Facebook、「Facebookで費やした時間」ダッシュボードを提供

発表から15週間後、Facebookは “Your Time on Facebook” (Facebookで費やした時間)を世界に向けて公開する。Facebookアプリを何分使ったかを数えるツールだ。自分のソーシャルネットワーク時間を管理するために作られたもので、ユーザーは過去一週間毎日どれだけ使ったか平均時間はどれだけだったかをダッシュボードで見ることができる。

一日の上限を設定してそれに達したときにリマインダーを受け取ることもできるほか、通知、ニュースフィード、友達申請の設定へのショートカットもある。後の2つのショートカットは新らしいが、それ以外の機能はプレビューで見たものと同じだ。

6月にFacebookがこの機能を開発していることを最初に報じたのがTechCrunchだった。

iOSとAndroidが最新OSに同様の機能を搭載し、InstagramにもYour Activityタブが追加されたことで、デジタル健康機能はスマートフォンユーザーに普及してきた。問題は、こうした機能を設定メニューの奥深く埋めておくだけで本当に人々に健康的生活を推進できるのかだ。

FacebookとInstagramの機能は特に強制力が弱い。利用を減らすためのオプションはなく、警告の通知を消させるだけだ。 iOS 12のスクリーンタイムは、少なくとも週間レポートをデフォルトで表示する。 Androidのデジタル健康ダッシュボードははるかに強力で、一日の上限に達するとアプリアイコンをグレイ表示にして設定でアプリをアンロックするまで使うことができない。Facebookがもっと強い制約を課す必要はないが、少なくともユーザーが実際に端末を置いてリアル世界に目をやるよう説得するツールは提供すべきだろう。

FacebookのダッシュボードはInstagramと連携していない。Instagramの方がユーザーの同サービスでの活動についてより総合的感覚を伝えようとしている。さらに言えば、ダッシュボードからはデスクトップやタブレットなどの2台めのモバイル機器の時間もわからない。

しかしYou Time on Facebook最大の問題は、あらゆる時間を同等に扱っていることだ。それはソーシャルネットワーク上のデジタル健康についてFacebook自身が提唱してきたことや、CEO Mark Zuckerbergの健康的行動と不健康な行動に関するコメントとも一致していない。Zuckerbergは2018年Q1の決算会見で、「われわれが実施した健康調査によると…人と対話して人間関係を構築するためにインターネットを使うことは、長期的な健康や幸福、つながっていると感じることによる寂しさの緩和など、健康によいと思われるあらゆる事象と相関している。一方、受動的にコンテンツを消費するだけでは必ずしもポジティブな効果を得られない」と言っていた。

しかし、Facebookの受動的利用と能動的利用をダッシュボードから区別することはできない。ニュースフィードを読みストーリーを見てプロフィール写真を眺めていた時間と、投稿やコメントやメッセージを書いていた時間を比べる方法はない。そうした分類があれば、ユーザーは無駄に費やした時間がわかり、どうすれば健康的利用ができるかをずっと判断しやすくなるだろう。いずれFacebookがダッシュボードをもっと精緻化して、利用時間だけでなく、有益に使われた時間を見られるようにすることを願いたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ZuckerbergはFacebookの会長職を降りる気なし…CNNインタビューより

CNNの短いけど派手に誇大宣伝されたインタビュー番組で、FacebookのファウンダーでCEOが再び、同社の最最近の危機に対する批判に答えた。

そのインタビューは、もっと長いQ&A番組“Human Code,”からの抜粋で、Facebookの失敗と、会社に対するZuckerbergの一面的すぎるコントロールに対する批判の部分に限定していた。

そこに新しい情報は何もなかったが、リーダーシップをめぐるいくつかの問題に対する、同社の最近の姿勢は分かる。最初の問題は、Sheryl Sandbergが今後もCOOの地位にとどまるのか?だ。

ZuckerbergはCNNにこう答えている: “Sherylはこの会社にとって実に重要だ。…。彼女はこれまでの10年間、私の重要なパートナーだった。二人でやってきた仕事を本当に誇らしく思っており、今後も末永く一緒に仕事をしていきたい”。

これが、少なくとも当面の答だ。

次の大きなリーダーシップの問題は: Zuckerbergは現在Facebookの会長として行使している権力のすべてを今後も維持するのか? 先週の記者発表ではZuckerbergその権能を降りない、と語り、“権限を制限せよという提案は正しい方向性ではない”と述べている。でもそれは、この、身から出た錆(さび)のような社内的危機の、まだ初期的段階における話だ。

同社は今、危機の最中(さなか)だから、責任を取って会長を辞任する気はないか、と再び聞かれたZuckerbergは、その話はもうやめよう、ときっぱり答えた。

“その計画はない。…。今は、それが有意義であるとは考えられない”、とZuckerbergはCNNに述べている。

共和党が民主党など対抗勢力について調査をしている組織GOP危機時コミュニケーショングループ〔メディア操作などをやる〕とFacebookとの関係をめぐるスキャンダルは、Zuckerbergが権力の一部を放棄しろと批判された最初の事案ではない。彼はFacebookの筆頭株主として、投票権の過半数を持ち、そしてこの構造では誰も彼を辞めさせられない。Zuckerbergは再び、Zuckerbergは一人しかいないし、そして彼が創った企業は彼自身でもあることを明言した。だから彼はどこにも行かないし、当面、彼の権能を誰かに譲る気もない。

関連記事: 議会はZuckerbergに1株1票への移行を要求(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

利上げと貿易戦争の激化への懸念でテクノロジー企業の株価が急落、グローバルなサプライチェーンにも影響が波及

テクノロジー企業の株は、今日(米国時間11/19)の取引でめった打ちにされた。アメリカと中国の貿易戦争が激化し、金利が上がるとの予想から、不安に駆られた投資家たちが売りに転じたためだ。

多くの大手テクノロジー企業の株式が取引されるナスダック総合指数は、219.4ポイント(3%)下げて7,028.48になり、一方ダウ平均は395.8ポイント(1.6%)下げの25,017.44になった。

Facebook, Alphabet(Googleの親会社), Apple, Netflix, そしてAmazonはすべて弱気市場に落ち込み、株価は軒並み20%以上落ち込んだ。CNBCの分かりやすいグラフ(下図)を見ると、そのことがよく分かる。

テクノロジー株の苦境は、貿易戦争だけが原因ではない。Facebookの株は、アメリカの選挙へのロシアの妨害に対する、同社のまずい対応を詳細に報じたThe New York Timesの爆弾記事に叩かれた。投資家たちは、コンテンツ管理の今後の費用増大により同社の利益が縮小することを懸念したらしい。

Appleの株価は、iPhoneの売上が同社が予測したほど明るくないとの報道で下げたが、ホリデーシーズンには盛り返すだろう。しかしThe Wall Street Journalによると、将来の売上の不確実性によりAppleは、iPhoneのすべての新機種の目標値を切り下げたという。

同紙によると、最近の数週間でAppleは、9月に発表した新機種すべての生産発注量を減らし、それの影響がサプライチェーン全域に波及した。たとえばiPhone XRは、当初の7000万台から1/3切られ、サプライヤーへの発注もそのぶん減らされた。

サプライチェーン全域への波及効果により、サプライヤーとコンペティターもその多くが株価を下げた。

しかしアメリカ政府による中国との貿易戦争の拡大は、Appleに限らずテクノロジー産業全体の不安要素であり、高関税がサプライチェーンに及ぼす影響と価格の高騰が懸念されている。

MarketWatchによると、大手経営コンサルタント企業Independent Advisor Alliance(IAA)の投資担当最高責任者(CIO)Chris Zaccarelliの説では、貿易戦争の圧力に金利の問題と成長のグローバルな鈍化が加わって、テクノロジー株を下げている。

Zaccarelliは曰く: “テクノロジー業界は今後も、金利の上昇、グローバルな経済成長への不安、そして貿易をめぐる中国との緊張関係という三重の十字砲火にさらされ続けるだろう。中国との貿易戦争の懸念は大手テクノロジー企業が依存しているグローバルなサプライチェーンに対する重荷になり、さらに経済成長のグローバルな鈍化により、将来の収益も低くなる、との不安が広まっている”。

画像クレジット: Hiroshi Watanabe

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook Messenger、「一緒にビデオを見る」機能を開発中

“Netflix and chill”[Netflix見ながらいちゃいちゃ]のリモート版? Facebook Messengerはビデオの同時ビューイング機能を内部テスト中だ。ユーザーが気に入った仲間たちと同じビデオを見る機能で、グループチャットしながら語り合ったりジョークを言い合ったりできる。”Watch Videos Together”[一緒にビデオ見よう]と呼ばれる新機能は、ユーザーのMessenger利用時間を増やすとともに、一人でビデオを見る受け身のゾンビビューイングよりも有意義でポジティブな体験の共有を可能にする。Facebookは Watch Partyというグループ視聴機能もテストしていたが、ニュースフィードやグループ、イベントなどよりもメッセージングを通じて行うアプローチの方が自然かもしれない。

この機能をMessengerのコードベースで最初に見つけたのはデッドライン管理アプリTimeboundのファウンダーAnanay Aroraと、TechCrunchの常連タレコミ屋としてモバイル調査をしているJane Manchun Wongのふたりだ。Aroraが見つけたコードには、Messengerで「タップして今すぐ一緒に見る」あるいは「同じビデオについて同じ時間にチャットする」ことができたり、チャットスレッドのメンバーが共同ビューイングが始まった通知を受けることなどが記述されている。「このチャットの全員がビデオをコントロールできて、誰が見ているかを見ることができる」とコードに書かれている。

Facebook広報担当者はTechCrunchに、これは「内部テスト」けであり現在これ以上公表できることはないと語った。しかし、過去にMessengerのコードで発見された Instagramと連絡先を同期などの機能は最終的に正式公開されている。

FacebookにはWatch Partyがあるが、チャット機能に取り込んだ方がよく使われるかもしれない

共同ビューイングで気になる疑問は、みんなで見るためのビデオをどこで見つけるかだ。Facebookで見つけたビデオのURLを打ち込むか、Messenger向けにシェアするか。新しいビデオ検索機能がメッセージ作成かディスカバータグに入るかもしれない。あるいは、もしFacebookがチャットベースの共同視聴に本気で取り組みたいなら、ビデオパートナー、理想的にはYouTubeと提携することも考えられる。

ビデオの共同視聴はMessengerにとって新たな収入源になるかもしれない。予告編などのスポンサー付きビデオをおすすめすることも考えられる。あるいは、ビデオの合間にビデオ広告を挟むだけかもしれない。最近FacebookはMessengerやInstagramなどの子会社に対して収益化のプレッシャーを強めている。ユーザー成長が停滞し、ニュースフィードの広告スペースが限界に達していることから広告売上が鈍化しているためだ。

過去にはYouTubeのUptime(その後中止)やFacebookの初代プレジデントSean ParkerのAirtime(結局公開されず)などのアプリが共同視聴を流行らせようと試みては失敗している。問題は、友達との同期体験のスケジュール調整が難しいことにある。同時ビデオ視聴をMessengerに直接組み込むことによって、Facebookはこれをリンク共有と同じくらいシームレスにできるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、政府によるユーザーデータ要求命令を公表

Facebookは、過去13件のユーザーデータを要求する国家安全保障書簡の詳細を公開した。

難題続きのソーシャルメディア巨人は、書簡は2014年から2017年にかけて送られ、FacebookおよびInstagramの複数のアカウント情報を要求するものだと語った。

こうしたデータ要求は事実上の召喚状であり、FBIが一切の司法審査なしに発行し国家安全保障捜査で名前の上がった個人のデータの一部を提出するよう企業に強要する。これには議論がある——なぜなら書簡には口外禁止命令が課され、企業はその内容はおろか、書簡の存在すら公表することが許されないからだ。

企業は多くの場合、ある人物がやりとりをした相手全員のIPアドレス、オンライン購入情報、メール記録、携帯電話位置情報データなどの提出を求められる。

しかし、エドワード・スノーデンの暴露の結果自由法案が通過して以来、FBIは定期的に口外禁止規定を見直さなければならなくなった。

FacebookのChris Sonderby法務部長代理は、今年に入って政府は書簡の守秘義務命令を解いたと語った。

「われわれはアカウント情報に関する政府の要求を常に精査し、法的に有効であることを確認している」とSonderbyは言った。

Facebookが国家安全保障書簡を公表したのはこれが初めてではない。2016年に公表した最初の書簡は2015年に発行されたものだった(公開済みの国家安全保障書簡はすべてここで読むことができる)。

Facebookが国家安全保障書簡の情報を公開したのは、New York Timesが極めて批判的な記事を書いた翌日のことだった。記事はここ数年Facebookがさまざまなスキャンダルから目をそらすために行ってきたいかがわしい戦術の数々、たとえば活動家や抗議者の信用を失墜させようとした企みなどを暴いている。

Facebookの最新の透明性レポートによると、政府のデータ要求の件数は、全世界で前年の8万2341件から10万3815件へと26%急増した。

米国政府による顧客データの要求は30%増の4万2466件で、7万528アカウントが影響を受けた。同社によると、その半数以上が口外禁止条項を伴っており会社はユーザーに通知することができない。

法的命令のほとんどは裁判所が認めた捜査令状だ。

最近の報告期間について、Facebookはその他の国家安全保障命令の件数が前年の2倍以上に増えたことも語った。2016年7~12月の1万2500~1万2999アカウントから、2017年1~6月は2万5000~2万4999アカウントに増えた。

現行の司法省報告規則では、企業は6ヶ月間の報告猶予期間を与えられている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、Messengerに「送信取消」機能を追加。しくみはこうだ

FacebookはCEO Mark Zuckerbergが送ったメッセージを密かに削除した、とTechCrunchが7ヶ月前に報じた。そして今、一般のFacebook Messengerユーザーも初めてunsend[送信取消]の能力を得て、送ったメッセージを相手の受信箱から消去できるようになる。送信取消できるのは配信後10分以内に限られるため、間違いを訂正したり誤って送ってしまったものを削除することはできるが、過去の履歴を操作することはできない。”Remove for Everyone” [全員から削除]という正式名称のこのボタンは、メッセージが取り消されたことを示す「墓石」マークも残す。また、この機能を使って証拠を消すいたずらを防ぐために、Facebookは取り消されたメッセージを短期間保管しておき、通報があった際にはポリシー違反がないかどうか確認できるようにする。

この取消機能は、ポーランド、ボリビア、コロンビア、およびリトアニアで本日(米国時間11/14)iOSとAndroidのMessengerアプリで公開される。Facebook広報担当者によると、出来るだけ早く世界中で配布する計画だが、App Storeのホリデー対応アップデートの影響を受けるかもしれない。その他の削除機能も開発中で、メッセージまたはスレッド全体について事前に有効期限を設定する機能が入る可能性もある。

「利点は、ユーザーは自分自身でコントロールしたがること…そして間違えたときに訂正できること。この機能を使いたくなる正当な場面はたくさんある」とFacebookのMessenger責任者Stan Chudnovskyが本誌の独占インタビューで言った。しかし一方では、「新たないじめの場をわれわれが作ってはならない。悪質なメッセージを送り、相手が通報したときにはメッセージがなくなっていて何も対処できない、という事態が起きないよう万全を期す必要がある」

Zuckerbergはやった。もうすぐあなたも

FacebookがTechCrunchに送信取消機能の開発について最初に語ったのは、4月に私がMark ZuckerbergのFacebookメッセージが送信先の受信箱から静かに消えたことを6人の情報源が語ったと報じた後だった。従業員以外の情報提供者で墓石マークがなかった人もいた。われわれはこれをユーザーとの信頼関係に反するものであり、会社の権力の乱用だと考えた。一般ユーザーにはメッセージを取り消す手段がないからだ

Facebook retracted Zuckerberg’s messages from recipients’ inboxes

Facebookは、これを幹部のプライバシーおよび会社機密を保護するためであったと主張し、「Sony Pictureのメールが2014年にハックされて以来、当社幹部のコミュニケーションを保護するための変更をいくつか実施した。その中にはMarkのMessengerメッセージの保存期間の制限もあった」と私に話した。しかしFacebookは、Zuckerbergの2004年の古いショートメッセージがリークしたときのような恥ずかしい状況を避けたい思惑もあったに違いない。ある困ったメッセージではZuckerbergが友達に宛てて「ハーバードの誰の情報でも欲しかったら…言ってくれ…4000以上のメールと写真とアドレスとsnsを持っているから」と送り。えっ、なぜそんなものがあるの? とその友達が返信すると、「みんなが送ってきただけさ…何故かわからないけど…「僕を信じているうだろう」…バカだね」とZuckerbergは返信した。

Facebookは私に、すでに全員向けUnsendボタンを開発中であり、それが公開されるまで幹部のメッセージを取り消すことはないと話した。Chudnovskyは「もっと早くこれを公開していればよかった」とニュースが出た時私に言った。しかしその後6ヶ月間何の進展もFacebookからのコメントもなく、口を開いたのは情報提供者のJane Mancun WongがFacebookは取消機能のプロトタイプを作っていると指摘したとTechCrunchが報じてからだった。そして今から一週間前、Facebook MessengerのApp Storeリリースノートに、10分間のUnsendボタンが近く公開されると誤って記載された。

ではなぜ7ヶ月もかかったのか。Instagramではどんなに古いメッセージもユーザーが削除できるようにしているのに。「時間がかかった理由はサーバー側の問題でこれがずっと難しい。メッセージはすべてサーバーに保存されていて、メッセージングシステムの核となる輸送レイヤーに関わっている」とChudnovskyは説明した。「システムの構造上非常に難しかったが、われわれは常に整合性の問題を懸念していた」。そして今Facebookは技術的課題を克服し、取り消されたメッセージが確実に受信者から削除されることを確信した。

「『メッセージは誰の所有か?』が問題になる。メッセージが受信者のMessengerアプリに届くまで、それは送信者のものだ。しかし、実際に届いたあとは、おそらく両方が所有者だろう」とChudnovskyがもったいぶって話した。

Facebook Messengerの “Remove for Everyone” ボタンのしくみ

Facebookこの機能を、あらゆる種類のメッセージ——テキスト、グループチャット、写真、ビデオ、リンク等々——を送信後10以内に削除できるようにすることに決めた。自分の側の会話からはどのメッセージを削除することも可能だが、相手の受信箱から削除できるのは自分が送ったメッセージだけだ。送られてきたもの相手の送信箱から消すことはできない、と同機能の広報マネージャーのKat Chuiが私に言った。そしてFacebookは、削除後の短期間メッセージの複製を保管しておき、嫌がらせの通報があったときに間違いなく確認できるようにする。

送信取消機能を使うには、送信したメッセージをタップ&ホールドし、”Remove” を選択する。次に”Remove for Everyone”または “Remove for you”のどちらかを選ぶ。後者は現在の「削除」に代わるもので、相手の受信箱のメッセージはそのままだ。前者を選ぶと次の警告文が表示される、「このメッセージを全チャットメンバーから永久に削除します。相手にはあなたがメッセージを削除したことがわかり通報することもできます」。削除を承認すると、「[送信者の名前]がメッセージを削除した」ことを示す1行テキスト(墓石と呼ばれている)がスレッドのそのメッセージのあった位置に表示される。削除されたメッセージの悪質行為などについて通報するには、送信者の名前をタップし、”Something’s Worng” までスクロールしたあと、嫌がらせやなりすましなど適切なカテゴリーを選ぶ。

なぜ時間制限は10分なのか? 「まず現在の削除機能を調べた。その結果、ユーザーが間違えたりいけないものを送ってしまったためにメッセージを削除するのは1分以内だった。これを10分に伸ばすことにしたが、それ以上伸ばす必要はないと考えた」とChudnovskyは説明した。

Facebookのセキュリティーチームが、幹部のメッセージ削除を再開するつもりかどうかはわからない、と彼は言った。しかし、Facebookが今回公開を始めたUnsendボタンはZuckerbergのメッセージに用いたものと「同じものではない」ことを強調した。もしFacebookがユーザーを本当に尊重するなら、幹部から送られた古いメッセージを削除するとき、少なくとも墓石を挿入すべきだ。

Messengerではほかの送信取消機能も作っている。暗号化メッセージングアプリSignalのスレットごとに有効日付をカスタマイズできる機能にヒントを得たChudnovskyは、「もし仮に、全メッセージを6ヶ月後に削除したければ、それも可能だ。これは、スレッドレベルで設定できる」と私に話した。ただしFacebookはまだ詳細を検討している段階だ。ほかに、Facebookが暗号化Secretメッセージ機能のメッセージ単位の有効期限を、その他のチャットに拡張することも考えられる。

「これは、一見単純な作業に見えるかもしれない。実際、サーバーが初期段階からそのように作られていれば非常に簡単だった」とChudnovskyは言った。「しかし、ひとたび13億人が使う規模になってしまうと、ひとつのモデルから別のモデルに変えることは遥かに複雑で、哲学的かつ技術的な問題になる」。願わくは、将来Facebookが幹部のコミュニケーションを操作する超法規的手段を——少なくとも一般大衆に同じ能力を与えた場合の結末を認識するまでは——与えないことを期待したい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ザッカーバーグ、5カ国の議会からの呼び出しを拒否

FacebookはまたしてもCEOを英国議会での証言に送り出すことを却下したー今回は5カ国の議会の代表者で構成される大委員会からの呼び出しだった。

アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、アイルランド、英国の議会は、Facebookの創設者、マーク・ザッカーバーグに世界情勢や民主主義プロセスにおけるプラットフォームの悪意ある使用について問いただすためにプレッシャーをかけようと手を携えてきた。

今年多くの時間をオンライン偽情報の調査に費やしてきた英国議会のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会(DCMS)は昨日、Facebookからの最新のつれない返事を明らかにした。返事は先週あり、ザッカーバーグが面と向かって質問に答えるという大委員会の召喚を却下している。

召喚を拒否するDCMSへの手紙に、Facebookは次のよう記している:「大委員会へのお招きありがとうございます。11月2日付の手紙で説明した通り、ザッカーバーグ氏は11月27日に聴取のあるロンドンに伺うことはできません。お詫び申し上げます」。

「委員会の偽ニュースと選挙に関連する問題検証に伴う調査には引き続き協力いたします」と、Facebookの英国におけるパブリックポリシー責任者Rebecca Stimsonは“Facebookが昨年取り組んできたいくつかのこと”を総括する前に付け加えている。

これは、選挙干渉、政治広告、偽情報とセキュリティに関連する一連のFacebookの活動と検証に要約される。しかし、Facebookがいかに、そしてどのような行動をとってきたかを知るための新たな情報やデータ要素の提供はなかった。

また手紙では、ザッカーバーグがなぜ、ビデオコールなどを使って遠隔から委員会の質問に答えることもできないのか、その理由は書かれていない。

この拒絶に対し、DCMSの委員長Damian Collinsは失望の意を表し、プレッシャーをかけ続けることを約束した。

「Facebookの手紙はまたもやかなり失望するものだ」と彼は書いている。「顧客の個人情報に絡むデータ保護法違反について知っていることを、そしてFacebookがなぜ誤情報のソース、特にロシアの情報機関からのものを特定して行動をとらないのか、マーク・ザッカーバーグは答えるべだと我々は確信している」。

「英国の委員会に対してだけでなく、いまや前例のない国際的な大委員会に対しても証言を拒否し続けるという事実は、彼が何かを隠していると思わせることになっている」。

「我々はこの問題を放置したりはしない。手紙を返すという形式的なものでは決して懸念はぬぐいきれない」とCollinsは加えた。「ミシガン大学がFacebookの“不確か指数”は最近改善してる、としている事実は、Facebookデータ流出の被害にあった人には何の意味もない」。

「我々は11月27日に大委員会を開くという計画を進め、新たに加わる代表者の名前と公聴会の計画を間もなく発表する」としている。

イメージクレジット: Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebook、ユーザーのいいね!や興味分野情報を取り出されるバグを修正

Facebookは、ウェブサイトがユーザーのFacebookプロフィール(いいね!や興味分野など)を本人に無断で取り出せるバグを修正した。

これはImprevaの研究者Ron Masasが発見したもので、Facebookの検索結果がクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)攻撃に正しく対応していなかった結果だ。言い換えると、ウェブサイトはユーザーがブラウザーの別のタブでログインしているFacebookのプロフィールから一部のデータを引き出すことができる。

Masasは、悪意のあるウェブサイトがIFRAME(ウェブサイト内にウェブサイトを入れ子にするために使われる)を使ってプロフィール情報を抜き取るデモを見せた。

「これはドメインを超えて情報をアクセスすることを許すもので、ユーザーが特定のウェブサイトに行くと、アタッカーはFacebookを開いてそのユーザーと友達に関する情報を収集できることを意味している」

悪意のあるウェブサイトが新しいタブでFacebookの検索画面を開き、YesかNoを返すクエリ(たとえばそのユーザーが「いいね!」したかどうか)を実行した際、もっと複雑な結果、たとえばユーザーの友達の中で特定の名前の人や、特定のキーワードを含む投稿、さらには特定地域や都市に住む友人の名前などを返すことがある、とMasasは言う。

「興味分野は友達にしか公開しないセキュリティー設定になっているのに、ユーザーや友達の興味分野が危険に晒されることがある」と彼は言った。

Masasがバグを利用して侵入するところを見せる概念実証の結果(画像提供:Imperva/supplied)

公平を期して書いておくと、これはFacebook特有の問題ではなく、重大な秘密でもない。しかし、アクセスされるデータの性質を考えると、広告主にとって「魅力ある」データかもしれない、とMasasは説明した。

Impervaはこのバグを5月に通報した。後日FacebookはCSRF対策を施し、2つのバグ発見の懸賞金として8000ドルを払った。

FacebookはTechCrunchに、悪用された記録はないと伝えた。

「当社の懸賞プログラムに送られたレポートに感謝している」とFacebook広報のMargarita Aolotovaが声明で言った。「この振る舞いはFacebook独自のものではないため、ブラウザー開発者や関連するウェブ標準グループに対して、他のウェブアプリケーションでこの種の問題が起きるのを防ぐ手段をとることを推奨した」

これはFacebookのユーザーデータが危機に晒された一連のデータ漏洩やバグの最新事例だ。今年起きたCambridge Analyticaスキャンダルでは、政治データ会社が選挙属性の入ったプロフィール8700万人分を取り出した。そこにはユーザーの「いいね!」や興味分野も含まれていた。

数カ月後ソーシャルメディアの巨人は、複数のバグが原因でユーザーのアカウントトークンをハッカーに盗まれたことを認めた。

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Facebookよ、本気なのか?

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、シミュレーションを使って段階的なサービス開始を模索

新しいソーシャルメディアサービス、たとえば画像シェアアプリやニッチネットワークなどを作ろうとするとき、まず考えるのは、出来上がったらできるだけ早く世に出すことだ。しかし、Facebookが行ったシミュレーションや実際に提供されたサービスをいくつか見る限り、小さくスタートするのが良い方法なのかもしれない。

これは容易にシミュレーションできる問題ではないが、「真空状態におかれた球形の牛」の精神に立てば、基本的な仮説をテストするためのもっともらしいモデルを作ることは十分に容易だ。今回のケースでは、研究者はノードのネットワークを作り、そこに「バーチャルサービス」の種を蒔く。そこで一定の条件が満たされれば、別のノードに広がるか、永久に消滅する。
コンウェイのライフゲームをご存じなら、概ね似ているがあれほどエレガントではない。

このシミュレーションでは、サービスが拡散する程度はいくつかの仮定に基づいている。

  • ユーザーの満足度は友だちが同じアプリを使っているかどうかに大きく左右される
  • ユーザーはアプリを少しずつ使い始め、満足度に応じて利用が増減する。
  • ユーザーは不満足なら永久に戻ってこない

これらの条件(および多くの複雑な計算)に基づいて、研究者はさーびずを同時に利用する数を変えてさまざまなシナリオをテストする。

こうした基本的条件の下ではできるだけ多くの人たち(非現実的なので全員ではない)に使わせるのが正しい行動であると考えるてもおかしくない。しかし、モデルを見るとそうではなく、少数の濃密なクラスターノードを作ることが最良の結果を生む。

ここから考えると理由がはっきりする。もし多数の人たちが利用できるようにすると、次に起きるのは、始めに十分な友達を得られなかったり、友達が十分アクティブではなかったノードの大量死だ。この死滅によって近くの他のノードへのつながりが減り、さらに死滅を起こす。それはバーチャルアプリが絶滅に至るほどではないが、多くの脱落者が出たため利用人数は永久に制限される。

一方、自給自足できるクラスターを少数作って利用数を高く維持すれば、通常速度で隣のノードに伝播していき安定成長、低脱落、高利用数が約束される。開始時にサービスを離れる人がずっと少ないからだ。

これが現実世界でどうなるのか見てみよう。小規模でアクティブなコミュニティー(社会的に活躍する写真家、有名人、インフルエンサーなどとそれらのネットワーク)にアプリを提供し、既存ユーザーが招待状を送ることて近隣にノードが作られる。

なんのことはない、多くのアプリがすでにこれをやっている! しかし、今それを科学が裏付けたのだ。

これがFacebookの次の大きなサービスに影響を与えるのか? おそらくないだろう。おそらく担当者たちは判断を下すための要素がほかにいくつもあるだろう。しかしこうした研究でクラウドとグループ意思決定をシミュレーションすることが、精度を高め利用を増やすことは間違いない。

FacebookのShankar IyerどLada A. Adamicによるこの研究は、International Conference on Complex Networks and their Applications[複雑ネットワークと応用関する国際会議]で発表される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookがPortalの発売を開始、プライバシーと広告のポリシーをあらためて説明

Portal現象に早く一枚加わりたい、と願っていたあなた、Facebookは今日(米国時間11/7)、そのビデオチャットデバイスの発売を開始する、と発表いたしました。同社の初めての本格的な専用ハードウェア製品には、構成が二種ある: AmazonのEcho Showに似たPortalと、大型のPortal+だ。お値段はそれぞれ、199ドルと349ドルである。小さい方は、二つで298ドルという売り方もある。

このデバイスが先月初めに発表されたときには、プライバシーを心配する声があった。同社はそれらの問題の一部を、ローンチ前に蕾のうちに摘み取ろうとした。なにしろ2018年は、Facebookのプライバシーにとって散々な年だった。同社はその後数週間、データ追跡と広告のターゲティングに関してあいまいな言い訳に終始し、またまた点を下げた。

そのことが念頭にあるFacebookは、ローンチを告げるブログ記事でPortalのプライバシーについてさらに呪文を並べた。その筆頭は、同社はビデオ通話を見たり聴いたりしないことを約束する、だ。通話は暗号化され、またすべてのAI技術はデバイス上でローカルに実行される。同社のサーバーには送られない。

その記事でFacebookはさらに、Portal上の会話の扱いはMessengerのそれと同じである、と約束している。その意味は、通話をのぞき見しないが、実際には使用データを追跡し、その後それをクロスプラットホームな広告に利用するかもしれない、ということだ。

Facebookはこう書いている: “Portalでビデオ通話をするとき、Messengerができるデバイス上と同じデバイス使用情報をわれわれは処理する。それには、音量レベル、受信量バイト数、フレームの解像度などが含まれる。そのユーザーの通話の頻度や長さが含まれることもある。この情報の一部は、広告目的に使われることもある。たとえばユーザーの大量の通話が、その人が見る広告を知る手がかりになるかもしれない。この情報には、通話の内容は含まれない”。

言い換えると、同社は個人を同定できるデータは集めないが、情報は追跡する。そして率直に言って、Facebookのアカウント保有者はすでにそういう条件で登録しているのだ。問題は、それのまた新たなレベルが登場してリビングルームやキッチンに入ってきても、ユーザーは平気かどうか、という点だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

中間選挙はボットに歪められた2016年の大統領選挙の尾を引くのか?

[著者:Tiffany Olson Kleemann]

Distil NetworksのCEO。SymantecとFireEyeの元役員であり、ジョージ・W・ブッシュ大統領の下でサイバーセキュリティー・オペレーション首席補佐官代理を務めていた。

ロシアのボットがソーシャルメディアに侵入し、2016年の米大統領選挙に影響を与えたという事実は、これまでにも数多く報道されてきたが、いまだにその手口の詳細を伝えるニュースが後を絶たない。

実際、10月17日、Twitterは、2016年に4611件のアカウントによる海外からの妨害があったと発表している。そのほとんどは、ロシアのトロル集団であるInternet Research Agencyによるもので、100万件を超える疑わしいツイートや、200万件を超えるGIF画像、動画、ペリスコープ動画配信があった。

現在、もうひとつの重要な選挙が行われているが、最近の世論調査では、アメリカ人の62パーセントが、2018年の中間選挙は人生でもっとも重要な中間選挙になると考えているという(公的機関も一般市民も、2016年の教訓を学んでいるのかを疑うのは自然なことだ)。こうした国家単位の不正行為を撃退するために、何ができるのだろうか。

ここに、いいニュースと悪いニュースとがある。まずは悪いほうからお話ししよう。

2016年の大統領選挙から2年が経ったが、ソーシャルメディアはいまだに『熱狂する広告塔』というリアリティー番組を流し続けているように見える。自動化されたボットが、特定の観点を誇張するコンテンツを生成し増幅させることなくして、この世界では大きな地政学的イベントは起こりえない。

10月中旬、Twitterは、ジャーナリストのジャマル・カショギ失踪に関するサウジアラビア寄りの話題を一度に大量にツイート、リツイートしたとして、数百件のアカウントを停止した。

10月22日、ウォール・ストリート・ジャーナルは、NFLの選手が国歌演奏中に片膝をついて抗議の態度を示したことに関する論争を、ロシアのボットが煽っていたと報じた。クレムソン大学の研究者が同紙に伝えたところによると、Internet Research Agencyに属する491のアカウントから、1万2000件以上の投稿があり、2017年9月22日、トランプ大統領が、国歌演奏中に片膝をついた選手はチームのオーナーがクビにすべきだと話した直後に、その数はピークに達している。

この問題はアメリカ国内だけにとどまらない。2016年のイギリスのEU離脱に関する国民投票にボットが影響を与えたと指摘された2年後、スウェーデンの総選挙を目前にした今年の春と夏に、移民に反対するスウェーデン民主党を支持するTwitterのボットが急増した

この他にも、ボットによる偽情報の問題は続いている。しかし、そんなに悲観することもない。前進している部分もある。

写真提供:Shutterstock/Nemanja Cosovic

第一に、問題解決には意識を変えることが第一歩となる。ボットによる妨害が新聞の大見出しを騒がせるようになったのは、ここ2年ほどのことであることを認識しよう。

ピュー研究所が今年の夏に、成人のアメリカ人4500名を対象に行った調査では、アメリカ人のおよそ3分の2がソーシャルメディアのボットについて聞いたことがあり、その人たちの大半が、ボットが悪用されることを恐れているという(ただし、偽アカウントを見破る自信があると答えた人は非常に少なかったことは気がかりだ)。

第二に、政治家も行動を起こしている。カリフォルニア州知事ジェリー・ブラウンは、9月28日、人工物であることを隠してボットを使用すること禁止する法律に署名した。これは2019年1月から発効される (選挙民の判断に影響を与えないように、またその他のあらゆる目的での使用を阻止するのが狙いだ)。これは、チケットを自動的に購入するボットを禁止する全国的な動きに追随するものだ。アメリカにおいて、チケット購入ボット禁止の先駆けとなったのは、ニューヨーク州だった。

政治家がこの問題を認識し関心を高めるのは良いことだと思うが、カリフォルニアの法律には穴があるように思える。通常、ボットネットワークを操っている人間を特定することは非常に困難であるため、この法律の実効性が疑われる。罰則も曖昧だ。国家的な、または国際的な事柄に攻撃を加える者に対して、ひとつの州ではそもそも力が及ばない。とは言え、この法律はよい出発点になるだろう。この問題を真剣に考えているという政府の態度を示すことにもなる。

第三に、2016年のボットの活動に適切に対処できなかったソーシャルメディア・プラットフォームは、議会の厳しい調査を受けることで、悪質なボットをピンポイントで特定し排除することに積極的に取り組むようになった。

TwitterもFacebookも、ある程度の責任はあるものの、それらも被害者であることを忘れてはならない。こうした商用プラットフォームは、悪い人間に乗っ取られて、彼らの政治理念や信条の宣伝に利用されたのだ。

TwitterやFacebookは、人間か、人間ではない偽の存在が人間を装っているのかを見破るための努力をもっと早く始めるべきだったと言う人もいるが、ボットは、つい最近知られるようになったサイバーセキュリティー上の問題だ。従来のパラダイムでは、ハッカーがソフトウエアの脆弱性を付いてセキュリティーを突破するという形だったが、ボットは違う。ボットはオンラインビジネスの処理過程に攻撃を仕掛けるため、通常の脆弱性検査方式では検出が難しいのだ。

Twitterの10月17日のブログには、2016年の偽情報の不正操作の範囲に関する情報が書かれていて、その透明性には素晴らしいものがあった。「情報操作と組織的な不正行為が収束することはないことは明らかだ」と同社は話している。「この種の戦術は、Twitterが生まれるずっと前からあった。地政学的な地域が世界に広がり、新しい技術が登場するごとに、彼らはそれに順応して形を変える」

これが、私が楽観視する第四の理由につながる。技術の進歩だ。

1990年代後半から2000年代前半にかけてのインターネットの黎明期においては、防護技術が未発達だったため、ネットワークは、ワームやウイルスといった攻撃を受けやすかった。今でも侵入事件は起きているが、セキュリティー技術はずっと進歩し、攻撃を許してしまう理由は、防護システムの不具合よりも人間の操作ミスのほうが多いという状況になっている。

ボットを検出し被害を抑える技術は進化を続けている。今日のメールのスパムフィルターのように、自動的に効率的にボットを排除できる技術がいずれ確立されるものと、私は思っている。今はネットワークの中だけで働いているセキュリティー機能の統合が進み、プラットフォーム全体に及ぶようになれば、より効率的にボットの脅威を検知し排除することが可能になる。

2018年のうちはまだ、ボットに気をつけなければならないが、世界はこの課題に本気で取り組でいて、明るい未来を予感させる素晴らしい行動が見え始めている。

健全な民主主義と、インターネットでの企業活動は、そこにかかっている。

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(翻訳:金井哲夫)

デートサービスのTinder、有料ユーザー410万、年間予測売上8億ドルに

デートサービスのTinder、有料ユーザー410万、年間予測売上8億ドルに
Facebook Datingは、Tinderを所有するMatch Group(NASDAQ: MTCH)の敵ではなかった。同社は火曜日(米国時間11/6)に第3四半期決算を発表、1株あたり利益は44セントだった。

TinderのほかHinge、Ok Cupid、PlentyOfFishなど複数ブランドのインターネットデートサービスを所有するMatchは、アナリスト予測売上4.37億ドルを超え、Q3売上は対前年比29%増の4.44億ドルを記録した。

年間予測売上は17.2億ドルになるとMatchは言っている。

好調な売上にも関わらず、同社の4Qへの見通しはウォール街を満足させられなかった。MatchのQ4売上予測4.40~4.50億はアナリスト予測の4.545億ドルに届かなかった。その結果Matchの株価は時間外取引で10%下落した。

今年に入ってからMatch株は約60%上昇している。

位置情報ベースのモバイルデートアプリケーションTinderは、依然としてMatchの成長を支える原動力として同社の有料ユーザーの約半数、年間予測売上の約半分を占めている。Matchの購読ユーザー総数はQ2の770万人から810万人になり、対前年比23%増だった。成長の大部分はTinder Goldによる。これはTinderのプレミアム購読サービスでユーザーは以前「いいね!」した相手をスワイプせずに見ることができる。全体でTinderの有料ユーザーは、前四半期の380万人から410万人に増えた。

Tinderは2018年の年間売上を8億ドルと予測している。

6月にMatchが買収したもうひとつのアプリベース・デートサービスHingeも好調だ。Matchによると、最初に投資してからダウンロード数は5倍になっているという。

さらにMatchは初めて、1株あたり2.00ドルの特別配当金をMatch Groupの普通株およびClass B普通株に対して12月19日に支払うことを発表した。

Matchは引き続き戦略的M&Aの機会をうかがうとCEO Mandy Ginsbergは声明で語った。

「われわれには長期的潜在能力のある革新的製品を見つけたときに会社を買収する財務的余裕がある」と彼女は言った。

報道によると、同社はTinderの競合Bumbleの買収を複数回にわたり試みたが、両社間の厄介な法廷闘争によってその可能性とはなくなった。最近Bumbleは、Matchに対する4億ドルの訴訟を取り下げたことを発表した。同社はMatchが買収交渉中に企業秘密を不法に入手したと主張していた。Bumbleはこの訴訟を州裁判所に再申請する可能性がある。

ダラス拠点のMatchはIACの傘下にあり、、IAC自身の決算報告は明日の市場閉鎖後に行われる。

画像出典:S3studio / 投稿者 / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アメリカの中間選挙まであと数時間、Facebookは‘組織的な不正行為’で100あまりのアカウントを削除

Facebookは、30のアカウントと85のInstagramアカウントを同社の言う“組織的な不正行為”により停止した。

Facebookのサイバーセキュリティ担当Nathaniel Gleicherが、月曜日(米国時間11/5)の夜晩くに最新の発見を公表した。

“日曜日の夜、アメリカの法執行当局が、彼らが最近発見した外国起源と思われるオンラインのアクティビティに関してわれわれに接触してきた”、とGleicherは言う。その法執行機関が何であるか、は言っていない。“われわれは直ちにこれらのアカウントをブロックし、目下その詳細を調査中である”。

同社は、あまり多くをシェアすることなく、ただ、“そのアカウントのFacebook Pagesはロシア語またはフランス語のようであり、Instagramアカウントは英語が多かったようだ。それらの一部はセレブを話題にし、ほかは政治的な議論がその内容だった”、とだけ言っている。

Gleicherの記事は、同社が“調査がさらに進んだ段階でさらに詳細を公表するつもり”だが、しかし、この前閉鎖したイラン関連の不正アカウントも、その時点では名前等を公表できる、と誓っている。

さらに問い合わせたが、Facebookのスポークスパーソンは何もコメントしなかった。

この最新のアカウント削除は、火曜日に行われるアメリカの中間選挙の直前、というタイミングだ。火曜日(米国時間11/6)には何百万人ものアメリカ人が投票により新しい国会議員と州知事を選ぶ。この選挙では、大統領就任2年目となるトランプ大統領とその政権の評価が分かる、と言われている。その大統領選は、ロシアの諜報機関による、彼の民主党対立候補に関する不正な情報や悪口の拡散という、裏に国家が控える斉一的な努力の最中(さなか)に行われた。

月曜日の朝になってやっと、コロンビア大学のTow Center for Digital Journalism(デジタルジャーナリズムのためのTowセンター)が、選挙妨害が今でもまだFacebookの大きな問題であり続けている、という報告書を発表した。その報告書は、同社の高級幹部たちはこれまで何度も繰り返して、偽のニュースや不正情報と戦うためにできるかぎりのことをやっている、と約束してきたが、その効果は現れていない、と言っている。

[Facebookはイラン起源の‘組織的な身元詐称行為’でページやアカウントをさらに削除]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、メーシー百貨店内にミニ店舗を提供――年末商戦に向けてスモールビジネスを応援

Facebookはアメリカ全土9都市で物理店舗をオープンすると発表した。これはメーシー百貨店内のポップアップ・ストアで、スモールビジネス100社の商品を扱う。Facebookは今年に入ってThe Market @ Macy’sというプロジェクトを組織し、メーシー店内で臨時のミニ店舗を活用するマーチャントを募っていた。

マーチャントは売上の全額を得ることができる。Facebookもメーシーも手数料は徴収しない。ミニ店舗の開設に伴う一時金についてはFacebookがメーシーに支払う。ポップアップ・ストアはオンラインのニュースフィードの投稿によく似たデザインで「いいね!」ボタンまで揃っている。実店舗でありながらFacebook上でショッピングしているような感覚だ。

この事業でFacebookは直接手数料を得るわけではないが、多くのスモールビジネスにFacebook広告の効果を認識させ、広告収入のアップを図ろうとしている。最近のInstagram広告やストーリーズにおけるインスタント・プロモーション広告の効果の分析結果から、Facebookはスモールビジネスのようなロングテール広告主との関係をさらに密接化していくことの重要性を再認識したという。また従来のニュースフィード広告からストーリーズや個別メッセージ広告へのシフトを促す狙いもある。

Facebookの北アメリカ・マーケティング部門の責任者、Michelle Kleinはこう書いている。

メーシー百貨店を訪れる消費者は小児がんの患者を助ける帽子やアパレルを販売するLove Your Melonや裏庭バーベキューから出発して50州にハンバーガー・チェーンを拡大したCharleston Gourmet Burgerなどを直接体験できる。

ポップアップ・ストアは今日から来年の2月2日までメーシー店内のThe Market @ Macy’sコーナーで営業する。場所はニューヨーク、ピッツバーグ、アトランタ、フォートローダーデール、ロサンゼルス、サンアントニオ、ラスベガス、サンフランシスコ、シアトルの9か所だ。ブランドには視覚障害者を助けるアパレルのTwo Blind Brothersを始め、Bespoke Post、Inspiralized、Mented Cosmetics、Linkなどライフスタイル、美容、食品など多様なジャンルが含まれる。Facebookが物理店舗事業を開始するのは初のハードウェアであるFacebookのビデオチャット用デバイスの発売にタイミングを合わせている。

またFacebookは向こう3週間にわたってニューヨーク市のグランドセントラル・ステーションで大々的な広告キャンペーンを実施する計画だ。このキャンペーンではグランドセントラル・ステーション内の115か所に36種類、600枚の広告が掲出される。Facebookでは参加するストアの広告をInstagramアプリ内にも掲出する。 また参加マーチャントはFacebookの Creative Shopのデジタル・デザインを無料で利用できる。

Facebookの収入の伸び率はこのところ急速に減少している。2016年第3四半期に59%だったものが、2017年同期には49%、2018年同期には33%に落ち込んでいる。この広告売上の伸び率の低下にともない、Facebookの歴史上珍しく、株価も不安的な動きを見せている。Facebookはさらに対話的でリッチな体験を約束する広告フォーマットへのシフトを図っているが、こうした広告はコストも増大するため広告予算に限りがあるスモールビジネスには浸透しにくい。メーシー店内のポップアップ・ストアのようなプロジェクトは、こうしたロングテールのスモールビジネスを喜ばせ、Faceboo広告にしっかりつなぎとめる効果があると思われる。

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滑川海彦@Facebook Google+

ザッカーバーグ、英国とカナダの両議会から共同召喚

英国とカナダのそれぞれの議会の委員会が、前例のない国境を超えた共同の召喚状をFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグに送った。

両国の委員会は、民主プロセスにおけるオンライン偽情報の影響を調査していて、今年綿密な取り調べが行われてきたCambridge AnalyticaとFacebookによるユーザーデータ悪用スキャンダルに関連する質問について、ザッカーバーグに回答してほしいと考えている。

さらに広げていうと、両委員会はソーシャルメディアプラットフォームを通じたオンライン偽情報の拡散に関連する民主的な影響と経済的なインセンティブの調査を続けるにあたり、Facebookのデジタルポリシーと、情報ガバナンスの実践についてさらなる詳細を求めているーこれは少なからず最近のデータ流出に基づいている。

今日Facebook創業者に送られた手紙の中で、英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)委員会と、カナダの情報アクセス・プライバシー・倫理常任委員会(SCAIPE)の委員長、Damian CollinsBob Zimmerは、“偽情報とフェイクニュースについて国際的な委員会”を組織するため、11月27日に“ウェストミンスター国会議事堂で特別な共同の議会公聴会”を開催する意向だと記している。

そして「これは我々委員会が主導するが、他にも多くの議会が出席するだろう」と続けている。「このような共同の公聴会はこれまで開かれたことがない。Facebookを“修理”する、世界の事案や民主プロセスにおけるプラットフォームの悪用を防ぐ、という自己宣言した目標を考慮し、この公聴会に出席する機会を提供したい」としている。

両委員会とも、オンライン偽情報に関する最終的なレポートを12月末までに出す予定だ。

DCMS委員会は、Facebookの代表やデータ専門家など呼び出してかなりの公聴会を開いたのち、すでに予備レポートをこの夏に発表している。レポートの中で、オンライン偽情報と闘い、またデモクラシーを守るために政府に早急な対策を求めている。また、レポートにはデジタルリテラシーについての教育プログラムの費用を賄うためにソーシャルメディアプラットフォームに課税する、という提案も含まれている。

しかしながら英国政府はこれまでのところ、委員会の提案の多くを却下しているー明らかに‘待って証拠を集める(そして/または政治的に緊迫した問題を茂った草の中に蹴り込む)アプローチを好んでいる。

一方で、いわゆる‘フェイクニュース’が引き起こした民主主義へのダメージに対するカナダの関心は、Cambridge Analyticaに関係していたデータ会社AIQにより大きくなった。AIQはCambridge Analyticaのデータ取り扱いとシステムデベロッパーを担う企業の1社でーCA問題を暴露したChris Wylieは、彼の元雇用主にとって不可欠な部門だったと表現しているー汚れ仕事を引き受けていた。

SCAIPE委員会はすでに、AIQの代表者に尋問する複数回の激しいセッションを設けたーこれは少なくとも大西洋の向こうの議員からかなりの関心が寄せられた。

同時にDCMS委員会は、オンライン偽情報について数カ月にわたる調査の中で、FacebookのCEOを呼び出そうと繰り返し試みたが、失敗に終わった。その代わり、Facebookは何人ものそう高い地位でないスタッフを差し出し、ついにCTOのMike Schroepferの出番となった。Schroepferは見るからにイラついた委員会のメンバーに5時間にもわたって火あぶりにされた。だが、そこでSchroepferが答えた内容は満足するものではなかった。

選挙干渉に関する政治的な懸念が今年になって急に高まり、ザッカーバーグは4月、米国の上院と下院であったセッションに出席したー議員の質問に向き合うためだ(しかし必ずしも答える必要はない)。

彼はまた欧州議会の会議にも出席したーそこでは疑念をはらすために議員に質問ぜめにされた。

しかし英国議会はずっと冷たく扱われてきた。とうとう、DCMS委員会はザッカーバーグが次に英国の土を踏んだ時には正式な召喚状を発行するかもしれないとの発言に及んだ(当然ザッカーバーグは英国を訪れていない)。

そして委員会はいま、別の策を試みているー国際的な議員による大連立というものだ。最低2カ国、それ以上になる可能性もある。

英国とカナダの委員会の委員長が、ザッカーバーグが“すべての議会”に出席することができないのは理解しているとしながらも、他の国にいるFacebookユーザーはザッカーバーグの組織の一連の説明責任を、直接的にはザッカーバーグの説明責任を必要としているとし、加えて「我々は、この責任はあなたが負いたいものであると考えている。両委員会はこの件に関して2018年12月末までに最終レポートを出す計画だ。あなたの証言の聴聞はすでに遅れていて、急を要する」と述べている。

「我々は、この歴史的な機会を活用してあなたが大西洋両サイドの国々の議員に、プラットフォームでの偽情報の拡散を抑止するために、そしてユーザーデータを保護するために取っている方策について語ることを求める」とも書いている。

しかしながらこれまでのところ、米国外でザッカーバーグとの面会を確保できたのは、欧州連合の28加盟国の代表議員だけだ。

それを考えると、今回の召喚も冷たく扱われる可能性はかなりある。

「我々は委員会の手紙を受け取り、期日までにMr Collinsに返事をする」とFacebookの広報は、TechCrunchが今回はザッカーバーグが出席するのかと訪ねた時にこう答えた。

委員会は11月7日までに返事するよう求めている。

おそらくFacebookは新しいグローバルポリシー責任者のNick Cleggを送り込むだろうー彼は以前、英国の副首相を務めていて、少なくとも英国の議員にはかなり馴染みある人物だ。

たとえCollinsの最新の策がザッカーバーグを呼び出せなくても、どこかの国よりも大きなスケールのユーザーベースを抱えるFacebookのような世界的プラットフォームを監視する政府のチャレンジを考えた時、2つの委員会が現在とっている国際連合というアプローチは興味深い。

もし2つの委員会が共同公聴会に他国の議員を誘っていたらーたとえば、Facebookのプラットフォームが部族間抗争をエスカレートさせたとの非難があるミャンマーなどー召喚はザッカーバーグにとってかなり無視できないものになっていたかもしれない。

Facebookは主張している。「我々は説明する義務がある」。そしてザッカーバーグはCEOだ。(しかしながらFacebook/ザッカーバーグが誰に対して責任があると感じているのかは示されていない)。

国際的な共同の委員会を設けるというのは新たな戦略だが、英国とカナダの議員、そして当局はすでに何カ月にもわたって協働しているーそれぞれの質問や調査の一部のための動きで、彼らは複雑なデータ追跡の糸口を探し、超国家企業の構造を理解している。

(意図した結果となるような世論の操作で)政治とソーシャルメディアが衝突したもつれたウェブをみるとき、一つのことがますます明らかになる。インターネットの相互接続、クロスボーダーという性質だ。特に資金たっぷりのデジタル政治キャンペーンと噛み合った時に鮮明だ。実際、個人データが入ったバケツは、従来の法体系に国家レベルでかなりの負担をしいている。

英国の法律がそうであるように、国の選挙法は選挙運動費のようなものへの規制に頼っていて、共同の作業は実際に金を追跡し純粋に流れの地図をつくれなければ効果はないだろう。

英国のデータ番犬が警告したように、オンラインの政治ターゲット広告での個人データ使用が懸念される場合、倫理が真っ先に、そして中心にこなければならない。

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(翻訳:Mizoguchi)

FacebookのQ3決算結果にもかかわらず株価は上昇

Facebookの前四半期の決算は、発表後に株価が20%も下落するという悲惨なものだったが、2018年第3四半期もまごついた。月間ユーザーは1.79%3700万人増の22億7000万人に達したー第1四半期のそれまでで最も低い成長率となった1.54%をわずかに上回っただけで、市場予想の22億9000万人を下回った。デイリーアクティブユーザー数は2400万人増えて14億9000万人に達し第1四半期から1.36%増えたが、市場予想の15億1000万人には届かなかった。

しかし、真の成長度合いは、前四半期でゼロ成長となり100万人の月間ユーザーをそれぞれ失った、米国/カナダと欧州マーケットではかられる。第3四半期では米国/カナダ地域で月間ユーザーが100万人増の2億4200万人に達したが、デイリーユーザー数は1億8500万人と横ばいだった。欧州では、デイリーユーザー、月間ユーザーともに100万人減少した。この2つのマーケットで売上の70%を占めていて、だからこそこれらのマーケットでの成長の鈍化は市場を脅かしている。

欧米ユーザーの成長率とともに売上は緩やかに

Facebookの事業に関しては、売上高は137億3000万ドルと、リフィニティブがまとめた予測137億8000万ドルを下回り、1株あたりの利益は1.76ドルで、リフィニティブの1.47ドルを上回るというちぐはぐの内容となった。売上高は前年同期比33%増だったが、1年前の49%増、2016年の59%増に比べると伸びはかなり鈍化している。

Facebookは第3四半期では1億5900万ドルもの外国為替による逆風があったとした。Facebookの広告収入の92%がモバイル経由で、これは前四半期の91%から上昇した。ソーシャルネットワークを考えるとき、デスクトップのウェブサイトのことではないのは明らかだ。

長期的には、Facebookはコアマーケットでの成長をアジア太平洋地域やその他の発展途上国における拡大にとって代えることはできない。Facebookの全世界におけるユーザー1人あたり売上は6.09ドルだが、地域差は大きい。米国/カナダではユーザー1人あたり27.61ドル、欧州では8.82ドルなのに対し、アジア・太平洋地域では2.67ドル、その他地域では1.82ドルだ。事実、その他地域での1人あたり売上は4%減少していて、これはユーザーがNews Feedをブラウズしたり広告をみたりするのに使う1日あたりの時間が少なくなっているかもしれない、ということを意味する。

決算報告で株価は上下

Facebookの株価は決算報告前146.22ドルだった。それでもこれは、ユーザー数の成長での陰りと売上高の成長の減速がみられた第2四半期決算を発表する前のピーク株価217ドルよりずいぶん低い。株価は今回の決算報告で2%上昇した。これは、純利益が51億4000万ドルだったこと、前四半期で横ばいだった北米でのユーザー数が100万人増えたことが部分的に寄与している。しかし株価は決算報告の間、終始大きく上下していた。

決算報告でザッカーバーグは、Facebookのアプリ上で1日あたり1000億ものメッセージが送られたり、Storiesで1日あたり10億のスライドショーが共有されるなど、共有の仕方がプライベートチャットにシフトしていることを強調した。彼は、Facebookの大きな競争相手として、Snapchatではなく、AppleのiMessageやYouTubeを引き合いに出した。そうしたコメントが株価の上昇を逆に向かわせ、5%安につながった。しかし、その後、ザッカーバーグは人々に意味のあるビデオをみせるという正しい解決策をFacebookが見つけ、これにより収入につながるビデオ広告の閲覧に関するいくつかの制約を取り除くことになると述べた。この発言により、時間外取引で株価は3%高となった。

Facebookは、あらゆる面で困難な状況にある中でも事業は成長し続けられるということを示したかった。事実、Facebookは「いまや26億人超がFacebook、WhatsApp、Instagram、Messengerを毎月使っている」とし、この数字は前四半期の25億人より増えている。Facebookはまた、平均20億人超が、Facebookが提供するいずれかのサービスの少なくとも1つを毎日使っている、という新たな統計も明らかにした。こうした統計の目的はというと、Facebookを去ったユーザーの一部は他のサービスを使っていると人々に知らせることでFacebookそのものの低成長から注意をそらすことにある。

しかしそれでも、選挙干渉からかつてなく大きなセキュリティ問題に至るまで引きも切らないスキャンダルは、Facebookの売上高や純利益に影を落としている。次の四半期は、セキュリティ問題でユーザーが逃げることになったのかどうか、安全のためにFacebookがユーザーをログアウトした後にユーザーが再び戻ったのか、それとも戻らなかったのかが明らかになる。

フェイクニュースや選挙干渉を食い止めるために徹底的に調査することで、そしてバイラルビデオや、ユーザーの健康や社会にとってひどいものであるクリックベイトなどを少なくすることで、この会社は賞賛されるべきなのだということを思い出そう。Facebookは、セキュリティとコンテンツモデレーションにかかるスタッフを今年1万人から2万人に倍増させた。そうしたスタッフの数は前年比45%増の3万3606人となった全社員の半分超を占める。Twitterの株価は先週発表した第3四半期の好調な決算により上昇した。しかしTwitterはハラスメントや誤報へのはっきりとした対策は打ち出していない。Facebookはまだプライバシーやセキュリティについてずさんであるものの、少なくともそこに多くの金を投入している。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebook、極右グループProud Boysの利用を停止、勧誘手段を断つ

Facebook、極右グループProud Boysの利用を停止、勧誘手段を断つ
FacebookProud Boysを排除している。白人至上主義グループとつながりのある極右市民組織だ。Business Insiderが最初にこの決定を報じた。Facebookは、Proud BoysをFacebookとInstagramから排除することをTechCrunchに正式に伝え、同グループ(恐らくリーダーのGavin McInnesも)が同社のヘイト行動集団/人物の定義に合致したことを示した。

Facebookは以下の声明を送ってきた:

「われわれは組織的ヘイト行動およびヘイトスピーチ傾向の研究を続け、パートナーの協力を得てヘイト行動組織の変化状態の理解を深めている。当社はそうした組織や個人をプラットホームから排除すると共に、それらに対する称賛、支援も見つけ次第排除している。今後もわれわれのポリシーに違反するコンテンツ、ページ、および人々の監視を続け、コミュニティーの安全を保つためにヘイトスピーチとヘイト組織に対して行動を起こしていく」

他のオンライン発の極右グループと比べても、Proud Boysがソーシャルネットワークを通じて与える影響は膨大だ。工作員でVice誌ファウンダーのMiInnesが設立した同組織は、主たる勧誘手段としてFacebookに依存している。本誌が8月に報じたように、Proud Boysは驚くほど複雑なネットワークを運用し、多くの地方、地域のFacebookグループを通じて新しいメンバーを集めている。彼らはあらゆる面でFacebook依存している——Proud Boysのホームページからも、Facebookグループにリンクを貼ってメンバー候補者を誘導している。

本稿執筆時点でFacebookの停止措置はProud Boysグループの一部に適用されているが、されていないグループもある。Proud BoysファウンダーのMcInnesのプロフィールは今も有効のようだ。Facebookの同組織に対する決定は、最近ニューヨークで、暴行、武器不法所持、集団暴行などの罪でProud Boysのメンバー5人が逮捕されたことを受けたものと思われる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookはイラン起源の‘組織的な身元詐称行為’でページやアカウントをさらに削除

Facebookは、イラン起源の“組織的な身元詐称行為”として、82のページとグループとアカンウンとを削除した。

この大手ソーシャルネットワークは先週、その“身元詐称行為”を発見した。同社のサイバーセキュリティポリシーチーフNathaniel Gleicherがブログでそう述べている。彼によると、その作戦はもっぱらアメリカやイギリスの一般市民を名乗る(詐称する)もので、“人種問題や大統領の批判、移民問題など政治色の強い話題に関して投稿を行った”。同社によると、調査はまだ初期的段階だが、そのアクティビティをたどるとイランへ行き着いた。しかし犯人は特定できていない。

Facebookによると、イランの演技者たちのページのうち、少なくとも一つは、フォロワーが100万を超えた。Instagramからも、16のアカウントが削除された(内数)。

演技者たちはFacebookとInstagramで二つの広告に100ドル弱を、アメリカおよびカナダの通貨で支払った。広告の拡散により、Facebookユーザーへの彼らのリーチはさらに大きくなった。

同社はアカウント等削除の前にFBIとAtlanticに、彼らの発見を報告した、とGleicherは言っている。“発見から破壊への移行は1週間足らずで行われた”、という。

今回の削除に対するAtlantic Councilデジタル法科学研究所の分析によると、それらのアカウントは、“人びとのFacebookプラットホームからの離反ではなく、むしろエンゲージメントの強化をねらっている。そのために彼らは、さまざまなミームや、ビデオ、そして彼らの書き下ろしのコメントなどを駆使している”。同研究所によると、そのやり方には“効果があったようであり”、それらのポストは大量のシェアやリプライを受け取っている。

“外交政策に関するメッセージは、初期のイラン支持者たちのそれと歩調を合わせており、それは主に、中東に関するイラン政府側のストーリーを増幅している”、と分析は述べている。“人びとを分断させることを目的とするコンテンツへの彼らの注力は、ロシアの情報工作のやり方と非常によく似ているが、しかしイラン人による工作は保守よりもむしろリベラルをターゲットにしているようだ”。

Facebookは、アカウントとコンテンツの取り下げを、これまでも何回か行っている。たとえば8月には、セキュリティ企業FireEyeの支援のもとに、数百のアカウントとページを削除した。そのときも、イラン人による広範な人心誘導工作が見つかっている。これまでのFacebookのアカウント取り下げ努力は中間選挙をねらったニセ情報の拡散に関連していたが、イランの支援による作戦は、話題が多岐にわたっている。FireEyeによる当時(8月)の分析によると、イラン人たちは、“反サウジ、反イスラエル、パレスチナ人支持など、多様な話題を取り上げ、また、アメリカとイランの核合意など、イランに好意的なアメリカの政策を支持していた”。

Facebookのような大手テクノロジー企業は、2016年の大統領選に始まり、最近ではますます、国家が支援する演技者たちによるニセ情報や嘘のニュースの拡散を強力に取り締まるよう、議会からの圧力に直面している。

いちばん強く懸念されているのは、ロシア政府のために仕事をしているトロルたちの、ニセ情報の拡散による選挙操作だが、Facebook上のニセ情報拡散に関してはイランが、それとは別の強力なチームとして、台頭してきたのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleマップ、店舗を「フォロー」する新機能でFacebookページに対抗

Google Mapsは次々と新機能を追加して、このアプリを単なる場所を探してそこへ誘導する以上のものにしようとしている。最近だけをみても、グループ旅行プラニング音楽のコントロールと通勤情報到着予定時刻(ETA)の共有おすすめのパーソナル化などなど様々な機能を提供してきた。今度はユーザーがお気に入りの店——レストラン、バー、商店など——をフォローする新しい方法を提供し、店の最新情報がすぐ手に入るようにする。

もしあなたがこれを、Google Maps流のFacebookページなのではないかと思ったなら、それは正しい。

同社の説明によると、新たに追加された “follow” ボタンを押して店舗をフォローすると、その店のイベント、特典その他の最新情報が、Google Mapsの”For You” タブで見られるようになる。

イベント、特典や写真満載の記事で来店を促す? そう、それはまさしく実店舗の客をターゲットにしたFacebookページのライバルだ。

Googleによると、店舗はGoogle Mapsプラットフォームを使って、開店前から潜在顧客を呼び込むことができる。

Google My Businessページでで店舗プロフィールを作り開店日などを登録すると、開店の最大3ヶ月前からユーザーのモバイルウェブやアプリ内での検索対象になる。

このプロフィールには、店舗名のすぐ下に開店日がオレンジ色で表示され、ユーザーは 自分のリストに保存することができる。その他住所、電話番号、ウェブサイト、写真などの一般的な店舗情報も見られる。

新しい「フォロー」機能は、すでにGoogle Mapsにある1億5000万箇所以上の施設とそれらを探す数百万人のユーザーが利用できるようになる。

この機能は、今週Googleが正式発表する前から、すでに出回っているところを発見されていた。今後数週間をかけてまずAndroidで公開される。

“For You” タブは現在限られた地域で利用可能で、近々他の国々にも行き渡る予定だとGoogleは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookは新しい機械学習技術で870万件の児童搾取ポストを削除したと主張

Facebookが今日(米国時間10/24)、前四半期には新しい技術により、児童搾取の規則に違反している870万件のコンテンツを削除した、と発表した。同社が昨年来開発してきた新しいAIおよび機械学習の技術は、それらのポストの99%を、誰かがそれを報告する前に削除した、とFacebookの安全性担当のトップAntigone Davisがブログ記事で述べている。

その新しい技術は、児童のヌードなどの搾取的コンテンツをそれらがアップロードされた時点で見つけ、そして必要ならば、写真と説明文書をNational Center for Missing and Exploited Children(失踪および搾取された児童のための全国センター)に報告する。Facebookはすでに、写真マッチング技術を使って、新たにアップロードされた写真を児童搾取やリベンジポルノの既知の画像と比較していたが、新しいツールは、それまで特定されていなかったコンテンツ(既知でないコンテンツ)がFacebookのプラットホームから広まることを防げる。

その技術は完全ではなく、多くの親たちが、自分たちの子どもの無害な写真が削除された、と不平を言っている。Davisはブログ記事の中でそのことを認め、“虐待‘かもしれない’ものでも排除する方針なので、子どもがお風呂に入っているような一見無害で性的でないコンテンツも対象にしている”、と書いている。そしてこの“幅広いアプローチ”のために、前四半期には大量のコンテンツが削除された、という。

しかしFacebookのコンテンツ調整が完全には程遠くて、多くの人たちが、それは悉皆的でも正確でもないと思っている。家族のスナップ写真だけでなくFacebookは、ベトナム戦争の悲惨さの象徴となった1972年のPhan Thi Kim Phucの、“Napalm Girl”(ナパームの少女)と呼ばれている写真まで削除した。最重症のやけど第三度熱傷を負った少女は、村を南ベトナムのナパーム弾で焼かれ、裸で走って逃げていた。FacebookのCOO Sheryl Sandbergは、後日、その写真を削除したことを謝罪した

昨年、同社のコンテンツ調整ポリシーは、イギリスの国の機関である児童虐待防止協会から批判された。その団体は、Facebookは独立の調整機関の下に置かれるべきであり、ポリシーへの違反には罰金が課せられるべきだ、と主張した。Facebook Liveのローンチもときには同社とその調整者たち(人間とソフトウェアによるモデレーター)にとって逆風となり、性的暴行や自殺、殺人などのビデオが批判された。生後11か月の赤ちゃんが父親に殺されるビデオすら、放送されてしまった。

しかしソーシャルメディアのコンテンツの調整は、AIによる自動化が人間労働者の福利に貢献しうることの顕著な好例である。先月、FacebookのコンテンツモデレーターだったSelena Scolaは、何千もの暴力的な画像を調べさせられたために心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder, PTSD)に陥ったとして同社を告訴した。モデレーターの多くは契約社員だが、その多くが、彼らの仕事の精神的重荷について語り、Facebookは十分な教育訓練とサポートや金銭的補償を提供しない、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa