アップルのディスプレイスタンドはウォール街を喜ばせる秘密兵器

ここ数年Apple(アップル)はビジネス戦略をシフトして、上級顧客からの売上をさらに伸ばそうとしている。しかし、もしあなたが999ドル(約10万8000円)というiPhone XSの価格が大胆だと思ったなら、Appleが新型Mac Pro用に今日発表したこのどうかと思うディスプレイスタンドも999ドルだ。

WWDC基調講演の終了間近にスタンドの価格がさりげなく発表され、客席で堰を切ったようにささやき声が漏れはじめたとき、発表者は明らかに不意をつかれたようで話す内容を忘れてしまった。

同社のMac Proは5999ドル(約65万円)からというとんでもない価格だが、結局のところこれはアップルのパワーユーザー長年の望みを山ほど盛り込んだマシンだ。4999ドル(約54万円)のPro Display XDRもその価格には驚かされものの見どころは満載だが、このスタンドは何ひとつ特別なものがないのに999ドルだ。

もちろん、この種の値段の商品には、ディスプレイを支える以外の何かがあるものだ!確かにそれはあってディスプレイを90度回転できる。89ドルのViewSonicにもあるが。

アップルはプロフェッショナル市場を金銭価格の欠如したドル箱だと思っている。デバイスの販売が停滞する今、何として掴んでおきたい素晴らしい市場ではあるが、いくらなんでもプロフェッショナルユーザーを馬鹿にしている。多くの点(全部ではない)でPro Display XDRに匹敵するディスプレイは、このスタンドだけの値段よりも安く買うことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Watch専用のApp Storeとアプリが登場

Apple Watchアプリがこれまでの制約から解放される。Apple(アップル)はデベロッパー会議でApple Watch上で作動する専用のApp Storeを発表した。つまり、Apple WatchのアプリをiPhoneで探したり、オンやオフをトグル設定したりしなくてもよくなり、新しいApple Watchアプリを手首でブラウズして探すことができる。

Apple Watchの新App StoreではiOSのApp Store同様にアプリの説明、スクリーンショット、評価などが表示される。そしてスクリーンをタップしてアプリをApple Watchにインストールできる。

このApple Watch専用App Storeに関連して、アップルはwatchOSアプリがiOS アプリから独立して作動すると説明している。これによりデベロッパーはWatch専用のアプリをつくることができるようになる。おそらくこうした変更によりiOS用のApp Storeでは展開できなかったApple Watchエコシステムを始動させることを思い描いているのだろう。最近の消費者はアラームの受信や、着信・メッセージへの応答、音楽の操作などのビルトイン機能をApple Watchで活用する傾向にある。

今回、新たなストリーミングAPIも発表された。この独立したApple Watchアプリにはライブのオーディオフィードが含まれ、会議のステージ上で紹介されたようにスポーツイベントの中継を聴いたりすることもできる。

こうした新たな要素は、より多くの消費者にApple Watchを購入したいと思わせるかもしれない。今まではApple Watchを使うにはiPhoneも持っていなければならなかった。しかしこれからはAppleのエコシステムに多くを投資することなく、さまざまなWatch機能のアドバンテージを享受できるようになる。

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(翻訳:Mizoguchi)

アップルがヘルスケアアプリにヘッドフォン難聴の防止機能新設

最近のWHOITUの共同調査によれば、世界の12歳から35歳までの人々のほぼ半数が聴力に深刻な障害を受けるリスクにさらされている。これは11億人という驚くべき数だ。

問題はスマートフォンの普及とともにパーソナルリスニングデバイス、つまりヘッドフォンやイヤフォンの利用も拡大したところにある。若い層はヘッドフォンなどのボリュームを目一杯にアップして大音量で音楽を聞きたがる。これがヘッドフォン難聴と呼ばれる回復不可能の外傷性難聴を引き起こす大きな原因になっている。

昨日(米国時間6月3日)のWWDCのキーノートでアップルが触れなかったヘルスケアアプリの新機能の1つがヘッドフォンのボリュームコントロールだ。この機能はAirPods、Beatsなどのヘッドフォン類のボリューム・レベルをモニターし、音量が大きすぎるとユーザーに警告を発する。

Apple WatchのノイズアプリはWatch内蔵のマイクで環境ノイズを測定する。ヘルスケアアプリはこの情報とヘッドフォンのボリュームを比較し、音量が90dBに達している場合、「音量が大きすぎる」と通知する。このレベルの音量に長時間さらされると聴力の喪失を招く危険がある。

残念ながらこの音量モニターの動作はプロアクティブではない。まずユーザーは音量モニター機能にオプトインする必要がある。それでもこうした機能が設けられたのは良いことだ。私自身、ジムで運動をしているとき、不快なBGMが流されていたのでついヘッドフォンのボリュームをアップして対抗していたことがある。このときの音量は長時間聴くには危険なレベルに達していた可能性がある。

12歳から35歳までの層も当然歳を取る。つまり問題は今後はるかに深刻化するだろう。大音量は聴力に重大な危険を及ぼすことが早急に認識される必要がある。

【Japan編集部追記】日本耳鼻咽喉科学会のページにヘッドフォン難聴の危険性が解説されている。ヘッドフォンなどは1日1時間以上の利用で危険性が増大する。またノイズキャンセリング機能は予防効果があるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AirPodsとHomePodにも新機能が登場

WWDCで、アップルのオーディオハードウェアは大注目を浴びたというわけではなかったが、まったく何もなかったわけでもない。HomePodとAirPodsの新機能をお伝えしよう。

  • AirPodsを使っているとき、iPhoneにiMessageが届くとSiriが読み上げ、すぐに返信することもできる。「Hey Siri」とわざわざ言う必要がなくなる。
  • あるiPhoneで聴いている曲を別のiPhoneにすぐ共有できる機能が紹介された。
  • HandoffがHomePodにも対応する。物理的な移動に伴う方法だ。外から部屋に入り、iPhoneで聴いている音楽の続きをHomePodで聴きたいとする。このようなとき、iPhoneをHomePodに近づければオーディオが転送される。HomePodからiPhoneも同様だ。
  • お待ちかねのアップデートが、HomePodのマルチユーザー対応。自分専用にカスタマイズされた音楽を聴くことができる。iMessage、リマインダー、メモなども自分の情報を利用できる。
  • SiriでiHeartRadio、TuneIn、Radio.comなどのラジオ局を聴けるようになる。


