新型コロナ流行下の注目テクノロジー、現場作業者向けテキストや危機回避ホットラインなど

暖房装置フィルター、ロボット工学、そして建築分野で活躍するスタートアップに共通することは? 通常なら何もない。だが新型コロナウイルス(COVID-19)が世界で大流行し、数百万人もの命が脅かされている現在、企業は医療従事者用のN95マスクや人工呼吸器の生産に注力し始めている。

スタートアップ企業が提案するイノベーションは目を見張るものがあり、正直に言うとついていくのがやっとである。AmazonやGoogleのような潤沢な資金がなくても、シリコンバレー内外のあらゆる企業が困難に立ち向かおうとしているようだ。

そこで、新型コロナウイルスの影響と戦うスタートアップ企業の努力をまとめて、ちょっとしたいいお知らせとささやかな希望をお届けする。ちなみにこれは治療案に取り組むスタートアップ企業を分析するものではない(それについてはDarrellの精力的な作業結果を参照して欲しい)。その代わりにこの記事では、私たちの孤独を和らげようとスタートアップたちが考え出したユニークなアイデアや、この状況下で浮かび上がった課題をテクノロジーがどのように解決しようとしているのかを紹介しよう。

Stopcovid.co

Managed by Q創業者のDan Teran(ダン・テラン)氏は、 現場作業者向けに新型コロナウイルスの最新情報をまとめたテキストメッセージをリアルタイムに提供するために、社員教育サービスのスタートアップ企業ESLWorksと提携した。Stopcovid.coイニシアチブは、大きな機関からの保障などは受けてはいないものの、CDC(米疾病管理予防センター)が掲げる衛生上の推奨事項を確認したいと考える社会人を対象にしたサービスだ。メッセージはWhatsAppとテキストメッセージで送信されるため、デジタル環境が整っていないユーザーでも簡単にアクセスできる。テラン氏と話す機会があったとき、彼は「私たちが対象にする人々をひとくくりにするつもりはないが、もし自分が生活のために毎日12~14時間働く配送ドライバーだったら、おそらく新型コロナウイルスとその拡散状況の最新情報は把握できないと思う」と話していた。

Cornell Tech Clinic

Cornell Tech Clinicは、室内で過ごすことを強制され、バーチャルコミュニティだけが頼りのときに、DV被害者がサポートを得られるように支援する。同社は通話もしくはチャットの監視など、テクノロジーを利用した虐待の被害者に対してアドバイスを提供するリモートプログラムを開始した。この新しいプログラムでは、遠隔でケースワーカーと連絡を取る最適な方法、自立に向けたハウツーガイド、そしてそのようなテクノロジーを利用した虐待への対処方法などを提供している。

S’MoreとHopeline

ルックス以外の要素でユーザーを結ぶマッチングアプリを提供するS’Moreは、メンタルヘルスに関するホットラインを提供するHopelineと提携し、募金活動を行っている。「社会的距離は感情的な距離ではない」と名付けられたこのキャンペーンでは、新たにS’Moreに登録したユーザー1人につき1ドル(約107円)をHopelineに寄付する。

Procore(施工管理)

施工管理ソフトウェアデベロッパーのProcoreでは、新型コロナウイルスに関連する建設プロジェクトに対し、無償で同社のソフトウェアを提供している。ホテルやコンベンションセンターなどを緊急医療施設に変える際のソフトウェアのコスト負担をなくし、建設業界を支えることを目的としている。

Wize(個別指導プログラム)

Wizeは数多くのエドテック企業が提供する無料サービスに便乗するかたちで、学年度末まで無料の個別指導プログラムを提供する。このプログラムでは、学校閉鎖の影響を受けた学生が、試験や試験準備資料のライブラリーにアクセスできる。

Springboard(就職指導)

エドテックスタートアップのSpringboardは、就職指導セミナーを毎週無料で開催し、「パンデミック後の経済」に備え、求職者をサポートする。質問セッションは太平洋標準時の4月1日から毎週水曜日の12:30~13:30に開催される。

Voxel51

Voxel51は、設置済みで稼働中のカメラを利用して、世界中で予防対策が順守されているかどうか追跡している。AIを使って人出の多い公共の場における社会活動を把握し、社会行動に基づき各エリアの「スコア付け」を行っている。この方法でどれだけの人々が公共衛生の推奨事項に耳を傾けているかを追跡している

Tech Manitoba / Computers for Schools

カナダの非営利団体Tech Manitobaは、これまでの活動で、コンピューターを持たない150世帯に対して、たった8台のコンピューターしか提供できず、大きな解決策を要していた。そこで彼らはComputers for Schoolsと提携し、消毒済みの整備再生品コンピューター200台を必要な家庭に届けることができた。

One Planet(祈りの輪)

ベンチャー企業One Planetは世界規模の「祈りの輪」をスタートさせた。LightUpTheWorld.orgでは、世界中の人々が健康と希望への願いを込めた祈りと思いを投稿できる。サイトを開くと、リアルタイムで投稿した祈りの言葉が表示される。

Stilt(低金利ローン)

テック系スタートアップのStiltは、移民が社会保障番号や信用情報以外の資格に基づいて低金利ローンを組めるようにし、彼らの信用構築を支援する。時給で働き、年収4万5000ドル(約483万円)未満の顧客に対し、利息の即時凍結と2カ月間の支払猶予(担保差し押さえの延期)を提供する。

画像クレジット: PeterSnow / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳: Dragonfly)

Googleがローカルニュースを支援する助成金制度を発足

Googleは、Google News Initiativeの一環として、COVID-19パンデミックの経済的打撃を受けたローカルの報道機関を財政的に支援する。

そのためのファンドJournalism Emergency Relief Fundは、規模は公表されていないが、Googleのニュース担当副社長Richard Gingras氏のブログ記事によると、その目標は「世界中の中小のローカルニュースパブリッシャーを支える」ことであり、その金額は「小さなハイパーローカルなニュース企業への数千ドルの支援から、地域によって異なる大きな報道機関への数万ドルの支援などだ」、という。

Gingras氏はこう述べる: 「ローカルニュースは重要なときに人びととコミュニティを結びつける必須のリソースだ。今は、その役割がますます重要で、地域のロックダウンや在宅の指示、学校や公園の閉鎖などについて報じなければならない。COVID-19の被害状況も、毎日のように必要だ。しかしニュース産業は今、COVID-19の影響で人減らしや一時休暇、業務の縮小などに苦しんでいる」。

財政支援の申込み受け付けは、もう始まっている。期間は2週間で、米太平洋時間4月29日午後11時59分までだ。

Gingras氏によると、Googleの社会貢献部門Google.orgは、二つのジャーナリスト支援団体、International Center for JournalistsとColumbia Journalism School(コロンビア大学ジャーナリズム大学院)のDart Center for Journalism and Trauma(ジャーナリストの精神的外傷救援団体)に、100万ドルを献金する。

多様な活動でジャーナリズムを支援するGoogle News Initiativeは、およそ3億ドルの当初資金で動いているが、コロナウイルスに関しては、誤報を防ぐファクトチェッカーとその非営利団体への650万ドルの支援金を発表した。その成果としてすでに、COVID-19 Case Mapper(患者地図、患者発生/存在分布地図)のようなツールができている。

Facebookも、現在の危機に対応してローカルニュースを支援するために1億ドルの提供を発表している。2500万ドルが助成資金、7500万ドルがマーケティング支援(広告クレジット)だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ラグジュアリー品委託販売のRealRealが社員の10%を解雇、15%を自宅待機に

オンライン委託販売会社のThe RealRealは、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの中で多くの企業に続いて社員の解雇と自宅待機を行う。米国時間4月14日の四半期決算で同社は、社員の10%が解雇、15%が自宅待機の対象であることを発表した。

これによりRealRealは営業経費を約7000万ドル(約75億円)を削減できるという。同社はプレスリリースで、この人員削減は「パンデミックの中で社員を支援し、この健康危機の向こう側で力強い再出発をするために会社がよい状態でいられることを目的にしている」と記している。

自宅待機対象者は、RealRealのeコマースセンター、小売店、ラグジュアリー委託販売オフィス、営業部隊、および本社の社員らだ。RealRealは雇用を凍結するほか、幹部社員の給与を削減する。

1年弱前に上場企業になったRealRealは、他の多くのテック企業と同様に、新型コロナ感染拡大の中で人事刷新を行った。

「パンデミックの期間が不明であることを踏まえ、我々は営業経費を減らし、流動資産を維持することで近々の試練を乗り越え、目の前に広がる最大のチャンスをつかむ最高の位置にいることを確実にできる」とRealRealのCEOであるJulie Wainwright(ジュリー・ウェインライト)氏は声明で語った。また「私は当社の強力なバランスシート、顧客満足度、堅調なトラフィック、そして買い手と委託者のリピート率が、運営の効果的なスケーリングを支えるテクノロジーの進展とともに、経済が安定したときにいち早く復活できる位置に我々をおいてくれる」という。

関連記事:Layoffs are disproportionately impacting startup satellite offices

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

大学の学資ローン免除を支援するSaviが6.4億円調達

学資ローン危機はますます深刻化を増している。新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行により米国中の大学が閉鎖され、経済の急速な落ち込みは就職への道を薄暗くしてしまった。今の学生や卒業生は、上手な資金繰りを教えてくれるツールを必要としている。

悪いことに、米国の学資ローンは非常に複雑にできている。ローンの条件、返済方法、公的な利息免除のオプションが、文字通り数百種類ある。学生にとって、このルールに従いつつ、負担を最も小さくできる最良の方法はなんだろう?

ワシントンD.C.に本社を置くSavi(サビー)は、学資ローンを借りている人たちを、いちばん有利なオプションが選べる「Savvy(抜け目ない)」な人間にすることを目指しているが、このほど、その緊急の課題に取り組むためのさらなる資金を手に入れた。同社は今日、フィンテック界で最も影響力のある投資企業のひとつNyca Partners(ニカ・パートナーズ)主導のシリーズA投資600万ドル(約6億4000万円)を調達したことを発表した。

金融系スタートアップでは、利用者と自社の収益モデルとの間にインセンティブのずれが生じることがよくある。家計の健全化のためのアプリは、人々がまったく必要としていない新しいクレジットカードやローンを売り歩いた紹介料で密かに儲けていたりする。

Saviの面白いところは、常に利用者第一の姿勢を保つように最初から作られている点だ。同社は公益法人であり、米国の若者の成果の改善に共に尽力してきた2人の理想的な人物によって創設された。

ジョージタウン大学ローセンターを卒業したAaron Smith(アーロン・スミス)氏は、若者に焦点を絞ったシンクタンクであり人権擁護団体のYoung Invincibles(ヤング・インビンシブルズ)を創設し、そこで4年間働いていた。この団体はそもそも、オバマ政権初期に行われた保健医療制度の見直し論議の際に、若者の問題に注目してもらおうと設立されたものだ。一方、Saviのもう1人の創設者Tobin Ostern(トービン・オスターン)氏は、Students for Barack Obama(バラク・オバマを支援する学生の会)のリーダーとして、オバマ氏の最初の大統領選挙戦で若者に投票を呼び掛ける活動を行った後、超党派政策機関アメリカ進歩センターに加わった。

Saviの共同創設者トービン・バン・オスターン氏とアーロン・スミス氏(写真提供:Savi)

2人は、学資ローンを抱える若者の支援を目指すという進歩的な使命を果たそうと、Saviの共同創設を決意した。学資ローンの世界は「非常に複雑で、当然のこととして政策面の継続的な改善が欠かせないと思う一方で、学資ローンを抱える学生たちのための解決策が今すぐ必要なのです」とスミス氏は話す。「それが、ある意味でSaviの推進力にもなっています。テクノロジーを使って、そうした解決策を生み出すのです」

Saviは、利用者の学資ローンのデータを取り込み、数値を計算して、利用者の目標を考慮しつつ、返済や免除のための最良のオプションを導き出そうとしている。

学生相手の融資は1兆ドル(約107兆円)を超える市場だが、Saviは、その進歩的なルーツに立脚し、ソーシャルワーカー、教師、公務員といった利用者にプラットフォームを提供することに特別に力を入れている。同社の提携先の中でも最も大きな組織として、300万人の会員を擁するアメリカ最大の教師組合NEAがある。Saviは会員特典として提供されている。

企業や団体は、その従業員や会員に、自分の経済状況をよく理解してもらおうとSaviの学生ローン評価ツールを使わせている。このツールは無料で利用できるが、例えばば書類手続きの自動化機能などを使って学資ローンを積極的に管理したい場合は、サブスクリプション契約が必要となる。ただし利用者は、サブスクリプション料金を支払う前に、資金繰りの節約方法をSaviで計算できる。もしSaviが役に立たないとわかったときに、料金を支払わずに済むようにする配慮だ。同社によると、平均的な学資ローン利用者は、月に140ドル節約できるという。サブスクリプション料金は月額5ドル(約536円)だ。

雇用条件によっては、Saviはローンの免除に関して特別な専門性を発揮する。これは、多くの学資ローンが公益法人に勤める人に与えている権利だ。こうした権利には、繁雑で難解な適用規則がつきまとうものだが、Saviはそれぞれのローンの規則に準拠しつつ、利用者が免除の道を探れるように取り計らってくれる。現在、同社は150件を超える免除と返済オプションに取り組んでいるという。

組織向けの評価ツールに加えて、Saviは新型コロナウイルス関連の新しいツールをローンチした。医療従事者またはパンデミックで職を失った人たちが、自分の学資ローンの状況を知り、新しい援助プログラムが探せるようにするものだ。「私たちの利用者のうち、新型コロナ危機対応の仕事に就いている人たちの割合が驚くほど多かったのです」とオスターン氏は話していた。

学資ローン管理関連のスタートアップは、ベンチャー投資の間では人気が高い。昨日、私の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)も、学資ローン・プラットフォームのFrank(フランク)が暫定戦略的ラウンド500万ドル(約5億3600万円)を調達し、エドテックの最大手Chegg(チェグ)が
役員の座に着いたという記事を書いていた。私も2019年末に、Summer(サマー)が1000万ドル(約10億7000万円)を調達したことを伝えた。SummerはSaviと同様、学資ローン利用者の負担を最小限にすることを目指す公益法人だ。

Nycaに加えSaviは、AlleyCorp、Temerity Capital、9Yards Capital、そしてMichelle Kang(マイケル・カン)氏、Catherine Reynolds(キャサリン・レイノルズ)氏、Sheila Lirio Marcelo(シェイラ・リリオ・マルセロ)氏からも資金を得ている。

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画像クレジット:Topp_Yimgrimm  / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

新型コロナによるレイオフはスタートアップのサテライトオフィスに大きな影響を与えている

レイオフがスタートアップの世界を急速に襲っている。サービス業や旅行関係、人材採用、そしてスクーター企業もだ。新型コロナウイルスの影響によるレイオフの最新情報を見ると、サテライトキャンパスへの打撃が特に大きいようだ。

サテライトオフィスは、当然のことながらスタートアップの本社に対して二次的な存在だ。企業が新しいラウンドで資金を調達したり新しい市場に進出したりする際に、規模の小さいオフィスを開設するのは戦略的な動きだ。これまでポートランド、フェニックス、そしてApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)、Oracle(オラクル)がサテライトオフィスを構えるオースティンなどの都市に、スタートアップのサテライトオフィスが出現してきた。

Y Combinator(Yコンビネータ)の卒業生であるRoger Lee(ロジャー・リー)氏が作成した追跡ツールのLayoffs.fyiによると、起業家の重要なハブとなっているベイエリアやニューヨークに本社を持つ企業がレイオフに踏み切っているが、実際にはサテライトの都市にいるスタッフがレイオフされているケースが多い。

サンフランシスコにあるロジスティック企業のEasyPostは、ソルトレイクシティとルイヴィルにいる従業員のほぼ全員にあたる75人をレイオフした。英国のチャレンジャーバックのMonzoは、ラスベガスにいる165人のカスタマーサポート要員をレイオフした。

ボストンに拠点を置くレストラン管理プラットフォームのToastは、全従業員の50%にあたる1300人をレイオフした。Layoffs.fyiのデータによると、レイオフされたうちの12%はオマハ、10%はシカゴにいる従業員だった。

サンフランシスコに拠点を置き、最新の評価額が12億5000万ドル(約1340億円)だった輸送用トラック管理のKeepTruckinは、約350人をレイオフした。そのうち33%はナッシュビルとシカゴにいる従業員だった。

Layoffs.fyiで扱っているのは公開された情報のみなので、これらの数字は米国全体で発生しているレイオフを断片的に見たものにすぎない。しかしサンプリングであるとしても、注目すべき重要なデータだ。

こうしたデータの持つ意味は

経済がニューノーマル、つまり前とは違う新しい常識で再生したときに、本社所在地とサテライトのどちらが立ち直りに適した場所になるかはわからない。最近レイオフの嵐に直面しているスタートアップのハブであるボストンの投資家たちに話を聞いた。

ボストンに拠点を置くベンチャーキャピタル、UnderscoreのパートナーであるLily Lyman(リリー・ライマン)氏によれば、サテライトオフィスにはセールス、カスタマーサクセス、事業開発のスタッフが勤務していることが多い。事業として考えれば、こうした役割は消費者の活動が低下することで最も大きな影響を受ける。多くの企業には、今なすべきセールスや取引がない。

ライマン氏は「企業が売上の減速を予測しているため、(これらの役割は人員の削減に関して)より大きな影響を受けている。手持ちのキャッシュで持ちこたえる期間を伸ばすためには理にかなった決定だが、顧客との間に回復が難しいダメージを与えるリスクもある」と語った。

人員削減がサテライトオフィスに集中するとは見ていない人もいる。同じくUnderscoreのパートナーであるMichael Skok(マイケル・スコック)氏は「サテライトオフィスがコストがあまりかからない新しい市場で地位を確立するケースも見てきた。そのため、サテライトオフィスはこの事態の中で実は守られるかもしれない」と述べた。どういうことかというと、コストを減らそうとする場合、サンフランシスコの従業員はデンバーの従業員よりコストがかさむ可能性がある。サンフランシスコのほうが、生活費がとてつもなくかかるからだ。新興テックシーンのスタートアップに投資しているRevolution Venturesは、投資先のサテライトオフィスのレイオフは最近聞いていないという。

最後にやっかいな話として、資金調達が難しくなりそうだという悲観的な兆候があり、創業者やベンチャーキャピタリストはこれを懸命に避けようとしているが、本社以外の都市でのレイオフはこの兆候を抑えるかもしれない。新型コロナウイルスの感染は広がり続けているため、事業のスリム化は受け身の戦略ではなく事前の対策になりつつある。

レイオフが単独で実施されることはめったにない。また、人員削減はあまり堅牢でないテックのエコシステムに、より深刻な影響を与えるようだ。現在の状況はこうしたことを示している。

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画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

ソニーが新型コロナで影響を受けるゲーム開発者の救済基金に11億円拠出

多くの人が外出禁止のために家にこもってPCやゲーミングコンソールを手にしているが、インディーゲームデベロッパーにとっては厳しい状況だ。彼らは往々にして、タイトルの宣伝や投資の呼び込み、契約の発表などをゲームカンファレンスに頼っている。

Sony(ソニー)は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで影響を受けているインディーゲームデベロッパーをサポートするための基金に1000万ドル(約11億円)を拠出したと発表した。2020年4月初めソニーは新型コロナウイルス救済のための1億ドル(約107億円)の基金を立ち上げたと明らかにしていたが、その基金はどちらかというとヘルスケアワーカーや遠隔教育にフォーカスしたものだった。

ソニーは基金の詳細について、間もなく発表するとしか述べていない。また今回の発表ではPlayStationユーザーに自宅に留まってもらうように、2つの「UNCHARTED: The Nathan Drake Collection(アンチャーテッド コレクション PlayStation Hits)」と「Journey(風ノ旅ビト)」をデジタルストアで無料ダウンロードできるようにしたことも明らかにした。この2つの小さなニュースはPlayStationが提唱する「Play at Home」イニシアチブのベースとなっている。

2つのタイトルは4月15日から5月5日まで無料でダウンロードできる。

画像クレジット: Kevork Djansezian / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

MITの在宅新型コロナ患者の動きと呼吸を検知するワイヤレス装置が遠隔治療をサポートする

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは医療従事者に前例のない困難をもたらしている。中でも大きな課題はソーシャルディスタンス問題であり、自身が感染することなく診察と治療を行うためにまったく新しい取り組みが必要になる。

すでに陽性結果が出ている多くの人々にとって、自宅待機はさまざまな地域で大きな負荷がかかっている病院を避け、他の人達に感染を広げないための最善の選択だ。問題は遠隔医療の限界が明白である中、医者や看護師がどうやって遠方から治療を続けられるかだ。

MIT(マサチューセッツ工科大学)のCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)は今週、自宅にいる患者の健康状態を定期的にチェックするために作られた試験中の新しい機器を発表した。Wi-Fiルーターに似た外見のこのオプトインシステムは、患者の部屋の壁に設置する。

新しい機器は無線信号を使って患者の動きや睡眠パターン、さらには(最も重要な)呼吸などさまざまな活動を検知する。Emerald(エメラルド)と呼ばれるそのシステムは、人工知能を使って移動を追跡することで、個人を区別することができる。

現在このシステムは、ボストン郊外のHeritage Assisted Livingという介護施設でテストされている。「介護施設にいるような高いリスクの高齢患者にとって、直接診察することが困難な時に医療データを自動的に取得できるこのシステムが大きな恩恵であることは間違いない」と、同施設の保健責任者であるWilliam McGrory(ウィリアム・マクグローリー)氏はリリースでいう。

ワイヤレスシステムがなぜ、シンプルなウェアラブルよりも優れているのかというTechCrunchの質問に対して、CSAILの広報担当者はこのテクノロジーの本質は「設置したら忘れる」ことで、初期設定後、患者は何も操作しなくていいという点だと答えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルがユーザーの移動データを公開、新型コロナで変化する都市をひと目で確認可能に

Apple(アップル)は、同社のマップアプリのユーザーから集めた匿名情報を元にしたデータを一般公開すると米国時間4月14日に発表した。このデータは「Mobility Trends Reports」として毎日更新され、マップアプリの中で行われたルート検索の回数の変化を見ることができる。マップはiPhoneの標準ナビゲーションアプリで自動車、徒歩、公共交通機関の3種類のモードがある。

アップルは、この情報がいかなる個人とも結びついていないことを強調している。マップアプリが移動データをユーザーのApple IDと関連付けることはなく、人がどこにいたかという履歴を保存することもない。アップルによると、マップで集めた検索ワードや個別の経路などのデータは、ランダムに変わる識別番号と結び付けられるだけで、その番号も定期的にリセットされる。この匿名集約データが提供するのは都市、国または地域レベルのビューだけであり、ある地区での歩行者、ドライバー、公共交通利用者の数の変化を、ユーザーがアプリを開いて道順を調べた回数に基づいて表現している。

Appleのインストールベースの大きさと、日々の通勤や移動のためにGoogleマップなどのサードパーティーアプリを使う人はあまりいないであろうことを踏まえるとある都市における外出回数の減少を確認するかなりよい方法だと考えられる。

このデータはアップルのウェブサイトで誰でも入手可能で、互換性の高いCSV形式でダウンロードできる。ウェブ上でも特定の地域を検索したり、その地域の全体的な傾向を見ることができる。

個人にとっては好奇心を満たす程度のことだろうが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を調査している都市や州、国の政策担当者にとっては、ソーシャルディスタンスや自宅待機、隔離命令などの拡散防止戦略の効果を確認するためにとても役立つだろう。

アップルはほかにも、Googleと共同でOSレベルの匿名接触者追跡システムを開発している。両社はまずデベロッパー向けのAPIを公開し、その後機能をOSに組み込み、公共保健機関のアプリと連携する。アップルは新型コロナ危機のために役立つことに対してとりわけ熱心であると同時に、そのための対策が個々のユーザーのプライバシーを侵害しないことにも腐心している。集団レベルで効果的な行動を起こす上では困難なバランスだが、アップルのリーチの大きさは、どんなツールを提供する上でも強力な優位性になる可能性がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アマゾンが従業員2人を追加解雇、パンデミック発生時の労働条件を批判

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、Amazon(アマゾン)の倉庫の状況を公に批判していた2人の従業員が、同社によって解雇された。UXデザイナーのEmily Cunningham(エミリー・カニンガム)氏とMaren Costa(マレン・コスタ)氏はともに「我々のビジネスモデルが気候危機に貢献しないようにすることが、我々の責任であると信じている」をモットーとするAmazon Employees for Climate Justiceのメンバーでもあった。

解雇を最初に報じたのは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が所有するThe Washington Post(ワシントン・ポスト)で、同社の倉庫や配送センターに勤務する少なくとも74人の従業員が、この新型コロナウイルスの陽性反応を示したことによる。少なくとも、アマゾンが広範囲におよぶ都市閉鎖の中で配送サービスの維持に苦慮している中、世論は同社に批判的だ。

一方アマゾンは、従業員がパンデミック中の従業員の待遇を批判したために解雇されたという考えに反論している。「我々は、雇用者の労働条件を批判するすべての従業員の権利を支持する」と、同社の広報担当者はTechCrunchに語っている。「しかしそれには、あらゆる内部活動に対する包括的な免責が伴うわけではない。(2人の従業員が)繰り返し社内規定を違反したために、彼らを解雇した」。

アマゾンは違反行為を明示していないが、同社には同時に経営陣の承認なしに商習慣について公の場で議論することを禁止するポリシーがある。カニンガム氏とコスタ氏はThe Washington Postに対し、企業慣行に対する公の批判を理由に解雇されたと考えていると述べた。

今回の解雇は、Staten Islandの配送センターの従業員で、かつ労働条件にも批判的だったChris Smalls(クリス・モールズ)氏の解雇から半月後に実施された。この出来事を受けて、民主党の議員たちはベゾス氏に公開書簡を送っている。議員たちは書簡で「団結する権利は我々の経済の基盤である。何世代にもわたって労働者が成し遂げてきた数多くの大いな進歩に対する責任がある」と記している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

リモートワークはZoomを止めてアバターチャットのPragliを使ってみよう

リモートワーク向けビジネスアプリのPragliはアバターを使ったチャットをベースにしている。ユーザーは自宅でSpotifyで音楽を聞きながら同僚と常時コミュニケーションができる。ボスや同僚がデスクにいるのか、会議中か、何か重要な仕事に集中しているのかひと目で知ることができる。しかも仕事の合間には(職場と同様、いわば)給湯室でちょっとおしゃべりもできるし、「今日の勤務は終了」を宣言することもできる。

また必要なら音声通話や画面共有もできる。時間を指定してビデオ会議を開催する機能もある。また忙しそうな相手にはメールのように後で回答すればよいテキストメッセージを送信することもできる。簡単にいえば、我々が物理的に出社して行っていたのと同じことをリモートワークに置き換えて実現させようとするサービスだ。

Pragliの共同創業者のDoug Safreno(ダグ・サフレノ)氏は私のインタビューに対して次のように語った。

「簡単にいえば、Pragliはメールに対してSlackが起こした画期的な改革のビデオ会議版だ。従来のビデオ会議サービスは本質的に排他的でクローズドなコミュニケーション・チャンネルだったが、Pragliはオープンかつ包括的だ。オフィスに出社して働くのと同様、誰が何をしているのか、誰と話しているのかひと目でわかる」。

PragliのセールスポイントはBuffer/AngelListの広汎な調査で明らかになったリモートワーカーが嫌うトップ3の問題を解決できるということだ。それは次の3つだ。

  1. コミュニケーションが円滑にできない
  2. 孤独感
  3. 職場と私生活が区別できない

Pragliのユーザーは「テキストではうまく表現できそうにないから電話したほうがいいだろうか」とか「相手は今来客中だったり会議中だったりしないだろうか」などと心配する必要はない。アバターが常時表示されてメンバーのアイデンティティと現在の状態がひと目でわかるし、「給湯室(Water Cooler)」機能はSlackのように仕事と入り混じった際限のない会話ではなく、はっきり区切りのある社交スペースを提供する。 しかも実際のオフィスと同様、Pragliのオフィスには「出社、退社」を明確に記録できる。これにより緊急の場合を別にすれば、すでに会社を出たメンバーには次の出社まで連絡を取るべきでないことが容易に理解できる。

【略】

Pragliの共同創業者のDoug Safreno(ダグ・サフレノ)氏

サフレノ氏と共同創業者のチームはリモートエンジニア100人にインタビューし、あらかじめスケジュールが設定された会議以外では同僚に対するビデオ通話は週に1度しか使われていないことを発見した。これにより、同僚をアバター表示すればバーチャルオフィスを構築してリモートワークを行うことが十分可能になると確信し、1年前にPragliを立ち上げたのだという。フルタイムの社員は他にいなかったので共同ファウンダーたちだけですべての作業を行い、2019年にベータ版のリリースにこぎつけた。その後トラフィックは3月に6倍となり、2020年1月1日以降で20倍に増加しているという。

Pragliは米国時間4月13日に正式にサービスを開始したが、6月1日までは無料だ。その後はフリーミアムモデルに移行する計画だ。基本機能は無料で利用できるが、全機能を利用するためには月極めで契約する必要がある。料金はユーザー数に応じて算定される。今回PragliはK9 Venturesがリードする小規模なプレシードの資金調達ラウンドも発表した。これはK9自身がサービスを利用して感銘を受けたためだという。

Pragiを使い始めるには、チームのメンバーはPragliのデスクトップアプリをダウンロードしGoogle、MicrosoftまたはGithubから登録する。ユーザーは自分のアバターをモンタージュ写真作成の要領でカスタマイズする。顔の輪郭、髪型、肌色、服装など豊富なオプションから選択可能だ。チャットに使うためにウェブカメラで自撮りし、表情をアバターに変換することもできる。また、マウスとキーボードを使っているだけで自分がデスクの前にいることを表示できる。

カレンダーに会議その他のスケジュールを表示(内容によっては非表示)できる。これは相手がチャット可能かどうかすぐに判断できるので非常に便利だ。音声通話、ビデオ通話も自由にできるし、部外者もデスクトップ、モバイルから随時招待可能だ。

【略】

メンバーがコミュニケーション可能な状態かどうかを自動的に示すためにこのバーチャルオフィスアプリにはさまざまな工夫が凝らされている。キーボードやマウスの利用状況の他にもヘッドフォン(着けているなら何かに没頭しているのかもしれない)やバーチャルオフィス上の場所(給湯室にいるならくつろいでひと休みしているのだろう)などさまざまなシグナルからメンバーの状態を推測する。これは相手がどんな状態にあるのかまったく見当がつかないSlackやZoomと比べてはるかに優れている。面倒なVRヘッドセットを必要とせず、限りなく本物のオフィスに近い環境が得られる。

Microsoftにはソーシャルメディアの経験が欠けており、Zoomはあまりに急速な成長によって生じたゆがみに苦しんでいる。Slackはビデオ機能をZoomに任せている、テキストによるチャット専門のサービスだ。つまりPragliには極めて広い活躍分野がある。新型コロナウイルス(COVID-19)によるソーシャルディスタンジングの要請は世界をリモートワークに向けて大きく動かした。この動きはパンデミックの後も続くはずだ。企業は以前のようには物理的オフィスを重視せず、海外を含めたリモートワークをさらに増加させるはずだ。

この環境では、あらゆるチャンネルを網羅した総合的なコミュニケーションプラットフォームを構築し、オンラインオフィスという新しい仕事の枠組みと行動を参加メンバーが容易に理解できる形で提供するところに最大のチャンスが生まれるだろう。

サフレノ氏は「Slackのように気を散らす存在になったりせずに、自然なコミュニケーションを生むという企業にとって極めて重要な課題を解決できるようなプラットフォームを作り出すことが課題だ」という。Pragliの共同創業者チームは、勤務時間外まで執拗についてまわるような不快な感じを与えずに、モバイルを活用するにはどうすべきかについても長時間議論を戦わせてきたという。

「Pragliの長期的な目標は現実のオフィスよりも快適で効率的なオンラインオフィス環境を構築することだ。バーチャルオフィスなら同僚を探してビル中を探し回る必要はないし、アバターが使えるなら仕事のためにいちいち身なりを整える必要もない。この後も一生リモートワークを続けられるよう我々は仕事を止めない」とサフレノ氏は述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

英国テック業界の求人は新型コロナ影響で3月に31%減

新型コロナウイルス危機が続く中、英国テック業界の複雑な状況を示す雇用データが明らかになりつつある。これまで何カ月も何年も雇用は成長軌道にあったが、それがほぼ一夜にして変わったようだ。

TechCrunchが独自に共有された仕事サイトAdzuna(英国政府の「Find a job」サービスも運営している)とWorkinStartupsの数字によると、英国のテック分野トップ100社の雇用活動は3月に31%減少した。加えて、テック部門全体で2万5000人分の新規雇用が3月と4月で失われた。

また、いくつかのユニコーン企業が従業員を一時帰休とした一方で、テック分野トップ100社の50%以上が雇用を停止している。その結果、求人1件に対する応募者数は平均38人となった。これは英国のテック業界においては2008年の金融危機以来、最も激しい競争となる。

「私がこのデータで最もインパクトを受けたのは、欧州全体のテック企業の大半が現在の経済状況を非常に憂慮していて、VCからの『軍資金』があった企業やユニコーンステータスの企業ですら従業員を解雇・一時帰休としたり、あるいは新規採用をしていないという事実だ」とAdzunaの共同創業者Andrew Hunter(アンドルー・ハンター)氏は話す。

今後変わるであろう雇用のスピードに関しては、ハンター氏はVladimir Lenin(ウラジーミル・レーニン)の言葉「何十年も平穏な時間が流れ、それが数週間で崩れる」を引用し、世界が「現在時速500マイル(約804km/h)で動いている」と話す。

「雇用マーケットがここ数週間で急変しているのに驚いている」とハンター氏は語る。「英国の失業は今月倍増するだろうが、求人数は半分になっている。この相乗作用で痛々しいものになる」

調査ではまた、企業によって雇用活動に大きな差があることも示されている。例えばデータによるとAirbnb、GoogleそしてFacebookは明らかに欧州での採用を縮小している。Habito、Treatwell、Carwowなどは不動産テックやモビリティが現在直面している困難を反映して採用活動を全面的に一時停止しているようだ。

フィンテックユニコーンでは、現在TransferWiseが45人の求人を、Revolutは324人の求人を出しているが、新型コロナ危機前は2社の採用状況は同レベルだった。驚くことではないが、サブスク型のデリバリーサービスGousto、Hellofresh、Oddboxはいずれもかなりの需要増を受けて新規採用を拡大している。Amazonは1000人超、Deliverooも100人超を募集するなど雇用を増やしている。

「Monzoのような大企業は、今後数カ月後にわたって何千人も解雇するという苦しみを味わったり、夏にもっと思い切った対応策をとることを余儀なくされるよりも今、行動を起こした方が良いという考えのもとに従業員を一時帰休としたのだろう」とハンター氏は話す。

「トップ100社の次にくるテック企業の大半はかなり異なった状況にある。彼らにとっては生きるか死ぬかの状況であり、採用凍結や一時帰休は予防策ではなく必須の措置だ。基本的に現在の状況がどのくらい続くのか皆目検討がつかないというのは、スタートアップが今後6〜12カ月の資金調達で間違いなく苦労するということを意味している。危機に備え、コアではないイノベーションを一時停止するというのは現状では最善策のようだ」。

調査によると、テック企業のマーケティング、ソーシャルメディア、ITセールスの雇用が最も影響を受けており、募集は対前月比で60%超落ち込んでいる。想像できることではあるが、観光・旅行部門のテック企業ほぼすべてが採用活動を中止していることがデータで示されている。

それとは対照的にエンジニアリング求人は善戦しており、C++、Java、Ruby、PHPのデベロッパー採用は20%減にとどまっている。

「いくつかの異なる要素が雇用に作用していると考えている。現在のキャッシュランウェイ(キャッシュフローが赤字の間、手元資金で乗り切れる期間)でバーンレートをコントロールし、今後3〜6カ月で立ち直れるかどうか、などだ。そのため資金調達やキャッシュディシプリンがものをいう。もし私が旅行予約スタートアップを現在経営しているとしたら、例え銀行預金残高が健全なものだったとしても、最悪の事態に備えるだろう」

その一方でハンター氏は、VCやCEO、創業者たちは今回の危機により可能な限りの「ヘッジ」を余儀なくされ、回復や危機の後にくる上向き局面を描こうとしているが、実際のところこの危機がいつ終わるのか誰もわかっていないと指摘する。

「V字型経済回復とはならないだろう。しかし景気回復が始まるときにいい位置につけることができる企業が最も速く成長し、最大のマーケットシェアを握るはずだ。だからこそ差し当たって1、2年の計画にさほど大きな変更を加えず、活用できそうな機会をつかんでものにしようとしている企業がいる。これはAyrton Senna(アイルトン・セナ)の言葉にある通りだろう。『晴れた日には車15台を追い抜かすことはできないが、雨の日だったらできる』」

画像クレジット: Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

スタンフォード大とグーグルが埋め込み可能な新型コロナマップを地元ジャーナリストに提供

米国時間4月14日、スタンフォード大学のBig Local NewsとPitch InteractiveプロジェクトはGoogle News Initiativeと共同で、米国における新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大に関するカスタマイズされた最新マップを地元のジャーナリストが記事やウェブサイトに埋め込むことができる新しいツールを発表した。

COVID-19 Case Mapperは非常に基本的なツールのように見えるかもしれないが、Google Data EditorのSimon Rogers(サイモン・ロジャー)氏は、このようなツールが以前から存在しているべきだったことを認めている。

地元のジャーナリストは新型コロナウイルスの最新動向を読者に知らせようと最善を尽くしているが、ロジャー氏によれば、異なるデータソースを正規化し、独自のマップを作成するツールはなかったかもしれないと述べている。

「既に起きてしまっていたローカルニュースの危機は、新型コロナウイルスによりより悪化した」と、ロジャー氏は語る。

さらに既存の新型コロナウイルスのケースマップの多くは、ジャーナリストが簡単に情報を埋め込む方法を提供していないとロジャー氏はいう。「情報を広く発信するのに重要なのは、どこにでも埋め込めて、どこでも使えることだ」。

現在、米国のジャーナリストは、COVID-19 Case Mapperにアクセスして地図を作成したい地域を選択し、埋め込みコードをコピーするだけで、記事やウェブサイトに地図を埋める。地図はThe New York Timesの新型コロナウイルスのカウントデータを使用しており、10万人あたりの患者数に基づいて色分けされているので、人口に対する感染拡大の深刻さがひと目でわかる。

これは新型コロナウイルスに関する誤報と対峙するため、グーグルが650万ドル(約7億円)を投じて行っているより広範な取り組みの一環である。地図は最初はアメリカ限定だが、すぐにグローバル版をローンチする計画があるとロジャー氏という。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

孤独感を減らすリモートワーカーための「バーチャル休憩室」をHallwayが提供

新型コロナウイルスの発生によって、数百万人の米国の従業員たちが自宅で働くことを余儀なくされている。多くの人にとってそれは初めての経験だ。しかし、対面での会話がないために、チームや同僚から切り離されていると感じることが多くなるため、リモートでの作業は孤独で孤立したものになる可能性がある。それこそが、新しいスタートアップのHallwayが、解決を支援することを目指している課題だ。このサービスは、Slackユーザー向けの新しいアプリを使って、休憩室の雰囲気や、たまたま廊下ですれ違って立ち話をするようなセレンディピティを再現する。

このアプリを使用すると、会社はSlackチャネル内で10分間のビデオチャットをスケジュールすることができ、従業員たちは仕事のためのウェブ会議の以外の場で、より気楽にやりとりを行うことができる。

このスタートアップは、Googleの元プロダクトマネージャーで、Google ChatとGoogle Goを立ち上げたParthi Loganathan(パルティ・ロガナサン)氏,、そしてプライベートエクイティ企業Insight Partnersの元アソシエイトであるKunal Jasty(クナル・ジャスティ)氏によって共同創業された。

2人はもともと、共有Slackチャネルを使って、チームがカスタマーサポートを提供するのに役立つAcrossという製品に取り組んでいた。しかし、サンフランシスコで居宅内隔離(shelter-in-place)が施行されたとき、状況は急速に変化した。

「これにより、リモートでの作業に備えることができていなかった多くの企業が、一夜にしてリモートに移行することを強いられました」とロガナサン氏は説明する。一方彼のルームメートは、狂ったように在宅勤務をしていることに不満を漏らし、チームと話せないのを残念に思っていると話していた。

「Hallwayはその問題に取り組むための、シンプルで楽しい方法のように思えたので、私たちは数日でそれを作り上げました」とロガナサン氏は言う。

彼らのチームの半分はインドを拠点としていたため、創業者の2人は、すでにリモートチームへの対処に伴う課題について、直接経験を積んでいた。またAcrossだけでなく、Hallwayと同様他のSlackアプリの構築経験も持っていた。

その結果、Hallwayはアイデアから最初のユーザーを迎えるまでに、たった4日しかかからなかったとロサナガン氏は語る。

Hallwayを使用するには、Hallwayウェブサイト、またはSlackアプリディレクトリから、Slackに追加することができる(Slackワークスペースにアプリを追加する権限がない場合には、インストールする際に管理者の承認が必要になる場合がある)。

アプリ自身のフロントエンドは存在しない、ログインプロセス、利用案内、設定用ユーザーインターフェイスなど、すべてがSlack内のインターフェイスとして提供される。インストールすると、Slack内のダイレクトメッセージを介して利用手順が示される。そして「/invite @hallway」と入力して、Hallwayボットを任意のSlackチャネルに招待することができる。これにより、ボットが開始され、@hereメッセージによって定期的に、休憩室の作成が自動案内される。

デフォルトでは、Hallwayの仮想休憩室は、月曜から金曜の午前9時から午後6時までの2時間ごとにスケジュールされているが、ユーザーはSlackチャンネルで「/hallway」と入力して設定をカスタマイズすることで、タイムゾーンを調整したり、休憩の頻度を調整したりすることがでる。

ユーザーは、自分自身で指定するZoomもしくはGoogle Meetのリンクを、Hallwayと一緒に使うことができる。しかし、その利用体験は、daily.coのビデオインフラストラクチャが提供する、Hallwayの時間制ビデオチャットルームを使うことでさらに向上する。

今回発表されたサービス自身は最大2つのSlackチャンネルまでの利用は無料だが、無料のまま時間制ビデオチャットルームが提供されるのは10回までで、以降は自前のウェブミーティングを使うようにするか、プランをアップグレードする必要がある。

大企業向けのHallway「Team」料金プランでは最大5つのチャネルがサポートされ、無制限の数のビデオチャットルームとカスタマイズオプションが、月額30ドル(約3200円)で提供される。5つ以上のチャネルを利用したい場合には、エンタープライズ向けプランも用意されている。

ほんの数週間前に開始されたばかりだが、Hallwayは急速に顧客ベースを拡大してきた。

このサービスは現在、Nextdoor、Productboard、Bank Novo、Pivotal、Courseraなどの企業の170以上のチームで使用されている。ユーザーの大半は今のところ無料プランを利用している。ただし、アップグレードが必要な企業は、ユーザーがそのサービスを友人に紹介することで、より柔軟な価格設定で利用できる。

当面の間、共同創業者たちはSlack内でのHallway体験の改善に集中したいと考えているが、彼らはすでに次に何をすべきかに思いを馳せている。

「私たちは、チームをつないだままにして、リモートで作業しながらも、職場の孤独感を減らすという課題に取り組んでいます。現在、私たちは自発的な時間制ビデオチャットのコアエクスペリエンスを改善しています。そのことでユーザーにカスタマイズするためのより多くのオプションを提供していきます」とロガナサン氏は語る。「私たちはチームビルディングやリモートチームの従業員の初期研修といった、企業を支援できる特定のユースケースを調査しているところです」と彼は述べている。

将来的にはMicrosoft Teams向けのソリューションも検討するかもしれないと彼は言う。

Hallwayはプレシード資金(金額未公開)を調達した。

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(翻訳:sako)

Googleは偽情報の多いインドで主要アプリ総動員の正しい新型コロナ情報を提供

Googleの月曜日(米国時間4/13)の発表によると、同社はインドで、コロナウイルス関連のアップデートをまとめたWebサイトを立ち上げ、また検索とYouTubeでは、インド厚生省などの権威ある機関からの情報とユーザーの地元の詳細情報を目立たせることになった。

またGoogle Mapsと検索では、インドの30あまりの都市の1500以上の食事とベッドが提供されるシェルターをガイドする。Googleによると、インドに何百万人もいる出稼ぎ労働者は、政府が疫病対策として都市の3週間のロックダウンを命じたため仕事を失い、帰郷を始めている。

これらのシェルターは、Google Assistantに英語かヒンズー語で“food shelters”と尋ねても見つかる。Assistantはスマートフォンや、KaiOSを使っているフィーチャーフォン、あるいはVodafone-Ideaの電話回線から利用できる(インドのそのほかの言語もサポートを準備している)。

Googleはカリフォルニア州マウンテンビューに本社のあるアメリカの大企業だが、同社にとってインドは重要な海外市場のひとつだ。同社は各国の保健医療行政の意思決定を助けるために、COVID-19 Community Mobility Reports(各地の人の移動に関する情報)を発行している(日本版)。このレポートは、公園、駅、食料品店などの公共的な場所における交通や人の移動の、最近数週間の変化を、グラフで報告している。

Mapsでは、Nearby Spotという案内表示により、食料品や生活必需品を売っているインド各地のお店を見つけやすくしている。

YouTubeと検索は、重要なニュースやインド厚生省からの情報、および症状と予防と治療に関するそのほかの権威あるコンテンツを一箇所にまとめて見せている。またYouTubeがそのホームページにローンチした「Coronavirus News Shelf」(コロナウイルスのニュース集)は、このアウトブレークに関する権威あるメディアからの最新ニュースを集めている。

最近の数週間でGoogle Pay、Walmart PhonePe、Paytmなどの決済サービスは、コロナウイルスと戦うインドの首相ナレンドラ・モディ氏のファンドに簡単に寄付できるようになった。Googleによると、同社の決済サービスからの寄付の総額は1300万ドルを超えた。

以上のようなさまざまな措置により、インドを何年も苦しめているもう一つのアウトブレーク、すなわち偽情報の封じ込めができるだろう。メッセージングサービスには、政府がやっていることに対する、勝手な想像に基づく嘘の情報や、この疫病を広めている犯人、昔からある民間療法など、いい加減な情報が溢れている。しかも、こういった出鱈目を、一部のテレビニュースが真実として報じ、それがインドの数億の人びとに伝わっている。

しかし中でもインドでいちばん人気のあるメッセージングサービスWhatsAppは、この感染症に関する情報を一層充実させようしている

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Price.comが新型コロナで品薄の商品在庫を表示する機能を追加

商品比較ウェブサイトPrice.comと、関連するブラウザエクステンションを展開しているPrice Technologies(プライス・テクノロジーズ)は、新型コロナウイルス(COVID-19)により米国で供給が不足しているいくつかの必需品の在庫を表示する機能を追加する。

アスピリン(消炎鎮痛剤)、アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)、ティッシュ、手指消毒剤、イブプロフェン(非ステロイド系消炎鎮痛薬)、お米、石けん、スープ、トイレットペーパー、その他のアイテムのオンライン店舗の在庫がPrice Technologiesのウェブサイトに表示されるようになる。

「我々は、新型コロナウイルス関連必需品がいかにオンラインで入手しにくくなっているのかを追跡してきた」と同社はブログに書いている。「そして今、そうした必需品の在庫状況をリアルタイムでアップデートする。この機能の初期バージョンを立ち上げていて、今後数週間で機能を拡大・洗練する計画だ」。

2016年に始まったPrice.comは、PayPalに2019年買収されたオンラインディスカウントショッピングHoneyのようなサービスと競合する。

Crunchbaseによると、Price.comは500 Startupsの創業者Dave McClure(デイブ・マクルーア)氏、Plug and Play Ventures、Social Capital、VentureSouqなど多くのアーリーステージ投資家の支援を受けている。

画像クレジット: Kirsten Korosec

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(翻訳:Mizoguchi

イタリアの都市で家に閉じ込められた人びとがクラウドソーシングによる光害調査に参加

多くの人びとが家に閉じ込められている今の事態が、奇妙な幸運を招いている。イタリアでは住民たちがバルコニーに出て歌を歌っていたが、その同じバルコニーを、ちょっとした市民科学の機会ととらえた研究者たちがいる。

イタリア学術会議が始めたこのプロジェクトは、この国の光害の広範囲な標本を取ることをねらっている。家の外の光がどれだけ家の中に入ってくるかを表す「光侵害」(light trespass)の問題は通常、それらの家にアクセスしないと計測できない。そこで今回彼らは、その情報を家の住民に集めてもらうことにした。

大量のデータポイントだ!

2週間前にはおよそ7000名のイタリア人が、自分のスマートフォンとアプリを使って、この実験の初回に参加した。彼らがやるべきことは、自分の家の明かりをすべて消し、窓またはバルコニーへ行き、そこから見えるいちばん明るい光源にスマートフォンを向けることだった。

得られた結果によると、イタリアの都市の平均的光侵害の大きさは、田舎のほぼ倍だった。意外とは言えないけど、こんな当たり前のような結論でも、ちゃんと定量化でき、証拠が得られたことは重要だ。明るいといっても、どれくらい明るいのか?それはどんな明かりか?…今後もっとデータが集まればこんな基本的な疑問にも具体的な答が得られるだろう。

この実験を組織したグループの一人、Alessandro Farini氏が、Nature誌にこう語っている: 「この実験で私たちは、計測技術を一般市民に身近なものにしたかった。市民が計測の複雑な過程を知り、ものごとの科学的なやり方に参加できるようにしたかった」。今、研究者たちにさらなる情報を求めているので、得られ次第ご報告したい。

関連記事: 衛星コンステレーションによる夜空の光汚染を天文学者たちが懸念

この実験が大成功だったので、#scienzasulbalcone(バルコニー上の科学)の人びとはアンコールをやった。彼らは先週新しい計測をして、さらに最後の計測を明日(米国時間4/14)の夜やる予定だ。参加者へのインストラクションも改訂して、彼らが送るデータの性格を表せるようにした。

参加者は、ワット数が分かる電球を見つけるよう求められる。そして、その電球だけが点いている場所でスマートフォンの周辺光センサーに光量を計測させ、スマートフォンの光計測機能を調整する。すると各スマートフォンの性能にばらつきがあっても、均一に光量を計測し報告できるようになる。そして窓やバルコニーへ行って外の光量を計測し、結果を報告できる。

もっと詳しく知りたい人のために、イタリア語のインストラクションがここにある。英語版もあるが、まだそれはグローバルな取り組みではない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アマゾンが新型コロナによる需要増加対応で7万5000人を追加雇用

Amazonは、既に過去4週間で10万人以上を新規雇用して、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的なパンデミックによる需要増加に対応しているが、米国で7万5000人のフルタイムおよびパートタイムの従業員を追加採用する。同社は米国時間4月13日のブログ記事でこの追加雇用について公表したほか、需要の急増に対応して給与支払いの総額を5億ドル(約538億円)以上に増額することも発表した。

同社はこの雇用によって、新型コロナ・パンデミックによる経済危機のために起きている失業や一時解雇の影響を少しでも緩和できることを期待していると語った。Amazonはこの雇用枠を「状況が正常に戻り、以前の雇用者が呼び戻してくれるまで」働きたい人の選択肢として位置づけている。

同社は新規および既存従業員の「安全、給与、福祉」のための投資を引き続き強化していくと語っている。オンライン小売の巨人はこの取り組みの詳細について、配送センターおよびWhole Foods店舗における体温検査、従業員へのマスクの配布、これらの実践の日常的監視の導入などを行うという。

Amazonの施設で働く人々は、さまざまな行動を起こして、会社の作業環境に対する抗議し、健康・安全面の行動規範の改善の訴えている。いくつかの倉庫では作業者はすでに新型コロナウイルス陽性を示しており、最近CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が配送作業員との結束を示すために訪れた施設でも感染者が出ている。

画像クレジット:Johannes EISELE / AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロジスティックのKargoが約33億円調達、新型コロナ救済基金も設立

Uber Asiaで役員を務めたベテランのTiger Fang(タイガー・ファン)氏が共同創設した、ジャカルタ拠点のロジスティックスタートアップKargoがビジネスの拡大と、新型コロナウイルス(COVID-19)と戦う東南アジア諸国の企業をサポートするために3100万ドル(約33億4000万円)を調達した。

シリコンバレー拠点のTenaya Capital、Sequoia India、Mirae Asset Management、Intudo VenturesなどがKargoのシリーズAラウンドに拠出した。これまでに3860万ドル(約41億6000万円)を調達しているKargoの投資家にはUberの創業者で前CEOのTravis Kalanick(トラビス・カラニック)氏が含まれている。

KargoはUberのコンセプトの一部をトラック輸送やロジスティックに応用している。顧客である事業者はモバイルアプリやウェブサイトからトラックをオーダーする。しかしサービスはより広範だ、とファン氏は話す。Uberと異なり、Kargoはトラックドライバー個人ではなくトラックオペレーターや3PL(サードパーティーロジスティック)と協業している。

シリーズAの発表では、Kargoは普通ではないアプローチをとった。同社は新型コロナと戦っているインドネシアの企業をサポートしたいと考えている。新しく設立した100万ドル(約1億1000万円)のトラック運転手救済基金で支援する計画だ。Kargoの従業員も給料から基金に寄付していて、ファン氏は2021年に、給料を一切受け取らない方針という。基金へは誰でも寄付できる、とファン氏はTechCrunchに語った。

KargoはまたKita BisaやPT Akar Indah Pratamaなどいくつかの慈善団体とも提携し、複数の病院の職員と患者に食事や必要不可欠の医療物資を届けるべく取り組んでいる。

Yodi Aditya (ヨディ・アディティア)氏(写真左)とタイガー・ファン氏(右)が共同でロジスティックスタートアップKargoをジャカルタに設立した。

Kargoはドライバーの安全を守るためにいくつかの予防措置を講じていることも明らかにしている。その中にはルート上に休憩場所を多く確保し、適切な消毒を行うことが含まれている。同社はまた、ユーザー間の物理的接触を制限するためにプラットフォーム上に電子の配達証明システムを導入した。

「インドネシアにおける必要物資のサプライチェーンが影響を受けることがないよう、当社が最も信頼できるロジスティックパートナーであることを約束する。従業員全員が給料の中からそれなりの額を寄付し、地元の企業や組織にともにこの問題に取り組んでいこうと呼びかけている」とファン氏は話した。

「経済状況が見通せない中で、我々を引き続きサポートしてくれるすばらしい投資家たちに感謝している」とも付け加えている。

東南アジアマーケットでは、インフラの非効率さを解決しようと荷主や輸送事業者が徐々にテクノロジーを受け入れ始めており、ロジスティックには大きなチャンスがある。

Kargoを利用している荷主は6000社を超え、トラック5万台超のネットワークでインドネシアを網羅している。

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(翻訳:Mizoguchi

Googleの検索と地図で新型コロナの仮想診療サイトを強調表示(当面英語のみ)

COVID-19のパンデミックで医師と患者の双方が日常的な診療で実際に会うことを減らそうとしているため、仮想診療への関心が高まっている。でも患者は、今どんなものが利用できるのか知らないことが多いので、Googleは今後2週間かけて検索とマップスに、テレヘルスの所在を強調表示するオプションを導入する

病院や医師、メンタルヘルスのプロフェッショナルなどは、彼らの仮想診療サービスの詳細を検索とマップスのBusiness Profile(Googleマイビジネス)に加えられる。すると患者が検索したとき、「get online care」(オンラインの診療を受けましょう)というリンクが出て、サービスの提供者のWebサイトで詳しい情報を見られる。(目下英語のサービスのみ)

またアメリカでは、「すぐ診てくれるところ」(immediate care)などの語句で検索しても仮想診療の場所が表示される。検索結果には、そこに実際に行く場合と仮想診療オプションの両方が強調表示されるが、それは前にはなかったことだ。心配な人は、初診料の額なども知ることができる。

さらにGoogleは今後、病院などのヘルスケアプロバイダーのCOVID-19ページへのリンクも検索結果の上位に置く計画だ。外来に関する彼らの方針や、診察時間の変更なども詳しく表示される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MITがアップルの「探す」機能にヒントを得て新型コロナ接触者追跡システムを開発

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止策のひとつとして、接触者の追跡がある。感染する機会があった人を保健当局が把握し、感染を広げる恐れがあるとその人に通知するものだ。接触者追跡は、感染拡大を抑えた世界の一部の地域では既に効果を上げているようだ。しかしプライバシー擁護派は、米国でこうしたシステムを実施することに大きな懸念を持っている。

プライバシーを守る接触者追跡システムの実施方法については、ヨーロッパの専門家グループによる分散方式など、多くの提言がある。米国では、MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームが自動で接触者を追跡する新しい方法を考案した。みんなのモバイルデバイスから発信されているBluetoothの信号を利用して、個人をまったく特定せずに、接触した人とランダムな数字を結びつける方法だ。

このシステムは、研究チームが「チャープ(『さえずり』の意)」と呼ぶランダムな数字をモバイルデバイスが常に発信することによって動作する。チャープはBluetoothで発信される。これが重要だ。ほとんどの人のデバイスでBluetoothが常にオンになっており、また短距離の無線通信プロトコルなので誰かのチャープを受信したらそれはその人が比較的近くにいたのが確かであるからだ。

新型コロナウイルス感染症の陽性であると診断されたら、その人は過去14日間(接触感染のおそれがあった期間)に自分のスマートフォンから発信されたすべてのチャープをアップロードする。アップロードされたチャープは陽性と診断されたケースのデータベースに保存され、他の人はそのデータベースを調べて自分のスマートフォンが陽性の人のチャープを受信しているかどうかを確認することができる。もし一致するチャープがあったら、そのスマートフォンの持ち主は感染のリスクがある。陽性の人と約12メートル以内に近づいたことがあるからだ。検査を受けるべきかどうか、あるいは推奨される2週間の自己隔離をするかどうかの目安になる。

MITのシステムは、米国自由人権協会(ACLU)などのプライバシー保護関連団体が詳しく論じている、接触者追跡にまつわるプライバシー関連の厄介な問題の多くを完全に回避している。MITのシステムは位置情報をまったく使用しないし、個人を特定する診断やその他の情報とも一切結びつけられない。ただ、完全に個人の裁量に任されているわけではなく、コンプライアンスの観点からのリスクはあるだろう。MITは、陽性と診断された人に保健当局の担当者がQRコードを発行し、そのQRコードを使ってチャープの履歴をデータベースにアップロードすることを想定しているからだ。

MITのシステムは、人々のスマートフォンにインストールされたアプリで動作する。この設計は、紛失したMacやiOSデバイスを見つけたり、親しい人が持っているデバイスからその人のいる場所を知ったりするためにApple(アップル)が実装している「探す」システムからヒントを得たものだ。「探す」は、チャープを使って近くにあるアップルのハードウェアに位置情報をブロードキャストする。

MITリンカーン研究所のサイバーセキュリティ&情報サイエンス部門の担当主任でこのプロジェクトの共同主任研究員のMarc Zissman(マーク・ジスマン)氏は、ブログで次のように説明している。「このシステムは『探す』にヒントを得たものだ。もし私がスマートフォンをなくしたら、スマートフォンからBluetoothでランダムな数字のブロードキャストを始めることができる。それは広い海でライトを振るようなものだ。Bluetoothをオンにしている誰かが通りがかったとき、その人のスマートフォンが私に関して何かを知ることはない。ただアップルに『私はライトを見ましたよ』と伝えるだけだ」。

このシステムでは、陽性の人のチャープのデータベースを自動で調べ、検査を受けた方がいい人、あるいは自己隔離した方がいい人にアラートを送ることもできる。研究チームは、プライバシーを守りつつ保健当局のニーズと目的に合うよう、当局と緊密に連携してきた。

MITのチームは、この計画を広く実現するには次のステップとしてアップル、Google(グーグル)Microsoft(マイクロソフト)の協力が重要だと述べている。効果的に機能させるには、モバイルデバイスのプラットフォームとの緊密な連携が必要だ。将来的にiOSとAndroidの標準機能として提供すれば、広く普及するだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Kaori Koyama)