米アマゾンが地元小売店での商品受け渡しに再挑戦

Amazonが展開中の「Local Selling」(ローカル販売)サービスは、地域の小売店が近隣の顧客に品物の受け取り場所と近くて早い配達の両方を提供する。

新しいオプションで売り手は、商品の店内受け渡しなどのサービスを特定のZIPコード(郵便番号)で提供し指定できる。場合によっては、顧客が品物を売り手の店舗から当日配達で購入し、それをその店舗で受け取ることもできる。

店舗で受け取ることができる商品は、ページに「store pickup」(店で受け取る)タブがある。顧客が注文すると、店舗に品物が到着したとき通知が届く。その商品は、最大5日間、店舗にある。

店舗ではまた、その店舗による配達を指定できる。配達の手配をするのは、その店舗自身だ。顧客が購入時に「arranged delivery」(配達を頼む)を指定すると、店舗が顧客に配達の日時を連絡する。注文の際の指定で、家具や大型家電などの据え付けを頼むこともできる。

AmazonのLocal Sellingは、それを申し込んだ地元店だけでなく、以下の全国チェーンでも利用できる:

  • Mavis Discount Tire
  • Sears Hometown Store
  • 4 Wheel Parts
  • Electronic Express
  • Best Buy
  • Appliance Connection
  • Mattress Warehouse
  • Beach Camera
  • Adorama
  • DataVision
  • Exclusive Furniture
  • World Wide Stereo
  • MODIA
  • Focus Camera

同社によると、Local Sellingは2021年〜2022年にかけて拡張するため、実施したい店舗は今日からでも応募できる。

Amazonのレクリエーションおよび職業部門担当副社長Jim Adkins(ジム・アドキンス)氏は「私たちが行った調査によれば、地元店での受け渡しは多くの顧客に受け入れられている。またこの機能により売り手は顧客とより親しくなり、自店の優れた商品や自店の利便性を訴求することが、喜んでもらえる」という。

なおAmazonは2019年に、同じく顧客が小売店で品物を受け取る仕組みとして、「Counter」(カウンター)というサービスをテストした。それは同社が小売店とパートナーして、オンラインで注文した品物の受け渡しカウンターをセットアップするものだった。

今回の企画でAmazonが望んでいるのは、サードパーティのネットワークと実店舗を利用して顧客の手に品物がより早く届くことだ。またそれによりAmazonは、顧客を小売店のウェブサイトよりもむしろ、自分のマーケットプレイスにキープしたい。また、パンデミックで街角での受け渡しが増えていることも、契機になっている。

しかも、WalmartやTargetにはかなり前からこのオプションがあり、Amazonも大型店や地域小売店と今後もさらに競合していくためにはこのような新しいサービスが必要だ。Shopifyのマーチャントにも今では店内受け渡しサービスがあるから、Amazonは彼らとの競合も意識せざるをえない。

画像クレジット:David Becker/AFP/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフトがWindows 11ベータ版でAndroidアプリのテストを開始

Microsoft(マイクロソフト)はWindows 11を発表した際、機能性の低いタスクバーでユーザーを困らせたいということについては何も言わなかったが、新しいOSがAndroidアプリをサポートすることについては話す気満々だった。しかし、わずか数週間前にリリースされた最初のバージョンでは、実際にはAndroidアプリをサポートしていないことがすぐに明らかになった。だが今回、MicrosoftはAmazon(アマゾン)とそのアプリストアとの提携により、約50種類のAndroidアプリの一部をWindows 11 Insider Programに提供することになった。

ベータ版(開発サイクルが異なるため、開発者向けビルドは含まれない)のユーザーは、現在、AmazonのKindleアプリ、Washington Post、Clash of Kings(クラッシュオブキングス)、Coin Master、Lego Duplo Worldなどのアプリをプレビュー体験で試すことができる。

これらはすべて、AMDとIntel(インテル)のデバイスで動作するはずだ。アプリは、Microsoftが「Windows Subsystem for Android」と呼ぶ、IntelのIntel Bridge Technologyを採用したサブシステムで動作する。注目すべきは、MicrosoftがLinuxカーネルとオープンソース版のAndroid 11をベースとしたAndroid OSを使用している点だ。そのため、Androidのほぼすべての機能を利用できるが、Google(グーグル)が開発したAndroidに搭載されているアプリや追加機能の一部は利用できない。Amazonも同様のことを行っているため、AmazonアプリストアのアプリがWindowsサブシステムでも機能するのは当然のことかもしれない。

もちろん、PCが仮想化を有効にしていることと、Windows 11を実行するためのMicrosoftの総合的な要件を満たしている必要がある。また、ストアへのアクセスにはAmazonアカウントが必要だ。

画像クレジット:Microsoft

これはゲームチェンジャーといえるのだろうか?それは不明だ。筆者はウェブでWashington Postを読むことに何の問題もないし、多くの親御さんは、自分の子供が安価なタブレットでLego Duplo Worldをプレイすることを望んでいるのではないだろうか。あなたがClash of KingsやCoin Masterをプレイするのであれば、それ以前に自問すべき別の問題がある。

さてここで、Microsoftがタスクバーを本来あるべき画面の上部に移動させてくれるのなら、もっと嬉しいことなのだが。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

Amazon Music Unlimited会員はヘッドフォンを問わず空間オーディオをストリーミングできるように

Amazon(アマゾン)は、米国時間10月19日からAmazon Music Unlimited会員はAndroidおよびiOSアプリで、現在使用しているヘッドフォンを使って空間オーディオをストリーミングできると発表した。同社は現在、2種類の空間オーディオをサポートしている。ソニーの「Reality Audio」と「Dolby Atmos」だ。

Amazonは2019年に初めて空間オーディオを導入したが、少数のデバイスに限定されていた。今回の拡張により、ユーザーが所有するあらゆるヘッドホンで空間オーディオを楽しめるようになる。

「我々は常に、可能な限り最高品質のオーディオが音楽ストリーミングの標準であるべきだと考えてきました。だからこそ今日、特別な機器を必要とせず、またアップグレードの必要もない空間オーディオを顧客に提供します」と、Amazon Music副社長のSteve Boom(スティーブ・ブーム)氏は声明の中で述べた。

ユーザーは、Echo Studioを含む一部のデバイスで、Alexa Castを使って空間オーディオをストリーミングすることもできる。また、Alexa Castによる360 Reality Audioに対応した機器としては、ソニーのワイヤレススピーカー「SRS-RA5000」や「SRS-RA3000」、ホームシアターシステム「HT-A9」「HT-A7000」「HT-A5000」などが追加された。

加えて「Amazon Music Unlimited」の個人プラン、ファミリープラン、学生プランに加入しているユーザーは、追加料金なしで自動的にHDおよびUltra HDの音楽にアクセスできるようになる。

Amazon Music Unlimited個人プランの料金は、プライム会員が月額7.99ドル(日本では月額税込780円)、Amazonカスタマーが月額9.99ドル(月額税込980円)となっている。ファミリープランでは、月額14.99ドル(月額税込1480円)で最大6台のデバイスにAmazon Music Unlimitedをストリーミングできる。

Apple Musicが6月にiOS向け、7月にAndroid向けに空間オーディオを開始したように、空間オーディオを活用している音楽ストリーミングサービスはAmazon Musicだけではない。Apple MusicやAmazon Musicに対抗するため、Spotify(スポティファイ)は2021年初め、ロスレスオーディオを可能にするハイエンドのサブスクリプションサービス「Spotify HiFi」を展開すると発表した。

空間オーディオを活用しようとしているプラットフォームは、音楽ストリーミングサービスだけではないことも注目に値する。Clubhouse(クラブハウス)は9月、Android向けに空間オーディオを導入した。そしてNetflix(ネットフリックス)はこのほど、iPhoneとiPadのアプリで空間オーディオを提供すると発表した。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンのZooxが自律走行車の運用テストをシアトルに拡大

Amazon(アマゾン)に2020年買収された自律走行車のスタートアップZoox(ズークス)が、シアトルに進出する。同社は、自律走行車のテストの拠点となるエンジニアリングオフィスとオペレーション施設を2022年にオープンする予定だ。

現在、1300人以上の従業員を擁するZooxは、サンフランシスコ、ラスベガス、そして本社近くのカリフォルニア州フォスターシティで自律走行車のテストを行っている。同社は、2019年にラスベガスで自律走行車の公道テストを開始した。

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共同創業者でCTOのJesse Levinson(ジェシー・レビンソン)氏によると、オペレーション施設とエンジニアリングオフィスには、ほとんど新入社員が配属されるという。シアトルでの正確な従業員数は明らかにされていないが、レビンソン氏は、2021年に450人の新規雇用を創出することが同社の目標の1つであると述べている。

Zooxは、Amazonが拠点を置くシアトルで事業を立ち上げているが、レビンソン氏はTechCrunchに対し、2つの会社はまだ別々に運営していると述べている。例えば、Zooxのオフィスとオペレーションハブは、Amazonのキャンパス内には設置されない。レビンソン氏は、ZooxがAmazonに近いという利点を生かして、将来的にはAmazonとさまざまなコラボレーションを行っていくと述べ、それを「特別ボーナス」と表現した。

Zooxは何年も前からシアトルをテストサイトとして注目していたとレビンソン氏はいう。同社は、2019年末に同市で小規模なパイロットを完了させたほどだ。この地域の雨の頻度は、Zooxがシアトルを選んだ主な理由の1つだとのことだ。

「良くも悪くも、サンフランシスコではあまり雨が降らないし、ラスベガスはさらに雨が少ない。我々はテストのために、かなりの量の雨が降り、頻繁に雨が降るODD(運行設計領域)を求めています」。

Zooxでは、センサーのために「アクティブ・レイン・ミティゲーション」と呼ばれる高度な耐候性を発展させてきた。「我々は、その耐候性を雨の中でテストし、確認したいと考えており、シアトルはそのために完璧な場所なのです」とLevinson氏は語った。

Zooxがシアトルに興味を持ったのは、そのトンネルや、他とは異なる道路網、自律走行車に対する政策、さらにはロボットタクシーの商用サービスを開始するのに理想的な都市であると考えたからだ。

レビンソン氏は「サンフランシスコとラスベガスは、我々が取り組んでいる商用化のターゲットとなる都市であることはすでに発表しましたし、それは今も変わりません。しかし、今後の展開として、シアトルは我々の候補地の中でもかなり上位に位置しています」と述べた。

Zooxは、シアトルで「Level 3(レベル3)」と呼ばれる車両のテストを、自律走行システムを搭載したトヨタのSUVハイランダーで行う。Level 3のセンサーは、時速75マイル(約時速120km)で4人を運ぶことができる、ハンドルがなくムーンルーフがついている電気自律走行ロボタクシーのものと同じものだ。このLevel 3のテストと検証が「L5」車両に直結するとレビンソン氏は語った。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Yuta Kaminishi)

【コラム】Twitchのハッキング、「強奪」は新しいランサムウェアのかたちなのか

先に発生したTwitchの大規模なハッキングは、セキュリティ業界を騒然とさせた注目される侵害事件の最新例だ。誰もが「なぜこんなことが起きたのか」と疑問に思っている。大量の重要なデータ、しかもソースコードまでもが、アラームを出されることなくどうやって盗めるのか。セキュリティが充実しているはずのAmazonの企業が、4chanで噂が広まるまで被害に気づかないなんて、どういうことなのだろうか。

Threat Postによると、セキュリティ担当者たちは、ハッカーたちの「第2弾」となる暴露の内容を理解するために、不安な気持ちで待っているが、おそらくパスワードやユーザーのEメールが次にくるのではないかということが明らかになってきている。

Twitchにとって、PRの悪夢は始まったばかりだ。今や数百万のプレーンテキストによるユーザーの個人情報が、ハッキングで公開されたデータの山を利用しようと待ち構えているセキュリティの常習犯たちに広まっていくだろう。

まず、Twitchのユーザーは、すぐにパスワードを変更し、まだ変更していない場合はアカウントの多要素認証を有効にすべきだ。Twitchは、「慎重を期して」すべてのストリームキーをリセットし、危機的状況下でもプラットフォームをオンラインに保つことができた。そのこと自体が、このような大規模な事件の中では印象的であり、特筆すべきことだ。

変化を続ける犯行手口

クリエイターへの多額の支払いからAmazonのCEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏への荒らしなど注目すべき部分もあるが、今回の攻撃の性質や、身代金を要求するのではなく強奪にシフトしたことには深刻で重要な意味がある。

自分のデータのコントロールを失った被害者企業にできることは、高額を払って解読鍵を手に入れるか、バックアップからデータを再構築するかという二択ではない。犯人の目的が単純な身代金の支払いではなく脅迫が目的となった場合、企業の危機対応も飛躍的に複雑になる。

Twitchは、この新しくて厄介な戦術の最後の被害者ではない。その勢いは増しているように見える。

先手必勝

仮に、Twitchのセキュリティ対策が今日の標準から見て成熟度が高いものだったとしても、同社も含め現在の企業は、セキュリティの運用とインシデント対策の計画化に十分な投資をしていない。そこで往々にして、対策が遅すぎたことに事後、後悔するという事態になる。

自覚すべきは、企業があらゆることを正しくやっていたとしても、100%完璧なセキュリティ対策はなく、犯人たちは、たった1つの脆弱性を見つけるだけで十分という事実だ。必要なのは、十分にテストされ、十分に文書化された計画があることと、万一のときの対応が確立していることだ。

セキュリティ事故の際、最高位の意思決定者は誰なのか?シャットダウンをするためには何をいつやるべきか?誰に何をどんな順序で命じるべきか?まだ事故も犯行もなく余裕が十分あるときに、これらを決めておくべきだ。事が起きてからでは何もできないからだ。そして実際に何かが起きたときには、対策が十分にテスト済みでなければならない。

Twitchの被害の全貌はまだ明らかでないが、そこから私たちが学ぶべきことは大きい。成熟した、リソース(物、金、人)に恵まれたシステムでも侵入されるし、最近の犯人たちはランサムウェアに固執することなく大混乱を惹き起こし、データをコントロールしようとする。

企業に必要なのは、計画を立て、正規に文書化し、そのプロセスを公式の内規として規則化して、被害を検出し最小化するために必要十分な保護対策が常時行われている状態を維持することである。元々アンフェアなゲームであり、しかもますます複雑化していることを自覚しよう。

編集部注:本稿の執筆者Ian McShane(イアン・マクシェーン)氏は、Arctic WolfのフィールドCTO。

関連記事:クリエイターの報酬データが大量流出、Twitchのストリーマーの反応は

画像クレジット:Anadolu Agency/Getty Images

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(文:Ian McShane、翻訳:Hiroshi Iwatani)

クリエイターの報酬データが大量流出、Twitchのストリーマーの反応は

ストリーミングプラットフォームのTwitchは米国時間10月6日、クリエイターの報酬を含む膨大な内部データが流出し、オンラインで公開されてしまったことを認めた。同社はブログ記事で、流出の原因はTwitchのサーバー構成を変更した際のエラーであり、悪意のある第三者がそのデータにアクセスしたと述べた。今回の漏洩は、多くのストリーマーにとって、ストリーミングにおける給与の透明性とTwitchにおける安全性を巡るこれまでの緊張を悪化させるものだ。

今回の漏洩は、この数カ月間に起こった。TwitchはAmazon傘下のプラットフォームだ。2021年初めの時点で、ゲームのライブストリーミング視聴者数の72.3%を占め、Facebook GamingやYouTube Gamingなどのプラットフォームに比べ、圧倒的な強さを誇る。疎外されたクリエイターが憎しみに満ちたボット攻撃の標的にされたことから、一部のストリーマーは9月1日「#ADayOffTwitch」と称してプラットフォームをボイコットした。その結果、ピーク時の同時視聴者数は平均を100万人下回った。その後、Twitchは新たな安全機能を追加したが、コミュニティの緊張感は依然として高いままだ。

「このようなことが起こるのは時間の問題だったと思います」と、#ADayOffTwitchのボイコット主催者の1人であるトランスジェンダーのストリーマー、Lucia Everblack(ルシア・エバーブラック)氏は話す。「Twitchの活動において、そもそも安全性やセキュリティが最優先されていなかったことが明らかになりました」。

流出したのは、ソースコード、独自のソフトウェア開発キット(SDK)、Amazon Game Studiosが準備中のSteamと競合するサービスなどの未発表データだった。日中はソフトウェアエンジニアとして働くエバーブラック氏にとって、今回のクリエイターへの支払いデータの流出は、同氏が感じていることを裏付けたにすぎない。それはTwitchが、最も金を引き寄せられるストリーマーに報いることを優先しているということだ。Reddit(レディット)の投稿によると、今回流出した2019年から現在までのストリーマーのデータを分析したところ、Twitchの上位1万人のストリーマーのうち10%が、ストリーマー全体の収益の49%を占めているという。約2000人のストリーマーが、同期間にTwitchで10万ドル(約1100万円)以上稼いだ。

「Twitchのあらゆる機能がこの仕組みの上に成り立っていますが、これではプラットフォームの他の部分が成長できません」と同氏はTechCrunchに話した。「このことが他の人すべてにとって大きなブレーキになっています。特にBIPOC、LGBTQI+、障害者にとってです」。

Twitchパートナーであり、9年以上にわたってtehMoragの名で配信しているScott Hellyer(スコット・ヘリヤー)氏も、Twitchが稼げるユーザーを優先していると感じている。

「Twitch全体では、ディスカバリーが常に問題となってきました」とヘリヤー氏はTechCrunchに話した。「YouTubeにはとてもクールなアルゴリズムがあり、コンテンツを見たいと思う人と繋がる方法をコンテンツの作者が探すのを手伝ってくれます。Twitchも同じことを試みていますが、十分に努力しているとは思えません。今、人々は『ああ、ディスカバリー機能を高めようとしないのは当然だ、Twitchは人々を上位のストリームに押し込むだけだ。彼らはすでにTwitchにとって必要なお金を稼いでいるのだから』と言っています。その方が投資効果は高いし、それは理解できます」。

4chanのスクリーンショット

漏洩した情報によると、トップストリーマーの大半は白人男性で、ゲーム業界の多様性の欠如を大きく反映している。リストの中で最も高い報酬を得ている女性ストリーマーであるPokimane39位にすぎない。しかし、探索しやすい機能があれば、Twitchはより多様なクリエーターを増やすことができるだろう。エバーブラック氏をはじめとする社会から疎外されたストリーマーらはTwitchに対し、アイデンティティベースのタグをストリームに追加するよう働きかけた。そうすればユーザーは、支持したい多様なクリエイターを見つけることができる。Twitchは5月にこのタグを追加したが、エバーブラック氏はその前にPeer2Peer.liveを立ち上げた。これは、疎外されたストリーマーと視聴者がお互いを見つけるためのオプトインの探索ツールだ。ユーザーの中には、このタグが悪意ある人たちによるヘイト・レイド(差別的コメントによる荒らし)のためのターゲット探しを助長するのではないかと心配する人もいるが、エバーブラック氏は、このタグによって大きな成長が見られたと語る。一方、Twitchは、これらのユーザーを攻撃の標的となる危険性から守るため、電話による認証が必要なチャット機能を追加した。

関連記事:Twitchが電話認証付きチャット機能の追加とメール認証設定を拡大、ハラスメント抑制のため

しかし、ストリーマーがいったん視聴者を獲得したとしても、Twitchでそれなりの収入を得ることは難しい。収入上位者が稼ぎ得る金額にもかかわらずだ。ストリーマーが十分な人気を得ると、Twitchパートナープログラムへの参加を申請することができる。プログラムからクリエイターに多くのツールや収益化の選択肢が提供される。だが、TechCrunchが話を聞いた複数のストリーマーは、すべてのTwitchパートナーが同じ給与体系ではないことは公然の秘密だとした。2017年にInsiderは「パートナーは人気に応じて、サブスクリプション収入の2〜6割を受け取る」と報じた。サブスクリプション収入は、TwitchパートナーとTwitchが折半するのが標準だが、一部のストリーマーが主張するところでは、クリエイターらが最近、より有利な6〜7割の受け取りの交渉に成功し、勢いを増すYouTube Gamingの標準的な支払いと肩を並べた。CouRage、DrLupo、Valkyraeなどの人気ストリーマーの中には、YouTubeとの独占契約のためにTwitchを離れた人もいる。

JessGOATの名でストリーミング配信を行っているJess Bolden(ジェス・ボールデン)氏はInputに対し「Twitchと50対50の割合で契約しているLGBTQIAや女性のストリーマーの数と、広告契約でおそらく75対25の割合で契約している男性(私は違うが)の数を比較したら、とてつもなく大きな問題に発展しそうです」と語った。

Twitchは、一部のパートナーの契約条件が他のパートナーよりも良いという主張について、コメントを控えた。

ヘリヤー氏は、情報漏洩後にTwitterで、Twitchでの報酬についてもっと話したいとずっと思っていたが、パートナー契約によってそれができなかったと投稿した。

「情報漏洩があるまで、Twitchは契約の種類ごとの分け前について決して明らかにしませんでした。ですが、生の数字が出てきたことで、本当に頭のいい人たちは、そうしたストリーマーのCPM(cost-per-mile、広告視聴1000回あたりの支払金額)がいくらなのか、Bitsをどれだけ稼いでいるのか、サブスクリプション収入はどうなのか、といったことを把握できます。こうした情報を追跡するサイトはありますが、いったいストリーマーはどれだけ稼いでいるのかという部分は除外されています」とヘリヤー氏はTechCrunchに話した。「実際に稼いでいるお金について話すことはできませんが、購読者数のような代替値を示すことはできます。しかし、そこには透明性がありません。私の購読者は、私が50対50で分け前をもらっているかどうか知りません」。

テクノロジー業界では、給与の透明性を高めるための大きな動きがある。これは、例えば、同じ仕事を担当する2人のエンジニアの給与が大きく異なっていないことに関する説明責任を企業に負わせるものだ。

「Twitchは社会を反映しています」とRekItRavenはTechCruchに語った。Ravenは、#ADayOffTwitchのボイコットを主導し、#TwitchDoBetterのハッシュタグを始めた。「給料やお金の話をしてはいけないことになっていますが、それを正当化できる理由はまったくありません」。

ただし、Twitchからの支払い額は、テック企業がエンジニア1人1人に支払う金額より複雑だ。Twitchはパートナーの契約条件を設定しているが、すべてのチャンネルが同じように作られているわけではない。

Critical Roleは2019年8月以降、962万6712ドル(約10億6000万円)を稼いだとされ、高額所得ストリーマーの中でトップに立った。2位はxQcOWで、845万4427ドル(約9億3000万円)を稼いだ。しかし、ダンジョンズ&ドラゴンズのショーを31人のチームメンバーで制作するCritical Roleの費用は、eSportsのストリーマーであるxQcOWよりも多いだろう。さらに、すべてのストリーマーがTwitchの総収入から同じ割合を得ているわけではない。多くのクリエイターは、スポンサー契約やPatreonページ、直接の寄付、その他のプロジェクトなどのために、それぞれ収入源が異なる。

「Twitchは私の実際の収入の40%にすぎません」とヘリヤー氏はいう。「今回のようなことが起こっても大丈夫なように、収入源を多様化しなければなりませんでした」。

エバーブラック氏は、数百万ドル(数億円)を稼ぐクリエイターよりも、小規模なクリエイターの方が、流出した報酬額について非難されやすいのではないかと心配する。同氏は、小規模なストリーマーが安心してチャンネルを成長させられるようなコミュニティ主導の機能をTwitchが実装すれば、情報が流出したかどうかにかかわらず、疎外されたクリエイターにとってTwitchがより良いものになると考えている。同氏が提案する追加機能は、コミュニティの優れたメンバーとなっている視聴者にストリーマーが報いる手段や、大規模なストリーマーが1人の無防備なストリーマーに何千人もの人々を送り込むのではなく、複数のストリームに小規模なレイドを送り込むツールだ。

「Twitchコミュニティにおいて、マージナライズド・ボイス(阻害された人々の声)は非常に重要です。もしTwitchが彼らを正直に招き入れ、彼らの声に耳を傾けるならば、彼らが遭遇し続けている多くの状況を回避することができると思いますし、実際に人々のためになる機能を積極的に追加することもできるでしょう」とエバーブラックは語る。「Twitchは、一部の大規模なクリエイターに光を当てすぎて、プラットフォームに参加していない巨大なネットワークを間違いなく見逃していると思います。プラットフォームが本当に気にかけているのはゲームをする白人の男性だからです」。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンが米国外で初の4-Star Storeをオープン、評価4つ星以上の商品が並ぶ

Amazon(アマゾン)は、ロンドン中心部の南東に位置するモール、ブルーウォーターに4-Star Store(フォースターストア)をオープンした。このストアは米国外で初の4-Star Storeというだけでなく、同社が英国で初めて、非食品・非生鮮品を販売する店舗でもある。ニューヨークや米国の他の都市にあるAmazonの4-Star Storeと同様に、ブルーウォーターの店舗では、4つ星以上の評価を受けた商品や、eコマース大手の英国サイトでトップセラーになっている商品、トレンドになっている商品を販売する。

Amazonがオンラインで販売している評価の高い商品をすべて取り扱うことはできないため、店舗での品揃えは厳選されたものになるが、家電、玩具、ゲーム、書籍、キッチン、ホームなどのトップカテゴリーの商品を取り扱う予定だ。また、Kindle電子書籍リーダー、Fireタブレット、Echoスピーカーなどの自社製品だけでなく、英国内の中小企業の製品も販売する予定だ。

このストアには、ウェブサイトの特定のセクションに対応したセクションが設けられており、例えば「Most Wished For」では「欲しい物リスト」に登録された商品が紹介されている。また「Trending in Bluewater」では、地元のカスタマーが購入した商品が紹介され「Most Gifted」では、ギフトとして注文の多かった商品が紹介される。Amazonは、カスタマーのフィードバックや最新のトレンドに合わせて、定期的に商品を入れ替えていくとしている。

ストア内の商品には、商品の価格、平均星評価、カスタマーレビューの数が記載されたデジタルタグが付けられる。また、プライム会員でなくても、そのストアで買い物はできる。ただし、この店舗には、ロンドンのFresh食料品店のようなAmazonのJust Walk Out技術は搭載されない。Just Walk Outは、買い物客が棚から必要なものを手に取り、有人レジやセルフレジで支払いをすることなく、そのまま外に出られるというものだ。しかし、Amazonの英国サイトから購入し、翌日に店舗で注文品を受け取ることはできる。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moon(マリエラ・ムーン)氏はEngadgetのアソシエートエディター。

画像クレジット:Bluewater

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(文:Mariella Moon、翻訳:Yuta Kaminishi)

アマゾンがミルクが切れそうになると教えてくれるスマート冷蔵庫を開発中と情報筋

Amazon(アマゾン)は、レジなしのAmazon Goストアで使用している技術の一部を、あなたのキッチンに導入することを目指していると報じられている。InsiderによるとAmazonは、中に入っているアイテムを監視し、なくなりそうなものがあれば注文をアシストしてくれるスマート冷蔵庫の開発に取り組んでいるという。

このプロジェクトは少なくとも2年前から同社が取り組んでいるもので、Amazon Goシステムを開発したチームが指揮を執っているという。Goストアで使用されているJust Walk Out技術は、買い物客がカートに入れたものを追跡し、退店時に自動的にチャージするものだ。この冷蔵庫のプロジェクトには、Amazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)とLab126のハードウェアチームのメンバーも参加しているとのこと。

報道によると、この冷蔵庫は、中に入っている商品をモニターし、ユーザーの購買習慣を把握する。頻繁に購入する商品の在庫が少なくなると、冷蔵庫が知らせてくれ、Whole Foods(ホールフーズ)やAmazon Freshに追加注文しやすくするということで、同社の食料品部門が活性化する可能性がある。また、冷蔵庫はレシピの提案もしてくれるので、賞味期限が近づいている商品を忘れていた場合などにも便利かもしれない。

Insiderの情報筋によると、Amazonは冷蔵庫を自社では作らないだろうとのこと。家電メーカーとの提携を検討しているようだ。また、Alexa(アレクサ)による音声コントロールが搭載される可能性もある。それは大きな懸念ではないそうだが、家庭用ロボット自社製テレビなど、他のほぼすべてのタイプの製品にAlexaを詰め込んでいる同社の傾向を考えると、冷蔵庫が音声アシスタントに対応していても不思議ではない。

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同社はこれまで、このプロジェクトに年間5000万ドル(約55億7000万円)以上を費やしてきたと言われている。それでも、Amazonが計画を棚上げにする可能性もあるため、冷蔵庫が市場に出るという保証はない。もしこの冷蔵庫が発売されたとしても、おそらく安くはないだろう。Amazonの広報担当者は、同社は「噂や憶測については」コメントしないと述べている。

このコンセプトはまったく新しいものではない。2016年、Samsung(サムスン)は、ドアを開けなくても中のものを把握できる冷蔵庫を発表した。内蔵のタッチスクリーンを使って食料品を注文することもできる。Amazonの冷蔵庫は、切らしそうな商品にフラグを立て、Amazon独自の食料品エコシステムを通じ、それらの商品を補充注文できるということで、Samsungのアイデアをさらに推し進めたものといえる。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Anna Omelchenko / Shutterstock

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(文:Kris Holt、翻訳:Aya Nakazato)

インドネシアで卸売りマーケットプレイスを運営するUlaにアマゾン創業者が出資

インドネシアのeコマース企業であるUla(ウラ)は、2020年の創業以来、3000万ドル(約33億3000万円)以上の資金を調達し、多くの著名な投資家と関係を築いてきたが、さらにこの度、世界で最も裕福な人物の信頼を獲得したようだ。

Amazon(アマゾン)の創業者が、この1年半前に創業したスタートアップの新たな資金調達ラウンドに出資したと、関係者やこの件に詳しい多くの人物が語っている。

ジャカルタに本社を置くUlaには、B Capital Group(Bキャピタル・グループ)、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パトナーズ)、Quona Capital(クオナ・キャピタル)がすでに出資しているが、現在は8000万ドル(約88億8000万円)以上を調達する新ラウンドの確定に向け、交渉を進めているところだ。

アマゾン創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、自身のファミリーオフィスであるBezos Expeditions(ベゾス・エクスペディション)を通じてUlaに投資することに合意したと、関係者が語っている。B Capital Group、Tencent(テンセント)、Prosus Ventures(プロサス・ベンチャーズ)が主導するこのラウンドは、早ければ2021年10月中にもクローズする見込みだ。

ベゾス氏は、企業間電子商取引プラットフォームを運営するUlaに関心を示しているが、現在のところ、アマゾンはほとんどの東南アジア諸国には進出していないか、あるいは限定的なプレゼンスを維持しているのみである。

Ulaの広報担当者は、米国時間10月2日に求められたコメントの要請に応じなかった。

Ulaは、小規模な小売店が直面するサプライチェーン、在庫、運転資金などの非効率性を解決するための支援を行っている企業だ。卸売り電子商取引マーケットプレイスを運営し、店舗オーナーが必要な在庫だけを仕入れられるようにするとともに、運転資金も助成している。

このスタートアップは、インドのFlipkart(フリップカート)の元幹部で、Sequoia Capital Indiaの元パートナーであるNipun Mehra(ニプン・メーラ)氏、以前はアマゾンで働いていたAlan Wong(アラン・ウォン)氏、一般消費財大手P&Gのインドネシア事業を監督していたDerry Sakti(デリー・サクティ)氏、Lazada(ラザダ)とaCommerce(エーコマース)に勤務していた経歴を持つRiky Tenggara(リキー・テンガラ)氏によって設立された。

画像クレジット:Pradeep Gaur/Mint / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米国アマゾン、プライム会員はメールアドレスや電話番号だけでギフトを送れるように

Amazon(アマゾン)は米国時間10月4日、ホリデーショッピングシーズンに向けて、モバイルアプリでギフトを送る際に使える便利な新機能を発表した。デジタル化された現代では知らない人が多い受取人の住所を入力する代わりに、プライム会員は、電話番号やEメールアドレスを使って友人にギフトを送ることができるようになった。

この機能は、チェックアウト時に配送先の住所を入力する代わりの手段を提供するもの。相手の住所を知らない場合は「Let the recipient provide their address(受取人に配送先住所を提供してもらう)」という新しいオプションを選ぶことができるようになる。そして、相手のメールアドレスまたは携帯電話番号を入力する。

チェックアウトが完了すると、ギフトを受け取った人は、あなたが提供した情報に応じてEメールまたはテキストを受け取り、自分のAmazonアカウントから希望する配送先をAmazonに伝えることでギフトを受け取れる。または、ギフトで受け取った商品と同額のAmazonギフトカードと交換するオプションもある。これは、ギフトの送り主がチェックアウト時に「ギフトレシートを追加する」オプションを選択することで可能になる。もちろんこの交換は実店舗のショッピングと同じように、ギフトを贈った人に通知することなく行える。Amazonはギフトを受け取った人にもともと購入された商品を表示するため、ギフトを選んでくれた人にはそのアイテムに対する感謝の気持ちを伝えることができる。

この機能は、Amazonで買い物をしたい人なら誰でも利用できるというわけではない。同社はその代わりにこれを、ユーザーにプライム会員(年額119ドル / 月額12.99ドル、約1万3200円 / 1440円)への登録を促すための新たなプロモーション手段として利用している。ギフトシーズンの煩わしさを解消することで、会員登録を躊躇していた人たちの背中を押す可能性はある。しかしおそらく、これまでAmazonプライムの利用を検討していなかった人に入会を促すほどの理由にはならないだろう。家族や友人、同僚に住所を教えてもらうだけなら、いつでもできるからだ。しかし、すでにプライム会員になっているユーザーにとっては、特にギリギリのタイミングでのプレゼントや贈り物を忘れた時など、有益なリテンション戦略として役立つかもしれない。

アマゾンによると、この機能は10月4日から米国のプライム会員向けにモバイルアプリで展開される予定だ(今のところ、米国本土に配送するギフトのみが対象)。

同社は4日、ブラックフライデーの早期割引情報や、複数週にわたりさまざまな商品が割引になるビューティーホール(買い込み)イベントも発表した。

画像クレジット:Thomas Trutsche / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

インドの新しい決済ルール発効による影響に備えるテックジャイアントたち

世界第2位のインターネット市場であるインドで、中央銀行が定期的支払いを処理するための新たな指令を施行したことにともない、Apple(アップル)、Sony(ソニー)、Google(グーグル)、Zoom(ズーム)、PayPal(ペイパル)などのハイテク企業や多くの銀行が、インドの顧客やパートナーに対して、取引の拒否が急増することを予想して注意を促している。

インド時間10月1日に発効したインド準備銀行(RBI、インドの中央銀行)の指令は、銀行、金融機関、ペイメントゲートウェイが5000インドルピー(約7490円)以上の自動更新される取引に対して、通知、電子マンデート、AFA(Additional Factors of Authentication、要素追加認証)を介して、ユーザーから追加の承認を得ることを求めている。この指令は、クレジットカードだけでなく、デビットカードのすべての取引にも影響する。

2019年に初めて発表されたこの指令は、2021年4月に発効する予定だったが、銀行などの影響を受ける業者が、遵守するための準備が十分ではないと主張したため、9月30日まで延長された。

中央銀行は、業界の対応に不満があったようで、3月には「延長された期限を超えてフレームワークの完全な遵守を確保するのが遅れれば、厳しい監督措置を取ることになる」と述べていた。

インド準備銀行は、2019年に行われた当初の案内時点で、このフレームワークは「リスク軽減と顧客の簡便化のための措置」として機能するようにデザインされていると述べ、こうした取引を処理する業者は「実際の請求の少なくとも24時間前に、顧客の指定に応じてSMSまたは電子メールで取引前通知を顧客に送信しなければならない」としていた。

複数の企業が、顧客や、場合によっては他のビジネスパートナーに対して、新しい指令についての注意を促している。

水曜日(インド時間9月29日)には、Appleは開発者に対して、この新しい指令によって「要件を満たさない一部の取引は、銀行またはカード発行会社によって拒否されるでしょう」と注意を促した。

インド最大の民間銀行であるHDFCは、ウェブサイトに以下のメッセージを掲載した。「ご注意:2021年10月1日より、HDFC銀行のクレジットカードやデビットカードを使って、加盟店のウェブサイトやアプリで行われた自動引落(定期的な支払いを処理するための電子指示)は、RBI(インド準備銀行)が定めたプロセスに準拠していない限り、承認されません」。HDFC、Axis、Kotakを含む複数の銀行が、今週、新ルールを遵守することを発表している。

2021年5月には、GoogleはPlay Storeでの定期的な支払いを行う新規顧客の登録を停止している。同社は開発者に対して「このエコシステムの課題が解決されるまで」、無料トライアルや導入価格をアプリから削除するよう求めた。YouTubeは、プレミアムサービスに対して、プリペイド方式の、使った分だけ支払い(pay as you go)方法のみをサポートするようになった

また同じ月にAmazonは、追って通知があるまで、Amazonプライムの無料体験への新規会員登録を「一時的に」中止すると発表した。その後、新たな通知は行われていない。

この指令は、リテールバンクの連合体が構築した決済インフラであるUPIを通じた定期的な支払いには影響しない。そのため、Netflix(ネットフリックス)をはじめとするいくつかの企業は、インド国内のUPIを使った自動支払いをサポートしている。

しかし、影響は広範囲に及ぶと思われる。あるフィンテック企業の創業者がTechCrunchに語ったところによると、彼らがFacebookやGoogleで広告を出すために利用している決済サービス会社が、中央銀行のルールを理由に、今週後半から自動決済は処理されないと通知してきたそうだ。この創業者は、デリケートだと思う内容を話すために匿名を希望した。

この新ルールは、インド中央銀行が近年提案または施行してきた一連のガイドラインの中で最新のものだ。Pratik Bhakta(プラティック・バクタ)氏がThe CapTable(キャップ・テーブル)に投稿した概要によると、今回の動きは、規制当局がユーザーのために革新を行うフィンテックスタートアップの普及を奨励している一方で、消費者を傷つけようとしている傾向がないかをRBIが注意深く見守っていることを示しているものだという。

RBIの副総裁であるT Rabi Sankar(T・ラヴィ・サンカー)氏は、今週初めに開催された会議で「法律が追いつくまでは、破壊的ではない方法で金融システムがデジタル・イノベーションを吸収できるよう、規制を適応させなければなりません」と述べ「すべての利害関係者が短期的な利益よりも長期的な改善を重視し、インフォームド・コンセントやデータ利用の透明性といった、成熟した慣行を浸透させてこそ、繁栄し成熟した決済システムに到達することができるでしょう」と語っている。

ソニーは、インド時間9月30日にPlayStation Plus(プレイステーション・プラス)の加入者に宛てた電子メールで「2021年9月30日以降、PlayStation Store(プレイステーション・ストア)でPlayStation Plusのためのサブスクリプション料を支払おうとする際に、クレジットカードおよび / またはデビットカードの支払いが失敗することがあります」と伝えている。

「これは、新規にサブスクリプションを始める場合と、定期的な支払いの両者に適用されます。このため、今後自動的に課金されるように設定されたPlayStation Plusの利用料の支払いが失敗する可能性があります。もしそうなった場合、お客様のPlayStation Plusのサブスクリプションはその時点で終了となります」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

Blue Originの安全性に関わる重大な懸念とセクハラ文化を現役ならびに元社員が提起

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、労働問題から逃れることができない。悩める億万長者のベゾス氏は、かつて率いていたAmazon(アマゾン)では、過剰労働環境をめぐり度重なる根強い批判にさらされていたが、今度は自身が経営する宇宙開発企業Blue Origin(ブルーオリジン)での敵対的な労働環境への申し立てに直面している。

関連記事:アマゾンの倉庫労働者が組合結成へ向け郵便投票を開始

明らかになった21人の現役ならびに元社員が共同で綴ったエッセイには、Blue Originの職場環境でセクハラが横行していることや、専門家としての意見の相違が封じられ、環境問題が放置され、人間の安全よりも素早い実行が優先されるものであることが、鮮明に描かれている。

このエッセイで唯一名前を明かしている著者は、Alexandra Abrams(アレクサンドラ・エイブラムス)氏で、彼女のLinkedIn(リンクトイン)のプロフィールによると、Blue Originでは2年6カ月の間働いていたという。エイブラムス氏は、同社在職中に従業員コミュニケーションの責任者となった。彼女は米国時間9月30日のCBSモーニングのインタビューで「私がジェフに言いたいのは、本当に願っていたのは、彼が私たちが思っていたような人物であればよかった、そしてBlue Originが私たちが思っていたような会社になればよかったということなのです」と語った。

Blue Originの元従業員コミュニケーション責任者だったアレクサンドラ・エイブラムス氏が、@LaurieSegallに会社に対する苦言を呈している。

「安全の文化と恐怖の文化を同時に生み出すことはできません。それらは相容れないものです」

Blue Originの広報担当者は、TechCrunchへの声明の中で、エイブラムス氏は「連邦輸出管理規制に関わる問題で繰り返し警告を受け、2年前にそれが理由で解雇された」と述べている。

さらに広報担当者は「Blue Originは、いかなる種類の差別やハラスメントも容認しない」と付け加えている。「当社は、24時間365日の匿名ホットラインを含む多くのチャネルを従業員に提供しており、新たな不正行為の申し立てがあった場合には、速やかに調査を行う」。

連邦輸出管理規制により、特定の商品や技術の米国外への輸出が制限されているが、Blue Originは本稿執筆時点で、エイブラムス氏の退社に関する詳細を明らかにしていない。

現在Blue Originは、NASAがSpaceX(スペースエックス)に月着陸船を単独で発注したことをめぐって、NASAとの間の訴訟に巻き込まれているため、今回のエッセイはBlue Originにとって最悪のタイミングで公表されたものといえるだろう。自身も入札を行っていたBlue Originは、入札以降、ソーシャルメディア上で契約について異議を唱え、米国会計検査院(GAO)に対して強い抗議を行ってきたが、会計検査院はBlue Originの訴えを退けている

関連記事:連邦政府はSpaceXがNASAの月着陸船建造を受注したことに対するBlue OriginとDyneticsの異議を退ける

このエッセイは、この夏にVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏とベゾス氏自身が軌道に乗ったことで注目を集めた、いわゆる「億万長者宇宙競争」のために、安全性が後回しにされたと主張している。さらにこのエッセイでは、会社の幹部たちがBO(Blue Origin)のNew Shepard(ニュー・シェパード)宇宙船を年間40回以上打ち上げるという目標を表明していたが、それは危険極まりないペースであり、利用可能なスタッフやリソースがまったく足りていなかったと述べている。

「このエッセイに参加してくれたあるエンジニアは『Blue Originがこれまで何も起こさなかったことは幸運だった』という意見です」とエッセイの中には書かれている。「このエッセイの著者の多くが、Blue Originの宇宙船には乗らないと言っています」。

また、このエッセイに記載されている一連の告発の中には、多くの上級管理職の間に性差別の文化があったことも主張されている。その中には、Bob Smith(ボブ・スミス)CEOの「忠実な側近」と呼ばれる人物も含まれていて、この人物はセクシャル・ハラスメントで何度も人事部に報告されたことが書かれている。

このエッセイによると、女性社員の交際相手を詮索したり、女性社員を「sweetheart(スイートハート)」とか「baby girl(ベイビーガール)」などの表現で呼ぶといった、また別の上級管理職の不適切な行動について、会社の女性たちが新入社員の女性に警告していたという。

「彼はベゾス氏との親密な個人的関係によって守られているように見えましたが、女性の部下の体を実際に触ったことで、ようやく追放されたのです」とエッセイには書かれている。

このエッセイがBlue Originの業績に影響を与えないとは考えられない。8月にベゾス氏ら3人が、11分間のフライトで宇宙に行ったNew Shepardの打ち上げを成功させた後、同社はより多くの有料乗客を迎えることを計画している。

関連記事:Blue Origin初の有人飛行成功、ベゾス氏ら4人が宇宙を体験

エッセイの書き手の大半が匿名を選んだのは、2019年に従業員が署名を求められた「非誹謗中傷条項」を含む息苦しい新しい契約書によって、少なくとも部分的には説明できるとこのエッセイには書かれている。

この手紙は米連邦航空局(FAA)の目に留まったようで、同局はTechCrunchに対して「FAAはすべての安全性に関する申し立てを真剣に受け止めており、同局は情報を検討しています」と述べている。

TechCrunchは、手紙に書かれた他の疑惑についてBlue Originに問い合わせを行っており、回答があれば記事を更新する。

画像クレジット:MANDEL NGAN / AFP / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

アマゾン傘下のRingが「バーチャルセキュリティガード」や新アラームシステム、よりスマートなモーションアラート機能を発表

2021年のRing(リング)は、Amazon(アマゾン)が毎年開催しているデバイスとサービスイベントの一部に過ぎないが、ハードウェアの刷新とEero Wi-Fi 6ルーター機能の統合を含む新しいプロアラームなど、多くのアップデートを行っている。また「Virtual Security Guard(バーチャル・セキュリティ・ガード)」と呼ばれる新サービスも用意されており、これは基本的に、ユーザーが監視できないときに代わりRingのフィードを監視するもので、よりスマートな状況認識能力により、既存のドアベルやカメラの警戒能力を向上している。

Ring Alarm Pro

「Ring Alarm Pro(リング・アラーム・プロ)」は、Eeroを内蔵したベースステーションを含む、ホームセキュリティシステムのアップグレード版だ。このベースステーションは、他の最新のEeroハードウェアとリンクするためのメッシュ機能を備えたWi-Fi 6ルーターとしても機能する(これは、Amazonが買収したコンシューマー向けブランドとのすばらしいシナジー効果となっている)。Ring Alarm Proには、月に3GBのモバイルデータが含まれており、1GBあたり3ドル(約330円)で追加データを利用できるため、24時間365日のバックアップインターネットが可能だ。RingのPower Packアクセサリーをベースステーションに取り付ければ、停電時にもインターネットを利用することができる。

また、Alarm Proベースステーションには、最大64GBのカードに対応したmicroSDカードスロットがあり、接続したRingカメラやドアベルのローカルビデオストレージとして利用できる。

これまでのRingのアラーム製品と同様に、モーションセンサー、ドア・窓センサー、火災・湿気センサーなどと連携する。また、同社のサブスクリプション製品にはプロレベル(月額約2200円)が導入されており、セルラーバックアップサービスに加えて、プロによるモニタリングや、Eeroを介した家庭用インターネットの広告ブロック(これもまたシナジー!)、コンテンツフィルタリング、脅威防御サービスなどを利用することができる。

Virtual Security Guard

Eeroの新たなプロレベルのサブスクリプション(従来の月額10ドルのオプションと一緒に提供される)とは別の「Virtual Security Guard(バーチャル・セキュリティ・ガード)」と呼ばれる新たなサブスクリプション・サービスは、現場にいるセキュリティ・ガードの利点を模倣することを目的としている。

基本的に、モニタリング会社Rapid Response(ラピッド・レスポンス)との提携により、プロの監視員による監視を追加するものだ。Rapid Responseの担当者は、会員が指定したRingのカメラやドアベルのフィードを監視し、モーションアラートに反応して、サイレンやライトの作動、双方向通話機能の使用などの介入を行い、必要と判断した場合には、実際に救急隊員を派遣する指示を仰ぐことができる。

Ringは、Virtual Security Guardが完全に契約者の管理下にあることを強調している。例えば、カメラはデフォルトで除外されており、どのカメラをいつ監視するかはユーザーが選択する。また、エージェントは、ユーザーが指定したホームモードまたはアウェイモードで監視するようにグリーンライトが点灯しない限り、カメラを起動することはできない。エージェントは、動きが検出されたときにライブビューでリアルタイムの映像を見ることができるだけで、映像はダウンロードなどのために保存されることはない。さらに、ユーザーが設定したプライバシーゾーンは監視エージェントには表示されず、バーチャルセキュリティエージェントがフィードを監視しているときは、Ringアプリでライブ表示され、エージェントが見た過去のライブビューも明確に表示されるようになっている。

具体的な価格については明らかにされていないが、ユーザーがすでにプロの監視プランを導入していることが条件となっているため、割高な価格設定になると思われる。また、このプログラムを利用するには、Ringの、屋外用のワイヤー接続したビデオドアベルまたはセキュリティカメラを導入している必要があり、2021年後半から招待制で提供される予定だ。

Custom Event AlertsとPackage Alerts

画像クレジット:Ring

2021年のRingは、空飛ぶドローンが実際に出荷されるなど、かなり目を引く発表を行っているが、多くのユーザーにとって最も役に立つニュースは「Package Alerts(パッケージアラート)」と「Custome Event Alerts(カスタムイベントアラート)」という新しいスマートアラートの導入だろう。

関連記事:Ringのホームセキュリティドローンが米国内で招待制で販売開始

「Package Alerts」は、その名の通り、ゾーンを指定して、そのゾーンに荷物があると通知を受け取ることができるというものだ。例えば、玄関先やポーチを監視するように設定して、Amazonが荷物を配達したときに通知を受け取ることができる。

これらの機能は、Ring Video Doorbell Pro 2とRing Video Doorbell(2020年モデル)のデバイスを持っている人であれば、Ring Protect Plan(リング・プロテクション・プラン)に加入している場合に限り、米国時間9月28日より利用可能となる。

「Custom Event Alerts」は、Spotlight Battery Camのユーザーに適用されるが、こちらもRing Protect Planに加入していることが条件となり、もう少しカスタマイズの自由度が増えることとなる。例えば、Ringが撮影した閉じた状態のガレージドアの静止画と開いた状態の静止画を使用して、この2つの状態を区別し、状態の変化が起こったときに警告するように教えることができる。Ringはこの機能を、ゲートやドアなど、ユーザーが定義した他のタイプの状態変化にも適用できると述べている。Package Alertsよりも少し遅れて配信を開始し「今後数カ月のうちに」利用可能になる予定だ。

Ring Jobsite Security

画像クレジット:Ring

最後に、Ringはコントラクターや現場管理者をターゲットにした「Jobsite Security(ジョブサイト・セキュリティ)」を発表した。これは、Ring Alarm Proをベースにした製品で、例えばゲートの開閉状態を把握するためのOutdoor Contactセンサーなどのアップグレード製品と使う業務用に調整されている。また、ターゲット層を「反映」して、セーフティーオレンジを多用している(セーフティーオレンジは、”反射性”を利用しているというダジャレ)。

Jobsite Securityは、The Home Depot(ザ・ホーム・デポ)との提携により、399.99ドル(約4万4000円)から独占販売される。これは、同社のブランドを国内だけにとどまらせず、B2Bの分野にも広げていくという布石なのかもしれない。

画像クレジット:Ring

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ディズニーとアマゾンが提携、カスタム音声アシスタント「ヘイ、ディズニー」を開発し搭載Echoをディズニーワールドリゾートのホテルに展開

Amazon(アマゾン)は、初めてEcho(エコー)デバイスで別の音声アシスタントを利用できるようにする。同社は先に開催した秋のイベントで、Disney(ディズニー)が開発し、Alexa(アレクサ)の技術をベースに作られた新しい音声アシスタント「Hey, Disney(ヘイ、ディズニー)」を発表した。このアシスタントは、独自の声を持ち、ディズニーファンが探索できる1000以上のカスタム・インタラクションを備えており、その多くは、本物のキャラクター音声やディズニーの膨大なライブラリーからのオリジナル録音を含んでいる。また、大規模なパートナーシップにより「Hey, Disney」の機能を追加したAlexaデバイスが、2022年からオーランドのDisney World Resort(ディズニー・ワールド・リゾート)ホテルに設置される予定だ。

まず最初に「Hey, Disney」は、ジョークややり取り可能なトリビア、お気に入りのディズニーキャラクターからの挨拶、ディズニー映画にインスパイアされた「soundscapes(サウンドスケープ)」と呼ばれるオーディオ環境へのアクセスなど、ディズニーファンのためのさまざまな体験を提供する。ユーザーがこれらの新機能を使うと、ディズニー、Pixar(ピクサー)、Marvel(マーベル)、Star Wars(スター・ウォーズ)などのお気に入りのキャラクターの声で応えてくれる。その間、このエクスペリエンス全体は「Disney Magical Companion(ディズニー・マジカル・コンパニオン)」と呼ばれるものによって動いている。

このコンパニオンは、基本的にはディズニー版のAlexaであり、新しい体験を通してユーザーを案内するために、ディズニー自身が開発したカスタムボイスだ。このコンパニオンの声はまだ明らかにされていないが、ディズニーは本物の声優を使って音を作っており、その声は「男性の声色」になるとのことだ(ミッキーだろうか?)。

画像クレジット:Amazon/Disney

2022年以降、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのホテルの部屋に「Echo Show 5(エコー・ショー5)」が置かれ、宿泊するゲストは、それを使って「Hey, Disney」体験にアクセスできるようになる。ここでは、パークの開園時間やパークへの最短ルート、食事できる場所など、リゾートのゲストが抱きがちな特定の質問にアシスタントが答えてくれる。また、アシスタントを使って、タオルの追加やルームサービスでの食事の注文など、特定のゲストサービスのリクエストをすることもできる。お気に入りのディズニーキャラクターが、ゲストのためにパーソナライズされたメッセージを1日中流すこともできる。

Amazonは、2021年初めに発表したAlexaカスタムアシスタント技術に続き、ディズニーと共同でこの新しい音声アシスタントを開発した。このソリューションでは、機器メーカーやサービスプロバイダーが、ブランドの個性や顧客のニーズに合わせた独自のインテリジェントアシスタントを作成することができる。自動車メーカーのFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)は、Alexaカスタムアシスタントの最初の顧客だったが、今回のディズニーのものは、アマゾン自身のEchoデバイス上で直接動作する最初のアシスタントとなる。このソリューションにより、ディズニーはアシスタントに独自のウェイクワード(「Hey, Disney」と特有の声、そして個性を与えることができた。また、顧客専用のインタラクション・ライブラリにつながり、それらのほどんとが「Hey, Disney」を最初に起動してからでないと利用できない仕様となっている。

画像クレジット:Amazon/Disney

Amazonは、あるアシスタントから別のアシスタントに引き継ぐことができるようなインタラクションがいくつかあるかもしれないとも触れている。例えば、誰かが「Hey,  Disney、アラームを止めて」と言ってアラームを止めようとした場合、アラームは通常Alexaの機能であるにもかかわらず、Echoが適切に反応してくれるだろう。しかし、いくつかの簡単なユースケースを除き、ディズニー固有のインタラクションのほとんどは、ディズニー自身のアシスタントで指示する必要がある。

Alexaの導入に関する提携も、今回の両社の新契約の大きな要素の1つだ。

Amazonは2018年に「Alexa for Hospitality(アレクサ・フォ・ホスピタリティ)」というプラットフォームを発表しており、Marriot(マリオット)だけでなく、LEGOLAND Parks(レゴランド・パークス)でも採用されていた。しかし、今回のディズニーの契約は、オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのホテルの数千室を網羅するものであり、Alexa for Hospitalityの大きな一歩となる。

関連記事:Amazon、ホテル向けAlexaシステムの提供開始

Amazonによると、リゾートで提供される「Hey,  Disney」体験は、ゲストが個人のアマゾンアカウントにログインできないことや、アマゾンが室内でのインタラクションの音声記録を保存しないことから、家庭での体験とはまた異なるものになるとのことだ。しかし、家庭用の「Hey, Disney」は、Alexa上で実行される他の子ども向け機能のガイドラインに従うこととなる。つまり、まず親の同意を得る必要があり、顧客は既存のプライバシーダッシュボードやインターフェースを使って音声記録を閲覧・管理することができる。

これに関連して、Amazonは新しいEcho Show 5スマートスクリーン用の新しいディズニースタンドも発売した。

画像クレジット:Amazon/Disney

画像クレジット:Amazon/Disney

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(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アマゾンは約9000円のエクササイズバンド「Halo View」でFitbitに対抗

Amazon(アマゾン)は、オリジナルのエクササイズバンド「Halo」を発売してから1年後、後継モデル「Halo View」を発表しました。Amazonは、まだスマートウォッチの分野に本格参入する準備ができていないようだが、今回発表されたHalo Viewは、Google(グーグル)傘下のFitbitブランドを直接狙っていることは明らかだ。

Huawei(ファーウェイ)などが独占している低価格帯のフィットネスバンドに挑戦するほどではないが、80ドル(約9000円)という価格(同社のHaloサービス1年分を含む)は、市場の中位層、特にディスプレイを搭載した製品の中では競争力があると考えられる。

画像クレジット:Amazon

Haloは、カラーAMOLEDタッチスクリーンと触覚フィードバックを搭載しており、ユーザーの活動に対してリアルタイムで反応するよう設計されている。水泳用の防水機能を備え、1週間のバッテリー駆動が可能で、90分間でフル充電することができる。内蔵されたセンサーが活動量、ワークアウトのライブトラッキング、睡眠、血中酸素濃度をモニターする。

画像クレジット:Amazon

この新しいデバイスには、さまざまなコンテンツ機能が搭載されている。Michael Hildebrand(マイケル・ヒルデブランド)、Elena Cheung(エレナ・チャン)氏、Elizabeth Andrews(エリザベスアンドリュース)氏といったトレーナーによる何百ものビデオコースを内蔵した「Halo Fitness」は、Appleの「Fitness+」に対抗するものだ。また、ユーザーがより健康的な食習慣を身につけられるように設計された「Halo Nutrition」も新たに加わっており、これらはすべてHaloソフトウェアの一部として提供される。Fitness+と同様に、デバイスで取得したリアルタイムのフィットネス指標は、Halo Fitnessワークアウト中にスクリーン上にリアルタイムで表示される。

関連記事:米アマゾンがHaloサブスクでフィットネスと食事プランナーのサービスを提供

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Halo viewは「ホリデーシーズンに間に合うように」3つのバンドカラーで発売される(別売りバンドもある)。初代Haloは、プライバシーに関する懸念を引き起こしました。Amy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員は「最近の報告では、Haloがこのような広範囲の個人的・私的な健康情報にアクセスすることに懸念を抱いています。一般に販売されている消費者向け健康機器の中で、Haloは前例のないレベルの個人情報を収集しているようだ」と指摘している。

関連記事:米上院議員クロブシャー氏がAmazonのフィットネストラッカーHaloについてプライバシー面の懸念を表明

画像クレジット:Amazon

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンはなぜ家庭用ロボット「Astro」を作ったのか

iRobotのCEOはかつて筆者にいたずらっぽくこう言った。「掃除機のセールスマンになって初めて私はロボット技術者として成功した」と。いいセリフだし、ロボット業界の根本的な真実をさらけだしてもいる。ロボットは難しく、家庭用ロボットはさまざまな意味でさらに難しいのだ。

ルンバなどのロボット掃除機が収めた大成功を超える術を誰も解き明かしていないのは、挑戦していないからではない。これまで、主にAnkiJiboなどスタートアップに分類される企業が取り組んできたし、珍しい例外としてはBoschが作ったKuriもある。ところが米国時間9月28日、Amazon(アマゾン)がこの問題に莫大なリソースを投入していることを明らかにした。

画像クレジット:Amazon

単にリソースを投入しているというだけではない。Amazonは同社初のロボット「Astro」を発表した。この製品はAmazonのDay One Editionプログラムの1つとして市場に第一歩を踏み出す。以前に同社はKickstarterやIndiegogoのように顧客が予約注文に投票できるこのプログラムを活用していた。新しいロボットには、アニメ「宇宙家族ジェットソン」の犬、The White Stripesのデビューアルバムに収録されている曲、ヒューストンのプロ野球チームと同じ名前が付けられ、2021年中に限定発売される。Day One Editionプログラムで発売された製品には小型プリンタやスマート鳩時計などがあったが、Astroはこのプログラムの中では飛び抜けて野心的なデバイスだ。999ドル(約11万円)と、このプログラムの中では最も高価でもある。

関連記事:アマゾンが予約注文で新しいAlexaデバイスの人気投票を実施、ラインナップにはスマート鳩時計も

ただしこの価格は早期購入者に限られる。Amazonの報道資料には以下のように書かれている。

Astroの価格は1,449.99ドル(約16万円)ですが、Day 1 Editionsプログラムの一環として999.99ドル(約11万円)の早期購入価格で提供します。Ring Protect Proの6カ月間無料試用が付属します。

画像クレジット:Brian Heater

発売時点のこのロボットには、主に3つの機能がある。

  1. ホームセキュリティ
  2. 大切な人の見守り
  3. 家でのAlexa体験のモバイルバージョン

Amazonはおよそ4年前からロボットに取り組み始め、社内のさまざまな部門を活用して完全に実現可能なホームロボットを開発した。

AmazonのバイスプレジデントであるCharlie Tritschler(チャーリー・トリッシュラー)氏はTechCrunchに対し「AI、コンピュータビジョン、処理能力について話し合い、そこで挙がったトピックの1つがロボットでした。消費者が利用できるようにするためにロボットはどう変化しているのでしょうか。我々にはもちろんフルフィルメントセンターでロボットを利用してきた経験は大いにありますが、家にいる消費者に利便性や安心を提供するために何ができるかを考えたのです。そこから考え始め、最終的には『ねえ、これから5年後か10年後に家にロボットがいないと思う人がいる?』ということになりました」と語った。

画像クレジット:Brian Heater

2012年にKiva Systemsを買収したことから始まったAmazon Roboticsが、コンシューマチームのアイデアに共鳴した。しかしAmazonのそれまでのロボット技術は業務用で、最短の時間で荷物を配送することに主眼が置かれている。最終的に同社はAstroのコンポーネントをゼロから作らざるを得なかった。その中には最も注目すべきものとして、家の中のマップを作り移動するために使われるSLAM(Simultaneous Localization And Mapping、自己位置推定と環境地図作成の同時実行)システムがある。

SLAMシステムは複雑な仕事を引き受けているだけでなく(これはiRobotが10年間かけて改良してきたことだ)、現在Amazonが有しているロボットテクノロジーをも考えると、筆者はこれには特に驚いた。Amazonは2019年に完全自律型倉庫用カートのスタートアップであるCanvasを買収した。しかしAmazonはこの新しいSLAMシステムはゼロから開発したもので、ロボット関連スタートアップの買収を検討したものの最終的にはAstroを作るための買収はしなかったと主張している。ただし、Ringのセキュリティ監視や、Alexaとホーム関連テクノロジーといった社内の技術は、Amazonのスマートアシスタントとなるこのロボットに組み込まれている。

画像クレジット:Brian Heater

筆者は発表の前週にAstroに触れる機会があり、このロボットはちょっと二重人格っぽいと感じた。このロボットのメインの人格は、R2-D2やBB-8、Wall-Eのようなものと表現するのが最も適切だ。顔は、実際には画面、あるいはタブレットと言えるもので、太い小文字のo(オー)が2つ並んでいるような極限までシンプルな目が表示されている。この目が時折まばたいたり動いたりするが、Ankiがピクサーやドリームワークスのアニメーターだった人材を雇って作ったCozmoほど表情豊かではない。

ときどき電子音が鳴って、前述したスター・ウォーズのR2-D2やBB-8をさらに思い起こさせる。ロボットに「Astro」と呼びかけることができるが、もっと直接的に会話をしたいときはどこかの段階で音声アシスタントでおなじみの「Alexa」と話しかける必要がある。

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    画像クレジット:Amazon
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Astroの10インチタッチスクリーンの顔はちょっとした人格を表現することに加え、標準的なEcho Showのディスプレイとしても機能するので、動画を見たりビデオ通話をしたりスマートホームのコントロールをしたりすることができる。画面は自動で動くが、見やすいように手で60度傾けられる。この画面はAmazonの新しい顔認証であるVisual IDにも対応し、Astroは相手に合わせたやりとりをする。

スピーカーも2つ搭載されている。ロボット自体は驚くほど静かだ(ロボット掃除機ではないですからね)。Amazonが筆者に語ったところによると、実は家の中を動いていることがわかるように電気自動車のような音を付ける必要があったという。ただし車輪の向きを変えて方向転換をするときにはサーボ音が鳴る。

後方のスペースには4.4ポンド(約2キロ)まで物を積むことができる(オプションのカップホルダーがある)。内部にはUSB-Cポートがあり、携帯の充電に使える。Astro自体はルンバのようなドックを使用し、バッテリーが空の状態から1時間未満でフル充電される。

画像クレジット:Brian Heater

当然のことながら、多数のセンサーが搭載されている。例えば土台部分には近接センサーがある。カメラは2つ組み込まれている。顔である画面のベゼルには5メガピクセルのRGBカメラがあり、もう1つは驚くこと間違いなしだが頭の上から飛び出してくる。飛び出してくる方の12メガピクセルのRGBと赤外線のカメラは、ライブストリーミングのためのものだ。このカメラの土台は伸縮式で4フィート(約120センチ)の高さまで伸び、ロボットが周囲をよく見るための潜望鏡のような役割を果たす。

画像クレジット:Brian Heater

筆者はロボットや制作チームと1時間ほど一緒に過ごした結果、このチームが作ったものにかなり心をひかれた。もちろんどれほどの人がこれを所有することに関心を持つかはまったく別の問題だ。AmazonはAstroを「数千の」家庭でテストし、曲がり角で止まってしまうなどの不具合を解決したという。Day Oneプログラムはパブリックベータというよりは製品に対する顧客の関心を測定する手段だ。

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トリッシュラー氏は次のように述べている。「私は、これは我々が取り組んでいるロボットシリーズの第1号だと思っています。これは招待制のみのプログラムです。家庭などいろいろな場所での難しさはあると思いますが、Astroを手に入れた人々がすばらしい体験をしてくれるよう願っています。長期的に消費者向けロボットを考えると、もちろんさまざまな価格帯や機能があり、その1つとしてわかりやすく主力となる製品が欲しいところです。しかしAstroは、我々が価値を作り出そうと開発当初から取り組んできたことを再確認し、我々のしてきたことが消費者にとって意味があると確かめる出発点としては良いものだと思います。2021年中にこの製品の出荷を開始し、フィードバックが寄せられることに期待しています」。

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

新Amazon Echoデバイスは音声をローカルで処理してプライバシーをさらに強化

これまでのAmazon Echoデバイスでは、Alexaがインターネットへの接続してリクエストを処理し、レスポンスを行ってきた。しかし、Wi-Fiに接続するスマートデバイスがいつもウェイクワードを聞いていることに不安を感じる消費者も一部存在していた。Amazonは本日のイベントで、Echo Show 10と最新のEchoをはじめとするAmazon Echoデバイスは、音声情報をクラウドへ送らずにローカルで処理できるようになったと発表した。

Amazonは、自分たちはこのようなプライバシーファーストの技術をスマートスピーカーで提供する初めての企業だと主張する。2020年、Amazonは現行のAmazon Echoデバイスを動かす「AZ1 Neural Edge」プロセッサーを発表したが、新しいEcho Show 15には「AZ2」プロセッサが搭載される。同社によると、このプロセッサーは前世代に比べて22倍のTOPS(1秒間に数兆回の演算)が可能だという。

Echo Show 15は、ローカルでの音声処理に加えて「ビジュアルID」と呼ばれる新機能をサポートする。これによりAlexaは、1つのビューフレームに複数の人がいるとき、各人を認識できる。個人化されたコンテンツを送ることができるので、たとえばカレンダーの内容を尋ねたら、その日のその人の予定を教えてくれる。他の家族のスケジュールを教えることはない。

Amazonによると、このビジュアルIDもプライバシーがを基本に作られているという。この機能はオプションであるため、使用したい場合は登録が必要だ。また、すべての処理がローカルで行われ、自分のビジュアルIDはいつでも削除することができる。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンが子供向けのインタラクティブな小型プロジェクター内蔵ビデオ通話デバイス「Amazon Glow」を発表

米国時間9月28日、Amazon(アマゾン)は新しいインタラクティブデバイスのAmazon Glowを発表した。離れている大切な家族などと子どもがビデオ通話で交流できるようにしたいと考える家庭向けのデバイスだ。競合製品には同様にビデオで家族がつながることを主に狙うFacebookのPortalデバイスシリーズがあるが、Amazon Glowは画面を通じたつながり以外の機能も搭載して差別化している。テクノロジーを活用してデバイスの前にインタラクティブに操作できるプロジェクター映像を映し出し、ゲームやアート、パズルなどのバーチャルなアクティビティを楽しんで、人と対面しているような感覚を与える。

これを実現するために、Amazon Glowには没入型プロジェクション、センシング技術、ビデオが組み合わされている。市場にある他のスマートスクリーンとは異なり、Glowは小さなテレビのような外観ではない。8インチのディスプレイが縦に立っていて、ディスプレイの前にはタッチ操作に対応する19インチの空間がプロジェクターによって作られる。このプロジェクター映像の空間で、バーチャルゲームをプレイしたり、離れた場所から各自のタブレットで参加する家族とアクティビティを楽しんだりすることができる。

ゲームは、デバイスに同梱されている専用マットの上でプレイする。

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Amazon Glowを使って子どもは仲の良い人とチェスやチェッカー、釣り、神経衰弱などのゲームを楽しめる。子ども向けの本を選んで一緒に読んだり、デジタルの鉛筆、クレヨン、ブラシ、スプレー缶でお絵描きをするなどの楽しみ方もある。離れている人とデジタルで遊ぶことを、まるで同じ部屋にいるかのように感じさせようとしている。

Amazon Glowで実際の物体とデジタルの遊びを組み合わせる楽しみ方もある。例えば、子どものお気に入りのおもちゃをスキャンしてデバイスの前の平面にプロジェクターで映し出し、オリジナルのジグソーパズルにすることができる。子どもはスキャンしたものの映像を叩いて壊し、パズルにする。あるいは、紙に描いた絵をスキャンし、家族の手を借りてアートワークに変えたり、スキャンした絵にデジタルで描き足したりすることもできる。

「Glow Bits」も同梱される。これはデバイスと連携して操作するように作られた実際の「物体」だ。最初のGlow Bitsキットはパズルゲームのタングラムで、子どもは実物のピースを使ってパズルを解き、離れている家族は自分のタブレットの画面でデジタルのパズルピースを使ってプレイする。

画像クレジット:Amazon

Glowの発売時には、子ども向けエンターテインメントの人気キャラクターと遊べるスペシャルアクティビティが用意される。「アナと雪の女王」のアナとエルサ、ディズニー&ピクサーの「トイストーリー」のウッディとバズ、マテルの「バービー」や「ホットウィール」、ニコロデオンの「スポンジ・ボブ」や「ドーラといっしょに大冒険」「セサミストリート」のエルモやゾーイなどが登場する予定だ。

Amazon Glowは離れている人ともっと親しくつながっていたい家庭を主なターゲットにしている。親のどちらかが頻繁に出張したり、祖父母が離れて暮らしていたりする家庭で使われることになるだろう。コロナ禍で感染防止のために家で長い時間を過ごす時期であることからも有用と思われる。

Amazon Glowで子どもが任意の相手と通話をすることはできない。保護者が最初に、子どもが通話できる連絡先をあらかじめ承認してAmazon Glowを設定する。このようにして保護者はデバイスの通話先を家族や信頼できる友人だけに制限できる。そして保護者はいつでもデバイスに備え付けられている物理的なプライバシーシャッターを閉じてカメラやマイクを無効にできる。

また、Amazon GlowはAlexaデバイスではないため、音声やビデオの記録が収集されることはない。位置情報データや描いたものを追跡したり保存したりすることもない。

ただしAmazonはプロフィールの設定やアクティビティの履歴を保存し、Glowに付属するAmazon Kids+サブスクリプションで利用できる関連性の高いアクティビティやコンテンツを紹介する。

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デバイスの価格は299.99ドル(約3万3000円)だが、早期アクセス期間は249.99ドル(約2万8000円)で提供される。マット、マットケース、タングラムのBitsの他、1年間のAmazon Kids+サブスクリプションが付属する(Amazon Kids+は子ども向けの本、映画、テレビ番組、教育アプリ、ゲーム、そしてAlexaの子ども向けプレミアムスキルを無制限で利用できる有料サービス)。

Amazon Glowはまだ販売が広く開始されているわけではない。

購入希望者は、www.amazon.com/glowで早期アクセスプログラムへの参加をリクエストする必要がある。Amazonは、最初のデバイスは米国の顧客に数週間以内に発送されるとしている。

開発者は2022年前半に公開される予定のSDKへのアクセスを申し込むことができる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ユーザーがニーズに合わせてAIを訓練、パーソナライズできるAlexaの3つの新機能

Amazon(アマゾン)は、消費者がAlexa体験をさらにパーソナライズできる3つの新機能の展開を準備している。簡単なツールを使ってAlexa(アレクサ) AIのトレーニングを行えるようにするのだ。数カ月後には、家庭内で鳴っているドアベルやインスタントポットのチャイム音などの特定の音を識別するといった仕事を、消費者がAlexaに教えることができるようになる。また、Ring(リング)ユーザーの場合は、閉まっているはずのドアが開いているといった、何かが視覚的に変化したことをAIが気づくことができるようになる。さらに、好きなスポーツチームや好みの天気予報アプリ、食べ物の好みなどを、自分の好みに合わせてAlexaにはっきり指示を出すことができるようになる。

この機能は、アマゾンが最新のEchoデバイスやその他の新しいハードウェアを発表する秋のイベントで、米国時間9月28日紹介された。

この新しい音識別機能は、Alexaがすでに提供しているAlexa Guard(アレクサガード)という機能をベースにしている。この機能は、ガラスが割れる音や、火災や、一酸化炭素の警報音など、特定の音を識別することができるため、外出中の人や耳の不自由な人にとっては、緊急事態が発生しているかもしれないことを知ることができて便利だ。さらにサブスクリプションをアップグレードすると、スマートカメラが家の外の動きを検知したときに、犬の鳴き声を再生することもできる。

このAlexaの音検知機能を、今回アマゾンは、必ずしも緊急事態ではないものへどのように利用できるかを考えている。

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新機能によって、消費者は自分にとって重要な特定のタイプの音を聞き分けるようにAlexaを訓練することができるようになる。例えば、鍋のビープ音、オーブンのタイマー、開けっ放しにしておくとビープ音が鳴る冷蔵庫、ガレージのドアが開く音、ドアベルの音、水の流れる音など、繰り返し同じような音が鳴り特定しやすいものがある。

6個から10個のサンプルをAlexaに与えることで、Alexaはこの音が何であるかを「学習」する。これは、アマゾンがAlexaに他の音を学習させるためにかつては数千個のサンプルを必要としたことに比べれば大幅に削減されている。ユーザーは、Echo(エコー)デバイスやAlexaモバイルアプリから直接、Alexaに新しいカスタムサウンドを教えることができる。

ただし、登録やトレーニングのプロセスはクラウド上で行われる。とはいえ、実際の利用時の音の検出はデバイス自体で行われ、登録が終わった後にアマゾンが音声をクラウドに送ることはない。

一度学習させれば、ユーザーはAlexaがその音を聞いたときに、自分で設定した通知やルーティンを起動するように選択することができる。たとえばAlexaがドアベルの通知をFire(ファイア)TV上に表示することで、アクセシビリティの観点や高齢者介護にも役立つ可能性がある。その他にも、たとえばガレージのドアの音がしたら、Alexaが「おかえりなさい手続き」を起動して、照明をつけたり、好きな音楽をかけたりするといった日常生活を支援することができるようになるかもしれない。

アマゾンによると、Custom Sound Event Detection(カスタムサウンド・イベント検知)機能は2022年にはローンチされるという。

同様に、消費者はRingカメラに搭載されたAIを訓練して、カメラの視野上で関心のある領域を特定し、その領域が変化したかどうかを判断することができるようになる。この「変化」は今のところ、2つの状態に区別できるものでなければならない。例えば、物置の扉が開いているか閉じているかといった状態だ。バリエーションの多い、より特殊なものには対応できないかもしれない。

Custom Event Alerts(カスタムイベント通知)と呼ばれるこの機能は、数カ月以内にRing Spotlight Cam Battery(リング・スポットライト・カム・バッテリー)の利用者が使えるようになる。

Alexaの最後の新機能は、食べ物やスポーツ、スキルプロバイダーに関するユーザーの好みを、スマートアシスタントが学習できるようになるというものだ(これらのスキルはAlexaデバイス上で実行されるサードパーティの音声アプリだ)。利用者は「アレクサ、私の好みを覚えて」などということで、Alexaを教え始めることができるようになる。しかし、この学習はもっと繊細な方法でも行うことができる。例えば、Alexaに近くのレストランを尋ねた際に、続けて「アレクサ、私たちの中にはベジタリアンの人がいます」などということで、ステーキハウスを候補から外させることができる。

一方、Alexaがあなたのお気に入りのスポーツチームを学習した後は、スポーツハイライトを質問した際に、あなたのお気に入りのチームのハイライトをAIがより多く盛り込んでくれるようになる。

また、Alexaにどのサードパーティ製スキルを使用したいかを伝えれば、AIアシスタントは以降、自身のネイティブな応答ではなく、そのスキルを使用することをデフォルトとする。

とはいえ、今のところ、対応しているサードパーティスキルは天気予報だけだ。それをアマゾンは時間をかけてより多くのスキルへと拡大したいと考えている。このことは、ユーザーが起動したいスキルを覚えられないことに起因する、スキルの利用率の低さを解消することができるだろう。この機能によって「一度設定したら忘れてしまって良い」式のカスタマイズが可能になる。つまり良いスキルを見つけたら、それをデフォルトに設定することで、あとは自然な言葉で(たとえば「お天気は?」など)話すことができるようになる。

アマゾンによると、この嗜好データは匿名化された顧客IDにのみ関連付けられていて、調整も可能だという。例えばベジタリアンの人が肉も食べるように戻った場合には、次にAlexaにレストランの候補をたずねる際に「アレクサ、私はベジタリアンじゃない」ということができる。このデータは、Amazonサイトでのショッピングのお勧めをカスタマイズするためには使用されないとアマゾンはいう。

この「嗜好ティーチング機能」は、年内に利用できるようになる。

アマゾンはこれらの機能を、アマゾンが「アンビエント・インテリジェンス」(環境知性)と呼ぶものをより多くの人々に提供するという目標に向けた、さらなるステップであるとしている。

AlexaのSVPで主任サイエンティストであるRohit Prasad(ローヒット・プラサド)氏は、アンビエントAIについて「あなたのことを学び、あなたがそれに合わせるのではなく、あなたのニーズに合わせることができるものなのです」と指摘している。

「Alexaは、私にとって単なる音声言語サービスではありません。むしろ、自分の周りの多くのデバイスで利用できるアンビエント・インテリジェンス・サービスであり、環境の状態を理解し、さらには自分に代わって積極的に行動することができるものなのです」と述べている。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

Ringのホームセキュリティドローンが米国内で招待制で販売開始

2020年、Ringはセンサーとカメラを搭載したドローン「Always Home Cam」を発表した。このドローンは、Ring Alarmセンサーなどのトリガーや、Ringアプリからの手動コマンドに反応して、ユーザーが設定した経路に沿って家の中を移動することができる。このコンセプトは現実のものとなり、米国のユーザーに向けて出荷が開始された。ただし、最初は招待者のみの発売となる。トが現実となり、米国のユーザーに発売された。ただしそれは、最初のうち、招待制のローンチだ。

Ringは、1年以上前に249ドル(約2万7800円)のAlways Home Camを公開した。そのときは「2021年に出荷する」と述べていたが、それが実現した。約5×7×7インチ(約12.7×17.8×17.8cm)の小型ドローンは、玄関や廊下なども軽快に移動できるはずだ。このデバイスの背景にあるアイデアは、留守中にカメラを家のあらゆるところに設置する方法を提供することだが、実際にたくさんのカメラを用意して設置する必要はない。

Ringは、Always Home Camは、事前に設定されたトリガーまたは手動でユーザーが指示した場合にのみ飛行することを強調している。また、基地内で静止しているときは、デフォルトではカメラは起動しておらず、録画も行わない。これは「プライバシーとセキュリティー」を高めるための意図的な選択だという。

次世代の国内航空監視システムの1階に入りたい人は、今日からRingに招待状をリクエストするとよい。次世代の家庭用空中監視システムを早く体験したい人は、Ringに招待状を申し込もう。

画像クレジット:Ring

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)