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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルのCarPlayがアップデート、新しいホーム画面やSiriからの提案を搭載

アップルはWWDCで、CarPlayの登場以来最大のアップデートを発表した。CarPlayは劇的に改善され、これまでのiPhoneを模した画面レイアウトではなく、車内で使うのにずっと適したものになっている。

CarPlay2014年の登場以来、あまり変わっていなかった。CarPlay互換の車は増えたが、ほかの車載システムはアップルが開発したものよりもずっと進化してきた。CarPlayの今回のアップデートは、正しい方向への大きな一歩といえるだろう。

最大の変更点は、CarPlayで表示できる情報量だ。これまでのバージョンのホーム画面にはアプリのアイコンが並んでいるだけで、あまり役に立たなかった。新バージョンでは、ホーム画面にマップ、メディアの再生、車庫のドアやライトといったHomeKitデバイスが表示される。

先月、グーグルはAndroid Autoプラットフォームの大規模アップデートを発表し、CarPlayを大きくリードした。Android Autoは車に適した方法でタスクを処理したりアプリを表示したりすることができる点で、CarPlayとは大きな差があった。しかし新バージョンのCarPlayは、グーグルのシステムが備えている機能の多くに対応したようだ。

新しいCarPlayは、古い車や古いハードウェアで動作するのか。iPhoneのどのモデルで動作するのか。車によって画面の解像度が異なるがどう調整されるのか。このように、今回の発表ではまだ不明点が多い。

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(翻訳:Kaori Koyama)

iOS 13では位置情報の利用を「1回だけ」許可できる

アップルは、アプリに対してiPhoneの位置情報の利用を1回だけ許可できるようにする。これまで位置情報の利用には「常に許可」「許可しない」「このAppの使用中のみ許可」の3つの選択肢があった。

「1回だけ」位置情報の利用を許可するのは、小さな変更ではあるが、プライバシーを重視する人々には魅力があるだろうとアップルは述べた。

アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長、Craig Federighi(グレイグ・フェディリギ)氏は米国時間6月3日にWWDCで「アプリに位置情報を1回だけ共有できる。その後、アプリが位置情報を必要とするときにはあらためて利用者に許可を求める。これは初めて登場する設定だ」と話した。

あるアプリを使うにはリアルタイムの位置情報が必要だが、常に自分の居場所の情報を提供したくはない。そういうアプリをダウンロードする人に役立つ機能だ。

さらにアップルは、位置情報を利用するアプリはiPhoneにレポートの形式で情報を記録すると説明した。「だから利用者はアプリが何をしているかを知ることができる」とフェディリギ氏は言う。

アプリは利用者の位置情報を常にGPSから特定しているわけではない。たいていの場合、Wi-Fiネットワークの情報、IPアドレス、さらにはBluetoothのビーコンのデータも利用して位置情報を特定し、広告のターゲットの精度を上げている。位置情報の利用を1回だけ許可する設定について「こうした乱用を封じるものだ」とフェディリギ氏は語った。

きめ細かくなった新しい位置情報の許可の設定は、今秋登場のiOS 13に搭載される予定だ。

画像:Screenshot / TechCrunch

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(翻訳:Kaori Koyama)

iMessageがプロフィール写真をサポート、ミー文字ではメイクやアクセサリーも楽しめる

アップルはiOS 13でiMessageを大幅にアップデートするとWWDCで発表した。ついに、自分の連絡先に写真を設定していない相手に表示される邪魔なグレーのイニシャルをなくす方法が提供される。ユーザーが自分のプロフィール写真を追加すると、iMessageでメッセージをやり取りするときに表示されるようになる。これは写真でもいいし、ミー文字でもいい。そのミー文字もアップデートされる。

現在のミー文字では、肌のトーン、髪の色、目などを変更できるが、今後はさらにメイクやアクセサリーも追加できるようになる。アイシャドウやリップの色を変えたり、ピアスなどのアクセサリーを追加したり、さらにAirPodsを耳に装着することもできる。

WWDCのステージでは、リップピアス、舌ピアス、ノーズリングなどのデモがあった。歯列矯正装置やイヤリング、そしてすきっ歯、金歯、髪、帽子などの新しいオプションもある。今回のイベントでは美容系インフルエンサーが登壇して新しいミー文字を紹介した。

このアップデートでiMessageは、MessengerやWhatsAppなどのようなメッセージングアプリらしさを増す。

その後に披露された新登場のiPadOSに関するデモでは、iMessageの新しいプロフィール写真とミー文字が共有シートにも表示されることを確認した。

さらにiOS 13では、ミー文字はステッカーとして送信できるようになる(以下の写真を参照)。

SnapchatのBitmojiに見られるように、オリジナルの絵文字は自己表現の形として人気がある。米国時間6月3日のアップルのキーノートに先立ち、Facebookも「Avatars」というBitmojiのようなものを発表した。Avatarsは米国時間6月3日にオーストラリアでMessengerとニュースフィードのコメントに使えるようになり、今後各国で導入される。

iMessageの新機能は今秋登場のiOS 13に搭載される予定だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

iOS 13で写真アプリが大改良、目当ての写真がさらに見つけやすく

iPhoneの上で写真を見つけようと思ったら、どうするか?やり方はたくさんあるが、でも正直なところカメラロールへ行って光よりも速くスクロールし、自分の目が目的の写真を正しく見つけてくれることを信じるというやり方が圧倒的に多いだろう。でも今度からは「写真」アプリの新しいレイアウトによりそれが変わるかもしれない。写真を見つけやすいように、日、月、年別にまとめてくれるのだ。

現在、写真アプリは混乱の巣窟だ。写真を整理する方法はいくらでもあるが、どれ1つとして正しいとは思えない。「For You」タブには最近の一定期間の、ランダムに選んだランダムなお勧め写真がある。それらを「1年前」「春」「旅行」「食事」などで検索できる。たくさんの小さな画像を日付順に並べてくれる機能もあるけど、小さすぎてよくわからない。だからみんなカメラロールを自分でスクロールしまくる原始的な方法に頼るのだ。

WWDCで発表された、Days(日)、Months(月)、Years(年)のテーマでそれが変わるかもしれない。そしていろんなタブ、多すぎるぐらいのタブがあってそれらの期間を指定できる。

そのデフォルトのモードは単なるカメラロールに似ているが、でもDays(日)を選ぶと、ライブフォトが有効なままで、それぞれの日のいろんな写真がハイライトされる。次の日ヘ行くのも簡単だ。もっと新しい写真が下のほうへ出てくる。

Months(月)を選ぶと、各月の写真が場所やイベントごとにまとめられている。Years(年)でも同じだが、各年のアルバムの表紙には同じ日の写真が載る。例えば、誰かの誕生日パーティーに行った日の写真とか。

写真アプリには前から、特定の日付を指定する機能があるけど、それよりも今度の方法の方がいいね。ある年を選んで、さらに月、日、と大量の写真をかき分けていく。カメラロールの単純なスクロールよりもずっと有意義だ。とはいえ、カメラロールスクロール主義を完全に放棄することは絶対にないだろう。

以上は、iOSのマイナーな変化にすぎないが、写真アプリはなにしろ使う頻度が多いから、写真を見つけやすくなったことは相当重大な変化と言えるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルの新しいTestFlightでスクリーンショット付きのフィードバックを簡単に送れる

アップルのテスト用プラットフォーム、TestFlightがアップデートされる。WWDCで発表された新バージョンのXcode 11では、TestFlightアプリのユーザーからのフィードバックが自動で有効になる。ユーザーはテスト中のTestflightアプリからスクリーンショットを共有する際に、ベータフィードバックとして共有するかどうか、コメントをつけるかどうかを選択できる。これまでよりも一体化したエクスペリエンスにすることによって、より多くのユーザーにフィードバックを促そうというものだ。

こうした機能は人気のアプリフィードバックプラットフォームのInstabugにもある。InstabugはBuddybuildのサービスで、アップルは2018年1月にBuddybuildを買収していた

開発者はApp Store Connectで受け取ったフィードバックをすべて確認し、詳細をダウンロードして後で参照することができる。

ちょっとしたアップデートのように思えるが、開発者はiOSのApp Storeでアプリを広く公開する前のユーザーテスト期間中に多くのバグや問題を把握できるようになる。エンドユーザーにとってはアプリのテストとフィードバック提供がシンプルになる。これまではフォームに入力したり開発者にメールを送信したりといった手間がかかって、フィードバックせずに放置されることがあったと推測される。

これは、アプリのフィードバックに関して米国時間6月3日に発表された2つのうちのひとつだ。

もうひとつというのは、ユーザーが共有に同意すると、アプリの開発者はバッテリー駆動時間、起動時間、メモリリークの数値を匿名化した形で取得できることだ。これらの数値は集約され、クラッシュやエネルギー使用量の隣のオーガナイザーに表示されるので、開発者がアプリのパフォーマンスを監視し向上させるのに役立つ。

アップルによれば、集約された数値の収集は実際には今年の春のiOS 12.2から始まっていたので、多くのアプリではすでにこのデータをこれから利用できる状態になっているという。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Apple TVが複数ユーザーやXbox/PlayStationのコントローラをサポート

アップルはApple TVのオペレーティングシステム、tvOSの次バージョンを発表した。ホーム画面が一部変更され、フルスクリーンのプレビューが自動再生されるようになる。個人的にはビデオの自動再生はオフにできるとよいと思っている。Netflixのビデオプレビューは多くの人から不評のようだ。

tvOSは複数ユーザーをサポートするので、「次はこちら」はそれぞれの人の好みを反映するようになる。これはNetflixなどのストリーミングサービスと似た機能だ。右からスワイプすると新しい「コントロールセンター」パネルを開くことができる。

アップルはすでにゲームのサブスクリプションサービス、Apple Arcadeを発表している。Apple ArcadeもApple TV上で動作する。100種類以上のゲームを月額定額制で楽しめるようになるということだ。

これまで、Apple TVでプレイするゲームは、ちょっともどかしかった。コントローラが付属していないからだ。しかし次バージョンのtvOSは、2種類の定評あるコントローラ、PlayStation 4とXbox Oneのコントローラに対応する。

海中の映像のスクリーンセーバーも新たに追加されたが、コントローラのほうがわくわくするニュースといえるだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルは新しいツールでAR機能を増強

拡張現実(Augmented Reality、AR)は、iOSの消費者が恋焦がれている機能ではないかもしれない。しかし、Apple(アップル)の最新のツールを見ると、同社の長年の夢であるARの偏在性(どこにでもARがあること)を、デベロッパーにとってより取っ付き易いものにしているようだ。

同社はARKitの最新バージョンでおもしろいアップデートをいくつか行ったし、またデベロッパーのための新しいプラットホームとしてRealityKitを導入した。

アップルはRealityKitで、現在UnityやUnrealのテリトリーである領域を攻略したいようだ。UnityやUnrealはデベロッパーが3Dのコンテンツを作るためのツールだが、最初からゼロからARを作ることは当然ながら狙っていない。そのため、現実世界の機能性との統合が難しくなることもあるが、RealityKitとRealityComposerはこの関係をより円滑にする。

これらのツールを使うと、シーンの設定や3Dのアセットと音源のインポートができて、それらとユーザーの入力やその環境との対話を詳しく定義できる。極めてiOS専用の設計になっているので、デベロッパーはARのシーンをiPhoneやiPadでテストでき、最終製品の感覚を早い段階で得ることができる。

ARKit 3では、コンピュータービジョンの超難問であるリアルタイムのオクルージョン(Occlusion)をサポートしたことがビッグニュースだ。それは、人間の姿形がどこからどこまでであるかをシステムが常時正しく認識して、自分の目の前にいる人の動きに正しく対応できる能力のことだ。

これは、アップルがこれまで挑戦してきた問題の中でも最高難度の難問かもしれないが、デモを見たかぎりではまだ完璧とは言えず、また環境オブジェクトのオクルージョンは今回のアップデートではサポートされていない。

さらにもうひとつ、ARKitには全身のモーションキャプチャーが加わった。たぶんそれは、オクルージョンと同じ基本技術を低レベルでは使っているのだろう。InstagramやSnapchatのセルフィー・フィルター(自撮りフィルター)が顔だけでなく全身対応になるのかもしれない。

RealityKitは現在ベータ、そしてARKit 3はiOS 13に含まれる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

watchOS 6はiPhoneからの独立に焦点

Apple(アップル)は米国時間6月3日に開催されたのWWDCの基調講演で、watchOSの最新バージョンを披露した。発表の大部分はApple WatchのiPhoneからの独立と、Series 4の大画面を活用したデザインについてだった。

今年もアップルは文字盤を変更し、クラシックなデザインとミニマリスト的デザインなどが加わる。watchOS 6には、騒音測定や風速、雨量などのコンプリケーション(Watchの組み込みアプリ)もある。変わったところでは、「Taptic XChimes」という新機能は時計台のように時報を振動で知らせてくれる。

おそらくこのバージョンのビッグニュースは、iPhoneのスタンドアロンアプリがいくつかwatchOSに移植されたことだ。次期watchOSには、オーディオブック、ボイスメモ、計算機が入る。これでチップの計算がすぐにできる。

さらに注目すべきは、watchOS版のApp Store が用意されることだろう。アプリを探したり、レビューを読んだり、ダウンロードしたりがApple Watchだけでできるようになる。

Apple Watchにスタンドアロンで動作する標準watchOSアプリが増えるのに伴い、アップルはサードパーティーデベロッパーがiPhoneアプリを必要としないスタンドアロンwatchOSアプリを簡単に作れるようにする。

ヘルスケアについてはあまり大きな新機能はない。ヘルスアプリの測定値が一定以上変化したとき、通知経由でコーチングを受けられるようになる。そのほかアップルは、女性が月経周期を記録・追跡するためのCycle Trackingアプリも追加した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

タブレットがとうとう独自OSにWWDCでiPadOSが登場

iPadは登場から10年を迎え、ハードウェアは大きく強化された。一方、OSをiPhoneと共有していることが制約になり始めていた。米国カリフォルニア州サンノゼで米国時間6月3日に開幕したWWDCで、アップルはiPadに独自のOSを搭載することを発表した。今後iPadアプリはiPadOSに適合したものとなる。

iPadOS

とはいえ、新OSは iOS 12と比較してさほど劇的な変化はしていない。実のところ、アップデートの内容はかなり地味だ。しかしiPadOSという独自名称を与えたことでAppleはiPhoneとOSを共有する制約から離れ、iPadの持つ潜在能力を充分に発揮させる方向に舵を切った。

ここで重要なのはApple(アップル)の戦略転換だ。iPadアプリは今後macOS版よりさらに強力になっていくだろう。Phoneのサイズに縛られて iPadが能力を完全に発揮できないなどというのはナンセンスな事態だった。iPadに独自OSが来たことでで一番わくわくするのはどの部分だろうか。

  • Safariでサイトを訪問するとき、モバイル版ではなくデスクトップ版が開くようになった。これは大きなニュースだ。 
  • ホーム画面にウィジェットを追加できる。ホーム画面の構成もアップデートされ、これまでより多数のアイコンを並べることができる。 
  • ファイルをフォルダーにまとめてiCloudに保存、共有するファイルやアプリもiPadに最適化された。表示にカラムビューが加わり、USB-C接続のフラッシュドライブからデータをコピーすることも簡単になった。.
  • iPadOSでは同一アプリで複数の窓を開ける。これ以外にもiPadの画面のサイズを生かしてマルチタスクを容易にする機能が追加された。 
  • Apple Pencilのレイテンシーが20msから9msにほぼ半減した。AppleはPencilKitというデベロッパー向けAPIを用意。これによりアプリにカスタマイズされたペンシルの機能を開発することが簡単にできるようになった。 

こうしたアップデートはさほど劇的なものではない。iPhoneの狭い世界からiPadが解放されたことはグッドニュースだ。今後に大いに期待できる。

もっともあまり劇的なアップデートが用意されていないこの時期にiPadのOSの名称を変更したのはやや不思議だが、デベロッパーにとっては iOSがiPhone向けとiPad向けに正式に分岐したことは決定的に重要だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

WWDCでiOS 13の詳細判明、ダークモード、プライバシー強化などアップデート多数

先ほど開幕したWWDC19でApple(アップル)は、iOS 13のプレビューを紹介した。製品版はこの秋に一般公開される。

ダークモード始め、大小さまざまなアップデートが発表された。ソフトウェアエンジニアリング担当副社長のクレイグ・フェデリギ氏は「iOS 13には多数の新しい機能が追加され、非常に大規模なアップデートになる」と述べた。

フェデリギ氏はこれに続いて、パフォーマンスの改善の詳細を説明した。Face IDは30%速くなる。App Storeからの新規ダウンロードはサイズが小さくなる。しかもiPhoneはアップデートのたびに全体をダウンロードするのではなく、必要な部分だけ取得するので、サイズは平均60%も小さくなるという。アプリのローンチまでの時間は半分に短縮されるなどなど。

ダークモードとシステムレベルの改善

すでの多数のアプリがダークモードを採用している。しかし今回アップルは、iOS 13ではダークモードがシステムレベルで実装されることを明かした。コントロールセンターからワンタッチでUIをダークモードに設定できる。音楽、カレンダー、メッセージなどネイティブアプリはすでにダークモードをサポートするようアップデートされている。

通知、ウィジェットの外観が変わり、全体として暗めのデザインになった。アプリを開くと背景は純粋黒になる。OLEDモニターはまったく光を発しないようにできるので黒がすっきり締まって見える。

ネイティブキーボードは、キーからキーへスワイプして入力できるようになった。共有をコントロールするシェアシートのデザインがアップデートされ、ユーザーの活動履歴をベースに最適と思われる連絡相手がシェアの候補に表示される。音楽アプリではスクロールして歌詞を表示できるようになった。

純正アプリのアップデート

アップル自身が提供するアプリについてだが、Safariにはウェブサイトごとにテキストサイズを設定できるオプションが加わった。メールもリッチテキストが利用できる。メモ(Notes)にはギャラリー表示とフォルダーが加わった。

リマインダーもまったく新しいデザインになった。タスクを追加するためのクイックタイプバーが新設された。タスクをネストさせて下位のタスクをインデントできる。連絡相手をタグ付けすると、iMessageで通知が行く。

アップルのメグ・フロスト氏は、新しいマップをデモした。地図データが改良されたのはもちろんだが、アップルの地図にGoogleのストリートビューに似たLook Aroundという機能が追加された。同機能による地点間の移動は驚くほどスムーズだ。

このほか、マップには友だちとの待ち合わせの予定到着時間(ETA)を表示する、お気に入りの場所を記録する、リストを友だちと共有するなどの機能も追加された。

米国については、年末までにアップル独自の地図データが利用できるようになるという。他の国では来年以降になる。

プライバシー強化

アップルは位置情報の取扱を厳格化するアップデートを行う。ユーザーはワンタッチでロケーション情報の共有設定ができるようになる。

これによりサードパーティーのデベロッパーはユーザーが利用しているWi-FiやBluetoothについての情報を得られるなる。こうした情報からユーザーの位置がリークされるというスキャンダルの防止に役立つはずだ。

アップルはまた「Facebookでログイン」に対抗して「アップルでログイン」というという機能を追加する。ユーザーは個人情報を明かす心配なしに新しいアカウントを作成できる。またアカウントがメールアドレスを必要とする場合、ランダムな文字列によるアドレスを生成し、アカウントへのメールを受信することができる。メールは本当のアドレスに自動的に転送される。

スマートホーム関係ではHomeKitのプライバシーも強化された。セキュリティカメラの映像10日ぶんをiCloudのHomeKit Secure
Videoに保存できるようになった。再生するためのキーはアップル自身ももっていない。またセキュリティカメラのデータはiCoudの容量にカウントされない。Logitech、Netatmo他の有力メーカーは今後、新しいHomeKitをサポートするという。

HomeKitデバイスのセキュリティをさらに強化するため、アップルはHomeKitにルーターを経由させる機能を加えた。これを利用すればHomeKitデバイスはファイアウォールで切り離され、インターネットに直接アクセスできなくなる。

iMessageがさらにパーソナルに

iMessageにはどうしても強化版のSMSというイメージがつきまとっていた。iOS 13ではもっとWhatsApp的になる。ユーザーはプロフィール画像を登録し、選択した連絡相手に表示できるようになる。

アップルはこの機会に、人の顔のアニ文字、ミー文字のカスタマイズ機能も強化した。ミー文字をオリジナル絵文字のビット文字やスタンプに利用することもできるようになる。

写真

写真まわりではアップルはポートレートに新しい照明効果を追加した。ポートレートモードでの撮影がプロフェッショナルなレベルまでカスタマイズできるようになる。

カメラアプリにはサチュレーション、ハイライト、シャドウなどをコントロールするボタンが追加された。これらの機能は静止画だけでなく動画でも利用できる。ビデオが回転できるのはInstagramのユーザーには朗報だ。

写真ライブラリの管理では、iOSは同一写真を自動的に検出し、最もよく撮れている写真を選んでくれる。写真ライブラリをナビゲートするための新しいタブも追加された。写真のブラウズはよりスムーズになり、ビデオは周囲が暗く表示される。新しいタブバーで年、月、日ごとにハイライトを見ることができる。

Siriもさらに賢くなった

AppleはSiriの音声機能を強化した。例えば、AirPodsを装着しているときにメッセージを受信するとSiriはそれを読み上げる。ユーザーは音声で返信ができる。

iPhoneとAirPodsを持っている友だちと音楽を共有することもできる。具体的には、1台のiOSデバイスから2台のAirPodsに音楽をストリーミングできる。

スマートスピーカーのHomePodに関してはiPhoneをタップしてHomePodに音楽を送れるようになった。またインターネットラジオをライブで再生できるようになったというのだが、これは正直、今までできなかったことを知って驚いている。また、マルチユーザーでの利用が可能になり、カレンダー、メッセージなどをユーザーごとに呼び出せるようになった。

CarPlayもアップデートされ、Siriの新機能が利用できる。ユーザーは車内で音声でPandoraの音楽やカーナビのWazeをコントロールできる。SiriにアニメがCarPlayのスクリーンを占領してしまうこともなくなった。

iOS 13ではSiriのショートカットアプリが標準でインストールされる。ユーザーは簡単な操作でSiriの音声ショートカットを設定でき、ひと言で複雑な動作を行わせることができる。またお勧めのショートカットの候補も推薦される。Siriの音声も改良され、自然さがアップした。

これ以外にもiOS 13には多数の新機能が登場する。特にiPad独自の機能が拡充され、iPadOSという独自の名称となった。詳しくはこちらの記事を参照

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

TechCrunch Japanは本日25時30分よりWWDC19解説生放送を放映、その見どころは?

アップルは太平洋標準時の6月3日午前10時(日本時間6月4日午前2時)に、毎年恒例の開発者向けイベント「WWDC」を開催する。今年のWWDC19の開催場所も、昨年と同様に米国カリフォルニア州サンノゼにあるMcEnery Convention Center(マッケンナリー・コンベンション・センター)。会期は7日までの5日間。

プログラムを見てみると、詳細は未定(To Be Announced)ながらタイトルが日本語や簡体字、ハングルで記載されたセッションが用意されているので、もしかすると各国に特化した発表があるのかもしれない。しかし、太平洋標準時6月3日午前10時からの基調講演以外はNDA(守秘義務契約)が前提なので、残念ながら一般メディアでは各セッションの詳細を伝えられない。

TechCrunch Japanでは、3月のiPad発表会に引き続きWWDC19のライブ中継を見ながらその内容を解説するニコニコ生放送を放映する。放送開始時間は本日25時30分(6月4日午前1時30分)。終了時間はWWDC19の基調講演が終わり次第。放送中には、姉妹サイトであるEngadget日本版の速報記事も適宜紹介・解説する予定だ。

【iOS13?新Mac Pro発表!?】アップルWWDC2019 発表イベント実況~Engadget日本版 & TechCrunch Japan

さて、TechCrunch Japanでは、すでにWWDC19で発表される内容を予想した記事を公開しているが、実際にどこに注目すべきかを改めてまとめておく。

関連記事:週明け開幕のWWDC 2019でアップルが発表するモノ

 

■iOS

iOS 13がプレビューされる予定。新機能としてウワサされているのは、昨年リリースのmacOS Mojaveで搭載されたダークモード。UIの基調色を黒系にすることで落ち着いた印象になるが、個人的には正直いってどうでもいい。一方で話題の5Gやアップルが注力しているARについて大きな発表があるのは来年に登場予定のiOS 14になるという。このタイミングで5Gについてまったく触れないとなると、かなりの出遅れ感はある。

個人的にずっと前から期待しているのが「メッセージ」アプリのオープン化だ。現在、米国では送金などにも対応している同アプリだが、いまのところiOSデバイスやMacとしかやり取りできないため使用範囲がかなり限られてしまう。LINEのようにiOSとAndroidに両対応、もしくはFacebookメッセンジャーのようにスマホやタブレット端末、PCで同じアカウントを共有できるようにして、ユーザーの拡大を目指すべきではないか。Goolgeと協力してデフォルトのメッセージアプリの共通化を進めてもいいかもしれない。

米中の貿易摩擦によってファーウェイ製品を閉め出している米国だが、一方で中国でのiPhoneは人気に陰りが見える。仮にG20で米国と中国が妥協点を見い出して和解しても、ハードウェア性能でファーウェイ端末を圧倒できなくなっているiPhoneが、中国で再びシェアを伸ばすことは考えにくい。となるとアップルは大幅な戦略の練り直しが必要だ。

iPhoneのシェアが高い米国や日本を重視したサービスや機能をiOSに組み込むべきだろう。PayPayとLINE Payの壮絶な殴り合いでキャシュレス決済やユーザー間送金が身近になってきた日本なら、メッセージアプリの送金機能やマルチプラットフォーム化は歓迎されるかもしれない。アニ文字の種類を増やしている場合ではないのだ。

 

■macOS

最近のmacOSは、iOSに先行導入された機能を取り込む傾向が強いが、昨年登場したmacOS Mojaveでは、iOSの機能ではなくアプリごと取り込んだことで話題になった。もちろん、WWDC19で期待するのはMarzipan(マジパン)だ。

Marzipanとは、iOSとmacOSのソースコード共通化できるアプリ開発環境のこと。WWDC18でこの開発環境のβ版を利用して、株価、ボイスメモ、ホームなどのiPadアプリがmacOSアプリに移植された。とはいえ、タッチパネル操作が前提のiOSデバイスと、キーボードとマウス(トラックパッド)の操作が前提のMacではアプリのUI/UX設計が大きく異なる。従って実際にはまったく同じソースコードを使うことは難しいが、果たしてどこまで少ない手間でmacOSに最適化できるのか注目だ。

いっそのこと、Apple AシリーズのSoCで動作するmacOS、もしくはタッチパネル操作が可能なMacをリリースしてほしいところだ。特に後者が登場すれば、Marzipanによる単一コード化はさらに容易になるほか、iOSとmacOSの融合による新たなユーザー体験を生み出せるかもしれない。

 

■watchOS

アップルの数少ない成長分野であるApple Watchは、健康をより重視する機能の搭載を期待したい。既存機能の拡張としては、ユーザーの動きに応じて自動的にエクササイズの種類を判別する機能の精度向上、計測できるバイタルデータの種類を増やすといった内容もうれしいところ。WWDCでは、おそらく米国の大手医療機関の要人がゲスト登壇していろいろ話すのだろう。日本在住のユーザーとしては、心電図機能を早く使えるようにしてほしいところ。

 

■tvOS

ソフトウェアのApple TVの登場で、先行きがよくわからないハードウェアのApple TV用のtvOS。個人的には、Apple TVアプリが予定どおりAmazonのFireTVに対応すれば、ハードウェアのApple TVの必要性はかなり下がると感じている。サブスクリプションなどをサービス事業を柱とするならば、ハードウェアとそれにともなうOSの開発はこの際きっぱり中止して、アプリ開発に注力する手もあるのではないか。

 

■ハードウェア

ウワサされているのは、もちろんMac Pro。2013年以来6年ほど新モデルが登場しておらず、待たせるにもほどがある。これまでのアップルの発表では、新Mac Proはモジュール形式のマシンになるとのこと。CPUやGPU、そしてロジックボードまでを適宜取り替えたり、増設したりできる仕様になるのか期待して待ちたい。スペック的には、CPUにXeonプロセッサ、GPUにRadeon Pro Vegaの最新版が採用されるのだろう。できればGeForceも使いたいが。

とはいえ、いまどきMac Pro級のパワフルなマシンが必要なユーザーは限られている。本体価格が高価すぎると、iMac Pro同様一部のプロフェッショナルなユーザーだけのマシンとなり、先行きがまた不安になってくる。モジュール形式を生かして最小構成は10万円台の手頃な価格設定にし、オプションでいろいろ追加していくと100万円超になるといった夢のある設計にしてほしい。もちろん、LEDでピカピカ光るようなギミックはいらない。

そして、アップルがいま提案すべきなのはAR/VRコンテンツの開発・視聴環境としてMac。Facebookからは、6DOF対応VRヘッドマウントディスプレイの最高峰であるOcurus Rift Sが出荷されたばかりなので、少なくとももRift Sへの完全対応を果たしてほしいところ。AR/VRの開発環境についてはWWDC18でも概要が発表されたが、VR/AR市場を本気で獲りに行くという力強いメッセージをアップルから聞きたいものだ。

ニューヨークの地下鉄の改札が今日から非接触型になる

何週間も画面が「Coming Soon」のままだったニューヨーク州交通局の非接触改札システムであるOMNYのパイロット事業が、米国時間5月31日にやっと立ち上がった。このシステムは同市のスワイプカードMetroCardを新しい非接触型のスクリーンで拡張するもので、非接触のプリペイドカードやデビットカードなど、さまざまなスマートデバイスを使える。

デバイスについては、本誌はすでにこれを記事にした。使えるのは、Apple(アップル)、Google(グーグル)、Samsung(サムスン)、そしてFitbit(フィットビット)の各Payだから、相当幅広い機種のスマートフォンやウェアラブルで利用できる。

非接触型カードはNFCチップを使っていて、そのことは波形を表す4本のバーのシンボルで示されており、すでに大手銀行やクレジットカード会社が使っている。州交通局のサイトでは、パートナーとしてChase、Visa、Mastercard、American Expressが挙げられている。この4社でクレジットカード利用者のほとんどをカバーしているだろう。

だめなのはDiners Club、JCB(Japan Credit Bureau)、中国銀聯(China UnionPay)だ。PINで保護されているカードやギフトカード、再ロードできないカードも今は使えない。すべてに通ずるもうひとつの重要な制約は、乗車1回限りということ。非接触型の定期券や回数券をシステムはまだ提供していないから、ほとんどのニューヨーカーはがっくりだ。

でも、2021年までにはさまざまな乗車プランがサポートされるそうだ。同時にまた、地下鉄とバスのすべての駅/停留所で使えるようになる。現在はマンハッタンのGrand Central StationとブルックリンのAtlantic Avenue-Barclays Centerの間の4号、5号、6号線と、スタテンアイランドのバスのみだ。

この前のデモでは、iPhoneとApple Watchはどちらも使えた。最初の数週間か数カ月ぐらい、人の流れの渋滞がどれぐらい発生するだろうか。ただしこれは、スピードアップが目的だから、いずれは面倒なMetroCardが要らないぶん、そして老朽化したスワイプリーダーを使わないぶん、流れは速くなるはずだが。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルのApp Storeでモバイル回線のダウンロード上限が200MBにアップ

朗報だ。アップル(Apple)はセル接続(電話会社のデータ接続)によるダウンロード量の上限を上げた。一方悲報もある。それでも上限は依然としてある。それをバイパスすることもできない。

これは、例によって9to5Macが見つけた。これからはiOSのApp Storeでは、セル接続で最大200MBのアプリをダウンロードできる。これまでの上限は150MBだった。さらに大きい容量のアプリはWi-Fiに接続する必要がある。

無制限プランの人。怪しげな無制限プランの人。毎月のデータ契約料や残量がものすごく大きい人。本当に本当にその大きなアプリを欲しいんだけどWi-Fiが使えない人。みなさまは全員アウトだ。200MBの上限は全員の制限である。上限をバイパスする工夫は前からあるが、それは公式には使用を認められていない。あるいは難しくてパワーユーザーにしか使えない。

App Storeがファイルサイズに神経を使うのは、必ずしも悪いことではない。たいていのユーザーが2GBぐらいのデータ契約だから、モバイル回線では気が付かないうちに、それぐらい使い切ってしまう。上限設定はそんな悲劇を防止する。しかしそれでは、本当に欲しいアプリをダウンロードもアップデートもできないことがあるし、そんなとき、どこにもフレンドリーなWi-Fiがないこともある。上限と並んで、特例として大型ダウンロードのオプションがあるといいのにね。

でも、デベロッパーは上限をよく認識している人が多い。アプリのインストールパッケージは上限ぎりぎりのサイズにして、そして、立ち上げたアプリにほかの何かをダウンロード、インストールさせる手口もある。そして今回は少なくとも、そんな工夫のためのスペースが50MB増えたのだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

週明け開幕のWWDC 2019でアップルが発表するモノ

昨年のWWDCはApple(アップル)としては珍しくソフトウェア重視だった。WWDCに先立ってハードウェアのマイナー・アップデートのプレスリリースがいくつか出ていたが、WWDCでは新しいデバイスは一つも登場しなかった。その後アップルが力を入れてきたのはApple TV+関連のソフトウェアとコンテンツだった。

先週もこのパターンが繰り返された。MacBook Proのアップデートが発表されたが、懸案だったキーボードの改修が主な内容だった。これと対照的に来週のWWDC 2019はビッグイベントとなりそうだ。多数の関係者が「大きな発表がある」と予想している。ハードウェアも各種Proデバイスに動きがあるかもしれない。

Google I/OとMicrosoft Buildがどちらかというと地味なものだったのでアップルとしては来週のWWDCを盛り上げる必要がある。アップルといえどもスマートフォン市場の飽和といった大きなトレンドと無縁でいることはできない。最近の四半期決算報告でも、アップルはハードウェアからサービスに事業の中心を移す姿勢を見せていた。Apple TV+を通じてたコンテンツの獲得に巨額の投資が行われているのがよい例だ。

もちろんWorld Wide Developer Conferenceという名前が示すとおり、このイベントは本質的にデベロッパー向けだ。初日のキーノートはメディア全般の注目の的だが、本当に重要な話題はなんといってもデベロッパーに直接影響するアップルの各種プラットフォームに起きる変化だ。まず大きいところから検討してみよう。

iOS 13

リーク情報によれば、今年macOSで採用されたダークモードiOSにも登場するという。新しいダークモードはシステムを通して利用可能で、作業中の部分を除いた背景が暗くなり、目に優しく、バッテリー消費量が抑えられるという。アップル自身のアプリだけでなく、サードパーティーのアプリも必要なアップデートをすれば利用できる。

Bloomberg(ブルームバーグ)はYukonというコードネームで準備されているiOS 13に搭載されそうな機能について観測を掲載していた。ちなみにアップルは、すでに5GとARを目玉とするiOS 14の開発に取り掛かっており、コードネームはAzulだという。

当然だが、ヘルス関係のアプリがリニューアルされるはずだ。これにともなってユーザーからヘルスケア情報を取得するApple Watchなどもアップデートされるだろう。またiPadを外部モニターとして使えるDuet Displayアプリのような機能が標準でiOSに搭載されるかもしれない。外部モニター接続機能は以前から噂になっていたが、個人的に大いに興味がある。これは私の作業環境を一変させるかもしれない。メール、マップ、ホームもアップデートを受けるはずだ。

ハードウェアではバグフィックスは当然として、パフォーマンスの改善、旧機種への適合性の向上などが予想される。実際、消費者は以前より長期間デバイスを使い続けるようになった事実は受け入れざるを得ないだろう。

macOS 10.15モバイルデバイス同様、パソコンも過渡期にある。もちろんパソコンの危機はモバイルが主流となったときから続いている。今週、台北で開催されたComputex 2019ではWindowsパソコンのメーカーがこぞってモバイルデバイスのセカンドスクリーンとして利用できる機能を発表していた。

アップルとしてはMicrosoft(マイクロソフト)やSamsung(サムスン)の追撃を受けて侵食されたクリエイティブツールの王者という地位を取りも戻す必要がある。

昨年アップルはニュースなどいくつかのiOSアプリをデスクトップに移植した。これはMarzipan(マジパン、アーモンド粉の練り菓子)というコードネームのmacOSアプリ開発プロジェクトの一環だった。ちなみにこの1年のアップルのコードネームの中ではこれが一番面白かった。今後移植されそうなiOS機能はスクリーンタイム、iMessageのエフェクト、Siriのショートカットなどだ。

Macハードウェア

ハードウェアでは新しいMac Proが登場するらしい。長らく待たされていただけに実現すればエキサイティングだ。もちろんまだ確定ではない。実際、過去に噂に振り回されて痛い目にあったことがある。冒頭で述べたようにアップルはハードウェアに関しては一時停止ボタンを押した状態で、動きが止まっている。しかしこれはハイエンドのデスクトップを完全に一新する準備をしているせいだとも伝えられている。Mac Proがリニューアルされる必要があるのはもちろんだが、他のPro製品についても同様だ。

また 31.6インチの6K Proディスプレイが登場するという情報もある。これはMac Proにぴったりのカップルとなるだろう。ただし財布の中身は炎上しそうだ。

その他いろいろ

アップルの最近のイベントはほぼすべてApple TVがらみだった。新アプリも登場したことだし、引き続きApple TV+関連のアップデートがあるだろう。なんといってもケーブルテレビ会社だけでなくライバルの動画ストリーミング・プラットフォームもターゲットにした数十億ドル級の大プロジェクトだ。

Apple Watchを公共交通機関で利用する実験が進められていたが、明日からニューヨークの一部の地下鉄駅でApple Watchが使えるようになる。WWDCではヘルスケア関連で大きな動きがありそうだ。これはソフトウェアとサービスに力を入れる戦略の一環でだ。真剣な努力をしていることをアピールすればFDA(食品医薬品局)の認可を受けやすくなる。ヘルスケア提供企業との提携を深めることができるだけでなく、ライバルのウェアラブルに大きく差をつけるのにも役立つだろう。アップルは女性の生理周期をモニターして適切なメディケアを提供するサービスを開発中だ。

小さいところではボイスメモ、電卓、Apple Booksアプリなどのアップデートも発表されるかもしれない。

WWDC 2019は米国時間6月3日午前10時(日本時間、4日午前2時)に開幕する。TechCrunchも参加し、現地からライブブログで報じるほか、関連記事も多数アップする予定だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アップルが新設したApp Storeウェブサイトは反トラスト訴訟に狙いを定める

WWDCを目前に控えた今、Apple(アップル)は新しくApp Storeウェブサイトを公開した。最近の同社を相手取った反トラストおよび反競争の告発から自らを擁護することが目的だ。同サイトには、AppleがどのようにApp Storeを運営しているかが詳しく書かれている。アプリがどのように集められ、レビューされているか、デベロッパーはどんなビジネスモデルを構築できるかなども説明されている。さらに、「A Store that welcomes competition」(競争を歓迎するストア)と題したセクションもあり、自社アプリとサードパーティーアプリがマーケットプレイスで共存していることをAppleが主張している。

例えば、Appleの自社製メッセージアプリがMessenger、Slack、Snapchat、Viberらと、AppleのメールがGmail、Outlook、Spark、Yahoo Mailと、マップがGoogleマップ、Citymapper、MAPS.ME、Wazeとそれぞれ競合していることを紹介している。

当然Spotifyも、Apple Musicとポッドキャストのライバルとして掲載されている。

これは驚くことではない。なぜなら最近Spotifyは、Appleが反競争的環境で運営されていると主張しているからだ。3月にEUに提出され現在調査中と報じられている告発状で、同社はAppleがiOS、App Store、自社製競合アプリのすべてを持っていることで戦いを有利に導いていると主張している。Appleバージョンのアプリと競合するアプリを売りたい人は、収益の30%をAppleに払わなくてはならない。

このいわゆる「Apple税」のために、デベロッパーの中にはiOSユーザー向けのアプリやサブスクリプションの価格を高く設定しているところもある。例えばSpotifyは、ウェブで申し込むと月額9.99ドルだが、iOSデバイス経由だと12.99ドルで、事実上「Apple税」を消費者に転嫁している。

これが、今月米国最高裁判所が、裁判の実施を認めた反トラスト法訴訟の根拠となっている。

裁定に際しAppleは、「デベロッパーはアプリの価格を自由に設定しており、Appleは関与していない」と、iOSユーザー向けの価格を高く設定したデベロッパーの決定から自らを遠ざけようとした。

「Appleが収益を分配するのは、デベロッパーがデジタルサービスをApp Store経由で販売することを選んだ場合に限られる」とも同社は言っている。デベロッパーは支払いとサブスクリプションをAppleのプラットフォーム経由で行わなくてもよい、ということのリマインダーだ。

実際、複数の大手IT企業がすでにApp Storeを回避している。

Amazonは以前から長期にわたり、同社のiOSアプリのユーザーが書籍、音楽、映画、TV番組などを買う場合、ウェブブラウザー経由でのみ許している。最近Netflixは、Google PlayとApp Storeの両方でアプリからのサブスクリプション申し込みを廃止した。

残念ながらiOSデベロッパーは、App Store以外で購入する手段をユーザーに伝える手段が制限されており、App Store以外で購入するためのウェブサイトへのリンクを知らせることも禁止されている。しかし、これはフェアなシステムとも言える。「Apple税」は消費者にとってApple Payで簡単に支払うことができ、デベロッパーにとってはAppleが支払手続きを代行してくれ手数料と見ることができるからだ。

本件に関するAppleの総合的な立場はこの新しいApp Storeウェブサイトでも繰り返されている。アプリを集約したプラットフォームの価値と、全世界で10億人に達する顧客とつながることの利点を強調している。

さらにAppleは、これまでに合計1200億ドル以上をデベロッパーに渡してきたことも、思い出させようととしている。そして、ほかのどのアプリストアよりもiOSユーザーが多くのお金を使っていることも(だからデベロッパーは頑張ってね!)

ただしこれは、Appleにとって強調すべきことだったかどうかはわからない。なぜならApp Storeが業界内で避けることのできない巨大な存在であることを、自ら示しているからだ。そして、デベロッパーがよそへ行くことがいかに難しいかを容易に想像できる絵がそこには描かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook