テクノロジーと災害対応の未来3「接続性、地球が滅びてもインターネットは不滅」

インターネットは、神経系のように世界中で情報伝達を司っている。ストリーミングやショッピング、動画視聴や「いいね!」といった活動が絶えずオンラインで行われており、インターネットがない日常は考えられない。世界全体に広がるこの情報網は思考や感情の信号を絶え間なく送出しており、私たちの思考活動に不可欠なものとなっている。

では機械が停止したらどうなるだろうか。

この疑問は、1世紀以上前にE.M. Forster(E・M・フォースター)が短編小説で追求したテーマである。奇しくも「The Machine Stops(機械は止まる)」と題されたその小説は、すべて機械に繋がれた社会においてある日突然、機械が停止したときのことを描いている。

こうした停止の恐怖はもはやSFの中だけの話ではない。通信の途絶は単に人気のTikTok動画を見逃したというだけでは済まされない問題だ。接続性が保たれなければ、病院も警察も政府も民間企業も、文明を支える人間の組織は今やすべて機能しなくなっている。

災害対応においても世界は劇的に変化している。数十年前は災害時の対応といえば、人命救助と被害緩和がほぼすべてだった。被害を抑えながら、ただ救える人を救えばよかったとも言える。しかし現在は人命救助と被害緩和以外に、インターネットアクセスの確保が非常に重要視されるようになっているが、これにはもっともな理由がある。それは市民だけでなく、現場のファーストレスポンダー(初動対応要員)も、身の安全を確保したり、ミッション目的を随時把握したり、地上観測データをリアルタイムで取得して危険な地域や救援が必要な地域を割り出すため、インターネット接続を必要とすることが増えているからだ。

パート1で指摘したように、災害ビジネスの営業は骨が折れるものかもしれない。またパート2で見たように、この分野では従来細々と行われていたデータ活用がようやく本格化してきたばかりだ。しかし、そもそも接続が確保されない限り、どちらも現実的には意味をなさない。そこで「テクノロジーと災害対策の未来」シリーズ第3弾となる今回は、帯域幅と接続性の変遷ならびに災害対応との関係を分析し、気候変動対策と並行してネットワークのレジリエンス(災害復旧力)を向上させようとする通信事業者の取り組みや、接続の確保を活動内容に組み入れようとするファーストレスポンダーの試みを検証するとともに、5Gや衛星インターネット接続サービスなどの新たな技術がこうした重要な活動に与える影響を探ることとする。

地球温暖化とワイヤレスレジリエンス

気候変動は世界中で気象パターンの極端な変化を招いている。事業を行うために安定した環境を必要とする業界では、二次的・三次的影響も出ている。しかし、こうした状況の変化に関し、通信事業者ほどダイナミックな対応が求められる業界はほぼないだろう。通信事業者は、これまでも暴風雨によって何度も有線・無線インフラを破壊されている。こうしたネットワークのレジリエンスは顧客のために必要とされるだけではない。災害発生後の初期対応において被害を緩和し、ネットワークの復旧に努める者にとっても絶対的に必要なものである。

当然ながら、電力アクセスは通信事業者にとって最も頭を悩ませる問題だ。電気がなければ電波を届けることもできない。米国三大通信事業者のVerizon(ベライゾン、TechCrunchの親会社のVerizon Mediaを傘下に擁していたが、近く売却することを発表している)、AT&T、T-Mobile(Tモバイル)も近年、ワイヤレスニーズに応えるとともに、増え続ける気象災害の被害に対処するため、レジリエンス向上の取り組みを大幅に増強している。

Tモバイルにおいて国内テクノロジーサービス事業戦略を担当するJay Naillon(ジェイ・ナイロン)シニアディレクターによれば、同社は近年、レジリエンスをネットワーク構築の中心に据え、電力会社からの給電が停止した場合に備えて基地局に発電機を設置している。「ハリケーンの多い地域や電力供給が不安定な地域に設備投資を集中させている」という。

通信3社すべてに共通することだが、Tモバイルも災害の発生に備えて機器を事前に配備している。大西洋上でハリケーンが発生すると、停電の可能性に備えて戦略的に可搬型発電機や移動式基地局を運び入れている。「その年のストーム予報を見て、さまざまな予防計画を立てている」とナイロン氏は説明する。さらに、非常事態管理者と協力して「さまざまな訓練を一緒に行い、効果的に共同対応や連携」を図ることで、災害が発生した場合に被害を受ける可能性が最も高いネットワークを特定しているという。また、気象影響を正確に予測するため、2020年からStormGeo(ストームジオ)とも提携している。

災害予測AIはAT&Tでも重要となっている。公共部門と連携したAT&TのFirstNetファーストレスポンダーネットワークを指揮するJason Porter(ジェイソン・ポーター)氏によれば、AT&Tはアルゴンヌ国立研究所と提携し、今後30年にわたって基地局が「洪水、ハリケーン、干ばつ、森林火災」に対処するための方策と基地局の配置を評価する気候変動分析ツールを開発したという。「開発したアルゴリズムの予測に基づいて社内の開発計画を見直した」とポーター氏は述べ、少なくとも一定の気象条件に耐えられるよう「架台」に設置された1.2~2.4メートル高の脆弱な基地局を分析して補強していると語った。こうした取り組みによって「ある程度被害を緩和できるようになった」という。

またAT&Tは、気候変動によって不確実性が増す中で信頼性を高めるという、より複雑な問題にも対処している。近年の「設備展開の多くが気象関連現象に起因していることが判明するのにそれほど時間はかからなかった」とポーター氏は述べ、AT&Tが「この数年、発電機の設置範囲を拡大することに注力」していると説明した。また可搬式のインフラ構築も重点的に行っているという。「データセンターは実質すべて車両に搭載し、中央司令室を構築できるようにしている」とポーター氏は述べ、AT&T全国災害復旧チームが2020年、数千回出動したと付け加えた。

さらに、FirstNetサービスに関し、被災地の帯域幅を早急に確保する観点から、AT&Tは2種類の技術開発を進めている。1つは空から無線サービスを提供するドローンだ。2020年、記録的な風速を観測したハリケーン・ローラがルイジアナ州を通過した後、AT&Tの「基地局はリサイクルされたアルミ缶のように捻じ曲がってしまったため、持続可能なソリューションを展開することになった」とポーター氏は語る。そして導入されたのがFirstNet Oneと呼ばれる飛行船タイプの基地局だ。この「飛行船は車両タイプの基地局の2倍の範囲をカバーする。1時間弱の燃料補給で空に上がり、文字通り数週間空中に待機するため、長期的かつ持続可能なサービスエリアを提供できる」という。

ファーストレスポンダーのため空からインターネット通信サービスを提供するAT&TのFirstNet One(画像クレジット:AT&T/FirstNet)

AT&Tが開発を進めるもう1つの技術は、FirstNet MegaRangeと呼ばれるハイパワーワイヤレス機器である。2021年に入って発表されたこの機器は、沖合に停泊する船など、数キロメートル離れた場所からシグナルを発信でき、非常に被害の大きい被災地のファーストレスポンダーにも安定した接続を提供できる。

インターネットが日常生活に浸透していくにつれ、ネットワークレジリエンスの基準も非常に厳しくなっている。ちょっとした途絶であっても、ファーストレスポンダーだけでなく、オンライン授業を受ける子どもや遠隔手術を行う医師にとっては混乱の元となる。設置型・可搬型発電機から移動式基地局や空中基地局の即応配備に至るまで、通信事業者はネットワークの継続性を確保するために多額の資金を投資している。

さらに、こうした取り組みにかかる費用は、温暖化の進む世界に立ち向かう通信事業者が最終的に負担している。三大通信事業者の他、災害対応分野のサービスプロバイダーにインタビューしたところ、気候変動が進む世界において、ユーティリティ事業は自己完結型を目指さざるを得ない状況になっているという共通認識が見られた。例えば、先頃のテキサス大停電に示唆されるように、送配電網自体の信頼性が確保できなくなっていることから、基地局に独自の発電機を設置しなければならなくなっている。またインターネットアクセスの停止が必ずしも防げない以上、重要なソフトはオフラインでも機能するようにしておかなければならない。日頃動いている機械が停まることもあるのだ。

最前線のトレンドはデータライン

消費者である私たちはインターネットどっぷりの生活を送っているかもしれないが、災害対応要員はインターネットに接続されたサービスへの完全移行に対し、私たちよりもずっと慎重な姿勢を取っている。確かに、トルネードで基地局が倒れてしまったら、印刷版の地図を持っていればよかったと思うだろう。現場では、紙やペン、コンパスなど、サバイバル映画に出てくる昔ながらの道具が今も数十年前と変わらず重宝されている。

それでも、ソフトウェアやインターネットによって緊急対応に顕著な改善が見られる中、現場の通信の仕組みやテクノロジーの利用度合いの見直しが進んでいる。最前線からのデータは非常に有益だ。最前線からデータを伝達できれば、活動計画能力が向上し、安全かつ効率的な対応が可能となる。

AT&Tもベライゾンも、ファーストレスポンダー特有のニーズに直接対処するサービスに多額の投資を行っている。特にAT&Tに関してはFirstNetネットワークが注目に値する。これは商務省のファーストレスポンダーネットワーク局との官民連携を通して独自に運営されるもので、災害対応要員限定のネットワークを構築する代わりに政府から特別帯域免許(Band 14)を獲得している。これは、悲惨な同時多発テロの日、ファーストレスポンダーが互いに連絡を取れていなかったことが判明し、9.11委員会(同時多発テロに関する国家調査委員会)の重要提言としてまとめられた内容を踏まえた措置だ。AT&Tのポーター氏によれば、777万平方キロメートルをカバーするネットワークが「9割方完成」しているという。

なぜファーストレスポンダーばかり注目されるのだろうか。通信事業者の投資が集中する理由は、ファーストレスポンダーがいろいろな意味でテクノロジーの最前線にいるためだ。ファーストレスポンダーはエッジコンピューティング、AIや機械学習を活用した迅速な意思決定、5Gによる帯域幅やレイテンシー(遅延)の改善(後述)、高い信頼性を必要としており、利益性のかなり高い顧客なのだ。言い換えれば、ファーストレスポンダーが現在必要としていることは将来、一般の消費者も必要とすることなのだ。

ベライゾンで公共安全戦略・危機対応部長を務めるCory Davis(コリー・デイビス)氏は「ファーストレスポンダーによる災害出動・人命救助においてテクノロジーを利用する割合が高まっている」と説明する。同氏とともに働く公共部門向け製品管理責任者のNick Nilan(ニック・二ラン)氏も「社名がベライゾンに変わった当時、実際に重要だったのは音声通話だったが、この5年間でデータ通信の重要性が大きく変化した」と述べ、状況把握や地図作成など、現場で標準化しつつあるツールを例に挙げた。ファーストレスポンダーの活動はつまるところ「ネットワークに集約される。必要な場所でインターネットが使えるか、万一の時にネットワークにアクセスできるかが重要となっている」という。

通信事業者にとって頭の痛い問題は、災害発生時というネットワーク資源が最も枯渇する瞬間にすべての人がネットワークにアクセスしようとすることだ。ファーストレスポンダーが現場チームあるいは司令センターと連絡しようとしているとき、被災者も友人に無事を知らせようとしており(中には単に避難するクルマの中でテレビ番組の最新エピソードを見ているだけの者もいるかもしれない)、ネットワークが圧迫されることになる。

こうした接続の集中を考えれば、ファーストレスポンダーに専用帯域を割り当てるFirstNetのような完全分離型ネットワークの必要性も頷ける。「リモート授業やリモートワーク、日常的な回線の混雑」に対応する中で、通信事業者をはじめとするサービスプロバイダーは顧客の需要に圧倒されてきたとポーター氏はいう。そして「幸い、当社はFirstNetを通して、20MHzの帯域をファーストレスポンダーに確保している」と述べ、そのおかげで優先度の高い通信を確保しやすくなっていると指摘する。

FirstNetは専用帯域に重点を置いているが、これはファーストレスポンダーに常時かつ即時無線接続を確保する大きな戦略の1つに過ぎない。AT&Tとベライゾンは近年、優先順位付け機能と優先接続機能をネットワーク運営の中心に据えている。優先順位付け機能は公共安全部門の利用者に優先的にネットワークアクセスを提供する機能である。一方、優先接続機能には優先度の低い利用者を積極的にネットワークから排除することでファーストレスポンダーが即時アクセスできるようにする機能が含まれる。

ベライゾンのニラン氏は「ネットワークはすべての人のためのものだが、特定の状況においてネットワークアクセスが絶対に必要な人は誰かと考えるようになると、ファーストレスポンダーを優先することになる」と語る。ベライゾンは優先順位付け機能と優先接続機能に加え、現在はネットワークセグメント化機能も導入している。これは「一般利用者のトラフィックと分離する」ことで災害時に帯域が圧迫されてもファーストレスポンダーの通信が阻害されないようにするものだという。ニラン氏は、これら3つのアプローチが2018年以降すべて実用化されている上、2021年3月にはVerizon Frontline(ベライゾン・フロントライン)という新ブランドにおいてファーストレスポンダー専用の帯域とソフトウェアを組み合わせたパッケージが発売されていると話す。

帯域幅の信頼性が高まったことを受け、10年前には思いもよらなかった方法でインターネットを利用するファーストレスポンダーが増えている。タブレット、センサー、接続デバイスやツールなど、機材もマニュアルからデジタルへと移行している。

インフラも構築され、さまざまな可能性が広がっている。今回のインタビューで挙げられた例だけでも、対応チームの動きをGPSや5Gで分散制御するもの、最新のリスク分析によって災害の進展を予測し、リアルタイムで地図を更新するもの、随時変化する避難経路を探索するもの、復旧作業の開始前からAIを活用して被害評価を行うものなど、さまざまな用途が生まれている。実際、アイディアの熟成に関して言えば、これまで大げさな宣伝文句や技術的見込みでしかなかった可能性の多くが今後何年かのうちに実現することになるだろう。

5Gについて

5Gについては何年も前から話題になっている。ときには6Gの話が出てレポーターたちにショックを与えることさえある。では、災害対応の観点から見た場合、5Gはどんな意味を持つだろうか。何年もの憶測を経て、今ようやくその答えが見えてきている。

Tモバイルのナイロン氏は、5Gの最大の利点は標準規格で一部利用されている低周波数帯を利用することで「カバレッジエリアが拡大できること」だと力説する。とはいえ「緊急対応の観点からは、実用化のレベルはまだそこまで達していない」という。

一方、AT&Tのポーター氏は「5Gの特長に関し、私たちはスピードよりもレイテンシーに注目している」と語った。消費者向けのマーケティングでは帯域幅の大きさを喧伝することが多いが、ファーストレスポンダーの間ではレイテンシーやエッジコンピューティングといった特徴が歓迎される傾向にある。例えば、基幹ワイヤレスネットワークへのバックホールがなくとも、前線のデバイス同士で動画をリレーできるようになる。また、画像データのオンボード処理は、1秒を争う環境において迅速な意思決定を可能とする。

こうした柔軟性によって、災害対応分野における5Gの実用用途が大幅に広がっている。「AT&Tの5G展開の使用例は人々の度胆を抜くだろう。すでに(国防省と協力して)パイロットプログラムの一部をローンチしている」とポーター氏は述べ、一例として「爆弾解体や検査、復旧を行うロボット犬」を挙げた。

ベライゾンは、革新的応用を戦略的目標に掲げるとともに、5Gの登場という岐路において生まれる新世代のスタートアップを指導する5G First Responders Lab(5Gファーストレスポンダーラボ)をローンチした。ベライゾンのニラン氏によれば、育成プログラムには20社以上が参加し、4つの集団に分かれてVR(仮想現実)の教育環境や消防隊員のために「壁の透視」を可能とするAR(拡張現実)の適用など、さまざまな課題に取り組んでいるという。同社のデイビス氏も「AIはどんどん進化し続けている」と話す。

5Gファーストレスポンダーラボの第1集団に参加したBlueforce(ブルーフォース)は、最新のデータに基づき、できるかぎり適切な判断を下せるようファーストレスポンダーをサポートするため、5Gを利用してセンサーとデバイスを接続している。創業者であるMichael Helfrich(マイケル・ヘルフリッチ)CEOは「この新しいネットワークがあれば、指揮者は車を離れて現場に行っても、情報の信頼性を確保できる」と話す。従来、こうした信頼できる情報は司令センターでなければ受け取ることができなかった。ブルーフォースでは、従来のユーザーインターフェース以外にも、災害対応者に情報を提示する新たな方法を模索しているとヘルフリッチ氏は強調する。「もはやスクリーンを見る必要はない。音声、振動、ヘッドアップディスプレイといった認知手法を検討している」という。

5Gは、災害対応を改善するための新たな手段を数多く提供してくれるだろう。そうはいっても、現在の4Gネットワークが消えてなくなるわけではない。デイビス氏によれば、現場のセンサーの大半は5Gのレイテンシーや帯域幅を必要とするわけではないという。同氏は、IoTデバイス向けのLTE-M規格を活用するハードやソフトは将来にわたってこの分野で重要な要素になると指摘し「LTEの利用はこのさき何年も続くだろう」と述べた。

イーロン・マスクよ、星につないでくれ

緊急対応データプラットフォームのRapidSOS(ラピッドSOS)社のMichael Martin(マイケル・マーティン)氏は、災害対応市場において「根本的な問題を解決する新たなうねりが起きていると感じる」といい、これを「イーロン・マスク効果」と呼んでいる。接続性に関しては、SpaceX(スペースX、正式名称はスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ)のブロードバンドコンステレーションプロジェクト「Starlink(スターリンク)」が稼働し始めていることからも、その効果は確かに存在することがわかる。

衛星通信はこれまでレイテンシーと帯域幅に大きな制約があり、災害対応で使用することは困難だった。また、災害の種類によっては、地上の状況から衛星通信接続が極めて困難だと判断せざるを得ないこともあった。しかし、こうした問題はスターリンクによって解決される可能性が高い。スターリンクの導入により、接続が容易になり、帯域幅とレイテンシーが改善され、全世界でサービスが利用できるようになるとされている。いずれも世界のファーストレスポンダーが切望していることだ。スターリンクのネットワークはいまだ鋭意構築中のため、災害対応市場にもたらす影響を現時点で正確に予測するのは難しい。しかし、スターリンクが期待通りに成功すれば、今世紀の災害対応の方法を根本的に変える可能性がある。今後数年の動きに注目していきたいと思う。

もっとも、スターリンクを抜きにしても、災害対応は今後10年で革命的に変化するだろう。接続性の高度化とレジリエンス強化が進み、旧式のツールに頼り切っていたファーストレスポンダーも今後はますます発展するデジタルコンピューティングを取り入れていくだろう。もはや機械が止まることはないのだ。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:気候テック自然災害気候変動アメリカ地球温暖化ネットワーク電力5Gイーロン・マスクStarlink衛星コンステレーション

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

スペースXが初の海上スペースポートを建設中、2022年にStarship打ち上げを予定

SpaceX(スペースX)は、同社初の浮体式スペースポート(宇宙港)プラットフォームの建設をすでに進めており、早ければ2022年に打ち上げを開始する予定だという。SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、同社が開発中の再使用型ロケット「Starship(スターシップ)」の浮体式発射・着陸施設に改造するために2021年初めに購入した、石油掘削リグ2基のうちの1つである「Deimos(ダイモス)」の進捗状況についてその詳細を共有した。

SpaceXが2021年1月に購入した2基の掘削リグは、火星の月にちなんで名付けられた2つの浮体式スペースポート「Deimos(ダイモス)」と「Phobos(フォボス)」を建設するためのものだった。これらの港は、Starshipの打ち上げ活動のための海上拠点として機能する。最終的な計画では、Starshipが地球と赤い惑星との間で人と物の両方の輸送を行うことになっているため、このネーミングは適切といえるだろう。

マスク氏とSpaceXはこれまでに、Deimosのようなスペースポートが世界中の主要ハブからアクセスしやすい場所に配置され、北京からニューヨークまで30分程度で移動できるStarshipを使った極超音速ポイントツーポイント飛行の世界的ネットワークを実現するというビジョンを語ってきた。しかしSpaceXはその前にまず、まだ開発中のStarshipとそれに付随するブースター「Super Heavy(スーパーヘビー)」の軌道上での飛行テストを行うことを目指している。

マスク氏は2021年初め、早ければ2021年末には海上プラットフォームからロケットを飛ばし始めることができると語っていた。今回の新しいスケジュールは、当初のバラ色の予想が裏切られたことを示しているが、これは複数企業のCEOである同氏に関しては珍しいことではない。しかし、テキサス州の開発拠点である「Starbase(スターベース)」での高高度の打ち上げ・着陸テストに成功するなど、同社のStarship計画は最近、順調に進んでいる。

SpaceXは現在、StarshipをSuper Heavyの上に載せて初めて飛行させる軌道飛行テストと、試験後にStarshipがハワイ沖で着水した後に回収する準備を進めている。また、次の大きなマイルストーンに向けて、燃焼時間がより長いRaptor(ラプター)エンジンの地上試験を行っている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXイーロン・マスク火星Super HeavyStarship

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

財政苦境に直面するイーロン・マスク氏のラスベガスループ地下輸送システム、The Boring Companyに賠償金数億円の可能性

米国ネバダ州の規制当局が課した制限により、イーロン・マスク氏のThe Boring Company(ザ・ボーリング・カンパニー、TBC)は、同氏初の地下交通システム「LVCC Loop(ラスベガス・コンベンションセンター・ループ)」の契約目標達成が困難になっている。

ラスベガス・コンベンションセンター(LVCC)のLoopシステムは60台以上の完全自律型高速車両を使い、展示ホール間で毎時最大4400人の乗客を輸送することになっている。しかしTechCrunchの取材によると、クラーク郡の規制当局がこれまでに承認したのは人間が運転する車両わずか11台で、さらに厳しい速度制限を設け、Tesla(テスラ)の「完全自律走行」先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」の一部であるオンボード衝突回避技術の使用を禁止しているという。そのようにブランディングされているものの、TeslaのAutopilotシステムは技術的には完全自動運転のレベルには達していない。Teslaとカリフォルニア州の規制当局との間で交わされたやり取りによると、内部的にも、Autopilotは特定の機能を自動化できる先進的な運転支援システムと見なされている。

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LVCCの母体であるラスベガス観光局(LVCVA、Las Vegas Convention and Visitor’s Authority)は、マスク氏にインセンティブを与え、TBCが約束を確実に果たすように促す契約を結んだ。契約は固定価格で、TBCがすべての支払いを受けるためには、特定のマイルストーンを達成しなければならない。この契約では、トンネル掘削完了、全体の作業システムの完成、テスト期間の終了と安全レポート、そして乗客を輸送できるという証明など、プロセスのさまざまな段階で支払いが行われる。最後の3つのマイルストーンは、何人の乗客を輸送できるかに関するものだ。Loopが1時間に乗客2200人の輸送能力を示すことができれば、TBCは440万ドル(約4億8000万円)を受け取ることができ、3300人を達成すれば再び同じ額をもらえる。4400人を達成した場合も同様だ。これらの輸送能力に応じた支払いの総額は、固定契約金の30%に相当する。

1時間に4000人以上の乗客を運ぶどころか、制約されたシステムでは1000人以下のキャパシティに制限される可能性があり、TBCは契約目標を達成できなかった場合、多額の違約金を支払うことになる。TBCは乗客から料金を徴収して収益を得ることはない(乗車は無料)。

【更新】本記事の公開直後にラスベガス観光局のSteve Hill(スティーブ・ヒル)代表は、今週行われた数百人規模のLoop試験で、予定されていた1時間あたり4400人の乗客を輸送できるキャパシティが実証されたとツイートした。これにより、後述の追加建設資金が確保される可能性がある。TBCは罰金を避けるためには、今後数カ月の間に実際のカンファレンスでこの数字をまだ達成しなければならない。TechCrunchは記事公開に先立ち数週間にわたり、LVCVA、クラーク郡、そしてTBCと何度も報道内容を共有した。実質的な回答をしたのはLVCVAだけで、キャパシティの問題や、子どもやモビリティの問題を抱える乗客についての未解決の質問については回答を得られなかった。

例えばTechCrunchが新たに入手した管理契約によると、CESのような大規模なトレードショーの際には、LVCCはTBCがシステムを運営・管理する1日ごとに3万ドル(約330万円)を支払うことになっている。しかし、2019年にTBCが締結した当初の契約書には、TBCが1時間あたり約4000人を輸送できない大規模なイベントごとに、30万ドル(約3300万円)の賠償金が課されると明記されている。

つまり、3~4日間のイベントで、TBCはシステムの運営費に加え数十万ドル(約数千万円)の損失を被ることになるのだ。パンデミック前の通常の年であれば、LVCCではこのような大規模なイベントを年12回ほど開催している。なお、TBCが車内広告などによる別の収益手段を計画しているかどうかは不明だ。

このキャパシティの問題は、すでにTBCにコストをかけている。契約では、TBCがパフォーマンス目標を大幅に下回った場合、マスク氏の会社は建設予算のうち1300万ドル(約14億3000万円)以上を受け取ることができないとされている。LVCVAはTechCrunchの取材に対し、契約に基づきTBCが1時間に数千人を輸送できる能力を実証するまで、建設費を保留していることを確認した。

年間20回ほど開催されるより小規模なイベントの場合、キャパシティ賠償金は適用されないが、契約によればTBCに支払われる1日あたりの使用料は1万1500ドル(約126万円)へと激減する。また、コンベンションの数にかかわらず、TBCは毎月16万7000ドル(約1830万円)の支払いを受けてシステムの稼働を維持することになっている。

米国時間5月25日に行われたLoopのキャパシティテストに参加したのはわずか300人と報じられているが、LVCVAの担当者は、1時間あたり4400人という数字は「十分に達成可能な範囲」と述べた。

管理契約によると、TBCは人間のドライバーチームの他にも、オペレーションセンター、メンテナンス・充電施設にスタッフを配置し、制服を着たカスタマーサービススタッフ、セキュリティスタッフ、フルタイムのレジデントマネージャーを提供しなければならない。

この料金体系は「予想される自律走行への移行」を考慮して、2021年末までにおそらく下方修正されることになっている。

画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

衝突警告システムは使用不可

Loopの初期運用に関する制限事項のいくつかは、クラーク郡の建築消防局に提示されたものだ。その内容は、ルート全体での制限速度を時速40マイル(時速約64km)に抑える、Loopの3つの駅構内では時速10マイル(時速約16km)に減速する、車両を11台までに制限することなどである。

クラーク郡消防局のWarren Whitney(ウォーレン・ホイットニー)副消防局長は、TBCからLoop内でTeslaの衝突警告システムを使用することは許可されていないと聞いている、と述べている。クラーク郡が米国時間5月27日に発行した交通システム運営ライセンスでは、Loopは「非自律走行」で「手動運転」の車両を使用しなければならないと規定されている。このライセンスは、計画されている62台の車両に対して発行された。クラーク郡当局およびTBCのいずれも、この運用制限に関する詳細な質問には回答しておらず、いつ、どのような場合に解除されるのかについても言及していない。

トヨタは以前、レーダーを使った衝突警告システムがトンネル内で正しく機能しない可能性があると警告していた。

衝突警告レーダーを欠いたTeslaが安全に「完全自律走行」できるかどうかは定かではないが、マスク氏は、車両からレーダーセンサーを取り除いてカメラのみを使用することを提案し、現在その計画を実行している。Teslaは2021年5月から、レーダーセンサーを搭載していない「Model 3(モデル3)」と「Model Y(モデルY)」の納車を開始した。レーダーセンサーがないことを受けて、米国道路交通安全局は、2021年4月27日以降に製造されたModel 3とModel Yには、自動緊急ブレーキ、前方衝突警告、車線逸脱警告、ダイナミックブレーキサポートについて、同局の認定がなくなると発表した。またこの決定を受け、Consumer Reports(コンシューマー・レポート)はModel 3をトップピックとして掲載しなくなり、米国道路安全保険協会はModel 3のトップセイフティピック+指定を外す予定だという。

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同消防局は他にも、何時間も続く可能性のあるバッテリー火災など、トンネル内での緊急事態への対応に懸念を抱いていた。ホイットニー氏はTechCrunchに次のように述べている。「電気自動車が事故を起こさずに炎上したケースは過去ありました。今のところ我々の計画は、まず人々を避難させ、その後、撤退して火が燃え続ける間待つことです」。

ホイットニー氏は、Loopシステムには多くのカメラや煙探知機が設置されていることに加え、毎分40万立方フィートの空気をトンネル内の両方向に移動させることができる「強力な」換気システムを備えていることを指摘した。これにより、乗客やドライバーは車の周りを歩いて脱出できるはずだという。TBCはそれほど深刻ではない事故のために、故障した車両を回収するための牽引車(これもTesla)を用意している。

TechCrunchの問い合わせに対し、TBCとクラーク郡はいずれも、Loopが車イス利用者、通常はチャイルドシートが必要な子どもや幼児、その他のモビリティの問題を抱えている人々、ペットや介助犬などの動物の輸送を許可するかどうかについては答えなかった。

消防隊員たちは、駅から遠く離れた場所で、2〜3台の他の車両が行く手を塞いでいるような事故を想定した地下システムでの訓練をすでに何度も行っている。ホイットニー氏は「11台であれば問題ありません」という。「しかし、クルマの数が増えてくるとそれは問題かもしれません。TBCは営利企業であり、効率を最大限に高めたいと考えていますから、キャパシティを増やそうとした時に、さらに議論が必要になるかもしれません」とも。

拡張計画

TBCは、既存のLoopでより多くの車両を使用したいと考えているだけでなく、すでにシステムの拡張を計画している。2021年3月末、TBCはクラーク郡に対し、LVCCの1駅から新しいResorts World(リゾート・ワールド・ラスベガス)ホテルまでの延長工事に着工したことを報告し、近くにあるEncore(アンコール・アット・ウィン・ラスベガス)までの同様の延長工事の許可も得ている。

さらにTBCは、ラスベガスのストリップやダウンタウンの大部分をカバーし、40以上の駅で数多くのホテルやアトラクション、そして最終的には空港を結ぶ交通システムを構築したいと考えている。そちらのシステムはTBCが資金を提供し、チケット販売によって支えられることになる。

このような拡張が可能かどうかは、TBCが比較的シンプルなLVCC Loopで約束した技術や運用をどれだけ早く実現できるか、また、トンネル内のタクシーがマスコミに書かれる量と同じくらい収益を上げられると実証できるかどうかにかかっている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:The Boring Companyイーロン・マスクネバダラスベガスAutopilotTeslaLVCC Loop自律運転電気自動車

画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

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(文:Mark Harris、翻訳:Aya Nakazato)

テスラの北米向けModel 3とModel Yがレーダー非搭載に

北米の顧客向けに製造されるTesla(テスラ)の「Model Y(モデルY)」と「Model 3 (モデル3)」には、レーダーが搭載されなくなる。これは、機械学習を組み合わせたカメラのみを使用して、同社の先進運転支援システムやその他のアクティブセーフティ機能をサポートするようにしたいという、Elon Musk(イーロン・マスク)CEOの意向を反映した変更だ。

センサーの使用をやめるという決定は、多くのテスラの動向と同様に、業界の標準的な考え方に反している。今のところ、レーダーなしのテスラ車は、北米のみで販売される。テスラは、中国や欧州の顧客向けに製造される車両から、レーダーセンサーを削除する時期やその可能性については言及していない。

自動車メーカーは通常、レーダーとカメラを(さらにはLiDARも)組み合わせ、周囲の交通状況に合わせて車両の走行速度を調整するアダプティブ・クルーズ・コントロールや、車線維持および自動車線変更など、先進運転支援システムの機能を実現するために必要なセンシングを行っている。

しかし、以前からマスク氏は、カメラといわゆるニューラルネット処理のみで、車両を取り巻く環境で起きていることを検知・認識し、適切な対応を行うシステムの可能性を喧伝しており、このシステムにはブランド名を冠した「Tesla Vision(テスラ・ビジョン)」という名称が付けられている。

ニューラルネットとは、人間の学習の仕方を模倣した機械学習の一種で、一連の接続されたネットワークを使用してデータのパターンを識別することにより、コンピュータが学習することを可能にする、人工知能アルゴリズムの洗練された形態だ。自動運転技術を開発している多くの企業は、特定の問題を処理するためにディープニューラルネットワークを使用しているが、彼らはこのディープネットワークを壁で囲い、ルールベースのアルゴリズムを使って、より広範なシステムに結びつけている。

Whole Mars Catalog@WholeMarsBlog
ピュア・ビジョンの考え方について、もう少し詳しく教えてください。

レーダーを使わないのは時代に逆行するという意見もありますが、なぜ使わないほうがいいと判断したのでしょうか?

Elon Musk@elonmusk
レーダーと視覚が一致しないとき、あなたはどちらを信じますか? 視覚認識の方がはるかに精度が高いので、複数のセンサーを組み合わせるよりも視覚認識を倍に増やした方が良いのです。

テスラは更新したウェブサイトでレーダーからの移行について詳述し、2021年5月から切り替えを開始したと述べている。このカメラと機械学習(特にニューラルネット処理)を組み合わせた方式は「Tesla Vision」と呼ばれ、同社の車両に標準装備されている先進運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」と、そのアップグレード版で1万ドル(約109万円)の追加料金が必要な「FSD(フル・セルフ・ドライビング)」に使われる。テスラのクルマは自動運転ではないので、人間のドライバーが常に運転に関与し続ける必要がある。

レーダーを搭載していないテスラ車では、当初は運転支援機能が制限される。例えば、Autosteer(オートステア)と呼ばれる車線維持機能が使える速度は最高時速75マイル(時速約120キロメートル)までに制限され、最小追従距離も長くなる。また、緊急車線逸脱回避機能や、駐車場で自車を自分の側まで呼び寄せることができるSmart Summon(スマート・サモン)機能は、納車当初には利用できない可能性があると、テスラは述べている。

同社では、今後数週間のうちにワイヤレス・ソフトウェア・アップデートによって、これらの機能を復活させることを計画しているという。ただし、テスラはその具体的なスケジュールを明らかにしていない。他のAutopilotやFSDの機能は、(注文した仕様にもよるが)納車時にすべて有効になっているとのこと。

一方、Model S(モデルS)とModel X(モデルX)の新車や、北米以外の市場向けに製造されるすべてのモデルには、引き続きレーダーが搭載され、レーダーを使ったAutopilotの機能も利用できる。

テスラは「よくある質問」の中で「Model 3とModel Yは、当社の製品の中でも生産台数が多いモデルです。これらのモデルを先にTesla Visionに移行することで、膨大な実世界におけるデータを短時間で分析することが可能になり、結果的にTesla Visionをベースとした機能の展開を早めることができます」と書いている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラがカナダ企業の特許を使い安価で環境に優しい新バッテリーを開発中

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は2020年9月にTesla(テスラ)のBattery Dayのステージに立ったとき、リチウムイオンバッテリーの価格を半分にすると約束し、ニッケル金属電極を作る際の汚れた、そして複雑な過程を最初から作り直すことで価格を抑制できると主張した。

「溝を掘って、溝を埋め、そしてまた溝を掘ってと、とてつもなく複雑です」と同氏はイベントで述べた。「それで我々は全体のバリューチェーンに目をやり、どうやってこれを可能な限りシンプルにできるのか、と言いました」。

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最もシンプルなルートにはカナダの小さなバッテリースタートアップ、あるいは少なくとも同社の特許出願が含まれているようだ。

公開記録によると、Battery Dayの2週間前、Teslaはトロント近くに拠点を置く小さな会社Springpower International(スプリングパワー・インターナショナル)から数多くの特許出願を計3ドル(約330円)で購入した。

それらの特許出願の1つは、Teslaの上級副社長Drew Baglino(ドリュー・バッリーノ)氏がBattery Dayにカリフォルニア州フリーモントにある同社工場に設けられたステージで描写したものに似ている、イノベーティブなプロセスの詳細をつづっている。特許出願の購入は、特許そのものが最終的に2021年1月認められたとき、特許にはSpringpowerの記載はなく、Teslaに発行されたことを意味する。

電気自動車バッテリー向けの電極製造は従来、かなりの量の汚染水を生み出す。電極材料1トンを製造するのに、アンモニアや金属粒子、有毒な化学物質を含む4000ガロンもの汚染水が出る。Springpowerのプロセスは費用のかかる水処理を排除し、賢くも薬液を再循環させる

バッリーノ氏のプレゼンテーションでも、水を再利用し、排水を作らない手法が述べられた。事業費の75%以上の抑制に加え、同氏は次のように述べた。「当社はまた、同じプロセスをリサイクルされた電気自動車とグリッドストレージバッテリーから出る金属粉の消費に持ってくることができます」。

TeslaはSpringpowerの知的財産以上のものを獲得したようだ。Battery Dayの1週間前に、Springpower Internationalのウェブサイトは1つのホールディングページに変わった。それから数カ月して、何人かのSpringpowerの研究者は彼らのLinkdInプロフィールを変えた。それからするに彼らは現在、Teslaで働いているようだ

Springpower InternationalのCEOであるMichael Wang(マイケル・ワン)氏はコメントの求めに応じず、同社の電話交換台へのコールにも応答がなかった。同氏のLinkedInのページには現在、Teslaのスタッフ(バッリーノ氏含む)からの何十ものアップデートが表示されている。

電話で連絡をとったSpringpower Internationalの上級役員はTeslaによる買収を認めも否定もしなかったが、TechCrunchにTeslaの広報チームを案内した(Teslaは広報担当者を置いておらず、同社に送ったメールに返事はなかった)。

Springpower Internationalは、部分的には中国のバッテリー会社Highpower Internationalによって、Springpowerの子会社の研究部門として2010年3月に深圳で創業された。しかしHighpowerは6カ月もせずして、Springpower Internationalのテクノロジーが商業化から程遠いと判断して10万ドル(約1090万円)の投資を取り消してSpringpower Internationalと手を切った。

カナダ政府が出資したプログラムの「客員起業家」であるJames Sbrolla(ジェームズ・スブローラ)氏が、創業されて間もなかったSpringpower Internationalを指導するために介入した。同氏は同社が少額の補助金を、そして最終的に2018年に340万カナダドル(約3億円)の持続可能テクノロジー賞を獲得するのを手伝った。しかし同氏は2020年後半以降、Springpower Internationalの誰とも連絡をとっていないとTechCrunchに語った。

スブローラ氏は同社が買収されたかもしれないと聞いても驚かなかった。

「スマートな人たちのグループです。それについて疑う余地はありません」と同氏は話した。「Springpowerのもののようなテクノロジーは環境への負荷の削減で大きなメリットがあります。そして大企業を引きつけることでずっと早く、そしてより簡単にスケール拡大できます」。

ありそうなことだが、Springpower InternationalがTeslaによって買収されたのなら、2019年に同じように密かに買収された別のカナダのバッテリー会社Hibarを含む12社ほどの企業の仲間入りをしたことになる。

マスク氏はリチウムイオンバッテリーの専門的な部分に関しては長らく国境の北に目を向けてきた。2015年にTeslaはカナダ・ノバスコシア州にあるダルハウジー大学の主任バッテリー研究者で教授のJeff Dahn(ジェフ・ダーン)氏と5年間の独占的パートナーシップを結んだ。ダーン氏の名は同社の数多くのバッテリー特許に掲載されており、2021年1月に同社はダーン氏とのパートナーシップをさらに5年間更新した。

マスク氏は自社バッテリー生産を実現し、現在のサプライヤー(パナソニック、LG化学、 CATL)への依存を小さくしようと取り組んでいる。「いま当社はこのプロセスを手にしていて、独自の電極の設備を北米に建てようとしています」とバッリーノ氏はBattery Dayで述べた。

マスク氏はTeslaの新しいバッテリーテクノロジーの複合的なメリットによって2万5000ドル(約270万円)の車両が実現するかもしれない、と付け加えたが、あまりに多くをすぐには期待しないよう警告した。「こうしたアドバンテージを実現させ始めるのにおそらく1年から18カ月、完全に実現するのに3年ほどかかるでしょう」。

おそらくそれまでにSpringpower Internationalの役割はもう少し明らかになるだろう。

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タグ:TeslaバッテリーSpringpower Internationalカナダ電気自動車イーロン・マスク

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(文:Mark Harris、翻訳:Nariko Mizoguchi

テスラにとってビットコインはすばやく現金にアクセスできる重要な金融ツール

Tesla(テスラ)のBitcoin(ビットコイン)に対する気持ちは戯れではないようだ。同社のCFO(最高財務責任者)で「Master of Coin(コインの達人)」との肩書を持つZach Kirkhorn(ザック・カークホーン)氏が、米国時間4月26日の決算説明会で述べたコメントによると、テスラはビットコインの変動性にもかかわらず、その長期的な価値を信じているという。

テスラは今四半期に15億ドル(約1624億円)をビットコインに投資し、そのあとポジションを10%切り下げたと、同社の四半期決算説明会でカークホーン氏は語った。その売却により、第1四半期の同社の収益に1億100万ドル(約109億3000万円)の「プラスの影響」があったと、同氏は続けた。テスラは顧客がビットコインで車両代金や予約金を支払うことも可能にしている。

テスラがビットコインに目をつけたのは、現金の保管場所としてすぐにアクセスでき、しかも中央銀行がバックアップする伝統的な安全資産よりも優れた投資収益率を可能にするからだ。もちろん、変動の激しいデジタル資産がもたらす高い利回りには、高いリスクがともなう。

連邦準備制度理事会(FRB)のJay Powell(ジェイ・パウエル)議長は、2021年3月に国際決済銀行がバーチャル開催したサミットで、暗号化された投機的な資産は変動が激しく、価値の保存には適さないとFRBは考えていると指摘したが、このような警戒を高める風潮にテスラは反対している。通貨の基本的な機能は価値を保存する能力であるため、FRBの警告は重要なことだ。また、パウエル議長はデジタル通貨には何の裏づけもないことを指摘し、ドルではなく金に例えた。

カークホーン氏は以下のように述べている。

Elon(イーロン・マスク氏)と私は、すぐに使わない現金を保管する場所を探していました。ある程度のリターンを得ながら、流動性も確保したいと私たちは考えていました。特にオースティンとベルリンに新設した工場の稼働を控え、半導体や港のキャパシティに不安がある中、すぐに現金にアクセスできることは、今の私たちにとって非常に重要なのです。

そしてご存知のように、そのようなことができる伝統的な機会は多くありません。特に余計なリスクを負うことがなく、流動性も犠牲にしないとなると、少なくとも私たちは見つけることができず、他の人に聞いても良い答えは得られませんでした。当時、ビットコインは日常業務にすぐに使用しない、あるいは年末まで必要としない現金を保管する場所に適しており、ある程度のリターンが見込めるように思われました。これまでのところ、その判断が正しかったことが証明されています。

テスラはこのデジタル通貨を注視しており、多くの楽観的な材料があるとカークホーン氏は述べている。

「企業財務の観点から考えると、ビットコイン市場の流動性の高さには非常に満足しています」と、同氏はいう。「最初のポジションは非常に早く構築できました。3月下旬に売却を行った際も、非常に迅速に実行することができました。このように、リスクマネジメントの観点から事業に対するグローバルな流動性を考えると、市場に現金を出し入れできることは、当社にとって非常に重要なことだと思います」。

テスラは2021年3月にポジションを縮小したものの、同社の意図は手持ちのビットコインを長期的に保有し、顧客が車両を購入する際の取引からビットコインを蓄積し続けることだと、カークホーン氏は付け加えた。同社の「Technoking(テクノキング)」を名乗るMusk(マスク)氏は、3月にテスラが米国での支払い手段としてビットコインを受け入れると発表した。

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(文:Rebecca Bellan, Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラはすべての家庭を分散型発電所にしようとしている

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社の製品だけを使ってすべての家庭を分散型発電所にし、エネルギーの生成、保存そして電力の電気会社への売り戻しさえできるようにしたい、と考えている。

同社はもう何年も前から太陽光発電や蓄電製品を販売しているが、太陽光発電と蓄電製品を組み合わせて販売するという新たな方針と米国時間4月26日のマスク氏の発言を電力会社にアピールすることで、Teslaによるこれらの事業の拡大戦略を明らかにしている。

マスク氏は投資家向けて「これはテスラにとっても、電力会社にとっても繁栄する未来だ。それができなければ、電力会社は顧客への奉仕に失敗するだろう」と述べた。その際、彼は2020年夏にカリフォルニア州で計画された停電や、最近、テキサス州で起きた停電を例に挙げ、電力網の信頼性に対する懸念が高まっていることを証拠として示している。

先週、同社はウェブサイトを変更し、顧客が太陽光発電と電力貯蔵製品である「Powerwall」のみを購入するのではなく、代わりにシステムとしての購入を勧めた。その変更を発表するツイートでマスク氏は「太陽光発電はPowerwallにのみ供給される。Powerwallは電力会社のメーターと家のメインブレーカーパネルの間にのみ接続され、設置が非常にシンプルなものとなり、停電時に家全体をシームレスにバックアップすることができる」と述べている。

マスク氏の主張は、電力会社自身が再生可能エネルギーとストレージを使って脱炭素しようと思ったら、今よりももっと多くの送電線と発電所と変電所が必要になるというものだ。それに対してテスラの製品を使う分散居住地区システムならもっと良い方法を提供できる、と彼は考えている。マスク氏の主張は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の最近の研究にも裏づけられている。MITの研究では、米国は送電容量を2倍以上増やすことでゼロ・カーボン・グリッドに到達できるとしており、プリンストン大学の研究では、ネット・ゼロ・エミッションを達成するには2050年までに送電システムを3倍にする必要があるという。

マスク氏は、現在のCalifornia Independent System OperatorやElectric Reliability Council of Texasといった独立した事業者により集中的に管理・運営されているものとは根本的に異なる電力網システムを思い描いている。これは官僚主義とロジスティクスな課題が多いビジョンだ。電力会社と規制当局は、住宅の屋根に設置されたソーラーパネルなど、いわゆる「分散型エネルギー資源」が大量に流入した場合に、どのように対処するかを解決する必要があるが、これは電力会社の長年のビジネスモデルとは相反するものだ。

さらに重要なのは、再生可能エネルギーとストレージの組み合わせでエネルギーグリッドの脱炭素化が可能かどうか、議論の余地があることだ。

多くの専門家は、自然エネルギーの土地利用の問題、貯蔵の必要性、断続性の問題などから、自然エネルギーが国の主要な電力供給源となることは夢物語だと考えている。しかし、マスク氏は以前から自然エネルギーと蓄電のモデルに強気で、2020年7月には「物理学的には電気輸送、定置用蓄電池、エネルギー生成には太陽光や風力が有利だ」とツイートしている。

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タグ:Tesla再生可能エネルギーイーロン・マスク電力

画像クレジット:Tesla

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

運転席に誰も乗っていないテスラ車が事故を起こし後部座席と助手席の2名が死亡

米国時間4月17日、テキサス州ヒューストン郊外で、誰も運転席に座っていない状態で走行していたTesla(テスラ)の車両が立木に衝突し、男性2人が死亡した事故について、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は調査を開始した。

地元CBS系列のKHOU-TVが報じたところによると、この2019年型Tesla Model S(テスラ・モデルS)は、ゆるいカーブを曲がり切れず道路外に飛び出したという。ハリス郡第4分署のMark Herman(マーク・ハーマン)保安官は、このような事故は前例がないと地元記者に語った。

「我々の署では、このような事故現場を経験したことがありません」と述べた同氏は「通常、消防隊が到着すると、車両火災は数分で鎮圧されますが、今回は4時間近くも続きました」と続けた。この長時間の火災は、電気自動車のバッテリーが再発火を繰り返していたためと報じられている。

消火には11万リットル以上の水が使われた。犠牲者の1人は助手席に、もう1人は後部座席に座っており「事故当時、(運転席には)誰もいませんでした」とハーマン氏は述べている。

事故当日、テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社が2021年第1四半期の安全報告書を発表した際のニュースをリツイートし「Autopilot(オートパイロット)を作動させたテスラは現在、平均的な車両よりも事故の確率が10分の1近くまで減少しています」と述べた。テスラは、Autopilotを「一連の運転支援機能パッケージ」と表現し「積極的なドライバーの監視」が必要だとしている。

「NHTSAは、テキサス州ヒューストン郊外で発生したテスラ車の悲劇的な事故を認識しています」と、広報担当者はTechCrunchに語った。「NHTSAは直ちに特別事故調査チームを起ち上げ、この事故を調査しています。我々は、地元の法執行機関およびテスラ社と積極的に連携し、事故の詳細を調べており、より多くの情報が得られ次第、適切な措置を取る予定です」。

TechCrunchはテスラにコメントを求めており、同社からの回答があれば記事を更新する。

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タグ:TeslaAutopilot米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)自動運転アメリカイーロン・マスク

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーロン・マスク氏のNeuralinkデバイスを装着したサルが脳でピンポンゲームをプレイ

Elon Musk(イーロン・マスク)氏が率いるNeuralinkは、彼の数ある会社の1つで、現在、唯一マインドコントロールに焦点を当てている企業だ(私たちが知る限り)。Neuralinkは同社のハードウェアを使いサルが脳だけでピンポンゲームできるようになったといったことをまとめた最近のアップデートの詳細をブログと動画で公開した。

上の動画は、Neuralinkのセンサーハードウェアと脳インプラントを使って、マカクザル(「Pager」という名前の)の活動のベースラインを記録し、画面上でジョイスティックを使ってトークンを異なるマスに移動させるゲームをプレイしている様子のデモだ。Neuralinkはこのベースラインのデータを元に、機械学習を使ってマカクザルが物理コントローラーを動かす場所を予測し、最終的には実際に動く前にそれを正確に予測することに成功した。その後、研究者たちはスティックを完全に取り外し、ピンポンゲームと同じことを行った。マカクザルはもはや存在しないスティックで手を動かすことさえしなくなり、代わりにLinkハードウェアと埋め込まれたニューラルスレッドを介してゲーム内のアクションを完全に頭で制御するようになった。

私たちが最後にNeuralinkを見たのは、マスク氏自身が2020年8月にLink技術をライブで実演したときだ。ブタを使ってさまざまな刺激に応じて脳から信号を読み取る様子を見せた。マカクザルによる新しいデモでは、人間への応用という点で、この技術の方向性がより明確に示されている。なぜなら、同社はブログで同じ技術を使った、例えば麻痺のある患者によるコンピューター上のカーソル操作サポートを紹介しているからだ。またNeuralinkによると、この技術はiPhoneのタッチ操作やバーチャルキーボードを使ったタイピングなど、他のパラダイムにも適用できる可能性があるという。

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マスク氏はまた別のツイートで、Neuralinkの初期バージョンでは、スマホ操作ができない麻痺のある人でも、親指を使って入力する一般的な人よりもすばやくスマホを使えるようになると述べている。また、プロダクトの将来的な改良により、患者の体のさまざまな部位にあるNeuralink間の通信が可能になり、例えば、脳内のノードと脚の神経経路の間で通信を行い「下半身不随の患者が再び歩ける」ようにすることができるだろうとも付け加えています。

これらは明らかに大胆な主張だが、同社は既存の実証実験と近い将来の目標を裏づける多くの既存研究を引用している。しかしながら、マスク氏の野心的な主張は、彼のすべての予測と同じく十分に懐疑心を持って受け止めるべきだろう。彼は人間による臨床試験は「できれば2021年後半には開始したい」と付け加えているが、これは当初彼が予想していたものよりもすでに2年遅れている

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タグ:Neuralinkイーロン・マスク

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Katsuyuki Yasui)

SpaceXが「最も宇宙にいると感じられる」展望ドームをDragon宇宙船の先端に設置すると発表

SpaceX(スペースエックス)は、現在9月15日に計画されている歴史的な民間人のみの宇宙飛行に向けて、宇宙船「Crew Dragon(クルー・ドラゴン)」に変更を加える予定だ。この宇宙船は、国際宇宙ステーションのドッキング機構が透明なドームに置き換えられ、乗員は軌道上から宇宙と地球の壮大なパノラマを眺めることができるようになる。

このガラスドームは、Dragonカプセルの「鼻」の部分、つまり打ち上げ準備中のFalcon 9(ファルコン・ナイン)ロケットの先端に、このカプセルを直立状態で搭載した時の最上部にあたる部分に設置される。一度に1人の乗員が利用できるスペースが設けられ、宇宙船が安全に地球の大気圏外に出ると保護カバーが開く。帰還時に大気圏に再突入する際には再びカバーが閉じて、展望デッキを保護する。

SpaceXの Elon Musk(イーロン・マスク)CEOは、この新装備のレンダリング画像をTwitter(ツイッター)に投稿し「最も『宇宙にいる』ことを感じられるだろう」とツイートした。億万長者のJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏が率いる、この「Inspiration4(インスピレーションフォー)」と名づけられた宇宙観光飛行の記者説明会では、国際宇宙ステーションのキューポラから脱出したような景色が楽しめると説明された。

国際宇宙ステーションのキューポラは、欧州宇宙機関(ESA)が製作し、2010年に設置された観測モジュールだ。SpaceXの予想画像によると、ISSのキューポラが支持構造によって区切られた複数のパネルで構成されているのに対し、Dragonのドームは切れ目のない透明な半球状になっているので、Dragonの方が見晴らしが良いということになりそうだ。

国際宇宙ステーションのキューポラ(画像クレジット:NASA)

この改造は、SpaceXが計画している商業宇宙旅行ミッションに適した、より恒久的なDragonの後継機につながる可能性がある。商業旅行ミッションでは、ほとんどの場合、ISSに実際にドッキングすることなく、軌道上を移動することを目的としていると思われるからだ。軌道上の科学ステーションへのクルー輸送が目的でない場合、SpaceXはさらにキャビンに改良を施す可能性もある。

SpaceXは米国時間3月30日、Inspiration4ミッションについて、打ち上げ予定日が9月15日であること、ミッションの飛行期間が3日間であることなど、新たな詳細を明らかにした。また、4名のクルーのうち、残りの2名の搭乗者も同日朝に公表された。

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カテゴリー:宇宙
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画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーロン・マスク氏は自らを「テスラのテクノキング」と呼ぶ

先週、Elon Musk(イーロン・マスク)氏は1日で250億ドル(約2兆7000億円)を稼ぎ出した。そして米国時間3月15日、マスク氏は自らを「Technoking of Tesla(テスラのテクノキング)」と呼んだ。同氏によれば、この新しい称号は今でも電気自動車会社の最高経営責任者 (CEO) を意味するという。

この風変わりな億万長者は、この上なく創造的だ(彼の子供の名前は「X Æ A-Xii」)。またTeslaの最高財務責任者であるZach Kirkhorn(ザック・カークホーン)氏は「Master of Coin(コインマスター)」の称号を与えられた。これは「Game of Thrones(ゲーム・オブ・スローンズ)」にちなんだものなのだろうか?正直なところ、誰にもわからない。

これらの新しい称号は、米国証券取引委員会に提出された書類の中で発表されている。

「2021年3月15日をもって、イーロン・マスクとザック・カークホーンの肩書はそれぞれTechnoking of TeslaとMaster of Coinに変更されました。マスク氏およびカークホーン氏は、最高経営責任者および最高財務責任者としての地位も維持します」。

この肩書きの変更はTeslaが近い将来、支払い方法としてBitcoin(ビットコイン)の受け入れを開始するかもしれないという、マスク氏の2021年2月の発表に続くものだ。この仮想通貨の価格は週末に6万1788ドル(約670万円)の新高値を記録し ている。

おそらくこれは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に地球上で最も裕福な人物としての地位を抜かれたことや、株価下落につながる罰金や、罰金を受ける可能性がある彼の絶え間ない「気まぐれなツイート」のためにTeslaの投資家に訴えられた後、誰が最高権力者であるかを世界に知らしめようとする、マスク氏の控えめなやり方なのかもしれない。

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マスク氏の発表による株価への影響はごくわずかだった。テスラの株価は朝の取引で1.5%上昇している。Teslaの株価は2020年に600%も急騰したが、2021年1月8日につけた高値880.82ドルから現在では年初来20%下落している。

またTeslaは3月15日に、自動車部門の社長であるJerome Guillen(ジェローム・ギレン)氏が今後はTesla Heavy Trucking部門の社長に就任することを明らかにした。マスク氏は2020年第4四半期の決算説明会で、Tesla Semiの納入が2021年中に始まる予定だと述べた。この電気自動車のパワートレインを搭載した貨物輸送用トラックではエンジニアリング作業は完了しているが、バッテリーセルが入手できないため生産が滞る可能性があるとマスク氏は述べていた。

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タグ:Teslaイーロン・マスク

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:塚本直樹 / Twitter

「気まぐれな」ツイートを続けるイーロン・マスク氏とそれを監視できないテスラ取締役会を同社株主が提訴

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏のツイートが、またしても訴訟の対象となっている。

マスク氏が、米国証券取引委員会(SEC)との間で交わされた和解案に違反する「気まぐれなツイート」を投稿し続けているとして、テスラの投資家の1人がマスク氏とテスラの取締役会を訴えている。この和解案では、同社の取締役会がマスク氏のソーシャルメディア活動を監視しなければならないことになっていた。Bloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたこの訴訟は、マスク氏が規制当局から罰金や罰則を科せられる可能性に会社をさらしており、株価を下落させるおそれがあると主張。取締役会はマスク氏の行動を制御できておらず、会社を危険にさらしていると指摘している。

投資家のChase Gharrity(チェイス・ガリティ)氏によるこの訴訟は、米国時間3月8日にデラウェア州の衡平法裁判所に提出され、3月12日に開示された。コメントを求められたテスラは返答していない。

テスラおよびマスク氏とSECは、先の裁判所命令に違反したとして侮辱罪に問われることなく、マスクCEOに一定の制限範囲内でTwitter(ツイッター)を使える自由を与えることで、2019年4月に合意に達した。この合意により、特定の出来事や財務上のマイルストーンに関する内容を除き、マスク氏は好きなようにツイートすることができるようになった。上記のような内容を含むツイートをする場合、マスク氏は証券弁護士から事前に承認を得なければならないと、マンハッタンの連邦裁判所に提出された契約書にある。

2019年4月の合意は、マスク氏とSECとの数年にわたる法廷闘争の成果だ。両者の戦いは、2018年8月7日にマスク氏が1株420ドル(約4万6000円)でテスラを株非公開化するための「資金を確保した」と述べた悪名高いツイートから始まった。この時、SECはマスク氏が証券詐欺を行ったとする訴状を提出している

マスク氏とテスラは不正行為を認めずにSECと和解した。テスラは2000万ドル(約22億円)の罰金を支払うことに合意し、マスク氏はテスラの会長職を辞任して、少なくとも3年間は復職できないことに同意しなければならなかった。テスラは2人の社外取締役を加えることと、マスク氏のTwitterを含む同社に関する公の場での発言を監視する方法を導入するよう求められた。

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この争いが再燃したのは、マスクが2019年2月19日に、テスラがその年に「およそ」50万台を生産するというツイートを投稿し、数時間後に訂正して、年内に年産50万台のペースに達するという意味だということを明らかにした時だ。

今回の訴訟では、マスク氏のツイートが2019年4月の判決に違反し、自身と取締役会の善管注意義務に背いていると主張。105ページに及ぶ訴状は、マスク氏のアカウントから投稿された複数のツイートを挙げており、その中にはSECの判決から1年以上経った2020年5月1日の「Tesla stock is too high IMO.(私の意見を言わせてもらうと、テスラの株価は高すぎると思う)」というツイートも含まれている。

このツイートによってテスラの株価は急落。マスク氏の株価ツイートから30分後に下落幅は12%近くに達した。このツイートは、同日に矢継ぎ早に発信された数多くのツイートの1つで、さまざまなトピックを取り上げたこれらのツイートの中には「人々に自由を返せ」という要求や、米国国歌の一節、詩人Dylan Thomas(ディラン・トマス)からの引用、そして自分の所有物をすべて売り払うという主張などがあった。その後、マスクはウォール・ストリート・ジャーナル紙に電子メールで、ふざけていたわけではなく、自分のツイートは事前に吟味されたものではないと語っている。

12日に明らかにされた訴訟では、テスラの取締役会が「マスク氏に汚染されていないアドバイスを提供できる」法務統括責任者の確保にも失敗したと主張している。2019年には3人の法務統括責任者が同社を離脱しており、訴状ではこれを、マスク氏の「望む結果」と異なる自主的なアドバイスを行える者がいなかったことの証拠として指摘している。

マスク氏の「気まぐれな」行動は、数十億ドル(数千億円)の時価総額の損失を含む「実質的な損害」をテスラに与えたと、訴状は述べている。

この訴訟は「Gharrity v. Musk, Del. Ch., No. 2021-0199」となる。

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タグ:Teslaイーロン・マスク裁判TwitterSEC

画像クレジット:Yichuan Cao/NurPhoto / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーロン・マスク氏が賞金105億円を出す炭素回収技術XPRIZEコンテストの詳細が明らかに

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は先日、気候変動を食い止める一手段として、二酸化炭素を積極的に大気から取り除くことができる二酸化炭素回収(Carbon Capture)の新技術を促進するため、1億ドル(約105億円)を寄付すると世間に知らしめた。2021年1月に同氏がツイートした際にTechCrunchが報じたように、マスク氏の大規模な金銭的インセンティブは、同様の考えを持つ、世界を変えるテクノロジーの開発を目的とした野心的な技術コンテストを主催している非営利団体XPRIZE財団に寄付されることになった。そしてこのほど、XPRIZEとマスク氏はこのコンテストの詳細を新たに発表した

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総額1億ドル(約105億円)の賞金プールが、このコンペティションを通じて授与される。コンペティションは、「大気中や海洋から直接、二酸化炭素を除去し、環境に負担をかけない方法で恒久的に貯留する」ことができるソリューションを模索する。これは野心的な目標であり、地球全体のバランスの中で、炭素という元素の存在にネットネガテイブの影響を与える回収方法を追求するものだ。XPRIZEは、最高15組のファイナリストにそれぞれ100万ドル(約1億1000万円)を授与する予定で、さらに上位3組の受賞者については、大賞受賞者には5000万ドル(約52億6000万円)、2位と3位にはそれぞれ2000万ドル(約21億円)と1000万ドル(約10億5000万円)を授与することを目指している。また、学生チーム参加者のために特別に、それぞれ25万ドル(約2630万円)相当の奨学金も25組分用意されている。

勝利の資格を得るためには、ソリューションは1日あたり1トンの二酸化炭素を抽出することができ、プレゼンテーション時にはスケーリングされた検証済みモデルで実行可能であり、将来的に「ギガトンレベル」にまでスケールアップできる、商業的に実行可能な方法でなければなならない。これらは新技術にとって大きな目標だが、このコンペティションにかかっているものは大きい。マスク氏は、気候変動を人類の存亡に関わる脅威として頻繁に言及しており、炭素回収は気候変動に対抗するための重要な手段の1つだからだ。

大気から抽出した二酸化炭素を利用して新しいタイプの燃料を製造するカナダのCarbon Engineering(カーボンエンジニアリング)や、大気から除去した二酸化炭素を利用して蒸留したカーボンネガティブウォッカのAir Vodkaなど、炭素回収の方法は存在するし、それが新しいスタートアップや新興ビジネスの中心となっているケースもある。ひと握りの企業はこの技術を追求しているものの、問題は、安全かつ副産物が環境に影響を与えない方法で炭素を除去するのは、一般的に非常に高価であるということだ。

新しいXPRIZEのコンペティションは、2004年に行われた1000万ドルの民間宇宙飛行「Ansari XPRIZE(アンサリ・Xプライズ)」が宇宙産業の新時代の発展を牽引したのと同様に、幅広い新興企業の発展に拍車をかけることを目指している。今回のコンテストは米国時間2021年4月22日に正式に開始され、その時点で完全なガイドラインが公開され、登録が開始される。応募者はソリューションを提出するまでに最長4年間の期間が与えられ、コンテストは2025年のアースデイ(4月22日)に終了し、最初のステージの100万ドルの賞金はその18カ月後に分配される。これにより、チームが上位入賞に向け、本格的なデモを構築するために必要な資金が提供されることになる。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:イーロン・マスク二酸化炭素

画像クレジット:DAVID MCNEW / AFP / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:TechCrunch Japan)

イーロン・マスク氏がClubhouseに登場、ファンがYouTubeへライブストリーム、途中からRobinhood CEOへのインタビューに

米国時間2月1日の深夜、今、シリコンバレーで最もホットな音声SNS「Clubhouse」にElon Musk(イーロン・マスク)氏が現れた。その様子は現在(日本時間2月1日20時)でも、ここここで聞くことができる。

Clubhouseでのやりとりを要約すると、マスク氏はClubhouseを利用し、宇宙旅行や火星のコロニー、Bitcoinなどした暗号通貨など「彼のベース」となるものについて話をした。いくつかのテーマにおいてマスク氏は、彼の「オリタナティブ」な見解に関するいくつかの神話を覆すことができた。時折、いつもはミームで煽るTwitterのフィードよりもはるかにニュアンスのある発言をしたが、これはマスク氏がまじめだったからではなく、単にフォロワーと楽しんでいただけなのかもしれない。彼はほぼ「私は救世主ではない、ただのいたずらっ子だ」と言っているようだった。

これまで行われてきた火星での生活の可能性に関する説明とは対照的に、マスク氏はそれに対するバラ色のビジョンは描いていなかった。人類が火星で生存し続けることに価値はあるが、そこでの生活は厳しいと語った。

また、マスク氏はAIから新型コロナウイルスワクチンに至るまで、多くのテーマについて話した。

最後の4分の1になり、RobinhoodのCEOであるVlad Tenev(ウラジミール・テネフ)氏がステージに上がった時に、話は大きく転換した(明らかにマスク氏によるものだが、裏で調整が行われた気配があった)。

マスク氏は突然、インタビューアーになり、テネフ氏に人気株取引掲示板のWallStreetBetsの騒動で、最後に何が起こったのかを明らかにさせた。

その後、Clubhouseのroomは、Robinhoodに大口投資家であるa16zによる大規模なPR行為と呼ばれるものに変わった。5000人の参加者、何百人ものジャーナリスト、そしてYouTubeのライブストリームの視聴者は期待の熱いイベントに集まった。テクロノジーに関する公の議論の中でジャーナリストたちのの間に割って入ろうとするa16zの新しいメディア「定刻」が広がり始めている姿を私たちは目の当たりにすることができた。

【TechCrunch Japan編集部】
Clubhouseにおけるイーロン・マスク氏の発言やRobinhoodのCEOであるウラジミール・テネフ氏へのそれぞれ質問は、US記事で読むことができる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ClubhouseSNSイーロン・マスクRobinhooda16z

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(文:Mike Butcher、翻訳:Katsuyuki Yasui)

イーロン・マスク氏が電動トラックTesla Semiの生産準備は整ったがバッテリー不足がネックと発言

Tesla(テスラ)のCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、2020年第4四半期の決算報告の場で、全電動パワートレーンを採用した貨物輸送セミトラックTesla Semi(セミ)の工学系の開発が完了したことを発表した。同社は2021年中にTesla Semiの出荷を開始したいと考えているが、第4四半期収支報告書とマスク氏の話によると、生産にブレーキをかけている問題としてバッテリーセルの供給不足があるという。

「現在、たとえばTesla Semiといった新型車の開発を加速できない最大の原因は、ひとえにセルの不足です」とマスク氏。「今すぐSemiの生産しようと思えば、すぐにでも簡単に始められますが、十分な数のセルが手に入りません」。

だがマスク氏は、同社の4680バッテリーパックの生産が始まれば、需要に見合う十分な数のセルが揃うはずだと主張する。このバッテリーパックは、いわゆる「タブレス」構造による高エネルギー密度のもので、走行距離が長い独自開発の新型セルだ。

「Tesla Semiには乗用車の5倍のセルが使われますが、販売台数は乗用車の5倍というわけにはいかないので、現在、生産するのは理に適いません」とマスク氏。「しかし、セルの生産制限が解消されたなら、ただちに生産を開始するのが最善策です」。

その制約は、同社バンの開発予定にも同じ影響を与えているとマスク氏はいう。そしてセルの制約が解消された場合には、同様にそのカテゴリーの車種も開発を進めることができるようになると彼は話す。

Teslaには、年間計200ギガワット時の生産能力を有するインフラを2022年までに整備することで、セルの製造を「飛躍的」に増大させる大計画があり、同年までには実際にそのおよそ40%の生産を可能にするという目標を掲げている(将来、製造工程の改善によりセルの電力量、つまりギガワット時は増加し、その後も次第に向上していくとのことだ)。

関連記事:未来のテスラ車のバッテリーは車体と一体構造で剛性、効率、安全性、コストを改善

カテゴリー:モビリティ
タグ:Teslaイーロン・マスク電気自動車バッテリー

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(翻訳:金井哲夫)

テスラが第4四半期の決算を発表、蓄電池・太陽光発電事業に急成長の兆し

Tesla(テスラ)が最新の決算報告書を発表した。そこには蓄電池と太陽光発電に対するElon Musk(イーロン・マスク)氏の賭けが実を結び始めていることが示されている。

蓄電池事業はこの第4四半期に同社の攻撃的戦略における主役となり、四半期ごとの前年同期比成長率は200%に近づいている。テスラは株主向けプレゼンテーションで「(蓄電池事業の)市場展開は2019年から2020年にかけて大幅に成長しました。当社の蓄電池の総配備量は初めて単年度で3GWhを超え、前年比83%増となりました」と述べている。

太陽光発電事業にも陽光が射し込んだ。年間の太陽光発電の設置量は205MWに増加し、前年比18%増となった。「この成長は製品の簡素化、コスト削減、業界をリードする価格設定など、当社の太陽光発電設備戦略を大幅に改善した結果です」とマスク氏は語った。

Teslaの第4四半期における発電・蓄電事業の収益は7億5200万ドル(約784億円)と、前年同期の4億3600万ドル(約455億円)、第3四半期の5億7900万ドル(約604億円)から増加した。

これは、Teslaの電力事業における急成長の始まりに過ぎないと思われる。同社は長い間、世界最大の電力会社や公益事業会社の1つになりたいと公言しており、世界中の資本が再生可能エネルギーへのシフトを促進するために資源を集めている。

バイデン政権の再生可能エネルギー計画が、その目標に向けて太陽光発電の開発や建造を劇的に推し進めることで、Teslaは大きな恩恵を受ける可能性がある。この大規模なインフラ投資では、再生可能エネルギーを蓄えるために大容量のバッテリーが必要になるだろう。また、大規模な太陽光発電設備も必要になるだろう。

米連邦政府が再生可能エネルギーに資金を移す間にも、民間資本が太陽光発電やエネルギー貯蔵を劇的に後押しするために流入してきている。

先週だけでも、投資家は住宅所有者に太陽光発電設置やオール電化リフォームのために資金を貸す企業に、20億ドル(約2085億円)近くを投入した。SolarCity(ソーラーシティ)の元幹部が設立したある会社は、8億ドル(約834億円)の資金を調達したと米国時間1月27日発表したばかりだ。

少なくとも、これらの資金の一部は、テスラの蓄電池事業と太陽光発電設置事業のキャッシュレジスターを鳴らすことになるだろう。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:Tesla太陽光発電イーロン・マスク再生可能エネルギー決算発表

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

イーロン・マスク氏が最高の二酸化炭素回収技術に賞金104億円

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間1月21日、最高の二酸化炭素回収技術に1億ドル(約104億円)を寄附するとツイートした。

マスク氏は最近、Amazon(アマゾン)のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を超えて世界一のお金持ちになったが、別のツイートで「来週詳細を発表する」と述べただけで、それ以上の説明はない。

【更新】計画に詳しい人物がTechCrunchに語ったところによると、これは技術開発とイノベーションの促進を目的としたコンテストを主催する非営利団体のXprize Foundationと連携するものだという。

最高の炭素回収技術賞に1億ドルを寄付しています。

正式な名称を二酸化炭素貯留(Carbon Capture and Storage、CCS)というこの技術の定義は、その名前のとおりだ。製油所や工場などの廃棄物である二酸化炭素を、その発生源で捉えて保存し、有害な副産物を環境から取り除いて気候変動を緩和する。それは新しい探求ではなく、およそ20年ほど前から、多くの企業によってさまざまな方法が提案されてきた。

CSSは、初期費用が高いことが主な障害となっている。しかしそれでも、炭素の回収と再利用(Carbon Capture and Utilization, CCU)で有望な技術を見つけた企業がいくつか存在する。CSSの「いとこ」のようなその技術は、収集された排出ガスを他のより価値の高い用途に変換する。

LanzaTechが開発した技術は、排出ガスとバクテリアを利用してエタノール燃料を作り出す。使用するバイオリアクターは、製鉄所や工場などからの排出ガスを取り込み、圧縮して液化する。LanzaTechのコア技術は、汚れた排出ガスを好んで食べるバクテリアだ。バクテリアが排出ガスを食べると発酵が生じ、エタノールが生成される。そしてそのエタノールからさまざまな製品を作る。LanzaTechは、多様な製品の生産をそれぞれ別の企業としてスピンオフしている。たとえばLanzaJetと呼ばれるスピンオフは、エタノールをエチレンに変換するといった技術に取り組んでいる。そのエチレンから、瓶を作るためのポリエチレンや、服の繊維になるPEPなどが作られる。

その他にもClimeworksやCarbon Engineeringといった企業もある。

Climeworksはスイスのスタートアップで、ダイレクトな排出ガス回収の技術を目指している。その技術はフィルターを使って空気から二酸化炭素を収集する。集まった二酸化炭素を保存したり、肥料などの他の用途に販売したりする。発泡飲料の泡としても使われる。Carbon Engineeringはカナダの企業で、大気中の二酸化炭素を取り除き、それを処理して強力な石油回収技術や、新しい合成燃料の生産に利用する。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:イーロン・マスク二酸化炭素

画像クレジット:Diego Donamaria / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

イーロン・マスク氏が「世界で最も裕福な人物」に

SpaceX(スペースX)とTesla(テスラ)を率い、時に物議を醸すこともある謎に包まれた起業家のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、過去20年間に他の3人だけが保持していた地位に到達した。「世界で最も裕福な人物」の称号を得たのだ。

マスク氏は2021年、Warren Buffet(ウォーレン・バフェット)氏やBill Gates(ビル・ゲイツ)氏など多くの億万長者を超えてトップに立った。彼がこの地位に上り詰めたのは、2020年3月から830%近く急騰したテスラの株価のおかげであり、決められた時価総額と収益性のマイルストーンを達成した後に有効になった実質的な給与体系のためでもある。これによってマスク氏は、2017年から世界一の富豪の座を保持していたAmazon(アマゾン)創業者兼CEOのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏を追い落とした。

Bloomberg(ブルームバーグ)の億万長者指数によると、マスク氏の財産は現在1880億ドル(約19兆5000億円)を超えている。テスラの株価は米国時間1月7日にも上昇を続け、5%以上も上昇して795.75ドル(約8万2737円)となった。

マスク氏一流の表現で彼はこのマイルストーンを認め「なんて奇妙なことだろう」「さて、仕事に戻るか……」とツイートしている。

世界で最も裕福な人物という肩書きよりも、興味深いのはマスク氏がそこに到達したスピードだ。ほんの1年前、マスク氏は世界長者番付の底に方にいた。2021年、テスラの株価が急上昇したおかげで、マスク氏は約1500億ドル(約15兆6000億円)もの富を手にした。マスク氏はテスラの株式を約20%保有している。またSECの報告書によると、同氏は約420億ドル(約4兆4000億円)の行使可能なストックオプションを持っている。

テスラ株はかねてより変動率の高さに悩まされてきた銘柄で、ツイートや財務更新の後に大きな変動が発生することがある。2018年を例に見てみよう。テスラの株価は約3.8%の上昇で1年を終えた。1月2日と12月31日という株式市場カレンダーの両端の間に生み出されたその3.8%の値上がりは、株価の混乱と激しく揺れる上下変動に終始した1年を煙に巻いた。

2020年のテスラの株価は上昇傾向にあった。この年、上場企業としてわずか10年で、テスラは時価総額でFord(フォード)、GM、VWグループ、Toyota(トヨタ)を抜き、世界で最も価値のある自動車メーカーとなった。テスラの時価総額は現在5770億ドル(約6兆円)だ。

関連記事:イーロン・マスク氏の2回目となる約2200億円ストックオプション獲得、取締役会の承認待ち

カテゴリー:モビリティ
タグ:イーロン・マスクTeslaSpaceX

画像クレジット:Saul Martinez / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

イーロン・マスク氏が米議会議事堂での暴動受けてFacebookの代わりにセキュリティ重視のSignalを推薦

テクノロジー業界の億万長者であるElon Musk(イーロン・マスク)氏はまもなく世界で最も裕福な人物になる見込みであり、テクノロジー企業家の中で最も影響力のある人物の1人でもある。米国時間1月7日の夜遅く、米議会議事堂でトランプ大統領支持者の暴徒による反乱未遂を受け、マスク氏はFacebook(フェイスブック)への批判を繰り返した。同氏はフェイスブックの設立が、この悲惨で恥ずべき出来事につながったことを示唆するミームを共有した

マスク氏は自身の巨大な影響力(彼はツイッターに約4250万人のフォロワーがいる)を利用し、特に新型コロナウイルス(COVID-19)とその重要性について多くのフォロワーに誤報を広めてきた(未訳記事)が、米国時間1月8日の朝にはWhatsAppからFacebookへのデータ共有をユーザー全員に義務付ける新しい利用規約とプライバシーポリシーに、驚きを隠せないことを表明した。

Tesla(テスラ)とSpaceX(スペースX)を率いるマスク氏は、Signalというデフォルトで暗号化されたメッセージングクライアントを使うことを推奨した(もし同氏のアドバイスに従うのなら、アプリの「消滅メッセージ」機能を有効にして、両者の会話の保護を追加すべきだ)。

マスク氏はCambridge Analyticaスキャンダルの発覚を受けて、2018年に独自の#deletefacebookキャンペーンとして自身の個人ページだけでなく、TeslaとSpaceXの両方のページを削除するなど、フェイスブックの利用に反対してきた長い歴史がある。

関連記事:Elon Muskが自分とSpaceXとTeslaのFacebookページを#deletefacebookに賛同して削除

カテゴリー:ネットサービス
タグ:イーロン・マスクFacebookアメリカSNSSignal

画像クレジット:Mark Brake / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

イーロン・マスク氏「SpaceXは発射台のアームでSuper Heavyブースターを回収する」

SpaceXはロケットブースターを回収、再利用するために現在と大幅に異なるアプローチを試みると創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は述べた。発射台のアームが打ち上げ前のロケットを支えて安定させている。マスク氏は開発中の大型ブースターをこのアームを利用してキャッチしようと考えている(Twitter投稿)。現在のFalcon 9ブースターはエンジンを逆噴射し、組み込みの脚を展開して着陸する。しかし極めて大きな次世代ロケットであるSuper Heavyでは脚を廃止するのが目標(Twitter投稿)だとマスク氏は述べた。

Super Heavyも減速のためにロケットを逆噴射するが、姿勢制御には本体上部に装備されているグリッドフィンを利用する。このフィンをブースターのキャッチに利用する。つまりブースターが着陸する寸前に発射台のアームをグリッドフィンに引っかけるわけだ。この方法では、非常に精密な姿勢制御が必要になる。Super Heavyから着陸脚を完全に省くことができればコストと重量の両方を大幅に節約できる。

マスク氏が指摘したもう1つの利点は、Super Heavyブースターがそのまま元の発射台に定置されることだ。ブースターの上段に新しいペイロードを搭載したStarship宇宙船をセットすれば「1時間以内(Twitter投稿)」に再飛行が可能になる(SpaceXは現在、Starship宇宙船の開発とテストを実施中)。

Starship宇宙船とSuper Heavyブースターの目標は、現在のFalcon 9(およびFalcon Heavy)と比べてさらに再利用を進めたシステムだ。Starshipをジェット旅客機のように定期的かつ頻繁に飛行させることをマスク氏は目標としている。地球上の2点間を結ぶ超高速飛行、地球軌道付近のミッション、月(や最終的には火星)への長距離ミッションなどだ。 火星に「維持可能な植民」を行うためにはこうした能力が必須となる。今回提案された新しい着陸方法はこうした目標を達成するためSuper Heavyで迅速な再飛行サイクルを確立するためのものだという。

Starshipのプロトタイプは現在、テキサス州ボカチカで建設およびテストされている。2019年、SpaceXはここでは試作宇宙船の飛行テストを繰り返してきた。同社はSuper Heavyブースターを開発中だが、マスク氏は同システムの各部分の飛行試験を数カ月以内に開始できるよう全力で取り組んでいると述べている。

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カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXイーロン・マスク宇宙船ロケット

画像クレジットSpaceX

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(翻訳:滑川海彦@Facebook