グーグルが政府系ハッカーに狙われている「高リスク」ユーザーにセキュリティキーを無償提供

数日前に国家ぐるみのハッカーに狙われていることを何千人というGmailユーザーに警告したGoogle(グーグル)は「高リスク」のユーザー1万人にハードウェアセキュリティキーを無償で提供すると発表した。

この警告はGoogleのThreat Analysis Group(TAG)が送信したもので、1万4000人超のGmailユーザーに対して、ロシアの情報機関GRUの工作員で構成されているといわれるAPT28(別名Fancy Bear)による国家主導のフィッシングキャンペーンの標的になっていると注意を促した。Fancy Bearは10年以上前から活動しているが、米民主党全国委員会へのハッキングや、2016年の米国大統領選挙での偽情報拡散や選挙へ影響を与えるキャンペーンを行っていたことで広く知られている。

「これらの警告は、妥協ではなくターゲティングを示しています。あなたに警告する場合、当社が阻止する可能性はかなり高い」。GoogleのTAGディレクターであるShane Huntley(シェーン・ハントリー)氏は米国時間10月7日、Twitterで述べている。「今月の増加している数は、広範囲をターゲッにしたブロックされた少数のキャンペーンによるものです」。

ハントリー氏は、活動家やジャーナリスト、政府関係者などの個人にとっては、こうした警告は普通のことだと付け加えたが、それは政府が支援するハッカーがターゲットにしているからだ。「活動家、ジャーナリスト、政府関係者、あるいは国家安全保関連の仕事をしている人にとって、この警告は正直、驚くべきことではありません。政府の支援を受けたハッカーが、ある時点であなたに何かを送ろうとするでしょう」と彼はいう。

Googleはブログで、2021年中にセキュリティキーを送付し、標的型オンライン攻撃の危険性がある可視性の高い機密情報を持つユーザーを保護するAdvanced Protection Program(APP)への登録を促すと述べた。セキュリティキーは、正規のウェブサイト上でのアカウントのロック解除にしか使用できないため、フィッシング攻撃しにくくなる。

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また、Googleは、最もリスクの高いユーザーのセキュリティを強化するために、国際選挙制度財団(IFES)、国連女性機関(UN Women)、非営利団体Defending Digital Campaigns(DDC)との新規および拡張パートナーシップを発表した。

DDCとの提携により、Googleは2020年の米国の選挙期間中、180以上の連邦政府のキャンペーンにTitan Security Keyを提供しており、現在は州レベルのキャンペーンや政党、委員会、関連組織に対して、サイバー攻撃からの保護に関するワークショップやトレーニングなど、さらなる保護を提供するために同組織と協力していると述べた。

画像クレジット:Veanne Cao / TechCrunch

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

Googleフライトが航空便それぞれの炭素排出量の推計値を計算

米国時間10月6日、Googleがに、フライトの環境への影響を示す新機能を立ち上げた。検索結果で出るほとんどすべてのフライトの炭素排出量の推計が見られるようになる。その推計値は価格の隣にあり、フライトが続く間表示される。Googleによると、この新しい機能によりユーザーは、便を予約するときに料金や時間だけでなく、炭素排出量も搭乗するフライトを選ぶ基準にすることができる。

推計値は、フライトと座席により異なる。例えば推計排出値は、エコノミーかファーストクラスかで異なり、席の専有スペースが大きいほど総排出量も多くなる。また、最新の航空機は古い機種よりも大気汚染が少ない。

排出量が少ないフライトにはグリーンのバッジが付く。フライトを探すとき炭素への影響を優先したい者は、検索結果をソートして、最少排出値の便をリストのトップに載せられる。フライトは排出量の程度を、高い、普通、低い、不明などとラベルでマークされる。

Googleは推計値を、European Environmental Agency(欧州環境機関)のデータと、航空会社が提供する情報から計算する。後者は、航空機のタイプや座席数などだ。ただし同社によると、炭素排出量の実値は機種や構成、機の速度、高度、出発地と目的地の距離などによっても異なる。計算方法の改良は今後も続けるそうだ。

Googleの旅行プロダクト担当副社長Richard Holden(リチャード・ホールデン)氏は、ブログで「Googleフライトの今回のアップデートは、人びとが毎日の生活の中でなるべく持続可能な選択ができるようにするための、多くの方法の1つにすぎない」と述べている。

Googleフライトのこの最新のアップデートは、同社がGoogleマップで米国のエコフレンドリーなルートを提示するようになった時期と一致している。エコフレンドリーなルートとは、目的地に最も早く到着できて、使用する燃料がルートのことだ。Googleの計算では、この機能によりGoogleマップのユーザーは1年で100万トン以上の炭素排出量を減らせるという。Googleマップの本機能は、ヨーロッパでは2022年に導入される。

関連記事:Googleマップが米国で「最も環境に優しい」ルート検索機能を提供開始

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Googleマップが米国で「最も環境に優しい」ルート検索機能を提供開始

Google(グーグル)は米国時間10月6日、2021年初め発表した「エコフレンドリールート」機能を、米国のiOSおよびAndroidユーザー向けに提供開始し、欧州では2022年にサポートを開始することを発表した。この新しいルート案内オプションは、ドライバーが最速ルートと最も燃費の良いルートから選択できるようにするもので、今回のリリースのハイライトであることは明らかだ。それに加え、Googleマップには他にも2つの新機能が追加される。1つは、ルート案内は必要だがターンバイターンのナビは必要ないというサイクリストのための新しい「Liteナビゲーション」モード(今後数カ月以内に提供開始予定)、もう1つは、ベルリンでDonkey Republicの自転車を利用したいときのための、自転車やスクーターのシェア情報の拡充だ。

関連記事:グーグルがマップの3D表示大型アップデートを予告、屋内でのARルート案内など新機能を多数発表

Googleマップのトランスポーテーション部門シニアディレクターであるRussell Dicker(ラッセル・ディッカー)氏はこう述べた。「エコフレンドリーなルート検索機能では、常に最速のルートを表示し、さらに燃費の良いルートも表示します。数回タップするだけで、異なるオプション間の相対的な燃料節約量や、ETA(到着予定時刻)の差がある場合はその差を確認し、自分に最適なものを選ぶことができます」。何があっても常に最速ルートを見たいというユーザーのために、Googleマップではそれだけを見ることができる設定も用意されている。

Googleは、この新しい経路選択オプションにより、マップユーザーが年間100万トン以上の二酸化炭素排出を回避できる可能性があると考えている。これは、道路から20万台の自動車を取り除くのと同じことだ。少なくともこの機能がしばらく使われて実際のデータが得られるまでは、このような数字には少し懐疑的にならざるを得ない。というのも、Google マップでは、多くの人にとって曖昧な概念である二酸化炭素の排出量ではなく、ユーザーのコスト削減につながる燃料効率に焦点を当てているからだ。

燃費を考慮しなくても、ルーティングは難しい問題だ。ディッカー氏は次のように述べている。「多くの場合、すばやく処理するか、正確ではあるが非常にゆっくりと処理するか選ぶことになります。私たちが成功したのは、Googleではすべてがスケールの問題であるため、たくさんの優れた選択肢を非常に迅速かつ大規模に得ることができる多くの技術を構築したからです」。

ディッカー氏は、より燃費の良いルートを選択するためには、距離、時間、標高、速度、そして一定の速度を維持できるかどうかといった要素が重要であると指摘している。

「Liteナビゲーション」は、過去1年間にGoogleマップで自転車の道案内を求める声が高まったことから生まれたものだとディッカー氏はいう。しかし、多くのサイクリストは走行中に携帯電話を目の前に置かないし、必ずしもターンバイターンの案内を望んでいるわけでもない。そのため、Liteナビゲーションでは、マップ上で自分がどこにいるかを確認するとともに、ETAや今後の高低差などの情報を提供することに重点を置いている。

自転車やスクーターのシェアリングについては、欧州ではDonkey Republic、Tier、Voi base、米国ではBird(バード)、Spin(スピン)との提携により、AndroidおよびiOSで、世界300都市のシェアリングステーションの場所がGoogle マップに表示されるようになった。

画像クレジット:Anchalee Phanmaha / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

グーグルがアフリカへの約1114億円の投資を再確認、容量20倍の高速海底ケーブル含め

大規模なインターネット企業にとって、発展途上諸国は最も成長のチャンスがある地域を意味する。今日、その中でも最も大きな企業の1つが、この問題に取り組むための戦略を発表した。

Google(グーグル)は、アフリカの「デジタルトランスフォーメーション」を支援するために10億ドル(約1114億円)を投資すると発表した。これには、インターネットの高速化を実現するための海底ケーブルの敷設、中小企業向けの低金利融資、アフリカのスタートアップへの出資、スキルトレーニングなどが含まれる。

この計画は米国時間10月6日、GoogleおよびAlphabet(アルファベット)のCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏が中心となって開催されたイベントで発表された。会社の最高責任者をイベントのトップに据えることは、同社がこの賭けにプライオリティーを置いていることの証といえるだろう。

ピチャイ氏は次のように述べた。「私たちはこの10年で大きな進歩を遂げましたしかし、すべてのアフリカ人がインターネットにアクセスでき、手頃な価格で便利に使えるようにするためには、まだまだ努力が必要です。本日、アフリカのデジタルトランスフォーメーションを支援するために、5年間で10億ドル(約1114億円)の投資を行い、接続性の向上からスタートアップ企業への投資まで、さまざまな取り組みを行うことで、アフリカへのコミットメントを再確認できることをうれしく思います」。

Googleはこの投資を、ナイジェリア、ケニア、ウガンダ、ガーナなど、アフリカ大陸の国々で実施されるプロジェクトに投入すると述べている。

海底ケーブルは、南アフリカ、ナミビア、ナイジェリア、セントヘレナを横断し、アフリカと欧州を結ぶ。Googleのアフリカ担当マネージングディレクターであるNitin Gajria(ニティン・ガジュリア)氏は「アフリカ向けに建設された前回のケーブルに比べ、約20倍のネットワーク容量を提供することになる」と述べた。

「これにより、ナイジェリアではインターネット料金が21%下がり、インターネットの速度が向上し、南アフリカでは速度が約3倍になります」とガジュリア氏はいう。

デジタル経済の発展にともない、2025年までにナイジェリアと南アフリカで約170万人の雇用創出が予測されている。

また、Googleは、Africa Investment Fund(アフリカ投資基金)の設立を発表した。同社はアフリカ大陸のスタートアップ企業に5000万ドル(約55億7000万円)を投資し「Googleの従業員、ネットワーク、テクノロジーへのアクセスを提供し、彼らがコミュニティのために意義のある製品を構築することを支援する」としている。

さらに、パンデミックの影響で苦境に立たされているナイジェリア、ガーナ、ケニア、南アフリカの中小企業に対し、1000万ドル(約11億1000万円)の低金利ローンを提供する。これは、サンフランシスコに本拠地を置く非営利の融資組織であるKiva(キヴァ)とのパートナーシップにより行われる。Kivaは、アフリカで人々の生活を改善している非営利団体に4000万ドル(約44億6000万円)を提供することを約束した。

ガジュリア氏はこう述べた。「アフリカの革新的なテックスタートアップシーンにとても刺激を受けています。2020年は、技術系スタートアップへの投資ラウンドがこれまでになく多く行われました。私は、アフリカで最も大きい問題を解決するのに、アフリカの若い開発者やスタートアップ創業者ほど適した人材はいないと確信しています。当社は、アフリカのイノベーターや起業家とのパートナーシップを深め、支援していきたいと考えています」。

画像クレジット:lex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Aya Nakazato)

技術面接プラットフォーム「Byteboard」がGoogleの社内研究開発ラボArea 120からスピンアウト

企業の採用プロセスにおいて対面の前に行う技術面接を、ウェブベースのものに置き換えるサービスのByteboard(バイトボード)が、Google(グーグル)からスピンアウトすることがTechCrunchの取材で明らかになった。Byteboardは、Googleの社内研究開発ラボ「Area 120」で生まれ、CEOのSargun Kaur(サルグン・カー)氏が率いてきた。今回の動きにより、ByteboardはArea 120のプロジェクトとしては初めて、Googleの外に出て独立した会社となる。Googleによると、これは例外であり、ルールに基づくものではないという。

Googleは、今回のスピンアウトが、既存のArea 120チームやグループの将来の戦略に影響を与えることはないと話している。同社の研究開発部門は、自社のビジネスチャンスを広げる可能性が最も高いプロジェクトへの資金提供に引き続き注力するという。

今回のスピンアウトに加え、ByteboardはCowboy Venturesなどから、1000万〜1500万ドル(約11億〜16億5000万円)の範囲で新たに投資を受けた。だが、これは「バイアウト」ではないと思われる。Googleは新会社の株式を保持し、共同創業者のカー氏とNikke Hardson-Hurley(ニッケ・ハードソン-ハーリー)氏が引き続き指揮を執ることになるからだ。

「Byteboardが過去3年間、GoogleのArea 120の中で成長し、見せてきた進歩を目の当たりにして感激しています」とGoogleの広報担当はTechCrunchに対して語った。「Byteboardのソリューションは、優秀な技術者を評価・採用するために必要なツールを、高成長企業に効率的かつフェアに提供しています。我々はサルグン、ニッケ、そしてByteboardチームの他のメンバーと引き続き仕事をしていくことを楽しみにしています」と述べた。

2019年に発足したByteboardの構想は、技術面接を退屈なものにせず、より効果的にするツールを開発するというものだった。チームは当時、現在のソフトウェアエンジニア面接のプロセスは、その人が日々のエンジニアの仕事をどれだけうまくこなせるかを判断するという点で、あまり機能していないことに気づいた。面接では、スキルの実用性よりも暗記力が問われるため、準備に時間とリソースをかけられる人が有利になることが多い。

画像クレジット:Byteboard

Byteboardは、候補者に実際のコーディング環境を提供し、Java、Python、Ruby、C++、C#、JavaScript(node.js)、Go、PHPなどのサポートされている言語の中から選択できるようにした。

ウェブベースの面接はHTML、CSS、JavaScriptで行われ、モバイル面接はSwift(iOS)とKotlin(Android)で、データエンジニアリング面接はPythonとJavaで行われる。

同社のサービスには、面接プラットフォーム、20以上のソフトウェアエンジニアリングの必須スキルを網羅した質問集、そして事後評価が含まれる。経験豊富なエンジニアのグループが、面接の振り返りと評価を行う。評価過程から偏向を除外するため、評価は匿名で行われる。

2019年に始めてから、事業は軌道に乗った。新型コロナウイルスにともなうロックダウンの初期には一時的に低迷したが、企業が採用活動を再開した2020年第3四半期に勢いを取り戻した。Byteboardのウェブサイトによると、同社のサービスを利用しているのはLyft、Hulu、Figma、Imperfect Foods、PlayVS、Betterment、Robinhood、GoodRx、ETHOS、Ezoic、Glowforgeなどとなる。

面接プロセスを対面(新型コロナ時代の懸念の1つ)ではなくウェブで行うことによるメリット、データや評価の質、候補者にとってのストレスの少ない環境などに加え、企業のコスト削減にもつながる可能性がある。面接スタッフや結果を判断するエンジニアへの支払いが不要になるためだ。

だが、Byteboardの可能性は、Google傘下の製品のままでは限られていたかもしれない。

というのも、Google傘下のByteboardでは、エンジニアが人事評価の一部を担っていたため、Googleが他社の採用グループの一部となってしまっていたからだ。場合によっては、他社には直接競合する企業も含まれていた。これは明らかに、倫理的な問題を生む。一般的に、企業は自社の採用プロセスに競合他社を関与させないからだ。ByteboardがGoogleのプロジェクトではなく、独立したビジネスとして前に進もうとしているのは、そうした理由からだ。

関係者がTechCrunchに語ったところによると、Byteboardの総勢6名のチームメンバーのうち、数名は独立する会社に参画し、数名はGoogleに残って新たなプロジェクトに移ることを選択したという。Googleは、この取引の詳細については明らかにしていないが、Byteboardは今後も中核となる製品と業務に重点を置きながら拡大していくと述べており、今後数カ月の間にさらに詳細を発表する予定だ。

画像クレジット:Byteboard

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

コネクテッドTVのYouTubeの広告でよりショッピングしやすくする

米国時間10月4日、YouTubeは月曜日、動画アクションキャンペーン(Googleの動画向けインタラクティブ広告タイプの1つ)をコネクテッドテレビ(CTV)に拡大し、YouTube広告をよりショッパブルになると発表た。この新しい動きは、広告主がより多くのオンライン販売を促進し、ビジネスを成長させるのに役立つと同社はいう。

視聴者が自分のテレビで動画アクションキャンペーンを見たら、下部にURLが表示され購入に招かれ、デスクトップやモバイルデバイスからショッピングを続けられる。これにより、ユーザーのテレビの視聴が中断されることはない。

YouTube広告のプロダクトマネージャーでディレクターのRomana Pawar(ロマーナ・パワール)氏の説明によると「ログインしたYouTube CTVの視聴者の4分の1は主にテレビを観ているため、リビングルームがブランドを売り込む絶好の場所になり、それら新しい視聴者によるコンバージョン(実購入)も増えていきます。動画アクションキャンペーンの初期のテストでは、CTVで発生するコンバージョンの90%以上が、モバイルやデスクトップコンピューターでショッピング行動ができなかった」。

パワール氏によると、2020年12月に米国では、YouTubeを大型画面で見る人が増え、1億2000万人以上がYouTubeやYouTube TVを自分のテレビでストリーミング視聴した。企業がオンラインセールスを増やすためには、動画アクションキャンペーンを利用して、1つのキャンペーンの中で新しい顧客を見つけ、彼らにYouTubeやGoogleのビデオパートナーからの在庫を結びつけるべきなのだ。

パワール氏は「初めて、パフォーマンスの良い広告主たちはYouTube on CTVを活かしてコンバージョンを促し、計測もできます。TV画面上の動画アクションキャンペーンは今やGoogle Adsからグローバルで利用できます」とブログで述べている。

GoogleがCTVの広告をもっとショッパブルにしたいという計画を発表したのは、2021年3月という早い時期だ。消費者、中でも若者は動画が好きで、買い物しながらエンゲージする。その結果、YouTubeやFacebook、Instagramなどはすべて、ライブのショッピングと動画ベースのショッピング機能に投資しているのだ。

関連記事:YouTubeにインターネットテレビの広告でもっと買い物しやすくなる新機能追加、Z世代をターゲットに

画像クレジット:Valera Golovniov/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Googleが新スマホPixel 6 / Pro発表イベントを日本時間10月20日午前2時から開催

Googleが新スマホPixel 6 / Pro発表イベントを日本時間10月20日午前2時から開催

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Googleは新スマートフォン Pixel 6 / Pixel 6 Pro の発表イベントを米国時間10月19日に開催します。日本時間では20日午前2時から。

8月にプレビューとして外観や独自プロセッサ「Tensor」搭載などが明かされた Pixel 6 / Pixel 6 Pro の詳細を正式に発表するイベントです。

Googleが新スマホPixel 6 / Pro発表イベントを日本時間10月20日午前2時から開催

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8月のプレビューでは、カメラハウジング部分がゴーグルのように出っ張ったデザインや、6.7インチ120Hz画面の Pixel 6 Pro と 6.4インチ90HzのPixel 6を用意すること、独自モバイルプロセッサ Tensor 搭載といった概要が語られました。

Googleが新スマホPixel 6 / Pro発表イベントを日本時間10月20日午前2時から開催

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Tensor は Googleが Pixel のために4年前から開発してきた初の独自モバイルプロセッサ(SoC)。AI処理・機械学習処理に強いことが最大の特徴です。

高度な演算処理によって画像を取り出す「コンピュテーショナル・フォトグラフィー」によるカメラ機能や、高速・高精度なリアルタイムの音声書き起こし・翻訳といった場面で力を発揮するほか、従来のSoCでは他のコアやコンポーネントが必要だったワークフローをAI処理・機械学習処理で肩代わりすることで、省力化や高速化を実現するとされています。

Pixel が得意とする「コンピュテーショナル・フォトグラフィー」については、機械学習処理の高速化で動画に対しても静止画と同じHDR処理をリアルタイムに適用して画質を向上するほか、低照度下で動く被写体の撮影などでも威力を発揮します。

Googleのデバイス&サービス部門シニアバイスプレジデントのRick Osterloh氏が Engadget に語った表現では、Pixel 6は「Googleがもっとも得意とすることを結集し、常により良くなってゆくスマートフォン」。

Googleが新スマホPixel 6 / Pro発表イベントを日本時間10月20日午前2時から開催

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こちらが Pixel 6。6.4インチ90Hzディスプレイ搭載。背面はマット仕上げのガラス。側面はアルミ。

Googleが新スマホPixel 6 / Pro発表イベントを日本時間10月20日午前2時から開催

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Pixel 6 Pro はやや大きい6.7インチ、最大120Hzディスプレイ。6にはない4倍望遠カメラも搭載します。

Googleの新スマホ Pixel 6 / 6 Proと独自プロセッサTensor発表情報まとめ

Engadget日本版より転載)

これがGoogleの本気だ!? その気になれば寿司をワンキーで注文できる湯呑み型Gboard対応キーボードがオープンソース化

これがGoogleの本気だ!? その気になれば寿司をワンキーで注文できる湯呑み型Gboard対応キーボードをオープンソース化

Googleは10月1日、文字入力アプリ「Gboard」(ジーボード)に対応した湯呑み型の物理キーボードを発表した。「キーボードにお茶をこぼす。Gboard湯呑みバージョンを使えばそんな日常茶飯事のトラブルが解決するだけでなく、難しい魚編の漢字もワンタッチで入力できるようになります」とのこと。

手になじむ円筒形キーボードの配列は、JISではなくSSI(スシ)。魚偏の漢字が縦にあいうえお順に並べているほか、スペース、カーソルキー、エンターキーなどを合わせて58キーが装備されている。これで、ひらがな入力が可能となる。

おもな仕様は以下のとおり。

インターフェース:USB Type-C
キー数:SSI(スシ)配列 58キー
キー仕様:ロープロファイルメ カルスイッチ
キーピッチ:もちろんピッチピチ
ストローク深さ:やけどしない深さ
押下圧:リラックスしながら押せる強さ
サイズ:一息つくのに丁度いいサイズ
本体重量:手に馴染む重さ
容量:125ml
動作時温度(回路部):-10〜60℃
湯呑み部温度範囲:-20〜140℃(熱い飲み物を注ぐ際はやけどにご注意ください)

販売はしていないが、ハードウェアの作り方とソフトウェアはオープンソース化され、Githubで公開(ライセンスはApacheライセンス 2.0)されている……って、これエイプリルフールのあれ? 実はGoogleでは、毎年4月1日におかしなキーボードを発表してきた。ざっと以下のごとし。

これがGoogleの本気だ!? その気になれば寿司をワンキーで注文できる湯呑み型Gboard対応キーボードをオープンソース化でもなんで10月1日に? Googleによれば、10月1日は「北野大茶湯」が開かれた日とのこと。天正15年の10月1日に、豊臣秀吉が北野天満宮で開催したお茶会だ。何でもいいから茶道具を持参すれば、身分に関わりなく参加できた。それを記念してのことのようだ。

これまでのものは、ほぼジョークネタといえるのだけど、この湯呑み型キーボードはホントに作れてホントに使える。だんだん本気になってきたみたい。しかも、エイプリルフールだけでは物足りなくなってきたようだ。それは大いに結構。こういうことは、いつでもどんどんやってほしい。

インドの新しい決済ルール発効による影響に備えるテックジャイアントたち

世界第2位のインターネット市場であるインドで、中央銀行が定期的支払いを処理するための新たな指令を施行したことにともない、Apple(アップル)、Sony(ソニー)、Google(グーグル)、Zoom(ズーム)、PayPal(ペイパル)などのハイテク企業や多くの銀行が、インドの顧客やパートナーに対して、取引の拒否が急増することを予想して注意を促している。

インド時間10月1日に発効したインド準備銀行(RBI、インドの中央銀行)の指令は、銀行、金融機関、ペイメントゲートウェイが5000インドルピー(約7490円)以上の自動更新される取引に対して、通知、電子マンデート、AFA(Additional Factors of Authentication、要素追加認証)を介して、ユーザーから追加の承認を得ることを求めている。この指令は、クレジットカードだけでなく、デビットカードのすべての取引にも影響する。

2019年に初めて発表されたこの指令は、2021年4月に発効する予定だったが、銀行などの影響を受ける業者が、遵守するための準備が十分ではないと主張したため、9月30日まで延長された。

中央銀行は、業界の対応に不満があったようで、3月には「延長された期限を超えてフレームワークの完全な遵守を確保するのが遅れれば、厳しい監督措置を取ることになる」と述べていた。

インド準備銀行は、2019年に行われた当初の案内時点で、このフレームワークは「リスク軽減と顧客の簡便化のための措置」として機能するようにデザインされていると述べ、こうした取引を処理する業者は「実際の請求の少なくとも24時間前に、顧客の指定に応じてSMSまたは電子メールで取引前通知を顧客に送信しなければならない」としていた。

複数の企業が、顧客や、場合によっては他のビジネスパートナーに対して、新しい指令についての注意を促している。

水曜日(インド時間9月29日)には、Appleは開発者に対して、この新しい指令によって「要件を満たさない一部の取引は、銀行またはカード発行会社によって拒否されるでしょう」と注意を促した。

インド最大の民間銀行であるHDFCは、ウェブサイトに以下のメッセージを掲載した。「ご注意:2021年10月1日より、HDFC銀行のクレジットカードやデビットカードを使って、加盟店のウェブサイトやアプリで行われた自動引落(定期的な支払いを処理するための電子指示)は、RBI(インド準備銀行)が定めたプロセスに準拠していない限り、承認されません」。HDFC、Axis、Kotakを含む複数の銀行が、今週、新ルールを遵守することを発表している。

2021年5月には、GoogleはPlay Storeでの定期的な支払いを行う新規顧客の登録を停止している。同社は開発者に対して「このエコシステムの課題が解決されるまで」、無料トライアルや導入価格をアプリから削除するよう求めた。YouTubeは、プレミアムサービスに対して、プリペイド方式の、使った分だけ支払い(pay as you go)方法のみをサポートするようになった

また同じ月にAmazonは、追って通知があるまで、Amazonプライムの無料体験への新規会員登録を「一時的に」中止すると発表した。その後、新たな通知は行われていない。

この指令は、リテールバンクの連合体が構築した決済インフラであるUPIを通じた定期的な支払いには影響しない。そのため、Netflix(ネットフリックス)をはじめとするいくつかの企業は、インド国内のUPIを使った自動支払いをサポートしている。

しかし、影響は広範囲に及ぶと思われる。あるフィンテック企業の創業者がTechCrunchに語ったところによると、彼らがFacebookやGoogleで広告を出すために利用している決済サービス会社が、中央銀行のルールを理由に、今週後半から自動決済は処理されないと通知してきたそうだ。この創業者は、デリケートだと思う内容を話すために匿名を希望した。

この新ルールは、インド中央銀行が近年提案または施行してきた一連のガイドラインの中で最新のものだ。Pratik Bhakta(プラティック・バクタ)氏がThe CapTable(キャップ・テーブル)に投稿した概要によると、今回の動きは、規制当局がユーザーのために革新を行うフィンテックスタートアップの普及を奨励している一方で、消費者を傷つけようとしている傾向がないかをRBIが注意深く見守っていることを示しているものだという。

RBIの副総裁であるT Rabi Sankar(T・ラヴィ・サンカー)氏は、今週初めに開催された会議で「法律が追いつくまでは、破壊的ではない方法で金融システムがデジタル・イノベーションを吸収できるよう、規制を適応させなければなりません」と述べ「すべての利害関係者が短期的な利益よりも長期的な改善を重視し、インフォームド・コンセントやデータ利用の透明性といった、成熟した慣行を浸透させてこそ、繁栄し成熟した決済システムに到達することができるでしょう」と語っている。

ソニーは、インド時間9月30日にPlayStation Plus(プレイステーション・プラス)の加入者に宛てた電子メールで「2021年9月30日以降、PlayStation Store(プレイステーション・ストア)でPlayStation Plusのためのサブスクリプション料を支払おうとする際に、クレジットカードおよび / またはデビットカードの支払いが失敗することがあります」と伝えている。

「これは、新規にサブスクリプションを始める場合と、定期的な支払いの両者に適用されます。このため、今後自動的に課金されるように設定されたPlayStation Plusの利用料の支払いが失敗する可能性があります。もしそうなった場合、お客様のPlayStation Plusのサブスクリプションはその時点で終了となります」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

Google検索がアップデートで、説明やコメントなど評価に役立つより多く幅広いウェブサイト情報を提示

Google(グーグル)は、オンラインユーザーのメディアリテラシーを向上させることを目的に、Google検索の結果に加えるいくつかの変更を発表した。2021年前半に導入した「About this result(この検索結果について)」の機能を拡張し、ウィキペディアの記述やサイト自体の説明に加え、ニュースやレビューなど、ユーザーがあまり見たことがない情報源や初めて見る情報源を、より評価するために役立つ情報が、検索結果に含まれるようになる。また、同じトピックに関する他の情報を併せて表示するなど、元の検索に関連する可能性がある他の情報源もユーザーに紹介する。

同社は2021年2月、米国で英語の検索結果に「About this result」を導入し、Wikipedia(ウィキペディア)から引用した短い説明(もしあれば)や、そのサイトが初めてオンラインになった時期、そのサイトへの接続が安全かどうかなどを表示するようになった。

関連記事:グーグルが検索結果でサイトの詳細情報もメニューで表示へ、米国での英語検索のみ

近々、このパネルがより詳細な内容にアップデートされる。ウィキペディアに掲載されているサイトの説明だけではなく、ウェブサイトが自分の言葉で自身について語っている内容も掲載されるようになる。この情報は(もしあれば)ウェブサイトから直接取得される。多くの場合、サイトは新しい訪問者にサイトを紹介する「about section」の中で、著者や出版者、目的などの詳細を記載している。この情報が抽出されて「About the Source(この情報源について)」パネルに詳細が表示されるようになる。

その下には、そのサイトが初めてオンラインになった時期がGoogleによって表示される。この情報は、そのサイトが長期間にわたって存続してきたウェブサイトなのか、それとも最近の誤報やプロパガンダキャンペーンの一環として作られた新しいウェブサイトなのかを、ユーザーが見分けるのに役立つはずだ。

画像クレジット:Google

また、Googleは、ウェブ上にインデックスされている情報源そのものに関する詳細な情報も、ユーザーに提供するようになる。ここでは、ニュースサイトやレビュー、そしてBetter Business Bureau(商事改善協会)のような信頼できる組織などで、他の人がその情報源であるサイトについて何を言っているかを分析することができる。これにより、他のソースに記された記録から、そのサイトがオンライン上でどのような評価を受けているかを知ることができる。

この「その他」のセクションでは、オープンウェブからのGoogle検索結果に基づき、そのウェブサイトに関する情報をユーザーに提供する可能性のあるページを特定すると、Googleは説明している。また、中立な視点を提供するため、その情報源となるウェブサイトによって作成や管理がなされていない有益な結果を優先させるという。

さらに、Googleは「About the Topic(トピックについて)」という機能を追加し、ウェブ検索者に、同じテーマに関するトップニュース報道や他の検索結果など、元の質問に関するより多くの情報を提供するようになる予定だ。これは人々が興味を持っているものについて、より多くの情報を得るのに役立つだけでなく、人々がいわゆる「フィルターバブル」の中で孤立してしまうのを防ぐことができる可能性もある。フィルターバブルとは、自分の好きなソーシャルプラットフォームが、人の好みを学習し、エンゲージメントを高めるために同じような情報をより多く提供することによって、自分が好む情報にしか触れることができなくなる状態のことで、ソーシャルメディア時代の深刻な問題となっている。

今回のアップデートは、米国時間9月29日に行われたGoogleの検索技術に関するライブイベント「Search On(サーチ・オン)」で、同社のトラスト担当VPであるDanielle Romain(ダニエル・ロマン)氏によって発表された。

これらの機能は今すぐに利用できるわけではないが、米国では「今後数週間」のうちに英語による検索で導入される予定だ。将来的にはより多くの国々で「About this result」を提供できるように取り組んでいると、Googleは述べている。

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画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルがウェブサイトの写真を購入可能な商品に、「検索」に新たなショッピング方法を追加

Googleは、オンラインおよびGoogle検索モバイルアプリを利用した新たなショッピング方法を紹介した。近日に行われるiOS用「Google検索」アプリのアップデートでは、デバイス上での処理を利用した新しい機械学習モデルを活用して、ウェブサイト上の画像に含まれる商品を認識し、即座に「ショッピング可能」な状態にする。これにより、オンラインショッピングをするユーザーは、検索結果から洋服やアクセサリーを見たり、近くの店舗に在庫があるかどうかを確認したりすることが簡単になる。

iOS用のGoogleアプリでは間もなく、ユーザーはウェブサイト上の画像をGoogleレンズでショッピング可能な商品に変える新しいボタンを目にすることができる。ウェブサイトを見ていて、写真の中に気になるものがあれば、タップしてその商品の購入先を確認することができるのだ。この機能は、すでに画像内の商品を識別できる「Googleレンズ」の技術を拡張したもので、これまでと違う新たな文脈での利用となる。

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Googleによると、デスクトップのChromeにも「Googleレンズ」が登場し、ユーザーは「レンズ」でウェブサイト上の画像、動画、テキストコンテンツを選択すると、同じタブで検索結果を見ることができるようになる。

別のアップデートでは、モバイル端末で服や靴、アクセサリーを見ているときに検索結果から簡単に買い物ができるようになる。

例えば「クロップドジャケット」といった検索条件にマッチする商品が、複数の色やスタイルでビジュアルフィードとして表示される。また、スタイルガイドや動画、購入場所の詳細情報なども表示される。さらにスタイル、ブランドなどで検索結果をフィルタリングしたり、評価やレビューを確認したり、価格を比較したりすることもできる。

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この機能は、Googleが提供する「ショッピンググラフ」によって実現される。ショッピンググラフは、現在240億件以上の商品情報をリアルタイムで提供している。

また「在庫あり」のフィルターを選択すると、近くの店舗で今すぐ購入できる商品を確認することができる。この機能は、忙しい年末商戦の前に、プレゼントや子どものおもちゃを買う際に特に役立つだろう。

今回のアップデートは、本日開催されたGoogleのイベント「Search On」で発表された。同社はGoogleマップ、レンズ、検索の他の製品アップデートについても詳細に説明しており、その中には新しいAIの機能強化を活用するプロダクトもある。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

グーグルがAIと新機能を導入して検索サービスを「再設計」

Google(グーグル)は米国時間9月29日、Multitask Unified Model(MUM)と呼ばれる新技術を含むAIの進歩をGoogle検索の改善に応用することを発表した。同社のイベント「Search On」では、MUMを活用した新機能をはじめとするデモンストレーションが行われ、ウェブ検索者を探しているコンテンツによりよく結びつけると同時に、ウェブ検索をより自然で直感的に感じられるようになる。

機能の1つは「Things to know」と呼ばれ、探しているモノをもっと簡単に理解できるようにする。この機能は、人がさまざまなトピックを調べるときの一般的なやり方を理解しており、検索者が最初に見たいと思っているテーマを表示する。

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Googleは例として「acrylic painting」(アクリル画)を検索すると、絵の描き方入門や、アクリル画のスタイル、アクリル画の描き方のコツ、アクリル絵の具の掃除の仕方といったさまざまな「Things to know」(知るべきこと)が表示される。アクリル画に関連する350あまりのトピックを見つけることができる。

この機能が提供されるのは数カ月後からだが、将来的にはMUMを使い表面的なトピックだけでなく、「家庭用品でアクリル画を描く方法」といったより深い洞察に基づくトピックをユーザーに開示することができるようになる。

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また同社は、ユーザーが新しいクエリで検索を再開しなくても、最初の1つの検索を洗練し、拡張できる方法も開発している。

アクリル画の例でいえば、Google検索は、水たまりに絵を描くようなパドルポーリングに関する具体的なテクニックや、受講可能なアートクラスに関する情報を提供するかもしれない。それらのトピックにズームインすると、検索結果やウェブ上の記事、画像、動画などのアイデアが視覚的に豊かなページとして表示される。

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これらのページは、Pinterestに対抗するためのものと思われる。Pinterestの画像を多用したピンボードが、人々の視覚的なインスピレーションをウェブサイトへの訪問やオンラインでの購入などの行動に結びつけることを目的としているのと同様に、検索によって人々がインスピレーションを得ることができるようになっている。

Googleによると、このページは「ハロウィンの飾り付けのアイデア」や「屋内の垂直庭園のアイデア」など、ユーザーが「インスピレーションを求めている」検索に役立ち、試してみたいアイデアを提供するとのこと。本日よりモバイル端末で試すことができる。

Googleはまた、動画検索もアップグレードしている。すでに同社は、AIを使って動画内の重要な瞬間を特定している。さらに、動画内で明確な言及がなくても、そのトピックを識別し、ユーザーがより深く掘り下げて学ぶことができるリンクを提供する機能を始めている。

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つまり、YouTubeの動画を見ているときに、MUMはその動画の内容を理解して提案をしてくれるということだ。例えば、マカロニペンギンの動画では、マカロニペンギンがどのようにして家族を見つけたり、捕食者を回避したりするのかを語る動画など、さまざまな関連動画をユーザーに提示することができる。MUMは、たとえ動画の中で明確に語られていなくても、これらの用語を識別して検索することが可能だ。

この機能は、今後数週間のうちにYouTube検索で初期バージョンが展開され、今後数カ月のうちにアップデートされ、より視覚的な機能が強化される予定だとGoogleはいう。

この変更は、YouTubeの大きなリーチを活用することで、Google検索へのトラフィック増加にもつながるだろう。Z世代のユーザーの多くは、すでに旧世代とは異なる方法でオンラインコンテンツを検索していることが調査で明らかになっている。Z世代ユーザーは、複数のソーシャルメディアチャネルを利用し、モバイルファーストの考え方を持ち、動画コンテンツに興味を持つ傾向がある。「Think with Google」の調査によると、Z世代のティーンエイジャーの85%がコンテンツを探すためにYouTubeを定期的に利用し、80%がYouTubeの動画が何かを教えてくれたと回答している。その他のデータでも、Z世代は新たなアイデアやプロダクトについて、テキストやネイティブ広告といったコンテンツフォーマットではなく、動画で知ることを好むことが明らかになっている。

モバイルへの移行が検索の優位性に影響を与えているため、Googleにはこのような追加が必要なのかもしれない。今日、モバイルでのショッピング検索の多くは、Amazonで直接始まるようになっている。さらに、iPhoneユーザーがスマートフォンで何か特別なことをしなければならない場合、Siri、Spotlight、App Store、またはネイティブアプリに助けを求めることが多い。

またGoogleは、MUM技術を使ってGoogleレンズを使ったビジュアル検索を改善する方法も発表している。

関連記事:ビジュアル検索「Googleレンズ」アップデート、グーグルがAIで画像とテキストを1つのクエリにまとめる新検索方法を近々導入

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンは約9000円のエクササイズバンド「Halo View」でFitbitに対抗

Amazon(アマゾン)は、オリジナルのエクササイズバンド「Halo」を発売してから1年後、後継モデル「Halo View」を発表しました。Amazonは、まだスマートウォッチの分野に本格参入する準備ができていないようだが、今回発表されたHalo Viewは、Google(グーグル)傘下のFitbitブランドを直接狙っていることは明らかだ。

Huawei(ファーウェイ)などが独占している低価格帯のフィットネスバンドに挑戦するほどではないが、80ドル(約9000円)という価格(同社のHaloサービス1年分を含む)は、市場の中位層、特にディスプレイを搭載した製品の中では競争力があると考えられる。

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Haloは、カラーAMOLEDタッチスクリーンと触覚フィードバックを搭載しており、ユーザーの活動に対してリアルタイムで反応するよう設計されている。水泳用の防水機能を備え、1週間のバッテリー駆動が可能で、90分間でフル充電することができる。内蔵されたセンサーが活動量、ワークアウトのライブトラッキング、睡眠、血中酸素濃度をモニターする。

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この新しいデバイスには、さまざまなコンテンツ機能が搭載されている。Michael Hildebrand(マイケル・ヒルデブランド)、Elena Cheung(エレナ・チャン)氏、Elizabeth Andrews(エリザベスアンドリュース)氏といったトレーナーによる何百ものビデオコースを内蔵した「Halo Fitness」は、Appleの「Fitness+」に対抗するものだ。また、ユーザーがより健康的な食習慣を身につけられるように設計された「Halo Nutrition」も新たに加わっており、これらはすべてHaloソフトウェアの一部として提供される。Fitness+と同様に、デバイスで取得したリアルタイムのフィットネス指標は、Halo Fitnessワークアウト中にスクリーン上にリアルタイムで表示される。

関連記事:米アマゾンがHaloサブスクでフィットネスと食事プランナーのサービスを提供

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Halo viewは「ホリデーシーズンに間に合うように」3つのバンドカラーで発売される(別売りバンドもある)。初代Haloは、プライバシーに関する懸念を引き起こしました。Amy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員は「最近の報告では、Haloがこのような広範囲の個人的・私的な健康情報にアクセスすることに懸念を抱いています。一般に販売されている消費者向け健康機器の中で、Haloは前例のないレベルの個人情報を収集しているようだ」と指摘している。

関連記事:米上院議員クロブシャー氏がAmazonのフィットネストラッカーHaloについてプライバシー面の懸念を表明

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ビジュアル検索「Googleレンズ」アップデート、グーグルがAIで画像とテキストを1つのクエリにまとめる新検索方法を近々導入

2021年5月、Google(グーグル)は年次開発者会議「Google I/O」において「Multitask Unified Model(MUM)」と呼ばれる新しいAIマイルストーンを紹介した。この技術はテキスト、画像、動画など、さまざまな形式の情報を同時に理解し、トピック、コンセプト、アイデアの間の洞察やつながりを導き出すことができる。同社は米国時間9月29日、MUMを自社製品で活用する方法の1つとして、ビジュアル検索「Googleレンズ」のアップデートを発表した。

Googleレンズは、携帯電話のカメラを使って、リアルタイム翻訳、植物や動物の識別、写真からのコピー&ペースト、カメラのファインダーに写っているものと類似したアイテムの検索、数学の問題の手助けなど、さまざまなタスクを実行できる同社の画像認識技術だ。

近い将来、Googleは、MUMの機能を活用してGoogleレンズをアップグレードし、視覚的な検索にテキストを追加して、ユーザーが見ているものについて質問できるようにするという。

実際には、この機能は次のような使い方ができる。例えば、気に入ったシャツの写真をGoogle検索で表示した後、レンズのアイコンをタップして、同じ柄のもの、だが今度はソックスをGoogleに探してもらうことができる。そこに「この柄のソックス」とでもタイプ入力することで、テキスト入力だけでは難しい、関連性のあるクエリをGoogleに指示することができる。

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これは、現在のGoogleが苦手としているタイプのクエリ、つまり、言葉だけでは説明しにくい、あるいは異なる方法で説明できるような、探しているものに視覚的要素がある場合には、特に有効だ。画像と言葉を1つのクエリにまとめることで、Googleはより適切な検索結果を提供できる可能性がある。

別の例では、自転車の部品が壊れてしまい、修理のヒントをGoogleで検索する必要があるとする。しかし、その部品が何という名前なのかはわからない。修理マニュアルを調べる代わりに、自転車の壊れた部分にGoogleレンズを当てて「修理する方法」と入力してみることができる。そうすれば、助けになりそうな動画の瞬間に直接つながるかもしれない。

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Googleは、このようなAIを活用した取り組みは、新しい検索の仕方を可能にすることで、自社製品をエンドユーザーにとって「より役に立つ」ものにする方法だと考えている。同社は、検索の一部に携帯電話のカメラを利用することで、コアなユースケースの多くが他のプロパティに移行し始めている市場での存在感を維持しようとしている。例えば、今日、ショッピングの検索は多くの場合、直接Amazon(アマゾン)で始まる。また、iPhoneユーザーは、携帯電話で何か特定のことをしたいとき、Siri、Spotlight、App Store、またはネイティブアプリに助けを求めることが多い。そしてApple(アップル)は、Google検索に代わる独自の検索サービスを開発している。iOS 15でアップデートされたSpotlight検索では、Google検索に頼らず、ユーザーが必要とする情報に直接アクセスできるようになった。

Googleは、Google検索やビデオ検索においてもMUMを活用していくと、29日開催されたライブイベント「Search On」で発表した。

なお、Googleレンズのアップデートは今後数カ月のうちに実施される予定だという。そのためには、新しいAIモデルを導入する際には必ず実施される「厳格なテストと評価」を行う必要がある、と同社は述べている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

YouTubeが新型コロナに続きワクチン全般の誤情報も禁止対象に

YouTube(ユーチューブ)は米国時間9月29日、ワクチンについての誤情報を禁止する新しいガイドラインを医療誤情報の規則に含めた。Google(グーグル)所有の動画プラットフォームYouTubeは以前、新型コロナウイルス感染症について危険な誤情報を広めた100万本を超える動画削除している。そして現在、YouTubeはワクチンの安全性、有効性、成分に関する誤情報を広めるコンテンツも削除するという。YouTubeは以前、新型コロナワクチンに限定して誤情報を禁止したが、今回、はしかやB型肝炎のような定期接種に関する誤情報や、地域の健康衛生当局や世界保健機構(WHO)によって安全が確認されたワクチンについての一般的な嘘も禁止するために規則をアップデートする。

関連記事:YouTubeは2020年2月以降、新型コロナに関する100万の危険な誤情報動画を削除

規則の変更は、新型コロナワクチン接種率が低い中でのものだ。米国のコロナワクチン接種完了者の割合は約55%だが、この数字はカナダと英国ではそれぞれ71%と67%で、米国より高い。バイデン大統領はソーシャルメディア上でワクチン誤情報が拡散していると指摘した。さらにホワイトハウスは国民にワクチン接種を促すためにOlivia Rodrigo(オリビア・ロドリゴ)氏のような新星のスーパースターに助けを求めすらした。

YouTubeの今回の新しいガイドラインはFacebook(フェイスブック)に倣っている。Facebookは2月に、誤ったワクチン情報を取り締まるために使用している基準を拡大した。Twitter(ツイッター)もまた、ミスリードする新型コロナ情報の拡散を禁止し、AIと人間の組み合わせでミスリードしているツイートにラベルを貼っている。Twitterは、ワクチンとマスクは新型コロナ拡散を抑制しないという誤った主張を展開したジョージア州選出の議員、Marjorie Taylor Greene(マジョリー・テイラー・グリーン)氏を一時停止措置にすらした。

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YouTubeの新ガイドラインに違反するコンテンツの例としては、ワクチンはがんや糖尿病など慢性的な副作用を引き起こすと主張する動画、ワクチンには接種した人を追跡できるデバイスが含まれていると主張するビデオ、ワクチンは人口抑制計画の一環だと主張する動画などが挙げられる。ユーザーがこれらのガイドラインに違反するコンテンツを投稿すると、YouTubeはそのコンテンツを削除し、なぜビデオが削除されたのかをアップロードした人に案内する。初めての規則違反である場合、警告を受けるだけで罰則は科されないとYouTubeは話す。もし違反が初回でなければ、ユーザーのチャンネルはストライク1つとなる。そして90日以内にストライク3つとなると、チャンネルは削除される。YouTubeはまた、Joseph Mercola(ジョセフ・メルコラ)氏やRobert F. Kennedy Jr.(ロバート・F・ケネディ・ジュニア)氏のようなワクチン反対派の有名人に関連するチャンネルも取り締まる。

「新しいガイドラインでは重要な例外もあります」とYouTubeはブログ投稿で述べている。「科学的なプロセスにおける自由公開討論や議論の重要性を踏まえ、当社は引き続き、ワクチン政策や新しいワクチンの試験、これまでのワクチンの成功や失敗などについてのコンテンツがYouTube上にあることを認めます」。

YouTubeはまた、コンテンツが他のガイドラインに違反しない限り、ユーザーがワクチンに関する個人的な体験を議論することも認める。しかしチャンネルが反ワクチンを促進する動きをみせると、YouTubeはコンテンツを削除する。これらのガイドラインは9月29日から適用される。だが、新しい規則にはよくあることだが「完全適用」にはしばらく時間がかかる、とYouTube書いている。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】フェイスブックのスマートグラスはGoogleのミスを乗り越える可能性が高い

Facebook(フェイスブック)は先日、ユーザー視点の動画を撮影できる待望のウェアラブルサングラスを発表した。この新製品に対して、多くの人たちから嫌悪的反応が寄せられているのはもっともだが、それにもかかわらず今回のローンチでFacebookが下した決断の1つにより、Google Glass(グーグル・グラス)が失敗した点を乗り越える可能性が高い。

Facebookは、ビジネススクールのカリキュラムを参考にしてRay-Ban(レイバン)と提携することで、効果的なアプローチを行った。新人のプロダクトマネジャーは、この教訓を忘れてはならない。

関連記事:フェイスブックがレイバンと共同でスマートサングラス「Ray-Ban Stories」発売、約3.3万円から

このことをよく理解するためには、まず、Google Glassを見直す必要がある。それは2011年に、一部のユーザーのみを対象としたプロトタイプとして発売された。ベータ版を発表する際の当時のGoogleのアプローチと同様に、ユーザーは1500ドル(約16万6000円)を支払って、この未来のように見え、そして感じさせるデバイスで、遊んだり試したりした。

Google Glassは、Time Magazine(タイム・マガジン)のその年のベスト発明品に選ばれたにもかかわらず、問題が山積みで、まさに未完成の製品だった。これまでに多くの人が、Google Glassの主な失敗は、明確なユースケースを持たずに新しい技術を発表した典型例だとコメントしている。Google Glassで人は一体何をするのだろうか?

またデザインは自社で行い、マーケティングは共同創業者であるSergey Brin(セルゲイ・ブリン)氏が、シリコンバレーからファッションウィークまで、あらゆる場所で着用している姿を見せながら、意図せずして広報活動を行った点も、Google Glassのローンチのまた別の重要な側面だ。実際、Googleは成功の波に乗って、予想されていた新しいおもちゃを提供したものの、結局明確な用途は示せていなかった。

さて2021年9月初旬に時間を進めよう。Facebookは新しいウェアラブルサングラスを発表したが、すぐにそして繰り返しGoogle Glassと比較され続けている。誰もが気になっているのは(隣の人が勝手に私を録画していないかということ以外に)、Facebookの試みがGoogle Glassのように大失敗してしまうのではないかということだ。しかし、サングラスのトップメーカーであるRay-Banと提携し、最も認知度の高いブランドの1つであるWayfarer(ウェイファーラー)を実際のウェアラブルとして採用したことが、Facebook版の成功につながる可能性がある。

Facebookは起業から10年以上が経過しているが、多くの大規模テクノロジー企業と同様に、自社のプラットフォームを時代遅れにしないためには、必然的に製品やサービスにおけるイノベーションの先端を探らなければならない。つまり、Facebookが検討する製品の立ち上げの多くは、リスクがあったり未知の状況というだけではなく、そもそもあらかじめ知り得ない世界へ進む必要があるのだ。何が違うのか?

Facebookをはじめとする多くのテクノロジー予測者が直面している問題は「Knightian uncertainty」(ナイトの不確実性)と呼ばれるものだ。1921年、Frank Knight(フランク・ナイト)博士が、リスクと不確実性の重要な違いを強調する研究を発表した。たとえばリスクとは、Facebookが2022年の広告収入の市場シェアもGoogleより高く保ち続けるために収益をいかに管理できるかなどだ。

両社ともに収益の成長は記録しているので、過去のデータを活用して、将来をかなり正確に予測することができる。ここで重要なのは、そうした予測のツールには強みがあり、それが意思決定に活かされているということだ。

だがこの状況と、Facebookのグラスが成功するかどうかを比べようとしても、これらはまったく違う状況なのだ。どのような歴史的記録を探すことができるだろう。1年目のApple Watch(アップル・ウォッチ)のような需要があるのだろうか?それとも、MicrosoftがiPod(アイポッド)に対抗しようとしたZune(ズーン)のようになるのだろうか?要するに、この製品の需要は不可知なのだ。そして不可知の状況に対する予測にはほとんど価値がないということだ(これがナイトの不確実性と呼ばれているものでもある)。

では、なぜFacebookには成功する可能性が残されているのだろうか。なぜなら、Facebookはもはやスタートアップではないものの、そのチャンスを広げるために起業家としての重要な手法を活用したからだ。つまり、Facebookグラスのローンチに際して、Ray-Banと提携するという効果的なアプローチを行ったことだ。

Googleが人々が求めているものは何かに想像力を巡らせて、新しいメガネのデザインを発明しようとしたのに対し、Facebookはすでにある程度定着しているデザインを活用した。企業や起業家が新しい製品やサービスを立ち上げようとして、予測ツールが上手く働かないときに、結果をコントロールするためには共同作業が重要になる。起業家が自分でコントロールできる、あるいはコントロールできる側面を活用することを促すこうした起業家の手法は、エフェクチュエーション(Effectuation)と呼ばれる。

そのためには、自分が何者であるか、何を知っているか、誰を知っているかから始める必要がある。Facebookは、人々がどんなメガネを好むかを予測したり、そうしたメガネのマーケティングを自ら学ぶのではなく、市場最大手であるRay-Banのノウハウを活用することを選んだ。

Facebookは、新製品の重要な不確実性を回避する手助けのできるパートナーを見つけて、不可知の世界へと踏み出したのだ。それだけでも、成功の可能性は高くなる。

結局のところ、新しい消費者製品のイノベーションは、信じられないほど不確実(リスクではない)で、ほとんどのものが失敗するだろう。つまり、たとえRay-Banとパートナーシップがあったとしても、他の多くのパラメータによって簡単に失敗する可能性があるということだ。しかしFacebookは、優れた起業家のように、今回の製品のローンチに際して重要な起業家的アプローチを活用することで、成功の可能性を高めようとしているのだ。

編集部注:本稿の執筆者Ashish Bhatia(アシシュ・バティア)氏は、ニューヨーク大学スターン校の経営学と起業家学の特任准教授であり、ビジネス、テクノロジー、起業家学の学士課程のアカデミックディレクター

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画像クレジット:Lucas Matney/TechCrunch

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(文:Ashish Bhatia、翻訳:sako)

独Xaynが広告を表示させずにプライバシーを保護できる検索ツールのウェブ版を発表

ベルリンを拠点とするスタートアップ企業Xayn(ゼイン)は、Googleのようなアドテック大手のトラッキングやプロファイリングを利用せずに、プライバシー保護とパーソナライズを両立させた広告のない検索サービスを提供している(2020年のTechCrunchの記事を参照のこと)。同社はその製品の提供範囲を拡大し、ウェブ版(現在はベータ版)を発表した。

関連記事:オンデバイスAIでプライバシー保護とパーソナライズを両立させる検索エンジン「Xayn」

同社がモバイルアプリと同様の機能を持つ「light web version」と説明しているウェブ版「Xayn WebBeta」は、あるコンテンツに「興味がないことを意思表示するためにスワイプ」できないといった点がXaynのモバイルアプリとは異なる。

ブラウザのように見えても、Xayn自体はブラウザとも少し違う。同社が「ブラウジングエンジン」と称するXaynでは、プライベート検索だけでなく、ディスカバリーフィード(ニュースフィード)の形でコンテンツを整理して表示することで、アプリ内でブラウジングすることができる。

デスクトップのブラウザでXaynを読み込むと、XaynのAIがフィードで何を表示するかを判断するために、短いタイムラグが発生する(モバイルでも同様)。Xaynを最初に起動したとき(すなわち、AIがゼロからコンテンツをユーザーの地域に合わせてローカライズしているとき)は、すでにユーザーが何回かXaynにアクセスしてユーザー固有の閲覧シグナルをAIが利用できるときを比べて、わずかに長く時間がかかるようだ。

ウェブ版のXaynでは、コンテンツの左右に緑(好き)またはピンク(嫌い)のバーが表示されている。そのバーの横にカーソルを合わせるとホップアップ表示される、上向き(または下向き)の親指のアイコンをクリックすることで、特定のコンテンツに対する「評価する」または「評価しない」のシグナルを送ることができる。左クリックだけで「いいね!」できる、という仕組みだ。

また、フィードを増やしたくない場合は、フィードをオフにして、起動時に検索バーだけを表示させることもできる。

デフォルトでは、検索結果はコンテンツペインに、ニュースフィードと同じような長方形のグリッドで表示される。情報を求めているユーザーにとっては、少しばかり情報密度が足りないだろうか。

Xaynウェブ版(ベータ版)の検索結果ページのサンプル(画像キャプチャー:Natasha Lomas / TechCrunch)

Xaynの学習AIは、右上の「脳」のアイコンをクリックすれば、いつでもオフにすることができる。オフにすると、ユーザーが閲覧しているものが、ユーザーに表示されるコンテンツ(フィードのコンテンツと検索結果の両方)を決定するAIの学習に使用されないようになる。

全体をまっさらな状態に戻したい場合は、手動で閲覧データを消去して学習をリセットすることもできる。

ユーザーに魅力的なもう1つの要素はXaynには広告が表示されないことだ。DuckDuckGoやQwantのような他の非追跡型プライベート検索エンジンは、コンテクスト広告を表示することで収益を上げているが、Xaynには広告がない。

さらに同社は、検索業界の常識にとらわれずに、Xayn AIの検索アルゴリズムをオープンソースで提供している。

他にもウェブ版のXaynには、クリック1つで関連コンテンツが表示される「ディープサーチ」や「コレクション」というブックマークのような機能がある。ユーザーは「コレクションを作成、コンテンツを追加、管理することで、お気に入りのウェブコンテンツを集めて保存することができる」という。

Xaynは広告を表示しないだけでなく、広告ブロッカーを搭載し、第三者のサイトに表示される広告をブロックして「ノイズのない」ブラウジングを実現している。

Xaynのウェブ版は、ChromiumベースのブラウザとFirefoxにのみ対応しているので、Safariユーザーはサポートされたブラウザに切り替えてXaynを使用する必要がある。

同社によると、2020年12月に発表されたXaynのモバイルアプリは、その後世界中で25万回以上ダウンロードされている。

Xaynのモバイルアプリでは、発表から3カ月後には毎日10万以上のアクティブ検索が行われ、Xaynはブラウジングデータとユーザーの興味を示すスワイプを取り込み、このツールの価値提案の中核であるパーソナライズされたコンテンツの検索のためのAIをトレーニングし、改善している。この学習と再評価はすべてデバイス上で行われ「Xaynはユーザーごとの検索結果のプライバシーを保護している」とアピールできる材料になっている。

また、フィルターバブル(泡の中にいるように、自分の見たい情報しか見えなくなること)効果を避けるために、Xaynの検索結果には意図的な変化が加えられ、アルゴリズムが常に同じものばかりをユーザーに提供しないようにしている。

Xaynのウェブ版もモバイル版も、Masked Federated Learning(保護されたフェデレーテッドラーニング(連合学習))と呼ばれる技術を用いて、ユーザーのプライバシーを損なうことなく、ユーザーにパーソナライズされたウェブエクスペリエンスを提供している。

もちろんGoogle(グーグル)も独自の広告ターゲティング技術の改善に取り組んでいて、現在、広告ターゲティングのためにブラウザユーザーをインタレストバケットに分類するFloC(コホートの連合学習)と呼ばれる技術を試験的に導入し、トラッキングクッキーを廃止しようとしている。しかし、Xaynとは異なり、Googleのコアビジネスはユーザーをプロファイリングして広告主に販売することだ。

共同創業者でCEOのLeif-Nissen Lundbæk(レイフニッセン・ルンドベーク)氏は声明で次のように述べる。「私たちは、誤ったプライバシーと利便性のジレンマへの直接的な対応としてXaynを開発しました。このジレンマを解決できることはすぐに証明されました。ユーザーはもはや敗者ではありません。実際、私たちのすばらしいエンジニア&デザイナーチームは、アップデートのたびに、プライバシーや品質、優れたユーザーエクスペリエンスがいかに密接に結びついているかを繰り返し実証してくれます」。

「私たちは既存のものをコピーするのではなく、じっくりと検討して新しいものを作りたいと考えました。Xaynでは、積極的にウェブを検索したり、インターネット全体からパーソナライズされたコンテンツを提案するディスカバリーフィードを閲覧したりして、インターネット上のお気に入りのサイトを見つけることができます。どちらの方法でもユーザーのプライバシーは常に保護されます」。

デザイン部門の責任者であるJulia Hintz(ジュリア・ヒンツ)氏も、別の声明で次のように付言している。「Xaynのウェブ版を開発するにあたり、Xaynアプリの成功につながったすべての要素をデスクトップのブラウザウィンドウで利用できるようにしました」。

「ウェブ版にもプライバシーを保護するアルゴリズム、直感的なデザイン、スムーズなアニメーションが採用されています。ユーザーは、慣れ親しんだ環境から切り離されることなく、モバイルとデスクトップを簡単に切り替えることができます。これこそが、シームレスで強いインタラクションの鍵となる、Xaynのすばらしい利点です」。

ウェブ版のXaynでは、ユーザーの個人情報はブラウザ内に保存されるという。

ウェブ版のセキュリティについては、広報担当者が次のように話す。「デスクトップパソコンは、一般的にスマートフォンよりも安全性が低いといわれています。Xaynはプライバシー保護のために、分散型の機械学習と暗号化を組み合わせて個人データを保護しています。純粋に技術的な観点から見ると、Xaynはデスクトップデバイス上のブラウザの中のブラウザです。Xaynはそれぞれのブラウザのサンドボックス内で動作し、個人データを第三者の不要なアクセスから保護します」。

Xaynは今後、プライバシーを保護しながらパーソナライズされたブラウジングを同期する機能を追加する予定で、オンラインであればどこからでも、モバイルとデスクトップの複数のデバイスでAIの学習結果を享受できるようになる。

ブラウザでwww.xayn.comにアクセスすれば、Xayn検索エンジンのウェブ版(ベータ版)をデスクトップパソコンで確認できる。

Xaynは2021年8月、日本のベンチャーキャピタルGlobal Brain(グローバル・ブレイン)とKDDIが主導し、ベルリンのEarlybird VC(アーリーバードVC)などの既存の支援者が参加したシリーズAラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達。累計調達額は2300万ドル(約25億円)を超えた。同社が日本をはじめとするアジアに注目しているのは確実だ。

関連記事:プライバシーとパーソナライズを両立する検索エンジンXaynが日本のKDDIやGlobal Brainなどから約13億円調達

画像クレジット:Xayn

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

グーグルが顔のジェスチャーを利用したショートカットやスイッチでアシスティブ技術を強化

スマートフォンをもっとアクセシブルにすることは、常に大切な考えだ。Google(グーグル)の最新機能では、主に表情で周囲とコミュニケーションをとる人がすばやくアクションを実行したり操作したりすることができるようになる。同社のProject Activateアプリやカメラスイッチ設定を使うと、ユーザーはカスタムのフレーズを話したりスイッチインターフェイスで操作するといったタスクを顔のジェスチャーだけで実行できる。

Project Activateアプリやカメラスイッチ設定の新機能では、スマートフォンの前面カメラが使われる。前面カメラがリアルタイムで、微笑む、眉を上げる、口を開ける、左を見る、右を見る、上を見るの6種類の表情のいずれかを認識する。完全にデバイス上の処理で実行され、画像データは保存されず、一般に「顔認識」と考えられていることもしていない。ここで利用されている機械学習は、例えば眉を識別してカスタマイズ可能な一定のしきい値を超えたときに信号を送るといった機能に特化されている。

それぞれの表情に異なる動作を割り当てることができる。Androidはすでにジョイスティックや息を吹き込むチューブなどのアシスティブ技術を使って操作できるようになっているが、カメラスイッチはこうしたスイッチの互換性と統合されている。これにより周辺機器を何も使わずに操作できるようになり、ユーザーは選択を繰り返す、選択項目を確認する、戻るなどの操作にさまざまな顔のジェスチャーを使うことができる。

画像クレジット:Google

Project Activateアプリを使うと、フレーズを話すというような単独で完結するアクションと表情を紐づけることができる。障がいのある人の多くはさまざまな理由で介助者のサポートを必要とするが、介助者にはできないことがある。それは、介助者に話しかけることだ。だから眉を上げるとデバイスが「ねえ!」とか「お願いします」とか「ありがとう!」と言葉を発するように割り当てられるアプリは便利だ。

ジェスチャーを使ってオーディオファイルを再生したり、テキストメッセージを送信したり、あらかじめ決めておいた番号に電話をかけたりすることもできる。表情や機能を増やすのはこれからだが、言語についてもこれからだ。顔にはもちろん言語はないが、アプリや対応するドキュメントには言語がある。Project Activateアプリはまず英語圏の国を対象とし、そこから広げていく。一方のカメラスイッチの設定は最初から80言語に対応する。

Project Activateアプリとカメラスイッチ設定は同時に使用できないことを付記しておく。両方ともカメラへのアクセスと表情の識別が必要だからだ。したがって、ユーザーは操作をするための予備の方法を用意しておく必要がある。両方とも、ここ5年ほどで販売されたAndroidスマートフォンでかなりきちんと動作するはずだ。

最後に、視覚障がいのある人向けにラベルなどを読み上げるGoogleのLookoutアプリがアップデートされ、印刷物と同じように手書きの文字もスキャンして読めるようになる。付箋、店頭にある「釣りに行っています」の貼り紙、贈り主からのメッセージが書かれたグリーティングカードなどに便利だ。このアプリはこの1年間で利用者が大幅に増えて機能が強化されている(新たにユーロとインドのルピーの紙幣を識別できるようになることも成長を加速させるだろう)。

紹介した新機能はすべて今週中に無料で使えるようになる予定だ。

関連記事:グーグルの視覚障がい者向けAIアプリ「Lookout」で食品ラベルや長文のスキャンが可能に

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Kaori Koyama)

Androidスマホに多数の運転者向け新機能、グーグルはホンダとの協業も発表

Google(グーグル)は米国時間9月23日「Android Auto(アンドロイト・オート)」に追加されるさまざまな新機能を発表した。また、2022年後半に北米で発売されるHonda(本田技研工業、ホンダ)の新型車より、ホンダとGoogleの協業による車載向けコネクテッドサービスの搭載が開始されることも、両社から発表されている。

Googleは2015年に「Android Auto(アンドロイト・オート)」と呼ばれるアプリを発表。これを使ってドライバーは車内でスマートフォンと車載オーディオを無線で接続し、スマートフォンから音楽を車内で再生したり、マップのナビゲーションをスピーカーから音声で読み上げたり、ハンドルを握ったまま車載サウンドシステムを通じて電話をかけたりすることができるようになった。それから6年が経った今、Android Autoも、それが動作する車載インフォテインメントシステムも、格段に賢くなっている。Googleは今回、さらに多くの機能をドライバーに提供すると発表した。これらの機能はドライバーがスマートフォンでAndroid Autoを起動しなくても、車載システムを通じて直接利用できる。

Android Autoは運転中のドライバーの気を散らさないように設計されたものだが、これまでは携帯電話を車載インフォテインメントシステムやオーディオシステムに接続するのにも一苦労だった。携帯電話でBluetoothが有効になっていることを確認し、クルマにデバイスを認識させてペアリングし、さらに実際にAndroid Autoにさせたいことをさせるためには、無数の音声コマンドを覚えなければならなかった。しかし、もうそんな必要はなくなるのだ! ドライバーは「Hey Google, let’s drive.」と声をかけるだけで、接続のプロセスを実質的に自動化できるようになる。

さらに、Googleはユーザーインターフェイスも刷新し、Amazon Music(アマゾン・ミュージック)、Audible(オーディブル)、iHeartRadio(アイハートラジオ)、JioSaavn(ジオサーバン)、Pandora(パンドラ)、Podcast Addict(ポッドキャスト・アディクト)、SoundCloud(サウンドクラウド)、YouTube Music(ユーチューブ・ミュージック)など、数多くのコンテンツソースにワンタップでアクセスできるようにした他、受信したテキストメッセージをシステムが読み上げ、ドライバーが音声で応答できるようにした。これらの新機能は、今後数週間のうちに、英語圏をはじめ、ドイツ、スペイン、メキシコ、フランス、イタリアの各市場で提供される予定だ。

また、デュアルSIM携帯電話を使用している国際的な旅行者のために、Android Autoでは仕事用と個人用のプロファイルを別々に設定し、運転している時間や用事に応じて、関連する連絡先リストやカレンダーの予定を表示できるようになる。

車載ディスプレイを搭載している車両では、Android Autoに追加されたゲームなどの新機能を利用できるようになる。GoogleはGameSnacks(ゲームスナックス)と提携し、車を駐車している間、ドライバーに手軽で楽しい気分転換を提供する。これで公共の充電施設で座ったまま、くだらないニュースを読んで時間を潰す行為から解放される。さらにGoogleは、ガソリン代の支払い方法も簡単にした。「Hey Google, pay for gas」というだけで、Google Pay(グーグル・ペイ)による非接触型の支払いが完了する。もっとも、燃料の種類を選択したり、実際に給油したりする作業は依然として必要だが。この機能はまず、Exxon Mobil(エクソンモービル)、Conoco(コノコ)、Phillips 66(フィリップス66)、76(セブンティシックス)の全米3万2500店舗のガソリンスタンドから利用できるようになる。

一方、車両搭載型システムの「Android Automotive OS(アンドロイド・オートモーティブOS)」は現在、Polestar 2 (ポールスター2)やVolvo XC40 Recharge(ボルボXC40リチャージ)といった一部の車に搭載されているが、今後はFord(フォード)やGMなど、さらに多くのメーカーやモデルに搭載されることになる予定だ。Googleはその最新のパートナーがホンダになることを発表した。ホンダはGoogleと協業して「Googleの車載向けコネクテッドサービス」を搭載した新型車を、まずは2022年後半に北米で発売し「その後、順次グローバルに展開」していくと述べている。Googleの車載システムは、Chevy Silverado(シボレー・シルバラード)とRenault Mégane E-Tech(ルノー・メガーヌEテック)にも搭載される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantolaは、Engadgetの編集主任。

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画像クレジット:Geoff Robins / AFP / Getty Images

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本財団らが手話習得ゲーム「手話タウン」正式版をローンチ、スマホ対応や音声からの手話作成などの目標も


公益事業をサポートする社会貢献財団「日本財団」は、「手話言語の国際デー」(9月23日)を目前に控えた9月22日に、手話学習オンラインゲーム「手話タウン」を正式公開し、発表会を開催した。同アプリは、香港中文大学関西学院大学Googleの協力を得て、ベータ版を公開していたもの。

香港中文大学と関西学院大学は、各国の手話データの収集やろう者に関する知見の提供を、またGoogleは、プロジェクトのコンセプト立案と機械学習用オープンソースライブラリー「TensorFlow」を活用し、人のポーズとジェスチャーを認識する「PoseNet」、口と顔の表情を認識する「Facemesh」、手の形と指の検出をするハンドトラッキング(Hands)といった3つの機械学習モデルを組み合わせた手話動作の検出技術を開発するといった役割を担った。

発表会では、日本財団会長の笹川陽平氏、開発チームの中心となった日本財団特定事業部True Colorsの川俣郁美氏、自身もろう者で「聞こえない人あるある」など耳の聞こえない人の日常を「ユリマガール」として発信しているYouTuber くろえ氏が登壇。手話言語を取り巻く日本の環境や、手話タウンにかける思いなどを語った。

日本では手話が言語認定されていない?

まず笹川氏は、国連総会で決議された「手話言語の国際デー」について触れ、「日本は障害者権利条約を批准しているにもかかわらず手話を言語として認めていない」という現状を語った。

日本財団会長の笹川陽平氏

「手話言語法制定がなかなか進まず、手話を言語として認めない状態では、障害者雇用も一向に進まない」とのことで、民間の大企業に関心を持ってもらうよう日本財団が働きかけてきたという笹川氏。

「世界には約15億人の障害者がいるという。働く能力も情熱もある彼らは、ビッグマーケットでもある。健常者には汲み取れないニーズを理解できる障害者を雇い入れることで、障害者が本当に必要とするような製品開発も進む。

すでにGoogleやMicrosoft、SONYや日立など大企業500社がタッグを組んで障害者雇用を率先して行っている。アフターコロナはこのようなダイバーシティ&インクルージョンが一気に進むだろう」(笹川氏)

「その取り組みのひとつが『手話タウン』。誰もが共に働ける社会の実現に向け、手話に気軽に触れてもらいたい」とあいさつをした。

手話タウンは手話への入り口

続いて登壇した川俣氏は、手話で手話タウンが生まれた背景、概要、目指すところについて説明した。

日本財団特定事業部True Colorsチーム 川俣郁美氏

聴覚障害者は世界で4億6600万人。会話はできるけれど聞き取りづらい、飛行機の轟音さえ聞こえないなどレベルは様々だが、20人に1人が聞こえで課題を持っていることになる。

そのうち、手話を日常的に使うろう者は20%。つまり、世界人口の100人に1人が手話でコミュニケーションをとっている。

ここでひとつ思い出したいことがある。私たちが「物心ついた時」というのは、言葉を覚え始めた頃ではないだろうか。つまり、言語と思考には密接な関連があるということだ。

音のない世界で生活するろう者(ここでは、手話の未習得者で耳の聞こえない人のこと)は、手話という言語を習得することにより、自分の意志を相手に伝え、相手のことを理解し、学習し、思考することができるようになる。このことから手話がコミュニケーションというものを超越した“生きることの基盤である”、ということが理解できるだろう。

しかし、「国内では手話を言語として認めないだけでなく、手話への理解も少ない」と川俣氏。「米国では手話を第2言語として教える手話クラスのある公立高校が1100校あるが、国内で手話を授業に総合学習のような形でも取り入れたことのある学校がある市区は38.3%(230市区)、に過ぎない。大学など高等教育機関に至っては、手話を語学として講義を行っているのが9校であるのに対し、米国では第2言語として792校がコースを開講している。西語、仏語に続き3番目に多く履修されている言語だ」と解説した。

「自治体で手話の講習会を開いているところもあるが、教育機関として学べる米国のように、体系的かつ若い時から学んで触れる機会がない日本では、ろう者が生活していく上で難しい場面も多い。

少しでも手話を身近なものと感じてもらいたい、手話に触れる入り口にしてもらいたい、という想いで手話タウンを開発した」(川俣氏)

公式版は、よりフレンドリーなユーザーインターフェースに

5月24日にリリースした手話タウンベータ版の体験者約8500人(延べ)から得たフィードバックにより、公式版では次のような改良が加えられた。

  • チュートリアルの追加
  • 見本動画の拡大・スロー再生機能追加
  • 見本動画と自分の手話の比較表示機能追加

手話は、顔だけでなく肘を含む手の動きで表現する。そのため、一般的なビデオ会議のとき以上にPCのカメラから離れる必要がある。どれほど離れる必要があるのか、正しく認識されているかをチェックするために、チュートリアルが追加された。

遊び方の説明も追加された。どのようにプレイするかが一目瞭然

チュートリアルではカメラの位置(実際には自分の位置)調整、認識するのに体のどの部分が必要なのかが、よりわかりやすくなった

スロー再生(0.25倍速再生)で細かい動きをしっかり把握しやすく

また、ベータ版では見本となる動画が小さく、動きも早かった。また、2つの窓で同時に表現するため、目がさまよってしまい、選んで表現したいと思う側に注目できないという課題も合った。実際、筆者も「これは指を何本立てているのか」「右下? 真下?」と戸惑うことが多かった(ダンスなどの振り付けを覚えにくいという特性も関係しているが……)。それが正式版では、拡大表示することで1ウィンドウで大きく見られるようになり、その状態でスロー再生(0.25倍速再生)して、しっかり動きを把握できるようになった。

以前の見本動画の一例。並べて表示するため小さく、目がさまよってしまう

正式版ではそれぞれの見本動画を拡大表示できるようになった。また「0.25x」をクリックすればスロー再生も可能。細かなところまで確認できる

地味な追加要素ながら、文字のわからない子どもや外国語話者でも理解できるよう、それぞれの見本動画の左上に、表現したいものを表すアイコンが添えられるようになった

見本動画と自分の手話表現の動画を見比べて、客観的に違いを確認できるように

最後は、自分の手話表現が「間違い」だったときに、見本動画と自分の手話表現の動画を横に並べることで、どこが違うのかを見比べられるよう比較表示機能が追加された。自分では完璧に真似をしているつもりでも、客観的に「そうじゃない」ということがわかるというわけだ。

手話タウンは「プロジェクト手話」の一環、音声からの手話作成や手話から音声への翻訳などの目標も

公式版になった手話タウンをプレイした くろえ氏は、「キャラクターがかわいらしいので、小さな妹と一緒にプレイできる。今、日本語手話だけでなく外国語手話に興味があるので、香港手話を学べるのはありがたい。今後、ほかの国の手話も学べるとうれしい。友人と一緒に遊んでみたい」と感想を語った。

「ユリマガール」YouTuber くろえ氏

川俣氏は、「手話タウンは、『プロジェクト手話』の一環に過ぎない。将来的には音声から手話を自動的に作成したり、手話から音声へ翻訳したりするという大きな目標がある。今は3場面、36単語しか学べない、またPCのウェブブラウザーからしかアクセスできない手話タウンだが、今後は単語数を増やし、スマホやタブレットでも遊べるようにしていきたい」と今後の抱負を述べた。

また、発表会後、個別取材に対応したTrue Colorsチーム チームリーダー青木透氏は「手話タウンは、手話に触れる門戸を広げることが第一の目的なので、今はアカウントの作成や登録なしにプレイしてもらえる仕様になっている。しかし、場面や単語数が増えた将来には、習熟度をチェックしたいというニーズも増えてくるだろう。協力者である香港中文大学、Google、関西学院大学と共に、アカウント方式にするかしないかを検討するようになるかもしれない」と話していた。