アップル/グーグル共同開発のコロナウイルス接触者追跡APIの最初のバージョンが来週リリース

Apple(アップル)のCEO Tim Cook氏と欧州委員会の単一市場担当委員Thierry BretonThe氏の会話によると、AppleとGoogleが共同開発しているクロスプラットホームな接触者追跡APIは来週から使用できる。Breton氏が彼のオフィスで共有した写真には、彼とCook氏のビデオ会話の様子が写っており、また彼がLes Echosに語ったところによると、AppleのCEOは、公衆衛生当局のためにアプリを作るソフトウェアデベロッパーがその接触者追跡APIを利用できるのは4月28日からだ、と述べた。

AppleとGoogleは4月10日に、両社がiOSとAndroidの両方のモバイルデバイスで動く接触者追跡システムで協働していると発表し、そのオプトインのネットワークがユーザーの実際のID情報とは無関係なランダムなIDにより、COVID-19の検査で陽性と確認された人と接触した可能性を 通信する、と詳しく説明した。それは、個人のプライバシーを保護するために位置データを決して集めない分散システムで、AppleとGoogleは、そのAPIを使って作られたいかなるアプリも、それらがユーザーベースの最遠のリーチを持ちうるために、プロジェクトで協働することを選んだ。

その接触者追跡システムの展開は二段階で行われる。最初に、APIがデベロッパーにとって可利用になる…それが来週起きることだ。この段階は最初、5月中旬を予定していたが、Breton氏とCook氏の会話を聞いたかぎりでは両社はそのスケジュールを早めたようだ。ソーシャルディスタンシング措置の変様や緩和をいついかにして行うべきかを正しく知るためには、接触者追跡が喫緊に必要だから、このスケジュール変更は理にかなっている。

計画の第二段階は、接触者追跡システムのアップデートをOSのレベルで行うことだ。オプトインはデバイス上で管理され、AndroidもiOSスマートフォンもどちらも、このイン・アウトの切り替えにより、ローカルな追跡行為に参加できるものでなければならない。しかもそれは、公衆衛生当局の特定のアプリの有無とは無関係でなければならない。ただしAppleとGoogleが行なったQ&Aセッションによると、接触者の可能性を通知する公衆衛生アプリのダウンロードとインストールを示唆するプロンプトが出るのは構わない。それによってユーザーは、信頼できるソースから、次にどうすればよいか関する追加的情報を取得できるだろう。

なお、この第二段階は今年後半の展開になる。でもAPIの最初のバージョンの到着がこれだけ早まったことは、これをなるべく早く市場に出したいとする両社の意欲と努力の表れだろう。おそらく、相当多くの技術者をつぎ込んでいると思われる。

現在開発中またはすでに実装された接触者追跡システムはたくさんあるが、共通の技術による相互乗り入れ通信が可能で、もっとも人気の高い複数のモバイル機種間の幅広い参加の機会が開けることは、そんなシステムが実際に効果的でありうる大きなチャンスになるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

セキュリティーの欠如で顔認識スタートアップClearviewのソースコードがすべて漏洩

2020年1月、ある新聞社の調査によってその衝撃的な存在が明らかになった、顔認識スタートアップのClearview AI(クリアビュー・エーアイ)は、たちまちハイテク系スタートアップ界の最も捉えどころがない隠蔽体質の嫌われ者になってしまった。

物議を醸している同社は、法執行機関が人の顔写真を撮りアップロードすると、30億人分の画像を保管しているとされる同社のデータベースで照合ができるサービスを提供しているが、その画像とは、一般のソーシャルメディアから集めたプロフィール写真だ。

だがしばらくの間、サーバーの設定ミスにより、同社の内部ファイル、アプリ、ソースコードが、インターネット上の誰もが見られる形で漏洩してしまった。

ドバイのサイバーセキュリティー企業SpiderSilk(スパイダーシルク)の最高セキュリティー責任者を務めるMossab Hussein(モサブ・フセイン)氏は、Clearviewのソースコードが保管されていたレポジトリーを突き止めた。そのレポジトリーはパスワードで守られてはいたが、設定ミスにより誰でも新規ユーザー登録ができ、ソースコードが保管されているシステムにログインできる状態になっていた。

レポジトリーには、コンパイルすればアプリとして実行できるClearviewのソースコードが保存されていた。さらにそこには、Clearviewのクラウド・ストレージのバケットにアクセスできる秘密の鍵と認証情報もあった。そのバケットの中には、Windows版とMac版とAndroid版のアプリの完成品が収められていて、さらにはApple(アップル)が規約違反としてブロックしたiOS版アプリもあった。また、通常はテスト用にのみ使われる開発者向けの初期のリリース前バージョンのアプリも保管されていたと、フセイン氏は言う。

しかもフセイン氏によれば、そのレポジトリーでは、ClearviewのSlackのトークンも晒されていた。これを使えば、同社の内部メッセージや会話がパスワードなしで誰にでも読めてしまう。

Clearviewには、ニューヨーク・タイムズによってその隠密活動を暴かれて以来、ずっとプライバシーの懸念が付きまっている。だがその技術はまだほとんどテストされておらず、顔認証の精度も実証されていない。Clearviewでは、この技術は法執行機関にのみ使用を許すものだと主張しているが、同社はMacy’s、Walmart、NBAといった民間企業にも声を掛けていたと報道されている。だが今回のセキュリティー上の失態により、セキュリティーとプライバシーへの取り組みに関して、同社にはさらに厳しい目が向けられることになりそうだ。

コメントを求めると、Clearviewの創業者であるHoan Ton-That(ホアン・トンタット)氏は、彼の会社は「常に大量のサイバー侵入攻撃に晒されているが、セキュリティー強化には多額の投資を行ってきた」と主張した。

「私たちは、HackerOne(ハッカーワン)の協力で賞金付きのバグ探しプログラムを立ち上げました。Cleaview AIの欠陥を発見したセキュリティー研究者には報酬が支払われます」とトンタット氏。「SpiderSilkは、このプログラムには参加していませんが、Clearview AIの欠陥を見つけて私たちに連絡してきました。今回の漏洩事件では、個人が特定されるような情報、検索履歴、整体認証情報は一切漏れていません」。

iOS用Clearview AIはログインする必要がないとフセイン氏は言う。彼は、このアプリの仕組みがわかるスクリーンショットをいくつか取り込んだ。ここではフセイン氏は、マーク・ザッカーバーグ氏の写真で試している。

トンタット氏は、SpiderSilkの行動を恐喝だと非難しているが、ClearviewとSpiderSilkとの間で交わされた電子メールから見えてくる様子は違っている。

これまでMoviePassRemineBlindといった数々のスタートアップのセキュリティー上の問題を報告してきたフセイン氏は、Clearviewの欠陥を報告はしたが、賞金は遠慮したと話している。受け取りにサインすれば、この一件を世間に公表できなくなるからだ。

賞金付きでバグ探しプログラムを実施する企業は、よくこうした契約を求める。セキュリティー上の欠陥を修復した後にその件を公表されないよう、秘密保持契約を結ばされることもある。だが、研究者たちには賞金を受け取る義務も、秘密保持契約を守る義務もないのだと、TechCrunchは専門家たちから聞いている。

トンタット氏は、Clearviewは「ホストの完全な犯罪科学検査を実施し、不正なアクセスは他に一件もなかったことを確認した」と話す。秘密の鍵は既に変更され、もう使えないとのことだ。

フセイン氏の発見により、普段はほとんど見ることができない秘密主義的な企業の業務が垣間見えた。同氏が公開したスクリーンショットには、トンタット氏が「プロトタイプ」だと説明した同社のInsight Camera(インサイト・カメラ)を参照するコードとアプリがわかるものがある。このカメラはもう開発が中止されている。

Clearview AIのmacOS版アプリのスクリーンショット。APIを使ってClearviewのデータベースに接続される。またこのアプリは、Clearviewの以前のカメラ・ハードウェアのプロトタイプInsight Cameraを参照するようにもなっていた。

BuzzFeed Newsによると、そのカメラをテストした企業に、ニューヨーク市の不動産会社Rudin Management(ルーディン・マネージメント)があると伝えている。同社が所有する2つのマンションに試験的に導入したという。

フセイン氏は、Clearviewのクラウド・ストレージのバケットの中に、およそ7万本もの動画を発見した。マンションのロビーに、人の顔の高さに設置されたカメラの画像だ。その動画には、建物を出入りする住人の顔が映されている。

トンタット氏は「防犯カメラ製品の試作段階で、私たちは、厳密にデバッギングを目的とした生の映像を収集していました。建物の管理会社から許可を得ています」と説明する。

TechCrunchが調べたところによると、Rudinが所有する建物はマンハッタンのイーストサイドにあった。物件リストとロビーの映像からも、それが確認できた。この不動産会社の担当者にメールを送ったが、返事は来ない。

