自動運転経済の失業者たち

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今月、Uberの自動運転車が路上デビューする。予想よりも早かった。これは楽しみなサプライズだ…あなたがドライバーでなければ。ロボットに起因する失業問題は、いずれ他の業界にも波及するだろう。

100万人のUberドライバーはどうなるのか? 全米350万人のトラックドライバーは?そして、世界中でバスやタクシーを走らせている無数のドライバーたちは?

そういう仕事が一夜にしてなくなることはない。20年はかかるだろう。しかし、こうした労働環境変化への備えができなければ、たとえ多くの人々に利便を提供したとしても、一部の人々に苦難を強いることになる。

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自動運転車が〈未来〉であることに疑いはない。何といっても安全だしリラックスできる。交通量を削減し、炭素排出量を削減する。そして、運転席で費やされていた知識労働者の時間を、生産的な時間へと振り向ける。

しかも車を走らせるための人件費より、ずっと安くつく。

Bloombergが次のように書いている。「通常料金の1マイル当たり1.30ドルが今は無料だ。将来的にも、[Uber CEOのTravis ]Kalanickによると、料金は低く抑えられる予定だという。それは郊外の長距離ドライブでさえも、1マイルあたりのコストは無人Uber車の方が自家用車より安いからだ」。そしてつい最近Uberは、自動運転トラック会社を買収したことを発表した。

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問題は、運転というものがレジ係やファーストフードのアルバイトと並ぶ非熟練労働であることだ。そういう仕事には必ずロボットがやってくる。テクノロジーは職を失う人たちに新しい仕事をもたらす、と言う意見もある。しかしその新しい仕事が、熟練を要さない仕事を失った人々によってなされる可能性は低い。

こう考えてみてほしい。自動車が発明された時、それまで人や物資を運んでいた低熟練労働者たちは脅かされた― 馬である。下のビデオを見れば、「より良いテクノロジーは、より良い仕事を馬に与える」という考えが滑稽であることがわかるだろう。「馬」を「人間」に置き換えても楽観的にはなれない。

こうした自動化へのシフトが経済にどう影響を及ぼすのか。置き換えられた低熟練労働者の収入は、自動運転車や料理ロボットやロボットレジ係のオーナーやデザイナーの手に渡る。これはマルクス主義者の悪夢だ。

ソフトウェアはすでに似たような現象を起こしているが、自律ロボットが増殖すれば、この革命はビットを越えて、原子の世界に侵略してくる。

次期大統領が今から国民に準備をさせ始める必要があるのはそのためだ ― できればイノベーションのスピードを損なうことなく。教育、職業訓練、就職支援サービスの充実は不可欠だ。いや、問題を認識して話題にするだけでもスタートとしては悪くない。

長期的には、テクノロジーが仕事を生み出すより、テクノロジーが仕事を取って代わる方が早い時代に、資本主義がいかに機能するかをじっくり厳しく見つめなおす必要がある。全員にフルタイムの役割が必要なのか?非効率や不況に陥ることなく、頂点の富を再分配して底辺を飢えさせないようにできるのか? 市民の感情というものは、どれだけパンを与えられたかではなく、どれだけ稼ぎだしたかに価値を見いだすものだろう。

これは決まった答えのない複雑な問題だ。答を見つけるためには膨大な時間が必要だ。しかし今日Uberは、その〈未来〉の到着時刻が予定よりずっと早まったことをはっきりと示した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uber、今月末に自動運転車で営業開始―元Google社員らが設立したOttoのテクノロジーを利用

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2015年にUberが自動運転車を開発しているという記事が出た。今年に入ってUberはピッツバーグで自動運転車をテスト中だと公表した。しかしここ1年半でわれわれがUberの自動運転車について得た情報は他にはほとんどなかった。

この分野のリーダー、 Googleは遅い歩みながらも着実に進歩を続けている。これに対して自動運転車という敵味方が混沌としたフレネミーの世界でUberの出遅れはひどいものだと人が思ったとしても責められない状況だった。

しかし事実はそうではなかった。

自動運転でUberは驚くべき進歩を遂げていた。Uberは100万人以上のドライバーをかかえているが、将来これをコンピューターに置き換えようと真剣に考えている。Uberのドライバーには悪いニュースだ。

Bloombergの取材に対して、UBerのファウンダー、CEO、Travis Kalanickは「今月、ピッツバーグで自動運転車を実際の営業車両に加える」と述べた。

Uberが使用するのは自動運転用にカスタマイズされた100台前後のVolvo XC90で、 それぞれの車両には必要があれば即座に運転を代わることができるドライバー・エンジニアと詳細な記録を取るナビゲーター役の2名が乗車する。また車のトランクには運行の記録とマップデータの取得を行う液冷コンピューターが鎮座するという。

ピッツバーグでたびたびUberを利用する乗客は自動運転車を体験するチャンスが十分にあるわけだ。自動運転車に乗った場合、料金は無料だという。

Uberの自動運転車計画の詳細についてはまったくといっていいほど情報がないが、Bloombergの取材で明らかになったのはGoogleのように自動運転車をゼロから開発するのではなく、既存の車に自動運転キットを後付けする道を選んだことだ。

この目的のためにUberは密かにOttoを買収していた。同社はトラックの自動運転化を目標として今年設立された有望なスタートアップだ。Ottoのテクノロジーは既存のトラックに適用されるもので、Bloombergによれば、lidar(レーザーによる目標検知)システムを用いるという。Uberの自動運転車にはOttoのlidarが使われる。

Ottoの買収は単に期待の高いスタートアップの買収というに留まらず、人材獲得の面で影響がきわめて大きい。

Ottoの共同ファウンダーは元Google社員のAnthony LevandowsとLior Ron、それにDon Burnette、Claire Delaunayだ。 LevandowskiはGoogleの自動運転車のリーダーだった。RonはGoogleマップとMotorola事業の幹部で、他の共同ファウンダーもApple、Teslaなど自動運転車の開発で有名な企業に勤務していた。

買収は早ければ今月中にも完了する。その後、LevandowskiはUberの自動運転車チームの責任者となる。自動運転のテクノロジー開発を加速するためにUberでは新たなR&Dセンターを2箇所オープンするという。

Bloombergのインタビューに対してLevandowskiは「プロダクトをいち早くローンチできるチャンス〔を得たからだ〕」とGoogleを去った理由を説明している。

LevandowskiはKalanickを「異母兄弟のようだ」と評しているが、これはGoogleの自動運転車開発が慎重に過ぎてスピードが遅いことに不満があったことを示すものかもしれない。Uberの自動運転への動きははるかに速く、大胆なようだ。

Uberの自動運転プロジェクトの成否については今後に待つしかないが、少なくとも結果の一部はすぐに分かりそうだ。

画像: Uber/Bloomberg

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Lyftで経路指定が可能に

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Lyftは利用者にマルチストップの提供を始めた。これによって利用者は2点間の経路に目的地を追加することができる。理由は単純だ:より多くのユーザー、特に都市生活者たちが、車を所有する代わりに相乗りとオンデマンドサービスを選び始めているからだ。色々な場所を回って欲しい時に、どのような経路を使うかについての柔軟性が求められることは想像しやすい。

経路の追加は簡単だ:乗車をリクエストする際に最初の目的地を入力するが、そのあと目的地の横に表示されている新しい「+」アイコンをタップすることによって、最終的な立ち寄り場所を追加していく。運転手は途中の立ち寄り場所も参照することができる、これであなたは朝の11時に自宅に向かう前に酒屋に立ち寄りたい意向を「いまは5時くらいかねえ」などと、もごもご言いながら伝える必要はなくなる。もちろん他の使い方もできる。より社会的に大手を振って行なえるのは、相乗りの友人を降ろしたり、家へ帰る途中にちょっとした食料品を調達したいといった場合だ。

Lyftはまた、あなたがやろうとしていたことが何だったにせよ、心変わりをして寄り道を削除することも自由にさせてくれる。こうしたことは便利で素晴らしいことのように思える。しかしLyftは、最大の競合相手であるUberが提供していない、この機能の追加によって得られる実データを活用することによって、そのサービスを最適化することを狙っている。

Classic、PlusそしてPremierに属する会員の90%が予約時に1つの目的地を入力していることにLyftは気が付いた(訳注:目的地を入力せずに車の到着を待つこともできる)。そしてそれらのうちの5%は、乗車中に手動で変更されることになるのだが、それは実際には何十万というマルチストップ移動の結果なのである。これは紛れもなく重要な利用者のニーズなのだ。そして運賃を割り振るために、既存の割り勘機能ともうまく融合している。

しかし、これはまた運転手のためのサービスでもある。Lyftは乗車の終わりが近付くと、実際の乗車が終了する前に近隣の待機乗客とのマッチングを行う。これにより連続した乗車によって運転手がさらに収入を上げることを助けるのだ。このような仕様の場合、土壇場での目的地変更は、運転手と乗客の双方にとってフラストレーションとなり得る。しかし複数の目的地を指定できることができるようになったことで、運転手は計画を立てやすくなり、近隣の車両のキューイングに伴う欠点を回避することがやりやすくなる。

目的地を追加する機能は、ほどなくLyftのモバイルアプリに提供される。これは、ささやかながらも賢い追加機能である。そして、より自動化される将来の乗り合いモデルのためのコアコンポーネントへと転用することも容易なのだ。

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(翻訳:Sako)

GoGoGrandparentを使えばスマホがなくてもオンデマンドサービスが利用可能に!

Boy Helping Man Use Cell Phone

2016年は間違いなくオンデマンドの年だ。ライドシェアではUberやLyftが未来の交通手段としての地位を固め、他にもPostmatesの様なオンデマンドのサービスが、ものを「オンデマンド」で注文する、という需要が確かに存在するということを明確に示した、そんな年だ。

しかし問題がある。オンデマンドアプリを使うにはスマホが必要だが、アメリカにはまだスマホを持っていない人が7500万人もいる、つまりこれらの人々はこの生活の仕方を一変させてしまうようなサービスを受ける資格すら与えられていないのだ。

これらの人々は経済力も居住地も様々だが、1つだけ共通点があるようだ。それは、年齢の高い人ほどスマホは愚か、携帯すら持っていない可能性が高くなるということだ。

そこで登場するのがGoGoGrandparentだ。この会社は、Y Combinatorの2016年夏のクラス出身だが、そのミッションとはスマホを持っていない人々でも、Uberの様なオンデマンドサービスを使用できる方法を開発することだ。

この会社が設立に至った経緯はなかなか面白い。共同設立者の1人であるJustin Booogaardは祖母と一緒に住んでいた。祖母は彼がUberをよく使うのを見ており、どうやったら自分も使えるのかを聞いてきた。Justinが、車を呼ぶにはスマホが必要だと教えると、彼女は自分のような人でもUberが使えるような会社を作ってくれと言ったのだ。
 Justinと共同設立者のDavid Lungはそのアイディアを気に入ったが、まずそのアイディアをより公平に検討してみようと考えた。結局のところ、おばあちゃんというのはあなたのすることならなんでも自動的に気に入ってしまうものだからだ。そこで彼らは架空の会社からJustinの祖母に手紙を送りつけ、固定電話や役立たずの携帯からでも、その会社に電話すればUberの配車を手配してくれるというサービスを宣伝した。祖母は実際試してみて、そのサービスがとても気に入り、GoGoGrandparentが誕生した、という訳だ。
面白いのは、このビジネスにおいて、今でも手紙が重要な役割を果たしていることだ。同社によると、手紙というのは古い年代の人々と連絡を取るには素晴らしい方法で、GoGoGrandparentが前週比20%の成長を達成する手助けとなっている。

 

The company can also send texts to loved ones with the status of riders.

移動中の状況を家族にテキストで知らせることも出来る

会社設立当初は、JustinとDavidは文字通りホットラインを設置し、電話を受け付け自分たちのスマホでUberの配車を手配していたが、この方法では今後規模を拡大できないことは明白だった。そこで彼らはTwilioを使って、自動電話サービスを構築した。

まず、オペレーターと話をしてクレジットカードと住所を渡す。そして、もう一度電話した際に全自動のサービスに入り、1を押すと家にお迎えが来る。同社はUberに配車を依頼し、顧客は運転手にどこに行きたいか伝えれば良い。もし、家以外の場所でピックアップして貰いたければ、同社のホットラインに電話して人間のオペレーターと話が出来るようにリクエストすれば良い。システムは前に顧客を降ろした場所を覚えているので、そこをピックアップポイントとしてリクエスト出来る。

GoGoGrandparentは1回の乗車につき13%のコミッションを徴収し、バックエンドのコストをカバーする為の1.80ドルが別途必要だ。同社によると1回の乗車にかかる手数料の合計は平均で大体2.50ドルほどだ。確かに、自分でUberを呼ぶよりは高くつくが、それで移動性を確保できるのであればお安いものだとも言える。

しかしながら、Uberがその気になればこの様なシステムを自分で組み込んでGoGoGrandparentを廃業に追い込むことなど一夜にして出来そうなものだが、なぜそうしないのだろうか。Booogaardの説明によれば、実際彼等はライドシェア専門の会社とこの件について話し合ったそうだが、そこで耳にしたのはこの様な「古い」タイプの人々はUberの顧客中たった3%を占めるに過ぎないということだ。つまりは、Uberは「収穫しやすい果実」に注力し、GoGoGrandparentがUberの為に重労働をしてくれるなら、それは結構なことだと考えているのだ。その間Uberはスマホ世代のさらなる顧客の開拓に精を出すという訳だ。

それでは、同社は将来をどの様に考えているのだろうか。創業者の考えによれば、最終的には同社は非営利団体や市政と組んで、このサービスを設備的に恵まれない人々、つまり必ずしも年寄りではないがスマホを買う余裕のない人々、に提供して行きたいと考えている。また、同社はこのサービスが現在ほとんどの大都市で目にする、いわゆる補助的交通手段(訳注、高齢者や障害者のための予約制交通システム)の代替になるのではないかと考えている。そのような補助的な交通手段は高くつき効率的とは言えないからだ。

最後に、同社は最終的には顧客に他のサービスも提供したいと考えている。それは他のオンデマンドアプリへのアクセス、例えばPostmatesやInstacartかもしれないし家の雑事をこなすHandy、または介護サービスかもしれない。こう言ったサービスを追加することでGoGoGrandparentは収入面で多様化し多くのビジネスチャンスにも恵まれるし、多額の紹介料を手にする可能性もある。

GoGoGrandparentの利用はウェブサイトでサインアップするか電話、(855) 464-6872、へどうぞ。このサービスについて愛する家族に知らせてあげてください、もちろん手紙で

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(翻訳:Tsubouchi)

DidiによるUber China買収で先行きが不安な「アンチUber同盟」

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メディアやテック業界にいる人の多くが、中国現地法人をライバルであるDidi Chuxingに売却するというUberの決断が失敗であったと捉えている。Uber Chinaを1番のライバル企業に売却するというのが、メンツを保つための行為であり、逆境に打ち勝って中国での成功を試みていたアメリカ企業にとって避けられない結末だったと考えるのは簡単だ。

しかし、取引の詳細についてもっと詳しく見てみると、今回の事業売却が、両社どちらにとっても上手く出来た話のように見えてくる。

まず、今回の話が急にまとまったものだと思わないでほしい。売却の噂は、両社が否定する中、1ヶ月に渡って広まっていた。さらに、交渉内容に詳しい情報筋によれば、この話はUberとDidiの間に既に2度も行われていたが、上手くいってなかった。つまり、今回の話が3度目の正直だったのだ。さらにもっと大切なことに、事業売却はUberがメンツを保とうとしているというよりも、両社がアライアンスを組もうとしていることを意味する。

同様に、Didiが親切心から買収をしようとしているとも思わないでほしい。Didiは、Uberが中国で数十億ドル規模の投資をし続け、弱っていくのを傍観することもできたのだ。Appleを投資家に含むラウンドで73億ドルもの膨大な資金を調達し、Didiはその資金調達力を見せつけたが、中国やその他の地域でのUberの脅威を取り除くために、彼らから何かを奪おうとしていたのだ。つまり、今回の話には、Uberの戦略的な撤退以外の双方にとっての利点がある。

それでは交渉はどのように進むのだろうか?

まず、もちろんUberは、同社のCEOいわく毎年10億ドルものコストがかかっているという中国事業と引き換えに、中国のライドシェアリング業界において支配的な立場にあり、評価額が350億ドルにおよぶDidiの(恐らく)20%近い株式を取得することになる。なお、350億ドルという評価額は、2015年の合併後にDidiが誕生したときから比べると、約11倍の額だ。

しかし、もっと大きな成長余地がそこにはある。

今年の夏のはじめに、Didiで国際戦略部門のシニアディレクターを務めるLi Zijianは、同社が中国のタクシー市場で1.1%しかシェアをとれていないとの推計を発表した中国の新たな規制により、UberやDidiのサービスは11月から合法化されることから、今回のUber Chinaとの統合と合わせるとDidiのビジネスが何倍にも成長することが見込まれる。さらにUberも同社の最大の単一株主として、その利益を享受することになる。

Didiの株式を保有することで、Uberはバランスシートから現金を食い荒らしていた中国事業を取り除くことができ、待望のIPOに向けて前進することができる。さらに、Didiは自社のIPOの計画に関するニュースをこれまで否定していたものの、膨大な成長可能性を持つDidiの株主となることが、今後大きな利益に繋がる可能性が高い。

中には、Uberがこのような潜在的な財務利益を求めていたなら、単純にもっと早い段階でDidiへ投資することで時間とお金を節約できていたのではないかと主張する人もいる。しかし、もっと早い段階でDidiへ投資するためには、まず合併前のDidi KuaidiとDidi Dacheどちらへ投資するのか選ばなければならなかった。また、もっと重要な点として、Uberとの競争が無くともDidi Chuxingは今日の姿にまで成長することができたと考えるのは賢明ではない。

一例として、Uberは2014年末にPeople’s Uberを発表し、中国におけるP2Pサービスの先駆者となった。それ以前には、Uberが行ったスケールのP2Pサービスは存在しなかったのだ。Didiはその当時まだ準備段階にあったためその波に乗り遅れてしまい、People’s Uberの発表から6ヶ月程経った後に自社のライドシェアリングサービスを発表した。Didiは、当初ライセンスを持ったタクシーのみを利用しており、この例から、Uberとの競争が明らかにDidiのビジネスを形作り、その成長を支えていたと分かる。

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Didi同盟に広がる不透明感

統合の本当にネガティブな影響は、アメリカのLyft、インドのOla、東南アジアのGrabからなるDidi同盟におよぶことになりそうだ。

これら4つの企業は、「アンチUber同盟」と呼ばれる同盟を昨年組み、ユーザーが旅行時に各企業のサービスを利用できるようにしたり、ノウハウを共有したりと、事業におけるシナジー効果を狙っていた。それと同時に、Didiは他3社に対して投資を行っており、Lyftへは1億ドルを出資し、昨年行われたOlaの5億ドルのラウンドと、1年前に行われたGrabの直近となる3億500万ドルのラウンドでは、それぞれ金額非公開のマイノリティ出資を行っていたのだ。

宣伝効果を狙ったものと見られることが多いが、この連合によって、Didiの同盟企業は結束力を高め、Didiからのサポートを受けることができ、さらには投資家を安心させることができたと考えられている。気まぐれに数10億ドル規模の資金調達ができるほどの力を持っているとされるUberのように、グローバルで活躍する大手企業と戦う上で、これらの要素は重要になってくる。

しかし、今回のUberとDidiの統合を受け、同盟関係は良くとも不安定、悪ければ混乱状態にあるように見える。

Didiが天敵であるUberと統合し、株式の相当量を渡してしまっただけではなく、Uberのグローバルビジネスに対しても、Bloombergが10億ドルにのぼると発表している詳細不明の投資を行ったのだ。Uberにとっては、これまでの調達資金額を考慮するとわずかな額でしかないが、Bloombergの数字が正しいとすると、これはDidiが同盟企業に対して出資した額の何倍にもなる。

それだけにとどまらず、Uber CEOのTravis KalanickがDidiの取締役に就任し、さらにはDidi CEOのCheng WeiもUberの取締役となったのだ。

私自身を含む多くの人が、同盟自体やDidiの同盟企業への出資を、海外進出に向けた買収の第一歩として見ており、当時の状況にもマッチしていた。しかし、Uberとの統合により、全てが論争に投げ込まれることとなる。つまり、東南アジアを例にすると、今やUberと同盟を組むことになったDidiは、Grabをどのようにサポートしていくのだろうか。両社を戦わせ合って、買った方と同盟を組むのかもしれない。

これはもちろん仮説だが、昨日までは考えることも出来ない話だった。

Didi同盟企業の反応

Grabはこのニュースを楽観的に捉えており、CEOのAnthony Tanは取引が確定する前から肯定的な態度を示していた。Tanは、TechCrunchが入手した社内向けのメモに、Uberの撤退は各地域のローカル企業でもUberを打ち負かすことができるという証拠だと述べていた。

「一度負けを味わったUberを、私たちがもう一度負かせよう」とTanは社員に向けて語った。

まさしくケンカの売り言葉のようだが、Uberを撤退に追いやった中国の状況と、東南アジアの状況は異なるため、単純比較はできない。ほぼ間違いなく、補助金合戦は中国に比べずっと穏やかなものになるであろうし、Uberは東南アジアへの進出を本格化しはじめたばかりだ。

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Tanは、公の場では社員たちを元気づけていたが、影では今回の出来事の成り行きにがっかりしていたことだろう。

一方Lyftは、UberとDidiの取引について、もっと落ち着いた様子のコメントを発表した。

「今後数週間の間に、Didiとのパートナーシップに関する評価を行っていきます。私たちは、中国の規制面から、Didiに大きなアドバンテージがあるといつも思っていました。」とLyftの広報担当者はWall Street Journalに語った

インドのOlaは、統合に関する公のコメントを求める度重なる依頼に応じなかった。

状況がハッキリして、今回の統合が世界のライドシェアリング経済にどのような影響をもたらすのか分かるまで様子を見ていきたいと思うが、現時点では、多くの人が考えるよりもUberは断然有利な立場にあるようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

確定:DidiがUber Chinaを買収、Uberブランドは継続

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中国のDidi ChuxingとUberの両社は、DidiがUberの中国事業であるUber Chinaを買収することに合意したと認めた。損失を出している両方のオンデマンド交通ビジネスが利益を出す会社になるためだ。少し前からこの合意に関する噂が流れていた。

どちらも両社の独立したブランド、アプリ、ビジネスオペレーションを維持するが、バックエンドは統合するようだ。Didiは「マネジメントとテクノロジー体験、そして両チームの専門性を統合していく」としている。

Didiが発表した財政面での説明では、Uberは新しく統合した会社の5.89%、そして Didi Chuxingの経済的利益の17.7%に相当する優先株を保有する。既存のUber Chinaの投資家で、中国における主要格の検索企業Baiduは、新事業の2.3%を保有することになる。

一方、UberのCEOであるTravis Kalanickにとって、Uberがサービスを展開する市場の全てで勝者になることはできないと認めたのにかなり近い状態と言えるだろう。

「UberとDidi Chuxingは両社とも中国で何十億ドルもの資金を費やしていますが、どちらもまだ利益を確保できていません」と、ブログ投稿に記している。「利益が確保できる体制を構築することは、中国の乗客、ドライバー、都市にサービスを長期にわたって提供するための持続可能なビジネスを構築する唯一の方法です」。

Didi側の公式な発表でも、この取引における正確な金額は明示されていない。Didiは中国において1500万人のドライバー、3億人のユーザーがいるとし、「Uberの少量株主持分を取得することになります」と述べるにとどまった。

しかし、この取引について第一報を伝えたBloomberg によると、DidiはUberのグローバルビジネスに10億ドルを出資するという。参考までに書くと、Uber Chinaはこのセクターで「勝者」になるための全ての指標においてDidiに遅れをとっていた。Didiの方が調達金額が多く、評価額も高い上、彼らの主張によるとUber Chinaより広く普及しているという。

最後のポイントについて両社は議論しあっていたが、今回のニュースを受けて、PRにおける両社の緊張関係は解けたようだ。Kalanickが投稿した別のFacebookポストでは、直接的にDidiの数字と比較していないものの、Uberでは毎週4000万回の移動があり、Uberブログには月に1億5000万回の移動があると伝えている。

直近では、Uber Chinaの評価額はおよそ70億ドルで、Didiの評価額は280億ドルだった。

この取引は、少なくとも1ヶ月前から話し合われていた。もしかすると、それより前からかもしれない。7月の始めにはそのような噂が聞かれていたが、事実確認をすることはできなかった。

また、人事異動もある。 Didi Chuxingのファウンダーで会長のCheng Weiは、Uberの役員会に参加し、代わりにUberCEOのTravis KalanickはDidiの役員会に参加する。

ChengはUberとの熾烈で高額な競争期間を終え、落ち着きのある勝者となった。

「Didi ChuxingとUberは、急成長を遂げる中国経済の中で過去2年間、互いから多くのことを学びました。中国に深く根ざしたテクノロジーリーダーとしてDidi Chuxingは、常にイノベーションの最前線を突き進み、人々の交通手段の未来を構築してきました」と声明で伝える。「このUberとの合意は、モバイル交通業界をより健全な状態に整え、さらに高次の成長につながる持続的な道を開きます。Didi Chuxingは監督期間、ユーザー、パートナーと協力し、私たちの都市における交通、環境、雇用の課題を解決することに全力を注ぎます」。

Didiの会長であるJean Liuは、今回の合意についてDidiがグローバルな野望から遠ざかるものではないとした。

人、車、ライフスタイルをつなげるDidiのオープンなシェアベースのエコシステムには、1500万人のドライバー、3億人の登録ユーザーが参加しています。Uber Chinaの経験と優秀な人材が加わることで、Didi Chuxingは中国の人たちにサービスを提供するにあたり、確固たる地位を築くことができます。Didi Chuxingはまた、海外展開の戦略も拡張していきます。私たちは自国、そして国外のパートナーと協力し、ドライバー、乗客、コミュニティーに対してさらなる価値を創出していきます。

競争関係の行方

今回の発表は、この合意における直接的な影響、そして将来的にUberにどのような影響があるかに関して多くの疑問が浮かぶ。

まず気になるのが、UberのCEOがDidiの役員会にいて、DidiのCEOがUberの役員会にいることで、中国以外の市場における競争環境にどのような影響があるかということだ。Didiは、Uberがサービスを展開する主要地域の競合他社の全てに投資している。Lyft(アメリカ)、Ola(インド)、Grab(東南アジア)だ。現時点で分かっていることは、この中国企業はUberとの合意後も「グローバルパートナーと引き続き協力していく」と言っていることだ。

また、この取引に関してUberの部分的な投資家となる企業がある。Didiの投資家にはAlibaba、Apple、DST、Softbank、Tencentなどが含まれる

さらにこのような事業を構築するにあたり、ビジネスモデルに関しても疑問が湧く。Uberはグローバル市場でサービスを展開するために、何百億ドルもの資金を調達した。Uberは別会社としてUber Chinaを設立し、個別に調達を行ってきた。しかし、何十億ドルを費やしてもDidiとの競争に勝つのには十分ではなかった。

中国生まれのUberのライバルは、サービスを展開する200の地域で利益を出していると最近伝えた。だが、360の地域全てで利益を確保できているのではない。これは規模があっても、利益面で最終的につじつまが合うかどうかは時間が経たなければ分からないということだ。興味深いことに、主要なライバルを飲み込んでしまうことで、競争に伴う割引やマーケティング施策を削減し、投資額が少なくてすむようになる。

これがどのような結果をもたらすかは時間が経たなければ分からないが、Uberが苦戦を強いられている地域で、市場の勝者となるために投資しすぎていると判断した場合においてUberがどのように立ち回るかに関しても注目したい。

Uberは、食品配達などの新たなカテゴリーにも参入していて、荷物であれ人であれ、あらゆるものの輸送手段に対応するワンストップ・サービスとなるための野望に向かう施策を打っている。

Uberは各市場で圧倒的なライバルであると証明してきたが、Uberの戦略変更、そして競合を押しつぶすための投資が見合わないと判断した場合には、競合との合併を選んだことによる影響はどうだろうか?これは、投資額がエスカレートする競争で勝つのが不可能に思えたUberの競合にとって、活路となるかもしれない。交通手段のライバルの1社であるGrabは、Uberとのライバル競争は負け戦ではないという声明をすでに出している

<Uberの声明は原文をご参照ください>

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

中国の2大ライドシェア企業、Uber ChinaとDidi Chuxingが合併か

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中国のライドシェア業界から大きなニュースが飛び込んできた。Didi Chuxingが、ライバルであるUber Chinaとの合併に合意し、競争に終止符を打つようだ。中国で設立予定の合併会社の評価額は350億ドルとなる見込みだ。

この噂は1ヶ月前から聞かれていて、両社とも否定していた。だが、実際に合意に至るようだ。 BloombergWall Street Journalも、情報筋からこの合併に同意したという話があったという。このタイミングは興味深い。何故なら、中国政府は11月1日からタクシー配車サービスを合法にするという規則提案を先週リリースしたばかりだからだ。

大型資金調達を行った後で70億ドル以上の現金を持つDidiは、Uber Chinaのオペレーションを担うUberのグロバールビジネスに10億ドルを出資するとBloombergは伝えている。Uber ChinaとBaiduを含む同社の投資家は、中国に設立する新会社の20%を獲得する。

この合併により、Didiは地球上に存在する全てのライドシェアリング企業に投資したことになる。以前にLyft、インドのOla、そして東南アジアのGrabにも出資していた。

TechCrunchはUberとDidiにコメントを求めている。情報が入り次第、記事をアップデートしたい。

中国のタクシー配車業界で起きた大規模合併は、これが初めてではない。 Didi Chuxing自体もDidi DacheとDidi Kuaidiが、過激なドライバーへの支援金戦争を終わせるために、昨年合併した。合併した会社の評価額はおよそ60億ドルだ。

Uberは何十億ドルも中国で費やしている。Bloombergによると、同社は中国でこれまでに20億ドルの損失を出したという。どうやら、2回目となる合併も同じ理由で行われるようだ。けれでも、その結果は全く異なる影響をもたらすだろう。Uberにとって中国事業を切り離すことは、ようやく上場会社となる道筋に着くことにつながるかもしれない。アメリカ事業は、先月、すでに欧米市場で利益を出していると伝えたが、中国での事業は、多額の資金を費やしているにも関わらず、競合に押されている市場だ。この合併が実行されれば、Uberの事業に対する最大の懸念材料を取り払うことができるだろう。

アップデートがあり次第、更新予定

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Uberが東南アジアでの黒字化を背景にサービスの拡充を目指す

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Uberは、東南アジアの主要市場での黒字化を背景に「土地の争奪」アプローチをやめ、代わりに新しいプロダクトやサービスの提供へと焦点を移した。

Uber内部の情報筋によれば、Uberはシンガポールとフィリピンで黒字化を達成した。シンガポールとフィリピンは、乗車数と売上が最も大きい2つの市場で、その他の国も両国のすぐ後ろにつけている。Uberは本件に関して、度重なるコメント要請に応じていない。

Uberが先月西欧市場の全てで黒字化を達成したと話していたことから、この情報は興味深い。新興市場でのUberのプレゼンスに関してはあまり知られておらず、特に現在シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン国内の合計15都市をカバーしている東南アジアについての情報はこれまでほとんどなかった。

Uberは、3年前にシンガポールを皮切りに東南アジア市場へ参入したが、「直近」の進出国であるベトナムへの進出は2年前のことだった。それ以降、担当チームは東南アジア中でのスケーリングというタスクを課されており、この度、競争力激化とユーザーベースの拡大を目的に新サービス導入を推し進めるという決定に至った。

合計で6億人もの人口を抱えているにも関わらず、東南アジアは中国とインドの影に隠れてしまっている。これはUberにとっても同じで、子会社のUber Chinaを通じて何十億ドルもの投資を中国で行うと同時に、インドでは、Softbankの支援を受けている企業価値50億ドルOlaとの戦いのため、昨年の夏に10億ドルの活動資金に関する発表を行った。

通貨、文化、規制障壁、そして言語の違う6つの主要国に人口が散らばっていることから、東南アジアのプライオリティはこれまで高くなかったが、TechCrunchの得た情報によると、その状況が変わってきており、UberはGrabとの競争を激化させようとしている。Grabは、1900万回のアプリダウンロード数と35万人のドライバーを誇る配車サービスを提供する企業で、Olaや中国のDidi、そしてLyftと協力関係にある。

フードデリバリー、乗り合い、バイクタクシー

Uberにとって、フードデリバリーサービスであるUberEats、乗り合いサービスのUberPool、そしてバイクタクシーサービスのUberMotoが東南アジアでの優先事項のようだ。クーリエサービスのUberRushも、現在アジアでは提供されていないが、今年中に地域限定で導入されるかもしれない。

最近、UberEatsはアジアで最初の市場となるシンガポールへ進出し、Uberは同サービスを、数ある都市の中でも、タイのバンコクへ今後展開することを示唆していた

シンガポールは、UberPoolでもサービス導入が行われた最初の市場のひとつだった。UberPoolは、同じ方向に行きたい乗客をまとめて移動させるサービスで、交通費の削減と渋滞の解消に一役買っている。同サービスはインドネシアの首都のジャカルタでも提供されており、フィリピンのマニラでは今年、シャトルバスを使った同様のサービスがローンチされている。

最後にUberMotoだが、このサービスはUberが願っていたようなサクセス・ストーリーを描けないでいる。当初2月にバンコクでローンチされたものの、5月にはタイ政府からサービス停止を命じられ、ふたつ目の市場となるインドでも規制対応に苦しんでいる。

現在Uberは、インドネシアをUberMotoの主要なターゲットとして考えているが、インドネシアの競争はかなり激しい。Sequoiaの支援を受けている地場企業のGo-Jekは、バイクタクシーサービスのパイオニアだ。20万人以上のドライバーがプラットフォーム上に登録されており、単に碁盤の目のようなジャカルタの街中をA地点からB地点へ乗客を乗せて4輪車よりも早く移動するだけではなく、フードデリバリーなどのサービスも提供している。Uberも、プラットフォームとしてのバイクタクシー隊を整備してサービスを追加していくという動きをとろうとしているが、Uberは強大な既存競合企業との戦いを強いられることとなる。

ライバル関係

Uberの新サービス導入には競合や抵抗が伴う。東南アジアにはたくさんのフードデリバリー企業が存在しており、メインのライバルとなるFoodPandaのほか、最近同地域に進出したDeliverooや、オーダーメイドサービスを提供するGrainのような企業もある。

そして潤沢な資金を持った競合の存在も見逃せない。

Go-Jekは軍拡競争のための準備を進めているようで、今月はじめにWall Street Journalは、現在インドネシアだけでオペレーションを行っているGo-Jekが、新たに4億ドルの資金を調達中で、その企業価値が10億ドル以上に達しようとしていると報じていた。TechCrunchは、この交渉に詳しい情報筋との確認を通して、ラウンドが向こう数週間のうちに完了するとの情報を得た。

Go-Jekの他にも、Uberとバイクタクシー(と配車サービス)で競争を繰り広げているGrabの企業価値は16億ドルに達し、これまでに6億5000万ドルの資金を調達している。GrabBikeサービスもバンコクでは禁止されているが、同社は書類や小包のデリバリーサービスとしてその事業を継続している。Grabは最近、インドネシアが乗車数で最大の市場であると発表していたが、経営数字については明らかにしなかった。

Grabも新たなサービスの導入を進めており、GrabFoodをインドネシアで運営するほか、シンガポールで昨年ローンチされたGrab式乗り合いサービスのGrabHitchは、その後マレーシアへの進出も果たした。Grabの担当者は、先月の時点で、GrabHitchの登録ドライバー数がシンガポールとマレーシアの2国合わせて5000人に達したと語った。

これで終わりではない。Grabは、今年中にインドネシアを皮切りに、ペイメントプラットフォームを導入していくと先週発表した。このペイメントシステムを利用すればお店での買い物もできるようになり、Grabはサービス開始にあたって、インドネシアの小売コングロマリットであるLippoとパートナーシップを結んだ。これにより、Grabもサービス提供を通じたユーザーベースの拡大を模索するにあたって、方向転換をしていくこととなる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

TeslaとUberの意外に多い共通点

WASHINGTON, USA - MARCH 16: Heavy traffic along Interstate 395 during the morning commute in Washington, USA on March 16, 2016. On Tuesday afternoon WMATA announced that it would suspend all of it's Metro Rail service for 29 hours starting at midnight in order to conduct emergency repairs to the system after multiple fires caused by faulty connections. On average 700,000 people use the Metro on any given work day to get to and from work and they had to scramble to find alternate ways to work. (Photo by Samuel Corum/Anadolu Agency/Getty Images)

Elon Muskの新たなマスタープランにもとづいて、Teslaは新たにカーシェアリング市場へと乗り込んでいく。

Teslaのカーシェアリングというアイディアは新鮮に聞こえるが、自動運転の技術と相まって、Tesla車がシェアリングエコノミーに関する議論の中に登場するのは初めてではない。

2015年のあるイベントにて、Uberの投資家であるDFJでパートナーを務めるSteve Jurvetsonは、UberのTravis Kalanickが、Teslaの自動運転車が2020年までに実現すれば、Tesla製の車を全部買うと話していたことを伝えている

以前、UberとTeslaのパートナーシップが地平線上に見えていた時期があった。Musk自身も、業績発表会でパートナーシップの可能性に関する話題が上がったときに、怪しまれるくらい長いあいだ黙りこんでいた

最近では、Uberは自分たちで自動運転車を開発しようとしているようだ。そして、本日のMuskの発表によると、Teslaも同じことをしようとしている。

「Teslaの携帯アプリのボタンを押せば、自分のTesla車をカーシェアリング用に貸し出すことができます。そうすることで、仕事中や休暇中にも収入が発生し、月々のローンやリース費用を相殺できる、もしくはそれを上回るくらいの金額になる可能性があります」とMuskは自身のポストにつづった。

UberやLyftのような企業は、第一印象よりもTeslaと多くの共通点を持っている。特にUberは、以前から長期的なビジョンと自動運転車の必要性について熱く語っていた。

UberとTeslaは、最初の製品やサービスを、参入障壁がとても高い市場に入り込むのに使っていた。Uberでいえば、ライドシェアリングサービスには、多大な人的資本と規制への強固な影響力が必要だ。Teslaも、何もないところから量産品の車を製造しなければならなかった。

Uberは未だに中国で資金を垂れ流しており、Teslaもコストのかかるギガファクトリーを引き続き稼働させる必要があるものの、両社が設立当初にやろうとしていたことの大部分はうまくいっている。そして2社とも運転手不要の車に対して、強い(そして高くつく)こだわりを持っている。Uberは現在、カーネギーメロン大学をはじめとした有名大学から才能あふれる学生を採用し、自動運転技術の開発やテストにあたろうとしている。

このまま行くと、UberがTeslaと衝突することになってしまうが、これは別に新しいことではない。Teslaは、自動車の稼働率を上げるための方法としてカーシェアリングを利用することで、パズルを完成させようとしているだけだ。両社とも、自動運転車の導入が交通費の減少につながると考えている。

Uberが、現在の市場の外にいるグループにもサービスを利用してもらうためには、コストを低く抑える必要がある。しかし、新たな人たちにサービスを利用してもらうためには、人口密度の低い郊外でもサービスを普及させ、最終的には普通のアメリカ人が車を手放すよう仕向けなければならない。一方Teslaは、電気自動車を普及させ、最終的には必要な電気の量を減らして全面的な二酸化炭素の排出量を減少させるため、運転に関するコストを減らす必要がある。

Uber/Tesla

シェアリングエコノミーの最大のメリットはまだ誰も享受することができていない。表面上は、Uberのような企業が、中産階級のうち以前は仕事のなかった人々に対して収入源を供給している。将来的にカーシェアリングが自動化されれば、移動にかかる費用が減少し、市場の効率性は最大化する。Kalanick自身も過去に、Uberの料金を構成している要素のうち運転手のコストが一番高いと語っていた。ライドシェアリングが車所有の文化を代替するためには、さらなる価格低下が必須条件なのだ。

Uberにとっての自動運転車の必要性は、中国でのマーケットシェアの必要性とは性質が違い、自動運転車はUberに長期的な持続性をもたらす。同様にTeslaは、今の道を進んでも事業継続はできると思われるが、自動運転車への参入で長期的な適合性を保つことができる。つまり、両社にとって自動運転技術は新たな高成長のチャンスであり、それがトップレベルの人材をひきつけ続けることにもつながるのだ。

UberとTeslaにとってカギとなるのは、将来の投資に集中するあまりコアビジネスがおろそかにならないようにするということだ。Muskはマスタープランの中で、短期的に見れば公共交通機関や貨物自動車の開発にチャンスを見出しており、それに取り組むことがTeslaの長期的なゴールへの前進に繋がると明言している。

両社の衝突は当分先のことだが、UberとTeslaが同じ流れに乗っているからといって、それがゼロサムゲームになるということにはならない。Googleや他企業が自動運転技術への投資を行っていくことが、エコシステム全体にとってのメリットとなるのだ。全般的な研究開発費に注視することが、自動運転の業界にいる各社の戦略の内省に繋がる。

Teslaは他社に立ち向かうことはできる。一方他社に勝つかどうかは、未来の交通手段の姿について正しい方向性を選択できるかにかかっている。これから20年先に私たちが、電気自動車を即金で買ったり、燃費の悪いガソリン車での移動に高い料金を払ったりする気持ちになるとは考えづらい。

UberとLyftに現在コメントを求めているので、返答を受け取り次第、本記事をアップデートしたいと思う。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

救急搬送にUberを使うのは、とんでもない考えだ

Paramedics taking patient on stretcher from ambulance to hospital

ワシントンDC消防署は、優先度の低い911通報の搬送にUberを利用する計画を検討している。NBC Washingtonが報じた。これはとんでもない考えだ。

ワシントンの計画では、通報者の状況を電話越しに判断できる看護師チームを雇い、状態が安定していればUberを利用させる。これは救急隊員の目的が、911通報者の病状を判断することであることを踏まえれば、既におかしい。

「転んで足首を骨折した人は、潜在的な症状を抱えている可能性がある」と、ワシントン地区の救命士、Alexia Haralambousは言った。「糖尿病急症が完全に発現していない場合に、そういう状態が起きうる。完全な救命手順を踏む中で、初動要員は最終的に患者の血糖値を調べ、値が高いと判定する」

搬送状態の悪さを考慮して、Uberはサイレンや緊急灯、通信用の大規模無線システム等も備える必要がある、とHaralambousは付け加えた。

数週間前、私は顎を縫った糸を抜くために地元の診療所を訪れた。そこで、心臓疾患の兆候を示したために心電図をとっている男性を見た。男性は、日常的な痛みだと思って受診した。しかし診断結果は深刻だった。医師は直ちに救急車で搬送することを薦めたが、男性は自分で運転することを選んだ。この人は自らの命だけでなく、路上の人々全員の命を危険に曝したことになる。たとえ訓練を受けていても、相乗りドライバーが患者と車両方の安全を確実に守れる可能性は低い。この患者が後部座席に乗っていたとしても、急激な病状の変化がドライバーの不意をつき、事故に結びつくかもしれない。

このような提携は、これまでの相乗り提携とかけ離れたものではない。UberはTechCrunchに、フロリダ州とジョージア州の一部の都市で、既に医療提携を結んでいると話した。Uberは、アトランタの慢性障害を持つ高齢者が予約診療やフィットネスクラブその他のサービスに行く手助けをしている。フロリダ州ゲインズビルでUberは、地元の出資者と協力してこのサービスが移動と自由を維持するためにどのように使えるかを、高齢者に伝えるテクノロジー講座を提供している。

本誌がLyftに問い合わせたところ、移動性の確保に悩む人々の交通を支援するために、同じような目標を同社も持っていると話した。

Lyftの使命は、車を最も必要としている人が、確実に乗れえるようにすることだ。われわれは、全国の公共機関や民間企業と協力して、これまで移動手段に恵まれていなかった人々の選択肢を広げる方法の検討を進めている。われわれは高齢者が ― その多くは定期的に医者の予約があり、移動手段が限られている ― 安全で確実に低価格で動き回れる方法を提供することに誇りを感じている。

いずれの提携の場合でも、意志決定権限は乗客の側にある。乗客はいつどんな時でも乗ることを選べる。ワシントンDCの計画で問題なのは、通報者の健康と安全が、病状を視覚的に評価できない遠く離れた看護師に委ねられていることだ。その結果患者は、市の予算が911通報の量に追いつかないというだけの理由で、不必要に危険な状態に曝される。

とはいえ、深刻な問題のために従来の枠にとらわれない解決策を真剣な考えるワシントンDCには、敬意を表したい。 何もかもUber化する必要はない、というだけのことだ。別の機会に願いたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アメリカの第三の政党「自由党」の大統領候補Johnson曰く、“あらゆるものをUber化する必要がある”

[筆者: Andrew Keen](著書(3冊): Cult of the Amateur, Digital Vertigo, The Internet Is Not The Answer。 Futurecastをプロデュース。本誌インタビューシリーズKeen Onのホスト。)

Hillary ClintonとDonald Trumpの、最終指名候補にしては前例のないほどの不人気を見ると、2016年がサードパーティ(third party, 第三の党)候補者の年になることもありそうだ。

彼のイデオロギーの是非はともかくとして、自由党(Libertarian Party)の候補Gary Johnsonこそが、シリコンバレー待望の、イノベーション積極支持派候補かもしれない。

Johnsonはこの記事のためのインタビューを担当したCALinnovatesのKish Rajanに向かって、“われわれはあらゆるものをUber化する必要がある”、と語った。

彼の信念では、共有経済こそが“未来のモデル”であり、抑止的に規制するのでなく、積極的に奨励すべきである。彼自身も、自分の不動産を貸し出そうとして問題に遭遇した。だからAirbnbを違法扱いする地方行政は“あまりにも近視眼的だ”、と彼は強調する。大統領候補としての公約に、“その規制を廃止する”を含める、と彼は言う。

政府による通信の監視や移民問題についても、Johnsonはやはりシリコンバレー寄りのようだ。彼の主張では、政府による個人データの大量収集は、無意味だった。また移民問題について彼は、歯に衣着せずにこう言う: “アメリカは移民の国だ”、だから、政府は上限を設けたりせずに、“移民を受け入れるべきだ”。

Gary Johnsonにとっては、壁というものがない。このラジカルなイノベーション支持メッセージに、今年果たして、どれだけの票が集まるだろうか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

われらが建国の父たちは、こうしてシリーズAを調達した

A Currier & Ives lithograph of Benjamin Franklin and his son William using a kite and key during a storm to prove that lightning was electricity, June 1752. (Photo by Hulton Archive/Getty Images)

ホットドッグと愛国心あふれる歌と花火があれば十分という人もいるだろう。

しかし、われわれTechCrunchは読者にもっと多くを望んでいる。Kickstarterを文字通り空に打ち上げられる時代に、花火で満足している手はない。

私と同じように、Hamiltonが、Backstage CapitalのArlan HamiltonGoogle VenturesのKim Burrの壮大な戦い、いや「シンジケート」の話でなかったことに失望した人もいるかもしれない。

CrunchBaseが出来る以前、われらが建国の父たちは何とかしてスタートアップ資金を集めたはずだ。彼らが10X[株価指数10倍以上]を実現した方法はこれだ。

裕福であれ

ベンジャミン・フランクリンは、目医者に金を払い、拡大鏡のレンズを半分に切り、めがねのレンズの半分と継げさせた。彼はワービーフランクリンを設立することを少し考えたが、自らの発明で利益を上げない決断を下した。遠近両用メガネのアイデアは、他の建国の父らにたちまち真似された。おそらくフランクリンは、量産を拒みセレブだけが利用できるようにする以外に、製品を誇大宣伝する良い方法がないことを理解していたに違いない。

忍耐強くあれ

米国で最初の炭酸水の特許は1810年に交付された。特許を取得していたにもかかわらず、FDAの認可も必要なかったが、炭酸水が流行するまでには22年かかった。その間超スリムな2人のチームを維持し続けた。

知られるべし

ジョン・フィッチは、[Uberの]Travis Kalanickに倣って、蒸気船は日常の船旅には高すぎると確信した。彼は予備の部品を使い地元の時計職人の力を借りて、プロトタイプを作った。大陸会議が出資を拒否したため、フィッチは州毎の独占事業にして会社の価値を高めることにした。フィラデルフィアの富裕層によるエンジェルラウンドを完了できまでの間、彼は自己資金で会社を運営した。しかし、彼の〈船のUber〉が実際に流行することはなかった。フィッチは悪い投資家の助言を受け入れ、経済的に不安定なフランス市場に参入した後、薬物中毒で自らの命を断った

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

輪行もUberで?! アムステルダムでUberの新サービス開始

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Uberがアムステルダムにて、サイクリスト向けのサービスを展開中だ。アムステルダムといえば人口よりも自転車の数が多いとも言われている街ではある。そんな街でUberはUberBikeなるサービスを開始したのだ。

UberBikeでは、自転車ラック(自転車を車に搭載するためのラック)をつけた車をオーダーできる。自転車に乗るのがメインの目的ではあっても、遠くにでかける際や、あるいは予想しなかった雨に降られたときなど、家と自転車に乗る場所との間を移動するのに車を使うことができるようになるわけだ。

UberBikeの使い方はこれまでとさほど変わらない。アムステルダムのユーザーがUberの利用をする際、他のオプションといっしょに「Uber Bike」のオプションが表示されるようになっている。このオプションを選択して、そしてピックアップ場所を指定すれば良いのだ。

自身は座席に、そして自転車は自転車ラックにて移動することになる。

価格は通常のUberXに、自転車代として€4を加えたものになる。

アイデアとしては単純なものだと言えるかもしれない。ただ、自転車との連携というのはなかなかの目の付け所かもしれない。自転車が人気の地域に広まっていく可能性は十分に有り得るように思う。

詳細についてはこちらで確認できる。

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(翻訳:Maeda, H

Uberが過去最大の調達、サウジアラビアから35億ドルの出資

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Uber は本日、サウジアラビアの主要な投資ファンドPublic Investment Fund (PIF)から35億ドルの出資を最新ラウンドの一環として獲得したことを発表した。

このライドシェアリング大手にとって今回の資金調達は最大の調達となる。Uberの調達額はキャッシュとデットファイナンスで合わせて110億ドル以上となるが、同社の625億ドルという評価額は変わらない。

Uberのライドシェアリングサービスはアメリカ市場を席巻し、世界展開も積極的に行っている。そして中東地域はUberの今後の発展において鍵となる。

Uberは中東地域でサウジアラビア以外にもエジブトやアラブ首長国連邦でサービスを展開している。それらの国では政府組織と協力し、ドライバーの教育と採用を行っている。Uberによると、この地域には39万5000人以上のアクティブな乗客がいるという。

「サービスをグローバル展開するにあたり、私たちのビジネスにこのような後押しがあることに感謝します」とUberのファウンダーTravis Kalanickは声明で伝える。「サウジアラビアでの経験はUberが乗客、ドライバー、街にとって利益をもたらす好例となります。国の経済と社会の発展に向けてサポートできることを嬉しく思います」。

Uberによると、サウジアラビアのUberへの出資は同国が近年発表した石油と石油関連業界への依存度を減らすVision 2030の内容に沿うものだという。

「高い目標を掲げたこの野心的な計画には、旅行やエンターテインメントといった戦略セクターの活性化、雇用機会の創出、職場での女性の活躍の促進、起業家精神の後押しといった複数の目標があります」とPIFのYasir Al Ruymayyanは声明で伝えている。

しかし、サウジアラビアは女性に運転を禁じていることから批判を浴びていて、人口の半分はそのために交通手段において大きな課題を抱えている。Uberが女性にオンデマンドの交通手段を提供することでサウジアラビアはその課題の解決につながることを期待している。Uberは2014年から同国でサービスを展開し、乗客の約80%は女性だという。

Featured Image: Uber blog

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Uberとトヨタ、配車サービスとリースで戦略提携を発表

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配車サービス戦争が一段と激しさを増すようだ。Uberトヨタとの間で配車と自動車リースに関連した戦略的投資協定を結んだことを明らかにした。

UberはTechCrunchへのメールで「トヨタは世界の自動車産業のリーダーの1社であり、トヨタ車はUberのプラットフォームで世界的にもっとも多数利用されている車種のひとつだ。Uberはトヨタとさまざまなパートナー関係にあり、今回は自動車購入の資金調達プログラムへも協力関係を拡大した」と述べた。

Uberはこの資金計画の詳細を明らかにすることは避けた。公表された事実は多くないが、トヨタ自動車のプレスリリースによれば、同社はUberと提携して将来の交通機関のあり方を探る計画に興味があり、この点に関連してUberと覚書(MOU=memorandum of understanding)を交わしたという。これにはUberの自動車共有ビジネスが拡大中の諸国において、当局の規制、ビジネス環境、顧客ニーズなど多くの要因を検討しつつ、実地にテストを行うことが含まれている。

トヨタがリースを支援するという契約はドライバーの自動車取得を援助するUberのプログラムの拡大を助けるだろう。同時にUberが自動車走行車を利用しようとする計画も大きく前進させるとみられる。

今回の発表では自走走行車については特に言及されていない。しかし、さまざまな自動車メーカーと有力テクノロジー企業が配車サービスに投資を始めており、自動走行車の開発においてもトヨタの存在はひときわ大きい

トヨタは昨年11月に10億ドルを投じてTRI(Toyota Research Institute)をパロアルトに新設し、自動走行車の実現に向けてAIとロボディクスの研究を行っている。

なおGMは今年に入って 5億ドルをUberのライバル、Lyftに投資している。こちらもLyftの事業拡張と同時に自動走行車の採用の実現を目標の一つとしている。

今朝フォルクスワーゲンはニューヨークを本拠とする配車サービスのGettに 3億ドルを投資することを発表した。Appleも自動走行車の開発を行っていると噂されている。Appleは5月上旬に中国最大の配車サービス、滴滴出行(Didi Chuxing)(以前の滴滴快的、Didi Kuaidi)に10億ドルを投資している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

消費者/労働者保護のオピニオンリーダーElizabeth Warrenが“いわゆるギグ・エコノミー”について語る

Cropped Approved CFF

Elizabeth Warren上院議員が、New America Foundationの今年の年次大会の木曜日(米国時間5/19)のスピーチで、Uber, TaskRabbit, Alfredなどの“いわゆるギグ・エコノミー(gig economy)”を構成している企業に関して、言葉を選びながら述べた。彼女は決してそれらの企業を否定する者ではないが、しかし企業と政治家の両方に対して、労働者指向の変化を促した: “いかなる労働者も、クラック*に落ちて這い上がれない状態になるべきではない”。〔*: クラック, cracks, 登山用語で深い岩の割れ目(救助が難しい)。〕

スピーチの中で上院議員は、産業を進歩させ新しい課題に挑戦していくテクノロジーの役割を称賛したが、まさにその直後に、彼女の本当に言いたかった言葉が続いた:

[真の問題はこうだ: イノベーションは生活の質を高め、新たな富を作り出す。しかし労働者がその富に与れるのは、そのための政策や方針〔政治と企業の〕があるときのみだ。]

“LyftやUberのような企業は、日々彼らの業績に貢献している労働者と同じ労働者たちが、その労働によって稼ぎだした富の、より大きな配分にアクセスしようとする努力に、しばしば抵抗してきた”、とスピーチの書き起こしにある。“彼らのビジネスモデルには、運転者の極端な低賃金に依存している側面がある”。

彼女の言う“低賃金”は、もちろん、他と比較した場合のことだ。Uberのドライバーは平均して1時間に15ドルから20ドルぐらい稼ぐが、ガソリン代や車の修理費などは自分持ちだ。良い商売、である場合もあるが、売上増など業績アップの余地はほとんどない。この問題がほかの方法で解決されるまで、客は彼らにチップを払わざるをえない

さらに彼らには、福利厚生も失業保険もない。だからその“雇用”は、真の雇用からほど遠いものに見えてくる。でもそれは、決して新しい問題ではない。Warrenはこう指摘する:

これらの問題のどれも、ギグ・エコノミーが発明したものではない。むしろ、ギグ・エコノミーは、弱い労働市場において生活を支えることのできない一部の労働者のための、一時しのぎになっている。ギグ労働の柔軟性や独立性、クリエティビティなどの美徳が派手に賞賛され、それは一定の条件下における一部の労働者には真実かもしれないが、しかし多くの労働者にとってギグ・エコノミーは、福利厚生が上位10%の労働者にしか提供されていない世界で何らかの経済的安定を得ようとする、徒労な努力の連鎖の、一歩であるにすぎない。

上院議員はこれに続けて、非正規雇用の仕事を二つとか三つ抱えて生きている大量の労働者を救うための、提案を述べている。いずれも、ギグ・エコノミーがもたらすとされるポジティブな効果やイノベーションを、大きく失うことはない、とされる施策だ。以下は、それらの提案の、ぼく自身(の無償労働!)による要約だ:

まず、正社員に提供されている“安全ネット”を、非正規〜臨時雇用者にも部分的に提供すること。

  • 臨時雇用、時給制労働者、パートタイマーなどすべての労働者が社会保障費を支払うこと。給与天引きをルールとし、雇用者がその事務を行う。
  • すべての労働者が自己を名義人とする高額医療費保険に加入すること。“すべての、とは、文字通りすべての労働者であり、障害者認定に至らない実質的障害者も含む。また、従来的な労働者災害補償の対象外の労働者も含む”。
  • すべての労働者に有給休暇があること。その具体的な条件等は今後の検討課題だが、全員に完全自由休日が与えられ、また家族の問題や医療にあてる休日も、リーズナブルな量、与えられること。
  • 医療や退職等に関わる福利厚生が、できるかぎり、複数の雇用者にまたがってポータブルであること。それに関し、被雇用者自身の事務負担等が極力少ないこと。

次は、労働法の改善と強化だ:

  • 労働の分類に錯誤や抜け穴があって、雇用者の無責任が許される状態がないこと。
  • 労働者の定義が単純明快であること。安全ネットの普遍化は、(区別が不要になるので)単純化を助ける。保険や福利厚生の要素で違いがあるのではなく、労働そのものの違いに焦点が当てられるべきである。
  • “すべての労働者に組織化の権利があること(例外なく)。正社員、パートタイム、一時雇用、ギグ労働者、契約社員、などなど、労働を提供する者全員が集団交渉の権利を持つべきであり、そのことは、労働条件をコントロールする者が誰であっても変わらない。またそれによる報復や差別から、労働者は保護されなければならない”。

スピーチの初めの方で彼女は、産業革命の初期にも、工場に対する規制がなく、労働者は死と隣り合わせの劣悪な条件と環境で働かされた、と述べた。そして、ちょっと気を利かせて、TaskRabbitのワーカーはこれまで、それほど苛酷な条件で働かされたことはないだろう、とも述べた。Warrenは、機は熟している、今こそ規制は、これらの新しい業態に適合するとともに、そこで働く労働者を保護するためにも、大幅に変わらなければならない、と語った。

“この国が100年前に行ったこととまさに同じように、今は労働者と企業との基本的な契約関係を再考すべきときである”、と彼女は語る。“新しい技術によってより大きな富が生まれているとき、その経済を支える労働者がその富を確実に共有できるために、私たちは何を為すべきか?”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uber、ピッツバーグでの自動走行車テスト中を正式に認める

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Uberは、ペンシルベニア州ピッツバーグで自動走行車のテストを行っていることを、ようやく認めた。Pittsburgh Tribuneが伝えた。

Uberの無人走行車への意欲はよく知られており、同社がピッツバーグ拠点の最新テクノロジーセンターを一年以上に作ったことからも明らかだが、正式にテストを認めたのは初めてだ。

実際UberのJohn Baresは、Tribune-Reviewの記者を同社のFord Fusionハイブリッドに乗せ、経路の一部を自動走行したという。

会社はブログ記事にもこのことを書いている。

Baresは、Uberの無人走行車にとってピッツバーグは最適の環境であり、それは雪や雨が多く、道路基盤は時代遅れだからだと言った。

要するに、もしUberがここでできるなら、どこへ行ってもできる、ということだ。

複数のカメラとレーザーおよびセンサーを通じて、Uberの自動走行車はあらゆる方向を最長100メートルまで見ることができる。これまでのところ、一般車との衝突は起きていない。

Uberは、Google、Lyft、Volvo、Fordら少数の企業と共に、ロビー団体、Self-Driving Coalition for Safer Streetsに参加しており、政府が無人走行車を普及させ、しかし安全を第一に考える法案を早く作るよう活動している。

国家道路交通安全局は、早ければ7月にも自動走行車のための法案を準備できると言った。

それでもUberはこの分野では比較的新参者であり、例えばGoogleはカリフォルニア州の公道で2009年から自動走行車をテストしている。

Baresは、5/18に見せたデモは初期段階であることを認めているので、ドライバーのいないUberを呼びだせるのはまだ先のことになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uber、家族の移動状況をリアルタイムで追跡できるTrip Trackerを公開

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Uberは今日(米国時間5/17)、家族や大切な人たちが同サービスの利用している状況を跡できる新しいツールを発表した。”Trip Tracker” と呼ばれるこの機能は、Uberが3月に発表した、家族や友達の乗車料金を一括で支払えるプログラム、Family Profilesと連携している。

Family Profilesを使うと、ユーザーは他のUber利用者をグループに追加して、他のグループメンバーの料金を同じカードで支払うことができる。

しくみとしては、誰でもFamily Profileに追加することができる。ただし、その名前が示すようにこれは少人数の信頼できるグループの中で使うためのしくみだ。例えば、親が大学生の子供の乗車料金を払う、あるいは、経済的に恵まれていない親戚や、高齢のために自分で動けない人たちを運ぶためにも使える。

Trip Trackerがあれば、Family Profileを管理する人は、今行われている移動の状況を詳しく知ることができる。

この機能の提供開始に伴い、Family Profileのメンバーの誰かが乗車すると、いつでも自動的に通知が送られ、地図上で移動の様子を確認できるようになった。メンバーの出発時刻、通った経路、到着時刻も見ることができる、とUberは説明している。

FamilyTripTracker

この情報は、Uberの領収書メールには今でも記載されているが、Trip Trackerは、これを移動中リアルタイムに見ることを可能にし、メールや電話の手間を省くことができる。

料金はこれまで通りFamily Profile登録されたカードに自動的に請求される。

Family Profileは、当初アトランタ、ダラス、およびフェニックス等限られた地域で提供され、その後広く展開された。現在は、かなりよく使われている機能で、世界60ヵ国でFamily Profileが作られておりその半分以上は米国外だと、Uberは言っている。

米国、ブラジル、メキシコ、インドネシア、およびコロンビアが、Family Profileの多い国の上位で、ロサンゼルスは最もFamily Profileの多い都市だ。

またUberは、Family Profileの利用状況に関する初期のデータを公表した。

Family Profile利用の50%以上が、週末(金曜から日曜の間)に発生しており、通勤よりも社交的な外出に使われることが多いことを示している。

また、大きな子供の乗車料金を払うことは、利用場面の一つではあるが、最も多いわけではない。Family Profileの利用の大半は、配偶者と同じカードを共有する場合だ。しかし一部の市場ではそうではない。例えば、中南米ではこの機能か、18歳以上の子を持つ家族でよく使われていて、それは殆どの家庭でクレジットカードが1枚しかないためだ。

Trip Trackerは最新バージョンのUberアプリをダウンロードすれは、世界中の乗客が利用できるとUberは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

UberとLyft、条例をめぐり今日からオースチンでの事業を「中断」

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今日(米国時間5/9)、UberとLyftはテキサス州オースチンでの乗り合いサービスを中断し、残されたドライバーたちは別の収入源を求めてさまよい、乗客は立ち往生するか別の輸送手段を求めることになる。

なぜか。今週、オースチンの有権者は、Uber、Lyftをはじめとする同市の輸送ネットワーク企業に対して、ドライバーの指紋による犯罪歴チェックを必要とする規則を支持した。

Uber Austinのジェネラルマネージャー、Chris Nakutisは投票の後声明を発表した。

「オースチンでの営業を中止することを遺慣に思う…市議会は本条例を見直し、オースチンの道を誰にとっても安全な場所にするべく、みんなで協力できるようにしてほしい。

彼の言う条例は、他にもUber、Lyftおよび他のドライバーに対して、車に企業ロゴを明示することを要求し、特定の市内車線での客の乗降を禁止している。

Lyftの広報担当者も同様の声明を発表している。

「…市議会が通した規則の下で、真の乗り合い事業を不可能だ。Lyftのピアツーピアモデルの中心をなすパートタイムのドライバーによる運転も、乗客の利用も困難にするものだ。このため当社は立場を守らなくてはならない…5月9日、月曜日にオースチンでの運営を中断する。

Uber、Lyft共にオースチンで強力なロビー活動を行い、そのために800万ドル以上を費した。しかし、それでも有権者を動かすことはできなかった。

オースチンに住み、働く起業家で、定期購読コマーススタートアップSock Clubの共同ファウンダー、Dane JenseとNoah Leeは、UberとLyftがなくなって飲酒運転が増えることを懸念している。

彼らは、住民や訪問者に便利な移動手段がなくなることも心配している。特に自転車を使いにくい雨の日には。

Sock ClubのCTO Jeneseは、「指紋が消費者の安全向上の何に役立つのか私にはよくわからないが、地域の人々がこうした企業の運営方法について発言できるのはよいことだと思う」と言った。

別の乗り合い会社が、指紋ベースの履歴検査を行って、UberとLyftの領域に参入してくるのかもしれない。従来からのタクシー会社は、既にドライバーの指紋による履歴検査を実施している。

ちなみにLyftには、オースチン拠点のドライバーが1万人いて、この、いわゆる「中断」の間に収入を得る新たな方法を探すことになる。Uberはオースチンで同アプリを使っているドライバーの人数を公表していない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

UberとLyft、住民投票に敗れてオースチン市での営業を一時停止

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今日(米国時間5/8)テキサス州オースチンの有権者は、同市の新たなUberおよびLyftのドライバーに、指紋による犯罪歴検査を義務付ける法案の撤廃を要求する提案(Proposition 1)に票を投じた。

結果は、投票者の56%がProposition 1に反対し、提案は成立しなかった。これは、指紋による犯罪歴検査を必要とする法案がそのまま通過し、新しいドライバーが同市で運転すためには検査を受けなくてはならないことを意味している。

このニュースを受け、UberとLyftは同市内での営業を停止すると発表した ― 少なくとも一時的には。

UberとLyftは、会社独自の履歴調査は十分厳格であり、指紋による検査(オースチン市が行うこのになる)は不必要な手間と費用を生み、ドライバーの雇用を難しくすると主張している。

この敗北は、有権者に提案の支持を訴える広告に計800万ドルを費したUber、Lyft両社にとって大きな痛手だ。一方、反対派の政治活動委員会が提案反対の宣伝に使った費用は、10万ドル以下だった。

提案を支持していなかったオースチン市のスティーブ・アドラー市長は結果について、「住民の意見は今夜明らかになった。われわれはUberとLyftを観迎する」とツイートした。

今後、全員にとって有効な解を見つけられるかどうかは、Lyft、Uber、およびオースチン市にかかっている。両サービス共、今後の発表があるまで市内での営業を停止し続ける。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook