ディズニーも出資する“MRお化け屋敷”運営のTYFFON、東急レクとタッグで国内出店加速へ

花火大会、海水浴、夏祭り——。夏といえば色々なイベントが多いシーズンだけど、僕個人としてはこの季節に無性に行きたくなるのがお化け屋敷だ。

今はそのお化け屋敷さえも“IT化”する時代。約1年前に紹介したTYFFON(ティフォン)が開発するMRホラーアトラクション「Magic-Reality: Corridor(コリドール)」は、まさにAR/VR/MR時代のお化け屋敷といえるだろう。

そんなコリドールなどが楽しめる施設「TYFFONIUM(ティフォニウム)」を2017年10月よりダイバーシティ東京内で展開しているTYFFON。同社は7月19日、東急レクリエーションと資本業務提携を締結し、国内でTYFFONIUMの出店を加速させることを明らかにした。

第1弾として、今秋に東急レクリエーション直営の「TYFFONIUM 渋谷店」のオープンを予定。同社によると今回の提携は「双方の強みを活かした店舗出店の取り組みが主幹となり、資本提携は提携を強固にするための補助的な位置付け」とのことで、調達額は数千万円規模になるという。

TYFFONについては前回の記事で詳しく紹介しているが、2011年11月の創業。2014年にディズニーのアクセラレーターの第1回プログラムに選ばれ、同社から出資を受けているほか、2017年にはインキュベイトファンドとアカツキが運営するファンドから100万ドルの資金調達を実施している。

現在同社が展開するTYFFONIUMで体験できるコリドールは、現実世界と仮想世界を融合させたMR(Mixed Reality)技術を活用するホラーアトラクション。周りから見れば体験者はカメラの付いたヘッドマウントディスプレイを装着して同じ所をぐるぐる回っているだけなのだけど、実際は巨大な化け物が襲ってきたり、ゾンビに遭遇したりといった恐怖体験をしているわけだ。

2017年12月からは独自の床振動システムを追加。僕もこの機能が追加された後に体験してみたのだけど、絶妙なタイミングで急に床が揺れるので何度もヒヤッとしたことを覚えている。

4月には新アトラクション「Magic-Reality: FLUCTUS(フラクタス)」を公開。こちらは最大5名で楽しめる、船上を舞台とした異世界ファンタジーとのこと。ホラー系が苦手だけどMRアトラクションを体験してみたいという人には良さそうだ。

TYFFONによるとTYFFONIUMの来場者数が認知度の拡大とともに右肩上がりで伸長。累計の来場者数は1万人を突破し、店舗単体での収益化を実現するに至っているという。

今回の提携は冒頭でも触れた通り「東急レクリエーションが持つエンターテインメント空間の運営力と、弊社が持つ次世代VRエンターテインメントコンテンツの創造力を掛け合わせることで、TYFFONIUMをより魅力的かつ身近なものにしていく」(TYFFON担当者)のが狙い。

今後は渋谷店のオープンを皮切りに、国内外で新店舗の展開を計画しているほか、ザッパラスと協同開発をしている「タロットVR:ボヤージュ・オブ・レヴリ 〜幻想の旅〜」(VR占いコンテンツ)など新コンテンツも順次リリースしていく予定だ。

働き方改革プラットフォームのチームスピリットがマザーズ上場へ

勤怠管理や経費精算、カレンダーなどの機能を一箇所に集約した業務管理プラットフォームの「TeamSpirit」。同サービスを提供するチームスピリットが7月19日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は8月22日だ。

有価証券報告書によると同社の平成28年8月期(第20期)における売上高は5億4027万円、経常損失が1億3853万円、当期純損失が1億3893万円、平成29年8月期(第21期)における売上高は7億7296万円、経常損失が9666万円、当期純損失が9736万円だ。

なお平成30年5月期(第22期第3四半期)までの各数値については売上高が8億8626万円、経常利益が7215万円、当期純利益が4914万円となっている。

株式の保有比率については、代表取締役の荻島浩司氏が36.35%を保有する筆頭株主。ついでDraper Nexus Technology Partners2号投資事業有限責任組合が13.58%、salesforce.comが12.64%と続く。

チームスピリットは有限会社デジタルコーストとして1996年11月に設立し、2008年4月に株式会社へ組織変更。現在の主力サービスであるTeamSpiritは2012年4月のスタートで、同年9月に商号をチームスピリットに変えた。

同社がDraper Nexus Venture Partnersやsalesforce、日本ベンチャーキャピタルから4億円を調達した2015年にTechCrunchでも紹介しているが、TeamSpiritは簡単に言えば従業員が日々利用するシステムを一つにまとめたプラットフォームだ。

具体的には勤怠管理、就業管理、経費精算、工数管理、電子稟議、SNS、カレンダーといった機能を備え、従来は複数のツールをまたいで入力していた作業を効率化。各従業員の働き方に関するデータがリアルタイムに蓄積されていくので、業務の削減だけでなく「トップパフォーマーの時間の使い方などを分析し、SNSでのコーチングに役立てる」なんてこともできる。

特に近年は働き方改革の実現に向けて生産性の向上を目指す企業も多く、そのためのサポートツールとしてのニーズも増えてきた。ビジネスモデルはユーザー数(ライセンス数)に応じたサブスクリプション型。2018年5月末時点で同サービスの契約社数は932社、契約ライセンス数は12万9944人となっている。

今後は同サービスの海外展開のほか、蓄積されたデータを活用した人的リスクの予兆管理や社内の業務改善、組織・人材の活性化など「AI×ビッグデータ」の新サービスも検討しているようだ。

ラストワンマイル無人化へZMPが宅配ロボの新モデル発表、デリバリーサービスの実証実験も

自動運転技術やそれを応用した宅配ロボットを開発するZMP。昨日は日の丸交通と都心部で自動運転タクシーの実証実験を開始することを発表していた同社だが、以前から開発を重ねていた宅配ロボットでも新しい動きがあるようだ。

ZMPは7月19日、宅配ロボット「CarriRo Delivery(キャリロデリバリー)」の量産前モデルを発表。同時にこのモデルを活用したデリバリーサービスの実証実験を開始することも明かしている。

冒頭でも触れたように、ZMPでは以前から自律移動技術を応用した宅配ロボットCarriRo Deliveryを開発してきた。荷台部には宅配ロッカーを搭載。カメラやレーザセンサで周囲の状況を360度認識しながら自律走行し、目的地まで荷物を届けられることが目標だ。

今回発表された新モデルは、実サービスに向けてデザインやユーザインタフェースなどをフルモデルチェンジしたもの。幅65cm、長さ95cm、高さ96cmと以前発表されていたモデルよりも小型化されたほか(1月時点のものは幅75cm、長さ133cm 、高さ109cm)、店舗のニーズに合わせて取り替え式のロッカーを採用し、ボックスの数や大きさを選べるようになった。

ちなみにスピードは前モデルと変わらず最大時速6kmだ。

またユーザー用と店舗用でそれそれアプリを準備。ユーザー用アプリでは商品の注文や決済、QRコード読み取りによるカギの解除が可能に。店舗用アプリでは店舗での注文管理や各ロッカーへの商品積込をサポートする機能を盛り込む。

そのほか各ロボットの位置やステータスの管理に加え、緊急時には遠隔操作ができる遠隔監視システムも用意しているという。

ZMPでは7月5日からローソンや慶應義塾大学SFC研究所と協力して、この新モデルを使った実証実験を開始。ユーザが注文から受取りまでをアプリで行い、CarriRo Deliveryが自律走行で届けるという実際のサービスに近い形になっていて、本実験を通じて実用化へ向けた開発をさらに加速させる方針だ。

Oculus Go、企業向けバンドルを299ドルで発売

Facebookのバーチャルリアリティー部門であるOculusは、ヘッドセットのOculus Goのビジネスユーザー向けセットを直販する。今日(米国時間7/17)から、企業ユーザーは64GB Oculus Goのビジネスバンドルを299ドルで注文できる。

Oculusはビジネスユーザーに対してさほどの追加料金を要求していない。50ドルで追加のアクセサリーと延長保証、専用のサポートなどを提供する。

現在OculusはRiftのビジネスバンドルを799ドル(Rift単体は399ドル)で販売しており、セットには今回と同様の追加がなされている。OculusがOculus Goに数多く売れることを期待しているの明らかであり、利幅も下げているのだろう。

Oculusには本格的ビジネスチャンスがある。複数のRiftとPCを動かすことは想像を絶する苦労であり、専門のトラブル対応要員が必要になりスケーリングも困難だ。Oculus Goなら機能的に多少制限されていても圧倒的にシンプルであり、Samsungのスマートフォンを挿入しなくてすむのは、スマホ自身のアップデートの手間を考えると大きな魅力だ。つまるところ、PCのパワーを必要とする一部のパートナーやゲームデベロッパーを別にすれば、スタンドアロンのヘッドセットの方がカジュアルなビジネスユースに適していることは明らかだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ウェアラブル会話デバイス開発のBONXがリコーから4.5億円を調達、音声ビッグデータの活用も

独自のイヤホン型ウェアラブルデバイスとアプリを連動させたコミュニケーションサービス「BONX」を提供するBONX。同社は7月17日、リコーと資本業務提携を締結したことを発表した。

今後リコーの顧客接点力などを活用してBONXのサービスを拡大させていくほか、両社のサービス間の連携を深めていく方針。また会話ビッグデータの活用にも取り組む。

なおBONXではリコーに対し約4.5億円の第三者割当増資を実施したことも合わせて発表している。

BONXについてはこれまでも何度か紹介しているが、片耳に装着する専用デバイス「BONX Grip」とスマホアプリを組み合わせて使う会話サービス。スマホとBluetoothを接続しておけば、携帯電波の入るところであれば、遠距離や悪天候でも相手と会話ができる。

人の声だけを高精度で検知し、機械学習により周囲の騒音環境に合わせて音声を自動的に最適化する発話検知機能や、誰かの電波状況が悪化しそうなときは音声で通知し、接続が切れても自動的に再接続処理を行う機能などを搭載。

もともと創業者の宮坂貴大氏の「スノーボード中に仲間と話したい」という思いから生まれたプロダクト。激しい向かい風の中でもクリアな会話ができるようにノイズキャンセリング機能も備えているので少々劣悪な環境であっても対応できる。

2017年12月からはビジネス用のコミュニケーションツール「BONX for BUSINESS」も提供を開始。30人までの音声グループコミュニケーションをスムーズに実現できることを特徴に、総合商社や物流企業、小売企業などで活用が進んでいるようだ。

冒頭でも少し触れた通り、今後BONXのソリューションをリコーの顧客接点力やサポート力を活かして拡販するほか、インタラクティブホワイトボードなどのリコー製エッジデバイスにBONXの技術やソリューションを組み込み、企業の働き方改革への取り組みを支援する計画。

また蓄積された音声コミュニケーションデータを用いて職場環境のモニタリングや効率化に活かすなど、会話ビッグデータの活用にも力を入れていくという。

なおBONXは2014年の創業。2018年2月に発表していたシリーズAラウンドでは慶應イノベーション・イニシアティブなどから総額4.5億円を調達。それ以前にも助成金や融資、VCからの出資などにより総額約3億円を集めている。

スマートニュースのMAUが日米合算で1000万人突破、ダウンロード数は3000万件

スマートニュースは7月17日、同社が提供するニュースアプリ「スマートニュース」の月間アクティブユーザー数(MAU)が日米合算で1000万人を突破したと発表した。ダウンロード数は日米合算で3000万件。同社がアプリのMAUを公開するのは2017年10月ぶりで、前回公開時における日本版のMAUは600万人で、米国のMAUは非公開だった。今回の発表では日米の割合は非公開ではあるが、スマートニュースは順調に成長を続けているようだ。

スマートニュースが初めてMAUを公開したのは2014年12月のことだ。MAUが400万人を突破したことを発表するために「SmartNews Compass 2014」の壇上にあがったスマートニュース代表取締役の鈴木健氏は「(ニュースアプリは)実際に使われなければ意味がない」と話し、同氏がアクティブユーザー数という指標を重視していることを示した。

米国市場におけるスマートニュースの動向について、鈴木氏は「米国でも、スマートニュースは高い成長率を維持している。One product、 One Teamでサービスを改善するため、日本、米国ともに開発メンバーを大幅に強化しているところだ。そのため、エンジニアの採用が当面の大きな課題だといえる。アメリカという日本に比べて圧倒的に多様な国に適応するためには、機械学習などのテクノロジーによってパーソナライズド・ディスカバリーを実現することが重要であると考えている」と語る。

また、日本のスマートフォン利用者数は8000万人いるにも関わらず、ニュースアプリの利用者は2000万人ほどだという数字をもとに、「国内だけでも、まだ大きな成長の可能性がある」(鈴木氏)とコメントした。

数秒審査、翌月払いの決済サービス「Paidy」が伊藤忠らから約60億円を調達——対面決済サービスも予定

決済サービス「Paidy(ペイディー)翌月払い」を提供するPaidyは7月12日、伊藤忠商事やゴールドマン・サックスらを引受先とする第三者割当増資により、総額5500万ドル(約60億円)を調達したことを明らかにした。

同社の発表によると今回はシリーズCにあたるラウンドで、リード投資家である伊藤忠商事からは4200万ドル(約46億円)の出資を受けているとのこと。なお同社は2016年7月のシリーズBラウンドでSBIらから1500万ドルを調達。これまでのシリーズAからCラウンドまでの調達額は総額で8083万ドル(約 88 億円)になるという。

Paidyは2014 年10月のサービス開始。事前の会員登録が不要で、メールアドレスと携帯電話番号の入力だけでオンライン決済ができるサービスだ。わずか数秒でAIが審査を実行(平均では0.5秒なのだそう)。SMSもしくは自動音声で案内する認証コードによって本人確認を行う。

Paidy代表取締役社長の杉江陸氏は「インスタントクレジットサービス」や「オルタナティブクレジット」という表現をしていたが、まさに必要になったそのタイミングで面倒な審査なく決済に使えるのが最大の特徴となっている。

決済代金は翌月まとめてコンビニや銀行振込などで支払う仕組みになっていて、一括払いのほか分割払いにも対応。2018年6月末の時点でアカウント数は140万口座を超えた。

一方の導入企業にとってはクレジットカードを持っていない、もしくは利用したくないユーザーの新しい決済手段となり、新規顧客の獲得やコンバージョン率向上の施策にもなりうる。加盟店ネットワークは約70万サイトに上るという。

杉江氏の話ではもともとファッション分野で導入が進んでいたが、最近ではデジタルコンテンツなど物販以外の領域でも拡大。合わせてマガシークやDMMなど大型の加盟店が続々と加わるようになってきたため、ここ半年で売り上げが2倍に成長しているそうだ。

同社ではまず今年度中に300万口座の獲得を目指すほか、対面取引決済に対応するサービスも提供する予定。具体的には「QRコード決済への対応」(杉江氏)を考えているようで、調達した資金も活用しながら急ピッチで開発を進めていくという。

さらにもう少し先の目標に「2020年までに1100万口座の獲得」を掲げていて、いずれは決済以外の金融サービスに着手する意向もある。

「そのくらいの規模になると、単なる決済サービスではなくエコシステムプレイヤーとしての役割が求められてくる。お金を払う部分だけではなく、金融の別の側面もカバーしていきたい」(杉江氏)

今回の資金調達は杉江氏いわく同社の「成長のギアをあげるためのもの」であり「半年で2倍ではまだまだ足りない」と考えているそう。リード投資家である伊藤忠商事とは、同社が手がけるサービスとの相互送客や加盟店開拓などで連携を取っていく方針で、国外での展開も含めてさらなる成長を目指していくという。

Magic Leap Oneがこの夏やってくる――謎のスタートアップのARヘッドセットはNvidia Tegra X2で動く

何年も待たされたが、いよいよこの夏、Magic Leapが実際にハードウェア製品を出荷する。同社は以前にMagic Leap Oneの概要を発表し2018年中に出荷されるとしていたが、その後の情報はほとんどなかった。このため本当にこのスケジュールを守って製品を出すことができるのかと疑う声も少なくなかった。

Magic Leapはこれまでに23億ドルのベンチャー資金を調達しているが、Crunchbaseによれば出資者のリストにはGoogle、Alibaba、Andreessen Horowitz他、オールスターメンバーが並ぶ。同社は今日(米国時間7/11)、AT&Tが63億ドルを投じて独占販売権を得たと発表して大きな反響を呼んでいる。

そのARヘッドセットだが、Twitchのデベロッパー向けストリームにいくつかの解説が上がっている。最初にビデオではMagic Leapを作動させるハードウェアはNvidia
Tegra X2になるという。おそらく強力なバージョンが用いられるはずだが、モバイルデバイスに用いるにはサイズが大きすぎるのでMagic Leapでは腰に下げる専用のパックを製作している。

価格などの詳細は依然不明だ。

同社の以前の説明ではMagic Leap Oneはモバイルではあるが、ホームユースを主として考えているということだった。

疑問は多数残っている。たとえば、デバイスに用いられているディスプレイのテクノロジー、デバイスが実際に用いられたときの視野角など核心的な部分はまだ明らかにされていない。ヘッドセットはハンドトラッキング、アイトラッキングに加えて物理的なコントローラーを用いる。こうした複数のトラッキング方式がどのように相互作用するのか、デベロッパーが制御できる部分はどの程度かなども大きなクエスチェンマークのままだ。またバッテリー駆動時間についても知りたい。

Magic Leapは自社の技術がいかに革命的なものであるか十分に鼓吹してきたが、製品を宣伝するビデオに登場するデモ自体はごく短く、ARを実現する際のソフトウェア上の大きなハードルがどう解決されたのか、ヘッドセットはサングラス式に着用できる洗練されたデザインだが、このハードウェアを十分なスケールで量産できるのかなどわれわれが知りたいことは多い。

CEOのRony Abovitzは「今週中にさらにアップデートがある」とTwitterで予告している。これにはMagic Leap Nextという次世代製品(Oneもまだリリースされていないわけだが)についての情報も含まれるという。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

既存のビデオの無断再ロードを見つけて削除するツールをYouTubeが提供開始

YouTube上のビデオの再ロードは、ほかの人の作品で利益を得ようとする詐欺的チャネルが好む手段だ。著作権保有者が自分のコンテンツを守る方法はいろいろあるが、しかし今日(米国時間7/11)は、このサービス自身が新しいツールを導入した。それは、アップロードされたビデオをスキャンして、既存のビデオとの同一性や類似性をチェックするツールだ。

この“copyright match,”と呼ばれるツールは、短いクリップは対象とせず、ビデオ全編だけを対象にする。またYouTubeの重要な注記によると、ビデオの作者がそのビデオを最初にアップロードする/した人物でなければならない。ツールは単純な時間順で“再利用”を判断するからだ。

そのツールがマッチを見つけたら作者は、自分のつまらない猫のビデオを誰かが気に入ってくれた、と満足して何もしないか、偽作者に連絡して事情を聞くか、あるいはYouTubeにそれを削除してもらう。この最後のオプションが、たぶんいちばん多いだろう。

しかしこれは、YouTubeの既存のプログラムContent IDによく似ており、使われている技術もほぼ同じではないかと思われる。しかしYouTubeによると、このツールは無断の再アップロードの検出に力点が置かれている。これに対してContent IDは、音楽や音楽ビデオや、トレイラー、演奏の録画などの著作権保有者のためのツールだ。

来週からこのコピーライトマッチツールは10万あまりのクリエイター/サブスクライバー向けに展開される。そして数か月後には、一般ユーザーも使える予定だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ホテルの市場分析・料金設定を支援する「ホテル番付」の空が1.7億円を調達

ホテル・旅館向けに、AIを使った市場分析と料金設定支援サービスを提供する空(そら)は7月12日、約1.7億円の資金調達を実施したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先はベンチャーユナイテッドふくおかフィナンシャルグループのVCであるFFGベンチャービジネスパートナーズ、エースタートマネックスベンチャーズ、ほか数名のエンジェル投資家。

空は2015年の設立以来、2016年7月にシードラウンドで数千万円の調達2017年10月に8000万円の調達を行っており、今回の調達は3回目、シリーズAラウンドに当たる。

空が最初にリリースしたプロダクトは、ホテルや旅館などに自動で最適な宿泊料金を提示するBtoBサービス「MagicPrice」だ。MagicPriceはホテルが持つ過去の宿泊予約データと、公開されている旅行予約サイトなどから得たデータを分析し、適正な宿泊料金を提案。ホテル側は自社の方針に合わせて日ごとの料金ランクを決定し、サイトコントローラー経由で予約サイトに自動で反映することができる。

MagicPriceに続いて2017年8月にリリースされたホテルの経営分析サービス「ホテル番付」はTechCrunch Tokyo 2017のスタートアップバトルで最優秀賞を獲得した。空 代表取締役の松村大貴氏は「今回投資に参加したマネックスベンチャーズについては、スタートアップバトルで審査員だった松本大氏(マネックスグループ 代表執行役社長CEO)と会話したことがきっかけとなった」と話している。

ホテル番付は当初、ホテル業界向けの効果測定・経営分析ツールとして登場したが、2018年4月からはエージェント型サービスにリニューアル。旧バージョンでも予約サイトに公開されている価格・室数情報を自動収集し、周辺ホテルの市場分析データをユーザーに届ける機能を備えていたが、新バージョンでは分析結果に基づく気づきや提案を、必要なタイミングでユーザーへ通知するスタイルに変わった。

リニューアルに伴い、基本無料で追加機能の使える有料版を月額1万円で提供してきた料金体系も変更。月額8000円の基本料金に、ホテルの規模に応じて部屋数で課金する形となっている。

2018年4月現在、ホテル番付とMagicPriceを合わせた利用ホテル数は1500件。松村氏は「利用が増えたことでフィードバックを得て、プロダクトの質も上がっている」と話す。

「料金体系の変更もよい決断だった。顧客の売上だけでなく単価もアップしており、我々もSaaS事業では重要なカスタマーサクセスに投資できるようになった。ひとつひとつ、相手に合わせたサポートプランを用意でき、満足度も向上し、ビジネスとしても成長している」(松村氏)

ホテル番付のリリースから1年弱、プロダクトの内容について模索してきたという松村氏。「今、いい型にはまったところで、サービスをよりスケールさせたい」と資金調達の意図について語る。

「調達資金はもっとチームを強くするために投資していく。プロダクトに自信が付いたところで、新しい顧客も集めたい。投資の半分はプロダクト強化のための技術開発へ、残りはセールスやマーケティングに使い、より顧客満足度を上げていきたい」(松村氏)

また、かねてから取材に対し松村氏が述べていることだが、価格決定に関わる技術を活用して、ホテル業界以外への事業展開も検討しているとのこと。

松村氏は「ホテル業界にビジネスモデルが近い業界、つまり価格決定がビジネスの成否に大きく影響し、かつプライシングのソリューションがない業界というのはいろいろある。実は他業界からも問い合わせがあり、1つ1つをプロジェクトとして検討し、見定めた上で進出したい」と話している。

「具体的にはホテル以外の旅行業界やイベントチケット、さらに飲食・小売業についても話があり、適用範囲は限りなく広いと考えている。各業界のすばらしい企業と組み、新規事業として展開することも狙っていく」(松村氏)

Tesla、EV工場建設で中国・上海市政府と合意

Tesla は、電気自動車(EV)を年50万台生産する能力を持つ工場を建設することで上海市政府と合意した。

この工場は、Teslaにとって2カ所目の組み立てプラントとなり、成長著しい中国マーケットに対応するのが目的だ。Teslaと上海市政府は7月10日、協定に署名した。

Teslaは昨年、上海での工場建設の可能性について上海市政府と協議していると明らかにしていた。TeslaがGigafactory と名付けたこの工場の建設は、“必要な許認可が全て得られたら”始まる、とTeslaの広報はTechCrunchへのメールで述べている。

「工場建設から実際に車の生産が始まるまでにはおおよそ2年かかる。そこから、中国の顧客のために年50万台生産できるようになるまでには、さらに2〜3年かかるだろう」と広報は言っている。

工場建設に伴う投資がいくらになるのか、Teslaは概算を明らかにしていない。Model 3の生産ピッチを上げるのに資金をつぎ込んでいる状況にある中で、この点はTeslaにとって厳しいポイントとなる。

とはいえ、工場建設の合意はTesla、そして長期的視点で中国を重要なマーケットとしてとらえているMuskにとって画期的なことだ。また、中国政府とのジョイントベンチャーという従来の枠組みではなく、Teslaが単独で所有する工場という点も注目に値する。これまでは、外国企業が中国に工場を建設するには地元企業をパートナーとしたジョイントベンチャーを設立するのが常だったからだ。

中国の習近平国家主席は、海外の車メーカーに課してきたジョイントベンチャールールを2022年までに廃止する方針を示していて、Teslaはこのルール変更の恩恵を受ける最初の車メーカーの1社となる。

一方で、Teslaの工場建設は、中国と米国の間の貿易摩擦をさらに悪化させてしまうかもしれない。というのも、BMWやFord Motor、GMといった他メーカーと違ってTeslaは中国に工場を持っていないからだ。Teslaはカリフォルニア州フリーモントにある自社工場でEVのセダンやSUVを製造して中国に輸出するという形をとっていて、このため車には輸入税がかかっている。

中国政府は、トランプ政権が中国製品への追加関税を発動したのを受け、報復措置として米国からの輸入車への関税を40%に引き上げた。これにより、Teslaは中国で値上げを余儀なくされた。

「上海は、米国外では初のGigafactory設置場所となる」とTeslaのCEO、Elon Muskは発表文で述べている。「最先端をいく車製造工場となり、持続可能性という点でも手本となる。早期に完成することを願っている。上海の美しさやエネルギーには目を見張るものがあり、そこに我々の工場も加えたい」としている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

月額980円で毎日1杯ドリンク無料、乾杯アプリ「GUBIT」が公開

毎月980円を払えば、仕事終わりの1杯が毎日無料で楽しめる——GUBITが7月6日にリリースした定額制の乾杯アプリ「GUBIT(グビット)」は、お酒好きにはもってこいのサービスといえそうだ。

GUBITは会員登録をして月額980円(税抜)のプランを購入することで、掲載されている飲食店であればどこでも、毎日ドリンクが1杯無料になるというもの。

使い方はシンプルでアプリから行きたいお店を選び、あらかじめ登録されているドリンクの中から飲みたいドリンクを決定。あとはお店で画面を表示して店員にコードを入力してもらえれば、おまちかねのドリンクがやってくる。

提供されるドリンクについては写真付きで掲載され、ビールとハイボールに関してはブランドや銘柄まで事前にチェックできるという。

GUBIT代表取締役の正木武良氏によると、現在はアルコール飲料のみが対象。ビールやハイボールのほか、日本酒、焼酎、サワー類、ワイン、スパークリング、ホッピーセットなど、どの加盟店にも複数のドリンクを提供してもらっているそうだ。

リリース時は首都圏エリアを中心に約100店舗が掲載。新宿で何十年も続く大衆居酒屋から、練馬のカジュアルフレンチ、六本木のクラフトビールのお店まで、ジャンルは幅広い。

今後は首都圏だけでなく、関西や名古屋、福岡など新規エリアも含めて店舗を拡大する準備を進める予定。「基本的には毎日使っていただくサービスにしたいと考えているので、普段使いのお店を中心に拡大していきたい」(正木氏)という。

GUBITに加盟する店舗にとっては、比較的飲食店の利用頻度の高いユーザーにリーチできるのが魅力だ。いろいろとヒアリングを進める中で、「1来店で1ドリンクは店舗側の集客コストとしては成立しうる」(正木氏)という感触を得たためリリースに至ったのだという。

現時点では店舗側の初期費用や月額費用、ユーザー来店ごとの成果報酬などは無料。加盟後6ヶ月を経過した店舗を対象に、GUBITを通じて提供されたドリンク数に応じたインセンティブの提供も予定している。

GUBITを開発した背景は「年を重ねるごとに行くお店が決まってきた、新しいお店に入りにくい、結婚したり子供ができると飲み代が減る」といった、すごく個人的なものだという正木氏。

「家で飲むのもいいけど、やっぱりお店でも飲みたい。できれば少しでも安く、そしていろんなお店で飲めるといい」と考えリサーチをしている中で、海外の定額制サービスの存在を知り興味をもったそうだ。

「これなら毎日飲みに行けるからすごくいいなと。ただいろいろ検証してみると、日本の生活スタイルでは定額制をやるにしても工夫が必要だと感じた。特に店舗側にどうメリットを提供できるかは勉強が必要だった」(正木氏)

そこで上述したようにヒアリングを重ね、最終的に現在のGUBITのモデルに落ち着いたのだという。

「基本的には、自分を含め世の酒飲みのためのサービスを目指したい。オンラインでのサービスは他にもあるが、『お店に行って一杯飲んでいろんな人との出会いや語らいが生まれる』というような、どちらかというとオフラインでの密な関係が生まれるサービスにできたらいいなと考えている」(正木氏)

GUBITは2018年2月の設立。同年6月に複数の個人を引受先とする第三者割当増資により、総額3000万円の資金調達を実施した。

なおGUBITと近いコンセプトのサービスは日本でもいくつか公開されていて、TechCrunchでも過去に「Foobe」や「HIDEOUT CLUB」を紹介している。

これは、DJIの次期Mavicドローンなのか?

これだけは確かだ:DJIはもうすぐビッグイベントを開く。当初は7月18日に予定されていたが、「(同社の)イノベーション基準に合致したものを届けるために」延期された。このタイミングは2016年のMavic Proの後継機にぴったりであり、イベントのポスターに書かれた”bigger picture” ということばもも画像処理に焦点を合わせていることを示唆している。

ここから先は憶測が交じるが、DroneDJの記事には、(比較的)大型の折りたたみドローン、”Mavic 2″の画像が載せられている。このデバイスは交換可能らしきカメラジンバルを搭載しているので、現在のオンボードバージョンに取って代わるのかもしれない。

これは、カメラバッグの中にほかの機器と一緒に放り込める、ポータブルソリューションを探しているプロフェッショナルにとっては歓迎すべき変更だ。広角オプションが追加されたことも、”bigger picture”のコンセプトに合っている。

CNETの記事は、360度障害物回避の可能性にも言及している。実現すれば新しいMavicは、Playground Globalが支援するスタートアップ、Skydioが作り(明らかに高価ではあるが)ドローンコミュニティーのハートを掴んだ R1とも競合する。

もちろんDJIは、今も消費者向けドローン市場の圧倒的リーダーであり、Mavicシリーズは長年消費者製品の先頭を走っている。しかし、最近の競争の激しさは間違いなく同社の気を張り詰めさせている。

DJIにとって、リークはいつものことで、過去いくつかの機種もリリース前に何らかの形でネットに掲載されてきた。それでも同社は当然ながら当社のコメント要求を拒否した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

シドニー空港がフェイススキャン(顔認識)によるチェックインを試行

オーストラリアは、パスポートによるチェックインをフェイススキャンに置き換えようとしている。その、昨年発表された計画が今週の初めから、シドニー空港でQantasの乗客に対して試行されることになった。それは、従来の紙のパスポートに依存する“不便”を駆逐する試みだ。

シドニー空港のCEO Geoff Culbertが、プレスに配った声明でこう述べている: “この計画で最初から協働しているQantasと、このたび共に試行期を迎えられたことは、まことに喜ばしい。未来には、チェックイン時にパスポートとバッグで曲芸を演じたり、ポケットやスマートフォンの中を探しまくって搭乗券を見せることが、まったくなくなるだろう。最初から最後まで、お客様のお顔がパスポートであり搭乗券なのだ”。

まだきわめて初期的な段階だが、ここまで来るだけでも相当な時間を要している。このような技術をシドニーの年間4300万名の乗客に対し実装することは、相当大きな事業だ。しかも、それに随伴するセキュリティやプライバシーの課題も、複雑極まりない。

公共の見地から、セキュリティを疑問視する声も、当然ながらある。

キャンベラ大学のBruce Baer Arnold助教授は、The Financial Review誌宛ての声明で、こう語る: “テロの防止などをセキュリティの根拠として挙げるのなら、ショッピングモールや公共の広場、メルボルンクリケット場のようなスタジアムなどでも採用すべきだ。人が集まるところなら、どこにでもだ。でもそれは、資金的にも技術的にも大げさすぎる。バイオメトリクスはきわめて強力で本物の社会的利益を作りだすが、同時に本物の危害も作りだす。昔から、金槌を持っていると何もかも釘に見える、と言うが、テクノロジーの過信にもその危険性がある”。

試行は最初、一部の国際線の便に対して行われ、チェックインと搭乗と待合室入場と手荷物預けの場面で顔チェックを行う。そして今後は、モバイルのチェックインや通関でも実装したい、と言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

レシピ動画「クラシル」のdelyが同業「もぐー」運営を買収、ダントツのナンバーワン目指す

レシピ動画サービス「kurashiru(クラシル)」を運営するdelyは7月5日、同じくレシピ動画サービス「mogoo(もぐー)」を手がけるスタートアウツの発行済全株式を取得し、完全子会社化することを明らかにした。取得金額については非公開だという。

今回delyの子会社となるスタートアウツは2013年の設立。いくつかのサービスを立ち上げたのちバイラル動画メディア「Whats」を開発。そこから方向性をシフトし、分散型の料理動画メディアとして始めたのが現在も運営しているもぐーだ。

もぐーやスタートアウツについては2016年7月にTechCrunchでも紹介している。その際は同社が環境エネルギー投資、アドウェイズ、みずほキャピタル、East Ventures、メルカリ創業者の山田進太郎氏から数億円規模と見られる資金調達を実施したことをお伝えした。

そこからサービスを拡大させ、SNSのフォロワー数に関しては7月3日15時の数値で約110万人(公式SNSカウントのフォロワー数を元にdelyが集計したもの)、レシピ動画数は6月29日時点で約3200本(Appliv調べ)ほどに成長しているという。

一方のdelyが運営するクラシルは2016年2月のスタート。開始から約2年でレシピ動画数は約1.7万本、SNSのフォロワー数は約290万人、アプリのダウンロード数も1200万DLにのぼる(動画数とアプリDL数は2018年6月、フォロワー数は同年7月のもの)。

dely代表取締役の堀江裕介氏は今回の買収について「レシピ動画サービスの中でダントツのナンバーワンになるための打ち手のひとつ」だという。

「(タイアップ広告がメインとなる)レシピ動画サービスのような領域では、トップのサービスに広告主が集中するため、いかにブランド力をつけていくかが大事になる。クラシルの力をさらに拡大する上で、他のメディアを買っていくという動きは必然的なものであり、もぐーにとってもメリットがある」(堀江氏)

買収の話自体は1ヶ月半ほど前から始まり、スピードを重視して進めてきたため、今後の細かい方向性についてはこれから詰めていくそう。現時点ではもぐーのリブランディングを実施するとともに、クラシルとのサービス統合を予定。その結果クラシルのレシピ動画数は2.1万本、SNSフォロワー数も400万人にまで拡大する。

「ポートフォリオを広げていくよりも、今はレシピ動画の軸で徹底的にやっていくフェーズ。現時点ではまだ完全なナンバーワンという状態には至っていない。まずは国内においてダントツのナンバーワンになるために、ここ1〜2年でやれることを全てやっていきたい」(堀江氏)

delyが2018年1月に33.5億円を調達した際に、堀江氏はレシピ動画以外の領域も含めて「新規事業の展開に加えて、スタートアップのM&Aや投資を検討していく」という話をしていた。

同社にとって発行済の株式を取得する買収に関しては今回のスタートアウツが初めてとなるが、今後もこのスタンスは変えず「自分たちの力以外の拡大方法」として、M&Aや投資にもチャレンジしていきたいという。

「ズボラ旅」が10万円までのコンビニ後払いに対応開始

必要なのは旅行に行きたいという気持ちだけ。それさえあればLINEのチャットを通じておすすめ旅行プランを提案し、予約代行までしてくれる「ズボラ旅 by こころから」。

TechCrunchでも何度か紹介してきた同サービスに、今までよりも多くのユーザーが旅行に行きやすくなる機能が追加されたようだ。

ズボラ旅を運営するHotspringは7月5日、同サービスの新たな決済手段として「コンビニ後払い」への対応を始めたことを明らかにした。

対象となるのは10万円までの旅行で、支払い期限は申し込み日の翌月末まで。ズボラ旅を利用して宿泊施設を予約した後に届くハガキから、コンビニで支払う仕組みだ。なお、この機能についてはフリークアウト・ホールディングスの子会社であるGardiaの後払いサービスと連携したものだ。

なおハガキを送るまでのコストや万一支払われない場合のリスクなどを考慮し、後払い利用時には540円の手数料が別途必要(上乗せされて請求)になるという。

Hotspring代表取締役の有川鴻哉氏によると、後払いについては創業当初(旅行領域をやろうと決めた時)から検討していたようだ。

同社が実現したいことはより多くの人に旅行を楽しんでもらうことであり、「みんなが旅行したいと思った時に障害になるものは片っ端から取り除いていきたい」という考えが前提にあるそう。そこで具体的な障害となりえるのが「時間がない」ということと「お金がない」ということだ。

「ズボラ旅は『時間がない』を一定解決するためのサービスだが、それだけ解決しても旅行にいけない人がいる。今回の取り組みはズボラ旅に足りなかった要素を付け足すという意図があって、『お金がない』という悩みをすべて解決できるワケではないが、少しでも旅行を楽しめる人を増やせたら良いなぁと考えている」(有川氏)

なお旅行代金の後払いといえば、つい先日「CASH」運営のバンクも「TRAVEL Now」をリリースしている。偶然にも同日にはLINEが「LINEトラベル」を発表するなど、旅行サービスの話題で界隈がざわついた1日となった。

TRAVEL Nowについて有川氏は「先にやられたー!というのが率直な感想です(笑)」と言うが、「競合が出現して焦るというよりは、それだけ旅行領域には解決すべき悩みがあって伸びしろがあるんだよなと、むしろ背中を押してもらったようなキモチ」とも話す。

確かに各プレイヤーが全く同じアプローチをしているわけでもないため、必ずしも直接的な競合というわけではなさそうだ。

「わたしたちは、わたしたちが信じる旅行のあり方を追求しながら、旅行を楽しむ人を増やしていきたいと考えている」(有川氏)

ライドシェア業界で事業統合が活発化ーCareem出資の楽天、Uberとの合併についてはノーコメント

Bloombergによると、配車サービス大手のUberは中東でのライバルCareemと合併の可能性について協議しているようだ。この件に詳しい3人の話を引用して報道している。

記事では、これまで協議されたいくつかのバージョンを示唆しているが、そのどれもまだ合意には至っていない、としている。どれかが合意に至るかもしれないが協議はまだ続いていて、結局どれも合意に至らなかった、ということもあり得る。

Bloombergの情報筋は、もしUberがすぐさまCareemを買収するという形をとらずに合併会社という形式をとる場合には、Uberは半分以上の株式を取得する必要があると主張している、と伝えている。

これまで協議され、今後合意に至る可能性のある選択肢の一つは、Careemの現在の経営陣が合弁会社を運営するというものだが、状況は流動的で、この2つのブランドが中東で現在の形態でビジネスを展開するというのもあり得る。

別の選択肢は、UberがすぐさまCareemを買収するというものだ。

Bloombergはまた、このドバイ拠点のCareemが5億ドルの資金調達を検討しているとも報じている。この資金調達が実現すればCareemの企業価値は約15億ドルになるという。Careemは1月にもIPOをする可能性があり、すでに銀行と話し合いの場を持ったとされている。

これまでのところ、Uber、Careem共にこの件については何も公表していない。

Careemと話し合いをしているかどうかUberの広報に尋ねたが、コメントを拒否された。

一方、Careemの広報Maha AboueleneinはTechCrunchに次のように語った。「我々は噂に対してコメントはしない。我々の目指すところはそれぞれの地域で一番のインターネットプラットフォームを構築することにある。それは、新マーケットを開拓し、プラットフォームに新商品やサービスを投入して既存マーケットを倍に広げていくことを意味する。その取り組みは始まったばかりだ」。

Uberは近年、グローバル事業展開の再構築を図っている。今年初めには東南アジア事業を現地でライバル関係にあったGrabに売却して東南アジアから撤退し、その一方でGrabの少数株式を取得しようとしている。

加えて、Uberは2016年に中国で同様の事業売却をもう一つのライバル企業Digiに行なった。

また、Uberは昨年ロシアのタクシー配車Yandexとジョイントベンチャーという形で業務提携をするという賭けに出たーYandexに株式の大部分を譲ってのことだ。

しかしこのところUberは中東での展開と可能性に関心があるようだ。CEOのDara Khosrowshahi は5月にあった会議で、中東、そしてアジアとインドで“勝者”になれる、このマーケットでの成否が我々の運命を握っている、と述べている。

公にはUberは、他の地域でもそうだが中東で弱小な存在でいるつもりはないとしている。しかしこれは必ずしもUberとCareemの交渉を除外することを意味するわけではない。

4月、CNBCからCareemを買収するのかと尋ねられ、それに対しCOOのBarney Harfordは過半数以下の株式取引を否定し、次のように述べた。「急成長中の我が社にとってポテンシャルのあるパートナーシップを検討しないというのはありえない。しかし確かなのは、現在我々が展開しているマーケットというのは我が社にとって中核マーケットであるということだ」。

Harfordはまた、他のマーケットで収益をあげているおかげで、Uberは選んだ成長著しいマーケットで“不特定ベース”で投資を行うことができるとも語っている。加えて、Uberは2019年のIPOを目指している。

3月にFinancial TimesはUberがインドでのライバルであるOlaと合併について交渉していると報じた。そしてそのニュースのソースは、Uberがその合併で少数株式を取得しようとしているとケチをつけた。

当然のことながら、Uberはすでに縮小したグローバル展開をさらに小さいものにしようとは思っていないだろう。しかし、見込みがあると選んだマーケットですでに劣勢にあるなら、縮小もやむなしということになるかもしれない。

このように、始まったばかりのCareemとの胸膨らむような話し合いは、Uberの投資家にとって引き続き投資を行うという勇気をつなぎとめるものになるはずだ。

Careemは昨年、シリーズEラウンドで5億ドルを調達し、時価総額は10億円超となったが、その投資家にはサウジ拠点のベンチャーキャピタルKingdom Holding、ドイツ車メーカーDaimler、そして日本のテック大企業の楽天が含まれる。伝えられているところによれば、楽天がシリーズEを主導したようだ。

楽天の携帯電話業界への投資をリードし、またCareemの役員も務める楽天キャピタルの業務執行社員Oskar Mielczarek de la Mielは、我々が彼に話しかけた時、UberとCareemの合併の噂についてコメントするのは避けた。

しかし、ライドシェアリング事業に出資する人がさらに予想されるという、機会の拡大については喜んで話した。そして我々にこう述べた。「この業界を見渡せば、誰もが誰かと話し合いをしている。統合が明らかにトレンドなりつつあるが、これはライドシェアリング事業者に限定されるのではなく、いくつか挙げるとテック企業や、OEM、支払い会社などの参画を引き出している」。

Careemのウェブサイトには、Careemが事業展開するマーケットは15カ国とある。そのほとんどが(しかしそれだけではないが)中東で、合計80都市でサービスを提供している。

一方、Uberのウェブサイトにあるサービス展開リストは、中東15都市、アフリカも15都市となっている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

荷物待ちや再配達のストレスから解放、“置き配”バッグ「OKIPPA」—— 東京海上と盗難保険も開発

「こんなにも多様な商品をネットで買える時代になっているのに、受け取る方法は未だに自宅、コンビニ、宅配ロッカーと少ないまま。もっと新しい選択肢があってもいいと思った」——そう話すのは、置き配バッグ「OKIPPA」を開発するYperの代表取締役、内山智晴氏だ。

置き配という言葉からもぼんやりとイメージできるかもしれないけれど、OKIPPAは専用のバッグを通じて不在時でも自宅の玄関前で荷物を受け取れるサービス。2018年4月からクラウドファンディングサイト「Makuake」で始めた先行販売プロジェクトには約1800人が参加(2000個以上売約済み)するなど、大きな反響を呼んだ。

8月下旬には一般販売も予定しているOKIPPA。それに向けて開発元のYperは7月5日、東京海上日動と共同でバッグ専用の盗難保険「置き配保険」を開発したことを明らかにした。合わせて7月7日より東京23区にて約1ヶ月間の実証実験を実施することも発表している。

不在時でも専用バッグで荷物受け取り、アプリとも連動

近年ECサイトやフリマサービスなどの普及に伴い、宅配物の取扱件数が年々増加している。その中で課題とされているのが再配達率の高さだ。6月25日に国土交通省が発表した資料では、宅配便の再配達率は約15.0%。特に全体を押し上げている都市部(16.4%)において、この数値を下げる方法が求められている。

自宅以外でもコンビニや宅配ロッカーで荷物を受け取ることができるものの、内閣府の世論調査などを見る限りではそこまで使われていないのが現状。これらを補完する新しい選択肢としてYperが提案しているのが、冒頭でも紹介したアプリ連動型の置き配バッグOKIPPAだ。

普段はバッグを玄関口などに吊り下げておき、荷物収納時に地面まで引き下げて使用する。耐荷重は13kgと容量の大きいものも収納できるが、使っていない際には手のひらサイズに折りたためるため余計なスペースをとらないのが特徴だ。

盗難対策として玄関口に固定する部分には専用のロック、内鍵に南京錠を付属。撥水加工の生地、止水ファスナーによって雨から荷物を守る(完全防水ではない)。一般販売では3980円(税抜)で提供する予定だ。

合わせてOKIPPAではバッグと連動するアプリを開発。OKIPPAに荷物が配送されると通知を受けとれるほか、Amazon、ZOZOTOWN、楽天で購入した商品の配送状況を管理することも可能。配送業者5社(ヤマト運輸、日本郵便、佐川急便、西濃運輸、Amazonデリバリープロバイダー各社)に対応し、もし再配達が必要になった場合もアプリから依頼できる。

OKIPPAを使う1番のメリットは、荷物を待つストレスから解放されることだろう。

通常荷物の受け取り時間は「14時から16時」など一定の範囲を指定する。この場合14時に届くのか16時に届くのかまではわからないから、その間ずっとそわそわし続けなければいけない。トイレに行くのでさえもなぜか緊張するし、たとえほんの数分だとしても家から出るとなればかなりの勇気がいる。

「いろいろな商品をネットで買えるのだから、商品に応じて受け取り方をもっと柔軟に選べてもいいはず。たとえばパソコンのように高価なものは、土日の午前中を使ってでも受け取りたいが、ちょっとした日用品を受け取るのに貴重な時間を使うのは無駄に感じてしまう。受け取りの選択肢が増えるだけでストレスも軽減される」(内山氏)

すでにMakuakeで初期に購入したユーザーを含めた50世帯以上で試験的に運用を始めていて、今のところは盗難などの被害も報告されていないそう。内山氏自身も以前は平日に受け取ることができず再配達の常連だったが、OKIPPAを使うことでその問題は解決。ユーザーからも同様の反響が多いという。

ちなみにOKIPPAのバッグ自体はIoT化していない完全にアナログなもの。その一方でアプリを作り込むことにより、少しでもIoTロッカーに近い機能を、なるべく安価かつ使いやすい形で実現することを目指している(荷物の受け取り通知も、配送員が行う配送管理処理をサーバー側で取得してアプリに通知する仕様)。

東京海上日動と共同で「置き配保険」開発

置き配サービス自体は何もOKIPPA固有のものではなく、FANCLやAmazon、アスクルを始め複数のECサイトが実践してきた。ただ内山氏の話ではダンボールをそのまま丸裸で置くのが一般的だそうで、ニーズはあるものの盗難や個人情報がさらされることを不安に思う人もいるようだ。

OKIPPAの場合は上述したバックと、新たに東京海上日動と開発した専用の置き配保険を通じて「置き配をインフラ化したい」(内山氏)という。

置き配保険は宅配物がバッグに預入された時点から一定時間(24時間の予定)を対象とし、盗難があった場合に補償してくれるというもの。もともとMakuakeの購入者にアンケートをとったところ、約半数が盗難保険を希望していたため開発に至ったそうだ。

一定金額以上に補償に関してはアプリのプレミアムプランとして提供することを予定していて、バッグが納品される8月末を目処に適用を開始する計画。なおOKIPPAバッグに預入後は、配送会社は輸送中に宅配物に付保する運送保険とは切り離すことができるという。

5000万円の資金調達も実施、インフラとなるサービス目指す

Yperは2017年8月の設立。代表の内山氏は伊藤忠商事の出身で、同社で航空機の販売や改修などに携わった後にYperを立ち上げた。

物流に関心をもったのは、前職でフランスに滞在した時。「フランスに比べて日本の物流はシステムもインフラも整備されていてすごいと感じた。その一方で物流が高度化されている日本ですら再配達など問題が発生している。これをスタートアップとして解決したらおもしろいのではと思った」(内山氏)ため、この領域でビジネスをすることに決めたそうだ。

当初はIoTロッカーを検討したものの、ヒアリングを重ねる中でコストや利用頻度、使い勝手(常に外に置いておくと雨ざらしになる上に、整備費用も発生。配置にはある程度のスペースも必要)などを考慮して方向性を転換。現在のOKIPPAのモデルに行き着いた。

2018年2月にはニッセイ・キャピタルのアクセラレーションプログラム「50M」に採択。5月には同社から5000万円の資金調達も実施している。

今後は一般販売に向けてプロダクトの改良を進めるほか、今年中にマネタイズのモデルを構築することが当面の目標。こちらはまさに進めている段階で「現時点で詳しい話まではできない」とのことだが、「独自の配送網から収益を得るモデルも検討している」(内山氏)という。

内山氏によると、MakuakeでOKIPPAを購入したユーザーの約6割が週に1回以上ECサイトを利用するヘビーユーザー。同じく約6割が半分以上の荷物で再配達を依頼している(そのうちの約4割はほぼすべての荷物で再配達を依頼)。まずはこういったユーザーを中心にOKIPPAを広げていく方針だ。

「再配達の利用率が高いECのヘビーユーザーから反響が大きいので、OKIPPAを普及させることができればB2Cの再配達率は効率的に下げていくことができると考えている。まずは日本でインフラとなるようなサービスを目指していきたい」(内山氏)

ZOZOのラインナップにビジネススーツが追加、体型データに合わせた完全オーダーメイド

ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは7月3日、同社が展開するプライベートブランド「ZOZO」の新商品を発表した。

そのうちのひとつが、同社にとって初のフォーマル商品となるメンズ用の「ビジネススーツ」と「ドレスシャツ」。これらをセットにしたものを、本日18時よりお試し価格の2万4800円(税込)で販売する。

ZOZOのウリといえば採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」で計測した体型データをもとに、個々に合った服を製造・販売できること。今回発表されたビジネススーツは、注文後に各ユーザーの体型に合わせて1点1点作り上げる完全オーダーメイド型。肩傾斜や体型の左右差なども考慮される点が特徴だ。

無地×3色とヘリンボーン×4色の7パターンからスタートし、秋ごろを目処にストライプ×3色も追加する予定。パンツの裾始末やポケットのスタイル、ボタンや裏地のカラーといった細かいカスタマイズもできるという。

もう一方のドレスシャツについては14色を用意。こちらも襟や袖口デザインのカスタムが可能で、自分にあったサイズ・デザインの商品を見つけることが可能だ。

ビジネススーツとドレスシャツについては今後それぞれ単品でも販売する計画(スーツは通常価格が3万9900円、お試し価格が2万1900円。ドレスシャツは通常価格4900円、お試し価格2900円を予定しているとのこと)だが、まずはセットで本日より提供する。

8月頃を目処にネクタイの販売も始める予定で、こちらも合わせて理想のVゾーンの実現を目指していくという。

またZOZOでは本日フォーマル商品のほか、メンズ3型、ウィメンズ4型の新たなカジュアル商品も合わせて発表。メンズの「VネックTシャツ」「クルーネックポケットTシャツ」「ストレートデニムパンツ」、ウィメンズの「VネックTシャツ」「オックスフォードシャツ」「ストレートデニムパンツ」「スキニーデニムパンツ」が本日18時より販売開始となる。

本日開催されたカンファレンスでは、新製品のほかプライベートブランドの背景や展望などを紹介。4月に仕様変更のあったZOZOSUITの配布状況についても言及があり、7月3日までに55万3179枚のスーツが配布されたということだった。

また同ブランドのグローバル展開にも力を入れていく方針。本日より世界72の国と地域で(日本は対象外)10万人にZOZOSUIT、Tシャツ、デニムを無料配布するプロジェクトも始めている。

 

動画スタートアップのViibar、朝日放送グループ子会社と共同でDIYメディア「LYKKE」開始

ライフスタイル動画メディアの「bouncy」などを運営するViibarは7月3日、朝日放送グループのABCフロンティアホールディングス(以下、ABCフロンティア)と共同でDIY動画メディア「LYKKE(リッケ)」の正式リリースを発表した。

LYKKEは、DIYのアイデアやライフハック術を短いビデオで紹介する動画メディア。主なターゲットは20〜30代の女性で、まずはFacebookやInstagramなどのSNS上に動画を配信する分散型メディアとしてスタートする。LYKKEは2018年3月にプレオープン。現在までの再生回数は約30万回で、SNSアカウントのフォロワー総数は約4万人だ。

Viibar取締役の高橋俊輔氏は、「DIYで作れるモノを動画で見せるだけでなく、その作ったモノが生活の課題をどのように解決するのかを示すといったLYKKE独自の動画の作り方はあるが、テンポの良い動画作りなど、基本的にはbouncyの運営などで培ったノウハウが生かされている」と話す。

2013年創業のViibarは、動画マーケティング事業とメディア事業の2つを柱にビジネスを展開するスタートアップ。2017年1月には日経新聞社などから約4億円の資金調達を発表し、続く4月には電通グループとの資本業務提携を発表するなど、各分野の大手企業との協業を進めている。

一方のABCフロンティアは、朝日放送グループから分社化したアニメ事業、海外事業、ライセンス・物販事業を取りまとめる中間持株会社として2016年7月に設立された企業。

同社は現在、朝日放送グループ本体とのシナジーが大きい動画領域に限らず、幅広い分野での新規事業立ち上げを模索している最中で、今回のLYKKEもその取り組みの一つだ。ABCフロンティアとViibarには資本関係はなく、サービスの運営費用を共同で拠出するというスキームでLYKKEの運営を行っていくという。