いわゆる「Slackたたき」(Slack-lash)については、今や多くの記事が書かれており、今やってる仕事から注意を奪ってしまうDMの妨害への対応に、職場の人びとは困り果てている。象徴的に悪玉に挙げられているのがSlackだが、それでもここ数年VCは、Slackに代表されるような、チャットを区分けしてコメントできる、職場のワーカーたちの足元をぐらつかせる、数多くのコラボレーションツールに積極的に投資してきた。
コラボレーションに対するVCの関心はそろそろピークに達したのではないか、とも思うが、それでもVCたちは、その成長の鈍化を補うために、今度はおしゃれなインタフェイスのメッセージングツールの多様な機能を、わかりやすくそして使いやすくするためのツールに、さらに熱心に投資している。彼らの最新の投資対象である’nuffsaidも、そんな生産性スタートアップのひとつだが、でもこいつは、2020年におけるメッセージングの利用を、少しは我慢できるものにしてくれるかもしれない。
ユタ州出身の同社は今日(米国時間2/11)ステルスを脱し、同社の生産性プラットホームの最初の成分をアーリーアクセスで公開した。そして同時に同社は、430万ドルのシード資金を、General CatalystとGoogleのGradient Ventures、Global Founders Capital、Work Life Ventures、SV Angel、そしてWasabi Venturesから調達した。
’nuffsaidという奇妙な社名の同社がアーリーアクセスでリリースした、同じく奇妙な名前のプロダクトが‘nflowだ。それは、複数のコラボレーションプラットホームとカレンダーを一つのインボックスへまとめる。アルゴリズム化されたタイムライン(algorithmic timeline)がソーシャルメディアのコンテンツのファイヤホーズ(firehose、全ストリーム)を理解可能に消化してくれるように、同社のアルゴリズム化されたインボックス(algorithmic inboxes)はスラックたたきのソリューションかもしれない。そして’nuffsaidは、アルゴリズムによってSlackのメッセージやメール、テキストメッセージ、Zoomのメッセージなどに優先順を付け、検索可能な一元化されたインボックスを作る。それにより、ユーザーのすべてのメッセージが単一のアプリの下に置かれ、緊急なものと、今の仕事が終わってからのものなどに分類できる。
CEOで共同創業者のChris Hicken氏は、次のように語る: 「既存のワークフローにAIを加えることは、それ自体が今やひとつのカテゴリーだと思う。‘nflowは、そんな未来へ送り出した、最初のささやかな製品だ」。Hicken氏はそれまで、UserTestingのCOOだった。
‘nflowのすごいところは、カレンダーをコミュニケーションハブの中へ持ち込んだことだ。Google Calendarは未だに、生産性ワークフローの中のよそ者だ。メッセージやメールをカレンダーイベントのベースにすることは、つねに要望のレベルにとどまっていた。これまで、十分にタイトな統合が為されたことはない。’nuffsaidはドラッグ&ドロップでカレンダーのイベントを作るが、そのときチームメンバーの名前のタグを付けたり、そのほかの情報を加えられるのが魅力的だ。私自身まだ、読者に100%お勧めできるほど、使い込んではいないのだけど。
’nuffsaidによると、‘nflowの商用化バージョンは月額使用料が25ドルとやや高いが、今のアーリーアクセスに登録したユーザーは、いつまでも月額10ドルで使える。
‘nflowが、メッセージングの過剰に悩む一般ユーザー向けのプロダクトだとすると、今後同社が作ろうとしているのは、個々の企業のワークフローの特殊性に沿った、十分なカスタマイズのできるメッセージ管理ツールだ。
そして今年の夏には、さまざまなアプリに統合できる、顧客の成功を支えるAIモジュールを予定している。それによって仕事の優先順付けや、CR(カスタマーリレーション)機能を各アプリが持てるようになる。一般的なモジュールではなく、エンジニアリング用、プロダクト用、マーケティング用など、部門別にモジュールが提供される。
投資家を代表してGeneral CatalystのマネージングディレクターNiko Bonatsos氏は次のように語る。「コラボレーションツールは多すぎるほどあるが、’nuffsaidの良いところは、仕事の現場で使えることと、ユーザーに手順等の変更を求めないことだ。ユーザーにとっては、メールを初め、顧客とのコンタクトは以前のままだ。ツールがユーザーに、慣れない新しいことを強制しない」。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)