マンションのロビーに設置し、通り過ぎる住人を撮影したカメラの映像のひとつ(顔のぼかしはTechCrunchが加工)。

Clearviewは、1月に世間に知られるようになってから、厳しい監視の目に晒されている。さらにハッカーたちの標的にもなっている。

2月にClearviewは、データ漏洩の際に顧客リストが盗まれたことを顧客に報告した。だが、同社のサーバーには「アクセスの形跡はない」と主張している。Clearviewはまた、Android版アプリを保管したものを含むクラウドストレージの複数のバケットをプロテクトせずに放置していた。

バーモント州の検事当局は、消費者保護法違反の疑いで、すでに同社の捜査を開始し、ニュージャージーサンディエゴを含む各警察署にはClearviewを使わないよう通達を出した。Facebook、Twitter、YouTubeをはじめとするハイテク企業の一部も、Clearview AIに対して停止通告書を送っている。

CBS Newsのインタビューで、トンタット氏は自社の事業をこう弁護していた。「もしそれが公共のもので、使える状態になっていて、Googleの検索エンジンで見られるものなら、それは私たちが所有しているとも言えます」。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

アップルがユーザーの移動データを公開、新型コロナで変化する都市をひと目で確認可能に

Apple(アップル)は、同社のマップアプリのユーザーから集めた匿名情報を元にしたデータを一般公開すると米国時間4月14日に発表した。このデータは「Mobility Trends Reports」として毎日更新され、マップアプリの中で行われたルート検索の回数の変化を見ることができる。マップはiPhoneの標準ナビゲーションアプリで自動車、徒歩、公共交通機関の3種類のモードがある。

アップルは、この情報がいかなる個人とも結びついていないことを強調している。マップアプリが移動データをユーザーのApple IDと関連付けることはなく、人がどこにいたかという履歴を保存することもない。アップルによると、マップで集めた検索ワードや個別の経路などのデータは、ランダムに変わる識別番号と結び付けられるだけで、その番号も定期的にリセットされる。この匿名集約データが提供するのは都市、国または地域レベルのビューだけであり、ある地区での歩行者、ドライバー、公共交通利用者の数の変化を、ユーザーがアプリを開いて道順を調べた回数に基づいて表現している。

Appleのインストールベースの大きさと、日々の通勤や移動のためにGoogleマップなどのサードパーティーアプリを使う人はあまりいないであろうことを踏まえるとある都市における外出回数の減少を確認するかなりよい方法だと考えられる。

このデータはアップルのウェブサイトで誰でも入手可能で、互換性の高いCSV形式でダウンロードできる。ウェブ上でも特定の地域を検索したり、その地域の全体的な傾向を見ることができる。

個人にとっては好奇心を満たす程度のことだろうが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を調査している都市や州、国の政策担当者にとっては、ソーシャルディスタンスや自宅待機、隔離命令などの拡散防止戦略の効果を確認するためにとても役立つだろう。

アップルはほかにも、Googleと共同でOSレベルの匿名接触者追跡システムを開発している。両社はまずデベロッパー向けのAPIを公開し、その後機能をOSに組み込み、公共保健機関のアプリと連携する。アップルは新型コロナ危機のために役立つことに対してとりわけ熱心であると同時に、そのための対策が個々のユーザーのプライバシーを侵害しないことにも腐心している。集団レベルで効果的な行動を起こす上では困難なバランスだが、アップルのリーチの大きさは、どんなツールを提供する上でも強力な優位性になる可能性がある。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

最新iPad Proは旧モデルからの乗り換えるほどではないが、マウスとキーボードは快適で便利

iPad Pro

新モデルは魅力的だが、すでに所有している人にとってはそうでもない

過去18カ月間、iPad Proは私の自宅から持ち出した唯一のマシンである。私は最近まで世界中で開かれるイベントに参加するため、またサンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドンにある当社のオフィスを訪れるため、自宅を離れて何度も国内外を移動した。自宅のデスクにいないときは、常にiPad Proが私のメインのポータブルマシンであった。

乗り換えたのは、カンファレンスとStartup Battlefieldコンテストへ参加するためにブラジルへ旅行した時だった。それはほんの気まぐれだった(話は逸れるが、そのコンテストが最高だったのは、コンピュータービジョンによる牛の体重測定が優勝したことだ)。この1週間の旅行において、iPad Proが仕事用デバイスとして機能するかどうか実際に使って確かめたかった。その後、また信頼のおける13インチMacBook Proに戻ると思っていた。

ところがこの旅でTechCrunchの運営をタブレットからできるかという点において、私の考え方はすっかり変わってしまった。軽くてスムーズに手早く簡単に仕事ができ、いたるところで私のMacBookよりも進んでいることがわかったのだ。私はもう元には戻れなくなってしまった。

iPadPro

iPad Pro、2018年、ブラジル

初めのうち、iPadと私の双方にとって悩みの種が尽きなかった。その時点では共有シート、自動化ツール、新しく導入されたショートカットなどをつなぎ合わせてワークフローを再構築したことが、実用的な作業用マシンとして生まれ変わらせるのに大きな役割を果たした。また、Slide Over(スライドオーバー)、Split View(スプリットビュー)、ホーム画面などを刷新したiPadOSに伴う変更は、デバイスをより柔軟に感じられるものであり、歓迎すべきものであった。

過去の1年半もの間、iPad Proの絶対的な目玉機能について多くのことを学ぶことができた。その一方で、ラップトップよりも軽くて高速なマシンを持ち運ぶことで、得られるものと失うもののトレードオフについて知ることができた。

新しいマシンで過ごした1週間のうちにこれらはすべて整えた。

この新しい2020年のiPad Proは、2019年に発売されたモデルと大部分においてほとんど同じに見える。正方形のカメラアレイ以外は、ほとんどそっくりだといっても過言ではない。その中でも良いニュースは、初めてApple(アップル)がID認証を行って2年経った今でも超サクサクと未来的な感じがすることだ。まさにコンピューターの理想的なかたちである。軽くて、手に持てる大きさで、強力で、機能的なのだ。

私がテストした12.9インチのiPad Proには、私が今まで使用していたモデルとほぼ同じレベルで動作する新しいA12Zチップが搭載されている。Geekbench 4では、5015超のシングルコアと1万8000超のマルチコアスコアを記録した。クラスに関係なく、所有可能で最も強力なポータブルコンピューターの1つであることに変わりはない。1TBモデルには引き続き6GBのメモリーが搭載されているようだが、それより下のモデルでは4GBなのかもしれず、詳細は不明だ。

iPadPro

このバージョンには追加のGPUと「強化されたサーマルアーキテクチャ」が追加された。負荷がかかった状態では熱分散に優れているかもしれないが、iPad Proはめったに熱くならないので、私にとってはよくわからなかった。私は分解した結果が気になった。おそらく新しい排気口、配線、部品などが配置されているのだろう。もしくは何らかの回路かもしれない。

当然のことであるが、このプロセッサーが(少なくともCPUレベルでは)A12X Bionicチップに非常に近い性能を持つことは興味深い。GPUにおいても、AppleはA12Xよりも高速だというのみで、いつものように具体な倍数について言及していなかった。

このことからわかるのは、これがiPad Proを本当に「リフレッシュ」したものだということだ。新しい機能を次に紹介するが、全体的に見るとこれはある意味で「新しいモノ」であり、めったにあるものではない。ただし、ときにはアップルデバイスの真実ともいえる機能だ。ご覧いただくのは、ハードウェアの設計や実装を大幅に見直しなくても、現在ハードウェアから学び、実行できることばかりだということだ。

私がここで注意するとするなら、A12Xがいまだに非常に早く、それほどパワーが欲しいと思ったことがないことであろう。私は使いやすさを犠牲にして、スピードアップを図ることにずっと反対してきた。だからこそ今はその議論を重ねるときであるし、うまく機能しているものに不満をいうべきではないと思っている。

カメラとAR

新しいiPad Proで最も大きく変わったところは、もちろんカメラアレイだ。1000万画素の超広角と1200万画素の広角の2つを備えている。これらの機能は仕様どおりであるが、最も興味深いのは新しいLiDARスキャナの追加である。

これによって我々は、世界を一度に何層もの奥行きをもって体感できるようになるのは間違いない。我々が認識している物理的な層は、レッドウッドの年輪のようなデータの輪によって増強される。

実際のところ、その未来は我々にも到来している。たとえそれを気付いているかどうかが問題ではない。これらの層の存在を要求することにより、今すぐそのほとんどを非同期で体験することができる。どこに行くべきか伝えるために、データオーバレイが必要だって?ターンバイターンで地図を呼び出してみよう。言葉や天候の定義を知りたいって?ボイスアシスタントに聞いてみよう。

ただし、これを超えた次の時代は、受動的なコンテクストに応じた情報レイヤーが視覚的かつ聴覚的に、積極的に提示される時代なのだ。

我々はこれを拡張現実とかMR(複合現実)などと呼んでいるが、どちらも最終的にどうなるかを明らかに説明しているわけではない。拡張ヒューマンエクスペリエンスはスマートフォンから始まったが、スクリーンから透明なディスプレイ、レンズ、義眼、脳幹の結合までをチェーンでつなぐかのように、ゆっくりと小脳に近づいている。

あなたがこの現実を受け入れられなくても、私は責めはしない。ただ、私が正しくないという意味でもない。この記事をブックマークして、2030年に議論しようではないか。

ただし、短期的にはARテクノロジーの発達は主にスマートフォンのエクスペリエンスによって前進することになるだろう。そしてそれらはGoogle(グーグル)とアップルによって急速に発展している。ARをアプリやデバイスに合うハードウェアに組み込むように開発者にフレームワークを提供しているのだ。

AR体験を非常に現実的なものにするための最大のハードルはオクルージョンだ。これはあるオブジェクトが別のオブジェクトと現実的に交差することを可能にするエフェクト。「これはそれより後ろにある」と脳に伝えるためにオブジェクトを不明瞭にしたり、隠したりする。オクルージョンは共有されたエクスペリエンス、リアルな世界とデジタルな世界の相互作用、一般的な信憑性といった面白さにつながる。

これこそがiPad ProのLiDARの見せ場でもある。LiDARを使用すると、ARアプリケーションで2つの大きな前進が可能になる。

  1. 初期化の時間はほぼ一瞬:LiDARは光の速さで動作するため、放った光のパルスを読み取り、その「飛行」時間を測定することで対象物または環境の形を判定する。これはとても速い。典型的な「アプリを開いて、端末をかざして周りを見渡すが、使えるかどうかは運次第」といったAR特有のユーザーエクスペリエンスの悪さは、LiDARによって理論的に取り除くことができる。
  2. オクルージョンは自動:オブジェクトの形や相互関係を「推測」するためにカメラ、小さな手の動き、コンピュータービジョンを使用して計算を行う必要がなくなった。開発者は基本的にこれを無料で、しかも驚きの速さで手に入れることができる。LiDARがたくさんの自動運転自動車システムや半自動運転システムに使われていることには理由がある。高速で比較的信頼性が高く、強力なマッピングツールだからだ。

ARKit 3.5には、平面と表面を検出することにより、環境の完全なトロポジカル3Dメッシュを作成する機能がある。しかも、シンプルなカメラファーストのアプローチよりも高い精度で提供されているのだ。

残念ながら、私はこのシステムをテストすることができなかった。Appleによると、多くはHot LavaのようなゲームからIKEAのような家具販売用アプリへと移行しつつあるとのことだが、それを活用したアプリケーションはまだないとのことだ。2020年か遅くとも次のiPhoneに搭載される可能性が高いため、この追加機能がどれほどiPadに効果的であるのか私は興味がある。

iPadPro

唯一、iPad Proの背面カメラがポートレート写真を撮れないことには驚いたが、大きなショックは受けなかった。フロントカメラのTrueDepthだけが、このポートレートモードを搭載している。

iPad Proには、はるかに正確なポートレートモードが搭載される予定であり、LiDARアレイとカメラを利用するが、まだ準備ができていないようだ。アップルがテーマと背景との関係を理解しているにもかかわらず、ポートレートスタイルの撮影を実行できないようにする理由はない。

LiDARは非常に有望で、たくさんの将来性のあるアプリを生み出すテクノロジーだ。デバイスに外部の世界を取り込むためのより正確な方法があれば、そのうちAppleと開発者にいろいろなチャンスが広がるであろう。しかし、私はそれが一気に広がるのではなく、今後数年にわたって徐々に行われることになると考えている。

TrueDepthカメラの位置が変更されていないことには失望した。iPad Proのデザインに関してアップルが選択したものの中で、カメラを横向きモードのときに手で覆われる場所に配置したのは実にもったいない。

iPadPro

私がiPad Proをポータブルマシンとして使ってきた間、ポートレートモードにしたことはほんの数回しかない。たいていはアプリが単に横向きに対応していなかったからだ。

このデバイスは横向きが前提であり、カメラにもそれを反映すべきだ。5月に出荷される「フローティング」デザインの新しいMagic Keyboardは、カメラを浮き上がらせて手元から離すことができるようになり、私はそれによってかなり使い勝手は良くなるのではないかと思っている。

キーボードとトラックパッドに対応

マウスとトラックパッドへの対応については、現時点でもかなりの人がいくつかの意見を述べている。一般的に反応は非常に好意的であり、私もその評価に同意する。アップルがボタンやアクションをカーソルに合わせる際にどれほど柔軟性があるかにはやや疑問があるのだが、全体的な効果としては信じられないほど快適で便利である。

カーソルを鋭い矢印や手のアイコンではなく、順応性のあるオブジェクトで再現したことは、タッチ環境において大いに納得できる。我々は、自分の指が鉛筆や消しゴム、ときにはボタンを押す道具として必要なツールになることに慣れている。iPadのカーソルも状況に応じて認識されるのだが、それは理にかなっている。

いまのところはMagic Trackpadしか使えないのだが、Magic Keyboardが発売されたときには、これが通常の作業フローになってくれることを期待している。

そしてキーボードのデザインについては、以前よりもはるかに高い位置にあるスクリーンを、キーボードを使いながら指で突かずに済むのは素晴らしいことだ。

Surfaceとの比較

iPad Proにトラックパッドが追加されたことで、「結局のところSurfaceは正しかったのでは?」という直感が正しかったことが証明されたようだ。今となってはほとんど毎日iPadを触っているので、私はこのことについてある時期から2、3年は考えていたことである。

この議論については2018年に評価をしたことがあるので、ここでは端的にそれを引用させていただこう。

関連記事:iPad Proレビュー:Appleの新しいタブレットは、成熟の予兆を見せ始めた

iPadPro

簡単にまとめると、Microsoft(マイクロソフト)はラップトップのタブレット化に、アップルはタブレットのラップトップ化に取り組んでいて、他はよくわからないことをしようとしている。

まずはOSを切り離し、先にタブレットを開発してから元に戻る必要がある。そのことをマイクロソフトは理解することができないでいる。マイクロソフトは以前のマイクロソフトよりもはるかに有能だと思うが、しかしそれは他で議論すべき問題である。

アップルはOS Xをかなり早いタイミングで切り離し、それ以来、別の方向にゆっくり向かっている。しかし、Surface ProがiPadと同じくらい満足できるレベルのタブレット体験を提供してくれたことはない。

たしかにSurfaceのほうがより柔軟性があるかもしれない。しかし、それは統一感と確かな機能性の犠牲の上で成り立っている。それは冷蔵庫やトースターでも同じである。

今でも私はそう思っている。

基本的に、iPadがSurfaceのすぐそこまで追いついていると考えるようになった。なぜならiPadはハードウェアに焦点を当てているのでアプローチが広い。そしてWindowsはタッチ操作向けに適切に調整されたことはない。アップルは先にタッチ操作に合わせており、その後でカーソルのサポートを追加した。

前述したことを繰り返すが、私はここで「Surfaceのアプローチが悪い」と言っているわけではないので、その点は信じて読み進めていただきたい。業界のほぼ全体が別の方向に向かっていたときに、SurfaceのチームがコンバーチブルPCに最大限尽力していたことは、非常に賞賛すべきことだと思う。しかし、iPadが「Surface」化するという意見には絶対に同意しない。なぜならSurfaceのタッチエクスペリエンスはタブレットの中でも最悪であり、iPadのそれは(インターフェイスの欠点も含めて)間違いなく最高だからだ。

これは最近のコンピューターデザインにおいて、異なる両端から同様の問題を解決しようとする明確な例の1つである。

ただし、iPad Proを数年間使用して、何も問題がなかったというわけではない。

iPadPro

iPadへの期待

2020年の1月のこと、アップルに関するライター兼評論家のJohn Gruber(ジョン・グルーバー)は、iPadがその潜在能力を完全に引き出されていない理由について詳しく解説した。アップルがソフトウェアのマルチタスクの部分で失敗したというのが大筋の結論だった。その当時、ジョンや他の追随する人たちから良い指摘をされていたように思う。私にも意見があったが、思いを表明するまでには至っていなかった。しかし、今なら言える。私の意見は次のとおりだ。

iPad Proは、使いやすさよりもスピードと能力に焦点を合わせているに違いない。

MacBookやラップトップを1日か2日、もしくは10日間も置いたままにしたことがなかったか思い出してみてほしい。開けてみたら一体どうなっただろうか? アラート、通知、アップデート、メッセージの数々がお出迎えしてくれたのでは? マシンから離れていた時間の長短に関係なく、開いてすぐに作業を開始できただろうか?

iPad Proなら、どこにいても何をしていてもパカッと開いて上方向にスワイプすれば、数秒以内に最初の指示を出すことができる。めまぐるしい業界で、荒々しいビジネスをしている私たちにとって、その確かな動作は文字どおりプライスレスだ。

一方で、私が使いやすさを望んだことは一度もない。

あなたはハンマーがもっと使いやすかったらなどと思ったことはあるだろうか?そんなことはないだろう。正しく持ち、正確に打つことを覚えるだけだ。iPadの場合はもっと複雑なことにも利用できる。

現在、iPadOSは批判を許されないレベルにまでシンプルさが高められている。皮肉なことに、iPadソフトウェアチームに代わって物事をシンプル(同じアイコン、同じグリッド、同じアプリスイッチングパラダイム)に維持し、元の意図に忠実にであろうとする努力が、打って変わって一種の複雑さをもたらした。

iPad Proのマルチタスクシステムを取り巻く問題のほとんどは、プロフェッショナルのユーザーに対してアプリやワークスペースを不変に固定する方法を提供することで解決することができると思う。つまり、何年にもわたってiPadの役割であった自分のワークスペースを所有しているようなマルチタスクの方法論を「ぶち破る」能力をユーザーに提供すればいいのだ。ドックを完全に捨て去り、タップで移動できる固定されたスペースのリストを作成しよう。アプリアイコンを保護するステータスをなくし、そのスペースでまさに起こっていることを反映させよう。

これらはひどいアイデアかもしれないが、私の議論の核心はしっかりしている。タッチインターフェイスは70年代に初めて登場した。そして少なくともここ十数年間は非常に人気だ。

今日のiPad Proユーザーはタッチベースのインターフェイスには慣れており、タッチインターフェイスのないコンピューティングライフを知らない可能性が高まっている。

信じられないのなら、子供たちが6つの異なるアプリを操って、簡単なミームやメッセージをまとめて友達に送る様子を観察してみて欲しいい。子供たちはそれを1日に数十回も行うような名人なのだ。こういったユーザーはまさにタッチネイティブである。肉の味を知ってしまった子どもたちは、もうミルクを飲めなくなってしまっているのだ。

iPadPro

このデバイスは依然として絶賛せずにはいられない。とにかく、私が2018年に挙げた理由すべてにおいて、現在でも同じように強く感じている。しかしこれまでのところ、2018年のiPad Proから最新モデルにアップグレードする理由はほとんど見当たらない。Magic Keyboardに下位互換があることを考慮しても、結論は変わらないであろう。

現在iPad Proを所有しておらず、仕事に使えるか悩んでいる人には、可能だと私は答えるし、実際に私はそうしているとお伝えしよう。複雑で多面的な論説、イベント、サブスクリプションビジネスの編集面を管理しながら、さまざまな大陸やタイムゾーンで働く30人もの従業員と話している。

iPad Proとともに(飛行機で)16万kmを移動したが、一度も不具合を起こすことがなかった。バッテリーは常に十分であった。スピードは常に一定だ。キーボードは素晴らしいだけではなく、液体をこぼしても大丈夫で、さらに耐衝撃性能を備える。私がこれまで所有していたどのラップトップにも当てはまるものではない。アップル製品であったとしてもしかりである。

統合されたトラックパッドの将来性とiPadの存在理由のレベルアップにより、Magic Keyboardと新しいiPad Proは、現在の市場に出回っている中で最も魅力的なパッケージの1つになっている。

私はMacBook Airが大好きで、いくつかのモデルを壊れるまで何年も使用したことがある。現在、自分の仕事のスタイルを考えるとラップトップに戻るという選択肢はありえない。高速で信頼性が強く、強力だからだ。

タイピング、スワイプ、スケッチで入力することができ、地球上のあらゆる主要なビジネスソフトウェアを強力にサポートするマルチモードマシンを所有しているというのは尋常ではない。常によく動き、高速で、まるでイタリアのレーシングカーのように組み立てられているマシンだ。

誰が反論できるだろうか?

[原文へ]

(翻訳:Dragonfly)

モバイルストリーミングQuibiのサービス開始日のダウンロードは30万回だが

Jeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏によって設立された奇妙な名称のモバイルストリーミングサービスQuibi(クイビィ)は、調査会社Sensor Towerのデータによると、サービス開始日に30万回ダウンロードされた。この数字は、2019年11月12日に米国とカナダで始まったDisney+の初日ダウンロード約400万回の7.5%に過ぎない。しかしQuibiアプリをApp Storeチャートのトップ近くに持ってくるには十分なものだった。4月7日現在、QuibiはAppleのApp Storeで第3位だが、Google Playでは29位にすぎない。

iOSでのチャート上位に入りこんだのは、Quibiがリリース時にApp Storeのあちこちでかなり取り上げられたことが貢献しているかもしれない。このプロモーションにはApp Store上の「アプリ」ページ一番上にあるスクロールできる大きなバナーや、「Apps We Love Right Now」コレクション下での表示などが含まれる。こうしたプロモは、好奇心に溢れたApp Storeビジターによるダウンロードを促したはずだ。

AppleがQuibiのプロモに関心を示したのには、サブスクリプションベースのプロダクトであることが関係している。サブスクはApp Storeの収入源だ。Quibiのストリーミングサービスは90日間無料で、T-Mobileの無制限ワイヤレスサービスの顧客には1年間無料で提供されるが、その後は広告付きサービスを月4.99ドル(約540円で)、もしくは広告なしサービスを月7.99ドル(約870円)で購入しなければならない。

Sensor Towerは、Quibiのデビューが「Game of Thrones」シーズン5封切り5日前の2015年4月7日にスタートしたHBO NOWのサービス開始をかなり上回るものだった、とも指摘した。しかしそれはおそらく適切な比較ではないだろう。それはHBO NOWのサービス開始が数年前だからだけでなく、HBO NOWが当時いくつかあるHBOコンテンツ視聴法の1つにすぎなかったからだ。当時のHBO視聴者の多くはすでにテレビ購読を通じてHBOにアクセスできていた。そして視聴者がモバイルで観たかったら、HBO GOアプリを使ってそうすることができた。

一方のQuibiはモバイルでのみの利用だ。つまり30万回という数字はサービス開始時の顧客ベース総数を表していて、いくつかある選択肢の一部というわけではない。

4月7日のデビューの前に、Quibiは初日のダウンロード数を押し上げるためにApp Storeでプレオーダーを提供した。この取り組みがどれくらい功を奏したのか定かではないが、Sensor Towerは初日ダウンロードの「かなりの数」が前もってのものだったとしている。

アプリでは、Sophie Turner(ソフィー・ターナー)やLiam Hemsworth(リアム・ヘムズワース)、Chance the Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)、Jennifer Lopez(ジェニファー・ロペス)、Chrissy Teigen(クリスシー・テイゲン)らビッグネームスターが番組に登場している。カッツェンバーグ氏のコネ、そして17億5000万ドル(約1900億円)という巨額の資金のおかげで、QuibiはSteven Spielberg(スティーヴン・スピルバーグ)、Guillermo del Toro(ギレルモ・デル・トロ)、 Lena Waithe(リナ・ウェイス)、Catherine Hardwicke(キャサリン・ハードウィック)といった映画監督によるコンテンツの提供を約束している。

しかし、息抜きの時間は数分しかないような絶えず動き回る忙しい生活向けにデザインされたモバイルストリーミングサービスに対する消費者の需要は、現在のような自宅でテレビ見放題の隔離生活では無縁のものだ。そしてQuibiには現在、AirPlayやChromecastというオプションはなく、自宅での視聴という点では弱い。

公正に判断するには、ダウンロード30万回を分析するのはまだ早い。90日間のトライアルが終わるまでは、どのくらいの人がお金を払ってQuibiを利用するのか未知数だ。またサービス開始時のダウンロード数は大成功を示すものではなく、現在チャートの上位に入っていてもそれがすべてではない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

長文記事を音声変換するアプリAudmをNYタイムズが買収

長文記事を音声コンテンツに変えるスタートアップのAudm(オードゥム)は3月22日、The New York Times Company(ザ・ニューヨーク・タイムズ・カンパニー)に買収されたと発表した。InstapaperやPocketなどの最新のアプリを含め、ニュース記事を音声に変換するサービスは他にもあるが、Audmは自動音声技術を使わず、コンテンツをプロの声優が読み上げることで差別化している。これによりコンテンツはより楽しく聴けるものになり、例えばポッドキャストを聴くような感じになる。

同社は2007年、コロンビア大卒業生のRyan Wegner(ライアン・ウェグナー)氏とChristian Brink(クリスチャン・ブリンク)氏が設立した。2人はそれぞれ心理学とソフトウェア開発のバックグラウンドを持つ。大学時代は互いを知らなかったが、2014年に出会い、音声ニュースアプリのアイデアを持ち寄ることになった。彼らは当初、クラウドソーシングによるナレーションで試行していたが、後にプロの声優を使い頭角を現した。

同社は2017年にY Combinatorのスタートアップアクセラレータに参加し、ビジネスをさらに発展させた。Audmは当時Wired、The Atlantic、Esquire、Harper’s Bazaar、The New York Review of Books、ProPublica、London Review of Booksなど、さまざまな出版業界のパートナーと協力していた。 同社のウェブサイトによるとThe Atlantic、Outside、BuzzFeed News、Vanity Fair、The New Yorker、New York、Rolling Stone、Texas Monthlyとも協業している。

もちろんThe New York Times(NYT)もAudmと協業していたが、限定的なものだった。現在、Audmには利用可能なNYTストーリーが2つしかなく、両方とも2019年のものだ。今回の買収に伴いそれは変わると思われる。

同社は、新型コロナウイルスのパンデミックからの逃避と救済のために、毎週日曜日に「The Daily」でNYTの記事の朗読を提供する計画をすでに検討し始めたという。これは、Taffy Akner(タフィー・アンカー)氏によるTom Hanksのプロフィール記事Sue Dominus(スー・ドミナス)氏によるコロンビアの双子の兄弟の話から始まった。

The New York Times Magazineのオーディオストーリーも制作されている。AudmアプリでThe Wingblack theaterBernie Sandersその他の特集が聴ける。NYTによると、モバイルページなど他の形式での配信も試行中であり、Magazineから他の媒体への拡大も予定している。

現在、ユーザーはAudmアプリを3日間無料で試用した後、月額8.99ドル(約1000円)または年額59.99ドル(約6700円)でサービスを利用できる。The Times Companyは、ビジネスモデルが今後どう進化するのか、そもそも進化するのか、Audmのサービスが独自のNYTアプリと統合されるのか、詳細を明らかにしていない。

App Storeのプロファイルによると、AudmはMagazines&Newspapersカテゴリーで20位にランクされた。このアプリはAndroidでも利用できるが、ランキングは高くない。

NYTの発表によると、Audmは他の出版社を含め、毎週何時間分もの新しいストーリーを導入し続ける予定だ。

話し言葉の音声制作担当ディレクターであるウェグナー氏と、Audmの製品担当ディレクターであるブリンク氏、チームの他のメンバーは、買収された後Times Companyに参画した。

Pitchbookのデータによると、AudmはY CombinatorHack VCPrecursor VenturesSwitch Venturesからアーリーステージの資金を調達している。

[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi

AppleがiPhoneの常時接続化に向けて通信衛星の技術を開発中か

Bloombergの報道によると、Apple(アップル)は、数名の航空宇宙技術者を雇用してチームを作り、衛星やアンテナの設計者らとともに人工衛星技術の開発を行なっている。それは、廃棄される可能性もある初期的段階の秘密プロジェクトだが、チームの目的はデータを直接iPhoneなどのユーザーに送受する通信衛星の技術開発であり、Appleのデバイスをサードパーティのネットワークを必要とせずにインターネットに接続することを目的にしている。

さらにBloombergによると、必ずしもAppleは人工衛星そのものを内製しようとしているのではない。むしろ、開発しているのは送信機や地上局が軌道上の通信装置へのデータ送信に用いる機器装置類のようだ。それによりAppleからのデータがAppleのデバイスへ直接送られるようになったり、デバイス同士の接続が携帯電話キャリアのデータネットワークを使わずに実現する。また、位置サービスもより正確になり、地図や案内情報が改善されるという。

Appleは航空宇宙および人工衛星の業界から技術者と役員を雇用した、と言われる。その中にはかつてSkybox ImagingにいたMichael Trela(マイケル・トレラ)氏とJohn Fenwic(ジョン・フェンウィック)氏も含まれ、両人がチームを引っ張る。2人は以前Googleの人工衛星と宇宙船部門を率いたことがある。新たな被雇用者の中には、Aerospace Corporation(エアロスペース・コーポレーション)の役員Ashley Moore Williams(アシュリー・ムーア・ウィリアムズ)氏や、ワイヤレスネットワーキングとCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の業界における重要人物たちがいる。

データネットワークを宇宙からデバイスへ直接提供するという考え方は、一見すると馬鹿げているようにも思える。データ通信衛星の多くは、情報をエンドポイントのデバイスにリレーする地上局との通信を要する。でもそれは、初耳のコンセプトではない。例えば、今年、2019年に本誌が取り上げたUbiquitilink(今のLynk)は、電話機と直接通信する新しい種類の低地球軌道通信衛星コンステレーションを作ろうとしている。

Lynkの初期目標は、衛星通信ネットワークによる直接接続の方がiPhoneの通常、利用するキャリアサービスよりも優れている、と主張している。同社はユーザーが利用している地上局ベースのネットワークよりも、圧倒的に速い接続が可能なグローバルローミングを提供したいと考えている。しかもそれは、ローカルなインフラに依存しない。また、予備機としても機能するので、メインのネットワークが落ちたときでも、テキストメッセージのやりとりや通話といったデータ集約的な使い方でなければ十分に使用できる。

Appleが現在行っていることには未知の要素が多すぎるが、それがiPhoneに事故や災害に強い常時接続の能力を持たせるものなら非常に興味深い。どんなときでもiMessageや音声通話やナビが使えて、何もない平常時にはキャリアのデータプランでストリーミングなどを楽しむ、というモバイルライフが想像される。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

盗聴の恐れありでApple Watchのトランシーバー機能を一時停止へ

Apple(アップル)は、Apple Watchのトランシーバーアプリ(米国ではWalkie Talkieアプリ)を、まだどこにも報告されていない脆弱性があるため無効にした。その脆弱性により、ほかの人のiPhoneを同意なく聞くことができる(盗聴できる)と同社は米国時間7月10日の夜に公表した。Appleはそのバグと、バグが直るまで使えない不便さについて謝罪した。

Apple Watchのトランシーバーアプリを使うと、互いにお誘いをOKした二人のユーザーが「ボタンを押して話す」という昔の携帯電話のPTT(Push-to-Talk)ボタンのようなインタフェイスを使って音声でチャットできる。

Appleは次のようにコメントしている。

Apple Watchのトランシーバーアプリに関連する脆弱性を先ほど告知し、早速そのフィックスに着手するとともにアプリを無効にした。その不便を顧客にお詫びし、できるだけ早急な回復を図りたい。この脆弱性の、顧客に害を与える使い方や、それを悪用するための特定の条件や事象の継起はないはずであるが、私たちは顧客のセキュリティとプライバシーをきわめて真剣に重視している。私たちの結論としては、アプリを無効にすることが正しい行為である。なぜならこのバグにより、べつの顧客のiPhoneを同意なく聴取できるからだ。この問題とご不便に関して、再度お詫び申し上げたい。

Appleは「脆弱性をご報告ください」と名付けたポータルで直接このバグを知らされたが、現在のところそれの悪用が広まっている証拠はないそうだ。

同社はこの機能をフィックスが完全に行われてデバイスへ展開されるまで一時的に無効にしている。そのトランシーバーアプリはデバイスにインストールされているままだが、バグフィックスでアップデートされるまでは機能しない。

今年の初めに見つかった、FaceTimeのグループ通話機能のバグでは、通話を受け入れる前に相手の声が聞こえてしまう。それを発見したGrant Thompson少年は、Appleに報告したが何も応答がなかった。Appleはそのバグをフィックスし、最終的には彼にバグ発見賞金を贈った。しかし今回Appleは、「脆弱性をご報告ください」ポータルを頻繁に見ることによって脆弱性報告に遭遇し、早めにその機能を無効にできたようだ。

米国時間7月10日、AppleはMacのアップデートを黙ってプッシュし、ビデオ会議アプリのZoomから通話の開始を簡便にする機能を削除した。その機能を使うと、メールやウェブサイトがユーザーの許可なくそのユーザーを今行われているビデオ通話(ビデオ会議)に加えてしまえるからだ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

今年後半以降に出るMacBookシリーズの新モデルは完全新設計のキーボードを搭載

9to5Macが紹介しているApple(アップル)専門のアナリストMing-Chi Kuo(ミン・チー・クオ)氏の記事によると、MacBook AirやMacBook Proのキーボードは今後変わるらしい。クオ氏はアップルのサプライチェーンから情報を得ているので、同社製品の今後のハードウェアの動向については、これまでも結構正しい予言も多い。

クオ氏の最新記事によると、新しい設計によるキーボードは今年後半に出るMacBook Airと、2020年のMacBook Proのそれぞれのニューモデルに搭載される。それはこれまでのMacBookのいわゆる「バタフライ」方式を捨てて、「シザースイッチ」(Scissor Switch)と呼ばれる方式を採用する。アップルは2015年にバタフライ方式を採用する前までこの方式を使っていた。同社の単独のキーボード製品Magic Keyboardもシザースイッチを使っている。

アップルが近年のMacBookで使ってきたバタフライスイッチ方式のキーボードはこれまで一貫して、キーストロークが落ちる、勝手にリピートされるなどなどの批判を浴びてきた。私は2015年以降、複数のMacBook Proを使ってきたが、やはりキーボードには問題があった。圧縮空気の風でキーボードの下の埃を掃除すると直ることもあったが、キーボードを買い換えたこともある。

アップルの最新のMacBook Proは今年初めに導入され、バタフライキーボードの改良版を載せていた。それは、新しい素材を使って問題の発生を軽減していたが、最近ではMacBook、MacBook Air、MacBook Proなどバタフライキーボードを使っているMacBookの全機種に対してキーボードの無料交換を行った。でも、クオ氏の記事が正しければ、同社はもっと恒久的なハードウェア対策を実装し、あれやこれやの細かい対応から永久にオサラバしたいようだ。

例によって、サードパーティからのまだリリースされてない製品に関する噂には、眉に唾を厚く塗って臨むべきだが、キーボードに関する詳細で正確な技術情報を伴うクオ氏の記事は、かなり信憑性が高いと思われる。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルがオープンソース団体Cloud Native Computing Foundationに参加

KubernetesなどのオープンソースプロジェクトのホームであるCloud Native Computing Foundation(CNCF)が今日(米国時間6/11)、Apple(アップル)がトップレベルの会員資格であるプラチナ会員(Platinum End User Member)として参加することを発表した。CNCFのエンドユーザー会員はAdidas、Atlassian、Box、GitHub、The New York Times、Reddit、Spotify、Walmartなど89社いる。

Appleは例によってこの発表に何のコメントもしないが、しかしCNCFによると、エンドユーザー会員とは「オープンソースのクラウドネイティブ技術のヘビーユーザー」である企業や団体であり、コミュニティに対し何らかの還元意思のある者たちだ。CNCFのエンドユーザー会員になると、自動的に上位組織であるLinux Foundationの会員にもなる。

会員になったことによってAppleは、CNCFの統治委員会(Governing Board)にも加わる。具体的に委員として加わるのは、AppleのシニアエンジニアリングマネージャーTomer Doron氏だ。

Cloud Native Computing FoundationのCTO Chris Aniszczyk氏は、こう語っている。「経験豊富な大企業であるAppleがエンドユーザー会員として仲間になったことは、インフラストラクチャとアプリケーション開発の未来にとってクラウドネイティブコンピューティングが持つ生きた力の大きな証(あかし)である。Appleが本会をサポートすることは、たいへんすばらしいし、今ますます大きくなりつつあるクラウドネイティブプロジェクトのコミュニティに今後得られるコントリビューションに、大いに期待したい」。

Appleをメジャーなオープンソース企業と思う人はあまりいないと思うが、実際には同社はDarwinオペレーティングシステムの一部であるXNUカーネルやプログラミング言語のSwiftをオープンソースにしている。オープンソースのクラウドインフラストラクチャコミュニティにはまだ積極的に参加していないが、今日のCNCFへの参加でそれも変わるだろう。当然ながらAppleは、自前のデータセンターを動かしている。しかしそこではきっと、さまざまなオープンソースのインフラストラクチャプロジェクトを多用しているだろう。例によって同社は、それについてもあまり語らないと思うが。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Appleが中国でiPhoneの無利息月割を開始

Appleは、中国における売上不振対策として、Alibabaとの協力のもとに、見込み客に無利子の融資を提供しようとしている。

Appleの中国のWebサイトは今、iPhoneのための融資パッケージを提供しており、その中には銀行数社およびAlibabaのフィンテック部門Ant Financialが運営している消費者クレジットHuabeiとの提携による、利率0%のパッケージがある。Reutersがそれを最初に報じた。

その詳細は、Reutersの記事によるとこうだ:

Appleは同社の中国のWebサイトで新しい支払い方式を宣伝している。それによると、iPhone XRに関しては毎月271人民元(40.31ドル)、iPhone XSでは毎月362人民元を払う。有利息の古い方式で支払っている顧客は、より安い分割支払いに乗り換えることができる。

総額4000人民元〔約66000円〕以上の製品をAppleから購入するユーザーは、3か月、6か月、9か月。12か月、または24か月の無利子分割払いを利用できる。

また、XiaomiやHuaweiなど他社製品の下取りも行なう。

Appleは数週間前に、近く発表される第一四半期決算報告のガイダンスで、売上の減少を予告した。それによると売上予測は890-930億ドルから840億ドルに落ち、その原因は“予期せぬ経済の減速、とくに中国本土における”、とされた。

魅力的なパッケージの提供は一部の消費者をiPhoneを買う気にさせるかもしれないが、でも、ずっと尾を引いている感覚は、iPhoneの現在のデザインが中国の消費者にとって魅力的でないことだ。ふつうならニューモデルで売上は上がるはずだが、現在のiPhone XR、XS、そしてXS Maxは、1年前のiPhone Xにそっくりだ。

新製品発売の第一四半期には中国でも売上は伸びたが、ローンチ後の第二四半期には、その勢いも消えた。

Appleはインドでも、同じ融資方式を採るのだろうか。The Wall Street Journalによると、インドでは2018年に売上が40%落ちた。インドでのAppleのマーケットシェアは元々大きくないが、それがこの年には2%から1%へと下がった。

インドの消費者にとっても融資は重要だが、ここの市場はXiaomiやOnePlusなどの中国製低価格機が支配している。お値段が上位Androidフォーンの何倍もするiPhoneがインドで売れるためには、柔軟な融資制度に頼るしかないだろう。

しかし中国はこれまでの長年、Appleの売上を支える主力市場だった。利息ゼロの分割ローンも、ここで最初に打ち出すのが当然なのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AppleはFaceTimeの盗聴バグを修復している間グループ通話機能を無効化

Appleは、盗聴を許す悪質なバグを修復するためのパッチを当てる工事の間、FaceTimeのグループ通話機能を無効にしている。

Appleのステータスページを見ると、“Group FaceTime is temporarily unavailable”となっている。これは今週中に恒久的な修復をするまでの、間に合せの対応だ。グループ通話はちょっと前までは有効にできて問題を再現できたが、今はできない。

すべてうまくいけば、このやり方ではバグのせいでFaceTimeを完全に無効にする必要はないが、気の短い人は焦るだろう。

この脆弱性が露呈したのは月曜日(米国時間1/28)で、誰かがグループ通話を開始してほかの人たちがそれに参加しているときに起きる。詳しくは前の記事で説明しているとおりだ:。

どうやら、FaceTimeのグループコールのシステムのロジックに、バグの原因があるようだ。ここでやり方を書くことは控えるが、このバグによって受信者のスマートフォンはグループコールがすでに進行中である、と思ってしまうらしい。何かタップするとFaceTimeはたちまちトリップ状態になり、まだその起呼を受け取っていないのに受信機のマイクロフォンをonにしてしまう。

さらに奇怪なのは、受信者がその起呼を無視しようとしてボリューム下げボタンや電源ボタンを押すと、こんどはカメラもonになることだ。受信機の画面はその入信を表示しているままだが、マイクロフォンとカメラはストリーミングを開始している。

Appleは、恒久的な対策を数日以内に講じる、と本誌などのメディア上で言っている。

同社のスポークスパーソンは、“この問題はすでに承知しており、すでに対策は分かっているので、今週後半のソフトウェアアップデートでそれをリリースする”、と言っている。

ちょっと気になるのは、iOSのある問題のため、グループ通話機能の提供が計画より遅れたことだ。それは一度加えられたが、iOS 12の8月のベータバージョンでは姿を消し、全ユーザーに行き渡るのにかなり手間取った。iOS 12が9月に全ユーザーに届いたときにはこの機能がなくて、10月のiOS 12.1で提供された。Appleは、遅れの理由を述べていない。

Appleは長年、企業や製品のポリシーとしてプライバシー重視を強調してきただけに、今回のバグは恥ずかしい事件だ。この前のCESでは、誇らしく、“あなたのiPhoneの上で起きることはあなたのiPhoneの上にとどまる”、と宣言していたのだから。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アメリカの金融大手は今年のiPhoneの落ち込みを予想、中でも最悪はXS Max

スマートフォン全体の需要が落ち込んでいる中で、AppleのiPhoneの減産を予想するアナリストが日に日に増えている。今日(米国時間12/28)は、米金融大手Citi Groupの調査部門Citi Researchがその仲間に加わった。

ロイターによると、Citi ResearchのアナリストWilliam Yangは、今四半期のiPhoneの出荷台数を以前の予想より500万台下げて4500万台としている。もっと人気者のAppleアナリスト、TF International SecuritiesのMing-Chi Kuoも、先月初めに、iPhoneに関しこれと同様の鈍い予想を発表していた。

Yangの予想の中でとくに暗いのが、6.5インチのiPhone XS Maxだ。クライアントに宛てたリサーチノートの中でYangは、2019Q1のiPhone XS Maxを最初の予想より48%減らしている。

Yangは一連の暗い予想の根拠として、Citi自身の次のような見方を挙げている: “2018年にiPhoneは在庫縮小段階に入ったが、それはサプライチェーンにとって凶兆である”。

2週間前にKuoが発表した2019年のiPhone出荷台数では、前年比5-10%下げ、となっていた。そして第一四半期の出荷台数予想は、彼の最初の予想より20%少なかった。

画像クレジット: Apple

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

利上げと貿易戦争の激化への懸念でテクノロジー企業の株価が急落、グローバルなサプライチェーンにも影響が波及

テクノロジー企業の株は、今日(米国時間11/19)の取引でめった打ちにされた。アメリカと中国の貿易戦争が激化し、金利が上がるとの予想から、不安に駆られた投資家たちが売りに転じたためだ。

多くの大手テクノロジー企業の株式が取引されるナスダック総合指数は、219.4ポイント(3%)下げて7,028.48になり、一方ダウ平均は395.8ポイント(1.6%)下げの25,017.44になった。

Facebook, Alphabet(Googleの親会社), Apple, Netflix, そしてAmazonはすべて弱気市場に落ち込み、株価は軒並み20%以上落ち込んだ。CNBCの分かりやすいグラフ(下図)を見ると、そのことがよく分かる。

テクノロジー株の苦境は、貿易戦争だけが原因ではない。Facebookの株は、アメリカの選挙へのロシアの妨害に対する、同社のまずい対応を詳細に報じたThe New York Timesの爆弾記事に叩かれた。投資家たちは、コンテンツ管理の今後の費用増大により同社の利益が縮小することを懸念したらしい。

Appleの株価は、iPhoneの売上が同社が予測したほど明るくないとの報道で下げたが、ホリデーシーズンには盛り返すだろう。しかしThe Wall Street Journalによると、将来の売上の不確実性によりAppleは、iPhoneのすべての新機種の目標値を切り下げたという。

同紙によると、最近の数週間でAppleは、9月に発表した新機種すべての生産発注量を減らし、それの影響がサプライチェーン全域に波及した。たとえばiPhone XRは、当初の7000万台から1/3切られ、サプライヤーへの発注もそのぶん減らされた。

サプライチェーン全域への波及効果により、サプライヤーとコンペティターもその多くが株価を下げた。

しかしアメリカ政府による中国との貿易戦争の拡大は、Appleに限らずテクノロジー産業全体の不安要素であり、高関税がサプライチェーンに及ぼす影響と価格の高騰が懸念されている。

MarketWatchによると、大手経営コンサルタント企業Independent Advisor Alliance(IAA)の投資担当最高責任者(CIO)Chris Zaccarelliの説では、貿易戦争の圧力に金利の問題と成長のグローバルな鈍化が加わって、テクノロジー株を下げている。

Zaccarelliは曰く: “テクノロジー業界は今後も、金利の上昇、グローバルな経済成長への不安、そして貿易をめぐる中国との緊張関係という三重の十字砲火にさらされ続けるだろう。中国との貿易戦争の懸念は大手テクノロジー企業が依存しているグローバルなサプライチェーンに対する重荷になり、さらに経済成長のグローバルな鈍化により、将来の収益も低くなる、との不安が広まっている”。

画像クレジット: Hiroshi Watanabe

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

このガジェットはApple電源アダプターにUSB 3.0ポートを2つ追加する

これは賢い。HyperDriveが作ったこのUSB-C Hubは、AppleのUSB-C電源アダプターに差し込むとUSB 3.0ポートが2つ増える。それだけだ。私はすごく気に入っていて、Appleの現在のノートパソコンラインアップの大きな弱点をカバーしている。

Appleは多用途のUSB-Cを選びフルサイズのUSBポートを廃止した。これはある意味で理にかなってはいる。USB-Cは現存するバス仕様のほぼすべてに対応しているが、世間にはまだ古いUSBプラグをつけて売られているデバイスが山ほどある。iPhoneのように。誰かがAppleストアに立ち寄って最新のiPhoneとMacBook Proを買うと、iPhoneをMacBook Proで充電するためにはアダプターが必要になる。だったらこれを作ればいい。

似たような製品は以前から出回っていたが、USBポートを増やすのに電源ポートを使うものが多かった。これはUSB-Cの電源を使うため、他社製品よりもひと回り小さくなっている。

HyperDrive USB-C Hubは、2種類のApple電源アダプターにマッチするように2つのタイプが用意されている。61 W電源アダプター用は39.99ドル、87 W用は49.99ドル。どちらもHyperのサイトで予約受付中で25%の割引が受けられる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

iPad Proからヘッドホンジャックが消えた

iPad Proの最新モデルにはヘッドホンジャックがない。消えてしまった。もう遅い。しかも、iPhoneに付いてくるヘッドホンも使えない。AppleはLightningを捨てUSB-Cを採用した。その代わりにAppleはUSB-C ->3.5mmの変換アダプターを9ドルで売っている

最新のiPad ProモデルはiPhoneの歩んだ道を追いかけている。iPhoneと同じくホームボタンをなくし、ヘッドホンジャックも消えた。一部ユーザーにとっては驚きの譲歩だ。iPhoneの場合、大きなポートのための場所がないことは明らかだが、理論的には、タブレットのような大型デバイスではさほど問題ではない。Apple は似たようなハードウェアのセットを使って異なる製品を作ることで利益を最大化しようとする傾向にある。iPhoneに2016年以来ヘッドホンジャックがないことから、Appleのもう一つのモバイル機器にもそのトレンドがやってくる時期が来たのだろう。

取り残されたのはヘッドホンユーザーだけではない。iPadは長年にわたり安定したオーディオコントローラーだった。これからはタブレットとステレオを直接3.5 mmケーブルでつなぐかわりに、9ドルのドングルが必要になる。ヘッドホンを使いたいって? Appleは明らかに、iPadオーナーが159ドルのAirPodsを使うことを望んでいるが、世間にはUSB-Cヘッドホンが溢れGoogle製品もある

Apple Fall Event 2018

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、議会宛レターで「スパイチップ」記事を強硬に否定

Appleは、同社のシステムが中国のスパイに侵入されていたとする先週のBloomberg報道に対して、これを否定する意思を改めて強調した。

その特ダネ記事は中国がSupermicro製マザーボードに小さなチップを埋め込んだとする10以上の情報源を挙げている。SupermicroのボードはAmazon、Appleを始めとする数多くの米国IT企業がデータセンターのサーバーに利用している。Bloombergの記事は、このチップがサーバーのデータを盗み出し、中国が世界有数のIT企業をスパイすることを可能にしているとも主張している。

Appleの情報セキュリティー担当副社長のGeorge Stathakopoulosは、議会宛のレターで、同社にとってこれまでで最も力強い否定の意を表明した。

「Appleは、悪意のあるチップも「ハードウェア改竄」や意図的に仕込まれた脆弱性も、これまでにどのサーバーでも見つけたことはない」と彼は言った。「記事に書かれているようなセキュリティーの懸念についてFBIに報告したこともなければ、FBIがそのような捜査に関してわれわれに接触してきたこともない」

このニュースに先立ち、英国サイバーセキュリティーセンターと米国国家安全保障局の両組織は、Apple、Amazon、およびSupermicroが記事を否定する主張を「疑う理由はない」という趣旨の声明を発信している。

さらにStathakopoulosは、Appleは「Bloombergが間違いなく存在するとしている悪意のチップなるものの詳細を具体的に説明するよう、同誌に繰り返し要求しているが、曖昧な二次的情報以上のものを提供しようとしなかった、あるいは提供することができなかった」

Appleの声明は、以前のコメントよりもはるかに激しい。Bloombergの記事の重要な欠陥は、数多くの情報源が、たとえ匿名であれ、スパイチップなるものを直接目撃した体験談を提供していないことだ。

チップが存在するという直接証拠がないかぎり、Bloombergの記事は根拠が曖昧だと言わざるを得ない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

中国がサーバーのマザーボードにスパイチップを載せてAppleなどアメリカ企業に侵入か

これは、これまでで最大の、国民国家による企業スパイ事件ではないだろうか。Bloombergの今日(米国時間10/4)のびっくり仰天記事によると、中国政府が、Appleを含む30以上のアメリカ企業のサーバーへのアクセスを取得した。

Bloombergによると、アメリカで使われているサーバーのマザーボードを提供しているSupermicroが被害に遭い、中国政府と関係のあるグループが同社のサプライチェーンに侵入して、鉛筆の先ぐらいの大きさの小さなチップをマザーボードに取り付けた。そしてそのマザーボードは、アメリカで使われ始めた。

その目的は、Bloombergの説では、企業のシステムへの入り口を取得してIP(知財)やそのほかの機密情報を盗むことだ。サーバーそのものの能力は限られているが、それが“秘密の入り口”になることにより、中国にいるスパイたちがリモートでデバイスの動作を変え、情報にアクセスする。

そのことを知ったアメリカ政府は、チップの背後にいるスパイたちをスパイしたが、Bloombergの記事によると、現在分かっているかぎりでは、この攻撃によって既知の消費者データはまったく盗まれていない。しかしそれでもこれは、中国政府によるこれまででもっとも衝撃的なスパイ活動のひとつだ、と言える。

記事によると、そのチップはAmazonが見つけてFBIに報告した。それは、同社が2015年にElemental Systemsを買収したときの事前調査でたまたま発見された。Elemental社はアメリカ政府との広範な契約があり、またAppleは、ピーク時には最大7000台のSupermicro製サーバーを動かしていた、とされる。Bloombergによると、Amazonは1か月以内にそれらのサーバーをすべて排除した。Appleは2016年にSupermicroとの関係を絶ったが、その原因がセキュリティ問題だ、とするThe Informationの主張を否定した。

一方AmazonはElemental Systemsの…一説では5億ドルの…買収を完了し、その直前には同社のソフトウェアをAWSのクラウドへ切り替えた。他方Supermicroは今年の8月に、四半期決算報告書の提出を怠ったため、Nasdaqで売買を保留扱いにされた。今後は、改善の期限切れによる上場停止の可能性もある。

[中国のチップスパイ記事は究極の弱点がサプライチェーンであることを示している(未訳)]

Amazon, Apple, Supermicro, そして中国外務省は、Bloombergの記事を、激しくて長い声明で否定している。彼らの反論のリストが、ここにある。同紙は、ニュースソースは現場知識のある17名以上の個人情報筋だ、と主張している。それらには、6名のアメリカの政府職員と、Appleの4名の“インサイダー”が含まれる。

Bloombergの元記事を、ぜひ読むべきだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Appleは、iPhone XRで3D Touchが失敗であることを認めた

3D Touchを覚えているだろうか? iOSのパワーユーザーでなければ、おそらく知らないだろう。あるいは、知らないほうがいいかもしれない。Appleが2015年に次世代のマルチタッチとして発表したこのテクノロジーが、そうではなかったとわかってからしばらく時間がたった。ほとんどのiPhoneユーザーにとって、それは実際やりたいことを邪魔する厄介者である。

Appleが3D Touchで実現したものは、マルチタッチ世界のショートカットキーだった。またの名をマニア専用の秘密兵器

プロのギークたちはその隠された深みを知ることを無限に楽しみ、高度に精緻化された彼らのワークフローから貴重なマイクロ秒を削った。しかし、それ以外の全員は無視した。

いや、少なくとも無視〈しようと〉した——何か重要なことをしようとしてうっかり3D Touchを起動し、自分のiPhoneが何をしようとしているのかわからず混乱、困惑するまでは。

IT界の長老たちは、Blackberry(覚えてますか?!)が10年前に似たようなことを試みて失敗したことを思い出すかもしれない——可愛くない(かつ、可愛がられなかった)クリッカブルスクリーン付きの、一代限りの変わり者、BlackBerry Storm開封の儀はこちら。

Stormには、BlackBerryの象徴である(クリック可能な)物理的キーボードはなかったが、タッチスクリーン上のQWERTYキーはやはりクリック可能だった。要するに、狂気の沙汰だ。

もちろんAppleの場合、そこまでのつまずきではない。しかし、3D Touchの公開から3年が過ぎ、Appleは自らの失敗を告白した——最新のiPhoneラインアップで、トリオの最安値機種iPhone XRから、この圧力感知テクノロジーを全面的に削除したのだ。

3D Touchをなくすことで、XRの製造コストを削り、おそらくわずかに厚さを減らすことができただろう。しかし、これはAppleが多大な技術的努力を注いだものを、ほとんどのユーザーが使わず、使いたくないことを認識した証と見るべきだろう——本誌のBrian Heaterが言うように、iPhone XRが「一般人のためのiPhone」であることを踏まえれば。

しかし、XRは安物の端末ではない。XRにはAppleの次世代バイオメトリック技術、Face IDなどが採用され、トップの切り欠きの裏には高度なセンサー機器が密集している。

これは、Appleが手を抜いているのではないことを示している。むしろ、iPhoneユーザーが求め、必要としているものに機能を絞ろうとしている。つまり、ほとんどのiPhoneユーザーは3D Touchを必要としていない、というのがクパチーノの明白な計算結果だ。

一方で同社幹部は、今週のイベントでFace IDを絶賛し、このテクノロジーがユーザーの間で絶大の人気であると語った。しかし、同時にiPhoneラインの末端で3D Touchが消えたことは、一言の説明もなく葬り去られた。

2つのテクノロジーを比べてみれば理由は明白だ。

Face IDの人気は驚くに当たらない。見つめることでロック解除するより簡単な方法は思いつかない。

厄介な3D Touchはちょっと違う——タップより強くプレスする必要があり、それは押し込むという感じだ。押し方が足りないとタップとみなされて思っていたのと違うことが起きる。しかし、強く押しすぎるとタッチスクリーンは働いてくれることもあれば無駄におわることもある。

そもそも、機能の有効性自体が疑問だ——たとえば、コンテンツのプレビューは恐ろしく遅いので、単にタップしてメールを見るほうがよい。

3D Touchを巡る困惑とイライラは、ユーザーインターフェース界の「三匹のくま」物語のようだ。うまくいくまで続けられる驚異の忍耐力がない限り、フラストレーションは保証されている。パワーユーザー以外に誰が喜ぶだろうか?

「みんなの」iPhone XRのために、Appleは3D Touchを触覚フィードバック(Haptic Touch)へと代えた——おそらくこれは、iPhone機種間の隙間をスムーズに埋めるためだろう。つまり、デベロッパーが3D Touchを活用して、ユーザーが実際に使いたいアプリ内ショートカットを作っていた、というレアなケースのために。

もし、本誌が予想しているように、iPhone XRが大量に出荷されることになれば、3D TouchのないiOSユーザーがたちまち数百数千万人になる。すなわちAppleは、一時はマルチタッチの未来とまで呼んだテクノロジーを、パワーユーザーのためのアドオン機能へと格下げしようとしている。

プロユーザーはiPhoneへの最大の出費をいとわない人々でもある——つまりiPhone XSまたはXS Mac(3D Touchが搭載ささている、少なくとも今のところ)を喜んで買うだろう。

というわけで、3D Touchは一部の超プレミアムiPhoneを最高峰へとシフトする役にはたっているかもしれないが、パラダイムをシフトすることはありそうにない。

その意味では、マルチタッチを余裕のあるスクリーン領域と組み合わせれば十分だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Tim CookがAppleの社員に宛てて: 私たちを前進させるのは1兆ドルの株主価値ではない

あなたが勤めている会社が、古代のクロイソス王よりずっとずっと大金持ちだと知ったら、一体どんな気持ちだろう?

BuzzFeed Newsが入手した、AppleのCEO Tim Cookの、スタッフ宛てメモが語っているように、Steve Jobsが1976年に創業したコンピューター企業は今や、1兆ドル以上の価値がある。あなたは、A)自分の労働の成果だと喜ぶ、B)成功の真の測度はイノベーションと創造性なので気にしない、C)一瞬喜んですぐ仕事に戻る、のどれだろうか?

Cookは、全世界12万3000名の社員宛に、次のように書いた:

チームのみなさま,

今日Appleは、重要なマイルストーンを通過しました。株価の終値が207ドル39セントに達し、株式市場は今やAppleを1兆ドル以上と評価しています。この成果は確かに誇るべきことですが、しかしそれは私たちの成功のもっとも重要な尺度ではありません。財務上の数字は単純にAppleのイノベーションの反映であり、つねに製品と顧客を再優先し、弊社の企業価値に忠実であり続けたことの結果です。

Appleを偉大にしているのは、あなた、そして私たちのチームです。弊社の成功はあなたの勤勉と献身と情熱の結果です。私はみなさまのお仕事を深く畏敬しており、みなさまと共に働けることは、私の生涯の名誉です。みなさまのすべての深夜労働とすべての超過出張に、心の底から感謝しています。なにごとに関しても中途半端を拒否し、卓越のみを求めるみなさまの日頃の姿勢にも、感謝申し上げます。

この場を借りて、弊社の顧客とサプライヤーとビジネスパートナーとAppleのデベロッパーコミュニティ、そしてすべての協力者のみなさまと、このすばらしい会社を作った先人たちにも、感謝いたします。

Steveは、人間の創造力は最大の難題でも解決できる、という信念のもとにAppleを創りました。彼は、自分は世界を変えることができるというクレージーな考えを持つ者が、難題の解決者だと信じていました。今日の世界では、弊社のミッションはこれまで以上に重要です。弊社の製品は一時的な驚きと喜びを作りだすだけでなく、世界中の人びとに力を与え、その人たち自身の生活とほかの人たちの生活を豊かにします。

Steveがこのような場でいつも申したように、私たちはAppleの輝かしい未来と、私たちがこれから一緒になってやっていくすばらしい仕事に目を向けるべきです。今の現在ではなく。

Tim

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa