IBM Watsonはウォール街の今の基準から見ると不評、Jefferiesが酷評レポートを発表

IBMのWatsonが今日、グローバルな証券大手JefferiesのJames Kisnerから、手厳しい批判を頂戴した。同グループは、WatsonへのIBMの投資が株主たちへのリターンを阻害している、と信じている。近年IBMは、重要な成長部門のひとつとしてWatsonをますます重視していた。それがまるで、IBMの未来を投射する影絵人形であるかのように。

かつて、IBMの競争上の優位性は、Fortune 500社との長年にわたる関係にあった。そんな中でWatsonは、一種のコンサルタントとして利用され、同社が企業との高額な契約を結ぶときには、それらの具体的なビジネスケースのためにWatsonのテクノロジーを実装してきた。しかし残念ながらIBMは、クライアントのニーズと、同社自身の技術力とのあいだのギャップを填めることに、今でも苦労している。

Jefferiesは、WatsonをスケールするというIBMのより広範な問題のケーススタディとして、IBM Watsonと大規模がんセンターMD Andersonとのパートナーシップの監査を取り上げている。MD AndersonはWatsonのプロジェクトに6000万ドルを浪費した挙句にIBMとの縁を切り、“人への治験や臨床的利用にはまだ適していない”、と断じた。

MD Andersonの悪夢は特例ではない。AI系のスタートアップのファウンダーの多くが、顧客である金融サービスやバイオテック企業がIBMと同様の経験をしている、と語っている。

しかしそれは特定の不具合に関する話ではなくむしろ、誇大なマーケティングや、ディープラーニングとGPUの稼働の欠陥、そしてデータ準備の要求が厳しすぎることを指している。

JefferiesがMonster.comのデータを使って集めた求人案件

求人の状況を見てみると(上図)、人工知能/機械学習/ディープラーニング関連でIBMは他のテクノロジー企業と肩を並べていない。ディープラーニングにいたっては、IBMの求人はAppleやAmazonに比べて死んだも同然だ。この図にGoogleやMicrosoft、Facebookなどを加えたら、IBMはもっと悲惨に見えるだろう。

Jefferiesのレポートが提供している情報は、新しくもなく、驚天動地でもないが、IBM Watsonが今抱えている問題をウォール街が気にし始めたことの、明らかな兆候だ。IBMの決算報告はいつも熱心に見ている方だが、しかし市場は短期的な成長を重視しすぎて、長期的な技術および戦略の持続可能性に目が行ってない。

お金を出し渋ることが仕事の一部であるCTOや、最新流行の役職であるCDO(chief data officer)たちに売る、という不毛なAI市場でIBMが槍玉に上がるのは十分に理解できるが、しかしAIは、大量の非定型データを吸い込んでインサイトを吐き出す、摩訶不思議なブラックホールではない。堅実なデータパイプラインと、AIに対する自己の業務レベルでの正しい理解が、利用者の最低限の必要条件だ。

今日のAIファーストの世界では、初期の成功がもたらした惰性は何の役にも立たない。今や機械学習のプラットホームなんか一山(ひとやま)なんぼで買えるし、GoogleやAmazonのような巨大テクノロジー企業が、そのためのクラウドのエコシステムに数十億ドルを投じている時代なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Toyotaが別会社としてVCを立ち上げ、AIスタートアップの育成をねらう

今やToyotaは、AIのためのVCファンドを立ち上げた最新のFortune 500社だ。初期のファンドの総額は1億ドルで、VC稼業はToyota Research Instituteの子会社という形になる。この自動車メーカーは自らの戦略的位置づけを、企業戦略としての戦略的投資を行うファンドではなく純粋にROI指向としており、つまりふつうのVCとして営利を追うよ、という意味だ。

ファンドのマネージングディレクターはJim Adler、彼はToyota ResearchのVPだったが、プロダクトを担当した経歴がある。AdlerをトップとするToyota AI Venturesは、すでに3つの投資をしている:

Nauto — 自動運転技術

SLAMcore — ヴィジュアルトラッキングとマッピングのアルゴリズム

Intuition Robotics — 高齢者のお相手をするコンパニオンロボット

彼らが主張するVCとしての優位性は、経営に関する実戦的なアドバイスもできる、という点。そしてもちろん、Toyota Research InstituteがAIに関する本格的なアシストをするから、スタートアップのコア技術を磨ける。

ぼくがこれまで会った業界上位のファウンダーたちの多くは、資金調達に何も問題はないから、コーポレートベンチャーはなるべく避けたい、と言う。コーポレートベンチャーは、戦略的投資家ではなくてROI追求型だと約束しても、なんとなく眉唾感がある。とりわけ、流動的なシード段階では、小さなIPや戦略的リスクをめぐってすら、コーポレートの関与には不安がある。

Adlerはしかし反論する: “この種の議論に関してはスタートアップに主導権を持たせる。これらの投資からIPを取り出すためにVCをやるのではない”。

Toyotaは、上記不安感不信感の源泉となる利益相反を避けるために、ファンドを自己のバランスシートに載せずに、独立の企業にする。独立のVC企業として、主にシード段階とシリーズAをねらう気だ。

大企業のベンチャー部門を効果的に経営するのは難しいし、しかもAIスタートアップが対象となると、さらに難しい。資本が満ち足りたAIスタートアップのエコシステムが必要とするのは、データであり、本格的な企業顧客であり、そしてプロダクトに関する経験と専門知識を持つアドバイザーだ。企業のベンチャー部門、という形のVCは全世界で4兆あると言われるが、誰もそのことを真剣に考えない。成功を夢見るToyotaは、今から自分がどんな世界に飛び込んでいくのか、よく知っているはずだ。

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Microsoft元CEO Steve BallmerがTwitterに投資をした理由を語る

Microsoftの元CEO Steve Ballmerが、火曜日(米国時間5/30)のCode Conference のステージに立ち、彼がTwitterの大株主になった理由を語った。

“それを価値ある経済的資産にするような本物の機会がある”、と言ってBallmerは、そのソーシャルメディア企業への浮気のような投資だった彼の意思決定を、擁護した。彼が同社のポテンシャルを信じるのは、同社が“人びとに世界中の自分が話しかけたい人と直接的にコミュニケーションできる機会を与える”からだ。

一時Ballmerは同社の4%を保有していたが、今回は“大きなパーセンテージだ”と言うだけで、詳しくは語らない。

MicrosoftがTwitterを買収する、という彼がCEOだったころの噂を彼は否定したが、Twitterがどこかに買収されることはありえる、と考えてはいたようだ。“企業は、長い年月のあいだには、整理されたり、魅力ある資産としてどこかに買われたりするものだ”、という言い方だ。

Ballmerは、Jack Dorseyが二つの企業のCEOであり続けるのは無理、という世間の懸念に同意した。“二つの会社のCEOなんて、想像すらできない”そうだ。

ただしBallmerは、今後、投資はあまりしないらしい。株式投資に対しては考えが変わり、今では債券やインデックスファンドに“戻った”、と言う。

彼は最近、政府の支出を監視するWebサイトUSAFactsを立ち上げたが、その動機は、企業の決算報告などに比べると政府の予算に関するデータが見つけにくいことへの、欲求不満だった。

費目が詳細に分類された政府の支出に関するデータは、“さんざん探してもほとんど見つからない”、と彼は言う。だから彼は、そのサイトが、政策立案者たちやジャーナリスト、そして自分が払ったの税の行き先を知りたい人なら誰もが利用できるリソースになることを、期待している。

彼がオーナーであるバスケットボールチームLos Angeles Clippersには、今かなりの時間を投じているそうだ。彼は、試合中にスマートフォンばかり見ている連中は“嫌いだ”、と語り、拡張現実を利用してアリーナでの体験を改良したい、と述べた。

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営業はデータ情報作業を自動化すれば効率三倍増も夢ではない、それを助けるOutreachが新たに$30Mを調達

各種企業の営業チームに、時間の有効活用と営業活動の最適化のために必要な力与えるサービスと、売り込みの過程を管理するための組織化ツールを提供しているソフトウェアデベロッパーOutreachが今日(米国時間5/23)、そのまさに売り込み努力によって、3000万ドルの資金を調達した。

最前線の営業がそれまでの三倍、いろんな相手に面会できるようになり、営業のパイプラインをそれだけ増やせることが、ソフトウェアサービス企業としての同社の誇りであり自慢だ。

Outreachは、それを可能にするためのマジックを、メールやCRMツール*など、さまざまなソースからのデータの収集で演ずる。逆に、得られた情報を、CRMに入力することもある。〔*: CRM, customer relationship management, 顧客関係管理〕

メールやCRMなど既存のデータソースがいろいろあっても、そこから営業活動のための有意義な情報を得ることは難しいし、そんな才能がたまたまある人でも、時間と労力がかかる。そこで、その仕事を自動化するのがOutreachだ、と考えるとよい。同社のCEO Manny Medinaはそう説明する。

まさにその点を、昨年本誌TechCrunchに寄稿したTrinty VenturesのパートナーKaran Mahendruも指摘している:

今、営業というゲームに欠けている最重要のピースが、営業の自動化だ。これは今後、とても大きな活動分野になり、今後数年間は、自社の営業のためのホーム画面を求めて買収も盛んになるだろう。

わが社の新しいポートフォリを企業であるOutreachや、SalesLoftToutAppなどの企業は、営業の生産性を上げ、そのワークフローを円滑にするために必要な、アクションのシステムを作っているのだ。

今言わんとしている営業のテクノロジー化とは、〔コールドコール、コールドメールなど〕一対多の作業で需要を生成することから、取引先別の一対一の営業とマーケティングへの、着実な移行の動きだ。このトレンドが、次世代のエンゲージメント(顧客の積極関心の喚起)のプラットホームへの道を、今舗装している。初めて、これらのツールと技術が、営業の“やり方”を可視化しつつあり、“どれだけ/なんぼ”の営業だけではない新しい世界を拓(ひら)きつつある。

結局のところ、目標は、営業の商談締結を実際に助けるソフトウェアを作ることであり、ただ単に管理職のための報告書作成ツールを作るだけのことではない。われわれが求めるのは、プロの営業が自己の最良のバージョンになれるためのソフトウェアだ。

同社の今回の資金調達はDFJ Growthが指揮し、これまでの投資家Mayfield, MHS Capital, Microsoft Ventures, Trinity Venturesが参加した。新たな投資家として、Four Rivers Groupも加わった。

今日までOutreachは、計6000万ドルのベンチャー資金を調達した。

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AI研究の最新の成果をつねに社会と共有していくためのイニシアチブGoogle.aiをCEO Sundar Pichai自身が発表

GoogleのCEO Sundar Pichaiが、同社のデベロッパーカンファレンスGoogle I/Oの今日(米国時間5/17)のステージで、機械学習に関する最新の研究成果を社会と共有していくためのイニシアチブ、Google.aiを発表した。それはGoogleのAIへの取り組みの中枢にもなる…研究開発でも、ツールでも、そしてAIの応用でも。

Googleと同社のBrainチームの研究は、ここが統轄することになり、また人工知能の分野における同社の進歩を紹介する楽しい実験に、誰もが気軽にアクセスできるようにする。たとえば絵のヘタな人でもアイデアを紙の上に表現できるAutoDraw、ピアニストと一緒に演奏ができるDuet、AIが人間が書いた絵が何かを当てるゲームQuick,Draw!などだ。Googleの“AIファースト”の姿勢を示すビデオや記事などにも、ここからアクセスできる。

多くのデベロッパーが機械学習を学べるようになったのは、GoogleのTensor Flowの功績も大きい。でも各地の大学や民間の研究所から、新しい研究が毎日のように生まれているから、Googleはそれらにもアクセスできるよう努力する。

[機械学習の進歩を医療に応用して、疾病検出アルゴリズムを改良したり、病理学者たちの賢いアシスタントになったりする。]

Pichaiが強調するのは、機械学習ではモデルの学習に時間がかかり、しかもその方面の十分なスキルを持った技術者が希少なので、往々にして費用も高い、という点だ。Google CloudとTensor Flowがもっと広まれば、高度な技能を持つ技術者でなくても、十分に開発などの仕事をできるようになるだろう。

Pichaiは、機械学習を自動化するプロジェクトAutoMLにも言及し、いずれはニューラルネットワークがニューラルネットワークを作れるようになる、と言った。研究者たちがGenerative Adversarial Network(s)(GAN(s))をより強力にコントロールできるようになり、もっといろんな状況に対して強化学習を適用できるようになれば、次のステップとしてそれは当然ありだろう。

参考記事(1), (2)



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見込み客各社の情報から大きなグラフを生成して的(まと)を得た営業活動に結びつけるDeepGraph

あなたがスタートアップの経営者で、営業を強くせねば、と思ったら、まず営業という仕事を理解しなければならない。それはしかし、言うは易く…の典型である。Kemviは、それ自身今シード段階のスタートアップだが、今日(米国時間5/11)からステルスを脱してメインのプロダクトDeepGraphを発表した。営業が正しい見込み客(とくに企業顧客)を正しいタイミングで見つけられるようにするためのツールだ。同社の100万ドル強のシード資金は、Seabed VC, Neotribe Ventures, Kepha Partners, そして複数のエンジェルたちから調達した。

DeepGraphはさまざまな一般公開データを洗い出して、具体的な顧客が現れそうな、見つかりそうな市場関連イベントとそこに群がる企業や人びとを拾い上げる。そしてそれから、システムは定型的なコールドメールを送って、各社の見込み客になってくれそうな程度を見極める。そして、関心を持ってくれそうな見込み客の一群を見つけたら、今度は個別にアプローチしていく。

DeepGraphが送るコールドメールの例

DeepGraphは自分の楽屋裏で、さまざまな企業の関連事項から成る大きなグラフを作っている。A社の今度の新製品発表はいつか。株価はどう動いているか。出来高はどうか。これらの一般公開情報が見込み客の見込み度の指標になり、企業の今後の意思決定の兆候にもなる。そして全体としてDeepGraphは、データが表しているトレンドを見つける。たとえば株価が低迷していたらその会社は、営業を強化するためのサービスを探しているかもしれない。

そしてその次は、正しいターゲットにふさわしいメッセージを起草する。それを、DeepGraphの大規模なグラフが可能にする。どんな状況でも、基本的には一般化できる。たとえば調達をめぐるスキャンダルがあった直後に調達担当に送る、監査ツールに関するメールは、どれもほぼ同じ内容になるだろう。そしてもちろんSalesforceはDeepGraphを統合しているから二者の連絡先情報やそのほかの重要データを共有して、より幅広いターゲティングができる。

KemviのCEO Vedant Misraは、こう述べる: “DeepGraphを、Salesforceにアクセスしていないときに時間を有効利用できる場所にしたい”。

大きなグラフの生成と利用をより円滑にするために、楽屋裏では相当数の人間が働いている。これらの海外の人たちは、情報の真正性の確認や、背景的知識の補充を担当する。いずれも、グラフの信頼性と最新性を確保するための作業だ。

DeepGraphの料金は、一人あたりの月額×人数だ。早くも、次の資金調達をねらっている。このような、自動化された営業支援サービスは今とても活発な分野で、競合他社もGrowlabsNova AIなどをはじめ、数多い。まだ社歴の若いDeepGraphは、スタート時のチームが6名だが、今後R&Dから営業に回された人たちがどんな成果を上げるか、そのへんも楽しみだ。

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Nectarが作った酒瓶の注ぎ口とストッパーは超音波技術+IoTでバーの在庫管理ができる…人気酒の‘飲み率’も分かる

レストランは売上の60%をアルコール飲料に依存している。だから、バーの背後の棚にしまわれたあと、お酒に何が起きるかを知ってることは、バーのオーナーにとってきわめて重要だ。そこでIoTスタートアップNectarは、超音波を利用して瓶の中のお酒の在庫管理ができる、ストッパーと注ぎ口をローンチした。

バーの常連が見ると、Nectarの注ぎ口とストッパーは、そこらに売ってるものと変わりない。でも、その黒いプラスチック製の外套の中には超音波センサーがあって、瓶の形と液体の深さを瞬時に捉え、その瓶から消費されたアルコールの量を計算する。

複数の瓶から集められたデータは、Nectarの在庫管理ソフトウェアに送られる。そこで消費量を容易に調べることができ、よく売れる/飲まれる瓶の再注文もボタンにタッチしてできる。

Nectarはテクノロジー系のスタートアップだけど、実態はNielsenなどの測定企業に近い。ただしテレビの視聴率ではなく全国のバーの瓶たちから集めた酒類の消費データは、広告主や酒造企業に、今後の宣伝戦略や製品計画のための貴重な洞察を提供するだろう。

NectarはJoe LonsdaleLior Susanから、455万ドルの資金を調達している。両人は自分のファンド、8VCとEclipse Venturesとは別にこの投資をしている。またCameronとTyler Winklevossなど、ホスピタリティー産業と縁のあるエンジェルたちも、この投資に参加した。

このストッパーと注ぎ口は、今予約を受け付けているが、発売日は未定だ。バーはこのセンサー付き製品の代金を払うのではなく、会費制でそれらを使用する。月額会費は299ドルからで、大きなバーほど高くなる。

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中小企業営業チームの見込み客発掘精製過程を機械学習で自動化するGrowlabsがシードで$2.2Mを調達

生後6か月とまだ非常に若いスタートアップのGrowlabsは、マシンインテリジェンスを利用して外回りの営業チームを支援している。このほどシードラウンドで220万ドルを調達した同社は、チケットアプリのUniverseを作ったBen Raffiが創業し、これにJaclyn KleinとSafeer Jiwanが加わった。Growlabsは、小さな営業チームの効率を上げることによって、企業の顧客獲得コストを減らすお手伝いをする。

Universeの経験からRaffiが学んだのは、顧客獲得コストを肥大させずにアプリケーションをスケールするのが、とても難しいことだ。チームが80%の時間を調査と、メールの乱発に費やしても、それが売上に結びつく保証はどこにもない。

“見込み客の生成に努力したが、結果は良くなかった”、とRaffiは語る。“何もかも、いきあたりばったりだった”。

Growlabsを使うと、営業チームがターゲットのタイプと業種を指定すると、Growlabsが自動的に見込み客を生成し、メールを送り、結果を評価する。

Growlabsは機械学習と3億5000万件の見込み客候補のデータベースを組み合わせて、一番売りやすいターゲットを見つける。対話のデータをすべて集めて、今度はいつメールを送るべきか、フォローアップは何回必要か、などをアドバイスする。

ターゲットに対しては、基本的な分析のほかに、自然言語処理によりメールの内容を分析する。メッセージを分類すると、どの役職にはどんな売り込みが効果があるか、などのフィードバックが浮かび上がってくる。CTOが関心を向けても、CMOはさっぱり、ということもある。

課金は有効見込み客の生成数に対して行われるから、高価な一律会費制のSaaSサービスを使えない零細企業でもGrowlabsの顧客になれる。Growlabsのいちばん小さい顧客でも、このサービスを使って毎月数千通のメールを送っている。大きな顧客なら、2万とか3万になる。

今日の資金調達ラウンドは主にエンジェルたちと、B2Bの営業活動の経験のある戦略的投資家たちが主体だ。Growlabsは今、社員が8人だが、同社自身がこれからますます、中小企業への営業を成功させていかなければならない。

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自動運転車の公道走行試験に関するカリフォルニア州の規則変更に対しAppleが意見書を提出

自動運転車の公道上の試験に関する、カリフォルニア州自動車局(California Department of Motor Vehicles, DMV)の規則変更案に対する意見書を、Appleが提出した。Appleが提出したその公式の意見書は比較的短く簡潔で、この記事の〔原文の〕下に埋め込んだDMV宛の書簡に収められている。書簡の署名は、AppleのDirector of Product Integrity、Steve Kennerになっている。Appleの自動運転車への取り組みを初めて明かした書簡も、彼の署名だった。

Appleの意見書の要点は、報告すべき自動運転解除状態(disengagement)*の定義をより厳しくして、自動運転ソフトウェアをoffにして走行しているときに起きた、報告を要する事故の数を減らす、というものだ。Appleはまた、試験中の安全ドライバーの必要性に関する規則文の記述の明確化と、試験用に使ってもよい車種要件の一部をゆるくすること、および、安全ドライバー不在で試験する場合の代替的停止技術についても述べている。〔*: disengagement, 緊急時等に自動運転機能を解除する(offにする)こと。〕

DMVは、人間の安全ドライバーが運転席にいなくても試験できる、という条件を加えて、試験のやり方を拡大しようとしている。それは、自動運転車による配達業務やライドシェアなどで自動運転を商業的に利用したいと考えている企業にとって、とくに重要だ。

Appleの書簡は、自動化一般、および中でもとくに自動運転に関する同社の考え方を、詳細に述べている。Appleはその部分で、同社は“機械学習とオートメーションに重点投資をしており、多くの分野に自動化システムの可能性があることに励まされている。運輸交通は、そういった分野の一つである”、と言っている。

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Appleの秘密チームが採血する必要のないグルコースレベル測定製品を研究開発中

Appleは生物医学方面の研究者集団を雇って、センサーを利用して糖尿病患者をモニタする秘密のプロジェクトに取り組んでいる、とCNBCが報じている

糖尿病患者は世界中で3億7100万人いる、と推定されていて、近年ではいくつかのテクノロジー企業が新しい治療法の開発に取り組んでいる。たとえばVirtaという新進のスタートアップは、患者の行動をリモートでモニタし完全に治癒することを目指している。またベイエリアのLivongo Healthは5250万ドルを調達して、血糖値監視製品を開発している。

通常、患者が自分のグルコースをモニタするためには、腕などに針を刺して自分の血液を採取していたが、それをしなくてすむようになれば、大革命だ。CNBCにそのニュースを教えた人は、Appleが開発しているのは皮膚の下に埋め込む光学式のセンサーで、その光り方でグルコースの値を測定できる、と言っている。

針を使わない方法はこれまでにもいくつか考えられたが、いずれもうまくいかなかった。Alphabetの生命科学企業Verilyは、グルコースレベルが分かるコンタクトレンズを考えたが、一部の報道によると、すでに3年経ったそのプロジェクトは、あまり快調ではないようだ。

しかし報道ではAppleのプロジェクトも少なくとも5年は経っており、今ではフィジビリティテストを行うべき段階だ、という。また、この種の製品に対する規制をクリアするために、コンサルタントを雇った、とも言われている。

チームを指揮するのはAppleのハードウェア技術担当SVP Johny Srouji、メンバーは30名だそうだ。その中の少なくとも10数名は、Appleが生物医学分野(ZONARE, Vital Connect, Sano, Medtronicなどの企業)から熱心にスカウトした人たちのようだ。

このプロジェクトについてAppleに確認することはできない(Appleからの返事がない)が、同社はかなり前からこのようなビジョンを持っていた。Walter Isaacsonが書いたSteve Jobsの伝記によると、彼はAppleをテクノロジーと生物学が交わる場所にしたい、と考えていた。今すでにその場所にいるのが、ウォーキングの歩数を計り、燃焼カロリーを計算し、心拍などの生物学的測度を計るApple Watchだ。そして皮膚に埋め込むグルコースセンサーも、同じくユーザーがどこにいてもグルコースレベルを計ることができて、採血の必要もないから、業界を一変させる製品になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

血液検査スタートアップのセラノス、創業者の持ち株を投資家に提供

Theranosが生き残る望みのひとつは、投資家に持ち株を倍増させる提案をすることであり、ファウンダーであるElizabeth Holmesの持ち株も供出する。ただし投資家が訴訟しないことが条件だ。

Theranosは、投資家と消費者による相次ぐ訴訟で窮地にたたされている。昨年Theranosの血液検査製品は、精度に問題があり自身の基準に達していなかったことが発覚したためだ。主要パートナーである薬局チェーン大手のWalgreensは販売を中止し損害賠償訴訟を起こした。

Wall Street Journalによると、2月にTheranosの取締役会は、投資家を鎮静化させるためにファウンダー、Elizabeth Holmesの持ち分を含めて自社株を供出することを承認した。

2015年にTheranosが6億ドルを調達した最後の投資ラウンドの投資家が対象となる模様で、同ラウンドで購入した株の2倍の株を入手することになる。 BlueCross BlueShield Venture Partners、Continental Properties Co.、Esoom(台湾企業)、Jupiter Partners, Palmieri Trust、Dixon Doll、Ray Bingham、およびB.J. Cassinら後期段階の投資家も対象となる可能性がある。Wall Street Journalが報じTheranosも認めた。

「これは従業員、投資家その他の利害関係者と今後の関係を築くための積極的施策だ」とTheranos取締役のDaniel J. WarmenhovenがTechCrunch宛ての声明で語った。「Holmesは他の株主の持ち株が希薄化されることを防ぐために自身の持ち株を提供することを申し出た。私の経験上これは特別に配慮された提案であり、当社の経営状況への理解を示しているだけでなく、Holmesの無私無欲と会社の成功に対する思い入れを反映したものだ」。

Holmesがどれだけの株式を手放すつもりなのかは明らかにされていないが、少なくとも何人かの投資家は受け入れていない。TheranosはNews Corp21st Century Fox Inc.の執行会長であるRupert Murdochと個別の契約を交わしている。Murdochは他の投資家と同じ条件に同意しなかった ― 税金に関わる理由と考えられる。代わりにTheranosはMurdochの株を1ドルで買い戻すことになるだろうと同紙の情報筋は伝えている。

サンフランシスコ拠点のヘッジファンドでTheranosに投資しているPartner Fund Management LPも条件に同意していない。10月にTheranosを訴えた。同社はシリーズCラウンドで1.98億ドルを投資しており、かつてTheranosの評価額が90億ドルになるきっかけとなった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IBMが教育スタートアップGalvanizeと共同でWatson APIの機械学習アプリケーションへの応用を教える

IBMは同社の今年のInterConnectカンファレンスで、機械学習の学習コースを発表した。それは、スタートアップの卵たちにワークスペースと教育を提供しているGalvanizeとの提携事業で、主にWatsonのAPIの使い方を教えていく。それらのAPIを利用すれば、言葉や音声や視像(画像や映像)の認識に依存するアプリケーションの構築が、容易にできるようになる。

そのコースはIBM Cognitive Courseという、なんか冴えない名前だが、4週間で機械学習の基礎とWatsonで何ができるかを教える。生徒はそのクラスに、IBMのクラウドプラットホームBluemixからアクセスする。

IBMでWatsonとIBM Cloudを担当しているCTOのBryson Koehlerはこう言う: “WatsonのAPIで何ができるのか、知らない人もいる。Watsonのエキスパート、と呼べるほどの技術者は、まだとても少ない”。

コースを補助するリアルなワークショップ、題してBuilder Fairsが、Austin, Denver, New York, San Francisco, Seattle, Bostonの各都市で行われる。また、ハッカソンや個別面談(“オフィスアワー”)などのイベントBuilder Spacesも予定されている。

“ワークショップがあることは、この学習ではきわめて重要だ”、とは語る。“実用アプリケーションを作れるためには、実物体験が欠かせないからね”。

Galvanizeは過去にいろんなコースを展開した経験があり、そのために技術者たちのコミュニティができている。最初のBuilder Spaceは、今行われているInterConnectカンファレンスがその会場になる。

クラウドコンピューティングを提供している各社はこのところ、デベロッパーへの訴求に熱心だ。デベロッパーというより、これから人生で初めてプログラミングをする、という超初心者も対象にし始めている。IBMは、Galvanizeとのパートナーシップで、最初からいきなり技術者たちの大きなコミュニティに訴求できる。この前GoogleがKaggleを買収したのも、同じねらいだ。コミュニティの人数はもっと多い。

クラウド上のデベロッパー向け学習リソースは、AWSにも、AzureやGoogle Cloudにもある。たとえばGoogleはUdacityと組んで、ディープラーニングの3か月コースを提供している…こちらはもちろんWatsonではなくTensorFlowが中心だ。

IBMには前から、Galvanizeとの関係がある。GalvanizeのデータサイエンスのディレクターNir Kalderoは、2017年のIBM Analytics Championに指名された。昨年の秋に両社共同で、企業役員のためのデータサイエンス教育を催している。また昨年初めには、両社でエンタープライズ顧客のためのBluemix Academyを開催した。Galvanize単独では、IBMのクラウドプラットホームのプロモーションのために、サンフランシスコでBluemix “Garage”を行った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SonosのサウンドバーPlaybaseはテレビの下に置いても目立たない薄さを誇る

テレビを壁にかけている人たちは、オールインワンのサウンドバーをよく使っているが、テレビは台の上にあるべしという、今や少数派の頑固者はどうだろう? 高級オーディオ専門メーカーのSonosはこれまで、この人たちを無視してきたが、このほど、やっと風向きが変わったようだ。

そのPlaybaseないしPLAYBASEと呼ばれる製品は、オールインワンのワイヤレススピーカーで、テレビの下に置くようなデザインだ。この699ドルのデバイスは厚さが58ミリで、スピーカーは中域用が6基、ツイーターが3基、ウーファーが1基、系10基収まっている。デジタルアンプも10台内蔵している。Sonosのそのほかの製品と組み合わせて、低音を効かせたサラウンドにもできるし、テレビやゲーム機などの音をそのまま鳴らしてもよい。

Sonosは、部品的にはテレビ用スピーカーも音楽用スピーカーも同じ、と言っているので、Apple MusicやSpotifyやムービーなどの音も、これで聴いてください、ということ。ただしデジタルオーディオの入力は一つだ。電源ケーブルもある。

家庭用のワイヤレスオーディオといえば長年、Sonosが定番だったし、今度のデバイスが、あの上出来のPlaybar(壁掛けテレビ用オールインワン)を上回るものではない。Playbaseは最大荷重が75ポンドだから、おばあちゃんちの古いCRT以外は、どんなテレビでも乗せられるだろう。Sonosの製品としては、マニアのワイヤレス音楽から、一般家庭用のメディア製品にも手を広げたという意味で、興味深い。

Playbaseは今日発表されたが、発売は4月だ。

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AWSのSnowball Edgeは100TBのストレージとコンピューティング機能を提供する

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Amazonのストレージ・コンテナSnowballは広い層に利用されている。同社の今日のre:inventカンファレンスでは、そのメジャーアップデートが発表された。同じ日にあのとんでもない化け物AWS Snowmobileが発表されて、影が薄くなってしまったが、Snowballではコンピューティングの機能に加えて、ストレージを100テラバイトまで増設できる。

今回のアップデートで提供されるSnowball Edgeでは、各デバイスから直接に、データに対する基本的なアナリシスができる。これは、リアルタイムのインサイト(洞察)が必要とされる現場作業にとって、理想的だ。昨年のモデルと同じく、満杯になったデータを直接AWSのデータセンターに送って利用できる。

AWSを仕切っているAndy Jassyによると、たとえばGeneral Electricは、同社のウィンドファームでコンピュテーション機能を利用している。そのウィンドファームでは各タービンのリアルタイムデータを集めて、異状を分析する。クラウドをフルに利用できない船舶や航空機でも、集めたリアルタイムデータに対し、同じことができる。そういうところでは、インサイトに加えてデータのセキュアなバックアップも要請される。

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Snowball Edgeでは万全のセキュリティのために、データを三種類の方法で暗号化する。またクラスタリング機能により、ひとつのエンドポイントに複数のデバイスが接続し、アクセスできる。サポートはS3やNFSのエンドポイントからの、データ保存とアクセスに対しても適用される。接続性が改善されたため、100TBのデータ転送が19時間で終わる。

EdgeはPythonで書かれたAWSのLambdaファンクションをサポートする。このファンクションに関しては課金の計画がないが、デバイス本体は利用料金が300ドルだ。これは、10日で完了するデータ転送の料金である。それを過ぎると、1台一日あたり30ドルが追加課金される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

同じ処方箋なのに高価なレンズ交換を強いられていたアメリカのコンタクトレンズユーザーをネットが救う

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Simple Contactsは、元Techstarsの社員起業家で3DプリントサービスのSolsを創ったJoel Wishが始めたスタートアップで、コンタクトレンズのリフィルを安上がりにすることが目的だ。

Wishはコンタクトレンズの常用者なので、同じ処方箋なのにリフィルに1万ドルも取られるのが、我慢ならなかった。

そこでWishは、Techstarsにもいたことのあるベテラン起業家としての意地をかけて、Simple Contactsを創業した。コンタクトレンズ常用者の約80%は、同じ処方箋をもらうだけのために、眼科医を訪れる。

その無用な通院にかかる時間や費用は、かなりのものだ。しかもそんなの、今ではモバイルアプリで十分ではないか。そう考えたWishは、ネット上のコンタクトレンズコンサルタントサービスSimple Contactsを立ち上げた。コンタクトレンズ常用者の負担を取り除くとともに、有料サービスとして売上も期待できるだろう。

ユーザーはモバイルデバイス上で標準の眼科検査を受け、本物の眼科医がそれを証明して新しい処方箋を出す。それからすぐに、新しいコンタクトを注文できる。

そしてそれが、ユーザーの玄関に到着する。

このアプリは、ニューヨーク、カリフォルニアなど20の州で使える。同社はこのほど、200万ドルのシード資金を獲得した。

同社のシードラウンドはAutonomous Venturesがリード(そのファンドはTikhon Bernstraumから)し、Justin Kan(TwitchとJustin.tvのファウンダー)らが参加した。しかもそれだけでなく、救急ネットワークCityMDを創ったRichard Parkなど、多くの医師が出資した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazon CEO Jeff Bezosがまたバイオテク企業に投資、今度は新しいアンチエージング療法のスタートアップだ

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シリコンバレーでは必ず何年かに一度、不老不死や長寿を喧伝する者が現れる。その前に、そんなに長生きをして一体何をするのかを、考えておいた方がよい、と私は思うのだけど。今度登場したUnity Biotechnologyは、加齢に関連した症状の進行を遅くすることによって長寿を実現する、と主張するスタートアップだ。同社は今日(米国時間10/27)、シリーズBで1億1600万ドルという巨額を調達したことを発表した。投資家の中には、AmazonのJeff Bezosもいる。

体(からだ)が、細胞の老化を遅らせることがある。何かのストレスで、細胞が分裂を停止することがあり、それは、がん細胞の分裂と成長を停止することもあるから、抗癌治療にも利用できる、と考えられている。でもそんな細胞が多すぎると、加齢とともに別の問題が生じる。Unityが追究しているのは、炎症や、加齢と結びついているその他の疾病を起こす古い細胞を、体が積極的に捨てるようにするための方法だ。

Unityの技術には、体の老化を遅らせる可能性があり、科学や医療分野の上位投資家たちの関心を招(よ)んでいる。またバイオテクノロジー分野の非上場企業としては、相当巨額な資金を獲得した少数企業の、仲間入りをしている。

Bezosは、前にもバイオテクに投資している。それは2014年のJuno Therapeuticsだが、そのときは彼のVC Bezos Expeditionsからの投資だった。Junoはがんの免疫療法で画期的な発見をして、バイオテク企業としては数少ないIPO成功企業の一つになった。

バイオテク企業への投資案件の多いスコットランドのミューチュアルファンドBaillie Giffordのほか、Venrock, ARCH Venture Capital, Mayo Clinic, WuXi Pharmaceuticalsなどがこの投資ラウンドに参加した。

同社の発表によると、元KYTHERA BiopharmaceuticalsのCEO Keith Leonardが新たにCEOになり、これまでのCEOで協同ファウンダーのNathaniel “Ned” DavidはUnityの社長になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

WalmartLabsがWalmart.comのアップグレードに使ったReactベースのアプリケーションプラットホームをオープンソース化

SPRINGER, NM -  MAY 15:  A Wal-Mart truck sits on the side of the highway May 15, 2005 near Springer, New Mexico.  Wal-Marts are now nearly ubiquitous on the American landscape, with over 3,000 stores coast-to-coast.  With growth, Wal-Mart continues to weather criticism of low wages, anti-union policies as well as accusations that it has homogenized America's retail economy and driven traditional stores and shops out of business. (Photo by Chris Hondros/Getty Images)

オープンソースソフトウェアという言葉と、あの大手スーパーマーケットWalmartが頭の中で結びつく人はあまりいないと思うが、同社のイノベーション意欲旺盛な技術開発部門WalmartLabsはこれまでにも、さまざまなオープンソースプロジェクトを一般公開している。その中でいちばんおもしろいと思えるのがDevOpsプラットホームOneOpsだが、今日(米国時間10/3)はそれと同等に意欲的なプロジェクトを立ち上げた。

Walmartのeコマース部門Walmart.comは、今や月間ビジター数が8000万、販売品目1500万に達する。そこが昨年1年間をかけて、React(react.js)とNode.jsに移行した。その移行過程でWalmartLabsのチームがWalmart.comのために作ったReactベースのアプリケーションプラットホームElectrodeがこのほど、オープンソースになった

デベロッパーは、Electrodeが提供しているいくつかの定型句的なReactコードに自分なりに手を加えて必要なモジュールを作り、それらの機能をNodeで作るアプリケーションに加えていく。たとえばそれは、Node.jsアプリケーションの構成を管理するツールや、アバブ・ザ・フォールド(above-the-fold)を素早く表示するReactコンポーネントなどだ。〔above-the-fold, アバブ・ザ・フォールド, ページの最上部、スクロールしないで見れる部分。 〕

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チームによると、このプロジェクトにはいくつかの特定の目標があり、それらはほかの企業の問題解決にも役立つはずだ、という。Electrodeは社内のデベロッパーがアプリケーションを早く作れることが目的であり、彼ら自身がこれまでの経験の中で開発してきたベストプラクティスに従った、堅実な構造をそのまま利用できる。

WalmartLabsの技術部長Alex Grigoryanはこう語る: “Electrodeはとりわけ、われわれが作るアプリケーションのパフォーマンスとデベロッパーの生産性を上げた。オープンソースにすることによって、コミュニティがそれをさらに良くしていくことを期待したい。もちろんそれは、うちだけではなく、これを使うデベロッパー全員にとってね”。

このプラットホームは、できるかぎりモジュール的な構造にするよう努めた。その結果それは、コア、モジュール群、ツール類、という三つの部分から成り、それぞれを単独で利用することもできる。

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Electrode今、WalmartでWalmart.comを動かしているが、今後はSamsClub.comなど、Walmart社のそのほかのWeb資産にも適用していく意向だ。Electrodeは昨年の12月に発足したプロジェクトだが、Grigoryanによると、プロジェクト自身は若くても内部で大量のオープンソースプロジェクトを利用している。オープンソースコミュニティの助けがなければ、これだけのものは到底作れなかっただろう、と彼は言う。

Electrodeに移行する前Walmartは主に、Thorax(Backbone.jsとHandlebars.jsによるフレームワーク)と、Javaを使っていた。

WalmartLabsがこれまでに発表したオープンソースプロジェクトはおよそ140あり、Electrodeもその仲間に加わる。まさしく、「今やすべての企業がソフトウェア企業だ」と言われる由縁である。Walmartのような一見保守的な企業でさえ、オープンソースの意義と効用に目覚めるのだから。

Grigoryanは述べる: “うちはいつも、大量のオープンソースを利用しているから、そのお返しをすることをつねに念頭に置かなければならない。Electrodeはアプリケーションのパフォーマンスとデベロッパーの生産性の両方を上げるから、オープンソース化する意義が十分にある。そしてまた、オープンソースのコミュニティによって、うちばかりでなく、それを使うほかのデベロッパーの役に立つ改良改善が為されることも、働きかけていきたい”。

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Google for WorkをベースにCRMを築くと簡明でユーザーフレンドリー、急成長のProsperWorksが$24Mを調達

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Google for Workを利用するCRMサービスProsperWorksが今日、シリーズBで2400万ドルを調達したことを発表した。このラウンドはNext World Capital(NWC)がリードし、Storm Ventures, True Ventures, Industry Ventures, Devoteam, および戦略的エンジェルたちのコンソーシアムが参加した。NWCはもっぱら初期的収益段階のスタートアップにテコ入れをしていくVCで、とくにそのポートフォリオ企業のヨーロッパ進出を助けることが得意技だ。

ProsperWorksのCEO Jon Leeによると、新たな資金は同社の技術開発と、営業およびマーケティングチームの拡大に充てられる。Leeは曰く、“この部屋にSalesforceという体重800ポンドのゴリラがいることは、否定できない。Einsteinのような、AIを使う新顔もいる。いずれも手強いことは手強いが、われわれは、彼らが提供しているようなインサイトにどんな企業でも容易にアクセスできるようにしたい。彼らを正しく使うための構成のカスタム化や複雑な統合が資金力的に十分できる大企業だけでなく、どんな中小企業でもね”。

とくにProsperWorksが今後の導入を計画しているのは、独自の機械学習機能により、企業の営業チームに営業努力を前進させるための具体的な行動指針を提供していくことだ。しかしCRMソリューションの知能化はSalesforceも目下検討しているし、Microsoftは同社のDynamics 365に、より本格的に機械学習を導入していくことを計画している(後者はProsperWorksを取材したあとに発表された)。

ProsperWorksの資金調達は、これまでGoogleの生産性スイート(一連のオフィスオートメーションアプリケーション)使ってきた企業にとって、好機だ。というのも今まさにGoogleは、エンタープライズに、より本気で関心を持とうとしているし、いろんな計画がうまくいけば、そのプラットホームは今後も継続的に成長していくだろう。そしてそうなれば、そのエコシステムを構成する企業ユーザーにとっても良い見返りがあるだろう。Leeは、“Diane GreeneがGoogleのエンタープライズ事業のトップになって以来、Google Apps for Workのエコシステムはかつてなかったほど強力になった。今こそ、その未来的な生産性プラットホームの上で現代的なCRM体験を顧客にお届けしていくべき、絶好のタイミングだ”、と語る。

彼によると、ProsperWorksの好調ぶりを支えているのは、ユーザーフレンドリーなCRMと、生産性スイートとCRMの一体化一元化の両方を求めている顧客たちだ。彼は後者の例として、最近の、SalesforceによるQuipの買収を挙げた。

完全なGoogle依存にはリスクもあるし、Google自身が自分に深く統合化されたCRMソリューションを今後出すかもしれない。しかし、Leeは心配していないようだ。“Google Apps for Workに完全にコミットしているうちのようなパートナーがいるかぎり、Googleが自分でCRMを作るニーズはない”、と彼は述べる。“CRMは簡単に作れるものではない。Googleにはできない、とは言わないが、製品開発と営業とマーケティングにまたがる専門的な取り組みを要する。Googleの努力はもっぱら、生産性ツールの市場を支配することに集中していた”。

ProsperWorksによると、その年商は“7桁”(100万ドルのオーダー)で、前年同期比の伸び率は504%、ユーザー企業は63000社だ。投資家としてNext World Capitalを取り付けたことにより、当然今後は本格的なヨーロッパ進出をねらうことになる。Leeによると、これまでもヨーロッパのユーザー企業は少なくないが、今後はヨーロッパ市場専任のスタッフを置きたい、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

マーク・アンドリーセンが突然全ツイートを削除、Twitter休暇に入る

今日(米国時間9/25)Twitter界は少し静かになった。Tweetstormの父、Marc Andreessenが昨夜Twitterから姿を消した。休みを取った理由について、本人からも誰からも明確な答えは出されていないが、同サービスから突然離れたシリコンバレーの著名人は、Andreessenが初めてではない。

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この夏、Y Combinatorグループのプレジデント、Sam Altmanが、Twitterプラットフォームのコミュニティー問題に言及して場を去った。このソーシャルネットワークは「ネガティブな反応や皮肉が多く」、「Twitterを使った後は気分が悪い」とAltmanは言った。

Altmanと異なり、Andreessenは離脱の理由を説明していないが、同じような理由で一時的にTwitterを避けた可能性は十分にある。現在Andreessenのプロフィールで読むことのできるのは、休暇を取ることについての4ワードからなる投稿と、ネオリベラリズムに関するリツートが1件だけだが、Andressenがフル稼動でツイートしていた時は、他のユーザーと積極的に政治的議論を戦わせていた。

もちろん、Altmanですら一時的に離れた後、Twitterに帰ってくる欲求を抑えることはできなかった。Andreessenが自分の行動を「休暇」と呼んでいることからも、最終的に戻ってくる可能性は高い。プラットフォームとしてのTwitterは、無神経に荒らし回る一部ユーザーによる有害な文化を許す無関心なやり方に、批判が高まっているが、Andreessenは、敵対的な会話からも通常逃げることはない。

Andreessenが、かつてツイートした古い意見を消したかったのでは、という憶測もあるが、今どきそれは考えにくい。もし心配するような内容がフィードに埋もれているとすれば、アカウントを消したくらいでインターネットから取り除くことはできない ― 個人プロフィールから削除することで、表面化しにくくなることは確かだが。インターネットにはAndreessenのツイートを残らずリツイートするよう設定されているボットがあふれている。ソフトウェアでさえ、世界中のMarc Andreessenのツイートを食い尽くすことはできない。pmarca tweet responce

Andreessenが全ツイートを削除しながら、奇妙なリツイートを1つだけ残している理由も、ボットが説明している。ボットの出力を見る限り、そのリツイートは昨夜の出来事近くに起きたことではない。元のツイートの作者も同じことを言っており、停止されたプロフィールに関連するバグによるものかもしれない。

数あるAndreessenボットの存在は、この気の毒な男が博士論文の研究を継続できることも意味している。

Andreessenがツイートを消した理由について会社に尋ねたところ、「単なるTwitter休暇」という答が返ってきた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberの自動運転車をサンフランシスコの路上で発見

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昨日(米国時間9/21)サンフランシスコの市街地で、自動運転のUber車が何人かに目撃され、近く同社がベイエリアで自動運転車の商業利用を始めるのではという憶測に油を注いだ。

Mattermarkの編集長、Alex Wilhelmがモンゴメリー通りとパシフィック通りの交差点に止まっているFord Fusionをカメラに収めた。

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また、Business Insiderが最初に報じたところによると、Mercury Public Affairsの副社長、Drew Olanoffはマーケット通りをエンバカデロ付近で左折する黒の自動運転車を捕えた

他のスタートアップ社員もダウンタウン地区で見たという情報をソーシャルメディアに投稿しており、これが単発のテストではないという憶測を深めた。

サンフランシスコで見つかった自動運転車は、Uberがピッツバーグの自動運転パイロットプログラムで使用している車と同じに見える。最近Uberは、レーダー、カメラ、およびカーネギーメロン大学のロボティクスセンターで開発されたセンサー機器を塔載したFord Fusionを14台導入した。

ピッツバーグのUber利用者は、市内を走るこの14台の自動運転車を選んで乗車することができる。しかしUber広報がTechCrunchに伝えたところによると、サンフランシスコで見つかった自動運転車に関してそれは当てはまらないという。

「現在ベイエリアでは、ドライバーの安全支援や自動運転のための高度な技術を塔載した車が数台走っている。これは社内の研究目的にのみ利用される。テストドライバーが乗っており相乗りサービスは行っていない。様々な環境でテストすることは、この技術が成功するための重要な鍵であり、道路の安全を劇的に改善するだろう」とUberは言った。

サンフランシスコでもUberの自動運転車を選べるようになるのはいつのことだろうか?Uberによると、具体的な日程は決まっていないが、変化があり次第連絡をくれるということだった。もちろん、情報が入ったらすぐにお知らせする。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook