MicrosoftはOffice 365をクラウド上の仮想デスクトップから提供、そのためにFSLogixを買収

9月にMicrosoftは、ユーザーがOffice365とその下のWindows 10オペレーティングシステムをクラウドで動かす仮想デスクトップを発表した。そのとき、それを支えるいくつかのパートナーも発表されたが、その一つ、ジョージア州アトランタの仮想デスクトップ企業FSLogixだ。今日(米国時間11/19)Microsoftは、FSLogixの買収を発表したが、買収価額は共有しなかった。

Microsoft Office 365の企業担当VP Brad Andersonと、Microsoft Azureの企業担当VP Julia Whiteが、今日のブログ記事でこう述べている: “FSLogixは次世代のアプリケーションプロビジョニングプラットホームであり、仮想化のサポートに必要なリソースと時間と労力を節約できる”。

9月に仮想デスクトップを発表したときMicrosoftが挙げたパートナーは、Citrix, CloudJumper, Lakeside Software, Liquidware, People Tech Group, ThinPrint, そしてFSLogixだった。どうやら同社は、その一つは同社自身による保有が必要と考えて、FSLogixを買収したのだ。

Microsoftは、FSLogixのソリューションを自社のサービスにすることによって、より良い仮想デスクトップ体験を顧客に提供でき、とくに Office 365 ProPlusの顧客には高いパフォーマンスと速いロード・タイムが可能になる、と考えている。

FSLogixのファウンダーでCTOのRandy Cookは、Microsoftとはすでに長年、良好に協働してきたから、この買収は有意義だ、と言う。Cookは、買収を発表するブログ記事でこう述べている: “Microsoftのいくつかのチームと協働を開始したが、最初の時点から、両者のミッションが完全にかみ合ってことを認識した。FSLogixとMicrosoftは共に、仮想デスクトップをデプロイすることによって企業に絶対的に最良の体験を提供することに、献身している”。

今では多くの企業が社員たちに、完全なスタンドアロンのPCではなく、ダムターミナルを与え、社員たちが必要とするツールだけを動かしている。Citrixは、そういうサービスを企業に提供している。社員たちは朝仕事を始めるときに、自分の認証情報でサインインし、仕事のために必要なツールを動かす仮想デスクトップを得る。そのMicrosoftバージョンでは、社員たちが得るのは、Azureの上で動くOffice 365とWindows 10だ。

FSLogixは2013年に創業され、Crunchbaseによればこれまで1000万ドルを調達している。Microsoftによると、今日の買収はすでに完了しており、先週のXoxcoの買収の発表に次ぐ発表だ。Xoxcoは、AIを利用する会話型ボットを作っていたオースチンのデベロッパーショップだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

レガシーソフトウェアを”マイクロアプリ”と接続するSaphoを、Citrixが2億ドルで買収

大きな組織が、これまでのソフトウェア資産の全てを破棄することなく、現代的なやり方に適応していく作業に苦労している中で、そうした組織と協力しているある企業が、そうしたプロセスを助けるための買収を行った。本日(米国時間11月15日)Citrixは、レガシーソフトウェアのための「マイクロアプリ」を開発するスタートアップSaphoを買収したことを発表した。Saphoのソフトウェアは、企業の従業員たちが、従来のソフトウェアを、クラウドやモバイルを通して、あたかも現代的なアプリケーションのように利用することを可能にする。

買収は全額現金で2億ドル前後であったと伝えられている。これは良いリターンだ。Saphoは2014年以来、AME Cloud Ventures、Louie Alsop、そしてFelicis Venturesなどの投資家から、わずか2800万ドル以下の資金調達しか行っていなかった。共同創業者のFouad ElNaggarとPeter Yaredを始めとして、ベイエリアを中心とした90名の従業員チームとプラハの開発オフィスがCitrixに加わる。

Citrixは現在、約140億ドルの時価総額を有しているが、これはエンタープライズITの世界における大きな流れに従い、主に仮想プライベートネットワークサービスから、よりハイブリッドなクラウドモデルへ焦点を切り替えた、新しいCEOのDavid Henshallの下で上昇してきたものだ。

Citrixは、Saphoの既存のビジネスと製品のすべてを提供する。ElNaggarによれば、両社は既に顧客ベースが大きく重なっており、Citrixのサービスへのより高度な統合を望む顧客たちの存在が、CitrixによるSaphoの買収を促したのだという。

「世界最大の企業たちがCitrixを利用していて、その従業員たちにより魅力的な体験を提供する必要がある大規模なハイブリッド環境を構築しているのです」とインタビューに答えたのは、Citrix社の事業戦略EVPかつCMOであるTim Minahanである。「でもそれは、全てを捨て去り新しいソフトウェアを投入することを意味しません。Saphoはそうした既存のインフラストラクチャを活用し、意思決定においてより洞察的なものとするための、素晴らしい手段を提供するのです。私たちはこれを、エンタープライズアプリケーションがその環境の中で果たす役割を再考する手段だと考えています」。

現在Saphoが、レガシーソフトウェアを活用して統合を提供している典型的なタスクには、経費精算、セールスソフトウェア、ITサポートチケット、そして人事管理などがある。こうした既存のシステムから吸い上げたデータを、Microsoft Teams、Microsoft Dynamics、Oracle EBS、Salesforce、SAP ERP、Workday、そしてGoogleドライブなどのサービスへ供給するのだ。

なお今回CitrixがSaphoを買収する前には、IBMとMicrosoftが、Saphoが成し遂げたこと、獲得した取引、そして埋めている市場の空隙に着目して、買収に向けた予備交渉を始めていたことを、私たちは耳にしていた

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(翻訳:sako)

直近の取引だけでも500億ドル:企業の今年のショッピングシーズンは既にスタート

ブラックフライデーにはまだ10日ほど早いが、今年の企業のショッピングシーズンは既に始まっている。ここ数ヶ月だけでも私たちは合計500億ドルに及ぶ買収を目撃してきた。その最大のものは、2週間前に340億ドルで行われたIBMによるRed Hatの買収だ。一体何が起きているのだろうか?

全てがそこまで大規模の取引というわけではないが、見慣れない大きな規模の取引が今年は続いている。大きなテック企業たちが、昨年の納税の一部として、海外から送金することが可能になったことで、こうしたことが起きることを預言していた人たちもいた。

今年これまでに見た、数十億ドル規模の取引のいくつかを見てみよう:

需要と供給

大企業は現在その財布の紐を大幅に緩めていて、マーケティングから分析、セキュリティー企業に至るあらゆるものを買収している。彼らはオープンソースと各種の製品を入手しつつあり、クラウドとオンプレミスの橋渡しをする方法を探している。ソフトウェアは沢山あり、そうした取引間にあまり脈絡はみられない。

そうした取引に共通しているのは、そうした買収提案が、単純に拒絶するにはあまりにも巨額であるということだ。こうした企業たちはキャッシュを豊富に持ち、欠けている部分を埋める機会を探し、次々に対象を見つけて行く。

買収価格がこれほどまでに高騰している理由の1つは、買収できる企業の数には限りがあるためだと、Constellation Researchの創業者兼主席アナリストのRay Wangは語っている。彼が見るところ、現在買収対象としてふさわしい企業は、カテゴリーごとに3〜5社ほどしかない。彼はこれを、カテゴリーごとに10-15社の買収対象がいた10年前と比較して語っている。成長可能なスタートアップの数が限られているため、そうした企業を追い求める企業間の競争は激化しているように見える。そうした状況を現金で膨らんだ財布と組み合わせれば、こうした太っ腹な取引が続出するというわけだ。

大企業に買収される企業たちは、その売却を普通に正当化することができる。株主と投資家に報いることができるからだ。また買収する側の大企業は、自分自身で開発するよりもプロダクトロードマップを迅速に進めることができる。買収したチームを、国際マーケットやメガセールスチームに引き合わせることができるのだ。

購入か構築か

それでも、企業は比較的少額の収益に対して、常識外れの大きな金額を使っている。過去3週間の取引では、私たちはIBMが約30億ドルの収益を上げる企業に340億ドルを支払うところを見たし、SAPがわずか4億ドルの収益をあげる企業に80億ドルを支払うのも目撃した。

これは見たところ、確かに払い過ぎのように思える。しかしConstellationのWangは、結局これは最終的には、構築かそれとも購入かという古典的な意思決定に落ち着くのだと言う。SAPはQualtricsと同様の製品を作ることもできた筈だが、単純にそれを買収してSAPの強大なセールスパワーを使うこともできた。「SAPは10万の顧客に売り込むことができます。Qualtricsとの重複は10%しかないのです。数は大切です。そしてそれは新しいプロダクトをマーケットに投入する役に立つことでしょう」とWangはTechCrunchに語った。

Wangは、これが多くの買収の背後にある戦略だと考えているが、それでも買収金額の数字が少々常軌を逸していることは認めている。彼の言うように、こうした数字はかつては3年分の平均収益に対して、3倍程度のものだった。それが今では15から20倍に達しているのだ。こうした数字は正当化することが難しかもしれないが、それは買い手にとっても買われる側にとってもウィン=ウィンであると彼は考えている。もちろん投資家にも大きな利益をもたらすものだ。

これまでのやり方を守る

Red Hat、GitHub、Qualtricsのような例では、買収された企業は大企業の内部で、分離独立したユニットして留まることが多い。少なくとも暫くの間は。それでももし意味があるのなら、大きな企業内での意味のあるクロスオーバーが図られることもある。

しかし、Real Story Groupの創業者兼プリンシパルアナリストのTony Byrneは、こうした大企業はウォールストリートの意見に耳を傾ける傾向があり、顧客は自分たちのお気に入りの製品とサービスに関しては、耳にすることに用心深くなると語る。「最初のプレスリリースで発表される、連続性についての当初の社交辞令を信じることはできません。彼らは何よりもまず、ウォールストリートに耳を傾ける大企業なのです。もし投資家たちに対する説明に合致しない提供物がある場合、それはあまり大切にされることなく、廃棄されたり分離されたりする危機に直面することになります」とByrneは説明した。

また、取引が実際に終了するまでは、2社がどのように上手く合うことになるのかを知ることも難しい。買収する側の企業が、相手が何を持っているのか、そしてどうやってそれを売れば良いのかを知らない場合もある。2つの会社が上手く合わなかったり、創業者たちや主要幹部たちが新しいヒエラルキーにスムースに入り込めないこともある。彼らはそうしたこと全てを事前に把握しようとはしているが、実際にそれがどうなるかを知ることは、いつでも容易だとは限らない。

それにもかかわらず、私たちは尋常ではない高いレベルの巨額買収を目にしていて、おそらくは、さらに多くのケースを目にすることになるだろう。

画像クレジット: Jamie Jones / Getty Images

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(翻訳:sako)

SAP、オンライン調査のQualtricsを80億ドルで買収へ――SaaS企業買収として最大規模

TechCrunch Disrupt SF 2015に登壇したQualtricsのRyan Smith

今日(米国時間11/12)、SAPはQualtricsを80億ドルのキャッシュで買収することで同社と合意したと発表した。SAPはエンタープライズ・ソフトウェアの世界的有力企業である一方、Qaltricsはオンライン調査サービスとソフトウェアを提供するスタートアップで上場を目前に控えていた。買収手続きは来年、2019年の上半期に完了するものとみられている。Qualtrics の直近のラウンドは2016年に実行され、25億ドルの会社評価額で1億8000万ドルの資金調達に成功している。

SaaS企業の買収としては2016年にOracleが93億ドルでNetsuiteを買収したのに次ぐ第2の規模となる。

電話記者会見でSAPのCEO、Bill McDermottはQualtricsの上場による株式販売はすでに募集枠を上回っており、両者は数ヶ月前から話し合いをしていたという。SAPは「われわれのソフトウェアは世界のソフトウェア・トランザクション収入のシェアの77%に達している。Qualtricsの調査、アンケートのサービスとソフトウェアが加わることで、今後、9000以上の大企業は必要としている顧客満足度や社員の会社に対するエンゲージメントに関する情報を容易に知ることができるようになる」と述べた。

McDermottはまたSAPによる Qualtricsの買収の影響をFacebookのInstagram買収に匹敵するものだとして 「90年代のレガシー・テクノロジーを21世紀まで引きずってきた企業は完敗した。SAPはライバルの既存のマーケットの大きな部分を消滅させた」と強調した。SAPのライバルと考えられている企業はOracle、 Salesforce.com、Microsoft、IBM.だ。

SAPはドイツのヴァルドルフに本拠を置くグローバル企業で、買収に必要なコスト70億ユーロ(79.3億ドル)の資金をすでに確保しているという。これには支払いが必要な社員へのボーナス、買収時点での貸借対照表の負債分などのコストが含まれる。

2002年にQualtricsを共同創業したRyan Smithが買収後もCEOを務める。買収手続きの完了後、同社はSAPのCloud Business Groupに属すが、本社は引き続きアメリカのユタ州プロボとワシントン州シアトルに置かれる。ブランドおよび社員も従来どおり維持される。

われわれのCrunchbaseによれば、QualtricsはAccel、Sequoia、Insight Venturesなどから総額で4億ドルの資金を調達している。.予定されていた株式上場では18ドルから21ドルの範囲を目標として2050万株を売り出す予定だった。CrunchBaseのAlex Wilhelmによれば、新規上場で4億9500万ドル程度を調達できるものと予測されていた。この株価であれば時価総額は39億ドルから45億ドル程度となる。

新規上場申請書によれば.、Qualtricsの収入は今年の第2四半期の9710万ドルから8.5%アップして第3四半期には1億540万ドルとなっていた。第3四半期のGAAPベースの純利益も第2四半期の97万5000ドルから490万ドルにアップしている。前年同期の純利益も470万ドルだった。2018年初頭から9ヶ月のQualtricsの営業キャッシュフローは525万ドルで、前年同期の361万ドルからアップしている。

今日の発表で、Qualtricsは2018年通年の収入は4億ドルを超えるという予想している。これは40%の急成長となるが、SAPの買収によるシナジーの効果は計算に入っていない。

Qualtricsの主たるライバルはSurveyMonkeyで、同社は今年9月に上場を果たしている。

画像:Steve Jennings (opens in a new window) / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

IBM-Red Hatの340億ドルはソフトウェア買収史上最高額

従来それは半導体会社や通信、医薬品の巨人に使われる金額だった。本日(米国時間10/28)IBMは、エンタープライズ向けオープンソフトウェア会社のRed Hatを340億ドルで買収すると発表した。これはMicrosoftがLinkdInを買収した262億ドルを上回る最大のソフトウェア買収だ。ただし、IT分野最大の買収ではない。その称号は DellによるEMCストレージ事業670億ドルの買収に与えられている。

IBMがRed Hatを買収してハイブリッドクラウド企業を目指していることについての詳細は、 TechCrunch編集者のIngrid Lundenが書いているので参照されたい

ではこのIBM-Red Hat案件(成立した場合)はこれまでの巨大買収と比べてどう位置づけられるだろうか?

IT買収トップ5

  1. 670億ドル——パソコンメーカーDellがEMCのデータストレージ事業を買収
  2. 370億ドル——半導体会社Avago Technologiesが半導体巨人Broadcomを買収および社名変更
  3. 340億ドル(交渉中)——IBMがオープンソフトウェアメーカーRed Hatを買収
  4. 314億ドル——日本の複合企業SoftBankが半導体企業ARM Holdingsを買収
  5. 262億ドル——ソフトウェア会社Microsofがプロフェッショナル向けソーシャルネットワークのLinkedInを2016年に買収

ソフトウェア買収トップ5

  1. 340億ドル(交渉中)——IBMがオープンソフトウェアメーカーRed Hatを買収
  2. 262億ドル——ソフトウェア会社Microsofがプロフェッショナル向けソーシャルネットワークLinkedInを2016年に買収
  3. 220億ドル——ソーシャルネットワークFacebookがメッセージングアプリWhatsAppを2014年に買収
  4. 135億ドル——セキュリティーソフトウェアメーカSymantecがストレージ管理ソフトウェアメーカーVeritasを2004年に買収(180億ドルをインフレ調整)
  5. 110億ドル——データベース会社Oracleが人事ソフトウェア会社PeopleSoftを2004年に買収(147億ドルをインフレ調整)

企業買収ベスト5

  1. 2020億ドル——英国通信会社Vodafoneがドイツ通信会社Mannesmannを2000年に買収(2960億ドルをインフレ調整)
  2. 1650億ドル——インターネットプロバイダーAOLがメディア複合企業Time Warnerを2000年に買収(2410億ドルをインフレ調整)
  3. 1118億ドル——医薬品巨人Pfizerが医薬品会社Warner Lambertを1999年に買収(1640億ドルをインフレ調整)
  4. 1300億ドル——通信会社Verizon CommunicationsがVodafoneおよびBell AtlanticのVerizon Wirelessを2013年に買収
  5. 1300億ドル——Dow Chemicalが化学会社DuPontを2015年に買収

このRed Hat買収はソフトウェアのスケーラビリティーが極端な富の集中化を可能にすることの証だ。従来の業界巨人たちが、石油、化学、完成商品の供給、流通を受け持つ物理リソース・プロバイダーらと富を分け合っていたのに対して、ソフトウェアは生産と流通にほとんど材料費がかからない。ソフトウェア巨人への価値の集中は、世界を変えるビジネスを作る大きな動機づけになると同時に、労働階級から資産を奪う危険を伴っている。Red Hatの成果を祝福するのは簡単だが、必然的に社会は、ソフトウェアが富を少数へと集中させることで加速される貧困とポピュリズム取り組まなくてはならない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

IBM、Red Hatを340億ドルで買収へ――ビッグ・ブルー、ハイブリッドクラウドに向けて大きく前進

噂が乱れ飛んでいたこの件だが、今日(米国時間10/28)、 IBMはオープンソースのクラウドソフトウェア企業Red Hatを買収することを確認した。1株190ドルのキャッシュによる買収の総額は340億ドルになる。IBMは「買収はIBM、Red Hat双方の取締役会の承認を受けたが、今後Red Hatの株主と規制当局の承認を受ける必要がある」と述べている。計画どおりに実施されるなら、2019年の下半期には買収が完了するものとみられる。

この買収はこれまで長らくレガシーなサーバービジネスに依存してきたIBMがクラウドに大きく賭けたことを意味する。詳しくいえば、オンプレミスとクラウドをミックスしたハイブリッド・アーキテクチャによるクラウド事業だ。両者はすでに今年5月に協力関係に入ってこの方向を(今から考えれば)テストしていたようだ。 Red HatはIBMのHybrid Cloudチーム(IBMによれば190億ドルの大ビジネスとなっている)の中で重要な地位を占めることになる。また今後もオープンソース・ソフトウェアの開発に集中していくことになるだろう。

IBMの会長、社長、CEOを兼ねるジニ・ロメッティは声明で「Red Hatの買収はゲームチェンジャーだ。これでクラウド・ビジネスのすべてが変わる。IBMは世界でナンバーワンのハイブリッド・クラウドのプロバイダーとなるだろう。多くの企業にビジネスのすべての可能性を解き放つクラウド・ソリューションを提供できる唯一のプロパイダーとなる」と述べた。

IBMとRed Hatの統合により、総合的なクラウド・マネージメントだけでなく、Linux、コンテナ、Kubernetes、マルチ・クラウド・マネージメント、オートメーションなどあらゆる分野にソリューションを提供できるとIBMは述べている。また統合された両者は他の有力なクラウド提供ビジネス、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、 Alibabaなどとも提携関係を強化していくと付け加えた。

TechCrunchのJosh Constine記者がこの記事で指摘しているとおり、340億ドルというのはテクノロジー関連の買収として最大級のものだ。ソフトウェアに限っていえば、おそらナンバーワンの規模だろう(DellはEMCを670億ドルで買収したが、これにはソフトウェアだけでなくかなりのハードウェアとストレージ・ビジネスが含まれていた)。

Amazonはクラウドに100%集中しているものの、多くの大企業は、クラウドへの移行を段階的に進めている。IBMによれば、業務の80%は「依然としてクラウド化されていない。これは現在のクラウドがそれぞれ異なる独自のソリューションであることによる」としている。Red Hatの買収はIBMがこの80%の領域に進出することを助けるという。

ロメッティCEOは「大半の企業ではコンピューティング能力をレンタルしてコストを削減できるクラウド化はまだ20%しか進んでいない。そこで残る80%の業務をクラウド化し、ビジネスの価値と成長の可能性を最大限に活かすことが次の課題となる。これがクラウド化の来るべき章だ。これにはビジネス・アプリケーションをハイブリッド・クラウド化していくことが欠かせない。これによりサプライチェーンからセールスまでビジネスのあらゆる側面からさらに柔軟にデータを抽出、処理することが可能になる」という。

またこれに加えてIBMはRed Hatが築いてきた成果を手に入れたことにより、オープンソース・ソフトの分野でこれまでよりはるかに強力な足場を得た。【略】

IBMではRed Hatの売上、荒利益、フリーキャッシュフローなどの数値を買収手続き完了後12ヶ月以内にIBM本体の統計に加えると述べている。

画像:Craig Warga/Bloomberg / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

求人界のTinder「Teamable」が500万ドルを調達、Simpplerを買収

社員のソーシャルネットワークを活用した求人サービスのTeamableが、500万ドルの資金を調達した。出資したのは新たに参加したFoundation Capitalとすでに投資しているTrue VenturesとSaaStr Fund。

また同社は、Simpplerの照会エンジンとリクルートソフトウェアを買収したことも発表した。Teamableの共同ファウンダーでCEOのLaura Bilazarianは、契約条件の公表を拒んだ。

Crunchbaseによると、買収されたSimpplerはこれまでに320万ドルの株式ファンドをFoundation Capital、Greylock、Vertex Venturesらから調達している。同社は2013年に Vipul Sharmaが設立し、Teamableと同様、既存の社員ネットワークを使って求人紹介プラットフォームを作っている。Sharmaは以前Evenbriteで機械学習を担当し、LinkedInプロフィールによると「昨年Indeedのエンジニアディレクターを務めていた」。

SharmaおよびSimpplerの人員はTeamableに移籍しない。

TeamableはGmail、Facebook、GitHubその他のソーシャルネットワークを利用して社員の連絡先を収集し、リクルーターをより焦点の絞られた採用候補者と結びつける。
Teamableを利用している企業の中にはSpotifyとLyftも入っており、ネットワーク内の従業員と求職者の温かみのあるつながりを支援している。ソーシャルリクルーティングのアルゴリズムによってより効率的で多様性のある雇用が可能になる、と同社は言っている。

「求職者は今のリクルート方法を喜んでいないと思う、とBilazarianがTechCrunchに話した。「彼は履歴書を塀の向こうに投げ入れるだけで返事を聞くことがない。企業も今のやり方を望んでいないと私は思う。なぜなら、求職者は職務記述書を見て憶測するだけなので企業は正しい候補者に巡り合っていないからだ」

「企業の中のわずかな人々が世界中にスパムを送るのではなく、会社をよく知る人たちが手を差し伸べる」と彼女は言う。「Teamableは非常に精度が高い。200人と接触して一人から返事をもらうのではなく、5人に声をかけて一人を採用する。」

昨年の シリーズAで得た500万ドルを含め、Teamableの株式ファンドは総額1000万ドルになった。50名からなる同社のキャッシュフローはプラスで、顧客は200社だとBilazarianは言う。サンフランシスコおよびアルメニアのエレバンに拠点を構えるTeamableは、調達した資金を使ってチームとリクルーティングプラットフォームの拡大を進める予定だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

TwilioがメールのAPIを提供しているSendGridを$2Bで買収、オムニチャネルサービスの充実のためか

今や至るところで使われている通信プラットホームTwilioが今日(米国時間10/15)、メールのAPIを提供しているSendGridを、約20億ドルの株式取引で買収する、と発表した。これはTwilioのこれまでで最大の買収だが、どちらも業務の中心がデベロッパーにとって使いやすい通信プラットホーム(主にAPIの提供)の構築である、という点では共通している。

Twilioの協同ファウンダーJeff Lawsonが、今日の発表声明で述べている: “両社は同じビジョンと、ビジネスモデルと、同じ価値を共有している。デベロッパー向け通信プラットホームの二つのトップ企業がこうやって合体することは、一生に一度の機会であり、これにより、顧客のエンゲージメントの変革を志向しているすべての企業にとって、迷いなく選べるプラットホームが作られることになる”。

SendGridはTwilioの完全子会社になり、その普通株はTwilioの株式に変換される。両社は買収の完了を2019年の前半と見ており、それまでに当局の承認も得られると思われる。

Twilioの現在のフォーカスはオムニチャネルの通信にあり、言うまでもなくメールはその重要な要素のひとつだ。すでに同社は音声やビデオ、チャットなどでは豊富なサービスを提供しているが、これまではなぜか、メールが欠けていた。今回の買収で同社はいきなり、この分野の専門技術をデベロッパーに提供できることになり、サービスの種類が拡大される。

SendGridは、2017年に上場した。そのときの株価は、16ドルだった。今日では、買収の発表の前の時点で31ドル弱だったが、当然ながら発表と同時に急上昇した。それでも先月の36.5ドルより低いが、ご存知のように今株式市場は全体的に軟調である。

この発表は、Twilioの例年のデベロッパーカンファレンス(10/17-18)の直前に行われた。そのときには、SendGridについて詳しい話が聞けるのではないか。

本誌も今Twilioに詳しい情報を求めているので、何か得られ次第この記事をアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleがカスタマーサービスをボットで自動化するOnwardを買収

Googlegが、企業のカスタマーサービスや営業のワークフローを自動化するツールを作っている小さなスタートアップ、Onwardを買収した。Onwardの協同ファウンダーRémi CossartとPramod Thammaiah、そしてCTOのAaron PodolnyはGoogleに加わる。買収の条件は、公表されていない。

OnwardはAI機能のあるチャットにより、顧客が求めているものを即座に理解し、そのオートメーションにより、企業の貴重な人材の有効利用を図る。

CossartとThammaiahはそれまで、ショッピングアシスタントのような消費者製品Agent Qがメインのプロダクトだった。ユーザーは、テキストメッセージで推薦商品を気軽に尋ねる。同社はそのサービスを、パーソナルアシスタントのMagicと権威ある消費者雑誌Consumer Reportsの結婚、とみなしていた。

しかし彼らは、そのようなサービスはむしろ企業に需要があると考え、顧客との対話を自動化し、話の内容を各顧客に合ったものに仕立てるサービスに転身した。

そのボットによるサービスは、単純な質問にはデータベースから答を取り出し、一方、複雑な質問には対話のフローを自動的に作り、必要ならその後のフォローアップも行なう。

[関連記事: 本誌Onward紹介記事(未訳)]

そういう複雑な質問では、Onwardはビジュアルなボットビルダーを作ってユーザーが迅速にチャットの決定木(デシジョンツリー)作り、顧客の要求に応じる。そのときボットは、“この問題は複雑すぎるので人間に任せるべき”、という判断もする。

そのサービスは、SalesforceやZendesk, Shopify, HubSpotなどとの統合も容易だ。

Onwardのサイトのブログ記事は、こう述べている: “これまでの旅路を通じて私たちは、コンピューターが人間のアクションやメッセージの背後にある隠れた意味を理解したときに生まれる、魔法のような体験を作りだすことに、一貫して注力してきた。Googleで私たちは、Onwardで培ってきた技術の適用範囲を、さらに拡大していきたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookの企業買収がまずいことになっている

あなたのスタートアップを誰に売るべきだろうか。Facebookと、Facebookが以前買収した企業の創業者のケースは、マーク・ザッカーバーグと彼の会社に買収されることがどんなことになるのかを如実に物語っている。最も尊敬と願望に満ちた買収の一つとされたWhatsAppの買収から5年、一連のスキャンダルでFacebookのM&A部門のイメージは地に落ちた。これにより、事業をFacebookに売却するよう起業家を説得するのは難しくなったかもしれない。またはFacebookは今後の買収で、より多く支払ったり、契約に自主性の保証を盛り込んだりすることを余儀なくされるかもしれない。

WhatsApp’sの創業者は、利益を出すように強いプレッシャーを受けている中でFacebookを去った。Instagramの創業者も自主性が脅かされているとして辞める。そしてFacebookは過去数年、10代に人気のQ&AアプリTBHやフィットネストラッカーMoves、ビデオ広告システムLiveRail、音声操作デベロッパーツールキットWit.ai、そしてまだ人気があるモバイルアプリデベロッパープラットフォームParseなどを含む買収した事業を廃止している。

Facebookユーザーはこうした事実を知らないかもしれないし、関心もあまりないかもしれない。しかし、Facebookが新出の競争相手や補完的なサービスを次に買収しようとするときは、これは困ったことになるかもしれない。

WhatsAppとの約束は反故にされた

問題の深刻化は、WhatsAppの共同創業者Brian Actonが1年前、2014年に行われた220億ドルの買収からもらうことになっていた報酬を受け取る前にFacebookを去ったことに始まる。Actonはターゲット広告を嫌っていて、FacebookはWhatsAppに対しターゲット広告にこだわらないとActonに言い、その点に関しザッカーバーグは譲歩していた。Actonは事業売却にあたり、もしFacebookが同意なしに収益化のスキームを実行した場合、共同創業者の残りの株式報酬がただちに支払われるとの条件も付けていた。GoogleもWhatsApp買収に関心を示していたが、FacebookがWhatsAppの自立を約束したことで、この買収案件がまとまった。

WhatsAppのもう1人の創業者Jan Koumも、Facebookがアプリを収益化しようとし、またプライバシーについても影響を与えているとして緊張状態が続いたのち4月にFacebookを去った。Actonは株式報酬8億5000万ドルを受け取らずに辞めた。自由はそれだけの価値があり、束縛というのは堪え難いものだったに違いない。ForbesのParmy Olsonとの今日のインタビューでActonは、Facebookが買収をEU議会に認めてもらうためにWhatsAppのユーザーデータを統合しないと彼に約束したときの詳細を明らかにした。Facebookはその後、約束を破り、紙幣をプリントして生み出しているような会社にとっては少額といえる1億2200万ドルの罰金を払い、ハッキングを続けた。

ActonはFacebookを去るにあたり、買収時に付けていた株式報酬の条件を実行に移そうとしたところ、Facebookはただ収益化を実験しているだけで“実行”してはいないと主張した。Actonは訴訟を起こすことを選ばず、ただ去り、そして“Delete Facebook(Facebookを削除しよう)”とツイートした。Koumは株式報酬を受けるために少しだけ長くとどまった。しかしこの2人が去るやいなや、WhatsAppは課金ビジネスをスタートさせ、来年にはInstagramのStoriesに似たStatusに広告表示も行う予定だ。ユーザー数の伸びが鈍化し、ユーザーがStoriesに移り、そしてニュースフィードに広告を盛り込めなくなったFacebookの収入の問題が、WhatsAppの収益化という形になって現れたわけだ。

これから分かるのは、Facebookが自社の都合を優先するために買収先の創業者との約束を反故にするということだ。

消えたInstagramの自主性

Instagramの共同創業者Kevin SystromとMike Kriegerは今週、Facebookを退職すると発表した。消息筋がTechCrunchに語ったところでは、プロダクトの方向性をめぐりザッカーバーグと相入れなかったためだ。2012年のInstagram買収時、ザッカーバーグは10億ドルで交渉した(Facebookの株価が下がったことにより、ディールがクローズしたときは7億1500万ドルだったが、その後株価が上昇し40億ドルになった)。この買収には、Instagramのブランドとプロダクト路線に関して独立性が維持されることも盛り込まれていた。

ザッカーバーグは5年間、売却は行わないことを約束し、契約の内容通り創業者たちはInstagramに残っていたーシリコンバレーでは稀だ。FacebookがWhatsAppを買収しようとした際は、Instagramの自主性に言及していた。そしてFacebookのエンジニアリング、セールス、採用、国際化、そしてスパム対策チームでもって、Instagramはユーザー10億人という巨大な存在に成長した。

しかし、繰り返しになるが、Facebookは成長と経済面で困難を抱え、これがザッカーバーグの心変わりを促した。インスタグラムは流行っていたが、10代におけるFacebookの人気はガタ落ちだった。FacebookはInstagramのノーティフィケーションとセッティングタブの中に、Facebookに戻るアラートやリンクを表示するという強硬策に出た。一方で、InstagramとFacebookにまたがって写真を投稿できるようにしていた機能からInstagramを取り除き、InstagramへのショートカットがFacebookのブックマークメニューから削除された。

それからザッカーバーグは今年半ば、彼の親しい友人でNews Feedの前VPであるAdam Mosseriという忠臣をInstagramの新たなプロダクト担当VPに任命した。組織改造では、SystromがFacebookのCPO、Chris Coxに報告する体制となった。以前はInstagramのCEOは、CTOのMike Schroepferにテクニカル的なことを報告していたのを除き、かなりザッカーバーグに直接コンタクトをとっていた。この間にマネジメントのレイヤーを加えたことで2人の関係は悪化した。買収して6年、Facebookが約束を破り始めたのに伴いInstagramの自主性は低下し、創業者は去った。

これから分かるのは、Facebookは契約にかかわらず買収を利用することがあるということだ。

Oculusの視野は狭くなっている

Facebookが2014年にバーチャルリアリティ会社Oculusを買収したとき、ザッカーバーグはOculusは次の素晴らしいコンピューティングプラットフォームだと宣言した。統合は予想したより時間がかかった。これにより、OculusはVRコンテンツクリエイターに資金を提供することを余儀なくされた。というのも、ビジネスとしては不安定な状態だったからだ。OculusはFacebookにとって金がかかる事業であり続け、Facebookは後に精算されることを願っているに違いない。

しかし、その一方で、Oculusの共同創業者は舞台から消えた。Brendan IribeとNate MitchellはOculusを率いるという立場から、PC VRとRiftハードウェアチームを統括するVPという、成長プロダクトの中ではかなりオタクっぽい立場へと追いやられた。Xiaomiでハードウェアリーダーを務めたHugo BarraがOculusを管理するVRのVPとして迎え入れられ、彼はFacebookの広告担当の前VP、 “Boz” ことAndrew Bosworthにーザッカーバーグのハーバード大学在学時からの長年の友人で、Facebookのハードウェア全般を手がけているー報告するようになった。

Oculusの発案者であるPalmer Luckeyは昨年、Luckeyが反ヒラリー・クリントンのグループに資金援助を行なっていたことをめぐりFacebookと分裂した後、Facebookを去った。Luckeyは「私の行動がOculusとOculusのパートナーに悪影響を及ぼしたことを深くお詫びします」と謝罪の言葉を述べた。

あまり知られていないJack McCauleyも買収からわずか1年後、自分のVRラボを立ち上げるとしてFacebookを辞めた。悲しいことに、Oculusの共同創業者Andrew Reisseは2013年、買収が発表されてから2カ月後に警察に追跡されているときに車両にひかれて死亡した。そして最後の共同創業者Michael Antonovはソフトウェア設計の責任者だったが、Facebookが明らかにしたところによると、最近Facebook内の人工知能インフラを扱う部門に移った。

今日(9月26日)初めて、Oculusの開発者会議は共同創業者がステージにいない事態となった。明らかに、プロダクトをスケール展開し収益をあげるのに必要とされるスキルは、プロダクトを生み出すのに必要とされるスキルとは異なる。Oculusの経営や消費者に受け入れられているさまは、Facebookが買収した企業の創業者をいかに扱っているかを物語らない。

軌道修正

Facebookがもし、スタートアップにとって魅力的な事業売却先と映るようにして将来の買収案件を確かなものにしたいのなら、行動を起こす必要がある。私が思うに、ザッカーバーグかMosseri(おそらくInstagramの次期リーダーに指名される)が、今後のInstagramとWhatsAppに関して人々が不安に思っていることについて声明を出すべきだろう。というのも、この2つのサービスは人々の生活で重要な位置を占めていて、声明を出すことで変更したくないプロダクトのアイデンティティのコアを確立することになる。繰り返しになるが、InstagramとWhatsAppを使う15歳はそんなことは我関せずだが、今後の買収を考える時にはそうもいかない。

これまでのところFacebookは、創業者vsFacebookのさらなる対立をなんとかコントロールしてきた。今日、Messengerの前VPで現在FacebookブロックチェーンチームにいるDavid Marcusが、ActonのForbesとのインタビューを批判する内容のメモを公表し、ザッカーバーグはWhatsAppの自主性を守ろうとしたと主張した。「私のことをオールド・ファッションと呼んでもいい。しかし、あなたを億万長者にした人や会社を責めている。あなたを何年も守り、養ってきたものに対する前代未聞の仕打ちだ。なんと卑劣なことだ。実際、卑劣さではまったく新しいスタンダードだ」と書いている。

Posted by David Marcus on Wednesday, September 26, 2018

しかしこれは、Facebookにとって今買収を有利に進めていく上では役に立たない。Marcusは「私が関わっている範囲で、そして以前起業家・創業者だった者として、私が働きたいと思った大企業、そして私が仕えたいと思ったリーダーは他にいない」と記し、買収によって得られた機会や、買収された企業の創業者が過去にかなり長く社にとどまったことにも触れた。にもかかわらずだが、なぜFacebookが彼にとって働きたい会社なのか、どうやって創業者たちが実際に何十億もの人々の生活に触れているのか、いかにTwitterやGoogleのような買収をする企業が買収した会社を解散させ、そうした会社の創業者たちがすぐ社を去っているのかにフォーカスした方がより生産的だった。

買収はFacebookをディスラプトから守ってきた。このままだと、その戦略が危機に瀕する。これから出てくる素晴らしい起業家の目に、Facebookに会社を売るというのは起業家やプロジェクトがローラーでならされれてしまうことだと映れば、小切手のゼロが増えるだけでは不十分となる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Instagramの共同ファウンダーがFacebookを去った理由――ファミリー企業運営の舵取りは難しい

 

マーク・ザッカーバーグはFacebookが世界最大のソーシャルメディアに成長した後すぐに、ユーザーは決して均一ではないし、Facebookのみによって世界一の座を永久に保持できるわけではないと気づいたようだ。そこで有力なライバイルを片っ端から買収してFacebookグループに加えるという戦略が生まれた。この「グループ戦略」はどちらにとってもメリットのあるウィン-ウィンとなるはずだった。

しかし今週、Instagramの共同ファウンダー、ケビン・シストロムとマイク・クリーガーは唐突に Facebookを離れた。これにより買収した企業を以前のまま独立に運営させるというある種の放任主義が結局は機能しないことがはっきりした。

大型買収がスムーズに進むことはめったにない。つまりInstagramを2012年に $10億ドルで買収した後、シストロムとクリーガーを6年間もグループ内に留めることができたのはFacebookの功績といわねばならない。

テクノロジー企業の買収に関していえば、6年というのは永遠に近い長い期間だが、一方で買収後もグループの枠内でスタートアップを成長させていくというFacebookのビジョンに照らせば短すぎる。

Facebookファミリー

スタートアップとエンタープライズという2つの世界の「いいとこどり」のアプローチが目指したのはこういうことだ。つまり、スタートアップがFacebookファミリーに加わっていれば自由な経営が許されると同時に、潤沢な資金に加えてエンジニアリングやマーケティングその他の経営リソースも確保されるはずだった。

WhatsAppの場合、 共同ファウンダーのJan Koum は4年、Brian Actonは3年半でFacebookを去っている。WatsAppを190億ドルで買収したのは2014年だったが、その後のVRのOculusを買収でも共同ファウンダーのPalmer Luckyを政治的紛争で、Brendan Iribe(人事刷新)でそれぞれ失っている。現在はGoogle出身で元Xiaomiのバイスプレジデント、Hugo BarraがFacebookのVR担当バイスプレジデントだ。

通常のテクノロジー買収なら6年といわず3年でも買収先スタートアップのファウンダーを引き止めておければ十分な成功だ。しかし多くのファウンダーは連続起業家であり、たとえ買収によって一生困らないほどの大金持ちになっても起業を止めることはない。何かを作ること、それを完全に自由に運営すること、急成長させることにはなんともいえないスリルがあるという。しかしこうしたことは買収後はすっかり変わってしまう。スタートアップのファウンダーは完全なボスだ。大企業の社員からファウンダーになるのも心構えの大きな変化を必要とするが、その逆となるとさらに難しい。買収されたスタートアップが親会社の成長戦略の重要な柱を担う場合はなおさらだ。

Facebookはグループ企業の自治を約束してこの衝撃を緩和しようとした。

事実2人の共同ファウンダーは大きな裁量権を維持し、シストロムはInstagramの顔の役割を果たしてきた。情報によれば、シストロムはすべての広告を自分で承認していたという。この点はFacebookの取締役に就任したKoumの場合も同様で、Koumは WhatsAppの買収を「提携」と呼んでいた。ファウンダーたちは Facebookの買収後も会社の運営権の掌握を強く求めていた。

WhatsAppのファウンダー、Jan Koumは買収後、Facebookの取締役会に加わったものの、巨大企業の管理圧力には勝てなかったと言われる

運営の独立vsFacebookの利害

しかし「経営の独立」は結局機能しなかった。

WhatsAppとInstagramの4人のファウンダーたちはやはりスタートアップを彼らのビジョンに沿って成長させようとし、その点を原因としてすべてFacebookを去ることとなった。【略】

InstagramでもWhatsApp同様、シストロムとクリーガーはFacebookの経営陣と対立することになった。TechCrunchのJosh Constine記者の詳しいリポートによれば、Facebookはスタートアップの「独立性を弱めようとした」という。これが共同ファウンダーの不満を呼び、最終的には唐突な辞職を招いた。

シストロムの辞職にあたっての短いメモはこの点をぶっきらぼうに強調したものとなっている。こうした離職声明にはザッカーバーグとシェリル・サンドバーグを始めとするFacebookのトップへの感謝の言葉が置かれるものだが見当たらない。その代わりシストロムは「クリーガーと私は好奇心と創造性を再び発揮して新しいプロダクトを作ろうと考えている」と述べている。

Facebookによる2012年の買収後もシストロムはInstagramの顔を務めてきた

全体としてみればFacebookはファミリー企業の独立性の維持に努力してきたほうだろう。しかし4人のファウンダーが去ったことでも分かるように優秀な起業家は檻に入れておくことも手なづけることもできないものだ。しかし数十億ドルの買収ともなれば支払った側はそれに見合うだけ長く人材を引き止めておきたいと考える。Facebookは少しルールを曲げてもスタートアップの独立性を尊重し、ファウンダーの引き止めを図った。しかし永久に重力に逆らっていることはできなかった。

ファウンダーを失ったといってもFacebookはInstagramの買収で空前の成功を収めている。 Instagramのユーザーは買収時点で3000万人程度だったが、今や10億人だ。WhatsAppも買収時の4億5000万人から15億人へと3倍以上に成長した。

今後の見通しにあたって重要な点はFacebookの生え抜きチームはファウンダーが去った後のファミリー企業を以前同様に成長させていけるかどうかだろう。ファウンダーが去ったことによる才能の空白もさることながら、企業文化が変化すれば大きな打撃になりかねない。買収した企業はあくまでFacebook本体とは異なる存在だとユーザーが認識させておく必要があるからだ。そもそもFacebookがこうしたスタートアップを買収したのはその点が狙いだった。ソーシャルネットワークをとFacebookがイコールになってはならない。そうなればユーザーは飽きてしまうだろう。

画像: Saul Loeb / AFP / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft、ドラグ&ドロップでAIアプリを作るLobeを買収――Azure ML Studioの強化へ

今日(米国時間9/13)、MicrosoftはAIスタートアップのLobeを買収したことを発表した。 Lobeは簡単なドラグ&ドロップによって高度な機械学習モデルが制作できるシステムだ。今年に入ってベータ版がリリースされたLobeをMicrosoftは独自のAIモデル開発に利用する計画だ。ただし当面、Lobeは従来どおりの運営を続ける。Lobeチームは次のように述べている

Microsoftの一員となったことで、Lobeは世界でもトップクラスのAI研究の成果とインフラを活用できるようになった。またMicrosoftは数十年にわたってデベロッパー・ツールを開発してきた。われわれは今後ともオープンソースの標準に従い、Lobeをスタンドアロンでマルチプラットフォームのサービスとして発展させていく計画だ。

Lobeの共同ファウンダー、Mike Matasこれまで携わった開発にはiPhoneとiPad、FacebookのPaperとInstant Articlesなどのプロダクトがある。共同ファウンダーにはAdam Menges、Markus Beissingerが加わっている。

MicrosofはLobeに先立っては深層強化学習(deep reinforcement learning)のプラットフォーム、Bonsai.aiと会話形AIのプラットフォーム、Semantic Machinesを買収している。また昨年、2012年のTechCrunch Disrupt BattlefieldでデビューしたMaluubaを買収したことも記憶に新しい。機械学習のエクスパートをスカウトするのが非常に難しいことはよく知られている。そこで有力テクノロジー企業は人材とテクノロジーの獲得を念頭に置いてスタートアップの買収に全力を挙げている。Microsoftのエグゼクティブ・バイスプレジデント、CTOのKevin Scottは今日の声明に次のように書いている。

いろいろな意味でわれわれはAIがもたらす可能性の入り口に立っているに過ぎない。経験を積んだデータサイエンティストやデベロッパーにとってさえ機械学習モデルやAIソフトウェアの開発は時間がかかるタスクだ。多くの人々がAIへのアクセスに高いハードルを感じている。われわれはこれを変えていこうと決意している。

重要なのはLobeのアプローチがMicrosoftの既存Azure ML Studioプラットフォームと親和性が高いことだ。このプラットフォームは機械学習モデルの生成にあたってドラグ&ドロップによる直感的なインターフェイスをすでに提供している。ただし実用本位のデザインであり、Lobeチームのシステムのインターフェイスのほうが洗練されている。

LobeとAzure ML Studioはどちらも機械学習の普及を狙っており、TensorFlow、Keras、PyTorchなどの詳細な知識なしに誰でも機械学習を利用してアプリが開発できるようにするのが目標だ。もちろんこうしたアプローチにはそれなりの限界があるのは事実だが、「大量のコードを書かずにすむ」各種ツールは多くのユースケースで有用であり、十分に役割を果たすことが示されている。

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滑川海彦@Facebook Google+

世界的に2018年のテック業界のM&Aは伸びなさそうだ

CrunchbaseとMind the Bridgeの最新の調査によると、米国テック企業による買収が依然として世界で最も多いようだ。

この2つのデータでは、2010年以来2万2000件ものイグジットを数えたが、今年はこれまでのところ4200件ほどだ。昨年ほど活発ではないようだが、それでも米国企業は、欧州企業の倍以上のスタートアップ買収を行なっている。

昨年はM&A件数最多を記録したが、 概して今年は伸びはそうなさそうだ。

レポートの概要は以下の通りだ。全容はこちらから閲覧できる。

・米国におけるM&A件数はわずかに減少しているが、欧州においては大幅減となっている。欧州の件数はこれまでのところ前年比11%減だ。

・引き続き世界のM&Aの大多数は米国と欧州の企業が行なっている。取引額とそれにかかる出費の4分の3以上が北米と欧州のスタートアップに係るものだ。

・世界の買収トップ30件のうち22件を米国企業が手がけている。欧州のスタートアップの買収でも、欧州勢がギャップを埋めつつあるものの、買い手として最もアクティブなのは依然米国企業だ。

・Google、Facebook、AppleそしてMicrosoftが世界で最もアクティブな買い手だ。

・欧州企業の中で最もアクティブな買い手はPublicisグループで、世界の買い手ランキングでは20位につけている。これは昨年より1ランクの上昇で、昨年欧州勢の中で最上位だったドイツのSAPは33位となっている。

・欧州企業による買収対象として欧州企業が増えている。今年、欧州企業の買収の81%が域内で行われ、この割合は昨年は75%だった。

・イグジットしたスタートアップの55%が設立5〜15年で、買収額は1000万〜1億ドルだった。

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(翻訳:Mizoguchi)

VMwareがマルチクラウド管理のCloudHealth Technologiesを買収

VMwareは今週ラスベガスで、顧客のためのカンファレンスVMworldを開催しており、その席で同社は、ボストンのCloudHealth Technologiesを買収したことを発表した。買収の条件は公表されていないが、ロイターの報道では買収価額は5億ドルとされている。

CloudHealthはVMwareに、重要なマルチクラウド管理プラットホームを提供する。そのツールはAWS, Microsoft Azure, Google Cloud Platformなどをサポートし、ユーザーは、クラウドのコストや利用、セキュリティ、パフォーマンスなどを一つのインタフェイスから管理できる。

クラウド市場はAWSが大きくリードしているが、それは広大で急成長中の市場であり、多くの企業が複数のプラットホームを使い分けている。それぞれの目的にもっとも合ったクラウドサービスを使いたいからだ。

このマルチクラウドのアプローチには単一のプロバイダーに縛られないという利点はあるが、一方、その管理がたいへんになる。そこでCloudHealthはマルチクラウドのユーザーに、単一のツールでそれらの環境を管理する方法を提供する。

CloudHealthのマルチクラウド管理。写真提供: CloudHealth Technologies

VMwareでプロダクト管理とクラウドサービスを統括しているCOOのRaghu Raghuramによると、CloudHealthはマルチクラウドのオペレーションに伴うジレンマを解決する。彼曰く、“CloudHealth Technologiesが加わったことによって、複数のクラウドにまたがるコストとリソースや、アプリケーションのセキュリティとパフォーマンスを一元管理し、問題に迅速に対応できるようになった”。

つい先月、CloudHealthがサポートするクラウドプラットホームにGoogle Cloud Platformが加わった。CTOのJoe Kinsellaは、GCPのサポートを加えたことについて、こう述べている: “GCPでは、2015年にDiane Greeneが来て以来、いろんな企画が動き出し、エンタープライズへの適性が強化されている。その結果、われわれの顧客の間にも、急激に関心が高まっている”。

これによりCloudHealthの顧客も、大手プラットホーム三社のクラウドを安心して併用できるようになる。そして、かねてから顧客のハイブリッド環境や、マルチクラウド環境の管理を目指してきたVMwareにとっても、CloudHealthがいわば“買い時”になってきた。

これまで同社は、パブリッククラウドだけでなくプライベートクラウドやデータセンターも含めたすべての環境の一元管理を目指していた。それに対しVMwareもまた、さまざまなVMを使っている企業の、ハイブリッド環境の支援を、近年は志向してきた。

CloudHealthは、マルチクラウド管理のソリューションだけでなく、Yelp, Dow Jones, Zendesk, Pinterestなど、3000社の顧客をVMwareに連れてくる。

CloudHealthは2012年に創業され、これまで8700万ドルを調達している。最近では2017年6月のシリーズDで、Kleiner Perkins率いるラウンドにより4600万ドルを調達した。それよりも前のリード投資家は、Sapphire Ventures, Scale Venture Partners, そして.406 Venturesだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Pepsi、ソーダメーカーのSodaStreamを買収――健康志向とサステナビリティーをさらに進める

今日(米国時間8/20)、Pepsiはテルアビブに本拠を置く清涼飲料水メーカー、SodaStream32億ドル買収する意向を明らかにした。これは消費者の嗜好が砂糖過多の市販飲料からもっと健康的なホームメード飲料にシフトしつつあることをいっそうはっきりさせたといえる。

この買収はすでにPepsiCoの株主から全員一致の承認を受けている。PepsiはSodaStreamの買収でポートフォリオの多様化といっそうの国際展開を図る。Pepsi製品は現在45カ国で販売されている(アメリカ、ドイツ、フランス、カナダが主要市場)。

買収の狙いの一つはホーム市場の営業力の強化がある。消費者が生鮮食品をオンラインで購入する傾向が強まるにつれ、Pepsiはホーム市場開拓の方策を探っていた。PepsiのCFO、Hugh JohnstonはCNBCのインタビューに対し、「われわれはこれまでタッチしていなかった新たな市場に参入する。ホーム清涼飲料水市場だ」と語った。

これにはサステナビリティーも大きく関係している。消費者は環境に大きな負荷をかける使い捨て容器からSodaStreamが提供するような繰り返し利用できる容器にはっきり移行しつつある。失敗したKeurig Koldに比べて、消費者のこのトレンドはソーダストリームに追い風だ。

PepsiCoのCEO、Indra Nooyiはプレスリリースで「PepsiCoとSodaStreamは相性が理想的だ。(CEOの)Daniel Birnbaumと経営チームは消費者が家庭で好みの清涼飲料を作りながら廃棄物を大幅に減らせる素晴らしい製品を販売する会社を作り上げた。これはわが社のPerformance with Purpose〔正しい目的を持ったパフォーマンス〕というビジョンと一致する。われわれは健康によいプロダクトを製造しながら環境負荷を最小とする方向を目指している。このビジョンを共有するSodaStreamがグループに入れることで、われわれはいっそう健康的でサステナブルな地球という方向に前進できる」と述べた。

今月、Nooyiは近くCEOを退く意向を発表している。 NooyiのCEO時代にPepsはヘルシーな清涼飲料水を提供する方向に大きく舵を切った。ソーダ水のBublyは健康的な清涼飲料をモットーとするLaCroixに対抗することを狙ったプロダクトと見られている。SodaStream買収はPepsiがヘルシーな方向へさらに一歩進んだことを意味する。

買収手続きは来年1月までに完了する見込みだ。

画像:JACK GUEZ / AFP / Getty Images

〔日本版〕ソーダストリームは日本の家電量販店等でもソーダメーカーを発売している。

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滑川海彦@Facebook Google+

ArmがIoT事業というパズルの最後のピースとしてデータ管理のTreasure Dataを買収

あなたがたぶん今でもARMという名前で覚えておられる思う半導体企業Armが今日(米国時間8/2)、大企業向けのデータ管理プラットホームTreasure Dataを買収したことを発表した。買収価額等は公表されていないが、今朝のBloombergの記事は6億ドルと言っている。

この買収は、Armの新事業であるIoTのサポートが目的だ。Treasure Dataの得意技は、IoTなどのシステムが吐き出す大量のデータストリームの管理である。IoTのほかにも、CRMやeコマースなどのサービスがやはり、Treasure Dataが扱うような大量のデータストリームをコンスタントに作りだす。

これよりも前にArmは、IoTの接続性管理のためにStream Technologiesを買収している。そこで同社は曰く、Treasure Dataの買収は、IoTの実現というパズルの“最後のピースだ”、と。その完成したパズルはArm Pelion IoT Platformと呼ばれ、StreamとTreasure DataとArmの既存のMbed Cloudを一つのソリューションにまとめ、IoTのデバイスとそれらが作りだすデータを接続し管理する。

Treasure Dataは以前と変わらず操業を続け、新しいクライアントと既存のユーザーの両方に奉仕する。そしてArmによると、“IoTの重要な部分として新しい複雑なエッジとデバイスのデータにも対応していく。そして顧客の総合的なプロフィールの中で彼らのプロダクトを個人化し、それらの体験を改良する”、のだそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SlackがMissionsを買収してルーチン的なタスクの統合を支援

Slackは有料の企業ユーザーが増えているので、彼らの仕事に役に立つような他サービスの統合が、容易にできるための方法を模索している。

今日(米国時間7/17)同社は、Robots and PencilsのMissionsを買収したことを発表した。これによりSlackのユーザーは、コードを書かなくても、毎日の仕事の単純なルーチンを自動化できるようになる。買収の条件は、公表されていない。

有料ユーザーは、Slackにいろんなものを統合することが好きだ。Slackのアプリケーションディレクトリを見ると、今すでに1500あまりのアプリ/アプリケーションをSlackの中から使える。同社によると、企業ユーザーの94%がほかのアプリとそれらの統合を利用し、64%は独自のアプリを作っている。しかし、非技術系の部署にとって、統合は簡単な仕事ではない。そこでMissionsは、ビジュアルな流れによってその過程を単純化する。

これまでユーザーの多くは、Slackのチャットの中で「××を使って○○しよう」という会話をし、Slackをいったん終了してから××を立ち上げていた。Missionsを使うと、何度も同じことをやるプロセスをSlackの中からできるための、ワークフローを作れる。

よくやるタスクといえば、たとえば新人のオリエンテーションだ。新入社員に記入すべきフォームを教え、彼らが会うべき人を教え、彼らがその日その週内に完了すべき仕事を教える。また人事などでは、人の採否決定〜通知のプロセスを頻繁に繰り返すことが多い。頻繁に繰り返すといえば、社内的なチケット発行なんかもそうだ。

Missionsの現在のユーザーは向こう数か月は無料で利用できる。その後SlackはMissionsを本格的に統合する。では、Slackの中でMissionsを使えるようになるのはいつか? 同社によると、詳細がはっきりするのは“今年の終わりごろ”、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ライドシェア業界で事業統合が活発化ーCareem出資の楽天、Uberとの合併についてはノーコメント

Bloombergによると、配車サービス大手のUberは中東でのライバルCareemと合併の可能性について協議しているようだ。この件に詳しい3人の話を引用して報道している。

記事では、これまで協議されたいくつかのバージョンを示唆しているが、そのどれもまだ合意には至っていない、としている。どれかが合意に至るかもしれないが協議はまだ続いていて、結局どれも合意に至らなかった、ということもあり得る。

Bloombergの情報筋は、もしUberがすぐさまCareemを買収するという形をとらずに合併会社という形式をとる場合には、Uberは半分以上の株式を取得する必要があると主張している、と伝えている。

これまで協議され、今後合意に至る可能性のある選択肢の一つは、Careemの現在の経営陣が合弁会社を運営するというものだが、状況は流動的で、この2つのブランドが中東で現在の形態でビジネスを展開するというのもあり得る。

別の選択肢は、UberがすぐさまCareemを買収するというものだ。

Bloombergはまた、このドバイ拠点のCareemが5億ドルの資金調達を検討しているとも報じている。この資金調達が実現すればCareemの企業価値は約15億ドルになるという。Careemは1月にもIPOをする可能性があり、すでに銀行と話し合いの場を持ったとされている。

これまでのところ、Uber、Careem共にこの件については何も公表していない。

Careemと話し合いをしているかどうかUberの広報に尋ねたが、コメントを拒否された。

一方、Careemの広報Maha AboueleneinはTechCrunchに次のように語った。「我々は噂に対してコメントはしない。我々の目指すところはそれぞれの地域で一番のインターネットプラットフォームを構築することにある。それは、新マーケットを開拓し、プラットフォームに新商品やサービスを投入して既存マーケットを倍に広げていくことを意味する。その取り組みは始まったばかりだ」。

Uberは近年、グローバル事業展開の再構築を図っている。今年初めには東南アジア事業を現地でライバル関係にあったGrabに売却して東南アジアから撤退し、その一方でGrabの少数株式を取得しようとしている。

加えて、Uberは2016年に中国で同様の事業売却をもう一つのライバル企業Digiに行なった。

また、Uberは昨年ロシアのタクシー配車Yandexとジョイントベンチャーという形で業務提携をするという賭けに出たーYandexに株式の大部分を譲ってのことだ。

しかしこのところUberは中東での展開と可能性に関心があるようだ。CEOのDara Khosrowshahi は5月にあった会議で、中東、そしてアジアとインドで“勝者”になれる、このマーケットでの成否が我々の運命を握っている、と述べている。

公にはUberは、他の地域でもそうだが中東で弱小な存在でいるつもりはないとしている。しかしこれは必ずしもUberとCareemの交渉を除外することを意味するわけではない。

4月、CNBCからCareemを買収するのかと尋ねられ、それに対しCOOのBarney Harfordは過半数以下の株式取引を否定し、次のように述べた。「急成長中の我が社にとってポテンシャルのあるパートナーシップを検討しないというのはありえない。しかし確かなのは、現在我々が展開しているマーケットというのは我が社にとって中核マーケットであるということだ」。

Harfordはまた、他のマーケットで収益をあげているおかげで、Uberは選んだ成長著しいマーケットで“不特定ベース”で投資を行うことができるとも語っている。加えて、Uberは2019年のIPOを目指している。

3月にFinancial TimesはUberがインドでのライバルであるOlaと合併について交渉していると報じた。そしてそのニュースのソースは、Uberがその合併で少数株式を取得しようとしているとケチをつけた。

当然のことながら、Uberはすでに縮小したグローバル展開をさらに小さいものにしようとは思っていないだろう。しかし、見込みがあると選んだマーケットですでに劣勢にあるなら、縮小もやむなしということになるかもしれない。

このように、始まったばかりのCareemとの胸膨らむような話し合いは、Uberの投資家にとって引き続き投資を行うという勇気をつなぎとめるものになるはずだ。

Careemは昨年、シリーズEラウンドで5億ドルを調達し、時価総額は10億円超となったが、その投資家にはサウジ拠点のベンチャーキャピタルKingdom Holding、ドイツ車メーカーDaimler、そして日本のテック大企業の楽天が含まれる。伝えられているところによれば、楽天がシリーズEを主導したようだ。

楽天の携帯電話業界への投資をリードし、またCareemの役員も務める楽天キャピタルの業務執行社員Oskar Mielczarek de la Mielは、我々が彼に話しかけた時、UberとCareemの合併の噂についてコメントするのは避けた。

しかし、ライドシェアリング事業に出資する人がさらに予想されるという、機会の拡大については喜んで話した。そして我々にこう述べた。「この業界を見渡せば、誰もが誰かと話し合いをしている。統合が明らかにトレンドなりつつあるが、これはライドシェアリング事業者に限定されるのではなく、いくつか挙げるとテック企業や、OEM、支払い会社などの参画を引き出している」。

Careemのウェブサイトには、Careemが事業展開するマーケットは15カ国とある。そのほとんどが(しかしそれだけではないが)中東で、合計80都市でサービスを提供している。

一方、Uberのウェブサイトにあるサービス展開リストは、中東15都市、アフリカも15都市となっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

エンタープライズLinuxで好調のSuseをMicro Focusが手放す

Linuxの商用ディストリビューションとして歴史の長い、そして最近ではオープンソースのインフラストラクチャとマネージメントの面でも主要なプレーヤーであるSuseは、最近の数年間で何度かオーナー企業が代わっている。Micro FocusがAttachmate GroupからSuseを買収したのは2014年で、Attachmate〜は2010年に、当時SuseのオーナーだったNovellを買収した。今日(米国時間7/2)はMicro Focusが、Suseの今度の新たなオーナーがプライベート・エクイティ企業のEQTになったことを発表した

今回の買収の条件は公表されていないが、EQTによるとSuseの評価額は25億3500万ドルだった。

オーナーが何度も変わった企業としては珍しく、Suseはそのたびに強くなっている。かつてはエンタープライズ向けの堅実なLinuxディストリビューションだった同社は、今ではソフトウェア定義インフラストラクチャとアプリケーションデリバリのソリューションにフォーカスし、そのほかのマネージドクラウドサービスも展開している。同社の社員数は2017年で1400名、売上は3億2000万ドルだ。

同社自身はMicro Focusの下(もと)で好調を続けていたが、親会社のMicro Focus自身は、2016年に88億ドルで買収したHewlett Packard Enterpriseが裏目に出て大きく落ち込んだ。Micro Focusは、自分を立て直すためにSuseを売ることに決めた。

買った方のEQTは、おもしろい会社だ。同社の現在のポートフォリオには、ほとんど無名に近いテクノロジー企業数社と、消費者製品企業、不動産グループ、ヘルスケアサービス、数社のエネルギー企業、などなどが雑然と収まっている。

Suseの買収に関する今日の声明の中で、EQTのパートナーJohannes Reichelが述べている: “同社の過去数年間の強力な実績と、オープンソース分野のパイオニアとしての強力な企業文化と伝統に感銘を受けている。同社のこれらの性格は、強力で変化への対応力のある企業を支援し構築し、その成長を促進するEQTのDNAによくなじむものである”。

しかしEQTがオープンソース企業を傘下におさめるのはこれが初めてなので、今後に注目したい。Suseは実質的に独立性を維持すると思われるから、同社のオープンソースコミュニティとの関係には、大きな変化はないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

企業のPR活動を評価するTrendKiteがソーシャルメディアとインフルエンサーに強い同業二社を買収

企業のPR活動の効果分析などを行うTrendKiteが、初めての買収を、しかも二件も行う。CEOのErik Huddlestonによれば、これによって、完全なPR分析プラットホームが必要とする最後の二つの部品が揃う。

これまで、TrendKiteの主な売りは、企業について書かれた記事を見て、その到達オーディエンスやブランド知名度への影響などを測る能力だった。

しかし、確かにそういうジャーナリスティックな視点は今後も重要だが、Huddlestonによると、“今の世界は前よりも複雑なので、誰が大衆に影響を与えているのか、簡単に判断できない”。そこで、Insightpoolと、その、ソーシャルメディアインフルエンサーたちのデータベースが役に立つことになり、企業のストーリーを広めることのできるインフルエンサーを見つけて売り込むことが、企業のPRの仕事になる。

一方Union Metricsは、ソーシャルメディアのアナリティクスを提供する。Huddlestonによると、“われわれがメディアのカバレッジを分析するように、彼らはストーリーをめぐる会話について分析をする”。

彼によると、両社を買収することによって、これまですでに利用していた彼らのプロダクトをより深くTrendKiteに統合できる。Union Metricsとはすでにパートナーシップがあり、Insightpoolについては、顧客がTrendKiteとInsightpoolを併用しているのを見て、統合すべきと考えた。

InsightpoolとUnion Metricsが加わったTrendKiteがどんな料金体系になるのか、それはまだ未定だ。それにまた、Huddlestonによると、今後も両者をスタンドアローンのプロダクトとしてもサポートしていく。

両社のチームと、InsightpoolのCEO Devon Wijesinghe、そしてUnion MetricsのCEO Hayes DavisはTrendKiteに加わり、InsightpoolはオースチンのTrendKiteにアトランタの拠点を与える。

買収の価額等は公表されていない。Crunchbaseによると、InsightpoolはTDF Venturesとシリコンバレーの銀行などから、750万ドルを調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa