械学習(ML)における画期的な技術が、PicsArtのAI技術を強化し、近年のPicsArtのサービスにおける動画作成の成長をサポートするものと考えている。また、チームは、PicsArtのAI研究開発部門であるPAIR(PicsArt AI Research)にシニアレベルのリソースを追加して補完するのにも役立つとしている。

アルメニアに拠点を置くDeepCraftは動画・画像処理に特化した企業で、2017年に設立された。ちなみに、PicsArtは同国初のユニコーンだ。DeepCraftの共同創業者であるArmen Abroyan(アルメン・アブロヤン)CEOとVardges Hovhannisyan(ヴァルジス・ホフハニシャン)CTOは、AIと機械学習に20年以上を費やしており、その専門性は地元コミュニティでよく知られている。アブロヤン氏はこれまで、アルメニア共和国ハイテク産業省の副大臣、RedKiteのリードAIアーキテクト、Synopsys(シノプシス)のシニアソフトウェア開発者などを歴任してきた。一方、ホフハニシャン氏は、Synopsysで13年間、シニアR&Dエンジニアとして活躍した。

DeepCraftでは、Krisp、PatriotOne、さらにはアルメニア政府など、多くのクライアントと契約ベースで仕事をしていた。これらの仕事は終了し、チームはエレバンにあるPicsArtのオフィスで仕事を始めることになる。今回の買収により、DeepCraftの機械学習および映像分野のシニアエンジニア8名が、PicsArtに正社員として入社する。

PicsArtは、2018年にEFEKT(旧D’efekt)を買収して動画市場に参入し、近年、利用者が急増している。特に、動画を利用するソーシャルメディアのクリエイターやECショップに同社のアプリが採用されている。2021年、PicsArtのアプリで編集された動画は1億8千万本を超え、前年比で70%増となっている。現在、数千種類のエフェクトと数十種類の動画編集ツールを提供しており、AIやクラウド技術の進化に合わせてこのラインナップを増やしていく予定だという。

PicsArtは、DeepCraftのスキルセットと技術的な専門知識が、2022年に重要な焦点となるであろう動画のサポートを前進させるのにどう役立つかに特に関心を寄せている。

ただし、PicsArtは、今回の買収でDeepCraftから特定のIPを取得するわけではない、と同社はTechCrunchに語っている。

PicsArtは、DeepCraftとはさまざまな技術開発で協力関係にあったため、今回の買収に先立ち、すでに関係を築いていた。

PicsArtの共同設立者兼CTOであるArtavazd Mehrabyan(アルタバズド・メフラビヤン)氏はこう述べている。「DeepCraftはユニークで高度な技術を持つエンジニアのチームであり、当社はすでに1年以上彼らと協力して当社のコア技術を構築してきました。当社の動画機能を進化させるためにさらなる投資を行うにあたり、DeepCraftのチームが動画の未来を築く上で重要な役割を果たすことを確信しています」。

DeepCraftとの取引は、8月に同社がソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)主導で1億3000万ドル(約146億9000万円)のシリーズCラウンドを調達して以来、PicsArtにとって初の買収となる。そのラウンドにより、同社は2019年に約6億ドル(約678億円)だった評価額からユニコーンの地位に引き上げられた。

画像クレジット:PicsArt

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

米FTCがNVIDIAによるArm買収を競争阻害で提訴

NVIDIAによるArm買収計画が、大きな障害にぶつかった。連邦取引委員会(FTC)は、その400億ドル(約4兆5231億円)の取引がデータセンターや車載コンピューターなど複数の技術分野で競争を「阻害」するとして、合併を阻止するために訴えた。FTCによると、ArmはNVIDIAとライバルたちとの競争を育む「重要なインプット」であり、合併はNVIDIAに、競合他社を「弱体化」させる手段を与えることになると指摘している。

FTCはさらに、NVIDIAがArmのライセンシーの機密情報にアクセスすることを懸念している。またこの合併は、NVIDIAの事業目標に敵対するような技術を開発する意欲を損なうだろう、と委員たちはいう。この行政審判は2022年8月9日に始まる予定だ。

同社は、何も心配していないようだ。NVIDIAはこの訴訟を、FTCのプロセスの「次のステップ」と呼び、買収を肯定する主張を繰り返している。それによると、買収はArmの製品計画を「加速」し、競争を増大し、しかもチップのアーキテクチャの設計者のオープンライセンシングモデルは依然として保護される。その声明の全文は本記事の下部にある。

勇ましい主張だが、FTCからの訴訟はNVIDIAにとって大きな問題だ。同委員会が訴訟に踏み切るのは、企業が法律に違反していると見なした場合であり、しかも一定の譲歩では不十分な場合だ。しかも今回は、これよりも前の2021年10月に、買収に関する調査をEC(欧州委員会)が発動している。NVIDIAは、この買収を懸念している大国の規制当局からの疑問に直面しており、彼らはこのような答えで納得しないだろう。

現状では、NVIDIAの競合他社も満足していない。報道によると、QualcommはFTCなどとの対話でArmの取引に反対し、NVIDIAが設計のライセンスを拒否するかもしれない、という懸念を表明している。またAppleやMediaTek、Samsungなどの大物もArmに依存しているため、市場の残りの部分が賛成に回ることも考えづらい。少なくともこの裁判で、NVIDIAが最初2022年を目標とした組合の閉鎖が遅れることになりそうだ。

FTCプロセスの次のステップに進むにあたり、我々は、この取引が業界に利益をもたらし、競争を促進するものであることを示す努力を続けていきます。NVIDIAは、Armの研究開発に投資し、ロードマップを加速させ、競争を促進し、すべてのArmのライセンシーに多くの機会を与え、Armのエコシステムを拡大する方法で、Armの提供製品を拡大していきます。NVIDIAは、Armのオープンなライセンスモデルを維持し、現在および将来のすべてのライセンシーがそのIPを利用できるようにすることを約束します。

編集部注:この記事の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

3Dプリンティング企業のEssentiumが、SPAC経由で株式公開する計画を発表

アディティブマニュファクチャリング(⾦属3Dプリント、⾦属積層造形)の世界も、SPAC(特別買収目的会社)ブームと無縁ではいられない。Desktop Metal(デスクトップ・メタル)、Shapeways(シェイプウェイズ)、Markforged(マークフォージド)、Velo3D(ベロ3D)の各社は、いずれもSPACによる株式公開を完了したか、またはその計画を発表している企業だ。オースティンを拠点とするEssentium(エッセンティアム)は米国時間12月1日、Atlantic Coastal Acquisition Corporation(アトランティック・コースタル・アクイジション・コーポレーション)との逆さ合併により、この増え続ける企業リストに自社の名前を追加する計画を発表した

この取引が完了すると、合併後の企業価値は9億7400万ドル(約1100億円)となり、そのうち3億4500万ドル(約390億円)をAtlantic Coastalが現金で受け取ることになる。Essentiumは、アディティブ・マニュファクチャリングや3Dプリンティングへの関心が高まっている要因として、現在も進行中のサプライチェーン問題を挙げている。

「既存のグローバルサプライチェーンモデルの根本的な欠陥が、貿易不均衡や新型コロナウイルスの世界的大流行のような障害の増大によって悪化し、流通のボトルネックを長期化させています」と、同社CEOのBlake Teipel(ブレイク・タイペル)氏は述べている。「本日の発表は、これらのグローバルな課題に正面から取り組むことができる新しい製造パラダイムのために、長期的かつ持続可能なソリューションを提供する当社の取り組みにおける重要なマイルストーンを象徴するものです」。

TechCrunchがタイペル氏から話を聞いたのは2017年のこと。Essentiumは当時、プラスチックの3Dプリント素材をプリントしながら融合させ、従来のFDMプロセスよりも強度の高いオブジェクト作り上げるプラズマベースのシステムを発表していた。同社はまた、標準的な押出成形に比べて5倍から15倍の速度を誇ると言われる高速押出成形プロセスも活用しており、既存の顧客には米国国防総省、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Ford(フォード)などがいる。

今回発表された合併は、2022年第1四半期に完了する予定だ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ナイアンティックがゲーム内ソーシャル体験向上でゲームプレイ撮影アプリLowkeyを買収

Niantic(ナイアンティック)は、同社のAR(拡張現実)プラットフォームを構築するために、また1つ企業を買収した。同社は、ゲームプレイの瞬間を簡単に撮影して共有できるアプリLowkey(ローキー)の開発チームを獲得すると発表した。ゲームを録画するには、スクリーンキャプチャアプリや携帯電話に搭載されている機能を使うことができるが、Lowkeyはカジュアルゲーマーや動画の編集に時間をかけたくない人のために設計されている。

例えば、パソコンでビデオを撮影し、それを携帯電話と同期させ、簡単な編集ツールを使って、携帯電話での視聴に最適化された短いクリップを作成することができる。また、そうしたクリップをSnapchatのようなスタイルでアプリ内で友達と共有したり、TikTokのように公開したりすることもできる。LowkeyのチームがNianticのARゲームやエクスペリエンスでどのような役割を果たすのかについてNianticは明らかにしなかったが、同チームの「この分野でのリーダーシップは、(Nianticが)製品で構築しているソーシャル体験を加速させるでしょう」と述べている。そして「我々は、共有されたエクスペリエンスを中心にコミュニティを構築し、好奇心あふれる人のために新しいつながり方や遊び方を可能にするという共通のビジョンを持っています」と付け加えた。

Pokémon Goの生みの親であるNianticはこれまで、拡張現実プロダクトのためにより多くのツールや機能を構築すべく、数社を買収してきた。2017年には、ゲーム用のソーシャルネットワークを構築するために、ソーシャルアニメーションのスタートアップEvertoonを買収した。2020年は「プラネットスケール」の拡張現実を開発すべく3Dマッピングのスタートアップ6D.aiを、2021年8月には世界の3D地図を作成するためにLiDARスキャンアプリScaniverseを買収した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Lowkey

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

コワーキングとEdTechのTalent GardenがHyper Islandを買収してオンラインコースをグローバルに拡大

Talent Gardenはイタリア、オーストリア、ルーマニアなどにあるコワーキングスペースと、オンラインとオフラインのデジタル学習コースを組み合わせたビジネスモデルで「ヨーロッパにおけるWeWorkの総会」といえるような存在だ。シリーズBの企業で(直近のラウンドは7350万ドル、約83億5000万円)、500 StartupsやSocial Capitalなどから資金を調達した。このTalent Gardenが、ヨーロッパで「デジタルハーバード大学」として知られるHyper Islandの株式の過半数(54%)を取得して、さらに前進しようとしている。

Hyper Islandは90年代に成長し始めたUXとゲームデザインを学ぶ優れたスクールとして登場して以来、テック最大手に採用される人材を多数輩出し続けている。

Talent GardenとHyper Islandが手を組めば、両社のオンラインコース(そしてオフラインコースが開催される場合にはオフラインも)が今後成長していくであろうことは疑いない。

例えばTalent Gardenはデジタルに関するビジネストレーニングのコースを多数提供し、毎年2万人ほどの学生が参加している。同様にHyper Islandはこれまでオンライン教育で主に知られてきたが、Talent Gardenと組むことでさらに広がっていくはずだ。Talent Gardenにもヨーロッパ各地に20カ所のキャンパスがある。

Talent Gardenの共同創業者であるRasa Strumskyte(ラサ・ストラムスキット)氏は筆者に対し「当社のコースのうち60%以上はオンラインで、それ以外はキャンパスで実施しています。今後は特にオンラインに力を入れて、既存のコースを新たなマーケットに拡大し新しいコースも作っていきます」と語った。

今後数年間でデジタルに関わる仕事には9700万人ほどの新たな雇用が生まれると推計され、世界のデジタル教育市場は2020年の84億ドル(約9500億円)から2025年には332億ドル(約3兆7700億円)へとコロナ禍以降で最も急速に成長する分野の1つと見られる。

Hyper Islandは英国、シンガポール、米国、ブラジルに実拠点をもち、ヨーロッパ、アジア太平洋、南米、北米と世界的に事業を展開している。

Talent GardenとHyper Islandの両社は「就職率が98%、4500以上のスタートアップとデジタルイノベーターが教員やコミュニティのメンバーとして関わる」ことで、2022年の売上は5000万ユーロ(約64億円)、1年間で教育する社会人が2万人、社会に送り出す学生が5000人と予測している。

Talent Gardenの共同創業者で代表取締役社長のDavide Dattoli(ダビデ・ダットーリ)氏は次のように述べた。「Hyper Islandとの協力で我々のプロジェクトは飛躍します。重要性が高いのに細分化されているこの市場で、これまで以上にアグリゲーターとして、またゲームチェンジャーとしての役割を果たしていきます。デジタルトランジションの時代に生きる現在と未来の社会人に貢献できるように、トレーニングを提供します」。

Talent GardenのCEOであるIrene Boni(アイリーン・ボニー)氏は次のように述べた。「Talent Gardenにはヨーロッパのデジタル教育市場において成長の大きなチャンスがあります。デジタル化のメリットを活用したい個人や大企業にトレーニングを提供します。これはテクノロジーの問題ではありますが、何より人的資本の上でも重要です」。

ボニー氏はMcKinseyに勤務した後、ユニコーンのYOOX Net-a-Porter(現在はラグジュアリーブランドのRichemontグループ傘下)で副本部長を10年間務め、その後Talent Gardenに加わった。

Hyper Islandの社長であるFredrik Mansson(フレドリック・マンソン)氏は「Talent Gardenとの協力によってリソースが大幅に増え、企業としての成長と世界に及ぼす影響の両方を加速していきます」と述べた。

画像クレジット:Talent Gardenのチーム

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

オンライン学習最大手「Chegg」が語学学習スタートアップ「Busuu」を約496億円で買収

NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場されている教育メディアラーニングプラットフォームのChegg(チェグ)は、2008年にヨーロッパで設立されたオンライン学習のスタートアップBusuu(ブスー)を約4億3600万ドル(約495億9000万円)の現金取引で買収した。

Busuuのイグジットまでの調達総額はわずか1610万ドル(約18億3000万円)で、これはヨーロッパの基準でも少額であり、これまでに160か国以上で1億2000万人以上の生徒に届けたビジネスを構築したファウンダーらの強い気概を表している。Busuuは、50万人の有償サブスクライバーに12の言語でコースを提供している。

Busuuの最新ラウンドは2020年5月27日で、GP Bullhoundおよび超富裕層から200万ドル(約2億3000万円)を調達した。それ以前の出資者には、Harold Primat、McGraw-Hill Education、PROfounders Capital、Martin Varsavsky(マーティン・バルサフスキー)およびJohann “Hansi” Hansmann(ヨハン・”ハンシ”・ハンスマン)らがいる(CrunchBaseによる)。

Cheggのプレジデント兼CEOであるDan Rosensweig(ダン・ローゼンスワイグ)氏は次のように語った。「Busuuが加わることで、Cheggは自身のビジネスを拡大するとともに、既存ユーザーにすばらしい付加価値を与えられるまたとない機会を得ました。これによって国際市場へさらに進出し、Busuuの米国市場での成長を加速することが可能になります。Busuuのチームとは長年のつきあいがあり、カルチャー的にも非常に一致しています。彼らには本格的語学学習者向けのすばらしい学習サービスを構築した実績があり、Cheggの仲間に加わってもらうことを大変喜んでいます」。

Cheggは、Busuuの2021年の通年売上を約4500万ドル(約51億2000万円)、対前年比20%増と予測している。現在170億ドル(約1兆9341億2000万円)のデジタル言語学習市場は、今後5年間で3倍に増えると予想されている、とCheggの声明に書かれている。

Busuuの共同ファウンダーであるベルンハルト・ニーズナー氏とエイドリアン・ヒッティ氏

2008年にBernhard Niesner(ベルンハルト・ニーズナー)氏とAdrian Hilti(エイドリアン・ヒッティ)氏が設立したBusuuは、英国・ロンドンおよびスペイン・マドリードにオフィスを構え、精緻化された語学学習モデルとプラットフォームのあらゆる面の改善を繰り返してきたことで、メリーランド大学の学者による研究で、Busuuのユーザーは2カ月間にわずか13時間の学習によって大学の1学期(通常90~105時間の授業)分の成果を上げたことが示されるまでになった。同社は無料および有料のサブスクリプション・サービスを1カ月、1年、および2年のコースで提供している。

Busuuは個人利用だけでなく、企業の語学訓練にも使用されている。2020年同社は、Verblingを買収した後に、ライブ言語指導サービスを加えた。

BusuuのCEO・共同ファウンダーであるベルンハルト・ニーズナー氏は次のように語った。「世界をリードするEdTech企業で、学生を第一に考えるCheggファミリーに加わることは大変光栄であり、楽しみです。このパートナーシップによって、Cheggのとてつもなく広いリーチを生かし、特に米国で当社の拡大を加速する機会が得られます。言語によって世界の全員に力を与えることが私たちのビジョンであり、当社とCheggとの新たな関係によってこのゴールがさらに早く達成されると信じています」。

画像クレジット:Busuu team London HQ

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

決済テックBoltが同業Tipserを買収、「リモートチェックアウト」を開始

デジタルコンテンツを発見した時点で何かを購入するという機能は存在するが、決済テクノロジー企業のBolt(ボルト)は、それを「ワンクリック」で処理する機会を得た。同社は米国時間11月29日、初となる買収でスウェーデン拠点のTipser(ティスパー)を買収したことを発表した。Tipserはあらゆるデジタル端末でのダイレクト決済を可能にするテクノロジー企業だ。

サンフランシスコを拠点とするBoltは、10月に3億300万ドル(約345億円)のシリーズD資金を調達したばかりで、これまでの累計調達額は6億ドル(約682億円)に達している。Boltの創業者でCEOのRyan Breslow(ライアン・ブレスロウ)氏は今回の買収について「しばらく前から計画していた」とTechCrunchに語った。

Tipserの技術は、オンライン出版物、モバイルマーケットプレイス、価格比較サイト、ソーシャルメディアプラットフォームや検索エンジンなどのサイトから、消費者がネイティブに商品を購入することを可能にする。同社は、共同創業者でCEOのMarcus Jacobsson(マーカス・ヤコブソン)氏が率いており、2012年にAxel Wolrath(アクセル・ウォルラス)氏、Jonas Sjöstedt(ヨナス・ショステッド)氏とともに会社を立ち上げた。

実は、BoltがTipserと話を始めた当初、同社は売れる状況ではなく、次の投資ラウンドに向けて動いていた(約16億円を調達)が、結果的に2社はより深い話をすることになり、文化的融合がよりうまくいくことがわかった、とブレスロウ氏は話した。

「我々は、TipserがBoltにとってどれほど大きな意味を持つかを知りました。Tipserは10年間にわたって組み込み型コマースの技術を洗練させており、唯一の強力なプレイヤーでした。我々が苦手とする分野で、彼らは我々よりも強かったのです。彼らをチームに迎え入れることは非常に戦略的です」と付け加えた。

正確な取引額は公表されていないが、ブレスロウ氏はTechCrunchに対し、全株式でのこの買収は「2億ドル(約228億円)弱」であったことを明らかにした。Tipserの全チームはそのまま残り、Boltは100人の増員となる。また、最近発表されたヨーロッパへの進出にともない、TipserがあるスウェーデンはBoltのヨーロッパ本社としても機能することになる。

Boltは、今回の買収に加えて、買い物客が発見したその場で商品を購入できるツール、リモートチェックアウトを立ち上げる。ピュー研究所によると、買い物客の84%がレビューを見るソーシャルメディアで何かを見た後、別のウェブサイトに行って購入している。

この新しいツールは、Boltが1年以上前から社内で開発していたもので、同じく商品を発見してアプリから直接決済できるツールであるInstagram Checkoutにヒントを得たとブレスローは話す。

「トラッキングやクッキーが廃止されたことで、小売業者がコンバージョンを追跡できるよう、ネイティブ決済の必要性が出てくるかもしれません。消費者にとっては、何度もクリックする必要がない方がいいですから」と付け加えた。

Boltのリモート決済の特徴は、ワンクリックでの直接決済、Boltのショッパーネットワークとのエンゲージメント、そして業者が複数のチャネルで注文を受けながらコンバージョン率を高め、訪問者との直接的な関係を築くことができることだ。また、匿名の訪問者をログインしたアカウントホルダーに変え、オンサイトでトラフィックを収益化することができる。

メディア出版社であるBDG(旧Bustle Digital Group)の社長兼CROであるJason Wagenheim(ジェイソン・ヴァーゲンハイム)氏は、出版社やクリエイターが自分のサイトに来たトラフィックを収益化できるという機能に特に興味を示した。BDGは、Bustle、EliteDaily、Fatherlyなどのブランドを展開している。

1月に米国の出版社としては初めてTipserと契約し、4月にはBDGの13サイトのうち2サイトで運用を開始したヴァーゲンハイム氏は、今回の合併を傍観者のように見ていたとインタビューで語った。

「今回の買収で最も気に入っているのは、何百もの業者を当社のプラットフォームに乗せることを加速できることです。これは、コンテンツとコマースの融合です」。

ソーシャルメディア、そしてBoltやTipserのような企業が登場する以前は、雑誌のページから直接買い物をするにはQRコードを利用していたが、人々が思っていたようには普及しなかった、とヴァーゲンハイム氏はいう。

他の出版社もQRコードを取り込もうとしたが、Goopはそれができた数少ない出版社の1つだったという。今では、これらの新しい技術により、出版社やクリエイターは、アッパーファネルとロワーファネルの間のギャップを埋めることができ、ワンクリックで買い物ができるコマースにより、認知度を高めることができる。

同氏はTipserとのBDGのプロジェクトはまだベータ版と考えているが、来年にはBDGのすべてのサイトにこの技術を導入する計画だ。BDGでは、すでに2500万回以上のセッションが行われており、1回のセッションで平均10個の商品を見ていると話す。これは、プロセスが機能していることを示している、と同氏は指摘する。人々はプロダクトに時間を費やし、そしてカートにプロダクトを入れる。

「エディターが記事を書くための業者が数百社に増え、ワンクリックでの取引が可能になりました。これは画期的なことです」と付け加えた。

画像クレジット:Tipser

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

Coinbaseが暗号資産ウォレットBRDを人材獲得買収

暗号資産の推進者たちが新世代のユーザーを獲得しようとしている中、消費者を誘導する主要な入口となっているのが、洗練されたインターフェースを持つ消費者向けウォレットアプリの数々だ。

Coinbase(コインベース)は米国時間11月24日、2014年に初めてモバイルウォレットを発表した暗号資産ウォレットのスタートアップであるBRDのチームを迎え入れることを発表した。BRDのチームはCoinbaseに移るが、BRDのユーザーには当面何の変化もなく、ウォレットは通常通り運営され、ユーザーの「資金は安全でセキュア」だとBRDの共同創業者は話している。

BRDは、モバイル暗号資産ウォレットの分野では初期のプレイヤーで、ユーザーがビットコインを保管する場所としてスタートしたが、トークンの幅広いネットワークをサポートし、取引所とのパートナーシップのおかげで暗号資産の売買や交換ができるまでに成長した。同社のユーザー数は1000万人を超えているという。

Coinbase WalletのTwitterアカウントのツイートには「このチームは、暗号資産ウォレットの保護預かりに関する深い専門知識をWalletに持ち込み、より多くの人々が安全かつセキュアに分散型の暗号資産の世界にアクセスできるようWalletをサポートします」と書かれている。

BRDはこれまでに、SBI Crypto InvestmentやEast Venturesなどから約5500万ドル(約63億円)のベンチャーキャピタル資金を調達した。

CoinbaseとBRDは、今回の買収の条件は明らかにしなかった。

共同創業者のAdam Traidman(アダム・トライドマン)氏とAaron Voisine(アーロン・ヴォワザン)氏は、ユーザーがウォレットの中身をCoinbase Walletアプリに移すための「移行経路」を構築する予定だが、それはユーザーにとって完全に任意となる、と話している。

画像クレジット:BRD

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi

家族向けロケーターサービスのLife360がTileを227億円で買収

Apple(アップル)のAirTag(エアタグ)と競合する遺失物追跡サービスのTile(タイル)が、家族向けコミュニケーションサービスのLife360に買収される。買収額は2億500万ドル(約227億円)。Tileのブランドは継続し、現CEOのCJ Prober(シージェイ・プローバー)氏が引き続き率いる。同社によると、現在のところTileチームの変更は予定しておらず、プローバー氏はLife360の取締役会にも加わる。

Life360にとって、今回の買収は最近のハードウェア買収としては2件目となる。同社は今年初め、位置情報機器メーカーのJiobit(ジオビット)を3700万ドル(約43億円)で買収した。その際、目標は、Life360アプリが動くスマートフォンを持つ人以外、つまり、小さな子どもや特別なニーズを持つ子ども、ペットなどにも、家族の追跡機能を拡大することだと述べた。

しかし、Tileの場合は、家族を追跡するだけでなく、家族が最も大切にする「人、ペット、モノ」を見つけるための幅広いソリューションとして事業を拡大する可能性を視野に入れている。同社は、統合プラットフォームを提供するサービスを構想している。そのプラットフォームでユーザーは、連絡を取り合うために家族を追跡するだけでなく、Tileの位置情報検索機能を利用して、財布、鍵、リモコンなどのモノも追跡できる。

またTileは、ワイヤレスイヤホンからノートパソコン、犬の首輪まで、50種類以上のサードパーティ製デバイスと提携している。これらは買収の価値を高めるものだ。そして同社は「Tile Finding Network」という巨大なネットワークを運営している。Tileの所有者がTileのモバイルアプリを立ち上げると、Bluetoothの範囲外にあるモノの位置を特定できるというものだ。同社は、これまでに4000万個以上のデバイスを販売し、42万5000人超の有料顧客を抱えているが、アクティブユーザーの総数は公表していない。

Life360は、同社の3300万人のスマートフォンユーザーが加わることで、TileのFinding Networkのリーチが10倍になると見込む。

Life360の共同創業者でCEOのChris Hulls(クリス・ハルス)氏は声明で「今回の買収は、安全性と位置情報サービスの世界的なプラットフォームになるというLife360のビジョン達成に向けた重要な一歩となります。TileをLife360ファミリーに迎え入れることができ、大変嬉しく思っています」と述べた。

このニュースに先立ち、Tileは9月に4000万ドル(約46億円)の負債による資金調達を発表した。これについてプローバー氏は、「負債は株主に希薄化をもたらさないため」理にかなっており、「『負債と株式』の混合は良いことだ」と述べていた。だが、Apple AirTagの立ち上げ以来、Tileの将来が脅かされていたことは間違いない。Tileは独占禁止法の問題でAppleを断固として批判しており、Appleがビジネスに与える影響について議員らの前で証言したこともあった。

Tileは最近、競争力維持を期待して、製品ラインを刷新した。その中には、AirTagのライバルとなる超広帯域無線の製品も含まれている

Life360とTileの共通点は、プラットフォームにとらわれないアプローチであり、iOSとAndroidの両方のデバイスに対応していることだ。Androidに対応していることが、国際的な事業拡大に役立つ可能性がある。Androidは世界中の多くの市場を支配している。

Life360は、今回の買収により、Tileを販売する2万7000以上の小売店や、Tileの技術が組み込まれている100万台以上のサードパーティ製デバイスのユーザーにアクセスできるようになる。また、両社はプレミアムサービスを提供しており、Life360は有料会員数を45%増の約160万人に拡大する見込みだ。将来的には、両社のサービスを統合し、より多くの無料ユーザーが有料会員になることを期待しているようだ。

Life360は、2019年からオーストラリア証券取引所に上場しており、以前には2022年に米国での二重上場の可能性を計画していると発表していた。今回の買収により、その目標に向け、勢いがつくとLife360は述べている。

今回の買収では、Credit SuisseとCode AdvisorsがLife360の共同財務アドバイザーを務めた。また、DLA PiperとOrrick、Herrington & Sutcliffe LLPがLife360の法務アドバイザーを務めた。Tile側は、Jefferies LLCが独占的に財務アドバイザーを、Fenwick and West LLPが法務アドバイザーを務めた。

「Tile、当社の顧客、そして従業員にとって素晴らしい日です」とプローバー氏は声明で述べた。 「今回の買収は、ミッションや価値観を共有する2つの素晴らしいチームを結びつけるだけでなく、安心・安全のための世界有数のソリューションを共同で開発する道を開くものです。これは、私たちの旅における次のステップであり、引き続き素晴らしいチームを率い、Life360の取締役会に参加できることに、これ以上の喜びはありません」。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

クラウドで現代化を図りたいEricssonがVonageを買収

国際的なネットワーキング企業であるEricsson(エリクソン)がこのほどモダナイゼーションが必要と決意し、クラウド通信企業Vonageを62億ドルで買収したことを発表した。

VonageによってEricssonは、通信へのもっとモダンなアプローチ、すなわちクラウド上のコンタクトセンターや、Twilioのような通信API、インターネットによる音声通話(VoIP)などを手中にする。同社は、Vonage系列の主要部位により、4Gと5Gのネットワーキング技術を構築できる、と考えている。

Ericssonの社長兼CEOのBörje Ekholm氏によると、この買収は、今後多くのエンタープライズ企業を顧客としていくための戦略の一環だ。氏は声明で次のように述べている: 「これにより、エンタープライズ事業を構築していくための基盤が弊社に備わる。Vonageの買収は、その戦略的プライオリティを提供していくための次のステップだ。Vonageは、顧客がネットワークへの投資から収益を獲得し、開発者と企業を利していくためのプラットホームを弊社に与える」。

Ericssonが具体的に狙っているのは、Vonageの通信APIだ。それにより同社は、4Gと5Gを用いるアプリケーションを構築している世界中のデベロッパーたちのネットワークに食い込めると信じている。

VonageのCEOであるRory Read氏によると、それは断ることのできないほど良好な取引であり、両社が合わさったより大きな企業は彼の企業にとっても究極的に良いものである。Read氏は、声明でこう述べている: 「Ericssonに加わることは弊社の株主たちの最良の関心事であり、企業のクラウドコミュニケーションにおけるVonageのリーダーシップと革新的なプロダクトポートフォリオ、ならびに傑出したチームの証(あかし)である」。

VonageでEricssonが得るものは技術のポートフォリオだけではない。同社は9月30日までの12か月の売上が14億ドルという健全企業であり、12万の顧客にアクセスでき、登録デベロッパーは100万以上いる、と同社は言っている。

Vonageは2001年にVoIPのプロダクトでローンチし、Crunchbaseのデータによると、2006年の上場の前までにおよそ6億ドルを調達していた。2018年には、クラウドを利用するコンタクトセンターNewVoiceMediaを3億5000万ドルで買収した

本日の合併はVonageの取締役会や規制当局の承認を要するが、Ericssonの予想では来年の前半中に完了するという。Vonageの株価は今朝、このニュースにより25%急騰した。Ericssonは投資家にとってあまり魅力的に映っていないようで、本稿を書いている時点で株価は4.89%下がっている。

関連記事: Vonage brings number programmability to its business service(未訳)

(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: David Paul Morris/Getty Images

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Netflixがストレンジャー・シングスやマーベル作品などの視覚効果を担当した独Scanline VFXを買収

Netflixが、ミュンヘンの視覚効果スタジオScanline VFXを買収た。買収の完了は規制当局の承認とその他の条件により2022年の第1四半期を予定しているが、買収の価額は公表されていない。Scanlineはこれまで「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」や「Cowboy Bebop(カウボーイビバップ)」など、Netflixのオリジナル作品をいくつか手がけている。また同スタジオはMarvelとDCの多くの作品にも特殊効果を提供している。

1989年に創業されたScanlineは、バンクーバーとモントリオール、ロサンゼルス、ロンドン、ミュンヘン、シュトゥットガルトにオフィスを持つ。同社は「Stranger Things 4」「Blood Red Sky(ブラッド・レッド・スカイ)」「Slumberland」「The Gray Man(グレイマン)」「The Adam Project(アダム&アダム)」そして「 Don’t Look Up(ドント・ルック・アップ)」といったNetflix作品を手がけている。Netflix以外では同社は「Game of Thrones(ゲーム・オブ・スローンズ)」や「Black Widow(ブラック・ウィドウ)」「Black Panther(ブラックパンサー)」「Captain Marvel(キャプテン・マーベル)」「Iron Man 3(アイアンマン3)」「キャプテン・アメリカ / ザ・ウィンター・ソルジャー」「Zack Snyder’s Justice League(ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット)」「Joker(ジョーカー)」などなどに特殊効果を提供している。

今後のプロジェクトとしては、Scanlineは「The Batman(ザ・バットマン-)」「The Flash(フラッシュ)」「Aquaman and the Lost Kingdom(アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム)」「Black Adam(ブラックアダム)」「Moonfall(ムーンフォール)」などに関わっている。Netflixによると、今後もScanlineは独立の企業体を維持し、今のクライアントの仕事も行っていく。

Netflixのスタジオ運用担当副社長Amy Reinhard(エイミー・ラインハルト)氏によると、Scanlineはその複雑でフォトリアリスティックな効果と、バーチャルプロダクションにおける専門的技能で知られている。ラインハルト氏のブログ記事によると、NetflixはScanlineのパイプラインとインフラストラクチャとワークフォースに投資して、ScanlineのEyeline Studiosがバーチャルプロダクションにおいて「視覚が為しうることの限界を押し広げようとしている営為を継続してサポートしていく」という。

ラインハルト氏はさらに続けて「弊社のVFXのニーズに関しては世界中の他の多くのスタジオにも依存を続け、弊社のクリエイターたちが世界でもっとも革新的な技術にアクセスできる状態を維持したい。そしてそれにより、弊社の会員のみなさまに、最先端のすばらしい物語をこれからも引き続きお届けしたい」と述べている。

NetflixによるScanlineの買収は、このストリーミング大手がますますプロダクションの内製化に力を入れようとしている間に行われた。2018年にNetflixはAlbuquerque Studiosを買収し、2020年は自社プロダクションへの支出をさらに増やして、すでに巨大なスタジオの300エーカーの増築に10億ドル(約1148億円)を投資すると発表した。その投資とさらに1億5000万ドル(約172億円)の資本支出により、新しいステージを10、ポストプロダクションサービス、大道具等工場、野外撮影所、訓練施設、衣装部、食堂喫茶などが増設される。

そして同社は最近では、ゲームスタジオまで買い上げた。それは9月に買収したNight School Studioだ。このインディーのゲームデベロッパーは「Oxenfree」のような物語性のあるゲームで知られ、Disney Interactiveの元シニアゲームデザイナーSean Krankel(ショーン・クランケル)氏と、Telltale GamesのリードライターだったAdam Hines(アダム・ハインズAdamuhainzu)氏により2014年に創業された。

画像クレジット:Sam Wasson/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

より人間的なビデオ会議の実現に向け、mmhmmがMacroを買収

mmhmm(ンーフー)は、ビデオ会議の未来について、おそらく最も口うるさい見解を持っている。バーチャル会議は、楽しくて、柔軟で、そして最近同社が行った買収を見ると、感情を表せるものになるだろう。Evernote(エバーノート)の生みの親であるPhil Libin(フィル・リービン)氏が設立したこのビデオ会議ソフトウェアのスタートアップ企業は、米国時間11月19日、Macroを買収したと発表した。Macroは、バーチャル会議のプレッシャーを軽減する(そして、人間関係を構築するエネルギーを取り戻す)ためのフィルターやリアクション、ツールを開発している企業である。

Macroとmmmhmmは9月下旬に交渉を開始し、その数週間後に合意に達した。買収条件は公開されていないものの、mmhmmが最近1億ドル(約114億円)の資金調達を実施したことを考えると、アーリーステージの同社に資金の余裕があったことは明らかだ

Macroは、2019年にAnkith Harathi(アンキス・ハラチ)氏とJohn Keck(ジョン・ケック)によって設立されると、それから間もなく、FirstMark Capital(ファーストマーク・キャピタル)、General Catalyst(ジェネラル・キャタリスト)、Underscore VC(アンダースコアVC)などの投資家から430万ドル(約4億9000万円)のベンチャー資金を調達した。

関連記事:刷新したZoom用スキンで自己表現とインクルージョンにフォーカスする「Macro」

ビデオ会議中にユーザーが配信する映像のカスタマイズに焦点を当てたmmhmmとは異なり、Macroはユーザーが実際に作業するインターフェースを変更できる。例えば、Macroの特徴的な機能であるAirtime(エアタイム)は、会議の中で誰が最も多く発言しているかを、参加者がひと目で理解するのに役立つ。参加者の映像のサイズが、各人の参加状況に応じて調整されるため、チームは会議に対する各参加者の影響力をより正確に把握することができ、誰に発言を促す必要があるかを知ることができる。

Macroには他にも、画面上で自分を「アンボックス」するためのカスタムウィンドウや、フィルター機能などが用意されている。Macroは、MacOSおよびすべてのZoomクライアントで利用でき、他のすべての参加者がMacroを使っていない場合でも使用できる。

Macroが最初の資金調達を行った後、ハラチ氏は共同設立者とともに、開発を続けるべきか、次の資金調達を行うべきか、あるいは他の会社と手を組むべきかを決めなければならなかったと説明する。他のZoomクライアントとの競争は激化しており、評価は高くても開発するには難しい需要があった。そこで彼らは、mmhmmがビデオ会議の分野で成功するために必要な機能の多くを備えていることに気づいた。

「どうすれば会議をもっと人間的なものにできるか?1人ひとりが個性と豊かな表現力を備えた参加者を、制約のある箱に押し込めるのではなく、ビデオ会議を私たちの人間性に適合させるためにはどうしたらいいか?」と、ハラチ氏はリービン氏のチームと行った初期の話し合いについて語った。「カメラを使う方法を採るか、それともクライアント側でアプローチする方法を採るか、議論を重ねていました。彼らは一方を選び、私たちはもう一方を選びました」。

「私たちは、このビデオ2.0の世界を制するのは、非同期と同期の間をシームレスに行き来する製品だと考えています」と、リービン氏は語る。「録画とライブの間をスムーズに行き来できるようにすることが、これからのビデオのあり方への近道です」。ハラチ氏は、分散型社会で人々が行うようになるコミュニケーション方法のすべてに、対応できるアプリにする必要があると付け加えた。つまり、その場でかける電話、思考を深める会合、重要なプレゼンテーションなどのすべてだ。

mmhmmの大きなビジョンは、リービン氏が最初から明確にしていたように、表現と関係構築のためのメディアとしてビデオを再定義することだ。それは文字通り、築き上げることが難しい信頼関係である。mmmhmmとMacroを使い、Zoomルームでより多くの表面積を提供することによって、話している相手を理解できる余地が増えることを、リービン氏は期待している。

「相手がどんな部屋を選んだか?どんなエフェクトをかけているか?これによって誰もがクリエイティブになり、自分の見せ方をカスタマイズできる機会が広がります」と、同氏はいう。「そしてそれは、あなたと私が実際に会って話し、お互いを知ることに少し近づきます。根幹が格段に表現豊かになります」。

Macroは、Mmhmmにとって現在までに2件目の買収となる。2020年、mmhmmはサンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業のMemix(メミックス)を買収すると発表した。Memixは、録画済みの動画とライブ動画の両方に適用できる一連のフィルターを提供しており、照明や背景、画面全体に表示される内容などを調整することができる。リービン氏によると、Memixの技術は現在、mmhmmの製品における中核となっているという。

関連記事:フィル・リービン氏のmmhmmがMemixを買収、オンライン会議でのプレゼンをもっと楽しく

Macroは11月末までに事業を終了する予定だが、7人のチームメンバー全員が、Mmhmmに参加して開発を続けることに決めている。

画像クレジット:mmhmm

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがスマート空気清浄機メーカーAerisを買収

ちょうど1週間前、我々はiRobot(アイロボット)のAmazon(アマゾン)との協業に関連して、同社のスマートホームの野望について議論していた。iRobotは、スマートホームのミッシングリンクとしてのRoomba(ルンバ)の可能性を引き出すことを目指して、過去2、3年の間に少しずつその計画を明らかにしてきた。

そして米国時間11月18日、同社はHEPA空気清浄機で知られるスイスのAeris Cleantec AGを買収するという、ちょっと意外な次のステップを踏み出した。この買収は、最初のロボット掃除機を発表してから約20年が経過した今、家庭内の清掃という同社の中核を成すフォーカスに合致したものと言える。

CEOのColin Angle(コリン・アングル)氏はリリースでこう述べている。「本日発表されたAerisの買収は、iRobotの戦略における重要なステップであり、対応可能なマーケット全体を拡大し、製品ポートフォリオを多様化することで、消費者のみなさまに家をより清潔で健康的に保つための新しい方法を提供するものです。特に、パンデミックによって、より清潔で健康的な家庭を維持することの価値に対する消費者意識が高まっていることから、Aerisの製品の成長ポテンシャルを高く評価しています。また、当社のGenius Home Intelligenceプラットフォームと家庭用ロボットの既存のエコシステムを活用して、iRobotの体験を空気清浄機にもたらすことができる可能性にも期待しています」。

先週話していたように、iRobotのルンバ以外の成功したラインのほとんどが、2012年にBraava(ブラーバ)、2019年にRoot(ルート)を買収したことを含め、買収から派生していることは特筆すべき点だ。

空気清浄機は、パンデミックの影響で、この2年間で非常に重視されるようになったトピックであることは間違いない。しかし、それ以前にも、コネクテッドホームフィルターなどの登場により、このカテゴリーは活況を呈していた。Aerisの主力製品である「Lite」と「3-in-1 Pro」には、デバイスの状態を監視したり、複数の接続された機器を制御したりするためのスマートフォンアプリが搭載されている。

最後の部分には、iRobotの大きな計画を垣間見ることができる。独自のスマートスピーカーを持たないiRobotは、接続されたビーコンとしての役割を果たす、何らかのスマートホームデバイスを探していることは間違いない。それは、高価ではあるが、空気清浄機のようなものになるかもしれない。将来的には、ルンバのドッキングステーションにAerisの浄化技術が組み込まれるかもしれない。

iRobotによると、この取引はすでに終了しており、同社はAerisに7200万ドル(約82億2000万円)の現金を支払ったという。「この最初の現金対価に加えて、取引には、Aerisが2022年に一定の目標を達成した場合、ささやかな業績ベースのアーンアウト条項が含まれています」とのこと。

画像クレジット:iRobot

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

農家のDXを支援するFieldinがアグリテック仲間のMidnight Roboticsを買収

新型コロナが注目される以前から、農業ロボットにとってこの2年間は大きな意味を持っていた。人口増加と環境問題は、将来的に人々に食料を供給する方法を考える上で大きな原動力となってきた。またパンデミックは、多くの農家が現場作業員の確保に苦労していることから、その懸念に拍車をかけている。

2016年にテルアビブで行われたピッチオフ(投資家への売り込みコンペ)で優勝して、TechCrunchにでも紹介したFieldinが米国時間11月17日、Midnight Roboticsを買収する計画を発表した。外野からすると、お似合いのカップルだ。イスラエルとオーストラリアを経由し、現在はカリフォルニアを拠点とするFieldinは、農家のデータ収集と自動化を支援する。一方、Midnightはトラクターなどの農業機械にLiDARを利用したセンサー技術をもたらす。

Fieldinによると、同社の技術は1日程度で立ち上がるという。他の多くのサービスと同様に、同社は技術者を農場に派遣し、農家をサポートしている。少なくとも、新しい技術を手に入れなければならない既存の多くの技術に比べると、コスト的に楽だ。

この買収によって、Midnightの技術がFieldinの既存のソリューションに統合される。

Fieldinの共同創業者でCEOのBoaz Bachar(ボアズ・バチャー)氏は、プレスリリースで次のように述べている。「過去8年間、私たちは数百の農場と1万台以上のトラクターと、その他の農業機械をデジタル化してきました。大規模農業の世界ではどこよりも多いと自負しています。またその間、農場管理のベストプラクティスを伝えることができる大量の貴重なデータを集積しました。Midnight Roboticsを買収することで、農家はデータから得る洞察を自律的なアクションに結びつけるループを閉じることができます。農家は、自分が何をやるべきかを正確に知り、すべてを同じプラットフォーム上で、自律的に実行できます」。

Midnight Roboticsの共同創業者であるYonatan Horovitz(ヨナタン・ホロビッツ)氏とEdo Reshef(エド・レシェフ)氏はFieldinに移り、それぞれ自律担当最高責任者(chief autonomy office)とCTOになる。またこの買収により、両人はFieldinの共同創業者に名を連ねることになる。

画像クレジット:Midnight Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Mediumがオーディオ学習プラットフォームのKnowableを買収

米国時間11月16日、Mediumが2021年の3件目であり最後となる買収を発表した。買収するのはKnowableだ。Knowableはポッドキャストのようなコースを配信するオーディオベースの学習プラットフォームで、Reddit共同創業者のAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、NASA宇宙飛行士のScott Kelly(スコット・ケリー)氏、フードジャーナリストのMark Bittman(マーク・ビットマン)氏などが登場している。

Mediumは2021年にブラウザベースのグラフィックデザインツール「Projector」とソーシャル読書アプリ「Glose」を買収した。

ポッドキャスティングやライブオーディオの業界が拡大する中で、KnowableはMediumがオーディオ教材を求める人々に応える役割を果たすだろう。Knowable共同創業者のWarren Shaeffer(ウォーレン・シェーファー)氏はオーディオ担当バイスプレジデントとしてMediumにジョインし、同氏以外のKnowableのメンバーもジョインする。シェーファー氏はTechCrunchに対し、MediumとKnowableのチームはすでに補完的な取り組みを始めており、詳細は2022年の早い段階で発表する見込みだと述べた。

シェーファー氏はTechCrunchに対して次のように述べた。「専門家やソートリーダーがKnowableでコンテンツを提供しており、その中にはMediumですでに活躍している人もいます。Mediumは自身の成果を共有する、収益化可能な新しいフォーマットです。Knowableのレッスンはすぐに消え収益化できないソーシャルオーディオと、大変な労力を要するポッドキャストやオーディオブックとの間に位置するものです。Knowableが制作サイドの難しい部分を担当することで、クリエイターはオーディオに不慣れであってもすばらしいコンテンツを提供できます」。

画像クレジット:Knowable

Knowableは2019年に創業し、Andreessen Horowitz、Upfront、First Round、Initializedから資金を調達した。月額9.99ドル(約1100円)で100以上のコースを利用できるが、この買収を記念して年額25ドル(約2800円)のキャンペーンを2021年末まで実施している。買収に伴い、Knowableは独立したプラットフォームとして存続するが、将来的にはMediumのサブスクリプションバンドルに含まれる可能性がある。

シェーファー氏は「人々がポッドキャストを聴く最大の理由としてあげるのは学習です。KnowableとMediumは新しいオーディオエクスペリエンスを開拓し、クリエイターとリスナーの両方に対してこのニーズにさらに応えていきます」と述べた。

Knowableはコースを作りたい専門家やソートリーダーから申請を受け付けている。申請が通ると同社がコース開発に協力する。同社は四半期の収益の30%と紹介したメンバーシップの30%を、コースを公開しているクリエイターに分配する。

画像クレジット:Knowable

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

英政府が国家安全保障と競争に関する懸念でNVIDIAのArm買収に対するより詳細な調査を開始

チップメーカーのNVIDIA(エヌビディア)が英国のチップ設計会社Arm(アーム)を400億ドル(約4兆5820億円)で買収する計画について、英政府は競争市場庁(CMA)に詳細な調査を行うよう指示し、英国の競争規制当局による綿密な調査が行われることになった。

英デジタル長官Nadie Dorries(ナディン・ドリーズ)氏は、競争および国家安全保障上の懸念を理由に、第2段階の調査を実施するようCMAに書面で指示したことを現地時間11月16日に発表した。

英政府は8月にCMAの予備調査の詳細を発表していた。調査では、この買収がデータセンター、IoT(モノのインターネット)、自動車分野、ゲームアプリケーションの市場における「実質的な競争の低下」につながる可能性があるとして、買収にともなう多くの競争上の懸念を指摘していた。

11月16日に公開されたCMAの第1段階報告書は、競争上の理由からより詳細な調査を推奨しているが、国家安全保障上の問題については判断を下していない。

2021年4月、英政府は国家安全保障上の理由で介入通知を出し、CMAに対してより詳細な調査が必要かどうかを判断するために、この取引の影響に関する報告書を作成するよう求めた。

ドリース氏は11月16日、国家安全保障上の利益は依然として「関連性がある」とし「さらなる調査の対象とすべきである」と述べた。

2002年に制定された企業法に基づき、デジタル長官は、国家安全保障上の問題を含むいくつかの公益上の考慮事項に基づいて、合併に介入するための準司法的な決定を下すことができる法的権限を有している。

ドリース氏は声明の中で次のように述べている。「NVIDIAが提案しているArmの買収に関する競争市場庁の『フェーズ1』報告書を慎重に検討し、さらに詳細な『フェーズ2』調査を行うよう要請することにしました。Armは、世界のテクノロジー・サプライチェーンの中で特異な地位にあり、この取引の影響を十分に考慮しなければなりません。CMAは今後、競争および国家安全保障上の観点から私に報告し、次のステップに関するアドバイスを提供します」。

「繁栄するテック部門に対する政府のコミットメントは揺るぎないものであり、外国からの投資を歓迎しますが、今回の取引の影響を十分に検討することは正しいことです」とドリース氏は付け加えた。

第2段階の調査への言及についてNVIDIAにコメントを求めている。

CMAは第2段階の調査を行い、その結果を政府に報告するまでに24週間(8週間の延長の可能性あり)を与えられる。つまり、少なくとも、NVIDIAによるARM買収は、取引の承認を得るまでにさらに数カ月の遅延が生じることになる。

デジタル長官は、国家安全保障上および(または)競争上の理由から、買収に関連して「不利な公益認定」を行うかどうかの決定を下すことになる。

国家安全保障の問題に関する最終的な判断は、英国の国務長官が行う。国務長官は、CMAの最終報告書を受け取ってから30日以内に判断を下す。

ドリース氏は、公共の利益に反する介入理由がないと判断した場合、CMAに案件を差し戻すが、CMAは競争上の理由で反対の助言をする可能性があり、また(あるいは)懸念を解消するために案件に条件を課すことができる。

つまり、国家安全保障上の理由と競争上の理由の両方、あるいはどちらか一方の理由で買収が阻止される可能性があり、承認にはかなりの障壁がある。

しかし、最終的に両方の懸念が解消され承認される可能性もある(CMAの第1段階の調査で重大な懸念が示されたため、競争面で懸念がなくなる可能性は低いと思われる)。

また、救済措置(特定の懸念に対処するための条件や制限)付きで取引が承認される可能性もある。

高まる懸念

NVIDIAによるArm買収計画は、英国内ではすぐに反対の声が上がり、Armの共同設立者の1人は、NVIDIAに買収されないように「ARMを救う」キャンペーンを始めた

世界的なチップ不足により、半導体分野におけるサプライチェーンの安定性への懸念が強まっている(ただし、Armは自社でチップを製造するのではなく、IPの開発やライセンス供与を行っている)。EUは最近、半導体供給に関する地域主権の強化を目的とした半導体法を制定する計画を発表した

欧州連合(EU)も10月末に独自の詳細な調査を発表するなどNVIDIAとArmの取引を直接調査しており、NVIDIAがArmを買収するための新たな障害となっている。

欧州委員会は、CMAの第1段階の調査と同様の見解を示し、NVIDIAとArmの合併に関する予備的分析では、多くの競争上の懸念があると述べた。

「欧州委員会は、合併した企業が、NVIDIAのライバル企業によるArmの技術へのアクセスを制限する能力と動機を持つことになり、提案されている取引が価格の上昇や選択肢の減少につながることを懸念しています」とEUの幹部は先月述べた。「ArmとNVIDIAは直接競合していませんが、ArmのIPは、たとえばデータセンター、自動車、IoTなど、NVIDIAと競合する製品の重要なインプットとなっています」と、競争担当のMargrethe Vestager(マルグレーテ・べステアー)氏は声明で述べた。

「我々の分析によると、NVIDIAによるArmの買収は、ArmのIPへのアクセスを制限または低下させ、半導体が使用されている多くの市場に歪んだ影響を与える可能性があります。我々の調査は、欧州で活動する企業が、最先端の半導体製品を競争力のある価格で生産するために必要な技術への効果的なアクセスを継続できるようにすることを目的としています」。

EUは2022年3月15日までにこの買収を認めるかどうか判断する。

10月のロイター通信の報道によると、欧州委員会はEUの綿密な調査を回避しようとするNVIDIAが先に提示した譲歩案に揺るがなかったという。

画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi